学校における 「OJT推進のための手引」 〈初 版〉 平成26年3月 宮 崎 県 教 育 委 員 会 目 ※ ※ Ⅰ 次 はじめに 学校における「OJT推進のための手引」全体構想図 学校におけるOJT推進が求められる理由・・・・・・・・・・・・・ 1 学校にOJTが求められる背景 2 OJT(On the Job Training)とは 3 4 5 1 三つの学びの場 OJTの実効性 OJTの三つの観点 Ⅱ 教職員に求められる資質能力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 求められる教職員像 2 教職員のライフステージに応じて求められる資質能力 5 Ⅲ OJTを効果的に進めるためのポイント・・・・・・・・・・・・・・ 1 OJTを実施する上でのスキル 2 OJTを効果的に進めるメンタリング 7 Ⅳ 学校におけるOJTの進め方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 学校におけるOJTの基本的な流れ 2 学校におけるOJTの進め方 (1) 実施体制の構築 15 (2) 個別に実施する人材育成 (3) 集団で実施する人材育成 (4) 管理職等のマネジメントによる人材育成 Ⅴ OJTのさらなる推進に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 「OJT推進研究校」の指定 2 「OJT実践報告会」の実施 3 「OJT実践事例」のまとめ 参考資料 ・ 「学校におけるOJT推進」に係るアンケート ・ 教職員の資質向上実行プラン(概要版) 手引作成委員・参考文献 29 は じ め に 学校における最大の教育環境である教職員が、子どもたちにとって信頼を寄せる存在であ り続けるためには、絶えず学び続けようとする強い姿勢が求められます。 しかし、校外における研修の機会は限られており、これからは、日常の職務を通して校内 で学びを進めることができるOJTの取組が注目されています。 この手引は、平成25年3月に策定した「教職員の資質向上実行プラン」に基づいて、学 校においてOJTを推進するための入門書として作成したものです。 この手引を学校におけるOJTを推進する上での基盤づくりのために活用していただく とともに、手引の中に掲載している取組の例を参考にしていただき、学校の実態に合わせた OJTの実施体制を構築し、推進していただきたいと思います。 学校におけるOJTの取組は、各学校によって様々なものが考えられます。本県において も「個人の成長」と「学校の課題解決」をねらいとし、OJTの基本的な考え方を踏まえな がら取組を推進し、本県ならではのOJTのスタイルを見出していきたいと思います。 Ⅰ 学校におけるOJT推進が求められる理由 1 学校にOJTが求められる背景 「教職員の資質向上実行プラン」では、次のように記載しています。 なぜOJTが必要なのか? 「教員の質の向上に関する調査研究」によれば、授業実践や教育に対する考え方に影 響や変化を及ぼしたと思われる事柄として、「学校内での優秀な教員との出会い」が群 を抜いて高いといった調査結果があります。このことにより、校内で行うOJTが教職 員の資質向上を図る上で有効であることが分かります。 また、今後、学校を支えてきた経験豊かな教職員の大量退職を迎え、実践的知識や指 導技術を組織的・計画的・継続的に次世代の若手教職員や、中堅教職員へ継承していく 機会がますます重要となります。さらに、「児童生徒と向き合う時間の確保」、「教職 員の多忙化」が指摘される中、研修のための新たな時間や場所の確保等が厳しい状況に あることから、教職員一人一人の資質と学校の教育力を向上させるために校内で行うO JTが大変重要であると言えます。 また、教職員の人材育成を振り返ってみますと、今までの教職員の学びは、教職員個々 の研修等への意欲や育成する側の意識、学校の取組体制や状況等に頼ってきた面がある ように思われます。このことによって、一部の教職員の成長は図ることができても、全 ての教職員の成長につながる学びとしては十分に機能していないことが考えられます。 これからの変化の激しい社会状況の中において、児童生徒にとってより良い学校教育 活動を進めていくためには、全ての教職員の資質向上が喫緊の課題であり、人材育成の 在り方をもう一度見直し、組織的・計画的・継続的な人材育成を図っていくことが重要 となります。 2 OJT(On the Job Training)とは 「教職員の資質向上実行プラン」では、次のように記載しています。 OJTとは OJT(On the Job Training)は、一般に、「職場の上司や先輩が部下や後輩に 対し、具体的な仕事を通じて、職務に必要な能力を組織的・計画的・継続的に指導 し、修得させることによって、全体的な業務処理能力や力量を育成する活動のこと」 だと言われています。 この考え方を基本としながら、本県の現状を踏まえ、本県のOJTを次のようにとら えました。 -1- 本県は、現在、新規採用者数が少なく、40歳代から50歳代の教職員が全体の約7 割を占めるという状況にあり、退職者数も約10年後のピークに向け、徐々に増えてい くことが予想されます。 そこで、後輩教職員の人材育成だけでなく、全ての教職員の人材育成という視点から、 同僚間の教え合いや内容によっては、後輩教職員と先輩教職員との教え合いも含め、 「学 校内での教職員の育成に影響を与える全ての場」をOJTの機会ととらえることが必要 となります。 《本県のOJT》 本県におけるOJTについては、以下のようにとらえるものとする。 日常の職務を通して、教職員として必要な知識や技能、態度等を組織的・ 計画的・継続的に高めていく取組 ・ ねらうところは、「個人の成長」と「学校の課題解決」とする。 ・ 取組の形としては、下図にあるように、管理職や先輩教職員が後輩教職員へ という一般的なOJTに加え、同僚間の教え合いや内容によっては、後輩教職 員と先輩教職員との教え合い等も含めるものとする。 【OJTのイメージ図】 -2- 3 三つの学びの場 教職員の資質向上を図る上で学びの場は、以下の三つととらえています。 OJT(On the Job Training) ⇒ ~ 学校内での学び 日常の職務を通して、教職員として必要な知識や技能、態度等を組織的・ 計画的・継続的に高めていく取組 Off-JT(Off the Job Training) ⇒ 学校外における研修(県教育研修センター等で行う研修)等 SD(Self Development) ⇒ ~ 学校外での学び ~ 自 己 啓 発 課題意識をもって、様々な研修や研鑽に自ら励むこと 学校においては、管理職や先輩教職員からの学びや同僚間の学び合い、校内研修等が OJTに当たり、一方、校外での研修は、Off-JT(Off the Job Training)と呼 ばれています。県教育研修センター等で行う研修は、Off-JTの典型と言えます。 また、自己を高めるために、課題意識をもって自ら学ぶ自己啓発もあります。校外で の研修での学びを生かして、OJTの活性化につなげたり、OJTや校外での研修で学 んだことを基に、自己啓発に励んだりするなど、OJT、校外での研修、教職員一人一 人の自己啓発は、それぞれ独立して存在するのではなく、相互に関連し合い、補完し合 うことが重要ととらえています。 -3- 4 OJTの実効性 学校現場において日常の職務を通して行うOJTには、Off-JTと比べてどのよ うな実効性があるのでしょうか。以下にそのいくつかを示します。 (1) 実践的人材育成 学校内における職務を通して行うので、日常指導の中で、いつでもどこでも実施 することができ、育成の機会を多くもつことができます。 (2) 適時・的確 一人一人の必要な課題について、課題の把握・改善に適時・的確に対応すること ができます。 (3) 組織的・計画的・継続的 目標を明確にもち、教える側、教えられる側の双方向の学び合い、高め合いを組 織的・計画的・継続的に行うことができます。 (4) 校内の学びの体制づくり 組織的・計画的・継続的に日常の教職員一人一人の状況を踏まえた学びを進めて いくことで、校内における人材育成の体制づくりへつながっていきます。 (5) 職場の人間関係、信頼関係の醸成 教えたり、教えられたりすることを丁寧に進めていくことは、お互いの信頼関係 を高めることにつながり、職場内の人間関係を醸成することができます。 5 OJTの三つの観点 この手引では、OJTを「個別に実施する人材育成」、 「集団で実施する人材育成」、 「管 理職等のマネジメントによる人材育成」の三つの観点に整理し取組を進めていきます。 各学校における取組においては、学校の実態に応じて、どの観点に重点をおいて取り組 んでいくかについても考えていくことが望まれます。 (1) 個別に実施する人材育成 管理職や先輩教職員、同僚教職員等が教職員一人一人に対して行うOJT (2) 集団で実施する人材育成 複数の教職員を対象にして行うOJT (3) 管理職等のマネジメントによる人材育成 管理職等による校内における仕事の割当て、各種グループ等での業務を通した OJT -4- Ⅱ 教職員に求められる資質能力 1 求められる教職員像 OJTによる人材育成を具体的に進めるに当たっては、「学校の果たす役割」を踏ま えて、教職員に何が求められているのかを明確にすることが、教職員の資質向上を図る 上で大切です。 そこで、本県では、「教職員人材育成プラン」での考え方や、「第二次宮崎県教育振 興基本計画」策定時の調査結果、中央教育審議会答申等を参考にしながら、「教職員の 資質向上実行プラン」の中で以下のように教職員像を整理しています。 【求められる教職員像】 ○ 愛情と情熱・使命感 子どもに対する愛情と教育に対する情熱・使命感をもち、子どもとの信頼関係を 築くことができること。 ○ 高い専門性 分かりやすい授業を行い、子どもに確かな学力を育成するなど高い専門性を身に 付けていること。 ○ 幅広い社会性、倫理観、人間性 社会人としての幅広い教養と良識や倫理観、心の豊かさを身に付けていること。 ○ マネジメント力 学校組織を運営する高いマネジメント力を発揮できること。 ○ 学び続ける姿勢 絶えず学び続け、自らの資質能力を高めること。 この「求められる教職員像」においては、 「愛情」と「情熱・使命感」が土台となり、 絶えず「学び続ける姿勢」をもって、 「高い専門性」、 「幅広い社会性、倫理観、人間性」、 「マネジメント力」を教職員が身に付けていくことをイメージしています。 学び続ける姿勢 高い専門性 幅広い社会性、倫理観、人間性 「愛情」と「情熱・使命感」 ※土台 -5- マネジメント力 2 教職員のライフステージに応じて求められる資質能力 教職員の資質能力は、経験年数を積むにつれ、求められる水準が高くなるとともに、 新たに求められる資質能力も加わってきます。 そこで、「教職員の資質向上実行プラン」では、ライフステージに応じて求められる 資質能力を以下のように明確にしています。 区分 年齢 ライフステージに応じて求められるもの 特に求められる資質能力 校内のトップリーダーとして、学校に期 ・リーダーシップ 待される役割・目標の達成のために明確な ・ビジョン構築力 ・人間的な魅力 ビジョンをもち、その実現に向け、教職員 ・信頼感 一人一人の能力を生かしながら学校経営を ・外部折衝力 行う。 ・判断力・決断力 ・ 校内研修の工夫・改善やOJTの推進等、 ・職場の環境づくり ・人材育成力 教職員の人材育成に努める。 ・創造的企画力 ・ 管理職として自ら範を示し、資質能力を ・危機管理の徹底やコンプ 高めていく。 ライアンスの推進 ・ 管理職 能力発揮期Ⅱ(教職経験21年~) ベテラン 4 0 歳 代 ・ 教職員 自分自身の高い能力や専門性を発揮する とともに、指導的教職員として、学校や地 後半以上 域全体の教育力のレベルアップ、人材育成 に貢献する。 40歳代 中堅教職 前半~ 員 能力発揮期Ⅰ(教職経験11年~20年) ・ 教職員としての専門性を発揮し、組織の 30歳代 ミドルリーダーとして活躍するための能力 後半 を身に付けると同時に、自身のキャリアプ ・地域や保護者への対応力 ・組織や学校経営への貢献 ・企画力 ・リーダーシップ ・若手教職員の育成 ・幅広い知識・教養 ・高い授業力 ・児童生徒理解・指導力 ・危機管理やコンプライア ンス意識の徹底 ランを確立する。 能力拡充期(教職経験6年~10年) ・ 力を確立すると同時に、専門性を深め、得 30歳代 若手教職 前半~ 員 20歳代 教職員として必要な基礎的・基本的な能 意分野を伸ばす。 能力育成期(教職経験1年~5年) ・ 教職員として必要な基礎的・基本的な能 力を身に付けていくと同時に、様々な業務 に積極的にチャレンジする。 ・コミュニケーション力 ・基礎的な授業力 ・素直さ・謙虚さ ・学ぶ意欲 ・チャレンジ精神 ・積極性 ・情熱 ・危機管理やコンプライア ンス意識の徹底 (注)平成21年度に設置した新たな職である副校長は管理職に、主幹教諭及び指導教諭は中 堅・ベテラン教職員に区分。年齢は、大まかな目安として表記。 -6- Ⅲ 1 OJTを効果的に進めるためのポイント OJTを実施する上でのスキル (1) コミュニケーションスキル OJTの多くは、コミュニケーションを通して行われます。OJTを推進する上 で、コミュニケーションは重要なツールと言えます。双方向のコミュニケーションを 円滑に行うために、最も大切なのは、互いの信頼関係と言えるでしょう。信頼関係を 築き、その上でお互いの考えを話したり、聴いたりすることができれば、OJTの効 果もより高まることが期待できます。 話す A 聴く 信頼関係 聴く B 話す ア 信頼関係を築くポイント (ア) 信頼関係を築く基本は、お互いを知ることから始まります。日頃からあいさつ を交わしたり、会話を重ねたりすることが大切です。その中で、相手に親近感や 安心感を抱かせることがコミュニケーションの第一歩です。 (イ) 心理学では自分の心を開くことを「自己開示」と言いますが、自分の心を開く と、相手もそれに応じて心を開いてくれるという「返報性の法則」があります。 まずは自分の心を開いて相手と接することが重要です。 イ コミュニケーションのポイント (ア) 心構え ○ 積極的な心…話す方も聴く方も、積極的な心で相手に働きかけます。 ○ 共感的な心…お互いの考えや思いを共感的な心でとらえ、尊重します。 ○ 柔軟な心…自分の考えに固執せず、柔軟な心で話したり、聴いたりします。 (イ) 話すポイント ○ 相手の聴く心の準備ができている時に話します。 ○ 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を用います。 ○ 要点を絞り込み、簡潔に話します。 (ウ) 聴くポイント ○ うなずき、相づち、アイコンタクト、繰り返し等を用いながら聴きます。 ○ 途中でさえぎらずに聴きます。(相手の言いたいことを最後まで聴く。) 一口メモ 「座席もちょっと一工夫」 対象物 二人で話し合う時、どのような配置で座りますか?座り方 の一つに、「90度法」(右図)というものがあります。メ リットとして、両者がリラックスして話ができ、お互いが共 通のものを見ることができたり、必要によっては相手のこと を見たりすることができます。場合に応じて、活用してみてください。 -7- (2) 効果的なほめ方・叱り方 OJTを行う上で、管理職や先輩教職員は、若手教職員に対し て、ほめたり、叱ったりする場面も出てきます。ここでは、効果 的なほめ方や叱り方について整理します。 ア 効果的なほめ方 「ほめて伸ばす」という言葉があるように、人はほめられるとやる気が湧いてき て、後輩教職員の更なる積極性や自主性を引き出すことが期待できます。しかし、一見 簡単そうに見える「ほめる」という行為が、なかなかできないのも現実です。ほめる規 準をもち、ほめるべき行為を見過ごさないように、常に心がけておくことが大切です。 ◆ ほめ方のポイント ○ 具体的な事実に基づいてほめる ○ プロセスをほめる ○ 人前でほめる イ ○ ○ ○ その場で、タイミングよくほめる ほめた後、次の目標を示す 第三者への感謝の気持ちを伝える 効果的な叱り方 「叱る」というと、どうしても「怒る」ことをイメージしてしまいがちですが、実際 は「怒る」と「叱る」は違います。「叱る」とは、「部下の行動を望ましい方向に変え ていくための、建設的なフィードバックを行うこと」と位置付けてみましょう。そうす ることで、叱ることへのためらいが減り、意味のある叱り方になります。 ◆ 叱り方のポイント ○ 感情的に叱らない ○ 端的に要点のみで叱る ○ 直接本人を叱る ○ 相手の成長を認めてあげる姿勢 ○ 成功のイメージをもたせる ○ ○ ○ ○ 「一緒に~しよう」という気持ち 行為を叱り、人格を叱らない 他人と比較しない 過去の失敗を蒸し返さない ○ 叱った後は、必ずフォローする 一口メモ 「ほめるための3種類のメッセージ」 ほめる時に次の3種類のメッセージを使うと効果的です。 ○ YOU メッセージ:「あなたの仕事は○○だ」と相手に伝える ことです。 ○ I メッセージ:相手の行動や存在が自分へどんな影響を及ぼし たかを伝えるメッセージです。 ○ WE メッセージ:私たちというスタンスで、自分たちにどんな 影響が及んだのかについて言及するメッセージです。 ただし、形式的なほめる言葉では相手に伝わりません。どんなメッセージでも、気 持ちを込めて伝えることが大切です。 -8- (3) コーチング コーチングは、人材育成の手法の一つで、「問題の解決策や答えは、全てその人の中に ある」という前提で、適切な支援を行うことによって、相手のやる気や能力、可能性を引 き出していこうという考え方に基づいています。もともとはビジネスの世界で用いられて いた手法ですが、OJTの一つの手法として、学校でも用いられます。コーチングの手法 は数多くありますが、ここでは、「傾聴」、「質問」、「承認」の三つのスキルについて 説明します。 ア 「傾聴」のスキル まずは、若手教職員の考えや意見を引き出すことが大切です。若手教職員が、話しな がら、現状や課題、解決策に自ら気づいていくことをねらいとしています。相手に安心 感を与え、相手の言いたいことを最後まできちんと聴き、その発する言葉の本質は何な のかを聴き分け、正しく理解することが求められます。 ◆ 「傾聴」のポイント ○ 「聴くこと」に集中する。 話を聴く時は仕事を中断し、相手に話をさせる環境をつくります。 ○ 相手の話の先読みや、結論の先取りをせず、最後まで聴く。 途中で口を挟まず、自分の先入観で話を聴かないことが大切です。 ○ 相手の様子をよく見る。 相手の表情やしぐさ、声のトーンなどをとらえることも大切です。 ○ 「聴いている」というサインを送る。 タイミングの良い相づちやうなずき、また、表情や目線で相手を安心させること で、より多くの情報を共有することができます。 ○ 話の内容をフィードバックする。 相手の話が終わったら、自分の理解が正しいかフィードバックして確認しま す。きちんと伝わったことが分かれば、相手も安心します。 ○ 沈黙を共有する。 会話は、言葉と沈黙によって構成されます。相手が沈黙している時間は、新 しいアイデアや正直な気持ちに向き合うために必要な「間」としてとらえる視 点が必要です。 イ 「質問」のスキル 解決策について、相手に考えさせることや相手が自分で答えを見つけることが大切で す。そのために、「質問」することで、若手教職員が自分の考えをまとめたり、解決策 を自ら見つけたりすることがねらいです。相手が置かれている状況を的確に判断し、ど のようなタイミングや目的での質問が効果的であるかを判断することが求められます。 -9- ◆ 「質問」の目的 ○ 問題点をはっきりさせる ○ ○ 視点を変える ○ ○ アイデアを出させる ○ ○ 気づき、発見を促す など 考えを整理する 目的を設定する 価値観を知る ○ ○ ○ 物事を具体的にする 他の選択肢を出させる モチベーションを上げる ◆ 「質問」の種類 ○ 「クローズド・クエスチョン」と「オープン・クエスチョン」 クローズド・クエスチョンは、Yes/No で回答可能な質問で、オープン・クエス チョンは、5W1H の疑問詞を使った質問です。 ○ 限定質問と拡大質問 「いつ」「どこ」「誰」など、物事を特定していく「限定質問」と、「なぜ」「ど うやって」を使う「拡大質問」があります。前者は行動プランをより明確にし たり、目標を具体的に設定したりする際に有効で、後者は考えを広げ、深める場合 に有効です。 ○ チャンクダウンとスライドアウト 受け答えの内容に関して、さらに細かい質問をすることで、情報を掘り下げ ていくことを「チャンクダウン」といいます。話が具体的になればなるほど、 若手教職員は行動を起こしやすくなります。 一方、受けた答えから、さらに新しい発想が生まれるのを促していくことを 「スライドアウト」と言います。アイデアのバリエーションを増やしたり、原因を リストアップしたりする際に有効です。 ウ 「承認」のスキル 「承認」とは、相手のことを認めるという意味です。教職員の自己成長に対する認知 を促進する技術として、コーチングの中で重要な柱になります。若手教職員が、自分の 行動から自身の成長や変化を自ら実感していくことがねらいです。そのため、教職員に 現れる日々の違いや変化、成長、成果を管理職や先輩教職員がいち早く気づき、伝える ことで、教職員は達成感とともに、次に起こす行動を促進するエネルギーが備わります。 ◆ 「承認」の種類 ○ 存在承認:相手の存在に気づいていることを伝える。 あいさつや、相手の状態を具体的事実として伝えます。 ○ 成長承認:成長点を的確に伝える。 相手の変化や成長に関わる事実を伝えます。 ○ 成果承認:成果を伝える。 成果を伝える「成果承認」は、「ほめる」こととも言えます。 - 10 - 2 OJTを効果的に進めるメンタリング (1) メンタリングとは メンタリングとは スキルや経験が豊富な人間が、スキルや経験が少ない人間のキャリア形成と心 理的・社会的側面に対して一定期間継続して支援を行うこと。 メンタリングとは、OJTを行う上での人材育成の一つの手法で、先輩教職員と後 輩教職員の良い関係を学校組織の中でより多くの教職員に広げ、組織的・計画的・継 続的により良い教職員としての成長へ導くための人材育成プログラムの一つです。 (2) メンタリングの重要性 近年、教職員の年齢構成の偏在化や児童生徒数の減少に伴う学校の小規模化によっ て、教職員が校内でお互いに学び合い、刺激し合いながら成長していくといった同僚 性が発揮しづらい環境になってきています。 中央教育審議会「教員の教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方 策について」(答申)では、「職務上の悩みなどについて相談できるような学校の雰 囲気づくりや教員のサポート体制を充実すること」が必要であるとされており、OJ Tを効果的に進めるためには、全ての教職員が、安心して働ける環境をつくることが 大切です。そのため、人と人との関係性を意図的、計画的につくり出すメンタリング が、OJTを行う上で重要となってきます。 (3) メンタリングの方法 メンタリングは、基本的に1対1の関係で、 信頼関係をつくりながら、メンター(支援す る者)が、継続的、定期的にメンティ(支援 メンタリングに基づいたOJT 信 頼 継続的、定期的な関わり を受ける者)を支援していくことになります。 支 援 支援を行う中で、仕事上の相談に応じたり、 メンター メンティ 仕事を進めるに当たっての助言を与えたりし て、メンティの精神的、人間的な成長を促していきます。学校内における初任者研修 対象者への指導も、メンターとメンティの関係であると言えます。 また、メンタリングを用いることで、メンターも自分の指導等を振り返ることがで き、メンター自身の資質能力の向上につなげることもできます。つまり、先輩教職員 として支援をしていくことで自分自身への励みとなり、動機付けともなります。 さらに、信頼できる1対1のメンタリングの積み重ねで相乗効果が高まると、メン ターの効果が学校組織にも大きな波及効果として現れてきます。 一口メモ 「メンターの語源」 メンターとは、ギリシアの詩人ホメロスの叙述詩『オデュッセイア』の登場人物である「メン トール(Mentor)」という男性の名前に語源があり、良き指導者、良き理解者、良き支援者等と いう意味があります。メンターから助言・支援を受ける者をメンティといいます。 - 11 - (4) メンターの役割 メンターは、経験の少ないメンティが教職員の一員として 仕事をしながら、一人前の教職員に成長していくことを支援 します。その支援は、学習指導や生徒指導といった仕事その ものにかかわる「キャリア支援」と、その仕事をしていく上 でメンティの精神的な面を支え、手本を示す「心理的・社会 的支援」の二つに大別されます。 「キャリア支援」は、単に仕事ができるようになるためのものだけではなく、メンティ が教職員としての理想像を確立していくための支援も含まれています。 「心理的・社会的支援」では、校内での他の教職員との良好な人間関係を保っていく ことや、様々な不安や悩みの相談に乗ること等が考えられます。 そのため、メンターの役割は、メンティの思いや考えを引き出したり、先輩教職員とし て手本を示したりするといったように、場面に応じて、助言者や支援者、教育者的役割等 を担うなど、広範囲にわたります。 (5) メンタリングのポイント メンターの役割は、メンティの意欲や態度を引き出すことです。一般的に次のような 点がポイントとなります。 ○ メンティは、メンターとの人間関係を通して成長していく ため、意識的に信頼関係の構築に努める。 ○ メンティをよく観察し、どのような能力や適性があるのか、 また、現在どのような心身の状況にあるのか等を把握する。 ○ メンティが話しやすい雰囲気づくりを心がけ、傾聴する。 ○ メンティが具体的に答えられることができるような質問をする。 ○ 日頃の努力や成功を見つけることで、メンティの意欲を高め、次への動機付け となるフィードバックを行う。 ○ 自然発生的なメンタリングだけではなく、学校全体として組織的に取り組む。 (6) メンターチームとしての取組 メンターチームとは、複数の先輩教職員が複数の後輩教職員等を メンタリングすることで、相互の人材育成を図るOJTのシステム の一つです。 メンタリングは、基本的に1対1の関係で人材育成を図ることで すが、メンターチームは、メンターとメンティを複数対複数の関係 にし、経験のある先輩教職員と経験の浅い後輩教職員の「タテ」の関係と、同期や同じキ ャリアステージにある者の「ヨコ」の関係を相互に組み合わせ、メンター役となる先輩教 職員が中心となってメンタリングを進めます。 - 12 - 学校は、学習指導や生徒指導、進路指導等に加えて、朝の会、帰りの会等での指導、小・ 中学校であれば給食指導等、様々な場面で児童生徒への関わりがあります。さらに、保護 者や地域の方との関わりもあります。それら教育活動全般を通して、共に学び合う同じ職 場の先輩、後輩、同僚で構成された「メンターチーム」を機能させることで、自ら課題に 気づかせ、自ら解決する力を身に付けさせることができます。 メンターチームは、主幹教諭や主任級の教職員が中心となって運営するもの、5年経過 の教職員、10年経過の教職員が中心となって運営するもの、学年が中心となって運営す るもの、分掌部が中心となって運営するもの等、バリエーション豊かに運営することが考 えられます。 次ページは、「教職員の資質向上実行プラン」に示してある、メンターチームの取組例 です。 - 13 - 若手教職員の育成を図るメ ンターチームの取組例 メンターチームとは、複数の先輩教職員が複数の若手教職員等をメンタリングすることで相互 の人材育成を図るOJTの一つのシステムです。 若手教職員のメンターチームが機能するためには、管理職、主幹教諭、指導教諭、主任級教職員 等で構成するサポートチームの支援が必要不可欠です。校内へのメンターチームの導入や、活性化 のための支援を全体責任者である校長が積極的に行います。 また、主幹教諭や指導教諭、主任級職員等が推進責任者となり、校内において若手教職員へ呼び かけて組織化を図ります。さらに、年間計画や実践等の指導や助言を積極的に行います。その際、 管理職に相談し、助言を受けることも大切です。 若手教職員等で構成するメンターチームでは、 先輩教職員が若手教職員のメンターとしての役割 を果たします。OJTを進める際、サポートチームに相談をしながら進めることが大切です。 また、組織的にOJTを進めるため、ベテラン教職員等から助言を得ることも大切です。 【メンターチームの実施体制のイメージ】 メンターチームのサポートチーム 全 体 責 任 者 ・ ・ ・ [管理職] メンターチームの校内への導入 メンターチーム活性化のための支援 直接的な指導 等 助言 相談 推 進 責 任 者 [主幹教諭、指導教諭、主任級教職員 等] ・ メンターチームの組織化 ・ 年間計画等の指導・助言 ・ メンターチームへのアドバイス 等 指導 助言 相談 メンターチーム 先輩教職員Bさん 先輩教職員Aさん 助言 相談 若手教職員Dさん 先輩教職員Cさん 若手教職員Eさん 若手教職員Fさん (「教職員の資質向上実行プラン」P29参照) - 14 - Ⅳ 学校におけるOJTの進め方 1 学校におけるOJTの基本的な流れ 学校におけるOJTは、いつでもだれでもできるという良い面がある反面、その場限 りになることも考えられます。学校におけるOJTをより効果的に進めるためには、P DCAのマネジメントサイクルを基盤としながら、学校の実態等を加味した取組を進め ていくことが求められます。 