社団法人 電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS 信学技報 IEICE Technical Report MI2009-139(2010-01) Visible Human 画像を用いたラクナ梗塞と血管周囲腔拡大の分類法 鈴木 鷹也 1 岩間 亨 4 内山 良一 2 星 博昭 5 原 武史 1 福岡 大輔 3 紀ノ定 保臣 2 藤田 広志 1 1 岐阜大学大学院医学系研究科知能イメージ情報分野 〒501-1194 岐阜県岐阜市柳戸 1-1 2 岐阜大学大学院医学系研究科医療情報学分野 〒501-1194 岐阜県岐阜市柳戸 1-1 3 岐阜大学教育学部技術教育学講座 〒501-1193 岐阜県岐阜市柳戸 1-1 4 岐阜大学大学院医学系研究科脳神経外科分野 〒501-1194 岐阜県岐阜市柳戸 1-1 5 岐阜大学大学院医学系研究科放射線医学分野 〒501-1194 岐阜県岐阜市柳戸 1-1 E-mail: †suzukit@fjt.info.gifu-u.ac.jp あらまし 無症候性ラクナ梗塞の存在は後に起こり得る重篤な脳梗塞との関係が示唆されているために,MR 画 像においてラクナ梗塞を検出することは重要である.しかし,すべてのラクナ梗塞を正確に検出することは血管周 囲腔拡大との鑑別がしばしば困難なために難しい.本研究では,病変の解剖学的位置情報を考慮することによって 従来の CAD システムを改良した.解剖学的位置情報は,Visible Human Project の低温切開片画像をレジストレーシ ョンにおける参照画像として用いることで得た.抽出された病変から解剖学的位置情報,形状,T1 強調画像,T2 強 調画像の信号強度に関する画像特徴量を計測し,それらを入力としたニューラルネットワークによってラクナ梗塞 と血管周囲腔拡大を鑑別した.実験の結果,ROC 曲線以下の面積は 0.932 であった.したがって,本手法はラクナ 梗塞と血管周囲腔拡大の鑑別に有用であると考えられる. キーワード ラクナ梗塞,血管周囲腔拡大,解剖学的位置情報,コンピュータ支援診断 Classification of Lacunar Infarcts and Enlarged Virchow-Robin Spaces Using Visible Human Image Takaya SUZUKI1 Yoshikazu UCHIYAMA2 Hiroaki HOSHI5 1 Takeshi HARA1 Daisuke FUKUOKA3 Toru IWAMA4 Yasutomi KINOSADA2 and Hiroshi FUJITA1 Department of Intelligent Image Information, Graduate School of Medicine, Gifu University 2 Department of Biomedical Informatics, Graduate School of Medicine, Gifu University 3 Department of Technology Education, Faculty of Education, Gifu University 4 Department of Neurosurgery, Graduate School of Medicine, Gifu University 5 Department of Radiology, Graduate School of Medicine, Gifu University 1-1 Yanagido, Gifu, 501-1194 Japan E-mail: †suzukit@fjt.info.gifu-u.ac.jp Abstract The detection of asymptomatic lacunar infarcts on MR images is important because their presence indicates an increased risk of severe cerebral infarction. However, accurate identification of lacunar infarcts on MR images is often hard for radiologists because of the difficulty in distinguishing between lacunar infarcts and enlarged Virchow-Robin spaces. In this study, we improved our CAD scheme by taking into account the anatomical location of lesion. To obtain anatomical locations, we used the cryosection