平成19年度中国地域における アニメ等コンテンツを活用した 地域振興方策の実証事業 実施報告書 平成 20 年 3 月 中国経済産業局 事業の概要 地域特定型キャラクタービジネスのモデル事業 ○妖怪神社の御守 (販売開始済み) ビジネスプラン優秀賞(6商品) ○ホネホネせんべい ○日よけ暖簾 (開発中) ↓ (事業の効果分析) 商品開発(3商品) ■ビジネスプランコンテストの効果・メリット ↓ ○200 以上のビジネスプランが提案された ・夢のあるプランがあり、将来的な実現に期待 商品化 ・地域への新たな参加意識・愛着を引き出すきっかけ ○地場産業の弓浜絣にスポットライトがあてられた ・今までになかった地場産業とキャラクターのコラボ ・ニュースバリューとしても高い取り組みとなった ■販売効果等 ○正月三が日で約 300 個、3月 17 日までの2カ月半で合計 472 個が販売(売上額 47 万2千円) ○雑誌等にも取り上げられ、販売店では一つの目玉グッズに ・販売している御守の中では 1 番売れた ○絣の良さが主要因となって購入されている面もある ○水木しげるロードの認知度アップ、PR効果に大きく寄与 (課題・問題点) ○コンテスト結果(アイディアの面白さ)と商品化のし易さにズレ がある。 ○商品の供給力が大きなボトルネックになる場合もある (1)境港市における取組 「ゲゲゲの鬼太郎」を始めとする妖怪キャラクターを活用した新商品・新サービスの開発及び販路開拓 に実験的に取り組むことにより、売れる商品づくりや地域発のブランド構築の実現、それらを通じた地域 経済の活性化及び中小企業の振興の可能性を検証する。具体的に、境港市の特産である魚介とその加工品、 弓が浜かすりと「鬼太郎」をタイアップさせたビジネスプランの企画コンペを実施し、提案されたビジネ スプランを基に商品開発を行った。 (商品化へのポイント) ビジネスプランは、以下の審査基準により選定された。 この審査基準が、キャラクターを活かした商品開発のポイントとなる。 ・アイデアのオリジナリティ 商品開発フロー ・「ゲゲゲの鬼太郎」キャラクターの効果的な活用 ・商品化可能性 ビジネスプラン募集 (商品化) ↓ 以上の審査を経て3つのビジネスプランが商品開発に取組まれ ビジネスプラン審査 た。このうち、妖怪神社の御守は平成 20 年1月1日より販売が開 ↓ 始された。 1.キャラクターを活用した地域ブランドの開発及び販路開拓の試行 第2章 喫茶店(商品限定) ぶらぶらしながら食べられる健康素材 コナンロード道の駅(お食事処) 地産地消が食べられるお店(コナンで子どもやファンをひきつける) 探偵喫茶 B班 C班 D班 E班 (事業の効果分析) ■相互送客キャンペーンの集客効果 ・約2カ月間のクーポン利用者は「温泉郷→ふるさと館」側で 215 人、「ふるさと館→温泉郷」側で 16 人、 合計 231 人。 「ふるさと館→温泉郷」の利用者が少なく、相互送客という面ではやや課題が残る結果。 ・ふるさと館では、クーポン利用による入館者増は、温泉→ふるさと館という新たな集客ルート開拓による 純増加と捉えられ、大変有意義だったと評価。 ■1周年記念バザール、わいわいブレストの評価 ・バザールの来場者の満足度はおおむね高いが、関係者の多くは、来訪者の少なさを指摘。PRの不足、タ ーゲットとする対象・地域の不明確さが課題。 ・わいわいブレストについては、問題意識を共有し、アイデアを議論する貴重な機会だったと高い評価。 世界の名探偵に会える店(幅広い探偵ファンの取り込み→顧客層の拡大・滞在時間の増加) コナン通り散策時の飲料・軽食を提供(テイクアウト形式) ふるさと館来場者へのおもてなし(アニメ上映) 地元の食材を使用し,安い,美味しいものを提供(入りやすい店づくり) じげのレストラン&喫茶 A班 概要 店舗名 班 (2)北栄町における取組 北栄町コナンの里づくり計画推進委員会等と協力し、「青山剛昌ふるさと館」を核とし、「名探偵コナ ン」を含めた集客交流に関わる新サービスの開発・提供に実験的に取り組むことにより、集客交流の促進 可能性を検証した。具体的には、青山剛昌ふるさと館+梨の花温泉郷相互送客キャンペーン事業として 100 円割引になる特典付き紹介チラシの配布と青山剛昌ふるさと館・地域ぐるみ集客促進事業として、青山剛 昌ふるさと館 1 周年記念バザールとキャラクター等を活かしたまちづくりに関するワークショップ「由良 宿活性化わいわいブレスト」を実施した。 (青山剛昌ふるさと館+梨の花温泉郷相互送客キャンペーン事業) 青山剛昌ふるさと館と梨の花温泉郷に立地する約 20 の旅館において、相互の紹介割引クーポンを配布 し、相互の層客を実施。 利用者数 梨の花温泉郷→青山剛昌ふるさと館 215 人、青山剛昌ふるさと館→梨の花温泉郷 16 人 (青山剛昌ふるさと館 1 周年記念バザール) 青山剛昌ふるさと館1周年記念として、地元商工会関係者により、地元食材の提供や子供向けアトラク ションなど 10 ブースを出店。3月 22・23 日の2日間で約 700 人が来場 (由良宿活性化わいわいブレスト) 住民等による青山剛昌ふるさと館の支援方策や同館を核とした由良宿の活性化方策を検討するための イベント型のワークショップを開催。地域内外から 16 名が参加者。5グループに分かれ、コナン通りに おける新たなビジネスプランを検討。 提案されたビジネスプラン 1.事業の目的 中国地域においてアニメ等コンテンツの持つ力・可能性を活かした産業育成の可能性を検討し、実証事業の試験的実施を通じて、それらの地域や企業への経済的な波及効果を検証するとともに、アニメ等コンテンツ を活用した地域振興に取り組む関係者の交流機会と発信機会を提供することを目的とする。 2.事業の視点 本事業では、平成 18 年度調査を受け、以下の項目に着目し、実証事業を行った。 (1)地域限定型キャラクタービジネスの推進 (4)アニメ等コンテンツの効用を活かした産業支援 (2)地域限定型クリエイティブ・コモンズの検討 (5)ネットワークの強化によるプロデュース機能の強化 (3)アニメ制作ビジネスの推進 (6)アニメ等のキャラクターを活用した地域振興の掘り起こし 第1章 平成19年度中国地域におけるアニメ等コンテンツを活用した地域振興方策の実証事業 【 概 要 】 地方におけるアニメ制作ビジネスのモデル事業 今後の取り組みの方向性・課題 アニメCMコンペの継続・発展 ・特殊制作ツール等を備え、時間単位で利用できるような制作の場の提供 ・クリエイター同士の交流拠点、情報発信拠点の整備 ・地域住民への情報発信の強化 クリエイターの交流環境、アニメ制作環境の整備 ・新たな計画・体制づくり ・評価軸の明確化、応募者の意識啓発の促進 ① (2)アニメ制作ビジネスの推進について ・協力・連携の基盤づくり(ブレーンストーミング、ビジネスプランコンテスト等) ・キャラクタービジネスに関するサポート・アドバイス体制の強化 ・関係者間の情報交換・ネットワーク強化の推進 小冊子「まんがアニメ中国路」の改訂 (事業の目的) 中国地域にゆかりのあるアニメ等コンテンツのPRを図るため、新たな地 域のコンテンツや取り組みを集め、昨年度版の小冊子「まんがアニメ中国路」 を改訂する形で作成した。 第5章 ② ・事業者の誘致 ・版権所有者との調整ノウハウ等、先行知見・ノウハウの共有化 プロモーションイベントの実施 (事業の目的) アニメ等コンテンツ産業の育成に向けた気運の醸成、アニメ等コンテンツ を活用した地域振興に携わる関係者間のネットワークづくり、中国地域にゆ かりのあるアニメ等コンテンツ及びそれらを活用した地域振興に関する情 報提供を行うことを目的として、「まんが・アニメ中国路〜マンガ・アニメ の力・可能性を地域に活かす〜」と題するプロモーションイベントを開催。 (イベント概要) 開催日:平成 19 年 11 月 11・12 日 場所:エールエール地下広場(広島市南区) プログラム:基調講演(タケカワユキヒデ氏)パネルディスカッション、中 国地域のアニメ等制作者、地域づくり実践者等によるブース展 示、アニメ上映など 来場者数:約 800 人(2日間合計) 第4章 ②自治体を中心とする地域ぐるみの推進体制の構築 ③キャラクタービジネスに長けた事業者の確保・育成 ①プロデュース機能、キュレイション機能の確保・強化 (1)地域限定型キャラクタービジネスの推進について 第6章 (事業の目的) 平成 18 年度に続き、地方におけるアニメーションを使用した企業CM制作の仕組みをさらに発展・定着させるため、新たに、人材 育成の視点をからめながら、アニメCMの公募・選考・制作を試行的に実施する。また、それらの企業CMを一般の人に実際に視聴し てもらい、当該企業に対する消費者のイメージ(好感度)の変化をみることにより、その効果を測定することを目的とする。 (協賛企業) ・オタフクソース、セカンドビジョン(サービス:歌詞ゲット) (募 集) ・全国のアニメ・映像等関連大学、専門学校 151 校及び昨年の応募者 31 名に募集チラシを発送。bサイト「アニメーシ ョンシティ広島」で告知。また、雑誌「公募ガイド」に掲載を依頼。 (選考方法) ・有識者、協賛企業の方を委員とする第2回アニメCMオープン・コンペ実行委員会を組織し、2回の審査(1次審査: 絵コンテ審査、2次審査:アニメーション作品審査)により、各社ごとに優秀賞を選出。 (選考基準) ≪2次審査≫ ≪1 次審査≫ ・技術的完成度 ・アニメーションならではでの表現技法やストーリー展開を意識 ・訴求力(インパクト)の強さ した作品 ・協賛企業のCMとしての適否 ・15秒CMという制約と上手に調和した作品 (1次審査) オタフクソースCM(テーマ「お好み焼で団らん」)として 113 点、歌詞ゲットCM(テーマ「My Memories~音楽のある風景~」) 13 点の応募があり、審査の結果、オタフクソースCM通過 11 作品、歌詞ゲットCM通過 7 作品を選定。 (2次審査) 1次審査通過作品のうち、オタフクソースCMに9作品、歌詞ゲットCMに5作品の応募があり、審査の結果、以下の2作品を選定 オタフクソースCM: 「おこのみやきのおいしいたべかた」 竹森 梓 氏 (比治山大学短期大学部) 歌詞ゲットCM : 「歌詞ゲットで思い出写真!」 星 衣久江 氏 (京都造形芸術大学通信部) (事業の効果分析) ・オタフクソースCMでは、好感度が高く、「内容がアニメで表現することに適している」という点でも高評価。歌詞ゲットCMでは 「企業・商品・サービス内容が分かり易く伝わる」という点で高評価。 ・本調査では、アニメCMは実写等のCMに比べて好印象の割合が高くなっており、アニメCMの活用可能性が把握された。 第3章 (1)定義 :特定のアニメ等コンテンツの作品やキャラクターまたは出身作家と特定地域が提携し、アニメ等コンテンツのさらなるイメージアップと地域振興を目的とする活動及びそれを推進する地域 (2)実施条件 a.版権所有者の理解と協力 c.使用コンテンツ等の特定 e.著作権料(一定の著作権料を支払うことが基本) b.一業種一団体主義の適用 d.イメージアップ(コンテンツのイメージや価値を損なわない) (3)位置づけ a.自治体事業 :自治体を中心に経済団体や行政機関を巻き込んだ地域ぐるみの活動とすることが望ましい b.版権所有者との契約等 :コンテンツの使用点数や使用範囲等について、版権所有者との合意形成(契約・覚書等の締結)が必要 c.地域資源としての位置づけ:公設施設内の展示物等のコンテンツは、すべてが自治体の資産でなく、版権所有者の所有物というケースもある 地域資源として位置づけられる範囲と活用方法について、自治体と版権所有者が十分に協議し、双方にとって適切な解決方策を見出していくことが必要 2.アニメ「公認タウン」制度の検討 目 第1章 次 事業の概要 1.事業の目的 ························································ 1 2.事業の視点・内容 ·················································· 1 3.事業実施体制 ······················································ 4 4.検討委員会 ························································ 5 第2章 地域特定型キャラクタービジネスのモデル事業 1.境港市におけるモデル事業の取り組み ································ 7 2.北栄町におけるモデル事業の取り組み ································ 18 3.アニメ「公認タウン」制度の検討 ···································· 40 4.著作権処理方策について ············································ 44 第3章 地方におけるアニメ制作ビジネスのモデル事業 1.モデル事業の背景・目的 ············································ 51 2.実施概要 ·························································· 51 3.実施経緯(CM制作企業の募集・選定の経緯(選定までの流れ)) ······· 53 4.アニメ制作ビジネスの効果分析 ······································ 60 第4章 プロモーションイベントの開催 1.開催の目的 ························································ 69 2.実施概要 ·························································· 69 3.基調講演・パネルディスカッション概要 ······························ 69 4.アニメ等コンテンツを活用した地域振興に携わる関係者の出展 ·········· 71 5.開催効果 ·························································· 72 第5章 小冊子「まんがアニメ中国路」の改訂 1.改訂の目的 ························································ 74 2.活用方針 ·························································· 74 3.編集方針 ·························································· 74 4.概要・構成 ························································ 74 第6章 今後の取り組みの方向性・課題 1.地域限定型キャラクタービジネスの推進について ······················ 80 2.アニメ制作ビジネスの推進について ·································· 81 資料編 タケカワユキヒデ氏 基調講演録 ········································ パネルディスカッション 講演録 ········································ 83 86 第1章 事業の概要 1.事業の目的 中国地域では近年、アニメ等コンテンツを活用した地域振興に取り組む例が輩出しつ つある。こうした状況を踏まえ、中国経済産業局は平成 18 年度、「中国地域におけるア ニメ等コンテンツを活用した地域振興方策調査」(以下、「平成 18 年度事業」という。) を実施した。この調査では、漫画やアニメーションというアニメ等コンテンツを活用し た地域振興のために、まず中国地域の実態について把握するとともに、課題となってい る「プロデュース機能」、「人材育成機能」、「著作権処理」、「海外展開・海外連携」につ いて、その対応策を調査・検討した。 その結果、アニメ等コンテンツを活用した地域振興方策の視点として、上記4つの課 題対応を念頭に、漫画やアニメーション制作に関わるコンテンツ関連企業の育成や人材 育成に加え、漫画やアニメーションそのものが持つ様々な力・可能性に着目し、それら のもたらす効用を地域や既存企業の発展に繋げていくことも重要であることがわかった。 この視点はコンテンツ産業の育成・発展に取り組む首都圏や近畿地方、九州地方などに はみられない独創性に富むものであり、有望コンテンツが数多く存在する中国地域にお いては、地域の強みが活かされた取り組み領域であると考えられる。また、中国地域で アニメ等コンテンツを活用した地域振興に取り組んでいる関係者の多くは相互交流やネ ットワークの強化を課題としてあげており、関係者間の情報交換・交流促進のニーズが 高いことがわかった。 これらを踏まえ、本事業は、中国地域においてアニメ等コンテンツの持つ力・可能性 を活かした産業育成の可能性を検討し、実証事業の試験的実施を通じて、それらの地域 や企業への経済的な効果を検証するとともに、アニメ等コンテンツを活用した地域振興 に取り組む関係者の交流機会と発信機会を提供することを目的として実施した。 な お 、 今 回 の 事 業 の 「 ア ニ メ 等 」 と は 、「 ア ニ メ ー シ ョ ン 」 と 「 漫 画 」 を 対 象 と し て いる(以下同じ)。 2.事業の視点・内容 (1)地域限定型キャラクタービジネスの推進 中国地域の特定市町等にゆかりのあるアニメ等コンテンツは、それ自身が特色ある 地域資源であり、またアニメ等のキャラクターを活用した商品・サービスもその独自 性 が 高 い 。 そ こ で 、「 地 域 資 源 活 用 販 路 開 拓 等 支 援 事 業 」 や 「 地 域 資 源 活 用 売 れ る 商 品づくり支援事業」などの活用(適用)も視野に入れつつ、アニメ等のキャラクター を活用した商品・サービスの開発を試験的に行い、新たな地域ブランドとしての活用 -1- 可能性について検証した。本事業では、キャラクターの知名度が特に高い「ゲゲゲの 鬼太郎」と「名探偵コナン」を活用したビジネスを検討することとし、鳥取県境港市 と北栄町でのケーススタディを行った。 (2)地域限定型クリエイティブ・コモンズの検討 平成 18 年度調査において、アニメ等コンテンツを活用した地域振興に取り組む自 治体や企業、民間団体等はキャラクター使用にあたっての著作権の処理に苦慮してい ることが明らかになり、その対応策として、クリエイティブ・コモンズの考え方に着 目 し 、 中 国 地 域 に お け る そ の 導 入 可 能 性 が 検 討 さ れ た 。 こ の こ と に つ い て 、( 1 ) の 地域限定型キャラクタービジネスの検討を行う過程で、特定市町においてキャラクタ ー等を使用する際の条件や課題等を明らかにし、地域限定型クリエイティブ・コモン ズとも言うべき、著作権処理のあり方について検討・提案を行った。 (3)アニメ制作ビジネスの推進 中国地域ではアニメ等コンテンツを活用した地域振興の取り組みとして、文化振興 や集客交流に関わるものがほとんどであり、漫画やアニメ等のコンテンツ制作に関わ る産業育成に関わる取り組みはほとんどみられない。その中で、広島市においては平 成 18 年度、広島経済同友会アニメーションビエンナーレ基金が中心となって、若手 アニメ制作者の育成の視点を絡めたアニメCMの制作事業を実施するなど、アニメ制 作に関わる産業育成に向けた試みが始まっており、今後そうした取り組みを支援・発 展させることが必要と考えられる。そこで、平成 18 年度の広島市でのアニメCM制 作の取り組みを踏まえ、その経験とノウハウ、ネットワークを活用し、さらに発展さ せていく形で、アニメを活用した企業CMの制作を試行し、その広告効果や人材育成 効果等について検証を行った。 (4)アニメ等コンテンツの効用を活かした産業支援 アニメ等コンテンツの消費拡大を図り、ひいてはアニメ等コンテンツの制作・販売 に関わる産業育成や集客交流の促進を図るためには、平成 18 年度調査で提案された 「アニメ等コンテンツの持つ力・可能性を活かす」という考え方や具体的事例につい て、アニメ等コンテンツの制作者やプロダクション、それらを活用した地域振興に取 り組む(あるいは取り組もうとする)関係者や消費者がそのコンセプト等を理解・共 感し、その具体化に向けた機運を醸成することが大切である。そこで、中国地域内外 にコンセプトを広く周知するとともに、コンテンツ産業の育成気運の醸成を図るため、 「アニメ等コンテンツの持つ力・可能性を活かす」テーマとしたプロモーションイベ ントを開催した。 -2- (5)ネットワークの強化によるプロデュース機能の強化 中国地域においてアニメ等コンテンツを活用した地域振興に取り組んでいる関係者 の多くは、プロデュース機能の確保や著作権処理の方法を中心とした取り組み手法に ついて悩みを抱えており、その解決に向けて、同じような地域振興活動に取り組む関 係者どうしの情報交換とネットワークの形成を希望している。こうした状況を踏まえ、 関係者間の情報交換と対人関係の強化を推進するため、上記プロモーションイベント の開催、および事例をとりまとめた小冊子の作成・配布等を行った。 (6)アニメ等のキャラクターを活用した地域振興の掘り起こし 平成 18 年度調査では、中国地域にゆかりのあるアニメ等コンテンツが多数存在し ていることがわかった。しかし、有名な作品や制作者、キャラクターであっても地域 振興に効果的に活用されていないケースもみられた。そのため、平成 18 年度調査で 把握した、中国地域の中では先駆的な地域振興事例の紹介を通じて、未活用地域の関 係者に対する啓蒙を図るとともに、新たな活用事例の情報を積極的に収集・発信する ことによって、それらの取り組みを情報面から後押しし、アニメ等のキャラクターを 活用した地域振興の掘り起こしに努めた。具体的には、上記プロモーションイベント の開催や小冊子の作成等を通じてこれを推進した。 -3- 3.事業実施体制 (1)事業実施体制の概要 本業務は、経済産業省中国経済産業局の委託により、社団法人中国地方総合研究セ ン タ ー が 実 施 し た 。 な お 、事 業 を 円 滑 に 実 施 す る た め 、 漫 画 ・ ア ニ メ 業 界 等 と の ネ ッ トワークを有する有限会社地域科学研究所と連携するとともに、各種モデル事業の実 施や小冊子「まんがアニメ中国路」の改訂を円滑に進めていくため、アニメCM制作 の実施実績を持つ株式会社総合広告社、デザイン等を通じた地域ブランド戦略や人材 育成事業、コンテンツ・プロデュース事業を推進する有限会社ROCKETSの協力 を得て実施した。なお、本調査にあたっては、検討委員会(4.において後述)を設 置し、各種事業内容について検討を行った。 (委託元) (委託先) 経済産業省 社団法人中国地方総合研究センター 中国経済産業局 有限会社地域科学研究所(再委託先) 検討委員会 株式会社総合広告社(再委託先) 有限会社ROCKETS(再委託先) (2)各主体の役割分担 各調査項目の実施にあたっては、各主体が下記の役割分担により実施した。 ○ ○ ◎ ◎ ○ ㈲地域科学研究所 再委託先 ◎ ○ ○ ○ ◎ ㈱総合広告社 再委託先 ○ ◎ ○ ㈲ROCKETS 再委託先 ○ ⑥小冊子「まんがアニメ中国路」 の改訂 ④実証事業の効果の把握・分析 ②地方におけるアニメ制作ビジネス のモデル事業 ③プロモーションイベントの開催 ①地域特定型キャラクタービジネス のモデル事業 社団法人中国地方総合研究センター 関係事業者 ○ ○ (◎:主担当、○:担当) -4- 4.検討委員会 (1)検討委員会の概要 本調査では、アニメ等コンテンツの持つ力・可能性を活かした産業育成の可能性を 検討するとともに、実証結果を基に地域や企業への経済的な波及効果等について事業 評価を行うため、有識者、専門家、地域振興に取り組む自治体、団体、企業等からな る検討委員会を設置し、計3回の委員会を開催した。 (2)検討委員 氏名 所属・役職 安東 善博 広島経済同友会アニメーションビエンナーレ基金代表理事 尾本 哲朗 中国経済産業局産業部産業振興課コンテンツ産業支援室長 小谷 鳥取県物産協会 会長 寛 (座長) 澤田 廉路 財団法人とっとり政策総合研究センター 調査研究サブディレクター 杉殿 育恵 アニメーションクリエイター 田中 和由 コナン探偵社 代表 谷口 重徳 (副座長) 広島国際学院大学准教授 桝田 知身 境港市観光協会会長・水木しげる記念館館長 松浦 妙子 アニメーションシティ広島サポーター 山口 康男 中間法人日本動画協会 専務理事 (敬称略、五十音順) (3)検討委員会開催時期及び検討項目 a. 第1回検討委員会 ① 開催日時:平成 19 年8月 27 日 ② 開催場所:中国経済産業局第2会議室 ③ 検討項目 ・調査概要について ・モデル事業・プロモーションイベント開催に向けた準備状況について ・地方におけるアニメ活用ビジネスのあり方について(意見交換) b.第2回検討委員会 ① 開催日時:平成 19 年 12 月 26 日 ② 開催場所:中国経済産業局第1会議室A ③ 検討項目 ・プロモーションイベントの実施報告 -5- ・モデル事業の進捗状況報告 ・モデル事業の実施効果検証の方法について ・アニメ公認タウン等の検討 ・小冊子の作成について c. 第3回検討委員会 ① 開催日時:平成 20 年3月 24 日 ② 開催場所:中国経済産業局第1会議室A ③ 検討項目 ・事業実施報告書(案)について ・小冊子について ・アニメ等コンテンツを活用した地域振興の今後のあり方について(自由討議) -6- 第2章 地域特定型キャラクタービジネスのモデル事業 1.境港市におけるモデル事業の取り組み (1)モデル事業の背景・目的 境港市では、水木プロダクションの厚意によって商品開発等におけるキャラクター 使用料が比較的安価に抑えられており、それが地元の中小事業者による関連商品の開 発・販売を後押しして、すでに多数の商品・サービスが販売されている。しかし、そ の多くは境港市への来訪客に対する対面販売によるもので、全国各地の潜在的顧客 (例:ゲゲゲの鬼太郎ファン、妖怪ファン)等に対する積極的な販売プロモーション が十分でないと言える。また、関連グッズ以外の既存の特産品との連携が十分でなく、 境港市の地場産業全体の振興に結びついていない実態もみられる。 こうした状況を踏まえ、境港市においては、「ゲゲゲの鬼太郎」を始めとする妖怪 キャラクターを活用した新商品・新サービスの開発及び販路開拓に実験的に取り組む ことにより、売れる商品づくりや地域発のブランド構築の実現、それらを通じた地域 経済の活性化及び中小企業の振興の可能性を検証する。具体的に、境港市の特産であ る魚介とその加工品、弓浜絣と「鬼太郎」をタイアップさせたビジネスプランの企画 開発を行った。 (2)実施概要 a.ゲゲゲの鬼太郎新ビジネスプランコンテストの実施と商品開発 ・「 ゲ ゲ ゲ の 鬼 太 郎 」 の ス ト ー リ ー や 作 品 に 登 場 す る キ ャ ラ ク タ ー を 活 用 し た 、 魚 介及びその加工品、弓浜絣の新しい商品やサービスについて、全国からアイデア を募集した。 ・募集は、起業を目指す学生やドリームゲート関係者へのDM、主催者のウェブサ イトでの情報提供、雑誌「公募ガイド」への掲載等により行った。 ・境港市の事業者が応募アイデアを審査し、商品化できると思われるアイデアにつ いて、試作品等を制作した。 ・一部商品(妖怪神社のお守り)については、実際に販売を行った。 b.実施体制 主 催:中国経済産業局、境港商工会議所 協 力:水木プロダクション -7- 「ゲゲゲの鬼太郎・新ビジネスプランコンテスト」募集要項 1.目 的 境港市の特産である魚介とその加工品、弓浜絣と「ゲゲゲの鬼太郎」をタイアップ さ せ た 新 し い ビ ジ ネ ス プ ラ ン ( 新 商 品 ・ 新 サ ー ビ ス の 開 発 及 び 販 路 開 拓 の ア イ デ ア) を 全 国 か ら 募 集 し ま す 。 応 募 さ れ た ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 中 か ら 、 境 港 市 内 の 事 業 者 は優 れ た ビ ジ ネ ス プ ラ ン を 採 用 し 、 実 際 に 商 品 化 に 取 り 組 む こ と に よ り 、 境 港 市 に お ける 新しい鬼太郎グッズの開発と既存の地場産業の振興を図ります。 2.募集内容 ・ 水 木 し げ る 原 作 「 ゲ ゲ ゲ の 鬼 太 郎 」 の ス ト ー リ ー や キ ャ ラ ク タ ー を 活 用 し た 、 魚介 及びその加工品、弓浜絣の新しい商品やサービス及びその販売方法に関するアイデ ア。 【参考:水産王国・境港】 境港は松葉ガニ、紅ズワイガニ、スルメイカ、白イカ、アジ、サバなどが水揚 げされる日本でも有数の漁港です。紅ズワイガニは日本一の水揚量と加工技術 を誇り、まき網船ではアジ、サバが多く水揚げされます。 【参考:弓浜絣】 境港市や米子市等で織られている綿織物。江戸時代に綿花の栽培が盛んにな り、自家用あるいは副業として綿織物が発展しました。緯糸で絣模様を織り出 し、布幅全部に絵模様をあらわした「べた絣」と呼ばれる絵絣で、にじんだよ うな絣足が特徴です。 3.募集方法 ① チラシ(A4版カラー両面、1万枚) ・中小企業論、ベンチャービジネス等に関する学科を持つ全国の大学・専門学校へ のDM ・境港観光案内所、水木しげる記念館等での配布 ② ウェブサイト ・境港商工会議所、境港市観光協会のウェブサイトでの情報提供 ③ マスコミ資料配付 ・境港記者会への資料配付(募集要項、チラシ) ④ 雑誌「公募ガイド」 ・ 雑 誌 「 公 募 ガ イ ド 」( http://www.koubo.co.jp/contents/info/ko.html ) へ の 記 事掲載 (毎月9日締切、翌月9日全国書店で発売) 4.応募資格 応募資格(居住地や年齢、性別、職業等)の制約はありません。 また、応募は個人でもグループでもできます。 5.応募方法 ① 応募期間 平成 19 年8月 27 日(月)〜10 月 10 日(水) -8- ② 応 募 先 株式会社総合広告社 〒732-0064 広島市東区牛田南 1-3-23 モーニングパーク1階 TEL 082-511-0246 ③ 提出内容 FAX 082-511-0248 E-mail:info@sogo-ad.net 使 用 す る 特 産 品 ( 魚 介 、 水 産 加 工 品 、 弓 浜 絣 )、 使 用 キ ャ ラ ク タ ー ( 鬼 太 郎 、 目 玉 お や じ 、 ね こ 娘 、 ね ず み 男 な ど )、 商 品 ・ サ ー ビ ス の 内容及びイメージ図、商品・サービスの販売方法、住所、氏名、電話 番号、メールアドレスをA4用紙(枚数は不問)に明記して㈱総合広 告社宛に郵送してください。 ④ そ の 他 応募にかかる費用は応募者でご負担ください。 応募書類は返却いたしません。 応募 にあたって 、「ゲゲゲ の鬼太郎」 のキャラクタ ーは水木し げる画 の鬼太郎他を基本とし、必要以上の改変を加えないでください。 6.特典 応募者の中から抽選で5名様に境港市の特産品(松葉ガニ及びブロンズ風ミニチュ ア根付「山高帽の水木先生」のセット)をプレゼント。 7.審査・活用 ・応募作品は、境港商工会議所及び境港市内の事業者、水木プロダクション等によ る審査を行います。 ・ オ リ ジ ナ リ テ ィ が あ り 、「 ゲ ゲ ゲ の 鬼 太 郎 」 キ ャ ラ ク タ ー が 効 果 的 に 活 用 さ れ 、 一定の売上が見込まれるビジネスプラン(アイデア)を数案選定します。 ・選定したビジネスプランについては、境港市内の事業者が実際に新しい商品・サ ービスとして開発・販売を行います。 ・審査結果は、選定された段階で応募者本人に通知するとともに、試作品等が制作 された段階で境港商工会議所及び境港市観光協会のウェブサイトで発表します。 ・未成年者が受賞した場合には、親権者の同意書が必要となります。 8.権利その他 ① 知的財産権 ・「 ゲ ゲ ゲ の 鬼 太 郎 」 に 登 場 す る キ ャ ラ ク タ ー の 著 作 権 は 、 全 て 水 木 プ ロ ダ ク シ ョンにあることを確認してください。 ・応募者が受賞した場合、その受賞プランに係るアイデア、図面、文章、画像、 デザイン等に関する知的財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権を受け る権利、著作権)等一切の権利は、主催者に帰属するものとし、受賞者はこれ らの権利を侵害する行為を行わないものとします。 ・受賞作品以外の応募プランに係る知的財産権等一切の権利は、応募者に帰属し ます。 ・主催者は、受賞プランについて、これを展示し発表しまたは商品化する権利な らびにこれを変形しまたは脚色して商品化する権利を保有するものとします。 ・受賞作品が、受賞以前に公表されたアイデアやデザイン等と同一又は酷似し、 または第三者の知的財産権を侵害もしくは侵害するおそれがある場合は、主催 者は受賞を取り消すことがあります。 -9- ② 企画料 ・応募されたプランが境港市内の事業者によって商品化された場合は、当該商品 初回販売時から1年間の販売数に対して出荷コスト(税抜)の一定割合額を企 画料として当該事業者から応募者に対してお支払いします。詳細については、 商品化決定後、開発事業者と応募者の間で協議していただくことになります。 9.個人情報の取り扱い ・応募にあたって主催者が知り得た応募者に関する個人情報は、応募に関する結果 の連絡に利用させていただくとともに、受賞者の了承を得た上で受賞作品の展 示、ホームページなどで公表させていただきます。 ・お送りいただいた個人情報は、適切かつ厳重に管理し、上記の目的以外に、応募 者の了承なく主催者及び協力団体以外の第三者に提供いたしません。 10.実施体制 主 催:中国経済産業局、境港商工会議所 担当 境港商工会議所 〒684-8686 山田 鳥取県境港市上道町 3002 TEL 0859-44-1111 協 相談課 FAX 0859-42-6577 力:水木プロダクション 問合せ先:株式会社総合広告社 〒732-0064 担当:坪井 広島市東区牛田南 1-3-23 モーニングパーク1階 TEL 082-511-0246 FAX 082-511-0248 E-mail:info@sogo-ad.net (3)応募作品 北海道から沖縄県まで全国の 20 都道府県、さらにアメリカを含め 80 名、216 件の 応募があった。このうち、水産物を扱ったプランが 151 件、弓浜絣を扱ったプランが 32 件、その他のプランが 34 件であった(1件は重複)。 (4)審査方法 a.審査員 境港市観光協会 南家織物 ㈱水木プロダクション中国支部長 境港物産振興会境港水産加工業(協)青年部 水木しげるロード振興会 境港商工会議所 境港市役所 経済産業省中国経済産業局 ㈱きさらぎ 妖怪舎 b.審査会 日時:平成19年10月23日(火) 場所:境港商工会議所 2階 14 時〜16 時 会議室 -10- c.審査基準 ・アイデアのオリジナリティ → 既存商品にないもの、着眼点や発想が豊かなもの など ・「ゲゲゲの鬼太郎」キャラクターの効果的な活用 → キャラクターの魅力や特徴がよく活かされているもの、デザインがよい もの など ・商品化可能性 → 一定の売上げが見込めるもの、比較的容易に商品化に取り組めるもの 試作・試験販売を行いマーケティングを行う必要があると思われるもの など d.審査方法 ○応募プランの概要説明 ・各プランの概要、活用地域資源、特長を完結に説明(総合広告社) ○応募プランの評価 ・審査員が3つの審査基準に基づき、各応募プランを評価。受賞に値すると思 うプランを各審査員がすべて選び、応募番号を審査用紙に記入。 ・審査員による評価が終了すると、事務局が各プランの得点を集計。 ○事業化プランの選定 ・事務局より応募プランの評価結果を発表。 ・評価結果を踏まえ、境港市内の事業者が自社事業として取り組みたいと考え る(取り組むことが可能な)プランを選定。 ・選定されたプランに対して、その他の審査員がコメント。 ○事業化に向けた意見交換 ・事務局が選定プランの事業化方法について説明 ・選定プランの事業化(試験販売)に対する評価方法の説明 ・事業化に向けた全体的な意見交換 (5)選考作品 オ リ ジ ナ リ テ ィ と キ ャ ラ ク タ ー 活 用 、 商 品 化 可 能 性 の 3 つ の 視 点 か ら 、審 査 会において、6つの優秀プランを選定した。優秀プランの名称及び応募者名は 次の通りで、これらの応募者には賞品として「松葉ガニ」と「ブロンズ風ミニ チュア根付 山高帽の水木先生」を境港商工会議所から贈呈した。 優秀賞作品 応募者住所 応募者氏名 妖怪汁 山口県下関市 山口果那さん ゲゲゲの鬼太郎 妖怪サプリメント 鳥取県米子市 渡辺克己さん 妖怪エコバッグ 岡山県玉野市 岩中幹夫さん -11- 弓浜絣コースター 東京都八王子市 加藤恵子さん 日よけ暖簾・エプロン・小物 鳥取県境港市 桝田知身さん 境港に来たろう計画−鬼太郎旅館で観光客 UP 東京都国立市 高津輝章さん (6)商品化プランの決定 審査会での審査結果を参考に、開発事業者及び㈱水木プロダクションと開発コス トや販売の見通し、著作権等について協議した結果、3つの応募プランについて商 品化に取り組むことに決定した。 a.妖怪神社の御守 ○応募プラン名:「妖怪神社の御守」 提案では「各祈願ごとに、それに関連した妖怪のキーホルダーを付けて妖怪 神社の御守として売る」とあったが、開発コストや著作権等の問題から、キー ホルダーでなく、弓浜絣で制作した袋にキャラクター等をプリントした紙など を入れて販売する方向で検討を行った。 ○開発業者:南家織物 ○販売業者:南家織物、妖怪舎(㈱きさらぎ) b.ホネホネせんべい ○応募プラン名:「ホネホネせんべい」 提 案 で は 「 死 神 を モ チ ー フ に す る 」「 カ ル シ ウ ム 入 り 」 と あ っ た が 、 販 売 の 見 通 し や 著 作 権 等 の 問 題 か ら 、「 死 神 」 以 外 の キ ャ ラ ク タ ー の 使 用 可 能 性 、 カ ルシウム以外の粉末の可能性についても検討を行った。 ○開発業者:妖怪舎(㈱きさらぎ) ○販売業者:妖怪舎(㈱きさらぎ) c.日よけ暖簾 ○応募プラン名:「日よけ暖簾」 提案では「水木しげるロード振興会の各店舗軒先に各種類キャラクター図柄 の日よけ暖簾を設置」するとあったが、開発コストや著作権等の問題から、一 つのキャラクターのみを使用した暖簾を制作する方向で検討を行った。 ○開発業者:南家織物 ○販売業者:妖怪舎(㈱きさらぎ) (7)開発された商品の概要 a.妖怪神社の御守り ○活用資源 弓浜絣 ○商品内容 弓浜絣で制作した袋(2種類:赤と黄)に「目玉おやじ」と「ねず み男」を描いたお札を入れた「御守り」。 -12- 「 目玉お やじ 」は「 家内 安全」、「 ねずみ男 」は 「金運 上昇 」を祈 願。 ○価 格 1,000 円/個(税込み) ○販売場所 妖怪神社及びむじゃら(神社 隣店舗) ○販売開始 平成20年1月1日 b.ホネホネせんべい ・平成 20 年1月に開発業者の妖怪舎より赤石商店に市販の骨を使ったせんべい を試作してもらった。しかし、当初のイメージとは程遠く、骨のイメージとし ては不適当であった。 ・ そ の 後 、 妖 怪 舎 か ら 境 港 水 産 加 工 組 合 に 相 談 し た と こ ろ 、「 鯵 の 骨 が 大 量 に あ り 、 処 分 に も 困 っ て い る の で 是 非 使 っ て ほ し い 。 い く ら で も 協 力 し ま す 。」 と 回答があった。そのため、鳥取県産業技術センターに相談し、鯵の骨の処理方 法について研究してもらった。 ・さらにその後、鳥取県産業技術センターより「鳥取大学の井上教授(骨が専 門)が、マグロの骨の処理の相談を受け、興味をもたれている」との情報があ り、鳥取大学医学部の産学協働コーディネーターに連絡し、マグロの骨(境港 で獲れる本マグロ)を利用する方向で検討してもらうことにした。 ・しかし、これらの技術的検討には時間がかかることや、中途半端な試作品で商 品イメージを悪化させない必要があることから、本年度内の商品化は困難とな り、時間をかけてよりよい商品づくりに取り組むこととなった。 c.日よけ暖簾 ・「 日 よ け 暖 簾 」 に つ い て は 、 同 じ 弓 浜 絣 使 用 商 品 と し て 「 妖 怪 神 社 の 御 守 り 」 の商品化を優先させたため、製造業者数が少ない現状では、弓浜絣の生産が追 いつかないこと、制作コストが高額になるため、会社業者において行政機関や 産業支援機関等からの補助金獲得を模索したが、年度内に活用可能な補助金等 がなかったことから、本年度内の商品化は困難となった。 ・「 ホ ネ ホ ネ せ ん べ い 」 と 同 様 に 、 時 間 を か け て 、 ま た 資 金 調 達 の 方 法 を 検 討 し ながら、開発業者において、よりよい商品づくりに取り組むこととなった。 (8)キャラクタービジネス(境港市)の効果分析 a.ビジネスプランコンテストに対する地元関係者の意識・評価の把握 今回、境港市での実証事業として行った「ビジネスプランコンテスト」は、1992 年 より「水木しげるロード」の整備が開始され、以降、さまざまな観光振興施策、関連 イベントが実施されてきた境港市でも初の試みであり、後述のように、地元関係者の 間でも概ね高い評価を得ている。以下では、今回のビジネスプランコンテストの実施 主体となった境港商工会議所および境港観光協会にヒアリング調査を行い、ビジネス プランコンテストに対する地元関係者の意識・評価を取りまとめた。 -13- ヒアリング調査の実施概要 実施日 2008年3月17日 応対者 境港市観光協会会長、境港商工会議所専務理事ほか (計5名) 調査内容 ・ビジネスプランコンテスト方式による商品開発の効果、 条件、課題について ・今後の展開可能性について など ① ビジネスプランコンテストの効果・メリット 上述のように、今回のビジネスプランコンテストに対しては、関係者の間で概ね高 い評価が得られた。具体的には、全国から 200 件を超す数多くのアイデアを集められ たこと、弓浜絣という地元の工芸品にスポットを当てられたことの2点が高く評価さ れている。集まったアイデアの内容についても、短期的なビジネスプランとしての実 現可能性の面はともかく、中長期的に見て非常に夢のあるおもしろいアイデアとし て、今後の商品開発や観光振興の「財産」になると受け止められている。また、こう した消費者参加型の事業は、地域に対して新たな参加意識や愛着をもたらすととも に、ニュースバリューの高いイベントとして、地元マスコミでも繰り返し報道され、 境港の知名度アップにも大きく貢献したことも指摘されている。 地元工芸品とのコラボレーションについては、90 年代半ば頃からさまざまな商品が 開発されてきた鬼太郎グッズの中でも、ほとんど見られなかったものである。関係者 の間には、一連の鬼太郎グッズの成功を受けて、地元の産品にもこの流れを波及さ せ、地場産業振興に役立てたいとの思いがあり、今回のビジネスプランコンテストで の商品開発は、ある意味で、妖怪関連の商品開発が新たな方向に進む契機になったと も言える。 ② 問題点・課題 ビジネスプランコンテストの問題点・課題として挙げられたのは、選考基準の難し さである。審査員の得点を集めた上位プランは、いずれもアイデア面のおもしろさが 評価されたものであるが、商品化検討の段階でさまざまな課題が指摘され、結果的に 商品化を検討することになった3プランのうち、2つは得点上位のプラン以外から選 ばれることとなった。商品化面とアイデア面の評価が合致すれば問題はないが、当初 はこれらが一致しないという想定がされなかったため、選考がやや混乱した感もあ る。また、商品化を目的とした場合、応募プランが集まった段階で、すでに同一・類 似商品が発売されていないか、プロダクションのチェックを受けることが望ましい が、今回はそれが事前に行われていなかったことも、審査プロセスの課題として指摘 された。 なお、コンテストの期間中に、まったく関係のないルートから発売された商品が応 -14- 募プランと類似していた場合、応募者からは自作プランの無断使用と受け取られるこ とも考えられる。実際、商工会議所にはそうした苦情が数件寄せられた。偶然、そう したタイミングで商品が販売されることがあることを、応募段階で断っておくことが 必要であろう。 一方、商品化・販売の段階では、実際に商品化・販売を担う事業者を確保し、安定 的な商品供給を図ることが必要である。特に、今回のように地場産業とのコラボレー ションを図る場合は、商品の供給力が大きなボトルネックになることも考えられる。 実際、今回弓浜絣を使って開発した「妖怪神社のお守り」は、3月になってから、2 種類のうち1種類が品切れ状態となっている。供給力増強のための投資・体制づくり は各事業者の判断に委ねられるところであるが、商工会議所等では、県・市等とも連 携しながら、経営面や資金面での支援が求められる。 ③ 今後の展開可能性 上述のように、商工会議所、観光協会では、コンテストで集まった 200 件超のビジ ネスプランについては、今回の商品化検討だけでなく、中長期的に活用していきたい という意向を持っている。ただし、そもそもそうした使用が可能かどうか、実際に数 年後にプランが商品化に結びついた場合はどのように対応するかなど、関係者との間 で権利関係の調整を図っておくことが必要である。 また、ビジネスプランコンテストの継続については、アイデアのマンネリ化に対す る懸念が指摘された。今後、コンテスト形式でプランを公募するとしても、募集テー マを変えるなどの工夫が必要であろう。 他地域での検討に対しては、版権を持つプロダクションと地元との友好関係の構築 の重要性が指摘されている。こうした事業を行うには、プロダクションの理解と協力 が不可欠であり、境港だからこそ可能であったとも言える。地道に信頼関係を築きな がら、活用ノウハウを高めていくことが求められる。 b.妖怪キャラクターの活用による販売効果等の把握 今回のビジネスプランコンテストで採用された「妖怪神社のお守り」、「ホネホネ せんべい」、「日よけ暖簾」のうち、お守り以外の商品は、現在開発中で商品化・販 売には至っていない。したがって、以下では、販売中のお守りを中心に、この開発・ 製造・販売に関わっている事業者に対してヒアリング調査を行い、その内容をまとめ た。 ヒアリング調査の実施概要 -15- 実施日 2008年3月17~18日 調査対象 「妖怪神社のお守り」の開発・製造・販売に関わる事業者 (計3社) 調査内容 ・商品の販売状況、消費者の反応・ニーズ ・開発・販売面での問題点・課題 など ① 商品の販売状況、消費者の反応・ニーズ 「妖怪神社のお守り」は、商品の特性を踏まえ、当初予定を前倒しして、2008 年の 元旦から販売が開始された。正月三が日で約 300 個売れ、3月 17 日までの2カ月半で 合計 472 個が販売されている。1個千円なので、売上額は 47 万2千円である。販売事 業者によると、予想以上の売れ行きで、値段が最も高価であるにも関わらず、数種類 あるお守りの中では一番売れたという。雑誌等にも取り上げられ、販売店では一つの 目玉グッズとなっている。現在、「ねずみ男」のお守りが売り切れ中なので、商品が あれば、もう少し販売数も伸びていたと思われる。「ねずみ男」と「目玉おやじ」の 2種類の販売割合はおよそ6対4である。 購入者層は、子供・若年層よりも、大人の購入が目立つという。特に、弓浜絣に親 しみを持っている 50~60 歳代の女性の人気が高い。販売事業者では、1個千円の価格 は、お守りとしては高価な部類であり、「鬼太郎グッズ」だとしてもなかなか売れな いが、絣を使った他にないお守り、モノとしての良さ、付加価値が評価されていると 指摘している。一つ一つが手織りの一品商品で、柄の配置も異なることから、どれが いいか見比べて購入する客も多いという。お守り自体には、あえて妖怪キャラクター の図柄は織り込まれていないことからも、妖怪キャラクターの効果というよりも、絣 の良さが主要因となって購入されている面が大きいようである。 また、購入者からのニーズとしては、学業向上や合格祈願のお守りが欲しいとの要 望が多いようであり、今後、ある程度種類を増やすことも検討されている。 販売事業者では、「地元の産品を使って商品開発を行うことは大歓迎」とのことで あり、今回のお守りについては、「人に喜ばれるビジネスができた」と評価してい る。また、お守りの仕入れ値は 700 円(販売価格の7掛け)で、他の商品よりも原価 が高いという。ビジネスとしての儲けはあまりないものの、水木ロードの認知度アッ プ、PR効果の方が大きかったと評価している。これは、この販売会社がもともとま ちづくり会社として立ち上げられ、「土産物は大儲けより小儲けが大事」、「土産で 話が盛り上がる、いい買い物ができたと思われるように」といった経営者自身の考え 方に基づいていると言える。 「妖怪神社のお守り」の販売状況(1月1日~3月 17 日) -16- 販売個数 472個(うち正月三が日で約300個) ※ねずみ男(金運上昇)と目玉おやじ(家内安全)がおよ そ6対4の割合 販売額 ② 472,000円(1個1,000円) 問題点・課題 今回のお守りは、期間限定型の商品ではなく、継続的に販売されるものである。し たがって、商品の安定供給は重要な要素であるが、前述のように、現在は1種類が品 切れ状態で、生産が間に合っていない状況にある。今回のプランが、短期間で企画・ 実施されたため、販売事業者、生産事業者が、それぞれお互いの実情をよく認知して いないという問題点も指摘されている。安定的な供給体制の構築は、早急に対応しな ければならない課題である。 なお、今回のお守りの件だけでなく、地域の全般的な問題点・課題として、地元で 均質なものを安定してつくる難しさが指摘されている。ビジネスとして、販売を伸ば し、全国に展開していくほど、納期や品質、安定供給といった生産面での対応力が重 要になってくる。境港の事業者は、一般にそうした意識・対応がまだ不十分であると 指摘されており、妖怪グッズが地域の産業としてステップアップするためにも、今後 対応していくべき課題と言える。 また、今回の実証事業自体の問題点・課題として、スケジュールの短さ、企画を検 討・議論する時間が少なかったことも指摘されている。例えば、初年度は企画・ソフ ト部分の検討を行い、次年度で実施・検証を行うなど、単年度事業の枠組みの中で も、スケジューリングの工夫を行うことが求められている。今回のビジネスプランコ ンテストで、全国からいろいろな良いアイデアが集まったことや、手法そのものは、 事業者の側でも高く評価されている。ただ、これを十分に議論・検討する場や時間が なかったことがもったいなかったということであり、水木ロードの商店主にもアイデ アを提示して検討の裾野を広くし、町の人たちにも地域振興の意識を持ってもらう機 会を設ければ、さまざまなイベントやビジネスの話が広がることも考えられる点が指 摘されている。ビジネスプランコンテストはあくまで一つのきっかけであり、その先 にあるものが本当の狙いであるという点は、上述の商工会議所・観光協会の考え方と も合致するところである。 -17- 2.北栄町におけるモデル事業の取り組み (1)モデル事業の背景・目的 北栄町は 2006 年から「北栄町コナンの里づくり計画推進委員会」を設置し、2007 年3月に開館した「青山剛昌ふるさと館」を核とした新たなまちづくり戦略「青山剛 昌Mゾーン○▽□計画」を策定し、その具体化を検討している。この計画では、コナ ン通りや由良宿を中心とした景観形成や移動システムの確立などを掲げており、その 一つとして由良宿のまち歩きや由良川めぐり(遊覧船)を活用したミステリーツアー 等の企画実施を検討している。 こうした状況を踏まえ、北栄町においては、北栄町コナンの里づくり計画推進委員 会等と協力し、「青山剛昌ふるさと館」を核とし、「名探偵コナン」を含めた集客交 流に関わる新サービスの開発・提供に実験的に取り組むことにより、集客交流の促進 可能性を検証する。 (2)実施概要 a. 青山剛昌ふるさと館+梨の花温泉郷相互送客キャンペーン事業 ① 事業名 青山剛昌ふるさと館+梨の花温泉郷相互送客キャンペーン事業 ② 主催者 中国経済産業局、北栄町、青山剛昌ふるさと館 ③ 協 力 三朝温泉旅館組合、はわい東郷温泉旅館組合、関金温泉旅館組合 ④ 期 間 平成 20 年2月1日〜3月 18 日(2か月間) ※開館1周年直前キャンペーン ⑤ 目 的 ・周辺温泉宿泊者の青山剛昌ふるさと館への集客促進 ・オフシーズンにおける青山剛昌ふるさと館への集客促進 ⑥ 内 容 ・ 鳥 取 県 中 部 の 協 力 旅 館 ・ ホ テ ル ( 20 程 度 を 予 定 ) に 、 青 山 剛 昌 ふ るさと館の入館割引券(700 円→600 円)がついた、青山剛昌ふる さと館の紹介チラシを配置してもらい、各旅館・ホテルの宿泊者 に渡してもらう。 ・青山剛昌ふるさと館でも、鳥取県中部の協力旅館・ホテルの入浴 料 が 100 円 割 引 に な る 特 典 付 き 紹 介 チ ラ シ を 配 置 し 、 来 館 者 に 配 布する。 ・配布枚数は各々2,000 枚を目標とし、利用件数を把握するとともに、 利用者に対するアンケート調査(各チラシの一部または裏面に記 載)を通じて、利用実態や利用後の感想・意見等を収集整理し、 今後の集客促進に役立てる。また、アンケート回答者の中から抽 選でコナングッズを贈呈する。 -18- b.青山剛昌ふるさと館・地域ぐるみ集客促進事業 ① 事 業 名:青山剛昌ふるさと館・地域ぐるみ集客促進事業 ② 主 催 者:中国経済産業局、北栄町商工会地域づくり推進委員会 ③ 協 力:北栄町、青山剛昌ふるさと館 ④ 日 時:平成 20 年3月 22 日(土)・23 日(日) 10:30〜15:30 ※「由良宿活性化わいわいブレスト」は 22 日(土)16:00〜18:00 ⑤ 実施場所:青山剛昌ふるさと館駐車場 ⑥ 目 的 ・青山剛昌ふるさと館の開館1周年のPR ・青山剛昌ふるさと館への集客促進に向けた地域ぐるみの支援態勢 の確立 ・モニュメント設置を契機とした県道(青山剛昌ふるさと館〜北栄 町役場大栄庁舎前)沿線への商業機能立地可能性の検討 ⑦ 内 容 ア)「青山剛昌ふるさと館1周年記念バザール」の開催 ・青山剛昌ふるさと館の駐車場を会場とし、テントブースにて北栄 町の特産品等を販売する。 ・出店者は北栄町内の特産品生産者または販売者、各種団体・サー クル等 10 団体。 ・来場者にアンケート調査を行い、イベントの感想や今後の定期開 催及び常設に対する意見を聴取し、県道(青山剛昌ふるさと館〜 北栄町役場大栄庁舎前)沿線への商業機能の立地を検討するため の資料とする。 イ)「由良宿活性化わいわいブレスト」の開催 ・北栄町内外から参加を得て、住民等による青山剛昌ふるさと館の 支援方策や同館を核とした由良宿の活性化方策を検討するための イベント型の検討会議(ワークショップ)を開催する。 ・参加者は 30 名程度とし、参加メンバーとして、北栄町商工会地域 づくり推進委員会メンバーと北栄町コナンの里づくり計画推進委 員会メンバー、由良宿町づくりの会メンバー、青山剛昌ふるさと 館 FULL サポート・クルーなどが参加。 ・参加者アンケートを通じて、このような地域貢献型集客イベント を定例化する可能性を探り、新たな集客プログラム(参加者にと って、わが町にある施設への参加・貢献、好きな作家や作品が展 示された施設への参加・貢献が参加動機となる企画)として位置 づける ・なお、今回のブレストで作成された企画書については、内容に応 じて、北栄町商工会地域づくり推進委員会にて具体化に向けて検 討する。 -19- ウ)その他の共催事業 ・名探偵コナン誕生の現場展(特別展)・・・・・ふるさと館主催 ・フリーマーケット(3 月 22 日土曜日のみ) ・・ふるさと館主催 ・通年ウォーキング開設記念 実施日時 青山剛昌ふるさとウォーク 平成20年3月23日(日)午前10時受付開始 午前10時30分スタート 会 場 青山剛昌ふるさと館前スタート~ゴール 内 容 コナン通りと由良川沿線を歩く10㎞コース 参 加 費 一人 主 NPO法人未来 催 そ の 他 事業スケジュール 3月22日(土) 9:30 10:30 13:00 14:00 15:30 16:00 17:00 18:00 3月23日(日) 9:30 10:00 10:30 13:00 14:00 15:30 17:00 500円(参加記念品認定書) 理事長 岸田寛昭 同時にウォーキンググッズ販売・天ぷら オープニング式典 テープカット 特別展開館 バザール開店 フリーマーケット スプリングコンサート開始 スプリングコンサート終了 バザール終了 わいわいブレスト開始 ふるさと館閉館 わいわいブレスト終了 商工会 ふるさと館 商工会 商工会 商工会 商工会 ふるさと館 商工会 ふるさと館開館 (特別展) ウォーキング受付開始 バザール開店 ウォーキングスタート スプリングコンサート開始 スプリングコンサート終了 ウォーキング終了 バザール終了 ふるさと館閉館 ふるさと館 NPO法人未来 商工会 NPO法人未来 商工会 商工会 NPO法人未来 商工会 ふるさと館 -20- ふるさと館 由良宿活性化わいわいブレストの流れ 時間 16:00 16:10 17:00 17:30 17:45 内容 開会 趣旨説明 グループ編成(くじ引きにより5人×6班を編成) 企画書づくり(班別) ※ 青山剛昌ふるさと館と北栄町役場大栄庁舎を結ぶ県道沿いに立地 すれば、青山剛昌ふるさと館の集客促進にも由良宿の活性化にもな ると思われる店舗についてアイデアを出し合う。 ※ 模造紙に業種、取扱品やサービスの内容、開業の目的・動機、セ ールスポイント、売上目標、従業員数等を記入。 企画案の発表(各班) ※ 作成した企画書の内容を班ごとに順番に発表(各班5分)。 人気投票 ※ 発表された企画書について、もっともよいと思われる企画書を参 加者全員が人気投票。(1人1票) コメント ※ 人気投票の結果を発表する。 ※ 投票結果を踏まえ、北栄町商工会地域づくり委員会、中国経済産 業局が今後の由良宿活性化及び青山剛昌ふるさと館の地域ぐるみの 盛り上げに向けた総括コメントを行う。 (3)青山剛昌ふるさと館1周年記念バザール実施結果 a. 出展団体 団体名 出展内容 北栄町商工会女性部 豚汁、おこわ 有限会社クロノス 焼き鳥 酒のたなか カフェオレ、シュークリーム、クリーム大福 北栄町商工会青年部 金魚すくい、わた菓子、コーヒー、ポン菓子 コナンクリエーション ぜんざい、ポップコーン サンサンメロン 菓子パン 加工グループ 農産加工品 赤本商店 いちご、干物魚、長いも、らっきょう酢漬け NPO 法人未来 ウォーキンググッズ b.来場者 3月 22 日(土) 400名 ※天候:晴れ 3月 23 日(日) 300名 ※天候:雨 (4)由良宿活性化わいわいブレスト実施結果 a. 参加者 16名(北栄町商工会、青山剛昌ふるさと館サポートクルー、デザイン会社他) -21- b.立案した企画案 (A班) 業 種 じげのレストラン&喫茶 地元食材(例)日替定食、長芋入手打そば、ぎょうざ 取扱品・サービス内容 (肉、野菜、りんご、梨、スイーツ)、とろろ汁、シ チュー、コーヒー、デザート 開業する目的や動機 地元のものを活かす セールスポイント 入りやすい、地元の食材を使用、安い、おいしい ターゲット ①地元の人、②観光客 売上げの目標(月額) 200万円 スタッフの人数 3人 ふるさと館との関わり レストランがある通り名は「青山通り」 (B班) 業種 喫茶店(商品限定) 取扱品・サービス内容 コーヒー、ジュース、パフェ 開業する目的や動機 ふるさと館来場者へのおもてなし提供 セールスポイント アニメの提供 ターゲット 20 代の若者とヤングファミリー 売上げの目標(月額) - スタッフの人数 - ふるさと館との関わり ふるさと館来場者へのおもてなし提供 (C班) 業種 取扱品・サービス内容 ぶらぶらしながら食べられる健康素材 ジュース、スープ、ソフトクリーム、クレープ (すいか、らっきょう、長いも) 開業する目的や動機 コナン通り散策時の飲料・軽食 セールスポイント テイクアウト形式 ターゲット コナン通りを散策者 売上げの目標(月額) 90 万円 スタッフ人数 - ふるさと館との関わり ふるさと館からコナン通りを歩く人がターゲット (D班) 業種 コナンロード道の駅 お食事処 取扱品・サービス内容 長いも(そば、うどん、ステーキ)、四季の野菜 ①コナンロードに休める場所がない 開業する目的や動機 ②住民がちょっと休める場所がない ③Mさんの業態変化 セールスポイント ターゲット 地産地消が食べられるお店 コナンで子どもやファンをひきつける。 地産地消で地元住民、自動車学校の合宿生 売上げの目標(月額) 70~100 万円 スタッフの人数 2~3名 ふるさと館との関わり JR由良駅でコナンをPR→ふるさと館へ誘導 -22- (E班) 業種 取扱品・サービス内容 開業する目的や動機 探偵喫茶 世界の探偵本・アニメ本グッズを取り揃えたお店 幅広い探偵ファンの取り込み→顧客層の拡大 滞在時間の増加 セールスポイント 世界の名探偵に会える店 ターゲット 全国の探偵ファン 売上げの目標(月額) 150 万円 スタッフの人数 4人+猫1匹 ふるさと館との関わり コナン+世界の名探偵 -23- (5)キャラクタービジネス(北栄町)の効果分析 a .「 青 山 剛 昌 ふ る さ と 館 + 梨 の 花 温 泉 郷 相 互 送 客 キ ャ ン ペ ー ン 事 業 」 の 効 果 (a)相互送客キャンペーンによる集客効果の把握 2008年 2 月 1 日 〜 3 月 18日 ま で の 約 2 カ 月 間 の 相 互 送 客 キ ャ ン ペ ー ン に お け る 割 引 ク ー ポ ン の 利 用 者 数 は 、「 温 泉 郷 → ふ る さ と 館 」 側 で 215人 、「 ふ る さ と 館 → 温 泉 郷 」 側 で 16人 、合 計 231人 で あ っ た 。 「温泉郷→ふるさと館」 (ふるさと館の入館料が割引) に 対 し て 、「 ふ る さ と 館 → 温 泉 郷 」( 入 浴 料 が 割 引 ) の 利 用 者 が 少 な く 、 相 互 送 客 と い う 面 で は や や 課 題 の 残 る 結 果 と な っ た 。 配 布 枚 数 は そ れ ぞ れ 1,000枚 ず つ な の で 、 ク ー ポ ン の 利 用 率 は 「 温 泉 郷 → ふ る さ と 館 」 側 で 22% 、「 ふ る さ と 館 → 温 泉 郷 」 側 で 2 % と な る 。 な お 、 同 期 間 の ふ る さ と 館 の 入 館 者 数 は 4,376人 な の で 、 ク ー ポ ン 利 用 者 は 入 館 者 数 全 体 の 5 % を 占 め て お り 、 入 館 料 収 入 ( 割 引 後 1 人 600円 ) は 12万 9 千 円となる。 今回の事業の成果等について、ふるさと館へのヒアリング調査を行ったところ、ク ーポン利用による入館者増は、温泉→ふるさと館という新たな集客ルート開拓による 純増加と捉えられており、事業はふるさと館にとっては大変有意義なものだったとし ている。今後は、プロダクションとの信頼関係を構築しながら、こうした集客事業を 継続的に実施できる環境・体制を整えるとともに、地域との連携や周辺地域との一体 的な魅力アップによる集客力強化の必要性が指摘されている。 割引クーポンの利用者数 発地/着地旅館 温泉郷→ ふるさと館 ふるさと館 発地/着地旅館 →温泉郷 2 ‑ はわい温 望湖楼 4 ‑ 泉 グランパスinn三朝 9 ‑ 三朝ロイヤルホテル 12 ‑ 三朝温泉 花屋別館 明治荘 東郷湖観光ホテル千年亭 温泉郷→ (人) ふるさと館 ふるさと館 →温泉郷 38 ‑ 24 ‑ ゆの宿彩香 9 ‑ 羽衣 2 9 10 ‑ ‑ ‑ いわゆ 2 ‑ 水郷 旅館大橋 4 ‑ ニュー高橋 万翆楼 ‑ ‑ 翠泉 ‑ ‑ 有楽 2 ‑ 東郷温泉 湖泉閣養生館 35 ‑ 後楽 11 2 5 ‑ 依山楼岩崎 水明荘 11 ‑ 澤の湯 6 ‑ 木屋旅館 ‑ ‑ 一ふじ ‑ ‑ 中屋 ‑ ‑ 旭旅館 ‑ ‑ 三朝館 ‑ ‑ 龍鳳閣 ‑ 2 清流荘 2 ‑ 観光案内所 関金温泉 湯楽里 2 ‑ 無記名 8 3 合計 湯命館(日帰り入浴施設) − 24− 7 ‑ 10 ‑ 215 16 ヒアリング調査の実施概要 実施日 2008年3月22日 応対者 青山剛昌ふるさと館 館長補佐 調査内容 ・今回のキャンペーン事業の効果について ・今後の集客および地域活性化について ・ふるさと館の事業強化について 「青山剛昌ふるさと館」ヒアリング結果の概要 事業の効果につ いて ・今回のキャンペーンは、ふるさと館としては大変有意義なものだった。でき れば何らかの形で継続したい。 ・これまで温泉客がふるさと館まで足を伸ばすことはほとんどなかったので、 今回の割引クーポンがなければ、215人の入館者はまるまるなかったと思う。 入館者が215人純増したと考えている。※ふるさと館の平成19年度の総入館 者数は約7万8千人。 ・そういう意味で、通常700円の入館料が100円マイナスになったというよりも、 600円プラスになったと考えている。割引しても、入館者数が増えた方が当 館としてはメリットが大きい。 ・利用者は予想より多かったという印象である。家族連れが多かった。 今後の集客およ び地域活性化に ついて ・「青山剛昌」だけでは知名度が不足しており、ふるさと館単独では集客に限 界がある。周辺に店舗が少ないため、相乗効果を上げられるような店舗がほ しい。隣接する道の駅には年間50万人の来訪者があるが、客層が異なるため、 こちらの方にはほとんど流れて来ない。 ・オブジェ等の設置も必要だが、店舗の誘致・魅力化が最も必要だと思う。免 許センター跡地の有効活用も重要な課題である(民間参入が理想)。当館以 外に目玉となるような施設・スポットが必要だろう。 ・地元から声をあげてほしいが、反応があまりなく、盛り上がりに欠けている ところがある。小中学校にイベントを持ちかけても、応募者は少ない。具体 案はまだないが、商工会や観光協会との連携を含め、もっと地域で盛り上げ ていくことが必要だと思う。 ふるさと館の事 業強化について ・版権所有者との間で、信頼関係を築いていくことが重要である。1年前と比 べると、専用の窓口を設置してもらったり、レスポンスもアップするなど、 少しずつ信頼を得ていると思う。今回の割引クーポン事業が実施できたこと も、大きなステップアップだったと思う。徐々に信頼関係を高めていくこと で、将来的に事業運営の自由度を高めていきたい。 − 25− (b)割引利用者の満足度の把握 今回の相互送客キャンペーン事業における割引クーポン利用者の満足度や評価など を把握するため、アンケート調査を行った。実施概要は以下の通りである。 アンケート調査の実施概要 ① 調査期間 2008年2月1日〜3月18日 調査方法 ・手渡しによる配布・回収 調査対象 ・割引クーポン利用者(温泉郷でクーポンを受け取り、ふ るさと館で割引を受けた利用者、ふるさと館でクーポン を受け取り、温泉郷で割引を受けた利用者の2分類) 調査内容 ・訪れた理由・きっかけ ・割引クーポン券の印象 など 回収数 ・温泉郷→ふるさと館利用者:64件 ・ふるさと館→温泉郷利用者:16件 アンケート回答者の属性 アンケート回答者の属性は下表の通りである。年齢は、温泉郷→ふるさと館利用者 は 20歳 代 、 30歳 代 が 中 心 で 、 ふ る さ と 館 → 温 泉 郷 利 用 者 は 30歳 代 が 半 数 以 上 を 占 め て い る 。 