RENTACO RAC0177A2 PMBOKから学ぶ プロジェクトマネジメント手法 2013年5月 株式会社レンタコーチ http://www.rentaco.jp/ Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO 講座概要 受講対象者 ソフトウェア開発のプロジェクトマネージャ又はリーダー ソフトウェア開発のチームリーダー 習得事項 PMBOKの概要 プロジェクトフェーズに沿ったPM手法 立上げ、計画、実行、監視制御 EVMを用いる定量的進捗管理 フェーズ横断的に実施するPM手法 リスク管理、ステークホルダー管理 備考:本書では、マネジメント=管理と表記。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 2 RENTACO RAC0177A2 目次 1. プロローグ 2. PMBOKの概要 3. 立上げ・計画フェーズにおけるPM手法 1. WBS作成 2. スケジュール作成 4. 実行フェーズにおけるPM手法 5. EVM手法を用いる定量的進捗管理 1. EVM手法による進捗分析 2. 逐次完成型EVM手法の実施手順 6. フェーズ横断的なPM手法 7. エピローグ Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 3 RENTACO RAC0177A2 組込み系における目標QCDの不達成原因 達成比率は75% 前後。IT系の80% 前後よりは悪い。 出典:ソフトウェア産業の実態把握に関する調査2012年度版、IPA Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 4 RAC0177A2 RENTACO 「プロジェクト計画に無理が」の解決策 出典:ソフトウェア産業の実態把握に関する調査2012年度版、IPA Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 5 RAC0177A2 RENTACO 失敗プロジェクト 失敗の原因 利害関係者間で役割分担の合意ができていない 失敗の分岐点 成否の分岐点は初期段階から転がっている その兆候に気がつかないと、気づいても軌道修正できな いと、失敗は繰返される 失敗の回避 失敗の芽を早く見つけ、チーム全体で軌道修正 出典: 失敗プロジェクトに関する「Nikkei System Integration」誌(日経BP社)の特集: 2004年2月号から7月号まで 2005年2月号から7月号まで 2005年8月号 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 プロジェクトの分岐点:事例1 フェーズ 失敗の兆候 結果/対策 計画 慣れないマネジメント手法を強引に 導入。 残業と休日出勤が多く、工数超過。 要求分析 利用部門から度重なる仕様追加/ 変更が寄せられる。 すべての要求に応えようとして、納 期直前まで詳細設計を続け、追加 開発費が発生。 再構築にも関わらず、旧システムの 必要な機能が足らないままに納品 内容をヒアリングしない。 され、検収時に多くの不具合を発 生。 パッケージの標準機能を使うという 方針が無視される。 カスタマイズが増えて、工程が遅延 し、性能テストができなくなり、出荷 後に性能クレームが噴出。 旧システムをよく知るメンバがプロ ジェクトから外される。 ユーザ要求を理解できずに作り、 出荷後に問い合わせが続出。 利用部門の責任者が、現場の声を 聞かずに仕様を凍結。 教育時に現場利用者から業務フ ローとの食い違いを指摘され、一 部作り直し、納期遅延。 出典: もう繰返さない!失敗プロジェクト、Nikkei System Integration2005年8月号 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 プロジェクトの分岐点:事例2 フェーズ 失敗の兆候 結果/対策 設計以降 ハードウェア調達時に予算を節約。 低スペック機を選択し、稼働直後に ハード増強し、追加投資が発生。 サーバ増設の提案が受入れられな い。 上司の指示通りに開発を進め、 ピーク時のレスポンスが悪い事態 に陥る。 PMが他のプロジェクトに引き抜か れ交代する。 スキルの低いPMが引き継ぎ、バグ が収束せずに、赤字発生。 ベンダのSEが2回交代。 引き継ぎが悪く、必要な要件が組 込まれず、詳細設計の手戻りによ り納期遅延。 納期最優先で開発した結果、ユー ザレビューのときに使い勝手の悪さ を確信。 経営陣と利用部門を説得し、納期 を再延長し、使い勝手の向上を図 る。 短納期開発を続けてきたベンダの プログラマの顔色の悪さに気づく。 仕事のペースを落とし、休暇を取る ように指示し、優先度の低い開発 項目を次回に回して、遅れは挽回。 出典: もう繰返さない!失敗プロジェクト、Nikkei System Integration2005年8月号 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO PMBOKの概要 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 9 RAC0177A2 RENTACO PMBOKとは何か? Project Management Body of Knowledge:プロジェクト マネジメント知識体系の略 Project Management Institute(PMI)が発行 累積発行部数は200万超(06年9月) 世界で約21万会員(06年9月) Project Management Professional(PMP)認定の教科 書 世界で198千人(06年7月)、336千人(09年4月) 国内で16千人(06年7月)、27千人(09年4月) Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 10 RAC0177A2 RENTACO PMBOKの発展過程 1969年、PMI設立。 1983年、初版作成。PMP認証開始。 1987年、PMBOKという名称で出版。 1996年、改訂。 1998年、PMI日本支部設立。 2000年、改訂。 2002年、日本語版発刊。 2004年、改訂。第3版と称する。 2008年、第4版。 2012年、第5版。