image of visible human project as a reference image in the image registration. From the segmented lesions, we determined image features such as anatomical location, shape, and signal intensities in T1- and T2-weighted images. A neural network was employed for distinguishing between lacunar infarcts and enlarged Virchow-Robin spaces. The result indicated that the area under the ROC curve was 0.932. Our computerized method would be useful in CAD schemes for distinguishing between lacunar infarcts and enlarged Virchow-Robin spaces. Keywords Lacunar infarct, Enlarged Virchow Robin space, Anatomical location, Computer-aided diagnosis 1. は じ め に 1980 年 以 降 ,脳 血 管 疾 患( 脳 卒 中 )が 原 因 で 死 亡 す る人の数は減少しており,現在,脳卒中は,がん,心 疾 患 に 次 い で 日 本 人 の 死 因 の 第 3 位 と な っ て い る [1]. しかし,この理由は高血圧の予防や治療法が進歩し, 死亡率の高い脳出血による死亡が減少してきたためで あり,逆に,脳梗塞やくも膜下出血は増加の傾向にあ る [1]. - 341 - Copyright ©2010 by IEICE 本邦では,脳の病気を早期に発見し対処することを 目的とした脳ドックが行われている.無症候性ラクナ 梗 塞 は , 脳 ド ッ ク に お い て し ば し ば 発 見 さ れ る [2,3]. ラクナ梗塞の存在は,その後に起こり得る重篤な脳梗 塞と関係が示唆されているため,その検出は重要であ る [4].し か し ,ラ ク ナ 梗 塞 は 加 齢 に よ る 正 常 な 脳 組 織 の委縮によって起こる血管周囲腔拡大との鑑別がしば し ば 困 難 で あ る [5].そ こ で 我 々 は ,脳 MR 画 像 に お け るラクナ梗塞の検出と血管周囲腔拡大の鑑別に関する 研 究 を 行 っ て き た [6-8]. これらの研究から,解剖学的位置情報がラクナ梗塞 の検出や血管周囲腔拡大との鑑別に有用であることが 明 ら か に な っ て き た .実 際 ,ラ ク ナ 梗 塞 は 大 脳 基 底 核 , 視床,大脳白質で多く発見され,血管周囲腔拡大は大 脳基底核下 3 分の 1 で左右対称に発見される.しかし ながら,脳の病変の検出や鑑別に詳細な解剖学的位置 情報を用いる研究はこれまで行われていなかった.そ こ で 本 研 究 で は ,Visible human の 低 温 切 開 片 画 像 を 参 照画像として用い,処理対象画像をマッチングさせる ことによって,参照画像上での共通座標を解剖学的位 置情報とする手法を提案する.また,本手法によって 得た解剖学的位置情報を利用することにより,ラクナ 梗塞と血管周囲腔拡大の鑑別性能が向上するかを検討 する. 2.2 MR 画 像 と VHP 画 像 の 位 置 合 わ せ 解 剖 学 的 位 置 情 報 は 処 理 対 象 で あ る 脳 MR 画 像 と 参 照 画 像 で あ る VHP 画 像 の 位 置 合 わ せ に よ っ て 得 る .脳 MR 画 像 は ス ラ イ ス 間 隔 が 大 き い が , VHP 画 像 は ス ラ イス間隔が小さい.そのため,位置合わせ処理は脳 MR 画 像 の 2 次 元 ス ラ イ ス 画 像 が 3 次 元 VHP 画 像 の ど の ス ラ イ ス と 一 致 す る か を 計 算 す る 体 軸 方 向( Z 方 向 ) の 位 置 合 わ せ の 問 題 に な る . な お , XY 方 向 は 皮 膚 領 域を計算し拡大縮小を行うことによって位置合わせを 行 う こ と が 可 能 で あ る が ,本 論 文 で は 考 慮 し て い な い . 同一の患者で異なるモダリティ画像の位置合わせ は,相互情報量を用いて対応点を計算するのが一般的 である.しかし,本研究では異なる患者で異なる画像 の位置合わせの問題のために相互情報量では対応点を 探索することが困難である.