性 別 は い ず れ も 女 性 が や や 多 い 。 住 所 は 、 温 泉 郷 → ふ る さ と 館 利 用 者 は 59% が 近畿となっており、遠方からの来訪者が多いのに対し、ふるさと館→温泉郷利用者は 鳥取県内や近隣県の割合が高い。 回答者の属性 (年齢) (住所) 温泉郷→ふるさと ふるさと館→温泉 館利用者 件数 20歳未満 温泉郷→ふるさと ふるさと館→温泉 郷利用者 構成比 件数 館利用者 構成比 件数 郷利用者 構成比 件数 構成比 9 14.1 2 12.5 鳥取県内 4 6.3 5 31.3 20歳代 20 31.3 2 12.5 島根県内 7 10.9 2 12.5 30歳代 21 32.8 9 56.3 岡山県内 3 4.7 4 25.0 40歳代 7 10.9 3 18.8 広島県内 4 6.3 2 12.5 50歳代 3 4.7 0 0.0 山口県内 0 0.0 0 0.0 60歳代 2 3.1 0 0.0 四国、九州 2 3.1 0 0.0 70歳代 2 3.1 0 0.0 近畿 38 59.4 2 12.5 不明 0 0.0 0 0.0 関東 3 4.7 0 0.0 合計 64 100.0 16 100.0 その他 2 3.1 0 0.0 不明 1 1.6 1 6.3 合計 64 100.0 16 100.0 − 26− (性別) 温泉郷→ふるさと ふるさと館→温泉 館利用者 件数 郷利用者 構成比 件数 構成比 男性 23 35.9 5 31.3 女性 38 59.4 10 62.5 不明 3 4.7 1 6.3 合計 64 100.0 16 100.0 ② 訪れた理由・きっかけ 割引クーポンを使って、青山剛昌ふるさと館あるいは梨の花温泉郷を訪れた理由・ き っ か け を 見 る と 、 そ れ ぞ れ 「 名 探 偵 コ ナ ン の フ ァ ン だ か ら 」、「 温 泉 が 好 き だ か ら 」 という理由が最も多い。次いで、それぞれの施設やその他の観光・訪問のついでに寄 っ た と い う 理 由 が 多 く 挙 げ ら れ て い る 。 一 方 、「 100円 割 引 ク ー ポ ン 券 を も ら っ た か ら 」 と い う の を 理 由 に 挙 げ て い る の は 、 温 泉 郷 → ふ る さ と 館 利 用 者 で 14% 、 ふ る さ と 館 → 温 泉 郷 利 用 者 で 25% と な っ て お り 、 ク ー ポ ン が 相 互 の 施 設 を 訪 れ る あ る 程 度 の き っかけになったと受け取れる。 割引クーポンを使って「青山剛昌ふるさと館」を訪れた理由・きっかけ(温泉郷→ふるさと館利用客) 「名探偵コナン」のファンだから 39.1 人に勧められたから 4.7 雑誌やネットを見ておもしろそうだったから 14.1 100円割引クーポン券をもらったから 14.1 「梨の花温泉郷」のついでに寄った 26.6 その他の観光や訪問のついでに寄った 23.4 その他 4.7 不明 (N=64) 3.1 0 10 20 30 40 (%) 割引クーポンを使って「梨の花温泉郷」を訪れた理由・きっかけ(ふるさと館→温泉郷利用客) 温泉が好きだから 81.3 人に勧められたから 12.5 100円割引クーポン券をもらったから 25.0 「青山剛昌ふるさと館」のついでに寄った 31.3 その他の観光や訪問のついでに寄った (N=16) 12.5 0 20 40 60 80 100 (%) − 27− ③ 認知度 それぞれの施設の認知度について見ると、ふるさと館から温泉郷に行った利用者で は 、 温 泉 郷 に つ い て 「 以 前 に も 来 た こ と が あ る の で 、 よ く 知 っ て い た 」 と い う 人 が 31 %を占めているのに対し、温泉郷からふるさと館に行った利用者がふるさと館を「よ く知っていた」という割合は6%と少ない。また、温泉郷→ふるさと館利用者では、 ふ る さ と 館 を 「 ま っ た く 知 ら な か っ た 」、「 訪 れ る ま で ほ と ん ど 知 ら な か っ た 」 と い う 人 が 80% 、 ふ る さ と 館 → 温 泉 郷 利 用 者 で も 56% を 占 め て お り 、 今 回 の ク ー ポ ン 券 が 相互の施設を認知する(特に温泉利用者がふるさと館を認知する)大きなきっかけに なったことが窺われる。 「青山剛昌ふるさと館」の認知度(温泉郷→ふるさと館利用客) 以前にも来たことがあるので、よく知っていた まったく知らなかった 6.3 25.0 来たことはなかったが、ある程度は知っていた 14.1 54.7 訪れるまではほとんど知らなかった (N=64) (%) 「梨の花温泉郷」の認知度(ふるさと館→温泉郷利用客) 以前にも来たことがあるので、よく知っていた まったく知らなかった 31.3 37.5 18.8 12.5 来たことはなかったが、ある程度は知っていた 訪れるまではほとんど知らなかった (N=16) ④ (%) 割引クーポン券の印象 今 回 の 割 引 ク ー ポ ン 券 の 印 象 に つ い て は 、「 非 常 に 良 い 」 と い う 人 が 6 割 前 後 を 占 め 、評 価 は 非 常 に 高 い 。ま た 、そ の 理 由 に つ い て 見 る と 、少 額 で も 割 引 に な っ て 良 い 、 訪れるきっかけになる、せっかくだから寄ってみようという気になる、宣伝になると いった点が多く挙げられている。地域の一体感が良いという意見も見られる。一方、 やや物足りない理由としては、割引額が小さい(もう少し割り引きがあったら良い) という点が挙げられている。 − 28− 割引クーポン券の印象 (温泉郷→ふるさと館利用客) やや物足りない (ふるさと館→温泉郷利用客) 不明 3.1 1.6 まあ良い まあ良い 37.5 37.5 57.8 非常に良い (N=64) (%) 62.5 非常に良い (N=16) (%) 印象の理由 印象 非常に良い まあ良い 利用者 印象の理由 →ふる ・県外の人間にとっては、鳥取の観光雑誌を読んでも、砂丘と食についてが中心。ク さと館 ーポンetcあると助かる。 ・割引はすばらしい!! ・より一層来たくなった!! ・ちょっとしたプレゼントみたいな感じになって非常にうれしかった。 ・親切。 ・地域一体感が良い。 ・クーポン券をもらった関係でここに来た。 ・お得だと思った。 ・安くて、行ってみようと思ってしまう。 ・また来ようと思う。 ・宣伝になる。 ・安くなるから。 ・割り引きになって良い! ・割引になってうれしい。 ・来るきっかけのひとつになったから。 ・安くなる。 ・安くなるから。 ・来館しやすくなる、宣伝になる。 ・おとくだから。 ・正直、来るか迷っていましたが、きっかけになりました。 ・気軽に訪問しやすいから。せっかくいただいたので「行こう!」って気分になる。 ・利用しましたよ!ありがとう!! ・行ってみたいと思った。施設があることさえ知らなかったので、知ることができた。 ・少しでもお得な気分になれるので。 ・訪れるきっかけにもなるのでいいと思う。 ・入りやすい。 →温泉 ・もっと割引とかあると人が集まると思うし、良いから。 郷 ・クーポン券をもらって来ようと思ったから。 ・ 「ふるさと館」でクーポン券をもらい、来ようと思った。 ・クーポン券で行ってみようと思った。 ・日帰りでも旅行を満喫したー!と思えるからとてもいい。 ・安くなるので、温泉にも入りたかったので。 ・はじめてなので温泉を見つけやすかった。 ・割引がついて良かった。 ・きっかけになる ・せっかくだから寄ってみよう、もう少し足を伸ばそうという気になりました。 ・たくさんの券があると、たくさん割引できるから。 →ふる ・200円引きなら良かった。 さと館 ・来てみようという気になる。 − 29− (つづき) 印象 まあ良い 利用者 印象の理由 →ふる ・他の温泉施設で割引券をもらった。 さと館 ・たまたまフロントにあったので頂いて帰った。少しでも割引になると来ようという 気になるので、いいのではないかと思う。 ・もっと割引ができればよい。 ・温泉に行った帰りに行ったので使わなかった。 ・もう少し割り引いてほしいから。 ・梨の花温泉郷のセットのクーポンじゃなかったので・・・ ・あまり他に行くとこがないので、割引があると行きやすくて良いと思う。 ・もう少し割引があったらいい。 ・入場料はもう少し安い方がいいですね。 ・割引がもう少しあったら良いと思います。 →温泉 ・安く入館できるから。 郷 ・行くきっかけになる。 ・行くきっかけになるから。 ・割引券があったから温泉に来れました! ・割引いてもらって温泉に入れるから。 やや物足りない →ふる ・もう少し割引してたら良いと思う。 さと館 (注)「→ふるさと館」は温泉郷→ふるさと館利用者、「→温泉郷」はふるさと館→温泉郷利用者を示す。 ⑤ 旅行行程、立ち寄りスポット 今回の旅行行程について見ると、温泉郷→ふるさと館利用者については、日帰り客 はなく、ほぼすべてが宿泊客となっている。温泉郷に宿泊してから、ふるさと館等へ 立ち寄ったケースが多いものと考えられる。一方、ふるさと館→温泉郷利用者につい ては、半数は日帰り客となっている。 宿泊数は、双方の利用者合わせて平均1.2泊で、そのほとんどは鳥取県内に宿泊 している。県内の立ち寄りスポットは平均2.2カ所で、鳥取砂丘、境港、倉吉が主 な立ち寄り先となっている。 旅行の行程 (温泉郷→ふるさと館利用客) (ふるさと館→温泉郷利用客) 不明 不明 1.6 6.3 宿泊 日帰り 43.8 50.0 宿泊 98.4 (N=16) (%) (N=64) (%) ○宿泊数 :平均1.2泊(うち鳥取県内:平均1.0泊) ○県内立ち寄り箇所:平均2.2カ所 − 30− ⑥ 地域ゆかりのマンガ・アニメのキャラクターを活用した観光振興等への意見 地域にゆかりのあるマンガやアニメのキャラクターを活用した観光振興等の取り組 みに関する意見等を見ると、全般に、アニメの親しみやすさ、それぞれの地域の特徴 ある取り組みが好意的に受け止められている。意見・アイデアとしては、オブジェ等 の無料スポットの増設、レストランの併設、スタンプラリーの実施、広告・宣伝の強 化、他の漫画家・作品の発掘・活用などが挙げられている。 地域ゆかりのマンガ・アニメのキャラクターを活用した観光振興等への意見 20歳未満 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 ・とっても良かったです。アニメは子供から大人まで親しめるものだから、それを取り入れた観光 スポットがあると、人にもオススメしやすいし、また自分も来たくなるから。 ・それぞれの地域にいろいろあって見るのがたのしい。 ・コナンの番組でもっと一回の放送で事件を増やして、少年探偵団をもっと活躍させてほしい。 ・楽しい、これがなければなかなか訪れないと思う。 ・子供も大人も楽しめてよいと思います。 ・コナン定食とか、レストランを併設する。 ・町をあげての大きな事業にして欲しい。有料施設はもちろん、町中のオブジェなど無料スポット が多くあるとなお良し。 ・マンガ好きとしてはとてもうれしい。 ・子供たちに夢を与えて楽しめるし、大人もワクワクとした気分を味わえるのでとてもいいと思う。 ・出身地の有名人はおおいに活用すべきだと思います。 ・地域の活性化につながると思うのでいいと思います。 ・観光客が増えると客も増え活性化になる。アニメだと親しみやすいので、もっと増えると嬉しい! ・アニメの放送時にCMを入れればもっと取り組みを知ってもらえるのでは。 ・水木しげるさんも青山さんも大好きでどっちも見たいのでコラボした温泉施設がほしい。(鬼太 郎とコナンのミステリーホラー温泉) ・キャラクターの描かれたJRキップ。 ・青山剛昌、水木しげるの他にもたくさんの活躍している漫画家、アニメクリエイターがいるので、 もっとそういう方達もPRに活用していって欲しい。藤原芳秀さん、谷口ジローさん、森秀樹さん、 漫画家ではこの3人も好きです。 ・作者の事もくわしくわかり、子供も喜ぶのでよいと思う。 ・アニメ等の見方が変わり、もっと見たいと思うようになった。人に紹介してあげようと思う。 ・おもしろいと思います。がんばって下さい。 ・大人から子どもまで楽しめるキャラクターなので全くあきないと思う。次もまた来たい!と思え るよう、記念品があったり、月もしくは年ごとにもらえるものが変わっていくとうれしいかも! ・子どもが喜ぶのでうれしい。 ・少々少ない気がするので、もっとやった方がいいと思います。案内板も少ないので分かりやすく してほしいです。 ・人気者を活用するのは良い事だと思います。 ・もっとテレビでコマーシャルをしたらよいと思います。私は奈良在住です。 ・いろいろな地域にいろんな作者がいて、それぞれ見て歩けるのが観光を含めて面白い。 ・子どもが対象の中心すぎですね。もう少し上の年齢層(30〜40代)にも楽しめるものがあるとい いですね。 ・スタンプラリー等をする。 ・地域性があり、非常に良いと思う。 ・今流行しているのでいいと思う。おむつかえの子どもをねらったもの、コナン館、ベビーベッド がほしい。 ・地元の作家だという事で親しみやすい。 − 31− b .「 青 山 剛 昌 ふ る さ と 館 ・ 地 域 ぐ る み 集 客 促 進 事 業 」 の 効 果 ( a )「 青 山 剛 昌 ふ る さ と 館 ・ 1 周 年 記 念 バ ザ ー ル 」 来 場 者 の 評 価 の 把 握 2008年 3 月 22日 〜 23日 の 2 日 間 実 施 さ れ た 「 青 山 剛 昌 ふ る さ と 館 ・ 1 周 年 記 念 バ ザ ー ル 」に つ い て 、来 場 者 の 印 象 ・ 評 価 等 を 把 握 す る た め 、ア ン ケ ー ト 調 査 を 実 施 し た 。 調査の実施概要は以下の通りである。 アンケート調査の実施概要 ① 調査期間 2008年3月22日〜23日 調査方法 ・手渡しによる配布・回収(その場で記入) 調査対象 ・バザール来場者 調査内容 ・訪れた理由・きっかけ ・バザールの感想 など 回収数 ・92件 アンケート回答者の属性 アンケート回答者の属性については下表の通りである。性別は女性がやや多い。年 齢 は 20歳 未 満 が 25% と 最 も 多 い が 、各 年 代 で 一 定 の 回 答 を 得 て い る 。住 所 に つ い て は 、 北 栄 町 以 外 の 鳥 取 県 内 が 49% と 最 も 多 く 、 北 栄 町 内 は 20% 、 近 隣 県 以 外 も 22% を 占 め ている。 回答者の属性 (性別) (年齢) 件数 男性 女性 不明 合計 42 50 0 92 構成比 45.7 54.3 0.0 100.0 件数 (住所) 件数 北栄町内 その他鳥取県 島根県内 岡山県内 広島県内 その他 不明 合計 18 45 4.0 0.0 3.0 20.0 2.0 92 構成比 19.6 48.9 4.3 0.0 3.3 21.7 2.2 100.0 − 32− 20歳未満 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 23 17 20 15 10 5 1 構成比 25.0 18.5 21.7 16.3 10.9 5.4 1.1 不明 合計 1 92 1.1 100.0 ② バ ザ ー ル を 訪 れ た 理 由 ・き っ か け バザールを訪れた理由・きっかけについて見ると、バザール・イベントそのものへ の 興 味 よ り も 、「 名 探 偵 コ ナ ン の フ ァ ン だ か ら 」、「 青 山 剛 昌 ふ る さ と 館 訪 問 の つ い で に寄った」という理由が多くを占めている。また、その傾向は若年層ほど強く見られ る。 バザールを訪れた理由・きっかけ 「名探偵コナン」のファンだから 35.9 「青山剛昌ふるさと館」訪問のついでに寄った 31.5 バザール・フリーマーケットがおもしろそうだったから 22.8 イベント(コンサート等)がおもしろそうだったから 18.5 他の観光や訪問のついでに寄った 9.8 その他 (N=92) 19.6 0 10 20 30 40 (%) (年齢別) 合計(N=92) 20歳代未満(N=40) 30〜40歳代(N=35) 50歳代以上(N=16) ③ 名探偵コナ 青山剛昌ふ バザール・ イ ベ ン ト 他の観光や ンのファン るさと館訪 フリーマー (コンサー 訪問のつい だから 問のついで ケットがお ト等)がお でに寄った に寄った もしろそう もしろそう だったから だったから 35.9 31.5 22.8 18.5 9.8 50.0 32.5 22.5 15.0 7.5 28.6 31.4 22.9 20.0 11.4 18.8 25.0 25.0 25.0 12.5 その他 19.6 15.0 22.9 25.0 バザールの感想 バ ザ ー ル の 感 想 を 見 る と 、「 ま あ 良 い 」 と い う 人 が 57% と 最 も 多 い 。 ま た 「 非 常 に よ い 」と い う 人 が 20% い る 一 方 で 、 「 や や 物 足 り な い 」と い う 人 も 21% を 占 め て い る 。 年 齢 別 に 見 る と 、若 年 層 の 方 が 満 足 度 が 高 く 、反 対 に 、50歳 代 以 上 で は 半 数 の 人 が「 や や物足りない」としている。 バザールの感想 不明 やや物足りない 3.3 20.7 非常に良い 19.6 56.5 まあ良い − 33− (N=92) (%) (年齢別) 非常に良い 合計(N=92) 20歳代未満(N=40) 30〜40歳代(N=35) 50歳代以上(N=16) まあ良い 19.6 32.5 11.4 6.3 56.5 62.5 60.0 31.3 やや物足 りない 20.7 5.0 25.7 50.0 不明 3.3 ‑ 2.9 12.5 な お 、 感 想 の 具 体 的 な 理 由 を 見 る と 、「 非 常 に よ い 」、「 ま あ 良 い 」 理 由 と し て は 、 アットホームな雰囲気や接客の良さ、出店内容などを評価する声が多く見られる。一 方 、「 や や 物 足 り な い 」 理 由 と し て は 、 天 候 の 関 係 も あ っ て 、 来 客 や 賑 わ い が 少 な か ったことが多く指摘されている。 感想の理由 バザールの感想 感想の理由 非常に良い ・アットホームな雰囲気で子供も大人も楽しめました。ねぎ焼きおいしかった。 ・ファンの人達にとって非常によかった。 ・豚汁がうまかった。子供とぜひもう一度寄ってみたいと思った。 ・ふるさと館見学後に楽しく過ごせた為。 ・焼きとりがおいしかった。 ・まだ寒い時期なのであたたかい食べ物があり良かった。食べる時のイスがもう少しあれば いいかと思います。 ・たのしいことがたくさんあるから! ・接客が良かった。でも雨が降って残念でした。 ・わたあめやゲームが安いし楽しいから。 ・コナンのパズルが作れたから。 ・ねぎ焼、待ち時間が長い・・・と100円まけてくれた。あったかい気遣いがうれしかった。 ・いろんなものが売ってあってよかった。 ・紙相撲が楽しそうだった。豚汁がおいしかった。金魚すくい楽しかった。 ・雨の中がんばって歌っているバンドがよかった。 ・コンサートとか金魚すくいとか、いろいろおもしろそうなものばかりだから。 ・ギターとかの予定は知らなくって、ギターでコナンの曲をひいてくれたことがすごくよか ったです。 ・わたがしがおいしい。人が楽しい。 まあ良い ・コンサートを楽しみながらゆっくり過ごせました。 ・カレーパンがおいしかったし、お祭りみたいで楽しかった。 ・こじんまりしていいですよ。 ・食べたり、飲んだりしたのでよい。 ・地元の名産のものを販売していた。安価なこともあり、子供も買物の機会があったことも 良かった。フリーマーケットがもっと盛り上がれば良いと感じた。 ・ふうせんがおもしろかったから。 ・豚汁がおいしかった。 ・ひさしぶりに来てたのしかったです。 ・ヤキソバもあったらよかった。 ・もっと内容の濃いものにしてほしい。展示品の量など。 ・もっといすとかあるといいと思う。 ・地元の食材を使って作られたものが販売されていて、おいしそうなものが沢山あった。 ・地元の食材を使った食べ物や、地元の方が出店されている点がとてもよいと思った。 ・もう少し食べ物があったらもっとよかった。 ・にぎやかにしてほしい。 ・屋台、コンサートなどあって、企画は良いが、もう少しテーブル等を増やした方が良いか なと思います。 ・出店がある。 ・金魚をすくう紙みがよわすぎる。 ・地域の人の参加が少なかったように思う。 − 34− (つづき) バザールの感想 感想の理由 まあ良い ・地元のものがある。 ・やきとりがおいしいよ。ポップコーンがおいしそう。 ・雨でなければ色々見て回りたかった。値段等、ぱっと見ると買いやすいと思った。 ・天気が良ければ最高でしたね。もっともっと地域の方はもとより全国的に広めれるように アピールしていけたらいいですね。 ・晴れだったら良かった・・・。でも豚汁は温まっておいしかった。 ・雨だったのが残念です。コナンの認定証がうれしいです。上級目指してまた来ます。 ・雨天だったので雨よけブースがもっとあった方がよかったかも。子供が楽しめそうなので また来ます。 ・天気が良ければもっとよかった。 ・雨だったので残念でした。雨だったのでフリマーがなかったのかな? ・地元の品物が置いてあった事。くじも安くてよかったです。 ・割安で比較的おいしいものがあった。 ・人々の雰囲気がいい。 やや物足りない ・出店等、もっと多くある方がいいと思う。 ・もう少し人の集まるポイントになるものがあれば。 ・もう少し、食べる物がたくさんあったらいい。 ・出し物が少ない。なるべく時間を費やす事項があった方が良い(一度見ると終わる) ・もう少し多く席があってほしかった。 ・フリーマーケットが少ない。 ・もっとにぎやかなほうがいい。 ・もう少しにぎやかな方が良い。 ・もっとみんなでたのしめるような、ゲームとかをすればよい。(コナンにちなんだ) ・期待した程ではない。 ・雨のせいもあり、お客も少なく活気がなかった。 ・天候が悪かったので、しょうがないですね。お店がたくさん出て、天気が良いとロケーシ ョンも良くて楽しいと思うのですが、雨で残念でした。 ・悪天候のせいか、盛り上がりが今少しだったかな。 ・あいにくの雨のせいか、来客が少ない。 ・雨だった為でしょうか、残念です。何も知らずに熊本から来たのですが、ちょっぴり得し た気分です。 ④ コナン通りの活性化やアニメキャラクターを活用した観光振興等への意見 青山剛昌ふるさと館を中心としたコナン通りの活性化や、地域にゆかりのあるマン ガ・アニメのキャラクターを活用した観光振興等の取り組みに関する意見を見ると、 サイン会やキャラクターの着ぐるみ、ミニシアター、謎解きなどのイベント・企画を 増やすことや、コナングッズの充実・販路拡大、車道沿いのサインや宣伝・案内の強 化、コナン通りの商店の充実などが多く挙げられている。また、水木しげるロードを 成功例として挙げている人も多く見られる。 コナン通りの活性化やアニメキャラクターを活用した観光振興等への意見 20歳未満 ・色々なキャラクターでもっと観光客を増やしてほしいです。 ・デジポッドをバザール内に置いてほしい。 ・いいと思う。けど、鬼太郎のようにもっとイベントを増やして有名にしたらもっとよいだろう。 ・フリーマーケットの出店数が増えるといいなと思う。 ・サイン会をしてほしい。 ・青山さんのサイン会をしてほしい。 ・コナングッズを売っている店のアピールをもう少ししてもらったら、県外のふるさと館を訪れ る観光客の数も増えるのでは? ・音楽を聞きながら食べれたからよかった。 ・こんなに楽しいところなのでもっと宣伝をしたらいいと思います。 ・道路沿いに、目立つコナンの看板をつくってほしいです。 − 35− (つづき) 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 ・あまり来たことがなかったので、イベントで来ることができました。子供と一緒に楽しめる事 があればうれしいです。 ・ここでしか見れない、コナンのミニシアターとかがあったらうれしいですね。 ・境港にある水木しげるロードとはまた異なったことをしていけば、県外からその観光客は立ち 寄る機会が増えると考える。商店を周りに増やして盛り上げていってもらいたい。 ・鬼太郎は地域の方が店をたくさん出していて、沢山まわれるところがあり充実しているが、コ ナンはいまひとつかなと思います。着ぐるみがいるとおもしろいかな。 ・コナンの着ぐるみ見たい。 ・9号線に、大栄がコナンの里ということをもっとアピールするなにかを、設置するかなにかす ればよい。(車が止まってみたくなるような物、①コナンの大きな像②大きくめだつ看板) ・最初はなんでもかんでも「コナン」の名や絵を付ければいいもんじゃない、と思ったのですが、 実際に来てみればなじみやすくおもしろいと思う。楽しかったです。 ・ふつうの道路でも、コナンとかの像がたってると見てても楽しいしいいと思う。 ・キャラクターの着ぐるみを作ったらいいと思います。 ・コナン大好きなので、とってもイイと思います。 ・サイン入りのコナンの本を販売してほしい。 ・コナンのふうせんなどを配ったら子供がよろこぶと思います。 ・イラストだけでなく、言葉をもっと紹介して欲しい。 ・事件を解けるような企画があると楽しいです。町で聞き込みできるとか、宝箱がかくしてある とか。リピーターを増やせる企画が必要だと思います! ・PRをもっとしてほしかった。遠いので休みが長くないとこれないのでなるべく学校の休みの時 にイベントをしてほしいです。 ・ここでのみ通用するものでOKなので地域振興券を使えるようにしては。 ・コナンがいつもいる! ・鬼太郎ロードのように、ライトをコナンにちなんだ型のものにするとか・・・虫めがね、ちょ うネクタイ型。 ・もっとコナンだらけに! ・青山さんのサイン会をしてほしい。 ・コナン通りをもっとにぎやかに、境港の水木しげるロード第2弾!で、活性化したいですね。 人気が出るはずです。 ・鬼太郎の様なPR、店があれば良いかな。もっとイベントをしたら。3カ月に1回くらい。 ・駅からふるさと館まで、歩く距離が長いので、楽しみながらたどり着けるように(境港のよう に)してはどうでしょう。雨が残念でした。 ・テレビや映画にさりげなく登場させたり、テレビ放送局にCMを流すなど。あと春休み、夏休 み、大手旅行代理店のツアーに組み込んでもらうとか。石見銀山と組んだり(社会科見学ぽく) ・大変よかったと思います。一度コナンの話の中に実際の町を使ったストーリーを盛り込むとさ らに楽しめると思う。 ・なつみちゃんのようなユルキャラをいろいろつくってほしい。 ・今回で2回目の訪問ですが、自宅からここに来るまで少し遠いので、ここの地域だけでなく、 ほかの場所へ出かけてのイベント等をしてもらえたらいい。コナンのグッズももう少し増やし てもらえたらいい。 ・新しいものを増やしていかないと再来は少なくなって行くよ!ここだけしか手に入らないもの を増やした方が良い。みやげ物の新しい物を増やすべき。 ・イベントの時には、通りにのぼりなどを立ててPRしたり、通りすがりの人を導く工夫があれ ばよいと思った。 ・イベントを年に何回かされた方がいいと思う。 ・コナンのパンなどを作ってバザールに売ってもよい。 ・コナンに関係ないイベントもがんばって下さい。 ・オブジェがないが、小中校でつくるマスコット等を活用して(寄付してもらって)設置したら どうか。境港のようなブロンズ像はお金がかかるので。 ・マンガはとても内容がよく、60才の私でもいつもテレビを見ています。会場が地味すぎる。若 い女の子、男の子を会場内に立たせて、(コスチュームを着せて)目を引くようにしてはどう でしょうか。 − 36− (b)地域ぐるみ集客促進事業に対する地元関係者の意識・評価の把握 今回の地域ぐるみ集客促進事業(1周年記念バザール、わいわいブレスト)に対す る地元関係者の意識・評価等を把握するため、ブレスト参加者を対象にアンケート調 査を実施した。実施概要は以下の通りである。 アンケート調査の実施概要 ① 調査期間 2008年3月22日 調査方法 ・ブレスト終了後、調査票を配布・回収(その場で記入) 調査対象 ・わいわいブレスト参加者 調査内容 ・実証事業(バザール、わいわいブレスト)の感想 ・アニメ・コンテンツを活用した地域振興の可能性 など 回収数 ・12件 実証事業についての感想 今回の実証事業(バザール、わいわいブレスト)についての感想を見ると、バザー ルについては、来訪者の少なさを指摘する声が多く見られる。その要因として、PR の不足、ターゲットとする対象・地域の不明確さが挙げられている。また、地元の出 店者の少なさ、関心の薄さを指摘する声もあり、この点については、ふるさと館の関 係者の見方と共通している。今後は、魅力あるイベント企画とPR方法および関係者 の連携強化の両面から取り組みを強化し、賑わい創出の継続化・定着化を図ることが 課題と考えられる。 わいわいブレストについては、問題意識を共有し、アイデアを議論する貴重な機会 であったとの声が多く、その手法と進め方について高い評価が得られた。今後は、地 域の活動を側面的に支援・促進する方法として、発展・強化が望まれる。 実証事業(バザール、わいわいブレスト)についての感想 バザールに ・地元食材で、安価に美味しいものを願っている。 ついて ・風が強くて寒かった。チラシに10時頃となっていたのに、イベント(地元の人のコンサート) が午後だったので残念でした。イベント内容をもっと早く、くわしく宣伝して欲しかった (楽しいイベントをもっといれて)。フリーマーケットは淋しかった。 ・地域の味を出せる処(店)に期待をもっている。 ・ふるさと館一周年記念イベントのわりには来訪者が少なかった。PR不足ではないか。新 聞折込広告を中部一円だけ入れたと聞いている。どのような人たち、またどのあたりまで の人をターゲットにしていたのかが、明確でなかったように思う。 ・確かに、館周辺のにぎわいの創出は当初からの課題でしたので、よかったと思います。 ・一回目のみであるが、集客数が少なかったのが残念でした(明日に期待します)。宣伝方法 にもう少し知恵がほしかったのか。 ・地元の出店者が少ない。関心が薄い。 − 37− (つづき) バザールに ・来場者が決して多いとはいえなかった。極めて少ない。過去の商工祭り、米祭り等と比べ ついて て少ない。原因はバザールのPR方法とその対象の不明確さであったと思われる。 ・来場者が少なく、PR方法に課題があるのでは?コナンの人気はどうなの? ・予告アピールをもっと早めにし、集客を多くしたかった。国道よりの一見客を集める宣伝 に工夫が欲しかった。 ・地元のお客さんが少ない。季節柄寒い。5月の連休位がよいと思う。 ・時期的な問題か参加者が少ない。施設がある程度限られたファン層が対象だからか。 わいわいブ ・全て、食。実現出きるものから手掛ける。例えば、ぶらぶらしながら・・・そして休憩して。 レストにつ ・5グループ全部食の店だったので驚いた。話しの内容は参考になった。 いて ・店作りについて、これまで頭の中でぼんやりとしか想像できなかった事が、かなり現実的 なものに発展させる事が出来た。 ・ゆっくりと、こういうことを多人数で考える事が少ないので、機会があってよかったと思 います。ただ実現可能性度について、条件として出していただけるとより良かったと思い ます。(コナンの使用についての制約とか?) ・各グループとも考えが出来ていて、良かったと思う。 ・大変参考になった。今後の課題ではあるが、大いに研究し企画する事を感じた。 ・充実したプログラムであった。参加者の問題意識とその解決方法についてのコンセンサス を得ることが出来たと思う。 ・具体的な思いが形となり、参考となった。 ・もっと時間をかけてシナリオが作れたらいいと思う。複合的にコラボで新しいメッセージ が送れれば魅力的になるかも。 ・皆さん色んなアイデアがあることがわかり、こういうやり方もいいなと思いました。 ・進め方、やり方共にとてもいい企画である。 ② コナン通りの活性化やアニメキャラクターを活用した地域振興の可能性・課題 青山剛昌ふるさと館を中心としたコナン通りの活性化や観光振興など、地域ゆかり のアニメ・コンテンツを活用した地域振興に関する可能性・課題については、地元住 民を巻き込んだ取り組み、コナン関連のイベント企画や集客の仕掛けの強化、周辺の コンテンツ活用地域との連携などが課題として挙げられている。また、プロダクショ ンとの関係強化の面では、行政だけでなく、民間がコンテンツを活用しやすいシステ ムづくりの必要性が指摘されている。オンリーワンであるコンテンツの強み・可能性 をいかに地域振興に結びつけていくかが大きな課題と言える。 コナン通りの活性化や地域ゆかりのアニメ・コンテンツを活用した地域振興の可能性・課題 ・由良宿側へ足を運んでもらう仕掛けを作る。やはりコナン(新一)と蘭ちゃんを中心としての仕掛け。 二人の結婚式の人形が特定の時間に現れる。周辺の整備(見ることの出来る)と小学館とが問題。 ・観光客には中部一円を線で結び、お互いに、特徴を生かしたもので手を結び、紹介しあう。観光会社など に上記のコースを考え、売込みをする。ふるさと館でもっとどんどんアイデアを生かしたイベント等を 連発する。 ・コナンを生かした地域振興をするには、やはり観光地としての受け入れ態勢が必要。地元の人々の受け 入れ、もてなしの心が必要。 ・何といっても著作権問題。使用するにあたって、ハードルが高すぎる。 ・まず、北栄町のみではなく、例えば境港さんや倉敷など近場の同様の施設との連携が一つのキーポイン トではないかと思います。また、こういうアニメ・コンテンツは、どこでもできるわけでもない、オン リーワン的なものなので、他の観光事業形態とは違う利点をすでに持っているのが強みだと思います。 ここに、いかにして地元の方々を巻き込めるか、がポイントではないでしょうか。 − 38− (つづき) ・小学館の協力があれば、もっと大きく展開できるのだが、地域の期待は大きく、他町村から見ればうら やましい存在なのだが、なぜか町内の人の協力が得られないのが残念。活性化の手法が間違っているの でしょうか。 ・広大な試験場跡地の活用は北栄町にとって、重大な課題である。後戻りのできない事である。 ・コナン通りに飲食、土産物を中心とした新たな商店街を行政主導で作る必要がある。 ・アニメ人気の動向。著作権の問題、逆に足かせとなっている。地元住民を巻き込んだ動きがなければ・・ ・主役はもちろんの事、次の新しい役者を育てたい!コナンを中心に名脇役も必要かも。 ・地道に努力して小学館の許可をいただければもっと地域がうるおうのではと思います。 ・可能性としては北栄町だけの資源としてよりも、鳥取県(中国地域)の大きな資源である。地域振興に 活用次第で大きな資源。課題としては行政(町)だけが活用している。小学館との問題を民間がクリア しやすいシステムづくり必要。 ③ 商店街の振興・活性化の可能性・課題 「免許センター」跡地を活用した商店の誘致、今回のバザールの定期開催・常設な ど、商店街の振興・活性化に関する意見は以下の通りである。免許センター跡地の活 用については、集合店舗、地元産品の見本市などの商業機能だけでなく、走行コース を活用したレクリエーション機能の整備など、多目的に活用できる集客拠点としての 整備の必要性が指摘されている。 「免許センター」跡地を活用した商店の誘致、バザールの定期開催・常設など、 商店街の振興・活性化の可能性・課題 ・地元、由良宿の方々がもっともっと燃える事が大切。まずは客寄せができる事。農業見本市・・・パリ 市内のマルシェ(市場・市)のように定期的に開催。地元産品の見本市でJAに出店を願う。 ・免許センターのコース部分を残し(現地に行ってみました)(住民のニーズに合った)コースを活用した ら住民も満足すると思う。ウォーキング、自転車競争、大運動会などのスポーツ拠点として、また、移 動の出来るコナンにまつわる探偵ごっこや地元の野菜や加工品の宝さがし迷路などをすれば楽しいと思 います。※是非コースを残したい。 ・今日のふるさと館の入場者数からしても、なかなか常設の店は難しいと思われるが、いつでも利用可能 な常設を将来考えなければいけない。 ・跡地のコース部分を行政側は住宅地にと考えている。その様な所へ集合店舗のような施設を作ったにし ても、集客力には限度がある。自動車コースを多目的に多くの人が来るような所にすれば、店舗も大き な可能性があるのでは。 ・今回のバザールについては、継続される事がよいのではないでしょうか。ただ、「免許センター」跡地に ついては、必ずしも商店という枠組みではなく、広い視野で考えてみてもらえたらと思いました。例え ば、迷路等、実際に体験できるものとか?検討の余地は十分にあると思います。 ・今年8月末で免許センターが他町に移り、商工会では集合店舗を計画しています。進め方についての指 導をお願いしたいと思います。資金なども活用できるものがあればよろしく。 ・コナンを生かした事業でなければいけない。 ・大資本によるコナンホテルを誘致、免許センターをホテルに改造する。タオル、コースター、ベッド、 まくら等、徹底的にコナンを利用したサービスを提供する。きっと小学館がNGを出すだろうな。 ・立地条件他、町づくりポイントになるのは明らか。休み以外の集客力、冬期間の対応。365日平均の来客 は望めない。 ・免許センターは一つの舞台として考えれば、いろいろな役作りの方が登場して、面白い演出が出来るよ うな、バックアップがあればいいと思う。 ・大型観光バスがたくさん止められるいい場所なので、郊外型商店街もこれからはいいと思います。スタ ーバックスのような名前の知られたお店が来てくれると客寄せになると思います。 ・可能性としては話題性と継続性がクリアできれば、大きな中心施設、場所となる。運営体制を整備され た上で住民参加型も重要。プランを広く(全国)集約して検討する。運営施設、体制と資金調達。 − 39− 3.アニメ「公認タウン」制度の検討 第1節での地域限定型キャラクタービジネスの試行結果を踏まえ、以下では、特定市 町においてキャラクター等を使用する際の条件や課題等について整理しながら、アニメ 等 コ ン テ ン ツ を 活 用 し た 地 域 振 興 の 枠 組 み と し て 、「 ア ニ メ 公 認 タ ウ ン 制 度 」 の 可 能 性 について検討を行った。 (1)定義 「 ア ニ メ 等 公 認 タ ウ ン 」 は 、「 特 定 の ア ニ メ 等 コ ン テ ン ツ の 作 品 や キ ャ ラ ク タ ー ま たは出身作家と特定地域が提携し、アニメ等コンテンツのさらなるイメージアップと 地域振興を目的とする活動及びそれを推進する地域」と定義する。 (2)実施条件 a.版権所有者の理解と協力 「アニメ等公認タウン」を具体化するためには、特にそれに取り組もうとする地域 にあっては、版権所有者の理解と協力を得ることが不可欠である。鳥取県境港市では ㈱水木プロダクション、鳥取県北栄町では青山剛昌氏と㈱小学館の理解と協力があっ てこそ、「鬼太郎に会えるまち」「コナンに会える町」として位置づけ、関連事業を展 開することが可能となっている。 b.一業種一団体主義の適用 アニメ等コンテンツの使用にあたっては通常、一業種一社主義が適用される。例え ば、ある飲料メーカーが特定のコンテンツ(キャラクター等)を(著作権料を払っ て)使用すれば、同業他社はそのキャラクターを使用することができないし、版権所 有 者 か ら そ れ を 許 可 さ れ る こ と は あ り 得 な い 。 こ う し た 実 情 を 踏 ま え 、「 地 域 振 興 」 という業種(目的)で特定のコンテンツを使用するのは一地域(一地方公共団体)と することが適当であるといえる。モデル事業の交渉過程においても、㈱水木プロダク ションや㈱小学館プロダクションはこの点を強調しており、それぞれ境港市及び北栄 町を「地域振興」業種の特定団体とみなしている。つまり、こうした業界の慣習が境 港市や北栄町を実質的に「アニメ等公認タウン」として位置づけていることになる。 c.使用コンテンツ等の特定 地 域 に あ っ て は 、「 ア ニ メ 等 公 認 タ ウ ン 」 の 推 進 に あ た っ て 対 象 と す る コ ン テ ン ツ を明確にしておく必要がある。鳥取県境港市も北栄町も各地域にゆかりのある漫画家 とその作品を使用対象としている。また、当該作家が描いた漫画のみを対象とし、ア ニメは対象外としていることに加え、「ゲゲゲの鬼太郎」「名探偵コナン」といった当 該作家の主要作品を中心としつつも、作家が描いた作品全般をとりあげている。これ -40- に 対 し 、 鳥 取 県 倉 吉 市 は 同 市 を 舞 台 と し た 漫 画 「 遥 か な 町 へ 」( 原 作 : 谷 口 ジ ロ ー ( 鳥 取 県 鳥 取 市 出 身 )) の 作 品 の み を 使 用 対 象 と し 、 そ の 使 用 に あ た っ て 作 者 と ㈱ 小 学館プロダクションの許可を得ている。つまり、使用コンテンツについて、特定作品 のみか出身作家とその作品全般を扱うのか、漫画かアニメかという点を明確にしてお く必要がある。 d.イメージアップ アニメ等コンテンツを地域振興に活用するにあたっては、アニメ等コンテンツの活 用が地域イメージの向上や産業振興、観光・集客交流の促進等に結びつくことはもと より、アニメ等コンテンツのイメージや価値を損なうことなくむしろさらに高めるよ うな姿勢及び工夫が必要である。短期的に産業振興や観光・集客交流の促進に結びつ いたとしても、アニメ等コンテンツのイメージや価値を損なうような使用を続ければ、 アニメ等コンテンツそのもののイメージや価値が低下するとともに、中・長期的にみ れば当該地域のイメージ低下につながり、地域振興効果をあげることができなくなる ことが懸念される。また、そのようなコンテンツ使用はそもそも版権所有者に認めら れないと思われる。そのため、地域にあっては、適切にアニメ等コンテンツを使用す るためのプロデュースあるいはキュレイション機能を確保・充実させることが必要で ある。 e.著作権料 「アニメ等公認タウン」においても、作品やキャラクター等の使用にあたっては、 版 権 所 有 者 に 対 し て 、 一 定 の 著 作 権 料 を 支 払 う こ と が 基 本 と な る 。「 ア ニ メ 等 公 認 タ ウン」であることを理由に、作品やキャラクター等の使用料が無料であるとすること は成り立たないと考えてよい。 「ゲゲゲの鬼太郎」や「名探偵コナン」などの作品は、そもそも境港市や北栄町の ために描かれたのでなく、全国あるいは海外の消費者(読者)向けに描かれたのであ り、また制作過程で当該地域からの資金援助が行われているわけではない。作家の能 力と努力、プロダクション会社による販売促進活動等を通じて現在の地位を確立した のであり、その使用にあたって、一定の著作権料を支払うことは必然であるといえる。 (3)位置づけ a.自治体事業 「アニメ等公認タウン」として地域振興を図るためには、個人やNPO、個別企業 の対応でなく、経済団体や行政機関を巻き込んだ地域ぐるみの活動を展開することが 期待される。その中でも、当該地域の自治体が中心となった事業展開を図ることは、 版権所有者にとって「地域振興」業種の特徴の一つになり、また地域振興効果を高め るために必要であると考えられる。そのため、単に市(町・村)勢要覧や観光パンフ -41- レット等に当該コンテンツの作品やキャラクターを使用するだけでなく、アニメ等コ ンテンツを活用した地域振興を自治体の長期総合計画(基本構想)や観光振興計画等 に戦略的に位置づけたり、それらの方針や個別事業について議会の承認と協力を得た りすることが大切である。 b.版権所有者との契約等 自治体の計画等への位置づけ、議会の承認・協力といった地域内のオーソライズに 加 え 、「 ア ニ メ 等 公 認 タ ウ ン 」 の 推 進 に あ た っ て は 、 コ ン テ ン ツ の 使 用 点 数 や 使 用 範 囲等について、版権所有者と合意を形成する必要がある。また、合意事項は書面によ り双方が確認できるようにしておくことが、基本認識の共有や疑義の解決のためにも、 望ましいと考えられる。具体的に、自治体と版権所有者が契約または覚書を取り交わ すことが想定される。契約締結または覚書の取り交わしにあたっては、著作権法や自 治体の制度、版権事業者等をとりまく商慣習等を踏まえ、双方の合意のもとで実行で きるように調整を行う必要がある。 c.地域資源としての位置づけ 境港市の「水木しげる記念館」と北栄町の「青山剛昌ふるさと記念館」はそれぞれ 境港市と北栄町が管理する郷土施設であり、税金を投入している観点からも、自治体 の資産(地域資源)として位置づけられるものである。しかし、施設内の展示物等コ ンテンツについては、すべてが自治体の資産でなく、版権所有者の所有物となってい るケースもある。このことについて、自治体としては税金を投入して著作物使用料を 支払っていることから、自治体の資産として位置づけることを主張するのに対し、版 権所有者としてはコンテンツの適切な管理という立場から自らが所有し続けることを 主張する実態もみられる。また、当該施設への集客促進のためのプロモーションを行 う上で、当該自治体の郷土施設の一つとしてPRすることは許可されていても、アニ メ等コンテンツの名称や画像を使用したPRについては版権所有者から許可されない ケースもある。 こうした実態を踏まえつつ、地域資源として位置づけられる範囲と活用方法につい て、自治体と版権所有者が十分に協議し、双方にとって適切な解決方策を見出してい くことが求められる。 (4)推進体制 a.地域に必要な機能−プロデュース機能とキュレイション機能 「アニメ等公認タウン」において、アニメ等コンテンツを活用した地域振興を図る 上で、地域においてプロデュース機能とキュレイション機能を確保する必要がある。 プロデュース機能は、地域の人材や関係組織を調整しつつ、当該地域に関わるアニメ 等コンテンツを活用した戦略や企画を立案し、それを実行していく機能である。また、 -42- キュレイション機能は、アニメ等コンテンツの持つ力を地域に最大限に活かすことに より、観客等の満足度を高め、集客力等を向上させるとともに、アニメ等コンテンツ そのものの魅力(イメージ)をさらに高める機能である。 b.自治体を中心とする地域ぐるみの推進体制 「アニメ等公認タウン」においては、上述したように、自治体事業としての位置づ けが必要であり、従って自治体を中心とする事業展開を図ることが望ましい。その上 で、各地域の商工会議所や観光協会、商店街、事業者、教育機関、NPO等の連携・ 協力態勢を確立し、地域ぐるみで活動を展開していくことが望ましい。それによって、 アニメ等コンテンツの持つ世界観を地域全体として来訪者等に提供でき、集客促進に つながること等も期待できる。 c.キャラクタービジネスに長けた事業者の存在 アニメ等コンテンツを活用した地域振興効果を高めるためには、作品やキャラクタ ー等を活用した商品の開発・販売やサービス提供に取り組む必要がある。しかし、こ うしたキャラクタービジネスは商品デザインや著作権処理、販路確保等のノウハウと 実績、センスを必要とする事業であり、当該地域にこうした能力を持った事業者が立 地することが望ましい。 (5)経済産業省関連事業の活用(例) a.新商品・サービス開発 中小企業庁が認定する各地域の強みである地域資源を活用した中小企業の新商品・ 新サービス開発・市場化を支援する「中小企業地域資源活用プログラム」に基づき、 地域資源としてのアニメ等コンテンツを活用した観光・文化施設を活用した新商品・ 新サービスの開発・市場化を促進する。具体的に、境港市の「妖怪ロード」と北栄町 の 「 コ ナ ン 通 り ( コ ナ ン の 里 )」 が 地 域 資 源 と し て 指 定 さ れ て い る こ と か ら 、 こ れ ら を活用した新商品・新サービスの開発を図る。 具 体 的 に は 、「 地 域 資 源 活 用 売 れ る 商 品 づ く り 支 援 事 業 」 の 活 用 を 検 討 す る 。 こ の 事業は地域資源を活用して新規性の高い新商品開発等に取り組む中小企業等に対し、 市場調査、研究開発に係る調査分析、新商品・新役務の開発(試作、研究開発、評価 等 を 含 む )、 展 示 会 等 の 開 催 又 は 展 示 会 等 へ の 出 展 、 知 的 財 産 に 係 る 調 査 等 の 事 業 に 係る経費について補助するもので、地域産業資源活用事業計画の認定を受けた中小企 業者が補助対象となる。これについて、モデル事業(ゲゲゲの鬼太郎 新ビジネスプ ランコンテスト)を実施した境港市においては、コンテストを通じて収集したビジネ スプランをこの補助事業を活用することによって具体化していくことが考えられる。 な お 、「 中 小 企 業 地 域 資 源 活 用 プ ロ グ ラ ム 」 に 基 づ く 別 の 補 助 事 業 「 地 域 資 源 活 用 -43- 販路開拓等支援事業」は、地域資源を活用した新商品・新サービスの販路開拓等に取 り組む組合等に対して展示会出展等に係る費用の一部を補助するものであり、当該地 域での商品等販売を基本とする「アニメ等公認タウン」の活動にはそぐわないと思わ れる。 b.観光・集客サービス 観 光 ・ 集 客 交 流 サ ー ビ ス に つ い て は 、「 ビ ジ ネ ス 性 実 証 支 援 事 業 ( 観 光 ・ 集 客 サ ー ビス)」及び「広域・総合観光・集客サービス支援事業」が活用可能と思われる。 「 ビ ジ ネ ス 性 実 証 支 援 事 業 ( 観 光 ・ 集 客 サ ー ビ ス )」 は 、 地 域 の 観 光 ・ 集 客 サ ー ビ ス産業において、顧客ニーズや地域の観光資源の特性を踏まえた新サービスを提供す る先導的な取り組みに対して、コーディネーター機能の増進やデータベースの構築・ 活用等の事業基盤整備など、初期段階での事業支援(委託事業)を行い、新たなビジ ネスモデルの確立・普及と事業革新を促進するものである(1件あたり 3,000 万円程 度、100%)。 「広域・総合観光・集客サービス支援事業」は、特色ある地域の産業や工場、商店 街、異業種等の幅広い事業者の連携など、観光・集客サービス分野において個別の事 業者では対応が困難な立ち上がり期における共通基盤づくりを支援する( 1/2 補助、 最大3年間)。 4.著作権処理方策について 以下では、アニメ等コンテンツに関する著作権処理方策について概観するとともに、 それらを踏まえて、「地域限定型クリエイティブ・コモンズ」とも言うべき、著作権処 理のあり方について検討を行った。 (1)著作権 a.著作権とは 「著作権」とは、著作物を創作した者が、その著作物について有する権利をいう。 著作権は、興業所有権とは異なり、登録等の手続きをしなくても、著作物を創作した 時点で創作者に権利が発生する(著作権法第 17 条第2項)。 b.著作権の種類 著作権は、人格的利益(精神的に傷つけられないこと)を保護するための「著作者 人格権」と、財産的利益(経済的に損をさせられないこと)を保護する「著作財産 権」に大別される(著作権法第 17 条第1項)。 -44- 公表権 まだ公表されていない自分の著作物を、公表するか否か、公 著作者人格権 (著作権法第 18 条) 表する場合の方法や条件について決定できる権利。 氏名表示権 自 分 の 著 作 物 を 公 表 す る 際 に 、「 著 作 者 名 」 の 表 示 の 有 無 、 (著作権法第 19 条) 表示する場合の表示方法について決定できる権利。 同一性保持権 自分の著作物の内容、題号を自己の意に反して無断で改編さ (著作権法第 20 条) せない権利。 複製権 著作物を複製する権利。 (著作権法第 21 条) ( 複 製 : 有 形 的 に 再 製 す る こ と ( 著 作 権 法 第 2 条 第 1 項 第 15 号) 上演権・演奏権 著作物を公衆に直接見せたり聞かせたりすることを目的とし (著作権法第 22 条) て上演、演奏する権利。 公衆送信権 著作物を公衆によって直接受信されることを目的として無線 (著作権法第 23 条) 通信又は有線電気通信の送信を行う権利。 口述権 著作物を口頭で伝達する権利。 (著作権法第 24 条) 展示権 美術の著作物や未発行の写真の著作物の著作者が、これらの 著作財産権 (著作権法第 25 条) 著作物の原作品を公に展示する権利。 上 映 権 ・ 頒 布 権 ( 著 作 上映権:映画を上映する権利。 権 法 第 22 条 の 2 、 第 26 頒布権:著作物の複製物(コピー)を頒布する権利。 条) 貸 与 権 ( 著 作 権 法 第 著作物の複製物(コピー)を公衆に貸与する権利。ただし、 26 条の3) 映画の著作物には貸与権がなく、書籍・雑誌にも当分の間は 貸与権が及ばない。 翻 訳 権 、 編 曲 権 、 変 自己の著作物を翻訳、編曲、変形又は翻案して、二次的著作 形 権 、 翻 案 権 ( 著 作 物を創作する権利。翻訳、翻案等によってできた二次的著作 権法第 27 条) 物は、翻訳者や翻案者がその著作者となる。 二 次 的 著 作 物 の 利 用 二次的著作物の原著作者も、二次的著作物の著作者と同等の 権 ( 著 作 権 法 第 28 権利を有すること。 条) 譲 渡 権 ( 著 作 権 法 第 映画の著作物を除く著作物を、その原作品や複製物(コピ 26 条の2) ー)の譲渡により公衆に提供する権利。 -45- c.著作隣接権 著作隣接権とは、実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に対し て 認 め ら れ る 権 利 ( 著 作 権 法 第 89 条 )。 こ れ ら の 者 は 、 ① 重 要 な 伝 達 機 能 を 有 し て いること、②伝達に際して著作物の創作に準ずる創作行為が認められることから、著 作権法は、これらの者の利益を保護することで、著作権者の十分な保護を図ろうとし ている。 実演家の権利 実演家人格 氏名表示権、同一性保持権 権 著作隣接権 生の実演(録音権・録画権、放送権・有線放送 権 、 送 信 可 能 化 権 )、 録 音 ・ 録 画 さ れ た 実 演 ( 送 信可能化権、放送・有線放送の使用料請求権、 複製権、譲渡権、貸与権、商業用レコードの二 次使用料請求権) レコード製作者の権利 複製権、送信可能化権、二次使用料を受ける権利、譲渡権、貸 与権 放送事業者の権利 複製権、再放送権及び有線放送権、送信可能化権、テレビ放送 の伝達権 有線放送事業者の権利 複製権、放送権及び有線放送権、送信可能化権、テレビ放送の 伝達権 d.著作物などを無断で利用できる例外 著作物等を利用するには、その都度、著作権者から許諾を得るのが原則であるが、 著作権法では、一定の場合に限り、著作権者の権利を法律上制限して、著作権者の許 諾を得ることなく著作物を利用できるルールを定めている。このうち、アニメ等コン テンツを地域振興に活用する場合に関係のあるものは次の通りである。 公開の美術の著作物等 街路や公園などの屋外に設置された美術の原作品などは、著作 の 利 用 ( 著 作 権 法 第 46 者の許諾を得ずに利用することができる。ただし、販売を目的 条) として美術の著作物を複製したり、これを販売したりすること は認められない。 放送事業者による一時 放送事業者や有線放送事業者は、著作権者から放送又は有線放 固 定 ( 著 作 権 法 第 44 送の許諾を得た著作物については、放送のための技術的な手段 条) として、著作物を一時的に録音・録画することができる。ただ し、その録音物又は録画物を、録音又は録画後6カ月を越えて 保存する場合は、公的な記録保存場所に保存しなければならな い。 -46- e.権利の保護期間 ① 著作権 著作物の種類 保護開始 下記以外のもの(原 著作者が著作物 則) を創作したとき 無名・変名(周知の 同上 変名は除く)の著作 保護終了 著作者の死亡した翌年から 50 年 公表後 50 年(死後 50 年経過したことが明 らかな場合は、その時点) 物 団体名義の著作物 同上 公表後 50 年(創作後 50 年以内に公表され ない場合は創作後 50 年) 映画の著作物 同上 同上。但し平成 16 年 1 月 1 日に著作権の保 護期間が残存している又は、平成 16 年 1 月 1 日後に創作される映画の著作物について は、公表後 70 年(創作後 70 年以内に公表 されない場合は 70 年) ② 著作隣接権 著作隣接権 保護開始 保護終了 実演家 その実演を行ったとき 実演後 50 年 レコード製作者 その音を最初に固定(録音)したと 固定後 50 年 き 放送事業者 その放送を行ったとき 放送後 50 年 有線放送事業者 その有線放送を行ったとき 有線放送後 50 年 f.権利侵害に対する措置 ① 民事上の請求 差 止 請 求 ( 著 作 権 法 第 112 侵害者に対して侵害行為の停止を請求できる。 条) 損 害 賠 償 請 求 ( 民 法 第 709 故意又は過失によって権利を侵害した者に対して、 条) 権利者は損害賠償を請求できる。 名誉回復措置(著作権法第 著作権者は、故意又は過失により著作者人格権を侵 115 条) 害した者に対し、著作者であることを確保する措 置、又は著作者の名誉・声望を回復するための措置 を請求できる。 ② 罰 則 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者は、 3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処せられる(著作権法第 119 条)。その 著作権新会社が自らの所属する法人の業務の一環として著作権侵害行為を行ったと き に は 、 そ の 法 人 は 1 億 円 以 下 の 罰 金 に 処 せ ら れ る ( 著 作 権 法 第 124 条 第 1 項 1 号)。 -47- g.その他特記事項 モデル事業の実施にあたって、著作権処理に関して得た知見として、以下の4点を あげることができる。 ① 人気度による違い モ デ ル 事 業 を 実 施 し た 境 港 市 と 北 栄 町 で の 取 り 組 み は 、「 ゲ ゲ ゲ の 鬼 太 郎 」 や 「名探偵コナン」といった、国内はもとより海外でも人気の高い、いわば「メジャ ー・コンテンツ」を活用したものである。これらは版権所有者にとって作品やキャ ラクターのイメージを保持・向上する必要があることに加え、これらを使用するこ とによる集客効果や経済波及効果が大きいと見込まれることから、実施主体や営 利・非営利の別、商品・サービスの種類に関わらず、事業計画に応じて著作権協議 を慎重に行う必要があり、また著作物使用料の負担も必要となる。 ② 版権所有者の構成 境港市と北栄町を比較すると、境港市が交渉する㈱水木プロダクションは「ゲゲ ゲの鬼太郎」等の作者である水木しげる氏が代表を務める個人プロダクションであ るのに対し、北栄町が交渉する㈱小学館はわが国を代表する大手出版社の一つであ り 、「 名 探 偵 コ ナ ン 」 等 の 作 者 で あ る 青 山 剛 昌 氏 は ㈱ 小 学 館 の 下 で 制 作 活 動 に 取 り 組んでいる。また、㈱小学館は自社の版権管理を㈱小学館プロダクションに委託し ている。すなわち、境港市は作者=個人プロダクションと交渉するのに対し、北栄 町は大手出版社及び大手プロダクションと交渉しており、こうした版権所有者の組 織構成の違いが著作権処理の対応に違いをもたらしているとみることができる。 ③ 行政事務と民間の商慣習 自治体や中央省庁など行政機関が版権所有者との提携により、アニメ等コンテン ツを活用した地域振興事業等を図ろうとする場合、制度化された行政事務とコンテ ンツ業界における商慣習がその考え方や事務の繁雑さ等においてあまりにかけ離れ ていることも課題の一つである。 例えば、行政機関から委託する形で、アニメ制作会社等に地元を舞台とした番組 制作のためのシナリオ・ハンティングやロケーション・ハンティングを行う場合、 行政機関としては委託契約書を締結し、必要な事務・会計手続きを行う必要がある が、版権所有者の商慣習からすれば、そのような契約や事務手続きは極めて煩雑で あり、そこまでの手間をかけてシナリオ・ハンティングやロケーション・ハンティ ングを実施しようという判断にならないのが実態である。 ④ 税金投入に対する認識 前 節 ( 3 )「 c . 地 域 資 源 と し て の 位 置 づ け 」 の 項 で み た よ う に 、 例 え ば 、 北 栄 町の「青山剛昌ふるさと館」は町営の郷土施設であり、税金を投入している観点か らも、北栄町の資産(地域資源)として位置づけられるものである。しかし、施設 内の展示物等コンテンツについては、すべてが北栄町の資産でなく、版権所有者の 所有物となっているケースもある。このことについて、自治体としては税金を投入 -48- して著作物使用料を支払っていることから、自治体の資産として位置づけることを 主張するのに対し、版権所有者としてはコンテンツの適切な管理という立場から自 らが所有し続けることを主張している。 このように、行政機関自治体や中央省庁など行政機関が版権所有者との提携によ り、アニメ等コンテンツを活用した地域振興事業等を図ろうとする場合、行政機関 が当然と考える税金に対する考え方が通用しないこともあり、これらについては今 後、行政機関と版権所有者が協議を重ねながら、解決の道筋を見出していく必要が ある。 (2)クリエイティブ・コモンズとは? クリエイティブ・コモンズは、「All Rights Reserved(すべての権利が留保されてい る )」 と 表 示 さ れ 、 著 作 者 が 知 的 創 造 物 に 対 し て 主 張 で き る 排 他 的 な 権 利 ( 著 作 権 ) と 、 著作者がそうした権利を主張できず、一般公衆に属する状態にあるとされる「パブリッ ク・ドメイン」の間にあって、特定の条件に基づいて自由に使用することができるとい う 考 え 方 で あ り 、「 Some Rights Reserved( い く つ か の 権 利 だ け 留 保 さ れ て い る )」と 表示される。クリエイティブ・コモンズには次の4つのライセンスがある。 クリエイティブ・コモンズの4つのライセンス 種別 表示 内容 帰属ライセンス BY 著作者の氏名を表記すれば自由に使用できる 非営利ライセンス NC 商業目的でなければ自由に使用できる 派生禁止ライセンス ND 派生作品を制作しなければ自由に使用できる 同一条件許諾ライセンス SA 派生作品を制作する場合は最初の条件と同じ条件で再 配布する (3)地域限定型クリエイティブ・コモンズの可能性 (2)で紹介したクリエイティブ・コモンズの考え方やライセンスを、境港市が活用 する「ゲゲゲの鬼太郎」や北栄町が活用する「名探偵コナン」に適用することは適当で はないと考えられる。それは「ゲゲゲの鬼太郎」や「名探偵コナン」はその作者やプロ ダクションが知的創造物に対して主張できる排他的な権利を有しており、境港市や北栄 町はそれに対する著作物使用料を支払っているのが現状であり、これらを「特定の条件 に基づいて自由に使用することができる」ようにすることは版権所有者の権利を剥奪す ることになると考えられるからである。ただし、境港市のように、その使用条件を緩和 したり、使用料を低減させることによって、商品・サービス開発を活発化させ、さらに は「ゲゲゲの鬼太郎」の話題性を高める効果もみられ、こうした実態も認識しつつ、 「アニメ等公認タウン」として望ましい著作物使用条件や使用料について、各地域と版 権所有者の間で合意を形成していくことが求められる。 -49- なお、本来の定義に基づく「地域限定型クリエイティブ・コモンズ」については、地 域振興を目的として地域主導で制作・活用されているキャラクターをそれに適用する方 が現実的であると思われる。具体的に、鳥取県のマスコットキャラクター「とりピー」 や 2007 年 11 月に鳥取県内で開催された和牛共進会のキャラクター「とりモー」など といった、全国各地で開催される地方自治体主催のイベントや地域振興、名産品などを PRするために制作されたかわいい、やさしい、ほのぼのとしたキャラクター(いわゆ る 「 ゆ る キ ャ ラ 」) に つ い て 、 関 係 地 域 の 様 々 な 主 体 が 一 定 条 件 の 下 で 活 用 で き る よ う な仕組みを確立することが有用であると思われる。ただし、特定キャラクターを使用し た食品表示偽装が起こり、当該キャラクター及び関係地域のブランド低下につながった 例 も み ら れ る こ と か ら 、「 ゆ る キ ャ ラ 」 の 使 用 に つ い て も 、 そ の 使 用 方 法 等 に つ い て も 一定の管理体制を構築することが、地域ブランドの確立・向上の観点からも必要になっ てくると考えられる。 -50- 第3章 地方におけるアニメ制作ビジネスのモデル事業 1.モデル事業の背景・目的 わが国のアニメ制作企業が東京に集積しており、京都アニメーションなど一部の企業 を除いて、地方におけるアニメ制作企業の立地はほとんどみられないのが現状である。 その中で、広島国際アニメーションフェスティバル及び広島アニメーションビエンナー レを核にアニメのまちづくりを推進する広島市では、平成 17・18 年度の「ポール・イ マージュ・広島 」の試行的活動を通じて、広島国際アニメーションフェスティバルや 広島アニメーションビエンナーレといった文化振興あるいは集客交流事業に加えて、ア ニメーション制作に関わる産業育成の試みが行われた。その一つが、広島経済同友会ア ニメーションビエンナーレ基金と広告代理店の㈱総合広告社、食品メーカーのにしき堂 が共同で実施した「にしき堂アニメCMオープン・コンペ」である。このコンペは「ア ニメーションの分野で若い無名の才能を発揮し、未完成でもいいから、その芽を伸ばそ う。それが広島のアニメーション文化の基盤を形作る。そしてやがてはその基盤の上に ビ ジ ネ ス と し て の ア ニ メ ー シ ョ ン 産 業 の 花 が 開 く 。」 と い う コ ン セ プ ト で 実 施 さ れ 、 全 国の若手クリエイター(学生を含む)から 35 件の応募があった。また、審査委員から はこうしたコンペを継続的に開催すべきだという意見が出された 。また、最優秀作品 は平成 19 年5月末から8月まで広島県内の民放テレビで放送された 。 こ う し た 状 況 を 踏 ま え 、「 に し き 堂 ア ニ メ C M オ ー プ ン ・ コ ン ペ 」 の 成 果 と 課 題 を 受 ける形で、地方におけるアニメーションを使用した企業CM制作の仕組みをさらに発 展・定着させるため、新たに、人材育成の視点をからめながら、アニメCMの公募・選 考・制作を試行的に実施した。また、それらのアニメCMを実際に視聴した消費者のイ メージ・評価を測定するとともに、応募者および協賛企業の意識・評価について把握・ 分析を行った。 2.実施概要 (1)実行委員会の概要 広島市においては、昨年、アニメーションに関連したさまざまな事業を展開し、そ れを広島経済の活性化につなげようとする、経済産業省「平成 18 年度サービス産業 創出支援事業(観光・集客交流サービス分野)」採択候補事業の一つである「ポール・ イマージュ・広島」の市民参加型情報通信基盤整備事業の一つとしてWebサイト 「アニメーションシティ広島」が立ち上げられた。この「アニメーションシティ広 島 」 の 事 業 と し て 、「 に し き 堂 ・ ア ニ メ C M オ ー プ ン ・ コ ン ペ 」 が 実 施 さ れ 、 一 定 の 成果があった。 -51- 本事業を実施するにあたり、その成果を引き継ぎ、発展させることが望ましくかつ 有 効 で あ る と 考 え 、「 に し き 堂 ・ ア ニ メ C M オ ー プ ン ・ コ ン ペ 」 の 実 施 体 制 を そ の ま ま引き継ぐかたちで、第2回アニメCMオープン・コンペ実行委員会を組織した。 