アフリカビジネスフォーラム会員誌 週刊アフリカビジネス第 283 号 2016/2/29 発行 アフリカビジネスパートナーズ(ABP) 【今週のアフリカビジネス】 ソニーの完全子会社、Sony Music Entertainment(SME)がアフリカでの事業拡大に動いてい ます。西アフリカを統括する現地拠点をナイジェリアに設立、東アフリカにもケニアを拠点とすべく 設立を進めているところで、今後はアフリカ内にいくつか拠点を持ち、アフリカ一帯に事業カバレッ ジを広げていく目論見です。ニュース(1)にあるように、SME の持つ海外音源のアフリカでの販売 や、アフリカの現地ミュージシャンの国内、アフリカ内、そしてグローバル市場への売り出しを行って いきます。 アフリカにおいて音楽は、需要も供給もありながら十分に商業化・産業化されていない領域。 人々は日常的に、頻繁に音楽を聞くものの、ラジオや YouTube、または海賊版やコピー音源経由 での視聴が多く、その潜在的なマーケットの大きさに比して、売上規模は小さいです。日本だと JASRAC が提供している著作権管理の仕組みは導入が始まったばかりでまだ普及していません。 アフリカの音源を SME の持つ販売ルートで世界で販売していくのは難しくないですが、一方で国 内で販売していくには、マネタイズの方法の検討が必要です。 現在唯一アフリカにおいて音源によって売上を得られるのが、携帯の待受音楽や着メロの販売 です。たとえばケニアの通信会社 Safaricom の利用者数は 2,500 万人超ですが、その半分近くの 1,000 万人が待受音楽の購買経験者です。SME がまず通信会社と提携したのはこういう背景です。 SME は東では Safaricom、西および南部アフリカでは MTN と提携し、まずは通信会社向けに音 源の供給を行っていきます。 モバイルマネーが使えることから、アフリカ各国では携帯はただの通信機器でなく、上記待受音 楽購入のような購買行動の起点であったり、支払いのデバイスであったりしていますが、海外との 資金のやりとりの方法としても力を持ちつつあります。海外で生活している家族や縁者からの送金 は、国によっては GDP に大きな割合を占める、一国の経済において重要な歳入減であり産業です。 ケニア通信大手 Safaricom は MasterCard と組み、Safaricom が提供するモバイルマネーM-Pesa 1 がマスターカードでの支払いにより送金を世界中から受け取られるようにしました。ニュース(2)の 記事中にもあるように、Safaricom はシンガポールの TransferTo とも提携しており、今月から PayPal、WorldRemit、Sprint、MoneyGram による送金も利用できるようになります。銀行口座を 持たない人々に金融アクセスを提供するというコンセプトで始まったアフリカのモバイルマネーサー ビスは、いまでは銀行口座が提供できるサービス範囲を超えて、より便利に、より安価に提供できる 金融ツールとなっています。 資源価格の下落や中国経済の不況、金融引締めによる自国通貨安といったネガティブなマクロ 環境下にあるアフリカの経済ですが、投資を積極化する企業と、縮小する企業の二手に分かれつ つあります。今週のニュースでは積極化する企業のニュースが挙がっています。ニュース(3)は、 GE が、モザンビークとエチオピアをはじめとしたアフリカ市場の見通しは明るく、GE としては今後 投資を積極化させ、5 年位内に売上 2 倍を見込むとの認識を示したというものです。投資領域は石 油&ガス、航空産業、鉄道、ヘルスケアなどが挙げられています。ニュース(4)からは、ダノンがア フリカ一帯で現地同業企業への出資、それもマジョリティをとる買収を進めている様子が伺われま す。2015 年のダノンの全世界の売上のうち 5%がアフリカでの売上となっているとのことです。 今週は月末最終週として、特集を掲載しています。今月は、アフリカ各地で今年行われる予定の 展示会情報をご提供します。アフリカにおける展示会に関する概要を説明した後、アフリカ 12 カ国 (ケニア、タンザニア、エチオピア、ウガンダ、ルワンダ、ザンビア、南アフリカ、ナイジェリア、コート ジボワール、エジプト、セネガル、モロッコ)において今年実施される展示会をリスト化しました。 アフリカにおいて開催される展示会に参加する日本企業は増えてきました。ただ、出展する企業 はまだ少数です。アフリカでの展示会での出展企業には、その国ですでに事業を開始していて認 知を上げたい企業のみならず、事業を行ったことがなく、ネットワークももっていない海外の企業も 多く出展しているのが常です。前者は業界内ネットワークの構築やブランド認知の醸成、プロモー ションの手段として出展していますが、後者は代理店候補を探したり、自社の商品を扱ってくれる 販売網や見込み顧客を見つけたり、自社製品・サービスに対するその国での反応を得たりする、事 業開始の最初の一歩を踏み出すことを目的として出展しています。展示会場では、そのまま熱心 な商談やネットワーク形成が行われている様子がよく見られます。展示会に参加するだけでなく出 展も行えば、その国での事業開始に大きな足がかりとなります。 2 目次 【今月の特集:アフリカで行われる展示会(2016 年版)】 ................................................. 