日本環境心理学会 第6回大会・総会 於 武蔵野大学 有明キャンパス 平成 25 年 3 月 9 日(土) 日本環境心理学会 第6回大会開催にあたって 日本環境心理学会会員の皆様 日本環境心理学会の第 6 回大会を武蔵野大学有明キャンパスで開催いたします。 当日は、環境心理学のワークショップ、研究発表のほか、新キャンパス内をめぐるミニエクスカーショ ンなどの企画もいたしております。 本大会を折に、たくさんの素敵な出会いが生まれることを願っております。 年度末のご多忙な時期かと存じますが、皆様のご参加をお待ちしております。 平成 25 年 3 月 小西 啓史(武蔵野大学人間科学部) 村松 陸雄(武蔵野大学環境学部) 2 日本環境心理学会 第6回大会・総会の概要 ■大会の日程・開催場所・主催等 日時:平成 25 年 3 月 9 日(土) 10:00 〜 17:00 会場:武蔵野大学 有明キャンパス 1 号館 2 F 208 教室 (東京都江東区有明 3-3-3) 主催:日本環境心理学会 ■大会参加費 1,000 円(会員、非会員とも) ■大会プログラム 1)ワークショップ 10:00 〜 12:00 『次代の大学教育のあり方を考える』 企 画 者 小西 啓史(武蔵野大学) 村松 陸雄(武蔵野大学) 発 表 者 根上 明(玉川大学 工学部 マネジメントサイエンス学科) 村山 史世(麻布大学 生命・環境科学部 環境科学科) 村松 陸雄(武蔵野大学 環境学部 環境学科) 指定討論者 小西 啓史(武蔵野大学 人間科学部/教務部長) 2) 運営委員会 12:00 〜 13:15 3) ミニキャンパスツアー 12:00 ~ 12:30 4) 総会 13:15 〜 14:00 5) 口頭発表 14:00 〜 17:00 発表 12 分、質疑応答 3 分 会場にはプロジェクタを用意します。発表時に接続して使用するためのノートパソコンを各自ご持参ください。 また、投影できない場合に備え、データのバックアップをご用意ください。 14:00 ~ 14:15 1. 生態系サービスの価値定量化を担う「バリュー・イリシター (ES Value Elicitor)」という発想の提案 太田貴大(名古屋大学工学研究科社会基盤工学専攻) 14:15 ~ 14:30 2. 空間的距離と心理的変数の関係から考察する都市居住者の住環境選好と人付き合い行動 刀根令子 ( 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 ) 14:30 ~ 14:45 3. エネルギー使用量の見える化が省エネ行動へ与える効果:ポイント減少制度を用いた旭川での社会実験 森康浩 ( 北海道大学文学研究科 )・大沼進 ( 北海道大学文学研究科 )・前田絵美 ( 北海道大学文学研究科 ) 14:45 ~ 15:00 4. 大学生の社会貢献に対する意識調査-テキストマイニングによる自由記述の解析 原田知佳(武蔵野大学大学院環境学研究科環境マネジメント専攻)・村松陸雄(武蔵野大学環境学部) 15:00 ~ 15:15 5. 唾液中αアミラーゼ活性による精神作業場面における社会的自己保存反応の検討 平田乃美(白鴎大学教育学部) 15:30 ~ 15:45 6. 冷水マットによる寝床内温度制御が夏季終夜睡眠時の睡眠質に与える影響 -生理・心理計測から見た睡眠質向 上に関する検討- 新里亜利沙(武蔵野大学大学院人間社会研究科人間学専攻) ・筑井里美(武蔵野大学人間科学部) ・島田紗樹(武 蔵野大学人間科学部) ・西塚仁美(武蔵野大学人間科学部) ・橋本修左(武蔵野大学人間科学部) ・山田瑞生(西 川産業株式会社 日本睡眠科学研究所) ・中村勤(西川産業株式会社 日本睡眠科学研究所) 15:45 ~ 16:00 7. 里山保全目標設定のための都市部住民の里山に関する印象評定の試み (1)―手入れされた里山と手入れされない 里山の印象を構成する要因の探索― 高橋直 ( 東京都市大学大学院 )・前川均(株式会社日立製作所)・谷光清(株式会社日立製作所) 16:00 ~ 16:15 8. 駅空間における事象の場所スキーマに関する研究 羽生和紀(日本大学文理学部) ・野中遼平(日本大学文理学部) 16:15 ~ 16:30 9. 