世界寺子屋運動の現場⑪【ネパール】

2006年1月1日発行(奇数月1日発行)通巻1101号 昭和26年11月24日 第三種郵便物認可
2006
1
1101
ISSN1340-6442
[発行]
(社)
日本ユネスコ協会連盟
△
会 長:児 島 仁
副 会 長:平 山 郁 夫・松 田 昌 士・加 藤 玲 子
理 事 長:野口 昇
©日本ユネスコ協会連盟
世界寺子屋運動の現場 ⑪【ネパール】
マドバニ村の子どもが乗っているのは何でしょう?
答えは足踏み式の灌漑ポンプ。
「ティキ(足で踏む)ポ
ンプ」と呼ばれ、寺子屋で野菜栽培の研修を受けた農民の
間で、いま大人気となっている。
このあたりの畑では 20 ∼ 30 メートル掘ると豊富な水脈
に当たる。そこまで直径 7 ∼ 8 センチの鉄パイプを通し、
これも鉄パイプでつくった双胴ポンプを取り付ける。2 つ
の弁を連続的に上下するのは 2 本の太い竹。両足で交互に
踏めば、途切れることなく地下水を汲み出せる。今まで 1
キロも先の川から畑まで 1 日中バケツで水を運んでいた重
ユネスコ in Action 新春トーク「科学技術をもっと身近な文化に」毛利
衛さん
理事会報告
2
6
7
世界遺産ノート
バーミヤン教育文化センターひらく
ブロック活動研究会
中国・中部西・四国・九州・東北・関東
寺子屋のいま
(教育文化事業部:ファイン荒井千香子)
イベントレポート
UNESCO創設60周年
記念式典、パリで多彩に
労働は、ティキのおかげで一挙に解決した。
もうひとつの魅力は低コスト。労賃や材料代の 4000 ネ
パールルピー(約 6000 円)は、1 シーズンの収穫増で返済
できる金額だという。
「あそこの畑の出来がいいのは、
“ ティキ ”のおかげらし
いよ…」小さな村では噂話はすぐに広まる。
「ティキポン
プを使おう。簡単に作れるティキポンプ!」の看板が道端
に立てられ、村をあげての広報活動も始まった。寺子屋が
ある村ではいま、ティキポンプが増殖中だ。
8
第32回NHK日本賞−日ユ協連賞決定/QRIOサイエ
ンスプログラムin札幌/世界連盟暫定執行委員会/
「ずっと地球と生きる学校プロジェクト」/「絵で伝
えよう!わたしの町のたからもの」カレンダー贈呈式
年賀名刺交換
16
お知らせ
20
9 “ありがとう”のページ(募金協力者一覧)
3年目の再会 あの子たちのいま(ネパール・カンボジア) 12
14
22
世界遺産の現場(28)
タージ・マハルが最も美しい瞬間
24
ユネスコ in Action ーク
新春ト
ユネスコ in Action もう り
UNESCO創設60周年
まもる
こ じま まさし
日本科学未来館館長・宇宙飛行士:毛利 衛 さん (社)
日本ユネスコ協会連盟会長:児島 仁
いろんな形のボランティアがあっていい
児島:今日はお会いする前に館内をひと巡りしてき
ましたが、いやぁ勉強になりました。科学博物館の
デカいやつかと思ってたら全然違うんですな。要所
要所でガイドしてくれる人は専門知識のあるボラン
ティアの方だそうだけど、ほんとに熱心。インター
プリター(解説員)という若い職員がこんなに大勢
活躍している公共ミュージアムは初めてでした。
毛利:5 年前、ここの館長をお引き受けするにあた
って、私なりのコンセプトをいくつか提案したんで
す。その一番目は「見てもらうのはモノでなく人」
でした。私が考えたのは、なぜ科学技術は普通の人
に馴染みにくいのか。それは科学技術を機械のよう
寺 なモノとして、あるいは難解な理論の成果物として
子 屋 の い ま
見たり扱ったりしてきたからではないか、というこ
とでした。当たり前ですが、最先端の科学者や技術
者は、普通のお父さん、お母さん、お兄さん、お姉
さんなわけです。それなら、普通の人が普通に伝え
る方法があるはずだと。
「モノから人へ」
。科学技術
を身近な人間文化にしたい、そんな私の考えがだん
だん認められてきたのはうれしいですね。
児島:毛利さんは現在、日本ユネスコ国内委員(教
育・科学および文化の普及に関する諸領域を代表す
る者)を務めておられるけど、これまで UNESCO
との関係は…。
謹 賀 新 年
毛利:それが全くなかったんです。あれは私が宇
宙から帰ってきてすぐの 2000 年でしたか、地球の
世 界 遺 産 ノ ート
ブロック活動研究会
イ ベ ント レ ポ ー ト
謹 賀 新 年
お 知 ら せ
2
ユネスコ 2006/1
未来館のシンボル、Geo-Cosmos(ジオ コスモス)▲
立体地図を作る仕事で、南米のアマゾンとかアン
デスの山奥に行ったことがあるんです。そのとき一
緒について行ってくれた女性が、日本の外務省から
UNESCO に派遣されていた職員で、すごく豪快な
方でしてね。奥地に行けば行くほど元気が出るよう
な人だったんです。仕事でもとても助けていただい
て、UNESCO ってすごい人がいる組織だなと思っ
た。以来、私にとって UNESCO のイメージはポテ
ンシャルが高いんですよ。
児島:それは彼女の功績大ですな。組織は見えない
けれど、そこに働く生身の人はよく見えますものね。
さて私も北海道生まれ(深川市)なんだけど、毛利
さんは余市町。今では「毛利衛宇宙飛行士誕生の地」
のほうが有名かも知れないけど、ニッカウヰスキー
発祥の地でもありますね。
毛利:その工場の正門から 20 メートル先に私の家が
ありました。創業者の竹鶴政孝さんは、うちの親父
と碁敵だったこともあって、とても身近な人でした
ね。私の家は戦中に火事で焼け、建て直すまでニッ
カの工場の中に住まわせてもらったんです。そのと
き竹鶴夫人のリタさん(スコットランド人)に、ほ
んとに親身なお世話になったことは忘れられませ
ん。今考えれば、宗教心に裏付けられたボランティ
ア精神だったのかもしれませんが、心の広さ、余裕
といったものを教えられた気がします。
先ほど児島さんがいわれた当館のボランティアス
タッフですが、いま 800 人ほど登録してくださって
います。そこで期待しているのは「困っている人を
助ける」というより、
「自分が楽しく活動している
ことが、結果的には社会に貢献しますよ」といった
何かをつくっていく、これからの新しいボランティ
アのあり方です。
児島:おっしゃるとおり、いろいろな種類のボラン
ティアがあっていいんですよね。お金はあるけど時
間的・肉体的にボランティアはできないという人は、
お金だけを出すとか(笑)
。ところで毛利さんは子
どもの頃から学校の成績はよかったんでしょうな。
毛利:できたものと、できないものがありました。
算数とか理科…国語もそうだったかな、うちに帰っ
てから勉強は全然しなかったけど成績はよかったよ
うです。音楽とか図画は嫌いでしたね。恥ずかしが
り屋で人前で歌えないし、画で表現できないんです。
国語も読むのはいいが作文が書けない。学級委員に
出されたこともありましたけど、子ども会ではクラ
スを代表して何か意見をいわなければならない、そ
れがイヤで。だいたい放課後そういう会があるんで
理 事 会 報 告
すが、サボってました。行けなかったんですね。
児島:そう聞いて元気づけられる読者の皆さんは
多いんじゃないかな、あの毛利さんでも…と(笑)
。
そういうシャイなところを押さえ込んで、自己主張
ができるようになったのはいつ頃のことですか。
毛利:小学校 5・6 年生のとき、担任の先生が替わっ
ブロック活
動研究会
て、否応なしに演説させられたんです。子ども会会
長の立候補演説。それでなんとか話はしましたが、
イヤでイヤで、中学では元に戻ってしまった。高校
でもダメでしたね。話せるようになったのは大学…
大学院…そうだオーストラリアに行ってからです。
そのときは日本人は誰もいないし、主張しないと自
分の意見も通らないし、無視される。東南アジアの
人たちが競争相手で、日本人であるなしは関係ない、
英語にしても単語を並べてとにかく通じればいいと
開き直った。そのときからですね、本当の意味で人
前で話せるようになったのは。
最先端の科学を「モノから人へ」の文化に
児島:ところで最初にお話になったこの日本科学未
来館の思想ですね、とても刺激的だけども、私たち
民間ユネスコ運動は、これからの「科学技術」をど
うとらえたらいいものですかな。
毛利:とにかく科学技術というだけで拒否反応を起
こす人が多いんですね。例えば原子力。嫌な思い出
もあって、怖いとか変に利用されるんじゃないかと
いうような思いです。この「未来館」はそういう意
味ではちょっと怖いところなんですよ。なぜかとい
うと、扱っているのが最先端の科学技術だからです。
普通の人(専門家でない人)にとっては「未知」の
かたまりです。遺伝子組み換えとか、これからの IT
技術とか、なんとなく不安に思えてしまう。ではど
うやったらそれを馴染みのあるものにできるか。こ
の施設をつくるときのコンセプトは「最先端の科学
を文化にする」という大変抽象的なものでした。そ
れを具体的に展開するのが館長の仕事になったわけ
ですが、最初にお話ししたように、科学技術を「モ
ノから人へ」
「日常生活で馴染みのある、個人個人
がそれぞれの価値観を持てる文化」へという考え方
を、いろん
なお役所に
わかっても
らうのに3
年くらいか
かりました
ね。この未
来館ができ
たのは 4 年前ですが、所轄は当時の科学技術庁、向
かいの東京国際交流館(内外の研究者や学生の宿舎)
は文部省、隣の研究所は通産省でしたから。しか
し 2000 年にそのうちの 2 つが文部科学省になってか
ら、理解が進んだのは事実です。
児島:お話のとおりで、科学技術が人間と遊離して
しまってはなんにもならない。ただそれをこういう
施設で具現化していくというのは、智恵も労力も要
る難しい仕事ですね。
毛利:こういってしまうと身もふたもないんです
が、いちばん難しいのは、お金がない、あるいはお
金がかかるということなんです。会長も気づかれた
と思いますが、最先端の科学技術を見せる場という
のは、例えば恐竜の骨がありさえすればどんどん付
加価値が上がる、竜巻の原理を見せる展示は一度作
ればそう変えなくてもすむ、といった従来の博物館
や科学館とは違うんです。今あるモノに頼ってては
もたない。携帯電話なんか 3 ヶ月で代わっちゃう。
先端ゆえの宿命ですね。そこで大事になるのが人で
す。モノはすぐ古くなりますが、最先端を知ってい
る、同時に未来も語れるベテラン技術者や研究者と
いう「人」が持っている知識は、
いつも新しいんです。
会長はここのインタープリターを評価してください
ましたが、
「人が余ってるんじゃないか」なんてい
われることもあります。そのときは「いや、私たち
が考える展示には人も含まれています」と説明する
んです。
児島:なるほど。しかし、わかってくれますか?
