F lora! - 群馬県立近代美術館

no・
1
6
4
2016
フ ロ ー ラ
Flora!
−ルドゥーテの『美花選』と植物図譜の世界−
2 0 16 年
4 月 29 日[金・祝]- 6 月 2 6 日[日]
会 場 : 展示室 1
開館時間:午前 9 時 30 分~午後 5 時(入館は 4 時 30 分まで)
休館日 : 月曜日(5 月 2 日は開館)
観覧料 : 一般 820(650)円、大学・高校生 410(320)円
花の饗宴響
*( )内 は20名以上の団体割引料金
*中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者 1 名は無料。
ーロッパの植物図譜は、ギリシア時代、薬草の効能などを伝える
ヨ ためにその姿を描くことに始まりました。17世紀頃になって、有
用な植物ばかりでなく、花の美しさが関心を呼ぶようになると、裕福
な人々は競って他国からも貴重な花を入手、栽培し、画家たちにその
絵を描かせるようになりました。こうして豪華で宝石のような花の図
譜が生まれることとなったのです。
その歴史の中で、ピエール = ジョゼフ・ルドゥーテ(1759 -1840)は
最も人気のある植物画家の一人です。描いた花々の優美さから「花の
ラファエロ」と称えられたこの画家は、主にパリで活躍し、王妃マ
リー・アントワネット付きの宮廷画家となり、革命後には、ナポレオ
1
ン妃ジョゼフィーヌがマルメゾン宮に蒐集したバラを描く仕事に従
事しました。
ルドゥーテの『美花選』は、様々な種類の花や果実の絵144点をおさ
めた銅版による図譜です。この展覧会では『美花選』全点を一堂に公
開し、あわせて17世紀から現代にいたるヨーロッパの優れた植物図譜
の数々をご紹介します。ぜひ、この展覧会で、精緻な魅力にあふれる
ボタニカル・アートの世界を存分にお楽しみください。
■記念講演会「優美なる花々 ー ルドゥーテ『美花選』を中心に」
2
講師:宮澤政男(Bunkamura ザ・ミュージアム上席学芸員)
5 月 29 日
(日)14:00 ~ 15:30 2 階講堂 [聴講無料・申込不要]
■学芸員による作品解説会 5 月 11 日(水)、6 月 11 日(土)14:00 ~ 15:00 [要観覧料・申込不要]
■ワークショップ「ルドゥーテのカーネーションをつくろう」(展覧会をご覧になった方限定)
5 月 7 日(土)
、6 月 5 日(日)各日 10:00 ~ 12:00 / 14:00 ~ 16:00 対象:小学校 3 年生以上 会場:エントランスホール [参加費無料・申込不要]
※ 一度に参加できる人数が限られているため、お待ちいただく場合があります。
1《カーネーション》
2《セイヨウナシ》
3《プリムラ・オーリキュラ》
全てピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ
『美花選』
(1827-33年刊)より コノサーズ・コレクション東京蔵
3
4/1
館 長
コラム
「山梨県立美術館に就職のこと」 群馬県立近代美術館館長 井出洋一郎
私が初めて学芸員として勤めたのが甲府市の山梨県立美術館、通称ミレー
の美術館である。1977 年の春、大学院も6 年目のオーバードクターとなり、
そろそろ就職しないと周りが許さない事態となって、担当教授の澤柳大五郎
先生に相談すると、「君はアカデミカーではないから美術館がいいよ」とのご
託宣。これには内心不満であったが、勧められた通り、当時山梨県立美術館
準備室の顧問として開館用の学芸員を探されていた高階秀爾東大教授の研究
室を訪れた。つまり面接試験に送り込まれたわけである。そこで専門のこと
をいろいろ聞かれたはずだがほとんど記憶にない。不思議にもパスしたらし
く、9 月に山梨県庁文化課から連絡が来て準備室に挨拶に来いという。甲府
に出かける朝、朝刊を見て吃驚した。なんとサザビーズのオークションで落
