山口大学国際センター 紀 要 巻 『思考一実践 頭 言 書き記す価値』 国際センター長 宮 崎 充 保 山口大学国際センターの『紀要第2号』が出来上がりました。 論文 が自己研鑽の報告書という本性を持つとき、その報告内容とそこで開陳される方法 論はLongfellow(詩人)が放った矢のように時間や人間を経て一本の木につき刺さって残るも のです。そこから自己の確認が他者の認識となって評価が生まれ人目にはつかない水底を流れ る清流のように遠くへ伝播して行くものでしょう。それは、論文も文字通りの 報告書 も同 じことです。書き記すこと自体、リアルタイムで歴史記述を行うわけで、現代のメディアはさ まざまな形でそれを容易にしています。 その意味で山口大学の国際センターの過去1年の歴史が刻印されました。 激動の時代 とは生きる営みの烈しさがある限り、いつでもそうであり、一時代として画 されるものではありません。リアルタイムから解放されたとき、あらためて 激動 という形 容を伴い時代評価をするのが人の世の常のようです。しかし、リアルタイムでは他と変わりな く山口大学の国際センターも激動の時代をかいくぐっています。それは流行り言葉を借りれば、 国際戦略 で言い換えられます。これが独立語にも 的 などを伴って修飾語にも用いられ、 それを回避したら国際センターの活動は停滞としてしか見られません。 留学生の受入れと学習・生活指導はグローバルに行われます。研究交流でのコラボレーショ ンもグローバルです。しかし同時に、いまのありようを見ると、 国際戦略に基づいて 戦略的展開 国際 によって、留学生交流も研究交流もインターナショナルパフォーマンスです。つ まり、日本は日本として世界の中で他国がそうしているように、自己表現と自己実現を迫られ ているのです。この紀要がそれを如実に物語っています。例をつまみ出しますと、 内なる国 際化 の実践で日韓中の「3大学学生交流」、国際協力の一環としての 対外的国際化 のた めに国際協力銀行との提携による中国「貴州プロジェクト」というインターナショナルパフォ ーマンスがあります。 この期におよんで、日本語教育はどう行うのか?その規模は?――それは国際戦略の一環あ るいは延長上で捉え直す必要があります。国際センターの教員は日本語教育のみならず、イン ターナショナルメンバーとしての日本、その若い世代と学究の現状認識そして独創的実践―― たとえば、報告の中の「日本語プレースメントテスト」――を迫られているのです。 その委細がこの 国際センター 『紀要第2号』から読み取られます。それは山口大学国際 センターの教員の元気のよさを読み取ることでもあり、彼らが激動の時代をかいくぐっている ことでもあり、Longfellowの矢を矢継ぎ早に放っている証左でもあります。 2006年8月25日 記す Ⅰ 論文・報告 日本語直接受動文の移動分析とイディオム 和田 学 0.はじめに 日本語は、 の様なイディオムを持つ。 a.山田が田中の足を引っ張った。 b.藤田はライバルの鼻をあかした。 これらのイディオムに共通するのは、i )意味上の項がイディオム切片を主要部とする名詞 句の内部に現われる、ii )他動詞的であるという特徴である。 本稿では、これらのイディオムの受動化は、直接受動文を英語と同様に移動によって説明す る立場では説明できないことを示す。 1.議論の対象 まず、議論の対象とするイディオムを提示する必要がある。本稿で考察の対象とするイディ オムは次の様なものである。 足をひっぱる、揚げ足をとる、息の根をとめる、意表をつく、裏をかく、顔をつぶす、機 先を制する、首を切る、言葉尻をとらえる、すねをかじる、どぎもを抜く、話の腰を折る、 鼻をあかす、鼻を折る、腹をさぐるetc. 第一に、これらのイディオムは意味的には他動詞的である。これは、 のイディオムが二つ の意味上の項(主語と目的語、即ち、(1a)の「田中」)をとるだけでなく、しばしば、単独 の他動詞でパラフレーズできることからも示される。1 a.彼は仲間の足をいつも引っ張っている。 b.彼は仲間をいつも邪魔している。 a.社長は専務の首を切った。 b.社長は専務を解雇した。 第二に、これらのイディオムは、次の点で共通した統語上の特徴を持っている。意味上の目 的語となる名詞句は[NPのIC(=Idiom Chunk) ]という形でイディオム切片が主要部となる名 詞句の内部に現われる。 1 イディオムの中には、主格と対格を含んだ他動詞構文でありながら、意味的には自動詞になる次 の様なイディオムもあるが、本稿ではこれらのイディオムは扱わない。 i)頭をまるめる、肩を落とす、口をとざすetc. −1− a.彼はいつも[先生の上げ足]をとる。 b.彼は[敵の不意]をついた。 また、 に挙げたイディオムは、イディオム切片を主要部とする名詞句が対格を付与されて いるという点でも共通している。2 2.直接受動文の移動分析 日本語の受動文には対応する能動文を持つ直接受動文と、対応する能動文を持たない間接受 動文の2種類があることは広く知られている。生成文法の立場からの、この二つの受動文に対 する分析は対立する二つの流れに分類することができる。統一仮説(Uniform Hypothesis)と 呼ばれる主張では、二つの受動文では共に、主語は基底生成され、受動文全体は複文構造をな すという分析がなされている。この立場では、二つの受動文は本質的に同じものということに なる。一方、非統一仮説(Non-uniform Hypothesis)と呼ばれる立場では、間接受動文は統一仮 説と同様に、複文構造を持ち、主語は基底生成されるという分析を行うが、一方で、直接受動 文に関しては、統一仮説と異なり、受動文の主語は、基底の目的語の位置から移動操作によっ て主語位置に移動するという分析を採る。3 本稿では直接受動文のみを扱い、間接受動文は扱わないため、直接受動文に移動を仮定する 非統一仮説の立場を、移動分析と呼ぶことにする。 直接受動 文 の 主 語 が 目 的 語 位 置 か ら の 移 動 に よ っ て 得 ら れ る と す る 立 場 に は、 Ku n o (1973), N. A. McCawley(1972)などの古典的な研究から、原理とパラミターの枠組みでの Miyagawa(1989)などの研究にいたるまで、直接受動文では目的語が主語位置に移動すると いう点では基本的に同じである。Kuno(1973)では、直接受動化を のように定義している。 Pure Passive Formation(Kuno 1973; 350) Place the direct object or dative object NP in subject position, and place the original subject NP after it with ni(yotte)attached. Miyagawa(1989)などでは、英語の受動化に対するChomsky(1981)の提案と同様に、受動 化接辞 -(r)are が接続することで、i )外項の抑圧と対格の吸収が起こり、ii )目的語名 詞句が格フィルター違反を避けるために主語位置に移動するという分析を行っている。細部に わたる理論的な違いを捨象すると、移動分析では直接受動文は の様な派生過程を経ることに なる。 能動文:[S NP [VP NP V]]→ 受動文:[S NPi [VP NP-ni ti V]] 2 3 これらの条件を満たさないイディオムも多数有るが、それらについては扱わない。 Hoshi(1993, 1994)では統一仮説と非統一仮説の統合が試みられている。本稿ではこの分析に関し ては論じない。 −2− 3.移動分析とイディオム 移動分析は一般的な直接受動文であれば、適格な文を生成することができるが、 のイディ オムの受動化まで考察の対象を広げた場合、 の様な規則は不適格な形式を派生することから、 移動分析の妥当性が疑われる。 の様な規則では、統語的な移動が仮定されており、受動文の主語は能動文の統語的な目的 語であると規定される。この定式化に従うと、当該のイディオムの受動文においては、能動文 の統語的な目的語である[NPのIC]が主語位置に現われることが予想される。しかし、これ らのイディオムを受動化すると、(8-10b)の様に、[NPのIC]を主語とすることはできず、主 語は対応する能動文のICの内部にある名詞句、即ち、意味上の目的語でなければならない ((8-10c) )。 a.田中は部長の足を引っ張った。 * 部長の足は田中に引っ張られた。 b. c.部長は田中に足を引っ張られた。 a.山田はいつも先生の上げ足を取る。 b.*先生の上げ足はいつも山田に取られる。 c.先生はいつも山田に上げ足を取られる。 a.佐藤は木下の鼻をあかした。 b.*木下の鼻は佐藤にあかされた。 c.木下は佐藤に鼻をあかされた。 のイディオムにおいて、「[NPのIC]を」は非イディオムの目的語と様々な点において全 く同じ振る舞いを見せ、統語的な目的語とみなすことができる。従って、(8-10b)を排除でき ないことは、移動分析では予想できないことである。 まず、非イディオムではスクランブリングにおいて、移動規則の対象となり得るのは名詞句 全体であり、名詞句の内部の要素を移動させることはできないが、イディオムの[NPのIC] も全く同じ振る舞いを見せる。 a.田中は[部長の髪の毛]を引っ張った。(非イディオム) b.[部長の髪の毛]を田中は引っ張った。 c.*部長iの田中は[ti髪の毛]を引っ張った。 d.*髪の毛iを田中は[部長のti]引っ張った。 a.田中は[部長の足]を引っ張った。(イディオム) b.[部長の足]を田中はt引っ張った。 c.*部長のi田中は[ti足]を引っ張った。 d.*足iを田中は[部長のti]引っ張った。 上に示した様に、[NPのIC]は統語的に独立した名詞句を構成するため、これがスクランブ リングと同様に直接受動化においても移動操作の対象となることが予測されるが、これが不適 −3− 格になることは移動分析では説明できない。 次に、[NPのIC]に接続する「を」は非イディオムの目的語に与えられる「を」と同じ特徴 を示す。 第一に、対格標識「を」は会話体ではしばしば省略されるが、非イディオムの場合と同様、 イディオムにおいても省略が可能である。 a.電気(を)切った?。(非イディオム) b.社長はとうとう、あいつの首(を)切っちゃったよ。(イディオム) 第二に、状態性の助動詞が接続した場合に、対格が主格に変わる現象がある。この現象に関 しても、イディオムと非イディオムの間に違いは無い。 a.そこは車がとめられますか?(非イディオム) b.反対派の息の根がとめられれば、改革は先に進む。(イディオム) a.あのひもがひっぱりたい。 (非イディオム) b.あいつの足が引っ張りたい。 (イディオム) Miyagawa (1989)等の分析では、動詞による対格の吸収が直接受動文の派生過程において 重要な役割を果たす。上の事実は、 [NPのIC]に後続する対格は、一般的な対格と同じであり、 移動分析が正しいなら、受動化に際して吸収され、主語位置に移動して主格を付与されること が予想されるが、(8-10b)に見たとおり、この予想は誤りである。 移動分析を保持しつつ、(8-10b)の不適格性と(8-10c)の適格性を説明するために考えられ るもうひとつの方法が、(8-10c)を直接受動文ではなく、間接受動文と分類することである。 (8-10c)が間接受動文であるとするならば、主語は基底生成され、動作主とイディオムを含ん だ節が、埋め込まれていると仮定すると、(8-10c)の適格性は説明でき、(8-10b)の不適格性 は当該のイディオムが直接受動化ができないという規定を設けることで導き出せるように見え る。4 [S部長iは[S田中に[proi足を]hippar]-are-ta] 直接受動文と間接受動文は、対応する他動詞文の有無で区別されるのが一般的である。「対 応する」の定義にもよるが、「対応する」を受動文の主語が、能動文の動詞の目的語であると 定義するならば、(8-10c)の主語は、一見、対応する能動文(8-10a)の直接目的語ではないた め、間接受動文と定義できるかもしれない。5 この基準に基づけば、(8-10b)は、間接受動文 の主語に課せられる間接受動文の主語は生物でなければならないという選択制限に違反してい るために不適格であるのに対し、(8-10c)は、生物主語であるために適格であると説明するこ とも可能なように見える。しかし、以下に見るように、受動化されたイディオムを間接受動文 として説明することにはいくつかの経験的な問題点がある。 直接受動文の間接受動文との間には、上記の対応する能動文の有無という基準の他に、様々 −4− な違いがあることが知られている。以下では、イディオムの受動文(8-10c)は、直接受動文 と同じ特徴を示し、間接受動文とは分類できないことを示す。例えば、再帰詞「自分」の先行 詞解釈では当該イディオムの受動文(8-10c)は、直接受動文と同じ振る舞いを見せる。Kuno (1973), N.A.McCawley(1972)などで指摘されているように直接受動文では主語のみが「自 分」の先行詞となるのに対し、間接受動文では、「自分」は主語と動作主の二つを可能な先行 詞として持つことができる。 a.佐々木iは田中jに自分i/*jの得意先で鼻をあかされた。 b.山田iは大田jに自分i/*jの学生の前で顔をつぶされた。 上に見るように、イディオムの受動文は主語のみを先行詞として取り、直接受動文に分類さ れることを示している。 また、直接受動文では動作主の省略が可能であるのに対し、間接受動文では省略が許されな い(Miyagawa(1989))。イディオムの受動文では、直接受動文と同様、動作主の省略が許さ れる。 田中はいつも(山田に)足を引っ張られる。 以上の議論から、移動分析はイディオムの受動化に関して、不適格な形をを正しく排除でき ない。これはイディオム以外の直接受動文に関しても移動分析が成り立たないことを強く示唆 している。 4.まとめ 日本語の直接受動文を英語の受動文と同様に、動詞の補部の位置から主語の位置への移動と 捉える分析は、生成文法の初期から一貫して提案されている。本稿では、 「[XのIC]を+動詞」 という形式をとるイディオムの受動化を用いて、移動分析はイディオムの受動化を正しく派生 できないという問題点があることを示した。 いわゆる、受動文の統一仮説と本稿で扱ったイディオムがどのような関係になるか、また、 イディオム以外の一般的な事例とイディオムの受動化をどのように統一的に説明されるかは今 後の課題とする。 4 このような規定はもちろんのことながらアドホックなものである。ここでは、何らかの方法でこ のアドホックな規定が説明できたものとして議論を進める。 5 能動文と受動文の「対応」に関しては、能動文の目的語が受動文の主語となるというのが伝統的 な解釈だが、以下の所有者受動文などは、この伝統的な解釈からは間接受動文とされるのに対し、こ れらが直接受動文と同じ振る舞いを示すことが、Kubo(1990), Shibatani(1990), Terada(1990), Uda(1994)などで指摘されている。 i) a.太郎は花子の腕をつかんだ。 b.花子は太郎に腕をつかまれた。 −5− 参考文献 Hoshi, Hiroto 1993 "On the Syntactic Properties of the Passive Morpheme in Japanese," J/K Conference 3, 137-153. Hoshi, Hiroto 1994 "Theta-Role Assignment, Passivization and Excorporation," Journal of East Asian Linguistics 3, 147-178. Hoshi, Hiroto 1999 "Passives," in Tsujimura, Natsuko(ed.)The handbook of Japanese Linguistics, Blackwell, Massachusets, 191-235. Howard, Irwin & Agnes M. Niyekawa-Howard 1976 "Passivization," in Masayoshi Shibatani (ed.) Syntax and Semantics 5, Academic Press, New York, 201-237. Kitagawa, Yoshihisa & Shige-Yuki Kuroda 1992 "Passive in Japanese," ms. Kubo, Miori 1990 "Japanese Passives," ms. MIT. Kuno, Susumu 1973 The Structure of the Japanese Language, The MIT Press. 久野すすむ1983『新日本文法研究』、大修館書店、東京 Kuroda, Shige-Yuki 1965 Generative Grammatical Studies in the Japanese Language , Ph.D.Dissertation, MIT. McCawley, Noriko Akatsuka 1972 "On the Treatment of Japanese Passives," CLS 8, 259-270. Miyagawa, Shigeru 1989 Structure and Case Marking in Japanese, Syntax and Semantics 22, Academic Press, New York. Shibatani,Masayoshi 1990 The Languages of Japan, Cambridge University Press. Terada, Michiko 1990 Incorporation and Argument Structure in Japanese, Ph.D.Dissertation, University of Massachusetts at Amherst. Uda, Chiharu 1994 Complex Predicates in Japanese, Garland. 和田学 2002 「空所を持つ間接受動文」、『山口大学文学会志』52、125-140. −6− 海外における日本語母語話者アシスタント教師との協同授業(ティーム・ティーチング) −カナダの中等教育における事例より− 門脇 1 薫 はじめに 海外における日本語学習者約236万人中7割近くが初等・中等教育機関の学習者で、そこで 日本語教育を行っている多くの教師は現地の日本語非母語話者教師(以下「非母語話者教師」) である(国際交流基金2005)。また、初等・中等教育の日本語教育の現場では、日本語母語話 者のアシスタント教師(以下「母語話者アシスタント教師」)が非母語話者教師と共に授業に 入ることが多くある。しかしながら、現在日本語教育においては年少者日本語教育について活 発に議論がなされているが、海外の非母語話者教師・母語話者教師に関する研究、及び両教師 による協同授業(ティーム・ティーチング)に関する研究は非常に限られている。日本語の接 触が限られる海外の日本語教育現場において、非母語話者教師と母語話者アシスタント教師が 連携して協同授業を行うことは意義のある試みであると考えられる。 海外の学習者数が世界一の韓国で、最も多いのが中等教育の日本語学習者である。中等教育 の現場では、韓国の教員免許が必要なので日本語母語話者教師や母語話者アシスタント教師が 正規の日本語授業に入る例は、現在のところほとんど見られない(注1)。韓国に次いで日本 語学習者が多い国はオーストラリアである。オーストラリアの中等教育では、母語話者アシス タント教師を多く活用している。筆者は韓国における非母語話者教師(韓国人教師)と日本語 母語話者教師(アシスタント教師)との協同授業の可能性について考察する(注2)ために、 2003年に日本語母語話者アシスタント教師・オーストラリア人の日本語非母語話者教師・学習 者を対象に調査を行った(門脇2004)。更に海外での母語話者アシスタント教師との協同授業 例を参考にするために、引き続き2005年にカナダのアルバータ州においても同様の調査を行っ た(注3)。本稿では、カナダでの調査結果より海外の中等教育における母語話者アシスタン ト教師との協同授業について考察する。 2 カナダの日本語教育事情 2.1 中等教育における日本語教育概要 カナダでは戦後より継承語教育、高等教育、初等・中等教育において日本語教育が行われて いる。カナダの学習者数は20,457人で、そのうち初等・中等教育の学習者が9,471人で約半数を 占める。最近は日本経済の不況が関係しているためか初等・中等教育の日本語学習者は減少し、 スペイン語や中国語が人気があるようである(国際交流基金2003)。中等教育の学習者の多く は、日本のアニメやコンピューターゲーム等日本のポップカルチャーに関心があり日本語を学 習している。 カナダでは州によって教育政策や教育課程が異なる。アルバータ州では言語科目は選択科目 の一つとされており、高校卒業にも大学進学にも必須単位とはなっていない(野呂・矢澤2004) (注4) 。しかし、特定高校の単位や特定コース(インターナショナルバカロレア)の単位が大学 の日本語科目の単位として認められる場合もある。アルバータ州では学習者は選択科目として 日本語を選択しているので日本語学習に対する学習者の動機づけは比較的高いと考えられる。 −7− アルバータ州はブリティッシュ・コロンビア州に次いで中等教育の日本語教育が盛んな州で あり、アルバータ州教育省には日本語コンサルタント及びカナダ地域の日本語教育アドバイザ ーとして国際交流基金日本語教育専門家が派遣されている。また、文部科学省のREXプログラ ム(注5)による日本語教師も派遣されており、中等教育機関で日本語を教えている。 2.2 カナダでの協同授業(ティーム・ティーチング) 日本の初等・中等教育の英語教育において広く行われている協同授業の形態は、日本人英語 教師(英語非母語話者教師)と英語指導助手:Assistant English Teacher(英語母語話者アシス タント教師)が一緒に教室に入り協同して行う指導である(ブランビー・和田1996)。オース トラリアの中等教育における日本語教育も多くはそのような形態であった。同様に、カナダで もこのような形態で日本語教育を行っている例を参考にするために日本語母語話者のアシスタ ント教師と協同授業をしている学校を対象とした。しかし、カナダでは州の日本語教師の資格 を持った日本語母語話者が一人で教えることが多い。ブリティッシュ・コロンビア州では、継 承語としての日本語を学んだ日系人の日本語教師が多く、協同授業ではなく一人で教えている ということであった。そこで今回はアルバータ州を訪問し調査を行うことにした(注6)。 3 中等教育における日本語母語話者アシスタント教師との協同授業に関する調査 3.1 調査目的 カナダの中等教育の日本語教育現場において日本語母語話者アシスタント教師がどのような 役割を果たしており、どのように非母語話者教師と協同授業を行っているかについて調査する。 本調査は、カナダでの協同授業の様々な状況や具体例について知り、今後韓国の高校における 協同授業への応用について考察する際の参考事例とすることを目的とする。 3.2 〈対 調査方法 象〉 アルバータ州の中等教育機関及び日本語教育関連機関(教育省)において調査を行った。 〈方 法〉 2005年9月に現地教育機関を複数訪問した。そのうち母語話者アシスタント教師と非母語話 者教師が協同授業を行っている2つの中等教育の学校で、母語話者アシスタント教師、非母語 話者教師、学習者にインタビュー調査及び質問紙調査(注7)を行い、授業観察を行った。ま た、学校以外の日本語教育機関では具体的に現状を知るために日本語教育専門家の方にインタ ビュー調査を行った。以下に、調査結果についてまとめる。 4 結果と考察 4.1 日本語母語話者アシスタント教師の役割及び協同授業 日本語母語話者アシスタント教師の役割及び非母語話者教師との協同授業について、母語話 者アシスタント教師及び非母語話者教師に質問紙調査及びインタビュー調査を行い具体的に話 を聞いて得られた回答、及び授業見学によって観察された内容を以下にまとめる。 〈母語話者アシスタント教師の教室内での役割〉 アシスタント教師の教室内での役割として以下の項目が挙げられる。 −8− a.モデルになる:モデルリーディングや発音のモデル等 b.訂正:発音や文法事項等を訂正する。 c.会話、作文のチェック:間違いを訂正する。 d.文字の指導:特に漢字の指導を行う。 e.板書:ひらがなや漢字等母語話者教師に代わって行う。 f.文型導入:非母語話者教師とともにある文型の導入を日本語だけで行う。 g.文法説明:英語と日本語で行う。(非母語話者教師も行うので補足的に) h.ドリル練習:例 活用形 (非母語話者教師も行う) i.教室活動の補助 j.ある教室活動(アクティビティー)を一人で担当する。 k.机間巡視:非母語話者教師とともに、教室を巡回して質問を受けたり個別に指導した りする。 l.会話の相手:教室を巡回しながら、日本語で練習する相手になる。 m.文化紹介:説明、書道、料理、折り紙等 小グループ指導・個別指導:スピーチ、会話練習、会話の面接試験の練習、作文 上記のaのようにモデルになったり、b,cのように訂正したり、d,eのように文字の指 導をしたりするという役割は、日本語母語話者の長所を生かした回答である。 その他に今回授業観察をして母語話者アシスタント教師との協同授業がうまくなされている と思った点がいくつかある。まず、fの文型導入をカナダ人の非母語話者教師と共に日本語だ けでお互いにスキットを演じて、導入する文型の使用場面を見せて学習者に理解させようとし ていた。オーストラリアで見学した授業の多くは文型導入の際に「非母語話者教師が英語で説 明をして母語話者アシスタント教師が例文をモデルとして言う」というように役割分担がなさ れていたが、今回の例では非母語話者教師も日本語を使用して母語話者アシスタント教師と共 に文型導入がなされていた。また、その後の文型練習の際も非母語話者教師は母語話者アシス タント教師と共に日本語でドリル練習を行っており、日本で多くの母語話者教師が教えるよう な直説法による教え方が部分的になされていた。このように初級レベルの初期の段階から教室 で両教師が日本語を使用する場面がいくつか観察された。 また、iの教室活動の補助というのは、非母語話者教師の手伝いをするあらゆる内容(学習 者への指示、プリントを配布、宿題を回収、OHPの機器操作等)が含まれるが、母語話者アシ スタント教師が積極的に動いていたのが印象的であった。オーストラリアでの母語話者アシス タント教師のコメントに「授業中やることがなくただ立っていることが多い」という不満があ ったが、今回はそのような様子は見られず、常に非母語話者教師が必要としているときにアシ スタント教師は適切に応えていた。これは非母語話者教師の授業がいつもオーガナイズされて おり、繰り返し行われるのでどのような補助をすればよいかがわかるようになったからだそう だ。このように非母語話者教師と母語話者アシスタント教師の連携がうまくなされていた。 gのように文法説明を英語で母語話者アシスタント教師が行うこともある。英語で文法説明 をするのは非母語話者教師の方が行いやすいと思われるが、母語話者アシスタント教師からの −9− 希望により、英語で説明することがあるそうだ。母語話者アシスタント教師の「英語力を上達 させたい」という意向を非母語話者教師が尊重している。また母語話者アシスタント教師から 異なる視点で説明をしてもらえるのでよいと非母語話者教師も英語による説明を肯定的にとら えている。 特に、母語話者アシスタント教師が果たす役割として大きいのが、jのように「ある教室活 動を一人で担当する」ことである。観察した授業では、レベル差のある学習者を授業の途中で 二つに分けて非母語話者教師と母語話者アシスタントがそれぞれ担当して異なる教室活動を行 っていた。これには学校側の事情がある。高学年の場合日本語の授業の受講者数が減少するが、 25人以上でなければ1クラスを作ることができない。そこで少人数の高学年の学習者も他のク ラスに一緒に入り、授業の途中からこのような2部授業を行っているそうだ。非母語話者教師 がそばで母語話者アシスタント教師の担当するグループの教室活動を監督しながら、自分の担 当グループの教室活動も同時に行っていた。母語話者アシスタント教師も一人で教室活動を任 されるので非常にやりがいを持って取り組んでいた。 〈アシスタント教師の教室外での役割〉 次に教室外の役割については、次のような項目が挙げられる。 a.担当の非母語話者教師の日本語に関する相談(日本語のチェックも含む) b.教室活動のワークシート・ゲーム・絵教材等作成 c.試験や宿題作成 d.モデル文作成 e.試験や宿題の採点 f.作文の添削 g.ワープロ打ち:日本語で教材やプリント作成 h.アセスメント:非母語話者教師と共に会話テストの評価 i.レッスンプラン作成 j.放課後の特別補習・個人指導 k.リソースやアイデアの提供 l.授業の打ち合わせ m.会議出席 n.日本語科目以外のクラスにゲストとして参加し、日本文化を紹介 例)家庭科のクラスで日本料理を作る o.日本語クラブの活動に参加・協力 p.近郊の小・中学校を訪問 例)折り紙を教える、社会の授業で日本の紹介 q.学校の行事に参加 r.長期休みの日本への修学旅行の計画と準備の手伝い s.日本人留学生の相談 上記のように、教室外での母語話者アシスタント教師の役割も多岐に渡る。 始めの頃は、授業の打ち合わせのために毎日夕方5時、6時まで二人で残業していたそうだ。 −10− 非母語話者教師が最初の段階から丁寧に母語話者アシスタント教師を指導していることがわかる。 授業の準備以外にも、非母語話者教師が保護者との3者面談に母語話者アシスタント教師を オブザーバーとして同席させてくれ、学校の行事に参加したときに保護者と母語話者アシスタ ント教師とのコミュニケーションの場を設定してくれたので母語話者アシスタント教師は感謝 していた。 