B2B マルチチャネル・コマースの コンシューマライゼーション

B2B マルチチャネル・コマースの
コンシューマライゼーション
企業にとって「ITのコンシューマライゼーション(消費者先導型
IT)」は避けて通れない道となっており、モバイルデバイスから
ソーシャルメディアやその他のオンラインメディアにアクセスで
きるように、自社のネットワークを解放することが求められてい
ます。お客様、コスト、市場要因などの後押しを受けて、
このよう
なコンシューマライゼーション効果は B2B コマースの分野でも
表れつつあります。企業顧客はますますサービスや利便性を求
めるようになり、
コスト面でも、事業の合理化や支出削減が企業
の課題となっています。
市場競争は激化し、企業はあらゆる側面からその優位性を高め
ることが求められています。
このような課題があるにもかかわらず、マルチチャネルB2Bコ
マースには、収益増加、
コスト削減、競争力の強化、長期的なビジ
ネス価値の創出に利用できるチャンスが数多く存在しています。
このホワイトペーパーでは、マルチチャネル・コマースを活用し
た次のような目標について検証します。
→→ 事業活動を合理化してコストを削減
→→ 新しいお客様と市場機会を獲得して収益を高める
→→ B2C のベストプラクティスを活用して、成約率を改善
→→ マルチチャネルの利便性を活用して、お客様満足度を向上
→→ 複雑で専門的な製品を正確かつ効果的に表現
→→ 複雑な B2B 取引を管理
B2B マルチチャネル・コマースのコンシューマライゼーション
1
マルチチャネル・コマースによる
ビジネス価値の創出のチャンス
B2Bコマースのコンシューマライゼーションは、お客様の行動の変
化に起因します。消費者が成熟した B2Cマルチチャネル・コマース
を活用するようになると、B2Bベンダーにも同様の利便性を求め
るようになります。実際、最新のB2Cマルチチャネル・コマースの
機能の多くを B2B 企業が採用すれば、経営手法を変えることが
できるのです。
効率とロイヤルティを向上して、事業を合理化
手作業や人手を多く必要とする事業は、
その一部または全体を自
動化することができます。
自動化すると、事業コストを削減したり、
お客様の利便性を高めてロイヤルティを向上させたりするだけ
でなく、人手が必要な作業を少なくすることができるため、
ミスを
減らし、品質を向上させることができます。
また、再注文、新規ユー
ザーや場所の承認といった定型処理や作業をお客様自身で行う
ことができるようになります。
既存のチャネルを活用して強化
B2B マルチチャネル・コマースにより、企業は既存の機能とチャネ
ルを改善し、
より効果的な販売やサポートの提供が可能になりま
す。たとえば、
アカウントの管理機能の一部をお客様に移譲すれ
ば、営業担当者が行っていた作業をお客様自身が行うことができ
るため、営業担当者は収益を創出する活動に専念でき、営業活動
の効率性を向上させることができます。
またあらゆるチャネルでサポートを自動化し、サービス機能を統
合することができれば、お客様満足度を向上させ、お客様の生涯
価値を長期的に向上させることができます。
こういった価値を
パートナーのチャネルに広げることもできます。つまり、処理を自
動化および標準化すると同時にカスタマイズも可能になり、
アカ
ウントを管理する専属スタッフを増やすことなく、
多数の取引パー
トナーに対応できるようになります。
B2B オンラインストア
B2C オンラインストア
マーケットプレイス
新しい事業モデルを採用して、収益を増加
企業が B2B マルチチャネル・コマースを採用すれば、従来は対
応できなかった新しい市場やお客様に効率よく対応できるよう
になります。マーケットプレイスを活用し、誰も気付いていない
チャンス (ホワイトレーベル) を利用すれば、B2B2B や B2B2C と
いった新しいタイプのお客様に対応できるようになります。
またお客様と直接的な関係を構築することもできます。B2Bマル
チチャネル・コマースにより、サプライヤー、販売代理店、パート
ナーとの協力体制を適切に管理し、その規模を拡大することが
できるようになります。
マルチチャネルでの販売によって、お客様の利便性を向上
すべてのチャネルで操作が共通しているため、お客様は時間や
方法に関係なく企業と取引できるようになります。お客様が直接
オンラインで注文や再注文できるようにし、注文の詳細、アカ
ウント履歴、プロフィール管理にいつでもアクセスでき、さらに
ユーザー、予算、
コストセンター管理を支援するツールや情報も
提供する必要があります。
複雑で専門的な製品を正確かつ効果的に表現
B2B 製品は複雑かつ非常に専門的な場合があるため、表示形式
が異なる各種チャネルでは、正確かつ効果的に表現するのが難
しいことがあります。