札されたミレーの代表作「種をまく人」ほかを山梨県が購入し、翌年開館の県
山梨日日新聞(1978年)開館前のミレー搬入記事
写真右下のパンチパーマが筆者
立美術館の目玉作品にする、という記事が大々的に載っている。県庁がこの
日を私に指定したのも記者発表を待ってのことかと気づき、これは大変なこ
とになったと車で駆けつけた。高階先生はミレーのミの字も仰らなかったの
である。
当日の山梨県庁文化課の美術館準備室は、地元はもちろん東京からのマス
コミ取材と電話攻勢でてんやわんや、新入りの挨拶など誰もまともに請け
合ってくれない。ミレーの購入作品資料をもらい、
読んでみると「種をまく人」
が 1 億 1 千 7 百万円、
「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」が 7 千 5 百万円とある。
都道府県が億という絵画を購入するのはこれが初めて、私は歴史的な一日に
立ち会ったと実感し、しばし呆然としていたのを思い出す。以後、第一号の
「ミレー番学芸員」としての苦しくも楽しい生活は次稿をお楽しみに。
平成 28 年度
こどもミュージアム・スクール 参加者募集
「こどもミュージアム・スクール」とは、美術館で定期的に体験活動を行う教育プロ
グラムです。現在活躍中のアーティストや美術館スタッフを講師とし、
毎回さまざ
まなテーマを設け、
作品制作や鑑賞活動を行います。美術作品を間近で感じながら
行われる充実したワークショップは、学校や家庭では体験できない有意義な時間
となるでしょう。募集内容は下記のとおりです。ご応募お待ちしております。
■日 程 [全 5回開催]
5月28日
(土)
、6月25日
(土)
、7月23日
(土)
、
8月20日
(土)
、10月22日
(土)
■時 間 午前10時 ~午後 4時
■会 場 群馬県立近代美術館
平成 27年度 第3回「みんなでリレー!
「ドロー
イング ・アニメーション」
」
(講師:小瀬村真美)
■講 師 外部講師や当館職員
■参 加 費 2,000円
(材料費、通信費等)全 5回分
■対 象 小学校 4年生~中学校3年生
(5回すべてに参加できる方)
■定 員 20名(応募者多数の場合は抽選)
■申込期間 4月5日
[火]~ 5月8日
[日]必着
■申込方法 ①住所 ②氏名
(ふりがな)③性別 ④学校名 ⑤学年 ⑥ 電話番号 を記入し、ハガキ、ファックスまたは E-mailで、下記までお申
込みください。
■申込み・お問い合わせ先
群馬県立近代美術館 こどもミュージアム・ス クール係
Tel.027-346-5560 Fax.027-346-4064 E-Mail:event@mmag.pref.gunma.jp
〒370-1293 高崎市綿貫町 992-1
平成27年度第4回「音を・・・えがく」
(講師:水村綾子)
佐藤聖子
恋人たちの読書 - ルノワールの《読書するふたり》と読むことのエロス
描かれた読書
読書をする人を表わした作例は、美術の歴史、特に絵画の歴史を通じて多くを認め
ることができる。中世には宗教画のなかで聖人たちが書物を読む姿が描かれ、肖像
画にも読書する姿が描かれることがあった。18 世紀以降、教養としての読書が興隆
を見せると女性や子供が本を読む姿が描かれるようになる。読書する人の姿は、大
抵の場合、読むことに没頭し、内省的な静けさをまとっている(図1)。読書が描か
れる理由について、小説家パスカル・キニャールはこう述べる。「読書する人の静寂
とそれを描く絵画の静寂。この二つが合わさることで不思議な平穏が生み出され、
図1
誰かが静かに読む姿を見ることが、何か魅惑的なことのように思われるのだ」註。
恋人たちの読書
しかし、男女の読書の場面は内省性や静けさとは別の文脈にある。本来ひとりで没
頭する読書の行為を男女で分かち合うことで思いがけない親密さが生まれることを、
(1307- 20 年頃)のなかに
