講師紹介 - 野口医学研究所

講師紹介
【内科
Internal Medicine】
米国では様々な教育場面があります。モーニングレポートといって主に新入院患者のカンファレンス、その
後の指導医ラウンドでも教育が行われます。合併症・死亡症例カンファレンス(M and M conference)と
いって経過が良くなかった症例を振り返り、みなとシェアをして今後の医療に役立てるカンファレンス、循
環器カンファレンス、内分泌カンファレンスなど専門科のカンファレンス、ジャーナルクラブといって患者
のケアーに関し疑問がわいたことを調べ、論文を批判的吟味し患者への適用を考えるカンファレンス、倫理
カンファレンスといって意思決定が何らかの困難を伴っていた症例を倫理的側面で議論するカンファレン
ス、終末医療カンファレンスといって死亡例の終末期の倫理、緩和ケアーを学ぶカンファレンスなどなどで
す。学生、レジデントは症例をプレゼンテーションすることが義務となています。今回、学生さんには米国
式カンファレンスに参加していただき実際に体験していただきます。指導医には米国式カンファレンス法を
紹介したいと思います。
平岡
栄治(Eiji Hiraoka, MD)
東京ベイ浦安・市川医療センター 内科
神戸大学総合内科 非常勤講師
E-mail: hiraokae@med.kobe-u.ac.jp
Co-Program Director
【略歴】
1992 年 神戸大学医学部卒業。1992 年~1993 年 神戸大学医学部内科研修。1993 年~1994 年 三菱神戸
病院内科研修。1994 年~1995 年 兵庫県立淡路病院内科研修。1995 年~1999 年 神戸大学循環器内科
大学院。1999 年~2001 年 公立豊岡病院循環器内科。2001 年~2004 年 ハワイ大学内科レジデント研修。
2004 年~ 神戸大学総合内科助教。2012 年5月~現職
米国内科専門医、日本内科学会専門医、日本循環器学会専門医。
【セッション内容紹介】
テーマ:終末医療について考える
症例1
54 歳男性、体重減少、食欲低下を主訴に来院。内視鏡にて進行胃癌と診断。
症例2
75 歳男性、10 年前にアルツハイマー病と診断。今回、食事をとらなくなりポートキャスを挿入。その 1 週
間後に敗血症性ショックとなり集中治療室に入院となった。
癌患者と非癌患者の症例についてみなさんと Discussion したい。
北薗
英隆 (Hidetaka Kitazono, MD)
東京ベイ・浦安市川医療センター
Noguchi Hideyo Memorial International Hospital
米国内科専門医
米国感染症専門医
E-mail:hkitazono@gmail.com
Co-Program Director
【略歴】
2000 年九州大学医学部卒業。
沖縄県立中部病院内科初期研修、沖縄米国海軍病院インターン、ハワイ大学内科 Resident、
University of Illinois at Chicago 感染症科 Fellow。
岸本
暢將(Mitsumasa Kishimoto, MD, FACP)
聖路加国際病院 アレルギー膠原病科
東京大学・東京医科歯科大学・北里大学医学部非常勤講師
E-mail:mkishimo@luke.or.jp
【略歴】
1998 年北里大学医学部卒業。沖縄県立中部病院にて初期研修後、在沖縄米国海軍病院にてインターンを
行い、2001 年から臨床留学のため渡米。ハワイ大学内科にてレジデント終了(2004 年)、NYU/Hospital for
joint diseases にてリウマチ膠原病科フェロー終了(2006 年)。その後帰国し亀田総合病院リウマチ膠原病
科にてプログラムディレクター。2009 年 8 月から聖路加国際病院アレルギー膠原病科(SLE、関節リウマ
チ、小児リウマチ)勤務。東京大学・東京医科歯科大学・北里大学医学部非常勤講師も兼務。
専門:リウマチ膠原病、一般内科、研修医教育
【セッション内容紹介】
テーマ:31 才女性 2 ヶ月の経過の発熱と関節炎
抄録:内科外来にて 2 ヶ月の経過で繰り返す発熱と関節炎を呈した 31 才女性患者を担当していただく。
参加者全員で鑑別疾患、フォーカスをしぼった病歴聴取、身体診察のポイントはどこか考えてみる。
得られた情報からアセスメントプランをたて、必要な検査を行い診断に至るリウマチ膠原病診療の醍醐味
をお伝えする。
参考(推奨)文献:
1.N Engl J Med 1994;330:769-74 (発熱と関節炎を起こす鑑別疾患が紹介されている)
2.「関節リウマチの診かた、考え方」中外医学社
3.
「すぐに使えるリウマチ・膠原病診療マニュアル~目で見てわかる,関節痛・不明熱の鑑別,治療,専
門科へのコンサルト~」編著 岸本暢将 羊土社 2009 年 3 月(第 2 章 基本編~関節痛へのアプローチ~
および第 3 章病棟編の 2 の発熱・関節炎の鑑別法が参考になる)
内科の Introduction
*まずはじめに
日米の卒前臨床教育の違いは何であろう?