毛利:最近はわかってくれます。その背景にあるの
がいわゆる post-doc(ポスト・ドクター:博士号取
得後の研究者)問題ですね。日本は科学技術創造立
国を目指すということで、1995 年に第 1 期科学技術
基本計画というのをつくりました。そこで生まれた
のが「ポスト・ドクター 1 万人計画」ですが、いま
や理系ドクターの数が増えすぎて行き場所がない。
いわゆるキャリア・パス(career path:経験・能力
の階梯)が見えなくなってるんですね。個人はもち
ろん、国にとってももったいない話です。科学技術
基本計画は第 1 期と 2 期で 41 兆円ものお金をかけま
したが、これからの第 3 期でようやく社会還元に目
ユネスコ 2006/1
3
もう
り
まもる
日本科学未来館 館長
毛利 衛
ユネスコ in Action UNESCO創設60周年
1948年北海道生まれ。理学博士。 85年北海道大学助教授から宇宙開発事業団に転身。
日本初の宇宙飛行士の一人に選抜される。 92年科学者としてスペースシャトルに搭乗し宇
宙実験を遂行。 00年NASA宇宙飛行士の資格で立体地図作成ミッションを遂行。現在、日
本科学未来館館長および宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙飛行士。日本学術会議会員。
著書に「毛利衛、ふわっと宇宙へ」「宇宙の風」「宇宙からの贈りもの」など。宇宙を含
む広い分野における最先端科学技術分野を社会に伝える場づくり、および将来日本の科学
技術を担う人材育成に取り組んでいる。
世 が行き始めた。基本計画にも、研究や技術の意味を
界 遺 産 ノ ート
ブロック活動研究会
イ ベ ント レ ポ ー ト
お 知 ら せ
身の回りへの関心を世界につなげる意識を
毛利:今回の野口聡一宇宙飛行士もヒーローとして
4
ユネスコ 2006/1
毛利さんが宇宙実験を行った機材のひとつ
一般の人びとにわかりやすく伝えられる専門家、専
門知識を持つ「科学コミュニケーター」の育成が掲
げられましたし、ちょっと先走った私たちに国が追
いついてきた感じです。
児島:ここに来て、僕がすごく面白かったのは、宇
宙船にしても、海洋探査船「しんかい」にしても、
すごく生々しいんですね。毛利さんのいわれるのと
はちょっと違った「科学の人間くささ」が見えるわ
け。もうひとつ、ヘえーと思ったのは、隣にある学
者のための立派なアパート群。いやぁ日本もやって
寺 るなと思いましたよ。こんなところに地道にお金入
子 屋 の い ま
れてるんだという、一種の安心感みたいなものを感
じちゃったな。
毛利:ここには研究室もあるんです。科学技術振興
機構が 5 年間で 20 億円出して世界中の研究者を集め
て競わせています。ナノテクノロジーとかゲ
ノムとか。毎週土曜日には、将来そういう
ことをやりたいという高校生がグループ
で、最先端の研究室を回るんです。応
対してくれるのはそこの若い研究者で
す。贅沢でしょ。これは世界でもたい
謹 賀 新 年
へん注目されてます。うれしいですね。
児島:見学で思い出した。毛利さん
が最初に宇宙船に乗られたときに持っ
ていった実験機材がありますね(写真)
。
まあ、さまざま膨大なものだけど、あれを
積み込ませてくれたというのも、アメリカが日
謹 賀 新 年
本の技術、研究者を高く評価していたからこそです
ね。しかもその機材のほとんどは日本の技術屋さん
がつくったものだそうです。知らなかったな、今日
見るまで。日本は技術では世界の最先端にいる、と
いうことが具体的に見えるのはあの点ですよ。同時
にNASA(アメリカ航空宇宙局)の評価力もすごい
と思いましたね。そういうところを日本のマスコミ
はもっと宣伝していいですね。
扱われるのはわかりますが、あの国際宇宙ステーシ
ョンの建造には日本が 12.8%もの貢献をしているこ
とはなかなかニュースにならない。人の面でも、宇
宙飛行士はともかく、NASA をはじめ世界中の専門
家と渡りあえる若い日本人スタッフが大勢、育って
いることも知っていただきたいですね。
児島:同感だなぁ。そういう情報がきちんと出れば、
日本人は素直な誇りと自信を持ちますよ、絶対。僕
なんか今日ここの展示を見て毛利さんの話うかがっ
ただけで、突然自信出ちゃったものね(笑)
。
毛利さんは「科学技術にしても、その国なりの文
化がきちんとあるべきだ」と書かれてますが(
「宇
宙からの贈りもの」岩波新書)
、普遍的に思えるテ
クノロジーにも、お国ぶりが出るものですか。
毛利:宇宙から地球を見る、その一角に、水に囲ま
れた島国・日本を見たとき、ああ、地球に生きるっ
てことは皆「違い」を背負っているんだとい
う思いにとらわれました。海、山、砂漠、
気候、動物、植物…それぞれの違いのす
べてが、人間であれば文化につながっ
ている。その「環境」があればこその
日本文化、私たちのものの考え方、生
き方なんだという発見ですね。
話は飛ぶようですが、例えば携帯電
話。私は、これはもう日本の文化にな
ったと思ってるんです。アメリカではま
だまだそうはなっていない。使い方のレベ
ルが違うんです。日本ではもう危機管理のツ
ール(道具)になりつつあるけど、そんな「先進国」
はめずらしい。アメリカには気の毒だけど、あのハ
リケーンのときに比べると、日本では大地震や風水害
のときの対応ひとつとってみても、そこに住んでい
る普通の人びとの対応は見事でした。通信技術にし
てもそれを生活文化に高めていける、この国の特性
にもっと目を向けてもいいんじゃないでしょうか。
児島:ケータイの話は納得ですね。若い人の使い
方なんか見てると、あれはもう新文化だな。おっし
ゃるとおりハイテクが文化に変わっている現象です
よ。しかし、われわれ世代の理解の限度を超えてき
こ
じま
まさし
入社。 85年、NTT誕生と同時に常務取締役就任。同社代表取締役副社長を経て 90
年同社代表取締役社長に就任。 96年同社取締役相談役、相談役を歴任し 03年7月よ
り特別顧問を務め現在にいたる。 99年9月に㈳日本ユネスコ協会連盟副会長就任。
00年6月第9代会長に就任し現在にいたる。 ブロック活
動をリタイアしていてよかった、
研究会
ました。僕も NTT
水問題の補足ですけど、科学技術の目を通すとい
ろんなことがローカルに具体的に見えてきますよ。
海水を淡水に、汚い水をきれいにといった技術でも
日本は最先端なんです。その日本人が外国から買っ
た水を大量に飲んでいる。世界の水ビジネスの規模
は巨大です。水が石油と同じようになったら悲劇で
すよね。水に関わる科学技術を人類共通の文化にし
ていくことに指導力を発揮する、それができるのが
UNESCO です。私が国内委員会で、文化としての科
学技術に日本はもっと戦略を持つべきだというのも
そこなのですね。
児島:今日は本当によいお話を聞きました。ありが
とうございました。今年もご活躍を願っています。
ほんとに(笑)
。
さて、これから民間ユネスコ活動のレベルでサイ
エンスに関わるとなると、新しい見方、考え方がい
りそうですな。拒否反応はないでしょうが、とっか
かりがなかなか見つからないんじゃないかな。
毛利:そこを考えるときにですね、ヘタにあまり大
きく構えない方がいいと思うんです。しかし、その
活動に何が期待されているのか、UNESCO にとって
の対象は何かと考えると、最終的には「世界」とい
う大きなものでもありますね。ですから、世界に共
通なものといった視点は欠かせないと思います。価
値観とか倫理観とか、ローカルには違いがあるにも
かかわらず、共通なもの。例えば「水問題」なんか
まさにそうです。水の問題は世界共通ですが、同時
にものすごくローカルなテーマなんですね。まさに
地域ユネスコ協会なんですよ。私たちが生きている
のはまずローカル、活動しているのもローカル。そ
こをうまくつなげられれば、身の回りへの関心が世
界への関心になる。最初にローカルありきでないと、
抽象論になってわからなくなってしまいます。大事
なのは、ローカルにはそこの生き方、文化がある、
いいか悪いかの価値判断がきちっとあるということ
なんです。グローバルというものにそうそう迎合し
ない。今までの文化でよいもの、川の水、森や植物、
代々のお祭り、そういったものをまず大切にしまし
ょうという感性。その意識が高まれば高まるほど、
大きな世界では何が起こっているかを知ることがで
き、それがまたローカルなレベルを高めていくこと
になる、私はそう考えています。
【Movement】
単なる箱(はこ)ではありません。
進化する「運動体」です。
【Mobile】
不動で自閉的な館ではありません。柔軟性
をもった連帯しうる「知のツール」です。
【Media】
それ自身が目的ではありません。新しい科
学技術文化を創造するための「触媒」です。
【Meeting】
境界がありません。新しい出会いの場、英
知の交差、合流点です。
(文責:編集部)
[日本科学未来館]
最先端の科学技術に
関する情 報 発 信と人
の交流のための拠 点
として、2001年 7月に
開館。MMコンセプト
(注1)をもとに10 項目
(注 2)を定め、さまざまな活動を展開している。
(当日に限り再入館可能)大人 500 円、
入 館 料:
18 才以下 200 円(土曜日のみ無料)
※特別展は別料金
● 開館時間:10:00 ∼ 17:00
(入館は閉館 30 分前まで)
● 休 館 日:毎週火曜日
(祝日と春・夏・冬休み期間は開館)
年末年始(12 月 28 日∼ 1 月 1 日)
● お問い合わせ:〒135-0064 東京都江東区青海 2 丁目 41 番地
代表 TEL:03-3570-9151
●
http://www.miraikan.jst.go.jp/index.html
※注2
10
項目
MM
︵毛利衛︶
コンセプト
※注1
㈳日本ユネスコ協会連盟 会長
児島 仁
理 事 会 報 告
1930年北海道生まれ。 53年北海道大学法経学部法律学科卒業。日本電信電話公社
①見てもらうのは、物より人です。
②発見してもらうのは、出会いです。
③分かちあいたいのは、心からの共鳴です。
④そのために市民といっしょに運動体をつくります。
⑤開かれた研究の拠点となり、研究者を支援します。
⑥ボランティアの力を結集し、人といっしょに成長します。
⑦狭義の科学というカテゴリーに留まりません。
音楽も美術も演劇もスポーツも、私たちの運動体を形成します。
⑧そのために柔軟で開かれた「場」をつくります。
⑨コミュニケーションとネットワークづくりも私たちの仕事です。
⑩来てもらう場がありますが、出かけていく場も求めます。
ユネスコ 2006/1
5
UNESCO創設60周年
記念式典・シンポジウム パリで開催
∼野口昇理事長出席 日本の民間運動を紹介∼
世 2005
界年 11遺月16産
ノ ート
日、UNESCO 憲章採択 60 周年を記念して、パリの UNESCO 本部で