その他に、oのように非母語話者教師が顧問をしている日本語クラブにも昼休みや放課後に 参加して、母語話者アシスタント教師が日本のアニメについて紹介したり、rのような修学旅 行の計画や実施の手伝いを任されたりすることもある。 このように非母語話者教師が日本語教育に非常に積極的で熱心に日本語授業以外の様々な活 動を行っているため母語話者アシスタント教師もそのような活動の業務を行うことになる。始 めは母語話者アシスタント教師は日本語教育の経験もないため準備や業務を行うのに時間がか かったが、今では幅広い業務内容にもかかわらず積極的にアシスタントとしての仕事に取り組 んでおり特に今回の調査では大きな問題点は聞かれなかった。 4.2 日本語非母語話者教師対象のインタビュー調査結果 カナダ人の日本語非母語話者教師対象に質問紙調査及びインタビュー調査を行い、15項目の 設問について回答を得た。ここでは紙面の関係で、「協同授業でうまくいった教室活動」「今後 一緒にやってみたい教室活動のアイデア」「アシスタント教師の受け入れについての利点及び 困難点」「アシスタント教師に期待すること」についての回答を以下にまとめる。 〈日本語母語話者アシスタント教師と一緒に行った授業でうまくいった教室活動例〉 a.ロールプレー:例)買い物、レストラン等の場面でアシスタント教師に店員役になっ てもらい学習者と会話をする。 b.間違い探しゲーム:絵の得意なアシスタント教師に絵を描いてもらった。 c.個別の会話練習・スピーチ練習 d.文化的な活動:書道、日本の料理を作る、折り紙を教える、ファッションショー e.日本語だけで導入をする。 上記のa〜dの回答はオーストラリアでの結果とほぼ同様であった。特に今回のカナダでの 調査で注目したいのがeの「日本語だけで導入をする」という項目である。非母語話者教師か ら、「日本語のイマージョンの時間を作るために、授業のある部分は日本語だけを使用する。 母語話者アシスタント教師がいると教室で日本語だけで話す状況を作りやすい。」というコメ ントが得られた。カナダのフランス語教育におけるイマージョンプログラムは歴史があり、研 究も進んでいる。カナダではこのような背景があるので、初級レベルの初期の日本語の授業で 日本語だけで授業を行うことに教師は積極的であると考えられる。他国(オーストラリア、韓 国)の中等教育の日本語授業を見学した経験があるが、部分的でも日本語だけで授業を進めて いくのは初級前半レベルの中等教育の学習者には困難な様子であった。しかし、カナダの今回 の事例では教室運営(クラスマネジメント)もしっかりなされていて、学習者は両教師の日本 語をよく聞いていた。 −11− 〈今後日本語母語話者アシスタント教師と一緒にやってみたい教室活動のアイデア〉 * 特別プログラム:日本料理を作る。カラオケをする。 日本人の多い観光地への遠足:そこでの日本語を使ったアクティビテ ィーの計画もアシスタント教師と一緒に行う。 今後の協同授業で行う教室活動についてのアイデアはあまり多くは出されなかった。特に教 室外での活動を一緒にやってみたいという意見が出された。教科書や教室を離れ、普段の授業 の延長として実際に日本語を使って交流する活動の実施を考えているようである。 〈日本語母語話者アシスタント教師を受け入れて一緒に教えることの利点〉 a.より自然に最新の日本事情に生徒が触れられる。(例:若者事情、日本のテレビ番組) b.色々な日本語を生徒に聞かせることができる。(例:自分とは違う性の声で) c.授業中日本語だけしか使わないという状況を部分的にでも作ることができる。 d.2部授業を行うことができる。 e.少人数のグループの個別の指導が任せられる。 f.アシスタント教師の得意なことを授業に生かせる。(例:絵、書道、歌) g.マンパワーの面でも助かる。(例:教室外の仕事の手伝い) h.毎日アシスタント教師と日本語で話すので自分の日本語が上達する。 i.日本語母語話者がいると楽しい授業ができるし、自分も楽しい。 j.他の科目の授業や他の学校(小・中学校)の授業にも時々ゲストとして参加して、日 本の紹介をしてくれる。 上記のa〜fは授業に関連する利点である。a,b,cは日本語の母語話者である特性を生 かした回答で母語話者アシスタント教師を通して生の日本語及び日本文化に接することができ る。また、d,eのように教師が二人いることでレベル差に対応したり、日本語母語話者が行 いやすい会話・スピーチや作文等の個別の指導が行える。同様にgのように教室外においても 非母語話者教師の助けになっている。h,iは非母語話者教師の日本語能力の向上や教授法の アイデアが得られるといった教師の自己研鑽の面での利点である。jは自分や学習者以外の周 囲の人たちにとっても有効であるという意見である。 オーストラリアの調査での回答は、「正しい日本語に学生が触れられる」「誤用訂正が適切に できる」のような母語話者としての日本語能力に関する意見が多く出されていたが、今回はこ の点については特に強調されてはいなかった。非母語話者教師が学習者や周囲の人にとっても 自分にとっても母語話者教師との協同授業は利点が多く、協同授業の意義を認めていることが わかる。 〈日本語母語話者アシスタント教師を受け入れて一緒に教えることの困難点〉 a.アシスタント教師が教えた経験がない場合は、色々と指導をしなければならない。 b.カナダで教師がどのように生徒に接するかについての知識がないので、先生らしくな −12− い行動をすることがあった。 c.時々母語話者アシスタント教師に反抗する生徒がいた。 d.母語話者アシスタント教師は1年ぐらいで帰国してしまうので、その後探すのが大変。 e.民間の派遣機関は紹介だけなので自分が母語話者アシスタント教師のホームステイ先 を探したり、生活面のケアをしないといけない。 f.費用がないのでボランティアで教えてもらっている。 上記のaのように「打ち合わせや準備に時間がかかる」、b,cのように「その国の学習者 の学習スタイルや学校文化について母語話者アシスタント教師が知らない」という回答はオー ストラリアでも同様に見られた。その他にオーストラリアでは、「アシスタントの活用方法が わからない」「アシスタントの英語力がないので学習者との意思疎通が難しい」「日本人は自分 の意見を主張しないので非母語話者教師とのコミュニケーションも難しい」という意見が出た。 今回のカナダでの事例では、非母語話者教師には過去にも母語話者教師との協同授業の経験が あり、母語話者アシスタント教師もある程度の英語力があり、非母語話者教師の日本語能力も 上級レベルなのでオーストラリア調査のような意見は出されなかった。特にカナダでの事例で は、d,e,fのように母語話者アシスタント教師の派遣プログラムのシステムを問題点とし て挙げている。同様に母語話者アシスタント教師からも、民間の派遣期間のアシスタントの派 遣プログラムについて費用面で不満の声が上がっていた。 オーストラリアでは、大部分が民間の派遣機関によって派遣された無償の母語話者アシスタ ント教師であったがそれ以外にも公的派遣やオーストラリアの州の教育者で現地採用された有 償の母語話者アシスタント教師も見られた。非母語話者教師はfのように無償でアシスタント 教師として日本語の授業に参加してくれる母語話者アシスタント教師に感謝しており、その分 自分のポケットマネーでお礼をしたり、母語話者アシスタント教師が希望している「英語能力 向上」にできる限り協力している様子であった。 〈日本語母語話者アシスタント教師に期待すること〉 * 教授経験 * 指導力、色々な教え方のアイデア * 英語能力 * きれいな日本語(スラングではなく)ができる。 * フレンドリーである。やる気がある。 * 柔軟性、明るさ 「どのような母語話者アシスタント教師を望むか」という質問については上記のような回答 が得られた。更に詳細についてインタビューしたところ、教師の経験があったほうがいいとい う意見が非母語話者教師から出た。日本語を教えるという意欲が大切だと考えているからであ る。今回1つの学校では民間の派遣機関に「教師経験がある人」という条件が事前に出せたの で、現職の英語教師が派遣されてきたそうだ。英語力や日本語教育経験はもちろんあった方が よいが、必ずしも必要ではない。それは授業での日本語の教え方がわからない場合は、非母語 −13− 話者教師がその都度指導できるからという理由であった。このコメントには非母語話者教師が 協同授業についての自信と余裕が表れていると言える。 年齢も特に希望はないが、学習者の立場ではあまりに学習者と年齢が離れすぎていない方が よいということであった。 4.3 学習者対象のアンケート調査結果 母語話者アシスタント教師との協同授業やアシスタント教師による指導について学習者がど のように考えているかを調査した。2つの中等教育の学校で日本語を学習している学習者計 153名にアンケート調査を行った。結果は以下の通りである。 〈日本語母語話者アシスタント教師に習うことの利点〉 日本語母語話者アシスタント教師に習う利点について16項目について選択式で回答してもら ったところ、次の項目に関しての回答が多く見られた。 * 正しい発音が学べる。発音の間違いを直してくれる。 * 日本についての情報が得られる。 * 日本語を使うことに慣れる。 * 書く力が伸びる。 オーストラリアでの調査結果とほとんど重なるが、オーストラリアでは「話す・聞く力が伸 びる」という回答が多かったが、今回の調査では「書く力が伸びる」という回答が上位に来て いる。 〈協同授業(ティーム・ティーチング)について〉 カナダ人の先生(非母語話者教師)と日本人の先生(母語話者アシスタント教師)の両方か ら学ぶことについて5段階評価で意見を聞いたところ、「非常によい」という回答が73.9%、 「よい」という回答が20.3%で、大部分が肯定的であり否定的な回答は見られなかった。オー ストラリアの調査結果の「非常によい54.9%」と比較すると「非常によい」の回答数が多いこ とがわかる。 「非常によい」「よい」と回答した理由について自由記述で書かれたものをまとめる。 協同授業について * 二人の先生から二つの視点から学ぶことができる。速く学ぶことができる。 * 二人の先生の日本語の発音を聞くことができる。 * 両方の先生の長所を生かして学べる。 * 二人の先生はお互いわからないところをカバーし合える。 * 日本人の先生は日本語や日本について色々話してくれる。 * カナダ人の先生は自分たちがわかりにくいところを英語でうまく説明してくれる。 * 一人の先生が忙しいときに、もう一人の先生が手伝ってくれる。 二人の先生がいると、多様な学習者のニーズに合わせられる。 日本語母語話者アシスタント教師について * 日本語母語話者の会話を直接聞ける。おもしろい。 −14− * 日本、日本語、日本人について日本人の先生を通して知ることができる。 * 正しい発音、文法、文字が学べる。 「どちらとも言えない」と回答した人は全体の4%であったが、その理由として「その言葉 が上手であれば、国籍は問わない」という記述があった。 〈日本人の先生に習う場合、どのような授業を希望するか〉 計24項目について選択式で回答してもらったところ、以下の項目について多くの回答が得ら れた * 自分が書いた文、漢字を直してもらう。 * 先生が話す日本語を聞く。 * 会話を直してもらう。 その他「料理を作る」「テレビ番組や映画を使った聞き取り練習」「日本の高校生活について の話」「日本の文化と生活スタイル」「日本のポップカルチャー」等の回答が得られた。オース トラリアでの調査では、「単語の発音のモデル」「発音練習」という発音に関する回答も多く見 られた。今回のカナダでの調査では、発音というよりは「書くこと」「話すこと」の指導につ いての希望が多く見られた。 以上、母語話者アシスタント教師、非母語話者教師、学習者対象に行ったアンケート調査及 びインタビュー調査及び授業観察の結果をまとめた。次にこれらの調査より考察したことにつ いて述べる。 4.4 考察 今回カナダで調査を行った協同授業は、非常にうまく協同授業を行っている事例である。母 語話者アシスタント教師及び非母語話者教師からも問題点は派遣プログラムのシステム以外は ほとんど出されず、両者とも協同授業について非常に意義のあることと考えている。学習者か らの評価も「非常によい」という回答が多く見られた。カナダでの事例はどのような点が効果 的に働いているのであろうか。以下に考えられることをまとめる。 ① カナダ人の非母語話者教師 協同授業の経験 今回調査した2つの学校のカナダ人の非母語話者教師の共通点は、日本に数年滞在したこ とがあり、日本の中等教育の英語教育でAET(Assistant Englsh Teacher)として協同授業の経 験があることである。そのためアシスタント教師の効果的な活用方法についてアイデアがあ り、日本語教育に応用することができる。母語話者アシスタント教師に授業の前に指導して、 授業の一部分や一つの教室活動を母語話者アシスタント教師に任せている。 協同授業の意義をよく理解しているため積極的に母語話者アシスタント教師の派遣を希望 し、今までにも2、3回母語話者アシスタント教師を受け入れており、協同授業による日本 語授業の経験があるということも大きい。自分自身も英語教育でのアシスタント教師の経験 があるので、アシスタントの立場で考えることができ、その上でよりよい協同授業の実践を −15− 行うことができる。 日本語能力 日本での滞在経験が数年あるため、両校の非母語話者教師の日本語のレベルは上級レベル であった。そのため英語能力が高くない母語話者アシスタント教師の場合でも日本語で意思 疎通が可能である。 非母語話者教師は日本語能力が高いため授業でもできる限り日本語を使おうとしていた。 日本語だけで話すと、他の国の例では初級レベルの学習者は理解が困難であるためすぐに集 中して聞かなくなり、授業がうるさくなるという問題点が見られたが、今回観察した授業で は教室運営(クラスマネジメント)がしっかり行われ、その上で授業では部分的に日本語だ けで進められていた。 日本語教育関係者へのインタビューで、「日本語学習者が10年位前と比べると減ってきて おり、そのため日本語教師も淘汰され、能力のある日本語教師が現在残って現場で指導して いる。」という話を聞いた。今回の調査対象となった非母語話者教師は日本語能力も教授能 力もレベルが高い教師であった。 協同授業の意義 非母語話者教師が、協同授業の利点をよく理解しており、協同授業をする意義を認めてい る。自分自身の日本語能力が低いのでカバーしてもらうために母語話者アシスタント教師を 受け入れるというネガティブな理由ではなく、自分一人でも日本語だけで授業はできるが、 母語話者アシスタント教師と共に協同授業を行った方がよりよい授業になるので受け入れて いるのである。学習者のために効果的な授業をするためだけではなく、自分自身の日本語能 力の向上や教授方法の改善にも役立ち、周囲の人(例:他教科の教師)にも恩恵がある。もち ろん母語話者アシスタントを受け入れることは、授業の準備や生活面でのケアなど非母語話 者教師の仕事量はかなり増えるが、協同授業で得られるメリットの方が大きいと考えている。 また、非母語話者教師は無償で(学校の経済的理由による)アシスタント教師をしてくれ ていることに非常に感謝している。恐らく、自分自身が日本でAETをしていたときは有償で あったからではないかと思われる。そのため「ギブアンドテイク」の精神で、母語話者アシ スタント教師の希望、例えば「英語を練習する」「日本語教授法についての知識を得る」等 にはできる限り協力している。 ② 日本語母語話者アシスタント教師 2つの学校の母語話者アシスタント教師は両者とも日本語教育経験はなかったが、一人は 大学で英語を専攻しており、もう一人は英語の教師であるため、日常生活や授業で英語で学 習者との受け答えや文法や文化について説明ができる位の英語力があった。 一人は教師経験も全くなかったが、非母語話者教師から丁寧に指導を受け、カナダの中等 教育での日本語の教え方を学んでいった。二人の母語話者アシスタント教師は日本語教育や 外国語習得について関心を持っている。時々授業で部分的に教室活動を任されるため非常に やりがいを持って教えている。初めのころは日本語を教えることは初めての経験であったた め大変だったが、調査時にはすでに慣れており特に協同授業の問題点についての意見は出さ れなかった。ただ、この日本語アシスタント教師派遣プログラムのシステムや参加費用が非 常に高い(例:約80万円+ホームステイ費用約20万円)こと等が不満であった。カナダに着 −16− いてから派遣機関が主催する1週間の日本語研修が希望者対象に行われているが、この参加 費用も約10万円と高額であるため参加しなかったそうだ。もしカナダに個人的にネットワー クがあれば、派遣機関を通さないで安く来られたので残念だということであった。同様に非 母語話者教師からも、民間の派遣機関のを通さないで毎年継続的に母語話者アシスタント教 師を受け入れたいという希望が出された。他の国でも民間の派遣機関のプログラムについて 同様の問題点をよく耳にする。海外の中等教育の日本語教育現場からの母語話者アシスタン ト教師のニーズ、日本国内で日本語教師をめざして海外で日本語を教えたい人のニーズは双 方にあると考えられるが、それをうまくマッチングするよい機関があまり見られないという のが、現在の日本語教育における問題点の一つでもある。 ③ 学習者 カナダでは日本語科目が選択科目であるため、日本語が必修科目であるオーストラリアと 比較して、1クラスの人数も25人位でさほど多くはない。日本語学習に対する動機づけも高 く、オーストラリアでは教室運営(クラスマネジメント)が困難なクラスの授業もいくつか 見学したが、今回のカナダの事例では授業中私語もほとんどなく皆非常に熱心に日本語を学 習していた。やはり、選択科目と必修科目の違いは学習者の学習意欲や態度に関わりがある のではないかと考えられる。 5 今後の課題 今回の調査は、以前行ったオーストラリアでの調査に引き続きカナダの中等教育において日 本語母語話者アシスタント教師とどのように協同授業を行っているか具体例を知るために実施 した。カナダではオーストラリアほど学習者が多くはなく、従って協同授業の例も限られたが、 協同授業をうまく行っている事例を見ることができた。 本研究は、韓国での協同授業への応用を考察するものなので今後も海外の他国における協同 授業の実践例を蓄積していくことが必要である。また、協同授業と言っても様々な形態があり、 今回は二人で一緒に授業に入る例であったが、今後は色々な形態の協同授業についても調査を 行いたい。 海外の日本語教育は国によって言語政策も異なり、学習者も非常に多様化している。今後日本 国内の日本語教育関係者は海外の中等教育の日本語教育についてより一層注目し、日本語母語話 者教師・非母語話者教師の双方が連携してよりよい日本語教育を行っていくことが求められる。 付記 本研究は、平成17−18年度科学研究費補助金若手研究(B)「韓国の中等教育における第2 外国語としての日本語教育」(課題番号17720126)の成果の一部である。本調査を行うにあた り、国際文化フォーラム、国際交流基金、カナダの日本語教育関係者の方々に多大なるご協力 をいただいた。 注 (注1)特殊高校である外国語高校には日本語母語話者教師が一人で授業を担当することがあ る。また、韓国の地方の教育庁や学校の校長が独自に日本語母語話者教師を採用する −17− 例も見られるが、数は非常に限られている。 (注2)平成15−16年度科学研究費補助金若手研究(B)「韓国の高校における第2外国語とし ての日本語教育」(課題番号157201240) (注3)同時期にアメリカにおいても調査を行ったが、調査結果はまた別の機会に報告する。 (注4)2006年度よりアルバータ州では第2言語科目の選択必修化が本格的に実施される予定 である。 (注5)若手の初等・中等教育の現職教師を海外の学校に派遣する公的プログラム「外国教育 施設日本語指導教育派遣事業:Reginnal and Educational Exchanges for Mutual Understanding」。派遣前には東京外国語大学において3か月間日本語教育の研修を受け る。 (注6)アルバータ州には前述のとおりREXプログラムの教師が派遣されている。オーストラ リアではREXプログラムの教師はアシスタント教師として協同授業を行っていたが、 カナダではREXプログラム派遣の教師は一人で授業を担当しており、協同授業は行っ ていなかった。 (注7)質問紙調査の質問の英訳、及び回答の日本語訳は筆者による。 参考文献 門脇薫(2002)「海外における非母語話者教師と母語話者教師の協同授業-韓国の高校での第2 外国語としての日本語授業」『東アジア日本語教育国際シンポジウム論文集』下 天津 外国語学院 pp.660-670 門脇薫(2004)「オーストラリアの高校における日本語母語話者アシスタント教師の役割」 『山口大学留学生センター紀要』第2号 山口大学留学生センター pp.11-23 門脇薫(2005)「韓国の高校における第2外国語としての日本語教育−日本語母語話者教師と の授業の可能性−」平成17年度日本語教育学会第1回研究集会発表レジュメ 国際交流基金(2005) 『海外の日本語教育の現状=日本語教育機関調査・2003年』国際交流基金 シーラ・ブランビー/和田稔(1996)『ティーム・ティーチングの進め方』桐原書店(塩沢利雄 監訳) ジム カミンズ・マルセル ダネシ(2005)『カナダの継承語教育 多文化・多言語主義をめ ざして』明石書店(中島和子・高垣俊之訳) 野呂博子・矢澤理子(2004)「カナダ公教育における統一日本語カリキュラムの開発と実践-ア ルバータ州およびブリティッシュ・コロンビア州のケース」『日本語教育事情報告編 世界の日本語教育』第7号 pp.141-161 http://www.jpf.go.jp/j/japan̲j/oversea「国際交流基金 日本語教育機関調査」 http://www.jpf.go.jp/j/urawa/world/kunibetsu「国際交流基金 世界の日本語教育国別情報」 −18− 外国人児童受け入れマニュアル研究 〜小学校国際教室での試みから〜 西村美登里・赤木 弥生 はじめに 山口大学工学部のある宇部市では、家族を伴って来日する大学院生が数多く在籍しているこ とから、ひとつの小学校には適応教室(通称 国際教室)が設置され、専任の加配教員が配属 されている。筆者(西村)は、この加配教員を勤め、中国、バングラデシュ、インドネシア、 エジプトなど様々な国の児童に接し、初期指導に携わってきた。この経験を基に、現在小学校 での外国人児童受け入れマニュアル研究を行っている。 現在、全国的にも外国人児童の受け入れは分散型で、ひとり1校という小中学校がほとんど である。このため、外国人児童を受け入れている小学校のほとんどには国際教室はなく、単発 的な受け入れに苦慮しているのが現状である。このような現状を踏まえ、実践的な外国人児童 受け入れマニュアルを共有することによって外国人児童の日本語学習、適応指導はもとより校 内・地域における多文化共生に向けた教育に役立てられるのではないかと考える。 1 外国人児童受け入れの実態 宇部市に在住する外国人児童の保護者は留学生が多いが、留学生の年齢は、年々、若年化し ており、彼らの子どもも低年齢化している。従来は編入するケースが多かったが、現在は、日 本の保育園を経て、1年生として入学してくるケースが増えてきている。今後もこのような児 童が増えるものと予測される。すなわち、生活言語は習得しているが、学習言語の支援が必要 な児童が増えることが予想される。このような状況下においては、初期指導より中期および後 期指導の進め方が課題となる。初期指導のうちは、学習意欲もあり熱心に取り組み、習得も早 いが、半年もすれば、日常生活の不自由さが少なくなり、その意欲は低下してくる。また、初 期指導についての資料や教材は多いが、中期から後期にかけての資料や教材は少ないのが現状 である上、初期指導より複雑な要素を多く含んでいる。中期、及び後期指導の進め方は、文部 科学省のJSLカリキュラムを参考にしながら、試行錯誤の状態で取り組まざるを得ないのが現 状である。 五十嵐(2005)は、愛知県豊田市の事例を踏まえ、初期受け入れ教室の3つの機能として、 ①適応機能(心的安定、習慣を学ぶ、日本語を教える、学習経験を結節する、母語支援)②連 繋機能(親との連繋、近隣学校との連繋)③ランドマーク機能(広報、サービス機能、景観機 能)をあげている。このほか補完・協力の必要な人員として、カウンセラー、養護教諭、技術 職員(給食)をあげ、また、今後の課題としてコーディネート力の強化が必要であると述べて いる。国際教室の加配教員は、コーディネート力を発揮し、校内および地域での連繋を図り、 日本語、母語、教科などの支援および適応のための文化理解教育を展開していかなければなら ないが、その手法については、マニュアル化されていないのが現状である。 2 中期指導 外国人児童は、日本の学習や生活に大きな期待と意欲を持ってやってくる。したがって、初 −19− 期日本語指導は、スムーズにスタートする。日本語を早く覚えたいという気持ちが強く、学習 意欲が旺盛で熱心に取り組み、習得も早い。周囲も興味を持って親切にするので比較的安定し た毎日を過ごすことができる。 ところが、半年を経たころから、しだいに言語・文化の違いから不安・いらだち・ストレス を感じるようになり、問題行動やトラブルが生じる傾向にある。そこで、このような時期を想 定し、外国人児童が一日も早く学級生活に慣れ、自分の思いや考えを自由に表現できるように、 計画的に適応指導と日本語指導を進めることが重要である。 自分の発音や話し方に自信がなく在籍学級ではなかなか話せない時期には、安心して話せる 場が必要である。個人指導の学習の途中でも、児童が話し出したら、できるだけ児童の話を聞 くように努め、児童が異文化の中で生活する疲れをとったり、外国語の中で学習するエネルギ ーを蓄えたりできる場となるように心がけることが大切である。国際教室が設置されている小 学校では、その場が癒しの場となるが、設置されていない場合は、臨時についた加配が、その ような環境作りを行っていくことが重要である。 半年も経つと日本語が分かるようになり、周囲の子は常にやさしくはできなくなるし、自分 たちと同じではない外国人児童の言動に不満を持つようになる。日常会話が上手になっても、 分からない言葉があったり、生活習慣や考え方に違いがあったりして、そのずれが互いに理解 できずにトラブルが生じる。たとえば、見た感じ、食習慣、友達とのやりとりの違い、少しの 発音の違いなどを指摘し、相手を傷つけてしまうことがある。 こうした生活文化の違いによる考え方、行動のずれにより起こる誤解やトラブルを解決する には、周囲の者が外国の子供たちの事情や背景を知り、気持ちをよく理解することが大切であ る。自分との違いを受け入れ尊重し、互いのよさを認め合い仲良く楽しく生活できるように、 在籍学級はもちろんのこと、在籍学年、全校児童への国際理解教育を積極的に進めることで解 決することができる。 また、生活言語が獲得できるようになると日常生活の不自由さが少なくなり、本人も周囲も 教科の学習が気にかかることもあり、日本語学習に集中できなくなる。学習言語が十分に身に ついていないまま学級の授業に参加し、「少し分かる」「なんとなく分かる」といった学習を重 ねていくと、日本語力は伸び悩む。 幼少期に来日した入学児の場合は、日常会話に支障はないが、学習が進むにつれて、「読む」 「書く」などの学習活動に個人指導が必要になる。入学前の言語経験、家庭での使用言語など の違いにより、意味の分からない語句があると、話の筋がとらえにくいことがある。そこで、 入り込み指導(TT指導)により、学習支援をすると同時に実態を把握しながら、必要に応じ た個人指導を行うと効果的である。 また、在籍学級の日本の児童は、学級での外国人児童との日常のふれあいの中で、外国の文化 や外国語にふれたり、日本の文化や日本語を見つめなおすことを通して自然に国際理解を深める ことができるという利点がある。これを在籍学級にとどめず、全校に広げるためには学習や環境 整備などの工夫が必要である。それは、外国人および帰国児童が暖かく迎えられ、安全にかつ仲 良く楽しく学校生活を送れるような受け入れ集団づくりを全校的に進めていくことである。 初期日本語指導では、日本語と母語による教材の読み聞かせ、中期指導段階では、日本語の 読解指導を母語を通して行う。後期指導段階では、各教科での難解語句の母語による解説を行 −20− い、学習指導を進める。 また、在籍学級への入り込み指導(TT指導)での母語による支援は、学校生活における児 童の不安を取り除き、学習意欲を高めようとするものである。 このように日常会話に支障のある初期指導段階の児童にとって、母語を用いた支援は不可欠 であるが、後期指導段階においても、在籍学級の学習の準備や発展的な内容として母国の文化 を学び、母語にふれることのできるよい機会となり、効果的である。それは、外国の学校で学 ぶ子どもたちの精神的な安定の場となり、在籍学級での学習意欲を高めるものとなる。中国語、 インドネシア語の母語支援が必要であったが、すでに定着している在校生の母親らの協力が得 られ、順調に母語支援を行ってきた。ただ、一般的には母語支援を行うボランティアを探すの は用意ではない。地域の人材を活用できるようにするためにも、地域のネットワーク作りが急 がれる。 3 適応指導 3.1 受け入れのプロセス 学期の途中で編入をしてくるケースが多いが、以下のプロセスで受け入れを行う。 編入まで 教育委員会からの連絡 ↓ 本人と保護者の来校(学校の見学と面談、オリエンテーション) ↓ 受入学年決定と受入準備(教科書の発注と学用品の購入など) ↓ 編入(在籍学級へ) オリエンテーションの主な内容 ・ 書類の記入要領の説明(緊急連絡先、滞在予定の確認) ・ 校納金の納め方の説明 ・ 時間割と日本語学習の説明 ・ 校区の案内 ・ 登下校時間、欠席時の連絡方法、給食について確認 ・ 校舎内の案内 ・ 文具店の紹介(上履き、体操服、名札など購入) 3.2 適応指導 国際教室のある小学校では、以下のような適応指導の形態を取っているが、詳しくは「外国 人児童の日本語指導」(赤木・西村)で説明した。 