助教 浜本洋 03-5841-4821、hamamoto@mol.f.u

この成果は、Nature Chemical Biology オンライン版に米国東部時間 2014 年 12 月8日(日
本時間 9 日)に掲載されます。
なお本研究は、文部科学省科学研究費 新学術領域研究「天然物ケミカルバイオロジー」、
及び、日本学術振興会科学研究費助成事業、JST A-STEP ハイリスク挑戦タイプ、医薬基盤研
究所「保健医療分野における基礎研究推進事業」の支援を受けて行われました。
7.発表雑誌:
雑誌名:「Nature Chemical Biology」(オンライン版の場合:2014 年 12 月 9 日)
論文タイトル:Lysocin E is a new antibiotic that targets menaquinone in the bacterial
membrane
著者:Hiroshi Hamamoto, Makoto Urai, Kenichi Ishii, Jyunichiro Yasukawa, Atmika
Paudel, Motoki Murai, Takuya Kaji, Takefumi Kuranaga, Kenji Hamase,
Takashi Katsu, Jie Su, Tatsuo Adachi, Ryuji Uchida, Hiroshi Tomoda, Maki
Yamada, Manabu Souma, Hiroki Kurihara, Masayuki Inoue, and Kazuhisa
Sekimizu*
DOI 番号:10.1038/nchembio.1710
8.注意事項:
日本時間12月9日(火)午前1時 (英国時間:8日(月)午後4時、米国東部時間8日(月)
午前11時))以前の公表は禁じられています。
9.問い合わせ先:
東京大学大学院薬学系研究科 微生物薬品化学教室
教授 関水和久 03-5841-4820、sekimizu@mol.f.u-tokyo.ac.jp
助教 浜本洋 03-5841-4821、hamamoto@mol.f.u-tokyo.ac.jp
113-0033 東京都文京区本郷7−3−1
10.用語解説:
※1 耐性黄色ブドウ球菌(MRSA):黄色ブドウ球菌は免疫が低下した患者に感染症を引き
起こすが、その中でもβラクタム系抗生物質に耐性を示すものを指す。他の抗生物質に対して
も耐性を示す場合が多く、治療に難渋するケースが臨床で問題となっている。これまでは、院
内での感染が問題とされてきたが、最近、病院外でも MRSA に感染し発症するケース(市中
感染型 MRSA と呼ばれる)が問題となってきている。近年では切り札とされているバンコマ
イシンに対しても耐性を示す黄色ブドウ球菌の出現が懸念されており、新たな作用機序を有す
る抗生物質の開発が行われている。
※2 メナキノン:細菌のエネルギー生産に関わる電子伝達系の補因子として利用される、低
分子化合物である。ヒトを含む哺乳動物では、その補因子としては構造が異なるユビキノンが
用いられており、メナキノンを利用するのは一部の細菌のみである。そのために、ライソシン
はヒトなどの哺乳類には毒性を示さず、細菌に対してだけ効果を発揮する。
※3 ライソバクター属(Lysobacter 属):土壌細菌の一種で、近年、さまざまな化合物を生
産する菌として注目されている。
※4 グラム陽性菌:細菌は細胞の外壁の構造から大きく2つの分類に分けられ、グラム染色
という染色法で染め分けられる。グラム陽性菌には、黄色ブドウ球菌や枯草菌、リステリア菌
などが属する。
※5 殺菌活性:抗生物質の作用には、菌を殺傷する殺菌活性と、殺傷はしないが増殖を抑制
する静菌作用の 2 種類がある。ライソシンは前者の殺菌活性を示す。
11.添付資料:
図1 ライソシン E の構造
図2 14,000 株の土壌細菌から探索し、ライソシンの発見につながった過程
メナキノン
ライソシン
膜破壊
殺菌
図3 今回明らかにしたライソシン E の作用機序