特定医療法人 広報誌 特定医療法人 豊司会 新門司病院 広報誌 「癒し」 Vol.23 豊司会 新門司病院 広報委員会 発行 「 癒 し 」 Vol.23(平成24年4月) プライバシー・ポリシー 当院は患者様のプライバシーを尊重し個人情報の適正な管理運用に努めています 不安障害が増えています ●不安とは? 自分の将来のことを考えると「いつまで健康でいられるだろうか?」「いつまで働け るだろうか?」といったことを思うでしょう。 身近な人たちについて考えるとき、「もしも家族が事故に遭ったらどうしよう?」「 友達が病気になったらどうしよう」と思うこともあるでしょう。 対人関係が苦手な人は「人前に立つ機会があったらどうしよう」と思うことは当然あ ります。 新しい場面に挑むとき「明日から新しい職場(学校)に行くことになっているが、大 丈夫だろうか?」といったことを思うでしょう。電車に乗ることや、高いところへ行く ことといった限られた場面で、強い不安もしくは恐怖を覚える場合もあります。 災害や犯罪被害に会った人は、「また同じことが自分に起きるのではないか?」とい う不安を感じやすくなります。その時の経験を何度も思い出し、不安に苦しむ場合があ ります。 これといった理由や対象がないけれども、漠然と不安を覚える場合もあります。 このように、人は日常的にいろいろな不安にさらされています。 その不安が引き起こす心の病を、不安障害といいます。 この障害は、もともと心配症の人がなりやすいと言われていますが、そうではない人 でも、かかります。進学、転校、就職、結婚、出産などといった人生の区切りのイベン ト後に、発症したということはよくあります。 特定医療法人 豊司会 新門司病院 広報誌 「癒し」 Vol.23 ●不安障害の症状はどんなものなのでしょうか? 不安障害では、どんな症状が表れるのか、いくつか例を紹介します。 ・気分 神経質になる、イライラする、心配になる、パニックになる、気持ちが滅入る、 気分が沈む ・身体反応 手のひらに汗をかく、筋肉が緊張する、動悸がする、頬が紅潮する、めまいがする ・行動 苦手なものを避けるようになる、確認が多くなる ・思考 危険を過大評価する、自分の能力を過小評価する、周りからの援助を過小評価する では、不安障害の代表的なものを紹介します。 全般性不安障害 日常的な心配事や悩みのため、落ち着 かない、疲れやすい、集中力がない、眠 れないという症状が6ヶ月以上続く場合 になります。 社会不安障害 症状が出る場面が、対人場面に限られ ている場合です。 パニック障害 急激に起こる動悸、息苦しさ、めまいといった 身体症状(パニック発作)が主体となります。 外傷後ストレス障害(PTSD) 災害や犯罪被害などの後に、その時の経験を不 意に思い出すことが繰り返されます。 特定医療法人 豊司会 新門司病院 広報誌 「癒し」 Vol.23 不安障害の治療 不安障害の治療は、まず薬物療法を中心に進められます。どのタイプの不安障害でも 、脳内の伝達物質のバランスが崩れるために症状が起きるので、それを薬物で整える必 要があります。SSRI(セロトニン選択的取り込み阻害剤)や抗不安薬などの薬を服用す ることで、不安や恐怖を和らげたり、身体症状を抑えます。 薬物療法のみで治療効果が十分に得られない場合や、再発予防のために心理療法を並 行して行うことがあります。支持的アプローチや認知行動療法が効果的です。 ●不安障害への心理療法 支持的アプローチ 治療者と対話を通して、健康な部分を伸ばして行きます。 認知行動療法:行動的アプローチの手法 ・活動スケジュール:効果的な時間の使い方をすることで症状を抑える。 ・達成感と快感の評価をする:有効的な行動を増やす。 ・ソーシャルスキル訓練:起きた不安状況に対し、適応的な技術を練習する。 ・段階的タスク割り当て:大きな目標に対し、小刻み段階を設けて実行する。 など。 認知行動療法:系統的脱感作法 不安や恐怖症に対して効果があるという研究が多くある方法です。 不安なときは、体が緊張します。その緊張を和らげる反応(リラクセーション)を身 に付けます。 その後、不安が起こる場面を挙げていき、不安の強弱によって並べ替え、不安階層表 (SUD)を作ります。不安が弱い場面からイメージし、起きた不安反応をリラクセーシ ョンで制止します。 