適応指導の形態 ・ 取り出し指導…在籍学級から国際教室へ通級し、個人指導する。 ・ 入り込み指導(TT指導)…在籍学級での教科学習をそばで支援するくっつき指導を行っ たり、主に教科学習の観察をしながら支援したりする。 −21− 取り出し指導 国際教室での抽出授業を各児童の日本語習得進度および日本文化への適応進度に合わせ、ひ とりひとりの方針を定める。無理のない個別プログラムを作成し、個別に取り出し指導を行う。 初 期…学校生活に適応できるような語彙・文型指導をする。また、表記・音読学習も平行 して指導する。 中 期…教科学習の基礎になる、語彙・語句・文法の指導を行う。日本語指導から国語指導 への移行期に入り、音読・読解・表現指導を行う。 後 期…教科指導を支援し在籍学級への適応を目指す。 TT指導(Team Teaching・入り込み指導) 在日期間が半年も経てば、日本語を聞いたり話したりすることができるようになり、学級での 国語の授業へも少しずつ参加できるようになる。しかし、思考したり、判断したりするための 語彙力、文章の読解力や作文力は不足しているので、補助的な指導があるのが望ましい。TT指 導により、学級への適応指導が具体的にでき、学級での様子を把握し、取り出し指導に生かす ことができる。たとえば、教師の指示や学習内容を母語や簡単な日本語に置き換えたり、絵や 図を使って説明したりしながら、学級での教科学習の支援をする。また、その積み重ねにより、 問題文などを文節ごとに区切って表記したり、漢字にフリガナをふったり、学習用語を「大事 なことば」として、おさえるなどの工夫をするが、もっと外国人児童が理解しやすい指導資料 の作成が必要である。 TT指導での学習内容や学習進度をみながら、重要な語句、文型を把握し、適応指導計画を 修正する。教科の学習で必要な単語や表現を身につけさせるための学習言語の指導のために、 児童の学習への取り組み状況や理解度を把握することが重要である。 在籍学級での学習の中で、好きな教科は、「算数」が圧倒的に多い。児童が得意であること もその理由である場合が多いが、日本語力の必要な文章題以外は、母国で学習してきた数式で 答えられるからだと思われる。一方、慣れない読譜や楽器の演奏などのある音楽、高学年にな ると難解語句の多い社会などは苦手な教科である。 TT指導に入ることによって、在籍学級の児童を知ることができ、外国人児童の心配事や悩 みの相談に具体的に対応できる。教育相談を行う際に、児童の人間関係を把握できていること が、問題解決の重要な足がかりとなる。また、在籍学級の児童とのつながりがあることで、世 話をしている子に直接声をかけることもできたり、把握していないことを知らされたりするこ ともあり、担任と連携して問題の対応をすることができる。 外国人児童と同じように、日本の児童も言葉や文化の違いが理解できずに、ストレスを感じ ている子が少なくない。とくに、登下校や遊び、学習を共にする子は、しばらくすると負担を 感じ始める。TT指導の際、こうした児童の心をほぐすために、賞賛やねぎらいの言葉をかけ たり、話を聞いたりすることができる。カウンセリングは受け入れの重要な機能であるが、カ ウンセラーを必要としない場合も、教員がカウンセリングを行い、児童の状況を聞き取ること によって、問題を未然に解決することの一助となる。 また、総合的な時間に外国人児童の文化や母語を生かす機会や場を持つことで、母語や外国 語での表現活動に積極性が出てくる。その準備や練習を個人指導の時間に取り入れることで、 具体的な場面設定のある日本語指導ができたり、季節感のある日本文化を伝えることができた −22− りして楽しく学習できる。 4 校内における組織作りの重要性 外国人児童は在籍学級の生活が主だが、登下校や委員会、クラブなどの活動時多数の子ども と係わる。外国人児童が暖かく受け入れられ、安全な生活を送れるように、学校全体に理解の 輪を広げることが必要である。そこで、校内体制を整備し、組織化することによって、全職員 の理解と協力を得ることに努めなければならない。 A小学校では、在籍学級の担任で構成する国際教育推進委員会と各学年の代表で構成する国 際教育部会の組織作り(資料1)をした。国際教室と在籍学級との連携は特に重要で、教員一 同が情報交換をすることで連絡を密にし、連携を図りながら取り組むことができる。また、各 会の構成員で仕事を分担し、加配の負担を軽減することもできる。 たとえ、加配ひとりが孤軍奮闘しても校内全体には広がらず、成果が上がらない。全校的な 取り組みとなるように、各会で連絡、協議した内容を職員会で全職員に報告することによって 情報を共有し、充実した適応指導と国際理解教育を深めることが可能である。 5 具体的な取り組み〜友だち作り 来日した子どもは、先ず友だちを求めている。友だちがいるという温もりが日本での学校生 活への不安や寂しさなどを消してくれる。子どもたちが自然にお互いの手と手がつなぎ合える ように一緒に遊ぶ場を設定することが重要である、遊びや生活といった子供たち同士の係わり の中で自然と友だちは獲得できるのである。もちろん、適応指導や日本語指導などの文型指導 の積み上げは、そこで生きて働く力となったり、あるいは自然と獲得した日本語を整理し活用 できる助けとなったりすることは言うまでもない。しかし、日本語が話せるようになったとし ても、友達ができるわけではない。子どもの文化は遊び・食・音楽が主である。子どもたちが、 お互いの文化の美しさやすばらしさ、楽しさを五感を通して体得できる機会を持ち伝え合うこ とが重要である。 何かトラブルが起きた時の説話などの生徒指導的な事後指導は、その場を解決する即効薬で はあるが、再び同様のトラブルを繰り返す傾向にある。日常的で計画的な国際理解教育こそ、 浸透するのに時間はかかるが、ともに学習できる仲間の集団として成長できる可能性を持つ。 その具体的な取り組みとして2例を以下に紹介する。 5.1 国際交流活動 国際教室の児童が集い、日本や世界の文化にふれながら、仲間意識を持つことによって、心 理的に安定できる場となるように教室内で交流会(月一回)を持つ。これは、話し合いながら 活動することによって、日本語の習得とともに母語保持をねらい、自国のアイデンティティの 発達を尊重するものである。さらに、日本人児童との交流の場(学期に1〜2回)を設け、相 互に、自他文化を理解し尊重する意識や態度を育てる。 全校児童は、主に総合的な学習の時間において、地域や外国について調べ、交流活動を通し て国際理解を深めることができる。国際教室を拠点とした国際理解教育構想を作成し、全校で 取り組んだ。(資料2) −23− 5.2 国際広場 国際教室には、中国の児童書数百冊が寄贈されている。それを編入してくる中国の子どもだ けでなく、日本の子どもの利用にも紹介する活動を行った。昼休みに、外国人児童や通訳ボラ ンティアにより、中国語と日本語でお話の読み聞かせを行った。さらに、日本や世界の文化紹 介、歌やゲームなどの遊びの場「国際広場」(昼休みに月1、2回)を持つなど、自然に国際 教室に親しめるように配慮した。このほか、教室には、国際理解に関する図書資料やコンピュ ータがあり、コンピュータ利用を楽しんだり、調べ学習をしたりできる。国際理解教育の拠点 として国際教室を利用できるように環境作りを工夫した。国際教室の活動計画を資料3に示し た。 これらの国際広場や国際交流会などの活動をその場限りのものにせず、日常的な国際理解教 育として生かしていくために、教科やその他の教育活動と関連させながら、その動機付けや発 展的な内容として位置づけた。 外国人児童にとって在籍学級は学校生活の中心であり、何よりもそこに自分の居場所を求め ている。担任や友だちからの支援はかけがえのないものである。日本語の学習が、国際教室だ けではなく在籍学級との連携で進められるとしたら、彼らにとって担任や友人の応援をいつも 感じながら安心して学習に取り組めるのである。 また、日本人児童にとっても異なる文化の友人を理解し尊重しながら毎日を共存していく学 級生活の中で生きた国際理解の学習に取り組むことができるのである。教科の学びを外国人児 童の存在を生かした取り組みに関連づけることで、その生きた国際理解の学習をさらに確かに していくことができると考えられる。 6 外国人児童ネットワーク構築 今日、急速な国際化、情報化の進展している社会を、豊かに生きるためには、だれとでも仲 良く生きていける心とだれとでもコミュニケーションを図ることのできる力を身につけること が大切である。そのひとつの手段として、世界で広く用いられている英語の学習が世界的にも 幼稚園や小学校で広く行われている。 「世界共通語」として機能し始めた「英語」は、アジア諸 国の中でも「第二言語」や「公用語」とされている国が多く、英語を学んでいる外国人児童が多い。 保護者はそれぞれの家庭事情から、日本語はもちろんのこと、母語および英語の教育に熱心 であることがほとんどである。特に、近年、母国の英語教育事情から、日本の英語教育に対す る期待は大きい。それは、一日もはやく日本の学校生活に適応してほしいという願いと、帰国 後の将来や国際的な人材育成に備える気持ちによるものであると考えられる。 数年前、「日本語や宿題を教えて欲しい」「母語や英語を教えて欲しい」という児童や保護者 の希望に応え、児童の居住地において児童のための土曜教室を地域のボランティアと始めた。 この土曜教室では、日本語指導者、インドネシア語指導者、中国語指導者、中国人英語指導者、 日本人英語指導者などの協力を得て、日本語指導、母語指導、英語指導を行ってきた。このよ うに地域に出向き教室を開いたことにより、保護者は教室が生活圏内にあることで気軽に相談 できるようになった。児童や保護者は学習や友だちのことなど学校生活全般にわたって心配や 不安があり、会話が困難なことで生じる誤解やトラブルについても母語による相談が必要とな るが、母語話者の協力があり、保護者も安心していろいろな相談ができる。 −24− また、短期滞在予定の留学生の子どもの場合、帰国後の学習についても不安を訴える場合が ある。母語話者による母国の教材を使った指導は、その不安を和らげることができる。留学生 のこどもの場合は、帰国を予定している児童が多いので、母語の学習は将来のために安心と考 えて熱心に取り組んでいる。 また、宇部市では地域の英語指導が積極的に進められ、山口大学工学部に近い常盤ふれあい センターでも毎月第1・3土曜日英語教室を行っている。土曜教室の外国人児童もこの英語教 室に参加させてもらい、英語を学び、児童の文化を紹介する子ども国際交流を行っている。英 語経験豊富な講師陣で協議されたプランによるレッスンと月1回の外国人講師によるレッスン は外国人児童と保護者の期待に応える十分な内容である。日本の児童と外国人児童が英語を共 に学ぶことにより、子どもたちの国際感覚を養うことができる。交流活動により、各々の国の 子どもたちの個性が発揮される。市内在住の外国人児童の交流が広がっている。 こうした母語話者やボランティア指導者の協力は適応指導や日本語指導等において、保護者 への対応についても不可欠である。しかし、その人材の確保は困難で、今後、周囲の理解や協 力を得ることが必要である。こうした地域の人材を生かしたネットワークづくり及び諸機関と の連携が、外国人児童生徒への支援の力となると考えている。 課 題 児童のバックグラウンド(本国・外国人学校・日本の学校暦と学習成績、母語の習熟度、日本 語習熟度)は、現在詳しく調べられていないと五十嵐(2005)は報告している。学習者の背景は、 日本語、教科学習はもとより適応指導に不可欠な情報となることが多い。児童を受け入れた学校 は、母語話者の協力を得て、バックグランドについての資料収集を行っていく必要がある。 おわりに 平成18年度には、山口県内に在住する外国人児童や外国人の親をもつ子供たちのための、親子 参加型交流会を計画している。これを契機とし、今後、山口県内のネットワークづくりを進め、 受け入れ校の教員の情報交換や教員研修の場を充実させていく計画である。 近年、外国文化を担った人たちがさまざまな理由から増えているが、学校は、この状況を受け、 ますます少数分散型になっている。少数の受け入れだからこそ外国人児童が安心して学べる場を 保障する努力が必要であり、それは受け入れる側の責務であると考える。このような教育姿勢こ そが、日本人児童へのケアや指導などにも役立つものを生み出すきっかけともなると考える。 参考文献 D.K.バーンスタイン・E.ディーガーマン編(1998) 「子どもの言語とコミュニケーション−発達と 評価−」 (東信堂) 東京外国語大学留学生日本語教育センター編集((1998)「外国人児童生徒のための日本語指導 (第1分冊)−カリキュラム・ガイドラインと評価−」 (ぎょうせい) 五十嵐恵美(2005) 「集住地域における外国人児童の初期受け入れに関する一考察 −愛知県豊田市公立小学校の事例を踏まえて−」 『日本語教育研究集会発表』pp.3-4 赤木弥生・西村美登里(2005) 「地域における外国人児童への日本語教育」 『山口大学国際センタ ー紀要』第1号 −25− 資料1 資料2 −26− 資料3 国際広場・国際教室交流会年間予定 学期 月 日 (内 国際広場 容) 協 力 4/13 4/20 1年生を迎えよう 日本の文化 かぶとづくり ボ(6年) 5/11 一 学 5/25 期 かぶとをつくろう 中国の文化 中国の絵本・歌・ゲーム 6年(在籍) 6/1 6/8 夏祭りの準備をしよう 世界の文化 6/15 6/22 英語の絵本・歌・ゲーム 自 由 世界の文化 6/29 活 由 活 国際交流 世界の文化 ボ(5年) 動 インドネシアの遊び 自 7/6 9/28 4年(在籍) 動 夏祭りをしよう(4年、3年と交流) インドネシアの遊び 2年(在籍) 10/5 二 学 期 音楽会の準備をしよう 10/12 世界の文化 ハロウィン特集 ボ(5年) 10/19 世界の文化 ハロウィン特集 ボ(5年) 10/26 自 由 活 動 11/2 国際交流 11/6 全校フェスティバル (全校と交流) 昔の遊びをしよう (1年と交流) 11/9 11/16 自 中国の文化 11/30 由 活 音楽会をしよう(6年、4年と交流) 動 中国の絵本・歌・ゲーム 自 由 活 5年(在籍) 動 12/7 12/14 1/18 三 1/25 お正月の準備をしよう 世界の文化 クリスマス特集 国際交流会 世界の文化 ボ(3年) お正月の遊びをしよう(5年、2年、1年と交流) 英語の絵本・歌・ゲーム ボ(4年) 豆まきをしよう 2/1 学 2/8 2/22 期 国際教室交流会 自 中国の文化 由 活 動 中国の絵本・歌・ゲーム 2年(在籍) おひなさまをつくろう 3/1 3/8 日本の文化 ひな祭り −27− ボ(4年) 留学生のための日本語授業へのリーディング・ストラテジーの応用 〜実践研究報告〜 赤木 弥生 はじめに 国立大学の共通教育では、留学生のための日本語・日本事情の授業を開講しており、学部留 学生は日本語を履修できる。しかし、日本語学校などですでに使ったことのある教科書を用い ていることがあるため、新鮮味がないなど厳しい指摘が過去においてなされてきた。近年、中 国、韓国をはじめアジアの国々でも日本で出版された日本語教科書が流布し始めている。この ため、日本で出版されている日本語教科書を使って勉強してくる学生が増え始めている。この ような状況を受け、大学での日本語の授業では何をいかに指導するべきかが問われてきた経緯 がある中で、言語教授法として発達してきたストラテジーを用いた学習者中心の授業が実践さ れてきている。英語教育から発達してきたストラテジーを日本語に応用するにあたっては、日 本語のリーディング、ライティングの特質を理解し、応用していかなければならない。本稿で は、日本語授業へのリーディング・ストラテジーの応用について検証し、中・上級レベルの学 部留学生がより効果的に読解能力を伸ばすことができる手法について述べる。 1 多様化する留学生と日本語のニーズ 山口大学国際センター教員は、共通教育の日本語・日本事情を担当している。対象学生は、 学部留学生で、主として1年生が履修する。学部留学生に加えて、近年、韓国、中国、オース トラリア、ドイツなどの協定校からの交換学生が増えてきているのが特徴で、交換学生は特別 聴講生として共通教育を履修する。また、日本語研修生、大学院入学予備教育履修生で日本語 既習歴のある中上級レベルの学生も履修する。従来から大学院入学予定の研究生、大学院生、 研究者なども受講しているが、ここ2、3年の傾向としては、中国からの大学院入学希望者が 減少するなかで、交換学生などが増え、多様な受講生となりつつある。 また、学部留学生の日本語学習歴も多様化しつつある。日本語学校を経て入学する従来から の学生に加え、中国国内の高校で日本語を勉強した後、来日し入学するケース、日本国内の高 校で1年から3年間勉強し入学するケース、幼いころ日本に滞在した経験のあるいわゆる帰国 子女など多様で、その日本語能力にも幅がある。 また、留学生それぞれの日本語学習の目的もさまざまである。講義を理解できる日本語能力 を必要とする学部留学生、大学院入学を目指す研究生、1年間の滞在期間中、できるだけ日本 語能力を向上させたい交換学生などである。 中規模国立大学では、このような多様な留学生それぞれに授業を展開することは、経済性か ら不可能な状況であり、山口大学では共通教育の授業のみで、全学の留学生のニーズを消化し ていかざるを得ないのが現状である。 学部留学生は理工系専攻の留学生が圧倒的に多い。理工系学部は日本語能力試験2級程度が 入学条件である。一方、経済、人文学部は1級合格が条件となっているため、日本語力に差が 生じずることになる。理工系の留学生の場合、特にスピーキング能力が弱い学生が多く、留学 −28− 生自身もそれを自覚しており、入学当初、「日本語が話せない」と訴える学生が多い。近年、 中国国内の高校で日本語を学習してくる留学生が多くなってきており、このような学習背景の 学生は、言語運用能力の養成が十分なされていないこと多く、講義を理解する日本語はもとよ り基礎的なオーラル・スキルを養成することが日常生活に適応していくために必要となる。し たがって、授業内では、統合的に四技能の養成を目指していかなければならない。 また、学部留学生の共通教育の日本語履修目的のひとつは、単位の取得であり、前期、後期 と連続して授業を履修しないケースが多い。また、他の授業との重なり具合から履修できない 場合もある。したがって、前期、後期各15週間で完結できるシラバスとする必要がある。この 点からも統合的な授業が求められている。 2 リーディング教材 学部留学生は日本語でさまざまな科目を履修しなければならないため、授業を聞き取る聴解 能力をはじめ、授業の感想やレポート作成のためのライティング能力、膨大な教科書を読む読 解能力の養成が求められている。近年、「大学で学ぶためのアカデミックジャパニーズ」(佐々 木瑞枝ほか、2001、The Japan Times)などの教科書が開発されてきたが、それらの教科書には、 パラグラフ構造に関する知識を学習し、リーディング、ライティング・ストラテジーが用い、 パラグラフ・リーディング、パラグラフ・ライティングを練習するように構成されている。 中、上級とも揃っている総合的な教科書に、「J 301−基礎から中級へ」(土岐哲ほか、1995、 スリーエーネットワーク)「J 501―中級から上級へ」(土岐哲ほか、2001、スリーエーネット ワーク)があり、いずれも、本文に入る前に、内容について学習者自身が考え、グループで話 し合い、本文で扱われているテーマについて学習者がすでに持っている知識を呼び起こし、そ れを日本語で表現する練習が導入されている。本文を理解する上で助けとなるスキーマを学習 者が用いる学習方法である。また、「J-301、J-501」では、導入部分にテーマに関連した写真が 用いられ、「テーマ別」では、リスニング練習が用いられているが、いずれも学習者がテーマ についてイメージを膨らまし、本文を読みこなすことが容易になるように構成されている。さ らに、本文を要約する練習を通して、本文の理解を深めていく。 このようなリーディング教材は、学習者個々のニーズに負うところが大きい。理工学系学部 留学生は理工学的な内容が求められ、文系の学生は、比喩的な表現を掘り下げたいと願う。し かし、授業では、できるだけ偏らないようにバランスをとって教材を選ぶ必要がある。さまざ まな国からの留学生が一緒に学習する日本語の授業では、「留学生の日本語!読解編」(アカデ ミックジャパニーズ研究会偏著、アルク)にある「第10課 茶はどのようにして伝わったか」 など比較的、文化な話題が学習者の関心を引きやすく、お互いの文化について質問をし合うな どグループ学習にも熱が入る。このように、多文化社会に住んでいる留学生自身の関心のある テーマから導入し、徐々に環境問題など最新のテーマ、理工学的なテーマへと移行させていく と効果的にリーディング活動をすすめていくことができる。 3 リーディング・ストラテジー スキーマ、トップダウン、ボトムアップなどのリーディング・ストラテジーを用いた授業と は、学習者中心の授業で、学習者はタスクをこなしていくが、学習者にとって、タスクが適切 −29− であるか否かによって、学習は大きく影響を受ける。したがって、担当する学習者のグループ を分析し、適切なタスクのアプローチを考えていかなければならない。 リーディング授業におけるタスクに関して、Nunan(1999)は、Daviesand Green(1984)の DART(Directed Activities Related to Text)モデルを紹介している。DARTは、従来から行われ てきた読解授業からの脱却への提言である。 ・チャレンジできる生教材 ・テキストを分析し、進めていくための修辞的かつ話題性のある構成を示す。 ・黙読、予習の後で、音読を頻繁に行う。 ・テキストと学習者間の交流 ・間接的な質問と答えの代わりに、直接テキストを分析する。 ・テキストの情報を視覚的または図式などで示す。 また、この特徴を生かしたリーディングタスクも示している。 ・学生は各自の仮説を明確にする。 ・仮説は、他の学生によって評価を受け、テキストと対比させチェックする。 ・他の解釈がないかディスカッションする。 ・分からない点を学生が質問し、答える。 ・決められた質問に答える代わりに、不明な点やおかしいと思う点について学習者自身が質 問する。 ・必要なときには、教師は、調査官ではなく情報提供の役割を担う。 ・テキストについては、批判的に読むことを学ぶ。 最後の批判的な読み方はヨーロッパ的な考え方であるため、アジアの学生にとっては、馴染 みが薄い上、アジア的な発想では控えめに考えることが一般的である。このような文化的な背 景からパラグラフの構造を学ぶ必要があると同時に、批判的読み書き能力、ディスカッション の仕方についての知識を学ぶ必要がある。 また、リーディングは、他の技能と密接に関連しており、四技能がひとつひとつ発達してい くわけでない。門田(2001)は、リーディングとライティングに関しても、リーディングとラ イティングを別々に教えるのではなく、一緒に指導するほうが効果的であると述べている。例 えば、要旨をまとめる活動を紹介している。「あるテーマの記事を読んで、その要旨をまとめ て書くというようなライティング活動をさせると、ただ読むだけのときより、学習者は、より 積極的に読み、意味内容をより真剣に構築しようとする。」 要旨をまとめる活動を通じて、パラグラフごとの指示文を押え、テーマの要点を明確に把握 する練習を行う。これは、学習者が往々にしてボトムアップ処理だけをし、要点をはずしてい ることがあるため、要旨をまとめることによって、トップダウン処理もできるようにして行く 上において効果的である。 ライティングだけではなく、リスニング、スピーキングの技能についても、ライティング同 様にリーディングの授業の中に取り入れ、統合的な授業を展開することによって、単調になり がちな、リーディングも学習者のモーティベーションが高くなり、より効果的に学ぶことがで きる。 −30− 4 リーディング授業へのリーディング・ストラテジーの応用 学部留学生は、講義を受ける中で、授業の感想を書いたり、レポート作成をしたり、発表を したりしなければならない。このためには、批判的精神を培い、あるテーマについて多面的に ディスカッスできる能力の養成が必要である。実際、学部留学生1、2年生は、レポートで何 を書いたらよいか分からない、レポートの書き方が適切かどうか分からない、発表があるが不 安であるなど日本語での主体的な活動に対する不安を訴えてくることが多い。 ストラテジーを用いた授業とは、学習者中心の学習であり、学習者が主体的に学んでいく授 業である。学習者は与えられたタスクをこなしていく中で、日本語で読み、まとめを書き、リ ーディング・スキルを伸ばしていくことができる。このような授業では、学習者は、主体性を 持って学習に従事し、日本語でのリーディング活動を徐々に自律して行うことができるように なることが期待される。 また、非漢字圏の学生にとっては、日本語でのリーディングはかなり時間のかかる活動であ る。しかし、欧米からの学生は母語でトレーニングを受けていることから、ディスカッション が得意である。グループでのリーディング活動では、漢字圏と非漢字圏の学生からなるグルー プを作り、協力して学習できる環境作りを行い、リーディング活動をサポートする。 次にリーディング活動のステップを紹介する。 4−1 リーディング活動① リーディング・ストラテジーを用いた教科書を用いて、各章のテーマごとの語彙・表現およ びテーマに関する情報を増やす。リーディング授業では、話し合いを通じて、テーマに関する 問題意識を持ち、批判的に読む精神を培い、そのテーマについて多面的な見方を養うことを最 終段階の目的とする。 「テーマ別上級から学ぶ日本語」は、スキーマを呼び起こすプリ・リーディングにおいて、 リスニングが用いられており、オーラルな導入は、学習者の統合的なスキル養成の点からも非 常に効果的である。 また、ニュースを聞き、そのニュースをまとめる活動がある。リスニングだけでは、まとめる ことが難しいので、リスニング活動の後で、ニュースのスクリプトを渡し、目で確認を行い、 さらに各自のまとめを修正していくステップを踏みながら活動をすすめていく。文字で確認で きることによって、学習者の安心感が増す。 本文を要約するためには、各段落の1行目あるいは2行目を確認し、グループで話し合い、 要点を抑え、まとめていくが、本文の表現をただ書き写すだけではなく、徐々に自分自身のこ とばでまとめられるように段階をおって練習していく。 指導者は、学習者の書いたまとめを毎回チェックし、ニュースの主題を抑えているかどうか確 認することによって、学習者のリーディング力を高めることができる。 本文のリーディングは、Q&Aを用いて確認後、そのテーマに関する情報の確認および本文 に紹介されている情報以外の情報を学習者から引き出しながら情報を増やし、テーマについて の認識を高めていく。 −31− 4−2 リーディング活動② リーディング・ストラテジーを用いたリーディングの授業を3回程度取り扱った後、グル ープでのリーディング活動を行う。さまざまな日本語の教科書から適切なテーマを数種類選び、 グループ(4〜5名)ごとに異なるテーマについて読む。選択する文章は、学習者のレベルに あったもので、ふりがなのついた比較的容易な文である。 グループごとに読み、分からない語彙,漢字などを教え合い、内容について話し合う。その 後、各自で要点をまとめる。グループで活動終了後、各グループからひとりずつ出て、新たな グループを編成する。この新しいグループでは、ひとりひとりが持ち寄った文は異なっている。 グループごとに学習者ひとりずつ文の内容を紹介し、そのテーマについて話し合う。最後に、 一番印象に残った内容についてまとめを書く。 統合的に四技能を養成しながら、徐々にディスカッスできるようにテーマに関する意見交換 を行う。 4−3 リーディング活動③ グループ活動の後で、さらに教科書を用いた授業を行い、その後、またグループ活動を実 施する。2回目のグループ活動では、授業外で、学習者自身がインターネットまたは新聞で記 事を読んで、まとめてくる。各自が読んだ記事を持ち寄り、グループごとに紹介をする。最後 に、印象に残った内容のまとめを書く。 グループ活動①に比べると、課題が課せられることから、要求度が高くなる。このため、学 習者の負担も大きく、記事を読んでこない学習者もいる。しかし、記事を読んでいない学習者 も他の学習者の発表を聞き、話し合うことができ、グループ活動に主体的に参加することがで きる。 4−4 リーディング活動④ 教科書のテーマを扱った後、そのテーマに関連した新聞記事を数種類準備する。グループご とに同じテーマではあるが、異なる記事を読み、理解を深める。その後、新しく編成し、各グ ループで読んだ記事について紹介し、グループで話し合う。 学習者にとって新聞記事を読みこなすのは、かなり高度な要求となるが、すでに学習したテ ーマであることから、スキーマを使い、理解を図っていくリーディングの最終的な活動として 行う。 5 テストと評価方法 5−1 小テスト 各章の語彙・表現、漢字、文末表現などの小テストを各章ごとに行い、テーマに関する語彙 の確認を行っておく。 5−2 リーディング・テスト 文章を読んで、要点をまとめる。要点が押えられており、学習者自身のことばで、まとめら れているかを確認する。 −32− 5−3 オーラル・インタビュー 学習者は、与えられた4コマの絵について詳しく説明を行い、そのテーマについて多面的な 側面から話す。学生自身の体験や情報などから例をあげ、ディスカッスする。授業で3、4回 練習をし、インタビューの方法についても周知させておく。 6 学習者からのフィードバック 上級レベルでの学習者からのフィードバックでは、リーディング・ストラテジーを用い、内 容を把握し、理解を深めていくのは、容易であると感じている学習者が多いことが分かる。