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 11 RAC0177A2 RENTACO PMBOKには何が書かれているか? プロジェクトマネジメントに関する知識の体系 職業として広く受入れられている知識と実務慣行 第1部:プロジェクトマネジメントの基本構造 プロジェクトライフサイクル、組織の影響等 第2部:プロジェクトマネジメントの概要 プロセスの分類と相互作用 第3部:プロジェクトマネジメントに関するプロセス 9つの知識領域に分けて解説 インプット、ツールと技法、アウトプットを記述 総ページ数は約480頁(第4版) Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 12 RENTACO RAC0177A2 プロジェクトライフサイクル 概念化 プロジェクトマネジメントチーム フェーズ 初期 プロジェクト 憲章 スコープ 記述書 中間 プロジェクト マネジメン ト計画書 最終 独自の成果物 ベースライン 進捗報告書 プロジェクトの定義: 有期性と独自性を持ち、独自の成果物を創造するための有期的な活動 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 13 RENTACO RAC0177A2 プロジェクトに及ぼす組織構造の影響 組織構造 機能型組織 マトリックス型組織 弱い 強い プロジェクト型 組織 PMの権限 ほとんど無し 限定的 中 高 PMの役割 パートタイム パートタイム 専任 専任 利用可能な 資源 ほとんど無し 限定的 中 高 予算管理者 機能部門マ ネージャ 機能部門マ ネージャ PM PM 事務スタッフ パートタイム パートタイム 専任 専任 PM:プロジェクトマネージャ 強いマトリックス型組織においては、PMもひとつの部門を構成する。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 14 RAC0177A2 第4版 統合 マネジメント 立上げ P憲章作成 計画 PM計画書作成 実行 P実行の指揮・マネ ジメント 監視コントロール RENTACO P作業の監視コントロール 統合変更管理 スコープ マネジメント 要求事項収集 スコープ定義 WBS作成 スコープ検証 スコープコントロール タイム マネジメント アクティビテイ定義 アクティビテイ順序設定 アクティビテイ資源見積 アクティビテイ所要期間見積 スケジュール作成 スケジュールコントロール コスト マネジメント コスト見積 予算設定 コストコントロール 品質Mgt 品質計画 品質保証 人的資源 マネジメント 人的資源計画書作成 Pチーム編成 Pチーム育成 PチームのMgt コミュニケーション計画 情報配布 コミュニケー ションMgt リスク マネジメント 調達Mgt ステークホル ダー特定 終結 Pやフェー ズの終結 品質管理 実績報告 ステークホルダーの 期待のMgt リスクマネジメント計画 リスク特定 定性的リスク分析 定量的リスク分析 リスク対応計画 調達計画 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. リスクの監視コントロール P:プロジェクト, PM:プロジェクトマネジメント。 Mgt:マネジメント。 調達実行 調達管理 調達終結 15 RENTACO RAC0177A2 統合マネジメントの流れ 憲章作成 監視コントロール 提案済み 是正処置 統合変更管理 計画書作成 作業実績 指揮・マネジメント 承認済み 変更要求 承認済み 是正処置 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 終結 RAC0177A2 RENTACO プロジェクト計画文書 WBS作成 スケジュール作成 立上げ・計画フーズにおけるPM手 法 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 17 RENTACO RAC0177A2 立上げ・計画フェーズにおける課題 利害関係者のニーズ、要求を引 き出す プロジェクトの成果物を定義する マネジメントのやり方を 決める 計画に対する承認とコ ミットメントを得る 立上げ・ 計画フェーズ 主要な作業項目を特定する 規模、要員、期間、費用を見積る 開発スケジュールを作成する Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 18 RENTACO RAC0177A2 PMBOKが教える計画プロセスフロー プロジェクトマネジメント計画書作成 要求事項収集 Act.:アクティビティ,Comm:コミュニケーション, スコープ定義 Mgt:マネジメント WBS作成 リスク Mgt計画 調達計画 人的資源計画 品質計画 Comm計画 コスト 見積 リスク特定 定性分析 定量分析 対応計画 Act. 資源見積 Act. 定義 Act. 順序設定 Act. 所要期間見積 スケジュール作成、予算設定 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 19 RAC0177A2 RENTACO プロジェクト計画に関する文書 プロジェクト憲章 プロジェクトを公式に認可する文書 資金提供する立場のプロジェクトスポンサーが発行 通常、発行されないことが多いが、その内容確認が重要 プロジェクトスコープ記述書 プロジェクトが達成すべきものを定義する文書(第4版から要求 事項文書が分離された) 通常、開発計画書と呼ばれるものに近い プロジェクトマネジメント計画書 プロジェクトの実行、監視コントロール、終結の方法を規定 プロジェクト計画書の変更方法を規定 知識エリア別のマネジメント計画書を伴う 通常、暗黙知として省略されることが多いが、記述し、合意を得 ることが重要 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 20 RENTACO RAC0177A2 プロジェクト憲章 •ステークホルダーのニーズ,欲求,期待を満足する要求事項 •ビジネスニーズ又は製品に対する要求事項 •プロジェクトの目的又は妥当性 •測定可能なプロジェクト目標及び成功基準 •ハイレベルのプロジェクト記述とリスク •要約マイルストーンスケジュール •要約予算 •プロジェクトの成功を判断する事項と判断者 •プロジェクト受入れの承認者 •任命されたプロジェクトマネージャ、その責任と権限 •プロジェクト憲章を認可するスポンサー 未発行の時には、聞き取り、(文書化し、)確認を得ておくことが重要 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 21 RENTACO RAC0177A2 要求事項文書 •追跡可能なビジネス目標、プロジェクト目標 •機能要件 •非機能要件 •品質要件 •受入基準 •他部門への影響 •母体組織の内部及び外部の組織への影響 •トレーニング要件 •要求事項に関わる前提条件、制約条件 プロジェクトスコープ記述書 •成果物スコープ記述書 •成果物受入基準 •プロジェクトの要素成果物 •プロジェクトからの除外事項 •プロジェクトの制約条件、前提条件 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 22 RAC0177A2 プロジェクトマネジメント計画書 •プロジェクトライフサイクルとフェーズに適用するプロセス •プロジェクト目標を達成するための作業の実行方法 •変更を監視し,コントロールする方法 •コンフィギュレーションマネジメントの実施方法 •実績測定の方法 •ステークホルダ間のコミュニケーション方法 •マネジメントレビューの方法 •スコープマネジメント計画書 •要求事項マネジメント計画書 •スケジュールマネジメント計画書 •コストマネジメント計画書 •品質マネジメント計画書 •プロセス改善計画書 •人的資源計画書 •コミュニケーションマネジメント計画書 •リスクマネジメント計画書 •調達マネジメント計画書 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO •スケジュールベースライン •コストパフォーマンスベースライン •スコープベースライン 注:マネジメント計画書は計画書と略する。 