普遍的な物語にしたのはダンテであった。ダンテは『神曲』
夫の弟と恋に落ちるフランチェスカ・ダ・リミニの悲恋物語を挿入した。アーサー
王伝説のなかの王妃グィネヴィアと騎士ランスロットが禁断の恋に落ちる場面を読
みながら、義弟パオロはフランチェスカに接吻する。この場面は 19 世紀になって
芸術の主題として多く取り上げられた。アングルやドラクロワ(図2)をはじめとす
る画家たちが絵画化しており、この時期、男女の読書の場面にひとつの常套句(ク
リシェ)が作り出されたともいえるだろう。劇作家ダヌンツィオや作曲家チャイコ
図2
フスキーがそれぞれ戯曲化、楽曲化し、劇場でも人気を博している。さらにフローベー
(1857年)にも主人公エンマ・ボヴァリーが次第に惹か
ルの小説『ボヴァリー夫人』
れていく青年レオンと読書をする場面がある。「エンマは席を替え、テーブルにもた
れて『画報』のページをめくった。彼女は自分の流行雑誌を持ってきているのだった。
レオンは彼女のそばに坐った。ふたりはいっしょに絵を眺め、ページの下までくる
と待ち合わせた」(伊吹武彦訳、岩波文庫、1960年)。
ルノワール《読書するふたり》
(図3)で男女
ルノワールの作品に読書の場面は多く登場するが、《読書するふたり》
の読書を描いたとき、彼はそこに生じる官能性を含んだ緊張感を、軽やかにだが意
識的に表現したように思われる。画中では、椅子に座り本を読んでいる女性の隣に
寄り添う男性が、片手を彼女が持つ本に添え、もう片方の腕を親しげに彼女の背中
図3
に回して、上腕に触れている。少しはにかんだような表情を浮かべた女性はページ
に目を落としながらも男性の存在を多分に意識しているようにみえる。実際は当時
ルノワールが複数の作品に起用していたモデル、マルゴと自身の弟エドモンを描い
図 1 ジャン= オノレ・フラゴナー
ル
《読書する娘》1770年 ナショ
ナル・ギャラリー ワシントン
図 2 ウジェーヌ・ドラクロワ
《パ
オロとフランチェスカ》1825年
個人蔵
図 3 ピエール =オーギュスト・ル
ノワール
《読書するふたり》1877
年 当館蔵
註:Pascal Quignard, “Le voyage
au paradis terrestre”, Robert
Bared, Le livre dans la peinture,
Citadelles&Mazenod, 2015, p.7(訳
文は筆者による)
ているのだが、この光景は上記の『ボヴァリー夫人』の描写を想起させる。この作品
の制作時期、ルノワールは妻となるアリーヌ・シャリゴに出会う前の 36歳。享楽の
街モンマルトルに住み、絵のモデルとしばしば恋に落ちた。ここに描かれたマルゴ
とも恋仲だったといわれる。男性と一緒にいるときの女性の媚態を表現したかった
のだろうか、彼は親しい男性の友人たちと女性モデルをカップルに見立てて描くこ
とをよくした。この作品でも明らかに画家の関心はマルゴの輝くような白い肌と、
男性との親密な接触でかすかに上気した頬の色を描写することにある。《ムーラン・
(1876 年)をはじめとする作品で、18 世紀ロココ美術が好んだ
ド・ラ・ギャレット》
宮廷的な恋愛遊戯(ギャラントリ)
を19 世紀の市民生活のなかに置き換えたルノワー
ルは、ここではキニャールのいう読書する人の静寂と平穏のなかに恋のときめきの
空気感を密やかにすべりこませている。
展示室 2 ●日本と西洋の近代美術Ⅰ 4/16–6/26
展示室 5
● 湯浅一郎 4/16–6/26
群馬県安中市に生まれた湯浅一郎
当館の所蔵作品の中か
ら、印象派から20世紀初
頭の西洋近代絵画、群馬
ゆかりの作家や明治か
ら昭和を代表する作家
たちによる日本近代洋
画ならびに彫刻を展示
します。
(1868 -1931)は、明治から大正・昭和
に活躍した洋画家です。山本芳翠に洋画
を学び、黒田清輝による洋画家団体の白
馬会に参加。当館の人気の所蔵作品であ
