E-ディフェンスの性能確認試験 E-ディフェンス E-ディフェンスの性能試験 E-ディフェンスではこれまでに観測された地震よりも大きな速度と変位で構造物に振動を与えることができますが、震動台実験では、実際に発 生した地震の動きで構造物を振動させることが重要です。ビルなどの試験体を震動台に搭載し、破壊実験を実施する前に、仕様にある性能を 確認するため、震動台のみの状態及び震動台に試験体が載った状態で試験を実施しました。 震動台性能試験(無負荷) 震動台は平成16年11月に完成しましたが、平成17年の3月末までその性能確認のため試験体無しの状態で様々な振動パターンを想定し て試験を行いました。E-ディフェンスには、震動台を通常の制御方法で動かす基本制御と、加振精度を向上させるための応用制御の2種類の 制御方法が装備されています。(b)の応用制御は (a)の基本制御よりも地震波再現性が向上していることがわかります。 (b)応用制御 (a)基本制御のみ 地震波の再現性試験の結果(阪神淡路大震災の神戸海洋気象台での観測波) 震動台 震動台が設計通りの性能を有しているかを正弦波を用いて試験しました。下図の(a),(b),(c)はそれぞれX軸、Y軸、Z軸方向の加振限界線図で あり、黒い太線の枠内の範囲が、この震動台で再現可能な正弦波の周波数と加速度・速度・変位です。X軸、Y軸、Z軸方向の図とも赤丸で示 したところが震動台性能の限界であり、そのときの震動台の速度と加速度の時刻歴はいずれもほぼ性能を達成している結果が得られています。 (a) X軸の加振性能 (b) Y軸の加振性能 正弦波加振限界性能試験の結果 (c) Z軸の加振性能 震動台性能試験(有負荷) 無負荷での性能確認試験に引き続き、平成17年6月から8月に震動台に試験体を搭載した状態での性能確認試験を実施しました。試験の目 的は、震動台に試験体が搭載された時に目標とする波形が正確に再現でき、試験体を思うように振動させることができるかを確認することで す。 質量 560t X axis 10 Y axis 10 Z axis 10 0 W12×D9×H20 Gain[dB] サイズ[m] 固有振動数[Hz] X 5.4 0 -10 -10 -20 -20 -10 -30 -30 3次 15.5 200 27.3 Y 2.9 8.5 15.2 Z 18.8 31.4 42.0 0.3 1 10 30 m/s 2 m/s 0 .0 10 2 0 .0 10 15 20 2 目 標 :M a x 1 .6 7 M i n - 1 .5 8 計 測 :M a x 1 .3 4 M i n - 1 .2 5 T im e [ s ] 15 20 計 測 :M a x 7 .5 1 M i n - 6 .6 6 10 20 0 3 2 1 0 -1 -2 -3 計 測 :M a x 2 4 .0 2 M i n - 2 3 .9 2 5 10 15 20 最 上 部 応 答 加 速 度 (Z ) 計 測 :M a x 1 .5 0 M i n - 1 .5 6 5 10 地震波加振結果(入力補償) 兵庫耐震工学研究センター 15 最 上 部 応 答 加 速 度 (Y ) 15 -30 目 標 加 速 度 (Z ) 台 計 測 加 速 度 10 0 -15 目 標 :M a x 3 .0 9 M i n - 2 .3 8 計 測 :M a x 3 .5 3 M i n - 2 .3 5 m/s 2 - 5 .0 5 3 2 1 0 -1 -2 -3 5 5 -10 5 30 20 目 標 加 速 度 (Y ) 台 計 測 加 速 度 - 2 .5 m/s 15 2 .5 m/s m/s 2 - 5 .0 5 5 .0 最 上 部 応 答 加 速 度 (X ) -5 目 標 :M a x 2 .9 0 M i n - 4 .0 9 計 測 :M a x 3 .1 2 M i n - 4 .1 9 1 10 30 -50 200 100 100 100 50 50 0 0 0 -50 -50 -50 -100 -100 -100 1 10 30 -200 1 0.3 1 10 30 10 30 50 -150 0.3 0.3 -150 0.3 1 10 30 -200 Frequency[Hz] Frequency[Hz] 震動台周波数特性(入力補償) 10 2 2 .5 - 2 .5 0.3 150 -200 試験体の全景と仕様 200 150 Frequency[Hz] 目 標 加 速 度 (X ) 台 計 測 加 速 度 -30 150 -150 5 .0 -20 -40 2次 Phase[deg] 1次 0 T im e [ s ] 15 20 震動台の周波数特性を上図に示します。試験体が搭載されて も30Hzまで振幅特性がフラットであり、高い周波数まで加振でき ることが確認できました。 また、兵庫県南部地震時に神戸海洋気象台で観測された波形 の50%で加振したときの結果を左図に示します。目標波形と震動 台上の計測データがよく一致し、また標準試験体も思うように応 答しており,高い精度で加振できていることが確認できました。 今回の実験はさまざまな条件下で実施されており、取得したデ ータは今後のE-ディフェンスでの実験に役立ちます。
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