ラオス教育セクター概説 - IMG:国際開発&途上国ビジネスコンサルティング

ラオス教育セクター概説
2012 年 10 月
教育政策アドバイザー
津 曲
真 樹
*本ペーパーは、2008 年3月以降に当アドバイザーの前々任・前任者が作成したものを、2011~2012年のラオス
の状況にあわせて加筆・修正したものである。
目次
第1章
開発問題への取組みと課題--------------------------------------------------------
1
第2章
教育開発政策 -----------------------------------------------------------------------
5
2-1
国家開発政策における教育開発 ---------------------------------------------
5
2-2
ラオス政府の教育開発政策 ---------------------------------------------------
6
第3章
教育法、教育行政、教育財政----------------------------------------------------- 10
3-1
教育法 ------------------------------------------------------------------------------ 10
3-2
教育行政 ---------------------------------------------------------------------------
3-3
教育財政 ----------------------------------------------------------------------------- 15
第4章
12
教育セクターの現状と課題-------------------------------------------------------- 17
4-1
学校制度------------------------------------------------------------------------------ 17
4-2
就学前教育--------------------------------------------------------------------------- 19
4-3
初等教育------------------------------------------------------------------------------ 21
4-4
中等教育------------------------------------------------------------------------------ 28
4-5
高等教育 ----------------------------------------------------------------------------- 33
4-6
技術・職業教育 --------------------------------------------------------------------- 35
4-7
教員教育 ----------------------------------------------------------------------------- 39
4-8
ノンフォーマル教育 -------------------------------------------------------------- 54
第5章
国際機関および他国の動向 ------------------------------------------------------- 57
5-1
教育セクターにおける国際協力の概要--------------------------------------- 57
5-2
主要ドナーの支援状況------------------------------------------------------------ 59
5-3
ドナー調整・援助協調の概観--------------------------------------------------- 62
付属資料
1. 略語表---------------------------------------------------------------------------------------
65
2. 我が国のラオス基礎教育セクターへの支援状況 ------------------------------- 65
第1章 開発問題への取組みと課題
ラオス国は、ラオスの国家社会経済開発成長の目標の達成に資するため、そしてラオス自身の最重要目
標である「2015 年までの EFA 達成」を達成するために国民の基礎的な教育ニーズを満たす努力を続け
ている。特に 2000 年の国連総会において採択されたミレニアム開発目標(MDG)では、
「2015 年まで
に、全ての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする」と「可能な限り 2005
年までに、初等・中等教育における男女格差を解消し、2015 年までに全ての教育レベルにおける男女格
差を解消する」が教育分野の目標として掲げられた。1しかしながら、2015 年までに目標を達成するた
めには多くの課題が残っている。
ラオス国にとって 2015 年はまた、アセアン経済への統合という課題の年であり、その先に、2020 年の
後発開発途上国(LDC)からの脱出という目標が迫っている。
下表に、アセアン諸国の教育指標の比較を示す。ラオス一国をみればどの指標においても、この 10 年
間のあいだに改善傾向が見られるが、周辺諸国の教育指標と比較すると問題が見えてくる。ラオスの教
育開発度は、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムなどと比較すると遅れており、カンボジアお
よびミャンマーと並んで 2015 年の EFA 達成が危ぶまれている。
アセアン諸国との比較
成人識字率
(15歳以上)
就学前教育
初等教育
国
1985
-1994
ブルネイ
カンボジア
インドネシア
ラオス
マレーシア
ミャンマー
フィリピン
シンガポール
タイ
ベトナム
88 %
N/A
82 %
N/A
83 %
N/A
94 %
89 %
N/A
88 %
2005
-2009
95 %
82 %
92 %
80 %
92 %
92 %
95 %
95 %
94 %
93 %
総就学率
総就学率
純就学率
1999年
76 %
5%
24 %
8%
54 %
2%
30 %
N/A
87 %
40 %
2009年
83 %
13 %
50 %
15 %
71 %
7%
49%
N/A
96 %
40 %
2009年
93 %
89 %
95 %
82 %
94 %
N/A
92 %
N/A
90 %
N/A
最終学年
までの
残存率
2008年
96 %
54 %
80 %
67 %
96 %
70 %
75 %
99 %
N/A
N/A
有資格
教員の
割合
2009年
84 %
99 %
N/A
97 %
N/A
99 %
N/A
94 %
N/A
100 %
教員一人
当たりの
生徒数
2009年
12 人
49 人
17 人
30 人
15 人
28 人
34 人
17 人
16 人
20 人
(出典) EFA Global Monitoring Report 2010 & 2011, UNESCO
1
2000 年にダカール世界教育フォーラムで採択された「ダカール行動枠組み」では6つの目標が掲げられ、そのうち 2 項目が、教
育分野のミレニアム開発目標(MDGs)としてなっている。
1
アセアン諸国との比較(続き)
中等教育
国
ブルネイ
カンボジア
インドネシア
ラオス
マレーシア
ミャンマー
フィリピン
シンガポール
タイ
ベトナム
前期中等
総就学率
2009年
116%
56 %
93 %
53 %
94 %
61 %
88 %
N/A
92 %
N/A
高等教育
GER
後期中等
総就学率
教育セクターに対する
公共支出割合
(対GNP比)
2009年
1999年
2009年
85 %
23 %
66 %
34 %
50 %
38 %
65 %
N/A
63 %
N/A
17 %
7%
24 %
13 %
36 %
11 %
29 %
N/A
45 %
N/A
2009年
N/A
1.0 %
N/A
1.0 %
6.1 %
0.6 %
N/A
N/A
5.1 %
N/A
N/A
1.7 %
3.1 %
2.3 %
4.2 %
N/A
2.8 %
3.3 %
4.3 %
5.5 %
(出典) EFA Global Monitoring Report 2010 & 2011, UNESCO
下表にラオスにおける各 EFA 目標の達成に向けた進捗状況を示す。
EFA 目標(「ダカール行動枠組み」)と進捗
目標項目
【1】 最も恵まれない子供達に特に配慮を行
った総合的な就学前保育・教育の拡大
及び改善を図ること。
【2】 女子や困難な環境下にある子供達,尐
数民族出身の子供達に対し特別な配慮を払い
つつ,2015年までに全ての子供達が、無償で
質の高い義務教育へのアクセスを持ち、修学
を完了できるようにすること。
【3】 全ての青年及び成人の学習ニーズが、
適切な学習プログラム及び生活技能プログラ
ムへの公平なアクセスを通じて満たされるよ
うにすること。
【4】 2015 年までに成人(特に女性の)識字
率の50 パーセント改善を達成すること。ま
た、全ての成人が基礎教育及び継続教育に対
する公正なアクセスを達成すること。
【5】 2015 年までに初等及び中等教育におけ
る男女格差を解消すること。2015 年までに教
育における男女の平等を達成すること。この
過程において、女子の質の良い基礎教育への
充分かつ平等なアクセス及び修学の達成につ
いて特段の配慮を払うこと。
【6】 特に読み書き能力、計算能力、及び基
本となる生活技能の面で、確認ができかつ測
定可能な成果の達成が可能となるよう、教育
(【2】と【5】はMDG 目標としても採用されている
ラオスにおける現状
就学前教育は拡大中ではあるが、まだ受けるの
は一部の子どものみ
【指標】新1年生の内、幼児教育を受けた割合→
32%(2010/11)
「ラスト5%」と「修了」が課題
【指標】初等教育純就学率94.9%、(2010/11)
初等教育修了率64% (2010/11)(前年度68%より下
がったことが目下最大の懸案事項)
取り組みは初等教育に偏りがちで、特に成人の
学習ニーズへの取り組みは遅れている。
【指標】小学校から中学校への進学率→81.5%
(2009/10)
2015年までの達成は困難
【指標】成人識字率(15歳以上)→81.73%
(2010年調査結果)
地域・民族間の男女格差大きい
初等教育において男女格差は縮まりつつあるが、
教育レベルが進むほど格差あり
【指標】(2010/11)
初等教育の女生徒が占める割合47%
前期中等教育の女生徒が占める割合 45.5%
後期中等教育の女生徒が占める割合 44.5%
計算能力が特に問題
【指標】5 年生の学習到達度(2009 年 ASLO 結果
で「Functional」以上のレベルの生徒の割合)
2
の全ての局面における質の改善並びに卓越性
を確保すること。
ラオ語 97.5%
算数 27.3.%
私たちの身の回りの世界 87.9%
ラオス教育セクターは依然教育施設の不備、教科書・教材の不足、教員の数及び能力の不足、脆弱な教
育行政、低教育予算等の様々な問題を抱えている。特に、山岳地帯や僻地における教育開発進度の遅れ、
都市部と農村部における教育成長格差、全体的な教育開発における質の低さ等、EFA 達成に向けて教育
セクターが取り組むべき課題(特に格差と質の問題)は多く残されている。
以下、教育セクターにおける主要課題を 1)アクセス、2)質、3) 行政とマネジメントの 3 観点からまとめ
る。
1)
アクセスと公平さ
各サブセクターの章でも述べるが、ラオスにおける教育へのアクセスの格差は広範囲に及び、様々な教
育指標において最貧困郡の数値が一様に悪くなっている。貧しい家庭の子どもたち、女児童、尐数民族
の子どもたち、農村地域に住む子どもたちは、都市部とは明らかに異なる就学傾向を示しており、質の
高い教育へのアクセスと言う点で極めて不利な状況にあるといえる。
初等教育への就学率を例にとってみると、大部分のタイ・カダイ語族の男児童、非貧困家庭の子どもた
ちは、非タイ・カダイ語族の女児童、貧困家庭の子どもに比べて就学している割合が高い。一方、ある
報告によると2、女子の初等教育への参加割合は、都市部に住むタイ・カダイ語族の女児童が 92%、農
村部に住む同族の女児童が 81%、農村部に住む非タイ・カダイ語族の女児童が 52%となっており、都
市部に住むタイ・カダイ語族の女子と農村部の非タイ・カダイ語族の女子との就学率の差が 40%にも及
ぶ。
これまでの経験から、最も不利な状況に置かれている子どもたちの就学率を向上させるには、教室を増
やす、教員を増やす、教科書を配布するといった、従来通りの方法だけでは改善が難しいと認識され、
こうしたグループ特有のニーズを満たすような特定のアプローチが要求されているのである(例:ラオ
ス語を生活言語としない子どもたちのニーズに合わせた教授法等)。
貧困レベル3ごとの初等教育留年率と退学率(2011/12 年度)
平均留年率
G1 退学率
G2 退学率
G3 退学率
G4 退学率
6.8 %
14.4 %
15.3 %
10.5 %
20.2 %
1.2 %
5.3 %
11.7 %
14.9 %
17.2 %
0.3 %
5.7 %
15.8 %
19.6 %
0.3 %
6.3 %
15.0 %
26.3 %
0.6 %
5.4 %
63 非貧困郡
28 貧困郡
53 最貧困郡
144 郡 平均
(出典)教育スポーツ省
2)
質
全教育レベルにおいて不十分な設備・施設、教科書・教材不足、不十分な教授時間、不適切なカリキュ
ラム、教員数や能力の不足等で示されるように、現在の教育の質の低さは深刻な状態にあり、そのレベ
ルは国際水準に届かないばかりか、ラオス社会、労働市場の需要にも応えられていないと理解されてい
2
Lao PDR Public Expenditure Review: Integrated Fiduciary Assessment (World Bank, International Monetary Fund, Asian
Development Bank, European Commission, 2007)
3
貧困レベルは Prime Minister Decree 201/GOL dd 25/4/2012 にて規定されており、貧困郡は、発展のための基本的な条件が整
わない郡であり、その条件には、在住家庭の 51%以上が貧困家庭(月給 192,000 キップ以下、農村部の場合は 180,000 キップ以
下、都市圏では 240,000 キップ以下)であることや、村の中に小学校がなく、近隣の小学校への徒歩通学に 1 時間以上かかる場合
が含まれる。
3
る。例えば、2006 年と 2009 年に行われた 5 年生の学習達成度調査によると、
「ラオス語」と「私たち
の身の回り」の 2 教科に関してはほぼ期待通りの結果が出たが、
「算数」の達成度が著しく低かったこ
とが報告されている。
さらに、高い留年率と退学率は教育システムの非効率性を示しており、教育システムにおける財政資源、
人材資源の浪費が懸念されている。同状況を鑑みて、近年、教育スポーツ省は質の改善に焦点を当て取
り組もうとしているが、教育の質は、様々な要因に左右されることが多く、教員の質を上げる、改善さ
れた教科書を配布する、カリキュラムを改善する、といった卖独の取組みだけでは不十分であり、これ
らすべての対策やその他の要因も組み合わせた形での相互作用が必要となってくる。教育スポーツ省最
大の目標は、「2015 年までの EFA 達成」
、特に「普遍的初等教育の達成」であり、3 つの教育開発の柱
の中でも特にアクセス拡大に強調が置かれており、質の向上は懸念材料として認識されているとは言え、
具体的な対応が遅れているのが現状である。したがって、同問題を解決していくことは、ラオス教育セ
クターにとって相当の大事業といえる。
3)
行政とマネジメント
全レベルにおける計画、運営管理、教育サービスの提供にかかる脆弱なキャパシティは、教育改革を実
施していくうえでの障害となっている。こうした状況は地方レベルでさらに深刻であり、2000 年以降
の地方分権化政策によって、県および郡の行政官に教育計画、予算配分、サービス配布等の責任が与え
られたが、データ収集や分析能力、政策や政府の予算配布に影響力を与えられるようなキャパシティ、
財政資源を持ち合わせておらず、委譲された責務を充分に果たせていない状況が散見される。また、実
際に地方レベルでは、予算増加を主張する、政策対話に関与するような機会も限られている上、そうい
った役割を果たす地方行政官の経験・能力も不十分である。しかしながら、県教育局や郡教育局の職員
が、能力向上を行っていくための研修の機会等はほとんど与えられておらず、教育開発、特に基礎教育
の改善をさらに推し進めていくためには、地方行政官の能力向上が緊急の課題となっている。
4
第2章 教育開発政策
2-1
国家開発政策における教育開発
「2020 年までに後発開発途上国(LDC)から脱却する」という国家目標は、第 6 回ラオス人民革命党大
会(1996 年)において定義されたものであるが、教育はその中で持続的な経済成長、貧困削減のため
の必須条件とされた。教育開発を国の最優先事項の一つとする同方針は、その後も主要な国家開発政策・
計画文書の中で明記され、貧困の根本的解決と国家の開発を支えるための全分野における人材育成促進
に向けた優先事項として、特に基礎教育の普及・改善を位置づけている。
貧困撲滅戦略文書(PRSP)として 2004 年に承認された「国家成長・貧困撲滅戦略(NGPES)」では、特に
72 の貧困郡(うち 47 郡は最貧困郡)における持続可能な成長の促進と、貧困の軽減を目標として掲げ、
戦略の柱の一つである人的資源開発強化のための教育改善の重要性が強調されている。そして、上述の
LDC 脱却という国家目標が掲げられてから 10 年後の 2006 年の第 8 回ラオス人民革命党大会では、同
開発目標及び国家の近代化・産業化のための人材育成とインフラ整備が再強調され、同国家目標を達成
するため、政府は次の 5 ヶ年開発計画期間(2006-2010 年)において、教育を人的資源開発のための
要と位置づけた。これを受けて、NGPES を統合する形で策定された「第 6 次国家社会経済開発計画
(NSEDP) 2006-2010」の中でも、労働生産性を向上させることに焦点をおいた人的資源開発戦略の礎石
として、教育システムを強化していく必要性が唱えられ、教育への公平なアクセス、質、システムの適
切性(relevance)とマネジメントの向上に集中的に取り組むべきと明記されている。加えて、同計画の
中では、すべての子どもが初等教育を受けられるようにするためには、尐数民族や貧しい人たちが多く
住む地域に配慮することが大切であるとしている。
第 9 回ラオス人民革命党大会開催をうけて、2011 年に作成された「第 7 次国家社会経済開発計画
2011-2016」では、第 6 次の方向性を踏襲しつつも、MDG 目標や EFA 目標の達成期限が 2015 年であ
ることを意識して社会セクターの重要性を強調した書きぶりとなっている。
国家政策・戦略
National Growth and Poverty Eradication Strategy
(NGPES) 「国家成長・貧困撲滅戦略」
6th National Socio-Economic Development Plan
2006-2010 (NSEDP)「第 6 次国家社会経済開発計画」
7th National Socio-Economic Development Plan
2011-2015 (NSEDP)「第 7 次国家社会経済開発計
画
5
2004
ラオス版貧困削減戦略文書(PRSP)
2006
上記 NGPES を統合する 5 ヵ年計画と
して策定。
同上。
2011
2-2
ラオス政府の教育開発政策
前述のとおり、貧困からの脱却という国家目標を達成するためには、全分野における人的資源開発が急
務となっており、教育は人材を育成していく上で根幹となっている。多数の開発計画・戦略が存在して
いる。
主要政策・戦略文書
文書名
教育政策・戦略
Education Strategic Vision by 2010 and 2020
「2010 年、2020 年までの教育戦略構想」
策定年
2000
Education for All National Plan of Action
(EFA NPA)2003-2015「EFA 国家行動計画」
2004
Sixth Five Year Plan of Educational Development
(2006-2010)
「第 6 次教育開発 5 ヶ年計画」
2006
National Education System Reform Strategy
2006-2015 「国家教育システム改革戦略」
2007
Education Development Strategy Framework
(ESDF) 2009-2015 「教育開発戦略枠組み」
2009
Education Sector Development Plan(ESDP)
「教育セクター開発計画」2011-2015
2011
各サブセクターレベルの戦略・計画など
Teacher Education Strategy 2006-2015 and Action
Plan 2006-2010 (TESAP)
「教員教育戦略&行動計画」
Strategic Plan for the Development of Technical and
Vocational Education and Training from 2006 to 2020
「2020 年までの技術職業教育訓練戦略計画」
NFE Strategy from 2012-2020「ノンフォーマル教育
戦略 2012-2020」
ECD Strategy「幼児教育戦略」
HE Strategy「高等教育戦略」
School Health Policy「学校保健政策」
2006
2007
2012
2009
2010
2010
6
備考
初等教育における教育機会の拡大を目標に掲げ、特に
女性や尐数民族、障害者に配慮し、初等教育の純就学
率を 2010 年までに 90%、2015 年までに 95%、2020
年までに 98%にまで引き上げると明記。さらに、初等
教育のみならず前期中等教育の教育機会の拡大及び
全レベルの教育の質の改善の必要性に言及している。
 ミレニアム開発目標(MDGs)、NGPES にリンクさ
せる形で策定。
 就学前教育、初等教育、前期中等教育、NFE 教育、
スキルディベロップにおける諸課題への具体的戦略
と取組みが示されている。
「第 8 回ラオス人民革命党大会決議(2006 年)」、
「第
6 次国家社会経済開発計画」、「2010 年、2020 年まで
の教育戦略構想」に基づき作成。
教育改革を推進するため、以下の 4 つを政府の優先事
業と定めている。(1) 一般教育課程を 12 年とするシス
テム改革 (2) アクセスと質・関連性の向上 (3) 教員に
かかる課題解決と教育行政官の能力向上 (4) 技術学
校、職業訓練の拡大
3つの柱に沿ったセクター計画
①アクセス(equitable access to education services)
②質 (quality and efficiency of education services)
③ マ ネ ジ メ ン ト (education sector governance and
performance management)
第 7 次国家社会経済開発計画 2011-2015 にあわせて
作成。7th Five Year Plan of Educational Development
(2011-2015)「第 7 次教育開発 5 ヶ年計画」のことでも
あり、ESDF と統合された開発計画として位置づけら
れている。
一般教育分野の教員教育(技術教育・職業訓練、ノン
フォーマル教育は含まない)の 10 年戦略と、年度予算
付の 5 ヵ年の活動実施計画が盛り込まれた行動計画か
ら成る。
技術職業教育訓練分野の戦略計画。ドイツの支援によ
り作成。
ノンフォーマル教育分野の戦略計画。2012 年 10 月の
段階で、未だ大臣決裁待ち。
就学前教育分野の戦略計画
高等教育分野の戦略。
就学前教育・初等教育のみを対象に 2005 年に策定、
2010 年に中等教育も対象に追加した改訂版を作成。
以下、教育セクター開発計画の中で特に重要な位置づけを持つ4つの計画について触れる。
①
「国家教育システム改革戦略 2006-2015」
教育の質と水準を向上させるためには、緊急な教育制度改革の必要性が認識され、2007 年に策定
された。同戦略は、国際水準にまで教育レベルを押し上げ、国際競争力を強化していくことを目標
とし、改革を実施させるため教育セクターが集中的に取り組むべき優先事業として以下の 4 つをあ
げている。そして、教育を継続的に成長・発展させていくためには、同戦略の実施段階において社
会全体の参画が重要であること、同戦略を通して教員の地位向上に努めることが大切である点が特
に強調されている。
1. 一般教育課程を 11 年(5+3+3)から 12 年(5+4+3)とする(移行完了)
2. 教育セクターで実施中の「アクセス拡大プログラム」と「質と関連性の向上プログラム」
から成る「質の改善とアクセス拡大」に取り組む
3. 2006 年に承認された「教員教育戦略&行動計画(TESAP)
」のもとで実施されている、「教
員にかかる課題解決」と「教育行政官、管理者のキャパシティ向上」を進める
4. 「2020 年までの技術職業教育訓練戦略計画」
(2007 年承認)のもとで実施されている、
「全
国における技術学校と職業訓練の拡大」を推進する
②
「第 6 次教育開発 5 ヶ年計画 2006-2010」
「公平さとアクセスの改善」
、
「質と関連性(適切性)の改善」、
「行政とマネジメントの改善」を教
育開発の 3 本柱として挙げている。加えて、同計画の中では、包括的かつ調和的でバランスのとれ
たセクターワイドアプローチ(SWAPs)の模索に対する政府の強い関与が示されている。同 5 ヶ
年計画の中で述べられている全般的実施方針は以下のとおり。
1. 教育開発を推し進めていく上で、配慮すべき 2 つの基準:

優れた政治的観念と社会主義の知識を身に付けた、法律に忠実で秩序をもった国民を
育てる

優れた一般教養と科学的専門知識を持つ国民を育て、教育レベルを国際基準にまでお
し上げる
2. 就学前教育の拡大(保育所、幼稚園の改善、小学校に付属した就学前教育学級の設置推進)
3. 基礎教育の拡大(特に普遍的初等教育を重視)、効率的な識字教育の実施、職業訓練等を通
した継続的な教育機会の提供
4. 前期中等教育の拡大(特に自然科学教科、外国語学習を強化するとともに、国家の社会経
済開発計画に対応するため、今日のテクノロジーに関するスキルの習得促進)
5. 僻地、貧困者、女性、尐数民族、障害者への教育の拡大
6. 将来国を担っていく才能ある生徒を育てていくための促進政策の提示(エリート教育)
7. 全ての教育レベルにおける質の向上
8. 教育開発への社会全体(特に父母会)の参加促進。学校建設への民間セクターの投資推進、
全教育レベルにおける私立学校の拡大促進
9. 教育システムと援助効率の改善
10. 授業料と学習機材・設備使用料に関する政策の検討
11. 遠隔地勤務の教員、複式学級担当の教員に対するもっとも適切な政策の適用
③
「教育開発戦枠組み 2009-2015」Education Development Strategy Framework:ESDF
教育スポーツ省は2001 年頃から教育セクターにおけるSWAps 導入に興味を持っていたが、政府のオー
ナーシップやドナー支援の調和化・調整を後押しする全体の枠組みが欠けていたため、これまであまり
進捗がない状態が続いていた。しかし、2006 年に『ビエンチャン(援助効果)宣言』が採択され、効
効果的な援助実施のための援助協調の促進は、ラオス政府にとって急務となった。これまで出された戦
略を実施するため、そしてMDG目標、EFA 目標を達成するために、効果的な援助実施を促進する統一
7
された枠組みを策定する必要性・緊急性が全関係者によって強く認識され、教育セクターにおける開発
枠組みが策定されることになった。ESDFは、以下の3つの柱(アクセス、質、マネジメント)に沿っ
ている。
1. 教育サービスへの公平なアクセスを確保する(Ensuring equitable access to education
services)
2. 教育サービスの質と効率性を改善する(Improving the quality and efficiency of education
services)
3. 教育セクターのガバナンスと実績管理を改善する(Improving education sector governance
and performance management)
④
「教育セクター開発計画 2011-2015」 Education Sector Development Plan:ESDP
ラオス教育セクターでは、多数の開発計画・戦略が作成されて混乱しがちであり、特に「第 6 次教育開
発 5 ヶ年計画 2006-2010」と「教育セクター開発枠組み(ESDF)」は並行する開発計画として存在し
ていた。こうした問題に対して、2010 年に「第 7 次教育開発 5 ヶ年計画 2011-2015」を策定するにあ
たって、ESDF との統合をすすめることになった。そのため、教育セクターとして統一した開発計画を
持つという目的のもと、新しい計画は ESDP と名づけられ、就学前教育から高等教育まで全教育レベル
において 2015 年までに達成すべき以下の優先課題を明確にすることを目的として作成され、同計画は
2011 年 9 月 1 日に教育大臣(Dr. Phankham)により最終承認を受けている。
同計画では、以下の7つの全体目標が示されている。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
第 9 回ラオス人民革命党大会決議の実施「国家教育システム改革戦略 2006-2015」
第 2 フェーズ(2011-2015)の実施
教員の不足と質の課題に取り組む
全レベルでカリキュラム開発を継続する
教育施設と教材の改善
教育セクターにおけるマネジメント強化、教育行政官・管理者のキャパシティ向上
改訂版教育法で示されているように、政府予算の 17~18%を教育予算に確保する
以下の表に、ESDF の優先課題とそれに対する取り組みをまとめる。
8
優先課題
事業としての取り組み
公平な教育サービスへのアクセス保障
登録費などの廃止、各学校への交付金制度導入、貧困家庭の子ど
1-1
教育にかかる費用削減
もへの補助金及び奨学金配布、遠隔地に配置される教員を養成す
るための奨学金制度導入
自動進級制度導入、貧困家庭の子どもへの補助金及び奨学金配
1-2
留年及び退学の減尐
布、入学年齢遵守、就学前プログラム促進
民間連携にかかる計画・横断的戦略導入、VEDC 支援を通した
1-3
民間及び地域社会の参加拡大
CLC ネットワーク拡大
複式学級用教室整備、前期中等教育年数延長に対応する教育施設
1-4
教育施設改善
の整備、ポスト基礎教育レベルの施設拡大など
インクルーシブ教育政策の整備、特別な教育ニーズに対応したカ
リキュラム整備、不完全学校の完全学校化及びクラスターネット
全ての子どもへの教育サービス
1-5
ワークの強化、貧困家庭の子どもへの補助金及び奨学金配布、就
の提供
学前教育促進、中退児の再入学促進、ノンフォーマル教育プログ
ラム修了資格の公式化
1-6
就学前教育促進
プレイグループ促進、プレイグループ及び幼稚園への交付金導入
後期中等及び高等教育施設拡大、職業訓練校施設増設、全県から
1-7
ポスト基礎教育アクセス拡大
の高等教育へのアクセス拡大
2. 教育サービスの質及び効率性改善
カリキュラム開発に係る政策整備、教科書及び補助教材の現地調
2-1
カリキュラム改革及び教材配布
達化、職業訓練校カリキュラム改善、教科書及び調達にかかる交
付金、ノンフォーマル教育カリキュラム開発
教員養成校施設の最大活用、教員不足の地域への優先的配置、教
2-2
教員養成及び現職教員研修
育不足の地域からの優先的な入学措置、教員養成校の短大化及び
大学化
2-3
公平な教員配置
教員給与体系の改善、遠隔地手当、配置における全国公平化
教員のパフォーマンス管理及び 新しい校長手当導入、校長の 3 年間の試用期間導入、評価を通し
2-4
インセンティブ改善
た校長昇進制度促進
3・5・9 年生時の学習到達基準の明確化、生徒学習成果モニタリ
2-5
生徒の評価・モニタリング
ングの組織化、学校評価の効率化、インスペクションにかかる役
割の明確化
3. 教育セクターガバナンス及び実績管理改善
中央及び地方の計画モニタリン 中央・県レベルでの ESDF 実施、特に合意された実績指標に関す
3-1
グ能力強化
る中央・県・郡間の情報管理能力強化
学校レベルでの予算管理能力強化、県レベルでの人員管理能力、
人件費管理に関する郡への権限移譲強化、MTEF 導入、交付金導
3-2
郡及び学校管理システム強化
入にかかる法規及びガイドライン整備、全レベルにおける会計管
理及び報告能力強化
中央・地方の分掌にかかる関連法規及びガイドライン整備、教員
3-3
人的資源管理システム強化
の需給計画改訂、教員の待遇改善
基礎教育にかかる家庭での費用負担廃止、初等教育の学校交付金
貧困家庭に配慮した財政システ
3-4
制度、教科書・教員養成などへの予算措置、VEDC の財政管理能
ム強化
力強化、
3-5
教育セクターモニタリング強化
ICT 活用、年間セクターレビューの実施
1.
