2008年10月1日 株式会社トキメックは に 社名変更いたしました。 〒144-8551 東京都大田区南蒲田2-16-46 TEL.03-3732-2111 FAX.03-3736-0261 http://www.tokyo-keiki.co.jp/ ト TOKIMEC REPORT 1999 SPRING ルネッサンスの起こりは、コロンブスの新大陸発見 ことであろう。しかし、それが従来の価値基準を覆す が引き金になったという説がある。当時は 地球は平 ようなインパクトある出来事だったかというと疑問が 面 が常識だったから、海の向こう側は文字通り世界 残る。その理由は、コロンブスの冒険が当時の既成概 の果てであった。だから、コロンブスが大西洋を横断 念に強烈な一撃を加える『価値場』を提示したのに対 して新大陸を発見したという事実に直面した時、人々 し、月世界探検はあくまでも時代の思考形式の延長線 は大いに狼狽した。しかし、最終的には彼の発見を否 上に位置した『イベント』に過ぎなかったからだ。 定しなかった。新時代の潮流に同化するため中世的世 今、日本経済は混迷を続けている。その解決を阻ん 界観を捨て去り、価値基準の変革と認識の拡大を図る でいる要因の一つに旧態化した思考形式があるのでは 道を選んだのである。それがルネッサンスを生み出す ないだろうか。それが新時代の潮流によってもたらさ 原動力となったのだという。 れる未知の経験にうまく対処できなくなっているのに スペースシャトルの現代に大航海時代の話でもない 違いない。変革、構造転換が叫ばれて久しいが、新た が、 新たなる価値の創造 を考える時、このエピソ なる価値を拓く鍵は過去からの延長線上にあるのでは ードをつい思い出してしまう。たとえば、今から30年 なく、全く違う位相に潜んでいるはずだ。だからこそ 前、アポロ11号によってアームストロング船長が人類 柔軟な発想力が強く求められる。 (N.T) 初の月面着陸に成功した。その光景をTV中継で目に した世界中の人々は、宇宙時代の到来に興奮を覚えた 【お詫びと訂正】 前号のTOKIMEC REPORT 1998 Vol.02におきまして下記の誤りがございました。ここにお詫びして訂正させて頂きます。 『HOT LINE NEWS』の項目 35ページ、2段4行目 誤:NKK物流(株)殿と船舶整備公団殿の共有船『翔陽丸』 正:新和内航海運(株)殿の『青松丸』 平成 11 年4月発行(通巻 94 号) 編集・発行/株式会社トキメック 営業統括室 広報グループ 〒 144-8551 東京都大田区南蒲田 2-16-46 編集人/今野二郎 編集協力/(株)パルナス 本誌に対するご意見、お問い合わせは広報グループまで。 TEL. 03-3730-7013 FAX. 03-3733-3690 corp-comm@tokimec.co.jp キ メ ッ ク レ ポ ー ト 特集 急伸展する 情報通信メディア Technical Report 01 マイクロ波技術 急伸展する 情報通信メディア 特 集 モバイル端末がスマート(小形・高機能)になってきている。パソコンを携帯するのは モバイルの中の、もはやバリエーションに過ぎなくなっていくようだ。 伴って用途も広がり明確性を持ってきた。大別すると、ビジネス利用(SFA等) 、 Interview ト キ メ ッ ク レ ポ ー ト エンターテイメント(放送受信やドライブ情報) 、社会インフラとの連動(ITS等)だ。 建機の自動化は、人間と機械の 利用コンテンツも、メール,Web,DB(インターネット、イントラネット) ,放送コンテンツへと 新たな協調が基盤となる 広がってきている。これらのバックボーンとなっているのが、ワイヤレスな高速な通信システム 衛星を介した移動体通信システムといった、いま急加速を始めたIT (Information Technology)だ。 PFI 新しい公共事業の形態が根付くには 今号では、これらのうち象徴的な事象を取り上げてみた。併せて、モバイル以外の 身近な通信ツールとして活用が始まった、非接触式ICカードについてもレポートする。 SCIENCE & TECHNOLOGY 人間の体やクセが、安全を守るカギである TOPICS 発展が期待される東アジア市場への取り組み ――中国・香港、台湾の場合 広がる地震観測ネットワーク HOT LINE 瓦礫の下に埋もれた生存者の救出に貢献 ――ライフディテクタ 推進工法のレベル管理を合理化――TL-200 神奈川営業所がオープン トキメックの船舶用メニューがさらに充実 ハイテクレール探傷車、JR九州殿に納入 システム用ディジタル超音波探傷器 ――SM-2000、SM-350 半導体内部を評価・観察する非破壊検査装置 ――IS-1000S、ISM-4080 モバイル 「ケータイ」はあらゆる シーンのターミナルになる 携帯電話とインターネ 携帯電話とインターネットのシームレスな融合 ●本特集全体の構成概要 く<HR>などの基本的な記述用記号は HTML言語と同じだ) 。画像や音声つ 接続されることで、初めてその仮想的な とり、さらには金融決済などが行えるこ きの凝ったホームページ記述向きの言語 「国内の携帯電話の加入者数がつい 「姿」を表す。システム自体がまるで生 とだ。これまでは、個人と個人というい である「Java」も利用できる可能性 に4千万台の大台を超えた」 。そんな発 き物のように「成長」し、活性化してい わば、点と点を個別に結ぶためのメディ も出てきた。これら言語仕様はホームペ 表が本年2月末に郵政省によってなされ くわけだ。 アだったわけであるが、ネットワークに ージ上にも一部公開されており、自由に 多機能スマートホンの登場 た。言うまでもなく移動体通信端末のな 一方、携帯電話はどうか。これまで アクセスできることにより、一対多とい 使える方向にあり、ユーザを交えたネッ かでは群を抜いた普及度である。単純に は、個人から個人へ「言葉での会話」、 う形で、情報の多様化が進むはずだ。後 トワーク網の構築という点から興味深 ならして平均するならば、日本人のおよ すなわち音声情報をフローさせる単体的 者の例として、今年2月にNTTDo い。 そ3人に1人が「ケータイ」を所有して な利用に限られていたといえよう。 CoMoが発表した「iモード」方式が いる計算である。今年は、電話番号の不 だが、ノートパソコンと接続して、電 挙げられる。携帯電話で直接、インター ビジネスシーンに変化の兆し 足の危惧から、10 桁から11 桁に移行し 子メールを送ったり、ホームページを見 ネットで見られるような豊富なコンテン これから携帯電話が、既存の巨大なイ て初めての年にあたるが、その伸び率は、 たりという、「話す」以外の利用方法、 ツを利用できる新商品だ。通常の会話の ンターネットのもつ情報資産との親和性 まさに衰えることを知らないようだ。 ストックされた情報に積極的にアクセス ほか、速度9600bpsでパケット通信が行 が高いメディアになることは十分に予想 生態系などの「システム」においては、 する方法が、にわかに脚光を浴びている。 える。これを使うと、対応携帯電話のデ される。このことは当然、まさにビジネ ある生物種の「数」が増えることによっ 携帯電話だけでなく、高速データ通信を ィスプレイにテキスト主体の情報をダイ ススタイルの変化も喚起することにな て、バランスが変化し、システム全体に 得意とするPHSのほうでも、MMAC レクトに表示することが可能だ。電子メ る。たとえば、社外にいながら、リアル 対して、時に無視できないほどの影響を と呼ばれる次世代の通信規格が提案さ ールの送受信や航空券の予約などが一回 タイムに社内外に蓄積されるデータを引 フィードバックすることがあると言われ れ、期待がかかる。 約 20 〜 30 円の通信料で可能で、さらに っ張ってくることができるならば、社員 ている。この考え方は情報通信における もはや携帯電話を筆頭に移動体通信 は振り替え、振り込みといったモバイル の機動性が増し、ビジネスの活動範囲が 「システム」や「ネットワーク」におい 端末も情報のフローのためだけのツール バンキングさえも、携帯電話一台で対応 広まるからだ。 ではなくなりそうだ。コンピュータにア できてしまう。 ても当てはまりそうである。 早速、社内のサーバにアクセスして、 たとえば、飛躍的に普及したパソコン クセスできるようになれば、サーバと端 また、セルラー通信やIDOが参入し、 を例にとってみよう。それ単体では閉じ 末間のインタラクティブな通信によっ NTTDoCoMoも対応サービスを予 用性の高いシステムが注目されている。 た系である個々のコンピュータも、 「イ て、情報が時間を追う毎にストックされ 定している「WAP」と呼ばれる方式も 米プーマテクノロジー社が開発したソフ ンターネット」というオープンなネット ていく。そこにはビジネスチャンスが眠 本格的に運用が開始される。モトローラ ト「Intellisync Anywhere」は、iモー ワークに加わることによって、単体では っているかも知れないし、新たなカルチ やエリクソンなどの国際的な大企業が音 ドを載せた携帯電話を、社内にあるサー 蓄積できないような大量の情報資源を比 ャーが育つ土壌となるかも知れない。 頭をとり、世界中から情報アクセスがで バコンピュータと交信できるクライアン きるように展開していこうとの狙いがあ ト端末に変えてしまう。例えば、電子メ るようだ。 ールが届けば、速やかに携帯電話の画面 較的簡単に入手できるようになる。 携帯電話の展望は、現在ふたつある。 必要な営業情報を取り出すといった、汎 インターネットに参加する人が多くな ひとつには、上述した既存のインターネ れば、それだけ多角的な視点からみた情 ットを経由して、文字や画像情報に積極 「iモード」 「WAP」ともに情報表 報が集まって面白くなり、それがまた利 的にアクセスしていくこと。実際にはカ 示ソフトであるブラウザを搭載し、ホー 用者を増やす、という一種のフィードバ ーナビゲーションシステムなど、他メデ ムページ作成の代表的言語であるHTM 「端末」そのものに情報を蓄積すると ック、すなわち相乗的効果を生んでいる。 ィアとの融合が挙げられる。 Lに準拠する言語で記述されている(た 大きなメモリが必要だが、クライアント でチェックでき、さらに自ら必要なファ イルをサーバから探すこともできる。 個々の情報端末が単に並んでいてもネッ もうひとつには、携帯電話単体で独自 とえば、ブラウザ上で文章の「改行」を 端末として利用すれば、必要なデータは トワークは生まれてはこないが、相互に のネットワーク網を構築し、情報のやり 示す、<BR>や、「区切り線」を描 サーバの方に全部置いておけばよい。も 2 モバイル 移動体衛星通信 P2 P6 静止衛星 インター ネット ●衛星インターネット 他の 静止衛星 ●衛星携帯電話 現行 携帯電話 ● 移動体衛星放送 ● i モード ● WAP カーナビ ●MONET スマートホン ●SOMO(スモールオフィス・モバイルオフィス) ●SFA(セールス・フォース・オートメーション) I T S 非接触式データーキャリア (高度道路情報システム) P8 ●決済機能、工場管理 高速化・大容量の移動体通信へ モバイルをストレスなく使うため、足まわりとなる携帯電話の通信速度は極めて重要な要 素だ。現状、一般の携帯電話は9,600bps、PHS が32Kbps(今年64K のサービスを開始)で自 在なモバイルには不十分だが、これは通信規格そのもの限界と言える。そこで、ここ数年の内 に、新しい規格への移行が進められている。 世界的に見ると、移動体通信の規格は長い間、日・米・欧で三分する構図になっていた。国 連機関である国際電気通信連合(ITU)では世界中のどの場所とでも同じ端末で通信できるよう にするための「IMT-2000」を提案し、各国の無線伝送方式の調整を行っている。将来的には約 2Mbps の高速通信も計画している。そんな中、昨年、NTTDoCoMo などが提唱するW-CDMA 方式と欧州次世代移動体通信システムUMTS との間で仕様統一が合意された。このため、日本 でもIDO とセルラーが採用し既にサービスを開始している、米国のcdmaOne 方式との二極分化 時代へと突入した。一方、PHSのほうでも、次世代通信規格との呼び声高いマルチメディア移 動アクセス(MMAC)が登場。優れた通信規格がデファクトスタンダードを目指して活発な動 きを見せているところである。 3 はや、究極的にはこれひとつあればスケ ジュール管理も会計管理も端末で処理で きるようになるかも知れない。もはや、 ペンや手帳と同じく、いつでも持ち歩け るウェアラブルなビジネスツールであ Office)である。携帯電話に対する価値 観の変容を迫られることによって、 「会 社」を中心に据えた仕事の概念も変化し ていく。トップダウン方式の経営戦略で は見つけられなかったビジネスも、ネッ トワークを経由した外部ソースの中から る。 こうした企業活動を端的に表している 概念が、 SFA(Sales Force Automa* tion)や SOMO(Small Office Mobile * 生まれてくるかも知れない。こうした新 規の携帯電話ネットワーク市場に対する ビジネスがどれだけ生まれるかは、未知 数の状態であるが大きな期待が持てる。 *SFA 営業・販売活動を支援するための情報システム化。 本文でも触れているように、例えば、携帯端末から 社内のサーバにアクセスして顧客情報や在庫情報等 を即時に取り出せるようにし、営業・販売活動の効 率化・スピード化を図るもの。 *SOMO SOHO(Small Office Home Office)という言葉は一般 的だが、さらには、モバイルのツールやシステムが 強力になることによって、ホーム(家)だけでなく 時間や場所を選ばずどこでもがオフィスになり得る。 「携帯+カーナビ」が提案する車社会の未来図 ネットの持つ情報のポテンシャルをプラ て取りまとめられた。特に、大きな3つ く、渋滞が引き起こす社会的・経済的 スする、という考えは非常に魅力的だ。 の技術プラン(VICS,自動料金収 損失を減らし、地球環境に影響を及ぼす そのためにも、接続環境の整備を率先し 受システム,76 GHz帯小電力ミリ波 排ガスなども抑制するといった内容も盛 てやらなければならない。