ボール盤(drilling machine) 使用説明書

ボ ール盤
ボール盤(drilling machine)
使用説明書
1998 年 7 月
航空 工学教室
目次
1. はじめに ................................................................
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2. ボ ー ル 盤って 何? ................................................................
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3. 使用方 法 ................................................................
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4. 使用上の 注 意 ................................................................
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5. 補足・メモ
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図 1:鉄工室の ボ ー ル 盤( 三種 類 ) ................................................................
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図 2:卓上 ボ ー ル 盤に おける回 転 数の 変え 方................................................................
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図 3:卓上 ボ ー ル 盤の 各 種スイッチ 類 ................................................................
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...... 6
図 4:直立ボ ー ル 盤の 各 種スイッチ 類 ................................................................
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...... 7
図 5:卓上 ボ ー ル 盤用ドリルと潤 滑 油 ................................................................
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....... 8
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図 6:直立ボ ー ル 盤用ドリル ................................................................
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................... 9
図 7:ねじと下穴の 関係
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6. 専門 的 知識 ................................................................
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7. 鉄工室 ボ ー ル 盤の 設置場 所 ................................................................
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ボ ール盤
1. はじめに
本 使用説 明書は、ボ ール 盤加工に関わる基 礎事項のみを解説します。実際には、必ず平川技
官と相談しながら安全に作 業してください。
2. ボール盤って何?
・ 主としてドリルを使用する穴あけ用の機械
・ 場合によっては、タッピング、リーミングなども行いうる。他、座ぐり,皿もみ。
・ ドリルは主軸とともに回転し、軸方向に送られる。
※ 穴あけ(drilling)
: 一 般にドリルに回転と送りを与え、定置された むくの工作 物に穴
をあける作業
※ タップ立て(tapping)
: 下穴にねじ込みながらめねじを切る作業
※ リー マ 仕上げ(reaming) : すでに加工された穴の内面を、さらに精密に 仕上げるた めの加
工方 法
3. 使用方法
① 被削材 の取り付け
・ テ ーブルの清掃・・テーブル 面のキリコやゴミをほうきで払い、ウエスで拭く。
・ 取り付け・・テーブルに取り付ける。小物はバイスにくわえて、手で押さえるだけでも穴は
T みぞを使って締 め 付 ける。被削 材 の形 状によっ
あく。大きいものは、テーブルやベ ースの
V ブロックなどを使う。
て、かいもの(ライナやブロックなど)、ジャッキ、
② ドリルの取り付け
・ 清掃・・主軸、シャンク、スリーブ、ソケット、ドリルチャックを拭く。内部のキリコを取り除く。
・ 取り付けにあたっては主軸のドリル抜き穴を見えるようにするとともに、工具や 取り付け具
ング の幅の狭い方 向を抜き穴に合わせる。そして、力を入れてグッと押し上げるようにする。
・ ドリルチャックにドリルを差し込んで、ドライブキーを強く締 め 付 ける。
・ ドリルを回転させ、心が振れていないことを確認する。
③ ドリル合わせ
・ テ ーブルの高さを調整する。
・ ドリルの先端とポン チ 穴を一 致させる。
④ 回転 数(,送り)をセットする。
・ ドリルの径、被削材 の材 質から、ドリルの回転 数、送りを、表より選 び、セットする。
⑤ 穴あけ
・ 手動あるいは自動で、送りをかけ、注油しながら穴あけを行う。
4. 使用上の注意
☆ 切れない刃を使わないように!
セットする前に技官に見てもらい、使用可能かどうか確認する。
2
のタ
ボ ール盤
☆ 穴の径に応じて、回転 数を調節 するように!
☆ 確実に注 油し、潤滑・冷却を怠らないように!(
& きりこを出す)
☆ 工作 物はしっかり治具(バイス等)に固定するように!
工作 物を手に持ったまま穴あけ作業をしてはいけない。
特に薄い 材 料は危険。
☆ 機械動 作 中は、手や頭を近 づけないように!
手 袋を着 用したままの作業は大変危 険。
顔を 近 づけすぎると、髪の毛がドリルに巻き込まれたり、きりくずが目にはいり大変
危 険。
他、回転している部 分は、着衣 や 髪の毛が巻き込まれる危険性があるので十分注
意するように! 腰を低くして姿勢良く作業しましょう。
☆ 作 業環境を整えてから、作業をはじめるように!
