制度改正に伴う軽度者(要介護1、経過的要介護、要支援1、要支援2、以下「軽度者」とい う。)に対する福祉用具貸与について 1. 軽度者の対象外種目の貸与について 軽度者に対する福祉用具貸与の特定の品目(状態像から見て使用が想定しにくい 「車いす」、「車いす付属品」、「特殊寝台」、「特殊寝台付属品」、「床ずれ防止用具」、 「体位変換器」 、 「認知症老人徘徊感知機器」及び「移動用リフト」 (以下「対象外種 目」という。)については、原則、給付費の算定ができないものとなっています。し かし、平成18年9月末までは18年4月以前より継続して利用しているものに限 り経過措置の適用をうけ算定可能とされており、この期間中にケアマネジャーから 利用者に対し説明を行っていただき、今後の対応を検討していただいているところ です。しかし、利用者にとっては、これまで利用できていたものが利用できなくな ることに対し、ご納得いただくのが困難な方もおられ、市介護保険課にも多数相談 をいただいております。 八尾市としての対応は、介護保険制度の対象外となったことについての経過や理 由を踏まえ、ご説明をさせていただき、ご理解に努めるとともに、立ち上がりのた めのベッドの利用等については、自立支援を阻む事のないことを前提に、利用者の 選択での実費負担で、サービスを継続する事も可能である事などを説明させていた だいております。 2. 対象外種目の貸与の要否の判断について (Q1)軽度の利用者が、「厚生労働大臣が定める状態像」にあるかどうかの判断に おいて「該当する基本調査の結果」がない場合、主治医からの情報やサービス担 当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより居宅介護(介護予防)支援事 業者が行うこととされているが、その際の具体的な判断基準はありますか。 (A1)福祉用具貸与は日常生活の自立支援を目的としたサービスであり、福祉用具 を用いる事で、利用者が持っている能力を使って「している生活行為」の幅を広 げ生活機能の向上を図ることを目標としています。従って個々の日常生活の形態 が異なることから、現時点での具体的な判断基準があるわけではなく、これらの 趣旨を踏まえた上で、福祉用具専門相談員等の意見を参考にしつつ、利用者の生 活状況や解決すべき課題等から個別に判断していただくことになります。 例えば、単に長時間歩行する体力がない方等は、一律に車いすを利用して日常 生活の便宜を図るのではなく、通所介護サービス等を利用して体力強化を図るな どの他の支援方法についても検討する必要もあると考えております。 1 (Q2) 「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」とは具体的 にどのような状態にあるものを指すのですか。 (A2)通院時等における長時間の歩行が困難である場合など、利用者の日常生活に おいて、車いすがないと利用者の生活圏域内の移動にどうしても支障が生じる場 合を指します。ただし、自立支援の観点から、車いすを利用することでかえって 自立阻害につながるような状態像の方を除きます。 (Q3) 「生活環境において段差解消が必要と認められる者」とは具体的にどの様な 状態にある者を指すのですか。 (A3)利用者の日常生活において、移動用リフトがないと利用者の移乗・移動動作 にどうしても支障が生じる場合であり、住宅改修における段差解消工事や手すり 取付工事等の他の支援方法では解決できない場合を指します。ただし、自立支援 の観点から、移動用リフトを利用することでかえって自立阻害につながるような 状態像の方を除きます。 3.車いす・特殊寝台の購入・自費での貸与について 今回の制度改正は、あくまで介護保険で利用できる福祉用具の品目が制限された ものであり、民民の私的契約に関して、制限を加えるものではありません。 しかし、今回の制度改正による軽度者に対する対象品目の制限は唐突に出された 方針ではなく、改正法施行前より「介護保険における福祉用具の選定の判断基準に ついて」 (老振発第0617001号)で示されていたものです。特に、厚生労働省 が示す「介護保険における福祉用具は、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支 障がある要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)の日常生活上の便宜 を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、要介護者等の 日常生活の自立を助けるためのものです。福祉用具については、介護保険の施行後、 要介護者等の日常生活を支える道具として急速に普及、定着していますが、その一 方で、要介護度の軽い者に対する特殊寝台、車いすの貸与など、利用者の状態像か らその必要性が想定しにくい福祉用具が給付され、介護保険法の理念である自立支 援の趣旨に沿わない事例が見受けられます。」との見解により、 軽度者で、介護保 険給付対象外品目に該当する者に対して、指定福祉用具貸与事業所がレンタルを行 う場合については、民民の契約といえども福祉用具貸与事業者が介護保険の指定事 業者である観点及び介護保険の趣旨を踏まえ、各ケアマ相談員と十分連携の上、適 切なアセスメントのもとに適正な対応をしていただきたいと考えています。 また、指定福祉用具貸与事業者が特殊寝台にあたらない通常のベッド(モーター などがないものなど)を自費レンタルすることも妨げるものでもありません。その 場合も介護保険法の趣旨により自立支援を原則とし、ケアマネジメントの中で適正 2 な評価のもとサービスの提供を支援していただくようお願いいたします。 これまで「便利だから」という理由でプランに位置づけられている車いす等につ いては、適正な見直しをお願いいたします。 実費(自費)と介護給付金額(10割)との金額の差異 なお、貸与金額の設定にあたっては、保険給付の対象となるサービスの利用料と、 保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への 転嫁等による差額を設けることを禁止しています。