昨年、ソニー, レーダの開発)が明記された。 り込んでいるのが特徴だ。 日本アイ・ビー・エム,パイオニアとい これらが示唆する将来像は、運転に関 同時に、民間企業が提供する移動体 った主要な情報機器メーカーが中心とな わる操作をできるだけ簡略化,自動化し 通信端末とカーナビのような情報通信網 って、 「モバイルウェブ推進協議会」を ていこうというものであろう。こうした を駆使した、より豊かなドライブ環境も 設立した。組織は、携帯電話などのモバ 国の動きに呼応するように、カーナビシ 整備されつつあることは、これまで述べ イル情報端末を利用してインターネット ステムの操作をすべてボイスコントロー てきた通りである。 に接続できるカーナビシステムの規格や ル化しようとする技術も登場している。 仕様を統一化・標準化することを目指 ジェネラルマジック社ではドライバーの ていくことは非常に大切なことと言え す。 肉声を判別する音声認識システムを開発 る。それによって、車内はより創造的な まず、通信上のプロトコルや通信方式の した。運転中の目視をともなうパネル操 空間へ、車社会は単なる車両の流れか 規格決定などをどうするか。 「モバイル 作はともすれば危険でもあるが、音声入 ら、高度な神経ネットワークにも似た、 ウェブ推進協議会」では、すでに車載デ 力はそれを減ずる効果も期待できそうで より有機的なシステムへ、とダイナミッ ィスプレイを1/4 VGAサイズの画面仕 ある。 クな変貌を遂げる可能性を持っているか また、道路沿いに設置されたビーコン も、独ダイムラー・ベンツグループの 「明日の会議は午後3時から第2研 から渋滞情報等のデータを受け取るVI 「ITGS」サービスや本田技研工業の 修室で」 。自分宛に届いた電子メールを、 CSとの合わせ技で、これまでにないア 「インターナビシステム」などがカーナ コンピュータが自然発声に近い音声によ クティブな情報収集を行うことも考えら 様に標準化する案や、内蔵された地図デ ITSは交通事故・災害の減少とい って読み上げてくれる……。 れる。カーナビゲーション(以下カーナ これら付加価値情報システムを利用す ータとリンクさせるための、緯度、経度 った積年の課題を解消するだけではな デスクトップ、あるいはノートパソコ ビ)という本来の機能に、PDAのよう ると、万が一、事故でドライバーが意識 情報の共通した仕様についても検討中 ンでもなかなかこう便利にはいかないも な情報端末機能が加わった、と表現すれ を失っても、車載の携帯電話が自動的に だ。 のだが、実は、自動車の車内にはこうい ば適当であろうか。システムは、対応カ 対応窓口を呼び出し、救急医療隊を現 一方、前述の「iモード」対応の携 ったシーンが少しずつ浸透しつつある。 ーナビと携帯電話、およびこれらを接続 場にいち早く直行させる、といった画期 帯電話とカーナビシステムを連動させ 車内に居ながらにして、自分宛の電子メ するアダプターの3つだけのシンプルな 的な機能も実現できる。もはや、道先を て、iモード用コンテンツ,情報センタ ールを読めるうえ、さらに情報検索もで ものだ。 案内するこれまでのカーナビの概念を覆 ー,そのどちらへもアクセスできるよう すシステムであると言えそうだ。 にする試験も行われている。現在NTT 創造的な車内空間へ きる付加価値情報システムのおかげだ。 センターにアクセスするための通話料 ビ市場に登場している。 トヨタメディアステーションの提供する は必要だが、交通状況を運転しながらリ カーナビゲーションシステム「MONE アルタイムに知ることができるメリット 規格統一への動き T(モネ) 」もそのひとつである。 は大きい。たとえばパーキングの位置や 情報技術産業や自動車業界の胸中に 空き情報は、携帯電話の発信位置をセ は、ゆくゆくは車内からインターネット ITS構想の実現に向けて イメント情報といった多くのデータを文 ンター側が特定することができるため、 へのダイレクトなアクセスを図りたい、 こうした次世代カーナビシステムや移 字やイラスト、写真、そして、音声を媒 エリアを絞り込んだ高密度な情報を提供 という考えがあるようだ。そういった動 動体通信技術が、国家レベルでの導入が 介にしてドライバーに伝えることができ することができる。知らない土地でも慌 向を先取りした例が本田技研工業の「イ 進められる高度道路情報システム(IT る。しかし、それだけではない。ROM てることはない、というわけだ。 ンターナビシステム」である。予め登録 S)の構築を後押ししている。 このシステムは、ニュースやエンタテ いる段階だ。 日産自動車が開発した「コンパスリン しておいたドライブ関連の情報を車内か ITSの青写真がひと通りできあがっ ステムとの違いは、携帯電話を通じて情 ク」も、運転しながら情報を入手できる らインターネットを経由して引き出すこ たのが、平成8年の7月である。この時、 報センターにアクセスすることで、いつ システムだ。こちらは情報センターに24 とができるシステムだ。 でも最新のデータを引き出せることにあ 時間体制で待機するオペレーターを介し たしかに、現在、各社が用意する独自 レポートが関係5省庁(郵政省、警察 る。 て、情報提供を受ける方式だ。この他に の情報センターからの発信に、インター 庁、通産省、運輸省、建設省)によっ 「ITS推進に関する全体構想」という らだ。 ITS の概念図 DoCoMoなどが中心に実験を進めて 方式のパッケージソフトを使った従来シ これらの取り組みが調和して進められ ITS 1. ナビゲーションの高度化 VICS等によるナビゲーション システムの高度化 2. 自動料金収受システム 料金所のノンストップ化 3. 安全運転の支援 AHS等による危険警告・ 自動運転等 4. 交通管理の最適化 経路誘導、 信号制御等 5. 道路管理の効率化 特殊車両等の管理、 通行規制 状況の提供等 6. 公共交通の支援 公共交通の運行状況の提供等 7. 商用車の効率化 商用車の運行管理支援、 連続自動運転 8. 歩行者等の支援 歩行者等への経路・施設案内等 9. 緊急車両の運行支援 緊急時自動通報、 災害・事故 発生時の状況の伝達 ※「建設省道路局ITS ホームページ」掲載資料より作成 4 5 移動体衛星通信 様々な衛星を活用―― 21世紀の情報ステーション に申し込んだうえ、支払いもネットワー ク上にてオンラインで行える、というこ 移動体と衛星を結んだ通信技術 リコプターの送信アンテナを基地局アン ナを次々に、リレーしていけば、地球を 毎日のように目にするニュース番組の テナにまっすぐ向けるアンテナ自動指向 一周するような通信ネットワークをつく 鍵は「速報性」のひとことに収束される 装置や、ジャイロ技術などを核とする精 りあげることも可能になるのである。 といってもよい。だが、奥深い山岳地帯 密なアンテナ制御技術なを必要とする。 などで起こった事故や自然災害現場から 地上の移動体からはるか上空に浮かぶ ディジタル衛星放送をキャッチ 化」という状況はますます進むだろう。 の素早い報道は極めて難しいことだ。途 衛星までに電波を飛ばして中継させる、 現在、通信業と放送業の間の垣根が その流れの中に、放送会社が母体となっ 中に高い山があったため、電波が遮られ という発想も実現できる。 あいまいになっており、両者は今後統合 て、地上波と同じようにニュース番組や これは、ニュース報道を行う放送局の されていくだろう、と言われる。特に顕 娯楽放送などを流すという動きがある。 という場合も多い。付近に中継局のアン 中継車から、衛星まで、電波を飛ばす 著なのが、衛星放送で、今はBS(放 双方向データ通信ならではのリアルタイ テナでもあれば、それを経由することも SNG(Satellite News Gathering)システ 送衛星)とCS(通信衛星)とに ム「ファン投票」という企画も実現する できるが、そう都合良くその地点に立っ ムと呼ばれるものだ。湾岸戦争の報道に 構上 別々に分類されているものの、多 ているものではない。 も使われ、その映像のインパクトに世界 チャンネル化の動き、多角的な番組作り、 移動体衛星通信なら、当然ながら「伝 中が瞠目した。 というユーザのニーズに応える動きを反 送ケーブル」のような、移動体と衛星を 映し、双方を分け隔てることは極めて難 結ぶ物理的な線が不要だ。映像を映し出 しくなっていくにちがいない。 す媒体となるディスプレイの候補として て地上の放送基地局まで届けられない、 そこで考えられたのが、上空にヘリコ プターを停止させ中継アンテナとして活 用するやり方だ。 このように、 「移動体衛星通信」技術 はヘリコプター技術で育んだものを高度 とも可能になってくる。 これが移動体端末と衛星の間でデータ をディジタルでやりとりするとなると、 機 も、PDAやカーナビ(携帯電話で受信、 受信アンテナが、カメラなどの撮影器材 ヘリコプターへの電波打ち上げと比べて 星が打ち上げられる予定である。また、 ということもありえないとはいえない) を持ち込んで現場で取材を行う中継班か このシステムの場合、目標は赤道上約 地上波も来世紀初頭には、ディジタル方 などいろいろと挙げることができる。 ら送られる電波を受信。それを、おなじ 36,000kmの上空にある静止衛星である。 式に一本化されていく方向だ。そうなる くヘリコプターに搭載した送信アンテナ しかも、円周軌道上、約4度おきに各国 と、見る側の立場ではハード面でもディ に転送したのち、画像を編集する地上の の異なる静止衛星が「数珠つなぎ」にな ジタルに一本化される。ますます「通信」 トヨタ自動車や東芝が中心となって立 テレビ局まで伝送していく仕組みだ。 っているため、その指向精度は非常に厳 と「放送」は同じメディアとして捉えら ちあげた「モバイル放送」という、移動 しいものが要求される。 れるようになりそうだ。それどころか、 体向けデジタル衛星放送サービス会社 広告収入主体の番組制作体制であれば、 は、目下、2001 年の開局に向けて動き 低軌道衛星 スカイネット計画:上空20〜50kmの 成層圏に、送受信機を搭載したラグビー 型の飛行船を打ち上げる計画。他の衛星 方式より打ち上げコストは「十分の一」 とも。太陽電池などでエネルギーを得て、 GPS衛星を使って、軌道を自己修正で きるシステムを持つ。2005年には、 200機が日本上空で稼働する予定だ。 ト開拓に名乗りをあげた。 そこでまず、アンテナ自体の改良であ 伝えていくシステムになっている。マラ る。地上中継車に搭載されたアンテナは、 特別な情報利用料も要らず、 「無料」で 出している。カーナビやカーオーディオ ソン中継など、速報性と臨場感が問われ 衛星の位置を常に把握するために、衛星 見られる、というメリットが挙げられる。 などの移動体メディアを使って、ハンド る番組作りを実現させたこの通信方式 から発信されるパイロット信号を捕捉。 しかし、なによりも新しいコンテンツ ルを握るドライバー向けに数十の番組を は、現在もフルに活用されている。 同時に、慣性センサによって得られる移 の登場へかける期待は大きい。例えば、 ところで、上空で中継を担うヘリコプ 動中継車自体の揺れの変化と併せて、常 ニュースなどを受動的に見るだけでな こうなると、テレビを介して話をする ターは常に安定状態(ホバリング等)に にアンテナの動きを制御している。これ く、双方向にデータ通信することを可能 ようなシステムが登場する日も、そう遠 あるとは限らない。例えば旋回時によっ が、「アンテナ自動追尾システム」だ。 とする動きだ。ホームショッピング番組 くはないだろう。モバイル放送はライフ てアンテナの位置が見失なわれ電波が途 結果、車載の衛星追尾アンテナの精度は を見ていて、 「欲しいな」という商品が スタイルを著しく変革するコミュニケー 切れたのでは、安定的な中継が行えない。 わずか± 0.3 度にまで高められた。衛星 紹介されたとき、画面のボタンを「クリ ション・システムだ、と言ってもよいか そのため伝送方式実用化の背景には、ヘ を利用し、世界各地の複数の地上アンテ ック」する感覚でリモコン操作し、即座 も知れない。 高度数百kmを周回する衛星。 静止軌道衛星に比べ、送受信時 のタイムラグが減り、送信電力 も少なくて済む。66個のイリジ ウム衛星を使った携帯電話システ ムは昨年末にスタートしたばかり。 成層圏プラットホーム すでに、いくつかの放送局がマーケッ 局」の3点が情報の載った電波を次々に 6 「8の字」衛星 かも知れない。 また、2000 年秋にはBSデジタル衛 「地上中継班→ヘリコプター→放送基地 郵政省が計画している「第三 の衛星システム」。静止軌道 衛星と同じ高度だが、軌道は 別。赤道を挟んで日本とオー ストラリアの上空で8の字を 描くように周回する。常に日 本全域をカバーし、風雨にも 影響されにくい。 「放送の通信化」もしくは「通信の放送 に継承・発展させたシステムであるが、 ヘリコプターの機体下部にとりつけた 高度約36,000kmにある衛星。 国内の通信衛星では、「JC-SAT」や 「スーパーバード」がこれに該当する。 静止衛星 情報ステーションの様々な形態 提供していく考えだ。 7 非接触式データキャリア 実用へ動き始めた 非接触通信の可能性 IC チップ内蔵の極小情報メディア を構築する。検査結果は速やかにコンピ るだけのバーコードは非常に手軽に扱え れるので、タグが再利用でき、資源のム ュータに集計され、製品の不良率や生産 るからだ。だが、この工程ラインにおい ダも減らせる。 高い実用性を持つICカード たとえば、電子決済との関わりだ。 に詳述するとして、ユニークな記憶媒体 数などをはじき出す。一方、組立から検 ては、保持する情報量が多いこと、汚れ 生産工程をFA化した複数のセクショ ICカード式公衆電話が、この3月以 コンピュータネットワークとカードを としての性質を活かした「小さなデータ 査終了までの各種データも日単位で効率 等による読み取りミスの恐れなどを考慮 ンを、コンピュータネットワークで統合 降全国に導入されだしている。