し かし、まとめを書いたり、理解した内容を話し合ったりする活動については、困難を感じてい る学習者が多い。このグループの学習者は、学部留学生だけではなく、大学院研究生、日本語 研修生、交換学生などの留学生が多く受講しているため、学習者ひとりひとりの技能別能力は 異なっている。スピーキングおよびライティングにおける表現能力が弱いことが学習者の負担 となっていることが分かる。 学習者のフィードバック(学習者の了解を得て掲載している) ・難しいのは、自分のことばで文章の内容を表すことです。文章の内容はわかるけど、自分の ことば表現するときは、いったいどの単語を使ったほうがいいのか自信がない。やさしい点 は、ある単語の意味がはっきり分からないけど、文章の意味が大体分かります。 ・頭では、重要な内容だけをまとめようとするが、短い時間で辞書を引きながら内容をまとめ ることは非常に難しいと思った。短い時間の中でうまくまとめるためには、主題を把握し、 それからまとめることが大事だと思った。 ・漢字を見ると、大体分かるけど、意識的に理解するには相当時間がかかる。しかし、キーワ ードを見つけたら要点もまとめて書けると思う。 ・韓国の新聞は横書きなんですけど、日本は縦書きなので読むとき難しい。 ・漢字は全部分からなくても、だいたい意味が分かる。読んだ時、キーワードにだけに注意し た。また、内容を分かるため、最初の文に一番注意した。 7 課題 授業は、通年(前期・後期各15週)であるが、実際は、学生は前期または後期のみを受講す る場合がほとんどである。15回の授業の中で、学習者中心の統合的な授業を展開していくこと は、学生にとっては、課題の多い要求度の高い授業となる。単位の必要のない大学院研究生は、 期末試験を受けないことが多く、学習も中途半端になりがちである。このような受講生の出席 態度は、学部留学生の学習姿勢にも影響を与えている。共通教育の授業ですべての留学生を履 修させることは、大学経営の観点からは必要なのであろうが、言語教育の観点からは問題があ り、必ずしも効率的とはいえない。 また、学習者は自分が学んできた学習方法に慣れ親しんでいることが一般的で、新しくかつ タスクの多い学習者中心の学習にとまどいを感じる学習者も多い。学習者が主体的に学ぶ授業 展開は、必ずしも学習者から好意的に受け入れられるわけではなく、むしろ要求度の高い授業 として敬遠される向きもある。このような状況に陥った場合も、学習者の心情を理解し、適切 −33− に学習環境を整備できる視点を常に持っておく必要がある。すなわち、学習者からのフィード バックを真摯に受け止め、授業の方向性を調整する必要がある。 おわりに 共通教育の日本語の授業は、学部留学生にとって、日本語学習の最終段階である。その後は、 専門分野の日本語や各自の目的に添った日本語を学んでいくであろうが、とりあえず、日本語 は修了することになる。その終了に際しては、パラグラフ・ライティング、批判的読み書き能 力、ディスカッション能力など専門分野で必要となる能力の養成を行い、修了試験を終えてお く必要がある。この意味では、共通教育の日本語は、学部留学生にとって、アカデミックジャ パニーズ以上の大きな意味を持ってくる。この点について、認識を持ち、シラバス作成を行っ ていかなければならないと考える。 参考文献 David Nunan(1999) Second Language Teaching & Learning(Newbury House)p.262 R.C.Scarcella・Rebecca.L.Oxford(1992)The Individual in the communicative classroom(松柏社) 門田修平ほか(2001)英語リーディングの認知メカニズム(くろしお出版)p.238 金谷憲編著(1995)英語リーディング論(桐原書店) 大学英語教育学会 学習ストラテジー研究会 編著(2005)言語学習と学習ストラテジー〜自 律学習に向けた応用言語学からのアポローチ〜 津田塾大学言語文化研究所読解研究グループ編(2002)英文プロセスと指導(大修館書店) −34− スピーチ発表における学習者間相互評価 −レベル差のあるクラスにおける学習者主導型の教室活動− 杉原 道子 1.はじめに 学習者の潜在能力を引き出し、主体性と創造性を重んじた学習者主導型の教室活動としてス ピーチ発表を行った。学習者が将来日本語で研究発表を行うことができるようになるための基 礎づくりとして、各自が設定したテーマのもとに、レジュメを作って発表させた。このクラス は15名で学習者の日本語能力にかなりのレベル差が見られた。各自の日本語能力に応じてスピ ーチが作成できるようにし、時間も15分以内に設定し、学習者の能力、興味、関心に基づいて テーマの選択を自由に行わせた。教師主導型の授業ではなく、学習者主導型の活動において発 表という出力経験を通し、内面からの深い気づきを意識化させるように試みた。松本(1999) は、「脳は情報処理の仕方を獲得することが目的であり、脳からの出力(感情表出、言語及び 認知出力)はそのための手段であることが、脳の最近の研究で明らかにされた。情報処理の仕 方を獲得するための、いわば 戦略 を学習と言うが、この学習は出力することによって起こ る。すなわち学習は出力依存型である」と述べている。 評価は一方的に教師が与えることはせずに、学習者間の相互評価を二回行った。一回目は教 科書に記載されている評価表を使用した。スピーチを聞きながら各項目について5段階で評価 するものであった。二回目の評価は全員のスピーチが終った後に実施した。一回目の学習者間 評価結果では、評価の差は極めて小さかった。言語運用能力を評価する項目が多かったため、 母語話者が多少有利な結果となった。二回目の学習者間相互評価では、良いスピーチを5つ選 択させ、その理由を述べさせた。この評価では日本語運用能力よりも、スピーチの内容、テー マの選択、準備、聴衆者とのコミュニケーションの取り方などが評価された。 このように二回の学習者間相互評価の結果に明らかな差異が見られた。スピーチ発表の評価 基準に関し、学習者の視点も明らかにされた。学習者間相互評価の二回の結果と過程を振り返 り、評価のあり方と今後の課題について考察する。 2.参加者 このクラスは共通教育の学部留学生のためのクラスであったが、非正規生や日本語教育に関 心を持っている日本人学生も参加した。学習者の日本語能力にかなりのレベル差があった。ク ラス開講時の日本語能力が1・2級レベルの者を対象としたが、受講を望む3・4級の学習者 にも受講の機会を与えた。来日したばかりの研究生も受講を強く希望したので聴講を許可した。 参加者は下記の15名である。日本語能力は開講時における学習者の日本語能力試験のレベルを 表したものである。 表1 参加者 学習者 性別 日本語能力 国 籍 A 女 1級 中国 人文学部1年 B 女 1級 中国 工学部1年 −35− 所 属 学習者 性別 日本語能力 国 籍 所 属 C 男 1級 中国 経済学部1年 D 男 1級 台湾 経済学部1年 E 女 2級 マレーシア 経済学部1年 F 女 2級 マレーシア 経済学部1年 G 女 3級 タイ 教育学部日本語・日本文化研修留学生 H 女 3級 ペルー 経済学部県費留学生 I 男 3級 バングラデシュ 経済学部研究生 J 男 4級 ドイツ 教育学部科目等履修生 K 男 ゼロ初級 中国 経済学部特別聴講生(大学院) L 女 日本 人文学部1年 M 女 日本 人文学部1年 N 女 日本 人文学部1年 O 女 日本 人文学部1年 3.目的 この活動の目的は下記の五点である。 学習者の意欲、思考力、判断力、表現力等の資質・能力の育成を図る。 学習者一人一人が出力することによって、情報処理能力の仕方を学習する。日本語によ るスピーチ実施という課題を実践する過程を通し、発表までのプロセスを自ら振り返り、 自ら評価する。 学習者自身が設定したテーマのもとに、レジュメを作って発表する活動を通し、将来日 本語で研究発表をするために必要な日本語能力を育成し、準備の方法を習得させる。 学習者間相互評価を行うことにより、他の学習者のスピーチを客観的に注意深く聞き、 スピーチの評価方法について考える。また、他者の発表と比較・検討することによって、 良いスピーチ発表についての気づきを得る。 異文化理解を深める。 4.活動内容と方法 4−1.『留学生のための大学へのパスポート』を用い、レジュメの作り方を学習した後、発 表に関する表現の練習をした。次にテキストに記載されている「スピーチ評価表」の書き方に ついて学習した。「スピーチ評価表」には文法の正確さ、文体(です・ます体の使用)、言葉の 分かりやすさ、内容のおもしろさ、構成の良さ、話すスピード、発音・アクセント、表情やジ ェスチャーの豊かさの項目について五段階評価する欄があり、その下にはコメント記入欄があ る。(資料1参照) 4−2.学習者が自ら設定したテーマのもとに発表し、発表者以外は全員「スピーチ評価表」 に記入することにした。 学習者の日本語のレベル差に配慮して、発表時間は15分以内であれば、自由に設定してよい ことにした。この発表は1999年12月から2000年1月までの計5回行った。比較的日本語能力の レベルの高い者から順に1回の授業につき3名ずつがスピーチを行った。 −36− 4−3.全員の発表が終わってから、テーマの選び方、資料の集め方、レジュメ・発表原稿・ 配布物の作成方法などについて記したプリントを配布し、研究発表に関する授業を行った。今 まではスピーチ発表に関する授業を先に行い、それらの知識を基に発表させてきたが、今回は 敢えて学習者のスピーチ発表後にスピーチの指導を行った。 その理由は次の2点による。 ① 学習者自身の潜在能力や自由な発想や個性を尊重する。 ② 学習者は自ら体験した発表を振り返りながら、良いスピーチに関する授業を受けること により、より深い気づきが得られる。 4−4.すべてのスピーチが終了してから、二回目の学習者間相互評価を含むアンケートを実 施し、学習者がこの活動全体に関してどう思ったかについて調査した。(資料2参照) 5.学習者間相互評価の結果 5−1.学習者間相互評価の結果(一回目) 『留学生のための大学へのパスポート』に記載されているスピーチ評価表(資料1)を用い た。学習者間相互評価の結果は下記の通りである。 表2 五段階評価による学習者の得点 A B C D E F G H I J K L M N O 4.34 4.63 4.49 4.45 4.38 4.06 4.71 4.47 4.12 4.46 4.15 4.78 4.78 4.74 4.74 五段階評価の平均点は1位が4.78で15位は4.06だった。得点において大きな開きは見られな かった。上位4人が日本人で占められていた。1位(2名)が4.78で3位(2名)が4.74であ った。5段階評価において、1や2にチェックを入れる者はいなかったが、3にいくつかチェ ックが入っている者もいたが、ほとんどが4か5にチェックを入れていた。言語運用能力を問 う項目が多かったため、母語話者にとって有利な結果となった。5位はG(タイ)で、発音に 癖がなく、流暢な日本語で敬語も正確に使いこなしていた。6位(中国)と7位(中国)は共 に日本語能力1級合格者であり、日本語能力との相関関係が見られた。「スピーチ評価表」に記 されたコメントを原文のまま記す。文末の( )中の数字は同じような意見を述べた学習者数 を示す。 A(中国)「イスラームについて」 「声が大きく言葉もはっきりしていて聞き取りやすかった(6)」「国別イスラーム教徒数も せっかくプリントに載せているのだから説明して欲しい(3)」「テーマはとても面白かったで す(4)」 B(中国)「中国語で年賀状」 「内容は面白いし、構成もよかった(4)」「発音が中国語っぽかった。発音が分りにくかっ た(6)」 −37− C(中国)「『あなたの値段に』買い手はつくか」 「多少の日本語のミスは問題にならないほどすばらしい内容のスピーチでした。考えているこ とが明確に伝わってきました。0.49%→れいてんよんじゅうきゅう(×)、れいてんよんきゅ う(○)」「最初に自分の言っておきたいことを言って注目を引く話し方はとてもよかったと思 う(3)」「経済の言葉が難しい(5)。言葉が難しくてコメントできない」「準備をしっかりし ていた(3)」「いつも『ぼく』を使いました」「『あのう』を言い過ぎたと思います」 D(台湾)「理想体重と肥満の判定」 「面白い材料だと思います(4)ちょっと料理不足ですが…」「もう少しリラックスして発表す るともっとよくなるはずと思います(4)」「少し早口だったので、もう少しゆっくり話したほ うがいいように思いました(3)」「発音が少し聞き取りにくいところがありました(4)」 E(マレーシア)「マレーシア人の名前」 「このテーマはとてもおもしろい(4)」「表の文字が小さすぎて見えにくかった(4)」「笑顔 を絶やさず和やかな雰囲気だった」「話し方が上手で、スピーチ慣れしていると思った。はっき りしたしゃべり方がよい」 F(マレーシア)「マレーシアの教育制度」 「緊張しすぎていた(4)」「図が小さくて見えにくかった(3)」「『けど』という言葉がたく さん出てきたが、使わないほうがいい(2)」「原稿なしで話したのがよかった」「アルファベッ トで省略している語が分りにくかった」 G(タイ)「タイの結婚式」 「すばらしい発表でした。最後まで興味を持って聞くことができました。写真が説明のたびに でてくるのでとても分りやすかった。実際のタイの結婚式を見に行きたくなりました。」「タイ の結婚式についてよく分りました。いろいろな文化や習慣がおもしろいです」「流暢なスピーチ でした(5)」「テーマがよく、おもしろい(9)」「文章の表現が豊かでした」「原稿なしで話し ましたからすごいです」 H(ペルー)「日本の子供の年中行事」 「おもしろい(3)」「発音がとてもいい(4)」「前を向いて話しましょう(2)」 I(バングラデシュ)「アジア太平洋地区の最も良い大学について」 「テーマが面白い(5)」「発表の中に自分の意見を織り交ぜたらもっとよかった(3)」 「資料があると良かった(5)」「発音が聞き取りにくかった(4)」「いろいろなアジアの大学 のことを知ることができました。しかし、もし世界の大学のランクを発表してくれればもっと 良いと思います」 −38− J(ドイツ)「ドイツの教育制度」 「努力の量がすごい。スピーチへの取り組みの姿勢は一番良い。恐るべし完璧主義」 「構成がとても良い(6)」「準備が良くなされていた(8)特にポスターは読みやすい字で、 色までつけてあったのでとても良かった」「ドイツの教育制度などドイツに関する授業を受けた ことがありますが、その授業より今日の発表のほうがおもしろかったです」 K(中国)「中国の山東大学について」 「日本に来て三ヶ月にしては上出来でした(10)」「スピーチの構成がすごく良かったと思いま す(7)。山東大学の歴史から今の学部まで紹介してくれて良く分りました」 「とても絵がうまいと思います」「民法がミンポと発音されていたり、伸ばす音が伸ばせていな いことがあった。促音や撥音も以前に比べると大分良くなったと思います」 L(日本)「日本のhealthy foodこんにゃく」 「テーマがおもしろい(4)」「テーマがおもしろくない(3)」「表情やジェスチャーの豊かさ がちょっと欠いたと思います(4)」「資料、実物のこんにゃく、料理の本など用意がいい (3)」「話すスピードが速すぎて聞き取れませんでした(3)」「文法が正しい」「難しい言葉に 英語が書いてあったり、ふりがながつけてあったりして良かったと思う」 M(日本)「日本語の中の外来語について」 「日本語の外来語は原文を部分省略してとかさまざまな不規則的変化があってむずかしい」「日 本語の中の外来語の省略について、例を挙げるとき英語もつけたらいいかなぁと思っています。 今度中国語もつけて欲しい。また、説明がとても詳しいと思っていますが、スピーチとしては もっと簡潔にして欲しい。ちょっと長かったと思っています」「日本人だから、文法とかスピー ドとかかんぺきだと思う。さすが日本人!」 N(日本)「かぼちゃ」 「おもしろい(2)」「おもしろくない(2)」「冬至の習慣について言及してくれれば良かった」 「かぼちゃは長く持つの意味が留学生には通じていなかったので、もう少しかみくだいた言い 方のほうが良かったかもしれない」 O(日本)「長崎貿易」 「テーマが良い(2)」「スピードが速すぎて分りにくい(3)」「ことばが分りにくかった(4) プリントを見ても分らない言葉がたくさんありました。説明しないままスピーチが終わったこ とが良くないと思っています」「準備が良い(2)」「図があったほうが良い」 5−2.学習者間相互評価の結果(二回目) 全員のスピーチ発表後にアンケート(質問1〜質問)を実施した。質問4で学習者間相互評 価を行った。 質問4 「15名の発表の中から良いと思われるものを順番に五つ選んで、その理由を書いてく −39− ださい」であった。1名欠席のため、14名の学生が評価した。 下記の評価結果は1位に評価されたものには5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5 位を1点として加算したものである。 表3 5つの良いスピーチとして評価された学習者別の総得点 A B C D E F G H I J K L M N O 12 5 9 11 7 3 34 4 2 25 22 24 18 3 10 この評価では文法の正確さ等の日本語運用能力との相関関係は見られなかった。テーマのお もしろいもの、分りやすいもの、構成がいいもの、学習者の熱意や意欲が感じられるものが高 い評価を得ていた。最高は34点、最低は2点であった。得点が得られなかった学生はいなかっ た。最下位のIは2点しか得点を得ることができなかった。テーマは良かったが、準備不足で あり、自分の意見を言わず資料の説明だけを行った。Nは日本人でありながら3点しか取るこ とができなかった。「かぼちゃ」というテーマがおもしろくないという印象を与えた。同点のF は外国人として最初の発表者であり、準備の時間が充分でなく、話の内容をうまく整理できて いないため緊張しすぎてうまく話せなかった。 最も高い評価を得たのはGの「タイの結婚式」で、2位以下をかなり引き離す結果となった。 Gは音声面において問題がなく、文法の誤りもわずか数カ所で、敬語も間違いなく正確に使い こなしていた。発表も本人の日本語能力に無理のないテーマを選んでいたと言える。Gは発表 の内容に合わせてカラー写真を見せながら説明したので結婚式の様子がよく理解されたようで ある。僧侶に相談して結婚式の日取りを決めてもらう等仏教国の習慣などが説明され、最初か ら最後まで聞き手に深い関心を持たせることができた。 2位の「ドイツの教育制度」を発表したJの日本語能力はかなり低く、文法・音声共に多く の誤りがあったが、発表内容は素晴らしく、憲法で教育がどのように規定されているか、幼稚 園から大学そして成人教育まで言及し、ユーモアを交えながら楽しそうに発表を行った。発表 する内容を模造紙2枚にわかりやすくまとめ、色も付けそれを指し示しながら発表したため、 聞いている学習者に分かりやすいという印象を与えた。資料が最も効果的に使われた例となっ た。ドイツの教育制度をテーマに選んだことにより、スピーチの構成もしっかりしたものとな った。スピーチの経験が豊富であると思われた。 3位のLは日本人であり、周到な準備が評価された。 4位のKは開講当初名前しか言えなかったため、スピーチへの参加が難しいと思われた。単 位を必要としない研究生であるため参加を見合わせてもいいと説明したが、「ぜひ参加させて 欲しい」と強く希望したため、参加することになった。山口大学と山東大学は大学間協定を結 んでいるため、「山口大学の学生に母校の山東大学を理解して欲しい」と述べた。最初に山東大 学の校章を取り上げ、校章をホワイトボードに描き、山は泰山を下の河は黄河を表し、共に中 国を象徴するものであると言った内容について、誇りをもって堂々と説明した。次に山東大学 の歴史と現在の学部について説明した。学習歴が3ヶ月でもテーマに関する学習者のモティベ ーションが高い場合は立派なスピーチができるということがわかり、学習者間で非常に高く評 価された。単文が多く、文法・音声・語彙など多くの問題点はあったが、伝えたい内容に関し −40− ては、しっかり伝えることができた。 特に二位と四位にランクされた留学生の発表は、いずれも伝えたい内容が明解であり構成も 良く、学習者の熱意と意欲が感じられしっかり準備されていた。 6.コース全体についての学習者の評価 アンケートの質問5「発表は効果的な学習だと思いますか」を五段階評価した結果は5が8 名(57%)、4が5名(36%)で、もっとスピーチを授業に取り入れて欲しいというコメント があった。 7.考察 7−1.第一回と第二回の学習者間相互評価を比較すると、順位において大きく異なる結果と なった。第一回の評価項目はスピーチの内容よりも、文法の正確さ等、言語運用能力を問う項 目が多く、項目ごとに評価しそれを合計し総合得点の高いものから順位を決めていく方法であ った。母語話者である日本人が総得点において有利な結果となっていた。第一回の評価では上 位を占めた日本人の学生のスピーチは内容のおもしろさという点では、学習者の興味を引かな かったようである。日本人の学生全員が「スピーチをするのは初めてです。暗誦大会はやった ことがありますが…」と述べていた。日本人の学生にとって、人前でスピーチをすること自体 が初めての経験であるため、テーマ設定でかなり失敗していた。自分の主張や考え方に基づい て、資料を集めスピーチを組み立てるのではなく、何か留学生に有用な情報を提供すればいい のではないかと考えていたようである。 第二回の評価では、日本語の言語運用能力よりも、スピーチの伝える内容が価値のあるもの であるかどうかが最優先されていた。学習者に自由に順位をつけさせた第二回の評価の方が、 部分点を積み上げていく第一回の評価より、総合的に一層優れたスピーチ評価になっていたと 思われる。学習者は聞く価値があるスピーチを高く評価していた。また、学習者は学習過程を 尊重し、発表におけるプロセス評価の重要性を認識していた。すなわち、しっかり準備された 発表、学習者の意欲や努力に対して高い評価を与えていた。 7−2.授業の目的に関する考察 目的 〜 についての達成度や問題点を学習者の感想を基に考察する。 学習者の意欲的な発表が多く、思考力、判断力、表現力において著しい進歩を見せた発表 者が多かったが、準備不足を後悔している発表者も数名いた。ドイツの学生も山東大学の 学生も日本語能力では多くの問題を抱えていたが、スピーチとしては日本人の学生よりは るかに優れていた。幼児期から大学生になるまでの教育のあり方の違いが明らかに表れて いた。日本の義務教育においても暗記中心の学習から脱却させ、自分の意見をまとめ、発 表させる教育の機会を与えていかなければならないと思われた。ドイツの学生のスピーチ には論理的にスピーチを組み立てる学習の成果が表れていた。 出力する体験を通して各自が多くの気づきを得た。松本(前出1999)が述べているように、 学習は出力依存型であることが立証できた。日本人の学生もはじめてのスピーチ経験に戸 −41− 惑いを覚えながらも、出力する喜びを実感したようである。 L(日本)は「他の授業では、こんなに詳しくスピーチのやり方の説明などしてくれなか ったし、とても勉強になった。」と記している。 C(中国)は「スピーチの授業はほかの授業より例えば、文法や語彙の勉強よりもっと大 切だと考えています。われわれ外国人にとって人前で発表することは難しいことです。も っともスピーチの授業はあまり多くないです。だからこれからももっと授業でスピーチの 練習をやらせてください」と記していた。日本人学生のみでなく、留学生自身も出力する ことを通して多くのことが学習できることを高く評価し、このような機会を持つことを強 く求めている。 学習者が自らテーマを設定しレジュメを作ることが、将来の研究や仕事に役立つというこ とが認識された。 B(中国)は「あまり話さない私にとって、スピーチを通じていい練習のチャンスがで きた。スピーチに参加してうまくできなくても、自信や勇気が涌いてきた。また、スピー チの授業を通じて、どんなスピーチをすればいいか、どうやっていいスピーチができるか が少しずつわかってきて、将来役に立つと思っている」と記している。 O(日本)は、「大学のゼミの雰囲気を体感できよかった」と記している。 学習者間相互評価を二回取り入れたことで、他の学習者のスピーチを評価者の立場で注意 深く聞き、自分自身のスピーチと比較検討し、多くの気づきを得たと思われる。 M(日本)は「スピーチの授業は、当日も大変だけど、それまでの過程がもっと大切だ し、自分にとってプラスになると分った。スピーチの授業は聞き手にも勉強になってい い」と記している。 このように、学習者同士のインターアクションを通して相乗効果を上げることができた。岡 崎(1999)は、学習者が満足する授業について質問紙調査を行って得た結果を以下のように記 している。「満足する授業」は「分る授業」ではなく、「効果的活動の多い授業」であり、「効果的 活動」とは「言語運用中心で学習者同士のインターアクションの多い活動である」と述べている。 日本語能力のレベル差の大きいクラスにおいても、学習者主導型の活動が可能であり、学習 成果は予想を大きく上回るものであった。日本語能力においても進歩が見られた。学習者一人 一人の個性を重んじ、その資質・能力を発揮できる場を与える意義を再認識させられた。杉原 (2004)は「教師主導型の授業に比べて、体験学習を重視する学習者主導型の授業は学習者の脳 を全開させ、個人の興味・関心を深め、一人一人の内面的な強い要求を満たすものとなる。成 功体験だけでなく、たとえ失敗体験となっても、出力させる学習の機会を与えることが極めて 重要であると思われる」と述べている。 学習者間相互評価を行うことによって、他の学習者の発表と自分の発表を常に比較検討して いるうちに、だんだん良い発表の諸条件への気づきを得ていった。学習者は日本語運用能力よ りも、発表の内容や構成、学習過程、目標達成への積極的なアプローチに対して高い評価を与 える代替的評価法を取り入れていた。 −42− 以上のように、学習者間相互評価によって、学習上効果的な相乗効果が得られたので、今後 も積極的に取り入れていきたい。また、学習者間相互評価は、学習者のみでなく、教える側に も多くの示唆を与えてくれるきわめて効果的な教授法であることが明らかとなった。 8.今後の課題 授業の最終回にアンケート調査を行ったために、その貴重な結果を学習者へフィードバック することができなかったことは極めて残念であった。発表は録音され、教師が文法・音声上の 誤りを直してテープに吹き込み、後日学習者に返却した。特に文法上の誤りが多い学習者には 個別指導を行った。学習者の文法や音声の誤りを訂正する時間をもう少し取ったほうが良かっ たのではないかと思われる。今後の課題としたい。 付記:本稿は平成12年度第4回日本語教育学会研究集会実践研究発表会の予稿集をもとに新 たに加筆修正したものである。 〈引用文献〉 松本 元(1991)「脳の目的」『言語』Vol.28 第1号 pp.106-107 岡崎眸・伊藤孝恵・杉浦まそみ子・高橋織恵・張潁・徳永あかね・村上律子(1999)「分かる 授業は満足する授業か―社会人学習者の視点から―」『日本語教育学会』第102 pp.40-49 杉原道子(2004)「学習者主導型による口頭発表能力育成の試み―『上級日本事情』のクラス において―」中国四国教育学会『教育学研究紀要』第50巻 pp.578-583 ピロッタ丸山淳・長山紀子・清水澤子・等々力櫻子・吉田直美(1996)『留学生のための大学 の授業へのパスポート』凡人社 p.62 −43− (資料1) スピーチ評価表 題 発表者氏名________________________ 発 表 日 時_________________ 項 目 文法の正確さ 文体(です・ます体) 言葉の分りやすさ 内容のおもしろさ 構成のよさ 話すスピード 発音・アクセント 表情やジェスチャーの豊かさ (コメント) この資料は『留学生のための大学の授業へのパスポート』から転載したものである。 −44− (資料2) 杉 原 アンケート 名前 国 日本語能力試験( 滞在期間( 学部・学科 学年 級合格) 年 ヶ月) 質問1 テーマを選んだ理由は何ですか。 質問2 発表の時に何を使いましたか。また、今後どんなものを使いたいですか。 今回 今後 質問3 発表を終えてよかった点と今後の課題について書いてください。 良かった点① ② ③ 今後の課題① ② ③ 質問4 15名の発表の中から良いと思われるものから順番に五つ選んで、その理由を書いて ください。(学習者の名前と発表題名は省略) 質問5 質問6 番号( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 発表は効果的な学習だと思いますか(5段階評価する)。 ① 全くそう思わない ②そう思わない ④そう思う ⑤強くそう思う ) 漢字数( ) 発表のための準備期間はどのくらいでしたか(準備日数・合計時間数)。 準備日数( 質問8 ③どちらとも言えない 新しくいくつぐらいの言葉や漢字を覚えましたか。 語彙数( 質問7 理由 日) 合計時間数( この活動に関する感想を自由に書いてください。 −45− ) 漢字教材作成における気づき 貴州民族学院大学 胡 啓敏 はじめに 2005年9月に日本国際協力銀行の円借款で半年間山口大学へ日本語を研究に来ることができ た。山口大学国際センターの有志の先生による漢字教材作成委員会に参加することになった。 漢字教材作成の過程、基準作りを通してさまざまな体験ができた。その上、その漢字教材の学 習補助言語の中国語訳を担当することになった。日本語教材を作成することは私にとって初め てのことなので、多くの気づきを得ることができた。 1 漢字教材作成の基本的な考え方 本教材は、日本の教育機関で学ぶ日本語学習者を主対象として作成され、比較的難易度の低 い語彙を含んだ初級者向けのテキストで、彼らが学生として日本で生活する上で必要と思われ る基本漢字と関連語彙を提示している。