そこで、下図にありますように、P(目標設定・計画)、D(実施)、C(評価)、A (改善)の一連の流れの中で、 「自分はどんな力を付けたいのか」の目標設定をし、 「そ のためにはどうすればいいのか」の計画を立て、あらゆる場面で実施し、どれだけ目標 に近づけたのかの評価とできなかった原因を分析し、改善へとつないでいく。そして、 新たな方向性を見出していくという取組が基本となります。 【 OJTの基本的な流れ 】 ①教職員が身に付けるべき力を明確にする。 ①あらゆる場面を通して実施する。 ②実施体制を構築する。 ②OJTの実施状況を確認する。 ③OJTの目標を立てる。 ③OJTを行う側と受ける側に対して必 要な指導・助言を行う。 ④OJTの計画を教職員と確認する。 ①計画の段階、実施の段階で改善できるこ ①どれだけ目標に近づいたかを見る・聴き とを明らかにする。 取る。 ②目標を達成した場合とそうでなかった ②新たな方向性を明らかにする。 場合の原因を分析する。 - 15 - 2 学校におけるOJTの進め方 (1) 実施体制の構築 本県のOJTは、管理職や先輩教職員から後輩教職員へという一般的なOJTに加 え、同僚間の学び合いや、内容によっては、後輩教職員から先輩教職員への学び合い 等も含めることとしています。OJTを組織的・計画的・継続的に進めていくために は、学校において「どのような実施体制でOJTを進めていくのか」、「いつ、誰が、 どのようにOJTを進めていくのか」等、管理職が明確な見通しをもち、取組を進め ていくことが大切になってきます。 また、この実施体制の中には、基本的に学校のOJTを総括する全体責任者、OJ Tの実施体制の円滑な運営のための推進責任者、実際にOJTを進めていく担当者、 OJTを受ける対象者が位置付けられます。 ただし、推進責任者と担当者へのOJTは、一つ上の職層の者、具体的には、教諭 に対しては、教頭(又は主幹教諭・指導教諭)が、主幹教諭・指導教諭に対しては、 教頭が、教頭に対しては校長(又は副校長)が、副校長に対しては校長が行うことが 一般的でありますが、校長が教諭へという場合や内容によっては、教諭が主幹教諭や 指導教諭へという場合もあります。 以下に実施体制の例を示しますが、学校規模や校種によって違いもありますので、 一般的な例としてとらえていただきたいと思います。 ア 担当者(一人)によるOJT 担当者(一人)によるOJTは、教職員(一人又は二人)に対してOJTを行う 担当者を校長が指名し、その担当者が中心となってOJTを年間あるいは一定期間 行う方法です。校長が指名する際には、事前に聴き取りを行うなどして、対象者が 意欲をもって取り組むことができるような手立てをとることが必要となってきま す。 〔副校長、主幹教諭、指導教諭の配置のある実施体制例〕 校長 全体責任者 副校長・教頭 推進責任者 指導教諭 A教諭 主幹教諭 B教諭 担当者 C教諭 - 16 - 対象者 〔副校長、主幹教諭、指導教諭の配置のない実施体制例〕 校長 全体責任者 教頭 推進責任者 教諭(分掌部長) A教諭 担当者 教諭(学年主任) B教諭 対象者 OJT対象者 C教諭 担当者は、一般的には、主幹教諭や指導教諭、学部主事や分掌部長、学年主任等 がなりますが、内容によっては、主任級の教職員以外の教職員や後輩教職員が担当 になる場合もあります。校内の教職員の中で校長が適任と判断する者を指名するよ うにします。 イ チームによるOJT(複数→複数) チームによるOJTは、複数の教職員を複数の教職員で行うOJTです。チーム の組み方には、既存の組織活用型(校務分掌のチーム、学年部のチーム、教科部会 チーム等)、目的達成型(校内研修のテーマに応じたチーム、ICT向上チーム、 ○○教育向上チーム)等、学校の状況に応じた組み方があります。基本は先輩教職 員から後輩教職員へのOJTとなりますが、状況に応じてチーム内の構成を変える ことも可能です。 〔チームによる実施体制例〕 校長 全体責任者 教頭 推進責任者 〈チームA〉 〈チームB〉 教諭 教諭 教諭 教諭 教諭 教諭 担当者 A教諭 B教諭 C教諭 A教諭 B教諭 C教諭 OJT対象者 対象者 ウ 担当者を決めないOJT 担当者を決めずに日常の業務の中で気づいた時に気づいた者が行うOJTがあ ります。ただ、この場合も日常の職務を通して、組織的・計画的・継続的に行えな いものは、OJTとは言えないことになります。 - 17 - (2) 個別に実施する人材育成 個別に実施する人材育成とは、管理職や先輩教職員等が教職員一人一人に対して行 うOJTのことです。最もイメージしやすいOJTであり、マンツーマンで指導する ようなものや気づいたときに指導する機会指導等、日常の多様な機会で行うことがで きるOJTです。 ア 先輩や上司からの指導で育てる (ア) 機会をとらえた指導 機会をとらえた指導は、実際の職場で最も機会が多く、日常で行えるOJTです。 担当者である先輩教職員が、対象者である後輩教職員に対して行うものです。担当 者は、対象者の質問や相談に乗り、課題や悩みを理解した上で、適切な助言を行っ たり、授業を見せたりすることもあります。 ただし、指導が一方向になる傾向があるので、対象者の行動に全て指導するので はなく、担当者の実際の指導の様子から対象者に気づかせるという考え方が大切で す。後輩教職員の中には問題を解決できないもののうまく相談できず、悩んでいる 教職員もいるかも知れません。職場にOJTという研修の場が保障されていること が共通理解できれば、その垣根は低いものとなります。「ちょっと○○を見てもら えませんか。」そんな言葉が職員間で飛び交う雰囲気づくりを目指しましょう。後 輩教職員が課題を積み残すことなく自信をもって指導に臨むことにつながります。 具体例を以下に示します。 ※ 以降、 【小】小学校、 【中】中学校、 【高】高等学校、 【特】特別支援学校とし、 その他は、全校種共通とする。 ・ 保護者との関わり(家庭訪問や学級懇談会等での保護者からの質疑に対す る対応の在り方) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 文書起案(起案の意義と方法) 授業参観(教科・道徳・学級活動等) 新しい仕事を担当する時、又は新しい仕事についての打合せ 学習指導案の作成、研究授業及び事前・事後の研究協議 指名された教職員の授業参観 初任者研修(各校務分掌主任からの講話、起案文書等の文書事務指導) ティームティーチングによる複数教師の役割の明確化 授業に関する場面(板書内容、展開の工夫、発問、指示の具体的な改善、 問題解決的な学習の進め方、ワークシートの作成等の授業終了後の時間を活 用した授業改善) ・ 学級経営に関する場面(簡潔な話し方、1日のめあてに対する評価・賞賛 に係る朝の会、帰りの会の対応、経営方針の作成・年間を見通した学級経営 の在り方等) ・ 部活動での指導【中・高・特】 - 18 - ・ 学部や学年を意識したつながり【特】 ・ 各教科等を合わせた指導や自立活動等の指導方法に関すること【特】 ・ 個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成・活用に関すること【特】 (イ) マンツーマンのコーチングやメンタリング OJTの主な目的は、教職員の資質向上によって学校の運営が円滑に行われるこ とです。「教えられる側」が受け身の姿勢で研修を受け続けることは決して有効で はありません。「教える側」の一方的な伝授ではなく、「教えられる側」が本来も っている成長しようとする可能性を引き出すことが大切です。そのための手立てが 「コーチング」や「メンタリング」のスキルになります。具体例を以下に示します。 ・ ・ ・ ・ ・ ティームティーチングによる授業(先輩教職員と後輩教職員の組合せ等) 「○○したい」という内発的動機付け 職場での自己効力感をもたせること 状況に応じたほめ方・叱り方の指導 初任者研修(指導教員等による研究授業の事前・事後打合せ、定期的なミー ティング) ・ 先輩教職員の授業参観 ・ 障がいに応じた適切な関わり方【特】 イ 同僚間の学び合いで育てる 教職員一人一人は、経験を通して多くの知識や技能を身に付けています。それらの 経験を教え合うことは、校内の教職員の資質向上のための良い機会となります。年間 の諸行事に合わせ、時期に応じ必要な内容について短時間で行う取組も考えられます。 内容としては、時期によって行うものや通年で行うものがありますが、年度当初に は留意することも多く、各校の教職員の実態に応じた、計画的な活動が求められます。 具体例を以下に示します。 ・ 後輩教職員の授業力育成のための研修会(授業改善の視点と個別課題の見直 し、模擬授業の実施) ・ 電話や保護者への対応 ・ 通知表や指導要録の記入 ・ 授業の相互参観 ・ 同じ課題をもつ教職員による勉強会 ・ 様々な職務の事前打合せ ・ 生徒指導主事によるミニ研修(生徒指導の在り方、ノウハウ等) ・ 教頭、主幹教諭によるミニ研修(校務整理・文書起案、地域との連携の在り 方等) - 19 - ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 指導教諭によるミニ研修(学級経営、授業、ICT等) 授業後のブレーンストーミング研修 授業改善チェックリストの活用 ティームティーチングによる授業における教職員間の話合い 理科の観察・実験や体育実技研修【小】 学級経営の在り方(係活動や清掃活動の活性化等)【小・中】 教科間での指導方法(他教科での指導内容や学力向上の取組等)【中】 ウ 場を与え、仕事を任せて育てる (ア) 校務分掌や仕事の割当て 学校現場では、多くの教職員が多岐にわたる校務を係で分担し、学校全体の運営 を支えることになります。教職経験年数に関係なく、一人一人が大切な人材となり、 担当者として活躍することが求められます。 