従来の磁 用いた電子商取引はすでに開始されてい ベース」としての役割を、これから紹介 よくコンピュータで集計され、工程管理 すると、非接触式データキャリアのほう 生産および管理していくシステムである 気テレホンカード方式に変わる新しい電 る。この形態においてカードが果たすの しよう。 に反映される。同工場では、これら一連 に軍配があがる。バーコードでは記載で が、非接触式データキャリアをうまくこ 話機である。デザインも一目でそれとわ は電子財布としての機能と、クレジット の管理方式を「生産指示システム」と呼 きる情報量に限りがある上、書き込みが れに連動させることで、各工程の限りな かるカラフルなものにし、ICカードの 機能である。電子財布はキャッシュカー データベースとしてのデータキャリア んでいる。高効率の生産ラインがデータ できない。詳細な情報まで手が回るとは いリアルタイム管理がここでは実現して 利用をアピールする効果も高そうだ。新 ドのように使われる電子マネーを指す。 トヨタ自動車株式会社および系列会社 キャリアとコンピュータネットワークを 言い難いのだ。 いる。 型カードには、いくつかの電話番号を同 近年、電子財布の役割をICカード では、もの作りの基本を「トヨタ生産方 駆使したシステムによって実現されてい に備えさせようという研究や開発がさか 式」に置いている。トヨタ生産方式を簡 る。 もともと、これまでのテレホンカード んだ。冒頭に示したICテレホンカード 単に説明すると、徹底的なムダの排除に 他方で、データキャリアではなくバー 接触式であれば、直接製品に読み取りセ のような磁気カードのセキュリティ面の はその一例と言える。予め入金した額だ よる原価低減ということになる。その柱 コードによる製品管理ということも考え ンサーがぶつかってキズがつく、という 弱さが指摘され、CPUを内蔵したIC け使えるプリペイド型のICカードは、 となるのが「ジャストインタイム」と られないわけではない。縞模様を印刷す こともない。情報が繰り返し書き換えら カードが使われるようになったのは、 使いきり(ディスポーザル:dispo 「自働化」である。 「ジャストインタイム」 1970年代のフランスが最初であった。I sal)タイプと、何度でも金銭的価値 とは「必要なものを必要な時に必要な量 Cカードは磁気カードと異なり、読み取 を補充できる(リローダブル: reload- だけ生産するシステム」であり、 「自働 りだけでなくデータを書き込み、記憶さ able)タイプがあり、ケースによって使 化」とは「何らかの異常が生じたら機械 せることが可能だ。方法としては電気や い分けられる。暗証番号もサインも不要 設備が自ら異常を検知して自動停止する 光などを使う。記憶用のメモリは素子の で、小額の支払いに向いたカードとして ようにしたり、技能者自身が停止スイッ 絶縁層に蓄えられる電荷の正負によっ も注目されそうだ。 チを押して止められるようにすること」 時に記憶させられるタイプもある。 て、データを保持することが可能だ。電 一方で、クレジット与信機能をもった で、生産運搬の指示情報,部品の準備,部 池を内蔵する必要は必ずしもなく、IC カードとしても、偽造やデータ改竄が困 品の照合などを管理する道具としてID カードを限りなく薄いデータ記憶媒体に 難なICカードに白羽の矢が立ってい が有効に活用されている。自動車の駆動 することを実現させている。 る。代表的なシステムには、英モンデッ 部品を製造するトヨタ自動車北海道株式 クス社のカードがある。 会社でも、従来からIDを使用して「ポ さらにカードは、読み取り/書き込み そして今、ICカードの記憶容量の大 カミス防止」や「部品の照合」などを行 リーダ/ライタ端末にカードを差し込む きさを活かし、これらの電子財布として っていたが、他方式に比べて読み書きで 接触式と、端末とカードの間で無線通信 の機能とクレジット機能を統合する取り きる容量が大きく、無電地で取り扱いの を行う非接触式だ。特に、ワイヤレスな 組みが進められているところだ。ここで しやすいトキメックのデータキャリアシ 非接触タイプは、接触式のような摩耗が やはり特筆すべきは、残高や決済情報を、 ステムID-5000 が採用された。記憶素 ないため、故障に強くより信頼度の高い 余裕を持って書き込めることからも分か 子であるデータキャリアには、機種(形 カードとして評価されている。この利点 るように、ICカードはカード型メディ 式の識別番号),部品番号,ロット番号,製 に着眼した製品も開発され、日常生活や アのなかでも記憶容量が大きいことであ 品番号,製造年月日時分、そして検査結 ビジネスシーンに徐々に浸透し、活躍し る。 果などが記録され、それらを書き換えた 方式の違いから、2種類に分類される。 始めている。 ディジタルキャッシュとしての例は後 8 ここで、データキャリアの情報容量の 大きさと汎用性が活かされる。しかも非 データキャリアを活用した組立ライン 取材協力:トヨタ自動車北海道株式会社殿 トヨタ自動車北海道の部品組立ライン(写真左) 。整然としたこのラインでは、工程 の多くの部分は自動化されている。データキャリアはその一端を担うツールとして活 用されている。写真右の白い円形チップがデータキャリアで、これは組立部品1つ1 つに付けられており、正対しているリーダ/ライタ部との間で情報のやりとりを行う。 り読み込んでムダの極力少ないシステム 9 電子マネーと親和性が高いICカード JCBの新決済システム る「専用カード」を作ってもらう。この ィスクは、うっかりデータを消してしま 商業施設における非接触式ICカード 専用カードが非接触式のICカードにな うという危険性もあり、チケット用のメ ゲートに車両をくぐらせ、その通過時 での決済利用に着目し、業界に先駆けて っており、リローダブルな定額プリペイ ディアとしては弱点も多い。その点、I にICカード(チップ)をセットした車 取り組んだのがクレジットカード会社最 ド方式と、金融機関の口座を利用するク Cカードなら、ほとんどその心配がいら 載の通信機器と、ゲート上に設置された 大手のジェーシービーだ。 レジット方式の二通りの使い方が選べ ない。さらに非接触式であるから、会場 リーダ/ライタとの間で非接触交信し、 る。 でデータを読み取るリーダーに瞬時にか のちにドライバーの指定口座などから料 利用可能な第一号施設として、今年 プランだ。 3月下旬、臨海副都心地区パレットタ 「専用カードに対応した、読み込みな ざすだけで十分なので、物理的な摩擦自 金を引き落とす、ということも可能にす ウン内にトヨタ自動車の新テーマパーク らびに書き込み用の端末をカウンターに 体も起こらず、次回の利用時にもそのカ る。複数の異なる料金体系の有料道路を 設置しました。これからは、こうした専 ードをきれいなままで利用することがで 走っているときにおける精算のたびの停 新しい会計システムは、専用ICカード 用端末がテーマパークやショッピングビ きる。このリサイクル可能な性質は、環 車も不要になり、計算も自動的に済ませ を使って、施設内のアトラクション利用 ルの中にどんどん置かれていくと予想さ 境的に見て好ましいばかりでなく、製造 られるので便利だ。すでに、欧米では導 や買い物、飲食関係の支払いを行うもの れます。すると、ICカードがあれば、 コスト面ではフロッピーディスクをまだ 入済みの道路も多い。日本でも国と企業 だ。いろいろな場面において、一枚の非 お財布を持たなくてもよいショッピング 上回っているICカードを、使えば使う などが交通事情を多角的に検討した結 接触式ICカードを利用し、精算を行う エリアが徐々に広がっていくかも知れま ほど、相対的に安価に普及させることに 果、効果が期待できると判断され、東京 ことができる。 せんね」 も貢献している。まさに一石二鳥の効果 湾アクアラインなどで実用化試験が始ま である。 り、今年中にも千葉地区の料金所で本格 「MEGA WEB」がオープンした。 このテーマパークは、さすが「MEG A(巨大な) 」と銘打っているだけあっ キャッシュレスの時代もついに目前ま でに迫りつつあるようだ。 て、全周1.4kmの試乗コースを含む3大 また、ICカードの内容を毎回書き換 えるのではなく、ダウンロード元のチケ 試験では時速 100km ほどの極端なハ コンサートチケットへの応用 ット販売者側のサーバコンピュータのほ イスピードの状況下においても、車とゲ どの多種多様な施設で構成されているの たとえば、リローダブル型のように、 うで、イベントごとに個々のカードを ート間の通信のやりとりが可能であるこ とが証明されており、実際の通過速度な が特徴だ。当初から、支払い時の混雑な カードに金銭価値を繰り返し補充するこ 「有効」または「無効」にするか、設定 どが心配されていた。そこで、なんとか とができる、ということは同時にICカ することも可能である。こうすれば、来 これらの支払い手続きを簡略化できない ード本体を再利用することが可能であ 場する観客もデータ書き換えの手間がい しかし、読み取りミスのためにバック か、という問題提起がシステム開発のき る、ということである。このカードの らないばかりでなく、主催者側も観客を してもう一度ゲートをくぐる、というこ っかけになった。櫻場正信氏(ジェーシ 「リサイクル」によって、チケット販売 正しく見極めることができるというわけ とがあってはいけない。そのため、この だ。 システムは多くの最新技術によって支え 「たとえば、商品レジで行列待ち、利 システムにも変化が訪れようとしてい る。 られている。たとえば、高速な演算処理 ンサート受付で待たされイライラ……、 装置の小型化や非接触通信といった技術 は、その一例である。 「e-ticket」と呼ばれる非接触式IC ン、では楽しい雰囲気が中断されてしま カードを使ったシステムはそのひとつの ということも減ってくるのではないだろ い、せっかくのおもしろさも半減です。 試みである。これは、コンサートの予約、 うか。 そこで、ノーサインで気軽にショッピン チケット購入決済をインターネットを通 グからアトラクションまでが楽しめるこ じて行うというものだ。 と。これを顧客サービスの力点と位置づ これまで、フロッピーディスクに、暗 ら問題はない段階まで進みつつある。 観客が殺到する人気アーティストのコ 用や購入の度にクレジットカードのサイ ITS 自動料金徴収システム ※「建設省道路局ITS ホームページ」掲載資料より作成 電子乗車券システム 紛失・盗難 ・故障 ICカード 製造 発行・再発行 積み増し (Tカード発行) 自動改集札機 入場・出場 定期券発行 継続発行 カード1枚で バス乗車 2、乗車券の汎用化実験 社会インフラへ導入されるICカード 1、ITS自動料金システム 運輸省では、次世代型の乗車券として 乗り継ぎ精算 残高確認 ICカードを活用した「電子乗車券」の 号化された座席番号データなどをダウン 前述のように、ITS構想の中の導入 実用化に向けて取り組んでいる。平成8 利用方法は、まずインフォメーション ロードするという予約システムはあった 目標のひとつにETCと略称されている 年に、NTTデータ通信などの企業の協 カウンターで、所有する規定のクレジッ が、これを将来的にICカードに移行さ 自動料金システムがある。渋滞をまねく 力を得て、 「汎用電子乗車券開発検討委 トカード(JCB カード、TOYOTA カー せるという企図が販売者サイドにあるよ 大きな原因といわれている有料道路の料 員会」を設置し、開発すべき技術として ド)を親カードとして、子カードにあた うだ。磁気ディスクであるフロッピーデ 金所での精算手続きを自動化するという 次の二つを挙げた。 けたんです」 双方向無線通信 的に施行される予定である。 パビリオンのほかに、飲食、物販関係な ービー企画部)は次のように述べる。 路側無線装置 回収・評価 ※自動改集札機では、所定位置に ICカードでふれることで 入場・出場できる。 廃 棄 ※「汎用電子乗車券技術研究組合ホームページ」掲載資料より作成 10 11 (1)非接触自動改札システム 電子商取引の本格化 特に、電子商取引の記録などにIC 乗車券を改札に通さなければならない これまで紹介してきた事例以外にも電 カードを用いることが多くなると想定さ 現行方式が、処理の渋滞を招いたり、高 子マネーの実証実験が現在いくつも進行 れる。そうなると、ICカードの外形の 齢者や障害者が利用しにくいなどの問題 している。 スペックだけでなく、内部のデータ構造 を生じさせている。非接触式のICカー さらにはグローバルな金融市場でのや も含め、各国の規格がそろわなくては共 ドを採用することによって、読み取りセ りとりを含む、電子商取引も盛んになり 通に読み取ることができなくなってしま つつあるようだ。 う。加えて、世界各国の多言語に対応 ンサー部にかざすだけの、簡略化された 処理を可能にする。 今年1月末に大阪証券取引所では、 するハード,ソフト両方の情報処理技術、 SS通信の可能性 多重化の工夫 触通信にも使われ、使用電力の省力化 さも決まってくる。ただ、あまり複雑化 携帯電話から通信衛星、非接触式I に貢献している。トキメックの非接触通 しては解読されにくくなると同時に、受 Cカードまで、無線通信が多くのシステ 信方式では、リーダ/ライタ側からカー 信側も復号しにくくなる。逆に、あまり ムを支えていることは、ここまで述べて ドなどの受信体に、電磁誘導を利用し にシンプルすぎる符号では大事な情報が 株式や転換社債の売買を取り扱う新たな さらに、暗号/復号方式や認証技術に 漏洩する恐れが出てくる。理想的な符号 市場として、電子取引市場ネットワーク は何がベストなのか、など検討すべきテ きたとおりだ。我々の身の回りには、目 にはみえないが、無数の無線電波が飛び て、必要な電力供給を行う。そのため 続けて公共交通機関を乗り換える場合 に、カードは無電池で動作可能なのだが、 を探すことが、SS通信の威力を高める に改めて乗車券を購入しなければならな 「J−NET」での取引を開始した。会 ーマは多い。これらの解決は、今後の取 交っていることであろう。しかし、 「2 使用できる電力は非常に限られたもので ことになる。アダマール符号や疑似雑音 符号などが知られるが、たとえば、適度 (2)共通乗車券システム かった手間を軽減し、一枚のカードで精 員証券会社と投資家、および取引所を 引量自体の増大、ひいては市場の活性化 GHz」や「800MHz」というような、 ある。