NCESの8年年間と第3期への展望 第4回 NCESシンポジウム NCESの8年年間と第3期への展望 2014年年10⽉月8⽇日 ⾼高⽥田 広章 名古屋⼤大学 ⼤大学院情報科学研究科 教授 附属組込みシステム研究センター⻑⾧長 NPO法⼈人 TOPPERSプロジェクト 会⻑⾧長 Email: hiro@ertl.jp URL: http://www.ertl.jp/~∼hiro/ Hiroaki Takada 1 NCESの8年年間と第3期への展望 受賞のご報告 ▶ 第12回(平成26年度)産学官連携功労者表彰において, 高田広章(名古屋大学)とNPO法人 TOPPERSプロジェク トが,「オープンソースの組込みリアルタイムOSの開発・普 及」によって,科学技術政策担当大臣賞を受賞しました Hiroaki Takada 2 NCESの8年年間と第3期への展望 受賞タイトル ▶ 長年に渡るオープンソースのリアルタイムOSプロジェクト ▶ オープンソースの組込みリアルタイムOSの開発・普及 受賞理由 ▶ 10年以上に渡り活動を継続し、多くの企業が参加 ▶ 多岐に渡るOS群 ▶ 家電製品からロケットまで ▶ オープンソースのモデルケース ▶ 大学が産学官連携コンソーシアム(NPO法人)を設立、そこ に加盟する多数の企業に自らもつシーズを展開。結果、コン ソーシアムを中心として、人工衛星、乗用車、NC工作機械、 OA機器、携帯電話など多様な製品への実装を実現した功 績は大きい。中堅企業やベンチャーを含むコンソーシアムの 活動は現在も活発(製品の用途の拡大等)、開発成果物の 知財権導入への工夫もあり、オープンソースプログラムの成 功例としてのモデルケースとなり得るなど、特に優れた事例 である。 Hiroaki Takada 3 NCESの8年年間と第3期への展望 TOPPERS OSの適用製品例 キザシ (スズキ) スカイラインハイブリッド (日産) IPSiO GX e3300 (リコー) 提供:JAXA,イラスト:池下章裕 H-IIB(JAXA) ASTRO-H (JAXA) <開発中> Hiroaki Takada SoftBank 945SH PM-A970 (エプソン) (シャープ) 4 NCESの8年年間と第3期への展望 NCESの今とこれまで Hiroaki Takada 5 NCESの8年年間と第3期への展望 名古屋⼤大学 組込みシステム研究センター (NCES) ☞ http://www.nces.is.nagoya-u.ac.jp/ 設立目的 ▶ 組込みシステム分野の技術と人材に対する産業界からの 要求にこたえるために,組込みシステム技術に関する研 究・教育の拠点を,名古屋大学に形成 ▶ 産業界が必要とする技術課題を分析・抽出し,大学にお ける基礎研究に反映 活動領域(スコープ) ▶ 組込みシステムに関する以下の活動に,産学連携の枠組 みで取り組む ▶ 大学の持つ技術シーズを実現/実用化することを指向 した研究(第二種基礎研究〜応用研究) ▶ プロトタイプとなるソフトウェアの開発 ▶ 組込みシステム技術者の教育/人材育成 Hiroaki Takada 6 NCESの8年年間と第3期への展望 設置形態と名称 ▶ 設置形態:大学院情報科学研究科の附属施設 ▶ 正式名称:名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組 込みシステム研究センター ▶ 英語名称:Center for Embedded Computing Systems ▶ 略称:NCES 計算機数理科学専攻 他学部・研究科 名古屋大学 大学院情報科学研究科 全学共同教育研究施設 設置期間 ▶ 第1期:2006年4月1日から4年間 ▶ 第2期:2010年4月1日から4年間 ▶ 第3期:2014年4月1日から4年間 Hiroaki Takada 情報システム学専攻 メディア科学専攻 複雑系科学専攻 