9
第3章 教育法、教育行政、教育財政
3-1
教育法
ラオスにおいて、義務教育は 1991 年に制定された新憲法 19 条において以下のように規定され、尐数民
族を含む全国民に対して教育を拡大することの重要性が謳われている。
ラオス新憲法:第 19 条
「新しい世代をよき市民に築きあげるために教育を拡大することが重要である。教育、文化、科学に
関する活動は、知識レベル、愛国心、民主主義への愛着、民族間の結束、独立精神を高めるための手
段である。政府と国民は全ての教育レベルの学校を作り上げるように協力すべきであるが、その中で
も特に義務教育(小学校 1 年から 5 年生まで)を拡大することが重要である。また尐数民族が住む山
岳地帯や遠隔地にも配慮すべきである。
」
ラオスで教育法が制定されたのは 2000 年のことであり、それまでは様々な教育に関する規則は、必要
に応じて発令される首相布令によって定められてきた。5 年間の初等教育の無償・義務化は、1996 年
の首相布令(1996 年 7 月 NO136/PM)において定められ、他にも僻地の教員給料の引き上げ(僻地手
当て)
、地方分権化の実施などについて、必要とされる時に随時首相布令が出される仕組みになってい
た。そのため、教育法によりガイドラインができたことは、大きな発展であるといえる。
(参考)首相布令:1996 年 7 月 NO136/PM
・初等教育は一般教育の最初のレベルであり 5 年間の教育を含む。初等教育は、全国民が達成すべ
き基礎教育を作り上げる。
・全ての 6 歳以上のラオス国民は、人種(race)、宗教、性別、民族そして社会・経済的な地位に関
わらず、完全にそして平等に教育を受けなければならない。
・就学した全ての児童が初等教育を終えなければならない。十分なケアがなされているにも関わら
ず学校生活を継続できない身体的・精神的な健康問題をもつ生徒以外は、14 歳までに落第や中
途退学をすることなしに初等教育を継続するべきである。
・教育は公的または私的な教育機関のどちらにおいても提供できるが、その内容は教育スポーツ省のカ
リキュラムを遵守し、子どもを高い能力で身体的にも精神的にも発展させる目的を確証しなければな
らない。
・政府と国民は、全ての公立の小学校において教育に関する管理とサービスに責任を持つよう協力
する。そしてそのサービスは無料で提供される。
このように 2000 年に教育法が出されたことは、ラオス教育分野にとって大きな状況の変化である。た
だし、これらの法律を全ての国民が理解しているとは言いがたい。例えば、教育法は教育スポーツ省内
の大臣官房局(Cabinet Office)で作成されたが、他局では関心を持たれていない、もしくは表面的、形式
的であって適確に施行されていない状況がこれまで見られた。
教育法は 2007 年 7 月に改訂された。改訂版教育法は 12 章 79 条からなる。(2000 年制定の教育法は
12 章 54 条)
。12 章の構成は以下のとおりである。
1 章:一般規定
2 章:国家教育システム
3 章:学習機関
4 章:教育カリキュラム
5 章:学習者
6 章:教員、教育行政官、教育マネジメント
10
7 章:社会と教育
8 章:教育投資
9 章:教育行政、監査、評価
10 章:優秀な法則実行者(団体)への特権と違反者への措置(罰則)
11 章:教員の日と教育ロゴ
12 章:最終規定
国家開発を推し進めていく上での教育の重要性は広く認識されており、改訂版教育法第 4 条においては、
政府の教育開発に関する考えが以下のとおり規定されている。
改訂版教育法:第 4 条(教育政策)
「政府は教育を人的資源開発の根幹を成すものととらえ、品行方正で、先見の明のある、科学的生産
性をもった個人を育成することに留意する。これは、知識集約型の社会を築くため、そして次第に能
力を基盤とした地域経済圏を構築していくために必要な知識、技術、創造性、専門的職業をもった人
材を育てていくことを意味する。
政府は、幼児教育に注意を払うとともに、普遍的初等教育を達成するために活発な努力を行ってい
く。政府は、教育投資拡大を国家財政政策における最優先事項と位置づける。教育の質の向上、特に
僻地に住む人々、女性、女児童、そして不利な状況におかれた人々の教育へのアクセスを改善すべく、
政府と社会が一体となって国家の教育制度を発展させていかなければならない。加えて、政府は国民
に職業教育を受ける機会をより多く提供していく。
政府は、個人、民間セクターを含む内外機関に対し、規定や法律に基づき銀行融資、免税に関する
政策の整備といった様々な方策をとおして、国家教育開発への投資を促進、後押ししていく。
」
11
3-2
ラオスの教育行政
国家レベルにおける教育に関する行政は教育スポーツ省が所管しており、教育スポーツ省の任務として
国の教育制度の企画、教育政策に関する助言・勧告及び全国の教育活動を監督することが、教育スポー
ツ省組織令(Degree Number 61、1993 年)で明記されている。つまり、教育スポーツ省は就学前教育か
ら高等教育レベルまで公私学教育両方における学校・学校外教育(ノンフォーマル教育)の全教育レベ
ルに対して責任を有している。
従来、教育省であったところ、2011 年 9 月 7 日付けの首相令(No.282/PM)にて、教育省と国家スポー
ツ委員会(National Sports Committee)が統合することが定められ、教育スポーツ省に改編された。それ
を受けて 2012 年 4 月から 6 月にかけて省内の組織改革が漸次行われ、従来 3 名であった副大臣が 4 名
体制になった。現行の組織体制と副大臣の分掌は以下の通りである。
教育スポーツ省組織図(2012 年 9 月現在)
教育スポーツ大
臣
副大臣
副大臣
教育行政開発
機関
副大臣
UNESCO
(UNC)国内
計画
局
国立教育
研究所
(Cabinet)
(DP)
(RIES)
人事局
(DOP)
就学
前・
初等
教育
局
オリンピ
ック国内
委員会事
務局
4
国立大
学
委員会
大臣官
房
副大臣
教育印刷
所
技術
・職
業教
育局
教育基
準・質
保証セ
ンター
(DTVE)
(ESQAC)
高等
教育
局
私学教
育諮問
委員会
事務局
(DHE)
ハイレ
ベル・
スポー
ツ局
大衆ス
ポーツ
局
教育・ス
ポーツ・
ニュース
センター
国家スポ
ーツ訓練
センター
(Sikeuth)
(DPPE
監査局
(DOI)
中等
教育
局
(DSE)
財務局
(DOF)
教員
教育
局
教育教材
生産国営
会社
(DTE)
ノンフォ
ーマル
教育
局
体育
局
(DPhAE
)
(NFED
)
対外関
係局
学生
局
(DER)
(DSA)
KM 16
スタジア
ム
国家スポ
ーツ連盟
(出典)Degree No. 1743 (06/06/2012), Degree No. 228 (07/09/2012, on DP), Degree No. 1125 (20/04/2012on
DER), Decree No. 921 (27/03/2012 on DSA)
12
なお、組織改編前に独立部局であったインクルーシブ教育センター(IIEC)は就学前・初等教育局(DPPE)
内に、戦略研究・教育分析センター(SREAC)と教育統計・情報技術センター(ESITC)は計画局(DP)
内に編入された。
2000 年に始まった政府の地方分権化政策のもとで、
教育スポーツ省は、
県教育局(PES)
と郡教育局(DEB)
と責任を分担することになっている。例えば、各県におかれている県教育局は、県レベルの中等学校と
教育スポーツ省の管轄下にない技術・職業学校について実務的な責任を有し、一方県内の郡におかれて
いる郡教育局は、初等教育、就学前教育、ノンフォーマル教育の企画等に際して、郡内の各学校及び地
域社会大衆組織を支援している。
ラオス教育セクターの課題の一つとして、全レベルにおける計画、運営管理、教育サービスの提供にか
かる脆弱なキャパシティが挙げられ、教育改革を実施していくうえでの障害となっている。同問題は、
県や郡レベルにおいてさらに深刻であり、2000 年以降の政治構造の地方分権化によって地方に委譲さ
れた義務や責任を充分に果たせていない状況である。したがって、基礎教育の改善をさらに推し進めて
いくためには、地方行政官の能力向上が緊急の課題といえる。
PES/DEB 組織図
局長
副局長*
副局長*
副局長*
中等教育課
総務課
就学前・初等教
育課
大衆スポー
ツ課
教員開発課
人事管理課
技術技能教育・
訓練課
ハイレベル
・スポーツ
課
体育・芸術教
育課
監査・評価課
ノンフォーマル教育課
統計・計画課
県技術技能教育
学校**
初等教育指導主
事(PA)センタ
ー
僧侶教育県事
務所
ターケーク後期
中等学校**
中等教育指導
主事(PA)セ
ンター
尐数民族学校**
教員養成大学
付属教員訓練
センター***
*チャンパサック県PESには副局長が6名、カムアンPESには3名おり、PESの規模によりその人数は異なる。
**カムアンPESのケース
*サバナケットPESのケース
13
各県・郡が管轄している学校に一番接点があるポストは、PA(Pedagogical Adviser:指導主事)である。
PA は、県教育局(中等担当)及び群教育局(主に初等担当)の一般教育課に属している。中等教育の
PA は教科ごとに 1、2 名、小学校用の PA は各郡 4~6 名(そのうち 1 名は就学前教育担当)で、2012
年現在、全国に中等教育担当 PA が 374 名(うち女性 116 名)、小学校担当 PA が 489 名(うち女性 58
名)4。
2007 年 1 月 18 日に「一般教育にかかる PA に関する教育大臣令」が発布され(No.146)、その中で PA
の職務、学校内指導活動、クラスター内での授業研究などについても条項で規定されている。詳細は以
下のとおり。PA の基準は①教員資格を有すること、②5 年以上の連続した教員経験があること、③一
般教員に認められる良い授業をしてきたという経験と能力、知識があること、④人間関係(対人関係)
が良く、職務を果たす責任感があり、健康であること、⑤PA のカリキュラムの修了証を取得している
ことの 5 点であり、TEIs 内での研修か、一般教育局による研修を受けることが義務付けられている。
4
2012 年 9 月、就学前・初等教育局、ならびに中等教育局より聞き取り。
14
3-3 ラオスの教育財政
ラオスの国家教育財政は、教育セクターへの政府支出割合が約 13~14%前後でここ数年の間推移してお
り、絶対額でいえば増加傾向にあるが、その増加率は鈍い。
「第 6 次教育開発 5 ヶ年計画(2006-2010)」
の中では、教育セクターへの政府支出割合を、11.6%(2005 年)から 16%(2010 年)へ引き上げるこ
とが目標とされていたが、達成できなかった。2007 年に改訂された新教育法の中では、国家予算に占め
る教育支出の割合を 18%以上にすることを定めており(第 57 条)
、2012~13 年度の予算もその照準を
睨んで上向きの算定がされている。
国家財政に占める教育セクターの経常予算と投資予算の金額ならびにその割合については、下記表のと
おりである。
教育経常予算と投資予算
年
経常予算
教育予算
投資予算
2008/09
740,447.11
493,671.49
2009/10
840,904.42
754,502.20
2010/11
909,918.71
861,146.55
2011/12
1,093,231.82
947,487.00
2012/13*
1,814,396.86
1,257,000.00
(出典)教育スポーツ省財務局 *暫定
政府予算
教育予算計
1,234,118.60
1,596,406.62
1,771,065.26
2,040,718.82
3,071,396.86
8,472,263.00
10,648,383.00
13,071,128.01
15,192,392.00
18,310,320.00
(Million Kip)
GDP
政府予
算に占
める教
育予算
の割合
(%)
14.57
50,573,000
14.99
54,100,000
13.55
61,300,000
13.43
69,200,000
16.77
74,736,000
%
GDP
2.44
2.95
2.89
2.95
4.11
教育セクター予算の財源と支出傾向に関しては、以下の特徴が挙げられる。
財源に関しては、外部資金(ドナーによる支援)に頼った教育財政運営が続いており、特に投資予算の
ほとんどが外国投資(援助)によるものである。プロジェクトの開始・終了時期に左右されて、その割
合は毎年大きく変化するが、特に、投資予算については下表のとおり、9 割方をドナー支援に頼ってい
る年が多い。ラオスの国家財政の現状を踏まえると、ある程度外国からの資金援助を得られなければ、
計画・戦略の実施が困難であることは理解できるが、経常予算と投資予算をあわせた教育予算全体の約
6~7 割を外国投資(援助)に頼っているという状況は、決して好ましいとはいえない。
国家教育セクター予算の外部資金比率(%)
年
投資予算の
教育予算計の
ODA 比率
ODA 比率
2008/09
88%
68%
2009/10
94%
71%
2010/11
95%
75%
2011/12
89%
66%
2012/13
88%
55%
(出典)教育スポーツ省計画局より入手情報を基に筆者作成。*国会で承認済み。
一方、国家財政でまかなわれている経常予算の 5 割以上を教員の給与をはじめとした人件費が占めてお
り、教科書の印刷・配布も含め、教育開発活動を実施するための予算は非常に限られている。ちなみに、
2012~2013 年の教育省の活動予算のうち 66%は、中央からの学校補助金配布用に計上されている。
予算配分システムについては、政府から直接県に予算承認が行われ、県政府が各セクターへの予算配分を決
めることができる。したがって、県教育局は中央教育スポーツ省の監督管理のもとに置かれてはいるが、各
県の歳出の大部分は県自身の歳入でまかなわれており、また教員給与以外の部分で中央からの予算配分がほ
15
とんどないことから、セクターの縦の関係より、予算配分、活動計画を承認する県政府との横の関係の方が
強くなっている。つまり、県知事が一定の予算権限を有する現行の財政システムにおいては、実際の活動実
施の際には県政府の方針が強く反映される形となることが多く、必ずしも国家教育政策および教育スポーツ
省の方針に沿った形で地方での教育開発活動が行われているとはいえない。
こうした財政システム上の問題に加えて、全体的に中央・地方ともに、計画の立案・策定を主体的に行
うだけの行政能力、実施体制をもちあわせておらず、適切な活動(効率面、効果面双方から)が行われ
ていない状況である。したがって、基礎教育の普及、改善、そして EFA 達成に向けての歩みを加速させ
るためには、中央教育スポーツ省及び、県・郡レベルの教育局が協働して課題に取り組む必要がある。
しかしながら、現在の政府の財政状況を鑑みると、国際社会からの援助なしには、政府の教育開発計画・
戦略の実施、目標の実現は非常に難しいといえる。
教育経常予算のサブセクター別配分をみると、就学者が最も多い初等教育の占める割合が最も高い。次
に、卖価が高く就学者が徐々に増えている前期中等教育、今後、さらなる拡充が期待される就学前教育
や技術・職業教育が続く。一方で、質やアクセスの観点から重要視されている教員については、中央か
らの予算措置は非常に限られた状況が継続することが、この予算配分から散見される。
教育セクターにおける経常コストのサブセクターごとの割合(%)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
9.68
6.52
5.8
10.93
6.63
6.31
11.58
12.23
12.84
13.33
6.44
6.48
6.27
6.68
6.5
6.98
6.09
6.88
5.87
7.04
7.36
7.04
7.78
7.21
7.68
6.81
7.52
5.83
7.37
4.89
20.05
17.7
15.7
15.4
16.35
18.71
運営管理
インクルーシブ
ノンフォーマル教育
教員教育
40%
高等教育
30%
技術・職業教育
20%
34.86
35.12
33.67
33.83
33.47
32.08
5.71
5.73
7.66
7.88
8.05
8.12
10%
0%
後期中等教育
前期中等教育
初等教育
就学前教育
就学前教育
初等教育
前期中等教育
後期中等教育
技術・職業教育
高等教育
教員教育
ノンフォーマル教育
インクルーシブ
運営管理
合計
基準値
2009/10
5.71
34.86
20.05
6.98
6.50
2.42
1.50
5.80
6.52
9.68
100.00
(出典)教育スポーツ省財務局
暫定値
2010/11
5.73
35.12
17.70
7.04
7.36
2.42
0.76
6.31
6.63
10.93
100.00
暫定値
2011/12
7.66
33.67
15.70
7.21
7.78
2.28
1.20
6.48
6.44
11.58
100.00
(ESDP 財務計画に拠る)
16
暫定値
2012/13
7.88
33.83
15.40
6.81
7.68
2.05
1.17
6.68
6.27
12.23
100.00
暫定値
2013/14
8.05
33.47
16.35
5.83
7.52
1.82
1.14
6.88
6.09
12.84
100.00
暫定値
2014/15
8.12
32.08
18.71
4.89
7.37
1.48
1.11
7.04
5.87
13.33
100.00
第4章 教育セクターの現状と課題
4-1
学校制度
ラオスの学校制度は、就学前教育、一般教育、技術・職業教育訓練(教員教育含む)、そして高等教育
の教育段階から成る。さらにノンフォーマル教育が学校に行っていない若者や、学校に行く機会がなか
った成人に対して提供されている。就学前教育は、0~2 歳対象の保育所と 3-5 歳対象の幼稚園によって
主に実施され、また最近は初等教育へのスムーズな移行や低学年段階での学習効果を高めるため、就学
前教育あるいは初等教育レベルにグレード 0 が段階的に導入されている。
現在の一般教育は、5 年間の初等教育(G1-G5)、4 年間の前期中等教育(G6-G9)、3 年間の後期中等教
育(G9-G11)の計 12 年から成っており、その中で初等教育のみが義務教育とされている5。2009 年に、
前期中等教育は 1 年追加され、3 年間から 4 年間となり、これによって、ラオスの一般教育システムは、
国際水準と同じ 12 年間となった。どのレベルにおいても、新学期は 9 月に始まり、2 学期制(1 学期 9
月~1 月、2 学期 2 月~5 月6)を採用している。
大学&
その他
高等教育
機関
4-6
教員
養成
技術教育
職業訓練
機関
12
17
11
16
10
15
9
14
8
13
7
12
6
11
5
10
4
9
3
2
8
1
6
0
5
高等学校
3
後期中等教育
中学校
4
前期中等教育
小学校
5
初等教育
7
4
準備学級(Grade 0)
幼稚園
就学前教育
3
2
保育園
1
5
6
高等教育
年齢
学年(G)
ラオス教育制度(2012 年 9 月現在)
教育スポーツ省は、2015 年を目処に前期中等の義務教育化を目指している。
2 学期の終了時期は、小学校が 5 月、中高が 6 月、大学が 7 月というケースが多い。
17
2012 年 9 月現在、教育スポーツ省では「国家学位・資格フレームワーク(National Quality Framework:
NQF)」というコンセプトで、学校制度のうち、位置づけがあいまいな技能教育に特に焦点を当てたコ
ース造りの議論を行っている。これは、アセアン諸国との経済統合にラオスが御していける人材を育成
する責任を教育セクターが担っているという立場を意識して、技能職、高度な専門職、実業部門に貢献
する高度学位取得者の養成を、それぞれのコースのレベルの資格要件とともに規定しようというもので
ある。下のイメージ図が、2012 年 6 月に当該テーマの議論を目的として教育スポーツ省が関連省庁を巻
き込んで開催した国レベルの会議で紹介されたものである。
18
就学前教育
4-2
4-2-1
方針
就学前教育の主な目的は、小学校入学に先立ち、子供たちを身体的、情緒的、精神的に備えさせること
にある。初等教育の普及と質の向上が最重要課題とされるなか、ラオスにおいては、就学前教育にはこ
れまでそれほど高い優先順位は付されてこなかった。しかし、近年、初等教育のアクセスと質の改善に
取り組む上で、就学前教育が果たす役割に注目が高まり、そのため、就学前教育の拡充が近年の開発計
画ではより強調されるようになってきている。
例えば、
「2010 年、2020 年までの教育戦略構想」の中では、保育所や幼稚園の量的・質的改善を通した
就学前教育の発展に焦点を当て、徐々に就学前教育を促進していくという教育スポーツ省の目標が示さ
れている。さらに、
「EFA 国家行動計画」では、就学前教育を拡大していくための手段として、尐数民
族、女子、貧困家庭の児童を対象にした学級の設置計画が採用された。このように、質の高い就学前教
育を提供することの重要性が近年強調される中、就学前教育の拡大と質の改善を推し進めていくための
包括的な政策が必要と認識され、2008 年には幼児教育戦略が策定された。
教育スポーツ省は現在の主要方針として、県都や郡都においてモデル保育所/モデル幼稚園を設置するた
めの国家予算の増加、民間セクターによる保育所や幼稚園の開設を促進する一方で、幼稚園はないが、
活用できる教室と教員が存在する農村遠隔地の小学校において、小学校付属の就学前学級(グレード 0)
の設置を積極的に進めている。
4-2-2
1)
現状と課題
就学状況
指標
2008/09、2010/11 年度の就学状況
2008/09 2009/10
2010/11
計
計
計
内 私立
数
割合
1,123
1,284
1,358
230
3,920
4,361
5,623
1,223
85,357
95,974
103,200
22,996
4,493
4,913
6,439
2,959
49,889
57,049
60,487
18,740
30,975
34,012
36,274
1,297
学校数
教員数(常勤)
就学前数
保育所
幼稚園
小学校付帯就学前学級
(グレード 0)
(出典)教育スポーツ省統計情報センター(ESITC)
%
17.9
28.3
24.0
60.2
32.8
3.8
現在の就学前教育を提供する機関は、0~2 歳を対象にした保育所(託児所)
、3~5 歳を対象にした幼稚
園、小学校に付帯した就学前学級(グレード 0)の 3 種類に大別される。初等教育へのスムーズな移行
や低学年段階での学習効果を高めることを目的としてグレード 0 が段階的に導入されているが、グレー
ド 0 は導入から時間がたっていないため、就学前教育の統計は精度に大きな問題が残る。しかしながら
就学者は過去 5 年間で徐々に増加し、特にグレード 0 導入後の就学者の増加は著しい。また、就学率に
おける男女差はほとんどなく、若干女子の就学率が高い。従来の保育所や幼稚園はその他の教育段階と
異なり有料であるが、グレード 0 のみは学費が無料であるため、就学者が大幅に増加している。
一方、就学状況は地域差が極めて大きく、例えば、ビエンチャン市の総就学率が 5 割を超えているのに
対し、サラワン県では 13%以下となっている。地方における大部分の就学前教育施設では保健、水、衛
生設備の整備が進んでいなく、また地方部では就学前教育に対する保護者の理解も十分でないことから、
就学前教育への参加は依然として都市部や裕福なコミュニティに限定されている。特に、農村部、僻地
