2004年4月号 - ITIL - itSMF Japanオフィシャルサイト

2004.04
IT サービスマネジメントフォーラム
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2
目次
ニュースレター 2004.04 it SMF Japan の本格的な展開に向けて it SMF Japan 副理事長 西野 弘
「ITIL の実装へ向けて 」 株式会社アイ・ティ・アール 新会員紹介 第一生命情報システム株式会社殿
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5
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BS15000 認証 From SERVICEtalk
8
インタビュー BSI ジャパン殿 11
リアルタイム・インフラストラクチャ・テクノロジ From SERVICEtalk
13
資格認定によって強化されるサービスマネジメントの取組み EXIN
17
インタビュー アール・プロメトリック殿
21
日本における ITIL トレーニング動向
22
Ask The Experts From SERVICEtalk
24
イベント報告: 第2回セミナー
27
3
it SMF Japan の本格的な展開
に向けて
it SMF Japan 設立の記者会見が開催されてから1年近く
が経ち、NPO法人としての活動も半年を越えようとして
います。
IT サービスマネジメントに対する日本での興味は、設
立メンバー8社の予想を上回るものでした。昨年はまさに
スタートの年でしたが、今年は青本・赤本といわれるIT
ILの最も重要な書籍の日本語化、認定資格試験の日本語
化、そして組織的にも1, 000名近い会員規模となり、ま
さに今後の発展への母体ができあがりつつあります。
私も副理事長という役職から、ITILに関するセミナ
私は、日本人が学習のみをしっかりとし、自分の今の状
の講師としてこの約1年の間 、 東京だけでなく名古屋、大
態を把握せずに、また明確な目的とゴールを設定せずに流
阪などにも招かれ講演させていただきました。どの会場も
行のようにITILの導入をしていくことに、少々危惧を
満杯の聴衆で、皆さんがとても熱心にメモを取られている
抱いています。
姿を見かけました。
組織と個人に対するマネジメントの導入には、多くのコ
従来 、 IT業界では技術中心のセミナが大半を占めてい
ストと労力そして経営層からのコミットメントが不可欠な
ましたが、やっとマネジメントへの興味と理解を深める動
ものです。ITILは「魔法の杖」ではなく、自らの学習
きが出てきたことは大変喜ばしいことです。私は5年前に、
と実践から生まれるものであると信じています。
米国プロジェクトマネジメント研究所の日本支部を最初に
立ち上げ、初代の会長を務めさせていただきましたが、当
20世紀の「装置産業」の時代から21世紀の「創知産
時のIT産業ではプロジェクトマネジメント(PM)はし
業」の時代に大きく転換を図る時期に今一度自らの質的な
っかりしている、何を今さらとの声が多く、支部の立ち上
転換が求められているのではないでしょうか。
げには多くの努力と時間を要しました。その過去の事実と
比べるとITILに対する興味は高く、その差を実感して
日本でのISOが、取得しただけの「ISO自慢」に終
います。もちろんPMについても今では注目され、日本の
わる傾向にある中、本来のマネジメントが求めている進化
IT産業の実力は世界レベルから大きくかけ離れているこ
を実現するために、多くの優秀な日本人のチャレンジを期
とを認める方々も増えてきました。
待いたします。今後、日本からもITILの多くのベスト
プラクティスが紹介されることを期待してやみません。
PMにしてもITILにしても、とにかく最初は学習を
しなければいけませんが、日本の特徴として、成功事例と
it SMF Japan 副理事長 西野 弘
導入事例を早急に求める傾向が強い気がいたします。マネ
ジメントはITツールの導入とは違い、人間の体質改善に
似た要素があります。その体質が人間それぞれ違うように、
組織ごとに違うことが多々あります。一言で導入事例と言
っても、その事例自身が自分に当てはめた場合どうなのか
を判断する能力無しに自らに当てはめていくことは多くの
リスクを抱えています。
4
「ITIL の実装へ向けて」
― 成熟した IT オペレーションへの道標 ―
国内外の主要企業は、限られた予算内で高い IT 効果を
することで得られるものではありません。現時点で未成熟
創出するために、管理ツールの導入やアウトソーシングの
と目される IT 組織は、少なからず組織文化や部門間の力関
実施など IT オペレーションの合理化へ向けたさまざまな取
係など人的な影響によって継続的にオペレーションの成熟
組みを行ってきました。しかし、こうしたアプローチは必
を阻害される傾向にあり、改革へ対する十分な機会を得る
ずしもすべての企業に期待する結果をもたらしておらず、
ことができないでいます。IT オペレーションの改革へ向け
オペレーションの技術依存度が高いことや組織体制が硬直
て、実りある結果を出すには、ビジネスの階級階層のなかで、
化していることなどが起因して、かえってコスト増加や品
IT を人、技術、プロセスが織り成す実利的なサービスとし
質低下を招くケースも少なくありません。IT オペレーショ
て体系化し、IT 組織やオペレーションチームがその実績や
ンを改善するには単に技術の導入や運営上のテクニックだ
価値を訴求できる仕組みが必要です。これには洗練したオ
けではなく、組織や文化といったより広範な影響要素を見
ペレーションプロセスに裏打ちされた堅牢な管理体制のも
据えて実行する必要があります。昨今 IT オペレーションの
と IT サービスが管理されなければなりません。
成熟度は企業によって乖離し始めており、数年後には多大
プロセス指向による IT サービスの構造化は、IT オペレ
な格差を生み出すことが指摘されています。IT 組織は将来
ーションによる具体的かつ信頼性の高いアウトプットを可
的に成熟した組織とそうでない組織の差が広がる傾向にあ
能にします。例えば、ユーザは保証されたサービスレベル
ることと、後手にまわるほど越えるべきハードルが高くな
という形で IT サービスを享受し、経営者や予算管理部門は
ることを認識し、早期にオペレーション改革へ向けた体制
投資対効果を目に見える形で評価することができるように
の整備を開始することが望まれます。
なります。IT オペレーションの重要なプロセスが定義され
ておらず、かつ相互の依存関係が明確でなければ、IT サー
成熟度の二極化
ビスはそのコストや品質の妥当性の見極めが困難となり、
評価の対象にはなり得ません。ましてや、管理ツールを導
昨今では、新技術の台頭やシステム構成の複雑化とい
入してもオペレーションが未定義であれば、効果的な活用
った外部環境に加えて、経営層やユーザからの要件が高度
はできないでしょうし、外部委託を試みてもかえって混乱
化などの内部環境が変化していることから、IT 組織のオ
を招くこととなるでしょう。IT サービスを管理するにはそ
ペレーション成熟度のレベルが乖離する傾向にあります。
図 IT オペレーション成熟度の二極化
高
∼ 7% の IT 組織が既に高度に成熟したオペレーションを実
勝者
META グループの調査によれば、世界主要 2000 社の 5%
現しており、10% の IT 組織がこれを追従していると見られ
成熟度のギ��プ
ます。2005 年までに 20% の IT 組織が一定水準の成熟度へ
達すると見られるが、徐々に成熟派へ移行する企業がこれ
成熟度
に加わることで、2009 年までに高い成熟度を保持する IT
組織は 30% に達するでしょう。この反面、場当たり的なオ
ペレーションに終始し、改善の機会を見出せない IT 組織は
これまでにも増して激化する環境変化の影響を受けること
により、さらにその成熟度を低下させると見られます。こ
そのギャップは年々広がることが予想されます(図参照)。
敗者
低
うして、IT オペレーションの成熟度は近い将来に二極化し、
企業は年々拡大するであろう成熟度の格差を視野に、早
期に IT オペレーションの改革へ向けた取組みを開始するこ
2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年
とが求められます。しかし、成熟したオペレーションとは、
出典:META グループ
単に、管理技術を刷新したり、外部リソースを活用したり
5
= ITオペレーションチーム(組織)
の生成過程である IT オペレーションプロセスを明確に定義
特に汎用化されたオペレーションにおいては効果的です。
することが基礎的なアプローチとなるのです。
ただし、アウトソーシングは常にその提供者、受給者の双
プロセス指向の IT サービス管理は、IT 組織が関与者で
方の期待や条件を明確にして実施すべきです。期待に反す
あるユーザ部門や管理部門と共通のインタフェースを備え
る結果を招いた場合は、ベンダーを変更できるようにオペ
ることを意味します。これを通じて組織間の相互理解を進
レーションプロセスを保守しておくことが望まれます。
めることは、文化の摩擦の排除を促し、長期的にオペレー
ションチームに負荷の軽減とコストの低下をもたらすでで
■標準的かつ反復可能なタスクの自動化
しょう。このような成熟した IT オペレーションを導くうえ
反復性の高いタスクの実行に高いスキルを持つスタッフを
では、IT 組織は以下の点に留意してオペレション改革を行
配置することは適切ではありません。これらのタスクは自
うことが望まれます。
動化を図るべきです。ただし、自動化はプロセスの実行力
が強化されることを明確な目標にしない限り適用すべきで
■ベストプラクティスに基づいた構造的なプロセスの適用
はありません。不十分な検討のもと自動化ツールを購入す
ITIL は IT 管理フレームワークとして重要なプロセスを標準
ると、ライセンス料金の発生する不良資産を抱えてしまう
化するための雛型を提供します。IT 組織は自社の現状やあ
結果になりかねません。
るべき姿をマッピングする際にゼロからこれを構造化する
のではなく、ITIL が提供するベストプラクティスを元に具
■社内スタッフへの新たな役割の供給
体化することで作業工程を大幅に短縮できます。運用改善
合理化を勧めた結果、幾つかの IT オペレーションの役割
計画を立案した結果、組織体制の刷新や適用技術の変更が
がアウトソーシングや自動化の犠牲になることは否定でき
要求されることもあるでしょうが、いずれも構造化された
ません。このような役割を果たしてきたスタッフには可能
オペレーションプロセスを起点とすることで、整合性のと
な限り IT 組織や関連する組織での雇用を確保し、さらに戦
れた管理体制の構築が可能になります。
略的な目的においてその役割を広げるべきです。柔軟な条
件が引き出せればアウトソーシングベンダーへの転籍を希
■ビジネスゴールの共有化と技術適用
望するスタッフも出てくるでしょう。IT 管理者はいかなる
情報システムの実際のオペレーションは少なからず「技術」
環境変化に際しても希望や要求へ対してその可能性を熟慮
へ焦点を当てています。技術崇拝はオペレーションの信頼
し、スタッフを先導することが求められます。
性やコストパフォーマンスを引き出すうえでは重要です。
しかしながら、技術力で解決すべきこととは最終的に企業
オペレーション成熟度の二極化が進む中、今後の IT 組
のビジネスゴールである点を忘れてはなりません。また、
織は未成熟なシステム運用管理業務から脱却してプロセス
ビジネス価値を伝えるのは、ビジネス上の日常的に流通す
指向型の IT サービス管理体制を確立することが求められて
る言葉(製品出荷に対する在庫システムの停止の影響など)
います。ITIL 等を活用してオペレーションプロセスを整備
であるべきで、技術中心の語彙であってはなりません(サ
する取組みは、IT サービス管理を実施するうえでもっとも
ーバ・アベイラビリティなど)
。
重要な手続きのひとつといえます。この時、IT 組織やオペ
レーションチームがいかに内外の組織と的確なコミュニケ
■共生文化の醸造と士気の強化
ーションを図り、信頼性の高い相互関係を築いていくかが、
IT オペレーションが成熟する過程では IT 組織と現業部門、
IT オペレーションを成熟へ導くポイントとなるでしょう。
あるいは IT 部門と外部ベンダーとのビジネス上の好意的な
関係性が要されます。それには相互に士気を向上させるイ
株式会社アイ・ティ・アール/ META グループ アナリスト
ンセンティブプランを検討すべきです。これにはサービス
金谷 敏尊 Toshitaka Kanaya
実績を明確に報告することに加えて、ボーナスやペナルテ
ィを課すことなどが考えられます。ただし、効果を高める
には過度なボーナスやペナルティの評価を避け、士気向上
や牽制効果が見込める程度の水準に設定しなければ逆効果
となります。
■アウトソーシングの見直し
アウトソーシングは適切に実行されれば賢明な選択といえ、
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新会員紹介
第一生命情報システム株式会社殿
足立伸男取締役基盤システム本部長、中野光孝アナリスト(ソリューション本部)にご対応いただきました。第一生命情報システム殿は第一生命グループ
会社に情報システムの企画、運用、開発業務のサービスを提供しており、グループ会社以外にも ERP 関連、SI 関連などのサービスを提供している、従業員
約 1,700 名の企業です。府中情報センタ(本社)は快適なオフィス空間を保ちながら、最新のデータセンタの設備、セキュリティ対策が装備されています。
インタビュア:現在の第一生命情報システム殿の運用の現状と
ソリューション本部で
取り組みについてお聞かせ下さい。
の ITIL の実装状況も
足立氏:事業所は本社の府中、日比谷、大井(神奈川県)があ
お聞かせ下さい。
り、コンピュータセンタは府中と大井の2箇所に分散しており
足立氏:第一生命受
ます。第一生命グループ企業全体のシステムでは、10 台の MF(約
託業務では丁度、IT
4000MIPS、約 15TB)、2,000 台を超える Windows、Unix サー
インフラの見直しと
バを管理、運用しています。第一生命の拠点数は支社、営業部、
して、ネットワーク
支部等で約 2000 拠点となり、携帯PCを含め、約70,000 台
からサーバ、PC の
を超える PC クライアントを日々運用しております。グループ企
全ての再構築を実施
業全体とそれ以外の企業の売上比率は約9対1の割合となって
している時期にあた
います。第一生命からもグループ企業からの受託業務とソリュ
ります。このような
ーション事業の両立を求められており、グループ企業以外への
タイミングに合せて、運用全般の見直しをすることが効果的だ
ソリューション事業を拡大していく取り組みを推進しています。
と考えます。ITIL はユーザ企業が運用管理業務を改善するため
中野氏:私の所属しているソリューション本部は、第一生命情
に役立つ作業内容や手順が体系化されものであり非常に参考に
報グループ企業以外のお客さまのシステムを運用している部門
なると考えました。
になります。現在5社からシステムをお預かりし、運用管理業
中野氏:ソリューション本部では、もともとは外販のお客さま
務を受託しております。(中野氏は第1回 it SMF セミナの事例発
のヘルプデスク運用が発端でした。ツールを採用したものの、
表のセッションで登壇して頂いた方です)
実際ヘルプデスクの運用をどう回していくかを思案していた時
足立取締役 中野アナリスト
に、ITIL を知り、ツールも ITIL 準拠であることから、まずはで
インタビュア:システム重要視されている昨今ですが、ビジネ
きるところから取り組もうとインシデント管理、問題管理、変
スサイドのニーズ、ご認識を教えて頂けますか?