そこで返信時にはスペクトル拡散 算を済ませられるようにする。電車から 専用回線で直接結び、ネット上におい をも左右する大事なファクターばかり 個々の電波に割り当てられる周波数は無 バスへ、またその逆へ、といった複数の にランダムでかつ、扱いやすい単純さを もつように、 「1/fゆらぎ」波形など て、価格交渉して取引するものだ。国内 だ。 で帯域を拡散し、少ない電力での情報の やりとりを可能にしている。 を用いて、適度な複雑さをもった符号列 の証券取引所では初の試みだが、海外市 一方、ICカードや電子マネーという 波の需要は世界的にみて、高まっていく SS通信方式は送信された電波をいっ 交通機関を連続利用する際の利便性が 一方である。そうすると、限られた周波 たん暗号化し、受信する際に、それを符 で暗号化する、などのアイデアもおもし 高める。また、この乗車券にクレジット 場にもアクセスできる電子商取引がいよ 言葉が広まりつつある反面、多くの消費 数をどう割り当てるべきかという「周波 号によって、復号化する方法である。こ ろいだろう。 カード機能を併せて持たせたいとも考え いよ本格化するための足がかりとなりそ 者にとってはこうしたシステムに対する の符号の選びかたによって、電波の複雑 ている。 うである。 知識がまだまだ行き渡っているとは言い 数資源」の問題が発生してくる。これま では、互いに届かないほど十分に離れた 地点で同じ周波数を再利用したり、デジ 制限にあるわけではない。だが、無線電 この委員会のコンセプトを受けて、ソ 同時にそれは、新しいルールを持つこ 難い、とも指摘される。今後のアプロー ニー,三菱電機などが参加する技術研究 れまでにない金融取引の舞台の出現を意 チとしては、国際間にわたる大規模なイ 組合(TRAMET)の取り組みが始 味しているとも言える。だが、実は、こ ンフラ整備を速やかに進行させる取り組 まり、現在、実証実験段階に至ってい れは予期されていた事態だ。 みと同時に、ユーザの立場にたって、シ 元)方式を使って、 「多重化」する手法 ステム利用時の安全性の確保などに十分 だ。この方式では、同じ周波数帯を異な な配慮がなされるべだろう。 る利用者で共用することが可能である。 る。モデルシステムは、東京都交通局の 去る平成9年5月「電子商取引の本 協力をえて、昨年6月から今年の6月ま 格的な普及に向けて検討すべき制度的課 で都営地下鉄 12 号線、新宿営業所管内 題のすべてについて早急な検討を行い、 のバス路線において造られ、以後、モニ その結果を踏まえて、2001年までに必要 ターによる実験が行われている。テスト な措置を講ずる」ことが急務である、と に使われる汎用電子乗車券は定期券1 閣議決定において発表された。 (文中敬称略) タル信号の特性を活かした多重方式TD MAなどが利用されてきた。今、最も注 目されているのがCDMA(符号分割多 もともと第2次世界大戦中の軍事研 究から発展して、民生用へと普及した技 術である。戦時には、機密情報などを通 信するような場面でスクランブルをかけ るために使用されていた。耐妨害性に、 枚、電車やバスの乗車券(Tカード)2 ICカードやコンピュータネットワー 優れているためである。風雨にも強いの 枚分を納めることができる、いわば電子 クを用いた電子商取引は、ひとつの国の で、現在では屋外の建築現場における機 パスケースだ。 中だけで仕組みを作ればよい、というも 械の遠隔(ラジコン)操作や、距離情報 などを非接触通信で検出する「データデ また、今年の1月からはモニターが同 のではない。海外市場と、規格統一や調 路線の駅に設置されたICカード対応自 整などで歩調を揃えることが肝要だ。具 動販売機から飲料やタバコを購入する実 体的には、UNCITRAL(国際商 験も開始した。多目的カードとしての実 取引法委員会)で採択されている電子商 前述のCDMA方式に使われているの 用性,利便性を確かめて、アプリケーシ 取引モデル法や、ISOにおけるさまざ がスペクトル拡散(SS)技術だ。非接 ョンの統合を目指している。 まな技術を標準化していく取り組みを考 ポシステム」等に利用されている。 SS通信方式とは 慮に入れ、検討していくことが大切だ。 12 13 Technical Report ▲ 01 マイクロ波技術 電子システム事業部 デバイス機器部長 利用が有効であるが、高度な技術である。μ波技術陣は高純 作用も強くある。 多様な方向性を持った技術体系―― その現在、将来へ向けた見通し 度信号源の実現を始めとして技術的要請に応え、これを可能 このように、μ波技術は様々な方向に広がりを持った、壮 にしたのである。 大な技術体系である。 無線通信は移動体通信のためのものと言っても良い。μ波 高度情報化社会のなかで、トキメックが得意とするマイクロ波帯域といった高帯域での通信技術、対応するデバイスは、これ 領域ではアンテナサイズが小さくてすむため、小さなプラッ 2.高度情報化社会とμ波技術 からのネットワークを支えるキーテクノロジーの1つといえます。 トホーム上でも指向性の高いアンテナを使用できる。更に化 今回はマイクロ波技術の概略を俯瞰し、現在から将来へと続く技術開発の展望をご紹介します。 1.μ波技術とは? マイクロ波(以下μ波)と言う言葉を厳密に定義すること には大した意味はなく、周波数の高い電磁波を総称する言葉 急速に発展を遂げ、現在も変貌しつつある高度情報化社会 合物半導体素子が実用化され、電池で動くμ波回路が実現で の形成に、μ波技術がその一翼を担い、大きく貢献している きたとき、移動体通信に最適な、μ波利用を妨げるものはな 波の本質的な事象(伝搬するのに時間がかかること)を無視 ことは論を待たないであろう。もはや携帯電話,衛星放送や くなった。 しているため、問題の取扱いが極めて容易となる。しかし、 GPSと言った、μ波ならではの特徴を活かしたサービスが こうしてμ波技術は高度情報化社会における中核技術とし こうした近似が成立しないμ波領域では、波は波として厳密 無い世界は考えられなくなっている。この、現在生じている て脚光を浴びることとなった。しかし、μ波技術がこの時代 に扱う必要が生じるのである。 無線通信分野でのビッグバンは、化合物半導体に関する固体 の波の恩恵を大きく享受しているのも事実である。その端的 物理学の知見、ディジタル通信技術、そして両者を繋ぐμ波 な例が計測装置である。ひと昔前のμ波計測は、面倒で、不 技術の融合によって点火されたと考えられる。 正確が常識であったが、マイクロコンピュータを内蔵した計 一言で言えば、取扱いが面倒な周波数領域がμ波である。 であると理解しておけばよい。周波数領域では、数 100MH Z 〜数 1,000GH Z 程度の範囲の電磁波をμ波と呼ぶ。(ミリ波, そして、この面倒な周波数を扱う技術の総称がμ波技術と言 サブミリ波という呼称もあるが、μ波を更に細かく区別する うことになる。 μ波技術と言っても、応用・回路・材料・解析など、μ波 もので、別物ではない) ディジタル通信で音声や映像情報を伝送する場合、アナロ 測装置の登場で状況は一変した。飛躍的に計測精度が高まっ グ通信に比べて伝送中の質の劣化が極めて少ないが、広い周 たと同時に、極めて安定した結果が短時間で得られる様にな 電磁波スペクトルでμ波より周波数が低い領域では、誤解 に対する視点によって数多くの技術領域が存在している。相 波数幅を必要とする。また、コンピュータネットワークでは、 ったのである。今では、少しウオーミングアップを行えば、 を恐れずに言えば、信号の伝搬遅延を陽に扱う必要がない。 互に関連を持っているが、それぞれが独立の領域を形成して 高速通信への要求が拡大し、ますます広い周波数スペクトル 再現性のある結果が得られるのが当たり前となっている。 μ波より周波数の高い領域は光の領域であるが、ここでは幾 おり、区別はあっても境目がない状態である。これら技術の を必要とするようになって来た。このため、無線通信のキャ 設計ツールも、強力な計算機が手軽に入手できるようにな 何光学手法が有効である。両方とも、特別な場合を除き、波 基礎部分は、物理学,化学,数学など、理学領域からの膨大 リア周波数も高いものを必要とし、必要な帯域幅を確保でき って様変わりをした。CADシステムが普及し、優秀なシミ を意識しなくとも電磁波を扱える領域であると言える。μ波 な成果で支えられている。応用面でも、通信はもちろんのこ るμ波への進出が加速されることとなった。 ュレーションソフトや解析ソフトが簡単に利用できるように は、この両者に挟まれた、近似の成立しない周波数領域であ と、センサや癌の温熱治療への応用も実用化されている。ま 一方、有限の周波数スペクトルの有効利用策として、伝送 なり、設計者の作業効率と設計信頼性の向上に大きく寄与し る。低周波近似も高周波近似も、波を扱っているのであるが、 た、当然ではあるが、後述するような他の技術分野との相互 効率を上げる研究も進められた。この目的には、位相変調の た。大量のデータを苦もなく処理するパソコンや、世界中か ■光と電磁波 ――電磁波の波長と振動数 (1A) 10 −15 10 −14 10 −13 10 −12 10 −11 (1μm) (1nm) 10 −10 10 −9 10 −8 10 −7 10 −6 (1mm) 10 −5 10 −4 (1km) 10 −3 10 −2 10 −1 1 10 10 2 10 3 10 4 10 5 波長 m γ 線 1GeV 1MeV 10 23 14 真 空 紫 外 線 X 線 10 22 10 21 10 20 紫 外 線 可 視 光 線 1KeV 10 19 10 18 10 17 近 赤 外 線 赤 外 線 遠 赤 外 線 (ミサブ リ波 ) EHF SHF (ミリ波) マ イ UHF VHF (センチ波) (極超短波) (超短波) ク ロ 波 HF MF LF VLF (短波) (中波) (長波) (超長波) 電 1eV 波 振動数 Hz 10 16 10 15 10 14 10 13 10 12 (1THZ) 10 11 10 10 10 9 (1GHZ) 10 8 10 7 10 6 (1MHZ) 15 10 5 10 4 10 3 (1kHZ) Technical Report ▲ 01 建機の自動化は、人間と機械の 新たな協調が基盤となる マイクロ波技術 ら部品情報を収集出来るインターネットもしかりである。 μ波技術が短期間に急速な発展を遂げられたのも、こうし た技術の支援があればこそなのだが、こうした道具立ての登 在使われている周波数を 10 倍以上とする必要が出てくる。こ 建機の自動化とは、どういった背景の 求められてきています。特に、世界的な 機能しません。統一的なものにして、海 れは、そう遠い時点の話ではない。どうやら、上記楽観論は もとに進められてきているのでしょう CO2 削減への取り組みや、排ガスへの法 外から来る作業者にもすぐわかるような、 当分正しいようである。 か。 規制対応はマスト条件であると言えます。 絵やマークの採用が大事です。 場と、情報通信需要の急速な伸びがほとんど機を一にしたの 翻って、ディジタル回路の世界を見ると、CPUクロック 小栗 まず、建設機械は非常に種類が多 また、その延長にはリサイクルという は偶然ではなかったと考えられる。μ波技術とディジタル技 は数 100MH Z、LAN伝送レートはG bps が当たり前となっ いものです。それも時代、時代のニーズ テーマもあります。 「見た目に美しく、安 流れの中で、省エネや自動化・メカトロ、 術は、人類の際限のない要望に応えるために、互いに相手を てしまった。周波数だけを見ればμ波の領域である。こうし にあわせて発展してきた。昔はブルドー くて軽い。だからプラスチックだ」と、 つまり、建設機械の自動化というのも位 必要としていた。そこに、化合物半導体という物的な解決手 たディジタル信号を扱う電子回路の設計では、もはや0と1 ザが中心でしたが、日本が都市化されて そういう流れも確かにあるのですが、一 置づけられています。 段の地平を得、開花したのである。どれもが不可欠だった3 だけでは話が済まず、高速アナログ回路(=μ波回路)とし くるに従い、今は油圧ショベルというも 方で「本当にそれで良いのか」という疑 つの要素が共鳴し、新しい状態を作った。この過程に、今後 て設計しなければならない。これは、基板設計では常識化し のが非常に伸びている。つまり、社会的 問も当然出てきているわけです。建設機 具体的には、どういうことを目指して の技術発展の典型を見ることができるだろう。 ているが、その上に乗るディジタル半導体設計でもμ波技術 背景に密接している製品群なんです。 械の場合、プラスチックを使って割れた いるのですか。 環境があり、安全があり、そういった ビッグバンを経て、再びμ波技術の内に戻って見ると、物 が必要になるだろう(ディジタルICが登場した頃には、ア いま世界的に見て、環境への対応とい ら補修がきかない、鉄ならすぐ溶接でき 小栗 電子化の目的ですが、一つには危 の作り方や設計手法の面では、パラダイム変換が起こったと ナログ技術はもういらないかのような議論もあったが、ディ うのが、建設機械をとりまく状況の中で る。そういう見直しをメーカは常に持っ 険な作業からの解放です。製鉄所の転炉 言っても過言ではない程の変化が生じている。しかし、この ジタル回路を追究するともっと難しいアナログ技術が必要に 大きなテーマとなっています。省エネ, ています。そこは多少、一般自動車とは 下で動いているような建設機械がある。 変化は、μ波技術単独でもたらされたものではないことを指 なるとは皮肉なものである)。つまり、波を波として扱うμ波 排ガス対策,低騒音、あるいは最近の流 違うところですね。 そうした危険を伴う環境では、やはり無 摘しておきたい。パラダイムの変換は往々にして外部に由来 技術は、今後の電子回路に関わる全てに必要な技術となって 行では生分解性オイルの開発や商品化も 次に、 「安全」も課題です。安全標識 線化して作業安全性を高めたい。普賢岳 する要因で生じる。変化の胎動を感知するには、内だけを見 いるのである。 