米国では 4 年制メディカルスクールの 3 年生から病棟にでる。
“でる”といっても見学ではなく研修医チー
ムの 1 員として症例を持たされ、指導医・2 年目以降の研修医(レジデント)・研修医 1 年目(インターン)
からの徹底したチェックが入る。毎朝の回診では、症例を提示し当日の方針を決めるが、これらは主にイ
ンターンの下での診療を行う。詳細な病歴聴取、理路整然とした症例提示(プレゼンテーション)の徹底
的な訓練、研修医や指導医との活発なディスカッションを通して、基本的なマネージメント、オーダーの
仕方等を学んでいく。最終学年である 4 年生は Acting intern とも呼ばれ診療への自由度は増し、より独立
して診療にあたるようになる分責任は重くなる。立場はインターンに近く、レジデントが直接の指導にあ
たることが多い。従って要求される内容も高い。受け持ち症例数が少ないというだけで、既に研修医並の
診療が可能になってくる。
今回内科のセッションでは、上記の米国の研修現場で医学生や研修医がほぼ毎日参加しているモーニング
レポート(いわゆる症例検討会)を実体験いただく。米国内科レジデントを終了された先生が指導医とな
り、皆さんに積極的にご参加いただく。
北野
夕佳(Yuka Kitano, MD)
聖マリアンナ医科大学 救急医学科
聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院
JADECOM-NKP プログラム
E-mail:yuka2011sendai@gmail.com
【略歴】
1996 年京都大学医学部卒業。
京大病院 1 年大阪赤十字病院 3 年で幅広く内科各科をローテーション(麻酔科、診断放射線科、救急部含む)。
大阪日赤にてチーフレジデント。大阪日赤の 3 年間、週 1 日、1~3 次をファーストコールとしてみる
救急当直を通して、系統だった鑑別診断や総合医の必要性を痛感。2000~2004 年母校の大学院で基礎研究。
再度人生の方向性を考えて臨床に専念する方向を選び、米国でレジデントを目指す。2005 年 ECFMG 取得、
2006~2009 年ヴァージニアメイソン医療センター(米国シアトル)内科レジデント修了。
米国内科専門医。2009 年~東北大学高度救命救急センター助教、震災時トリアージ黄リーダー。
2011 年~現在、聖マリアンナ医科大学救急部助教として、初期後期研修医とともに、救急集中治療臨床を
行っている。JADECOM-NKP ローテーション施設。基礎研究者の夫と娘 3 人の 5 人家族。
神谷
亨(Toru Kamiya, MD, FJSIM)
洛和会音羽病院 総合診療科・感染症科
E-mail:rakuwadr012@rakuwadr.com
【略歴】
1991 年名古屋大学医学部卒業。市立舞鶴市民病院内科、自治医科大学附属大宮医療センター総合内科を
経て、2002 年よりハワイ大学内科レジデント、2005 年よりユタ大学感染症科フェロー、2007 年より
洛和会音羽病院に勤務。現在は総合診療科部長、感染症科部長。日本内科学会総合内科専門医、
日本感染症学会専門医、米国内科専門医、米国感染症科専門医。
テーマ:病歴と身体所見から手掛かりをつかめ!!
内科医は、病歴と身体所見から疾患の手掛かりをつかみ、検査計画を立てて疾患の全容を明らかにしていき
ます。内科領域には、検査の結果だけを見て診断する癖をつけていたのでは発見できない病態がたくさんあ
ります。
「病歴と身体所見でどこまで考えることができるか」という職人的技術を磨いていく楽しさを感じ
てもらいたいと思います。症例を通じて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
香坂
俊 (Shun Kohsaka, MD, FACC)
慶応義塾大学病院 内科心血管炎症講座
慶應義塾大学医学部 卒後臨床研修・専修医研修センター
Columbia 大学循環器内科 訪問研究員
E-mail:cardiotx@gmail.com
【略歴】
1997 年慶応義塾大学医学部卒業。横須賀米軍病院と国立国際医療センターで初期研修の後、1999 年から
St Luke’s-Roosevelt Hospital Center 内科 Resident・Chief Resident、Baylor 大学 Texas Heart Institute
循環器内科 Fellow、2008 年まで Columbia 大学循環器内科 Attending。2008 年より現職。
取得専門医:米国総合内科(ABIM)
、米国循環器内科専門医(ABIM)
、米国心臓移植(UNOS)
、
米国心臓核医学(ASNC)
、米国心臓超音波(ABE)
。
【セッション内容紹介】
テーマ: 救急病棟 24 時 野口サマースクール版
このセッションでは、救急外来を訪れた循環器系の患者さんへの具体的なアプローチをこちらが用意したシ
ナリオに基づいて考えていきます。
臨場感を重視して話を進めたいと思います。基本的な鑑別疾患の挙げ方、
心電図などの検査の使い方、そして帰宅 あるいは 循環器内科医を呼ぶタイミングなど、なるべく実践的な
内容に踏み込んで、双方的に話を進める予定です。サマースクール最終日のセッションですので、みなさん
ぜひご自分の力を出しきってください。
藤谷
茂樹(Shigeki Fujitani, MD)
東京ベイ・浦安市川医療センター
Noguchi Hideyo Memorial International Hospital
センター長
E-mail:shigekifujitani@marianna-u.ac.jp
【略歴】
1990 年自治医科大学卒業。2000 年~2003 年ハワイ大学内科研修。2003 年~2005 年ピッツバーグ大学
集中治療フェロー。2005 年~2007 年 UCLA-VA 感染症フェロー。2007 年より聖マリアンナ医科大学救
命救急医学教室。聖マリアンナ医科大学 救急医学 准教授、救命救急センター副センター長を経て、2012
年より、東京ベイ・浦安市川医療センターのセンター長に就任。専門は集中治療。資格として、米国内 科
学会専門医、米国集中治療学専門医、米国感染症学専門医、日本外科学会認定医、日本消化器外科認定医、
総合内科専門医、日本救急医学会専門医、日本集中 治療学会、日本感染症学会専門医。
【セッション内容紹介】
テーマ:チーム医療 院内急変(rapid response system)
医 療は チー ム医 療な くし て成 り立 たな い。 国際 的に は院 内急 変対 応チ ーム (Rapid Response Team
RRT/Medical Emergency Team MET)が導入されている施設が多く、院内で急変が起こった場合、トレー
ニングを受けた RRT/MET が、チーム役割分担を決め、チームリーダーの下、各自の役割を遂行する。
close loop communication, stay & stabilize, safe tranfer など日常臨床で重要と思われる項目を、シミュレ
ーションシナリオを用いて指導する。
シミュレーションは 2-3 症例として、デブリーフィングにて各症例の陥りやすいミスについて解説する。
75 歳女性:右股関節置換術後 POD3
リハビリ中に突如として、胸痛と呼吸苦を訴える。
45 歳男性:糖尿病、心不全で入院中
ラシックスとレギュラーインスリンで治療中
POD3 で、意識障害、痙攣で RRS/MET コールとなる
65 歳男性:肺炎入院中、突然の呼吸苦と、喘鳴
厨
芽衣子(Meiko Kuriya, M.D. ABIM, ABHPM)
聖隷三方原病院 ホスピス・緩和ケア科
E-mail:mkuriya@hotmail.com
【略歴】
2003 年、秋田大学卒業。在横須賀米国海軍病院インターンを経て、岩手医科大学血液内科医員。
2006 年よりハワイ大学内科レジデント。2009 年よりテキサス大学 MD アンダーソン癌センター緩和ケア
フェロー。2010 年より現職。
米国内科専門医、米国ホスピス緩和ケア専門医。専門はがん緩和ケア。
【セッション内容紹介】
テーマ;Palliative care/Supportive care in cancer
症例;48 歳女性 進行非小細胞性肺がん 骨転移、脳転移
抗がん剤治療を受けている上記の患者さんが定期外来受診時に痛み、吐き気、不眠などで困っていると相談
を受けました。さて、どうしましょう?
