Яキリル文字とΠギリシャ文字 ロシア語などスラブ系民族が使う文字をキリル文字という。キリル文字はロシア語のほか、ウ クライナ語、ベラルーシ語、ブルガリア語、セルビア語、マケドニアごなどでも使われている。 ずいぶん昔のことだが、NHK子ども番組で、こんなキリル文字の解説があった。 「なぜロシア語のアルフェベットには、Яのような左右逆転した文字があるの?」 これに対しての番組での解説は、「その昔、ロシアのピョートル1世が、欧州のラテン文字から 文字を輸入しようとして使者を派遣したとき、使者の乗った帰り船が嵐で沈んだ。使者は、紙 に書かれていた文字を流してしまったので、記憶から ってアルファベットを書いたとき、い くつか間違ってЯのように左右逆さまになった。」 これは、間違い、真っ赤なウソである。誰かの悪い冗談を信じてそんな解説をしてしまったの だろう、公共放送として恥ずかしい話だ。そもそも、キリル文字は、ギリシャ文字から派生し ている。アルファベットの源流は、フェニキア文字からきたことがしられている。一方、フェ ニキア文字からセム系文字やギリシャ文字へと伝わった。したがって、キリル文字とローマ字 は兄弟関係にある。ちなみにセム系とは、ヘブライ語やアラビア語のグループをさす。 ギリシャ文字の π (pi、ピー)は、ローマ字ではpとなった ( π -> P )。 P (ロー)は、Pとの混同を避けるために足をつけたしRとした ( P -> R )。 キリル文字のЯはRとは関係がなく、ヤーと発音する。 У у (ウー)は、uであり、 Ю ю (ユー)と発音する。 З з (ゼー)、 Э з (エー)と発音する。 キリル文字 大文字… А Б В Г Д Е Ё Ж З И Й К Л М Н О П Р С Т У Ф Х Ц Ч Ш Щ Ъ Ы Ь Э Ю Я 小文字… а б в г д е ё ж з и й к л м н о п р с т у ф х ц ч ш щ ъы ь э ю я ギリシャ文字 大文字… Α Β Γ Δ Ε Ζ Η Θ Ι Κ Λ Μ Ν Ξ Ο Π Ρ Σ Τ Υ Φ Χ Ψ Ω 小文字… αβγδεζηθικλμνξοπρστυφχψω さて、キリル文字は、学生時代に乱読した数学書の中にロシア語の数学書があって学んだ。け れども当時は発音には無頓着だったので正確には読めていなかったかもしれない。それも仕方 がない、数式を理解するのが最優先であったからだ。ロシア文学にも挑んだが挫折してしまっ た。一方、ギリシャ語は英語-ギリシャ語の対訳聖書でお目にかかったが、やはり英文との対比 がないと読むのは困難だた。ちなみに、私の所有するバイブルは英語-日本語対訳のものと英語 訳のものだ。対訳形式で書かれた書物は、多国語を学ぶ学生諸君にお勧めしたい。 さて、ギリシャ文字は、数学や物理学、そして天文学での数式記号として、馴染みが深い。天 文学ではバイエル符号といって、星座の恒星に等級順にα β γ δ ε ζ η . . .と恒星を特定するのに 使用している。天文ファンの諸君には身近な記号だ。数学や物理学では、数式や物理量の記号 としてギリシャ文字がh頻繁にl使われている。そこで、平文中にそれらの記号を書くのに、ギリ シャ文字のキーボードがあれば直接文字を打てるので便利だ。日本語キーボードではギリシャ 文字を打とうとすると、"記号"から変換リストから選ばなければならない。見えかたは同じで も、実はコードは違ってくる。UNICODEであっても文字セットのブロックが異なると別のコー ドが割り当てられている。したがって文章中の文字検索では検索結果が異なってくる。最下行 に別々のキーボードで打った文字列を並べておく。つまり、文字コードは、日本語文字グルー プのギリシャ文字なのだから。iPadなどのタブレットでは、ソフトウェアキーボードなので、 英語、日本語(ローマ字)のほか、自由に言語別のキーボードを表示できる。かなキーボードは 絶対に使わない。私流の文書の書き方だが、日本語中の英数字や記号は、全角でなく半角で書 いている。その方が文字の並びが美しく見えるからだ。日本語の文章のなかでギリシャ文字や キリル文字を使う場合にも同じだ。 さて、最後に、よく使うギリシャ文字で固有の意味を持つ文字を列挙してみよう。 α 第1の変数または定数 β β関数 γ γ関数 δ δ関数, クロネッカーのデルタ Δ ラプラシアン ζ n 1のn乗根 Z ゼータ関数 θ 角度 π 円周率 Π 総積 Σ 総和、 λ 曲率 φ オイラーのトーシェント関数(ファイ関数)、φ 角度、 φ 内径 (φとφはフォントの違い) ψ 多項式 ω 1の3乗根 まだまだ、あると思うが、こんなところにしておく。 付記 同じに見える文字でも文字コードが異なると検索結果がかわる例証 C. Kycaφyca (くさふさ,´日本語). С. Кусафуса (Руссукая, Russian) α β γ (ギリシャ文字、日本語) α β ν ( Ελληνικά, Greek)
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