社会システム情報学専攻 附属組込みシステム 研究センター 7 NCESの8年年間と第3期への展望 研究開発のフェーズと組織の位置付け 魔の川 基礎研究 死の谷 実用化志向の 研究開発 ダーウィンの海 実用化開発 製品化 維持・普及 産業界 高田研究室 枝廣研究室 NCES TOPPERS プロジェクト ▶ NCESは,実用化志向の研究開発から実用化開発までを 担当 Hiroaki Takada 8 NCESの8年年間と第3期への展望 NCESの組織 外部資金によるテーマ毎のプロジェクトで組織 学内外の委員 研究科 教授会 研究科長 アドバイザリ 委員会 センター長 (教授) 研究開発拠点 スペースソフトウェアプラット フォーム連携研究開発拠点 研究プロジェクト 次世代車載システム向けRTOS ディレクタ (研究担当) 研究プロジェクト 車載データ統合アーキテクチャ 研究プロジェクト 次世代車載ネットワーク … ディレクタ (教育担当) 機動的に増減 大学院生向け人材育成 山本 雅基_ 高田 広章_ (情報システム学専攻 教授) Hiroaki Takada (特任准教授) 人材育成ネットワーク事業 社会人向け人材育成 高度研究開発人材の育成 9 NCESの8年年間と第3期への展望 NCESの⼈人員構成(2014年年10⽉月1⽇日時点) ▶ 専任教員:3名(教授(兼務),准教授,助教) ▶ 特任教員:4名(特任教授 2名,特任准教授,特任助教) ▶ 常勤研究員:13名(内6名は企業からの出向者) ▶ 共同研究員:15名 ▶ 受託研究員等:0名 ▶ 事務補佐員:2名 è 常駐の教員・研究員・事務補佐員:37名 ▶ 他大学の教員(非常勤特任教授):2名 ! その他に,多くの情報科学研究科所属の教員・学生,共 同研究相手機関の研究者/技術者等が,NCESのプロジェ クトに参加 ! 37名は,過去8年半で最大(共同研究員が多い) Hiroaki Takada 10 NCESの8年年間と第3期への展望 これまでに実施した/実施中の主な研究プロジェクト 民間企業等の資金による共同研究(主なもの) ▶ 車載マルチメディアシステム向けOS(トヨタ自動車) ▶ 次世代車載ネットワーク(オートネットワーク技術研究所) ▶ 車載アーキテクチャ記述による耐故障設計支援(豊田中 央研究所) ▶ 車載システム向け機能安全技術(JarPar) ▶ スペースワイヤOS(JAXA) コンソーシアム型共同研究 ▶ マルチプロセッサ向けRTOS ▶ 組込みコンポーネントシステム ▶ 次世代車載システム向けRTOS ▶ 車載制御システム向けソフトウェアプラットフォーム ▶ 車載データ統合アーキテクチャ ※ 赤字は実施中のもの Hiroaki Takada 11 NCESの8年年間と第3期への展望 公的資金による共同研究(主なもの) ▶ 組込みシステムの消費エネルギー最適化(科学技術振興 機構 CREST) ▶ 機能安全対応自動車制御プラットフォームの開発(経済産 業省 戦略的基盤技術高度化事業) ▶ 走行環境認識のための車内および周辺状況データの統 合化・抽象化技術の開発(科研費) ▶ 故障未然防衛機能を有した高信頼ソフトウェアプラット フォームの開発(経済産業省 戦略的基盤技術高度化事業) ▶ 次世代車載連携アプリケーション向け分散処理プラット フォームの開発(総務省 SCOPE) ▶ 組込みシステム向けデータ集約型パラダイムの実現と車 両走行制御への適用(科研費) ※ 赤字は実施中のもの その他 ▶ ツールプラットフォームに関する技術検討(TERAS) Hiroaki Takada 12 NCESの8年年間と第3期への展望 これまでに実施した⼈人材育成プロジェクト 学生向け人材養成 ▶ OJLによる最先端技術適応能力を持つIT人材育成拠点 形成(文部科学省 先導的ITスペシャリスト育成推進プログ ラム) ▶ 分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワーク(文 