*治療中からの関わり
*なにができるか
v 症状緩和;病態の把握と病態生理
v 症状緩和の周辺、ほかに
*サイエンスとアートの部分;支えるとは
*チーム医療
*what’s the rationale (palliative care = TLC/touchy feely?)
*人生の最終章にかけて
などの観点からディスカッションできたら、と思います。よろしくお願いいたします!
Gautam A. Deshpande, MD
聖路加国際病院 臨床疫学センター
ハワイ大学医学部 内科学助教
E-mail:drdeshpande@gmail.com
【略歴】
Gautam A. Deshpande, MD received his undergraduate degree in Human Biology and Masters in
Anthropology from Stanford University. Following a year in Japan, he returned to the U.S., where
he earned an MD from Penn State University College of Medicine in 2004. He then completed
an internship and residency in Internal Medicine at UC-San Diego (2007), before moving to the
University of Hawaii as a Chief Medical Resident and then Assistant Professor of Medicine.
Dr. Deshpande is a hospitalist physician at Kuakini Medical Center in Honolulu, Hawaii--America's
only remaining Japanese-founded hospital. He now lives in Tokyo, Japan, where he is the Staff
Physician for the American Embassy and a Visiting Researcher at St. Luke's International Hospital.
【セッション内容紹介】
Many cases presented in case conferences are simplistic and may not reflect the complexities of real
medicine. In this session, we will focus on a real patient case (neurology/internal medicine) which
requires a broad differential diagnosis and thorough patient interview in order to find the correct
diagnosis. Come to this session prepared to participate...speak up!
Sandra Y. Moody, MD ,BSN,AGSF
亀田総合病院 内科
Sandra Y. Moody, MD, BSN, AGSF is an Associate Professor of Medicine in the Division of Geriatrics in
the Department of Medicine at the University of California, San Francisco and staff physician at the
San Francisco Veteran Affairs Medical Center. In July 2011, she became the Professor-in-Residence at
Kameda Medical Center, Kamogawa City, Japan.
Dr. Moody received her MD from The Ohio State University College of Medicine in 1991. She completed
a residency in Internal Medicine, a research fellowship in the Robert Wood Johnson Clinical Scholars
Program, and a clinical and research fellowship in Geriatrics Medicine at the Yale University School of
Medicine (1991-1998). Her first faculty position was at the University of North Carolina, Chapel Hill
(1998-2001), and subsequently at the UCSF faculty (2001-present).
Dr. Moody has collaborated on research projects focusing on health disparities among racial and ethnic
groups and has developed a national reputation in diversity and health disparities. She founded and
served as the medical director of the UCSF Division of Geriatrics Hospice and Palliative Care Service
(2001-2004), which is among the leading hospice and palliative care programs nationally. She
subsequently served as the Medical Director of the Home Based Primary Care program at the San
Francisco VA Medical Center (2007-2011). Dr. Moody has mentored numerous individuals in medicine
at all levels including junior faculty and has also served as the mentorship facilitator and director of
faculty development within the Division of Geriatrics at UCSF. She has won numerous honors and
teaching awards for her contributions.
テーマ:The care of the older patient with type 2 diabetes mellitus.
Using problem-based learning, we will discuss the diagnosis and evaluation of a 76-year-old woman
with a history of hypertension, hyperlipidemia, and poorly controlled type 2 diabetes mellitus.
In this session, we will discuss the approach to the older patient with diabetes mellitus highlighting the
history, physical examination, and clinical reasoning. We will also discuss the aim of diabetes control,
and why screening for geriatrics syndromes is important. A demonstration of a brief geriatrics
assessment will be included.