5 【今週のニュース 20 本】 ..................................................................................................... 9 (1) 【エンターテイメント】米 Sony Music Entertainment がナイジェリアにオフィスを開設 (2/23) 9 (2) 【通信】ケニアのモバイルマネーM-pesa が、MasterCard と海外からの送金受け取りに 関して提携(2/24) ................................................................................................................. 9 (3) 【投資】GE が今後 5 年位内にアフリカにおける売上が 2 倍になるとの認識を示す(2/24) 10 (4) 【食品】企業買収により、ダノンの売上のうち 5%がアフリカでの売上に(2/23)............. 10 (5) 【投資】南アのメディア企業 Naspers がインドのインターネット旅行会社 Ibibo に 2 億 5,000 万ドル投資(2/25) .......................................................................................................11 (6) 【製造業】ドイツの Dr Schumacher が現地製薬 Pharmaken との提携によりケニアに進 出(2/22) ............................................................................................................................. 11 (7) 【製造業】タンザニアにおける中国系ガラス製造企業 Glass Industry Group of Africa が 8,000 万ドルを投資して東アフリカ最大のフロートガラスの工場を建設(2/23)..................... 11 (8) 【農業】ケニアとイスラエルが灌漑と農業について合意締結(2/23) ............................. 12 (9) 【経済】南アフリカが国際市場において今後 3 年間で 45 億ドルの借入を検討(2/24) 12 (10) 【貿易】ナイジェリアと中国間の 2015 年貿易額が 140 億ドルを記録(2/23)............. 13 (11) 【電力】EndeavorEnergy がコートジボワールの Starenergie 2073 との発電所建設プ ロジェクトに合計 9 億ドルを融資する計画(2/23) ................................................................. 13 (12) 【保険】アフリカン・キャピタル・アライアンス(ACA)が再保険会社の Continental Reinsurance PLC 株式の 49%を取得(2/22) ..................................................................... 14 (13) 【物流】運輸スペースシェアのアプリ Swiftly がガーナで稼働を開始(2/22) .......... 14 (14) 【航空】南アフリカの航空会社フライサファイアが LCC の Mango の買収をオファー (2/25) 14 (15) 【通信】ボツワナテレコムの新規公開株へ多数の投資家が関心を示す(2/26) ......... 15 (16) 【製造業】サムスン電子東アフリカがアフリカで最大のカスタマーセンターをケニアに設 立(2/25) 15 (17) 【保険】チューリッヒ保険グループが南アフリカとモロッコにおける損害保険子会社の売 却手続きを開始(2/22) ........................................................................................................ 16 (18) 【石油・ガス】タンザニアが Ruvu 盆地において 2.1 兆立法フィートの天然ガス埋蔵量を 発見(2/25) ......................................................................................................................... 16 (19) 【石油・ガス】中国がスーダン国内で初のガスパイプラインを建設へ(2/26) ............. 16 (20) 【運輸・物流】リフト・バレー鉄道がエジプト政府系機関と肥料・化学薬品輸出の主要輸 送業者へ(2/22) ................................................................................................................. 