盛大な記念式典と特別シンポジウムが開催された。
シンポジウムには、ハーバード大学の入江昭教授を含む世界の著名な学者、専門
家が参集し、さまざまな角度から UNESCO の歴史とその活動を検証した。
「ユネス
コ 50 年史」の著者でもある野口日ユ協連理事長は、ラウンドテーブル(分科会)
のひとつに討論参加者として招待され、世界で最初に誕生した民間ユネスコ運動
と組織の生い立ちや今日までの活動などを紹介した。
ブロック活動研究会
60周年記念式典
記 念 式 典 の冒 頭、青 年 たちにより
寺UNESCO憲章前文が
子 屋 の い 6つの国連公用語(アラビア・
ま
中・英・仏・露・西)で朗読された。松浦晃一郎事務
局長の開会スピーチに次いで、ユーシェンコ・ウクラ
イナ大統領、文化人類学者レヴィ・ストロースなど、
イ ベ ント 特別シンポジウム
レ ポ ート
16日午後から18日の午後まで、記念
シンポジウムが開催された(UNESCOとソルボンヌ
大学などの共催。ちなみにソルボンヌ大学は1946年
。ユネスコ創
の第1回UNESCO総会の会場となった)
設に至る歴史、ヒューマニズムと平和のビジョン、人
謹 賀 新 年
種問題、和解と対話、人類の遺産、科学の社会的責任、
万人への教育、国際政治の混迷―冷戦と非植民地化
など9つのテーマ別ラウンドテーブルが設けられ、世
界各地から集まった研究者や専門家の間で幅広い観点
から議論が展開された。また、2つの特別講演も行わ
謹 賀 新 年
れた。
ラウンドテーブルⅠではUNESCO創設にいたる歴
史について、多くの研究者と参加者による検証が行わ
れた。ロンドンでのUNESCO設立会議で事務局長を
務めたアルフレッド・ジンメルン(英)は、古代ギリ
シャ文明に立脚したUNESCO像を主張。一方、初代
事務局長となる英国の生物学者ジュリアン・ハックス
お 知 ら せ
入江昭教授との出会い
入江教授は、ラウンドテーブルⅤ「国
際政治の混迷―冷戦と非植民地化」で議長を務めら
れた。日本のUNESCO 加盟が承認された1951年の
UNESCO総会に、日本の首席代表として出席した前
田多門氏(元文部大臣)が義理の祖父にあたるとい
うことで、UNESCOには特別の親近感を抱かれてい
る様子だった。また今回のシンポジウムでUNESCO
6
ユネスコ 2006/1
各分野からの特別ゲストがスピーチ。また直前の執
行委員会で選任された執行委員会議長・章新勝中国
UNESCO国内委員会会長が、歴代事務局長の功績と
国際社会に果たしたUNESCOの役割を称えた。歴代
の事務局長のうちム・ボウ第6代事務局長、
フェデリコ・
マヨール第7代事務局長らも、それぞれの時代背景を
回顧しつつ未来を語った。
レーは、近代科学を強調する立場をとっていた。こう
いった両者の確執なども、参加者の興味をそそった。
ラウンドテーブルⅣでは入江教授の指導を受けた
米国の若手研究者より、非ヨーロッパ的観点からの歴
史観や、1956年にUNESCOの第9回総会で重要計画
として決められた「東西文化価値相互理解10年計画」
が紹介され、日本の貢献にも言及があった。次いで野
口理事長から、世界で最初に誕生した日本の民間ユネ
スコ運動の歴史と、今日にいたるまでの発展について
紹介が行われた。アジア連盟と世界連盟の誕生にいた
る貢献、現在の日ユ協連の中心的活動(世界寺子屋運
動、世界遺産活動、青少年育成活動)や「平和の文
化国際年」以降実施されている東アジア子供芸術祭な
どの事業が、カラフルな映像と共に紹介され、多くの
参加者の関心を引いた。
18日の全体討議では、9つのラウンドテーブルの主
要論点が紹介された。日本の民間ユネスコ運動につい
ても、その歴史や現在の世界寺子屋運動をはじめとす
る国際協力活動が詳細に紹介された。
がしばしば「国連
や人類の良心」と
して語られたこと
に特に感銘を受
け、混迷する現代
の国際社会の中で
UNESCOの果たす
入江教授(左)と野口理事長
重要な役割を強調
(文責:石神澄子)
されていたことが印象に残った。
理 事 会 報 告
第439回 理事会
「民間ユネスコ運動の日」具体化へ
ブロック活 動 研 究 会
どが承認された。
2005 年 11 月 26 日(土)
、第 439 回
1 年以上にわたり、さまざまな
理事会が、東京の朝日東海ビル大
場で話し合われてきた「ユネスコ
手町サンスカイルームで開催され
の日」に関しては、決定に向けた
た。概要は以下のとおり。
具体案をまとめるべきだという機
冒頭、秋田実前理事の辞任を受
運が、前回 9 月 17 日の評議員会、
けて前回の理事会で新しく選任さ
理事会において熟してきていた。
れた滑川修理事(三菱商事㈱社会・
環境室長)が紹介され、海外出張 「ユネスコ憲章の原点を踏まえ、
世界性、未来性を加味するべき」
から帰国したその足で駆けつけた
滑川理事は、ユネスコ活動への意 「事業展開案にさらなる創意工夫
が必要」
「民間の活力をアピール
欲を語った。また、8 月末に退職
したい」など各理事から活発な意
した竹尾徳治前事務局長の後任
見が出されるなか、今理事会では、
に、宮内盈義氏を任命することが
1947 年、世界で初めてのユネスコ
了承され、宮内新事務局長(20 ペ
協力会が仙台に生まれた 7 月 19 日
ージ参照)が挨拶し、
「歴史ある
を「民間ユネスコ運動の日」と定
日本ユネスコ協会連盟の事務局長
として勤務できることは光栄だ」 め、その前後に全国一斉活動日を
設けるという案で合意した。来る
と述べ、理事会出席者全員に拍手
1 月 21 日開催の評議員会に理事会
で迎えられた。
案を提出することを決め、文案を
会員の入退会に関する審議で
事務局がつくることとなった。
は、組織・活動専門委員会(加藤
次に、10 ∼ 11 月に開催された
玲子委員長)の協議結果を受け、
各専門委員会での審議内容などを
㈱オージービーの維持会員加盟な
社団法人 日本ユネスコ協会連盟 2006∼2007年度 理事会・評議員会・総会開催日程
日 付
評 議 員 会
理 事 会
総 会
2006年11月21日(土)13:15∼15:30 第8回 15:45∼17:00 第440回
13月14日(土)
13:15∼15:00 第441回
15月13日(土)13:15∼15:30 第9回 15:45∼17:00 第442回
16月12日(金)
13:15∼14:00 第443回 14:30∼16:30 第57回
花巻市
19月16日(土)13:15∼15:30 第10回 15:45∼17:00 第444回
11月25日(土)
13:15∼15:00 第445回
2007年11月20日(土)13:15∼15:30 第11回 15:45∼17:00 第446回
13月13日(土)
13:15∼15:00 第447回
踏まえて、来年度の事業計画骨子
案が野口理事長より提出された。
2007 年の民間ユネスコ運動 60 周
年を視野に入れ、今後活発な議論
の展開が期待される。今回の理事
会では、2005 年から始まった「国
連・持続可能な開発のための教育
の 10 年(UNDESD)
」について議
論が集中した。
「持続可能な開発
のための教育」については、そ
れを国際社会に提案した日本政府
も、主導機関である UNESCO も、
その内容を十分に整理しきれてい
ない面もあるが、日ユ協連として
は、
「ずっと地球と生きる」学校
プロジェクトなどの具体的な活動
を展開しつつ、広範な概念のどこ
に焦点を当てるかなどの協議を続
けていく。
また、国際教育専門委員会の委
員を補充し、水谷浩三暁学園暁小
学校教頭、米田謙三羽衣学園中学
校・高等学校教諭の両氏に委嘱す
ることが決まった。
日本ユネスコ協会連盟会員名簿について
「個人情報保護法」の全面施行(2005 年
4 月 1 日)にともない、日ユ協連も法律
で定める「個人情報取り扱い業者」に
該当することから、これまで隔年で発
行していた会員(構成、賛助、個人、
構成団体会員(単位ユ協、
維持)名簿を、
都道府県ユ連、青年グループ)の連絡
先一覧に限って作成し、各事務局に配
布することになりました。
ユネスコ 2006/1
7
世 界 遺 産 ノ ート
バーミヤン教育文化センター開所式
ブロック活動研究会
寺 子 屋 の い ま
センター屋上からヒンズークシ山脈を臨む
11 月 14 日、アフガニスタンのバーミヤン
で「バーミヤン教育文化センター」の開所式
が行われた。昨年 10 月に建設が始まってから
1 年余り、ようやくセンターが完成し供用が
できるまでになった。
開所式はアフガニスタン情報文化観光省と
工事を担当した建設会社の主催で行われた。
謹 賀 新 年
参加者は情報文化観光省のオマル・スルタン
副大臣、バーミヤン州のアクバリ副知事、建
設会社のカリミ社長、日本ユネスコ協会連盟
の寺尾教育文化事業部長をはじめとして60名
を超えた。式典は、アフガニスタンスタイル
イ ベ ント レ ポ ー ト
謹 賀 新 年
ではお決まりのコーラン詠唱から始まり、参
加者のスピーチが行われた後、テープカット
となった。式には、破壊された大仏像の破片
を収集しているドイツの専門家たちも飛び入
り参加し、センターにコンピューターやプリン
ターを寄贈するといううれしい一幕もあった。
ご寄付をくださった個人 660、団体 55 のお
名前が入った銘板も、ようやくセンターに設
置された。銘板は大変大きなものとなったた
めいくつかに分けて作成し、土台の上で貼り
合わせることになった。日ユ協連カブール事
務所のヤマ職員が、手をかじかませながらそ
の作業を行ってくれた。
オープンしたセンターには早速、日本の文
化財研究所のチームが宿泊し、センター内の
施設で壁画の分析調査やアフガニスタン専門
家の研修を行っている。とはいえ、センター
はまだ歩き始めたばかり。世界遺産のバーミ
ヤンを次の世代に伝えていくためには、多く
の課題も残されている。今後センターで行わ
れるさまざまな活動には、日ユ協連も引き続
き協力していく。
フォンニャ・ケバン国立公園小冊子完成
バン国立公園小冊子完成
ベトナムの世界遺産、フォンニャ・ケバン
国立公園(自然遺産)を紹介する小冊子が完
成した。冊子は全部で 12 ページ、英語とベト
ナム語の両方で書かれている。この国立公園
はなぜ世界的にも貴重なのか、どんな動植物
が生息しているのか、など基本的な知識をは
じめ、
国立公園を守っていくために、訪れ
た人びとがしなければならないこと、しては
お 知 ら せ
8
ユネスコ 2006/1
いけないことなどの注意事項も
盛り込まれている。
こ の 冊 子 は 1 万 5000 部 印 刷
され、フォンニャ・ケバン国
立公園を訪れる旅行者や、近
隣の村で行われるイベントな
どで配布されている。
(教育文化事業部:岩本由美子)
ブロック活 動 研 究 会
交流の歴史を実感
ユネスコ活動研究会
山陰地方と韓 国
