薬局・薬剤師の災害対策マニュアル 薬局・薬剤師の災害

薬局・薬剤師の災害対策マニュアル
─災害時の救援活動と平時の防災対策に関する指針─
平成19年(2007年)1 月17日
日
本
薬
剤
師
会
薬局・薬剤師の災害対策マニュアル
─災害時の救援活動と平時の防災対策に関する指針─
平成19年(2007年)1 月17日
日
本
薬
剤
師
会
薬局・薬剤師の災害対策マニュアル 目次
はじめに
1.本マニュアルの位置づけ …………………………………………………………………… 1
2.本マニュアルの概要 ………………………………………………………………………… 2
第 1 章 総論 ……………………………………………………………………………………………
1.災害の定義など ………………………………………………………………………………
2.最近の地震災害の発生状況 …………………………………………………………………
3.日本薬剤師会の今日までの取り組み ………………………………………………………
4.都道府県薬剤師会及び支部薬剤師会の災害対策への取り組みの現状 …………………
5.阪神・淡路大震災を契機とする行政の災害対策 …………………………………………
第 2 章 災害時の薬剤師の救援活動 ………………………………………………………………
1.災害医療救護活動 ……………………………………………………………………………
2.被災地における医薬品等の安定供給への貢献 ……………………………………………
3.避難所等における被災者への支援 …………………………………………………………
4.その他の公衆衛生活動 ………………………………………………………………………
第 3 章 救援活動への参画 …………………………………………………………………………
1.救援活動の種類 ………………………………………………………………………………
2.活動場所ごとの救援活動の内容 ……………………………………………………………
3.救援活動を行う上での留意事項 ……………………………………………………………
3
3
3
3
4
4
9
9
9
9
10
11
11
11
13
第 4 章 災害時の薬剤師会の役割 ………………………………………………………………… 20
1.情報の収集・伝達 …………………………………………………………………………… 20
2.災害発生時の薬剤師会内の体制整備 ……………………………………………………… 20
第 5 章 薬剤師会の平時の準備・防災対策 ………………………………………………………
1.地域防災会議への参画 ………………………………………………………………………
2.指定地方公共機関の指定 ……………………………………………………………………
3.自治体との協力協定の締結の推進 …………………………………………………………
4.関係機関との連携協力体制の確立 …………………………………………………………
5.近隣薬剤師会との相互支援体制の整備 ……………………………………………………
6.情報収集体制の確立等 ………………………………………………………………………
7.指揮命令系統の確立 …………………………………………………………………………
8.災害時に出動できる薬剤師の登録 …………………………………………………………
9.薬剤師の派遣計画の策定 ……………………………………………………………………
10.携行品の常備 …………………………………………………………………………………
11.会員に対する定期的な教育・研修 …………………………………………………………
25
25
25
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29
30
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31
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32
12.住民に対するPR活動 ………………………………………………………………………… 32
13.支部薬剤師会の平時の準備・防災対策 …………………………………………………… 33
14.学校薬剤師の平時の準備・防災対策 ……………………………………………………… 33
第 6 章 薬局の防災対策 ……………………………………………………………………………
1.薬局の構造設備 ………………………………………………………………………………
2.ライフライン(水、燃料、電気等)の確保 ………………………………………………
3.定期的な研修・教育 …………………………………………………………………………
4.日常業務 ………………………………………………………………………………………
5.その他 …………………………………………………………………………………………
35
35
35
35
36
36
参考書籍一覧 …………………………………………………………………………………………… 37
参考資料
1.トリアージ …………………………………………………………………………………… 41
2.広域災害救急医療情報システム …………………………………………………………… 45
3.大規模災害時に需要が見込まれる医薬品等 ……………………………………………… 48
4.自然災害発生時における医療支援活動マニュアル(抜粋)……………………………… 51
5.エコノミークラス症候群に対する注意喚起 ……………………………………………… 62
6.阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震における一般用医薬品等の供給量の割合 …… 64
7.保健活動に必要な物品チェックリスト …………………………………………………… 65
8.個別疾患患者に対する災害時の対応 ……………………………………………………… 66
9.災害対策基本法に基づく指定地方公共機関の指定について(例)……………………… 71
10.災害時の医療救護活動に関する協定書(例)及び実施細則(例)……………………… 72
11.災害時の救援活動に係る費用弁償等に関する覚書(例)………………………………… 75
12.災害用医薬品等備蓄・供給事業委託契約書(例)………………………………………… 77
13.救急蘇生法 …………………………………………………………………………………… 85
14.水害時の消毒薬の手引き(抜粋)…………………………………………………………… 89
15.消毒方法について …………………………………………………………………………… 90
16.安定ヨウ素剤の取扱い ……………………………………………………………………… 92
17.お薬手帳の啓発ポスター(例)……………………………………………………………… 94
18.災害時の薬剤師業務 ………………………………………………………………………… 95
19.関係法律等 …………………………………………………………………………………… 98
20.行政機関の連絡先 ……………………………………………………………………………107
参考
本マニュアルの活用方法として、主に対象となる項目に○を付けました。①都道府県薬剤師会、
②支部薬剤師会、③薬局・薬剤師、それぞれ該当する項目を必ずご一読下さい。
はじめに
1.本マニュアルの位置づけ
2.本マニュアルの概要
県薬
支部
薬局
○
○
○
第 1 章 総論
1.災害の定義など
2.最近の地震災害の発生状況
3.日本薬剤師会の今日までの取り組み
4.都道府県薬剤師会及び支部薬剤師会の災害対策への取り組みの現状
5.阪神・淡路大震災を契機とする行政の災害対策
県薬
○
○
○
○
○
支部
○
○
○
○
○
薬局
○
○
−
−
○
第 2 章 災害時の薬剤師の救援活動
1.災害医療救護活動
2.被災地における医薬品等の安定供給への貢献
3.避難所等における被災者への支援
4.その他の公衆衛生活動
県薬
支部
薬局
○
○
○
第 3 章 救援活動への参画
1.救援活動の種類
2.活動場所ごとの救援活動の内容
3.救援活動を行う上での留意事項
県薬
支部
薬局
−
○
○
第 4 章 災害時の薬剤師会の役割
1.情報の収集・伝達
2.災害発生時の薬剤師会内の体制整備
県薬
支部
○
○
第 5 章 薬剤師会の平時の準備・防災対策
1.地域防災会議への参画
2.指定地方公共機関の指定
3.自治体との協力協定の締結の推進
4.関係機関との連携協力体制の確立
5.近隣薬剤師会との相互支援体制の整備
6.情報収集体制の確立等
7.指揮命令系統の確立
8.災害時に出動できる薬剤師の登録
9.薬剤師の派遣計画の策定
10.携行品の常備
11.会員に対する定期的な教育・研修
12.住民に対するPR活動
13.支部薬剤師会の平時の準備・防災対策
14.学校薬剤師の平時の準備・防災対策
県薬
支部
○
○
第 6 章 薬局の防災対策
1.薬局の構造設備
2.ライフライン(水、燃料、電気等)の確保
3.定期的な研修・教育
4.日常業務
5.その他
県薬
支部
薬局
−
−
○
県薬
○
支部
○
薬局
○
参考書籍一覧
○
薬局
−
¾のみ○
薬局
−
14のみ○
はじめに
1 .本マニュアルの位置づけ
○
本マニュアルは、阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震等の経験を踏まえ、大規模災害時に
薬剤師、地域薬局及び薬剤師会が行うべき活動等をまとめたものであり、あわせて平時に薬剤
師、地域薬局及び薬剤師会が取るべき防災対策を示したものである。
○
災害はその規模、発生の時期(季節)、場所、時間帯等により被害の状況も多種多様であり、
また情報通信の技術進歩等の周辺状況の変化を考慮すれば、将来のどのような場合においても、
ある一つのマニュアルどおりに対策を講じることは適当ではなく、個別の事情に応じた創意工
夫・臨機応変な対応が必要である。(表1)
○
今後、日本薬剤師会では、本マニュアルを基に具体的な防災対策等を検討する予定であるが、
都道府県薬剤師会、支部薬剤師会、各地域薬局並びに個々の薬剤師等においても、それぞれ防
災対策等を検討し、各種の活動計画等を作成することが望まれる。
○
なお、本マニュアルは、都道府県薬剤師会や支部薬剤師会が行政と連携し、地域防災計画に
参画したり、会内の体制整備を行う上で活用することなどを目的としたものである。既に行政
と連携を図り、会内体制を整備されている都道府県薬剤師会や支部薬剤師会においては、参考
資料として活用いただきたい。
表1 阪神・淡路大震災と新潟県中越地震の相違点
阪神・淡路大震災
新潟県中越地震
地震形態
都市直下型
山間型
医療体制
病院・診療所被害大
病院・診療所被害小(影響ほとんどなし)
医薬品卸
被害大のため機能マヒ
被害小だが道路不通のため配送体制マヒ
医療用・一般用医薬品すべて不足
一般用医薬品のみ不足
救護所
国・県・市単位で公的機関が多数設置
医療体制が確保されているため、日本赤十字社
などの病院ボランティアチームなど、民間医療
チームが設置
避難所
学校・公園など、比較的大規模で状況が把握 体育館・学校のほか、車を使用する自主的避難
しやすく、学校薬剤師が活動できた
所が多数点在したため、把握が困難
災害救援物資
一般用医薬品のみで、かつ多量の不足ではなかっ
医薬品がすべて不足しているため、大規模な
たため、不足医薬品の薬効別に地元などから随時
医薬品専用集積所が設置された
調達され、大規模な集積所は設置されなかった
薬剤師会
震源地が新潟市内から離れていたため、新潟県
薬剤師会の機能は正常だった。しかし、災害地
兵庫県薬剤師会館が全壊したことにより当初
が県中心部より車・電車で1時間以上必要な
県薬機能がマヒしたため、隣県の大阪府薬剤
上、道路・鉄道などの交通手段がマヒしていた
師会館内に現地対策本部を設置
ため災害地に近い長岡支部内に現地対策本部を
設置
医薬品不足
全国薬剤師
約3,000人参加
ボランティア
約1,000人参加
児玉 孝(日本薬剤師会副会長)作成資料、調剤と情報平成17年3月号 監修:日本薬剤師会、編集・発行:
じほうより
― ―
1
2 .本マニュアルの概要
○ 災害時の薬剤師の救援活動
災害時に薬剤師が行うべき救援活動の内容を示す。
災害時の薬剤師の救援活動は、自治体からの公的要請によるものと、薬剤師会として自主的
に行うものとに大別される。原則として行政からの要請に基づき救援活動を行うことが望まし
いが、厚生労働省や地方白治体の要請を待つのではなく、初動体制を重視し、薬剤師会として
自主的かつ臨機応変に救援活動を開始することも必要である。
○ 災害時の薬剤師会の役割
災害時に薬剤師会が行うべき活動を、日本薬剤師会(中央対策本部)、被災都道府県薬剤師
会(現地対策本部)、被災地の支部薬剤師会、被災地の近隣県薬剤師会、それ以外の全国の薬
剤師会等の別に示す。
○ 薬剤師会の平時の準備・防災対策
防災の観点から、日本薬剤師会、都道府県薬剤師会、支部薬剤師会等が、平時に取り組むべ
き事項等を示す。
○ 薬局の防災対策
地域の薬局が平時に行うべき防災対策のポイント等を示す。
― ―
2
第 1 章 総 論
1 .災害の定義など
災害の定義については、災害対策基本法第2条において「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地
震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の
程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。」とされている。政令
で定める原因により生ずる被害とは、「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の
沈没その他大規模な事故」のことである。
本マニュアルは、このうち主として「地震災害への対応」に関するものである。
2 .最近の地震災害の発生状況
1923年(大正12年)の関東大震災以来の約70年の間に、日本において発生した大きな地震災害
はおよそ30件あり、1961年(昭和36年)の災害対策基本法の制定以後では、1960年代に新潟地震、
十勝沖地震、1970年代に伊豆半島沖地震、伊豆大島近海地震、宮城沖地震、1980年代に日本海中
部地震、長野県西部地震、1990年代に釧路沖地震(1993年1月)、北海道南西沖地震(同7月)、
北海道東方沖地震(1994年10月)、三陸はるか沖地震(同12月)、阪神・淡路大震災(兵庫県南部
地震)(1995年1月17日)等が主なものとして挙げられる。
さらに最近では、2000年(平成12年)以降の6年間の間に、有珠山噴火(2000年3月)、三宅
島噴火災害(同6月)、鳥取県西部地震(同10月)、芸予地震(2001年4月)、宮城県北部を震源
とする地震(2003年7月)、十勝沖地震(同9月)、新潟県中越地震(2004年10月23日)、福岡県
西方沖地震(2005年3月)、千葉県北西部を震源とする地震(2005年7月)、宮城県沖を震源とす
る地震(2005年8月)の10件の発生が数えられる。
3 .日本薬剤師会の今日までの取り組み
日本薬剤師会では薬局の防災対策の重要性に鑑み、昭和57年に薬局委員会第二委員会が中心と
なり「薬局防災業務指針」を作成した。同指針は、全国の薬局を対象に危険薬品の保管・備蓄に
関する調査を行い、それらの薬品の危険性および保管方法等について検討した上で、「薬品によ
る災害への対策」をまとめたものである。
また、阪神・淡路大震災以後では、平成7年7月に行政薬剤師部会が各都道府県薬務担当課に
対して「医薬品の備蓄等に関するアンケート調査」を実施し、同年11月その結果を取りまとめて
いる。さらに平成8年7月には、阪神・淡路大震災の際の薬剤師の救援活動を報告書「災害医療
における薬剤師の役割」としてまとめ、都道府県薬剤師会をはじめ関係各方面に配付した。また、
同年12月には、「薬局・薬剤師の防災マニュアル―災害時の救援活動と平時の災害対策に関する
指針」をまとめ、都道府県薬剤師会をはじめ関係各方面に配付している。
さらに、平成14年11月には都道府県薬剤師会を対象に、「平時の防災対策や災害発生時の薬剤
師の救援活動に関する調査」を行い、平成15年3月その結果を取りまとめた。平成18年には、こ
れら調査結果を参考に、職能対策委員会・医薬分業検討会にて「薬局・薬剤師の防災マニュアル」
の見直しを行い、平成19年1月、「薬局・薬剤師の災害対策マニュアル」として新たに発行する
に至った。
― ―
3
4 .都道府県薬剤師会及び支部薬剤師会の災害対策への取り組みの現状
前述した「医薬品の備蓄等に関するアンケート調査」及び「平時の防災対策や災害発生時の薬
剤師の救援活動に関する調査」によると、①災害時の医療救護活動等に関して各地方自治体と協
定を結んでいる、②薬剤師救護班を編成している、③医薬分業推進支援センター等を活用し災害
用医薬品を備蓄しているなど、多くの薬剤師会で、さまざまな災害対策への取り組みがなされて
いる。「平時の防災対策や災害発生時の薬剤師の救援活動に関する調査」によると、平成14年11
月現在、27都道府県薬剤師会及び213支部薬剤師会が何らかの災害対策を行っていることが明ら
かになっている。
今後、各自治体の地域防災計画の見直しの際に薬剤師の活用が盛り込まれるよう、薬剤師会が
自律的に対策を講じ、行政に積極的に協力を申し入れるとともに、薬剤師会内においても万全の
対策を構築していくことが望まれる。
なお、兵庫県薬剤師会は平成7年11月、「阪神・淡路大震災における薬剤師ボランティア活動
の記録」を、新潟県薬剤師会は平成17年9月、「新潟県中越地震における薬剤師の活動記録」を
まとめ公表している。
5 .阪神・淡路大震災を契機とする行政の災害対策
¸
防災基本計画
平成7年7月、政府は阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、防災基本計画を全面的に改訂した。
防災基本計画は、我が国の災害対策の根幹となる各種防災計画の基本となる計画で、災害対策基
本法第34条に基づき中央防災会議が作成する最上位の計画である。
平成7年7月に改訂された防災基本計画では、自然災害対策を中心とした修正が行われるとと
もに、国、公共機関、地方公共団体、住民等の役割が明らかにされた。防災基本計画はその後も
適宜見直しが行われており、直近では平成17年7月に改訂されている。
¹
防災業務計画
災害対策基本法第36条に基づき、指定行政機関である厚生労働省が策定・実施するのが「防災
業務計画」である。薬剤師会に直接関係する事項としては、以下の内容が盛り込まれている。防
災業務計画は原則年1回見直しが行われている。
【厚生労働省防災業務計画(抜粋)】
第1編 災害予防対策
第3章 医療・保健に係る災害予防対策
第6節 医薬品等の安定供給の確保
第1 災害時情報網の整備
1.都道府県は、医療機関、医薬品等関係団体、日本赤十字社、都道府県薬剤師会等
と協力し、災害時における医薬品等の供給に関する情報収集及び連絡体制の整備
に努める。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、都道府県、医薬品等関係団体、日本赤十字
社、社団法人日本薬剤師会等と協力し、災害時における医薬品等の供給に関する
情報収集及び連絡体制の整備に努める。
第2編 災害応急対策
第3章 医療・保健に係る対策
第3節 被災地における医療の確保
― ―
4
第1 保健医療活動従事者の確保
1.被災都道府県は、救護班の編成等に必要な医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看
護師等の保健医療活動従事者の数及び不足数について迅速な把握に努める。
第5節 医薬品等の供給
第3 医薬品の仕分け及び管理
1.被災都道府県は、医薬品等集積所、避難所等における医薬品等の仕分け・管理及
び服薬指導等の実施について、都道府県薬剤師会に要請し、医薬品等の迅速な供
給及び適正使用を図る。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、被災地内での医薬品等の仕分け・管理及び
服薬指導等の実施について、広域的な対応が必要と判断した場合には、社団法人
日本薬剤師会等に要請する。
なお、都道府県は災害対策基本法第40条に基づき「都道府県地域防災計画」を、市区町村は災
害対策基本法第42条に基づき「市町村地域防災計画」を、それぞれ地域の実状に即して策定・実
施することとされている。
º
阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会の設置
阪神・淡路大震災の教訓を生かし、被災地となった場合の観点と被災地への支援という観点か
ら検討を行うため、厚生労働省は平成7年4月、「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制
のあり方に関する研究会」(委員長:山本保博日本医科大学附属千葉北総合病院院長)を設置し
た。同研究会は平成7年5月に「災害時における医療対策に関する緊急提言」を、同8月に「病
院防災マニュアル作成ガイドライン」を、平成8年2月に「広域災害・救急医療情報システム」
及び「トリアージ・タッグの標準化」を公表し、平成8年5月1日にはこれらを盛り込んだ最終
報告書を取りまとめた。
»
トリアージ・タッグの標準化について
上記報告書を踏まえ、トリアージ・タッグについては平成8年3月、厚生労働省と消防庁にお
いて標準化が図られた。(資料1)
・「トリアージ・タッグの標準化について」(平成8年3月12日、指第15号、厚生省健康政策局
指導課長通知)
・「大震災等大規模災害において使用するトリアージ・タッグの標準化について」(平成8年3
月22日、消防救第53号、消防庁救急救助課長通知)
¼
災害発生時における初期救急医療体制の充実強化について
厚生労働省は上記の研究結果等を踏まえ、健康政策局長通知「災害発生時における初期救急医
療体制の充実強化について」(平成8年5月10日、健政発第451号)を都道府県・指定都市・特別
区に発した。この通知では、①地域防災会議等への医療関係者の参加促進、②災害時における応
援協定の締結(医療救護、緊急輸送等に関する)、③広域災害・救急医療情報システムの整備、
④災害拠点病院の整備、⑤災害医療に係る保健所機能強化、⑥災害医療に関する普及啓発、研修、
訓練の実施、⑦病院防災マニュアル作成ガイドラインの活用、⑧災害時における消防機関との連
携、⑨災害時における死体検案体制の整備を積極的に推進することにより、特に災害時における
初期救急医療体制の充実強化を図ることとしている。この通知に基づき、全国で災害拠点病院の
整備等が進められた。
― ―
5
½
災害拠点病院の整備(平成8年5月∼)
阪神・淡路大震災では、施設・設備やライフラインの被害等によって被災地域内の医療機能が
十分に機能せず、また、後方医療機関への搬送についても多くの課題が指摘された。このため、
厚生労働省においては、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、災害時における初期救急医療体制を
充実強化するため、24時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の傷病者の受入れ及び搬出を行う
ことが可能な体制等を整えた医療機関を災害拠点病院として指定・整備している。
[設置方針]
①基幹災害医療センター:原則として各都道府県に1箇所設置
②地域災害医療センター:原則として二次医療圏に1箇所設置
災害拠点病院は、平成15年8月31日現在で47都道府県、542病院が指定されている。内訳は、
基幹災害医療センターが54病院、地域災害医療センターが488病院(基幹災害医療センターとの
重複4病院含む)である。
¾
広域災害・救急医療情報システム
阪神・淡路大震災では、ライフラインや道路、医療機関相互の情報網の被害などから、被災地
域内・外の医療機関相互の情報伝達や患者搬送に支障をきたした。このため、厚生労働省におい
ては、平常時には救急医療施設から的確に情報を収集し、医療施設、消防本部等への必要な情報
を行うことにより救急患者の医療を確保し、災害時には医療機関の稼働状況、医療スタッフの状
況、ライフラインの確保、医薬品等の備蓄状況等の災害医療に係る総合的な情報収集・提供を全
国的なネットワークで行うことを目的とする「広域災害・救急医療情報システム」の整備を進め
ている。
このシステムでは、全国共通で設定されている項目に入力された被災地の医療機関の状況、全
国の医療機関の支援申し出状況などを行政機関が把握し、迅速に対応できるようになっている。
広域災害・救急医療情報システムは平成15年4月現在、42都道府県が導入している。(資料2)
¿
災害医療体制のあり方に関する検討会の設置
厚生労働省は、阪神・淡路大震災から5年を経過したのを機に、今日的視点から災害医療体制
をハード・ソフト両面から再点検を行い、特に発災直後の災害医療体制の強化に関して検討する
ため、平成12年7月「災害医療体制のあり方に関する検討会」を設置した。同検討会は平成13年
6月に報告書を取りまとめ、災害時における応援協定の締結、広域災害・救急医療情報システム
の整備、災害拠点病院の整備、災害時における消防機関との連携などについて提言を行っている。
À
日本DMAT(ディーマット)活動について
災害発生時の緊急医療チームの派遣体制の整備(日本版DMAT構想)については、平成13年
6月に公表された「災害医療体制のあり方に関する検討会」報告書において「全国的な災害医療
ネットワークに関する検討と併せ、引き続き研究・検討を進めることが適当」とされた。
その後厚生労働省においては、平成17年3月より日本DMATの研修を進めるとともに、平成
18年4月には、各都道府県でDMAT運用計画を策定する際の基本指針となる「日本DMAT活動
要領」を各都道府県に通知した。(平成18年4月7日、医政指発第0407001号、厚生労働省医政局
指導課長通知)
― ―
6
●DMATについて
DMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害医療援助チーム)とは、災害の急性
期(概ね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた災害派遣医療チー
ムである。広域医療搬送、病院支援、域内搬送、現場活動を主な活動とする。都道府県は
DMAT指定医療機関を指定し、当該医療機関との協定の締結等を行い、災害時に被災地へ
DMATを派遣する。DMATに参加する要員は、国立病院機構災害医療センター等で実施される
「日本DMAT隊員養成研修」を終了し、厚生労働省に登録された者である。
Á
大規模災害時の医薬品等供給システム検討会
医薬品の供給に関しては、平成7年7月に厚生省薬務局経済課(現・厚生労働省医政局経済課)
に設けられた「大規模災害時の医薬品等供給システム検討会」が平成8年1月に報告書を取りま
とめ、災害時の医薬品供給体制に関する各種提言を行っている。同検討会の報告書には、大規模
災害時に需要が見込まれる医薬品一覧(資料3)等が掲載されている。
同報告書は「大規模災害時の医薬品等供給マニュアル」として市販されており、平成18年4月
に発刊された第2次改訂版は国政情報センターで購入することができる。(37頁参照)
Â
自然災害発生時における医療支援活動マニュアルの作成
平成16年度厚生労働科学研究「新潟県中越地震を踏まえた保健医療における対応、体制に関す
る調査研究」において、「自然災害発生時における医療支援活動マニュアル」が作成され、公表
された。同マニュアルには、①災害医療救護班における薬剤師の活動チェックリスト、②薬剤師
マニュアル、③災害時携行用医薬品リスト等が掲載されている。(資料4)
【災害医療に係る保健所機能の強化について】
¸
地域保健対策の推進に関する基本的な指針
国の近年の地域保健対策は、地域保健法と同法に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的
な指針」の定めるところにより推進されてきた。
平成10年11月に公衆衛生審議会の下に設置された「地域保健問題検討会」は、平成11年8月に
報告書をまとめ、地域における健康危機管理の在り方等の提言を行った。厚生労働省はこの提言
を踏まえ、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年12月1日厚生省公示告示第
374号)を平成12年3月に改正し、地域における健康危機管理等の基本的な方針を示した。
地域保健対策の推進に関する基本的な指針では、保健所は「地域における健康危機管理の拠点」
として位置づけられている。
¹
健康危機管理の定義
厚生労働省が平成13年に定めた「厚生労働省健康危機管理基本指針」によれば、健康危機管理
とは「医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安
全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務」とされ
ており、この定義における「その他何らかの原因」には「阪神・淡路大震災や有珠山噴火のよう
な自然災害、和歌山市毒物混入カレー事件のような犯罪、JCOによる東海村臨界事故のような放
射線事故、
サリン事件のような化学兵器や毒劇物を使用した大量殺傷型テロ事件なども含まれる」
としている。
このような不特定多数の国民に健康被害が発生または拡大する可能性がある場合には、保健所
には、公衆衛生の確保の観点からの役割が求められる。
― ―
7
º
地域健康危機管理ガイドライン
厚生労働省は平成13年3月、「地域における健康危機管理について∼地域健康危機管理ガイド
ライン∼」をまとめ、公表した。これは、地方公共団体が、健康危機管理において保健所の果た
すべき役割について記載した「地域における健康危機管理のための手引書」を作成する際に参考
となるように、保健所が各種の健康危機管理を行う際に共通して果たすべき事項等をガイドライ
ンとしてまとめたものである。
同ガイドラインでは、保健所の機能として、平時における医薬品等の備蓄体制の整備、災害発
生時における医療ボランティアの配置調整等が示されている。
»
地域保健対策検討会の中間報告
厚生労働省の地域保健対策検討会は平成17年5月、中間報告をまとめ、公表した。この中間報
告では、「保健所を中心とした地域における健康危機管理体制の構築」を提言し、保健所が対応
する健康危機の対象分野などを示している。
具体的に示された対象分野は、災害有事(地震、台風、津波、火山噴火)、重大健康危機(生
物テロ、SARS、新型インフルエンザ)、原因不明健康危機、感染症等であり、保健所の役割等
が記されている。
¼
生物テロ等への対応
生物テロ等に対しては、これまで「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
や「国内でのテロ事件発生に係る対応について」に関する通知等に基づく対応が図られてきた。
加えて、平成16年に成立した「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」
では緊急対処事態に関する規定が設けられ、同法に基づく国民の保護に関する基本指針において
は、保健所等に生物テロ等への対応を求めている。
さらに、今後、病原性微生物及び毒素に対して適切な対策をとっていくため、平成18年6月に
は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正が行われている。
― ―
8
第 2 章 災害時の薬剤師の救援活動
1 .災害医療救護活動
災害発生後、最も優先されるべきは負傷者の救助であり、阪神・淡路大震災後には全国の自治
体や病院より医療チーム(救護班)が派遣され、被災地に設けられた救護所・救護センター等に