17 3 4 【今月の特集:アフリカで行われる展示会(2016 年版)】 アフリカにおいて開催される展示会に参加する日本企業は増えてきました。アフリカの都市部で は、毎年、展示会、国際見本市、商談会、カンファレンスといったものが多く実施されています。 今月の特集では、アフリカ各地で今年行われる予定の展示会情報をご提供します。 展示会と呼ばれているものは、3 種類に分けられます。ひとつは産業や製品に特に制限を設けず に行う、総合展示会、国際展示会、トレードショーなどと呼ばれるもので、対象はビジネス関係者で す。ふたつめには、医療展示会、農業展示会、パッケージ展示会のように、特定の産業分野に限 定した専門展示会が挙げられます。中には産業という領域よりももっと限定的な、たとえばセキュリ ティグッズ展示会、照明機器展示会などといったものも存在します。これら出展、参加するのは業 界関係者です。3 つ目は、日本でいうと物産展に近いもので、一般の人も入場し、日用品や家電、 食品(ときには鶏など動物も)から、企業展示まで、あらゆる分野の展示が行われ、そこで商品の販 売も行われるようなものです。飲食店やライブイベントもあり、レジャーとして楽しむ目的で、家族連 れや修学旅行生もやってきます。 総合展示会は、その国にまず足がかりをつくりたいときには一番適した方法です。展示ブース数 が多く、小さい間口からの出展も可能な場合が多いため、比較的出展費用も押さえられます。多く の出展企業と来場者が集まるため、その国でどのような産業がどのような水準で展開されているの か、どの企業が高いシェアを持っているのかといったことも把握しやすいです。 産業分野を限定した展示会は、総合見本市に比べると展示数も来場者数も相対的に小規模で すが、その業界との関係性が濃い人達がやってきます。代理店やパートナーを見つけてすぐにで もビジネスを始めたい場合は、専門展示会に出展した方がプロセスが早まります。業界内でネット ワーキングを行うことができ、知らなかった情報を手に入れることもできるでしょう。また、その業界に おいて一定のポジションを占めている、占めるつもりがあることを内外に意思表示するためにも役 立つでしょう。 5 専門展示会の例(ケニア、Medic East Africa) 物産展は、大人から子どもまで、その国の一般の人と大量にコミュニケーションを交わしたい場 合に役に立ちます。ビジネス関係者に限定される展示会と違い、来場者数の数も一桁二桁多いの で、たとえば、消費者を対象とするビジネスを行っていて、試食や試用により消費者の反応を得た い場合や、その場で実際にテスト販売的に売れ行きをみたい場合などに向いています。逆に、ビジ ネス関係者との出会いは確率的には高くなく、代理店やパートナーとなる企業を見つけたい場合 には不向きです。 物産展の例(タンザニア、Dar es Salaam International Trade Fair 通称サバサバ) 6 展示会に出展する場合、数ヶ月前までに主催者に申し込み、ブースを確保します。日本やヨー ロッパ等その国の外から展示品を運ぶ場合、輸送の時間が読めないことが多いことに注意が必要 です。展示会に出展を行う場面というのは、はじめてその国にモノを入れる多い場面であることも多 いのですが、信頼のおける物流業者に依頼をするか、それができない場合は手持ちで運ぶ方が 無難です。なお、展示品の持ち込みの場合は一般的関税が免除されますが、それにも手続きが必 要で、食品など、あらかじめ許可を得る必要がある商品もあります。展示のための装飾は、エジプト やモロッコ、南アフリカ、ケニアの場合は、デザイン、素材とも多くの種類が現地で手に入ります。そ の他の国は、品質やスピードにこだわるならば、日本から持ち込んだ方がよいでしょう。 展示会は、4 月~6 月と 9 月~11 月が 2 大シーズンとなっており、ビジネスが活発な国の都市部 では、この時期は毎日のようになんらかの展示会が行われています。専門展示会で多いのは、オイ ル・ガス、建設・建築、自動車、医療、農業・食品といった分野で、現地企業、海外企業が多数出 展しています。 出展企業は、その国ですでに事業を開始していて認知を上げたい企業のみならず、事業を行っ たことがなく、ネットワークももっていない海外の企業も多く出展しているのが常です。前者は業界 内ネットワークの構築やブランド認知の醸成、プロモーションの手段として出展していますが、後者 は代理店候補を探したり、自社の商品を扱ってくれる販売網や見込み顧客を見つけたり、自社製 品・サービスに対するその国での反応を得たりする、事業開始の最初の一歩を踏み出すことを目 的として出展しています。展示会場では、そのまま熱心な商談やネットワーク形成が行われている 様子がよく見られます。展示会に参加するだけでなく出展も行えば、その国での事業開始に大きな 足がかりとなります。 7 アフリカ 12 カ国(ケニア、タンザニア、エチオピア、ウガンダ、ルワンダ、ザンビア、南アフリカ、ナ イジェリア、コートジボワール、エジプト、セネガル、モロッコ)において今年実施される展示会をリス ト化しました。以下の URL から PDF ファイルをダウンロードできます。なお、展示会の日程変更、 延期、中止は頻繁にあります。最新の情報は「詳細・申し込み」欄にある主催者サイトからご確認く ださい。 