初合宿マニュアル - komoto.org

初合宿マニュアル
大阪大学航空部
2003/04/06
< 最新版 http://www.komoto.org/glider/ >
第 1 章 このマニュアルについて
無駄に 1 ページ使ってしまいますが・
・
・
このマニュアルは、新入生に学科をするときの補助になるように作ったもので
す。これを読みさえすればよいというものではなく、このマニュアル順に学科を
進めれば話し忘れがなくなるだろう、という目的で作られています。
1.1
新入生に対して
もし 、あなたがこのマニュアルを渡されただけで、何も解説をしてもらえない
場合、上回生に対して、ちゃんと学科するように抗議してください。
1.2
上回生に対して
解説書ではないので、
「なんでこうしないといけないのか」とか、
「こうすると
ど うなる」といった事はあまり書いてありません。学科するときは、
「こういう規
則だから」と天下りに教えるのではなくて、規則や作業手順が決まっている理由
を教えてあげてください。
また、このマニュアルの中身以外に、フライトの話などをなるべくしてあげて
ください。R/W の使い方なども大事ですが 、それだけでは新入生にとっては、お
もしろくないと思います。入部から最初の合宿までの期間、いろいろな話をして
あげて、興味をもってもらえるようにしましょう。
1.3
配布に関して
表紙に、
「大阪大学航空部」と書いてありますが 、作者が阪大航空部に在籍して
いたためで、別に部外秘というわけではありません。大学を問わずどんどん活用
してください。新入生に渡す場合は、なるべく新しいものを表紙の URL から取っ
てください。たまに加筆や修正が入っています。
なお、間違いなどがあったら、小本 <m.komoto@nifty.com> まで連絡おねがい
します。
1
第 2 章 合宿について
近所に滑空場が無いので、阪大航空部では合宿という形で飛んでいます。合宿は、
1 週間弱の期間で、岐阜県の木曽川滑空場、大野滑空場、それから福井空港などに
行って行います。
2.1
合宿前後
合宿自体は 1 週間弱ですが 、合宿の前後で準備や片付けがあります。
1. 合宿前ミーティング・機体、機材の積み込み
合宿前ミーティングでは、合宿の打ち合わせや、準備状況の確認などをしま
す。たいてい、その日の午後は機体をトラックに積み込んだりします。
2. 陸送・集合日
合宿の集合日は、朝からみんなで滑空場まで行きます。午後は機体を組み立
てたりします。
3. 合宿
飛びます! 飛びます!
! 飛びます!
!
!
4. 撤収日・陸送
撤収日は、昼まで飛んで、午後は機体を分解したりして、大阪に帰ります。
5. 合宿後ミーティング・片付け
合宿後ミーティングで合宿の反省をします。それから、合宿で汚れた機体を
綺麗にしたり、壊れたものを直したりします。
2.2
合宿中の 1 日の流れ
木曽川滑空場の 1 日を見てみましょう。
2
6:00
6:30
7:00 頃
7:30 頃
12:00∼13:00 ぐらい
日没 30 分ほど 前
夜
22:00
2.3
起床・朝食
宿舎出発
R/W 到着・朝の準備
飛行開始
昼食・昼休み
撤収
ミーティング・夕食・風呂など 自由時間
消灯
朝
起床∼出発まで約 30 分。この間に朝食、歯磨き、着替えなどを済ませないとい
けないので急がないと間に合いません。R/W まで車で行くので、必要なものを車
に積み込んで出発します。
2.4
夜
その日 1 日の反省や、連絡事項の伝達をするミーティングを行います。その後、
夕食を取って、後は自由時間です。消灯は 22:00 なので、それまでにお風呂に入っ
てください。
2.5
宿舎当番 (宿当)
宿当とは、みんなが R/W で飛んでいるときに、宿舎で寂しく留守番をすること
を言います。
• みんなよりちょっと早めに起きて、朝食の準備
• 朝食の片付け
• 宿舎の掃除
• お茶を沸かす
• お風呂のお湯を入れる
• 夕食の片付け
• 戸締り・消灯
• 電話番
3
• 訪問者の相手
• その他、余った時間で学校の宿題など
2.6
宿舎の使い方
きれいに使いましょう。
• 自分の荷物を散らかしたりしないように
• 食堂や台所などにつなぎのまま入らない
• ごみの分別をきっちりと
4
第3章
Ground Work
グライダーは、飛行機と違ってパイロットだけでは飛べません。地上にいる人が
離着陸の補助をする必要があります。なるべく多く飛べるように、地上でもがん
ばりましょう。
楽にたくさん飛ばすコツは、頭を使って動くことです。必要な時に必要な場所
に先回りして行動できるようになりましょう。そうすれば 、効率よく発航できて、
しかも走りまわらなくて済むので楽になります。
3.1
滑空場
ここでは、木曽川滑空場を例にとって説明します。
長良川
土手
ピスト
リトリブカー
土手索
発航帯
川索
ウインチ
着陸帯
木曾川
1.2km位
• ピスト
合宿のまとめ役である、班長がいて 、みんなに指示を出し ます (叫んでい
ます)。
• 着陸帯
グライダーが降りてくる場所です。たいてい、目印の白いフハンが置いてあ
ります。でも、みんなへたくそなので、フハンを無視して降りてきます。
5
• 発航帯
グライダーが離陸するところです。
• ウインチ
索を巻き取る機械で、ウインチでグライダーにつけた索を巻き取ることで、
グライダーは離陸します。
• リトリブカー
索をウインチから発航帯まで引っ張ってくる車のことです。
• 川索/土手索
Tost Winch のような 2 連ウインチでは、索を区別するために、
「川索」
「土
手索」という呼び方をしています。
3.2
R/W での注意
安全に、かつ楽しく R/W 生活を送るための注意点。