進みつつある。その対応で新しい機械が を各社バラバラで作ったのでは、これは の処理作業でもやはり無線操縦が使われ るのではなく、高いアンテナを上げ、自分の守備範囲を限定 上記は、現状分析と、その単純な延長である。この限りに することなく、広く物事を感じていることである。これは、 おいても、応用面とその応用を支えるハードウエアの面で、 技術者にとって重要なミッションの一つである。 μ波技術の社会に貢献する局面が、ますます増えて行くこと (社)日本建設機械工業会 技術製造委員会 幹事長 新キャタピラー三菱(株) 技術部長 は間違いがない。μ波技術者の忙しい日常は当分続くことに 3.今後のμ波技術 なる。 それでは、近年のビッグバンに相当する技術のパラダイム 変換は、再び起こるのであろうか。残念だが、この問いに具 高い周波数への挑戦はμ波技術の習性であり、例え具体的 体的な姿を提示して答えることはまだできない。 な応用が見えなくとも、今後とも努力が傾注されることは間 違いない。既に始まっている 100GH Z を越える領域での技術 20 年以上前、当社研究所で、ようやく工業的に供給され始 開発も加速されることになろう。あたかも、応用は後から付 めたμ波FET(電界効果トランジスタ)を使って増幅器の いてくると言っている様であるが、この楽観論は今まで常に 開発を始めた頃は、技術のレベルは正に state of art で、 正しかった。 芸術品を作っていた時代であった。しかし、この頃すでに、 通信分野では、より便利なサービスが求められ、想像を絶 Yシャツのポケットに入るμ波ディジタル通信機が数千万台 する大量のデータがμ波に乗って世界を駆け巡ることになる も生産される時代が来る、と想像した人々が確かにいたので だろう。コンピュータ通信では、回線コストを下げるために、 ある。そして、顔ぶれは変わっているだろうが、現在でも夢 際限のない高速化が求められているし、携帯TV電話が普及 を追いかけている人々は確かに存在する。人間が予感を実現 すれば、データ圧縮技術の進展にもよるが、通信データ量は する動物である限り、再びビックバンは起こる。 小栗 匡一氏 まるでピアノを弾くように制御する――それが自動化さ れた建設機械のイメージだ。従来の荒々しく男っぽい建設 の世界が、機械の電子化・自動化によって変わろうとして いる。そしてそれは、過酷な環境、危険な作業から人間を 解放しうるものだ。しかし、人間の手を不要とすることを 意味するわけではない。建設機械の対象物は山であったり 岩であったりと、千差万別な自然である。人間が観察し判 断する能力が必要な点は不変だ。つまり建機の自動化とは、 人間と機械との新たな協調システム構築を目指すものだ。 1桁以上増加する。こうした通信需要増に対応するには、現 16 17 ってきた人たちがユーザの大部分を占め ましたね。このように、作業環境の改善、 されていなかった。 では人間はどの部分で関与するのか、と 危険作業からの解放がまずあります。あ 一 つの傾 向ですが、 いうことになるんです。そういう非自動 るいは極めて単純な反復作業からの解放。 市販されている部品 的というか、きわめて古典的技術をあえ 今後、自動化が一層進んでいくための にまったく違和感がない。すると、昔流 それに対しての自動化です。 を使う方が値段も安 てからませる。そういう観点において、 キーテクノロジーはどのようなもので の男っぽい世界ではなく、彼らが慣れ親 いし信 頼 性も高い。 100%自動化というのはむしろ非現実的で すか。 しんできたゲーム感覚の操作環境を提供 という目的もあります。作業者が高齢化 だから自動化する際 あり、やはり依然として、人間が必要な 小栗 まず、機械の信頼性が前提条件と することになるかもしれない。ユーザが したり女性が進出していることに対して、 にも、いま実際に無 くなるということはないんです。 してあります。ハイテクと称する機器で どういう人かによって、商品のスタイル 作業装置を軽くしたり、トランスミッシ いセンサ、技術を使 また別の視点から言うと、建設機械の なく、センサ類であったり、配線、スイ は変わってくるわけです。今後ユーザは ョンの自動化を進める。そういった意味 って最新のシステム 作業者が、女性や高齢者へと広がってき ッチ……、建設機械は非常に過酷な環境 女性だったり、極端なことをいえばアル での電子化があります。 を作 ろうとすると、 ている。単に腕力だけでなく、視力、聴 で動かしますから、そのハード面での信 バイトの学生ということもあるかもしれ 力なども以前より低下していくといった 頼性がまず大事です。それに加えて、例 ません。そういう現実があるのだとした 問題が絡んできます。それに対応し運転 えば排ガスの2次規制、3次規制が進め ら、もちろんいいか悪いかは別ですが、 できる機械を提供していくことは、我々 ばエンジンの電子化も進むでしょう。す そういうマン・マシンインターフェイス また、作業を簡易化、高性能化しよう 80年代に作っていたラジコン車では、 これはうまくいかない 普賢岳災害復旧工事で活躍したラジコンマシン える方向に持っていきたいですね。 るようになると、自動操縦といったこと オンオフの単純なものでした。今は一部 んです。ですからこ 自動化したり比例制御をしたり、あるい れまで、市販され実 は負荷に合わせて最適制御したりと、高 績のあるものを集めて大きなシステムに えられるようになった。あるいは作業環 業界の義務であろうと思っています。す るとエンジンも油圧系も、走行系も全部 が必要になる。それは自ずと自動化へと 級化してきている。そもそも、本体部分 していくことをやってきたんです。 境の面では先ほどのICカードの利用があ ると、そこでも自動化――軽量化があっ 電子化されてくる。個々のコンポーネン 進んでいくでしょう。 ったりと、現在は多面的な広がりを持っ たり、安全装置であったり、色々な仕組 トの電子化に伴って、自動化はやりやす てきています。 みが出てきます。若年労働人口も今後減 くなるんですね。 がかなり電子化されてきていますから、 しかしこれからは、GPSが十分に使 無線制御しようと思えば簡単に、またコ える環境になっている。21世紀はそうい スト的にも安くできます。 う意味で、GPSが当たり前のように活 もちろん、前述のように環境対策とし て、電子制御エンジンを開発していく流 れも出てきています。 用されていくことになるでしょう。これ 自動化が進むと、建設に携わる人員が は建設現場の高度化,自動化です。 減っていくことになるのではないでし 少し話はそれますが、電子化というの ょうか。 では、21世紀にはどうなってくるかと は、かならずしも作業の自動化というだ 小栗 ある一局面だけならそうでしょう。 言えば、標準的車両において自動制御が けではないんです。いまICカードが普及 例えば鉄道の駅が自動改札になって、改 どんどん進んでいく。それがもう少し進 してきていますね。実は建設機械は、盗 札の担当人員は減ったのだと思います。 んで、完全に無人化へと行く手前なんじ 難されるケースも多いんです。そこで盗 では、建機を自動化していくと、総体的 ゃないかと思うんです。完全な無人化は 難防止用にICカードを利用できないか、 に見ても従事者が減っていくことになる できないにしても、簡単な操作で自動的 例えば○○さんのICカードを入れなけれ のか。以下、少し視点を変えたところか に積み込んでもらえる、掘削してもらえ ばこの機械はエンジンがかからないとか。 らお答えしてみます。 る、というのが実現していくでしょう。 そんなシステムはどうか、という研究も まず、完全な自動化というのはなかな 実際に、それに近いことは既にやってい 進んでいます。まだ建設機械への応用よ か実現しないだろうと思うんです。それ るんですが。 り、どちらかといえば作業管理・労務管 は一つには、安全のとらえ方があります。 理というところから入っていますが。も 私が無線ブルの1号機を設計したときの すると、機械自体はもとより、建設の ちろんきちんとした論議が必要なのです ことですが、まず安全ばかりに配慮した システムや現場についても当然、変わ が、例えばICカードの中にその人が持っ ら、開発試験段階でうんともすんとも動 っていくでしょうね。 ている資格を入れておく。すると、その かなかった(笑) 。 「完璧な安全」だけを 小栗 作業管理の面から見て、建設現場 カードを使わなければ機械が動かないよ 追求すると、自動化を実現するのは極め での自動化,無人運転、これはもちろん うにすれば、それは無資格運転の防止に て難しくなる。 大きなテーマですね。 もつながるわけです。単に盗難防止では 例えば、10年以上前にトキメックさん なく、安全とも連動する話です。 とも協力して鉱山で働く大型無人ダンプ 高度化・自動化というのが昔は単なる だと。実際に動かないのではしょうがな トラックの開発に携わったんですが、そ 無線操縦だったところから、個々の機械 いですから。その次に、安全を確保する のときはまだGPSというものが一般化 も進歩し、システムとしても大きくとら ためにはやはり人間の判断が必要である、 18 キーテクノロジーというよりも、社会の っていく中、自動化を進めることで、逆 それともう一つは、ユーザの資質の問 に今より多くの人に就業のチャンスが増 題です。ファミコンとか、パソコンで育 環境が自動化を推進していくといった方 が良いかも知れません。 建機自動化システムの概念図 GPS衛星 中央コントロール室 集中管理 中継器 GPS基準基地 だから、乱暴な言い方をすれば、まず は、自動的に走って、曲がって、止まれ、 だから一般論の範疇として言うのなら、 ロボットダンプ 積み込み機 フォアマンカー 19 さ ら に は ︑ 現 時 点 で も っ と 大 き 業 を 行 な う と い う 点 で は こ の 第 三 P F I は 官 と 民 と が 協 力 し て 事 こ と も 大 き い ︒ 率 な 経 営 に な っ て し ま っ た と い う く て 経 営 責 任 が 曖 昧 に な り ︑ 非 効 に 出 向 し て き た 人 で あ る 場 合 が 多 ま た ︑ 経 営 陣 が 官 と 民 か ら 腰 掛 的 の 役 割 分 担 が 明 確 で は な か っ た ︒ 理 ︑ 運 営 の 面 で ほ と ん ど を 官 が 取 事 そ の も の 以 外 の 計 画 ︑ 設 計 ︑ 管 例 え ば ︑ 日 本 の 社 会 資 本 整 備 は 工 分 担 の 明 確 化 が 一 つ の 鍵 だ ろ う ︒ ど う か は ︑ や は り こ の 官 民 の 役 割 今 後 ︑ 日 本 で P F I が 定 着 す る か の 役 割 分 担 も 明 確 に な っ て い る ︒ 共 同 出 資 し な く て も い い し ︑ 官 民 あ る の に 対 し て ︑ P F I は 官 民 が ど う か も あ る ︒ う よ う な 事 業 が 数 多 く 出 て く る か 大 き い の で ︑ 民 に と っ て 採 算 が 合 地 買 収 代 金 が 占 め る 割 合 が 非 常 に ら に ︑ 日 本 で は 公 共 事 業 費 で の 土 い か ど う か が 懸 念 さ れ て い る ︒ さ が 口 を 出 し て 民 の や る 気 を 削 が な る は ず の 設 計 や 運 営 に つ い て ︑ 官 で も 民 が 責 任 を も っ て 任 さ れ て い も 大 き な 意 義 が あ る の だ ︒ い い 迫 な い 公 う る っ 改 て 共 要 す 点 と て 革 構 事 る 業 に を 造 実 に 的 施 ︑ 最 に P つ F I は 日 本 の ら な い だ ろ う ︒ な か で も ︑ P F I へ の 期 待 感 が ● P F I 新 し い 公 共 事 業 の 形 態 が 根 付 く に は ラ ン の 立 案 能 力 を 持 た な く て は な え で ︑ 自 治 体 自 身 が 公 共 事 業 の プ や す よ う な 地 方 分 権 を 実 現 し た う そ れ を 改 め て 自 主 財 源 の 割 合 を 増 体 に は 自 主 財 源 が 三 割 し か な い ︒ 三 割 自 治 と 揶 揄 さ れ る よ う に 自 治 は も っ ぱ ら 中 央 省 庁 任 せ だ っ た ︒ 20 00 漬 け で ︑ 公 共 事 業 の プ ラ ン の 立 案 ら な い ︒ こ れ ま で 自 治 体 は 補 助 金 に 応 じ た プ ラ ン を 示 さ な く て は な 一 方 ︑ P F I で は 自 治 体 が 地 域 く る に 違 い な い ︒ ジ ェ ク ト チ ー ム 型 が 必 要 と さ れ て を つ な い で 請 け 負 う ︑ い わ ば プ ロ の 高 い 建 設 業 者 同 士 が 横 並 び で 手 ゼ ネ コ ン 型 で は な く て ︑ 技 術 能 力 施 す る た め に は ︑ 従 来 の 縦 系 列 の き て い る が ︑ 実 の あ る P F I を 実 と い う や り 方 の 実 効 性 が 揺 ら い で 下 請 け に 順 次 仕 事 を 降 ろ し て い く 工 事 の 受 注 元 に な っ て 何 段 階 も の 今 の 建 設 不 況 下 で ︑ ゼ ネ コ ン が な 問 題 が あ る と 言 わ れ る ︒ け れ ば な ら な い も の の ︑ 官 と 民 と 共 性 と 収 益 性 と を 同 時 に 満 た さ な の 原 因 は ま ず ︑ 半 官 半 民 の た め 公 な 負 債 を 抱 え て 苦 し ん で い る ︒ そ た 第 三 セ ク タ ー の 大 半 は 今 ︑ 大 き が ︑ 中 曾 根 民 活 以 降 ︑ 急 激 に 増 え と し て 日 本 全 国 で 展 開 さ れ た の だ 根 政 権 時 代 に 民 活 の 中 心 的 な 手 法 そ の た め ︑ 周 知 の よ う に ︑ 中 曾 と い っ た メ リ ッ ト が 喧 伝 さ れ た ︒ 金 面 で 公 的 資 金 を 導 入 し