GigE Vision™ : 革命の用意はできた

GigE Vision™ :
革命の用意はできた
目次
■インサイト・スクープ / 特集
- GigE Vision™:革命の用意はできた
- gig 画像に注目する MIL と Solios
■アプリケーション・スポットライト
/適用事例の紹介
- ショック療法 ∼上海電力事情∼
■プロダクト・ニュース / 新製品紹介
協議を重ねた結果、自動画像処理協会
(Automated Imaging Association, AIA)では、
2006 年 5 月に東ボストンで開催された Vision
Show で、マシンビジョン業界に向けてギガビッ
トイーサネット規準を発表。2006 年 11 月にドイ
ツのシュトゥットガルトで開かれた Vision 2006
においても、AIA のこの新規準は、誕生してか
らわずか 6 ヶ月という初期段階にも関わらず、
今後急速に成長し、また発展するだろうと予測
されている。
その普及の速さと手ごろさで、イーサネットテクノロジーは、マ
シンビジョン業界に革命を起こすだろうと言われている。GigE ビ
ジョン™は、現存するイーサネット基準に端を発する一分派であ
るが、ネットワーク内のデバイスロケーション確認拡張機能、セ
ットされたカメラの特徴を記述する XML ベースデバイスディスク
リプタ、デバイス/アプリケーションコントロールプロトコル、デー
タ伝送用ストリーミングプロトコルなどが含まれている。GigE ビ
ジョン™の目的は、ソフトウェアパッケージに、ギガビットイーサ
ネットカメラのインターフェースをたやすくとることにある。我々
が、科学・産業分野向けアプリケーションのニーズを満たすビ
デオ伝送プロトコルを扱えるようになったのも、AIA の努力の賜
物と言える。
- 計測水準の向上 ∼Metrology の全て∼
■アバウト・アス / Matrox 社の試み
- 新たな試みはさらに続く…
■ショー・タイム / 展示会情報
- 新製品 「Matrox Morphis QxT」 が世界中の
トレード・ショーを席巻!
Full data-stream ahead !
- データストリーミングの将来像!マシンビジョン業界でギガビットイーサネットについて耳にした
ことのない人が果たしているでしょうか? マシンビジョンのア
プリケーションデザインで繰り返し取り上げられる接続性の問
題とともに、このプロセスを簡単にすることが、カスタマーとサ
プライヤー双方の共通の利益となるはずです。
AIA が、イーサネットテクノロジーを取り上げ、ネットワーク内
でのカメラのロケーション確認、セットされたカメラの特徴を記
述する XML ベースディスクリプタ、デバイス/アプリケーション
コントロール、データ伝送プロトコルなどの標準設定をしたこ
とは、重要なステップとなりました。勿論 AIA は、Matrox を含
めた基幹産業関係者からの支援を受けているため、標準化
は科学的、かつ産業的アプリケーションのニーズを満たすも
のとなっています。
Matrox は、このテクノロジーの進化に貢献したことを誇りに思
い、業界のリーダーとしての地位を守り続けております。この
精神を胸に、今後も新しいハードウェアやソフトウェア製品
を、その新市場へと紹介し続けていく所存です。弊社の
x4PCle™対応 Solios GigE インターフェースは、FPGA オプショ
ナルサポート付きで、ハードウェアボードレベル加速製品にお
ける私どもの知識を集結したものであり、弊社の Windows XP
対応 MIL GigE Vision™ドライバが、受賞した MIL 開発キットを、
より多くのお客様に提供していくことと思います。
MIL について、Imaging Insight では、弊社の新しい計測モジュ
ールに注目し、また、ハードウェア QA ベンチマークをご紹介
いたします。産業面で、当面の接続性の問題に取り組むいっ
ぽう、私どもは、ハードウェアプラットフォームやハードウェア
の互換性に注目し、同様の投資をしております。こうして弊社
では、それぞれの分野で、カスタマーの皆様に、付加価値を
もたらすよう努力を続けております。
Matrox Solios GigE
Matrox Imaging 社
Vice President, Sales & Marketing
François Bertrand
- 1 -
GenICam とは?