中国ブロック
|
ユネスコ活動研究会
子どもたちが生き生きと実践報告
中部西ブロック
今年の中国ブロ研は、
「地域に密着したユ
ネスコ活動を考える∼『平和の文化』の創造
に向けて∼」をテーマに、10 月 8・9 日、80 名
以上の参加者を迎え鳥取ユネスコ協会の主管
で行われた。
第 1 日目の会場は鳥取市内のさざんか会館。
開会式では、鳥取ユ協の顧問である片山義博
鳥取県知事が、
「知的立国」のためには教育、
人づくりが重要であると訴えるとともに、鳥
取県の職員には仕事のみならず非営利活動に
も従事するよう日頃から指導していると述べ
た。また、同じく鳥取ユ協の顧問である石破
茂衆議院議員は自衛隊のイラク派遣に触れ、
現地への派遣の際には、イスラム文化をよ
く理解してから赴任するよう徹底したと述べ
た。そして平和を築くには、やはり個人の心
の中に、異文化を理解し平和を愛する気持ち
を育てることが重要だと続けた。
佐古和枝・関西外国語大学教授による基調
講演は、
「国際交流が育んだ日本海文化∼山
陰の遺跡から∼」がテーマ。山陰地方の弥生
時代遺跡の解説と、特に妻木晩田遺跡の保存
には、韓国からも多くの協力があったと報告。
文化財の保存において、国境を越えた協働が
行われたという話は大変興味深かった。
その後、中国ブロックの 5 協会(岡山、広島、
萩、鳥取、石見地区)が、特に「平和の文化
の創造」に関するそれぞれの活動を発表した。
岡山ユネスコ協会の「イスラム勉強会」など
の事例が紹介されたほか、萩ユネスコ協会か
らは青年部活動の活性化についても話が広げ
られ、活発な意見が交わされた。
2 日目は、基調講演のテーマとなった弥生
時代の遺跡を中心に、鳥取県内でのスタディ
ツアーを行った。鳥取市を出発し、県を横
断して米子市までたどるツアーでは、途中か
ら韓国の忠清北道ユネスコ協会の会員が参加
し、一緒に遺跡を見学した。鳥取県の日韓交
流のルーツである韓国江原道交流記念碑の見
学もあり、参加者は山陰地方と韓国との交流
の歴史を実感できたのではないかと思う。
来年の中国ブロック研究会は 9 月 30 日と 10
月 1 日、山口県萩市で行われる。
中部西ブロ研は「未来を担う青少年に対し
て、ユネスコ活動への協力の輪を広げるには
どうしたらよいか」をテーマに、2005 年 10 月
29・30 日、三重県の津市で行われた。県内は
もとより石川、福井、富山、愛知、岐阜の各
県のユ協から 80 名が参加した。
初日は、UNESCO 日本政府代表部にも勤務
されていた文化庁政策課の大谷圭介氏による
基調講演から始まった。
「今、ユネスコ活動
に求められていること」と題し、大谷氏ご自
身の経験などをとおして見えてきた UNESCO
の仕事や UNESCO の最近の動きや課題につ
いて話された。また UNESCO から見た日本の
被援助国から援助大国への変貌、民間ユネス
コ運動がかかわりやすい分野など、具体例や
経験談を交えてのお話に、熱心にメモを取る
参加者の姿が数多く見受けられた。
このほか、D−プロジェクト参加校暁学園
の小学 5 年生から中学 1 年生ら 4 名の子どもた
ちが、3 年間にわたる世界寺子屋運動への取
り組みを、生き生きと発表した。暁学園暁小
学校の水谷浩三教頭が、教師の側から見た同
プロジェクトの意義「ユネスコや世界寺子屋
運動について学ぶ→リーフレット作りに必要
なことを学ぶ→出来上がったリーフレットを
用いて協力する心、人との出会いやつながり
の大切さを学ぶ」という “ 学びの三段重ね ”
を強調。実際に関わっている学校現場の熱気
あふれる発表は、
「子どもたちの熱心な取り
組みの姿に感動した」と、多くの会員に新た
な“ 活力 ”をもたらした。
その後の分科会では「総合的な学習の時間
におけるユネスコ活動」
「地域におけるユネ
スコ活動の活性化」をテーマに各ユ協の事例
をもとに意見交換や今後に向けた議論が行わ
れた。
2 日目の全体会では、分科会の討議や意見
交換に十分な時間がとれなかったことの反省
から、他のブロ研の情報を得ながら、今後の
ブロ研の内容や時間配分について検討してい
くことになった。
谷岡経津子県連理事長のもと、桑名、津、
名張、松坂地区の各ユ協が協力し、三重県教
育委員会の全面的なバックアップを得た今年
の研究会。来年は富山県連にバトンタッチさ
れ、10 月 21・22 日に富山市内で開催される。
(中国ブロック担当:岩本由美子)
(中部西ブロック担当:川上千春)
ユネスコ 2006/1
9
ブロック活動研究会
四国遍路を守り、世界へ発信するために
四国ブロック
四国ブロ研は、4県共通の関心事である「四
国遍路とユネスコ活動」をテーマに、11月19・
20日に開催。今治ユネスコ協会が主管となり、
寺 子 屋 の3県9協会から57名が参加、協会連盟からは加
い ま
藤玲子副会長が出席した。
評議員・世界遺産専門委員会委員の工藤父
母道氏が、昨年の「もっと知りたい!世界遺
産って何?」に続き、
「世界遺産と私達の活動」
と題して基調講演を行った。
「世界遺産条約は
罰則のない国際ルール。世界遺産とは、当該
国が顕著で普遍的な価値をもつ人類共通の遺
産として保護・保全していきたいと考える遺
産を、21か国からなる世界遺産委員会がグロ
ーバルスタンダードにより評価し、登録を経て
当該国が守っていく責任を負うもの。登録さ
謹 賀 新 年
れた世界遺産だけが重要ではなく、身の回り
にある文化、遺産は等しく重要な人類全体の
遺産。四国遍路を人びとに伝えたいなら、世
界の遺産登録地から発信されるさまざまなメ
ッセージをも知る努力が必要だ。また、世界
謹 賀 新 年
の遺産登録地やその他の地域で起こっている
憎しみの連鎖を断ち切れるのは教育だけであ
ユネスコ活動研究会
イ ベ ント レ ポ ー ト
日常生活から地球環境を考えよう
九州ブロック
今年の九州ブロ研は、高鍋ユネスコ協会が
主管となり、宮崎県高鍋町で開催された。会
場に着いて最初に目と耳に飛び込んできたの
は、参加者を迎えるガールスカウトの子ども
たちと「こんにちは」という元気な声だった。
「地球・自然界を守るために日常生活で何が
できるか 持続可能な開発を目指して」をテ
ーマに11月5・6日、約60名が参加。年々破壊
が続く地球環境に目を向け、私たちの生活の
中でできることは何か語り合った。九州内の
ユネスコ協会が取り組んでいる環境活動には、
長崎港浄化プロジェクト(長崎ユネスコ協会)
、
世界遺産「屋久島」を訪れる観光客へ環境に
関心を持ってもらうキャンペーン(屋久島ユ
ネスコ協会)
、屋久島ユ協が行う屋久島の自然
保護活動への支援(鹿児島ユ協)
、
CGG運動(地
域の清掃活動)
(沖縄県ユネスコ協会)
、筑後
川河川敷ノーポイ運動(久留米ユネスコ協会)
、
県内で取り組んでいるゴミゼロ運動(大分県
ユ協連)
、環境都市として全国に先がける水俣
で全国高校ユネスコ研究大会を開催(熊本ユ
協)などがある。これらの活動には、それぞ
れの地域特性と課題が表れている。
青年の発表として、8月に広島で開催された
お 知 ら せ
ユネスコ活動研究会
10
ユネスコ 2006/1
り、ユネスコ活動は重要な役割を担っている」
と話された。
その後「四国へんろ道文化」世界遺産化の
会・仙遊寺住職小山田憲正氏、今治明徳短大
教授原映子氏をパネリストに迎えて、四国遍
路という地域の文化を守るため、ユ協として、
また地域住民としてどのような活動をすれば
よいか、パネルディスカッションが行われた。
原氏と明徳短大の学生2人が、人づくり教育を
目指ざす「歩き遍路体験学習」について発表。
続いて小山田氏から「私たちの活動は『共に
生きる』文化としての遍路を世界に発信する
ことであり、昔ながらの遍路を守り伝える手
段である。その目的は世界遺産として登録さ
れることでも地域振興のための観光でもない」
との発表があった。コーディネーターを務め
た今治ユ協の村瀬アキエ事務局長が、各ユ協
で地域に即した活動の一歩を踏み出し、来年
のブロ研で発表しようと討議をまとめた。
2日目は日ユ協連のプレゼンと各ユ協の活動
報告があった。次年度は香川県・丸亀ユ協が
(四国ブロック担当:坂巻豊子)
主管となる。
全国高校ユネスコ活動研究会に参加した久留
米商業高校の鶴田亜弓さんと、インドネシア
の交換留学生マルティアニさんは「終戦から
60年の節目の年に、原爆が投下された8月6日
に広島で平和祈念式典に参加し、平和への思
いを新たにした」と感想を語った。
シンポジウムでは、高鍋町を中心に環境問
題に取り組むパネリスト5名が、毎日の生活で
実践している事例を紹介した。環境カウンセ
ラーの松本和子さんは、自ら経営する自然農
園で採れたしいたけを持参。
「自然がもたらす
恵みを肌で感じ、日々の生活の中で自然と共
存していく心を持ち続けている」と話された。
翌6日には、映画「石井のとうさん、ありが
とう」が上映された。これは明治時代、宮崎
県児湯郡に生まれた石井十次が孤児院を開き、
苦労を乗り越えながら3000人以上もの子ども
たちを育てた生涯を描いた感動作だった。
高鍋ユ協の杉千明会長をはじめ、理事の方々
が総出でつくり上げた心のこもった研究会。
参加者はユネスコの歌を最後に合唱して、来
年11月佐賀県で開催される研究会での再会を
約束して帰路についた。
(九州ブロック担当:ファイン荒井千香子)
ユネスコ活動研究会
隣人愛の実践を 問 い 直 す
東北ブロック
大会テーマは「生命のふるさと・海に学ぶ∼地
10月15・16日の2日間、東北ブロ研が岩手県大
。趣旨の中で次のように述
船渡市で開催された。研究会には東北6県のユネ
球の平和を求めて∼」
「平和の砦には平和を守り、維持し
スコ協会から330名の会員が集い、日頃のユネス
べられている。
ていく意味が含まれております。インド独立の父
コ活動を基にしたテーマに沿って研鑽を深める
とともに、大船渡ユネスコ協会の心づくしの接待
といわれたマハトマ・ガンジーの非暴力の思想は
。参加者はこの隣人
隣人愛に基づいております」
もあって充実した2日間を過ごすことができた。
大船渡市のある気仙地方は岩手県の民間ユネ
愛の実践について、自らに問い直すこととなった。
スコ運動発祥の地で、昭和23年に千葉新次先生
中田武仁国連ボランティア大使の基調講演、
「ユネスコ活動の充実を求め
が通称
「ユネスコ学園」
を創設されたところ。佐々 「世界寺子屋運動」
木仁也大船渡ユネスコ協会会長は「日本のユネ
て」
「ユネスコの心と『隣人愛』
」
「高校生・青年
スコ加盟が平和への誓いの原点であると共に、 のよりよい活動を求めて」というテーマの4分科
加盟に向け努力された多くの人びとへの敬意を
会いずれも充実した内容であった。
「地球の平和
のために微力でも尽くすことが幸せなのだ。ユ
記憶にとどめ、決して忘れてはならない」と強調
された。これは、平和のために各地でユネスコ
ネスコ活動に参加することが幸せなのだ」という