そこで本論文では,脳 MR 画 像 と VHP 画 像 か ら エ ッ ジ 情 報 を そ れ ぞ れ 抽 出 し , エッジ画像からのテクスチャ情報が類似しているスラ イ ス を 計 算 す る こ と に よ っ て , 2 次 元 脳 MR ス ラ イ ス 画 像 と 3 次 元 VHP 画 像 の ス ラ イ ス の 位 置 合 わ せ を 行 っ た. 2.2.1 エ ッ ジ 抽 出 カ ラ ー ビ ッ ト マ ッ プ 画 像 の 各 RGB 成 分 か ら 平 均 値 を 計 算 し 濃 淡 画 像 を 作 成 し た .エ ッ ジ 抽 出 に は 3×3 の Sobel Filter を 用 い た . 2. 方 法 2.2.2 テ ク ス チ ャ 解 析 2.1 デ ー タ ベ ー ス 本 研 究 で は 米 国 国 立 医 学 図 書 館 ( NLM : National Library of Medicine ) の プ ロ ジ ェ ク ト の 一 つ で あ る Visible Human Project の 画 像 デ ー タ を 用 い た [10].こ の プロジェクトの画像データには男女各 1 体の献体の低 温 切 開 片 画 像 ,CT 画 像 ,MR 画 像 が 含 ま れ て い る .本 実 験 で は こ の う ち 男 性 の 低 温 切 開 片 画 像 ( 以 下 , VHP 画 像 ) を 参 照 画 像 と し て 用 い た . 献 体 は 0.174 mm 間 隔でスライスされ,断面をデジタルカメラで撮影され た も の で あ る .画 像 の 大 き さ は 1056×1528 pixel,形 式 は PNG で あ っ た .こ こ で は 全 身 の ス ラ イ ス 画 像 か ら 頭 部部分だけを選択し,各スライス画像から頭部組織以 外の背景領域を手動で選択し画素値をゼロに固定した. つ ぎ に 線 形 補 間 法 を 用 い て 画 像 サ イ ズ を 512×512 pixel に変換しビットマップ画像で保存した. 一方,ラクナ梗塞と血管周囲腔拡大の鑑別の実験に 用 い た 画 像 は ,岐 阜 大 学 医 学 部 附 属 病 院 に お い て ,1.5T の MR 装 置 ( Signa Excite Twin Speed, GE Medical System) を 用 い て 撮 影 さ れ た . 52 名 の T 1 強 調 画 像 , お よ び T2 強 調 画 像 で 構 成 さ れ る . T1 強 調 画 像 の 撮 影 条 件 は ,Spin-Echo 法 ,TE:8~ 12 ms,TR:300~ 500 ms で あ り ,T 2 強 調 画 像 の 撮 影 条 件 は ,Spine-Echo 法 ,TE: 96 ~ 105 , TR : 3000 ~ 3500 で あ る . 画 像 サ イ ズ は 512×512 pixel,空 間 分 解 能 は 0.46875 mm/pixel で あ る . 本 デ ー タ ベ ー ス に は ,ラ ク ナ 梗 塞 が 89 箇 所 ,血 管 周 囲 腔 拡 大 が 20 箇 所 含 ま れ て お り , 52 名 の う ち 8 名 が ラ クナ梗塞と血管周囲腔拡大の両方を有している.これ らの位置は,2 名の神経放射線科医の合意によって決 定した. テ ク ス チ ャ 解 析 [10,11]を 行 う た め に , ま ず 濃 度 共 起 行 列 を 計 算 し た .濃 度 共 起 行 列 と は あ る 画 素 値 を L と したときにそこからある一定の距離だけ離れた場所に ある画素値の頻度もしくは確率を成分とする行列であ る .今 回 は 注 目 画 素 か ら X 方 向 Y 方 向 そ れ ぞ れ 1 画 素 離 れ た 点 に つ い て 計 算 し た . ま た , Li , L j は 濃 度 共 起 行 列 の 行 と 列 を 表 し , Pσ ( Li , L j ) は 行 列 の そ れ ぞ れ 行 の Li 番 目 , 列 の L j 番 目 の 要 素 で あ る . MR 画 像 の 画 素 値 の 最 大 を L と し ,こ れ は 濃 度 共 起 行 列 に お け る Li , L j の 最大値と同値である.