23 RAC0177A2 RENTACO WBS作成 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 24 RAC0177A2 RENTACO WBSの概要 PMBOK第3版(2004年)で採用 スコープマネジメントの技法としてWBSを正式に採用。 作業分解 要素分解ルールに従う。 末端の作業要素はワークパッケージと呼ばれ、要素成果物を 直接、作り出す作業であり、ここまで分解を続ける。 アクティビティ 最小の作業要素はアクティビテイと呼ばれ,ワークパッケージを 分解して抽出する。要素成果物を作り出さない作業を含む。 ローリングウェーブ計画法 直近作業は詳細に展開し、遠い先の作業は高位のWBSにまと める。 表現形式 ツリー形式や表形式で表現される。 ひな形を利用するのが効率的。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 25 RAC0177A2 RENTACO 要素分解ルール ① 100%ルール: 子レベルの作業要素は,その親レ ベルの作業要素に属するすべての作業を表す。 ② 成果物をまず分解し,その後で作業を分解する。 ③ 各成果物に共通な作業要素を同じレベルにおく。こ の横断的要素として: ① 統合要素:複数要素を統合する作業(組立て等) ② 分析要素:複数要素に関係する分析的作業(事前調査 等) ③ プロセス要素:処理手順を示す作業(システムテスト等) ④ プロジェクトマネジメント要素をレベル2に置く。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 26 RAC0177A2 RENTACO WBSの品質 共通なコア特性 プロジェクトスコープを定義している。 各レベルで分解された要素が、親レベルの作業を100%含んで いる。 すべての要素成果物が、階層構造で整理されている。 必要なタスクを識別するのに十分なほど、ワークパッケージが 明確になっている。 選択的な特性 作業を管理するのに十分な詳細度まで、要素分解されている。 プロジェクトを理解するのに十分なほど、詳細化されている。 詳細化がプロジェクトや組織の監視要件に適する。 詳細化が監視コントロールプロセスのニーズに適する。 適切なレベルに責任者を割当てることができる。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 27 RENTACO RAC0177A2 WBSの例: 成果物分解 アクティビテイ TSS要件仕様 TSS プロジェクト TSS設計仕様 初期要件仕様 作成,レビュー,更新 最終要件仕様 レビュー,承認 初期設計仕様 最終設計仕様 TSSソフト TSSモジュール1 TSSモジュール2 プロジェクト マネジメント Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. モジュール統合 作成,レビュー,更新 レビュー,承認 コーディング,テスト コーディング,テスト 統合テスト,完成 28 RENTACO RAC0177A2 WBSの例: 開発フェーズ分解 製品A 試作1 要求分析 基本設計 試作2 詳細設計 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 量産 実装 プロジェクト マネジメント 単体テスト 結合テスト 29 RENTACO RAC0177A2 WBSの例: ひな形 プロジェクト コンポーネントA 要求分析 コンポーネントB 基本設計 詳細設計 詳細設計書 基本設計理解 コンポーネントC 設計書作成 実装 単体試験計画 画 レビュー Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. システム統合 単体試験 ・・・ プロジェクト マネジメント 結合試験 ・・・ ワークパッケージ ・・・ アクティビティ 30 RAC0177A2 RENTACO スケジュール作成 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 31 RAC0177A2 RENTACO 見積手法 類推見積り 過去の類似プロジェクトをもとに見積る。 係数見積り 過去のデータから得られる生産性係数を利用する。 成果量が与えられていなければ、その見積りが必要。 ボトムアップ見積り 分解された作業で見積り、それを集計してゆく。 三点見積り 最頻値Tm、楽観値To、悲観値Tpを見積る。 PERT分析では期待値は、(To + Tm x 4 + Tp) / 6 規模見積り PMBOKには掲載されていない。ソフトウェアの規模を見積る。 ファンクションポイント法など。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 32 RAC0177A2 RENTACO スケジュール図の種類 マイルストーンチャート 主要な要素成果物、重要な外部とのインタフェース等、マ イルストーンスケジュールに用いられる。 バーチャート 作業項目の開始日、終了日、所要期間だけを示す。 サマリースケジュールに用いられる。 プロジェクトスケジュールネットワーク図 PDM:作業をボックスで、順序関係を矢印で表記 ADM:作業を矢印で、終了開始関係をノードで表記 論理的順序関係付バーチャート(MS‐Project) Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 33 RAC0177A2 RENTACO スケジュール図の作り方 スケジュールネットワーク分析手法 クリティカルパス法:スケジュールに余裕のないパス クリティカルチェーン法:資源制約を考慮し、バッファー追加 資源平準化 What‐Ifシナリオ分析 作業間の依存関係 終了‐開始関係が一般的 リード:後続作業を先行作業の終了前に開始できる ラグ:後続作業は先行作業終了後、直ちには開始できない スケジュール短縮手法 クラッシング:リソースを追加する ファストトラッキング:作業を並行に実施する スケジュールベースライン 承認済みのスケジュール。