更管理に重点をおき進めてきました。当初は手順書や承認プ
足立氏:生命保険事業は、商品の背景に複雑な数理計算がある
ロセスの整理に手間取りましたが、今までやっていた事の見直
こと、お客さまのご契約期間が長期間であること、大量のデー
しや整理ができそれが体系化できたことが良かったです。現
タを扱っていること等から、コンピュータ利用が早くから進ん
在、監視ツールとの連携を進めている状況です。今後の課題は
できています。全ての営業職員が利用している携帯端末も4世
CMDB の構築ですね。この部分がサービスサポートの要となる
代目を開発中です。経営の全ての場面での利用が進んでおり、
ところなので十分検討を重ね構築したいと考えています。
最新技術の業務への反映による業務の変革と安定的な運用の両
インタビュア:it SMF Japan への期待について、また入会の動機
面が求められています。
についてお教え下さい。
インタビュア:最近、IT における運用と投資のバランスが雑誌
足立氏:システム運用に関して、業種、業態を超えて議論しあ
などで取り上げられていますが、差し支えなければお聞かせ下
える場所がなかったので、ユーザ企業を増やしてユーザ間交流
さい。
が促進できることを期待しています。ユーザ事例は、まだまだ
足立氏:IT投資と運用の定義が各社各様だと思いますが、第
少ないようですので、自分達が先端事例となって、会員の皆様
一生命受託業務においては、四半期毎にシステム化案件が戦略
に貢献できるような意識をもって入会しました。システム運用
投資案件、事業維持案件、保守案件に分類され、当社に委託さ
の次のステージへ進むためには ITIL が必須だと考えています。
れます。バランススコアカードを導入した投資サイクルが確立
されています。15 年度で見ますとソフトウェア開発の約3割が
編集者独り言 : 訪問したビルは窓も少ない堅牢なデータセンタ
維持 / 保守、7割は戦略投資になります。なお、戦略投資案件
で、入り口の開門もわずか、複数の警備員さんが厳重に入・出
の中には、既存システムの機能アップのための費用が含まれる
館を管理されていました。物理的なセンタの管理のみならず、す
場合もあります。システム基盤に係わるネットワーク、ハード
でに数々の品質管理基準を取得している第一生命情報システム殿
ウェアの保守、ソフトウェアの保守などを加味しますと、全体
が、今後、日本を代表する IT サービスマネジメントの実践者と
的に約5: 5の比率となります。
して活躍くだされば、これぞ鬼に金棒、実りある議論を it SMF Japan にて、繰り広げることが可能となるのではないでしょうか。
インタビュア:ITIL に取り組むきっかけをお教え頂けますか?また、
7
BS15000 認証
From SERVICEtalk
この文章は、it SMF 2003 コンファレンス(UK)の中で行
準に対する外部からの評価が、it SMF に登録された独立系
われたプレゼンテーションの梗概になります。
の監査組織により実行されるからです。
BS15000 と ITIL
なぜ、BS15000 の採用を検討すべきか?
BS15000 と ITIL の関係についてご存知でしょうか?
BS15000 は、いまや業界で認められた IT サービスマネ
よくでる話題のひとつである「どのように発音するのか」
ジメントの品質の標準です。それは、世界的に広く認知さ
ということについては、ITIL が‘ ITT’L‘ や‘ Eye-TIL‘ や
れ、ISO9000 と同様の流れでビジネス用件となってきてい
‘ I-T-I-L ’ などと発音されることに比べて、
’BS15000‘ の
ます。例えば、魅力的なことですが、BS15000 認証を目指
ほうは議論の余地もないところです。
すことは、IT サービスのベストプラクティスを組織の公約
ITIL は、我々の特有なビジネスにもうまく適合すること
としていることの証明として認められていくでしょう。
のできる「実証されたプロセスやガイドラインのベストプ
そのため、BS15000 認証は、IT サービスマネジメント
ラクティス」を提供します。しかし、最終的には、ITIL は
の品質が組織の中で厳しく推進されていることの強い証明
実際にはあくまでも推奨を提供するだけで、ビジネスの中
になります。ITIL を採用することは、すばらしいことです。
での成功・失敗の決定ができるほど実用的なものではあり
それは長い道のりですが、しかしそれが完全な回答という
ません。実は、これが BS15000 の開発された理由になり
わけではありません。
ます。
例えば、BS15000 が規格化されるまでは、我々がサー
BS15000 は ITIL と密接に連携され、監査を可能にする
ビスの購入を検討している組織は、ITIL コンプライアント
ための品質のレベルを設定しています。サービス・プロバ
であることを宣言していたとしても、我々にはその宣言を
イダ組織を対象にしており、おのおののプロセスは、いく
評価する方法はありませんでした。我々は彼らと話をする
つかの必須要件とそれに対応した達成目標を持っています。
ことはできます。彼らの営業担当者が正しい専門用語を使
サービス・プロバイダ組織は、組織によって承認されたレ
うことを知ることができ、彼らから彼らのスタッフの ITIL
ベルで、プロセスの要件に従う必要があります。サービス・
認証者の比率の情報を得ることができますが、しかし実は
プロバイダ組織によって詳細かつ複雑に承認されたレベル
リリース管理やキャパシティ管理を実施できないことを、
をもったキャパシティ計画がその一例になります。
彼らは我々には言わないでしょう。
BSI, it SMF, OGC の間に正式な協約があり、その文章の
我々が実際にその場に行って、我々自身が監査を実施せ
中で「2つの異なった、しかし権威のある情報元からださ
ずには、彼らがどれくらいのレベルの‘コンプライアント’
れた2セットの異なった出版物のために、業界が混乱すべ
か(適格性があるか)を知る方法はありませんでした。
きではなく、それらの出版物は整理されかつ相互参照でき
もちろん、もし彼らが、it SMF により管理された認証体
るようにすべきである、という点について全員が合意して
系の組織である Registered Certification Body (RCB) により
います。両方の出版物は、意図的に同様の論理構造で構成
発行された BS15000 コンプライアンスの認証を示すこと
されています。結果的には、ITIL の書籍と BSI の出版物は
ができたら、彼らの能力が高いレベルである、と我々は確
すでに統合されています。
」と書かれています。
証をもつことができます。
認証に関して言えば、ITIL は個々人の適格性を認証する
BS15000 の主な利点は、組織が IT サービスマネジメン
ための道筋であると考えることができ、BS15000 はサービ
ト・プロセスの高い標準を既に確立しており、それにより
ス・プロバイダのプロセスを認証することを目的としてい
管理サービスを組織的に・的確に・コストに見合った方式
る、という考え方は正しいと考えます。
で展開することができることです。他にもいくつかの利点
BS15000 認証とは、ある組織がベストプラクティスの
があります。
効果的なプロセスを展開していることを証明されている、
ということを意味しています。なぜなら、全ての正式な標
■お客様とビジネスの要件に合致し、効果的に管理された
8
サービス
そらく特定の場所のサービス・プロセスや、特定のお客様
■ it SMF の認証を持っていることの市場における優位性
にサービスを提供する組織の一部分などです。
認証は、ベストプラクティスの助言をするコンサルタン
■構造とプロセスの最適化によるコスト削減
■明明解で適確な文書化
ト組織に対しては適用されるものではないことをお伝えし
■サービスマネジメントの責任を十分に理解したスタッフ
ておきます。コンサルタント組織では、その組織の IT 部門
■有効性を改善するための定期的なプロセス評価
が BS15000 認証を持っているかもしれません。そこから、
■効果的な事業性継続管理があり、リスク管理の法的要件
その組織のカルチャのようなものを判断できても、認証が
に合致
コンサルティングという領域をカバーしているわけではな
いので、コンサルタントの能力については判断材料にはな
りません。
金融部門の例ですが、2006 年の Basel II 合意の冒頭
いくつかの認証機関が、コンサルタント部門を持ってい
において、金融組織に対し、リスク査定を元にした比率で
資産の一部を確保しておくことを要求しました。これは、
ることは事実ですが、これらは監査部門と独立して運用さ
110 ヶ国の3万の銀行に影響を及ぼしました。BS15000 認
れなければなりません。このことは、法的な基本要件であり、
証は、リスクが適切に管理され、それで留保資産を増やさ
it SMF 認証の体系でもあります。it SMF は、彼らの国の規格
なければならない可能性を低くすることを主張する、一般
( 標準 ) 団体によって信任された組織からの申請のみを受理
的な要因となるのかもしれません。たとえ要求の 1% の削
します。イギリスでは、UKAS によって組織が信任されるこ
減であっても、彼らの組織にとっては非常に大きな金額で
とを意味し、監査の独立性はこの信任により保障されます。
あることを意味しています。
もうひとつの利点は、IT 部門にとっての重要なマイル
登録された認証期間
ストーンを設定し、たとえ認証を得ることが極めて多くの
時間と工数を費やすことになったとしても、監査の成功に
登録を求める監査組織は、it SMF に申し込みをして、彼
より得られる成果は、祝杯を挙げる価値が確かにあるとい
らが登録基準を満たしていることを示す情報を提供します。
うことです。
it SMF は彼らを認証機関 (RCB) として登録、監査の成功を
また、スタッフのモラルが、高品質な環境で仕事をする
ことにより改善され、そのことは一般的にプロセスへのコ
認証する it SMF BS15000 体系のロゴを使用する許可を与え
ンプライアンスを推進する助けになります。人々が監査を
ます。同様に、レター・ヘッドなどにロゴを使用する権利
受けることを想定して仕事をするようになるからです。ま
などを認証組織に与えます。
た、プロセスに則っていない事実が明らかになり、認証が
RCB は、どのようなコンサルタント組織からも完全に独
取り下げられることにつながりえるからです。つまり、少
立しているものとして運用し、その監査人は IT サービスマ
なくとも、これらのことをプロセスから逃れようとする人々
ネジメントの特別な教育を受けます。時には、RCB は特定
に対して言うことができます。監査人は、我々が監査人に
の知識を提供するため、テーマ毎の専門家を連れてくる場
見て欲しくない場所にうまく入り込んでいく技術を持って
合もあります。
it SMF の意向としては、RCB は監査される組織に価値を
います。
与えるべきです。it SMF 体系の下での BS15000 監査は、た
だの決まりきった事務的な監査ではなく、付加価値を与え
てくれます。なぜなら、監査は、この領域の有能な人々が
認証のスコープ
実行し、所見やレポートを作成するからです。このことも、
認証の質と信頼性を改善する助けになります。
認証は、社内のお客様や社外のお客様、またその両方に
それでは、なぜ我々は it SMF の RCB を利用するのでし
対して、サービスマネジメントを提供する組織が狙います。
ょうか? その認証体系の下で実行される独立した監査は、
認証は、標準の要件に対して組織を評価するためのプロ
セスです。もし、組織が成功すれば、彼らにはコンプライ
全ての他の BS15000 監査と同様に、監査が同一の一貫性
アンス認証が出されます。
をもった高度な標準によって実行されている、といった確
信をもたらします。監査は、結果に利害のない完全に独立
これには、監査と認証の適用範囲を定義するスコープ・
ステートメントが含まれます。対象は、準拠するサービス・
した組織により実行されるので、他の業務を生み出すいか
プロバイダの全組織のみならず、サービスマネジメント・
なる配慮もなしで、真の位置づけを把握することを、純粋
プロセスに直接関係する組織の一部分であるかもしれませ
に狙っています。
コンファレンスの際には、2つの RCB があり、ほかに
ん。例えば、大企業の中のアウトソーシング部だけや、お
9
です。典型的な認証プロセスには、以下のものが含まれます。
いくつか認証中の団体がありました。最初の2つは、Det
Norske Veritas (DNV) と KPMG Audit plc であり、詳細や、
登録されているその他の情報は www.bs15000certification.