【小児科
Pediatrics】
小児科とは、内科学の小児版ではなく、健康と疾病という生命現象を患者の成長と発達の中から考察するユニー
クな診療科です。内科学が、疾病の病態生理の理解から成り立った「疾病学」と定義するなら、小児科は、成長
と発達という正常の生理の立場から疾病を科学的に考察する「健康学」と位置づけられます。また自分の病状を
自分で十分に表現できない患者を対象とするわけですから、両親(特に母親)から的確な病歴をとることと患者
の重症度を即時に判断する能力は、小児科医にとって必須の到達条件です。アメリカの臨床教育現場では、医学
生も研修医も的確な病歴を得ることとその得た病歴から患者の病態生理や重症度を迅速に理解した上で、まず患
者の病態に関する仮説を提示することが求められます。その際、Review of Systems が吟味されます。そして、
身体所見(Vital signs を含む)から臨床仮説の妥当性を確認するという基本の繰り返しが重要視されます。臨床
検査や画像診断は、この科学的問題解決のプロセスの最終段階として登場してきます。今回の Summer Medical
School では、病歴と身体所見から病態生理を理解し、科学的な問題解決を駆使しながら診断にたどりついていく
プロセスを共有したいと考えています。
津田 武(Takeshi Tsuda, MD, FAAP, FACC)
Nemours/Alfred I. duPont Hospital for Children,
Nemours Cardiac Center
E-mail:tsudata@hotmail.com
Program Director
小児科セクション・リーダー
【略歴】
1984 年信州大学医学部卒業。母校の小児科医局で 5 年間研修の後、臨床留学のため渡米。
フィラデルフィア小児病院で小児科レジデント修了(1993 年)、小児循環器科フェロー修了(1996 年)。
その後心臓の基礎研究に従事。現在デラウエア州にあるデュポン小児病院でスタッフ循環器医として
日常診療、基礎研究、教育に従事。米国小児科および小児循環器科専門医。
トーマス・ジェファーソン大学医学部小児科准教授。専門:小児科、小児循環器、先天性心疾患、心不全。
研究分野:心不全と心筋リモデリング。
【セッション内容紹介】
テーマ:小児科領域における呼吸器・循環器の病態生理
私のセッションでは、特に小児領域における呼吸器系・循環器系の病態生理を議論していきたいと思います。病
歴や身体所見から得られるひとつひとつの情報をどのように病態生理の理解に結び付けていくのか、そしてそれ
らを科学的な問題解決のためにどのように役立てていくのかというプロセスを参加者と一緒に議論していきた
いと思っています。皆様が日常ごく当たり前に考えている「生命現象」が如何に素晴らしいのかという点も含め
て楽しんでいきたいと期待しています。
井上 信明(Nobuaki Inoue, MD, MPH,FAAP)
東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部
E-mail:pednobby@aol.com
【略歴】
東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部 救命救急科医長。奈良県立医科大学卒業(1996 年)。
天理よろづ相談所病院および茅ヶ崎徳洲会病院にて初期研修と小児科研修を行う。
2002 年渡米後、ハワイ大学小児科、ロマリンダ大学(カリフォルニア州)救急科にて小児科、
小児救急の研修を行う。2009 年には豪州マーター小児病院(クイーンズランド州)にて小児救急の臨床
および外傷予防に関する疫学調査に従事し、2010 年 3 月より現職。
米国小児救急専門医、米国小児科専門医。公衆衛生学修士(国際保健)
。
【セッション内容紹介】
テーマ:小児救急の現場において見逃しを防ぐためのアートとサイエンス
小児救急医療の現場は、救うべき患者さんを救うことを究極の目標とし、見逃してはいけない状態の患者さんを
見逃さないように、限られた資源(時間、人、場所、情報など)を駆使して診療しています。今回はこの目標を
達成する為に、実際に「見逃された症例」を題材に、どのようにしたら見逃しを防ぐことができるか、アート(考
え方やアプローチ方法)とサイエンス(医学的事実の積み上げ)の両面からともに考え、ディスカッションしま
す。特に準備は必要ありませんが、自分はだまされやすいと思っておられる参加者は、だまされないようにする
ためにはどうすればよいか、考えてみてください。
植田
育也(Ikuya Ueta, MD)
静岡県立こども病院 小児集中治療科
E-mail:wepu@janis.or.jp
【略歴】
1991 年千葉大学医学部卒業。1994 年より Children’s Hospital Medical Center(Cincinnati, Ohio)にて
集中治療科フェロー、小児科シニアレジデント修了。
1998 年より長野県立こども病院、現在、静岡県立こども病院小児集中治療科 センター長。
専門は小児集中治療医学。米国小児集中治療専門医、米国小児科認定医、日本集中治療医学会専門医。
【セッション内容紹介】
テーマ:小児の評価〜危急病態の早期発見と介入
救急外来で、小児の患者さんの診察を始める。まず椅子に座って「お母さんどうしましたか?」これで
はいけない。診察は、診察室にいる患者さんと家族に挨拶をしながら近寄っていくところから既に始まっ
ている。
その時にまず何をするか?まず患者さんを視るであろう。
「視診」である。患者さんを「パッと見」て、
その時点で「良い・悪い・死んでいる」この3つに区別しなければならない。これは冗談ではなく、人知
れず重症な赤ちゃんが母親に抱かれて救急外来で順番待ちをし、診察の段ではすでに心停止・・・という
状況も現実には起こりうるのである。その場合はすぐにコードブルーを発動し、蘇生ベッドにのせて心肺
蘇生を開始しなければならない。
それでは何を視てこの3つの区分「良い・悪い・死んでいる」を判断するか?それは A; appearance 全
身の様子、B; breathing 呼吸の様式、C; circulation 皮膚の色である。いずれも挨拶をしながら、患者さん
