学際コース演習登録説明会 2004 資料集 CONTENTS ○学際コース演習(領域必修科目) 1.一覧 2.地球システム領域 3.メディア・言語コミュニケーション領域 4.現代社会・文化領域 ○問い合わせ P1 P2 P8 P10 P17 学際コース演習(領域必修科目)一覧 ○演習担当予定教員一覧 Ⅰ:3 年前期(2 単位) Ⅲ:4 年前期(2 単位) ―2005年度版― Ⅱ:3 年後期(2 単位) Ⅳ:4 年後期(2 単位) * <地球システム領域> 地球論演習・生命論演習は 2 単位 地球システム領域演習は 4 単位 <地球システム領域> (P.2∼) 3年配当 前期 環境論演習Ⅰ 地球論演習 後期 環境論演習Ⅱ 生命論演習 (月曜・5 限) (水曜・2 限) (月曜・5 限) (木曜・6 限) 北山雅昭 円城寺守・大師堂経明 久保純子 並木秀男・東中川徹 4年配当 地球システム領域演習(A∼L) A 並木秀男(月曜・6 限) B 東中川徹(月曜・5 限) D 小笠原義秀(月曜・2 限) E 小川 誠(水曜・3 限) G 高木秀雄(水曜・2 限) H 2005 年度休講 J 北山雅昭(水曜・5 限) K 久保純子(木曜・5 限) <メディア・言語コミュニケーション領域> C 円城寺守(水曜・3 限) F 坂 幸恭(水曜・1 限) I 平野弘道(水曜・1 限) L 大師堂経明(金・6 限) (P.8∼) 3年配当 前期 メディア論演習Ⅰ 言語コミュニケーション論演習Ⅰ 後期 メディア論演習Ⅱ 言語コミュニケーション論演習Ⅱ (木曜・2 限) (木曜・5 限) (木曜・2 限) (木曜・5 限) 小林宏一・林利隆 斉藤正美 小林宏一・林利隆 斉藤正美 4年配当 前期 メディア論演習Ⅲ 言語コミュニケーション論演習Ⅲ 後期 メディア論演習Ⅳ 言語コミュニケーション論演習Ⅳ (木曜・3 限) (木曜・5 限) (木曜・3 限) (木曜・5 限) 小林宏一・林利隆 村田久美子 小林宏一・林利隆 村田久美子 3年配当 前期 現代社会演習Ⅰ 現代文化演習Ⅰ 後期 現代社会演習Ⅱ 現代文化演習Ⅱ (月曜・4 限) (水曜・2 限) (月曜・4 限) (水曜・2 限) 後藤雄介・村上公一 神尾達之・福田育弘 後藤雄介・村上公一 神尾達之・福田育弘 4年配当 前期 現代社会演習Ⅲ 現代文化演習Ⅲ 後期 現代社会演習Ⅳ 現代文化演習Ⅳ (金曜・4 限) (木曜・4 限) (金曜・4 限) (木曜・4 限) 高橋順一・桑野 隆 原 克・渡辺芳敬 高橋順一・桑野 隆 原 克・渡辺芳敬 <現代社会・文化領域> (P.10∼) - 1 - <地球システム領域> 環境論演習Ⅰ ■講義内容: 担当:北山雅昭 ■参考文献: (自然・人文地理的検討)森林の保全と利用,資源の有効利用,自然と人との生活を考慮した 農林業のあり方,廃棄物と地域経済循環,野性動植物の保護と人間社会など,自然との調和の 中の人間活動のあり方を求める様々な動きが存在する。環境測定・分析,あるいは環保全技術 の開発も重要ではあるが,自然と人との調和のありようを探る作業こそ,根本的な課題ではな いだろうか。本演習では,自然環境と人の生活のありようを歴史的,地域社会的に検証する作 業をふまえ,今後のあり方を探ることに重点を置きたい。様々な環境問題を自然と人間のあり 方から根本的に,生態系のなかでの人間活動として総合的にとらえ,身近な地域から地球規模 にいたる環境問題を考えていきたい。 環境白書や環境関係の各審議会答申等を素材として,環境政策の課題と最新動向のついて 検討する。さらに大気汚染,温暖化,海洋・河川等の水質汚濁問題,廃棄物・リサイクル問題, 化学物質管理問題などに関わって,各自が設定したテーマについての報告・検討を行う。 北山雅昭編著『環境問題への誘い』(学文社) 富井・伊藤・片岡著『環境法の新たな展開』(法律文化社) 環境白書,循環型社会白書 ■評価方法: 報告,出席,発言等,演習への参加状況とレポートによる。 ■授業計画: ■教科書: 地球論演習 ■講義内容: 担当:円城寺守、大師堂経明 ■教科書: 地球システム領域にあってグローバルな観点から自然を観るのに必要な態度を会得する. 元素の旅という観点からみた系(system)の概念を考究する.人類を取り巻く環境がシーム レスの世界であることを説き,その環境の破壊に関する問題点を考究する. 鉱物を中心に,地球科学における空間(space)概念を考究する.身の回りの物質を通して,三 次元空間における秩序と無秩序,カオスとコスモスの環境を知る. 地質現象を通じて,地球科学における時間(time)概念を考究する.粒子の沈殿,岩石の変形 などの経時変化を追い,地球というキャンバスに残された記録を探る. 1. ガイダンス (地球システムの中の地球論) 2. 元素は巡る (地球物質からみた「系」という名の輪廻) 3. 物質も巡る (発見から鉱業へ,そして産業へ。人にまつわる系) 4. 地表を巡る (地球物質と自然環境および社会環境の背景) 5. 循環する系 (Quo Vadis?パンドーラの箱から猿の惑星へ?) 6. 自然の造形美 (鉱物とは?繰り返す規則性の美,鉱物と人類の歴史) 7. 鉱物の個性 (生活の中に見る鉱物の性質あれこれ,空間的構造の世界) 8. 鉱物の形成される時と場 (環境が決める形態や性質,鉱物の名の謂れ) 9. 鉱物についてのホットな話題 (鉱物の合成,宝石と貴石,新鉱物発見) 10. これまでの地球学 (地球とは何か,外部から内部から地球のアナトミー) 11. 母なる地球の素顔 (生命の誕生と進化,そして維持) 12. 地層の頁をめくる (堆積岩から読み取る古地理,地表の変化の歴史) 13. これからの地球学 (自然科学的,人文科学的,社会科学的地球観) 教科書を特定しない。適宜資料を配布する. ■参考文献: 杉村・中村・井田編(1988):「図説地球科学」岩波書店 ■評価方法: 参加状況(10%),不定期に行う小テスト・レポートなどによる(3 教員各 30%) ■備考: 普段から問題意識を持って,生活行動の中で考究すること. ■授業計画: 環境論演習Ⅱ ■講義内容: 担当:久保純子 ■授業計画: 地球規模の環境問題についての国連環境計画(UNEP)のレポートを読みながら,土地,森林, 水資源などの自然環境,および都市化や社会経済的背景などのそれぞれの問題と,アジア,ア フリカなど各地域における課題の把握をめざす。 半期科目であるが,英文テキスト輪読と受講生による調査報告によりすすめる。 ■教科書: Global Environmental Outlook 3(UNEP) ■参考文献: 北山雅昭編著『環境問題への誘い 持続可能性の実現を目指して』学文社 -2- ■評価方法: 演習への参加状況(報告を含む)50%,レポート等 50% ■備考: 環境問題に関するテーマで,フィールドワーク等もおこないたい。 ■関連する URL: http://www.f.waseda.jp/sumik/envsemi.html 生命論演習 ■講義内容: 担当:並木秀男、東中川徹 ■教科書: 20 世紀後半における生命科学の進展はめざましく,そのままの勢いで 21 世紀を迎えた。こ れらの進展から私達は多くの恩恵を受けていると同時に,単純に喜んでばかりではいられな い状況も随所に見受けられる。問題の本質を見極め,解決の手がかりを得るためには生物学の 専門家だけではどうにもならないところに来ており,他の自然科学,さらには社会科学,人文 科学の視点からの検討が必須である。本演習では,生命科学の社会に及ぼす影響における諸問 題をできるだけ多角的に検討する。 最初の 2―3 回の演習において生命科学の科学的基礎について解説する。次いで,この間を 通じて予め列挙し,分担した問題について調査研究を各演習参加メンバーに報告してもらい それを中心に討論を行う。これを通じて問題の本質を明らかにするとともに,その解決,改善 の方途を模索する。 プリント配布を行う。 ■参考文献: 時期に即した出版物を適宜紹介する。 ■評価方法: 出席状況 50%,研究発表 30%,討論参加 20%。 ■備考: 成績評価の方法からも明らかなように本演習では出席し,発表し,討論に参加することがもっ とも大切である。消極的参加は認めない。 ■授業計画: 地球システム領域演習 ■講義内容: ■授業計画: (生命論演習) 担当:並木秀男 テーマについては各自にあわせて決めるが,主として癌や免疫に関するオリジナルペーパー や総説を紹介する。 専門課程の 4 年および大学院生と一緒に演習を行う。内容は,文献の紹介と研究の進行状況に ついて発表し,討論する。 地球システム領域演習 ■講義内容: A B (分子遺伝学演習) 担当:東中川徹 ■教科書: 種々の生物の全ゲノム解析の進行に伴い,その成果は科学研究の領域にとどまらず,社会生活 にもインパクトを与えている。この状況の中から適当な問題をピックアップして刊行物,イン ターネットを通じて問題の核心とその解決策を探る。 