ウェス等をテーブルの上に置くと、巻き込んで危険。
意味も無く工具等をテ ーブルの上に置かないように。自分や 近 くの人 に飛んでいっ
たり、足に落下する危険性があります。
☆ 工作 上の注意点 !
アルミニウム,真 鍮,銅などの柔 らかい 材 料の 場合 には、絶対に 下穴をあけない。
貫通するときには十分に注 意すること。特に真 鍮や 銅の場 合。
☆ 整 理 整 頓!
作 業終 了後は、切りくずを除去 清掃 し、整頓して、次の人 がスムーズに作業にとりか
かれるように環境を復元すること。(一般常 識)
5. 補足・メモ
・ 精度の良い穴をあけるのに、治具やガイドを使用するとよい。
・ チゼ ルエッジ部の悪影 響を 避けるた めに、あらかじめ 小さな穴をあけておくか、シンニ
ングをほどこす。
・ 熱の放射がうまくいかない。
・ 切りくず排 出が難しい。
・ チゼ ルエッジ部 (負のすくい角 )の切削 抵 抗に比べ、外周部の切削 抵 抗は小さく仕上げ
も良好である。
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ボ ール盤
図 1:鉄工室のボール盤(三種類)
卓 上 ボ ー ル 盤(中) 卓上 ボ ー ル 盤(小)
直立ボ ー ル 盤
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ボ ール盤
図 2:卓上ボール盤における回転数の変え方
ドリルの回転 数をかえるところ
ベルトのたるみをかえる
主軸
ベルトのテンションをロック
ドリルチャック
ドリルを送るためのハンドル
ボ ー ル 盤(中)右側 面(ボ ー ル 盤(小)も同じである)
穴 あ けの 径 か
ら、この表を 見
てドリルの回 転
数を決 める。
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ボ ール盤
図 3:卓上ボール盤の各種スイッチ類
ライトのスイッチ
始動 停 止スイッチ
テ ーブルの高さ調整ハンドル
ドリルの正転 逆 転 切り替え
スイッチ(切削は正転)
ボ ー ル 盤(中)正面 ボール 盤(中)左側面
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ボ ール盤
図 4:直立ボール盤の各種スイッチ類
切削 方 法選 択 部
回 転・送り変速選 択 部
送りハンドル
始動スイッチ
停 止スイッチ
テ ーブル 上 下ハンドル
テ ー ブ ル のすぐ 下に テ
ー ブ ル の 回 転とテ ー ブ
ル 全 体の 移動 を ロック
するレバ ー がある
主軸
直立ボ ー ル 盤正面
ドリルの径と被削 材 の 材 質からドリルの回 転
数と送り決 め、ハンドルを操作し設定する
直立ボ ール 盤左側 面
自動 送りを書けた状態(送りハンドルを見よ)
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ボ ール盤
図 5:卓上ボール盤用ドリルと潤滑油
潤滑油
使った後は、元に戻 すよう
に ! 必ずドリルの径と同じ
サイズの穴に差すこと!
面取リー マ
スラグやキリコ
を取り除くのに
使うブラシ
バイスに 挟
む ときなど
に使う添木
バイスに挟んだあ
と、これで 軽く 叩
いて平面をとる
卓 上 ボ ー ル 盤で使うドリルなど
潤滑油
ドリルをチャックに取り付けるときに使う道具
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ボ ール盤
図 6:直立ボール盤用ドリル
直立ボ ー ル 盤のドリル(径の大きなドリル)は、直立ボ ー ル 盤の裏にある
図 7:ねじと下穴の関係
タップを立てるときの下穴 径を見る表
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ボ ール盤
6. 専門的知識
卓 上 ボ ー ル 盤は、比較的 加工径の小さな穴の加工に使わ れ、ふつうは穴径 13mm 以下のド
リルを使って加工することが多い。ベルト,プーリによって回転 数の変換を行うものが多く、変換
数も3∼4段 のものが多くなっている。送りは手送りが普通である。被削材 をテ ーブ ルかまたは
ベ ースに取りつけて加工を行う。テーブルは上下に移動する。
一 般的 な直立ボ ー ル 盤を次 図 に示す。
卓 上 ボ ー ル 盤より大きな被削 材 の穴 加工に 使う。送りは手動と機械送りが出来る。テーブルは
手 動によって上下に移動する。デ ーブルは円形 のものと多角形 のものがある。
電動 機
標準 座標系
Z
主 軸頭
(スライドヘッド)
Y
X
コラム