■計画−日時、期間、場所など
com から見ることができます。
■ BS15000 プロセス文書の現場外での分析
■現場での監査人の正式なインタビューや、非公式な診断
■収集情報の分析と BS15000 監査レポートの発行
■全てが成功裡に完了すれば、BS15000 認証
BS15000 はイギリスのためだけにあるのではありません
もし上手くいかなかった場合でも、標準に準拠するため
BS15000 は、現在はイギリスの標準ですが、認証プロ
セスは全世界の誰でも適用することができ、イギリス以外
の対処が必要な、準拠していないと判定された領域につい
の多国籍サービス・プロバイダ組織も標準に対して監査さ
ての詳細情報が得られます。
この段階で、準拠していなかった度合いに応じて、1ヶ
れる場合があります。全ての RCB は、国際的なサービスを
月以内もしくは3ヶ月以内などで監査を再度実施すること
提案し、標準に対して監査することに前向きに対応します。
を合意できます。再監査の場合、一般的には準拠していな
it SMF 認証コミッティは、既にイギリスでは提供されて
いる監査人研修を、2004 年に全世界で提供したいと考え
かった範囲に焦点をあて、問題を解決し準拠していること
ています。世界的に推進するために、it SMF では、世界を
を確認されることになります。
またにかけ、各国でのこの展開を支援するために体系を管
理するよう、各国 it SMF の関与を積極的に呼びかけていま
認証後について
す。また、各国の標準化団体にこの標準を適用するよう呼
びかけています。it SMF は、2 年以内に BS15000 が ISO に
認証を得て手続きの残項目が解決したあと、組織は、3
採用されることを目指しています。
年後のフルでの再評価日までに、3 年間(最低1年に1回)
監視の監査をうけます。
it SMF は、標準化と認証体系を適切なものにしていくた
認証のための主要なステップ
めに投資をし、RCB を設置したり、文書を it SMF の書店や
はじめに BS15000 監査人である認証機関に連絡します。
BSI から入手できるようにし、認証取得ができる準備を整
えました。
また、内部で BS15000 コーディネータがおそらく必要と
なるでしょう。
著者:Ian Whyte SERVICEtalk 2003 年 12 月号
改善領域に関する情報を得るために、事前監査レビュー
を実施することをお勧めします。このレビューは、おそら
く BS15000 セルフアセスメント・ワークブックを使用し
(1)BS15000 に関する今回の記事を見ていただければわかりま
て内々に実施されるか、ギャップ分析サービスを提供する
すが、標準には 2 つのパートがあります。BS15000-1:2002
外部組織により実施されます。どの方法も大変有意義です。
はサービスマネジメント仕様であり、BS15000-2:2003 は
社内監査人は彼自身の方法や一般的な監査の範囲を知って
実施基準(Code of Practice)になります。標準は、British
Standards Institute (BSI) に著作権があります。
いますが、外部組織の経験は、意義深い価値と独立性を提
供します。究極的には、両方を合わせて実施することが最
(2) ITIL は Office of Government Commerce (OGC) の登録商 標
良の答えとなるでしょう。
です。
コンサルタント的な助言をしてくれる組織を、連絡をし
ている RCB と同じ組織にすることはできない、ということ
を覚えておいてください。RCB の利益に関する競合を避け
るため、RCB は、認証しようとしている領域でコンサルタ
ント的な助言をすることを許されていません!
認証監査
次に、監査の適用範囲と付託条項について確認すべき
10
インタビュー
― BSI ジャパン殿 ―
京で 500 人規模、大阪で 300 人規模の BSI ジャパンお客様
IT サービスマネジメント関連の唯一の規格である
BS15000 の動向は、本誌でも創刊号と前記事にてご報告
向けセミナで BS15000 のお話をしましたが、反応は上々
してまいりました。英国での動向は理解したが、日本で
でした。
の取り組みはどのくらい進んでいるの?という疑問をお
持ちの会員様も多いかと思います。そこで、ニュースレタ
インタビュア:どんな企業からの問合せがありますか?
ー編集委員にて、3 月 5 日 BSI ジャパンの山口様を訪問、
IT をベースにサービスを提供する大手企業からBS
BS15000 の日本での最新動向について伺って参りました。
15000 認証への引き合いがすでに複数件きています。問い
合わせも日々増えています。IT ベースのサービスを提供し
ている組織であれば、どこでも BS15000 の取得にチャレ
インタビュア:BSI ジャパンについてお教え下さい
ンジすることができますが、現在は、通信、通販、コール
BSI ジャパンは 4 年前(1999 年)に設立された従業員
センタなどの業態の関心が高いようです。
120 名の審査登録機関です。英国 British Standard Institute
(BSI)の日本法人として、BS や ISO のマネジメントシステ
ム審査、登録、トレーニングなどを行っています。現在の
審査・認定業務は主に ISO9000 が主体ですが、BS15000
インタビュア:BS15000 とはざっくりどんなものなのでし
についても、審査員をすでに 4 名養成、英国 BSI からの承
ょうか?
BS15000 は ITIL からの要請によって規格化されました。
認を得ています。BSI ジャパンとしては、
この 4 月以降、徐々
IT サービスマネジメントの理論である ITIL をベースとして、
に BS15000 の領域に力を入れていこうと考えています。
組織が実施、認証をうけるための基準を提供しています。
IT サービス運営のためのフレームワークともいえます。
インタビュア:日本での BS15000 の関心度は?
ご存知の通り、品質マネジメントである ISO9000 の中
日本では ISO9000 の取得遅れによる痛い経験があ
り、逆に「マネジメントシステム」に対する理解が急速
には、IT サービス部門に関わる要求項目がわずかしかあり
に進みました。セキュリティ・マネジメントの規格である
ません。具体的には 9001 の 6.3 項で、「インフラストラク
BS7799 の認証は、お膝元の英国でもまだ 200 組織台です
チャー」の中に多くが集約されてしまっていました。IT サ
が、日本では 300 組織を超えています。それだけに、IT
ービス部門としてはそれだけでサービスを提供する品質を
サービスマネジメントの規格である BS15000 への関心も、
保つ仕組みを確立することは不十分です。そこで BS15000
日本では今後、一層盛り上がることと思います。昨年は東
のような IT サービス全般を扱う品質保証の規格が求められ
出典: BSI ジャパン
11
たのです。BS15000 では、IT リソースを戦略的に活用する
インタビュア:BS7799 との関連が良くわかりません!
ため、次を意識したマネジメントシステムとなっています。
BS15000 ではセキュリティ要件として BS7799 を参照
しています。BS15000 では BS7799 のフレームワークさえ
①技術重視から顧客志向の運用重視体制の確立
あれば良いことになっています。よって、BS7799 を取得
②顧客ニーズに適合したマネジメントシステムを構築する
済みであれば、BS15000 セキュリティ部分の要件クリアが
手法のガイドライン、標準の導入
容易になります。
③規格では運用コストも意識
インタビュア:ISO 化の噂がありますが。
。
。
インタビュア:BS15000 の効用は?
ISO 化の動きがあります。現在のところ、2004 年に
BS15000 を導入することで、以下のような効用を実現
向けて BS15000-2(実施基準)の規格化、2006 年に
することで組織のレベルを上げていくことに役立ちます。
BS15000-1(サービスマネジメント仕様)の規格化が目指
■システムの運用において、管理水準及びその効率のアッ
されています。
プ、改善の機会などを提供する
■技術重視から顧客志向のサービス重視に移行する
インタビュア:BS15000 の認定例はございますか?
■ビジネスのニーズを明確にする
この 3 月、世界で始めて英国の IT サポート・サービ
■システムの信頼性と可用性を向上させる
ス企業データレクト社が BS15000 認定を取得しました
■SLA決定基準を提供し、改善の基礎を提供する
(http://asia.bsi-global.com/Japan+News/index.xalter)
。審
査そのものは様々な組織で進んでいますので、今年は世界
インタビュア:BS15000 の最適な取得対象範囲をお教えく
で複数社の認定組織が誕生するでしょう。
ださい
認証取得の対象を悩む企業さんが多いですね。組織全
規格導入のイメージ
体をスコープとする場合もあれば、IT サービス部門のみを
対象とする場合もあります。現在関心を持っている企業は、
導入前:
まず第一歩として社内の IT サービス部門から始めることが
さまざまなリソース
多いようです。パターンとしては、まず、内部向けの IT サ
(人・設備・仕組み)
ービスで認証を取得し、そこで実績を積んでから、外部向
が各部門に広がる
けサービスで取得していく、という流れになりそうです。
導入後:
BS15000 を含めたマネジメントシステムの一般的な取
リソースは顧客志向
得のステップは、以下の通りになります。
として再構成され、
顧客
SLA、コストが継
続的に改善
マネジメントシステムの導入方法
1.
マネジメントシステムと
その要求事項を理解する
出典: BSI ジャパン
マネジメントを巻き込む
規格を理解する
日本での認定に関しては、BSI ジャパンにお問い合わせ下
2.
外部コンサルタントや参考文献を利用する
システムを導入する
スタッフに研修を受けさせ、マネジメント
さい。
企業の詳細については BSI ジャパン Web サイト
(http://asia.bsi-global.com/Japan/index.xalter)をご覧下さ
システムについて精通させる
3.
審査登録機関の選択
マネジメントシステムの
審査登録プロセス
審査登録
予備審査→初回認証審査→認証取得→
い。
継続審査→更新審査
4.