プリケーションのパフォーマンスを最適化するためには、おそら
く自分の NIC をコンフィギュレーションしなければならないだろ
う。たとえば、おそらくは特大フレームをサポート可能にし、スロ
ットリング(あるいはモデレーション)を中断し、ディスクリプタを
受像しなければならないだろう(次ページの記事「何をスロット
リングするのか?」を参照)。
しかし、たとえデータトラフィックが、カメラ、NIC、PC 間でスムー
スに流れ、GigE Vision™カメラを標準 NIC に接続したとしても、
フレームグラバに標準の貴重な I/O については、ないままとな
っている(IEEE-1394 アダプタカードでも同様)。カメラがこの
I/O を提供しない可能性を除けば、I/O をカメラに転送すること
は、それをフレームグラバ上に持ってくるのと同じくらい効果的
である。さらに、I/O をカメラに転送した場合、アプリケーション
がトリガーミスなど重要な情報をすべて認識しているか確認し
てくれることはない。もし、データ処理能力が非常に高く、複数
のカメラを実装したり、あるいは相当な処理を必要としたりした
場合、フィルタリング、カラースペースコンバージョンやトランス
フォーメーションなど、CPU の集中的な前処理タスクについて、
NIC ではアドレス指定することはない。つまり、特定のフレーム
グラバが、こういったタスクを習慣的に行ってくれるのである。
それでは、マシンビジョンディベロッパーは何をするのだろう
か?
今後数ヶ月間、マシンビジョンベンダーは、次から次へと GigE
Vision™製品を市場に送り出すことになるが、そのほとんどはカ
メラである。GigE Vision™規格では、カメラの機能は、画像サイ
ズコントロール、画像入力とトリガーコントロール、デジタル
I/O、アナログコントロールなど、その用途ごとに分類されてい
る。こういったカテゴリーのうち、各々の機能の特徴は、義務的
なものか、推奨されているものか、それともオプションなのか、
あるいはフラグ化されているかのいずれかである。実に約 180
の標準特性(つまりノンカスタム)リストのうち、義務的なものは
わずかであり、ほとんどは推奨とされているものである。
それでは、カメラ本体の技術仕様の他に、いったい何がどう異
なるというのだろうか。その答えが「GenICam」であり、カメラが
それをサポートする範囲である。ヨーロッパマシンビジョン協会
(European Machine Vision Association, EMVA)が開発の後押し
をした「GenICam」とは、カメラがその性能や、画像サイズ、露
出、ゲイン、トリガーモードなど、セッティング変更方法を表示で
きる API のことである。カメラの特性はすべて、XML シンタック
スに従い、それらを記述するファイル「Camera Description File」
に記述されている。つまり、ベンダーが XML ファイルに特徴を記
述している限り、エンドユーザはそれをコントロールできるので
ある。アプリケーションやドライバが、カメラの XML ファイルを構
文解析すると、マシンの読み取り可能な、カメラの「使用者マニ
ュアル」(次ページの記事「 gig 画像に注目する MIL と
Solios」 を参照)に相当するものを検索する。GigE Vision™は、
XML ファイル中の義務特性が規準に従うようにサポートしなけ
ればならないと、デバイスに指令を下すのである。つまり、多く
のカメラには、オプショナルな特徴のリストもあるということだ。
本質的に GigE Vision™規格に適合しているカメラは、GenICam
準拠であると言える。
まずは本号の Imaging Insight を読んで、我々がどのように GigE
Vision™革命に大きな一歩を踏み出したか見ていただきたい。
もしあなた が GigE Vision™の可能性を探っているのなら、
Matrox Imaging から目を離さないようにしてください!