-Z
-C
主軸
+X
テー ブル
+Y
ニー
ベー ス
直立ボ ー ル 盤
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ボ ール盤
一 般用ツイストドリルの形 状と各部の名称を次 図 に示す。
全長
心厚
首下長さ
のみ刃部
(チ ゼ ルエッジ)
みぞ長
切れ 刃
ランド
先端逃げ面
マ ー ジン
(あたり部 )
シャンクの長さ
のみ刃部
マ ー ジン
ねじれ角
テー パシャンク
みぞ
タング
逃げ角
先端 角
ドリル径
切れ 刃外端
先 端 部:2枚の切れ刃
先 端・・2個円すい(逃げ角をかけている)
2個円すいの交線 (績)・・・チゼルエッジ(のみ刃)
ねじれ角・・すくい角・・・切削状態と切りくず排 出を考 えて決定する
図 ドリルの形 状と各部の名称
のみ刃部( チ ゼ ルエッジ)は、切削抵 抗の推 力が大きいので、この部分を種々の形 に研ぎ落と
して用いる。これをシンニング( thinning)という。シンニングの例を次図 に示す。
各種シン ニング法
ドリルの切削抵 抗:
回 転 モ ーメント: 主切削 抵 抗M (kgf・ m)
推 力 : 背分力 T (kgf)
n(2pM + Tf )
(kW)
必要動 力 : P =
60 ´ 102
n : (rpm)
f : 送り (mm/rev)
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ボ ール盤
通常 用いられるドリルの刃先 角度を次 表に示す。
工作 物材 質
標準 形 ド リ ル
一 般 作 業, 炭 素
鋼 ,鋳 鋼 ,鋳 鉄 等
Mn 鋼
N i 鋼 , 窒 化鋼
鋳
鉄
黄 銅, 青 銅( 軟 )
銅 , 銅 合 金
積層プ ラス チック
硬
質 ゴ ム
表 ドリルの刃先 角度
先端 角
逃げ角
のみ刃角
ねじれ角
118
12~15
125~135
20~32
150
130~150
90~118
118
110~130
90~118
60~90
10
5~7
12~15
12~15
10~15
12~15
12~15
115~125
115~125
125~135
125~135
125~135
125~135
125~135
20~32
20~32
20~32
10~30
30~40
10~20
10~20
高 速度鋼 ドリルの標準加工条 件を次 表に示す。
表 高 速度鋼 ドリルの標準切 削 条 件[ v :切削速度( m/min), s :送り量( mm/rev)]
ドリルの直径 ~ D mm
引 張 強さ
被削材
2~5
6~11
12~18
19~25
26~50
MPa
v
s
v
s
v
s
v
s
v
s
500 以下 20~25 0.1 20~25 0.2 30~35 0.2 30~35 0.3 25~30 0.4
500~700 20~25 0.1 20~25 0.2 20~25 0.2 25~30 0.2
25
0.2
銅
700~900 15~18 0.05 15~18 0.1 15~18 0.2 18~22 0.3 15~20 0.35
900~110 10~14 0.05 12~18 0.1 12~18 0.15 16~20 0.2 14~16 0.3
120~180 25~30 0.1 25~30 0.2 25~30 0.35
20
0.6
20
1.0
鋳鉄
180~300 12~18 0.1 16~20 0.15 16~20 0.2 16~20 0.3 16~18 0.4
50 以下 0.05 50 以下 0.15 50 以下 0.3 50 以下 0.45 50 以下 −
黄銅
(軟)
35 以下 0.05 35 以下 0.1 35 以下 0.2 35 以下 0.35 35 以下 −
青銅
(硬)
◇ 参考 にした文献・資料等
・ 機械工学便覧 B2 加工学・加工機器
応 用編 (日本 機械学会 編)
・ 穴あけ中ぐりのポイント 技能ブックス 10 大 河出版
初 版: 1998 年7月,新本 :
12
mill@aero.kyushu-u.ac.jp
ボ ール盤
7. 鉄工室ボール盤の設置場所
図 中の① −(イ ), (ロ), (ハ)
①−(イ)
①−(ロ)
①−(ハ)
(中)
(小)
(大)
(株)吉田鐵工所 YBD-42
(株)吉田鐵工所 YBD-360
(株)吉田鐵工所 YD2-55
13)
卓 上 ボ ー ル 盤( ∼φ
12)
卓 上 ボ ー ル 盤( ∼φ
直立ボ ー ル 盤((φ16)∼φ40)
アトラマスタ
シャコ万
バイス
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