前後期を通じて次のように行う。 月に一度の間隔で,その間の活動のまとめを研究室員の前で報告しディスカッションに応 ずる。後期においてはこの頻度を高くしまとめる方向での議論に集中するように図る。 なし ■参考文献: 分子遺伝学の基礎参考書,定期刊行物,インターネット。 ■評価方法: 出席と発表,ディスカッションの明確さ,活発さで判断する。 ■備考: 英語の論文や,インターネットサイトを避けるようでは,十分の検討はできない。 ■授業計画: 地球システム領域演習 ■講義内容: ■授業計画: C (資源・環境問題演習) 担当:円城寺守 地球科学・資源科学・環境科学などにかかる学際分野で卒業研究を行う場合に,これに付随 する演習であり,卒業研究の内容を実質的に具現する演習である.すなわち,「地球論演習」に 引き続き,卒業研究に必要な文献研究,野外調査,市場調査,解析研究などに関する専門的・具 体的な指導をおこなう. 卒業研究のテーマに関る内外の論文を選んで解説し,それに対してゼミ形式で討論を加え る.野外や市場における調査方法,実験方法,計測方法・解析方法などを指導する(……のを待 たず,自発的にとりかかってほしい).また,随時に卒業研究の中間報告を受け,これに対して 論評し指導する. 研究を実施する地域や対象によって異なるが,およその年次計画は,次の通りである.予備 -3- ■教科書: ■参考文献: ■評価方法: ■備考: 調査(5 月までに完了),予備解析(6 月を中心に実施),本調査(9 月までに完了),本解析(11 月ま でに完了).なお,本論文のまとめにはできるだけ早くからとりかかり,12 月中旬までにほぼ完 成していることが望ましい. 卒業研究のテーマに応じて,関連する教科書,参考書および内外の論文を紹介する.ただし, 自ら積極的に論文や文献を漁って調査することが望まれる. C.Flavin 編(2003):「地球白書 2003-04」(家の光協会),高橋裕ほか編,岩波講座「地球環境学 (全 10 巻)」(岩波書店) 前後期とも,参加状況(30%),報告書内容(30%),口頭発表および討論内容(40%) 演習を受講するための前提条件;「地球論演習」を履修済みであること. 卒業研究は在学中の総決算であるそれを成就させるための演習であるから,最大限の集中 力と目的意識を持ってこれに取り組むこと.また,科学論文作成方法や日本語作文方法に関す る書籍を普段から読んでおくこと. 地球システム領域演習 D (アメリカ西部で学ぶ地球・自然・環境問題そして教育) 担当:小笠原義秀 ■講義内容: ■授業計画: ■教科書: ■参考文献: テーマ:アメリカ西部のフィールドトリップによる自然観察を通して,地球・自然・環境問題 そして教育を考えます。 本年度はフィールドとしてカリフォルニア州の Sierra Nevada 山脈からワイオミング州の ロッキー山脈までを選びました。アメリカ西部には豊かな自然が残されています。また,その 保護を目的の一つとして沢山の国立公園があります。アメリカの国立公園システムや州立公 園は世界でも評価が高く各国のモデルともなっています。また,小学校から大学までの自然科 学教育の場としても積極的に活用されています。まさに大自然の中の教室といえます。 このような自然のなかで地球のことを学ぶことは,わたしたちの地球システムをより深く理 解するための基礎ともいえるでしょう。また,自然の中での観察を通して,自然界の仕組みを システムとして理解するとともに,自然と人間との関係で何が問題であるのかを考察するこ と,これがこの演習の主たる目的です。地球環境問題はその延長線上で論じられる問題です。 このプロセスを通じてアメリカ西部を研究フィールドとした各自の卒業研究のより具体的な テーマの絞込みを行ってゆきます。 フィールドに出て実際に自分の目で観察し問題を発掘し理解することを重視していますの で,夏休み中に 10-12 日間をかけて,西海岸のサンフランシスコからワイオミング州のロッキ ー山脈までのフィールドトリップを実施します。この調査で得られたデータは,そのまま各自 の卒業研究に直結します。 この演習では毎週のゼミのほかに,卒業研究の進展を補うため,最低 2 週間に 1 回程度の研 究指導個人面談を行います。この中で,各自の研究テーマの具体化と研究の進展の支援を行い ます。 尚,この演習のテーマは学際コース地球システム領域のために設置したものです。地球科学 専修用に用意されている「地球物質科学演習」のテーマとは大きく異なる内容です。また,2002 年度まで提示していた学際コース用研究テーマ「コロラド川総合研究」は当分の間休止しま す。上記内容は 2005 年度用です。2006 年度については未定です。 前期 1.アメリカ西部の自然と地質区の学習 2.Sierra Nevada 山脈と大花崗岩体:ヨセミテ国立公園,Sequoia・Kings Canyon 国立公園など. 3.Basin & Range 区:プレートテクトニクスの産物,山脈と盆地の連なりと火山活動:Death Valley 国立公園,Bonneville Salt Flat 4.Rocky 山脈:中生代末から新生代にかけての巨大山脈形成とそれを貫くポットスポット Yellowstone.その自然と地質:Yellowstone 国立公園 5.予備文献調査のまとめ:報告書作成 夏休み(9 月中旬から下旬) 6.太平洋岸(カリフォルニア州 San Francisco)からロッキー山脈の東縁までのフィールドトリ ップを実施します。日数:約 10-12 日間,移動距離:約 5000km,参加経費:約 15 万円. 後期: 7.アメリカ西部フィールドトリップの調査報告 観察地点取得データの整理と関連する事項の考察 8.Sierra Nevada 山脈,Basin&Range 区の地形・地質・生態系 9.中部ロッキー山脈地域の地形・地質・生態系 Wind River Mts. Bighorn Mts. Beartooth Mts. Yellowstone 国立公園 10.国立/州立公園システムに関する考察と教育環境 11. アメリカ西部の自然と環境問題と自然保護 「Earth: An Introduction to Physical Geology」by E.J. Tarbuch & F.K. Lutgens, Prentice Hall. 定価約 8000 円(教材 CD-ROM 付) 演習中に適宜紹介します。 -4- ■評価方法: 演習での報告と出席(40%),アメリカ西部フィールドトリップ調査後の報告書(60%) ■備考: 1.関連科目:「ロッキー山脈の大自然:地質・生態・進化」(2004 年休講),「アメリカ西部で学 ぶ地球の歴史」,「ロッキー山脈の大自然を探るセミナーI・II・III」,「博物館で探る自然・ 科学・テクノロジー」,「全地球史解読」,「地球システム概論」,「地球大進化-生命の大い なる挑戦」 2.長期間のフィールドトリップを伴う演習ですので,学力のほかにそれに耐えられる十分な 気力・体力も必要です。 3.フィールドトリップの成果が十分に得られた場合は,その結果と報告書としてまとめた成 果の一部を,12 月初旬に San Francisco で開催される地球惑星科学・地球システム関連の世界 最大の学会である「米国地球物理連合学会(AGU)」(地球システム教育セッション)で発表する 可能性があります(英語によるポスターセッション)。 http://www.usgs.gov/ http://water.usgs.gov/ http://133.9.221.70/(学内専用) ■関連する URL: 地球システム領域演習 ■講義内容: E (環境化学演習) 担当:小川 誠 ■参考文献: 天然資源を用いた環境浄化についてその現状を把握し,実験室でモデル実験を行う。 家庭用浄水器の仕組み、また下水道処理場における作業を調べ,その意義を考えることも併 せて行い,将来に向けての新しい浄水システムを考えたい。 水の浄化システムの現状を概観し,そこでどのような物質またどのような化学反応がが用 いられているのかを理解する。さらに実験室でモデル実験を行う。 多数(適宜,個別に指示) ■評価方法: 履修状況 ■備考: 演習を受講するための前提条件…自然科学および環境問題に興味のあること 実験を行います ■授業計画: 地球システム領域演習 ■講義内容: ■授業計画: ■評価方法: (堆積学演習) 担当:坂 幸恭 西南日本外帯各地の基盤岩の層序・構造をテーマとする「卒業研究」と併行して進める。 したがって,演習内容は,卒業研究のテーマに沿ったものとなる。現段階では,1)紀伊半島中央 部の秩父帯・黒瀬川帯,2)志摩半島の秩父帯・黒瀬川帯,3)志摩半島の四万十帯,4)重力測定に よる紀伊半島黒瀬川帯の再吟味,5)関東山地の秩父帯・黒瀬川帯,などを予定している。 