マルチメディア 情報ネットワークによる再生

マルチメディア
情報ネットワークによる再生
今井慈郎
総合情報センター(工学部併任)
imai@eng.kagawa-u.ac.jp
講義の構成
„マルチメディア情報ネットワークとは
ネットワーク/ICTの基礎
„インターネットによる地域再生のシナリ
オ
成功する(した)地域再生のイメージ
„携帯電話およびITによる地域再生のシナ
リオ
今後期待される地域再生のストーリー
マルチメディア情報ネットワークとは
コンピュータの歴史はネット
ワークの歴史 (その1)
ネットワークの分類
• LAN(比較的小規模のネットワーク)とWA
N(地域間を結ぶ広域ネットワーク )
• 有線通信(代表:光ファイバーケーブル)と
無線通信(代表:携帯電話)
• マルチメディア??・・多様な情報に対応
コンピュータの歴史はネット
ワークの歴史 (その2)
• コンピュータの処理形態
バッチ処理,TSS,オンラインリアルタイム
処理,分散処理
• 効率の悪いコンピュータはダメ!!
ネットワークは資源の有効利用を実現(効
率化を目標にすると,時代はネットワーク
へ)
専用回線
端末
時分割処理 (TSS,Time Sharing System)
座席予約センタ
駅窓口
オンライン・リアルタイム処理
(Online Realtime Processing)
代理店
コンピュータを含めた資源の利用効率を図る
のがネットワーク導入の原点
ネットワークは「もったいない」の精神から!
資源を共有するユーザの輪がネットワークを構成
コンピュータの歴史はネット
ワークの歴史 (その3)
• サーバクライアント通信(Server Client
Computing)・・分散処理
サーバ:サービスの提供側(24時間稼動)
クライアント:サービスの要求側
• 通信規約(プロトコル:Protocol)の重要性
• 標準化(Standardization)は必須条件
1
A4
2
B4
分散処理環境におけるサーバとクライアントとの機能分散
ネットワークから
インターネットへ (その1)
• コンピュータが主体(「コンピュータ接続」
「コンピュータ通信」)からネットワークが主
体(「コンピュータネットワーク」「システム間
相互接続(Open Systems Interconnection)」)
へ
• ネットワークのネットワークという意味(ネッ
トワーク同士が相互に接続する、
Internetworking)で、「インターネット
(Internet)」
OSI(Open Systems Interconnection)の7階層参照モデル
TCP/IPネットワークプロトコル
アプリケーション層(application layer )
プレゼンテーション層(presentation layer )
Application
セッション層(session layer)
TCP+UDP
トランスポート層(transport layer)
OS
IP(ARP+ICMP)
ネットワーク層(network layer)
Device Driver
データリンク層(datalink layer)
Hardware or Cable
物理層(physical layer)
TCP/IPネットワークプロトコルのスタック構造
ネットワークから
インターネットへ (その2)
• IPアドレスが活躍する通信プロトコル
インターネット上で、コンピュータ間の相互
接続(ネットワーク上で指定のコンピュータ
間で通信)を実現する通信規約
• 信頼性を確保する通信プロトコル
情報の欠落を検知し、再送などで信頼性を
向上
ネットワークから
インターネットへ (その3)
• インタ−ネット世界は「栄枯盛衰」の歴史
IBM,DEC,Compac,NEC−PC,マイ
クロソフト ・・ 続々登場する企業
• WWW(World−Wide Web)はビジネス
チャンスの宝庫
ブラウザ戦争,Google・アマゾンの台頭,
マイクロソフトにも陰り,クラウドコンピュー
ティング
インターネットと携帯電話
(その1)
• ハードウェアから,ソフトウェアへ
コンピュータは高価(ソフトウェアはオマケ?)