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 34 RAC0177A2 RENTACO 変更管理 人的資源マネジメント 品質マネジメント 実行フェーズにおけるPM手法 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 35 RENTACO RAC0177A2 実行フェーズにおける課題 計画と要求に関する変更を 管理する 進捗と品質に関する問題を 解決する バグを管理する リスクを管理する 実行フェーズ 要員を確保し、チームを形成する 利害関係者を満足させ、必要な協 力を得る Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 36 RENTACO RAC0177A2 PMBOKが示す変更処理の流れ スコープベースライン スケジュールベースライン コストベースライン 実行プ ロセス 群 スコープ/タ イム/コストコ ントロール 監視コン トロール 群 作業実績情報 変更指示 統合変更 管理 変更要求 是正要求 是正指示 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 37 RAC0177A2 RENTACO 変更管理の分担 変更要求、是正要求等を統一して審査するために、 統合変更管理プロセスを置く 承認済みの変更、是正処置等を指示 変更、是正処置等の実施を監視 監視コントロールプロセス群においては、 計画との差異を分析 変更、是正処置等を要求 承認済みの変更を実施 実行プロセス群においては、 作業実績情報を配布 承認済みの是正処置を実施 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 38 RENTACO RAC0177A2 作業実績情報 •スケジュール進捗情報 •完成した要素成果物、未完成の要素成果物 •開始したアクティビティ、終了したアクティビティ •残作業の見積り •出来高パーセント •品質基準が適合した範囲 •認可されたコストと発生したコスト •文書化された教訓 •資源利用の詳細 •変更、是正、予防及び欠陥修正の実施状況 •技術的実績の達成度合 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 人的資源マネジメントの概要 要員計画の作成 アクティビティ資源見積 プロセスと連動 要員の質と量、時期 立上げ・ 計画フェーズ チームのマネジメント 組織マネージャとの連携 チームの実績評価 チーム内の対立関係 課題管理 実行フェーズ チーム作り 要員確保のため、組織や他のプロジェクトと交渉 チームビルディング活動 教育研修 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 40 RENTACO RAC0177A2 人的資源計画書 •役割と責任 •プロジェクトの組織図 •要員の調達方法、調達時期 •資源ヒストグラム •プロジェクトからの離任基準 •トレーニングのニーズ、計画 •表彰と報奨の基準、計画 •法令・規則の遵守への配慮 •安全上の課題 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 41 RAC0177A2 RENTACO 品質マネジメントの概要 対象:プロジェクトマネジメントと成果物の品質 品質:本質的特性の集合体が要求を満たす度合い 品質計画 品質目標 品質尺度と分析手法 品質保証 要求事項を満足させるための実行プロセス 品質管理 品質活動の結果を監視し、記録する監視プロセス QC七つ道具、検査等 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO EVMの特徴 EVMによる進捗分析 逐次完成型EVMの実施手順 EVM手法を用いる定量的進捗管理 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 43 RENTACO RAC0177A2 現在の状況をどう判断するか? プログラマAさんがひとりで5本のプログラムをこの予定表に従って作成する。 前提条件:ひとつのプログラムを作成する工数はすべて同じで,1人週。 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 プログラム1 プログラム2 プログラム3 プログラム4 プログラム5 第3週末現在,2本のプログラムが作成完了 納期までに完了できるか? 疑問: Aさんは100%予定どおり注力していたのか? Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 今後の見通し:ケース1 プログラマAさんがひとりで5本のプログラムをこの予定表に従って作成する。 前提条件:ひとつのプログラムを作成する工数はすべて同じで,1人週。 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 プログラム1 プログラム2 プログラム3 プログラム4 プログラム5 第3週末現在,2本のプログラムが作成完了 1)予定の67%が完成 コスト効率は67%であり,このまま続くと, 残り3本を完成させるに必要な工数は: 2)コストは予定どおり 3/67%=4.5人週 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 残作業の コスト効 率は 225% RENTACO RAC0177A2 今後の見通し:ケース2 プログラマAさんがひとりで5本のプログラムをこの予定表に従って作成する。 前提条件:ひとつのプログラムを作成する工数はすべて同じで,1人週。 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 プログラム1 プログラム2 プログラム3 プログラム4 プログラム5 第3週末現在,2本のプログラムが作成完了 1)予定の67%が完成 コスト効率は100%であり,このまま続くと, 残り3本を完成させるに必要な工数は: 2)コストは予定の67% 3/100%=3人週 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 残作業の コスト効 率は 150% RENTACO RAC0177A2 進捗管理のもう一つの課題 第3週末時点での3本のプログラム進捗状況: 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 プログラムA プログラムB プログラムC プロジェクト全体の進捗はどう解釈すればよいのか? 疑問: それぞれのプログラムの作業量(コスト)が見えない。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 コストで進捗を表せばいい 第3週末時点での3本のプログラム進捗状況: 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 工数 プログラムA 12 プログラムB 12 プログラムC 60 3本のプログラム作成という プロジェクト全体の進捗はど う解釈すればよいのか? 予定 実績 プログラムA 12 9 プログラムB 8 6 プロジェクトの進捗率: プログラムC 20 20 35/40=約90% プロジェクト 40 35 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO EVMの特徴 PMBOKとの関係 コストコントロール及びスケジュールコントロールにおける 主要な手法 基本的な考え方 プロジェクトの作業項目をWBS手法で分解,展開する すべての作業項目の進捗をコストで表現する 利点 プロジェクト全体の進捗を把握できる(進捗の加法性) 進捗に合わせてコスト状況を把握できる(作業効率把握) 完了までにかかるコストと完了時期の見通しを立てやすい (進捗分析) EVM: Earned Value Management Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 49 RENTACO RAC0177A2 EVMの起源と発展 1800年代後半,生産管理技術者はコスト差異に注目 1960年代前半,PERT/COSTが登場 1967年,米国防総省DoDがC/SCSCを制定 政府調達プロジェクトのコスト管理を狙う 1996年,国家防衛産業協会NDIAがEVMSを制定。