に住む 5 歳以下の多くの子どもたち(特に尐数民族の家庭の子ども、貧困家庭の子ども等)は、就学前
19
教育の機会が奪われている状況である。
小学校に付帯している就学前学級(グレード 0)を除き、就学前教育において民間セクターの果たす役
割は、他サブセクターに比べて非常に大きい。保育所においては約 6 割、幼稚園においては 33%が私立
校に就学している。しかし、ここでも地域格差は大きく、私立学校就学者はビエンチャン市では 7 割を
超える一方で、ポンサリー、アタプー県では私立の施設は殆ど存在していない。
最後に、就学率の増加にもかかわらず、就学前教育プログラムへの参加経験がある新 1 年生の割合は依
然非常に低く、全国平均でも 2010/11 年度で 25%程度に過ぎない。つまり、簡卖な算数の概念(色、大
きさ、計算、順番、形、空間、量等)に触れることやラオ語文字を学ぶことがほとんどないまま小学校
に入学してくる生徒が大部分となっている。特に、教授言語であるラオス語を生活言語としない尐数民
族の子どもたちが、ラオス語に触れる機会がまったくないまま入学してきた場合、低学年時に授業を理
解するのが困難等の問題に直面することが多い。
県別主要就学前教育指標 2010/11 年
対象年齢
就学人口
人口
(保育園、幼稚
県
(3-5
園、小学校付帯
歳)
教室)
38,360
24,087
ビエンチャン市
12,969
2,467
ポンサリー
11,741
3,530
ルアンナムタ
21,025
3,918
ウドムサイ
11,521
3,225
ボケオ
29,951
8,255
ルアンパバン
21,555
3,798
フアパン
20,435
6,766
サイアブリー
18,652
4,809
シェンクワン
28,722
7,588
ビエンチャン県
16,571
2,792
ボリカムサイ
23,579
5,085
カムアン
56,441
11,827
サワンナケート
25,883
3,3330
サワラン
8,965
1,783
セコン
38,832
8,236
チャンパサック
9,627
1,704
アタプー
394,829
103,200
全国
(出典) Annual School Census 2010-11
2)
3-5 歳児
の
就学率
(%)
54.5
18.5
29.8
17.6
27.9
27.0
16.5
31.8
24.5
25.2
15.8
20.0
20.2
12.6
18.9
20.0
17.2
24.5
私立就
学人口
の割合
(%)
70.8
0.0
3.3
12.0
9.6
15.1
7.0
4.4
25.6
14.3
21.4
20.9
10.5
0.6
2.9
15.3
0.0
25.5
教員数
(常勤)
955
14
22
15
68
16
20
42
61
31
50
75
2
65
1,436
1教員
あたり
園児数
(人
18
18
14
17
24
19
18
13
19
15
13
14
19
23
23
14
21
17
教員
大部分の幼稚園教諭は、教員養成機関において 11+1 のコース(certificate レベルで、高等教育レベルで
はない)を修了しており、有資格教員の割合に関しては 2000 年からのほとんど変化なく、約 8 割とな
っている。また就学前教育分野全体における男性教員の占める割合は 1%以下である。
就学前教育の就学者数が急激に増加している一方で、教員数の増加は就学者数ほどではなく、徐々にで
はあるが教員一人当たりの生徒の割合が増加しているため、教員の育成は今後の課題となっている。
20
4-3
4-3-1
初等教育
政策・方針
2007 年 7 月に改訂された教育法の中で初等教育は下記のとおり規定されている。
改訂版教育法:第 17 条(初等教育)
「初等教育は一般教育の基礎レベルであり、就学年数は 5 年である。5 年間の教育を通じて、学習者は
自然科学、社会科学に関して必要とされる基本的な知識、ラオス語の読み書き、聞き取り、会話力、基
本的な計算能力、健康と清潔さを保つための知識、環境保護に関する知識、基礎的な芸術・芸能、外国
語、特に英語の知識を身に付けるようにしなければならない。全ての 6 歳以上のラオス国民にとって初
等教育は義務であり、全ての児童が初等教育を終えなければならない。中央政府と地方当局はすべての
国民、特にすべての学齢児童に対する学校へのアクセスを確保するために、適切な方策を明確にする義
務を負う。また、社会、コミュニティ、親は、すべての子どもが 5 年間の初等教育を修了できるように
する義務がある。
」
第 6 次教育開発 5 ヶ年計画において、初等教育に関する目標は以下のように設定されている。
1. 初等教育の総入学率が 2015 年までに 98%に達する
2. 初等教育の純入学率が 2015 年までに 98%に達する。
3. 初等教育の残存率(Survival Rate)が 2015 年までに 95%に達する。
4. 学校給食プログラムを 39 郡に拡大し、2011 年から実施管理体制を WFP から教育スポーツ省へ移行
する
5. 初等教育の進級率が 2015 年までに 98%に達する
6. 2015 年までに生徒一人当たりに教科ごとに教科書1冊を持つようになる
7. 50%の小学校が便所と水の供給を持つようになる
教育スポーツ省は、教育の質とアクセス改善のための方策として、School Of Quality という概念を導入
した。この概念は、2000 年の世界教育会議(ダカール)で提案された Child-Friendly School の概念が元
になり、ラオスでは、2004 年末から 3 つの小学校で試験的に開始された。ラオスにはそれまで、「各県・
郡に尐なくとも 1~2 校のモデルスクールがあるべき」という政策文書のみが存在したため、何をもっ
てモデルになるかという具体的な内容(モデルスクールが備えているべき要素)が書かれた政策文書を
作る必要性があったため、教育スポーツ省は、Child-Friendly School をラオス政府のものとして「School
of Quality(SoQ)」と名称を改めた。
SoQ では、教育の実践概念の説明と学校で目指されるべき具体的な内容を 26 の基準で記し、計測に 70
のインディケーターを設定した。2010 年には全国 1,800 校で実践され、2011 年には FTI 対象 56 郡に広
められ、2015 年までに 4,000 校に拡大されることが見込まれている。一方で、SoQ はその視点の中心が
学校内にあり、教育の質とアクセス改善の方策としての限界点が認識されており、より広い視点からの
概念の必要性から、2011 年 6 月 28 日公布の大臣令で「教育の質基準(Education Quality Standard: EQS)」
に移行されることになった。
「教育の質基準(EQS)」には以下の 6 つの基準に対して 42 のインディケータが設定されており、SoQ
に比較して PES・DEB の報告の簡素化に繋がると考えられている。2013~2014 年度の全国展開を念頭
に、2012 年 9 月の段階で、MoES と UNICEF が群レベルの関係者へのガイダンス・ワークショップを開
催している。
21
教育の質基準(EQS)
内容
インディケータ(数)
9
生徒に関する基準
8
教授法に関する基準
8
環境に関する基準
5
教材に関する基準
9
運営・管理に関する基準
3
コミュニティ参加に関
する基準
(出典)教育スポーツ省教育基準・質保証センター(ESQAC)
基準
1
2
3
4
5
6
4-3-2
1)
現状と課題
就学状況
初等教育基礎指標
学校数
完全
1991/92
2009/10
2010/11
不完全
計
7,148
5,129 57% 3,839 43% 8,968
5,788 65% 3,114 35% 8,902
生徒数
916,341
900,123
NIR (%) NER (%)
84.2
85.3
留年率(%)
G1
G2
G3
中退率(%)
G4
G5
G1
G2
G3
G4
修了
G5 率(%)
92.7 28.4 13.6 8.2 5.1 2.2 10.5 4.9 5.7 5.6 4.8
94.1 25.9 11.5 7.3 4.1 1.6 12.4 6 6.6 5.9 5.4
(出典)教育省統計情報センター(2010/11年度については、Annual School Census 2010-2011)
1975 年の政権成立以降、ラオス政府は初等教育の普及を中心に教育計画を進めてきた結果、山岳地帯の
農村でも学校が建設されるようになった。特に 1990 年に「万人のための教育(EFA)世界会議」に参加
後、
初等教育の拡大に一層力が入れられ、1991 年度に 7,148 校であった小学校の数は 2009 年度には 8,968
校に増加した。
生徒数の変動にも関連して 2010 年度の統計では学校総数は若干の減尐(マイナス 66 校、計 8,902 校)
を示しているが、小学校の全学年 5 学年を提供できない「不完全校」を完全校にする取り組みが EFA を
達成するための優先的課題となっており、不完全校の割合は、2009 年度に全校のうち 43%あったが、
2010 年度では 35%と減っている。
ラオス全国初等教育主要指標の推移
年度
GIR (%)
NIR (%)
GER (%)
NER (%)
計
1991/92
1995/96
1999/00
2000/01
2004/05
2005/06
2006/07
2008/09
2009/10
2010/11
111
118
124.9
125.1
126.1
126
120
29
59
66.4
70.4
77.8
84.2
85.3
97
110
116.3
117.8
123.4
121
122
女子
男子
59
65
74.2
72
80.3
76.9
80.8
84.5
88.1
93.3
94.9
80
84
86.4
91.6
92.7
94.1
GIR: 総入学率 NIR: 順入学率 GER: 総就学率 NER: 純就学率
(出典)教育省統計情報センター(2010/11年度については、Annual School Census 2010-2011)
22
68
64
学校数の増加に伴い就学率は年々上昇し、純就学率(NER)は 2000 年の 77.3%7から 2008 年には 91.6%
へ改善した。また、就学率の伸びは女生徒のほうが大きく、就学率においては男女間の格差が改善され
て、2011 年度にはほぼ互角となった8。
このように、就学率に関しては改善を見せているが、最後の 6%へのアクセスをどのように確保するか
の課題への対応が懸案事項となっている。就学阻害要因としては、学校への心理的・物理的距離、費用、
一家の労働力としての期待等があげられる。加えて、尐数民族が多い地域では、教授言語が生活言語と
異なることも就学を妨げる要因になっている。そして、EFA に向けてラスト 6%を達成できない背景に
は、地域、民族、ジェンダー間の格差がある。山岳地帯の農村では学校が建設されるようになったとは
いえ、通学可能な範囲に学校がない場合も多く、学校に行ったことがない子ども達が大勢いる。仮に学
校がある場合でも、不完全学校であることが多い。その一方で、2008/09 年度の統計によると、ビエン
チャン市における完全学校の割合は国内で最も高くその 91%が完全校である。
また、義務教育にかかる首相布令によって初等教育が無償だとされているが、親は登録料や寄付金など
学校への支払を求められることがある9。加えて、通学費、洋服代、教科書や文房具の購入費用など、子
どもを学校に送るためには一定のコストがかかり、こうした負担が、貧困家庭において子どもの就学を
妨げる一因となっている。しかし一方では、学校運営にかかる政府からの予算配分がほとんどないため、
こうした親やコミュニティからの貢献なしには学校運営が成り立たないというラオスの厳しい現状が
ある。
県別主要初等教育指標
県
貧困
郡(
%)
完全校(%)
総就学率(%) 純就学率(%) G1留年率(%) G1退学率(%)
2008/09 2010/11 2008/09 2010/11 2008/09 2010/11 2007/08 2009/10 2007/08 2009/10
ビエンチャン市
11.1
87.5
91
117
114
98.7
99.2
14.3
8.5
5
2.7
ポンサリー
57.1
27
42
139.1
132
89.6
87.8
36.6
33.9
13.9
13.2
ルアンナムタ
60
39.3
56
128.9
127
86.3
90.1
33.7
22.4
8
12.2
ウドムサイ
85.7
42.8
60
138.4
122
92.2
95
33.4
21.5
12.8
21.2
ボケオ
66.6
43.6
68
128.9
129
90.6
94.3
33.5
25.5
12.3
11.1
ルアンパバン
36.4
53.9
67
137
130
94.1
97.5
27.5
24.4
13.9
12.4
フアパン
87.5
37.8
54
133.5
137
89.7
90.6
38.4
31.7
12.5
12.6
サイアブリー
50
88.3
93
125.5
122
98.4
98.6
27.2
22.1
2.9
3.9
シェンクワン
57.1
43.7
58
136.1
132
95.4
97.6
28
21.3
9.6
8.6
ビエンチャン県
33.3
60.4
75
119.8
115
96.1
94.7
25.5
16.5
7.9
9.9
ボリカムサイ
50
68.8
80
128.3
124
95.2
95.3
30.8
21.6
2.3
4.5
カムアン
55.5
50.8
62
118.5
117
92.4
92.6
34
31.7
8.7
12.9
サワンナケート
46.7
47.9
60
113.5
116
84.1
87.6
39.5
32.8
9.2
12.2
サラワン
37.5
32.3
51
120.2
128
86.2
94.2
32.6
30
17.5
18
セコン
50
59.8
85
133.9
148
81.4
93.1
46.8
42
12.8
14.4
チャンパサック
40
59.1
70
109.4
109
93.8
97.8
17.4
13.4
9.4
11.3
アタプー
60
62.2
77
127.5
131
80.9
89.9
32.2
35.3
18.7
16.9
44.2
51.7
65
123.4
122
91.6
94.1
30.9
25.7
10.3
12.1
全国
(出典)教育省統計情報センター(2010/11年度については、Annual School Census 2010-2011)
2)
留年率・退学率
就学率が改善される一方で、留年率、残存率、退学率などの一度入学した児童が学校を修了できるかを
7
(出典)
「2010 年、2020 年までの教育戦略構想」
1995/96 年度、
1999/00 年度、2004/05 年度、2006/07 年度、
2011/12 年度の男/女の純就学率 (%)は、
それぞれ 72/65、
80.3/74.2、
80.8/76.9、88.1/84.5%、94.9%/93.3%。
9
寄付金は学校の維持管理、備品購入、教員への補助金、教室やイス机などの簡卖な修理を行うために使われる。
8
23
示した指標においては、ここ 10 年間で改善の兆しを見せつつも、まだまだ問題が多い。特に、1 年生の
留年率・退学率は他学年に比較して依然として高く、留年を繰り返したうえで退学に至るケースも非常
に多い。その結果、最終学年までの残存率は 2010/11 年度も 68.7%と低く、2000/01 年度の 59.9%から改
善されているものの、期待されるほどの成果には至らず、提供される教育サービスの質にも問題が隠さ
れていることを示している。質の低さの要因として不十分な設備・施設、教科書・教材の不足、教員の
数及び能力の不足、不十分なカリキュラム及び教授時間等が挙げられているが、いくつもの要因が絡み
合って問題をより複雑かつ困難にしている10。
留年率、残存率の推移
留年率(%)
年度
2000/01
2005/06
2008/09
2010/11
1年
2年
35.7
32.9
30.9
25.7
3年
20.6
18
15.1
11.5
4年
13.1
12.1
10
7.3
G5までの残
存率(%)
5年
8.1
7.8
6
4.1
5.2
4.5
2.8
1.6
59.9
60.2
68.4
68.7
(出典)教育省統計情報センター(2010/11年度については、Annual School Census 2010-2011)
特に退学率に関しては、これまで継続的に小学校退学率低減の実績を上げていたところ、2009~2010 年
度、2010~2011 年度の小学校修了率の低下が記録された。教育スポーツ省ではこの実態を深刻に受け止
め、その要因を明らかにし、対応策を検討するための迅速調査11を 2011 年度に実施した。調査の結果か
ら、MDG2 達成を阻む要因群として、6 つの内部要因(①不完全学校、②教育の質、③学齢期より遅れ
た入学、④コミュニティの動員、⑤運営管理、⑥キャパシティ開発)と4つの外部要因(①貧困、②新
規の経済機会、③村の統合、が指摘されている。
上述のとおり、全体的に留年率、退学率は高いが、これらの指標も地域による格差が大きい。例えば、
2009/10 年度の 1 年時の退学率をみると、全国平均は 12.1%のところ、最大はウドムサイ県 21.2%、最
小はビエンチャン市以外ではサイアブリー県 3.9%となっている。尐数民族が多く住む地域での、低学
年時における高い留年、退学率の主要因の一つとしては、言語の問題が指摘されることが多く、教育ス
ポーツ省はドナーの支援を得て、様々な取組みを行ってきた(「Box:言語問題への取組み」参照)。
10
この他にも、国連世界食料計画(WFP)の調査では、健康、栄養、衛生状態が、就学阻害要因となることはあまりないが、
出席率や、学業の達成度、修了率に影響を与えるケースが多いと報告されている。
11
Rapid Assessment Survey (RAS) of Barriers to the Achievement of MDG2 and Textbook Management
24
Box: 言語問題への取組み
尐数民族が多く住む地域での低学
年時における高い留年、退学率の主
要因の一つとして、言語の問題が挙
げられているが、教育スポーツ省は
ドナーの支援を得ながら以下のよう
な取組みをおこなってきた。
-
-
RIES による方法論の開発
教材開発(例:卖語をラオス語
と、尐数民族の言葉をラオス語
のアルファベットで表記した
ものを併記した教材)
尐数民族語のオーラル教材(ラ
ジオ、テープなど)作成認可
教室内で、教員が尐数民族の言
葉を用いて、生徒の理解を助け
ることを認める
出典:Lao National Literacy Survery
このようにこれまでにも様々な取
組みが行われてきたが、教育スポー
ツ省としては BEGP/LABEP プロジェ
クトが採用した方策(尐数民族の村
出身者を教員養成学校でトレーニン
グして、出身村の教員として採用す
る)が最も有効であると考え、他プ
ロジェクトにおける同方策の導入を
推奨している。
3)
教員
授業の質の低さ、つまり教員の教授力の低さが、高い留年・退学率の主要因の一つとして挙げられ、教
員の力量が教育の質に与える影響は大きいと考えられている。ラオスでは、教員の資格(学歴)をもっ
て質を評価する傾向が強いが、有資格教員の数は過去 5 年で飛躍的に伸び、2000/01 年度には約 77%だ
った有資格教員の割合が、05/06 年度には約 97%になった。これは、ユニセフやその他国際 NGO 等に
よる支援のもと、教員資格アップグレード研修が 1992 年より実施され、9,100 人以上の無資格教員に研
修を与えてきた結果である。
年度
割合(%)
06/07
92
有資格教員の割合(初等教育)
07/08
08/09
09/10
94
96
97
10/11
97
11/12
97
(出典)教育スポーツ省統計情報センター(ESITC)
このように、教員の資格だけをみれば、教育体制としては改善されているといえるのかもしれないが、
一週間から数週間のアップグレード研修で教授力の飛躍的な向上を期待することは難しく、資格に比例
して教師の教授能力が確実に向上しているとは必ずしもいえない。また、漸次低資格教員のアップグレ
25
ードの努力が払われているが、小学教員資格を持った人が、中学教員へ、中学教員資格を所持する人が
高校教員へ「インフォーマル」昇進するという慣習も現存している12。
2011/12 年度の小学校教員数は 32,000 名強で、教員一人当たりの生徒数(PTR)は 27 人となっている。教
員数、生徒数、PTR の推移は以下のとおり。
初等教育における生徒数、教員数、PTR の推移
PTR
年度
生徒数
教員数
2000/01
828,113
27,475
30
2005/06
891,881
27,803
32
2008/09
908,880
31,176
29
2009/10
916,341
31,274
29
2010/11
900,123
33,576
27
2011/12
883,938
32,429
27
(出典)教育スポーツ省統計情報センター
4)
カリキュラム及びアセスメント
カリキュラム策定は国立教育科学研究所(RIES)によって行われる。現在の初等教育カリキュラムと教
科書は、2005 年から開始された世銀が支援する EDP II の下で改訂され、1~5 年生の全学年用の新しい
教科書と指導書が既に配布された。新しいカリキュラムは、児童中心の学習方法が取り入れられたこと、
3 年次から英語の授業が導入されたこと、1 授業の時間数が 50 分から 45 分に短縮されたことなどがあ
挙げられる。
現行 小学校の週・年間あたりの授業時間
教科
ラオス語
算数
道徳
私たちの
身の回り
芸術
音楽
家庭科
体育
英語
課外活動
計
1年
2年
3年
4年
5年
週
12
3
1
2
年
396
99
33
66
週
10
4
1
2
年
330
132
33
66
週
8
5
1
2
年
264
165
33
66
週
6
6
1
3
年
198
198
33
99
週
6
6
1
3
年
198
198
33
99
1
1
1
2
0
2
25
33
33
33
66
0
66
825
1
1
2
2
0
2
25
33
33
66
66
0
66
825
1
1
2
2
2
2
26
33
33
66
66
66
66
858
1
1
2
2
2
2
26
33
33
66
66
66
66
858
1
1
2
2
2
2
26
33
33
66
66
66
66
858
(出典)教育科学研究所(RIES)
1 学年:33 週間
時限:5-6 時限/日
1 授業:45 分
各学年の終わりには、各郡が試験を実施する。その試験の結果は、次の学年の進級を決定するためにも
使用される。また児童の学力を測定するツールとして、世銀の支援のもとで、教育スポーツ省が 3 年に
1 回 ASLO(Assessment of Learning Outcome)を実施している。この学力評価は、5 年生を対象にサンプ
ル郡を対象として、ラオ語、算数、私たちの身の回りの世界の 3 科目で、2006 年と 2009 年の 2 回実施
された。アセスメントの結果13を下表に示す。特に計算能力に問題があることが示された。
12
特に、前期中等教育が急激に拡大したとき、小学校教員の資格をもつ教員がインフォーマルに中学教員に昇進すると
いうケースが散見される。
13
Ministry of Education (2010) Research Institute for Education Sciences Report: National Assessment of Student
Learning Outcome (ASLOII) Primary Grade 5.