賢者への言葉
どのようなテクノロジーでも言えることだが、マシンビジョンディ
ベロッパーは、GigE Vision™を最終的に選択する前に注意しな
ければならないことがある。GigE Vision™カメラは、どのような標
準 NIC にも接続できるが、すべての NIC が同じく作られているわ
けではない。いくつかのモデルでは、他のものより高帯域圧縮
カメラ(High Band Width Camera)が合っており、マシンビジョンア
AIA による 2005 年の市場調査によると、カメラ製造については、デ
ジタルカメラインターフェースの総収入が 53.9%に達したのに対し、
アナログカメラ売上総収入は 45.5%だった。IEEE-1394 が、もっとも
人気のあるデジタルインターフェースであるように見えるが、当初
期待されたほどにはまだ広く使用されていない。つまり、フレーム
グラバー終焉の予言はまだ当たってはおらず、他の条件が同じな
ら、おそらくそれは生産オートメーションスペースにおける変化の
割合のせいである(うまく動いているものを直す必要などあるもの
だろうか!)
AIA.提供データ(使用許可済)
しかし、Matrox Imaging では、ギガビットイーサネットを始め、デジタ
ルインターフェースの可能性に評価を置き、カスタマーがオプショ
ンと同時にパフォーマンスも求めていることをよく理解している。マ
シンビジョンディベロッパーとして、ビジョンシステムを再設計する
とすれば、これはよりデジタルな選択の可能性を意味している。そ
のよい面とは――新しい規準というと表面的には刺激的に見える
かもしれないが、それが熟するときがあるのだ。「実際のビジョン」
ソリューションをお届けする「現実の世界」で成熟が意味するもの
といえば、頑丈さ、反復可能度、品質。つまり、実際のマシンビジョ
ンテクノロジーに重要なあらゆるファクターそのものなのである。
- 2 -
gig
画像に注目する MIL と Solios
GigE Vision™の接続性の容易さは、ビジョンアプリケーションに魅力的なオプションとなって
おり、我々はその開発に積極的な役割を演じている。というのも、我々はそこに、デジタルイ
ンターフェース検索能力の可能性を信じているからなのである。GigE Vision™と GenICam 規準
委員会両方のメンバーとして、我々は実際の業界環境に生き残るプロトコルを作り出すことに
積極的に関与している。
IEEE 1394 の経験から、我々は、ソフトウェア中心モデルの特殊
性について価値ある見解を得ることができた。事実、Matrox
4Sight M プラットフォームは、IEEE 1394 とギガビットイーサネット
ポートを特徴としており、GigE Vision™ソリューションも、マシンビ
ジョン市場のニーズを満たすものと自負している。カスタマーが
Matrox Imaging Library(Matrox Imaging Library、MIL)の機能を
利用している間、ギガビットイーサネットの転送速度を活用でき
るように、二種の機能を用意している。
GigE Vision™ driver
標準ネットワークインターフェースカード(NIC)を使うと、画像処
理機能を損ねてしまうのではないかと心配することはないだろう
か? Matrox Imaging Library は、ハードウェアから独立した画
像処理ライブラリとして開発された新しい GigE Vision™ドライバ
で、まだそのとおりの高い評価を得ている。GigE Vision™用 MIL
8.0 は、(GenICam に記載されている)カメラの特徴をすべて、
Matrox Imaging Library 内の等価物へとマッピングすることで、ど
のような標準 NIC もマトロックス イメージングハードウェアとみ
なし、GenICam を完全にサポートする。この透過性が、ボードか
らインターフェースへのポータビリティを緩和し、ユーザが新しい
API を学ぶ必要がなくなることで、市場適性にかかる全体的な
時間をスピードアップする。ドライバが高度に最適化され、入っ
て来る GigE Vision™トラフィックを管理してくれるので、ホスト
CPU 干渉をほとんど必要とせず、ピクセルの特大パケットをサ
ポートするカードで良質のパフォーマンスを提供し、減速しない
ようにしてくれる。MIL GigE Vision™ドライバは、TCP/IP など他
のイーサネットプロトコルと共存でき、複数のカメラ/複数の NIC
と複数のカメラ/単独の NIC コンフィギュレーションをサポートす
る。
とが大切である。I/O のフルレンジで、あなたはカメラの代わり
に直接 Matrox Solios を起動させるかもしれない。アプリケーショ
ンには常に、うっかりトリガーを忘れたりした場合など、重要ポイ
ントで適切な反応を必要とする情報が入っている。フラットフィー
ルド訂正のように集中的な計算作業を実行しなければならない
アプリケーションの場合など、Matrox Solios GigE は、ホスト CPU
からアンロードし、画像処理操作を速めることさえできる、オプ
ションのコンフィギュレーションできる FPGA ベースプロセッシン
グコアを提供している。FPGA デバイスの Altera Stratix ファミリ
ーに基づき、FPGA には、画像処理作業のパフォーマンスを最
大化するために、かなり大量の DDR SDRAM や、より少量で早
い QDR SRAM を含まれている。
Matrox Solios GigE は、Microsoft® Windows® XP をサポートして
い る 。 Matrox Imaging Library (MIL)/Active MIL 、 ま た は
MIL-Lite/Active MIL-Lite カスタムアプリケーション作成用開発
ツールキットでプラグラムすることが可能だ。つまり、FPGA ベー
スのプロセッシングコア既成コンフィギュレーションは、これら開
発ツールキットに含まれているのである。カスタムコンフィギュレ
ーションやプロセッシング機能はまた、Matrox FPGA Developer
の Tooklit(FDK)Altera® Edition を使って作ることもできる。
Solios GigE
何をスロットリングするのか?