活動を続ける会員一人ひとりの努力と情熱の大
佐々木会長による大会の総括が、本研究会が実
切さを確認するものでもあった。
り多いものであったことを物語っている。
(東北ブロック担当:寺尾明人)
ユネスコ活動研究会
世界に目を向け、身近な活動を
関東ブロック
今年の関東ブロ研は「目線は世界に活動は身
近に」をテーマに、茨城県ユネスコ連絡協議会
主催、ひたちなかユネスコ協会が主管となって
開催された。平日にもかかわらず初日は300名
以上、2日目にも280名が参加し、大規模な研究
会となった。
1日目は、明治大学名誉教授大塚初重氏によ
る基調講演「虎塚古墳の保護・継承とユネスコ
活動」が行われた。1973年の第1次調査では開
口した古墳で彩色壁画が発見されたという、学
術調査上稀有な例が紹介された。また石室の湿
度、温度、光に最大限配慮をし、毎年2回の公
開を経ても壁画の損傷が起きていないことを詳
細に説明。スクリーンを使った熱のこもった話
に、参加者は一心に耳を傾けていた。
分科会は2日にわたって計3時間行われた。テ
(発表事
ーマは❶「地域に生きるユネスコ活動」
例/わが町、平和の鐘を鳴らそう、
国際理解講座)
❷「目線を世界に向けたユネスコ活動」
(発表事
❸「活
例/書きそんじハガキ、
独自支援の寺子屋)
動するユ協を目指して」
(発表事例/青年活動と
県連の役割)の3つ。発表骨子が事前に送付さ
れていたため、事前準備が充分にでき、各地ユ
協の現場からも活発な意見が飛び出した。
このほか、インドスタディツアー報告では、
青年の率直さに好感を持ったとの意見が寄せら
れた。また、来賓として出席した文科省の井上
正幸国際統括管からはユネスコ総会の報告があ
った。エクスカーションは、大洗海岸∼白亜紀
層(ひたちなか市平磯・磯崎海岸)∼西山荘(常
陸太田市)の見学。歴史と自然に触れるまたと
ない体験となった。
村井了顧問(日ユ協連前理事
懇親会挨拶では、
長)が、主管であるひたちなかユ協誕生のいきさ
つを語られ、
感無量の面持ちで労をねぎらわれた。
さい
来年は埼玉県ユネスコ連絡協議会主催、
たまユネスコ協会が主管となって、12月2・3日
さいたま市で行われる。埼玉県ユ連初のブロ研
となる。
(関東ブロック担当:山口真子)
[日程]
[ブロック][主催・主管ユ協]
19月23日
(土)
∼19月24日
(日)
北 海 道 北海道ユネスコ連絡協議会/札幌ユネスコ協会
年度
19月30日
(土)
∼10月11日(日) 中 部 東 長野県ユネスコ連絡協議会/松本ユネスコ協会
ユネスコ活動
19月30日
(土)
∼10月11日(日) 中 国 山口県ユネスコ連絡協議会/萩ユネスコ協会
ブロック研究会 10月21日(土)∼10月22日(日) 中 部 西 富山県ユネスコ連絡協議会/富山ユネスコ協会 他
10月28日(土)
近 畿 長浜ユネスコ協会
開催日程
11月 日程未定
九 州 佐賀ユネスコ協会
12月12日(土)∼12月13日(日) 関 東 埼玉県ユネスコ連絡協議会/さいたまユネスコ協会
未定
四 国 香川県ユネスコ連絡協議会/丸亀ユネスコ協会
(2005 年 11 月末日現在)
青森県ユネスコ協会
未定
東 北 (社)
2006
ユネスコ 2006/1
11
寺 子 屋 の い ま
3
年目の再会
あの子たちの
いま
2002 年、日本ユネスコ協会連盟では寺子屋ビデオ(6 ヵ国、全 8 巻)を制作した。
ビデオには、実際に寺子屋で学ぶ生徒たちに出演してもらった。
ビデオが完成した後も、調査などで現地に赴くたびに、出演してくれた少年少女たちに
会えるのが楽しみ。
年々、成長する生徒たちのその後を紹介しましょう。
イ ベ ント レ ポ ー ト
がんばれ!サディカ
2002
謹 賀 新 年
パタリヤでサディカに初めて会ったのは
2002 年、プロジェクトはまだ始まっていなか
った。サディカは少数民族の家庭で育ったた
め、標準語のネパール語が話せなかった。家
庭は貧しく、父親と一緒に日雇い労働者とし
謹 賀 新 年
て道路工事現場で働き、家計を助けていた。
撮影中、私たちが「ノートに文字を書いて」
とサディカに頼むと、友だちが書いた文字を
まねてネパール語を書いてくれた。ペンを力
いっぱい握りしめ、わなわなと文字を書くそ
の後姿を見ながら、サディカが勉強できる環
境を早く整えてあげたいと思ったことを、今
でも覚えている。
その後ネパールではマオイスト(共産主義
武装組織)による武装闘争が活発化し、いま
も各地で緊張と
混乱が続いてい
る。出張でパタ
リヤを訪れるた
びに、集会の輪
の中にサディカ
と母親を見つけ
ては、話を聞い
ていた。
お 知 ら せ
2002 年、初めて会った頃のサディカ(中央)
(教育文化事業部:ファイン荒井千香子)
ネパール・カピルバステゥ郡 パタリヤ地区
2005
サディカはパタリヤ
で最初に開かれた識字
教室に18 ヶ月通った
後、村の小学校に転入
した。以前より物事を
順序だてて考えられる
ようになったという。
しかし、小学校に通え
14 歳になったサディカ。今も道路工
事などで家計を支えている
たのはたった1年だけ
だった。家庭の経済的事情からサディカは中退を余
儀なくされた。ビデオで「家にお金が全くなくてサ
ディカを学校に行かせられない。かわいそうだけど
しかたがないんだよ」と嘆いていた母親の声が思い
出される。サディカは今でも道路工事などをして家
計を支えている。
パタリヤでは、寺子屋ができてから女子に対する
教育の考え方ががらりと変わり、多くの親が女の子
を寺子屋に送り始めた。それだけに、サディカをと
おして、変わりつつある状況と変わらない現実があ
ることを痛感する。
サディカの夢は、小学校の先生になって、村の女
の子たちに教えること。困難に直面してはいるが、
14 歳のサディカの人生はこれからだ。ご両親、そし
て村の人と共にサディカの成長をあきらめず見守っ
ていきたい。
2006年度版「Education for All Global Monitoring Report」
全世界の成人(15歳以上)の非識者数は7億7100万人 (2005年発行)より
成 人 非 識 字 者 数 は UNESCO の 2003 −4 年 版
Education for All Monitoring Report」
(2003 年
発行)によると 8 億 6000 万人でしたが、2006 年版で
は上記の数字となりました。この間、8900 万人減少
したことになります。しかし、
「すべての人に教育を
(Education for All/EFA)
」が掲げる目標にはまだ
まだ遠い数字です。
2006 年版の報告書によれば、全非識字者の 4 分の 3
が 12 カ国(インド、
中国、
バングラデシュ、
パキスタン、
12
ユネスコ 2006/1
ナイジェリア、エチオピア、インドネシア、エジプト、
ブラジル、イラン、モロッコおよびコンゴ)に集中し
ています。
また、「成人非識字率」を地域別に見てみると、南
西アジアが 41.4%と最も高く、次いでサハラ砂漠以
南のアフリカ諸国が 40.3%、アラブ諸国が 37.3%と
なっており、成人の 3 人に 1 人以上が読み書きできな
い状況が読み取れます。
水上寺子屋の双子姉妹・ソバナリーとチンダ
2002
ソバナリー
とチンダは、
カンボジアの
トンレサップ
湖に浮かぶ水
上家屋で生活
する双子の姉
2002 年、水上寺子屋に通い始めた頃の
ソバナリー(左)とチンダ
妹だ。家族は
全部で11人。兄2人も双子で、とにかくにぎ
やかな家庭だ。姉妹は小学校に入学したが、
弟妹の世話や、家族で営む漁業の手伝いに追
われ、小学2年で中退。その後学校に行くこ
とも、勉強する機会もなかった。しかし15歳
になったとき、水上寺子屋の識字教室に通え
るようになった。友だちと一緒に小舟を漕い
で、水上寺子屋に通う毎日。教室では、親と
同じくらいの年の大人たちも一緒に、5 ヶ月
間一所懸命学び文字を覚えた。
カンボジア・シアムリアップ州 チョンクニア村
2005
2005 年 10 月、水上寺子屋で制服を着たソバナリー
とチンダに会った。
「どこの制服 ?」と聞くと、
「今
年から中学校に通い始めたの」と笑顔で答えてくれ
た。勉強が楽しい、
学校に行けてうれしいと話す2 人。
将来の夢は、チンダが「社会に役立つ仕事に就きた
い。医者になりたい」
、ソバナリーは「学校の先生
か通訳になりたい」そうだ。3 年前は「洋服屋さん、
雑貨屋さん」だったけれど…。18 歳になって、すっ
かり成長した 2 人。夢も大きくふくらんでいる。
中学校の制服もまぶしい、ソバナリー(右から 2 人目)とチンダ(同 3 人目)
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ユネスコ 2006/1
13
イ ベ ント レ ポ ー ト
優れた教育番組に日ユ協連賞新設
10月31日、第32回日本賞の授賞式
が、皇太子殿下ご列席のもと、NHK
謹 賀 新 年
放送センターで開催された。日本賞教
育番組国際コンクールは、世界の教育
番組の向上を図ると共に、国際的な理
解と協力の増進に資することを目的に
1965年、NHKが創設。世界の放送や
謹 賀 新 年
教育関係者、番組制作者の間では権威
ある賞として広く知られている。32回
目を迎えた今年、世界各地から多くの
作品や企画がエントリーされた。
日本賞には番組部門・ウェブ部門・
番組企画部門の3部門があるが、本年
はこの番組企画部門の特別賞として、
日本ユネスコ協会連盟賞が新設され
た。番組企画部門では、教育に役立
お 知 ら せ
つテレビ番組の「企画」が競われるが、
予算などの条件が十分でないために
番組制作が困難な国・地域の制作者
の優秀な企画に賞を与え、その制作
の実現を支援する。中でも新設され
た日本ユネスコ協会連盟賞は、識字・
自国の言語教育を促し、基礎教育の
普及に貢献する優れた番組企画に与
えられる。
今回、日本ユネスコ協会連盟賞を
受賞したのは、バングラデシュ公開
大学が応募した「学ぼう、自分のた
めに、未来のために」という企画。こ
れは、子どもを労働力として使うため
学校を休ませる親が後を絶たないバ
ングラデシュの社会背景をもとに、ド
QRIO サイエンスプログラム in 札幌
10月23日(日)
、
「QRIOサイエン
スプログラムin札幌」が札幌コン
ベンションセンターで開催された。
主催は日本ユネスコ協会連盟・北
海道ユネスコ連絡協議会(札幌ユ
ネスコ協会共催、日本ユネスコ国内
委員会ほか後援)
。このプログラム
は、日ユ協連のサイエンスメッセン
ジャーに任命された2足歩行型ロボ
ットQRIO(キュリオ)とソニー株
式会社の社員が、国内外の子ども
たちに科学の楽しさと平和の尊さを
伝えるというもの。今回は小中高生
あわせて216名が参加した。
小学5、6年生を対象とした授業
では、QRIOを動かしている電池に
