The Science of Institutional Management of Technology SIMOT Research Center NEWSLETTER No.19 2007. 4 東京工業大学 インスティテューショナル技術経営学研究センターニューズレター 目 次 ページ トピック SIMOT Workshop 1 イベント報告 SIMOT リサーチセンター運営委員会 2 R&D のグローバル化とそのインスティテューショナルな含意 2 SIMOT 若手研究者およびリサーチアシスタント研究報告会 3 コラム 変化するインド 3 海外活動報告 三星電子へのヒアリング調査 3 最近の動き 4 イベント予定 4 連絡先 4 トピック SIMOT Workshop on Co-evolutionary Dynamism between Innovation and ( 2007 年 3 月 27-28 日 国際文化会館) Institutional Systems SIMOT では、5年間の拠点形成計画の折り返し点での総括、およ び今後の指針確認のために、国際ワークショップを開催しました。 本会議では、COE3年目としての中間評価での指摘を念頭に、か つ 2 月末に行われた国際シンポジウムでのパネルディスカッション での討議等を踏まえ、ポスト中間評価の期間における事業展開につ いて議論しました。 2 日間に渡る集中討議を経て、これまでの技術経営学とは異なった知見の具体的イメージの体系 化、現実問題とリンクさせた論点の深化に関して進展が見られたとともに、異なる分野の専門家か らの知見も加味され、拠点形成計画後半の基盤が強化され、また SIMOT の深みと幅が増しました。 (2 面に続く) 1 SIMOT REC NEWSLETTER イベント報 告 SIMOT リサーチセンター運営委員会 (2007 年 4 月 6 日 東工大 西 9 号館 コラボレーションルーム) SIMOT リサーチセンター運営委員会では、事業推進担当者、COE 専 任特任教授の他、東工大内関連部局(理工学研究科、総合理工学研究科、 情報理工学研究科、社会理工学研究科、イノベーションマネジメント研 究科、精密工学研究所、原子炉工学研究所)の代表の参画をあおぎ、セ ンターの運営に関する基本的な方策等重要事項について、全学的な審議 会を定期的に催しております。 第 4 回となる今回は、5 年計画の 4 年目に差し掛かったところであ り、採用時の拠点形成のねらいを振り返るとともに、2 月末に行われた国際シンポジウムでのパネルデ ィスカッション、3 月末の国際ワークショップでの討議等を踏まえた、平成 19 年度以降の SIMOT 事業 展開について、関連部局の代表からの示唆を仰ぎつつ忌憚のない討論を行いました。 SIMOT の目標、人材育成の方向性、世界的認知度の向上の方策等の議論を通じて、国際的に卓越し た教育研究拠点の形成に向けた SIMOT のアインデンティティの明確化、拠点としてまとまった具体的 な全体像の明確化が求められていることが、全ての委員に共有されました。 R&D のグローバル化とそのインスティテューショナルな含意 (2007 年 3 月 14 日 東工大) 研究・技術計画学会国際問題分科会 3 月例会では、マッキンゼー & カンパニー ア ソシエイト・プリンシパル (準パートナー) ロバート・浩・マティス氏に「Globalization of R&D」とのテーマでご講演いただきました。 講演では、まず、R&D のグローバル化において重要視されるものは、労働コスト等 のコスト削減のみではなく、市場とのアクセスや技術的な優位性であることを、様々な 例を用いて示されました。さらには、R&D を Strategy, Layout design, Implementation の 3 段階に分け、それぞれの段階で求められる最適な R&D 活動について概説されました。日・米・欧・亜の幅広い地域を網羅した R&D 活動の事例を用いた本講演では、R&D のオフショア化の是非という 極めて根元的な問題が提起され、SIMOT 研究において不可避の視点であ る経済、経営のグローバル化についての思考の深化を促しました。 SIMOT Workshop on Co-evolutionary Dynamism between Innovation and Institutional ( 2007 年 3 月 27-28 日 国際文化会館) Systems (続き) 「Co-evolutionary Dynamism between Innovation and Institutional Systems」を テーマとした本会議には、SIMOT 事業推進担当および特任教授の他、国内 からは SIMOT 評価委員長 中原恒雄氏や、2 月のシンポジウム基調講演者 のおひとりである経済産業研究所 上席研究員 鶴光太郎氏、ボストン コ ンサルティング グループ VP 菅野寛氏をはじめ、本分野に係る最先端研 究者およびビジネスパーソンが、国外からはスイス IMD 教授 Georges Haour 氏, インド国際経営技術大学教授 Vinnie Jauhari 氏等の SIMOT 国際 共同研究パートナーが多数参加しました。 会議は、SIMOT の来し方行く末を広角度から議論する事前会議、日本のアイデンティティの欧米亜と の比較検証および「イノベーションとインスティテューションの共進ダイナミズムの解明」に係るアプ ローチ・手法についての議論によって構成され、価値のあるアウトプットが生まれました。 2 SIMOT REC NEWSLETTER SIMOT 若手研究者およびリサーチアシスタント研究報告会 (2007 年 3 月 26 日 東工大) SIMOT では、世界に通用するインスティテューショナル技術経営リーダーの輩 出をねらいに、SIMOT 中核講義、スーパードクタートラック (3 ヶ月のインターン もしくは海外研修を必須とする博士加速修了コース)) の本格展開の他、博士後期 課程学生 16 人をリサーチアシスタントに任命して、実践 的研究教育経験を積ませるとともに、博士後期課程学生お よび助手 26 名を「若手研究者」として選抜して、競争条件下での研究支援を行っ ております。