おいて医療救護活動が行われた。
被災地の医療救護活動においては、医師、看護師がその中心的役割を担うこととなるが、被災
地の救護活動においても医薬品は当然使用され、さらにその医薬品は平時と異なり種類が限定さ
れていることから、被災地の医療救護活動において薬剤師の活用が有効であることが阪神・淡路
大震災の経験から明らかになった。被災地に派遣される医療チーム(救護班)では、少人数の医
師が自らの専門科以外の患者に対応し、また平時に使用したことのない銘柄の医薬品を使わざる
を得ない。したがって、被災地の医療救護活動における薬剤師の役割としては、単なる調剤や服
薬指導にとどまらず、こうした場合に医師等に対して医薬品の選択や同種同効薬についての助言
を行うなど、医薬品の適正使用に貢献する幅広い活動が要求される。
なお、こうした医療救護活動に参加する薬剤師としては、病院薬剤師や薬局薬剤師が望ましく、
特に医療用医薬品と一般用医薬品の両方を熟知した薬剤師が最も適任であると考えられる。
2 .被災地における医薬品等の安定供給への貢献
阪神・淡路大震災の際には、厚生労働省並びに都道府県薬務担当課の指示により、被災地外か
らの救援医薬品や医療材料・衛生材料がいったん集積所に集められ、仕分けや保管・管理がなさ
れた後、保健所を経由して救護所や避難所に搬出された。集積所は医療用医薬品と一般用医薬品
の2ヵ所が設けられ、これら集積所には総額42億円にものぼる医薬品等が搬入されたが、集積所
や保健所において医薬品等の薬効別分類、在庫管理、出入管理、品質管理、避難所・救護所等か
らの要望に応じた医薬品の供給、不足医薬品の発注、及び迅速かつ的確な搬送等を行う上では、
専門的な知識のある薬剤師が配置されることが不可欠であった。この経験は、新潟県中越地震の
際にも活かされ、医薬品は新潟県国保課の管理下のもと、日通長岡集配施設を第1次集積所とし
て集められ、そこから第2次集積所である各市町村役場(35ヶ所)及び各避難所(439ヶ所)に
供給された。
また、阪神・淡路大震災の発生後、被災地外から医薬品が安定的に供給されるようになるには
5日間程度必要であったため、最も患者数の多い災害直後の医薬品供給については被災地内での
対応によらざるを得ない面が大きい。したがって、薬剤師会が備蓄センター等を有している場合
には、これを活用した医薬品等の備蓄・供給が期待されることとなる。
なお、こうした医薬品等の配送並びに仕分け・保管・管理については、医薬品卸売業者に勤務
する薬剤師や製薬企業に勤務する薬剤師が適任であると考えられる。
3 .避難所等における被災者への支援
阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の発生後には、都道府県や市区町村の指定した避難所
(主に小中学校)に多くの被災者が集まり、また行政の指定した避難所以外にも、自然発生的に
多くの避難所ができあがった。
これらのうち比較的規模の大きい避難所には、救護センター(県が設置)や救護所(市区町村
が設置)が設けられ、全国から医療チーム(救護班)が派遣され、医療救護活動が行われた。前
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9
述のように、薬剤師にはこうした医療チーム(救護班)に参加しての医療救護活動が求められる
が、それ以外にも避難所等における薬剤師の役割としては、①一般用医薬品の保管・管理、及び
被災者への供給、②医薬品や健康に関する相談、③被災者のメンタルケア、④いわゆるエコノミ
ークラス症候群に対する注意喚起(資料5)、⑤トイレの消毒など避難所の衛生環境の管理、⑥
飲料水の水質検査等の公衆衛生活動、⑦避難所となった学校における薬剤師活動など、医療救護
分野にとどまらないさまざまな活動が求められる。
こうした避難所における被災者への支援活動には、薬局薬剤師や学校薬剤師が適任であると考
えられる。また、大規模災害が発生した場合には避難所の設置が長期化し、これにあわせて支援
活動も長期間におよぶため、全国各地からの薬剤師による活動は、漸次、地元または隣接地域の
薬剤師に引き継いでいくことが望ましい。
【高齢者・障害者等の避難支援】
内閣府に平成16年10月に設けられた「災害時要援護者の避難対策に関する検討会」は、平成18
年3月、「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」をまとめ、公表した。
このガイドラインでは、高齢者や障害者等に対する災害時の避難支援は、地方公共団体の役割
と位置づけているが、行政の公助だけでは限界があることから、地域等での共助さらには自助が
不可欠であるとしている。
災害時の要援護者支援には、①避難情報の伝達、②安否確認、③避難誘導、④救助活動、⑤避
難所での支援、⑥在宅での支援―などがある。行政においては、避難行動要支援者や被災リスク
の高い者を重点的・優先的に要援護者支援を進めることとなる。要援護者の情報を把握している
薬局や介護サービス事業者は、これに協力することが求められる。
特に、在宅患者や個別疾患患者の避難支援、これら患者に対する薬物療法の確保は、地域に密
着している薬局薬剤師に最も求められる行動である。(36頁参照)
4 .その他の公衆衛生活動
阪神・淡路大震災の際には、被災地の飲料水確保のための水質検査をはじめ、倒壊建物からの
アスベストの飛散状況の調査、解体家屋や廃材の野焼き等により発生したダイオキシンの濃度の
測定、その他カドミウム雨や土壌・水質の汚染の実態調査等が行われた。
こうした公衆衛生分野の活動については、薬剤師会関係試験検査センターや薬科大学・薬学部、
さらには行政薬剤師の協力が不可欠である。
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10
第 3 章 救援活動への参画
1 .救援活動の種類
災害発生後に薬剤師が行う救援活動は、自治体からの公的要請による活動と、薬剤師会等によ
る自主的な活動に大別される。
¸
自治体の公的要請による救援活動
都道府県や市区町村は、災害の予防対策や応急対策について地域防災計画を策定することが義
務づけられており、各自治体では適宜地域防災計画の見直しが行われている。
地方自治体の地域防災計画に薬剤師の活用等が盛り込まれ、災害時の医療救護活動等について
薬剤師会と地方自治体が協定を締結し、当該地域の薬剤師がこれに基づき薬剤師会を通じて救援
活動を行うことが最も理想的である。
また、自治体立の医療機関や日赤病院をはじめとする大規模な医療機関等が、災害時の医療チ
ーム(救護班)の派遣等について自治体と協定を締結している場合が多く、こうした医療機関の
薬剤師は派遣される医療チームの一員として医療救護活動に参加することが望まれる。医療チー
ムに医師、看護師以外のどの医療職種を加えるかは、各病院等の判断に任されている場合が多い
ため、病院等に勤務する薬剤師は自ら積極的に参加を申し出て、被災地での医薬品の適正使用に
貢献することが望ましい。
なお、一定以上の規模の災害が発生した場合、都道府県は災害救助法による医療等の救助を行
い、市区町村がこれを補助することが義務付けられている。災害救助法が適用され、都道府県と
の事前の協定に基づいた業務を行った場合には、その費用は都道府県より支弁されることとなる。
¹
薬剤師会による自主的な救援活動
上記のような自治体の要請による救援活動以外に、災害発生時には薬剤師会による自主的な救
援活動を行うことも考えられる。災害発生後の救援活動では初動体制が重要であるが、自治体に
は情報が集中して混乱が生じ、関係団体への協力要請等が行われないことも予想される。したが
って薬剤師会においては自治体の要請を待つことなく、自主的に救援活動を開始することが必要
な場合もある。また、災害が広域にわたる場合には、日本薬剤師会が中心となり、薬剤師会によ
る全国的な救援活動を行うことも考えられる。
個々の薬局、薬剤師が被災地外からボランティアとして救援活動に参加する場合には、こうし
た薬剤師会による救援活動に参加することが望まれる。
2 .活動場所ごとの救援活動の内容
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の際には、全国から大量の救援医薬品等が被災地に送られ、
こうした医薬品等はいったん集積所に集められ、仕分けや保管・管理がなされた後、保健所を経
由して救護所や避難所に搬出された。今後再び大災害が発生した場合、被災地において同様の医
薬品供給ルートがとられるかどうかは、災害の規模や地理的な条件等にもよるが、災害発生後に
薬剤師が救援活動を行う場所としては、被災地における医薬品供給ルート(14頁参照)の拠点
となる医薬品集積所及び保健所等と、避難所及び避難所内に設置される救護センターや救護所等
が考えられる。
活動場所別の薬剤師の業務は概ね次のとおりであるが、いずれの業務においても冷静沈着かつ
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11
臨機応変な対応が求められる。
¸
医薬品集積所
① 集積医薬品等の保管・管理
・パソコンを用いた品名、数量、同種同効薬の有無及び数量の管理
・医療用医薬品と一般用医薬品の別、薬効別、剤形別等の分類
・有効期間・使用期限の確認・管理
・保存に注意が必要な医薬品(要冷所・暗所保存、要防湿)の保管
・取扱いに注意が必要な医薬品(麻薬、向精神薬、毒薬・劇薬等)の保管
② 保健所等からの要望に応じた医薬品等の供給
③ 不足医薬品等の発注、行政担当者への連絡
④ 避難所向け救急医薬品セット及び医療材料・衛生用品等の供給
¹
保健所等
① 必要な医薬品等の取り寄せ
② 医薬品等の仕分け、保管・管理
③ 救護所・救護センターへの医薬品等の供給
④ 被災者への一般用医薬品の供給
⑤ 保健所等での診療に伴う調剤(医療チームヘの参加)
⑥ 医療チームの残置薬の回収・整理
⑦ 「家庭用常備薬セット」の作成、仮設住宅への配付
º
救護所・救護センター
① 医療チーム(救護班)への参加
ア.患者情報の収集
・患者への聞き取りから、患者が平時に使用している医薬品の特定を行う。
・薬歴がないことから、アレルギー歴、副作用歴等については厳密に確認を行う。
イ.医薬品使用に関する医師や看護師等への情報提供
・医薬品使用に関する助言(薬剤鑑別、同種同効薬や一般用医薬品の活用等)
ウ.調剤
・一般名処方での調剤、調剤間違いの防止
・調剤を行う場所の衛生管理
エ.患者への服薬指導
・普段と異なる医薬品を使用することになる患者も多いため、十分な服薬指導を行う。特
に糖尿病患者や喘息患者等への服薬指導は慎重に行う。
・非常事態ではあっても患者のプライバシーには配慮する。
・避難が長期にわたる場合には「お薬手帳」等も活用する。
オ.医薬品等の保管・管理(特に睡眠薬など)
② 救護所・救護センターの設置されていない避難所に対する巡回診療への参加
③ 地域医療機関(薬剤部)との連携
»
避難所
① 一般用医薬品等の保管・管理、被災者への供給、相談、乱用・誤用防止指導等
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12
② 公衆衛生活動(防疫)
・水道水や井戸水の水質検査
・避難所内の衛生管理(仮設トイレやドアの把手等の消毒)
・手洗いやうがい励行の指導
・室内の換気
③ 地域住民に対する健康、食事等に関する相談、アドバイス
④ 被災者のメンタルケア
●学校薬剤師の活動
学校が避難所となった場合、当該施設の学校薬剤師は公衆衛生活動に積極的に参画し、指導的
役割を果たすことが望ましい。また、学校の授業再開に向けた環境衛生検査の実施等でも、学校
及び行政に協力することが重要である。
3 .救援活動を行う上での留意事項
¸
救援活動に参加する上での心得
被災地において救援活動を行う上で最も重要なことは、被災者の救済を第一に考えることであ
る。その上で、薬剤師としての自覚を持ち、誰かの指示を待つという態度ではなく、自ら仕事を
見つけるぐらいの気持ちで活動すべきである。的確な状況判断、臨機応変な行動を行うことは当
然であるが、救援活動を行う医療チーム(救護班)の他のメンバー、被災地の地域薬局や薬剤師
会との協調性を持つことが重要であり、地元薬剤師会や他のボランティアに負担や迷惑をかける
ような行動は厳に慎むべきである。
また、被災地で救援活動を行う上では、医療用医薬品(注射薬、処置薬を含む)、一般用医薬
品、医療材料・衛生用品等の幅広い知識が求められるため、常日頃よりこうした知識を身につけ
るよう研修等を行う必要がある。
なお、阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の際に、被災者へ供給された一般用医薬品は資料
6のとおりである。
¹
被災地における医薬品供給ルート
災害の発生後、行政は被災地の医療機関や薬局・薬店に円滑に医薬品等が供給されるよう努め
るが、その供給ルートとしては、①初動期のルートと、②医薬品卸売業者の機能が回復した後の
ルートが想定される。(図1)
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13
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14
医療チーム
(医薬品等携行)
補給
供給
供給
卸 売 業 者
医 療 機 関 備蓄医薬品等
(注)
医薬品等備蓄倉庫・集積所
外からの救援
医薬品等
卸協同組合
(注)
卸売業者や薬剤
師会との協定に
基づく備蓄医薬
品等がある場合、
これも活用
協力要請
避難所
供給
救護所
医療チーム
供給
医 療 機 関 供給
卸 売 業 者
必要に応じ
弾力的に供給
備蓄医薬品等
(注)
卸協同組合
(注)
卸売業者や薬剤
師会との協定に
基づく備蓄医薬
品等がある場合、
これも活用
協力要請
都 道 府 県(薬 務 担 当 課)
医薬品等備蓄倉庫・集積所
外からの救援
医薬品等
厚生労働省
(医政局及び医薬食品局)
医薬品等の流れ
医薬品等の流れ 体制が整い次第供給
都 道 府 県(薬 務 担 当 課)
情報の流れ
● 卸売業者の機能回復後の医薬品等供給ルート
情報の流れ
● 初動期の医薬品等供給ルート
厚生労働省
(医政局及び医薬食品局)
図1
さらに、救護所や避難所が設置された場合には、災害用の備蓄医薬品、都道府県や市区町村が
購入する医薬品、被災地外からの救援医薬品などを中心として、救護所や避難所等に適切な医薬
品等が供給されることになる。阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の際には、薬務担当課の指示
により、被災地外からの救援医薬品がいったん医薬品集積所に集められ、仕分けや保管・管理が
なされた後、医薬品卸業者等の協力により救護所や避難所に搬出された。
集積所から保健所を経由して救護所や避難所へ医薬品を供給する際には、交通事情が劣悪であ
ることも予想されるため、自転車やバイクなど、自動車以外の運搬手段の確保が求められる。
なお、輸血用血液製剤等、人命に関わる特別な医薬品については、厚生労働省医薬食品局が中
心となり、警察、消防、日本赤十字杜の協力を得て供給することとなっている。
º
携行品・食料・服装等
救援活動に参加する場合には、必要と思われる生活必需品、寝具、書籍等を携行することを原
則とし、あらかじめ都道府県薬剤師会に準備したものを活用する。救援活動に参加する際に携行
すべきものは概ね32頁及び資料7に示すとおりである。また、救護所等において医療救護活動
に当たる場合には、使用頻度の高いと思われる医薬品等(資料3及び資料4)を必要に応じて携
行することも重要である。
また、食料及び水については、3日間程度の出動を行う場合には自給自足を原則とする。服装
については、二次災害の被害を防ぐため、初期においては防災服、防災靴、ヘルメット等が必要
と考えられる。
»
的確な情報把握の手段等
被災地外から派遣される薬剤師が、現地の交通、救援活動を行う場所のライフライン(水、燃
料、電気等)の状況、備蓄されている医薬品の種類・量・不足状況等を事前に知ることは、効果
的な救援活動を行う上で重要であるが、こうした状況は時々刻々と変化していくため、さまざま
な情報を直接被災地の薬剤師等に求めることは無理である。また、数日単位で交代する人員に対
し、混沌とする被災地の薬剤師等が情報をその都度正確に伝えることは、被災地に過度の負担を
かけることになる。
したがって、こうした情報は現地対策本部が一括して管理し、被災地外から派遣される薬剤師
は現地対策本部から情報を得ることを原則とする。また、救援活動終了後には必ずその時点での
状況を現地対策本部に報告することとする。さらに同一活動場所において、前任者と後任者の間
で正確かつ十分に引き継ぎを行うことが可能である場合には、前任者より直接情報を得ることも
有効な手段である。
また、災害時には被災地の自治体やボランティア等から、被災地の状況や交通事情等の情報が
リアルタイムに発信される。こうした情報を派遣された薬剤師が共有し、活用するには、都道府
県薬剤師会において災害対策ホームページを速やかに立ち上げ、専用掲示板を設けることが望ま
しい。
¼
指揮命令系統について
薬剤師が救援活動を行う上では、次のような指揮命令系統に従うことを原則とする。
ア.行政の担当者が派遣されている場所や保健所等では、そこでの行政の責任者の指示に従う。
イ.医療チーム(救護班)の一員として活動している場合には、その医療チーム(または所属
機関)の代表者の指示に従う。
ウ.薬剤師会としての自主的な救援活動の場合には、現地対策本部(または現地対策本部の傘
― ―
15
下にある支部薬剤師会の担当者等)の指示に従う。また、地域事情を最も良く知っている地
元薬剤師会の会員の助言も優先して受け入れることが望ましい。
エ.その他、救援活動を行う上では混乱を防ぐため、出動要請を含め、指示等の連絡は双方で
担当者名及び所属等を確認し、記録しておくことが必要である。
½
活動記録と報告
各活動場所での日々の業務記録は、そこで用いられている様式に則ることを原則とする。また、
各活動場所での責任者に対しては、適宜報告を行う。
¾
後任者との業務引き継ぎと救援活動の終了について
救援活動を後任者に引継ぐ際には、それまでの救援活動の内容を後任者にわかるように記録に
残すことが重要である。また、医療救護活動終了後の余剰医薬品については、後任者に説明して
引き継ぐか、あるいは携行した者が責任をもって持ち帰ることとし、放置されることのないよう
留意する必要がある。
また、必要以上に長期にわたり救援活動を行うことや、むやみに一般用医薬品を配布すること
は、被災地の医療機関や薬局・薬店の再建を妨げることにもなりかねないため、被災地外からの
救援活動は、被災地において平時の地域医療体制が復旧次第、速やかに終了することを原則とす
べきである。
¿
費用負担の在り方について
災害時に都道府県が購入し、救護所などの臨時に設置された施設で、災害救助のために用いら
れる医薬品等は、一般用医薬品を含めすべて災害救助法が定める費用の支弁対象として取り扱う
ことができる。ただし、以下の点に留意する必要がある。
1.災害救助法が適用され、都道府県との事前の協定に基づいた業務に用いられた場合に限る。
2.実際に費消された医薬品等についてのみが支弁対象となる。
3.阪神・淡路大震災の際のように、製薬企業等から無償援助により提供された医薬品等を用
いた場合は、対象にならない。
災害救助法の費用に関しては、医薬品等に限らず、全て都道府県の災害救助法担当部局を通じ
て厚生労働省に支弁請求の手続きが行われる。このため、具体的な災害救助法の費用の支弁対象
範囲や申請方法等については、都道府県の薬務担当課等から事前に説明を受ける必要がある。ま
た、こうした手続きを迅速に行うためには、医薬品等の発注や受け取りの記録を定型化しておく
などの工夫も必要である。
À
救援物資の送付について
個人の薬剤師が救援物資として送付した医薬品等は、ときに非包装品や有効期間・使用期限の
不明なもの、添付文書を欠くものなどが多くなってしまうため、受け取った側で整理に時間がか
かってしまい、あまり効果的に活用されないことが阪神・淡路大震災の経験で明らかになった。
ある救護所に特定の医薬品が不足しているという個別の要請を受け、直接その救護所に医薬品を
携行、送付する場合以外には、医薬品等は行政の要請に基づき、メーカー及び卸売業者による正
式なルートで迅速に供給されることが望まれる。薬剤師会等によりある程度まとまった量を送付
できるのであれば、1つのダンボール箱には1種類の医薬品のみを梱包し、開封しなくても内容
物がわかるように、表に医薬品等の名称及び数量を記入する必要がある。
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16
Á
日薬・薬剤師賠償責任保険の取扱い
日本薬剤師会の薬剤師賠償責任保険は、被災地での救護活動における誤調剤にも適用される。
被災地で調剤等の業務に当たる薬剤師は、薬剤師賠償責任保険の薬剤師契約に加入することが望
ましい。
Â
二次災害に対する補償
被災地において救援活動を行う際に、余震等により薬剤師が被りかねない二次災害に対する補
償については、薬剤師会が都道府県等の自治体と協力協定を締結する際に、十分協議を行ってお
く必要がある。
なお、新潟県中越地震の際に活動した薬剤師は、薬剤師会のボランティア募集の呼びかけに応
じた自発的な意志によるものであった。したがって、災害救助法に基づく従事及び新潟県との協
定に係る派遣要請に基づく活動には当たらないため、ボランティア活動中のけがや賠償責任に対
する補償を受けられるものではなかった。このため、新潟県薬剤師会では、県内外を問わず全て
の薬剤師ボランティアを対象に、全国社会福祉協議会を保険者とするボランティア活動保険「天
災タイプAプラン」への加入手続きを行った。
●災害時ボランティア保険
災害時ボランティア活動保険の契約は、全国社会福祉協議会が行っている。上記のように、災
害時に被災地の都道府県薬剤師会が一括して対応する場合もある。個人で保険に入るには、居住
地の市区町村の社会福祉協議会(市区町村社協)に連絡する。保険に関する問い合わせは、㈱福
祉保険サービス(電話:03-3581-4667)まで。
【被災地の薬局・調剤に関する事項】
¸
調剤を行う場所について
薬剤師法第22条では、薬剤師が調剤を行う場所は薬局を原則としているが、同法施行規則第13
条では、「災害その他特別の理由により、薬剤師が薬局において調剤することができない場合に
は、法第22条 本文の規定は、適用しない」とし、調剤の場所の特例を設けている。したがって、
災害発生時には、薬剤師は災害現場で調剤を行うことができる。
¹
患者が処方せんを持参できない場合の保険調剤の取扱いについて
住家の全半壊等により、服薬中の薬剤を滅失した被災者が、処方せんを持参せずに調剤を求め
てきた場合については、以下の要件のいずれにも該当する場合には、保険調剤として取り扱って
差し支えないとの解釈が、新潟県中越地震に際して厚生労働省より示された。
ア.交通遮断、近隣の医療機関の診療状況等客観的にやむをえない理由により、医師の診療を
受けることができないものと認められること。単に当該患者の主治医が診療していないとい
うだけでは認められないこと。
イ.電話、処方せん以外のメモなどで医師からの処方の内容が確認できること。また、医療機
関と連絡がとれない場合であって、処方内容が安定した慢性疾患であることが薬歴などによ
って明らかな場合についても認めるが、その場合にあっては、事後的に医師に処方内容を確
認するものとすること。
ウ.必要最小限の調剤であること。
― ―
17
º
救護所等で交付された処方せんの取扱いについて
救護所等で診療を行った医師が発行した処方せんの取扱いについて、阪神・淡路大震災の際に
は、次のような解釈が厚生労働省より示された。
ア.被災地の保険薬局が保険医療機関の記載がない処方せんを受け付けた場合、その処方せん
が救護所、避難所救護センターなどで災害救助法に基づく医療の一環として交付されたケー
スでは、調剤報酬は救護所の設置主体である県市町村に請求すること。
イ.当初の混乱等などにより、処方せんを交付した場所が救護所、県救護センター、あるいは
その他の保険医療機関以外の場所であることが明らかでない場合については、保険調剤とし
て取り扱って差し支えないこと。
»
患者が被災により被保険者証、健康手帳等を提出できない場合等の取扱いについて
医療機関では、被災患者についても原則として被保険者証等により、被保険者の資格確認を行
うこととするが、患者が被保険者証、健康手帳等を提出できない場合には、次のような取扱いと
することが阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の際には厚生労働省より示された。
ア.被用者保険の被用者等にあっては氏名、生年月日、事業所名
イ.国民健康保険の被保険者及び老人医療受給対象者にあっては氏名、生年月日、住所
を患者から申告を受けた上で受診取扱いを行うこと。
薬局において、保険者番号及び被保険者証等の記号・番号が記載されていない処方せんを
受け付けた場合は、処方せん及び患者の申告により、上記の事項を確認すること。
また、新潟県中越地震に際しては、「関係書類等を消失あるいは家屋に残したまま避難してい
る等により、医療機関において公費負担医療を受けるために必要な手続きをとることが出来ない
場合においても、当面、各制度の対象者であることの申し出、氏名、生年月日、住所等の確認で
受診できること」等の取扱いが厚生労働省より示された。
¼
一部負担金等の取扱いなどについて
阪神・淡路大震災に際しては、震災発生日現在、災害救助法の適用市区町村に住所を有してい
た者であって、次のいずれかに該当する者については一部負担金が一定期間免除された。
ア.住家が全半壊、全半焼またはこれに準ずる被災者
イ.主たる生計維持者が死亡、または重篤な傷病を負った者
また、新潟県中越地震に際しては、①健康保険組合においては、保険者の判断により保険者の
納付猶予を行うことができること、②国民健康保険においては、保険者の判断により一部負担金
及び保険料の減免及び徴収猶予ができること、③老人保健においては、一部負担金の減免を行う
ことができることが、厚生労働省より示された。
(注)一部負担金の減免・猶予は平成18年9月から健康保険及び船員保険にも拡大された。
(健康保険及び船員保険における一部負担金等の徴収猶予及び減免の取扱いについて
(平成18年9月14日付 保保発第0914001号.厚生労働省保険局保険課長通知))
½
調剤報酬の請求について
被災地の保険薬局が調剤録を焼失した場合等の調剤報酬の請求については、阪神・淡路大震災
及び新潟県中越地震の際には、概算請求(過去3カ月の平均診療報酬支払額と、当該月の外来診
療実日数を勘案した請求額とする等)の取扱いが厚生労働省から示された。(但し、災害医療法
― ―
18
の適用となる医療については、調剤報酬支払いの対象とならない。)
また、新潟県中越地震の際には、被災した保険医療機関については、診療報酬請求期限の延期
ができる取扱いが厚生労働省より示された。
¾
保険薬局の建物が全半壊した場合の取扱いについて
阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の際には、保険薬局が全半壊した場合において調剤を行
う場合、継続性が認められる場合には、仮設の保険薬局における調剤も保険調剤として取り扱う
との解釈が示された。
¿
介護保険に係る対応
新潟県中越地震の際には、①被災者が介護保険の被保険者証を提示できない場合であっても利
用可能とする等の対応方針や、②介護保険サービス利用手続き等に関する留意事項、利用者負担
の減免、保険料の徴収猶予・減免等の措置が厚生労働省より示された。
À
処方せん医薬品の販売
「処方せん医薬品等の取扱いについて」(平成17年3月30日付 薬食発第0330016号.厚生労働
省医薬食品局長より都道府県・政令市・特別区宛)により、処方せん医薬品については平成17年
4月1日より、正当な理由なく医師等の処方せんなしに販売を行ってはならないこととされた。
但し、同通知においては「『大規模災害時等において、医師等の受診が困難な場合、又は医師等
からの処方せんの交付が困難な場合に、患者に対し、必要な処方せん医薬品を販売する場合』、
『地方自治体の実施する医薬品の備蓄のために、地方自治体に対し、備蓄に係る処方せん医薬品
を販売する場合』などは、医師等の処方せんなしに販売を行っても差し支えない」との解釈が示
されている。
なお、今後再び大災害が発生した場合に上記¹∼¿と同様の措置がとられるかどうかは、災害
の規模等にもよるため、災害発生時にはこれらの取扱いについて薬剤師会を通じて県市区町村に
確認する必要がある。
【海外での大災害発生について】
海外で災害が発生した際に救援医療援助を行う団体としては、国境なき医師団(MSF)があ
る。国境なき医師団は1971年にフランスで設立された非営利の国際的な民間医療・人道援助団体
であり、医師・看護師・助産師・薬剤師等を派遣し、さまざまな救援活動を行っている。
国境なき医師団日本は1992年に設立され、武力紛争地域、難民キャンプ、開発途上地域等へ
の医療チームの派遣、派遣前準備研修、寄付金の募集、必須医薬品キャンペーン等を行っている。
●国境なき医師団日本
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-3-13
電 話:03-5337-1490
FAX:03-5337-1491
ホームページアドレス:http://www.msf.or.jp/
開局時間:月∼金10:00-18:00(土日、祝日休)
なお、海外での災害時に支援物資として医薬品を送ることは、有効活用されないことや残置薬
の廃棄に費用がかかることなどから、WHOは適当ではないと指摘している。
― ―
19
第 4 章 災害時の薬剤師会の役割
1 .情報の収集・伝達
¸
情報の収集
災害発生後、全国の薬剤師および薬剤師会が効果的な救援活動を行えるかは、被害の大きさ、
被災地における負傷者・避難者の状況、薬局・薬店あるいは医療機関の状況等を、いかに早く、
的確に、幅広く把握できるかにかかっている。
したがって、薬剤師会は災害発生後直ちにこれらに関する情報の収集に努め、この情報を救援
活動を行う薬剤師をはじめ関係機関等に正確かつ確実に伝達できる体制を整備しておく必要があ
る。こうした情報は、支部薬剤師会が個々の会員等より入手し、都道府県薬剤師会または日本薬
剤師会より関係各方面に伝達されることを原則とするが、阪神・淡路大震災時のように被災地の
都道府県薬剤師会が壊滅的被害を受け、被害状況等の報告が一時的に不可能となった場合には、
各支部薬剤師会または被災地の近隣都道府県薬剤師会から直接日本薬剤師会に対して報告を行う
体制も検討しておく必要がある。
また、被災地では情報が断片的かつ不正確なものとなりやすく、また情報の内容が時々刻々と
変化していくため、情報の入手経路を複数(薬剤師会ルート、行政ルート等)確保するよう努め
るべきである。
¹
情報の伝達
災害発生時の情報は、行政機関、保健所、各医療機関、報道関係者をはじめ、各会員、各支部、
救援活動を行う薬剤師、避難所などあらゆるところから、電話、ファックス、ニュース(新聞、
テレビ、ラジオ)などのあらゆる媒体を介して乱れ飛んでくるため、的確な初期対応を行うため
には、情報の精度を高める工夫とともに、正確な情報が各会員や救援活動を行う現場の薬剤師に
まで伝わるように考慮されなければならない。
特に大規模災害後の現場への情報伝達は、現地対策本部、中央対策本部等で取捨選択を行った
ものを、必要なもののみ伝達するようにしなければ、救援活動を行う現場ではかえって混乱が生
じることとなり、大事な初期対応の時期を逸することにもなりかねない。
一般的に災害時には携帯電話を用い、現地対策本部、中央対策本部、支部薬剤師会、救援活動
