世 界 銀 行 年 次 報 告

世 界 銀 行
年 次 報 告
2002
Volume 1
一年を振り返って
書 簡
2001年7月1日から
2002年6月30日までの期間を
対象としたこの活動報告は、
国際復興開発銀行(IBRD)
と
世界銀行の使命
国際開発協会(IDA)の理事が
それぞれの機関の定款に従って
作成したものです。
長期的な結果を追求し、熱意とプロフェッショナリズム
を持ち貧困削減に取り組んでいます。
IBRDとIDAの総裁及び
理事会議長を兼務する
ジェームズ・D・ウォルフェンソン
資源の提供、知識の共有、キャパシティ・ビルディング、
は、この活動報告、運営予算
及び監査済みの財務諸表を
総務会に提出しました。
公共・民間セクターにおけるパートナーシップの推進を
通じて、人々の自助努力とその環境作りを支援します。
国際金融公社(IFC)、
多国間投資保証機関(MIGA)
人を引きつけ、活力を与え、また、耳を傾け、学ぶ姿勢
及び投資紛争解決国際センター
を持った優れた職員を育てることができる援助機関を目
(ICS
ID)の活動報告は、
別途、刊行されます。
指しています。
ワシントンに建つ
世界銀行本部
目 次
ウォルフェンソン世界銀行総裁(兼理事会議長)からのメッセージ
理事会
世界銀行グループ
表 紙
教育は国と国民の将来を左右するものです。しか
し世界では、1 億 1,300 万人の子供達が学校に通
っていません。その大半は少女達です。2002 年
度においては、「万人のための教育」(EFA)とい
うアジェンダに重点が置かれました。そして世銀
は 2015 年までに、すべての少女と少年に質の高
い初等教育を無償で提供することを目標としたグ
ローバルな取り組みの最前線に立っています。
(注)
本書は 2 巻 1 組で配布する資料の第 1 巻です。世
銀幹部の意見と分析、監査済みの世界銀行の財務
諸表、監査済みの国際開発協会(IDA)の財務諸
2
5
8
第1章
貧困に対する取り組み:世銀の目標と戦略
11
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
23
第3章
開発の有効性
43
第4章
テーマ別展望
59
貧困の社会的、制度的及び経済的要因に対する取り組み
人々への投資
環境・社会・持続可能な開発の促進
民間セクター開発とインフラに対する支援
健全な金融システムの構築
法制度の整備
第5章
地域別展望
世界銀行の地域区分、現地事務所及び融資適格国
アフリカ地域
東アジア・大洋州地域
南アジア地域
ヨーロッパ・中央アジア地域
ラテンアメリカ・カリブ海地域
中東・北アフリカ地域
第6章 世界銀行について
60
63
67
70
74
77
81
82
84
89
93
98
103
108
115
表及び付表は、世界銀行年次報告 2002 ―第 2 巻
「財務諸表及び付表」と題する第 2 巻の中で報告
します。この活動報告は、インターネットで見る
ことができます。
www.worldbank.org
この活動報告の中のドル金額はすべて、特に断り
がない限り、現在の米ドルを意味します。
索 引
囲み、図及び表のリスト
世界銀行の主な出版物
パート I ・パート II IDA 加盟国リスト
世界銀行のウェブサイト一覧
略語
168
170
172
173
174
176
ウォルフェンソン世界銀行総裁(兼理事会議長)からの
メッセージ
2002 年 5 月、世銀事務所の開設のためにカブールを訪問したジェームズ・ D ・ウォルフェンソン総裁は、緊急教育
復旧開発プロジェクトから資金提供を受けているグローバル遠隔研修センターで、作業員を励まし、工事の進捗状
況を視察しました。
開発のための新たなグローバル・パートナーシップ
この 1 年間の様々な出来事を通じて、豊かな国
と貧しい国を隔てる壁は存在しないと考える人々
が増えました。2 つの世界というものは存在しな
いのです。世界は1つです。この世界における私
達の共通の敵は貧困です。多くの難題に直面した
1年でした。しかし共通の目標に向かって努力・
協力すること、さらにその目標を再確認すること
ができた1年でもありました。
ミレニアム開発目標(MDGs)は、2015 年まで
に世界中の貧しい人々の数を半減させるなどの重
要目標を有する拡大された開発ビジョンです。
2002 年 3 月にメキシコ合衆国のモンテレーで開催
された「国連開発資金国際会議」において、国際
社会は様々な目標の実現に向けて努力することを
再確認しました。国際社会は、新たなグローバ
ル・パートナーシップ(モンテレー合意)を構築
しました。このパートナーシップは、MDGs の実
現のための努力の重要な分岐点となるものです。
途上国と先進国はそれぞれ重要な役割を果たすこ
とになります。
2
世界銀行年次報告書 2002
途上国は、公正なガバナンスと健全な政策を実
施し、投資を受け入れる条件を整備し、住民に責
任感を持たせながら開発プロセスに参加させる必
要があることを認識しています。途上国は、教
育・保健プログラムに重点をおきつつ、人的能力
の育成のために支援資金を活用することを約束し
ました。また途上国は生産活動に投入されるべき
資金を汚職から守ることも約束しました。途上国
は、優先事項を明確化し、独自の開発政策を策定
し、女性や不利な境遇に置かれた人々を含めたす
べての関係者を開発プロセスに参加させるための
イニシアティブを確立しました。また開発コミュ
ニティは、このような分野での途上国への支援の
金額と有効性の増大を決定しています。
先進国は援助の金額を増やし、その質を改善
し、政策の一貫性を高め、また重要なこととし
て、開発促進につながるような貿易政策を追求し
なければならないことを認識しています。特に途
上国の産品の市場を制限するような政策を見直す
ことが重要です。世界市場への参入機会の拡大
と、その結果としての貿易の増加がなければ、途
上国の多くは大きな制約を被り、投資の増加、民
間部門の成長、雇用の創出、所得の持続的な増加
などは実現できなくなると思われます。
開発を効果的に推進するための重要な条件に
は、人的能力を育成するための教育・保健プログ
ラム、効果的なインフラ整備システム、公正で透
明性の高い政府、効果的な法律・司法制度、及び
監督と整備が行き届いた金融システムが含まれる
という点について、開発関係者の間で合意がされ
ています。
モンテレー合意は、歴史的な一歩を踏み出すも
のでした。途上国はようやく、貿易機会と支援金
額に関する姿勢を転換するとの約束を取り付ける
ことができました。ドナーは、今後 3 年間で支援
金額を 120 億ドル増加することを約束しました。
開発のための新たなグローバルパートナーシップ
を実行に移し、途上国と国際社会全体による努力
を強化することは、現在の我々の課題といえま
す。
最も大切なのは結果です。多くの国では、過去
数十年間で、平均余命、識字率及び貧困削減の面
で大きな進展が見られました。途上国の優れた政
策と、近年における成果重視の資源配分とが相ま
って、貧困削減を目的とした支援は従来以上に効
果的なものとなっています。しかし実行すべきこ
とはまだ残されています。素晴らしい結果を出す
ことによって、貧困に対する取り組みのための資
源の増加を図るための道が開かれます。途上国と
先進国は、現在、MDGs の実現に向けた次の対策
を講じることができる状況にあります。
このような対策を講じるに当たり、モンテレー
で約束された追加の支援資金を途上国が効果的に
活用する必要があるということが重要になりま
す。ドナーは、融資に関する政策と手続を協調さ
せ、その支援をアンタイドにしなければなりませ
ん。そうすることで借入国は、必要以上の提出書
類や報告書を作成する手間を省くことができ、よ
り効果的に援助を受けることができるようになり
ます。さらにドナーは、途上国による政府、企業
及び地域社会のキャパシティ・ビルディングを支
援すると共に、途上国が指定した優先事項にも配
慮する必要があります。
モンテレー合意は、近年、世銀グループが積極
的に追求してきた開発戦略に沿うものです。開発
に関する50年を超える経験に裏打ちされた世銀の
知識資源は、非常に重要な役割を果たしてきまし
た。包括的な開発フレームワーク及び貧困削減戦
略文書は、現在、多くの低所得国と世銀の開発パ
ートナーに受け入れられています。このアプロー
チを各国が責任を持って遂行するという考え方
は、ますます多くの国の議会、シビルソサエティ
及び民間セクターの理解を得られるようになると
私は信じています。借入国は自らが主導する包括
的なプロセスを通じて、経済成長の促進と貧困削
減に必要な政策と対策に関する明確な優先順位を
効果的に設定することが可能になります。これら
の優先事項には各国固有の状況とニーズを反映さ
せる必要があります。またこれらの優先事項は政
治的サイクルを超えて実施しなければならないこ
とも多いことでしょう。
貧困削減と教育改善の重視
この 1 年間、世銀は貧困国が貧困削減のために
使用する資金を増やせるよう、貧困国の債務救済
の面で主導的な役割を果たしてきました。現在、
重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ―すべて
の債権国による債務返済削減額が名目で約 410 億
ドル―の適用を受けている国は26 ヶ国に上りま
す。さらに近々 5 ヶ国がこのプログラムに基づい
て債務の削減を受けることになっています。
HIPCイニシアティブと他の債務救済措置により、
HIPC の対外債務総額は 3 分の 2 に削減されます。
これらの HIPC は、現在、教育・保健などの重要
な社会的投資に対して、年に債務返済額の 3 ∼ 4
倍の金額を支出できるようになっています。
教育は貧困削減の中核を成すものです。世銀グ
ループの開発委員会は、今年のスプリングミーテ
ィングにおいて「万人のための教育」(EFA)を
加速するためのアクションプランを承認しました。
この EFA はすべての少女達と少年達に、2015 年
までに質の高い初等教育を提供することを目標と
するものです。この目標の実現を加速させる理由
は明白です。途上国では、学齢に達している 1 億
1,300 万人の子供達が全く学校に通ったことがない
か、または就学後すぐに学校に通わなくなってい
ます。この状況を受けて世銀は 18 ヶ国を EFA フ
ァースト・トラックに選定しました。さらに世銀
は 5 ヶ国をこのプログラムに参加させる方向で検
討しています。これは途上国が教育に関する2015
年の目標を達成できるようにすることを目指した
イニシアティブです。今後数年以内にはさらに多
くの国がこのイニシアティブの適用を受けること
になると予想されます。
我々は特に貧しい国々における貧困削減のため
の資源を引き続き増加させる必要があり、国際開
発協会(IDA)は最大の譲許的融資提供機関で
す。現在、IDA 第 13 次増資(IDA-13)によって、
IDA の触媒的役割はさらに大きくなっています。
IDA-13 は他の開発パートナーとの協力や結果重視
姿勢の強化に力点を置いています。IDA-13 は
世界銀行年次報告書 2002
3
IDA-12に比べて18%増えていますが、これはモン
テレーで策定された目標に対するIDAドナーの取
り組み姿勢を踏まえたものです。IDAがグラント
を増額したことは特に歓迎すべきことです。我々
はこのような新たな措置に対し、IDAドナーに感
謝の意を表明します。
この 1 年間、世銀グループは戦略、アプローチ
及び優先事項を策定し、これらを公開し、またこ
れらの広範な指針をモニタリング可能な具体的活
動に転換する上で必要になる多くの手続とツール
を確立しました。我々は確立した戦略に基づい
て、引き続き活動を実施することに重点を置き、
世界の貧困問題の規模と緊急性を考慮して、世銀
グループの影響力を強めたいと考えています。世
銀がこれまで成果を上げることができたのは、借
入国の指導者と世銀の強力なパートナーが開発面
でそれぞれ重要な役割を果たしてきたからだとい
うことを我々は認識しています。借入国が政策を
策定し、制度を構築するのを支援するための一段
と効果的な方法を探究するために、パートナーと
の協力を継続します。我々は世銀の膨大な知識資
源を共有し、活用することを通じて、開発パート
ナーと借入国が効果的な貧困削減策を策定し、か
つこれらの施策を広い範囲で実施するのを支援す
ることができます。特に私心のない努力を払って
くれている世銀グループの幹部と職員に対して私
は感謝しています。
世界が変化している現在、各国間の新たなパー
トナーシップは貧しい人々の生活を大きく変化さ
せることができます。今こそ行動を起こさなけれ
ばなりません。その機会がめぐってきたのです。
我々は貧困との闘いに断固とした姿勢で臨まなけ
ればなりません。そして、我々の世代が生きてい
る間に、子供達のために貧困を大幅に削減すると
いう目標の実現を目指し、貧困のない、活気に溢
れた公平な社会の実現に取り組まなければならな
いのです。
ジェームズ・D・ウォルフェンソン
4
世界銀行年次報告書 2002
理事会
左から右へ:(起立)Tom Scholar, Luis Antonio Baduino,* Neil Francis Hyden, Mohamed K, Amr,* Pieter Stek, Pierre Duquesne,
Eckhardt Biskup,* Pietro Veglio, Finn Jønck, Mario Soto-Platero, Girmai Abraham, 原田 有造 , Abdul Aziz Mohd. Yaacob, Bassary Toure,
Emin Dedeoglu;*
(着席)Zhu Guangyao, Yahya A. M. Alyahya, Carole Brookins, Balmiki Prasad Singh, Sharon Weber,* Helena Cordeiro,* Ahmed Sadoudi
* 理事代理(一部の理事と理事代理は写真撮影に参加していない)
理事会は、世銀の業務全般の管理運営に対して
責任を負い、また、総務会から委任された権限に
基づき、その任務を果たします。世銀協定の規定
により、24 名の理事のうち 5 名は五大出資国より
任命され、残りの理事は、他の加盟国を区割り
し、2 年ごとに各グループの選出作業を行って選
任されます。
理事会は、総裁が提出する国際復興開発銀行
(IBRD)融資・保証案件及び国際開発協会(IDA)
融資・保証案件に関する検討・承認を行う他、世
銀の業務全般や方向性を左右する政策課題につい
ての決定も行います。また、理事会は、年次総会
において、総務会に対し、会計監査報告書、運営予
算、及び世銀の業務と政策などに関する年次報告
(本報告書)を提出する責任を有しています。理
事会は、出資国が世銀グループに期待する内容の
変化や世銀の業務実績を踏まえて、世銀の政策を
決定します。この場合、業務評価局(OED)が重
要な役割を果たします。OEDは、理事会に直接説
明する責任を負っており、理事会が承認したOED
の政策、戦略及び業務プログラムに定められてい
る専門的評価を実施します。OED は、業務の適
性、持続可能性、効率性及び有効性に関して、理
事会に独立機関としてのアドバイスを提供しま
す。2002年度においては、理事会は、その責任を
履行するため、世銀本部で定期的に会合を開きま
した。各理事は、5 つの常任委員会(監査委員会、
予算委員会、開発効果委員会、人事委員会及び理
事行政管理委員会)のいずれか 1 つ以上の委員を
務めています。これらの委員会は、理事会がその
監督機能を十分に発揮できるよう、政策や慣行に
関して綿密な検討を行います。
理事及び理事代理は、定期的に借入国を訪問
し、世銀援助の実施状況を視察します。視察の際
には、プロジェクト・マネージャー、受益者、政
府関係者、NGO、経済界、他の開発パートナー、
金融機関、世銀現地事務所の職員など、多方面に
わたる人々と会談します。2002 年度の視察先は、
ブリュッセルの欧州連合(EU)、アルジェリア、
エジプト及びイランでした。また、理事会は、半
年ごとに開催される世銀・IMF合同開発委員会の
アジェンダや課題に関する文書を準備する際にも
重要な役割を果たします。2002年度には、世銀・
国際通貨基金(IMF)合同開発委員会は、2001年
世界銀行年次報告書 2002
5
9 月 11 日に米国で発生した同時多発テロが低・中
所得国に与える影響を緩和するための世銀による
対応、「国連開発資金国際会議」、開発の有効性、
変化する経済のための教育、並びに、重債務貧困
国(HIPC)、マネーロンダリング防止活動及び国
際開発金融機関(MDBs)の業務方針・手続の統
一化など、その他多くの問題に取り組みました。
(本年次報告の第2 巻の付表13 を参照)
戦略的課題
2002 年度における理事会の重点課題の概要は、
次のとおりです。
の決定によって大きな影響を受けました。
国別プログラム
2002 年度においても、国別援助戦略(CAS)、
包括的な開発フレームワーク(CDF)の責任原
則、パートナーシップ及び結果重視原則は、世銀
グループの国レベル業務の指針となりました。理
事会は、合計 34 件の CAS と CAS 関連文書を検討
しました。CDF 研修グループは、定期協議を開い
て、選択と調整などの問題に取り組みました。理
事会は世銀の融資とそれ以外の援助の手法を改
善・近代化するための継続的作業に参加すると共
に、国際復興開発銀行(IBRD)がその中所得加
盟国に構造調整融資を行った際に加盟国が利用で
きる「引き出し繰り延べオプション」の条件をは
じめ、この分野の多くの文書に関する指針を出し
ました。
戦略フレームワーク
2002年度においては、理事会の審議は、そのほ
とんどが2001 年度に検討された戦略フレームワー
ク文書と戦略指針文書に基づいて行われました。
またこの審議によって、世銀グループの戦略と政
グローバルなプログラムとパートナーシップ
策の焦点が主要目標である貧困削減に当てられま
2002 年度においても、世銀グループは国際通貨
した。理事会は世銀の戦略フレームワークに重点
基金(IMF)、他の国際開発金融機関(MDBs)
を置きつつ、2003−05 年度の戦略更新文書を検討
及び国連機関との協力関係を強化すると共に、シ
しました。この過程で理事会はセクター・レベル
ビルソサエティとの協力関係も深めました。理事
での貧困削減における世銀の役割を定義した多く
会は他の開発パートナーとの関係での優先事項を
のセクター別戦略文書を検討した他、環境、ジェ
積極的に検討しました。PRSP と重債務貧困国
ンダー、情報・通信技術及び民間セクター開発に (HIPC)イニシアティブに関する取り組み、及び
関する戦略を検討しました。
債務の持続可能性と公共セクター運営に関する取
り組みの面では、IMF との協力関係が卓越してい
貧困削減分野における世銀グループの役割
ました。たとえば、国別プログラムとコンディシ
理事会は、2002年度においても、貧困削減に関
ョナリティーに関する世銀とIMFの協力関係を強
する世銀の任務の実施状況に十分な注意を払いま
化するための世銀・IMF 共同文書、及び金融セク
した。理事会は 7 件の貧困削減戦略文書(PRSP) ターの問題に関する業務調整を強化するための文
と9件の暫定PRSP(I-PRSP)を検討した他、3件
書なども作成されました。また、他のMDBs 及び
の PRSP 進行状況報告書を検討し、さらに改良す
二国間援助機関との間でも、業務方針・手続の統
べき分野を指摘しました。また、理事会は、世銀
一化のために作業が行われ、「方針、手続及び慣
と国際通貨基金(IMF)が合同で実施した
行の統一化に関する進捗情況報告書」が作成され
「PRSPアプローチの包括的レビュー」を検討しま
ました。
した。さらに理事会は拡充重債務貧困国(HIPC)
理事会は世銀の情報公開政策を検討した際、借
イニシアティブにも十分な注意を払いました。理
入国及びシビルソサエティと密接な協議を行って
事会は、11 件の HIPC 文書(予備的文書が 4 件、 作成されたいくつかの重要な提言を承認しまし
「完了時点」2 に
「決定時点」1に関する文書が 3 件、
関する文書が 4 件)を検討しました。また、理事
会 は 、「 H I P C イ ニ シ ア テ ィ ブ : 実 施 状 況 」、 1. 決定時点:維持可能な水準を超える債務を抱えながらも経済改
革・貧困削減プログラムにおいて一定の成果を上げた国に対する
「HIPCイニシアティブ:完了時点に関する検討」
、
債務救済に関して、国際社会が未返済債務を維持可能な水準にま
「HIPC による対外債務管理」及び「HIPC による
で引き下げる上で必要な債務救済額に合意する時点のこと。国際
貧困削減公共支出の監視を強化するための措置」
開発協会(IDA)をはじめとする多国間債権者は、決定時点後直
ちに相当額の「暫定援助」を実施します。
をはじめ、多くの世銀・IMF共同文書を検討しま
2. 完了時点:すべての債権者が、決定時点で合意されたそれぞれの
した。貧困削減に関する理事会の審議は、2015 年
債務救済額の未実行部分の削減を無条件で実行した時点のこと。
までに世界の貧困レベルを半減させるとしたミレ
完了時点は、各国の PRSP に示された重要な改革と政策の実施に
関連付けられています。
ニアム開発目標(MDGs)の達成度を加速すると
6
世界銀行年次報告書 2002
た。多くの理事は、2002 年 3 月に国連が開催した
「国連開発資金国際会議」に関する会議の準備に
深く関与しました。この会議で取り上げられた問
題は、ミレニアム開発目標(MDGs)の役割、投資
条件の整備と経済成長の促進、途上国の国際貿易
システムへの統合促進、開発援助強化の重要性、
及び援助実施コストを削減するためのドナー間で
の協力と調整などでした。また理事会は世銀の知
識戦略の高度化とディベロップメント・ゲートウ
ェイ財団の設立にも大きな努力を払いました。
監督責任と財務管理などの受託者責任
(FIDUCIARY RESPONSIBILITY)
理事会は世銀の株主に代わり、監督義務と財務
管理などの受託者責任(fiduciary responsibility)
を果たしており、その一部は監査委員会を通じて
行われます。監査委員会は、リスク管理における
自らの役割と責任が拡大していることを踏まえ
て、自らに対する委任事項を再検討しました。監
査委員会は、財務方針と管理問題に関する理事会
の決定を支援するために、財務管理と他のガバナ
ンス問題について助言サービスを行っています。
運営予算
2002年度に関し、理事会は予算委員会の検討結
果に基づいて、返済金額を除く総額 15 億 8,970 万
ドルの運営予算を承認しました。この予算総額に
は、開発グラント・ファシリティに対する 1 億
7,690万ドルの予算が含まれています。この予算額
は、前年度予算を実質で4.6%上回るものとなって
います。2002 年 6 月、理事会は 2003 年度に関し
て、返済金額を除く総額 16 億 7,260 万ドルの運営
予算を承認しました。
査閲パネル
理事会は、世銀のプロジェクトの影響を受ける
人々の関心やニーズに配慮した上で取り組みを行
うことを目的として、1993年に独立性を有する査
閲パネルを設置しました。このパネルにより、プ
ロジェクトの設計、準備及び実施に当たって、世
銀の運用政策・手続の遵守が徹底されています。
世銀が支援したプロジェクトによって悪影響を受
ける可能性があると判断した人は誰でも、査閲パ
ネルに対し、そうした悪影響は世銀がその政策・
手続を遵守していないことに起因するものである
との苦情を呈し、調査を請求することができま
す。理事会は、査閲パネルの提言に基づいて、調
査を実施するかどうかを決定します。
2002 年度においては、査閲パネルは、次のプロ
ジェクトに関して新たに 3 件の調査請求を受けま
した。
(a)
ウガンダ:第3次発電プロジェクト及び
後に承認されたブジャガリ水力発電プロジェクト
―これらに関しては、理事会は調査を承認しま
した。(b)パプアニューギニア:ガバナンス改善
構造調整融資―これに関しては、査閲パネルは
調査の提言は行いませんでした。(c)パラグア
イ:水道・通信セクター改革プロジェクト、及び、
アルゼンチン: SEGBAV 配電プロジェクト―
この 2 つに関しては、査閲パネルは調査請求が行
われたことを記録しました。
理事会はウガンダのブジャガリ・プロジェクト
に関する査閲パネルの調査報告書と世銀幹部への
提言を検討した後、査閲パネルの調査結果に基づ
いた世銀幹部への提言を承認しました。ウガンダ
のプロジェクトに関する調査以外では、査閲パネ
ルは次の 2 つのプロジェクトに関して 2001 年度に
受け付けた調査請求に基づいて、理事会の承認を
得た上で調査を行っています。(a)チャド石油開
発・パイプライン・プロジェクト、及び(b)イン
ドの石炭セクターの環境・社会支援プロジェク
ト。査閲パネルの設置以来、26件の調査請求が行
われています。
世界銀行年次報告書 2002
7
A
T I O N L BA N
K
NA
DE
F
L
T
RNA IONA
TE
EN T
PM
O
L
E
N
IN
V
I
E
N AND D
IO
ST
TIO
S O C I AT
ON
世界銀行(世銀)グルー
UC
N
AS
REC
R
VELOPME
T
R
WORLD BANK
N
ER
O
T
世界銀行グループ
国際復興開発銀行(IBRD)
国際開発協会(IDA)
1945年設立 ■ 183加盟国
累積融資額:3,710億ドル
2002 年度融資額: 40 ヶ国の 96 件の
新規プロジェクトに対して115億ドル
1960年設立 ■ 162加盟国
累積融資額:1,350億ドル
2002 年度融資額: 62 ヶ国の 133 件の
新規プロジェクトに対して81億ドル
トルコ・マルマラ地震緊急復興(MEER)プロ
ジェクトは、自然災害復旧事業の新たなモデ
ルになりました。このプロジェクトでは、復
興活動と災害リスク緩和・救援活動が並行的
に行われています。MEER チームは、2001 年
度に世銀グループ総裁から表彰されました。
IDA は、教育、保健・医療、飲料水及び衛生な
どの基本的サービスの質とアクセスの改善の
ために融資を行っています。ザンビアでは、
IDA から融資を受けて、二次配管プロジェク
トの配管工事が行われています。
IBRD は、中所得国及び信用力のあ
る貧困国に、融資、保証、その他のサ
ービス(分析・助言)を提供して持
続可能な開発を推進することを通じ
て、これらの国の貧困を削減するこ
とを目標にしています。IBRD は利
益の最大化を目的としてはいません
が、1948 年以降毎年、純利益を計上
しています。この純利益は一部の開
発活動の原資として使われます。純
利益は財務の健全性を示す指標です
ので、資本市場での低利の借入や、
借入国に対する融資条件の緩和が可
能になります。
24 名の理事で構成された IBRD の理
事会は、183 の加盟国を代表してい
ます。これらの理事のうち、5 名は任
命理事で、19 名は選任理事となって
います。
IDAに対する拠出金により、世銀は、
合計 25 億人が居住する 79 の特に貧
しい国に対して、無利子で年間 70
∼ 80 億ドルの融資を行っています。
この援助は極めて重要です。何故な
ら、これらの国々は、市場の条件で
借入を行うことがほとんど、または
全くできないからです。ほとんどの
最も貧しい国では、非常に多くの
人々が 1 日 2 ドル未満、10 人中 4 人
の割合の人々が 1 日 1 ドル未満で生
活しています。
IDA はドナーから資金拠出を受けて
います。ドナーは 3 年ごとに会議を
開き、IDA の融資プログラムに必要
な資金額について合意すると共に、
IDA の活動の指針となる政策目標を
決定します。
プは、途上国の人々の貧
困削減及び生活水準の向
上を使命とする国際開発
機関です。世銀グループ
は、融資、政策助言サー
ビス、技術支援及び知識
共有などのサービスを提
供しています。世銀を構
成する国際復興開発銀行
(IBRD)及び国際開発協
会(IDA)の株主は加盟国
で、これらの加盟国が最
終的な意思決定権を持っ
ています。現在、世銀グ
ループは互いに密接な関
係にある 5 つの機関で構
成されています。
8
世界銀行年次報告書 2002
R
TE
T
UTES
D
SP
Y
C
N
SI
DI
M U L
T I
L
•
O
P O R AT I
OR
• IN
N
I
C
TR
R •
G
AL CE
N
EN
A
E
EM
N T
E E
ION
FO
•
A
AT
IC
SETTL
E N T
R
N
E
M
A
1956年設立 ■ 175加盟国
ポートフォリオ残 高 : 2 1 6 億 ド ル
(協調融資分の65億ドルを含む)
2002 年度承認額: 75 ヶ国の 204 件の
プロジェクトに対して36億ドル
E
U
N
国際金融公社(IFC)
I N
V
G
R N AT I O
FINANCE
A L
E R
T
TE
L
T
S
N
A
A
OF
INV ESTM
EN
T
多国間投資保証機関(MIGA) 投資紛争解決国際センター
(ICSID)
1988年設立 ■ 157加盟国
累積保証額:103.4億ドル
2002年度保証額:13.6億ドル 1
1966年設立 ■ 134加盟国
合計登録案件:103件
2002年度登録案件:16件
IFC のメコン・プロジェクト開発ファシリティ
は、ベトナムの地方の小企業が事業を成功さ
せる上で必要となる健全な経営管理手法の構
築に対し支援しました。
MIGA から保証を受けた、ブラジルの瓶詰め
モロッコでの高速道路建設プロジェクトにつ
いては、ICSID が調停を進めています。
IFC は民間セクターを通じて経済開
発を推進しています。IFC は、政府
保証を取り付けることなく、途上国
で民間パートナーと協力して持続可
能な民間事業に投資を行っていま
す。IFC は、対象企業に、投資、長期
融資、長期保証を行い、リスク管理
サービスや助言サービスを提供して
います。IFC は、資本の確保が困難
な地域及び国の企業に対して援助を
行っています。IFC は、IFC が関与
しない場合には民間投資家からリス
クが大きすぎると考えられているよ
うな市場に投資を行うと共に、投資
対象のプロジェクトにコーポレー
ト・ガバナンス、環境及び社会的専
門知識に関する付加価値を与えてい
ます。
MIGA は、外国投資家に対して、収
用、通貨の交換停止及び送金制限、
戦争・内乱または契約違反等の非常
危険に起因する損失に対して保証す
ることにより、途上国における外国
投資を促進しています。さらに
MIGA は、途上国に対し当該国への
投資情報の普及の為の技術支援を行
っています。また MIGA は、要請に
応じて、投資紛争の調停を行います。
会社の従業員が、生徒が学校に持ち寄ったリ
サイクル瓶を計量しています。
ICSID は投資紛争を調停・仲裁によ
って解決する国際的な場を提供する
ことを通じて、外国投資を促進して
います。ICSID はこのようにして、
各国と外国投資家の間での信頼関係
の育成に貢献しています。多くの国
際投資協定書は、ICSID による仲裁
を規定しています。また、ICSIDは、
仲裁法及び外国投資法の分野で研
究・出版活動を行っています。
1. 共同引受プログラムに基づいて保証され
た 1 億 3,600 万ドルを含む。
世界銀行年次報告書 2002
9
第1章
世界銀行は、180 を超える加盟国を有す
る国際機関です。世銀は、グローバルな
貧困と闘うことを使命とし、借入国に融
資を行っています。世銀はミレニアム開
発目標(MDGs)を支持すると同時に、こ
れを実現するための戦略を策定していま
す。また、持続可能で平等な成長の達成
を目指す途上国を支援するために、他の
機関と協力し、借入国に融資を行ってい
ます。
貧困に対する取り組み:
世銀の目標と戦略
第1章
貧困に対する取り組み:
世銀の目標と戦略
世界中の 60 億人の約半数は 1 日 2 ドル未満で生
活しており、5分の1の人々、つまり12億人は1日
1ドル未満で生活しています。
世銀は 180 を超える加盟国を有する国際機関で
す。その使命は貧困と闘うことです。世銀はその
資源を活用し、他のパートナーと協力して、借入
国が持続可能で公平な経済成長を達成できるよう
支援しています。
過去数十年間で大きな進展が見られたものの、
途上国の多くの人々は、人間の基本的要求を充足
することができないような所得水準に甘んじて生
活しています。貧しい人々は、機会に恵まれてい
ません。発言権もほとんどありません。病気、暴
力及び自然災害に対しても無防備です。教育、基
本的医療及び飲料水などの基本的サービスも不足
しています。貧しい人々の平均余命は、先進国の
数十年前の水準を下回っています。学校に通って
いない子供達―特に女子―の数は膨大な数に
上ります。このような子供達の将来は非常に暗い
ものとなっています。
目標1
極度の貧困と飢餓の撲滅
12
目標2
初等教育の完全普及
世界銀行年次報告書 2002
特に2002 年度においては、
世界の指導者達は、
国
際社会の平和と安全につながるような方法で貧困
に取り組む必要があるということを認識しました。
21 世紀に入った今、貧困国の貧困問題に取り組む
ことは先進国にとっての大きな課題の1つです。
ミレニアム開発目標(MDGs)
先進国は世界の貧困問題が深刻であることを認
識し、1990 年以降、現在はMDGs として知られて
いる貧困削減に向けた特定の目標を設定してきま
した。世銀が支持し、その開発プログラムの根幹
を成しているこれらの目標は次のとおりです。
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
目標2:初等教育の完全普及
目標3:ジェンダーの平等と女性のエンパワーメ
ントの達成
目標4:子供の死亡率の削減
目標5:妊産婦の健康の改善
目標3
ジェンダーの平等と女性の
エンパワーメントの達成
目標4
子供の死亡率の削減
目標6:HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓
延防止
目標7:持続可能な環境作り
目標8:グローバルな開発パートナーシップの構
築
世銀の開発に関する知識の蓄積は、借入国によ
るMDGsの達成を支援する世銀の活動が拡大する
につれて、重要な役割を果たしています。低・中
所得国において成功したアプローチとプロジェク
トに関する情報は、世銀と借入国の間で共有さ
れ、それが別の国で成功を生み出すことにつなが
ります。
MDGsの進捗状況は第3 章で取り上げます。
貧困削減のための世銀の優先事項
貧困に関する指標の傾向を見ると、世銀や先進
国は、途上国の貧困削減活動に関して、どのよう
な支援が効果的であったか、またそうでなかった
かということを再検討せざるを得ないと言えます。
途上国は貧困削減を促進し、ミレニアム開発目標
(MDGs)を実現するためには、経済成長率を加速
させる必要があります。世銀は「世界経済見通し
2002」の中で、2015年までに所得が極端に少ない
貧困者を半減させるという目標は、途上国の一人
当たり国内総生産(GDP)の平均成長率を 1990
年度の平均値 1.8%の 2 倍である年率 3.6%に維持で
きなければ実現不可能であると指摘しています。
この高成長シナリオの下では、2015 年までに 1 日
1 ドル未満で生活する人の割合は 12%に低下し、
目標5
妊産婦の健康の改善
その絶対数も約7 億5,000 万人に減少します。しか
しこの場合でも、多くの国は目標を実現すること
はできないと思われます。たとえばアフリカ地域
では、1日1ドル未満で生活する人の割合は39%に
低下するにとどまる他、その絶対数は3 億4,500 万
人に増加することが見込まれます(ちなみに、
1990 年では2 億 4,000 万人、1999 年では3 億人)。
最近の調査では次のことが判明しています。つ
まり、援助が最も有効なものとなるのは、借入国
の政策と支出の全体的なフレームワークが適切
で、制度が整備されており、民間セクターに活気
があり、政府と国民が共に改革を実行することを
強く決意している場合だということです。貧困が
多面的な性質を有していること、及びMDGsが相
互依存関係にあるということも、明確に認識され
ています。世銀は貧しい人々に利益をもたらす経
済成長の 2 つの重要なエンジンは、民間セクター
と貧しい人々自身であると理解しています。した
がって、世銀の戦略的優先事項は、2 つの柱、す
なわち投資・雇用・持続可能な経済成長を促進す
るための環境の整備、及び貧しい人々に対する投
資とこれらの人々によるエンパワーメントに基づ
いて決定されています。また、世銀は、最も急を
要する一部の開発目標は、各国内部の問題ではな
く、国際協調努力を通じて世界が一丸となって取
り組む必要があるものであるとしています。地球
公共財の設定のように、急を要する多くのグロー
バルな優先事項に対処するためには、クロスセク
ターの諸問題を適切に管理し、かつこれらの問題
への取り組みに適切な融資を行うことが必要にな
ります。
目標6
HIV/エイズ、マラリアなどの
疾病の蔓延防止
目標7
持続可能な環境作り
第1章
目標8
グローバルな開発パートナー
シップの構築
貧困に対する取り組み:世銀の目標と戦略
13
投資・雇用・持続可能な経済成長を促進するため
の環境の整備
借入国が内外の投資家の安心感を高め、より多
くの民間投資を呼び込めるよう、世銀は支援して
います。世銀は都市・農村開発、効果的なインフ
ラの整備、金融セクターの改革、規制改革及び競
争政策に関する支援を行っています。金融セクタ
ー改革は、安定性、透明性、アクセス及び競争を
促進するものです。また世銀は、民間セクターを
経済成長に参加させるための条件としての公共セ
クター運営を改善するための施策を支援していま
す。ガバナンスの改善では、法規、汚職防止、行
政改革及び司法改革に重点が置かれています。
めの努力が払われています。国内レベルでは、途
上国がその開発・貧困削減戦略に貧しい人々を配
慮した改革を組み込んだ上で貿易を活用すること
ができるよう支援しています。(囲み 1.1「グロー
バル化と貿易」を参照)。情報・知識に関する優
先事項の中には、デジタル・ディバイド(情報格
差)の緩和、借入国の知識活用能力の改善、及び
開発・貧困削減に対する理解の促進が含まれてい
ます。国際金融システムに関する優先事項は、国
際基準の作成、金融の安定化、及び会計・法律に
関する国際的フレームワークとなっています。
貧しい人々に対する投資と、これらの人々が開発
に参加するためのエンパワーメント
世銀は、ミレニアム開発目標(MDGs)は貧し
い人々のエンパワーメントがなければ達成できな
いとしています。貧しい人々を開発プロセスに参
加させることにより、貧困削減のための活動は、
一層効果的で、活発なものになります。女性の社
会参加、住民の参加及び社会的リスクの管理は、
優先事項となっています。世銀は、教育・保健プ
ログラムが、住民のエンパワーメントにとって重
要なものであることを認識しています。世銀の教
育プログラムは、すべての人々に対する教育の機
会の提供、及びナレッジ・エコノミーに必要な人
的能力の開発に重点を置いています。保健プログ
ラムは、母親と子供に対する医療、飲料水及び衛
生に重点を置いています。
世銀の貧困削減アプローチは、各国の固有のニ
ーズに合わせて策定されます。借入国ビジネス・
モデルは、借入国のビジョン、提案された政策に
対する診断、借入国ビジョンを支援するための世
銀プログラム、及び結果の評価で構成されていま
す。この借入国ビジネス・モデルに基づいて、
低・中所得国を支援するための具体的なアプロー
チが策定されます。
世銀による国レベルの援助の優先事項は、貧困
削減の重要な実施手段であり、2 つの柱を国レベ
ルでの活動に具体化したものです。これらの優先
事項は、投資環境・公共セクター運営、エンパワー
メント・安全・社会への参画、教育及び保健とな
っています。世銀は、これらの優先事項に対する
認識の向上を図ると共に、借入国、開発パートナ
ー及びその他の関係者と知識を共有しています。
グローバルな優先事項
共通の施策によってすべての途上国が直面して
いる不利な状況を緩和することができる分野で
は、世銀はグローバルな問題に取り組みます。特
に重点を置くべき 5 つの分野は、伝染病、環境、
貿易・統合、情報・知識及び国際金融システムで
す。伝染病に関する優先事項は、HIV/エイズ
(ヒト免疫不全ウィルス/後天性免疫不全症候
群)、結核、マラリア及び子供の病気に対する取
り組み、並びに主な伝染病を撲滅するためのワク
チンと医薬品の開発促進となっています。環境に
関する優先事項は、気候変動、給水、森林保護、
生物多様性、オゾン層破壊及び土壌劣化に関する
取り組み、並びに農業に関する研究の促進となっ
ています。貿易に関する取り組みでは、世界貿易
システムを通じて開発の促進を図るために、途上
国による市場参入の促進、及び途上国による国際
的・地域的貿易交渉への効果的な参加の促進のた
14
世界銀行年次報告書 2002
途上国レベルでの貧困削減
低所得国
世銀による貧困削減の取り組みは、特に低所得
国において大きな課題が見られます。低所得国で
は貧困率が高く、制度上の制約も大きく、政策環
境が民間投資を遠ざけており、資金調達が非常に
制約されているからです。これらの低所得国にお
ける世銀のプログラムは、当該国に開発上の優先
事項に対するオーナーシップを培うことに焦点を
あてています。
貧困削減戦略文書(PRSP)アプローチは、借入
国がオーナーシップを持ち、開発援助のフレーム
ワークとして機能する貧困削減戦略に基づいて貧
困と闘うというグローバルな取り組みに近年新た
に追加されました。このアプローチは、包括的な
開発フレームワーク(CDF)の原則―つまり、
PRSP とは、借入国がオーナーシップを有し、結
果を重視し、包括的かつ長期的なものであり、国
内外のパートナーシップを促進するものでなけれ
ばならないという考えに基づいています。
借入国のオーナーシップとは、借入国自らが、
様々な関係者を参加させ、自国の固有の状況とニ
ーズを反映させて PRSP を作成するということを
意味しています。しかし、多くの貧しい国にとっ
て、正式な PRSP の作成は時間がかかると考えら
れます。そこで借入国に対して、速やかに譲許的
融資(無利子融資)と債務救済を実行するため
に、簡素な形式の I-PRSP が導入されました。
PRSPは一度作成されると生きた文書として、
その
後も、経験を踏まえて数年ごとに改定されます。
暫定的または正式な PRSP が作成されると、世銀
理事会と国際通貨基金(IMF)は、両機関の職員
が作成した「合同職員評価報告書」に基づいて、
譲許的融資(及び場合によっては債務救済)を行
うことが妥当であるかどうかを検討します。貧し
い国は、PRSP が自国固有の優先順位を明示する
文書であることを評価し、このアプローチを積極
的に活用しています。
(第 4 章の囲み4.1 を参照)
。
貧困削減支援融資(PRSC)は、借入国の貧困
囲み 1.1
削減に関する戦略的優先事項を踏まえて選別的援
助を行うために導入されたものです。多くの二国
間・多国間ドナーは、それぞれの援助プログラム
を、借入国が責任を持って実行する貧困削減戦略
に合わせて実施することを支持しています。
(第2
章の「2002 年度の特別援助」を参照)
。
困難な状況にある低所得国
経済が慢性的に低迷しており、しかも、過去10
年間における世銀援助が限定的であったか、また
は世銀の従来の援助手法では効果を上げることが
できなかったような低所得国に対して、世銀は一
段と効果的なアプローチを採用する必要性がある
としています。2002年度には、これら低所得国の
重要な特徴を明らかにし、開発上の優先事項を支
援するために世銀が利用できる適切な手法の組み
合わせを提案するために、対策チームが作業を開
始しました。
グローバル化と貿易
グローバル化―貿易、資本、人及びアイディアの流動性
投資環境
が大きくなることによって、世界中の経済と社会の統合が進
グローバル化に関する世銀の研究によって判明した 2 つの
展すること―は、現時点で最も頻繁に議論されているテー
事実は、より多くの貧困国をグローバル化の流れの中に引き
マの 1 つです。世界銀行は、研究とアイディアの分野で、グ
込み、しかもグローバル化による利益を享受させるための重
ローバル化に関する議論に貢献しています。2002 年度には、
要なヒントを与えてくれました。その結果、世銀は戦略的重
世銀は、
「グローバル化、経済成長及び貧困:統合的な世界経
点を絞り込むことができました。第一の事実は、投資環境の
済の構築」と題した政策研究報告書を発行しました。同報告
改善でした。多くの途上国は、貿易自由化政策の適用をはじ
書は、グローバル化の様々な側面を対象とした世銀による大
めとする第 1 期の改革を実行しました。この改革で便益を受
規模な調査結果を要約しています。同報告書は、世界経済に
けたのは、次のような好ましい投資環境が整備された国々で
開放しつつある途上国内における格差の拡大を示す証拠はな
す。すなわち企業が起業し、生産性を高め、拡大できるよう
かったと報告しています。実際、経済成長率が高い諸国のい
な規制環境が存在し、通関などの公共サービスが効率的で、
くつかは、20 年前にはきわめて貧しかったものの、世界市場
電力・港湾・通信(適切な法律・規制フレームワークがあれ
への統合のための真剣な努力を行ってきた途上国です。バン
ば、民間セクターが提供できるサービス)などの補完的イン
グラデシュ、中国、インド、ウガンダ及びベトナムは、グロ
フラが整備されている国々です。
ーバル化によって画期的な貧困削減に成功した途上国です。
世銀グループは、投資環境の重要性を認識し、途上国が民
一方、多くの低所得国は、今日でも 20 年前に比較して、世界
間企業に対する調査を通じてその投資環境と具体的なボトル
経済への統合はそれほど進展していません。総じてこれらの
ネックの影響を評価し、かつ様々なボトルネックが生産性に
低所得国の経済成長率はマイナスで、貧困も増加しています。
与える影響の分析を支援するために、本格的な活動を開始し
明らかなことは、世界経済への統合を希望する国を支援する
ました。世銀の民間セクター・インフラネットワークと開発
ことが、世銀グループの重要な役割だということです。
経済グループは、途上国に対する上記の支援を拡大するため
に共同で投資環境チームを発足させました。
囲み 1.1(次頁に続く)
第1章
貧困に対する取り組み:世銀の目標と戦略
15
囲み 1.1(前頁から続く)
社会的保護
世銀はその研究の中で、OECD 加盟国による織物・衣料品
グローバル化に関する世銀の研究で判明した第 2 の重要な
の保護と農業セクターへの補助金により途上国が直面してい
事実は、社会サービスと社会的保護に関するものでした。途
る障害を明らかにしました。また、TRIPS 協定(知的所有権
上国は、世界経済に統合することによって経済成長率を高め
の貿易関連の側面に関する協定)―医薬品に 20 年間、特許
ることができます。何故なら、この統合によって、競争が激
権を認めることを要求している他、途上国に新たに司法・行
化し、企業の参入・退出が頻繁に行われるような活気のある
政コストを賦課している―が途上国に与える可能性のある
環境が生じるからです。しかしこのような活力は明らかに社
障害コストも明らかにしています。世銀は貧困国による市場
会的費用を発生させます。例えば労働市場の労働移動率が上
参入を改善すること、及び貧困国が必須医薬品を利用できる
昇し、社会的保護の必要性が高まります。また外国との貿易
ようにするために TRIPS 協定の実施方法を改革することを要
と外国からの投資によって途上国の内部で創出される職種は、
求しました。
一般的に既存のほとんどの職種に比べて高い技能水準が必要
しかし保護貿易は高所得国に限った問題ではありません。
になります。この技能水準の向上は全体の生産性改善の源泉
途上国も農産物、労働集約型の工業製品、及びその他の財・
となり得るものですが、教育システムによる支援と、特に貧
サービスに対して高い障壁を設定しています。途上国が他の
しい人々が基礎教育を受ける機会を十分に与えられるという
途上国から輸入される工業製品に賦課している関税率は、平
ことが極めて重要になります。
均して、先進国が途上国からの輸入品に賦課している関税率
グローバル化が進展する中にあって、世銀は研究分野だけ
の 4 倍となっています。また、総じて、サービス貿易を制限
でなく、健全な投資環境及び社会的保護のための社会サービ
している国の数では、途上国の方が先進国より多い状況とな
スという 2 つの柱を推進する分野で重要な役割を果たさなけ
っています。
ればなりません。
「世界経済見通し 2002」では、次に示す 4 つの方針を採用
し、開発と貧困削減を促進できるような方向にグローバルな
グローバルな貿易システム
貿易システムを再構成すべきであると主張しています。第 1
世銀の重要な役割は、途上国のために貿易に関する支援を
に、世界貿易機関(WTO)の閣僚会議で、世界の貿易障壁
行うことです。総じて先進国が進める保護貿易はさほどでは
の緩和を目指した貿易交渉の開発ラウンドを開始する。第 2
ないものの、保護が行われている分野は、まさに貧困国が競
に、WTO の交渉フレームワークとは別に貿易を促進するた
争力を有している可能性の高い分野―たとえば、農業や労働
めに、多国間貿易援助の拡大などの活動をグローバルレベル
集約的産業―となっています。このようなセクターでは、世
で行う。第 3 に、高所得国が自主的に貿易促進政策を採用す
界の貧しい国に不利となる貿易障壁が大きく立ちはだかって
る。第 4 に、途上国が新たに貿易改革を行う。世界では、約
います。世銀の「世界経済見通し 2002」の推定によれば、グ
28 億人もの人々が 1 日 2 ドル未満で生活しています。現在予
測されている成長率(基準ベース)を基にすると、2015 年
までにこの人数は 6 億人減少して、22 億人になる可能性があ
ります。「世界経済見通し 2002」では、このようにグローバ
ローバル市場に参入しようとする平均的貧困国が直面する障
壁は、先進国が直面する場合の約 2 倍となっています。一般
的に、途上国からの輸入品に高所得国が賦課する関税率は、
その数値は小さいものの、先進国からの輸入品に対する関税
ルな貿易システムを再構成することができれば、途上国は、
率の 4 倍となっています。高所得国が国内の農業セクターに
2015 年までにはこの人数を 19 億人にまで減少させることが
できる―つまり、1 日 2 ドル未満で生活する人々の数をさ
らに 3 億人減らすことができる―ような経済成長率を実現
供与している補助金及びその他の支援は、現在一日当たり約
10 億ドルで、世界全体の開発援助額の 6 倍を超えています。
できることが主張されています。
16
世界銀行年次報告書 2002
中所得国
中所得国にも多数の貧しい人々がいます。世銀
はこれらの国々が貧困を削減し、市場経済を基盤
とした先進国を目指して成長するよう支援してい
ます。一般的にこれら中所得国は国際資本市場を
利用することはできますが、利用は限定的で、し
かも常にできるとは限りません。これらの国々の
場合、経済成長と貧困削減の鍵は、民間投資を増
やすことができるかどうか、人的資本の蓄積のた
めの効率的で公平な社会的支出プログラムを確立
できるかどうか、及び経済機会を活用する平等な
機会を提供できるかどうか、などの点にあります。
世銀の重要な役割は次のとおりです。貧しい中
所得国が、民間投資を引きつけられるようにする
ために、複雑な構造改革、社会改革及び制度改革
を行うことを支援すること。長期資金の調達が困
難である場合には、改革や投資に必要な資金を融
資すること。これらの国々による貧困削減努力を
支援すること。これらの国々が経済ショックに対
する脆弱性を克服し、かつ様々な危機が社会に与
える影響を緩和することを支援すること。地球公
共財に関するアジェンダの国レベルでの実施を支
援すること。
中所得国の貧困削減を急速に進めるためには、
民間セクターの発展も必要です。世銀は、中所得
国の市場開放に向けた基本的改革の遂行を支援す
ると共に、これに伴う複雑な構造改革と社会改革
の実行を支援しています。改革が定着すれば、中
所得国は国内外の民間投資家にとって魅力的なも
のとなります。世銀は民間セクターの活性化を目
的として、個々のプロジェクトに必要な民間資本
の調達を容易にするために、必要資金の一部に対
する融資や保証を行うなど、様々な手段を講じま
す。国際復興開発銀行(IBRD)、国際金融公社
(IFC)及び多国間投資保証機関(MIGA)は、中所
得国における金融セクターの発展のためにそれぞ
れの役割を果たすことで貢献しています。
グローバルレベルでの貧困削減
世界的に貧しい人々の数が多いことと貧困の原
因の複雑性を考慮すると、様々な開発機関―政
府、多国間・二国間機関、民間セクター及びシビ
ルソサエティ―が協力して、開発に関連する最
も重要で困難な問題に取り組むことが急務である
と思われます。世銀は、過去数年のうちに多くの
機関との間で、グローバルに重要な特定の問題ま
たはプログラムに関するパートナーシップを構築
してきました。パートナーシップの相手先機関は、
二国間援助機関、国連とその専門機関、国際通貨
基金(IMF)
、その他の国際開発金融機関(MDBs)
、
経済協力開発機構(OECD)
、NGO及び民間の財団
などとなっています。これらのパートナーシップ
により、地球公共財に取り組むための多くのグロ
ーバル・イニシアティブの成果が上がりました。
以下に、2 つの主要なグローバル・イニシアティ
ブの概要を示します。
国際農業研究協議グループ(CGIAR)
CGIAR は、国連食糧農業機関、国際農業開発
基金、国連開発計画(UNDP)、22 の途上国、21
の先進国、民間の財団及び地域機関など、様々な
機関で構成されたパートナーシップにより運営さ
れています。世銀は 1971 年以降、CGIAR を積極
的に支援してきました。CGIARは途上国の飢餓と
貧困を削減し、人々の健康を増進し、かつ環境を
保護するために最先端の技術を活用している16 の
研究機関のネットワークです。
CGIAR は、世界の人口増加に対処し、貧困削
減にも貢献する農業とは、持続可能な社会と環境
を実現できるような方法で発展しなければならな
いと認識しています。新たな栽培・農業経営技術
を確立するためには、研究が欠かせません。
CGIAR の研究成果は公共財であり、誰でも利用
することができます。その便益は計り知れません。
たとえば、CGIAR の研究者は、栄養不足の解消
に役立つ、高タンパク質のトウモロコシを開発
し、「世界食糧賞」を獲得しました。西アフリカ
地域では、「新アフリカ米」(ネリカ米)によって
米の生産量が増えています。ギニアでは、90,000
ヘクタールでネリカ米が栽培されたことにより、
1,300 万ドル相当の輸入代金が不要になりました。
地球環境ファシリティ(GEF)
世銀は、1992 年のリオデジャネイロにおける地
球サミットの結果設立された唯一の新規財源であ
るGEFとの間で、戦略的パートナーシップを構築
しました。世銀、UNDP 及び国連環境計画とパー
トナーシップを構築したGEFは、地球環境の保護
を積極的に推進しています。GEFは、協力関係の
促進、生物多様性の保全のための施策に対する資
金の提供、気候変動リスクの削減、オゾン層の保
護、国際水域の清掃、土壌の劣化防止、難分解性
の有機汚染物質の除去などの活動を行っていま
す。GEFは、生物多様性、気候変動及び難分解性
の有期汚染物質に関する国際協定の実行のための
資金源に指定されています。
世銀と GEF のパートナーシップを通じ、GEF
の成果が上がりました。世銀は、世銀・GEF事務
局を通じて、GEFが資金援助したプロジェクトの
第1章
貧困に対する取り組み:世銀の目標と戦略
17
世銀は GEF を実施する 3 機関のうちの1つとして、加盟国がその天然
資源を保全し、持続可能な方法で使用するのを支援しています。
管理面で重要な役割を果たしています。
世銀は、GEF実施機関の1 つとして、借入国によ
るGEFプロジェクトの策定と監督を支援していま
す。300 を超える世銀・ GEF 共同プロジェクト
(他の実施機関も参加する共同プロジェクトを含
む)
は、
127ヶ国で実施されています。これらのプロ
ジェクトは、GEFを通じて15億ドルのグラントを
受けている他、公共・民間セクターのパートナー
からも 90 億ドルを超える資金を受け入れていま
す。さらに世銀は GEF 信託基金の保管人であり、
GEF事務局のために管理業務を行っています。
(www.gefweb.org または www.worldbank.org/gef
を参照)。
知識の提供
きるように支援すること。
知識を提供する世銀のグローバル・イニシアテ
ィブには、国レベルとグローバルレベルの知識を
蓄積・提供する世界銀行研究所
(WBI)
の研修プロ
グラム、グローバル・ディベロップメント・ラー
ニング・ネットワーク
(GDLN)
、
開発ゲートウェイ、
ワールド・リンクス、グローバル・ディベロップ
メント・ネットワーク(GDN)、アフリカ・バーチ
ャル大学及びインフォデブ(InfoDev)などがあり
ます。
(www.worldbank.org/ks/initiatives.html
を参照)
。
知識を効率的に活用すれば、制度・機構として
の世銀業務の効果がさらに上がるという認識が高
まったことを受けて、キャパシティ・ビルディン
グが正式に世銀援助プログラムの中に組み込まれ
ました。たとえば「知識社会評価ツール」は、各
国が世界経済に参入する際に必要となる政策と投
資に関して診断を行うのを支援します。2002 年度
には、中国と韓国で知識社会評価が行われまし
た。現在は、ロシアと欧州連合(EU)加盟申請
国で知識社会評価が行われています。
低所得国が貧困削減戦略を実施し、かつ基本的
な行政サービスを改善するためには、特に公共セ
クター運営の分野でのキャパシティ・ビルディン
グが極めて重要になります。WBI は、各国の需要
が増大していることを踏まえて、コンテンツ提供
団体やドナーとの間でパートナーシップを構築し
て、たとえばジャーナリストを対象としたコース、
国会議員セミナー、官僚・政策決定者を対象とし
た汚職防止研修プログラムや法律・司法改革研修
プログラムなどを提供しています。
世銀はアフガニスタンの危機に対する緊急対応
の一環として、同国暫定政府の援助調整庁の要請
でカブールでGDLNを利用した遠隔研修センター
の建設を支援しています。
世銀が実施する貧困削減プログラムへの資金調達
分析と助言サービスを通じて知識を創造し、共
世銀は国際開発協会(IDA)向けの拠出金を豊
有かつ応用することは、経済成長と貧困削減を目
かな加盟国から直接受け入れ、国際復興開発銀行
指す借入国のプログラムを世銀が支援する上で常 (IBRD)向けに国際資本市場で起債することによ
に重要な役割を果たしてきました。近年、世銀
り資金調達を行う機関です。世銀はこのような資
は、系統的な方法で知識の蓄積を開始しました。 金を、借入国の貧しい人々の利益になる方法で融
世銀は次の 3 つの分野に重点を置いています。第
資しています。
1 に、業務の質を高めるために知識を効果的に活
IDA から融資を受ける国は特に貧しい国々で
用することです。第 2 に、借入国及びパートナー
す。これらの国々は、通常、市場ベースの条件で
との間で知識を共有し、また、知識共有の強化の
資金を調達することはできません。IDAはこうし
ための技術を活用した様々なプログラムで補完さ
た国々に対し、10 年間の据置期間を設け、償還期
れた参加型開発プログラムを推進すること。第 3
35 ∼ 40 年の条件で無利子融資を行っています。
に、借入国が知識を創造し、蓄積し、アクセスで
2002 年度においては、IDAは、62の低所得国に関
18
世界銀行年次報告書 2002
囲み 1.2
貧困削減のための融資
世銀は途上国と移行経済国に対し、それぞれの国のニーズ
融資が行われるまでの過程
に合わせて、融資、技術支援及び助言サービスなど、様々な
融資は、いくつかの段階を経て行われます。経済・セクタ
サービスを提供しています。世銀は、基本的に、2 つの融資
ー調査(ESW)に基づいて、通常は世銀の支援を得ながら借
手法―投資融資と構造調整融資―を採用しています。
入国はプロジェクトを策定します。次に、世銀は、プロジェ
クトの経済性を検討します。世銀と借入国は、融資交渉を行
投資融資
って、開発目的、構成要素、成果、業績指標、実施計画、及
投資融資は様々なセクターにおける経済・社会開発プロジ
び融資実行スケジュールについて合意します。世銀が融資を
ェクトの資材、工事及びサービスを対象として行われます。
承認した後、借入国は世銀との間で合意した条件に従ってプ
世銀の投資融資の内容は、時と共に変化しました。当初の投
ロジェクトやプログラムを実施します。
資融資の対象は、ハードウェア、エンジニアリング・サービ
すべての融資は、世銀の業務方針に従って行われます。世
ス及び資材でしたが、世銀の優先事項が変化し、制度の整備、
銀の業務方針は、融資対象のプロジェクトの採算性と財務内
社会開発、及び民間セクターの活動促進に必要な公共政策イ
容が健全であって、プロジェクトが社会と環境に悪影響を与
ンフラの割合が増加しました。
えないものであることを要求しています。プロジェクト資金
を使用する場合、特に、資材・サービスの調達のためには、
構造調整融資
受託者責任に関する方針・手続(fiduciary policies and
構造調整融資は、政策・制度改革に必要な資金を迅速に提
procedures)が適用されます。さらに、第三者と環境に不
供します。当初、構造調整融資は、貿易政策の改革をはじめ
測の悪影響を与えるのを予防するためのセーフガード政策が
とするマクロ経済政策の改革を可能にするために、短期的な
適用されます。
国際収支支援を行うことが目的でした。しかし、構造調整融
世銀は、それぞれの融資がどのように利用されているのか
資の対象は時と共に変化し、金融セクター、社会政策及び公
についてモニタリングし、融資の結果を評価します。ワシン
共セクターの資源管理の分野における中期的な構造・制度改
トン DC にある世銀本部から離れて現地に駐在している国別
革の比重が増加しました。
担当局長たちが、融資残高の 4 分の 3 を管理しています。世
投資融資と構造調整融資は様々な目的に合わせて柔軟に行
銀の全職員の約 30% は、世界に点在する約 100 の現地事務
われています。
所に勤務しています。
する 133 件のプロジェクトに対して 81 億ドルの融
資を行いました。
一方、IBRD から融資を受ける国は、一般的に
は中所得国です。IDA の原資には制約があるた
め、規模の大きな低所得国の一部も IBRD 融資適
格国となっています。IBRD は、市場ベースに近
い条件で融資を行いますが、償還期間は市場条件
より長くなっています。2002 年度においては、
IBRD は、40 ヶ国の 96 件のプロジェクトに対して
合計115億ドルの融資を行いました。
IDA と IBRD が経済成長の促進と基本的行政サ
ービスの改善のために実行する投資融資の主眼
は、貧困削減に置かれています。(囲み 1.2 は、世
銀の融資手法と融資承認プロセスを説明したもの
です)
。2002年度の融資の詳細については、第2章
を参照して下さい。
プロジェクトに対しては、他の機関とのパート
ナーシップを通じて、協調融資と信託基金からの
資金拠出も行われています。
国際開発協会(IDA)の役割
IDAは最貧困国に譲許的融資を行う世界最大の
機関であり、経済・人的資源開発に関する基本的
プロジェクトに投資を行っています。IDA融資を
受けるためには、2 つの基準―対象国が相対的に
貧困国であること(一人当たり所得で計測)、及
び対象国の信用力が極めて低いこと―を充足する
必要があります。2002 年度においては、IDA融資
適格国の基準を満たす一人当たり国民総所得の上
限は 885 ドルでした。IDA から融資を受けるため
には、対象国は経済成長を促進し、貧困を削減す
る健全な政策を遂行しなければなりません。IDA
第1章
貧困に対する取り組み:世銀の目標と戦略
19
融資は対象国の政策と制度について毎年行われる
評価を基準にして行われています。一人当たり国
民総所得の上限を超えているが、国際復興開発銀
行(IBRD)から融資を受けられないほど信用力
がない国に対しては、IDAが例外的に融資を行っ
ています。このような例外措置は、経済規模の小
さい諸島国に対して適用されています。
IDAから融資を受けている国々は、ミレニアム
開発目標(MDGs)の実現にむけて、複雑かつ難
しい問題を抱えています。IDAは経済成長と貧困
削減の実現を目指した健全な政策の推進を通じ
て、これらの国々の開発プログラムを支援してい
ます。政策に関する優先事項としては、基礎教育
の質の改善と貧しい人々が教育を受ける機会の改
善、HIV/エイズをはじめとする伝染病の拡散防
止のための取り組みの強化、健全な投資環境の整
備などがあります。IDAは、健全な政策を遂行し
ている国々に的を絞った援助の実施にあたって
は、開発金融機関の中では主導的な役割を果たし
ています。またIDAは、良いガバナンスに対する
支援の比重を高めるために、業績に基づく資金配
分システムを改善しました。
IDA は、ドナーから資金拠出を受けています。
ドナーは 3 年ごとに会議を開き、IDA の将来の融
資プログラムに必要となる新規拠出額を決定する
と共に、融資に関する方針と優先事項について議
論を行います。
2002 年度は、2000 ∼ 2002 年度の融資承認額が
対象となる IDA の第 12 次増資の最終年度でした。
ドナーが 87 億 SDR を拠出した他、過去の債権の
回収分、手数料及び IBRD の純利益を含む内部資
金から 66 億 SDR が拠出されました。(IDA に関す
る最新情報については、第2 章を参照)
。図1.1 は、
社会セクターに対するIDAの援助が増加している
ことを示しています。
国際復興開発銀行(IBRD)の役割
一人当たり国民総所得が 5,225 ドル未満で国際
開発協会(IDA)の融資のみ適格国でない国々
は、IBRD から融資を受ける資格があります。一
人当たり国民総所得が上記の金額より高い国であ
っても、特定の条件下、または卒業に向けた戦略
に従って融資を受けることができます。しかし
IBRD から融資を受けることができる金額は、そ
れぞれの信用力によって異なることに留意する必
要があります。したがって借入資格があっても、
信用力が低い場合には、IBRD から融資を受ける
ことはできません。その国の信用力に関わらず、
IBRDの融資残高が135億ドルを超えることは認め
られません。
20
世界銀行年次報告書 2002
財務部門のトレーディングルームは、世銀の最先端の金融取引の中枢
です。世銀の流動資産の投資、貸借対照表に関するリスクの管理、及
び世銀債投資家のニーズへの対応は、世銀が借入国の資金需要を充足
する上で不可欠のものです。
図 1.1
社会セクターに対する IDA 援助の増大
実施中のプロジェクト: 297 件
(10 年前は 190 件)
実施中のプロジェクトの数a
300
給水・衛生
48
47
保健、栄養及び人口
67
200
社会サービス
教育
52
36
22
86
100
0
93
54
78
81
89
92
97
02 (年度)
a. IDAのみから融資を受けている国と、
ブレンド借入国
(IBRDとIDAの両方から融資を受けている国)を含む。
実施中の社会セクター・プロジェクトに対するIDAの融資承認額
92年度: 81億ドル
97年度:132億ドル
02年度:137億ドル
1 日 1 ドル未満で生活している人々の 75%は、
IBRDから融資を受けている国で暮らしています。
IBRD 借入国は、一般的には、多少なりとも民間
資本市場にアクセスできる中所得国です。一部の
国々は、一人当たり国民総所得が低いためにIDA
融資を受ける資格がありますが、同時に IBRD か
完するために使用されています。信託基金は、技
ら融資を受けられるだけの信用力も備えていま
術支援・助言サービス、債務救済及び紛争後の移
す。これらの国々は、ブレンド借入国と称されて
行を推進する分野などのように、優先度の高い開
います。ブレンド借入国に対する IBRD 融資を除
発ニーズを充足します。2002年度においては、信
外した場合でも、1 日 1 ドル未満で生活している
託基金の資産は53億4,000万ドルに拡大しました。
人々の 25%は、IBRD から融資を受けている国々 (信託基金の詳細については、第 2 章を参照)
。
で暮らしています。IBRD は償還期間が長く、条
件が緩やかで、しかも市場に比べてはるかに持続
開発の有効性の改善:結果重視姿勢の強化
可能な方法で多額の融資を行うことを通じて、貧
困削減を目指した重要な支援を行っています。
過去50年間に行われた開発援助を通じて、結果
を重視することの重要性が浮かび上がりました。
IBRDは、AAAの格付けを受けている国際金融
ドナーは、納税者から提供された資金が一定の成
機関ですが、独自の特徴があります。IBRD の株
主は各国政府です。IBRD の加盟国である借入国
果を上げることを要求しています。途上国の住民
は、IBRD の方針設定の際に発言権があります。 は、適切な期間内に生活条件が目に見えて改善す
IBRD 融資(及び IDA 融資)には、通常、資金の
ることを心待ちにしています。ドナーと途上国の
住民は、世銀と他の開発機関による協力の成果を
効果的な活用を図るための融資以外のサービスを
伴います。また、IBRD の目的は商業銀行と異な
期待しています。社会的・経済的成果に関する一
り、利益の最大化ではなく、開発の効果の最大化
段と正確なデータを適宜作成し、かつ、プロジェ
クトと国別プログラムの独立評価を実施すること
におかれています。
によって、説明責任を明確にすることができ、さ
2002 年度において、IBRD は、国際資本市場で
(図1.2は、
中長期債を発行し、230 億ドルを調達しました。 らには、経験から学ぶことができます。
同年度の資金調達額は、前年度の 170 億ドルを上
国別の政府開発援助を示したものです)
。
回りました。借入金と自己資本が、IBRD の融資
世銀は、融資を行ったプログラムの実施内容、
と投資の原資になります。IBRD の財務の健全性
持続可能性及び開発成果に関するモニタリングを
は、株主による支援、及び国際市場で高い格付け
過去数年間で大幅に拡大しました。世銀のモニタ
を維持することを目的とした財務方針・慣行に支
リングシステムと評価システムは、政策融資、投
えられています。
資融資及び助言サービスが貧困削減に与えた効果
を従来以上に包括的に把握できるよう強化してい
協調融資
ます。これにより、世銀は、ミレニアム開発目標
協調融資は、二国間パートナー、多国間パート
ナー、輸出信用機関、あるいは、世銀が融資を行っ
ているプロジェクトに対する民間投資家が共同で
図 1.2 国民総所得に対する
行うものです。協調融資により、世銀は、自らの
政府開発援助(純額)の割合
資金以外に、借入国の利益のための追加資金―
無利子またはグラントの場合が多い―を確保す
ることができます。個々のプロジェクトに複数の
0.8
機関が融資を行う場合には、方針と手続の統一化
0.7
が必要になります。その結果、借入国の管理コス
0.6
トは低下し、有効性が向上します。2002年度にお
0.5
いては、国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発
0.4
協会(IDA)による 195 億ドルの融資は、前記の
0.3
機関からの47 億ドルの融資を伴う協調融資として
0.2
行われました。
(協調融資の詳細に付いては、第2
0.1
章を参照)。
0.0
信託基金
多くの先進国、規模の大きな途上国の一部、民
間セクター及び NGO は、世銀に信託基金を設定
しています。これらの信託基金は、既に合意され
た特定のイニシアティブに対する世銀の原資を補
1991
1996
米国
イギリス
日本
DAC加盟国の平均
ドイツ
国連目標値=0.7%
2001
注:2001年のデータは暫定値
出典:OECD開発援助委員会
第1章
貧困に対する取り組み:世銀の目標と戦略
21
(MDGs)の達成状況を詳細に確認することができ
るようになります。終了したプロジェクトに対し
て世銀業務評価局(OED)が実施した評価による
と、成果は改善を続けています。たとえば、融資
額の 78%を占めるプロジェクトの 82%は、
「満足で
きる」と評価されています。OEDは、2002 年度に
おいて、55 を超える国別援助の評価作業を行いま
した。また、プロジェクト内容を継続的に評価す
るための手法も作成されています。
世銀は、個別にプロジェクトを評価するだけで
なく、主要プログラムに関する広範な評価作業を
定期的に行っています。2002年度においては、国
際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)が
過去50年にわたって実施した融資に関する評価作
業が行われました。(開発の有効性に関する詳細
については、第 3 章を参照)
。
経験を踏まえて、世銀は情報公開政策を改訂しま
した。
世銀が政策改訂のためのレビュー案を公表し、
世界21 ヶ国のシビルソサエティ、民間業界団体及
び政府の見解を求めるために幅広い協議を経て、
2001 年 8 月、改訂が承認されました。さらに世銀
は、ウェブサイトを通じてコメントを求めました。
世銀は、改訂された方針に従って、より多くの
プロジェクト関連書類を公表することになりま
す。また世銀による情報とデータの提供は適時に
系統的に行われるようになり、利用者にとっては
便利になります。さらに世銀は、途上国の世銀現
地事務所での情報提供を大幅に改善するための計
画を作成しました。国別管理ユニットは、世銀が
策定した13 のパイロットプログラムを通じて、特
に国別戦略、融資準備及びプロジェクトの実施に
関する協議を行う場合により多くの情報を公開す
る方法の開発、試験実施を行います。
開放性と透明性
担当タスクフォースは、世界各地での情報公開
関係者に対する情報提供と関係者との協議によ
を改善するための戦略を策定しました。
り、議論が深まり、理解が広まり、開発プロジェ (改訂された情報公開政策、及び改訂された実施
クトに対する借入国の責任意識が高まりました。 手続指針の全文については、www.worldbank.