を視るだけでわずかな時間のうちに判断できる要素である。そしてこれが ABC アプローチという救急診療
の第一歩なのである。
本セッションでは小児の救急診療のアプローチの第一歩、小児の評価法について、ケースシナリオを提
示し、実際に簡易シミュレーターを用いた実習を行う。セッションのより深い理解のためには以下の2冊
の教科書の、特に Pediatric Assessment; 小児の評価の項を熟読して望まれることを推奨する。
参考文献
1)PALS プロバイダーマニュアル 日本語版 AHA 編集 シナジー
2)日本版 PALS スタディガイド―小児二次救命処置の基礎と実践 B. Aehlert 著
宮坂勝之訳 エルゼビア・ジャパン
【外科
General Surgery】
「外科医は手は使うが頭は使わない」
「外科医の力量は手術のうまさにのみある」といったことはウソ。
卓越した外科医を「神の手」などというのは大間違い。
外科のダイナミックさは手術と言う切り札による白か黒かの決戦・治療結果の醍醐味にあるのは確かですが、
外科医の能力は最終的には手術のうまさ以上に、Surgical judgment, decision-making にあります。外科的
適応の判断(いついかなる手術をするか、そしていつ手術をしないか)
・術後のマネージメントでの判断、
合併症の対応判断、そしてもっとも基本である疾患の(外科的センスを持った)診断の力量、問題解決での
判断力にあります。そして更には、卓越した外科医は「手」ではなく「心」にその本領があるはずです。す
なわち外科の Science 面だけでなく Art 面です。
そう、外科医も頭も心も使うのです。本セミナーでの外科セッションでは(残念ながら手はほとんど使いま
せんが)頭を使って主としてよくある外科的疾患の診断とそのプロセスの基本を、5 人の外科講師とディス
カッションして下さい。外科セッションでも他の科のセッション同様、主旨は Common Diseases、Common
symptoms を対象として背景にある病態生理を理解しながら的確に病歴と身体所見をとり臨床推論にて問
題解決(鑑別診断の絞込み)することにあります。
更に今年の外科セッションでは、症例を通して医の Science 面だけでなく Art 面のディスカッションも加わ
ります。
各セッションの 90 分と Feedback の 30 分があっという間に過ぎてしまいます。そして外科の楽しさを知っ
てもらえれば本外科セッションのミッション達成となるのですが、そのためには皆さんの積極的な参加が期
待されます。
本セミナーの外科セッションでは、参加者の皆さんが「外科って、結構イケル、面白い、挑戦してみたい」
と思うようになることを約束します。
本来はこのようなセッションでの応答が臨床研修の現場で日常茶飯事
に行われ、外科では更に手術と言うワザの「面白さ」(一方ではその裏腹に「怖さ」)、そして時には難しい
患者・家族との Art を実際の研修現場(手術場)で体験・修練すれば、近い将来「日本で外科医希望者が
多すぎる」と言うことになるはずです。
さて、学生・研修医の皆さん、Noguchi Summer Medical School 外科セッションに Are you ready?
Get set! Go!!!
町
淳二(Junji Machi, MD, PhD, FACS)
University of Hawaii, Professor of Surgery
米国財団法人野口医学研究所理事長
E-mail:junji@hawaii.edu
外科セクション・リーダー
【略歴】
1977 年、順天堂大学卒業。沖縄県立中部病院、イリノイ大学、ペンシルバニア医科大学、
ピッツバーグマーシー病院で外科研修・研究後、1995 年にハワイ大学。
現在、ハワイ大学・外科教授。アメリカ外科専門認定医。2009 年に NKP(Noguchi Kenshu Program)
を藤谷茂樹と創立。
現在、東京ベイ・浦安市川医療センター“Noguchi Hideyo Memorial International Hospital”研修委員長。
専門は、一般外科・消化器外科、外科での超音波、日米の医学教育、卒後研修。
【セッション内容紹介】
テーマ:急性腹症
野口サマーセミナーの基本学習目標は、H+P, Differential diagnosis, Pathophysiology, Clinical reasoning,
Critical thinking process ということで、かつ本年度のセミナー・タイトルは「臨床における Art と Science
の追求」Explore Art and Science in the Clinical Setting です。それらを私のセッションでは「急性腹症」
を症例として取り上げ、皆さんとディスカッションしましょう。
急性腹症(Acute Abdomen)とは、急激な腹部症状(主に腹痛)で発症し、緊急の外科的処置を要するか
否かの判断が必要な症候群で、救急外来の 5-10%を占めます。
本セッションでは、
「急性腹症の病態生理と緊急性、鑑別診断を理解しての病歴と身体所見(H+P)」に焦
点を合わせ、学習目標として、
1.急性腹症での緊急性・外科的処置の必要性を考慮しての疾患群を理解できる。
2.緊急性疾患群の背景にある病態生理を解析できる。というより病態生理から緊急性をレベル分け
できる。
3.各々の疾患群の緊急時に鑑別診断を考慮しながら、バイタルサインも含めて H+P を迅速にかつ確実に
とれる。
4.緊急性に応じて、ショックを念頭に入れて、必要最小限の H+P でプライオリタイゼーション
(Prioritization)
・初期治療を開始できる。
5.緊急時での患者・家族とのコミュニケーション、Art の実践を理解できる。
さらに、フィードバック・セッションでは、症例の参加者同士で議論もしてもらい、それも含めてお互い
に Feedback・反省・改善点をディスカッションします。
セッションの結果の良し悪しは、参加する皆さんにかかっています。間違いを恐れず Speak-up!!!
皆さんの知識をフルに活用し、ディスカッションに参加し、生死をさまようかも知れない患者さんを救っ
て下さい。そして、Enjoy the surgical sessions !!!