を行う各薬剤師が双方向に連絡し合うことになる。しかし、関係者が円滑に情報を共有し、活用
するには、都道府県薬剤師会において災害対策ホームページを速やかに立ち上げ、専用掲示板を
設けることが望ましい。さらに、災害時に迅速に自治体と連絡が行えるよう、薬剤師会と自治体
間のホットライン回線や防災用の無線を確保し、平時より確認訓練を行うことも重要である。
2 .災害発生時の薬剤師会内の体制整備
阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の際に全国の薬剤師が行った救援活動はあくまで自発的
なものであり、ボランティアとしての活動であった。本来災害時の救援活動は、行政の要請に基
づいて行われるべきものであるが、大規模災害発生時に最も重要な初期活動を行うには、行政の
要請を待つことなく、薬剤師会として自主的に救援活動を開始することも必要である。
したがって今後災害が発生した場合に、早期に被災地に薬剤師を派遣し、的確な指揮系統のも
と速やかに救援活動を開始できるように、大規模災害を想定した薬剤師会内の体制を整備してお
く必要がある。
― ―
20
大規模災害時には、被災地の都道府県薬剤師会内に、情報収集・伝達、指揮命令の拠点となる
「現地対策本部」を設置し、日本薬剤師会内に設置した「中央対策本部」が「現地対策本部」を
支援することを原則とする。
都道府県薬剤師会等においては、上述のような基本的な方針のもと、下記の点に留意した各種
の計画を策定することが望ましい。
¸
都道府県薬剤師会における「現地対策本部」の設置等
○
被災地の都道府県薬剤師会は、被害状況等の情報収集及び災害対策等の的確な遂行のため、
現地対策の拠点として「現地対策本部」を設置する。
○ 現地対策本部の設置場所
現地対策本部の設置場所は原則として被災地の都道府県薬剤師会内とするが、被災都道府
県薬剤師会が壊滅的な被害を受け、活動が困難と認められる場合には、当該県内の比較的被
害の少ない支部薬剤師会(または仮設の臨時事務所内等)に設置する。
また、被害が複数県にまたがる広域災害が発生した場合には、日本薬剤師会が被災地の都
道府県薬剤師会と協議の上、現地対策本部の設置を行う。
○ 現地対策本部の役割
現地対策本部は、次に掲げる業務を行う。
① 情報の収集(薬剤師会内ルート、行政ルート等を通じての実態把握)
ア.被災状況全般(特に交通、ライフラインの状況等)
イ.医薬品等の供給ルートに関する情報(集積所の設置場所等)
ウ.保健所等の被災及び活動状況
エ.避難所及び救護所・救護センター等の設置状況
オ.薬剤師の救援活動を必要とする場所及び薬剤師の不足状況
カ.薬局・薬店の被害状況、開業状況及び在庫状況等
② 日本薬剤師会(中央対策本部)への報告及び人的物的支援要請
ア.報告(現地対策本部の設置場所、担当者名、各種状況、通信手段、連籍方法等)
イ.支援要請(必要の有無、要救援活動場所、必要薬剤師数等)
③ 都道府県薬務担当課からの協力要請についての連絡受信
ア.医療チーム(救護班)への薬剤師の参加
イ.医薬品等の保管・管理
ウ.薬剤師会の運営する医薬品備蓄センター等がある場合には、それらを活用した医薬
品等の供給
(注)状況によっては要請を待つのではなく積極的に連絡をとる必要がある。
④ 支部薬剤師会に対する情報の伝達
ア.都道府県からの連絡事項等の支部薬剤師会への伝達
イ.日本薬剤師会からの連絡事項等の支部薬剤師会への伝達
⑤ 被災地内の薬剤師派遣に係る調整・統括
ア.災害対策担当者の配置
・災害対策担当者は被災地の状況等についての情報収集や、被災地内の救援活動にお
いて中心的役割を果たす。
・災害対策担当者は支部薬剤師会に1名程度配置するか、災害医療の拠点となる保健
所等の単位で複数の配置体制を取ることとする。
イ.薬剤師の出動場所および員数の決定
― ―
21
ウ.薬剤師の出動及び待機の指示
エ.当該県薬剤師会の各支部会員及び被災地外からの薬剤師の出動計画の策定
オ.救援活動を行う薬剤師への各種情報提供、派遣場所等の指示
カ.救援活動に参加する際の携行品(携帯電話、薬剤師であることを証明する腕章・胸
章等、規制対象外車両通行証明書(事前申請)、調剤等に必要な用具・書籍等)の準
備
⑥
都道府県に対する医薬品等の供給に関する情報の提供(薬局・薬店の被害状況、開業
状況、処方せん受け入れの可否、医薬品の在庫状況、および備蓄センター等の稼働状況
等)
⑦ 情報収集や医薬品搬送等のための交通手段(バイク、自転車)の確保
⑧ その他災害対策に関して必要な措置・対策の検討
¹
日本薬剤師会における「中央対策本部」の設置等
○
大規模災害発生後、日本薬剤師会会長または専務理事は主たる役職員を招集し、直ちに中
央対策本部を設置する。
○ 中央対策本部の設置場所
中央対策本部の設置場所は日本薬剤師会内とする。日本薬剤師会が被災し、活動が困難で
ある場合は、最も適当と判断される都道府県薬剤師会内に設置し、その旨を直ちに中央対策
本部の構成員に連絡する。
○ 中央対策本部の業務
① 被災状況全般に関する情報の取りまとめ
② 薬剤師による救援活動の総括(薬剤師ボランティアの募集、派遣調整等)
③ 現地対策本部との調整・支援
④ 厚生労働省担当部局からの協力要請についての連絡受信
(注)状況によっては要請を待つのではなく積極的に連絡をとる必要がある。
⑤ 厚生労働省関係部局への情報提供
ア.医薬品等の供給に関する情報
イ.薬局・薬店の被災状況及び開業状況等
ウ.薬剤師の不足状況
⑥ 被災地外の都道府県薬剤師会への人的物的支援要請
⑦ 被災状況及び災害対策に関する通知、及び広報資料の定期的作成等
⑧ その他災害対策に関して必要な措置・対策の検討
º
被災地の支部薬剤師会の役割
被災地の支部薬剤師会は、次に掲げる業務を行う。
① 情報の収集
ア.地域内会員の安否等
イ.薬局・薬店の被災状況及び開局状況等
ウ.救護所・救護センターの医療体制(医療班の派遣状況、薬剤師の不足状況等)
エ.避難所内の状況(避難者数、疾患の推移等)
(注)被害が大きく情報の収集が困難な場合は、現地対策本部に応援要請を行う。
② 現地対策本部への状況報告及び応援要請
注)状況によっては、直接中央対策本部へ状況報告及び応援要請を行う。
― ―
22
③ 現地対策本部等からの連絡事項並びに収集した支部内の情報の会員への伝達
④ 被災地内の薬剤師の確保(会員に対して救援活動参加の募集を行う等)
⑤ 医療機関に対する薬局等の状況(処方せん応需の可否等)の報告
⑥ 被災地外からの薬剤師ボランティアの受入れ、調整
⑦ 近隣支部薬剤師会との情報交換・連絡
»
被災地周辺の比較的被害の少ない支部薬剤師会の役割
①
被災地周辺の比較的被害の少ない支部の薬剤師会は、自治体、保健所等、中央対策本部及
び現地対策本部の要請を待つのではなく、自ら被災地の被害状況の把握に努め、自らの判断
で救援活動を開始することが必要である。
②
この場合、派遣される薬剤師は、初期の救援活動を自律的に行えるよう、食料、寝具等を
含む生活必需品、最低限度の医薬品、必要な医療材料・衛生用品等を自らが持参していくこ
とが必要である。
③
こうした活動により得られた情報は、都道府県薬剤師会に報告することとするが、都道府
県薬剤師会が通信手段の不能や混乱等により状況を把握することが不可能であると判断され
る場合には、日本薬剤師会等に報告することとする。
¼
被災地の近隣県薬剤師会の役割
①
被災地の近隣県薬剤師会は、初期活動の重要性に鑑み、地理的な優位性を生かして自らの
判断でできるだけ早期に被災地に入り、行政等の行う医療活動等に協力するとともに情報収
集に努め、その経過、状況等を現地対策本部または中央対策本部に報告する。
②
この場合、派遣される薬剤師は、初期の救援活動を自律的に行えるよう、食料、寝具等を
含む生活必需品、最低限度の医薬品、必要な医療材料・衛生用品等を自らが持参していくこ
とが必要である。
③
その後被災地の近隣県薬剤師会には、組織的かつ継続的な救援活動が求められることから、
中央対策本部並びに現地対策本部と緊密な連携をとり、救援活動における中心的な役割を果
たすことが望まれる。
④
被災地の近隣県薬剤師会の試験検査センターは、自県の行政を通じて被災地における飲料
水の水質検査等の協力を申し出て、緊急の水質検査等を実施することが望ましい。
½
被災地近隣県以外の都道府県薬剤師会の役割
①
被災地以外の各都道府県薬剤師会は、自県の行政が被災地に医療チーム(救護班)を派遣
するなどの医療救護活動を行う場合、これに積極的に協力し、医療チーム(救護班)への薬
剤師の参画を申し出ること。
なお、災害時に薬剤師が円滑に医療チーム(救護班)に参画できるためには、平時より都
道府県とこれらの活動について協定を締結するとともに、都道府県薬剤師会において薬剤師
の出動計画を策定しておくことが必要である。
②
また、行政の行う医療救護活動のほか、中央対策本部が中心となり薬剤師会による自主的
な救援活動を実施することが予想される。これについても日本薬剤師会からの要請があった
際にすぐに薬剤師を派遣できる体制を平時に整えておく必要がある。
― ―
23
¾
被災地の薬局・薬店、薬剤師の役割
①
被災地の薬局・薬店、薬剤師は、まず各自及び家族の安否や、薬局・薬店の状況を可能な
限り速やかに支部薬剤師会(支部長または災害担当者等)に連絡する。
②
同時に、自薬局を利用している高齢者・障害者等で、透析・在宅酸素など特別の治療を受
けている患者の避難支援に協力する。(資料8)
③ 次の事項について支部薬剤師会を通じて現地対策本部に報告する。
ア.薬局・薬店の被害状況、開業状況、及び医薬品等の在庫状況
イ.被災地の患者の動向や医薬品等の需給状況
ウ.近隣の避難所の状況
エ.その他被災地全般の状況
④
その後薬剤師会等が行う救援活動や調査等に可能な範囲で協力し、また医薬品の安定供給
や被災者に対する救護活動等において他地域からの応援が必要と考えられる場合には、支部
薬剤師会を通じて現地対策本部または中央対策本部に要請を行う。
― ―
24
第 5 章 薬剤師会の平時の準備・防災対策
災害発生時には、都道府県や市区町村が主体となり、医療を含む被災者への支援が行われるが、
薬剤師会はこれに連動した体制を平時から整備し、災害が発生した際に円滑に救援活動が行える
よう、さらには行政の指示系統が機能しなくとも自主的な活動が行えるように準備する必要があ
る。
このために薬剤師会は、次に掲げるような方策を平時より積極的に推進するとともに、例えば、
国、都道府県、市区町村の防災会議への薬剤師会代表の参加や、関係者と平素から意思の疎通を
図るなど、薬剤師会として積極的かつ継続的に行政側に提言することが、今後ますます重要とな
る。
1 .地域防災会議への参画
我が国の災害対策は、災害対策基本法に基づき、国レベルでは中央防災会議が組織され「防災
基本計画」を策定している。都道府県レベルでは都道府県防災会議が組織され「都道府県地域防
災計画」が、市区町村レベルでは市町村防災会議が組織され「市町村地域防災計画」がそれぞれ
策定されている。
都道府県防災会議は、都道府県知事が会長となり、指定地方行政機関の長、陸上自衛隊の方面
総監、県警本部長、消防機関の長などを委員としている。一方、市町村防災会議の会長や委員等
は条例で定めることになっている。都道府県薬剤師会並びに支部薬剤師会は、可能な範囲で地方
防災会議に参画することが望ましい。
2 .指定地方公共機関の指定
都道府県知事は、災害対策基本法に基づき電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業(医療)
を営む法人を、「指定地方公共機関」に指定することとしている。都道府県薬剤師会は、都道府
県との情報交換を円滑に行い、地域防災計画に薬剤師会の意見を反映するためにも、当該指定を
受けることが望ましい。
指定地方公共機関は、その業務に係る防災に関する計画を作成し、実施するとともに、国、都
道府県及び市区町村の防災計画の作成及び実施が円滑に行なわれるよう、当該都道府県または市
区町村に対し、協力することが求められる。
なお、具体的な事例として、北海道薬剤師会が指定地方公共機関の指定を受けた際の通知を資
料9に紹介する。
【国民保護法】
武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)では、武力攻撃
事態等において医療などの公益的事業を営む法人を都道府県知事が「指定地方公共機関」に指定
することとしている。都道府県薬剤師会は当該指定を受けることが望ましい。
なお、国民保護法では、大規模な武力攻撃事態等が発生した場合に、都道府県知事は薬剤師に
医療を行うよう要請することができることが規定されている。
3 .自治体との協力協定の締結の推進
災害が発生した場合、国、都道府県、市区町村はこれら防災計画に則り災害対策に関する諸活
― ―
25
動を実施する。
都道府県薬剤師会は都道府県と、支部薬剤師会は市区町村と地域防災計画の見直し時に概ね次
のような内容を盛り込むよう働きかけるとともに、協力協定を締結し、災害発生時に薬剤師が迅
速かつ有効に救援活動を行える体制を確立しておく必要がある。
¸
災害時医療救護活動(災害時の救護所等で活動する救護班への薬剤師の参加)について
災害が発生した場合、被災地及びその近隣地域の薬剤師会並びに薬局・薬剤師は、自らの被災
の有無にかかわらず、被災者に対する救援活動が期待される。
災害発生時に、薬剤師が迅速かつ有効に医療救護活動等を行うためには、あらかじめ自治体と、
①薬剤師の救護所等への派遣、②調剤、服薬指導及び医薬品の仕分け・管理、③医薬品集積所等
における医薬品供給に係る救援活動等について協定を結ぶとともに、④救援活動に参加した薬剤
師が被った二次災害に対する補償、⑤出動にかかる経費及び携行した医薬品等の実費弁償等につ
いても明確にしておく必要がある。
また、自県内に災害が発生した場合のみならず、他の都道府県において発生した災害に対して
支援出動を行う場合を想定した協定を締結することや、さらに一定の大規模災害が発生した場合
等において、一時緊急的に自主出動を行った場合には、知事の出動要請があったものに準ずる規
定を設定しておくことも必要である。
なお、具体的な事例として、北海道薬剤師会が災害時の医療救護活動に関して北海道と締結し
た協定書及び実施細則を資料10に、東京都薬剤師会が災害時の救援活動に係る費用弁償等に関
して東京都と交した覚書を資料11に紹介する。
【医療計画】
平成18年6月医療法が改正され、各都道府県では平成20年4月より新しい医療計画が実施され
る。各都道府県は平成19年度に、三師会の意見を聞きつつ医療計画の見直しの検討を行うことと
なるが、そのための「モデル医療計画及び医療計画作成ガイドライン」は平成18年2月22日に示
されている。この中では災害医療についても計画を作成することとされており、都道府県薬剤師
会においては医療計画の見直しに積極的に参画することが望まれる。
¹
緊急医薬品の備蓄・供給について
厚生労働省が平成8年1月に公表した「大規模災害時の医薬品供給システム検討会報告書」に
も指摘されているとおり、医薬品供給については災害直後(3日間程度)は被災地内での対応に
よらざるを得ない面が大きく、医薬品の確保方策について同報告書では、特に初動期を念頭にお
いて都道府県が次のような方策をとることが望ましいとしている。
ア.都道府県による緊急用医薬品等の備蓄
イ.医薬品卸業者の在庫を活用した間接的な備蓄
ウ.地域の基幹的な医療機関における備蓄
エ.薬剤師会が備蓄センター等を有する場合にはこれを活用した確保
したがって、都道府県薬剤師会等が医薬分業推進支援センター、備蓄センター、会営薬局等を
所有している場合には、これを活用した医薬品等の備蓄・供給(調達)に関する協定を締結する
ことが望まれる。
なお、阪神・淡路大震災等の経験から、災害が発生した際に必要となる医薬品等は、災害発生
直後∼3日目位までと、それ以降とでは需要が大きく異なってくるため、3日目位までとそれ以
降、さらに避難所生活が長期化する場合の3通りに分けて医薬品等の確保を考える必要がある。
― ―
26
表2 大規模災害時に需要が見込まれる医薬品
発生から 3 日間
q
外部からの救援が見
込まれる3日目以降
q
避難所生活が長期化す
る頃
おもな傷病
多発外傷、熱傷、挫滅創、 PTSD、不安症、不眠症、 急性疾患の他、高血圧、呼吸
切創、打撲、骨折など
過労、便秘症、食欲不振、 器官疾患、糖尿病、心臓病な
腰痛、感冒、消化器疾患、 ど
外傷の二次感染など
花粉症、喘息、真菌症など
インフルエンザ、食中毒など
必要性の高い医薬品
医療用
医療用
・外科セットなどの医療
・鎮咳剤
材料
・整腸剤
・細胞外液補充液
・便秘薬
・血液製剤
・催眠鎮静剤
・血漿分画製剤
・総合感冒剤
・解熱鎮痛消炎剤
一般用
・抗生物質製剤
・催眠鎮静剤、強心剤
・滅菌消毒剤
・便秘薬
・止血剤
・ビタミンB剤
・強心剤、昇圧剤
・絆創膏
・局所麻酔剤
・目薬
・マスク
一般用
・シップ薬
・うがい薬
・殺菌消毒薬
・一般用総合感冒剤
・ガーゼ、包帯、脱脂綿
などの衛生材料
医療用
・降圧剤
・抗血栓用剤
・糖尿病用剤
・心疾患溶剤
・喘息治療剤
・抗ヒスタミン剤
・寄生性皮膚疾患剤
一般用
・胃腸薬
・整腸剤
・鼻炎薬
・アレルギー用薬
・公衆衛生用薬
表3 災害時に望まれる医薬品
管理面
・室温保存 ・希釈不要
・遮光不要 ・薬剤師の認知度が高い
調剤面
・包装単位が小さく、小児にも使える
服用面
・服用時に多くの水を要しない
冷蔵庫や天秤など、普段使っている機器が使えない可能性が非常に高いた
め、保存や調剤の手間が少ないことが必要条件。また、短時間に限られた
人手で大量の薬剤を仕分け・管理するためにも、よく知られている薬剤の
方が望ましい。飲用水も潤沢にあるわけではないので、少ない水あるいは
水なしで飲める剤形が使いやすい。
表2・3:Progress in Medicine vol. 26 No. 1 2006. 1 別冊、ライフ・サイエンスより
また、被災地の外からの医薬品等の供給体制が本格的に稼働するまで、早くとも3日間はかか
るため、少なくとも被災地内で必要な医薬品等を3日分は確保しておくことが必要である。
大規模災害時に必要になると予想される医薬品等の品目は、時間の経過にしたがって概ね資料
3のとおりであり、そのほか備蓄に際しては下記の点に留意することが必要である。
ア.平時のものとは別にあらかじめ緊急用としてセットし備蓄することが望ましい。
イ.平時の最低3∼5日分を備蓄することが望ましい。
ウ.医薬品等は品目リスト(種類、数量、有効期間・使用期限)とともに保管する。
― ―
27
エ.一般に医療関係者が広く医薬品名を知っているものを備蓄することが望ましい。
オ.医薬品等(資器材等を含む)の有効期限に留意し、効率的に管理を行う必要がある。
カ.季節的な要因や地域的な要因等も加味して品目をリストアップする。
キ.外科系疾患に対する応急措置のための医薬品、医療材料や衛生用品(骨折に対する添え木、
弾性包帯、保冷剤等)も備蓄する。
ク.人工透析液や糖尿病患者に対するインシュリンのような特殊な医薬品、消毒薬、糞尿固化
剤等も備蓄することが望ましい。
医薬品等の備蓄・保管に関しては、はじめに一通りの医薬品を備蓄する際の費用と、その後の
維持(保管場所の確保、有効期間・使用期限切れの医薬品等のチェック、入替え、廃棄等)に係
る費用が必要であるため、その費用支弁について自治体と十分協議し、必要に応じて医薬品卸売
業者の協力を得ることも考えられる。
なお、具体的な事例として、大阪府薬剤師会が災害用医薬品等の備蓄・供給に関して大阪府と
締結した委託契約書を資料12に紹介する。
4 .関係機関との連携協力体制の確立
¸
関係機関とのネットワークの構築
災害時の救援活動を円滑かつ実効あるものとするためには、緊急時の災害対策について自治体
はもちろん、保健所、関係団体(医師会、卸、メーカー)、その他地域の基幹病院の関係者等と
平素より協議を行い、災害時における関係機関とのネットワークを構築しておく必要がある。
そのためには、関係機関との協議を行うための連絡協議会等を設置し、災害時における各関係
機関の役割分担、指揮系統、通信連絡網、救急医薬品等の備蓄計画、災害時に想定される医薬品
供給ルート等を明確化しておくための防災対策会議を少なくとも年1回程度開催することが必要
である。また、連絡協議会は、都道府県レベル、二次医療圏レベル、及び市区町村レベルで設置
されることが望ましい。
また、薬剤師会内においても、病院薬剤師会や学校薬剤師会等と、災害時の役割分担や連携方
法についてあらかじめ協議しておくことが必要である。
¹
医薬品等の供給体制の確認
大規模災害が発生した場合には、都道府県の薬務担当課が被災状況に応じて医薬品等の供給体
制の整備についての方針を定め、関係団体や医療機関等の協力を得つつ、迅速で的確な対応をと
ることとなる。しかし、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震で見られたように、被災規模が大き
い場合には情報が混乱し、行政において方針を定め、関係団体等に協力を要請する時間的な余裕
がなく、また通信手段が機能しなくなることも予想される。
こうしたことにより医薬品等の供給が円滑に行われず、初期に必要な救援活動が十分行えない
という事態を避けるためには、あらかじめ関係者の初動対応の内容を明確にしておく必要がある。
関係者の初動対応のネットワークは概ね図2のとおりである。
薬剤師会は、災害時の医薬品卸売業者との連携体制や、医薬品等の集積所や救護所、避難所等
の設置が予定されている場所等についてもあらかじめ確認しておくことが必要である。
― ―
28
図2 関係者間の主要なネットワーク(全体図)
日本製薬団体連合会
日本医療機器産業連合会
医薬品等供給の要請
›日本薬剤師会
情
報
提
供
広
域
的
協
力
広域的対応
の要請
厚生労働省
医政局及び
医薬食品局
被災状況等
情報提供
都道府県薬務担当課
連
携
マンパワー、
医務担当課
医薬品等の
広
域
的
協
力
医療機関
情
報
提
供
協力要請
卸協同組合
医薬品等の
供給協力
連
携
体
制
の
指
示
医薬品等供給
供給協力
都道府県
医師会
広域的対応
の要請
広域的協力
協力要請
都道府県
薬剤師会
›日本医薬品卸業連合会
日本医療機器販売業協会
情
報
提
供
各卸売業者
医薬品等注文
情報提供(情報システムの活用)
※上図はあくまで一例であり、近隣の都道府県との協力関係などを踏ま
えた上で、ネットワークを構築することが必要である。
º
防災訓練の実施
災害時に適切で迅速な対応ができるよう、普段から災害時に対応した訓練を実施することが重
要である。具体的には、自治体、警察機関、消防機関、医療関係者、及び一般住民等による合同
の防災訓練が定期的に行われる際に、薬剤師会もこれに積極的に参加、協力することが望まれる。
5 .近隣薬剤師会との相互支援体制の整備
大規模災害の場合、被災地の薬剤師会や薬局・薬店には、自らの被災の有無にかかわらず、被
災者に対する救援活動が求められることとなる。しかし、自らが負傷したり、また薬剤師会館や
薬局・薬店の建物や設備が損傷している場合には、十分な救援活動を行えない事態となることも
十分予想される。
このような場合、同一都道府県内の遠隔地の支部薬剤師会、あるいは県境を越えた近隣の都道
府県薬剤師会からの支援が有効であり、特に立地条件の優位な近隣都道府県の支援が重要となる。
したがって、都道府県薬剤師会や支部薬剤師会においては、近隣の薬剤師会と災害時の相互支援
について協議を行い、協定の締結などにより相互支援体制を確立することが望ましい。
都道府県薬剤師会並びに支部薬剤師会が隣接の薬剤師会と相互支援体制を確立する上では、情
― ―
29
報連絡体制、出動要請、指揮命令系統、業務内容、出動費の弁償、二次災害に対する補償、携行
医薬品等の弁償等について明確にしておく必要がある。
6 .情報収集体制の確立等
¸
情報収集体制の確立
災害発生時に薬剤師が迅速かつ的確に救援活動を実施するためには、まず救援活動を統括する
現地災害対策本部(被災地の都道府県薬剤師会内に設置)が、災害の被害状況、薬局・薬店の被
害状況及び開業状況等に関する情報を迅速に収集し、正確に把握することが重要である。
大規模災害時には、電話やファクシミリ等の通信手段が途絶えたり、携帯電話も回線混雑のた
め、通話制限を受ける可能性がある。インターネットメール、携帯メールは使用可能であるため、
各都道府県薬剤師会においては、平時に連絡網や必要なアドレスを整理し、まとめておくことが
重要である。また、災害時優先電話回線の確保(NTTから指定を受ける)や、防災無線、衛星
通信電話、無線機を利用した情報収集体制を検討しておくことが重要である。
¹
災害時情報網の確立
災害時、都道府県薬剤師会や支部薬剤師会は個々の会員等から得た情報を、迅速に都道府県、
市区町村、保健所等、さらに日本薬剤師会等に報告する必要がある。また、都道府県薬剤師会は
都道府県等の行政や日本薬剤師会から得られた情報等を地域薬剤師会を通じて会員に周知する必
要もあり、こうした相方向の情報が円滑に伝達されるためには、平時から災害を想定した情報網
を整備する必要がある。
災害時の情報網を考える上では、薬剤師会内と薬剤師会以外の関係機関等との2つのルートを
検討する必要がある。2つのルートにより現地対策本部並びに中央対策本部が収集把握した情報
は、救援活動を行う薬剤師への指令や被災会員への情報伝達の基本となる。
都道府県薬剤師会等においては、下記の事項等を検討し、各地域における災害時情報網を作成
するとともに、あわせて連絡すべき具体的な項目を定めておくことが必要である。
ア.都道府県薬剤師会及び支部薬剤師会における災害対策担当者の設置
イ.各支部薬剤師会における災害対策責任者の把握(組織表と連絡網の作成)
ウ.自治体の担当部局、担当者、及びその連絡先の確認(薬務担当課、防災対策主管部局等)
エ.関係者等の緊急連絡先(携帯メールアドレス)一覧表の作成
7 .指揮命令系統の確立
全国から派遣された各職域の薬剤師が、被災地で救援活動を統一的、組織的に展開するために
は、これらの薬剤師が相互に協力、連携を図ることが必要であり、そのためには救援活動に参加
する薬剤師に対する指揮命令系統の考え方を明確にしておくことが重要である。
救援活動を行う薬剤師に対する指揮命令は、概ね次のような方針を原則とする。
ア.医薬品集積所など行政の担当者が派遣されている場所や保健所等では、そこでの行政の責
任者の指示に従う。
イ.医療チーム(救護班)の一員として活動している場合には、その医療チーム(または所属
機関)の代表者の指示に従う。
ウ.薬剤師会としての自主的な救援活動の場合には、現地対策本部(または現地対策本部の傘
下にある支部薬剤師会の担当者)が災害状況等を正確に把握し、全体の救援活動の展開を考
えた上で救援活動を行う薬剤師への指示を行うこととする。
― ―
30
都道府県薬剤師会においては、前述の方針に沿って、薬剤師会が行う救援活動における具体的
な指揮命令系統を立案するとともに、都道府県や市区町村、及び保健所等と災害時の指揮命令系
統について協議を行っておく必要がある。
8 .災害時に出動できる薬剤師の登録
阪神・淡路大震災の際には初期出動の重要性が指摘されており、都道府県薬剤師会は災害発生
直後に薬剤師をすぐに派遣し、速やかに救援活動を開始できるように、平時より緊急時に出動で
きる薬剤師を登録し、あわせて災害時の連絡体制を整備しておく必要がある。
ただし、大規模災害がいつ発生するかわからないため、多くの人数を形式的にリスト化してお
くことは効果的ではない。災害発生時に迅速に、かつ3日間以上(できれば1週間以上)連続で
出動できると思われる薬剤師を1県薬につき5∼10名程度登録しておき、年1回程度定期的に見
直すことが最も有効な手段であると考えられる。さらに可能であれば、第2次出動の人員として
さらに10∼20名程度のマンパワーを確保しておくことが望ましい。
登録の方法は薬剤師の氏名、連絡先(携帯電話番号、メールアドレス)等のみの簡潔なものと
し、登録された薬剤師には「薬剤師ボランティア証明書」(顔写真、血液型、有効期間等が明記
されていることが望ましい)を発行することが必要である。
9 .薬剤師の派遣計画の策定
都道府県薬剤師会は災害が発生した場合、日本薬剤師会等の要請に基づき迅速に薬剤師を派遣
できるよう、あらかじめ薬剤師の派遣計画を策定しておく必要がある。
なお、薬剤師の派遣計画の策定に当たっては、下記に留意する必要がある。
¸
派遣期間
救護所等に派遣される公的な医療チームの多くが1週間単位で救護活動を行うことから、薬剤
師についても1週間単位の派遣が望ましい。ただし、初期においては活動場所の環境が劣悪であ
る上、救援活動の内容も多種多様であるため、3日間程度であっても止むを得ないが、同一の薬
剤師会内で引き継ぎを行うことが望ましい。また、遠方からの日帰りまたは2日間程度の短期派
遣は不可とすべきである。
¹
派遣人数
医薬品集積所での救援活動には多くの人員が必要であるが、救護所での救援活動における薬剤
師の必要人数は、患者の多い当初は2∼4名、救護所が落ち着きを取り戻した後は1医療チーム
に1∼2名であると思われる。
º
活動場所ごとに適する職種
災害時に薬剤師が効果的な救援活動を行うためには、薬局薬剤師、病院薬剤師、製薬企業及び
医薬品卸業勤務薬剤師、行政薬剤師等が、各々の特性を生かすことができる活動場所に派遣され
ることが望ましく、そのためには各職域の薬剤師の役割分担を明確にする必要がある。
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震での薬剤師の救援活動の経験を踏まえると、各職域に適す
る活動内容は概ね次のとおりである。
ア.薬局薬剤師・学校薬剤師………………避難所での救援活動
イ.病院薬剤師………………………………救護所・救護センターでの医療救護活動
ウ.製薬企業勤務薬剤師……………………医薬品集積所での医薬品の仕分・管理
― ―
31
エ.医薬品卸売業勤務薬剤師………………医薬品集積所での医薬品の仕分・管理・配送等
オ.行政薬剤師………………………………関係団体との連絡調整
カ.公衆衛生等に従事する薬剤師…………被災地の水質検査その他の環境衛生の調査等
»
その他
個人的に被災地に出動するよりも、原則的には薬剤師会として組織的に派遣されることが望ま
しい。
10.携行品の常備
都道府県薬剤師会は、派遣する薬剤師の携行品等を常備しておく必要がある。常備すべき災害
用の携行品としては、概ね次のものや資料7に示すものが考えられる。
ア.腕章・胸章(薬剤師会名)、ネームプレート(顔写真入りが望ましい)等の薬剤師の身分
を証明するもの
イ.ヘルメット、防災服、防災靴
ウ.雨具、防寒具、寝袋
エ.携帯電話、ラジオ、懐中電灯、ペンライト、パソコン
オ.規制対象外車両通行証明書(事前申請)
カ.緊急用調剤セット(薬袋、投薬ビン、秤、スパーテル、薬包紙等)
キ.調剤等に必要な用具・書籍等
11.会員に対する定期的な教育・研修
¸
年1回程度、平時の防災対策、災害時の対応についての教育・研修を行う。
¹
災害医療に関する知識(救急蘇生法(応急手当、一時救命処置、AED使用法など)、消毒薬、
トリアージ、安定ヨウ素剤など)の習得
(救急蘇生法は資料13、消毒薬は資料14、15、トリアージは資料1、安定ヨウ素剤は資料16
参照)
【応急手当等に関する講習】
多くの市区町村の消防局では、応急手当の方法を身につけるための講習会を開催している。問
い合わせは各消防署の救急係へ。また、日本赤十字社の各都道府県支部でも救急法に関する研修
を行っており、その内容の一部は同社のホームページ(http://www.jrc.or.jp/safety/index.html)
でも閲覧できる。
また、日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会が平成18年6月に策定した「わが国の新しい
救急蘇生ガイドライン」(骨子)はœ日本救急医療財団のホームページ(http://www.qqzaidan.