マネジメントシステムの
コミュニケーションと維持
出典:BSI ジャパン資料より it SMF Japan 作成
12
リアルタイム・インフラストラクチャ・テクノロジ
サービスマネジメントの境界の変化
From SERVICEtalk
RTI テクノロジ (Real Time Infrastructure Technologies)
度をより高いレベルに引き上げることが求められるでしょ
とは、ビジネス上の要件や負荷状況に応じて IT インフラ
う。
ストラクチャリソースを動的に割り当てる機能や障害から
RTI テクノロジは、IT の利用に関して長年にわたって積
の自動修復機能などを提供するテクノロジの総称であり、
み重ねられてきた組織的、文化的なルールに課題を投げか
Gartner Group によって名づけられました。
けています。このような変化は、全ての企業にあてはまる
規模の大小を問わず、ビジネスの IT への依存度はます
わけではないでしょう。しかし、もしビジネスの成功を確
ます高まっており、IT リソースに対する需要も急増してい
実にするために RTI を展開するならば、避けて通ることは
ます。これに伴ってシステム運用部門やデータセンターで
できません。変化にすばやく適応した企業は資本に転化で
は運用管理作業量が増加するとともに、高度なスキルを保
きるような機会を得ることができます。RTI への移行を成
持することが必要になっています。他方、IT に対する投資
功させるためには、変化を受け入れる能力を組織が持って
対効果も厳しく評価されるようになり、運用管理をめぐる
いるかどうか、そして、テクノロジの変化と(こちらのほ
状況は厳しさを増しています。
うが重要なのですが)ビジネス・プロセスの変更によって
こうした課題に対するひとつの回答として、RTI テクノ
得られる効果の両方に適合できるように、IT とビジネスの
ロジによる運用管理の自動化が各ベンダーから提案されま
伝統的な役割を再定義しようとする意思を組織が持ってい
した。ビジネス上の需要の変化に対応して IT リソースを動
るかどうかをよく考える必要があります。
的に割り当てて十分なキャパシティを確保し、障害リスク
例えば、多くの企業はプロジェクト単位で IT リソース
を最小化することによって、少ないコストで高品質なシス
を購入しています。しかし、RTI の本当の効果は、事業部
テム運用を実現することを目的としています。
をまたがった調達を可能にするような購買モデルが実現さ
RTI テクノロジによってシステム・インフラストラクチ
れて初めて現実的なものとなります。いったんすべての IT
ャをより効率的に利用することができるようになるでしょ
リソースが RTI モデルにしたがって仮想化され割り当てら
う。しかし同時に、RTI テクノロジは、IT サービスマネジ
れたならば、誰がそれを所有しているかは重要ではなくな
メントに対して大きなインパクトを与えます。たとえば、
ってしまいます。したがって、新しい RTI モデルには、ビ
テクノロジ主導の IT サービスのサポートから、ビジネス・
ジネスに対するサービスの実際のコストを識別することを
ニーズ主導の IT サービスのデリバリに重点が移っていくと
可能にするような、強力なチャージバック機能が備わって
考えられます。また、インフラストラクチャの運用管理の
いることが必要です。最近、よく焦点となっているのは、
自動化・仮想化が進むことによって、管理プロセスの成熟
IT コストの削減です。しかしながら、私たちが本来、懸念
サービス・アーキテクチャ
サービス
サービスデリバリ
¥¥¥
仮想化
マルチベンダ
ストレージ
ネットワーク
IP
ネットワーク
サーバ
ネットワーク
基盤リソース
サービスサポート
13
アプリケ�シ�ン
監視
測定
プロビジョニング
ポリシー
ビジネス部門
すべきことは、ビジネスに対する(IT)サービスの価値と、
レベルを決めるために必須となっています。それから、サ
その価値に関連する(IT)サービスの運用コストです。
ービスレベル目標は、サービス毎に解釈され、要求された
現在多くの IT プロジェクトは、たとえ短期のものであ
サービスレベルが達成されたかどうかを識別できるように
っても、構築コストとコスト縮小要求との不均衡のために、
監視されます。
先行きは明るくありません。IT 組織が RTI を採用すれば、
現在のところ、サービスレベル管理は、日々のサービス
新規の IT サービスを迅速に、構築、開発、テストすること
を提供するにあたって必要なものと見なされています。し
が出来るでしょう。短期プロジェクトも経済的に実行可能
かし、完全に自動化された RTI 環境では、サービスレベル
になるでしょう。構築時のリソースは使うときだけ割り当
管理は必須になってきます。つまり、ビジネス要件を翻訳
てられるため、構築コストは最小限になるでしょう。リソ
するキーとなってくるのです。RTI の一例として、SUN の
ースはリソース・プールに戻され、使えなくなるまで再利
N1 ファブリック・オペレーティング環境は、サービスレベ
用されるので、さらに、ある程度のコスト縮小が可能でし
ル目標やビジネス目標をもち、それらをオペレーション・
ょう。
パラメータに変換しています。サービスレベル目標が RTI
多くの IT 組織は、先進的な業界標準のどれかに基づ
モデルの不可欠な構成要素となっていますので、この自動
いて運用モデルを構築しています。例えば、ITIL(サービ
化は、素晴らしい俊敏性を結果としてもたらします。サー
スデリバリとサービスサポートから構成される)
、CobIT、
ビスレベル管理についての RTI のもつ根本的相違点は、こ
BS15000 などです。これらのフレームワークは、運用環境
れが無視できない機能となっている点です。つまり、オペ
を実行する際に、素晴らしい手引きとなります。しかし進
レーション・パラメータ無しでは、サービスは成立しない
化を止めたりテクノロジの変化に追随したりできなくなる
のです。
ならば、使われなくなってしまうでしょう。この記事の残
RTI から最大限の効果を得るために、企業は、ビジネス
りと今後の連載記事は、新しい RTI モデルがサービスマネ
に対して提供しているサービスを完全に理解する必要があ
ジメントをベースとした ITIL に与える影響を詳細にみてい
るでしょう。多くの企業では、RTI を導入可能にするため
きます。今回は特にサービスデリバリのエリアに言及しま
に要求される準備が、サービスレベル管理のプロセスの成
す。
熟度を加速する助けになるでしょう。さらに、一旦 RTI が
運用され、もし、サービスレベル目標に合致しない場合は、
運用環境が、IT サービスレベル設計者に対して、サービス
サービスデリバリとサービスサポート−変革期?
記述を修正するように警告します。サービスレベルが正し
くないかもしれませんし、RTI 環境に対するサービスの定
ITIL モデルでは、サービスデリバリは、サービスレベル
義のしかたを変えなければならないのかもしれません。
管理、IT サービス財務管理、キャパシティ管理、IT サービ
このことは、サービスレベル管理の監視やレポーティン
ス継続性管理、可用性管理から構成されます。一方、サー
グのために利用可能な自動化のレベルの大幅な改善を示し
ビスサポートは、サービスデスク、インシデント管理、問
ています。さらに、一定期間ごとの(週次、月次)サービ
題管理、変更管理、リリース管理、そして構成管理から構
スレベル・レポートから真にリアルタイムな反応への移行
成されます。
を促進します。RTI がすべてのサービスの管理に焦点を当
RTI の到来により、この定義さえも不鮮明になりつつあ
てることによって、経営における意思決定とビジネス上の
ります。しかし話をよりわかりやすくするために、RTI に
要請とが今よりも直観的に結びついていくようになるでし
よってもたらされる予想される著しい相違点を掘り下げて
ょう。
いくベースとしてこれらの項目を使うことにしましょう。
サービスレベル・マネージャは、IT とビジネスの関係の
今回は、サービスデリバリに特化し、その分野の詳細をみ
中枢になっていくでしょう。なぜなら、サービス記述を定
ていきます。
義したり、サービスの優先順位付けをしたりすることで、
現時点のベストプラクティス用語で、サービスレベル管
実際に、サービスを提供する方法を規定していくことにな
理は、サービスレベル・アグリーメントの計画立案、調整、
っていくからです。ビジネス要件によって、サービスの需
起草、合意、監視やレポートといったプロセスを示す用語
要が増加したり減退したりするのに合わせて RTI が変化を
です。要求されたサービス品質が遵守され改善されている
自動的に調整していきます。現在、曖昧に書かれているサ
ことを確実にするためにサービス達成度を継続的にレビュ
ービスレベルを意味のあるサービス定義に翻訳することが、
ーすることに加えて、サービスレベル・アグリーメントは
多くのビジネスにとっての重要なチャレンジになるでしょ
IT サービス・プロバイダとビジネスとの関係を管理する基
う。サービス定義を設計し実装するために、IT 担当者はビ
盤を提供します。今日、インフラストラクチャのサービス
ジネス目標を正しく理解し、それに照準を合わせていくこ
レベル管理は、ビジネスのサポートに必要な IT サービスの
とが必要になるでしょう。
14
IT サービス財務管理
■サービス・キャパシティ管理
■事業キャパシティ管理
殆ど全てのビジネスは効率的な財務管理が必須であると
認識していますが、一方、実際にはその多くが、IT の価値
RTI は、この3つのサブプロセス全てを新しい方法で自
はおろか本当の IT コストさえも識別したり追跡したりして
動化することができます。情報を照会したり、使用傾向を
はいません。効果的な IT 財務管理は、正確なサービスコス
分析したり、といった面倒な要件を取り除くことができま
トを明確にし、お客様に対し、コストを払った分のサービ
す。これらは、自動化の機能として本来備わっているもの
スが提供されているかどうかの判断を可能にすることです。
です。例えば SUN の N1 では、リソースの可用性を保証す
RTI によって、会計処理はサービス定義に統合されサー
るサービス定義で、ピークと閑散期に応じることができま
ビスのライフサイクルの一部になります。
す。また N1 は、全体としてのキャパシティが超過すると
IT サービス財務管理は実行時のモニタリング・サービス
予測された場合、警告してくれます。この時点で、リソース・
を提供し、RTI がリソースの使用状況を追跡することがで
プールにリソースを追加することもできますし、社外の仮
きるようにします。続いて、
(IT サービス財務管理は)決
想化されたリソース・プールから社内のリソース・プール
められた要求に従って使用状況に関する情報の収集・集計・
に一時的なピーク対応用にキャパシティを借りることすら
および関連付けを行います。殆どの企業が、TCO を注視し、
できるのです。
IT に消費するコストを減らそうとしています。コストを効
RTI は、キャパシティ・オンデマンドに対する完璧な手
果的に使うことは重要ですが、コストを削減したからとい
段です。サービス定義を利用することにより、IT サービス
ってより効率的なサービスが提供できるわけではありませ
は、安全にビジネスの期待に対応し続けることを保証しま
ん。私たちは TCO の価値を認識しています。しかしながら、
す。サービス記述を定義し、全てのキャパシティの使用状
本当の問題は、ビジネスに対するサービスの価値を判断で
況をサービスレベルで適正化することを保証すると、個々
きるかどうか、ということです。サポート・コストは、ビ
のサービスのピークと閑散期に応じることができます。
ジネスにとってのサービスの価値に対する割合として評価
正しくアプローチすれば、これが、RTI の重要なエリア
されるべきです。
になるでしょう。キャパシティ管理の自動化が IT インフラ
N 1のような RTI 実装では、実績に基づいた TCO の数
ストラクチャのコストのかかる予備キャパシティの必要性
字が正確に、詳細に提供されます。この数字をサービス記
を削減するということが RTI にとって重要なエリアである
述ならびにビジネス要求とともに使用することによって、
ことが認識されます。しかし、ビジネス要件と厳密なプロ
ビジネスに対するサービスの真の価値を明らかにすること
セスの関連付けが保証されることによってのみ、成功裡に
もできます。続いて、全体としてのビジネス価値を減ずる
達成することができるのです。
ことなく最も効果的にコスト削減できる方法を含めて、設
備投資ならびに営業費の優先順位付けの指針を提供します。
その結果、主要プロジェクトに関連するリスク管理にも
IT サービス継続性計画
著しい変化が起こります。リスク管理が今以上に、主要な
設備投資に関連する問題というよりは、効果的で即時に本
ほとんどのビジネスは、日々のビジネス運営を IT 施設
当の要求に見合うものかが問題になってきます。
に非常に依存しています。それ故、経営者は、業務処理の
継続性を保証するための必要な手段をとるべきです。その
ためには、業務処理に対するリスクを減らすことと、業務
キャパシティ管理
処理を中断するような出来事が起こったとき、ビジネス運
営を続けることができるような緊急事態時の計画を作るこ
キャパシティ管理プロセスの目標は、適正なコストで
との両方が必要です。
IT キャパシティが常に維持されること、ならびに IT キャパ
ビジネス継続性を準備する計画の一部として、組織は、
シティが現在および将来にわたり定義したビジネス要件と
ビジネス活動によって創り出される価値と、それが行えな
合致していることを保証することです。それゆえ、キャパ
い場合の損失とを検討するべきです。売上に直結するもの
シティ管理機能では、ビジネス・ニーズ、運用構造、およ
とは別に、企業イメージ、評判、営利団体における将来の
び IT インフラストラクチャを把握することが肝要です。
ビジネスに対する潜在的な損失、契約やその他の法的義務
キャパシティ管理は、3つのサブプロセスに分けられま
の不履行の可能性も検討すべきです。
す。
RTI は、大きな仮想的なリソース・プールに効力があり
ます。つまり、リソース・プールがビジネス要件によって、
■リソース・キャパシティ管理
事前定義されたルール・セットに応じて、明白な方法で管
15
理されたコンポーネントのいずれかの故障に対応できるの
サービスデリバリへの全般的影響
です。
これにより、コンポーネントの一時的使用不可による中
今日のサービスデリバリ機能は、ほとんどが最後に導入
断もなくなり、ひとつのサイト全体の運用能力がなくなっ
されるものです。しかし、今後は、サービス開発の最初か
たときでさえも、影響は著しく減るでしょう。正しく管理
ら検討され、また、サービスをサポートするインフラスト
されていれば、ひとつのサイトでの災害が、提供している
ラクチャやアプリケーションの設計にも検討されなければ
サービスにほとんど影響することなく、仮想化されたリソ
ならない活動になるでしょう。
ース・プールの中での一時的なリソースの再割り振りをし
サービスレベル管理は、サービスを定義するときに、そ
ているだけに見えることでしょう。
れがなければサービスが提供できないような重要な働きを
たくさんの代替の運用能力を持ちたくない企業のため
するでしょう。これは、ビジネス要件やポリシーに関連す
に、サービス・プロバイダが、お客様サービスの定義をひ
る鍵です。サービスレベル目標は、サービスが動き出す前
とつの RTI インフラストラクチャに対するものとして行い、
に定義されなければなりません。
既存の仮想化されたリソース・プールに容易にかぶせてし
IT サービス財務管理は、サービスのライフサイクルの
まうようなことも将来起こるかもしれません。いずれにし