や す い ︑ ハ ウ も 利 用 で き る ︒ 民 と し て も 資 野 に 立 っ た 運 営 や 企 業 の 経 営 ノ ウ き て い る ︒ の 機 運 が 昨 年 か ら 急 速 に 高 ま っ て 業 団 体 が で き る な ど P F I 実 施 へ 間 で も P F I 実 施 の 研 究 を 行 う 企 P F I の 適 用 を 検 討 し 始 め た ︒ 民 理 ︑ 自 家 発 電 プ ロ ジ ェ ク ト な ど へ 庁 舎 や 公 共 施 設 の 建 設 ︑ 廃 棄 物 処 組 織 さ れ ︑ 地 方 自 治 体 の 一 部 で も 心 に P F I 検 討 の た め の 研 究 会 が し ︑ 通 産 省 や 建 設 省 ︑ 経 企 庁 を 中 民 党 が 国 会 に P F I 法 案 を 提 出 用 し て 行 う と い う 方 式 だ ︒ 政 府 自 サ ー ビ ス を 民 間 の 資 金 と 能 力 を 活 地 域 ・ 民 間 に 開 放 し ︑ 大 学 構 内 に ゼ ロ 化 を 目 指 す ﹂ ﹁ 国 公 立 大 学 を リ サ イ ク ル 施 設 を 建 設 し ︑ ゴ ミ ・ 式 に よ り 複 合 的 廃 棄 物 処 理 施 設 ︑ 方 の 大 規 模 工 業 団 地 内 に P F I 方 協 力 体 制 を 必 要 と す る 臨 海 部 や 地 限 定 し て 推 進 す る ﹂ ﹁ 特 に ︑ 広 域 契 約 方 式 に よ る 民 主 導 型 の 事 業 に と 民 と の リ ス ク 分 担 を 明 確 に し た 営 を 改 め ︑ 今 後 の P F I で は ︑ 官 よ る 従 来 の 安 易 な 第 三 セ ク タ ー 経 導 入 す る ﹂ ﹁ 官 側 の リ ス ク 負 担 に 用 で き る よ う な 発 注 ・ 入 札 方 法 を や 民 間 に 蓄 積 さ れ た 建 設 技 術 を 活 民 間 活 力 を 活 用 し た 事 業 運 営 方 式 な 事 業 実 施 の た め に ︑ P F I な ど え ば 次 の よ う な 部 分 だ ︒ ﹁ 効 率 的 計 ・ 建 設 ・ 運 営 を 行 い ︑ 公 共 部 門 独 自 に 資 金 を 調 達 し ︑ 施 設 の 設 事 業 体 が 通 常 一 つ の 契 約 の 下 で ︑ な 入 札 手 続 き を 経 て 選 ば れ た 民 間 P F I の 典 型 的 な 形 は ︑ 競 争 的 で も 注 目 し な い わ け に は い か な い ︒ ス が 成 功 さ せ て き た P F I に ︑ 嫌 現 し て 経 済 復 興 を 果 た し た イ ギ リ 者 と し て は ︑ 金 融 ビ ッ グ バ ン を 実 高 ま っ て い る 日 本 ︒ そ の 行 政 関 係 赤 字 を 抱 え ︑ そ の う え に 不 況 感 が 合 わ せ て 六 百 兆 円 に の ぼ る 巨 額 の 広 が っ て い っ た ︒ 政 府 と 自 治 体 で 入 さ れ た の を き っ か け に 世 界 中 に 路 や ゴ ミ 処 理 施 設 な ど の 建 設 に 導 イ ギ リ ス の メ ー ジ ャ ー 政 権 下 で 道 P F I は も と も と 一 九 九 二 年 に 年 度 予 算 に し ば ら れ な い 長 期 的 視 業 体 で ︑ 官 は 民 間 資 金 が 使 え ︑ 単 同 出 資 し て 経 営 す る 半 官 半 民 の 企 タ ー は 国 や 自 治 体 と 民 間 企 業 が 共 い う 意 見 も あ る だ ろ う ︒ 第 三 セ ク 第 三 セ ク タ ー が あ る で は な い か と か し ︑ 同 様 の 考 え 方 の 方 式 と し て き る と 理 解 さ れ て い る よ う だ ︒ し き ︑ 民 間 は ビ ジ ネ ス 分 野 を 拡 大 で 負 担 を 減 ら し て 社 会 資 本 を 整 備 で I を 実 施 す れ ば 国 や 自 治 体 の 財 政 い ず れ に せ よ ︑ 日 本 で は ︑ P F ど 広 範 な 分 野 で 実 施 さ れ て い る ︒ ン ピ ュ ー タ シ ス テ ム ︑ 上 下 水 道 な 準 病 院 設 備 ︑ 庁 舎 ︑ 公 共 機 関 の コ 道 路 ・ 鉄 道 な ど の 運 輸 部 門 ︑ 刑 務 00 21 と ん ど ︒ イ ギ リ ス で の 実 施 例 は ︑ が 担 っ て き た 社 会 資 本 整 備 や 公 共 P F の I 略 と で は ︑ こ れ ま で 公 共 部 門 Private Finance Ini- り 仕 切 っ て き た ︒ だ か ら ︑ P F I セ ク タ ー と 同 じ だ が ︑ 第 三 セ ク タ tiative ー は 官 民 が 共 同 出 資 し た 企 業 体 で 戦 略 会 議 に よ る 答 申 で あ る ︒ た と 首 相 が 鳴 り 物 入 り で つ く っ た 経 済 最 も 如 実 に 表 れ て い る の が ︑ 小 渕 方 式 に よ り 行 う ﹂ 置 す る ︒ セ ン タ ー 設 置 は ︑ P F I 産 学 連 携 の 核 と な る セ ン タ ー を 設 年 ︑ 三 十 年 の 長 期 に 及 ぶ も の が ほ る と い う も の だ ︒ 運 営 期 間 は 二 十 や 国 民 に 対 し て サ ー ビ ス を 提 供 す 個人情報は守られているか 数学的に特徴を抽出したモデリング とデータベース内の登録データのそ 大な額にのぼるものと試算している。 本年、1月からデビットカードシ データ作成し、それを保存・照合す れぞれから取り除くシステムを構築』 重要施設への入退出管理、マンショ る方法も実用化されている。 し、本人同定をクリアした。顔画像 ンの施錠システム、また、今後、盛 による認証は、ビデオカメラによる んになるだろうと予想されるインタ 小電力、小型化する 撮影だけなので、指紋をスキャンし ーネット上のネットバンキングや、 撮像デバイス たり虹彩にレーザーを当てるシステ 電子商取引における本人確認のため 次に、画像照合技術について見よ ムと比較してもスマートだ。 のツールとしても利用できる。 ステムが開始された。これは買い物 の精算時に、銀行のキャッシュカー ドをショップ店頭にある専用端末に 通すことで、自身の銀行口座からダ 人間の体やクセが 安全を守るカギである イレクトに精算金額を引き落とすシ 個人認証システムが情報化社会の そのためには、いつでも、どこで タベースに保存されている画像と、 中で本格的に確立されつつある背景 も認証が行える、認証システムのポ 実際の本人の顔を照合する技術だ。 には、撮像デバイスの技術的な発達 ータブル化が必要だ。例えばソニー ここで問題となるのは、参照データ がある。もともと、映像をデジタル がサンプル開発した『FIU-700』は、 に取り入れている例は現実に多くな と 現在の顔 との差異――例えば 化し、データとして蓄積できるよう 名詞サイズのカード型指紋照合ユニ ってきているいる。 光の当たり方といった撮影条件で生 にするテクノロジーは、CCD(電荷 ットだ(質量 32g)。ノートブック型 まれる陰影の違い、髪型や肉付きの 結合素子)の登場によって急速に発 パソコンと接続することで、外出先 遣会社のテンプスタッフでは、ネッ 変化――だ。この差異が著しいと、 展してきた。 でも指紋による認証が行える。従来、 トワークを流通する機密的な情報へ とても同一人物とは識別できくなる。 今回は、バイオメトリックスと呼 のアクセスに対して、セキュリティ こうした点において、従来技術の認 求められると、消費電力がCCD より されてきた認証システムは、指紋、 ばれる、新たな認証システムについ 強化のため、パーソナルコンピュー 識率はせいぜい50 %程度であった。 少ないCMOS(相補型金属酸化膜半 声紋、処理速度が許すなら顔画像な てレポートしよう。 タを使った指紋認証システムを導入 これで「良し」とすれば「他人受 導体)イメージセンサが、それに変 どを認証キーとすることで、今後は している。採用システムは、光学式 入率」は高まり、逆に、参照データ わって注目を浴びるようになった。 モバイル上で様々な重要事項の処理 が可能になっていくはずだ。 ステムだ。当然、利用に際して暗証 確にパスワードが入力されたかでは にとって本人の認証へ活用していく う。ID カードに貼られた写真やデー 番号の入力が必要となる。 ない。それが本当に許可された人間 のが、バイオメトリックスの基本的 ところが、防犯カメラに監視され であると認証することだ。しかし現 な考え方である。 ている銀行の ATM コーナーと異な 状の、パスワード入力型システムに り、ショップ店頭におけるセキュリ は上記のように自ずと限界がある。 ティー・レベルは一般に低い。もし、 不正を防ぐには、絶対に人に見られ 暗証番号を盗み見られた後、キャッ ない方式で入力するか、パスワード 大量の個人情報を保有する人材派 シュカードを奪われたり偽造される に変わる認証システムが求められる と、口座残高を根こそぎ不正使用さ ことになる。 れるおそれがある。つまり、暗証番 号こそが実質的な砦であるのだ。 別な事例を考えてみよう。ネット ワークの利用には、まず、パスワー すでに、こうした技術を企業活動 ところが、より小型化、省力化が ドが必要である。これをメモに書き 生物個体差を利用する センサを使った指紋採取リーダと、 との完全な一致を求めると「本人拒 こういった低電力、省スペースとい 留め、無造作にPCに貼り付けてい バイオメトリックス アプリケーションソフトから構成さ 否率」も上がる。この場合、常に う性質は様々な分野で応用できる。 たりする例はよくある。これなどは バイオメトリックスとは、BIO れている。一度、データベースに指 苦もなく盗まれ、ハッキングに利用 (生体の)とMETRICS(計 紋を登録すれば、記録が保持される される(実際、表の顔は出入りのシ 量・測定の)という2つの言葉から ステム業者であるハッカーは、企業 ゲートといった特定ポイントに設置 国民の情報を集中管理する 総背 例えば、自動車の車体各部に、 番号(住民番号)制度 題はかなり回避できるが、メンテナ CMOS センサを組み込んだ複数のデ ドから提案されている時代である。 限り、利用者はパスワードを毎回入 ンスの観点から明らかに現実的では ジタルカメラを取り付け、画像を車 良くも悪くも、個人情報のデジタル 成り立っていることからも察せられ 力しなくてもよい。つまり、第三者 ない。 内へ転送するというアイデアだ。ド 化、データベース化が進むことは時 のこうした現場でパスワードを盗ん るように、生物個体それぞれが持つ によるコンピュータネットワークへ 画像照合技術では、こうした 一 ライバーの死角をCMOS カメラでカ 代の流れに見える。その場合当然、 でいる例が多々あるそうだ)。 差異を積極的に利用した認証システ の不正アクセスの防止が狙えるとい 見本人とは見えない本人 の識別が、 バーする仕組みである。 プライバシーやセキュリティの保護 さて、両者に共通して言えるセキ ムのことである。例えば、人間の身 うわけだ。 かなり重要なキーとなる。 ュリティー上の問題点は、アクセス 体には指紋のほか、眼球の瞳孔を取 ところで、データベースに登録し ところが現在、認識率が85 %以上 した人間が確かに本人であるかを、 りまく虹彩、声紋といった一生涯ほ ておく個人の特徴は、必ずしも、指 という高精度な画像認識システムが あくまで間接的にしか照合していな とんど変わらない個人標識が存在す 紋なり虹彩なりの実物画像とは限ら 開発されつつある。松下技研では、 ステム」と呼ばれる虹彩確認式の照 何らかの安全装置が早急に必要とな いことだ。パスワードが他のID(あ る。また、後天的に獲得する特徴で ない。考えてみれば、自分の指紋が 『撮影時の光の向きや本人の肉付き、 合システムを販売している沖電気に るだろう。この複雑な情報化時代に るいはカード現物)と合っている= は、筆跡が犯罪捜査において個人を そのままの形で第三者に保存されて しわの有無など撮影条件によって変 よれば、個人認証技術の広範囲に及 おいて、バイオメトリックスによる 本人、という図式になっている。当 特定するのに利用されたりもする。 いるのはあまり気持ちの良いもので 化する顔の特徴を「状況変動特徴」 ぶ応用を考慮に入れると、2005 年に 個人認証システムが重要な役割を果 たり前のことだが、重要なのは、正 こうした、個体間ごとの違いを逆手 はない。そこで、実物画像ではなく として設定。この変化を、撮影画像 おける市場規模は5千億円という巨 たしそうなことは確かだ。 22 最新の顔 にデータ更新すれば問 が行政サイ が大きな問題となる。果たして、モ バイオメトリックスの潜在価値 ラルや「自己防衛」だけでリスクや 「アイリスパス 混乱を避けられるだろうか。そこに、 Sゲート管理シ 23 発展が期待される東アジア市場への取り組み ――中国・香港、台湾の場合 日本貿易振興会アジア経済研究所によると、1999 年の東アジア経済は98 年のゼロ成長から3.1 %成長へと好転 台湾市場 仕有限公司)と株式会社東栄リーファー (善盈實業股粉 の兆しが見えると予想されています。混迷状態からの突破口を開きつつある東アジア市場は、これからの日本経済 台湾では産業機械向け油圧機 ラインが活動しており、前者がおもに商船市場を、後 にとって大変重要な位置を占めることになるのは明白です。特に、中国・香港市場と台湾市場は、東アジア経済の 器とマリンシステムに注力し、 者はマグロ延縄漁船などを中心とする漁船市場を担当 鍵を握る中心地域と言うことができるでしょう。そこで、トキメックがこれらの市場に対してどのようなアプロー 代理店を通じてお客様に密着し しています。特に大形の商船は統合ブリッジシステム/ チを行っているのかを、ここで簡単にご紹介させていただきます。その他の市場につきましても、順次レポートし た営業活動を展開しています。 IBSがご好評をいただいており、一昨年、エバーグ て参りますのでご期待ください。 