これらの漢字は生活の中で多用されている複合語およ びイディオムを含んでいる。本教材を作る方針は留学生が実際にどのように使っているかを研 究してみて、初歩的な知識と基礎文法を身につけた学習者が授業の中であるいは、自習の手段 としてこの教材を用いることで、生活のさまざまな場面で実際によく使われる漢字語彙を効率 的に習得できるよう工夫した。したがって、学習者は比較的容易に語彙を理解し、記憶し、短 期間に漢字力を伸ばすことができる。 2 教材の構成 本教材は4部から構成されている。 2.1 本教材は、はじめに漢字の書き方が説明されており、漢字を構成する基本種が紹介され ている。非漢字圏の日本語学習者もそれを学習し、漢字が各部分から構成されていることが理 解できる。その後、各基本種を理解することによって、漢字学習が容易になる。 本教材の第二部は18課からできている。各課の漢字にはその語の英語訳もしくは中国訳が付 いている。左側に日本語の語彙が、右側に訳が表示されている。その上、その漢字を含んだ日 常生活の中で多用される複合語や動詞などをあげて、例文を作り出している。例文の右側にも 英語訳もしくは中国語訳が表示されている。例文は学習者に有用な語彙を紹介するだけでなく、 どのように正しく使うかがわかるようになっている。 全ての漢字には読み仮名がついている。これは非漢字圏の学習者に役に立つのみならず、使 用者の半数以上を占めると予想される中国人学習者にとっても有用である。中国人学習者にと っては漢字の読み方が難しい。日本語と中国語では発音がまったく異なるからである。 各課の漢字は、基本漢字・関連語彙を取り混ぜ、意味上の関連を考慮して、学習者が記憶し やすいように配分されている。 単語リストは左から 漢字(基本語彙)〜関連語彙〜例文(使い方)〜英語訳/中国訳 最後の例文(使い方)には語彙の使用例として連語もしくは短い句を掲示し、語彙の用法につ −46− いてのヒントが得られるようになっている。 初級日本語学習者が正しく漢字が書けるように、各課に新しく出た漢字の書き順を示してい る。各課の終わりには基本的な練習問題がついている。学習者は教材の提示された順に勉強す れば、短い時間で効率よく漢字学習ができるものと思われる。 2.2 本教材の第三部はこの教材として特筆すべき特徴ある内容になっている。留学生向けの 書類やガイドブックなどから漢字を抽出し、生活の中でよく使われる漢字で、複合語やイディ オムを取り上げている。日本語教育の目的は日本語学習者が日本語を媒介として言語活動をよ りスムーズに遂行できる能力を養成することとなり、そのためには学習者が遭遇であろう、あ るいは学習者が遭遇しなければならない接触場面とは何か、また、それを基盤にした漢字教材 作りはどのようにすれば一般的な使用に耐えられるものになるかを考え、その接触場面を構成 するスライド写真、実際の生活の中でよく見られる広告、絵、看板がその用途に応じて、教材 の左側につけてある。それは学習者に強い印象を与え、おもしろく漢字を覚えさせる効果があ る。 したがって、現代日本社会における実際の生活の中で多用される漢字を選択した。そうした 漢字についてその特徴をあげれば、次のような語句を多く含んでいることを指摘することがで きる。 郵便局の語彙 例:「航空便」、「速達」、「書留」,「小包」、「国際郵便」、「貯金」 図書館の語彙 例:「書類」、「貸出」、「言語」、「社会科学」、「期間」 銀行の語彙 例:「お引き出し」、「お預け入れ」、「お振込み」、「残高照会」「暗証番号」、「外貨両替」、 「海外送金」、「口座番号」、「金額」 住居の語彙 例:「入居者」、「冷暖房」、「洋室」、「徒歩」、「設備」、「共同」 コンピュータの語彙 例:「新規作成」、「開く」、「上書き保存」、「名前をつけて保存」、「表示」、「印刷」、 「貼り付け」、「挿入」、「削除」、「選択」 標識の語彙 例:「危険」、「足元注意」、「点検中」、「禁煙」「駐輪禁止」、「精算所」 病院の語彙 例:「保険証」、「診察券」、「外科」、「内科」、「処方箋」「外用薬」 買い物の語彙 例:「食料品」,「魚」、「野菜」、「お菓子」、「飲料」、「調味料」,「洗剤」、「衣料」、 「調理用品」、「電気製品」 広告の語彙 例:「募集」、「新発売」、「本日限り」、「応募用紙」、「2割引」、「無料」 本教材作成においては、素材探しにさまざまな工夫をし、何回も繰り返し議論された。 −47− 2.3 本教材の第四部は留学生、就学生等が日本の大学で学習するのに必要な語彙や大学の入 学手続きに必要な語彙からできている。第四部は難易度のやや高い漢字語彙を集めている。留 学生や就学生等がそれぞれの大学生活において使用する漢字語彙を場面別に設定されているか らである。学習者を中心に考えられた教材なので、使用頻度が高い漢字語彙が多いため、学習 者の日本語能力を高められると思われる。 第二部と第三部と同じように左側に日本語の語彙が、右側に英語訳もしくは中国訳がついて いる。 以上は私が理解した本教材の概要で、本教材は日本語学習者それぞれを中心に据え、学習初 期からより自然な日本語習得ができると思われる。 3.私は日本語に興味があり、日本語科を選んだのである。日本語はアルファベット一色の 英語や簡体字一色の中国語のような言葉ではなく、漢字仮名混じりの言葉で、おもしろさを内 蔵していると思うからである。その一方、外国人にとって日本語を上手に身につけるためにさ らに難しくなる。特に、中国人日本語学習者にとっては日本語に漢字があり、容易にできるだ ろうと思われ、漢字の意味の把握が十分でなかったり、日本人の言語表現の特性が分からない ため、中国人・中国語の発想によって誤りを犯したりする例が多く見られる。以下は中国人日 本語学習者によく誤用される実例である。 例1: 風を引いたので、薬を食べた。(飲んだ) 例2: あなたは辞書がありますか。(をもっていますか) 例3: 週末に旅に出た。民宿に住んだ。(泊まった) 例4: アメリカに行って五年経って、子供は日本が話せません。 (はなせなくなりました) 例5: 学生たちが冗談をしながら歩いてきた。(冗談を言いながら) 例1は「薬を飲む」ことを中国で「吃葯」(薬を食べる)ということから、日本語で「飲ん だ」というべきところを「食べた」と間違えている例である。例2は中国語では、存在を表す ときには、人間・動物・植物に関係なく、全部「有・在」を使うため、日本語の「ある・いる」 の区別を身につけることが難しい。例3は中国語では、日本語のように「住む」と「泊まる」 の使い分けがなく、どちらも「住」(住む・泊まる)であるため、その違いが分かっていない ことによる誤用である。例4は変化の過程を表す「なる」を身につけていない例である。例5 は「冗談を言う」という慣用的表現が理解できないものである。 中国人日本語学習者にとって、漢字の読み方が多く、書き方も中国語の簡体字と違い、意味 もぜんぜん違う語彙が少なくないため、中級日本語まで習い、途中であきらめる人が、初級日 本語を習う人数の7割のようである。したがって、中国人日本語学習者に対して、語彙教育は 音声教育、文法教育に比べれば、より難しい面が存在している。日本語教育のための語彙研究 を考えれば、日本語の表現の特性や日本文化との関連を明らかにすることが重要である。 まとめ 今日では日本語の教科書が数多くあるが、中国人日本語学習者には必ずしも適しているとは 限らない。私の知っている限りでは、中国の日本語の教科書は、ほとんど文法中心で、授業方 −48− 法も文法中心の傾向があって、教師も文法に力を入れて教えているのが現状である。学生の 「聞く」・「話す」すなわち実用日本語の力は弱いようである。それは語彙教育が不十分であ るからである。その重要性を認識し、教材と教授法の充実を図る必要があると思われる。 今作っている漢字教材は特に衣食住に関するもの、見聞を表すものなど、それぞれ特色ある 分野における漢字語彙の集まりである。この教材を漢字教育に使用することにより、学生の実 用日本語の力を伸ばす効果が期待できると考えられる。文部省の調査によると、中国からの留 学生は日本における受け入れ留学生の66%以上を占めている。この教材は中国訳が付いている ことから、中国人にとって学習しやす漢字教材であると言える。多くの中国人学習者に寄与で きるものと思われる。帰国後、この教材を充分に活用し、漢字指導を行っていきたい。 参考文献 鎌田修 「接触場面の教材化−多元性のある日本語教材の作成を目指して−」 http://polylot.lss.wisc.edu/easian/CAT JProceedings/15Kamada.pdf −49− −50− Ⅱ 年 報 (2005年度) 日本語・日本事情 渡辺 淳一 1.平成17年度の教務関係の一般的状況 平成17年度授業計画の編成に当たっては、平成15年度に建てられた方針に従い、共通教育科 目として日本語中級3コマ、日本語上級4コマ(うち常盤キャンパス1コマ)、日本事情中級 1コマ、日本事情上級2コマ(うち常盤キャンパス1コマ)を開設した。 国際センターが開講する科目としては、国費大学院予備教育留学生を対象とした授業を前期 と後期に開講した。詳細は担当者が後述する。日韓理工系学部留学生を対象とする授業は、本 年度は該当する留学生がいなかったため、開講されなかった。 上記の授業のほかに、理工学研究科大学院留学生のうち日本語能力が十分でない学生を対象 に日本語初級と日本語中級のクラスを1コマずつ開講した。これは工学部からの要請に応えて 開講されたものである。 本年度は、授業開始前にJ-CATの受験を義務付け、その結果によって受講生のクラス配置を 行った。さらに、配置されたクラス以外のクラスでの受講は原則として認めないこととした。 その原則によって、教育学部、経済学部、人文学部が受け入れている協定校からの交換留学生 の多くが、日本語学習暦があるものの中級クラスに所属できない学生が出た。また、受講でき るクラスの数が少なく留学期間中に取得できる単位数が限られるという状況が生じた。これら について学部の方から原則の緩やかな適用が求められ、受け入れ学部が前年度の時間割に基づ いて受け入れを決定しているという状況を勘案して、申し入れのあった学部の交換留学生にあ っては、クラス配置の原則を緩め受講を認めることとした。 2.受講者数及び時間割 授業科目名 担当者 受講者数 前期 後期 日本語中級Ⅰ 渡辺 13 11 日本語中級Ⅱ 杉原 17 20 日本語中級Ⅲ 門脇 10 10 日本事情中級 今井 12 11 日本語上級Ⅰ 渡辺 11 6 日本語上級Ⅱ 今井 7 2 日本語上級Ⅲ 杉原 10 7 日本語上級Ⅳ 赤木 9 7 日本事情上級Ⅰ 門脇 8 8 日本事情上級Ⅱ 赤木 6 7 日本語初級 赤木 12 11 日本語中級 赤木 12 9 −53− 月 火 水 木 金 日本語 日本語 日本語 上級Ⅰ 中級Ⅲ 上級Ⅲ 日本事情 8:40〜 上級Ⅰ 10:10 10:20〜 11:50 日本事情 上級Ⅳ 上級Ⅱ 日本事情 日本語 日本語 中級 中級Ⅰ 上級Ⅱ 12:50〜 14:20 日本語 [日本語] [日本語] [中級] [初級] 日本語 14:30〜 中級Ⅱ 16:00 *同一時間帯の上段は吉田キャンパスで開講された授業科目、下段は常盤キャ ンパスで開講された授業科目である。 *[ ]の科目は常盤キャンパスで開講されたセンター開講科目である。 3.授業シラバス 共通教育科目として開講された日本語・日本事情の授業のシラバスである。各授業のシラバ スは大学のホームページ上で学生が閲覧することができる。以下に転載するシラバスはホーム ページ上のシラバスを簡略化したものである。 なお、センター開講科目(国費大学院予備教育留学生を対象とした授業科目を含む)のシラ バスはホームページ上には載せずに、授業を担当する教員が別途作成し、各授業開始時に配布 した。 −54− 日本語中級Ⅰ:前・後期(渡邊淳一) 授業の概要 この授業は「漢字」と「文章の書き方」の二つの部分からできています。 「漢字」では、 日本語中級レベルの漢字の書き方と読み方を学び、その漢字を使った熟語とその意味 と使い方を学びます。「文章の書き方」では、レポートの書き方の基本的なルールを学 び、実際に書かれた文章例を読み、レポートの書き方を練習します。 授業の一般目標 ◆「漢字」では、中級レベルの基礎漢字500字の書き方、読み方を身につけ、漢字熟語 の意味・使い方を理解します。 ◆「文章の書き方」では、様々な文体の違い、句読点・各種記号の使い方、段落や起 承転結などの文章作成のルールについて学び、具体的な文章例を読みそのルールの 検証を行い、自分でレポートを書き、提出します。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 文章作成の基本的なルールを理解しているか 思考・判断の観点: レポートにふさわしい内容を考え・その内容がよく理解できるように論述を組み立 てて書いているか 関心・意欲の観点: 漢字クイズに積極的に取り組んでいるか レポートをきちんと提出しているか 態度の観点: 教室活動に積極的に参加しているか 出席はきちんとしているか 技能・表現の観点: 授業で学んだ文章作成のルールを守ってレポートを書いているか 授業計画【概要・授業の目標】 ◆各授業では、前半で「漢字」を後半で「文章の書き方」を学びます。 ◆「漢字」では、1授業で教科書の1〜1.5課をカバーします。授業の始めに前回の授 業で学んだ漢字のクイズをします。 ◆「文章の書き方」では、様々な文体の中からレポートに使われる文体の特徴を識別 し、句読点・記号・引用等の作文上の技術を習得し、段落・起承転結・要約・論述 などのレポート構成上のテクニックを学び、さらに具体的な文章例を読みながらそ れらを検証します。3〜4課ごとに与えられたテーマでレポートを作成し、提出し てもらいます。 成績評価方法(総合) 期末試験、漢字クイズ、提出作文評価、出席等を総合的に判断して成績評価をする。 教科書 『基礎漢字500』、加納千恵子他、凡人社、1989年 −55− 日本語中級Ⅱ:前・後期(杉原道子) 授業の概要 日本語を300時間ぐらい勉強し、初級の勉強が終わった留学生のためのクラスです。中 級ⅡAのクラスでは、簡単な説明文や論説文が読めるようになるために、書き言葉の文 法、語彙、漢字や文章の構成を説明します。また、日本人の生活や文化、現代の社会 や科学について考えたり、意見を言ったり、討論をしたりします。 授業の一般目標 1.日本の大学で、辞書を使いながらでも勉強できるようになること。 2.日本語の新聞や放送がだいたい分るようになること。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 課題文の漢字や表現文型が理解できる。 思考・判断の観点: 場に即した表現形式が選択できる。 関心・意欲の観点: テーマに関心を持ち、情報収集ができる。 態度の観点: クラス活動に積極的に参加する。 技能・表現の観点: テーマに関してスピーチができる。 授業計画【概要・授業の目標】 授業は次のように進める。 課題文のテープを聞く→聞き取った内容を発表する→新出語彙や文法を理解する→課 題文を理解する→課題文や関連資料について意見交換をする。 成績評価方法(総合) 期末試験、宿題、プレゼンテーション 教科書 『中級日本語』、東京外国語大学 留学生日本語教育センター、凡人社、1994年 資料配布 −56− 日本語中級Ⅲ:前・後期(門脇薫) 授業の概要 本授業では、日本語の中級後半レベルの総合的な能力を養う。特に読解練習を中心 に行い、中級後半レベルの語彙・文法事項を習得し、運用できるような様々な4技能 の練習も行う。 授業の一般目標 日本語の中級後半レベルの語彙・文法事項を習得し、日常生活・大学生活において 運用できる。様々なテーマの文章を読み、内容や書き言葉について理解ができる。そ れぞれのテーマについて考え、自分の考えを日本語で表現できるようになる。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 1 中級後半レベルの表現を身につける。 2 様々なテーマについての文章を読み、内容について説明できる。 思考・判断の観点: 1 習った日本語表現を適切に使える。 2 テーマの内容について自国と比較しながら考えられる。 関心・意欲の観点: 1 テーマの内容に関して、日本、自国、他国の状況について関心を持つ。 態度の観点: 1 習った表現を教室内外でできるだけ使用する。 2 教師だけでなく、他の受講生からも学ぶ。 技能・表現の観点: 1 習った日本語の表現が適切に使える。 2 テーマについて日本語で意見が述べられる。 授業計画【概要・授業の目標】 テキストの各テーマごとに次のように進める。 *小テスト *新語・文法事項の確認 *テーマについての文章を読み、理解する。内容、表現等の確認。 *練習問題 *テーマについてディスカッション *「書く」練習(主に宿題) 成績評価方法(総合) 小テスト、定期テストで習ったことを習得しているかを評価する。「書く」タスクは宿 題として提出する。4技能に関する様々な練習やタスクを課し、演習として評価する。 教科書 『日本語中級J 501』スリーエーネットワーク −57− 日本事情中級:前・後期(今井新悟) 授業の概要 日本の社会・文化について理解し、異文化に対して、バランスの取れた感覚をもって 対応できるように、情報を集め、資料を読み、理解し、自分の意見を述べ、参加者と 意見交換します。 授業の一般目標 現代の日本事情、現代日本社会の風俗・習慣、日本人の行動様式について、その理解 を深めます。山口の地域固有の文化・社会についての情報を収集し、その理解を深め、 収集した資料をまとめ報告する力を身につけます。日本や自国の文化学習を通して、 地球社会の多様な文化を相対的に見なす能力を培い、グローバルなコミュニケーショ ンができる能力を養います。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 日本人の日常の生活・習慣を理解することができる。 日本の地理、歴史を理解することができる。 現代の日本事情が理解できる。 思考・判断の観点: 地球社会の多様な文化を理解し、国際理解能力およびグローバルな視野を持つ。 ステレオタイプ、民族中心主義的な文化の見方を排斥し、相対的な文化の見方をする ことができる。 自国の文化を分かち、地球社会へ貢献する姿勢をもつ。 異文化についての違いや共通点について考察できる。 異文化に遭遇したときに適切に判断し、行動ができる。 関心・意欲の観点: 日本の文化及び異文化への関心が深まる。 自分で関心のあるテーマを探求する。 異文化客観的、公正に観察できる。 プロジェクト、発表を通して、積極的に文化を分析し、その理解を他の学習者と分か ちあうことができる。 態度の観点: 積極的に教室活動に参加する。 クラス内で発表をする。 教師外での活動に積極的に参加する。 技能・表現の観点: 日本事情及び異文化を理解し、自国の事情や自分の考えを述べることができる。 多様な文化を理解し、地球社会でのグローバルなコミュニケーションを図ることがで きる。 偏見的な文化の見方を排斥し、相対的な文化理解を図ることができる。 授業計画【概要・授業の目標】 各テーマについて以下の活動を通して理解を深めます。 1.教科書を予習し、語彙を確認するとともに内容を理解する。 2.理解をさらに深めるための、発展的資料を読む。 3.さらに、自分で情報を収集する。 4.理解したことをまとめて、表現する。 成績評価方法(総合) 小テスト、定期試験、出席 授業計画 『日本事情入門』、佐々木瑞枝、アルク、1995年 −58− 日本語上級Ⅰ:前・後期(渡辺淳一) 授業の概要 中級レベルの日本語運用能力を既に備えている受講生を対象に、上級レベルの漢字と 表現文型を学びます。 授業の一般目標 1.中級レベルの漢字1,000字を身につけていることを前提に、上級レベルの漢字の書 き方、読み方、それらの漢字を使った漢字熟語の意味とその使い方を学びます。 2.中級レベルの文法・文型表現を身につけていることを前提に、中上級及び上級レ ベルの文型表現を学びます。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 1.種々の文型表現の使い方を理解し、レポートや論文の作成において適格に使うこ とができるか。 2.同音異義の漢字熟語の違いを理解し、レポートや論文の作成において適格に使う ことができるか。 思考・判断の観点: 1.種々の類似した文型表現の違いを理解し、文脈から判断して正しく使い分けるこ とができるか。 関心・意欲の観点: 1.細かい文型表現の違いに細心の注意を払って違いを理解しようと努力しているか。 態度の観点: 1.授業の中での意見交換や作文の活動に積極的に参加するか。 2.作文の宿題をきちんと提出するか。 技能・表現の観点: 1.上級レベルの漢字を正しく書き、読むことができるか。 2.実際の作文練習や課題の中で学習した漢字や表現文型を使用しているか。 授業計画【概要・授業の目標】 コースは前期と後期にまたがって開講されますから、受講生は前後期受講することが 推奨されます。 授業は「漢字」と「文型表現」の二つから構成され、二つは1週間毎に交代で行ない ます。「漢字」「文型表現」とも、教科書に基づいて1コマで1課をカバーします 成績評価方法(総合) 期末試験、予習、出席等を総合的に判断して成績評価をする。 教科書 『どんな時どう使う日本語表現文型500』、友松悦子他、アルク、1996年 『漢字1000Plus』Vol.1、加納千恵子他、凡人社、1993年 −59− 日本語上級Ⅱ:前・後期(今井新悟) 授業の概要 論理的な文章の分析を通して、論理的な文章とそうでない文章の区別について理解し、 論理的な文章を書くための基礎的な事項を理解する。 例文の分析と練習問題を解くことにより、論理的な文章を書くテクニックを身につけ る。 課題文と課題レポートの作成と添削・推敲を繰り返すことによって、論理的かつ正し い日本語を書く能力、日本語のテクニカルライティングの能力を高める。 授業の一般目標 論理的な思考に基づく論理的な日本語表現能力を高める。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 論理的な文章とそうでない文章の違いを知り、何が原因で非論理的になるのかを理解 する。 思考・判断の観点: 論理的な思考ができるようにする。 技能・表現の観点: 論理的な文章の書き方(テクニック)を身につける。 授業計画【概要・授業の目標】 1.論理的な文章に関して講義する。 2.例文を分析する。 3.練習問題を解く。 4.課題に従い、文章を書く。 5.非論理的な部分や、間違った日本語表現を指摘する。それを受けて、推敲する。 6.課題レポートを作成する。 成績評価方法(総合) 出席、練習問題、課題文、課題レポートを総合して判断する。 教科書 島倉保美2003年『論理的な文章が自動的に書ける!』(日本実業出版社)から必要な箇 所をプリントにして配布する。 −60− 日本語上級Ⅲ:前・後期(杉原道子) 授業の概要 大学での講義を聞き、勉学や研究を行うための言語活動に必要な日本語能力を養う。 講義を聞く、資料を読む等の「受信型スキル」を伸ばすだけでなく、アンケート作成、 調査、インタビュー、発表などを通して、各自が主体的にその場の状況を考えてコミ ュニケーションをしたり発表する「発信型スキル」を獲得する。 授業の一般目標 1.講義を聞きながら、効果的にノートを取ることができる。 2.必要な情報を集めて、問題点を指摘できる。 3.自ら選択したテーマについてのプレゼンテーションができる。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 新聞記事などの内容が正しく理解できる。 思考・判断の観点: 必要な資料を収集し、それに基づいて論理的に自分の意見をまとめる力を養う。 関心・意欲の観点: 各テーマに関しての問題意識を高める。 態度の観点: 積極的に討論に参加する。 技能・表現の観点: 与えられた課題について効果的なプレゼンテーションができる。 授業計画【概要・授業の目標】 授業は次のように進める。 新出語彙を確認する→CDで課題文を聞く→聞き取れた内容を発表する→課題文の内容 を確認する→練習問題→各課のテーマに関するレポートを作成する。 成績評価方法(総合) 期末試験、授業外レポート、プレゼンテーション 教科書 『大学で学ぶためのアカデミック・ジャパニーズ』、佐々木瑞枝他3名、The Japan Times、2003年 新聞記事 −61− 日本語上級Ⅳ:前・後期(赤木弥生) 授業の概要 テーマ別にさまざまな問題について話し合い、意見を出し合う。テープで聴解練習を 行う。さらに、本文を読み、その内容を理解する。読解では段落ごとに主題、副題を 読み取るreading strategyを用い、理解を深める。次に各テーマに関する語彙表現や文法 について学ぶ。 キーワード:リーディング・ストラテジー 意見の出し方 批判的思考 判断能力 授業の一般目標 基礎的な四技能「聞く・話す・読む・書く」を読解力に重点を置き、さらに伸ばす。 講義を理解し、試験、レポート、発表ができる口頭表現能力など日本語能力を総合的 に伸ばす。 授業の到達目標 知識・理解の観点: テーマごとの語彙表現、文法を理解する。高度な文法、表現、専門用語が理解できる。 自分の意見を文章にすることができる。。 思考・判断の観点: テーマについての内容を理解し、問題意識を持ち、自分の意見を表現することができ る。 関心・意欲の観点: 語彙表現、文法を積極的に応用する。 態度の観点: 授業に積極的に参加する。 技能・表現の観点: 大学での講義を理解し、答案やレポートを書くことができ、発表する表現力を持つ。 また、場面に応じた適切な表現を使うことができる判断能力を持つ。 授業計画【概要・授業の目標】 毎回、各テーマについて話し合い、テーマに関する情報、語彙、表現について確認す る。段落ごとに読み、段階的に理解を深めていくリーディング・ストラテジーの方法を 用いて本文を読み、内容理解を図る。本文の語彙表現について学び、表現力を伸ばす。 第1回 オリエンテーション〜授業についての説明 第1課 コロンブスの卵 2 第1課 コロンブスの卵 3 第2課 宇宙との出会い 4 第2課 宇宙との出会い 5 第3課 理想のエネルギー 原子力 6 第3課 理想のエネルギー 原子力 7 第4課 健康ブームの光と影 8 中間テスト 9 第5課 猫ばばと死刑 10 第5課 猫糞と死刑 11 第6課 神の手・人の手 12 第6課 神の手・人の手 13 リーディング練習1 グループに分かれて新聞記事を読み、各自が読んだ記事について解説する。 14 リーディング練習2 15 期末試験 ・ 面接試験 成績評価方法(総合) 出席 筆記試験 面接試験 メッセージ 講義を理解するためには、 「聞く、話す、読む、書く」を総合的に伸ばす必要がある。 このため、課題が多く、また要求も高くなるが、日本語の最終段階なのでがんばっ てやりましょう。 教科書 テーマ別上級から学ぶ日本語(研究社) 参考書 なめらか日本語 −62− 日本事情上級Ⅰ:前・後期(門脇 薫) 授業の概要 日本の文化や社会について、日本映画を視聴して観察したり考察したりします。また、 映画の台詞や使われている場面を視聴し、日本語の文法・表現についても学びます。 授業の一般目標 *日本文化・社会について観察し、自国の文化・社会及び他の受講生の国の文化・社 会と比較し、考察する。 *様々なテーマについて、日本語で自分の考えが述べられる。 *映画に出てくる自然な日本語を聞き、文法・表現・言葉についての知識を増やす。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 1 自然な日本語の表現、文法事項を習得する。 2 映画を視聴し、内容について説明できる。 思考・判断の観点: 1 習った日本語表現が適切に使える。 2 テーマの内容について自国比較しながら考察できる。 3 内容について、その背景について推測できる。 関心・意欲の観点: 1 テーマの内容に関して、日本・自国・他国の状況について関心を持つ。 2 授業で学んだことについて、日々の生活において考察できる。 態度の観点: 1 積極的に自分の意見が述べられる。 2 教師だけでなく、他の受講生からも学ぶ。 3 習った日本語の表現を教室内外で使用する。 4 授業で学んだことについて、日々の生活と関連づけて考察できる。 技能・表現の観点: 1 学んだ日本語の表現が適切に使える。 2 テーマの内容について日本語で自分の意見が述べられる。 授業計画【概要・授業の目標】 各映画について次のように進める。 *映画についての情報・その他背景知識について説明 *映画の場面をいくつか視聴: 内容理解、練習問題、その他の各種タスク問題 *テーマについてディスカッション *「書く」練習(主に宿題) *その他適宜課題を与える(宿題) 成績評価方法(総合) *文化・社会について知識を問うもの、日本語能力に関するものについてはテストを 行う。 *テーマに関することについては、授業での発表及びレポート提出。 教科書 *授業で、毎回タスクシートを配布します。 *『映画でジャパニーズ』南雲堂フェニックス 参考書 『日本事情ハンドブック』大修館書店 −63− 日本事情上級Ⅱ:前・後期(赤木弥生) 授業の概要 日本の風俗習慣、文化、社会、日本人の行動様式について理解を深める。現代の日本 の社会事情と自国の事情と対照させ、文化背景について考え、文化理解を図る。日本 の社会で自立して生活、勉強するための判断能力を養成する。また、山口県の固有の 文化や歴史について学ぶ。 キーワード:文化理解 相対的文化の見方 地球的視野 授業の一般目標 日本文化やお互いの文化理解を通して、文化背景について考え、理解を深める姿勢を 養う。基本的な文化生活習慣について学ぶ。また、地球社会の多様な文化を相対的な 文化の見方を見につけ、グローバルなコミュニケーション能力を培う。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 日本の社会、文化事情や日本人の行動様式に関する基本的な情報や知識を積み上げる。 思考・判断の観点: 日本文化の背景にある価値観、宗教観について知り、問題意識を持つ。