その結果、効果的で持続可能な開発が可能になり
org/operations/disclosure/を参照)
。
ました。より多くの情報を公開するための従来の
22
世界銀行年次報告書 2002
第2章
2002年度、世銀は、世界の様々な出来事
に対応し、貧困削減のための努力を強化
しました。途上国レベルでの業務を中心
に、世銀と地球公共財の優先事項に焦点
をあてる世銀の姿勢を反映した結果、世
銀による融資と助言サービスは引き続き
増加しました。世銀は一部の最も貧しい
国の債務を救済すると共に、紛争から抜
け出した国々の債務も救済しました。ま
た、知識共有のための活動を引き続き増
やし、政府、NGO、民間セクターの代表
者及びドナー国政府との参加型の活動が
推進されました。
2002 年度における世界銀行の活動
2002 年度の概観
■
国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)の
■
新規融資額は IDA の融資額が増えたことを反映し、195
を「開発援助の役割と有効性:世界銀行の経験から得ら
億ドルに増加しました。IDA は 133 件の新規プロジェク
れた教訓」として取りまとめました。この調査では特に
トに対して 81 億ドルの融資を行いました。これはアフリ
最近の数十年間の世銀の経験に重点を置きつつ、過去 50
カ地域と南アジア地域に対する融資合計額が 64 億ドルと
年間における開発援助に関する経験と政府開発援助との
過去最高に達したことによるものです。
関係を広い分野にわたって調査しました。その結果、不
■ 2002 年度には HIV/エイズ(ヒト免疫不全ウィルス/後
平等さはあるものの、人々の生活が急速に改善したこと
天性免疫不全症候群)プロジェクトに対する世銀の新規
に加え、重大な欠点や失敗はあったにもかかわらず、多
融資承認額は 3 億ドルを超えました。この HIV/エイズ関
くの場合、援助が成功を支えてきたということが明らか
連プロジェクトに関し、世銀はベナン、ブルキナファソ、
になりました。さらにドナーと政府がともに、成功と失
ブルンジ、カーボベルデ、中央アフリカ、ジャマイカ、
敗から学んだ教訓から、経済成長と貧困削減を支援する
マダガスカル、ナイジェリア、セネガル及びシエラレオ
開発援助の有効性が高まったということも明らかになり
ネに対する融資を承認しました。他の多くの新規プロジ
ました。
ェクトと実施中のプロジェクトにおいても、HIV/エイズ
■
テレーで開催された「国連開発資金国際会議」に参加し
世銀は 64 を超える国の HIV/エイズ関連プロジェクトを
ました。ここで採択されたモンテレー合意は、健全な政
支援しています。これまで世銀が支援した HIV/エイズ関
策とグッドガバナンスを有する借入国にミレニアム開発
連プロジェクトの大半はアフリカ地域に集中しています。
目標(MDGs)を実現する手段を提供するため、貿易を
HIV/エイズ対策の緊急性を考慮し、アフリカ地域に対
しては、16 件の多国間エイズ・プログラム(MAP)が
過去最短で策定されており、融資承認総額は 5 億 5,000
自由化し、援助額を増やし、対外債務を持続可能な水準
MAP アプローチでは、政府、国連合同エイズ計画
(UNAIDS)のパートナー機関、二国間ドナー、国際ア
フリカ・パートナーシップ、NGO、HIV/エイズ感染者、
■
2002 年 3 月、50 を超える国の元首が、メキシコのモン
対策に関するプロジェクトの比率が高くなっています。
まで引き下げることを要求しています。この会議でドナ
ーは今後 3 年間で援助額を 120 億ドル増やすことを約束
万ドル超になりました。
しました。
■
2002 年 4 月、世銀は 1979 年以降初めてアフガニスタン
に対する融資を承認しました。この 1,000 万ドルのグラ
ントは、アフガニスタン暫定政府の行政機能の整備を支
及びその他の主要関係者との広範な協力が行われました。
援するものです。これにより暫定政府は、ドナーからの
世銀の理事会は 2002 年 2 月、この取り組みの第 2 段階
数百万ドルの融資をはじめとする公的資金を有効に活用
(MAP2)として 5 億ドルの融資を行うことを承認しまし
し、復興と開発に取り組むことが可能になります。理事
た。カリブ海地域を対象とした 2001 年度と同様に、
会は今後 6 ∼ 9 ヶ月間を対象とした世銀によるアフガニ
MAP では自ら作成した HIV/エイズ対策活動を実施する
地域社会に、資金の大部分(ほとんどの場合約 50% )
スタンの移行支援戦略も承認しました。
を直接提供します。
アフガニスタン暫定政府が復興プロジェクトを実施し、
貧困削減戦略文書(PRSP)は、貧困削減で成果を上げ
公務員の給料を支払えるようにするためアフガニスタン
2002 年 5 月、世銀はアフガニスタン事務所を開設し、
るために広い範囲の人々を参加させ、借入国にオーナー
復興信託基金の運営を開始しました。世銀は 2002 年度
シップを持たせることを重視しており、2002 年 1 月に開
には総額 1 億ドルのグラント供与を行っただけでなく、
催された世銀・国際通貨基金(IMF)合同 PRSP レビュ
ー会合の場で、途上国、ドナー及びシビルソサエティの
2002 年 6 月のロヤ・ジルガ(国民大会議)で選出される
移行政府を支援するために、さらに 4 億 7,000 万ドルの
代表者から支持されました。このアプローチは 2002 年
グラント供与を行うことを提案しています。
度においても活発に実施され、9 ヶ国が暫定 PRSP を作成
し、7 ヶ国が初めて正式 PRSP を作成しました。
24
世銀は過去 50 年間の開発援助活動を調査し、その結果
世界銀行年次報告書 2002
第2章
2002年度における世界銀行の活動
2002年度に世銀は、貧困削減対策を強化すると
共に、世界の出来事に対応し、新たなイニシアテ
ィブを策定しました。世銀は2001 年9 月11日に米
国で発生した同時多発テロが貧困国に与える影響
を調査し、特に経済的打撃を受けている諸国に対
して特別な支援を行いました。国別担当チームは
出張スケジュールを調整し、ミッションの派遣回
数を減らすなど、この 1 年間の世銀の活動に対し
て一時的な影響がありました。
2002 年 3 月にメキシコのモンテレーで開催され
た「国連開発資金国際会議」では、豊かな国と貧
しい国が、グローバルで直面している課題に取り
組むためのパートナーシップを構築しました。世
銀や他の多国間機関をはじめ、多くの国々が、貧
困削減に向けて、追加の資金と技術提供を約束し
ました。
世界情勢
2001 年度に低迷し始めた世界経済は、2001 年 9
月に米国で発生した同時多発テロの余波を受け、
世銀は貧困削減を促進するために、土地利用率と生産性を高めるため
の政策とプロジェクトを支援しています。
さらに悪化しました。社会不安が高まり、世界の
経済成長も減退しました。多くの一次産品の価格
が過去最低となったことで、一次産品の輸出依存
度が高い途上国が深刻な影響を被り、多額の対外
債務を抱えた新興経済国も民間投資家がこうした
市場に対する投資を減らしたことで、大きな影響
を被りました。ハイテク産業を抱える国々も打撃
を受け、観光産業も苦境に立たされました。途上
国と移行経済国の国内総生産(GDP)の平均成長
率は、過去最高であった2000 年の5.4%から、2001
年には 2.8%に減速し、一人当たり GDP 成長率も
1.4%に低下しました。
2001 年には南アジア地域を除くすべての地域で
GDP 成長率が低下しました。南アジア地域の
GDPは2000 年の4%から2001 年には4.3%に増加し
ました。東アジア・大洋州地域の GDP 成長率は
2000 年の 7.4%から 2001 年には 4.6%に減速しまし
た。同地域は、ハイテク製品に対する世界需要の
減退と観光産業の低迷による影響を受けました。
中東・北アフリカ地域の GDP 成長率は、2000 年
には 4.2%という平均以上の数値を記録しました
が、2001 年には原油価格の下落により3.1%に低下
しました。アフリカ地域のGDP成長率は、前年の
3.1%から2.6%に低下しました。ヨーロッパ・中央
アジア地域では、2000 年が 6.4%であったのに対
し、2001 年には 2.2%に減速しました。同地域は、
トルコ向け輸出の減少とロシアの経済成長率の低
下の影響を受けました。ラテンアメリカ・カリブ
海地域の GDP 成長率は、2000 年の 3.8%から 2001
年には0.6%に低下しました。これは外的条件の悪
化、アルゼンチンの政治・経済情勢の段階的悪
化、及び観光客の大幅な減少によるものでした。
ラテンアメリカ・カリブ海地域の 2001 年の GDP
成長率は、アルゼンチンを除いても、1.3%に過ぎ
ませんでした。
景気が低迷すると最大の犠牲者になるのは、常
に貧しい人々です。保護制度や頼るべきセーフテ
ィネットがないため、貧しい人々が基本的ニーズ
を満たす力は、所得の減少とともに低下します。
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
25
世銀が最近の世界的打撃に対応することができた
ことは、世銀のアプローチがこのような状況下で
も総じて有効であることを証明するものです。現
行の世銀の制度と政策は、景気低迷の悪影響を受
ける借入国に対し、その実情に合わせた金融支援
を行う様々なオプションを提供しています。紛
争、テロ行為、マネーロンダリング及び汚職はま
すます国際的な関心を集めています。経済成長率
の減速、民間資本移動の大幅な減少、及び途上国
の人口増加などの相乗的影響により、政府開発援
助の必要性が高まっています。
囲み 2.1 世銀融資プログラムの新しい分類方法
世銀の融資プログラムの内訳をより簡単に把握するた
め、2002 年度から新しい二面的な分類システムが導入
されました。この報告書の中の融資に関するすべてのデ
ータは、この新しい分類システムで示されています。そ
れぞれの融資はテーマとセクターの両方で分類すること
ができます。テーマ別分類は世銀融資の目標と目的に対
応しています。セクター別分類は世銀融資により、直接
恩恵を得ることになる分野を示しています。
新しい分類システムにより、経済上の区分を優先しつ
つ、ポートフォリオの管理や、世銀の優先事項とミレニ
2002年度における世銀の融資と助言サービス
世銀の融資と助言サービスは主に国レベルで行
われており、これはミレニアム開発目標(MDGs)
、
世銀の優先事項、及び地球公共財に関する優先事
項を反映しています。世銀は包括的な目標を念頭
に置きつつ、個々の借入国のニーズに合わせた融
資を行っています。
アム開発目標(MDGs)に則って決定された目標の達成
度の確認がより容易になります。新しい分類システムで
は、多くの世銀プロジェクトが多面性を持つことを考慮
し、1 つの融資を最大で 5 つのテーマと 5 つのセクターに
分類することができます。
新しい分類システムで作成した図表は旧システムで作
成したものとは大きく違ったものになります。新しいシ
ステムのもとでは、新しいベースラインを作成すること
になり、それにより世銀のポートフォリオは、大幅に変
国際復興開発銀行(IBRD)
2002 年度における IBRD の新規融資承認額は
115 億ドルで、2001 年度の水準を 10 億ドル上回り
ました。承認された新規プロジェクト数は96 件と
前年より増加しました。
ヨーロッパ・中央アジア地域に対する IBRD の
新規融資額は過去最高の 49 億ドルとなり、IBRD
の融資承認総額の 43%を占めました。第 2 位はラ
テンアメリカ・カリブ海地域で、42 億ドルでし
た。第 3 位は東アジア・大洋州地域で、10 億ドル
でした。
行政セクターは IBRD 融資の最大の受け入れセ
クターであり、全体の30%を超える36億ドルとな
りました。行政セクターに対する融資が多額であ
ることは、借入国が開発戦略を改善し、改革政策
を実施し、かつ制度整備への支援に対し IBRD が
重点を置いていることを示すものです。第 2 位は
金融セクターに対する21億ドルの融資で、全体に
占める比率は約 18%でした。(囲み 2.1 は融資に関
する世銀の新しい分類システムを説明したもので
す)。
金融・民間セクターにおける規制の枠組みの強
化と公共セクター運営の改善に特に重点が置かれ
ているテーマ別融資は、セクター別融資と関連付
けられています。人的開発、経済政策及び都市開
発に対する融資も大きな比率を占めています。
IBRD による構造調整融資のシェアは 2001 年度
が 38%であったのに対し、2002 年度は 64%と過去
最高になりました。東アジア危機が発生した1998
26
世界銀行年次報告書 2002
動したように見えることになります。
たとえば新システムでは政府機関に供与された技術支
援はすべて行政セクターに分類される一方で、テーマ別
分類は技術支援の目標(民間セクター開発や環境保護な
ど)に従って決定されます。たとえば、教育省に提供さ
れる助言サービスは行政セクターと人的開発テーマの中
の教育部門に計上されます。新しい分類システムの下で
行政セクターの比率が旧システムに比較して大幅に増え
ているのは分類に関する規則が変わったことによるもの
です。
年度と1999年度の同シェアはそれぞれ 47%と 63%
でした。世銀が融資を通じて輸出需要の減少、一
次産品価格の低下及び資本市場へのアクセスの低
下による影響を緩和することを試みた国の例とし
ては、アルゼンチン、ブラジル、ジャマイカ、チ
ュニジア、トルコ及びウクライナを挙げることが
できます。図 2.1 から図 2.3 は、2002 年度の IBRD
の融資を地域別、テーマ別及びセクター別に示し
たものです。表 2.1 は 2000 年度から 2002 年度にか
けての世銀の構造調整融資承認額を示したもので
す。
国際開発協会(IDA)
2002 年度、IDA による融資は 133 件のプロジェ
クトに対して行われ、総額は81億ドルと過去最高
になりました。また、2001 年度には 134 件のプロ
ジェクトに対して、総額68億ドルの融資が行われ
ました。(2002 年度にはウガンダに対し、1 億
1,500 万ドルの IDA 融資による保証が承認されま
した。この保証は2002 年6 月30 日現在では発効さ
れていません)。
融資が多額になったのは、主にアフリカ地域と
南アジア地域に対する融資が過去最高になったた
めです。アフリカ地域の融資は、63 件のプロジェ
クトに対して行われ、総額は38億ドルとなり、こ
の金額は 2002 年度の IDA 融資総額の約 2 分の 1 に
相当します。同地域の主要借入国は、コンゴ民主
共和国(5億ドル)
、ナイジェリア(4億2,700 万ド
ル)及びタンザニア(4億200万ドル)となってい
ます。南アジア地域では融資総額は 26 億ドルで、
IDA 融資総額の約 3 分の 1 に相当するものでした。
同地域の主要借入国はインド(13 億ドル)及びパ
キスタン(8億ドル)となっています。
IDAの投資融資(investment lending)は 56 億
ドルで、新規融資承認額の 70%を占めました。こ
の中には緊急の復興、教育、行政及びコミュニテ
ィ・エンパワーメントのためにアフガニスタンに
供与された 1 億ドルの IDA グラントが含まれてい
ます。
IDA融資の大部分は、社会セクターのプロジェ
クトを対象にしています。社会セクターに関して
は、教育、保健・医療、社会事業及び給水・衛生
の分野の44件のプロジェクトに対して、20 億ドル
の融資が行われています。2002 年度における行政
セクター向けの融資も多額にのぼり、34 件のプロ
ジェクトに対して16億ドルとなっています。これ
は経済成長と貧困削減に必要な効果的で信頼のお
ける公共セクターの制度を確立するための借入国
の努力をIDAが重点的に支援したことによるもの
です。このような重点的支援が行われたことは、
図 2.1 IBRD の地域別融資 2002 年度
合計 115 億ドルに占める割合
アフリカ 1%未満
南アジア 8%
東アジア・大洋州 9%
中東・北アフリカ 4%
ヨーロッパ
中央アジア
42%
ラテンアメリカ・
カリブ海地域
37%
図 2.2 IBRD のテーマ別融資 2002 年度
合計 115 億ドルに占める割合
環境・天然資源管理 4%
農村開発 5%
経済政策管理 9%
都市開発 8%
公共セクター運営
24%
人的開発 7%
社会開発
ジェンダー
参加
4%
法規
1%
社会的保護
リスク管理
6%
金融・民間セクター開発 30%
貿易・統合 2%
注:表2.2を参照
図 2.3 IBRD のセクター別融資 2002 年度
合計 115 億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 2%
農業・漁業・林業 5%
運輸 13%
法律・司法・行政
31%
エネルギー・鉱業
6%
産業・貿易 5%
保健
その他
社会サービス
12%
情報・通信
1%
金融 18%
教育 7%
注:表2.2を参照
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
27
表 2.1
世銀による構造調整融資承認額 2000-2002 年度
2000 年度
2001 年度
単位:
単位:
100 万ドル
地域別構造調整融資承認額
アフリカ
東アジア・大洋州
ヨーロッパ・中央アジア
ラテンアメリカ・カリブ海地域
中東・北アフリカ
南アジア
IBRD と IDA の構造調整融資承認額
IBRD
IDA
構造調整融資合計
%
100 万ドル
2002 年度
単位:
%
100 万ドル
%
495
552
950
2,860
0
251
10
11
19
56
0
5
908
250
1,132
2,788
185
500
16
4
20
48
3
9
1,437
17
4,743
2,517
263
850
15
0
48
26
3
9
4,426
682
5,108
87
13
100
3,937
1,826
5,763
68
32
100
7,383
2,443
9,826
75
25
100
世銀の融資総額
IBRD
IDA
IBRD と IDA の合計
10,919
4,358
15,276
融資総額に占める構造調整融資の割合
10,487
6,764
17,251
33
11,452
8,068
19,519
33
50
注:端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。
テーマ別の分類からも分かります。たとえば、公
共セクター運営と金融・民間セクター開発の分野
に対する融資は際立っています。図 2.4、2.5 及び
2.6 は 2002 年度の IDA 融資を地域別、テーマ別、
セクター別に示したものです。表 2.2 は 1993 年度
から2002 年度にかけてのIBRDとIDAの合計融資
額を示したものです。図 2.7、2.8 及び 2.9 は IBRD
とIDAの合計融資額を地域別、テーマ別、セクタ
ー別に示したものです。
2002年度の特別援助
債務救済の加速
2002年度はアフリカに集中している世界の最貧
困国の一部に対して、積極的な債務救済が行われ
ました。この債務救済は、1996 年に世銀と国際通
貨基金(IMF)が提案し、国際社会から承認され
た重債務貧困国(HIPC)イニシアティブに基づ
いて行われたものです。同イニシアティブは、そ
のほとんどが重債務である世界の最貧困国の対外
債務を削減するための初の包括的アプローチで、
債務救済を貧困削減という大きな枠組みの中に位
置付けることにより、問題を解決しようというも
のです。
28
世界銀行年次報告書 2002
同イニシアティブは、後に、一段と積極的な取
り組みを展開するための基盤となり、1999年には
多国間機関、二国間債権国、HIPC イニシアティ
ブの適用を受ける国の政府、及びシビルソサエテ
ィが協力し、より多くの債務国を対象とした迅速
な債務救済を行うため、より広範で即効性のある
アプローチを策定しました。
2002 年度には HIPC イニシアティブの実施がさ
らに進展し、4ヶ国がイニシアティブを終了し、3 ヶ
国が新たな援助を受ける資格を得ました。現在 26
ヶ国が債務救済の適用を受けています。現行のイ
ニシアティブの下では、すべての債権国による債
務救済の金額は 410 億ドルにのぼり、債務残高が 3
分の2削減されることになると推定されています。
紛争後の復興を目指す国々にも同様の措置を提
供するという点でも、かなりの進展が見られます。
エチオピアとシエラレオネも債務救済の適用を受
けました。コンゴ民主共和国とコンゴ共和国に関
しては準備作業が開始されています。まだ債務救
済の資格を得ていない重債務貧困国のほとんどが
紛争の影響を受けており、こうした国々への救済
措置も引き続き行われます。
特に世界経済の減退と一次産品価格低下の影響
の中、対外債務の額を長期的に持続可能な範囲で
図 2.4 IDA の地域別融資 2002 年度
合計 81 億ドルに占める割合
南アジア32%
アフリカ 47%
中東・北アフリカ
1%
ラテンアメリカ・
カリブ海地域 2%
ヨーロッパ・中央アジア 8%
東アジア・
大洋州 10%
図 2.5 IDA のテーマ別融資 2002 年度
合計 81 億ドルに占める割合
環境・天然資源管理 6%
経済政策管理 5%
農村開発
13%
公共セクター運営 19%
都市開発
7%
人的開発
11%
社会開発・ジェンダー
参加 11%
社会的保護・リスク管理 5%
法規
2%
金融
民間セクター開発
19%
維持することが出来るよう、重債務国自身の取り
組みも強化されました。また、世界経済の減退に
よる潜在的な損失を明確にすることに加え、債務
管理や公共支出管理の分野における公共セクター
の能力強化を支援する取り組みも行われました。
こうした取り組みは、債務問題を終わらせ、さら
に貧困削減戦略の成功に向けた基盤を確立するた
めにも、重要と考えられます。
拡大 HIPC イニシアティブが完全に実施される
と、34 ヶ国余りの 500 億ドル超にのぼる債務返済
額が削減できると推定されています。さらに重要
なのはこのイニシアティブが、債務国が自らの責
任で遂行する貧困削減戦略文書(PRSP)を、重
債務貧困国に対する債務救済と譲許的融資の前提
とすることにより、債務救済と貧困削減との間に
明確な関連性を確立したという点です。重債務貧
困国に対する債務救済は図 2.10 に示したとおりで
す。重債務貧困国に対する債務救済が行われる前
後の社会支出の傾向は図2.11に示したとおりです。
アルゼンチン
世銀は未実行融資金の内の 1 億ドルを、アルゼ
ンチンの保健、教育及び地域開発などの緊急な社
会的ニーズを満たすための資金に振り向けます。
この資金は妊産婦と乳幼児のための基本的医療と
必要な医薬品の提供、及び公立学校が必要とする
教育用備品のに使用されると共に、社会福祉事
業、孤児院、及びプログラムを運営にあたるNGO
との協力のための資金としても活用されます。
貿易・統合 2%
注:表2.2を参照
図 2.6 IDA のセクター別融資 2002 年度
合計 81 億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 5%
農業・漁業・林業 8%
アフガニスタン
2002 年度に世銀は、暫定政府の予算を支援する
ため1,000 万ドルのグラント供与を行うことを承認
すると共に、様々な復興及びキャパシティ・ビル
ディングプロジェクトを対象として、さらに9,000
万ドルのグラント供与を行うことを約束しまし
た。また、2003 年度には 2 年間で 4 億 7,000 万ドル
のグラント供与を行うことを提案しました。
運輸 11%
法律・司法・行政
20%
エネルギー
鉱業 16%
情報・通信
1%
教育 8%
産業・貿易 10%
金融 10%
保健・その他社会サービス 13%
注:表2.2を参照
知識の共有
2002年度に世銀は、その業務の質を維持するた
めに知識を有効に活用しました。テーマ別技術部
門では、世銀と他の機関がそれぞれの専門分野で
蓄積した情報を収集し、各国のオペレーションに
活用する責任があります。また、これを活用し、
世銀の国別業務を支援します。テーマ別部門はそ
れぞれウェブサイトを開設しており、特定のテー
マに関連する重要な調査報告や情報に加え、様々
な借入国のプロジェクトに対する支援を通じ世銀
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
29
表 2.2
世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資 1993-2002 年度
(単位: 100 万ドル)
1993-97 年度 1998-99 年度 a
テーマ
経済政策管理
公共セクター運営
法 規
金融・民間セクター開発
貿易・統合
社会的保護・リスク管理
社会開発・ジェンダー・参加
人的開発
都市開発
農村開発
環境・天然資源管理
テーマ総額
セクター
農業・漁業・林業
法律・司法・行政
情報・通信
教 育
金 融
保健・その他社会サービス
産業・貿易
エネルギー・鉱業
運 輸
給水・衛生・治水
セクター総額
2000
2001
2002
(年平均)
(年平均)
1,057.9
1566.9
314.4
6,191.7
847.1
1,128.9
1,034.4
1,900.4
2,112.6
2,390.7
2,965.4
1,952.7
2,552.4
362.9
9,486.0
813.2
2,653.9
1,320.5
2,484.8
2,403.3
2,746.4
2,018.6
21,510.5
28,794.8
1,699.2
3,201.7
261.8
1,700.1
1,962.1
1,897.6
1,925.9
3,480.6
3,439.1
1,942.3
2,097.1
6,127.2
179.4
2,154.3
5,167.1
3,114.5
2,922.7
2,311.0
3,511.3
1,210.2
21,510.5
28,794.8
15,276.2 17,250.6 19,519.4
15,410.8
6,099.7
21,634.3
7,160.5
10,918.6
4,357.6
799.6
2,142.5
373.6
3,368.4
426.4
1,895.0
800.8
1,190.3
1,036.6
1,413.7
1,829.4
895.3
2,053.7
410.0
3,940.9
1,059.9
1,651.0
1,469.7
1,134.7
1,458.6
1,822.3
1,354.6
1,408.0
4,247.2
273.2
5,055.4
300.9
1,084.2
1,385.7
1,756.1
1,482.4
1,602.2
924.0
15,276.2 17,250.6 19,519.4
837.5
4,525.4
273.8
728.1
1,580.9
1,491.7
1,036.7
1,572.4
1,717.2
1,512.6
695.5
3,843.0
216.9
1,094.7
2,253.4
2,521.2
718.3
1,530.7
3,105.2
1,271.7
1,247.9
5,199.6
153.2
1,384.6
2,862.4
2,366.1
1,394.5
1,974.6
2,390.1
546.0
うち、
IBRD 融資額
IDA 融資額
10,487.0
6,763.6
11,451.8
8,067.6b
注:融資は新しいテーマ別・セクター別分類システム(68 テーマ、57 セクター)に基づいて、11 の主要テーマ分類と 10 の主要セクター分
類に従ってまとめた。端数が四捨五入されているので、合計が合わないことがある。IBRD と IDA のテーマ別、国別の詳細な融資状況に関
しては第 2巻の付表 11 を参照。
a. 1998 年度と 1999 年度の世銀融資は合計額を記載した。この 2 年間は、東アジア金融危機の発生により例外的な年となったからだ。
b. 重債務貧困国に対するグラントは含まない。
が蓄積した経験に基づいて作成されたベスト・プ (CDF)と貧困削減戦略文書はこうした新たな協
ラクティスをまとめた報告書などを公開していま
力関係の成果です。
す。借入国やパートナーとの知識の共有により、
最終的に各国の開発努力が成功するかどうか
借入国政府の担当者、NGO、民間セクター代表者
は、開発を進める上で必要となる優秀な人材や制
及びドナー政府の担当者が一つのチームを構成
度が整っているかによります。借入国が知識を蓄
し、借入国政府がオーナーシップと開発へのコミ
積し、アクセスし、あらゆる情報源から得た知識
ットメントを持つ参加型プログラムの策定が可能
を活用することは、世銀の使命である貧困削減に
になりました。包括的な開発フレームワーク
重要なことです。
30
世界銀行年次報告書 2002
図 2.7 IBRD と IDA の地域別融資合計額 2002 年度
合計 195 億ドルに占める割合
南アジア 18%
アフリカ 19%
中東・北アフリカ
3%
東アジア・
大洋州 9%
ラテンアメリカ・
カリブ海地域
22%
ヨーロッパ・中央アジア 29%
図 2.8
IBRD と IDA のテーマ別融資合計額 2002 年度
合計 195 億ドルに占める割合
環境・天然資源管理 5%
経済政策管理 7%
農村開発 8%
公共セクター運営
22%
都市開発 8%
人的開発 9%
法規
1%
社会開発
ジェンダー
参加 7%
社会的保護 貿易・統合 2%
リスク管理 6%
金融・民間セクター開発
26%
注:表2.2を参照
図 2.9
IBRD と IDA のセクター別融資合計額
2002 年度
合計 195 億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 3%
農業・漁業・林業 6%
運輸 12%
法律・司法・行政
27%
エネルギー・鉱業
10%
産業・貿易 7%
情報・通信 1%
保健・その他
社会サービス
12%
注:表2.2を参照
教育 7%
金融 15%
知識を創造し、共有し、適用していく世銀のア
プローチは、国際復興開発協会(IBRD)や国際
開発協会(IDA)の融資による開発効果の増幅に
つながります。世銀の分析・助言サービスには経
済・セクター調査(ESW)や技術支援がありま
す。経済・セクター調査はその主要なものの一つ
で借入国との政策対話、国別戦略の作成、及び効
果的な融資プログラムの策定と実施の基礎となる
ものです。技術支援には借入国と共同で実施する
キャパシティ・ビルディングが含まれます。世銀
は分析・助言サービスのツールとして、経済・セ
クター調査プログラムを厳重にモニタリングして
います。
2002 年度には 457 件の経済・セクター調査が借
入国で実施されました。これに対し、2001年度は
335 件でした。このうち、約 90 件は貧困調査、借
入国の経済に関する調査、開発政策に関する調
査、公共支出に関する調査、借入国の財政責任に
関する調査、及び調達に関する調査など、主要な
現状分析報告書でした。これらの報告書は国別援
助戦略(CAS)
、貧困削減支援融資(PRSC)及び
他の構造調整融資の基礎となり、また借入国との
政策対話の推進にも役立ちます。
2002 年度に作成された経済・セクター調査全体
の中で、公共セクター運営が最大(25%)となり、
これに、経済政策と金融・民間セクター開発
(15%)が続きました。金融・民間セクター開発、
社会的保護・リスク管理及び人的管理に関する報
告書はプロジェクト形成と国別プログラムを審査
する際の基礎となります。ヨーロッパ・中央アジ
ア地域は経済・セクター調査全体の中で 26%を占
め、続いてアフリカ地域が同 22%、東アジア・大
洋州地域が同 16%でした。国別報告書は HIV/エ
イズ、地方と都市の貧困、公共支出管理、ジェン
ダー及び労働などの問題に焦点を当てた地域別報
告書で補足されました。
公共セクター運営に関する報告書が多いこと
は、世銀が公共支出管理、財政管理、汚職、調
達、行政改革及び分権化などの問題を重視してい
ることを反映しています。
世銀はパートナーとの協力により、経済・セク
ター調査などの分析調査を国別に分担し、共同で
報告書をまとめ、より広く公開しました。2002 年
度には、特に貿易、投資環境、ミレニアム開発目
標(MDGs)
、国別ベンチマーキング、及び基本的
サービスの提供に重点が置かれました(これにつ
いては「世界開発報告2004」の中でさらに議論さ
れます)。民間セクター開発(PSD)局、インフ
ラネットワーク、及び開発経済学とデータ担当グ
ループ(DECDG)の間では貿易に関して、人的
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
31
図 2.10 重債務貧困国に対する債務救済―債務ストッ
クとデット・サービス・レシオの減少
(%)
歳入割合に占める
債務返済額
(左の軸)
債務ストック
(単位10億ドル)の
純現在価値(右の軸)
世界銀行の原資
(10億ドル)
30
90
$62 21%
15
の開発を支える金融セクターの能力構築に重点を
置いた貢献をしています。
2002 年度には21 ヶ国がFSAPに参加し、このう
ち12ヶ国にFSAPの報告書が作成され、
7ヶ国の金
融セクター審査が、
世銀理事会に提出されました。
このプログラムが開始された 1999 年 5 月から
2002 年度末までに、延べ55 ヶ国が参加することに
なります。2002 年 1 月末までの期間では 127 の公
的機関から157 人の専門家の協力を得て、190 を超
える審査が行われました。
60
15%
15%
30
10% $27
0
輸出割合に占める
債務返済額
(左の軸)
0
支援前
支援後
(1999年) (2001-02年)
2002 年度には加盟国からの出資金と国際資本市
場で調達された資金が世銀の原資となりました。
出典:世界銀行、2002、実施状況、ワシントンDC
国際開発協会(IDA)
2002 年度は IDA 第 12 次増資(IDA-12)の 3 年
目でした。この増資は 1999 年 7 月 1 日から 2002 年
6 月 30 日にかけて承認される融資のための原資を
IDAに供与するものです。現在IDAのドナーは41
(100万ドル)
(%)
ヶ国です。これまでIDAドナーの拠出額は各国の
8%
8
8,000
相対的経済力と貧しい国への支援の取り組みに基
づいて決定されており、主要先進国がIDAの主要
7
ドナーになっています。しかしIDAドナーの中に
社会支出額
はアルゼンチン、ブラジル、ハンガリー、韓国、
4,000
(左の軸)
ロシア及びトルコなどの途上国と移行経済国(こ
6
社会支出の
6%
れらの国の一部は国際復興開発銀行(IBRD)か
対GDP比率
ら融資を受けているか、または過去にIDAから融
(右の軸)
0
5
資を受けていた)も含まれています(IDAドナー
支援前
支援後
(1999年) (2001-02年)
の完全なリストについては世界銀行年次報告
2002 : IBRD/IDA 付表の 12 を参照)。IDA の財務
体質は主にドナーの継続的で力強い支援と融資金
開発(HD)ネットワークと DECDG の間では
返済によって健全に維持されています。今年度で
MDGs に関して、貧困削減・経済政策(PREM) IDA-13 に関する交渉は終了し、IDA-13 の融資計
ネットワーク、世界銀行研究所(WBI)、及び
画とこれに必要な資金についてドナーが合意に達
DECDG の間では PRSP と他のセクター間問題に
しました。IDA-13 により、今後 3 年間、貧しい
関して、共同プログラムが実施されています。
IDA 加盟国に対し、180 億 SDR(約 230 億ドル)
― ドナーからの新たな拠出金の約 100 億 SDR
(約 130 億ドル)を含む―の特別引出権(SDR)
金融セクター審査プログラム
を供与することが可能になります。IDA-13 では最
も貧しい国と最も脆弱な国が直面する特に困難な
国際通貨基金(IMF)と世界銀行は1990年代末
状況に対応できるよう、IDAのグラント部分の拡
に発生した東アジア金融危機以降、IMF ・世銀合
大についても合意されました。またIDAのプログ
同の金融セクター審査プログラム(FSAP)を実
ラムと借入国の開発成果を関連付ける結果重視の
施しています。この目的は各国の金融システムと
審査システムを導入することを決めています。
制度的インフラの強化を支援することです。同プ
2002 年度には増資協議が借入国とシビルソサエテ
ログラムは各国の金融システムの体力、リスク及
ィの代表に公開され、協議の参考資料は世銀のウ
び脆弱性に関して詳細な審査を通じて、国内及び
国際金融市場の抵抗力の向上を目指しています。 ェブサイトで公開されました。図 2.12 は IDA によ
る過去3 回の増資の資金源を示すものです。
世銀は金融セクターの制度的インフラや産業全体
$5,330
$7,268
図 2.11 重債務貧困国イニシアティブの
支援を受ける前と後の社会支出の傾向
32
世界銀行年次報告書 2002
国際復興開発銀行(IBRD)
2001年度には貸倒引当金が増加したために資本利
2002 年度、通常の資金調達の一環として IBRD
益率が 1%を下回りましたが、2002 年度には資本
は国際資本市場で世銀債の発行により中長期の資
利益率は 1%台を回復しました。図 2.13 は 1998 年
金を、230 億ドル調達しました。この金額は 2001
から2002 年度にかけての資本利益率の推移を示し
年度の 170 億ドルを上回るものでした。2002 年度
たものです。
には IBRD は 10 種類の通貨建てで世銀債を発行し
リスク管理
ましたが、その期間とストラクチャーは多岐に渡
開発業務の遂行に伴う国際復興開発銀行
っていました。世銀債の商品性の多様化よって、
IBRD は投資家基盤を拡大し、その結果借入国に (IBRD)の最大の財務リスクは、融資の信用リス
対する融資金利を引き下げることができました。 クです。このリスクは厳格に管理され、その市場
リスクは最小限に抑えられています。市場リスク
IBRD の健全な財務体質は株主である加盟国によ
は市場で金利や為替レートなどが変動することに
る支援、及び IBRD の厳正な財務方針とその運用
よっても発生します。IBRD の資本/貸出比率は
によって実現されています。
リスク負担能力の基本的な指標となるものです。
健全な財務体質
資本/貸出比率は IBRD の財務とリスクに関する
2002 年度の国際復興開発銀行(IBRD)の営業
見通しに基づいて厳格に管理されています。図
利益は19億2,400 万ドルでした。IBRD は長期的に
2.14 は 2002 年 6 月 30 日現在の資本/貸出比率を示
健全な財務体質を維持し、かつ他の開発ニーズを
したものです。
充足するとの方針により営業利益の中から 12 億
効率的な金融仲介の実現
9,100万ドルを別途積立金に繰り入れました(2001
国際復興開発銀行(IBRD)は加盟国株主から
年度は 6 億 1,800 万ドル)。2002 年度も、債務を返
資金拠出を受けていることと、借入国から優先債
済するための十分なキャッシュフローを確保する
権者と見なされていることを背景に、資本市場で
べく、流動性を適切な水準に維持しました。2002
その信用力は極めて高い評価を受けています。
年 6 月 30 日現在、当座資産は 250 億ドルとなって
IBRDは高格付け(AAA)により、長期資金を有
います。
利な条件で調達することができます。このため新
健全な財務体質を維持するための収益管理
規融資のコストは相対的に低く、ロンドン銀行間
国際復興開発銀行(IBRD)の目的は利益の最
取引金利(LIBOR)を平均で約 34.6 ベーシス・ポ
大化ではなく、健全な財務体質を維持し、開発業
イント(1ベーシス・ポイント=0.01%)下回って
務を継続的に行うことを可能にするような資本利
おり、さらに払込資本及び留保利益に比較してか
益率(ROA)を実現することにあります。IBRD
なり大きな金額を調達することができます。2002
は 年 率 約 1 % の 資 本 利 益 率 を 達 成 し て い ま す 。 年度においては世銀の資本市場からの調達(借
図 2.13 資本利益率(ROA)推移(%)
図 2.12 IDA の資金源(10 億ドル)
1.5
1.34
15.0
0.96
11.6
11.0
0.78
8.0
7.5
1.30
1.05
4.1
0.9
1.2
0.9
IDA-10 94-96年度
IDA-11 97-99年度
IDA-12 00-02年度
IDAの自己資金a
増資分
IBRDの純利益からの拠出
a. IDAの自己資金には元本返済分、手数料及び投資利益が含まれている。
0.0
(年度)
98
99
00
01a
02a
a. 2001年度にIBRDは、米国財務会計基準書No.133及び国際会計基準書
No.39を使用した。その結果、
デリバティブを時価で計上する必要性が生じた。
2001年度と2002年度の資本利益率は過年度の数値と比較できるようにす
るために、
これらの基準書を使用する前の数値で示されている。これらの基準
書を使用した場合には、2001年度と2002年度の資本利益率はそれぞれ
0.87と1.87になる。
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
33
図 2.14 資本/貸出比率(%)
2002 年 6 月 30 日現在
24
21.4
20.7
21.2
図 2.15 借入金及び当座資産(10 億ドル)
2002 年 6 月 30 日現在
21.5
22.9
118.6
125
114
105.6
111.5
111.2
75
25
0
0
98
99
00
01
02 (年度)
30.1
24.8
98
24.3
99
00
24.4
01
25.1
02 (年度)
現金及び流動性投資
借入金残高a
a. スワップ後
入)残高は 1,100 億ドルを超えており、実行済み
の融資の残高は1,220 億ドルとなっています。この
融資残高は自己資本の約 5 倍です。図 2.15 は 2002
年 6 月 30 日現在の世銀の借入金と当座資産を示し
たものです。表 2.3 は 2001 年度と 2002 年度におけ
るIBRDの財務データの概要を示したものです。
部を還元しています。
健全な財務基盤、市場からの高い信用により、
IBRD は、世界の債券発行市場で自己資本の 5 倍
の起債を行うことが許容されています。これによ
り開発プロジェクトに対する IBRD の融資能力が
拡大しています。図 2.16 は IBRD の純営業利益の
配分案を示したものです。
国際復興開発銀行(IBRD)の純利益の配分
IBRD の純利益はその使命に関連するいくつか
の目的に使用されます。
IBRD の純利益の一部は、財務の健全性を維持
するために、毎年、留保されます。別途積立金に
より、IBRD は極めて低いコストで借入国に融資
を行う際の信用リスクを負担することができ、そ
の結果、借入国はその恩恵を享受することができ
ます。純利益の留保により、IBRD は、融資金の
質が低下した場合や、資金需要が増加した場合で
も、財務の健全性を維持することができました。
国際開発協会(IDA)に対する支援は常に優先
的に行われてきました。過去 5 年間では、IDA に
16 億 2,200 万ドル(IBRD の純利益の約 24%)が移
転されました。
重債務貧困国(HIPC)イニシアティブに対す
る支援も重要でした。過去 5 年間では HIPC 信託
基金に対する移転金額は合計で約8 億9,000 万ドル
に達しました。この金額は IBRD の年間純利益の
約13%に相当します。
IBRD の純利益はその他の開発ニーズにも使用
されています。これにより IBRD は、予期せざる
危機に対処し、また特に有意義な目的に対しグラ
ント供与及びその他の支援を行うことができま
す。また、IBRD は、融資利子及び手数料の一部
を免除することによって、借入国にその利益の一
34
世界銀行年次報告書 2002
図 2.16 2002 年度の純営業利益 19 億ドルの配分案
(100 万ドル)
重債務貧困国 240
IDA 300
別途積立金
1,291
年金準備金a
93
注:理事会に対する提案
a. 年金準備金は職員退職金積立プランに対する実際の繰入額と、
GAAPが要求する費用計上額との差額のみを示す。この資金は配分
可能なものではない。
表 2.3
IBRD の財務データの概要
(100 万ドル)
2002 年度
2001 年度
会計年度 a
融資収益
投資収益
借入費用
管理費
その他
純利益(米国財務会計基準書 133 の調整を除く)
6,861
734
(4,903)
(876)
108
1,924
8,143
1,540
(7,152)
(881)
(506)
1,144
融資承認額
融資実行額
11,452
11,256
10,487
11,784
25,056
121,589
(111,205)b
(32,313)
24,407
118,866
(111,482)b
(29,570)
年度末 a
現金及び流動性投資
融資金残高
借入金残高
自己資本
a. この年次報告の第 2巻に示されている監査済み財務諸表からの抜粋。
b. スワップ後の借入金残高
世銀協調融資
世銀の協調融資パートナーの中には地域開発銀
行と公共・民間セクターの機関も含まれていま
す。世銀協調融資の金額は特定の地域・セクター
のプロジェクトに対する世銀の資金と他のドナー
の資金をあわせたものです。
2002年度の協調融資額は47億ドルにのぼりまし
た。主なパートナーは米州開発銀行(IDB)
、アフ
リカ開発銀行、地球環境ファシリティー(GEF)
及び日本の国際協力銀行となっています。
ラテンアメリカ・カリブ海地域は2002 年度の協
調融資の中で最大の割合を占め(23 億ドル)、こ
れにアフリカ地域(13 億ドル)と中東・北アフリ
カ地域(4億ドル)が続きました。
2002年度の協調融資の例
2002 年度に世銀とパートナーは合計 109 件のプ
ロジェクトに協調融資を行いました。協調融資額
が大きいプロジェクトの例は次のとおりです。
■ ガーナ運輸セクター開発プロジェクト: 13 の
ドナー機関が7 億4,500 万ドルの融資を行いま
した。
■ コロンビア財政構造調整融資: IDB が 4 億ド
ルの融資を行いました。
■ チュニジアECAL III プロジェクト:協調融資
として、アフリカ開発銀行が 1 億 9,400 万ド
ル、欧州委員会が欧州援助協力局を通じて
7,200 万ドルの融資を行いました。
図 2.17 は世銀融資に対する協調融資の割合を示
すものです。
信託基金の概観
信託基金は他のドナーとの間での財務と運営に
関する協定に基づいて設置され、世銀の自己資金
とは別に会計処理されるものです。信託基金は技
術支援・助言サービス、債務救済、紛争後復興及
び協調融資など、優先度の高い開発ニーズを対象
としてグラントを供与します。また信託基金は開
発プロジェクトに関する重要な調査活動に対する
資金拠出、革新的なプロジェクト・アプローチの
促進、パートナーシップの構築、及び開発協力範
囲の拡大を通じて、世銀の貧困削減プログラムを
支援しています。
信託基金による研究の新分野の開拓と膨大な国
際的知識基盤の活用を通じて、世銀はその投資活
動を補完・強化することができます。
2002 年度においては、世銀の幹部と理事会は複
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
35
図 2.17 世銀融資総額に対する協調融資総額の割合
(10 億ドル)
(10億ドル)
40
世銀融資総額
協調融資総額
29
30
20
10
0
8
99
28%
19
17
15
7
6
5
00
47%
01
35%
02
26%
(年度)
会計年度別の割合
注:協調融資の比率=会計年度の協調融資総額/会計年度の世銀融資総額。
協調融資の数字は2002年度末のもの。
雑かつ金額の大きな信託基金の管理の費用対効果
とリスクを検討しました。新規の大型プログラム
に対し資金が拠出され、集中的な監査とレビュー
も何度か行われました。また援助の流れの合理
化、提案の優先順位付け及び統制強化に関する改
革イニシアティブも検討されています。これらの
イニシアティブにより、信託基金プログラムは効
果的に管理され、かつ世銀の全体的戦略に沿った
ものになることが期待されています。
2002年度には信託基金プログラムが拡大しまし
た。信託基金の資産は 43 億 8,000 万ドルから 53 億
4,000 万ドルに増加しました(22%)。融資実行総
額は 19 億 3,000 万ドルで、前年比では金額で 8,000
万ドル(5%)増加しました。ドナーの拠出総額は
26 億 1,000 万ドルで、前年比では金額で 1 億 1,000
万ドル(4%)減少しました。5 大ドナーは米国
(6 億 4,000 万ドル)、日本(3 億 1,600 万ドル)、オ
ランダ(2 億 6,800 万ドル)、世銀グループ(2 億
2,200万ドル)及びイギリス(1億8,700 万ドル)と
なっています。この 5 大ドナーで、拠出総額の
62%を占めています。融資実行額の大きい 5 大プ
ログラムの合計は12 億ドルで、総額の62%にのぼ
りました。この 5 大プログラムは重債務貧困国
(HIPC)(7 億 5,800 万ドル)、地球環境ファシリテ
ィー(GEF)
(2 億2,500 万ドル)
、開発政策・人材
育成基金(PHRD)
(8,500 万ドル)
、国際農業研究
協議グループ(CGIAR)(8,200 万ドル)及びオゾ
ン信託基金(5,000 万ドル)です。
36
世界銀行年次報告書 2002
会計方針
ここで説明した信託基金の財務情報は重債務貧
困国(HIPC)信託基金に対する拠出金が発生ベ
ース、その他の信託基金に対する拠出金が現金ベ
ースで表示されています。HIPC 信託基金をはじ
めとするすべての信託基金に対する融資実行額は
現金ベースで表示されています。
主な新規プログラム
新たな難題が発生したことを受け、ドナーは
2002年度に世銀が管理するいくつかの主な信託基
金プログラムを新設することに合意しました。す
なわち、これらは次のとおりです。エイズ/結
核/マラリア・グローバル基金、アフガニスタン
復興信託基金、ナイル川流域信託基金、東部拡大
五大湖信託基金、変革のための知識信託基金、低
所得国の貧困削減戦略を支援するためのキャパシ
ティ・ビルディング信託基金、及び金融セクター
改革・強化イニシアティブです。
政策改革に関するドナーとの協議
世銀は信託基金のドナーとの間で監査結果を検
討し、信託基金協定書の条件の標準化を協議し、
優先事項の統一化を図るための政策改革を協議し
ました。政策改革の対象は世銀の融資と分析作業
を支援するコンサルタント信託基金及び単一目的
信託基金となっています。
信託基金の改革
世銀は一連の内部改革を行い、管理・報告方法
を改善しました。この改革の中にはドナーとの関
係の強化や独立した法令遵守監視部門の設置など
の組織変更、及び信託基金の会計・報告システム
の強化などが含まれています。
また、リアルタイムで信託基金に関する情報を
提供するドナーセンターをウェブサイト上に開設
しました。さらに約 1,000 人の職員と管理職を対
象として、信託基金に対する認識を高めるための
キャンペーンを実施しました。また、信託基金の
管理に関するすべての側面についての職員向けの
研修として、信託基金講習・認証プログラムの作
成が進められています。
図 2.18 は 1998-2002 年度に世銀が運営する信託
基金に拠出された金額を示したものです。
図 2.18 世銀が運営する信託基金に対する拠出
1998-2002 年度(100 万ドル)
3,000
他のドナー
2,500
2,000
391
1,568
200
0
2,613
222
2,297
2,391
2001
2002
410
1,000
500
422
1,769
1,544
1,500
2,719
世銀グループ
1,153
1998
1,368
1,359
1999
2000
このような特定の国の具体的なニーズに合わせる
方策も検討しています。世銀は援助に関する優先
事項を検討し、世銀の開発戦略のこのような 2 つ
の柱を国レベルの援助に組み込みます。グローバ
ルの選定をする際には、世銀の地球公共財に関す
る優先事項である伝染病、環境、貿易・統合、情
報・知識及び国際金融システムが重視されます。
2001 年に設置された世銀の地球公共財インセンテ
ィブ基金により、グローバルなプログラムと国別
のプログラムの関連性が強まりました。囲み2.2 は
世銀の包括的な開発フレームワーク(CDF)を説
明したものです。
国別援助戦略(CAS)
世銀援助のフレームワーク
2002年度に世銀は、戦略フレームワークをグロ
ーバルに実施しました。この一年間で、世銀は
様々な戦略、アプローチ及び優先事項を策定し、
それを広く公表し、世銀の業務や方向性を国レベ
ルとグローバルな活動に具体化する上で必要とさ
れる手順と手段を確立してきました。2003- 05 年
度を対象とした「2002年3月新戦略アップデート」
は戦略の策定から実施、成果までの流れに焦点を
当てています。現在では世銀の融資プログラムを
特定する新しい分類システムが導入されているこ
とから、世銀の優先事項の実現状況を従来以上に
正確に把握することができます。
重点化と整合性
優先順位を決定する際のプロセスは、国内、国、
及び地域/グローバルの 3 段階での選定が行われ
ています。融資国を選定する際には、借入国の優
先順位に世銀の比較優位性、パートナーの比較優
位性、及び包括的な分析に基づいて選ばれたいく
つかのプログラムが検討されます。セクター戦略
文書(SSP)は貧困削減戦略文書及び国別援助戦略
(CAS)
と密接に関連しており、最終的には結果に
焦点を当てた報告書が作成されます。
世銀が融資を選定する際の重要な基準は貧困の
程度とパフォーマンスです。この際、援助の有効
性を高められるような政策環境が整っている国
や、世銀が支援することで大きな効果をもたらす
ことができる国に対する融資に重点が置かれま
す。その一方、開発援助が緊急に必要とされてい
るものの、制度が未熟で政策環境も整備されてい
ないために、開発援助の効果が生じる可能性が低
い国のニーズに対処するため、世銀は援助方法を
世銀は融資国ごとに作成するCAS について、政
府、民間の非営利団体などのシビルソサエティ、
及びその他の開発機関と協議を行っています。
CASの目的は融資国の開発戦略に関連付け、世銀
グループの融資プログラムの策定や助言サービス
を提供することです。貧困削減戦略文書(PRSP)
、
包括的な開発フレームワーク(CDF)や借入国主
導の他のプロセスが実施されている場合、これら
はCASの全体的なフレームワークとなります。ま
た、世銀は、2003 年度からは新たに作成される国
際開発協会(IDA)融資国の CAS はすべて、
PRSP に沿って作成する予定です。このように整
合性を持たせるため、世銀はPRSP の完成を待ち、
CAS進捗状況報告書の中で戦略を更新してきまし
た。
2002 年度において世銀理事会は 34 件の CAS に
ついて議論をしました。この中には西アフリカの
15 ヶ国を対象とした最初の地域統合援助戦略、並
びにアフガニスタン、ブルンジ及びマケドニアな
ど、紛争後の国々に対する 5 件の移行支援戦略が
含まれています。2002 年度には 18 件の CAS が国
際金融公社(IFC)と協力して作成されましたが、
特にこれらの国々に対する民間投資の重要性が指
摘されています。
CAS の公開に関して大きな進展が見られまし
た。2002 年度に作成されたすべてのCAS(作業中
となっている 1 件を除く)は、すでに公開された
かまたは公開手続が進められています(www.
worldbank.org/cas を参照)。2002 年 1 月からは、
公開となったCASに関して世銀総裁が理事会に提
出したコメントも含まれるようになりました。ま
た、世銀は作成中のCASに関する情報の公開も試
験的に行っています。
2002 年度、過去の CAS を調査した報告書(作
成中)で、CASの質が継続的に改善していること、
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
37
囲み 2.2
借入国のビジネス・モデルの強化:包括的な開発フレームワーク(CDF)
CDF は世銀が国レベルの業務にあたって採用したアプロー
CDF の原則は貧困削減戦略文書(PRSP)の基礎になるも
チです。CDF は相互に関連性のある 4 つの原則―長期的・
のです。世界の約 50 の低所得国は PRSP に沿って CDF を推進
包括的な開発アジェンダ、借入国が優先順位を決定した上で
しています。多くの中所得国も、 CDF を採用しはじめまし
の広範なオーナーシップ、借入国内のパートナーシップ、及
た。世銀の職員及び他のパートナーは CDF の推進を支援する
び開発の結果に対する責任―に則って業務を行うことによ
ため、借入国の優先事項を理解すると共に、開発プログラム
り、効果的かつ持続可能な貧困削減を可能にするというもの
の効果を最も高めることを目的としたパートナーシップを構
です。借入国は CDF により、政府内に留まらず、国全体のコ
築しています。
ンセンサスを反映した方法で開発プロセスを進めることがで
将来、世銀から融資を受けようとする国は次の 2 つの課題
きます。こうした政策対話に参加するシビルソサエティの役
を克服しなければなりません。第 1 に貧しい人々、関係省庁、
割は大きくなりつつあります。そして、借入国の戦略策定は、
民間セクター及び議会などの主要な関係者が幅広く参加する
国内外の様々なパートナーの参加の下で進められるようにな
参加型のアプローチの一層の改善です。第 2 にミレニアム開
ってきています。
発目標(MDGs)を指標として、開発政策改革とそれが借入
CDF のアプローチは途上国並びに国連機関、国際開発金融
国個別の目標に与える影響をモニタリング・評価する国のキ
機関(MDBs)、欧州委員会及び二国間ドナーなどの主要開
ャパシティと制度的改革の実行です。外部のパートナー(機
発パートナーに受け入れられており、それぞれの援助戦略を、
関レベルと国レベル)との間で戦略、政策及び手続を融合す
借入国が責任を持つ各国の戦略に調和させるように具体的な
ることはすべてのパートナーにとっての課題です(最新の
取り組みが進められています。
CDF 進捗状況報告書については www.worldbank.org/
cdf を参照)。
貧困、ジェンダー、ガバナンス、民間セクター及
び金融セクターに関する取り組みが大きな進展を
示していると指摘しました。しかし、一層強化が
必要とされる分野もあります。実質的なパフォー
マンスのモニタリングと評価のためのフレームワ
ークの策定が、大きな課題となっています。
低所得国に対する援助
貧困削減戦略文書(PRSP)のアプローチは、
開発戦略、さらには援助戦略として借入国が責任
を担う広範なプロセスを組み込む可能性を開くも
のです。貧困削減支援融資(PRSC)は優れた政
策と健全な公的機関を有する借入国に対してこの
アプローチの実施への支援を意図したものです。
2002年度にはアルバニアとブルキナファソに対す
る PRSC が承認されました。PRSP 対象国、開発
パートナー及びシビルソサエティの代表者との間
で行われた最近の協議では、PRSP のプロセスを
借入国の具体的な条件に適合させること、借入国
による PRSP の中で現実的な優先事項と目標を設
定すること、及びドナーの政策を融合させること
により、これらの実施にあたっての支援の重要性
38
世界銀行年次報告書 2002
ウズベキスタンでの世銀の農村企業プロジェクトは新たに策定された
民間セクター農業イニシアティブを支援します。これにより、農業の
生産性と利益率の改善が期待されます。
が再確認されました。
中所得国に対する援助
低所得国とは性格の異なる開発上の課題を抱え
る中所得国は、債務/リスク管理の柔軟性を高
め、経済・セクター改革を策定・実施するための
制度基盤の整備に向けて、引き続き世銀の援助を
必要としています。世銀は現在2001年の中所得国
タスクフォースの提言に従って、助言サービスが
果たす補完的役割の重要性を認識すると共に、中
所得国の多様なニーズに対応するために融資方法
を改善しました。たとえば、理事会は、構造調整
融資が行われた場合の資金に関する引き出し繰り
延べオプションを認めました。その結果借入国は
対象年度内であればいつでも資金を引き出すこと
ができるようになりました。さらに世銀は変動ス
プレッド単一通貨融資、固定スプレッド融資及び
現地通貨融資をはじめ、新しい融資方法を導入し
ました。これは、低所得国と中所得国の双方によ
り柔軟な選択肢を与えるものです。
セクター別戦略文書(SSP)
SSP は病気の根絶や環境など、グローバルな優
先事項について、世銀業務の方向性を系統化する
ために作成されるものです。SSP はグローバルな
公的活動の促進、グローバルなプログラムとパー
トナーシップの統合、及び借入国による取り組み
促進のための基礎となります。一般的には SSP は
経済成長と貧困削減に対するインパクトを高める
ことを目的とした、特定のセクターまたはテーマ
別分野における世銀のアプローチと活動を具体的
な形にするものです。さらに SSP はセクター別及
びテーマ別に戦略的なオプションを提示し、対象
国のパフォーマンスが相対的に劣る分野を指摘し
て、優先的な取り組みを求めます。また、SSP は
関係者との幅広い協議に基づいて作成され、その
実施状況は定期的にモニタリングされます。
2002年度に世銀は環境、ジェンダー、情報・通
信及び民間セクター開発などの分野に関する 4 件
の SSP を検討しました。これらの SSP のタイトル
は次のとおりです。「持続可能な取り組み:世銀
グループの環境戦略」、「世銀による援助活動への
ジェンダーの組み込み―その実施戦略」、「セクタ
ー別戦略文書:情報・通信技術」、「民間セクター
開発戦略:世銀グループの方向性」です。
開発のためのパートナーシップ
パートナーシップは世銀援助を実行するための
1 つの手段として、過去 10 年間で大きく進展しま
した。世銀はパートナーシップの数、管理基金の
額、及びパートナーシップを経由した資金の流れ
のモニタリングの重要性を認識しました。世銀は
潜在的リスクがあることを認識し、2001年度にパ
ートナーシップに関する明確な基準を確立しまし
た。2002 年度には世銀の地域及びグローバルなパ
ートナーシップに関する情報を集中的に提供でき
るようにするために「パートナーシップ承認・モ
ニタリングシステム」を構築しました。世銀とデ
ィベロップメント・ゲートウェイ財団とのパート
ナーシップは囲み2.3 に示したとおりです。
世界銀行研究所(WBI)
:知識と研修のためのパー
トナーシップ
研修と知識に関する世銀のアジェンダを担当す
るWBI は20の二国間ドナー、100を超える訓練・
教材作成パートナー、40 を超える民間セクター/
財団パートナー、及び16 の国際、地域、各国機関
などとの間で様々なパートナーシップを確立して
います。
2002 年度には WBI は国際通貨基金(IMF)及
び国連開発計画(UNDP)とのパートナーシップ
を拡充しました。WBI は貧困削減戦略文書
(PRSP)に関する研修プログラムではIMF と協力
し、また、その他のプログラムでは 2 つの地域機
関―合同アフリカ研究所(コートジボワール、
アビジャン)、合同ウィーン研究所(オーストリ
ア)―と協力しました。また WBI は UNDP と密
接に協力し、キャパシティ・ビルディングに関す
る戦略と政策の策定を行うとともに、UNDP の報
告書「開発のためのキャパシティ:古い問題に対
する新しい解決策」の作成にも大きく貢献しまし
た。この報告書は 2002 年 3 月にメキシコ合衆国の
モンテレーで開催された「国連開発資金国際会
議」に合わせて刊行されました。
各地の遠隔研修センターを統合するグローバ
ル・ディベロップメント・ラーニング・ネットワ
ーク(GDLN)は急速に拡大しています。GDLN
はテレビ会議などの技術を活用して、世界中で研
修プログラムを共有することを可能にしています。
現在、37 ヶ所で GDLN センターが運営されてお
り、42 ヶ所で建設が進められています。中国の北
京にある中央遠隔研修センターは高速光ファイバ
ー網を通じて寧夏の地域センターと結ばれていま
す。「中国教育・研究ネットワーク」は様々なネ
ットワークを束ねるネットワークとして機能して
おり、中国内の大学を網羅しています。WBI とメ
キシコのTEC ・デ・モンテレーによるパートナー
シップは、ラテンアメリカ・カリブ海地域内の
500 を超えるポイントへのアクセスを可能にして
います。
WBI のいくつかのパートナーシップは特定の
テーマに焦点を当てています。たとえば世界中の
都市の大気の質を改善する革新的方法を探究して
いる「クリーン大気イニシアティブ」には自治
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
39
囲み 2.3
ディベロップメント・ゲートウェイ財団
世銀はディベロップメント・ゲートウェイ財団の設立
に際して大きな役割を果たしました。同財団は、公共セ
クターと民間セクターを結集して、デジタル・ディバイ
おける31のパートナー大学の情報技術能力を強化
した他、2002年末までに、正式な卒業資格と学位
を与えるプログラムを開始するための準備を行っ
ています。囲み2.4 は知識共有とパートナーシップ
に関するウェブサイトのリストを示したものです。
ド(情報格差)の問題に関する様々な取り組みを行う独
立した非営利団体です。同財団の最大の使命は情報・通
信技術(ICT)の活用により貧困を削減し、持続可能な
開発を支援することにあります。
同財団の創立メンバーは世銀の他、オーストラリア、
中国、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、マリ
(オランダ資本による)、パキスタン及びルワンダなどの
政府となっています。創立メンバーは 3 年間に少なくと
も 500 万ドル(現金または物資)を拠出することになり
ます。
同財団は次の 4 つの重要分野で活動を展開しています。
第 1 の分野は「ディベロップメント・ゲートウェイ・ポ
ータル」で、これは開発と貧困削減に関する情報と知識
に対するアクセスを提供する双方向のポータルです。第
2 の分野は「研究・訓練センター・ネットワーク」で、
これは複数の途上国に拠点を置き、アイディアを交換す
ると共に、貧しい人々にとって有益となるような情報技
術アプリケーションをテストすることが目的です。第 3
の分野は「ICT 開発フォーラム」で、これは重要な問題
に関する議論を行い、知識を共有し、かつシビルソサエ
ティ、公共セクター及び民間セクターの間でのパートナ
ーシップの促進が目的です。第 4 の分野は「助成金・投
資プログラム」で、これは現地、国、地域、グローバルで
のデジタル・ディバイド(情報格差)の解消に役立つよ
うな革新的なプロジェクトとプログラムを支援すること
が目的です。
同財団は 2001 年 12 月に設立総会を開催しました。第
2 回総会は 2002 年 4 月に開催されました。
(www.dgfoundation.org を参照)。
体、自動車会社及びドナーをはじめ、多様なパー
トナーが参画しています。クリーン大気に関する
遠隔研修コースはラテンアメリカにおいて米州教
育テレビ・ネットワークと提携している 500 の放
送局を通じて放映されています。
いくつかのパートナーシップは特に地域の研修
機関の能力を強化することを目的としています。
ナイロビに本部を置く「アフリカ・バーチャル大
学(AVU)」はこのようなパートナーシップの 1
つです。2002 年度には AVU は、アフリカ地域に
40
世界銀行年次報告書 2002
国連機関(UN)
世銀と国連機関との協力関係は2002年度も進展
しました。2001- 02 年においても「国連開発資金
国際会議」の準備作業が行われた他、「持続可能
な開発に関する世界サミット」のために経済、社
会及び環境に関する問題を関連付ける作業が行わ
れた結果、包括的開発アジェンダとミレニアム開
発目標(MDGs)を基盤とする共通の立場がさら
に強化されました。これにより、借入国の貧困削
減戦略の策定を支援するためや、国連機関の開発
グループとの間で様々な問題を調整するための強
い基盤の確立が促進されました。また両機関は紛
争防止と復興という 2 つの分野で共同作業を強化
しました。この 2 つの分野に関しては世銀、国連
機関及び他のパートナーは紛争に起因する特別な
ニーズを抱えている国々を支援するという共通の
課題に取り組んでいます。
グローバルでは、伝染病に取り組むための合同
イニシアティブ(「エイズ、マラリア及び結核と
闘うためのグローバル・ファンド」、及び世界保
健機関のマクロ経済・保健委員会)、経済成長と
人権の関連性に関する合同研究、及び「万人のた
めの教育」(EFA)に関する活動を活発化するた
めの協力などにおいて、革新的な協力方法が採用
されています。
世銀は各機関の最高責任者の集まりである「最
高責任者会議」など、様々な機関合同グループの
活動にも関っています。この会議の場では国連機
関の全機関と協力を行う過程で直面した、整合
性、調整及び戦略に関する問題が議論されます。
上級幹部と職員は政府間プロセスに参加すると
共に、各機関の理事会と協力して、国連機関を通
じた、積極的かつ前向きなパートナーシップの構
築に務めています。
国際開発金融機関(MDBs)
特に2001 年9 月11 日に米国で発生した同時多発
テロ以降、アフリカ開発銀行(www.AfDB.org を
参照)
、アジア開発銀行(www.ADB.orgを参照)
、
米州開発銀行(www.IADB.org を参照)及び欧州
復興開発銀行(www.EBRD.com を参照)をはじ
め、MDBs との協力関係が一層強まりました。
MDBs の総裁たちによる定期会合を通じ、世界
経済の減退や国別の問題への協調した対応策が決
定され、2001 年 10 月 5 日には、共同声明が発表さ
れました。世銀とほとんどの地域開発銀行の間で
締結されている「了解事項覚書」に基づいて行わ
れている業務提携、及び業務政策や手続の調整作
業を通じて、MDBs は融資の結果についての成果
指標を策定するなど、結果重視の融資に関する新
たなイニシアティブを開始しました。
共同で開催された「結果の測定、モニタリング
及び管理」に関する円卓会議には、途上国及び先
進国の代表者、二国間及び多国間機関の代表者、
及び研究者が参加し、結果重視のアプローチの課
題と共同で採用すべき次の措置について議論が行
われました。参加者は2002 年3月19日、モンテレー
で共同声明を発表しました。MDBs は共同報告書
の中で、地球公共財の提供に関する役割を明確化
すると共に、特にアフリカ地域に焦点を当てて、世
界の貧困状況、及びミレニアム開発目標(MDGs)
の達成度を分析しました。MDBs と経済協力開発
機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)との間
では、世銀の開発効果委員会が承認し、しかも関係
機関が同意したアクション・プランに従って、政
策・手続の調整作業が進められました。
囲み 2.4 ウェブサイト:
知識の共有とパートナーシップ
知識の共有
貧困に対する取り組み:
www.worldbank.org/wbi/attackingpoverty
国別分析調査: www.countryanalyticwork.net
開発フォーラム: www.worldbank.org/devforum
ディベロップメント・ゲートウェイ(貧困削減中心):
www.developmentgateway.org
グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ネット
ワーク: www.gdln.org
グローバル・ナレッジ・パートナーシップ:
www.globalknowledge.org
インフォデブ(InfoDev)プログラム:
www.infodev.org
知識の共有: www.worldbank.org/ks
開発のためのワールド・リンク(教育技術):
www.worldbank.org/worldlinks
テーマ別のパートナーシップ
クリーン大気イニシアティブ:
www.worldbank.org/wbi/cleanair
経済協力開発機構(OECD)
近年、OECD とのパートナーシップはより深
く、幅広いものとなりました。このパートナーシ
ップでは補完的活動を増やし相乗効果を高め、重
複を避けることに注意が払われました。また
OECD の下部機関である DAC との協力が特に重
要な役割を果たしました。DAC は OECD 加盟国
が開発プログラムに関して二国間ドナーとしての
一貫性と統一性を維持するためのフォーラムとな
っています。「貧困削減に関する DAC 指針」は援
助プログラムを貧困削減戦略文書(PRSP)のフ
レームワークに合わせ、特に開発の遅れている途
上国に対する援助をアンタイド化する意向を示し
た二国間ドナーが包括的な開発フレームワーク
(CDF)/ PRSP ・アプローチを実施する際に、整
合性を維持するための基礎となってきました。世
銀は低所得国関連以外でも、貿易、環境、コーポ
レート・ガバナンス、汚職防止及びデジタル・デ
ィバイド(情報格差)をはじめ、広範なアジェン
ダに関して OECD と協力しています。OECD、世
銀及び国際通貨基金(IMF)は、そのパートナー
シップを通じ、税務に関する政策と行政を担当す
る政府担当者による議論と経験の共有を促進する
ために「国際租税対話」を開始しました。これは
先進国のみならず、途上国にも役立つものです。
www.worldbank.org/wbi/airelimpio
www.worldbank.org/wbi/arlimpo
保健・医療フラッグシップ:
www.worldbank.org/wbi/healthflagship
HIV/エイズ:
www.worldbank.org/wbi/aidsleadership
「持続可能な開発のための世界経済人会議」バーチャル
大学: www.wbcsd.ch
地域別キャパシティ・ビルディング・パートナーシップ
アフリカ・キャパシティ・ビルディング財団:
www.acbf-pact.org
アフリカ・バーチャル大学: www.avu.org
合同アフリカ研究所: www.ima-jai.org
合同ウィーン研究所: www.jvi.org
地中海開発フォーラム:
www.worldbank.org/wbi/mdf
国際通貨基金(IMF)
2002 年度に、世銀と IMF の協力関係は一段と
強まりました。両機関は重債務貧困国(HIPC)
イニシアティブに基づく債務救済で大きな成果を
上げました。両機関の理事会は16ヶ国の債務救済
を承認し、29 ヶ国の貧困削減戦略を議論しまし
第2章
2002 年度における世界銀行の活動
41
た。世銀とIMFが協力を行う際には、それぞれが
比較優位性を持つ分野に専念します。IMF は借入
国当局とマクロ経済やそれに関る構造問題につい
ての対話を主導し、世銀は社会開発的・構造的問
題に関る分野を担当します。
2001 年 8 月、世銀と IMF の理事会は国別のプロ
グラムとコンディショナリティーに関しての協力
関係を強化することで合意しました。この戦略
は、借入国のプロジェクトサイクルの早い段階か
らプロジェクトの進行に伴い協力し、リード機関
を決めることで責任分野を明確にし、理事会への
報告に透明性を持たせ、協力関係の強化を目指す
42
世界銀行年次報告書 2002
ものです。しかし各機関は融資の決定とその進行
に関しては個別に責任を負います。IMFの貧困削
減・成長ファシリティー(PRGF)に支援を受け
た低所得国向けの貧困削減戦略文書(PRSP)フ
レームワークに基づいて、世銀とIMFは密接に協
力しながら共通の国別戦略を実施する一方で、そ
れぞれの責任分野に力を注ぐことになります。中
所得国に関しては各国の様々な状況に柔軟に対応
することが必要になると思われます。これにおい
ても、世銀とIMFが調整を行い、情報を共有する
ことにより、良い結果を生むと考えられます。
第3章
2002 年度に、世銀は過去 50 年におよぶ
開発援助の有効性を検討し、「開発援助
の役割と有効性:世銀の経験から得られ
た教訓」と題した報告書にまとめまし
た。同書では、途上国の平均寿命と成人
の識字率の改善状況、及び貧困削減の進
展状況が報告されました。途上国の現状
の改善は、途上国の政策と制度の整備は
もとより、ドナーによる融資と調査・分
析活動の成果です。しかし、一部の国と
地域では、改善や進展がほとんど見られ
ませんでした。成功や失敗の両面から学
ぶことは重要です。世銀は、調査研究、評
価及び分析作業を通じて開発への一層の
貢献を目指しています。
開発の有効性
第3章
開発の有効性
20 世紀後半、世界各国の生活水準は前例がない
ほど改善しました。技術、政策及び制度の改善・
整備によって、先進国の経済が急速に拡大しただ
けでなく、大半の途上国の貧しい人々の生活水準
も大きく改善しました。このように、多くの国々
は開発に向かって大きく前進しました。しかし一
部の国々は、戦争、伝染病、自治体および中央政
府の汚職・腐敗などに現在も苦しんでいます。
2002 年度に、世銀は「開発援助の役割と有効
性:世銀の経験から得られた教訓」と題した報告
書を公表しました。同報告書は過去 50 年におよぶ
開発コミュニティの経験を再考したものです。
2002 年 3 月にモンテレーで開催された「国連開発
資金国際会議」に向けて作成された同報告書は、
国が急速な経済成長を実現するための最も重要な
要素として、政策、制度及びガバナンスを指摘し
ました。開発援助は、国内の取り組みに取って代
わることはできません。しかし開発に真剣に取り
組んでいる国々を支援した事例では、開発援助は
これらの国々の発展に大きく貢献しました。
開発の進展により、大きな効果がもたらされま
した。過去 40 年間で、途上国の平均余命は 20 年
も延びました。過去 30 年間で、途上国の成人の非
識字率は 47%から 25%へと半分近く減少しまし
た。過去 20 年間で、1 日 1 ドル未満で生活する
人々の数は、19 世紀から 20 世紀にかけて増加し
続けた後、ようやく減少に転じ、2 億人余りに減
少しました。
(図 3.1 は 1 日 1 ドル未満ないし 2 ドル
未満で生活している人々の割合を地域別に示した
ものです)
。
こうした成果には、途上国も大きく貢献してい
ます。途上国は政策や制度を改善するために、多
くの困難な施策をとってきました。平均インフレ
率は、1982 年の 15%から 1997 年には約 7%に低下
しました。途上国は、世界経済への統合を急速に
進めるために努力し、大きな成果をあげていま
す。1980 年以降に世界経済との統合を最も急速に
44
世界銀行年次報告書 2002
進めた総人口が約 30 億人の 24 の途上国では、一人
当たり国内総生産(GDP)の年間成長率は、1970 年
代の 3%弱から 1990 年代の 5%に加速しました。
海外からの開発援助も、途上国の経済成長率を
押し上げただけでなく、時間の経過と共に、貧困削
減への効果が表れています。多くの国々では、国
際的な援助と助言サービスは、社会開発や民間セ
クターの発展の基盤となっています。援助は、総
じて公正な政策、制度及びガバナンスを有する
国々において最大の効果を発揮するということ
も、多くの結果から示されており、これにより、
国際社会は援助の比率を高めた、貧困削減におけ
る援助の有効性も大幅に上昇しています。
しかしながら、こうした進展はすべての途上国
において見られたわけではありません。たとえば
アフリカ地域では、1965 年から 1999 年にかけて
は、一部の社会指標はかなり改善したものの、一
人当たり国民総所得は全く増加していません。ア
フリカ地域やその他の地域では、依然として多く
の国々の経済的・社会的条件が長期にわたって悪
化しています。問題は経済や技術の分野のみなら
ず、政治、社会、制度及び金融の分野にまで広が
っています。政策の改革(たとえば、マクロ経済
の安定や、市場の開放・競争の増進など)に真剣
に取り組んだ多くの国々でも、ガバナンスや制度
の改革が進んでいないために、経済成長が阻害さ
れ、貧困削減も限定的なものにとどまっていま
す。経済協力開発機構(OECD)による農業補助金
や貿易障壁などの外部的な要因も、世界経済への
統合と経済成長を促進しようとする途上国の努力
を阻害しました。また、ドナーの過ちである、冷
戦下の政治的な思わくに基づいた援助配分など
も、一部の国々の経済発展を阻害する要因となり
ました。過去 50 年間の成功例と失敗例から教訓を
得るには、世銀とドナーの評価・調査研究が非常
に重要となります。
図 3.1
1 日 1 ドル未満ないし 2 ドル未満で生活する人々の割合(%)
アフリカ地域
東アジア・大洋州地域
50
50
47.7
46.7
39.3
25
27.6
25
23.9
0
13.8
14.2
2.8
1999
2015
0
1990
1999
2015
1990
南アジア地域
ヨーロッパ・中央アジア地域
50
50 44
36.9
25
25
22
0
0
1990
1999
19.3
9.6
1.6
1990
2015
ラテンアメリカ・カリブ海地域
8.7
3.6
0.6
1999
2015
中東・北アフリカ地域
50
50
38.1
33.1
25
29.9
23.4
16.8
24.8
25
16.7
15.1
9.7
8.4
0
1990
1999
2015
2.4
2.3