26
ASLO 結果(2006 年、2009 年)
レベル
各レベルの定義
ラオ語
算数
17%
1.00%
前期中等教育レ 2006
19.13%
0.16%
ベルの内容を学 2009
習することがで
きる
Functional
2006
78.4%
33.60%
ラオスの中で社
2009
77.55%
27.08%
会の一員として
の参画可能
Functional
Participation)
Pre-Functional
4.60%
65.40%
ラオスの中で社 2006
2.48%
72.77%
会の一員として 2009
の機能を十分に
果たすことがで
きない
*第 1 回目は 17 県 362 校 7,450 名、第 2 回目は 433 校 6,188 名を対象にしている。
Independent
身の回り
の世界
42.10%
43.34%
42.00%
44.22%
15.90%
12.1%
また、このアセスメントでは、県別、児童の年齢、母語、家庭の経済状況などの要因別分析を行ってい
る。




ラオ語と身の回りの世界の 2 科目については、ビエンチャン市、ボリカムサイ県、サワナケー
ト県、サラワン県の成績がよい。算数については、ビエンチャン市、ボリカムサイ県が良いほ
かはあまり明確なパターンが見えない。
女子は総じて男子より成績がいい。特にラオ語については、その傾向は顕著である。
民族については、Lao-Tai、Mon-Khmer、Chin-Tibet、Hmong-Elmien、Foreigner に類別して分析
を行っている。最も数が多い Lao-Tai の成績がどの科目においても、他民族に比べて成績がよい。
Hmong-Elmien は、算数の成績が比較的良い。
5)マネジメント
学校とコミュニティの心理的・社会的距離が、就学状況や教育の質に大きく影響しているため、各村で
の未就学児童をなくし、学校施設や機材を適切に管理し、ニーズにあった教育を提供していくためには、
コミュニティの学校教育への理解と協力の促進や積極的な学校運営への参加が不可欠である。
ラオスにおける小学校運営の中心になっているのは、各村にある村教育開発委員会(Village Education
Development Committee:VEDC)である。VEDC は、2008 年に発出された大臣令第 2300 号により、各
村に配置することが既に義務づけられている。設置状況は県・郡により異なるが、SIDA や JICA によ
って設置及び活性化を支援された VEDC は、未就学児童をはじめとした村の教育問題の解決に大きく
貢献していることから、今後全ての村で VEDC を機能させることが期待されている。
また学校現場での教育の質を向上させるためには県・郡教育局職員による定期的なモニタリングや監督
活動が必須であるが、学校に対し教育内容や運営に関して適切な指導やサポートを行うための職員数及
び質、モニタリングを実施するための予算が乏しく、質の改善という目標の実現をひどく妨げている。
27
中等教育
4-4
4-4-1
方針
1996 年に出された「義務教育に関する首相布令」は初等教育のみカバーしているが、前期中等教育につ
いても、2015 年を目処に義務教育化することを目指している。前期中等教育は、初等教育と共に、基礎
教育として位置づけられ、
「第 6 次国家社会経済開発計画」の中で、中等教育の就学者数、修了者数の
増加、そして最終的に高等教育への就学者を増加させるためには、質の高い中等教育へのアクセス改善
が必要であるとラオス政府は強く主張している。右背景の下、教育の質の向上と国際水準に合わせる目
的で、教育スポーツ省は、2009/10 年度から前期中等教育を 4 年間とした。
実際、近年の初等教育の拡大にともない、前期中等教育も受け皿として急速な拡大が求められているが、
初等教育のアクセスも「残り 7%」という課題が残っていること、質に関してはほとんど改善が見られ
ないという現状では、初等教育での質の向上の方が優先度が高いという認識が一般的で、中等教育分野
で大規模な支援をおこなっているのはアジア開発銀行のみである。
さらに、アジア開発銀行支援によりシステム改革の支援が開始されたとはいえ、学校建設、改訂された
教科書、教員指導書の印刷・配布、現職教員研修は、支援対象が 6 県のみに限定されている。また、後
期中等教育については、現在のところ特に具体的な支援計画がなく、中等教育レベルでの本システム改
革が、教育システム全体に多くの混乱を招くことなく予定通りに実施されるようにすることは、教育ス
ポーツ省にとってかなり困難な事業といえる。
4-4-2
1)
現状と課題
就学状況
中等教育機関は、前期中等教育 4 年間の中学校、後期中等教育 3 年間の高校、前期・後期あわせた一貫
校に分かれるが、多くが中学校のみ、または中高一貫校である。1991/92 年度には合計 841 校であった
中等教育機関数は、2010/11 年度には中学校 844 校、中高一貫校 451 校、高校 34 校の合計 1,329 校まで
増加した。また、就学生徒数は、1991/92 年度には前期中等教育で約 8.8 万人、後期中等で約 3.2 万人で
あったが、2010/11 年度はそれぞれ約 34.5 万人、約 14.3 万人となっている。
これを総就学率から見ると、90 年代後半に前期中等 30%台、後期中等 10%台だったのが、2010/11 年度
ではそれぞれ約 63%、33%となっている。純就学率が 90%を超える初等教育の就学率と比較すると、
中等教育以降へのアクセスは限られていると言わざるを得ないが、かなりの前進がみられる。なお
2008/09 年と以降の生徒数を比較すると前期中等教育が急激に増え、後期中等教育が大きく減尐したよ
うにみえる。これは 5-3-3 から 5-4-3 へ教育制度が移行し、前期中等教育の学年が制度上 1 年増えたこと
で、従来なら後期中等教育 1 年目にあたる生徒が前期中等教育 4 年生として算定され、後期中等教育の
最終学年生に進級した生徒がいないためである。
中等教育基礎指標
学校数
合計
中学校 中・高校 高校
生徒数
合計
総就学率(%)
前期中等 後期中等 前期中等 後期中等
1991/92
841 N/A
N/A
N/A
2001/02
858 N/A
N/A
N/A 315,733 213,471
2005/06
980
642
310
28 390,641 243,131
2006/07 1,009
652
328
29 400,076 248,567
2008/09 1,125
722
368
35 421,899 264,579
2010/11* 1,329
844
451
34 488,143 345,283
*2010/11の前期中等はG-1からG4、後期中等はG5-7
102,262
147,510
151,509
157,320
142,860
50.0
51.7
53.3
62.7
62.9
25.6
34.5
34.6
36.8
33.4
(出典)教育省統計情報センター(2010/11年度については、Annual School Census 2010-2011)
28
前期中等就学率の推移
年度
GER (%)
男子 女子
2000/01
2005/06
2008/09
2009/10
2010/11
NER (%)
計
54 40 47
57 46 52
67 57 62
65 56 60
67.2 58.4 62.9
男子 女子 計
23
28
-
22
29
-
23
28
-
GER: 総就学率 NER: 純就学率
(出典)教育省統計情報センター
(2010/11年度については、Annual School Census 2010-2011)
初等から前期中等、前期から後期中等への進学率推移(%)
初等から前期中等への進学率
前期中等から後期への進学率
女子
男子
計
女子
男子
計
2001/02
73.8
79.5
77.0
79.9
80.8
80.4
2005/06
74.8
78.8
77.0
77.4
75.8
76.5
2006/07
78.1
82.3
80.4
82.1
83.5
82.9
2008/09
78.7
82.7
80.8
87.7
87.5
87.6
2009/2010
79.8
82.9
81.5
83.5
81.8
82.5
(出典) 2001/02、2005/06、2006/07 は EFA MDA Report 2008、2008/09、2009/2010 は Annual School Census 2010-11
年度
就学者数は急速に増加していいる一方、過去 5 年間で学校数は 120 校程度増加したにすぎず、生徒数の
増加に施設整備が追いつかない状況である。したがって、クラスの平均規模は 50 人/教室となっており、
多くの生徒が各教室に押し込まれるという、劣悪な環境の中での学習を余儀なくされている。
前期中等教育へのアクセスに関しても、ジェンダー、居住地域(都市部、農村部)、民族、社会経済地
位による格差は著しい。全人口の約 65%を占めるタイ・カダイ語族の就学率は、居住地域やジェンダー
を問わずに最も高くなっている。一方、就学率における農村部に住む低所得尐数民族の状況は芳しくな
く、特に農村部に住む貧困尐数民族家庭の女子はもっとも不利な状況におかれており、前期中等の純就
学率は 3%程度にすぎない。14
14
また文化的な要因も大きく、例えばモン族は結婚し、子どもをもつ年齢が非常に早いため、10 代の女子にとって学
校に通い続けることは非常に困難で、中退を余儀なくされるケースが多い。
29
県別中等教育就学率
前期中等総就学率(%)
県
2008/09
後期中等総就学率(%)
2010/11
2008/09
2010/11
合計 女子 男子 合計 女子 男子 合計 女子 男子 合計 女子 男子
ビエンチャン市
80.0
76.3
83.6
ポンサリー
43.5
41.6
45.2
ルアンナムタ
65.6
59.2
71.4
ウドムサイ
67.4
60.1
73.8
ボケオ
60.3
53.2
66.4
ルアンパバン
67.5
60.5
73.7
フアパン
58.6
48.4
68.8
サイアブリー
82.7
76.3
88.8
シェンクワン
83.8
75.5
91.8
ビエンチャン県
80.8
78.7
82.4
ボリカムサイ
74.7
66.9
82.1
カムアン
57.1
52.7
61.5
サワンナケート
48.3
47.5
49.1
サラワン
35.9
31.0
40.3
セコン
48.0
44.2
51.6
チャンパサック
55.2
50.3
60.0
アタプー
46.3
41.7
50.5
全国
62.7
57.7
67.3
86.6
46.1
66.2
63.6
59.8
69.1
73.3
76.1
83.7
81.5
66.4
54.5
46.3
39.1
49.2
51.8
47.8
62.9
83.0
43.9
59.5
55.8
52.3
60.8
65.3
71.5
75.6
76.3
60.2
52.1
46.0
35.8
47.1
47.4
43.5
58.4
90.2
48.1
72.6
71.2
66.8
77.2
80.6
80.5
91.7
86.3
72.4
56.8
46.6
42.2
51.2
56.2
51.8
67.2
55.5
51.7
59.7
25.1
26.1
24.2
32.0
29.5
34.3
30.6
26.8
34.1
34.4
28.7
39.8
35.4
28.5
42.2
35.2
30.0
40.2
42.1
36.2
47.6
46.6
41.0
52.1
53.4
44.8
62.0
39.6
33.4
45.6
33.2
29.9
36.5
25.8
23.9
27.6
19.7
15.8
23.5
32.5
28.2
36.6
33.2
28.1
38.2
26.7
22.2
31.3
36.8
32.5
41.1
52.7
20.7
32.9
29.4
28.6
32.4
32.4
39.1
43.1
43.7
33.7
29.4
23.4
21.1
28.1
29.4
24.0
33.4
52.1
21.0
28.5
24.5
24.5
26.4
28.1
33.5
38.6
37.4
29.7
26.5
22.1
18.7
25.8
25.5
20.5
30.0
53.4
20.4
37.0
34.3
32.5
38.2
36.4
44.6
47.4
49.8
37.4
32.5
24.7
23.4
30.4
33.4
27.5
36.8
(出典)教育省統計情報センター(2010/11年度については、Annual School Census 2010-2011)
現在、政府の投資資源は初等教育に大部分費やされているため、中等教育開発には民間セクターがより
積極的な役割を果たすことが期待されている。実際、2000/01 年度には 19 校、総生徒数 2,704 名だった
私立中等教育機関は、2010/11 年度には 443 校にまで増え、総就学者数は 14,172 名となっているが、中
等教育全体でみてみると、中等教育就学者数に占める私立学校の就学者数は、3%程度(2010/11 年度)
である。
また、中等教育では内部効率は初等教育ほど悪くないが、中等教育でも退学率は高く、2009/10 年度で
は、特に初年度の G6 は 13.5%と一割以上の生徒が退学している。
2002/03
2003/04
2004/05
2005/06
2007/08
2008/09
2009/10
G6
3.2
3.0
3.0
2.6
2.5
2.2
2.1
G7
2.2
2.1
2.0
1.7
1.5
1.5
1.4
中等教育留年率(%)の推移
G8
G9
4.4
2.3
5.1
2.4
3.9
2.2
2.5
1.9
1.3
1.7
1.2
1.7
1.2
1.0
G10
1.3
1.4
1.5
1.1
1.0
0.9
1.0
G11
1.3
2.0
1.1
1.0
0.6
0.4
0.7
(出典) 2008/09 までは教育スポーツ省統計情報センター、2008/09 は Annual School Census 2010-11
30
学年
年度
男子
女子
計
G6
08/09 09/10
82.3
82.9
85.7
86.4
83.8
84.5
前期中等進級率と退学率 2008/09 年度
進級率(%)
中退率(%)
G7
G8
G6
G7
08/09 09/10 08/09 09/10 08/09 09/10 08/09 09/10
86.2
85.8
87.5
89.4
14.7
14.3
11.8
12.3
86.9
87.5
87.7
89.8
13.1
12.4
12.3
11.7
86.5
86.6
87.6
89.6
14.0
13.5
12.0
12.0
G8
08/09 09/10
10.9
8.9
11.6
9.6
11.2
9.2
(出典) Annual School Census 2010-2011, 2009-2010
2)教員
中等教育の教員数は 2010/11 年度で 24,389 人となっている。
中等教育教員数推移
年度
2001/02
2005/06
2006/07
2008/09
2009/10
2010/11
中等教育教員数
12,867
15,132
16,199
17,550
20,534
24,389
(出典) 2009/10 までは教育スポーツ省統計情報センター、
2010/11 は Annual School Census 2010-2011
既に述べたとおり、2009/10 年度から前期中等は 4 年間となり、カリキュラムも改訂され、中等教育は
新たに 1 年分の学習内容が追加された。そのため、学校・教室の増設、新カリキュラムに関する教員研
修等など適応するために多くの作業が必要になっている。追加分の学習内容は、高等教育の基礎課程か
ら暫定的に借りるため、教員がこれらを教えられる能力、知識がないことが、現場での聞き取りの際に
懸案事項として特に多く聞かれた。
3)
カリキュラムと教科書
現行の前期中等カリキュラムは、初等カリキュラムと同様、1994 年に策定され、現在 ADB 支援のもと改
訂作業が行われている。また、後期中等教育のカリキュラム改訂についても引き続き支援予定であある。
既存の前期中等教科書と教員指導書(一部教科のみ)の印刷と配布についても ADB 支援でカバーされ、後
期中等については、韓国政府が 2007 年に始まった 2 年プロジェクトのもと、既存教科書と教員指導書(全
教科)の印刷と配布が支援されている。
なお BESDP の対象県は 6 県のみなので、例えば教科書の印刷に関しては全体の約 25%をカバーし、残り
の 75%に対する支援はまだついていない。新カリキュラム、教科書に関する教員研修についても同様であ
る。
31
現行版 中学校(前期中等教育)の教科と週・年間当りの授業時間
学年
教科
ラオス語
数学
自然科学(化学、物理、生物)
社会科学
芸術
技術
体育
外国語(英語)
外国語(選択)
課外活動
計
1 年次(G6)
2 年次(G7)
3 年次(G8)
4 年次(G9)
週
4
4
4
4
2
2
2
2
2
2
28
週
4
4
4
4
2
2
2
2
2
2
28
週
4
4
5
5
2
2
2
2
2
2
30
週
4
4
5
5
2
2
2
2
2
2
30
(出典)教育科学研究所(RIES)
No. 教科
年
132
132
132
132
66
66
66
66
66
66
924
年
132
132
132
132
66
66
66
66
66
66
924
1 学年:33 週間
年
132
132
165
165
66
66
66
66
66
66
990
時限:5-6 時限/日
1 授業:50 分
現行版 高校(後期中等教育)の教科と週当りの授業時間
5 年次
6 年次
7 年次
週
年間
週
年間
週
年間
1
ラオス語・文学
4
136
4
136
4
136
2
数学
4
136
4
136
4
136
3
物理
2
68
2
68
3
102
4
化学
2
68
2
68
2
68
5
生物
2
68
2
68
2
68
6
歴史
2
68
2
68
2
68
7
地理
2
68
2
68
2
68
8
公民
1
34
1
34
2
68
9
情報通信技術(ICT)
体育
1
34
1
34
2
68
2
68
2
68
2
68
外国語 1 (英語)
テクノロジー
3
102
3
102
3
102
2
68
2
68
0
0
音楽、美術
外国語 2
2
1
68
2
68
0
0
34
1
34
2
68
校内活動
2
68
2
68
2
68
Total
32
1,088
32
1,088
32
1,088
課外活動
4 時間/月
4 時間/月
4 時間/月
キャリア・ガイダンス
3 時間/月
3 時間/月
3 時間/月
教練
40 時間/年
47 時間/年
33 時間/年
10
11
12
13
14
(出典)教育科学研究所(RIES)
32
年
132
132
165
165
66
66
66
66
66
66
990
4-5
4-5-1
高等教育
方針
高等教育にかかる近年の戦略文書として、「Higher Education in Lao PDR: Current Status and Vision
of Higher Education 2001-2020」があるが、他サブセクターが戦略ペーパー策定または改訂作業をし
ているように、高等教育に関しても改訂作業が継続中で、2012 年 10 月の段階で未だ、高等教育局の手
元にある。
4-5-2
現状と課題
1) 教育機関
現在、ラオスでは国立大学としては 4 校ある。2002 年まではビエンチャン市内のラオス国立大学(NUOL)
が唯一の国立大学であったが、その後北部ルアンパバンにあるスッパヌボン大学(ラオス国立大学の分
校だったが、2003 年に独立した大学として開校)
、チャンパサック大学(2002 年单部パクセーに開校)
、
サバナケット大学(2009 年開校)が開校した。各大学にはそれぞれ強化すべき学問分野が指定されて
おり、ラオス国立大学は科学、スッパヌボン大学は交通及び観光、チャンパサック大学は農業、サバナ
ケット大学は経済となっている。また、2007 年にはラオス国立大学にあった医学部が、保健省管轄の 4
番目の大学として新たに設立された。
さらにシェンクワンとウドムサイにコミュニティ・カレッジを設立し、将来的には大学として昇格させ
る計画があり、またラオス国立大の工学部キャンパスを工科大学(University of Technology)として独立
されるという案も検討がはじまっているが、現行では、大学数をさらに拡大させる方向は控えるという
流れに至っている。その他、大学以外の公立高等教育機関としては、教員養成校がある(詳細について
は、教員教育の項を参照のこと)
。
国立大学同様、私立の高等教育機関も急激に増加しており、教育スポーツ省に登録されている私立の高
等教育機関は 50 以上ある。これら私立高等教育機関の 9 割以上は英語・会計・ビジネスのコースを開
講している卖科大学である。そのため日中は国立大学に通いながら、夜間はこうした私立の卖科大学に
通い英語を学ぶ生徒も非常に多い。
2) 就学状況
高等教育機関の増加に伴い、就学者数は近年急速に増加している。例えば、学位(BA)取得コースを
見ると、2000/01 年度のラオス国立大学の就学者数は 15,372 人、私立高等教育機関への総就学者数が
4,187 人であるのに対し、2011/12 年度には、ラオス国立大学 29,407 人、チャンパサック大学 2,685 人、
スッパヌボン大学 4,002 人、私立高等教育機関 18,710 人まで増加した。
学位(BA)取得コース就学者数
大学
ラオス国立大
チャンパサック大
スパヌボン大
サバナケット大
私大
計
31,708
3,225
3,405
1,031
14,502
2010/11
女子
男子
11752 19875
1,371 1,854
1,294 2,111
472
559
6,962 7,540
計
29,407
2,685
4,002
1,567
18,710
(出典)Annual School Census 2010/11, 2011/2012
33
2011/12
女子
11,608
1,110
1,539
757
9,329
男子
17,799
1,575
2,463
810
9,318
ジェンダー間の不均衡も近年緩やかにではあるが解消つつある。ラオス国立大学の就学者でみてみると、
1996/97 年度には 23%であった女生徒の割合が、2011/12 年度には約 40%となっている。女生徒の割合
は、NUOL では約 3 分の 1 を占めるのに対し、私立機関では半数を占めているが、これは私立機関が
提供しているコースが英語・会計・ビジネスに限定されていることも要因の一つである。
国立大学への入学は、後期中等教育終了が要件となっており、生徒は主に 3 種類に大別される。まずは、
ひとつは、「割り当て枠(Quota)」と呼ばれる各県に割り当てられた人数枠のもと、県の推薦に基づき
入学を許可すされる生徒である。彼らは、学費は無料で、寮に優先的に入ることができ、生活費も支給
される。次に教育スポーツ省による入学試験による選考を経て入学する「割り当て枠外(Non-Quota)
」
と呼ばれる生徒である。彼らは学費は無料であるが、生活費の支給は受けられない。最後に「特別枠
(Special)
」と呼ばれる生徒は、各大学が独自に実施する試験に合格して入学した生徒で、学費は有料
である。入学後、学生は 1-2 年の基礎課程のあと、各学部において 4-5 年の専門課程を受講し、卒業
すれば学士が授与される。
高等教育機関の増加により、高等教育へのアクセスが拡大されたのは高等教育サブセクターの戦略と一
致しているものの、その増加のスピードは当初想定していたものよりも早い。2010/11 年度年の数値で
は、人口 100,000 名に対して、目標値の 1,040 名を上回る、2,038 名が高等教育機関に在籍した15。基礎
教育の状況、ラオス国全体の人口構成、経済構造などを鑑みると、高等教育、特に国立大学は過剰供給
になりつつある。特に Quota の存在は高等教育機関の財政を圧迫し、各大学は Special の生徒を数多く受
け入れることでようやく独自の収入を確保しているという状況である。
3) 高等教育機関の質の確保
急激な拡大の一方で、高等教育機関において一定の質を確保するのは困難で、高い落第率、退学率、芳
しくない卒業生の就業状況等、大部分の教育機関が地域における実績水準を満たしていない状況であり、
これら高等教育機関において国家を担う人材が育成されているのか疑問が呈されている。
前項でも述べたように、予算不足を補い、独自に収入減を確保するために夜間コースや短期コースを設
置し、定員を超えた学生を受け入れている。その結果、学生・授業双方の質が低下し、学位の大量生産
につながっている。
さらに予算不足から研究機能を持たない高等教育機関が大半であり、教職員が縁故で採用され、十分な
学歴や研究実績がないまま教壇にたっている。教育スポーツ省は、教職員の保持する資格としては博士
号取得者 6 割、修士号取得者 3 割、学士号取得者 1 割という割合が望ましいとしているが、現実はその
逆である。例えばラオス国立大学でさえ、スタッフの半分以上が学士号以下のみの学位を保持しており、
博士号取得者は 3%、修士号取得者は 20%前後にすぎない。また UNESCO の調査研究では、高等教育
機関自体が比較的小規模なのに対し、アドミニ部門が大きすぎるという報告がされている。生徒数に対
する職員数、週あたりの教授時間等から考えると、大部分の機関は著しく職員過多になっているといえ
る。
こうした質の問題は、私立高等教育機関では特に顕著であり、急激に増加した私立高等教育機関の 9 割
以上は英語・会計・ビジネスのコースを開講している卖科大学で、産業との整合性にも欠け、高等教育
全体の戦略性の弱さは明らかである。結果的に、民間企業からは求める人材は育成されず、生徒の側か
らは卒業生しても就職できるとは限らないという、深刻な人材難が起こり、ラオスの経済成長を阻む大
きな障害となっている。こうした問題を解決するためには、カリキュラムの開発、教員の資格設定等、
多角的なフレームワークを策定することが必要である。また現状では、高等教育セクター内での全体的
な計画、運営管理、モニタリング体制が欠如している。
15
2011 年 11 月 18 日第一回ポスト基礎教育フォーカル・グループ(FG2)会合にて、教育スポーツ省高等教育局の発表
より。
34
4-6
4-6-1
技術・職業教育(TVET)
政策・方針
技術・職業教育の戦略文書としては、2007 年に承認された「2020 年までの技術職業教育訓練戦略計画」
及び 2008 年に策定されたマスタープランが挙げられる。同計画では、以下の目標が定められている。
・ 各県に最低一校の職業訓練校を設立する。幾つかの県では、多様なレベルの訓練を提供するため、
既存の職業訓練校を拡充し、技術短大にアップグレードする。
・ 全国における中等教育修了者の職業訓練校へのアクセスを 10%に増加する。女性、貧困者、障害
者及び尐数民族の職業訓練を促進する。
・ 教育分野の開発計画の中で、TVET の位置づけを明確にする。職能基準を明確にし、職業訓練の基
準と資格の整理をすすめ、訓練のクレジット化(受講した訓練を卖位化し、別の資格取得要件に
するなど)
、ICT、中小企業ビジネス、環境などの内容を職業訓練カリキュラムに組み入れる。
・ 職業訓練科目を一般教育のカリキュラムに導入し、パイロット実施する。
・ 就業支援のためのカウンセリング制度を設立する。
・ 職業訓練機関の教員の人材育成を行う。技術科目、訓練科目の教員に対し、管理者に対して必要
に応じてアップグレード研修を行う。
・ 訓練の質を確保する評価制度を作る。
・ 関係省庁の関係局、県教育局の職業訓練部門など職業訓練の管理部門を、中央レベルからアップ
グレードし、拡張する。
・ 尐数民族や社会的に不平等な立場に置かれたグループの職業訓練へのアクセスを改善し、社会の
構成員全員がラオスの発展の労働力として貢献できるような支援をするための政策を策定する。
(P11,12)
「第 7 次国家社会経済開発計画」で述べられている教育政策の主要目標は、国家の社会経済開発に資す
る質の高い人材を育成することで、基礎的な学力と技術を備えた労働人口を備え付けることが不可欠で
ある。また、発展段階にあるラオス経済においては、労働市場が要求する技術、能力も日々変化してい
くため、労働市場での需要の変化に即座に適応し、タイムリーな職業選択をおこなっていけるような労
働人口を育成することが重要である。これらを念頭に、政府は TVET の就学率と修了率を上げるための
