実用化を指向した光波制御デバイスの研究

実用化を指向した光波制御デバイスの研究
代
表 依田 秀彦
所属・職名 工学研究科・准教授
連 絡 先 TEL:028-689-6110 FAX:028-689-6110 E-mail:yoda@cc.utsunomiya-u.ac.jp
メ ン バー
キーワード チューナブル波長選択フィルタ,シリコンフォトニクス, レンズドファイバ
背景および目的
本研究で開発を目指すデバイスは、以下の3つである。
(1) チューナブル波長選択フィルタ
(2) スポットサイズ変換器
(3) レンズ付き光ファイバ(レンズドファイバ)
『チューナブル波長選択フィルタ』は,将来の光ファイバ
加入者網においてキーデバイスになる。 高い生産性と
優れた光学特性を併せもつ、光学薄膜構造を利用した2
種のチューナブル波長選択フィルタチップ(温度制御型
および電圧制御型)を開発する。
『スポットサイズ変換器(SSC)』は,フォトニック結晶や
シリコン細線導波路デバイス(0.4μmΦ)と光ファイバ(5
or 10μmΦ)との相互接続に不可欠の技術である. 界
分布サイズを変換させるスポットサイズ変換器(SSC)を
効果的に作製できなければ最終的な実用化は難しい。
『レンズドファイバ』 に関しては、液体や樹脂中でも高
い集光性能をもつ2方式(HILC(高屈折率層被覆)型お
よびPC(プラノコンベックス)型)の開発を行う。 PC型は
波長以下のスポット径に集光できる。 従来のレンズドフ
ァイバは、集光径が波長の2倍以上と大きい、液体・樹
脂中では集光作用が無くなるという欠点があった。
プロジェクトの内容
(1) チューナブル波長選択フィルタ
多キャビティ構造を採用
し、近赤外域高透過率
の透明抵抗膜(InTiO)
を熱源にした TO(熱光
学)効果 あるいは強誘
電体結晶膜( PLZT) を
組み込んだ EO(電気
光学)効果 を利用して
小型・狭波長幅・低消費
電力・高速波長スイープ
を可能にする。
(2) スポットサイズ変換器
様々な構造のSSC(アッ
プテーパ型,ダウンテー
パ型,ギャップ付型,薄
コア付型) をこれまでに
提案し,Si細線導波路(
究極の光集積回路)上
に試作し,解析的および
実験的に性能を実証し
て き た . 現 在 , CDI 実
験室に設置されているド
ライエッチング装置(
垂直方向ダウンテーパ型SSC
ICP-RIE)を用いてSSC
(構造,試料外観,出射光プロファイル)
の形成を行っている.
(3) レンズドファイバ
凸状に形成したファイバ
先端に高屈折率(a-Si等
)層を被覆した、HILC型
は,波長1550nmにおい
て作動距離10μm、集光
スポット径2μmを実現す
る。 固有ビーム径GIフ
ァイバ(EB-GIF) により、
凸状形成が容易になる。
PC型は先端に高屈折
率媒質の微小平凸レン
ズを形成し、作動距離ゼ
ロ、集光スポット径を波
長の60%にできる特長
がある。
HILC型レンズドファイバ
PC型レンズドファイバ
(ファイバ先端形状,試料外観,出射光プロファイル)
期待される効果・展開
○小型・安価・高性能なチューナブル波長選択フィルタの開
発により,次世代の大容量光アクセス網WDM-PONを実
現し,Face to Faceコミュニケーションを可能とする.
○未来のシリコンフォトニクス技術と,現在の光ファイバ通
信技術との橋渡しを実現する.
TO型チューナブル波長選択フィルタ
(構造,試料外観,透過スペクトル)
○従来は原理的に不可能だった、液体中で動作する超高
NAレンズドファイバを実現し、レンズドファイバの応用分
野が飛躍的に拡がる。
宇都宮大学 地域共生研究開発センター イノベーション創成部門