事務局は、アニメーションシティ広島担当 ㈱総合広告社が担当した。 (2)実行委員会メンバーの人選 有限責任中間法人広島アニメーションビエンナーレ基金代表理事・中国放送㈱代表 取締役社長である安東善博氏に委員長をお願いし、次の方々に、実行委員兼審査委員 をお願いした。 委員長 安東善博 (有 限 責 任 中 間 法 人 広 島 ア ニ メ ー シ ョ ン ビ エ ン ナ ー レ 基 金 代 表 理事・中国放送㈱代表取締役社長) 委員 笠原 浩 (広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科メディア造形准教 授)※審査委員長は、笠原 浩にお願いした。 委員 谷口重徳 (広島国際学院大学現代社会学部准教授) 委員 島田 卓 (ウェブサイト「歌詞 GET」運営者) 委員 樋園 明 (オタフクソース㈱マーケティング部部長) ※ 島田卓氏及び樋園明氏については、協賛していただくことが決定した後、実行 委員会に加わっていただいた。 (3)開催時期 第2回アニメCMオープン・コンペの募集要項・募集チラシの作成、募集方法等の 作品募集までの一連の作業については、事務局で原案を作り、各委員等の意見を求め、 決定・実施した。 実行委員会兼審査委員会及び受賞者を囲んでの意見交換会を次の通り行った。 〔第1回実行委員会兼審査委員会〕 ◎日 時 平成 19 年 12 月 1 日(土) ◎場 所 広島国際学院大学立町キャンパス会議室(広島市中区基町 13-7) ◎出席者 委員長 安東善博 委員 笠原 委員 谷口重徳 委員 島田 13:30~16:30 浩(審査委員長) 卓 事務局 オブザーバー 〔第2回実行委員会兼審査委員会〕 ◎日 時 平成 20 年 2 月 7 日(木)13:30~16:30 ◎場 所 広島国際学院大学立町キャンパス会議室(広島市中区基町 13-7) -52- ◎出席者 委員長 安東善博 委員 笠原 委員 谷口重徳 委員 島田 卓 委員 樋園 明 浩(審査委員長) 事務局 オブザーバー 〔第3回実行委員会兼表彰式・意見交換会〕 ◎日 時 平成 20 年 2 月 28 日(木)13:30~17:30 ◎場 所 RCC文化センター(広島市中区橋本町 5-11) ◎出席者 委員長 安東善博 委員 笠原 委員 谷口重徳 委員 島田 卓 委員 樋園 明 浩(審査委員長) 受賞者 事務局 オブザーバー 3.実施経緯(CM制作企業の募集・選定の経緯(選定までの流れ)) 協賛企業の募集・選定にあたっては、本事業の目的・趣旨を理解していただけ、かつ、 CMのテーマとしておもしろい企業という視点から、候補企業をリストアップし、交渉 の結果、オタフクソース㈱、㈱セカンドビジョンの理解が得られ、協賛企業に決定した。 (1)アニメCMの募集 a.審査方法 この種のコンテストにおいては、本作品を募集する形式がほとんどであるが、本事 業では、絵コンテ募集(審査)、本作品募集(審査)の2段階で行うことにした。その理 由は、応募者の大半が学生であろうと予想され、絵コンテでの応募の方が、経費面、 労力面で負担が少なく応募しやすいと考えられたためである。 b.募集要領 Webサイト「アニメーションシティ広島」は、若い、意欲的で創造性に富むア ニ メ ー シ ョ ン ・ ク リ エ ー タ ー を 発 掘 し 、 世 に 送 り 出 す こ と を 目 的 と し て 、「 第 2 回 アニメCM・オープンコンペティション」を実施します。採用は2点で、賞金は 合計50万円です。なお、この企画の実施にあたり、広島のアニメーション産業 -53- の発展と若きクリエーターの育成を願う広島の地元企業から、広くパトロネージ を募り、費用の一部の拠出をお願いし、お好み焼ソース日本一のオタフクソース 株式会社と、Webサイト「歌詞ゲット」の株式会社セカンドビジョンの協賛を いただきました。 ○応募資格/プロ・アマ問いません。オープンです。また居住地、活動拠点によ る制約もありません。グループ応募も結構です。 ○ 作 品 テ ー マ / A 、 B の い ず れ か を お 選 び 下 さ い 。 (応 募 点 数 は 問 い ま せ ん 。 両 方 を応募することも可です。) A 「お好み焼で団らん」(スポンサー:オタフクソース株式会社) お好み焼がモチーフとして使われていることが条件です。 オタフクソースについては http://www.otafuku.co.jp/ご覧下さい。 B 「 M y M emories ~ 音 楽 の あ る 風 景 ~ 」 (ス ポ ン サ ー :株 式 会 社 セ カ ン ド ビジョン) 歌詞検索サービスの「歌詞ゲット」がモチーフとして使われていることが 条件です。 歌詞ゲットについては http://www2.kget.jp/ご覧下さい。 ○制作技法/アニメーションが使われていることが条件です。アニメーションで あれば、コンピュータ・グラフィックス、パペット、クレイ、ドロ ーイングなど手法は問いません。 ○募集作品/15秒のテレビCM 優秀作は、広島県内民放テレビで放映させていただく予定です。そ の場合、相談の上、テレビCM用に再編集します。 【絵コンテ審査】 絵コンテ審査で、10~15 点を選び、本作品審査に参加していただきます。 ○締切/2007 年 11 月 22 日(木) 当日消印有効 ○提案形式/絵コンテ、企画意図などを、A4用紙×5枚以内(表紙含む)にまとめ て下記に郵送して下さい。表現形式は自由です。 ※ 表紙にタイトル、および名前・住所・電話・メールアドレスを 明記して下さい。 ○送付先/〒732-0064 広島市東区牛田南 1-3-23 ㈱総合広告社内 モーニングパーク1階 第 2 回アニメCM・オープン・コンペ実行委員会 ○発表/絵コンテ審査の結果は、2007 年 11 月末までに郵便でお知らせします。 【本作品審査】 ○締切/2008 年1月 31 日(木) 当日消印有効 ○メディア/作品のメディアは問いませんが、最終的にはNTSC形式でTV― CM放映をいたしますので、そのことを念頭にメディアを選んでく ださい。 -54- ○発表/2008 年 2 月初旬(予定) 【審査基準】 「 ス ト ー リ ー 性 」、「 創 造 性 」、「 娯 楽 性 」、「 訴 求 力 」、「 技 術 力 」、「 芸 術 性 」 の 6 つ をクライテリアに実施します。 【審査】 専門家及び協賛企業代表等による審査を行います。 審査委員は、http://www.animation-city-hiroshima.com に掲載いたします。 審査の過程、結果はWebサイト「アニメーションシティ広島」上で逐次お知ら せします。 【著作権その他】 すべてのオリジナル著作権は原制作者に帰属します。ただし、オタフクソース株 式会社及び株式会社セカンドビジョンは、優秀作の使用権、TV・イベント、印 刷媒体等での放映権・利用権を留保します。オタフクソース株式会社及び株式会 社セカンドビジョンおよびWebサイト「アニメーションシティ広島」は、優秀 作・第一次審査通過作品のWeb上での公開権を留保します。オタフクソース株 式会社及び株式会社セカンドビジョンおよびWebサイト「アニメーションシテ ィ広島」は、応募作絵コンテのWeb上での公開権を留保します。作品制作上、 M E ( 音 楽 効 果 )、 S E ( 音 響 効 果 ) に 関 し 、 制 作 者 が 著 作 権 処 理 に 問 題 を 生 じ た 場合、当事務局にご相談ください。前向きに問題を解決することができる場合が あります。ただし制作・発表後こうした問題が生じた場合はその限りではありま せん。相談は必ず制作中・発表前に行ってください。その他著作権処理は、制作 者の責任に置いて行ってください。 【主催・お問い合わせ】 第2回アニメCMオープン・コンペ実行委員会事務局 アニメーションシティ広島担当 株式会社 総合広告社内 〒732-0064 広島市東区牛田南 1-3-23 モーニングパーク1階 TEL 082-511-0246 中国経済産業局 FAX 082-511-0248 産業振興課 メール info@sogo-ad.net コンテンツ産業支援室 〒730-8531 広島市中区上八丁堀 6-30 TEL 082-224-5638 FAX 082-224-5642 募集要項は、http://www.animation-city-hiroshima.com からダウンロードできま す。 c.アニメCMの募集方法 全国のアニメ・映像等関連大学、専門学校 151 校及び昨年の応募者 31 名に募集チ ラシを発送するとともに、Webサイト「アニメーションシティ広島」で告知した。 また、雑誌「公募ガイド」に掲載を依頼した。 -55- d.アニメCMの募集結果 東京、神奈川、愛知、大阪、和歌山、大阪、兵庫、岡山、広島から 89 名、116 作 品(オタフクソース 113 点、歌詞ゲット 13 点)の応募があった。 (2)一次審査の概要・結果 a.審査対象作品数 116 作品(オタフクソース 113 点、歌詞ゲット 13 点) b.審査基準 ・アニメーションならではでの表現技法やストーリー展開を意識した作品 ・15秒CMという制約と上手に調和した作品 c.審査結果(一次審査通過作品) 一次審査通過作品は、以下の通り、18 作品(17 名)の作品が選ばれた。 A テーマ 「お好み焼で団らん」 通過 11 作品 制作者 タイトル 坪石 真実 昼すぎの電車 明石 瀬里奈 笑顔のきっかけ 宮迫 (無題) 慎 堀田 亜里沙 オタフク戦隊ウマインジャー 杉殿 育恵 (無題) 宮本 雄岐 (無題) 竹森 梓 おこのみやきのおいしいたべかた 小田 亜矢 オタフク家族~クッキングパパ編 松井 久美 思い出の一銭焼き 新見 香里 お兄ちゃんバージョン 高橋 絵梨子 満点 B テーマ 「My Memories~音楽のある風景~」 通過 7 作品 制作者 タイトル 星衣 久江 歌詞ゲットで思い出写真! 尾上 雅美 Refrain 林詩 ある日の午後 織 貧乏学生編 チーム桃尻 気持ちを贈るのは・・・ 平山 未令 伝えたい言葉のかわりに 平山 未令 My Memories~音楽のある風景~ 沈靖 (無題) 宣 -56- d.一次審査における傾向(昨年度コンペとの比較など) 応募作が第1回目に比べて多かったことを反映し、絵コンテ段階でも優れた着想、 高度な技術の作品が多かった。また応募の広がりから見て、この種のコンペに対する 若いクリエイター・学生のニーズが高いことも窺われた。アニメーションを志して、 日本に留学する若い外国人学生の応募も少なからずあった。さらに、アニメーション 科のある大学・専門学校の担当教師・担当講師が強く薦めて応募させるなどのケース があったほか、アニメーション科全員に、今回コンペの応募を授業課題とした専門学 校も1校あった。教育・養成という立場からみても、この種のコンペに対するニーズ が高いことが窺われた。 今回応募で特徴的だったのは、東京工芸大学、駒沢女子大学、成安造形大学、神戸 芸術工科大学など関東、関西圏の大学からの応募があったことである。また地方から も岡山県立大学などからの応募があった。 絵コンテ段階では、作画技術の高い作品が多かった。またテーマの割と厳しい制約 にもかかわらず、斬新な着想の作品が多く見られた。しかし、その多くは構成の不備、 表現技術の稚拙さなどから第一次審査は通過できなかった。とはいうものの、若い世 代の発想の自由さは十分に窺える結果となった。 (3)二次審査の概要・結果 a.審査対象作品の概要 一次審査通過作品のうち、14 作品の応募があった。 b.審査基準 ・技術的完成度 ・訴求力(インパクト)の強さ ・協賛企業のCMとしての適否 c.二次審査まとめ 今回の応募作品を見ると、いくつかの特徴が挙げられる。第一に、多くの作品がチ ームないしはグループの作品だったということである。アニメーション制作では、企 画・構成・ストーリー作成・作画・アニメーション効果・音楽効果・音響効果など、 多岐にわたる作業が必要であるため、実際にアニメーションを作る段階になると、チ ームやグループを構成する方が作業を効率的に進めやすいからである。ただし、後段 で見るように、受賞2作品はいずれもほぼ一人で制作されており、チームやグループ で制作する場合でも、調整等での苦労話が聞かれた。 第二には、昨年と比べると質的に格段に向上し、アニメーション批評に値する作品 が出そろったことである。中には15秒CMという制約から優秀賞はのがしたものの、 「作家性」を窺わせる強烈な個性を持った短大生も見られた。こうした人材の輩出は、 -57- アニメーション産業の発達には必要不可欠であり、このコンペの意義を再確認できた。 一方で、多くの作品の作画スタイルは、いわゆる漫画的なものであり、作品の多様 性に欠ける傾向も見受けられた。アメリカやイギリスなどの例を見ると、産業として のアニメーションは、娯楽、教育、医療、産業シュミレーション分野、Webコンテ ンツ作成、企業広報、企業プレゼンテーションなど極めて幅広い応用用途を持つもの であり、基本的で本格的な作画技術が求められている。どちらかと言えば線画中心の 作画技術だけでは、こうした幅広い市場のニーズに対応できないことにもなり、育成 面での今後の大きな課題と考えられる。 最後に、CMということで限定しても、広告主(協賛企業)は新しい、斬新な切り 口でのCM制作を望んでおり、そのために若いアニメーターの新鮮な発想を求めてい ることが再確認できたことが挙げられる。この意味でも、このコンペの意義は大きい と言える。 d.審査結果 【優秀作】 2作品 賞状 副賞25万円 A部門 「おこのみやきのおいしいたべかた」 B部門 「歌詞ゲットで思い出写真!」 【優秀作候補】 6作品 「笑顔のきっかけ」 賞状 星衣久江(京都造形芸術大学通信部) 副賞2万円 明石瀬里奈(成安造形大学) 「無題」 杉殿育恵(広島市立大学大学院) 「無題」 宮本雄岐(東京工芸大学芸術学部) 「Refrain」 尾上雅美(比治山大学短期大学部) 「気持ちを贈るのは…」 「My Memories」 【奨励作】 6作品 「昼すぎの電車」 「無題」 竹森梓(比治山大学短期大学部) チーム桃尻(掛谷公恵)(岡山県立大学デザイン学科) 平山未令(比治山大学短期大学部) 賞状 副賞1万円 坪石真実(比治山大学短期大学部) 宮迫慎(比治山大学短期大学部) 「~オタフク戦隊ウマインジャー 貧乏学生編~」 堀 田 亜 里 沙 (チ ー ム 堀 田 )(日 本コンピュータ専門学校) 「オタフク家族 ~クッキングパパ編~」 「お兄ちゃんバージョン」 「無題」 新見香里 小田亜矢(広島市立大学) (専門学校東京ネットウェーブ) 沈靖宣(日本工学院) e.二次審査における傾向(昨年度コンペとの比較など) 昨年は、23 作品(22 名)の一次審査通過作品に対して、17 作品(17 名)の応募があっ たが、作品としてある程度完成しているものは、数点に満たなかった。 -58- 本年は、18 作品(17 名)の一次審査通過作品に対して、14 作品(14 名)の応募があり、 2~3 点を除き、一定の水準を達成した作品であった。 本来CMはアニメーション制作の課題としては、時間的制約、ストーリー展開、ア ニメーション処理、発想・着想、対象研究のいずれの分野をとってみても極めて高度 であり、この高度な課題に若い層がいかにチャレンジするかが大きな審査過程のテー マであった。昨年と比較すればこの課題に勇敢に立ち向かった作品がはるかに多かっ たとはいうものの、やはり専門家や広告主の目からみれば全体として物足りないとい う結果になった。しかし優秀賞の2作品はCMとして立派に通用する作品であり、逆 に2回目のコンペでこうした作品が出てきたという点は評価される。 f.優秀賞の表彰式など 表彰式は、優秀賞受賞者2名、優勝賞候補3名、奨励賞チーム5名(大阪の専門学 校)が出席して行われた。表彰式の後は、参加者と事務局、関係者によって交流会が 行われ、今回のCM制作の感想や今後の活動の希望などを語り合いながら、お互いの 交流を深めた。 (4)アニメCMのテレビ放映に向けた取り組み 優秀作の「おこのみやきのおいしいたべかた」、「歌詞ゲットで思い出写真!」の2 作品については、オタフクソース㈱、㈱セカンドビジョンのテレビCMとして、広島 県内民放テレビで放映する予定である。ただし、CM放映は各社の事業戦略にも関係 するため、スケジュール通りに進めることが難しく、放送日時、本数等は未定である。 -59- 4 . ア ニ メ 制作 ビジ ネ ス の 効果 分 析 (1)アニメCMによる視聴者のイメージの把握 今回の事業で制作したアニメCM2作品について、視聴者の印象やイメージを把握 するため、ウェブアンケートを実施した。実施概要は以下の通りである。 アンケート調査の実施概要 調査期間 2008年3月7日〜12日 調査方法 ・インターネット上での回答・回収 調査対象 ・今回調査委託を行ったリサーチ会社に、モニター登録を している全国の一般利用者 ・登録者にメールを一斉送信し、回答の先着順(年齢区分 別)で回収 調査内容 ・アニメCMに対する感想 ・一般的な実写CM等と比較したアニメCMの印象 など a.アンケート回答者の属性 今回のウェブアンケート回答者の属性は下表の通りである。年齢は、各区分別に同 数 回 収 に な る よ う に 設 定 し た た め 、 3 区 分 の 回 収 数 は そ れ ぞ れ 150件 ず つ と な っ て い る。性別も男女ほぼ同水準である。住所は、関東・甲信越を始め、大都市圏が多くを 占めているのは、モニター登録者の構成が反映されたためと思われる。 回答者の属性 (年齢) (性別) サンプル 150 150 150 450 構成比 33.3 33.3 33.3 100.0 サンプル 北海道・東北 32 関東・甲信越 212 北陸・東海 64 近畿 83 中国 24 四国 6 構成比 7.1 47.1 14.2 18.4 5.3 1.3 15〜29歳 30〜49歳 50〜69歳 合計 男性 女性 合計 (住所) 九州 合計 29 450 6.4 100.0 − 60− サンプル 220 230 450 構成比 48.9 51.1 100.0 b.CM制作企業・サービスの認知度 まず、今回CM制作を行った2社(オタフクソース、セカンドビジョン「歌詞ゲッ ト 」) の 商 品 ・ サ ー ビ ス 等 の 認 知 度 を 見 る と 、 オ タ フ ク ソ ー ス は 62% の 人 が 実 際 に 商 品・サービスを購入・利用したことがあるなど、高い認知度を有している。また、年 齢 別 に 見 る と 、ど の 年 代 で も 共 通 し て 高 い 。一 方 、セ カ ン ド ビ ジ ョ ン の「 歌 詞 ゲ ッ ト 」 に つ い て は 、 イ ン タ ー ネ ッ ト を 活 用 し た 新 し い サ ー ビ ス と い う こ と も あ り 、 84% と 大 半 の 人 は 「 知 ら な か っ た 」 と し て い る 。 ま た 、 15〜 29歳 の 若 年 層 の 購 入 ・ 利 用 率 が 20 %と他の年代に比べて高い点が特徴的である。 企業・サービスの認知度(オタフクソース) 知らなかった 21.1 商品・サービスを購入・利用したことは ないが、企業等は知っている 17.3 61.6 商品・サービスを購入・利用したことがある (N=450) (%) (年齢別) 商品・サー ビスを購入 ・利用した ことがある 全体 15〜29歳 30〜49歳 50〜69歳 61.6 60.7 66.0 58.0 商 品 ・ サ ー 知らなかっ ビスを購入 た ・利用した ことはない が企業等は 知っている 17.3 15.3 18.7 18.0 21.1 24.0 15.3 24.0 企業・サービスの認知度(歌詞ゲット) 商品・サービスを購入・利用したことがある 8.7 7.6 商品・サービスを購入・利用したことはないが 企業等は知っている 83.8 知らなかった (N=450) − 61− (%) (年齢別) 商品・サー ビスを購入 ・利用した ことがある 全体 15〜29歳 30〜49歳 50〜69歳 8.7 20.0 3.3 2.7 商 品 ・ サ ー 知らなかっ ビスを購入 た ・利用した ことはない が企業等は 知っている 7.6 8.0 8.7 6.0 83.8 72.0 88.0 91.3 c.アニメCM2作品の視聴の感想 今 回 C M に 採 用 さ れ た 2 作 品 に つ い て 、ウ ェ ブ サ イ ト( ア ニ メ ー シ ョ ン シ テ ィ 広 島 ) で実際に視聴してもらった後、以下の8項目でその感想を尋ねた。 まず、オタフクソースのCMについては、団らんがテーマであったこともあって、 好 感 度 が 非 常 に 高 い 結 果 と な っ て い る 。 ま た 、「 内 容 が ア ニ メ で 表 現 す る こ と に 適 し ている」という点についても、比較的高い評価を得ている。年齢別に見ると、どの年 代の評価もおおむね同傾向・同水準となっている。その中で、商品・サービス内容を 買 っ て み た く な る 、 興 味 が 湧 く と い っ た 点 に つ い て は 、 30〜 49歳 の 中 年 層 で 比 較 的 高 い評価を得ている。 一方、歌詞ゲットのCMについては、新しいサービスということを背景に、説明的 な 内 容 も 加 味 さ れ た C M で あ っ た こ と か ら 、「 企 業 ・ 商 品 ・ サ ー ビ ス 内 容 が 分 か り 易 アニメCMの感想(オタフクソース「お好み焼きで団らん」) そう思う どちらともいえない まあそう思う あまりそう思わない 好感が持てる 17.8 インパクトがある 7.3 企業・商品・サービスに興味が湧く 5.8 商品・サービスを買ってみたくなる 6.2 企業イメージとマッチしている 6.7 設定されたテーマにマッチしている 7.6 内容がアニメで表現することに適している (N=450) 40.7 26.9 20.4 25.1 0% − 62− 41.6 24.0 5.6 42.2 21.6 6.7 15.1 10.9 39.3 40% 7.3 19.8 42.0 32.4 3.3 6.4 43.3 35.6 20% 12.0 21.1 42.2 29.8 12.0 26.2 38.2 23.1 8.4 企業・商品・サービス内容が分かり易く伝わる そう思わない 60% 10.7 80% 5.1 4.0 5.6 100% (年齢別) 全体 好感が持てる 15〜29歳 インパクトがある 30〜49歳 50〜69歳 企業・商品・サービスに興味が湧く 商品・サービスを買ってみたくなる 企業・商品・サービス内容が分かり易く伝わる 企業イメージとマッチしている 設定されたテーマにマッチしている 内容がアニメで表現することに適している -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ( 注 )「 そ う 思 う 」 を 3 点 、「 ま あ そ う 思 う 」 を 1 点 、「 ど ち ら と も い え な い 」 を 0 点 、「 あ ま り そ う 思 わ な い 」 を − 1 点 、「 そ う 思 わ な い 」 を − 3 点 と し て 算 出 し た 平 均 点 。 く 伝 わ る 」 と い う 点 で 高 い 評 価 を 得 て い る 。 同 様 に 、「 企 業 ・ 商 品 ・ サ ー ビ ス に 興 味 が 湧 く 」、「 設 定 さ れ た テ ー マ に マ ッ チ し て い る 」 と い う 点 で も 肯 定 す る 回 答 が 多 い 。 年齢別に見ると、項目間の回答傾向はほぼ同様であるが、その水準は若年層と高齢層 との間で大きな開きが見られ、若年層で全般的に評価が高い。これらは、サービスの 認知度やインターネットの活用度なども影響しているものと考えられる。 アニメCMの感想(歌詞ゲット「My Memories 〜音楽のある風景〜」) そう思う どちらともいえない まあそう思う あまりそう思わない 好感が持てる インパクトがある 10.0 6.7 企業・商品・サービスに興味が湧く 商品・サービスを買ってみたくなる 企業イメージとマッチしている 29.8 7.1 28.4 39.3 23.3 31.3 内容がアニメで表現することに適している 9.8 27.6 20% − 63− 12.7 46.9 8.0 47.6 40% 7.6 10.0 54.2 8.7 6.0 16.0 33.6 60% 9.8 80% 5.8 7.6 14.7 46.9 12.4 0% 16.0 41.3 22.4 4.9 13.8 43.6 設定されたテーマにマッチしている (N=450) 40.7 26.2 9.6 企業・商品・サービス内容が分かり易く伝わる そう思わない 4.7 4.9 5.1 5.3 100% (年齢別) 全体 好感が持てる 15〜29歳 インパクトがある 30〜49歳 50〜69歳 企業・商品・サービスに興味が湧く 商品・サービスを買ってみたくなる 企業・商品・サービス内容が分かり易く伝わる 企業イメージとマッチしている 設定されたテーマにマッチしている 内容がアニメで表現することに適している -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 ( 注 )「 そ う 思 う 」 を 3 点 、「 ま あ そ う 思 う 」 を 1 点 、「 ど ち ら と も い え な い 」 を 0 点 、「 あ ま り そ う 思 わ な い 」 を − 1 点 、「 そ う 思 わ な い 」 を − 3 点 と し て 算 出 し た 平 均 点 。 d.実写等のCMと比較したアニメCMの印象 一般的な実写等のCMと比較し、アニメを活用したCMに対する印象を尋ねたとこ ろ 、「 か わ ら な い 」 と い う 意 見 が 41% と 最 も 多 い が 、「 ア ニ メ を 活 用 し た も の の 方 が 非 常 に 良 い 」 と い う 人 が 6 % 、「 や や 良 い 」 と い う 人 が 30% を 占 め 、 実 写 等 の C M に 比べて好印象の割合が高い。年齢別に見ると、どの年代でも実写CMよりもアニメC Mの方が好印象度が高く、CMの手段としても、アニメは幅広い年代に受け入れられ る素地があると言える。 一般的な実写等のCMと比較したアニメCMの印象 アニメを活用したものの方が非常に良い 実写等の一般的なものの方が非常に良い 5.6 5.8 実写等の一般的なものの方がやや良い 18.0 30.0 アニメを活用したものの方がやや良い 40.7 かわらない (%) − 64− (年齢別) アニメを活用したものの方が非常に良い 実写等の一般的なものの方がやや良い アニメを活用したものの方がやや良い 実写等の一般的なものの方が非常に良い かわらない 全体(N=450) 5.8 30.0 40.7 15〜29歳(N=150) 6.7 28.7 42.0 30〜49歳(N=150) 6.0 50〜69歳(N=150) 4.7 28.0 20.7 44.7 33.3 0% 18.0 14.7 35.3 20% 40% 18.7 60% 80% 5.6 2.0 6.7 8.0 100% e.アニメCMコンペによる人材育成手法の評価 今回のアニメCMコンペのように、クリエイターの発表の場や評価を受ける場など を 創 出 し 、人 材 育 成 を 図 る 手 法 に つ い て 、ど の よ う に 評 価 す る か を 尋 ね た と こ ろ 、 「非 常 に 良 い 方 法 だ と 思 う 」 21% 、「 良 い 方 法 だ と 思 う 」 51% と 、 肯 定 的 な 評 価 が 合 わ せ て 7 割 以 上 を 占 め た 。年 齢 別 に 見 る と 、若 年 層 の 方 が や や 評 価 が 高 い 傾 向 が 見 ら れ る 。 アニメCMコンペによる人材育成手法の評価 まったく良い方法とは思えない あまり良い方法とは思えない 非常に良い方法だと思う 3.1 0.2 20.7 どちらともいえない 25.3 50.7 (%) 良い方法だと思う (年齢別) 非常に良い方法だと思う あまり良い方法とは思えない 良い方法だと思う まったく良い方法とは思えない どちらともいえない 全体(N=450) 20.7 15〜29歳(N=150) 24.7 30〜49歳(N=150) 24.7 50〜69歳(N=150) 50.7 52.7 20.0 50.0 12.7 0% 25.3 22.0 49.3 20% 40% − 65− 60% 3.1 2.7 3.3 34.0 3.3 80% 100% (2)アニメCM制作に関する応募者の意識・評価の把握 a.優秀賞受賞者の評価 今回CMを制作したクリエイターの立場から、応募の動機やCM制作、人材育成や 政策環境等に関する意識・評価を把握するため、優秀賞を受賞した2作品の作者にヒ アリング調査を行った。それぞれの概要については、下表の通りである。 二人とも広島在住の大学生である。応募の目的・動機としては、アニメに対する興 味に加え、CM制作ということも誘因の一つになったようである。制作は、二人とも 基本的に一人で行い、1〜2カ月程度の期間を要している。ただ、デジタルの制作環 境が近く(大学)にあった竹森さんに対し、京都から通信教育を受けている星さんは 自宅で全ての作業を行う必要があり、デジタル部分での制作時間等の面でやや差があ ったようである。また、パソコンやソフトを自宅に揃える費用についても、学生には 大きな負担となっている。 地域の制作環境や人材育成に対しては、時間単位で使えるスタジオや、作品の上映 機 会 、大 学 の 先 生 や ク リ エ イ タ ー 同 士 の 横 の つ な が り な ど の 必 要 性 が 示 さ れ た 。ま た 、 アニメの活用機会の創出や位置づけの向上についても、重要なポイントであると考え られる。 オタフクソースCM優秀賞受賞者(竹森さん)ヒアリング概要 応募の目的・動機 ・今回初めて本格的にアニメーションを制作した。 ・大学でグラフィックデザインを専攻し、ポスターデザイン等を勉強して いるが、内容はメディア学科と共通の要素もあり、広告・CMの手段と して興味があった。 ・同じ大学にいる昨年の受賞者の話を聞いて、刺激を受けた。 CM制作の方法・ ・自宅で動作の絵を描き、大学でアニメとして動かせるように組み立てた。 体制 ・制作には1〜2カ月かかった。動作の調整に最も時間がかかった。 ・音楽と動画の出力の部分だけ、大学の先生に協力してもらった。 ・パソコンやソフトは大学に揃っているので、制作環境としては問題がな かった。 CM制作にあたっ て苦労した点 今後の方向性、人 材育成や制作環境 に関する意見等 ・フォトショップやイラストレーターなどの制作ソフトは10〜20万円前後 かかり、学生が自前で揃えるのは結構大きな負担である。 ・デザイン関係の仕事に進みたいが、広島にはデザイン会社があまりなく、 技量面の問題もあって、なかなか難しいかもしれない。 ・「アニメ=オタク」といったアニメに対する偏見をなくしたい。アニメ に対する価値観の向上に取り組んで欲しい。 ・アニメの表現の可能性を広げるような取り組みを進めてほしい。例えば、 子供向け教育や道徳教育の教材にアニメを活用すれば、理解しやすくな ると思うし、アニメに興味も持ってもらいやすくなる。 − 66− 歌詞ゲットCM優秀賞受賞者(星さん)ヒアリング概要 応募の目的・動機 ・昨年もこのアニメCMコンペに応募した。 ・大学で学んだことを作品にしたい、出品したいという気持ちが強かった。 ・地元で作品を評価してもらえる良い機会だと思う。 ・CM制作もおもしろそうだと思った。時間が短いところが、制作面での 工夫のしどころだと思う。 CM制作の方法・ ・大学は京都にあるため(通信学科で受講)、制作は広島の自宅で一人で 体制 行った。 ・制作には2カ月程度要した。アイデアを出すのに時間がかかった。 ・手で絵を描くアナログの作業と、パソコンで行うデジタルの作業に1カ 月ずつかかったが、後者の時間は制作環境にも左右される。 CM制作にあたっ ・浮かんだストーリーを15秒という短い時間にまとめるのに苦労した。 て工夫した点、苦 ・CMは視聴者が興味を持つことが大事だと思うが、それだけではおもし 労した点 ろくない。アニメCMなので、アニメならではの表現が必要と思った。 ・昨年の応募作品はほとんど手書きだったが、CGに比べて色彩の鮮明度 が劣り、CMとしてのインパクトに欠けた。ただ、手書きにはアート的 なイメージを出せる良さがあり、手書きでも鮮明度を出しつつ、CGと 手書きの両方の良さを引き出せるようにした。 今後の方向性、人 ・アニメだけで食べていくのは難しいと思うが、何らかの形でアニメに関 材育成や制作環境 に関する意見等 わり続けていきたいと思う。 ・制作環境としては、時間単位で使えるスタジオがあれば良いと思う。人 形を使うアニメなど、特殊な制作も行える機器・ソフトもあれば良い。 ・広島でアニメ関係の研究をしている大学の先生の話が聞ける機会が欲し い。新しい技術について聞いたり、おもしろい作家やアニメを紹介して もらいたい。広島のことをもっと知りたいと思う。 ・広島で自分の作品を上映してもらえる場や機会がもっと欲しい。これら を通じて、クリエイター同士の横のつながりができれば、いろいろと協 力し合えると思う。 b.応募者の評価 二 次 審 査 へ の 応 募 者 の 大 半 か ら は 、「 参 加 し て よ か っ た 」 と の 感 想 が 得 ら れ た 。 そ の背景には、審査員の熱心な議論、Webサイト「アニメーションシティ広島」によ る、審査会の詳細な報告があると思われ、自分の作品を真剣に審査・評価してもらえ たことへの喜びが見受けられた。 また、このようなアニメーション分野のコンテストは増えてきているものの、企業 の重要な広告手段であるテレビCMの場を借り、しかも実際に放送されるという前提 の中で企画・制作できるコンテストはあまりない。