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単年度試験研究成績 課題の分類:
(作成11年 1月)
北陸農業 生物工学
−
花き類−12
研究課題名:遺伝子組換えによる実用的新品種作出法の確立
3 新遺伝子導入法の検討
2)ユリ培養細胞への遺伝子導入法の検討
(3)アグロバクテリウムの感染効率の向上
予算区分:県単・特別 担当研究室:新潟農総研 バイオ研究部
研究期間:中 平10年度(平10∼13年度)担当者:六井 勝
協力・分担関係:
1 目的
土壌細菌を利用したユリへの遺伝子導入方法を検討する。ここでは、効率的なアグロバ
クテリウム感染条件を検討する。
2 方法
(1) 供試材料
無菌培養したシンテッポウユリ、オレンジブロッサムの子球、カルス誘導用固体培地
(MS培地、ショ糖 30g/l、NAA0.1mg/l、BA1.0mg/l、ゲランガム 2g/l、pH 5.8)で 15
日間培養したシンテッポウユリ、紅姿、オレンジブロッサム、カサブランカ、アカプル
コのリン片
Agrobacterium tumefaciens EHA101+ pIG121-Hm(名古屋大学農学部中村研三教
授より分譲)
(2) 培地条件
アグロバクテリウム懸濁培地:
DKN 液体培地(ショ糖 30g/l、ピクロラム 1mg/l、アセトシリンゴン 10mg/l、pH5.8)
共存培養培地:
DKN 固体培地(ショ糖 30g/l、ブドウ糖 10g/l、ピクロラム 1mg/l、アセトシリンゴ
ン 10mg/l、ゲランガム 2g/l、pH5.8)
(3)培養方法
ア ハイグロマイシン 50mg/l を添加した AB 固体培地で 25℃、暗黒条件で 4 日間培養
したアグロバクテリウムを懸濁培地に懸濁した。
イ この菌液に 5mm 角に調製したリン片またはカルスを 5 分間浸漬し、水分を除いた
後、共存培養培地に置床した。
ウ 25℃、暗黒条件で 7 日間培養した。
(4)調査方法
共存培養後 GUS アッセイし、ブルースポットの有無を観察した。
染色液:1mM X-Gluc、20%メタノール、0.1% Triton X-100、50mM リン酸バッフ
ァー
3 結果の概要
(1) アグロバクテリウムの感染処理後、トランジェントアッセイを行ったところ、シンテ
ッポウユリとオレンジブロッサムのリン片及びシンテッポウユリ、カサブランカ、アカ
プルコのカルス誘導用固体培地で培養したリン片でブルースポットが確認された(表、
図)。しかし紅姿及びオレンジブロッサムのカルス誘導用固体培地で培養したリン片で
はブルースポットは認められなかった。
(2) カルス誘導用固体培地で培養したリン片ではカルス化した部分に、子球から切り取っ
たリン片では切断面でのみ、ブルースポットが確認された。
(3) カルス誘導用固体培地で培養したリン片を用いて共存培養したシンテッポウユリで、
もっとも多くのブルースポットが確認された。
(4)カルス化して間もないカルスを材料に用い、共存培養期間を 7 日間とすることで、ア
グロバクテリウムの感染効率が向上した。
表 トランジェントアッセイの結果
品種
外植体
ブルースポットの数 *
++
シンテッポウユリ
子球リン片
+++
カルス化リン片
紅姿
カルス化リン片
‐
+
オレンジブロッサム
子球リン片
カルス化リン片
‐
++
カサブランカ
カルス化リン片
+
アカプルコ
カルス化リン片
*1 個あたりブルースポット数、+:0∼1、++:2∼4、+++:5∼
シンテッポウユリ
(リン片の断面)
シンテッポウユリ
(カルス化リン片)
オレンジブロッサム
(リン片の断面)
カサブランカ
(カルス化リン片)
アカプルコ
(カルス化リン片)
(対照)カサブランカ
(懸濁培養カルス)
図 X−Glucによる反応
4 今後の問題点と次年度以降の計画
新規課題で形質転換植物体の獲得と遺伝子レベルでの解析を行う。
5 結果の発表・活用等
特になし