写真・ナラティブ誘出法(Photo Eliciting Narrative Approach:PEN-A)による地域環境認知把握の試み 石盛真徳 ( 京都光華女子大学人文学部 )・加藤潤三 ( 琉球大学法文学部 )・岡本卓也 ( 信州大学人文学部 ) 16:30 ~ 16:45 10. 机上面に生成される心理的領域に天板タイプが与える影響について 松尾恵理香(徳島大学総合科学部) ・花田愛(岡村製作所マーケティング本部パブリック製品部)・ 吉田健介(岡村製作所マーケティング本部オフィス研究所) ・掛井秀一(徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・ サイエンス研究部) 16:45 ~ 17:00 11. 病院の待合室の視覚的特性と感情的評価に関する研究 (11)―評価構造の検討― 陶真裕(日本大学大学院文学研究科) ・羽生和紀(日本大学文理学部) ■学内インターネットの利用 カフェテリア『ロハスカフェ ARIAKE』とその周辺では、無料の無線LANが利用可能です。 ■学内分煙 武蔵野大学構内は分煙を行っております。喫煙される場合には指定された喫煙所をご利用ください。 ■会場周辺の飲食店、商店等 キャンパスにカフェテリア『ロハスカフェ ARIAKE』が開いていていますのでそこをお使いいただけます。会場 周辺にはコンビニ(セブンイレブン、ローソン)があります。さらに徒歩5分ほどの距離にある、TOC 有明と TFTビル・ワンザ有明ベイモールにレストランや居酒屋等があります。 ■問い合わせ先 ご質問等ございましたら、遠慮なくお問い合わせください。 日本環境心理学会第 6 回大会事務局 e-mail: jsep2013@gmail.com 4 ■ワークショップ 10:00 ~ 12:00 『次代の大学教育のあり方を考える』 企 画 者 小西 啓史(武蔵野大学) 村松 陸雄(武蔵野大学) 発 表 者 根上 明(玉川大学 工学部 マネジメントサイエンス学科) 村山 史世(麻布大学 生命・環境科学部 環境科学科) 村松 陸雄(武蔵野大学 環境学部 環境学科) 指定討論者 小西 啓史(武蔵野大学 人間科学部/教務部長) 「そのように迷走する大学の教育力を社会もそう簡単に信用するはずもなく、今日の大学教師は、着地点が見えない まま社会との関係改善、つまり産学連携や学生の就職支援、地域なメディアとの連携に駆り立てられている」(吉見 , 2011) 奇しくも昨年に勃発した田中真紀子前文科相による大学新設の不認可騒動が衆目を集めたように、今ほど大学の 存在意義が問われている時代はないのではないか。同様に、大学という場における活動を生業としている大学教員 の役割も大いに問われている。大学教員が研究者なのか、それとも教育者なのかについては古くて新しい命題であ るが、金子(2007)は、ベルリン大学の創設者の一人であるフンボルトが提唱した、研究を中心とする大学と大学 教育の理念(フンボルト理念)が、今日の大学教員の自己規定の核としてその心性に深く刻印を残しており、研究 と教育という2つの要求を同時に満たすためには、そのフンボルト理念の呪縛を解き克服することが今日の大学教 育の基本的な課題の一つであると指摘している。 メディアやIT技術の発展が、 「白熱教室」シリーズ(NHK)や「iTunes U」 (Apple)等により世界の名立たる 大学の有名教授による名物講義を世界のどこでも視聴することを可能にしている。また、マサチューセッツ工科大 学(MIT)が 2003 年から始めた取り組みを端緒として、オープンコースウェア (Opencourseware; OCW)、大学 や大学院などの高等教育機関で正規に提供された講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開する 活動が世界中の大学に広がりつつある。今や、大学の講義は、大学コミュニティのメンバーのみが受講できる門外 不出のコンテンツではなくなり、大学の知的資産を共有し、社会全体で蓄積すること、つまり教育のオープン化を すすめることが次代の大学のあるべき姿であるといわれている。ルイス・カーンは「一本の樹の下で語り始めた人 の話を聞きに人が集まる―それが学校の起源である」という金言を残しているが、リアルな場所に人が集まって学 ぶという「学校」の存在自体が、もはや過去のものになるといってもまるっきり突拍子もないとは言い切れないよ うに思える。 