オンラインジャーナル

「印刷だけではありません」中西印刷株式会社 Tel: 075-441-3155 E-mail: infos@nacos.com
オンラインジャーナル
中西印刷株式会社
2012/4/4
rev. 2014/8/20
オンラインジャーナルとは……………………………………………… 1
当社の方向性……………………………………………………………… 1
オンラインジャーナルの種類と形態…………………………………… 2
◆オンラインジャーナルサイトの種類……………………………… 2
◆オンラインジャーナルの形態……………………………………… 3
日本でのオンラインジャーナル………………………………………… 3
オープンアクセスとは…………………………………………………… 4
機関リポジトリとは……………………………………………………… 5
オンラインジャーナルとは
オンラインジャーナルは、その名の通り、雑誌の内容すべてをインターネット上で公開し、扱い
やすい検索機能などを付加するものです。印刷の工程がないために紙の雑誌よりも投稿から掲載ま
でが速い上に、ハイパーリンクで自由に必要な文献検索ができるため、急速に普及しています。特
に、英語圏での取り組みが早く、現在では欧米の有力な学会誌はほとんどインターネット上で公開
されるようになっています。
今後、インターネットのハイパーリンクの網の中に論文が掲載されていない、つまりはオンライ
ンジャーナル化されていないと、その論文は発表されたこと自体がどこからも知られず、実質的に
発表されていないのと同じということになる(If it is not on the net, it does not exist.)とも言われて
います。最も進んだオンラインジャーナルはハイワイヤー(http://highwire.stanford.edu/)などで見
ることができます。
また、オンラインジャーナルとは直接関係ありませんが、電子化をすすめるにあたって、査読を
インターネットを通じて行う電子査読、編集をインターネットを通じておこなう電子編集なども、
広範に行われるようになっています。
当社の方向性
中西印刷は、未来の印刷業を考える上で、オンラインジャーナル化は必然と考えています。特に、
中西印刷の得意とする学術雑誌はもっともオンラインジャーナル化に適した分野であり、積極的
に取り組んできました。実際に、日本の J-STAGE への掲載をはじめ、1999 年の Oxford University
Press との提携による HighWire への日本の学術雑誌掲載、最近では米国 National Library of Medicine
の運用する PubMed Central へのオンラインジャーナルデータ直接提供をおこなっています。
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PubMed Central へは Acta HistChemica et Cytochemica 誌と Journal of Clinical Biochemistry 誌の 2 誌
を皮切りに、続々とオンラインジャーナルコンテンツを日本から発信しています。J-STAGE に関
しては設立当初から関わり、50 余誌を中西印刷から送り出しており、J-STAGE 仕様のオンライン
ジャーナル製作でも日本最大級の実績を有しております。また、機関リポジトリをはじめ、さまざ
まな公的なサーバーへのアップロードについても、あらゆる対応をいたします。
当社は日本でもっともオンラインジャーナルに精通した会社を標榜しており、どうぞご安心の上、
中西印刷にオンラインジャーナル化をお申し付けください。なお、海外出版社との対応についても
経験を積んでおりますので、なんなりとご相談ください。
オンラインジャーナルの種類と形態
◆オンラインジャーナルサイトの種類
オンラインジャーナルサイトにも発表形態によっても、さまざまな種類があります。
☆オリジナルデータベース
基本的には、ハイワイヤーのように、フルテキストのオリジナルデータベースをもち、それを目
次ページとともに、公開するかたちのものが狭義のオンラインジャーナルといえます。出版社系
のものが多く、Elsevier の Science Direct、 Splinger の Link などが、代表的です。日本では政府系の
J-Stage があります。
☆オンラインジャーナルポータルサイト
自分のところでは、フルテキストのデータベースをもたず、検索の機能だけをもっているものも
多くあります。これは検索機能だけを提供し、検索した後は、元になる論文にリンクします。もっ
とも著名なのが、PubMed です。これら検索サイトは無条件にリンクするのではなく、一定の基準
をもったものだけにリンクすることで、それぞれに権威を持つようになってきています。
☆純粋インターネットジャーナル
オンラインジャーナルは元来、元になる紙の本があり、それをオンラインでも公開するというか
たちが基本でした。ところが現在では純粋にインターネット上だけで成立し、紙の本を発行しない
というものが増えてきています。ただし、プレプリントサーバー(ロスアラモスのものが有名。投