jp/index.html)で閲覧可能であり、このガイドラインに基づいて編纂された「救急蘇生法の指
針(市民用)等は一般書籍として市販されている。(37頁参照)
12.住民に対するPR活動
¸
関係各方面に対する薬剤師職能のPR
¹
住民に対する「薬識」の重要性、「お薬手帳の活用」などのPR(資料17)
º
在宅患者、個別疾患患者に対する「災害時の対応」に関する啓発(資料8)
― ―
32
なお、東京都健康局では、災害に備えて揃えておいたほうがよい薬や、応急処置の際の薬の使
い方等をまとめたパンフレット「薬の救Q箱―震災対策編」(http:www.fukushihoken.metro.
tokyo.jp/anzen/qqbox/qqbox/qa31.html参照)を作成し、広く東京都民に配付している。各都
道府県薬剤師会においても、県薬務担当課と協力して同様のパンフレット等を作成し、住民に対
する啓発活動を積極的に行うことが望ましい。
13.支部薬剤師会の平時の準備・防災対策
上記のほか、防災の観点から支部薬剤師会が平時に準備すべき事項、取り組むべき対策は次の
とおりである。
¸
災害対策担当者の任命
各支部薬剤師会において「災害対策担当者」を任命する。「災害対策担当者」は災害が発生し
た際に支部内の情報伝達等の中心となるだけでなく、平時に行政や関係団体等と防災に関する協
議を行う上でも中心的役割を担うものである。
「災害対策担当者」は、判断力、統率力、行動力を持つ薬剤師が望ましく、また災害時に連絡
が取れない場合等を考慮し、副担当者等を含めた複数体制をとることが必要である。
¹
支部薬剤師会における情報伝達網・指揮系統の確立
災害が発生した場合を想定し、各支部薬剤師会においては、①都道府県薬剤師会との連絡方法、
②都道府県薬剤師会や市区町村からの各種情報の各会員への伝達方法、③会員間の連絡網、④支
部内の指揮系統等を確立する必要がある。
º
地域薬剤師会における「災害時薬剤師活動マニュアル」の作成
① 地域内の保健所、避難所、基幹病院、警察等の所在地住所、電話番号、地図の確認
② 災害時に医薬品等の集積所、救護所、避難所等が設置される予定の場所の確認
③ 災害時の医薬品卸売業者の連携体制及び連絡先の確認と会員への周知
④ 県内外からのボランティア受入れに関する計画
»
休日・夜間救急診療所などへの組織的参画
¼
防災訓練の実施(近隣支部との連携による広域訓練が望ましい)
½
行政機関・保健所・医療機関との交流・連携
14.学校薬剤師の平時の準備・防災対策
大規模災害が発生した場合、学校は地域防災計画に基づき避難所の指定を受けることが多く、
また、避難所の指定を受けない学校にも地域住民が避難してくることが予想される。
学校薬剤師は、災害発生時に適切な活動が行えるよう、平時より次のような準備、防災対策を
とる必要がある。
¸
学校における災害対策マニュアル、避難所運営マニュアルの確認、及び両マニュアル見直し
時の参画
¹
学校が避難所となった場合の協力体制についての学校側との協議
・避難所での薬剤師の活動
・薬剤師会試験検査センターを利用した公衆衛生活動
― ―
33
・地元及び被災地外からの薬剤師の受け入れ
º
学校における防災訓練への参加・協力
― ―
34
第 6 章 薬局の防災対策
災害発生後、被災地の薬局には組織的な医薬品の供給、救護所での支援活動など、災害時医療
救護における多くの役割が求められるが、こうした活動を円滑に行うためには、薬局自身の被災
を最小限に止めることが重要であり、地域の薬局はそのための諸施策を講じておく必要がある。
また、薬局に備蓄している医薬品や化学物質の中には、混合接触により出火するもの、火災に
より有毒ガス等を発生するもの、揮発性物質で引火の原因となるもの、飛散により人体に危害を
加えるものなどもあり、こうした危険物質に関しては正しい知識を身につけ、適切な安全管理を
講じることにより、薬局・薬店が二次的災害の原因となることを防ぐ必要がある。
以下に、地域の薬局が平時に行うべき防災対策等のポイントを列記する。
1 .薬局の構造設備
¸
増改築時に、建造物の耐震、耐火、耐水等の強化を図る。
¹
爆発性・引火性を持つ危険物質、混触発火を起こしやすい薬品類は、転倒防止設備の整った
場所に他の薬品と区別して保管する。
º
照明器具等の落下防止策を図る。
»
薬品庫、薬品棚の床、壁面への固定を図る。
(例.棚板前面へ落下防止板の取りつけを行う等)
¼
薬歴等の重要書類については、類焼、破水の防止対策を図る。
(例.半密閉式のスライド書架を利用する等)
½
麻薬及び向精神薬等の盗難防止対策を徹底する。
¾
消火対策を万全にする。(消火器の常備等)
2 .ライフライン(水、燃料、電気等)の確保
¸
医療機関に準じて、水道(公共団体)、燃料(ガス・石油)、電力会社との災害時優先確保、
復旧等の口頭または文書による確約を図る。
¹
メンテナンス会社との災害復旧工事の優先契約を締結する。
º
配水車からの配水の受入れ容器(ポリタンク等)を常備する。
»
非常用自家発電装置の設置(バッテリー電源の常備、各種乾電池の保有)に努める。
3 .定期的な研修・教育
¸
防災に関する基礎知識を平素より身につける。(初期消火の留意事項等)
¹
年1回程度、平時の防災対策、災害時の対応等について研修を行う。
º
被災地での救援活動においては、医療用医薬品、一般用医薬品、医療材料・衛生材料等の幅
広い知識が求められることから、これら全般についての研修に努める。さらに、災害医療に関
する知識(救急蘇生法(応急手当、一時救命処置、AED使用法など)、消毒薬、トリアージ、
安定ヨウ素剤など)の習得に努める。
(救急蘇生法は資料13、消毒薬は資料14、15、トリアージは資料1、安定ヨウ素剤は資料16
参照)
― ―
35
4 .日常業務
¸
日常の業務において、患者に「薬識」を持たせるよう努める。
ア.患者に対して、災害時に持ち出せるよう、薬剤情報提供文書を医薬品と一緒に保管するこ
とを啓発する。
イ.慢性疾患患者を中心に、「お薬手帳」等により患者が自ら服薬管理を行うことを推奨する。
¹ 自薬局を利用している高齢者・障害者等で、災害時に弱者となる在宅患者や個別疾患患者を
把握し、災害時の避難支援に備える。(資料8)
ア.在宅患者、透析・在宅酸素など特別の治療を受けている患者をリスト化する。
イ.災害時にどこに連絡すれば対処してもらえるのかを確認する。
ウ.当該患者に対し、災害時の対応等や連絡先を掲載させるなどの啓発を行う。
º
非常用救急箱の啓発・相談等を行う。
ア.非常持ち出し品に医薬品(絆創膏、包帯、消毒薬、常備薬)も必ず入れること
イ.使用している医薬品の名称等を書いた紙も入れておくこと
»
自薬局において断水・停電時に調剤を行えるような準備・訓練を行う。(資料18)
5 .その他
¸
災害発生時の患者の誘導等を含め、薬局内防災訓練を年1回程度実施する。
¹
地元の医療機関、病院薬剤師との交流を日頃より密にしておく。
º
災害時の医薬品卸売業者の医薬品供給体制を確認しておく。
»
勤務者との連絡方法、集合場所等を決定するなど、薬局内で災害時の対応等について検討す
る。
¼
市区町村指定の避難所等の場所を確認しておく。
½
災害時の連絡先一覧(携帯電話番号、メールアドレス)等を作成し、勤務者に周知する。
【災害時の連絡方法】
1 .災害発生時にかかりやすい電話の順位
①公衆電話(停電時はテレホンカードは使えないので10円玉を用意)
②PHS
③一般の固定電話
④携帯電話(メールは比較的繋がりやすい)
(注)一般的に電話よりもインターネットメール、携帯メールの方が繋がりやすい。
)
2 .災害用伝言ダイヤル:171(災害発生時に利用可能となる。毎月1日に体験利用ができる。
①利用方法:171をダイヤルし、音声ガイダンスにしたがう。
②伝言の録音方法
・「1」をダイヤルする
・被災地の人は、自宅の電話番号を市外局番からダイヤルする
・被災地以外の人は、被災地の人の電話番号を市外局番からダイヤルする
③伝言の再生方法
・「2」をダイヤルする
・被災地の人は、自宅の電話番号を市外局番からダイヤルする
・被災地以外の人は、被災地の人の電話番号を市外局番からダイヤルする
④伝言録音時間:30秒以内、伝言保存期間:2日間
― ―
36
参考書籍一覧
【各薬局・薬剤師にて購入・活用されたいもの】
1.災害時薬剤師必携マニュアル
監 修:近藤由利子(日本女性薬剤師会会長)
問合せ・申込先:日本女性薬剤師会(電話:03-3987-5078.FAX:03-3987-5647)
価 格:800円(税込み.送料別)
2.改訂3版 救急蘇生法の指針(市民用・解説編)
監 修:日本救急医療財団
編 著:心肺蘇生法委員会
問合せ・申込先:へるす出版(電話:03-3384-8035)
価 格:1,260円(税込み.送料315円)
3.調剤と情報 平成17年3月号「特集・自然災害と薬剤師の役割―新潟県中越地震を踏まえて」
監 修:日本薬剤師会
編集・発行:じほう
問合せ・申込先:じほう(FAX:0120-657-762)
価 格:1,533円(税込み.送料別)
4.災害医療における薬剤師の役割(生涯教育ビデオライブラリー44.VTR貸出)
監修・指導:藤田健二(国立病院機構東京医療センター薬剤科主任薬剤師)
問合せ・申込先:日本薬剤師研修センター(電話:03-5251-9951)
【都道府県薬剤師会・支部薬剤師会で購入・活用されたいもの】
5.大規模災害時の医薬品等供給マニュアル(第2次改訂版)
監 修:厚生労働省医政局経済課
編著者:国政情報センター
問合せ・申込先:国政情報センター(電話:03-3476-4111.FAX:03-3476-4842)
価 格:2100円(税込み.送料360円)
6.災害医療における薬剤師の役割―阪神・淡路大震災の記録
編 集:日本薬剤師会
発 行:薬事日報社
問合せ・申込先:都道府県薬剤師会
会員価格:2,700円(税込み.送料350円別)
― ―
37
参 考 資 料
参考資料に示されている委託料等の金額はあくまで一例
であり、各都道府県等によって異なります。
資料 1
トリアージ
トリアージは、フランス語のえり分ける、分類するから来た言葉。災害時に限られた医療従事
者・医療資材の状況下で、最大多数の傷病者に最善の医療を施すために、救命可能な傷病者を選
定し、緊急度と重症度に応じて治療の優先度を決めることをいう。したがって、治療不要の軽症
者や救命の見込みの無い超重症の傷病者には優先権が与えられない。
1 )災害時における現場管理
災害時における現場管理におけるトリアージの行われる場所
現 場 救 護 所
避難所救護センター
A
災害現場
B
病 院
C
D
避難所
A
:傷病者動線 A:傷病者集合エリア B:トリアージエリア
C:応急処置ポスト D:避難所内救援センター
¸
トリアージオフィサー:トリアージを行う責任者。できるだけ現場では1人に限定し、決定
を迅速にする。医療施設では、医師、看護師、できれば経験豊富な救急医、麻酔医、外科医が
望ましいとされるが、災害現場では救命救急士が担当することが多い。
¹
トリアージ・タッグ(識別票):災害や事故で、一度に多数の傷病者が発生した場合は、緊
急度、重症度を判別するために、原則として傷病者の右手首にタッグを装着する。この部分が
負傷したり切断されている場合は、左手首→右足首→左足首→首の順。衣類や靴などに装着し
ない。
― ―
41
2 )トリアージのプロトコール
優先度
分類
色別
区分
傷病状況
診 断
第一順位
緊急治療
赤
I
気道閉塞または呼吸困難、重症熱傷、
生命・四肢の危険的状態で直ちに処
心外傷、大出血または止血困難、開
置の必要なもの
放性胸部外傷、ショック
第二順位
準緊急
治療
黄
Ⅱ
2∼3時間処置を遅らせても悪化し 熱傷、多発または大骨折、脊髄損傷、
ない程度のもの
合併症のない頭部外傷
軽度外傷、通院治療が可能程度のも 小骨折、外傷、小範囲熱傷(体表面
の
積の10%以内)で気道熱傷を含まな
いもの、精神症状を呈するもの
第三順位
軽症
緑
Ⅲ
第四順位
死亡
黒
0
生命兆候のないもの
死亡または明らかに生存の可能性が
ないもの
3 )トリアージ・タッグの様式
平成8年3月に厚生労働省と消防庁より、大震災等大規模災害で使用するトリアージ・タッグ
の標準化が通知されている。
① タッグの形状〔略〕及び寸法:23.2cm(縦)×11cm(横)
② タッグの紙質
水に濡れても字が書けるなど、丈夫なものとし、本体はやや厚手のもの、複写用紙は本体
より薄手のもの
③ タッグ用紙の枚数
3枚とし1枚目は『災害現場用』、2枚目は『搬送機関用』とし、本体は『収容医療機関
用』とする
④ タッグの形式
モギリ式としモギリの幅は1.8cmとする
⑤ タッグに用いる色の区分
軽処置群:緑色(Ⅲ)、非緊急治療群:黄色(Ⅱ)最優先治療群:赤色(Ⅰ)、死亡及び不
処置群:黒色(0)
モギリ片の色の順番は、外側から緑色、黄色、赤色、黒色で両面印刷とし、ローマ数字のみ記
載し、模様などは記載しない
⑥ 傷病者の同定及び担当機関の同定等に係る記載内容
傷病者の同定の項目:「氏名」「年齢」「性別」「住所」「電話」…外国人の家族や本人が記
載することも想定し、これらの項目については英語を併記する。
担当機関の同定等の項目:「(タッグの)No.」「トリアージ実施月日・時刻」「トリアー
ジ実施者氏名」「搬送機関名」「収容医療機関名」
⑦ タッグ製作主体の裁量部分の項目
例)½
イ傷病者のバイタルサイン、人体図等の当該傷病者の傷病状況に関する事項
ロタッグ製作主体の名称、マーク等
½
4 )バイタルサイン
バイタルサインとは、ヒトの生命(vital)の基本的な徴候(signs)のこと。脈拍・呼吸・体
温・血圧の4つは、ヒトが生きている身体徴候を的確に反映し、日常的に数量で表すことが出来、
また、客観的であるため、特に救急患者などの状態を知る物差しとして使用されている。
― ―
42
1.脈拍 正常値 60∼90/分(20∼60歳の成人、安静時)
一般には燒骨動脈で測定するが触れにくいときは総頸動脈や大腿動脈で測定する。第2・
3・4指3本の指の方が動脈の性質を感じやすい。母指での測定は、測定者自身の拍動を感
じるので避ける。強く圧迫しすぎると動脈が閉じて脈拍を触知できなくなる。
2.呼吸 正常値 16∼20/分
数、深さ、胸部の動き、呼吸音、随伴症状(チアノーゼ、顔色、咳、喘鳴、分泌物の量と性
状、冷汗)を観察、意識不明の患者は、①鼻翼の動きを見る②患者の鼻孔近くに薄い紙片や
細い糸をかざしてその動きを見る。
3.体温 正常平均値 36.5℃前後(腋窩温)
虚脱状態、ショック状態では著しく低下する。
呼吸、循環を観察し必要な対処をする。
4.血圧 至適血圧 最高血圧120mmHg以下 最低血圧 80mmHg以下
循環器系、内分泌系、腎臓の病変で上昇し、アジソン病、感染症のあと、極度の栄養不良、
麻酔、外傷によるショック、出血、心筋梗塞、インスリンショックなどのとき低下する。
― ―
43
― ―
44
Ⅲ 緑
Minor
Ⅱ 黄
Delayed
Ⅰ 赤
Immmediate
0 黒
Deceased
2∼3時間処置を遅ら 熱傷、多発又は大骨折、
せても悪化しない程度 脊髄損傷、合併症の無
い頭部外傷
軽度外傷、通院治療が 小骨折、外傷、小範囲
可能な程度
熱傷で気道熱傷でない
もの、精神症状を呈す
るもの
準緊急治療
軽傷
参考
川島みどり編著:改訂版 実践的看護マニュアル―共通技術
編、p. 342∼363、看護の科学社、2002.
生命・四肢の危険的状 気 道 閉 塞 又 は 呼 吸 困
況で直ちに処置が必要 難、重症熱傷、心外傷、
大出血又は止血困難、
開放性胸部外傷、ショ
ック
緊急治療
死亡又は明らかに生存
の可能性が無い
診断
生命兆候の無いもの
傷病状況
死亡
分類
トリアージ・タッグによる傷病者選定
資料 2
広域災害救急医療情報システム
― ―
45
参考
広域災害・救急医療情報システムバックアップセンター
運用ガイドライン
平成15 年 3 月 1 日
厚生労働省医政局指導課
1 .目的
広域災害・救急医療情報システム(以下「システム」)は、先の阪神淡路大震災における教訓
から構築された。大規模な広域災害における人命の救援・救助には、先ず情報を迅速かつ正確に
把握することが重要であり、医療機関、医療関係団体、医師会、消防機関、保健所、市町村等の
情報ネットワークの構築が必要であることから、本システムは災害医療の予備情報及び対策情報
の収集・提供を行い、迅速かつ的確な救援活動の仕組みづくりの支援を目的とする。
広域災害・救急医療情報システムバックアップセンター(以下「バックアップセンター」)は、
各都道府県に導入されているシステムが災害時における障害などにより、利用できなくなってし
まった場合に備え、全国のシステムデータをバックアップすることを目的とする。また、都道府
県システムが利用できなくなった場合に各機関が直接バックアップセンターに接続することで運
用を停止することなく災害医療情報の収集・提供を行うことを目的とする。
2 .背景
<平成7年度>
厚生省健康政策調査研究事業「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する
研究会」の緊急提言に基づき構築
<平成10年度>
総合経済対策事業予算「広域災害・救急医療情報システム機能強化事業」により、インターネ
ット(Web システム)を利用した機能を拡張
<平成14年度>
構造改革特別要求予算「広域災害・救急医療情報システムの強化」では、さらなるシステム強
化を行い利便性の向上を図るとともに、災害時にも連続運転を可能とするためバックアップセン
ター東西2センター化による堅牢な相互バックアップシステムを構築
3 .概要
¸
都道府県システムにおける全国共通の災害医療情報のバックアップを図る。
¹
関係者へ災害医療情報を包括的に公開することで災害時の患者搬送などの医療体制を組む
ために大きな役割を果たす。また、災害救急医療のポータルサイトの役割を担う。
º
24 時間稼動可能なインターネットによるWeb 方式。
»
東西2 センターによる信頼性・冗長性を持たせたネットワーク構成。
― ―
46
4 .機能
主な機能は以下のとおり。利用者の種別により利用できる機能が異なる。
1
一般市民向け
・災害救急医療に関わる一般向け各種情報の提供
(Topics&News、医療機関情報検索)
・災害医療に関わる固定コンテンツ・コラムの提供
(コンテンツ、災害救急コラム)
・災害医療全般についてのリンク集
(災害ライブラリ、災害救急リンク集)
2
関係者共通(ログインのための ・災害医療情報(要請情報、支援情報)の入力、照会、集計
機関コード、パスワードが必要) ・災害救急に関わる関係者向け各種情報の登録・提供
・医療機関情報の提供
・災害時における速報
・情報共有化機能(メーリングリスト、メールマガジン、電子会議室)
・機関情報の管理機能
・システム運用状態の切替
・災害時における通知、連絡などの配信機能
5 .関係者ユーザ登録について
¸
以下に該当する方については、所属する都道府県の担当課へ問い合わせる。(都道府県の
連絡先については、資料20「行政機関の連絡先」を参照)
医療機関(1次、2次、3次)、血液センター、休日夜間診療所、医師会、消防、保健所、
市町村担当課、その他医療関連団体など。
¹
¸に該当しない方は、wds-info@wds.emis.or.jpへ問い合わせる。
6 .利用規定
システムを利用するにあたって禁止事項は下記のとおり
¸
他人を誹謗中傷、または名誉もしくは信用を傷つけるような行為
¹
知的財産権を侵害する行為
º
他人の財産またはプライバシーを侵害する行為
»
システムの機能を利用し無断で広告、宣伝、勧誘する行為
¼
不適切な画像、文書等を送信する行為
½
本サービス設備の利用または運営に支障を与える行為
問合せ先
広域災害・救急医療情報システムバックアップセンター
wds-info@wds.emis.or.jp
― ―
47
資料 3
大規模災害時に需要が見込まれる医薬品等
1 発災から3日間〈主に外科系措置(重症患者は医療機関へ搬送までの応急措置)用〉の医薬品等
予想される傷病
必要性の高い医薬品(薬効別)
多発外傷、熱傷、挫滅創、切創、打撲、骨折 等
適応する傷病
災害用医薬品等備蓄上の留意事項
体外出血を伴う各種外 ・大量需要が予測される(被害想定以上の確保が必要)
〈医療用〉
○医療材料
傷
・保管は容易
(小外科セット、縫合セ
・ディスポ製品が適当
ット、包帯 等)
○細胞外液補充液
維持液
代用血漿液
大量出血
ショック 等
・大量需要が予測される(被害想定以上の確保が必要)
・嵩張る物が多く、保管場所の確保が困難
・保管は常温可
・保管数量と同数の点滴セットが必要
○血液製剤
大量出血、特殊疾患
・日赤血液センターの対応が期待できる
・有効期限が短く迅速な対応が必要
○薬剤
・解熱鎮痛消炎剤
(小児用含む)
多発外傷、熱傷、挫滅 ・大量需要が予測される(被害想定以上の確保が必要)
創、切創、打撲、骨折 ・冷所保存の薬剤は不適(常温品が適当)
等
・抗生物質製剤
(小児用含む)
多発外傷、二次感染予 ・大量需要が予測される(被害想定以上の確保が必要)
防、各種感染症
・適応症が多様であり、3日目以降も高需要が予想される
・保管は常温可
・滅菌消毒剤
各種外傷
・外皮用薬
各種外傷、各種皮膚疾 ・初期には大量需要が予測される
患
・保管は常温可
・止血剤
各種出血性疾患
・強心剤、昇圧剤
心 疾 患 ( 心 不 全 等 )、 同上
低血圧
・局所麻酔剤
外傷等(外科措置用)
・外科措置用剤として必要性は高い
・保管は常温可
打撲、筋肉痛、腰痛
・初期には特に冷シップの需要が増す
・嵩張るが保管は容易
・保管は常温可
・殺菌消毒薬
(その他の外皮用薬)
外傷全般
・特に初期に大量需要が予測される
(被害想定以上の確保が必要)
・プラスチックボトル(100ml入)が保管、使用に便利
・希釈不要のものが適当・保管は常温可
・衛生材料
(ガーゼ、包帯、脱脂
綿等)
外傷全般
・特に初期に大量需要が予測される
(被害想定以上の確保が必要)
・保管時はセットしておくと便利
・保管は常温可
〈一般用〉
・シップ薬
(鎮痛、鎮痒、収斂、
消炎剤)
{冷シップ、温シップ}
・大量需要が予測される(被害想定以上の確保が必要)
・嵩張る物が多く、保管場所の確保が困難
・保管は常温可
同上
― ―
48
2 外部からの救援が見込まれる3日目以降〈主に急性疾患措置用〉の医薬品等
予想される傷病
心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安症、不眠症、過労、便秘症、食欲不振、
腰痛、感冒、消化器疾患外傷の二次感染症 等
季節的な疾病
インフルエンザ、食中毒、等
必要性の高い医薬品(薬効別)
適応する傷病
感冒、
〈医療用〉
1の他
慢性疾患 等
・鎮咳剤、
去たん剤(小児用含む)
災害用医薬品等備蓄上の留意事項
・特に冬期に大量需要が予測される
・集団避難生活への気遣いからも多く求められる
・保管は常温可
・止しゃ剤
整腸剤(小児用含む)
下痢、
その他
・体力の低下に伴い多発(=需要大)
・保管は常温可
・便秘薬
(下剤、浣腸剤)
便秘
・水分の摂取不良等から多発(=需要大)
・多種類の剤形あり(坐剤は冷所保冷)
・飲み下し困難者は浣腸が必要
・催眠鎮静剤、
抗不安剤
不眠症、不安症、神経 ・避難所生活長期化に伴い多発(=需要大)
症、PTSD
・向精神薬については保管対策が必要
・保管は常温可
・口腔用塗布剤
(その他の消化器官用
薬)
口内炎、
舌炎
・栄養摂取不良から多発(=需要大)
・保管が容易な外用薬が適当
・保管は常温可
・消化性潰瘍用剤
胃、
十二指腸潰瘍
・慢性疾患患者及び災害後ストレスによる新規患者の多発
が予測される
・保管は常温可
・健胃消化剤
消化不良、
胃部不快感、
食欲不振
・避難所生活長期化に伴い多発(=需要大)
・種類は豊富
・保管は常温可
・総合感冒剤
(小児用含む)
感冒
・特に冬期に大量需要が予測される
・避難所生活長期化に伴い多発(=需要大)
・小児用にはシロップが適当
・保管は常温可
・インフルエンザ治療薬
インフルエンザ
・冬期に大量需要が予測される
高病原性鳥インフルエ ・避難所生活長期化に伴い多発(=需要大)
ンザ
〈一般用〉
1の他
・催眠鎮静剤、強心剤
不眠、
動悸、
めまい
・中期以降に多発(=需要大)
・特に医師、薬剤師の指示が必要
・保管は常温可(保管対策は必要)
・便秘薬
(下剤、浣腸剤)
便秘
・中期以降に多発(=需要大)
・保管は常温可
・ビタミンB剤
栄養補給、
肉体疲労、
眼精疲労
・避難所生活長期化に伴い多発(=需要大)
・蒿張るがドリンク剤は便利
・保管は常温可
・絆創膏
各種外傷
・各種サイズが必要
・保管は容易
・目薬
(眼科用剤)
充血、抗炎症、
・埃、粉塵による障害多発(=需要大)
眼精疲労、アレルギー、 ・有効期限が短いので要注意
抗菌 等
・保管は容易
・マスク
感冒、
その他予防
・埃、粉塵が多い場合必要性が高い
(阪神では一時的に不足した)
・うがい薬
(含嗽剤)
感染予防、
口内殺菌
・避難所生活長期化に伴い多発(=需要大)
・特に冬期に需要が高まると予測される
・溶解の必要な散剤は不適
・保管は常温可
・一般用総合感冒剤
感冒
・特に冬期に大量需要が予測される
・小児用にはシロップが適当
・保管は常温可
― ―
49
3 避難所生活が長期化する頃〈主に慢性疾患措置用〉の医薬品等=医療機関へ引継ぐまでの応急的措置
予想される傷病
急性疾患の他、高血圧、呼吸器官疾患、糖尿病、心臓病 等
季節的な疾病
花粉症、喘息、真菌症 等
必要性の高い医薬品(薬効別)
〈医療用〉1、2の他
・降圧剤
適応する傷病
災害用医薬品等備蓄上の留意事項
高血圧
・高血圧疾患患者はかなり多い(=需要大)
・保管は常温可
・抗血栓用剤
各種血栓、
塞栓症
・治療継続中の慢性疾患患者に必要
・医師の指示のもとに使用(中断は危険)
・保管は常温可
・糖尿病用剤
インスリン注射
経口糖尿病治療剤
糖尿病
・糖尿病患者は意外に多く、患者に合った剤形が必要
・剤形により保管条件は異なる
{
}
・心疾患用剤
心疾患
・心疾患は広範囲にわたり各種薬が必要
(狭心症、心不全、心 ・心疾患患者には緊急の対応が必要
筋梗塞、不整脈)
・外用剤(貼付剤)もある
・喘息治療剤
喘息
(気管支喘息含む)
・避難所生活長期化に伴い発作多発
・エアゾール吸入型が便利
・保管は常温可
・抗ヒスタミン剤
(小児用含む)
アレルギー諸症状
・季節によっては大量需要が予測される
・一般的なもので対応可
・小児はドライシロップが適当
・点鼻薬、点眼薬も有効
・寄生性皮ふ疾患剤
真菌症 他
・特に夏期に需要が増すと予測される
・保管は容易
消化不良、
〈一般用〉1、2の他
・胃腸薬
胃腸痛、
(消化性潰瘍用剤、健 胃部不快感
胃消化剤、制酸剤、複
合胃腸剤、その他の消
化器官用薬)
・止しゃ剤、整腸剤
下剤
・避難所生活長期化に伴い大量需要が予測される
・保管は常温可
同上
・鼻炎薬
(耳鼻科用剤)
鼻炎
(鼻水、鼻閉 等)
・季節によっては大量需要が予測される
・保管は常温可
・アレルギー用薬
アレルギー性疾患
同上
(じんましん、花粉症)
・公衆衛生用薬
〈用途〉
防疫活動用
・季節によっては大量需要が予測される
・消毒液散布用の器具が必要
・保管は常温可
― ―
50
資料 4
自然災害発生時における医療支援活動マニュアル
(抜粋)
平成16年度厚生労働科学研究費補助金 特別研究事業
「新潟県中越地震を踏まえた保健医療における対応・体制に関する調査研究」より
亜急性期の災害医療救護班における薬剤師の活動チェックリスト
区
分
活 動 項 目
出
発
前
□携行用医薬品を準備する(56−58参照)
□被災地での活動に必要な薬剤関連資材を準備する(59頁参照)
□医療救護所における処方・調剤の方法について打ち合わせる
□医療救護班における薬剤師の役割・活動内容について打ち合わせる
現
地
で
の
活
動
準
備
□活動地点での電気、水道、ガスなどのライフラインの状況を確認する
□医療救護所内に医薬品の保管場所及び調剤場所を確保する
□医薬品を調剤しやすいように分類する
□医薬品毎に適切な保管が出来るように努める(冷所薬、向精神薬など)
□調剤場所に調剤用物品を配置する
□巡回用医薬品のセットを準備する(巡回診療を行う場合)
□現地での他の医療救護班の活動状況を把握し、薬剤師同士の連携が取れるように努める
□現地での医薬品等の補給方法を検討する
□地元薬剤師会の活動状況を確認し、連携が取れるように努める
□近隣医療機関の診療状況、保険薬局の調剤状況を確認する
□かかりつけ医からの慢性疾患治療薬の入手方法を確認する
救
護
活
動
□医療救護所で調剤・服薬指導を行う
□巡回診療に同行し、調剤・服薬指導を行う
□医療救護所の限られた医薬品で最良の処方が出来るように、医師に処方アドバイスを行う
□保健師、看護師と連携をとり被災住民への感染予防活動を行う(含嗽・手指消毒の指導など)