DoDが採用 政府から民間の基準へ 1998年,ANSI/EIA748ガイドが公布 2000年,PMBOKに採用 2002年度,経済産業省がEVM活用ガイドラインを発表 C/SCSC:Cost/Schedule Control Systems Criteria Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 用語定義 出来高 出来高計画値 実績コスト コスト計画値 総コスト計画値 総コスト予測値 残コスト予測値 作業要素 作業単位 監視単位 作業がどれだけ進んでいるかを金額で表現したもの。 出来高の計画値であり,コスト計画値に同じ。 ある期間に実際に消費されたコスト。 該当作業の完了に必要なコストの計画値(見積値)。 プロジェクト全体のコストの計画値。 プロジェクト完了までの総コストの予測値。 プロジェクト完了までの残りコストの予測値。 WBS上に展開された作業項目 作業定義を行う作業項目。WBSの末端。 進捗管理を行う作業要素。WBS上では中間階層。 備考:日本語訳語は定着していない。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 英語略語 AC: Actual Cost(実績コスト) BAC: Budget At Completion(総コスト計画値) CAP: Control Account Plan(監視単位) CPI: Cost Performance Index(コスト効率指数) EV: Earned Value(出来高) EVM: Earned Value Management PV: Planned Value(出来高計画値) SPI: Schedule Performance Index(スケジュール効率指数) WBS: Work Breakdown Structure 旧版では BCWS: Budgeted Cost of Work Scheduled BCWP: Budgeted Cost of Work Performed ACWP: Actual Cost of Work Performed Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 出来高とは? •コストで表現された進捗データ( 価値で表現された進捗データ) その作業のコスト見積値 •作業完了時の出来高は? •途中の出来高は? •出来高の計画とは? 出来高計上法 途中の出来高をスケジュールに合わせて表現 出来高計画 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 出来高計上法 分類 名称 特徴 固定 比率 法 0/100法 完了時にだけ100%計上。要件定義などのやり直し の多い作業に適する。 30/70法 着手時に30%,完了時に70%,それぞれ計上する。 設計などの手戻りがありうる作業に適する。 加重 比率 法 マイルス トーン法 マイルストーンを設定し,それぞれに出来高を配分 する。 完成比率 完成比率を見積もり,それに応じて出来高を計上す 法 る。テストなどの工数に応じて完成していく作業に 適する。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO EVM手法による進捗分析 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 55 RENTACO RAC0177A2 EVMによる実績測定と分析 コスト 総コスト予測値 総コスト計画値 残コスト予測値 残りの出来高 現在の出来高計画値 コスト差異 現在 スケジュール差異 完成日 出来高計画値 出来高 実績コスト Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 56 RENTACO RAC0177A2 進捗分析指標 指標 意味 コスト差異 出来高-実績コスト スケジュール差異 出来高-出来高計画値 コスト効率指数 出来高/実績コスト スケジュール効率指数 出来高/出来高計画値 残コスト予測値 (総コスト計画値-出来高)/効率係数 総コスト予測値 実績コスト+残コスト予測値 効率係数: コスト効率指数,コスト効率指数*スケジュール効率指数など。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 57 RENTACO RAC0177A2 総コスト予測値 総コスト予測値3 総コスト予測値2 総コスト計画値 総コスト予測値1 /スケジュール効率 /コスト効率 実績コスト 出来高 現在のコスト効率が継続する と考えるときの予測値 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. さらにスケジュールもキープす るための予測値 58 RAC0177A2 RENTACO 進捗分析に関する経験則 スケジュール効率は,プロジェクト完了が近づくにつ れ,100%に近づく。 コスト効率は,プロジェクトの初期に悪くなると,その 改善は困難である。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 EVMによる実績報告書の例 ▽報告時点 週 1W 2W 3W 出来高計画値 10 20 35 実コスト 10 20 40 出来高 10 15 30 コスト差異 0 -5 -10 スケジュール差異 0 -5 -5 コスト効率 1 0.75 0.75 スケジュール効率 1 0.75 0.86 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 4W 5W 6W ------ 60 RAC0177A2 RENTACO 逐次完成型EVM手法の実施手順 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 61 RAC0177A2 RENTACO 逐次完成型EVMの考え方 スコープ定義と総コスト計画値は,プロジェクトの開 始時に設定しておく。 作業項目の分解と定義は,逐次,行う。 出来高計画は,逐次,詳細化する。 計画変更と計画詳細化を区別する。 備考:逐次完成型EVMは当社による命名です。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 逐次完成型EVMの概略手順 成果物,要素成果物,総コス ト計画値 スコープ定義 WBS作成 作業項目の細分化。未定部分 は未完成のまま残す 作業単位と 監視単位の定義 コスト,スケジュールの設定。監 視の対象を設定 予定コストをスケジュール上 に配分 出来高計画の作成 実績コスト,出来高を測定 進捗測定 無 計画詳細化 有 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 見えてきた作業項目があれば, それを追加 備考:計画変更は除外。 RAC0177A2 RENTACO 作業単位と監視単位 アクティビテイをワークパッケージより下位の位置に WBS上へ組み込む。