• 離陸機、着陸機に轢かれたりしないように、着陸帯をわたるときは良く確認
すること
• 上空を良く見て、飛んでいるグライダーや鳥、雲、風などに興味を持つこと。
• ピストから何か言われたら、手を上げるとか、
「了解」と言って、わかった
ことを示す。
• 親になっている先輩に意地でもついて行くこと。
• 常に、今何をすべきか考えるように。
• サボらないこと。でないと、誰かに無理がかかって倒れます。
• がんばりすぎないこと。倒れたら困ります。
• モノは地面に直に置かないこと。なくします。
• R/W は綺麗に使いましょう。特に、落し物には注意。
3.3
機体取り・機体押し
着陸したグライダーを離陸位置まで押していくことです。たいてい 5 人 1 組で行
います。
6
まず、チェックポイント通過の無線が入ったら、着陸帯の停止位置付近に広がり
ます。グライダーが着陸・停止したら 、一番近い人が翼端をとり、残りの人で機
体を押します。必ず、機体の後ろから近づき、無理に飛びついて取ろうとしたり、
まだ走っている機体の前に出たりすることは決してしないように。昔々、着陸滑
走中の機体に轢かれてしまったという事故があります。
停止後、グライダーには動力が無いので、人力で押して離陸位置まで運んでい
きます。人の配置は、
• 翼端 1 人
翼端の人は、走ったり止まったりしてグライダーの向きを変えます。
• テール 1 人
メインギアとテールギアがついた状態だとグライダーの向きを変えられない
ので、メインギアだけで転がるようにテールを持ち上げます。
• 押す人 3 人ぐらい
がんばる。ひたすらがんばる。近代化が進んでいる滑空場では、車で引っぱっ
たりしていますが。
グライダーはあまり丈夫ではないので、押してよい場所、良くない場所があり
ます。押してよい場所は、ノーズ付近の固い場所、翼根前縁部のリブの入った硬い
場所です。前に動かしたい場合は、キャノピーを開けて硬そうなところを引っ張
るか、プラスティック機であれば後部胴体を押すなりしてください。
3.4
機外点検
毎飛行前に、グライダーを点検します。本当は、飛ぶ人が自分で見るべきです
が 、さっさと飛ばしたいということもあって、機体を押してきた人が見ています。
機外点検は、点検表がコックピットに入っているので、それに従って、正面から
左回りに、以下のようなポイントに注意しながら点検してあげてください。あま
り詳し く見る余裕がなく、気休めだといううわさもありますが 、たまに機外点検
で異常が見つかることもあるので、ちゃんと見てあげましょう。
7
点検個所
ポイント
正面から見て、全形
ゆがんでないか
動圧孔
詰まってないか
ノーズギア
パンクしていないか
左前部胴体
大きなへこみやクラックとか
レリーズ
ついてる?
メインギア
パンクしていないか
左翼前縁
大きなへこみやクラックとか
スポイラー
とれていない?
翼端スキッド
磨り減り具合
エルロン
取り付け状態
左翼後縁
大きなへこみやクラックとか
左後部胴体
大きなへこみやクラックとか
静圧孔
詰まってないか
水平安定板
取り付け状態
エレベーター
取り付け状態
テールギア
パンクしていないか
垂直安定板
大きなへこみやクラックとか
ラダー
取り付け状態
以下右側も左側と同じ 。
人が乗っているときに動翼に近づいたりすると、動翼でたたかれたり、指を挟ま
れたりすることがあるので注意してください。
3.5
索取り・索出し・索付け
グライダーは、自力では離陸できないので、曳航索をつけてウインチなどで引っ
張ってもらいます。曳航索をグライダーにつけるのが索付けです。
3.5.1
索取り
川索と土手索を曳航し終えたら、リトリブカーが離陸位置まで索を引いて来ま
す。Tost Winch を使っているときは、川索と土手索の 2 本引いてくるので、川索
2 人と土手索 1 人に分かれてリトリブカーから索を外します。
土手索を取った人は、索をしっかりと土手側に寄せます。しっかりと寄せない
と、川索を使って離陸する機体に土手索が引っかかって大事故になりかねません。
索を寄せたら、パラシュートとゴ ム索をつけておきます。
8
(リトリブ時)
(1機目のグライダーを上げる)
土手索を寄せる
リトリブカー
土手索
川索
川索はグライダーにつける
(2機目のグライダーを上げる)
2機目に土手索をつける
3.5.2
索付け
川索を取った 2 人は、グライダーに索をつけます。1 人はグライダー側に索をつ
け、もう一人はパラシュートの端を持って伸ばします。
手順は、
1. ヒューズの点検
短い方のヒューズが切れている場合は、交換してください。
2. キャノピーロック、スポイラーのロック確認
声に出して確認。索付けの最重要項目です。たまに、ロックし忘れてキャノ
ピーが吹き飛んだとか、曳航中にスポイラーが全開になったといった事故が
あります。
3. 「レリーズオープン 」と言って、レリーズのツメを開けてもらい、スモール
リングをレリーズに差し込む
4. 「クローズ」と言って、レリーズのツメを閉じてもらう
うまくつけられなかったら、もう一度「オープン 」
5. 索を引っ張ってみてちゃんとレリーズがスモールリングをくわえているか確認
6. パラシュートの端にいる人は索端からパラシュートまでをまっすぐに伸ばす
7. パラシュートやカラビナが壊れていないか見て、OK なら搭乗者に報告
「報告します、索装着!」
9
3.5.3
その他、注意事項
• 川索を曳航しているときは、土手索には近寄らない。
索が絡んだときに、土手索が動いて怪我をします。
• 必ず、ウインチ曳航用のレリーズに取り付けること。
• 索をつけた後は、索をまたがないように。いつ引っ張られるかわかりません。
• 索を素手で触ると、手を切ったりします。なるべく軍手などを使いましょう。
