本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証券子会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・ コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。 マサングループ(MSN) 作成日 時価 中間決算速報 2016 年 8 月 1 日 VND64,000 18 March 2011 前回の目標価格 目標株価までの上昇率 配当利回り 株式投資収益率 業種 時価総額 外国人保有比率上限までの残り 30 日間平均日次売買高 政府の保有率 VND92,000 +43.8% 0.0% 43.8% コングロマリット USD2,145 mn USD391 mn USD0.9 mn 2015 16 年上半期 2016F 売上高伸び率 90.4% 83.8% 40.4% EPS 増減率 35.8% 180.8% 30.4% 売上総利益率 32.0% 29.1% 27.4% 純利益率 4.8% 5.4% 4.5% EPS(VND) PER PBR 1,965 32.6x 3.1x 1,367 2,563 25.0x 2.8x PER(直近 12 ヶ月) MSN 22.4x VN 指数 14.9x PBR(実績) 3.0x 1.9x 純負債/資本比率 1.6% N/A 0% ROE 13.3% 13.0% 発行済み株式数(百万株) 756.1 ROA 3.1% 2.3% 完全希薄化後株式数(百万株) 756.5 *F は当社予想 マサングループはブランド品の食品・飲料業及び飼料バリュ ーチェーンを運営している。その他の事業には鉱業や銀行持 分が含まれる。 全業種の堅調な業績により予測を上回る収益を達成 MSNの16年上半期売上高及び少数株主持分控除後税引き後純利益(NPAT-MI)はそれぞれ前年同期比 で84%、184%伸びた。当社通年予測比では、売上高は45%を達成し、またNPAT-MIは54%の水準で、 当社予測を超える業績を残している。これはマサン・リソーシズが予想を超える高い利益率を達成する一 方で、その他部門が予想どおりの結果を確保していることによる。 今後NPAT-MI及び評価バリエーションの上方修正を予定しているが、MSNの純資産価値(NAV)ベースで の企業評価上、マサン・リソーシズの占める割合は7%と小さいため、評価バリエーション面での大きな影 響はないと見込んでいる。MSNに対する投資格付け「買い」推奨を維持する。 家畜飼料部門、鉱業部門、テクコムバンク部門の目覚ましい成長が、少数株主持分控除後税引き後純利 益の 184%の伸びを下支えした。 周知のとおりマサン・ニュートリ・サイエンスは 15 年上半期業績では 5 月、6 月の 2 ヶ月分の業績のみ連結対象であったが、比較可能とするために 6 ヶ月間の数値で計算して も同社は税引き後純利益で堅調に 38%伸長している。また、マサン・リソーシズは合弁会社で付加価値の 高い加工製品の商業生産を開始したことに加え、コスト効率の目覚ましい改善により、EBITDA の 49%伸 長を達成した。さらにテクコムバンクは純金利収入や手数料収入及びその他事業活動収入が大幅に増加 したことに支えられて、税引き後純利益が 58%増えている。 図表 1:MSN の 2016 年上半期損益の概要 16 年上半期 (10 億ドン) 食品及び飲料(F&B) 動物タンパク質 鉱業、銀行業等 グループ合計 6,345 11,051 1,745 19,141 904 1,031 374 2,309 売上高 少数株主持分控除(MI)前税引き 後純利益 未割当費用 -829 グループ MI 前税引き後純利益 1,480 グループ MI 後税引き後純利益 1,034 15 年上半期 (10 億ドン) 食品及び飲料(F&B) 動物タンパク質 鉱業、銀行業等 グループ合計 5,881 3,332 1,201 10,414 852 160 -22 990 売上高 MI 前税引き後純利益 -317 未割当費用 グループ MI 前税引き後純利益 673 グループ MI 後税引き後純利益 364 出所:MSN 及び当社 1/5 マサンコンシューマーの16年第2四半期の業績回復により、F&B 部門の上半期売上高成長率は7.9% を達成 食品及び飲料部門 15年上半期 伸び率(%) (F&B) (10億ドン) 調味料 2,356 2,257 4.4% インスタント食品 1,823 2,037 -10.5% 飲料その他 1,623 1,291 25.7% 543 296 83.4% 6,345 5,881 7.9% ビール 合計 HOLD 前年同期比 16年上半期 - 調味料の販売は 16 年第 2 四半期に前年同期比 16%伸び、第 1 四半期の 11%下落分を取り戻し、 プラス基調となった。16 年 第 1 四半期の落ち込みはベトナムの旧正月(Tet)の始まりが例年より早かっ た影響であり、第 2 四半期の伸びは前年数値が低かったことによる。MSN によると、タイのシンハー社 (Singha)との提携の一環で、同社は 16 年第 3 四半期からタイで調味料の独自ブランドの展開を始める 予定であり、同部門のさらなる成長に貢献すると思われる。経営陣の報告によれば、市場テストとしてこ こ 2 か月間以上実施してきた顧客アンケートの結果は良好であった。 -マサンコンシューマーが市場の飽和化と競争の激化という 2 つの難局に直面し、インスタント食品の販 売は減退した。この局面を打開し、再度成長軌道に乗るには、同社が新商品の開発導入を成功裏に行 うことが不可欠であるが、既に市場に様々な商品が溢れ、新しくイノベーションを起こす余地が限られて いるなかでは易しい状況にない。同社の採るべき戦略としては、商品ポートフォリオのプレミアム化(高級 化)、隣接分野への展開、地方への販路拡大等が考えられる。 - 飲料その他は堅調な成長を達成したが、その主要因はビナカフェ・ビエンホア社(HSX: VCF)の売上高 が 10%伸びたことと、15 年 11 月にマサンコンシューマーが買収したクアンニン・ナチュラルミネラルウォ ーター社を統合したことによる。ビナカフェ・ビエンホア社の増収は、エナジー飲料の WakeUp247 の大 幅販売増と、まだそれ程顕著なものではないが、既に 600 のコーヒー店が取扱っているコーヒーカプセ ル飲料 Café De Nam が下支えしている。 - 低調だったビールの販売は、マサンブルワリーがベトナム南東部に加え、ベトナム南部のメコン・デルタ 地帯での市場占有率を固めたことから、急速に回復した。16 年下半期からは、現在、量販用商品しかな いス・トゥウ・チャン(Su Tu Trang)ブランドに、プレミアム化商品を加える予定である。 - 売上高は伸展したものの、F&B 部門の EBITDA は前年同期比と同水準に終わった。これは同社が商 品分野全般にわたって販売経費を拡大したことによる。 マサン・ニュートリ・サイエンスは特に豚用飼料の伸びに助けられ利益率が改善、税引き後純利益の前 年同期比 38.1%増を記録した 家畜飼料部門 前年同期比 16年上半期 15年上半期* 伸び率(%) (10億ドン) 純売上高 11,051 9,706 13.9% 売上総利益率 22.3% 17.9% 4.4 ppt EBITDA 1,615 1,117 44.6% 少数株主持分控除前税引き後純利益 1,037 751 38.1% (*マサン・ニュートリ・サイエンスは 15 年上半期業績では 5 月、6 月の 2 ヶ月分の業績のみ連結対象で あったが、比較可能とするためにここでは 6 ヶ月分を載せている) 比較可能としたベースで、マサン・ニュートリ・サイエンスの 16 年上半期売上高は前年同期比で 14%伸 びている。実際には販売量としては 24%増加したものの、市場の平均販売価格の下落傾向に押された。 この目覚ましいばかりの販売量増加は同社のブランディング活動の成果である。特にバイオ・ジーム (Bio-zeem)商品群の売り込みにあたっては、主としてテレビコマーシャルおよび組織立ったセミナーの開 催を推し進めている。売上全体の中では、地方の畜産経営者や個人家庭で畜産を営んでいる層に対す 2/5 る売上が拡大している。テレビコマーシャルやセミナーと言った媒体が、大規模畜産経営事業者以上に、 こうした地方や個人の畜産事業者により効果があることが理解される。販売量では、特に豚用飼料の顕 著な増加が見られ、前年同期比では 58.2%増大し、売上全体に占める割合は 15 年上半期の 49.6% から 16 年上半期には 63.2%となった。飼料全般の利益率の大幅改善に、ブランディングの向上と仕入 れコストの下落が貢献したこと以外に、豚用飼料の売上高増大がやはり全体の利益率改善に役立って いる。これは豚用飼料の売上総利益率がそもそも他の飼料より 2-3ppt 高いからである。マサン・ニュー トリ・サイエンスの 16 年上半期税引き後純利益率は 1.65ppt 改善した。 HOLD マサン・リソーシズが予想を上回る 50.2%の EBITDA 利益率を達成。売上高は予想どおり。 家畜飼料部門 前年同期比 16年上半期 15年上半期* 伸び率(%) (10億ドン) 純売上高 EBITDA利益率 1,745 1,201 45.3% 50.2% 48.9% 1.3 ppt 70 104 -32.7% 少数株主持分控除後税引き後純利益 (*マサン・リソーシズ単独決算数値) 売上高の伸びは、生産高が 13.5%上昇(タングステン換算数量)したことと、合弁会社で生産した付加価 値商品の商業販売開始に支えられている。 商品相場が弱含んでいる現況で、EBITDA 利益率が 50.2%に上昇したことは驚くべきことだ。この上昇を可能としたのは、1) 採鉱の生産性向上(これは経営 陣主導で回収率の向上及び品質改善に取り組んだことで、より多い生産量とより高い平均販売価格に つながったことが奏功している)、2) 地元要員の増員による労働コストの減少、3) 新しい会計指針に則っ た、幾つかの経費分類の見直し、の 3 つの要因によるものとみている。同社の 16 年上半期の EBITDA 利益率は、当社通年予想の 26%を大幅に上回った。次回のレポートでは、マサン・リソーシズの利益率 予想を上方修正予定である。 テクコムバンクの 16 年上半期の税引き後純利益は、前年同期比で 58%急上昇した。これは純金利収 入が 17%、純手数料等収入が 40%増加したことによる。同銀行の財務諸表を精査したうえで、次回報 告時にさらに詳細なコメントを行いたい。 3/5 格付けと評価方法 絶対的で長期的な格付け:当社の推奨は、市場との相関評価ではなく、(目標株価-時価)/時価+配当利回りという計算 式で算出された株式のトータルリターンに基づいている。 