これを作業単位と呼び,ここに 作業内容を定義する。 ワークパッケージより上位階層の作業要素に監視の 対象を設定する。これを監視単位と呼ぶ。 まだ不明であれば,未完成のまま残す。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 WBSにおける監視単位と作業単位 作業単位 監視単位 作業要素 作業単位 作業単位 監視単位 作業要素 作業単位 監視単位 作業要素 作業単位 作業要素 作業要素 作業要素 第1階層 作業単位 第2階層 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 第3階層 アクティビテイ RAC0177A2 RENTACO 出来高計画の作成 作業単位の コストとスケジュールを定義 作業単位の出来高計画を作成 出来高計上法に従う 監視単位の出来高計画を作成 進捗の加法性を利用 プロジェクトの出来高計画を作成 進捗監視のベースライ ンとして使用する Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO 出来高計画詳細化のルール 1. 詳細化されていない作業単位の出来高計画値はゼロ。 2. 監視単位のコスト計画値は,総コスト計画値の中から割当てる。 割当て後に変更できない。 3. コスト超過状態の監視単位に作業単位を追加してはならない。 4. ある監視単位で集計した出来高計画値の総和は,その監視単 位のコスト計画値を超えてはならない。 5. すべての出来高計画値の総和は,総コスト計画値を越えては ならない。 これに反するときは,計画変更の処置を取らなければならない。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 67 RENTACO RAC0177A2 実績測定 (1)作業単位の出来高を計上法に従って測定 計上法 出来高の測定値 0/100法 未完了であれば0%,完了していれば100%。 30/70法 着手していれば30%,完了していれば70%。 マイルストー ン法 マイルストーンを達成していれば,その設定された出 来高。 完成比率法 完成比率を見積もり,それに応じた出来高。 (2)作業単位の実績コストを測定 (3)監視単位ごとに出来高と実績コストを集計 (4)プロジェクト全体で集計 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO 進捗分析 1. 実績推移表を作成。報告時点より未来は不要。出来高推移 図,効率推移図を作成。プロジェクト全体の状況を把握する。 2. 出来高分析表を作成。監視単位の出来高状況を把握する。 3. 出来高分析表を前回と比較し,計画詳細化の状況,計画変 更を確認する。 4. プロジェクト全体で,総コスト予測値を計算し,今後の動向を 把握する。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 実績推移表 ▽報告時点 週 1W 2W 3W 出来高計画値 10 20 35 実コスト 10 20 40 出来高 10 15 30 コスト差異 0 ‐5 ‐10 スケジュール差異 0 ‐5 ‐5 コスト効率 1 0.75 0.75 スケジュール効率 1 0.75 0.86 備考:値は累積値。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 4W 5W 6W ‐‐‐‐‐‐ RENTACO RAC0177A2 出来高分析表 PV AC EV CV SV CPI SPI BAC 監視単位1 監視単位N 残作業 プロジェクト 合計 進捗報告時点における監視単位の出来高状況を表示した表。 どの監視単位が異常な状態かを分析できる。 • • BAC欄を前回と比較して,計画詳細化の状況を確認できる。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 EVMを委託開発へ適用する意義 進捗管理のやり方に関して,委託側と受託側の双方 が共通の理解を持つことができる。 計画と実績がコストで数値表現されるから,双方が 同じ進捗認識を持ちやすい。 同じ進捗認識だから,双方が合同で対策を実施しや すい。 備考:同じ社内でも、プロジェクトチームを別の管理部門が監視するとき にEVMを活用すれば、同様な効果を期待できる。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 委託開発での進捗管理の手順 初期計画作成と 計画承認 初期計画を承認 •実績推移表 進捗報告と 計画詳細化の報告 •出来高分析表 •進捗分析 変更? N Y 計画変更の報告と 変更承認 N 完了? Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 計画変更を承認 RENTACO RAC0177A2 参考:初期のWBS 監視単位 C1 システム設計 プロ ジェク トA 作業単位 T1 T2 C2 残作業 サブシステム1 C3 T3 サブシステム2 C4 T4 T5 システムテスト 残作業 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 残作業 RENTACO RAC0177A2 進捗報告資料 実績推移表 出来高推移図 効率推移図 出来高分析表 出来高分析表 (前回) 監視単位のコスト計画値 が前回と異なれば,計画 変更を意味する。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 進捗分析報告 WBS WBS (前回) 次の場合に必要: •作業単位の追加 •監視単位の追加 •監視単位のコスト計画値変更 RAC0177A2 RENTACO リスクマネジメント ステークホルダーマネジメント フェーズ横断的なPM手法 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 76 RAC0177A2 RENTACO リスクマネジメントの概要 プロジェクトリスク もし発生したら,プロジェクト目標に影響を与えるであろう 不確かな事象又は状態。 目標に対しての脅威や,好機。 マネジメントの手順 マネジメント計画を作成 リスクを識別し,分析し,対応策を策定 監視コントロールを継続 マネジメントのコツ リスクを等級化する方法、チェックするタイミングを計画時 に規定することが重要。 リスク再評価を継続的に実施。