Windowsが動作するのが条件
• ソフトウェアから情報へ
個人情報こそ一番
情報で儲けるGoogleなどの検索エンジン
• 価値の刻々と変化するグローバル社会
インターネットで加速するグローバル社会
インターネットと携帯電話
(その2)
• コンピュータユーザはインターネットユーザ
高機能化と低価格化が相乗効果,ユーザ数
拡大
• 40歳以下の人間の9割は常時インターネット
接続可能
「あなた,PCや携帯電話を持ってますか?」
• インターネットは価値の源泉
情報が価値を産む時代.情報を瞬時に入手
できるコンピュータは金の卵を産む鳥
インターネットと携帯電話
(その3)
• いつでも,どこでも・・
Ubiquitus(「ユビキタス」)という概念
• 携帯電話は電話のみにあらず
パケット通信も得意な携帯電話って,既にコ
ンピュータ!
• インターネットと携帯電話はネットワーク利用
の必需品
マルチメディア情報ネットワーク:ビジネス環
境そのもの
インターネットによる地域再生のシナリオ
デジタルデバイド再考 (その1)
• 総務省:「デジタル・ディバイド解消戦略会
議」を発足.2010年度をターゲットとした「ブ
ロードバンド・ゼロ地域の解消」「携帯電話
不感地帯の解消」を標榜.
• 地方にはデジタルデバイドが多く存在し、
都市にはデジタルデバイドの存在は比較
的少ないか?
• インフラ(Infrastructure)とは何か:人口密集
度,公共交通機関,計算機網と交通網・・
デジタルデバイド再考 (その2)
• 交通網と計算機網(インターネット)の比較
• 土木技術と電子・情報技術の違い!?
• 電子スピードでの情報の遣り取り:交通網
に比べて,情報取得の際に遅れが目立た
ない
• 都市より遅れて開始された地方のインター
ネット普及:当初から高速ネットワークで,
都市とは異なる恩恵も
デジタルデバイド再考 (その3)
• 世代交代が速く,コストパフォーマンスが
劇的に向上.低価格化が可能.結果として,
先頭を切るより,二番手が返って有利とな
る場合もある
• 標準化の議論が起こり,先行投資が返っ
て無駄になる場合も.「先んずれば,人を
制す」がいつも成立する訳ではない
• 都市と地方の格差はインターネットの普及
によって拡大するとは言い切れない
デジタルデバイド再考 (その4)
• 高速道路や新幹線などの交通網というハコ
モノより,インターネット(情報ハイウェイ)の
方が,都市・地方の格差を強調しない
• インターネット(新しいインフラ)は,交通網・
人口などの偏在が緩和.比較的,都市と地
方に中立な基盤
• 地方が今更,格差のある交通網や人口で都
市と伍していくのは効率的でない.
• 地域再生は,新しい土俵で勝負する方が期
待でき,好条件.
地方からの情報発信(その1)
• 発信したいのは地方の魅力
• では「地方の魅力とは何か?」みんなの課題
• どうすれば良いか?
利田秀男氏(四国財務局長,地域マネージメント
研究科「四国経済事情」講師)のご提案
地方からの情報発信(その2)
• 地域の資源(四国なら「八十八個所巡り」「瀬
戸大橋」「うどん」「スダチ」「坂本竜馬」「坂の
上の雲」・・)
• 小さな努力でも「継続は力」なり
• 地域のリーダーが不可欠(コンサルではダメ)
• Only One企業が需要(No1は難しい)
• 住民参加が重要
• 行政が引っ張るのではなく,むしろBackup役
地方からの情報発信(その3)
• 参考になるモデルはないか?
• インターネットはビジネスチャンスの宝庫
• グーグルは単なる検索サイトだけではない。
アマゾンもネット書店だけではない。
• マルチメディア情報ネットワークの活用
スモールスタート,少ない先行投資,
自分で行う宣伝(不要な宣伝費カット),
トレーサビリティ対策とリピータ対策,
地産地消効果(相乗効果)
地方からの情報発信(その4)
アマゾン(Amazon.com)の戦略を調査
• ユーザ属性の把握,消費行動履歴の
データベース化,消費行動の予測,提
案型の販売戦略
• 逆転の発想:書籍書店が在庫を長期に
渡って保有することを嫌がる.これに対
し,「ロングテール現象」なる新しい概
念を導出.コペルニクス的発想でビジ
ネスシーンを牽引.