着目し、参加者一人ひとりが実際に
炭電池の製作を体験。塩水に浸した
備長炭とペーパータオル、アルミホ
イルで炭電池をつくり、豆電球をつ
ける実験を行った。豆電球に光が
点灯すると、子どもたちからは大き
な歓声があがった。
中学・高校生を対象とした授業
では、ソニー社員がクイズをとおし
て「発明とは何か」を問いかけ、そ
世界連盟暫定執行委員会 パリで開催
11月14・15日の2日間、UNESCO
パリ本部において世界連盟
(WFUCA)暫定執行委員会が開催
され、服部英二氏が議長役を務め
た。野口日ユ協連理事長を含む執
行 委 員8 名、オブ ザ ー バ ー 2 名、
UNESCO本部職員2名が参加した。
UNESCOとWFUCAのNGO協
力関係は、2004年から中断されて
いたが、今会議の冒頭、関係回復
が正式に承認されたと報告があっ
14
ユネスコ 2006/1
た。再生された世界連盟の新しい
事業構築と事務局運営、財政問題、
2007年世界大会に向けての準備な
どが論じられた。ユネスコからの
資金支援については、通常予算や
参加事業計画に申請していくこと
が討議された。今後実施する事業
としては、各国ユネスコ連盟の現
状把握、地域会議と暫定執行委員
会の同時開催の可能性を検討する。
例えば、日ユ協連がアフガニスタ
ロップアウトした生徒たちと不登校に
なりそうな生徒たちを視聴対象とした
ドラマ企画である。物語では、学校
をサボってばかりいる少年アリが貧し
いおばあさんと出会い、交流を深め
ていく。字が読めないため父親が土
地を奪われ、幸せになれなかったと
いうおばあさんの身の上話を聞き、ア
リが再び学校に通おうと決心する姿
をとおして、読み書きの大切さを伝え
るもの。賞金3000ドルでこれから番
組が制作され、テレビ放映される予
定だ。 (教育文化事業部:寺尾明人)
の後、特許の仕組みや役割につい
て説明。また、携帯電話などで身
近に使われているリチウムイオン電
池について、実験を通じてわかりや
すく解説した。
プログラムの講師はQRIOとソニ
ー社員。子どもたちはQRIOのダン
スやサッカーの動きに目を見張り、
ソニー社員による最先端科学技術
の話に興味深く耳を傾けた。こうし
た子どもたちの中から、きっと将来
の科学技術を担う人材が出てくる
に違いない。
(教育文化事業部:古澤真理子)
ンで実施している世界寺子屋運動
やバーミヤン教育文化センター事
業などについて現地で検討する国
際ワークショップの開催や、文明
間の対話シンポジウムを米国で開
催する可能性などが検討された。
この他、マリの執行委員は公教育
を補完する教育の必要性を強調し、
チュニジアの執行委員はアラブ地
域のユネスコクラブ・リーダー養
成事業を検討したいと述べた。
(組織部:石神澄子)
UNDESD/国連持続可能な開発のための教育の10年
「ずっと地球と生きる学校プロジェクト」出前授業レポート
「生命の循環を考えよう」
たいせい
愛知県名古屋市立大生小学校
/
10 講師:八木 明彦さん
11
(愛知工業大学工学部教授)
「潮干狩りに行ったことがある
人?」
。八木先生の授業は、4 年生
の子どもたちへの問いかけから始
まった。
「そう。皆が潮干狩りをす
るあの場所が干潟です。この学校
の近くにある藤前干潟で、私は生
き物を調べたりしています」
。最
初から海の生き物と聞いて子ども
たちは興味津々。浅瀬に生息する
生きた「ゴカイ」に子どもたちは、
「気持ち悪い∼」と声をあげなが
らも、干潟にはさまざまな命が存
在することをまずは理解した。先
生は、干潟には鳥やカニの餌の食
べ残しなどを分解して、キレイに
10 講師:関根 弘之さん
/
現在の地球環境を取り巻く問題
点をわかりやすく伝え、自分たち
にできることは何かを考えてもら
うためにスタートした標記事業。
6月と7月に東京都内の小学校 2 校
で行われた「水」と「紙」をテーマ
にした出前授業には大きな反響が
あった。今回は 3 校目、名古屋市立
大生小学校(協力:名古屋ユネスコ
協会)で 4 年生 31 名を対象に行わ
れた出前授業の模様を報告する。
片付ける細菌の仲間バクテリアが
いること。そしてこのバクテリア
などを餌とする藻類、その先には
貝、そしてカニ、渡り鳥と、頂点
まですべてがつながっていること
を「干潟の食物連鎖」として大き
な三角形で説明した。子どもたち
は、何かがひとつ欠けても干潟の
生命は生きていけないこと、また、
すべての生き物はお互いに支えあ
っていることを学んだ。
20
(東京海上日動火災保険㈱ 課長)
身近な干潟から生命の循環を学
んだ次の授業は、企業として地球
温暖化のために活動する東京海上
日動火災保険㈱の方々を講師に行
われた。まず20センチほどの木の
実のようなものが教室内に回され
た。
「これはマングローブの種で
す。マングローブというのは 1 種
類の植物の名前ではなく、暑い地
域の海の干潟に生えているいろい
ろな種類の木のことをいいます」
。
マングローブが「生命のゆりかご」
といわれるほどさまざまな生物の
食物連鎖を支えていることも、図
や絵を用いてわかりやすく説明。
子どもたちはいちように驚いた様
子。一方で、開発のためにマング
ローブを伐ってしまったという南
太平洋のフィジーの映像も映し出
された。いま、多くのマングロー
ブが急速に失われている。自然と
人間が共存することを皆で考えて
いこうと関根さんは呼びかけた。
最後に、①テレビゲームをする時
間を決めているか。②ゴミは分別
しているか。③水を出しっぱなし
にしていないか。などを子どもた
ちに尋ね、
「ひとつひとつの努力
の積み重ねが、ものすごく大きな
力になるのです」と授業を締めく
(広報室:長倉義信)
くった。
UNDESD =国連持続可能な開発のための教育の 10 年
(United Nations Decade of Education for Sustainable Development)
環境問題だけでなく、人類が直面しているさまざまなテーマ(人権、教育、貧困、平和 etc.)
を啓発すると共に、次世代に負担を残さない社会を目指し、行動に移していこうとする取り組み。
「ずっと地球と生きる学校プロジェクト」
UNDESD の理念に共鳴し、読売新聞社と日ユ協連が、次世代を担う子どもたちを対象に、
2005 年から展開している新事業。企業と共に出前授業を行っている。
http://esd.yomiuri.co.jp/
「絵で伝えよう!わたしの町のたからもの」絵画展
入賞作品カレンダー贈呈式
「絵で伝えよう! わたしの町の
たからもの」絵画展は、世界遺産
条約の理念を広めるとともに、日
八木先生と子どもたち
本の子どもたちが地域の文化や身
近な自然環境を見つめなおし、未
来へ引き継ぐ気持ちを育むために
1998 年から各地で続けられてい
る。2004 年 度 は 全 国 47 の ユ ネス
コ協会が参加したが、合計約1万
3600 作品もの応募があった。同年
から共催しているあいおい損害保
険株式会社のご厚意で、全国審査
優秀賞10 作品を集めた2006 年度
のカレンダー 6500 部が寄贈され
た。2005年10月31日、日本ユネス
コ協会連盟でその贈呈式が行われ
た。席上、同社の瀨下明代表取締
役会長(写真左)は「全国のユネ
スコ協会や受賞した子どもたちに
配布し、有効に活用していただき
たい」と述べ、日ユ協連の野口理
事長にカレンダーが手渡された。
(組織部:石神澄子)
ユネスコ 2006/1
15
謹 賀 新 年
各種
ユネスコグッズの販売
「宝くじドリームジャンボ絵本」で障害児交流促進
株 式 会 社 ウエー ヴ 21
プロデューサー 木 村 良 夫
謹 賀 新 年
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-36-1-401
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お 知 ら せ
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16
ユネスコ 2006/1
三菱IMPRESSIONGALLERY
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新橋5丁目ビル1F
TEL 03-5777-6825
FAX 03-5777-5351
でいごユネスコクラブ
会 長
国 吉 司図子
〒701-2222 沖縄県宜野湾市喜友名2-27-49
TEL 098-892-2010
FAX 098-892-2185
山口県ユネスコ協会連盟
会 長
副会長
村田昌志
倉光久夫
副会長
副会長
泉 屋 孝
桝野文 子
会 長 村 田 昌 志
〒758-0041 萩市大字江向495-4(生涯学習課内)
TEL 0838-25-3131(内線310)
FAX 0838-25-3149
会 長
事務局 県教育庁文化財保護課
TEL 083-933-4650
FAX 083-933-4669
萩 ユ ネ ス コ 協 会 神 戸ユネスコ協会
会 員 一 同
西宮ユネスコ協 会
会 員 一 同
紀北ユネスコ協 会
会 長 伊藤 育
理事長
加藤義雄
事務局長
大亀 元
辰 馬 章 夫
会 長
事務局
浅 野 徳 彦
会 員 一 同
TEL・FAX 078-362-5016
〒649-6531 和歌山県紀の川市粉河580
生涯学習課内
TEL 0736-73-3312・FAX 0736-73-8353
天 理 ユ ネ ス コ 協 会 大 阪ユネスコ協会
名古屋ユネスコ協会
会 長
山 口 博 恭
会 長 中 馬 弘 毅
役員・会員一同
名誉会長 中 川 秀 典
天理ユネスコ協会会員一同
奈 良 ユ ネ ス コ 協 会 京 都ユネスコ協会
会 長
大 西 照 雄
会 長
森 田 嘉 一
顧 問
会 長
理事長
副会長
永井 啓弐
田川 清
安達 節子
金原 祥子 菅原 通
木村 悠平
各務原ユネスコ協会
会 長
五 島 昭 寿
役員・会員一同
〒504-0912 各務原市那加桜町2-186
産業文化センター1F 国際交流サロン内
TEL 0583-82-0218・FAX 0583-83-1417
岐阜県ユネスコ協会 浜 松 ユ ネ ス コ 協 会
鎌倉ユネスコ協 会
会 員 一 同
平 井 花 画
副 会 長 石 原 典 子
副 会 長 加 藤 陽 司
会 員 一 同
会 長
会 長
小田木 清 種
会 長
平 山 郁 夫
会 員 一 同
会 員 一 同
富 山 ユ ネ ス コ 協 会 静 岡ユネスコ協会
会 長 石 田 智 彦
富山県ユネスコ連絡協議会
埼玉県ユネスコ連絡協議会
会 長
古 田 暉 彦
会 員 一 同
会 員 一 同
事務局
〒420-0833 静岡市蒼区東鷹匠町2-38
石田智彦宅内
TEL・FAX 054-247-0618
Q1 2006 年は何の年?