SUDの場面を 弱いものからイメージし リラックスをします 特定医療法人 豊司会 新門司病院 広報誌 「癒し」 Vol.23 認知行動療法:認知的アプローチ 認知的アプローチは、不安に対する考え方の幅を広げることが治療の目的として行わ れます。ただし、不安に関することを言葉で表現できる必要があるので、いきなり導入 するのには難しい面があります。しかし、ワークブックがたくさん出版されており、や り方を覚えれば、治療者がいなくとも行えるという利点があります。 日常的に行えるので、再発予防のためにとても効果的です。。 認知的アプローチでは、以下のような課題が出されます。 ・不安の根拠を分析する。 ・不安が実現する可能性を、数値化する。 ・重要度を整理する。 ・対処方法のアイデアをたくさん挙げてみる。 ・不安なことを声に出す。 ・不安なことを紙に書き出す。 ・問題が「自分のせいである」もしくは「周囲の せいである」と どちらかに原因を求めすぎてい る場合は、原因のバランスをとる。 ●不安を測定する心理検査 不安がどのぐらい強くなっているか、客観的測定する事も治療の上で役立ちます。 治療の効果がどのくらいあったか知るためにも、心理検査を受けるとよいでしょう。 不安に関しては、次の心理検査がよく行われます。 健在性不安検査(MAS:Manifest Anxiety Scale) 精神面や身体面に表出される、慢性的な不安を測定する検査です。 日本語版STAI(State-Trait Anxiety Inventory) 刻々と変化する不安状態と、不安になりやすい性格傾向を測定する検査です。 ●終わりに 「不安」は、生活の上で起こる事が、命を脅かすものか・そうでないか判断するため に備わっています。これは、命を守るために必要な体の機能です。 通常であれば「不安」を引き起こすものは、すぐさま命の危機に直結するものではあ りません。それが、日常生活へ障害になるときが、病気の状態になります。病気の状態 になったとき、「不安」と上手く付き合えなくなります。 「不安ごときで病院にかかるのは…」という場合もあるでしょうが、治療を受けるこ とで早く日常の生活が取り戻せると思います。 もし、気になる症状がありましたら、ぜひご相談ください。 特定医療法人 豊司会 新門司病院 広報誌 「癒し」 Vol.23 ●新任の先生の紹介 中村倫之 先生 プロフィール 平成19年 平成20年 平成20年 平成22年 平成24年 久留米大学医学部 卒業 医師免許証 取得 久留米大学病院 勤務 久留米大学医学部神経精神医学講座 入局 新門司病院 勤務 皆さん、初めまして。久留米から来ました中村倫之です。 臨床研修医を終えた後、2年間大学病院で勤務し、今回初めての長期出張が新門司病院 となりました。 久留米を出たのも初めてのことで、まだまだ分らないことばかりですが、皆さま温かい目 で見守ってください。 どうぞよろしくお願い致します。 ●地域連携・生活支援室のご案内 地域連携・生活支援室は、当院にて皆様に安心して気持ちよく治療 を受けていただくための窓口です。 皆様がお困りの際は、お気軽に声をお掛けください。 櫻井 渡邊 ●問合せ先 山口 青野 直通電話 093(481)1368 093(481)8844 内線171 172 受付時間 月~金 9:00~17:00 土 9:00~12:30 特定医療法人 診 豊司会 療 案 新門司病院 広報誌 「癒し」 Vol.23 内 診療科目 精神科 内科 リハビリテーション科 診療時間 月~金 19:00~12:30 受付12:00まで(新患の方は11:00まで) 13:30~17:00 受付16:30まで(新患の方は15:30まで) 土 19:00~12:30 受付12:00まで(新患の方は11:00まで) 午後休診 休診日 日曜、祝日 外来担当医師名(平成24年4月1日現在) AM 月 火 水 木 白川知泰 櫻井征彦 白川伸一郎 櫻井征彦 金 土 第1・3・5 白川伸一郎 白川伸一郎 第2・4 PM 中村倫之 白川知泰 中村倫之 白川知泰 櫻井征彦 日直医 当院のホームページもぜひご覧ください http://www.shinmoji.com 〒800-0102 e-mail : info@shinmoji.com 福岡県北九州市門司区大字猿喰615番地 Tel 093(481)1368 Fax 093(481)5595
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