1.2
1999
2015
0
1990
1 日1ドル未満の実際の貧困率
1日1ドル未満の目標値に向けた平均的推移
1 日2ドル未満の実際の貧困率
予想推移(1日2ドル未満)
予想推移(1日1ドル未満)
注:アフリカ、東アジア・大洋州及び南アジアに関するグラフには、1 日 2ドル未満の数値は含まれていない。
出典:世銀、2002年、
「世界開発指標 2002」
、ワシントン DC。
ミレニアム開発目標(MDGs)の達成状況
世銀は、開発の進展状況を示す 1 つの指標とし
て、国別に MDGs の達成状況を追っています。世
銀は、「世界開発報告 2000/2001 :貧困への挑戦」
の中で分析を行い、変革のためのアジェンダを示
しました。2002 年 3 月、貧困削減グループは「貧
困削減と世界銀行」の中で達成状況を検討しまし
た。以下に示す情報はこの調査及び「世界開発指
標 2002」の中で公表した統計値に基づいたもので
す。しかし、多くの場合、データが不十分であ
り、この問題については「世界銀行リサーチ・オ
ブザーバー」の 2001 年秋季号の中で詳細に取り上
げています。
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
1 日 1 ドル未満で生活している人々が世界人口
に占める割合は、1990 年の 29%から 1999 年には
23%に低下しました。しかし極度の貧困状況の下
で生活している人々の数の減少分のほぼすべて
は、東アジア・大洋州地域に関するものです。こ
の地域では中国が急速な改善を示しました。ヨー
第3章
開発の有効性
45
ロッパ・中央アジア地域では、極度の貧困の下で
生活している人々の数とその割合は増加しまし
た。その他の地域では、貧困率は低下しました
が、極度の貧困の下で生活している人々の絶対数
は増加しました。その結果、世界の貧しい人々の
数はほとんど変化せず、約 12 億人のままとなって
います。また多くの国では、現実的な貧困ライン
となっている 1 日 2 ドル未満で生活している人々
の数 は、1990 年の 27 億人から 1999 年には 28 億人
に増加しました。
世銀の「世界経済見通し 2002」は、途上国の一
人当たりの国内総生産(GDP)成長率が今後 15
年間において平均で年率 3.6%になれば、極度の貧
困の下で生活している人々の世界人口に占める割
合は、ミレニアム開発目標(MDGs)の目標年で
ある 2015 年までに半減する可能性があると推定し
ています。この経済成長率は、1990 年代における
実際の成長率の 2 倍です。経済成長率が世界平均
の半分を下回ると推定されるアフリカ地域では、
貧困状況の下で生活する人々の数は増加すると思
われます。
栄養不良または栄養失調の人々の割合を 2015 年
までに半減させるためには、当該国と国際社会に
よる協調努力が必要です。多くの国は、過去 30 年
間で、栄養失調の 1 つの指標である標準体重に達
していない子供の割合を大幅に引き下げることが
できました。しかし、その後はこの減少率は低下
しました。2002 年においては、途上国には、5 歳
未満の栄養失調の子供が 1 億 5,000 万人いると推定
されています。現在の減少率では、2020 年になっ
ても、標準体重に達していない子供の数は 1 億
4000 万人にのぼると推定されます。
目標2:初等教育の完全普及
1990 年にタイのジョムチエンで開催された「万
人のための教育」に関する会議では、2000 年まで
に初等教育の完全普及を実現することが決議され
ました。しかし、1999 年になっても、就学年齢に
達している 1 億 2,000 万人の子供が学校に通ってい
ません。こうした子供の 4 分の 3 は、南アジア地
域またはアフリカ地域に住んでいます。ミレニア
ム開発目標(MDGs)では、2015 年までにすべての
子供を就学させ、初等教育を修了させるという壮
大な目標が設定されています。この目標に関して
は、積極的な取り組みが行われています。現在、
多くの地域では、何れの目標も実現できていない
小学校が殆どです。報告された就学率、出席率及
び修了率の間には大きな開きがあります。
約 80 の途上国では、就学年齢に達したすべての
子供を収容できるだけの十分な数の小学校を建設
46
世界銀行年次報告書 2002
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
図 3.2 低・中所得国における
栄養不良の子供の割合
年齢ごとの数値を加重平均
(5 歳未満の子供の割合)
50
実際の改善推移
目標達成に必要な推移
30.8
28.2
25
15.4
0
1990
1998
2015
注:ヨーロッパ・中央アジア地域は除外。
出典:世銀、2002年、
「世界開発指標2002」
、ワシントンDC。
しました。しかし、ほとんどの子供が卒業時まで
在学しているのは、このうちの約 27 ヶ国に過ぎま
せん。1990 年以降、17 の途上国では修了率は停滞
ないし減少しています。
目標3:ジェンダーの平等と女性のエンパワーメ
ントの達成
ほとんどの低所得国では、女児の就学率は男児
の就学率を下回っています。この格差を反映し
て、ラテンアメリカ・カリブ海地域を除くすべて
の地域で、若い女性の識字率は若い男性を下回っ
ています。ミレニアム開発目標(MDGs)は、
2005 年までに初等・中等教育におけるジェンダー
格差を解消し、かつ、2015 年までにすべての教育
レベルにおいてジェンダー格差を解消することを
目標にしています。1990 年代にはジェンダー格差
います。アフリカ地域の一部では、子供の死亡率
は増加しました。20 世紀末の時点では、5 歳未満
の子供の死亡率を 2015 年までに 1990 年レベルの 3
分の 1 に減らすという目標に向けて大きな前進を
示すことができたのは、37 の途上国にとどまりま
した。世界保健機関(WHO)の推定では、子供の
死亡数の 3 分の 2 を超える死亡事例は、高所得国
では即座に予防することができる、栄養失調と疾
病の組み合わせによるものとされています。子供
の死亡率を減らすには予防接種が必須ですが、一
部の国々では予防接種実施率が低下しています。
1999 年には、55 ヶ国において、1 歳未満の子供を対
象としたはしか予防接種率が 80%を超えました。
48 ヶ国についてはデータが報告されていません。
目標2:初等教育の完全普及
図 3.3 初等教育終了率
(小学校を卒業した子供が全体に占める割合)
100
90
86
90
93
1990
1999
87 86
80
75
78
63
60
49
44 45
40
20
0
大東
洋ア
州ジ
地ア
域・
中ヨ
央ー
アロ
ジッ
アパ
地・
域
カラ
リテ
ブン
海ア
地メ
域リ
カ
・
北中
ア東
フ・
リ
カ
地
域
南
ア
ジ
ア
地
域
ア
フ
リ
カ
地
域
出典:人的開発ネットワーク教育チーム、2002 年、 「2015 年までに『すべて
の人々に教育を』に関する目標を実現することについて:47 の低所得国に関
するシミュレーションの結果」、世銀、ワシントンDC。
目標3:ジェンダーの平等と女性の
エンパワーメントの達成
図 3.4 低・中所得国における初等・中等教育での
男子児童に対する女子児童の割合(%)
100
95
は縮小しましたが、アフリカ地域と南アジア地域
の多くの国は、前記の 2005 年目標は達成できない
と思われます。
実際の推移
100
目標達成のために必要な推移
90
85
86
80 78
目標4:子供の死亡率の削減
目標は、1990 年から 2015 年までの間に、5 歳未満
の子供の死亡率を 3 分の 2 減らすことです。子供
の死亡数は、1980 年の 1,500 万人から 1990 年の約
1,100 万人に急減しました。しかしながら、1990
年代にはほぼ全部の地域でこの減少率は低下して
75
1990
1998
2005
注:1997 年から 1998 年にかけて「線」が欠落しているのは、ISCED76 から
ISCED97に変更があったことによる。
出典:世銀、2002年、
「世界開発指標2002」
、ワシントンDC。
第3章
開発の有効性
47
目標 6 :HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓延
防止
ミレニアム開発目標(MDGs)は、HIV/エイズ
(ヒト免疫不全ウィルス/後天性免疫不全症候群)、
マラリア及びその他の主要な病気の蔓延を阻止
し、しかも 2015 年までに感染率を減少に転じさせ
るという決意を示しました。HIV/エイズは、特に
アフリカ地域に壊滅的な影響を与えています。
2015 年までにこの病気の感染率を減少させられな
いまでも、安定化させるためには、今後数年以内
に予防方法に関して画期的な新発見がなければな
りません。これまでに、約 4,000 万人が HIV/エイ
ズに感染し、2,000 万人余りが死亡しています。マ
ラリアは 100 を超える国々で広まっており、毎年
目標4:子供の死亡率の削減
図 3.5 低・中所得国における 5 歳未満の
子供の死亡率
(1,000 人当たり)
100 88
84
実際の推移
目標達成のために
必要な推移
80
60
40
29
20
0
1990
1999
2008
2015
出典:世銀、2002年、
「世界開発指標2002」
、ワシントンDC。
目標5:妊産婦の健康の改善
目標は、1990 年から 2015 年にかけて、妊産婦
の死亡率を 4 分の 3 減らすことです。多くの場合、
妊産婦の死亡率に関するデータは入手不可能であ
るか、または、信頼性に欠けています。1995 年に
は、WHO は、50 万人を超える女性が妊娠・出産
に伴う合併症で死亡したものと推定しています。
これらの死亡事例の半数は、アフリカ地域で発生
したものです。たとえばルワンダでは、妊産婦の
死亡率は、出産 10 万件当たり 2,300 人となってい
ます。高所得国では、妊産婦の死亡率は一般的に
は出産 10 万件当たり 10 人未満です。短い間隔で
妊娠する回数の削減、妊娠中の栄養補給と介護、
熟練出産介護者の確保、及び緊急用施設の整備を
はじめ、多くの施策が必要です。
目標5:妊産婦の健康の改善
図 3.6
技術を有する医療スタッフが立ち会った出産
(全体に占める割合)
90
81
74
63
60
49
49
44
44
30
39
1999
1989
アジア地域
ラテンアメリカ・カリブ海地域
アフリカ地域
中東・北アフリカ地域
注:国連の地域区分。
出典:WHO、国連児童基金及び国連人口基金による推定。
48
世界銀行年次報告書 2002
目標6:HIV/エイズ、マラリアなどの
疾病の蔓延防止
環境資源の損失を食い止めること、安全な飲料水
を利用できない人々の割合を半減させること、そ
して 1 億人以上のスラム居住者の生活水準を大幅
に改善することを要求しています。持続可能な環
境作りを実現するための政策が重要なのは、環境
が人類の発展にとって必要な財と資源を提供して
いるからです。天然資源の管理を改善すれば、貧
しい人々の所得を増やし、福利水準を高めること
ができます。天然資源管理の改善により、暴風雨
や洪水による自然災害のリスクを緩和することも
可能になります。下痢を抑制するためには、安全
な飲料水を確保することが重要です。排水を改善
すれば、マラリアは減少させることができます。
下痢とマラリアは子供の死亡の主要な原因です。
2002 年 8 月に開催予定の「持続可能な開発に関す
る世界サミット(WSSD)」では、MDGs を基盤と
し、政府、民間セクター及びシビルソサエティに対
し、期限を設定した取り組みを求める実施フレー
図 3.7 15 歳から 24 歳までの若者の間での
HIV/エイズ感染率、1999 年(%)
10
8
9.2
男性
女性
6
4.54
4
2
0
0.19 0.16
東アジア・
大洋州地域
0.39
0.67 0.3
0.290.48
ヨーロッパ・ ラテンアメリカ・ 南アジア地域
中央アジア地域 カリブ海地域
アフリカ地域
注:中東・北アフリカ地域の男性と女性、及びヨーロッパ・中央アジア地域
の女性についてはデータが存在しない。
出典:世銀、2002年、
「世界開発指標2002」
、ワシントンDC。
目標7:持続可能な環境の実現
約 3 億人が感染しています。結核は、単一の病原
菌によるものとしては、途上国の成人の最も多い
死亡原因のひとつとなっています。いくつかの地
域では、過去 10 年間で結核の感染率が急速に上昇
しました。現在の状況からすると、2005 年には新
たに約 1,000 万人の結核患者が発生すると思われ
ます。DOTS 方式(短期コースによる直接観察治
療)は、効果があることが判明しています。しか
し 1999 年においては、DOTS 方式により治療を受
けられたのは、最も患者の多い 23 ヶ国の半数未満
でした。
目標7:持続可能な環境作り
ミレニアム開発目標(MDGs)は世界に対し、
図 3.8 低・中所得国における安全な水資源の
利用率
(利用できる人々の割合)
100
実際の推移
目標達成に必要な推移
90
86
80
73
70
1990
79
1999
2008
2015
出典:世銀、2002年、
「世界開発指標2002」
、ワシントンDC。
第3章
開発の有効性
49
及び開発援助の増額を実現することが求められて
います。明らかなのは、現行の取り組みでは、
2015 年までにミレニアム開発目標(MDGs)を達成
できる可能性は非常に少ないということです。世
銀は、先進国に対し、援助の増額、時刻の農産物
への補助金の削減による市場の開放を要請しまし
た。同時に、世銀は途上国における弱い政策、制
度及びガバナンスの是正のための支援を行うこと
を約束しました。モンテレー合意の主要事項は、
次のとおりです。途上国は、独自の開発プログラ
ムに責任を持つと共に、MDGs の達成に必要な政
策を実施する責任を負う。また、二国間・多国間
援助機関は、協力して途上国を支援すると共に、
貧困削減と経済成長を促進するグローバルな環境
を創造する。
目標8:グローバルな開発パートナー
シップの構築
図 3.9
低・中所得国に対する援助
(10 億ドル)
40
30
20
低所得国
10
0
中所得国
1990
1995
2000
注:1999年のドル。ODAと公的援助を含む。特定の国に配分されたもの
ではない金額は、低・中所得国のそれぞれの合計額に応じて比例配分した。
出典:世銀、2002年、
「世界開発指標2002」
、ワシントンDC。
ムワークの議決が期待されています。モンテレー
の国連開発資金国際会議の成果を踏まえて、
WSSD は、MDGs に関連する主要分野、
特に農業開
発、持続可能なエネルギー、保健と環境、及び天然
資源の持続性を維持するための管理への取り組み
に重点を置くことになります。「世界開発報告
2003 :変化し続ける世界における持続可能な開
発」では、これらの問題を取り上げています。
目標 8 :グローバルな開発パートナーシップの構築
この目標は、前記の 7 つの開発目標を達成する
ための手段に関するものです。この目標に関して
は、先進国は、途上国と協力して、公正で開放さ
れた貿易・金融制度の構築、特に貧しい途上国の
市場参入機会の拡大、債務の持続可能性の改善、
50
世界銀行年次報告書 2002
開発の有効性の評価
世銀の影響力
世銀による援助の有効性を評価する場合、分
析・助言サービスと融資を通じて変革をもたらす
媒介機関として機能することが世銀の最も重要な
役割の 1 つであるとの認識が重要になります。総
じて課題の規模が大きいために、多くの国の場
合、世銀から提供される資源及び一般的に ODA と
して提供される資源を含めても、大きな成果を上
げるには金額的に不十分です。2000 年には、ODA
総額は約 540 億ドルに上りました。この ODA 総額
は、途上国に流入する外国民間セクターによる直
接投資の 3 分の 1 に過ぎず、その民間海外直接投資
も、途上国の総投資額(約 1 兆 5,000 億ドル)の 10
分の 1 程度に過ぎません。世銀は、教育セクター
に対する直接の援助として年間約 10 億ドルを融資
しています(これに加えて、教育関連の条件に応
じてプログラム融資も行っています)。これに対
し途上国の年間の学校教育支出額は 2,500 億ドル
を超えています。したがって国際開発金融機関と
ドナーは、その支援が単なる資金の移転にとどま
らず、たとえば制度の整備や、広く応用できる試
験プロジェクトを通じて対象国による根本的変革
を支援することにより、開発に大きな影響を与え
ることができるのです。
このような根本的で広範囲にわたる変化を特定
のドナーの活動または特定のプロジェクトごとに
分析することは、在来型プロジェクトの場合に比
べて、はるかに困難です。特に、政府が改革の担
い手になっている場合には尚更です。しかし一段
と優れた成果を実現するためには、成果を正しく
評価・管理することが必須です。世銀は最近、援
助の結果を重視する姿勢を強めるためのイニシア
ティブを実行しました。世銀は、他の国際開発機
関(アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州復
興開発銀行及び米州開発銀行)、並びに経済協力
開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)と協
力して、2002 年 6 月 5 ∼ 6 日、「開発効果の測定、
モニタリング及び管理の改善」に関する国際ラウ
ンドテーブルを共同開催しました。同ラウンドテ
ーブルでは、結果重視型開発の戦略的意義、開発
成果の日常的管理に関する問題点、及び機関の責
任の独立的評価と研修の役割に関する検討が行わ
れました。同ラウンドテーブルは、世銀とパート
ナー機関がフォローアップを行うための土台を確
立しました。
世銀は、学界、研究機関、民間セクター及び
NGO の専門家など、様々なパートナーの参加を得
て、知識の蓄積を行っています。(「パートナーシ
ップの促進:援助協調と世銀」(2001 年 4 月)を
参照)。世銀はワークショップや外部機関による
レビュー会合の開催を通じ、パートナー機関と世
銀職員の知識と経験を十分に活用し、世銀の戦
略・業務プログラムの策定を進めています。
世銀は、世銀の業務関連文書及び報告書の公
開・配布を通じて、開発機関の知的資源の蓄積に
大きく貢献しています。主要な国際開発機関の評
価部門責任者で構成された「評価協力グループ」
は、最近開催された会合で、世銀は総じて評価に
関するベスト・プラクティスの手本となっている
との結論を出しました。
分析・助言サービスは、世銀の中核業務の一部
です。これは、業務部門の優れた分析能力によっ
て可能となります。たとえば、各国を担当するエ
コノミストと専門職員は、世銀のテーマ別ネット
ワークの専門家と同様、分析業務で重要な役割を
果たしています。調査研究は広範囲にわたってお
り、「世界開発報告」や「世界開発指標」などの
報告書が出版されています。また、世銀は開発の
有効性の評価とリスク管理を専門に担当する特別
部局を設置しています。
■
世銀は、世銀理事会に直接報告を行う独立し
た業務評価局(OED)を設置しています。OED
は主に、セクター別・テーマ別のレビュー、国
別援助評価(CAE)
、プロジェクト・レビュー
及びプロセス・レビューの 4 種類の評価を実
施します。毎年、これらの評価に基づいて、
「開発効果に関する年次レビュー(ARDE)」
と題した概要報告を作成しています。OED
は、「業務評価に関する年次報告」を作成し
て、世銀理事会に世銀グループが実施してい
るすべての評価活動の状況を報告すると共
に、評価に関する主な提言に対する幹部の対
応状況を追跡します。さらに、OED は、借入
国の評価能力の強化を支援しています。
■ 質保証グループ(Quality Assurance Group)
(QAG ―プロジェクトなどの「質」を事前・
実施中にモニタリングする世銀内の部局)は、
進行中のプロジェクトの質を改善するため
に、プロジェクト実施中に世銀の業務をモニ
タリングします。QAG は、プロジェクトに対
する融資(プロジェクトが理事会から承認さ
れた直後)と助言サービス(借入国に助言サ
ービスが行われた後)の両方の質をモニタリ
ングします。さらに、QAG は、プロジェクト
の監督の質をモニタリングし、「ポートフォ
リオの成果に関する年次報告」を作成して、
実施中のプロジェクトのポートフォリオが健
全であるかどうかについて理事会に報告しま
す。QAG によるモニタリングは、業務担当
副総裁が設置した質保証チームによるモニタ
リングとは別に行われるものです。2002 年に
は、
QAG は、
次の 2 つの実験的評価作業を行っ
ています。1 つは、借入国における助言サー
ビス及び研修に関するすべてのプログラムの
妥当性と一貫性を評価する作業です。もう1
つは、世銀のセクター委員会(Sector Boards)
による作業の有効性を評価するための実験的
作業です。これらの実験的作業の成果に基づ
いて、2003 年度から本格的に実施するかどう
かが決定されます。
■ 内部監査局は、世銀幹部が健全なリスク管理
と内部統制を確立・維持するのを支援してい
ます。このため、内部監査局は、世銀幹部に
対し、世銀のリスク管理・内部監査の妥当
性、有効性及び改善の必要性に関して客観的
な保証を提供するために総合的監査を実施す
ると共に、内部統制システムの策定、実施及
び運営に関して問題がある場合には、リスク
の特定、統制及び管理についてアドバイスを
提供します。内部監査局は、年間の業務上の
リスク分析を行い、詳細な年間業務計画を作
成します。この年間業務計画は、リスクの高
い分野を対象とした 3 ヶ年計画の一部となり
ます。同計画は、毎年改訂され、世銀総裁に
より承認された後、監査委員会により追認さ
れます。内部監査局は、「内部監査人協会の
専門的内部監査実施基準」に従ってその任務
を遂行しています。
■ 2001 年度、世銀は、環境・社会・持続可能な
開発(ESSD)担当副総裁室に質保証・コン
第3章
開発の有効性
51
プライアンス課を設置しました。同課の設置
が必要とされる弱点が指摘されました。戦略・資
の目的は、先住民に関する政策や非自発的再
源管理担当副総裁室は毎年、世銀の目標や優先事
定住に関する政策などのセーフガード・ポリ
項及び業務の履行に関する進捗状況をまとめ、戦
シーを一貫性のある方法で実施すること、及
略の見直しを行っています。
びプロジェクトにおけるセーフガードの問題
に関するアドバイスを提供することにありま
独立評価
す。各地域には、独自の予算を持った保護調
プロジェクトレベルでは、業務評価局(OED)が
整責任者が指名されています。2002 年にはセ
プロジェクト実施完了報告書(ICR)を個別に検討
ーフガード・ポリシーの改定作業が進められ
します。さらに、OED は、終了したプロジェクト
ています。
の総数の 4 分の 1 を対象として、毎年現地査察を
■ 2000 年 11 月、「不正・汚職防止政策に関する
行う他、5 ∼ 10 年前に終了したプロジェクトを対
委員会」が設置されました。同委員会の目的
象として、影響評価を実施します。この現地査察
は、世銀グループが、貧困削減目標の達成に
と影響評価により、プロジェクトに関する情報と
効果的に寄与できるような汚職防止政策と戦
成果の明細が判明し、これらの情報が国別評価、
略の策定を支援することでした。世銀の汚
セクター別・テーマ別評価の基礎となります。
職・不正調査室は、今では「組織統制局」 OED は、理事会に対し、終了したプロジェクトの
(INT)と名付けられています。INT は世銀グ
成果を評価し、かつ、開発に関する世銀の課題を
ループ内部で発生した、あるいは融資契約に
まとめた「開発効果に関する年次レビュー
関連した不正や汚職に関する疑惑、及び世銀 (ARDE)」を提出します。2001 年度の ARDE の
職員の非倫理的行動に関する疑惑を調査しま
テーマは、「借入国の状況と開発目標に合った適
す。倫理担当課は、世銀総裁に直接報告を行
切な開発手法を選択することの重要性」でした。
う他、倫理問題に関する広報活動を行う責任
OED が実施する国別援助評価(CAE)では、そ
があります。
れぞれの借入国に対する世銀の全援助プログラム
の開発有効性に重点が置かれます。国別援助戦略
自己評価
(CAS)による融資・助言サービスは、国別援助評
世銀は自己評価を行い、これを業務評価局
価に基づいて評価することができます。2002 年度
(OED)の独立評価が追認します。タスクマネージ
においては、9 ヶ国に対する評価が実施されまし
ャーは、業務ごとにプロジェクト実施完了報告書
た。その主な結論は、世銀の融資等が借入国に与
(ICR)を作成する必要があります。これらの報告
える全体的影響は個々のプロジェクトの成果を単
書は、世銀による自己評価や学習のための手段と
純に合計したものより大きい場合が多いというこ
なるものです。さらに、世銀は、国別ポートフォ
とでした。
リオ成果レビューを実施しています。地域局のマ
OED によるセクター別・テーマ別の評価では、
ネジメントチームは、このレビューをもとに、借
政策及びプロジェクトの選択・構築・実施に関す
入国との間で当該国における世銀の全ポートフォ
る借入国と世銀による対話の有効性をはじめ、世
リオの成果に関する協議を行います。この協議で
銀の業務全体に及ぶ問題が取り上げられます。こ
は、個々の援助の成果に影響を与える責任に関す
れらの評価では、多くの場合、様々な借入国の実
る問題、及び全体的問題が取り上げられます。世
績が比較されます。
銀の全ポートフォリオの成果は、「ポートフォリ
OED は、過去 5 ∼ 10 年間における経済セクター
オの成果に関する年次報告」の中で評価が行われ
またはテーマ別分野での世銀の成果と経験を検討
ています。
する特別調査を行うと共に、開発の有効性と世銀
世銀は近年、その業務に関して自己評価を行う
の政策の遵守状況に関して報告を行います。セク
割合を大幅に増やしました。業務政策・対国別サ
ター別・テーマ別の評価の効果を高めるために、
ービス担当副総裁室は、他のネットワークの副総
これらの調査は、可能な限り、セクター別戦略文
裁室と協力して、定期的に借入国に対する融資業
書(SSP)の改定前に行われます。2001 年から 2002
務などを評価する他、各地域局が改善のための提
年にかけて OED が実施したセクター別・テーマ
案を実施するのを支援しています。戦略・資源管
別評価は、次のとおりです。「世銀援助における
理(SRM)担当副総裁室は、資源利用の有効性を
ジェンダーの取り扱い:結果の評価」、「開発にお
評価します。2001 年度に完成した「ストラテジッ
ける持続可能な環境の推進:世銀のパフォーマン
ク・コンパクト(機構改革)評価」では、この機
スの評価」
、及び「社会基金:世銀の経験の検討」
。
構改革の成果が評価されると共に、引き続き努力
2002 年度に公表された「世銀援助のジェンダー
52
世界銀行年次報告書 2002
的側面:結果の評価」と題されたテーマ別評価で
基金は、非政府系の資金を調達し、特に貧しい地
は、12 ヶ国に対する世銀援助が検討されました。 域社会を対象とした小規模プロジェクトを実施し
主な結論は、世銀援助は保健・教育セクターでは
ました(但し、プロジェクトの成果に関しては大
満足できるものであったが、経済活動への女性の
きなバラツキがあります)
。しかし、これらのプロ
参加の促進や、ジェンダーの平等を確保するため
ジェクトは、継続的な改善の実現、あるいは制度
の国の制度的フレームワークの改善は不十分であ
の整備促進の面では成果を上げていないというこ
ったというものです。この評価においては、特に
とが指摘されました。この評価では、社会基金を
ジェンダーの格差が大きい国々で男女が平等に恩
貧困削減戦略の中に適切に組み込むこと、長期的
恵を享受できるようにするために、世銀による
な効果に一層の注意を払うこと、及び社会基金を
CAS の作成段階や世銀が援助するプロジェクトの
支援する際の基準を明確化することが提言されて
設計段階においてジェンダー問題に一層配慮すべ
います。この評価の結論は、将来のプロジェクト
きであるとの指摘が行われました。このような教
設計時、及び 2004 年度の社会開発セクター戦略文
訓は、「世銀援助へのジェンダーの組み込み:行
書の作成時にも活かされることになります。
動のための戦略」と題された SSP に盛り込まれま
OED は、世界のプログラムと政策に関する評価
した。この戦略文書は、様々な施策の他に、すべ
を行っています。この評価では、多くの借入国に
ての借入国を対象として国別ジェンダー評価を
影響を与える重要な開発上の問題(環境の劣化、
徐々に実施し、その結果を CAS とプロジェクト活
伝染病の拡散、デジタル・ディバイド(情報格
動の中に組み込んでいくことを提言しています。
差)など)が取り上げられます。この目的に関連
「開発における持続可能な環境の推進:世銀の
して、OED と世銀パートナーは、2000 年 7 月に世
パフォーマンスの評価」と題された評価では、世
界の公共政策とプログラムの評価に関する国際会
銀が環境保護に貴重な貢献を行っているとの結論
議を開催しました。この会議で開始された、世界
が示されました。世銀は、グローバルな問題への
の公共政策に関する画期的評価作業は現在も継続
取り組みにおいて主導的役割を果たし、多くの借
されています。
入国が環境に関する制度・プログラムを策定する
のを支援し、その開発援助によって発生する悪影
業務の質
響を緩和し、質の高い政策分析と経済・セクター
調査(ESW)を実施し、かつ、環境と開発の関連性
2002 年度においては、世銀の質保証グループ
に対する認識を高めました。しかしこの評価で (QAG)による第 4 回の「業務の質に関する当初評
は、世銀の主要目標の中にも、また国別・セクタ
価」では、業務の 94%が満足できるまたはこれ以
ー別戦略の中にも、「持続可能な環境」の問題が
上のレベルにあると評価されました。この割合は、
十分に強調されていないことが指摘されました。 第 1 回の年次評価に比べると 12%ポイント上昇し
つまり、マクロ経済政策、貧困削減及び「持続可
ています。8 分野のうちの 6 分野では、業務の質が
能な環境」の間の関連性が十分に明確化されてい
前年度比で改善しました。2 つの分野―リスク
評価・管理と実施手続― に限っては、業務の
ないというものでした。OED がそのセクター別レ
85%が満足できるというレベルには達しませんで
ビューの中で行った提言を踏まえて、「持続可能
した。また、業務の手続きの面での多少の不統一
な取り組み」と題された世銀グループの新たな環
性、財務管理などの受託者責任(fiduciary rules)
境 SSP の中では、CAS の中に環境対策を組み込む
の適用に際しての若干の硬直性、及び世銀のセー
方法が具体的に示されています。
フガード・ポリシーに基づく見直しが必要になる
2 つ目のテーマ別評価は、
「社会基金:世銀の経
可能性のあるプロジェクト活動が回避される傾向
験の検討」と題するものでした。社会基金プロジ
などが指摘されました。しかし、全般的には、世
ェクトでは、現地のグループが提案した小規模プ
銀の業務の質はかなり改善しました。
ロジェクトに融資を行う独立した実施機関を設置
さらに、
QAG は、
問題があると判断された借入国
します。ほとんどの社会基金は、危機に直面した
のコミットメント事項と、問題があると判断され
地域社会に一時的な融資を行うために設立される
た借入国のプロジェクトはポートフォリオ全体の
ものです。しかし、世銀の社会基金の殆どは当初
約 12%― 5 年前の半分以下―に低下したとの
の目的を達成した後も引き続き運営され、世銀か
報告を行いました。しかし、「プロジェクトの成
らの融資や、他のドナーからのグラントを資金と
果に関する年次レビュー」では、現行のリスク評
して、より長期的な目標を追求しています。この
価システムは実際のリスク水準を過小評価してい
評価では、社会基金は緊急事態に効果的に対処す
る可能性があること、及び、一段と公正なプロジェ
ることができたとの結論が出されています。社会
第3章
開発の有効性
53
クト監督報告とリスク評価を実施する必要がある
との指摘が行われました。QAG は、2002 年 4 月、
「問題のあるプロジェクトに対する監督の質」と題
した報告を作成しました。この報告は、問題があ
ると判断されていたプロジェクトの約 4 分の 1 に
ポー
ついて監督が不十分であった―この割合は、
トフォリオ全体の場合より非常に高い―こと、
及び、問題があると判断されたプロジェクトに対
する評価は必ずしも実態を示していなかったこと
を指摘しています。世銀幹部は、問題があると判
断されたプロジェクトの監督を改善すべきである
とする QAG の提言を採用しました。QAG は、プ
ロジェクトの評価方法を改善するために、世銀の
図 3.10 地域別の実施中プロジェクト、
2002 年 6 月 30 日現在
総額 1,021 億ドルに占める割合
アフリカ地域 15%
南アジア地域 17%
中東・
北アフリカ地域5%
各地域担当部局と協力して、現行のポートフォリ
オ指標の改善を進めています。
(図 3.10、3.11 及び
3.12 は、世銀の現在のポートフォリオを地域別、
テーマ別及びセクター別に示したものです)。
「2001 年度経済・セクター調査の質」に関する
第 4 回の年次報告では、同調査の 91%は満足でき
るかまたはそれ以上のレベルにあること、及び、
このような優れた成果は継続的な業務改善のみな
らず、世銀が借入国と協力して調査の質を着実に
改善してきたことによるとの評価が行われました。
しかし、すべての分野が優れていたわけではあり
ません。たとえば、戦略の妥当性に関しては、全
体の 97%が満足できるレベルでしたが、効果に関
しては、満足できるレベルは全体の 76%にとどま
りました。世銀の手続きに関しては、満足できる
レベルは全体の 66%に過ぎず、相互評価(ピア・
レビュー)の手続きは改善が必要とされています。
経済・セクター調査における貧困削減問題への取
り組みは改善し、82%が満足できるレベルとなり
ました。経済・セクター調査の質を 4 年間にわた
って評価したことを踏まえて、QAG は、最近、評
価の方法、費用及び効果を検討しました。この結
果、国別・テーマ別に分析・助言サービスプログ
ラムの評価を 2004 年度に実施することが提案され
ました。
東アジア・
大洋州地域
25%
ラテンアメリカ・
カリブ海地域 22%
ヨーロッパ・
中央アジア地域 16%
図 3.11 テーマ別の実施中プロジェクト、
2002 年 6 月 30 日現在
総額 1,021 億ドルに占める割合
経済政策管理 1%
環境・
天然資源管理 15%
図 3.12 セクター別の実施中プロジェクト、
2002 年 6 月 30 日現在
総額 1,021 億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 10%
法律・司法・行政
15%
法規 2%
金融・
民間セクター開発
19%
農村開発
14%
農業・漁業・林業 9%
公共セクター運営 8%
運輸
20%
情報・通信 1%
教育 9%
貿易・統合
3%
都市開発
13%
社会的保護・リスク管理 6%
人的開発
11%
54
世界銀行年次報告書 2002
社会開発・ジェンダー・参加 8%
エネルギー・
鉱業 12%
産業・貿易 5%
金融 6%
保健・その他社会サービス
13%
図 3.13 プロジェクト成果の傾向、1974 ∼ 2001 年
(満足できる成果を上げたプロジェクトの割合)
図 3.14 制度開発の効果の傾向
(かなり高いか、それ以上のレベルの割合)
100
70
80
60
60
50
40
40
30
20
0
74
80
注:融資案件のみ。
86
92
98
01
(年度)
20
プロジェクト・ベース
10
融資実行額ベース
0
90
95
00
01
(年度)
出典:OEDによる計算。
注:データは、融資実行段階を終了し、世銀の融資実行中ポートフォリオではなく
なったプロジェクトを対象としてOEDが実施した独立評価に関するものである。
現在利用できるすべての独立評価に基づく2001年度の成果は、「開発効果に関す
る年次報告2001」に明記されている。
成果
2001 年度に終了した世銀プロジェクトの成果
は、過去 20 年間で最高の水準に達しています。長
期的な傾向を見ると、プロジェクトの成果は 1977
年から 1989 年にかけて低下した後、大幅に上昇し
ています。1995 年に世銀のストラテジック・コン
パクト(機構改革)の中で設定された「プロジェ
クトの 75%が満足できる成果を上げる」という目
標は達成されました。2001 年度上半期において
は、完成が近づいているプロジェクトの 82%が満
足できる成果を上げましたが、この割合は過去最
高であった 1999 年度の 84%を若干下回りました。
図 3.13 は、1974 年度から 2001 年度にかけて満足
できる成果を上げたプロジェクトの割合を示した
ものです。
業務評価局(OED)が実施した「2001 年度
ARDE」では、「特定の状況の下で活動を適切な
順番で組み合わせられるかどうかが、成功と失敗
を分ける」ということがテーマになりました。手
法の選択が難しいのは、借入国とその目標が多様
であることと、世銀の手法とパートナーが多様で
あることによるものです。賢明な選択を行うこと
が鍵になります。
制度開発の効果については、2001 年度に終了し
たプロジェクトの 52%は、
「かなり高いかまたはそ
れ以上のレベル」を達成しました。このレベルは、
1996 ∼ 1999 年度の平均値を 15%ポイント上回る
ものです。この数値は、プロジェクトの数で加重
平均した場合でも、貸付実行額で加重平均した場
合でも過去最高となるものです。図 3.14 は、制度
開発の効果の傾向を示したものです。
2001 年度に終了したプロジェクトの 71%は、最
近導入された 4 段階評価法によって、
「将来のリス
図 3.15 持続可能性に関する傾向
(持続可能性が見られる、または高い
プロジェクトの割合)
80
70
60
50
40
30
20
プロジェクト:3段階評価法
10
プロジェクト:4段階評価法
0
90
95
00
01
(年度)
注:データは、融資実行段階を終了し、世銀の融資実行中ポートフォリオではな
くなったプロジェクトを対象として OED が実施した独立評価に関するものであ
る。現在利用できるすべての独立評価に基づく 2001 年度の成果は、
「開発効果に
関する年次報告2001」に明記されている。
クを乗り切れる可能性があるか、または、その可
能性が高い」と評価されました。しかし、実施環
境のリスクが高くなっていますので、高い評価が
継続するかどうかには多少の疑問があります。図
3.15 は、プロジェクトの持続可能性の傾向を示し
たものです。
プロジェクトと融資の成果
プロジェクトの成果、地域別
すべての地域において、プロジェクトの成果は
引き続き改善しています。アフリカ地域のプロジ
ェクトは 2001 年度には 71%となり、最大の改善を
示しました(1999 年度以降で 19%ポイントの改
第3章
開発の有効性
55
図 3.18 構造調整融資全体
(満足できる成果を上げたプロジェクトの割合)
図 3.16 アフリカ地域とその他地域における
プロジェクトの成果の傾向
(満足できるプロジェクトの割合)
100
100
90
90
80
80
70
70
60
60
50
50
40
40
30
30
20
アフリカ地域
10
0
20
その他地域
プロジェクト・ベース
96
97
98
99
00
10
01
(年度)
注:データは、融資実行段階を終了し、世銀の融資実行中ポートフォリオ
ではなくなったプロジェクトを対象として OED が実施した独立評価に関
するものである。現在利用できるすべての独立評価に基づく 2001 年度の
成果は、
「開発効果に関する年次報告2001」に明記されている。
0
融資実行額ベース
96
97
98
99
00
01
(年度)
注:データは、融資実行段階を終了し、世銀の融資実行中ポートフォリオではな
くなったプロジェクトを対象として OEDが実施した独立評価に関するものであ
る。現在利用できるすべての独立評価に基づく 2001年度の成果は、
「開発効果に
関する年次報告2001」に明記されている。
図 3.17 セクター別のプロジェクト成果の傾向
(一部のセクター)
(満足できるプロジェクトの割合)
100
96–99(年度)
00–01(年度)
実施中
90
80
の評価が通常より大きなリスクが存在することを
示しているからです。図 3.16 は、アフリカとその
他の地域のプロジェクトの成果の傾向を示したも
のです。
70
60
50
40
30
20
10
0
輸
送
教
育
公
共
セ
ク
タ
ー
運
営
保
健
・
栄
養
・
人
口
農
業
エ
ネ
ル
ギ
ー
世
銀
平
均
注:この表に示したセクターは、2002 年度から実施されている新コード・シス
テムは使用していない。データは、融資実行段階を終了し、世銀の融資実行中ポ
ートフォリオではなくなったプロジェクトを対象として OED が実施した独立評
価に関するものである。現在利用できるすべての独立評価に基づく 2001 年度の
成果は、
「開発効果に関する年次報告2001」に明記されている。
善)。しかし、マイナス面では、中東・北アフリ
カ地域のプロジェクトの成果に対する平均評価が
今後数年以内に悪化する可能性があります。その
理由は、現在実施中のプロジェクトに対する QAG
56
世界銀行年次報告書 2002
プロジェクトの成果、セクター別
2000 ∼ 2001 年度に終了するプロジェクトに関し
ては、輸送・教育・公共セクター運営・セクター
の成果に対する評価が最も高くなりましたが、エ
ネルギー・セクターの成果に対する評価は引き続
き低水準でした。輸送セクターのプロジェクトの
成果に対しては高い評価が行われましたが、これ
は、借入国が多くの資金を確保できたことと、維
持・管理に多くの予算が配分されたことなどによ
るものです。図 3.17 は、プロジェクトの成果をセ
クター別に示したものです。
構造調整融資と投資融資の成果
満足できる成果を上げた構造調整融資の割合
は、プロジェクトの数で加重平均した場合には、
1996 ∼ 99 年度終了分の 82%から、2000 ∼ 01 年度
終了分の 79%に低下しました。また、融資実行額
で加重平均した場合には、同様に 87%から 70%に
低下しました。融資実行額で加重平均した成果に
は、大きな変動が見られました。融資実行額で加
重平均された成果データは、ある年度に終了する
単一の超大型融資に大きく影響されるということ
図 3.19 投資融資全体
(満足できる成果を上げた投資融資の割合)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
プロジェクト・ベース
10
0
融資実行額ベース
96
97
98
99
00
01
(年度)
注:データは、融資実行段階を終了し、世銀の融資実行中ポートフォリオではな
くなったプロジェクトを対象として OED が実施した独立評価に関するものであ
る。現在利用できるすべての独立評価に基づく 2001 年度の成果は、
「開発効果に
関する年次報告2001」に明記されている。
に留意する必要があります。たとえば、融資額が
10 億ドルのプロジェクトの成果は、ある年度の世
銀プロジェクト全体の成果に対して、最大で 4%
ポイントの影響を与える可能性があります。2001
年度においては、ロシアに対する 2 件の構造調整
融資の成果が不満足なものであったために、世銀
の構造調整融資全体の成果が大幅に低下しまし
た。実施中のポートフォリオの中に大型の構造調
整融資が存在することを考慮すると、このような
変動は今後も継続する可能性があります。世銀内
部ではリスク管理が一段と重視されるようになり
ましたので、世銀幹部は、大型プロジェクトに対
しては追加的な質保証措置を講じることを検討し
ています。図 3.18 は、構造調整融資全体の成果を
示したものです。
1990 年代後半においては投資プロジェクトの成
果にはほぼ変動がありませんでしたが、近年では
大きな上昇を示しています。満足できる成果を上
げた投資プロジェクトの割合は、1999 年度の 69%
から 2001 年度には 78%に上昇しました。図 3.19
は、投資融資の成果を示したものです。
世銀による選定、及び借入国のコミットメントと
能力
過去の経験によると、借入国の能力とコミット
メントが開発の有効性にとって極めて重要である
ことが分かっています。したがって、どのような
種類の援助が最も適切なのかを世銀が判断する際
には、借入国の政策環境と能力を基準にして選定
を行うことが重要になります。世銀は、多額の融
資を必要とし、かつ実施できる国々と、多額の融
資が逆効果を発生させる国々とを区別していま
す。後者の国々に関しては、キャパシティ・ビル
ディング、助言サービス、及び対象を絞り込んだ
グラントが主要な援助活動となります。過去 10 年
間に進展が見られたとはいえ、あらゆるレベルの
世銀援助―個々の融資手法、国別援助プログラ
ム、及び世銀のグローバルな優先事項・セクター
別優先事項・テーマ別優先事項―において選定
を強めることによって成果をさらに改善できる余
地があります。「2001 年度 ARDE」のレビューで
は、プロジェクト別、セクター別及び国別の分析
に共通のものとして、次の 3 つのテーマが指摘され
ています。
■ 質の高い経済・セクター調査に裏打ちされた
正確な診断は、現実的な開発目標を設定する
ために極めて重要です。借入国とセクターの
特徴を考慮して、国別援助戦略(CAS)、セ
クター別戦略及び業務指針に基づいて目標に
見合う融資手法を決定する必要があります。
■ 融資手法を選択する場合、個々の援助活動の
目標のみならず、借入国とセクターに関する
過去の実績を考慮しなければなりません。手
法の順番を適切に決定し、補完的手法を活用
することで、成果を高めることができます。
■ 不適切な政策と制度環境は、融資とそれ以外
の援助の有効性を低下させます。したがって、
融資手法の選択を工夫する必要が生じます。
プロジェクトの成果は、個々の融資手法の成
功率同様、
「国別政策・制度評価(CPIA)
」の
格付けと大きな相関関係があります。借入国
の環境が好ましくない(つまり、CPIA の格付
けが低い)場合、設計が単純なプロジェクト
―あるいは単純な援助の組み合わせ―の
方が、複雑で多面的なプロジェクトより優れ
た成果をもたらします。環境が不適切なため
に融資が制限される場合でも、融資以外の援
助を注意深く選択すれば効果を上げることが
できます。これは世銀が将来において再び援
助を行おうとする場合には、特に必要なこと
です。
世銀の業務運営に関する指摘事項
貧困削減と経済成長を促進するための開発援助
第3章
開発の有効性
57
の効果を高めることを目的として、「2001 年度
ARDE」は、世銀が援助活動を適切に選択するこ
とによって改善を図ることができる分野を指摘し
ました。
「ARDE」は、それぞれの融資手法に関する世
銀のベスト・プラクティスを今までよりもさらに
広い範囲を対象として標準化すべきであると指摘
しています。現在行われている構造調整融資の実
施方法の改定に加えて、投資融資の実施方法が改
定された際には、この標準化を行うことが望まし
いと考えられます。
世銀は政策と制度環境が不適切なために融資以
外の援助が中心となっている借入国に関して、援
助の成果を高めることに再び力を注いでいます。
「2001 年度 ARDE」は、この難しい課題に関連した
評価を提示しています。まずはじめに、様々な融
資手法の成果が大きく異なることを認識すること
が重要です。また、借入国の能力が制限されてい
る場合には、単純なプロジェクトが最適です。頻
繁には融資を受けていないものの、債務の返済が
芳しくない借入国に対しては、融資外の援助や実
験的プロジェクトが有益であるかも知れません。
借入国においてセクター別戦略を実施する場合
には、当該借入国の開発目標を明確にすると共
に、現在の状況を正しく理解することが必要にな
ります。構造調整融資(及び必要に応じてキャパ
シティ・ビルディングに関する支援)は、セクタ
ー改革の実行に関する借入国の責任意識とコンセ
ンサスが強く形成されており、さらにモニタリン
グと評価の方法が確立されている場合には、かな
り効果的なものとなります。このような前提条件
が欠けているセクターの場合には、プログラムに
58
世界銀行年次報告書 2002
基づいた投資融資を行い、研修・革新融資で補完
し、的を絞ったキャパシティ・ビルディングを行
うことが望ましいと思われます。
一方、世銀の広範なテーマ別目標を追求する場
合には、特定の融資手法の活用に依存するより、
あらゆる手法の活用、セーフガード・ポリシーの
戦略的実施、及びパートナーシップに依存する割
合が高くなります。
「戦略フォーラム 2002」において、世銀グルー
プの幹部は 6 つの重要分野に関して検討を行いま
した。この結果に基づき、世銀は今後数年間、こ
の 6 つの分野に関する取り組みを行います。6 つの
重要分野とは、ミレニアム開発目標(MDGs)の
追求、借入国による好ましい投資環境の整備の支
援、危機的な状況下にある低所得国を支援する方
法の探究、融資の補完としての知識提供サービス
の改善、世銀の戦略に合わせた職員のスキルの高
度化、及び成果の計測方法の改善です。
MDGs の中に列記された難題の大きさは圧倒的
であり、また、今後 30 年間で途上国の人口が 20
億人増加すると推定されていることから、これら
の難題の規模はさらに大きくなるでしょう。新た
な国際的取り組みと開発の有効性に対する理解の
広がりを考慮すると、難題に対処するための取り
組みの規模も拡大できると思われます。モンテレ
ー合意として取りまとめられた対策の中には、途
上国自らによる改革、及び特に貿易と援助の分野
における国際社会による改革が含まれています。
世銀をはじめとするドナー機関が変革を推進す
る上で最も重要なのは、政策分析と資金援助の他
に、パートナーシップを一段と重視するというこ
とです。
第4章
開発に関わる経験から得られた教訓を共
テーマ別展望
有すること、かつ世界に関する世銀内外
の優れた知識と考え方を世銀の職員と借
貧困の社会的、制度的及び
経済的要因に対する取り組み
60
に、専門家による様々なネットワークが
人々への投資
63
構築されています。これらのネットワー
環境・社会・持続可能な開発の促進
67
民間セクター開発とインフラに対する支援
70
壁を超えて協力すること、さらに世銀の
健全な金融システムの構築
74
職員と外部のパートナーが協力すること
法制度の整備
77
入国が活用できるようにすることを目的
クにより、同一目標の実現のために働い
ている世銀の様々な部局の職員が組織の
が可能となりました。6地域に駐在して
いる世銀の国別専門家は、これらのネッ
トワークを活用して、世銀のセクター
別・テーマ別専門家と協力して活動を
行っています。
貧困の社会的、制度的及び経済的要因に対する
取り組み
2002年度においては、世銀は特に貧困削減のた
めの支援を途上国自身の優先事項に合わせて実施
し、貧困との闘いにあたって、より大きな効果を
発揮できるような援助を実施することによって、
貧困の社会的、制度的及び経済的要因に取り組む
途上国を援助する活動を強化しました。
戦 略
持続可能な経済成長が貧困削減にとって重要で
あることに変わりはありません。経済成長なしで
は、機会の拡大、エンパワーメント及び生活の安
定を求める貧しい人々の期待―「世界開発報告
2000/2001」で述べている貧困削減戦略の重要な
要素―の実現は困難です。経済成長は貧困との
闘いに欠かせない条件ですが、これだけでは十分
ではありません。したがって、貧困削減に向けた
世銀の取り組みは、借入国の経済成長を促進する
ための援助にとどまらず、貧困削減戦略の策定に
おける貧困国の主体性の強化、ジェンダー間の不
平等問題への取り組み、人々への投資とエンパワ
ーメントの促進、公正なガバナンスと制度改革の
ための重要な局面での支援、及び借入国がグロー
バルな貿易システムに効果的に統合できるように
するための支援を行っています。これらの分野に
おける 2002 年度の主な活動としては、(IMF との
共同で実施した)貧困削減戦略文書(PRSP)アプ
ローチの包括的な見直し、世銀の融資・非融資活
動にジェンダー問題を組み込むための戦略の策
定、及びエンパワーメント促進戦略のフレームワ
ークの策定などがあります。カタールのドーハに
おける WTO 閣僚会議で提示された問題点への取
り組みとして、世銀は途上国がグローバルな貿易
システムを通じて便益を受けられるようにするた
めの支援を強化しました。
貧困削減戦略文書(PRSP)と関連活動
PRSP アプローチは、2002 年度も活発に推進さ
れました。新たに 9 ヶ国が暫定的な PRSP を作成
し、7 ヶ国が初めて正式な PRSP を作成しました。
同年度には、主なイニシアティブとして、このア
プローチの最初の 2 年間の経験に基づいた包括的
なレビューが行われました(囲み4.1 を参照)
。
この他、2002 年度のP RSP に関する世銀の活動
には、次のようなものがありました。借入国に対
60
世界銀行年次報告書 2002
貧困は行動を求めています。それは、より多くの人々が、十分な食糧
と適切な住居を確保でき、教育や保健・医療サービスを受けることが
でき、暴力を受けることがなく、自分達の社会の出来事に発言するこ
とができるような世界に変革するための行動です。
する研修アジェンダ(アフリカ地域、中央ヨーロ
ッパ地域及び東アジア地域での大規模な地域研修
事業と国内でのワークショップなど)、及び職員
に対する研修アジェンダ(PRSP に関するレビュ
ーの結論を踏まえた、PRSP の作成や支持に関す
る新たな研修シリーズの初回の実施など)。PRSP
に携わる関係者に対して、PRSP の作成方法及び
マクロレベル、セクター別、分野横断的全般的な
問題に関する情報を提供する、2巻構成の「PRSP
ソースブック」の作成と出版。「貧困と社会的影
響の分析の手引き」の作成、貧困削減に関する指
標の作成と進捗状況のモニタリング、貧しい人々
に便益をもたらす経済成長の促進、及び業務の中
に貧困削減を組み込むための世銀職員用ガイドの
作成をはじめとする、中所得国と PRSP 対象国に
関連するテーマ別業務。
ジェンダー
2002 年度に世銀は「世銀による援助活動へのジ
ェンダーの組み込み―実施のための戦略」と題
され、ジェンダーを組み込んだ新たな戦略を策定
しました。この戦略は、経済成長、貧困削減及び
人々の福利に悪影響を与える様々なジェンダー間
格差の問題を解決するための、借入国主導によ
囲み 4.1
PRSP アプローチのレビュー
PRSP アプローチのレビューの対象となったのは、導入
後最初の 2 年間です。このレビューのために、PRSP 対象
国、多国間・二国間パートナー及び NGO との間で広範な
協議が行われた他、2002 年 1 月には国際会議が開催され
ました。このレビューでは、PRSP アプローチの様々な要
素について評価が行われました。その結果、大きな変更
は提案されませんでしたが、借入国、及び世銀・ IMF な
どの開発パートナーに対し、グッドプラクティスに関す
るいくつかの提案が行われました。これまでに実施され
た PRSP アプローチの効果に関しては、次のような結論が
出されました。
① PRSP の作成にあたり、借入国のオーナーシップは、
プロジェクトを成功させる上で極めて重要なもので
あった。
② このアプローチは多くの低所得国から強く支持され、
活発な国内対話を促し、かつ借入国の開発目標の中
心に貧困問題を据える上で役に立った。
③ PRSP は情報に基づいた意思決定を促進し、かつ公的
資金の有効な活用につながった。
④ 総じて開発パートナーはこのアプローチを支持し、
かつ借入国が作成する PRSP に合わせて、それぞれ
の支援を行った。
このレビューでは、PRSP アプローチの課題と改善を要
する分野が指摘され、特に次の事項が重要であるとの指
摘が行われました。
① 現実的な経済成長見通しを作成すること。
② 重要な戦略的イニシアティブに効果的に優先順位を
付け、その順番を決定すること。
③ 戦略の作成、実施及びモニタリングの際に参加型の
プロセスを導入すること。
④ PRSP の作成過程において各国の議会が適切な役割を
果たすこと。
⑤ PRSP と借入国の公共支出プログラム及び支出に関す
る中期的フレームワークを明確かつ密接に関連付け
ること。
る、借入国固有の活動を支援することを目指した
ものです。この戦略の実施に先立ち、重要な問題
点と優先事項を明らかにし、かつ借入国がこれら
の問題と優先事項に取り組めるようにするため
に、世銀はすべての借入国において、参加型の協
議と分析に基づいたジェンダー問題の評価作業を
実施する必要があります。
2002年度に世銀が援助したジェンダーに対する
取り組みとしては、アルゼンチンにおける「女性
と公正プロジェクト」、東ティモールにおける
「コミュニティエンパワーメントプロジェクト」、
及びガーナにおける「給水・衛生プロジェクト」
などがあります。世銀の「ディベロップメント・
マーケットプレイス」は、ペルーにおける手工芸
事業協会に対する支援、アフリカ地域における女
子に対する割礼の風習の廃止、及びエジプトの貧
しい女性と少女が身分証明書と出生証明書を取得
できるように支援することを通じて、これらの女
性が小口融資や基本的サービスを受けられるよう
にすることなどをはじめとする、革新的なジェン
ダー・プロジェクトを推進しました。
さらに世銀は「ジェンダーと HIV/エイズ」の
問題に対する取り組み、及び「ジェンダーとデジ
タル・ディバイド」などの緊急の問題に対する取
り組みなどの非融資活動を通じて、ジェンダー間
の平等を積極的に推進しています。ジェンダーと
マクロ経済政策に関する新たなイニシアティブ
は、ジェンダー問題を国別の分析と政策対話に組
み込むための効果的な方策を明らかにするための
ものです。
エンパワーメント
エンパワーメントは、世銀が貧困削減活動の中
でも重要視しています。2002 年度には、世銀の援
助活動におけるエンパワーメントの意義に対する
理解を世銀内部で促進するために、「エンパワー
メントと貧困削減:ソースブック」が作成されま
した。このソースブックは、エンパワーメントが
プロジェクトの成果や貧しい人々に便益をもたら
す経済成長とどのように関連しているのかについ
て示しています。このソースブックは、世銀の職
員、借入国の官僚、ドナーの代表者及びシビルソ
サエティとの間で行われた広範な協議に基づいて
作成されたものです。
制度的環境は場所と状況によって異なるため、
単一のエンパワーメントモデルというものはあり
得ません。前記のソースブックは、エンパワーメ
ント促進戦略の策定のための 1 つのフレームワー
クを提供するものです。このソースブックは戦略
として 4 つの重要な要素―情報、参加、責任及
び地域機関の能力―を重視することを提言して
います。これらの要素は、世銀の援助活動におけ
る 5 つの優先分野―基本的サービスの提供、借
入国のガバナンスの改善、地方自治体のガバナン
スの改善、貧しい人に便益をもたらすような市場
開発、及び司法・法的支援―と関連付けること
ができます。たとえば、「ペルー社会改革プログ
ラム融資」は、貧困削減のために配分されたすべ
第4章
テーマ別展望
61
囲み 4.2
ての公的資金を監視する責任を持つ“mesas de
concertación”(地域社会、シビルソサエティ、地
方自治体、中央政府及びドナーの代表者が参加す
る対話と協力のためのラウンド・テーブル)を通
じて住民が政府の責任を追及できるなど、多くの
特徴を備えています。
貿易と開発の統合
世銀は他の多国間機関と二国間ドナーとのパートナー
シップである「後発途上国に対する貿易関連技術支援に
関する総合的フレームワーク(IF)」を通じて、貿易統合
に関する診断的調査を主導しました。まず試験的に 3 ヶ国
―カンボジア、マダガスカル及びモーリタニア―を
対象とした調査が完了しました。次に、 4 ヶ国―レソ
ガバナンスと公共セクター改革
世銀は経済成長と貧困削減を実現するためには
公正なガバナンスと健全な公的制度が必要である
との認識に立って、ガバナンスと公共セクター制
度改革を借入国援助の中心に据えるようになりま
した。2002年度は、このための活動をさらに活発
化すると共に、これまでの経験が活用された年で
した。
また、多くの実施中のイニシアティブが第 2 段
階に移行しました。まず「公共支出・財務責任
(PEFA)プログラム」が承認されましたが、これ
は世銀内部、及びドナー間で、PEFA 活動を調整
するために策定されたものです。次に、世銀と
IMF の職員は、昨年度の重債務貧困国(HIPC)
支出追跡調査を踏まえて、
「HIPCによる貧困削減
公共支出の監視を強化するための措置」と題した
報告書を作成しました。最後に国際租税対話の開
始に関する世銀、IMF 及びOECDによる共同提案
が承認されました。
ト、マラウイ、セネガル及びイエメンを対象とする調査の
準備作業が進められています。この調査は、後発途上国
に分類されていない低所得国も対象とする方向に進んで
います。この調査は、対象国の多国間貿易システムと世
界経済への統合を制約している重要な要因、及び政策改
革と技術支援の必要性を明らかにするものです。世銀と
IF パートナーは、ドーハ宣言のフォローアップとして、貧
しい国々に対して積極的に貿易関連支援を行っています。
世銀は「開発、貿易及び WTO に関するハンドブ
ック」を刊行しました。
グローバル・レベルでは、世銀はグローバルな
貿易アジェンダの中の開発に関する側面に重点を
置きました。たとえば、2001 年11 月に発表された
「世界経済見通し 2002」及びポリシーリサーチペ
貿 易
ーパーである「グローバリゼーション、成長、貧
困:全ての人々が参加する世界経済の構築」は、
貿易の開放は経済成長の重要な原動力となるも
カタールのドーハで開催された WTO 閣僚会議で
のですが、貿易自由化だけでは様々な国民の所得
のグローバルな貿易協議とそのアジェンダの作成
を増加させるには不十分です。世銀による貿易関
に役立ちました。貿易関連活動は、次の事項に焦
連活動の目的は、経済成長と貧困削減のための取
点を当てた技術調査プログラムに基づいて行われ
り組みを行うための条件に対する理解を深めると
ています。
共に、貿易に関する国際的取決めの中に開発に関
①制度・規制改革がどのように貿易と投資の自由
する要素を盛り込み、かつ開発戦略の中に貿易を
化に影響を与えるのかについての理解の促進。
組み込むことにあります(囲み4.2 を参照)
。
②途上国が改革と多国間貿易交渉に関する優先事
国レベルでは、世銀は途上国が新たな市場機会
項を決定するのを支援するための分析フレーム
を活用するのを支援しています。難しい問題は、
ワークの提供。
経済成長と貧困削減を促進するための国内開発戦
③貿易政策の改革と国内制度がどのような理由で
略の中に貿易改革を組み込むことです。また世銀
貧困削減に役立つのかについての分析。
は WTO 加盟交渉などのために、途上国に直接助
④グローバルな貿易システムをさらに透明なものと
言サービスを行うと共に、キャパシティ・ビルデ
し、かつ途上国のニーズに合わせるための活動。
ィングに関する支援を行っています。2002 年6 月、
62
世界銀行年次報告書 2002
人々への投資
ミレニアム開発目標(MDGs)は、国際社会に対
し、あらゆる国々の社会的・経済的発展を支える
鍵としての人的開発を積極的に推進するような開
発目標の追求を要求するものです。貧しい状況の
中で生活している人々は、基本的な医療、教育及
び社会的セーフティネットを利用することができ
ません。毎年、1 億 3,000 万を超える人々が、
HIV/エイズ、並びに、結核(TB)、ハンセン病、
マラリア及び急性呼吸器感染症などの伝染病によ
って死亡しています。また多くの人々は、所得や
蓄えがほとんどなく、危機に対して脆弱な状況に
あります。世銀は借入国がすべての子供に初等教
育を施し、伝染病と闘い、乳幼児死亡率を引き下
げ、妊産婦の健康状態を改善し、かつ弱者を危機
から保護するのを支援する活動の強化を決意して
います。
世銀は人的開発プログラムに対する最大の資金
提供機関です。2002 年度においては、教育、保
健・栄養・人口(HNP)及び社会的保護に対する
新規融資承認額は42億6,000万ドルに上りました。
融資以外では、世銀の人的開発アジェンダとして
は、分析調査、借入国の貧困削減戦略への積極的
関与、並びに、途上国が2015 年までにすべての女
子と男子に初等教育を施し、かつ修了させること
を目標とする「万人のための教育(EFA)」プロ
グラムの実現を支援するための協力関係構築に向
けた積極的広報活動と他のパートナーとの協力が
あります。他の協力関係としては、伝染病との闘
いを強化するものもありました。この協力におい
ては、伝染病が教育や保健・医療制度に対し破壊
的な影響を与えるものであるとの認識に立ち、し
かも多くの国の貧困を削減することを目的に、途
上国、国連機関及び他のパートナーと協力して、
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」を創設
するための共同活動が行われました。
教育アジェンダ:
すべての子供を対象とした初等教育の重視
2002 年度には、世界的にミレニアム開発目標
(MDGs)に対する取り組みが強化されたこと、貧
困削減戦略文書(PRSP)を作成する途上国が増
えて、教育が全般的開発活動の中に位置付けられ
るようになったこと、及び HIPC イニシアティブ
によって利用可能な資金が増加したことなどの好
ましい進展が生じている状況を考慮して、世銀は
教育:生涯学習のための機会の提供
教育に対する支援を積極的に強化しました。世銀
が教育支援活動の中で最も重視したのは、途上国
が主要な EFA 目標― 1990 年に設定され、2000
年に MDGs として再確認されたもの―を達成
し、開発成果の指標として、従来の就学率ではな
く、初等教育修了率を採用するのを支援すること
でした。この重要な転換は、すべての開発成果が
EFA目標の達成につながるようにする上で必要な
ものです。次に、世銀が戦略的に重視したのは、
競争力を備えた知識集約型経済の実現に必要な人
的資本を途上国が増強するのを支援することでし
た。機会、平等及び質に関する伝統的な問題に
も、緊急に取り組む必要があります。現在、1 億
1,300 万の子供が学校に通っておらず、このうちの
3 分の 2 は女子で、10 億人の成人が文字の読み書
きができません。この他の 21 世紀の重要な課題
は、HIV/エイズ、武力紛争、知識の格差及びデ
ジタル・ディバイドです(囲み4.3 を参照)
。
2002 年度に世銀はパートナーと協議して、EFA
の目標達成率を引き上げるためのアクション・プ
ランを提案しました。同プランは、2002 年 4 月、
世銀・IMF合同開発委員会によって承認されまし
た。同プランは、2015 年までにすべての子供を対
象とした初等教育を実現できない可能性の高い88
ヶ国のデータ、政策、能力及び資金に関する格差
を是正するための施策を定めています。その後、
世銀は 18 ヶ国に対して、「EFA ファースト・トラ
ック」への参加を呼びかけました。さらに世銀は
第4章
テーマ別展望
63
囲み 4.3 HIV/エイズに対する
教育システムによる対策の支援
HIV/エイズ対策を早い時期に提唱した世銀は、途上国
が HIV/エイズの教育への影響に取り組むのを積極的に支
援しています。
2002 年度に世銀が発表した、「教育と HIV/エイズ:希
望の窓」と題された報告の要点は、HIV/エイズが蔓延し
ている社会では子供達と青少年に対する教育を最優先し
なければならないというものです。教育は HIV/エイズを
予防するための優れた手段ですが、同時に、教育セクタ
ーは HIV/エイズによってその存立が脅かされています。
HIV/エイズは教育サービスの提供と質を脅かし、需要と
就学率を低下させ、人的資本を枯渇させ、教育セクター
のコストを引き上げています。
この報告は、5 歳から 14 歳までの子供(HIV/エイズの
影響を最も受けていないグループ)
、及び性に対する関心
の高い青少年(最もリスクの高いグループであって、新
保健・医療、栄養、人口:人々を、伝染病、病気及び栄養失調から保
護する。
たなエイズ患者の約 60% を占めている)を保護するため
に革新的な対策を緊急に講じることを要求しています。
また、特に関係国に対しては、次の対策を講じることを
強く求めています。
■
教育を国家的緊急優先事項として位置付ける
■
教育セクターを系統的に再構成する
■
他のセクターとの間で密接な協力関係を確立する
■
学校を子供にとって安全な場所にするための政策を
策定する
■
予防教育を強化する
■
女子と孤児のニーズに対処する
他の 5 ヶ国をこのプログラムに呼びかける方向で
作業を行っています。これは途上国が2015 年の教
育目標を達成できるよう支援するためのイニシア
ティブです。今後さらに多くの途上国がこのイニ
シアティブの恩恵を受けることになると考えられ
ます。初等教育修了率に関して初めて作成された
データベースにより、EFA目標に関する外部資金
不足額は約 25 ∼ 50 億ドルであるとの推定が行わ
れました。EFA目標を達成するためには、効率と
質を重視した健全なマクロ経済・教育政策に加え
て、教師に対する妥当な給料の支払い、学校の建
設コスト、及び十分な資金―内外からの―が
必要になります。さらに正式な教育セクターを取
り巻くボトルネックにも取り組む必要があります。
2002 年度において世銀は PRSP の作成を積極的に
サポートすることを通じて、途上国が教育のため
に国内資金を調達するのを支援しました。
64
世界銀行年次報告書 2002
2002 年度の世銀の教育融資は 14 億ドルでした。
アフリカ地域には、初等教育、遠隔研修及び高等
教育に関するプロジェクトの大半が集中しまし
た。これらのプログラムの重点は教育の質に置か
れました。たとえば、
「第2次バングラデシュ女子
中等学校支援プロジェクト」は、就学率を大幅に
上昇させました。ラテンアメリカ・カリブ海地域
に対する支援(5 億 6,040 万ドル)も、メキシコの
最も貧しい地域における初等教育就学率を拡大
し、かつその質の向上に役立つものと思われま
す。またこの支援はチリの失業中の若者と貧しい
人々に「生涯」教育の機会を提供しています。
世界の人々の健康を増進するための努力の拡大
保健・医療、栄養、人口(HNP)
2002 年度には、途上国による HNP 成果の改善
を支援するための世銀融資総額は14 億ドルに上り
ました。同年度、世銀は「1997年HNPセクター戦
略」の中で示した目標の達成度を調査しました。
いくつかの重要な成果―たとえば、保健・医療
と貧困に対する取り組みが強化されたこと、及び
貧困が原因で病気になるのを予防するための資金
援助の増加―は見られましたが、依然として多
くの問題が残されています。現在では、途上国に
よるMDGs の達成を支援することに重点が置かれ
ていますので、保健・医療サービスの利用の不平
等やその質に関する取り組み、及び伝染性でない
病気による貧しい人々の負担の増大に対する取り
組みも活発化しています。たとえば、2002年度に
は、セネガルに対して、子供の栄養失調を治療す
るのではなく、母親がこれを予防するのを支援す
ることを目的とした調整プログラム融資が承認さ
れました。リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖
に関する健康)の分野では、性感染症の予防が大
きな比率を占めました。HNP の成果を改善するた
めの基礎となる保健・医療制度の強化に対して
も、引き続き重点が置かれました。
伝染病
2002年度においては、エイズ、結核(TB)
、マ
ラリア及びその他の伝染病との闘いに対し大きな
支援が行われ、その総額は3 億2,000 万ドルに上り
ました。同年度には、アフリカ地域に対する「第
2 次多国間エイズ・プログラム(MAP)」が承認
されました。国際開発協会(IDA)は、この
MAP に基づいて実施される各国の HIV/エイズ予
防・介護プログラムに対して、5 億ドルの融資を
行います。同年度に世銀は初めてグローバル・
HIV/エイズアドバイザーを指名しました。同アド
バイザーは、この分野における世銀の援助活動を
強化することに責任を負うと共に、世銀を代表し
て、世界中の政府、地域社会、民間企業、開発機
関及びシビルソサエティ・グループと共に HIV/
エイズの感染率の低下に取り組みます。
30 を超える国々が、DOTS(直接観察治療短期
コース)と称されている TB 抑制戦略の実施・拡
大を図るために、世銀から融資を受けています。
具体的な例を挙げると、中国の第2次「TB 抑制プ
ロジェクト」は、大規模にDOTS を実施して成果
を上げた第 1 次プロジェクトに続くものです。こ
の第 2 次プロジェクトは革新的で、中国政府の金
利負担を削減するためにイギリスの国際開発省と
協調融資が行われています。現在、世銀は約45の
マラリア撲滅プロジェクトに融資を行っています。
世銀はセクター・ワイド・アプローチ(SWAP)、
貧困削減戦略文書(PRSP)、包括的な開発フレー
ムワーク(CDF)及び重債務貧困国(HIPC)イニシ
アティブを通じた援助活動の中でマラリア問題を
優先事項として取り上げています。
確立された伝染病撲滅のためのパートナーシッ
プ―国連エイズ・プログラム(UNAIDS)、マラ
リア撲滅及び TB 撲滅など―において世銀は重
要な役割を果たしていますが、このパートナーシ
ップによって、これらの問題に対する世界の関心
が高まっています。その他の伝染病に関するパー
トナーシップ― WHO、UNAIDS をはじめとす
る国連機関、二国間ドナー、及び財団をはじめと
する民間セクターなどとの協力関係―も世銀の
優先事項となっています。世銀は開発グラント・
ファシリティを通じて、途上国のためにエイズ・
ワクチンの開発・テストを促進している「国際エ
イズワクチン・イニシアティブ(IAVI)」に対す
る支援、及び子供用ワクチンの接種率の改善と新
たなワクチンの開発を推進する主要な官民パート
ナーシップである「予防接種とワクチンを提供す
るための世界同盟」に対する支援を一貫して続け
ています(囲み4.4 を参照)
。
最も脆弱な人々の保護
自然現象あるいは人為的な危機は、貧しい人々
を直撃し、生活の安定、所得及び生産性を奪い去
ります。脆弱な人々を守るためには、リスクの削
減・緩和や対策などの社会的保護が必須です。こ
れらの対策は、個人、家庭及び地域社会がリスク
社会的保護:若者と老人の脆弱性の緩和
第4章
テーマ別展望
65
囲み 4.4
HIV/エイズを撲滅するためのパートナーシップ
世界が一体となって協調的取り組みを行うことなしに、
■
世銀は IAVI の創設に関与した機関であり、開発グラン
HIV/エイズを撲滅できるという期待はできません。目標を達
ト・ファシリティを通じてこれを支援しています。IAVI
成できていないアジェンダの数は多いものの、期待を抱ける
は、途上国のためにエイズワクチンの開発を推進してい
理由として次の事柄を挙げることができます。
ます。
■
■
この 1 年間、かつてないほど多くの政府が HIV/エイズに
世銀は UNAIDS と「国際アフリカパートナーシップ」と
協力し、総額 10 億ドルの MAP に基づいて、アフリカ地
取り組み、指導力を発揮し、過去最高額の資金を投入
域の 16 ヶ国に援助を行いました。他の 15 ヶ国は、援助
し、対策を講じました。
を受けるためにプログラムを作成しています。カリブ海
■ 「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」の設立に伴い、
地域の数ヶ国に対しても、 UNAIDS 、汎米保健機構、
世界的に支援が増大しました。二国間・多国間機関、民
WHO 及びその他の地域パートナーとの協力を通じて、
同様の援助が行われました。世銀は IMF と UNAIDS と
密接に協力し、借入国が HIV/エイズ撲滅のための支援策
を HIPC プログラム及び PRSP プログラムの中に組み込む
間団体及び慈善団体が新たに資金拠出を行うことを約束
しました。国連総会と国連安全保障理事会は、HIV/エイ
ズに関する決議を行いました。
■
2001 年 6 月、国連総会の「エイズ特別会議」は、2015
年までに HIV/エイズの拡散を阻止するためにあらゆる資
■ 「国際エイズ経済ネットワーク」―世銀、UNAIDS、
金源からの資金拠出を増額する必要があるとの認識の高
米国国際開発庁(USAID)及び EU のパートナーシップ
まりを背景として、世界的な協力を行うことを再確認し
―は、HIV/エイズに関する特に費用対効果の高い対策
ました。
に関するデータ、手法及び分析を、世界中の数千人の研
■ 「アクセス加速イニシアティブ」の下、世銀を含む
のを支援しています。
究者と医者に提供しています。
UNAIDS の共同実施者との交渉の結果、HIV/エイズ医薬
品メーカーは薬価を 90% 引き下げました。
を適切に管理できるように支援し、特に貧しい状
況にある人々を支援することを目指しています。
2002 年度においては、このような対策によって、
途上国は効果的な高齢者保護制度を確立し、公平
で開かれた労働市場を創造し、児童労働を追放
し、脆弱なグループに社会的セーフティネットと
社会基金を提供することができました。その他の
社会事業と年金のための融資額は、14 億 4,000 万
ドルに上りました。融資額はアフリカ地域、ラテ
ンアメリカ・カリブ海地域、及びヨーロッパ・中
央アジア地域に対しては増加しましたが、南アジ
ア地域、中東・北アフリカ地域、及び東アジア・
大洋州地域に対しては減少しました。インフォー
マル・セクターに分類される人々のリスクをさら
に効果的に保護する方法を見つけることも、世銀
の重要な活動の一部です。
66
世界銀行年次報告書 2002
世銀は 2000 年 9 月に承認された社会的保護戦略
を実施しました。その一例は、貧しい人々が直面
しているリスク、貧しい人々が利用できる手段、
及び貧しい人々の脆弱性を緩和するために必要な
施策などを判断するためにラテンアメリカ地域の
8 ヶ国で実施された社会的リスク評価です。この
リスク評価では、3 種類の脆弱なグループ―働
いている子供達、孤児・その他の脆弱な子供達、
及び身体障害者―が対象になりました。他の地
域においても、このような 3 種類の脆弱なグルー
プのすべてを支援するために、次のような活動が
すでに進められています。すなわち、グアテマラ、
モロッコ及びイエメンにおける児童労働に関する
実験的調査、孤児(特にアフリカ生まれの孤児)
に関するワークショップ、並びに、
「ノルウェー障
害・開発信託基金」の設立です。
環境・社会・持続可能な開発の促進
2002年度には、貧困削減は世界の平和と安定に
関する見通しとの関連性がより一層強まりまし
た。持続可能な経済成長、公正なガバナンス、社
会参加、環境責任、及び貧しい人々に対する機会
の提供を通じて行われる持続可能な開発は、長期
的な安定性を実現するための最も効果的な手段と
なるものです。
世銀はこの 1 年間持続可能な開発を念頭におい
て、環境、農村開発、森林、水資源及び社会開発
に関して借入国の責任を高めるセクター戦略の策
定を重視するとともに、環境戦略を実施し、紛争
予防と紛争後の復興のための支援を強化しました
(www.worldbank/org/sustainabledevelopment
を参照)。
世銀は 2002 年 8 月 26 日から 9 月 4 日かけて南ア
フリカのヨハネスブルグで開催される「持続可能
な開発に関する世界サミット(WSSD)」の準備
を進めています。このサミットに関し世銀は「世
界開発報告2003」の出版を通じて大きく貢献しま
した。ミレニアム開発目標(MDGs)は、持続可
能な開発に関する協力のフレームワークとなるも
のであると同時に、WSSD での世銀のアジェンダ
の基礎にもなっています(囲み4.5 を参照)
。
持続可能な環境
2002年度においては世銀は生活の質、経済成長
の質、及び地球公共財の質を改善するための新た
囲み 4.5 持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)
持続可能な開発に関する最大の融資機関である世銀は
2002 年 8 月 26 日から 9 月 4 日かけて南アフリカのヨハネ
スブルグで開催される WSSD の目標を積極的に支持して
います。2002 年度には世銀はこのサミットの準備作業を
支援しました。MDGs の達成という共通の考え方に立つ
WSSD は、持続可能な開発に関するアジェンダの実施を
促進し、かつ、メキシコのモンテレーで開催された「国
連開発資金国際会議」と、カタールのドーハで開催され
た「貿易と開発」に関する会議で得られた成果を統合す
る上で極めて重要な機会となるものです。
開発は最終的にすべての社会を変革する長期的な活動です。持続可能
な開発の目的は、今日の世界を良くすることだけではなく、この地球
上に、私達の子供達、そしてその子供達のために住みやすい空間を残
すことなのです。
な環境戦略を策定しました。この戦略は、貧困と
環境の関連性を認めると共に、保健・医療、生活
及び脆弱性に関する分野を重視しています。現在
この戦略は実施されつつあります。この戦略は開
発に関する意思決定の際に環境に配慮するための
手段―借入国の環境分析、貧困と環境の関連性
の分析、及び戦略的な環境評価―を定めていま
す。環境評価基金は、地域社会がこの包括的アプ
ローチを実施するのを支援しています(www.