A
2006年関東ブロックユネスコ活動研究大会inさいたま
日時:2006年12月2日(土)∼3日(日)
会場:さいたま市民会館おおみや
会長
丸橋 安夫
主管:さいたまユネスコ協会 会長 本多 隆
砂漠と砂漠化に関する国際年
International Year of Deserts and Desertification
世界の国々、特にアフリカでは砂漠化によって
(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、国際農業開
被害を受けている人びとがたくさんいます。そこで
発基金(IFAD)などの国連機関間の連携をはか
国連総会は2006年を「砂漠と砂漠化に関する国
り、すべての関係国際機関および国連加盟国に対
際年」と宣言し、国際社会のこの問題に対する認
して、砂漠化の被害を受けてい
識を高め、各国の砂漠化防止への協力を促すこと
る国 々による砂 漠 化 関 連 の
を決定しました。
活動を支援するよう呼びかけ
国 連 の 具体 的 な活 動としては、国 連 環 境 計 画
ることがあげられています。
ユネスコ 2006/1
17
謹 賀 新 年
横浜ユネス コ 協 会
広 長 敬太郎
理事長 水 野 哲太郎
お 知 ら せ
会 員 一 同
小 平ユネスコ協会
会 長 野 崎 耕 一
理事長 西 村 弘
会 長
たまりばユネスコ倶楽部
役員・会員一同
NPO 法人
目 黒 ユ ネ ス コ 協 会
東京都小平市小川町1-947 グランカッサM201号
TEL 042-332-8078・FAX 042-332-8079
住所 〒153-0053 目黒区五本木2-24-3
TEL 03-5725-6150・FAX 03-5725-6160
(土・日・祝日を除く 13時∼16時)
港 ユ ネ ス コ 協 会
杉並ユネスコ協 会
事務所
代表世話人 藤森 照信
副代表世話人
会 長
城戸 一夫・森川 貞夫
在京北海道人ユネスコ協会
顧 問
会 長
副会長
事務局長
児島 仁 顧 問 葛間 寛
藤原恒男
玉井啓一 副会長 阿部一猛
稲葉禮一 会 員 一 同
東京都ユネスコ連絡協議会
市川市ユネスコ協会
鈴木 剛
副会長
城戸一 夫
副会長
黒田幸雄
事務局長
岡 田 茂
西武ユネス コ 協 会
畝本昌介
TEL 04-2922-1370
寄居地方ユネスコ協会
会 長
丸 橋 安 夫
会 長
本 多 馨
会 員 一 同
ユネスコ 2006/1
柏 ユ ネ ス コ 協 会
柏アジア寺子屋協力会
会 長 浅野正子 ほか 会員一同
越谷ユネスコ協 会
会 長 齋 藤 宥 雄
副会長
小池千代子
副会長
千野俊 一
事務局 〒 294-0034 館山市沼 847
事務所 〒 343-8501 埼玉県越谷市越ヶ谷 4-2-1
越谷市教育委員会 生涯学習課内
TEL 048-963-9283
水 戸ユネスコ協会
群馬県ユネスコ連絡協議会
宇佐見 恵 子
会 員 一 同
会 長 矢 島 祭太郎
副会長 山 口 慶 一
副会長 齋 藤 稔
事務局
〒311-4141 水戸市赤塚1丁目1番地 水戸市福祉ボランティア会館気付
TEL・FAX 029-253-2125・携帯 090-1058-9145
太 田ユネスコ協会
会 長
関 口 実
会 員 一 同
A
副会長 若田部 茂子
高崎ユネスコ協 会
会 長
矢島祭太郎
副会長
秋 山 登
副会長
佐藤益朗
副会長
佐々木 治
副会長
高橋英子
副会長
福村平八郎
危機にさらされている世界遺産(危機遺産)の数
(2005年10月現在)
2005年の世界遺産委員会で、危機的状況が改
善されたとして「ブトリント」(アルバ ニア共 和
国)、
「サンガイ国立公園」
(エクアドル共和国)、
「トンブクトゥ」
(マリ共和国)の3件が「危機にさ
らされている世界遺 産リスト」より削除されまし
た。その代わり、残念ながら「ハンバーストーンと
サンタ・ラウラの硝石工場群」
(チリ共和国)と「コ
ロとその港」
(ベネズエラ・ボリバル共和国)が新
18
蓜 島正 次
館 山ユネスコ協会
事務所
〒369-1292 埼玉県大里郡寄居町大字寄居1180-1
寄居町教育委員会内
TEL 048-581-2121
Q 2 34 は何の数?
理事長
役 員 一 同
会 長
〒 359-1153 埼玉県所沢市上山口 2227
事務局
〒167-0031 杉並区本天沼3-11-9 国島方
TEL・FAX 03-3394-9482
会 長 石井 清 ほか 会員一同
会 長
会 長 阿部 昭雄
副会長
三 輪 公 忠
会 長
〒183-0051 東京都府中市栄町1-20-7 カフェスロー2F
朝 倉 絋 治
会 員 一 同
たにリストに加えられました。
アジアでは2005年10月現在、12の世界遺産
が危機遺産リストに登録されています。1992年
には有名な「アンコール」もリストに登録されまし
たが、幸い2004年にリストから外されました。一
方、
「エルサレムの旧市街とその城壁群」は1982
年から登録されており、いまだに危機的状況が続
いています。
佐野ユネ ス コ 協 会
会 長
副会長
荻野高次 副会長 山 田 和 夫
加藤 稔 事務局長 亀 田 宮 吉
会 員 一 同
事務局 TEL・FAX 0283-23-3345
足利ユネ ス コ 協 会
会 長
福島県ユネスコ連絡協議会
会 長
佐 藤 信
会 員 一 同
東北ブロックユネスコ連絡協議会
宮城県ユネスコ連絡協議会
社団法人 仙台ユネスコ協会
会 長 藤 原 五 郎
事務局 〒 960-0241 福島市笹谷字道場 29-9
副 会 長 鈴 木 恵奈夫
福 島ユネスコ協会
間 宵 勉
会 員 一 同
会 長
河 田 亨
会 員 一 同
副 会 長 高 橋 孝 男
事務局長 小野寺 彰
事務局
〒326-8601 足利市本城3丁目2145 足利教育センター
TEL・FAX 0284-21-8766
事務局
〒 960-8018 福島市松本町 1-7 中央学習センター内
事務局 TEL・FAX 022-224-2581
http://www.unesco.jp/senndai/
秋田ユネ ス コ 協 会
岩手県ユネスコ協会連盟
盛岡ユネスコ協 会
大 井 光 弘
副 会 長 及 川 和 彦
会 員 一 同
副 会 長 秋 元 厚 子
会 員 一 同
副 会 長 照 井 義 彦
横手ユネスコ協 会
会 長
遠野ユネ ス コ 協 会
副 会 長 東 島 末 起
副 会 長 三田地 宣 子
TEL 0198-62-4413・FAX 0198-62-2789
事務局長 紺 野 清 夫
事務局
〒 020-0023 盛岡市内丸 10-1 岩手県教育委員会
生涯学習文化課内
TEL 019-629-6176
(社)青森県ユネスコ協会
函 館ユネスコ協会
会 長
遠 山 豊
会 員 一 同
事務局
〒028-0524 遠野市新町1番10号遠野市民センター内
会 長 脇 川 利 勝
副会長 藤 川 直 廸
副会長 葛 西 瑛 子
理事長 和 田 耕十郎
会 長
Q 3 90 は何の数?
関 口 昭 平
〒040-0044 函館市青柳町12番17号
(函館市公民館内)
TEL 0138-22-3320・FAX 0138-22-8196
札 幌ユネスコ協会
副会長
高 橋 千 賀 子・ 太 田 原 弘
会 長
小 田 嶋 伝 一
会 員 一 同
北海道ユネスコ連絡協議会
会 長
廣重 力
副会長
橋本淳孝
副会長
東 隆子
副会長
丸田謙二郎
副会長
大杉 忠
副会長
宮澤一成
事務局長
堀江秀男
事務局長
横山 清
外岡 学
三上 喬
鈴木 徹
A
これまで「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」で
発表された無形文化遺産の数
会 長
事務局
〒 030-0823 青森市橋本三丁目 4-15-2F
TEL・FAX 017-722-4472
会 長 東島 末起
会 長 安 藤 厚
副会長
UNESCOは2005年11月25日、
「第3回人類
の口承及び無形遺産の傑作の宣言」で新たに43
の無形文化遺産を発表し、日本からは「歌舞伎」
が選ばれました。しかし、この宣言は、今回で最後
となりそうです。なぜなら、2003年にUNESCO
総会で採択された「無形文化遺産の保護に関する
条約」の発効が近づいているからです。30カ国が
批准して条約が発効した後は、これまでの「傑作
松 田 悦 子
事務局
〒060-0002 札幌市中央区北2条西3丁目
朝日生命ビル2F
TEL・FAX 011-251-6670
宣言」で発表されたすべての無形文化遺産90件
が、条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的
なリスト」に登録され、以後、
「傑作宣言」は行わ
れない予定です。日本からは今回の歌舞伎の他、
第1回 宣 言(2 0 01年)には「能
楽」が、第2回宣言(2003年)に
は「人形浄瑠璃文楽」が選ばれて
います。
ユネスコ 2006/1
19
お 知 ら せ
『絵で伝えよう!わたしの町のたからもの』
カレンダーを50名に
ご希望の方は、本誌の封筒にあるアン
エンスプログラム」を実施してきまし
ケート用ハガキにご意見・ご希望など
た。このプログラムは、小学生から青
をお書き添えの上、
「カレンダー希望」
年までを対象に、科学への好奇心を育
15 ページで紹介した「絵で伝えよ
と明記してお送りください。発表は発
み、平和の大切さを伝えるものです。
う ! わたしの町のたからもの」絵画展
送(1 月中)をもってかえさせていた
今年 2 月には、いよいよ地球の反対側
の入賞作品 2006 年カレンダーを 50 名
だきます。
ブラジルに遠征。ブラジルでは、サン
にプレゼント。このカレンダーは、同
展に応募のあった約 1 万 3600 作品から
全国審査優秀賞に選ばれた 10 作品を収
めたもので、共催のあいおい損害保険
株式会社から連盟に寄贈されました。
パウロのマグノ小中高等学校、ダンテ・
QRIOサイエンスプログラムinブラジル
アリゲリ小中高等学校の 2 校で授業を
行う予定です。
日本ユネスコ協会連盟
のサイエンスメッセ
ンジャーに任命され
た 2 足歩行型ロボッ
トQRIO(キュリオ)
。
書きそんじハガキキャンペーン関連情報
◆紀伊國屋書店でキャンペーン
紀伊国屋書店では全国の店舗に募金
ソニー株式会社の協
箱を設置し、世界寺子屋運動にご協力
力を得て、2004 年度
くださっています。今年も機関誌 11 月
から仙台、高崎、大
号でお知らせした、書きそんじハガキ
阪、 札 幌、 イ ン ド、
キャンペーン用リーフレットをレジの
ベトナム、タイの各
袋に同封し配付しています。また今年
都 市 で「QRIO サ イ
は同じデザインのポスターも全店舗に
掲示されています。
事務局から
【花巻全国大会記念講演講師の変更】
花巻全国大会記念講演講師は、西澤潤一氏から、山折哲雄氏(宗教家、
前国際日本文化センター所長)に変更になりました。テーマは「文明の共