今次報告会では、平成 19 年度以降の研究展開を視座に据えた研究 報告を中心に、リサーチアシスタント・若手研究者 12 名が発表を行いました。 コラム SIMOT リサーチセンター運営委員 東京工業大学社会理工学研究科経営工学専攻 教授 「変化するインド」 山崎 正勝 2 月のはじめに天然ガス資源問題の調査のため、SIMOT リサーチアシスタントのマ ムヌール・ラシッド君とともに、インドとバングラデッシュに出掛けた。近年、イン ドは自動車、情報産業の成長が著しい。タクシーのほとんどはTATA社製の小型車 で、通りを埋め尽くすような具合だった。TATA社は、デリーに立派な資料室を持 っており、ラシッド君の資料収集に大いに役に立った。一方、コンピュータ関係は、 訪れたのが大学関係だったせいか、特別に目立った感じではなかったが、それでもI IT(戦後にMITを模してつくった大学・研究機関)の勢いは、各所に見られた。 こうした産業の著しい発展で必要とされる技術人材の供給のため、インド政府は、今後 50 の国立大 学をつくる予定で、さらに 2015 年までに大学入学年齢の 15%を受け入れるために、何と 1,500 の大学 が必要という報告書が出ているそうである。デリーのジャワハルラール・ネルー大学の友人によると、 彼らでも 10 年前には、このような事態が生じるとは想像できなかったようで、今ではハイテク企業で 働く卒業生の給与は、大学の先生の2倍になっているそうだ。まるで日本のバブル景気のときのような 話である。 彼の話では、インドにはいま 3 種類の人がいるという。中層の人たちで教育を受けた者は、急速に上 層部に吸収されつつある。かつて大きな社会的問題だったカースト制度も、教育を受けた者には足かせ にならない。しかし、教育から取り残された中層の者は、旧来の下層部に落ち込んでしまうかもしれな いので、将来、インドは上層と下層に二分されるだろうというのだ。何やら、都市と農村の二分化が激 しい、中国と似たような話である。 インドの大学との教育研究の交流は、これまではそれほど顕著でなかった。同じアジアの国同士で、 もっと交流が必要と感じさせられた調査旅行であった。 海外活動報告 サムスン電子へのヒアリング調査 (2007 年1月 10 日∼12 日 韓国) SIMOT リサーチセンター運営委員でイノベーションマネジメント研究科の 佐伯とも子教授と SIMOT 事業推進協力者で同研究科 京本直樹教授、長田洋教 授が、韓国のサムスン電子を訪問し、近年著しい躍進を遂げている同社の経営 戦略と知的財産活動の把握、とりわけ知的財産戦略の根幹を成す特許ポートフ ォリオ (PPF) の構築・管理の実態を把握するためのインタビュー調査と研究討 論を行いました。この結果、同社から技術戦略と一体になった知的財産戦略やPPF構築・管理の実態、 問題点等に関する貴重な情報を得ることができました。 3 SIMOT REC NEWSLETTER 最近の動き 海外留学 SIMOT のリサーチアシスタントとして、博士課程の研究に邁進してきた小林学、栗原岳史の両君は、この たび、それぞれ清華大学(中国) 、ジョンズ・ホプキンズ大学(米国)において、ポスドク、客員研究員とし て更に研鑽を積むこととなりました。両君の国際的雄飛を期待します。詳細については追ってご報告します。 海外出張 渡辺 4 月 27 日∼5 月 5 日 オーストリア ウイーン 国際応用システム分析研究所(IIASA) SIMOT 共同研究 田中 3 月 1 日∼6 日 タイ 科学技術省、チュラロンコン大学等 3 月 7 日∼10 日 ベトナム 国家知的財産権庁、ハノイ工科大学、ホーチミン人民委員会等 3 月 11 日∼16 日 フィリピン 科学技術省、高等教育委員会、デラサール大学等(国際的産学連携に関する調査研究) 講演 SIMOT リサーチセンター運営委員の菊池隆特任教授が、去る 2 月 23 日、WOWOW コミュニケーションズ社の9周年式典に招かれ、経営層を中心とした同社社員に対 し、 「ブランド経営とインスティテューション」というテーマで講演を行い、企業ブ ランドの重要さを訴えると共に SIMOT のコンセプトを紹介しました。 イベント予定 研究・技術計画学会 国際問題分科会 4 月例会 日時 4 月 20 日(金) 18:00∼20:00 東京工業大学 百年記念館 第 2 会議室 場所 テーマ 「進化経営学」 −インスティテューショナル技術経営学への示唆 講師 松行 康夫氏 (東洋大学 経営学部 教授) 「全労協寄付講義」開設記念公開シンポジウム 「高齢化社会とリスクマネジメント」 日時 場所 内容 4 月 21 日(土) 13:00∼17:00 東京工業大学 西 9 号館 ディジタル多目的ホール 基調講演「自分のことは自分で 元気なうちに社会貢献できるこれからの日本」 「高齢化社会とセーフティネット(仮) 」 パネルディスカッション「高齢化社会の到来を踏まえたリスクマネジメントとは」 パネリスト 伊藤謙治(東工大大学院社会理工学研究科経営工学専攻教授/SIMOT リサーチセンター運営委員) 他 参加 無料 申込み・問い合わせ 東京工業大学大学院社会理工学研究科 経営工学専攻事務局 TEL:03-5734-2245 発 行 東京工業大学 21 世紀 COE プログラム 「インスティテューショナル技術経営学」 SIMOT 事務室 〒152-8552 東京都目黒区大岡山 2-12-1 W9-51 東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻内 西 9 号館 208B 号室 TEL:03-5734-2936 FAX:03-5734-2250 Email:nakane.m.aa@m.titech.ac.jp URL:http://www.me.titech.ac.jp/coe/index.html 編集者: 菊池 隆 4
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