• 川索をつける前に、たるんだ索を川よりに伸ばしておきます。そうしないと、
土手索と絡まります。
• 土手索の時は、しっかりと R/W 内に索を出してください。(索出しと言いま
す)
しっかり出さないと、離陸するときにグライダーがあさっての方向に引っ張
られてしまいます。
• パラシュートやダブルリングはなるべく引きずらないようにしてください。
3.5.4
レリーズテスト
朝 1 回目だけレリーズがちゃんと動作するか見るためにレリーズテストを行い
ます。
1. 索をつける
2. 離脱テスト
索を引っ張りながら「レリーズオープン 」
。ちゃんと離脱できるか確認。
3. 索をつける
10
4. 自然離脱テスト
索を後ろに引っ張ると、
「カチャ」といって離脱されるはず。ちゃんと離脱
するか確認。
5. その後、普通に索付け
3.5.5
ヒューズについて
ヒューズは、グライダーに過剰な力がかかるのを防ぐ ために、ある一定以上の
力がかかると切れる様に作ってあります。真中の穴は、強度を調節するために開
いていて、伸びるときは穴の周りの部分が伸びて、穴が変形します。2 枚 1 セット
で使うので、短い方が少しぐらいのびていても構いません。
機体によって、使うヒューズが異なり、多くの複座機は茶色もしくは黒のヒュー
ズを使い、単座機はたいてい青色のヒューズを使います。
ヒューズ自体は、保護のために、ヒューズケースに入っています。
正常なヒューズ
3.5.6
のびたヒューズ
エンド セット について
• 1. ダブルリング (double ring)
グライダーに取り付ける部分です。小さいスモールリングと、大きなラージ
リングの2つでできていて、レリーズにつけるのはスモールリングの方です。
• 2. ゴ ム索 (safety cable)
グライダーにあたってもあまり痛くないように、ゴ ムホースを巻いた索。
• 3. ヒューズ (weak link)+ヒューズケース
ゴムの保護の中に金属のヒューズケースが入っていて、さらにその中にヒュー
ズが入っています。
• 4. プラグコネクション (notch-type connector)
複座用ヒューズと単座用ヒューズを簡単に交換できるようになっています。
• 5. 緩衝索 (shock absorber)
ナイロン製のロープで、衝撃をいくらか吸収してくれるようです。
11
• 6. パラシュート (cable parachute)
索が地面に落ちるときに痛みにくいようにパラシュートがついています。
※括弧内は、Tost 社のマニュアルでの名称
3.6
翼端出し
グライダーはある程度の速度がついて、翼に風がちゃんとあたらないと舵がき
きません。いくらか速度がつくまで、翼端をいっしょに持って走ってあげ、水平保
持をしてあげるのが翼端出しです。
1. 索付けといっしょにキャノピーロック、スポイラーのロックを確認
2. 動翼にストッパーが入っていないか等を確認
3. R/W クリア、上空のクリアの確認
特に、後方上空はパイロットからは見えないので、後ろから近づいてくる機
体がいないか注意してあげましょう。
4. 「準備よし 」のコールがかかったときに、問題なかったら翼端を上げ、水平
にする
もし 、何らかの問題がある場合は、決して翼端を上げてはいけません。
5. グライダーが加速するのに合わせていっしょに走る
ついていけるところまででいいです。無理に押したり引っ張ったりしないよ
うに、自然に手を離して下さい。
翼端出しをしたら、ピスト側に戻って、機体取り・
・
・と繰り返します。
3.7
索点検
曳航索は 、使っているとだんだん痛んできます。放っておくと、そのうち曳航
中に切れるので、定期的に点検します。索点検の間は、飛べないので、さっさと
終わるように頭を使いましょう。
3.7.1
大まかな手順
索点検を効率よく終わらせるため、普通は以下の図のように、1 人が索を 1/4 ず
つ見ます。
12
索点ハーフ4人
ピスト
ウインチマン
ウインチ
リトマン
手の空いた人でグライダーを
繋留したりする
• ピスト側から点検する人
ピストからウインチに向かって点検を行い、索点ハーフの人と合流したらピ
スト側に戻って来ます。
• 索点ハーフ
リトリブカーに乗せてもらい、R/W の真ん中まで行きます。そこから 2 人
がピストに向かって、ピスト側から来た人と合流したらいっしょにピストに
戻ります。もう 2 人は、ウインチ側に向かい、ウインチマンと合流したらウ
インチ側へ行き、次のリトリブ時にリトリブカーでピストに帰ります。
• ウインチマン 、リトマン
ウインチ側からは、ウインチマンとリトマンが点検を行います。
• 残りの人
索点検に行かない人は、点検終了後、すぐに発航できるように用意します。
3.7.2
用意するもの
• ワイヤーカッター
• ニコプレス (商標です)
• ワイヤーブラシ
• スリーブ数個
• 軍手、ウエス
3.7.3
曳航索の傷み
曳航索の点検のポイントです。
13
• 素線切れ
索が無理に折り曲げられたりすると、素線 (索を構成する針金 1 本) が切れま
す。3 号、4 号ウインチではよく切れています。
ウエスで索を掴みながら歩いていくと、素線切れしているところで引っかか
るので見つけることができます。4 本以上切れていたらその部分を切り取っ
て繋ぎなおします。近くにスリーブが入っている場合、スリーブがやたらと
増えるのはいやなのでスリーブこといっしょに切り取ってしまいます。
• 磨耗
索がこすれて細くなってくることです。素線の半分まで磨耗した索は、元の
強度の 1/3 以上が失われています。素線切れ換算で、18 本切れ相当です。今
のところ明確な基準が定められていませんが (作るべきでしょ!) 、明らかに
磨耗が激しいところは修理してください。