worldbank.org/environmentstrategyを参照)
。
「環境ネットワーク」は、特に持続可能な環境
のに関するMDGsに重点を置いています。世銀は
どうすれば途上国が民間セクター、政府、ドナー
及び地域社会とのパートナーシップを通じて必要
資金を調達できるかということを検討していま
す。給水、衛生、森林管理及び乳幼児死亡率など
の指標が深刻な途上国に関しても、検討が行われ
ています。
世銀は地球環境ファシリティ(GEF)及び「モン
トリオール議定書多国間基金」の実施機関とし
て、途上国が生物多様性、土壌劣化、オゾン層の
破壊、難分解性有機汚染物質及び気候変動に関す
る国際協定に基づく義務を履行するのを支援しま
第4章
テーマ別展望
67
した。世銀は温室効果ガス(GHG)を削減するた
めの市場制度の開発を支援しています。プロトタ
イプ炭素基金は、市場で二酸化炭素排出権取引を
実行する方法を示しています。世銀は途上国が二
酸化炭素排出権取引市場、及び GHG 削減による
資金調達機会を見極めるのを支援しています。
農業生産量の拡大の重視
2002年度においては世銀は農村開発と貧困削減
に関する方針を策定しました。農業生産量の拡大
は、貧困を撲滅するための根本的対策に指定され
ました。貧困削減を実現するためには、農村部の
あらゆるセクターの活動が多面性を有しているこ
とを認識する必要があります。したがって貧しい
人々に便益をもたらし、かつ労働に対する報酬と
しての収穫量を増やせるような総合的な農村開発
アプローチ、及び効果的な農業投資に重点が置か
れています。このアプローチは、農村開発の社会
的、経済的及び環境的側面をはじめ、農村部のす
べての側面を対象にしています。また、このアプ
ローチは中央政府のみと協力するというのではな
く、プロジェクトの設計と実施にあたっての様々
な関係者の参加を奨励しています。このような問
題を網羅した2003年度戦略案は、世銀理事会に提
出、審議される予定です。
2002年度に一次産品市場に危機が発生し、多く
の途上国がその影響を受けたことから、借入国は
世銀に対し一次産品リスクの管理のための新たな
アプローチと手法を開発することを要請しまし
た。世銀に事務局を置く「一次産品リスクの管理
に関する国際タスクフォース」は、一次産品の市
場価格リスクを管理するための手法を検討してい
ます。この手法は、途上国の生産者のリスク(価
格ショックと価格変動による悪影響)を緩和する
一種の価格保険です。さらに世銀は借入国が競争
力を高め、WTO 体制の下で要求される条件を履
行する能力を増強するのを支援すると共に、
OECD 加盟国が供与している農業補助金の削減を
提唱しています。
世 銀 は ま た 、「 国 際 農 業 研 究 協 議 グ ル ー プ
(CGIAR)」(www.cgiar.org を参照)を支援して
います。CGIAR は、国連食糧農業機関、国際農
業開発基金(IFAD)、UNDP、22 の途上国、21
の先進国、民間の財団及び地域機関など、様々な
機関で構成されたパートナーシップの下で運営さ
れています。2002 年度に CGIAR が実施した大規
模な改革プログラムにより、革新的プログラムと
国際的に最高水準の科学を動員するための新たな
仕組みに基づいて行われる研究の適切性と効果が
68
世界銀行年次報告書 2002
高まっています。CGIARが支援するセンター(フ
ューチャー・ハーベスト・センター)が実施して
いる研究によって、アフリカ地域に適した新種の
米の開発が可能となり、西アフリカ地域で「米革
命」が実現しました。また高品質のタンパク質を
含む新種のトウモロコシが開発され、20 ヶ国の
100 万ヘクタールの農地で栽培されています。フ
ューチャー・ハーベスト・センターである国際食
糧 政 策 研 究 所( IFPRI)の 所 長 、Per PinstrupAndersen 氏は、その食糧政策の改善に関する努
力が認められて、農業エコノミストとして初めて、
「2001年世界食糧賞」を受賞しました。このシステ
ムに対する信頼性の向上を受けて、IFAD は
CGIARのパートナーとなることに同意しました。
持続可能な開発の社会的側面
公共セクターの政策とその成果に関して住民に
説明する責任があることを明確にするために、公
共支出管理に関する様々な参加型アプローチ―
参加型の予算作成/予算見直し/分析、支出調
査、及び住民アンケートを利用した成果モニタリ
ングなど―が策定されました。PRSP が確立さ
れてからは、借入国と世銀職員は、政策改革が
様々な関係者の福利にどのような影響を与えるの
かを正確に理解することに努めています。2002年
度には、貧困と社会に与える影響の分析の際に使
用する「ガイダンス・マニュアル」が作成されま
した(http://www.worldbank.org/poverty/を
参照)
。
地域グループに決定権と資源を提供するアプロ
ーチである地域主導型開発は、現在では、世銀に
とって優先順位の高いものとなっています。
2002 年度には、世銀職員は社会開発アジェンダ
のレビューと定義、及びプロジェクトとプログラ
ムの貧困削減成果を改善するためのアクション・
プログラムの策定を目的として、社会開発戦略に
関する研究を開始しました。
2001 年 9 月 11 日に米国で発生した同時多発テロ
以降、世銀は紛争の予防と紛争後の復興に対する
支援を強化しました。ヨーロッパ・中央アジア地
域とアフリカ地域の紛争経験国では、世銀援助に
対する需要がますます強まっています。2002年度
には、「紛争後復興基金」は、アフガニスタンの
復興戦略と暫定政府を支援するための資金を含
め、1,300 万ドルを超える援助を承認しました。
セーフガード・ポリシー
環境原則を組み入れたセーフガード・ポリシー
は、第三者が世銀援助プロジェクトから悪影響を
の政策は、2003年度からの実施に向けて、世銀理
受けないようにすることを目指したものです。こ
事会に提出される予定です(www.worldbank.
のセーフガード・ポリシーは、世銀による貧困削
org/safeguardsを参照)
。
減に対する取り組みの中心に位置しています。
2002年度においても世銀は新たに多くのイニシア
科学技術
ティブを策定してセーフガードシステムを強化し
ました。2001 年 12 月、「非自発的住民移転に関す
「開発のための科学技術」と題された戦略指針
る政策」が改定され、貧窮化リスクを緩和するた
文書が作成されました。同文書は、特に既存のプ
めのセーフガードが盛り込まれました。この方針
ログラムの調整を通じて、途上国の科学技術シス
の付記には、住民移転計画と住民移転プロセス・
テムの改善を図るための方針に関する主要なオプ
フレームワークに関する項目が列記されています。 ションを再検討したものです。
住民移転に関する方針の他にも、様々な住民との
世銀は「気候変動に関する政府間パネル」や
協議を踏まえて、「森林政策」、「先住民政策」及 「ミレニアム生態系評価」をはじめ、国際的な科
び「文化財資源政策」が改定されました。これら
学的評価作業にも積極的に取り組みました。
第4章
テーマ別展望
69
民間セクター開発とインフラに対する支援
民間セクターのイニシアティブは、貧困削減を
促進する上で重要な役割を果たしています。新興
市場への民間資金流入額は政府開発援助の金額を
大きく上回っているものの、途上国に対する長期
の民間資金流入額(純額)は低下傾向にありま
す。この一因は、新興市場の危機や世界的な景気
後退です。
世銀は「民間セクター開発・インフラネットワ
ーク(PSI)
」を通じて、民間イニシアティブの策
定を推進しています。PSI は、MDGs に対する世
銀の取り組みを支持しています。PSI の活動は、
本質的に、MDGs の達成を図る世銀グループの総
合的戦略に合致しています。PSI の活動は、投資
環境の構築と貧しい人々へのエンパワーメントと
いう2つの柱に支えられています。
民間セクター開発戦略―
民間イニシアティブの活用
世銀グループの民間セクター開発戦略は、経済
成長と貧困削減に民間イニシアティブを活用する
ことを想定しています。2002 年 2 月、世銀グルー
プの理事は、1 年間の対話と協議―この間に、
様々な関係者からコメントやフィードバックが得
られた―の後、この戦略を支持することを決定
しました。投資環境が改善され、それにより市場
が拡大されることで、貧しい人々の雇用と所得の
機会が改善されれば、貧困削減につながります。
この戦略は貧困削減におけるインフラの重要性
を認めると共に、民間セクターの参加を奨励し、
規制制度の強化を支持しています。PSI、世界銀
行研究所(WBI)及び外部のパートナーが共催し
た正式な規制制度に関するトレーニングプログラ
ムには、115 ヶ国から約 3,000 人の規制担当者が参
加しました。このプログラムは、借入国における
インフラに関る規制制度の効果的な導入に貢献す
るものであると同時に、重要なインフラ・サービ
スの改善に資する民間投資の流入に好ましい影響
を与えるものです。規制制度の強化に関するアプ
ローチは、貧困とガバナンスに関する様々なアジ
ェンダに重要な影響を与えます。この戦略はまた
民間セクター開発のための環境を構築する上で公
共セクターが重要な役割を果たすこと、及び公共
セクターが保健・医療や教育などの基本的サービ
スを安価な料金で提供する責任があることを前提
にしています。
70
世界銀行年次報告書 2002
IDA 融資適格国を対象とした対民間セクター保証など、世銀が開発し
た新たな手法によって民間投資が促進されています。
いくつかの重要な融資手法
世銀は民間セクター開発戦略の方針に従って、
その目標を実現するためのいくつかの新しい融資
手法とプログラムを策定しています。民間資金の
流入を促進し、かつ貧しい人々に便益を与えるよ
うな民間イニシアティブを増やすことを目的とし
て、投資環境評価が行われています。インドに関
しては、投資環境評価が完了しました。さらに15
ヶ国を対象として、投資環境評価が行われていま
す。
現在実施されている重要な融資手法の中には、
試験的なアウトプットベースの援助(OBA)があ
ります。この OBA では、サービスの提供義務は
民間業者に移転され、実際にサービスが提供され
た時点で援助が実行されます。世銀はほとんどの
地域とセクターにおける試験的 OBA の設計を支
援しています。一例を挙げると、カンボジアにお
ける給水プロジェクト、モザンビークにおける電
力プロジェクト、インドにおける道路プロジェク
ト、ネパールにおける電気通信プロジェクト、バ
ングラデシュとモーリタニアにおける農村部マル
チセクター・プロジェクトなどがあります。
世銀グループ内部では、多くの世銀・ IFC 合同
部局やグローバル・プロダクト・グループなどの
組織改革によって、民間セクターの関わりが高い
セクターにおいて、世銀グループの業務効率を高
めることが可能になっています。このような合同
部局は、石油・ガス・鉱業、情報・通信技術、中
小企業及び民間コンサルタントなどの分野を担当
しています。近々、合同部局に関する評価が行わ
れる予定です。
国レベルの援助活動への
新たなアプローチの組み込み
前 記 の 新 た な ア プ ロ ー チ を 、国 別 援 助 戦 略
(CAS)と貧困削減支援融資に基づいた世銀によ
る国レベルの援助活動に組み込むことに対して、
大きな関心が集まっています。民間セクター開発
とインフラに関する問題は、世銀のセクター横断
的活動の中に組み込まれています。民間セクター
開発・インフラネットワーク(PSI)担当職員は、
マルチセクター・チームに統合されています。
たとえばウガンダでは、貧困削減支援融資は、
保健・医療、教育及び公共セクターのガバナンス
の他、道路と給水・衛生に対しても行われてお
り、新たなマルチセクター・プロジェクト・アプ
ローチとなっています。このような多くのイニシ
アティブが示していることは、インフラ・イニシ
アティブと、ミレニアム開発目標(MDGs)の中で
要求されている貧困削減が直接関連付けられてい
るということです。
セクター横断的な問題への取り組みを活発化す
るために、「事業推進基金」が設立されました。
PSIは、PRSPの作成に対する支援を強化するため
に、様々な国別チームとの間でパートナーシップ
を確立しました。現在、コンゴ、コートジボワー
ル、エチオピア及びナイジェリアのための貧困削
減戦略に関して、このような努力が行われていま
す。また PSI は中国、コロンビア、メキシコ、パ
キスタン、フィリピン、ロシア及びタイのための
重要なCAS に関連して、上流部門に対する援助活
動を調整しています。
インフラの活用による大きな成果の実現
ミレニアム開発目標(MDGs)には、電力、運輸
または電気通信などの重要なインフラ分野は具体
的に示されていませんが、インフラはMDGsの達
成にとって極めて重要です。インフラの構築は、
投資環境の整備、貧しい人々に対する投資、及び
貧しい人々に開発に参加するエンパワーメントに
とっても重要です。世銀は様々なインフラ関連イ
ニシアティブに対する支援を強化しています。
世銀及び国連開発計画(UNDP)などが支援して
いるグローバルな技術プログラムである「エネル
エチオピアのヘトサに設置された小さな町営水道で、少年が水を汲ん
でいます。
ギー・セクター管理支援プログラム」は、コンセ
ンサスの形成に役立っているだけでなく、途上国
政府にエネルギーの持続可能な開発に関する政策
助言サービスを行っています。
途上国の貧しい人々が安全な飲料水と衛生サー
ビスを利用できるように支援することを目的とし
た国際的パートナーシップである「給水・衛生プ
ログラム」は、給水・衛生セクターの政策と制度
を変更させるための活動を重点的に行っていま
す。保健・医療分野では、「手洗いに関する官民
パートナーシップを推進するためのグローバル・
イニシアティブ」は、途上国の貧しい地域社会に
おいてほとんど励行されていない「石鹸で手を洗
う」という習慣を根付かせるための活動を行って
います。
運輸は引き続き大きな改善が期待できる分野で
す。道路があれば、人々は市場や学校、保健・医
療施設に通うことができるようになり、またその
他多くのサービスを受けることができます。2002
年 3 月世銀はインドの輸送ネットワークの設備と
管理の改善を図るための3 億1,500 万ドルの融資を
承認しました。「ミゾラム州道路プロジェクト」
と「ケララ州輸送プロジェクト」は、運輸システ
ムを拡張・改修すること、及び質の高い道路を維
持・管理する両州の道路局の能力を強化すること
を目指しています。インド政府は、貧困削減に必
要な長期的経済成長を促進し、かつ地域社会に機
第4章
テーマ別展望
71
会と便益を提供するために、基本的インフラの優
先的構築を強くサポートしています。ブラジルに
関しては世銀は 2002 年 1 月、「サンパウロ地下鉄 4
号線プロジェクト」に対する融資として2 億900 万
ドルを承認しました。このプロジェクトは、サン
図 4.1 テーマ別のインフラ融資、2002 年度
新規承認総額 57 億ドルに占める割合
貿易・統合 1%
法規 1%
人的開発
2%
金融・民間セクター開発 27%
経済政策2%
社会的保護・
リスク管理 4%
公共セクター運営
9%
都市開発
23%
環境・
天然資源管理 9%
農村開発
11%
社会開発・ジェンダー 10%
図 4.2 セクター別のインフラ融資、2002 年度
新規承認総額 57 億ドルに占める割合
パウロ都市部の貧しい人々を支援することになり
ます。
2002年度には、世銀は電気通信に関する方針を
策定する際の指針となる情報・通信技術戦略を承
認しました。2001 年 12 月、世銀は、「電気通信セ
クター改革プロジェクト」を支援するために、ネ
パール政府に2,260 万ドルの融資を行うことを承認
しました。同プロジェクトは低所得の人々、農村
部の人々、及びその他の不利な状況に置かれてい
る人々を対象としたもので、これらの人々に対し
て、おそらく初めて電気通信・情報サービスを提
供するものです。同プロジェクトに対する援助は、
前に説明した成果基準方式で行われています。
世銀による保証は、途上国のいくつかの大規模
インフラ・プロジェクトに民間セクターの資金を
導入する上で重要な役割を果たしています。部分
的リスク保証を受けたバングラデシュの「ハリプ
ール発電プロジェクト」は 2001 年 12 月に稼動し、
同国の発電能力を 360 メガワット増やしました。
同プロジェクトの総コストは1 億7,650 万ドルでし
た。世銀による部分的リスク保証によって同国政
府の契約不履行リスクが軽減された結果、同国政
府は1億1,560万ドルを超える民間資金を融資期間
14 年の条件で導入することができました。
世銀は引き続き開発援助の有効性に重点を置い
ています。世銀が人々に金融サービスを利用する
図 4.3 途上国への長期資金流入額(純額)、
1992 ∼ 2001 年
(10 億ドル)
200
教育 1%
産業・貿易 7%
農業 1%
150
金融 1%
保健・
その他社会事業
3%
情報・通信 1%
外国からの直接投資
資本市場
100
50
給水・衛生・治水
8%
政府開発援助
0
運輸
40%
法律・司法・行政
10%
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000a 2001b
(年)
–50
a. 速報値。長期資金流入額(純額)は、1年を超える債務の純発生額、
あるいは債務の当初の満期が1年を超えるものと定義されている。
b. 推定値。
出典:世銀、2002年、
「世界開発金融」、ワシントンDC。
エネルギー・鉱業 27%
注:端数を四捨五入したため、合計が 100% にならないことがある。
72
世界銀行年次報告書 2002
機会を提供する活動を行っているのも、その良い
例の一つです。「最も貧しい層を支援する協議グ
ループ(CGAP)
」―途上国において小口融資を
推進する29の二国間・多国間ドナー機関で構成さ
れたコンソーシアム―は、現在、試験的に小口
融資を活用した援助有効性イニシアティブを実施
しています。2003 年度には、CGAP は小口融資業
務とドナー機関の間のコミュニケーションを改善
することを目的として、17の二国間・多国間ドナー
機関の方針、慣行及び手続に関してドナー主体で
行われるピア・レビューの調整を行うことを予定
しています。この戦略的評価により、あらゆる分
野における開発援助の有効性の改善のための教訓
が得られます。
第4章
テーマ別展望
73
健全な金融システムの構築
健全な金融システムは、安定的な投資環境、経
済成長及び貧困削減の前提条件です。1980年代か
ら1990年代にかけて発生した金融危機の結果、途
上国では1兆ドルを超える損失が発生しましたが、
この金額は、1950年から今日までに行なわれた政
府開発援助の総額に匹敵するものです。したがっ
て、国際基準が遵守され、かつ多様な金融機関と
金融手法に支えられた安定的な金融システムを途
上国が構築するのを支援することが優先事項とな
ります。
2001 年 9 月 11 日に米国で発生した同時多発テロ
とその影響によって、低迷する世界経済がさらに
悪化した結果、新興市場に流入する資金は大幅に
減少しました。この資金流入額は、2002 年始めに
米国経済が成長したことを受けて、ようやく回復
しました。世界経済の低成長とアルゼンチンの金
融危機をきっかけとして、多くの国では、投資環
境の改善、企業セクター・金融セクターの再編
成、及び金融監督機関の強化に向けて新たな措置
を講じる動きが強まりました。
バンコ・ポスタル―ブラジルの郵政省と同国最大の民間銀行(ブラ
ンデスコ)による合弁会社―の前では、人々が行列を作っています。
バンコ・ポスタルは、2002 年 3 月から、国内の農村地域と貧しい地域
に対して、郵便局を通じて金融(支払い)サービスを提供しています。
銀行の優先事項
借入国に金融危機が発生した際、世銀は次のよ
うな措置を講じてきました。トルコの金融・通貨
危機に対して世銀は、同国政府が銀行整理に関す
るフレームワークの強化、債権者の権利・破産及
び企業債務の算定に関する法的フレームワークの
改善、さらに多くの国有銀行の再構築と民営化を
通じた金融システムの再構築を引き続き支援して
います。
世銀は金融セクターの発展促進の面で重要な貢
献を行いました。すなわち世銀は一層安定した金
融システムにとどまらず、資金が最適の用途のた
めに配分されて、経済成長率と貧困削減を加速で
きるような金融システムを確立するための基礎を
構築したのです。さらに世銀は、特に中小企業に
よる金融サービスの利用を拡大するために努力し
ました。世銀と IMF は、「金融セクター審査プロ
グラム(FSAP)
」に基づいて、金融セクターの脆
弱性を診断し、同セクターの開発上の優先事項を
明らかにし、かつ国際的な監督・規制基準と規約
の遵守状況を審査します。2002 年度には、21 ヶ国
に対する審査が行われました。1999 年 5 月にこの
審査プログラムが開始されて以降、合計で55 ヶ国
に対する審査が行われています。また2003 年度に
74
世界銀行年次報告書 2002
は、
24ヶ国に対してこの審査プログラムが実施され
る予定です。この審査により各国当局は豊富な情
報を入手するとともにフォローアップのための提
言を受けます。その結果、途上国からは、金融セ
クターに対する技術支援の要請が増えています。
(www.worldbank.org/finance/html/fsap.html
を参照)
。
FSAP 及び「基準・規定遵守報告書(ROSC)」
に基づくフォローアップと報告書に対する要請
は、単一の機関の資金力と専門知識の範囲を超え
ています。世銀はこの事実認識に基づいて、IMF、
カナダ、オランダ、スイス及びイギリスとパート
ナーシップを構築して「金融セクター改革・強化
イニシアティブ」を開始しました。4 年間を対象
として5,100 万ドルの資金拠出が承認されたこの新
たなイニシアティブは、技術支援、キャパシテ
ィ・ビルディング及び情報に対する途上国のニー
ズに対処する系統的な仕組みを策定すると共に、
国際社会が効果的に調整を行うためのフレームワ
ークを提供します。
2001 年 9 月 11 日に米国で発生した同時多発テロ
以降、国際社会はマネー・ロンダリング(資金洗
浄)及びテロ活動の支援を目的とした金融システ
ムの悪用と闘うことを一段と重要視しています。
金融システムの健全性が脅かされると、借入国に
開発上のリスクが発生します。金融システムが、
少数者の不正なニーズではなく、多くの人々の合
法的なニーズを充足できてはじめて、経済成長は
可能となるからです。
世銀はIMFと密接に協力して、加盟国が金融シ
ステムに関する司法と制度の弱点を見極め、技術
支援を通じて加盟国がこれらの問題に対処するの
を支援するための活動を大幅に強化しました。世
銀は20を超える国々に対して、マネー・ロンダリ
ングの防止とテロ対策に関わる法律の見直しに関
する支援を行うと共に、金融システムに関する効
果的プログラムを実施するための制度の構築を支
援しました。世銀はIMF、金融アクション・タス
クフォース、国連、エグモント・グループ(金融
情報機関の非公式な組織で、各国のマネー・ロン
ダリング防止プログラムの調整を行っている)、
地域開発銀行及びその他のパートナーと協力し
て、効果的な技術支援を特定し、かつこれを提供
することを可能にするような、技術支援調整のた
めの国際的な仕組みの開発を主導しています。
囲み 4.6
決済システムの改革
ラテンアメリカ・カリブ海地域では、過去 2 年間、決済
システム(各国の金融間の間で資金を移動し、決済を行
うための仕組み)の改革が行われています。これは、世
銀主導の「西半球決済・証券決済イニシアティブ(WHI)
」
に基づいて行われているものです。WHI は、世銀が西半
球地域の財務担当大臣らの要請に基づいて、「ラテンアメ
リカ金融研究センター」とパートナーシップを組んで
1999 年に開始したものです。WHI の目的は、西半球地
域の決済システムを調査・評価した上で、その安全性、
効率性及び健全性を改善することです。
このイニシアティブに基づいて、ラテンアメリカ・カ
リブ海地域の決済システムを強化するために多くの活動
が行われました。その一例は次のとおりです。
① 実態報告書(「イエロー・ブック」)の作成、及び決
済システムと証券決済システムを同時に評価するた
めの手法の開発。
② 各国の当局に対する提言の提出。
③ 地域内のすべての政府に関するウェブサイトの創設
(www.ipho-whpi.org を参照)。このイニシアテ
ィブにより、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロン
ビア及びペルーの決済システムが改善された他、バハ
投資環境の構築と
貧しい人々へのエンパワーメント
民間セクターに効率的に資金を配分できる金融
システムは、貧しい人々による金融サービスの利
用率を高めることができます。資金を効果的に配
分できる国は豊かになるといえます。ヨルダンで
は、世銀が二次抵当債券機関の設立を支援した結
果、住宅ローンの利用が急増しました。ユーゴス
ラビアに対する世銀融資により、同国政府は全銀
行の 60%―大手 4 銀行を含む―の整理を開始
することができました。この銀行再編成による銀
行の事業環境の改善によって、金融仲介機能が活
発化し、国内貯蓄が増加し、必要な運転資本が供
給され、かつ民間セクターの成長と雇用創出に必
要な投資資金が供給されることになると思われま
す。コロンビアでは、世銀は効果的な企業債務再
編システムを策定し、銀行の資産問題の解決を可
能にし、かつ投資環境改善のための準備作業を行
いました(囲み4.6 を参照)
。
途上国が金融仲介格差(金融システムにおい
て、大企業のみが金融サービスを受けられ、中小
企業(SME)は同サービスを受けられない状況が
あること)の是正を支援するため、世銀は情報技
術を活用しています。たとえば、世銀とインド郵
政公社は、官民パートナーシップの構築によるイ
ンド農村部の貧困削減のための情報技術の活用方
マ、バルバドス、エルサルバドル、ジャマイカ及びト
リニダード・トバゴでは本格的な改革プログラムが実
行されました。
法を共同で研究しています。この官民パートナー
シップにより、基本的な金融商品・サービスを提
供する拠点として膨大な郵便局インフラを活用す
ることが可能となります。このネットワークを通
じて、低コストで小口金融サービスを提供し、
SMEに対して資金と市場を提供し、かつ年金・保
険商品の提供を通じて貧しい人々のリスク管理を
支援することができます。このネットワークは、
価格などの情報の提供、及び電子政府(情報通信
技術の活用により行政の効率性、有効性、透明性
及び説明責任を改善するもの)など、金融以外の
用途にも利用できると期待されています。
金融セクター審査プログラム(FSAP)や基準・
規定遵守報告書(ROSC)審査の他に、世銀は地
域・国レベルで金融監督・規制フレームワークを
強化するための活動を行っています。たとえばブ
第4章
テーマ別展望
75
ラジルでは、世銀は当局が、金融サービスに関す
る法的及びインセンティブ環境を改善し、中央政
府の機能を重点的に強化し、かつコーポレート・
76
世界銀行年次報告書 2002
ガバナンスと金融に関する契約の履行問題に対処
するのを支援しています。
法制度の整備
法制度の整備は公平な経済成長と持続可能な貧
困削減にとって極めて重要です。法律・司法シス
テムが脆弱な場合には、様々な理由で貧困との闘
いが阻害されます。たとえば投資は、予測可能で
規則が整備された市場に迂回し、重要セクターは
生産用資産が奪われ、住民の声は意思決定過程に
は反映されなくなります。女性や子供をはじめと
する弱者は、暴力やその他の虐待から保護されな
くなり、経済的不平等も拡大します。法律の執行
が効果的に行われない場合には、環境劣化、汚
職、マネーロンダリング、及び世界中の人々と経
済に悪影響を及ぼすその他の問題が発生します。
世界の文化、伝統及び政治体制は多様であり、
法律・司法改革のための単一の手法はあり得ませ
ん。各国のニーズは、公共・民間セクターの主要
な関係者を交えて、個別に評価する必要がありま
す。適切に選択され、順番が決定された包括的な
改革イニシアティブを通じて、世銀は加盟国がそ
の法治国家を系統的に強化するのを支援し、かつ
成果を上げることができます。
2002年度においては、世銀の援助を得て、モンゴ
ル、ルーマニア、ベトナム及びユーゴスラビアを
対象とした法律・司法システムの評価作業が完了
しました。現在、これ以外にも、いくつかの評価
作業が実施中ないし計画中となっています。世銀
が融資する法律・司法改革プロジェクトは、その
数が増え続けています。同プロジェクトは、法律
改正、裁判所の近代化、裁判官と裁判所職員に対
する訓練、及び法律に関する教育などの活動を支
援しています。アルゼンチン、エクアドル、モン
ゴル及びスリランカなどでは、商事仲裁センター
及び模範裁判所が設立されました。
コロンビアとモンゴルの法律・司法改革プロジ
ェクトに対する新規融資(「研修・改革融資」か
ら拠出)は、2002 年度には 1,000 万ドルに上りま
した。2003年度については、アルゼンチン、カン
ボジア、エルサルバドル、ギニア、ペルー及びフィ
リピンのプロジェクトに対して1億400万ドルが融
資される予定となっています。
投資に関する
法的環境の改善
途上国の投資環境を改善するためには、市場経
済の下での法律制度とこれに関連する制度の強化
が必要になります。グルジア、インドネシア、リ
2001 年 7 月、世銀の法務担当副総裁室は、ロシアのサンクトペテル
ブルクにおいて、第 2 回世界法律・司法会議を開催しました。75 を
超える国から参加した裁判官、弁護士及びその他の参加者は、「法律
と司法を通じてのエンパワーメント、安全及び機会」と題されたテー
マの下で討議を行いました。
トアニア、フィリピン、スリランカ、チュニジア
及びウガンダなどの国において世銀は、中央銀行
と商業銀行に関する新たな法律の策定・資本市場
に関するイニシアティブ・及び企業と商業取引に
関する法律の策定を通じての、金融・民間セクタ
ーの能力の強化、民間企業の開業/業容拡大・及
び債務超過企業の効率的な解散の促進、公共サー
ビスを民間セクターが提供する場合の適切な規制
の策定に関して支援を行いました。
これらの施策は、法律、規制措置及び制度が投
資環境に与える影響を明らかにする世銀の分析サ
ービスの支援を受けた他、世銀による国別の詳細
な金融セクター評価、法律・司法セクター評価、
債務超過・債権者の権利に関するシステムの評価
並びにコーポレート・ガバナンスと証券市場に関
する評価などの支援を受けました。
債務再編成に関する公正で効率的な法律制度
は、商取引に対する信頼を高め、市場が債務不履
行リスクを正確に格付け、管理、軽減できるよう
にすると共に、会社更生、雇用の保全、及び効率
的な市場ユーザーへの資産の移転を促進する上で
重要な役割を果たします。1997 年から1998 年にか
けて新興市場で金融危機が発生した後、世銀は
「債務超過と債権者の権利に関する効果的なシス
テムを構築するための原則とガイドライン」を策
定するための国際的取り組みを主導しました。
第4章
テーマ別展望
77
2001 年 4 月に決定されたこの原則は、債務超過と
債権者の権利に関するシステムの有効性を評価
し、かつ途上国におけるシステムの改革とベンチ
マーキングに関する指針を提供する統一的フレー
ムワークについての国際合意の形成を促進する上
で重要な役割を果たすものです。2002 年度におい
ては、世銀は基準・規定遵守報告書(ROSC)を開
発するための世銀・国際通貨基金(IMF)合同プロ
グラムに基づいて、アルゼンチン、ブラジル、チ
ェコ、リトアニア、フィリピン、スロバキア、南
アフリカ及びトルコにおいて、これらの原則に基
づいた試験的な国別評価を実施しました。ロシア
では、国別評価がほぼ終了しています。またクロ
アチア、インド、モロッコ、タイ及びウクライナ
でも、国別評価が開始されました。
貧しい人々が
「司法サービスを受ける機会」の拡大
世銀は法律・司法に関する援助の中で、「司法
サービスを受ける機会」を重要視しています。貧
しい人々に「司法サービスを受ける機会」を提供
することは、司法の壁を乗り越えるための 1 つの
方法です。2002年度においては、世銀が管理して
いる「日本社会開発基金」から拠出されたグラン
トによって、エクアドル、ヨルダン及びスリラン
カの貧しい女性達に対して法律相談などのサービ
スが提供されました。
2002年度においては、世銀が主催した会議の場
スリランカのガレ地方裁判所の事務官は、「法律・司法改革プロジェ
クト」の一環としての裁判所業務改革モデルを実践しています。
78
世界銀行年次報告書 2002
でも、
「司法サービスを受ける機会」に大きな関心
が集まりました。世銀の法務担当副総裁室が2001
年 7 月にロシアのサンクトペテルブルクで開催し
た第2 回国際会議では、
「法律と司法を通じてのエ
ンパワーメント、安全及び機会」と題されたテー
マの下で講演が行われました。「ヨーロッパ・中
央アジア地域フォーラム」は、移行経済に固有の
法律・司法問題を取り上げました。2002 年 3 月、
モロッコのマラケシュで世銀の法務担当副総裁室
と国連開発計画(UNDP)が共催した地域会議で
は、「アラブ諸国の司法セクターを近代化するた
めの戦略」と題されたテーマの講演が行われまし
た。世銀はつい最近、ワシントン DC において、
「法律と司法に関する国際諮問委員会」の第2回会
合を開きました。この委員会は、世界的に著名な
法律専門家と法学者で構成されているもので、世
銀に対し貧しい人々のエンパワーメントを含め、
法律と司法に関連する活動に関して指針を提供し
ています。
(www.worldbank.org/ljr/を参照)。
持続可能な開発のための
法律の活用
地球公共財の保護のための援助を行う主要機関
である世銀は、新たな協定に従って革新を行うと
共に、持続可能な開発のための立法モデルの改
良、及び法律知識の共有を推進しています(囲み
4.7を参照)。
世銀はモントリオール議定書と京都議定書に基
づく革新的な国際協定に従って率先して活動を展
開しています。2002 年度には、「モントリオール
議定書多国間基金」は、一部の国々でのフロンガ
ス(CFC)の生産と消費の完全停止のために資金
拠出を開始しました。バハマ、マレーシア、タイ
及びトルコでのCFCの生産・消費を完全に停止す
るために、3,580万ドルの資金拠出が承認されまし
た。実施機関である世銀は、証拠書類に基づいて
資金拠出を実行する新たな仕組みを活用して、新
たなアプローチに基づいて実行される小規模な活
動に対して、費用効果的な方法でグラントを拠出
することができます。
「プロトタイプ炭素基金(PCF)
」は、2002 年度
には完全に実施段階に移行しました。PCFは、温
室効果ガスを削減したプロジェクトから「公認排
出削減量」を購入することを目的としたもので
す。PCF の出資者は、購入した排出権証書を、京
都議定書の中で合意された目標値の達成に活用し
ます。2002 年度においては、京都議定書の「クリ
ーン開発メカニズム」の適用対象国であるチリ及
囲み 4.7
ウェブサイトを利用した法律知識の共有
世銀は多くのウェブサイトを通じて、法律と司法に関する
て提供するものです。
「債務超過に関する世界の法律のデータベース」(www.
世銀ウェブサイトの「法律・司法改革」の頁( www.
worldbank.org/ljr/)では、法律・司法改革に関する重要
重要な進展についての知識の共有に貢献しています。
worldbank.org/gild)は、企業の債務超過と債権者の権
なテーマに関してオンラインで議論ができることに加えて、
利に関するシステムに関わる問題―特に、法律・規制改革、
世銀のプロジェクトに関する情報、司法に関する指標のデー
関係する公共機関のキャパシティ・ビルディング、及び関連
タベース、及びコンサルタントに関するデータベースが示さ
する政策問題など―について、比較研究と対話を行うため
れており、関連サイトへのリンクも表示されています。
の重要なフォーラムです。
世銀と IMF の共同プロジェクトである「世界の銀行法に関
「グローバル・ディベロップメント・ゲートウェイ」
(www.
developmentgateway.org)―開発に関する主要なテ
するデータベース(GBLD)」(www.gbld.org)は、国別
ーマ、プロジェクト及びプログラムについての知識共有を図
に、あるいは、
「効果的な銀行規制監督に関するバーゼル委員
るためのバーチャル・フォーラムとすることを目的とした双
会の重要原則」に明記された標準テーマ別に検索することが
「環境法及び司法・法律改革」に
方向のウェブサイト―は、
可能です。GBLD は商業銀行、中央銀行及び預金保険に関す
関するゲートウェイの頁などで、世銀から多くのコンテンツ
る世界各国の法律をオンラインで検索できるサービスを初め
の提供を受けています。
びウガンダとの間で、革新的な売買協定書が締結
されました。京都議定書の要求事項を履行しよう
とする他の団体や機関は、この売買協定書をモデ
ルとして使用しています。
天然資源に関する法律の分野では、世界的に漁
業資源の持続可能性に対する懸念が高まっていま
す。世銀は国連食糧農業機関(FAO)と協力し
て、「持続可能な漁業を実現するための法律」と
題されたハンドブックを刊行しました。同ハンド
ブックは、持続可能な漁業の推進を目的とした 2
つの主要国際協定の重要な目標と規定を紹介して
います。同ハンドブックには、各国がこれらの規
定を参考にして国内法を策定する際に利用できる
法案作成技術も掲載されています。同ハンドブッ
クは、世銀の法務担当副総裁室が最近発表してい
る「法律、司法及び開発」に関する研究論文シリ
ーズの第1 号となるものです。
2002 年 6 月、世銀の法務担当副総裁室と UNDP
は、モントリオールにおいて、「持続可能な司法
2002:持続可能な開発に関する国際法の施行」と
題した会議を共催しました。持続可能な開発に関
する法律についての同会議の提言は、ヨハネスブ
ルグで開催される「持続可能な開発に関する世界
サミット」に提出されることになっています。
第4章
テーマ別展望
79
第5章
地域別展望
一人あたり国内総生産(GDP)指標
1991 ∼ 2001 年
アフリカ地域
東アジア・大洋州地域
200
200
150
182
150
100
82
アフリカ地域
84
東アジア・大洋州地域
89
南アジア地域
93
ヨーロッパ・中央アジア地域
98
100
100
100
100
50
50
0
0
2001
1991
世界銀行の地域区分、現地事務所及び融資適格国
2001
1991
南アジア地域
ヨーロッパ・中央アジア地域
ラテンアメリカ・カリブ海地域
103
中東・北アフリカ地域
108
200
200
142
150
150
100
100
100
50
50
0
100
93
1991
2001
0
1991
2001
ラテンアメリカ・カリブ海地域
200
中東・北アフリカ地域
200
150
150
100
114
100
100
100
50
50
0
108
染者の数字は、2001 年 12 月現在における UNAIDS に
よる推定値です。またこれらの数字は、UNAIDS の地
域に関する定義に基づいたものですが、この定義は世銀
が使用しているものとはやや異なります。詳細について
0
1991
2001
この章の「ファクト・シート」に示されているエイズ感
1991
2001
は、次のホームページをご覧ください。
www.unaids.org
出典:「世界開発指標」のデータベース
世界銀行の地域区分、
現地事務所及び
融資適格国
世界銀行は現在、世界の
およそ 100ヶ所に現地事
務所を置き活動していま
す。借入国に事務所を開
設することによって、世
Mexico
界銀行は、借入国をより
良く理解し、借入国とよ
Guatemala
El Salvador
(東アジア・大洋州地域の一部)
ラテンアメリカ・
カリブ海地域
つ借入国に一層迅速にサ
Kiribati
Samoa
できます。ポートフォリ
Haiti
Nicaragua
Costa Rica
り一層密接に協力し、か
ービスを提供することが
Belize Jamaica
Honduras
Panama
R.B. de
Venezuela
Guyana
Suriname
Colombia
2002年度新規融資承認総額
IBRD:41億8,810万ドル
IDA:1億7,780万ドル
プロジェクトのポートフォリオ:224億ドル
Ecuador
Brazil
Peru
Tonga
Bolivia
Fiji
オの4分の3は、ワシン
Paraguay
トン DC の本部ではなく、
Dominican
Republic
国別担当局長が管理して
Antigua and Barbuda
St. Kitts
and Nevis
います。現在は、職員全
Dominica
St. Lucia
St. Vincent and
the Grenadines
体の約30%が現地事務所
Grenada
で活動しています。
Trinidad
and Tobago
R.B. de Venezuela
IBRD融 資 のみの適格国
IBRD及びIDA融資の適格国
IDA融資のみの適格国
融資が行なわれたことがないIDA融資適格国
世銀現地事務所
国別担当局長が駐在する現地事務所
Uruguay
Chile
Argentina
IBRD 31362
AUGUST 2001
中東・
北アフリカ地域
ヨーロッパ・
中央アジア地域
2002年度新規融資承認総額
IBRD:4億5,180万ドル
IDA:1億270万ドル
プロジェクトのポートフォリオ:54億ドル
2002年度新規融資承認総額
IBRD:48億9,470万ドル
IDA:6億2,890万ドル
プロジェクトのポートフォリオ:160億ドル
Estonia
Russian
Latvia
Lithuania
Fed.
Poland Belarus
Russian Federation
Ukraine
Moldova
Kazakhstan
Mongolia
Romania
Bulgaria
Georgia
Azerbaijan
Armenia
Turkey
Syrian
A.R.
Lebanon
Tunisia
Morocco
Uzbekistan
Kyrgyz
Rep.
Tajikistan
Turkmenistan
Islamic Rep.
of Iran
Iraq
Jordan
Pakistan
Algeria
Nepal
Arab Rep.
of Egypt
Bhutan
India
Mali
Senegal
The Gambia
Guinea-Bissau Guinea
Sierra Leone
Liberia
Niger
Burkina
Faso
Eritrea
Chad
Myanmar
Benin
Central
African
Republic
Rwanda
Dem.Rep.of
Congo
Namibia
Poland
Czech Republic
Ukraine
Slovak Republic
Hungary
Slovenia
Croatia
Bosnia and
Herzegovina
Romania
F.R. of
Yugoslavia
Bulgaria
Albania
FYR
Macedonia
Maldives
Kiribati
Seychelles
Burundi
Comoros
Indonesia
Solomon
Islands
Vanuatu
南アジア地域
Mozambique
Madagascar
Mauritius
Botswana
South
Africa
Papua New Guinea
Malawi
Zambia
Zimbabwe
Marshall Islands
Kenya
Tanzania
Angola
Federated States of Micronesia
Palau
Malaysia
Somalia
Congo
Philippines
Sri
Lanka
Ethiopia
Uganda
Gabon
Vietnam
Cambodia
Djibouti
Cameroon
Togo
Equatorial Guinea
São Tomé and Príncipe
Lao
P.D.R.
Thailand
Rep. of Yemen
Sudan
Nigeria
Côte Ghana
d’Ivoire
2002年度新規融資承認総額
IBRD:9億8,240万ドル
IDA:7億9,120万ドル
プロジェクトのポートフォリオ:259億ドル
Bangladesh
Mauritania
Cape Verde
東アジア・
大洋州地域
Rep.of
Korea
China
Afghanistan
Swaziland
Lesotho
Fiji
2002年度新規融資承認総額
IBRD:8億9,300万ドル
IDA:26億1,540万ドル
プロジェクトのポートフォリオ:172億ドル
アフリカ地域
2002年度新規融資承認総額
IBRD:4,180万ドル
IDA:37億5,160万ドル
プロジェクトのポートフォリオ:153億ドル
この地図は2001年度末現在の次の事象を反映したものです:
アフガニスタンは2002年度より再びIDA融資の適格国になり
ました。
123頁の世銀事務所に関する表及び131頁の世銀融資適格国
に関する表を参照してください。
第5章
地域別展望
83
世銀融資適格国:
アンゴラ
ウガンダ
エチオピア
エリトリア
ガーナ
ガボン
カメルーン
ガンビア
ギニア
ギニアビサウ
ケープベルデ
ケニア
コートジボワール
コモロ
コンゴ共和国
コンゴ民主共和国
サントメ・
プリンシペ
ザンビア
シエラレオネ
ジンバブエ
スーダン
スワジランド
セーシェル
赤道ギニア
セネガル
ソマリア
タンザニア
チャド
中央アフリカ共和国
トーゴ
ナイジェリア
ナミビア
ニジェール
ブルキナファソ
ブルンジ
ベナン
ボツワナ
マダガスカル
マラウイ
マリ
南アフリカ
モーリシャス
モーリタニア
モザンビーク
リベリア
ルワンダ
レソト
84
アフリカ地域
アフリカ地域には活気が生まれています。ア
フリカ地域の人々と指導者は、開発アジェンダ
に対する取り組み姿勢をますます強めていま
す。世界経済が困難な状況にあったにも関わら
ず、アフリカ地域の2002年度の経済成長率は平
均約 3%に達しました。改革アジェンダを着実
に実施し、安定性と公正なガバナンスを実現
し、かつ優れた経済政策を行った国々は、平均
4%の経済成長率を達成しました。この経済成長
率でも、2015 年までに貧しい人々の数を半減す
るというミレニアム開発目標(MDGs)の達成に
必要な 7%には依然として及びません。ガバナ
ンス問題は、引き続きアフリカ地域の多くの国
を悩ませました。また一部の主要国の政治・経
済状況がなかなか好転しないか、全く好転しな
いため、同地域に対する投資家の姿勢も慎重に
なっています。アフリカ地域がMDGs を達成で
きる可能性は不透明ですが、見通しは一様では
ありません。小学校就学率の上昇により、教育
に関する見通しは改善しました。しかし、保
健・医療セクターでは、このような進展は見ら
れません。エイズの拡散は、経済成長と所得に
悪影響を与えているだけでなく、平均寿命の延
びを反転させる恐れもあります。
世界経済の減速は、アフリカ地域の発展にも
悪影響を与えました。一部の国は、特に非伝統
産品―園芸作物など―に関して、その輸出
市場の成長率の鈍化に直面しました。銅生産国
のザンビアや西アフリカ地域の綿花生産国など
の非石油輸出国では、状況は特に深刻でした。
先進国における農業補助金も、一部の産品の価
格を歪め、かつ低下させ、途上国の農家が貧困
から抜け出す可能性を制約しました。このよう
な状況により、輸出品目の多様化の必要性が一
段と明確になりました。一部の国々は、この輸
出品目の多様化によって、経済ショックを緩和
することができました。アフリカ地域に対する
世界銀行年次報告書 2002
援助流入額は減少しており、過去10年間では一
人あたり援助流入額は約 40%減少しました。し
かし、最近のモンテレー合意により、このよう
な傾向は良い方向に転換すると考えられます。
アフリカ大陸の主要な地域では、平和と安定
に向けて大きな進展が見られました。エチオピ
アとエリトリアの和平プロセスは徐々に進展し
ており、アフリカ大陸の中で最も貧しいこれら
の地域にも開発の可能性が生まれました。「ア
フリカの五大湖」地域では、コンゴの安定化に
向けたプロセスがかなり進展していて、過去10
年間にわたって混乱と紛争が続いていた同国
は、同地域の成長のエンジンになる可能性があ
ります。シエラレオネは、恒久的な平和に向か
って着実に前進しています。アンゴラでは、政
府と反政府勢力の間で和平協定が調印済みであ
るため、アフリカ地域で最も長く続いた内戦は
終了するものと思われます。過去 10 年間では、
同地域の紛争によって、経済成長率は1∼2%
ポイント程度低下した可能性があります。
世銀の援助
2002 年度には、アフリカ地域に対する国際開
発協会(IDA)の融資実行額は大幅に増加し、
過去 10 年間で最高の 26 億ドルに達しました。
同年度における IDA の融資承認額は 37 億ドル
となっています。この増額は、アフリカ地域に
おける対プロジェクトポートフォリオの管理が
改善したことと、アフリカ地域における大半の
国々の政策環境が大幅に改善したことを受けて
行われたものです。
IDA の総融資額の 50%をアフリカ地域に振り
向けるという目標がありますので、このような
増額は今後数年間継続することが見込まれま
す。新規融資の承認は、構造調整融資と投資融
資の両方の形態で行われました。IDAの第12次
増資(IDA-12)
(2000 ∼ 02 年度)においては、構
造調整融資は IDA-11 の水準にとどまりました
アフリカ地域のファクト・シート
が、投資融資の増加率は 60%を超える見通しで
す。融資実行額は、2001 年度の 22 億 5,000 万ドル
の水準から徐々に増加していくものと見込まれま
す。
さらに地域社会や草の根レベルの組織に直接資
金を供与し、地域全体の問題に取り組み、かつ世
銀が援助したプロジェクトの一部にグラントの供
与を受けるための新たな手法が開発されました。
貧困削減戦略文書(PRSP)に関しては、プログラ
ム融資を通じて資金供与が行われる割合が高まり
ました。この割合は、IDA-11では6%であったのに
対し、IDA-12 では総融資額の22%に達する見込み
です。また世銀から援助を受けたプロジェクトの
質もかなり改善しました。2000年度に終了したプ
ロジェクトの64%は、業務評価局(OED)から「満
足できる」との評価を受けましたが、この割合は
過去10 年間では最高のものでした。1997 年度にお
いて、
「問題がある」と判断されたプロジェクトと
コミットメントの割合はそれぞれ 40%と 42%でし
たが、現在では、それぞれ 15%と 17%にまで改善
しています。
援助の効果を高めるため、借入国に対するIDA
融資の配分には、政策と制度の質を反映させてい
ます。その結果、ブルキナファソ、ガーナ、マリ、
モザンビーク、セネガル、タンザニア及びウガン
ダなどの一部の国々に対する援助額は増加しまし
た。また世銀は紛争または政治不安から脱却した
コンゴ、コートジボワール、エリトリア及びエチ
オピアに対する融資を再開しました。
世銀は重債務貧困国(HIPC)イニシアティブを
通じて、アフリカ諸国が最大限の債務救済を受け
られるよう努力すると共に、貧困削減のために資
金が効果的に使用されるよう努力しました。この
イニシアティブにより、26ヶ国(このうち22ヶ国
がアフリカ地域)が、全債権国から総額 410 億ド
ルの債務救済を受けました。その結果、これらの
国々の債務残高は約 3 分の 2 減少し、社会的支出
が年間約8億 3,000 万ドル増加しました。
地域の優先事項
アフリカ地域に関する世銀の戦略は、MDGs の
達成率を加速することです。この戦略目標は、
「アフリカ開発のための新パートナーシップ
(NEPAD)」フレームワークに参加するアフリカ
諸国の元首が承認した目標に合致しています。ま
たこの戦略目標は、2000年の画期的な研究「アフ
リカは21世紀に生き残れるか」に明記されている
内容にも合致しています。
(囲み5.1を参照)
。この
研究は、次の 4 つを重点分野に指定しています。
総人口: 7 億人
人口増加率: 2.3%
平均寿命: 47 歳
乳幼児死亡率(1,000 人あたり): 91
若い女性の非識字率: 27%
2001 年の一人あたり国民総所得(GNI): 470 ドル
エイズ感染者数: 2,850 万人
注:平均寿命、乳幼児死亡率(1,000 人あたり)及び若い女性の非識字率は、2000 年
の「世界開発指標」データベース、その他の指標は 2001 年の同データベース。
現在は、国民総生産(GNP)の代わりに、国民総所得(GNI)が使用されています。
2002 年度の
新規融資承認総額
IBRD : 4,180 万ドル
IDA : 37 億 5,160 万ドル
2002 年度の
融資実行総額
IBRD : 8,730 万ドル
IDA : 25 億 6,390 万ドル
2002 年 6 月 30 日現在において実施中の
プロジェクトのポートフォリオ: 153 億ドル
配管は、基本的サービスのアクセス改善のために重要です。ザンビア
では、IDA から融資を受けた支線道路プロジェクトに基づいて、配管
敷設工事が行われています。
a)ガバナンスの改善と紛争の解決。
b)アフリカ地域の膨大な人的資源の開発。
c)生産の多様化と競争力の強化。
d)援助依存度の引き下げと債務の削減、及びド
ナーとのパートナーシップの強化。
世銀は紛争後の支援、キャパシティ・ビルディン
グ、伝染病対策の支援、債務救済、アフリカの産
品の市場拡大及び地域統合をはじめ、地域の重要
優先事項に引き続き力を注いでいます。
第5章
地域別展望
85
囲み 5.1
アフリカ地域の開発のためのパートナーシップ
アフリカ地域内部でも、ドナーの間でも、次のようなコン
が議論されました。まだ新しい動きではありますが、NEPAD
センサスが強まっています。すなわち、政府、民間セクター
は、アフリカの民族に自らの開発戦略に率先して責任を担わ
及びシビルソサエティの間、並びにアフリカ地域の国々とド
せるための重要な一歩を踏み出しました。
ナーの間での権限と責任の再配分が必要だということです。
開発に関するこのような新たなアプローチは、PRSP プロセ
NEPAD は、国レベルで実施されてきた PRSP の多くの原則
を基礎にしています。過去 2 年間では、 39 ヶ国が暫定的な
スと NEPAD の基礎になっています。
PRSP を作成し、8 ヶ国が正式な PRSP を作成しました。すで
NEPAD は、貧困削減に対するアフリカ地域のアプローチ
を拡大しました。2001 年 7 月にアフリカ諸国の元首が採択し
にいくつかの重要な教訓が得られました。第 1 に、PRSP アプ
た独自のフレームワークは、成果を上げる一次的責任はアフ
程度行われているかということは各国で異なりますが、PRSP
リカ地域の各国政府とその国民にあることを認めています。
プロセスは、開放性、透明性及び参加が何故必要なのかを明
ローチの原則は急速に根付いています。効果的な参加がどの
また同フレームワークは、開発を推進する上でのガバナンス、
確にしました。第 2 に、シビルソサエティの努力により、多
参加、市場拡大及び民間セクターのイニシアティブの重要性
くの場合、PRSP の内容が改善されました。特に、社会的疎
を強調しています。21 ヶ国の代表者が参加した 2002 年 3 月
外や不公平なガバナンスの問題に関心が集まりました。32 の
の会議では、8 つの行動基準案が策定されると共に、アフリ
低所得国の予算を分析した結果、正式な PRSP を作成した国
カ地域の各国による相互評価制度が確立されました。2002
では、1999 年から 2001 年にかけて基本的な社会事業に対す
年 4 月の会議では、開発への民間セクター資金の活用の問題
る歳出が大幅に増加していることが分かりました。
実な施策を講じている国々を支援するものです。
コンゴは、経済の安定化、及びエイズなどの緊急
の問題への取り組みに対する支援として、5,000 万
ドルのグラントの供与を受けました。また世銀は
紛争復興問題への取り組みを改善するために業務
進行表を作成しました。
貧しい人々に対するエンパワーメント
依然として、アフリカの人々の多くは安全な飲料水を利用することが
できません。これは、ガーナの水汲み場の女性を写したものです。
世銀はアフリカ地域ではキャパシティ・ビルデ
ィングと制度の強化のための活動を支援していま
す。世銀はハラレのアフリカ・キャパシティ・ビ
ルディング財団を通じて支援を行っています。世
銀はこの財団に対して、その活動を支援するため
に複数年分として1 億5,000 万ドルの融資を行うこ
とを承認しています。さらに世銀はアフリカ地域
の専門家の間での知識と経験の共有を推進してい
ます。
投資環境の構築
世銀は IDA-12 に基づくグラント・ファシリテ
ィを活用して、紛争から抜け出したアフリカ諸国
に対する支援を拡大しました。このグラント・フ
ァシリティは、社会的・経済的な回復に向けて着
86
世界銀行年次報告書 2002
グローバルレベルの優先事項
伝染病
保健問題―特にエイズなどの伝染病―は、
アフリカ地域の開発において大きな問題となって
図 5.1 アフリカ地域:
IBRD と IDA のテーマ別の融資額、2002 年度
総融資額 38 億ドルに占める割合
環境・天然資源管理 4%
農村開発 9%
経済政策 4%
図 5.2 アフリカ地域:
IBRD と IDA のセクター別の融資額、2002 年度
総融資額 38 億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 3%
農業・漁業・林業 6%
運輸
13%
公共セクター運営
22%
法律・司法・行政
24%
都市開発 7%
エネルギー・鉱業
13%
法規
1%
人的開発
19%
社会開発・ジェンダー・参加 9%
社会的保護・リスク管理 3%
情報・通信 1%
産業・貿易 7%
金融・
民間セクター開発
21%
教育 12%
保健・その他社会事業 16%
金融 5%
貿易・統合
1%
います。世銀はアフリカ地域におけるエイズとの
闘いのために10億ドルの融資を行うことを承認し
ました。そして、16ヶ国に対し、5億5,250 万ドル
の融資が承認されました。他の15 ヶ国でも、プロ
ジェクトの作成が進められています。エイズの拡
散が続いているために、アフリカ地域の平均寿命
の延びが帳消しになりつつあります。エイズによ
って、すでに1,800 万人を超えるアフリカ人が死亡
しています。2002 年度には、世銀はより多くの
国々と、より多くの地域エイズ・プログラムに支
援を行いました。また世銀は初めて、複数国によ
るエイズ・イニシアティブを支援しました。この
イニシアティブは、コートジボワール、ガーナ、
トーゴ、ベナン及びナイジェリアを通過するアビ
ジャン=ラゴス回廊などの交通ルートを対象にし
ています。世銀は「オンコセルカ症抑制プログラ
ム」や「マラリア撲滅キャンペーン」などの地域
プログラムにも支援を行っています。
貿易と統合
アフリカの地域統合は、投資家と企業家により
大きな機会を提供できる大規模経済地域の創出の
ための 1 つのアプローチと考えられています。世
銀は統合市場を創出するための活動、及び地域共
通の問題に取り組むための協力強化を目的とした
イニシアティブ―「ナイル川流域イニシアティ
ブ」など―を支援しています。2002 年度には、
IDAから融資を受けた「西アフリカ経済・通貨同
盟」の決済システムを改善するための 940 万ドル
のプロジェクトや東アフリカ地域の 500 万ドルの
貿易促進プロジェクトが稼動しました。
世銀はドーハ閣僚会議を踏まえた一層公平な貿
易システムを擁護すると共に、先進国に対して、
アフリカ地域の産品に対する市場開放度を段階的
に高めるよう強く要請しています。また世銀はア
フリカ諸国に対し、貿易交渉に関連する技術支援
を提供しました。
第5章
地域別展望
87
表 5.1 アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資、1993 ∼ 2002 年度
(単位 100 万ドル)
1993–97
1998–99
(年平均) (年平均)
テーマ別
経済政策
公共セクター運営
法 規
金融・民間セクター開発
貿易・統合
社会的保護・リスク管理
社会開発・ジェンダー・参加
人的開発
都市開発
農村開発
環境・天然資源管理
テーマ別総額
セクター別
農業・漁業・林業
法律・司法・行政
情報・通信
教 育
金 融
保健・医療・その他社会事業
産業・貿易
エネルギー・鉱業
運 輸
給水・衛生・治水
セクター別総額
2000
2001
2002
165.9
317.6
42.1
564.6
158.4
67.4
145.9
256.3
319.1
237.9
201.0
165.0
291.7
21.0
509.0
120.5
117.2
167.6
267.7
253.8
393.6
156.0
78.2
495.3
26.7
466.7
53.7
140.5
210.5
208.5
154.9
151.8
172.4
138.5
429.6
34.0
625.8
261.5
376.4
491.8
399.4
206.1
296.3
110.0
138.7
851.9
22.5
780.7
46.4
98.3
347.4
739.0
279.6
329.2
159.9
2,476.0
2,463.2
2,159.1
3,369.6
3,793.5
164.1
551.4
19.2
223.5
172.0
240.1
317.1
269.3
376.1
143.1
170.0
610.9
36.7
304.4
53.7
273.6
94.3
244.0
533.5
142.0
111.5
834.9
17.3
189.8
121.7
183.1
104.7
176.3
263.9
155.9
212.0
880.8
21.1
209.5
200.1
889.9
170.6
198.0
229.8
357.8
210.4
906.9
33.8
472.6
192.8
616.6
266.7
490.3
491.1
112.2
2,476.0
2,463.2
2,159.1
3,369.6
3,793.5
62.3
2,413.7
31.2
2,432.0
97.6
2,061.5
0.0
3,369.6
41.8
3,751.6
うち、
IBRD融資額
IDA融資額
注:新たなテーマ・セクター分類システム(68 テーマ、57 セクター)に従って、融資を 11 の主要テーマと 10 の主要セクターに分けて示した。
「アフリカ地域に対する複数国エイ
30 頁の表 2.2 を参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。2002 年度においては、
ズ・プログラム」のフェーズⅠ(2001 年度に 5 億ドルが承認された)とフェーズⅡ(2002 年度に 5 億ドルが承認された)に基づいて、世銀は
9 件のプロジェクト(IDA の新規融資承認総額: 2 億 6,230 万ドル)を承認した。
88
世界銀行年次報告書 2002
世銀融資適格国:
東アジア・大洋州地域
2001年には、東アジア・大洋州地域は世界経
済の減速による大きな影響を受け、前年に 7%
を超えていた経済成長率は 5%未満に低下しま
した。しかし2002 年初めには、同地域の経済は
急速かつ力強く回復しています。これは米国な
どの主要輸出市場の回復が予想以上に順調であ
ることと、地域の民間消費支出が堅調であるこ
とによるものです。輸出と内需の増加に支えら
れたバランスの取れた景気回復が見込まれま
す。インドネシア、フィリピン及びタイにおけ
る政権交代によって、政府の機能が強化され、
国民の信頼が高まったことで、これらの国々の
政治情勢は安定化しました。中国では力強い経
済成長が続いていることを受けて、2002 年の最
初の数ヶ月間で輸入は約 10%増加しました。中
国は、地域各国にとって大きな輸出市場となっ
ています。世界貿易機関(WTO)加盟による
好影響、制度改革プログラムの積極的な実施、
及び中国が地域における貿易と投資の重要セン
ターになりつつあることなどの要因を考慮する
と、中国経済の見通しは明るいと思われます。
2001年の世界経済の減速は、東アジア・大洋
州地域の貧しい人々にはほとんど影響を与えま
せんでした。その理由は、経済成長率が大きく
低下した国は、元々貧困率が低い国だからで
す。地域の大半の貧しい人々が集中している中
国及びその他の移行経済国では、経済成長率が
高水準に維持されたために、所得格差の拡大は
起こりませんでした。しかし、1990 年代半ば以
降の貧困削減率が長期的に低下している問題に
対処するため、かつ東アジア地域の各国が
MDGs を達成できる可能性を維持するために
は、地域の持続可能な景気回復が不可欠です。
該借入国の貧困削減を支援することです。戦略
的な提携やパートナーシップは、このアプロー
チの有効性を高める上で大きな役割を果たして
います。2002年度には、世銀は政策助言サービ
スや技術支援に加えて、約27 のプロジェクトを
対象として、約18億ドルの新規融資を承認しま
した。世銀援助の戦略上の重点は、投資環境の
構築、公共セクターのガバナンスの改善、貧し
い人々への投資とこれらの人々のエンパワーメ
ント、及び環境保護に置かれています(囲み5.2
を参照)
。
東アジア・大洋州地域を担当する職員の約半
数及びすべての国別担当局長は現地に駐在して
おり、同地域の援助の有効性が高水準に保たれ
ています。世銀は従来に増して借入国の地方自
治体レベルでの援助を重視しています。この手
法により、国レベルでの改革の浸透率が高まり
インドネシア
大韓民国
カンボジア
キリバス
サモア
ソロモン諸島
タイ
中国
トンガ
バヌアツ
パプアニューギニア
パラオ
フィジー
フィリピン
ベトナム
マーシャル諸島
マレーシア
ミクロネシア連邦
ミャンマー
モンゴル
ラオス人民共和国
この項では、東ティモー
ルについても報告する。
囲み 5.2 東アジアにおける、地域レベル、国レベル
及び地方レベルでの貧困削減戦略
カンボジア、東ティモール、ラオス、インドネシ
ア、モンゴル及びベトナムでは、国が責任を持つ
PRSP を作成するプログラムが進められています。各
国政府は、参加型の貧困状況評価、シビルソサエテ
ィとの協議、及びドナー・パートナーとの調整を活
用して包括的戦略を主導的に策定します。これらの
国々の PRSP チームは、最近、相互の経験を共有する
ことを目的として、世銀、アジア開発銀行 UNDP が
ハノイで共催した会議に出席しました。フォローア
ップ・セッションでは、ジェンダー問題を貧困削減
戦略に統合することに関する相互の経験の共有が行
われました。ベトナムでは、地方自治体と地域社会
が、世銀と英国の国際開発省( DfID )の支援を得
て、独自の目標と MDGs を達成するためのアクショ
世銀の援助
世銀の主目的の 1 つは、借入国の開発ニーズ
を重視した国別援助戦略(CAS)を活用して、当
ン・プランを主導的に策定しています。モンゴルと
ラオスでは、世銀は貧困削減に対する予算措置を強
化することを目的として、公共支出、財政管理及び
調達について評価作業を行っています。
第5章
地域別展望
89
東アジア・大洋州地域のファクト・シート
総人口: 18 億人
人口増加率: 1%
平均寿命: 69 歳
乳幼児死亡率(1,000 人あたり): 36
若い女性の非識字率: 4%
2001 年の一人あたり国民総所得(GNI): 900 ドル
エイズ感染者数: 100 万人
注:平均寿命、乳幼児死亡率(1,000 人あたり)及び若い女性の非識字率は、2000 年
の「世界開発指標」データベース、その他の指標は 2001 年の同データベース。
現在は、国民総生産(GNP)の代わりに、国民総所得(GNI)が使用されています。
2002 年度の
新規融資承認総額
IBRD : 9 億 8,240 万ドル
IDA : 7 億 9,120 万ドル
2002 年度の
融資実行総額
IBRD : 28 億 4,640 万ドル
IDA : 7 億 4,510 万ドル
2002 年 6 月 30 日現在において実施中の
プロジェクトのポートフォリオ: 259 億ドル
進める必要があります。世銀はモンゴルを対象と
して法律改正融資を準備している他、ベトナムを
はじめとする多くの国を対象として法律関連ニー
ズの評価作業を行っています。中国に対し世銀は
金融セクター改革、中小企業(SME)への金融サー
ビスの提供、国債市場の開発、及び証券市場規制
―中国の世界貿易機関(WTO)加盟により、
この改革が緊急に求められている―などに関す
る技術支援を提供しています。
東アジア・大洋州地域の競争力の向上とハイテ
ク問題への対処を支援するため、世銀は情報イン
フラ、技術革新・適合及び技能開発を対象として
融資を行っています。世銀はグローバルな「ディ
ベロップメント・マーケットプレイス」― NGO、
企業及び政府による、競争促進と革新のための独
創的なパートナーシップ―の一環として、各国
の「イノベーション・デイ」を支援しています。
タイでは、世銀は農村部での情報サービスの利用
機会を拡大して、都市部と農村部の間のデジタ
ル・ディバイドを是正することを目指した16 の案
件に対して融資を行っています。新たな報告書で
は、韓国で実施された本格的な改革と、これが公
共政策に与えた影響を分析しています。世銀は低
所得地域の住民の市場利用機会を改善する方法を
探究することを目的として、カンボジア、中国の
未開発地域、ラオス、モンゴル及びベトナムの輸
送・物流ネットワークの評価作業を実施しまし
た。
公共サービスとガバナンスの改善
中国の寧夏回族自治区の学校で、少女が学んでいるところです。この
村は、「チンバ山脈貧困削減プロジェクト」―中国政府が基礎教育の
質と就学率を改善するのを支援するもの―の対象になっています。
ます。また世銀がこの手法を採用したのは、地方
自治体が自らの責任で管轄地域内でのサービスの
提供と資金調達を行う傾向が強まっていることを
考慮した上でのことです。フィリピン政府の歳出
の 40%、タイ政府の歳出の 35%(2006 年目標)、
及びインドネシア政府の歳出の 25%は、地方自治
体を経由して行われていると推定されます。
投資環境の構築
国内企業を活性化し、民間セクター資金の流入
額を拡大するためには、投資環境の改善を一段と
90
世界銀行年次報告書 2002
ガバナンスに関しては、世銀は権限委譲、地方
自治体のためのキャパシティ・ビルディング、公
共セクターの透明性と説明責任の改善、及びプロ
ジェクトの設計と実施に際しての関係者の参加推
進に重点を置いています。中国とインドネシアで
は、地方自治体による公共支出に対する評価作業
が行われています。タイでは、「ガバナンス改善
のための国別開発パートナーシップ」を通じて、
行政サービスを改善し、政府の意思決定プロセス
を強化し、かつ説明責任と透明性を改善すること
を目指した同国政府の施策を支援しています。
中国では世銀は政府と協力して、不正や汚職を
防止する対策を導入するなど、財政省の競争入札
ガイドラインの改定に取り組んでいます。また世
銀は、世銀プロジェクトに関する安全対策を講
じ、かつ新たな入札法の中に新たな調達手続を規
定することによって、調達の透明性の改善を支援
しています。新たな調達フレームワークに従って、
官僚とプロジェクト担当者にトレーニングが行わ
図 5.3 東アジア・大洋州地域:
IBRD と IDA のテーマ別の融資額、2002 年度
総融資額 18 億ドルに占める割合
図 5.4 東アジア・大洋州地域:
IBRD と IDA のセクター別の融資額、2002 年度
総融資額 18 億ドルに占める割合
経済政策 1%未満
農業・漁業・林業 9%
公共セクター運営 7%
給水・衛生・治水 2%
環境・天然資源管理 6%
法規 1%
運輸
30%
情報・通信 1%
農村開発
20%
都市開発
4%
人的開発
13%
社会開発・ジェンダー・参加 10%
法律・司法・行政
6%
教育 8%
金融・
民間セクター開発
29%
金融 12%
貿易・統合 2%
社会的保護・リスク管理 8%
れました。世銀は新たなガイドラインが実施され
た後に、調達後検査を約30回実施しました。また
世銀はバンコク、ジャカルタ、マニラ及びシンガ
ポールにおいて、「グローバル遠隔研修ネットワ
ーク」を活用して、政府とシビルソサエティの関
係者を対象とした汚職防止アプローチに関するワ
ークショップを開催しました。
東ティモールを対象とした「地域社会への権限
付与と地方自治体のガバナンスに関するプロジェ
クト」では、400 の村落開発協議会が設立されま
した。このプロジェクトは、800 を超える小規模
プロジェクトに資金を拠出しています。ベトナム
では、2002 年度には、次の 2 つの案件に関する国
際開発協会(IDA)融資協定書が承認されました。
①979 の貧しい地域社会の貧困削減を推進するた
めの地域社会主導の参加型プロジェクト。
②農村部の道路と市場、灌漑・給水、及び基礎的
な教育と保健・医療に投資を行い、かつ地域社
会の開発に必要な資金を融資することによって
340 万人の貧しい人々を支援する地域社会主導
の参加型プロジェクト。
この 2 つのプロジェクトは、貧しい人々と地域社
会のニーズを反映して策定されたものです。
脆弱性の緩和、
及び貧しい人々への経済成長の配分
世銀の戦略は、セーフティネットの支援や危機
的状況の評価から、家計が社会的リスクを管理す
るのを支援し、かつ貧しい人々が経済成長の便益
を享受できるよう、社会政策フレームワークを重
視する方向に変化しました。社会的プログラム
は、効率性、透明性及び有効性を改善するため
エネルギー・鉱業
18%
保健・
その他社会事業 14%
産業・貿易 1%
に、地域社会に対するエンパワーメントアプロー
チ並びに需要立脚型アプローチを重視していま
す。中国では、世銀は英国政府の国際援助機関の
イギリス国際開発省(DfID)と画期的なパートナ
ーシップを組んで、中国が国民全体の 90%以上を
対象として直接観察治療短期コース(DOTS)を
実施し、かつ 200 万人の患者を治療することによ
って、結核(TB)に関する同国の目標を 2005 年
までに達成するのを支援するための TB 抑制プロ
ジェクトに対する融資を開始しました。
世銀は特に貧しい地域に対しても支援を行って
います。インドネシアでは東部の未開発地域の道
路状況を改善するために、地域輸送プロジェクト
が東部の島々の15地域を対象として実施されてい
ます。ベトナムでは「農村電化プロジェクト」は、
32の地域と671の地域社会―このうちの3 分の1
は最も貧しい地域に指定されている―に居住す
る 200 万人に電力を供給することを目指していま
す。中国では、特に貧しい地域の 1 つである寧夏
に、知識共有を図るために「グローバル遠隔研修
センター」が開設されました。
環境保護
世銀はカンボジア、ラオス及びベトナムにおい
て、貧困と環境の関連性についての研究に資金を
提供しています。世銀は地球環境ファシリティー
(GEF)とのパートナーシップに基づいて、パプ
アニューギニアの森林保全プロジェクトに融資を
行っています。東アジア・大洋州地域における主
要国の人口の半数が都市部に居住しているため
に、都市部の大気と水質の汚染は極めて深刻な問
題になっています。世銀は環境インフラに対する
第5章
地域別展望
91
表 5.2
東アジア・大洋州地域に対するテーマ別、セクター別融資、1993 ∼ 2002 年度
(単位 100 万ドル)
1993–97
1998–99
(年平均) (年平均)
2000
2001
2002
テーマ別
経済政策
公共セクター運営
法 規
金融・民間セクター開発
貿易・統合
社会的保護・リスク管理
社会開発・ジェンダー・参加
人的開発
都市開発
農村開発
環境・天然資源管理
40.6
239.9
85.2
1,476.8
193.3
165.0
163.1
420.9
702.9
851.6
1,177.6
280.0
543.1
19.2
4,441.8
333.2
708.4
273.5
406.1
900.8
855.6
932.4
0.0
556.2
9.3
627.6
36.2
55.2
72.1
81.1
230.6
430.3
880.4
0.0
65.1
3.8
310.9
40.0
239.4
248.0
52.6
433.1
341.6
399.3
4.8
127.4
20.3
512.8
43.3
136.6
173.0
226.4
63.6
363.1
102.3
テーマ別総額
5,516.8
9,694.2
2,979.1
2,133.8
1,773.6
セクター別
農業・漁業・林業
法律・司法・行政
情報・通信
教 育
金 融
保健・医療・その他社会事業
産業・貿易
エネルギー・鉱業
運 輸
給水・衛生・治水
472.4
398.9
150.9
426.4
253.2
248.3
274.2
1,502.5
1,162.8
627.1
803.8
1,066.5
51.9
411.6
3,180.8
581.6
1,569.8
517.0
1,133.3
377.9
118.4
590.3
20.0
84.4
36.3
118.4
28.8
640.5
584.4
757.7
109.7
255.3
12.5
14.8
89.6
217.3
151.8
142.2
729.7
410.8
151.2
115.2
11.1
134.6
219.2
243.8
9.4
314.5
540.2
34.4
セクター別総額
5,516.8
9,694.2
2,979.1
2,133.8
1,773.6
4,389.6
1,127.3
8,800.9
893.3
2,495.3
483.8
1,136.1
997.7
982.4
791.2
うち、
IBRD融資額
IDA融資額
注:新たなテーマ・セクター分類システム(68 テーマ、57 セクター)に従って、融資を 11 の主要テーマと 10 の主要セクターに分けて示した。
30 頁の表 2.2 を参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。
投資と政策助言サービスを通じて、これらの問題
に取り組んでいます。衛生分野では、世銀は独立
した上下水処理会社の設立、及び上下水料金と汚
染課徴金の設定を支援しています。この上下水料
金と汚染課徴金は、排水を削減し、かつこの事業
の持続可能性を確保するために、操業と保守に必
要な資金を調達するのが目的です。世銀が支援す
る汚染対策投資は、その大半が水質汚染の軽減に
92
世界銀行年次報告書 2002
向けられています。また世銀は農村開発と土地管
理を支援しています。2002 年度に承認されたカン
ボジアの土地管理プロジェクトは、同国政府が土
地関連の政策と規制を策定し、かつ所有権確定プ
ログラムを確立するのを支援するものです。この
プログラムに基づいて、約 100 万人が土地所有権
証書を入手することが見込まれています。
世銀融資適格国:
南アジア地域
南アジア地域は、政治、宗教、民族及び言語
の面で大きな多様性を抱えています。人口14 億
人を有する同地域は、貧しい人々の数が世界で
最も多いことに加えて、女性に関する指標な
ど、一部の人的開発指標が最も悪くなっていま
す。同地域の経済と社会の発展は、世界全体に
とって、かつミレニアム開発目標(MDGs)の
達成にとって重要です。同地域全体の経済成長
率は、過去 10 年間では約 5 ∼ 6%、2001 年では
5.4%と、かなり高い水準にあります。しかし、
この経済成長率は、同地域の潜在成長率を下回
っています。同地域の 8 ヶ国のそれぞれの経済
成長率は大きく異なっています。これら 8 ヶ国
は、経済の競争力を高め、かつ世界経済との統
合を推進することによって経済成長率と人的資
源開発を加速すると共に、特に貧しい人々に対
する保健・医療と教育サービスの提供を拡大す
るという共通の課題を抱えています。
2002年度においても、南アジア地域は、アフ
ガニスタンの開放、インドとパキスタンの緊張
関係の悪化、及び和平プロセスの開始が見込ま
れることによるスリランカの平和回復の期待な
ど、様々な出来事による影響を受けました。バ
ングラデシュでは、総選挙で新政権が誕生しま
した。これは、選挙民が変革と公正な政府を強
く求めた結果であると解釈されています。ネパ
ールでは、毛沢東主義を標榜する反政府ゲリラ
が当初の対話による解決の期待を打ち砕く行動
に出た結果、同国に対する外国からの投資に悪
影響が生じました。
南アジア地域では、同地域の貧困の状況につ
いて盛んに議論が行われています(囲み5.3 を参
照)。貧困の割合は、1980 年代半ばには各国で
40%を超えていましたが、現在では、インドで
25%程度、バングラデシュ、ネパール及びパキ
スタンで 30%強にまで低下したと推定されてい
ます。しかし、ネパールとパキスタンでは、過
去10年間、貧困率の停滞もしくは上昇を示す兆
候もあります。また、貧困との闘いでは、保
健・医療と教育に関する指標も重要です。南ア
ジア地域では、女性―特に不利な状況におか
れている女性―に関するこれらの指標は低水
準にとどまっています。
囲み 5.3
アフガニスタン
インド
スリランカ
ネパール
パキスタン
バングラデシュ