□使用したり、供給された医薬品を1日毎に集計・記録し、救護所の医薬品の在庫を常に把握する
□不足が予測される医薬品について、補給の手配を行う
□他の医療救護班から医薬品の援助要請があった場合は、可能な限り応ずる努力をする
□診療時の事務作業(受付、カルテ整理など)、処置の補助なども、時間の許す限り積極的に行う
□所属施設と頻回に連絡を取り、活動状況の報告、必要な支援の依頼を行う
□日々の活動内容を日誌として記録する
撤
退
・
引
き
継
ぎ
□活動終了時の残薬の取り扱いを検討する
(所属施設に持ち帰る。活動を継続する医療救護班に譲渡する。被災地に譲渡する。など)
□活動終了時の医薬品の在庫を明確にする
□活動期間中に使用した医薬品を集計する
□医薬品を譲渡する場合は、譲渡方法を譲渡先と相談する
□救護活動を行う際に連携を取って活動していた相手に、活動終了の連絡を行う
□救護活動を他の医療救護班に引き継ぐ場合は、活動状況や使用医薬品の状況を正確に報告する
― ―
51
薬剤師マニュアル
【出発前】
1 携行用医薬品の準備
¸
被災地での医療救護活動に必要と思われる医薬品を携行用として準備する。
*新潟県中越地震における川口町での医療救護活動を参考にした携行用医薬品リスト(1週
間程度の活動を想定)を別添資料として例示した(56−58頁参照)。
*亜急性期の災害医療救護活動において需要が予想される医薬品のリストを別添資料として
例示した(60−61頁参照)。
2 薬剤関連物品の準備
¸
被災地の医療救護所において調剤及び医薬品の保管・管理に必要となる資材を準備する。
*新潟県中越地震における川口町での医療救護活動を参考にした携行する薬剤関連資材リス
ト(1週間程度の活動を想定)を別添資料として例示した(59頁参照)。
¹
準備する資材のうち事務用品等については、後方支援担当者と打ち合わせを行い重複しな
いように注意する。
3 医療救護所における処方・調剤の方法の打ち合わせ
¸
医療救護所における処方・調剤の方法について、医師と打ち合わせを行う。
¹
災害時は診療録に記載された処方に基づいて調剤が行われることが多いが、亜急性期にお
いては、処方せんを用いた処方及び調剤が望ましい。
º
処方せんは3枚綴り(複写)とし、1枚目:調剤用、2枚目:患者控え用、3枚目:医師
控え用(診療録貼付用)とするのが便利である。(別添資料として例示した。55頁参照)
4 医療救護班における薬剤師の役割・活動内容の打ち合わせ
¸
医療救護班における薬剤師の役割及び活動内容について、班員と打ち合わせを行う。
¹
医療救護班における薬剤師の活動としては、次のようなことが考えられる。
ア 診療における調剤及び服薬指導
イ 医薬品等の在庫管理
ウ 診療時の医師への処方アドバイス
エ 慢性疾患使用医薬品の鑑別
オ 公衆衛生活動(含嗽・手指消毒の指導、消毒薬の供給・補充)
【現地での活動準備】
1 活動地点でのライフラインの確認
¸
活動地点での電気、水道、ガスなどのライフラインの状況を確認し、状況に応じた医薬品
の保管・管理方法を検討する。
2 医薬品の保管場所及び調剤場所の確保
¸
医療救護所内に医薬品の保管場所及び調剤場所を確保する。
¹
医薬品は診察場所の近くに一括して保管することが調剤及び管理上望ましいが、スペース
が確保出来ない場合は、別にストック用保管場所を確保する。
º
医薬品の保管場所の側に調剤場所を設ける。
»
医薬品の保管場所及び調剤場所は関係者以外が立ち入ることがないように工夫する。
¼
場所の確保が出来たら、医薬品や調剤用資材を効率よく活動が行えるように配置する。
3 医薬品の分類・保管
¸
薬の保管には、事前に保管用のケース等を用意していくことが望ましい。
― ―
52
¹
医薬品は内用薬、外用薬、注射薬に区別して保管する。また、毒薬、向精神薬については、
可能な限り鍵の懸かる保管場所を確保する。
º
冷所保存が必要な医薬品は、温度管理に注意する。アウトドア用の冷蔵庫(電気不要タイ
プもある)を準備するのが望ましいが、無理な場合はクーラーボックスと瞬間冷却剤等を準
備すると良い。
»
薬の分類は、種類別にアイウエオ順や薬効別に分類するのが良い。薬袋などを利用し、袋
の上に医薬品名を記載したり、色を付けたりして区別すると便利である。
4 巡回用医薬品等の準備
¸
巡回診療を行う場合は、巡回診療用の医薬品及び調剤用資材を準備する。
¹
1回の巡回に必要と思われる医薬品および調剤用資材(薬袋、筆記用具等)を用意し、携
帯用の容器(リュックサック等)に入れる。
現地での薬剤師同士の連携
5
¸
現地で活動を行っている他の医療救護班の薬剤師と連絡を取るように努める。他の医療救
護班の活動状況を把握し、医薬品等の譲受・譲渡、公衆衛生活動などに連携して活動が行え
ると良い。定期的にミーティングなどを行うのが良い方法である。
¹
現地で活動を行っている地元薬剤師会と連絡を取るように努める。地元薬剤師会の活動状
況を把握し、被災住民に適切な情報が提供出来るように努める。また、連携して活動が行え
ることがあれば積極的に行う。
º
近隣医療機関の診療状況、保険薬局の調剤状況を確認し、被災住民に適切な情報が提供出
来るように努める。また、医療救護班の薬剤師として援助出来ることがあれば積極的に行う。
現地での医薬品の補給方法の検討
6
¸
医療救護班で使用する医薬品は派遣元医療機関より持参することを基本とするが、医療救
護活動中の医薬品の不足に備えて、現地での医薬品の補給方法も検討する必要がある。
¹
現地での医薬品の補給には次のような方法が考えられる。現地での医薬品の供給状況を確
認し、状況に応じて適切な対応を取ることが必要である。特に、現地の災害対策本部と連絡
を取り、医薬品集積所の設置状況や近隣における協力医療機関の情報を得ることが大事であ
る。
ア 所属する医療機関からの補給
イ 近隣の医療機関からの補給
ウ 現地で活動を行っている医療救護班からの譲受
エ 都道府県及び市町村における災害用の備蓄医薬品の利用
オ 被災地外からの救援医薬品の利用
7 慢性疾患治療薬の入手方法の確認
¸
被災住民が常用している慢性疾患治療薬の入手方法を現地の災害対策本部に確認し、被災
住民に情報提供を行う。
¹
災害時には、診察を受けずにかかかりつけ医からの常用薬の処方及び調剤が可能な場合が
ある。その際には、不足する常用薬の把握及びかかりつけ医への連絡、また調剤された常用
薬の服薬指導などを行うことも必要である。
【救護活動】
1 医療救護所における調剤及び服薬指導
¸
調剤は原則として処方せんに基づいて行うが、緊急の場合は、診療録に基づいて行うこと
もある。
― ―
53
¹
調剤の際には処方せんまたは診療録に調剤済みの旨、調剤者の記名押印又は署名、調剤年
月日を記入する。
º
薬袋には、患者名、用法・用量、投与日数、調剤者の記名押印又は署名、調剤年月日など
を記載するが、予め必要事項が印刷されているものや、必要事項が押印できるスタンプなど
を利用すると便利である。
»
調剤録を作成し、調剤の記録を記載することが望ましい。
¼
調剤後には、患者が正しく医薬品の使用が出来るように、服薬指導を行う。
½
患者への薬剤情報提供として、薬袋へ薬品名、薬効、注意事項を記載することが望ましい。
また、患者に他の医療救護班や医療機関で診察を受ける際には、処方せんの控えや薬袋を持
参することを勧める。
2 巡回診療への同行
¸
医療救護班で巡回診療を行う場合は、可能な限り同行し、調剤、服薬指導、公衆衛生活動
などを行うように努める。
¹
巡回診療に同行する場合は、診察時に調剤・服薬指導が出来るように繁用される医薬品を
遂行していくことが望ましいが、巡回診療修了後に調剤して届ける方法でも良い。
3 医師への処方アドバイス
¸
医療救護所内の限られた医薬品で医師が最良の処方が出来るように、常に医療救護所内の
医薬品の在庫を把握し、医師の処方意図に合った医薬品をアドバイスする。
¹
医薬品が不足した場合は、現地では特定銘柄の医薬品の確保は困難が予想されるために、
同種同効薬の使用についてのアドバイスも必要である。
º
患者の常用薬・持参薬の調査・確認を行い、処方が必要な場合は医師に救護所の在庫薬か
ら同種薬や同効薬などの処方アドバイスを行う。また、相互作用の確認なども行う。
4 公衆衛生活動
¸
被災住民への感染症の蔓延を防止するために、保健師、看護師と連携を取り、感染予防活
動を行う。具体的には次のような活動が考えられる。
ア 含嗽、手指消毒の遂行(パンフレットの配布やポスターの掲示など)
イ 含嗽、手指消毒の手技の指導
ウ 含嗽薬、手指消毒薬の配置及び補充
5 医薬品の管理
¸
調剤した医薬品及び補給した医薬品は毎日集計を行い記録を作成する。常に救護所内にあ
る医薬品の種類・数量は把握しておく。
¹
不足が予測される医薬品がある場合は、速やかに補給の手配をする。
º
医薬品の補給が上手く行かずに不足した場合は、医師と代替薬について検討を行う。
»
医薬品の管理にはコンピューター(電気が使用出来る場合)を利用すると良い。
¼
他の医療救護班から医薬品の援助要請があった場合は、可能な限り応ずる努力をする。
6 医療チームとしての活動
¸
薬剤師としての活動以外にも、医療救護班の一員として薬剤師が出来ること積極的に行っ
ていく。具体的には次のような活動が考えられる。
ア 診療時の事務作業(受付、カルテ整理など)
イ 処置の補助
7 その他
¸
所属施設と頻回に連絡を取り、活動状況の報告、必要な支援の依頼を行う。
¹
日々の活動内容を日誌として記録し、引継ぎや活動終了時の報告などに利用出来るように
― ―
54
する。
【撤退・引継ぎ】
1 活動終了時の残薬の取り扱い
¸
利用せずに残った医薬品は持ち帰ることを基本とするが、引き続き活動を継続する医療救
護班が利用出来るようであれば譲渡することも検討する。
¹
その地域における医療救護活動が終了となり、最終的に残された医薬品については地元自
治体の災害対策本部と協議を行い、地元において有効利用が出来るようであれば譲渡するこ
とも検討する。
2 医薬品の管理
¸
活動終了時の医薬品の在庫を明確にし、医薬品の種類・数量を記載したリストを作成する
と良い。医薬品を譲渡する場合は、医薬品リストを添えて譲渡する。
¹
活動期間中に使用した医薬品を集計し、使用医薬品の種類・数量を明確にする。
3 撤退時の引継ぎ及び連絡
¸
活動終了時には、現地で連携を取って活動していた相手に、活動終了の連絡を行う。
¹
救護活動を他の医療救護班に引き継ぐ場合は、活動状況や使用医薬品の状況を正確に報告
する。
<別添資料>
災害用処方せん(見本)
― ―
55
災害時携行用医薬品リスト(亜急性期)
(新潟県中越地震における川口町での医療救護活動を参考にした災害における亜急性期の医療救護活動1週間程
度の際に携行する医薬品リストの1例)
種類
薬効分類
小児
製剤
医薬品名
規格
被災後
3∼14日
被災後
14日以降
数量
数量
内用薬
抗不安薬
セルシン錠
2mg
200
100
内用薬
催眠・鎮静薬(超短期作用型)
マイスリー錠
5mg
100
100
内用薬
催眠・鎮静薬(短期作用型)
レンドルミン錠
0.25mg
200
100
内用薬
解熱鎮痛消炎剤
ロキソニン錠
60mg
500
300
内用薬
解熱鎮痛消炎剤
カロナール錠
200mg
200
200
内用薬
総合感冒剤
1g
1000
500
内用薬
総合感冒剤
500
300
内用薬
鎮痙薬
ブスコパン錠
10mg
50
50
内用薬
抗めまい薬
メリスロン錠
6mg
50
50
内用薬
降圧剤(Ca拮抗薬)
アムロジン錠
2.5mg
200
100
内用薬
降圧剤(ACE阻害薬)
レニベース錠
2.5mg
100
50
内用薬
抗狭心症薬(硝酸薬)
ニトロペン錠
0.3mg
20
20
内用薬
去痰剤
ムコダイン錠
250mg
500
500
内用薬
鎮咳薬
メジコン錠
15mg
500
500
内用薬
気管支拡張薬・喘息治療薬
テオドール錠
100mg
200
100
内用薬
気管支拡張薬・喘息治療薬
テオドールドライシロップ
50mg
100
50
内用薬
止瀉薬
ロペミンカプセル
1mg
50
50
内用薬
整腸薬
ビオフェルミン
1g
200
200
内用薬
整腸薬
ビオフェルミン
0.5g
100
100
内用薬
消化性潰瘍用剤
セルベックスカプセル
50mg
400
300
内用薬
消化性潰瘍用剤(H2遮断薬)
ガスター錠
20mg
100
100
内用薬
下剤(大腸刺激性下剤)
プルゼニド錠
12mg
100
100
内用薬
下剤(塩類下剤)
酸化マグネシウム
0.5g
100
100
内用薬
胃腸機能調整薬
プリンペラン錠
5mg
100
100
内用薬
副腎ホルモン製剤
プレドニン錠
5mg
100
50
内用薬
抗血小板薬
バイアスピリン錠
100mg
100
100
内用薬
血糖降下薬
ダオニール錠
1.25mg
100
50
内用薬
アレルギー治療薬(抗ヒスタミ
ン剤)
ポララミン錠
2mg
200
100
内用薬
アレルギー治療薬(抗ヒスタ
ミン剤)
ザジテンドライシロップ
0.3mg
100
50
内用薬
抗生物質(マクロライド系)
クラリス錠
200mg
200
100
内用薬
抗生物質(マクロライド系)
クラリスドライシロップ小児用
50mg
100
50
内用薬
抗生物質(ペニシリン系)
サワシリンカプセル
250mg
200
100
○
PL顆粒
○
○
○
○
○
小児用風邪薬(注1)
56
― ―
種類
薬効分類
内用薬
抗生物質(ペニシリン系)
内用薬
抗生物質(セフェム系)
内用薬
抗生物質(セフェム系)
内用薬
小児
製剤
○
医薬品名
規格
被災後
3∼14日
被災後
14日以降
数量
数量
サワシリン細粒
100mg
100
50
ケフラールカプセル
250mg
400
200
ケフラール細粒
100mg
200
100
化学療法薬(キノロン系)
クラビット錠
100mg
200
100
内用薬
抗ウィルス薬
ゾビラックス錠
200mg
200
100
外用薬
解熱鎮痛消炎剤(坐薬)
ボルタレンサポ
25mg
50
30
外用薬
解熱鎮痛消炎剤(坐薬)
アンヒバ
100mg
30
20
外用薬
抗菌薬(点眼)
クラビット点眼液
5mL
10
5
外用薬
抗アレルギー薬(点眼)
ザジテン点眼液
5mL
10
5
外用薬
抗狭心症薬(貼付)
フランドルテープS
40mg
10
10
外用薬
気管支拡張薬(吸入)
サルタノールインヘラー
13.5mL
5
5
外用薬
気管支拡張薬(吸入)
ベネトリン吸入液
30mL
2
2
外用薬
去痰薬(吸入)
ビソルボン吸入液
500mL
1
1
外用薬
気管支拡張薬(貼付)
○
ホクナリンテープ
0.5mg
50
25
外用薬
気管支拡張薬(貼付)
○
ホクナリンテープ
1mg
50
25
外用薬
含嗽剤
イソジンガーグル
30mL
100
50
外用薬
胃腸機能調整薬(坐薬)
○
ナウゼリン坐剤
10mg
20
10
外用薬
胃腸機能調整薬(坐薬)
○
ナウゼリン坐剤
30mg
20
10
外用薬
殺菌消毒薬(口腔用薬)
オラドール口中錠
0.5mg
400
300
外用薬
口内炎治療薬(塗布)
ケナログ軟膏
2g
10
10
外用薬
副腎皮質ホルモン薬(塗布)
リンデロンVG軟膏
5g
10
10
外用薬
鎮痛薬(塗布)
ボルタレンゲル
25g
10
10
外用薬
消炎薬(塗布)
アズノール軟膏
20g
20
10
外用薬
抗ヒスタミン薬(塗布)
レスタミンコーワ軟膏
10g
20
10
外用薬
抗菌薬(塗布)
ゲーベンクリーム
100g
10
5
外用薬
抗菌薬(塗布)
ゲンタシン軟膏
10g
20
10
外用薬
抗菌薬(貼付)
ソフラチュール
10×
10cm
10
5
外用薬
消炎・鎮痛パップ剤
ミルタックス
6
100
50
外用薬
抗ウィルス薬(塗布)
ゾビラックス軟膏
5g
10
10
外用薬
浣腸薬
30mL
5
5
外用薬
消毒薬(手指用)
ウェルパス
1000mL
10
10
外用薬
消毒薬
イソジン液
250mL
3
3
外用薬
消毒薬
消毒用エタノール
500mL
3
3
外用薬
消毒薬
0.05%マスキン水
500mL
5
5
○
○
○
グリセリン浣腸
― ―
57
種類
薬効分類
小児
製剤
医薬品名
規格
被災後
3∼14日
被災後
14日以降
数量
数量
外用薬
生理食塩液
生理食塩水(開栓)
1000mL
10
5
外用薬
滅菌精製水
精製水(開栓)
1000mL
20
5
注射薬
鎮痛薬
ペンタジン注
15mg
5
5
注射薬
抗不安薬
ホリゾン注
10mg
5
5
注射薬
抗不安薬
アタラックスP注
25mg
5
5
注射薬
副交感神経抑制薬
硫酸アトロピン注
0.5mg
5
5
注射薬
局所麻酔薬
1%キシロカイン
ポリアンプ
10mL
10
10
注射薬
電解質輸液
ラクテック
500mL
5
5
注射薬
電解質輸液
ソリタT1
500mL
5
5
注射薬
強心薬・昇圧薬
イノバン注
100mg
5
5
注射薬
強心薬・昇圧薬
ドブトレックス注
100mg
5
5
注射薬
強心薬・昇圧薬
エピクイック注
1mg
5
5
注射薬
強心薬・昇圧薬
ノルアドリナリン注
1mg
5
5
注射薬
気管支拡張薬・喘息治療薬
ネオフィリン注
250mg
5
5
注射薬
生理食塩液
生理食塩水
20mL
30
30
注射薬
生理食塩液
生理食塩水
100mL
10
10
注射薬
抗生物質(セフェム系)
パンスポリン静注用1gバッグS
1g
10
10
注射薬
抗生物質(ペニシリン系)
ペントシリン静注用1gバッグ
1g
10
10
注射薬
トキソイド
破傷風トキソイド
1mL
10
10
注射薬
インスリン製剤
ヒューマリンR注
10mL
1
1
(注1)小児用風邪薬(院内製剤):1包=ペリアクチン散1mg、アスベリン散10mg、ムコダイン細粒100mg
― ―
58
災害時携行用薬剤関連資材リスト(亜急性期)
(新潟県中越地震における川口町での医療救護活動を参考にした災害の亜急性期の医療救護活動1週間程度の際
に携行する薬剤関連資材リストの1例)
区分
調
剤
用
物
品
物品名
処方せん
300枚
薬袋(内用薬用)
500枚
薬袋(外用薬用)
200枚
外用薬瓶(100mL)
20個
軟膏壺(30g)
10個
軟膏ベラ
1本
ビニール袋
50枚
調剤印
1個
マジック(黒、赤、青など)
事
務
用
品
そ
の
他
各1本
ボールペン
2本
輪ゴム
1箱
セロハンテープ
1本
ハサミ
1本
電卓
1台
ステイプラー(本体)
1台
ステイプラー(針)
1箱
ノート
2冊
ノートパソコン
1台
USBストレージ
1個
医薬品集(医療用・一般用)
書
籍
数量
各1冊
医薬品鑑別辞典
1冊
治療指針
1冊
アウトドア用冷蔵庫又は保冷容器
1台
瞬間冷却剤
30個
リュックサック(巡回診療用)
1個
ケース(薬保管用)
数個
*事務用品等は後方支援担当者と打合せを行い、重複のないように注意する。
― ―
59
災害医療救護活動(亜急性期)において需要が予想される医薬品リスト
予測される
医薬品の需要
種類
薬効分類
被災後
3∼14日
被災後
14日以降
小児用
製剤の
必要性
代表的な医薬品
内用薬
抗不安薬
◎
△
デパス、セルシン、リーゼ、セレナール
内用薬
催眠・鎮静薬(超短期作用型)
△
△
アモバン、マイスリー
内用薬
催眠・鎮静薬(短期作用型)
○
△
レンドルミン、リスミー
内用薬
解熱鎮痛消炎剤
◎
◎
○
ロキソニン、ブルフェン、アセトアミ
ノフェン
内用薬
総合感冒剤
◎
◎
○
PL顆粒
内用薬
鎮痙薬
△
△
ブスコパン
内用薬
抗めまい薬
△
△
メリスロン
内用薬
降圧剤(Ca拮抗薬)
◎
△
アムロジン、アダラート、アダラート
L、ヘルベッサー
内用薬
降圧剤
△
△
レニベース、ブロプレス
内用薬
抗狭心症薬(硝酸薬)
△
△
ニトロペン
内用薬
去痰剤
◎
◎
○
ムコダイン、ムコソルバン
内用薬
鎮咳薬
◎
◎
○
メジコン、トクレス、レスプレン、ア
スベリン
内用薬
気管支拡張薬・喘息治療薬
○
△
○
テオドール、テオロング
内用薬
止瀉薬
△
△
内用薬
整腸薬
◎
○
内用薬
消化性潰瘍用剤
◎
○
アルサルミン細粒、マーズレンS、セ
ルベックス
内用薬
消化性潰瘍用剤(H2遮断薬)
○
△
ガスター、アルタット、ザンタック
内用薬
下剤(大腸刺激性下剤)
○
△
プルゼニド、アローゼン
内用薬
下剤(塩類下剤)
○
△
酸化マグネシウム
内用薬
胃腸機能調整薬
△
△
プリンペラン、ナウゼリン
内用薬
副腎ホルモン製剤
△
△
プレドニン
内用薬
抗血小板薬
△
△
バイアスピリン
内用薬
血糖降下薬
△
△
ダオニール、グリミクロン
内用薬
アレルギー治療薬
◎
△
○
ポララミン、ペリアクチン
内用薬
抗生物質(マクロライド系)
◎
○
○
クラリス、クラリシッド
内用薬
抗生物質(ペニシリン系)
○
△
○
サワシリン
内用薬
抗生物質(セフェム系)
◎
◎
○
フロモックス、セフゾン、ケフラール
内用薬
化学療法薬(キノロン系)
◎
○
○
クラビッド
内用薬
抗ウィルス薬
△
△
外用薬
解熱鎮痛消炎剤(坐薬)
◎
○
外用薬
抗菌薬(点眼)
○
△
クラビット点眼
外用薬
ビタミン製剤(点眼)
△
△
サンコバ点眼
外用薬
抗アレルギー薬(点眼)
△
△
ザジテン点眼
― ―
60
ロペミン
○
ビオフェルミン、ラックビー
ゾビラックス
○
アンヒバ、ボルタレンサポ
予測される
医薬品の需要
種類
薬効分類
被災後
3∼14日
被災後
14日以降
小児用
製剤の
必要性
代表的な医薬品
外用薬
抗狭心症薬(貼付)
△
△
フランドルテープS
外用薬
気管支拡張薬(吸入)
△
△
サルタノールインヘラー、ベネトリン
吸入液
外用薬
去痰薬(吸入)
△
△
ビソルボン吸入液
外用薬
気管支拡張薬(貼付)
◎
○
外用薬
含嗽剤
◎
◎
外用薬
胃腸機能調整薬(坐薬)
○
△
外用薬
殺菌消毒薬(口腔用薬)
◎
◎
SPトローチ、オラドールトローチ
外用薬
口内炎治療薬(塗布)
△
△
ケナログ軟膏、デキサルチン軟膏
外用薬
副腎皮質ホルモン薬(塗布)
○
○
リンデロンVG軟膏、ロコイド軟膏
外用薬
鎮痛薬(塗布)
○
△
ボルタレンゲル、インテバンクリーム
外用薬
消炎薬(塗布)
◎
△
アズノール軟膏、アンダーム軟膏
外用薬
抗ヒスタミン薬(塗布)
○
△
レスタミン軟膏
外用薬
抗菌薬(塗布)
◎
△
ゲーベンクリーム
外用薬
抗菌薬(塗布)
◎
△
ゲンタシン軟膏
外用薬
抗菌薬(貼付)
○
△
ソフラチュール
外用薬
消炎・鎮痛パップ剤
◎
◎
ミルタックス、セルタッチ、アドフィ
ード、MS温シップ
外用薬
抗ウィルス薬(塗布)
△
△
ゾビラックス軟膏、アラセナA軟膏
外用薬
浣腸薬
△
△
グリセリン浣腸
外用薬
保護薬(塗布)
○
△
白色ワセリン
外用薬
消毒薬(手指用)
◎
◎
ウェルパス
外用薬
消毒薬
○
○
消毒用エタノール、イソジン、マスキン
外用薬
生理食塩液
◎
○
外用薬
滅菌精製水
◎
○
注射薬
鎮痛薬
△
△
ペンタジン注、レペタン注
注射薬
抗不安薬
△
△
ホリゾン注、アタラックスP注
注射薬
副交感神経抑制薬
△
△
硫酸アトロピン注
注射薬
局所麻酔薬
△
△
キシロカインポリアンプ
注射薬
電解質輸液
△
△
ラクテック、ソリタT1号
注射薬
強心薬、昇圧薬
△
△
イノバン注、ドブトレックス注、エピ
クイック注
注射薬
生理食塩液
△
△
注射薬
気管支拡張薬・喘息治療薬
△
△
ネオフィリン注
注射薬
抗生物質
△
△
セフェム系、ペニシリン系
注射薬
インスリン製剤
△
△
ヒューマリンR注
注射薬
トキソイド
△
△
破傷風トキソイド
予測される医薬品の需要 ◎:需要大 ○:需要中 △:需要小
― ―
61
○
ホクナリンテープ
イソジンガーグル
○
ナウゼリン坐薬
資料 5
新潟県中越地震の被災者で
乗用車等で寝泊りしている方々へのご注意
災害対策本部
このたびの震災で被災された方々におかれましては、大変なご苦労を耐え忍んでいることとお
察し申し上げます。
さて、被災者の中には、車で寝泊りされておられる方も多いと思います。確かに車の中は温か
いし、他人に気を使う必要もなく、快適であります。しかしながら、健康上のリスク(危険)も
ありますので、下記の諸点にご注意いただきますよう、特にお願い申し上げます。
ひとたび、発生(発症)すると死亡の恐れが高いリスクとして、
1.いわゆるエコノミークラス症候群のリスク
2.一酸化炭素中毒のリスク
の2つが考えられます。
1 .いわゆるエコノミークラス症候群のリスク
1−1.病気の説明
「いわゆるエコノミークラス症候群」とは、航空機などで旅行中もしくは旅行後に発生するも
ので、下腿(すね)の奥にある静脈が長時間圧迫されて血栓が発生し、その血管を詰まらせたり、
また血栓が肺まで移動して、肺の血管を詰まらせるものです。強烈な痛みがあり、死亡すること
もあります。現在では、航空機以外の乗り物(バス・車・鉄道・船など)でも発生することが知
られておりますので、「旅行者血栓症」と表現するのが正しいとされております。
1−2.予防方法
足の運動・水分の補給・ゆったりとした服装・過度の飲酒を避ける 等
1−3.なりやすい人
a)低危険因子
40才以上、肥満、糖尿病、高脂血症、3日以内に受けた小外科手術
(内視鏡的・肛門外科・皮膚科・眼科手術等)
b)中等度危険因子 下肢静脈瘤、心不全、6週間以内に発症した急性心筋梗塞、経口避妊薬を含むホルモン療
法、真性多血症、妊娠・出産直後、下肢の麻痺、6週間以内に受けた下肢の手術・外傷・
骨折
c)高危険因子 深部静脈血栓症・急性肺動脈血栓塞栓症の既往歴あるいは家族歴、先天性血栓形成素因、
血小板増多症、6週間以内に受けた大手術(脳外科・心臓外科・整形外科・婦人科・泌尿
器科手術等)、心血管系疾患の既往, 癌等の悪性腫瘍
1−4.危険な兆候
深部静脈血栓症の初期症状 大腿から下の脚の発赤・腫脹・痛み
― ―
62
多彩な胸部症状、呼吸苦、胸部苦悶感、息苦しさ
→このような症状が発生したら、躊躇せず病院で受診してください。
2 .一酸化炭素中毒のリスク
2−1.病気の説明
血液中のヘモグロビンは一酸化炭素と強く結合し、このヘモグロビンは酸素とほとんど結合で
きなくなる。すると、酸素を脳に運搬できなくなるので、脳が障害され、死亡することもある。
回復しても麻痺が残る場合がある。車の排気ガスには、一酸化炭素が含まれているので、古い車
や排気管(マフラー)に穴が開いていると車内に一酸化炭素が逆流することがある。また、積雪
が排気管(マフラー)をふさぎ、一酸化炭素が逆流する場合もある。
一酸化炭素自体は無色無臭なので、症状がでないと気づかないことが多い。
2−2.予防方法
窓を開ける・車を密集させない・エアコンは内気循環を避け外気導入を行う 等
(外気導入を行いましても車が密集していれば一酸化炭素中毒になったという症例もございま
す)
2−3.危険な兆候
頭痛、頭重感、頭部圧迫感などは、重要な1症状のこともあるようです。身体の異常を感じた
時には、すでに身体が動かないことが多いので、発見されなければ、そのまま死亡する。すなわ
ち、危険な兆候を感じたときは手遅れの可能性が高い。
その他、風邪引きなどにも注意が必要と思われます。これから、寒さに向かいます。被災者の
方々におかれましては、ご自愛の程よろしくお願いします。
参考HP:エコノミー症候群に関する提言
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsasem/news/ecs.html
洙田靖夫(医師・労働衛生コンサルタント)作成
新潟県中越地震災害対策本部配付資料より
― ―
63
資料 6
阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震における一般用医薬品等
の供給量の割合
その他外用剤
1%
消毒薬 7%
湿布剤 1%
絆創膏 9%
風邪薬
32%
目薬 3%
トローチ
5%
うがい薬
19%
解熱鎮痛剤
5%
その他内服
1%
ビタミン剤
11%
胃腸薬 6%
阪神・淡路大震災(1995年1月)
ハンドクリーム、
リップクリーム
2%
カイロ
0%
おむつ、生活用品
1%
体温計・その他
1%
ビタミン剤・
ドリンク剤
9%
外用剤 14%
風邪薬・
解熱鎮痛剤など
40%
便秘薬、浣腸
2%
胃腸薬、
整腸剤、腹痛
6%
目薬 3%
消毒、ウエット
ティッシュ
1%
うがい薬、トローチなど
15%
マスク・衛生材料など
6%
新潟県中越地震(2004年10月)
山岸美恵子(新潟県薬剤師会常務理事、新潟メディカルプラン)作成資料より
― ―
64
資料 7
保健活動に必要な物品チェックリスト
1.服装
□ 自転車
□ ヘルメット
□ 活動しやすい服装
□ リュックサック
□ ウェストポーチ
□ 底の厚い靴
(必要な場合は長靴)
□ 腕章
□ マスク
□ 軍手
□ 名札
2.携帯品