取組みを進めており、その一環として、第四章でも記述のように、教育スポーツ省では「国家学位・資
格フレームワーク(National Quality Framework: NQF)」というコンセプトで、学校制度のうち、位置づ
けがあいまいな技能教育に特に焦点を当てたコース造りの議論を行っている。これは、アセアン諸国と
の経済統合にラオスが御していける人材を育成する責任を教育セクターが担っているという立場を意
識して、技能職、高度な専門職、実業部門に貢献する高度学位取得者の養成を、それぞれのコースのレ
ベルの資格要件とともに規定しようというものである。
また、民間セクターに人材の技術・技能向上開発に貢献することを義務づける法案が、2013 年に議会に
提出される見込みである。
4-6-2
現状と課題
1) 技術職業教育訓練制度及び就学状況
技術・職業教育は、教育スポーツ省所管の教育機関のほか、農業省、保健省、情報文化省、財務省等の
様々な省所管の教育機関が提供している。1998 年に出された首相布令で、国内の技術・職業教育に関す
る責任は教育スポーツ省にあると改めて規定されたが、教育スポーツ省担当局による統計資料は他省管
轄の技術・職業教育訓練を網羅しておらず、教育スポーツ省による同分野の全容把握は必ずしも徹底し
ていない状況といえる。
35
教育スポーツ省技術・職業教育局は、技術・職業教育を 2 種に大別している。一つは、前期中等教育修
了者を対象にしたもの(3 年間の教育により修了証書(Certificate)を授与)、もう一つは、後期中等教
育修了者を対象に 2 年又は 3 年間の教育によりディプロマ(Diploma)を授与するもの)であり、前者
は 主 に 基 礎 職 業 訓 練 校 ( Basic Vocational Training School )、 後 者 は 技 術 ・ 職 業 教 育 / 訓 練 校
(Technical/Vocatioal Education and Training School)として統計上は分かれている。また、後期中等教修
了後、4 年間の履修により高等ディプロマや学位を授与する、高等教育に相当するコースがラオス国立
大学によって開設されている。
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
教育スポーツ省管轄の技術職業訓練機関(プログラムと数学者数)
学校
プログ
学生数
ラム
計
女子
男子
Pakpasak Technical
11+2
3055
1788
1267
Lao-German Technical
11+2, 3
1004
9
995
Vientiane Province Technical
11+3
1017
339
678
Savannakhet Technical
11+3
323
49
274
Polytechnic
11+2, 3
1706
304
1402
Donkhamxang Agriculture (*)
11+3
212
72
140
ChampasakTechnical
11+3
2164
624
1540
Borikhamxay Technical (*)
11+3
112
61
51
Xayaboury Technical (*)
11+3
246
95
151
Bokeo Technical
11+3
529
197
332
Vientines-Hanio Technical
11+2
1264
557
707
Xiengkhaung Intergate Vocational
416
172
244
Hauphane Intergate Vocational (*)
11+3
107
52
55
Oudomxay Intergate Vocational
11+3
290
61
229
Luangnamtha Intergate Vocational
292
99
193
Attapeu Intergate Vocational
11+3
240
59
181
Khammuan Vocational
11+3
1050
356
694
Luanprabang Technical
11+2
441
99
342
Salavane Technical
11+2
164
23
141
Sekong Technical
11+2
189
61
128
(出典)教育スポーツ省統計情報センター
36
教育スポーツ省以外が管轄する技術職業訓練機関(プログラムと数学者数)
学校
農業・灌漑省
プロ
グラ
ム
11+3
1.1
1.2
1.3
Luanprabang Agriculture (*)
Champasak Agriculture (*)
Borikhamxay Forestry (*)
11+3
11+3
11+3
893
115
668
110
128
35
66
27
765
80
602
83
2
2.1
2.1
2.3
情報文化省
Luanprabang Arts
Savannakhet Atrs
National Atrs and Musical
11+3
11+3
11+3
11+4
567
170
73
324
218
24
8
186
349
146
65
138
No.
1
3
学生数
計
女子
男子
保健省
3.1
3.2
3.3
3.4
3.5
Health Sciences (*)
Luanphrabang Public Health
Savannakhet Public Health (*)
Khammuan Public Health (*)
Champasak Public Health (*)
11+3
11+3
11+3
11+3
11+3
1,650
391
411
206
169
473
1,124
287
263
137
99
338
526
104
148
69
70
135
4
Southern Law (Savannakhet)
11+3
263
67
196
5
6 私学校
11+3
665
183
482
18,859
6,797
12,062
Grand Total
(出典)教育スポーツ省統計情報センター
技術・職業教育機関への入学は、教員養成機関、高等教育機関への入学の場合と同様、入学者数の約半
数が各県に割り当てられた数に基づいた推薦入学、残りが教育スポーツ省高等・技術・職業教育局の管
理する入学試験において選考される。
TVET に対する需要は伸びており、就学者数も増加しているが、同分野は依然規模が小さく、発展が遅
れている。例えば、中等教育アクションプログラム(2011-15)では、2015 年までに後期中等教育進学
者の 25%が基礎職業訓練校に進学し、うち 50%は女子生徒、また 20%は貧困層からの進学者とすると
いう目標を掲げられているが、2012 年 9 月の段階で、後期中等教育としての職業訓練コースは未だ計画
段階である16。
また、貧困、伝統、習慣、学校までの物理的距離といった理由に起因する TVET へのアクセスの不平等
が存在しており、概して、貧困層より富裕層、周辺部より都市部に住む者の就学率が高くなっている。
さらに、ほぼ全てのプログラムで、女性の就学者は著しく低くなっており、全体で 3 分の 1 以下となっ
ている。
一方で、ラオス教育法(2007)中の後期中等教育における技術教育・職業訓練校に関する規定を受けて、
ESDF では後期中等教育就学者中、2015 年までに 25%が技能・職業教育校に在学するという指標を設定
しており、うち、生徒の 50%が女子生徒で 20%が貧困家庭出身者という目標となっている。しかし、
現行の職業訓練校は生徒にとって魅力がないものであり、かつ後期中等職業教育(USVE)としての職
業訓練校は新しい試みであり、カリキュラム構築、設備確保・拡充、教師の確保の面での課題が関係者
の懸念材料となっている。
2) 質
一般的に、非常に限られた経常予算、投資予算、ラオス語で書かれた教科書、教材の不足、不十分かつ
旧式の施設・設備といった様々な要因により TVET の質は低くなっている。また、TVET 教員の質も相
16
2012 年 9 月 28 日、教育スポーツ省中等教育局での聞き取りより。
37
対的に低く、非常に限られた実地経験しか有していない場合が多い。
現在の技術・職業教育プログラムはまだまだ整備されておらず、卒業生の技術、能力が社会・市場のニ
ーズに応え切れていない状況である。労働市場に対応出来るようにプログラムの見直しとカリキュラム
開発が必要。そのためには、TVET が中等教育修了後の進学先として魅力的な選択肢となりうるように
に努力が求められている。
2002 年に国立訓練審議会 (National Training Council: NTC) が設立されたことで、同枠内での教育スポー
ツ省 TVET 関係局、労働福祉省、その他の TVET 関係省庁が協力して、適切な環境整備のための規制や
雇用の伸びと成長を支援するための基準作りが出来るようになった。今後、NTC の役割として、職業上
の基準策定とカリキュラムを開発のために、公共セクターと民間セクター間の調整と協力への着手が期
待されている。TVET を発展させていくためには、調整機関としての NTC の役割強化が求められている。
さらに県レベルでは、教育局と労働福祉局の TVET 実施、公共セクターと民間セクターの協力に対処す
る経験が欠けており、地方レベルでの TVET の発展を妨げている。
38
教員教育
4-7
4-7-1
方針
一般教育分野(職業教育、ノンフォーマル教育は含まない)の教員教育・育成にかかる政策・戦略は、
2006 年に策定された「Teacher Education Strategy 2006-2015」の 10 年間の戦略と、それを基に活動スケ
ジュールと四半期、年度予算付の実施計画が盛り込まれた 5 ヵ年の「Teacher Education Action Plan
2011-2015 (TESAP)」行動計画からなっている。うち、2015 年までの 10 年戦略では、全体目標、方針、
各課題のターゲットと達成目標がまとめられ、「EFA 国家行動計画」を支援するための下記 5 つの戦略
分野から構成されている。
-
政策分析の改善
教員教育システムの改善
教員教育機関の改善
継続的な専門的能力開発のための効果的なシステム提供
教員と教員教育に携わる教育専門家の地位/待遇とインセンティブの強化
戦略の焦点のひとつとして、教員教育機関の役割の強化(例:カリキュラム開発、質の確保のため現職
教員研修や教員に対する資格のアップグレードの機会提供)があげられており、また同戦略と行動計画
は、教員の地位とインセンティブの強化にかかる様々なガイドラインを示している。
4-7-2
1)
教員教育の現状と課題
教員養成機関と就学状況
現在、全国には教員養成大学(TTC)が 8 校あり、幼稚園、小学校、中学校教員の養成にあたっている。
これまで幼稚園教員養成は 11+1、小学校教員養成は 8+3 あるいは 11+1、中学校教員養成は 11+3 が
主であったが、2002 年に開始された EQIP II/TTEST プロジェクトの支援のもと、教員養成の制度改定が
進められ、下記表のとおりとなった17。また、現在 5 校ある(体育教員養成学校、芸術教員養成学校含
む)のうち、サラワン及びルアンアムタの教員養成学校(TTS)は、それぞれ数年前に教員養成短期大
学(TTC)へと格上げされた。また、幾つかの TTC においては、ラオス国立大学教育学部と連携して教
育学士課程を運営することが、
「国家教育システム改革戦略 2006-2015」の中で計画として記されている。
レベル
幼稚園教員
11+1
11+2
8+3
小学校教員
11+1
11+2
中学校教員
11+3
高校教員
11+5
教員養成機関プログラム
プログラム
備考
高校卒業後、1 年間教員養成校で学ぶ
2006/07 年度を最後に廃止
高校卒業後、2 年間教員養成校で学ぶ
2 年の試行期間を経て、2007/08
年度より導入
中学卒業後、3 年間教員養成校で学ぶ
2007/08 年度より新カリキュラム
となり、旧カリキュラムは
2009/10 年度をもって終了
高校卒業後、1 年間教員養成校で学ぶ
2006/07 年度を最後に廃止
高校卒業後、2 年間教員養成校で学ぶ
2 年の試行期間を経て、2007/08
年度より導入
高校卒業後、3 年間教員養成校で学ぶ
2 年の施行期間を経て、2007/08
年度より新カリキュラムが導入
国立大学教育学部で 5 年間学ぶ
17
TESAP では、2015 年度を目処にすべての教員養成過程を 11+5 の学士レベルにすることが計画されている。なお、前
期中等教育が 3 年から 4 年になり、5-3-3 から 5-4-3 制に移行したことで、一般教育年数は 11 年から 12 年となり、2011
年以降には 11 と標記されている個所は 12 となった(例:11+1⇒12+1、11+2⇒12+2)
。
39
以下の表に教員養成校別の生徒数を示す。2011/12 年度には、
合計 32,289 名の生徒
(女生徒の割合は 53%)
が在籍していた。各県に与えられた割当枠に従い、PES が入学希望生徒の学業成績や在学校による推薦
書等にもとづき教員養成校への入学者を推薦し、これに基づき入学を許可する推薦入学と、競争試験に
よる選考を経た受験入学がある。
40
教員養成校別生徒数(2011/12 年度)
学校名
コース
年数
コース
資格種別
Total
1. ルアンナムタ(Luangnamtha Teacher
Training College)
11+3 (to be 前期中等
自然科学
discontinued)
(Higher)
社会科学
英語
数学
Luangnamtha
幼稚園教師
養成
Luangnamtha
小学校教師
養成
Luangnamtha
前 期 中 等
Teacher
Training
3,056
1,561
M
G1
学年別内訳
G2 G3
G4
G5
1,495
133
57
76
-
40
17
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
80
31
49
80
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
217
108
109
-
71
146
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
82
44
38
82
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
149
66
83
-
70
79
-
-
51
12
39
51
-
-
-
-
12+2
ラオ語
学生数
F
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
164
29
135
-
69
95
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
81
45
36
81
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
180
66
114
-
43
137
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
71
27
44
71
-
-
-
-
9+3
-
145
145
0
145
38
81
-
-
11+1
-
38
38
0
38
-
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
35
35
0
-
35
-
-
-
12+2
-
81
81
0
81
-
-
-
-
8+3 (to be
discontinued)
-
39
18
21
-
-
39
-
-
9+3
-
119
52
67
119
45
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
35
17
18
-
35
-
-
-
12+2
-
148
82
66
148
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
-
843
383
460
-
293
550
-
-
12+2
-
365
159
206
365
-
-
-
-
41
学校名
コース
年数
コース
資格種
別
2. カ ン カ イ ( Khungkhai Teacher
Training College)
自然科学 11+3 (to be 前期中等
discontinued)
(Higher)
社会科学
英語
ラオ語
ラオ文学
Total
学生数
F
5,681
3,092
M
G1
学年別内訳
G2
G3
G4
G5
2,589
155
46
109
-
46
109
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
112
51
61
112
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
35
19
16
35
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
201
89
112
-
79
122
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
121
72
49
121
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
35
20
15
35
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
135
48
87
-
64
71
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
104
42
62
104
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
35
15
20
35
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
116
47
69
-
20
96
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
25
11
14
-
-
-
25
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
153
96
57
-
37
116
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
118
80
38
118
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
156
42
114
-
40
116
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
161
89
72
-
36
125
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
34
21
13
-
-
-
31
-
42
数学
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
143
40
103
-
42
101
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
110
39
71
110
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
35
11
24
35
-
-
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
31
8
23
-
-
-
31
-
物理
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
156
42
114
-
37
113
-
-
地理
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
182
91
91
-
55
127
-
-
Khungkh
ai 幼 稚
園 教 師
養成
9+3
-
73
73
0
73
-
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
38
38
0
-
38
-
-
-
12+1
-
34
34
0
34
-
-
-
-
12+2
-
119
119
0
119
-
-
-
-
8+3 (to be
discontinued)
-
54
21
33
-
-
54
-
-
9+3
-
534
222
312
99
435
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
55
10
45
-
55
-
-
-
12+2
-
74
22
52
74
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
-
787
319
468
-
268
519
-
-
12+2
-
565
284
281
565
-
-
-
-
12+4
-
140
65
75
140
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
-
765
323
442
-
188
577
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
-
90
40
50
-
-
-
90
-
コース
年数
コース
資格種別
Khungkh
ai 小 学
校 教 師
養成
Khungkh
ai 前 期
中等 教
師養成
学校名
学生数
Total
3. ル ア ン パ バ ン ( Luangphrabang
Teacher Training College)
F
学年別内訳
M
5,689
2,710
G1
G2
G3
G4
G5
2,979
自 然 科
学
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
181
87
94
-
36
145
-
-
自然科
学
12+2
前期中等
(Higher)
46
16
30
16
-
-
-
-
自然科
学
12+4
前期中等
(Bachelor)
105
60
45
105
-
-
-
-
43
社 会 科
学
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
226
159
67
-
68
37
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
49
31
18
49
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
102
56
46
102
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
165
97
68
-
74
91
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
51
27
24
51
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
140
96
44
140
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
37
19
18
-
-
37
-
-
12+4
後期中等
(Bachelor)
140
81
59
140
-
-
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
16
10
6
-
-
-
16
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
238
93
145
-
119
119
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
46
19
27
46
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
48
18
30
48
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
38
16
22
-
-
38
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
39
10
29
-
-
-
39
-
フ ラ ン
ス語
12+4
前期中等
(Bachelor)
51
22
29
51
-
-
-
-
フ ラ ン
ス語
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
105
61
44
-
-
50
55
-
地理
12+4
後期中等
(Bachelor)
46
27
19
46
-
-
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
33
18
15
-
-
-
33
-
12+4
後期中等
(Bachelor)
49
33
16
49
-
-
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
21
12
9
-
-
-
21
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
186
72
114
-
60
126
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
49
19
30
49
-
-
-
-
ラオ語
ラ オ 文
学
英語
歴史
数学
44
12+4
前期中等
(Bachelor)
129
47
82
129
-
-
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
19
4
15
-
-
-
19
-
物理
12+4
後期中等
(Bachelor)
46
14
32
46
-
-
-
-
生物
12+4
後期中等
(Bachelor)
51
34
17
51
-
-
-
-
化学
12+4
後期中等
(Bachelor)
前期中等
(Bachelor)
46
19
27
46
-
-
-
-
65
26
39
-
-
-
65
-
9+3
-
47
47
0
47
-
-
-
-
11+1
-
36
36
0
36
-
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
44
44
0
-
44
-
-
-
12+1
-
31
31
0
31
-
-
-
-
12+2
-
96
96
0
96
-
-
-
-
9+3
-
50
21
29
50
-
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
73
30
43
-
73
-
-
-
12+2
-
146
68
78
146
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
12+2
-
508
528
-
357
679
-
-
112
129
241
-
-
-
-
299
276
575
-
-
-
-
96
84
-
-
75
50
55
208
170
378
-
-
-
-
80
113
-
-
-
193
-
11+3+2 (to be
discontinued)
Luangpra
bang 幼
稚 園 教
師養成
Luangpra
bang 小
学 校 教
師養成
Luangpra
bang 前
期 中 等
教 師 養
成
1,036
241
12+4
575
11+5 (to be
discontinued)
-
12+4
-
180
378
学校名
11+3+2
(to
be
discontinued)
コース
年数
コース
193
資格種別
Total
4. バ ン ク ン ( Bankeun Teacher
Training
College)
自 然 科 11+3 (to be 前期中等
discontinued)
(Higher)
学
学生数
F
M
3,044
1,382
学年別内訳
G2
G3
G4
G1
G5
1,658
168
85
83
-
46
122
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
35
18
17
35
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
38
30
8
38
-
-
-
-
45
社 会 科
学