稿すればそのまま載る)と違って、査読を行うことで、一定の水準を保とうとしています。著名な
ものに BioMed Central があります。
☆バーチャルジャーナル
複数のオンラインジャーナルからあるテーマの論文を集め、あたかもそのテーマに沿ったひとつ
の雑誌のように見せるものです。たとえば電子顕微鏡を使った生物学の論文も、生物学の観点から
見るのと、電子顕微鏡の利用法という観点から見るのではまったく違います。たとえば、電子顕微
鏡の使用法なら使用法でいろんな生物学関係の雑誌から横断的にその関係の論文をあつめ、別のオ
ンラインジャーナルとして編集しなおすのです。もちろんオリジナルの発表は発表としてそのまま
残ります。
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◆オンラインジャーナルの形態
ひとくちに全文のインターネット掲載といっても、いろいろな形態がありえます。最近の進んだ
オンラインジャーナルでは PDF と HTML を併用する例が多いようです。
☆画像公開
もっとも古くから実行されていたものに、本 1 冊まるごとを 1 ページづつスキャナで読み取り、
全ページを画像の形で保存するという方法があります。この方法は本ができてさえいれば、すぐに
実行できますが、単語検索ができなかったり、画像のため伝送に時間がかかったりして、他の方法
が普及した今ではあまり意味がなくなっています。現在では過去論文のアーカイブに使用されるの
みで、それも PDF ファイル形式で提供されるようになってきています。長くこの方式を採用して
きた国立情報学研究所の NII-ELS も 2016 年に新規掲載を中止します。
☆PDF
印刷のための出力データを電子的に保存する PDF(Portable Document Format)を使用する方法で
す。これは上述のように誌面をスキャナで読み取る方法もありますが、印刷の仕上がり状態そのま
まを電子的に変換してファイルに保存公開することが一般的です。読者は、Acrobat reader などを
使ってそれを読むことになります。誌面そのままを電子データにしますので、製作費も安く、オン
ラインジャーナルというとまずこの段階からスタートされる例が多いようです。ただ、この技法も
紙の本の誌面体裁そのままが画面に表示されますので、プリントアウトはともかく画面上では読み
やすくありませんし、検索などもそれほど自由にはできません。あくまでも紙の本の発行を前提と
した技法で、紙の雑誌を発行しない純粋インターネットジャーナルではあまり意味がありません。
☆HTML
最もオンラインジャーナルとして有効なのは、インターネット専用言語である HTML で書かれ、
誌面も画面用に特化した HTML 技法です。紙の誌面とはまったく独立して、画面で読みやすいよ
うに誌面を構成できますし、検索やリンクも自由で、特に引用文献リンクは便利なことこの上なく、
オンラインジャーナルの究極形態はこのかたちといえます。反面、作成に非常な手間がかかり、費
用もかさみます。紙の誌面と HTML 版をいかに効率よく、ひとつのソースから作り出すかという
技量が問われます。現在では、HTML の親規格である SGML やその拡張版である XML を使って、
紙版、電子版を同時に効率よく組版する汎用組版などがこころみられています。中西印刷は独自技
法で XML 汎用組版を行っています。
日本でのオンラインジャーナル
日本でも、特に英文誌は海外への発信という点からオンラインジャーナル化が焦眉の急となって
います。Oxford University Press,Elsevier などの海外出版社は、各学会の雑誌を自社の販売ルート
にのせることなどを条件に自社開発のオンラインジャーナルシステムへの掲載を提案しています。
海外のオンラインジャーナルは非常に進んだ物が多く魅力的なのですが、費用的にも負担が大きく、
海外出版社との実際の提携にまでいたれるのは海外販売に実績のある大きな学会に限られるようで
す。また、日本からの情報発信を海外の会社に任せてしまったのでは日本からの情報発信能力が失
われてしまうのではという危惧もあり、日本からの情報発信が見直されています。
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◆J-STAGE
日本では学術雑誌を商業出版社が担うということがほとんどありませんので、公的な機関がそ
のかわりをするようになっています。旧科学技術庁系の外郭団体である、科学技術振興機構の
J-STAGE、旧文部省系の国立情報学研究所が作成する CiNii が代表的です。この中で J-STAGE は日
本から発信するオンラインジャーナルの必要性に鑑み 1998 年からたちあがり、IT 化の追い風をう
けて予算が確実につき、年々、システムの拡充がはかられています。現在 1676 誌(2014 年 3 月)
を擁し、日本最大のオンラインジャーナル組織となっています。国際的な文献リンク組織である
CrossRef との接続やアクセス統計の国際基準である COUNT にも対応するなど、国際的にも注目さ
れる存在となっています。