岸田
明博(Akihiro Kishida, MD)
札幌手稲渓仁会病院 外科
E-mail:akihirokishida@hotmail.com
【略歴】
現職:札幌手稲渓仁会病院外科(外科系臨床研修部長,救命救急センター副センター長)
1978 年 北海道大学医学部卒業。聖路加国際病院にて外科研修。
1983 年より米国 Michigan 州 St. Joseph Mercy 病院にて外科研修。
一時日本に帰国し,1990 年より米国 Pittsburgh 大学にて移植外科 Fellow ならびに Assistant professor。
1994 年滋賀医科大学第一外科に勤務。1997 年より北海道大学第一外科,その後米国 Miami 大学外科,
千葉西総合病院を経て,2003 年より現職。消化器外科おもに肝胆膵外科ならびに,米国において
外科におけるひとつの分野としても注目されている Acute care surgery (緊急外科手術,外傷外科ならびに
Surgical intensive care を扱う)を専門。医学博士。日本外科学会認定指導医,米国外科学会認定専門医
ならびに集中治療専門医。
【セッション内容紹介】
テーマ:世界に通用する臨床医をめざして
外科学における新分野として,Acute care surgery(ACS)が確立されつつあります。急性腹症や消化管穿
孔のような緊急的外科症例や外傷,そして,これらの症例に必然的に関わってくる Surgical critical care
を専門とする分野です。予定手術を中心業務とする外科の正反対に位置する分野であり,迅速な対応とそ
の後の管理を得意とする専門集団の Expertise に大きな期待が寄せられています。医学の進歩に呼応した
医師個々の更なる専門分業化が予想される現況においては,日本においても ACS の考えが導入されるもの
と想像されます。
今回のセッションでは,術後症例を扱いながら,急性期の対応について,その理論的な根拠を踏まえなが
ら解説します。
窪田
忠夫(Tadao Kubota, MD)
東京ベイ・浦安市川医療センター
Noguchi Hideyo Memorial International Hospital
外科
E-mail:tadaokubota@mac.com
【略歴】
1997 年東京慈恵会医科大学卒業。沖縄県立中部病院にて初期および外科後期研修を終了後同院外科に所属。
その後国立循環器病センター心臓血管外科、千葉西総合病院、沖縄県立北部病院を経て現在東京ベイ・
浦安市川医療センターで一般外科および外科後期研修教育に従事。専門性にこだわらず、
「アッペから大動脈瘤破裂まで」をモットーに、外科の教科書に載っている手術ならばなんでもやりたい
と考えています。
【セッション内容紹介】
テーマ:出血を止める
どのような疾患で、どのような部位であれ、出血がつづいていれば止める必要があります。内視鏡や IVR
が発達して止血の分野での内科医や放射線医の活躍はめざましいものがありますが、どうしようもないと
きの最期の止血係として外科にお鉢が回ってくる事はめずらしくありません。今回は吐血あるいは喀血の
患者さんがやってきたとき、それをどのように考え、どのように診断し、どのような治療(手術)をすべ
きであるのか? 2つの症例を元にして、目の前の血を止めるために今具体的に何をすればよいのかを
ディスカッションしてゆきましょう。
山内
英子(Hideko Yamauchi, MD)
聖路加国際病院 乳腺外科
E-mail:hidekoyamauchi@mac.com
【略歴】
1987 年順天堂医学部卒業。聖路加国際病院外科レジデントを経て、1994 年渡米。
ハーバード大学ダナファーバー癌研究所、ジョージタウン大学ロンバーディ癌研究所でリサーチフェロー
およびインストラクター。ハワイ大学にて外科レジデント、チーフレジデントを終了後、ハワイ大学外科
集中治療学臨床フェロー、南フロリダ大学モフィット癌研究所肉腫臨床フェロー。
2009 年 4 月より聖路加国際病院乳腺外科医長。
2010 年6月より聖路加病院乳腺外科部長およびブレストセンター長。
米国外科学集中治療専門医、米国外科認定医。
Alan Lefor, MD MPH
自治医科大学 卒後臨床研修センター
E-mail:alefor@jichi.ac.jp
【略歴】
1982 年 SUNY Upstate 大学卒業。1982 年~1989 年 SUNY Upstate 一般外科レジデント。
UCLA 大学病院外科教授。2007 年より自治医科大学卒後臨床研修センター教授。
アメリカ外科専門認定医。専門は、一般外科・消化器外科・医学教育・メディカルシミュレーション教育
【セッション内容紹介】
テーマ:The evaluation of a patient with new onset jaundice.(黄疸)
This session will discuss the evaluation of a patient with new onset jaundice. A 58 year old man
presents with a 3 week history of jaundice, first noticed by his wife. He has no significant history. The
session will concentrate on a conducting a comprehensive history and physical examination and the
clinical reasoning to develop a differential diagnosis, followed by a discussion of the cost-effective way
to establish the diagnosis. The last part of the session will discuss the treatment strategies for such a
patient.
【家庭医療科
Family Medicine】
本年度の家庭医療セッションではスポーツ医学の一部として家庭医が運動器をどう診察して診断していく
かという技術習得の一面を強調したいと考えます。とくに外傷による肩膝などの痛みの原因を診察だけで突
き止める事は可能ですので、不要なレントゲンやMRI,整形受診を減らす手助けになります。加えて、今回
はオタワルールについても触れますので、レントゲン撮影の適応をしっかり評価しましょう。
つぎに、簡単そうで実は意外と手間のかかる風邪の診療にエビデンス性を取り入れて、しっかり患者さん
に説明をする事を学び、よくある風邪診療のartとscienceついてどのように患者さんと話し信頼感を築いて
行くかを学びます。
これまで日本においては総合診療という日本独特な不明瞭な名称のために全科医である家庭医療の本質が
明らかにされてきませんでした。
ここでもう一度家庭医療の守備範囲とか家庭医療特有なアプローチ法など
にも触れて理解していただこうと考えております。これからの日本の家庭医療教育を欧米に少しでも近づけ
ようという野口の家庭医集団の熱気が感じられたらと期待しております。また、これらのセッションに参加
することで新たな知識と技術が得られること間違いありません。
佐野
潔(Kiyoshi Sano, MD,FAAFP,MACEP)
静岡家庭医養成プログラム 森町家庭医療センター
E-mail:kskimfmp@hotmail.co.jp
家庭医療科セクション・リーダー
【略歴】
1978年川崎医科大学卒業後、横須賀米海軍病院,八尾徳洲会病院を経て渡米。1985年ミネソタ大学地域家
庭医療科にてレジデント終了後,ミネソタの人口3千人の農村で14年間家庭医療専門医としてフル開業を経
験。1999年よりミシガン大学家庭医学科臨床准教授として日米の学生・研修医の家庭医療教育に携わると
同時に日本における家庭医療の発展に取り組む。その後2006~10年までの間フランスのパリアメリカ病院
にて開業し在仏・在欧邦人医療に従事する。2010年4月帰国以来,静岡家庭医養成プログラムの森町家庭医
療クリニック所長として、僻地で家庭医として診療に携わりつつ現在後期研修医の指導をしている。将来
の日本での専門医療としての家庭医療の普及と全国の地域医療の再生に努力している。
現在、米国家庭医学会認定専門医・上級フェロー、ミシガン大学臨床関連教授,滋賀医大客員教授,兵庫
医大客員教授,欧州日本人医師会理事, 野口医学研究所理事,日本家庭医療学研究所理事を務める。日米
仏の医師免許を持つ。
【セッション内容紹介】
テーマ:ちょっと賢くなろう!