る
《画室》
《徒然》
《モデル午睡》などの
大作を制作します。その後、1905年か
ら約4年間、スペインやフランスなどへ
私費留学し、西洋絵画の研究を重ねまし
ピエール=オーギュスト・
ルノワール《読書するふたり》
た。帰国後は、二科会を舞台に作品を発
展示室 3 表し続けます。これまで、湯浅の作品は、
展示室2のコレクション展示でご紹介
●現代の美術Ⅰ 4/16–6/26
してきましたが、今回は展示室5を会場
当館所蔵のコレクションの中から、多彩な表現を
生み出した20世紀後半以降の美術を紹介します。
展示室 4 ●ミロの版画 4/16–5/22
スペイン、カタルーニャ地方に生まれたジョア
ン ・ミロ(1893 -1983)の色鮮やかな形態の組み
合わせによる不可思議な版画の世界をご紹介し
ます。
●アルプとニコルソン 5/24–6/26
ベ ン・ニ コ ル ソ ン は
ジャン・アルプの芸術
に大きな影響を受け、
抽象に向かっていま
す。今回は、ふたりの
ほぼ同時期に制作さ
れた版画集をご紹介
します。
ジャン・アルプ
『再びたがをはめられた
太陽』
より
「スイート
(13)
」
とし、滞欧時代の作品も加え湯浅一郎の
世界を広くご紹介します。
湯浅一郎
《巫女》
展示室 7(山種記念館)
●日本画にみる植物 4/16–5/22
こほうあん
●戸方庵 井上コレクション 春編 5/24–6/26
1期は
「Flora! 花の饗宴」展と関連した企画として、コレクションから植物が描かれ
た作品を、2期は、当館の古美術のコレクション
「戸方庵井上コレクション」より
季節にちなんだ作品を中心に展示します。
小室翠雲
《三枝禮》
長谷川宗宅
《柳橋水車図屏風》
7日
(土)
「Flora! 花の饗宴」
ワークショップ 10:00~12:00/14:00 ~16:00
7日
(土)
ボランティアによる茶席 11:00 ~
春から初夏へと緑滴る美しい季節。4月から6月は、
「Flora! 花の饗宴」展の関連イベントを開催します。
ほかに、学芸員のコレクション展示解説「サンデー・
ギャラリートーク」で作品への 理解を深めてみては
いかがでしょうか。親子やこどもたちを対象とした
「こどもアートツアー」は、ゲームやクイズなどで楽
8日
(日)
サンデー・ギャラリートーク 14:00~14:40
11日
(水)
「Flora! 花の饗宴」作品解説会 14:00 ~15:00
12日
(木)
ファミリータイム 9:30~12:00
21日
(土)
こどもアートツアー 14:00~15:00
26日
(木)
ファミリータイム 9:30~12:00
28日
(土)
こどもミュージアム・スクール
4
月
April
2日
(土)
ボランティアによる茶席 11:00~
16日
(土)
こどもアートツアー 14:00~15:00
28日
(木)
ファミリータイム 9:30~12:00 月
May
29日
(日)
「Flora! 花の饗宴」記念講演会 14:00~15:30
しみながら美術に親しむイベントです。どうぞお気
軽にご参加ください。
5
4日
(土)
ボランティアによる茶席 11:00~
6
5日
(日)
「Flora! 花の饗宴」
ワークショップ 10:00 ~12:00/14:00 ~16:00
月
June
9日
(木)
ファミリータイム 9:30~12:00
11日
(土)
「Flora! 花の饗宴」
作品解説会 14:00~15:00
12日
(日)
サンデー・ギャラリートーク 14:00~14:40
18日
(土)
こどもアートツアー 14:00~15:00
23日
(木)
ファミリータイム 9:30 ~12:00
25日
(土)
こどもミュージアム・スクール
26
平成 26年度に新たに収蔵した作品をご紹介します。当年度は、購入作品が 3点、寄贈作品が17点ありました。ご厚意によ