Tost Winch を使っている場合は 、ほとんど 素線切れを起こさず、じわじわ
と磨耗だけが進行していくので、磨耗に対して特に注意が必要です。
• スリーブの傷み
索だけでなく、索をつないでいるスリーブも磨耗したりヒビが入ったりして
傷みます。泥がついて見にくいときは、ワイヤーブラシで泥を落としてから
チェックします。割れがあるスリーブや、端の山が磨り減ってなくなってい
るものは交換してください。
3.7.4
ワイヤーカッターの使い方
見たらわかるでしょ。ちょっと力がいります。
3.7.5
索の繋ぎ方
2人一組で行い (慣れれば 1 人でできる)、一方がプレス役、他方が誘導役にな
ります。誘導する人は、スリーブをニコプレスにあてて「赤白赤白…」と言い、丁
度良い位置にスリーブが挟まったら「白」と言い, ずれていたら「赤」と言って合
わせます。プレスする人は、
「白」だったら、プレスしてください。絶対に手をは
さまないように注意。挟んだら、まず確実にツメは割れます。とっても痛いらし
いです。
誘導役は、図のようにスリーブをつぶせるように、内側から順番に 4 箇所プレ
スしてください。すべて同じ方向からつぶすと、スリーブが曲がってしまうので、
図の矢印のように交互に向きを換えながらつぶしてください。
14
1
3
3.8
4
2
R/W チェンジ
グライダーに限らず、航空機は一般に、追い風での離着陸は非常にやりづらく、
安全の観点からも好ましくありません。ですので、風向きが変わったら、R/W の
反対側から離陸させるようにして、追い風状態での離着陸を避けます。
というわけで、風向きが変わったら、R/W の反対側までピストを移動します。
臨機応変に動いて、なるべく速く R/W チェンジが終わるようにしましょう。
3.9
道路監視
木曽川滑空場では、土手上に道路があります。曳航索が 、道路を走っている車
や人の上に落ちるとまずいので、曳航中は車に止まってもらいます。
道路監視は、もうすぐグライダーが離陸する、というタイミングで車がきたら、
離陸するまで車に止まっていてもらいます。
応対例:「すいません , 日本学生航空連盟の者ですが , まもなくグライダーが離陸
しますので , しばらくこちらでお待ち頂けないでしょうか ? 」
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止まって頂いた方には丁寧に対応し 、失礼の無いように。離陸後、必ずお礼を
言ってから、行ってもらうこと。たまに、興味を持つ方もいるようで、そういう
方には、グライダーの説明などをしてあげると喜んでもらえます。
3.10
繋留要領
繋留には、5 種類あります。
• 人間繋留( 人繋)
その名の通り、人間が翼端を持っていることです。繋留って言うのかはちょっ
と疑問。
• バラスト繋留 (バラ繋)
翼端にバラストを載せるだけの繋留。訓練中、あまりに風が強くない限り、
これ。
• 仮繋留 (仮繋)
訓練中風が強くなってきたとか、単座機のようにしばらく飛ばない機体を繋
留する方法。翼端をロープ 1 本で縛り、テールも縛る。
• 本繋留 (本繋)
撤収時にする繋留。翼端をロープ 2 本で縛り、テールも縛る。
• 強風繋留
夜、風が強くなりそうというときにやる繋留。翼端をロープ 3 本で縛り、テー
ルも縛る。
3.10.1
繋留時の注意
• 翼端は強く縛りすぎない
強く縛ると、翼がねじれて痛めます。縛った後、翼端が上がらない程度に縛
れば十分です。
• テールはしっかり縛る
テールは、垂直安定板が風を受けて機体がヨーイングしようとするのを防ぐ
ため、しっかり縛ります。
• アンカーはしっかり打ち、ロープは緩まないようにちゃんと結ぶ
でないと、繋留する意味がありません。
繋留のポイントは、アンカーをいかに抜けにくいように打つかにかかっています。
16
まず、なるべく太くて長い、良さそうなアンカーを選びます。垂直より少し傾
けて打ち込みますが 、あまり傾けすぎ ると抜けやすくなります。図のような感じ
で打つとよいと思います。
約45度
しっかり根本
まで打ち込む
10から20度
3.10.2
ロープの結び方
翼端、テールはトラックのおっちゃんたちがよく使う結び方で縛ります。
輪を作り
アンカーに引っかけて
巻き付けておく
上げ翼については、もやい結びをします。
池を作って
池から蛇が
出てきて
柳の周りを回って
また池に入る
手早くできるように、何回か練習してください。
3.11
朝の準備
朝、R/W に着いたら飛ぶために必要な準備をします。
17
• グライダーにかかっているシートを剥ぐ
• セームアップ
• 吹流しや、着陸帯を示すフハンを置く
• クッションやバラストなどの用意
• ピスト設営
• 索点検
• 集合
1 年生は、最初のうちは上級生の指示に従ってシートを剥いで、セームアップを
します。索点検をやらなければならない日は、その後、索点検に行きます。
飛ぶ準備がすべて整ったら、一度集合して、その日の注意事項などを伝達して、
飛行開始になります。
3.12
夕方の撤収作業
夕方、日没までに朝の状態に片付けます。
• グライダーをセームアップして、シートをかける
• 機材の片付け
• ピストの撤収
親になっている先輩についてやってください。
18
第 4 章 搭乗
グライダーの操縦方法は、
「風を聞け」などにあるので、そちらを参照してくださ
い。ここでは、合宿中の搭乗 → 着陸の一連の流れについて説明します。
早く上達したかったら、地面で良く考えることです。1 回 1 回、何を練習するの
か、ちゃんと目的を持って飛びましょう。
4.1
搭乗 → 着陸まで
ピストに、
「 557 搭乗」と言われたら、
1. ピストに報告。元気よく。
「報告します! < 自分の名前 > 、557 搭乗よろしくおねがいします!
!