中で、成熟した統合的な働きをするでしょう。つまり、使
ても、
「災害からの復旧」の検討に比べて、サービスの継続
用量に応じた本当のコストを識別することができるように
性を可能にする RTI インフラストラクチャにどのようにポ
なります。これにより、IT 組織がサービスを効果的なコス
リシーを適用するかを検討することになります。
トで運用していることを証明することができるでしょう。
また財務的なリスク管理は今日、より高い優先順位をもっ
ています。
可用性管理
IT サービス継続性管理の進歩は、複雑なスタンバイ対
策に対する必要性を除くことができるでしょう。多くのお
可用性管理は、IT サービスの可用性がそのライフサイ
客様は、今日以上により明白な方法で、他のデータ・セン
クルの中で経済的に提供されることを保証する一連のプロ
タや他の企業で、自社資産を利用することができるでしょ
セスです。また可用性管理は、お客様のコスト正当性の要
う。
求を満たすことができるように IT サービスの可用性を最適
RTI フレームワークがすべての IT 資産を常に最適な状
化します。ビジネス活動をサポートする必要があるときに
態に保つようになるため、独立した管理領域としてのキャ
ビジネス領域がすべての機能を遂行することができてはじ
パシティ管理はほとんどいらなくなるでしょう。キャパシ
めて、サービスは可用性があるとみなされます。可用性管
ティ・モニタリングによって、使われなくなった IT リソー
理は、あるビジネス領域にとって重要であり、その中で運
スが解放され、資産がほとんど瞬間的に再利用されるよう
用されるべきサービスを評価します。可用性管理によって、
になるでしょう。
故障の影響がビジネス活動にどのように影響するか示され
可用性管理は、このようなレベルで資産がプールされ共
るでしょう。可用性は、サービスレベル・アグリーメント
有されている環境においては、独立した管理領域ではなく
ならびにその基盤となるオペレーショナルレベル・アグリ
なっていくでしょう。
ーメント、および契約の中に組み込まれるでしょう。
最後の 2 つ(キャパシティ管理と可用性管理)は、サー
RTI の例として、SUN の N1 は、既存の高可用性と回復
ビスデリバリの自動化により、大きな影響をうけます。つ
力のあるインフラストラクチャを拡張するようにデザイン
まり、手作業や報告という活動から、RTI テクノロジにより、
されています。大きな仮想化されたリソース・プールを利
システムが自動化できるように解釈されたプロシジャーに
用して、ビジネスの要求にあわせてサービスを迅速に構成
なります。
および再構成します。これを「一旦ケーブルに繋げたら、
しかし、最初の3つ(サービスレベル管理・IT サービ
永遠にプロビジョニングする」といっています。このよう
ス財務管理・IT サービス継続性管理)の重要性は著しく高
なレベルまでリソースがプールされ共有されるようになる
まるでしょう。これらは、ビジネス・ポリシーを IT マネジ
と、可用性管理を独立した管理領域として扱う意味は減っ
メント・フレームワークとして実装します。そして、洗練
ていくでしょう。むしろ、サービスレベルやキャパシティ
され成熟したプロセスが自動化にとってなくてはならない
要件定義に本来含まれるひとつの仕様になります。繰り返
ものになるでしょう。その結果として、ビジネス・ニーズ
しになりますが、ポリシーを明確に定義することは、RTI
と IT デリバリが、より緊密に連携することになるでしょう。
を成功裡に導入するためには是非必要です。
著者: Shiralee Rawsthorne-Houghton & Jon Ford
SERVICEtalk 2003 年 8 月& 10 月
16
資格認定によって強化されるサービスマネジメントの取組み
EXIN
IT のオペレーションやサポートは、いまや IT サービス
ルな力量を知らしめることでした。サービス主導かつプロ
マネジメントに発展しつつあります。IT サービスマネジメ
セス指向型組織ではその他の能力 、 すなわち、社交性ある
ントのベストプラクティスにより構成される標準フレーム
いは IT サービスマネジメント・プロセスを実施する組織に
ワークである ITIL は、
グローバルスタンダードとなり、現在、
ついての理解も同様に重要と考えられます。
急速に全世界中の支持を得つつあります。当初より、プロ
ITIL の共通言語とともにそのプロセスのフレームワーク
フェッショナルの資格認定は、ITIL アプローチのキーとな
は、プロフェッショナルのトレーニングと資格認定の基準
る要素でした。この記事では、EXIN のプロダクト・マネー
を提供します。トレーニング提供業者の認可と IT サービス
ジャであるレックス・ヘンドリクスが、資格認定はいかに
マネジメントのプロフェッショナル認定の存在が、ITIL を
IT サービスマネジメントの取組みを向上させるかについて
この分野で世界的標準にするための主要な役割を演じてき
説明しています。
ました。ITIL には IT サービスマネジメントをどのように組
世界的な趨勢として、IT オペレーションや IT インフラ
織化・最適化するかのガイドが含まれていますが、ほとん
ストラクチャの管理作業、サポートは、真のプロフェッシ
どすべてが実際の状況にもとづいています。多くの企業、
ョナルである IT サービスマネジメントとなりつつありま
ツール提供業者、コンサルタント会社は ITIL を自分たちの
す。これまで、保守ないしサポートは IT システム開発の結
必要性に合わせて調整し、自分たち独自の標準を開発して
果もたらされる不可避なもの、必要悪とみなされてきまし
きました。ある程度までは、これは避けられない開発でし
た。しかしながら、IT サービスのビジネスへの影響増加に
ょう。しかしながら、これらのアプローチ共通の“コア”
より、徐々にその様相を変えてきています。IT ソリューシ
が、IT プロフェッショナルのトレーニングの誤りに起因し
ョンを擁したビジネス成功の約75%は、そのライフサイ
ているとしたら、これは標準を使用することの効果を危険
クルの運用段階におけるサービスデリバリの可用性と信頼
にさらす可能性があります。ITIL 概念の創始者は最初の段
性によっています。そのため、
適度な品質のサービス提供は、
階から、確立されたトレーニングのプログラムと資格認定
各 IT 部門にとっての主要目標となっています。
によってこの分野のプロフェッショナルを認証することの
ITIL は IT サービスマネジメントの新しいプロフェッシ
必要性を認識していました。これら
ョナルを形作る主要な役割を演じてきました。ITIL の書
のトレーニングのプログラムが重
籍には、IT インフラストラクチャを擁したビジネスをサ
視していることは、IT サービスマ
ポートするために必要な活動を系統化する業界のベストプ
ネジメントの現実のプラクティス
ラクティスが掲載されています。明確に定義されたプロセ
であり、そのコンテンツは、例え
スの活動を系統化する概念 −プロセス自体は各々の組織
ば ITIL 書籍の“原理”など、何が
で個々のやり方により実装可能ですが− は、ITIL の成功
コアとなるメッセージであるかの
に大きく貢献してきました。しかしながら、ここにおける
最新の観点を反映する様になって
ITIL の最も重要な意義は、恐らく、IT がビジネスに対して
います。国際的に認められた ITIL
行うことのできる最も重要な貢献は IT サービスの提供であ
資格認定は、IT サービスマネジメ
るとの考えを喚起していることでしょう。これは次のこと
ントに関わる全スタッフに極めて
の理解に役立ちます、すなわち私たちのユーザが実際には
重要なことです。特に国際的な事
顧客であり(彼らがまた私たちの同僚であるとしても)、IT
業を行っている組織では、ITIL が
部門は、ビジネスを理解して、顧客との間にビジネス目標
主張するシドニーからストックホ
に充分貢献することが可能な、相互に有益な合意を模索す
ルム、あるいはシンシナティーか
るべきです。
らクアラルンプールまで本当に同
IT サービスに焦点を当てる事は 、 また 、 しばしば組織
一のやり方が行える“共通言語”
の人員配置方針の再考に役立ちます。サービスは典型的に
を提供していることは極めて重要
“意識して作りあげる”なものです。これまで運用とは、IT
なことです。この点において、ITIL
ソリューションをユーザが使用可能にすること、テクニカ
の認定機能は世界規模の“ゴール
17
デン・スタンダード”の役割を果たします。
を得ました。それらの資格には、ITIL 認定だけではなく、
世界的な独立 IT 試験提供業者として 40 年以上の経験
PRINCE2、ASL、DSDM、ISPL、CMM といったその他の
を持つ EXIN は、ITIL の資格認定の仕組と ITIL 認定制度
国際的に高い価値がある認定資格や、幅広い IT ディシ
を発展させるための主要な役割を果たしています。世界標
プリンがあります。しかしながら、ITIL 認定、特に ITIL
準としての ITIL 認定を維持するうえで、私達は British
Foundation 認定は、特に国際的な場において、最も成功し
Computer Society、ISEB、OGC(ITIL のオーナー ) や、
た EXIN 認定といえます。
it SMF の支部、そして世界中の企業、様々な国のトレーニ
個人的な恩恵とは別に、ますます多くの経営者が自分達
ング団体やスペシャリスト達と協力しています。
の組織にとって認定資格が有益であることに気づく様にな
以下の図は IT サービスマネジメントの標準としての
っています。例えば、トロントにある IBM IT エデュケーシ
ITIL を支える基盤と、IT サービスマネジメントのプロフェ
ョン・サービスのカリキュラム・マネージャーであるビル・
ッショナル認定が果たす役割をまとめたものです。
ケントは、IBM とお客様の双方における ITIL ベースのプロ
ジェクトをサポートしていく上での、ITIL 認定の役割を強
調しています。一般的に経営者によってあげられる恩恵は、
■人的リソースの有効活用
■ IT スタッフの品質証明
■ある仕事について誰にスキルがあるかを見分けることが
できる
■ IT の仕事を成功裏に実行するのに必要な特定の知識とスキル
■従業員へのインセンティブ、報奨、あるいは挑戦
とりわけトレーニングの提供者が認可されていることと
ともにその認定体系は、企業に対してトレーニング提供者
とその教材の品質を評価する為の独立したベースを提供し
ます。最後に、ITIL 認定の構造は、トレーニングを行う組
織にも恩恵をもたらします。上に示した様に、ITIL 認定資
格をサポートする国際的な基盤があります。この基盤の中
で協力しあう全ての関係者のサポートにより、プロセス中
心でサービスに焦点をあてた IT 組織を、確立し、運用し、
最適化するプロセスの中での、様々な役割に必要となる固
認定の恩恵
有のスキルに考慮した資格認定の機構が開発されてきてい
ます。トレーニングの提供者はそのトレーニングのポート
一般的にトレーニングへ参加することは、スキルをのば
フォリオを認定機構にもとづかせることができるので、顧
し仕事のパフォーマンスを改善することの助けになります。
客は自分たちのビジネスに対してどのような価値の可能性
仮に IT プロフェッショナルとして、例えば IT サービスマ
があるかを容易に知ることができます。
ネジメントのフィールドにおいて常に知識を更新していれ
ヒューレット・パッカードのグローバル・アライアンス
ば、プロフェッショナルとして、あるいは仕事仲間や従業
員として、明らかに価値を高めることになります。国際的
に認められた認定資格に価値を与えているのは、その固有
のダィレクターであるゲリー・ノランはこういっています。
「HP はグローバルな IT サービスマネジメントのトレーニン
グサービス提供者なので、独立した ITIL 認定資格の試験は、
の知識を必要とする仕事に適任であるというお墨付きを与
ITSM における私どものお客様のスキルを証明するのに重要
え、場合によっては、キャリア実現に向けての変化をもた
です」さらに、トレーニング提供者は EXIN を通じて認定
らしてくれることです。個人としての競争力が維持される
を受けることでこの国際的な機構の一部となることができ
ことによる満足感を置いておいても、業界や、あるいは同
ます。
業者からの認知がもたらされることになります。
以下の図は、そういった資格を維持するためのプロセス
これらの恩恵は、ITIL 認定資格の場合にもはっきりと
に関する概観を提供します。
認められます。ここ 10 年間に 90 を超える国の 250,000
調整と協調が、上記プロセスの鍵となります。トレーニ
人を超える IT プロフェッショナルが、EXIN の認定資格
ング教材や提供するトレーニングが認定に関する要求に合
18
り、IT サービスマネジメン
トの概要である主なプロセ
スやそれらのプロセス間の
関連 性の知識を身につける
ことができます。また、お
客様の視点に立った IT サー
ビスのデリバリに変えてい
くための、組織の姿勢や環
境、手続きの変更方法につ
いても道筋を示してくれます。IT サービスマネジメントの
Foundation 認定は、トレーニングに参画した見返りである
と同時に、組織における ITIL の知識と見識の浸透度合いを
測る尺度ともなります。
IT サービスマネジメントの Foundation 認定は、ITIL の
基本的用語や、概念、そして ITIL プロセス間の関連性につ
っていることを確かめるために、トレーニング提供者は試
いての知識を有することを保証します。試験は、ITIL の主
験と認定を提供する試験機関による認可を求めなければな
な用語やそのプロセス間の相互関連性と、サービスデスク
りません。EXIN はまた、出版社と緊密に協業しています。
を含んだ、IT サービスマネジメントの概要が基本となりま
例えば、英語以外の言語の ITIL の書籍においても、その言
す。
語による ITIL の試験で用いられる用語と可能な限り同じ用
ITIL Foundation の試験準備には、認定されたトレーニ
語が用いられる様に確認しています。
ングコースをお薦めします。ITIL Foundation に認定される
その一方で EXIN は、そういった試験機関として、試験
と、緑のピン・バッジが与えられ、その人は、ITIL 用語で
の仕様が(OGC や it SMF の参加による)ITIL Certification
会話ができることを認められたことになります。
Management Board によって設定された標準に常に合って
IT サービスマネジメント・プロセスの改善を目的として
なければならないと考えます。認証団体や標準のオーナは、
企業の計画の策定や実行をするためには、その分野で実績
特にある固有の役割に要求される能力の為にビジネスから
があると証明されたプロフェショナルを頼るべきです。そ
要求されるスキルのニーズを理解していなくてはなりませ
のような実績の目印となるのが、IT サービスマネジメント
ん。
の Service Manager 認定です。
IT サービスマネジメントの Service Manager 認定は、IT
サービスを導入し運用していく能力を有していることを国
ITIL の認定構造
際的に証明する資格です。
ITIL Service Manager 認
ITIL は、IT サービスのデリバリやサポートに携わる人
定を獲得するためには、認
すべてに重要なフレームワークです。日々の IT サービスマ
定されたトレーニングコー
ネジメントに従事している人や運用プロセスを確立しよう
スに参加し、コース中のア
としている人、プロセスを見直ししよとしている人にとっ
セスメントにより管理スキ
て ITIL は、世界的に評価された IT サービスのベスト・プ