り貴重な作品を寄贈して下さいました作者、ご遺族、ご所蔵者の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
新収蔵作品は、すでにコレクション展示でご覧いただいたものもありますが、今後も順次ご紹介していく予定です。また、
作家や作品の調査、研究などにおいても活用していきたいと思います。
作者名 技法・材質 赤富士
昭和時代
絹本着色・額装
48.4×59.4
森永正氏寄贈(pl.1)
礒部 草丘
礒部 草丘
礒部 草丘
礒部 草丘
[油彩画]島﨑 庸夫
島﨑 庸夫
司修
司修
司修
[立体] 和南城孝志
和南城孝志
和南城孝志
和南城孝志
和南城孝志
榎本浩子
[工芸] ブルーノ・タウト
ブルーノ・タウト
佐々木苑子
佐々木苑子
富士
昭和時代
紙本着色・額装
38.0×47.8
森永正氏寄贈
田園風景
昭和時代
絹本着色・額装
48.0×50.8
森永正氏寄贈
冬ざれ
昭和時代
紙本着色・額装
48.8×58.5
森永正氏寄贈
海と船
昭和時代
紙本着色・額装
47.2×57.3
森永正氏寄贈
公園の休日
1973
油彩・カンヴァス
130.3×162.0
作者寄贈
母子燔祭
1993
油彩・カンヴァス
162.0×130.3
作者寄贈(pl.2)
萩原朔太郎「帰郷」より〈火焔は平野を明るくせり。〉
1993
油彩 ・板
14.2×14.2
作者寄贈
萩原朔太郎「虚無の鴉」より〈我れはもと虚無の鴉〉
1993
油彩 ・板
25.0×20.0
作者寄贈(pl.3)
萩原朔太郎「氷島」より
1993
油彩 ・板
7.8×4.8
作者寄贈
足
1971
木
56.5×42.0×25.0
和南城洋子氏寄贈
Archetypus 円のイメージ
1981
ベルギー大理石
14.0×41.0×41.0
和南城洋子氏寄贈
1986
スペイン・マルクィーナ黒大理石、
32.0×113.0×27.0
鉄、セーム皮
1990
ブロンズ
10.0×35.0×35.0
和南城洋子氏寄贈(pl.4)
天の軸
1998
イタリア・カラーラ白大理石
63.0×15.0×11.0
和南城洋子氏寄贈
話したくないこと 英語の勉強 布団を干す
2015
ミクストメディア、映像(10分) 300.0×300.0×300.0 丸ボタン(赤)
(5点)
1935
木、漆
各 0.8×2.9(径)
境野満氏寄贈(pl.6)
丸ボタン(黒)
(5点)
1935
木、漆
各 0.8×2.9(径)
境野満氏寄贈
水畔
2000
紬織、絵絣 ・絹(着物)
177.5 × 132.0 購入(pl.7)
青葉闇
2011
紬織、絵絣 ・絹(着物)
180.0 × 134.0
購入
26
1
作品名 寸法(㎝) 制作年 [日本画]礒部 草丘
元型 II
Archetypus 空間への旅
2
3
4
5
備考(図版 No)
和南城洋子氏寄贈
購入
(群馬青年ビエンナ
ーレ 2015大賞作品)
(pl.5)
6
7
現在、友の会では平成28年度の会員を募集中です。
友の会は、会費や館内ショップの利益を活用し、近代美術館を支援している団体です。 会員には、県内 5つの美術館の観覧料が減免になるなど、様々な特典があります。是非この機会にご入会ください。
■会員の種類と年会費[有効期間は 4/1~翌年 3/31]
一般会員 2,000円/学生会員 1,000円
家族会員[同居 2人分]3,000円 [3人以上は 1人につき 1,000円追加]
個人賛助会員[一口]10,000円/法人賛助会員[一口]20,000円
■観覧料が減免となる美術館
群馬県立近代美術館・群馬県立館林美術館[両館あわせて年間2 回無料 ほか半額]
高崎市美術館・高崎市タワー美術館・高崎市山田かまち美術館[団体割引相当額]
■主な事業
*展覧会・教育普及事業・広報への支援・協力のほか、コンサートや講演会等を開催。
*会報の発行、ミュージアム・ツアーなど、会員のための事業を実施。
ミュージアム・ショップが美しい花々でいっぱいに!