HOLD 格付け 買い アウトパフォーム(O-PF) マーケットパフォーム(M-PF) アンダーパフォーム(U -PF) 売り 格付け無し 格付け中断 定義 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+20%以上であると予想 する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+10%から+20%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から+10%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から-20%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-20%以下であると予想 する場合。 対象銘柄は調査部より分析される可能性があるが、自発的な理由、または当社 が企業に対し合併や戦略的取引の助言を行うなどの特定条件下で法令や社内規 定の遵守の観点から格付けや目標株価の設定を行わない場合。 格付けや目標株価の設定を行うための基本的な情報が不十分な場合。前回の格 付けと目標株価(ある場合)は同銘柄に対して無効になる。 別段の定めがない限り、株価変動のパラメーターは資本の増加を反映するものであり、有効期限は 12 ヶ月である。将来 における株価変動は一時的に時価と目標株価に、上方または下方に差異を引き起こす可能性もある。そのため、株価変 動のパラメーターは柔軟に解釈される必要がある。 目標株価:殆どの場合では、目標株価はアナリストの評価による当該株式の現在の適正価値に等しい。目標株価はアナ リストの予想した状況が現実となりカタリストが機能し、市場がそれを認識した時に取引される価格である。しかしながら、 カタリストが欠けているために市場が期間内に評価をしないとアナリストが考えた場合、目標株価は適正株価と異なること がある。従って、殆どの場合では、当社の推奨は現在の市場の株価と当社の現在の適正株価の差異の評価である。 評価方法論:目標株価を算出するために、アナリストは割引フリー・キャッシュ・フロー及び比較分析など様々な評価方法 を駆使している(但し、これらの方法に限定することではない)。評価方法の選択は当該業界、当該企業、当該株式の特徴 および他の条件に依存する。企業の評価は下記の一つ、または複数の方法の組み合わせによって行われる。(1)倍数に 基づくモデル(P/E, P/キャッシュ・フロー, EV/売上, EV/EBIT, EV/EBITA, EV/EBITDA)、類似企業との比較と歴史的な評 価のアプローチ、(2)割引モデル(DCF, DVMA, DDM)、(3)価値の分割アプローチまたは資産に基づく評価方法、(4)経済利 益アプローチ(残存収益、EVA)などである。評価モデルは GDP 成長、金利、為替レート、原料価格とその他の経済に対 する仮定と当該企業の特定のリスクなどに依存している。また、市場の心理も企業の評価に影響を与える可能性がある。 株式の評価はまた期待感に基づいて、期待感は予告なく、素早く変化し、それぞれの業界の特定の技術開発に依存して いる。 リスク:過去のパフォーマンスは必ずしも将来の結果を示すものではない。為替レートはこのレポートに記載された証券ま たは関連の投資商品のバリュー・価格または収入に悪影響を与える可能性がある。 4/5 本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証券子会社 HOLD のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。本レポートは、信頼できると考え られる公開情報に基づき作成されたものですが、その内容の正確性及び完全性を保証するものではありません。本レポート に記載された内容等は作成時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。本レポートは投資の参考となる情 報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。本レポートに含まれる情報のご利用にあたっては、 投資家ご自身の判断と責任でご利用下さい。 キャピタル・パートナーズ証券株式会社 調査部 research@capital.co.jp 商 号 等 キャピタル・パートナーズ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 62 号 加入協会 日本証券業協会 http://www.capital.co.jp/ [事業所] 本社・本店 〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-13-7 四国ビルディング 電話番号:03-3518-9300(代表) 大阪支店 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎 2-5-10 梅田パシフィックビルディング 電話番号:06-6232-8370(代表) 名古屋支店 〒460-0003 愛知県名古屋市中区綿 2-19-19 広小路センタープレイス 電話番号:052-220-3690(代表) 福岡支店 〒810-0801 福岡県福岡市博多区中洲 5-5-13 KDC 福岡ビル 電話番号:092-272-0873(代表) 5/5
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