アフリカ展示会リスト(2016 年版) http://abp.co.jp/PDF/AfricaExhibitionList(ABP)_2016.pdf アフリカビジネスパートナーズでは、日本企業の展示会への参加や出展のお手伝いもしておりま すので、ご関心を持たれた方は、info@abp.co.jp までお問い合わせください。 8 【今週のニュース 20 本】 ※先週一週間でインターネットや雑誌で報道されたアフリカビジネスに関するニュースから、20 本 を選んでお届けします。見出しの後の日付はニュースの発表日を掲載しており、ニュース発表とイ ンターネット公表で時期がずれることから、発表日が先々週以前となることもあります。 ※為替換算は、レート及び換算金額ともに有効数字 2 桁(3 桁目以降切捨て)で記載をします。 (1) 【エンターテイメント】米 Sony Music Entertainment がナイジェリアにオフィスを開設(2/23) http://www.musicbusinessworldwide.com/sony-music-opens-nigeria-office-as-it-expand s-across-africa/ ソニーの完全子会社である米 Sony Music Entertainment(SME)社が、ナイジェリアにオフィス を開設した。SME は同社の長期計画の一環として、アフリカ一帯で事業を拡大している。ナイジェ リアのオフィスは西アフリカの現地拠点となる。ケニアにおいても現在、ケニアを東アフリカの拠点と するべく、事業開始の準備を進めている。 今後、SME の持つ海外音源のアフリカでの販売や、アフリカの現地ミュージシャンの国内、アフ リカ内、そしてグローバル市場への売り出しを行っていく。すでに西アフリカでは通信会社 MTN と、 東アフリカではケニアの通信会社 Safaricom と提携を行っており、音源を提供している。Safaricom は 1 千万人を超える待受メロディ顧客を抱えている。 6 カ月前には、SME の競合であるユニバーサルミュージックがアフリカを今後の事業拡大の重要 エリアとして重視しているというニュースが報道されている。 (2) 【通信】ケニアのモバイルマネーM-pesa が、MasterCard と海外からの送金受け取りに関し て提携(2/24) http://www.businessdailyafrica.com/Corporate-News/Mpesa-cash-transfers-to-MasterC ard-holders/-/539550/3091178/-/b04fk0/-/index.html http://www.itnewsafrica.com/2016/02/vodafone-to-extend-m-pesa-remittances-to-new-a frican-markets/ ケニアの通信会社 Safaricom の株式 40%を保有するイギリスの Vodafone は、MasterCard と、 MasterCard 子会社で送金サービスの HomeSend を通じて送金に関する業務提携を結んだ。こ の提携によって、Safaricom が運営するモバイルマネーM-Pesa の利用者は、マスターカードによ る支払いによって世界中どこからでも送金を受けることが出来るようになる。ケニアに加え、コンゴ民 主共和国、ガーナ、レソト、モザンビーク、アルバニアの M-pesa 利用者も利用可能となる予定。 9 マスターカードを利用した送金サービスを提供する HomeSend は事業拡大を続けており、2016 年末までに新たに 20 の市場のおけるモバイルマネーサービスとの提携を目指している。 Vodafone は、シンガポールの携帯送金サービス会社 TransferTo と、M-pesa による即時国際 送金に関して最近提携したばかり。TransferTo は、PayPal、WorldRemit、Sprint、MoneyGram を始め多くの企業と提携しており、今月から、M-pesa を提供するすべての Vodafone の利用者に 対しこの送金プラットフォームの提供を開始する。 (3) 【投資】GE が今後 5 年位内にアフリカにおける売上が 2 倍になるとの認識を示す(2/24) http://africabusinesscommunities.com/news/ge-sees-potential-in-africa-expanding-intomozambique-and-ethiopia.html https://www.ajot.com/news/ges-ireland-sees-potential-to-double-africa-revenue-in-5-yea rs GE は、エチオピアやモザンビークをはじめとするアフリカでの自社の売上や人員が倍の規模で 拡大する可能性を見込んでおり、エネルギー、物流、ヘルスケアの分野での投資が行われるだろう と、GE アフリカ社長が南アフリカで行われた Bloomberg Africa Business and Economic サミット において語った。 モザンビークでは石油&ガス、エチオピアは航空産業、そして両国ともにおいて鉄道とヘルスケ アに特に期待しており、売上の 2 倍は 5 年位内に可能だとの認識を示した。 GE は 2014 年に、2018 年までに 20 億ドルをアフリカに投資すると発表している。