ステレオタイ プ〔固定観念〕、自民族中心主義、文化の一般化などの偏見的見方を排斥し、グローバ ルな視点から、相対的に見なすことができる。 関心・意欲の観点: 日本文化や他の文化に関心を深める。関心のあるテーマについて調査、分析し、発表 する。 態度の観点: 自国の文化や風俗習慣について紹介し、お互いの情報を分かちあい、より深い文化理 解が可能となるように貢献する。 技能・表現の観点: 日本文化や他の文化を理解し、自国の事情や自分の意見を述べることができる。文化 背景を知り、文化理解を図り、文化を相対的に見ることができる。 その他: 「戦争の文化から平和の文化へ」という地球社会の転換期を認識し、グローバルな社会 形成について考える。 授業計画【概要・授業の目標】 毎回対話文でテーマに関する語彙表現を学び、本文で内容の理解を深める。また、ビ デオ教材のテーマについて話し合う。日本での生活や勉学を円滑に行うための基本的 な情報や注意点について学ぶ。また、文化や日本人の行動様式の背景について考え、 生活するための判断能力を養う。 第1回 2 3 4 5 6 7 オリエンテーション:講義について 日本人の行動様式 文学散歩 宇部市の歴史(常盤公園、炭鉱跡) 宇部市地理と歴史 地理〜日本、山口県の地理と歴史 年間行事 生活習慣の背景を知る。 日本の気候 日本の特徴的な気象現象 食生活① 課題:インタビュー(世界の食事情について) 8 食生活② インタビューに基づいての話し合い 9 家庭生活 ビデオ 10 文化体験プログラム 萩焼き 11 教育制度 12 日本人の宗教観 儒教文化圏 課題:レポート(テーマを選び、日本と自国について対照比較する) 13 レポート発表 質疑応答 14 期末試験・レポート提出 成績評価方法(総合) 出席 授業参加 課題 試験 レポート メッセージ グローバルな視点から日本の文化、お互いの文化について学びましょう。 教科書 日本事情入門・自主教材 −64− 常盤キャンパス 特別補講初級:前・後期(赤木弥生) 授業の概要 基礎的な語彙表現や文法を伸ばし、日本語での運用能力を培う。日本の生活や場面に 対応できる総合的な日本語能力を培う。 授業の一般目標 日常生活に必要な基礎的な四技能「聞く・話す・読む・書く」を総合的に伸ばす。日 本語でコミュニケーションを図り、日本での生活や大学生活が支障なく行えることの できる基礎文法、語彙表現を学び、聴解、口頭表現能力、読解力、作文力を伸ばす。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 基礎文法力をつける。 思考・判断の観点: 文法や表現の文化的違いについて考える力を養う。 関心・意欲の観点: 語彙表現、文法をピーキング、リスニングで伸ばす。 態度の観点: 活発に意見を述べたり、質問をしたりして授業に積極的に参加する。 技能・表現の観点: 大学や社会生活に必要な日本語での四技能を養成する。 授業計画【概要・授業の目標】 テキストを毎回1課ごと進み、ビデオや絵教材で運用能力を養う練習をする。 授業項目 授業内容 第1回 オリエンテーション〜講義の説明 自己紹介 2〜14 各課 15 筆記試験、面接試験 成績評価方法(総合) 出席 筆記試験 面接試験 課題提出 メッセージ 文法や語彙表現をさらに増やしていくためには、日々の積み重ねが大切です。がんば りましょう。 教科書 みんなの日本語Ⅰ・Ⅱ〔スリーエーネットワーク〕 −65− 常盤キャンパス 特別補講中級:前・後期(赤木弥生) 授業の概要 グラフや表のあるレポート、報告文、エッセイ、新聞記事などさまざまな文章スタイ ルにふれ、文化および科学の両分野における幅広いテーマに関する語彙表現や文法を 伸ばし、読解力、理解力を養う。いろいろな状況や場面に対応できる総合的な日本語 能力を培う。 キーワード: レポート エッセイ 会話表現 授業の一般目標 日常生活に必要な基礎的な四技能「聞く・話す・読む・書く」をさらに、さまざまな 状況に対応できるように総合的に伸ばす。日本語による講義、試験、レポートなどを こなすことができる文法、語彙表現を学び、聴解、口頭表現能力、読解力、作文力を 伸ばす。 授業の到達目標 知識・理解の観点: 科学、文化の両分野におけるテーマごとの語彙表現、文法力をつける。 思考・判断の観点: 科学、文化の両分野におけるテーマの内容を理解し、問題意識を持つ。 関心・意欲の観点: 語彙表現、文法を口頭や作文で応用する。 態度の観点: 活発に意見を述べた李、質問をしたりして授業に積極的に参加する。 技能・表現の観点: 日本語による講義を理解し、答案、レポート作成ができる四技能を身につける。描写 するための表現能力や意見を述べる能力を持つ。 授業計画【概要・授業の目標】 毎回異なるテーマについて話し合い、本文の文法や語彙表現について学ぶ。各テーマ について問題意識を持ち、意見を述べる練習をする。ライティングを通して、文法、 語彙表現、漢字を応用し、段落を作る作文の書き方を練習する。 授業項目 第1回 オリエンテーション〜講義の説明 2 第1課 文化と偏見 3 4 第1課 第3課 文化と偏見 「在外日本人」 5 6 7 8 9 10 第3課 第5課 第5課 第7課 第7課 第9課 「在外日本人」 洋服の色で知る今日のわたし 洋服の色で知る今日のわたし 乙女のバカこころ 乙女のバカこころ 李良枝からの電話 授業内容 自己紹介 文化についての話し合い 本文の内容理解 練習問題 女性についての話し合い 本文の内容理解 語彙表現、文法などの練習 心理についての話し合い 語彙表現、文法などの練習 文学についての話し合い 語彙表現、文法などの練習 アイデンティティーについての 話し合い 語彙表現、文法などの練習 11 第9課 李良枝からの電話 12 スピーキングおよびライティング練習 13 リーディング活動1 14 リーディング活動2 15 期末テスト 成績評価方法(総合) 出席 筆記試験 面接試験 課題提出 メッセージ 内容を理解するための文法や語彙表現をさらに増やしていくためには、日々の積み重 ねが大切です。がんばりましょう。 教科書 日本語中級J 501 〔スリーエーネットワーク〕 −66− 宇部キャンパス教務報告 地域日本語・日本事情時間割配布 2005年度宇部地区(工学部・医学部)における国際センター日本語・日本事情のコマ数が削 減され、学内での日本語の授業が少なくなった。このため、地域で行われている国際交流協会 主催日本語教室やボランティアによる日本語教室を曜日ごとの一覧表(工学部留学生担当係作 成)にし、随時到着する工学部、医学部の留学生に配布し、地域での日本語の受講を勧めた。 旧留学生センター設置以前、工学部での日本語の授業が開講されていなかったことから、地 域のボランティアが日本語教室の開催、個別指導を行うなど、さまざまなボランティア活動を 行っている。 受託研究員オリエンテーション 重慶理工学院の教員6名が受託研究員として4月から6ヶ月間、工学部で研修を受けた。中 国国内で英語(5名)または日本語(1名)の言語研修を受けてきているが、言語運用力に乏 しく、研究室でのコミュニケーションに困ったため、国際センター宇部室教員がスーパーバイ ズし、10日間のオリエンテーションを実施した。朱花(中国・博士2年)さんが講師を務めた。 このオリエンテーションで、6名はサバイバル日本語、日本、大学文化適応ための情報につい て学んだ。 工学部特別講義(工業日本語)補講 工業日本語補講を国際センター宇部室教員がスーパーバイズし、以下の通り実施した。マレ ーシア・ツィニング編入留学生(3名)、マレーシア政府派遣留学生(3名)合計6名の新2 年生が、工業日本語の授業の一貫として、レポートの書き方、レポートの日本語チェック、専 門科目の教科書の漢字の読み方について、重田講師(非常勤講師)の指導を受けた。 時間帯や内容は各留学生の希望に添って行う個別指導の形態をとり、作文の訂正などの指導 を留学生が希望していたため、主としてライティング指導を行ったが、大変好評であった。さ らにマレーシア人留学生の個別指導が実施できる時間数が必要である。 日時:12月8日 、15日 、22日 、1月12日 木曜日13時30分〜16時45分 *上記時間帯で都合の良い時間に来て指導を受けられます。 場所:国際センター宇部室 担当:重田先生 工学部特別講義(工業日本語)通年化 2005年度4月、工学部教務委員会(大林教務委員長)が、工学部内における大学院の日本 語・日本事情開講の検討を行うにあたり、国際センター日本語・日本事情現状について問い合 わせがあった。このため、国際センター宇部室担当教員は、過去のアンケート調査などを提供 すると同時に、工学部特別講義(工業日本語)を通年で開講することを提案、以下の理由書を 提出し、教務委員会で承認された。 −67− 工学部特別講義(工業日本語)通年化の必要性 1)予想される受講者数 ①学部留学生 2005年度入学学部留学生はマレーシア政府派遣4名(機械学科)のみで、2006年度学部留学 生の受講は4名となる。2005年度は私費留学生の入学はなかった。2006年度からはツィニン グプログラム終了にともない、編入生はない。 ②特別聴講生(交換学生) 2005年度韓国仁荷大1名(通年)、韓国群山大1名(後期)が留学している。 2006年度仁荷大からの交換学生は不確かだが、毎年1〜2名来ている。また、工学部協定校 群山大から5名来る予定と聞いている。群山大の交換学生は大学院入学予定とのことである が、現在、共通科目(日本語初級以外)と特別講義(工業日本語)全てを受講しても、4コ マしか受講するコマ数がない。韓国交換学生の場合は、日本語検定試験1級を目指した日本 語の習得をかなり大きな目標としている。今後交換学生の拡大に伴い、工学部でも中級レベ ルの日本語を拡大する必要性がさらに高まってくるものと考える。 例えば、学部交換学生、留学生のために、経済学部では留学生専門担当教員が8コマ前後、 教育学部では非常勤講師が5コマ前後を開講しており、留学生センター設置後も各学部の時 間数を増やすことはあっても、削減はしていない。 ③研究生、大学院生 2005年度大使館推薦国費留学生1名が国際センターにおいて大学院入学予定予備教育(日本 語集中コース)を後期受講している。2006年度前期から工学部研究生として修士課程入学を 目指すが、集中コース受講生は日本語の習得度がかなり高く、初中級レベルの日本語を継続 し学習する。そのほかの研究生、大学院生の入学は不明である。 2)日本語の2単位化 ①日本語の2単位化に伴い、共通教育の日本語履修が半減することになるため、日本語能力の 向上が不可欠な学部留学生にとっては、工学部の特別講義の履修が重要となる。しかし、後 期のみしか開講されない場合、受講できない留学生も多く、前期にも開講されれば、どちら かで履修することが可能となる。 ②2006年度国際センター日本語は4コマ開講されるが、共通教育を取り残していない限り、マ レーシア人学部留学生新2年生は工学部では受講の必要がないものと予想される。機械学科 のマレーシア人留学生は、日本語検定2級レベルの日本語で工学部に入学を許可されている ため、専門科目はもとより日本語指導もさらに必要であり、学業に支障が出ることも懸念さ れる。実際は特別講義1コマでも十分ではないが、少なくとも専門科目に関する漢字などの 基礎学習にはなる。 マレーシア政府派遣、ツィニング学部留学生については学科において十分な指導がなされて いると報告を受けているが、日本語能力が特に必要な学部留学生については、継続して指導 およびケアの充実を目指す必要があると考える。 −68− −69− 留学生・家族 在宇外国人 一般市民 留学生・家族 地域外国人児童 地域ボランティアグループ「こんにち輪」 (代表永山克明) 通年 地域ボランティア チューター 通年 地域ボランティア チューター 通年 留学生・家族 在宇外国人・ 市民 ・日本語特別補講中級 (3・4時限) 国際センター ・日本語特別補講初級 (5・6時限) センター 月 日本語クラス 対象者 留学生・家族用 山口県国際交流協会・宇部市国際課主催 日本語教室 (講師・アシスタント8名) 前期4月〜 後期 催 山大生 主 宇部地区 山口大学 日本語授業 前期 4月〜8月 後期 9月30日〜1月 2005年 水 注) 宇部留学生交流会月例 夕食会毎月第2火曜日 18:00〜 17:30〜18:30 宇部国際交流会館 西村美登里 日本語クラス 13:00〜15:30 宇部国際交流会館中溝 日本語クラス 初級Ⅰ、Ⅱ 18:00〜21:00 常盤工業会 2階 日本語クラス 初級Ⅲ 18:00〜21:00 工学部D33 日本語クラス 入門 18:00〜21:00 宇部国際交流会館 ・工業日本語(後期) 日本事情上級 (5・6時限) (3・4時限) センター 火 日本語クラス 中級 18:00〜21:00 宇部国際交流会館 日本文化体験 茶道教室(後期) 14:00〜15:00 日本語上級 (3・4時限) センター 木 日本語クラス 19:00〜21:00 交流会(第1金曜日) 19:00〜21:00 宇部市青少年会館 金 日本語クラス 11:00〜13:00 猿田市営住宅会合所 西村美登里 日本語クラス 10:00〜12:00 宇部市青少年会館 日 調査・宇部地区日本語 土 日本語プレースメントテスト(J-CAT) 今井 新悟 国際センターでは、コンピュータを用いた適応型日本語能力絶対的評価システムを開発中で ある。これをJ-CAT(Japanese Computerized Adaptive Test)と呼んでいるが、これは、インター ネットに接続しているコンピュータから、受験者各自のレベルに応じた難易度の問題が提示さ れ、それに解答することにより、レベル1から20レベルでの絶対評価を行うシステムである。 文字語彙、文法、読解、聴解の4セクションからなり、30分から45分で全セクションを終了す る。ペーパーテストよりもはるかに短い時間で判定がでることが特徴である。テスト終了と同 時に判定結果がセクションごとの成績ならびに総合成績で示される。 2005年度は第3バージョンをプレースメントテストとして用い、日本語・日本事情の受講者 に受験を義務付けた。この判定結果に従い、レベル1からレベル10を初級、レベル11から15を 中級、レベル16から20を上級のクラスの履修の基準とした。プレースメントテストのほかに、 日本語の授業を履修しない者も、実力判定のために多数受験した。2005年4月に116名、10月 に82名が受験した。大部分の者は学内2キャンパスの大規模コンピュータ室で受験した。渡日 が遅れるなど、なんらかの事情で指定日に受験できなかった者は、後日、国際センターのコン ピュータ室で個々に受験した。受験者個々にUser NameとPass Wordを発行して、受験者を識別 している。 レベルと日本語能力試験の級との対応は、レベル3が日本語能力試験4級合格相当、レベル 8が同3級合格相当、レベル13が同2級合格相当、レベル18が同1級合格相当となっている。 学部入学には、日本留学試験が課されているが、このうちの「日本語」科目の合格の基準ライ ンはおおむねレベル13に相当する。 J-CATの成績は次のページに示した。 −70− 成績は以下の通りであった。 J-CAT判定 2006年4月(人) 2006年10月(人) Level 1 1 2 Level 2 0 0 Level 3 6 2 Level 4 3 4 Level 5 1 2 小 計 11 10 Level 6 1 3 Level 7 4 1 Level 8 4 2 Level 9 6 3 Level 10 8 4 小 計 23 13 Level 11 11 8 Level 12 11 10 Level 13 4 1 Level 14 4 11 Level 15 10 8 小 計 40 38 Level 16 7 3 Level 17 7 6 Level 18 16 7 Level 19 9 2 Level 20 3 3 小 計 42 21 合 計 116 82 成績分布は中級を中心に正規分布に近い。上級と判定された者は概して日本語を受講しない。 よって、日本語の需要が最も高いのは中級レベルといえる。このことから、国際センターでは 中級の授業数を多めに設定するように配慮している。 −71− 2005年度 前期・後期大学院入学前 日本語予備教育コース実施報告 杉原 道子 1.受け入れ 2005年度前期には大使館推薦による国費外国人留学生(研究学生)4名、後期には1名を受 け入れることとなった。初級レベルの集中日本語講座が開講された。 2.目的 日本語を初めて学ぶ国費留学生が6ヵ月後、それぞれの分野における研究生活に対応できる 基礎的な日本語能力を獲得させる。日本語初級レベル(日本語能力試験4〜3級のシラバス) に含まれる、文法表現項目を学習し、それらを活用して「話す」表現力、「聞く」表現力、「読 む」理解力、さらに「書く」表現力の4技能をバランスよく身につけさせる。 前期大学院入学前日本語予備教育コース 1.コース日程 4月1日〜4日 受け入れ準備 チューターオリエンテーション 4月5日〜6日 出迎え 4月7日〜8日 諸手続き、市内観光 4月11日 大学院予備教育開講式 4月23日〜24日 新留学生研修会(萩青年の家) 5月14日 お茶会 7月23日 学習成果発表会 8月13日 花火大会 9月28日 終了式 新留学生オリエンテーション 2.対象者 国費留学生は以下の4名である。 名 前 国 籍 性別 受け入れ学部 専攻分野 指導教官 DISSANAYAKE HAMA LAKSIIA MUDIYANSELANG CHANDICA スリランカ 女 農学部 植物病理学 伊藤真一 RANASINGE MUDYYANSELAG SAIEEWANI BIMALUKA スリランカ 女 農学部 動物病理学 中尾俊彦 SU THANII LONG ベトナム 男 農学部 動物病理学 中尾俊彦 MKAM TCHOUOBIAP SERGE ERIC カメルーン 男 理学部 物理 増山博行 −72− 3.時間割 月 火 水 木 金 1・2 門脇 市川(日本事情) 道廣 杉原 今井 3・4 門脇 重田 道廣 杉原 今井 5・6 渡邊 重田 渡邊 道廣 道廣 4.コース担当者 コーディネーター 杉原道子 専任教員 渡邊淳一、今井信悟、門脇薫 非常勤講師 市川整、道廣由美子、重田美咲 5.コース・シラバス 平成17年4月12日から平成17年7月25日まで、週15コマの集中コースが開講された。市川先 生は日本事情を担当した。1・2コマ続きの授業は『みんなの日本語Ⅰ、Ⅱ』を一日一課のペ ースで行う。月・水・木・金の午後は復習を行い、3課ごとに復習テストを行なった。毎回5分 間の文字テストと文法テストが行われた。テストの結果や授業内容は日誌に記され、メイルで も授業の内容を担当した教員が他の教員に報告したため、学習者の習得状況などの情報を共有 することができ、クラス運営に有用であった。 6.教科書 『みんなの日本語Ⅰ・Ⅱ 本冊』(スリーエーネットワーク) 『みんなの日本語翻訳・文法解説』英語版(スリーエーネットワーク) 『かな入門』英語版 国際交流基金 『クラス活動集101』(スリーエーネットワーク) 『続クラス活動集131』(スリーエーネットワーク) 『BASIC KANJI BOOK VOL.1』 『標準問題集』(スリーエーネットワーク) 7.研修会・見学旅行 4月23日〜24日に新留学生研修会(萩青年の家)に参加した。まだ日本語が充分に分らない ために、通訳をつけた。大学生活や日常生活(ゴミの分別等)に必要な情報を得ることができ たばかりでなく、多くの他の留学生との交流を楽しんでいた。 また、歴史的な萩の町並みを楽しんでいたようである。 後期に行われた見学旅行(京都)にも参加した。 8.相談 コーディネーターの杉原がほぼ毎日のように相談に応じた。主な相談内容は既婚者が多かっ たために、家族を呼び寄せる際の手続き上の問題点や子供の教育問題が多かった。市役所への 相談、保育所探し等にかなりの時間を要した。 −73− また、食べ物が合わずに、体調を悪くしてしまう学生もいた。母国に残してきた家族の問題 などで心痛が重なり眠れなくなく学生もいたため、保健センターの先生にも大変お世話になっ た。 9.地域交流 5月にお茶会に招待され日本の家の様子も見ることができた。美しく生けられた生け花や書 を鑑賞させていただき、大変感激していた。多くの日本人と初めての交流であったが、臆せず 学習した日本語表現を一生懸命に使ってコミュニケーションを図っていた。 地域の運動会や餅つき大会などに子供づれで参加していた。家族で地域に溶け込もうと努力 していた。国際交流協会主催のイベントにも喜んで参加していた。 10.所感 4人の留学生が全員30代半ばであったため、大変落ち着いたクラスの雰囲気であった。しか し20代前半の学生と比べると、最初の1ヶ月ぐらいは、初めての日本語の勉強に苦労していた ようであるが、各自が自分の勉学のスタイルを持っているので、徐々に馴れていった。 週15コマで行ったが、毎日8:40から2:20までは体力的にきつかったようである。また、 それぞれの家族の手続や、銀行に行くための時間が必要であった。一日は午後の授業がない日 が必要であると思われた。 全員よく勉強し課題をこなしていた。最後に、学習成果発表会で15分程度のスピーチを行っ たが、Dさんはそのスピーチの中で文法的な誤りが1箇所も見られなかった。 今後の研究活動を行う上での、基礎固めはしっかりできたのではないかと思う。担当された 先生方のご努力の結果と思われる。 後期大学院入学前日本語予備教育コース 1.コース日程 10月1日〜4日 受け入れ準備 10月4日 出迎え 10月5日〜6日 諸手続き、市内観光 10月10日 お茶会(野点) 10月11日 新留学生オリエンテーション 10月12日 大学院予備教育開講式 10月12日 文化体験 10月29〜30日 新留学生研修会(国立徳地少年自然の家) 11月10日 文化体験 12月17日〜18日 京都見学旅行 2月18日 外国人留学生交流バスツアー(大宰府天満宮 2月21日 学習成果発表会(スピーチ) 3月27・28日 ホームステイ 3月22日 終了式 チューターオリエンテーション 華道教室開始(全7回) 書道教室開始(全10回) −74− 九州国立博物館) 2.対象者 国費留学生は以下の1名である。 名 前 国 ABDOLLAHI HOSNIJIEH AMIR 籍 性別 受け入れ学部 イラン 男 専攻分野 機械システム 江 工学 工学部 指導教官 鐘偉 対象者が1名のため、大学院の国費留学生等4名が学内から選出され、クラスへの参加が認 められた。 3.時間割 月 火 水 木 金 1・2 門脇 道廣 道廣 杉原 今井 3・4 門脇 道廣 道廣 杉原 今井 5・6 渡邊 市川(日本事情) 渡邊 4.コース担当者 コーディネーター 杉原道子 専任教員 渡邊淳一、今井信悟、門脇薫 非常勤講師 市川整、道廣由美子 5.コース・シラバス 平成17年10月12日から平成18年2月22日まで、週13コマの集中コースが開講された。市川先 生は日本事情を担当した。1.2コマ続きの授業は『みんなの日本語Ⅰ、Ⅱ』を一日一課のペ ースで行う。月・木の渡邊先生の授業では、応用力を養成するための授業が行われた。火曜日 は4課ごとに復習テストを行なった。毎回5分間の文字テストと文法テストも実施した。テス トの結果や授業内容は日誌に記され、担当した教員がメイルでも授業の内容を他の教員に報告 したため、学習者の習得状況などの情報を共有することができ、クラス運営に有用であった。 6.教科書 『みんなの日本語Ⅰ・Ⅱ 本冊』(スリーエーネットワーク) 『みんなの日本語翻訳・文法解説』英語版(スリーエーネットワーク) 『かな入門』英語版 国際交流基金 『クラス活動集101』(スリーエーネットワーク) 『続クラス活動集131』(スリーエーネットワーク) 『BASIC KANJI BOOK VOL.1』 『標準問題集』(スリーエーネットワーク) −75− 7.研修会・見学旅行 10月23日〜24日に新留学生研修会(国立徳地少年自然の家)に参加した。まだ日本語が充分 に分らないために、通訳をつけた。大学生活や日常生活(ゴミの分別等)に必要な情報を得る ことができたばかりでなく、豊かな自然環境の中で、多くの他の留学生との交流を楽しんでい た。 見学旅行(京都)や外国人留学生交流バスツアーにも参加し、日本事情のいい体験学習がで きたようである。 8.相談 知識欲が旺盛で、大変意欲的に勉学に励んでいた。学習上のアドバイスを求める相談が主な ものであった。授業で使用しなかった教科書にも関心を持ち、自分で学習していた。 9.文化体験プログラム 週一回の華道と書道のクラスを楽しみにしていた。書道では年賀状作りをしたり、大きな紙 にいろいろな文字を書いていた。生け花はいつもデジカメに取り、メイルで家族に送っていた。 10.学外で行われたお茶会(野点)を体験したり、池坊の華展にも出展したり、地域交流プロ グラムにも積極的に参加した。 11.所感 頭脳明晰で、何にでも果敢に取り組んでいた。日本文化にも深い興味を示した。国際人とし ての活躍を期待したい。 −76− 日韓共同理工系学部留学生プログラム 門脇 薫 国際センターでは、今まで2002年1名、2003年3名、2004年2名の日本での予備教育対象者 を受け入れてきたが、2005年度の第6期生の受け入れ数は残念ながら0名であった。 本プログラムには、全国の大学の担当者(センター、学部、事務組織からなる)によるメー リングリストで情報交換がされており、また年に1度協議会が開催されている。 以下に筆者が参加した協議会について報告する。 2005年度日韓共同理工系学部留学生事業協議会参加報告 日時:2005年7月22日 場所:広島大学 〈研究協議内容〉 ① 日韓共同理工系学部留学生第7期生の選抜 文部科学省学生支援課国費留学生係長 * 小野寺多映子氏 筆記試験500名受験し、合格した150名に対し面接試験を行い最終的に100名を選抜。 2007年度以降、増員を予定している。 * 説明会、希望大学決定、最終合格者の決定等のスケジュールが昨年より早くなっている。 * 各大学への配置は、多いところと少ないところの2極化が進んでいるようだが、本人の 意向により決定している。 ② 広島大学留学生センターにおける本事業の5年間の取り組み * 専門科目については、学生の専攻に合わせて履修できるようにしたので毎年異なる 例)生物科目と科学科目を選択にする (詳細は資料参照) ③ 第6期生の予備教育について * 韓国 キョンヒ大学国際教育院 金氏、酒匂氏 担当教員と学生の面談を多くし、生活面についての指導もするようにした。両親との面 談も行なうようにした。 * 過去6年間、日本語の総時間数は年度によって異なっているが、6期生の場合には日本 語総時間を昨年度373.5時間から463.5時間に増やした。 ④ テーマ別討論 時間があまりなかったので、全体で問題となっている点についてお互い意見交換をするとい う形式であった。 * 毎年問題になるのが、兵役問題である。韓国内の学生と同様に学部2年生終了時点で休 学できその後奨学金ももらえるようなシステムつくりが必要。 * 今年の3月第1期生が卒業した。卒業後の進路については大学院に進むという人が多い が、奨学金がもらえるかどうか不安に感じている。また、韓国で就職したい人の就職活 動支援も必要である。 * 今年度の日韓推進フェアについては広島大学が韓国側と現在調整中。(難航している) −77− 以上であるが、③の韓国側の説明が逐次通訳を通して行なわれたためかなり時間がかあり、 ④のテーマ別討論のための十分な時間がなかったのが残念であった。 −78− 日本文化体験プログラム 吉田キャンパス 杉原 道子 2005年度後期に、山口キャンパスでは華道と茶道の文化体験プログラムを実施した。留学生 のための行事であるが、希望する一般学生にも門戸を広げ、お互いに交流しながら日本文化へ の理解を深めることができた。 華道のプログラムと書道のプログラム内容と参加した留学生の感想を下記に記す。 華 道 教 室 日 時:平成17年度10月12日〜平成18年度1月18日(7回) 場 所:国際センター会議室 時 間:水曜日16:00〜17:30 講 師:池坊 竹重しげの 参加人数:20名(一般学生数名) 参 加 費:500円(お花代) 1 10月12日 生け花について 2 10月19日 自由花 3 10月26日 生花 二種生け又は三種生け 4 11月9日 生花 二種生け又は三種生け 5 11月30日 自由花 6 12月7日 生花 7 1月18日 生花 自由花 華道教室には17名の留学生と一般学生5名、計22名が参加した 華道は池坊の竹重しげの先生にご指導を頂き、毎週水曜日(計7回)に行われた。参加した 留学生呉さん(中国・東アジア研究科)の声を紹介する。 「花を生ける者は、失敗するものを決して捨て去りはしない。失敗者の嘆く姿は、花が風雨 に打たれる姿にも似ているからである。一輪の花、一本の枝を手にとっていろいろの方向から 眺めると、角度によって感じが異なることに気がつきます。花や枝はさまざまな表情をもって、 われわれに語りかけているようです。わたしは『いけばな』の知識やテクニック追い求めるの ではなく、その美しい自然の姿への理解を深め、人を『思いやる心』をも、養っていけるよう に努力していきたいと思います。いつも丁寧に教えてくださる恩師である華道家池坊山口西京 支部長竹重しげの先生に心からの感謝の意を表します」 書 道 教 室 日 時:平成17年度11月10日〜平成18年度1月26日 場 所:国際センター会議室 講 師:井上和恵 −79− 時 間:木曜日16:00〜17:30 参加人数:15名程度 参 加 費:無料 1 11月10日 ひらがな1 2 11月17日 ひらがな2 3 11月24日 ひらがな3 4 12月1日 漢字(かんじ)1 5 12月8日 漢字(かんじ)2 6 12月15日 漢字(かんじ)3・年賀状(ねんがじょう) 7 12月22日 漢字かなまじり書・年賀状(ねんがじょう) 8 1月12日 応用(おうよう)・作品作り(さくひんづくり) 9 1月19日 応用(おうよう)・作品作り(さくひんづくり) 10 1月26日 応用(おうよう)・作品作り(さくひんづくり) 書道教室には15名の留学生と一般学生3名、計18名が参加した 書道は井上和恵先生にご指導頂き、毎週木曜日(計10回)に行われ、18名が参加した。 