!」
2. 重量および重心位置の確認
3. コックピット準備
4. 機内点検
5. 教官へ報告
6. 索付け
7. クリア確認
8. 準備よし・出発
9. 着陸・講評
10. ピストに報告。
「課目終了、ありがとうございました」
4.2
重量および重心位置の確認
グライダーは、前が重すぎ る状態や、後ろが重すぎる状態では飛べません。ま
た、強度にも限度があるので、規定以上の重さでは飛んではいけません。
19
というわけで、コックピットに入っている「重量および重心位置図表」という
ものを見て、乗ったときの重量と重心位置が限度内に入っているか確認します。
体重が重すぎてはみ出している場合は・
・
・。あきらめてください。そのグライ
ダーには乗れません。
逆に、体重が軽くてはみ出している場合は、お尻の下に鉛のおもり (バラスト )
を入れる事で対処します。重心位置の限度内に入るまでバラストの枚数を増やし
てください。必要以上のバラストは積まないように。お尻の下に敷くバラストは
飛行中に動くことがあり、好ましくありません。極力積まないに越したことは無
いのです。
※重心位置表の真中あたりにくるようにというのは迷信です。真似しないように。
4.2.1
重心位置表のみかた
まず、前席の重量を求めます。前席の重量=自分の体重+鉛のバラスト +パラシ
ュート +トリムウエイトです。トリムウエイトについては、重心位置表に体重何 kg
に相当するか書いてあります。ただし 、機体によっては、トリムウエイトは機体
の重量に含まれていて、前席重量に足さない機体もあります。
前席重量を求めたら、重心位置表を見て、前席重量と後席重量の交わる点を見
ます。グラフ上に 、左上∼右下に引いた線があり、その線に重心位置書いてある
ので、そこから重心位置を読み取ります。
また、飛行可能な範囲は、以下の項目をすべて満たしている範囲です。
• 前席重量が最小重量と最大重量の間に入っている
• 後席重量が最大重量を越えていない
• 前席重量+後席重量が最大搭載重量を越えていない
• 重心位置が前方限界を越えていない
• 重心位置が後方限界を越えていない
重心位置表には、それぞれの項目について限界値の線が入っているので、それを
越えない範囲であれば 、飛行できます。
20
後席質量(kg)
4.3
重量重心位置表
最大搭載質量
120
110
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0 60
後席最大質量
前方限界
240mm
260mm
280mm
300mm
320mm
340mm
360mm
380mm
400mm
前席
最小
質量
前席
最大
質量
2
70 80前席質量(kg)
90 100 110 120
コックピット 準備
グライダーに乗り込む前に、機内に異物が無いか確認します。バラストを普段
積まない人は、前の人が積んだバラストを降ろし忘れたりしがちなので注意して
ください。その後、必要ならバラストを積み、さらに自分の体型に合わせてシー
トの位置の調整をしてクッションを積み込みます。多くの機体で、厚さ 10cm 以上
のクッションを載せることが義務づけられているので、クッションなしで飛ぶの
は避けましょう。乗り込んだときに、頭がキャノピーにあたったり、手が計器板や
レリーズノブに届かないといったことのない様に上手に調整してください。
4.4
機内点検
まず、コックピットに座って、シートベルトを締めます。それから、コックピッ
ト内に貼ってある Preflight Check のリストに従って点検します。自分が乗った状
態で、操縦系統をめいっぱい動して足に当たったりしないか、レリーズノブに手が
届くか、などを確認します。乗る前に操縦桿を動かして確認したりするのは Non
sense です。
21
4.5
教官に報告
ここまでくる頃には教官もやって来て, 後席に乗り込みます。機外点検者から機
外点検異常なしの報告を受けたら、教官への報告をします。
例:
「報告します,< 名前 > 557 搭乗、宜しくお願いします。重量重心位置は , 前
席**kg 後席**kg ***mm で許容範囲内です。機内点検, 機外点検ともに異常ありま
せん。」
といった感じで報告してください。そうしたら、後席にキャノピーを閉めてよ
いか聞いて、キャノピーを閉めます。
このとき、自分の経歴 (何回/何時間位乗っているか ) や、これからのフライトで
どんな練習をしたいか、これがうまくいかないんだけどといった話を教官としま
しょう。効率よく練習できます。
4.6
索付け
例のレリーズオープン、クローズです。
「オープン」と言われたら、黄色いレリー
ズノブを引き、
「クローズ」でレリーズノブを放します。
4.7
クリア・風向風速確認
「前方、左右、上方、土手上、クリア確認。」指差し確認。
「風向風速確認。」吹流しを見て風の向きと強さを頭の中にインプット。
全て良ければ「前席準備よし!」
教官「後席いいよ。」
出発準備完了です。
4.8
準備よし・出発
出発準備ができたら無線で出発のコールを入れます。操縦桿の上に付いている
ボタンを押しながら、
「557準備よし!」
すると数秒間ピストとウィンチの無線のやり取りが聞こえ、そのうちウインチ
に引っ張られて離陸します。
∼しばらく楽しく飛んでください∼
22
4.9
着陸・講評
無事帰ってきたら、フライトについて、教官から講評を賜ります。忘れがちな
人は講評をノートに書き留めましょう。終わったら元気よく「課目終了有難うご
ざいました。」
23
第 5 章 機体について
5.1
5.1.1
各部の名称・働き
コックピット 内
例として、ASK21 のコックピット内を紹介します。
• 1. 操縦桿
右手で持って操縦します。左右に倒すと機体がロールし 、前後に動かすと機
首の上下をコントロールできます。
• 2. エレベータートリム (緑)