ブータン
モルディブ
貧困削減
インドには、世界中の貧しい人々の 3 分の 1 が集中
しています。したがって、人口が 10 億人を超えるイ
ンドにおいて貧困を削減することは、世界的にも重要
な課題です。インドに対する世銀の現在の CAS では、
経済成長を可能にする環境の整備、並びに、貧しい
人々に便益を与えるための援助―保健・医療、教育、
農村開発、及び貧しい人々の経済的機会の拡大など―
の両方が重視されています。
現在、貧しい人々に便益を与えるための援助の内容
を決定することを目的として、貧困分析プログラムが
実施されています。同プログラムには、国・州レベル
での貧困評価、及び社会事業の利用状況と貧困水準の
変化を調査するための技術支援が含まれています。
2002 年 1 月、インドの計画委員会と世銀は、インド
内外の専門家を集めて、貧困の測定方法及び家計調査
で収集する情報の精度を改善する方法を議論しまし
た。インド政府は世銀に対し、インドの国家統計委員
会が同国の統計システムの近代化に関して行った様々
な提言を実施に移すためのプロジェクトの策定の支援
を要請しました。
第5章
地域別展望
93
南アジア地域のファクト・シート
総人口: 14 億人
人口増加率: 1.8%
平均寿命: 62 歳
乳幼児死亡率(1,000 人当たり): 73
若い女性の非識字率: 40%
2001 年の一人当たり国民総所得(GNI): 450 ドル
HIV/エイズ感染者数: 560 万人
注:平均寿命、乳幼児死亡率(1,000 人当たり)及び若い女性の非識字率は、2000 年
の「世界開発指標」データベース、その他の指標は 2001 年の同データベース。
現在は、国民総生産(GNP)の代わりに、国民総所得(GNI)が使用されています。
2002 年度の
新規融資承認総額
IBRD : 8 億 9,300 万ドル
IDA : 26 億 1,540 万ドル
2002 年度の
融資実行総額
IBRD : 9 億 870 万ドル
IDA : 24 億 8,360 万ドル
2002 年 6 月 30 日現在において実施中の
プロジェクトのポートフォリオ: 172 億ドル
カでは、世銀のプログラムは政策対話を重視した
ものとなりました。
アフガニスタンが紛争国から融資対象国に転換
したことを受けて、世銀職員は集中的に同国に対
する援助に取り組みました(囲み5.4 を参照)
。
インドに対する融資は、すべてのセクターにお
いて分析作業に基づいて行われています。2002年
度には、世銀は輸送・保健セクターに関する報告
書を提出し、これに基づいて、国・州当局との間
で協議が行われました。難しい課題を抱えている
電力セクターの改革では、オリッサ州などの経験
と国際的な経験が活用されました。
パキスタンは、包括的な改革プログラムを実施
してから 3 年目に入りました。このプログラムは、
低迷する経済活動を活性化し、かつ同国の制度に
対する信頼性を回復することを目的としています。
投資環境の構築
2002 年 6 月に承認された「アフガニスタン緊急教育復興・開発プロジ
ェクト」は、学習と技能開発に関する全国的な計画を重視しています。
世銀の援助
世銀は、南アジア地域に関しては、財政再建・
民営化・貿易自由化及び金融改革、公的機関の透
明性・有効性及び説明責任の改善、貧しい人々に
対するサービスの拡大の支援など持続可能な改革
に対する援助に引き続き重点を置きました。
世銀融資は、報告書、ワークショップ、政策覚書
及び政策対話などの形態で行われる広範な分析プ
ログラムに基づいて行われています。
2002年度の融資額は35 億ドルに上りました。世
銀融資は、農業、保健・医療、教育及びインフラ
などの分野における改革と投資の推進に対して集
中的に行われました。バングラデシュとスリラン
94
世界銀行年次報告書 2002
南アジア地域に関しては、世銀は、健全な投資
環境を構築することに高い優先順位を置いていま
す。インドとパキスタンでは、企業を対象として
投資環境調査が行われました。この調査により、
投資家の立場からみた民間投資上の主要な制約が
明らかになりました。パキスタン及びインドの州
政府(カルナタカ州とアンドラプラデシュ州)に
対する構造調整融資は、財政の持続可能性の回
復、公共支出管理の改革、及び公的資金の使用と
社会事業の実施の際の効率性を高めるための政府
機能全体の改善などを推進する政策改革を支援す
るものでした。
世銀は、経済の生産性の改善、及び貧しい人々の
市場利用機会の改善とこれらの人々への基礎的サ
ービスの提供を通じて貧困を削減するためには、
道路の建設は大変重要であると考えています。イ
ンドとネパールのインフラプロジェクトでは、輸
送・通信コストを削減する上で絶対的に必要な投
資が行なわれています。インドでは、3 つのプロ
ジェクト―ケララ州輸送プロジェクト(IBRD:2
億 5,500 万ドル)、ミゾラム州道路輸送プロジェク
ト
(IDA:6,000 万ドル)、ムンバイ都市輸送プロジ
ェクト(IBRD : 4 億 6,300 万ドル、IDA : 7,900 万
ドル)―が実施されています。ネパールでは、電
気通信セクター改革プロジェクト(2,260 万ドル)
が実施されています。インドの場合、輸送セクター
報告書は、世銀が現在の幹線道路支援策と今後の
施策を策定するための基礎になっています。
南アジア地域では、電力セクターの改革が特に
重要です。ほとんどすべての国々(特に、バングラ
デシュ、インド及びパキスタン)では、電力セクタ
ーに対する補助金が財政不均衡の最大の原因とな
っています。国・州レベルでの財政の均衡を回復
し、かつ絶対的に必要なインフラ投資と社会事業
に資金を振り向けるためには、電力セクター補助
金の削減が極めて重要です。また、電力供給が不安
定であることは、民間セクターによる投資と事業
にとって大きな制約となっているだけでなく、農
村部の雇用と発展の可能性を引き下げています。
パキスタンでは、規模が大きくなった新たな世
銀プログラムは、分析・助言サービス、対話及び
融資(2002 年度は 8 億ドルで、この中には金融セ
クターに対する 3 億ドルの融資が含まれている)
を通じて、制度改革を支援しています。この制度
改革では、財務管理、権限委譲、税制改革、中央
銀行の再編及び汚職防止に重点が置かれていま
す。これらの課題はすべて、パキスタンによる貧
困削減戦略の今後 3 年間の実施を支援する CAS
(2002年6月に世銀理事会に提出された)の中に明
記されているものです。
囲み 5.4
移行期のアフガニスタン
タリバン政権が崩壊し、国連の仲介でアフガニスタン
暫定行政機構が樹立された後、最も緊急に必要とされた
のは、持続可能な安全保障の仕組みの構築、及びアフガ
ニスタンの女性及び男性を経済・社会の再開発プロセス
に組み込むことでした。
2001 年 11 月、イスラマバードにおいて、世銀、その
パートナー、UNDP 及びアジア開発銀行の共催で、アフ
ガニスタン復興準備会議が開かれました。この会議によ
り、東京で開催される国際ドナー会議の準備として、合
同暫定ニーズ調査を早急に実施するための合意が成立し
ました。この国際ドナー会議では、戦争で荒廃したアフ
ガニスタンの復興資金として、すべてのドナーが 45 億
ドルを超える資金を供与することが決定されました。そ
の後、世銀理事会は、アフガニスタンの復興は何よりも
まず、アフガニスタン人自らの手で行われるべきである
との指導原則に従って、4 つの緊急プロジェクトを承認
しました。この 4 つのプロジェクトは、流入する資金を
透明性と説明責任を持って管理すること、教育やインフ
貧しい人々のエンパワーメント
南アジアに関しては、分析・助言サービスと融
資を通じて、貧しい人々へのエンパワーメントを
推進することが重要な目標になっています。バン
グラデシュ、インド及びパキスタンで実施された
貧困状況調査によって、最近の貧困の傾向とその
理由に対する理解が高まっています。インドで
は、世銀の今後の援助は保健報告書の指摘事項に
基づいて決定されることになります。まず手始め
に、ラジャスタン州に対する「保健制度開発プロ
ジェクト」が準備されています。
地域社会の組織化、貧しい人々の経済機会の拡
大、及び社会事業とインフラを貧しい人々が利用
する機会の拡大を支援するため、世銀は、インド
では次のような地域社会主導型プロジェクトに融
資を行いました。「カルナタカ州溜池管理プロジ
ェクト」(IDA : 9,900 万ドル)、「ラジャスタン州
給水セクター再編プロジェクト」(IDA : 1 億
4,000万ドル)
、
「ウッタルプラデシュ州給水セクタ
ー再編プロジェクト」(IDA : 1 億 4,920 万ドル)、
「第 2 次カルナタカ州農村給水・衛生プロジェク
ト」
(IDA:1億5,160万ドル)。
教育分野では、2002 年 3 月に承認された IDA 融
資(1 億 2,090 万ドル)の第 2 段階の援助を受けた
奨学金給付プログラムによって、バングラデシュ
の少女の就学率が改善しています。またアフガニ
スタンでは、女性と少女(特に戦争未亡人や読み
書きのできない若い女性など、機会に恵まれない
グループが中心)を対象とした技能開発プログラ
ラの迅速な改善のための様々な活動、及び地域社会の参
加などに対する支援に重点を置いたものでした。
IDA は、グラントとして、合計 1 億ドルの援助を行い
ました。世銀による援助再開は、2002 年 4 月 4 日に理事
会で承認された「移行支援戦略」に基づいて行われまし
た。また、世銀は、「アフガニスタン復興基金」も管理
しています。2002 年 4 月、ドナーと国際機関はカブー
ルで会議(アフガニスタンの財務省が議長を務めた)を
開き、アフガニスタン暫定行政機構の「国家開発フレー
ムワーク」と 2002 年度予算に必要な資金額などを討議
しました。
ムに対して、1,500 万ドルのグラントが供与されて
います。
パキスタンでは、過去 5 年間、貧困状況調査と
政府の暫定的な I-PRSP によって、貧困削減のた
めの戦略的優先事項に対する重点的な取り組みが
行われました。貧困状況調査は、1990年代の貧困
の傾向を明らかにしました。また、パキスタンの
暫定的な I-PRSP は、世銀理事会から、貧困削減計
画の模範になるものであるとして賞賛されました。
第5章
地域別展望
95
グローバル・レベルの優先事項:伝染病
インドでは、保健分野では水に関連した病気が大きな問題になってい
ます。女性と子供にとっては、毎日の水汲みは辛く、時間もかかる労働
です。2002 年度には、IDA は、インドの給水セクターの 4 プロジェクト
に対し、総額 4 億 5,000 万ドルの無利子融資を行いました。
図 5.5 南アジア地域: IBRD と IDA のテーマ別の
融資額、2002 年度
総額 35 億ドルに占める割合
環境・天然資源管理 8%
経済政策
7%
図 5.6 南アジア地域: IBRD と IDA のセクター別の
融資額、2002 年度
総額 35 億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 4%
公共セクター運営
19%
農村開発 12%
南アジア地域のエイズ感染者は420万人で、感染
率は低いものの、大きなリスクが残されています。
南アジア地域の各政府は、早期の対応(インドは
1992 年に開始)が有効であることを認識し、予防、
リスクの高い年齢層の保健意識の高揚、感染率の
低下、及び(やや躊躇が見られるものの)治療に重
点を置いて、国民の保健に関する政策を立案して
います。世銀は、分析・助言サービスと融資によっ
て上記のプロセスを支援しています。現在実施中
の HIV/エイズ対策プロジェクトに対する融資は、
3 億2,670 万ドルに上っています。また、パキスタン
とスリランカに対しては、新たなプロジェクトが
提案されています。現在では、南アジア地域のネパ
ールとアフガニスタンを除くすべての国々は、強
固な国家プログラムを確立しています。ネパール
では、国家プログラムの実施規模は小さく、資金も
不十分です。アフガニスタンでは、これから状況を
調査する必要があります。世銀から援助を受けた
HIV/エイズ対策プロジェクトは、インドとバング
ラデシュの2ヶ国で実施されています。インドでは
世銀から 1 億 9,100 万ドルの融資を受けて、
「第 2 次
全国エイズ抑制プロジェクト」が実施されており、
バングラデシュでは、IDA から 4,000 万ドル、英国
の DfID から 1,000 万ドルの融資を受けて、
「HIV/
エイズ予防プロジェクト」が実施されています。
パキスタンでは、世銀から一定の援助を受け
て、1989年以降、小規模な「全国エイズ抑制プロ
グラム」を実施しています。現在、同国政府は、
エイズの深刻性が増大していることを認識し、
「全国エイズ戦略フレームワーク」に基づいて上
記のプログラムを拡大しています。2002 年度に
は、世銀の分析に基づいてプロジェクトの作成が
進められました。スリランカ政府も、同様の方法
でプログラムを作成しています。
農業・漁業・林業 9%
法律・司法・行政
18%
運輸 22%
情報・通信
1%未満
法規 2%
金融・
民間セクター開発
11%
都市開発 22%
人的開発 1%
96
教育 3%
エネルギー・
鉱業 14%
金融 9%
貿易・統合 2%
社会的保護・リスク管理 5%
社会開発・ジェンダー・参加 12%
世界銀行年次報告書 2002
保健・その他社会事業 8%
産業・貿易 13%
表 5.3 南アジア地域に対するテーマ別、セクター別融資、1993 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
1993–97
1998–99
(年平均) (年平均)
テーマ別
経済政策
公共セクター運営
法 規
金融・民間セクター開発
貿易・統合
社会的保護・リスク管理
社会開発・ジェンダー・参加
人的開発
都市開発
農村開発
環境・天然資源管理
テーマ別総額
セクター別
農業・漁業・林業
法律・司法・行政
情報・通信
教 育
金 融
保健・その他社会事業
産業・貿易
エネルギー・鉱業
運 輸
給水・衛生・治水
セクター別総額
2000
2001
2002
45.2
40.0
33.5
735.4
25.6
166.1
360.1
385.3
181.6
354.6
419.7
85.3
254.9
89.1
639.2
84.5
162.8
328.9
627.5
297.1
377.0
266.8
35.2
212.7
56.5
265.4
29.4
168.0
261.5
276.2
300.7
426.1
80.8
47.4
261.0
36.1
865.9
398.3
118.4
240.5
124.8
186.8
379.5
587.8
232.5
678.0
59.3
381.6
70.0
164.0
414.2
30.2
766.2
417.2
295.2
2,747.2
3,213.2
2,112.4
3,246.6
3,508.4
305.2
247.9
4.7
280.8
205.3
489.5
173.1
482.5
269.4
288.9
534.4
436.3
35.3
385.1
168.2
589.3
68.3
545.9
354.1
96.4
65.0
407.0
54.6
171.4
46.0
393.3
85.3
277.8
590.6
21.4
116.1
377.4
17.7
206.4
209.7
188.1
34.0
746.2
1,294.3
56.8
328.1
632.5
12.4
95.9
310.0
278.7
443.1
504.8
758.1
144.9
2,747.2
3,213.3
2,112.4
3,246.5
3,508.4
998.4
1,748.8
1,034.0
2,179.3
934.3
1,178.1
2,035.0
1,211.5
893.0
2,615.4
うち、
IBRD融資額
IDA融資額
注:新たなテーマ・セクター分類システム(68 テーマ、57 セクター)に従って、融資を 11 の主要テーマと 10 の主要セクターに分けて示した。
30 頁の表 2.2 を参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。
第5章
地域別展望
97
世銀融資適格国:
アゼルバイジャン
アルバニア
アルメニア
ウクライナ
ウズベキスタン
エストニア
カザフスタン
キルギス共和国
クロアチア
グルジア
スロバキア共和国
スロベニア
タジキスタン
チェコ共和国
トルクメニスタン
トルコ
ハンガリー
ブルガリア
ベラルーシ
ボスニア・
ヘルツェゴビナ
ポーランド
マケドニア旧ユーゴ
スラビア共和国
モルドバ
ユーゴスラビア連邦
共和国
ラトビア
リトアニア
ルーマニア
ロシア連邦
※この項では、ユー
ゴスラビア連邦共
和国のコソボ自治
州についても報告
する。
ヨーロッパ・中央アジア地域
2001 年のヨーロッパ・中央アジア地域では、
トルコとマケドニアを除くすべての国々がプラ
スの経済成長率を達成しました。予想以上に長
かった「移行期不況」をようやく脱却したロシ
アとウクライナでは、経済成長率がそれぞれ5%
と 9.1%に達しました。独立国家共同体(CIS)
の加盟国全体の経済成長率は 6.6%でした。中
央・東部ヨーロッパ地域全体の平均経済成長率
は、3.5%となりました。しかし、トルコでは、
改革に対する市場の対応が予想以上に遅れたこ
とで、経済成長率は−6.5%になりました。
このように広い範囲で経済が成長したにも関
わらず、ヨーロッパ・中央アジア地域は、一人
当たり国民総所得(GNI)の点でも、世界経済
への統合の点でも、極めて多様です。一人当た
り GNI は、スロベニアの 10,070 ドルから、タジ
キスタンの 170 ドルまで様々です。各国の貧困
率は、現在は経済成長が続いた結果として総じ
て低下したとはいっても、人口の 5%未満から
50%超までのバラツキがあります。多くの国々
―特に中央ヨーロッパ地域の諸国とバルト諸
国―は、欧州連合(EU)への統合や世界経
済への統合、及び世銀融資適格国からの卒業に
向かって確固とした歩みを進めていますが、そ
の他の国々は長期に及ぶ緊張と、地理上の制約
に悩まされています。
世銀の援助
ヨーロッパ・中央アジア地域の多様性は、世
銀の援助プログラムの内容にも反映されていま
す。EU への加盟を希望している先行国との関
係が急速に変化していることに対処するため、
世銀は、これらの先行国に対する援助を段階的
に調整し、優先順位を付けるためのパートナー
シップ・フレームワークとして、「中央・東ヨ
ーロッパの地域 EU 加盟希望国に対する世銀グ
98
世界銀行年次報告書 2002
ループの援助に関するフレームワーク案」を策
定しました。南東ヨーロッパ地域に関しては、
世銀の地域戦略は、紛争後の安定化と復興に対
する援助から、構造改革と制度の構築に対する
援助へと変化してきました。ユーゴスラビア連
邦共和国では、世銀融資適格国の地位が回復さ
れたことを受けて、構造調整融資と投資融資が
順調に行われています。コソボ自治州に対する
世銀の紛争復興援助プログラムは、継続されて
います。IDA 融資適格国である CIS 加盟 7 ヶ国
―アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、
キルギス、モルドバ、タジキスタン及びウズベ
キスタン(CIS-7 と称されている)―は、二国
間ドナー、近隣諸国及び 4 国際金融機関(世銀、
IMF、欧州復興開発銀行(EBRD)及びアジア開
発銀行(ADB)
)と共に、開発・改革努力を強化
し、かつ、国際社会の参加を拡大することによ
って経済成長と貧困削減を加速することを目的
とした国際協力イニシアティブを確立しまし
た。トルコとウクライナに対する世銀援助の必
要性は高まってはいますが、ヨーロッパ・中央
アジア地域の主要国の改革がかなり進展してい
ることを受けて、世銀はロシアに対する分析・
助言サービスを強化しています。
2002 年度においても、ヨーロッパ・中央アジ
ア地域に対する世銀援助は、投資、政策改革、
移行経済と紛争から抜け出した国々が持続的な
経済成長と貧困削減を実現できるようにするた
めの制度構築、及び危機に見舞われたトルコに
対する構造改革プログラムの加速(囲み 5.5 を
参照)に重点を置いて行われました。同年度の
融資(4 件の特別融資を含む)は、55 億ドルに
達しました(IDA が 6 億ドル、IBRD が 49 億ド
ル)。ヨーロッパ・中央アジア地域に対しては、
総額3,100 万ドルの7 件の新規プロジェクトが承
認されたことで、GEFのポートフォリオは大幅
に増加しました。融資以外では、いくつかの主
な作業が完了しました。これらは、ヨーロッ
パ・中央アジア地域の移行経済国の経験に関す
ヨーロッパ・中央アジア地域のファクト・シート
る報告書、移行期の経済がジェンダーに与える影
響の地域的調査、及び EU への加盟が EU 加盟希
望国の財政に与える可能性のある影響についての
分析です。
投資環境の構築
ヨーロッパ・中央アジア地域の大半の国々は、
所得水準や物理的・人的資本の点で、相対的に恵
まれています。経済成長と貧困削減に対する最も
深刻な制約は、経済に関する意思決定のフレーム
ワークを歪めている政策と制度によるものです。
これは、ビジネス環境の比較評価にも現れていま
す。つまり、ヨーロッパ・中央アジア地域の国々
の比較評価は、総じて低水準にあります。世銀
は、マクロ経済の安定性の維持、法律改正及びコー
ポレート・ガバナンスの改善、公益事業の規制と
価格設定などのセクター別改革、及び労働・金融
市場の機能の強化、産業再編成とインフラ構築の
ための選択的投資、などの体系的改革を支援する
ことによって、政策と制度に関わる制約に取り組
んでいます。実際に成果が上がっているかどうか
を確認するため、世銀は、EBRD や「ビジネス環
境・企業業績調査」と協力して、ビジネス環境の
変化を追跡する系統的なビジネス環境調査に必要
な資金を融資しています。この調査は、国レベル
(ボスニア・ヘルツェゴビナ、モルドバ、ロシア及
びウクライナ)と地域レベルで行われています。
総人口: 5 億人
人口増加率: 0.1%
平均寿命: 69 歳
乳幼児死亡率(1,000 人当たり): 20
若い女性の非識字率: 1%
2001 年の一人当たり国民総所得(GNI): 1,960 ドル
エイズ感染者数: 100 万人
注:平均寿命、乳幼児死亡率(1,000 人当たり)及び若い女性の非識字率は、2000 年
の「世界開発指標」データベース、その他の指標は 2001 年の同データベース。
現在は、国民総生産(GNP)の代わりに、国民総所得(GNI)が使用されています。
2002 年度の
新規融資承認総額
IBRD : 48 億 9,470 万ドル
IDA : 6 億 2,890 万ドル
2002 年度の
融資実行総額
IBRD : 33 億 9,390 万ドル
IDA : 4 億 2,980 万ドル
2002 年 6 月 30 日現在において実施中の
プロジェクトのポートフォリオ: 160 億ドル
公共セクターのガバナンスの改善
ヨーロッパ・中央アジア地域の国々(特に CIS
加盟国)は、ガバナンス指標の点でも相対的に低
水準にあります。公共セクターのパフォーマンス
を改善するため、世銀は、ロシア、ウクライナ及
び中央・南東ヨーロッパ地域を対象として、権限
委譲を通じ、発言権、透明性及び説明責任を強化
するための改革を支援しました。世銀は、アルバ
ニアとマケドニアを対象として、行政サービス提
供分野における参加と競争を強化するための改
革、及び歳出調査を行って成果を確認できるよう
にするためのデータ活用に関する改革を支援しま
した。世銀は、カザフスタン、ロシア及びウクラ
イナを対象として、税制・関税改革を通じて行政
機関の機能の強化を支援した他、アルバニアとア
ゼルバイジャンを対象として、国レベルの財政責
任調査を通じて行政機関の機能の強化を支援しま
した。世銀は、ロシアとウクライナでは、電子政
府を可能にする新規技術(政府の機能を改善する
目的で情報・通信技術を活用するもの)の採用を
ウズベキスタンでは、農村事業支援プロジェクトの下で、生活を農業
に依存している女性達を対象とした現実的な農地拡大事業が行われて
います。
推進しました。また、世銀は、アルメニア、ボス
ニア・ヘルツェゴビナ、カザフスタン、キルギス、
ルーマニア及びスロバキアを対象として、汚職防
止プログラムを支援しました。
貧しい人々のエンパワーメント
ヨーロッパ・中央アジア地域の大半の国々で
は、エンパワーメントには特に難しい側面があり
ます。同地域では、発言権と説明責任に関する伝
統や制度が、まだ未完成だからです。投資環境と
公共セクター運営の改善のための世銀援助は、権
第5章
地域別展望
99
囲み 5.5 貧しい人々が経済危機を乗り越えるのを
支援するためのトルコの
「社会的リスク緩和プロジェクト」
2001 年には、世銀の 5 億ドルの混合型融資のうちの 1
億ドルの緊急融資を活用して、トルコは、2001 年 2 月
の経済危機で困窮した 160 万人の貧しい人々を支援する
ことができました。一人当たり約 35 ドルの現金・現物
援助が、 100 万人を超える貧しい児童に提供されまし
た。この資金は、衣服、教科書及び書籍などの費用を現
金で賄えるようにするためのものでした。この援助の目
的は貧しい家庭を支援することにありましたが、さらに
重要な目的は児童が学校に通えなくなるのを防止するこ
とでした。この援助により、約 10 万人の児童の脱落を
を活用して、PRSP の作成を支援しています。ボ
スニア・ヘルツェゴビナやユーゴスラビア連邦共
和国などの紛争復興国、及び経済が危機状態にあ
るトルコでは、貧困削減融資は貧しい人々のリス
ク管理能力の改善を重視して行われました。新た
に行われる多くの援助活動では、参加型手法で経
済的・社会的リスクに対処するために、地域社会
主導型の開発アプローチが活用される予定です。
たとえば、ブルガリア、マケドニア、ルーマニア、
タジキスタン及びウクライナを対象としたマルチ
セクター社会基金がその一例です。このような援
助活動では、長期間失業状態にある人々や少数民
族の持続的貧困に対する取り組みを重視する姿勢
を強めています。
阻止することができました。
宗教関連の祝祭期間中は、経済危機で困窮した 40 万
の貧しい家庭に対し、食糧支援が行われました。危機の
です。
伝染病との闘い
ヨーロッパ・中央アジア地域のエイズ感染者
は、過去 10 年間で劇的に増加し、100 万人になり
ました。うち4 分の1 の人々は、過去3 年間で感染
したものです。結核(TB)患者も増加しています。
毎年、約 25 万人が TB に感染していますが、この
うちの多くの人々は多剤耐性 TB の患者です。世
銀は、エイズと TB の関連性を考慮し、ヨーロッ
パ・中央アジア地域を対象として、独立型プロジ
ェクトの策定を支援するために技術・資金援助を
行っています。この独立型プロジェクトは、ベラ
ルーシ、モルドバ、ロシア及びウクライナの伝染
病に取り組むことを狙いとしています。また、世
銀は、同地域内の他の国でも、保健セクター・プ
ロジェクトに基づく TB ・エイズ対策を支援して
います。
限付与に関する分野にも大きな影響を与えていま
す。世銀は、貧困削減戦略文書(PRSP)の作成に
様々な関係者を参加させることを重視することに
よって、エンパワーメントを推進しています。
2002年度には、アゼルバイジャン、ボスニア・ヘ
ルツェゴビナ及びキルギスの 3 ヶ国が暫定的な IPRSP を作成しました。さらに、アルバニアは、
ヨーロッパ・中央アジア地域では初めて、正式
PRSP を作成しました。合計 9 ヶ国が、暫定的な IPRSPまたは正式PRSPのいずれかを作成したこと
になります(http://poverty.worldbank.org を参
照)
。世銀は、各国の事情を反映させた様々な手法
環境保護
1990 年代後半から開始された地球環境ファシリ
ティ(GEF)の援助を受けてロシアで行われてい
たロシアのオゾン層破壊物質の使用の段階的廃止
のための活動は終了しました。クロアチア、ルー
マニア及びウクライナのプロジェクトも、世銀に
よる GEF ポートフォリオに加わり、ロシアでは、
森林プロジェクトも開始されました。また、ブル
ガリアの環境の状態を改善するための効果的な官
民パートナーシップの構築、アルバニアとトルコ
における積年の環境問題への取り組み、セルビア
共和国、ユーゴスラビア連邦共和国及びウクライ
ナにおける拡大環境保全のための経済的手法の活
用と公的資金の管理、EU加盟希望国によるEUの
環境基準の遵守の費用効果的戦略策定に対しても
支援を行いました。
深刻さを考慮すると、これらの貧しい家庭の大半に対し
ては、今年一杯、支援を継続する必要があります。ま
た、これらの家庭は、物資より、現金の援助を必要とし
ています。
さらに、厳しい冬に石炭ストーブで暖を取ることがで
きるようにするために、20 万の極貧家庭に対して、現金
と現物による援助が行われました。
これらの活動を通じて、次の教訓が得られました。そ
れは、トルコの社会的セーフティネットの強化・改善を
優先事項にしなければならないということです。最も重
要なのは、同国の人口の 8% を占める最貧層の人々に対
し、基礎的ニーズと現金需要を満たすための社会的支援
として、条件付き現金移転を行うことです。この条件と
は、援助を受ける家庭がその子供達を学校に通わせ、学
齢前の子供に定期的に健康診断を受けさせるということ
100
グローバル・レベルの優先事項
世界銀行年次報告書 2002
図 5.7 ヨーロッパ・中央アジア地域: IBRD と IDA
のテーマ別の融資額、2002 年度
総額 55 億ドルに占める割合
都市開発 1%
人的開発 3%
社会開発・ジェンダー・
参加 3%
図 5.8 ヨーロッパ・中央アジア地域: IBRD と IDA
のセクター別の融資額、2002 年度
総額 55 億ドルに占める割合
農村開発 6%
給水・衛生・治水 2%
環境・天然資源管理 3%
経済政策 12%
運輸 1%
農業・漁業・林業 9%
エネルギー・鉱業 4%
産業・貿易 10%
社会的保護・
リスク管理
7%
貿易・統合1%
公共
セクター運営
24%
法規 2%
金融・民間セクター開発
40%
保健・
その他社会事業
9%
法律・司法・行政
39%
金融 23%
情報・通信 1%未満
教育 2%
貿易と統合に対する支援
ヨーロッパ・中央アジア地域の多くの国々で
は、協力を行う余地が大きく残されています。ヨ
ーロッパ・中央アジアプログラムは、欧州委員会
と共に、運輸、環境、エネルギー及び知識集約型
経済に関する戦略をはじめとする多くの分野にお
いて EU 加盟希望国に支援を行っています。南東
ヨーロッパ地域にあって、EU 加盟を希望してい
ない国々に対しては、5 ヶ国調査をはじめとする
貿易問題の分析、地域進捗状況報告書の作成、及
び技術支援が行われました。CIS-7 諸国に対して
は、貿易、運輸及び電気通信に関する調査が実施
されました。ロシアとウクライナを対象とした世
銀の貿易統合支援では、WTO 加盟を目標とした
技術支援に重点が置かれています。
情報・知識の改善
世銀は、EU 加盟希望国の公共・民間セクター
が知識・技術を一層効果的に活用することを通じ
て、これらの国々が国際競争力を高めるための戦
略を策定できるよう支援するために、これらの
国々との間で対話を開始しました。これらの国々
が採用したアプローチによって得られる教訓と経
験は、ヨーロッパ・中央アジア地域全体に活用す
ることが可能です。世銀は、グローバル・ディベ
ロップメント・ラーニング・ネットワーク(GDLN)
を構築するための広範なプログラムを開始しまし
た。2002年度には、前年度にウクライナに開設さ
れた遠隔研修センターの他に、4 つのセンターが
GDLN に接続されました(トルコに 2 つ、ロシア
とユーゴスラビア連邦共和国にそれぞれ1つ)
。ヨ
ーロッパ・中央アジア地域の 8 ヶ国では、10 ∼ 12
のセンターの建設工事が始まりました。
国際金融システム
世銀は、「金融セクター審査プログラム」に積
極的に参画しました。2002 年度には、クロアチア、
グルジア及びラトビアに関する審査が完了しまし
た。また、2003 年度から2004 年度の完了を目指し
て、ブルガリア、キルギス、リトアニア、ロシア、
スロバキア及びウクライナの 6 ヶ国を対象とした
審査が開始されました。この審査に含まれている
基準・規定の評価の一環として、現在、マネーロ
ンダリング(資金洗浄)と対テロリスト資金支援
に対処するための法的・制度的フレームワークに
関する調査も行われています。また、世銀は、世
界銀行研究所(WBI)と協力して、マネーロンダリ
ング(資金洗浄)と対テロリスト資金支援の根絶
問題に関する第 1 回地域対話―ヨーロッパ・中
央アジア地域の5ヶ国が対象―を共催しました。
第5章
地域別展望
101
表 5.4 ヨーロッパ・中央アジア地域に対するテーマ別、セクター別融資、1993 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
1993–97
1998–99
(年平均) (年平均)
2000
2001
2002
テーマ別
経済政策
公共セクター運営
法 規
金融・民間セクター開発
貿易・統合
社会的保護・リスク管理
社会開発・ジェンダー・参加
人的開発
都市開発
農村開発
環境・天然資源管理
328.5
384.8
67.5
1,769.1
319.9
247.1
42.9
177.9
287.8
269.7
374.9
723.2
547.7
80.1
1,908.0
91.6
575.6
126.9
217.6
248.9
331.5
404.3
98.6
227.8
160.2
890.7
143.5
530.1
43.6
278.9
153.6
213.4
301.7
127.4
95.6
77.4
1,074.0
138.4
381.2
65.1
51.1
383.9
137.6
161.3
636.1
1,313.7
106.6
2,210.8
32.5
363.9
188.8
138.3
65.4
309.9
157.5
テーマ別総額
4,270.2
5,255.1
3,042.2
2,693.1
5,523.6
237.5
774.8
55.3
70.7
461.7
306.9
835.7
889.6
496.2
141.6
114.5
1,568.5
4.5
299.2
484.0
359.7
817.4
849.2
533.1
225.0
317.8
796.4
151.9
22.7
176.6
277.8
604.7
398.6
207.1
88.5
139.0
445.2
8.7
62.5
803.6
281.9
296.5
336.6
118.3
200.7
470.4
2,170.9
9.6
83.2
1,295.9
524.7
552.1
218.0
67.1
131.7
4,270.2
5,255.2
3,042.1
2,693.1
5,523.6
3,907.6
362.6
4,406.3
848.9
2,733.0
309.1
2,154.0
539.0
4,894.7
628.9
セクター別
農業・漁業・林業
法律・司法・行政
情報・通信
教 育
金 融
保健・その他社会事業
産業・貿易
エネルギー・鉱業
運 輸
給水・衛生・治水
セクター別総額
うち、
IBRD融資額
IDA融資額
注:新たなテーマ・セクター分類システム(68 テーマ、57 セクター)に従って、融資を 11 の主要テーマと 10 の主要セクターに分けて示し
た。30頁の表2.2を参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。
102
世界銀行年次報告書 2002
世銀融資適格国:
ラテンアメリカ・カリブ海地域
ラテンアメリカ・カリブ海地域の経済は、1998
年から99年にかけてアジア地域とロシアで発生
した危機によるショックから回復しましたが、
この回復は長くは続きませんでした。同地域の
年間国内総生産(GDP)成長率は、1999 年の
0.1%から 2000 年の 3.9%に増加した後、2001 年
には0.4%に減速しました。世界経済の低迷、
アル
ゼンチン経済の急激な縮小、及びブラジルと中
央アメリカ地域の旱魃の影響により、2002年の
GDP成長率はやや減少すると見込まれています。
世界貿易の成長率の鈍化と輸出製品価格の低
下により、ラテンアメリカ・カリブ海地域の輸
出収入の増加率は、2000 年の19%から2001 年に
は1.4%に急減しました。石油輸出国の貿易黒字
は減少しましたが、同地域の非石油輸出国の貿
易収支は改善しました。これは、GDP成長率が
鈍化したために、輸入が減少したことによるも
のです。総じて、同地域の貿易黒字は 170 億ド
ル増加しました。しかし、観光収入と送金が減
少したために、経常収支赤字額は50億ドル増加
しました。
1999年のデータによると、ラテンアメリカ・
カリブ海地域では、1 日 1 ドル未満で生活する
人々の割合が 1990 年の 16.8%から 1999 年には
15.1%に減少しましたので、同地域では、ミレニ
アム開発目標(MDGs)の達成に向かって進展が
見られたことになります。2001 年には、特に中央
アメリカ地域とカリブ海諸国で一人当たりGDP
成長率が低下したため、前記の減少分の一部は
おそらく消滅したと思われます。中央アメリカ
地域とカリブ海諸国は、旱魃、コーヒー価格の
低下、2001 年 9 月 11 日に米国で発生した同時多
発テロによる旅行者の減少、及び米国の景気後
退に起因する外貨送金額の減少で悪影響を受け
ました。一人当たりGDP成長率の傾向から推定
すると、貧困率は2002 年には上昇する可能性が
ありますが、2003 年には若干減少すると思われ
ます。貧困率の上昇幅は、アルゼンチン及びそ
の危機の影響を受けた近隣諸国で最も大きくな
ると予想されます。
世銀の援助
2002 年度においては、ラテンアメリカ・カリ
ブ海地域に対する世銀の戦略は貧困との闘いを
重視したものとなりましたが、これ以外にも、
アルゼンチンの経済危機、カリブ海諸国への旅
行者の減少、及び2001 年初めにエルサルバドル
で 2 度発生した地震後の復興などの事象に起因
する緊急の社会的ニーズに対処するための緊急
融資も行われました。2001 年 9 月 11 日に米国で
発生した同時多発テロ以降、航空機を利用する
旅行者が減少したジャマイカと東カリブ海諸国
機構に対して、世銀は、社会的プログラムの維
持と空港警備の強化のために、それぞれ 7,500
万ドルと 2,090 万ドルの融資を行いました。エ
ルサルバドルに対する世銀の新たな援助戦略
は、2001年の地震発生後の復興が開始された時
期に策定されました。したがって、この地震で
病院と保健施設が深刻な被害を受けたことで低
下していた保健サービスの回復を支援するため
に、1 億 4,260 万ドルの融資が追加されました。
ラテンアメリカ・カリブ海地域においても、世
銀は伝染病の撲滅に向けた取り組みを強化し、
バルバドス、ブラジル、ドミニカ共和国及びジ
ャマイカのエイズ予防・治療プログラムを援助
しました。
2001 年に経済状態が悪化したアルゼンチンに
対しては、世銀は、市場が経済の先行きを悲観
している状況を同国政府が打開するのを支援す
るために4億ドルの構造調整融資を行いました。
しかし、同年末、同国政府は、経済・政治危機
を踏まえて、経済政策などを急激に変更しまし
た。この事態を受けて、世銀は、金融セクター、
企業債務の再編成、公益事業の料金の再交渉、
及び地方自治体の財政などの分野に関して助言
第5章
地域別展望
アルゼンチン
アンティグア・
バーブーダ
ウルグアイ
エクアドル
エルサルバドル
ガイアナ
グアテマラ
グレナダ
コスタリカ
コロンビア
ジャマイカ
スリナム
セントクリストファー・
ネーヴィス
セントビンセント
およびグレナディー
ン諸島
セントルシア
チリ
トリニダード・
トバゴ
ドミニカ国
ドミニカ共和国
ニカラグア
ハイチ
パナマ
パラグアイ
ブラジル
ベネズエラ・
ボリバル共和国
ベリーズ
ペルー
ホンジュラス
ボリビア
メキシコ
103
ラテンアメリカ・カリブ海地域のファクト・シート
総人口: 5 億人
人口増加率: 1.5%
平均寿命: 70 歳
乳幼児死亡率(1,000 人当たり): 29
若い女性の非識字率: 6%
2001 年の一人当たり国民総所得(GNI): 3,560 ドル
エイズ感染者数: 190 万人
注:平均寿命、乳幼児死亡率(1,000 人当たり)及び若い女性の非識字率は、2000 年
の「世界開発指標」データベース、その他の指標は 2001 年の同データベース。
現在は、国民総生産(GNP)の代わりに、国民総所得(GNI)が使用されています。
2002 年度の
新規融資承認総額
IBRD : 41 億 8,810 万ドル
IDA : 1 億 7,780 万ドル
2002 年度の
融資実行総額
IBRD : 35 億 510 万ドル
IDA : 2 億 7,250 万ドル
2002 年 6 月 30 日現在において実施中の
プロジェクトのポートフォリオ: 224 億ドル
た。この社会的プログラムでは、ワクチン、母親
と子供に対する保健医療、血液銀行、一般人を対
象とした保健医療、エイズ用医薬品、無償での食
事の提供、及び被害の大きな学校に対する教育資
材の提供などが行われました。さらに、社会的保
護プログラムも開始され、扶養家族を抱えている
失業者に対する所得補助、及び多くの貧しい家庭
のニーズに対処するための支援が行われました。
ラテンアメリカ・カリブ海地域では、総人口 5
億 1,000 万人のうちの約 1 億 7,000 万人が 1 日 2 ドル
未満で生活しています。このうちの 7,000 万人は、
1 日1 ドル未満で生活しています。世銀は、その融
資と分析を通じて、投資環境を改善すると共に、
人々のエンパワーメント、地方自治体と地域社会
に権限を委譲する努力を行っている各国を支援し
ています。特に、世銀は、同地域に関しては、教
育、金融セクターの強化、社会的保護、制度改革
とガバナンス、疎外されているグループのエンパ
ワーメントとこれらのグループの参加促進、及び
環境の持続可能性に重点を置いています。
2002年度には、世銀は、農村地域の生産性を引
き上げるために、小規模企業、農業インプット及
び農地管理を支援するプロジェクトに対する融資
を承認しました。また、低所得地域社会に対する
基礎的な教育・保健サービスを拡大するための支
援、及び政府が政策改革とインフラ投資を行う場
合にその財政の均衡を図れるようにするための支
援も行われました。
投資環境の構築
世銀が延べ 11,000km を超える道路の建設を支援したことで、ペルー
のシエラでも貧困率が低下しました。シエラの農村社会は孤立から脱
却し、小規模な道路保守会社が 4,700 人分の雇用を創出しました。
サービスと技術支援を行うと共に、実施中の社会
セクター・プログラムに対する融資の中から 1 億
ドルを緊急の社会的プログラムに振り向けまし
104
世界銀行年次報告書 2002
投資は、経済成長を加速するために極めて重要
です。ラテンアメリカ・カリブ海地域は、給水、
下水、道路、電力及び輸送に関するシステムを構
築するために、今後 5 年間、毎年約 700 億ドル―
2000 年の外国からの直接投資総額に匹敵―の資
金を必要としています。このインフラ・ニーズは、
同地域の急速な人口増加に伴って増加していま
す。現在、同地域の総人口の 75%が生活している
都市部も拡大しており、そこに居住する貧しい
人々の数も増加しています。このようなニーズを
踏まえ、世銀は、総工費が 80 億ドルに上る 82 の
インフラ・プロジェクトに融資を行っています。
現在、これらのプロジェクトでは、建設作業が進
められています。貧しい人々に生活に必要なサー
ビスを妥当な価格で提供できるようにするために
は、健全な規制フレームワークの下での民間セク
ターの参加も必要です。コロンビアでは、世銀
は、カリブ海沿岸地域の市営給水事業を改革し、
貧しい人々にも給水サービスを提供するために必
要となる民間セクター投資を可能にするための支
援として、4,000 万ドルの融資を行いました。この
戦略は、1995年にカルタヘナで開始され、成果を
上げた一連のプロジェクトの経験を活かしたもの
です。当時行われたプロジェクトにより、約50の
給水会社がコロンビア北部のいくつかの大都市で
給水サービスを開始し、利用者から高く評価され
ました。
政府が効率的で、汚職がない場合に投資家が安
心するという事実を踏まえ、世銀は、チリ、グア
テマラ、メキシコ、ニカラグア及びパナマとの間
でパートナーシップを構築しました。これらのパ
ートナーシップは、財務管理手法の近代化、手続
の簡素化につながる政府のオンライン調達手法の
開発、及び公平性と透明性の改善を目指したもの
です。これらのパートナーシップは、総じて、ア
ルゼンチン、コロンビア及びメキシコを対象とし
た財政改革と権限委譲に対する世銀の支援、並び
にエルサルバドルとグアテマラを対象とした司法
改革に対する世銀の支援を補完するものとなって
います。また、これらのパートナーシップは、ラ
テンアメリカ・カリブ海地域の経済の国際競争力
を高める上で重要な、新たな知識と情報技術の共
有にも役立っています。
貧しい人々のエンパワーメント
世銀は、ブラジル北東部の 9 州及びミナスジェ
ライス州と協力し、権限委譲を受けた地域社会主
導のアプローチを活用して農村部の貧困を撲滅す
る活動を展開しています。2002 年には、世銀は、
農村地域のグループにマッチング・グラント(あ
る活動を行うグループの資金と同額の資金を政府
が提供するもの)を提供することを目的としたセ
ルジペ州のプロジェクトを承認しました。このマ
ッチング・グラントは、雇用を創出し、かつ約
52,000 の家庭の健康と福利の増進を目的とした約
1,000の小規模プロジェクトに資金を提供するもの
です。この社会的投資アプローチは、貧しい家庭
に対し、給水、保健医療及び農業相談などのサー
ビスの提供、及び社会資本の拡大を図るもので
す。このアプローチはまた、地域社会自らがプロ
ジェクトを選定して、実施できるようにするもの
です。コロンビア、エクアドル、ホンジュラス、
ニカラグア及びパラグアイでも、同様の地域開発
プロジェクトが進められています。さらに、アマ
ゾン地域でも行われる予定となっています。
貧しい人々のエンパワーメントに関しては、ラ
テンアメリカ・カリブ海地域の先住民(そのうち
の約 80%の人々は極貧状態の下で生活している)
エクアドルのアマゾン地域で生活しているこれらの先住民(Achuar
族)は、
「先住民・アフリカ系エクアドル人開発プロジェクト」に参加
しています。世銀融資を受けた同プロジェクトは、4,000 を超える地
域社会に資金を供給し、土地保有制度の確立、農業インプット、小口金
融スキーム、及び学校や保健医療施設の建設を促進しています。
及びアフリカ系住民が過半数を占める地域社会を
対象としたイニシアティブが実施されています。
ブラジル、エクアドル及びペルーでは、世銀は、
先住民社会が共有地使用権を登録し、環境の持続
可能性を高めることができる土地管理法の活用を
推進し、かつプロジェクト管理能力の向上を支援
することに的を絞ったプロジェクトを支援してい
ます。
所有権を認定することは、あらゆる民族の貧し
い人々がその経済状態を改善する上で重要な条件
となるものです。世銀は、コロンビアのイニシア
ティブを支援しました。このイニシアティブによ
り、太平洋沿岸のチョコ地域に位置するアフリカ
系コロンビア人社会の58 の地域評議会は、彼らが
狩猟、漁業及び伝統的農業のために利用している
約 240 万ヘクタールの熱帯林の所有権を獲得しま
した。世銀は、ボリビア、エルサルバドル、グア
テマラ、ホンジュラス、ニカラグア及びパナマを
はじめ、10 ヶ国の土地所有権認定イニシアティブ
を支援しました。
世銀は、このような草の根・地域社会重視型ア
プローチの重要な要素として、特に農村、環境、
保健、教育及び社会的保護などのセクターでは、
融資/助言サービス・プロジェクトの策定にあた
ってシビルソサエティの参加を推奨しています。
また、司法改革やインフラに関するプロジェクト
第5章
地域別展望
105
囲み 5.6
天然資源の輸出は知識集約型経済の下での雇用につながる
世銀の報告書は、ラテンアメリカ・カリブ海地域の国々が知
オーストラリア、カナダ、フィンランド及び一部のラテンア
識集約型経済の下で質の高い雇用を創出しようとする場合に
メリカ諸国の経験を例に挙げて、同報告書は、重要なことは
は天然資源がそのための資産となる、と述べています。
「天然
「何を」生産するかではなく「どのように」生産するかである
資源から知識集約型経済へ―貿易と雇用の質」と題された世
と主張しています。他の重要な要素は、イノベーションを行
銀の報告書は、多くの一次産品の価格が最近低迷し、同地域
う高水準の人的資本と知識ネットワーク、及び外国技術の採
の雇用の質と失業率に多少の暗雲が生じているにも関わらず、
用です。同報告書は、ラテンアメリカ・カリブ海地域の各国
「豊富な天然資源が賦存しているので、生産性をさらに向上さ
は、貿易自由化に向けた努力を行い、かつ人的資本と技術革
せる技術を積極的に追求し、かつ採用することによって、経済
新ネットワークを開発すべきであって、決して「天然資源と
成長率を確実に加速することが可能となる」と述べています。
いう財産に背を向けてはならない」との提言を行っています。
図 5.9 ラテンアメリカ・カリブ海地域: IBRD と
IDA のテーマ別の融資額、2002 年度
総額 44 億ドルに占める割合
図 5.10 ラテンアメリカ・カリブ海地域: IBRD と
IDA のセクター別の融資額、2002 年度
総額 44 億ドルに占める割合
環境・天然資源管理 4%
農村開発 4%
給水・衛生・治水 1%
経済政策 9%
運輸 11%
都市開発
6%
公共セクター
運営 27%
人的開発
13%
農業・漁業・林業 2%
法律・司法・行政
30%
エネルギー・鉱業
10%
産業・貿易 1%
社会開発・
ジェンダー・参加 6%
法規 1%未満
保健・
その他社会事業
15%
情報・通信
1%未満
教育 13%
社会的保護・リスク管理 7%
金融・民間セクター開発 22%
金融 17%
貿易・統合 2%
でも、シビルソサエティが参加する割合が高まっ
ています。新たなフレームワーク(www.world
bank.org/laccs を参照)に基づいて、ラテンアメ
リカ・カリブ海地域も、世銀プロジェクトに関す
る情報の地域社会への提供を通じ、地域社会がそ
の影響を評価できるようにするために、世銀の構
造調整融資及びプログラム融資の検討作業にシビ
ルソサエティが参加しています。たとえばペルー
106
世界銀行年次報告書 2002
では、世銀は、社会的プログラム、歳出及び統計
に関する情報を住民に提供する政府の活動を支援
しています。政府によるこの活動の目的は、地
方・国レベルでのサービスと予算の作成作業に住
民が参加すること、及び行政サービスを審査する
住民の能力を高めることにあります(囲み5.6 を参
照)
。
表 5.5 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対するテーマ別、セクター別融資、1993 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
1993–97
1998–99
(年平均) (年平均)
2000
2001
2002
テーマ別
経済政策
公共セクター運営
法 規
金融・民間セクター開発
貿易・統合
社会的保護・リスク管理
社会開発・ジェンダー・参加
人的開発
都市開発
農村開発
環境・天然資源管理
437.3
505.2
70.0
1,295.4
121.7
415.2
253.4
565.9
480.3
462.6
588.1
694.0
825.2
94.1
1,626.9
144.6
1,002.4
359.1
786.9
576.9
613.3
164.8
587.6
519.9
111.7
1,056.1
160.7
901.2
141.5
157.7
53.3
103.0
270.8
570.1
1,099.7
202.2
985.4
218.3
530.0
371.7
471.2
202.0
580.8
68.8
391.0
1,182.8
15.5
965.4
83.9
310.4
248.9
560.4
251.9
168.3
187.4
テーマ別総額
5,195.2
6,888.3
4,063.5
5,300.1
4,365.8
セクター別
農業・漁業・林業
法律・司法・行政
情報・通信
教 育
金 融
保健・その他社会事業
産業・貿易
エネルギー・鉱業
運 輸
給水・衛生・治水
285.3
1,101.3
20.6
601.4
708.2
514.6
154.9
254.5
988.1
566.3
326.4
2,208.9
17.2
659.8
1,089.5
1,150.5
204.2
98.1
875.6
258.0
104.1
1,787.8
28.7
62.8
1,195.1
360.2
165.3
79.3
11.6
268.7
72.3
1,722.9
97.8
529.1
950.5
904.7
38.3
107.6
650.3
226.6
85.0
1,299.5
16.5
560.4
734.1
660.5
51.4
445.6
463.1
49.8
セクター別総額
5,195.2
6,888.3
4,063.5
5,300.1
4,365.8
4,897.2
297.9
6,406.4
481.9
3,898.1
165.4
4,806.7
493.4
4,188.1
177.8
うち、
IBRD融資額
IDA融資額
注:新たなテーマ・セクター分類システム(68 テーマ、57 セクター)に従って、融資を 11 の主要テーマと 10 の主要セクターに分けて示した。
30 頁の表 2.2 を参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。2002 年度においては、
「カリブ海地域複数国エイズ予防・
抑制プロジェクト」
(2001 年度に 1 億 5,500 万ドルを承認済み)に基づいて、IBRD は、ジャマイカのプロジェクトに対して、新たに
1,500万ドルの融資を行うことを承認しました。
第5章
地域別展望
107
世銀融資適格国:
アルジェリア
イエメン共和国
イラク
イラン・
イスラム共和国
エジプト・
アラブ共和国
シリア・
アラブ共和国
ジブチ
チュニジア
モロッコ
ヨルダン
レバノン
※この部では、ヨル
ダン川西岸・ガザ
地区についても報
告する
中東・北アフリカ地域
中東・北アフリカ地域は、2001 年 9 月 11 日に
米国で発生した同時多発テロで深刻な影響を受
け、同地域の主要な貿易相手であるヨーロッパ
地域に対する輸出が大幅に減少しました。さら
に、中東地域で紛争が継続していることで、投
資家のリスク認識が強まり、すでに減少してい
る同地域への海外からの直接投資がさらに減少
しています。2001年においては、経済成長率は
3.1%(2000年は4.2%)に低下しました。石油輸
出国の経済成長率は、さらに低下しました
(3.6%から2.5%へ)
。輸出製品を多角化している
国々では、経済成長率の低下は穏やかなものに
とどまりました(0.5%ポイント)
。
中東・北アフリカ地域では、持続的で高水準
の経済成長率が実現できなくなったことで、同
地域の最大の課題―急速に増加する労働力に
十分な雇用機会を提供すること―の達成が一
段と困難なものになりました。同地域では、1 日
1 ドル未満で生活している人々は総人口比で
2.3%に過ぎませんが、貧困が重要な問題である
ことに変わりなく、1日2ドル未満で生活する人
は総人口の約30 %に及びます。
世銀の援助
同地域に関しては、世銀の最大の目標は、投
資環境の構築、雇用創出及び持続可能な経済成
長の実現などのペースを加速すること、並び
に、貧しい人々へのエンパワーメントにより、
開発プロセスの中で人的資産として活用するこ
とです。2002 年度には、世銀は、特にアルジェ
リア、エジプト、イラン、ヨルダン、レバノン、
シリア及びヨルダン川西岸・ガザ地区におい
て、経済成長を実現するための主要な資源と障
害を明らかにするための活動に力点を置きまし
た(囲み 5.7 を参照)。民間セクターが主要な雇
用創出源になりつつあることを踏まえ、世銀
108
世界銀行年次報告書 2002
は、同地域の投資環境の改善に貢献しました。
アルジェリア及びイエメンの金融セクター、チ
ュニジアの貿易競争力、アルジェリアの民間セ
クター開発、ヨルダン川西岸・ガザ地区及びイ
エメンの情報技術強化のためのプロジェクト及
び助言サービスなどがその事例です。
公共セクターとガバナンスに関して問題が多い
ことは、経済成長を加速する上での深刻な障害
になっています。2002 年度においては、世銀
は、アルジェリア、ジブチ、ヨルダン及びモロ
ッコにおいては公共支出の効率性と公共セクタ
ー運営の改善に重点を置き、アルジェリア、ヨ
ルダン、チュニジア及びイエメンでは権限委譲
に重点を置きました。
ジブチ、エジプト、イラン及びイエメンを対
象とした貧困状況調査、並びに、レバノン、モ
ロッコ及び地域全体を対象とした社会的保護の
状況の分析により、貧困と社会的疎外に関する
問題点の理解を深めることができました。モロ
ッコでは、プロセスを対象とした「経済・セク
囲み 5.7 ヨルダン川西岸・ガザ地区
―紛争の影響を受けた地域への支援
ヨルダン川西岸・ガザ地区では、中央機関が給料以
外の業務コストを負担できなくなっていることを踏ま
えて、「緊急サービス支援プロジェクト」を通じて、
悪化した教育、保健及び社会福祉に対する取り組みが
行われています。同プロジェクトは、主な社会サービ
スを遂行する機関と市町村を対象としたもので、これ
らの機関・市町村が現在の紛争で最も深刻な影響を受
けている人々を支援できるようにすることを目指した
ものです。最近終了した「緊急対応プログラム」で
は、地域社会密着型で、労働集約的な小規模プロジェ
クトを通じて働く機会を提供することによって、増大
する失業率と貧困に対する取り組みが行われました。
これらのプログラムでは、多額のドナー資金も活用さ
れました。
中東・北アフリカ地域のファクト・シート
ター調査」が行われていますが、この調査では、
起用された200 を超えるシビルソサエティ組織が、
開発プロセスに参加する場合に直面する問題点を
積極的に明らかにすると共に、これらの問題に取
り組んでいます。ジブチ、エジプト、イラン、ヨ
ルダン、レバノン、モロッコ、イエメン及び地域
全体における教育・保健システムを改善するため
に現在実施されている活動の中には、貧しい人々
を保護するための重要な対策も含まれています。
世銀は、地域の統合及び地域の世界経済との統合
によってもたらされる様々な影響を分析し、かつ
助言サービスを行うことを目的として、一連の調
査を開始しました。
地域の目標を達成するため、中東・北アフリカ
地域は、戦略作成段階と実施段階において、パー
トナーシップの構築、知識共有及び広報活動を強
化しています。地域全体では、アフリカ開発銀行
及びイスラム開発銀行との間で調整が行われてい
ます。「ルクセンブルク・プロセス」に基づいて、
EU、ヨーロッパ投資銀行、IMF 及び中東・北ア
フリカ地域局の間で、年 2 回、調整会議が開かれ
ています。ドナーの参加がきわめて重要なヨルダ
ン川西岸・ガザ地区では、13の二国間・多国間機
関が、世銀とパレスチナ人の技術専門家と協力し
て包括的な「緊急調査」を実施しています。世銀
が管理している「パレスチナ経済援助・協力拡大
ファシリティ」では、緊急雇用プログラムに関し
て5ドナーから2,600 万ドルの資金支援を受けまし
た。テーマ別では、「地中海環境技術支援プログ
ラム」、「地域給水イニシアティブ」及び「文化遺
産」などのパートナーシップが、持続可能な開発
に対する世銀援助を活用しています(囲み5.8を参
照)
。世銀とEUが共同で資金を拠出している「地
中海のインフラ構築に民間セクターを参加させる
ことに関するEU ・世銀プログラム」
(本部ブリュ
ッセル)は、借入国において重要な民間セクター
改革とインフラ改革を推進しています。公共セク
ター運営に対する取り組みは、「マグレブ公共調
達近代化イニシアティブ」に基づいて行われてい
ます(www.worldbank.org/menaを参照)
。
知識共有のための活動においては、中東・北ア
フリカ地域は、互いに合意した中期的な成果を基
準として域内の国々を支援するために、融資を伴
わないプログラム手法を試験的に実施していま
す。この新たな手法では、診断、トレーニング及び
研修などの活動が行われます。この手法は、中東・
北アフリカ地域が直面する問題に関して世銀が継
続的に関与する手段として、域内の国々が融資以
外の手段を必要としていることに応えるもので
す。現在では、グローバル・ディベロップメント・
総人口: 3 億人
人口増加率: 2%
平均寿命: 68 歳
乳幼児死亡率(1,000 人当たり): 43
若い女性の非識字率: 24%
2001 年の一人当たり国民総所得(GNI): 2,000 ドル
エイズ感染者数: 50 万人
注:平均寿命、乳幼児死亡率(1,000 人当たり)及び若い女性の非識字率は、2000 年
の「世界開発指標」データベース、その他の指標は 2001 年の同データベース。
現在は、国民総生産(GNP)の代わりに、国民総所得(GNI)が使用されています。
2002 年度の
新規融資承認総額
IBRD : 4 億 5,180 万ドル
IDA : 1 億 270 万ドル
2002 年度の
融資実行総額
IBRD : 5 億 1,460 万ドル
IDA : 1 億 1,700 万ドル
2002 年 6 月 30 日現在において実施中の
プロジェクトのポートフォリオ: 54 億ドル
イエメンの農村地域では、女性達が、
「社会基金」のメンバーと共にサ
ブ・プロジェクトの内容を決定するためにフォーカス・グループ会議
を開いています。
ラーニング・ネットワーク(GDLN)は、ヨルダンの
アンマンとエジプトのカイロに設立されている計
2 ヶ所の遠隔研修センターに加えて、サウジアラ
ビアとクウェートのパートナーの下にも設立され
ています。バーレーン、イラン、オマーン、アラブ
首長国連邦及びイエメンにおいても、新たなパー
トナーシップを構築するための作業が行われてい
ます。また、ヨルダン、モロッコ及びヨルダン川西
岸・ガザ地区では、「ディベロップメント・ゲー
トウェイ」に関する作業が行われています。
前記の目標は、「有償技術支援プログラム」に
基づく需要立脚型プロセスを通じて達成されつつ
あります。世銀融資適格国ではない域内諸国との
第5章
地域別展望
109
囲み 5.8 環境パートナーシップと研修
―普通の人々による活動
「乾燥地帯の管理に関する地域イニシアティブ」に基づ
いて、世銀は、パートナー(エジプト、イスラエル、ヨ
ルダン、パレスチナ自治政府及びチュニジア)が、生産
性の向上と辺境地の生活水準の改善を目的として、天然
資源の持続可能な管理に関して、技術協力関係を構築し、
かつノウハウを共有するのを支援しています。チュニジ
アのガベス地域では、同イニシアティブは、若い農民に
対して、辺地のディッサに定住し、ガベス・プラントで
処理された排水を使用して灌漑農業を始めることを奨励
しています。同イニシアティブは、この活動を通じて雇
用を創出すると同時に、天然資源を保全することを目指
しています。ヨルダン(ワディ・ムジブ地域)では、新
たな貯水施設は 3 年続いた深刻な旱魃を乗り切ることがで
きました。その結果、この技術を他の地域に適用する計
画が進められています。貯水を作るための土手は、サボ
テンを植えることにより強化されました。この技法はチ
ュニジアから学んだものです。農家は、このサボテンを
採取し、家畜の飼料や収入源として利用します。エジプ
ト北東部のワディ・ウム・アシュタン集水地では、現地
のベドウィン(遊牧民)の協力を得て、改良型飼料を得
るための種子収集プログラムが広い範囲で行われた他、
簡素な貯水技法が活用されました。その結果、年間平均
降雨量が 150mm に過ぎない不毛地であったこの地域は、
生産性の高い農地に生まれ変わりました。
間で従来から行われている技術支援パートナーシ
ップの一環としてのこの非融資サービスには、多
角化戦略、人的資源開発、民間セクター開発、及
び公共セクター改革などがあります。技術支援と
しては、技術・政策助言、キャパシティ・ビルデ
ィング、プロジェクトの設計・実施、及びコンセ
ンサスの形成などが行われました。ほとんどの場
合、この技術支援は必要に応じて行われました
が、援助受入国が責任を負う包括的技術支援フレ
ームワークの色彩が強まりました。サウジアラビ
アは、従来から一貫して世銀の技術支援を受けて
います。クウェートも、毎年実施される「技術協
力プログラム」を開始しました。クウェートに対
しては、世銀は、投資環境、雇用創出、民間セク
ターの参加、及びインフラ・セクターの改革など
について助言サービスを行っています。
110
世界銀行年次報告書 2002
投資環境の構築
投資環境と雇用の改善、及び持続可能な開発の
可能性の強化については引き続き重点が置かれて
います。中東・北アフリカ地域のほとんどの国々
は、投資環境を改善するマクロ経済政策の実施面
でかなり進展しました。しかし、過度の規制と官
僚的形式主義の改善、税金・関税・投資制度の改
善、金融・労働市場の効率的な機能の確保、及び
質の高いインフラを特に中小企業(SME)などが
安価な料金で利用できる機会の拡大などは、依然
として大きな課題として残されています。
モロッコでは「投資環境調査」に基づいて新規
企業の参入と成長を促進するための施策が決定さ
れました。チュニジアでは、世銀と同国政府の合
同プログラムである“Fonds d’Accés aux Marchés
d’Exportation (FAMEX)”が、民間企業に輸出マ
ーケティングなどの分野で支援を行っています。
2001 年に限っても、同プログラムは 100 を超える
新たな輸出企業に支援を行いました。(モロッコ
とチュニジアの他)アルジェリアのSMEによる市
場と情報の利用機会を拡大するために、世銀は最
近、SME 交流プログラムを開始しました。このプ
ログラムは、地中海の両岸の商工会議所を結び付
けるものです。現在、ヨルダンは民営化プログラ
ムを実施していますが、これは域内で最大の成果
を上げています。この民営化プログラムに基づい
て民営化された企業は、GDPの約12%の売上を記
録し、6,000人を超える雇用を創出し、通信料金の
引き下げという形で消費者に便益を提供し、かつ
電話の設置までの待ち時間を短縮しています。さ
らに運輸セクターでは、利用できるバスの台数が
増加して、利用者数も増加しました。この民営化
プログラムは、世銀グループが「ヨルダン民営化
プログラム」を支援する米国国際開発庁の信託基
金を管理するパートナーシップに基づいて行われ
ています。
貧しい人々のエンパワーメント
2002 年度には、世銀援助を受けた多くのイニシ
アティブは、貧しい人々と脆弱な人々のエンパワ
ーメントに貢献しました。中でも最も顕著なのは
「社会基金プログラム」です。アルジェリアでは、
劣悪な環境にある多くの「スラム」(社会サービ
スの提供がなく、治安の悪いバラック地区)を対
象として28の社会事業センターを建設するプログ
ラムによって、これらのスラム地区に、テロの犠
牲者のための心理的、精神医学的及び肉体的なリ
ハビリ、学校を退学した子供達に対する支援、保
よう説得する上で重要な役割を果たしています。
イエメンで最近実施された「保健支援プロジェク
ト」は、中東・北アフリカ地域における保健セク
ターの問題に対する世銀の多面的アプローチの好
例です。このイエメンのプロジェクトは、8 つの地
域(総人口: 150 万人弱)の母親と子供に対して
高水準の様々な保健サービスを提供することで、
サービス改善を図るものです。また、同プロジェ
クトは、マラリアなどの風土病を撲滅するための
公衆衛生プログラムも推進し、さらに、限られた
資金を効果的に配分し、効率的に使用するために、
保健システムの管理も改善することが見込まれま
す。
グローバル・レベルの優先事項
イエメンでは、地域社会との契約で伝統的な貯水施設が建造されてい
ます。
伝染病
エジプトでは、世銀は、
「全国住血吸虫病抑制プ
ログラム(NSCP)」の拡大を支援すると共に、科
学研究能力と公衆衛生プログラムの強化のための
健・医療と教育に対する両親の意識を高めるため 技術支援を行いました。現在、NSCP は、エジプ
のプログラム、社会的権利に関する情報、予防注 トの農村部の全人口(約3,500 万人)を対象として
射、若者を対象としたスポーツ活動、文化プログ います。モロッコでは、世銀は、
「基礎的保健プロ
ラム、などの様々なサービスが提供されました。 ジェクト」に基づいて、「TB 抑制・予防注射拡大
イエメンとエジプトでは、社会基金は、地域社 プログラム」を支援しました。その結果、設備能
会、政府の省庁及びNGOの間で効果的なパートナ 力が増強され、権限委譲も行われました。TB に関
ーシップを構築し、かつこれら関係者に対するキ しては、患者発見率と治療率は共に 90%に達して
ャパシティ・ビルディングを通じて、
「地域社会が おり、治療失敗率は 1%未満となっています。1 歳
参加するという文化」を創造しています。エンパ 未満の幼児に対する DPT3(ジフテリア、百日咳
ワーメントは、父兄協議会、保健協議会及び給水 及び破傷風の混合ワクチン)と麻疹ワクチンの接
利用者協議会などの地域組織に対しても行われて 種率は、それぞれ 92%と 90%となっています。都
います。サブプロジェクトの対象分野は、教育・ 市部と農村部では、それほど大きな差異はありま
保健サービス、革新的な貯水プロジェクト、環境 せん。同プロジェクトに基づいて、世銀はモロッ
対策、小口融資、雇用創出及び観光に直接影響を コの全国エイズ対策プランの策定を支援しました。
与え、地域社会に所得をもたらす文化遺産保全対 このプランは、2001 年秋に開かれた全国ワークシ
策に及んでいます。イエメンでは、これらの活動 ョップの際に同国政府から承認されました。
から直接便益を受けた人が 460 万人、間接的に便
中東・北アフリカ地域の各国は、GDP の 5%を
益を受けた人が約 100 万人となっています。エジ 超える資金を保健システムに投入しています。し
プトでは、女児の小学校就学率を引き上げること かし、保健に関する成果は、あまり芳しくない場
も、世銀援助を受けた教育・社会基金プログラム 合が多くみられます。その理由は、保健システム
の主目標の1つになっています。
「エジプト教育強 が、組織、質及び効率性に関する深刻な問題を抱
化プロジェクト(EEP)
」に基づいて、孤立した貧 えているためです。エジプト、イラン、ヨルダン、
しい地域社会に学校が新設され、就学率が上昇し、 モロッコ及びチュニジアでは、世銀は、プロジェ
過密教育が緩和されました。この EEP に基づい クト及びシステム全体の改革を中心とした助言サ
て、200 を超える地域意識向上キャンペーンが行 ービスを通じて、これらの国々を支援しています。
われ、かつ不利な状況に置かれている 22,000 人を
超える子供達に支援が行われた結果、女子に対す 貿易と統合
る教育を要求する両親が増加しました。NGO、地
中東・北アフリカ地域の世界経済との統合のペ
域社会の指導者(女性を含む)及び宗教指導者は、 ースが遅いことを踏まえ、世銀は、融資・非融資
両親に対し、子供達、特に女児を学校に通わせる サービスを通じて、同地域の世界経済との統合を
第5章
地域別展望
111
図 5.11 中東・北アフリカ地域: IBRD と IDA のテー
マ別の融資額、2002 年度
総額 6 億ドルに占める割合
図 5.12 中東・北アフリカ地域: IBRD と IDA のセク
ター別の融資額、2002 年度
総額 6 億ドルに占める割合
環境・天然資源管理 4%
農村開発 3%
都市開発 10%
人的開発
11%
農業・漁業・林業 1%
経済政策 1%
法律・司法・行政 13%
公共セクター
運営 17%
法規
9%
社会開発・ジェンダー・
参加 2%
給水・衛生・治水 13%
運輸
13%
情報・通信
13%
エネルギー・鉱業
1%未満
教育 7%
産業・貿易 13%
社会的保護・リスク管理 2%
金融・民間セクター開発 37%
保健・その他社会事業 8%
金融 20%
貿易・統合 4%
積極的に支援しています。現在、ヨルダン、モロ
ッコ及びチュニジアでは、通関手続が簡素化され
ていますので、これらのプログラムの成果が上が
っていると言えます。「経済競争力を高めるため
の構造調整融資」に基づいて、チュニジアの輸出
業者は、従来の最大 6 ヶ月以内ではなく、30 日以
内に税還付を受けています。ヨルダン当局は、
2001 年 5 月、輸出業者を中心とする企業に「初の
世界的なビジネス環境」を提供することになる
「アカバ特別経済区域」の運営を開始しました。
この経済地域に関しては、世銀は「経済再編・開
発融資」として資金援助を行いました。世銀の技
術支援も受けて、ヨルダンは、2000 年 1 月以降、
ヨルダン・テレコム、空港免税店及びヨルダン・
フライト・ケータリング・カンパニーを対象とし
た民営化プログラムを加速しています。その結
112
世界銀行年次報告書 2002
果、外国からの投資も流入し、明らかに顧客に便
益が生じています。モロッコでは、世銀の「政策
改革融資」を受けて、公共セクター改革の一環と
して本格的な税関改革が開始されました。その結
果、通関の平均待ち時間は、2 日から1 日弱に減少
しました。
国際金融システム
2002 年度には、世銀は国際金融インフラを強化
するために、モロッコ対象は作成中、チュニジア
対象は完了した「金融セクター審査ペーパー」、
エジプトを対象とした「国別財政責任調査」、エ
ジプトとモロッコを対象とした会計と監査に関す
る ROSC の支援を強化しました。また、モロッコ
を対象としたコーポレート・ガバナンスに関する
ROSCは完了しました。
表 5.6 中東・北アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資、1993 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
1993–97
1998–99
(年平均) (年平均)
テーマ別
経済政策
公共セクター運営
法 規
金融・民間セクター開発
貿易・統合
社会的保護・リスク管理
社会開発・ジェンダー・参加
人的開発
都市開発
農村開発
環境・天然資源管理
テーマ別総額
セクター別
農業・漁業・林業
法律・司法・行政
情報・通信
教 育
金 融
保健・その他社会事業
産業・貿易
エネルギー・鉱業
運 輸
給水・衛生・治水
セクター別総額
2000
2001
2002
50.5
79.5
16.1
350.4
28.3
68.3
69.0
94.0
140.8
214.3
204.1
5.2
89.8
59.5
361.1
38.8
87.4
64.5
179.0
125.9
175.3
94.2
0.0
130.6
9.3
61.8
3.0
100.0
71.6
187.9
143.5
89.2
123.3
11.9
102.6
56.5
78.8
3.4
5.6
52.5
35.7
46.7
86.4
27.5
5.0
93.3
49.1
204.1
24.8
11.0
13.4
61.9
55.8
14.5
21.7
1,305.2
1,280.8
920.0
507.5
554.5
234.8
127.4
11.0
97.2
161.8
98.2
170.9
82.2
146.5
175.3
147.9
236.0
33.8
94.2
190.8
159.8
168.6
56.8
81.7
110.9
120.6
108.9
1.3
197.1
5.3
158.9
47.9
0.0
59.6
220.5
46.5
161.5
59.2
72.3
0.0
39.3
27.0
0.0
82.8
19.0
2.9
74.7
69.9
38.0
110.5
41.7
71.7
1.3
70.9
73.1
1,305.2
1,280.8
920.0
507.5
554.5
1,155.7
149.5
955.5
325.3
760.3
159.8
355.2
152.3
451.8
102.7
うち、
IBRD融資額
IDA融資額
注:新たなテーマ・セクター分類システム(68テーマ、57セクター)に従って、融資を11の主要テーマと10の主要セクターに分けて示した。
30 頁の表 2.2を参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。
第5章
地域別展望
113
第6章
世界銀行について
表
表 6.1
世銀融資適格国
131
表 6.2
アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
133
東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
133
南アジア地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
134
表 6.3
表 6.4
表 6.5
ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
134
表 6.6
ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
135
表 6.7
中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
表 6.8
表 6.9
表 6.10
表 6.11
表 6.12
表 6.13
表 6.14
135
2002 年度に承認された融資、
アフリカ地域
136
2002 年度に承認された融資、
東アジア・大洋州地域
144
2002 年度に承認された融資、
南アジア地域
148
2002 年度に承認された融資、
ヨーロッパ・中央アジア地域
151
2002 年度に承認された融資、
ラテンアメリカ・カリブ海地域
157
2002 年度に承認された融資、
中東・北アフリカ地域
164
構造調整融資、2002 年度
166
組織に関する情報
総務及び総務代理
理事・理事代理及び議決権
幹部職員
現地事務所の所在地
116
120
122
123
組織に関する情報
総務及び総務代理
2002 年 6 月 30 日
116
加盟国
総務
アフガニスタン
アルバニア
アルジェリア
アンゴラ
アンティグア・バーブーダ+
アルゼンチン
アルメニア
オーストラリア
オーストリア
アゼルバイジャン
Hedayat Amin-Arsala
Kastriot Islami
Mohamed Terbeche
Ana Dias Lourenco
Lester B. Bird
Roberto Lavagna
Vahram Nercissiantz
Peter Costello
Karl-Heinz Grasser
Elman Siradjogly Rustamov
バハマ+
バーレーン+
バングラデシュ
バルバドス
ベラルーシ+
ベルギー
ベリーズ
ベナン
ブータン
ボリビア
William C. Allen
Abdulla Hassan Saif
M. Saifur Rahman
Reginald Farley
Andrei V. Kobyakov
Didier Reynders
Ralph Fonseca
Bruno Amoussou
Yeshey Zimba
Jacques Trigo Loubiere
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ボツワナ
ブラジル
ブルネイ・ダルサラーム+
ブルガリア+
ブルキナファソ
ブルンジ
カンボジア
カメルーン
カナダ
Azra Hadziahmetovic
Baledzi Gaolathe
Pedro Sampaio Malan
Haji Hassanal Bolkiah
Milen Veltchev
Jean Baptiste Compaore
Edouard Kadigiri
Keat Chhon
Martin Okouda
John Manley
ケープベルデ
中央アフリカ共和国
チャド
チリ
中国
コロンビア
コモロ
コンゴ民主共和国
コンゴ共和国
コスタリカ
Carlos Augusto Duarte Burgo
Alexis Ngomba
Mahamat Ali Hassan
Nicolas Eyzaguirre
Xiang Huaicheng
Juan Manuel Santos Calderon
Djaffar Mmadi
Matungulu Mbuyamu Ilankir
Mathias Dzon
Jorge Walter Bolanos Rojas
コートジボワール
クロアチア
キプロス
チェコ
デンマーク
ジブチ
ドミニカ国
ドミニカ共和国
エクアドル
エジプト・アラブ共和国
Affi N’Guessan
Mato Crkvenac
Takis Klerides
Jiri Rusnok
Per Stig Moller
Yacin Elmi Bouh
Swinburne Lestrade
Francisco M. Guerrero Prats-R.