しかし、実際には教職員の異動により、一つの係を長年にわたって繰り返し担当 することはないため、どのような職務にも対応できるように後輩教職員の資質を高 めることが必要になります。次のような意図的な助言・指導の場面がOJTと言え ます。具体例を以下に示します。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 企画・立案の仕方(起案文書の内容) 企画会や職員会での焦点化した説明 行事の評価 他の校務分掌の教職員と連携を図りながらの立案・提案 各部分掌運営組織の作成(協働による運営組織の作成) 保護者との学級懇談(同席参加を通して) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ PTA役員会(同席参加を通して) 集会指導での講話 担当と主任のペアによる後継者育成 学級担任・副担任の連携(朝・帰りの会、学級活動への積極的な参加) 【中】 学年集会の計画や運営(学年生徒会の指導・運営)【中】 校務分掌組織の編成及び運用、SHR及びLHRの運営【高】 進路指導(面接練習や作文、小論文指導、保護者との面談同席)【高】 学校説明会の参加【高】 企業や大学職員との面談(同席参加を通して)【高】 - 20 - (イ) 個々の特技・経験を生かしたミニ研修会 個々の特技・経験を生かしたOJTは、内容によっては教職経験に関係なく行わ れるものがあります。新しいメディアやICT機器の活用に関しては、後輩教職員 の方が長けていることも少なくないでしょう。いつもは教えられることの多い後輩 教職員も、自分のもっている力が認められ、自己効力感を得られる時間になると考 えられます。具体例を以下に示します。 ・ ICT機器の活用 ・ ・ ・ ・ ・ 運動会に向けた表現運動の指導【小】 図工指導(絵画・版画等)【小】 校務支援システム(成績処理システム等)の使用方法【中・高】 実習機器等の取り扱い方【中・高】 体育や美術等の実技研修、養護教諭による疾病等への理解【特】 - 21 - (3) 集団で実施する人材育成 集団としての人材育成とは、複数の教職員を対象として行うOJTのことです。全て、 あるいは一部の教職員が集まった場で行われることで、個人では気づかないような考え 方や課題点等について、学校組織として情報を共有し、解決に結びつけることができま す。 ア 職員研修会で育てる (ア) 校内研修 校内研修(主題研究)は、校内の課題を踏まえて研究のテーマを設定し、1年間 程度から数年間かけて組織的に取り組むものです。その中でも、特に授業研究の取 組は他の教職員の授業に対する工夫や考え方等を理解する良い機会になり、授業力 の向上につながります。具体例を以下に示します。 ・ ・ 研究授業・授業研究(学力向上の手立て・方法) 管理職の普段からの授業参観による児童の変容の把握 ・ ・ ・ 校内研修会で行う模擬授業【小・中】 全員での授業研究(事前研究会、事後研究会)【小】 個々の児童生徒の障がいに応じた教材教具についての研修【特】 ・ ・ ・ 障がいに応じた指導や支援【特】 各教科等を合わせた指導や自立活動等の指導【特】 発達検査等の実施方法についての研修【特】 (イ) その他の研修 学校では、主題研究とは別に、喫緊の課題となる内容や教職員のニーズに合った 内容を、1 年間の中で、教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間等のバランス を考えた上で計画していく研修を行っています。具体例を以下に示します。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 各研修会の企画、運営(研修内容の検討や資料準備等) 出張、研修の報告会(研修資料の作成、伝達の仕方) 外部講師の招聘 研究授業及び研究協議 特別支援教育研修会 人権教育研修会 コンプライアンス研修会 教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等の研修会【小】 ・ 「生徒による授業評価」の分析や協議【高】 ・ 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の学部専門家を活用した研修【特】 - 22 - イ 各種会議で育てる (ア) 職員会や分掌部会 校務分掌や担当教科・科目が比較的短期間(2、3年)で変わることも珍しくあ りません。そのため、担当した係を円滑に運営するためには、分掌主任や経験のあ る担当者が、対象者へ的確に指導助言することが大切です。学校全体で取り組む行 事もあるため、配慮する項目も多くあり、分掌部会では複数の目で検討する意識が 必要です。具体例を以下に示します。 ・ 会議資料の作成 ・ ・ ・ ・ ・ 自分の役割を把握した上での発言 企画や立案(各校務分掌・担当する業務内容の企画・立案・提案) 各主任と後輩教職員の協働 運営委員会、各行事等の実行委員会での職員間の共通理解【特】 PDCAマネジメントサイクルに基づいた文書管理【特】 (イ) 学年会や教科等部会 対象者である後輩教職員にとって、職務の中心は自分の担任する学級の運営にな ります。全ての教科等の指導から生活指導、清掃指導等を児童生徒の実態に応じて 適切に行うことが求められます。 そのため、多様な児童生徒に対応するには成功、失敗にかかわらず、それまでの 経験を判断材料に解決を図ることが多くなります。担任が一人で悩みを抱え込むこ となく、円滑に学級運営ができるように、学年というチームで一丸となって活動に 取り組む姿勢が大切です。学年主任をはじめ、同じ教科等を指導する姿が後輩教職 員の指導に大きな示唆を与えることになります。具体例を以下に示します。 ・ 生徒の発達の段階や理解度を把握した指導 ・ 学年、学級経営(各学年・発達の段階に応じた学年、学級経営)の在り方 ・ 各教科指導(年間指導計画、学習指導案やワークシート等の作成、学習指 導過程の工夫、課題の与え方、ノートのまとめ方、ワークシートの作り方及 び活用の仕方、評価の出し方等) ・ 教室設営や週計画の作成等、学年、学級運営に関する助言【小】 ・ 教材の保管や時期に合った活用等、各教科の指導における助言【小】 ・ 遠足や運動会等、学年や学校の行事の役割分担や児童への指導に対する助 言【小】 ・ 他の教職員の授業の積極的な参観【小・中】 ・ 行事等の運営に係る各種委員会【中・高】 ・ ケース検討会や事例報告会等を通しての共通理解【特】 ・ 個別の指導計画や個別の支援計画の活用【特】 - 23 - ウ 学校行事や生徒指導等、協働した取組で育てる (ア) 学校行事 全ての教職員により、全校で取り組む学校行事等は、組織的な行事の運営方法を 学ぶ場となります。行事の中心となる教職員だけでなく、多くの教職員が分担し相 互に学び合う機会となるからです。 また、保護者や地域の方の協力を得たり、参観者や講師として招いたりするなど 直接、外部との関わり方を身に付ける機会ともなります。初めから多くの児童生徒 や教職員に理解させたり、指示したりすることは、後輩教職員でなくとも抵抗のあ るものです。困ったときは気軽にそして親身になって相談や協力し合える組織づく りは、OJTの求める大きなねらいの一つとも言えます。 さらに、学校全体から見ると、大きな行事を実施できたことは、教職員にとって 大きな自信につながります。このような経験を積み重ねて自信をもったミドルリー ダーを育成することは、学校全体の指導力の向上に大きく寄与するものです。逆に、 行事の担当職員へ適宜、指導・助言することもまた、大切なOJTと言えます。具 体例を以下に示します。 ・ 行事の計画立案や提案 ・ ・ ・ ・ 取組の進行状況の把握と課題解決への助言 行事の運営 評価や引継ぎなど事後の反省 儀式的行事でのプレゼンテーションによる情報保障【特】 (イ) 生徒指導 学校で生じた困難な諸問題を特定の教職員に任せきりにせず、組織で対応するこ とは、個々の教職員に対するOJTが実現するとともに、児童生徒や保護者の理解 と信頼を得ることにつながります。学校の指導方針や統一した基準を確認し、これ までの児童生徒や保護者の様子について、多方面から情報を集めることも大切です。 具体例を以下に示します。 ・ ・ ・ ・ ・ 児童生徒理解 児童生徒一人一人への声掛け 児童生徒の個性と人権を尊重する接し方、指導 個別・集団での指導(児童生徒への対応・指導等、組織で行う体制づくり) 保護者への対応(意見・要望等への対応) ・ ・ ・ ・ ・ 他校や関係機関との連携 部活動での生徒指導 特別な指導における保護者への申し渡し(同席参加)【高】 児童生徒一人一人の障がいの状態等に応じた指導【特】 保護者への対応(相談や連絡帳等)【特】 - 24 - (ウ) 保健指導 ほとんどの学校において、養護教諭は、一人配置のため、特に経験の浅い養護教 諭や着任後間もない養護教諭にとっては、児童生徒の実態把握が困難であるととも に、保健指導、健康相談、健康診断、教育相談、食に関する指導等においても、他 の教職員との連携や協働が不可欠と言えます。一方、後輩教職員にとっては、食育 やアレルギーへの対応等、専門的な知識が必要となる場面もあることから、経験の ある養護教諭は、児童生徒や保護者への対応についての相談ができる頼もしい存在 ともなります。 したがって、養護教諭と他の教職員が相互に学び合うことによって、学校が組織 的に児童生徒の保健安全指導に取り組むことができます。具体例を以下に示しま す。 ・ ・ ・ ・ ・ 悩みのある児童生徒への対応 通信や掲示物を通しての健康への意識の醸成 メンタルサポート 日常及び緊急時の指導対応 食育指導 ・ ・ ・ 学校医や栄養教諭との連携(小・中) 医療的ケアの実施に伴う安全指導(ヒヤリハット)の研修【特】 服薬等に関わる専門的な研修【特】 エ キーパーソンの意識を高め、相互に啓発する集団づくりで育てる 職場において集団の中で大きな影響力をもつ「キーパーソン」を発見し、積極的に 活用することが、より効果的なOJTにつながります。