ルが評価された上で、ITIL
ラクティスを提供することで運用改善の一助となるでしょ
サービスサポートおよび
う。
ITIL サービスデリバリの試
IT サービスを改善するために ITIL を活用しようと考え
験に合格しなければなりま
ている組織は、なんとかして多くのスタッフを巻き込まな
せん。ITIL Service Manager に認定されると、赤のピン・
ければならないでしょう。それらのスタッフはその道のエ
バッジが与えられ、その人は、IT サービスマネジメントに
キスパートである必要はありませんが、しかしながら、た
関して的確なアドバイスができる、信頼に足るエキスパー
とえば、ITIL 用語といった“共通言語”で会話できること
トであることが認められたことになります。
が求められます。
運用プロセスが管理でき制御できる水準まで成熟してく
IT サービスマネジメントの Foundation を学ぶことによ
ると、それらの種々のプロセス領域に特有のプロフェッシ
19
ョナル・スキルが必要とな
に発生することのひとつは、コース提供者によるトレーニ
ってきます。ITIL 認定体系
ングです。ITIL の先駆者であるこれらのトレーニングへ
では、そのようなタイプの
の参加者は、試験を英語で受けることになります。これら
プロフェッショナル認定と
の試験を提供し試験のセッションを監督するには、公認の
して、IT サービスマネジ
トレーニング機関として EXIN に認定された試験提供機関
メントの Practitioner 認定
を提供しています。
IT サービスマネジメン
トの Practitioner 認定によ
って、ITIL プロセスで実務的な特化した側面において能力
(AEC)であるという何らかの契約をしている必要がありま
す。この AEC は世界中の EXIN の試験が公平であるという
ことを保障するという重要な役割を担っています。彼らは
EXIN によって設定された規則に則って試験を実施し、試験
監督を提供するという契約を EXIN としています。
を発揮できることが証明されます。Practitioner 認定は、現
試験の実施後に、AEC は回答用紙を採点が行われる
在はサービスデスクとインシデント管理、問題管理、構成
EXIN に送付します。認定証は AEC に送付されて、試験に
管理、変更管理、サービスレベル管理、IT サービス財務管
合格した参加者に配布されます。ITIL Foundation の試験
理、キャパシティ管理、可用性管理、セキュリティ管理に
に関しては EXIN と Prometric の間において別の形でも提
与えられています。これらの Practitioner 認定を獲得する
供できる契約が締結されており、EXIN の ITIL Foundation
には、認定のトレーニングコースに参加する必要がありま
の試験は全世界の Prometric の試験センターで受験するこ
す。ITIL Practitioner に認定されると、青のピン・バッジが
とが可能です ( 日本ではアールプロメトリック殿。後述の
与えられ、その人は、IT サービスマネジメントのひとつ(あ
記事があります。)。
るいは複数)のプロセスのエキスパートであることが認め
られたことになります。
世界の特定の地域における試験の数がある程度の量に
なると、EXIN はその地域の言語により試験が提供出来る
かどうか調査し始めます。可能であれば EXIN は、試験を
実施するための体制を委託できる様な試験代理店を探しま
ITIL 試験対策
す。そういった代理店は、既存の組織のうちで、評判がよ
く、試験をレビューし提供し採点して EXIN をサポートす
前述のように EXIN では現在、ITIL の試験を全世界 90
るのに必要な経験とスキルがあるところで、また、現地の
カ国以上において提供しています。これらのほとんどの試
トレーニング団体の EXIN 認可をサポートすることになり
験は英語ですが、ITIL Foundation の試験は現在、ドイツ語、
ます。現時点でのこのような EXIN の代理店の代表的な例
フランス語、スペイン語、ロシア語、日本語でも可能とな
としては、カナダの Loyalist College と ミュンヘンの Tüv
っています。Foundation の試験はポルトガル語、中国語で
Akademie があります。
もまもなく可能になります。そして、さらに多言語への翻
このような代理店をサポートするような IT サービスマ
訳が現在進行中です。EXIN はオランダの Utrecht を本拠地
ネジメントのエキスパートのコミュニティは、it SMF の会
としておりますので、もちろん全ての ITIL の試験はオラン
員組織にとって貴重なナレッジ・プールであることが他の
ダ語でも受験可能です。
国々において証明されています。
Utrecht のオフィスで世界中の言語に試験を対応させる
いずれにせよ ITIL 認定体系の恩恵を得たいと考えてい
のは明らかに不可能です。それは、なぜなら、一つには試
る個人や組織、トレーニング提供者は、EXIN が認可してい
験は単に翻訳すればよいというものではないからです。経
るトレーニング組織と連絡を取るか、さらに詳細な情報を
験がそうではないことを示しています。
得るためには EXIN の Web サイト (www.exin-exams.com)
必要なのは、レビューを通じて、
(特にその国独自の IT
を参照してください
特殊用語も含めての)言語のチェックだけでなく、文化的
な差異についても考慮することです。これは、ケースにも
Lex Hendriks, Product Manger, EXIN
とづく試験においてより重要であり、特に小論文形式の試
験の場合はなおさらです。
これらのレビューのためや小論文形式の試験の採点のた
めにも、EXIN はその地域のエキスパートを頼りにしていま
す。適任のエキスパートを見出すために EXIN は、しばし
ば it SMF の各国の支部と協力しています。
ある国において ITIL の普及がはじまったときに、最初
20
インタビュー
― アール・プロメトリック殿 ―
前記事でも紹介のありましたアール・プロメトリック殿
ツが提供されれば、提供が可能となります。もちろん、コ
は、コンピュータを利用したテスト(CBT:Computer Based
ンテンツの内容によってこの期間は多少前後いたします。
Testing)の事業を展開している企業です。IT 関係の認定資
将来、日本語での受験が可能になりましたら、会員の皆様
格試験の他にも世界的な英語能力の試験である TOEFL も実
へアナウンス致しますのでよろしくお願い致します。
施しています。現在、ITIL foundation Certificate IT-Service
Management 資格の認定試験を実施しています。今回の取
受験予約に関してのお問い合わせ先 :
材にはクライアント・サービス部門の酒井エグゼクティブ・
ディレクターにご対応いただきました。
アール・プロメトリック株式会社
〒104- 0033
インタビュア:現在提供している、ITIL 資格認定試験につ
東京都中央区新川1- 21- 2 茅場町タワー15F
いて教えてください
TEL : 0120-387737
FAX : 03-5541-4691
酒井氏:弊社は、EXIN 殿、ISEB 殿の ITIL 資格認定試験を
営業時間 : 土日祝祭日を除く 9:00 ∼ 18:00
実施しています。会場は弊社の試験会場または提携企業、
団体による試験会場を全国各地に展開しております。試験
■アール・プロメトリック トップページ
はオンラインで実施しており英語での受験となります。ま
http://www.prometric-jp.com/
た、試験終了後にすぐに合否の判定がされます。また受験
に際し、試験ブースには書籍の持ち込みは禁止されていま
■アール・プロメトリック 受験可能な IT 試験一覧
す。もちろん英語辞書も同様です。
http://www2.prometric-jp.com/testlist_it.html
インタビュア:試験の申し込み方法について教えてくださ
い。
ITIL 認定プログラムについては認定機関のホームページを
ご参照ください
酒井氏:私どもが提供している認定試験の申し込み方法は、
Web からの申し込みと FAX による申し込みがありますが、
EXIN: http://www.prometric-jp.com/download/registration
ITIL 認定試験は前者の方式をとっております。
/exin-reg.PDF
インタビュア:今後、日本語での試験実施への対応につい
ISEB: http://www.prometric-jp.com/download/registration/
てお聞かせ下さい。
iseb-reg.PDF
酒井氏:先ほどご説明した通り、現在は英語での試験を実
施しておりますが、EXIN、ISEB から日本語の試験コンテン
認定機関
試験番号
Exin
EX0-100E
ISEB
BH0-001E
試験名
ITIL Foundation
IT Service Management Foundation Certificate
(ITIL)
21
試験時間
60 分
60 分
費用
¥14,800
¥18,700
日本における ITIL トレーニング動向
日本にて ITIL 関連トレーニングを実施している企業 3 社にトレーニングの内容を伺いました。
コンピュータ・アソシエイツ
日本ヒューレット・パッカード
トレーニング
(CA)
2003 年よりインハウス・トレ
2003/4/1
2003/7/1
開催年月
ーニングを実施。2004 年 2 月
ITIL エッセンシャルズ ワーク
ITサービスマネジメント基
ショップ
礎(SME)コース 開催コース :
サービス名称
よりコース定期化。
ITIL Essential コース
EXIN Foundation
プロシード
認定コース
期間
2 日間
3 日間 3 日間 ( 試験付 )
価格
17 万 8 千円(税込)
25 万 2 千円(税込)
25 万 2 千円(税込)
会場
東京・大阪 CA Learning 東京 , 大阪
東京
Center
講師
コンピュータ・アソシエイツ社 Quint Wellington Redwood
Fox- IT社チーフ・コンサル
の経験豊富な日本人による日
Academy との協力の下、経験
タント&トレーニング・マネ
本語でのトレーニング
豊富な講師による日本語でのト
ージャによる英語でのトレー
レーニング
ニング(逐次通訳。テキスト
は日本語。7 月からは日本人
講師によるトレーニング )
出張サービス
10 人分の費用にて、16 人まで
1回あたり 250 ∼ 270 万円
受講可能
1回 あた り230万円より
(定員16名)
受講者数 ( 月 )
30名
100 名
16 名
受講者のプ
情報システム部コンサルタン
アウトソーシング部門、システ
IT関連業務に従事している
ロフィール
ト、SI Manager/ エンジニア
ムコンサルタント部門、運用管
方
理部門のリーダー、係長クラス
の方が多い
特徴
試験は日本語オンラインテス
Control-IT と呼ばれるシミュレー
適宜、ワークショップを行い、
トで実施され、合否結果はテス
ションゲームを取り入れ、ITIL
豊富なFoxIT社の導入事
ト終了後すぐに確認できます。 の概念をゲーム感覚で擬似体験
例を盛り込んでいる
マネジメント・ソフトウェア企
業である CA の強みを生かし、
ITIL のみならず IT サービスマ
ネジメントを実装する CA 製品
のトレーニング「ITSM-Base
Basic トレーニング」も同時に
受講可能
コース運営
講義 80%、ワークショップ
講義とゲームが 60%と 40%の
講義とワークショップが 60%
20%。流れの良い構成とポイン
比率
と 40%の比率
トを明確にし、理解を深める事
に主眼を置いている。
受講者感想
・ケーススタディが、理解を深 ・このコースを受講することで運
・ITIL の執筆者が講師である
めるのにとても役立った。
用 プロセスの重要性が理解できま
ため、非常にわかりやす解説
・ITIL について、もっと詳しく
した。
でした。
知りたくなった。
・ITIL が述べているプロセスと
・講師の実績が豊富で事例が具
考え方がよく判りました。
体的でわかりやすかった。
22
コンピュータ・アソシエイツ
日本ヒューレット・パッカード
EXIN Service Managers
(CA)
ITIL マスターコース
■ ITIL manager in ITSM for
■ ITIL マネージャーコース 認定コース
・期間:
service support
予定(詳細決定次第告知)
ーオリエンテーション(1日間) ・期間:5 日間
プロシード
・期間:13日間 ーサービスサポート、サービス ・価格:42 万円(税込)
デリバリの講義(各5日間)
・会場:東京
試験(2日間)
■ ITIL manager in ITSM for
ー他、オンラインラーニング
service delivery
全 13 日間
・期間:5 日間
・価格:試験付 126 万(税込) ・価格:42 万円(税込)
・会場:東京 CA Learning
・会場:東京
Center
■ ITIL SM exams preparation
workshop
・期間:2 日間
・価格:16 万 8 千円(税込)
その他コース
サービス名称
・会場:東京
ITIL 実践ワークショップコース
ITIL Awareness コース ITIL導入セミナー
(ITILの基礎知識研修)
期間
1 日 2 日間
1日
価格
5.25 万円 ( 税込 )
お見積りベース
2 万円(税込)
会場
東京・大阪 CA Learning 都度ご相談
東京
CA の経験豊富な日本人による
日本ヒューレット・パッカード
Fox- IT社による英語でのト
日本語でのトレーニング
( 株)コンサルティング&イン
レーニング
Center
講師
テグレーション 部のスタッフ
による講義
特徴
ITIL Essential コースの簡易
ITIL サービスサポートの全体像
FoxIT 社の豊富な導入実績よ
版。試験を受講する必要がな
を理解できます。
り、カリキュラムを作成し、
く、ITIL の知識のみ受講され
世界でのトレーニング実績
導入に関する知識を広く講義
たい方を対象
年間、定期コース年間 500 回
ワールドワイドに存在する 80
世界各国での 10,000 人以上を
出張トレーニング 1000 回。
箇所ものトレーニングセンタ
対象としたトレーニング実績。
で 8 年前から同様のコースを実
教育コース提携先
既存コース予定参照先
問い合わせ先
PinkElephant
施。
Quint Wellington Redwood
Fox- IT
http://www.pinkelephant.com/
Academy
http://us.foxit.net/
default.asp
http://www.quintacademy.com
http://www.caj.co.jp/education
/menu.htm
http://h50146.www5.hp.com/s
http://www.proseed.co.jp/jp/it
/descriptions/itil.htm
ervices/education/whatshot/hp
sm/itsm.html
エデュケーション -itil.html
HP 教育サービス受付窓口 営業企画部
Tel:03-5320-3805
Tel:0120-130190
Tel 03-5786-7522
Mail: Edu_jp@ca.com
Mail:dl1.cec@hp.com
Mail:info@proseed.co.jp
Web サイト:http://www.caj.co.