□ 地図 □ 連絡先リスト
(関係機関電話番号)
□ 災害時要援護者リスト
□ 本人の身分証明書
□ 記録用紙 □ 筆記用具 □ バインダー
□ クリップ □ 不在時用メモ
□ 携帯電話
(予備バッテリー)
□ 緊急携帯手動発電機
□ 懐中電灯(乾電池)
□ ペンライト
□ 携帯ラジオ
□ 使い捨てカメラ
□ テレフォンカード
□ 体温計
□ 脱脂綿
□ アルコール綿
□ 手指消毒薬
(ウエルパス)
□ 滅菌ガーゼ
□ 救急絆創膏
□ 絆創膏
□ 三角巾
□ ゴム手袋 □ 包帯 □ ハサミ
□ ピンセット
□ 冷湿布
□ 毛抜き
□ 消毒薬
□ 綿棒 □ ビニール袋 □ タオル □ マスク □ ティッシュ □ ウエットティッシュ □ ゴミ袋 □ 上履き □ 雨具 □ 折りたたみ傘 □ 本人の間食 □ 水筒
□ 虫よけスプレー
□ 消臭剤
□ 冬季は使い捨てカイロ
*医薬品を携帯するかどうか
は医療班の体制を確認して
判断する
愛知県健康福祉部医療福祉計画課「災害時保健活動マニュアル」より一部改変
― ―
65
資料 8
個別疾患患者に対する災害時の対応
クラッシュ症候群による急性腎障害患者への対応も含めた災害時の人工透析医療の確保、難病
患者その他特殊な医療を必要とする患者に対する災害時の医療を確保するため、各都道府県は、
日本透析医会その他専門の機関と協力し、透析患者や難病患者などの受療状況および専門医療機
関の稼働状況の把握並びに必要な水・医薬品などの確保に努めることが要請されている。
*クラッシュ症候群:四肢・大腿等の骨格筋が大量に・長時間の圧迫等をうけ虚血等で筋障害が引き起こさ
れ、その結果、局所・全身に異常を呈する症候群。局所の浮腫・壊死等や、全身症状としては、腎不全、
その他の多臓器障害をきたして、高い死亡率をきたす。早期よりの血液透析・血液浄化法、集中治療によ
り多くは救命可能と考えられている。
1 . 人工透析・難病患者などへの対応
人工透析・難病患者などは、災害時も継続して人工透析や特定の医薬品や治療を必要とする。
このため、被災状況や患者かかりつけ医療機関の稼働状況、受け入れ可能な医療機関などを把握
し、患者や家族に的確な医療情報を提供するとともに医療供給が確保されなければならない。災
害に備えての、事前の準備・災害発生時及び発生後の対応マニュアルや医療機関用のガイドライ
ンが作成され、医療の確保体制体系も整備されている。
患者・家族や介護者は日常の療養の中で、災害特に対応できる基本的な注意点を学習し、体得
しているので、災害援助ボランティアは、これらのシステムを理解し、行動する必要がある。
1)透析におけるライフラインの確保
① 大量の水:1人分、1回200Lの水が必要
→水道局の給水車などを優先配車する。
② 装置や機器を稼働させるエネルギー:電気の確保→自家発電装置、電源車を優先配車する。
ガスの確保→ガス会社からプロパンガスを配給する。
③ 透析施設相互間の連絡などの通信:電話の代替機能→パソコン通信、無線
2)薬剤師の役割
① 患者が携帯している「医療情報記入の患者カード」を確認、他の医療従事者と連携し、善
処する。
② 「患者カード」から、必要な医薬品や代替薬を手配する。
― ―
66
患者カード
患者カード
自 宅
住 所
氏 名:
電話番号
︵
表
面
︶
生年月日:M.T.S.H 男
年 月 日 女
お願い
緊急連絡先
連 絡 先
氏 名
続 柄
私は、難病の患者です。
私が倒れている場合は、最寄りの
救急医療施設に運んでください。
また、裏面の連絡先にご連絡を
お願いします。
住 所
電話番号
医療機関
医療機関名
所 在 地
電話番号
平成 年 月 日記入
主治医名
医 療 情 報
○合 併 症:
○診断名:
○診療上の禁忌・注意事項:
︵
裏
面
︶
○血液型:( A B O 式: 型)
RH ( )HBs( )
○使用薬剤名:
○緊急時の対応方法
○禁忌薬剤名:
記入医師名(署名)
かかりつけ以外の医療機関でもスムースに受診できるよう、「透析患者カード」に、自身の透析
データや治療内容、使用中の医薬品、災害時の連絡先を記入しておく。
透析患者カード
透析患者カード
自 宅
住 所
氏 名:
電話番号
生年月日:M.T.S.H 男
︵
表
面
︶
年 月 日 女
お願い
緊急連絡先
連 絡 先
氏 名
続 柄
私は、慢性腎不全のため人工透析
治療を受けている患者です。
私が倒れている場合は、最寄りの
救急医療施設に運んでください。
また、裏面の連絡先にご連絡を
お願いします。
住 所
電話番号
医療機関
医療機関名
所 在 地
電話番号
平成 年 月 日記入
主治医名
― ―
67
透 析 記 録
・シャントの位置:
○血液型:( A B O 式: 型)
︵
裏
面
︶
○透 析 条 件
・透 析 日:
RH ( )HBs( )
○薬剤のアレルギー:
・透 析 時 間:
○原疾患名:
・使用ダイアライザー:
○合併症:
(B型、C型肝炎の有無)
・血 流 量:
・抗凝固剤種類:
使用量:
○備 考:
・透 析 液:
・ドライウエイト:
2 .オストメイトの災害対策 阪神・淡路大震災の際に、ストーマパウチ(ストーマから排泄される便や尿を受け止める袋)
など、オストメイトに必要不可欠な物品が、各オストメイトに届けられたのは7∼10日後だった
と報告されている。現在は、これを教訓として、各オストメイトや関係者は「手持ち用装具」
「緊急用装具」「携帯メモ」などを外出時に携行するよう教育・訓練されている。また、これらの
必需品は複数備えるよう指導されている。薬剤師は、医療人として、各オストメイトの必需品や
周辺事項を知っておく必要がある。
1)持ち出す装具の種類と保管法
Ë)「手持ち用装具」:サポート用品、小物類など必要最小限のものを含めて2週間分を纏め
て、小さなバックに入れ、非常持ち出し用としてすぐ持ち出すことが出来る安全な場所に保
管する。
*出来れば複数個所に分散しておくとよい。装具の耐用年数は2年程度と考えて早めに交
換する。
Ì)「緊急用装具」:ツーピースのフランジ(面板)1∼2枚、複数のパウチ又はワンピース2
枚程度、予備のクリップ、その他のサポート用品、小物類など必要最小限のものを含めて2
週開分を纏めて、小さなバックに入れておく。
*皮膚保護剤の面板は、ストーマのサイズに合わせて穴を開け、すぐ装着できるようにし
ておく。中身は時々交換する。
Í)「外出用装具」:外出先や勤務先で通常所持している。出先で災害に遭遇することも考え
て、サポート用品・小物類も必要最小限のものを含めて常時2週間分保有しておくと安心。
サポート用品:補正用皮膚保護剤、コンペックス・インサート、ベルト、皮膚被膜剤、剥
離剤、ストーマ用ハサミ、サージカルテープ、消臭剤、パウチカバーなど。
蓄尿袋:レッグバッグ(下肢装着用蓄尿袋)、ナイトドレナージバッグ(夜間用蓄尿袋)
小物類(装具を装着する時に使用する):皮膚を清拭するための物品、メジャーリングガ
イドなど紙型
その他:ティッシュペーパー、ウエットティッシュ、タオル、ビニール袋
― ―
68
2)「緊急連絡用の携帯メモ」
災害時の緊急連絡用として、必要事項を整理して書いておく。
ストーマの種別:(例)コロストミー、イレオストミー、ウロストミー(人工膀胱)
ストーマのサイズ:単位(㎜)、縦・横・高さの測定値
装具の商品:商品名・サイズ・注文番号・メーカー名
緊急連絡先:装具購入先・装具メーカー相談窓口・市町村の役所名・電話番号
受診している病院名ストーマ外来・電話番号
* ›日本オストミー協会本部
TEL:03-5670-7681、FAX:03-5670-7682、ostomy@jpa-net.org
日本オストミー協会には組織的な連絡網があり、相談支援のほか状況把握に基づいて関係方面
に救援を依頼することができる。
3 .在宅酸素療法を受けている患者への対応
災害時の備えとして、患者が指示されていることや患者情報を確認する。
1)患者が指示されていること
「医療機関と在宅酸素事業者の連絡先」を見やすい場所に貼っておく。また、外出時は携帯する。
「緊急時カード」に、疾患名、服用している薬・酸素の吸入量・その他の注意事項を記入する。
酸素ボンベの酸素残量をこまめに確認し、すぐに使用できる場所においておく。
2)在宅酸素療法患者緊急時カード
氏名: 在宅酸素事業者名:
緊急時第一連絡先: 連絡先: 営業所
緊急時第二連絡先: 連絡先: 営業所
疾患名
医療機関名: 服用している薬:
連絡先: 酸素吸入量(L/分):
主治医: 科 先生 安静時: 労作時: 睡眠時:
その他の注意事項:
3)もし災害が発生したら………
① 身の安全の確保・火の元の確認
酸素のチューブを裸火に近づけないように気をつける。
② 酸素ボンベの用意(酸素ボンベを医師から指示されている場合)
停電などで酸素濃縮器が動かなくなった場合は、酸素ボンべによる酸素吸入に切り替える。
③ 在宅酸素事業者に連絡する。
自分で出来ない時は、「在宅酸素療法患者緊急時カード」を介護者など周りの人に提示す
る。
④
避難する場合は、目立つところに「連絡先」(酸素供給器を受け取れるように)を明示す
る。
*医療用酸素は薬事法に規定されている医薬品なので、医師の処方のもとに使用される。
― ―
69
4 .リウマチ患者の災害時における対応
1)薬は常時1週間ほどの予備を特っていること。特に副腎皮質ステロイド剤
2)連絡が取れる手段を確保する。(メール、衛星利用無線)
3)リウマチ患者仲間をつくっておく。(種々情報交換)
4)合併症対策
災害時薬剤師必携マニュアル(日本女性薬剤師会)より
― ―
70
資料 9
防災第2181号
平成17年1月19日
社団法人 北海道薬剤師会
会 長 大 森 章 様
北海道知事 高橋 はるみ
災害対策基本法に基づく指定地方公共機関の指定について(依頼)
本道の防災業務の推進について、日頃から格別のご協力をいただき厚くお礼申し上げます。
道では、災害対策基本法第2条第6号の規定により、防災活動上必要と認められる機関を
別紙のとおり「指定地方公共機関」として指定し、同法第6条に係る責務についてご協力を
いただいているところであります。
この度、道は、近年の台風10号(平成15年8月)、十勝沖地震(平成15年9月)、台風18号
(平成16年9月)など、道内における相次ぐ災害や新潟県中越地震災害などの教訓を踏まえ、
社団法人北海道薬剤師会を本道の防災上不可欠な機関として、新たに「指定地方公共機関」
に指定したいと考えております。
つきましては、北海道の地域防災にご理解いただき、指定についてご同意されますようお
願い申し上げます。
なお、ご同意につきましては、(別紙)同意書に必要事項をご記入の上、返送されますよ
うお願いいたします。
〒060-8588
札幌市中央区北3条西6丁目
総務部 危機対策室 防災消防課 防災グループ
担当 山本 TEL
011-231-4111(内線 22-568)
FAX
011-231-4314
E-mail
yamamoto.atsushi@pref.hokkaido.jp
― ―
71
資料10
災害時の医療救護活動に関する協定書
災害時における救護活動の万全を期するため、北海道(以下「甲」という。)と社団法人北海
道薬剤師会(以下「乙」という。)とは、次のとおり協定を締結する。
(趣 旨)
第1条 この協定は、北海道地域防災計画に基づき甲が行う医療救護活動に対する乙の協力に関
し、必要な事項を定めるものとする。
(救護班の派遣)
第2条 甲は、北海道地域防災計画に基づき医療救護活動を実施する必要が生じた場合は、乙に
対し薬剤師で組織する救護班(以下「救護班」という。)の編成及び派遣を要請するものとす
る。
2
乙は、前項の規定により甲から要請を受けた場合は、直ちに救護班を編成し、災害現場等の
救護所等に派遣するものとする。
(災害医療救護計画の策定及び提出)
第3条 乙は、前条の規定により医療救護活動を実施するため、災害医療救護計画を策定し、こ
れを甲に提出するものとする。
(救護班の業務)
第4条 救護班は、甲又は市町村が設置する医薬品等の集積場所及び避難所、災害現場等に設置
する救護所において医療救護活動を行うことを原則とする。
2 救護班の業務は、次のとおりとする。
¸
救護所等における傷病者等に対する調剤・服薬指導
¹
医薬品等の集積場所及び救護所等における医薬品等の管理
(救護班に対する指揮命令等)
第5条 救護班に対する指揮命令及び医療救護活動に係る連絡調整は、甲が指定する者が行うも
のとする。
(医薬品の補給等)
第6条 甲は、医薬品及び衛生材料の補給、救護班の輸送、通信の確保等、医療救護活動が円滑
に実施されるために必要な措置を講ずるものとする。
(調剤費)
第7条 救護所における調剤費は、無料とする。
― ―
72
(費用弁償等)
第8条 甲の要請に基づき、乙が医療救護活動を実施した場合に要する次の経費は、甲が負担す
るものとする。
¸
救護班の編成及び派遣に要する費用
¹
救護班が携行した医薬品等を使用した場合の実費
º
救護班員が医療救護活動において負傷し、疾病にかかり又は死亡した場合の扶助金
»
前各号に該当しない費用であって、この協定実施のために要したもの
(市町村及び郡市区薬剤師会等との調整)
第9条 甲は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)に基づき市町村の行う医療救護活動が、
本協定に準じ、郡市区薬剤師会等の協力を得て円滑に実施されるよう、必要な調整を行うもの
とする。
2
乙は、前項の規定による市町村の医療救護活動が円滑に実施されるよう、郡市区薬剤師会等
に対し、必要な調整を行うものとする。
(細 目)
第10条 この協定に定めるもののほか、この協定の実施のために必要な事項は、別に定める。
(協 議)
第11条 この協定に定めのない事項について、又はこの協定に関し疑義が生じた事項については、
甲乙協議して定めるものとする。
(有効期間)
第12条 この協定の有効期間は、協定締結の日から起算して1年間とする。ただし、この協定の
有効期間満了の日の1月前までに、甲乙いずれからも何らの意思表示もないときは、有効期間
満了の日の翌日から起算して1年間この協定は延長され、以降同様とする。
この協定を証するため、本書を2通作成し、甲乙両者記名押印の上、各自その1通を保有する。
平成14年2月8日
甲 北 海 道
北海道知事 堀 達 也 乙 社団法人北海道薬剤師会 会 長 高 島 申 治
― ―
73
災害時の医療救護活動に関する協定書実施細則
平成14年2月8日付けで締結した災害時の医療救護活動に関する協定書(以下「協定書」とい
う。)第10条に基づく細則は、次のとおりとする。
(医療救護活動の報告)
第1条 社団法人北海道薬剤師会(以下「乙」という。)が協定書第2条の規定により救護班を
派遣したときは、医療救護活動終了後速やかに、各救護班ごとの「医療救護活動報告書」(第
1号様式)、「班員名簿」(第2号様式)及び「医薬品等使用報告書」(第3号様式)を取りまと
め、北海道(以下「甲」という。)に報告するものとする。
(事故報告)
第2条 乙は、協定書第2条に基づく医療救護活動において、救護班員が負傷し、疾病にかかり、
又は死亡したときは、
「事故報告書」
(第4号様式)により、速やかに甲に報告するものとする。
(費用弁償等の請求)
第3条 協定書第8条第1号、第2号及び第4号に規定する費用については、乙が各救護班分を
取りまとめ「費用弁償請求書」(第5号様式)により、甲に請求するものとする。
2
協定書第8条第3号に規定する扶助金については、支給を受けようとする者が「扶助金支給
申請書」(第6号様式)により、甲に請求するものとする。
(費用弁償の額)
第4条 協定書第8条第1号に規定する費用弁償の額は、別表に定める額とする。
2
協定書第8条第2号に規定する実費弁償の額は、使用した医薬品等に係る実費とする。
3
協定書第8条第3号に規定する扶助金については、北海道災害応急措置業務従事者の損害補
償に関する条例(昭和38年北海道条例第56号)に準ずるものとする。
4
協定書第8条第4号に規定する費用弁償の額は、同条第1号、第2号及び第3号に該当しな
い費用であって、この協定実施のために要したものとする。
(支 払)
第5条 甲は、前2条の規定により請求を受けた場合は、関係書類を確認の上、速やかに乙に支
払うものとする。
― ―
74
資料11
災害時の救護活動に係る費用弁償等に関する覚書
東京都(以下「甲」という。)と社団法人東京都薬剤師会(以下「乙」という。)との間におい
て平成8年2月1日に締結した「災害時の救護活動に関する協定」、及び「災害時の救護活動実
施細目」で定める費用弁償等に関し、次のとおり覚書を交換し、相互にこれ遵守するものとする。
(救護活動従事者の実費弁償)
第1 救護活動の従事者及び合同訓練参加者に対する実費弁済の額は、一回の出動につき、次の
とおりとする。
職 種
災 害 時 救 護 活 動
合 同 訓 練
薬 剤 師
16,560円
13,800円
そ の 他 補 助
4,700円
3,800円
2
救護活動又は合同訓練の時間が3時間を超える場合は、次表の1時間単価に超過時間数を
乗じた額を加算するものとする。
職 種
1 時 間 単 価
災 害 時 救 護 活 動
合 同 訓 練
薬 剤 師
5,520円
4,600円
そ の 他 補 助
1,570円
1,270円
ただし、超過従事時間が午後5時から午後10時まで及び午前5時から午前9時まで
備
の場合は、100分の125を、午後10時から午前5時までの場合は、100分の150を上記単
考
価に乗じて得た額とする。
(医薬品等の実費弁償)
第2 薬剤師班又は合同訓練参加者が携行した医薬品・衛生材料等を使用した場合の費用は、実
費とする。
2
医薬品管理センター等において、救護活動により生じた施設及び設備の損傷に係る経費は、
実費とする。
(扶助費)
第3 災害時救護活動の従事者又は合同訓練参加者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合
の扶助金については、その者が通常得ている収入の額を基準として、災害救助法(昭和22年
法律第118号)に基づき算出した額とする。
― ―
75
甲と乙とは、本覚書を2通作成し、それぞれ記名押印のうえ各々1通を保管する。
平成8年7月11日
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
甲 東 京 都
代表者 東 京 都 知 事 青 島 幸 男
東京都千代田区神田錦町一丁目21番地
乙 社団法人 東京都薬剤師会
代表者 会 長 神 原 赳
* * *
18福保医救第14号
医療救護に係る費用弁償等に関する覚書の一部改定書
東京都(以下「甲」という。)と社団法人東京都薬剤師会(以下「乙」という。)との間におい
て、平成8年2月1日に締結した「災害時の医療救護活動についての協定」で定める費用弁償等
について、「医療救護に係る費用弁償等に関する覚書」の第1を、下記のとおり定める。
記
(医療救護従事者等の実費弁償)
第1の1
薬剤師の医療救護活動「16,600円」を「16,500円」に
薬剤師の合同訓練参加「13,800円」を「13,700円」に
第1の2(3時間を超える場合の1時間単価)
¸
薬剤師の医療救護活動「5,540円」を「5,500円」に
薬剤師の合同訓練参加「4,580円」を「4,540円」に
¹
その他補助の医療救護活動「1,530円」を「1,520円」に
その他補助の合同訓練参加「1,240円」を「1,230円」に
甲と乙とは、本書を2通作成し、双方記名押印のうえ各1通を保有する。
平成18年4月1日
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
甲 東京都
知事 石原 慎太郎
東京都千代田区神田錦町一丁目21番地
乙 社団法人 東京都薬剤師会
会長 伊賀 光政
― ―
76
資料12
災害用医薬品等備蓄・供給事業委託契約書
災害用医薬品、衛生材料、医療用資器材(以下「医薬品等」という。)の備蓄及び供給業務を
行うため、大阪府(以下「甲」という。)と社団法人大阪府薬剤師会(以下「乙」という。)とは、
次のとおり委託契約を締結する。
(委託)
第1条 甲は、災害用医薬品等備蓄・供給事業委託要綱に基づく事業(以下「委託事業」という。)
を乙に委託し、乙は、これを受託するものとする。
2
前項の委託事業は次の各号に定めるとおりとする。
¸
流通在庫を活用した別表1に掲げる災害用医薬品等の備蓄
¹
前項の備蓄場所は、別表2に掲げる大阪府薬剤師会医薬品備蓄センター(会営薬局)とす
る。
(委託期間)
第2条 この契約の委託期間は、平成18年4月1日から平成19年3月31日までとする。
(委託事業の実施方法)
第3条 乙は、甲が必要に応じて指示する事項を遵守の上、委託事業を実施するものとする。
(再委託の禁止)
第4条 乙は、業務の全部又は一部の処理を第三者に委託し、又は請け負わせてはならない。た
だし、あらかじめ甲の書面による承諾を得て業務の一部を第三者に委託し、又は請け負わせる
ときは、この限りでない。
(契約保証金)
第5条 契約保証金は、免除する。
(委託料)
第6条 甲は、委託事業を実施するについて必要な経費を乙に支払うものとし、その額は金
722,000円(消費税及び地方消費税を含む。
)を限度とする。
2
甲は、乙の提出する適法な請求書に基づき、委託料を乙に精算払いするものとする。ただし、
甲が必要と認めたときは、乙の提出する適法な請求書に基づき乙に対して委託料の全部又は一
部を概算払いすることができるものとする。
(委託料の返還等)
第7条 乙は、委託事業の実施に要した経費が概算払いの額に達しないときは、精算の上、前条
第2項の規定により概算払いした額の一部を返還するものとする。
2
委託事業の実施に要した経費が前条第1項の限度額を超えたときは、その超過分は、乙の負
担とする。
― ―
77
(検査)
第8条 乙は、委託事業完了後30日以内に、委託事業実施結果報告書及び委託事業精算報告書を
甲に提出し、甲の検査を受けなければならない。
2
乙は、前項の検査の結果、不合格となった場合は、遅滞なく当該補正を行い、甲に補正完了
の届を提出して、再検査を受けなければならない。
(帳簿等の保管)
第9条 乙は、委託料の収支を明らかにする帳簿を備えるほか、その証拠書類を委託事業終了後
又は委託事業の停止した日の属する年度の翌年度から5年間これを整理保管するものとする。
(委託事業の変更)
第10条 乙は、委託事業計画に記載された委託事業の内容を変更しようとするときは、その旨を
文書により甲に申し出てその承認を受けなければならない。
(甲の解除権)
第11条 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、この契約を解除することができるも
のとする。
¸
この契約条項に違反し、その違反によって契約の目的を達することができないと認められ
るとき。
¹
2
委託事業を遂行することが困難であると甲が認めたとき。
甲は、前項の規定により委託事業の解除を行った場合には、支払った委託料の全部若しくは
一部を返還させること、又は支払わないことができる。
(契約の効力)
第12条 この契約の効力は、平成18年度4月1日から生じるものとする。
(疑義等の決定)
第13条 この契約に定めのない事項又はこの契約に関して疑義が生じたときは、甲乙協議の上、
これを定めるものとする。
この契約の締結を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
平成18年4月3日
甲 大阪府
代表者 大阪府知事 齊藤 房江
乙 大阪市中央区和泉町1−3−8
社団法人 大阪府薬剤師会
会 長 中西 光景
― ―
78
別表1
備蓄量(*1);T(錠),P(カプセル),g,ml,
【›大阪府薬剤師会】災害用備蓄医薬品(医療用医薬品)瓶,枚,個,バイアル,キット,ブリスター
薬効別医薬品
一般名/成分名
備蓄品目名
規格・単位
薬価(円) 備蓄量*1
備考
輸液類
半消化態栄養剤
エンシュア・リキッド
10ml
7.4
150000
抗生物質【内服】
セフェム系
フロモックス錠100mg
100mg1T
73.3
10000
733,000
100mg1g
250.4
10000
2,504,000
サワシリンカプセル
250mg1P
15.6
10000
156,000
サワシリン細粒
100mg1g
14.7
10000
147,000
クラリス錠200
200mg1T
115
10000
1,150,000
リカマイシンドライシロップ200
200mg1g
85.2
10000
852,000
ミノマイシン錠100mg
100mg1T
62.3
10000
623,000
ビブラマイシン錠
125,000
〈小児用〉 フロモックス小児用細粒100mg
ペニシリン系
マクロライド系
テトラサイクリン系
1,110,000
100mg1T
25
5000
ホスホマイシン系
ホスミシンドライシロップ400 400mg1g
99
10000
990,000
ニューキノロン系
クラビット錠
100mg1T
183.9
10000
1,839,000
シプロキサン錠200mg
200mg1T
121.6
5000
608,000
ホスミシン錠250
250mg1T
44.9
10000
449,000
ホスホマイシン製剤
止血薬
血管強化薬 【内服】アドナ錠30mg
30mg1T
12.9
5000
64,500
抗血栓用剤
血小板凝集抑制薬 【内服】パナルジン錠
100mg1T
70.2
10000
702,000
経口抗凝固薬 【内服】ワーファリン錠1mg
1mg1T
9.7
10000
97,000
高脂血症用薬
シンバスタチン 【内服】リポバス錠5
5mg1T
149.6
8000
1,196,800
強心薬
ジギタリス 【内服】ジゴシン錠0.25mg
0.25mg1T
9.7
6000
58,200
狭心症薬(冠拡張薬)
亜硝酸塩類 【内服】ニトロペン錠
0.3mg1T
16
6000
96,000
107.6
6000
645,600
β遮断薬(狭心症薬・抗不 β1遮断(ISA−) 【内服】 テノーミン錠50
整脈・降圧剤)
〃 【内服】 インデラル錠10mg
ニトログリセリン【貼付剤】ニトロダームTTS
50mg1T
116
6000
696,000
10mg1T
17.2
6000
103,200
Ca拮抗剤
ニフェジピン 【内服】アダラートL錠10mg
10mg1T
20.6
10000
206,000
抗不整脈薬
Naチャンネル遮断薬(la) リスモダンカプセル50mg
【内服】
50mg1P
38.8
10000
388,000
利尿薬
ループ利尿薬 【内服】ラシックス錠20mg
20mg1T
10
10000
100,000
サイアザイド系 【内服】フルイトラン錠2mg
2mg1T
9.7
6000
58,200
ACE阻害剤
レニベース錠5
5mg1T
87.4
10000
874,000
A−Ⅱ阻害剤
ブロプレス錠8
8mg1T
180.3
6000
1,081,800
その他の降圧剤
局所麻酔薬
気管支拡張薬
【外用】キシロカインゼリー
キサンチン製剤 【内服】テオドール錠200mg
テオドールドライシロップ20%
β受容体刺激剤
ベネトリン錠2
【内服】 ベネトリンシロップ
【外用】
メプチンエアー10μg
(25mg)10平方cm1枚
2%1ml
200mg1T
20%1g
2mg1T
10000
88,000
10000
217,000
121.7
6000
730,200
8
5000
40,000
5.5
30000
165,000
0.0143%5ml 1瓶
895.4
500
447,700
2378.2
1000
2,378,200
9.7
10000
97,000
121.6
5000
608,000
64.7
10000
647,000
439,900
0.04%1ml
気管支喘息治療薬
副腎ステロイド
フルタイド100エアー
12.25mg7g 1瓶
ステロイド薬【内服】
プレドニゾロン
プレドニン錠5mg
5mg1T
抗アレルギー薬(化学伝達 クロモグリク酸ナトリウム インタール内服用
物質遊離抑制薬)
【内服】
8.8
21.7
10%1g
トラニラスト 【内服】リザベンカプセル100mg
100mg1P
クロモグリク酸ナトリウム
【点眼】 インタール点眼液
〃 【点鼻】 インタール点鼻液
100mg5ml 1瓶
879.8
500
190mg9.5ml 1瓶
1032.6
500
516,300
フマル酸ケトチフェン【点鼻】ザジテン点鼻液
6.048mg8ml 1瓶
958.9
2000
1,917,800
64,000
抗アレルギー薬(抗ヒスタ クロルフェニラミン【内服】ポララミン錠2mg
ミン剤)
メキタジン 【内服】ニポラジン錠
2mg1T
6.4
10000
3mg1T
9.7
10000
97,000