大学の教育に関しては、心理学関連分野においても正統的周辺参加論、状況論的学習、拡張する学習、活動理論、 社会文化的アプローチ、アクターネットワーク理論、ハイブリッド・コレクティヴ等々、様々なアプローチから探 究され、研究知見も蓄積されつつあるが、残念ながら、環境心理学学会ではそれほど中心的なテーマとして取り上 げてこなかった。そこで、環境心理学学徒の皆さまによる大学教育に対する学術的な興味関心が向上し、当該テー マが本学会でも談論風発することを趣旨として、今回、本ワークショップを企画した。 根上氏には、これまで氏が取り組んでこられた玉川大学学生環境保全委員会における学生主体の環境活動、プロ ジェクト・ワイルド、プロジェクト・WET、プロジェクト・アドベンチャー等のアクティビティを用いた「協同」 的な学びを主眼とした、新しいタイプの大学授業への取り組みを対象とした能動的な学びに関するサービス・ラー ニングの観点からの研究結果などについて話題提供をいただく。 村山氏は、麻布大学に着任以来、学生たちと一緒に大学周辺の地域社会、NPO、行政等と協働した環境活動やま ちづくりに関連した独自の祭を企画するなど、精力的にご活躍で、「村山先生は学生と遊んでばかりいるらしい」と 5 いう一部の冷ややかな声も一顧だにせず、最近では「あざおね社中」(村山氏が主宰されているプロジェクト)の活 動で相模原市の奥地の農村で田んぼをつくりに取り組まれている。さがまちコンソーシアム ( 相模原・町田大学地 域コンソーシアム ) の中心メンバーでもある。村山氏には、これまでの活動経験を踏まえて、学生や地域社会を巻 き込む力、学生が教員の想定を越えて大きく成長する場の条件、大学教員の仕事などについて話題提供をいただく。 村松氏は、2003 年に環境学科が発足して以来、「自らが考え、動くことで、社会を動かす実践的な力」を養成す ることを意図とした、 授業科目「環境プロジェクト」を試行錯誤しながら担当し続けている。この授業の一環として、 学生主体でプロジェクトチームを組織し、企業・自治体・市民と連携しながら環境問題を改善し、環境への意識の 向上を目指した活動を行っている。村松氏には、これまでの授業担当者としての経験を踏まえて、この授業におけ る学生の学び、教員による学生プロジェクトとの関わり方、主体的学習(アクティブ・ラーニング)のあり方など について話題提供をいただく。 指定討論者としては、小西氏からは、現役の武蔵野大学教務部長として、大学改革の最前線で陣頭指揮をとられて いる貴重な経験を踏まえた(or 踏み越えた)コメントをいただく。 引用文献: 吉見俊哉 (2011). 大学とは何か , 岩波書店 . 金子元久 (2007). 大学の教育力 , 筑摩書房 . 6 ■口頭発表 14:00 〜 17:00 ※発表 12 分、質疑応答 3 分 14:00 ~ 14:15 生態系サービスの価値定量化を担う「バリュー・イリシター (ES Value Elicitor)」という発想の提案 太田貴大(名古屋大学工学研究科社会基盤工学専攻) 人間が生態系から得る様々な便益である生態系サービス (ES: Ecosystem Service) が、生物多様性保全の領域で 注目されている。我々の自然環境への依存度を自然科学と社会科学の多様な視点で明らかにすることは、保全の正 当化や促進につながる。ES は、物質的な恵み、生活に良好な環境の維持、そして精神的で文化的な恵み ( 教育や場 所の感覚など ) を、一概念として統合することを目指している。多様な ES を、現実の保全政策のために活用するに は、ES の価値を定量的に把握する必要がある。しかし、特に文化的な恵みでは、評価者 ( 受益者や一般の人々 ) が 価値の定量的な表明に抵抗を示すことが明らかとなってきた。このような評価者が定量的に表現できない生態系サー ビスの価値を、評価者との会話等で得られる情報をもとに、代わりに表現する専門家「バリュー・イリシター」と いう発想を提案する。発表では、その可能性について議論したい。 14:15 ~ 14:30 空間的距離と心理的変数の関係から考察する都市居住者の住環境選好と人付き合い行動 刀根令子 ( 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 ) 本研究では、都市居住者の住環境選好や日常の人付き合い行動に関して、心理的変数と空間的変数との関係を分 析した結果を報告する。