アミルさん(イラン・大学院予備教育)の留学生は「いろいろな書き方を習いました。大きな 紙に漢字やひらがなを書いて楽しかった。ねんがじょう作りは本当におもしろかった」と目を 輝かせて語っていた。 また、11月に行われた3校交流では華道と茶道の体験学習を実施した。 1.活動のねらい及び期待される効果 〈ねらい〉 華道・茶道を体験し、日本の伝統文化を知る。 〈期待される効果〉 華道・茶道の体験学習を通して、日本の伝統文化に対して興味や関心を持つ。 2.日時・場所 14:00〜15:30 日 時:11月16日 場 所:和室・準備室・会議室・セミナー室・(大学会館) 3.活動内容・スケジュール 〈参加者〉 訪問団12名 講師4名 茶道指導者 裏千家 山口大学生6名 教員1名 計23名 〈プログラム〉 14:00〜14:50 山口市部 ・作法について ・お手前を拝見する ・お茶をいただく −80− 柿塚宗江・柳 美津子先生 14:50〜17:30 華道指導者 池坊西京支部長 竹重しげの・坂辻初枝先生 ・華道についての説明 ・生け方のデモンストレーション ・各自が水盤に花を生ける 4.所感と今後の課題 はじめに全体のプログラムについて説明し、その後和室に移動し全員で茶道を45分間体験し た。先生の説明を中国語と韓国語の通訳の学生は一生懸命に訳していたが、かなりむずかしそ うであった。全員お手前をいただくことができた。中国・韓国の学生は自国の茶道と比較をし ながら、いろいろな質問をしていた。かわいらしいお干菓子にも興味を示していた。飲み方の 作法を教えていただき、真剣な顔つきで、真似をしていた姿が印象的であった。茶道の後、全 員でセミナー室に移動し、華道についての説明を伺い、先生のデモンストレーションを見なが ら、花の名前やはさみの入れ方、花の向きなどを教えていただいた。 全員顔をほころばせながら用意された花を花器に生けた。先生の生け花に一歩でも近づきた いと願い、細かいところまで熱心に観察していた学生とかなり自由に生け花を楽しんでいた学 生がいた。全員大喜びで各自の作品を記念にデジカメに収めていた。二つの文化体験は学生に とって、生涯のいい思い出になると思われる。 この活動は地域の先生方のご協力によるところが大きい。大学の行事を地域の方々にも支援 していただき、より充実したプログラムを組むことができたことに、心からの感謝の意を表し たい。 また、送別会では交流学生は持ち帰ることが出来ないお花を花束にしてホストファミィリー に差し上げ、何度も何度も出会いを喜び、感謝の言葉を述べ、記念写真を撮っていた。 〈今後の課題〉 1回きりの体験で茶道を理解することは到底無理であるが、各自が床の間拝見やお茶を立て てみる時間があると良いと思いました。特に茶道ではゆったりした気持ちで体験できるように する必要がある。茶道・華道ともに1時間半ぐらいの活動時間を取る必要がある。 次に文化体験を指導してくださった先生方の手記を紹介したい。 日本文化の五百年有余年の歴史を持つ生け花を体験していただきましたが、皆様の感想は如 何でしたでしょうか。長い歴史、また伝統のある生け花を45分間で体験していただくことは 少々無理とは思っていますが、楽しく体験していただけましたら幸甚に思います。時間が許さ れることなら、「生け花の歴史」「日本行事を生け花」「花の心」等々説明できたのではないかと思 っています。 日本の生け花も世界にはばたいて居ります今日この頃です。この様な機会を設けていただき ました事感謝いたします。 (華道家元池坊 竹重しげの) 風花の候 十一月は茶人の正月とも申しまして開炉の時期でもあります。この様な機会にお話を頂戴い たしまして、得難い学びの場として参加させていただきました。席入りし、床の間の掛け物と −81− 茶道具を拝見し、定座につきます。客と亭主との挨拶がお茶会の始まりですが、説明不足で、 学ぶ機会をいただきながら、それに気づかず通り過ぎたような気がいたします。 伝統文化の奥深さを体験していただき、一 を味わっていただきました。亭主と客が心寄せ 合い、時のながれや情景にひたりながら、お茶会を終わります。言葉の違いはありますが、少 しは楽しんでいただけたのか不安でしたが、何点かの質問があった時点でホットいたしました。 これからの日本文化を紹介できればと夢をふくらませております。 一期一会に感謝し、交流を深める良い機会が学生さんたちと出来たこと、そしてふれあいを 持ちながらのお手伝いをしてくださった学生さん達は私の宝物として心身をゆたかにしてくれ ました。これからも精進し、文化を育てる心を培って生きたいと思います。関係者の皆様方に はお世話になりました。ありがとうございます。 (裏千家山口市部 柿塚 宗江) 学生の感想を以下紹介する。 *華道と茶道をやってみたかった。本当に有益だった。 (公州大学) *一番日本的な面を感じることができた。この様な機会が更にあったらよい。 (公州大学) *日本の伝統文化について少しわかった。時間がもっと長ければよかった。 (山東大学) *初めて日本の伝統文化に触れた。忘れられない体験だ。 (山東大学) *みんな楽しんでいて良かった。これは本当に大好評でした。特に生け花が良かったようです。 生け花を送別会に出すなど、アイデアも最高でした。 (山大一般学生) *茶道・華道を通して日本文化の一部分について理解できた。茶道・華道の先生が一生懸命に説 明してくださり、感動した。 (山大留学生) *すごくよかった。茶道と華道は日本文化の代表だと思います。楽しかった。 (山大留学生) 宇部キャンパス 赤木 弥生 2005年度宇部地区文化体験プログラム茶道教室を常盤工業会和室で後期13回実施した。留学 生、一般学生18名が受講し、和室での立ち振る舞い、抹茶の頂き方や点て方などの稽古を体験 し、禅の教えに基づいた掛け軸の書について毎回講義を受け、日本文化への理解を深めた。茶 道を体験できる貴重な機会となったと留学生には大変好評で、次年度も継続してほしいとの要 望があるため、平成18年度も実施を計画している。 日 時:10月20日 〜平成18年2月9日 全13回 午後2時30分〜4時30分 講 師:裏千家茶道淡交会宇部支部幹事長 留学生受講数:17名 田中美智子講師 一般学生受講数:1名 −82− 合計:18名 受講生 受講生(身分別) 人数 受講生 人数 国別 受講生数 学部留学生 1 受託研究員 3 中国 11 交換学生 (仁荷大・群山大) 2 交換教員(山東大) 1 韓国 3 日 修 士 3 研究者 1 タイ 3 博 士 3 一般学生 1 日本 1 研究生 3 計 12 18 合計 18 合 計 程 当初、後期10回を予定していたが、留学生からの希望があり、3回延長し、全13回実施した。 回 日 1 10月20日 木 開講式・オリエンテーション 「喫茶去」(お茶を飲みましょう) 2 10月27日 木 和室の歩き方、軸、茶花の拝見 実習:お茶の点て方、頂き方 3 11月10日 木 茶道具の名称 実習:お手前、お運びの練習 4 11月17日 木 お軸の読み方と意味 実習:お手前の練習 5 11月24日 木 茶の歴史〜利休、「和敬静寂」(茶の心) 実習:お手前の練習 お茶の頂き方 6 12月1日 木 茶人の正月(11月) 実習:お手前の練習 7 12月8日 木 茶座 実習:お手前の練習 8 12月15日 木 歳末茶会(亭主と客) 9 1月12日 木 茶庭 実習:お手前の練習 10 1月19日 木 茶道点前実習 11 1月26日 木 茶道点前実習 12 2月2日 木 茶道点前実習 13 2月9日 木 修了茶会 経 時 曜日 内 容 節分祭 費 教育後援財団からの助成を受け、以下の茶道道具の一部を購入することができた。 学校用茶道セット(袱紗・楊枝・扇子・懐紙) 10セット 20,000円 抹茶茶碗 10個 10,000円 茶せん 10本 20,000円 −83− 抹茶(消耗品) 2缶 2,000円 *建水 10個 山本芳香園寄贈 課外活動 裏千家淡交会宇部支部主催学校茶道に5名が参加し、お茶のお運びなどを実践した。 留学生の感想 学んだ点 ・伝統的な日本文化の美の世界を味わうことができ大変よかった。和室での立ち振る舞いを 学び、日本女性の落ち着きが少しは身についたのではないかと思う。茶道でリラックスで きる精神的な部分が理解できるようになったし、茶道が少しでもできるようになった自分 が誇らしい。中国や別の国へ行っても、日本に滞在した成果として紹介できると思う。 (中国) ・知識としてだけの日本文化を実際体験してみると、さらによく理解できた。先生方から熱 心に指導してもらったので、お茶を点てることができるようになった。和室で毎回体験で きたこともいい経験となった。最初は正座するにも足が痛かったが、少しずつ慣れてきた。 今後も継続してもらいたい。 (韓国) おわりに 学部留学生、交換学生、大学院生に加え、中国の大学教員である受託研究員も参加し、茶道 を体験した。日ごろ交流する機会のない留学生や研究員が一緒に茶道を学び、日本文化につい て話し合うことができ、留学生同士の交流も深められた。 学部留学生の中にも受講を希望している学生が多いが、専門の授業と重なっているため、今 回受講できなかった。前期、後期と通年で開講していくことで、受講できる機会を増やしてい けるのではないかと考える。 −84− 新留学生研修会 赤木 前 弥生 期 恒例の「新留学生研修会」が4月23日 ・24日 の1泊2日、萩青年の家で実施された。研 修会は、新留学生が山口大学や山口になるべく早く適応でき、勉学、研究が支障なく行えるよ うに国際センターが毎年4月と10月の2回実施しているものである。 研修会では、入管手続き、先輩留学生のアドバイス、ゴミ分別指導、交通指導などの基本情 報やスポーツ、インターナショナル・ナイトでの友だち作り、地域の文化学習など多彩なプロ グラムで構成している。 平成17年度4月入学した留学生は69名(学部生12名・研究生15名・修士12名・博士9名・交 換学生17名・大学院予備教育4名)で、このうち44名が研修会に参加した。この中で韓国とオ ーストラリアからの交換留学生数が最も多かった。1年間という短い間に日本語や専門を学ぶ 交換学生にとっても研修会は不可欠なものとなっている。 2日目の研修会終了後、萩市内をグループで散策し、日本の歴史や文化について学んだ。留 学生は、歴史的な町並みや日本海の美しさに感動し、山口への愛着が増したようだった。 参加した留学生のアンケートには「言語のバリアを超えて友だち作りができた」「文化の違 いが理解でき、適応するために役立つ」「日本で生活するための基本知識が学べた」「先輩留学 生のアドバイスに感動した」「サポートしてくれた一般学生に感謝する」などの高い評価の感 想が数多く寄せられた。 1 日 時 2005年4月23日 2 場 所 山口県萩青年の家 3 参 加 者 新留学生44名、先輩留学生5名・一般学生10名・教職員12名 4 プログラム 留学生課および国際センターからの情報、交通指導(自転車の反射鏡、交通 〜24日 合計71名 ルールパンフ配布)、ゴミ分別、スポーツ、インターナショナルナイト、萩 歴史散歩 5 事前準備 留学生課および国際センターでは、パワーポイントを作成し、視覚的に情報が得られる ように配慮した。また、日本語の分からない留学生のために、英語の訳もつけ、好評であ った。また、研修会のしおりを作成し配布した。 6 前期アンケート結果 ・2005年4月24日実施 回答者合計 41名 ・複数回答 −85− 1.研修会で役立ったプログラム 項 目 計 先輩留学生のアドバイス 26 ゴミ分別 21 交通ルール 5 大学オリエンテーション 3 全部 2 大学紹介ビデオ 1 2.もっと聞きたかった情報 項 目 計 先輩留学生のアドバイス 3 学校生活・行事・クラブ活動 3 ホームステイ 3 山口周辺の文化的、歴史的な場所 2 アルバイト・経済的なこと 2 留学生会ユーサのプログラム 2 交流プログラム・各国文化交流 2 宇部キャンパスの活動 1 プログラムを英語で聞きたい 1 交通指導 1 国際センターサービス 1 ボランティアについて 1 大学院入試について 1 日本語学習について 1 3.研修会で楽しかったプログラム 項 目 計 スポーツ 16 インターナショナルナイト 15 歴史散歩 12 3 全部 4.研修会でもっとやりたかったプログラム 項 目 計 スポーツ 13 文化体験 12 ゲーム 10 自由時間 2 歴史散歩 1 −86− 1.プログラムについてコメント ゴミ分別・交通ルール・先輩留学生のアドバイスは最低限知っておく必要がある。 歴史散歩は、文化の違いが分かり、環境に適応するのによい。 先輩の話に感動した。 2.感想 とても暖かく家にいるような気分だった。先生、先輩、みんなとても友好的。日本 に関する知識が学べた。 いろいろ知らないことが分かってよかった。他の留学生と一緒に食べ、寝、遊んで 楽しかった。時間が十分でなかったので多くの人と話せなくて残念だった。 本当にいい機会だった。もう一度このような機会があれば参加したい。 留学生として初めてこのような研修に参加して本当に有益だった。 多文化など少し体験できてよかった。これからも留学生との集まりの機会が多かっ たらよい。 先生、学生と知り合えてよかった。 韓国、中国、ガボンなどさまざまな国について学ぶことができよかった。 雰囲気がよかった。 他の国々からの友達ができることは楽しい。 プログラム構成もよく、おもしろかった。ただ、パワーポイントも英語で書いてほ しい。 日本語も練習できてよかった。プログラムはよく計画され、情報量も十分だったが、 ことばの壁があり、退屈で取り残されたと感じた。英語での詳細な翻訳が必要であ る。 説明がちょっと長すぎた。この研修会はもっと早くあればいいと思う。 スケジュール(前期) 4月23日 23rd(Sat)of April 8:50 宇部出発 Departure from Ube 9:25 吉田出発 Departure from Yoshida 10:50 萩到着 Arrival at Hagi City 11:00 萩青年の家 Hagi Youth House 11:10〜11:30 入所説明 Orientation about the center 11:30〜12:00 開講式 Opening speech 宮崎国際センター長 主事・スタッフ紹介 Staff 12:00〜13:00 昼食 Lunch 13:00〜14:00 山口大学オリエンテーション Orientation 日本語・日本事情の授業について Japanese Courses 渡辺教授 入管手続き・資格外活動などについて Immigration/others 留学生課 −87− 学生相談・カウンセリング Counseling & Advice その他 Other information 14:00〜14:10 休憩 Break 14:10〜14:40 ゴミ分別の仕方 14:40〜14:50 休憩 Break 14:50〜15:20 交通指導 Traffic Rules 15:30〜17:00 スポーツ Sports 17:30〜18:40 夕食 Dinner 19:00〜21:00 International Night 21:00〜22:20 入浴 Bath&Shower 22:30 就寝 Bed time 4月24日 24th(Sun)of April 7:00 起床 Wake up time 7:30 部屋の清掃 Cleaning the rooms 8:00〜9:00 朝食 Breakfast Garbage 山口市環境部保全課 古谷室長 宿舎点検・荷物の移動(1F和室) 9:00 連絡・アンケート記入依頼 Questionnaire 9:10〜9:30 山口大学紹介 About Yamaguchi University 9:40˜10:40 先輩学生によるパネルディスカッション Panel Discussion 〜留学生生活をおくるための方法〜 Senior students advice for the better campus life 10:50〜11:20 グループ・ディスカッション Questions & Answers by groups 11:30〜11:50 歴史散歩オリエンテーション Orientation for a walk 11:50〜12:00 閉講式 Closing Speech 12:00〜13:00 昼食 Lunch 13:10〜13:20 退所式 Farewell Ceremony 13:20〜15:00 歴史散歩 Walk to the historical places by groups 15:10 出発 Leave for Yamaguchi & Ube 16:10 吉田キャンパス Arrival at Yoshida 16:40 宇部キャンパス Arrival at Ube 後 期 後期入学新留学生対象に新留学生研修会が10月28日 29日 の1泊2日、徳地少年自然の家 で実施された。到着後先ず、比嘉小夜留学カウンセラーが「異文化適応ステップ」についての 説明を行い、その後、ペアを協力して一本の割り箸を指で持ち、息を合わせて歩く友だち作り のワークを行った。この楽しい活動を通して国やことばの異なる留学生もすぐ打ち解けること ができた。 オリエンテーションでは、留学生課の入管手続き、国際センターの日本語、センター行事、 −88− 地域交流事業などを説明後、「ゴミ分別の仕方」(山口市環境保全課減量推進室古谷室長)、「交 通指導」(山口県警察本部交通部交通企画課植田警部)が行われた。交通指導では自転車の乗 り方や留学生が必要な基本的な交通規則などが、パワーポイントや実際の標識を使って分かり やすく説明された。講義終了後、ダミーの人形を使っての交通事故の衝撃実験も行われ、交通 事故の恐ろしさを実感した。このように地域行政の協力を得て、充実したオリエンテーション を実施することができ、留学生から大変好評であった。 徳地少年自然の家でのオリエンテーション終了後は、徳地町にある重源の里をグループで散 策し、日本家屋、和紙作り、竹細工などの伝統文化、棚田などの農業や農村社会とその歴史に ついて学んだ。研修施設内だけの研修にとどまるのではなく、山口の歴史的な場所を訪問する ことによって、実際に、山口の地域社会・文化および自然を目にし、触れ、体験することがで き、山口についての知識を増やし、山口に親しみを持つことができたようだった。 1 日 時 2005年10月29日 30日 2 場 所 国立山口徳地少年自然の家 3 参 加 者 1泊2日 新留学生(31名)、交流ボランティア(一般学生・5名)、先輩留学生(2名)、 教職員(13名)合計51名 4 プログラム 留学生課および国際センターからの情報、交通指導、ゴミ分別、スポーツ、 インターナショナルナイト、重源の里散歩 5 事前準備 ・留学生課および国際センターでは、パワーポイントを更新した。 ・研修会しおりを作成した。 ・一般学生の交流ボランティアを募集した。 6 後期アンケート結果 ・2005年10月30日実施 回答者合計 32名 ・複数回答 1.研修会で役立ったプログラム 項 目 計 11 交通ルール 先輩留学生のアドバイス 8 ゴミ分別 6 大学オリエンテーション 5 全部 6 2.もっと聞きたかった情報 項 目 計 アルバイト 3 生活に関する情報 3 日本語学習 2 山口について 2 行事・交流プログラムなど 1 −89− 項 目 計 交通ルール 1 チューター 1 プログラムを英語で聞きたい 1 大学院入試について 1 病院について 1 スポーツクラブ活動について 1 3.研修会で楽しかったプログラム 項 目 計 インターナショナルナイト 13 スポーツ 10 全部 2 重源の里訪問 1 3.研修会でもっとやりたかったプログラム 項 目 計 文化体験 15 スポーツ 10 5 ゲーム 1.プログラムについてコメント 交通ルールについて詳しく聞け、交通安全に留意して生活しようと思う。 インターナショナルナイトでは、様々な国と文化について学ぶよい機会になった。 友達を作ることができ、自己表現もできた。 2.感想 とても役立った。日本人学生、他の留学生の交流の機会、有益な情報も得られた。 ことばの壁を乗り越えて交流できた。また、日本文化、生活について理解できた。 このような行事はとてもよい。参加できてうれしい。 日本語の勉強になった。 研修場所も緑が多くきれいな場所でよかった。食事もおいしかった。 いろいろなスポーツができたらいい。 日本人学生がもっと参加していたらよかった。 夜遅くまで話している人がいてうるさかった。事前に注意が必要。 −90− スケジュール(後期) 10月29日 Oct. 29(Sat) 9:00 宇部出発 Departure from Ube 9:50 吉田出発 Departure from Yoshida 11:00 徳地到着 Arrival at Tokuji 11:10 入所説明 Orientation about the hostel 開講式 Opening speech 国際センター長 プログラム紹介 Schedule 赤木 友だちの輪(自己紹介) Ice break activity 12:00〜13:00 昼食 13:00〜14:00 山口大学オリエンテーション 比嘉カウンセラー Lunch Orientation about the university 日本語・日本事情の授業についてJapanese courses 渡辺 入管手続き・資格外活動などについて Immigration/others ホームページ・メーリングアドレス Homepage 高藤係長 今井 学生指導相談 Advice & Support センター行事・地域交流 Events & Activities 山口大学紹介(ビデオ) Yamaguchi University 14:10〜14:40 ゴミ分別の仕方 Garbage 14:50〜15:30 交通指導 山口県警察本部交通部交通企画課 15:40〜17:30 ディスクゴルフ Traffic Rules 杉原・赤木 杉原 赤木 山口市環境部保全課 Sports by groups グループ (雨天の場合:先輩学生によるパネルディスカッション) 17:40〜18:40 夕食 19:00〜20:40 International Night Performances by groups 20:40〜21:30 入浴 Bath 22:00 就寝 Bed time 10月30日 Dinner Oct. 30(Sun) 7:00 起床 Wake up time 7:30 部屋の清掃 Cleaning the rooms 8:00〜9:00 朝食 Breakfast 宿舎点検・荷物の移動(つどいの広場) 9:00 連絡・アンケート記入依頼 Feedback 9:10〜9:50 先輩学生によるパネルディスカッション Panel Discussion 〜留学生生活をおくるための方法・Part 1〜 Senior students advice for the better campus life 10:00〜10:50 グループ・ディスカッション Group Discussion 〜留学生生活をおくるための方法・Part 2〜 −91− 古谷室長 11:00〜11:30 グループ発表(各グループの方策を紹介する) Group Presentation 11:30〜12:00 閉講式 Closing 閉講のあいさつ 宮崎国際センター長 退所式 記念写真 Group photo 12:00 昼食 Lunch 13:00 出発 Departure 13:20〜14:50 重源の里(徳地町)散策 Visit Chogen-no-Sato Village 15:00 出発 16:00 吉田キャンパス Arrival at Yoshida 17:00 宇部キャンパス Arrival at Ube Departure おわりに バラエティーに富んだ内容を2日間に収めなくてはならないため、いかにひとつひとつの項 目をコンパクトで、しかも分かりやすく伝えるかが研修会プログラムの課題である。このため、 自由時間やスポーツの時間が少なくなってしまう。しかし、全学の新留学生が一同に会し、英 語や中国など自国のことばでおもいきり話し交流を図ることができ、問題や悩みが生じやすい 異文化の中での友達作りや情報ネットワーク作りのできる研修会は留学生にとって有意義な会 となっている また、留学生が山口の地域社会における文化、歴史、自然に触れ、文化体験する機会を提供 し、山口に愛着を抱き、山口に来てよかった、山口大学で勉強できてよかったという気持ちを 留学生が持つことができればと考える。 国際交流ボランティア募集要項 日 時:2005年場所:徳地少年自然の家 参加留学生:2005年10月入学新留学生40名(予定) 先輩留学生5名・国際センター教職員11名 留学生交流ボランティア(吉田3名、宇部2名) 参 加 費:無料 参加申込先:国際センター赤木までメールでお願いします。 申し込み締切日:10月13日 説明会当日 *申し込み・連絡は、携帯電話のメールからで結構です。 学科・学年・氏名・携帯電話(連絡用)を明記してください。この個人情報は新留学生研修 会の目的だけに用います。他用する場合は事前に許可を得ます。 *人数が多い場合は、抽選とします。 抽選の場合は、説明会当日、国際センターで行います。出席できない場合は、申し込み資格 −92− を失います。参加決定者は、日程確認などの事前説明を行います。 *説明会参加者のみ申込みできます。以下の日程、活動内容を理解した上で、申し込んでくだ さい。 留学生交流ボランティア参加趣旨 国際センターでは、新しく入学する留学生が山口大学および山口の地域社会に適応し、勉学 や生活がスムーズに行えるようにオリエンテーションを実施している。このオリエンテーショ ンに一緒に参加し、研修施設において留学生と生活を共にしながら、多様な国からの留学生と 交流を深め、留学生の国や文化について学ぶ機会を得、国際性を培う場を希望する一般学生に 提供するものである。 研修日程および活動内容 ・グループ(教職員・新留学生・先輩留学生・国際交流ボランティア)ごとに食事、ディスク ゴルフ、インターナショナルナイト、重源の里散策を行う。ボランティアは留学生と一緒に 食事、スポーツ、文化発表をしながら、留学生と交流を深める。 *インターナショナルナイトでは、グループごとに文化紹介(歌・踊りなど)スキットなどグ ループで決め練習し発表する。研修1日目の空いている時間を利用して、グループごとに、 インターナショナルナイトの文化紹介を決めますが、ボランティアもグループの一員として 留学生と協力して発表するものを決め、その後、練習しながら、留学生と親睦を深める。 *新留学生の多くは、日本語や日本での生活習慣がよく分からないため、国際交流ボランティ アに場所や利用の仕方について聞くことがある。ボランティアが分かる範囲で、留学生の質 問に答える。自分では分からないことは、必ず国際センター教員に聞く。 *研修会場、宿泊棟、食堂、風呂などの場所を聞かれた場合に、誘導する。 *風呂の入り方、宿泊棟での寝具の利用およびたたみ方、朝宿泊棟での清掃の仕方などを研修 施設の利用の仕方に即し、留学生と一緒にするが、留学生が分からないときは、説明する。 *ボランティアの責任は研修期間中、研修日程に従い、研修施設のルールを守り、安全に、留 学生と同様に行動をすること。留学生の研修が主目的であるから、ボランティアの自主活動 はない。 *ボランティアの当日の活動時間は、留学生と同様に29日 山大出発から30日 の1泊2日である。 *当日までの活動は、説明会当日、日程確認などの事前説明を行う。 −93− 山大到着まで *ボランティアを途中で辞退することを希望する時、研修中体調が悪くなった時は、国際セン ター赤木まで上記メールまたは電話へ連絡する。 課 題 ・逐次通訳(英語・中国語・韓国語) 大学院生および大学院入学予定の研究生の場合、日本語がほとんど分からない留学生も多く、 日本語でのオリエンテーションの説明が理解できない。このため、教職員や先輩留学生が逐次 通訳サポートをしているが、入管手続きなど難しい情報も多く、より正確な通訳が必要とされ ている。今後、パワーポイントの翻訳および通訳を充実させることが課題である。 ・多様化する留学生のニーズへの対応 年々、交流協定校からの交換学生が増えてきているが、交換学生のニーズは、数年山口大学 で学ぶ正規留学生のニーズとは多少異なっている。しかし、安全に留学生活をおくるためには、 やはり日本の習慣や規則を理解し、守ることが基本であるため、オリエンテーションは不可欠 となる。交換学生にも充実した留学生活をおくってもらうためのオリエンテーションを工夫し ていく必要がある。 −94− 留学生指導相談 吉田キャンパス 杉原 道子 主な相談内容 1.経済問題(授業料や生活費について) 2.体調不良。(保健室センターや病院で対応) 3.成績不振(指導教員と相談) 4.日本の食べ物が食べられない。(カメルーン出身) 5.母国の家族の病気 6.母国の子供の保育について(不眠症) 7.子供の保育について 2005年度も多くの相談件数があった。特に多かった相談内容は子供の保育の問題である。留 学生の年齢が高くなるにつれて、保育の問題がクローズアップされてきた。スリランカではど この大学でも、大学には保育所が併設されているそうである。市役所に何回も足を運び、留学 生の子供の保育所への入所を依頼した。また、保育園にも留学生と訪問し、園からの手紙をや さしい日本語で書いていただくこと、漢字にルビをつけていただきたい旨を伝えた。留学生の 家族の抱える保育問題に対しても、解決策を探っていかなければならない。世界から有能な留 学生を受け入れるためには、受け入れ態勢の整備が重要な課題となる。 宇部キャンパス 赤木 1 弥生 相談部門体制 旧留学生センター設置以来、工学部から学部留学生の日本語・日本事情および生活面の指導 をしてほしいとの依頼がセンターにあった。一方、大学院生は指導教員が担当することとなっ ている。しかし、2005年度、江国際センター主事・工学部国際支援室長から工学部内の指導相 談は充実しており、指導相談は特に必要ないとの見解が示され、指導相談業務は減らすという 方針が示された。 