存を考える」です。講演に引き続きシンポジウムを、コーディネーター山
折哲雄氏、パネリストに寺島実郎氏(㈶日本総合研究所理事長、㈶三井物
産戦略研究所所長)
、王敏(ワンミン)氏(法政大学教授)
、児島仁日ユ協
連会長を迎え、
「平和と共生の明日に向かって、そして、国際理解」のテー
マで討議していただきます。詳細・申込書は付録要項をご覧ください。
【全国高校ユネスコ研究大会 2006年度の開催地決定】
毎年、大勢の高校生たちが一堂に会し、活発な研究と交流を行う全国高
校ユネスコ研究大会。第52 回目となる2006 年度大会の開催地が、沖縄県に
決定しました。日程は 8 月 2 日
(水)∼ 5 日
(土)の 3 泊 4 日。地域・利用施設
などはまだ未定ですが、今年もまた熱い(!)大会になりそうです。
みや うち
みつ よし
【新事務局長に宮内 盈義氏】
11 月 26 日の第 439 回理事会の議決後、児島会長が任命
し、新事務局長が決まりました。
宮内盈義氏・1939 年 11 月 22 日生まれ。千葉県出身。1967 年文部省大学学
術局、国立民族学博物館企画課長、東京大学国際主幹、南極観測管理部長、
九州芸術工科大学事務局長、鳥取大学事務局長を経て、1998 年 4 月よりユ
ネスコ・アジア文化センター総務部長、1999 年 5 月より同理事となり、2005
年5月に退任。11月 28日より日ユ協連事務局長として常勤。
◆ 2005 年度リーフレットコンテスト、
ネット上で実施
上記の書きそんじハガキキャンペー
ン用リーフレットは、
「D -プロジェクト
児童・生徒が作る『ユネスコ・世界寺
子屋運動』リーフレット制作」
(協力:
アドビシステムズ㈱)の、2004 年度最
優秀作品(大阪府私立羽衣学園高等学
校の生徒によるデザイン)を使用して
います。同プロジェクトには今年も全
国 21 の小・中・高等学校が参加してお
り、インターネット上でキャンペーン
用リーフレットのコンテストを実施す
る予定です。乞うご期待、そして是非
投票を。
詳しくは下記ホームページまで。
http://www.d-project.jp
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ユネスコ 2006/1
2006年1月以降 事業予定
新・書きそんじハガキBOX完成
電通グ
ループのご
• 2006年
11月21日
第8回 評議員会・第440回 理事会(東京)
11月22日
2006年度 ブロック別ユネスコ活動研究会主管
ユ協会議(東京)
12月14日∼12日
QRIOサイエンスプログラム inブラジル
12月11日∼12日
ユネスコ・ユースセミナー2005(東京)
13月14日
第441回 理事会(東京)
トな箱が完成しました。イメージカラー
13月25日∼14月8日
ユネスコ青年交流信託基金スタディツアー inインド
は美しい“赤”です。より多くの方の注
13月28日
「絵で伝えよう!わたしの町のたからもの絵画展」
全国表彰式
14月上旬
「地域草の根活動振興助成金」選考・決定
協 力 に よ り、
新しい書きそ
んじハガキボッ
クスのデザインが一
新。ユネスコ・世界寺子屋運動のシン
ボル「てらちゃん」が印刷されたスマー
目を集め、たくさんの書きそんじハガ
キが集まるのではと期待も大。ぜひご
活用ください。詳細は教育文化事業部
「絵で伝えよう!わたしの町のたからもの絵画展」
参加ユ協募集
まで。
「平和の鐘を鳴らそう」参加ユ協募集
日本ユネスコ国内委員会の
新任委員(敬称略)決まる
日本ユネスコ国内委員会(会長:吉
川弘之)は「ユネスコに関する法律」
に基き、文部科学省に置かれる特別の
15月13日
第9回 評議員会・第442回 理事会(東京)
16月12日
第443回 理事会・第57回 総会(岩手県・花巻市)
16月13日∼14日
第62回 日本ユネスコ運動全国大会 in花巻
17月27日∼29日
第6回 UNESCO東アジアこども芸術祭
(モンゴル・ウランバートル)
1夏
第38回 ユネスコ子どもキャンプ
を代表する 60 名以内の委員で構成され
18月12日∼15日
第52回 全国高校ユネスコ研究大会(沖縄県)
ています。地域的なユネスコ活動領域
19月16日
第10回 評議員会・第444回 理事会(東京)
を代表する委員として、2005 年 12 月 1
19月23日∼24日
北海道ブロックユネスコ活動研究会(札幌)
19月30日∼10月1日
中部東ブロックユネスコ活動研究会(松本)
19月30日∼10月1日
中国ブロックユネスコ活動研究会(萩)
10月21日∼22日
中部西ブロックユネスコ活動研究会(富山)
10月28日
近畿ブロックユネスコ活動研究会(長浜)
11月
世界寺子屋運動書きそんじハガキキャンペーン開始
機関。教育、科学、文化などの各分野
日、以下の方々がユネスコ協会から新
任委員として選任されました。
関 東:ひたちなかユネスコ協会副会長
大河内 禮子
中 国:広島ユネスコ協会会長
北川 建次
近 畿:和歌山ユネスコ協会会長
波田 一也
四 国:徳島ユネスコ協会会長
山本 淹子
[継続委員]
全国的連合組織:
㈳日本ユネスコ協会連盟理事
九州ブロックユネスコ活動研究会(佐賀)
11月25日
第445回 理事会(東京)
12月12日∼3日
関東ブロックユネスコ活動研究会(埼玉)
• 2007年
11月20日
第11回 評議員会・第446回 理事会(東京)
13月13日
第447回 理事会(東京)
西村 幸夫
㈳日本ユネスコ協会連盟理事長
野口 昇
北海道:北海道ユネスコ連絡協議会副会長
橋本 淳孝
東 北:岩手県ユネスコ協会連盟副会長
三田地 宣子
中部東:長野県ユネスコ連絡協議会会長
岡宮 照行
中部西:名古屋ユネスコ協会理事長
安達 節子
九 州:佐賀ユネスコ協会副会長
江打 正敏
ユネスコ 2006/1
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タージ・マハルが最も美しい瞬間
連 載
世界遺産の 現場[28]
©さいとうなんぺい
タージ・マハル︵インド︶
タージ・マハルはインド中部アーグラー市のはずれ、ヤ
ムナー川畔にあります。霊廟は左右対称の総白大理石造
りで、この建物が最も美しく見えるのは、朝日に映える
早朝です。
ムガール第 5 代皇帝シャー・ジャハーンが愛妃ムムター
ズのために建てた霊廟で、高さ 5.5 m、幅約 95m の基壇上
の中央に高さ 58 mの廟堂をのせています。
基壇の四隅には、高さ 42m のミナレット(尖塔)が廟
堂を見守るようにそびえ立っています。完成は 1654 年、
22 年の歳月と 2 万人を超す労働力が費やされました。
午前 5 時、まだ薄暗いタージ・マハル霊廟正面の門前で
す。開門は 5 時半ですが、もう 100 人を超す参観客がつめ
かけています。宿泊しているホテルの立地条件にもより
ますが、地上最高の美と対面するには“4 時起き ”の覚悟
が必要です。朝寝坊の方は、くれぐれもご用心ください。
門の開くのをぼんやり待っていると、小走りに近づい
てきた女性が
「ぷーっ」
と噴き出しました。昨日アーグラー
城で出会った日本人観光客です。ヒンドゥー語で「コン
ニチハ」は「ナマステー」だと教えたとき「生捨て、煮
て食う」と覚えるといいといったら、なぜか「ニテクウ」
の方が印象深かったようで、インド人に「ニテクウ」を
連発した勇ましい女性でした。思いがけず筆者と再会し
て、昨日の光景が蘇ったのか、こらえきれず霊廟の門前
にはふさわしくない大爆笑となったのでした。
5 時 30 分、開門です。気品高い廟堂の壁面が、ほんの
りピンク色に染まり始めました。タージ・マハルが 1 日で
最も美しい表情を見せる瞬間です。
4000 年の歴史が生んだ伝統芸術の集大成、ムガール建
築最高峰の英姿は刻一刻と変化し、地上最高の美は、こ
うして瞬時に終わります。 (写真・文 さいとうなんぺい)
さいとうなんぺい・1934年9月、東京神田生まれ。雑誌・新聞記者を経て、フリーランスライターとして世界の各都市から辺境の地まで単身で駆け回る。
現在は世界遺産を中心に取材活動中。23年あまりにわたる世界遺産歴訪は280ヶ所を越す。http://www.saitownanpei.com/
読者の声
月号より
11
●「平和の鐘を鳴らそう!」の紹介で、
れたときは、氷がボサボサした感じで
この運動が各地に少しずつ広がって
いることがわかりました。特に鹿児島
茶色くなり、ひび割れもできていまし
た。小さな小川まで流れていて、靴は
凍るどころか濡れてしまいました。こ
ユ協で行っている宗教団体の共催は
注目です。宗教間の紛争が続いていま
すが、宗教の本質は人びとの幸せづく
りであるはずです。そして幸せを崩そ
うとする戦争は、絶対にやってはなら
ないものです。共に手を携えて活動し
ていくことに大きな意義があります。
(静岡県:高部宗夫)
●「世界遺産の現場」でコロンビア大
氷原についての記事を読み、まったく
そうだと思いました。10 数年前に訪
れたときは「本当に氷河だ」と感動。
それから 5 年ほどたち、再び所用で訪
れは地球温暖化以外の何ものでもあ
りません。恐ろしいことだと、とても
残念に思ったことでした。
(北海道:白井祐子)
皆さまからのお便りをお待ちしております。
封筒のリサイクルハガキをご利用ください。
土屋 幾夫さん
日本ユネスコ協会連盟元理事(95 ∼ 96 年)
、
高崎ユネスコ協会顧問(元会長)
10 月 31日逝去 享年 78 歳
編 集 後 記
◆科学はサッパリの私にも、日本
科学未来館で出会ったインタープ
リターやボランティアの皆さんの
説明はほんとに目からウロコ。「も
う少し知りたいな…」 そんな気持
ちになった自分に一番驚いたのは
私自身でした。
◆また、日本科学未来館のコンセ
プト
(p.5)
に、私たち民間ユネスコ
運動とあい通じるものの多いこと
にも驚かされました。
「新しい出会
いの場」
「知の合流点」
「新しい科
学文化を創るための触媒」…、
「進
化する運動体」
。
◆新しい年、私たちの運動体はど
んな軌跡を描き、進化するのでしょ
うか。
(K.C.)
社団法人日本ユネスコ協会連盟は、ユネスコ憲章の精神に共鳴した人びとによって1947年、世界にさきがけて仙台で始められた、民間ユネスコ
運動の日本における連合体でNGO(非政府組織)です。現在全国に約300のユネスコ協会があります。
1
2006年1月1日発行 通巻第1101号
発行 ●社団法人 日本ユネスコ協会連盟 発行人・野口昇 編集人・鈴木幹夫 ●購読料 800 円/1年(発送料込)
東京00150−9−56030 〒 150-0013 東京都渋谷区恵比寿1−3−1 朝日生命恵比寿ビル12階
第 3 種郵便物認可(奇数月1日発行)
TEL 03
(5424)1121 FAX 03
(5424)
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