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
211
115
96
-
73
138
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
74
44
30
74
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
34
19
15
34
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
170
109
61
-
46
124
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
71
39
32
71
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
36
23
13
36
-
-
-
-
ラ オ 文
学
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
27
11
16
-
-
-
27
-
歴史
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
25
9
16
-
-
-
25
-
英語
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
167
83
84
-
51
116
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
30
17
13
30
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
35
10
25
35
-
-
-
-
11+5
前期中等
(Bachelor)
2
-
-
-
-
2
-
-
11+3 (to be
discontinued)
12+2
前期中等
(Higher)
前期中等
(Higher)
168
73
95
-
48
120
-
-
60
28
32
60
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
31
16
15
31
-
-
-
-
生物
11+3+2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
23
14
9
-
-
-
23
-
Bankeun
幼 稚 園
教 師 養
成
9+3
-
31
31
0
31
-
-
-
-
11+2
-
25
25
0
-
25
-
-
-
12+1
-
21
21
0
21
-
-
-
-
12+2
-
31
31
0
31
-
-
-
-
Bankeun
小 学 校
教 師 養
成
9+3
-
57
27
30
52
-
-
-
-
11+2
-
24
12
12
-
24
-
-
-
12+2
-
45
25
20
45
-
-
-
-
Bankeun
前 期 中
等 教師
養成
11+3 (to be
discontinued)
-
884
465
419
-
264
620
-
-
12+2
-
270
146
124
270
-
-
-
-
12+4
-
174
98
76
174
-
-
-
-
ラオ語
数学
数学
46
学校名
11+5
-
2
11+3+2
(to
be
discontinued)
コース
年数
コース
-
75
資格種別
Total
5. ド ン カ ム サ ン ( Dongkhamxang
Teacher
Training College)
自 然 科 12+2
前期中等
(Higher)
学
社 会 科 12+2
前期中等
(Higher)
学
-
34
41
学生数
F
M
1,541
501
-
-
2
-
-
-
-
-
75
-
G1
G2
学年別内訳
G3
G4
G5
1,040
39
25
14
39
-
-
-
-
71
53
18
71
-
-
-
-
ラオ語
12+2
前期中等
(Higher)
46
37
9
46
-
-
-
-
英語
11+3 (to be
discontinued
前期中等
(Higher)
153
89
64
-
92
61
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
149
87
62
149
-
-
-
-
数学
12+2
前期中等
(Higher)
71
26
45
71
-
-
-
-
Dongkha
mxang
幼 稚 園
教 師 養
成
9+3
-
122
122
0
122
-
-
-
-
11+1
-
36
36
0
36
-
-
-
-
11+2 (to be
discontinued
-
72
72
0
-
72
-
-
-
11+3 (to be
discontinued
11+2 (to be
discontinued
-
34
34
0
-
34
-
-
-
-
92
65
27
-
92
-
-
-
12+2
-
127
77
50
127
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued
-
153
89
64
-
92
61
-
-
12+2
-
376
228
148
376
-
-
-
-
Dongkha
mxang
小 学 校
教 師 養
成
Dongkha
mxang
前 期 中
等 教師
養成
学校名
コース
年数
コース
資格種別
Total
6. サバナケット(Savannakhet TTC) 5,535
2,130
47
学生数
F
M
3,405
G1
学年別内訳
G2
G3
G4
G5
自 然 科
学
11+3 (to be
discontinued
前期中等
(Higher)
139
84
55
-
31
108
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
14
12
2
14
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Higher)
105
63
42
105
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued
前期中等
(Higher)
212
140
72
-
74
138
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
198
120
78
198
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Higher)
70
51
19
70
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued
前期中等
(Higher)
180
119
61
-
60
120
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
128
83
45
128
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued
前期中等
(Bachelor)
44
31
13
-
-
44
-
-
12+4
後期中等
(Bechelor)
35
24
11
35
-
-
-
-
地理
11+5 (to be
discontinued
前期中等
(Bachelor)
43
30
13
-
-
43
-
-
地理
11+3+2 (to be
discontinued
前期中等
(Bachelor)
20
12
8
-
-
-
-
20
英語
11+3 (to be
discontinued
前期中等
(Higher)
266
166
100
-
32
234
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
293
182
111
293
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued
前期中等
(Bachelor)
184
102
82
-
41
143
-
-
11+3+2 (to be
discontinued
11+3 (to be
discontinued
前期中等
(Bachelor)
前期中等
(Higher)
117
53
64
-
-
-
95
22
109
58
51
-
31
78
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
123
68
55
123
-
-
-
-
12+4
36
9
27
36
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued
前期中等
(Higher)
前期中等
(Bachelor)
43
22
21
-
-
43
-
-
11+3+2 (to be
discontinued
前期中等
(Bachelor)
54
31
23
-
-
-
19
35
9+3
-
150
150
0
68
82
-
-
-
11+2
-
49
49
0
23
26
-
-
-
12+2
-
16
16
0
16
-
-
-
-
9+3
-
373
219
154
184
189
-
-
-
社 会 科
学
ラオ語
ラ オ 文
学
数学
Savanna
khet 幼
稚 園 教
師養成
Savanna
48
khet 小
学 校 教
師養成
11+2 (to be
discontinued)
-
49
15
34
-
49
-
-
-
12+2
-
72
36
36
72
-
-
-
-
Savanna
khet 前
期 中 等
教 師 養
成
11+3 (to be
discontinued)
12+2
-
906
567
339
-
228
678
-
-
-
756
465
291
756
-
-
-
-
12+4
-
211
123
88
211
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
-
314
185
129
-
41
273
-
-
11+3+2 (to be
discontinued)
-
191
96
95
-
-
-
114
77
12+4
-
35
24
11
35
-
-
-
-
Savanna
khet 前
期 中 等
教 師 養
成
学校名
コース
年数
コース
資格種別
Total
7. パ ク セ ( Pakse Teacher Training
College)
自 然 科 11+3 (to be 前期中等
discontinued)
(Higher)
学
社 会 科
学
ラオ語
ラ オ 文
学
地理
4,892
2,273
116
学生数
F
M
学年別内訳
G2
G3
G4
G1
G5
2,619
57
59
-
-
116
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
25
17
8
25
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
36
14
22
36
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
229
146
83
-
39
190
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
37
26
11
37
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
42
31
11
42
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
148
99
49
-
35
113
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
41
21
20
41
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
41
29
12
-
-
41
-
-
12+4
後期中等
(Bachelor)
46
33
13
46
-
-
-
-
11+3 +2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
19
11
8
-
-
-
19
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
33
15
18
-
33
-
-
-
49
12+4
後期中等
(Bachelor)
40
18
22
40
-
-
-
-
歴史
12+4
後期中等
(Bachelor)
38
24
14
38
-
-
-
-
政治
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
64
26
38
-
26
38
-
-
12+4
後期中等
(Bachelor)
26
13
13
26
-
-
-
-
英語
11+3
前期中等
(Higher)
753
342
411
278
175
300
-
-
英語
12+2
前期中等
(Higher)
29
14
15
29
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
33
21
12
33
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
71
32
39
-
33
38
-
-
12+4
後期中等
(Bachelor)
41
27
14
41
-
-
-
-
11+3 +2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
16
7
9
-
-
-
16
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
29
15
14
29
-
-
-
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
33
22
11
-
23
10
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
90
42
48
-
-
90
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
46
21
25
46
-
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
前期中等
(Bachelor)
32
19
13
32
-
-
-
-
115
52
63
-
51
62
2
-
フ ラ ン
ス語
数学
11+5 (to be
discontinued)
物理
12+4
前期中等
(Bachelor)
32
17
15
32
-
-
-
-
11+3 +2 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
19
9
10
19
-
-
19
-
11+5 (to be
discontinued)
前期中等
(Bachelor)
30
10
20
-
30
-
-
-
12+4
前期中等
(Bachelor)
前期中等
(Bachelor)
31
14
17
31
-
-
-
-
35
25
10
35
-
-
-
-
化学
12+4
生物
12+4
前期中等
(Bachelor)
32
17
15
32
-
-
-
-
Pakse 幼
11+1
-
24
24
0
24
-
-
-
-
50
稚 園 教
師養成
11+2 (to be
discontinued)
-
24
24
0
-
24
-
-
-
12+2
-
109
109
0
109
-
-
-
-
Pakse 小
学 校 教
師養成
11+2 (to be
discontinued)
-
72
36
36
-
72
-
-
-
12+2
-
88
42
46
88
-
-
-
-
Pakse 前
期 中 等
教 師 養
成
11+3
-
278
249
809
-
-
178
-
-
-
-
172
-
-
-
-
-
196
189
2
-
-
-
-
54
-
686
1,336
12+2
650
-
99
178
12+4
79
-
100
172
学校名
11+5 (to be
discontinued)
-
11+3+2 (to be
discontinued)
-
コース
年数
コース
資格種別
英語
ラオ語
数学
Saravan
幼 稚 園
教 師 養
成
186
387
201
27
54
27
Total
8. サ ラ ワ ン ( Saravane Teacher
Training College)
自 然 科 11+3 (to be 前期中等
discontinued)
(Higher)
学
12+2
前期中等
(Higher)
社 会 科
学
72
学生数
F
M
学年別内訳
G2
G3
G4
G1
G5
2,851
1,402
159
1,449
61
98
-
61
98
-
-
59
26
33
59
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
129
65
64
-
90
39
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
110
59
51
110
-
-
-
-
11+3
前期中等
(Higher)
155
72
83
18
43
94
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
35
13
22
35
-
-
-
-
11+3 (to be
discontinued)
前期中等
(Higher)
223
133
90
-
72
151
-
-
12+2
前期中等
(Higher)
前期中等
(Higher)
89
49
40
89
-
-
-
-
156
39
117
-
63
93
-
-
11+3 (to be
discontinued)
12+2
前期中等
(Higher)
61
28
33
61
-
-
-
-
9+3
-
89
89
0
89
-
-
-
-
11+1
-
69
69
0
69
-
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
26
26
0
-
26
-
-
-
12+2
-
27
27
0
27
-
-
-
-
51
Saravan
小 学 校
教 師 養
成
8+3 (to be
discontinued)
-
33
14
19
-
-
33
-
-
9+3
-
145
76
69
69
76
-
-
-
11+2 (to be
discontinued)
-
110
58
52
-
110
-
-
-
Saravan
前 期 中
等 教師
養成
11+3
-
822
370
452
18
329
475
-
-
12+2
-
354
175
179
354
-
-
-
-
教員養成機関のカリキュラム、教科書改訂作業は、ラオス国立大学教育学部に属する Teacher Education
and Administration Development Center (TEADC) が中心となって実施された。TEADC は、現職教員研修
も含む教員研修プログラム・カリキュラムの作成、提案を担い、TTEADC のスタッフは研修トレーナー
として招聘されることもある。教員養成機関の教官は卒業生がなることも多く、小中学校での教員経験
を有する人は尐ない。また、近年ある TTC においては、教官の資格要件を大学卒のみとした。
教員の採用は、教育スポーツ省による割当枠に基づき(PES が必要枠を申請、MoES が割当をおこなう)
、
PES が決めることになっており、採用プロセス、基準は県ごと、郡ごとに異なる。教員にかかる課題と
して、質と量、両面での問題が議論されているが、教員数に関していえば、全国に 8 校ある教員養成校
は需要に見合うだけの小学校、中学校教員を統計上は育成している。それにも関わらず、小学校、中学
校教員が慢性的に不足しているのは、不十分な新規教員採用枠(割当)、非効率な教員配置、様々な理
由による頻繁な教員の離職等によるものと考えられている。
加えて、教員養成校を卒業した生徒たちが出身地に戻り教鞭をとるより、他の仕事に就くことを好む傾
向も要因の一つになっている。同傾向は、教員不足の問題が著しい尐数民族が多く住む遠隔僻地などで
より深刻な問題としてとらえられている。これは、基礎的なラオス語を身につけることなく入学した生
徒が、同じ民族出身の教員に教わる機会が減尐することで、低学年時に学業面で困難をしいられる割合
が高くなると予測されるからである。さらに、安全上、文化上、そして家庭上の理由で女性教員の僻地
への配置が難しいこともあり、尐数民族が多く住む地域において女性教員の不足が著しくなっている。
このように、ラオス語と尐数民族の言葉の両方を話す女性教員が尐ないことが、当該地域において女児
童の就学率が低い主要因の一つと考えられている。また、教員不足の問題においても地域格差は大きい
が、低給料や不十分な手当て等、教員に対する待遇が劣悪な現状では、有資格教員の農村遠隔地への配
置を担保するなど、バランスのとれた教員配置を実施していくことは非常に困難であるといえる。
2)
教員の質と現職教員研修
初等教育教員に関しては、これまで多くのドナーが研修を実施してきた結果、無資格教員の数は減尐し
ており、現在では教員全体の 97%程度が有資格教員となっている。このように、数字上は教員の資格が
向上したが、教員の能力、スキルが同様に向上したかについては疑問が残る。
ドナーによる従来の研修は、複式学級の教え方や、子ども中心の教え方などに焦点を当てたものが多か
ったが、教員の基礎学力、特に算数/数学教員の不十分な学力が目立つ。したがって指導案などの書き方、
様々な指導方法の習得などを通して教授力を高めることももちろん重要だが、教科の知識等、教員の基
礎学力の向上にも同時に取り組む必要があると考える。さもなければ、教員の質の向上という大きな課
題の解決に効果的・効率的に取り組むことは極めて困難となるであろう。
初等教育のセクションでも述べたとおり、授業の質の低さ、言い換えると教員の教授力の低さが、高い
退学率、留年率の主要因の一つとして挙げられ、教員の力量が教育の質に与える影響は大きいと理解さ
れている。EFA を達成するための方策として、初等教育レベルでの複式学級政策の強化が掲げられてい
52
ること18、前期中等教育が 4 年制になること等を踏まえると、教員の質の向上は急務である。
現職教員研修については、全国に 17 ある Teacher Upgrading Center(TUC: PES の教員開発課所管で、県
レベルでの現職教員研修、アップグレード研修を担当)及び PA(指導主事)が中心となって実施する
はずだが、実際はドナープロジェクト卖位の活動がほとんどである。研修の種類としては、アップグレ
ード研修に重点が置かれ19、これは無資格教員あるいは以前の資格要件に基づき採用された、現行基準
に満たない多数の低資格教員の質を向上させるものであり、児童中心の指導法、複式学級教授法などが
主なテーマとなっている20。地方レベルでの現職教員研修の運営・管理は、PES の教員開発課の役割で
あり、TUC を中心に、トレーナー、研修場所等のアレンジをしている。トレーナーは教員養成機関の教
官、TUC のスタッフ、PA 経験のある教員等がその役割を担っている。このように、現職教員研修は教
員養成制度とは別トラックで実施されており、相互の関連が弱い。
3)
一般教育教員の現状
教員の給料は低く、WB の最新の調査研究 “Teaching in Lao PDR” (2008)では、小学校教員の月給は約
390,000 kip (US $39)、中学校教員の月給は約 450,000 kip (US $45)程度と報告されている。このうち、基
本給が約 85%をしめ、残りの 15%はボーナスや、補助金、家族手当等である。“Lao Poverty Assessment
(World Bank, 2007)”の中で、2003 年の貧困ラインは „US$1.5 per capita per day‟程度と定めている。つまり、
小学校教員はこの貧困ラインを下回る収入しかなく、中学校教員はかろうじて貧困ラインをクリアーし
ている状況である。なお、ラオスの教員給与は国際水準においても非常に低く、2003 年の UNESO の調
査では、61 国中、ラオスは下から 4 番目にランクされた21。このように、教員給与は安すぎるとの認識
が一般的になっている。
給与が必要最低限の生活を保障するレベルにも満たない結果、教員の多くが収入を補うため副業に従事
しており、就業時間より遅れて出勤する、決められた時間より早く授業を終了するといった状況が散見
され、教授時間の不足を招いている。その他にも、低賃金は教員のやる気を損ね、教育の質の低下や、
貧困地域や僻地への教育サービスの提供を妨げる要因と理解されている。
こうした低給料及び給料の遅配、手当て等の待遇面が不十分といった状況が、教員にかかる量や質の問
題の一要因になっており、2012 年 4 月 5 日付の政令(No.177)で、教師の給与体系を他の公務員と分け
て支給することが決定、2012/13 年度から開始されることになった。これは、
「政府は、教員が職務を遂
行するのに好ましい環境を整えるための政策を規定する責任を負う。特に、業績の優秀な教員、創造性
のある教員、僻地や危険な場所で職務を遂行する教員、複式学級を担当する教員、障害者を教える教員、
そして退職教員に対して方策を講じる責任がある」
(教育法第 46 条「教員の特権」
)との規定を受けて設
置されたものであるが、実際にどの程度施行が具体化するかは注視が必要である。教育スポーツ省人事
局の 9 月段階の発表22では、
「教職分野での学士号を持つ教師の基本月給を 1,152,000 キップに、教職分
野以外の学士号を持つ教師の基本月給を 1,118,400 キップに上げる予定であり、これは同レベルの学歴
を持つ他の分野の公務員の初任給 1,084,800 キップを上回る」としている。
18
人口密度の低いラオスにおいて、すべての村に通学可能な範囲内で完全小学校を設置することは非常に難しいが、複式
学級にすることで、限られた教室、教員数でも完全校とすることは可能となるため、教育スポーツ省は複式学級の拡大を
奨励している。通常、複式学級を教えることは、一般クラスを教えるより難しいと考えられ、教員のスキルが求められる。
したがって、教員にとって複式学級の指導法を習得することが極めて重要となるため、教員養成機関の新カリキュラムで
もこの点が強調されている。
19
90 年代中頃に初中等教員になるための資格要件が見直される前は、小学校卒業後 3 年間の訓練を受けることにより小
学校教員の資格を得ることが出来た (5+3) 。
20
EQUIPII のもとでの(1) アップグレード研修内容例:8+3 へのアップグレード。夏休みと冬休み期間を利用し実施。16
週間の研修を約 1 年で修了する(夏休みに 12 週間、冬休み 4 週間【2 週間ずつ 2 回】
)
。(2) アクティブラーニング(特に
児童中心型教授法)研修内容例:研修講師が TTEST により育成され、育成された研修講師による教員研修を EQIP II が
支援。研修期間は全体で 10 日間(第一回目の 6 日間の WS を行った後、12 週間のインターバルがあり、教員はその間に
実際に研修で学んだ内容を学校で実践して、その後で二回目の 4 日間の WS を行い、研修内容をフォローアップをする)
21
国民一人当たり GDP と教員給与を比較。ラオスより低い水準は、カンボジア、インドネシア、エジプトのみ。
(出典)
Teaching in Lao PDR (WB, 2008)
22
2012 年 9 月 18 日付ビエンチャン・タイムズ紙 (Issue 218)
53
ノンフォーマル教育(NFE)
4-8
4-8-1
政策・目標
2008年に大臣から承認された「NFE Strategy 2008-2015」の改定作業が進められ、2012年10月現在、
「NFE
Strategy 2012-2020」が大臣決裁待ちである。
「NFE Strategy 2008-2015」では数値目標が盛り込まれてい
たが、以下に記すように、
「NFE Strategy 2012-2020」はその表現がより一般的なものとなっている。そ
れぞれの文書で述べられている全体目標は以下のとおり。
NFE Strategy 2008-2015
1. ノンフォーマル教育プログラムを小学校がない村及び不完全小学校しかない村に拡大する。.