Carlos Julio Emanuel
Medhat Hassanein
世界銀行年次報告書 2002
総務代理
(空席)
Fatos Ibrahimi
Omar Bougara
Job Graca
Asot A. Michael
Mario Blejer
Karen Chshmarityan
Chris Gallus
Thomas Wieser
Jahangir Fevzi Hajiyev
Ruth R. Millar
Zakaria Ahmed Hejres
Anisul Huq Chowdhury
Grantley W. Smith
Vladimir N. Shimov
Guy Quaden
Sydney Campbell
Lazare Sehoueto
(空席)
Bernardo Requena Blanco
Mladen Ivanic
Serwalo S.G. Tumelo
Arminio Fraga Neto
Yakub Abu Bakar
Martin Mihaylov Zaimov
Etienne Yameogo
Dieudonne Nintunze
Ouk Rabun
Daniel Njankouo Lamere
Leonard M. Good
(空席)
Clement Eregani
Maina Touka Sahanaye
Mario Marcel
Jin Liqun
Juan Carlos Echeverry
Moindjie Saadi
Jean-Claude Masangu Mulongo
Clement Mierassa
Eduardo Lizano Fait
Bouabre Bohoun
Josip Kulisic
Andreas Tryfonides
Oldrich Dedek
Carsten Staur
Nouh Omar Miguil
Ambrose M. J. Sylvester
Luis Manuel Piantini
Julio Ponce Arteta
Faiza Abulnaga
加盟国
総務
総務代理
エルサルバドル
赤道ギニア
エリトリア
エストニア+
エチオピア
フィジー
フィンランド
フランス
ガボン
ガンビア
Juan Jose Daboub
Fortunato Ofa Mbo
Berhane Abrehe
Harri Ounapuu
Sufian Ahmed
Jone Yavala Kubuabola
Sauli Niinisto
Francis Mer
Casimir Oye-Mba
Famara L. Jatta
Rafael Barraza
Melchor Esono Edjo
Kibrom Dafla
Renaldo Mandmets
Mekonnen Manyazewal
Solomone S. Kotobalavu
Satu Hassi
Jean-Pierre Jouyet
Claude Ayo Iguendha
Dodou B. Jagne
グルジア
ドイツ
ガーナ
ギリシャ
グレナダ
グアテマラ
ギニア
ギニアビサウ
ガイアナ
ハイチ
Mirian Gogiashvili
Heidemarie Wieczorek-Zeul
Yaw Osafo-Maafo
Nikolaos Christodoulakis
Anthony Boatswain
Eduardo Humberto Weymann Fuentes
Cheick Ahmadou Camara
Rui Duarte Barros
Bharrat Jagdeo
Faubert Gustave
Giorgi Gachechiladze
Caio K. Koch-Weser
Grace Coleman
Vasilis Rapanos
Swinburne Lestrade
Lizardo Arturo Sosa Lopez
Cellou Dalein Diallo
Verissimo Paulino Nancassa
Saisnarine Kowlessar
Venel Joseph
ホンジュラス
ハンガリー
アイスランド
インド
インドネシア
イラン・イスラム共和国
イラク
アイルランド
イスラエル
イタリア
Arturo Alvarado
Csaba Laszlo
Halldor Asgrimsson
Yashwant Sinha
Boediono
Thahmaseb Mazaheri-Khorzani
Issam Rashid Hwaish
Charlie McCreevy
David Klein
Antonio Fazio
Maria Elena Mondragon de Villar
Peter Adamecz
Geir Hilmar Haarde
Chander Mohan Vasudev
Achjar Iljas
Mohammad Khazaee-Torshizi
Hashim Ali Obaid
Tom Considine
Ohad Marani
Lorenzo Bini Smaghi
ジャマイカ+
日本
ヨルダン
カザフスタン
ケニア
キリバス
大韓民国
クウェート
キルギス共和国
ラオス人民民主共和国
ラトビア
レバノン
レソト
リベリア
リビア
リトアニア+
ルクセンブルク
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
マダガスカル
Omar Lloyd Davies
Wesley George Hughes
塩川 正十郎
速水 優
Bassem I. Awadallah
Alexander Sergeyevich Pavlov
Christopher Mogere Obure
Beniamina Tinga
Yun-Churl Jeon
Yousef Hamad Al-Ebraheem
Temirbek Akmataliev
Soukanh Mahalath
Hala Bsaiso Lattouf
Mazhit T. Yessenbayev
Mwaghazi W. Mwachofi
Tebwe Ietaake
Seung Park
Bader Meshari Al-Humaidhi
Kubat Abduldaevich Kanimetov
Phouphet Khamphounvong
Roberts Zile
Fuad A.B. Siniora
Mohlabi Kenneth Tsekoa
Amelia A. Ward
Alojeli Abdel Salam Breeni
Dalia Grybauskaite
Luc Frieden
Nikola Gruevski
Pierrot J. Rajaonarivelo
Aigars Kalvitis
Basil R. Fuleihan
T. J. Ramotsoari
M. Nathaniel Barnes
Ali Ramadan Shnebsh
Arvydas Kregzde
Jean Guill
Vanco Kargov
Simon Constant Horace
(次頁に続く)
第6章
世界銀行について
117
総務及び総務代理(続き)
118
加盟国
総務
総務代理
マラウイ
マレーシア
モルディブ
マリ
マルタ+
マーシャル諸島
モーリタニア
モーリシャス
メキシコ
ミクロネシア連邦
Friday Jumbe
Mahathir Mohamad
Fathulla Jameel
Ousmane Issoufi Maiga
John Dalli
Michael Konelios
Mohamed Ould Nany
Khushhal Chand Khushiram
Francisco Gil Diaz
John Ehsa
Zaki Chalira
Samsudin Hitam
Adam Maniku
Toure Alimata Traore
Joseph Scicluna
Smith Michael
Abdallah Ould Hormtallah
Philippe Ong Seng
Agustin Carstens
Sebastian L. Anefal
モルドバ
モンゴル
モロッコ
モザンビーク
ミャンマー
ナミビア+
ネパール
オランダ
ニュージーランド
ニカラグア
Zinaida Grecianii
Chultem Ulaan
Fathallah Oualalou
Adriano Afonso Maleiane
Khin Maung Thein
Saara Kuugongelwa
Ram Sharan Mahat
Gerrit Zalm
Michael Cullen
Eduardo Montealegre Rivas
Dumitru Ursu
Ochirbat Chuluunbat
Ahmed Lahlimi
Manuel Chang
Soe Lin
Usutuaije Maamberua
Bimal P. Koirala
Eveline Herfkens
Alan Bollard
Mario Alonso Icabalceta
ニジェール
ナイジェリア
ノルウェー
オマーン
パキスタン
パラオ
パナマ
パプアニューギニア
パラグアイ
ペルー
Ali Badjo Gamatie
Adamu Ciroma
Hilde Frafjord Johnson
Ahmed Macki
Shaukat Aziz
Casmir Remengesau
Norberto Delgado Duran
Mekere Morauta
James Spalding
Pedro Pablo Kuczynski
Maliki Barhouni
Thelma Amata Iremiren
Olav Kjorven
Mohammed bin Nasser Al-Khasibi
Nawid Ahsan
Lawrence Alan Goddard
Domingo Latorraca
Koiari Tarata
Jose Ernesto Buttner
Richard Webb
フィリピン
ポーランド
ポルトガル
カタール+
ルーマニア+
ロシア連邦
ルワンダ
セントクリストファー・ネイヴィース
セントルシア
セントビンセントおよびグレナディーン諸島
Jose Isidro N. Camacho
Leszek Balcerowicz
Manuela Ferreira Leite
Yousef Hussain Kamal
Mihai Nicolae Tanasescu
Viktor Khristenko
Donald Kaberuka
Denzil Douglas
Kenny D. Anthony
Ralph E. Gonsalves
Rafael B. Buenaventura
Andrzej S. Bratkowski
Miguel Frasquilho
Abdullah Bin Khalid Al-Attiyah
Emil Iota Ghizari
German O. Gref
Jean Marie Karekezi
Wendell Everton Lawrence
Bernard La Corbiniere
Laura Anthony-Browne
サモア
サンマリノ+
サントメ・プリンシペ
サウジアラビア
セネガル
セーシェル+
シエラレオネ
シンガポール+
スロバキア共和国
スロベニア
Misa Telefoni Retzlaff
Fiorenzo Stolfi
Adelino Santiago Castelo David
Ibrahim A. Al-Assaf
Abdoulaye Diop
Jeremie Bonnelame
Peter J. Kuyembeh
Lee Hsien Loong
Ivan Miklos
Anton Rop
Hinauri Petana
Clelio Galassi
Angela M. da Graca Viegas Santiago
Hamad Al-Sayari
Cheikh Hadjibou Soumare
Alain Butler-Payette
Samura Kamara
Lim Siong Guan
Marian Jusko
Irena Sodin
世界銀行年次報告書 2002
加盟国
ソロモン諸島
ソマリア
南アフリカ
スペイン
スリランカ
スーダン
スリナム+
スワジランド
スウェーデン
スイス
総務
Laurie Chan
(空席)
総務代理
Shadrach Fanega
(空席)
Trevor Andrew Manuel
Rodrigo de Rato Figaredo
Kairshasp Nariman Choksy
Abdul Rahim Hamdi
Humphrey S. Hildenberg
Guduza Dlamini
Bosse Ringholm
Pascal Couchepin
Mandisi Bongani Mpahlwa
Juan Costa Climent
Charitha Ratwatte
Sabir Mohamed Hassan
Stanley B. Ramsaran
Musa D. Fakudze
Jan O. Karlsson
Joseph Deiss
シリア・アラブ共和国
タジキスタン
タンザニア
タイ
トーゴ
トンガ
トリニダード・トバゴ
チュニジア
トルコ
トルクメニスタン+
Muhammad Al-Atrash
Safarali Najmuddinov
Abdallah Omar Kigoda
Somkid Jatusripitak
Simfeitcheou Pre
Siosiua T. T. ’Utoikamanu
Patrick Manning
Fethi Merdassi
Faik Oztrak
Ymamdurdy Gandymov
Mohamad Bittar
Maruf N. Sayfiev
Peter J. Ngumbullu
Somchainuk Engtrakul
Kossi Assimaidou
’Aisake V. Eke
Conrad Enill
Abdelhamid Triki
Aydin Karaoz
ウガンダ
ウクライナ+
アラブ首長国連邦
英国
米国
ウルグアイ+
ウズベキスタン
バヌアツ
ベネズエラ・ボリバル共和国+
Gerald M. Ssendaula
Vasyl Rohovyi
Hamdan bin Rashid Al-Maktoum
Clare Short
Paul H. O’Neill
Alberto Bension
Rustam S. Azimov
Sela Molisa
Felipe Perez
ベトナム
イエメン共和国
ユーゴスラビア連邦共和国
ザンビア
ジンバブエ
Le Duc Thuy
Ahmed Mohamed Sofan
Miroljub Labus
Boniface Nonde
Simba Herbert Stanley Makoni
(空席)
C. M. Kassami
Alexander Shlapak
Mohammed Khalfan Bin Khirbash
Gordon Brown
Alan P. Larson
Ariel Davrieux
(空席)
Jeffery Wilfred
Tobias Nobrega Suarez
Duong Thu Huong
Anwar Rizq Al-Harazi
Jovan Rankovic
Likolo Ndalamei
Leonard Ladislas Tsumba
(+印)IDA 加盟国ではない。
第6章
世界銀行について
119
組織に関する情報
理事・理事代理及び議決権
2002 年 6 月 30 日
IBRD
IDA
理事代理
国名
全体に
占める
議決権数 割合(%)
Carole Brookins
Robert B. Holland, III
原田 有造
吉田 正紀
Eckhard Deutscher
Tom Scholar
Pierre Duquesne
Eckhardt Biskup
Rosemary B. Stevenson
Emmanuel Moulin
米国
日本
ドイツ
英国
フランス
265,219
127,250
72,649
69,647
69,647
16.45
7.89
4.51
4.32
4.32
1,913,640
1,461,212
940,076
658,718
579,342
14.52
11.09
7.13
5.00
4.40
オーストリア、カザフスタン、
スロバキア、スロベニア、チェコ、
トルコ、ハンガリー、ベラルーシ a、
ベルギー、ルクセンブルク
77,669
4.82
592,203
4.49
エルサルバドル、グアテマラ、
コスタリカ、スペイン、ニカラグア、
ホンジュラス、
メキシコ
ベネズエラ a、
72,786
4.51
291,969
2.22
アルメニア、イスラエル、ウクライナ a、
オランダ、キプロス、グルジア、
クロアチア、ブルガリア a、
ボスニア・ヘルツェゴビナ、
マケドニア、
モルドバ、ルーマニア a
72,208
4.48
478,024
3.63
アイルランド、アンティグア・バーブーダ a、
ガイアナ、カナダ、グレナダ、ジャマイカ a、
セントビンセントおよびグレナディーン諸島、
セントクリストファー・ネーヴィス、
セントルシア、ドミニカ国、バハマ a、
バルバドス、ベリーズ、
62,217
3.86
560,547
4.25
エクアドル、コロンビア、スリナム a、
ドミニカ共和国、
トリニダード・トバゴ、
ハイチ、
パナマ、
フィリピン、
ブラジル
58,124
3.61
392,696
2.98
アルバニア、イタリア、ギリシャ、
ポルトガル、サンマリノ a、マルタ a
55,938
3.47
517,721
3.93
バヌアツ、オーストラリア、韓国、
カンボジア、キリバス、サモア、
ソロモン諸島、ニュージーランド、
パラオ、パプアニューギニア、
マーシャル、ミクロネシア、モンゴル
55,800
3.46
396,886
3.01
インド、スリランカ、バングラデシュ、
ブータン
54,945
3.41
546,804
4.15
アルジェリア、
イラク、
イラン、
ガーナ、
チュニジア、
パキスタン、
モロッコ
54,052
3.35
253,710
1.93
アイスランド、エストニア a、スウェーデン、
デンマーク、
ノルウェー、
フィンランド、
ラトビア、リトアニア a
54,039
3.35
652,246
4.95
アンゴラ、ウガンダ、エリトリア、ボツワナ、
ブルンジ、ガンビア、ケニア、マラウイ、
ザンビア、シエラレオネ、ジンバブエ、
スーダン、スワジランド、セーシェル a、
タンザニア、ナイジェリア、ナミビア a、
南アフリカ、モザンビーク、リベリア、レソト、
53,962
3.35
476,109
3.61
理事
議決権数
全体に
占める
割合(%)
任命理事
選任理事
Philippe M. Peeters
(ベルギー)
Moises Pineda
(メキシコ)
Pieter Stek
(オランダ)
Terrie O’Leary
(カナダ)
Jaime Ruiz
(コロンビア)
Franco Passacantando
(イタリア)
Neil F. Hyden
(オーストラリア)
Balmiki Prasad Singhb
(インド)
Ahmed Sadoudi
(アルジェリア)
Finn Jønck
(デンマーク)
Girmai Abraham
(エリトリア)
120
世界銀行年次報告書 2002
Emin Dedeoglu
(トルコ)
Jose H. Machillanda
(ベネズエラ)
Tamara Solyanyk
(ウクライナ)
Sharon Weber
(ジャマイカ)
Luis Antonio Balduino
(ブラジル)
Helena Cordeiro
(ポルトガル)
Dong-Soo Chin
(韓国)
Akbar Ali Khan
(バングラデシュ)
Inaamul Haquec
(パキスタン)
Inkeri Hirvensalo
(フィンランド)
Richard H. Kaijuka
(ウガンダ)
IBRD
理事
Pietro Veglio
(スイス)
Zhu Guangyao
(中国)
全体に
占める
議決権数 割合(%)
国名
Jerzy Hylewski
アゼルバイジャン、ウズベキスタン、
キルギス、スイス、タジキスタン、
トルクメニスタン a、ポーランド
46,096
2.86
467,821
3.55
中国
45,049
2.79
247,345
1.88
サウジアラビア
45,045
2.79
471,464
3.58
ロシア
45,045
2.79
35,991
0.27
アラブ首長国連邦、イエメン、エジプト、
オマーン、カタール a、クウェート、
ヨルダン、シリア、バーレーン a、
モルディブ、リビア、レバノン
43,984
2.73
283,980
2.16
インドネシア、シンガポール a、タイ、
トンガ、ネパール、フィジー、
ブルネイ a、ベトナム、マレーシア、
ミャンマー、ラオス
41,096
2.55
345,372
2.62
アルゼンチン、ウルグアイ a、チリ、
パラグアイ、ペルー、ボリビア
37,499
2.33
237,131
1.80
カメルーン、ガボン、ギニア、
ギニアビサウ、ケープベルデ、
コートジボワール、コモロ、コンゴ共和国、
コンゴ民主共和国、サントメ・プリンシペ、
ジブチ、赤道ギニア、セネガル、
中央アフリカ、チャド、トーゴ、
ニジェール、ブルキナファソ、
ベカル、マリ、
モーリタニア、モーリシャス、ルワンダ
32,252
2.00
374,898
2.85
(ポーランド)
Chen Huand
議決権数
全体に
占める
割合(%)
理事代理
(中国)
Yahya Abdulla M.
Alyahya
Abdulrahman M.
Almofadhi
(サウジアラビア)
(サウジアラビア)
e
(Vacant)
(ロシア)
Mahdy Ismail Aljazzaf
(クウェート)
Abdul Aziz Mohd.
Yaacob
Eugene Miagkov
(ロシア)
Mohamed Kamel Amr
(エジプト)
Nguyen Doan Hung
(ベトナム)
(マレーシア)
Mario Soto-Platero
(ウルグアイ)
Bassary Toure
(マリ)
IDA
Roberto Garcia-Lopez
(アルゼンチン)
Paulo F. Gomes
(ギニアビサウ)
前記リストの理事及び理事代理に加えて、下記の人物が 2001 年 6 月 30 日より後に任務を遂行した。
理 事
Khalid M. Al-Saad(クウェート)
Andrei Bugrov(ロシア)
Matthias Meyer(スイス)
Jean-Claude Milleron(フランス)
Stephen Pickford(英国)
Jan Piercy(米国)
Helmut Schaffer(ドイツ)
任期終了日
2001 年 10 月 31 日
2002 年 3 月 31 日
2002 年 3 月 31 日
2001 年 8 月 1 日
2001 年 12 月 16 日
2001 年 8 月 19 日
2002 年 6 月 15 日
理事代理
任期終了日
Anna M. Brandt(スウェーデン)
2001 年 7 月 31 日
Lewis D. Holden(ニュージーランド) 2001 年 7 月 6 日
Mahbub Kabir(バングラデシュ)
2001 年 9 月 21 日
注:アフガニスタン(IBRD ― 550 票、IDA ― 13,557 票)、エチオピア(IBRD ― 1,228 票、IDA ― 23,053 票)及びソマリア(IBRD ― 802 票、IDA ― 10,506 票)は、
2000 年の定期理事選挙に不参加であった。ユーゴスラビア(IBRD ― 1,847 票、IDA ― 25,109 票)は、同選挙の後に加盟国となった。
a. IBRD のみに加盟。
b. 2002 年 8 月 1 日、C. M. Vasudev(インド)が着任。
c. 2002 年 7 月 1 日、Tanwir Ali Agha(パキスタン)が着任。
d. 2002 年 7 月 15 日、Wu Jinkang(中国)が着任。
e. 2002 年 7 月 1 日、Alexey G. Kvasov(ロシア)が着任。
第6章
世界銀行について
121
組織に関する情報
幹部職員
2002 年 6 月 30 日
122
総裁
James D. Wolfensohn
専務理事
専務理事
専務理事
専務理事
Shengman Zhang
Jeffrey A. Goldstein
Mamphela Ramphele
Peter Woicke
上級副総裁、兼最高財務責任者
上級副総裁、開発経済担当、チーフ・エコノミスト
副総裁、兼ネットワーク総括責任者、業務ポリシー・対借入国サービス
副総裁、金融セクター
副総裁、兼経理担当
副総裁、ラテンアメリカ・カリブ海地域
副総裁、兼官房秘書官
副総裁、兼ネットワーク総括責任者、環境・社会・持続可能な開発
副総裁、対外関係及び国連担当
副総裁、東アジア・大洋州地域
副総裁、資源動員・協調融資
副総裁、世界銀行研究所
副総裁、ヨーロッパ・中央アジア地域
副総裁、アフリカ地域
副総裁、兼主席情報担当官
副総裁、兼ネットワーク総括責任者、貧困削減・経済政策
副総裁、南アジア地域
副総裁、対外関係(ヨーロッパ地域担当)
副総裁、兼ネットワーク総括責任者、人的開発
副総裁、中東・北アフリカ地域
副総裁、民間セクター開発・インフラ、兼ネットワーク総括責任者、
民間セクター・インフラ
副総裁、人的資源
副総裁、戦略・資源管理
副総裁、兼最高法律顧問
副総裁、兼トレジャラー
総局長、業務評価
Gary Perlin
Nicholas Stern
James W. Adams
Cesare Calari
Fayezul H. Choudhury
David de Ferranti
Cheikh Ibrahima Fall
Ian Johnson
Mats Karlsson
Jemal-ud-din Kassum
世界銀行年次報告書 2002
日下部 元雄
Frannie Leautier
Johannes Linn
Callisto Madavo
Mohamed Muhsin
Gobind Nankani
西水 美恵子
Jean-François Rischard
Jo Ritzen
Jean-Louis Sarbib
Nemat Shafik
Katherine Sierra
Anil Sood
Ko-Yung Tung
Graeme Wheeler
Robert Picciotto
組織に関する情報
現地事務所の所在地
2002 年 6 月 30 日
本部:
ジュネーブ:
アルバニア:
1818 H Street N.W.
Washington, D.C. 20433, U.S.A.
Tel: (202) 473-1000
Fax: (202) 477-6391
E-mail: feedback@worldbank.org
Web: www.worldbank.org
Mr. Alfredo Sfeir-Younis
The World Bank
3, chemin Louis-Dunant
Case Postale 66
1211 Geneva 20, Switzerland
Tel: (41-22) 748 1000
Fax: (41-22) 748 1030
Mr. Eugen Scanteie
The World Bank
Deshmoret e 4 Shkurtit, No. 34
Tirana, Albania
Tel: (355-4) 230 017
Fax: (355-4) 240 590
E-mail: Escanteie@worldbank.org
ロンドン:
アルジェリア:
The World Bank
New Zealand House
15th Floor, Haymarket
London SW1 Y4TE, England
Tel: (44-20) 7930-8511
Fax: (44-20) 7930-8515
Mr. Djamal Mostefai
The World Bank Liaison Office
c/o Hotel Sheraton
Staouéli, Algiers, Algeria
Tel: (213-21) 37-66-13
Fax: (213-21) 37-66-14
E-mail: Dmostefai@worldbank.org
ニューヨーク事務所:
Mr. Eduardo A. Doryan
The World Bank, Office of the Special
Representative to the U.N.
809 United Nations Plaza, Suite 900
New York, N.Y. 10017, U.S.A.
E-mail: edoryan@worldbank.org
2002 年 8 月 15 日以降の新住所
1 Dag Hammarskjold Plaza
885 2nd Avenue, 26th Floor
New York, N.Y. 10017, U.S.A.
Tel: (212) 355-5112
Fax: (212) 355-4523
ヨーロッパ:
Mr. Jean-François Rischard
Vice President
Banque Mondiale
66 avenue d’Iéna
75116 Paris, France
Tel: (33-1) 40 69 30 00
Fax: (33-1) 40 69 30 64
Web: www.worldbank.org/europe
ブリュッセル:
Mr. Andrew Rogerson
Banque Mondiale
10 rue Montoyer
B-1000 Brussels, Belgium
Tel: (32-2) 552 00 52
Fax: (32-2) 552 00 25
E-mail: Arogerson@worldbank.org
Web: www.worldbank.org/eu
フランクフルト:
Mr. Oltmann G. Siemens
The World Bank
Bockenheimer Landstrasse 109
60325 Frankfurt am Main, Germany
Tel: (49-69) 743-48230
Fax: (49-69) 743-48239
ローマ:
Ms. Susana Esteban Berrocal
The World Bank
Via Labicana 110
00184 Rome, Italy
Tel: (39-06) 77 7101
Fax: (39-06) 70 96 046
Web: www.worldbank.org/europe
東京:
〒 100-0011
東京都千代田区内幸町 2-2-2
富国生命ビル 10 階
世界銀行東京事務所
副総裁
吉村 幸雄
アンゴラ:
Ms. Olinda M. Vieira Dias
The World Bank Liaison Office
Rua Alfredo Troni (Edificio BPC)
No. 15, 14 Andar (14th Floor)
Luanda, Angola
(postal address: Caixa Postal 1331)
Tel: (244-2) 394-877
Fax: (244-2) 394-784
E-mail: Otorresvieiradia@worldbank.org
Tel: (81-3) 3597-6650
Fax: (81-3) 3597-6695
E-mail: Yyoshimura1@worldbank.org
E-mail: Ptokyo@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.or.jp/
* アルゼンチン:
Ms. Myrna L. Alexander
Banco Mundial
Edificio Bouchard
Bouchard 547, 3er Piso
C1106ABG Buenos Aires, Argentina
Tel: (54-11) 4316-9700
Fax: (54-11) 4313-1233
E-mail: Mlalexander@worldbank.org
アフガニスタン:
アルメニア:
Mr. William Byrd
The World Bank
Street No. 15, House No. 19
Wazir Akbar Khan
Kabul, Afghanistan
Tel: 0093 7207 9192
E-mail: Wbyrd@worldbank.org
Mr. Owaise Saadat(2002 年 7 月31日まで)
Mr. Roger Robinson(2002 年 8 月1日以降)
The World Bank
Republic Square
9 V. Sargsyan Street
Yerevan 375010, Armenia
Tel: (374-1) 527888
Fax: (374-1) 521787
E-mail: Osaadat@worldbank.org
E-mail: Rrobinson@worldbank.org
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
第6章
世界銀行について
123
* オーストラリア:
Mr. Klaus Rohland
The World Bank
Level 19, CML Building
14 Martin Place
Sydney NSW 2000, Australia
Tel: (61-2) 9235-6522
Fax: (61-2) 9223-9903
E-mail: Krohland@worldbank.org
ベナン:
ブラジル、レシフェ:
Ms. Diarietou Gaye
Banque Mondiale
Zone Résidentielle de la Radio
Cotonou, Bénin
(postal address: B.P. 03-2112)
Tel: (229) 312124
Fax: (229) 312751, 315839
E-mail: Dgaye@worldbank.org
Mr. Tulio Barbosa
Banco Mundial
Edificio SUDENE, Sala 13S-021
Cidade Universitaria
50670-900 Recife, PE, Brazil
Tel: (55-81) 3453-1644
Fax: (55-81) 3453-4624
E-mail: Tbarbosa@worldbank.org
アゼルバイジャン:
ボリビア:
ブルガリア:
Mr. Akbar Noman
The World Bank
91-95 Mirza Mansur Street
Icheri Sheher
Baku, 370004, Azerbaijan
Tel: (994-12) 922586
Fax: (994-12) 921479
E-mail: Anoman@worldbank.org
Mr. John Newman
Banco Mundial
Edificio Victor, piso 9
Calle Fernando Guachalla #342—
Sopocachi
La Paz, Bolivia
(postal address: Casilla 8692)
Tel: (591-2) 244-3555
Fax: (591-2) 212-9880
E-mail: Jnewman@worldbank.org
Mr. Oscar de Bruyn Kops
The World Bank
World Trade Center—Interpred
36 Dragan Tsankov Blvd.
1040 Sofia, Bulgaria
Tel: (359-2) 96 97 229
Fax: (359-2) 971 20 45
E-mail: Odebruynkops@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.bg/
* バングラデシュ:
Mr. Frederick Thomas Temple
The World Bank
3A, Paribagh
Dhaka 1000, Bangladesh
(postal address: G.P.O. Box 97)
Tel: (880-2) 861-1056
Fax: (880-2) 861-3220
E-mail: Ftemple@worldbank.org
ベラルーシ:
Mr. Sergiy Kulyk
The World Bank
2A Gertsen Street, 2nd Floor
Minsk, 220030
Republic of Belarus
Tel: (375-17) 226-5284
Fax: (375-17) 211-0314
E-mail: Skulyk@worldbank.org
ベルギー:
Ms. Margret C. Thalwitz
Banque Mondiale
Rue Montoyer
17-19, 1st Floor
1040 Brussels, Belgium
Tel: (32-2) 504 09 90
Fax: (32-2) 504 09 99
E-mail: Mthalwitz@worldbank.org
ブルキナファソ:
ボスニア・ヘルツェゴビナ:
Mr. Joseph K. Ingram
The World Bank
Hamdije Kresevljakovica 19/5
71000 Sarajevo
Bosnia and Herzegovina
Tel: (387-33) 440 293
Fax: (387-33) 440 108
E-mail: Jingram@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.ba/
* ブラジル:
Mr. Vinod Thomas
Banco Mundial
Setor Comercial Norte Quadra 02
Lote A—Edificio
Corporate Financial Center
Conjuntos 303/304, 603
Brasilia, DF 70712-900, Brazil
Tel: (55-61) 329-1000
Fax: (55-61) 329-1010
E-mail: Vthomas@worldbank.org
ブラジル、フォルタレザ:
Mr. Vinod Thomas
The World Bank Liaison Office
Rua Oswaldo Cruz, No. 01
Edifício Beira Mar Trade Center,
Sala 1710, 60125-150 - Fortaleza,
Ceará, Brazil
Tel: (55-85) 242-7200
Fax: (55-85) 242-7177
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
124
世界銀行年次報告書 2002
Mr. Jean Mazurelle
Banque Mondiale
Immeuble BICIA, 3ème étage
Ouagadougou, Burkina Faso
(postal address: B.P. 622)
Tel: (226) 306237
Fax: (226) 308649
E-mail: Jmazurelle@worldbank.org
ブルンジ:
Mr. Mathurin Gbetibouo
Banque Mondiale
avenue du 18 septembre
Bujumbura, Burundi
(postal address: B.P. 2637)
Tel: (257) 222443, 223269
Fax: (257-2) 26005
E-mail: Mgbetibouo@worldbank.org
カンボジア:
Mr. Bonaventure Mbida-Essama
The World Bank
113 Norodom Boulevard
Phnom Penh, Cambodia
(postal address: P.O. Box 877)
Tel: (855-23) 213538, 213639
Fax: (855-23) 210504, 210373
E-mail: Bmbidaessama@worldbank.org
カメルーン:
コンゴ民主共和国:
東ティモール:
Mr. Madani M. Tall
Banque Mondiale
rue 1. 792, No. 186
Yaoundé, Cameroon
(postal address: B.P. 1128)
Tel: (237) 221 68 75
Fax: (237) 221 07 22
E-mail: Mtall@worldbank.org
Mr. Onno Ruhl
The World Bank
avenue Wagenia, no. 4847
Kinshasa-Gombe
Democratic Republic of Congo
Tel: (243) 99 49015
Fax: (243) 880-7817
E-mail: Oruhl@worldbank.org
Ms. Sarah F. Cliffe
The World Bank
Rua Dos Direitos Humanos
Dili, East Timor
(postal address: World Bank Mission,
East Timor, GPO Box 3548,
Darwin, NT 0801, Australia)
Tel: (670-390) 312-367/324-649
Fax: (670-390) 321-178
中央アフリカ:
コンゴ共和国:
Mr. Madani M. Tall
Banque Mondiale
rue des Missions
Bangui, République Centrafricaine
(postal address: B.P. 819)
Tel: (236) 616 138
Fax: (236) 616087
E-mail: Mtall@worldbank.org
Mr. Alassane Diawara
The World Bank
Immeuble BDEAC, 2è étage
Boulevard de la Révolution
P.O. Box 14536
Brazzaville, Republic of Congo
Tel: (242) 81 33 30
Fax: (242) 81 53 16
E-mail: Adiawara@worldbank.org
チャド:
Mr. Gregor Hans Binkert
Banque Mondiale
avenue Charles de Gaulle
et avenue du Commandant Lamy
Quartier Bololo
N’Djamena, Chad
(postal address: B.P. 146)
Tel: (235-52) 3247, 3360
Fax: (235-52) 4484
E-mail: Gbinkert@worldbank.org
* コートジボワール:
Mr. Mamadou Dia
Banque Mondiale
Corner of Booker Washington and
Jacques Aka Streets, Cocody,
Abidjan 01, Côte d’Ivoire
(postal address: B.P. 1850)
Tel: (225) 22 40 04 00
Fax: (225) 22 40 04 61
E-mail: Mdia@worldbank.org
* 中国:
Mr. Yukon Huang
The World Bank
9th Floor, Building A, Fuhua Mansion
No. 8, Chaoyangmen Beidajie
Dongcheng District,
Beijing 100027, China
(postal address: P.O. Box 100600-9086)
Tel: (86-10) 6554-3361
Fax: (86-10) 6554-1686
E-mail: Yhuang2@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.cn/
* クロアチア:
Mr. Andrew Vorkink, Country Director
Ms. Indira Konjhodzic, Country
Manager
The World Bank
Trg J.F. Kennedya 6b/lll
HR-10000 Zagreb, Croatia
Tel: (385-1) 2357-222
Fax: (385-1) 2357-200
E-mail: Avorkink@worldbank.org
E-mail: Ikonjhodzic@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.hr/
コロンビア:
ドミニカ共和国:
Mr. Alberto Chueca Mora
Banco Mundial
Carrera 7 No. 71-21
Torre A, piso 16
Apartado 10229
Bogota, Colombia
Tel: (57-1) 326-3600
Fax: (57-1) 326-3480
E-mail: Achuecamora@worldbank.org
Mr. Marco Mantovanelli
Banco Mundial
Calle Virgilio Díaz Ordoñez #36
esq. Gustavo Mejía Ricart
Edificio Mezzo Tempo, Suite 401
4ta. Planta, Santo Domingo, R.D.
Tel: (809) 566-6815
Fax: (809) 566-7746, 566-7189
E-mail: Mmantovanelli@worldbank.org
(オーストラリアのみから接続可能)
E-mail: Scliffe@worldbank.org
エクアドル:
Mr. McDonald P. Benjamin
Banco Mundial
Calle 12 de Octubre 1830 y Cordero
World Trade Center
Torre B, Piso 13
Quito, Ecuador
Tel: (593-2) 222 0204
Fax: (593-2) 222 0205
E-mail: Mbenjamin1@worldbank.org
* エジプト:
Mr. Mahmood A. Ayub
The World Bank
World Trade Center
1191 Corniche El-Nil, 15th Floor
Boulaq
Cairo, Arab Republic of Egypt, 11221
Tel: (20-2) 574-1670
Fax: (20-2) 574-1676
E-mail: Mayub@worldbank.org
エリトリア:
Mr. Emmanuel Y. Ablo
The World Bank
15/17, Tsegai Adig Street
Zone 03, Subzone 01
Asmara, Eritrea
Tel: (291-1) 12 43 02
Fax: (291-1) 12 43 09
E-mail: Eablo@worldbank.org
* エチオピア:
Mr. Ishac Diwan
The World Bank
Africa Avenue
Bole Road
Addis Ababa, Ethiopia
(postal address: P.O. Box 5515)
Tel: (251-1) 62 77 00
Fax: (251-1) 62 77 17
E-mail: Idiwan@worldbank.org
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
第6章
世界銀行について
125
* インドネシア:
Mr. Mark Baird
(2002 年 8 月 31 日まで)
Mr. Andrew Steer(2002 年 9 月 1 日から)
The World Bank
Jakarta Stock Exchange Building
Tower 2, 13th Floor
Sudirman Central Business
District (SCBD)
Jl. Jendral Sudirman Kav. 52-53
Jakarta 12190, Indonesia
(postal address: P.O. Box 324/JKT)
ハイチ:
Tel: (62-21) 5299-3000
Mr. Marco Mantovanelli
Fax: (62-21) 5299-3111
Banque Mondiale
c/o IDB, 389 Route de Bourdon
E-mail: Mbaird@worldbank.org
Port-au-Prince, Haïti
(2002 年 8 月 31 日まで)
Tel: (509) 510-3797
E-mail: Asteer@worldbank.org
Fax: (509) 512-5895 \ (809) 566-7746
(2002 年 9 月 1 日から)
E-mail: Mmantovanelli@worldbank.org Web: http://www.worldbank.or.id
ガボン:
ガイアナ:
Banque Mondiale
Quartier Palais de Justice
Section RG
Parcelle No. 222
Libreville, Gabon
Tel: (241) 73 81 71
Fax: (241) 73 81 69
Mr. James Droop
The World Bank Liaison Office
UNDP Building
42 Brickdam and UN Place
Stabroek
Georgetown, Guyana
Tel: (592) 223-5036
Fax: (592) 225-1384
E-mail: Jdroop@worldbank.org
グルジア:
Mr. Tevfik Mehmet Yaprak
The World Bank
5A, 1st Drive, Chavchavadze Avenue
Tbilisi, 380079 Georgia
Tel: (995-32) 91-30-96
Fax: (995-32) 91-23-71
E-mail: Tyaprak@worldbank.org
* ガーナ:
Mr. Mats Karlsson(2002 年 11 月1日から)
The World Bank
69 Dr. Isert Road
North Ridge Residential Area
Accra, Ghana
(postal address: P.O. Box M. 27)
Tel: (233-21) 229681
Fax: (233-21) 227887
グアテマラ:
Mr. Eduardo Somensatto
Banco Mundial
13 Calle 3-40
Zona 10, Edificio Atlantis, Piso 14
Guatemala City, Guatemala
Tel: (502) 366-2044
Fax: (502) 366-1936
E-mail: Esomensatto@worldbank.org
ギニア:
Mr. Jan Aime E. Weetjens
Banque Mondiale
Immeuble de l’Archevêché
Face Baie des Anges
Conakry, Guinée
(postal address: B.P. 1420)
Tel: (224) 412-770
Fax: (224) 415-094
E-mail: Jweetjens@worldbank.org
ホンジュラス:
ジャマイカ:
Mr. Joseph Owen
Banco Mundial
Centro Financiero BANEXPO, 4to Piso
Boulevard San Juan Bosco
Colonia Payaquí
Apartado Postal 3591,
Tegucigalpa, Honduras
Tel: (504) 239-4551
Fax: (504) 239-4555
E-mail: Jowen@worldbank.org
Mr. Errol G. Graham
The World Bank Liaison Office
Island Life Center
6 St. Lucia Avenue
Third Floor
Kingston 5, Jamaica
Tel: (876) 960-0459
Fax: (876) 960-0463
E-mail: Egraham@worldbank.org
* インド:
Mr. Edwin R. Lim
Mr. Michael Carter(2002 年 9 月1日から)
The World Bank
70 Lodi Estate
New Delhi 110 003, India
(postal address: P.O. Box 416,
New Delhi 110 001)
Tel: (91-11) 461 7241
Fax: (91-11) 461 9393
E-mail: Elim@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.in/
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
126
世界銀行年次報告書 2002
* カザフスタン:
Mr. Dennis N. de Tray
The World Bank Almaty Office
41/A Kazybek bi Street,
4th Floor, 480100 Almaty,
Republic of Kazakhstan
Tel: (7-3272) 980-580
Fax: (7-3272) 980-581
E-mail: Ddetray@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.kz/
The World Bank Astana Office
Samal Microdistrit, 14th Floor
Astana Towers
473000 Astana, Republic of Kazakhstan
Tel: (7-3172) 580-5555
Fax: (7-3172) 58-03-42
* ケニア:
Mr. Makhtar Diop
The World Bank
Hill Park Building
Upper Hill
Nairobi, Kenya
(postal address: P.O. Box 30577)
Tel: (254-2) 260 300
Fax: (254-2) 260 380
E-mail: Mdiop2@worldbank.org
レバノン:
マラウイ:
The World Bank
U.N.-House
6th Floor
Riad El Solh
Beirut 1107 2270, Lebanon
(postal address: P.O. Box 11-8577)
Tel: (961-1) 987 800
Fax: (961-1) 986 800
Mr. Dunstan M. Wai
The World Bank
Development House
Capital City
Lilongwe 3, Malawi
(postal address: P.O. Box 30557)
Tel: (265-1) 770 611
Fax: (265-1) 771 158 / 773 908
E-mail: Dwai@worldbank.org
レソト:
コソボ:
Mr. Sidi Boubacar
The World Bank Liaison Office
Rruga Tirana No. 35
38000 Pristina, Kosovo
Federal Republic of Yugoslavia
(Serbia and Montenegro)
Tel: (381-38) 249 459
Fax: (381-38) 249 780
E-mail: Sboubacar@worldbank.org
キルギス:
Mr. Mohinder S. Mudahar
The World Bank
214 Moskovskaya Str.
Bishkek 720010, Kyrgyz Republic
Tel: (996-312) 61 06 50
Fax: (996-312) 61 03 56
E-mail: Mmudahar@worldbank.org
ラオス:
Mr. Enrique O. Crousillat
The World Bank
Pathou Xay - Nehru Road
Vientiane, Lao PDR
(postal address: P.O. Box 345
code 01004)
Tel: (856-21) 414-209, 450-010
Fax: (856-21) 414-210
E-mail: Lschneider@worldbank.org
ラトビア:
Mrs. Inguna Dobraja
The World Bank
Smilsu Street 8, 5th Floor
Riga, LV 1162, Latvia
Tel: (371-7) 220-744
Fax: (371-7) 814-245
E-mail: Idobraja@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.lv/
Mr. Fayez S. Omar
The World Bank Liaison Office
U.N. House
United Nations Road
Maseru, Lesotho
Tel: (266) 321-480
Fax: (266) 310-619
リトアニア:
Mr. Mantas Nocius
The World Bank
Jogailos Str. 4, 5th Floor
2001 Vilnius, Lithuania
Tel: (370-5) 210 7680
Fax: (370-5) 210 7681
E-mail: Mnocius@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.lt/
マケドニア:
Ms. Marie-H. P. Bricknell
The World Bank
34 Leninova Street
91000 Skopje, Republic of Macedonia
Tel: (389-2) 117-159
Fax: (389-2) 117-627
E-mail: Mbricknell@worldbank.org
Web: http//www.worldbank.org.mk/
* マダガスカル:
Mr. Hafez Ghanem
Banque Mondiale
Rue Andriamifidy L.
Razafimanantsoa, Anosy (près du
Ministère des Affaires Etrangères)
Antananarivo 101, Madagascar
(postal address: B. P. 4140)
Tel: (261-20) 2256000
Fax: (261-20) 2233338
E-mail: Hghanem@worldbank.org
マリ:
Ms. Judith Press
Banque Mondiale
Immeuble SOGEFIH,
Centre Commercial Rue 32
Quartier du Fleuve, Bamako, Mali
(postal address: B. P. 1864)
Tel: (223) 222 22 83
Fax: (223) 222 66 82
E-mail: Jpress@worldbank.org
モーリタニア:
Mr. Yves Duvivier
Banque Mondiale
Villa No. 30, Lot A
Quartier Socogim
Nouakchott, Mauritanie
(postal address: B. P. 667)
Tel: (222) 525 1017
Fax: (222) 525 1334
E-mail: Yduvivier@worldbank.org
* メキシコ:
Mr. Olivier Lafourcade
Banco Mundial
Insurgentes Sur 1605, Piso 24
San Jose Insurgentes
03900 Mexico, D. F., Mexico
Tel: (52-5) 5480-4200
Fax: (52-5) 5480-4222
モルドバ:
Mr. Carlos Elbirt
The World Bank
Sciusev str., 76/6, MD 2012
Chisinau, Republic of Moldova
Tel: (373-2) 237-065
Fax: (373-2) 237-053
E-mail: Celbirt@worldbank.org
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
第6章
世界銀行について
127
モンゴル:
ニジェール:
Mr. Saha Dhevan Meyanathan
The World Bank
11-A Peace Avenue
Ulaanbaatar 210648, Mongolia
Tel: (976-11) 312-647
Fax: (976-11) 312-645
E-mail: Smeyanathan@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.mn
Mr. Geoffrey Bergen
Banque Mondiale
42 rue des Dallols
Niamey, Niger
(postal address: B. P. 12402)
Tel: (227) 72 50 09
Fax: (227) 73 55 06
E-mail: Gbergen@worldbank.org
モロッコ:
* ナイジェリア:
Mr. Mark D. Tomlinson
The World Bank
Plot 433 Yakubu Gowon Crescent
Opposite ECOWAS Secretariat
Asokoro District
Abuja, Nigeria
(postal address: P.O. Box 2826, Garki)
Tel: (234-9) 314-5269
Fax: (234-9) 314-5267
E-mail: Mtomlinson@worldbank.org
Mr. Olivier P. Godron
The World Bank
7, rue Larbi Ben Abdellah
Rabat-Souissi, Morocco
Tel: (212-3) 763.60.50
Fax: (212-3) 763.60.51
E-mail: Ogodron@worldbank.org
* モザンビーク:
Mr. Darius Mans
The World Bank
Avenue Kenneth Kaunda, 1224
Maputo, Mozambique
(postal address: Caixa Postal 4053)
Tel: (258-1) 49 28 41
Fax: (258-1) 49 28 93
E-mail: Dmans@worldbank.org
* ネパール:
Mr. Kenichi Ohashi
The World Bank
Yak & Yeti Hotel Complex, Lal Durbar,
Kathmandu, Nepal
(postal address: P.O. Box 798)
Tel: (977-1) 226793
Fax: (977-1) 225112
E-mail: Kohashi@worldbank.org
ニカラグア:
Mr. Ulrich Lächler
Banco Mundial
De la Rotonda de la
Centroamerica, 400 mts. abajo
Segundo Piso Edificio SYSCOM
Managua, Nicaragua
Tel: (505) 270-0000
Fax: (505) 270-0077
E-mail: Ulachler@worldbank.org
* パキスタン:
Mr. John W. Wall
The World Bank
20 A Shahrah-e-Jamhuriyat, Ramna 5,
G-5/1, Islamabad, Pakistan
(postal address: P.O. Box 1025)
Tel: (92-51) 2279641
Fax: (92-51) 2279648
E-mail: Jwall@worldbank.org
世界銀行年次報告書 2002
* フィリピン:
Mr. Robert V. Pulley
The World Bank
23/F, The Taipan Place Building
Emerald Avenue, Ortigas Center
Pasig City, Metro Manila, Philippines
Tel: (63-2) 637-5855
Fax: (63-2) 637-5870
E-mail: Rpulley@worldbank.org
* ポーランド:
Mr. Michael F. Carter
The World Bank
53, Emilii Plater St.