2011 年に実施した質問紙調査により、1 都 3 県の居住者 100 名の、日常生活に関する満 足度や、住環境や人付き合いに関連するいくつかの空間的位置のデータを得た。その上で、回答者本人の居住地(P) 、 最も親しい友人の居住地(F)、その友人との会合場所(M)、将来住み替えたい街(D)の各地点(それぞれの最寄 駅の位置)間の距離と、日常生活に関する満足度(住環境、家庭生活、経済状況、人付き合い)との相関関係を分 析した。その結果、 本人の居住地と将来の住替希望地間の距離(PD)と住環境満足度の間の有意な負の相関関係など、 いくつかの空間的距離と心理的変数の関係を抽出することができた。さらにこれらの関係の背景をデータから探り、 都市居住者の心理・行動的側面を具体的に記述・理解することを試みる。 14:30 ~ 14:45 エネルギー使用量の見える化が省エネ行動へ与える効果:ポイント減少制度を用いた旭川での社会実験 森康浩 ( 北海道大学文学研究科 )・大沼進 ( 北海道大学文学研究科 )・前田絵美 ( 北海道大学文学研究科 ) 家庭でのエネルギー使用に関して効果的な取り組みを検証するため介入を行った。旭川市で参加者を募り、エネ ルギー消費に応じてポイントが減る「ポイント減少制度」と書面や web 上でエネルギーの使用量を管理する「見え る化」を 1 年間続けてもらった。その際、毎月の電気・ガス・灯油の使用量を報告してもらうことで具体的な省エ ネ行動の指標とした。また、 参加者は参加前と参加半年後に質問紙に回答した。1 年間介入行ったうち 6 ヶ月分のデー タを用いて分析した。従属変数を自己申告の行動とした場合も実際のエネルギー使用量とした場合も、規範喚起モ デル (Shwartz, 1977) でよく説明されることが示された。すなわち「気づき」、「責任帰属」「内発的動機(おもし ろい)」が行動を規定していた。また、よくポイントを確認しているほど省エネに繋がっていたことから、行動の可 視化が有効であると考えられる。 7 14:45 ~ 15:00 大学生の社会貢献に対する意識調査-テキストマイニングによる自由記述の解析 原田知佳(武蔵野大学大学院環境学研究科環境マネジメント専攻)・村松陸雄(武蔵野大学環境学部) 本研究は社会貢献行動の「契機」と行動を「持続」する要因を見出すことを目的とし、次の 2 つの調査を行った。 まず 1 つ目は、現在の日本における社会貢献に対する認識や活動の傾向を見出すため、社会貢献に関する記事を対 象にテキストマイニングを用いて分析を実施した。その結果、現在の社会貢献行動は、従来の見返りを求めない慈 善的な活動よりも、ビジネスとして社会問題を解決するものが多い傾向にあり、活動形態の多様化が見受けられた。 また、若い世代の育成や起業の支援を行うことが求められている傾向が示唆された。2 つ目は、大学生の社会貢献 に対するイメージと社会貢献行動の契機要因・促進要因を見出すことを目的とし、大学生を対象として社会に貢献 する行動についてのアンケート調査を行った。大学生は社会貢献行動のイメージを従来のボランティアと混同して 捉えている傾向にあることが明らかになった。 15:00 ~ 15:15 唾液中αアミラーゼ活性による精神作業場面における社会的自己保存反応の検討 平田乃美(白鴎大学教育学部) 近 年、 交 感 神 経 系 の 活 性 を 把 握 す る 新 し い 生 理 指 標 と し て 唾 液 中 α ア ミ ラ ー ゼ (sAA) が 注 目 さ れ て い る。 Dickerson,Gruenewald, & Kemeny (2009) は,炎症反応における社会的認知の過程の重要性を指摘して、社会的 自己が制御不能な脅威に曝されるとき、堅固かつ確実なコルチゾール反応が誘発されるとする社会的自己保存理論 を提唱した。本研究は、sAA 活性を指標に、精神作業課題における社会評価脅威の影響を検討することを目的とした。 健常な大学生 77 名は、次の 2 条件下で精神作業課題に挑戦した。参加者は複数の観察者に、(1) 成績を観察されな がら作業する (SET)、 (2) 作業を観察されるが成績は表示されない (non-SET)。結果では、SET 条件でのみ課題直後に、 sAA および主観的ストレス評価の有意な上昇が認められ、社会的自己保存反応が検証された。特に、成績上位者の 上昇が顕著であった。 