平成26年 年11月7日 キーワード: キ 毒性・医薬 薬品安全性学 学、ヒトの薬 物動態・代謝 謝予測系、 個別医療、 分子生物学 特異な肝細胞の の安定供 供給が可能に! 薬物代 代謝能・ ・薬物応 応答能の の個人差 差を反映 映した ヒト iPS 細胞 胞由来肝 肝細胞パ パネルの の作製に に成功 <本研究成 < 成果のポイン ント> ■ 薬物代謝 謝能・薬物応 応答能の個人 人差を反映し たヒト iPS 細胞由来肝細 細 細胞パネルの の作製、およ よび ヒト肝細 細胞における る薬物代謝能 能・薬物応答 能の個人差を予測するた ための基盤技 技術の開発に に成功 ■ CYP2D6 活 活性の有無に による肝毒性 性の出現をヒ ヒト iPS 細胞 胞由来肝細胞を用いて再現 現 ■ 医薬品開 開発研究にお おける新規肝 肝毒性評価系 としての活用 用が期待でき き、安全な医 医薬品開発に に貢献 概要 大阪大学大 大学院薬学研 研究科教授の の水口裕之( (医薬基盤研 研究所招へいプロジェク トリーダー併任)らの研 研 究グループは 究 は、ヒト肝細 細胞における薬物代謝能 能・薬物応答能の個人差を反映したヒ 胞 ヒト iPS 細胞由来肝細胞 パネルの作製 パ 製、およびヒ ヒト iPS 細胞 胞由来肝細胞 胞を用いてヒ ヒト肝細胞に における薬物 物代謝能・薬物応答能の個 個 人差を予測す 人 するための基 基盤技術の開 開発に成功し ました。 ヒト iPS 細 細胞由来肝細 細胞は個々人 人の個性に応 応じた薬物治 治療や毒性評 評価への応用 用が期待されていますが、 、 実際にヒト 実 iPS 細胞由来 来肝細胞が薬 薬物代謝能・ ・薬物応答能 能の個人差を を反映してい いるかどうかを検証した報 報 告はありませ 告 せんでした。今回の研究 究成果によっ て、ヒト iP PS 細胞由来 来肝細胞が元 元の肝細胞における薬物代 代 謝能・薬物応 謝 応答能の個人 人差を反映していること を明らかにしました。 今後、ヒト ト iPS 細胞由 由来肝細胞を を用いた、個 個人差を反映 映したきめの の細かい毒性 性評価や薬効評価系への応 応 用が期待され 用 れます。 研究の背 背景 肝臓は薬物 物の代謝を行 行う主要な臓 臓器であり、 薬物の 肝毒性は患者 肝 者の生命・健 健康に甚大な な被害を及ぼ ぼすだけ でなく、薬物 で 物の開発中止 止や市場撤退 退に繋がりま ます。肝 臓において発 臓 発現する薬物 物代謝酵素の の活性、およ よび薬物 による肝毒性 に 性の有無(程 程度)には極 極めて大きな な個人差 があります。 が そのため、薬物により り肝毒性が引 引き起こ されるリスク さ クを創薬段階 階で正確に予 予測すること とは極め て難しいこと て とが知られて ています。現 現行の医薬品 品開発で は、肝毒性を は を予測するた ために、肝細 細胞の株化細 細胞、ヒト初 初代培養肝細胞、マウス 、ラットなどの初代培養 養 細胞やモデル 細 ルが使用され れていますが が、いずれの の場合もヒト肝細胞の薬物代謝酵素 の活性の個人差を十分に 反映していま 反 ません。肝毒 毒性を生じな ない安全な医 医薬品を効率 率良く開発するためには 、ヒト肝細胞における薬 薬 物代謝酵素の 物 の個人差を反 反映した新規 規薬物評価系 の構築が必要 要です。 自己複製能 能と多分化能 能を有するヒト iPS 細胞 胞はあらゆる個人から作製可能である るため、ヒト iPS 細胞由 来肝細胞は様 来 様々な薬物代 代謝酵素の発 発現パターン を有する個人 人から作製可 可能です。ヒ ヒト iPS 細胞由来肝細胞 胞 は元の個人の は の肝細胞と同 同一のゲノム ム情報を有す するため、元 元の個人の肝細胞の薬物 代謝能や薬物応答能を反 反 映しているの 映 のではないか かと考えられ れます。