標準ネットワークカード(NIC)は、同じように作られているわけではな
い。GigE Vision™のパフォーマンスを最適化するためには、次の特徴
をサポートしていることを確認して欲しい。
・ 特 大 フ レ ー ム :ギガビットイーサネットパケットは、1500 バ
イトのスタンダードパケット以上保留する
ように作られている。より大きなパケットに
データを転送する方が、より小さなブロッ
クにイメージデータを転送する場合より、
CPU 中断が起きることが少なくなり、GigE
Vision™のパフォーマンスを改善する。
・中
ギガビットイーサネットの帯域圧縮容量を考えれば、いくつもの
アプリケーションが、おびただしい量の画像データを生み出した
り、複数の視点を提供する複数のカメラ、つまりピクセルに継ぐ
ピクセルを PC に送って処理し、転送する必要があったりしたと
しても、今や驚くことはない。しかも、多くのビジョンアプリケーシ
ョンは、標準 NIC ではサポートしないトリガー用の補助 I/O を必
要としている。それが、マシンビジョンユーザのために、私たち
が特製 NIC を開発した理由なのである。Matrox Solios GigE
は、4 ギガビットイーサネット(GbE)ポート付き x4 PCI Express®
(PCIe) ショートカードである。うまくデプロイメントするためには、
アプリケーションに間違いなく適切な決定ができるようにするこ
- 3 -
断
緩
和 :ホストシステム中断からイベントを防ぐ
NIC の特徴。ホストプロセッサへの中断回
数を減らすために、イベントは待ち行列に
入れられる。一定のイベントの数が待ち
行列に入ると、GbE コントローラは配送を
通知し、データストリームは CPU を一度だ
け中断する。スロットリングは時にモデレ
ーションと呼ばれる。
・ 受 信 デ ィ ス ク リ プ タ :メモリのパケットをバッファリングするため
に、NIC が使用するソフトウェアメタデー
タ。より大きなバッファスペースは、待ちパ
ケットを保護し、ホストがデータを処理で
きる前に、上書きされてしまわないように
する。受信ディスクリプタの数は、バッファ
できる数と正比例している。
ショック療法
∼ 上海電力事情 ∼
上海の電力会社が
メータの読み取りに
マシンビジョンを導入
2002 年、上海の永住者は 1,300 万人を超えた。ここで、彼らが
居住し、働く企業数をちょっと考えてみて欲しい。上海電力会社
が、日々取り組まなければならない難問にすぐ気がつくはずで
ある。
一年半ほど前、上海の公益事業として、カスタマーの電気メー
タの更新が始まった。しかしそのプロセスには、なんと 5 年から
10 年はかかると目されていたのである! なぜならそれは、利
用者の自宅や会社から数十万台におよぶメータを回収し、それ
を精密な新型と取り替えることを意味していたからである。
この事業ではまた、すべてのメータから最終的な読み取りを行
い、それを記録し、保管する必要があったのだが、これはメータ
を実際回収することよりさらに気の遠くなるようなタスクであるこ
とがわかっていた。当初、上海電力会社では、すべてのメータを
きちんと正確に記録するための自動化が必要とはいえ、基本は
人間の手作業が入る方法を検討していた。
転機は 2005 年 3 月、上海電力会社が Microview Science &
Technologies Inc.と連絡を取ったことで訪れた。この会社は北京
を本拠とするシステム会社である。
この時のことを Microview 社のアプリケーションエンジニア Yu
Zhao 氏はこう思い出すと言う。「メータの画像をコンピュータに
入力し、同時にそのデータを読み取ることが必要でした。つま
り、バーコードと数字の両方です。そして、その結果をデータベ
ースに記憶させるわけです。」
この工程は、一見非常に間単そうに見えた。
回収されたメータは、サイズごとにダンボールに収められていっ
た。ダンボール 1 箱に 8 台の 1 フェーズメータか、3 台の 3 フェ
ーズメータが詰められた。
まず、工場で人がそのダンボールをベルトコンベヤーに置くと、
ワークステーションに運ばれていく。
次にオペレータが、3 軸マニピュレータを通してカメラ位置を変