そこに応募者は他にはない魅力、 達成感を感じたものと思われる。また、アニメを学んでいる学生たちの横のつながり は少なく、コンテストを通して交流できたことを喜んでいた。 − 67− (3)協賛企業の評価 今 回 の 事 業 に つ い て は 、 前 述 の 通 り 、 オ タ フ ク ソ ー ス (株 )、 (株 )セ カ ン ド ビ ジ ョ ン の 協 力 ・ 支 援 を 得 た 。C M コ ン ペ に 対 す る 両 社 の 評 価 は 次 の 通 り で あ っ た 。両 社 と も 、 今回の協賛については良かったと評価している。 協賛企業の評価 オタフクソース (株) ・応募者が学生ということで、多くは期待していなかった。ただ、われわれ の企画では無難な企画を採用することが多く、新しい発想がなかなか出て こない。若い人が、わが社のコンセプトの「だんらん」をどのように理解 しているのか興味があった。 ・技術・表現力の点では稚拙な面はあるが、「だんらん」のとらえ方には新 鮮さを感じた。今後の展開の参考にしたい。 (株)セカンドビ ジョン ・優秀作を受賞した星さんの作品は、中・高年男性をターゲットに想定して いる。これまでWebサイト「歌詞ゲット」はこの層をターゲットとは考 えてこなかった。この作品のゆるキャラのおじさんが、ターゲットである 若者(女性)にどのように思われるのか、心配と同時に関心がある。 ・新しいターゲット開発につながるヒントになるかも知れない。インパクト のある作品だ。 − 68− 第4章 プロモーションイベントの開催 1.開催の目的 アニメ等コンテンツ産業の育成に向けた気運の醸成、アニメ等コンテンツを活用した 地域振興に携わる関係者間のネットワークづくり、一般消費者に向けた中国地域にゆか りのあるアニメ等コンテンツ及びそれらを活用した地域振興に関する情報提供を行うこ と を 目 的 と し て 、「 ま ん が ・ ア ニ メ 中 国 路 〜 マ ン ガ ・ ア ニ メ の 力 ・ 可 能 性 を 地 域 に 活 か す〜」と題するプロモーションイベントを開催した。 なお、イベントの内容については、中国地域におけるアニメ等コンテンツを活用した 地域振興のあり方について意見交換や相互交流、情報発信を行うことができるようなプ ログラムとした。 2.実施概要 ○ 名 称 まんが・アニメ中国路〜マンガ・アニメの力・可能性を地域に活かす〜 ○ 主 催 経済産業省中国経済産業局 ○ 日 時 平成19年11月11日(日)・12日(月) ○ 場 所 エールエール地下広場(広島市南区) ○ 内 容 11日 シンポジウム(基調講演、パネルディスカッション) アニメ上映会「秘密結社 鷹の爪」、ブース出展(20ブース) 12日 ○ 集 客 ○ 開催状況 11日 ブース出展(20ブース) 約500名、12日 約300名、計 約800名 3.基調講演・パネルディスカッション概要 (1)基調講演 タケカワユキヒデ氏 『マンガ・アニメパワーが地域を変える』 【講演概要】 ・地元から出た漫画やアニメ作品は、親しみも大きく、地元意識も深まる。もと もとシンボルなので、新たなシンボルマークもキャラクターも必要ない。イベ ント開催も容易で、存在自体がイベントみたいなものだ。漫画やアニメのパワ -69- ーを地元に引き入れるのは当たり前のことで、むしろそのまま放っておくとい うのは、すごくもったいない。 ・学校を使ったマンガ・アニメパワーを考えてみるのも良い。地域に専門学校や 大学があって、漫画家が育つような土壌があるならば、地域に根付いた作品や 作家を生み出すことが可能だ。 ・まんがをデジタルデータ化し、声優にセリフを入れてもらい、効果音などをつ ければアニメに近い作品が出来上がる。アニメ制作にはお金がかかるが、この 方法であれば安価に作品を制作できる。これをネット上に公開すれば、地域の 作品を東京の出版社を通さないで国内外に発信できる。 (2)パネルディスカッション 『漫画・アニメで人・地域・世界が輝く方法』 概要 パネリスト:谷田富穂(倉吉市観光協会/鳥取) FROGMAN(蛙男商会・クリエーター/島根) 三城五月(いがらしゆみこ美術館/岡山) 小田伸次(物怪プロジェクト/広島) 臼井稔(徳山大学教授/山口) 聞 き 手:和田崇(地域科学研究所所長) 【主な意見】 ○地域へのプロデュース機能の必要性について ・中国地方出身の漫画家・アニメ作家はたくさんいる。地域に売り出す機能、 プロデューサーがいたら、中国地方でも大成していた可能性がある。地域に 根付いたプロデューサーの育成が必要。 ・究極的には我々は儲けるためにアニメを作っている。地域に儲かるアニメ会 社、漫画会社、コンテンツ会社があれば、地元の若い人もそこで働いて生活 でき、もしかしたら他の地域から人が集まってくるかもしれない。 ・キャラクターと地域の産品とのコラボレーション商品を開発したり、いがら し先生に「くらしき物語」という作品を描いてもらうなど、地域との連携を 作り出す取り組みを進めている。 ・アニメを使った地域振興を行う上では、アニメが世に出て、それを見た人が やってきてくれることが(プロデュース上)とても大切だ。 ・ありがとうの精神のお客様志向によって施設のプロデュースを考えていった 方が、長持ちもするし、我々も楽しいのでは。 ○今後の地域の方向性について ・漫画というものは、これまでになかった(観光)要素として地域にかかわり を持たせることによって、これからの光になりうるのではないか。 ・新しいメディア、携帯・モバイルの世界でコンテンツを発信するという新た な取り組みを検討している。中国地方が携帯コンテンツの一大産業地域にな ったら面白い。 ・今の取り組みが継続できるか不安はあるが、将来に向かって、道筋を残して -70- いくために、地域の資源をリンクさせ、オンリーワンを目指すべきだ。 ・広島県は中国地方の中心地でもありますので、この広島を拠点にネットワー ク組織を、こういったイベントを通して結べていけたらよい。 ・経済産業省には、中国地域のまんが・アニメの素材をリンクさせスキームを 作り上げていくことにお力添えを頂きたい。 4.アニメ等コンテンツを活用した地域振興に携わる関係者の出展 (1)出展状況 本イベントにおいては、各関係主体の取り組みについて、パネル展示、アニメ制作 に関する実演などを行い、中国地域におけるアニメ等コンテンツに関するPRを行っ た。出展者については以下の通り。 [出展団体一覧] <地域ブース:アニメ等を活用した地域振興に取り組む自治体・団体等> NO 団体名 県・市町村名 1 倉吉市観光協会 鳥取県倉吉市 2 鳥取県北栄町 鳥取県北栄町 3 境港市観光協会「みなとまち商店街」 鳥取県境港市 4 隠岐笑店 島根県隠岐の島町 5 倉敷いがらしゆみこ美術館 岡山県倉敷市 6 広島国際アニメーションフェスティバル実行委員会 広島県広島市 7 広島経済同友会アニメーションビエンナーレ基金 広島県広島市 8 広島フィルム・コミッション 広島県広島市 9 広島市立神崎小学校 YUME ッコ 広島県広島市 10 にしき堂 広島県広島市 11 物怪プロジェクト三次 広島県三次市 12 徳山大学 山口県周南市 <制作者ブース:中国地域に在住する漫画家及びアニメーション制作者> NO 団体名 県・市町村名 13 日本漫画家協会中国支部 岡山県岡山市 14 日本漫画家協会中国支部 岡山県岡山市 15 日本漫画家協会中国支部 岡山県岡山市 16 日本漫画家協会中国支部 岡山県岡山市 17 日本漫画家協会中国支部 岡山県岡山市 18 pecoraped 広島県広島市 19 I.M.D(Inter Media Design) 広島県広島市 20 スタジオみのる 広島県広島市 -71- (2)出展団体によるプレゼンテーション 出展団体のうち希望する団体には、ブースに隣接するステージにおいて、日々の取 り組み状況についてのプレゼンテーションを行う時間を設定し、以下の計7団体のプ レゼンテーションを実施した。 [プレゼン実施団体] NO 団体名 県・市町村名 1 鳥取県北栄町 鳥取県北栄町 2 境港市観光協会「みなとまち商店街」 鳥取県境港市 3 隠岐笑店 島根県隠岐の島町 4 広島国際アニメーションフェスティバル実行委員会 広島県広島市 5 広島経済同友会アニメーションビエンナーレ基金 広島県広島市 6 スタジオみのる 広島県広島市 7 徳山大学 山口県周南市 5.開催効果 プロモーションイベントの各種参加主体等へのアンケート調査から、事業実施により、 以下の様な効果があったと考えられる。 ○広島市民等に中国地域におけるまんが・アニメを活かした地域振興の取り組みや 中国地域在住の漫画家・アニメ制作者をPRすることができた。 ○中国地域におけるまんが・アニメを活かした地域振興の取り組みの関係者及び中 国地域在住の漫画家・アニメ制作者相互の交流を図ることができた。 ○シンポジウムを通じて、まんが・アニメを活用した地域振興の方向性について、 来場者等に提示・発信することができた。 なお、ブース出展者のアンケートにおける主な意見は以下の通り。 ○出展効果について ・中国地域には色々なアニメ資源があり、さまざまな活動をされている方がいる ことが、あらためてわかった。 ・中国地方のアニメーション関係者との顔合わせや意見交換することができた点 は良かった。 -72- ○出展効果について ・出展者相互の連携が図れたものの、一般来場者向けの告知内容にとぼしかっ た。 ・作品数が少なく、展示方法に工夫がなかったが、本当に興味をもっていろいろ 質問してくる方が 20 名前後いた。本学の学生の作品に興味をもってくれた方が 多かったことに出展効果があった。 ・鬼太郎グッズのアイテム数に驚かれ、行ってみようという動機付けとなった。 ・一般市民に広くアピールする作品の上映やプログラムが必要であることを再認 識した。 ・ただ、現在のアニメーションフェスティバルの性質を考えた時に、会場である 駅地下の通行人の興味や他の出展団体とターゲット層が一致しない点があり、 PR の場として十分であったとは考えにくい。 ○今後の取り組みへの意見 ・このようなイベントを開催したことにより、中国地方にあるコンテンツがどん なものであるかを市民に伝えることができたように感じる。今後もイベント内 容を工夫し、市民が参画できるようなことができたらと感じた。 ・( ア ニ メ C M は ) ま だ ま だ 一 部 の 人 や 企 業 で し か 語 ら れ て お ら ず 、 企 業 ・ 市 民 に もっと拡げて、身近なものにしていかなければなりませんね。 ・今回のスタイルで各市町村によるマンガやアニメを利用した町おこしの例をパ ンフレットやブースなどで提示するだけでは、将来的な発展にはつながりにく い。各団体それぞれの必要に応じた支援をお願いしたい。 ・アニメキャラ自体は個々のものであり、一堂に会してどうこうするものとはな じまないかもしれないが、各地の人材の交流と、そこから生まれる人材育成は 大切なものと思う。ついては今後のビジョンの策定に支援ができるような施策 を展開して欲しい。 ・今後の方向性としては具体的なコンテンツ制作ビジネスモデルに支援をしてゆ くべきと考える。 -73- 第5章 小冊子「まんがアニメ中国路」の改訂 1.改訂の目的 中国地域にゆかりのあるアニメ等コンテンツが多数存在している。しかし、有名な作 品や制作者、キャラクターであっても地域振興に効果的に活用されていないケースもみ られた。そのため、平成 18 年度事業では、小冊子「まんがアニメ中国路」により、そ れらのPRを図ってきた。こうした取り組みは内容の鮮度を保つこと、さらには継続的 な情報発信が重要と考えられるため、本事業では、平成 18 年度に作成した小冊子「ま んがアニメ中国路」の改訂を行った。 2.活用方針 ・中国地域の行政機関や経済団体等が中国地域のアニメ等コンテンツの存在及び中国 経済産業局が実施したモデル事業について知るとともに、それらを活用した産業振 興や集客交流事業につなげるきっかけとする。 ・中国地域内外で開催されるアニメ等コンテンツに関わるイベント(例:東京国際ア ニ メ フ ェ ア ( 2008 年 3 月 )、 広 島 国 際 ア ニ メ ー シ ョ ン フ ェ ス テ ィ バ ル ( 2008 年 8 月 )、 広 島 ア ニ メ ー シ ョ ン ビ エ ン ナ ー レ ( 2008 年 7 〜 8 月 )) 等 で 配 布 す る こ と に より、中国地域内外のコンテンツ制作会社や配給会社、出版社等に中国地域のアニ メ等コンテンツ及びその活用事例について知ってもらう。 3.編集方針 ・ 多くの人にみてもらえるような親しみやすい構成及びデザインとする。 ・ アイキャッチしやすいタイトルをつける。 ・ 版権所有者との著作権交渉を行い、キャラクター等の画像を積極的に使用する。 ・ 中 国 地 域 にお け る ア ニメ 等 コ ン テン ツ の 活 用事 例 及 び 中国 経 済 産 業局 の モ デ ル事 業を紹介し、取り組みの現状をPRするとともに、今後の可能性を提起する。 ・ 昨年度の冊子が「活用」をメインにしたものであったのに対し、今年度は「制 作」にも注目した情報収集・掲載を行う。 4.概要・構成 ○ 名 称:まんが・アニメ中国路 2008 ○ 仕 様:カラーA4版4頁 ○ 部 数:2,000 部作成 -74- [小冊子の構成] 1頁(表紙) 各県を代表する主なキャラクター(漫画本)※画像中心 2頁(中面左) アニメ等コンテンツを活用した地域振興事例の紹介 3頁(中面右) 中国経済産業局の平成 19 年度モデル事業の紹介 ※テキスト+画像+地図 4頁(裏表紙) 中国地域で制作されたアニメ等コンテンツ ※画像中心 中国地域に立地する大学・専門学校を表す地図 [台 割] 頁 1 内容 掲載事例(案) ○タイトル ○ゲゲゲの鬼太郎(鳥取) ○趣旨(50 字以内) ○砂時計(島根) ○中国地域で活用される主な漫画 ○ NARUTO−ナルト −(岡山) (単行本表紙+キャプション) ○朝霧の巫女(広島) ○専務島耕作(山口) 2 ○地域振興事例の紹介 ○鳥取県(まんが王国とっとり) 3 ○モデル事業の紹介 ○鳥取県境港市(ゲゲゲの鬼太郎+モデル ※各事例 テ キ ス ト 100 字 + 写 真 1 事業(商品開発)) 点 ○鳥取県倉吉市(遥かなまちへ) ※モデル事業実施地域はテキスト ○島根県浜田市(石見フィルムコミッショ 300 字+写真3点 ン) ※活動位置がわかる地図をつける ○岡山県観光キャンペーン( NARUTO) ○岡山県倉敷市(いがらしゆみこ) ○広島県三次市(物怪プロジェクト三次) ○広島市(広島国際アニメフェスティバ ル) ○広島市(広島アニメビエンナーレ) ○広島県広島市(モデル事業(CM制 作)) ○山口県周南市(徳山大学) 4 ○中国地域で制作された漫画・アニメ ※画像+キャプション ○秘密結社 鷹の爪(FROGMAN/島根) ○迷走赤ずきん(pecoraped/広島) ○大学・専門学校の分布地図 ○太陽をなくした日(前田稔 /広島 ) ○問合先(中国経済産業局) ○大学・専門学校の分布地図 -75- [テキスト] 頁 1 タイトル 内容 「中国地域の漫画やアニメを活用した地域振興事例をご紹介」 中国地域では漫画・アニメのキャラクターが地域振興に大活躍! 「ゲゲゲの鬼太郎」水木しげる 2008 年ねずみ男カレンダー 「砂時計」芦原妃名子 島根県内をロケ地として映画化 「花色紙~愛~」いがらしゆみ いがらしゆみこ美術館オリジナルキャラクター こ 「朝霧の巫女」宇河弘樹 三次にファンが来訪 「専務島耕作」弘兼憲史 弘兼氏は地元大学の客員教授も 2 「中国地域における漫画やアニメを活用した地域振興事例及びモデル事業をご紹 3 介」 中国地域では、漫画・アニメの持つ力を活かして、地域の歴史・風土を再発見・評 価・発信したり、既存産業に付加価値を加えたり、観光・集客交流を促進する取り 組みが多数みられます。中国経済産業局が取り組んだモデル事業と併せて、その代 表的な取り組みをご紹介します。 まんが王国とっとり(鳥取県) 鳥取県は漫画を素材に県内各地域のPR事業を通 じて広域的な観光客誘致を展開。鳥取県ゆかりの 作家や作品等を掲載した「漫画ロケ地ガイド」の 作成、東京でのPRイベントの開催などに取り組 む。 観光客 140 万人突破+続々新商 「鬼太郎に会えるまち・境港」ではブロンズ像や 品開発(鳥取県境港市) 水木しげる記念館の整備等によって、水木しげる ロードへの来訪者数が約 28 万人( 1994 年)から 約 147 万人( 2007 年)に増加するなど、鳥取県 内の一大観光地に成長。また、水木プロの協力も あ り 、 鬼 太 郎 グ ッ ズ も 続 々 登 場 。 2007 年 度 は 「ゲゲゲの鬼太郎 新ビジネスプランコンテス ト」を開催し、鬼太郎ファン等からの応募プラン の中から数点を試作・販売するなど、ファン参加 型 の 商 品 開 発 に も チ ャ レ ン ジ 。 2008 年 1 月 1 日 に発売開始された「妖怪神社の御守り」はまたた く間に完売! 遥かなまち倉吉(鳥取県倉吉 倉 吉 市 を 舞 台 と し た 漫 画 『 遥 か な 町 へ 』( 谷 口 ジ 市) ロー原作)を観光戦略に活用。作品に登場する場 所を訪ね歩く「街歩きツアー」の利用客は年間 1,000 人 を 超 え 、 旅 行 代 理 店 か ら の 問 い 合 わ せ も 増加中。 石見フィルムコミッションが映 石見フィルムコミッションは原作の漫画・芦原妃 画の撮影を支援(島根県) 名 子 氏 原 作 「 砂 時 計 」「( 小 学 館 ベ ツ コ ミ フ ラ ワ ー ズ)の映画化にあたり、ロケ撮影を支援。映画 「砂時計」は現在と過去、未来をつなぐ恋の物語 で、話の随所に仁摩サンドミュージアムが登場。 監督は広島県出身の佐藤信介氏。2006 年4月 26 日全国東宝系公開。 -76- 頁 タイトル 内容 2 岡山ディスティネーションキャ 人気アニメとタイアップした謎解きツアー 3 ンペーン(岡山県・JR西日 「 NARUTO− ナ ル ト −疾 風 伝 忍 務 ツ ア ー 岡 山 ・ 倉 本) 敷 の 巻」 を開 催 ( 2007 年 4 〜9月 )。 参 加者自 身 が謎を解き明かしながら、岡山・倉敷エリアの観 光スポットを満喫。 倉敷いがらしゆみこ美術館(岡 愛と元気に再会できる美術館。倉敷特産の「いぐ 山県倉敷市) さ」と美術館キャラクターのコラボレーション商 品の開発、美観地区の土産店とタイアップした広 告宣伝活動の展開など、地域連携を積極的に推 進。 物怪プロジェクト三次(広島県 漫画・アニメの舞台を紹介する書籍に「朝霧の巫 三次市) 女のまち・三次」として紹介され、全国から「朝 霧 の 巫 女 」 フ ァ ン が 三 次 に 来 訪 。「 朝 霧 の 巫 女 」 や妖怪伝説「稲生物怪物語」をもとにした商品開 発も活発。 広島国際アニメーションフェス 世界各国・地域から応募されるアニメーション作 ティバル(広島県広島市) 品を一般公開で審査し、優秀作品を選考するコン ペティションのほか、特別プログラム、セミナ ー、プレゼンテーション、展示会、ワークショッ プなどで構成する総合的なアニメーション映画 祭。国際アニメーションフィルム協会公認。 広島アニメーションビエンナー アニメを活かした都市興し・産業興しをめざす レ(広島県広島市) 「広島アニメーションビエンナーレ」。 アニメCMで産業育成と人材育 アニメを活用した企業や商品イメージの向上とア 成(広島県広島市) ニ メ に 関 わ る 人 材 育 成 を 目 的 に 、 2006 年 か ら 「 ア ニ メ C M オ ー プ ン コ ン ペ 」( 同 実 行 委 員 会 主 催 ) を 開 催 。 2006 年 は 「 も み じ 饅 頭 」 で お な じ み の に し き 堂 C M を 募 集 。 応 募 35 作 品 の 中 か ら 2 作 品 を 選 考 し 、 2007 年 7 〜 9 月 に 県 内 民 放 で C M 放 送 。 2007 年 は お 好 み 焼 き ソ ー ス の オ タ フ クソースとアニメ歌詞検索サイトを運営するセカ ンドビジョンのCMを募集。国内外から 117 作品 の 応 募 があり 、 選 考され た 2 作品を 2008 年4 月 から県内民放等でCM放送。 著名漫画家が大学の客員教授に 徳山大学は全国に先駆けて漫画・アニメの制作と (山口県周南市) ともにそれらのビジネス戦略を学べる知財開発コ ー ス を 開 設 。「 島 耕 作 」 シ リ ー ズ 等 で 有 名 な 山 口 県岩国市出身の弘兼憲史さんも客員教授として学 生を指導。 -77- 頁 4 タイトル 内容 「中国地域発の漫画・アニメ等コンテンツをご紹介」 IT 技術等の進展もあり、首都圏でなく中国地域に活動拠点をおく漫画家やアニメ作 家も増えています。また、中国地域には漫画・アニメに関わる人材育成機関が多数 あり、今後多くの漫画家やアニメ作家、あるいはプロデューサーを輩出することが 期待されます。 「秘密結社 鷹の爪」 島根県松江市在住の映像クリエイター。地方発の FROGMAN(島根県松江市) 映像発信をコンセプトに、ウェブサイト上でフラ ッシュアニメを発信。代表作「秘密結社 鷹の 爪」は 2006 年からテレビ放映、2007 年には「秘 密結社鷹の爪 The Movie−総統は二度死ぬ−」とし て映画上映。 「迷走赤ずきん」 広 島 市立 大学 大 学院 生2 名 によ るユ ニ ット 。 2007 pecoraped(広島県広島市) 年の学生CGコンテスト動画部門で最優秀賞を受 賞 。 NHK「 デ ジ タ ル ・ ス タ ジ ア ム 」 山 崎 貴 ベ ス トセレクション、フランス・セルビア・韓国の海 外のフェスティバルでも上映される。 「太陽をなくした日」 原爆投下前の広島を描いた作品。広島国際アニメ 前田稔(広島県広島市) ーションフェスティバルのほか、台湾やフランス のアニメ映画祭で招待作品として上映される。 2007 年にDVDが発売された。 漫 画 ・ ア ニ メ を 学 べ る 大 学 ・ 専 <岡山> 門学校 岡 山 県 立 大 学 ( ア ニ メ )、 倉 敷 芸 術 科 学 大 学 ( ア ニ メ )、 岡 山 科 学 技 術 専 門 学 校 ( ア ニ メ )、 岡 山 ビ ジ ネ ス カ レ ッ ジ ( ア ニ メ )、 専 門 学 校 ビ ー マ ッ ク ス ( 漫 画 ・ ア ニ メ )、 中 国 デ ザ イ ン 専 門 学 校 ( 漫 画・アニメ) <広島> 広 島 大 学 ( ア ニ メ )、 広 島 市 立 大 学 ( ア ニ メ )、 広 島 国 際 大 学 ( ア ニ メ )、 広 島 国 際 学 院 大 学 ( ア ニ メ )、 比 治 山 大 学 短 期 大 学 部 ( ア ニ メ )、 ヒ ュ ー マ ン ア カ デ ミ ー 広 島 校 ( 漫 画 ・ ア ニ メ )、 穴 吹 デ ザ イ ン 専 門 学 校 ( 漫 画 ・ ア ニ メ )、 広 島 芸 術 専 門 学 校 ( 漫 画 ・ ア ニ メ )、 広 島 工 業 大 学 専 門 学 校 ( ア ニ メ )、 広 島 コ ン ピ ュ ー タ 専 門 学 校 ( ア ニ メ )、 広 島 情 報 専 門 学 校 ( ア ニ メ )、 広 島 電 子 専 門 学 校 ( ア ニ メ )、 代 々 木 ア ニ メ ー シ ョ ン 学 院 広 島 校 (アニメ) <山口> 徳 山 大 学 ( 漫 画 ・ ア ニ メ )、 東 亜 大 学 ( ア ニ メ )、 山口キャリアデザイン専門学校(漫画) こ の パ ン フ レ ッ ト に 関 す る 問 合 経済産業省中国経済産業局 先 産業部コンテンツ産業支援室 〒 730-8531 広島市中区上八丁堀 6-30 TEL 082-224-5638 FAX 082-224-5642 ホームページアドレス http://www.chugoku.meti.go.jp -78- [使用画像] 頁 1 使用画像 提供者または版権所有者 ねずみ男カレンダー 提供:アイズ 砂時計(単行本表紙) ©芦原妃名子/小学館ベツコミフラワーズ いがらしゆみこ美術館キャラクター ©いがらしゆみこ /いがらしゆみこ美術館 朝霧の巫女(巫女) ©宇河弘樹 /少年画報社 専務島耕作(単行本表紙) ©弘兼憲史 /講談社 2 まんが王国とっとり 提供:鳥取県 3 コンテストチラシ − 妖怪神社の御守り 妖怪舎プロデュース「妖怪神社の御守り」 遙かなまちへ ©谷口ジロー/小学館 「遥かなまちへ」関連グッズ 提供:倉吉市観光協会 砂時計ロケ地写真 提供:石見フィルムコミッション 謎解きツアーマップ 提供:JR西日本岡山支社 オリジナルキャラクター ©いがらしゆみこ/いがらしゆみこ美術館 パンフレット いぐさコラボレーション商品 2007 妖怪百鬼夜行 提供:物怪プロジェクト三次 平太郎グッズ 「朝霧の巫女」カット ©宇河弘樹 /少年画報社 広島国際アニメフェス開催状況 提供:広島市文化財団 Haby 君 提供:広島経済同友会アニメーションビエンナーレ基金 アニメCMコンペ放送作品 ◇ オタフクソースCM優秀作 竹森梓 さん(比治山大学短期大学部) ◇ セカンドビジョンCM優秀作 星衣 久江さん(京都造形技術大学通信部) 4 「専務島耕作」単行本表紙 ©弘兼憲史 /講談社 「まんが・アニメ中国路」出展状況 - 秘密結社 鷹の爪 ©蛙男商会 迷走赤ずきん ©pecoraped 太陽をなくした日 ©スタジオみのる -79- 第6章 今後の取り組みの方向性・課題 本章では、今回の実証事業を通じて得られた知見・課題を踏まえつつ、中国地域にお ける今後の取り組みの方向性・課題について検討を行った。 1. 地域限定型キャラクタービジネスの推進について 地域限定型キャラクタービジネスの推進については、第2章の2で検討した「アニ メ等公認タウン」に向けた取り組みが、今後進むべき方向の中心として位置づけられ る。ここでの指摘事項および今回の実証事業での知見を踏まえると、具体的に以下の 点が今後の推進課題として指摘される。 ① プロデュース機能、キュレイション機能の確保・強化 前述の通り、プロデュース機能とは、地域の人材や関係機関を調整しつつ、当該地 域に関わるアニメ等コンテンツを活用した戦略や企画を立案し、それを実行していく 機能であり、キュレイション機能とは、アニメ等コンテンツの持つ力を地域に最大限 に活かすことにより、観客等の満足度を高め、集客力等を向上させるとともに、アニ メ等コンテンツそのものの魅力(イメージ)をさらに高める機能として定義される。 これまでにも触れてきたように、既存のコンテンツを活用した地域振興に取り組む 際には、版権所有者の理解と協力が不可欠の条件となるが、版権所有者の組織規模・ 形態や活用方針によって、その程度や方向性には大きな相違があるのが現状である。 したがって各地域はそれぞれの版権所有者の考え方に応じた対応が求められることと なるが、共通するのは、事業を積み重ね、地道に信頼関係を構築していくことの重要 さである。これらの版権所有者との調整は、プロデュース機能の一部に位置づけられ るものであるが、先行的な取り組みで得た知見・ノウハウについては地域で共有し、 機能の確保・強化を図ることが求められる。 今回の実証事業およびプロモーションイベントの開催や小冊子の作成は、関係者間 の情報交換やネットワーク強化を促進し、プロデュース機能およびキュレイション機 能の確保・強化に一定の役割を果たすことができた。今後とも、先行事例の分析研究 や情報発信を行うとともに、プロデューサー会議等による関係者間の情報交換・ネッ トワーク強化を進めていくことが求められる。 ② 自治体を中心とする地域ぐるみの推進体制の構築 今回のヒアリング調査によると、境港市では、行政や商工会議所、観光協会、民間 企業等がそれぞれの立場から主体的に活動するとともに、風通しの良い地域性、互い に発言し合える関係をベースに、官民が一体となって取り組んできたことが大きな成 功要因として挙げられる。一方、北栄町では、境港市に比べると取り組み始めてまだ 日が浅いこともあるが、今回の実証事業の関係者の声にもあるように、地域内での連 -80- 携、地元住民の盛り上がりという面で、まだ十分でないのが現状である。こうした地 域においては、まず議論の活発化やコンセンサス形成のきっかけをつくるため、今回 関係者に一定の評価を得たブレーンストーミングを活発に行い、関係者間の協力・連 携の土壌を構築していくことも必要と考えられる。また、今回境港市で行ったビジネ スプランコンテストでは、短期的なビジネス創出という面だけでなく、十分に議論・ 検討する場や時間を設ければ、地元商店街や事業者の間で商品開発の議論が広がり、 ビジネス創出の意識を高めることも可能である点が指摘されており、取り組みの裾野 を広げていくための手法として積極的に活用していくことも考えられる。さらに、地 域住民に対しては、上記のプロモーションイベントや小冊子等を通じて、積極的に情 報発信していくことも必要である。こうした土壌の上に、自治体を中心として地域ぐ るみの推進体制を確立していくことが求められる。 ③ キャラクタービジネスに長けた事業者の確保・育成 前述のように、アニメ等コンテンツを活用した地域振興効果を高めるためには、作 品やキャラクター等を活用した商品の開発・販売やサービス提供に取り組む必要があ るが、こうしたキャラクタービジネスは一定のセンス・能力を必要とする事業である。 境港市では、ブーム以前からキャラクタービジネスに積極的に取り組み、商品デザイ ンや著作権処理、生産体制、販路確保等の実績とノウハウを蓄積しながら、全国的に 事業を拡大してきた事業者が地元地域に立地しており、こうしたキャラクタービジネ スに長けた事業者を中心として、地域にビジネスが広がっている。地域によっては、 こうした能力を持った事業者を他地域から誘致する取り組みも必要と考えられる。ま た、行政や商工会議所等における新商品・サービス開発支援においては、著作権処理 や商品デザインを始め、キャラクタービジネスに関するサポート・アドバイス体制を 強化し、事業者の育成を図ることも求められる。 2. アニメ制作ビジネスの推進について ① アニメCMコンペの継続・発展 今回実施したアニメCMコンペでは、応募作品の完成度、実際のCM視聴の印象、 人材育成手法としての有効性等について、協賛企業、応募者、視聴者のそれぞれから、 おおむね高い評価が得られた。特に、アニメ制作者としてはまだ未熟な学生に対して、 CM制作という真剣勝負の場を提供し、アニメやCMについて深く考える機会を与え られたことは、人材育成の面で大きな意義があったと考えられる。 一方、応募作品の内容を見ると、いわゆる漫画的、テレビアニメ的な作品が多く、 本来アニメーションが持つ表現性、作品の多様性という面ではまだ十分でないという 意見が事務局内にあることも事実である。 -81- 今後、アニメCMコンペを継続し、産業アニメーションの振興を図っていくために は、今回の試行結果を踏まえつつ、CMとしての訴求力とアニメーションならではの 表現性を兼ね備えた作品応募を促進するような評価軸を明確に示すことが必要と考え られる。また、応募者の意識啓発を促進するため、告知方法を工夫したり、審査員が 率直な作品評価をウェブで発信するなどの取り組みも検討すべきと考えられる。 なお、これらを検討・実施するためには、現在の枠組み・運営体制では十分でない 面もあると考えられることから、これを基盤にしつつ、広く産業アニメーションおよ びアニメーション産業の振興を目的とした新たな計画・体制づくりを進めることが望 まれる。大学や専門学校、広告代理店、プロダクション、テレビ局、市民団体、視聴 者(アニメーション・ユーザー)等の幅広い関係者の参画を得ながら、アニメCMを 含む、産業アニメーションを創出する新たな地域基盤の形成を図ることが求められる。 その中で、アニメCMコンペは、振興方策の柱の一つとして、継続・発展させていく ことが期待される。 ② クリエイターの交流環境、アニメ制作環境の整備 アニメ制作においては、パソコン、CGソフト等の一定の制作ツールが必要であり、 特に学生が自前で揃えるのは結構大きな負担となる。今回のアニメCM応募者の制作 方法・体制を見ると、身近に制作環境が整っている利用可能な場(大学、専門学校 等)があれば問題はあまりないものの、そうでない場合は、表現方法や制作時間の面 で大きな制約になることもある。アニメーション制作を環境面でサポートするため、 クレイアニメ等の特殊な制作も行える機器・ソフトを備え、一般のクリエイターが時 間単位で利用できるような制作の場の提供は、今後検討すべき課題と考えられる。 また、通常、アニメ制作を学んでいる学生たちの横のつながりはあまりなく、今回 のアニメCMコンペは、そうしたクリエイターの卵たちが交流する場を提供できたこ とも、評価の一つに挙げられている。上記の制作の場では、こうした学校間の横断的 な交流、クリエイター同士の横の連携を図る交流拠点としての機能や、広島のアニメ 制作の動向を伝える情報発信拠点、オープンカレッジのような学習拠点としての機能 も備えることにより、制作の機会(ソフト)と場(ハード)が融合し合い、効果をよ り高めることができると考えられる。 -82- 資 料 編 「まんが・アニメ中国路~マンガ・アニメの力・可能性を地域に活かす~」 タケカワユキヒデ氏 基調講演録 日 時: 平成 19 年 11 月 11 日(日)13:00~13:50 場 所: エールエール地下広場(広島市南区) こんにちは。タケカワです。よろしくお願いします。 本業は音楽家なのですが、実は漫画にものすごく詳しいです。漫画を雑誌で 6,000 冊も所蔵し ています。置くところに困っているほどです。1975 年から、32~33 年分あるのですが、その前 の4~5 年分はばらした形で持っています。 皆さんは漫画をどれくらいご存知ですか? 私は「愛と誠」、 「釘師サブやん」 「デビルマン」な ども全部所蔵しています。 もう何年か前になりますが、ラジオの番組で「冒険!漫画島」という番組を持っていました。 東京のラジオ番組としては初めての試みで、漫画の話だけで 2 時間という内容でした。