しか しながら、実 実際にヒト iPS 細胞由来 来肝細胞が肝 肝細胞におけ け る薬物代謝能・薬物応答能 能を反映しているかどう か確かめた例はありません んでした。 このような背 背景のもと、 、今回 12 ドナーのヒト初 初 代培養肝細胞からヒト iPPS 細胞を樹立し、そこか 細 細胞を作製しました。そし らヒト iPS 細胞由来肝細 肝 て、全く同じ遺伝的背景 を有したヒト初代培養肝 来肝細胞の間 間で薬物代謝 謝 細 胞とヒト iPS 細胞由来 能・薬物応答能に相関が見 見られるかどうか確認し ました(図1) )。その結果 果、ヒト初代培養肝細胞に おける薬物代謝能と薬物応 応答能の個人差が、ヒト iPS 細胞由来 来肝細胞においても同様に認められる ることが明ら らかとなりま ました。すな なわち、薬物代謝酵素の活 活 性の高いヒト 性 ト初代培養肝 肝細胞から作 作製されたヒ ト iPS 細胞 胞由来肝細胞 胞は高い薬物 物代謝酵素活性を有してお り、薬物代謝 り 謝酵素の活性 性の低いヒト初代培養肝 細胞から作製 製されたヒト iPS 細胞 胞由来肝細胞は低い薬物代 代 謝酵素活性を 謝 を有していま ました。したがって、ヒ ト iPS 細胞 胞由来肝細胞 胞における薬 薬物代謝能を測定すること により、元の に の個人の肝細 細胞における薬物代謝能 能を予測できると示唆され れます。 同様に、薬 薬物に対する るヒト iPS 細胞由来肝細 細 細胞の応答を を調べることにより、元 元の個人の肝細胞における 薬物応答も予 薬 予測できると と考えられます。さらに、薬物代謝酵素 素 CYP2D6 の活性がほぼ の ぼ消失する一塩基多型(SNNP) を有する個人 を 人のヒト初代 代培養肝細胞 胞からヒト iPPS 細胞を介 介してヒト iP PS 細胞由来 来肝細胞を作製し、このヒ ト iPS 細胞由 由来肝細胞を を用いて元の個人におけ る CYP2D6 の活性の消失 の 失が再現でき きるかどうか検討しました (図2)。CYPP2D6 活性がほ ほぼ消失する る SNP を有す する個人のヒ ヒト初代培養 養肝細胞から 作製したヒト iPS 細胞由 来肝細胞は当 来 当該 SNP を保 保持しており、ほとんど CYP2D6 活性 性を有してい いませんでし た。また、C CYP2D6 により 解毒代謝され 解 れることが知 知られる desipramine や perhexilin ne の細胞毒性 性が、CYP2D66 活性がほぼ ぼ消失する SNNP を有するヒト を ト初代培養肝 肝細胞、ヒト iPS 細胞由 来肝細胞でのみ検出され れました(図 図3)。 この結果よ より、ヒト iPPS 細胞由来肝 肝細胞は個々 々人が有する る薬物代謝酵 酵素における る SNP 情報(遺伝的背景) ) を反映した薬 を 薬物代謝能・薬物応答能 能を示すこと が示唆されました。即ち ち、iPS 細胞 胞技術を利用 用することで で、 これまで安定 こ 定供給が困難 難であった特 特異な薬物代 代謝酵素活性 性を有した肝細胞の安定 供給が可能となり、今後 後 のよりきめの の の細かい毒性 性評価系への の応用に新た な道が開けたと言えます す。 120 desiprramine CYP2 2D6 による代謝 代謝産 産物 100 細胞⽣存率 肝毒性 性あり ヒト初代 代培養肝細胞(C CYP2D6活性正 正常) 80 分化 化誘導肝細胞((CYP2D6活性正常) 60 40 分化 化誘導肝細胞((CYP2D6活性無 無) 20 肝毒性 性なし # WSTア アッセイにより計 計測 # 溶媒の のみを100 ヒト ト初代培養肝細 細胞(CYP2D6活 活性無) 0 0 0 0.5 2 5 50 4 (μM)6 desipram mine 濃度 図3.C CYP2D6で解 解毒代謝され れるdesipram mineは、CY YP2D6活性が