大きな行事は分掌主任が運営 の中心になりますが、キーパーソンを担当者として関わらせていくことによりOJT をより効果的に推進させることができます。具体例を以下に示します。 ・ ・ ・ ・ ベテランと経験の浅い教職員をグループ化した研修会 経験年数ごとのグループ(同世代)による研修会 自主研修グループ等による情報交換 各研修で得た資料の共有 - 25 - (4) 管理職等のマネジメントによる人材育成 管理職等のマネジメントによる人材育成とは、管理職等による校内の体制づくりや 仕事の割当て、各種グループ等での業務を通したOJTのことです。 OJTを組織的・計画的・継続的に進めていくためには、学校において「どのよう な実施体制でOJTを進めていくのか」、 「いつ、誰が、どのようにOJTを進めてい くのか」等、管理職等が明確な見通しをもち、取組を進めていくことが大切になって きます。 ア 校務分掌等の職務の割振りで育てる 校務分掌等の割振りを行う際に、以下のような視点で行うと校内OJTの推進に つながってきます。 ・ 本人のもつ能力や経験、学校のニーズ、教職員のキャリアステージに応じ た仕事を任せる。 ・ 経験の浅い教職員に一定の責任をもたせ、仕事を任せる。 ・ キーパーソンを中心とした小グループを編成する。 ・ キーパーソンに担ってほしい役割を示す。 ・ キーパーソンからの報告・連絡・相談を受けながら、状況を把握し、適時 フォローする。 イ 教職員評価制度の取組で育てる 本県では、「教職員評価制度」 に取り組んでいます。この教職 員評価制度は、PDCAのマネ ジメントサイクルを通して、教 本県における教職員評価制度 教職員評価制度導入のねらいは、職員一人一人と学校組織のパワーアップです! 各職における、目標とす る人材像に向かって、 個々の職務遂行能力を高 めるための 管理職と教職員のコミュ ニケーションを円滑に し、組織目標を高いレベ ルで達成するための 透 明 性 ・ 納 得 性 の 高 い 運 用 制 度 職員一人一人と学校組織のパワ 職務行動評価 役割達成度評価 ※平成18年度より実施 ※平成21年度より実施 ーアップを目指す取組です。ま ねらい1 職員一人一人の能力開発と人材育成 さにOJTが目指す「個人の伸 ねらい2 組織マネジメントの向上 ねらい3 評価結果のフィードバックと活用によるやる気の向上 長」と「学校の課題解決」と合 学校教育の質の向上 致するものでもあります。 そこで、この取組の中に学校 信頼される学校 におけるOJT推進の視点を位 置付け、教職員評価制度と一体化した取組を推進し、取組の定着を目指します。 (ア) 目標設定 OJT推進も教職員評価制度も「目標管理」が重要になってきます。年度初め に重点的に取り組む目標を設定し、PDCAのマネジメントサイクルを通して、 目標達成に向けた取組を進めていきます。 - 26 - (イ) 評価シートの活用 現在、教職員評価制度の評価シートは、「職務行動評価」と「役割達成度評価」の 2種類の評価に分かれています。職務行動評価は、教職員個々の職務遂行能力を高め るための評価で、役割達成度評価は、学校組織のパワーアップを図るための評価です。 この2種類の評価の中にOJTの視点を位置付け、教職員評価制度の流れの中で取組 を進めていきます。 (ウ) OJTシート、補助簿の活用 教職員評価制度の評価シートを年間の取組の評価として位置付けるとともに、日常 勤務の中で手軽に確認できるようなOJTシートの活用や学校で日常的に活用して いる補助簿等の活用も有効であると考えられます。OJTシートについて、以下にい くつか例を示します。 【OJTシート例①~実施体制】 H26 OJTシート(実施体制) ・全体責任者( ) OJT担当者 学校名( ) ・推進責任者( ) OJT対象者 主な指導内容 ○○△△(2年担任)3年目 学級経営、教材研究 ○○△△(3年担任)2年目 学級経営、コミュニケーション ○○△△(研究主任) ○○△△(少人数)4年目 個別指導、TT指導 ○○△△(情報主任) ○○△△(情報担当)5年目 ICT活用 ○○△△(主幹教諭) 【OJTシート例②~実施状況記録】 H26 OJTシート(実施状況記録) NO.1 担当者(○○△△) ⇒ 対象者(○○△△) ※対象者が特に身に付けたい資質能力毎に実施内容を端的に記入 対象者が特に身に付けたい資質能力 月日 6/9~ 6/13 6/16~ 6/20 6/23~ 6/27 授業力 児童理解・指導力 研究授業のもち方につ 日記指導について いて 教員としての基本姿勢 コンプライアンスにつ いて 研究授業の学習指導案 作成について 算数授業の単元導入の 休みがちな児童への対 仕方について 応について - 27 - ウ 文書起案の工夫で育てる 学校における文書起案は、担当から学年主任(あるいは分掌部長)、教務主任(主幹 教諭や指導教諭等)、教頭の順にチェックを受け、最終的には校長がチェックを行い、 最終チェックがなされた文書は、担当へ返されるというスタイルが一般的です。 そこで、校長の最終チェックを受けた文書を担当へ直接返すのではなく、教頭、教 務主任(主幹教諭や指導教諭等)、学年主任(あるいは分掌部長)を通って戻すシステ ムをとるようにします。 この手法は、起案文書に書かれた修正や助言を、担当者はもちろん途中でチェック した者も見て学ぶことで、起案にかかわった者全員にとってのOJTとなります。 エ 職場の活性化への取組で育てる 平成25年10月実施の「学校におけるOJT推進」に係るアンケートによります と「あなたの職場は、教えたり、教えられたりする学び合いの雰囲気や取組はできて いますか。」の問いに対して、約3割から4割の教職員が「あまりできていない」、 「全 くできていない」等と回答しています。 つまり、教職員がやる気をもって、教育活動を進めていく上で、教職経験に関係な く、自由に意見交換ができる職場の雰囲気づくりは大切であると考えます。また、個々 の課題や学年や学校の課題を共有するとともに、互いの授業等の取組の公開、新しい 提案や業務の創意工夫等を自由に行える雰囲気づくりも大切になってきます。 - 28 - Ⅴ OJTのさらなる推進に向けて 1 「OJT推進研究校」の指定 「OJT推進研究校」を県内の小学校、中学校、県立学校から数校を指定し、「OJ T推進のための手引」を基にした実践研究に取り組んでいただきます。 2 「OJT実践報告会」の実施 「OJT推進研究校」の実践研究を他校に広めるために「OJT実践報告会」を実施 します。指定校の取組を共有するとともに、指定校以外の学校の取組を踏まえた意見交 換の場とします。 3 「OJT実践事例」のまとめ 「OJT推進研究校」の取組をまとめた報告書を作成し、全ての学校に提供します。 以上の取組を中心にOJTのさらなる推進を図り、 「第二次宮崎県教育振興基本計画」 の施策評価において、OJT推進の進行管理も行うことにより、効果的かつ円滑な推進 に取り組んでいきます。 〈今後のスケジュール〉 平成25年度 手引 平成26年度 策定 活用 指定 (2か年) 推進研究校 実践報告会 平成27年度 中間報告会 実践事例 報告書配付 研究校以外 の学校 推進 - 29 - 報告会 報告書配付 ・・・ 参考資料 「学校におけるOJT推進」に係るアンケート(平成25年10月実施) 1 「学校におけるOJT推進」に係るアンケートの基本的な考え方について (1) 調査の目的 今後、宮崎県の校内OJTの推進を図っていく上で、各学校の現状や課題等を把握し、 「OJT推 進のための手引」作成等に生かしていくとともに、次年度以降の取組の基礎データとしながら取組 のさらなる充実を図っていく。 (2) 調査実施時期 平成25年10月 (3) 調査対象 ・公立小、中、高等学校、中等教育学校、特別支援学校の全教職員 〔学校数〕 学校数 小学校 243校 中学校 135校 高等学校 38校 中等教育学校 1校 特別支援学校 13校 計 備考 県立附属中2校を含む 430校 (4) 質問項目 問1 あなたは、 「OJT」について、知っていましたか。 問2 あなたは、日頃、職場の先輩・後輩として教えたり、教えられたり、相談に乗ったり、相談したり していますか。 問3 あなたの職場は、全体的に見て、教えたり、教えられたりする学び合いの雰囲気や取組はできてい ると思いますか。 問4 あなたは、最近の3か月で、職場の中で後輩や同僚へ指導や支援をした結果、相手の成長にとって ためになっていると思ったことがありましたか。 問5 あなたは、最近の3か月で、職場の中で上司や同僚から指導や支援を受けた結果、自分の成長にと ってためになったと思ったことがありましたか。 問6 あなたの学校で、実際の仕事を通して、同僚間で教え合ったり、学び合ったりする取組を推進し充 実させていこうとする場合、課題があるとしたらどんなことが考えられますか。(複数回答可) 問7 問6のその他を含め、OJT推進について、ご意見等があれば、お書きください。 - 30 - 「学校における OJT 推進」に係るアンケート! お願いします。 このような話があります。ある会社のベテラン社員は「最近の若手は、分からない から教えてくださいと言ってこない。聞いてくれれば、いくらでも教えるのに …。」 と思っている。一方の若手社員は「分からないと言うと、できない人間だと思われる のはいやだから、簡単に質問はしない。」と…。私たちの学校や職場でも、ありそう な話かもしれません。 さて、県教育委員会では、「教職員の資質向上実行プラン」に基づき、教職員の資質能 力と学校の教育力の向上を目指して、OJTの推進に取り組んでいます。OJTとは、 日常の業務を通して行われる人材育成のことですが、学校内の先輩、後輩など同僚間の 教え合い、学び合いの更なる充実を図りたいと考えています。 そこで、各学校のOJTに係る状況を把握させていただくとともに、OJT推進のための手引の作成や次年 度以降の取組に生かしていくことを主な目的として本調査を行うこととしました。 