部科学省 情報技術人材育成のための実践教育ネット ワーク形成事業) 社会人向け人材養成 ▶ NEXCESS:組込みソフトウェア技術者人材養成プログラム (文部科学省 科学技術振興調整費) ▶ 組込みシステム技術に関する高度な研究開発人材の養 成(文部科学省 特別経費) ※ 赤字は実施中のもの Hiroaki Takada 13 NCESの8年年間と第3期への展望 ⾞車車載マルチメディアシステム向けOS 研究開発の概要 トヨタ⾃自動⾞車車との共同研究 ▶ 高い信頼性を持った制御系OSと,スケーラビリティの高い システム構築を容易にする情報系OSを組み合わせたハ イブリッド環境を,マルチコアプロセッサ上に構築 è 信頼性とスケーラビリティの両⽴立立 ▶ 開発成果の一部は,SafeGという名称でオープンソース化 制御系 制御系ネットワーク (CAN,LIN,FlexRay) Hiroaki Takada 情報系 制御系連携 アプリ 情報系 アプリケーション 制御系OS (H2O-R) 情報系OS (H2O-S) OS連携機能(H2O-C) マルチコアプロセッサ 車外ネットワーク (携帯電話, インターネット) 車載マルチメディア ネットワーク 14 NCESの8年年間と第3期への展望 次世代⾞車車載ネットワーク (スケーラブルCAN) オートネットワーク技術研究所との共同研究 FlexRayの問題点 〜 研究開発の動機 ▶ 既存の制御ソフトウェアの大幅な作り直しが必要 ▶ 10Mbpsより高速化することが困難(短寿命な技術?) スケーラブルCANのコンセプト ▶ ソフトウェアから見たCANの使用方法をできる限り変えず に,通信速度を10倍程度に高速化 ▶ 高速な通信を必要とするECUから,徐々に移行することが 可能で,移行のためのコストを小さくできる これまでの開発成果 ▶ ハブ型の10Mbps版のプロトコル仕様とコントローラを開発 ▶ バス型の5Mbps版プロトコル仕様とコントローラを開発 Hiroaki Takada 15 NCESの8年年間と第3期への展望 消費エネルギーの最適化 ▶ JST CREST「情報システムの超低消費電力化を目指した 技術革新と統合化技術」領域の採択テーマ(2005年10月 より5年半のプロジェクト) ▶ 九州大学,立命館大学,東芝との共同研究 研究の目標 ▶ ソフトウェアとハードウェアの協調により,アプリケー ション に必要なQoS(性能,計算精度,信頼性)を保証しつつ, 消費エネルギーを60分の1に低減する技術を開発 研究のアプローチ ▶ 組込みシステム設計技術を対象にするため,アプリケー ションの性質を最大限に活用 ▶ 広範囲な設計階層(ソフトウェア設計からハードウェアの 回路設計まで)に跨る統合的・体系的な最適化 ▶ 必要なQoSを保証しつつ消費エネルギーを最小化 Hiroaki Takada 16 NCESの8年年間と第3期への展望 機能安全対応⾃自動⾞車車制御PFの開発 ▶ 経済産業省の平成18年度戦略的基盤技術高度化支援事 業 の採択テーマ(2006年12月より3年間のプロジェクト) ▶ 統括研究代表者:高田広章 ▶ 管理法人:(株)ヴィッツ ▶ メンバ:(株)ヴィッツ,(株)サニー技研,東海ソフト(株), 名古屋大,産総研,名古屋市工研,道立工業試験所 ▶ アドバイザ:トヨタ自動車,アイシン精機,東海理化,他3社 開発の内容 ▶ 機能安全規格(IEC 61508)のSIL 3の認証が取れるレベ ルのRTOSと車載ネットワークミドルウェアを開発 ▶ 安全性を証明するための活動が中心に ▶ RTOSとミドルウェアに対する安全要求分析を実施 ▶ RTOSはTOPPERS/ASPカーネルをベースに ▶ 成果物の一部はTOPPERSプロジェクトからオープンに Hiroaki Takada 17 NCESの8年年間と第3期への展望 プロジェクトの成果 ▶ 機能安全と機能安全規格に 関する多くの知験 ▶ メンバ企業が,機能安全に 関連するビジネスを展開 ▶ このプロジェクトの成果を活 用して,(株)ヴィッツがTÜV SÜDより,IEC 61508のソフト ウェア開発プロセスに関す る認証を取得 ▶ さらに,ヴィッツ,東芝,パナ ソニックが,TÜV SÜDより, ISO 26262のソフトウェア開 発プロセスに関する認証を 取得(世界初と思われる) Hiroaki Takada 18 NCESの8年年間と第3期への展望 マルチプロセッサ向けRTOSに関するコンソーシアム プロジェクトの位置付け ▶ 名古屋大学独自に実施してきたマルチプロセッサ向け RTOSの研究開発プロジェクトに企業からの参加を募集 ▶ このプロジェクトを,高度な研究開発人材の育成事業に活 用 研究開発の内容 ▶ 名古屋大学で開発を進めていたTOPPERS/FMPカーネル をベースに ▶ マルチプロセッサ向けRTOSの検証手法の検討と開発に 重点をおいて実施 ▶ 動的負荷分散手法等についても研究開発 プロジェクトの期間 ▶ 2009〜2010年度にかけて実施 Hiroaki Takada 19 NCESの8年年間と第3期への展望 参加企業と研究従事者 ▶ 2009年度は7社,2010年度は5社の企業と,1公的機関, 名古屋大学が参加 ▶ 東芝 ▶ デジタルクラフト ▶ ルネサステクロノジ ▶ 三洋電機(2009年度のみ) ▶ NEC通信システム ▶ 松浦商事(2009年度のみ) ▶ 富士ソフト ▶ 宮城県産業技術総合センター ▶ 上記の参加企業からの5名の技術者が,ほぼフルタイムで 共同研究開発に従事 開発したソフトウェアの取扱い ▶ 参加企業は自由に利用できる(相互に無償利用許諾) ▶ 共同研究終了の1年後に,TOPPERSプロジェクトよりオー プンソースソフトウェアとして公開 Hiroaki Takada 20 NCESの8年年間と第3期への展望 次世代⾞車車載システム向けRTOSに関するコンソーシアム プロジェクトの位置付け ▶ 名古屋大学 組込みシステム研究センター(NCES)が設定 した研究開発テーマに,複数の企業の参加を得て研究・ 開発を進めるコンソーシアム型共同研究(ATK2コンソ) ▶ 2011年度〜2013年度の3年計画で実施 研究開発の内容 ▶ 次世代の車載組込みシステム向けのRTOS仕様の策定 ▶ AUTOSAR OS仕様をベースに,問題点を修正 ▶ 策定した仕様に基づいたRTOSの実装 ▶ トレーサビリティの取れたRTOSの設計書も作成 ▶ RTOS上で動作する通信スタック(COM,CANIF等)と RTE(Runtime Environment)ジェネレータの開発 ▶ RTOSと通信スタックの検証スイートの開発 Hiroaki Takada 21 NCESの8年年間と第3期への展望 研究開発成果の取扱い ▶ 開発したRTOS,通信スタック,RTEジェネレータは,開発 終了後,オープンソースソフトウェアとして一般公開 ▶ 検証スイートと設計書は,コンソーシアム参加企業は自由 に使用できる.参加企業以外には有償でライセンス 参加企業 ▶ (株)豊田自動織機 ▶ (株)ヴィッツ ▶ 日本電気通信システム(株)〔2012 ▶ (株)永和システム 年度まで〕 マネジメント ▶ パナソニック アドバンストテクノロ ▶ (株)OTSL ジー(株) ▶ (株)サニー技研 ▶ 富士通VLSI(株)〔2012年度まで〕 ▶ (株)デンソー ▶ 富士ソフト(株) ▶ (株)東芝 ▶ ルネサス エレクトロニクス(株) ▶ トヨタ自動車(株) Hiroaki Takada 22 NCESの8年年間と第3期への展望 NCESの今後 ※このパートのプレゼン資料を配付できて おらず,申し訳ありません Hiroaki Takada 23 NCESの8年年間と第3期への展望 組込みシステム業界の現状 