15:30 ~ 15:45 冷水マットによる寝床内温度制御が夏季終夜睡眠時の睡眠質に与える影響 -生理・心理計測から見た睡眠質向上に 関する検討- 新里亜利沙(武蔵野大学大学院人間社会研究科人間学専攻) ・筑井里美(武蔵野大学人間科学部) ・島田紗樹(武蔵 野大学人間科学部) ・西塚仁美(武蔵野大学人間科学部)・橋本修左(武蔵野大学人間科学部)・山田瑞生(西川産業 株式会社 日本睡眠科学研究所) ・中村勤(西川産業株式会社 日本睡眠科学研究所) 近年、日本では夏場の高温多湿下で最低気温が 30℃を超える熱帯夜の日数が増加し、睡眠質の低下も著しい。そ こで、いかに夏期の睡眠質を向上させるかということが我々にとって大きな課題となっている。本研究では寝室の 温湿度と寝床内温湿度が睡眠質に与える影響について生理・心理的側面から検討し、冷水マットによる温度制御の 元、実験を行った。被験者は、健康な 20 代女性 3 名 ( 平均年齢 22.3 歳 ) とし、実験期間中は午前 0 時に就寝、朝 7 時起床とする 7 時間の終夜睡眠とした。測定項目は、脳波、筋電図、眼球電図、心電図、体温、寝床内温湿度の 測定に加え、CMI 健康調査票、OSA 睡眠調査票、温熱感アンケート(VAS)による主観の測定である。実験要因お よび水準は、室内の温湿度設定を 30℃・75% RH 条件、30℃・55 ~ 60% RH 条件の 2 水準、さらに冷水マット の水温設定を 27℃、29℃、31℃の 3 水準の計6水準とした。結果、寝室内の湿度が高い条件の方が睡眠質は低下し、 冷水マットの温度が低すぎる場合も被験者によっては睡眠質が低下する傾向が見られた。この傾向は、体動および 心理測定においても同様の結果であった。 15:45 ~ 16:00 里山保全目標設定のための都市部住民の里山に関する印象評定の試み (1)―手入れされた里山と手入れされない里山 の印象を構成する要因の探索― 高橋直 ( 東京都市大学大学院 )・前川均(株式会社日立製作所)・谷光清(株式会社日立製作所) 農林業の衰退や少子高齢化による過疎化などが原因で、中山間地域の荒廃は急速に進んでいます。里地里山にお ける生態系保全のためには、荒廃した里山を保全することが大切ですが、ここで問題となるのはどのような姿に里 山を復元するかという問題です。里地里山保全活動が、農林業者や地域住民だけではなく都市部のボランティアを はじめとした多くの人々によって支えられるという将来像(生物多様性国家戦略 2010)を具体化するには、里山 に関する知識が十分でない人々でも簡易に利用できる具体的な保全目標を設定するための方法を開発する必要があ ります。また設定する保全目標自体も、より多くの人々によって支持されるものである必要があると考えられます。 そこで本研究では、そのための基礎的な取り組みとして、里山保全活動として一般的に行われている竹林駆除とい う保全活動が都市部のボランティアをはじめとした人々にどのように受け止められているかを調べます。 16:00 ~ 16:15 駅空間における事象の場所スキーマに関する研究 羽生和紀(日本大学文理学部) ・野中遼平(日本大学文理学部) 特定の用途の場所や空間の典型的構造のスキーマを場所スキーマという。駅を対象に、場所スキーマに関して検 討した。駅によく見られる、トイレ、売店、コインロッカーがどの場所にあるかを、4 つの駅の図式化された俯瞰 図上に実験参加者が示した。設置が可能な床面をメッシュに区切り、実測データを用いたポアソン分布に基づき、 必然的な集積点を検討したところ、トイレ、売店、コインロッカーごとに集積しやすい場所が示されたことから、 場所スキーマの存在とその構造の持つ性質が示された。 16:15 ~ 16:30 写真・ナラティブ誘出法(Photo Eliciting Narrative Approach:PEN-A)による地域環境認知把握の試み 石盛真徳 ( 京都光華女子大学人文学部 )・加藤潤三 ( 琉球大学法文学部 )・岡本卓也 ( 信州大学人文学部 ) 個人の地域環境認知を質的に把握する方法としては、写真に撮影されたものを自己と外界とのかかわりが反映さ れたものとみることによって、個人の心的世界を把握・理解しようとする方法である写真投影法(野田 , 1988)が、 環境心理学や社会心理学などの心理学領域にとどまらず、都市計画学や土木計画学等の景観研究でもよく用いられ てきた。