この濃度共起行列からは数多く の 特 徴 量 が 計 算 で き る が , 本 研 究 で は , 相 間 ( CRR), エ ン ト ロ ピ ー ( EPY), 濃 率 乗 和 値 ( x ) の 3 つ の 特 徴 量を用いた. μ L −1 L −1 Li = 0 L j =0 ∑ ∑ L L P (L , L ) − μ μ i CRR = j σ i j x y ⋅ ⋅ ⋅ (1) σ xσ y L −1 EPY = − ∑ Li =0 μx = L −1 ⋅ ⋅ ⋅ (2) ∑ Pσ ( L , L ) log{Pσ ( L , L )} i L j =0 j i j L −1 ⋅ ⋅ ⋅ (3) ∑ L P ( L ) Li = 0 i x i ただし,上式にあるパラメータは以下で定義する. - 342 - 脳 MR 画 像 ( 症 例 番 号 1 ) VHP 画 像 図1 μy = σx = σy = 特徴量修正前(左)と修正後(右) を 適 用 す る . た だ し , EB は VHP 画 像 に お け る 眼 球 を 含 む ス ラ イ ス の 番 号 で あ り ,eb は MR 画 像 の 各 症 例 に おける眼球を含んだスライスの番号である. L −1 ∑ L P( L ) L j =0 j j Pi , j = L −1 ∑ (L Li = 0 − μ x ) 2 Px ( Li ) i L −1 ∑ (L L j =0 Px ( Li ) = j L −1 L j =0 i j 2.2.4 ス ラ イ ス 位 置 の 決 定 修正した特徴量を座標点として 3 次元上での全ての 脳 MR ス ラ イ ス 点 と VHP ス ラ イ ス 点 の ユ ー ク リ ッ ド 距 離 を 算 出 し , も っ と も 距 離 が 小 さ い 脳 MR ス ラ イ ス と VHP ス ラ イ ス の 組 み 合 わ せ を ,対 応 す る ス ラ イ ス 画 像 として推定する.その後,突発的に出る可能性のある 大きな誤差を軽減するため,結果を回帰分析によって 修正する.本手法では 3 次多項式を用いて近似曲線を 定義する.n 次多項式のパラメータは連立方程式を解 くことによって求めることができる.よってガウスの 消去法を用いてこのパラメータを算出し,回帰分析の 結果を最終的な推定結果とした. テクスチャ解析で算出した特徴量に対して 2 段階の 修 正 を 行 っ た . 特 徴 量 を Pi = (Pi,1, Pi,2 ,⋅⋅⋅, Pi,n ) と す る . こ こ で ,i は 症 例 番 号 ,j は 各 特 徴 量 に 割 り 当 て た 番 号 で あ る . 最 初 に 標 準 偏 差 を 用 い て 修 正 を 行 っ た [12]. 特 徴 量は特徴ごとにそれぞれ値の範囲が大きく違うため, 次式を用いてその値域を修正した. Pi ,1 Pi ,2 P , , ⋅ ⋅ ⋅, i ,n ) ⋅ ⋅ ⋅ (4) σ1 σ 2 × Pi , j ⋅ ⋅ ⋅ (5) ) 2.2.3 特 徴 量 の 修 正 Pi = ( Peb , j 修正前と修正後の 3 次元上の点の軌跡を図 1 に示す. 上述した処理を適用することによって,修正前におい て は 大 き く ず れ て い た VHP 画 像 と M R 画 像 に お け る 特徴量の軌跡が,修正後には形を保ったまま値域が修 正され,3 次元上の位置情報が接近した.これによっ て,位置合わせにおいても精度が向上したことが明ら かである。 − μ y ) 2 Py ( L j ) ∑ Pσ ( L , L PVHP [ EB ] σn つ ぎ に ,MR 画 像 か ら 眼 球 を 含 む ス ラ イ ス を 特 定 し , VHP 画 像 の 眼 球 を 含 む ス ラ イ ス に 合 う よ う に ス ラ イ ス位置を修正した.この処理は,スライスの集合に対 して眼球位置という指標を与えることで,位置合わせ の精度を向上させるためである.眼球はほとんどの脳 MR 画 像 に 含 ま れ て お り , か つ 検 出 が 容 易 な 組 織 の 一 つである.特に訓練をされた医師でなくても手動で間 違いなく検出することができる.今回も全ての症例に おいて眼球の発見が可能であり,手動による抽出でも 自動抽出でも高い精度で抽出が可能であると思われる. 眼 球 を 検 出 し た の ち , す べ て の 特 徴 量 に 対 し て (5)式 3. ラクナ梗塞と血管周囲腔拡大の鑑別 上述の手法を用いることによって,解剖学的な位置 情報を取得することができる.ここでは,ラクナ陰影 と血管周囲腔拡大の鑑別のための画像特徴量として, 解 剖 学 的 位 置 情 報 に 他 に ,以 下 で 述 べ る 大 き さ ,形 状 , 信号強度に関する特徴量を用いた. 3.1 画 像 特 徴 量 の 定 量 化 大きさ-陰影領域の画素数を合計し,その値からピ クセルサイズを考慮し,実効直径を計算することによ - 343 - っ て , 陰 影 の 大 き さ を 計 測 し た [13]. 形状-形状に関する特徴を定量化するために不整 度 を 用 い た . 不 整 度 は L2 / 4πS に よ っ て 計 算 し た . こ こで, L は陰影の周囲長であり, S は陰影の面積であ る [13]. 信号強度差-ラクナ梗塞と血管周囲腔拡大は共に T 2 強 調 画 像 で 高 信 号 ,T 1 強 調 画 像 で 低 信 号 の 陰 影 で あ る.しかし,ラクナ梗塞と血管周囲腔拡大で信号強度 に差がある.