そのため、同一品、同一条件の もとでの実費(自費)と介護給付金額(10割)との金額に差異が生じる場合につ いては、合理的な理由が必要となります。その上で、八尾市としても自費契約での 価格については、可能な限り利用者の負担を最小限にしていただくようお願いした いと考えておりますので、ケアマネジャーにおかれましても、適切な支援をお願い いたします。 <参考 東京都の場合> 東京都のアンケートですが、同じ規格の製品を比較した価格差は、車いすで8. 3倍、介護ベッドでは13倍に達しています。東京都が国保中央会に委託し、介護 報酬請求のあったレンタル料金の分布を調べたところ、同じメーカー製で型番も同 じ自走式アルミ製車いす(定価8万)の場合、平均レンタル料は月7,107円で すが3,000円の安価で貸す業者がいる一方で、25,000円の請求をした業 者もいたとのこと。 電動の介護ベッド(定価255,000円)の場合、4,500∼58,500 円と価格差は13倍の開きがあったそうで、平均価格は、10,279円でした。 厚生労働省によると福祉用具の給付費は、介護保険がスタートした平成12年4 月は1ヶ月で4億円、平成17年4月には148億円と37倍に増え、このうち車 いすと介護ベッドが8割を占めているそうです。 4.横だしサービスについて 八尾市では、横だしサービスにより、介護保険制度の対象外となった福祉用具の 貸与を行っていません。従って、必要に応じて八尾市社会福祉協議会等の実施して いる事業への相談をしていただきたいと考えております。 5.八尾市社会福祉協議会の貸与について 八尾市社会福祉協議会では、ベッド、車いすの無料貸し出しの制度があります。 現在の在庫状況については、直接お問い合わせください。 【お問い合わせ】 八尾市社会福祉協議会 TEL072-991-1161 3 6.障害福祉課との関係について 身体障害者手帳を所持しているもののうち、介護保険の要介護度が要支援1要支 援2・要介護1であって、要介護認定調査結果等により、福祉用具貸与について保 険給付の対象にならないものが、自立支援を目的としてその福祉用具を要する時は、 障害福祉の給付サービスを利用できる場合があります。 ただし、身体障害者手帳の等級や福祉用具の種目により対象にならないものがあ ります。 7.生活福祉課との関係について 生活保護受給者の対応についても問い合わせが多かったため、生活福祉課に確認 しました。介護保険の給付対象外となる福祉用具については、生活保護法に基づく 介護扶助の対象外となるため、別に保護費からも支給することは出来ない状況とな っています。 8.貸付金について ① 大阪府生活福祉資金「貸付のごあんない」 この貸付制度は、低所得者、障害者又は高齢者世帯を対象に資金の貸付と民生委 員による必要な生活支援を行うことにより、経済的自立及び生活意欲の助長促進な らびに在宅福祉及び社会参加の促進を図り、安定した生活を送れるようにする事を 目的とした貸付制度です。 大阪府社会福祉協議会福祉資金部(電話)06-6762-9474 FAX06-6767-1562 詳し くはホームページ参照 http://www.osakafusyakyo.or.jp 【八尾市の窓口】 八尾市社会福祉協議会 (電話)072-991-1161 ②八尾市生活援護資金の貸付案内 この貸付金は、低所得者または不慮の災害等により生活にお困りの世帯に対して 随時的に必要とする資金を貸し付ける事によって、その自立を援助するために設け られた制度です。 【お問い合わせ】 八尾市福祉政策課 (電話)072-924-3835 ③社会貢献事業(大阪府社会福祉協議会)老人施設部会 コミニュティソーシャルワーカーが訪問相談をし、必要なサービス費用を援助さ れる場合があります。ただし、対象となる方の要件が定められています。 大阪府社会福祉協議会 老人施設部会 (社会貢献推進室) (電話)06-6762-9001 FAX06-6768-2426 Eメールアドレス:sakurasou@a-kaigo.gr.jp 4 9.10月以降もサービス担当者会議等を通じ適切にマネジメントすることで算定可能とな るものについて 車いす及び車いす付属品で「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認め られる者」、移動用リフトで「生活環境において段差の解消が必要と認められる者」 については、該当する基本調査結果がないため、主治の医師から得た情報及び福祉 用具専門相談員のほか軽度者の状態像について適切な助言が可能な者が参加するサ ービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより、指定居宅介護支援事 業者、指定介護予防支援事業者が判断することとなります。 なお、この判断の見直しについては、居宅(介護予防)サービス計画に記載された 必要な理由を見直す頻度(少なくとも6月の1回)で行うこととします。 【変更点】 八尾市介護保険課及び地域包括支援センターでは、軽度者に福祉用具を居宅(介 護予防)サービス計画に位置づける場合、貸与が必要という判断に至った検討経過 及び理由が明確にされている文書を八尾市介護保険課、地域包括支援センターにご 提出していただく事と致しました。 従来、支援経過等に記載する事で可としておりましたが、今回「サービス担当者 会議記録に載せておくだけでよいのか。」 「主治医に確認さえすればよいのか。」等々 に答え、書式を作成いたしました。 軽度の方に対象外福祉用具の貸与サービスを位置づける場合、 1.「軽度者に対する福祉用具貸与のための資料について」表面 2.「検討経過及び理由等が明確にされている状況」裏面 を 要支援1.2.の方は、地域包括支援センターへ、要介護 1 の方は介護保険課へご 提出下さい。 5
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