つきましては、本調査の趣旨をご理解いただき、ご協力いただきますようお願いします。 *OJT(On the Job Training)は、一般に、「職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を 通じて、職務に必要な能力を組織的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって、全体的な業務 処理能力や力量を育成する活動のこと」だと言われています。 〔教職員の資質向上実行プランより〕 次の各質問の答えを、下のア、イ…から記号を一つ選んで、右側の解答欄に記入してください。 あなたの ① 職種は? ② 年齢は? 問1 ア 管理職 イ 主幹教諭・指導教諭 ウ 教諭等(県費負担教職員、常勤のみ) ア 29歳以下 イ 30歳代 ウ 40歳代 エ 50歳以上 あなたは、 「OJT」について、知っていましたか。 ア よく知っていた イ 少し知っていた ウ よく知らない エ 全く知らない 問2 あなたは、日頃、職場の先輩・後輩として教えたり、教えられたり、相談に乗ったり、相談したりして いますか。 ア 日常的によくしている イ 時々している ウ あまりしていない エ 全くしていない オ 分からない 問3 あなたの職場は、全体的に見て、教えたり、教えられたりする学び合いの雰囲気や取組はできていると 思いますか。 ア よくできている イ できている ウ あまりできていない エ 全くできていない オ 分からない 問4 あなたは、最近の3か月で、職場の中で後輩や同僚へ指導や支援をした結果、相手の成長にとってため になっていると思ったことがありましたか。 ア たくさんあった(週に数回) イ 何度があった(月に数回) ウ あまりなかった エ 全くなかった オ 分からない 問5 あなたは、最近の3か月で、職場の中で上司や同僚から指導や支援を受けた結果、自分の成長にとって ためになったと思ったことがありましたか。 ア たくさんあった(週に数回) イ 何度があった(月に数回) ウ あまりなかった エ 全くなかった オ 分からない 問6 あなたの学校で、実際の仕事を通して、同僚間で教え合ったり、学び合ったりする取組を推進し充実さ せていこうとする場合、課題があるとしたらどんなことが考えられますか。 (複数回答可) ア 個々の仕事が忙しく余裕がない イ 新たな時間を設定する余裕がない ウ 新たな取組への負担感が大きい エ 推進するリーダーがいない オ その必要性を感じない、理解できていない カ 教え合う雰囲気ができていない キ 課題はない ク 分からない ケ その他 問7 問6のその他を含め、OJT推進について、ご意見等があれば、お書きください。 - 31 - 「学校におけるOJT推進」に係るアンケート集計結果 問1 あなたは、「OJT」について、知っていましたか。 よく知っていた 少し知っていた 〔全体〕 よく知らない 全く知らない 〔小学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 100 0 (%) 20 40 60 80 100 (%) 管理職 68 28 3 1 管理職 71 25 3 1 主幹・指導教諭 58 33 3 6 主幹・指導教諭 80 16 2 2 教諭等(50歳以上) 6 25 35 34 教諭等(50歳以上) 8 28 33 31 教諭等(40歳代) 8 25 36 31 教諭等(40歳代) 10 28 36 26 教諭等(30歳代) 7 29 35 29 教諭等(30歳代) 9 30 35 26 10 35 31 24 教諭等(29歳以下) 10 39 31 20 教諭等(29歳以下) 0 0 〔中学校〕 〔県立学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 100 0 (%) 20 40 60 80 100 (%) 管理職 70 27 2 1 管理職 63 31 5 1 主幹・指導教諭 58 36 4 2 主幹・指導教諭 36 47 4 13 教諭等(50歳以上) 5 25 34 36 教諭等(50歳以上) 6 21 38 35 教諭等(40歳代) 8 24 35 33 教諭等(40歳代) 7 21 37 35 教諭等(30歳代) 6 30 34 30 教諭等(30歳代) 6 27 36 31 教諭等(29歳以下) 9 37 32 22 教諭等(29歳以下) 10 30 30 30 0 0 - 32 - 問 2 あなたは、日頃、職場の先輩・後輩として教えたり、教えられたり、相談に乗ったり、相談したり していますか。 日常的によくしている 時々している あまりしていない 〔全体〕 全くしていない 分からない 〔小学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 100 0 (%) 20 40 60 80 100 (%) 管理職 67 31 1 1 0 管理職 68 30 2 0 0 主幹・指導教諭 50 49 1 0 0 主幹・指導教諭 65 35 0 0 0 教諭等(50歳以上) 29 55 14 1 1 教諭等(50歳以上) 31 56 11 1 1 教諭等(40歳代) 32 54 12 1 1 教諭等(40歳代) 39 50 9 1 1 教諭等(30歳代) 40 49 9 1 1 教諭等(30歳代) 47 44 7 1 1 教諭等(29歳以下) 53 39 6 1 1 教諭等(29歳以下) 62 33 3 1 1 20 40 60 80 100 0 0 〔中学校〕 〔県立学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 100 0 (%) (%) 管理職 65 34 1 0 0 管理職 70 28 1 1 0 主幹・指導教諭 44 54 2 0 0 主幹・指導教諭 40 59 1 0 0 教諭等(50歳以上) 30 52 16 1 1 教諭等(50歳以上) 25 57 15 2 1 教諭等(40歳代) 30 55 13 1 1 教諭等(40歳代) 27 56 15 1 1 教諭等(30歳代) 38 52 8 1 1 教諭等(30歳代) 34 52 12 1 1 教諭等(29歳以下) 50 43 5 1 1 教諭等(29歳以下) 46 42 9 2 1 0 0 - 33 - 問 3 あなたの職場は、全体的に見て、教えたり、教えられたりする学び合いの雰囲気や取組はできてい ると思いますか。 よくできている できている あまりできていない 〔全体〕 全くできていない 分からない 〔小学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 100 0 (%) 20 40 60 80 100 (%) 管理職 18 64 16 1 1 管理職 26 61 11 1 1 主幹・指導教諭 22 55 21 0 2 主幹・指導教諭 31 52 17 0 0 教諭等(50歳以上) 12 56 24 2 6 教諭等(50歳以上) 20 60 15 1 4 教諭等(40歳代) 14 55 24 2 5 教諭等(40歳代) 19 61 14 1 5 教諭等(30歳代) 19 52 22 2 5 教諭等(30歳代) 31 52 14 1 2 教諭等(29歳以下) 24 53 16 2 5 教諭等(29歳以下) 29 56 10 1 4 80 100 0 0 〔中学校〕 〔県立学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 0 100 (%) 20 40 60 (%) 管理職 19 67 14 0 0 管理職 10 64 25 0 1 主幹・指導教諭 24 52 22 0 2 主幹・指導教諭 10 61 24 0 5 7 62 23 1 7 教諭等(50歳以上) 7 47 35 3 8 教諭等(40歳代) 13 57 23 2 5 教諭等(40歳代) 9 47 36 3 5 教諭等(30歳代) 17 55 21 2 5 教諭等(30歳代) 10 49 31 4 6 教諭等(29歳以下) 25 57 12 1 5 教諭等(29歳以下) 17 48 25 4 6 教諭等(50歳以上) 0 0 - 34 - 問 4 あなたは、最近の3か月で、職場の中で後輩や同僚へ指導や支援をした結果、相手の成長にとって ためになっていると思ったことがありましたか。 たくさんあった(週に数回) 何度かあった(月に数回) 全くなかった 分からない 〔全体〕 あまりなかった 〔小学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 100 0 (%) 20 40 60 80 100 (%) 管理職 13 75 8 1 3 管理職 18 72 6 1 3 主幹・指導教諭 15 65 12 1 7 主幹・指導教諭 35 51 10 0 4 教諭等(50歳以上) 4 45 31 5 15 教諭等(50歳以上) 5 47 29 4 15 教諭等(40歳代) 3 45 33 3 16 教諭等(40歳代) 4 51 30 2 13 教諭等(30歳代) 4 36 33 7 20 教諭等(30歳代) 4 36 32 6 22 教諭等(29歳以下) 5 21 25 11 38 教諭等(29歳以下) 4 20 22 13 41 0 0 〔中学校〕 〔県立学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 0 100 (%) 管理職 20 40 60 80 100 10 77 10 1 2 (%) 13 76 7 1 3 管理職 主幹・指導教諭 7 72 15 0 6 主幹・指導教諭 2 72 11 3 12 教諭等(50歳以上) 4 44 30 5 17 教諭等(50歳以上) 3 44 33 5 15 教諭等(40歳代) 2 42 35 4 17 教諭等(40歳代) 3 41 35 4 17 教諭等(30歳代) 3 33 37 8 19 教諭等(30歳代) 4 40 30 7 19 教諭等(29歳以下) 4 20 25 10 41 教諭等(29歳以下) 6 23 28 11 32 0 0 - 35 - 問 5 あなたは、最近の3か月で、職場の中で上司や同僚から指導や支援を受けた結果、自分の成長にと ってためになったと思ったことがありましたか。 