従業員数はす でに 800 人から 2,600 人へと 3 倍になっており、今後は 2,600 人の 2 倍となる 5,000 人までの拡大 を目指す。 (4) 【食品】企業買収により、ダノンの売上のうち 5%がアフリカでの売上に(2/23) http://www.jeuneafrique.com/304845/economie/danone-acquiert-legyptien-halayeb-et-a ugmente-ses-parts-dans-fan-milk/ フランスの食品メーカーダノンの 2015 年の売上は 220 億ユーロ(前年比 4.4%増)となり、そのう ち 5%がアフリカでの売上で占められることとなった。 ダノンは、西アフリカ 6 カ国におけるアイスおよびジュース販売の代表的企業である FanMilk の 株式 49%を 2013 年より所有してきたが、さらに 2%を追加で取得、過半数の株式を取得することと なった。ダノンはまた、牛乳の調達確保のため 2,500 頭の牛を保有する農場を建設したエジプトで、 高品質のフレッシュチーズを生産する Halayeb 社の株式を取得した。 近年、ダノンは、モロッコの代表的乳製品メーカーCentrale laitière の株式を 90%取得したり、ケ 10 ニアの酪農業 Brookside の株式を 40%取得するなど、アフリカにおいて多額の投資を投じて企業 買収を行っている。2015 年にはアフリカ事業部を設置している。 (5) 【投資】南アのメディア企業 Naspers がインドのインターネット旅行会社 Ibibo に 2 億 5,000 万ドル投資(2/25) http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-02-25/naspers-invests-250-million-in-in dia-internet-travel-firm-ibibo 時価総額でアフリカ最大の企業となる南ア Naspers は、インドのインターネット旅行会社 Ibibo へ 2 億 5,000 万ドルを投資した。Ibibo のホテル予約分野の強化および新技術の強化が狙い。 Naspers は Ibibo の 2007 年の設立以来、同社を支援してきている。Naspers 社はメディアとして 事業を開始、現在は香港に拠点を持つテンセントなど新興市場における先駆け企業への投資を 手掛けている。 今回の投資に関する発表前日における Naspers の株価は、ごく小幅な値動きを示した。同社の 株式総額は 510 億ドルであった。 (6) 【製造業】ドイツの Dr Schumacher が現地製薬 Pharmaken との提携によりケニアに進出 (2/22) http://www.businessdailyafrica.com/Corporate-News/German-disinfectant-maker-target s-Kenya/-/539550/3088500/-/e31lo2z/-/index.html ドイツの製薬会社 Dr Schumacher は、消毒剤でケニアに進出する。医療施設及び医療従事者 がターゲットとなる。進出にあたり、ケニアの同業 Pharmaken と提携した。 Dr Schumacher 社は、皮膚や手、医療器具など向け消毒剤を世界 68 か国へ輸出している。ケ ニア市場参入にあたっては、フランスの Anios 社の他、ケニアの Biodeal Laboratories、 Orbit Chemical Industries、Canon Chemicals、Kronex Chemicals、Osho Chemical などが競合とな る。 エボラ出血熱などの感染拡大等を背景に、アフリカにおいて消毒剤に対する需要は伸びている。 Pharmaken 社の 2014 年の売り上げは 500 万ドルに達した。 (7) 【製造業】タンザニアにおける中国系ガラス製造企業 Glass Industry Group of Africa が 8,000 万ドルを投資して東アフリカ最大のフロートガラスの工場を建設(2/23) http://www.tanzaniainvest.com/industry/giga-tanzanian-announces-usd-80-million-inve stment-to-setup-float-glass-factory 11 タンザニアの中国系ガラス製造企業 Glass Industry Group of Africa(GIGA)は、8,000 万ドルを 投資し、東アフリカ最大のフロートガラス製造工場を建設する。新たしい生産ラインは 1 日につき平 均 600 トン、年間 130,000~160,000 トンの生産能力を持つ。2016 年中に完了し、2017 年から稼働 する予定。 東アフリカ共同体(EAC)域内に存在するフロートガラス製造企業はごくわずかで、域内各国では 年間 6~7%の割合で増加する需要に対応するために、輸入に頼らざるを得ない状況となっている。 アフリカにおける 2013 年のフロートガラス輸入総額は 2 億 4,000 万ドル。タンザニアはアフリカにお いて 8 番目に多くフロートグラスを輸入しており、2013 年にはアフリカ全体の輸入量の 4.3%にあた る 1,000 万ドルを輸入している。