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 リスクマネジメント計画書 •方法論 •役割と責任(リスクマネジメントチーム) •予算設定 •実施時期と頻度(プロジェクトスケジュールに組込む) •リスク区分(経験に基づくリスクの体系RBS) •発生頻度と影響度の定義 •リスクの等級化 •ステークホルダーのリスク許容度 •報告書式 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 78 RENTACO RAC0177A2 リスク登録簿 •特定したリスク、その説明、影響を受けるプロジェクト領域 •その原因、プロジェクト目標への影響 •リスクオーナーとその責任 •優先順位付のリスク一覧 •定性的,定量的リスク分析の結果 •個々のリスクに対する対応策 •対応策を実施するための具体的な行動 •対策後の残存リスクの程度、二次リスク •リスク発生の兆候と警告サイン •対応策に要する予算と期間 •コンティンジェンシー計画とその引き金 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 79 RENTACO RAC0177A2 リスク影響度の等級付け 影響度 非常に低い 低い 普通 高い 非常に高い 目標 0.05 0.1 0.2 0.4 0.8 コスト 軽微なコス ト増 コスト増 5%未満 5-10% 10-20% 20%超 スケジュー ル 軽微な遅延 遅延 5%未満 5-10% 10-20% 20%超 スコープ 軽微なス コープ縮小 主要部分 への影響 顧客が受 容しないス コープ縮小 実用に耐え ない最終成 果物 品質 軽微な品質 非常に厳し 顧客承認 顧客が受 劣化 い用途にの が必要な品 容しない品 み影響 質低下 質低下 実用に耐え ない最終成 果物 非主要部 部への影 響 影響度の数字尺度は非線形としている。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 80 RENTACO RAC0177A2 リスクの等級付け 高い 目標に対する影響度 発生確率 0.05 0.1 90% 0.05 0.09 0.2 0.4 70% 0.07 0.14 50% 0.05 0.10 30% 0.06 0.12 0.08 10% 低い Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 0.8 普通 81 RENTACO RAC0177A2 リスク対応策 対応策の説明 回避 リスクの影響を受けないようにプロジェクト計画を変更。 転嫁 リスクの影響を,リスク対応の責任とともに第三者へ移 す。財務的リスクの保険処理など。 軽減 リスクの発生確率又は影響を,受容可能な限界値まで 減らす。 受容 リスクが発生しても,それを受容れ,プロジェクト計画を 変更しない。リスクが発生したときに備えて,コンティン ジェンシー計画を用意しておく。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 82 RENTACO RAC0177A2 ステークホルダーマネジメントの概要 ステークホルダーを特定 ステークホルダーの要求、影響、関与を分析 ステークホルダーとのコミュニケーション方法を決定 プロジェクト計画に対するコミットメントを獲得 立上げ・ 計画フェーズ 実行フェーズ プロジェクト情報をステークホルダーへ配布 ステークホルダーの関与を監視 ステークホルダーと連携し、課題を解決 備考: 第5版から独立した知識領域を構成することになった。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 83 RENTACO RAC0177A2 コミュニケーションマネジメント計画書 •ステークホルダーのコミュニケーションに対する要求事項 •書式、内容、詳細度などを含んだ伝達情報 •情報伝達の担当者 •情報を受信する個人、又はグループ •電子メール等の情報伝達手段や技術 •コミュニケーションの頻度 •エスカレーションプロセス •この計画書を更新し、改善する方法 •共通用語集 •情報の流れを表すフローチャート、認可手順のワークフロー •報告書のリスト、会議の予定 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 84 RAC0177A2 RENTACO ステークホルダーを明確にする ステークホルダーの特定 連携を要するプロジェクト プロジェクトの顧客と販売部門 プロジェクトを企画、管理又は支援する部門 プロジェクトメンバが所属する組織、等 ステークホルダーと関わる事項 開発仕様、開発要員、開発費、開発環境 開発プロセス、契約、知財権、品質、コスト、納期、等 ステークホルダーと交換する情報 進捗及び品質に関する情報 課題解決の取り組み状況 機能仕様に関する情報 連携する開発プロジェクトの進捗 契約に関する内容と進捗 外部調達する開発資材の入手状況、等 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 85 RAC0177A2 RENTACO ステークホルダーとの課題を解決する 情報提供及び収集 課題の認識とその確認 配付した報告書に対する意見やコメント 各種の会議で議論、検討された項目 個別打合せで指摘された項目 課題の解決 個別に説明を実施し、直ちに解決する 直ちに解決できない課題は、解決まで監視する 未解決の課題に関して、その対応状況を調べ、定期的に その対応状況を報告する 解決済みの課題を知らせる 未解決課題に対して、必要な支援を促す Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 86 RAC0177A2 RENTACO 成功と失敗の分岐点 エピローグ Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 87 RENTACO RAC0177A2 プロジェクトのその時(成功と失敗の分岐点) 運営ルール 遅れの把握と対策 上長への報告 立上げ ・計画 実行・監視 終結 要求 設計・実装 スケジュール作成 WBSの作成と見積り Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. テスト RAC0177A2 RENTACO プロジェクトのその時1: WBSの作成と見積り 成果物の範囲 成果物が特定され、その仕様が定義されているか 開発工程が特定され、その出力が定義されているか WBSの作成 成果物が要素成果物に分解できているか 横断的な作業項目が漏れていないか 不確定な作業項目が認識されているか 見積り 規模見積りや工数見積りを行っているか 工数や要員等をもとにコストと期間を見積っているか 見積りが合意されているか Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 プロジェクトのその時2: スケジュール作成 開発体制との関係 要員スキルを明確にしているか 役割と指示系統が確立しているか 投入時期と注力度が明確になっているか 成果物の定義 各工程の進捗度が測れるようになっているか 定量的な成果物の完成量を定義しているか マイルストーンの設定 通過条件(完成度)が設定されているか NGのときの是正処置が用意されているか Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 RENTACO プロジェクトのその時3: 運営ルール 進捗管理のルールが周知徹底されているか 報告書式、定例報告会、タスクの進捗度 変更管理のワークフローが定着しているか 変更依頼、影響分析、変更承認 課題管理・不具合管理の仕組みが定着しているか 提起、割当て、監視、エスカレーション、解決確認 品質保証の仕組みを構築しているか レビュー計画、テスト計画 品質指標と目標値 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 