え、カメラが正しい位置になると、オペレータは手動でカメラを起
動する。画像がいったん撮影されると、画像処理アルゴリズム
がメータのバーコードと電気使用量を測定する数値の桁を読み
取り、過去のデータと比較する。この画像、バーコード、読み取
り数値はデータベースに記憶され、カメラは同じように次のメー
タの画像を撮っていく。
ダンボール全部のメータの読み取りが済むと、ラインの最後に
持っていかれ、結果ごとに区分けされていく。そのうち何台かは
処分され、その他のメータは小都市へと送られて再利用される
のである。
「このプロジェクトで、オートメーション産業では、生産ラインの効
率が大いに改善されました。」と、Zhao 氏は語っている。
システム開発
Microview 社のソリューションは、以下のハードウェアで構成さ
れている。
・
・
・
・
IBM サーバ X3446、Dell 5150n ワークステーション 3 台
Pentax CCTV 12mm レンズに対応するスマートカメラ
Matrox Iris P1200 3 台
OEM light sources 3 台
Santek MT500/1000 UPS devices 4 台および TP-Link
100M/16-port device
また画像分析は、Matrox Imaging Library(MIL)の Code Reader
と String Reader モジュールが実行する。
「画像処理ソフトウェアは、アプリケーションに非常に重要で
す。」と、Zhao 氏は説明している。
「メータは、数字とバーコードの両方を表示しているので、二種
類のタイプのインプットを同時に扱えるソリューションが必要でし
た。」
他のマシンビジョンベンダーも考えたが、2 種類の個別ビジョン
システム、つまりバーコード用に 1 台、文字読み取り用にもう 1
台購入することを考え、気が変わったと Zhao は語っている。
「1 台のマシンビジョンシステム、Matrox Imaging Library(MIL)
で、私たちは、文字配列もバーコードも読み取ることができ、コ
スト削減を実現しました。」と、Zhao 氏は付け足した。
- 4 -
開発上の問題点
画像入力処理は手動なので、Zhao 氏と彼のチームは簡便さと
柔軟性を優先した。
画像処理ソフトには次の 2 つのモードがある。
ひとつは 1 フェーズメータ用で、もうひとつは 3 フェーズメータ用
である。これによりオペレータはワークステーションで、それぞ
れ異なるサイズ用に、ソフトウェアタイプをリセットするだけでよ
い。
しかし、メータ自体が難問を抱えていた。まず、何千という異な
る型式のメータには様々なフォントが使われており、不可能で
ないにしても、フォント確定が非常に困難となっていた。
次に、メータ表面には指針盤の一部ではないシリアルナンバー
のような番号があり、それが文字の読み取りの妨げになる可
能性があった。また、メータのプラスチックケースは汚れている
こともあり、それも文字の読み取りを困難にする。
最後に、指針盤の背景は白黒だったため、読取り作業のセッ
ティング指定に、余分な手間がかかってしまうという問題もあっ
た。黒いナンバーの入った白い番号指針盤は、読み取り処理
を混乱させる可能性のある黒い角型フレームの中にある。
これらの問題を解決するために、MIL の String Reader モジュー
ルの強力な機能は非常に役に立った。文字列やフォントをす
ばやくサーチし、一定でない過酷な照明条件の下であったにも
関わらず、ロバスト性の高い読み取りを可能とした。
しかし、メータによっては指標が二値間にまたがる場合もあり、
これはたとえ String Reader であっても読み取ることはできな
い。このような場合、オペレータは手動でメータをチェックし、ワ
ークステーションでその数値を記録する必要があった。
「Matrox で仕事をし、コスト減をキープできました。MIL を使って
開発し、画像処理ツールすべてをワンパッケージで手に入れ、
私たちは非常に精密な結果を達成できたのです」と、Zhao 氏
は語る。スマートカメラ Iris でシステム・インテグレーションをす
るということは、競合の問題を避け、単独のベンダーを選択す
ることになる。