油圧機器の代理店としてはWEI- リーン社のDタイプコンテナ船 10 隻にご採用いただい 仕有 TCHIA CO.,LTD.(維嘉股粉 たことを契機に数多く引き合いを頂戴しています。漁 保線に対するニーズも高まりが期待できます。この分 限公司)が台北、台南、台中に集中する工作機械メー 船に関しては、小形・沿岸船向けのメニュー拡大を通 トキメックでは中国全土への 野には、日本の新幹線や在来線で数多くの実績を持つ カーや産業機械メーカーのお客様にアプローチを続け じてお客様の満足できるマリンシステムをご提案して 前進基地として、1997 年に現地 超音波レール探傷車や各種保線機器をご活用頂くよう ており、CHEN SONG MACHINERY 社(年間 6000 台 います。流体計測や非破壊検査は、これからの成長が 法人 TOKIMEC HONG KONG 働きかけを進めています。また、経済改革に伴って、 の射出成形機を生産する世界最大のメーカー)が生産 期待できる市場であり、特に非破壊検査分野は既存の LTD.(東機美 香港有限公司)を 物づくりのプロセスにおける品質に対する考え方も変 する射出成形機の全てにトキメック油圧機器をご採用 船舶・港湾市場のお客様に潜在ニーズがあることから、 設立しました。香港は中国本土 わりつつあるため、非破壊検査機器の需要も見込まれ いただくなど、大きな成果を挙げています。船舶用機 積極的なご提案を行っていく方針です。 へのゲートウェイであるため、こ ます。中国には大きな製鉄会社があり、いずれは国内 器 で は 、 SUN-YING EARNEST INDUSTRIALLTD. 中国・香港市場 こを拠点として中国市場の新規開拓を行う考えです。 需要から輸出へと転換がなされることでしょう。その また、将来的には東南アジア全域を統括するセンター 時、品質保証や品質管理という避けては通れないテー とすることも視野に入れて、現在はその足固めを行っ マが生まれるのです。その時、超音波探傷システムな ている段階です。今、中国市場は内需拡大政策が功を ど非破壊検査機器に対するニーズも必ず発生します。 奏してインフラ整備などを中心に固定資産投資が活発 その他、中国には多数の漁船や沿岸船があり、トキメ 化しており、公共投資も加速しています。今後、活発 ックの航海機器をご利用いただくチャンスも多数あり な公共事業が見込まれているため、TOKIMEC HONG ます。TOKIMEC HONG KONG LTD.は、こうしたビ KONG LTD.ではこうした市場に向けた営業活動を積 ジネスチャンスに積極的に挑戦しながら、次なるステ 極的に進めています。たとえば、鉄道市場。経済改革 ージへの道を開拓しています。 WEI-TCHIA CO.,LTD. 仕有限公司)の (維嘉股粉 オフィス。 油圧機器の大手代理店 の一環として鉄道輸送網の再整備が計画されており、 WEI-TCHIA のオフィスが入るFar East World Center ビル TOKIMEC HONG KONG LTD.は、 One Hysan Avenue ビルの9 階にある。 世界最大規模の射出成型機メーカ、 CHEN HSONG CHINERY 社 年間生産台数 6,000 台を誇る工場 24 25 がより細かく把握できていれば、被災 制の確保に威力を発揮する情報ネッ 学研究所(以下、防災科研)では、 失われ、住宅や公共施設などにも甚大な被害をもたらした。その後、地震対策はどのように進んでいるのだろうか。 地毎に応援部隊を出動させるという トワークとして期待されるシステム 地震による地面の動きを知るために、 ここで、その概要を地震観測ネットワークという視点から探ってみた。 的確な指示ができたであろう。こうし だ。 強震ネット(K-net)と高感度地震観 阪神・淡路大震災が起きたのは4年前の平成7年 1 月 17 日。大都市を襲った直下型の地震ということから、数多くの尊い人命が 測網(Hi-net)という2つの観測ネッ た教訓を生かして、平成 7 〜 8 年度に 地震対策の 3 つの柱 地震対策はおもに次の3つの柱が ム』が利用されている。ここには全国 の各市区町村ごとに地形や地質構造、 2 一刻を争う初動対応の迅速 かけて整備されたのが先に紹介した自 化に向けて 治省消防庁による『震度情報ネット 3 ●取り組み事例: メカニズムを探り、地震に 強い環境整備を行うために トワークを全国に展開している。 K-net は文字通り大きな地震を対象 としたもので、多くの観測点は役場 重要な位置を占めている。まず1つ 建築物(築年・構造別)、人口(昼夜 大規模地震では被害状況を正確に ワーク』なのである。このシステムは は情報提供力。正確でスピーディな 別)などの情報がデータベース化され 把握し、的確な救助・救出作業を行 市町村単位で震度を計測し、ネット 科学技術庁防災科学研究所 など公共施設の敷地内に設置されて 地震速報は、憶測情報による住民の ているため、気象庁からの震度情報 わねばならない。従来、消防やレスキ ワークを介して震度情報を都道府県、 阪神・淡路大震災では、関東大震 いる。人間の生活圏内に近い条件で 不安や混乱を防止する上でも欠かす とあわせることによって被害の規模を ュー隊の出動態勢は、気象庁が発表 消防庁まで伝達するというものだ。こ 災クラスにも耐えられると言われてい 観測が行われているのが特徴だ。現 ことのできない要素だ。2つ目は、被 推計できる。精度を増せば自治体や する地震速報に基づいて行われてきた れによって地震発生状況が詳細に分 た高速道路や鉄道路線などが軒並み 在、全国に約 25km 間隔で約 1000 地 害者の速やかな救出と二次災害防止 住民レベルでも有用な情報として活 が、阪神・淡路大震災によってそれ かるようになり、的確な初動対応が 崩壊し、地震学や耐震工学に大きな 点に地震計が設置されている。計測 を行うための機動力。そして、3つ 用できるため、両庁でさらなる改良が だけでは不十分なことが判明した。た 行えるようになったのである。 衝撃を与えた。こうした事実を前に されたデータは、つくば市にある防災 目は地震に強い施設を構築したり、 進められている。このシステムによっ とえば、当時、神戸海洋気象台発表 また、このシステムは各省庁などと して、強い地震の揺れ(強震動)に 科研の強震観測センターで一括管理 地震のメカニズムを探る研究・開発 て被害予測は 10 分以内で行えるよう による震度 6 の情報に基づいて行動し もリンクしているため、地方公共団体 対する研究の重要性が改めて見直さ されており、震度 3 以上の地震が起き 力である。この3つの柱をより強固な になり、従来の約1/3に時間が短縮 たため、神戸市内を中心に応援部隊 が他の団体に応援を行う場合や逆に れている。地震の伝わり方が地盤や た場合には気象衛星ひまわりによる ものにしていくことが地震対策の要で された。 が派遣された。 応援を受ける場合必要となる応援者 地下構造でどのように異なるか、断 『気象庁緊急情報衛星同報システム』 しかし、後に震度7の地域が帯状 数,備蓄物資の状況,ヘリコプタの 層がどのように動くとどのような地震 からの情報をもとに観測点を瞬時に に広がっていたことが判明したため、 離着陸情報,緊急消防援助隊などの 波が生じるかという強震動の研究は 算定し、当該地区の強震記録を回収 では、その3つの柱がどのように機 現場での活動に混乱が生じてしまっ 情報交換ができるようになっている。 地震予知研究と並んで防災の基礎と する。回収されたデータは強震観測 能し、それぞれに対して地震観測ネ たのである。あらかじめ地域毎の震度 災害発生時の迅速かつ的確な初動体 なるものである。科学技術庁防災科 センターで編集され、最大加速度の あり、そのためには基礎となる震度情 報が不可欠なのである。 ットワークがどのように活用されてい るのかを見ていくことにしよう。 1 スピーディな情報提供をする ために 地震速報の発信は気象庁が他省庁 と連携して行っている。そのひとつ に、自治省消防庁が全国配備した 『震度情報ネットワーク』との統合が ある。このネットワークには 3300 余 りの各地方自治体に設置された地震 計からのデータが集約されており、こ こに気象庁が持つ全国約 600 箇所に設 置された震度計の情報を加えること 広がる 地震観測 ネットワーク ① ③ 加速度計TA-25 D 地震計のセンサとしてトキメックの加速度計 TA-2 5 Dが数 多く採 用されており、すでに 12,000 個の採用実績がある。 ② によって綿密な地震情報を得るとい うものだ。これによって地震監視能力 沼津市水道部では万一の地震発生に 備えて泉水源池での震度管理を行っ ている。このように各地方自治体が 独自に地震観測を行っている例も多 い。 が飛躍的にアップし、地震計設置密 度は阪神・淡路大震災以前の 10 倍以 上になった。これは米国カリフォルニ ①泉水源地の取水用深井戸 ア州を上回る世界一の規模である。 ②中央管理制御室と地震計表示部 また、被害予想の速報については、 ③地表に設置された地震計の計測部 国土庁の『地震被害早期評価システ 26 27 分布図や地震波形などが盛り込まれて 物の上部と下部に設置されて地動と建 も運輸省航空局や東京空港工事事務所 インターネット上に公開される。 物の挙動が測定できるようになってお などと共同で行っている。97 年度から また、10gal 以上の揺れを記録した り、すべての観測地点は電話回線で建 航空局では空港における強震観測の実 観測点の当該自治体に対しては、最大 築研究所と結ばれている。複雑な建物 施を進めており、空港での強震観測網 加速度や気象庁計測震度などの強震情 の地震応答や地盤と建物の相互作用を も数年後には稼働する予定である。 報が直接送信される。また、K-net に 実際の現象を観測・分析することによ は電話回線とのインタフェースが2つ って、耐震性に優れた建築物の研究に あるため、各自治体は防災科研の公開 役立てられているのだ。 瓦礫の下に埋もれた生存者の救出に貢献! 生存者検知装置 ライフディテクタ PRODUCTS ◇◇◇ そのほか、横浜市のように、市内各 ライフディテクタは、地震 拍を検出することによって救 ていました。ライフ 所に強震計を設置し、災害時優先通信 や土石流、雪崩、トンネル崩 出 活 動 の手 助 けを行 います。 ディテクタによって、 落事故などで生き埋めになっ 装置の本体は 10kg と軽量で 1 人 でも多 くの人 命 た被災者を発見するために開 あり、緊急時での機動性を損 救 助 にお役 立 ていた 発された新システムです。瓦 なうこともありません。従来 だければ幸いです。 データとは別に独自にデータ収集を行 また、同省の土木研究所耐震技術研 回線を利用した強震観測網を独自に敷 うことも可能だ。K-net の全観測点の 究センターでは、道路,河川,ダム,下水 いている自治体もある。また、大手ゼ 半分以上にあたる 522 地点のデータが など公共土木施設の地震防災研究を目 ネコンでは、全国の拠点を対象とした 礫の隙間にスティック状の送 は、瓦礫の下に埋もれた生存 都道府県による震度情報ネットワーク 的として、これら管理施設沿いに地震 地震計ネットワークを構築するなど、 受信アンテナを差込んでマイ 者の確認を知るための科学的 システムに組み入れられており、防災 計を設置したネットワークを整備して こうした動きは民間企業にも広がって クロ波を照射し、その受信波 な手段が無く、救出活動を行 デバイス機器部 に含まれる生存者の呼吸や心 う方たちの経験と勘に依存し (03)3732-2072 いる。このシステムは、地震発生直後 きているのだ。地震発生を予知するこ 一方のHi-net は、微小な揺れを検出 に管理施設近傍の地震動強さを把握し とはまだ難しい状況であるが、地震観 する地震観測ネットワークである。人 て初期活動の効率化に役立てることが 測ネットワークの拡充に伴い、被害の 間が感知できないような軽微な地震を 目的である。土木研究所には観測網全 最小限化を目指した防災対策が着実に キャッチすることによって地震の研究 体の管理を行うワークステーションが 進歩していることは確かである。 に役立てるのがおもな狙いである。交 設置されており、ISDN 回線を通じた 活動に役立てられている。 (文中敬称略) 《問い合わせ先》 電子システム事業部 推進工法のレベル管理を合理化します! トンネル掘進機用レベル検出装置 TL-200 PRODUCTS 《問い合わせ先》 TL-200 は、掘進機内部 増やしたり計測回数を増やす も対応可能。 と縦坑の基準点を結び、地中 必要があるなど問題点もあり ●表示ユニットにモニタ機能 での掘進機のレベル変化をリ ました。T L − 2 0 0 は、お を搭載しており、レベル異常 通や気象条件による地表付近の雑微動 遠隔操作によってデータの取得や観測 を排除するため、ボーリングによって 施設の点検を行うことが可能である。 アルタイムで計測するシステ 客様のニーズにお応えするた や通信異常を容易に確認可能 掘られた地下 100 メートル(標準)の 現在までに蓄積されたデータは、土 ムです。ミリ単位での高精度 め、以下の特長によって問題 ●弊社の『トンネル 底に地震計が設置されているのが特徴 木施設の振動特性,地震動の空間分布 な勾配管理を可能とし、掘進 を解消いたしました。推進工 ジャイロ』と接続す 特性,地震時の地盤歪みなど関する研 精度の向上と施工の効率化に 法の合理化にぜひお役立てく れば、掘進機のロー 大きく貢献いたします。現在、 ださい。 リングやピッチング だ。日本全国に約 20km メッシュを基 本として観測点を配置する計画で、現 究成果のほか、各種公共土木施設の耐 在約 230 点の地震計が設置されており、 震設計基準の策定に反映されている。 ▼平成10 年版 防災白書(国土庁編) 最終的には既存の観測点と併せて1000 点の観測網となる。データは通信回線 ●取り組み事例:運輸省港湾技術研究所 で最寄りの管区気象台および中央局に 運輸省港湾技術研究所では 1962 年 送信され、他の観測点と併せて常時記 より港湾地域において強震観測を実施 録・解析が行われている。