操縦桿を引っ張ったり、押したりしていなくても、ちょうどよい位置に保持
してくれるのがトリムです。
• 3. ラダーペダル調節ノブ
このノブを引っ張ると、ラダーペダルの位置を前後に調節できます。足の長
さに応じて調節してください。
24
• 4. スポイラー操作レバー (青)
引っ張るとスポイラーが開きます。着陸進入時に高度を落とすために使用し
ます。強く引っ張ると、車輪ブレーキが効きます。
• 5. レリーズノブ (黄)
引っ張ると、曳航索を切り離すことができます。索付けの時にも使います。
• 6. キャノピー投下レバー (赤)
左に動かすと、キャノピーがはずれます。緊急時以外はさわらないように。
• 7. キャノピーロックレバー
キャノピーのロックをするときは、左側の絵のように前に押します。右側の
絵のように、手前に引くと、キャノピーを開けられます。
• 8. ベンチレーター
灰皿ではありません。飛んでいるときに、風がでてきます。
• 9. ヒゲ
滑っていると横を向きます。
• 10. トリム位置指示器
トリムレバーを動かすと、一緒に動きます。トリムの位置がどのあたりになっ
ているかわかります。
• ラダーペダル
絵には描いてありませんが 、奥の方にラダーペダルがあります。
25
5.1.2
機外
1
2
4
3
5
7
6
13
11
9
8
10
12
19
14 15
16
18
17
• 1. 翼端
• 2. エルロン
操縦桿を左右に倒すと動きます。
• 3. 前縁
• 4. 後縁
• 5. スポイラー
コックピット内の青いレバーを引くと開きます。
• 6. 翼根
• 7. 水平尾翼
• 8. 動圧孔
速度計につながっていて、動圧孔にあたる風の強さで対気速度を測ります。
• 9. キャノピー
傷が付きやすく、割れやすいので、取り扱いには注意してください。
26
• 10. ベンチュリー管
バリオ (昇降計) につながっています。詳しくは、誰かに教えてもらってくだ
さい。
• 11. 静圧孔
高度計につながっています。上空に行くと、静圧孔からとれる圧力が下がる
ことで、高度がわかります。
• 12. 垂直尾翼
• 13. エレベーター
操縦桿を前後に動かすと一緒に動きます。
• 14.AT レリーズ
航空機曳航をするときに、ここに曳航索をつけます。
• 15. ノーズギア
• 16.WT レリーズ
ウインチ曳航をするときに、ここに曳航索をつけます。
• 17. メインギア
• 18. テールギア
• 19. ラダー
ラダーペダルを踏むと左右に動きます。
5.2
5.2.1
グライダートレーラー
グライダートレーラーとは
グライダートレーラーは、以下の図のようなもので、グライダーを分解した状
態で積み込んで、自動車で引っ張っていくものです。ド イツでは、これを引っ張っ
たメルセデスとかが 、アウトバーンを突っ走っているとか・
・
・。
グライダートレーラーは、ただグライダーを積めるだけでなく、グライダーの
組み立てと分解をやりやすいように工夫されています。
27
5.2.2
グライダーの組み立て / 分解
木曽川滑空場や大野滑空場では 、ASK21 をトレーラーを使って毎日組み立て/
分解しています。合宿中に、組み立てや分解の手伝いをすることもあると思うの
で、簡単に手順をまとめておきます。
• グライダートレーラーを固定する
まず、サイドブレーキをかけ、タイヤチョークを入れます。
• 蓋を開ける
後ろの蓋・
・
・というか、天井を開けます。取手は力をかけると折れることも
あるので、
「あ∼壊した∼」とか言われたくなかったら、取手は持たない方
が無難だと思います。
• 後部ハッチを降ろして、前輪でジャッキアップ
後部ハッチが地面につくまで、前輪を下げて (上げて?) いきます。その後、後
ろ足を降ろして、トレーラーを固定します。
• 胴体を降ろす
トレーラーの後ろについているスロープを出して、胴体を降ろします。テー
ルを少し持ち上げて、後ろに引っ張るだけで降ろせます。あまりテールを高
く持ち上げると、垂直尾翼の上端がトレーラーの天井に当たるので注意。
• グリースアップ
ほとんどの結合金具は、この状態でグリースアップできるので、みんなで手
分けしてグリースアップを終わらせます。
• 左翼を降ろして、胴体に差し込む
左翼を降ろします。翼端を持ち上げて、引っ張るとトレーラーから出すこと
ができます。降ろしてからでないとグリースを塗れないところが1ヶ所ある
ので、そこにグリースを塗って、胴体に差し込みます。その後、翼端保持具
を使って、主翼を保持しておきます。
• 右翼を降ろして、組み立てる
左翼と同じ手順で右翼も降ろして、胴体に差し込み、組み立てます。例の、
上反、下反です。
• 水平尾翼の取り付け
水平尾翼は、トレーラーの天井についています。グライダー類は、ド イツ人
サイズで作られているので 、小さい人は届かないかもしれません。トレー
ラーの天井をちょっと下げてもらって、水平尾翼を降ろしてください。
28
• ジャッキダウン
トレーラー付属の胴体受けには、ジャッキがついています。金属パイプを持っ
てきて、ヨイショとやるだけで、胴体受けを外せます。
• 片付け
胴体受けや、ピンケースなどをトレーラーに積んで、天井 (蓋?) を閉めて片
付けてください。
分解するときは、ほぼ逆の手順でできます。
5.2.3
組み立て・分解の注意
• 係の指示をちゃんと聞く
勝手に動いたりすると、けがをしたりグライダーを壊すことになります。
• 翼の下などには入らない
手が滑ったりして落ちてくるかもしれません。ASK21 の翼は、1 枚 100kg ほ
どあります。下敷になると、痛いだけでは済みません。
• 翼端は頑張る
ピンが入っていない状態で、翼端を下げると、胴体が割れたりします。下手
すると、修理数ヵ月&100 万円コースになってしまうので、係が力を抜いて
よいと言うまで、絶対に下げないようにしてください。
• 周りを良く見る