前期:卒業研究を遂行するうえに必要な文献調査(調査地域に関するものと研究方法に関する もの)とその紹介,議論交換を行う。 後期:それまでに得られた研究成果を吟味し,それをさらに前進させるための検討を行う。 出席状況と毎回の発表内容を総合して評価する。 地球システム領域演習 ■講義内容: F G (情報構造地質学演習) 担当:高木秀雄 ■授業計画: 合同で実施する構造地質学演習では,岩石や地層の変形を扱う構造地質学や,日本列島の地 質構造発達史を扱うテクトニクスの分野に関連した文献の紹介と卒論の中間報告が主なもの である。地球システム領域演習 G では,構造地質学に関連する画像を集め,それを教育や研究 に利用するための方法を開発する。したがって,画像処理に関する文献紹介や卒ニ研究の中間 報告が演習の内容となる。 構造地質学演習のメンバーと共に,毎回の創意的な発表でゼミを進める。 ■評価方法: 毎回の発表で評価する。 ■備考: 情報地球科学など,情報処理に関連した科目を履修しておくことが望ましい。また,PC ソフト として,アドビ社の Illustrator や Photoshop を使用する。写真やプレゼンテーションのセ ンスも大切である。 地球システム領域演習 H ※ -5- 2005 年度 休講 地球システム領域演習 ■講義内容: I (「地球環境変動史」演習) 担当:平野弘道 ■教科書: 地球誕生以来 46 億年間の地球環境の変遷を,代表的な論文数編を素材として講読し,解説を付 す。地球史の中でも,顕生累代以降については近年詳しくデータが出つつある。そこで,顕生 累代の 5 回の大量絶滅事変を中心課題とする。 5 回の大量絶滅事変について,代表的な論文を各 1 編講読し,解説する。受講者の地球科学につ いての基礎学力により適宜そのレベルを変更する。従って,授業計画の具体的内容は,履修者 の学力を評価した後に提示する. 特に指定しない。 ■参考文献: 演習の進展にあわせ,適宜英語の原著論文を紹介する。 ■評価方法: 出席しなければ理解できるとは思われないので,皆出席を前提とする。論文講読とレポートの 内容により評価する。 地球環境の変動の要因とその生物界への影響は,大変に面白い課題であるが,地球科学と生物 学の多岐に渡る,かつ深い知識と理解を要し,なかなか難解な科学である。特に,地質学の基礎 学力が要求されるので,この演習を履修希望するものは,事前に地質学関連の講義,演習,実験 の履修について相談することが必要である. ■授業計画: ■備考: 地球システム領域演習 ■講義内容: J (「環境論」演習) 担当:北山雅昭 ■教科書: 「環境法の最前線」 様々な環境問題に対処するための政策と法が,ここ数年,大きな変化を示している。本演習 では,こうした変化の最前線を捉え,政策と法の変動をもたらしている要因,その目的,内容, 法的な手法と有効性,問題点などを明らかにしていきたいと思う。廃棄物法から循環社会の形 成をめざす法システム,地球温暖化対策から新たなエネルギー政策と法の展開,化学物質管 理,有害物質管理の国際的システム構築の動きと日本の対応などについて検討する予定であ る。 最近の環境法制の動きを概括的にフォローした後,演習履修者の設定する各自の卒論テーマ に即して,報告してもらい,共同で論議を深める予定である。 環境白書 ■評価方法: 各自の報告による。 ■備考: 卒論指導を兼ねた形で進めるので,3 年終了時までには,卒論テーマを明確にしておくこと。 ■授業計画: 地球システム領域演習 ■講義内容: K (「環境論」演習) 担当:久保純子 ■授業計画: 地理学演習ⅡA と合併クラスとするが、各自の卒業研究のテーマにあわせて、 「人間活動の自 然環境へのインパクト」・「開発途上国における環境問題」などの問題について、調査報告・ ディスカッションをおこなう。また,フィールドワーク(3 年生と合同)も実施したい。 受講生による調査報告,ディスカッション,フィールドワーク(野外巡検) ■教科書: 特に指定しない。 ■参考文献: Global Environment Outlook 3 (UNEP) ■評価方法: 演習への出席・参加状況 ■備考: 関連科目として「自然地理学研究 I・II」,「地理学研究法 II」などの受講も推奨する。 ■関連する URL: http://www.f.waseda.jp/sumik/envsemi.html 地球システム領域演習 ■講義内容: L (「宇宙の電波観測」演習) 担当:大師堂経明 今年から学際コースにおいて、宇宙の観測で卒業研究を行うことができるようになりまし た。この演習は、4年生で宇宙の電波観測によって卒論を書くための準備です。したがって 事前に「物理学 I」 (金 5 限)、 「物理学実験 B」 (大師堂、金曜 3-4 限)を習得している、もし くは習得しつつある人が対象です。 「物理学 II」 (月 3 限)も事前に習得しておくことが望ま しい。 那須の大型電波干渉計や西早稲田キャンパスの64素子干渉計を用いて、クェーサーや銀 河系内の高エネルギー天体(CygX-3やパルサー)の電波観測を行っています。写真などは URL -6- ■授業計画: をご覧ください。http://www.phys.waseda.ac.jp/astro/ CygX-3 は、3 万光年の距離にある白鳥座の天体です。1990年代にはいって、大きな電 波爆発は起こしていなかったのですが、2001 年の4月に10年ぶりに大きな爆発を起こし、 これを那須の電波望遠鏡でとらえることに成功しました。この天体は光では見えませんが、 赤外線と X 線で。4.8時間の強度変化を示しています。これは連星の軌道周期であり、二 つの星の片方はブラックホールか中性子星であり、他方はウォルフライエ星(40太陽以上 の質量の天体が進化の後、外層を吹き飛ばしてヘリウムのコアがむき出しになった極めて明 るい星)と考えられています。 この天体は、いつ電波爆発するか予想ができませんが、爆発時に 0.3c におよぶプラズマの ジェットを噴出します。このような大きなローレンツ因子をもつ高エネルギー現象は、銀河 系内のガンマ線源や、X 線源、銀河系外のクェーサーに見られ、共通の原因によると考えられ ていますがまだよく理解されていません。 一つの可能性として、降着円盤の不安定性が研究されています。 << 演習の研究テーマ >> 1.那須観測所30m球面鏡の天体追尾システムの開発とパルサー高時間分解能観測(実験) 2.早稲田64素子干渉計におけるディジタル位相信号処理方式の開発とガンマ線クェーサ ーなど高エネルギー天体現象の電波観測(実験) 3.那須 20mx8 干渉計におけるナイキストレート FFT 信号処理装置の開発と、未同定 EGRET 天体の電波同定(実験) 参考として21世紀COEの課題も書いておきます。 (1) 観測装置の開発およびパルサー、トランジェント電波源の観測 (2) 観測装置の開発および EGRET ガンマ線源の電波同定 (3) 複素ミキサーアレイ、ディジタル光伝送、ナイキストレート空間時間信号処理 FPGA/LSI などの開発による 256 素子球面鏡アレイの基礎研究 大学院での研究テーマですが、3、4年生の少し先のテーマを見ておくことも役に立つで しょう。成績などの基準を満たせば理工学研究科、物理及応用物理学専攻・実験物理学への 推薦が可能です。 << どんなアプローチをとるか >> 観測的研究には、最先端のアナログ、ディジタルエレクトロニクスや大規模なソフトウエ アの開発が不可欠です。研究室では、得意な分野をまず手始めに手がけ、しだいに扱える分 野を広げて行くようにしています。以下はそのまとめです。 早稲田大学に設置してある、2.4m × 64台 の電波干渉計を空間時間 FFT プロセッサ ーを用いて処理し、パルサー、トランジェント電波源などの高エネルギー天体の電波観測、 サーベイを行う。周波数は10.6GHz である。 また栃木県の那須に建設した8基の20m固定球面鏡で受信した電波を干渉させ、同時に 8方向にビームを位相合成して極めて高い感度でこれら高エネルギー天体を詳細に研究す る。周波数は1.4GHz の保護バンドをもちいる。 空間時間 FFT プロセッサーは、16×16×256点(空間2次元、時間1次元の3次元 キュービックデータ)までの複素データを、空間16×16画素、時間周波数256chま での複素振幅へ、ナイキストレートでフーリエ変換する。これによりパルサー観測に不可欠 な周波数分散の除去、トランジェント電波源のバースト時におけるスペクトル変化の情報を 得ることができる。感度に関してはすでに、那須の球面鏡 + 低雑音HEMTアンプ により、 冬季の夜間では、アンテナ温度ゆらぎが0.03Kにまで押さえられ、また観測面では、2 000年4月に、10年間静かだった CygX-3 の大電波バーストを観測した。 