その司会 を私がやって、漫画家の先生にゲストで来てもらい、1時間半くらいしゃべってもらいました。 この仕事は本当に面白かった。初回はちばてつやさんに来ていただいて、話をしてもらいました が、その時、いきなりスタジオのコントロールルームに藤子不二雄Aさんが現れました。お呼びし てないのになぜと思ったら、二人でこの後ゴルフに行く約束をされていたようでした。番組の収 録が待ち合わせに使われてしまいました(笑) 。そのときは、スタジオに入ってもらって話してい ただきました。 この番組では、たくさんの漫画家の先生に来ていただきました。当初はおいでいただいた先生 には、記念に漫画を描いてもらっていました。たくさんの先生に来ていただいていたので、お願 いしなくなりましたが、水島慎司先生は、お願いしていないのに、帰るとき、いきなり自分でホワ イトボードに漫画描き始めて、ドカベンの岩鬼なんかを描いていってくれました。しかもマジッ クで描かれたので、もう消えません(笑)。東京のラジオ放送局に置き土産になっています。 この番組は本当に楽しかったです。この番組を通じて漫画家の先生たちと仲良くなったので、 私は漫画家のレコード大賞にあたる漫画家協会賞の選考委員もやらせてもらいました。その結果、 漫画家協会の会員になってしまいました(笑) 。自慢話ばかりしていないで、そろそろ今日の本題 に入ります。 今日は「地域振興にマンガ・アニメパワーを使っている実例」をお話ししようと思います。実 例といっても、今回現地に調べに行ったものでなく、以前私が仕事で行ったところをいくつかご 紹介しようと思います。 一つは、福井県の敦賀です。ここは松本零士さんと関係があり、松本先生の作品のモニュメン トが町の中に飾ってあります。敦賀市のイベントでは、 「銀河鉄道 999」や「宇宙戦艦ヤマト」、 「キ ャプテンハーロック」などのキャラクターのコスプレをしたパレードなどが行われています。こ の人たちは敦賀在住の人ではなく、東京などから来たコスプレ愛好家の人たちです。 敦賀市のイベントでは、シンボルロードの街角に「銀河鉄道 999」の車掌さんがいたり、メー テルや鉄郎がいるので、町を歩くだけで楽しくなります。そういう意味では、作家の方の承諾さ え取れれば、町の中に賑わいが創り出せます。敦賀市に行った時に、駅前にメーテルら3人がい てくれて、いつもそういう気分にさせてくれれば楽しいのではないかと思います。敦賀市のシン -83- ボルロード化事業は、敦賀市の将来都市像「世界とふれあう港まち、魅力あふれる交流都市敦賀」 を目指し、これに現在の市のイメージである「科学都市敦賀、歴史を引き継いだ港、並びに敦賀 駅」を重ね合わせて、キャラクター像 27 体を設置しています。これによって、訪れる方々に夢と 感動を感じていただき、敦賀市のイメージアップを図ることとしています。こうした取り組みは、 思い切った良い政策だと思います。 次は高知県の取り組みを紹介します。高知市には「横山隆一記念まんが館」があります。この 記念館は天才漫画家、横山隆一さんを記念して、高知市が7年かけてつくったものです。このま んが館は、 「隆一先生のユーモアあふれる人生を顕彰するとともに、漫画王国・土佐が生んださま ざまな県出身漫画家をたたえ、漫画人材の育成と漫画文化の発展への貢献をしていきます」とい う目的で整備されました。 横山先生はこの記念館が出来たとき、90 歳くらいでしたが、私は記念館の入り口に設置したモ ニュメントに合わせた音楽を作ってほしいという依頼をいただきました。このモニュメントは、 1日に何回かライティングされて回転するものですが、それに合わせた音楽を作成しました。こ のモニュメントの動きは少し不思議な感じがするのですが、面白いものです。こうしたことに関 わることができたのは良かったと思っています。横山先生の場合は、 「フクちゃん」に代表される ように、絵に特徴があるので、こういったことやっても非常に面白いと思いました。 先ほどもご紹介がありましたが、これだけではなく、この中国路にもたくさんの漫画家の先生 の漫画館等があります。漫画施設というのは、親しみやすく、地域のシンボルになり、イベント も実施しやすいと思います。地元から出た漫画やアニメ作品ということになれば、親しみも大き く、地元意識も深まります。また、もともとシンボルなので、新たなシンボルマークもいりませ ん。新たにキャラクターを作る必要もない。イベント開催ももちろん、存在自体がイベントみた いなものです。漫画やアニメのパワーを地元に引き入れるのは当たり前で、むしろそのまま放っ ておくというのは、すごくもったいないことだと思います。 今までの話は、すでに有名になっている漫画、アニメを地域振興に役立てようという話でした が、これからは、新たに作品・作家を作ってしまったらどうだろうというような話をしたいと思 います。 学校を使ったマンガ・アニメパワーを考えてみるのも良いのではないかと思います。そのヒン トは、私が7年くらい前から特別講師をやっている宮城県仙台市のデジタルアーツという専門学 校の取り組みにあります。 その専門学校には色々な科があります。歌、演奏、スタッフ学科、舞台を作る科、CG 作品を 作る科などがあります。そういう色々な学科を総合して、1 つのイベントを作る企画演出をして いるのですが、そこに 2 年前、漫画学科ができました。声優学科は以前からあったのですが、私 はこの漫画学科を使って何かできないかと思っており、アイデアもずいぶん前から持っていまし た。具体的には、漫画にセリフと音楽を加えた映像作品をつくってはどうかというアイデアです。 そのことを NHK の「熱中時間」という番組の中で話したら、面白いということになり、実際に 行いました。 その番組では「赤胴鈴之助」を取り上げました。 「赤胴鈴之助」は私にとって非常に思い出深い 強い作品です。なぜ思い出深いかといいますと、私がこんなに漫画に夢中になるきっかけになっ た作品だからです。 「赤胴鈴之助」といえば、当時ラジオドラマにもなっていて、これは吉永小百合さんのデビュ -84- ー作品でした。ラジオドラマは、ラジオ東京という TBS の前身のラジオ局が放送していて、その ラジオ東京で音楽を担当していたのが私の父親だったのです。 「赤胴鈴之助」は漫画もあり、出版 社がその漫画を関係者に配っていました。当時、父親が少年画報を毎月お土産に持って帰ってく れていました。僕はまだ 3 つか 4 つでしたが、兄はその漫画に飛びついて喜んでいました。その 姿を見て、漫画というのはそんなにすごいものなのかと考えていました。そのあたりから、漫画 に夢中になりました。ひらがなもカタカナも漫画で覚えました(笑) 。 NHK の番組で、その「赤胴鈴之助」をやってみようと思い、赤胴鈴之助の第1作目(福井英 一氏作)が広島の比治山公園にある漫画図書館にあるということで、広島まで来て調べました。 漫画というのは実際には動かない。でも、その動かない絵を映像に撮って、それに漫画の吹き 出しを声優さんに言ってもらう。後ろに音楽をつける。そうすると、ぜんぜん動いていないのに、 結構アニメと同じように楽しめるのです。こういう作品制作は、それほど大変じゃないし、お金 もかからない。地域振興に関して、もし地域で何かを発信していくということであれば、この手 法は使えるのではないかと思います。 実際に作成された作品は面白いものになりました。 「赤胴鈴之助」の第一話にあたる「よわむし 鈴之助」はたったの4ページですが、その作品に声優さんにせりふを入れてもらい、効果音と音 楽をつけました。これはテレビ番組だったので、なんと主題歌までつけました。 これらは NHK のスタッフによるプロの仕事でしたが、今、仙台の専門学校では同じことを学 生がやっています。まず学生が描いた漫画を CG 学科の生徒がコマごとにデジタルデータにして いきます。そこに声優学科の生徒がナレーションをつけています。その後に音楽系の生徒の音楽 と効果音を入れることになっています。 アニメ作品を作るのには、お金と時間がものすごくかかります。しかしこの方法でやると、お 金も時間も大幅に節約することが出来ます。きめ細かな気持ちと作品に対する愛情さえあれば、 十分に作品として作ることができるのではないかと思います。地域に専門学校や大学があって、 漫画家が育つような土壌があるならば、地域に根付いた作品も作家も生み出すことが可能だと思 います。 昔も今も、雑誌に連載されないと漫画として認知されないというのが一般的です。同人誌等多 くのファンを持っているものもありますが、第3の形として、地域が作家を押し出していくとい うこともこれから必要なのではないでしょうか。 こうした作品は、それほどデータが重くないので、ネット上に公開することもそんなに難しい ことではありません。作家の承諾さえあれば、できるようになります。それと、ネットがすごい のは、見るのが日本の人だけではないということ。もちろん、セリフが日本語である限り、日本 人が中心になるとは思いますが、日本の漫画を読みたいために、日本語を勉強している漫画ファ ンが世界中にいます。そういう人たちも見てくれるのではないかと思います。そうなってくると、 地域の作品が東京の出版社を通さないで、日本中、世界中で読まれ、日本中、世界中でヒットす る可能性もあるのではないかと思います。そういう意味でも、今回紹介したような方法を積極的 に使っていただければと思います。マンガ・アニメパワーが地域を変えるのは、実際に実現可能 な話なのではないでしょうか。 -85- 「まんが・アニメ中国路~マンガ・アニメの力・可能性を地域に活かす~」 パネルディスカッション 講演録 日 場 和田 崇 所: 時: 平成 19 年 11 月 11 日(日)14:00~15:30 エールエール地下広場(広島市南区) 氏: ただいまご紹介いただきました和田と申します。 第 2 部では中国地域でマンガやアニメを活かした地域づくり、産業振興に頑張っておられる現 場の方にお越しいただいて、各地域の取り組みを紹介していただいたり、タケカワさんの話も受 けて、これから中国地域がどのようになったらよいのかといった話を1時間半近く進められたら と思います。 本日は各県を代表する取り組みの関係者にお越しいただいております。早速ですが、今日どの ような方がお越しになっているのか、それぞれの取り組みを簡単にご紹介いただければと思いま す。 先ほど、タケカワさんよりアニメ制作は東京がメインのようだけど、地方でもできるのではな いか、という話がありました。これに関しては、FROGMANさんが松江で活動なさっている ということなので、そのあたりからご紹介いただきたいと思います。FROGMANさん、よろ しくお願いします。 FROGMAN 氏: はじめまして。蛙男商会、FROGMANです。もともと僕は東京出身で、ずっと東京で実写 映画の仕事をやっていたのですが、結婚を機に妻の実家である島根県松江市に移住しまして、そ れまで東京でやっていた映像の仕事に疑問を感じていまして、現場で働く人間が働いたものに応 じた評価を受けていない。それで、とにかく 1 人で何かを作ってみたい、地方で作ってやりたい と。例えば島根県のような、コンテンツビジネスのほとんどないようなところで作って、それを 全国に広めることが出来たら良いなという思いがあったりして、あえて今、島根県で映像制作を 始めています。 私は、Flash(パソコンのツールなんですが)を使って、「秘密結社鷹の爪」というテレビシリ ーズ・劇場公開作品を制作しています。映画は広島の緑井の TOHO シネマでも公開されました。 あと、ニュース23の蛙男劇場という時事ものアニメがあるんですが、それを隔週でやらせてい ただいたり、CM 等色々とやっています。 現在、活動の中心が東京になってしまっているのですが、松江市を拠点に活動させていただい ております。 和田 崇 氏: はい、ありがとうございます。秘密結社だったり蛙男だったり、楽しい名前ですね。また 2 巡 目以降でお話を聞かせてください。 今、地方で制作という話もあったのですが、一方で地方に伝わる伝承とか民話を活かしてその 町づくりができる、というのも1つの方法としてあるんですね。それに関しては、物怪プロジェ -86- クト三次の小田伸次さん、活動紹介をしていただけるでしょうか。 小田 伸次 氏: はい、ただいまご紹介いただきました物怪プロジェクト三次の小田と申します。 三次というのは広島にいらっしゃる方は分かると思いますが、中国地方のど真ん中に位置して おりまして、交通的には道路事情は良くなってきましたが、公共交通機関という意味では不便な ところにあります。実はそこに江戸時代中期寛延 2 年(1749 年)三次の町に稲生平太郎という者 がおりまして、その人が経験した「稲生物怪物語」というものがありました。それが江戸の地に 伝わり、平田篤胤という文学者に影響を与え、現在に伝えられている訳ですが、その地がまさに 三次です。 この「稲生物怪物語」を題材にしたアニメがありまして、それを今日ブースの方に持ってきて おりますが、これは現代版平成物怪物語と題してテレビでも放映されました。広島でも一昨年放 映されていると思いますが、そういった地が三次であります。その三次の地をアニメに登場して くるシーンと現在本当にある町とを見ていただくということで、町おこしをして、市外県外の方 に来ていただいて楽しんでいただくというのが現在です。 和田 崇 氏: ありがとうございました。このパネルディスカッションの会場の左側を見ていただくと、巫女 さんの格好をした女性がいらっしゃいます。 「朝霧の巫女」という漫画もやっておられるというこ とです。ありがとうございます。 それで今、小田さんの方から、地域を題材にした作品を活かして観光とか町歩きとかいうよう なご紹介があったのですが、これについては倉吉市観光協会でも同じような取り組みをなさって いますが、谷田さん、いかがでしょうか。 谷田 富穂 氏: 皆さんこんにちは。鳥取県の真中あたり、倉吉市から参りました谷田と申します。 今ご紹介がありましたように、倉吉市と漫画との関わりであるこの1冊、谷口ジローさんとい う鳥取市出身の漫画家の方が、倉吉市を舞台にして書かれた本です。ストーリーからしますと、 東京の方で生活して疲れた人たちが地方、故郷に帰るというお話です。倉吉市の方でふとしたこ とからタイムスリップしてしまう。物語的にはこの主人公のお父さんが失踪してしまった中学校 2 年生の時代にタイムスリップしてしまい、そこから始まります。この本の特徴としては、倉吉 市の懐かしい気持ち、あったかい風景が細かく描かれております。それが縁で、漫画と地域振興 との関わりというものが進んできました。 谷口先生は日本というより、どちらかといえば世界で非常に高い評価を受けております。映画 で言えばカンヌ映画祭にあたるような、アングレーム国際漫画(BD)フェスティバルで、非常 にたくさんの賞を取っておられます。 そういう方が倉吉市を舞台に漫画を書いて、それが逆輸入という形で、なんかすごいが倉吉市 を舞台に漫画を書いている、というのが始まりでした。今では町のイメージ戦略的な所で総合的 に活躍していただいていますし、併せてこの漫画の舞台である町を実際に散策していただく。そ うした観光商品を作って、昨年の売上で見ると500点くらい、実質は 1,500~2,000 人くらいが -87- 漫画を元に倉吉市の町を散策、そんな仕掛けをしております。 和田 崇 氏: ありがとうございます。 続いては真中に紅一点、座っていただいている岡山県倉敷市のいがらしゆみこ美術館からお越 しいただきました三城五月さん、ご紹介をお願いいたします。 三城 五月 氏: はじめまして。岡山県倉敷市から参りましたいがらしゆみこ美術館、三城五月と申します。 私どもの美術館は 2000 年 5 月にオープン致しました。今年で 8 年目を迎えます。まだまだオ ープンしたばかりで、これから頑張っていかなければいけない小さな美術館です。 私どもの美術館は倉敷市にございます地元のデザイン会社が運営しております。まったく市と か県とかの補助金などはなく、私たちのアイデアと行動力でやっております。 色々ある中で、集客のことについてどのようにしているのかとのお題を受けておりますが、私 たちはスタッフ同士がアイデアを絞って、どうすればお客様が喜んでくれるか、どうすれば倉敷 に観光客が来ていただけるかというテーマを常に考えておりまして、オープン当時はエージェン トやマスコミ関係にDMを送りPRいたしました。だいたい月に 2、3 回イベントを考えて、細々 と手紙ですとかFAX、はがき、色々なものを使って送りました。初めの頃は「倉敷に来た目的 は何ですか」と聞くと、有名なところで美観地区ですとか、うちのいがらしみきこ美術館は倉敷 に来て初めて知りましたというお答えを多数いただいておりました。まだまだ無名、知名度もな かったのですが、少しずつ 2、3 年経ったくらいからリピーターが増え始めまして、このリピータ ーの方々のために「はちまん倶楽部」というものを作りました。こちらは、いがらしゆみこのフ ァンクラブではなくて、美術館のファンクラブという名目です。このファンクラブを作ることに よって、更新していただいたり、入会していただいたりで現在では 100 人前後の会員がいます。 人数を聞くと少ないと思うかもしれませんが、あくまで美術館のファンクラブ、美術館を愛して くださってる方々のファンクラブですので、私たちも 100 人の皆様に喜んでいただけるようなイ ベント、サービスを考えております。 リピーターも増えて、アンケートで倉敷に来た目的を聞くと、「いがらしゆみこ美術館」「有名 なキャンディキャンディに会いにきました」というような声をだんだん聞くようになり、8 年経 って皆様に知っていただき、愛されるような美術館になってきた、そしてこういった席に呼んで いただけるということも大変光栄に思っております。 あとご質問いただいた中に漫画家育成になにかしているそうで、ということがありましたが、 私たちは民間企業ですのでできることなのですが、お客様のイラストですとか、まだまだ新人の 漫画家の作品を集めて、いがらしゆみこ始め、多数の漫画家の方に審査していただいて、プロデ ビューまでのプロデュースを美術館がバックアップしております。まだ作品が中々集まらないの で、もし今日いらっしゃっている皆様の中に知り合いの方が漫画を描いていらしたり、イラスト を描いている方がいらしたら、ぜひ美術館まで作品を送っていただければホームページ上で紹介 いたしまして、プロの漫画家、イラストレーターになるお手伝いをさせていただくので、もしい らっしゃいましたら声を掛けてあげてください。 -88- 和田 崇 氏: ありがとうございます。 今、人材育成の話があったのですが、やはり人材育成のプロといえば、徳山大学の臼井先生が いらっしゃるの。先生、徳山大学での取り組みのご紹介をお願いできますでしょうか。 臼井 稔 氏: ご紹介に預かりました臼井です。あの、入場のときにひとりずつ呼ばれて、プロフィールを言 っていただいたのですが、まさしく朝まで生テレビのような感じで出場してしまったという。ち ょっと緊張しております。 人材育成ということで、徳山大学から3年前知財開発コースの漫画アニメを描く、作るってい うだけではなく、ビジネスを覚えるというのが大前提で作ったのですが、元々私は実業界で活躍 していたというか、生き延びていたのですが、実業界から放り出されまして大学の教員になりま した。が、なかなか学生がビジネスに目覚めるというのがですね、今まで日本の色々な高等教育 機関で試していたけど、誰も成功していなかった。やっぱりそれを専門に教えるような時間を作 るべきだと、それも東京ではなく大阪でなく、地方で作ってみる。地方の方が産業構造が歪なの で、せめて人材は地方から排出していきたい。そんなような気持ちでこのプロジェクトに乗っか って、自分も教員になってしまった。 まだまだ教えるということは未熟なのですが、学生が3年目にもなってきますと、初めは漫画 やアニメをやりたい、フリーターやりたいというのが、色々とビジネスを勉強することによって、 自分は、実際はプロデュースする方に回りたいとか、自分の持っている表現用具等をうまく使っ て表現する、そういう仕事に就きたいとか、そういう夢を目標に変えることができるようになっ てきたのが1つの成果だと思います。 今日は地域の活性化というテーマなのですが、今、日本で色々な試みをやってはいますが、実 際には我々、年を取りましたし、若い子達がそういう所に参加しないと、町おこし村おこしとい うか、地域活性化にならないのではということで、今、大学でも在学中にそれをビジネスとして やるというようなフレームを一生懸命、学生と一緒に作っています。まだプロセスが完了してい ないような状況ですから、このメンバー(パネリスト)にふさわしいのかどうかと思いますが、今後 も頑張っていきたいと思います。 和田 崇 氏: ありがとうございます。中国地域にあって、この取り組みをしていただけるのは嬉しいことと 思います。ぜひ、マンガやアニメ、それから広島でCMもやっておりますが、スポーツも盛んな 徳山大学をよろしくお願いしたいと思います。 皆さんのお話をお伺いしたのですが、実は「まんが・アニメ中国路」という取り組みは、昨年 度から中国経済産業局でも調査されておりまして、今後の方向性として 3 つのアイデアが出され ています。1つがまんが・アニメで人が元気になろう、人が輝こうということです。もう1つは、 まんがやアニメを通じて地域が元気になろうということです。最後は、まんがやアニメを通じて 世界も元気になろうということです。その3つのテーマで考えていこうという訳ですが、今日は アニメまんがを通じて人や地域が元気になることについて皆さんにお伺いしてみたいと思います。 昨年、私は三城さんにインタビューに伺っていて、「すごく漫画が好きだ」「これが天職かもし -89- れない」ということもおっしゃっておられたのが印象に残っていますが、その思いを皆様にお伝 えいただいてもよろしいですか。 三城 五月 氏: ご紹介していただきましたように、私はテレビアニメも本の漫画もとても大好きで、今いがら し先生の仕事をしているのですが、漫画に携われる仕事が出来て、本当に天職だと思っておりま す。 この美術館のお仕事をするようになって、展示ですとか企画展、イベントなんか、いがらし先 生のお友達の漫画家の先生、今日出展ブースに掛かっているイラストを描かれた先生とも個人的 にお電話で話したり、FAXやメールでご連絡させていただいたこともあります。見覚えのある 絵があったのでスタッフとも言っていたのですが、他にもやなせたかし先生がお電話をくださっ たり、色々な漫画家の先生と知り合うことが出来るようになりました。普通に好きで読んだりテ レビで見ていた漫画の先生、普通じゃなかなか知り合うことができないすごい先生方と知り合う こともできたし、普通に電話が掛かってくるのです。一条ゆかり先生直筆のFAXも来て、メー ルアドレスも書いてあったりで、うちの母とすごく興奮した覚えがあります。この美術館で仕事 をすることで、私が大好きで憧れていた漫画家の先生に会うことが出来た。イラストの色紙をい ただいたり、そういった連絡を取れることができたのが何よりも嬉しく、やっていて良かったな と思います。 やはり漫画というのは、少女漫画でしたら擬似恋愛だったり、少年漫画でしたら空想の冒険で あったりと、非現実的な体験ができるものですので、感性を豊かに出来たりします。私は漫画と いうものは時に心を悲しくしたり、時にはやさしく励ましてくれたり、生きていく上で大事なも のではないかと、道徳的にも教えられることもありますので、漫画をこれからもっともっと広め ていって、たくさんの方に読んでもらえたら良いのではないかと思っています。 和田 崇 氏: ありがとうございます。次は作り手の立場で、ご自身の漫画への思いとか、あるいは作品を作 って視聴者へ伝えたい思いとか、その辺りをFROGMANさんにお聞きしたいと思うのですが。 FROGMAN 氏: アニメで人が輝くというテーマで少し。 うちの会社はアニメでして、元々は 1 人で映像を作ることを目的にして、制作を始めたのもで すから、脚本から絵から声から全部 1 人でやります。で、元々島根県の今、出雲市になってしま いましたが、平田市というちょっと外れたところにありまして、その山の中で 100 坪くらいの土 地で月3万円という平屋の家を借りまして、そこでずっと作っていたました。最初作り始めたと きには、周りの方たちは、東京から来た人が変なことを山の中でやっているなって感じでいたん ですが、実際、作品をインターネットを使って出しまして、ちょこちょこテレビでも取り上げら れるようになってから、やはり一緒にやりたいということで地元の若者がやって来たりする。そ ういう子達を集めて色々作り始めたりとかしています。現在、東京に仮住まいを借りて作業して いるのですが、いまだに地元島根やまた別の地域から、FROGMANさんのようにアニメを自 分ひとりで作ってみたいんですということで、いろいろな地域から若い人がやって来て、制作を -90- 始めています。そういう意味で、特に我々がやっている Flash アニメーションというのは本当に パソコン1つで作れる手軽なものです。だから、すぐにでも始めようと思えば始められるという 点があるので、広島とか、中国地域、特に僕が島根県で映像制作をやろうと思ったのは、島根県 という産業という産業がないと言ったら悪いんですが、広島に比べたら大きな自動車工場もあり ませんし、特産物もあるわけでもない。そうなると、あとは頭を使って何かするしかない。頭使 って色々ものを考えて、安いもの使ってなにか作っていこうということで始めたことだったので す。そういうことに共感してくれる若い人たちが出てきて、僕はとにかく若い人たちに自分の頭 1つひねって何かを作るということに、これからどんどん頭を切り替えていこうと、それに賛同 してくれる人が出て良かったなと思います。 和田 崇 氏: 漫画を愛しているという話と、頭を使って地域で何かやっていけるというヒントをいただいた と思うのですが、楽しく頭を使ってどうやったら良いのか、臼井先生にお伺いしたいのですが。 臼井 稔 氏: その舞台になるかは分からないのですが、実は僕、山口県には縁もゆかりもなくて、会津藩の 末裔でして、長州に行くことが非常にプレッシャーでもあったのですが、ここに来て、中国地方 の産業構造になんとなく触れて、調べてみてですね、素材メーカーが多くて、いわゆるコンテン ツを活かしたビジネスが少ない。なかなか育たない土壌。それと、今の生活から抜け出すという ことにあまりエネルギーを使っていなかった。何を言いたいかというと、人間、楽しいことをす るために、1番、時間やお金を使う訳で、地域を興すのにまんがアニメという楽しいものを、そ ういう人間がクリエイトしたものがビジネスであって、みんなが面白くて楽しいねという、そう いうムーブメントを起こさないと、それぞれの町とか行政がやっていることが何かリンク、コラ ボレーションしないという、そこにジレンマを感じた。人材育成ということで振られていて、テ ーマが少し変ってしまいましたが、そういう意味では僕はいつも学生に言っているのですが、1 つの作品を作るのに、あるいは絵を描くのに君らは遊ばないでどうやって描くんだって言ってい るんです。旅もしない、本も読まない、映画も見ない、アニメしか見ない、アニメ見ようとした らテレ東もないとかですね。そういう中で良い作品を作ろうとか良いコンテンツを生み出してそ れをビジネスにしようというのは、所詮無理だよとはっきり言う。だから、日本を旅しなさい、 海外に行きなさい、それから、年齢問わず、色々な人と話しなさいということを、よく言ってい ます。そういうことが学校以外に大切なのではないかとよく考えています。 和田 崇 氏: やはり楽しく頭を使いながら、自分たちも遊び心を持たないと堅苦しいことになっちゃうとい う非常に貴重なご指摘でした。 その意味で、物怪プロジェクトの小田さんは本当に楽しみながら取り組みをなさっていると聞 きますが。 小田 伸次 氏: 楽しんでいます。楽しんでいますが苦しいです。と申しますのが、1999 年に物怪プロジェクト -91- 三次を立ち上げたわけですが、三次という町の活性化を目指すという気持で作ったのですが、ま ず、メンバーを集めるときに私が言った言葉が「映画を作るぞ、三次を舞台にした映画を作るぞ。 おまえたち手伝ってくれないか」。と声を掛けてメンバーを集めました。で「いくらかかるん?」 「4億まではかけられるだろう」「金は誰が持ってる?」「誰ももってない」「でも作りたい」。そ うして活動を始めて今日に至るのですが、その間、何をやったらよいのか分からないので、とり あえず1番最初に話をしました。この三次の発祥の稲生物怪物語がどういうものなのかを知って いただこうという形で活動してまいりました。 そもそもこのプロジェクトを立ち上げるきっかけになったのは、境港で水木しげる先生が「木 槌の誘い」という漫画を描かれた。その漫画を私が見たことがきっかけでした。というのが、三 次の町で生まれ育った私がこの物語を知らなかった。先生の漫画を読むことで知ったということ があり、その辺のところからこの稲生物怪録を知っていただこうということで、水木先生のとこ ろに赴き、こういうことをやりたいと告げ、アニメ、メディアを通してイラストを皆さんに見て いただくことで、この物語を知っていただこうとした。メンバーを集めた時に、 「入会金年会費は いらない」、「何がいる?」、「情熱とアイデアを持ってきてくれ、情熱とアイデアというものはお 金に代えられないんだ、その代わり、ただ働き」と言った。一切合財飲み食いさせない会でやっ てきました。今はグッズが出来て、そういったものを売って、これを本屋さんにお願いしていく らかバックをもらい、ちょっとずつお金を貯めて、色々なことを始めさせていただいた。3年前 に稲川淳二さんに来ていただいたのですが、その時も一緒にご飯が食べられるから手伝ってもら ったり、そのような形で、昨年の、先ほど紹介しました世界妖怪会議がありますが、その時もメ ンバーに先生のサインはもらってあげるなど、楽しみながらやっていることは間違いないです。 ただし、しんどいです。でも、だからこそ続くんだと思います。 和田 崇 氏: ご馳走というのは「走る」という字が付いていまして、美味いものを食べようとか楽しもうと したら、走って手に入れなければならない。走るから食べるのも美味しい。それに近い話かなと 思いました。自分で手を動かして好きなものに関わっていくことで楽しめる。そういうことのヒ ントだったのではないでしょうか。 次に谷田さんにお話を伺いたいのですが、 「遥かな町へ」で市民の方も地域を見直すきっかけと か、作品にもっと親しむきっかけになられたのではと思うのですが、いかがでしょう。 谷田 富穂 氏: 倉吉市の方では、この漫画が出来て、行政サイド中心で、これを観光町づくりのテーマにされ た。 「遥かな町へ」という漫画、これのテーマ、雰囲気が町とちょうどマッチするということから、 「遥かな町、倉吉」ということで、今、倉吉市のキャッチフレーズとしてすでに使っております。 それで、 「遥かな町」って、すごくぼやっとした言葉なので、じゃあどんなものなのかって私サイ ド、行政サイドの方がある程度、定義付けをして、その施策として漫画に出てくる答えが、昭和 30年代をイメージしているのですが、そっくりそのままその風景が今の倉吉市に残っている。 これらすべてがあったかい空間であったり、景色であったり、人であったりする。そういった登 場人物も主役のように扱っている。こんなような雰囲気をいつの時代も、これからの時代も大事 にしていきたいなという共通の知識でもってやっておりまして、これは地域資源だ。こういった -92- 景色に特化し、人の安らぐ、癒される、そんな忘れ去られた日本の原風景のような町をいつまで も作っていこうと思っております。その一環として観光商品を作っております。 これを広げるにあたって市内の小・中学校、図書館の方に観光協会として本を買って贈呈しま した。つい最近の話なのですが、私の息子が小学校1年に入ったのですが、 「お父ちゃん、こんな 本があるが知っとるか?」と本を持って帰ってきたのです。それが、この本です。息子は何も知 らなかったのですが、子どもがそんな形で私に教えてくれました。まずそれがどうなのかという ところもあるのですが、多分彼にとっても、図書館にある本の中に倉吉があるということが、1 つの自信、自慢になったのではと思います。そんなことが1つのきっかけなのかなと思いますし、 そういう観光商品を市内のコミュニティ団体の方が「じゃあ、そのツアーに参加してみよう」と いうことで、この本を含めて色んなマップが入ったり、専用のビニール袋があったりペンが入っ て単価 1,900 円で販売をしている。今も変らず地元の方がそれを買って、そのツアーに参加し、 地元を見直すきっかけになっている。 その他にも民間の方々で、ショッピングセンターの方で展示をするような企画を作っていたり、 もちろん我々の方が名刺にあのカットを使って、 「遥かな町、倉吉」から来ております、そんな触 れ込みをさせていただいたり、最近では地元の新聞社にも「遥かな町、倉吉」が定着しまして、 「遥かなる倉吉、大いなる田舎を目指せ」とか、そういう社説が出てきたり、そんな形でどんど ん定着しています。この漫画が非常に映画のようなストーリーということもありまして、映画化 に向けての動きもございます。残念ながら著作権の関係がベルギーにあるようで、日本語版の方 の展開に期待しているのですが、まず先行するベルギーでの映画化の方が来年くらいに掛かると 聞いているので、また逆輸入という形で世界から倉吉市に入ってくることで、地元の方々は、こ の作品とその中の倉吉の暮らし方、考え方などから、倉吉というものを見直してくれるでしょう。 また、最終的には倉吉を舞台にして、できれば倉吉ゆかりのある映画俳優の方の協力をいただき、 なんとか手弁当でも 3~5 年かけてでも映画作成をいつかやってみたいなと思っております。それ と、1つは谷口先生の方からありがたい言葉を言っていただいたのですが、この本を描くにあた って、鳥取倉吉市の風景がこの本を書かせているんだよと、おっしゃっていただきました。本を 見ていると、そんなことが伝わってくる、地元の方々はそれを見て誇りになるきっかけとなる、 それが少しずつ広がっているというところです。 