Zhao 氏のチームは、MIL で PC に画像入力、前処理、バーコー
ユーザ・インターフェース
ドと文字の読み取りのためのアプリケーションすべてをプログ
ラムしたのである。Windows CE オペレーティングシステムが、
直接カメラのプログラミングを促進してくれるので、アプリケー
ションは Iris 自体ですぐに作動する。また、「優れたテクニカル
サポートを受けられることも、私たちには大切なことでした」と、
Zhao 氏は付け加えた。
現在、そして、将来…
現在 Microview 社は、上海電力会社で 3 台のワークステーショ
ンシステムを展開し、さらに 2 台のワークステーションを統合す
る計画がある。また、他の上海電力会社にもシステムを販売し
ようとしている。異なるインプットタイプを高精度で同時に読み
取ったり、顧客のニーズに応じてシステムを開発したりする柔
軟性など、Microview 社の特性を考えれば、懸命に顧客を探し
たりしなくても、Microview 社のビジネスに支障はない。しかし
今後、Zhao 氏は、この技術を最大限に利用して、それをさらに
他のマシンビジョンアプリケーションに応用しようと考えている。
メータの型式の違いは、このプロジェクトの難問だった。他のメータでは 6 文字読み取れるのに対し、中央のメータには 5 文字あるのであ
る。また、中央のメータの右端の桁は、2 値の中間で止まっている。オペレータは、この読み取りを手動で行う必要がある。
- 5 -
計測水準の向上
∼ Metrology の全て ∼
検査や部品製造向けの画像処理の利用において、ナッツやボルトの域をはるかに
越え、測定が複雑化している。
このようなタスクを解決するために、Matrox 社は、古典的な特徴抽出と同じパフ
ォーマンスで、より用途の広い測定統合ツールを提供している。
今 年 5 月 か ら 、 Matrox Imaging Library ( MIL ) 8.0 で は 、
・ キャリブレーションに気をつけること! 実際の座標で作
Processing Pack 3 の適用により、新機能「Metrology(メトロロジ
業できるソフトウェアパッケージを選び、重大なゆがみや
ー)」モジュールが、利用可能となった。
遠近差に影響されないようにカメラを置くこと。送信元の歪
現在開発者は、幾何学的次元や許容誤差アプリケーションに
んだ画像から計測特徴を抽出し、構成されている平面状
対応するための強力なツールを使うことができる。「Metrology」
でそれを測定すること。歪んだ画像上で計測作業を実行
モジュールは、対象物を測定し、構成したテンプレートから得ら
することは、精度レベルを維持する。
れた幾何学的特徴を計算し、さらにそのテンプレートに基づい
・ 複雑な数学よりむしろ基本的な幾何学的操作に頼ること。
て許容誤差を検証してくれる。また「Metrology」モジュールは、
複数の下位座標システムを扱う計測パッケージを使って、
弧、円、線分、点などの特徴を測定することもできる。こういっ
他の機能から幾何学的に得られる新機能を簡単に構築
た同じ特徴を画像内で構成することも可能だ。許容誤差は、次
元、位置、形から測定し、距離と長さ、座標、角、同心性、平行
性、垂直面、丸みと直線性などの特徴が含まれる。
することができる。
・ 計測テンプレート(領域のレイアウト)を自動的にリポジシ
ョンできる計測ツールを選ぶこと。たとえば、幾何学パター
ン認識オペレーションが、一定の部分の位置と方向を見
ツールを持っていることと、それを利用する方法を知っているこ
つけたら、その結果に基づいて、計測領域が自動的に正
と と は 別 物 で あ る 。 MIL プ ロ セ ッ シ ン グ グ ル ー プ ( MIL
しく示されなければならない。
Processing Group)のマネージャー、Arnaud Lina は、 最近
Control Engineering 誌に寄稿し、いくつかの考慮すべき点を次
のように挙げている。
・ 作業を最適化するために、計測している特徴の周囲の領
域をできるだけ密にすること。
・ ビジョンベースの計測では、測定の許容誤差を改める必要
があることを確認すること。たとえば、いくつかある垂直性
のテスト法のうち、ビジョン・ソリューションが、必要としてい