血管周囲腔拡大は脳脊髄液と等信号を呈 するとされているため,信号強度に関する特徴量を定 量化するために脳脊髄液との信号強度の差を用いた. 脳 脊 髄 液 の 領 域 を 抽 出 し た の ち , 脳 脊 髄 液 領 域 の T1 強 調 画 像 の 平 均 画 素 値 か ら 陰 影 領 域 の T1 強 調 画 像 の 平 均 画 素 値 を 引 い た 値 の 絶 対 値 を T1 強 調 画 像 の 信 号 強 度 差 と し て 求 め た .同 様 に ,脳 脊 髄 液 領 域 の T 2 強 調 画 像 の 平 均 画 素 値 か ら 陰 影 領 域 の T2 強 調 画 像 の 平 均 画 素 値 を 引 い た 値 の 絶 対 値 を T2 強 調 画 像 の 信 号 強 度 差 と し て 求 め た [13]. 参考文献 [1] [2] [3] [4] [5] [6] 3.2 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク 解 剖 学 的 位 置 の 情 報( X 座 標 ,Y 座 標 ,Z 座 標 ),不 整 度 ,円 形 度 ,実 効 直 径 ,周 囲 長 ,面 積 ,T1 信 号 強 度 差 ,お よ び T2 信 号 強 度 差 の 10 個 の 特 徴 量 を 入 力 し た ニューラルネットワークを用いて,ラクナ梗塞と血管 周囲腔拡大の鑑別を行った.使用したニューラルネッ トワークの構造は 3 層構造で,各層のセル数は,入力 層 10, 中 間 層 3, 出 力 層 1 で あ る . ニ ュ ー ロ ン の 関 数 は シ グ モ イ ド 関 数 ,学 習 係 数 は 0.01,学 習 回 数 は 1600 回である.学習にはバックプロパゲーションを用いた [14]. ま た , ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 学 習 と 評 価 に は , Leave-one-out 法 を 用 い て 行 っ た [15]. [7] [8] [9] [10] 4. 実験結果 本 手 法 を 52 症 例 に 対 し て 適 用 し , VHP 画 像 と の 位 置合わせを行った.つぎに陰影の位置を手動で選択し [13], 各 陰 影 か ら 解 剖 学 的 位 置 , 形 状 , 信 号 強 度 差 を 計測した.陰影の画像特徴量を入力としたニューラル ネットワークを用いて,ラクナ梗塞と血管周囲腔拡大 を 鑑 別 し た .結 果 の 解 析 に は ROCKit を 用 い て ROC 解 析 を 行 っ た . ROC 曲 線 下 の 面 積 ( AUC) は 0.932 で あ っ た . こ の 結 果 は , 従 来 法 [13]の 結 果 ( ACU=0.893) と比較して高い値であった. [11] 5. 結 論 [15] [12] [13] [14] 本研究では解剖学的位置情報を取得するために, VHP 画 像 を 参 照 画 像 と し て 用 い 処 理 対 象 の 脳 MR 画 像 と位置合わせを行う方法を提案した.そして,解剖学 的位置情報を用いることによってラクナ梗塞と血管周 囲 腔 拡 大 の 鑑 別 性 能 が 向 上 す る こ と を 示 し た .よ っ て , 本手法はラクナ梗塞と血管周囲腔拡大の鑑別に有用で ある可能性があると考えられる. 謝辞 本研究の一部は,文部科学省知的クラスター創成事 業 岐 阜・大 垣 地 域「 ロ ボ テ ィ ッ ク 先 端 医 療 ク ラ ス タ ー 」 ( 平 成 16~ 20年 度 ),お よ び 文 部 科 学 省 若 手 研 究 B( 課 題 番 号 20790888) の 補 助 を 受 け ま し た . - 344 - 厚生労働省大臣官房統計情報部:人口動態統計 ( 上 巻 ). 厚 生 労 働 省 , 東 京 , 2005 篠原幸人:脳検診(脳ドック)の意義と現状.日 内 会 誌 86:787-791, 1997 高橋睦正,興梠征典:脳ドックの現状と課題.画 像 診 断 18(10):1094-1103, 1998 Kobayashi S, Okada K, Koide H et al.: Subcortical silent brain infarction as a risk factor for clinical stroke. Stroke 28: 1932-1939, 1997 Boukura H, Kobayashi S and Yamaguchi S: Discrimination of silent lacunar infarction from enlarged Virchow-Robin spaces on brain magnetic resonance imaging and pathological study. 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