得られた結 しており、今までに約 5200 件の強震記 果は気象庁からの速報という形で防災 録が観測・蓄積された。ここから得た 関係機関などに伝えられるほか、地震 データは、港湾施設の被害原因の究明 調査委員会による地震活動の現状把握 や港湾構築物の耐震設計法検討のため や、全国の研究者による地震の調査研 の基礎資料として活用されている。昨 究など、多面的に活用されている。 年 9 月現在では60 港に96 台の強震計が 設置され、ISDN 回線によるオンライ ●取り組み事例:建設省 建物の耐震設計を進めるうえにおい て、地震動の特性や地震時における建 推進工法においても曲線施工 [参考文献] ン化も急ピッチで進められている。こ こ数年内には遠隔操作でのデータ取得 や観測機器の点検などが行えるように 物の挙動を正確に知ることは重要な意 なるということである。その他、同研 味を持つ。そのため、建設省建築研究 究所では空港土木施設に関わる研究も 所では全国の主要都市 47 地点に強震 行っており、空港における強震観測の 計が設置されている。この強震計は建 実施と観測データの解析などについて 28 ▼科学技術庁防災科学研究所ホームページ (http://www.bosai.go.jp/) ・高感度地震計測による基盤観測網整備計画 (03)3737-8660 によるレベル誤差を 【特長】 や長距離施工を行うことが多 ●ホース接続部にカプラを使 自動修正可能。 くなってきました。 用しているので、推進工法の ●最大 6,350mm ま 段取り替えでも脱着が容易。 で盛替え無しで計測 利用した計測では、こうした ●計測ユニットの小形・軽量 可能(オプション使 施工に対応するために縦抗を 化によって小口径トンネルに 用時) しかし、従来のレーザ光を 制御システム事業部 ・強震ネット ▼地震学会ホームページ (http://www.soc.nacsis.ac.jp/ssj/ssjinfo/kyosin/ saisin/saisin.html) ・ K-NET 強震観測委員会 青井 真(防災科学技術研究所) ・震度情報ネットワークシステムの整備 消防庁防災情報室 長尾一郎 ・建設省建築研究所での強震観測 国際地震工学部応用地震学室 横井俊明、 鹿嶋俊英 INFORMATION 神奈川営業所が オープンいたしました 神奈川県内のお客様にスピ ●住所 ーディで細かなサービスをご 〒 242-0021 提供するため、1月1日付け 神奈川県大和市中央 2-5-4 で神奈川営業所が 大和西口ビル オープン いたしました。油圧機器の販 ●電話: 0462-65-3320 ・公共土木施設の地震観測 杉田秀樹(建設省土木研究所耐震技術研究 センタ防災技術課) 売・サービス業務を中心に活 ● FAX : 0462-65-3276 ・港湾および空港における強震観測 運輸省港湾技術研究所地盤震動研究室 一井康二 の際は 大和グランド ホテル 小 田 急 江 ノ 島 線 ユザワヤ 大和駅西口 東京三菱銀行 大 動して参りますので、ご用命 徳州会病院 県 道 40 号 トキメック神奈川営業所 (大和西口ビル2階) 厚 木 街 道 どうぞお気軽にお申 し付けください。 [取材協力] 沼津市水道部 泉水源地 殿 明星電気株式会社 殿 29 和 駅 相模鉄道 INFORMATION 船舶向けメニューをさらに充実! 無線通信システムを新たに加え、お客様の幅広いニーズにお応えします。 PRODUCTS レール検査の機械化, 自動化を推進する ハイテク超音波レール探傷車が完成! トキメックでは、ジャイロ ニケーション』というブリッ に対しても独自な対応ができ た生ゴミを消滅処理するエコ このたびトキメックは、在 コンパスやマリンレーダ,オー ジシステムの基本となる2つ るようになりますので、お客 システム、ボイラ,配管などの 来線用超音波レール探傷車を 今回納入された超音波レー トパイロット,電子海図情報表 の要素を全て手にすることに 様のニーズにベストマッチし 保守・点検が行える超音波厚 九州旅客鉄道株式会社殿へ納 ル探傷車は、従来の SM-600 示装置をインテグレートした なりました。 たシステムアップが可能です。 発進式が行われました。 ールデータと比較演算するこ 接 触 通 信 システム「 データデ とで、断面磨耗量を算出しま ポ・システム」を採用し、鉄道 す。 全線にわたる距離情報を書き 込んだデータ・デポを「キロポ さ計やポータブル超音波流量 入致しました。1964 年に開通 形探傷器に代わる新形探傷器 「レール波状磨耗測定装置」 『統合ブリッジシステム』など トキメック独自の無線機器 もちろん、ブリッジシステ 計なども、航海の安全と省力 した東海道新幹線用レール探 を搭載し、測定装置全体のコ は、2個1対のレーザ変位計 スト」として 500m 毎に設置。 の開発を通じて、航海の安全 を搭載することによって航海 ム以外にもお客様のお役に立 化、環境保護に役立つ商品と 傷車の納入以来、JR各社に ンパクト化も達成しています。 からレール表面に微少ピッチ レール探傷車の車輪に取り付 と省力化に貢献する商品をお 機器との融合性をさらに高め、 つ商品を積極的にご提案して してお客様に貢献できるもの 納入した車両としては8両目 また、ロングレールの溶接部 でレーザ光を照射して局部的 けた距離パルス発生器(エンコ 届けしてまいりました。そし 使いやすくメンテナンス性に 参ります。 と確信いたしております。 にあたり、レール探傷はもち 欠陥を検出する専用探触子も な形 状 の変 化 を連 続 測 定 し、 ーダ)で作業開始地点からの走 てこのたび、アンリツ株式会 も優れた『統合ブリッジシス たとえば、産業機械市場で トキメックは、船舶用機器 ろん、「レール断面磨耗測定装 配置し、左右レール用各7チ 単位長さ1m毎の波状磨耗量 行距離を測定、「キロポスト」 社殿から船舶用無線通信機器 テム』をお届けすることが可 実績のある油圧機器に船舶市 の総合メーカとして、お客様 置」「波状磨耗測定装置」「探傷 ャンネルの探触子を使用して を測定します。レール断面磨 を通過する時にデータ・デポ に関する営業権の譲渡を受け 能となります。また、近い将 場向けメニューを加えるほか、 の幅広いニーズにお応えして 位 置 検 知 装 置 」 など、最 新 の レール内の有害欠陥を時速 耗量とレール波状磨耗量の測 から正確な位置情報を読み取 ることになり、トキメックは 来普及が予測される『Fleet 船内情報の共有化を図る船内 まいります。どうぞご期待く 超音波技術, 画像処理技術を 40km で連続的に探傷します。 定結果は、モニタにリアルタ り、走行距離の誤差を自動修 Management LAN システム、厨房で発生し ださい。 応用した多彩な機能を搭載し、 探傷結果は判読しやすいB イムで表示し、同時に測定デ 正して、精度の高い探傷位置 一度の走行ですべての検査と スコープ画像でモニタに準リ ータを収録します。測定作業 検知を実現しています。 データの収録を同時に行なえ アルタイムで表示し、合わせ 終了後に、測定結果の印字が る新鋭車両です。これまで人 て探 傷 データを収 録 します。 できます。 力に頼ってきた、九州全線 「レール断面磨耗測定装置」 「探傷位置検知装置」は、レ ータ通信技術などの固有技術 2,900km におよぶレール検査 は、走行しながらスリット状 ール探傷車が検出した欠陥が を総合的に組み合わせること の機械化,自動化を推進するハ のストロボ光を照射して、レ どの地点にあったかを確認で によって、鉄道の安全運行に イテク超音波レール探傷車と ール頭部の断面形状を2台の きる位置情報を記録出力しま 欠かせない保線作業の効率化, して期待されており、3月 19 CCDカメラで断続的(3 メー す。九州旅客鉄道株式会社殿 高精度化を追求しています。 日には佐賀県の鳥栖レールセ トル毎)に撮影し、撮像データ は、探傷位置情報を正確に記 ンターにおいて安全祈願祭と を画像処理して基準(新品)レ 録するためにトキメックの非 『ナビゲーション』と『コミュ System』 <トキメックの船舶用商品> Fleet management system● 無線通信機器● ●生ゴミ処理機 航海機器● ●甲板機械用油圧機器 統合ブリッジシステム● トキメックでは、超音波技 術, 画像処理技術, 非接触デ ●電波レベル計 船内LANシステム● ●接岸速度計 レーザ式/超音波式 レール探傷車 舵機● 計測室 ●保守点検 超音波厚さ計 ポータブル超音波流量計 消火設備● ●フィンスタビライザ 断面摩耗測定装置 30 データデポ・システム 31 探傷装置 システム用ディジタル超音波探傷器にSM-2000 とSM-350 が加わり、 さらにラインナップが充実しました。 PRODUCTS PRODUCTS ■システム用ディジタル超音波探傷器SM-350 ■システム用ディジタル超音波探傷器SM-2000 超音波とX線の目で、半導体内部を立体的に評価・観察! 『超音波映像探査装置IS-1000 S』『X線半導体検査装置ISM-4080』を販売開始。 トキメックは、半導体デバイスの内部を評価・観察する非破壊検 トキメックでは、かねてより IS-10S という超音波映像探査装置 をお届けしてまいりましたが、さらに使いやすさが追求された新商品 SM-2000 は手動探傷から コントローラ付きで最大 SM-350 は、数多くのフィ 鋼などの品質管理に適してい 査装置として『超音波映像探査装置 IS-1000 S』と『X線半導体 自動探傷まで幅広くご利用い 186ch まで構成できる B タ ールドで実績を持つポータブル ます。測定範囲全域でリアル 検査装置 ISM-4080』の2機種の販売を開始いたしました。超音 IS-1000 Sをデビューさせました。これと同時にX線半導体検査装 ただけるフルディジタル探傷器 イプ、チャンネルユニットのみ タイプのディジタル探傷器 タイムゲート動作を行うため、 波方式は剥離やダイアタッチなどの検出に優れ、X線方式は金ワイ 置 ISM-4080 を発表することによって、半導体検査市場のお客様 にさらに貢献できるようになりました。 です。1ch から最大 186ch で最大 186ch まで構成でき SM-300 をベースにして自動 高速走査でも正確な信号を出 ヤの状況や実装基盤のスルーホールの検出に優れるというそれぞれ までの探傷が可能で、研究室 る C タイプの3機種をご用意 探傷用の機能を盛り込んだ新 力します。もちろん、自動探 の特長があります。半導体の非破壊検査は、これらを上手に使い分 の精密探傷から工場での自動 しています。見やすい大形 システムです。簡易形の自動 傷に必要なSエコー同期機能 けて多角的な観察を行うことが重要です。 探傷まで幅広く対応できます。 LCD コントローラを採用する 探傷を得意としており、各種 も搭載しております。 SM-2000 にはお客様の用途 など、使いやすいデザインも追 自動車部品,薄板素材,丸棒 にあわせて、2ch までのユニ 求しています。 ■超音波映像探査装置IS-1000 S 動作し、画像ファイル管理ソ ISM-4080 はX線透過に きるので、半導体内部に発生 解能やスキャナ機構部のスピ フトやワープロ、画像処理ソ マイクロフォーカス方式を採用 した半田バンプのボイドやワイ ードといった基本性能のアップ フトの搭載も可能なため、物 した検査装置です。マイクロ ヤの断線、プリント基板の内 ●表示器 に加え、新たにマルチイメージ 理的な検査作業の後のファイ フォーカスとは、照射するX線 部状況などの観察に適してい 5 インチEL 320 × 256 画素 機能を追加することによって使 ル管理や報告書の作成もシス 焦点を絞ることによって分解 ます。垂直透視機能や回転透 いやすさが大幅にアップしてい テム上で行えるようになってい 能を向上させる機能です。X 視機能などによって多角的な るのが特長です。これは、テス ます。その他、オプションの 線の照射によって得られた透 観察がリアルタイムで行えるの トピース一回のセットアップ LAN ボードを搭載すれば、社 過映像をそのまま見ることがで が特長です。 で、段階的な深度毎に最大 31 内のネットワークと接続するこ のイメージ映像としてとして一 ともできるので、他のコンピュ 括取得できるものです。評価 ータから IS-1000 Sにアクセ 箇所を素早く特定し、確実な スすることも可能です。 ットを組 み込 んだ A タイプ, [主な仕様] [主な仕様] ●表示器 10.4 インチカラーLCD ●送信パルス ●周波数帯域 スパイクパルサ: 500VP-P,パルス幅50 〜500ns 可変 広帯域: 1 〜8 MHz,8 〜18 MHz,18 〜 25 MHz,0.5 〜 25MHz バーストパルサ: 400VP-P,波数最大 30 ●感度調整範囲 周波数1.0 〜5.0 MHz 0.1 MHz ステップ 0 〜110 dB(最小ステップ0.5 dB ) 立上がり時間:50 Ω負荷30ns 以下 無負荷10ns 以下 ●ゲート数 ●周波数帯域 3 ch(S エコーゲート,G1,G2) 広、中帯域: LPF 側 2.5,6.5,12.5,25,32 MHz 切換 HPF 側 0.5,1.5,3.5,7.5,11.5 MHz 切換 狭帯域 : B1(1 MHz)/B2(2MHz)/B3(5MHz)切換 ■X線半導体検査装置 ISM-4080 IS-1000 Sは、画像の分 ●メモリ 判定をサポートする新機能で 探傷条件 63 セット, 波形 32 データ(オーバーライト可能) す。操作は Windows 環境で オプションフィルタ:フィルタ6 種類および中心周波数可変 バリアブルフィルタ追加可 IS-1000S (1 〜 10 MHz,0.1MH ステップ切換) (左)半導体パッケージのワイヤボンディングとダイヤタッチ (右)携帯電話内部部品 マルチイメージ画面 ISM-4080 SM-2000(6ch 構成のBタイプ) 32 SM-350 《問い合わせ先》 制御システム事業部 (03)3737-8621 33
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