Web サイト:http://www.jp.com/
Web サイト
jp/education/index.htm
jp/education
http://www.proseed.co.jp
23
Ask The Experts
it SMF が受け取った質問に対して業界をリードしている
From SERVICEtalk
データベースに関連した問題を解決します。
複数の専門家が回答します。
■変更管理
質問1
データベースへの変更を実施します。
どの ITIL の分野がデータベースの運用管理を最適にカ
バーすると考えますか?
■リリース管理
データベース・ソフトウェアが適切なリリース・レベル
でコントロールされ、ライセンスされていることを保証
回答 1-1
します。
Tony Price、PinkRoccade Ltd.
■構成管理
データベースの運用管理は IT における機能あるいは役
構成アイテム、例えば、物理的なデータベースのコント
割といえます。ITIL 領域の多くはプロセス指向です。ゆえ
ロールを行います。
にもしかすると全ての ITIL プロセスがこの機能に関わって
いるかもしれません。全てではありませんが例をあげてみ
読者はサービスデスクを特定しなかったことに気がつく
ます。
でしょう。その理由はサービスデスクが機能であるという
ことです。ここの回答では、データベースに関連した、サ
■サービスレベル管理
ービスデスクに対する情報を提示し、ここで網羅すること
データベースの運用管理機能における活動は、SLA もし
もできるでしょうが、しかしながら私は、意図してプロセ
くは OLA 提供の一翼を担うでしょう。
スの観点からのみ回答しようとしています。
このような質問がなされるのは、プロセスと役割、機能
■財務管理
に関してまだ多くの混乱があり、ITIL が IT の中の大部分の
その機能は IT サービスを提供するコストの一部なので、
機能や役割にわたって適用でき、そして適用する、という
このプロセスが関係します。
ことへの認識不足があるためだ、と考えています。私は、1
つの ITIL プロセスが、それ以外のプロセスよりも適切だと
■キャパシティ管理
述べることは正しくない、とも考えています。それはこの
データベースの多くの運用 / 日常業務活動の遂行に加え
質問への回答のように、全ての人が個々の環境に合うよう、
SLA に従って提供されるサービスの適切なレベルを保証
それぞれ異なって ITIL を取り入れ適応するべきであるから
することが、キャパシティ管理によって網羅されていま
です。
す。
回答 1-2
■可用性管理
Ivor Evans,、DIYmonde Solutions
SLA で定義されているように、データベースが必要な際
利用できることを確実にすることは、明らかに可用性管
この質問は「どの ITIL の分野が運用またはアプリケー
理プロセスの一部です。
ション開発を最適にカバーするか」と言っているように思
えます。もちろん答えは、全ての分野が行う、ということ
■ IT サービス継続性管理
です。データベース管理は IT の中の機能です。したがって、
災害時にデータベースが復旧できることを確実にします。
全ての IT サービスマネジメント・プロセスの活動へ寄与
し、かつ、活動からの受け手でもあるということです。デ
■インシデント管理
ータベース管理はサービスの障害解決に貢献し根本的な原
データベースに関連するインシデントに対応します。
因を永久に取り除きます。データベース管理では実際の環
境への変更を考慮し、それ自身の変更を提案します。サー
■問題管理
ビスレベルの品質と可用性の検討に関係するかもしれませ
24
ん。そしてキャパシティの計算への出力をもたらすでしょ
用性管理からの入力を伴った上での変更管理の責任です。
う。IT サービスマネジメント・プロセスに影響されない IT
PSA は簡単に利用できるべきで、エクセルのスプレッドシ
サービスマネジメント内の機能はなく、データベース運用
ートからインターネット・サーバやイントラネット・サー
管理も例外ではありません。
バを介したグラッフィック表示にいたるまで、洗練度は様々
です。
回答 1-3
将来的な変更スケジュール(FSC)と密接なつながりが
Richard Stone、Fox IT
あります。すなわち、PSA ではそれぞれのサービスに対して、
将来計画されている変更によって予想されるサービスへの
もし IT の中で実行される機能としてデータベースの運
インパクトを明確にします。
用管理を検討すれば、全ての ITIL のプロセスが適用するで
例えば 3 週の間の日曜 2 時から 6 時、4 時間の計画さ
しょう。たとえばデータベースの運用管理では、リソース
れたメインフレームの保守が FSC に現れるとします。PSA
とサービスレベルにおけるキャパシティ管理の専門家を必
はサービスレベル・アグリーメント(SLA)の条項の範囲
要とします。そして、その管理しているデータベースから、
で、それぞれのサービスへのインパクトを指摘するでしょ
キャパシティ計画全体に供給される情報が必要とされるで
う。すなわち、サービス A は 4 時間の停止、サービス B は
しょう。
この時間利用できないので影響を受けない、または、サー
可用性に関する検討材料があるでしょう。つまり、必要
ビス C はその期間オフラインで機能可能といったことです。
なときにデータベースが使用可能でしょうか?データベー
SLM では、影響をうけるかもしれないユーザ数の分析を通
スの中の情報に関して機密性、完全性、可用性の要件が考
じて中断の可能性を評価することができ、必要に応じて交
慮されているでしょうか?さらには、可用性計画に合致し
渉し、サービスデスクを介して顧客 / ユーザ・コミュニテ
て実行され、可用性計画に情報が送り込まれているべきで
ィへ連絡することができるでしょう。
す。
可用性管理は重要な入力として PSA の情報を活用し、
そのデータベース自身、SLA に従って顧客に提供される
将来利用できない期間の合意に関与するべきです。可用性
1つまたは複数のサービスの一部であるかもしれず、デー
管理のスキル、ツール・セットそして方法論は、将来の可
タベース運用管理はオペレーショナルレベル・アグリーメ
用性を最大化することと、サービスへのインパクトを最小
ントに沿って実行されなければならないかもしれません。
化することに役立つでしょう。例えば可用性管理は、ユー
データベースへの変更は組織の変更管理プロセスに沿
ザの活動があまりない期間に、排除できない非可用性をあ
って実行されるべきです。そしてデータベースやそのイン
てるため、SLM や外部サプライヤと密接に連携します。また、
フラストラクチャの使用によって識別されるどんな問題も、
停止が最小化され、かつ効果的に活用されるよう、すなわち、
問題管理に沿って記録されるべきです。などなど。
変更が1つにまとめられ同時に行われるよう(リスク評価
要約すると、データベース管理は、他の全てのインフラ
に従って)変更管理と密接に連携します。
ストラクチャ上の機能のように、インフラストラクチャに
PSA は可用性管理がフォーカスすべき将来の期間と領域
焦点をあてた 1 つの IT 機能です。そして全ての IT サービ
を明らかにします。サービスの損失と、(将来の計画外の非
スマネジメント・プロセスにおいて果たすべき役割を持っ
可用性を避けるため)計画された保守の必要性のバランス
ています。
をとることが可用性管理の役割です。例えば、ミラーリン
グはサービスの継続を可能にするでしょうが、しかしそれ
がなくても、高いレベルの可用性が維持されるべきならば、
質問 2
保守のプロアクティブな管理が重要となります。
PSA(Projected Schedule Availability:スケジュールの
予想可用性)について変更管理の中で言及されています。
回答 2-2
もし PSA と可用性管理の間に繋がりがあるとしたら、それ
Ivor Evans、DIYmonde Solutions
は何ですか?そして PSA は ITIL の観点からどのように記述
されているべきでしょうか?