実験の基礎となる、ランダム過程(ブラウン運動、雑音、統計物理学) 、フーリエ解析、デ ィジタルエレクトロニクス、などの入門となる物理学実験のテキストを用意してありますの で、必要な方は下記のメールアドレスに請求してください。この物理学実験(金曜3−4限) や天体物理学(月曜6限)などの授業はオープン科目としてあり、学内および提携大学の学 生が受講できます。冬には毎年、1年間の修得成果を受講生がポスター展示し、実験を再現 するポスターセッションを学内外に公開しています。 宇宙の観測は、物理学や数学、エレクトロニクス、コンピュータ、の深い理解の上にはじ めて成り立ちます。世界の最先端を切り開いている研究所や研究室は、すべてこれらの基礎 を深くきわめています。この実験テキストに挑戦して、宇宙からの雑音電波が抵抗から発生 する熱雑音と基本的に同じもの(ジョンソン・ナイキスト雑音)だということを理解するこ とが、第一歩となります。そのためには、気体分子運動論、ボーズ統計、黒体輻射、定在波、 等分配則、ゆらぎ、などを実験と理論の両面から十分に把握し、かつコンピュータシミュレ ーションのプログラムを自分でつくり、納得するのがいいでしょう。 << もう少し補足(参考) >> 私どもの研究室では、観測装置を自らつくって研究するようにしています。世界の干渉計 はみんなそうでしょうが、自前で開発しているところが新しいフィールドを切り開いている というのが現実です。日本は企業にまかせる傾向がつよく、心配なところです。 私どもは屋上の64素子や那須の球面鏡アレイもすべて、研究室で図面を引き、受信機を 作りペンキを塗って完成させたものです。土木工事や鉄骨加工は業者にたのみますが、LS Iの開発、駆動系の配線や制御プログラミングは、自分たちでやります。 こんな研究室は、世界には結構沢山あり、クラウスのアンテナ、ケンブリッジのパルサー 観測アンテナ、シドニー大,... などがそうです。 -7- ■教科書: 那須で受信機やディジタル信号処理装置、駆動系のトラブルがあっても全員自分で直して、 観測を行います。 一般に研究の分野は、色々あり、 ア 理論、 イ 観測・解析・物理的解釈、 ウ 観測装置開発・観測、 の分類ができるでしょう。どの分野も面白いでしょうが、すべてを行う事はできません。私 どもの研究室は ウ に分類できるでしょう。これは、向き不向きが あり、やはり、この分野でD論を書くくらいの意欲と経験が求められます。 物理学実験のテキスト、 その他 ■参考文献: Kraus, ■評価方法: レポート、物理学会や天文学会での発表、論文、など ■備考: 国際会議で他国の参加者と対等に議論できるように、物理学、数学、コンピュータ、エレク トロニクスの基礎を早く習得してください。 http://www.phys.waseda.ac.jp/astro/ ■関連する URL: J,D Radio Astronomy 、その他が上記テキストに記載してある。 <メディア・言語コミュニケーション領域> メディア論演習Ⅰ ■講義内容: 担当:小林宏一、林利隆 ■教科書: 本演習は,社会生活・政治・経済・文化などあらゆる領域に多大な影響を及ぼしているメデ ィア・コミュニケーションの実態とその社会的機能,さらにメディアをめぐる歴史社会学的, 文化社会学的考察に鋭い問題関心を持つ学生を対象に,ハードな指導を行う。 研究領域対象は,担当教授の専門分野に即して,3 つに分けられる。第 1 は,既存のマスコミ ュニケーション領域(ジャーナリズム,メディア産業/法制度),第 2 は,メディアと文化変容領 域(文化のグローバリゼーション,カルチュラル・スタディーズ),第 3 は,CMC(computer mediated communication)に象徴される電子メディア・ネットワーク領域(携帯電話,電子出版, インターネット)である。 以上 3 つの領域がクロスオーバーするかたちで,メディア・コミュニケーションの全領域が ほぼカヴァーされている。 この演習 I では,この 3 つの領域に共通するメディア・コミュニケーション論の基本的問題 とともに,現代思想の核心部分とも交叉するような分析視点とアプローチを学ぶことになる。 3 名の教員が共同指導するような方法も取り入れながら,現在直面する課題が何かを幅広く考 察する。基本的に,文献講読と討議を柱とする。 前期の最初の数回は,それぞれの分野に共通した問題を確認するとともに,各自の問題関心 を一層明確にするために,3 人の教員が共同で講義・議論する形態をとる。その後,3 グループ に分かれて,より専門的な文献の講読を行い,ディスカッションする。 開講時に知らせる ■参考文献: 随時紹介する ■評価方法: 出席を重視する。 前期,後期,2 回のレポートがある。 出席とレポートの両者で総合評価する。 ■授業計画: 言語コミュニケーション論演習Ⅰ ■講義内容: ■授業計画: 担当:斉藤正美 社会科学においてもディスコース分析に対する関心が高まっている。この演習では、社会 学、メディア研究、ジェンダー研究などの社会科学研究において言語資料をどのように分析 したらいいか、という観点からディスコース分析を取り上げる。なぜディスコース分析か、 どのようなアプローチがあるか、実際に研究計画をデザインするにはどのようなことを検討 すればいいか、などディスコース分析の基本事項を理解する。 講義で問題提起をし、学生は興味や関心に応じて本の章を担当し、発表する。ゼミ形式の演 習を行うので、積極的な参加を期待したい。演習は以下の内容を含む。 1. ディスコース分析をするにあたって 2. 言語資料の収集・記述方法 3. さまざまなアプローチ:談話分析・ことばの民族誌・プラグマティックス・インター -8- ■教科書: アクションの社会言語学・批判的ディスコース分析(CDA) 4. 社会科学におけるディスコース分析 5. 研究計画作成にあたって D. Cameron. 2001 Working With Spoken Discourse. Sage. ■参考文献: 開始後、指定あるいは配布する。 ■評価方法: 出席、発表、提出物。 ■備考: 参考文献や資料は英語と日本語両言語を使う。 メディア論演習Ⅱ ■講義内容: ■備考: 担当:小林宏一、林利隆 演習 II では,演習 I での議論を踏まえて,より専門的に,それぞれの領域に固有の課題と方 法論を深く検討する。基本的には,演習 I と同様に,文献の報告と討論という形式で行うが,新 聞記事の検証,映画・番組の分析,電子ネットワーク空間への実践的関与など,メディアの批判 的検討がなされよう。 メディア論演習 I を選択しておくこと。 言語コミュニケーション論演習Ⅱ ■講義内容: 担当:斉藤正美 ■教科書: メディア研究や社会学が言語学に注目する一方、言語学がメディア言語に関心を持ち始め ている。この演習では、学際的なアプローチの一つであり、メディア・ディスコースを対象 とした研究事例が多い批判的ディスコース分析(CDA)を取り上げる。実際にメディア・ディ スコースがどのような視座、どのような手法で分析されるか、を事例に則してみていきたい。 講義で問題提起をし、学生は関心のあるテーマについて指定された論文や本の章を担当し、 発表する。ゼミ形式の演習を行うので、積極的な参加を期待したい。演習内容としては、メ ディア言語を対象とした批判的ディスコース分析の方法論および、メディア表象とジェンダ ー、エスニシティ、ナショナリティなどとの関わりについて考察した研究事例を取り上げる 予定であるが、受講生の興味によっては調整する。 開始後、指定あるいは配布する。 ■参考文献: N.Fairclough. 1995. Media Discourse. Edward Arnold. ■評価方法: 出席、発表、提出物。 ■備考: 参考文献や資料は英語と日本語両言語を使う。 ■授業計画: メディア論演習Ⅲ ■講義内容: ■備考: 担当:小林宏一、林利隆 個別の指導,また共同討議を通じて,卒業論文の作成に向けた問題関心の明確化,テーマ設 定を行うことが,演習 III の主要な課題となるが,各自の関心に響きあう専門文献の検討も並 行して行う。 メディア論演習 I・II を履修していること。 言語コミュニケーション論演習Ⅲ ■講義内容: 担当:村田久美子 ■教科書: この演習ではことばとコミュニケーションの関係をデイスコースという単位で捉え、日常 のあらゆる分野でのコミュニケーション、例えば、親しいもの同士、就職の面接、仕事での 交渉、テレビ討論、インタビュー、ニュース、新聞記事、広告等で、話し手や書き手がどの ように効果的に自分の意図を伝え、相手を説得しようと試みているのかを批判的談話分析 (Critical Discourse Analysis)、会話分析、相互作用的社会言語学、コミュニケーション の民族誌学等の手法を用いながら観察、分析をします。 まず、III では具体的なデータを使いながら、上記、理論と方法論の基礎を学びます。