和田 崇 氏: ありがとうございます。皆さんのお話をまとめると、マンガやアニメでどうやって人が輝くか ということで、楽しく頭を使って、遊び心を持って、それで自分たちの楽しみがある。そうする と町を愛する人間になれる。そうなってくると、人への効果と同時に、地域が元気になるという ことだと思います。 地域をマンガやアニメを使ってどう活かしていくか。さきほど臼井先生がおっしゃったプロデ ュースという言葉になっていくのだと思います。マンガやアニメの力を活かしながら、どう地域 を元気にするか、その方法とかコツがあるのではないか。次にその辺りを伺っていきたいと思い ます。 まずはFROGMANさんにお聞きしたいのですが、やはりその地域に合った制作をすると、 色々な人が参加するきっかけとなるという話もありましたが、地域の活性化とか元気付けに向け て、これからこんな事をもっと考えたらいいでしょうか。 -93- FROGMAN 氏: そうですね。初めは、島根県で作っていたのですが、なぜ東京に行かなければならなかったか についてお話します。先ほど出ました、そのプロデュース。出来上がったコンテンツを売る人間 が島根県には居ないのです。それが何よりも 1 番の理由です。売るとは何か。例えばテレビ朝日 さんとのミーティングとかは島根県にいても、当日飛行機で行けば良いことなのですが、実際の プロデューサーとのやり取りとかは、常にそばにいて、あうんの呼吸でやっていかねばならない。 実は最初はインターネットを使ったテレビ電話でやっていたのですが、やはりお互い探り探り言 葉をキャッチボールするようで、うまくいかない。で、行きますといってかばんひとつで向かう。 やはり地方で映像制作、そういったビジネスを始めようとすると、実はクリエイターはたくさ んいる。鳥取県にも広島県にも山口県にも色々な漫画家の先生ですとか、アニメ作家の方、出身 の方はいらっしゃる。ということはつまり、そこに売り出す対象があったり、プロデューサーが いたら、そこでも大成できたということです。そういうことなので、ぜひ臼井先生にもお願いし たいのですが、地域に根付いたプロデューサーの育成が本当に必要なのです。あと、これは島根 県にいながら言われることなのですが、地域の活性化のために何かやりましょうということで、 色々な企業の方に言われることですが、我々のスタンスとしては、やりたきゃやります。基本、 我々は地方の、地域のために何かしようという考え方のものは作らない。これは絶対です。こう いう言い方は冷たいかもしれませんが、みんなのために僕らはアニメを作っているわけではない。 究極的には我々は儲けるために作っている。実は個々に儲かった集団が地域になると思うんです。 それが島根県の色々な心配と思うのですが、道路を作ったり、いわゆる箱もの行政する。公共の 福祉のために作ったばかりに、結局誰もそんなに欲しくないような物を作っていた。その最悪の パターンを繰り返していて、本当は大きなレンタルビデオ屋さんが欲しいとか、大きな映画館が 欲しいとか。実はそれが営利目的の企業であったにもかかわらず、でもみんなが欲しいものはそ れだったという。それに気づいていなかった今までのやり方が良くなかった。 地元の若い子達も、島根にいて何か番組を作りたい、アニメを作りたいという子はたくさんい るんですよ。でも、それがないから東京に出てしまう。であれば、そこに儲かるアニメ会社、漫 画会社、コンテンツの会社があれば、実は地元の若い人もそこで働いて生活でき、もしかしたら 他の地域から人が集まってくるかもしれない。そういうことを僕は考えています。将来的には松 江中心部にスタジオを設立する予定ですが、ただ行政と何かやるかどうかはわかりません。色々 条件をはっきり見ないと、もしかしてひも付きの鵜飼になってしまう。我々のやりたいようにや れないのであれば、独立分担でやっていった方が、実はもっと、コンテンツのためにもなります し、地域のためになるのではないでしょうか。そういう気持がちょっとあります。 和田 崇 氏: ありがとうございます。私は最初、一言で「プロデュース」と言いましたが、詳しくみれば 3 つあると思います。今、FROGMANさんがおっしゃったのはコンテンツを制作する立場のプ ロデュース。今から小田さん、谷田さん、三城さんに伺うのは、地域にあって、そういうコンテ ンツと地域とを結びつけて活性化させようという、いわば地域のプロデュース。もう 1 つは三城 さんが美術館のスタッフとしていかにコンテンツを上手に見せるかという、専門用語で言えばキ ュレイター。そういう3つの方法のプロデュースの仕方があるのだと思います。FROGMAN さんがおっしゃったのは、そのコンテンツプロデュースの部分だと思います。 -94- では、地域のプロデュースとはどうだろう。特定の地域とコンテンツを結びつけるには、どう いうプロデュースのやり方があるのか。まずは小田さんに民間の立場でお聞きして、その後、谷 田さんに行政の立場、最後に三城さんにキュレイションについてお願いしたいと思います。まず は小田さん、お願いします。 小田 伸次 氏: 先ほども申し上げましたが、三次というのは田舎ですので、何とかして三次に来ていただきた いと、今まで色々なものが観光として市外県外に発信しております。鵜飼であったり、霧の海だ ったりしたわけですが、我々でやった稲生物怪物語を題材にしたアニメというものが、今までに なかった層の方が三次に来るきっかけになっている。先ほども言いましたが、これを地元にどう 活かしていくか。ここに「聖地巡礼」という本があります。これをアニメのファンが見て回る。 この中に「朝霧の巫女の町、三次」という紹介が出ています。こういった本を持って歩いている。 それを町の人が見かけると「小田さん。今日ちょっと歩いていたよ。 」と教えてくれる。今まで三 次に来たことのない、俗に言うマニアといわれる人たちです。これを私は大事にしたいなと思っ ています。こういう方に来ていただいて、三次の町に新しい観光資源を再発見していくことがで きると思います。また、そういうふうにして本に出てくるお店屋さんを覗くわけです。そこへ「あ んたどっからきんさったん。まぁ、アイスクリームでも食べていきんさい」とお店のおばちゃん がお金も出してないのにアイスクリームを渡して「暑いでしょ。食べていきんさい」というよう な会話が生まれる。そこで人と人とのコミュニケーションが生まれて、その方がまた来るんです。 「おばちゃん、この間ありがとうね。この間撮った写真、これだから」って言って置いて帰る。 そういう形で人と人との触れあいが少しですけど、生まれてきた。今までなかった状況ができた のは、アニメが世に出て、それを見た人がやって来てくれたおかげだし、とても大切なことだと 思います。 和田 崇 氏: 今の話で小田さんに伺いたいのですが、従来の物見遊山的な大衆観光は、マスメディアを使っ て情報を流して、網の中から拾い上げるような集客だったのですが、三次の取り組みは、コンテ ンツのファンや好きな人を緻密に繋ぎながら、人を集める方法という気がしたのですが。 小田 伸次 氏: まさにその通りです。私は今まで、行政的に色々な観光、観光協会の方がいらっしゃいますけ れど、行政的な手腕ですと、本当に幅広い人を集めようとしすぎていたのでは、という気がすご くします。特にこれで初めて思ったのですが、好きな人というのは三次だろうが東北だろうが、 交通が不便だろうが、バスを使っても、時間をかけてもお金をかけてでもやって来てくれる。そ の人たちが満足するようなことを地元としてはやってあげる。そうやって人が集まることによっ て、こんな人が来てるんだ、どんなところだろう、そうして一般の人も来てくれるようになるの ではないでしょうか。これが考えられるのが境港ではないかと私は思っております。 和田 崇 氏: ありがとうございます。大きなものでなくても、最初は小さくてもだんだん渦が大きくなる、 -95- いわば台風理論とでも言いましょうか、そんな感じかもしれませんね。 谷田さん、作品のファン、愛読者を大切にする、これは倉吉でも一緒ですよね。 谷田 富穂 氏: はい。と言いながら、例えば谷口ジロー先生の「遥かな町へ」という漫画を特化させて何かす るというよりも、そのイメージを上手に地域振興、地域イメージに引っ掛けてPRしていくとい うやり方をしているのに、大きな違いがあるのかなと思います。 鳥取県の中でも、すぐ隣の北栄町には青山剛昌先生のふるさと記念館がある。こちらの方は直 接的に漫画にかかわる作家、作品の方を研修したり、水木しげるさんの妖怪ロードといった直接 的なまちづくりがあるのですが、私どもが地域振興にあたって留意することは、この作品があっ て初めてということがございますが、1番心配した、気を使ったことは、当然に作家の方、出版 社の方の権利関係等、色んな面での協力、理解を当然のことですが意識しました。幸いなことに、 谷口先生、そして出版社、小学館の方からも全面的な協力をいただいています。地域振興に使う のであればということで、最小限の条件で、何か印刷物を出すことがあれば、事前に送って確認 していただく、当然ですが作品を変えないような条件程度で、それ以外についてはどんどん使っ てほしいということで活用させていただいておりますし、映画化に向けての動きの中でも、出版 社の方からも何か企画があれば、倉吉がロケを受け入れることは伝えるから、と言ってもらって います。こうしたいい形で色んな協力をいただいております。そういう意味で作家の方や出版社 の理解を得ることが大切なことかなと思いました。 あともう1つ、地域振興、地域イメージという観点で、この「遥かな町」というタイトルを使 わせていただいております。そのタイトルに負けないように、そして漫画に気づかせていただい た地元の大切な風景をいつまでも守っていくこと、そして倉吉市の場合はこの漫画に出てくる風 景以外にも、全国区にもなるであろう、例えば南総里見八犬伝の発祥の地的な要素、里見忠義公 の終焉の地というものもあります。倉吉市で8人の家来の方が亡くなり、それが八犬伝につなが ったとか、大阪の淀屋を作った人も倉吉市出身だったりします。こうした里見や淀屋といったも のが、我々の生活文化のなかに生きています。資源を活かしていくという観点でも、この遥かな 町を大事にしていくことも、そんな地域資源の1つだ。風景も人も、歴史・文化というものも地 域資源であって、先人の方々が作ってくれた、残してくれたものだ。そこのところは何とか地域 の皆さんに良い形でまず理解して欲しい。この2点かと思います。 和田 崇 氏: ありがとうございます。漫画とは地域資源と捉えることについてはいろいろな議論があると思 います。制作者と地域、出版社の間で解決すべき著作権の問題を地域のプロデューサーと制作者、 権利関係者が上手な関係を築きながら、上手にクリアしながら、観客や観光客に上手に見せるこ とが大事だと思います。そういう活動をなさっているのが三城さんだとお思いますが、どのよう なことをやっておられますか。 三城 五月 氏: 私、マネージャをしているのですが、小学校4年生の時に学校で将来の夢は何ですかと聞かれ て、ウケ狙いのつもりで「人に夢を与える仕事がしたい」と言った。具体的に花屋さんとかケー -96- キ屋さんとか女の子は言いますが、そういうことを挙げずに、本当に冗談で「人に夢を与える仕 事がしたい」と言った当時の光景を今でのはっきり覚えています。この美術館のお仕事を始めて、 今まさに人に夢を与える仕事をしているなと、はっとすることが度々あります。 というのも、当館に来られた女性のお客様ですとか、もちろん男性もそうですが、少女の頃に テレビや、なかよしを毎月買って読んでいた当時の記憶がフラッシュバックして、美術館の中に 入った途端、感激して涙を流される方がたくさんいらっしゃいます。私もそういったお客さんを 目の前にして、もらい泣きをしたこともあり、その時に小学校のときの夢が今、叶っているのだ なと実感することが度々ございます。 当館の名前はいがらしゆみこ美術館なのですけれど、コンセプトは「愛と元気に再会できる美 術館」と掲げております。文章を読ませていただきますと、 「夢を忘れず、後を振り向かず、未来 に向かって一生懸命生きるキャラクターたちが思い出から蘇る。頑張る力と明るい笑顔。ロマン あふれる愛と元気に再会できる美術館」というものをテーマにずっとやってきております。スタ ッフはもちろん、いがらしゆみこのファンであって当たり前で、来られたお客様は、いがらしの 作品にうる覚えの部分があって、「あの時あのキャラクターはどうだったかなあ」 「最後のエンデ ィングは誰と誰が結ばれたのかな」 、といったことをスタッフに聞いてくる方がいらっしゃいます。 ですから、スタッフはストーリーのことはもちろん、いがらしの作品のことは十分に理解して、 お客様と一緒に、マニアックな話ではあるのですが盛り上がれるように心がけております。 今日来ておりますスタッフですが、彼女はいつも笑顔です。色々な思いで、日々生活の中で疲 れて、病んでいて、嫌だなと思ってストレスを溜めて来ているお客様も、彼女と話をすれば元気 になって、今まで辛かったことも忘れてしまいましたというファンレターもいただくほど、明る いスタッフです。私がお客様に夢を与える職業をしているんだよということをいつも聞いて接客 してくれているスタッフです。 私がいつもスタッフ教育で言うことですが、普通お店は「いらっしゃいませ」とお客様に声を かけますが、私どもの美術館では、いがらしゆみこの世界へようこその意味をこめて「こんにち は」と声を掛けます。あとは「おかえりなさい」ですね。お買物をされて、お釣りを返したとき に「ありがとうございました」という言葉がありますが、うちでは過去形にせず「ありがとうご ざいます」。この店から出てもありがとうの気持ちはずっと続いてますよ、あなたの心にキャラク ターはいつもありますよという気持をこめて、過去形にはせず、現在形で声を掛けるよう心がけ ております。 マネージャーとして美術館をやっていく上で気をつけている事というのは、地元の皆さんの協 力あってこその美術館と思っておりますので、地元の他のお土産屋さんと協力して、行っている ことがあります。うちでは長細い優待券というものを配っているのですけど、これは1枚で10 名様まで50円引きになります。これをお土産屋さんに配って、その配った優待券を持ってお客 さんが美術館に帰って来たら、そのお店には50円バックしております。これは関西のやり方な のですが、1枚返ってきたら50円、それを毎月集計して、ご協力いただいたお土産屋さんに宣 伝料として、ありがとうの気持をこめてお金をバックしております。そういうふうにお金をもら えるので、逆にお土産屋さんの方からおいでくださったり、配ってくださったりとか、皆さん協 力してくださいます。後は、地元に倉敷ブランドというものが出来たのですけど、この倉敷ブラ ンドとのコラボレーション作品、今日も持ってきているのですが、倉敷にありますいまる商店の いぐさという商品、それと美術館のキャラクターグッズはちまんちゃんという女の子のポストカ -97- ードをセットにしたコラボレーション作品を企画して、それとはまた別に何かもっとできないか と考えています。それで、いがらしゆみこ先生には「くらしき物語」という漫画を描いていただ いて、こちらも地元に何か貢献できないかと思い、今、執筆していただいております。物語の方 はホームページ上で小説版だけ先行して公開しております。 「くらしき物語」がどういったものな のかご覧いただければと思います。 和田 崇 氏: ありがとうございます。 中国経済産業局でも今年度、この事業の一環で、モデル事業としてキャラクターと地域資源を 活用したコラボレーションができないかと新商品あるいは新サービス開発のチャレンジしている ところですが、三城さんのアイデアや経験を教えていただきたいと思います。よろしくお願いし ます。 さて、臼井先生、コンテンツ・マーケティングのご専門の立場から、地域のプロデュースは、 中国地域としてはどのような方向を模索していったらよいのでしょうか。 臼井 稔 氏: あまり自信はないのですが、長野県の小布施町という町があります。皆さん、お聞きになった り、行かれた事のある方、手を挙げていただけますか。局長だけですか。ここはですね、人口1 万人弱。そこに観光客がなんと 100 万人以上来るんですよ。なぜ 100 万人以上来るかというと、 町の資源をフル活用して、そこに美術館とか博物館とか歴史上の建物とか、景観を損なわないよ うにしつつ、なおかつポストとか、昔からあるものを、何気に活用しているんです。行く人は、 かなり広い地域で車移動は駄目、自転車でなきゃ移動できない。そういうところに毎年 100 万人 以上来ている。そこで毎年、マラソン大会をやったり、コンサート・イベントをやっています。 行政としては小さな町なのですが、とっても潤っている。私はもうそこに 3 回くらい行っている のですが、これはこれからの町おこしの1つのモデルじゃないかと常々感じました。残念ながら 皆さんが一生懸命、今やっていることは、もしかしたら永久に続かずに終わってしまうかもしれ ない。そういう恐怖感をどこかでお持ちでやっているのではと思います。1つのキャラクターで、 どれくらいもつのか、ファンが消えたときにいったいどうなるのか、そういう恐怖感、1つのま んがアニメの持っている力に限界があるのではということになってくる。それをもっと活かすに は、小布施のやっているような方向性は、中国地域にとって意義があるという気がします。それ から、僕は中国地方に来て、ここに妖怪を感じます。中国地方は日本で1番古い土地だと思うの です。隆起して最初に出来た土地だから、ここに妖怪がいないわけがない。だから水木さんみた いな人が出てくるんですけど。あと、妖怪がいるということは民話がいっぱいあるし、語り部が いっぱいおられる。それぞれ特徴があるんですよ。それをもっとキャラクター化したら良いので はないでしょうか。日本に八百万の神がいるというのですが、誰も八百万の神を描ききれていな い。そういうのを若者が中心に描き、そこに行けば何となく違う神様がいたり、妖怪がいたり、 自分のすぐ近くに実はいたり、というのがあるのではないか。 先ほど、三城さんがやっておられることに非常に感銘して、行きたいなという気持になったの ですが、すべてお客様志向ですね。来ていただいている、ありがとうの精神のお客様志向。 「来た かったら来いや」ではなく、そういう面でプロデュースを考えていった方が、長持ちもするし、 -98- 我々も楽しいのではと、今お話を聞きながら強く感じました。 和田 崇 氏: ありがとうございます。 今後の方向性として光が見えてきたお話をいただいたと思います。中国地域は民話や伝承、地 域のネタ、素材があるものを、上手にコンテンツを絡めながらコンテンツそのもの、あるいは地 域振興に繋げることをプロデュースしていきたい。それであれば、個別の地域だけではなく、中 国地域が何らかの形でネットワークを組みながら、次の活動として共同で実践できる可能性があ るというヒントをいただいた気がします。最後の1巡は、臼井先生の仮説をもとに、他のことも できるかもしれない、こんなことでお互いが繋がれるかもしれないというお話をいただきたいと 思います。 まずは谷田さん。このテーマについて、鳥取県では境港市、北栄町、倉吉市などの取り組みを はじめ、県も「まんが王国とっとり」というネットワークを組んでいらっしゃいますね。 谷田 富穂 氏: 倉吉、北栄、境港、鳥取県にございますけど、今鳥取県ではまんが王国という形で、県が中心 となって県内の作家の方、漫画の舞台になった風景だとか、そういったようなものをチラシにま とめて発信することをはじめ、鳥取県のイメージ戦略としてですが、関東圏の方でもイベント、 フェスティバルに参加する「まんが王国とっとり」と銘うって、そういう地域のアニメまんが情 報をチェックしている。さらには、鳥取県が観光誘客として対象にしている韓国・台湾を意識し て、そちらの漫画祭りのようなものにも出展しながら PR を続けているということがございます。 鳥取県はそういうような形で青山剛昌さんのコナンだとか、水木先生だとか、皆様がよくご存知 の漫画家の方が出ているということがあって、それをうまく結びつけようとしています。私も観 光協会という立場なのですが、やはり今観光客に来ていただこうと思ったところで、ニーズは 10 人いれば 10 人とも違う。多様化しているというのは当たり前の話なのですが、以前の旅行は団体 でバスに乗ってどこかに行く。それが今は当然に個人、グループで動くというものですから、こ れまでの動きと全く違ってきています。そういう意味で、観光地では見るだけでなくて、例えば 体験が出来たり、自分の体と五感を使って体験できる。そういった付加価値の高い観光地を目指 して、色々な形で取り組んでおります。そのためには単なる一過性のものでは見向きもしていた だけませんし、実際にその地に来ていただくことも出来ない状況です。ですから持続性のある、 息の長い取り組みとして、なおかつ付加価値の高い観光地を目指していかなければいけないとい う中で、1つ新しい展開の切り口として、この漫画というものを、これまでになかった要素とし て地域にかかわりを持たせながら、これからの光になりうるんじゃないかと思っています。 鳥取県あたりでもやっておりますように、まんが、アニメというものが世界に対しても、日本 への誘客のツールとなるということであれば、これは小さな町とか団体では出来ない話ですし、 鳥取県というレベルでも難しい。できれば国であるとか中国地方だとか、そういうレベルの中で 広域的に研究して、良い形で情報発信をしていく。こういうことを期待したいと思っております。 和田 崇 氏: ありがとうございます。 -99- 続いて、FROGMANさんにも同じ質問をお伺いしたいのですが。地域のネタや素材をうま く活かした取り組みとして、広島経済同友会アニメーションビエンナーレ基金では、広島や瀬戸 内海の色々なネタ、素材を集めながら、それをアニメというツールを使ってうまく発信できない かという構想を持っておられるのですが、これを踏まえて話していただければと思いますが。 FROGMAN 氏: そうですね。うちの作品はよく島根県を舞台にした作品とか、次回の「秘密結社鷹の爪」劇場 版もタイトルに付くくらい、島根県をフィーチャーしていこうと思ってます。実際制作している 島根県に対して思い入れは確かにあるし、それ以上に、島根県をネタにすると笑える。それが純 粋に作りたい理由なんです。地域のネタを盛り込んで制作して出すということは、非常に良いこ とだと思うんです。我々の作品の中で島根県の物産をよく盛り込むのですけど、それをきっかけ にして島根県に来られて、その場所で何か物を買ったりということが起こったりしています。今 年の夏も結構、鷹の爪ファンの方々が島根バイブルっていう僕の本があったのですけど、その中 に書いてある島根にゆかりのある地域をぐるっと回って来たりとか、そういうことが起きていま す。 僕はそんなことぜんぜん期待していなかったのですけど、ファンの方は我々の予想しないこと を引き起こしますし、地元と連携、密着して観光部分で何やかや盛り込むようなことは、これか らもやっていこうと思っていますし、コンテンツ自体、さらに深みを持たせる、もっと島根県ネ タを盛り込みたいなと思っているので、それはやっていきたい。 ただ、先ほども申したのですけど、ここで間違ってはいけないのは、地域とアニメ制作という のは、どうしても 1 番の問題にコスト管理があります。アニメとか漫画の世界って、ともすれば お金要らないからやらせてくださいという人がたくさんいるんですよ。 実はアニメ業界、これ言ったら身も蓋もないもないのですが、今非常に深刻な頭打ちの状況に あります。もはや日本国内では頭打ちになってて、世界でもこれが限界ではないかと言われてい る時代なんです。DVDも全く売れない状況で、テレビも視聴率が取れない。テレビアニメーシ ョンに関して言えば 2~3%で当たり前でそれで良いくらい。サザエさん、ちびまるこちゃんは別 格ですけど、通常のテレビアニメーションは 1%行って良かったねという感じです。そういう非 常に深刻な状況なんです。どんどんアニメ化して潰れています。逆に言えば、東京にあるそうい ったアニメ会社が潰れるって事は、アニメ業界で圧倒的に強いところってないんです。というこ とは、地方でアニメ会社を起こしても、東京に勝てる確率はあるんですね。僕はぜひ、中国地方 でアニメーション映像制作する場面を、東京に勝つ方法で1つアイデアがあるとすれば、やはり テレビや映画で勝負しないで、新しいメディア、携帯ですとかモバイルの世界でコンテンツを発 信するというのは、絶対に中国地方でやってみれば面白いことが出来るのではと思うんですよ。 料金回収のシステムは確実に回収できますし、当たれば大きい。実は映画ほどのクオリティーは 必要とされていない。これは先ほどの専門学校生のレベルでも、モバイルで作ったら通用するか もしれません。蛙男商会は当初、モバイル向けに映像を作るつもりで作った会社です。ただ我々 が予想していたよりも規模が大きくなってしまったということだけなんですけ。次回の作品が完 成したら、次回はモバイルの方に本腰を入れようということにはなっています。ぜひ、中国地方 は携帯コンテンツの一大産業地域になったら面白いのにと思っています。 -100- 和田 崇 氏: それは面白いですね。既存のコンテンツを活用すると同時に、新しいメディアを利用しながら 頑張っていくという1つの方向性。貴重なご意見をありがとうございます。 三城さん、今のお二方の意見もありましたが、いかがでしょう。 三城 五月 氏: 中国地域でのネットワーク作りに対する意見というお題だったのですけど、ちょっと大きすぎ て、なんて言えば良いか迷ってしまうのですが、先日 10 月 3 日に東京の秋葉原で全国マンガアニ メミュージアム連絡協議会というものがございまして、何をしに行くのか分からなかったのです が、とりあえず来てくれと言われたので東京まで行ってまいりました。今日本中にある漫画やア ニメの施設ですとか、アニメーションの会社なんかが集まって、そこで意見を交わしたり、お互 いの顔を合わせたりする協議会でした。どうしてそういったものを開いたのかと聞きましたら、 同じような漫画やアニメを取り扱った施設ってたくさんあるのが、いったい誰がどんな思いで、 どんな風にしているのか分からないからということだった。確かに私も、東京や日本のたくさん の施設で誰がしているのかも分からないし、連絡しようと思っても誰にしたら良いのか全然分か らないので連絡できない。そういうのが現状なんですけど、そういうズレが生じているから、こ ういう会議、場を使って集まって、接点を結ぶのはどうかという会議だった。普段着で何をしに 行くのか分からずに行って、有名な漫画家の施設の方とかプロダクションの方がいらっしゃって、 それで、今日のイベントもそうなんですが、機会があれば、接点が出来て、名刺交換ですとか、 お話をしたり顔を合わせたりすることによって、新しいネットワークが組めるのではないかと思 います。広島県は中国地方の中心地でもありますので、この広島を拠点にネットワーク組織を、 こういったイベントを通して結べていけたらなあと思っております。 和田 崇 氏: ありがとうございます。だんだん元気になる話になってきましたね。小田さん、もうちょっと 元気をつけるお話をいただけないでしょうか。 小田 伸次 氏: 切り口的には、うちのグループはアニメじゃなく妖怪の方ですが、各地域に僕たちのやってい るような妖怪とか、これを題材にするグループは結構ありますので、世界妖怪会議をやった時に 大分県の臼杵市だとか、境港だとか、滋賀県の今は東近江市になっちゃいましたが、八日市等と、 「妖怪(町おこし)姉妹縁組」を結びました。その見届け人がゲストでありました京極夏彦、荒 又ひろし、水木しげる、地元出身の人形作家、辻村寿三郎さんです。以上の方々が、見届け人と してサインをしてくれた。じゃあ、今後この形で頑張っていこうというのを、各地域の皆さんに 全部サインしていただいた。そういった契約書というか締結したという書を配りました。あそこ が頑張っているんだからうちも頑張ろう、という風な形で頑張っていこうと。 先ほど臼井先生も言われたことで、その通りだと思ったことがあったのは、今から 10 年後、今、 僕たちがやっていることが続いているのだろうか、町に今のような状態で来てくれるだろうか、 というのは確かに不安としてあります。私のところは先ほどから何度も言っていますが、稲生物 怪物語というのが三次の地が舞台ですので、これは消えることがありません。ですからそういう -101- 意味では、場所は残ります。あとは、訪ねてくれる人たちが、ずっとどういう風に来てくれるか、 それに対し、道筋をどうやって残していくか。というのが、今の僕らの課題かなと思います。 色んな意味で人の広がりがどんどんどんどん広がっているので、何とかやっていけるのではな いかと思っております。三次というのは、この前の新聞で読んでいる方がいらっしゃるか分かり ませんが、最近発掘された下本谷遺跡というのが旧石器時代の日本最古の古墳であろうというこ とが言われたのです。ということは、この中国地方、日本で人類が 1 番初めに住んでいたのでは ないかと言われている土地でもあります。それと、三次というのは山陰、山陽を結ぶ結節点、要 するに陰と陽を結ぶ結節点です。陰陽道、安倍晴明、そんなものにも繋がっていくのではと勝手 に思いながら、まぁ、今のは安田大学の先生のお話なのですが、そういうことを思いつつ、今か らずっと私たちが携わった稲生物怪物語を大事にしていきたいなと思っております。三次は霧の 海ですとか、鵜飼ですとか、色々なものがあります。最近、美術館も出来ました。古い歴史的に 言えば、阿久里姫の里、瑤泉院の里でもあります。そういったところをリンクして、今後、三次 は大都会を目指せませんので、三次は三次らしさ、オンリー1の三次というものを、どんどん大 きくしていきたいなと思っております。 和田 崇 氏: ありがとうございます。オンリーワンですね。 「遥かな町」であり、「秘密結社 鷹の爪」であ り、いがらしゆみこ美術館であり、オンリーワンがそろっているんですね。ネットワークを何で もかんでも作ろうというのではなくて、テーマやファン層、あるいはプロジェクトベースでネッ トワークを上手に広げていく。そういうイメージでネットワーク化できれば良いのかなと思いま す。そこに明快な答えを臼井先生からいただければと思いますが、いかがでしょうか。 臼井 稔 氏: 今日は経済産業省のシンポジウムですよね。この場をお借りして、私は経済産業省にお願いし ておきたい。 こういうお話は、多分色んな会でやろうと思えばいつでも出来るのです。ところが、心配なの は遅々として進まないんです。こういうネットワークを具体的な形にするには、やはり国の力が 要るのだなというのを、僕は最近、痛切に感じるのです。 例えば、急激にそれはできないだろうという考えではなくて、先ほど申し上げたような逸話で あったり、色んな民話であったり、妖怪であったり、そういうことを、経済産業省の中国支局の 力を借りて、キャラクターを集めようとか、ストーリーを作ってみようだとか、それをもう1つ、 どことどこをリンクさせると人の流れができるのか、そういうスキーム、流れのことを言うので すが、そういうのを作り上げていくお力添えを経済産業省からいただきたい。我々は非常に微力 で小心者ですから、なかなか前に進んでいく力がなくて困っているので助けてほしいということ です。 それから、先ほどFROGMANさんから、これからはやっぱりそうだよなというお話をいた だきました。皆さん、テレビがアナログからデジタルになることはご存知と思いますが、これか らの日本というのは、世界の水準をはるかに越えたユビキタスの時代になります。これは、いつ でもどこでも気軽にインターネットを通じて、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、すべてに繋がり、その 中心がモバイルにある。ですから、この携帯というのは、すべての操作の元になる可能性が非常 -102- に高いです。そこにですね、今おっしゃったようなお金をかけない方法として、せっかく作った キャラクターを見せるというようなことは、すごく現実性が高くて、今すぐにでも出来そうだな と感じがします。まとまりきりませんでしたが、微力な我々を助けてくださいというのが切なる 思いです。 和田 崇 氏: ありがとうございます。そういった新しい試みを、プロジェクトを介しながら、手を取り合っ て一歩進んでいく、その 1 つがモバイル配信という方法だと思いますし、ネタとしては中国地域 の色々な素材、伝承、民話などを巧く繋げながら、自分たちが楽しむと同時に世に出す。そんな 仕掛けが出てくればよいかもしれませんね。 臼井 稔 氏: 雇用があれば若者がここに残りますよね。若い子が残ると、やはり町は活性化するし、みんな 楽しいよね。みんなおじいちゃんばっかり、おばちゃんばっかりだと切ないですよね。 FROGMAN 氏: そうですね。僕は島根に若者が残るだけでなくて、全国から若者が島根に集まるようにしたい。 それが本当の意味での地域活性化になると思いますし。そうでなければやる意味がないと思って います。 和田 崇 氏: 次世代、若い人たちに活動を楽しんでもらって、仕掛け等も併せて考えていければいいと思い ます。そのきっかけが先ほど提案されたプロジェクトかもしれません。 臼井先生から、中国経済産業局にぜひ力を貸していただきたいという提案がございました。す ぐご回答を求めることは難しいかもしれませんが、今後、官と民で力を合わせて、地域と地域で 繋がるべきところは繋がって、前に進んでいけたらいいと思います。 会場からもご意見をいただければ良かったのですが、時間の都合もございますので、今後のネ ットワーク化を見すえながら、まずは第 1 歩を踏み出していこうということを確認させていただ いて、このパネルディスカッションを終了させていただきたいと思います。ありがとうございま した。 -103-
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