「サービスの予想可用性」(「スケジュールの予想可用性」
ではなく)の最適な記述が it SMF の書籍販売から入手可能
回答 2-1
な「IT サービスマネジメント用語集 用語、頭字語、略語」
Richard Griffiths、Fox IT
の中にあります。そこには「変更が、サービスレベル・ア
グリーメント(SLA)で定義された可用性のレベルに与え
サービスの予想可用性(PSA:Projected Service
る影響について概略を述べるために、変更管理で使用され
Availability)の提示は、サービスレベル管理(SLM)と可
る文書。この文書は、将来的な変更スケジュール(FSC)と
25
連携している。
」とあります。そして将来的な変更スケジュ
た RFC は順に FSC に追加され、更新された FSC が作成さ
ールは「実行を認可された全ての変更の詳細とその実行予
れ回覧されるでしょう。FSC が最終的に改訂され合意され
定日を含むスケジュール。顧客、サービスレベル管理、サ
ると、実装の一環としてサービスのダウンタイムが必要な
ービスデスク、可用性管理と合意していなければならない。
FSC 内の全ての RFC の検討によって、PSA を生成すること
合意され次第、サービスデスクは変更により発生する計画
ができます。こういうわけで、RFC のインパクトが評価され、
的ダウンタイムや付加的なダウンタイムをユーザに伝達す
それらが実装のためにスケジュールされる際、ダウンタイ
る。
(サービスの予想可用性)
。
」と記述されています。イベ
ムによって影響を受ける誰かが CAB に参画することはとて
ントの中でも特にサービスの予想可用性は、予め計画され
も重要なのです。これには可用性管理、サービスレベル管
たサービス(またはサービス・コンポーネント)のメンテ
理(SLM)、およびサービスデスクの代表者と合わせて、顧
ナンス活動に影響するどんな変更にも左右されます。それ
客とユーザを主に関与させるでしょう。リスト上の各 RFC
ゆえに PSA、可用性管理、変更管理、およびサービスレベ
が許可されると、FSC は繰り返し更新されます。それから、
ル管理の間には強い関連があります。
FSC の最新バージョンには実装スケジュールと全ての許可
された RFC の日付が含まれるでしょう。
回答 2-3
最新の PSA は、各 RFC が招くダウンタイムを調べるこ
Colin Rudd 、itEMS Ltd
とで、生成することができ、全てのサービスに対する「ス
ケジュールされたダウンタイム」の予定を作成することが
質問者が言及している PSA は、新版 ITIL サービスサポ
できます。PSA が生成され合意されると、サービスデスク
ートの書籍の中で詳細が記述されている、サービスの予想
からサービスのダウンタイムによって影響を受けるそれぞ
可用性(PSA:Projected Service Availability)であると仮
れの顧客とユーザ・グループへのプロアクティブなコミュ
定します。サービスサポートの書籍で PSA は「現在計画中
ニケーションが行われます。それから、実装が同期するよ
の FSC によって発生する、合意済みの SLA やサービス可用
うな方法で複数の RFC が確実にスケジュール化もされるよ
性に対する変更の詳細」と記述されています。
う、PSA は、次の CAB の会議への入力として使われます。
より上手い定義は
「同意された FSC に現在含まれている、
それは「路上の穴」シンドロームを避けつつ、サービスの
許可された変更の実装に対応するために必要な、サービス
ダウンタイムを最小化するためです。
の計画ダウンタイムの予定」でしょう。
PSA を生成するための責任は組織の中で明確に合意され
PSA は変更管理プロセスの「プロアクティブ性」の強化
るべきです。実際には誰かがオーナシップを与えられ、全
と、次の図の中に書かれているようなビジネスと他のサー
ての領域を含んでいれば、誰が生成するかは問題ではあり
ビスマネジメント・プロセス両者の統合強化のために書き
ません。PSA は、誰でも簡単にアクセスでき、その内容を
直して紹介されました。
表示できるようにするべきです。私は、変更管理、可用性
図に書かれているような PSA を取り囲むワークフロー
管理、または SLM によって様々な組織で PSA が生成され
は、検討が必要な変更要求(RFC)
、最新の将来的な変更ス
ると理解しています。FSC と PSA の理想的な場所は、全て
ケジュール(FSC)
、および最新の PSA のリストを CAB が
の人がアクセスできるイントラネット・サイトです。しか
入力として受け取ることを示しています。CAB はそれらの
しながら、重要なことは、サービスのダウンタイムを必要
領域を管理し、リスト上のそれぞれの RFC に要求される緊
とする変更(RFC)が、合意されたサービス時間の外で実
急度、インパクト、リスク、リソースを評価します。それ
装されるようにスケジュール化されるべきだ、ということ
ぞれの RFC でこのレビューが完了すると、各 RFC は、許可
です。これは、責任を持つ者が、全ての SLA の内容にアク
されるか、延期されるか、却下されます。全ての許可され
セスする場合にのみ実行され得ます。もしこれが何らかの
理由で達成できない場合、RFC は、合意
された「変更時間帯」あるいは「保守時
変更管理
間帯」の間に実装をスケジュール化され
可用性管理
現在の
PSA
現在の
現在の
FSC
FSC
RFC
るべきです。これ(変更時間帯や保守時
間帯)がない場合には、事業への影響が
CAB
更新された
更新された
PSA
更新された
更新された
FSC
FSC
最小の時間、多くの場合は勤務時間外な
どにスケジュール化されるべきです。
SERVICEtalk 2003 年 10 月号
サービスレベル管理
ビジネス、顧客、ユーザ
サービスデスク
26
∼イベント報告∼ 第2回セミナー
セミナー・プログラム
13:30-14:00
IT マネジメントの世界的な標準動向
it SMF Japan 西野副理事長
14:00-14:30
分科会活動の紹介
各分科会代表
14:30-14:45
休憩
14:45-15:30
ITIL 変更管理 紹介
it SMF Japan 塩田
15:30-16:30
ITIL ベースの変更管理インプリとその
プロクター・アンド・ギャンブル・アジア・ピー・
効果
ティー・イー・リミテッド 久納様
16:30-16:50
Q&A
2004 年 2 月 27 日、厳しい寒さながらも春めいた日差
しの中、NTT コミュニケーションズ麻布セミナーハウスに
て、IT サービスマネジメントフォーラムジャパン主催の第
2 回セミナーを開催いたしました。当日は、総勢 244 名の
方にお越しいただき、会場はほぼ満席の状態でした。
IT マネジメントの世界的な標準動向
まずは、it SMF の西野副理事長から、皆様へのご挨拶と、
変更管理インプリの説明をされる久納様
昨年 11 月カナダのモントリオールで開催されました it SMF
国際会議の報告とあわせ、IT サービスマネジメントに関す
の認定が開始されて、2006-7 年を目処に ISO 化の議論が
る世界的な動向について報告いたしました。it SMF は、法
ある旨の報告がありました。
人数で 2000 社以上が参画するフォーラムとなり、2004
年中には現在 15 カ国の支部がシンガポール、香港、韓国、
分科会活動の紹介
ブラジル、イタリアなどが立ち上ることで 20 カ国前後に
なるとのことです。また、ITIL 関連動向として BS15000
続いて、各分科会から報告がありました。
■事例研究分科会: State Farm Insurance、Caterpillar、 General Mills、Intel、プロクター・アンド・ギャンブル・
アジア・ピー・ティー・イー・リミテッド(以降 P&G)
を対象に、ITIL の導入計画に焦点をあてた事例研究を進
めています。IT ベンダ企業の参画が多いため、IT ユーザ
企業の会員様の積極的な参画を呼びかけています。
■サービスデスク分科会:では、サービスデスク全般の研
究を行い、日本の IT 部門を対象に、IT サービスマネジメ
西野副理事長
27
ントを広く認知させ、サービスデスクの理解を促すため
する意識の向上」などが効果として生じたそうです。会場
の入門書をまとめる活動を開始しました。
では、実際に P&G 殿で行われているプロセス・フローの紹
■ Security Service Level(SSL) 研究分科会: IT サービスに
介や、ビジネスからの変更を期間毎に行う“チェンジ・ウ
おけるセキュリティ・サービスレベルをテーマに研究を
ィンドウ”の紹介など、今後サービスマネジメントを実践
進め、成果として、IT セキュリティ部分の SLA 作成支援
していく感覚を掴む貴重な機会でした。講演後は会場から
となり得るような、セキュリティ条項の洗い出しを目指
積極的な質問がよせられ、変更管理の検討に2−3ヶ月か
しています。
かったこと、変更管理とあわせてサービスレベル管理、サ
いずれの分科会も成果を 7 月 23 日 ( 金 ) 東京コンファ
ービスデスク、プロアクティブな面での問題管理を導入さ
レンスセンター品川にて開催される第 1 回 it SMF Japan コ
れた経緯などを更にお話いただきました。久納様からのメ
ンファレンスにて発表する予定です。
ッセージとしては、「変更管理に限らず、ITIL の導入はあま
り難しく考えすぎないで。問題があるのなら、その問題を
どのように解決すれば良いのか、そのお手本として ITIL を
ITIL 変更管理 紹介
読むくらいでよい」とのご意見も頂きました。
第二回セミナーのテーマである ITIL 変更管理について
は、it SMF Japan の塩田より、
「ITIL 変更管理のご紹介」と
セミナーのアンケート結果
題して、変更管理について目標、他管理モジュールとの関係、
用語、活動などを説明いたしました。45分という短い時
今回のセミナーの参加者からは、“セミナー内容が期待
間でしたが、変更管理のポイントを押さえた内容でした。
通りでしたか?”というアンケートに対して 87%の方より
期待通りとのご回答をいただきました。4 段階の講演評価に
おいても、ITIL 変更管理とその実践例は非常に高い評価を
ITIL ベースの変更管理インプリとその効果
いただきました。(上図参照)今後の it SMF Japan 主催のセ
ミナーに参加したい、あるいは是非参加したいという方の
ITIL 変更管理に関するプレゼンを受け、P&G の久納様
割合は 94% にものぼります。it SMF Japan では皆様のアン
からは、
「IT サービスマネジメントの実践と効果 変更管理」
ケート結果より、今後も ITIL ベストプラクティスのご紹介
と題して、実際に P & G 殿で取り組まれたご経験からの講
と実践例を中心にセミナーを開催してゆきたいと考えます。
演を頂きました。IT サービスマネジメントの領域では先進
なお、当日のプレゼン資料に関しましては it SMF Japan の
的な実践で知られている P&G 殿は、日本では約2年前から
公式サイト、会員ページから近日中にダウンロード可能と
取り組まれ、効果をあげられています。特に変更管理の導
なります。
入により、
「システム変更が原因のインシデントの撲滅」や
(https://www.itsmf-japan.org/cgi-bin/htaccess.cgi)
「変更リリースの品質の向上」
、
「重複機能の排除」
、「変更作
業効率の向上」
、
「ビジネス・サイドからの IT システムに対
28
日本ヒューレット・パッカード株式会社
��教育サービスが皆様にお勧めする
����コースカリキュラムのご紹介
大好評�� ����トレーニングカリキュラム
��教育サービスでは、昨年より好評をいただいております
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継続して行って参ります。
����エッセンシャルズ・ワークショップのご紹介
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日 数:�日間
受講料:��������(税込)
コース概要
本コースは、��サービス管理(����:���������������������)の概念
����エッセンシャルズ・ワークショップコースは、既に述べ���名ほ
お問い合わせ・お申込は
��教育サービス受付へ
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月∼金 ����∼�����/�����∼�����
��教育サービスに関する情報は
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ンと呼ばれるワークショップを取り入れ、参加型の学習方法と理論的
思っている方、���� の認定資格の取得を目指している方、��サー
知識の提供とを組み合わせた内容となっています。�日間のコースの
ビスマネージャを目指している方にお勧めするコースです。
���が講義で���が演習です。
また昨年秋より、��サービスマネージャ育成の為の管理者コース
※ 本コースはヨーロッパを中心に世界的に��サービスマネジメント関連の教育
とコンサルティングを提供する������������������������社との提携によ
り実施するものです。
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の��������をより深く学ぶ為のコースです。このコースは上位
レベルの認定試験であります�����������������������������������
記載されている会社名および製品名は、
各社の商標または登録商標です。
記載事項は����年�月現在のものです。
本カタログに記載された内容は、
予告なく変更されることがあります。
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������������������������
�������)について解説するものです。随所に����������シミュレーショ
どの皆様にご受講をいただいています。����の概念を学びたいと
(土・日、祝祭日、年末年始および���を除く)
����������� (�����時間受付)
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と、業界標準の��インフラストラクチャ・ライブラリ(����:�����������������
資格取得のための推薦コースとなっております。
受講対象者
��サービスの提供を担当する��プロフェッショナル、システムおよび
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本コースを終了すると以下の学習目標を達成できます。
本コースについての詳細は、
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���������������������をご覧ください。
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〒�������� 東京都品川区東品川������ 天王洲セントラルタワー
29
� ��サービスマネジメントの必要性、重要性を理解できます。
� ����プロセス及び概念、用語を理解できます。
編集後記
現在、it SMF Japan の事務局では、この 7 月 23 日に品川にて開催される第一回コンファレンスに向けた準備作業に追われるあわただ
しい毎日が繰り広げられています。NPO 法人としての it SMF Japan 設立後、初めての大企画だけに、参画のボランティア・メンバも
忙しい自身の業務の合間を縫ってなんとか時間をやりくり、成功に向け、力を合わせてまい進中です。講演は 4 トラック、展示も充
実する予定です。来月号では詳しいコンファレンスの案内も本紙面にて行う予定ですので、ご期待下さい。(ニュースレターの編集後
記にてコンファレンスの宣伝を少しさせていただきました。)
本ニュースレターでは、会員の皆様からの情報をお待ちしています。サービスマネジメントでこんなことを組織で実践しています、資
格取得者こんなに増えました、こんな記事を企画してほしい等、本誌問い合わせ先まで、どしどしメールをお寄せ下さい。本紙面を会
員の皆様と双方向のコミュニケーションの場にしていければと考えております。 ( 八木 )
■ ご意見: 本ニュースレターへのご意見・ご要望は、it SMF Japan 版担当宛てにメールにてお
送りください。
メールアドレス: publication@itsmf-japan.org
■ 寄稿: IT サービスマネジメント導入、運営に経験を他の会員の皆様とシェアしていただけ
る方を募集しております。ご協力いただける方は、it SMF Japan 出版担当宛てにメールにてご
連絡ください。
メールアドレス: publication@itsmf-japan.org
■ 広告: 本ニュースレターは皆様の広告料で制作されています。広告掲載に興味をお持ちの 方は it SMF Japan 事務局にご連絡ください。
■ it SMF Japan ニュースレター
2004 年4月号 (1 月、4 月、7 月、10 月発行 )
編集人: 水野 康彦(it SMF Japan 出版担当理事) 編集取りまとめ: 八木 隆 ( 日立製作所 ) 編集に協力いただいた方々(敬称略、アイウエオ順): 足立伸男 ( 第一生命情報システム )、阿部渉 ( 日本アイ・ビー・エム)
、岡田香織 ( 日本アイ・ビー・
エム)、片山貴博(日本アイ・ビー・エム)
、工藤秀夫 ( 日本アイ・ビー・エム)
、小塩理恵子 ( 日
本アイ・ビー・エム)、小山條二 ( 富士通 )、酒井敏宏 ( アール・プロメトリック )、塩田貞夫 ( 日
本ヒューレットパッカード )、品田京子 ( 日本アイ・ビー・エム)
、永田誠 ( 日本アイ・ビー・エム)
、
中野光孝 ( 第一生命情報システム )、 萩野美穂 ( 日立製作所 )、廣澤正道 ( 日本アイ・ビー・エム )、
山口大輔 ( ビーエスアイジャパン )、山本隆之 ( 日本アイ・ビー・エム)、山本津登士 ( コンピュー
タ・アソシエイツ )
■発行所:it SMF Japan
東京都港区六本木 6 丁目 10 番 1 号六本木ヒルズ森タワー 34 階私書箱 30 号
電話 (03)5786-7525 Fax (03)5786-7523
URL: www.itsmf-japan.org
■ ITIL® は英国政府機関の OGC(Office of Government Commerce) の英国およびその他の国におけ
る商標または登録商標です。
■その他記載の組織名(会社/団体/機関)
、製品名は、それぞれの会社/団体の商標または登録
商標です。
■本誌掲載記事の無断転載を禁じます。
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