ケニアの輸入額は EAC 域内トップで、1,700 万ドルであった。タン ザニアは今回の工場建設により、タンザニアが東アフリカ共同体において最大のフロートガラス輸 出国になることを目指している。 (8) 【農業】ケニアとイスラエルが灌漑と農業について合意締結(2/23) http://www.businessdailyafrica.com/Kenya-inks-agriculture--irrigation-deal-with-Israel/ -/539546/3089846/-/l3xag6z/-/index.html ケニアのケニヤッタ大統領と、イスラエルのネタニヤフ首相が、100 万エーカーの土地を対象とし た灌漑と農業のガラナクラル・プロジェクトについて合意を結んだ。イスラエルはガラナクラル灌漑ス キームについて、1 万エーカーのモデル企業開発のために 70 億ケニアシリング(77 億円)の融資を 提供する。 イスラエルの Green Arava がモデル開発の契約を受注し、同企業の子会社 Agri-Green は灌漑 プロジェクトの実現可能性調査実施を受注した。実現可能性調査は、ケニア国会がガラナクラル・ プロジェクトのコストが膨らみすぎているのではないかと疑問視しているものでもある。ケニア農業研 究所が実施した 1 回目の実現可能性調査のコストは 3,200 万ケニアシリング(3,500 万円)で、問題 視される内容ではなかった。 ケニアとイスラエルは他にも、防衛や水資源、漁業、教育、科学、技術などについて複数の協力 合意を結んでいる。 ※1 ケニアシリング=1.1 円(ブルームバーグ、2/25) (9) 【経済】南アフリカが国際市場において今後 3 年間で 45 億ドルの借入を検討(2/24) http://www.theafricareport.com/Southern-Africa/south-africa-to-borrow-45-bn-from-glo bal-markets-over-medium-term.html 南アフリカ政府は、国際市場より今後 3 年間で 45 億ドル、状況が許せば 3 月に終了する今会計 年度中にそのうち 10 億ドルの借入を行うことを検討している。 過去数か月において、南アフリカに 12 対する貸し付け及び投資へのリスクの認識が増加し、借り入れに掛かるコストは増加している。南ア フリカ政府による債務返済にかかるコストは、今後 2 年間で 150 億ランド(1,000 億円)増加すると見 られている。政府は 2016 年に始まる返済により、リスクの削減を目指す。 国内市場における新規の国債発行額は、2015/2016 年の 1,700 億ランド(1 兆 1,900 億円)の後、 2018/2019 年が 1,600 億ランド(1 兆 1,200 億円)に微減する予定。財務省はまた、発行債券は長 期債もしくは固定利付債へ集中させ、インフレ連動債の発行は 20%に留まる見込みとしている。 ※1南アフリカランド=7.0 円(ブルームバーグ、2/27) (10)【貿易】ナイジェリアと中国間の 2015 年貿易額が 140 億ドルを記録(2/23) http://thenationonlineng.net/nigeria-china-trade-volume-hits-14-94b/ ナイジェリア中国大使によると、ナイジェリアと中国間の 2015 年における貿易額が 140 億ドルに上 った。これは、ここ数年間で 2 倍の額に増えたものの、世界経済停滞の影響を受けたことで、前年 比では 17.2%減となっている。中国にとってナイジェリアは最大の市場であり、輸出先としては第 2 位となる。 2015 年末までに、中国によるナイジェリアへの非金融直接投資額は 15 億ドルで、こちらは前年 比 17.6%増であった。 中国はナイジェリアの人材・文化交流分野において資するべく、2 つの中国語センターを建設し たという。さらに、100 人への政府奨学金が発行され、現在は 400 人のナイジェリア学生が自費で中 国で学んでいるという。 (11)【電力】EndeavorEnergy がコートジボワールの Starenergie 2073 との発電所建設プロジェ クトに合計 9 億ドルを融資する計画(2/23) http://www.jeuneafrique.com/304779/economie/endeavor-pret-a-financer-songon/ 米国の投資会社 Denham Capital の子会社である電力事業者 EndeavorEnergy が、コートジボ ワールの独立発電事業者 Starenergie 2073 の火力発電所と付設する浮体式ガスターミナルの建 設に対し、合計 9 億ドルを融資する。発電容量は 370 メガワット。 本プロジェクトは 2014 年に計画が発表された後、2015 年に契約を締結したものの、天然ガス調 達に問題が発生して遅れが生じていた。 本事業に対しては当初イスラエル企業 Télémania が関心表明を行っていたものの、最終的に投 資には入っていない。また、ギリシャの Metal Constructions of Greece が、GE がタービンを供給 する発電所に関与する予定。 