たくさんあった(週に数回) 何度かあった(月に数回) 全くなかった 分からない 〔全体〕 あまりなかった 〔小学校〕 管理職 主幹・指導教諭 50歳以上 40歳代 30歳代 29歳以下 0 (%) 20 40 60 80 100 (%) 管理職 16 68 9 2 5 管理職 19 68 8 1 4 主幹・指導教諭 30 60 8 0 2 主幹・指導教諭 42 52 6 0 0 7 55 26 5 7 教諭等(50歳以上) 11 61 21 2 5 教諭等(40歳代) 15 60 18 2 5 教諭等(40歳代) 19 62 14 1 4 教諭等(30歳代) 26 57 12 2 3 教諭等(30歳代) 34 54 9 1 2 教諭等(29歳以下) 48 44 4 1 3 教諭等(29歳以下) 54 40 2 1 3 20 40 教諭等(50歳以上) 0 0 〔中学校〕 〔県立学校〕 管理職 管理職 主幹・指導教諭 主幹・指導教諭 50歳以上 50歳以上 40歳代 40歳代 30歳代 30歳代 29歳以下 29歳以下 0 20 40 60 80 100 0 (%) 60 80 100 (%) 管理職 15 70 6 2 7 管理職 13 67 12 2 6 主幹・指導教諭 33 56 9 0 2 主幹・指導教諭 16 73 7 0 4 7 54 27 4 8 教諭等(50歳以上) 4 50 30 8 8 教諭等(40歳代) 16 61 16 2 5 教諭等(40歳代) 11 56 24 4 5 教諭等(30歳代) 26 58 11 1 4 教諭等(30歳代) 18 60 16 2 4 教諭等(29歳以下) 49 43 4 1 3 教諭等(29歳以下) 40 48 7 2 3 教諭等(50歳以上) 0 0 - 36 - 問 6. あなたの学校で、実際の仕事を通して、同僚間で教え合ったり、学び合ったりする取組を推進し充 実させていこうとする場合、課題があるとしたらどんなことが考えられますか。(複数回答可) 個々の仕事が忙しく余裕がない 新たな時間を設定する余裕がない 新たな取組への負担感が大きい 推進するリーダーがいない その必要性を感じない、理解できていない 教え合う雰囲気ができていない 課題はない その他 分からない 〔全体〕 〔小学校〕 管理職 主幹・指導教諭 50歳以上 40歳代 30歳代 29歳以下 0 (%) 20 40 60 80 100 (%) 管理職 33 31 15 10 1 4 3 1 2 管理職 34 34 15 7 1 3 3 1 2 主幹・指導教諭 37 31 12 7 2 7 1 1 2 主幹・指導教諭 38 30 15 5 1 7 2 0 2 教諭等(50歳以上) 37 29 15 7 1 6 1 2 2 教諭等(50歳以上) 41 31 15 5 1 3 1 2 1 教諭等(40歳代) 38 28 15 8 1 6 1 2 1 教諭等(40歳代) 42 30 14 6 1 3 1 1 2 教諭等(30歳代) 38 24 15 8 1 7 3 3 1 教諭等(30歳代) 40 27 14 6 2 5 3 2 1 教諭等(29歳以下) 40 25 13 7 1 6 2 5 1 教諭等(29歳以下) 42 26 14 5 1 3 3 5 1 0 〔中学校〕 0 〔県立学校〕 管理職 主幹・指導教諭 50歳以上 40歳代 30歳代 29歳以下 0 20 40 60 80 100 (%) (%) 管理職 34 31 14 10 1 4 2 1 3 管理職 30 27 16 12 2 6 4 1 2 主幹・指導教諭 42 32 8 9 1 2 0 1 5 主幹・指導教諭 31 33 14 6 3 11 1 0 1 教諭等(50歳以上) 39 29 14 6 1 5 1 3 2 教諭等(50歳以上) 32 26 15 10 2 10 1 2 2 教諭等(40歳代) 38 29 16 7 1 5 1 2 1 教諭等(40歳代) 35 24 15 11 2 9 1 2 1 教諭等(30歳代) 41 25 15 7 1 6 1 3 1 教諭等(30歳代) 34 21 15 11 1 11 2 3 2 教諭等(29歳以下) 42 27 12 5 1 5 2 5 1 教諭等(29歳以下) 35 22 13 11 2 9 2 4 2 0 0 - 37 - ■ アンケート結果の考察 ◇問1(OJTの認知)について ・ OJTについての認知度は、全ての校種で、管理職や主幹教諭・指導教諭の認知度(「よく知 っていた」 「少し知っていた」 )が約90%を超える結果であった。反面、その他の教職員の認知 度はどの校種・どの年齢層も低い結果であった。 ◇問2(日頃の教え合い、相談)について ・ 「日常的によくしている」は、管理職は60%を超え、主幹教諭・指導教諭は50%という結 果であった。また、29歳以下の若手教職員への支援が小学校では、60%を超え、中学校や県 立学校でも40%を超えているのは、若手教職員自身の学びへの意識とともに、若手教職員を育 てる学校内の風土は受け継がれているように感じた。 ・ 40歳代から50歳代のベテラン教職員の意識がもう少しである。 ◇問3(職場の風土)について ・ 「よくできている」は、どの校種・年齢層も20%弱であるが、「できている」を含めると約 70%が学び合いの雰囲気や取組はできているとしている。 ・ 校種別では、県立学校の管理職等以外の教職員が「できていない」とする回答がやや多かった。 ◇問4(最近3か月の後輩や同僚への支援等)について ・ 「たくさんあった(週に数回) 」は、管理職が20%弱、小学校の主幹教諭・指導教諭が30% と多く、 「何度かあった」を含めると80%前後であった。 ・ 40歳代から50歳代の教職員の半数近くが「あまりなかった」 「全くなかった」 「分からない」 と回答している。 ◇問5(最近の3か月の上司や同僚からの学び)について ・ 若手教職員の約50%が「たくさんあった(週に数回)」としている。 ・ どの校種も50歳以上の教職員の40%前後が、「あまりなかった」「全くなかった」「分から ない」としている。 ◇問6(OJT推進への課題)について ・ どの校種・年齢層においても「個々の仕事が忙しく余裕がない」「新たな時間を設定する余裕 がない」が約60%を占めている。 ・ 「OJTの必要性を感じない」とするのは、どの校種・年齢層も1~2%と少なく、OJT推 進の必要性は感じていると言える。 ◇全体として◇ ・ 教職員のOJTについての理解はこれからである。しかし、今後大量退職期を迎える本 県においては教職員のさらなる学び合いや教え合い(OJT)の必要性は感じている。 ・ 若手教職員を育てようとする学校内の風土はあるのだが、教える教職員が偏っていたり、 指導や支援が一過性なものになっていたりしていることが考えられる。 ・ 本県の全教職員の7割を占める40歳代から50歳代のベテラン教職員の学びの機会が 不十分であるとともに、先輩教職員(OJT推進のキーマン)としての意識の高揚が望ま れる。 - 38 - 教職員の資質向上実行プラン(概要版) - 39 - - 40 - - 41 - - 42 - - 43 - - 44 - - 45 - 【OJT推進のための手引作成委員】 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 宮崎市立広瀬北小学校 小林市立三松小学校 日向市立塩見小学校 日南市立飫肥中学校 都城市立山田中学校 県立都城泉ヶ丘高等学校 県立佐土原高等学校 佐島 赤﨑 蓑毛 落合 早﨑 田平 江川 鉄朗 好次 隆洋 宏美 稔 裕三 龍彰 主幹教諭 指導教諭 教諭 主幹教諭 主幹教諭 主幹教諭 主幹教諭 ・ ・ ・ ・ 県教育庁教職員課 県教育庁教職員課 県教育研修センター 県教育研修センター 高場 脇山 久峩 佐藤 雅久 辰己 秀隆 寿哉 主幹 主査 指導主事 指導主事 押田 貴久 准教授 ・ 宮崎大学大学院教育学研究科 【 参考文献 】 教育開発研究所 「学校におけるOJTの効果的な進め方」 浅野良一 編集 時事通信社 「教師力」向上の鍵 「メンターチーム」が教師を育てる、学校を変える 横浜市教育委員会 編著 ダイヤモンド社 「人を育てる『叱り』の技術」 本間正人 著 日本実業出版 「コーチングの基本」 明治図書 「スクールリーダーのためのコーチング入門」 鈴木義幸 監修 東京都教育委員会 「公立学校におけるOJTの実践事例‐第3集‐」 三重県 コーチ・エイ 著 千々布敏弥 著 平成25年3月 「職場での人材育成の手引き〔所属長・OJTリーダー用〕」 平成25年3月 茨城県教育委員会 「次世代の教職員を育てるために~OJTの進め方~」 平成24年3月 山口県教育委員会 「学校おけるOJT推進の手引」 平成24年4月 神戸市教育委員会 「OJTガイドライン~世代間で学び合う学校づくり」 平成23年3月 東京都教育委員会 「OJTガイドライン【改訂版】」 平成22年3月 神奈川県立総合教育センター 「学校内人材育成(OJT)実践のためのガイドブック」 大阪府教育委員会 「次世代の教職員を育てる OJTのすすめ」 -46- 平成20年3月 平成20年3月 学校における 「OJT推進のための手引」 平成26年3月 宮崎県教育庁教職員課 〒880-8502 宮崎市橘通東1丁目9番10号 電話:(0985)26-7241 E-mail:ky-kyoshokuin@pref.miyazaki.lg.jp -46-
© Copyright 2024 Paperzz