るテストを実行することができるということを確認しなければ
ならない。
・ 精度はコントラストとノイズの影響を受けるので、可能な限
り最高の状況で画像を得ること。
・ イメージングベースの計測は、特徴ベースでなければなら
ない。グレースケールピクセル値から幾何学的な特徴を抽
出するテクノロジー。このアルゴリズムは、実際の計測に似
て、照明の変化を充分処理できる。
テンプレート(左のフック)と比較して、上の右のフックは、
許容誤差内に収まっていない。
下の右のフックは検査をパスしている。
- 6 -
新たな試みはさらに続く…
画像処理がハードウェアの互換性を統一する
たった今、あなたは新しい PCI Express 対応の画像処理ハードウェアを受け取っ
たとする。必要なものはすべてインストールされているが、システムはあなたの
新しいデバイスを見つけることができない!
あるいはこうだ。コンピュータを開け、適切なスロットを見つけたあなたは、そ
こでマザーボードのコンポーネントが邪魔になって、カードを挿すことができな
いということを発見してしまう。さてこんな時、あなたはどうするのだろうか?
カードを返送しますか?
それとも、新しい PC を注文しますか?
「お電話ください」
「もしこの段階で問題を見つけたら、それを解決するためにエ
元 SQA リーダーであり、新設の Hardware Quality Assurance
ンジニアリングテストをしてみます。」
(HQA)テストサイトの現在のリーダーとなった Pierre Letarte
は、笑ってこう言うのである。Matrox 社で、ハードウェアインタ
新しいボードを設計し、エンジニアリングテストをするとき、製品
ーオペラビリティ(相互運用性)の複雑な特性を完璧に理解し
はアプリケーション部へと持ち込まれ、そこでさらにいくつかの
ている者と言えば、それは若干 20 歳にして Matrox 社の若きベ
テストを行う。新しい画像処理ハードウェアは、チップセット、マ
テランとなった Pierre である。
ザーボード、バスインターフェースと互換性がなければならな
「私たちは、2 種類のテストをします。」と、Pierre は、テーブルに
いのである。
並んだコンピュータを指して説明する。
テストベンチには、8∼10 台の新しい PC とタイムを収納してお
り、HP、Intel、Supermicro などのメーカーから送られてくる。
最初は PC 互換性の確認で、新しい CPU とチップセットを、すで
Pierre は、ベンダーと友好的な関係を保つよう、懸命に働いて
に適格検査をパスしている Matrox 社製のボードと市販のソフト
いる。彼が何箇所か電話するだけで、常に最新のチップセット
ウェアでテストする。このテストで唯一の変数は PC であるか
や PC についての情報が得られる。今や、インテルのコアテクノ
ら、非互換性の問題があるならば、それがチップセットなのかフ
ロジーが発表され、Pierre は、コア 2 デュオプロセッサへと前向
ァームウェアなのか、見分けるのは簡単なことである。
きに取り組んでいる。
「PC ベンダーに、BIOS アップグレード版がある限り、普通、
また妥当性検証の段階では、ボードが期待通り確かに作動し
BIOS をアップグレードすることで問題は解決できるんですよ。」
ているかどうか、Pierre はトランスミッション帯域幅などのファク
ターを測定する。
と、Pierre は語る。
次のテストでは、たとえば PCI-X から PCIe のように、新しいバ
PCの互換性テストはフルタイムの作業で、PC 互換性リ
ステクノロジーにポーティングされている新製品と現存製品の
ストは我々のウェブサイト上に掲載しております。
両方を含め、既存製品の改訂版と新しいボードの妥当性検証
しかし、どのプラットフォームがテストを受ける予定があ
になる。このテストの変数は Matrox 社製の画像処理ハードウェ
るかなどの最新情報については、日本の場合、販売・技
アで、すでに適格検査をパスしている PC と市販のソフトウェア
でテストする。
術サポートを手がけるキヤノンシステムソリューションズ
にお問い合わせ下さい。
- 7 -
新製品 「Matrox Morphis QxT」 が
世界中のトレード・ショーを席巻!