複雑な製品の詳細情報を明確に伝えることができれば、販売
サイクルを短縮し、返品率を下げ、お客様サポートを最小限に抑
えることができます。
ホワイトレーベル
B2B2C / B2B2B
チャネル統合
B2B マルチチャネル・コマースのコンシューマライゼーション
2
効果的なB2Bコマース提供の
課題
B2Bコマースを効果的に実施す
るための技術事項
B2Cマルチチャネル・コマースの成功に必要な機能の多くは B2B で
も同じですが、B2B特有の課題も多くあり、対策が必要となります。
B2B企業が課題を克服し、チャンスを生かして真のビジネス価値
を創出するには、適切なマルチチャネル・コマースのためのイン
フラを整備する必要があります。
理想的な B2B マルチチャネル・
コマースのシステムは、すべての要件に対応できる一元化された
単一の計画・実行プラットフォームです。
B2Bコマースのソリューションを評価するには、
さまざまな技術事
項を考慮し、B2Bコマースに必要な重要な機能がシステムに搭載
されていることを確認する必要があります。
お客様との関係、製品、価格の複雑性
B2Bコマースは複雑な場合も多く、効果的な管理が必要で
す。B2Bアカウント管理は、B2Cよりも複雑になる傾向があり、
ニーズの異なる多様なユーザーや複数の役割を持つユーザー
アカウントを処理する能力が必要になります。
複雑なセルフサービスのワークフローに対応する必要があります。
さらに、契約や取引の関係性が多岐にわたることからパーソナラ
イゼーションの要件が複雑となり、多くの場合、
アカウント保持者
ごとに異なる情報を設定する必要があります。商品ごとに構成要
件を変更したり、他の製品やサービスを付属させたりなど、B2B
の製品自体が複雑なだけでなく、価格や配送方法もお客様ごと
に異なります。複雑なあらゆる状況に対応するには、堅牢な B2B
マルチチャネル・コマースのインフラが必要です。
B2Bのお客様が利用するチャネルの種類やその順番の予測は困難
最初に行う検索や調査に始まり、
取引中、
そして購入後のサポート
やサービスに至るまで、お客様はさまざまなチャネルを介して企
業とやりとりします。
インターネット、電話、電子メール、
ファックス
はもちろんのこと、
モバイルの利用もますます増えています。
B2Bコマースでは、処理のあらゆる段階で、あらゆるチャネルを
お客様が簡単かつ効果的に利用できるようにする必要があり
ます。
コンテンツの一貫性
最新の情報をすべてのチャネルで利用できるようにするには、製
品コンテンツ管理 (PCM) を使用して、マルチチャネルに対応でき
るコンテンツを作成する必要があります。
こういった課題には、
シングルチャネル対応のコマース専用の製
品ではなく、マルチチャネルおよびクロスチャネル機能を持つソ
リューションが必要になります。あらゆるチャネルでお客様が
シームレスに操作を行えるようにするには、堅牢な B2B マルチ
チャネル・コマースのシステムが必要であり、バックエンドシステ
ムとの統合が不可欠です。
真のマルチチャネル統合を実現
単にマルチチャネルをサポートする機能だけでは十分ではありま
せん。オンライン、通販カタログ、
コールセンターなど、すべての
チャネルでその他のチャネルを
「意識」
し、包括的な顧客体験を提
供するために統合する必要があります。
オンラインストア、モバイ
ル、
アフィリエイト、
キオスク端末、
チャットなど、すべてのチャネル
やタッチポイントで、
手順やお客様とのやりとりを最適化する必要
があります。
コマースを最適化してビジネスの価値を最大に
異なるビジネスモデルを1 つのソリューションですばやく対応でき
るようにすることが重要です。競争力の維持に必要な機動性を得
るには、
さまざまな B2B、
B2C、
B2B2C コマースを提供できるシステ
ムが必要です。
また、
B2B コマース システムには、
複雑なお客様と
の関係に簡単に対応できる機能も必要です。たとえば、契約条件、
価格、製品カタログ、特典はお客様によって異なります。
また登録
やアカウント開設といったリレーション関連のワークフローをシス
テムに統合する必要があります。
さらに、
B2B ではカスタマーサー
ビスがより複雑になり、高度なアカウント管理を要します。
そのた
めにはチャネルをまたがって行われる注文を表示する機能、注文
状況を表示する機能、承認された配送住所を管理する機能、注文
を自動または手動で承認する機能が必要です。
B2C クラスの操作性をユーザーに提供
B2B マルチチャネル・コマースのソリューションには、B2C クラス
のマーケティングおよびマーチャンダイジング機能が必要で
す。B2B のお客様は更なる使いやすさや利便性を求めており、競
B2B マルチチャネル・コマースのコンシューマライゼーション