我が国の組込みシステム業界の現状 ▶ 自動車産業は儲かっており,仕事は多いはずなのに,い まひとつ活気が感じられない(人材不足感は強いが…) ▶ やはり,電機電子産業の不振が効いている ▶ 高品質な(必然的に,高コストな)ものづくり技術が足か せに? ▶ 自動車産業一本足になっている ▶ 他にも強い分野(工作機械,プリンタ/複合機,デジタル カメラなど)はあるが,産業規模が大きくなく,業界を 引っ張れる程ではない 世界的には状況は違う ▶ まだまだ広がる組込みシステムの応用分野 Hiroaki Takada 24 NCESの8年年間と第3期への展望 我々が進むべき⽅方向性 2つの方向性 ▶ 強い分野(自動車産業,高品質が活きる分野)を守る ▶ 新しい分野(フロンティア)を開拓する ▶ ヘルスケア,医療機器? ▶ スマートエネルギー,スマートハウス? ▶ ロボット? ▶ (自動車の)先進安全,自動走行? どちらにしても,鍵はネットとの融合 ▶ “つながる組込みシステム” ▶ サイバーセキュリティが大きい課題に ソフトウェア高信頼化・開発効率化は永遠の課題 ▶ 地味だがやり続けなければならない Hiroaki Takada 25 NCESの8年年間と第3期への展望 ⾞車車載組込みシステム分野の危機と取り組み 自前のプラットフォーム(OS)が維持できるか? ▶ 車載制御システム向けのSPF(ソフトウェアプラットフォーム, 広い意味でのOS)は,AUTOSARに標準化される流れに ▶ AUTOSAR仕様ベースのSPFの開発で先行する海外有力 企業により,市場が寡占化されつつある ▶ SPF/OSは,寡占化が進みやすい ▶ 他の分野(PC,スマホ)では,有力なSPF/OSは,グ ローバルに2つか3つ程度しか残っていない ▶ 日本は,SPF/OSの分野では,ずっと負けてきた.これ まで負けてきた構図と重なる ! 危ない段階に来ている Hiroaki Takada 26 NCESの8年年間と第3期への展望 参考) AUTOSARとは? ※ AUTOSAR:AUTomotive Open System ARchitecture ▶ 自動車,自動車部品,エレクトロニクス,半導体,ソフトウェ ア企業によるグローバルパートナーシップ(2003年設立) ▶ ソフトウェアの複雑性を軽減するために,ソフトウェア基 盤(infrastructure)の業界標準を作成 ▶ コアパートナー(2014年時点) BMW Daimler PSA Peugeot Citroen Bosch Ford トヨタ自動車 Continental GM Volkswagen ▶ 最初の仕様書(群)は,2006年春から順次発行 ▶ Release 4.0の仕様書(群)が,2010年春に公開 ▶ 最新の仕様書(群)はRelease 4.1 Revision 2 ▶ 約90の標準仕様書と約95の関連ドキュメントなど Hiroaki Takada 27 NCESの8年年間と第3期への展望 自前のSPFを失うことによる問題 ▶ 国内の自動車メーカや部品メーカに対するサポートが悪 い.具体的には… ▶ 使用方法に関する質問や不具合への対応が不十分ま たは遅い ▶ 特有のニーズに合致するようにSPFを修正してもらうこと が困難(可能だとしても,時間とコストがかかる) ▶ 市場の寡占化に伴い価格が上昇する 我々の問題意識 ▶ 自動車におけるソフトウェアの重要性が増す中で,中長期 的には,上記の問題が,我が国の自動車産業のものづくり 力の低下につながるのでは? ! 