受講 者も具体的に自分の日常生活の中で簡単なデータを集め、それを持ち寄り、皆で検討します。 最終的には、一人一人が自分の集めたデータを分析し、レポートにまとめます。またこれに ついて口頭発表もしてもらいます。 Wetherell, M., Taylor, S. & S.J. Yates (eds.)(2001) Discourse as Data. London: Sage ■参考文献: 授業にて指示 ■授業計画: -9- ■評価方法: 授業参加・貢献 20%、口頭発表・小レポート等 30%、最終レポート・発表 50% ■備考: テキストは英語、その他に配布する資料も英文が多いと思いますが、講読の授業ではありま せんので、テキストはあくまでも資料として使い、基本的に全員がさっと読み、授業ではそ れをもとに話し合うことを目標にします。積極的な参加が求められます。 メディア論演習Ⅳ 担当:小林宏一、林利隆 ■講義内容: 基本的に,演習 III と同様のかたちで進めていく。 ■備考: 「メディア論演習 I・II・III」を履修していること。 言語コミュニケーション論演習Ⅳ ■講義内容: ■授業計画: ■教科書: ■参考文献: ■評価方法: ■備考: 担当:村田久美子 この演習ではことばとコミュニケーションの関係をデイスコースという単位で捉え、批判 的談話分析(Critical Discourse Analysis)、会話分析、相互作用的社会言語学、コミュニ ケーションの民族誌学等の手法を用い,あらゆる分野でのコミュニケーション(話し、書きこ とば両方を含む)を批判的に分析する手法を学び、それを基に、実践的に各自がデータを収集 し、分析します。 IV では III で学んだ基礎の上に、実際のデータ分析に重きをおきます。受講者自らが、自 分の興味のある分野のデータを系統的に集め、目的にあった手法を用い、分析・考察をし、 最終的には卒論へと繋げていきます。この過程で、授業中に、中間発表、最終発表等をし、 他の受講者との意見交換を多く取り入れます。 ハンドアウトを使用 Wetherell, M., Taylor, S. & S.J. Yates (eds.)(2001) Discourse as Data. London: Sage、 その他、授業にて指示 授業参加・貢献 20%、口頭発表・小レポート等 30%、最終レポート・発表 50% 配布する資料は英文が多いと思いますが、講読の授業ではありませんので、テキストはあく までも資料として使い、基本的に全員がさっと読み、授業ではそれをもとに話し合うことを 目標にします。積極的な参加が求められます。言語コミュニケーション論演習 III を受講し ていることが望ましい。 <現代社会・文化領域> 現代社会・文化領域では、さまざまな複数の要素が絡まりあって形成される社会・文化の複合的な在り方を、問題 の複雑さに応じて、複数の方法論を組み合わせた複合的なアプローチによって、大胆でありつつ、細心の注意をはら いながら、歴史的・社会的・政治的・言語的(記号論的)に読み解いていきたいと思います。 現代社会演習Ⅰ ■講義内容: ■備考: 担当:後藤雄介、村上公一 <後藤雄介担当分> 《他者認識と異文化理解》 「異文化」を理解するとは、単に遠く離れた地域・人々にアプローチすればいいというも のではないだろう。むしろ、私たちの身の回りで「他者」とされるものがしばしば負の差別 化を図られていることにこそ、まずは敏感(sensitive)であるべきではないか(たとえば、 なぜ日本では不動産賃貸で「外国人お断り」などということが堂々とまかり通るのか?) 。本 演習では、日常に見られる差異化=差別化の諸相を知るところから、異文化理解のあり方を 考える。 <村上公一担当分> 《インターネット・機械翻訳と異文化理解》 国境を越えて日常的に行き交うインターネット空間、急速に進化する機械翻訳、これらに より異なる言語を用いる人々の間のコミュニケーションのありようは間違いなく変質しつつ ある。インターネットの普及と機械翻訳の進化は異文化理解にどのような影響を与えるのか。 とりわけ機械翻訳を介した多言語間コミュニケーションについては蓄積された研究も数少な い。参加者自身が実験を行いながら、インターネット・機械翻訳と異文化理解について様々 な角度から考える。 ・その他の項目(授業計画・教科書・参考文献・評価方法など)については、 『2005 授業ガイ ド・学際コース編』で詳細を明らかにする。 - 10 - ■関連する URL: 現代文化演習Ⅰ ■講義内容: ・2名の教員による合同授業を適宜おこない、演習内の知的・人的な相互交流を積極的に図 り、演習自体を学際的で領域横断的な開かれた場にするよう運営していく。 <担当者からのメッセージ> 「現代社会演習Ⅰ」 ・ 「現代社会演習Ⅱ」を貫くキーワードは、 「地域」 「異文化」 「他者」 「差 異」 「越境」です。 (後藤より) 私の研究対象であるラテンアメリカは確かに日本から遠い、でも現代を生きる私たちにと って遠いからといってまったく無関係なのか、そもそも日本に住んでいるからといって、私 たちは日本のことを本当に理解しているといえるのか?──こうした問題関心を持っていま す。ひとつ例を挙げれば、ラテンアメリカの日系移民に歴史的に沖縄出身者が多いことと、 沖縄で大学校舎に米軍ヘリが墜落しても今日の私たちの関心が高まらないこととのあいだに は、時空を越えた関係がありそうです。そうしたさまざまな「つながり」(linkage)をいっ しょに探っていきませんか? (村上より) テクノロジーの進化は我々の生き方を否応なく変えていきます。インターネットの普及がな ければこれほど「グローバル化」が叫ばれることもなかっただろうし、英語ができないと肩 身の狭い思いをすることもなかったでしょう。私は今、インターネット TV 回線を利用した遠 隔中国語会話レッスンの世話役をしています。北京・台北にいるチューターと早稲田の教室 にいる学生がリアルタイムの会話レッスンをするというものです。お互いが接しているのは TV に映った影とスピーカーから流れる音声だけなのですが、その背後に広がる台北や北京の 街の騒音や匂いが画面やスピーカーを通して感じられるような気もします。もう一方で教育 学部の中国語クラスでは、生身の私がこれまた生身の学生諸君と、お互い唾をあびながら授 業を行っているわけですが、教室を取り巻いているのはやはり中国語とは無縁の空間であり、 果たしてどちらの学習空間がよりリアルなものなのか戸惑ってしまいます。時代の変容に身 を委ねつつも、それにより変わり続ける自分自身のありようは常に意識していきたいと考え ています。 (後藤のサイト)http://www.f.waseda.jp/chema/ (村上のサイト)http://www.f.waseda.jp/kimikazu/ 担当:神尾達之、福田育弘 この神尾と福田が担当する「現代文化演習 I」と「現代文化演習 II」をつらぬく問題系は、 「身体」 「欲望」 「知覚」 「表象」 「交流」 「越境」です。 文化現象とは、どんなものであれ複数の要素が複雑に結びついて成立する複合的な現象で す。身近なもの(身体・飲食)であればあるほど、ふだんは気づきませんが、とりわけこう したことがあてはまります。この演習では、すでにひとつの研究手法として確立されつつあ るカルチュラル・スタディーズ(英米) 、アナール派歴史学の心性[メンタリティ]分析(仏) 、 文化学(独)を参考にしつつ、そうした現象を複数の分析手法をみずから編集した複合的な 方法論によって読み解いていく〈楽しさ〉を共有することをめざします。 <神尾達之担当分> 《身体表象について考える》 この授業では、脳内縦割り行政の世界から昨年解放された学生たちが、 「既成=規制」の領 域を横断したり、新しい土地を開拓していく手助けをしたいと思います。 そのために、暫定的に大きな枠組みだけは決めておきましょう。 私と授業をわけもつ福田先生は、飲食を大きな枠組みにされています。これもまた身体表 象の一部です。身体の外部にあったモノを身体の内部に採り入れ、栄養にしてしまうことで すね。これは福田先生におまかせして、私たちの演習ではたとえば内部の外部化をあつかう こともできるかもしれません。つまり、嘔吐や排泄です。とはいえ、 「これはチョットいやだ なぁ」、という方もきっといるでしょう。 福田先生の授業との差異化は別のところに求めましょう。福田先生があつかわれるのは「食 欲」です。 私は「性欲」に重点を置くことにしたいと思います。ただし広義の「性欲」です。「〈生〉 欲」と書いてもいいかもしれません。美容整形・遺伝子操作・臓器移植・ヴァーチャルリア リティ・プリクラなどは、 「生」を延長したり多様化しようとする欲望です。 しかし、その一方で、バイオホラーが小説や映画のモティーフになっていますし、格闘技 ゲームでは殺戮することが、さらには生の反対物としての死が消費の対象になっています。 