6.ホームページ設計のポイント

6.ホームページ設計のポイント
ソフトウエアーアドバイザー 山本 邦彦
(1)専門店らしい独自の特徴を打ち出す
中小企業で、インターネット・ショップ売上げ、50億円を達成しているパソコン販売
店フリーウエイ(店舗名:ツートップ(東京都千代田区):http://www.twotop.co.jp/)のサイ
トは、シンプルな設計になっている。商品などの画像データを一切使わず、テキスト情報
だけを利用することで、表示時間を短くし、ユーザが気軽にアクセスできるようにしてい
る。代わりにメーカーなどのホームページとリンクを張り、商品情報を参照できるように
工夫している。さらに魅力を高めるため、インターネットだけの格安商品を日替わりで用
意し、リピータを増やす工夫をしている。このようにネット上で、価格メリットを出せる
商品を取り扱う専門店では、ホームページの設計に当たり、独自の店舗の特徴を明確に、
打ち出すことをすすめたい。
(2)インターネット商店街は、ユーザの利便性を追求する
中小、中堅規模のインターネット商店街を運営する楽天(モール名:楽天市場:
http://www.rakuten.co.jp/)は、加盟店舗を横断してユーザのニーズに合う商品を選ぶ検索機
能を提供している。「敬老の日」と、キーワードを入れると、加盟約250店舗の各カタ
ログから関連する商品を選択し、表示する。さらに、商品の価格をユーザの入札によって
決定する「ネット・オークション」機能も追加している。このように、モール全体の知名
度と、利便性を高めるための、設計が必要となる。個店と、モール全体の魅力向上策は、
相互作用があり、実商店街の運営ノウハウに、インターネットの付加価値を加えて、仮想
空間である、階層的・横断的なホームページの設計をすすめるとよい。マーケットが拡大
すれば、大企業との競争も避けられなくなる。特に変化の激しいネット業界だけに、大企
業にはないスピード経営を維持する一方で、一人一人の顧客に対して、いかにきめ細かい
サービスを付加できるかがモールのホームページの設計に大切である。
(3)コンサル機能を盛り込む
非常に優れているサイトに『ガーデン・ドット・コム(http://www.garden.com/)』があ
る。そこでは庭の広さはどれくらいか、気候はどうかといった質問項目に答えていくと、
適切な種類の植木や花を配置した庭のイメージデザインが出てきて、ユーザーがレイアウ
トを自由に設計できる。
オンラインショッピングのボタンを押せば、サイト上で設計し
た庭をつくるのに必要な花や苗、肥料のリストが出てきて、注文を出せる仕組みになって
いる。
このように、ホームセンターの実店舗で実施している、コンサル営業機能を仮想
空間であるインターネット・ショップの設計に盛り込むことが、付加価値を高め、集客力
を高める。
(4)ショップの知名度を高める
インターネット・ショップで本格的な物販ビジネスを展開するため、電子店舗を作って
も認知されないのではないかという質問がよくある。自社の電子店舗の存在をユーザに知
らせることは、インターネット・ビジネスの第一歩である。「良い商品がある」、「サー
ビスがおもしろい」という評価を高め、自社のネットサイトにおけるブランド名を確立し、
集客力を高め、電子店舗の販売増加を目指すことが基本となる。インターネット・ビジネ
スは、参入障壁が低く、誰もがビジネスを展開できるので、競争相手は多い。こうした状
況では、商品やサービスの競争力に加え、ブランド力が重要な要因となる。認知度を高め
るために、検索エンジンやニュース・サイトなどの多くのユーザが利用するサイト(ポー
タル・サイト)にバナー広告を出したり、新聞や雑誌などのマスメディアに出す広告に、
自社のサイトのURLを掲載する。さらに、インターネット広告を専門に手がけるDAC(東
京都渋谷区)の「DACチャンネル」等の、個別の商品・サービスに関心のある特定ユー
ザに訴求する、「ワン・ツー・ワン・マーケッテイング・サービス」を利用することも選
択肢として検討するとよい。
(2)口コミの影響力を重視する
従来のビジネス形態でも顧客を知ることが重要なことは当然だが、オンライン・ビジネス
では、それが更に重要である。オンラインの場合、口コミの影響力が従来のビジネス形態
よりも一層強くなる。オンラインでは、力の関係は販売業者側から顧客側に大きく移行す
る。それを販売業者が認識できなければならない。正しくゴールを設定し、それ以上の成
績を納める必要がある。そうすれば自然と新しい顧客が集ってくる。彼らは、インターネ
ットを介して更に新しい顧客を開拓する手助けとなってくれる。大多数の顧客が未だに口
コミによってウェブサイトを訪れる。もし何かが気に入っていだだけなかった顧客がいた
とすると、店頭販売の場合であれば、その人は5人の友人にその事を話す。インターネッ
トでは、ニュース・グループやリスト・サーバーなどを通して5000人の知合いに連絡す
る。オンラインの顧客は、簡単に多数の人に連絡し合う手段を持っていて、良い事でも、
不満な事でもその体験談を載せる事ができる。店頭販売では阻止できる問題も、オンライ
ンに載ったメッセージに対しては何の対策も打てない。逆に言えば、オンラインでは広告
宣伝が重要ではない。いや、実際は重要であるが、店頭販売における広告宣伝の重要性に
比べたら、ほんの僅かと言える。
<プロフィール>
●山本邦彦(やまもと
くにひこ)氏(山本技術士事務所 代表)
・慶応義塾大学大学院工学研究科修了。
・中小企業診断士、技術士、特種情報処理技術者。
・丸善石油(株)
、
(株)東洋情報システムを経て、山本技術士事務所設立。産能大学非
常勤講師。
・情報通信コンサルタントとして、主として、インターネットビジネスに関連する講演、
著作、コンサルタント活動に従事。
・著書として、
「21世紀を勝ち抜く経営戦略」、
「ビジネスモデル特許の国際動向と今後
の展望」など多数。
・中小企業総合事業団、東京商工会議所登録アドバイザー。
・日本技術士会情報工学部会幹事。
・E-mail:CZB06324@nifty.com
●活躍する商店街
楽天市場(http://www.rakuten.co.jp/)
●インターネット・ショップの市場規模
国名
日本
米国
1998年 2003年
650億円 3.16兆円
2.25兆円 21.3兆円
セグメント別
旅行
自動車
パソコン関連
衣類・アクセサリー
その他
1998年
80億円
20億円
250億円
73億円
2003年
9,100億円
4,900億円
3,700億円
1,800億円