アレルギー性鼻炎薬
副腎ステロイド
2.04mg4ml 1瓶
1084.8
1000
1,084,800
抗不安薬(マイナートラン
キライザー)
ジアゼパム 【内服】セルシン錠2mg
2mg1T
6.4
20000
128,000
催眠鎮静薬
非バルビツール酸系【内服】リスミー錠1mg
1mg1T
23.2
10000
232,000
4mg1個
66.5
5000
332,500
200mg1T
14.5
6000
87,000
フルナーゼ点鼻液50
〃 【坐薬】ダイアップ坐剤4
抗けいれん薬
カルマバゼピン 【内服】テグレトール錠200mg
― ―
79
薬効別医薬品
抗ウイルス剤
一般名/成分名
アシクロビル
抗インフルエンザウイルス剤 ザナミビル水和物
リン酸オセルタナビル
解熱鎮痛消炎薬
ゾビラックス錠400
400mg1T
446.2
3000
リレンザ
5mg1ブリスター
170.8
300
51,240
タミフルドライシロップ3% 3%1g
242.2
5000
1,211,000
タミフルカプセル75
5000
1,582,000
23.3
30000
699,000
解熱鎮痛剤 【坐薬】アンヒバ坐剤小児用100mg
鎮咳剤
100mg1個
21.8
5000
109,000
アルピニー坐剤100
100mg1個
21.8
5000
109,000
メジコン錠15mg
15mg1T
6.4
6000
38,400
メジコンシロップ
10ml
25.2
5000
126,000
ブロチン末
1g
6.4
2000
12,800
ムコソルバン錠
15mg1T
24.7
10000
247,000
ムコソルバンシロップ
0.3%1ml
14
30000
420,000
PL顆粒
1g
6.9
20000
138,000
1g
6.7
10000
67,000
健胃薬
S・M散
1g
6.4
20000
128,000
消化酵素薬
ベリチームカプセル
1P
7.2
10000
72,000
プロトンポンプ阻害薬
オメプラール錠20
【内服】
20mg1T
200.1
10000
2,001,000
H2受容体拮抗薬 【内服】 タガメット錠200mg
200mg1T
24.4
10000
244,000
14.1
20000
282,000
8.1
5000
40,500
防御因子増強剤 【内服】セルベックスカプセル50mg 50mg1P
抗コリン薬(鎮痛鎮痙薬) ブスコパン錠
【内服】
10mg1T
抗ペプシン薬 【内服】アルサルミン細粒
90%1g
7.5
12000
90,000
止瀉剤
1mg1P
64.3
5000
321,500
0.05%1g
67.4
5000
337,000
66,000
ロペミンカプセル
〈小児用〉 ロペミン小児用
便秘薬
インスリン【注射】
整腸剤
ビオフェルミンR錠
1T
6.6
10000
下剤
プルゼニド錠
12mg1T
6.1
10000
61,000
浣腸剤
ケンエーG浣腸
50%120ml 1個
164.3
1000
164,300
ケンエーG浣腸
50%40ml 1個
110.1
1000
110,100
ヒューマカートR注
300単位1筒
1601
1000
1,601,000
ヒューマリンR注U-100
100単位1mlバイアル
ヒューマカート3/7注
300単位1キット
ヒューマリン3/7注U-100
100単位1mlバイアル
ヒューマカートN注
300単位1キット
速効型
二相型
中間型
経口血糖降下剤
2000
774,000
1000
2,101,000
389
2000
778,000
2109
1000
2,109,000
390
2000
780,000
20
5000
100,000
ヒューマリンN注U-100
100単位1mlバイアル
ジメリン錠250mg
250mg1T
αグルコシダーゼ阻害薬
ベイスン0D錠0.2
0.2mg1T
49.9
10000
499,000
0.1%1g
74.8
1000
74,800
0.25mg1T
6.4
8000
51,200
183,000
【軟膏】口腔用ケナログ
【トローチ】(菌消毒剤含有)SPトローチ明治
外皮用薬
387
2101
SU剤
口腔用塗布薬・殺菌消毒薬
解毒剤
1,338,600
316.4
〈小児用〉 PL顆粒幼児用
止瀉薬・整腸薬
備考
60mg1T
総合感冒薬【内服】
消化性潰瘍治療薬
薬価(円) 備蓄量*1
75mg1P
去痰剤
健胃消化薬【内服】
規格・単位
非ステロイド系解熱消炎
ロキソニン錠
鎮痛剤 【内服】
〃
鎮咳剤・去痰剤薬【内服】
備蓄品目名
【ガーグル】ハチアズレ含嗽用
0.1%1g
6.1
30000
ヨウ素化合物 【ガーグル】イソジンガーグル
7%1ml
3.6
8000
28,800
ヨウ素化合物 【液】イソジン液
10%10ml
34
3000
102,000
クロルヘキシジン類
ヒビディール液
0.05%25ml 1袋
37.3
10000
373,000
金属解毒剤
メタルカプターゼ50
50mg1P
42.4
300
12,720
メタルカプターゼ100
100mg1P
72.5
300
21,750
ゲンタシン軟膏
1mg1g
15.9
5000
79,500
抗生物質含有外用薬
47
3000
141,000
抗生物質含有ステロイド外用薬 リンデロン-VG軟膏0.12%
ソフラチュール
1g
34.9
3000
104,700
非ステロイド軟膏
アンダーム軟膏
5%1g
24.4
3000
73,200
抗ウイルス剤
アラセナ-A軟膏
3%1g
382.5
500
191,250
寄生性皮膚疾患薬
水むし薬
マイコスポールクリーム
1%1g
52.6
2000
105,200
点眼薬
抗生物質
クラビット点眼液
0.5%1ml
143.9
2000
287,800
緑内障
チモプトール0.5%
0.5%1ml
421.4
1000
421,400
エイゾプト1%点眼液
1%1ml
454.6
300
136,380
〃
― ―
80
(10.8mg)10cm×10cm1枚
薬効別医薬品
シップ薬
特定保険医療材料
衛生材料
一般名/成分名
冷シップ
備蓄品目名
規格・単位
薬価(円) 備蓄量*1
備考
ミルタックス
10cm×14cm1枚
25.3
7000
177,100
MS冷シップ
10g
8.1
100000
810,000
温シップ
MS温シップ
10g
8.2
100000
820,000
ヘパリン類似物
モビラート軟膏
1g
22
10000
220,000
注射針
マイクロファインプラス
31G×5㎜
17
3000
51,000
注射器
マイジェクター100単位
29G×1/2”
17
6000
102,000
1400
3000
4,200,000
30cm×10cm
700
2000
1,400,000
7.5cm×3.8cm
250
3000
脱脂綿
500g
ガーゼ
包帯
750,000
57,696,940
― ―
81
備蓄量(*1);T(錠),P(カプセル),g,ml,
【›大阪府薬剤師会】災害用備蓄医薬品(一般用医薬品)瓶,枚,個,バイアル,キット,ブリスター
薬効別医薬品
一般名/成分名
備蓄品目名
規格・単位
薬価(円) 備蓄量*1
備考
強心薬
救心
30粒
1470
400
588,000
解熱鎮痛薬(消炎薬)
バファリンA
20錠
504
400
201,600
新セデス錠
20錠
650
400
260,000
サリドンA
10錠
546
400
218,400
イブA錠
36錠
1100
400
440,000
ナロンエース
24錠
938
400
375,200
〈小児用〉 小児用バファリンCⅡ
32錠
637
400
254,800
ベンザブロック
18錠
1039
400
415,600
コルゲンコーワET錠
60錠
900
400
360,000
新ジキニン錠D
40錠
900
400
360,000
ベンザエースせきどめ錠
36錠
810
400
324,000
アルペンせきどめ
120ml
932
400
372,800
鼻炎用薬
コンタック600SR
20P
2550
200
510,000
鼻炎用内服薬
スカイナー鼻炎S錠
18錠
900
200
180,000
ストナリニ
18錠
816
200
163,200
消化性潰瘍剤
新中外胃腸薬
40錠
686
200
137,200
健胃消化剤
新大正胃腸薬
24包
713
200
142,600
制酸剤
サクロンS
10包
631
200
126,200
総合胃腸薬
キャベジンコーワ錠
320錠
2350
200
470,000
新三共胃腸薬
300錠
1386
200
277,200
パンシロン01
120錠
1600
200
320,000
新タナベ胃腸薬錠
140錠
1120
200
224,000
新ビオフェルミンS錠
350錠
1462
400
584,800
ミヤリサンアイジA
40g
520
400
208,000
ビオフェルミン止瀉薬
12包
864
400
345,600
ワカ末錠
100錠
770
400
308,000
新ラクトーンA
310錠
686
400
274,400
コーラック
60錠
980
200
196,000
スルーラックS
110錠
1600
200
320,000
新サラリン
90錠
813
200
162,600
タケダ漢方便秘薬
65錠
1380
200
276,000
イチジク浣腸
10g4個
400
200
80,000
イチジク浣腸
30g2個
156
200
31,200
レスタミンコーワ糖衣錠
80錠
450
200
90,000
アレルギール錠
総合感冒薬
鎮咳去痰剤
胃腸薬
整腸剤・止瀉薬
便秘薬
緩下剤
浣腸剤
アレルギー用薬
抗ヒスタミン剤
110錠
910
200
182,000
【錠】アリナミンA25
80錠
991
200
198,200
ポポンS
100錠
1900
200
380,000
シナールS錠
200錠
2200
200
440,000
50ml
191
3000
573,000
新VロートEX
13ml
880
200
176,000
新ロート子どもソフト
8ml
600
200
120,000
新スマイル
15ml
651
200
130,200
アイリス
14ml
665
200
133,000
新マイティアA
15ml
491
200
98,200
抗菌薬剤含有
サンテ抗菌新目薬
12ml
500
350
175,000
アレルギー用
サンテALクール
12ml
930
200
186,000
イソジンうがい薬
50ml
365
400
146,000
コルゲンコーワうがいぐすり123 30ml
408
400
163,200
冷シップ
パテックスID
12枚
720
400
288,000
温シップ
サロンパスホット
8枚
845
400
338,000
ハリックス55温感
10枚
756
400
302,400
ビタミン薬
【内服液】アリナミンV
点眼薬
一般的薬剤
うがい薬
シップ薬
― ―
82
薬効別医薬品
殺菌消毒薬
救急絆創膏
マスク
一般名/成分名
備蓄品目名
規格・単位
薬価(円) 備蓄量*1
備考
消毒用エタノール
100ml
320
200
64,000
イソジンS
30ml
353
200
70,600
オキシドール
100ml
100
200
20,000
クレゾール石鹸液
500ml
860
200
172,000
希ヨードチンキ
500ml
950
200
190,000
バンドエイド
25枚
350
200
70,000
ニチバンホワイトテープ
12㎜×9m
293
200
58,600
キズリバテープ
30枚
450
200
90,000
ガーゼマスク学童用
1枚
195
400
78,000
〃 大人用
1枚
260
400
104,000
14,543,800
医療用医薬品計
57,696,940
一般用医薬品計
14,543,800
総 計 ※
72,240,740
※総計の1%を委託料として算出(大阪府より交付される補助金の限度額)
― ―
83
別紙 2
【›
大阪府薬剤師会】災害用医薬品備蓄センター
平成18年4月1日
電 話
No.
名 称
所 在 地
備 考
F
1
2
3
4
5
6
会営 吹田薬局
会営 南河内薬局
大阪府薬剤師会備蓄センター
箕面市薬剤師会薬局
茨木医薬品備蓄分譲センター
堺市薬剤師会薬局
A
X
〒565−0875
吹田市青山台3−52−1
06-6835-1245
〒586−0001
河内長野市木戸町678−1
0721-53-3921
〒540−0019
大阪市中央区和泉町1−3−8
06-6947-5488
〒562−0015
箕面市稲5−15−3
0727-28-7555
〒567−0821
茨木市末広町11−21
0726-36-5554
〒592−8335
堺市西区浜寺石津町東4−2−14
072-280-1870
― ―
84
06-6832-3942
0721-53-3920
優先窓口
06-6947-5489
9:00∼19:00
0727-28-7171
9:00∼16:00
0726-36-5466
9:00∼17:00
072-280-1872
資料13
救急蘇生法
1.一次救命処置
¸
市民による一次救命処置の年齢別比較
年齢
一次救命処置
成人
(8歳以上)
小児
(1∼8歳未満)
反応がなければ
大声で叫ぶ
通報
乳児
(1歳未満)
救助者が一人だけの場合、
心肺蘇生を2分間実施してから
119番通報・AEDの手配
気道確保
頭部後屈あご先拳上法
心肺蘇生開始の判断
普段どおりの息(正常な呼吸)をしていない
約1秒かけて2回吹き込む・
胸が上がるのが見えるまで
人工呼吸(省略可能)
圧迫の位置
口対口
口対口鼻
胸の真ん中
(両乳頭を結ぶ線の真ん中)
両乳頭を結ぶ線の
少し足側
圧迫の方法
両手で
圧迫の深さ
4∼5cm程度
両手で
(片手でもよい)
胸骨圧迫
1分間に約100回
胸骨圧迫と人工呼吸の比
30:2
装着のタイミング
電極パッド
電気ショック後の対応
気道異物に
よる窒息
反応あり
2本指で
胸の厚みの1/3
圧迫のテンポ
AED
119番通報
到着次第
成人用パッド
小児用パッド
(ない場合は成人用パッド)
AEDは使用しない
ただちに心肺蘇生を再開(5サイクル2分間)
腹部突き上げ法・背部叩打法
反応なし
通常の心肺蘇生の手順
― ―
85
背部叩打法(片腕に
うつぶせに乗せ)
¹
主に市民が行う一次救命処置のフローチャート(成人)
反応なし
大声で叫ぶ
119番通報・AED
気道を確保し、呼吸をみる
している
普段どおりの息をしているか?
回復体位にして
様子を見守りながら
専門家の到着を待つ
していない
胸が上がる人工呼吸を2回
(省略可能)
【回復体位】
胸骨圧迫30回+人工呼吸2回をくりかえす
AEDを装着するまで、専門家に引き継ぐまで、
または傷病者が動き始めるまで
圧迫は強く・速く(約100回/分)・絶え間なく
圧迫解除は胸がしっかり戻るまで
AED装着
心電図解析
電気ショックは必要か?
必要あり
電気ショック1回
その後ただちに心肺蘇生を再開
5サイクル(2分間)
必要なし
ただちに心肺蘇生を再開
5サイクル(2分間)
― ―
86
º
市民が行う一次救命処置のフローチャート(小児)
反応なし
大声で叫ぶ
119番通報・AED
気道を確保し、呼吸をみる
・救助者が一人だけの場合は心
肺蘇生を2分間実施してから
119番通報・AED(1歳以上)
している
普段どおりの息をしているか?
回復体位にして
様子を見守りながら
専門家の到着を待つ
していない
胸が上がる人工呼吸を2回
(省略可能)
胸骨圧迫30回+人工呼吸2回をくりかえす
AEDを装着するまで、専門家に引き継ぐまで、
または傷病者が動き始めるまで
圧迫は強く・速く(約100回/分)・絶え間なく
圧迫解除は胸がしっかり戻るまで
AED装着
心電図解析
電気ショックは必要か?
必要あり
電気ショック1回
その後ただちに心肺蘇生を再開
5サイクル(2分間)
必要なし
ただちに心肺蘇生を再開
5サイクル(2分間)
「改訂3版 救急蘇生法の指針」(市民用・解説編)」日本救急医療財団心肺蘇生法委員会/監修、日本版救急蘇
生ガイドライン策定小委員会/編著、へるす出版、2006より
― ―
87
4.循環のサインがなかったら…
2.心肺蘇生法
¸ 心臓マッサージを行う
① 圧迫の方法(毎分約100回
の速さ)
傷病者の片側、
胸のあたりに膝をつき
体の中心線が圧迫部位の真上に
圧迫部位に両手を重ねて
置きます。
両肘を伸ばし、
脊柱に向かって垂直に
体重をかけて、
胸骨を3.5∼5cm押し下げ、
胸骨から手を離さずに
両肩が胸骨の真上に
すぐに力を緩めます。
赤十字救急法
∼心肺蘇生法の手順∼
1.倒れている人を発見したら…
¸
周囲の状況をよく観察
二次事故(災害)の危険がなければ近寄ります。
¹
倒れている人の状態をよく観察
大出血などがないか観察します。
意識の確認
意識があるかどうか
肩を軽くたたきながら
耳元で声をかけて確認します。
º
②圧迫部位の探し方
2.意識がなかったら…
鎖骨
A
B
C
¸
協力者を求める
協力者が得られたら119番通報をお願いします。
¹ 協力者がいなかったら
発見者が119番通報をします
(倒れている人が成人の場合)。
「いつ」
「どこで」
「だれが」
「どうした」を
要領よく伝えます。
º
»
胸骨
剣状突起
肋骨に沿って
中央部へ
気道を確保する
額とあご先に手をあて、
頭を後ろに傾けながら下あごを引き上げます。
呼吸を確認する
目で胸と腹の動きを見て、
耳で呼吸音を聞き、
頬で吐く息を感じるようにして、
呼吸をしているか確認します。
¹
ひとさし指に接して
手掌基部を
③ 救助者が一人の場合
心臓マッサージを15回行った後
人工呼吸を2回行います。
(15:2で1サイクル)
それを4サイクル繰り返した後
再度循環のサインを確認し、
サインがない場合はさらに心肺蘇生法を継続します。
その後は、2∼3分ごとに循環のサインを確認します。
3.呼吸がなかったら…
¸
合流点のくぼみになか指
胸骨上にひとさし指
人工呼吸を行う
気道を確保したまま、
額の手をずらして鼻をつまみます。
自分の口を大きく開け、
ゆっくりと2秒くらいかけて
胸が軽く膨らむ程度に
2回息を吹き込みます。
【吹き込み量:約10ml/体重1kg】
(体重60kg位の目安は600ml位)
循環のサインを確認する
人工呼吸をした後
呼吸の確認と同じ要領で
呼吸音が聞こえるか
咳などをしないか 循環のサイン
体に動きがないか
等を確認します。
日本赤十字社作成資料より
http://www.jrc.jp/safety/shinpai.pdf
}
― ―
88
資料14
水害時の消毒薬の手引き(抜粋)
›名古屋市薬剤師会
水害時の消毒法
消毒対象
消毒薬
調製方法
使用方法
屋外(し尿槽や下水が クレゾール クレ ゾ ー ル 石 け ん 液 家屋のまわりは、じょ
あふれた場所、動物の 石けん
30mlに水を加えて1ë うろや噴霧器などで濡
死骸や腐敗物が漂着し
とする。液が濁って沈 れる程度に散布する。
た場所、氾濫した汚水
殿物が生じた場合には 壁面は、泥などの汚れを
が付着した壁面、乾燥
水で落としてから、消毒
オルソ剤
オルソ剤20mlに水を 液をひたした布などでよ
しにくい床下)
加えて1ëとする。
く拭く。または噴霧器で
噴霧する場合は、濡れる
程度に噴霧する。
屋内(汚水に浸かった 逆性石けん
壁面や床、家財道具)
手指(後片付けなどで、 逆性石けん
汚染された箇所や土に
触れた手指)
塩化ベンザルコニウム
または塩化ベンゼトニ
ウムとして0.1%の濃度
になるように希釈す
る。(10%製品の場合、
本剤10mlに水を加え
1ëとする。)いろい
ろな濃度のものが市販
されているので、希釈
倍率に注意。
泥などの汚れを洗い流
すか、雑巾などで水拭
きしてから、希釈液に
ひたした布などでよく
拭く。または噴霧器で
噴霧する場合は、濡れ
る程度に噴霧する。そ
の後は風通しをよくし
そのまま乾燥させる。
汚れを石けんで洗った
後、流水で石けんを落
とし、洗面器などに入
れた消毒液に手首まで
浸し、30秒以上もみ洗
いをする。その後、乾
いたタオルなどでよく
拭き取る。石けんが残
っていると殺菌力が低
下するので、よく洗い
流すこと。
食器類
次亜塩素酸 次亜塩酸ナトリウムの 食器を水洗いした後、
ナトリウム 濃度が0.02%になるよ 消 毒 液 に 5 分 以 上 浸
うに希釈する。(10% し、その上で自然乾燥
製品の場合には、本剤 させる。
2mlに水を加えて1
ëとする)
井戸水
次亜塩素酸
ナトリウム
残 留 塩 素として1∼2
ppmの濃度になるよう調
製する。(10%製品を使
用する場合は、水1ëに
つき1滴を加える。)
― ―
89
汚染された井戸水は水
質検査で飲用可能にな
るまで飲まない方が良
いが、やむを得ず使用
する場合は、煮沸して
から用いる。また、消
毒薬を使用する場合
は、汲み取った水に1
∼2ppm濃度になるよ
う調製した消毒液を入
れ、30分以上放置して
から飲用する。
注意事項
取り扱う際には長袖、
長ズボンを着用し、メ
ガネ、マスク、ゴム手
袋などを使用し皮膚や
目にかからないよう注
意すること。
皮膚についた場合には
大量の水と石けんでよ
く洗い流す。目に入っ
た場合は、水で15分以
上洗い流し、医師の診
察を受けること。
使用する直前に希釈し、
希釈する濃度を守るこ
と。
他の消毒薬や洗剤など
と混合しないこと。
他の容器に移して保管
しないこと。
浄化微生物に影響を及
ぼすので、浄化槽には
散布しないこと。
資料15
消毒方法について
消毒するもの
使用薬剤など
めやす量
逆性石鹸液
石鹸で手洗い後、100倍液
(塩化ベンザルコニウム液10%) (下記参照)に浸して洗浄する
手指
食器・器具・ふきん
まな板・おもちゃ等
トイレの取っ手
ドアのノブ
速乾性擦式手指消毒剤
消毒用エタノール(70%)
原液3ccを手のひらにとり、乾燥する
まで(約1分間)手に擦込んで使う
次亜塩素酸ナトリウム
(台所用塩素系漂白剤など)
100倍液(下記参照)に30分間浸し、
水洗いする
熱湯消毒
80℃、5分間以上(ただし、ふきん
は100℃で5分間以上煮沸)
消毒用エタノール(70%)
濃度はそのまま使用し薬液を含ませた
紙タオル等で拭くか噴霧する
逆性石鹸液
50倍液(下記参照)を含ませた紙タ
(塩化ベンザルコニウム液10%) オル等で拭く
次亜塩素酸ナトリウム
(家庭用塩素系漂白剤など)
100倍液(下記参照)に30分間つけ
た後、洗濯する
熱湯消毒
熱水洗濯機(80℃10分間)で処理し
洗浄後乾燥させる
衣類の消毒
逆性石鹸液
100倍液(下記参照)を含ませた紙
(塩化ベンザルコニウム液10%) タオル等で拭く
風呂場
熱湯消毒
消毒液の作り方
※おむつ交換時と便の処理を行う時は、使い捨てビニール手袋を使用する。
※次亜塩素酸ナトリウムは、金属腐食性があるので、消毒後、水拭きする。
濃 度
50倍液
熱湯で洗い流す
希釈液の作り方
①水道水 1000cc
(500ccペットボトル
2本分)
②薬剤 20cc
逆性石鹸 の場合
薬剤キャップ1杯
約5ccとして
約4杯
100倍液
①水道水 1000cc
(500ccペットボトル
2本分)
②薬剤10cc
逆性石鹸 の場合
薬剤キャップ
1杯 約5ccと
して
約2杯
家庭用塩素系漂
白剤 の場合
薬剤キャップ
1杯 約25cc
として
約1/2杯弱
◆ 大阪府ホームページ http://www.pret.osaka.jp/chiiki/kenkou/kansen/o157/も併せてご参照ください。
― ―
90
家庭用塩素系漂白剤 希釈方法
一般的に市販されている家庭用塩素系漂白剤の塩素濃度は、約5%です。
塩素濃度約5%のものを利用した場合の方法を以下に示します。
(家庭用塩素系漂白剤のキャップ1杯が、約25ccの場合です。)
濃 度
10倍
消毒するもの
希釈液の作り方
①水道水 500cc
(500ccペットボトル1本分)
嘔吐物・便など
②家庭用塩素系漂白剤
50cc
※濃度
約5000ppm
キャップ約2杯
便や嘔吐で汚れた衣類・
リネン類
風呂場・洗い場
①水道水 2500cc
(500ccペットボトル5本分)
50倍
※濃度約
1000ppm
(50倍液で洗い、30分
放置し、水で洗い流す。
または、熱湯で洗い流
す。
)
②家庭用塩素系漂白剤
50cc
キャップ約2杯
トイレの取っ手・トイレ
の床・便座・トイレドア
のノブ・蛇口など
250倍
※濃度
約200ppm
①水道水 2500cc
(500ccペットボトル5本分)
(250倍液に浸したペー
パータオル・布等で拭き、
消毒後、水拭きする。)
②家庭用塩素系漂白剤
10cc
キャップ約1/2杯弱
◆ 大阪府ホームページ http:www.pref.osaka.jp/chiiki/kenkou/kansen/srsv/も併せてご参照ください。
大阪府健康福祉部地域保健福祉室健康づくり感染症課 作成
大阪府学校保健会 「危機管理マニュアル」より引用(お問い合わせは、最寄りの保健所へ)
― ―
91
資料16
安定ヨウ素剤の取扱い
ヨウ素は、身体に必須な元素の一つで、体内では主に甲状腺という頚部にある小さな臓器に集
まっています。一方、原子力発電所では、ウラン235の核分裂で発生する熱を利用して発電が行
われていますが、この核分裂により生じる様々な放射性元素の一つに放射性要素があります。原
子炉施設などにおいて、原子力災害が発生した場合、大気中に放射性ヨウ素が放出されると、そ
れにより内部被ばくを起こし、甲状腺に影響を与えることが想定されます。
放射性ヨウ素による障害を予防するためには、被ばくを避難することが最も確実でありますが、
被ばくすることも想定しなければなりません。その場合は、予め体内を安定ヨウ素剤(放射性で
ないヨウ素)で満たせば、万が一放射性ヨウ素が体内に含まれても、甲状腺にあるヨウ素は放射
性を帯びないヨウ素(安定ヨウ素)になります。これが、安定ヨウ素剤の予防服用意図です。こ
こでの安定ヨウ素剤は医薬品ヨウ化カリウム(KI)の丸薬及び内服液であります。
安定ヨウ素剤の予防服用については、その効果を最大限に生かすため、40歳未満の者を対象と
し、原則1回のみの服用とします。特に新生児、乳幼児や妊婦の服用を優先させます。なお40歳
以上については、放射線被ばくにより誘発される甲状腺発ガンのリスクが認められないことから
服用の対象となりません。
服用量、服用方法
①新生児:ヨウ素量12.5mg、ヨウ化カリウム量16.3mg
安定ヨウ素剤内服液1mlを服用します。
②生後1ヶ月以上3歳未満:ヨウ素量25mg、ヨウ化カリウム量32.6mg
安定ヨウ素剤内服液2mlを服用します。
③3歳以上13歳未満:ヨウ素量38mg、ヨウ化カリウム量50mg
3歳以上7歳未満は安定ヨウ素内服液3mlを、7歳以上13歳未満は丸薬1丸(ヨウ化カリウ
ム量50mg)服用します。但し、丸薬を服用できない年齢層の者は、安定ヨウ素剤内服液3
mlを服用します。
④13歳以上40歳未満:ヨウ素量76mg、ヨウ化カリウム量100mg
丸薬2丸(ヨウ化カリウム量100mg)を服用します。
⑤40歳以上は安定ヨウ素を服用する必要がありません。但し、妊婦については、④と同様な量
を服用します。
安定ヨウ素剤内服液の調製
安定ヨウ素剤内服液の調製は、医師、薬剤師またはその指導により行うことが、安全管理上望
ましい。
【調製例】
1.ヨウ化カリウムの原薬81.5gを正確に秤量する。
2.秤量したヨウ化カリウムをメスシリンダー(栓付メスシリンダーまたはメスフラスコ)に取
り、注射用水を用いて溶解し、500mlとする。(この時、少し冷たくなることがある。また、
― ―
92
溶解液が淡褐色を呈することがある。)
3.溶解した溶液をポリ容器5ëの中に入れる。
4.注射用水2,000mlをメスシリンダー(1,000mlまたは2,000ml)を用いて量り取り、ポリ容器へ
加え混和する。
5.次に、単シロップ2,500mlをメスシリンダー(1,000mlまたは2,000ml)を用いて量り取り、ポ
リ容器へ加えてよく混和し均一な溶液とする。
6.密栓されていることを確認後、蓋と本体にかけてシールを貼る。
7.調製日時などを記載した「安定ヨウ素剤内服液」のラベル容器に貼付し、調製者は署名をす
る。
8.さらに、調製記録に調製者は署名する。
静岡県薬剤師会防災計画―薬局・薬剤師防災マニュアル(実務編)より
なお、「安定ヨウ素剤の取扱いマニュアル」は、文部科学省原子力安全課「緊急被ばく医療REM net」(運
営:œ原子力安全研究協会)で閲覧できます。
― ―
93
静岡県薬剤師会 災害対策委員会作成
(写真:静岡県総務部防災局提供)
東京都葛飾区薬剤師会 防災委員会作成
資料17
お薬手帳の啓発ポスター(例)
― ―
94
資料18
災害時の薬剤師業務
1 .一般調剤(内用薬・外用薬)
“調剤室の安全確保”まず、自分の安全を確保する!