身体は昔からだいたい同じだったのに(原則的に心臓は左側にあるし、身長5メートルの 人間が急に 19 世紀に登場するようになった、なんて話もない) 、なんでここ数十年の間に身 体のイメージは変わったのでしょうか? これが演習をつらぬくいちばん太い問いの糸にな るでしょう? 「なんだか哲学っぽくてむずかしそう」という印象を払拭するためにいえば、この授業で は、 「身体表象ってなに? 身体のイメージとちがうの? そもそも、身体と身体表象ってど うちがうの? 表象ってなんだ?」という問いについて、えんえんと一般論の形で議論する - 11 - ■授業計画: ■教科書: ■参考文献: ■評価方法: ことは最小限におさえます。 むしろ、できるだけ具体的な素材を手がかりにして考察を進めます。 ただ、これらの問いについての私なりの答えは、オープン教育センター設置科目の「身体 表象論」と教育学部設置科目の「現代社会と表象」で解説しますので、できれば履修してく ださい。 <福田育弘担当分> 《インターフェースとしての知覚 文化現象としての飲食を考える》 この授業では、具体的な文化現象を、外界と主体のインターフェースとしての知覚を軸に、 その主体と対象のあいだに形作られる「イメージ=表象」という側面から、領域横断的に考 察していく道筋を探ります。 私自身は、身体的交流のなかでもとりわけ接触(吸収)領域である味覚を通したミクロな 異文化交流から、植民地支配によってフランス文化の浸透した北アフリカにみられるような 異なる文化の大々的な接触・交流というマクロな異文化交流までをあつかいながら、複数の 文化要素が複雑に構造化された文化自体の複合的な在り方に関心をいだいています。 前者については、神尾先生と行っている「現代社会と表象」 (およびテーマカレッジ「飲食 の表象を考える」 )で、後者については「異文化交流・接触論Ⅰ」 (2005 年度は「Ⅰ」 [前期] を担当)であつかっています。この演習を履修する人は、できればこれらの講義も受講して ほしいと思います。 文化はたえず交流し、複数の要素が複雑に結びついて形作られていきます。そうした文化 現象に目を向けるため、ここではまずだれもが毎日行っている飲食という行為にしぼって、 具体的事例をとりあげながら、それがいかに広範な領域をクロスさせて成立しているのかを みていこうと思います。もちろん、大きな意味での文化の交流にも目を向けますが、まずは 感覚的なものの介在する身近な事例として、だれもが語ることのできる飲食という文化現象 を取りあげようと考えています。 飲食は、外部を内部に取り込むことで成立する一種の特異な認識行為です。飲食によって 外部を取り込むことで、私たちの内部が養われていくのです。まさにミクロな〈異〉文化交 流といえる行為です。 また、飲食は、身体維持に必要な自然な行為である一方で、歴史的・文化的な側面をもっ た行為です。 さらに、飲食には、経済や流通の問題も関係します。 なにげなく繰りかえしている「飲んだり・食べたり」といった行為は、それ自体が、領域 横断的で複合的な行為なのです。 また、飲食は身体をあつかう神尾先生とかなり重なります。とくにここに「表象」という 概念をもちこみ、 「身体の表象」 「飲食の表象」とすると、問題自体がさらに複合的に重なり あうことになります。そのため、2人の教員による合同演習を積極的に展開して、授業自体 を「越境」と「交流」の場にしたいと思っています。 まず取りあげる具体例は、「牛鍋」です。これは、 「すきやき」となり、 「牛丼」となって、 私たちの飲食に馴染みのアイテムになりました。しかも、いまでは「狂牛病」と絡[から] んで健康上の問題でもあり、牛肉の輸入という経済上の問題ともなっています。こうした点 をふまえて前期ではまず、飲食という文化現象の複合性の具体例として「牛丼」と「すきや き」を取りあげ、それらをめぐって複合文化的なアプローチを試みようと思います。これに は、みなさんにも「発表」という形で参加してもらう予定です。 もちろん、「これこれについて、はい発表して」では、無責任なので、「発表」までの「自 転車」には、適宜「補助輪」をつけるつもりです。 最初の数回は(3∼5回)各教員(神尾・福田)が、各自が関心のある複合文化的な問題 系についてそれぞれ発表し、ディスカッションします。いってみれば、ミニシンポジウムで す。なるべく2人の教員がクロスできる具体的なテーマを取りあげますので、みなさんも積 極的に発言してください。 その後は、みなさんの発表によって問題提起された問題系を深めていきたいと思います。 各期に最低1回は発表してください。 この間も、テーマによって適宜合同授業を行います。また、前期(後期)の最後は合同シ ンポジウムでしめたいと思っています。 なお、メーリングリストを作成し、そこで議論の活性化をはかる予定です。 〈神尾達之担当分〉 おそらくビデオ(DVD)が主たる「教科書」になると思います。必読文献は授業の際にその 都度指示します。また、全員で読むべき著作の重要箇所等はプリントにして配布します。 〈福田育弘担当分〉 当面の教科書は久保田淳・福田育弘ほか『文学と食』 (芸林書房、2004)です。生協書籍部 で各自購入してください。それ以外の必読文献は授業の際にその都度指示します。また、全 員で読むべき著作の重要箇所等はプリントにして配布します。 〈神尾・福田共通〉 開講時にリストを配布します。また、必要があれば、授業であつかうテーマに応じてその都 度指示します。 出席 30 点、発表 30 点、発表をもとにしたレポート 40 点の合計 100 点満点。レポートは原 則として講評をつけて返却します。 - 12 - ■備考: 現代社会演習Ⅱ ■講義内容: ■備考: ■関連する URL: 現代文化演習Ⅱ ■講義内容: 「現代文化演習Ⅰ」と「現代文化演習Ⅱ」では、適宜2名の教員による合同授業を行ない (前後期の第1回と最終回、さらにテーマによって2∼3回) 、演習間の知的・人的な相互交 流を積極的にはかり、演習自体を学際的で領域横断的な開かれた場にするよう運営していく つもりです。 担当:後藤雄介、村上公一 <後藤雄介担当分> 《越境するアメリカスと私たち》 アメリカス(Americas=アメリカ大陸諸国の意。挑発的な意味で、米国はそのなかの一国 に過ぎないとあえて位置づける)は歴史的に多民族・多文化な社会で、さまざまな「他者」 に満ちている。この「他者」をめぐっては、それを排除もしくは統合しようとする権力の作 動に対して、差異を「越境」し共生を模索する試みもなされている。本演習では、アメリカ スについて学ぶこと以上に、アメリカスを通じて学ぶことを重視する。求められるのは、太 平洋の彼方から発信されるある種普遍的な問題を、私たち自身の課題として受け止めること のできる想像力(imagination)である。 <村上公一担当分> 《越境する東アジアと私たち》 私たちの大多数は「日本人」であると同時に「東アジア人」さらには「アジア人」である らしい。少なくとも日本人以外、東アジア人以外、アジア人以外の目から見るとそう認識さ れるようだ(私たち自身がどの程度それを意識しているかは別として) 。本演習では、日頃あ まりなじみのない「東アジアの中の日本あるいは私たち」という視点から様々な文化現象(例 えば現在東アジア地域で常態化しているマンガ・アニメ・テレビドラマなどの越境現象など) を取り上げる。 ・その他の項目(授業計画・教科書・参考文献・評価方法など)については、 『2005 授業ガイ ド・学際コース編』で詳細を明らかにする。 ・2名の教員による合同授業を適宜おこない、演習内の知的・人的な相互交流を積極的に図 り、演習自体を学際的で領域横断的な開かれた場にするよう運営していく。 <担当者からのメッセージ> 「現代社会演習Ⅰ」 ・ 「現代社会演習Ⅱ」を貫くキーワードは、 「地域」 「異文化」 「他者」 「差 異」 「越境」です。 (後藤より) 私の研究対象であるラテンアメリカは確かに日本から遠い、でも現代を生きる私たちにと って遠いからといってまったく無関係なのか、そもそも日本に住んでいるからといって、私 たちは日本のことを本当に理解しているといえるのか?──こうした問題関心を持っていま す。ひとつ例を挙げれば、ラテンアメリカの日系移民に歴史的に沖縄出身者が多いことと、 沖縄で大学校舎に米軍ヘリが墜落しても今日の私たちの関心が高まらないこととのあいだに は、時空を越えた関係がありそうです。そうしたさまざまな「つながり」(linkage)をいっ しょに探っていきませんか? (村上より) テクノロジーの進化は我々の生き方を否応なく変えていきます。インターネットの普及がな ければこれほど「グローバル化」が叫ばれることもなかっただろうし、英語ができないと肩 身の狭い思いをすることもなかったでしょう。私は今、インターネット TV 回線を利用した遠 隔中国語会話レッスンの世話役をしています。