13 (12)【 保 険 】 ア フ リ カ ン ・ キ ャ ピ タ ル ・ ア ラ イ ア ン ス ( ACA ) が 再 保 険 会 社 の Continental Reinsurance PLC 株式の 49%を取得(2/22) http://www.agenceecofin.com/assurance/2202-36066-african-capital-alliance-prend-uneparticipation-de-49-dans-continental-re プライベートエクイティのアフリカン・キャピタル・アライアンス(ACA)は、アフリカ 44 カ国をカバー する再保険会社の Continental Reinsurance の株式の 49%を買収したことを発表した。モロッコの コングロマリット Saham グループの保険子会社、Saham Finances が、Continental Reinsurance の 100%株主であった。 Continental Reinsurance は 1985 年に設立。アフリカの再保険セクターにおける主要な企業の 一つ。2007 年よりナイジェリアのラゴス証券取引所に上場、ナイジェリア、ケニア、カメルーンなど 6 カ国のアフリカ諸国に拠点を設け、200 の保険会社を顧客としている。 ACA は 1997 年の設立以来、サブサハラアフリカを対象として投資を行っており、調達金額は合 計で 10 億ドルを超える。現在までに炭化水素資源、金融サービス、電力、消費の分野において 40 件の投資を実現している。 (13)【物流】運輸スペースシェアのアプリ Swiftly がガーナで稼働を開始(2/22) http://allafrica.com/stories/201602222664.html 航空・海運・陸運による貨物出荷の際に、空いているスペースをシェアするサービスを提供するア プリ Swiftly が、ガーナで稼働を始めた。同アプリはガーナ人によってデザインされた。 空きスペースのためのマッチングを全てアプリ上で行い、やりとりを物流業者に伝えられる。出荷 工程や処理プロセスは通常の出荷の際と変わらず、混載した各貨物の荷主が出荷の際に共同出 荷人として登録される。各荷主は運送費用を分担し、より安い価格でのサービスを享受できるように なる。 Swiftly を開発した IT 企業 Iyris KO の CEO である Edem Dotse 氏は、運輸・物流計画や政策 策定への民間セクターの参加によって、ガーナの商業競争力が高まっていくだろうと述べている。 (14)【航空】南アフリカの航空会社フライサファイアが LCC の Mango の買収をオファー(2/25) http://traveller24.news24.com/News/Flights/flysafair-offers-to-buy-mango-20160225 南アフリカの LCC 航空会社フライサファイアが、南アフリカ国内で最高の評価を受ける公営 LCC の Mango 買収をオファーした。フライサファイアは同社の拡大路線に Mango の買収は合致すると し、Mango 側も期待を寄せている。政府側は売却の意向は明らかにしていない。 2014 年以降、南アフリカ国内 LCC の運賃は最大で 39%下がり、最安値で 490 ランド(3,000 円) 14 でヨハネスブルク−ケープタウン便を利用できるようになり、利用者も 12%増加している。 一方で、南アフリカの LCC 市場は飽和状態にあり、2015 年 10 月に Skywise が新規参入した際 にそれはすでに指摘されていた。Skywise はチケットを販売したものの、フライトを提供できない事 態が発生している。 政府は 2016 年度予算に関して、国営企業の救済措置を行わないと発表している。また、公営の 航空会社 4 社に関し、南アフリカ航空と SA Express を統合しさらに強化する可能性も議論中とい う。 ※1 ランド=7.0 円(ブルームバーグ、2/28) (15)【通信】ボツワナテレコムの新規公開株へ多数の投資家が関心を示す(2/26) http://en.starafrica.com/news/botswana-telecom-ipo-attracts-massive-investor-interest.ht ml ボツワナの国営通信会社ボツワナテレコムの新規公開株へ多数の個人投資家が関心をしてい る。 ボツワナテレコムは、新規公開株の売却に関する説明のためのロードショーを総距離 6,000km、 30 カ所にて実施、2 万人に上る市民から高い関心を得られたとし、今後も同じような巡業を継続す るとしている。 今回の一般への新規公開株販売は、同社においては初めての試みとなる。ボツワナ政府は政 府保有のボツワナテレコム株の 49%を売り出す。 (16)【製造業】サムスン電子東アフリカがアフリカで最大のカスタマーセンターをケニアに設立 (2/25) http://www.businessdailyafrica.com/Corporate-News/Samsung-opens-its-largest-region al-store-in-Nairobi/-/539550/3092550/-/c50k6b/-/index.html サムスン電子東アフリカが、アフリカで最大のカスタマーセンターをケニアに設立した。 