4/29(金・祝)
より開催の企画展
「Flora (フローラ )!花の饗宴」の会期中、
「花のラファエロ」と称えられた
植物画家ルドゥーテのバラをはじめとする優美な花々をあしらったグッズを販売いたします。
[お問い合わせ先] 群馬県立近代美術館 友の会 Tel.027-346-5560(館代表)/ Fax.027-346-4064
平成27年度ミュージアム・コンサートの様子
徳江庸行
こ
の版画は群馬県邑楽町出身の洋画家、
中村節也(1905 -1991)の
ご遺族から寄贈していただいた創作版画の雑誌『新版画』第12号
(1934年 4月10日発行)に貼り込まれていた。この『新版 画』は、ど
のような経緯で中村の蔵書となったのか。1934年、中村は上野の日
本美術協会で開かれた第6 回新美術家協会展(6/3 - 6/12)に出品し
ており、同じく上野の松坂屋で開かれた新版画集団第四回展(6/16/6)で藤牧義夫(1911-1935 ?)の代表作《赤陽》などとともに出品
された本作を見た可能性がある。
館林出身の藤牧は、
関東大震災から復興した1930年代の東京の近
代的な建築物、特に新しい鉄の橋や上野浅草界隈の町並みに引きつ
けられ、1932年から『新版画』を舞台に構築的な都市風景を描いた。
1933年後半頃からは三角刀による鋭い刻線で光と影の世界を表現
藤牧義夫 《つき》
1934年 木版(多色)、手彩色・紙 12.7×12.8cm
中村崇也氏寄贈
するようになる。本作は、およそ12.5㎝ 四方の小品ながら藤牧版画
の中で最も複雑で手が込んでいる。きらきらとした月の光そのもの
を表現するために、主版のほか茶色版を複数回利用して藤、青色の
色版を重ね、さらに黄とこげ茶色の手彩を施している。中心に鋭い
光の筋を置き、三角形や半円形などの抽象的な形態のみで構成され
た画面は、張り詰めた緊迫感に満ちている。暗闇に浮かぶ下弦の月。
その謎めいた光は、80年後の現在も鮮烈な輝きを放っている。
鴻池朋子展「根源的暴力」
2 0 16 年
7 月 9 日[土]- 8 月 28 日[日]
会場:展示室1
休館日:月曜日(7/18、8/15 は開館)、7/19(火)
観覧料:一般 610(480)円 、大高生 300(240)円 *( ) 内は 20 名以上の団体割引料金
*中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者 1 名は無料。
池朋子(こうのいけ・ともこ、1960年秋田市生まれ)
鴻 は様々なメディアを用いた壮大なインスタレーショ
ンによって森羅万象の物語を表現し、国内外で高い評価を
得ている作家です。2011年の東日本大震災後、変容する世
界と身体の関係性を敏感に感じとり、それまでの制作を停
止して山野を歩き、中心から周縁へと追いやられた物語を
集めるという美術の枠に収まらない活動を続けてきました。
もし仮に 世界が再び元に戻ったとしても
もはや 私は同じものではいられない
──鴻池朋子
「ゆっくりと停止」
、
『根源的暴力』
(羽鳥書店、2015年)より
鴻池は、人類学、民俗学、考古学など多方面から人間の
「つくる」行為を考察し、新たな表現のための力を蓄えてき
ました。その集大成となる本展は、人間がものをつくり生
きていくことは自然に背く行為であり根源的な暴力であ
る、という認識のもと、過去の作品とは一線を画す新作に
より構成されます。
鴻池朋子《皮緞帳》
(部分)2015年
撮影:中道淳(株式会社ナカサア
ンドパートナーズ)
ⒸTomoko Konoike
人はなぜつくるのか、というアートにとって根本的な
問いに正面から向き合い、これからの人間のあり方を共
に考える展覧会となります。