北京・台北にいるチューターと早稲田の教室 にいる学生がリアルタイムの会話レッスンをするというものです。お互いが接しているのは TV に映った影とスピーカーから流れる音声だけなのですが、その背後に広がる台北や北京の 街の騒音や匂いが画面やスピーカーを通して感じられるような気もします。もう一方で教育 学部の中国語クラスでは、生身の私がこれまた生身の学生諸君と、お互い唾をあびながら授 業を行っているわけですが、教室を取り巻いているのはやはり中国語とは無縁の空間であり、 果たしてどちらの学習空間がよりリアルなものなのか戸惑ってしまいます。時代の変容に身 を委ねつつも、それにより変わり続ける自分自身のありようは常に意識していきたいと考え ています。 (後藤のサイト)http://www.f.waseda.jp/chema/ (村上のサイト)http://www.f.waseda.jp/kimikazu/ 担当:神尾達之、福田育弘 この神尾と福田が担当する「現代文化演習 I」と「現代文化演習 II」をつらぬく問題系は、 「身体」 「欲望」 「知覚」 「表象」 「交流」 「越境」です。 文化現象とは、どんなものであれ複数の要素が複雑に結びついて成立する複合的な現象で す。身近なもの(身体・飲食)であればあるほど、ふだんは気づきませんが、とりわけこう - 13 - ■授業計画: したことがあてはまります。この演習では、すでにひとつの研究手法として確立されつつあ るカルチュラル・スタディーズ(英米) 、アナール派歴史学の心性[メンタリティ]分析(仏) 、 文化学(独)を参考にしつつ、そうした現象を複数の分析手法をみずから編集した複合的な 方法論によって読み解いていく〈楽しさ〉を共有することをめざします。 <神尾達之担当分> 《身体表象の星座づくり》 縦割りの拘束から解放された想像力をエネルギーとして、参加者の皆さんが夏休み中に収 集した多数の身体表象を結びつけ、ひとりひとり、身体表象の星座を作ってみてください。 素材のフィールドは、映画・写真・マンガ・ファッション・美術(絵画・彫刻) ・パフォーマ ンス(ダンスからお笑いまで) ・演劇・文学・犯罪・スポーツ(オリンピックから K1 まで) ・ 広告などです(もちろん哲学もいいですが…) 。 <福田育弘担当分> 《インターフェースとしての知覚 文化現象としての飲食を考える》 前期で得た方法論をもとに、それぞれの関心にしたがって、さまざまな具体的な文化現象 の複雑な在り方(複合的な在り方)に、それぞれ歴史学・社会学・人類学・言語学・精神分 析などといった複数の方法論を、対象に応じて(複合的に)組み合わせて、分析してもらい ます。 考察テーマは、飲食にかぎりません(もちろん、飲食でも結構ですし、よりマクロなポス トコロニアル状況におけるハイブリッド[異種混淆的]な文化現象でもかまいません) 。また、 素材は映画でも、CMでも、文学でも、何でもありです。そこに「知覚」や「表象」、 「身体」 や「欲望」が関与するかぎりどのようなテーマでも素材でもかまいません。いや、文化現象 にはそうしたものがかならず絡[から]むはずですから、絡めてもらえば何でもいいとうこ とです(テーマと素材は夏休み中にみつけてください) 。 そして、 「知覚」や「表象」、 「身体」や「欲望」といったものが絡めば、そこにはいやおう なく「交流」と「越境」が生まれます。こうして、結果として固定した思考から離脱し、お のずとさまざまな学問領域へと「越境」することになるでしょう。 補助輪なしで、なるべく一人で「自転車」を運転させ、いくつもの領域へ越境してくださ い。ころびそうなら助けます。 この試走は、卒業論文作成への第1歩であると思ってください。 現代文化演習Ⅰの記述に準じる。 ■教科書: 現代文化演習Ⅰの記述に準じる。 ■参考文献: 現代文化演習Ⅰの記述に準じる。 ■評価方法: 現代文化演習Ⅰの記述に準じる。 ■備考: 現代文化演習Ⅰの記述に準じる。 現代社会演習Ⅲ ■講義内容: ■備考: 担当:高橋順一、桑野隆 <高橋順一担当分> 《統合と分裂》 本年度も引き続き、ヨーロッパを中心に、とくに 2001 年 9 月 11 目の事態以降の危機を孕 んだわたしたちの世界についていろいろな角度から一緒に考えてゆきたいと思います。その 際にキーワードとしたいのが「統合と分裂」です。グローバリぜーション=統合の進行はこの 世界からあらゆる対立や矛盾をなくすのだと考えた向きもかつてあったのですが、私たちの 現実はむしろ、統合が進む分だけ分裂も深まるというアンビジアスな様相を呈しています。 このことをどう考えたらよいのか、政治だけでなく、社会・歴史・文化・思想等々多様な角 度から考えていきます。基本的に報告と討論を軸に進めますので意欲のある学生諸君ぜひ参 加してください。 <桑野隆担当分> 《笑い》 「笑い」を主たるキーワードにして社会を読み解いてみよう。 ある政党が 2004 年の参議院選挙に際してパロディに抗議したことからもうなずかれるよ うに、 「笑い」には、隠れている真実を暴きだす力がある。こうした「笑い」を使って、社会 を裏返してみたり、斜めに覗いてみてはどうだろうか。 一口に「笑い」といっても、個人を笑う笑い、世界を笑う笑い、善意の笑い、悪意の笑い、 儀礼の笑い、グロテスクな笑い、その他とさまざまであり、また、 「笑い」の使い方や場もい ろいろである。もちろん、「笑い」が許されない時空も存在する。さらには、「笑い」は社会 学、哲学、心理学、民俗学、文学、記号論、宗教学など、多様な学間とも絡み合っており、 「笑 い」について書かれた文献は、目本語で読めるものだけに限っても相当ある。その辺の資料 も使いながら、具体的な社会現象にアプローチしてみよう。 「現代社会演習Ⅲ」と「現代社会演習Ⅳ」では、適宜 2 名の教員による合同授業を行ない、 演習間の知的・人的な相互交流を積極的にはかり、演習自体を学際的で領域横断的な開かれ た場にするよう運営していくつもりです。 - 14 - その他の項目(授業計画・教科書・参考文献・評価方法など)については、 『2005 授業ガイ ド・学際コース編』 で詳細を明らかにします。 現代文化演習Ⅲ ■講義内容: ■授業計画: 担当:原 克、渡辺芳敬 <原 克担当分> 「都市はボクらの自然? 都市型大衆文化のディスクール分析」 (ねらい)20 世紀初頭、ニューヨーク・ベルリン・東京を発信基地として台頭してきた「都市 型大衆」「大衆文化」「サブカルチャー」のあらゆる現象を対象にして、それらが持つイメー ジ発信装置としての構造を、表象文化論の手法を駆使してディスクール分析にかけます。そ れにより、現在知らず知らずのうちに、ボクらが巻き込まれている「都市型大衆文化」の真 相を明らかにするのが、この授業のねらいです。 (内容)毎朝の満員電車に揺られての通学風景に始まり、コンビニ、ワンルームマンション、 携帯電話、インターネット、テレビ、新聞、クラブ・カルチャー、カウントダウン TV、マク ドナルド、コカコーラに至るまで、現在ボクらの生活は、衣食住あらゆる面で都市型大衆文 化に埋め尽くされています。ボクらはそこから逃れることはできません。今日、都市型大衆 文化は、ボクらにとって「第二の自然」になっているのです。 一言で言えば、近代それは急速な都市への人口集中の時代なのです。(米国の場合、全人口に 対する都市生活者の比率は、1860 年 20%/ 1890 年 35%/ 1920 年 50%超/ 2000 年 80%と急 激な伸びを示しています。) 急激な人口増加を支えるためには、近代テクノロジーの発達、巨大な都市型システムの開 発というハードウェアの裏付けが不可欠です。これらがネットワークとして、都市空間を覆 ってゆくにつれ、新しい生活スタイルを生み出し、人々の感覚や意識、ひいては時代の文化 のあり方に無意識のうちに、多大な影響を及ぼしてきました。都市型大衆文化スタイルの誕 生です。 この授業では、ボクらの 24 時間にあふれている都市型大衆文化の具体例から出発して、と りわけそれらを保証しているテクノロジーに注意を払いつつ、こうした都市文化・大衆文化 を成立させている近代的価値の枠組みをあぶり出すことをめざします。 <渡辺芳敬担当分> 「エグゾティスムの可能性」 日々の忙しさに追われ、にっちもさっちもいかなくなった時、いまここにいる日常から抜け 出して、どこか別の場所に行ってみたい、あるいは旅に出ることは無理でも、せめてなにか 別の事をやってみたいとは思わないでしょうか。いわゆる現実逃避というやつです。ぼくた ちはこの現実逃避と現実回帰を日々繰りかえしているイキモノなのかもしれません。 この授業の全体のテーマは、さまざまなレベルでの異種混交という意味での、広義のエグ ゾティスム論です。