重い翼を持ちながらキョロキョロするのはしんどいですが、翼を出すときに
胴体にぶつけたり、トレーラーにぶつけたりといったことの無いように気を
配ってください。
29
第6章
6.1
Maintenance
セームアップ
セームアップとは 、セーム革 (実際に使っているのは合成繊維のものだが ) で 、
グライダーをきれいに拭いてあげることです。
6.1.1
羽布ばり機の場合
羽布ばりの機体は、水を嫌うので、堅く絞ったセームで拭いてあげてください。
6.1.2
FRP 機の場合
FRP 機の場合は 、いきなりセームでごしごし すると 、表面は柔らかいプラス
ティックなので傷だらけになってしまいます。そのため、ジョロなどで水をたっぷ
りかけて水洗いし 、最後に水気をセームで拭き取るようにします。このとき、胴
体と翼の接合部や、静圧孔、ベンチュリー管の孔などには水が入らないように気
をつけてください。
6.1.3
キャノピーを拭くとき
キャノピーが傷だらけになると、視界不良になってしまうので、極力傷を付け
ないようにしなければなりません。そのため、キャノピーが汚れたときは、FRP
機と同じように、水をかけて汚れを取ってから、水気を拭き取るのですが 、擦る
ようにして拭き取ると、傷を作ってしまいかねないので、ぺたぺた軽く押すよう
に拭きます。
6.1.4
その他
• 汚れたセームで拭かない
機体を汚すばかりか、小石や砂がついたセームで拭くと、機体が傷だらけに
なってしまいます。
30
• キャノピー用と機体用を混ぜない
キャノピー用セームは汚れてほしくないので、別に分けてあります。キャノ
ピー用セームでは機体を拭かないようにしてください。逆に、機体を拭いて
汚れたセームでキャノピーを拭くのもやめてください。
• セームは広げて使いましょう
ちまちま拭かずに、セームを大きく広げて、さっさと拭きましょう。
6.2
ワックスアップ
ワックスアップは、その名の通り、グライダーにワックスを塗ることです。ワッ
クスを塗ると、
• 見た目にきれい
• 汚れがつきにくくなる
• 表面の細かい傷を埋めてくれる
• 傷に水が入って、傷が広がったりすることを防げる
• 結果、塗装が長持ち
というわけで、ワックスを塗っておきます。
塗り方は、車に塗るのと同じで、スポンジでワックスを塗り、その後布で余分な
ワックスを拭き取るようにします。セームアップの時と同じで、スポンジや布が
汚れていると、きれいにしようとしているのに傷を増やすだけということになっ
てしまうので、気をつけてください。
それから、キャノピーには絶対にワックスをかけてはいけません。機首を太陽
の方向に向けたときに、真っ白になって何も見えなくなります。
6.3
グリースアップ
翼や胴体の結合金具にグリースを塗ることです。
6.3.1
機体を組むときは
機体を組み立てるときは、錆止めと、潤滑の両方の目的でグリースを塗ります。
組み立てたときに、結合金具同士の隙間がグリースで満たされるくらいの量のグ
リースを塗ります。
31
グリースが少なすぎ ると、金具の隙間に水が入ったりして、錆の原因になりま
す。逆に、多すぎると、周りにはみ出して汚れがたまる原因になります。最初、適
量がわからないうちは、少し多めに塗るくらいにしてください。
6.3.2
分解した後は
機体を分解した後は、錆止めのためにグリースを塗っておきます。周りにはみ
出すといったことはないので、たっぷりと塗っておいてください。
グリースを塗った後は、周りにグリースをつけたり、汚れがたまったりしない
ように、ラップかアルミフォイルで覆っておきます。
6.3.3
その他、注意事項
• ねじにはグリースを塗らない
• ピンなどにグリースを塗るときに地べたに置かない
• グリースの中に土や埃などが入らないようにする
6.4
工具の扱い方
R/W で、機体 (など ) が壊れたときは、その場で修理したりします。そのときに、
「工具を持ってきて」などと頼まれることもあるでしょう。というわけで、どこに
工具が入っているかであるとか、工具の名称ぐらいは覚えてください。
6.4.1
赤ツール
いかにも壊れかけのような工具箱に入っているツールたちが赤ツールです。赤
く塗ってあったり、赤い目印が付けてあるので、赤ツールと呼ばれています。
中に入っている工具は、
• オープンエンドレンチ (いわゆるスパナ)
• ボックスエンドレンチ (いわゆるめがねレンチ)
• コンビネーションレンチ (片方オープン 、もう一方がボックス)
• 六角レンチ (断面が六角形の L 字型の棒)
• モンキーレンチ
32
• ド ライバー (ねじ回し )
• スタッビー (でぶっちょなド ライバー)
• プライヤー (つかむだけの工具)
• ダ イアゴナルカッター (通称ニッパー)
• ペンチ (プライヤーとニッパーのあいのこ)
• ロングノーズペンチ (いわゆるラジオペンチ)
• ダックビル (やたら先の長いプライヤー)
• はさみ
などです。
6.4.2
白箱
白箱は、グリースやワックス、ベンジンなどの消耗品類が入っています。
入っているもの
• グリース
• ワックス
• ラップ
• アルミフォイル
• ビニルテープ
• マスキングテープ
• 布テープ
• 両面テープ
• プラスティックテープ
• CRC(KURE の 556 という潤滑剤スプレー)
• ブレークリーン (ブレーキ洗浄用スプレー)
• スプレーグリース
33
• ガソリン (缶に入っています)
• ベンジン (青いプラスティックの容器に入っています)
• アルコール (透明なプラスティックの容器に入っています)
• コンパウンド (ゲル状/液体のものが数種類入っています)
• などなど
6.5
格納庫/整備場での注意
阪大にも、木曽川滑空場にも格納庫があります。一般的な注意点をあげておき
ます。
• 騒がない
格納庫の中にはグライダーが入っています。騒いでいて、壊したりすること
がないように!