2. CLC(コミュニティーラーニングセンター)のモデルを開発し、全国に拡大する。
3. 識字プログラムを計画し、特に貧困 47 郡において、県・郡政府関係者に対して初等・中等レベ
ルの生涯教育プログラムを提供する。
4. 15~40 歳の非識字撲滅の取り組みを強化する。2000 年 78,5%→2010 年 88%→2015 年 93%)15
歳以上の成人識字率. 2005 年 73.57% → 2010 年 80% →2015 年 87%
5. 識字者対象初等教育修了の Equibalency プログラム提供を継続する。2010 年 80%→2010 年 90%。
また、2010 年には 60 郡で、2015 年には 110 郡において、UPE を達成する。
6. 初等教育修了者対称に前期中等教育修了レベルの Equivqlency プログラム提供を継続する。2010
年 4.2 万人(35%)
、2015 年.14 万人(70%)
7. 若者、公務員、兵士、警官対象の前期・後期中等教育修了するためのプログラム提供を継続す
る。
8. ニーズにあわせた基礎レベルの職業訓練提供を継続する。
NFE Strategy 2012-2020
1. 国家成長・貧困撲滅戦略(NGPES)で示される目標に見合う質のノンフォーマル教育と職業訓
練の機会を提供する。
2. 人々が貧困から抜け出し、自営で仕事を行ったり、自活できるよう、実生活に必要とされる知
識や技術(ライフ・スキル)を獲得する機会を提供する。
3. 学校に通う機会を逸した児童、青年、大人、ならびに障害者が、学校に通ったと同じレベルの
教育を得ることで、EFA の目標を達成する。
4. 非識字者の数を減らし、貧困を軽減することを目的として、政府組織、国際機関や NGO、そし
てその他のセクター間の、計画・実施・モニタリング・評価をまとめる管理運営システムを確
立する。
5. ノンフォーマル教育の効果的・効率的な実施を可能にするよう、関係者全てのレベルを能力を
強化する。
6. ノンフォーマル教育が持続可能になるよう、行政機能やコミュニティの参加やリーダーシップ
を強化する。
4-8-2
現状と課題
数字でみた NFE の現状は以下のとおり。
54
NFE 基礎指標
2000/01年度
指標
2005/06年度
2010
男
女
計
男
女
計
男
女
計
成人識字率(15歳以上
77.00% 60.90% 68.70% 82.50% 63.20% 72.70% 87.50% 75.30% 81.30%
、自己申告)
青年識字率(1583.60% 77.10% 80.30% 89.20% 78.70% 83.90% 92.40% 86.00% 89.10%
24歳、自己申告)
教育セクターにおける
1.90%
0.50%
NA
公共支出に占める識字
・NFE教育の占める割
合(経常経費)
(出典) 2001/01、2005/06 年度は EFA MDA Report 2008、2010 年は教育スポーツ省ノンフォーマル局資料。
1)
識字の現状
2012 年 9 月に教育スポーツ省ノンフォーマル局が発表した、2010 年度の 15 歳以上の識字率は 81%(男
性 88%、女性 75%)となっている。国勢調査にて、識字率の上昇は 1995 年の 60%から 2005 年の 73%
と計測されており、かなりの改善傾向が把握されており、2010 年度の調査はその傾向が維持されている
ことを示す。特に、女性の識字率の改善が著しく、初等教育へのアクセス拡大によるところが大きいと
はいえども、成人識字教育プログラムの実施もある程度貢献していると考えられる。
一方で、識字に関する統計取得方法に関しては、課題がある。2005 年の国勢調査における識字に関する
情報は、
「あなたは読み書きができますか?」
「はい/いいえ」といったきわめて簡卖な質問による自己申
告に基づいているので、同結果を分析する際には注意が必要である。例えば、2001 年に実施された全国
識字調査 Lao National Literacy Survey (LNLS) によると、15 歳-59 歳人口の 45%しか基礎的な識字能力
を身に付けていないと報告されており(男性 54% 、女性 37%)
、同調査に基づけば、その時点で 147 万
人の成人が非識字者ということになる(男性 60 万人、女性 87 万人)。
歳
10-14
15-19
20-24
25-29
30-34
35-39
40-44
45-49
計
83
85
82
75
74
75
75
70
男
85
90
89
84
81
82
84
83
自己申告に基づく識字率(%)
女
歳
81
50-54
81
55-59
76
60-64
67
65-69
67
70-74
68
75-79
66
80-84
57
85 以上
計
61
55
46
42
35
33
26
22
男
79
76
68
65
58
54
45
41
女
44
35
25
21
16
14
10
9
(出典)2005 年国勢調査
識字率に関しても、ジェンダー、県ごと、居住地区ごと(都市部/農村部)、年齢層、民族による格差が
報告されている。2005年国勢調査によると、識字率はビエンチャン市で最も高く92%となっており、ポ
ンサリー県で最も低く43%である。一方、居住地別にみると、都市部が89%と最も高く、道路アクセス
がない農村部では54%と最も低くなっており、民族別で見るとタイ語族の識字率が77%に対し、非タイ
語族の識字率は49%程度になっている。
2)
教育スポーツ省の取り組みと今後の課題
教育スポーツ省ノンフォーマル教育局が提供するノンフォーマル教育は次の 3 つに大別される。
① 識字教育事業(対象:小学校に通う機会がないが、識字教育や継続教育のコースを受講する意思の
ある 6-14 歳の児童)
55
② ノンフォーマル教育相当事業(対象:識字教育や継続教育コースを受講する意志のある 15-40 歳の
非識字者)
③ 職業訓練事業(対象:定職についておらず、基礎的な職業訓練を受ける意志を持つ 15-24 歳の青年)
2011/12 年度は、31,315 人が識字プログラムを受講し、52,140 人が初等教育レベルに相当するプログラ
ムを受講した。
前述 NFE 戦略文書で指摘されている NFE の問題と今後の課題は以下のとおり。












量、質の両面における不十分な NFE 人材(大部分が NFE に関する研修を全く受けたことがない)
農村遠隔地において、NFE ファシリテーターの教育レベルが低く、ほとんどが NFE プログラム
を教えるための教授法等について研修を受けたことがない。
現在の NFE プログラムは必ずしも学習者のニーズを満たしているとは言えず、貧困のため参加
する時間がないという理由に加え、内容の不適切さがプログラムへの参加を遠ざけている。
生活の質の向上を目的とした NFE プログラムは限定的で、学習者のニーズに応え切れていない。
講師への謝金、教材開発、研修、必要機材の購入のための予算が不十分
国勢調査 2005 によると小学校のない村は全体の 20%にあたる 2,092 村あり(総村数は 10,553)
、
NFE にとっては大きな挑戦となっている。
コミュニティ学習センター(Community Learning Centers:CLCs)の脆弱な運営管理
NFE に関する統計の低い信憑性(特に、識字者数、NFE プログラム修了者数に関して)
特に農村遠隔地における不十分な教材、備品の供給
NFE プログラムのモニタリング、評価システムの欠如
脆弱な NFE 関係機関(公立機関、民間機関、国際援助機関等)の参加、協調
小学校就学年齢児童の約 16%が学校に通っておらず、また初等教育の退学率は 9%強となって
おり、このような児童への NFE プログラムの提供
56
第5章
5-1
国際機関および他国の動向
教育セクターにおける国際協力の概要
ラオスにおいて、政府開発援助(ODA)は重要な役割を果たしている。第 3 章で述べたように、ラオスの
教育財政は外国投資(援助)に頼るところが非常に大きくなっており、2012/13 年度を例にとってみる
と、ODA は教育予算全体の 55%、投資予算に関しては 88%を占めている。
計画投資省が発表する「Foreign Aid Implementation Report (FAIR) 2009-2010」によると、ラオスに対する
総ODA支出は、2009/10年度で5億8,570万USドル相当であった。その9割が二国間援助機関(53%)、国
際金融機関(26%)、ならびに国連機関(11%)からの拠出である。
教育セクターは、ODA支出という観点からは、社会セクターで一番高い配分割合のセクターとなってお
り(全体の12%)その合計金額70百万ドルの97%がグラントである。
セクター別ODA額 (2009/10)【卖位: USD mil】
セクター
グラント ローン
合計
経済セクター
103.15 44.61
147.76
農林業
45.41 25.31
70.72
産業・貿易
22.57 18.84
41.41
ビジネス・サービス
2.12
2.12
金融
23.15
0.46
23.61
エネルギー・鉱山
5.00
5.00
土地開発
1.67
1.67
地域開発
3.23
3.23
社会セクター
250.66 40.75
291.41
教育
68.97
1.48
70.45
保健
62.60
1.00
63.60
労働・社会福祉
25.51
25.51
情報・文化・観光
9.52
9.52
官公庁開発
25.15 22.75
47.90
ジェンダー
2.42
2.42
科学技術
1.98
1.98
UXO
2.05
2.05
持続可能な開発・環境・自
然資源
28.08
4.20
32.28
農村開発・貧困削減
24.38 11.32
35.70
インフラ・セクター
71.99 74.54
146.53
道路
40.79
47.5
88.29
建設
5.07
7.18
12.25
電線
21.76 15.86
37.62
水道
4.31
4.00
8.31
郵便・コミュニケーション
0.06
0.06
計
425.80 159.90
585.70
(出典)Foreign Aid Implementation Report (FAIR) 2009-2010
(%)
25.32%
12.12%
7.10%
0.32%
4.05%
0.86%
0.29%
0.55%
49.94%
12.07%
10.90%
4.37%
1.63%
8.21%
0.41%
0.34%
0.35%
5.53%
6.12%
25.11%
15.13%
2.10%
6.45%
1.42%
0.01%
100%
なお、ラオス教育セクターはかなりの規模の援助を受けているが、EFA の達成とミレニアム開発ゴール
2:「普遍的初等教育の達成」に重点が置かれていることから、1990 年代以降、外国援助の大部分は初等
57
教育支援に充てられてきた。2008 年より ADB が前期中等教育への支援を開始したが、いまだ初等教育
以外の分野への支援は限定的である。以下にサブセクターごとのドナーの支援状況を示す。
サブセクターごとのドナー支援の概況
支援分野
就学前教育
初等教育
前期中等教育
後期中等教育
技術・
職業教育訓練
教員教育
高等教育
ノンフォーマ
ル教育
政策・計画・
マネジメント
HIV/AIDS、
学校保健
ICT
援助機関
備考
UNESCO、UNICEF、NGO(SCN など)
WB/AusAID/FTI-CF
AusAID、フランス、日本、韓国、SIDA、 ドナーが集中しているサブセクター。詳細につ
UNESCO、UNICEF、WB、WFP、NGO いては下表参照。
(SCN など)WB/AusAID/FTI-CF
ADB、UNESCO、日本、UNICEF
UNESCO は計画策定に係る CD、
UNICEF は SoQ
政策支援。ADB プロジェクト BESDP(詳細は
後述)がほぼ唯一の支援。日本はコミ開で施設
整備を支援している。
ADB、韓国
ADB のほかは殆ど支援なし。
ドイツ、UNESCO、韓国、ベルギー、 ドイツがメインドナー。UNESCO は政策支援。
ルクセンブルグ、ADB
支援ギャップは大きいが、データ不足。
ADB、日本、SIDA、UNESCO
UNESCO は政策及び調査研究支援のみ。ADB
の EQUIPII、SIDA の TTEST が 2010 年に終了後
は、SIDA は教育セクターを撤退。
AusAID、日本、韓国、アメリカ、シ 多くのドナーが入っているが、協調の動きは殆
ンガポール、SIDA、ベトナム
どなし。
UNICEF、UNESCO、NGO(SCN、日
ユなど)WB/AusAID/FTI-CF
ADB、AusAID、フランス、SIDA、
UNESCO 、 UNICEF 、 WB 、 日 本
WB/AusAID/FTI-CF
日本、UNESCO、UNICEF、WB
日本は 2010 年 6 月に個別専門家任期終了をもっ
WHO
て、支援終了となった。
中国
第 1 フェーズ(2011-2012、USD55M)にて各県
のモデル中学校一校ずつにコンピューター・ル
ームを設置するとともに、MoES 内に IT センタ
ーを敷設する。第 2 フェーズ(2012-2014、
USD95M)にて大学、TVET 校、TTC にコンピ
ューター・ルームの設置対象を拡大の予定。
58
5-2
主要ドナーの支援状況
ラオス教育セクターでは、WB、ADB、AusAID、UNICEFなどが主要ドナーとなっている。現在実施
中、あるいは実施予定の他ドナーの主要プロジェクト/プログラムは下記表のとおり。
1.EFA Programme
【ドナー】FTI 触媒基金、AusAID、WB
【期間】2010-2013
【対象地域】 教育貧困郡 56 郡
【予算】合計 USD 80M(FTI 触媒基金 30M、AusAID: 20 M, IDA: 15 M,
ラオ側負担 NT2 ダム収入: 15M)
【支援内容】
① 就学前・初等教育のアクセスの改善及び質の向上(学校建設、SoQ 支援、学校給食、
教材配布、ノンフォーマル教育モバイル教員養成など)
② マネジメント強化(EMIS、予算枠組み強化などにかかる行政官の CD、アセスメント
など)
2.BESDP(Basic Education Sector Development Program)
【ドナー】ADB
【期間】2008-2012 (借款:2007-10、無償 2008-12)
【対象地域】6 県 20 郡
【予算】USD 21.56M (借款+無償) (内訳:$8.9 million (借款) $12.66 million (無償)
【支援内容】
① 借款プログラム: 政策改革支援
② 無償プロジェクト:前期中等対象
 学校建設
 教育開発グラント (自立発展性を考慮し、収入向上の要素を加える)
 前期中等カリキュラム改訂(テキスト、指導書改訂含む)
 現職教員研修
 (新旧)テキスト、指導書の配布
【対象地域】
・ 学校建設(6 県 20 郡)
:アタプー、チャンパサック、サワンナケート、カムアン、ルアンナムタ、
ボケオ
・ 現行教科書、指導書配布(全国)
・ 現行カリキュラムにかかる教員研修(全国)
・ 改訂教科書、指導書配布(上記 6 県内全郡)
・ 新カリキュラムにかかる教員研修(上記 6 県内全郡)
3.EDPII (Second Education Development Project)
【ドナー】WB
【期間】2005-2010 (EDP I:1993-2000)
【対象地域】対象 6 県内の 19 最貧困郡(約 400 村)
【予算】USD 13.5 M
【支援内容】初等教育の改善を目指した総合的なプロジェクトであり、初等教育へのアクセスと修了
率の向上、質の向上、政策分析とマネジメント能力の強化がプロジェクトコンポーネントとなってい
る。主な活動は以下のとおり:
① コミュニティベースの教室建設
② コミュニティグラント(約$300/学校/年。使途については村開発委員会で話合い、例えば生徒全
員の制服、ノート、教科書購入に充てる村が多く、特に貧しい家庭の生徒への配布を重視)
③ 複式学級に関する現職教員研修(例:夏休みを利用し、2 週間×2 回)
④ 教科書・指導書の配布(初等教育のカリキュラム、テキストの改訂)
⑤ 教育スポーツ省のキャパシティ・ディベロップメント(EMIS 等)
59
4.EQIP II/TTEST(Second Education Quality Improvement Project - Teacher Training Enhancement and
Status of Teachers)
【ドナー】ADB(EQUIPII)
・SIDA(TTEST)
【期間】2002-2010 (EQIP I:1992-98)
【対象地域】9 県 72 郡
【支援内容】
 小学校建設&教員研修:ボケオ、ルアンパバン、
サイアブリー、サワンナケート各県全郡
 教員研修:ビエンチャン、チャンパサック各県全郡
 教員研修:サラワン、ルアンナムタ、シェンクワン各県一部
 全国にある TTC/TTS 8 校
【予算】USD 37.6M (内訳:ADB 20M、SIDA 9.6M、Lao 8M)
【支援内容】①小学校建設、②現象教員研修(アップグレード研修、児童中心型指導法)
、③教員養
成校のカリキュラム改訂、④教員教育戦略策定、⑤教育スポーツ省の CD
6. ABEL
【ドナー】UNICEF, AusAID, WFP
【予算】 $11 million (AusAID は財政支援)
【期間】2005-2010
【対象地域】北部 3 県(ルアンナムタ、ウドムサイ、ポンサリー)
【支援内容】
 裨益者に栄養、健康、教育、衛生の包括的な支援を提供するために、これまで UNICEF、WFP が
北部地域で実施していた活動を統合。
 主な活動は、WFP による給食プログラム(教員研修、教育教材供与含む)
、UNICEF による給水・
衛生施設の供給、衛生教育、教員研修、そしてドナー調整にかかる教育スポーツ省のキャパシテ
ィ強化支援。
7. 学校給食
【ドナー】WFP
【期間】 6.2005-5.2010(单部 3 件は 2008 年度から実施)
【対象】 6 県(ポンサリー、ルアンナムタ、ウドムサイ、サラワン、セコン、アタプー)
【支援内容】
 午前中のスナックの提供と、家庭への食糧配給を実施することによって、初等教育の就学、出
席率の向上を目指す。スナックはボケオ県にある現地工場にて生産。
 モニタリング&評価活動、ジェンダー、プロジェクト管理にかかる教育スポーツ省へのキャパ
シティディベロップメント
 パートナー機関は教育スポーツ省、UNICEF、AusAID であり、ABEL プロジェクトとして実施
 支援規模: 約 1100 校、児童約 8 万 7 千人、裨益者(生徒&家族)約 26 万人
8.Cap EFA (Sector-Wide Capacity Building Support in Lao PDR Project)
【ドナー】UNESCO
【支援機関】May 2009 –May 2011
【予算】USD 0.83M
(北欧ドナーからのバスケットファンドによる資金)
【支援内容】
EFA を達成するためのキャパシティギャップを埋めることを目的に、下記の4つのコンポーネントか
ら成り立つ政策支援型プログラム;①ノンフォーマル教育(ノンフォーマル教育戦略の改訂支援)
、
②職業訓練(国立訓練審議会 NTC の CD)、③教員教育(TESAP のレビュー)、④中等教育(中等教
育戦略策定)
9. Strengthening Higher Education
【ドナー】ADB
【期間】2011 年~2015 年
【予算】グラント USD 24.8M
【対象】
2008 年~2010 年の準備フェーズ(高等教育マスタープラン策定支援など)を経て、
60
高等教育分野を支援する包括的なプログラムで、ラオス国立大学(NUOL)、チャンパサック大学、
スッパヌボン大学の国立 3 大学に対して、施設面、スタッフ面、提供する教育課程の観点からアップ
グレードを支援する。また高等教育制度のガバナンス、ファイナンス、QA(質の保証)などの強化
を支援する。
10. Strengthening TVET
【ドナー】ADB
【期間】2011 年~2015 年
【予算】グラント USD 23M
【支援内容】約半年の準備フェーズを経て開始される技術・職業教育/訓練分野に対する包括的支援
プログラムで、職業訓練施設のアップグレード、職能資格制度の整備などを支援する。
11. Human Resource Deveopment for a Market Economy (HRDME) Programme in Lao PDR
【ドナー】GTZ をはじめとしたドイツ援助機関(DED、KfW など)
【期間】2004 年~2011 年(ただし、職業訓練校設立は 2013 年まで支援される予定)
【予算】不明
【支援内容】
同プログラムは市場経済の人材育成を支援する大型のプログラムで、民間企業、中小企業支援、職業
訓練支援などから成り立つ。職業訓練分野では、TVET 戦略の策定や、6 校の職業訓練校設立(ウド
ムサイ、ポンサリー、フアパン、シェンクワン、ルアンナムタ、サヤブリー)などを支援している。
12. Secondary Education Sector Development Plan (SESDP) (formerly Basic Education Sector Development
Program II)
【ドナー】ADB
【期間】2012 年~2019 年(ただし、借款分の期間は 2016 年末まで)
【予算】USD 40M (借款+無償) (内訳:$10 million (借款) $30 million (無償)
【支援内容】中等サブセクター強化を意図した、セクター開発プログラムで、3 つの柱で次のアウト
プットの達成を目標とする。
(1)中等教育へのアクセスの拡大、
(2)新規の中等カリキュラムによる
指導の促進、
(3)中等教育セクター運営管理の強化。
61
5-3 ドナー調整・援助協調の概観
貧困からの脱却という国家目標及び EFA 達成を支援するため、ラオス教育セクターでは、こ
れまでに基礎教育分野(特に初等教育分野)を中心に、様々なドナーによる協力活動が実施
されてきた。しかし、多くの援助が何の連携、整理もなされないままにドナー主導で実施さ
れてきたために、大規模な投入による援助活動が行われてきたにも関わらず、その成果は期
待されていたレベルの達成に至らないのが課題であった。
2006 年 11 月に「ビエンチャン援助効果宣言」が採択されて以降、効果的な援助実施のため
の援助協調・ドナー調整の促進が、ラオス政府、教育スポーツ省にとって急務であるという
認識が定着した。教育スポーツ省は、「援助の効果性」を上げるため、セクター協調への移
行を積極的に検討し、ドナーの支援を得て、セクター開発プログラムにかかる政策フレーム
ワーク「Education Sector Development Framework (2009-2015)」を策定した。そして政府が主
導する Education Sector Working Group(ESWG)を通じたドナー調整の強化を進めている。
ESWGの前身は、ドナー自身がドナー間の適切なコーディネーションを確実にしていく必要
性を認識し、2004年3月に教育を含め、8つのセクターで設置されたドナーWGに遡ることが
できる。この時、教育ドナーWGは、オーストラリア政府(AusAID)とUNICEFを共同議長に、
二国間、多国間援助機関の代表で構成された23。加えて、NGOの代表も会合へ招待された。
2005年後半に、ラオス政府が援助協調のための正式な作業部会 Education and Gender Working
Group (EGWG) を設立したことを受けて、2007年初めに援助協調のための最善の枠組みが協
議され、EGWGとEDWGを統合し、Education Sector Working Group (ESWG) とすることが合
意された。ESWGは2006年11月に22の開発パートナーの代表と政府によって署名された「ビ
エンチャン宣言」に明記されている援助の効果性にかかる課題に取り組んでいくため、セク
ター開発計画、政策対話、調整および主要課題の特定を行っていくためのメカニズムとして
機能することになった。
現在、ESWGはExecutive Level とTechnical Level に分かれ、合計で1年に約6回開催されるこ
とになっているが、実際は準備が間に合わなかったり、他のイベントと重なるための開催時
期をずらす必要があったり、と延期を繰り返することが多い。また、これらの会合では、プ
レゼンテーションの発表が中心で、政策課題の詳細な議論や選択すべき政策オプションにつ
いて話し合う時間は、殆ど残されていないのが実状である。