Warsaw Financial Center, 9th Floor
00-113 Warsaw, Poland
Tel: (48-22) 520 8000
Fax: (48-22) 520 8001
E-mail: Mcarter1@worldbank.org
Web: http:/www.worldbank.org.pl/
ルーマニア:
パプアニューギニア:
Mr. Mahesh Sharima
The World Bank Liaison Office
c/o Holiday Inn
Suite 102
P.O. Box 1981
Boroko, Port Moresby
Papua New Guinea
Tel: (675) 323-1366
Fax: (675) 323-1526
パラグアイ:
Mr. Peter M. Hansen
Banco Mundial
Edificio Naciones Unidas
Av. Mcal. Lopez y Saravi
Asunción, Paraguay
Tel: (595-21) 664-000
Fax: (595-21) 664-002
E-mail: Phansen1@worldbank.org
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
128
* ペルー:
Ms. Isabel M. Guerrero
Banco Mundial
Avenida Alvarez Calderón 185
Piso 7, San Isidro
Lima, Peru
Tel: (51-1) 215-0660
Fax: (51-1) 421-7241
E-mail: Iguerrero@worldbank.org
Mr. M. Ziad Alahdad
The World Bank
Boulevard Dacia 83, Sector 2,
Bucharest, Romania
Tel: (40-1) 210-1804
Fax: (40-1) 210-2021
E-mail: Malahdad@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.ro/
* ロシア
Mr. Julian F. Schweitzer
The World Bank
Sadovaya-Kudrinskaya No. 3
Moscow 123242, Russian Federation
Tel: (7-095) 745-7000
Fax: (7-095) 254-8368
E-mail: Jschweitzer@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.ru/eng/
ルワンダ:
Mr. Edward K. Brown
The World Bank
Blvd. de la Révolution
SORAS Building
Kigali, Rwanda
(postal address: P.O. Box 609)
Tel: (250) 572204
Fax: (250) 576385
E-mail: Ebrown1@worldbank.org
サウジアラビア:
Mr. Edgar Saravia
The World Bank
UNDP Building, Diplomatic Quarter
(beside American Embassy)
Riyadh, Saudi Arabia
(postal address: P.O. Box 5900,
Riyadh 11432, Saudi Arabia)
Tel: (966-1) 483-4956
Fax: (966-1) 488-5311
E-mail: Esaravia@worldbank.org
* セネガル:
Mr. John McIntire
Banque Mondiale
3, place de l’indépendance
Immeuble SDIH 5ème étage
Dakar, Sénégal
(postal address: B. P. 3296)
Tel: (221) 849-50-00
Fax: (221) 849-50-27
E-mail: Jmcintire@worldbank.org
* 南アフリカ:
Mr. Fayez S. Omar
The World Bank
First Floor, Pro Equity Court
1250 Pretorius Street
Hatfield, Pretoria 0083
Republic of South Africa
(postal address: P.O. Box 12629,
Hatfield 0028, Pretoria)
Tel: (27-12) 431-3100
Fax: (27-12) 431-3134
E-mail: Fomar@worldbank.org
* スリランカ:
Mr. Peter C. Harrold
The World Bank
1st Floor, DFCC Building
73/5, Galle Road
Colombo 3, Sri Lanka
(postal address: P.O. Box 1761)
Tel: (94-1) 448070/1
Fax: (94-1) 440357
E-mail: Pharrold@worldbank.org
タジキスタン:
Mr. Mustapha Rouis
The World Bank
Rudaki Avenue 105
Dushanbe, Tajikistan
Tel: (992-372) 21-07-56
Fax: (992-372) 51-00-42
E-mail: Mrouis@worldbank.org
タンザニア:
シエラレオネ:
Mr. Richard Lynn Ground
The World Bank
Africanus House
13A Howe Street
Freetown, Sierra Leone
Tel: (232-22) 227555
Fax: (232-22) 228555
E-mail: Rground@worldbank.org
シンガポール:
Mr. Peter L. Stephens
The World Bank Liaison Office
#15-08, MAS Building
10 Shenton Way
Singapore, 079117
Tel: (65) 6324-4612
Fax: (65) 6324-4615
E-mail: Pstephens1@worldbank.org
Mr. Benno J. Ndulu
The World Bank
50 Mirambo Street
Dar-es-Salaam, Tanzania
(postal address: P.O. Box 2054)
Tel: (255-22) 2114575
Fax: (255-22) 2113039
E-mail: Bndulu@worldbank.org
トーゴ:
Mr. Jean-Michel Happi
Banque Mondiale
169 Boulevard du 13 Janvier
Immeuble BTCI, 8ème étage
Lomé, Togo
(postal address: Boite Postale 3915)
Tel: (228) 221.55.69
Fax: (228) 221.78.56
E-mail: Jhappi@worldbank.org
チュニジア:
Ms. Fatma Felah
The World Bank Liaison Office
61, Boulevard Bab Benat
1035 Tunis, Tunisia
Tel: (216-71) 563-265
Fax: (216-71) 436-475
E-mail: Ffelah@worldbank.org
* トルコ:
Mr. Ajay Chhibber
The World Bank
Ugur Mumcu Caddesi 88
Kat: 2, 06700 Gaziosmanpasa
Ankara, Turkey
Tel: (90-312) 446 38 24
Fax: (90-312) 446 24 42
E-mail: Achhibber@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.tr/
トルクメニスタン:
Mrs. Guljahan Kurbanova
The World Bank Liaison Office
United Nations Building
Atabaev Street, 40
Ashgabat 744000
Turkmenistan
Tel: (993-12) 350477
Fax: (993-12) 351693
E-mail: Gkurbanova@worldbank.org
ウガンダ
* タイ:
Mr. Ian C. Porter
The World Bank
Diethelm Towers, Tower A
14th Floor, 93/1 Wireless Road
Lumpini, Pathumwan
Bangkok 10330, Thailand
Tel: (66-2) 256-7792
Fax: (66-2) 256-7794/5
E-mail: Iporter@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.or.th
Mr. Robert Blake
The World Bank
1 Lumumba Avenue
Rwenzori House, 4th Floor
Kampala, Uganda
(postal address: P.O. Box 4463)
Tel: (256-41) 230-094
Fax: (256-41) 230-092
E-mail: Rblake@worldbank.org
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
第6章
世界銀行について
129
ウクライナ:
Mr. Gregory T. Jedrzejczak
The World Bank
2 Lysenko Street
Kyiv 01034, Ukraine
Tel: (380-44) 490 6671
Fax: (380-44) 490 6670
E-mail: Gjedrzejczak@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.ua/
* ベトナム:
Mr. Andrew D. Steer
(2002 年 8 月 31 日まで)
The World Bank
63 Ly Thai To Street, 8th Floor
Hanoi, Vietnam
Tel: (84-4) 934-6600
Fax: (84-4) 934-6597
E-mail: hha@worldbank.org
ユーゴスラビア:
Mr. Rory O’Sullivan
The World Bank
Bulevar Kralja Aleksandra 86-90
Belgrade, Federal Republic
of Yugoslavia
Tel: (381-11) 3023-700
Fax: (381-11) 3023-732
E-mail: Rosullivan@worldbank.org
(対外関係部門の連絡用電子メール)
ウズベキスタン:
Mr. David Pearce
The World Bank
43 Academician Suleimanova Street
Tashkent, Uzbekistan 700017
Tel: (998-71) 1335002
Fax: (998-71) 1206215
E-mail: Dpearce@worldbank.org
ベネズエラ:
Mr. Felipe Saez
Banco Mundial
Av. Francisco de Miranda
con Av. del Parque
Torre Edicampo, Piso 10,
Campo Alegre
Caracas, República Bolivariana
de Venezuela
Tel: (58-212) 267-9943
Fax: (58-212) 267-9828
E-mail: Fsaez@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org/vn
* ヨルダン川西岸・ガザ地区:
Mr. Nigel Roberts
The World Bank
P.O. Box 54842
Jerusalem
アルラム Tel: (972-2) 2366500
アルラム Fax: (972-2) 2366543
ガザ Tel: (972-8) 2823422
ガザ Fax: (972-8) 2824296
世界銀行年次報告書 2002
Mr. Laurence C. Clarke
The World Bank
Anglo American Building
74 Independence Avenue, 3rd Floor
Lusaka, Zambia 10101
(postal address: P.O. Box 35410)
Tel: (260-1) 252-811
Fax: (260-1) 254-283
E-mail: Lclarke@worldbank.org
ジンバブエ:
イエメン:
Mr. Robert E. Hindle
The World Bank, Hadda Street No. 40
off Damascus Road
Sana’a, Republic of Yemen
(postal address: P.O. Box 18152)
Tel: (967-1) 413 708
Fax: (967-1) 413 709
E-mail: Rhindle@worldbank.org
(* 印)国別担当局長が配置されている。現地事務所の地図及び第 5 章の融資適格国を参照。
注:世銀の業務分野ごとのウェブサイトについては、174-175 頁を参照。
130
ザンビア:
Mr. Ohene Owusu Nyanin
The World Bank
Old Lonrho Building
88 Nelson Mandela Avenue
Harare, Zimbabwe
(postal address: P.O. Box 2960)
Tel: (263-4) 729-611
Fax: (263-4) 708-659
E-mail: Onyanin@worldbank.org
Web: http://www.worldbank.org.zw/
表
表 6.1 世銀融資適格国
(2002 年 7 月 1 日現在)
所得分類
及び国名
2001 年の
一人当たりGNIa
2001 年の
一人当たりGNIa
所得分類
及び国名
IBRD 融資のみの適格国
一人当たり GNI が 5,185 ドル超
スロベニア
大韓民国
アンティグア・バーブーダ
アルゼンチン
セントクリストファー・ネーヴィス
パラオ
ウルグアイ
メキシコ
トリニダード・トバゴ
チェコ共和国
セーシェル
9,780
9,400
9,070
6,960
6,880
6,730
5,670
5,540
5,540
5,270
—
一人当たり GNI が 2,976 ∼ 5,185 ドル
ハンガリー
ベネズエラ・ボリバル共和国
クロアチア
チリ
ポーランド
レバノン
コスタリカ
モーリシャス
エストニア
スロバキア共和国
マレーシア
ボツワナ
パナマ
ラトビア
ガボン
リトアニア
ブラジル
4,800
4,760
4,550
4,350
4,240
4,010
3,930
3,830
3,810
3,720
3,640
3,630
3,290
3,260
3,160
3,080
3,070
一人当たり GNI が 1,436 ∼ 2,975 ドル
ベリーズ
南アフリカ
ジャマイカ
トルコ
2,910
2,900
2,700
2,530
ドミニカ共和国
マーシャル諸島
ミクロネシア連邦
フィジー
チュニジア
エルサルバドル
ペルー
タイ
ナミビア
コロンビア
イラン・イスラム共和国
ヨルダン
ロシア連邦
ルーマニア
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
スリナム
グアテマラ
アルジェリア
ブルガリア
エジプト・アラブ共和国
2,230
2,190
2,150
2,130
2,070
2,050
2,000
1,970
1,960
1,910
1,750
1,750
1,750
1,710
1,690
1,690
1,670
1,630
1,560
1,530
一人当たり GNI が 746 ∼ 1,435 ドル
カザフスタン
パラグアイ
スワジランド
エクアドル
ベラルーシ
モロッコ
フィリピン
シリア・アラブ共和国 b
トルクメニスタン
中国
イラク c
1,360
1,300
1,300
1,240
1,200
1,180
1,050
1,000
950
890
—
一人当たり GNI が 746 ドル未満
ウクライナ
赤道ギニア
710
700
一人当たり GNI が 746 ドル未満
インドネシア
アゼルバイジャン
パプアニューギニア
ウズベキスタン
ジンバブエ c
インド
パキスタン
ナイジェリア
680
650
580
560
480
460
420
290
IBRD 融資及び IDA 融資のブレンド適格国 d
一人当たり GNI が 2,976 ∼ 5,185 ドル
セントルシア e
グレナダ e
ドミニカ国 e
3,970
3,720
3,060
一人当たり GNI が 1,436 ∼ 2,975 ドル
セントビンセントおよびグレナディーン諸島 e
2,690
一人当たり GNI が 746 ∼ 1,435 ドル
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ボリビア
ユーゴスラビア連邦共和国 c
1,270
940
—
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
131
表 6.1 世銀融資適格国(続き)
所得分類
及び国名
2001 年の
一人当たりGNIa
所得分類
及び国名
2001 年の
一人当たりGNIa
IDA 融資のみの適格国 d
一人当たり GNI が 1,436 ∼ 2,975 ドル
モルディブ e
トンガ e
サモア e
2,040
1,530
1,520
一人当たり GNI が 746 ∼ 1,435 ドル
ケープベルデ e
アルバニア
バヌアツ e
ジブチ
ホンジュラス
ガイアナ
キリバス
スリランカ
1,310
1,230
1,050
890
890
840
830
830
一人当たり GNI が 746 ドル未満
コンゴ共和国
ブータン
コートジボワール
ソロモン諸島 c
カメルーン
グルジア
アルメニア
レソト
アンゴラ
ハイチ c
セネガル
イエメン共和国
ベトナム
ギニア
モンゴル
モルドバ
コモロ
バングラデシュ
ベナン
700
640
630
580
570
570
560
550
500
480
480
460
410
400
400
390
380
370
360
モーリタニア
ケニア
ガンビア
スーダン c
ザンビア
ラオス
ガーナ
キルギス共和国
サントメ・プリンシペ
タンザニア
ウガンダ
中央アフリカ共和国 c
カンボジア
トーゴ c
マダガスカル
ネパール
ルワンダ
ブルキナファソ
マリ
モザンビーク
チャド
エリトリア
マラウイ
ニジェール
ギニアビサウ
タジキスタン
シエラレオネ
ブルンジ
エチオピア
アフガニスタン c
コンゴ民主共和国 c
リベリア c
ミャンマー c
ニカラグア
ソマリア c
350
340
330
330
320
310
290
280
280
280
280
270
270
270
260
240
220
210
210
210
200
190
170
170
160
160
140
100
100
—
—
—
—
—
—
―:正確な数値が不明。
a. 「世界銀行アトラス」方式:一人当たり GNI(国民総所得。従来は GNP が使用されていた)の数値は、2001 年の米ドル建て。
b. 2002 年 6 月 30 日現在、融資は行われていない。
c. 2002 年 7 月 1 日現在、融資は行われていない。
d. 借入国は、(a) 相対的貧困度、及び (b) 信用力不足に基づいて、IDA 融資適格国となる。2003 年度においては、IDA 融資適格国の基準を満たす 2001 年の一人当た
り GNI(「世界銀行アトラス」方式)の上限は 875 ドルとなっている。IDA 融資を受けるためには、借入国はパフォーマンス・テストに合格しなければならない。
例外として、上記の GNI 基準を上回っており、本格的な調整努力を行っているが、IBRD 融資の適格性を有していない借入国に対しては、暫定的に適格性が認めら
れる。経済規模の小さい諸島国は、例外扱いとする(脚注 e を参照)。
e. 信用力がないために世銀グループの援助がほとんど、または、全く受けられないような一部の経済規模の小さい諸島国に対しては、一人当たり GNI による IDA 融資
適格国の基準(2003 年度の上限は 875 ドル)を適用除外扱いとした。かかる諸国に対しては、信用力を改善するためのプロジェクト及び構造調整プログラムに対
する資金供与のために、IDA 融資を行うかどうかをケース・バイ・ケースで検討する。
132
世界銀行年次報告書 2002
表
表 6.2 アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額
及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
エチオピア
項 目
2002
IBRD と IDA の承認額
210
1,170
437
22
415
16
399
未実行残高
実行総額
返済額
純実行額
金利・諸掛り
純移転額
ウガンダ
1997–2002a 2002
1,646
1,170
1,097
114
982
76
907
296
666
256
21
235
16
219
ナイジェリア
1997–2002a 2002
1,275
666
1,064
253
811
88
724
427
261
26
196
(169)
80
(249)
地域合計
1997–2002a 2002
682
261
832
1,749
(917)
831
(1,748)
1997–2002a
3,794
8,363
2,651
792
1,859
417
1,442
16,021
8,363
14,232
6,525
7,707
3,054
4,653
注:この表は、過去 2 年度(2001 ∼ 2002)において同地域で融資額が最も多い上位 3 ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。
a. 2002 年度には、世銀は、重債務貧困国イニシアティブに基づいて、タンザニアに対する 4,125 万ドルとザンビアに対する 1,935 万ドルを含め、22 ヶ国に対して合
計約 2 億 2,763 万ドルの債務救済を実施した。
表 6.3 東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額
及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
中 国
ベトナム
インドネシア
地域合計
項 目
2002
1997–2002
2002
1997–2002
2002
1997–2002
2002
1997–2002
IBRD と IDA の承認額
563
8,427
2,015
1,532
483
725
(242)
10,551
8,427
11,911
4,108
7,803
4,102
3,702
593
1,760
332
2
330
9
321
2,561
1,760
1,338
8
1,330
37
1,294
303
2,110
507
956
(449)
911
(1,360)
5,288
2,110
5,895
5,574
322
5,031
(4,709)
1,774
14,339
3,591
3,435
156
2,457
(2,301)
31,141
14,339
32,029
15,607
16,422
14,446
1,976
未実行残高
実行総額
返済額
純実行額
金利・諸掛り
純移転額
注:この表は、過去 2 年度(2001 ∼ 2002)において同地域で融資額が最も多い上位 3 ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。
第6章
世界銀行について
133
表
表 6.4 南アジア地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額
及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
インド
項 目
2002
1997–2002
IBRD と IDA の承認額
2,190
8,026
2,089
1,467
622
504
118
11,271
8,026
9,806
7,451
2,355
3,857
(1,502)
未実行残高
実行総額
返済額
純実行額
金利・諸掛り
純移転額
パキスタン
2002
800
585
869
310
559
170
389
バングラデシュ
地域合計
1997–2002
2002
1997–2002
2002
1997–2002
2,507
585
3,756
1,653
2,103
1,252
851
321
1,367
321
104
217
49
168
2,761
1,367
2,088
470
1,618
283
1,334
3,508
10,395
3,392
1,934
1,459
745
714
17,205
10,395
16,392
9,793
6,599
5,527
1,072
注:この表は、過去 2 年度(2001 ∼ 2002)において同地域で融資額が最も多い上位 3 ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。
表 6.5 ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、 1997 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
トルコ
項 目
2002
1997–2002
IBRD と IDA の承認額
3,550
2,541
1,679
427
1,253
290
963
7,498
2,541
4,293
3,578
715
1,580
(865)
未実行残高
実行総額
返済額
純実行額
金利・諸掛り
純移転額
ユーゴスラビア
2002
172
0
70
0
70
18
52
ロシア
地域合計
1997–2002
2002
1997–2002
2002
1997–2002
2,039
0
70
0
70
18
52
351
1,751
376
448
(71)
298
(370)
6,113
1,751
6,351
1,080
5,271
1,853
3,418
5,524
8,497
3,824
1,640
2,184
1,179
1,005
28,606
8,497
22,429
9,673
12,757
7,174
5,582
注:この表は、過去 2 年度(2001 ∼ 2002)において同地域で融資額が最も多い上位 3 ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。
134
世界銀行年次報告書 2002
表
表 6.6 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
ブラジル
メキシコ
アルゼンチン
地域合計
項 目
2002
1997–2002
2002
1997–2002
2002
1997–2002
2002
1997–2002
IBRD と IDA の承認額
1,566
2,646
497
807
(310)
489
(799)
8,615
2,646
8,643
5,668
2,975
2,642
333
660
1,597
813
1,304
(490)
794
(1,284)
7,013
1,597
6,857
7,868
(1,011)
5,025
(6,036)
735
2,438
1,190
1,363
(173)
613
(786)
7,266
2,438
7,654
3,485
4,168
3,118
1,051
4,366
9,698
3,777
4,588
(811)
2,555
(3,366)
31,289
9,698
31,968
24,177
7,791
15,025
(7,234)
未実行残高
実行総額
返済額
純実行額
金利・諸掛り
純移転額
注:この表は、過去 2 年度(2001 ∼ 2002)において同地域で融資額が最も多い上位 3 ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。
表 6.7 中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額
及び純移転額、1997 ∼ 2002 年度
(単位: 100 万ドル)
チュニジア
項 目
IBRD と IDA の承認額
未実行残高
実行総額
返済額
純実行額
金利・諸掛り
純移転額
2002
253
303
227
150
77
80
(3)
1997–2002
1,188
303
1,093
991
102
540
(438)
イエメン
2002
78
394
69
18
51
9
42
1997–2002
741
394
638
78
560
48
512
レバノン
2002
109
241
48
26
22
14
8
1997–2002
519
241
270
86
184
74
111
地域合計
2002
1997–2002
554
2,760
632
891
(259)
561
(821)
5,465
2,760
5,656
6,095
(439)
3,758
(4,196)
注:この表は、過去 2 年度(2001 ∼ 2002)において同地域で融資額が最も多い上位 3 ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。
第6章
世界銀行について
135
表
表 6.8 2002 年度に承認された融資、アフリカ地域
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
ベナン
IDA ―「綿花セクター改革投資融資」
地域社会に権限を委譲し、その責任を強化することによって、同セクタ
ーの収益率を改善し、かつセクター方針の策定・実施のプロセスに対す
る農家の参加率を高めることを目指すもの。
総コスト: 2,420 万ドル。
✧ IDA ―「マルチセクター・ HIV/エイズ抑制投資融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
RD
2002/1/22
2012/2041
14.1
18.0
HD
2002/1/4
2012/2041
17.8
23.0
UD
2002/3/28
2012/2041
17.7
22.0
HD
2002/1/22
2012/2041
25.6
32.6
PSG
2001/8/23
2011/2041
36.0
45.0
HD
2001/7/6
2011/2041
17.3
22.0
HD
2002/6/27
2012/2042
29.1
36.0
FPSD
2002/6/24
2008/2038
4.2
5.5
HD
2002/3/28
2012/2042
7.3
9.0
エイズの拡散を抑制し、かつその影響の緩和を目指すもの。HIV/ エイ
ズ予防・治療のために、支援が行われる。HIV/ エイズ患者を抱えた家
庭、介護者及びエイズ孤児のために、社会的支援システムを確立する。
総コスト: 2,540 万ドル。
ブルキナファソ
✧ IDA ―「都市環境補完融資」
都市部の貧しい人々の生活の質を改善するために、全長 18km の道路、
58 の分散型廃棄物処理場、全長 4km のウェムティンガ水路、及び埋立
処理場の建設を支援するもの。
総コスト: 2,310 万ドル。
✧ IDA ―「基礎教育セクター投資融資」
38 万人の子供達に初等教育を施し、6 ∼ 8 万人の女性を読み書き教室に
通わせ、NGO が実施する読み書きプログラムを通じて少女に対する教
育を改善するもの。
総コスト: 9,620 万ドル
✧ IDA ―「貧困削減支援融資」
マクロ経済の安定性維持と経済成長率の加速を目指すもの。財政管理に
関する説明責任と透明性の改善を通じて、基本的行政サービスを実施す
る際により多くの公的資金が効率的に使用されるようになるので、すべ
ての国民が便益を受ける。
総コスト: 4,500 万ドル。
✧ IDA ―「HIV/エイズ惨禍対応投資融資」
脆弱なグループに対する介護・治療の提供、エイズ拡散の緩和、及び個
人や家庭の負担の軽減を通じて、予防活動を改善し、かつ能力を強化す
ることを目指すもの。
総コスト: 2,350 万ドル。
ブルンジ
✧ IDA ―「マルチセクター・ HIV/エイズ抑制・孤児保護投資融資」
孤児、女性及び農村部の貧しい人々が日和見感染に対する予防と治療を
受ける機会を増やすことを目指すもの。さらに、同プロジェクトは、
HIV/エイズに感染した人々に対し継続的に栄養補給剤を提供する。
総コスト: 3,670 万ドル。
カメルーン
IDA ―「SACIII −第 5 次融資」
IDA 融資の継続分。
ケープベルデ
✧ IDA ―「HIV/エイズ抑制投資融資」
孤児及び HIV/エイズ患者を抱える家族に対する診断、治療及び介護を
改善することによって、HIV/ エイズの拡散を緩和し、かつ患者の生産
寿命を伸ばすことを目指すもの。
総コスト: 960 万ドル。
136
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
IDA ―「構造調整融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
PSG
2001/12/13 2012/2042
11.6
15.0
HD
2001/12/14 2011/2041
13.3
17.0
PSG
2001/12/18 2012/2042
31.4
40.0
HD
2001/7/12
2011/2041
19.6
24.6
EM
2001/8/2
2011/2041
4.8
6.0
PSG
2002/6/13
2012/2042
360.4
450.0
PSG
2001/7/31
適用なし
40.0
50.0
UD
2002/5/2
2012/2042
32.2
40.0
PSG
2002/2/7
2012/2042
5.6
7.0
社会的支出の確保、及び民間セクター開発のための政府の安定化プログ
ラムの支援として財政援助を提供することによって、すべての国民に便
益を与えるもの。
総コスト: 3,160 万ドル。
中央アフリカ
✧ IDA ―「マルチセクター・ HIV/エイズ抑制投資融資」
自主的テストの提供、行動の変更、カウンセリングと治療、及び介護と
支援の提供を通じて、26 万人を超える HIV/エイズ患者に便益を提供し、
かつ脆弱なグループの間での HIV/エイズの拡散を緩和することを目指
すもの。
総コスト: 1,800 万ドル。
チャド
✧ IDA ―「第 4 次構造調整融資」
公的資金の使用、調達及び予算編成手続における透明性の改善、並びに、
綿花セクターの改革による持続可能な経済成長の実現を通じて、すべて
の国民に便益を提供すると共に、貧困削減を図ることを目指すもの。
総コスト: 4,890 万ドル。
✧ IDA ―「第 2 次人口・ HIV/エイズ抑制投資融資」
孤児及び HIV/エイズ患者を抱える家族に対する診断、治療及び介護を
改善することによって、HIV/エイズの拡散を緩和し、かつ HIV/エイズ
患者の生産寿命を伸ばすことを目指すもの。
総コスト: 3,310 万ドル。
コモロ
✧ IDA ―「緊急経済復興融資」
貧しい人々の困窮状況を緩和し、かつ同国の国民和解プロセスを支援す
るために必要となる緊急公共支出の原資を提供するもの。
総コスト: 600 万ドル。
コンゴ民主共和国
✧ IDA ―「経済復興融資」
民間セクターの開発を促進し、かつ行政サービスを拡大するための政府
の計画を支援するもの。これらの改革は、公共セクターの財務管理の改
善、及び公営企業の再編成に重点を置いている。
総コスト: 4 億 5,000 万ドル。
✧ IDA ―「緊急早期復興グラント」
ドナー援助プロジェクトを同国の人々が実施する能力を改善できるよう
公的機関を強化すると共に、復興のための戦略フレームワークの策定を
支援するもの。
総コスト: 5,000 万ドル。
コンゴ共和国
✧ IDA ―「緊急復興・生活条件改善融資」
道路、鉄道及び社会インフラなどの優先分野に重点を置いて、同国経済
の復興を支援するもの。この融資は、所得創出事業の実施を通じて、貧
しい人々の緊急の経済的・社会的ニーズを充足することを目指すもので
ある。
総コスト: 4,000 万ドル。
✧ IDA ―「透明性及びガバナンス・キャパシティ・ビルディング融資」
新たな管理手法を活用することで、効率性を改善し、かつ政府機関の能
力を強化することを目指すもの。この融資により、社会・経済セクター
における公共投資が拡大する。
総コスト: 1,080 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
137
表 6.8 2002 年度に承認された融資、アフリカ地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
✧ IDA ―「緊急復員・社会復帰融資」
約 1 万人の復員軍人に所得創出事業に参加する機会を提供すると共に、
SPRM
2001/7/31
2011/2041
4.0
5.0
PSG
2001/7/31
2011/2041
30.0
37.7
RD
2002/6/11
2012/2041
160.2
200.0
FPSD
2002/1/10
2008/2038
9.2
12.0
SPRM
2002/5/16
2012/2042
48.1
60.0
SDGI
2001/7/6
2011/2041
4.0
5.0
PSG
2002/6/18
2012/2042
96.2
120.0
RD
2002/5/30
2012/2042
68.1
85.0
FPSD
2002/4/17
2012/2041
4.1
5.0
社会・経済セクターへの投資を通じて地域経済の活性化を図るもの。
総コスト: 500 万ドル。
✧ IDA ―「紛争後経済復興融資」
公的資金管理に関する透明性と公正なガバナンスの回復を支援するも
の。同国経済を活性化し、かつ安定化させるために、国内外の民間投資
の拡大を図る。
総コスト: 3,750 万ドル。
コートジボワール
IDA ―「経済復興投資融資」
農村部の地域社会を対象として、所得を拡大し、雇用機会を改善し、民
間セクターを強化し、かつ初等教育と保健サービスの利用機会を拡大す
ると共に、これらのサービスの提供に関して地域社会の参加を拡大する
ことを目指すもの。
総コスト: 2 億ドル。
IDA ―「運輸セクター投資融資」
IDA 融資の継続分。
エリトリア
✧ IDA ―「緊急復員・社会復帰融資」
最大 20 万人の復員軍人を対象とする同国の復員・社会復帰プログラム
を支援することを通じて、同国の平和を確実なものとし、かつ経済復興
に貢献するもの。この融資は、復員軍人に提供される各種サービスの効
率性と有効性の改善を目指すものである。
総コスト: 6,000 万ドル。
✧ IDA ―「文化財修復研修・革新融資」
文化財の保全、及び公的記録の管理の改善を通じて、地域社会の経済状
態と文化的活動を活性化できるよう支援するもの。
総コスト: 540 万ドル。
エチオピア
IDA ―「構造調整融資」
民間セクターの投資家と輸出業者の取引コストの低減を通じて、ビジネ
ス環境を改善し、かつ外国投資家を引きつけることを目指すもの。この
融資によって実施される改革は、公共セクターの効率性の向上、及び重
要な行政サービスの改善を目指すものである。
総コスト: 1 億 2,000 万ドル。
✧ IDA ―「食糧安定供給融資」
土壌と用水を保全することによって穀物と家畜の生産・管理を改善し、
農家が農業以外の雇用や所得を獲得する機会を拡大し、かつ子供、妊婦
及び授乳中の母親の栄養状態を改善することを目指すもの。
総コスト: 1 億 1,020 万ドル
✧ IDA ―「文化遺産研修・革新融資」
古代から続く工芸の伝統を保全すると共に、この工芸を地域・国全体の
経済活動の重要な一部として確立することを支援するもの。地域での工
芸品販売機会を拡大し、かつ輸出を支援することを目的として、職人と
小売業者/輸出業者の関係改善のための支援を行う。
総コスト: 570 万ドル。
138
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
ガンビア
IDA ―「ゲートウェイ対応プログラム融資」
外国からの直接投資を引き付けられるような自立的投資促進システムの
確立を通じて、輸出目的の生産に対する民間投資と雇用を拡大し、かつ、
バンジュル地区の住民への技術移転の促進を目指すもの。
総コスト: 1,810 万ドル。
✧ IDA ―「経済政策キャパシティ・ビルディング投資融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
TI
2002/2/28
2011/2041
12.4
16.0
EM
2001/7/26
2011/2041
12.0
15.0
FPSD
2001/12/11 2011/2041
0.4
0.5
FPSD
2001/7/26
2011/2041
87.7
110.0
FPSD
2001/7/26
2011/2041
175.3
220.0
ENRM
2001/8/23
2011/2041
20.0
25.0
HD
2001/7/24
2012/2041
55.7
70.0
PSG
2001/7/24
2012/2041
39.3
50.0
FPSD
2002/3/26
2012/2041
21.0
26.0
FPSD
2002/6/24
2010/2040
1.2
1.5
PSG
2001/7/31
2011/2041
11.9
15.0
政府が、優れた経済政策と税制の実施、及び優先分野への公的資金の配
分を通じてマクロ経済の安定性を維持するのを支援するもの。
総コスト: 1,650 万ドル。
ガーナ
IDA ―「第 3 次経済改革支援融資」
IDA 融資の継続分。
✧ IDA ―「第 3 次経済改革支援運用融資」
ココアの生産者価格を引き上げ、100 万の農家の主たる所得を改善し、か
つ債務負担の軽減、及び公共支出の管理・統制の強化を通じてマクロ経済
の安定性を回復する政府の能力を高めることを目指すもの。
総コスト: 1 億 1,000 万ドル。
✧ IDA ―「道路セクター開発投資融資」
全天候型道路を建設することによって、道路を市場までの物品の運搬の
ために使用する商業利用者、及びその他の目的で利用する一般利用者に
便益を提供すると共に、道路の建設・保守コストの引き下げを図るも
の。
総コスト: 12 億ドル。
ギニア
IDA ―「第 3 次給水・衛生補完融資」
衛生状態を改善し、かつ子供の間での水媒介型病気の感染を減少させる
ことを目指すもの。汚染の緩和を通じて、海洋生態系を保護し、かつ海
浜と都市部の沿岸の回復を図る。
総コスト: 2,750 万ドル。
✧ IDA ―「『万人のための教育』に対応するプログラム融資」
3 ∼ 6 歳の児童を対象として、農村部での初等教育就学率を改善し、か
つ、基礎教育と読み書き訓練のための資金を増額するもの。
総コスト: 4 億 2,010 万ドル。
✧ IDA ―「第 4 次構造調整融資案」
ガバナンスを強化し、かつ国家財政に対する国民の信頼回復を通じて、
行政サービスを改善する政府の能力の強化を図るもの。
総コスト: 5,000 万ドル。
ギニアビサウ
IDA ―「民間セクター再編成・開発投資融資」
貧しい人々に提供される一般的サービスと公益サービスの改善を図るも
の。外国からの投資と輸出収入の増加により、同国の国際収支の改善を
図る。
総コスト: 3,140 万ドル。
ケニア
IDA ―「経済・セクター改革融資」
IDA 融資の継続分。
✧ IDA ―「公共セクター運営技術支援融資」
行政サービスと政策実施の対象設定の改善を図るもの。システムと人的
資源の能力の通じて、財務管理などの受託者責任(fiduciary
responsibility)を強化し、かつ行政サービスに関する汚職を削減する
ことができる。
総コスト: 2,050 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
139
表 6.8 2002 年度に承認された融資、アフリカ地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
マダガスカル
✧ IDA ―「マルチセクター STI /エイズ予防投資融資」
STI /エイズの拡散を緩和し、診断・治療の改善を通じて HIV/エイズ患
者の寿命を伸ばし、かつ患者を抱えた家庭と孤児に対する支援を行うこ
とを目指すもの。
総コスト: 9,630 万ドル。
IDA ―「第 2 次民間セクター開発融資」
テーマ a
SDRb
US$
2001/12/13 2012/2041
15.7
20.0
FPSD
2001/8/28
2012/2041
19.0
23.8
PSG
2001/12/11 2012/2041
55.0
70.0
RD
2001/12/11 2012/2041
34.2
43.5
HD
2001/11/21 2012/2041
2.7
3.3
HD
2001/10/25 2012/2041
39.1
49.2
UD
2001/10/25 2011/2041
55.8
70.0
HD
承認日
返済期間
民間セクターの開発を通じて、輸送などの重要な公益サービスの利用率
と信頼性を高め、かつ価格を引き下げることを目指すもの。民間セクタ
ーの役割を拡充することによって、企業の効率性が高まり、かつ民間企
業による新規参入と投資が増加するので、結果的に貧しい人々に対する
サービスも改善する。
総コスト: 2,960 万ドル。
マリ
IDA ―「第 3 次構造調整融資」
綿花セクターの改革、同セクターの成長率の加速、及び生活水準の改善
を通じて、農村部の住民に便益を与えるもの。この融資は、政府による
改革を支援すると共に、同国の国際収支を改善する。
総コスト: 7,000 万ドル。
✧ IDA ―「農業・生産団体対応プログラム融資」
生産団体を強化することによって農村部の女性の所得を増やし、もって、
家庭の食糧自給率と福利水準を高める。
総コスト: 5,340 万ドル。
モーリタニア
✧ IDA ―「グローバル遠隔研修・改革融資」
同国がデジタル・ディバイド(情報格差)を克服し、かつ電子商取引の
推進と通信の改善を通じて公共・民間セクターによる世界経済との統合
を改善できるよう支援するもの。
総コスト: 500 万ドル。
✧ IDA ―「教育セクター開発対応プログラム融資」
質の高い教育を提供すると共に、初等・中等・高等教育を受けている
100 万人の学生のために、学校の施設、及び学習教材や教授法の改善を
図るもの。
総コスト: 3 億 2,370 万ドル。
✧ IDA ―「都市開発対応プログラム融資」
都市部の少なくとも 54 万 1,600 人に便益を与えるものである。この融
資は、雇用機会の拡大と都市・土地管理の改革を通じて、生活条件の改
善をも目指すものである。
総コスト: 9,910 万ドル。
モーリシャス
IBRD ―「公共支出改革融資」
政府が経済アジェンダに基づいて施策を実施するのを支援するもの。こ
の融資は、競争力、社会開発及び社会的統合の改善、並びに環境保護に
重点を置く。
総コスト: 4,000 万ドル。
IBRD ―「金融セクター監督当局投資融資」
政府による金融セクター委員会の設置、及び国際競争力を備えた金融セ
クターの構築を支援することを通じて、消費者、金融セクターの当事者
及び国際社会に便益をもたらすもの。
総コスト: 230 万ドル
140
世界銀行年次報告書 2002
PSG
2002/5/7
2007/2017
適用なし
40.0
FPSD
2001/12/4 不明/ 2016
適用なし
1.8
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
モザンビーク
✧ IDA ―「高等教育セクター投資・維持融資」
2006 年までに入学する約 1 万 5,000 人の高校生を対象として、高等教
育の授業料の融資、及び大学入学前の学習のための資金の融資を通じて、
大学卒業生を増やすことを目指すもの。
総コスト: 7,110 万ドル。
✧ IDA ―「通信セクター改革技術支援融資」
SME を対象として、近代的な通信、郵便、航空輸送サービスの利用機
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
HD
2002/3/7
2012/2042
47.1
60.0
2001/11/27 2012/2041
11.6
14.9
FPSD
会を拡大し、かつ通信サービス・コストの削減を図るもの。
総コスト: 1,540 万ドル。
✧ IDA ―「道路・橋梁管理・保守対応プログラム融資」
RD
2001/7/19
2011/2041
127.4
162.0
UD
2001/7/19
2011/2041
26.7
33.6
RD
2002/3/19
2012/2041
31.3
38.7
PSG
2001/11/20 2011/2041
54.5
70.0
農村地域を全国道路ネットワークに連結することによって、農村部の
人々が市場や保健・教育施設を利用し、かつその他のサービスを受ける
機会を拡大することを目指すもの。
総コスト: 7 億 360 万ドル。
✧ IDA ―「地方自治体開発投資融資」
家庭、企業及び都市部の貧しい人々に便益を与えるものである。この融
資は、5 つの都市のインフラと各種サービスの提供、及び各地の労働者
に対する雇用機会の提供を通じて、管理・財政面の地方自治体の能力を
強化することを目指すものである。
総コスト: 4,210 万ドル。
ニジェール
✧ IDA ―「民間灌漑推進投資融資」
小規模農家の灌漑システムの改善を通じて、農家の能力、農村部の雇用、
及び農業の所得・利益率の改善を図るもの。
総コスト: 4,840 万ドル。
✧ IDA ―「公共支出構造調整融資」
マクロ経済と金融の安定性を促進すると共に、公的資金の管理改善を通
じて、貧しい地域社会に供与する資金を増やすことを目指すもの。
総コスト: 7,000 万ドル。
ナイジェリア
✧ IDA ―「地域社会主導型都市開発融資」
貧しい都市部の住民に便益を与えるものである。この融資は、資源を有
効に利用する地方自治体の能力を改善することを通じて、保健サービス
と安全性を改善し、移動性を改善し、かつ地域社会の洪水を減らすこと
を目指すものである。
総コスト: 1 億 3,750 万ドル。
✧ IDA ―「保健システム開発投資融資」
UD
2002/6/6
2012/2037
88.1
110.0
HD
2002/6/6
2012/2037
101.8
127.0
FPSD
2002/3/19
2012/2036
78.6
100.0
農村部の人々―特に女性と子供―を対象として、基本的な保健サービス
を利用する機会を拡大するものである。この融資は、保健セクターの制
度改革も支援する。
総コスト: 1 億 5,320 万ドル。
✧ IDA ―「送電線開発投資融資」
エネルギー利用者に便益を与えるものである。この融資は、エネルギー
を生産している電力セクターを再編し、かつ国内の電力供給を改善する
ことを通じて、経済成長の制約となっている電力供給上の隘路を緩和す
ることを目指すものである。
総コスト: 1 億 1,350 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
141
表 6.8 2002 年度に承認された融資、アフリカ地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
✧ IDA ―「HIV/エイズ・プログラム推進融資」
HIV/エイズの拡散を緩和すると共に、患者を抱えた家庭及び孤児に対
する診断、治療及び介護を改善することを通じて、HIV/ エイズ患者の
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
HD
2001/7/6
2011/2036
71.0
90.3
SDGI
2002/4/25
2012/2042
20.0
25.0
HD
2002/3/14
2012/2042
11.8
14.7
HD
2002/2/7
2012/2041
23.6
30.0
HD
2002/3/26
2012/2041
12.1
15.0
FPSD
2001/12/13 2012/2041
39.4
50.0
ENRM
2002/6/26
2012/2041
24.6
31.1
RD
2002/3/26
2012/2042
20.8
26.0
PSG
2002/2/12
2012/2040
0.5
0.6
寿命を伸ばすことを目指すもの。
総コスト: 9,630 万ドル。
ルワンダ
✧ IDA ―「復員・社会復帰融資」
「アフリカの五大湖」地域の平和を確実なものとし、かつルワンダ国内
の融和の促進を図るもの。この融資は、約 4 万 5,000 人の軍人の復員を
支援すると共に、これらの復員軍人に対し、所得獲得機会を提供し、か
つ彼らの社会的・経済的復帰を支援する。
総コスト: 2,500 万ドル。
セネガル
✧ IDA ―「栄養強化対応プログラム融資」
3 歳未満の約 17 万人の幼児と 5 万人の妊婦の栄養、衛生及び食糧の状態
を改善するもの。栄養物などの配布は、NGO と地域団体が行う。
総コスト: 2,020 万ドル。
✧ IDA ―「HIV/エイズ予防・抑制投資融資」
シビルソサエティと地域社会のイニシアティブを支援することを通じ
て、高リスク・グループの間での HIV/エイズ感染の予防を目指すもの。こ
の融資は、予防・治療プログラムを利用する機会を拡大する。
総コスト: 3,220 万ドル。
シエラレオネ
✧ IDA ―「HIV/エイズ対策投資融資」
HIV/エイズの感染率を低下させると共に、公共・民間セクターの団体
及び地域社会による活動の推進を通じて、感染者の状況を緩和すること
を目指すもの。この融資は、HIV/ エイズ感染者に対する介護を改善す
る。
総コスト: 1,530 万ドル。
✧ IDA ―「第 2 次経済復興・回復融資」
優先度の高い公共支出、及び民間投資を拡大するための改革に必要な資
金の政府への提供を通じて、国内の平和と安全を確保し、もって、すべ
ての国民に便益を提供するものである。
総コスト: 5,000 万ドル。
タンザニア
✧ IDA ―「森林保全・管理投資融資」
森林に依存した生活を送っている農村部の家庭や失業者に便益を提供す
るもの。この融資は、植林地の管理・開発に民間セクターを参加させる、
森林の持続可能な管理・保護のためのフレームワークを確立する。
総コスト: 4,000 万ドル。
✧ IDA ―「農村給水・衛生融資」
250 の農村社会の約 65 万人を対象として、給水・衛生サービスの拡大
を図るもの。
総コスト: 2,770 万ドル。
IDA ―「プログラム構造調整融資」
IDA 融資の継続分。
142
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
テーマ a
✧ IDA ―「ビクトリア湖環境管理補完融資」
ENRM 2001/12/13 2012/2041
承認日
返済期間
SDRb
US$
4.0
5.0
ビクトリア湖への原水の供給を維持し、家庭・動物用として使用するた
めに適切な水質を維持し、かつホテイアオイの繁殖の範囲と深刻度を緩
和することを目指すもの。
総コスト: 510 万ドル。
✧ IDA ―「ソンゴソンゴ・ガス開発・発電投資融資」
パイプライン沿いの 25 の村落(ソンゴソンゴ島の住民)を対象として、
FPSD
2001/10/9
2011/2041
145.7
183.0
HD
2001/10/9
2011/2041
119.1
150.0
ENRM
2001/7/3
2011/2041
5.0
6.3
RD
2001/12/13 2012/2041
38.3
49.1
HD
2002/3/26
2012/2041
4.0
5.0
FPSD
2001/7/3
2011/2041
48.0
62.0
RD
2001/7/3
2011/2041
50.9
64.5
PSG
2002/5/16
2010/2041
5.3
6.7
2,981.5
3,793.5
電気と安全な飲料水を提供するもの。
総コスト: 2 億 9,520 万ドル。
✧ IDA ―「初等教育推進構造調整融資」
子供達の就学率を改善すると共に、労働条件の改善及び専門知識習得機
会の提供を通じて、教師による授業の質の改善を図るもの。
総コスト: 1 億 5,000 万ドル。
✧ IDA ―「キハンシ下流環境管理技術支援融資」
キハンシ渓谷の生態系の保全・管理を支援すると共に、良く調整され、
かつ一貫性のある、環境・水資源管理のための法的・制度的フレームワ
ークの策定を支援するもの。
総コスト: 630 万ドル。
ウガンダ
✧ IDA ―「農村電化対応プログラム融資」
農村部の家庭に電力を安定的に供給し、もって、農村の生産性と所得の
改善を図るもの。
総コスト: 1 億 2,330 万ドル。
✧ IDA ―「マケレレ大学訓練実験的学習・革新融資」
同国の地方自治体の能力強化、及び行政サービスの改善を通じて、授
業・学習環境の改善を図るもの。
総コスト: 1,100 万ドル。
✧ IDA ―「第 4 次電力投資融資」
同国の消費者に安定的に電力を供給することを目指すもの。電力セクタ
ーの民営化により、政府の貧困削減プログラムが側面的に支援されるこ
とになる。
総コスト: 8,930 万ドル。
✧ IDA ―「第 2 次道路開発対応プログラム融資」
農村部の道路ユーザーの走行時間と輸送コストの削減を図るもの。舗装
などによる道路の強化により、車両走行コスト及びインフラ保守コスト
が低減される。
総コスト: 9,700 万ドル。
ザンビア
IDA ―「第 5 次財務持続可能性融資」
IDA 融資の継続分。
合 計
✧ これは、世銀援助プロジェクトの設計段階からプロジェクトの進行のモニタリング及び結果の評価段階まで、様々なレベルにシビルソサエティが参加していること
を示す。
注:数字は四捨五入されている。
a. EM :経済政策。ENRM :環境・天然資源管理。FPSD :金融・民間セクター開発。HD :人的開発。PSG :公共セクター運営。RD :農村開発。RL :法規。SDGI :
社会開発・ジェンダー・参加。SPRM :社会的保護・リスク管理。TI :貿易・統合。UD :都市開発。囲み 2.1 を参照。
b. IDA 融資は、SDR(特別引出権)で承認された。2002 年度における SDR の交換レートは、1 SDR = $1.265 であった。
第6章
世界銀行について
143
表
表 6.9 2002 年度に承認された融資、東アジア・大洋州地域
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
カンボジア
IDA ―「経済・社会セクター・キャパシティ・ビルディング技術支援融資」
国民に行政サービスを提供することを目指すもの。一部の政府関係者を
対象としたキャパシティ・ビルディングによって、これら関係者は、グ
ローバル・ディベロップメント・ラーニング・ネットワーク・センター
の確立をはじめ、重要な開発業務を遂行できるようになる。
総コスト: 580 万ドル。
✧ IDA ―「土地管理・行政投資融資」
10 の県とプノンペン市の約 500 万人を対象として、確実な土地所有権
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
PSG
2002/6/25
2012/2042
4.4
5.5
ENRM
2002/2/26
2012/2042
19.3
24.3
PSG
2001/8/23
2012/2041
14.7
18.4
FPSD
2002/6/25
2008/2022
適用なし
105.0
FPSD
2002/6/6
2008/2022
適用なし
100.0
ENRM
2002/4/16
2009/2018
適用なし
93.9
HD
2002/3/21
2010/2022
適用なし
104.0
FPSD
2002/1/29
2007/2022
適用なし
160.0
証書を発給するもの。
総コスト: 3,390 万ドル。
✧ IDA ―「復員・社会復帰投資融資」
政府による 3 万人の軍人の復員を支援するものであって、社会経済的資
産、保健医療及び訓練機会の提供を通じて、復員軍人の社会復帰を支援
するものである。
総コスト: 4,200 万ドル。
中 国
✧ IBRD ―「湖北省貧困地域水力発電開発投資融資」
4 つの貧しい県にそれぞれ中・小型発電所を建設し、かつ湖北省の送電
網に販売することによって、経済成長の促進及び電力セクターの強化を
図るもの。
総コスト: 2 億 2,240 万ドル。
✧ IBRD ―「内モンゴル幹線道路投資融資」
輸送インフラの費用対効果と安全性の改善、及び当地域の社会・経済的
発展に対する支援を通じて、経済成長の加速と低所得層の人々の生活条
件の改善を目指すもの。
総コスト: 2 億 6,870 万ドル。
✧ IBRD ―「持続可能森林開発投資融資」
森林の保全管理及び持続可能な利用・開発のための、地域社会が管理す
る参加型の実行可能なシステムを構築することを通じて、約 275 万人―
ほとんどが女性と少数民族―に便益を提供することを目指すもの。自然
林と生物多様性の保護も推進する。
総コスト: 2 億 3,060 万ドル。
✧ IBRD ―「TB 抑制投資融資」
すべての人々に無償で診断を行い、かつ TB 患者に無償で治療を行う全
国的な TB 抑制プログラムを実施することで、TB 患者の死亡率を低減さ
せ、もって、16 の省の 6 億 8,800 万人に便益を提供するもの。
総コスト: 2 億 4,230 万ドル。
✧ IBRD ―「国有鉄道投資融資」
中国北西部の宝鶏から蘭州までの既存の鉄道を広軌化し、かつ中国の国
有鉄道の改革を支援することを通じて、中国の貧しい地域社会の一部に
便益を提供するもの。
総コスト: 13 億ドル。
144
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
インドネシア
✧ IBRD ―「グローバル・ディベロップメント・ネットワーク研修・革新融資」
グローバル・ディベロップメント・ラーニングの有効性と持続可能性を
テストするもの。遠隔研修・通信技術により、4 つのセンターの開発情
報・大学プログラムの利用機会が拡大される。
総コスト: 360 万ドル。
✧ IBRD/IDA ―「第 2 次都市貧困投資融資 c」
テーマ a
承認日
返済期間
HD
2002/6/28
2008/2022
適用なし
2.7
UD
2002/6/11
2002/6/11
2008/2022
2012/2037
適用なし
55.7
29.5
70.5
政府と地域団体の協力関係強化を通じて、都市部の貧しい人々
に提供する資金、社会福祉及びインフラ・サービスを改善すると共に、
貧しい人々に対し、公共セクターの意思決定に関して発言権を付与する
ことを目指すもの。
総コスト: 1 億 2,690 万ドル。
✧ IBRD ―「インドネシア東部輸送投資融資」
SDRb
US$
FPSD
2001/12/11 2007/2021
FPSD
2002/6/25
2012/2042
13.5
17.0
FPSD
2002/6/25
2012/2042
6.8
8.5
SPRM
2002/6/25
2012/2042
15.3
19.3
FPSD
2002/6/11
2012/2041
4.0
5.0
RD
2002/6/11
2012/2042
15.0
18.7
適用なし
200.0
道路の保守、交通の安全性の向上及び権限委譲による計画策定を通じて、
2,200 万人の住民に経済成長と社会福祉の改善という形態で便益を提供
するもの。
総コスト: 2 億 6,400 万ドル。
ラオス
IDA ―「金融セクター運営構造調整融資」
公共支出管理の改善を通じての金融セクターの改革、及び国営企業の改
革・発展を支援するもの。この融資は、「金融セクター運営キャパシテ
ィ・ビルディング投資融資」を補完するものである。
総コスト: 1,700 万ドル。
IDA ―「金融セクター運営キャパシティ・ビルディング投資融資」
公共支出管理の改善を通じての金融セクターの改革、及び国営企業の改
革・発展を支援するもの。この融資は、「金融セクター運営構造調整融
資」を補完するものである。
総コスト: 950 万ドル。
✧ IDA ―「貧困削減資金投資融資」
地域の公共インフラの開発、行政サービスの利用機会の拡大、及び意思
決定プロセスに参加するエンパワーメントを通じて、対象の約 22 の貧
しい地方の地域社会を支援するもの。
総コスト: 2,170 万ドル。
モンゴル
IDA ―「金融セクター・キャパシティ・ビルディング投資融資」
民間銀行の信用リスク管理、決済システムの近代化、及び貯蓄銀行の解
散プロセスの統制を通じて、金融セクターを改善し、かつ金融仲介機能
を強化することを目指すもの。
総コスト: 550 万ドル。
✧ IDA ―「持続可能な生活水準対応プログラム融資」
全国的な貧困削減戦略の変更、並びに、農村部におけるリスク管理、小
口金融の提供、地域的なイニシアティブの実施及びプログラム管理を通
じて、全国の貧しい家庭と脆弱な家庭に便益を提供することを目指すも
の。
総コスト: 2,210 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
145
表 6.9 2002 年度に承認された融資、東アジア・大洋州地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
✧ IDA ―「法律・司法改革投資融資」
テーマ a
RL
承認日
返済期間
2001/12/21 2012/2041
SDRb
US$
4.0
5.0
情報提供を改善するための新たな手法の策定・テスト、専門的裁判所の
創設、及び法律教育の充実を通じて、透明で、効果的な法律・司法シス
テムの推進を目指すもの。
総コスト: 560 万ドル。
パプアニューギニア
IBRD ―「道路保守・修復投資融資」
道路の保守・修復、及び橋梁の架け替え・修復を通じて輸送条件を改善
することによって、約 130 万人の住民に便益を提供するもの。
総コスト: 5,920 万ドル。
✧ IBRD ―「森林・保全投資融資」
FPSD
2002/6/6
2008/2022
適用なし
40.0
ENRM 2001/12/18 2010/2021
適用なし
17.4
2010/2019
適用なし
100.0
FPSD
2002/10/18 2010/2021
適用なし
30.0
SPRM
2002/5/30
2012/2042
4.7
5.9
FPSD
2002/6/25
2012/2042
177.9
225.0
RD
2002/5/30
2012/2042
160.2
200.0
同国の森林資源の保全を通じて生物多様性を保護し、かつ炭素吸収源を
維持することによって、森林所有者、地域社会の住民及び政府に便益を
提供するもの。
総コスト: 3,930 万ドル。
フィリピン
✧ IBRD ―「第 2 次社会的支出管理投資融資」
行政サービスに財源を配分する予算管理部門による監督・管理を通じ
て、社会セクターの 3 部門―教育、保健及び社会福祉―の透明なガバナ
ンスを推進することを目指すもの。
総コスト: 1 億 1,540 万ドル。
✧ IBRD ―「地方自治体都市給水・衛生対応プログラム融資」
政府と民営水道会社が 250 の都市で商業ベースの給水・衛生サービスを
提供するのを支援するための第 2 次対応プログラムである。
総コスト: 3,000 万ドル。
PSG
2002/6/4
トンガ
✧ IDA ―「サイクロン緊急復興・管理投資融資」
緊急リスク管理能力を強化すると共に、貧しい人々とホームレスの人々
に避難所を提供し、自然災害に対する抵抗力を高めることで、これらの
人々の生活条件を改善することを目指すもの。
総コスト: 560 万ドル。
ベトナム
IDA ―「システム効率改善・公平化・再生可能資源投資融資」
電力システムの改善と貧しい人々によるエネルギー利用機会の改善を通
じて、農村地域の貧困削減に寄与することを目指すもの。再生可能資源
を利用して、温室効果ガスの排出量を減少させる。
総コスト: 3 億 5,240 万ドル。
✧ IDA ―「第 2 次農村地域金融・金融仲介投資融資」
約 9 万の小企業と農家に融資を行うもの。農村地域の金融サービスを改
善することによって、貧しい人々のために雇用を創出し、彼らの所得を
増加させる。
総コスト: 2 億 9,820 万ドル。
146
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
✧ IDA ―「地域輸血センター投資融資」
21 県の約 3,000 万人を対象として、4 ヶ所の地域輸血センターで安全な
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
HD
2002/4/16
2012/2042
30.8
38.2
HD
2001/12/20 2012/2041
15.6
19.8
RD
2001/10/25 2012/2041
87.9
110.0
629.8
1,773.6
輸血サービスを提供するもの。
総コスト: 4,750 万ドル。
✧ IDA ―「小学校教師育成投資融資」
教育施設の改善、及び 23,000 人の教師に対する訓練の改善と専門技能
の育成を通じて、同国における 10 県の 75 万人の小学生に便益を提供す
るもの。
総コスト: 3,570 万ドル。
✧ IIDA ―「北部山岳地帯貧困削減投資融資」
農村地域の 100 万人の貧しい人々に対し、教育・保健サービス、農業生
産性の向上、飲料水、輸送サービスの改善及び販売サービスなどを提
供・実施するもの。
総コスト: 1 億 3,250 万ドル。
合 計
✧ これは、世銀援助プロジェクトの設計段階からプロジェクトの進行のモニタリング及び結果の評価段階まで、様々なレベルにシビルソサエティが参加していること
を示す。
注:数字は四捨五入されている。
a. EM :経済政策。ENRM :環境・天然資源管理。FPSD :金融・民間セクター開発。HD :人的開発。PSG :公共セクター運営。RD :農村開発。RL :法規。
SDGI :社会開発・ジェンダー・参加。SPRM :社会的保護・リスク管理。TI :貿易・統合。UD :都市開発。囲み 2.1 を参照。
b. IDA 融資は、SDR(特別引出権)で承認された。2002 年度における SDR の交換レートは、1 SDR = $1.265 であった。
c. IBRD 融資と IDA 融資の同時実行。
第6章
世界銀行について
147
表
表 6.10 2002 年度に承認された融資、南アジア地域
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
アフガニスタン
✧ IDA ―「緊急地域エンパワーメント・公共事業グラント」
同国政府の「全国連帯プログラム」を支援するもの。このプログラムは、
復員軍人、及び旱魃・紛争のために故郷を離れていた帰還難民のために、
農村地域で雇用を創出することに重点を置いて地域社会を支援するもの
である。小規模な機能回復訓練により経済活動の後押しを目指す。
総コスト: 4,200 万ドル。
✧ IDA ―「緊急教育復興・開発グラント」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
SDGI
2002/6/6
適用なし
33.7
42.0
HD
2002/6/6
適用なし
12.1
15.0
SDGI
2002/6/6
適用なし
26.5
33.0
PSG
2002/4/4
適用なし
8.1
10.0
RD
2002/6/25
2012/2042
153.0
191.0
FPSD
2002/6/19
2012/2042
3.9
5.0
PSG
2002/5/2
2012/2042
3.6
4.5
HD
2002/3/12
2012/2042
96.4
120.9
復員軍人、戦争未亡人及び女性を対象とした研修・技能開発を図ると共
に、総合・単科大学の復興、教育政策の策定、及び遠隔研修センターの
設立を支援するもの。
総コスト: 1,500 万ドル。
IDA ―「緊急インフラ復興グラント」
小都市で緊急に必要とされている給水・衛生サービス、カブールでの衛
生サービス及び、すべての都市での電力供給の復興を支援するもの。都
市の公共事業の創出により、都市部の人々に短期的な雇用機会が生まれ
る。
総コスト: 3,300 万ドル。
IDA ―「緊急行政グラント」
調達、財政管理及び監査などの主要行政機能に関して、政府を支援する
もの。これにより、戦争で荒廃した同国の復興・発展のために、公的資
金を効果的に使用することが可能になる。
総コスト: 1,000 万ドル。
バングラデシュ
✧ IDA ―「農村電化・再生可能エネルギー開発投資融資」
農村地域における環境に優しいエネルギーの利用機会を拡大することに
よって、約 70 万の家庭と小企業に便益を提供するもの。
総コスト: 2 億 9,830 万ドル。
IDA ―「貧しい人々の研修・革新のための金融サービス融資」
革新的な手法で貧困を削減し、セーフティネットと慈善に依存して生活
している人々に小口融資を行い、かつ貧しい人々が貧困サイクルから抜
け出せるように支援するためのモデルの探究を目指すもの。
総コスト: 600 万ドル
IDA ―「公共調達改革融資」
公共セクターが必要とする資材、工事及びサービスの調達に関連する汚
職を減らし、かつ調達の効率性を高めることを目指すもの。調達に関す
る規則、手続及び管理方法を改革することにより、公的資金を国民の利益
になるような方法で適切に使用することができるようになる。
総コスト: 490 万ドル。
✧ IDA ―「第 2 次女子中等教育支援投資融資」
中等教育就学率を引き上げ、かつその教育内容を改善するもの。農村地
域に適用される学費援助などを通じて、最大で 145 万人の女子が便益を
受ける。
総コスト: 1 億 4,460 万ドル。
148
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
UD
2002/6/18
2002/6/18
2008/2022
2012/2037
62.5
463.0
79.0
SPRM
2002/5/2
2012/2037
356.0
442.8
RD
2002/4/25
2012/2036
80.0
98.9
UD
2002/3/14
2007/2021
適用なし
FPSD
2002/3/14
2012/2036
47.5
PSG
2002/3/14
2002/3/14
2007/2022
2012/2036
101.0
2002/3/14
2002/3/14
2007/2022
2012/2036
40.5
RD
2002/2/19
2012/2036
110.0
140.0
RD
2002/2/19
2012/2036
117.0
149.2
ENRM 2001/12/18 2012/2036
119.0
151.6
US$
インド
✧ IBRD/IDA ―「ムンバイ都市輸送投資融資 c」
道路の交通状態の改善、及び鉄道線路近くの、危険な不法占拠
地域から約 2 万軒の貧しい家庭を他の場所に移動することを通じて、ム
ンバイの交通渋滞を緩和し、かつ郊外鉄道の能力とサービスの質を改善
するもの。
総コスト: 9 億 4,500 万ドル
IDA ―「グジャラート州緊急地震復興融資」
適用なし
現在実施されている「グジャラート州緊急地震復興融資」の第 2 段階のも
ので、現在の復興工事の完成と防災体制の確立を目指すもの。
総コスト: 5 億 370 万ドル。
✧ IDA ―「カルナタカ州地域主導溜池管理投資融資」
溜池を開発する責任を村民に与えて貧しい農村地域の水資源を管理する
という地域社会のアプローチを支援することで、貧困削減を図るもの。
総コスト: 1 億 2,500 万ドル。
✧ IBRD ―「ケララ州輸送投資融資」
255.0
同州の住民のために、道路を拡張し、かつ道路の安全性と効率性を改善
するための安全プログラムを実施するもの。
総コスト: 3 億 3,600 万ドル。
✧ IDA ―「ミゾラム州道路投資融資」
60.0
州道の修復・保守を通じて道路の能力、質及び安全性を改善することで、
同州の総人口の約 70% に便益を提供するもの。
総コスト: 7,000 万ドル。
IBRD/IDA ―「アンドラプラデシュ州経済改革投資融資 c」
同州で実施されている大規模な経済・構造改革プログラムを支
援するもの。
総コスト: 2 億 5,000 万ドル。
IBRD/IDA ―「第 2 次カルナタカ州経済再編投資融資 c」
PSG
現在実施中の地域社会を対象とした改革アジェンダを支援する
プロジェクトの第 2 段階のもの。このプロジェクトは次の 4 つの分野で
構成されている。すなわち、財政・公共支出の改革、行政改革、民間セ
クター開発、及び貧困状況調査である。
総コスト: 1 億ドル。
✧ IDA ―「ラジャスタン州水資源セクター再編投資融資」
適用なし
適用なし
125.0
125.0
50.0
50.0
特に灌漑セクターの管理改善などによって、貴重な水資源の持続可能な
開発・利用を推進することで、25 万軒の農家に便益を提供するもの。
総コスト: 1 億 8,020 万ドル。
✧ IDA ―「ウッタルプラデシュ州水資源セクター再編投資融資」
水資源管理・灌漑セクターの根本的改革を通じて、農村地域の 2 万
2,000 軒の農家に便益を提供するもの。
総コスト: 1 億 7,370 万ドル。
IDA ―「第 2 次カルナタカ州農村給水・衛生投資融資」
安全な飲料水の提供、衛生状況の改善、及び衛生慣習の改善を通じて、
農村地域の 400 万人の住民に便益を適用するもの。
総コスト: 1 億 9,340 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
149
表 6.10 2002 年度に承認された融資、南アジア地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
ネパール
✧ IDA ―「電気通信セクター改革投資融資」
政策と規制に関する政府の能力を強化すると共に、通信サービスの利用
機会を拡大することで、すべての農村地域の約 25% に便益を適用する
もの。
総コスト: 2,460 万ドル。
パキスタン
IDA ―「第 2 次構造調整融資」
同国の改革プログラムと債務削減戦略の実施を支援し、ガバナンスの改
善を通じて国際収支の改善を支援し、かつ社会事業(教育、保健・医療
など)支出の拡大を図るもの。
総コスト: 5 億ドル。
IDA ―「金融セクター再編・民営化投資融資」
現在国有化されている 3 つの商業銀行が民営化の準備として再編を行う
テーマ a
FPSD
EM
FPSD
SDRb
US$
17.5
22.6
2012/2037
395.2
500.0
2001/10/23 2012/2036
239.5
300.0
59.3
75.0
2,082.3
3,508.5
承認日
返済期間
2001/12/11 2012/2041
2002/6/11
のを支援することで、競争力のある金融システムの確立を図るもの。
総コスト 5 億 4,000 万ドル。
スリランカ
✧ IDA ―「農村経済開発のための再生可能エネルギーに関する投資融資」
農村地域の生活の質を改善するもの。民間セクターは、再生可能エネル
ギー資源を使用して発電を行って、 10 万軒の家庭、及び農村地域の
1,000 の中小企業と公共機関に電力を供給する。
総コスト: 1 億 3,370 万ドル。
合 計
RD
2002/6/20
2012/2042
✧ これは、世銀援助プロジェクトの設計段階からプロジェクトの進行のモニタリング及び結果の評価段階まで、様々なレベルにシビルソサエティが参加していること
を示す。
注:数字は四捨五入されている。
a. EM :経済運営。ENRM :環境・天然資源管理。FPSD :金融・民間セクター開発。HD :人的開発。PSG :公共セクター・ガバナンス。RD :農村
開発。RL :法規。SDGI :社会開発・ジェンダー・参加。SPRM :社会的保護・リスク管理。TI :貿易・統合。UD :都市開発。囲み 2.1 を参照。
b. IDA 融資は、SDR(特別引出権)で承認された。2002 年度における SDR の交換レートは、1 SDR = $1.265 であった。
c. IBRD 融資と IDA 融資の同時実行。
150
世界銀行年次報告書 2002
表
表 6.11 2002 年度に承認された融資、ヨーロッパ・中央アジア地域
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
アルバニア
✧ IDA ―「道路保守投資融資」
農村地域における道路ネットワークの管理・保守の効率改善を通じて、
輸送コストを低減し、事故発生率を引き下げ、かつ農村地域による道路
の利用や重要な社会事業の利用機会を改善することを目指すもの。その
結果、貧しい人々にも便益がもたらされる。
総コスト: 2,090 万ドル。
IDA ―「金融セクター構造調整融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
RD
2002/6/27
2012/2042
13.5
17.0
FPSD
2002/6/20
2012/2042
12.0
15.0
SPRM
2002/6/20
2012/2042
16.0
20.0
FPSD
2002/6/20
2012/2042
24.0
29.9
RD
2002/2/28
2012/2041
4.4
5.6
ENRM
2002/6/4
2012/2042
6.7
8.3
TI
2002/4/16
2012/2042
0.8
1.0
2001/11/29 2012/2041
3.9
5.0
政府の金融セクター改革プログラムを支援するもの。この改革プログラ
ムは、次の 3 つの分野で構成されている。すなわち、金融セクターの継
続的な改革、破産・債務解決フレームワークの強化、及びノンバンク・
セクターの改革である。
総コスト: 1,500 万ドル。
IDA ―「貧困削減支援融資」
政府の経済成長・貧困削減戦略を支援するもの。この融資は、分野横断
的で革新的な様々な公共セクター改革を支援すると共に、行政サービス
と社会的セーフティネットの有効性を改善するための優先的施策を支援
する。
総コスト: 2,000 万ドル。
IDA ―「電力セクター再建・再編投資融資」
送電ロスの削減、請求の適正化、及び料金低減措置などを通じて、電力
セクターの操業の有効性を大幅に改善することを目指すもの。これによ
り、都市と農村の低所得家庭に便益を提供する。
総コスト: 3,510 万ドル。
✧ IDA ―「漁場開発投資パイロット融資」
漁業セクター管理の改善を通じて、海洋と湖沼の漁業の経済的・環境的
持続可能性を改善するもの。さらに、地元の漁場の共同管理を通じて、
猟師、その家族及びサプライヤー(計、約 6,500 人)に便益を提供す
る。
総コスト: 670 万ドル。
アルメニア
✧ IDA ―「天然資源管理・貧困削減投資融資」
アルメニア北部のタボウシュ地域とゲガルクニク地域を対象として、持
続可能な資源管理手法の採用と貧困削減の促進を図るもの。これにより、
100 の村の約 27 万 3,000 人に便益を提供する。
総コスト: 1,340 万ドル
IDA ―「外国投資・輸出促進研修・改革融資」
処理プロセスを一元化し、かつ投資・輸出促進戦略を実施する主務機関の
設置が投資や輸出の拡大につながるかどうかをテストするもの。
総コスト: 130 万ドル。
IDA ―「事業インキュベーター研修・革新投資融資」
FPSD
同国の人的資本の開発を阻害している制度的障害(特にビジネス環境に
関するもの)を除去することによって、貧困を削減し、かつ経済成長の
促進を目指すもの。
総コスト: 760 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
151
表 6.11 2002 年度に承認された融資、ヨーロッパ・中央アジア地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
✧ IDA ―「灌漑開発投資融資」
30,000 件の農家を対象として、優遇策と制度改革を通じて、灌漑農業
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
RD
2001/8/30
2011/2041
19.8
24.9
PSG
2002/6/18
2012/2037
7.5
9.5
PSG
2002/3/12
2012/2037
48.4
60.0
ENRM
2002/6/20
2012/2037
14.3
18.0
FPSD
2002/5/30
2012/2037
35.3
44.0
FPSD
2002/3/28
2012/2036
24.2
30.0
FPSD
2002/2/28
2012/2036
8.0
10.0
SPRM
2001/12/4
2007/2016
HD
2001/8/28
2011/2041
の利益率と持続可能性の改善を図るもの。
総コスト: 3,080 万ドル。
アゼルバイジャン
IDA ―「第 2 次制度構築技術支援融資」
公共セクターの財政管理の透明性と説明責任に重点を置いた技術支援の
提供、及び貧困削減のための公共支出とその効果の調査の強化を通じて、
納税者と国民に便益を提供するもの。
総コスト: 1,340 万ドル。
IDA ―「第 2 次構造調整融資」
均衡の取れた経済成長、雇用創出及び貧困削減を実現するために過去 2
年にわたって政府が実施した改革プロジェクトの加速を目指すもの。
総コスト: 6,000 万ドル。
ボスニア・ヘルツェゴビナ
✧ IDA ―「固形廃棄物管理投資融資」
持続可能な環境と費用対効果の大きな固形廃棄物管理サービスの利用拡
大を通じて、80 万人を超える人々に便益を提供するもの。
総コスト: 2,100 万ドル。
IDA ―「ビジネス環境構造調整融資」
投資環境を改善し、国内外の投資を引き付け、かつ企業の参入、操業、
解体に関わる障壁を除去するための政府の改革を支援するもの。これに
より、民間セクターが活性化し、雇用が創出され、生活水準が改善す
る。
総コスト: 4,400 万ドル。
IDA ―「道路管理・安全投資融資」
質の悪い道路の修復を通じて交通の流れを改善し、かつ事故を減少させ
ることで、道路の利用者に便益を提供することに加えて、民間セクター
の成長と雇用創出を支援するもの。
総コスト: 4,150 万ドル。
IDA ―「民間セクター融資・金融仲介融資」
銀行融資などの利用機会を拡大することによって、民間セクターの成長
を促進すると共に、民間企業と銀行に便益を提供するもの。
総コスト: 1,600 万ドル。
クロアチア
✧ IBRD ―「構造調整融資」
政策の管理、財政規律の遵守、市場制度の強化、労働市場の弾力化、及
び社会的保護の強化を通じて、同国経済の競争力の改善を目指すもの。
総コスト: 2 億 200 万ドル。
グルジア
IDA ―「保健・医療プロジェクト補完融資」
公共・民間セクター労働者の保健規則の確立を通じて、国民(特に女性
と子供)が質の高い保健医療を受ける機会を拡大することを目指すも
の。
総コスト: 280 万ドル。
152
世界銀行年次報告書 2002
適用なし
2.2
202.0
2.7
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
キルギス
✧ IDA ―「農村地域給水・衛生投資融資」
イシククル、ナリン及びタラス・オブラスツ地域の約 35 万人の住民を
対象として、衛生状態を改善すると共に、より多くの人々に飲料水を提
供するもの。
総コスト: 2,460 万ドル。
ラトビア
✧ IBRD ―「住宅プロジェクト研修・革新融資」
一般家庭、住宅組合及び金融機関に様々な融資手法を紹介した上で、資
格のある人がこれらの新たな融資手法を使用して、高利回りの投資案件
(現在は、民間金融機関はこのような案件には融資していない)に投資
することが可能かどうかを判断しようとするもの。
総コスト: 280 万ドル。
リトアニア
IBRD ―「教育改善投資融資」
教育に配分される資金、人的資源及び物理的資源の利用の効率化を通じ
て、5 年生から 10 年生に対する授業の質を改善することを目指すもの。
これにより、1 年生から 12 年生の約 60 万人の児童・生徒に便益が提供
される。
総コスト: 4,540 万ドル。
✧ IBRD ―「ビリニュス地域暖房投資融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
RD
2001/12/4
2012/2041
12.0
15.0
FPSD
2002/4/25
2007/2019
適用なし
2.0
HD
2002/6/20
2007/2019
適用なし
25.4
UD
2001/8/23
—/2018
適用なし
17.1
SDGI
2002/5/30
2012/2022
4.1
5.0
PSG
2002/4/9
2012/2036
12.1
15.0
EM
2001/12/13 2012/2021
11.6
15.0
RD
2002/6/20
8.3
10.5
コスト削減、信頼性向上及び安定的な温度管理に重点を置いて暖房サー
ビスの質を改善しようとしている政府の取り組みを支援することで、地
域住民に便益を提供するもの。
総コスト: 6,450 万ドル。
マケドニア
✧ IDA ―「地域開発投資融資」
政府の紛争復興活動を支援し、かつ地域社会主導の小規模なイニシアテ
ィブを試験的に試みるもの。地域社会は、社会的緊張の緩和、及び現地
の社会資本の蓄積という形で便益を受ける。
総コスト: 960 万ドル。
IDA ―「公共セクター運営構造調整融資」
重要な制度の強化、並びに、公的資金の使用に関する説明責任、透明性
及び効率性の改善を通じて、持続可能な経済成長を加速し、かつ行政サ
ービスを改善を目指すもの。
総コスト: 1,500 万ドル。
IDA ―「緊急経済復興投資融資」
民間セクターによる重要製品の輸入拡大を通じて、内戦で疲弊した経済
活動の回復を図るもの。
総コスト: 1,500 万ドル。
モルドバ
IDA ―「農村地域投資・サービス対応プログラム融資」
農村地域における事業、経済活動の多角化及び交易の推進を通じて、農
村地域の人々の所得と生活条件の改善を目指すもの。さらに、一般農家
と企業による法定所有権や知識の取得、及び一般農家と企業が融資を受
ける機会を拡大するものである。
総コスト: 1,970 万ドル。
2012/2042
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
153
表 6.11 2002 年度に承認された融資、ヨーロッパ・中央アジア地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
IDA ―「第 3 次構造調整投資融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
PSG
2002/6/20
2012/2042
24.1
30.0
FPSD
2001/11/20 2009/2034
4.0
5.0
貧困削減施策のモニタリングと評価の改善、及びすべての国民のための
教育・保健医療サービスの改善を通じて、政府が持続的経済成長の基礎
を固めるのを支援するもの。
総コスト: 3,000 万ドル。
✧ IDA ―「構造調整融資」
IDA 融資の継続分。
ポーランド
✧ IBRD ―「第 2 次無煙炭セクター構造調整融資」
失職する炭鉱労働者が次の就職先を見つけるのを支援し、石炭産業によ
る税金の支払いを免除し、同産業の民営化準備を支援し、かつ同産業の
環境対策を改善などを通じて、石炭産業を競争力を備えた利益率の高い
セクターに再編を支援するもの。
総コスト: 1 億ドル。
ルーマニア
✧ IBRD ―「農村開発対応プログラム融資」
地域のグループによる公共投資案件の受注を増やし、かつ貧しい農村地
域での持続可能なインフラの建設拡大を通じて、地方自治体のガバナン
スの強化を目指すもの。
総コスト: 5,340 万ドル。
✧ IBRD ―「第 2 次社会開発基金対応プログラム融資」
社会開発プロジェクトの実施を通じて、250 の農村地域の社会資本を拡
FPSD
2001/8/2
2011/2011
適用なし
100.0
RD
2002/3/19
2006/2019
適用なし
40.0
2001/12/20 2006/2018
適用なし
20.0
SDGI
大すると共に、これらの地域の貧しい人々をこれらのプロジェクトに参
加させることを目指すもの。
総コスト: 2,870 万ドル。
ロシア
IBRD ―「財務省近代化対応プログラム融資」
政府が機能的な財務省を確立するのを支援すると共に、現金管理の改善、
及び承認された予算に従って歳出を確実に実行していくことで、国民全
体に便益を提供することを目指すもの。
総コスト: 6 億 6,300 万ドル。
IBRD ―「財政連邦主義・地方財政改革構造調整融資」
PSG
2002/6/6
2008/2019
適用なし
231.0
PSG
2002/1/29
2007/2018
適用なし
120.0
SPRM
2002/2/21
2006/2016
適用なし
23.5
FPSD
2001/8/2
2007/2015
適用なし
177.3
社会的支出・支援の対象を効果的に選定することで、貧しい人々に便益
が生じるような財政改革を支援するもの。
総コスト: 1 億 2,000 万ドル。
スロバキア
IBRD ―「社会保障給付・改革運営投資融資」
管理方法の改善を通じて、費用効果が大きく、効率的な社会保障制度の
確立を図るもの。これにより、労働者と社会保障給付受給者(計、約
350 万人)に便益が提供される。
総コスト: 4,030 万ドル。
IBRD ―「企業・金融セクター構造調整融資」
金融システムの再編、及び破産やコーポレート・ガバナンスに関する法
的フレームワークの大幅な改善をはじめ、銀行と企業に関する改革を支
援するもの。
総コスト: 1 億 7,730 万ドル。
154
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
タジキスタン
IDA ―「パミール高原民間発電融資」
タジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州において、民間セクターを
参入させて、資金的、環境的及び社会的に持続可能な方法で電力の安定
供給を図ることで、消費者に便益を提供するもの。
総コスト: 2,640 万ドル。
✧ IDA ―「ドゥシャンベ給水投資・保守融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
FPSD
2002/6/27
2012/2042
7.9
10.0
UD
2002/6/18
2012/2042
13.5
17.0
SPRM
5/21/02
2012/2042
11.1
13.8
FPSD
2002/4/16
2002/4/16
2007/2017
2005/2007
適用なし
適用なし
550.0
800.0
HD
2001/9/13
2007/2016
適用なし
500.0
FPSD
2001/7/12
2001/7/12
2006/2018
2004/2006
適用なし
適用なし
700.0
400.0
RD
2001/7/12
2006/2018
適用なし.