組込みシステム分野が落ち込むのみならず,自動車産業 の足を引っ張る Hiroaki Takada 28 NCESの8年年間と第3期への展望 ATK2コンソーシアムの概要 正式名称 ▶ 次世代車載システム向けRTOS(リアルタイムOS)の仕様 検討及び開発に関するコンソーシアム型共同研究 コンソーシアム型共同研究とは? ▶ 名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステ ム研究センター(NCES)が設定した研究開発テーマに, 複数の企業の参加を得て研究・開発を進める共同研究 実施内容 ▶ AUTOSAR OS仕様をベースとしたRTOSとその検証ス イートの研究・開発 ▶ CAN通信スタック,RTEジェネレータの開発 実施期間 ▶ 2011年度〜2013年度の3年間で実施(名古屋大学と参加 企業との間の共同研究契約は年度単位) Hiroaki Takada 29 NCESの8年年間と第3期への展望 研究開発成果の取扱い ▶ 開発したRTOS,CAN通信スタック,RTEジェネレータは, TOPPERSプロジェクトからオープン化 ▶ 検証スイートと設計書は,コンソーシアム参加企業は自由 に使用できる.参加企業以外には有償でライセンス 参加企業 ▶ (株)豊田自動織機 ▶ (株)ヴィッツ ▶ 日本電気通信システム(株)〔2012 ▶ (株)永和システム 年度まで〕 マネジメント ▶ パナソニック アドバンストテクノロ ▶ (株)OTSL ジー(株) ▶ (株)サニー技研 ▶ 富士通VLSI(株)〔2012年度まで〕 ▶ (株)デンソー ▶ 富士ソフト(株) ▶ (株)東芝 ▶ ルネサス エレクトロニクス(株) ▶ トヨタ自動車(株) Hiroaki Takada 30 NCESの8年年間と第3期への展望 APコンソーシアムの概要 ※ AP = Automotive Platform 正式名称 ▶ 車載制御システム向け高品質プラットフォームに関するコ ンソーシアム型共同研究 コンソーシアム型共同研究とは? ▶ 名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステ ム研究センター(NCES)が設定した研究開発テーマに, 複数の企業の参加を得て研究・開発を進める共同研究 実施内容 ▶ AUTOSAR仕様をベースとして,高品質な車載制御システ ム向けプラットフォームに関する研究開発を行う ▶ ATK2コンソーシアム(2011年度〜2013年度に実施)の成 果をベースに,品質向上・開発範囲拡大を行う 実施期間 ▶ 2014年度に開始.3年程度の継続実施を予定 Hiroaki Takada 31 NCESの8年年間と第3期への展望 研究開発の目標 ▶ AUTOSAR仕様をベースとして,その問題を解決し,日本 の自動車産業のニーズに合致した,軽量で高品質なSPF を開発する ▶ AUTOSAR仕様に対して大幅な修正(改良)を行うよう な研究開発も実施する ▶ 開発するSPFを,グローバルに有力な車載制御システム 向けSPFのトップ3の内の1つとすることを目指す 目標に向けてのアプローチ ▶ 開発したSPFは,TOPPERSプロジェクトからオープン化す ることを基本とする ▶ 目標達成のためには,多くの企業の協力を得る必要が あり,オープン化(無償公開)はそのための手段 ▶ ただし,品質確保に用いる開発成果については,コンソー シアムメンバ以外には有償でライセンスする Hiroaki Takada 32 NCESの8年年間と第3期への展望 APコンソーシアムの参加企業(24社) ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ▶ ! アイシンコムクルーズ(株) イーソル(株)* (株)ヴィッツ (株)永和システムマネジメント† SCSK(株) (株)OTSL† オムロン オートモーティブエレ クトロニクス(株)† (株)サニー技研 (株)ジェイテクト * スズキ(株) (株)デンソー * (株)東海理化電機製作所 * (株)東芝 さらに参加を検討中の企業も Hiroaki Takada *は部分参加 †はオブザーバ参加 ▶ (株)豊田自動織機 ▶ (株)豊通エレクトロニクス† ▶ マツダ(株)† ▶ パナソニック(株)† ▶ パナソニック アドバンストテク ノロジー(株) ▶ 富士通テン(株) ▶ 富士ソフト(株) ▶ ルネサス エレクトロニクス(株) ▶ 矢崎総業(株) ▶ ヤマハ発動機(株)† ▶ 菱電商事(株)† 33 NCESの8年年間と第3期への展望 NCESの今後 コンソーシアム型共同研究のさらなる発展 ▶ 大学主導の研究開発テーマ設定 ▶ NCES全体がコンソーシアムになるモデルもある 個別共同研究の強化 ▶ 新しい企業ニーズへの対応 名古屋COIとの連携 ▶ COIは出口志向の研究開発 産学連携拠点としてのレベルアップ ▶ 全国の大学の組込みシステム分野の研究室が集まる ▶ enPiT-Embをきっかけにしたい ▶ 産業界の課題・ニーズが集まる Hiroaki Takada 37 NCESの8年年間と第3期への展望 名古屋COIとは? COI = Center of Innovation 文部科学省 COI STREAM事業(2013年度〜) ▶ 革新的イノベーション創出プログラム ▶ 現在潜在している将来社会のニーズから導き出されるある べき社会の姿,暮らしの在り方(ビジョン)を設定し,このビ ジョ ンを基に10年後を見通した革新的な研究開発課題を 特定した上で,既存分野・組織の壁を取り払い,企業だけ では実現できない革新的なイノベーションを産学連携で 実現する 名古屋大学からの提案 ▶ COI STREAMの拠点公募に対し,「多様化・個別化社会 イノベーションデザイン拠点~高齢者が元気になるモビリ ティ社会~」を提案し,採択された ▶ 主な連携企業:トヨタ自動車,富士通,パナソニック,東芝, 旭硝子 Hiroaki Takada 38 NCESの8年年間と第3期への展望 名古屋COIの推進体制と⾼高⽥田の⽴立立場 推進体制 ▶ 事業推進のために未来社会創造機構を設置 ▶ プロジェクトリーダ:江崎研司(トヨタ自動車) ▶ 研究リーダ:小野木克明(名古屋大学) ▶ 事業規模:総額160 億円(予定) 組織図(モビリティ部門の周辺のみ) ▶ 人とモビリティ社会の研究センター ▶ モビリティ部門(連携企業:トヨタ自動車) • 知能化モビリティグループ • 人間・加齢特性グループ • 交通・情報システムグループ(グループリーダ:高田) ▶ …他の部門… ▶ 社会イノベーションデザイン学センター Hiroaki Takada 39 NCESの8年年間と第3期への展望 交通・情報システムグループ 取り組みテーマ ▶ 情報技術を用いた安全でストレスのない交通システム ユニットと取り組みテーマ ▶ 交通マネジメントユニット(ユニットリーダ:森川高行) ▶ 高齢者等が安全でストレスを感じない自由な移動を可 能にするための交通システム(ストレスフリー交通マネジ メント)を実現する ▶ ダイナミックマップユニット(ユニットリーダ:高田広章) ▶ それを実現する情報処理基盤として,交通社会に関す るリアルタイムな状況をクラウド上に再現するデータ ベース(交通社会ダイナミックマップ)を構築する Hiroaki Takada 40 NCESの8年年間と第3期への展望 ストレスフリー交通マネジメントと交通社会ダイナミックマップ Copyright © 2014 by 名古屋COI Hiroaki Takada 41 NCESの8年年間と第3期への展望 おわりに Hiroaki Takada 42 NCESの8年年間と第3期への展望 NCESは移転します ▶ NCESは,来年度,NIC館(2015年3月末竣工予定)5階の 約400m2のスペースに移転予定.今より少し広くなる ※ NIC館(National Innovation Complex)は,名古屋大学の 産学官連携の拠点となる建物 この辺り ES館 (今いる建物) Hiroaki Takada 43
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