肩膝足首の診察
参加者全員でお互いに実際視察し合って回転板損傷とか半月板損傷、前十字靭帯損傷、前距腓靭帯損傷な
どの診断をつけられるようになりましょう。身軽な診察のしやすい格好で来てください。
岡田
唯男(Tadao Okada, MD, MPH, DABFM,FAAFP)
亀田ファミリークリニック館山 院長
E-mail:tadaookada@gmail.com
【略歴】
鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山院長、家庭医診療科部長、家庭医後期専門研修プログラム/家庭
医のためのマタニティケアフェローシップ/HANDS – FDF(指導医養成フェローシップ)ディレクター、
米国家庭医療学認定委員会認定専門医(DABFM)、米国家庭医学会特別会員(FAAPF)、日本プライマリ・ケ
ア学会認定医・認定指導医、公衆衛生学修士(MPH)、東海大学医学部医学科 客員准教授、東京医科歯科
大学臨床准教授、神戸大学医学部卒業(1995)
、米国臨床留学(1997-2002)
【セッション内容紹介】
テーマ:思春期
堤(滝沢) 美代子
(Miyoko Takizawa Tsutsumi, MD)
聖路加国際病院 一般内科
E-mail:M45taki@aol.com
【略歴】
1997 年、聖マリアンナ医科大学卒業、同病院にて初期研修、総合診療内科にて後期研修。
在沖縄米国海軍病院インターンを経て、東ヴァージニア医科大学 Ghent Family Practice intern, ハワイ大
学 Family Medicine Residency Program 修了。現在、聖路加国際病院一般内科、千葉 大学非常勤講師、米
国家庭医療専門医。専門は家庭医療、総合診療。
日本での Primary care physician/ Generalist を目指しつつも、実際は1歳と4歳の娘に翻弄される毎日。
【セッション内容紹介】
テーマ;家庭医療で診る整形疾患 (スポーツ医学、首、肘、手首、腰の問題)
肩から腕のしびれがあり脳梗塞が心配で来院したおじいちゃん、腰痛持ちのおばあちゃん、
朝、手のしびれを訴えるお母さん、ゴルフのしすぎか腕の痛いお父さん、肘の痛い小学生のお兄ちゃん、
手の動かなくなった2歳の妹、
「このような患者さん、家族まるごと家庭医で承ります。
」と言えるように、
家庭医療でよく診る筋骨格系の問題に対して、鑑別疾患を考え、解剖を復習しながら、診察方法、診断、
治療を学んでいきます。
家庭医療の楽しさを少しでもシェアできたら嬉しいです。
吉岡
哲也(Tetsuya Yoshioka, MD, PhD)
恵寿ファミリークリニック 院長
E-mail:fpyoshioka@live.jp
【略歴】
1997 年広島大学医学部卒業。福岡徳洲会病院にて初期研修、総合内科研修ののち喜界徳洲会病院にて離島
医療に従事。名古屋大学総合診療部を経てミシガン大学家庭医学科アカデミックフェローに。2004 年より
ミシガン州立大学関連ジェネシス地域医療センター家庭医療学レジデント、2007 年よりミシガン大学老年
医学科フェロー 。2008 年に帰国し、恵寿総合病院に家庭医療学センター長として赴任。2009 年 4 月より
恵寿ファミリークリニック院長、金沢大学大学院医学系研究科周生期医療専門医養成学講座客員教授。
Advance Life Support in Obstetrics (ALSO)Japan のインストラクター、コースディレクターとしても
活動。
【セッション内容紹介】
テーマ:風邪診療の Art と Science
30 歳女性、生来健康。鼻水、咳、咽頭痛を訴え来院。
身体所見は咽頭が発赤腫脹している以外はこれといった所見なし。
この人は風邪?風邪だったら風邪薬を出して帰す?