センター は 4,000 平方フィートの広さで、在庫保管のみならず、サムスンの最新の技術普及・促進の場として 使用されるという。 Techno やファーフェイ、Infinix、Wiko、HTC などの他ブランドが、品質が良くて購入しやすい 価格での製品販売によって競争をしかけ、ケニア人も低価格の携帯電話を好む一方、携帯電話価 格を下げることは難しいため、サムスンは顧客確保のために革新的な方法をとることを迫られてい たことが今回のセンター設立につながっている。 顧客はセンターにおいて、20 人のスタッフと個人使用やビジネスにおいては BtoC や BtoB の使 用のための最適なデバイスなどについて直接相談することが可能。 15 (17)【保険】チューリッヒ保険グループが南アフリカとモロッコにおける損害保険子会社の売却手 続きを開始(2/22) http://www.agenceecofin.com/assurance/2202-36075-zurich-insurance-se-prepare-a-vend re-ses-filiales-en-afrique-du-sud-et-au-maroc チューリッヒ保険は、赤字を抱える保険事業における資産戦略の見直しの一環として、南アフリカ とモロッコにおける損害保険子会社を売却する手続きを開始した。 顧客による補償請求が爆発的に増加した状況を受け、損害保険分野における戦略的見直しを 開始した。同社はまた、最近、英国の保険会社 RSA インシュアランスグループの株式公開買い付 けを放棄したとともに、昨年 11 月には、自社のポートフォリオの見直しの一環として、中東における 保険事業の撤退を発表している。 (18)【石油・ガス】タンザニアが Ruvu 盆地において 2.1 兆立法フィートの天然ガス埋蔵量を発見 (2/25) http://allafrica.com/stories/201602250439.html タンザニアは、Ruvu 盆地において総計 2.1 兆立方フィートの天然ガス埋蔵量を発見した。今回 の探査は、UAE に拠点を持つ大資産家 Rejan Kilachand 氏によって所有・経営が行われるタンザ ニア Dodsal Hydrocarbons and Power Tanzania 社によって実施された。 今回の発見により、確認されている天然ガス埋蔵量は、海上と陸上合わせて計 57 兆立方フィート となる見込みだ。Dodsals 社は今回発見された埋蔵量の価値は、額に換算して 60 億ドルに及ぶと いう。 タンザニアのエネルギー鉱物大臣は、今回の発見はすでに昨年の 7 月に行われていたが、2015 年の同国における石油関連法改正により発表を延期していたことを伝えた。 (19)【石油・ガス】中国がスーダン国内で初のガスパイプラインを建設へ(2/26) http://www.agenceecofin.com/restauration/0111-33536-kfc-s-installera-en-ethiopie-des-lannee-prochaine http://en.starafrica.com/news/china-to-build-first-gas-pipeline-in-sudan-official.html スーダン政府は、大手中国企業との間にガス生産及びガスパイプライン建設事業の署名を締結 済であることを発表した。また、中国国営の中国石油天然ガス総公司との間に、生産拡大に向けて 原油及び国内ガス産業発展の方法について協議を行っているという。 16 これまで石油開発に投資してきた中国企業は採算面での理由から、ガスパイプラインの建設は 行っていない。 (20)【運輸・物流】リフト・バレー鉄道がエジプト政府系機関と肥料・化学薬品輸出の主要輸送業 者へ(2/22) http://www.businessdailyafrica.com/RVR-inks-chemicals--fertiliser-cargo-deal/-/539552 /3088576/-/vrc159/-/index.html ケニアとウガンダの鉄道を運営するリフト・バレー鉄道を保有するプライベートエクイティ Qalaa Holdings は、エジプトの化学薬品・肥料輸出に係る政府機関との MoU に署名し、エジプトより輸 入される肥料及び化学薬品がモンバサ港から内陸輸送で運ばれる際の主要な輸送業者となること となった。 署名された MoU には、多量の商品の輸送に関して割安の価格を提供する一方で、リフト・バレ ー鉄道を独占的な輸送業者とすることが盛り込まれている。 化学薬品及び肥料は、ケニア、ウガンダに対するエジプトからの輸出の 23%を占めている。輸出 側としては輸出先の国内輸送が大きな課題になっていた。 ---------- アフリカビジネスフォーラム会員誌 週刊アフリカビジネス 2016 年 2 月 29 日 第 283 号 発行者:アフリカビジネスパートナーズ合同会社 質問・問合せメールアドレス:weekly@abp.co.jp Website:http://abp.co.jp Facebook:http://www.facebook.com/AfricaBusinessPartners 購読登録・解除 URL:http://abp.co.jp/mm 17
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