2014年 ソルベンシーⅡ サーベイ概要 (PDF:184KB)

EUROPEAN SOLVENCY II SURVEY 2014
2014年 欧州におけるソルベンシーII 対応動向調査
概 要
保険業界では、2016年1月1日までにソルベンシーIIを導入する取組みがおおむね軌道に乗っ
て進められています。ただし、3つの柱すべてにわたる準備を滞りなく終えるために、今後導入時
までに必要な作業は山積しています。
►
オランダや英国、北欧諸国の保険会社はほぼ要件を充足できると確信している一方で、フラ
ンスやドイツ、ギリシャや東欧諸国の保険会社はそこまで到っていないなど、各国の進捗状
況にはかなりの差がみられます。
►
保険会社は、リスクカルチャーやリスク選好度、統制、人材やシステムなど多数の側面にわ
たって、そのリスク管理の有効性を高めるという姿勢を一貫してアピールしています。
►
報告に加え、盤石なデータとITを確保することは依然としてかなり難しく、多数の保険会社は、
計画の中のこの部分を十分に具体化するには至っていません。
►
また第3の柱(情報開示)への準備は相対的に遅れており、スケジュール通りに要件を充足
するためには、2014年度中の各社の対応策が必須となっています。
►
内部モデルに対する承認を得ることは、引き続き大きな課題となっています。この方法に依る
予定の企業数は若干減少していますが、大手保険会社は依然として、新しいソルベンシーII
導入当初から内部モデルの承認を得る姿勢を鮮明にしており、目標達成のための作業計画
を調整しています。
►
多数の保険会社は各社の計画や新しい要求事項の解釈に対して、規制当局がタイムリーに
フィードバックを返して来ないなど、その対応に物足りなさを感じています。これは、規制当局
側の深刻な人員不足にも一因があるものとみられます。
►
報告をはじめとした、多数のリスク管理業務の自動化もまだそれほど進んでいませんが、各
社がこの計画整備を進めるにつれて、次第に関心が高まるものと考えられます。
►
保険会社に対する、再建破綻処理計画策定への要求も高まりつつあるとみられます。
►
企業各社は、ソルベンシーIIという新体制に適切な準備を整えられるよう、かなりの労力をか
け、ソルベンシーIIの下で自己資本管理のありかたを模索している状況です。
新日本有限責任監査法人
はじめに
長く待たれていた、ソルベンシーIIの導入がいよいよ現実のものとなりつつあり、保険会社はその導入前に解決すべき多数の課題
に直面しています。
2013年の秋に、EYは2012年度の調査を更新し、欧州全体を対象としたソルベンシーII調査を実施しました。20カ国にわたり、
170社以上の保険会社から回答が寄せられたこの調査は、保険業界を対象とした最大規模の包括的な調査の一つとなっており
ます。
私どもの調査で明らかになっている通り、ソルベンシーIIの要件が導入されれば、保険会社のビジネスに直接的な影響を及ぼすこ
とになることは間違いありません。この調査結果は回答企業の自己評価であるほか、第1の柱、第2の柱および第3の柱に対する
導入の進捗状況や、ソルベンシーIIに関して目下俎上に乗せられているさまざまな課題への意見を集約したものにもなっています。
またこの調査に基づいて、データやIT対応、組織体制の変更、内部モデルの適用、規制対応、再建破綻処理計画の策定、自己資
本の最適化など、関心が高い分野に対する各社の見解も鮮明になっています。
本調査結果は、英国、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ポーランド、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、北欧諸国など
欧州有数の保険市場で、ソルベンシーの3つの柱の導入に向けた準備や取組みがどの程度進んでいるか、皆様のご理解の一助
になるものと考えております。
図2: 3つの柱別にみた要件充足状況
図1: 欧州のソルベンシーIIへの対応準備状況
58%
56%
60%
50%
2013年
3.5
2012年
3.0
32%
2.7
2012年
2.9
2013年
20%
20%
1.0
2%
2014年
内
2015年
内
1.9
1.5
19%
11%
既に遵守
1.8
2.0
30%
0%
3.3
2.5
40%
10%
3.2
2016年
内
1%
1%
2017年
内
それ以降
0.5
0.0
第1の柱
第2の柱
1: 要件を充足していない
2: 一部の要件を充足している
3: 大半の要件を充足している
第3の柱
4: すべての要件を充足している
5: ソルベンシーIIの要件充足以上に
進んでいる
お問合わせ先
新日本有限責任監査法人
EY Japan
金融部 マネージング・ディレクター
出塚 亨一
Tel: 03-3503-1088 Email: dezuka-kch@shinnihon.or.jp
金融部 マネージャー
浅田 昌司
Tel: 03-3503-1088 Email: asada-shj@shinnihon.or.jp
金融アドバイザリー部
マネージング・ディレクター
川崎 俊彦
Tel: 03-3503-1378 Email: kawasaki-tshhk@shinnihon.or.jp
EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory
EYについて
EYは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなどの分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、世
界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私たちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出していきます。そう
することで、構成員、クライアント、そして地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織
です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しくは、ey.comをご覧ください。
EY FSO(日本エリア)について
EYフィナンシャル・サービス・オフィス(FSO)は、競争激化と規制強化の流れの中で様々な要望に応えることが求められている銀行業、証券業、保険業、アセッ
トマネジメントなどの金融サービス業に特化するため、それぞれの業務に精通した職業的専門家をグローバルに有しています。また、各業界の規制動向を予
測し、潜在的な課題に対する見解を提示するため、業種別にグローバル・ナレッジ・センターを設け、規制動向の収集や業界分析を行っています。EY FSO(日
本エリア)は、グローバル・ネットワークと連携して、金融サービス業に精通した職業的専門家が一貫して高品質なサービスを提供しています。
© 2014 Ernst & Young ShinNihon LLC.
All Rights Reserved.
本書は一般的な参考情報の提供のみを目的に作成されており、会計、税務及びその他の専門的なアドバイスを行うものではありません。新日本有限責任監査法人及び他のEYメンバーファームは、皆様が本書を
利用したことにより被ったいかなる損害についても、一切の責任を負いません。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家にご相談ください。