地震に備えて、薬品棚・書棚などの転倒防止策として、セパレート式の薬品棚をジョイント器具
で固定し、薬品棚と天井を転倒防止金具で固定しておく。液剤や散剤の各棚の両端に伸縮性のば
ね紐を渡して、棚から薬瓶が転がり落ちないようにするとともに、錠剤棚にはロールスクリーン
を掛けておくと良い。
1)停電
→光源である懐中電灯などの非常灯は常に点検しておく
Ë)電気が止まった時の確認事項
分包機やレセコンなどは、電気が止まると使用不能になるため、何がどの様な状況で止ま
ってしまったかを確認する
Ì)電気が止まった時の調剤
最近の調剤室内はすべて電化されているため、電気が使えない時に、代替機能をもつ道具
は常に調剤室の分かりやすい場所に用意しておくこと
・上皿天秤、分銅式秤、無ければキッチンスケール(乾電池式)
・薬包紙、チャック付きビニール袋(小∼大)
・薬匙、合匙、無ければ計量スプーン、計量カップ
・医薬品辞典、電子手帳(添付文書など医薬品の情報が入ったもの)
2)断水
Ë)断水時の確認事項
停電しただけでも断水することかあるので、断水時の水の確保は普段より行っておく
精製水、飲料水とも、ある程度備蓄しておく
Ì)断水時の調剤
水剤等の調剤に使う水は貴重インフラのないところでは洗浄などでたくさんの水を使わな
いような工夫が必要である
*配水車からの配水の受入れ容器(ポリタンク、祈りたためる給水袋など)を常備する
3)調剤
Ë)調剤室外での調剤の確認事項
・調剤可能な、清潔で、外からも見える隔絶された場所を確保する。
・秤量が必要な散剤・水剤をできるだけ避け、計数調剤できるものを使用する
Ì)調剤室外での調剤
救護所において調剤する場合、各種の医薬品を薬効別に整理し、代替調剤をしやすいよう
に工夫する。
― ―
95
*薬包紙の包み方を練習しておきましょう
2 .注射薬調製
1)注射薬の調剤
Ë)クリーンルーム、クリーンべンチは、衛生面での問題があるため、使用不可能となる
注射薬の混合作業は、空気の流動の少ないところで実施する
日頃の対策:複雑な混合は避け、キット製品を用いる処方設計とする
Ì)調製者の手洗い、注射薬混合部位の消毒は、アルコール綿、イソジン等の確保があれば、
当座の対応は可能
Í)災害時、特に冷蔵庫が稼働していないと冷所保存の薬剤の安定性は確保されない。
日頃の対策:常温保存可能な薬剤を使用する。
室温での安定性に関する資料を収集し、患者・家族に情報提供しておく
2)注射薬の供給
Ë)災害時の患者との連絡
→携帯電話での対応は困難と想定される
日頃の対策:災害時の患者の避難場所を確認しておく
薬局・医師・病院・クリニック・ポンプのサポートセンター等の連絡先や、
近隣の在宅栄養療法対応可能な薬局一覧を提示しておく
Ì)配送
災害時は対応可能な薬剤師が配送する
歩きで行く可能性大(自転車・バイクを準備しておく)
3)注射薬の投与
Ë)災害時にポンプが使用可能か確認する。いざとなれば、自然落下でも投与は可能であり、
パニックにならないことが大切である
日頃の対策:乾電池で何時間駆動するか、仕様を家族に十分、教育しておく
ニプロ:専用電池1日、乾電池4∼6時間、
テルモ:専用電池1日
Ì)災害時の点滴場所を確保する。通常の消毒が行われていれば、衛生面は問題ない
4)患者宅での注射薬の保管
Ë)ストック:医薬品、ルート類すべてについて、使用可能なもの、不可能なものを選別する。
(衛生面から識別すること)
― ―
96
日頃の対策:医薬品類が不足しても、即座の対応は困難と想定されるため、2∼3日分の
ストックを常に持っていられるような訪問間隔とする
冷所保存の薬剤については安全性が確保されないため、常温で保存可能な薬
剤を使用する
災害時薬剤師必携マニュアル(日本女性薬剤師会)より引用
― ―
97
資料19(関係法律等)
1 .災害対基本法(抜粋)
(目的)第1条
この法律は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、
防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在
を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する
財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の
整備及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。
(定義)第2条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定め
るところによる。
1.災害
暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事
若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ず
る被害をいう。
2.防災
災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図る
ことをいう。
3.指定行政機関
次に掲げる機関で内閣総理大臣が指定するものをいう。
イ
内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第1項及び第2項に規
定する機関並びに国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する機関
ロ
内閣府設置法第37条及び第54条並びに宮内庁法(昭和22年法律第70号)第16条第1項並び
に国家行政組織法第8条に規定する機関
ハ
内閣府設置法第39条及び第55条並びに宮内庁法第16条第2項並びに国家行政組織法第8条
の2に規定する機関
ニ
内閣府設置法第40条及び第56条並びに国家行政組織法第8条の3に規定する機関
4.指定地方行政機関
指定行政機関の地方支分部局(内閣府設置法第43条及び第57条(宮内庁法第18条第1項におい
て準用する場合を含む。)並びに宮内庁法第17条第1項並びに国家行政組織法第9条の地方支分部
局をいう。)その他の国の地方行政機関で、内閣総理大臣が指定するものをいう。
5.指定公共機関
独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行
政法人をいう。)、日本郵政公社、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及
び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、内閣総理大臣が指定するものをい
う。
6.指定地方公共機関
地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地
方独立行政法人をいう。)及び港湾法(昭和25年法律第218号)第4条第1項の港湾局、土地改良
法(昭和24年法律第195号)第5条第1項の土地改良区その他の公共的施設の管理者並びに都道
― ―
98
府県の地域において電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、当該都道府県の
知事が指定するものをいう。
7.防災計画
防災基本計画及び防災業務計画並びに地域防災計画をいう。
8.防災基本計画
中央防災会議が作成する防災に関する基本的な計画をいう。
9.防災業務計画
指定行政機関の長(当該指定行政機関が内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国
家行政組織法第3条第2項の委員会若しくは第3号ロに掲げる機関又は同号ニに掲げる機関のう
ち合議制のものである場合にあつては、当該指定行政機関。第12条第8項、第28条の3第6項第
3号及び第28条の6第2項を除き、以下同じ。)又は指定公共機関(指定行政機関の長又は指定
公共機関から委任された事務又は業務については、当該委任を受けた指定地方行政機関の長又は
指定地方公共機関)が防災基本計画に基づきその所掌事務又は業務について作成する防災に関す
る計画をいう。
10.地域防災計画
一定地域に係る防災に関する計画で、次に掲げるものをいう。
イ 都道府県地域防災計画
都道府県の地域につき、当該都道府県の都道府県防災会議が作成するもの
ロ 市町村地域防災計画
市町村の地域につき、当該市町村の市町村防災会議又は市町村長が作成するもの
ハ∼ニ (略)
(指定公共機関及び指定地方公共機関の責務)第6条
指定公共機関及び指定地方公共機関は、
その業務に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、この法
律の規定による国、都道府県及び市町村の防災計画の作成及び実施が円滑に行なわれるように、
その業務について、当該都道府県又は市町村に対し、協力する責務を有する。
2
指定公共機関及び指定地方公共機関は、その業務の公共性又は公益性にかんがみ、それぞれ
その業務を通じて防災に寄与しなければならない。
(都道府県防災会議の組織)第15条
都道府県防災会議は、会長及び委員をもつて組織する。
2 会長は、当該都道府県の知事をもつて充てる。
3∼4 (略)
5 委員は、次の各号に掲げる者をもつて充てる。
1∼6.
(略)
7.当該都道府県の地域において業務を行なう指定公共機関又は指定地方公共機関の
役員又は職員のうちから当該都道府県の知事が任命する者
6∼8 (略)
(市町村防災会議)第16条
市町村に、当該市町村の地域に係る地域防災計画の作成及びその実
施の推進のため、市町村防災会議を置く。
2 前項に規定するもののほか、市町村は、協議により規約を定め、共同して市町村防災会議を
設置することができる。
3∼5 (略)
― ―
99
6 市町村防災会議の組織及び所掌事務は、都道府県防災会議の組織及び所掌事務の例に準じて、
当該市町村の条例(第2項の規定により設置された市町村防災会議にあつては、規約)で定める。
2 .大規模地震対策特別措置法(抜粋)
(目的)第一条
この法律は、大規模な地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護す
るため、地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制の整備その他地震防災体制の整備に関する
事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることによ
り、地震防災対策の強化を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目
的とする。
(定義)第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定め
るところによる。
一
地震災害 地震動により直接に生ずる被害及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発その他
の異常な現象により生ずる被害をいう。
二
地震防災 地震災害の発生の防止又は地震災害が発生した場合における被害の軽減をあらか
じめ図ることをいう。
三∼四 (略)
五
指定行政機関 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第三号に規定す
る指定行政機関をいう。
六 指定地方行政機関 災害対策基本法第二条第四号に規定する指定地方行政機関をいう。
七 指定公共機関 災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関をいう。
八 指定地方公共機関 災害対策基本法第二条第六号に規定する指定地方公共機関をいう。
九 地震防災計画 地震防災基本計画、地震防災強化計画及び地震防災応急計画をいう。
十
地震防災基本計画 中央防災会議が地震防災対策強化地域について地震防災に関し作成する
基本的な計画をいう。
十一 地震防災強化計画 災害対策基本法第二条第九号に規定する防災業務計画、同条第十号に
規定する地域防災計画又は石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三
十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画のうち、第六条第一項各号に掲げる事項
について定めた部分をいう。
十二 地震防災応急計画 第七条第一項又は第二項に規定する者が地震防災応急対策に関し作成
する計画をいう。
十三∼十四 (略)
(地震防災対策強化地域の指定等)第三条 (略)
(地震防災強化計画)第六条 (略)
(地震防災応急計画)第七条
強化地域内において次に掲げる施設又は事業で政令で定めるもの
を管理し、又は運営することとなる者(前条第一項に規定する者を除く。)は、あらかじめ、当
該施設又は事業ごとに、地震防災応急計画を作成しなければならない。
一 病院、劇場、百貨店、旅館その他不特定かつ多数の者が出入する施設
(以下、略)
― ―
100
3−1.災害救助法(抜粋)
第1条
この法律は、災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の
協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかつた者の保護と社会の秩序の保全を図る
ことを目的とする。
第2条
この法律による救助(以下「救助」という。)は、都道府県知事が、政令で定める程度
の災害が発生した市町村(特別区を含む。)の区域(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条
の19第1項の指定都市にあつては、当該市の区域又は当該市の区の区域とする。)内において当
該災害にかかり、現に救助を必要とする者に対して、これを行なう。
第22条
都道府県知事は、救助の万全を期するため、常に、必要な計画の樹立、強力な救助組織
の確立並びに労務、施設、設備、物資及び資金の整備に努めなければならない。
第23条
救助の種類は、次のとおりとする。
1∼3.(略)
4.医療及び助産
5∼10.(略)
2 (略)
3 (略)
第24条
都道府県知事は、救助を行うため、特に必要があると認めるときは、医療、土木建築工
事又は輸送関係者を、第31条の規定に基く厚生労働大臣の指示を実施するため、必要があると認
めるときは、医療又は土木建築工事関係者を、救助に関する業務に従事させることができる。
2 (略)
3 第1項及び第2項に規定する医療、土木建築工事及び輸送関係者の範囲は、政令でこれを定
める。
4 (略)
5 第1項又は第2項の規定により救助に従事させる場合においては、その実費を弁償しなけれ
ばならない。
第27条
前条第1項の規定により施設を管理し、土地、家屋若しくは物資を使用し、物資の保管
を命じ、又は物資を収用するため必要があるときは、都道府県知事は、当該吏員に施設、土地、
家屋、物資の所在する場所又は物資を保管させる場所に立ち入り検査をさせることができる。
2∼4 (略)
第29条
第24条又は第25条の規定により、救助に関する業務に従事し、又は協力する者が、これ
がため負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合においては、政令の定めるところにより扶助金
を支給する。
第30条
都道府県知事は、救助を迅速に行うため必要があると認めるときは、政令で定めるとこ
ろにより、その権限に属する救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすることが
できる。
― ―
101
2 前項の規定により市町村長が行う事務を除くほか、市町村長は、都道府県知事が行う救助を
補助するものとする。
第31条
厚生労働大臣は、都道府県知事が行う救助につき、他の都道府県知事に対して、応援を
なすべきことを指示することができる。
第33条
第23条の規定による救助に要する費用(救助の事務を行うのに必要な費用を含む。)は、
救助の行われた地の都道府県が、これを支弁する。
2∼3 (略)
3−2.災害救助法施行令(抜粋)
第10条
法第24条第1項及び第2項に規定する医療、土木建築工事及び輸送関係者の範囲は、次
のとおりとする。
1.医師、歯科医師又は薬剤師
2.保健師、助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技
士、救急救命士又は歯科衛生士
3∼10.(略)
第11条
法第24条第5項の規定による実費弁償に関して必要な事項は、厚生労働大臣が定める基
準に従い、あらかじめ、都道府県知事が、これを定める。
第17条
従事者又は協力者の負傷又は疾病がなおつた場合において、別表第5に定める程度の身
体障害が存するときは、障害扶助金として、その障害の等級に応じ、支給基礎額に同表に定める
倍数を乗じて得た金額を支給する。
2∼5 (略)
3−3.災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準
(平成十二年厚生省告示百四十四号)
(実費弁償)第14条
法第24条第5項の実費弁償は、次の各号に掲げる者ごとに、当該各号に定
めるところにより行うこととする。
一 令第10条第1号から第4号までに規定する者
イ 日当
¸
医師及び歯科医師 1人1日当たり 17,400円以内
¹
薬剤師 1人1日当たり 11,900円以内
º
保健師、助産師及び看護師 1人1日当たり 11,400円以内
»∼¼
(略)
ロ 時間外勤務手当
職種ごとに、イの¸∼¼までに定める日当額を基礎とし、常勤職員の均衡を考慮して算定
した額以内とすること。
ハ 旅費
職種ごとに、イの¸∼¼までに定める日当額を基礎とし、常勤職員の均衡を考慮して、各
― ―
102
都道府県の職員に対する旅費の支給に関する条例において定める額以内とすること。
二 (略)
4 .医療法(抜粋)
第1条
この法律は、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの
施設の整備を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を提供する体制の確保を図
り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
第30条の3
都道府県は、当該都道府県における医療を提供する体制の確保に関する計画(以下
「医療計画」という。)を定めるものとする。
2 医療計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
1∼5.(略)
6.休日診療、夜間診療等の救急医療の確保に関する事項
3∼9 (略)
10
都道府県は、少なくとも5年ごとに医療計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、
これを変更するものとする。
11
都道府県は、医療に関する専門的科学的知見に基づいて医療計画の案を作成するため、診療
又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴かなければならない。
12
(略)
「モデル医療計画及び医療計画作成ガイドラインについて」
(平成18年2月22日付医政指発
[ 第0222001号.厚生労働省医政局指導課長から各都道府県衛生主管部(局)長宛通知は (略)]
5−1.武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(抜粋)
(目的)第一条
この法律は、武力攻撃事態等において武力攻撃から国民の生命、身体及び財産
を保護し、並びに武力攻撃の国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることの
重要性にかんがみ、これらの事項に関し、国、地方公共団体等の責務、国民の協力、住民の避難
に関する措置、避難住民等の救援に関する措置、武力攻撃災害への対処に関する措置その他の必
要な事項を定めることにより、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の
安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号。以下「事態対処法」という。)と相まっ
て、国全体として万全の態勢を整備し、もって武力攻撃事態等における国民の保護のための措置
を的確かつ迅速に実施することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において「武力攻撃事態等」
、「武力攻撃」、「武力攻撃事態」、「指定行政
機関」、
「指定地方行政機関」、
「指定公共機関」、
「対処基本方針」
、
「対策本部」及び「対策本部長」
の意義は、それぞれ事態対処法第一条、第二条第一号から第六号まで(第三号を除く。
)、第九条
第一項、第十条第一項及び第十一条第一項に規定する当該用語の意義による。
2 この法律において「指定地方公共機関」とは、都道府県の区域において電気、ガス、輸送、
通信、医療その他の公益的事業を営む法人、地方道路公社(地方道路公社法(昭和四十五年法律
第八十二号)第一条の地方道路公社をいう。)その他の公共的施設を管理する法人及び地方独立
行政法人(地方独立行政法人 法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項の地方独立行政法
― ―
103
人をいう。)で、あらかじめ当該法人の意見を聴いて当該都道府県の知事が指定するものをいう。
(医療の実施の要請等)
第八十五条
都道府県知事は、大規模な武力攻撃災害が発生した場合にお
いて、避難住民等に対する医療の提供を行うため必要があると認めるときは、医師、看護師その
他の政令で定める医療関係者に対し、その場所及び期間その他の必要な事項を示して、医療を行
うよう要請することができる。
2 前項の場合において、同項の医療関係者が正当な理由がないのに同項の規定による要請に応
じないときは、都道府県知事は、避難住民等に対する医療を提供するため特に必要があると認め
るときに限り、当該医療関係者に対し、医療を行うべきことを指示することができる。この場合
においては、同項の事項を書面で示さなければならない。
3 都道府県知事は、前二項の規定により医療関係者に医療を行うよう要請し、又は医療を行う
べきことを指示するときは、当該医療関係者の安全の確保に関し十分に配慮し、危険が及ばない
よう必要な措置を講じなければならない。
5−2.武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律施行令(抜粋)
第十八条
法第八十五条第一項の政令で定める医療関係者は、次のとおりとする。
一 医師 七 准看護師
二 歯科医師 八 診療放射線技師
三 薬剤師
九 臨床検査技師
四 保健師 十 臨床工学技士
五 助産師 十一 救急救命士
六 看護師 十二 歯科衛生士
6 .厚生労働省防災業務計画(抜粋)
この計画の目的
この計画は、災害対策基本法(昭和36年法律第233号)第36条第1項及び大規模地震対策特別
措置法(昭和53年法律第73号)第6条第1項の規定に基づき、厚生労働省の所掌事務について、
防災に関しとるべき措置及び地域防災計画の作成の基準となるべき事項等を定め、もって防災行
政事務の総合的かつ計画的な遂行に資することを目的とする。
この計画の効果的な推進
厚生労働省は、災害対策基本法第36条第1項の趣旨を踏まえ、毎年1月を目途にこの計画の措
置状況について取りまとめるとともに、その効果的な推進についての検討を加えるものとする。
第1編
災害予防対策
第3章
医療・保健に係る災害予防対策
第6節
医薬品等の安定供給の確保
第1 災害時情報網の整備
1.都道府県は、医療機関、医薬品等関係団体、日本赤十字社、都道府県薬剤師会等と協力し、
災害時における医薬品等の供給に関する情報収集及び連絡体制の整備に努める。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、都道府県、医薬品等関係団体、日本赤十字社、社団法
― ―
104
人日本薬剤師会等と協力し、災害時における医薬品等の供給に関する情報収集及び連絡体制の整
備に努める。
第2 災害時における医薬品等の搬送体制の確保
1.都道府県は、災害時における医薬品等の搬送のため、平常時から、マンパワーの確保及び自
転車、自動二輪車を含めた搬送手段の確保に努める。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、防災基本計画第2編第2章第4節1¹に掲げる医薬品
等の緊急輸送を円滑に進めることができるようにするため、緊急輸送関係省庁との必要な調整を
行う。
第3 医薬品等の供給、管理等のための計画
1.都道府県は、「大規模災害時の医薬品等供給システム検討会報告書」(平成8年1月厚生省大
規模災害時の医薬品等供給システム検討会報告)等を参考とし、関係者間の情報体制、災害用の
備蓄医薬品等の確保方策、保管・管理体制等を内容とする医薬品等の供給、管理等のための計画
の策定に努める。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、都道府県が行う医薬品等の供給、管理等のための計画
策定に際し,必要な指導・助言その他の支援を行う。
第2編
災害応急対策
第3章
医療・保健に係る対策
第3節
被災地における医療の確保
第1 保健医療活動従事者の確保
1.被災都道府県は、救護班の編成等に必要な医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師等の保
健医療活動従事者の数及び不足数について迅速な把握に努める。
第5節
医薬品等の供給
第1 被災地の状況把握
1.被災都道府県は、被災地内の医薬品卸協同組合、日本赤十字社等を通じ、医薬品等の在庫、
需給状況を把握する。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、必要な医薬品等の供給に支障を来さないよう、被災都
道府県、医薬品等関係団体、日本赤十字社等から医薬品等の需給状況についての情報収集を行う。
第2 医薬品等の確保及び供給
1.被災都道府県は、災害用の備蓄医薬品等の活用や医薬品卸協同組合、日本赤十字社等への協
力要請等により、必要な医薬品等の供給を確保するとともに、被災地内で医薬品等の不足を生じ
ることが予想される場合には、速やかに厚生省薬務局に報告する。
また、被災地内の交通が混乱しているような場合には、自転車、自動二輪車を含めた搬送手段
を確保する。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、被災地で医薬品等(輸血用血液製剤及びガスえそウマ
抗毒素を除く。)の不足を生じることが予想され、広域的な対応が必要と判断した場合には、医
薬品等関係団体等に医薬品の供給について協力を要請する。
また、被災地内の医薬品等の供給に当たっては、医薬品等集積所等に対する仕分け・管理を容
易にするため、種類別の梱包の実施等の工夫を行うよう要請する。
― ―
105
3.厚生労働省医薬食品局は、被災地で輸血用血液製剤の不足を生じることが予想され、地域的
な対応が必要と判断した場合には日本赤十字社に輸血用血液製剤の供給について協力を要請す
る。
4.厚生労働省医薬食品局は、被災地域でガスえそウマ抗毒素の不足を生じることが予想され、
広域的な対応が必要と判断した場合には、国家買上げ分を供出する。
5.厚生労働省医薬食品局は、緊急輸送関係省庁と調整を行い、輸送ルートを確保し、医薬品等
関係団体、日本赤十字社等による被災地への医薬品等の供給を支援する。
第3 医薬品等の仕分け及び管理
1.被災都道府県は、医薬品等集積所、避難所等における医薬品等の仕分け・管理及び服薬指導
等の実施について、都道府県薬剤師会に要請し、医薬品等の迅速な供給及び適正使用を図る。
2.厚生労働省医政局及び医薬食品局は、被災地内での医薬品等の仕分け・管理及び服薬指導等
の実施について、広域的な対応が必要と判断した場合には、社団法人日本薬剤師会等に要請する。
〔参考〕
7 .地震防災対策特別措置法(抜粋)
(目的)第1条
この法律は、地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、
地震防災対策の実施に関する目標の設定並びに地震防災緊急事業5箇年計画の作成及びこれに基
づく事業に係る国の財政上の特別措置について定めるとともに、地震に関する調査研究の推進の
ための体制の整備等について定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もって社会の秩序
の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。
(地震防災対策の実施に関する目標の設定)第1条の2
災害対策基本法(昭和36年法律第223号)
第14条第1項に規定する都道府県防災会議及び同法第17条第1項に規定する都道府県防災会議の
協議会(地震災害(地震動により直接に生ずる被害及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発そ
の他の異常な現象により生ずる被害をいう。以下同じ。)の軽減を図るため設置されているもの
に限る。)は、同法第40条に規定する都道府県地域防災計画及び同法第43条に規定する都道府県
相互間地域防災計画(第3条第2項において「都道府県地域防災計画等」という。)において、
想定される地震災害を明らかにして、当該地震災害の軽減を図るための地震防災対策の実施に関
する目標(第3条第2項において「実施目標」という。)を定めるよう努めるものとする。
(想定される地震災害等の周知)第14条
都道府県は、当該都道府県において想定される地震災
害の軽減を図るため、当該地域における地震動の大きさ、津波により浸水する範囲及びその水深
並びに地震災害の程度に関する事項について、これらを記載した印刷物の配布その他の必要な措
置を講ずることにより、住民に周知させるように努めなければならない。
2 市町村は、当該市町村において想定される地震災害の軽減を図るため、当該地域における地
震動の大きさ、津波により浸水する範囲及びその水深並びに地震災害の程度に関する事項並びに
地震災害に関する情報、予報及び警報の伝達方法、避難場所その他の地震が発生した時の円滑な
避難を確保するために必要な事項について、これらを記載した印刷物の配布その他の必要な措置
を講ずることにより、住民に周知させるように努めなければならない。
― ―
106
資料20
行政機関の連絡先
平成17年1月31日修正
都道府県名
北海道
青 森 県
岩 手 県
宮 城 県
東 北
秋 田 県
山 形 県
福 島 県
茨 城 県
栃 木 県
群 馬 県
関 東
埼 玉 県
千 葉 県
東 京 都
神 奈 川 県
富 山 県
北 陸
石 川 県
福 井 県
新 潟 県
甲信越
山 梨 県
長 野 県
岐 阜 県
静 岡 県
中 部
愛 知 県
三 重 県
滋 賀 県
京 都 府
大 阪 府
近 畿
兵 庫 県
奈 良 県
和 歌 山 県
鳥 取 県
島 根 県
中 国
岡 山 県
広 島 県
山 口 県
徳 島 県
香 川 県
四 国
愛 媛 県
高 知 県
福 岡 県
佐 賀 県
長 崎 県
熊 本 県
九 州
大 分 県
宮 崎 県
鹿 児 島 県
沖 縄 県
担 当 課
地 域 医 療 課
健 康 医 療 課
医 療 国 保 課
医 療 整 備 課
医 務 薬 事 課
医 務 福 祉 課
医 務 福 祉 課
医 療 整 備 課
医 事 厚 生 課
医 務 課
医 療 整 備 課
医 療 整 備 課
救 急 災 害 医 療 課
医 療 整 備 課
医 務 課
医 療 対 策 課
医 務 薬 務 課
医 薬 国 保 課
医 務 課
医 務 課
医 療 整 備 課
医 務 室
医 務 国 保 課
医 療 政 策 課
医 務 薬 務 課
医 療 室
医 療 対 策 課
医 療 課
医 務 課
医 務 課
医 務 薬 事 課
医 療 対 策 課
施 設 指 導 課
医 療 対 策 室
医
務
課
医 療 政 策 課
医 務 国 保 課
保 健 福 祉 課
医 療 薬 務 課
医 療 指 導 課
医
務
課
健 康 政 策 課
地 域 医 療 推 進 課
医 務 薬 事 課
福 祉 保 健 課
医
務
課
福 祉 保 健 政 策 課
電話番号
011-231-4111
017-734-9290
019-629-5407
022-211-2622
018-860-1403
023-630-2258
024-521-7221
029-301-3186
028-623-3157
027-226-2535
048-830-3538
043-223-3882
03-5320-4427
045-210-5145
076-444-3219
076-225-1433
0776-20-0346
025-280-5183
055-223-1481
026-235-7145
058-272-1111
054-221-2406
052-961-2111
059-224-2325
077-528-3632
075-414-4744
06-6941-0351
078-362-3243
0742-22-6280
073-441-2603
0857-26-7189
0852-22-6701
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082-228-0975
083-933-2924
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087-832-3256
089-921-1240
088-823-9667
092-643-3273
0952-25-7073
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096-385-2094
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099-286-2707
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FAX番号
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076-444-3495
076-225-1434
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026-223-7106
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054-221-3291
052-954-6918
059-224-2324
077-528-4859
075-431-3970
06-6944-6691
078-362-4267
0742-22-2725
073-424-0425
0857-21-3048
0852-22-6040
086-224-2313
082-223-3573
083-933-2939
088-621-2898
087-831-0121
089-921-8004
088-823-9137
092-643-3277
0952-25-7267
095-826-8560
096-385-1754
097-532-9939
0985-26-7326
099-286-5555
098-866-2714
(広域災害救急医療情報システムホームページより)
― ―
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