• 火気厳禁
格納庫内には、塗料や溶剤類が置いてあります。これらの有機溶媒などは引
火性の強いものもあります。下手すると火事になるので気をつけてください。
• 整理整頓
足を引っかけて転んだりしないようにということが1つと、作業中に必要な
ものがすぐにでてこないと、作業効率が著しく下がってしまうということで、
整理整頓を心がけてください。
• 掃除をするときは
掃除をするときに、埃をたてないように水をまくなどの対策をしてください。
グライダーが埃だらけになるということもありますが、格納庫の床の埃には、
FRP の粉末などが混じっているので、吸い込むと体に毒だからです。
34
第 7 章 その他
7.1
係の仕事
合宿中など 、やらなければならないことを分担してやるように係が決まってい
ます。
• 機体係
合宿中は、グライダーの朝点をやったり、撤収後の繋留チェックをしたりし
ます。
合宿前は、持っていくグライダーの準備をし 、合宿後にグライダーの掃除を
したりしています。それ以外に、機体の修理や年1回の耐空検査の手伝いを
します。
• 機材係
曳航索のエンド セット (パラシュート∼ゴ ム索) を作ったり、バラストやクッ
ションの管理をする係です。また、合宿の朝に、吹き流しや着陸帯のフハン
を用意するのも機材係の仕事です。
• ラジオ係
無線機の管理をする係です。普段は、朝夕にピストの無線機を用意したり片
づけたりします。たまに、ラジオが壊れると、必死で直しています。
• 自動車係
合宿前に、他大学の機材車を借りる手配をしたり、滑空場のリトリブカーの
管理をしたりするのが仕事です。
合宿以外では、機材車のオイル交換などもやっています。
• 会計
お金をちゃんと払わないとこわ∼い係です。
7.2
ログブックについて
ログブックは、自分の飛行経歴を証明する唯一の書類です。自家用操縦士の試
験を受けるときも、ログがちゃんと書けていないと、飛行経歴が証明できないと
35
いうことで、受験できなくなります。
ログブックを開いてみるとわかりますが、1 飛行につき 1 行書くようになってい
ます。この 1 行は、いつ/どこで /どれだけ /どんな飛行をしたのかということを、
機長 (教官) がサインをして証明するというものです。ですので、本来は 1 回飛ん
だら 1 行書いてサインをもらって、また飛ぶというものです。実際には、合宿中忙
しいので、しかたなく晩にまとめて (しかも他人が ) 書いていますが 、ログブック
の本来の意味を良く理解して書くようにしてください。
7.2.1
ログブックをもらったら
ログブックをもらったら、最初のページに名前や生年月日などを書いて、写真
を貼ります。次に、記入要領があるので、しっかり読んでください。
その上で、ログの書き方をちゃんと理解している人に、しっかりと教えてもらっ
てください。できれば 、教育証明か自家用操縦士の資格を持っている人に教えて
もらうのがよいと思います。
7.2.2
ログブックを書く時の注意
• 基本は自分で書く
合宿中は忙しいので、まとめて書いてまとめてサインをもらっていますが 、
用事がないときは自分で書くように心掛けましょう。また、書いてもらうに
しても、自分でチェックしなおすぐらいの慎重さが欲しいと思います。
• ちゃんと清書する
記入要領にもあるとおり、ペン書きしてください。ログブックは、メモでは
無くて書類ですので、鉛筆書きのままは NG です。他人のログをペン書きし
て間違えるとまずいので、鉛筆で書いていますが、自分のログなら下書なし
で、いきなりペンで書けばいいでしょう。
それから、1 ページ使い切ったら集計欄を書いて、左下の欄に署名捺印して
おきましょう。
• 間違えてしまったら
集計のところであれば 、二重線で訂正して自分の訂正印を押します。飛行記
録の部分を間違えた場合、その行を証明している、機長の訂正印が必要にな
ります。
36
第 8 章 合宿所への交通手段、連絡先
8.1
8.1.1
交通手段
木曽川滑空場
• 新幹線で行く場合
新幹線を使う場合は、岐阜羽島で降りて、宿舎から迎えに来てもらってくだ
さい。
• JR 在来線で行く場合
在来線の駅が近くにないので、米原まで JR 東海道線の新快速で行って、米
原∼岐阜羽島の区間は新幹線に乗り換えてください。
• 自家用車で行く場合
高速道路を使う場合は、名神高速の岐阜羽島 IC で降りて、降りたところの信
号を右に曲がります。あとは突き当たるまで真っ直ぐ 走っていくと、正面に
あるのが宿舎です。宿舎手前に駐車場があるので、自家用車はそちらに停め
てください。下道で行くなら、京都からは琵琶湖の湖岸道路を走っていくの
が速いでしょうか。大阪からは、国道 163 号を走っていくのが速いようです。
8.1.2
大野滑空場
• 電車で行く場合
JR 東海道線で 、米原まで新快速で行き、そこで乗り換えて、さらに JR 東
海道線の大垣まで行きます。大垣から、近鉄の養老線で広神戸あたりまで行
き、迎えに来てもらってください。
• 自家用車で行く場合
高速道路で行くなら、大垣 IC で降りて、国道 21 号まで北上します。そこか
ら 、国道 21 号 → 揖斐川右岸の土手道 → 平野庄橋の順で行けばよいでしょ
う。下道で行く場合は、琵琶湖の湖岸道路を走って、米原から国道 21 号で
行けます。
37
8.2
連絡先
主将、班長の欄は各自書き込んで下さい。
名称
電話番号
木曽川宿舎
R/W 携帯電話
大野携帯電話
福井宿舎
058-397-0049
090-3353-9378
090-1236-1731
0776-51-3107
主将
班長
副班長
部員
38