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争が激化する市場でこのような要求に応じられないのは致命的
です。
詳細検索、
ナビゲーション、
クロス/アップセルといったオンライン
のマーチャンダイジング機能を利用すれば、お客様が必要なも
のをすばやく簡単に見つけられます。細分化、ターゲット化、
パーソナライゼーション、おすすめ商品の提示、およびこれらを
組み合わせた販促活動を行えば、販売サイクルを短縮し、お客様
の利益を高めるマーケティングの機会を提供できます。
フルフィルメントを通じて B2B 取引全体をサポート
総合的な販売フルフィルメント機能をサポートすることも重要で
す。B2Bの販売プロセスが複雑になり、迅速な注文、再注文、複数
の製品および大量の注文エントリー、注文ワークフローや承認と
いった、極めて広範囲にわたる販売注文機能が必要となります。
しかし、販売だけでは十分ではありません。B2Bマルチチャネル・
コマースのソリューションは、購買システムとの統合、請求および
売掛金の管理、
ERP 統合、
倉庫の統合や管理機能といった、
広範に
わたるフルフィルメント要件に対応する必要もあります。つまり複
雑な B2B システムには、
KPI を監視し、
改善すべき分野を特定する
ための、
堅牢なレポートおよび分析機能が必要なのです。
堅牢なコンテンツ管理をサポート
わかりやすく有益なコンテンツを提供するには、B2B マルチチャ
ネル・コマースで包括的かつリッチなコンテンツを提供する必要
があります。製品およびサービスに一貫性があり、正確で、すべて
のチャネルで最新の情報を利用できるようにしなければなりま
せん。
また多様な契約や取引関係に対して、
ターゲットを絞った
コンテンツを提供する機能が極めて重要になります。現場で使
用する PDF カタログを販売担当者や購入者に提供すれば、販売
活動に役立ちます。
コンテンツ管理システム (CMS) やプロセスを合理化する機能も重
要です。
チャネル間でコンテンツを活用するためには、
構造化およ
び非構造化コンテンツを単一のプラットフォームに集約する必要
があります。
コンテンツの作成および承認処理には、
多数の要素を
容易に連係させる機能が必要です。
コンテンツを効果的に管理で
きれば、
カタログなどの印刷物の作成や配布にかかる作業時間と
コストを削減することができます。
バックオフィスシステムと完全統合
効果的な B2B マルチチャネル・コマースを実現するには、すべて
のバックエンドシステムと完全に統合し、
フルフィルメントシステ
ム、
物流システム、
CRM、
財務および請求などの顧客関係をサポー
トする必要があります。
洗練されたキャンペーンの計画によりマーケティングの効率を
最大化
マルチチャネル・コマースは販売やフルフィルメントの効率性を
向上させるだけでなく、マーケティング活動もサポートします。
マーケティングの計画、実行、管理、計測やクロスチャネル・キャン
ペーンの適用により、
さまざまな B2B のお客様との関係性に新
しい価値を生み出します。
B2C のベスト・プラクティスを流用できる主な領域
おすすめ商品の案内
プロモーション
パーソナライゼーション
検索とナビゲーション
クロスセル / アップセル
細分化とターゲット化
B2B マルチチャネル・コマースのコンシューマライゼーション
4
最後に
B2B コマースはコンシューマライゼーションによって形を変えてい
るため、
B2B 企業は新しいチャンスを発見し、
新しい競合優位性を
創出していく必要があります。
このようなミッションクリティカルな
取り組みをサポートするには、
めまぐるしく変化する市場勢力に対
応できる柔軟性を持ち、B2B特有の課題に対処できるマルチチャ
ネル・コマース・システムが必要です。
複雑な取引関係をサポートし、
お客様が高品質で包括的な体験を
実感できるツールや機能を用意するには、マルチチャネル・コ
マースが鍵となります。つまり、販売、
フルフィルメント、サービス、
マーケティング・システムとソリューションをシームレスに統合す
るのです。
それには、
B2C クラスの操作性をより複雑な B2B の環境
で使用できるようにする洗練された幅広い機能、
そしてすべての
チャネルですばやくコンテンツを作成、
一貫性を維持し、
お客様特
有の要件や条件に対応できる統合的なコンテンツ管理が必要で
す。
そしてコストを削減し、
利益を最大化するために事業を合理化
する機能も必要です。企業が適切なプラットフォームを採用すれ
ば、
多彩な B2Bコマースの利便性を活用できるだけでなく、
長期に
わたる圧倒的な競合優位性を確保できます。
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