イ タリア ミラノIFOMがん研究所

武田研スーパーマニュアルシリーズ Vol.2
2009/10/06
京都大学医学部医学科 前田徹朗
2009 年、2 回生の夏休みを利用して、8/17∼9/30 の 47 日間イタリアのミラノにある
IFOM-IEO Campus(ヨーロッパがん研究センター、IFOM と IEO の共同研究拠点です)の Andrea
Musacchio 教授のラボに留学生として滞在させていただきました。このレポートでは、留学
までの準備、ラボでの研究の様子、ゲストハウスでの生活全般、そして旅行について書き
たいと思います。これから IFOM-IEO Campus,とくに Musacchio ラボに行く人は読んでおく
と役に立つかもしれません。
貴重な経験をさせていただき武田・Musacchio 両教授には本当に感謝しています。ありが
とうございました。
1.
留学まで
用意するものはパスポートや CV(Curriculum Vitae, 履歴書のこと)など結構多いで
す。これについては 2009 年の 1 月∼3 月に同じ施設内、IFOM の Dana Branzei さんの
ラボに留学された白石さんのレポートで既に書かれていますので、そちらを参照して
ください。武田研の秘書さんに言えばもらえます。
これに追加していくつか述べますと、IEO に滞在する人は主に IEO の秘書さんである
Daniela さん daniela.rossi@ifom-ieo-campus.it と連絡を取ることになります。
Musacchio 教授 andrea.musacchio@ifom-ieo-campus.it にも必ず連絡しましょう。
飛行機のチケットは、西医体とか夏休みの予定が確定したら即取りに行くことを勧
めます。僕は結構遅くなってから取りに行って結局 Air France に決めたのですが、キ
ャンセル待ちとかお盆は高いとかで色々と面倒くさいです。旅行センターの人に聞い
てなるべく安くいい飛行機を取りましょう。
Musacchio ラボには Dana ラボと違い、日本語を話せる人はいません。ラボでの共通
語は英語なので、最低限のテクニカルタームは覚えていかないと向こうに迷惑かかり
ます。イタリア語が使えればなお良しですが、文法書か辞書ぐらい持って行けば十分
です。
実験については基本的には向こうで教えてもらえますが、ラボを爆破しない程度の
知識と経験は日本で身につけておきましょう。武田研に 2∼3 ヶ月通えば十分だと思い
ます。あとは向こうの研究テーマについて少し知っておくといいでしょう。
向こうでは現金を使う機会が結構多いので、ユーロは気持ち多めに両替して持って
いきましょう。
1 ヶ月半なら 500 ユーロぐらいでいいと思います(足りなくなっても ATM
でクレジットカードを使ってキャッシングができますが後日手数料が少し多めにかか
ります)。荷物で必要なのは服(ミラノは緯度が高く気温も低いので 9 月でも長袖が必
要です)と、歯ブラシ等のアメニティは向こうにはなかったので持って行くのがいいと
思います。ラボへの挨拶のときのために日本土産も忘れずに。それから日本やアジア
の食材は高いし売ってる場所も限られるのでサトウのごはんとかインスタントの味噌
汁とか持って行くのもいいかもしれません。
旅行関係ですが、ガイドブックは「地球の歩き方」を持って行きました。それから
個人的に良かったのがユーレイルパス。これはヨーロッパの国営鉄道に乗り放題にな
るお得なパスです。向こうでは買いにくいので、列車で旅行しまくりたいなら生協の
旅行センターとかで買っていきましょう。
2.
ラボの様子と実験
Musacchio ラボの研究テーマは、細胞分裂中∼後期における染色体分離のメカニズム
でした。平日は毎日朝 9 時にラボに行き、実験(僕のときは DNA クローニングでしたが、
これはスーパーバイザーの人が決めるのでタンパク質の結晶化だったり、細胞培養だ
ったり色々です)をし、空き時間には教科書や論文を読んだり、他の実験の見学や手伝
いをしたり、施設内のバール bar でラボメイトとコーヒーを飲んだりして、実験が終
わったら帰る、という生活でした。ランチについては向こうの秘書室で食券がもらえ
て、バールか、これも施設内にあるカフェテリアで提示するとただで食べられます。
ラボでの生活は慣れないことも多くて大変でしたが、とにかく色々と新しい刺激に
触れられて楽しかったです。実験についてはポスドクがついて教えてくれるので問題
なく、それ以外にも質問すれば何でも教えてもらえます。実験とか論文の内容だけで
なく旅行とかについてもアドバイスをもらえるので、積極的にどんどん話しかけてい
きましょう。
みんなフレンドリーで優しく、
いつもコーヒーやランチに誘ってくれ、ま
た仕事の後に街に連れて行ってもらったり
することも多かったです。
ラボではみんな基本的には英語を話しま
すが、イタリア人が多い(Musacchio ラボは
割と外国人が多い方でしたがそれでも半分
以上がイタリア人でした)のでしょっちゅ
うイタリア語が飛び交ってます。なのでラ
ンチの席でなどは少ししんどいかも。自分か
らどんどん話をしていこうという姿勢が必
要だと思います。英語が多少不自由でも堂々
↑ドイツ料理レストランにて、
ラボメイトの皆さんと
と、いつも笑顔で、言いたいことがあれば躊躇せずに言う。伝えようという気持ちさ
えあれば大丈夫です。
3.