通常「異国趣味」と解されるエグゾティスムですが、ここでは、日本と 西洋、ヨーロッパとアメリカとといった、たんに自文化と他文化、さまざまな文化間の相互 接触といった比較文化論的なアプローチにとどまらず、自分にとっての他者、さらには他者 の他者としての自分といった自他の関係論にいたる、さまざまなレヴェルでの異種混交を問 題にしたいと考えています。ねらいはあくまで異種混交であって、たんなる異文化体験、異 文化接触ではありません。異文化・他文化と接触・遭遇することによってなにが見えてくる のか、あるいは見えてこないのか、自己がどのように改変されるのか、あるいはされないの か。なぜいま異種混交̶̶横断や越境といったタームで語られるもの̶̶が問題となるのか。要 するに、なぜひとは他者を必要とするのか、なぜひとは自分を超えようとするのかという基 本的な問題設定です。それは、内部と外部、現実と虚構もしくは想像世界との錯綜した関係 ̶̶いまここが、つねにすでにいまここではない場所へと開かれ、重ねられていることーーに 思いを馳せることと別のことではありません。 具体的には、思想・言語・芸術・都市 etc.にかかわるさまざまな文化的異種混交の事例を 念頭においています。植民地主義の時代に植民地主義をこえるエグゾティスムの可能性を説 いた旅人であり作家であるセガレンや、西洋中心主義からの離脱の可能性を日本に見たバル トあたりをレフェランスとして、文学・美術・音楽・建築・映画・ミュージカルといった領 域内横断はもちろんのこと、領域外横断を敢行する諸芸術もしくはエンターティメントの非 日常的時空もしくは越境可能性、ヒトとモノが縦横無尽に行き交い、せめぎあう都市という 越境空間等々。さまざまな事例を介して、なによりも諸問題の枠組み・在り処を知ることが 目的です。 「現代文化演習」全体の目的がいわば研究の原理と応用のテクニックを学ぶことに あるとすれば、この授業は原理的なものにより注意を向けようとするものといってもいいか もしれません。 <原 克担当分> 学期最初の 4 週は、原がプレゼンテーションを行い、問題設置の仕方、分析の手法、理論 的背景や基本文献などを紹介します。その間、みなさんには自分の生活範囲にある興味深い 都市型大衆文化をひとつ選んで、それについて下調べを開始してもらいます。その後、調査・ 分析の途中経過を随時報告してもらい、みんなで討論・アドバイス・情報交換をしてゆきま す。進捗状況によっては、前期末授業中にプレゼンテーションをしてもらいます。 - 15 - ■教科書: ■参考文献: ■評価方法: ■備考: 現代社会演習Ⅳ ■講義内容: ■備考: 現代文化演習Ⅳ ■講義内容: 尚、現代文化演習 III(渡辺芳敬担当)クラスと、合同シンポジウムを学期中 1 回ほど予定し ています。どちらの演習も近代と文化をテーマとしているので、コラボレーションすること により、それぞれ違ったアプローチの仕方に触れるなど知的刺激を受けることが期待される からです。後期にも同様の機会を予定しています。 <渡辺芳敬担当分> はじめにエグゾティスムに関する問題系を概観し、その歴史的・社会的背景や思想的文脈 を、基本文献・資料を紹介しつつ見ていきたいと思います。ついで、共通テキストもしくは テーマをめぐって報告・討論の場にするのがメインです。テキストやテーマは、できれば皆 さんとのディスカッションとのなかで決めていきたい。この授業の主役は学生諸君、あなた がたひとり一人です。授業を義務や苦役とするのではなく、目一杯楽しんでください。その ためには、教員・学生ともに同じ目線に立つことが大切です。当該の問題を共有することが 前提であり、そこからひとり一人の問題関心にそってできるだけ諸問題の核心・射程が広げ られ、かつ深められれば最高です。 <原 克担当分> 授業開始時に指示します。 <渡辺芳敬担当分> 授業開始時に指示します。 <原 克担当分> 随時、授業中に指示します。 <渡辺芳敬担当分> 随時、授業中に指示します。 <原 克担当分> 授業時の発表・出席ならびに学期末の中間レポート提出によります。 <渡辺芳敬担当分> 授業への参加度(報告・討論 etc.) 、および学期末のレポート提出。 <原 克担当分> 特になし。 <渡辺芳敬担当分> できるだけ学生主導のゼミにしたいと考えている。 担当:高橋順一、桑野隆 <高橋順一担当分> 《戦争と暴力》 前期に続いて「統合と分裂」の世界を考察しますが、そこに新しいキ一ワード「戦争と暴 力」を設定します。9・11 からアフガン・イラクヘの流れは、この世界に充満する戦争と暴力 の契機を改めて私たちにつきつけたのでした。思えば 20 世紀は 1 億 7000 万人の政治的犠牲 者を出した未曾有の殺戮の世紀でした。この延長線上に今の現実もあります。この間題をぜ ひ一緒に考えてみたいと思います。 <桑野隆担当分> 《ポリフォニー》 「ポリフォニー」という言葉は、本来は「多声音楽」を意味していたが、いまでは社会や 文化のさまざまな現象にも適用されている。しかしその一方、現実の社会ではますます単声 的、モノローグ的、強圧的発言が飛び交っている。 後期のこの演習では、前期の「笑い」でもって社会の関節外しを試みた経験を踏まえて、 現代社会の諸現象を多視点的、多声的、対話的に捉え返してみることにしよう。 といっても、具体的にはどのようにアプローチをすればいいのか? 実際、決定的な方法 はない。その辺のところは、私の用意するいくつかの先例なども参考にしながら、皆で工夫 してみることにしよう。 「現代社会演習Ⅲ」と「現代社会演習Ⅳ」では、適宜 2 名の教員による合同授業を行ない、 演習間の知的・人的な相互交流を積極的にはかり、演習自体を学際的で領域横断的な開かれ た場にするよう運営していくつもりです。 その他の項目(授業計画・教科書・参考文献・評価方法など)については、 『2005 授業ガイ ド・学際コース編』 で詳細を明らかにします。 担当:原 克、渡辺芳敬 <原 克担当分> 「都市はボクらの自然? 都市型大衆文化のディスクール分析」 前期授業を発展的に継承し、みなさんの中間報告の続きならびに最終プレゼンテーション を中心に授業を展開してゆきます。中間報告やプレゼンテーションに当たっては、準備段階 - 16 - ■授業計画: ■教科書: ■参考文献: ■評価方法: ■備考: ■関連する URL: も含めて、原がいつでもサポート態勢につきます。テーマの設定や分析方法、その他なんで も気軽に相談して下さい。一緒に考えてゆきましょう。 <渡辺芳敬担当分> 「エグゾティスムの可能性」 前期授業かつ前期レポートを踏まえ、前期で積み残したテーマ、課題を一層煮詰めるのが 目的です。実質的には、卒論テーマに即した報告・討論および関連資料の検討にあてられる ことになると思います。 <原 克担当分> 後期授業、最初は原が再度プレゼンテーションを行い、新しいトピック、問題設置の仕方、 分析の手法、理論的背景や基本文献などをブラッシュアップします。その間みなさんには、 夏期休暇中に考えてきたテーマや分析の視点などについて話しをしてもらい、中間報告・プ レゼンテーションへの準備を整えてもらいます。その後、再度みんなで討論・アドバイス・ 情報交換を重ね、後期末の最終プレゼンテーションをめざします。 <原 克担当分> 授業開始時に指示します。 <渡辺芳敬担当分> 授業開始時に指示します。 <原 克担当分> 随時、授業中に指示します。 <渡辺芳敬担当分> 随時、授業中に指示します。 <原 克担当分> 授業時の発表・出席ならびに両学期末の最終レポート提出によります。 <渡辺芳敬担当分> 授業への参加度(報告・討論 etc.) 、レポートおよび学期末のレポート提出。 <原 克担当分> 特になし。 <渡辺芳敬担当分> できるだけ学生主導のゼミにしたいと考えています。 <原 克担当分> 「都市はボクらの自然? 都市型大衆文化のディスクール分析」 前期授業を発展的に継承し、みなさんの中間報告の続きならびに最終プレゼンテーションを 中心に授業を展開してゆきます。中間報告やプレゼンテーションに当たっては、準備段階も 含めて、原がいつでもサポート態勢につきます。テーマの設定や分析方法、その他なんでも 気軽に相談して下さい。一緒に考えてゆきましょう。 <渡辺芳敬担当分> 前期レポートを踏まえ、前期で積み残したテーマ、課題を一層煮詰めるのが主眼。実質的に は、卒論テーマに即した報告・討論および関連文献の講読にあてられることになるだろう。 ▼ その他質問は、学際コース助手 佐久間までお問い合わせ下さい。 場所:助手共同研究室(16 号館 927 研究室) オフィス・アワー:火曜日(14:40∼16:40) メール:sakuma@aoni.waseda.jp ▼ 尚、新しい情報はホームページで紹介します。まめにチェックするように してください。 http://www.dept.edu.waseda.ac.jp/idp/course.html - 17 -
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