600.0
FPSD
2002/3/28
2010/2021
適用なし
既存施設の修復、並びに、資金・発注管理の方法を改良して財務状態と
手続の改善を通じて、ドゥシャンベ地域の人々を対象とした給水事業の
安全性、信頼性、効率性及び経済性を改善するもの。
総コスト: 1,940 万ドル。
✧ IDA ―「第 2 次貧困削減投資融資」
脆弱な人々と極貧状態にある人々の生活水準の改善を図るもの。40 ∼
70 万人の人々が、小規模プロジェクト、小口融資、及び地域社会に対
するエンパワーメントによって便益を受けることになる。
総コスト: 1,830 万ドル。
トルコ
✧ IBRD ―「第 2 次プログラム別金融・公共セクター構造調整融資」
政府が改革プログラムの第 2 段階を実施するのを支援し、かつ
社会的プログラムに必要な適切な資金の確保を可能にすると共に、金融
安定化と持続的経済成長のための諸条件を実現するための政府のマクロ
経済政策フレームワークを支援するもの。
総コスト: 14 億ドル。
✧ IBRD ―「社会的リスク緩和・セクター構造調整融資」
社会事業の拡大につながる投資、及び最近の経済危機で影響を被った最
貧困層の人々に対する緊急支援の提供を通じて、同国の社会的セーフテ
ィネットの強化を図るもの。
総コスト: 6 億 3,550 万ドル。
✧ IBRD ―「プログラム別金融・公共セクター構造調整融資」
金融システムに対する信頼回復、EU 加盟のためのセクター別
の準備、及び社会的支出を維持するための緊急財政措置の実施を目指し
た改革を支援するもの。
総コスト: 11 億ドル。
✧ IBRD ―「農業改革遂行投資融資」
農家のために、販売協同組合の再編を通じて、農業改革を実施するもの。
この再編により、政府による補助金支出と販売コストが低減されると共
に、過剰労働者に対する補償金の支払いが行われる。
総コスト: 6 億 6,200 万ドル。
ウクライナ
✧ IBRD ―「民間セクター発展対応プログラム融資」
政府による規制環境の改善に対する支援、及び企業再編を実施する経営
者に対する訓練の実施を通じて、民間セクターの発展を推進するもの。
総コスト: 3,800 万ドル。
30.0
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
155
表 6.11 2002 年度に承認された融資、ヨーロッパ・中央アジア地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
✧ IBRD ―「社会投資基金融資」
SPRM
2001/12/4
2007/2022
適用なし
50.2
PSG
2001/9/20
2007/2021
適用なし
250.0
UD
2002/3/19
2002/3/19
2007/2022
2012/2037
適用なし
15.9
20.0
20.0
適用なし
36.1
経済的・社会的変化によって影響を受けた貧しい地域社会と不利な状況
に置かれているグループの生活条件を改善するための社会的・地域的サ
ービスを開発するもの。
総コスト: 7,010 万ドル。
IBRD ―「第 1 次プログラム別構造調整融資」
持続的経済成長、貧困削減及び環境保護の強化を実現するための政府の
経済成長・改革プログラムを支援するもの。
総コスト: 2 億 5,000 万ドル
ウズベキスタン
IBRD/IDA ―「ブハラ・サマルカンド給水・衛生投資融資 c」
設備の修復によって、約 65 万人に供給されている飲料水の質
を改善すると共に、事業体の強化によって給水事業の財務状態の改善を
目指すもの。
総コスト: 6,200 万ドル。
IBRD ―「農村地域企業支援投資融資」
RD
2001/12/20 2007/2021
新たに策定された民間セクター・イニシアティブの実施より、約 40 万
人が集団農場を再編するのを支援するもの。これにより、農場の生産性
と利益率が改善されることになる。
総コスト: 4,350 万ドル。
ユーゴスラビア連邦共和国
IDA ―「南東ヨーロッパ地域・貿易・輸送促進投資融資」
2 つの開発目標の達成を目指すもの。貿易業界の関係者、消費者及び生
産者は、貿易と輸送に関する非関税コストの削減、及び密輸と国境検問
所での汚職の削減で便益を受ける。
総コスト: 1,100 万ドル。
IDA ―「民間・金融セクター構造調整融資」
TI
2002/6/4
2012/2022
5.5
6.8
FPSD
002/5/23
2012/2022
68.1
85.0
HD
2002/5/2
2012/2022
8.0
10.0
PSG
2002/1/29
2012/2021
55.5
70.0
502.7
5,523.6
民間セクターの成長を加速しようとする政府の目標を支援することで、
健全な金融システムの確立を目指すもの。これにより、投資環境が改善
される。
総コスト: 8,500 万ドル。
✧ IDA ―「教育改善投資融資」
セルビア共和国政府の教育改革アジェンダを支援するもの。この IDA
融資額の半分は、約 650 の小学校の子供達と教師のために活用される。
これにより、約 25,000 人の教師と 30 万人の児童が便益を受ける。
総コスト: 1,220 万ドル。
✧ IDA ―「構造調整融資」
財政の持続可能性を確保するための改革を推進すると共に、外貨準備を
増やし、貧困を削減し、かつ持続可能な経済成長を推進するために必要
な資金を提供するもの。
総コスト: 7,000 万ドル。
合 計
✧
これは、世銀援助プロジェクトの設計段階から、プロジェクトの進行のモニタリング、及び結果の評価段階まで、様々なレベルにシビルソサエティが参加している
ことを示す。
注:数字は四捨五入されている。
a. EM :経済運営。ENRM :環境・天然資源管理。FPSD :金融・民間セクター開発。HD :人的開発。PSG :公共セクター・ガバナンス。RD :農村開発。RL :法規。
SDGI :社会開発・ジェンダー・参加。SPRM :社会的保護・リスク管理。TI :貿易・統合。UD :都市開発。囲み 2.1 を参照。
b. IDA 融資は、SDR(特別引出権)で承認された。2002 年度における SDR の交換レートは、1 SDR = $1.265 であった。
c. IBRD 融資と IDA 融資の同時実行。
156
世界銀行年次報告書 2002
表
表 6.12 2002 年度に承認された融資、ラテンアメリカ・カリブ海地域
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
アルゼンチン
✧ IBRD ―「家庭参加強化・社会資本拡大研修・革新融資」
地域の団体や NGO のサブ・プロジェクトに対する支援を通じて、地域
社会の構成員である家庭の労働市場や社会的活動への積極的な参加を図
るもの。
総コスト: 670 万ドル。
✧ IBRD ―「構造調整融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
SDGI
2001/11/8
2007/2016
適用なし
5.0
PSG
2001/8/28
2005/2016
適用なし
400.0
PSG
2001/7/19
2007/2016
適用なし
330.0
FPSD
2002/4/16
2012/2037
62.0
77.0
ENRM
2001/9/18
2011/2036
4.8
6.0
RD
2002/6/27
2007/2017
適用なし
22.5
FPSD
2002/6/13
2012/2012
適用なし
454.6
FPSD
2002/6/13
2012/2012
適用なし
404.0
HD
2002/6/13
2007/2014
適用なし
160.0
US$
健康保険規制、税制及び財政管理に関する改革に対する支援、並びに、
基本的に重要な社会事業の維持を通じて、貧しい人々と脆弱な人々の生
活の質の改善を図るもの。
総コスト: 4 億ドル。
✧ IBRD ―「サンタフェ州改革構造調整融資」
サンタフェ州における貧困削減を支援すると共に、同州の財政・保健・
教育の改革、及び民間セクターの発展の推進を図るもの。これにより、
低所得層の家庭とその子供達が便益を受ける。
総コスト: 3 億 3,000 万ドル。
ボリビア
✧ IDA ―「道路修復・保守投資融資」
幹線道路と一般道路の修復・保守を行うもの。小規模農家は、複数の町
の間で取引が活発化すること、市場への出荷が容易になること、輸送時
間が短縮されること、及び事故が減少するなどの便益を受ける。
総コスト: 2 億 8,400 万ドル。
✧ IDA ―「全国土地管理補完融資」
土地所有権の登録及び約 300 万ヘクタールの農村地域を対象とした土地
所有権の登録作業を政府が完了するのを支援することを通じて、小規模
農家に便益を提供するもの。
総コスト: 1,080 万ドル。
ブラジル
✧ IBRD ―「農村地域貧困削減投資融資」
農村地域の約 8 万の家庭を対象として、給水、電化、道路修復、保健医
療施設及び学校に関する地域社会主導プロジェクトを支援するためのマ
ッチング・グラント(ある活動を行うグループの資金と同額の資金を政
府が提供するもの)の提供を通じて、貧困削減を推進するもの。
総コスト: 3,000 万ドル。
IBRD ―「エネルギー・セクター改革投資融資」
電力料金、規制改正及び電力供給量の拡大などの改革を支援することを
通じて、投資環境を改善し、かつ経済成長を促進することで、国民に便
益を提供するもの。
総コスト: 4 億 5,460 万ドル。
IBRD ―「第 2 次プログラム別金融セクター構造調整融資」
融資利用機会の提供、及び金融システム強化を図る政府のイニシアティ
ブに対する支援を通じて、貧しい人々に便益を提供するもの。
総コスト: 4 億 400 万ドル。
✧ IBRD ―「Fundescola IIIA(第 3 次学校改革)対応プログラム融資」
同国の公立学校教育の質の改善(特に、北東部、北部及び中西部の最貧
困地域に対する支援が中心)を通じて、数千人の学生に便益を提供する
もの。
総コスト: 3 億 2,000 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
157
表 6.12 2002 年度に承認された融資、ラテンアメリカ・カリブ海地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
✧ IBRD ―「天然資源管理・農村地域貧困削減融資」
ENRM
2002/4/25
2007/2017
適用なし
62.8
HD
2002/3/14
2007/2017
適用なし
68.0
RD
2002/1/29
2007/2017
適用なし
20.8
UD
2002/1/22
2007/2017
適用なし
209.0
UD
2001/12/4
2007/2011
適用なし
85.0
FPSD
2001/9/4
2007/2016
適用なし
14.5
FPSD
2001/8/23
2007/2016
適用なし
65.0
HD
2002/3/19
2010/2011
適用なし
75.8
PSG
2002/2/19
2007/2017
適用なし
23.2
実験的な新規技術、革新的な農業システム、及び環境に優しい手法の促
進に対してマッチング・グラント(ある活動を行うグループの資金と同
額の資金を政府が提供するもの)を提供することによって、約
105,000 人の農家と 5,000 人の先住民に便益を提供するもの。
総コスト: 1 億 750 万ドル。
✧ IBRD ―「家庭保健・医療サービス対応プログラム融資」
40 都市における公的資金による保健・医療サービスを拡大し、かつ家庭
ごとの保健・医療サービス状況を調査する保健セクターの能力を強化す
るもの。これにより、低所得家庭の人々の健康状態の改善を図る。
総コスト: 1 億 3,600 万ドル。
✧ IBRD ―「セルジッペ州農村地域貧困削減投資融資」
給水、電力及びその他の基本的サービスの利用機会の拡大を通じて、同
国北東部に位置するセルジッペ州の農村地域の 52,000 の家庭の生活水
準を改善することを目指すもの。
総コスト: 2,800 万ドル。
✧ IBRD ―「サンパウロ市地下鉄投資融資」
サンパウロ市地下鉄 4 号線の建設資金を融資することによって、同市周
辺の低所得層の人々に安全で、信頼性の高い輸送サービスを提供するも
の。
総コスト: 9 億 3,400 万ドル。
✧ IBRD ―「フォルタレザ地下鉄輸送投資融資」
都市輸送システムの開発、現在の通勤列車用線路の修復、及び輸送効率
化を図るための中継駅の改修などに対する支援を通じて、低所得層の
人々に便益を提供するもの。
総コスト: 1 億 9,380 万ドル。
IBRD ―「金融セクター技術支援融資」
同国の金融システムの安定性を高める金融セクター改革を実施するため
に必要となる診断的調査、訓練及びシステム構築に対する支援を通じて、
金融セクターの強化を図るもの。
総コスト: 1,810 万ドル。
✧ IBRD ―「ゴイアス州幹線道路管理対応プログラム融資」
主要幹線道路ネットワークの拡大、修復及び保守を通じて、道路インフ
ラの改良を図るもの。これにより、効率的な道路輸送に依存する農業関
連産業に便益が提供される。
総コスト: 1 億 3,000 万ドル。
チリ
✧ IBRD ―「生涯学習・訓練投資融資」
初等・中等・技術教育の実施に関する政府のイニシアティブ、及び成人
向け(特に、若い失業者と就業中の貧しい人々が対象)の訓練プログラ
ムを支援するもの。この支援の目的は、遅れている生涯教育・訓練機会
の提供を強化することである。
総コスト: 1 億 5,080 万ドル。
✧ IBRD ―「公的支出管理投資融資」
高度な財政管理・資源配分システムの確立を通じて、行政の有効性と透
明性を高めることを目指す政府のイニシアティブを支援することによっ
て、国民全体に便益を提供するもの。
総コスト: 3,350 万ドル。
158
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
コロンビア
✧ IBRD ―「生産パートナーシップ支援投資融資」
農村地域を対象としたもので、地域社会と民間セクターを関与させたパ
ートナーシップ・スキームを通じて、農村地域の経済の活性化を目指す
もの。
総コスト: 5,230 万ドル。
✧ IBRD ―「財政構造調整融資」
政府の効率向上策を支援して財政改革の推進を図ると共に、財政改革の
過程で社会的支出を維持するもの。
総コスト: 4 億ドル。
✧ IBRD ―「裁判による紛争解決の手続き改善のための研修・革新融資」
民事裁判制度の下での紛争解決手続きの改善を図るもの。これにより、
頻発する暴力の最大の被害者である貧しい人々に便益が提供される。
総コスト: 670 万ドル。
✧ IBRD ―「給水セクター改革支援投資融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
RD
2002/1/22
2010/2015
適用なし
32.0
PSG
2001/12/18 2010/2015
適用なし
400.0
RL
2001/11/8
2007/2018
適用なし
5.0
UD
2001/10/25 2009/2016
適用なし
40.0
民間セクターを給水事業の管理に関与させると共に、これまで十分では
なかった 70 万人の住民に対する給水を確実に実施させるために資金援
助を行うことによって、同国の市営給水事業の改革を支援するもの。
総コスト: 7,000 万ドル。
✧ IBRD ―「第 2 次マグダレナ・メジオ地域開発研修・革新融資」
SDGI
2001/9/27
2011/2013
適用なし
5.0
HD
2001/7/12
2008/2016
適用なし
17.0
FPSD
2002/3/7
2002/3/7
2007/2016
2007/2036
適用なし
1.0
2.2
RD
2002/4/25
2007/2022
適用なし
4.8
PSG
2002/3/26
2007/2021
適用なし
13.9
開発プログラムの運営、及び地域における諸制度の強化の面での地域団
体の役割を拡大するもの。
総コスト: 640 万ドル
コスタリカ
✧ IBRD ―「保健・医療セクター強化・近代化投資融資」
近代化・権限委譲プログラムを通じて、質の高い保健・医療サービスを同
国の 400 万人の国民に提供するイニシアティブを支援するもの。
総コスト: 2,350 万ドル。
ドミニカ国
IBRD/IDA ―「緊急復興投資融資 c」
ドミニカ国、グレナダ、セントクリストファー・ネーヴィス、
セントルシア、及びセントビンセントおよびグレナディーン諸島を対象
としたものである。このプロジェクトは、2001 年 9 月 11 日に米国で発
生した同時多発テロ後に旅行客が急減したことで大きな影響を受けた観
光セクターを上記の諸島国が活性化するのを、販促宣伝活動、及び観光
セクターにとって極めて重要な輸入を可能にすることによって支援する
もの。
総コスト: 2,480 万ドル。
エクアドル
✧ IBRD ―「農業統計・情報システム技術支援融資」
同国の農業統計の作成を支援し、かつ中央政府と地方自治体による農業
セクターの育成を支援することによって、社会的公平性を高めることを
目指すもの。
総コスト: 700 万ドル。
IBRD ―「公共セクター財政管理技術支援融資」
1.9
中央政府とすべての地方自治体に財政管理システムを実施させることを
通じて、公共セクターの財政管理の改善を図る同国のイニシアティブを
支援するもの。
総コスト: 1,880 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
159
表 6.12 2002 年度に承認された融資、ラテンアメリカ・カリブ海地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
テーマ a
IBRD ―「近代化・農村地域公益サービス投資融資」
FPSD
承認日
返済期間
2001/11/20 2010/2021
SDRb
US$
適用なし
23.0
同国の電力・通信サービスの近代化を支援し、これらのサービスを低所
得層の消費者にも提供し、かつ生活の質の改善と雇用創出の推進を図る
もの。
総コスト: 4,040 万ドル。
✧ IBRD ―「貧困削減・農村地域開発投資融資」
SPRM
2001/7/5
2009/2021
適用なし
25.2
HD
2001/12/4
2007/2018
適用なし
142.6
FPSD
2002/3/7
2002/3/7
2007/2016
2012/2036
適用なし
1.1
2.7
FPSD
2002/6/25
不明/不明
適用なし
150.0
FPSD
2002/6/25
2008/2018
適用なし
5.0
PSG
2002/3/14
2008/2018
適用なし
29.8
HD
2002/5/7
2012/2042
21.8
27.1
ENRM
8/2/01
2007/2037
6.7
8.3
農村地域を対象とした貧困削減イニシアティブに融資を行うもの。これ
により、約 6 万人の住民が所得を増やし、生活の質を改善することがで
きる。
総コスト: 4,200 万ドル。
エルサルバドル
✧ IBRD ―「地震緊急復興・保健・医療サービス拡大融資」
2001 年初めに発生した 2 度の地震で被害が最も大きかった 8 つの病院、
及び 113 の保健・医療施設(全体では 361)の再建と修復のために融資
を行うもの。
総コスト: 1 億 6,570 万ドル。
グレナダ
IBRD/IDA ―「緊急復興投資融資 c」
ドミニカ国、グレナダ、セントクリストファー・ネーヴィス、
セントルシア、及びセントビンセントおよびグレナディーン諸島を対象
としたものである。このプロジェクトは、2001 年 9 月 11 日に米国で発
生した同時多発テロ後に旅行客が急減したことで大きな影響を受けた観
光セクターを上記の諸島国が活性化するのを、販促宣伝活動、及び観光
セクターにとって極めて重要な輸入を可能にすることによって支援する
もの。
総コスト: 2,480 万ドル。
グアテマラ
IBRD ―「金融セクター構造調整融資」
金融、マネーロンダリング(資金洗浄)防止、金融監督及び中央銀行に関す
る同国の法的フレームワークの強化を通じて、グアテマラの投資環境を
改善し、かつ金融危機に対する抵抗力を高めるものである。
総コスト: 1 億 5,000 万ドル。
IBRD ―「金融セクター技術支援融資」
2.2
金融セクターの改革、債務超過銀行の閉鎖、脆弱な金融機関の資本再編、
及び金融に関する規制強化を推進するために、技術支援を提供するもの。
すべての国民の金融サービス利用機会を拡大することによって、貧困を
削減し、経済成長を実現することができる。
総コスト: 500 万ドル。
IBRD ―「第 3 次集中的財政管理・技術支援融資」
政府による公共セクター財政管理近代化を支援すると共に、企業に対し、
経済成長率の加速と貧困削減の面で貢献するよう要請するもの。
総コスト: 3,320 万ドル。
ホンジュラス
✧ IDA ―「保健・医療システム改革投資融資」
保健・医療システムの改革、貧困地域も含めた保健・医療サービスの提
供、母親/乳幼児死亡率の低減、及びエイズ感染率の低減を通じて、同
国の低所得層の人々に便益を提供するもの。
総コスト: 970 万ドル。
✧ IDA ―「農村地域土地管理投資融資」
農村地域の 10 万戸を超える貧しい家庭を対象として、その借地権の確
実性の強化、土地の生産性の向上、及び所得の拡大を図るために、農村
地域の土地管理の改善を支援するもの。
総コスト: 1,500 万ドル。
160
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
✧ IDA ―「持続可能沿岸観光研修・革新融資」
表テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
ENRM
2001/7/25
2012/2041
4.0
5.0
HD
2002/3/29
2007/2019
適用なし
15.0
PSG
2001/12/20 2007/2018
適用なし
75.0
同国の北部沿岸地域の持続可能な観光を支援することで地域社会発展の
基礎の確立を目指すと共に、安全確保、エイズ及び海洋保護に関する問
題に取り組むもの。
総コスト: 600 万ドル。
ジャマイカ
✧ IBRD ―「エイズ予防・抑制対応プログラム融資」
エイズ・ウィルスの伝染率を引き下げる政府のプログラムを支援し、か
つエイズ感染者に治療と介護を提供することを通じて、エイズに感染す
るリスクのある国民に便益を与えるもの。
総コスト: 1,650 万ドル。
IBRD ―「緊急経済復興・構造調整投資融資」
主要産業の復興促進を通じてマクロ経済の安定維持を図るイニシアティ
ブを支援すると共に、最も脆弱な人々を保護するもの。
総コスト: 1 億 5,000 万ドル。
✧ IBRD ―「社会的セーフティネット投資融資」
SPRM
2001/9/4
2007/2019
適用なし
40.0
PSG
2002/6/18
2008/2017
適用なし
52.0
PSG
2002/6/18
2012/2012
適用なし
303.0
HD
2002/3/21
2007/2017
適用なし
300.0
FPSD
2001/9/27
2011/2011
適用なし
5.0
複数の社会福祉プログラムを、最も支援を必要としている子供、若者、高
齢者及び障害者を対象とした新たなプログラムに統合することを支援す
ることによって、最貧困グループの生活の質の改善を目指すもの。
総コスト: 7,750 万ドル。
メキシコ
✧ IBRD ―「税務行政制度構築技術支援融資」
税金を徴収し、有効な監査を実施する連邦国税庁の能力を強化すると共
に、税収に対する徴税コストの比率を引き下げるもの。
総コスト: 8,200 万ドル。
IBRD ―「税制改革構造調整融資」
納税者に便益を提供するもの。このプロジェクトは、類似の所得水準の
人々による税負担を公平なものとすることを目的とした同国の税制改革
を支援すると共に、連邦政府の税収を増やしてマクロ経済の安定性と社
会的プログラムの維持を図るものである。
総コスト: 3 億 300 万ドル。
✧ IBRD ―「基礎教育強化フェーズ II 対応プログラム融資」
すべての子供に基礎教育を修了する機会を保証し、かつ最も困窮してい
る児童に資金を貸与することを通じて、全国(農村地域、先住民居住地
域及び都市の外縁部を含む)の基礎教育の質を改善し、かつその普及率
を高めることを目指すイニシアティブを支援するもの。
総コスト: 5 億 3,110 万ドル。
✧ IBRD ―「南東地域民間セクター育成研修・革新融資」
カンペチェ州、ユカタン州及びキンタナロー州による民間セクターの強
化と貧困削減を目指す零細事業イニシアティブを支援するもの。
総コスト: 1,060 万ドル。
(次の頁に続く)
第6章
世界銀行について
161
表 6.12 2002 年度に承認された融資、ラテンアメリカ・カリブ海地域(続き)
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
ニカラグア
✧ IDA ―「土地管理投資融資」
借地権の確実性の強化、農業投資の拡大、所得増加、及び天然資源の持
続可能な利用の推進によって、小規模農家と先住民に便益を提供するも
の。
総コスト: 3,850 万ドル。
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
ENRM
2002/6/18
2012/2041
26.2
32.6
TI
2001/7/31
2007/2016
適用なし
10.5
SPRM
2002/3/21
2007/2018
適用なし
9.0
HD
2002/6/13
2007/2017
適用なし
5.0
FPSD
2002/3/7
2007/2016
適用なし
4.4
HD
2002/6/13
2002/6/13
2007/2017
2012/2037
適用なし
6.0
6.0
2002/3/7
2002/3/7
2005/2017
2012/2037
適用なし
12/20/01
12/20/01
2007/2016
2012/2036
パナマ
✧ IBRD ―「公共政策改革技術支援融資」
同国の国際競争力、貿易交渉能力、財政の持続可能性、及び公共セクタ
ーの効率性を改善するための改革を支援することによって、貧困削減を
図るもの。
総コスト: 1,350 万ドル。
パラグアイ
✧ IBRD ―「実験的地域社会開発投資融資」
農村地域と都市部周辺地域の貧困を削減するための地域社会開発イニシ
アティブを支援することで、約 32,000 人の低所得家庭に便益を提供す
るもの。
総コスト: 1,120 万ドル。
セントクリストファー・ネーヴィス
IBRD ―「教育強化対応プログラム融資」
様々な設備が整備された中学校の建設資金を融資し、かつ教師に対して
訓練と指導指針を提供することによって、数百人の生徒に便益を提供す
るもの。
総コスト: 700 万ドル。
IBRD ―「緊急復興プロジェクト融資」
ドミニカ国、グレナダ、セントクリストファー・ネーヴィス、セントル
シア、及びセントビンセントおよびグレナディーン諸島を対象としたも
のである。このプロジェクトは、2001 年 9 月 11 日に米国で発生した同
時多発テロ後に旅行客が急減したことで大きな影響を受けた観光セクタ
ーを上記の諸島国が活性化するのを、販促宣伝活動、及び観光セクター
にとって極めて重要な輸入を可能にすることによって支援するもの。
総コスト: 2,480 万ドル。
セントルシア
IBRD/IDA ―「教育強化投資融資 c」
2 つの中学校を新設する資金を融資し、既存の施設を改善し、
新たなカリキュラムを作成し、かつ教師を訓練することによって、約
1,400 人の生徒に便益を提供するもの。
総コスト: 1,920 万ドル。
IBRD/IDA ―「緊急復興投資融資 c」
FPSD
ドミニカ国、グレナダ、セントクリストファー・ネーヴィス、
セントルシア、及びセントビンセントおよびグレナディーン諸島を対象
としたものである。このプロジェクトは、2001 年 9 月 11 日に米国で発
生した同時多発テロ後に旅行客が急減したことで大きな影響を受けた観
光セクターを上記の諸島国が活性化するのを、販促宣伝活動、及び観光
セクターにとって極めて重要な輸入を可能にすることによって支援する
もの。
総コスト: 2,480 万ドル。
✧ IBRD/IDA ―「給水セクター改革技術支援融資 c」
同国の給水事業を健全な法律・規制フレームワークの中で民間
セクターに委嘱することによって上下水サービスを改善することで、住
民の生活の質の向上を図るもの。
総コスト: 840 万ドル。
162
世界銀行年次報告書 2002
ENRM
4.8
3.6
1.9
4.4
n.a.
1.1
1.3
1.3
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
セントビンセントおよびグレナディーン諸島
IBRD/IDA ―「緊急復興・災害管理対応プログラム融資 c」
予防措置を講じ、かつハリケーンなどの緊急状況を効果的に管
理する政府の能力を強化することを通じて、自然災害による住民の生
命・財産の損失を抑制するもの。
総コスト: 680 万ドル。
IBRD/IDA ―「緊急復興投資融資 c」
表テーマ a
承認日
返済期間
SPRM
2002/5/29
2002/5/29
2007/2019
2012/2037
適用なし
2002/3/7
2002/3/7
2007/2019
2012/2037
適用なし
HD
2002/4/25
2007/2017
適用なし
42.0
RD
2001/7/31
2006/2016
適用なし
18.5
FPSD
ドミニカ国、グレナダ、セントクリストファー・ネーヴィス、
セントルシア、及びセントビンセントおよびグレナディーン諸島を対象
としたものである。このプロジェクトは、2001 年 9 月 11 日に米国で発
生した同時多発テロ後に旅行客が急減したことで大きな影響を受けた観
光セクターを上記の諸島国が活性化するのを、販促宣伝活動、及び観光
セクターにとって極めて重要な輸入を可能にすることによって支援する
もの。
総コスト: 2,480 万ドル。
ウルグアイ
IBRD ―「基礎教育の質を改善する投資融資」
貧困地域の約 51,000 人の生徒にも都会型の全日制教育を施すことによ
って、これら生徒の学業成績を伸ばし、かつ小学校と中学校を卒業する
まで入退学を繰り返す児童・生徒の割合を引き下げることを目指すも
の。
総コスト: 5,600 万ドル。
✧ IBRD ―「口蹄疫病緊急復興投資融資」
SDRb
US$
3.0
2.9
2.4
1.0
2.2
1.9
牛肉輸出市場を再び確保するための同国のイニシアティブを支援し、か
つ口蹄疫病を絶滅することによって、約 5 万軒の畜産農家に便益を提供
するもの。
総コスト: 2,400 万ドル。
合 計
143.4
4,365.9
✧ これは、世銀援助プロジェクトの設計段階から、結果のモニタリング/評価段階までの様々なレベルに、シビルソサエティが参加していることを示す。
注:数字は四捨五入されている。
a. EM :経済運営。ENRM :環境・天然資源管理。FPSD :金融・民間セクター開発。HD :人的開発。PSG :公共セクター・ガバナンス。RD :農村開発。RL :法規。
SDGI :社会開発・ジェンダー・参加。SPRM :社会的保護・リスク管理。TI :貿易・統合。UD :都市開発。囲み 2.1 を参照。
b. IDA 融資は、SDR(特別引出権)で承認された。2002 年度における SDR の交換レートは、1 SDR = $1.265 であった。
c. IBRD 及び IDA 融資の同時実行。
第6章
世界銀行について
163
表
表 6.13 2002 年度に承認された融資、中東・北アフリカ地域
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
アルジェリア
IBRD ―「担保付き融資技術支援投資融資」
金融システムに関するキャパシティ・ビルディング、及び法律・規制問
題に関する技術支援を通じて、機能的な抵当証券市場の確立を図るも
の。
総コスト: 820 万ドル。
IBRD ―「輸送技術支援投資融資」
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
FPSD
2002/6/27
不明/2018
適用なし
5.5
FPSD
2001/8/23
不明/2018
適用なし
8.7
FPSD
2001/7/26
不明/2017
適用なし
16.5
HD
2002/6/4
2012/2042
12.0
15.0
PSG
2001/12/20 2012/2041
7.9
10.0
HD
2002/4/16
2007/2019
適用なし
50.0
RD
2002/6/27
2008/2019
適用なし
5.0
UD
2002/6/13
2009/2015
適用なし
65.0
US$
民間セクターの参加を推進し、鉄道を改善し、かつ政府の能力を強化す
ることによって、輸送システムを近代化・拡張し、全国民に便益を提供
するもの。
総コスト: 1,130 万ドル。
IBRD ―「金融システム・インフラ近代化投資融資」
銀行間決済システムの導入促進、及び基準・標準の策定を通じて、一般
家庭と民間セクターに基本的な金融サービスを提供するもの。
総コスト: 1,820 万ドル。
ジブチ
✧ IDA ―「保健・医療セクター強化対応プログラム融資」
母親と子供に対する保健・医療サービスの改善、医療補助員の増員、及
び医療施設に常備される医薬品の量の拡大を通じて、母親と子供の死亡
率の低減に関する MDGs の達成を図るもの。
総コスト: 3,000 万ドル。
IDA ―「財政再建構造調整融資」
年金資金の持続可能性を回復することによって新たな退職者に便益を提
供すると共に、その他の行政サービスを改善するもの。
総コスト: 1,000 万ドル。
エジプト
✧ IBRD ―「高等教育強化投資融資」
法律改正、制度再編、及び質を保証する独立的な仕組みとモニタリン
グ・システムの確立を通じて、高等教育システムの質を改善するもの。
総コスト: 6,000 万ドル。
ヨルダン
IBRD ―「園芸作物輸出促進・技術移転研修・革新融資」
市場情報と支援サービスの提供を通じて、農家が、特定の市場に対する
園芸作物の輸出を拡大し、かつ価格変動による影響を緩和するために園
芸作物の輸出市場を多角化するのを支援すると共に、中小規模の農家に
よる輸出市場への参入を拡大するもの。
総コスト: 660 万ドル。
レバノン
✧ IBRD ―「都市輸送改善投資融資」
基本的制度に関するフレームワークを構築し、かつ既存の都市輸送イン
フラの効率性を高める上で重要な投資を行うことを通じて、ベイルート
とその近郊に効率的な輸送システムを確立するための基礎を築くもの。
これにより、都市部の人々に便益が提供される。
総コスト: 1 億 1,520 万ドル。
164
世界銀行年次報告書 2002
元本金額(単位:100 万ドル)
主要
国名/プロジェクト名
テーマ a
承認日
返済期間
SDRb
US$
✧ IBRD ―「バールベック給水・排水投資融資」
ENRM
2002/6/4
2009/2015
適用なし
43.5
SPRM
2002/6/4
2008/2022
適用なし
5.0
2001/12/20 2002/2018
適用なし
252.5
給・排水サービスの利用範囲を拡大し、給水当局の能力を強化し、かつ
水道メーターの設置によって給水の合理的な利用を推進することで、低
所得グループに便益を提供するもの。
総コスト: 4,920 万ドル。
モロッコ
✧ IBRD ―「社会開発庁投資融資」
貧しい農村地域で社会事業を拡大するための新たな手法をテストし、か
つ地域社会に開発プロジェクトの実施を請け負わせることによって、貧
しい地域社会と脆弱なグループに便益を提供するもの。
総コスト: 1,500 万ドル。
チュニジア
IBRD ―「第 3 次経済競争力構造調整融資」
通信セクターの競争力を強化し、かつ保険・金融セクターの効率性を改
善することによって、安定したマクロ経済環境と合理的なビジネス環境
の創造を目指すもの。
総コスト: 2 億 5,250 万ドル。
イエメン
✧ IDA ―「高等教育研修・革新融資」
高等教育に関するガバナンス、財政及び質を改善するための方策を考案
し、その方策を試すことを支援するもの。政府関係者が高等教育に関す
る戦略を主体的に策定することができるようにするために、彼らにリー
ダーシップと技術に関する訓練を施す。
総コスト: 530 万ドル。
IDA ―「保健・医療改革支援対応投資融資」
FPSD
HD
2002/6/18
2012/2042
4.1
5.0
HD
2002/3/28
2012/2041
22.2
27.5
UD
2001/11/1
2012/2041
35.6
45.2
81.8
554.4
女性と子供が保健・医療サービスを受ける機会を拡大すると共に、保
健・医療システム全体の効率性と公平性を改善するもの。
総コスト: 2,960 万ドル。
✧ IDA ―「第 2 次タイズ市開発・治水投資融資」
洪水帯の建設、再定住計画に対する資金の提供、及び地方自治体の能力
強化を通じて、季節的に発生する鉄砲水による損害や傷害を低減するこ
とで、住民に便益を提供するもの。
総コスト: 5,000 万ドル。
合 計
✧ これは、世銀援助プロジェクトの設計段階から、プロジェクトの進行のモニタリング及び結果の評価段階まで様々なレベルにシビルソサエティが、参加しているこ
とを示す。
注:数字は四捨五入されている。
a. EM :経済運営。ENRM :環境・天然資源管理。FPSD :金融・民間セクター開発。HD :人的開発。PSG :公共セクター・ガバナンス。RD :農村開発。RL :法規。
SDGI :社会開発・ジェンダー・参加。SPRM :社会的保護・リスク管理。TI :貿易・統合。UD :都市開発。囲み 2.1 を参照。
b. IDA 融資は、SDR(特別引出権)で承認された。2002 年度における SDR の交換レートは、1 SDR = $1.265 であった。
第6章
世界銀行について
165
表
表 6.14 構造調整融資、2002 年度
(100 万ドル)
166
国名
プロジェクト
貧困削減支援融資
アルバニア
ブルキナファソ
貧困削減支援融資
貧困削減支援融資
プログラム別構造調整融資
ブラジル
トルコ
ウクライナ
第 2 次プログラム別金融セクター構造調整融資
第 2 次プログラム別金融・公共セクター構造調整融資
プログラム別構造調整融資
セクター構造調整融資
アルバニア
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ブラジル
コートジボワール
ポーランド
スロバキア
タンザニア
チュニジア
トルコ
トルコ
ユーゴスラビア連邦共和国
金融セクター構造調整融資
ビジネス環境構造調整融資
エネルギー・セクター改革融資
運輸セクター構造調整・投資融資(IDA 融資の継続分)
第 2 次無煙炭セクター構造調整融資
企業・金融セクター構造調整融資
初等教育強化プログラム融資
第 3 次経済競争力構造調整融資
農業改革遂行プロジェクト融資
社会的リスク緩和プロジェクト融資
民間・金融セクター構造調整融資
構造調整融資
アルゼンチン
アルゼンチン
アゼルバイジャン
カメルーン
ケープベルデ
チャド
コロンビア
コンゴ民主共和国
コートジボワール
クロアチア
ジブチ
エチオピア
ガーナ
ガーナ
グアテマラ
ギニア
インド
インド
構造調整融資
サンタフェ州改革融資
第 2 次構造調整融資
第 3 次構造調整融資(IDA 融資の継続分)
構造調整融資
第 4 次構造調整融資
財政構造調整融資
経済復興融資
経済復興融資
構造調整融資
財政再建融資
エチオピア構造調整融資
第 3 次経済改革支援運用融資
第 3 次経済改革支援融資(IDA 融資の継続分)
金融セクター構造調整融資
第 4 次構造調整融資
アンドラプラデシュ州経済改革プログラム
第 2 次カルナタカ州経済再編融資
世界銀行年次報告書 2002
IBRD
IDA
20
45
404
1,350
250
20
45
404
1,350
250
15
44
455
12
100
177
150
253
600
500
85
400
330
60
6
15
40
400
450
200
202
10
120
110
0
150
125
50
合計
50
125
50
15
44
455
12
100
177
150
253
600
500
85
400
330
60
6
15
40
400
450
200
202
10
120
110
0
150
50
250
100
国名
プロジェクト
構造調整融資(続き)
ジャマイカ
ケニア
ラオス
マケドニア
マリ
モーリシャス
メキシコ
モルドバ
モルドバ
ニジェール
パキスタン
ロシア
シエラレオネ
タンザニア
ユーゴスラビア連邦共和国
ザンビア
緊急経済復興融資
経済・セクター改革融資(IDA 融資の継続分)
財政管理構造調整融資
公共セクター運営構造調整融資
第 3 次構造調整融資
公共支出改革融資
税制改革構造調整融資
第 3 次構造調整融資
構造調整補完融資
公共支出構造調整融資
第 2 次構造調整融資
財政連邦主義・地域財政改革融資
第 2 次経済復興・回復融資
プログラム別構造調整融資(IDA 融資の継続分)
構造調整融資
財政持続可能性融資(IDA 融資の継続分)
特別な構造調整融資
トルコ
プログラム別金融・公共セクター構造調整融資
合 計
IBRD
IDA
75
1
17
15
70
40
303
30
5
70
500
120
50
1
70
7
1,100
7,383
合計
75
1
17
15
70
40
303
30
5
70
500
120
50
1
70
7
1,100
2,443
9,826
注:数字は四捨五入されているため、合計が一致しないことがある。
第6章
世界銀行について
167
索 引
注: b は囲み、f は図、t は表を意味する。
AーZ
き
TRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する
協定)途上国,16b
基準・規定遵守報告書(ROSC),74, 78
給水、衛生及び治水
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,27, 29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
教育
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,27, 29f
プロジェクトの成果,55, 56f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
協調融資,35, 36f
金融アクション・タスクフォース,75
金融セクター
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,26, 27f
IDA 融資,29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
金融セクター改革・強化イニシアティブ,74
金融セクター審査プログラム(FSAP),32,
あ
アジア開発銀行,40–41, 50
アフリカ開発銀行,35, 40–41, 51
アフリカ・キャパシティ・ビルディング財団,
41b
アフリカ地域,84–88
GDP 成長率,25
教育,46
協調融資,35
構造調整融資承認額,28t
ジェンダー格差,46
社会的保護融資,66
複数国エイズ・プログラム,65
プロジェクトの成果,56f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
融資,24, 27, 27f, 29f, 31f
アフリカ地域のエイズを撲滅するための国際パ
ートナーシップ,24
アフリカ・バーチャル大学,18, 40, 41b
い
イギリス、国際開発省,65
う
運輸(輸送)
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
インフラ開発,71–72
プロジェクトの成果,55, 56f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
え
エイズ,14, 24, 48, 63–66, 84, 86–87, 96,
74–75, 76
金融・民間セクター開発
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,28, 29f
規制フレームワークに対する融資,27
経済・セクター調査,31
プロジェクトのポートフォリオ,54f
く
国別援助戦略(CAS),6, 37–38
クリーン大気イニシアティブ,41b
グローバル化、貿易,15–16b
グローバル・ディベロップメント・ラーニン
グ・ネットワーク,18, 39, 41b
グローバル・ナレッジ・パートナーシップ,
100, 104, 111
エグモント・グループ,75
エネルギー及び鉱業
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
プロジェクトの成果,55, 56f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
エンパワーメント、貧困削減,62
お
け
経済運営
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,27, 29f
経済・セクター調査,31
欧州復興開発銀行,40–41
開発の有効性の評価,50–51
プロジェクトのポートフォリオ,54f
経済協力開発機構(OECD),41, 51
か
こ
開発政策・人材育成基金,36
開発の有効性,44–58
MDGs の達成度,45–50
借入国の能力とコミットメント,56–57
成果,54–55, 55f
調査,24, 50–53
投資環境,15–16b
プロジェクト及び融資のパフォーマンス,
公共セクター・ガバナンス
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,26, 26b, 27, 27f
IDA 融資,27, 28, 29f
経済・セクター調査,31
貧困削減,63
プロジェクトの成果,55, 56f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
合同アフリカ協会,39, 41b
合同ウィーン協会,39, 41b
国際開発協会(IDA),8
IDA-13 増資,3–4
構造調整融資承認額,28t
資金源,32–33, 33f
貧困削減融資,18–20, 20f
融資、1993 ∼ 2002 年度,30t
融資承認額,24, 27–28
国際開発金融機関,40–41
55–56, 56f, 57f
ベスト・プラクティス,58
科学技術,69
環境及び天然資源管理
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
評価,52, 53
プロジェクトのポートフォリオ,54f
環境の持続可能性,67–68
168
41b
グローバル・プロダクト・グループ,70–71
グローバル・ディベロップメント・ネットワー
ク,18
世界銀行年次報告書 2002
国際協力銀行,35
国際金融公社,9
国際通貨基金(IMF)
FSAP,32, 74–75, 76
重債務貧困国イニシアティブ,28–29
パートナーシップ,6–7, 39, 42
貧困削減戦略ペーパー・レビュー会議,24
国際投資保証機構,9
国際農業研究協議グループ(CGIAR)
,17, 68
国際復興開発銀行(IBRD),8
構造調整融資承認額,28t
資金源,33–34, 35t
貧困削減融資,18, 19, 20–21
利益配分,34, 34f, 35t
融資、1993 ∼ 2002 年度,30t
融資承認額,24, 26–27, 27f
国連,6, 75
エイズ・プログラム,24
国連開発計画(UNDP),39
国連開発資金国際会議,7, 40
国連食糧農業機関,78–79
さ
債務超過と債権者の権利に関する効果的なシス
テムを構築するための原則とガイドライン,
77–78
査閲パネル,7
産業及び貿易
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
し
ジェームズ・ D ・ウォルフェンソン,2–4
ジェンダー問題 「社会開発、ジェンダー及び
参加」を参照
持続可能な開発
協定及びモデル,78
持続可能な司法,79
世界サミット,40
持続可能な開発のための世界経済人会議・バー
チャル大学,41b
質保証グループ,51, 53–54
社会開発・ジェンダー・参加
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
教育,46–47
評価,52, 53
貧困削減,60–61, 68–69
プロジェクトのポートフォリオ,54f
社会的保護及びリスク管理
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
経済・セクター調査,31
評価,52, 53
貧困削減,65–66
プロジェクトのポートフォリオ,54f
重債務貧困国イニシアティブ(HIPC),3, 6,
28–29, 32f
信託基金,3
情報及び通信
IBRD-IDA 融資,31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
インフラ開発,72
貧困削減,75
プロジェクトのポートフォリオ,54f
法律問題に関する知識の共有,79b
助言サービス,18, 29–32
新アフリカ米(ネリカ米),17
信託基金,35–37, 37f
人的開発
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27, 27f
IDA 融資,29f
教育アジェンダ,63–64
経済・セクター調査,31
プロジェクトのポートフォリオ,54f
せ
セーフガード・ポリシー,69
成果基準援助(OBA)の実験,70
世界銀行研究所,18, 39–40
世界経済の減速,25–26
世界貿易機関(WTO),16b
世銀と IMF の協力,6–7
セクター別戦略文書(SSPs),39, 52, 53
戦略指針文書,6
戦略フレームワーク,6
ち
地球環境ファシリティ(GEF),17–18, 35
信託基金,36
地球公共財インセンティブ・ファンド,37
知識の共有,41b
中所得国に対する支援,38–39
中東・北アフリカ地域,108–13
GDP 成長率,25
協調融資,35
構造調整融資承認額,28t
社会的保護融資,66
プロジェクトの成果,55
プロジェクトのポートフォリオ,54f
融資,27f, 29f, 31f
は
み
パートナーシップ,39–42
万人のための教育(EFA),40, 46, 63–64
ファースト・トラック,3
南アジア地域,93–97
GDP 成長率,25
教育,46
構造調整融資承認額,28t
ジェンダー間の格差,47
プロジェクトのポートフォリオ,54f
融資,24, 27, 27f, 29f, 31f
ミレニアム開発目標(MDGs),12–13, 31,
49f, 59, 63.「モンテレー合意」も参照
HIV/エイズ、マラリアなど,48–49
開発,2–3
開発のためのグローバル・パートナーシップ,
ひ
東アジア・大洋州地域,89–92
GDP 成長率,25
構造調整融資承認額,28t
社会的保護融資,66
貧困削減,46
プロジェクトのポートフォリオ,54f
融資,26, 27f, 29f, 31f
貧困削減,13–15, 17–18, 60–62
開発の有効性,45
経済・セクター調査,54
国連開発資金国際会議,24, 25
社会的保護,65–66
保健・栄養・人口セクター,64–65
融資,18–21
融資,19b
貧困削減支援融資(PRSC),15, 31, 38, 71
貧困削減戦略文書(PRSP),3, 6, 38, 60,
61b
IMF, 42
作成,24
借入国の責任,14–15
重債務貧困国イニシアティブ,29
手洗いに関する官民パートナーシップを推進す
るためのグローバル・イニシアティブ,71
低所得国に対する支援,38
ディベロップメント・ゲートウェイ財団,18,
39, 40b, 41b
と
投資環境調査,70
投資の法的環境,77–78
投資紛争解決国際センター,9
都市開発
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27, 27f
IDA 融資,29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
の
農業、漁業及び林業
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
プロジェクトの成果,56f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
農業生産量拡大、貧困削減,68
農村開発
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
46–47, 47f
世界経済の減速,26
妊産婦の健康,47–48, 48f
貧困と飢餓,46, 46f
貧困削減,13–15
民間セクター開発・インフラネットワーク,
70–73, 72f
も
最も貧しい層を支援する協議グループ(CGAP),
72–73
ふ
複数国エイズ・プログラム(MAP),24, 65
プロトタイプ炭素基金(PCF),78
モンテレー合意,2–3, 24
ゆ
へ
融資コード・システム,26b
米州開発銀行,35, 40–41, 51
よ
ほ
て
50, 50f
開発の有効性,45–50
子供の死亡率,47, 48f
ジェンダーの平等,46–47, 47f
持続可能な環境の,49, 49f, 67–68
すべての子供達を対象とした初等教育,
貿易
グローバル化,15–16b
貧困削減,63
貿易及び統合
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
包括的な開発フレームワーク,3, 30, 38b
法治主義(法規),77–79
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
法律・司法改革,77
法律・司法・行政
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,29f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
法律と司法に関する国際諮問委員会,78
保健・医療及びその他の社会事業
IBRD-IDA 融資,30t, 31f
IBRD 融資,27f
IDA 融資,27, 29f
プロジェクトの成果,56f
プロジェクトのポートフォリオ,54f
保健・医療フラッグシップ,41b
保健・栄養・人口セクター戦略,64–65
ヨーロッパ・中央アジア地域,98–102
GDP 成長率,25
経済・セクター調査,31
構造調整融資承認額,28t
社会的保護融資,66
貧困削減,46
プロジェクトのポートフォリオ,54f
法律と司法に関する地域フォーラム,78
融資,26, 27f, 29f, 31f
ら
ラテンアメリカ・カリブ海地域,103–7
GDP 成長率,25
決済システムの改革,75b
協調融資,35
構造調整融資承認額,28t
社会的保護融資,66
ジェンダーの平等,46
プロジェクトのポートフォリオ,54f
融資,26, 27f, 29f, 31f
り
理事,5–7
わ
ワールド・リンクス,18
索 引
169
囲み、図及び表のリスト
囲み
囲み 1.1
囲み 1.2
囲み 2.1
囲み 2.2
囲み 2.3
囲み 2.4
囲み 4.1
囲み 4.2
囲み 4.3
グローバル化と貿易 15
貧困削減のための融資 19
世銀融資プログラムの新しい分類方法 26
借入国のビジネスモデルの強化:包括的開発フレー
ムワーク 38
ディベロップメント・ゲートウェイ財団 40
ウェブサイト:知識の共有とパートナーシップ 41
PRSP アプローチのレビュー 61
貿易と開発の統合 62
HIV/エイズに対する教育システムによる対策の支援
64
囲み 4.4
囲み 4.5
囲み 4.6
囲み 4.7
囲み 5.1
囲み 5.2
囲み 5.3
囲み 5.4
囲み 5.5
HIV/エイズを撲滅するためのパートナーシップ 66
持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD) 67
決済システムの改革 75
ウェブサイトを利用した法律知識の共有 79
アフリカ地域の開発のためのパートナーシップ 86
東アジアにおける、地域レベル、国レベル及び地方
レベルでの貧困削減戦略 89
貧困削減 93
移行期のアフガニスタン 95
貧しい人々が経済危機を乗り越えるのを支援するた
めのトルコの「社会的リスク緩和プロジェクト」
100
囲み 5.6
囲み 5.7
囲み 5.8
天然資源の輸出は知識集約型経済の下での雇用につ
ながる 106
ヨルダン川西岸・ガザ地区 108
環境パートナーシップと研修 110
図
図 1.1
図 1.2
図 2.1
図 2.2
図 2.3
図 2.4
図 2.5
図 2.6
図 2.7
図 2.8
図 2.9
図 2.10
図 2.11
図 2.12
図 2.13
図 2.14
図 2.15
図 2.16
図 2.17
図 2.18
図 3.1
図 3.2
図 3.3
図 3.4
図 3.5
図 3.6
図 3.7
図 3.8
図 3.9
図 3.10
170
世界銀行年次報告書 2002
社会セクターに対する IDA 援助の増大 20
国民総所得に対する政府開発援助(純額)の割合
21
IBRD の地域別融資 2002 年度 27
IBRD のテーマ別融資 2002 年度 27
IBRD のセクター別融資 2002 年度 27
IDA の地域別融資 2002 年度 29
IDA のテーマ別融資 2002 年度 29
IDA のセクター別融資 2002 年度 29
IBRD と IDA の地域別融資合計額 2002 年度 31
IBRD と IDA のテーマ別融資合計額 2002 年度 31
IBRD と IDA のセクター別融資合計額 2002 年度
31
重債務貧困国に対する債務救済 32
重債務貧困国イニシアティブの支援を受ける前と後
の社会的支出の傾向 32
IDA の資金源 33
資産収益率(ROA)推移 33
資本/貸出比率、2002 年 6 月 30 日現在 34
借入金及び当座資産、2002 年 6 月 30 日現在 34
2002 年度の純営業利益 19 億ドルの配分案 34
世銀融資総額に対する協調融資総額の割合 36
世銀が運営する信託基金に対する拠出、1998-2002
年度 37
1 日 1 ドル未満ないし 2 ドル未満で生活する人々の割
合 45
低・中所得国における栄養不良の子供の割合 46
初等教育修了率 47
低・中所得国における初等・中等教育での男子児童
に対する女子児童の割合 47
低・中所得国における 5 歳未満の子供の死亡率 48
技能を有する医療スタッフが立ち会った出産 48
15 歳から 24 歳までの若者の間でのエイズ感染率、
1999 年 49
低・中所得国における安全な水資源の利用率 49
低・中所得国に対する援助 50
地域別の実施中プロジェクト、2002 年 6 月 30 日現
在 54
図 3.11
図 3.12
図 3.13
図 3.14
図 3.15
図 3.16
図 3.17
図 3.18
図 3.19
図 4.1
図 4.2
図 4.3
テーマ別の実施中プロジェクト、2002 年 6 月 30 日
現在 54
セクター別の実施中プロジェクト、2002 年 6 月 30
日現在 54
プロジェクト成果の傾向、1974-2001 年 55
制度整備効果の傾向 55
持続可能性に関する傾向 55
アフリカ地域とその他地域におけるプロジェクトの
成果の傾向 56
セクター別のプロジェクト成果の傾向 56
構造調整融資全体 56
投資融資全体 57
テーマ別のインフラ融資、2002 年度 72
セクター別のインフラ融資、2002 年度 72
途上国への長期資金流入額(純額)、1992-2001 年
72
図 5.1
図 5.2
図 5.3
図 5.4
図 5.5
図 5.6
図 5.7
図 5.8
図 5.9
図 5.10
図 5.11
図 5.12
アフリカ地域: IBRD と IDA のテーマ別の融資額、
2002 年度 87
アフリカ地域: IBRD と IDA のセクター別の融資額、
2002 年度 87
東アジア・大洋州地域: IBRD と IDA のテーマ別の
融資額、2002 年度 91
東アジア・大洋州地域: IBRD と IDA のセクター別
の融資額、2002 年度 91
南アジア地域: IBRD と IDA のテーマ別の融資額、
2002 年度 96
南アジア地域: IBRD と IDA のセクター別の融資額、
2002 年度 96
ヨーロッパ・中央アジア地域: IBRD と IDA のテー
マ別の融資額、2002 年度 101
ヨーロッパ・中央アジア地域: IBRD と IDA のセク
ター別の融資額、2002 年度 101
ラテンアメリカ・カリブ海地域: IBRD と IDA のテ
ーマ別の融資額、2002 年度 106
ラテンアメリカ・カリブ海地域: IBRD と IDA のセ
クター別の融資額、2002 年度 106
中東・北アフリカ地域: IBRD と IDA のテーマ別の
融資額、2002 年度 112
中東・北アフリカ地域: IBRD と IDA のセクター別
の融資額、2002 年度 112
表
表 2.1
世銀による構造調整融資承認額、2000-2002 年度
28
表 2.2
表 2.3
表 5.1
表 5.2
表 5.3
表 5.4
表 5.5
表 5.6
表 6.1
表 6.2
表 6.3
表 6.4
表 6.5
世銀によるテーマ別、セクター別の融資、19932002 年度 30
IBRD の財務データの概要 35
アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資、
1993-2002 年度 88
東アジア・大洋州地域に対するテーマ別、セクター
別融資、1993-2002 年度 92
南アジア地域に対するテーマ別、セクター別融資、
1993-2002 年度 97
ヨーロッパ・中央アジア地域に対するテーマ別、セ
クター別融資、1993-2002 年度 102
ラテンアメリカ・カリブ海地域に対するテーマ別、
セクター別融資、1993-2002 年度 107
中等・北アフリカ地域に対するテーマ別、セクター
別融資、1993-2002 年度 113
世銀融資適格国 131
アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、融資実行
額及び純移転額、1997-2002 年度 133
東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997-2002 年度 133
南アジア地域に対する世銀の融資承認額、融資実行
額及び純移転額、1997-2002 年度 134
ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融資承
認額、融資実行額及び純移転額、1997-2002 年度
134
表 6.6
ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融資
承認額、融資実行額及び純移転額、1997-2002 年度
135
表 6.7
表 6.8
表 6.9
表 6.10
表 6.11
表 6.12
表 6.13
表 6.14
中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、
融資実行額及び純移転額、1997-2002 年度 135
2002 年度に承認された融資、アフリカ地域 136
2002 年度に承認された融資、東アジア・大洋州地域
144
2002 年度に承認された融資、南アジア地域 148
2002 年度に承認された融資、ヨーロッパ・中央アジ
ア地域 151
2002 年度に承認された融資、ラテンアメリカ・カリ
ブ海地域 157
2002 年度に承認された融資、中東・北アフリカ地域
164
構造調整融資、2002 年度 166
囲み、図及び表のリスト
171
世界銀行の主な出版物
金融、投資
環境、汚染防止
・ノンバンク金融機関の発展と規制
・持続可能な将来の創造:アフリカ地域環境戦略
・国債市場の育成:ハンドブック
・中国:大気、大地及び河川
・リスクにさらされた政府
・環境影響評価に関する法律・規制フレームワーク
・国際会計基準:実用ガイド
・マイクロファイナンスの改革:貧困層に対する持続可能な金融
労働及び所得
・マイクロファイナンスの改革:インドネシアの教訓
・労働政策の策定:技術とラテンアメリカの教訓
・ EU 拡大過程における労働、雇用及び社会に関する政策:変
商品、価格設定及び貿易
・開発、貿易及び WTO
・世界経済の展望 2002 :世界の貧しい人々を利する貿易
化する見通しと政策オプション
・労働組合と団体交渉:世界的な経済効果
貧 困
開発経済学
・援助擁護論:開発援助に関するコンセンサスの形成
・貧しい人々は政策に影響を与えることができるか? 途上国
での参加型貧困状況調査
・アフリカ開発指標 2002
・社会資本の理解と計測:研究者のための総合的ツール
・世界開発経済年次会議、2001/2002
・貧しい人々の声:多くの国から
・開発のための戦略
・グローバル化の課題:開発の国際的・国内的意義
社会的及び文化的問題
・グローバル化、経済成長及び貧困:参加型世界経済の構築
・脆弱性の緩和:中東・北アフリカ地域における社会的保護
・世界開発金融 2002 :最も貧しい国々に対する支援
・リトル・データブック 2002
世界銀行
・リトル・グリーン・データブック 2002
・開発効果に関する年次レビュー 2001 :選択について
・世界銀行アフリカ・データベース 2002 CD-ROM
・コンサルティング・サービス・マニュアル:コンサルタント
・世界銀行アトラス 2002
・世界開発指標 2002
選定のための総合ガイド
・世界銀行グループ・ディレクトリー: 2001 年 9 月
・世界開発報告 2003 :変化する世界における持続可能な開発
・世界開発報告 2002 :市場のための制度の構築
上記出版物の題名の一部は省略されています。
教育、訓練
・中国と知識集約型経済: 21 世紀の可能性
電話: 703-661-1580
・幼少期教育から人的開発へ:子供達の将来に向けた投資
E メール: books@worldbank.org
・天然資源から知識集約型経済へ:貿易と雇用の質
インターネット: www.worldbank.org/publications
インフォショップ
電話: 202-458-4500
E メール: Infoshop@worldbank.org
インターネット: www.worldbank.org/infoshop
172
世界銀行年次報告書 2002
パート I ・パート II
IDA 加盟国リスト
パートⅠ IDA 加盟国
パートⅡ IDA 加盟国
アイスランド
アイルランド
アラブ首長国連邦
イタリア
英国
オーストラリア
オーストリア
オランダ
カナダ
クウェート
スイス
スウェーデン
スペイン
デンマーク
ドイツ
日本
ニュージーランド
ノルウェー
フィンランド
フランス
米国
ベルギー
ポルトガル
南アフリカ
ルクセンブルク
ロシア連邦
アゼルバイジャン
アフガニスタン
アルジェリア
アルゼンチン
アルバニア
アルメニア
アンゴラ
イエメン共和国
イスラエル
イラク
イラン・イスラム共和国
インド
インドネシア
ウガンダ
ウズベキスタン
エクアドル
エジプト・アラブ共和国
エチオピア
エリトリア
エルサルバドル
オマーン
カザフスタン
カメルーン
カンボジア
ガーナ
ガイアナ
ガボン
ガンビア
キプロス
キリバス
キルギス共和国
ギニア
ギニアビサウ
ギリシャ
クロアチア
グアテマラ
グルジア
グレナダ
ケープベルデ
ケニア
コートジボワール
コスタリカ
コモロ
コロンビア
コンゴ共和国
コンゴ民主共和国
サウジアラビア
サモア
サントメ・プリンシペ
ザンビア
シエラレオネ
シリア・アラブ共和国
ジブチ
ジンバブエ
スーダン
スリランカ
スロバキア共和国
スロベニア
スワジランド
赤道ギニア
セネガル
セントクリストファー・
ネーヴィス
セントルシア
セントヴィンセントおよび
グレナディーン諸島
ソマリア
ソロモン諸島
タイ
大韓民国
タジキスタン
タンザニア
チェコ共和国
チャド
中央アフリカ共和国
中国
チリ
チュニジア
トーゴ
トリニダード・トバゴ
トルコ
トンガ
ドミニカ共和国
ドミニカ国
ナイジェリア
ニカラグア
ニジェール
ネパール
ハイチ
ハンガリー
バヌアツ
バルバドス
バングラデシュ
パキスタン
パナマ
パプアニューギニア
パラオ
パラグアイ
フィジー
フィリピン
ブータン
ブラジル
ブルキナファソ
ブルンジ
ベトナム
ベナン
ベリーズ
ペルー
ホンジュラス
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ボツワナ
ボリビア
ポーランド
マーシャル諸島
マケドニア旧ユーゴスラビア
共和国
マダガスカル
マラウイ
マリ
マレーシア
ミクロネシア連邦
ミャンマー
メキシコ
モーリシャス
モーリタニア
モザンビーク
モルディブ
モルドバ
モロッコ
モンゴル
ユーゴスラビア連邦共和国
ヨルダン
ラオス人民民主共和国
ラトビア
リビア
リベリア
ルワンダ
レソト
レバノン
注:パートⅠ・パートⅡの加盟国については、主に経済状況を基に選別した。パートⅠ加盟国は、ほとんどが IDA に対するドナーであり、兌換
性のある通貨で資金拠出を行っている。パートⅡ加盟国は、ドナーである場合もあり、拠出金の殆どを現地通貨で支払っている。詳しくは、
「IDA 加盟国の投票権及び出資・拠出に関する報告書」世界銀行年次報告 2002 第 2 巻、財務報告書及び付表を参照。
パートI・パートII
IDA加盟国リスト
173
世界銀行のウェブサイト一覧
世銀グループについて
幼少期教育
保健・医療、栄養及び人口
www.worldbank.org/about
www.worldbank.org/children
www.worldbank.org/hnp
アフリカ地域
東アジア・大洋州地域
重債務貧困国イニシアティブ
www.worldbank.org/afr
www.worldbank.org/eap
www.worldbank.org/hipc
年次総会とスプリング・ミーティング
教 育
ヘルプ/特に多いご質問(FAQ)
www.worldbank.org/
annualmeetings
www.worldbank.org/education
www.worldbank.org/help
エネルギー
エイズと世銀
www.worldbank.org/energy
www.worldbank.org/aids
環 境
国際復興開発銀行(IBRD)
www.worldbank.org/environment
www.worldbank.org/ibrd
ヨーロッパ・中央アジア地域
投資紛争解決国際センター(ICSID)
www.worldbank.org/eca
www.worldbank.org/icsid
評 価
国際開発協会(IDA)
www.worldbank.org/oed
www.worldbank.org/ida
www.worldbank.org/
communitypartners
金 融
国際金融公社(IFC)
www.worldbank.org/finance
www.ifc.org
包括的な開発フレームワーク
金融商品・サービス
国際金融システム
www.worldbank.org/cdf
www.worldbank.org/fps
www.worldbank.org/ifa
世界銀行へのお問い合わせ
国外投資助言サービス
www.worldbank.org/contacts
www.fias.net
インフォデブ(InfoDev)
(開発プログラム情報)
国別援助戦略(CAS)
ジェンダー
www.worldbank.org/cas
www.worldbank.org/gender
インフォショップ(InfoShop)
(情報公開センター)
地域事務所
世界開発金融
www.worldbank.org/infoshop
www.worldbank.org/contacts
www.worldbank.org/prospects/
gdf2002
査閲パネル
グローバル・ディベロップメント・ネットワーク
www.worldbank.org/
inspectionpanel
汚職防止
www.worldbank.org/anticorruption
B-SPAN :開発に関するウェブキャスティ
ング
www.worldbank.org/wbi/B-SPAN
開発関連イベントカレンダー
www.worldbank.org/events
地域パートナー・フォーラム
www.worldbank.org/infodev
データと統計
www.worldbank.org/data
www.gdnet.org
世銀債
www.worldbank.org/debtsecurities
グローバル遠隔教育ネット
IPAnet
www.ipanet.net
www.worldbank.org/disted
開発フォーラム
採用・奨学金
www.worldbank.org/devforum
世界経済の展望
www.worldbank.org/careers
ディベロップメント・ゲートウェイ
www.worldbank.org/prospects/
gep2002
知識の共有
www.developmentgateway.org/
www.worldbank.org/ks
グローバルリゼーション
開発グラント・ファシリティ
www.worldbank.org/globalization
www.worldbank.org/dgf
ラテンアメリカ・カリブ海地域
www.worldbank.org/lac
Groupe de la Banque Mondiale
開発関連ニュース
www.worldbank.org/
developmentnews
情報公開
www.worldbank.org/disclosure
174
世界銀行年次報告書 2002
(世界銀行ホームページのフランス語版)
法律・司法
www.banquemondiale.org
www.worldbank.org/legal
Grupo del Banco Mundial
図書・資料室
(世界銀行ホームページのスペイン語版)
www.bancomundial.org
jolis.worldbankimflib.org/
external.htm
中東・北アフリカ地域
プロジェクト・データベース
持続可能な開発
www.worldbank.org/mena
www.worldbank.org/projects
www.worldbank.org/
sustainabledevelopment
ミレニアム開発目標(MDGs)
公共セクター
www.developmentgoals.org
www.worldbank.org/publicsector
多国間投資保証機関(MIGA)
出版物
www.miga.org
www.worldbank.org/publications
鉱業
ラピッド・レスポンス
www.worldbank.org/mining
rru.worldbank.org
ニュースレター
リサーチ
www.worldbank.org/subscriptions
www.worldbank.org/research
NGO /シビルソサエティ
www.worldbank.org/ngos
資源動員・協調融資
参 加
農村開発・農業
www.worldbank.org/participation
www.worldbank.org/rural
年 金
学 校
www.worldbank.org/pensions
www.worldbank.org/html/schools
貧困削減/貧困ネット
社会開発(社会影響評価)
www.worldbank.org/poverty
www.worldbank.org/
socialdevelopment
世界開発指標(WDI)
www.worldbank.org/poverty/
strategies
社会的保護
世界開発報告(WDR)
www.worldbank.org/sp
www.worldbank.org/wdr
民間セクター開発
南アジア
世界開発ソース
www.worldbank.org/privatesector
www.worldbank.org/sar
www-wds.worldbank.org
民営化リンク(PrivatizationLink)
スプリング・ミーティング
開発のためのワールドリンク(WorLD)
privatizationlink.ipanet.net
www.worldbank.org/
springmeetings
www.worldbank.org/worldlinks
通信・情報科学
www.worldbank.org/ict
運 輸
www.worldbank.org/transport
都市開発
www.worldbank.org/urban
貧しい人々の声
www.worldbank.org/poverty/voices
www.worldbank.org/rmc
水資源管理
www.worldbank.org/water
世銀年次報告
www.worldbank.org/annualreport
世界銀行研究所(WBI)
www.worldbank.org/wbi
www.worldbank.org/data/wdi
貧困削減戦略文書
世銀支援プロジェクトにおける調達
www.worldbank.org/procure
世界銀行のウェブサイト一覧
175
略 語
ADB
AfDB
ARDE
AVU
Bank
CAE
CAS
CDF
CFC
CGAP
CGIAR
CIS
CPIA
DAC
DECDG
DfID
DOTS
EBRD
EC
EEP
EFA
ESW
EU
FAMEX
FSAP
GBLD
GDLN
GDP
GEF
GHG
GNI
HIPC
HIV/AIDS
HNP
IAVI
IBRD
ICR
ICSID
ICT
IDA
IDB
IF
176
アジア開発銀行
アフリカ開発銀行
開発効果に関する年次レビュー
アフリカ・バーチャル大学
世界銀行(IBRD と IDA)
国別援助評価
国別援助戦略
包括的な開発フレームワーク
フロンガス
最も貧しい層を支援する協議グループ
国際農業研究協議グループ
独立国家共同体
国別政策・制度評価
(OECD の)開発援助委員会
開発経済局
(イギリスの)国際開発省
直接観察治療短期コース
欧州復興開発銀行
欧州委員会
教育強化プロジェクト
万人のための教育
経済・セクター調査
欧州連合
Fonds d’Accés aux Marchés d’Exportation
金融セクター審査プログラム
世界の銀行法に関するデータベース
グローバル・ディベロップメント・
ラーニング・ネットワーク
国内総生産
地球環境ファシリティ
温室効果ガス
国民総所得
重債務貧困国
ヒト免疫不全ウィルス/後天性免疫不全症候群
保健・医療、栄養及び人口
国際エイズ・ワクチン・イニシアティブ
国際復興開発銀行
プロジェクト実施完了報告書
投資紛争解決国際センター
情報・通信技術
国際開発協会
米州開発銀行
後発途上国に対する貿易関連技術支援に関する
総合的フレームワーク
世界銀行年次報告書 2002
IFAD
IFC
IMF
InfoDev
INT
I-PRSP
LIBOR
MAP
MDBs
MDGs
MIGA
NEPAD
NERICAs
NGO
NSCP
OBA
ODA
OECD
OED
PCF
PEFA
PRSC
PRSP
PSI
QAG
ROSC
SDRs
SMEs
SRM
SSP
SWAP
TB
TRIPS
U.N.
UNAIDS
UNDP
UNEP
WBI
WDR
WHI
WHO
WSSD
WTO
国際農業開発基金
国際金融公社
国際通貨基金
インフォデブ(開発プログラム情報)
組織保全局
暫定貧困削減戦略文書
ロンドン銀行間取引金利
複数国エイズ・プログラム
国際開発金融機関
ミレニアム開発目標
多国間投資保証機関
アフリカ開発のための新パートナーシップ
新アフリカ米(ネリカ米)
NGO
全国住血吸虫病抑制プログラム
成果基準援助
政府開発援助
経済協力開発機構
業務評価局
プロトタイプ炭素基金
公共支出・財務責任
貧困削減支援融資
貧困削減戦略文書
民間セクター開発・インフラ・ネットワーク
質保証グループ
基準・規定遵守報告書
特別引出権
中小企業
戦略・資源管理
セクター別戦略文書
セクター別アプローチ
結核
知的所有権の貿易関連の側面に関する協定
国連
国連エイズ・プログラム
国連開発計画
国連環境計画
世界銀行研究所
世界開発報告
西半球決済・証券決済イニシアティブ
世界保健機関
持続可能な開発に関する世界サミット
世界貿易機関
世界銀行のインフォショップは、開発経済関連の文献のワ
編集長:
ンストップ・ショップであると共に、世界銀行のプロジェ
Cathy L. Gagnet、世界銀行、対外関係局出版部
クトを検索できる情報センターです。インフォショップに
は、NGO や国際機関をはじめとする様々な発行者の出版
物や、世界銀行の情報公開政策に従って公開される文書の
副編集長:
Nisha Chatani Rizvi、世界銀行、対外関係局出版部、コンサルタント
Caroline L. Banton、世界銀行、対外関係局出版部
他、ビデオ、CD-ROM、ギフトなども揃えてあります。
一部の「インフォステーション」では、世界銀行のウェブ
コンサルタント:
サイトにアクセスすることができます。世界の一部の現地
Inder K. Sud, Washington Associates International
Kenneth Watson, Rideau Strategy Consultants
事務所に設置されている情報センターと図書館でも、こう
した情報を入手することが可能です。電子書店(e-book
sotore)で出版物のタイトルを調べ、いつでもご注文い
制 作:
ただくことが出来ます。
Cindy A. Fisher、世界銀行、対外関係局出版部
Monika D. Lynde、世界銀行、対外関係局出版部
Janet H. Sasser、世界銀行、対外関係局出版部
インターネット: www.worldbank.org/infoshop
プロジェクト・アシスタント:
電子書店(e-bookstore)
:
Cesar A. Gordillo
www.worldbankinfoshop.org
住 所:701 18th St., NW
Washington, D.C. 20433
(corner of 18th St. and Pennsylvania Ave.
午前 9 時∼午後 5 時)
Eメール:Infoshop@worldbank.org(ご注文の場合)
pic@worldbank.org(ご質問の場合)
電 話: 202-458-4500(午前 9 時 30 分∼午後 3 時 30 分)
ファックス: 202-522-1500
編集コンサルタント:
EEI Communications
Susan Graham
Alison Peña
デザイン:
Patricia Hord.Graphik Design
植 字:
Interactive Composition Corporation
PIC ヨーロッパ
住 所:66 Avenue d’Iena
75116 Paris, France
電 話: 40.69.30.26
ファックス: 40.69.30.69
Eメール: pparis@worldbank.org
索 引:
Deborah Patton
写真提供者
PIC 東京
住 所:〒 100-0011
東京都千代田区内幸町 2-2-2 富国生命ビル 10 階
電 話: 03-3597-6650
ファックス: 03-3597-6695
Eメール:ptokyo@worldbank.org
著作権©2002 年
国際復興開発銀行/世界銀行
1818 H Street, NW
Washington, D.C. 20433 USA
すべての権利は留保されています。
ここで使われている地図に示されている国境、色彩、
名称及びその他の情報は、地域の法的地位、あるいは、
国境の承認または受け入れに関する世銀グループの判
断を示すものではありません。
権利、ライセンス及び許認可に関する質問はすべて、
下記あてにお送りください。
世界銀行出版部
1818 H Street NW, Washington, D.C., 20433
ファックス: 202-522-2422
Eメール: pubrights@worldbank.org
世界銀行年次報告 2002 についてのコメントは、
下記あてにお送りください。
Eメール: areditor@woeldbank.org
表 紙― Richard Lord
1 頁― Michele Iannacci
2 頁― Steve Conners
5 頁― Breton Littlehales
8 頁― Stan Peabody
8 頁― Kamamba Nyambe
9 頁― Mark Fallander
9 頁―世界銀行/ Angela Gentile-
Blackwell
9 頁―モロッコ政府
11 頁― Curt Carnemark
12 頁― Curt Carnemark
12 頁― Curt Carnemark
12 頁― Curt Carnemark
12 頁― Kay Chernush
13 頁― Curt Carnemark
13 頁― Curt Carnemark
13 頁― Yosef Hadar
13 頁― Curt Carnemark
18 頁― Curt Carnemark
20 頁―世界銀行/ John Gandolfo
23 頁― Curt Carnemark
25 頁― Curt Carnemark
38 頁― Curt Carnemark
43 頁― Ray Witlin
46 頁― Curt Carnemark
47 頁― Curt Carnemark
47 頁― Pickerell
48 頁― Curt Carnemark
48 頁― Curt Carnemark
49 頁― Curt Carnemark
49 頁― Khaled Abou Seif
50 頁― Yosef Hadar
59 頁― Curt Carnemark
60 頁― Curt Carnemark
63 頁― Curt Carnemark
64 頁― Curt Carnemark
65 頁― Curt Carnemark
67 頁― Yosef Hadar
70 頁― Ray Witlin
71 頁―世界銀行/ Richard Uku
74 頁― Andre Rodrigues Cano
77 頁―世界銀行/ Robert Buergenthal
78 頁―世界銀行/ Robert Buergenthal
81 頁― Curt Carnemark
85 頁― Kamamba Nyambe
86 頁― Curt Carnemark
90 頁― John Donaldson
94 頁―世界銀行/ Michael Foley
96 頁―世界銀行/ Guy Stubbs
99 頁― Curt Carnemark
104 頁― Pedro Campos Verde
105 頁― Cecilia I. R. Aleman
109 頁―イエメン社会基金
111 頁―イエメン社会基金
115 頁― Michele Iannacci
世界銀行(ワシントン本部)
1818 H Street, NW
Washington, DC 20433 USA
電話番号 (202)473 1000
ファックス (202)477 6391
ホームページ www.worldbank.org
Eメール feedback@worldbank.org
世界銀行東京事務所
〒 100 − 0011
東京都千代田区内幸町 2 − 2 − 2
富国生命ビル 10 階
電話番号 (03)3597 6650(代)
ファックス (03)3597 6695
ホームページ www.worldbank.or.jp
Eメール ptokyo@worldbank.org