- 2006 年 12 月、日本市場 初公開決定 2006 年 12 月 6 日より「 06 国際画像機器展(パシフィコ横浜)」にて、
「Matrox Morphis QxT」 「Matrox Vio」 日本市場初公開!
展示会 同時開催
2006 国際画像処理
セミナー
2006 年 12 月 7 日(木) 11:00 - 11:50
Matrox 訪日講演!「画像処理の未来を切り開く、Matrox のキーテクノロジー
∼最先端ソフトウェアと新製品群∼
※ 新製品、展示会の詳細は、キヤノンシステムソリューションズ ホームページ ( http://im.canon-sol.jp ) をご覧下さい。
今年、Matrox 社は、「ASIS 2006」のために、美しく温暖なサン
ディエゴへと向かいました。
このトレード・ショーと他のトレード・ショーのそれとの大きな違
いは知名度です。Matrox 社がどんな会社かを知っている来場
者たちは続々とブースに近づいて来ました。彼らは、特に MIL
の新機能「String Reader」と 新製品「Matrox Morphis QxT」が
彼らのアプリケーションのニーズに対してどのような解決策を
用意しているのかを知りたかったのです。
また、この「ASIS 2006」の直後に「Eseen Security」がドイツで開
催されました。この「Eseen Security」は 2 年おきに開催され、ア
メリカ、イギリス市場に情報発信する「ASIS」と「IFSEC」に対抗
するトレード・ショーです。実際、「Eseen Security」の方がヨーロ
ッパ全土に名をはせており、スペース的にも ASIS よりはるかに
広いのです!
しかし、あなたがどの国にいようと、トレンドは同じです。IP カメ
ラは、新しいインストレーション用に人気は高まる一方ですが、
IP カメラベンダー間のプロトコルスタンダードがないため、シス
テムインテグレータにちょっとした頭痛の種を与えているようで
す。IP カメラ市場にはまだまだすることがあるのです。それに、
単なるビデオ録画はもう時代遅れだということをご存知でした
か?
市場で競合するためには、ベンダーは、モーション検波、アク
セスコントロール、あるいは販売時点情報管理システム(POS)
など、他のシステムを統合するビデオ解析を特徴とする DVR ソ
リューションを提供しなければなりません。ビデオ解析は、監視
アプリケーション用ビデオデータを分析する、画像処理アルゴ
リズムを指す工業用語です。私どもの部品で、パスポート読取
装置から、ANPR システム、レジ監視システムまで、カスタマー
の皆様は印象的なセキュリティソリューションを設計していま
す。
ビデオ解析の詳細については、www.videoanalytics.org をご覧
ください。
発行者: Matrox Imaging
編集者: Sarah Sookman
アートディレクター: Roland Joly
マーケティング コミュニケーション責任者: Catherine Overbury
Imaging Insight は、カナダ Matrox 社の発行するコーポレート・レターで、弊社キヤノンシステムソリューションズ株式会社が許可を得て
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