Faculty Development Session
津田 武(Takeshi Tsuda, MD, FAAP, FACC)
Nemours/Alfred I. duPont Hospital for Children,
Nemours Cardiac Center
【FD セッション内容紹介】
テーマ:「Small Group Discussion でのケース・シナリオの作り方」
皆様が指導医として学生や研修医に対して Case discussion をする際にどのような準備をすれば良いのか
を具体的に紹介します。このセッションでは、参加者が自分の症例を準備してくれることを期待します。
限られた時間の中で何と何を discussion すればよいのかという優先順位にも言及します。最初から完璧に
いくものではありません。まず充分に準備し、実戦を繰り返しながら徐々に上手になっていけばよいと思
います。
北野
夕佳(Yuka Kitano, MD)
聖マリアンナ医科大学 救急医学科
聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院
【FD セッション内容紹介】
テーマ:
「明日からすぐ使える < 5 分間ティーチング実践講座 > 」
明日からの臨床にすぐ使える「5 分間ティーチング実践講座」をしましょう。指導医の先生方皆さん、日々
の臨床で、自分ならこの症例に対して、こういう情報収集をして、こういう風に臨床判断し、方針を決定
する、というのを頭の中で無意識に行っておられると思います。これらの、指導医の皆さんの頭の中で行
われている思考過程を、明瞭に言語化して、なにもわかっていない研修医にでも伝達するには少し技術が
必要です。親が掛け算の筆算は無意識にできるけれど、小学生の子供にそれを教えるとなると、少し別の
技術や教え方の準備が必要なのと同様です。思考過程を効率よく伝達できることによって、その後研修医
が自分で情報収集・判断をでき(もちろんすべて報告させて監督しますが)
、実務を担えるようになってゆ
けば、指導医の労力も減り、より教育に時間を割ける(自分が勉強する時間を捻出できる)好循環が生ま
れます。
大変簡単な例を消化管出血であげてみます。60 歳男性、吐血で救急搬送連絡がありました。
指導医「吐血の人、来るって。バイタルチェックして、ラインとって、採血して、輸血オーダーして、消
化器コールしてね。あ、オメプラゾール IV しといて」
研修医「は~い!」
このパターンだと、研修医はなにも負荷をかけられていません。非常に優秀な研修医なら後から内科レジ
デントマニュアルなど読んで成長してゆきますが、一般には成長曲線として大変遅くなります。このシン
プルな症例でもたたきこむべき「一般論」は大量にあります。
指導医「消化管出血のマネジメント言ってごらん」
研修医「えっと~、輸血して消化器コール」
指導医「他は?」
研修医「CV 入れるとかですか?」
指導医「消化管出血のマネジメントは、2 本以上の太い末梢ライン、バイタルチェック、特に脈拍ね、血圧
下がる前に頻脈になるから。必要に応じて外液ボーラス投与。採血して Hb チェック。注意点は、急性の出
血だと Hb 下がらないからね。MCV 下がってたら、じわじわ慢性的に出てたっぽいし、MCV 正常なら急
性失血の可能性が高い。MAP 準備して、消化器内科コール。あと、PPI は止血を早めるから、上部か下部
かわからい場合も IV 投与すべきだから。凝固能チェックして、血が止まりにくい内服してないか必ず聞い
といて。
」などなど。
研修医の成長レベルに合わせて「脈拍が当てにならないのはどういう場合?」
「上部消化管出血の鑑別は?」
「肝硬変のある人だったら、消化管出血のマネジメントは?」
「MAP2 単位投与したら Hb いくらあがるは
ず?」
「ピロリ検査の種類知ってる?」
「ショックのときのボーラスは末梢18G と CV とどちらが急速大
量補液になるか知ってる?」
「外液ボーラスしたらどれだけ血管内にとどまるか知ってる?」などなど、こ
ちらも、レパートリーをそろえておくと指導医の成長にもなります。
いかにして「一般論(公式)
」を伝達するかを皆さんに実際にやっていただきつつ体得していただければと
思います。私自身も、多忙な日常業務に流されがちな中で、ティーチング項目を蓄積し錆び付かないよう
にし続ける必要性を日々痛感しています。楽しくやりましょう。
Gautam A. Deshpande, MD
聖路加国際病院 臨床疫学センター
ハワイ大学医学部 内科学助教
【FD セッション内容紹介】
In this session, we will explore the use of the Socratic method in case conference-type
lectures: when to use it, when to avoid it, and how we can best modify it for an audience of
Japanese students and residents. Please come prepared to share your ideas with each
other as we explore this 2400-year old method of teaching and learning.
井上
信明(Nobuaki Inoue, MD, MPH,FAAP)
東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部
【FD セッション内容紹介】
テーマ:
「コーチングメソッドを活かした small group discussion への挑戦」
ビジネスやスポーツの分野で脚光を浴びている「コーチング」の技法を臨床教育の small group discussion
の現場に応用してみたいと思います。みなさん、一緒に挑戦してみましょう。
町
淳二(Junji Machi, MD, PhD, FACS)
University of Hawaii, Professor of Surgery
米国財団法人野口医学研究所理事長
【FD セッション内容紹介】
テーマ:「Problem-Based Conference (PBC)の創り方・促進の仕方」
臨床症例の問題点 Problem からその解決、すなわち診断・治療を能動的に推測するプロセスを Small group
で Discussion するシナリオをどのように創り出すかを議論する。そして、そのシナリオをいかに参加者全
員が Participate して進めるよう促進できるかの種々のコツを提案する。実際に今回のセミナーで使う症例
を指導医の皆さんとも Discussion しながら、ポイントを指摘したい。
岸田
明博(Akihiro Kishida, MD)
札幌手稲渓仁会病院 外科
【FD セッション内容紹介】
テーマ:「世界に通用する医師となるために ~何を学べばいいのか~」
各症例を担当するにあたって
・自信のある医療を実践するためには、何が必要なのか。
・自らの考えを伝えるためには、どのような Presentation が有効なのか。
佐野
潔(Kiyoshi Sano, MD,FAAFP,MACEP)
静岡家庭医養成プログラム 森町家庭医療センター
【FD セッション内容紹介】
テーマ:「POMC(Patient Oriented Medical Care)を教える」
とかく Disease oriented な医療を教えがちな入院管理中心の研修より、患者の Psychosocial な面や
Context を考えた医療を教えることで、Patient oriented な医療が外来の場でできるように指導すること
が家庭医療学などの Primary care の研修では必須です。ただ単なる診断あてゲームではない医療、最後ま
で責任を持って世話をする医療、患者本位の医療を行うことができるようになることを目標として、その
基本的アプローチ法の教え方、ケースのデザインの仕方などの話しをしたいと考えます。
吉岡
哲也(Tetsuya Yoshioka, MD, PhD)
恵寿ファミリークリニック 院長
【FD セッション内容紹介】
テーマ:「知識を実地で使えるようにするために~シミュレーションを用いた教育」
みなさんが講義などで伝えた知識は実際に研修医や学生が使えるものになっているでしょうか?
ここでは皆さんにそれを評価するための方法といかにして使えるものにさせてあげるかをディスカッショ
ンしたいと思います。
平岡 栄治(Eiji Hiraoka, MD)
東京ベイ浦安・市川医療センター 内科
神戸大学総合内科 非常勤講師
藤谷
茂樹(Shigeki Fujitani, MD)
東京ベイ・浦安市川医療センター
Noguchi Hideyo Memorial International Hospital
岡田
センター長
唯男(Tadao Okada, MD, MPH, DABFM,FAAFP)
亀田ファミリークリニック館山 院長