そこで、サブセクターレベルでの議論を促進するため、2011 年 1 月に①基礎教育(Basic
Education )、 ② ポ ス ト 基 礎 教 育 ( Post-BasicEducation )、 ③ 運 営 管 理 お よ び 実 績 審 査
(Administration and Performance Assessment)
、④研究分析(Research and Analysis)という 4
つのフォーカルグループが設立された。各フォーカルグループは必要に応じて開催されるこ
とになっているが、その開催時期はまちまちである。セクター・ワーキンググループはラオ
ス政府の公式の援助協調フレームワークであり、2012 年秋にその TOR の見直し・必要に応
じた改正が規定されている。そのため、同年 9 月に ESWG では関係者を集めてワークショッ
プを開催し、各フォーカルグループの課題や役割を議論する機会を持った。その結果を基に
TOR 案が作成され、10 月の政府への提出を目指して準備が進められている。
23
オーストラリア、ベルギー、フランス、ドイツ、日本、スウェーデン、ADB、EU、UNESCO、UNICEF、WB, WFP
などが当初のメンバー。ベルギー、フランスはほぼ徹題済み。スウェーデンも今後撤退予定。
62
ラオス・ラウンドテーブル・プロセス
マクロ経済・
民間セク
ター開発
不法薬物
農村開発・
自然資源
教育
保健
議長:MPI
共同議長:UNDP
農業
インフラ
ガバナンス
地雷対策
教育セクターワーキンググループ(ESWG)
執行レベル
テクニカル・
レベル
基礎教育
ポスト
基礎教育
運営管理
および
実績審査
研究分析
フォーカルグループ
援助調整に対する総合的な責任は計画投資省(MPI)の国際協力局(DIC)が担っている一方、教
育セクターにおける援助協調の仕事は教育スポーツ省計画局(DP)に課されている。2011年の
組織改編に伴い、それまでの計画協力局が計画局(DOP)と対外関係局(DER)に分離され、
DOPは教育スポーツ省の方向性を開発パートナーと作っていく役に徹し、個別ドナーとの対
応はDERに任されることになった。
MPIが指揮するラ国政府全体としての援助協調・ドナー調整のメカニズムとしては、UNDP
を共同議長として設置されているラウンドテーブル・プロセス24があり、その中で教育セク
24
www.rtm.org.la
63
ターは8つのセクターの一つに位置付けられている。
教育スポーツ省内、ドナーとの意見交換や状況観察から、一般財政支援やコモンバスケット
等の財政支援に向けてラオス教育セクターへの支援が一挙に進んで行く可能性は低い。教育
スポーツ省内ではある程度、財政支援への期待があるが、実施するためのメカニズムが現行
の国家財政システムになく、そのレベルに踏み込むためには財務省との対話、国家財政シス
テム改革が必要である。一方、ドナー側は、現在のシステムでは、お金の流れに関する透明
性や、信頼性、アカンタビリィティといった点で課題が多く、また現在の教育スポーツ省に
は多額のお金を使いこなすだけのキャパシティ自体がないと判断しており、財政支援につい
ては、一部のドナー(EU)を除いて慎重な態度をとっている。つまり、ラオスでの援助協調
の方向性としては、共通開発フレームワークを用いてプログラムベース支援の形をとってい
く方向に動いていくにしても、プロジェクト方式での支援を避ける傾向はなく、援助のモダ
リティについては多様性を容認する形で進展している。
64
付属資料
1.略語表
ADB
BESDP
CIED
Asia Development Bank
Basic Education Sector Development Program
Supporting Community Initiative for Primary
Education Development in the Southern
Provinces
DEB
DTE
EDP II
EFA
EQUIPII
District Education Bureau
Department of Teacher Education
Second Education Development Project
Education for All
Education Quality Improvement Project Phase
II
Education Sector Development Framework
Fast Track Initiative - Catalytic Fund
ESDF
FTI-CF
ITSME
JICA
JOCV
MDGs
NGPES
NSEDP
PES
SIDA
SMATT
SoQ
TEI
TESAP
TTEST
UNESCO
UNICEF
VEDC
WB
WFP
Project for Improving In-Service Teacher
Training for Science and Mathematic
Education
Japan International Cooperation Agency
Japan Overseas Cooperation Volunteers
Millennium Development Goals
National Growth and Poverty Eradication
Strategy
National Socio-Economic Development Plan
Provincial Education Service
Swedish International Development Agency
Project
for
Improving
science
and
Mathematics Teacher Training
School of Quality
Teacher Education Institute
Teacher Education Strategy and Action Plan
Teacher Training enhancement and Status of
Teacher Project
United Nations Educational Scientific and
Cultural Organization
United Nations Children‟s Fund
Village Education Development Committee
World Bank
World Food Programme
アジア開発銀行
基礎教育セクター開発プログラム
单部 3 県におけるコミュニティ・イニ
シアティブによる初等教育改善プロジ
ェクト
郡教育局
教員教育局
教育開発プロジェクトフェーズ II
万人のための教育
教育の質向上プロジェクトフェーズ II
教育セクター開発枠組み
ファースト・トラック・イニシティブ
- 触媒基金
理数科現職教員教員研修改善プロジェ
クト
独立行政法人国際協力機構
青年海外協力隊
ミレニアム開発目標
国家成長・貧困撲滅戦略
国家社会経済開発計画
県教育局
スウェーデン国際開発庁
理数科教員養成プロジェクト
スクール・オブ・クオリティ(質の高
い学校)
教員養成機関
教員教育戦略&行動計画
教員養成強化・教員の地位向上プロジ
ェクト
国際連合教育科学文化機関
国際連合児童基金
村教育開発委員会
世界銀行
国連世界食糧計画
2.我が国のラオス基礎教育セクターへの取組状況
2012 年 4 月に発表された「対ラオス人民民主共和国国別援助方針25」では、ラ国が第 7 次社
会経済開発計画の中で提示する、経済成長率 8%以上の目標の達成を支援し、ASEAN が進め
る統合、連結性の強化、域内の格差是正を図っていく観点から、
「経済・社会インフラ整備」、
「農業の発展と森林の保全」
、
「保健医療サービスの改善」、
「教育環境の整備と人材育成」の
4 つを重点分野として打ち出している。
25
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/hoshin/pdfs/laos.pdf
65
「教育環境の整備と人材育成」分野においては特に、社会経済開発の鍵となる人材を育成す
るため、教育環境の整備、教員の質と学校運営の改善を支援する。初等及び中等教育では、
我が国が多くの国で支援の実績を有する理数科教育分野を中心に支援を行う。また、民間経
済セクターの強化推進のための、高等教育・技術職業教育への支援を行うこととしている。
JICA 協力実績
JICA はこれまでラオス教育セクターに対し、基礎教育分野における教育の質の向上への協力
を中心に行ってきた。その中でも特に、「教員の質の向上」と「学校運営改善(コミュニテ
ィを活用した学校マネジメントの改善)」を核に実施してきた。プロジェクトとしてまとま
った協力が行われたのは 2004 年からである。
前者においては、教員養成課程における質の向上(教員養成機関教官の質の改善及び理数科
教授法の向上)を目指した「理数科教員養成プロジェクト(SMATT)」を実施した(2004-2008)
。
同プロジェクトでは、ラオス国内の教員養成機関(Teacher Education Institute: TEI)教官の理
数科知識の向上及び指導能力が強化されたこと、また理数科教官用の指導案集が作成された
ことが成果として挙げられる。これらの成果は、県教育局と TEI 教官の連携により、校内研
修を中心とした現職教員研修の改善を目指した「理数科現職教員研修改善プロジェクト
(ITSME)
」に受け継がれている(2010-2013)
。
後者においては、地域住民、教員の参加型の手法により、プロジェクト対象校の初等教育の
学習環境が改善することを目指した「单部 3 県におけるコミュニティ・イニシアティブによ
る初等教育改善プロジェクト(CIED)」が実施された(2007-2011)。同プロジェクトでは、
特に VEDC の活性化に力を入れ、VEDC を通して学校改善計画の立案が適切に行われるよう
になり、結果として就学率の向上等の具体的な成果が見られた。この成果を反映して、各村
に VEDC が設置されることを義務付ける大臣令が発出されるなど政策面での動きも見られ
ている。2011 年 12 月にフェーズ I が終了し、2012 年 10 月中旬程度にフェーズ II(~2016
年)の開始が見込まれている。フェーズ I ではサラワン、セコン、アタプーの 3 県を対象と
していたところ、フェーズ II では FTI でカバーされない地域に重点的に対応するとの観点か
ら、サバナケット、チャンパサック、サラワン、セコンの 4 県を対象県として、教育行政の
各レベルが現場の課題に的確に対応し、良質な教育サービスを全てのこどもに公平に提供し
ていくための教育マネジメントの強化に取り組む。
教育スポーツ省に対しては、1999 年以降これまで 5 代の教育政策アドバイザーを派遣してお
り、教育スポーツ省が政策目標を達成するための課題や他ドナーとの協調に係る情報や支援
ニーズの抽出・分析、教育政策及び制度改善にかかる助言・提言、並びに、課題や政策をド
ナーと共有し調整を行えるよう支援してきている。3 代目以降の教育政策アドバイザー以降
は上述の技術協力プロジェクトの中央と地方の連携の役割を担っているほか、最近では特に、
教育スポーツ省が進めているセクターワイドアプローチ及び EFA ファスト・トラック・イニ
シアティブの進捗等への対応も行っている。結果、例えば CIED の経験から VEDC が果たす
役割の重要性が ESDF に記載されるなど、プロジェクトレベルでの実施が国の政策レベルへ
反映されるといった成果を出している。
また、学校環境改善の側面からは、無償資金協力による学校建設を行ってきた。特に、单部
地域において実施されるコミュニティ開発支援による協力に関しては、CIED と対象校を同
一にするなどにより、相乗効果の発現を目指している。
その他、JOCV 派遣や草の根技術協力の実施についても、各案件との緩やかな連携を保ちつ
つ、協力の成果がより発揮できるような取り組みを進めている。
(主要案件の詳細は別添のとおり)
66
【技術協力プロジェクト】
(1) 理数科教員養成(SMATT)
(2004.6- 2008.6)
(2) 单部 3 県におけるコミュニティ・イニシアティブによる初等教育改善(CIED)
(2007.12 2011.12)
(3) 理数科現職教員研修改善プロジェクト(IT‟SME)
(2010.2-2013.10)
(4) コミュニティ・イニシアティブによる初等教育改善(CIED)フェーズ II(2012.10 見込
み – 2016)
【技術協力個別案件(専門家)
(長期)】
(1) 教育政策アドバイザー(1999.10-2002.3、2003.3-2005.9、2006.3-2009.3、2009.7-2011.6、
2011.11-2012.10)
(2) 学校保健専門家(2004.5-2007.5、2007.7-2009.7、2009.6-2010.6)
【無償資金協力】
(1) 小学校建設計画/ビエンチャン市、ビエンチャン県 7.58 億円 (2003-2005)
(2) 单部 3 県学校環境改善計画/サラワン県、セコン県、アッタプー県/6.85 億円(2009-2010)
(3) チャンパサック県・サバナケット県学校環境改善計画/チャンパサック県、サバナケット
/10.18 億円 (2010.6-2010.12)
【ボランティア】
ボランティア事業においては、教育分野関連の青年海外協力隊及びシニアボランティアを
複数の職種で派遣している。特に、SMATT では理数科教師、CIED 及び学校保健では村落開
発普及員(県教育局配属)が技術協力事業との緩やかな連携を保ちながら活動している。
【草の根技術協力事業】
<パートナー型>
・ ラオスにおける読書推進運動の自主的運営のための拠点構築事業(2005.12~2008.12)/
特定非営利活動法人 ラオスのこども
・ 公共図書館支援を通じた図書・読書活動普及事業(2005.12~2008.11)/社団法人 シャ
ンティ国際ボランティア会
・ ラオスにおける読書推進運動の自立的運営の定着化(2010.3~2012.1)/特定非営利活動
法人 ラオスのこども
今後の協力の方向性(2012 年 8 月に実施された、ラオス基礎教育分野協力方針検討ミッショ
ン帰国報告より抜粋)
前期中等教育を含める基礎教育全体を視野に入れつつ、2020 年までは、初等教育分野におい
てこれまで現場で築き上げた支援成果を既存の制度・仕組みのなかに適応させ、発展、普及
させることを支援し、ラオス国の教育政策や計画の実施において比較優位性を十分に発揮さ
せながら、前期中等教育を含める基礎教育全体のアクセス、質向上に取り組むことを基本方
針として検討する。また、具体的な目標として、初等教育課程の修了率の改善による前期中
等教育へのアクセス拡大(入学率の向上)を掲げる。
CIED2(~2016 年)では、教育行政の各レベルが現場の課題に的確に対応し、良質な教育サ
ービスを全てのこどもに公平に提供していくための教育マネジメントの強化に取り組む。よ
り具体的には、SBG を活用した SIP の立案・実施の定着を支援し、これとあわせて ITSME
(~2013 年)が理数科を中心とした授業改善に取り組むことで、单部4県における初等教育
の質・アクセスの改善を目指す。なお、ITSME の実践のなかで指摘されてきた現行教科書の
内容面での不備への対応として、学習達成度がとりわけ低い算数の教科書改訂および印刷・
配布にかかる支援可能性を早期に検討し、算数の学力向上への取り組みを強化し、初等教育
課程修了率の改善に貢献する。
67
2016 年以降は、教育省が CIED2 で統合された「学校運営研修パッケージ」を他県に普及し
ていくことに加え、引き続き、算数教科書の改訂や、改訂版教科書に関する教員研修を支援
し、全国レベルにおける初等教育課程の中退率改善を目指す。
このように、2020 年までは、前期中等教育課程への入学資格者を増加させることを中心に
取り組むとともに、前期中等教育課程の受け入れ体制の整備については、主として学校施設
の拡充への支援を検討する。前期中等教育課程を視野にいれた教師教育については、養成分
野における技術支援の可能性について引き続き検討する。
基礎教育分野主要プロジェクト概要
【技術協力プロジェクト】
プロジェクト名
理数科教員養成プロジェクト(SMATT)
Project for Improving Science and Mathematics Teacher Training
協力期間
2004 年 6 月 15 日から 2008 年 6 月 14 日(4 年間)
ラオス国実施機関
教育スポーツ省教員養成局(DTT, MOE)
教員教育・運営開発センター(Teacher Education and Administrator Development
Center: TEADC)
全国 8 カ所の TTC/TTS
日本側協力機関
鳴門教育大学(国別研修実施機関)
上位目標
プロジェクト目標
TTC/TTS の理数科教育において教科教授法の質が改善される。
アウトプット
1. 指導者候補(国別研修受講生)26が以下の知識・能力を習得する。
① 理数科にかかる知識
② TTC/TTS での指導能力
③ ワークショップや国内研修で指導・評価する能力
2. ワークショップ、国内研修の受講生が、理数科にかかる知識及び TTC/TTS で
の指導能力を習得する。
3. TTC/TTS における理数科教員養成用の教員用指導書が整備され、校内外活動
によって普及する。
評価結果
・ プロジェクトの活動を通じて TTC/TTS 教官は児童・生徒中心の学習法を実
践するための知識や技能を身につけ、理数科教授法が改善しつつある。
・ TTC/TTS 教官の能力向上によって、その指導を受けた学生が毎年現場に輩
出されることとなる。また、TTC/TTS 教官は校内外研修を実施しており、
校内研修では他教科の教官への波及効果が、校外研修では現場教員への普
及・拡大に加え、現場での実践結果を教員養成課程の授業へフィードバック
が期待される。
TTC/TTS の理数科教官の質が改善される。
プロジェクト名
理数科現職教員研修改善プロジェクト(ITSME)
Project for Improving In-service Teacher Training For Science and Mathematics
Education
協力期間
2010 年 2 月~2013 年 10 月(3 年 8 ヶ月)
26
TTC/TTS の理数科教官の中から、特に能力向上が期待される教官が国別研修の受講生として選出される。
国別研修から帰国後は、WS、ICT の指導者として他の理数科教員に知識・技術を伝達する役割を担う。
68
ラオス国実施機関
教育スポーツ省教員教育局(DTE, MOE)
チャンパサック県、サバナケット県、カムアン県県教育局(PES)
パクセー教員養成短期大学(TEI)、サバナケット TEI
日本側協力機関
特に想定なし
上位目標
対象県の理数科の授業の質が向上する
プロジェクト目標
対象小学校において理数科の指導法が改善される。
1. 校内研修運営の仕組みが強化される。
2. 校内研修の仕組みを支援するための人材強化が行われる。
3. 現場実態に即した校内研修用教材が作成される。
アウトプット
プロジェクト名
協力期間
ラオス実施機関
上位目標
プロジェクト目標
成果
单部 3 県におけるコミュニティ・イニシアティブによる初等教育改善プロジ
ェクト(CIED:シード)
Supporting Community Initiative for Primary Education Development in the
Southern Provinces
2007 年 12 月 21 日から 2011 年 12 月 20 日(4 年間)
教育スポーツ省初等就学前教育局(DPPE, MOE)
サラワン県、セコン県、アッタプー県 PES、サラワン郡、ラオンガーム郡(以
上サラワン県)
、ラマム郡、タテン郡(以上セコン県)、サマキーサイ郡、サ
ナムサイ郡(以上アッタプー県)郡教育局(DEB)
対象郡における初等教育のアクセスと質が向上する
対象校における初等教育へのアクセスと質が向上する。
1. 村教育開発委員会の能力強化を通して、初等教育へのアクセスと質を向上
させるためのコミュニティの参加が強化された。
2. 効果的な学校運営と学級運営のために必要な校長と教員の能力が強化され
た。
3. 対象校の教員によって、学習の質を高めるための身近な素材を使った教材
が作成された。
4. コミュニティの参加による学校改善の促進に必要な活動を実施できるよ
う、カウンターパート(教育スポーツ省、県教育局、郡教育局)の能力が強
化された。
プロジェクト名
单部県におけるコミュニティ・イニシアティブによる初等教育改善プロジェクト
(CIEDII:シード II)
Supporting Community Initiatives for Primary Education Development in the Southern
Provinces Phase II
協力期間
2012 年 10 月(予定)~4 年間
ラオス国実施機関
教育スポーツ省就学前・初等教育局(DPPE/MoES)
、財務局(DOF/MoES)、計画
協力局(その後、計画局と対外関係局に変更)、教育基準・質保証センター
(ESQAC)
、4 対象県 PES、10 対象郡 DEB
日本側協力機関
特に想定なし
上位目標
対象県における初等教育のアクセスと質が向上する
プロジェクト目標
対象郡における初等教育のアクセスと質が向上する
1. SoQ を達成するための計画ならびにトレーニング・コース実施を支援する教育
スポーツ省(MoES)の能力が強化される。
2. SoQ を達成するための、状況分析に即した対応が PES/DEB によって準備、実施、
提案される。
3. 学校改善計画(SIP)の実施を支援するための、PES/DEB の能力が強化される。
アウトプット
69
【無償資金協力】
一般無償:
プロジェクト名
小学校建設計画/The Project for Construction of Primary Schools
協力期間
Ⅰ期:E/N 2003 年 8 月 15 日(着工:2004 年 3 月 2 日、竣工:2005 年 2 月 22
日)
Ⅱ期:E.N 2004 年 6 月 18 日(着工:2005 年 1 月 17 日、竣工:2005 年 11 月 30
日)
対象地
ビエンチャン特別市、ビエンチャン県
事業目的
ビエンチャン特別市及びビエンチャン県で学校施設の建て替え、新設が緊急に
必要と判断される小学校 77 校において、教室、教員室、家具を整備すること
により、児童の学習環境を改善することを目的とする。
供与額
合計 7.58 億円(Ⅰ期:3.33 億円、Ⅱ期:4.25 億円)
協力概要
●小学校建設:77 校 391 教室(ビエンチャン特別市 38 校、ビエンチャン県 39
校)
→裨益生徒数:約 31,280 名
●その他:職員室、トイレ、机・椅子・本棚等の家具
コミュニティ開発支援無償:
プロジェクト名
单部 3 県学校環境改善計画
Project for Improvement of School Environments in The Three Southern
Provinces
協力期間
E/N:2009 年 2 月 12 日
2009 年~2011 年 1 月
対象地
サラワン県(サラワン郡、ラオンガーム郡)、セコン県(タテン郡、ラ
マム郡)
、アッタプー県(サマキーサイ郡、サナムサイ郡(
事業目的
ラオス国の单部 3 県 6 郡(サラワン県:サラワン郡、ラオンガム郡、セ
コン県:ラマム郡、タテン郡、アッタプー県:サマキサイ郡、サナムサ
イ郡)において、学習環境が改善される。
供与額
6.85 億円
協力概要
●小学校建設:74 校 266 教室(サラワン県 28 校、セコン県 21 校、アッ
タプー県 25 校)
→裨益生徒数:約 8,500 名
●その他:職員室、トイレ、机・椅子・本棚等の家具
プロジェクト名
協力期間
対象地
目的
供与額
協力概要
チャンパサック県・サバナケット県学校環境改善計画
Project for Improvement of School Environments in Champasack and
Savannakhet Provinces
2010 年 5 月 閣議、2010 年 6 月 E/N
チャンパサック県、サバナケット県の各 6 郡
ラオス单部のチャンパサック県及びサバナケット県において、小学校及
び中学校の施設及び設備を改善することにより、学校環境及びアクセス
の改善を図る。
10 億円強
●小学校建設:61 校 261 教室(チャンパサック県 35 校、サバナケット
県 26 校)
●中学校建設:30 校 143 教室(チャンパサック県 15 校、サバナケット
県 15 校)
70