ただ、今までは PDF 中心で世界的に主流の HTML 形式での収録がすくなく、海外のオンライン
ジャーナルには見劣りした面もいなめませんでした。このことが日本の英文誌の海外流出の原因
ともなっているという批判もあり、2012 年 4 月から本格的な HTML 化による国際標準のものとし
て J-STAGE3 がはじまりました。J-STAGE3 では和文オンラインジャーナルも可能となっています。
世界初の和文オンラインジャーナルは中西印刷で作成しました。
◆民間のオンラインジャーナル
民間のオンラインジャーナルも活発な動きを見せています。特に医学系に顕著で、明治以来、要
約雑誌として著名だった「医学中央雑誌」は冊子体の発刊をやめ「医中誌 WEB」として再スター
トを切っています。その他民間ベンチャーであるメテオインターゲートの「メディカルオンライン」、
医学系出版社医学書院の「メディカルファインダー」、学術情報サービスのサンメディアが提供す
る「ビアオンライン」など続々と名乗りをあげています。
オープンアクセスとは
オンラインジャーナルが進展するとともに、雑誌価格の問題がおこってきました。オンライン
ジャーナルは出版社が大学図書館などに有料で使用権を提供する形をとります。この場合オンライ
ンですから、紙の本のように選択的にこの雑誌、あの雑誌と読めるようにするのではなく、いくつ
かの雑誌をパッケージにして売ることになります。大学としても特定の雑誌が読めなくなるのでは
研究活動にさしさわりがでますから、この雑誌を含んだパッケージを必要のない雑誌と一緒に買わ
ざるをえません。出版社にしても、紙の雑誌がなくなりつつある現状ではオンラインジャーナルで
収益をあげようとしますからこのパッケージの価格は高くなりがちです。
これに対して、オープンアクセスという運動がおこってきました。研究費をだして研究させたの
にその結果をみようとすると商業出版社から有料で学術雑誌やそのオンライン版を購入しなければ
ならないのはおかしいという考え方が基本です。NIH プロポーザルが有名で 2005 年に「NIH から
ファンドを受けた研究は、半年以内に無料で PubMedCentral に載せなければならないことにする」
と提案しました。この提案は最終的に「1 年以内の掲載」ということで 2008 年度から実施されます。
これ以外にも出版社の手をへないで無料でオンラインジャーナルを提供しようと言うオープンアク
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セスを標榜する雑誌が続出しています。BioMed Central はその代表です。
オープンアクセスとすることで、読者はお金を必要とせず、自由に論文を閲覧する事ができるよ
うになりますから、ひいては引用率の上昇などがみこめます。実際にオープンにする方が引用率が
あがるといった研究も出始めています。
ただし、いかにオンラインで安くなったとはいえ制作費は当然かかるわけで、オープンアクセス
モデルでは論文発表者が制作費を負担することになります。つまり学術論文の制作費の担い手が、
読者から筆者にかわったといえるでしょう。しかし、この筆者負担モデルではお金のだせる人しか
発表できないという問題が生じてしまいます。助成金を活用したり、途上国からの発表は掲載費を
安くするなどの対策もとられていますが、根本的な解決になりません。
機関リポジトリとは
機関リポジトリはオープンアクセスの受け皿として、発信を研究者の所属機関が行うというもの
です。つまり、研究費をだした機関がその研究成果の発表までも面倒をみるというものです。前述
の PubMed Central は機関リポジトリの代表でしょう。研究費をだす以上、その研究成果は、その
機関の設置するサーバーから無料で読めるようにするというわけです。多くは、大学図書館がその
大学の研究者の成果を無料で提供するかたちになっています。
一見すると、大学は図書館の購読費の支出と研究成果の発表と二重の負担を強いられるように見
えますが、すべての大学が機関リポジトリをもつとしたらどうでしょう。すべての研究成果が、機
関リポジトリで発表されるわけです。すると、購読費がまったくかからなくなることにおきづきに
なると思います。研究者はたいていどこかの機関に所属しているわけですから、その成果がすべて
機関リポジトリで無料で公開され、それをお互いに参照しあうわけですから、購読費はいらなくな
るのです。つまりは、購読にお金をだすのか、製作にお金をだすのかの違いであり、うまく機能す
れば、全体としての学術情報流通コストは低くなるとも言われます。
実際には、編集や販売など出版社のノウハウは大きく、ことはそう単純ではありませんが、大学
図書館では、インターネット時代の図書館の役割として機関リボジトリ活動を非常に重視していま
す。現在、国立大学図書館には紀要を中心とした機関リボジトリが設けられつつあります。今後は、
商業出版社から発行された論文も掲載されるなどして充実が図られると思います。
中西印刷は各機関の機関リポジトリ作成のお手伝いもいたします。
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