ゲストハウスでの生活
滞在したのは IEO の所有するゲストハウスです。Campus 内にある IFOM のゲストハウ
スとは違うのでご注意を。これは Campus から南にバス・トラム(路面電車)を乗り継い
で 30 分、距離にして約 5km の郊外にあります。シングル
1、ツイン
2 で合計 5 人ま
でがルームシェア形式で暮らせるようになっています。僕は日本人の京医の先輩、ド
イツ人の学部生、フランス人のポスドク、イタリア人のポスドクと 5 人で一緒に暮ら
していました。浴室は各部屋に 1 つずつで、キッチンは共同です。食器や寝具、洗濯
機、テレビは備え付けられていて、週に 1 度おばちゃんが来て掃除してくれます。炊
飯器や冷暖房、ネット環境はないです。ネットがしたかったらラボでしましょう。
ミラノのバス・トラム・地下鉄はチケ
ットが共通で、1 回券が 1 ユーロ、10
回券は少しお得で 9.20 ユーロです。
「T」のマークのタバッキ Tabacchi や
地下鉄の自動販売機で購入可。バス・
トラムでは自分で機械にチケットを
突っ込んで、地下鉄では改札機に入れ
て刻印します。検札がたまにいて、無
↑トラム@ Vigentino 駅
賃乗車が見つかると 30 ユーロぐらい
罰金されるのでなるべくチケットは
多めに買って忘れずに刻印しましょう。刻印してから 75 分間は乗り換え放題です。ラ
ボからゲストハウスまでの路線については Daniela さんからハンドブックがもらえる
と思うのでそちらを参照してください。
食事については、ランチは Campus 内でと
れるので夕食だけ作っていました。Campus
の近くに大型スーパー「Esselunga」があり、
ここで食料品や日用品はだいたいのものが
揃います。パスタが一番手軽で、さすがイ
タリアだけあって種類も充実しています。
他にもピッツァの生地やミネラルウォータ
ー、チーズ、オリーブオイル、トマトソー
ス、ジェラートなどが安く買えて便利です。
朝食は殆ど食べなかったのですが、ルー
↑Esselunga, Esse=s, lunga=long.
ムメイトはパンにジャムやヘーゼルナッツクリームを塗って食べていました。これら
も Esselunga で買えます。
外で食べると高いですが、イタリアのピッツェリアやジェラテリアは美味しいので
行く価値ありです。たぶんラボの人たちが連れて行ってくれると思います。それから
夕方にやってる「Happy Hour」は何かドリンクを頼むとビュッフェ形式でカウンター
に並んでいる料理を自由に取れるサービスです。これは手軽でかつ結構お腹いっぱい
になるので試してみましょう。
4.
旅行について
週末は休みだし、せっかくイタリアに来たんだからぜひ旅行に行きましょう。僕は
ユーレイルパスを使ってイタリア国鉄 trenitalia でイタリア各地+パリに行きました。
詳しくはガイドブックを参照してもらえるとありがたいのですが、ミラノ中央駅
Milano Centarale からイタリアの主要な都市への列車が出ています。中央駅への行き
方は、ラボから 24 番のトラム(ゲストハウスと反対方向)に乗り、Crocetta または Duomo
駅で地下鉄 3 番線に乗り換えて Centrale F.S.駅で下車すぐです。
イタリア国鉄は国際線や夜行列車も多く運行しており、金曜の仕事終わりにそのま
ま夜行で南イタリアとかフランス、ドイツ、スペインに行くことも可能です。旅行の
日程が決まったら、列車の運行状況と予約が必要かどうかをネットとかで調べましょ
う。基本的に特急列車や寝台列車は予約が必要です。ユーレイルパスを持ってても予
約には追加で料金が発生しますが、予約不要な普通列車ならただで乗れるし、特急で
も安い種類のものなら 3 ユーロの予約料金だけでローマにもナポリにも行けます。因
みに僕はヴェネツィア、ローマ、ナポリ、ボローニャ、パリ、その他イタリアの色々
な町を歩きました。列車の旅についてばかり書いてしまいましたが、遠くに行くなら
飛行機も全然アリです(ヨーロッパ内なら早めに予約すればかなり安いそうです)。
最後になってしまいましたが、イタリアで
の生活については、同じく Musacchio ラボに
2008 年の夏に行かれた森さんのレポートにも
書いてあるのでそちらもぜひ読んでみてくだ
さい。ラボ内の写真やラボメイトの皆さんに
ついての詳しい記述もあって、きっと参考に
なります。これも武田研の秘書さんに言えば
もらえます。
↑ミラノの Duomo (大聖堂)
何か質問があればお気軽に前田徹朗
realize_my-brilliant-future@fc4.so-net.ne.jp
までどうぞ。
では、ミラノでの留学生活、楽しんでください。Good luck!