我々の研究グループは、その写真投影法に面接調査を組み合わせた研究法を開発し、写真・ナラティブ誘 出法(Photo Eliciting Narrative Approach:PEN-A)と名付け、調査参加者によって撮影された写真を手掛かりと して研究者がナラティブを引き出す新たな可能性を検討した結果、①投影的機能と概念化機能、②再評価機能と再 発見機能、③語りの客体化機能、④関係形成機能といった点において、写真投影法よりも優れていることを見出し たが、本研究では PEN-A が、写真投影法の修正版にとどまらない新たな可能性を有する方法であることを調査事例 に基づき議論する。 9 16:30 ~ 16:45 机上面に生成される心理的領域に天板タイプが与える影響について 松尾恵理香(徳島大学総合科学部) ・花田愛(岡村製作所マーケティング本部パブリック製品部) ・吉田健介(岡村 製作所マーケティング本部オフィス研究所) ・掛井秀一(徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部) 先行研究よりテーブルの天板タイプ(一人掛け/長机矩形/長机蒲鉾形)が隣席着座時の個人作業に於ける集中 に影響を及ぼすことが示唆された。本研究では「個人作業時には机上面に何らかの心理的領域が発生し、天板タイ プによりこの心理的領域のパターンが異なるため,個人作業に於ける集中に差異が生じる」という作業仮説を設け、 心理的領域発生ならびに領域への天板タイプの影響を実験により検証した。実験は天板タイプ 3 群(一人掛け/長 机矩形/長机蒲鉾形) 、着座位置 2 群(利き手側/反利き手側)の 2 要因計画(3 × 2)とした.机上面に設定され た区画に、被験者の隣に座った実験者がモノを置いたときの感じ方を被験者に 4 段階で評価させた。実験の結果、 個人作業時には心理的領域が発生し、天板タイプが心理的領域のパターンに影響を及ぼすことが確認された。 16:45 ~ 17:00 病院の待合室の視覚的特性と感情的評価に関する研究 (11)―評価構造の検討― 陶真裕(日本大学大学院文学研究科) ・羽生和紀(日本大学文理学部) 陶・羽生はこれまで、診療所の待合室の評価構造を示すことを目的として、量的研究、質的研究による検討を行っ てきた(e.g. 陶・羽生 ,2008, 2012a, 2012b) 。その結果、利用者視点による待合室環境の重要な評価軸として、 「入 りやすい」、「利用したい」 、「安心感」、「待つのに良い」といった評価が見いだされている。本研究では,待合室の 写真を刺激とし,これまでの研究で用いた変数に他者に関する要因についての変数を加え、より現実に即したモデ ルの検討を行った。学生を対象とした調査を行った結果、色合いや照明、植物・表出物の量や、椅子の質や配置な どの視覚的特性から、 「スタッフの質が良さそう」 、 「医療の質が高そう」といった評価を介し、 「安心感」、 「入りやすい」 といった評価を介して、 「利用したい」評価を説明するモデルが構築された。 ※日本環境心理学会では学術研究誌として『環境心理学研究』を 2013 年度より Web Journal として発刊すること となりました。それにあたり、第6回大会での研究発表の発表要旨を『環境心理学研究』に掲載予定です。 10 ■会場へのアクセス 会場:武蔵野大学 有明キャンパス 1 号館 2 F 208 教室(東京都江東区有明 3-3-3) 11 武蔵野大学有明キャンパス 12 13 14 日本環境心理学会第6回大会実行委員会 小西 啓史 ( 武蔵野大学 人間科学部) 村松 陸雄 ( 武蔵野大学 環境学部) 立川 公子 ( 武蔵野大学 通信教育部 非常勤講師) 野沢 久美子 ( 武蔵野大学 通信教育部 非常勤講師) 原田 知佳 ( 武蔵野大学大学院 環境学研究科 環境マネジメント専攻) ※その他多数の方のご協力により、大会を運営いたしております。 日本環境心理学会第 6 回大会プログラム 発行日 平成25年3月9日 発行所 日本環境心理学会第 6 回大会実行委員会 〒 135-8181 東京都江東区有明 3-3-3 e-mail: jsep2013@gmail.com http://jsep2013.wordpress.com/ 15
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