倫理問題解法(No.11-1)

○相反問題と線引き問題
教科書 p106~参照 no.11
・弁証法
(不連続)
aの意見
a=100
bの意見
反対の考え方がある.
A
B
(a)二分観
・相反問題
aの意見
a=100
正反合・・・1 つの考え方があれば必ず
b=100
b=100
bの意見
A
(b)スペクトル観
・二者択一問題
・両立問題
B
図.二分観とスペクトル観(矛盾率=a+b-100)
・中庸問題
・および創造的第三の方法
(哲学を導入したシステム工学,岡崎義則著,コロナ社参照)
・線引き問題
間違った答えの範囲
正しい答えの範囲
悪い答え>悪い答え
善い答え<善い答え
否定的
模範事例
事例1
事例2
事例3
肯定的
模範事例
事例4
答えの範囲(倫理における問題解決)
参考事例と比較して決める決疑論
・ハインリッヒの法則
1件の重傷事故の背景には、29 件の軽傷事故、300 件の障害のない事故が存在するとい
う法則。アメリカの労災保険会社に勤めていた、H.W.ハインリッヒ氏が統計上確立し
た法則である。1対 29 対 300 の法則あるいはハインリッヒのピラミッド理論ともいう。
現在、この法則は、労働安全管理の手法に用いられている。
ハインリッヒの法則は、事故について次のように言っている。
(1)事故はある日突然起こるものではない。事故には前触れがある。
(2)事故の前触れを制御すると、事故は限りなく少なくすることもできる。
○モラル問題解決(倫理的実行)の方法
・2つの古典的な倫理理論(ベンサム,カント)
個人の行為または規則は,正しい場合もあれば不正な場合もある.互いに相手をどう扱う
べきかを問題にする.互いに倫理的に行為するとき,あらゆる人が受益する.
・正あるいは不正の区分
ベンサム:幸せであるか否か.
行為の結果,幸せである人もいれば,不幸な人もいる.
最大多数の最大幸福.できるだけ多くの人が幸せになるように努力する.
カント
:人間の絶対的な価値を尊重しているか否か.
普遍化可能性(全ての人に適用性)があるか否か.
ベンサム:結果論者の理論.行為または規則が正しいか,不正であるかを,その結果の価
値で計ることができる.
カント
:義務論者の理論その結果如何に関わらず,その行為または規則は,正しい,
あるいは不正である.
以上,結果論あるいは義務論の2者択一問題.
争点:多数派の幸福のために,一部の人(少数派)が犠牲になることがある.
○普遍化可能性
自分のして欲しいことを他人にせよ.自分のして欲しくないことは他人にしない.
功利主義(Utilitarianism:ユーティリタリアニズム)
● 功利主義は、善悪は社会全体の効用(英: utility)あるいは功利(功利性、公益)
・機能
(有用性)によって決定されるとする立場である。基本的に倫理学上の立場であり、そ
れは法学や政治学でも応用される。
● 倫理学には、「功利主義」という考え方がある。これは、倫理学の三理論といわれる徳
倫理学、義務倫理学、帰結主義的倫理学(功利主義)の 1 つである。徳倫理学は行為者
に着目する。義務倫理学は、行為に着目する。帰結主義的倫理学(功利主義)は結果に
着目する。
● 行為功利主義と規則功利主義は,功利原理(利益=善)の対象が異なる。前者は行為が
利益をもたらすか(「それをすれば利益があるか?」)を基準にし、後者は「規則」
(「皆
がそれに従えば利益があるか?」)を基準にする。例えば、行為功利主義では「貧しい
人が子供のために食べ物を盗む」のは子供が助かるからかまわないとし、規則功利主義
では「子供のためなら食べ物を盗んでもよい」という規則があれば窃盗が横行して治安
が悪くなるからいけない、とする。
● 功利主義では、倫理的に正しい行動は、最大多数の最大幸福を実現する行為であるとさ
れる。一方で、多数決の論理になってしまい、少数意見の切捨てに陥りやすいという面
も持っている。
● 功利主義的な取組みには以下の3つがある。
(1) 費用便益分析
プラス・マイナスの功利を金銭的評価に変換することで功利主義の基準をできるだ
け定量的に推し量ろうとするものである。
(2) 行為功利主義
この行為は、他に取りえるどの方法よりも多くの幸福を生むことができるか?と考
えることである。
(3) 規則功利主義
たとえば交通規則のように、功利を大きくすることを規則化して従わせるという考
えである。