ロングテール現象
• Web2.0の進展(インターネット,特にWeb第二世代)
• ロングテールと呼ばれる多様で小規模な商品需要であっ
ても,魅力ある市場として成立する可能性が増加.
• 従来,多様で小規模な商品需要は,市場としても難しく,
仮に成立する場合でも,ごく限られた利益しか期待できな
かった.
• しかし,幅広い利用者の参加等を特徴とするWeb2.0の進
展により,そのような商品需要を効率的に集積・顕在化さ
せることが可能.
• 一般市場と遜色ないレベルの市場として形成することが
期待できる
ロングテール現象の概要
出典: 平成18年版情報通信白書
インターネット普及と中小企業(その1)
• 労働力集約型の産業構造にだけ頼っている方式:
少子化社会が進行している日本では,今後も採用
し続けることは難しい戦略.
• 情報産業や観光産業などは,比較的「労働力の集
約という制約」は少ない.
• 特産物(モノとは限らない)と情報発信という手法:
地方においても,インターネットの活用で,ビジネ
スチャンスは拡大.
インターネット普及と中小企業(その2)
• 新しい地方のビジネススタイル
• インターネットの普及などではじめて可能と
なるスタイルとも言える
• 地方の良さを理解した人材の選択したビジ
ネスとは?
• サテライトオフィスなどもこの一例か(第2章
を参照)
インターネット普及と中小企業(その3)
• 個人ベースのビジネス戦略・・(例1)
• インキュベーションレベル企業のビジネス
戦略・・(例2)
• 地元中核企業を目指す中小企業のビジネ
ス戦略・・(例3)
例1)個人ベースのビジネス戦略(ライフスタイル)
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家族との生活を重視.地方に生活の拠点を移動.
目的は「コスト」と「豊かさ(QoL)」
三世代型の生活スタイルを是と見る.
一方,仕事のため週に2,3日間上京し,ビジネスパートナー
との面談は有効と考える.
特に,仕事を受注する際と仕事を先方に収める時,「フェイス
ツーフェイスの付合いが不可欠」.
地方の自宅を中心に活動.定期的な連絡としてインターネッ
トを活用.
周囲が光ケーブル化される際に,率先して導入し,高速化・
高信頼性化の恩恵を享受.
自治会活動や地域イベントにも参加し,地方活性化の一助
を担っているとの自負あり.
例2)インキュベーションレベル企業の
ビジネス戦略
• A社は20名以下のインキュベーション施設を卒業したこ
れからの企業.
• 地方公共団体が提唱する産業育成プランを活用.売上
げ数億円を目指す情報系企業.
• 地域のビジネスパートナーと一緒に情報共有化を実践し,
東京から情報を入手.地方で展開する戦略.
• 社長のパイプを活用し,地元の大手企業とも繋がりを強
化.
• インターネットを利活用した戦略商品や情報サービスを
展開することで、地域密着型のビジネス戦略を採用.
例3)地元中核企業を目指す中小企業
のビジネス戦略
• B社は30名程度の地方型企業.
• 技術者集団として受注型製造と企画型設計開発を両輪
と位置付け,電子情報機器製造企業として売上げ10億
円を目指す.
• 社長自ら技術者として企業を率いると共に,信頼性を上
げる意味でも研究的視点を持ち,努力の甲斐あって学位
を取得.
• パートナー企業の経営者からも一目置かれる存在.
• 技術者を出張させる案件も多いが、インターネットを活用
することで、情報の取得・発信にも精力的に取り組む.