が消失した個 個人由来の ヒト初代 代培養肝細胞 胞や分化誘導 導肝細胞では は高い毒性を を示すが、C CYP2D6活性 性が正常値の の 個人由 由来のヒト初代 代培養肝細胞 胞や分化誘導 導肝細胞では はあまり細胞 胞毒性を示さ さない 本研究成 成果が社会 会に与える影 影響(本研 研究成果の意 意義) ヒト iPS 細 細胞由来肝細 細胞は創薬研 研究における る薬物の毒性 性スクリーニ ニングを実施 施するためのツールとして て 期待されてい 期 いるだけでな なく、従来の の評価系では は予測困難だ だった有害事象を予知で きる新規評価系への利用 用 も期待されて も ています。 本研究成果 果により、ヒ ヒト iPS 細胞 胞由来肝細胞 胞を用いてヒ ヒト肝細胞の の薬物代謝能 能・薬物応答能の個人差を 予測できるこ 予 ことが示され れ、様々な薬 薬物代謝酵素 活性を示すヒト iPS 細胞由来肝細 細 細胞パネルの作製のための の 基礎が構築で 基 できたと言え えます。また、ヒト iPS 細胞由来肝 肝細胞を用い いた個別化医 医療が実現できる可能性を 証明する極め 証 めて意義深い い成果であると考えられ ます。 今後は、よ より多様な薬 薬物代謝酵素 素活性を有す る集団や種々の SNP を有する集団か PS 細胞由来肝 肝 からヒト iP 細胞を作製す 細 することによ より、より実 実用性の高い ヒト iPS 細胞 胞由来肝細胞 胞パネルの構 構築を目指し します。 特記事項 項 本研究成果 果は、主に以 以下の事業によって得ら れました。 ・厚生労働 働科学研究費 費補助金 再生医療実用 再 開始) 化研究事業(H25 年度開 ・文部科学 学省特別経費 費『創薬プロセスの架け 橋となる iP PS 細胞基盤技 技術構築プロ ロジェクト』 ・(独)科学 学技術振興機 機構 再生医 医療実現拠点 点ネットワー ークプログラ ラム 技術開 開発個別課題 研究成果は Proceedings P of the Natiional Academy of Scienc ces of the UUnited State es of Americca また、本研 に 11 月 100 日(月)155 時(米国東 東部時間)に に掲載される る予定です。 <論文名> > Takayamaa K., Morissaki Y., Ku uno S., Nag amoto Y., Harada H K., Furukawa NN., Ohtaka M.,Nishimurra K., Imaggawa K., Saakurai F., Tachibana MM., Sumazak ki R., Nogu uchi E., Naakanishi M., Hirata K.., Kawabataa K., Mizugguchi H. Prediction of inteer-individua al differennces in hepa atic functions and druug sensitiv vity by usinng es. human iPPS-derived hepatocyte 本件に関 関する問い い合わせ先 大阪大学 学大学院薬学 学研究科分子 子生物学分野 野教授 (独立行 行政法人医薬 薬基盤研究所 所 肝細胞分化 化誘導プロジ ジェクト 招へ へいプロジェ ェクトリーダ ダー) 水口裕之 之 TEL: 066-6879-81855 FAX: 06-6879-8186 E-mail: Mobile: 08 80-4244-353 30 mizuguchh@phs.osaka a-u.ac.jp 出張のため、連絡が取れ れにくくなりますので、メールでお 願いいたします。) (11 月 110-13 日は出
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