プロジェクトのその時4: 遅れの把握と対策 プロジェクトの状況把握 作業の進捗状況をどのように把握するか 作業進捗度や工数注入の傾向 成果物の出来上がり具合 メンバの状況をどのように把握するか 情報収集をどのように行うか 進捗報告書、定例会議等 遅れをタイムリイに認識できるか 遅れの予兆 遅れの対策を強力に実施できるか 上長からの支援 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 プロジェクトのその時5: 上長への報告 進捗遅れに気づいたとき それをタイミングよく告げているか 納期キープと言われたときにどう反応するか 遅れ対策が必要なとき スケジュール延期を持ち出せるか 増員を頼めるか 支援が欲しいとき 利害関係者の調整を頼めるか メンバの注力度を上げたいと頼めるか Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 プロジェクト回顧録 プロジェクトの背景 システム/製品の特徴 量産/注文品、新規/派生製品/改良開発、規模、性能、寿命等 開発スケジュール 開発プロセスモデル、マイルストーン 開発体制 リーダーとメンバ、利害関係者、及び他プロジェクトとの関係 運営ルール 進捗度、週報書式、定例会議等、進捗報告のやり方 手法とツール 変更管理、不具合/課題管理、構成管理等 プロジェクトの課題 製品仕様、スケジュール、体制、運営等に関する課題 遅れ防止の工夫と反省 どういう予兆を認識し、どのように回避したか 何が原因で、なぜ回避できなかったか 品質確保の工夫と反省 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RENTACO RAC0177A2 RENTACO プロジェクト回顧録の記述例 プロジェクトの背景 データ放送を活用し、ニュース記事を放送直前に配信するシステムを稼働させる。 システムの特徴 新機能:記事受付、BMLデータ変換。現行の変更:コンテンツ管理。 JavaとPHPで構築されるWebアプリケーションで、工数は約60人月。 開発スケジュール 7ヶ月後に本番。 開発体制 機能別に3チームを構成し、平行開発。2拠点分散。総勢18名で、新人が半数。 運営ルール Excelを使った進捗管理。 手法とツール RUP開発手法に初挑戦。 オープンソースソフトを活用。 プロジェクトの課題 短期開発、新開発手法、オープンソースソフトという条件下で、納期厳守。 新人の指導と戦力化。 遅れ防止の工夫と反省 RUPプロセスを3フェーズに分け、重要機能を最初のフェーズで開発。 XPプラクティスを採用し、処理の流れを統一。 情報共有と意思疎通のためにWikiとチャットツールIRCを活用。 出典: 実録プロジェクトマネジメント、Nikkei System Integration 2004年5月号 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. RAC0177A2 RENTACO 「ど根性プロジェクト管理」チェックリスト 完璧に、そして強情に「お客」のことを考え続けよ 測定可能で、挑戦的だが達成可能な「目標」を、太陽のごとく明確にして 共有せよ すべての利害関係者と効果的で、声高の、たゆまぬコミュニケーションを 取れ 各人の役割と責任を誤解が生じないように理解させ、納得させておけ チーム全員がハートで約束するような、実行可能な計画とスケジュールを 作れ 大きくて、危険で、不愉快なリスクを緩和し、革新的な加速ツールをセット せよ 優先度は冷酷につけ、必要なら心臓、肺、腎臓のどれを取るか選べ 必要で不可避の変更を予期し、準備せよ 「思い込みと信念」に挑戦せよ、特に自分が無意識に作った限界には 利害関係者全員の「期待値」を管理せよ。小さく約束して、それを上回れ 経験に「学べ」、毎回もっと面白いミスをせよ 「感謝の態度」:プロジェクトの成功を祝おう、、そして失敗にも乾杯! 出典: 土壇場プロジェクト 成功の方程式、Kimberly Wiefling著、日経BP社 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 96 RAC0177A2 RENTACO プロジェクト管理に関する資格 PMP PMI認定資格 教科書はPMBOK 3年ごとに更新が必要 プロジェクトマネージャ試験 情報処理技術者試験のひとつ P2M 日本プロジェクトマネジメント協会が運営 教科書はプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイド ブック 4段階あり、5年ごとに更新 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 97 RAC0177A2 RENTACO 参考資料 プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(第3版又は第4版)、PMI著、 PMI日本支部 徹底解説!プロジェクトマネジメント、岡村正司著、日経BP社 実務で役立つWBS入門、G.Haugan著、伊藤衡監訳、翔泳社 WBS実務標準第2版、PMI著、PMI東京支部監訳、新技術開発セン タ アーンドバリューによるプロジェクトマネジメント第2版、Q.Fleming他、 PMI東京支部監訳、日本能率協会マネジメントセンター EVM実務標準、PMI編、PMI東京支部監訳、PMI東京支部 EVMを極める,日経ITプロフェッショナル誌,2004年12月号 プロジェクトマネジメントの理論と実践(全15回)、日経ITプロフェッ ショナルズ2002年7月号から、日経BP社 土壇場プロジェクト 成功の方程式、Kimberly Wiefling著、日経BP社 プロジェクトファシリテーション、関・白川共著、日経新聞出版社 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 98 RAC0177A2 RENTACO まとめ PMBOKはプロジェクトマネジメントという職業における知 識の体系であり、資格試験の教材として利用されている。 プロジェクト憲章に書かれる内容の確認、プロジェクトを マネジメントする方法の合意が重要である。 WBSひな形を用意しておき、それを利用するのが効率的 である。 変更又は是正要求は統合変更管理で審査、指示、実施 監視しなければならない。 EVM手法は作業進捗をコストという数値で把握し、進捗 分析を容易にし、委託開発での適用に適する。 リスク等級化、監視方法は計画時に規定しなければなら ない。 ステークホルダーの要求と関与を把握し、ともに課題を 解決してゆくことが重要。 Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 99 RENTACO RAC0177A2 ご清聴ありがとうございました 作成者: 株式会社レンタコーチ http://www.rentaco.jp/ 問合せ先: 中村 洋 nakamura@rentaco.jp Copyright© 2010‐2013 RENTACO. All Rights Reserved. 100
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