1つの結論(テキストをまとめただけ)
• 知恵を絞ることで、都市にはない発想でビジネスモデルを創
造することは可能.地方に依拠し,そこでの生活をエンジョイ
しつつ,企業を維持・発展していく努力を継続.上京,海外に
出張,などのオーバーヘッドは必要.発想の転換という意味で
は返って必要な出費とも.共通事項として,インターネットを活
用し、情報発信や情報取得を効率化している点は注目すべき.
• 今や,インターネットを活用しない企業は,存在を維持するこ
とが難しい.ここでの結論として,都市型企業、特に中小企業
と地方型企業(やはり中小企業が多い)との違いは少なくない
が,インターネットを活用することでは大差がない.インターネッ
トは,交通網のような都市部に篤く,地方に薄いということはな
い.むしろ,インターネットでは,都市と地方との格差が少ない.
地方にある企業にとって,デメリットをメリットに変える工夫で,
インターネット導入の効果を高め,成長することも可能.
インターネットを活用した地域再生
の試み(その1)
• インターネットを活用した地域再生の1つのメリット:その
投資効果.初期投資が低いわりに,投資効果が期待(交
通網などのインフラ整備と比較すれば、明らかに初期投
資は低減).一方、巧みなビジネスモデルは,投資効果
向上の可能性あり.挑戦する価値のある方法論.高い投
資効果を期待するには,知恵を絞ってアイデアを練ること
が不可欠.
• インフラとしての光ケーブルインターネットの敷設.パソコ
ンなど情報機器の導入.オペレータなどの人材確保.決
して安い投資ではない.当初の運転資金や継続する人
材育成経費などを低減し,明確なリーダーシップを有する
核となる人材の登用が成功の秘訣.
インターネットを活用した地域再生
の試み(その2)
• 可能性を高めるため,アイデアを磨き上げることも必要.
競争資金を獲得するため,地方は知恵を絞ることが不可
避.
• 新しいタイプの適者適存,適材適所という形の人材開発
が不可欠.
• これから社会に巣立とうとする若い諸兄姉に明言したい.
「この状況は何も嘆くことではない」
• これから社会に出て人生を謳歌しようとする若者には,
門閥・学閥やコネという得体の知れないモノではなく,知
恵(アイデアなど)と行動力(調整力・発言力など)で地域社
会に貢献できるという可能性が高まったと考えられる.
インターネットを活用した地域再生
の試み(その3)
• 今後の再生継続には,地域産業や住民個人のアイデア
を汲み上げる方策を検討すべき.
• 懸賞を掲げてアイデアコンテスト等を行い,広く民力パワー
を高揚させる工夫も必要.
• 提案の正当な評価には,教育担当者側の意識改革を伴
い,提案の活発化には,評価機構は不可欠.
• 地方行政では,地方大学などの教育機関や地元企業(中
小企業が主体)が連携できる体制作りが望まれる.
• 人材育成と産業創出を組み合わせた国のファンド(補助
金)も多数あり,獲得を目指すべき.
• 地方の独自性を巧く主張し,ローカルニッチを目指すこと
も可能.
インターネットを活用した地域再生
の試み(その4)
• 教育機関を活用し,若い発想を重視する姿勢も必要.例
えば,1000万円で受注したい情報システムを地元大学に
100万円でプロトタイプ作成を依頼.その結果を元に企業
に500万円で発注できれば,400万円のコストダウンを実
現可能.
• 地方行政が上意下達に陥ると,競争資金を獲得すること
は困難になる危険性.
• むしろ,地方の力(地元企業,地方大学,地方公共団体
など)を糾合し,身の丈に合った方策を議論し,国のファ
ンド(競争資金など)の獲得を目指す.地元の魅力を周囲・
全国にアッピールできる体制(継続性)を確立することが
必要.
携帯電話およびITによる地域再生のシナリオ
現在,作成中です.暫くお待ちください.
出典:
http://mikiyu.oops.jp/405/koujichu.htm