しかし、相談件数が減少するどころかより深刻な問題が増えているのが実態である。留学生 を最も多く抱え、その大半は家族持ちの大学院生であることを考えると、相談件数が減ること はない。ひとたび、問題を抱えた留学生が、センター教員に手を差し伸べてくるのは当然のこ とである。留学生支援が叫ばれる中、留学生のコミュニティに目を向けることなく、留学生の 悩みや問題に対処する時間や余裕のない状況下では、山口大学で学んでよかったというポジテ ィブな感想を抱いて卒業する留学生を増やすことは難しいのではないだろうか。 相談者があった場合は、留学生係、各学科学生委員に連絡を取ると同時に、必要に応じてカ −95− ウンセラー、保健室の医師、指導教員、各学科学生委員と連携を図り対処した。 幸いにも、2005年度から工学部キャンパスに学生相談所が設置され、2名のカウンセラーが 配置された。2名のカウンセラーとも英語が堪能な国際経験豊かなカウンセラーで、留学生へ の対応もできる。特に1名は元留学生カウンセラー経験者で、留学生カウンセリングの豊富な 経験があり、留学生の強力なサポートとなっている。 2 指 導 ・個別オリエンテーション 随時到着する留学生ひとりひとりに、山口での生活(山口市作成・英語・韓国語・中国語 版)、交通ルール、学生相談所、国際センター日本語時間割、地域日本語授業一覧などの 学内情報について詳しくオリエンテーションを行っている。 ・日本語・日本事情履修・J-CAT受験、新留学生研修会参加 ・生活指導(住宅・アルバイト問題) ・自動車任意保険加入、資格外活動許可、帰国報告等留学生課手続き 3 留学生からの相談内容 学 業 1.日本語学習 2.医学部での日本語授業 4.論文 生 3.日本語能力試験 3.学業 5.単位履修問題 活 1.反日ニュースに関わる留学生への影響 2.家族問題 4.授業料免除申請・免除却下 5.国際交流会館入居 7.健康 8.研究室での人間関係 9.指導教員との人間関係 10.就職 11.自転車・自動車事故 3−1 学 3.奨学金 6.住宅 相談の概要 業 1)日本語学習 工学部、医学部の大学院生から日本語学習についての問い合わせが多い。特に2005年度、 医学部での日本語の授業が開講されなかったため、医学部の留学生からの授業についての 問い合わせが多かった。 センター日本語・日本事情(共通教育)、特別補講(センター開講)、工学部特別講義 (工業日本語)、地域の日本語教室の時間割を配布し、日本語の受講を勧めている。 2)日本語能力検定試験受験 日本語能力試験の受験勉強についての問い合わせが多い。問題集を貸し出し指導を行っ ている。 3)学 業 専門科目が分からない。教科書の漢字が難しい。授業での板書が楷書ではないので、読 めないなど。 −96− 4)論 文 論文の日本語指導。 5)単位履修問題 単位履修の仕方など。教務係と連携を図りサポートしている。 生 活 1)反日運動のニュースに伴う留学生への影響 留学生に対し市民から抗議があったと相談があった。工学部、国際センター、宇部市役 所などに連絡をとり、対応策を模索した。 2)家族問題 工学部・医学部の留学生の多くは、家族を伴って留学している大学院生である。宇部地 区の相談件数が多い理由のひとつには、家族に関する相談が多いことがある。大学院生に ついては、指導教員が対処するが、家族を巻き込んだ相談については、指導教員、留学生 係、センター教員、センター主事で対応した。 3)奨学金 奨学金の選考方法については、情報開示が十分とはいえないため、不信感を抱いている 私費留学生がほとんどであるが、選考方法についてほとんどの私費留学生が相談に訪れる。 留学生係で説明をしている。 センター設置当初から、奨学金選考方法の情報開示および経済学部が行っているように 最終選考は面接を実施することを提案しているが、奨学金選考は厳正に行われているとい うことのみの説明に終始しており、情報開示までにはいたっていない。 特に学内推薦国費留学生選考については、面接を行い、人物評価を考慮するべきではな いかと考える。国費留学生は、キャンパスでのリーダー的存在となる学生が多く、留学生 活動にも力を発揮する場合が多いので、学力だけではなく貢献度なども加味した選考をし ていく必要があると考える。 4)授業料 授業料の全額、半額免除、大学院入学金の半額免除を受けられない相談、授業料免除申 請の手続きミスに関する相談。奨学金同様、私費留学生にとっては、最大の関心事である ため、選考方法など詳しい情報についての問い合わせが多い。留学生係、厚生係が説明を 行っている。 5・6)宇部国際交流会館・住宅問題 会館が空いている場合、1年以上入居することができるが、単身の留学生の場合、民間 アパートの敷金や家賃負担が大きいため、会館に継続して入居を希望する。家族持ちの留 学生は、家族、夫婦棟に入居できる上、宇部市営住宅が約1年待ちで入居できるため、住 宅は比較的恵まれている。単身者については、民間アパートを借りなければならず、敷 金・礼金不要のアパートが求められている。 −97− 7)健康問題 蒸し暑い気候のため、皮膚病にかかるケースが多く、特に女性からの相談が多い。保健 室の医師に見てもらい、市内の病院を紹介してもらっている。 日本事情の授業では、カビの発生・除去、部屋や体を清潔に保つ、食べ物の保存方法な ど健康管理について指導している。 8・9)指導教員、研究室での人間関係 博士課程での研究、論文指導などの過程において、コミュニケーションの問題から、指 導教員との関係が悪くなるケースが多い。 コミュニケーションから起こる問題が多く、日本事情の授業において、日本社会での上 下関係、コミュニケーションの図り方など指導している。 10)就職 就職に際しての履歴書、エッセイ、E-メールの書き方の指導、面接での日本語に関する アドバイス。就職状況についての問い合わせなどがある。 11)交通事故 無免許運転、自転車事故(加害者)の相談。 日本事情の授業、個々のオリエンテーション、センター新留学生研修会で交通ルールの 説明を行っているが、自転車事故は増加する一方である。到着後間もない留学生が多いた め、保険の加入を勧めるなどの対策が必要である。 おわりに 国立大学における留学生数は圧倒的に理工系学部に集中している。その留学生数に応じて、 通常留学生専門担当教員が配置されている。また、留学生センター設置国立大学には、日本語 担当教員とは別に日本事情を担当し、指導相談を専門に担当する教員が配置されている場合が 多い。山口大学工学部には、そのどちらも配置されてこなかった。センター設置後、漸くセン ター教員ひとりが宇部地区を担当することとなった。しかし、全学的なセンター教員の業務は、 多岐に渡り、留学生の指導相談に携わる余裕がないのが実情であり、いきおい、指導相談部門 は必要のない業務とせざるを得ないのが現状である。留学生の諸問題には、現在充実しつつあ る学生相談所などのサービスで対応するしかないが、日本語力も問われることがないまま入学 を許可されてくる理工系の大学院生とその家族の対応が十分であるかどうかは、相談件数の多 さではかることができるのではないだろうか。 −98− 経済学部チューター制度運用 経済学部講師 河野 笙子 経済学部では研究生、学部生、大学院生のほかに、特別聴講学生(交換留学生)にもずっと チューターをつけてきている。また、現在は事務手続き以外の業務は殆ど学部の留学生専門教 育教員(河野)が行っている。この2点が他学部とは少し違うかもしれない。 チューター制度を十分に機能的に運用することはそう容易ではないが、留学生が増加の一途 をたどる中で、私たちは次のような工夫・取り組みをしている。 1.チューター人材登録バンク 毎年、3月と9月に「外国人留学生チューター募集」案内を学部内の数箇所に張り出し、興 味のある学生には面談、内容説明の上、希望者名簿に登録してもらっている。ゼミやクラブ活 動、留学予定・経験など参考になる情報も記入してもらうが、登録した学生がすべてすぐにチ ューターに採用されるわけではない。中には登録はしたが都合が悪くなったという学生もいる し、まだ1年生で山口大学の学生としてのキャリアが不十分そうな学生もいる。従って、あく までも諸事情に備えた人材バンクとしての側面が強い。このことは登録時に予め学生にも伝え ておく。また、研究生などの指導教員から推薦のあった学生も同様に一応全員希望者名簿へ登 録に来てもらうようにしている。 有り難いことに、最近はチューター希望の学生もチューターをゼミや知り合いの学生に勧め てくれる教職員も次第に増えており、常時予備人員が数名以上いる状況である。 2.チューターの推薦依頼 各学期開始前に学務係の留学生担当者からもらう新規来学留学生名簿でチューターが必要と 思われる留学生を確認するが、指導教員が決まっている研究生の場合などは、まずその指導教 員へのチューター推薦依頼を文書で行う。そして、推薦がある場合は、1でも述べたように、 案内も兼ね、学生自身に希望者登録に来てもらうようにしている。留学生を沢山抱えていたり、 多忙だったりしてチューターの世話まで手が回らないという先生もいるから、心当たりのない 場合は留学生指導室の方で対応できる旨、依頼時に申し添えておく。 3.チューターの決定 新規来学留学生には、なるべく早く留学生指導室に来てもらい、日本語能力等を把握し、該 当する留学生にはチューター制度について簡単に説明しておく。中にはチューターはいらない という留学生もいるから希望するかどうかの確認もしておく。そして、1の名簿を元に、基本 的には必要性の高い留学生から順次チューターを決めていき留学生指導室で引き合わせを行う。 4.オリエンテーション チューターと留学生を引き合わせる時には再度この制度について説明し、基本的な心得や事 −99− 務手続きについても話すので一応オリエンテーションはすんでいるようなものだが、最近は該 当する留学生が急増(この4月には20名強に新規チューター)し、管理も煩雑になってきてい ること、チューター同士、留学生同士の顔合わせ、幅広い情報交換の場を設けた方がいいとい うこともあって、今年度から、これとは別に、全チューター・該当留学生対象の「チューター 紹介&オリエンテーション」を始めた。 学務係の担当者が配布資料に沿って事務面で必要なチューター心得を話し、私は制度のあり 方、いい関係作りなどについて例も挙げながらチューター・留学生の双方に向けた話をした。 この後質疑応答も行ったが、予定時間を過ぎてもなかなか終わらないほどの盛況ぶりだった。 今後はこうしたオリエンテーションを毎学期始めに行う予定である。 5.問題への対応 何かあれば気軽に留学生指導室に話しに来るようにと、最初にチューターにも留学生にも言 ってあり、相談に訪れる学生も少なくない。特に、最初の頃は、単純な勘違いや誤解でお互い が悩み、関係がギクシャクするということが起こりがちのようだが、双方の話をよく聞いて調 整すれば解決する場合がほとんどだ。 チューターの大半は20歳前後の学部生であるのに対し、留学生には社会人やキャリア経験の ある30〜40歳代も多く、期待と現実との間のギャップには不満も聞かれる。中にはチューター への過剰な要求が見受けられる場合もある。が、チューターはあくまで無理のない範囲でやる ものだということが前提になければ、チューターの確保は難しい。問題がある場合は指導によ る改善や交代もやっているが、「お互いさま」の側面を双方に理解してもらうことが肝要だと 思いながらやっている。 以上が、経済学部のチューター制度運用の概略であるが、チューターの確保にも苦労を余儀 なくされていた数年前までと比べると、遥かに前進したとの感がある。その第一の功労者は 「チューター人材登録バンク」であると言える。 このチューター登録制度は、「交換留学から帰って来たゼミ生がチューターをしたがってい るが、こんな学生を活用するためにも、チューター制度を学生に周知させるためにも公開募集 したほうがいい」というある教員の一言から始まった。勿論、これですべてが解決という訳で はないが、留学生の急増や何らかの事情によるチューター交代等にも柔軟に対応できる体制作 りに大きな役割を果たしていることは間違いない。 −100− 工学部チューター・留学生会議報告 赤木 専門職員 1 弥生 安常久巳(工学部留学生係) チューター・留学生会議実施 2005年度の工学部留学生数は92名で、経済・東アジアコースと並んで学内で最も多い留学生 数である。そのうち、大学院生は52名、学部留学生は40名であるが、学部留学生は、学内で最 も多い。 学部留学生のチューターは、各学科学生委員が各学科の大学院生の希望者の中からチュー ターを選んでいる。学部留学生1年生については、本学である吉田キャンパスで1年間学んで いるため、チューターは従来から理学部に依頼をしており、理学部大学院生の希望者の中から チューターを選んでいる。 チューターのサポート活動は留学生から高く評価される一方で、「頼むことがなにもないの で連絡を取らないまま、チューター使用のサインだけをさせられた」「チューターに聞いても何 も答えられないので会わなくなった」などコミュニケーションの行き違いなどの問題が多く、 せっかくのチューターのサポートおよびチューター経費が無駄になっていたケースもある。こ のような問題解決のため工学部では、吉田地区と宇部地区の両キャンパスでチューター会議を 実施している。チューター会議では、チューターと留学生が初顔合わせを行い、お互い話し合っ て会う日程を決める。また、国際センター作成チューターマニュアル、工学部留学生係作成留 意事項(チューター資料)を配布し、チューターの役割についての説明を行ない、チューター が留学生と順調に活動を進めていけるようにサポートしている。 特に工学部学部留学生がチューターに希望していることは、学業面のサポートであるが、専 門領域については、チューターが答えられない質問がほとんどであるため、チューターが講義 を担当する教員や各学科の学生委員などと連絡が取れるように相談窓口一覧を作成し配布して いる。 チューター会議には、工学部学生委員長、各学科学生委員または各学科留学生担当、国際セ ンター主事、国際センター教員が出席し、チューターとの顔合わせを行い、チューターマニュ アル配布、チューター、留学生の留意事項について説明を行っている。 1年生が学ぶ吉田地区でも実施している。1年生と理学部大学院生のチューターの会議では、 お互いが早く親しくなるように懇親会を設けている。 1−1 チューター推薦について 基本的には、指導教員にチューターの推薦依頼をするが、2、3年生は、実質的には指導教 員がいないため、学科の学生委員に推薦依頼をする。 1年生が学んでいる吉田地区には、工学部の大学院生がいないが、理工系の学生が専門性の 面から適しているため、理学部学生支援係を通じて、理学部の大学院生の推薦を受けている。 留学生係は、チューターが実施時間数を報告する毎に、実際のサポート活動状況のフォロー およびモニタリングを行い、チューターと留学生が順調に活動していることを確認する。もし チューターと留学生が連絡がとれないなど問題が生じている場合は、チューターと留学生の双 −101− 方から事情を聞き、調整をはかっている。 1−2 チューターマニュアル チューター会議において、国際センター教員はチューターマニュアルについて解説すると同 時に、チューターおよび留学生双方に以下のような注意事項を伝えている。 ・日本語のできる学部留学生はチューターを必要としないケースが多々あるが、その場合は、 留学生担当専門職員に必ずそのことを伝える。 ・約束した時間を変更する場合は、必ず相手と連絡をとる。 ・チューターの基本的な役割は留学生の生活面のサポートである。チューターは、先生では ない。学業のサポートが必要なときは、講義を担当する教員または学生委員に質問する必要 があるが、そのときチューターと一緒に行くなどサポートすることはできる。 ・留学生からチューターにさまざまな相談があった場合、ひとりで解決しようとするのでは なく、留学生担当専門職員、学生委員などに伝え、適切な指示を仰ぐ。 1−3 工学部学部留学生数 1年 学年・学科 政 府 派 遣 2年 政 府 派 遣 私 費 私 3年 日 韓 理 工 系 費 政 府 派 遣 ツ ィ ニ ン グ 私 4年 政 府 派 遣 日 韓 理 工 系 費 私 計 費 械 4 0 2 0 0 2 3 3 0 2 0 16 電気電子 0 0 0 1 3 0 2 1 0 0 0 7 知能情報 0 0 1 0 0 0 1 2 0 1 1 6 社会建設 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 2 4 機能材料 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 3 応用化学 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 2 感性デザイン 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 2 計 4 0 4 2 3 2 6 8 1 4 6 40 機 −102− 2 チューター資料 以下は、工学部留学生担当専門職員作成資料による。ただし、担当者の個人名は省いた。 2−1 留学生の相談窓口 項 目 生活相談等 国際センター 留学生担当 連絡先 (内線) 赤木弥生 9037 学生委員 9145 機械工学科 9107 9261 応用化学工学科 ・授業関係等相談 は留学生担当 ・事故等は、学科 学生委員(右) 連絡先 社会建設工学科 9344 9302 電気電子工学科 9421 9470 知能情報 システム工学科 9506 機能材料工学科 9631 感性デザイン 工学科 9724 9728 9825 (9812) 共通講座 事務等相談 留学生係 病気等相談 保健管理センター 悩み等相談 学生相談所 安常 9020 9017 (火、水) 15:00−18:00 9016 9041 (金) 11:00−18:00 9016 吉田地区(工学部1年生) 病気等相談 保健管理センター 悩み等相談 留学生カウンセラー 工 サ 共通研究棟 1号館 1階 2−2 学 ロ 1 部 ン 担当者 担当者 (火) 13:00−17:30 6048 井上 10:00−16:00 教員3名で1日1名 チューターの留意事項について チューターの仕事について ・留学生の各種手続き補助、授業の相談、生活の悩み等を指導教員等及び留学生係へ取り 次ぎ等を行います。 2 実施時間について ・学部生は、1年間で約80時間。 −103− ・大学院生・研究生は、1年間で約80時間。昨年10月入学の学生は、40時間。 ・全体で予算が余れば、後期に追加の時間を差し上げます。 3 実施報告書について ・翌月の初めまでにボールペンで記入し、留学生係に提出。様式は、コピーしてください。 修正液で修正したものは受け付けない。 ・実施内容は、授業の予習・復習、生活相談、留学生手続き等大まかに書いてください。 ・留学生指導教員の押印を受けること。学部2年生の指導教員は、各学科の学生委員です。 4年生、大学院生は指導教員です。 ・合計指導時間数には、1時間単位です。 ・支払いは、数ヶ月まとめて口座に支払います。 4 不明の点は、工学部留学生係(0836-85-9020又は、メールen294@yamaguchi-u.ac.jp)に 問い合わせること。 2−3 留学生への注意事項について 事件・事故について 1 自転車は、前をよく見て安全運転をして、スピードを出さないようにしましょう。 例 ある留学生が、老人と接触し、老人にけがをおわせた。長期入院・医療費で70万円請 求されたケースがあります。 2 国際免許の期限を確認しましょう。 例 ある留学生が、期限切れの免許で運転をしていて警察に捕まり、無免許運転で20万円 罰金を支払った。 無免許で事故を起こすと保険金がでないので、全額自己負担となります。 ・支払い最高例 人身事故 専門学校生 死亡 2億9千万円です。 3 車の任意保険に必ず入りましょう。 4 アルバイトをするための資格外活動許可書を必ず取りましょう。 例 宇部警察署が、取り締まりでお店を点検している。悪質なアルバイトや事件で入国管 理局に通報されると、2年の期間が、1年期間の更新になった例があります。 5 困った時などは、チューターや国際センター教員、学科の留学生担当教員、留学生係ま で連絡してください。 2−4 1 授業について チューターと定期的に会う時間を決めてください。チューターには、謝金を支払います のでわからないときは、必ず聞いてください。なお、試験で単位が取れることを補償する ものではありません。 2 わからない授業があれば、担当教員に聞いても良いと思います。なお、先生の了解を取 るようにしましょう。 −104− 2−5 学科留学生担当教員の業務について 1 チューターからの相談や授業教員の紹介や関係者への連絡 2 留学生からの相談受付 3 チューターと留学生の相性が悪いときに学生委員と相談してチューターの変更協議 おわりに 最も留学生数の多い工学部と経済学部でチューター会議が実施されてきたことによって、 留学生のサポート活動が充実しつつある。また、チューターの運用を充実していくためには、 チューター経費の使途に深く関わる諸問題もあり、各学部留学生担当職員の協力を得ること が不可欠である。今後、工学部、経済学部でのチューター運用のノウハウを全学的に紹介し、 チューター制度運用の充実化を一層図り、チューターと留学生が共に学ぶ多文化共生キャン パス作りを行っていく必要がある。 −105− 山口地域留学生交流推進会議・外国人留学生懇談会 留学生課 1.山口地域留学生交流推進会議 1−1 全体的な活動 各団体等が計画している各種事業の促進を図るとともに、留学生の住環境(主に宿舎事情) の改善を軸とした支援を行うための公的支援組織の具体的設計に取りかかることとした。 1−2 事務局活動 地方入国管理局等との情報交換会の開催 ………… 山口地域留学生交流推進会議運営委員会の開催 平成17年9月22日 … 平成17年11月2日 山口地域留学生交流推進会議総会の開催 ………… 平成17年12月2日 山口地域留学生交流推進会議会報の発行 ………… 平成17年3月「やまぐち留学生交流№16」 2.外国人留学生懇談会 12月2日 、本学在籍の外国人留学生等を激励し、国際交流を推進するため、学長主催によ る「平成17年度外国人留学生懇談会」を開催した。この懇談会は学生が企画・構成したもので、 第一部は大学会館においてパネルディスカッションが行われ、「日本で感じたカルチャーショ ック」のテーマの下、5人の留学生パネラーと会場参加者の間で討論が交わされた。第二部は 留学生・外国人研究者、チューター・日本人学生、教職員、地域の支援者の方々など多くの参 加を得て、学生食堂きららで懇親会として行われ、山口県立大学サムルノリサークルによるサ ムルノリ(4つの楽器を激しく打ち鳴らしながら駆け回り踊る韓国の伝統的な踊り)や学生た ちの(意外な)特技が披露されたり、また、日頃役員と会話する機会に恵まれない学生が加藤 学長、丸本副学長、宮崎国際センター長と意見交換できる特設ブースが設けられるなど和やか ななかにも実りある催しであった。 3.山口地域留学生交流推進会議事業 3−1.第1回外国人留学生交流バスツアー 日 時:12月11日 場 所:広島平和公園、原爆ドーム、平和記念資料館 3−2.第2回外国人留学生交流バスツアー 日 時:2月18日 場 所:大宰府天満宮、九州国立博物館 −106− 国際交流ボランティア 今井 新悟 1.国際交流ボランティアのねらい 平成17年度に山口大学の「山口大学おもしろプロジェクト―学生の創造性に期待する支援事 業の10年」が文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」(略称「特色GP」)のひとつ に選ばれた。これに連動し、国際センターでも、学生の創造性と主体性を重んじたボランティ ア活動の場を提供することにした。今回の3大学交流では、学生が主体的に国際交流を企画・ 実施することを通して各人が成長することを狙いとした。 2.ボランティア募集方法 ボランティア学生を募集するにあたり、これまでの国際センター事業においてボランティア 学生との間に摩擦が生じたことがあったこと、また、本年度からボランティア教育について全 学で取り組むことになったことを受け、ボランティアガイドラインを作成した。ガイドライン は、募集する側すなわち教職員用と参加する側すなわち学生用の2種類を作成した。前者はボ ランティアに対する教職員の理解を促すための、後者は学生にボランティアの目的、責任の範 囲などを理解させるためのものである。 ボランティア募集広告により、広く学生に参加を呼びかけた後、希望者に対して、ガイドラ インを示して、ボランティアの目的、責任の範囲の理解を確認した。その後、各担当者が活動 概要を説明し、学生は自分の希望する活動に参加の意思表示をした。 以下に、教師用ボランティアガイドラインを引用する。 (資料1) 一般学生によるボランティア活動についてのガイドライン 《目的》 留学生が山口で生活・勉学・研究をスムーズに進められるよう、教職員とは違った観点から 留学生に対する支援活動を行う。活動参加者をボランティアとして一般学生等から公募する。 この活動により、留学生は、一般学生との交流を促進できる。一般学生は、主体性を養い、多 文化を理解する国際感覚を育むことができる。 《公募方法》 国際センターは、以下の方法で公募を行う。 ・プログラムごとに、留学生を支援するボランティアとしての活動内容の詳細を明らかにして、 参加者を公募する。 ・活動内容、日程、活動時間、募集人数を明示する。 ・教職員の業務補助ではないことを明示する。 −107− ・ボランティア活動に謝金がないことを明示する。 ・学生自身の予定に合わせて活動ができることを明示する。 《説明会》 説明会を以下の要領で行う。 ・国際センターは、ボランティア窓口担当教員と、プログラム(活動)担当教員が、公募内容 について説明する。 ・国際センターは、活動内容・方法、日程、活動時間・場所、募集人数を明示した活動予定表 を配布する。 ・国際センターは、活動が、教職員の業務補助ではないこと、ボランティア活動に謝金がない ことを再確認する。 ・参加希望学生は、活動可能な曜日・時間を登録する。 ・参加希望学生は、活動内容・方法を理解して参加する旨、意思表示する。 ・国際センターと参加希望学生は、参加学生が活動の中断を希望する場合には、担当教員に連 絡して活動を辞退できることを確認する。 《記録》 国際センターは、記録簿を作成する。 参加学生は、自分の活動内容、活動時間、活動場所を記録する。 プログラム担当教員は、記録を確認する。 以下に学生用ボランティアガイドラインを引用する。 (資料2) ボランティアについて ・ボランティアは、山口大学教職員とともに留学生に対する支援活動・交流活動を行います。 ・活動参加者をボランティアとして一般学生等から公募します。 ・以下の効果が期待できます。1)この活動により、留学生は、一般学生との交流を促進でき ます。2)一般学生は、主体性を養い、多文化を理解する国際感覚を育むことができます。 ・教職員の業務補助ではありません。 ・ボランティア活動には謝金がでません。 ・参加者の予定に合わせて活動ができます。 ・活動の中断を希望する場合には、プログラム担当教員に連絡して活動を辞退できます。 ・参加学生は、自分の活動内容、活動時間、活動場所を記録簿に記入します。 ・プログラム担当教員は、記録を確認する。 ・報告書を作成します。 −108− 担当者からのメッセージ: ボランティア参加者は上記のすべてについて十分理解し、納得して参加してください。また、 ボランティアにも責任が伴います。契約に基づいて活動が行われます。参加者自身がどんな目 的で参加するのかを確認してください。ボランティア活動は、準備段階を含め、協調学習の場 となります。 ボランティアの主体的な活動を期待します。主体的な企画を尊重します。代表者を決定し、 計画書・行動予定表を作成して担当者と実施方法について協議してください。 *ボランティアを途中で辞退することを希望する時、研修中体調が悪くなった時は、国際セ ンター担当者までメールまたは電話で連絡してください。 上記にある「記録」は、ボランティア学生の活動を各活動担当者が把握し、危機管理に利す るためのものである。これは以前のボランティア活動において、参加者が無理をして、活動中 に倒れることがあったことから、監督者たる教職員が学生に無理をさせていないかをチェック することを第一義としている。 上記ボランティアのガイドラインに従い、ボランティアの責任や心構えについて納得できた 者に対して、各活動の担当者が活動の内容について説明を行った。 3.成果と課題 おもしろプロジェクトは1996年、ときの廣中学長が提唱した。その基本方針は「学生の何を やるかわからない創造性を爆発させ、山口大学を活性化させる。」というものである。また、 植村学生支援センター長(YU-Information77:35-36)は、おもしろプロジェクトの精神・哲学 として、学生に期待し信頼すること、主体性・創造性を思う存分発揮させること、学生が責任 を持って企画・実施するものであればプロジェクトが失敗しても構わない、ということを挙げ ている。特に最後の点については、次のように述べている。「(失敗しても)構わないのは、困 難な企画に取り組んだ学生達が他では得られない体験をしていて、学んだことが非常に大きい からです。外から見える作品(成果)ではなく、学生の内に育つ経験に(大学は)投資してい ると言ってもよいと思います。」 国際センターのボランティアもまさにこのような精神のもとに実施された。困難な状況・想 定外の状況に対峙し、ときには失敗しながらも、その困難を乗り越えようとする過程そのもの こそが成果であると考えた。ボランティア学生は各局面で自分の足りないところやこれまで気 づかなかった自分自身の能力に気づいている。以下にみられるような学生の手記はこれを如実 に示している。「自分はリーダーとしてまだまだ力が足りないと思いました。」「自分の住んで いるところについては誰よりも詳しいはずなのに、いざ説明しようとするとなかなかできなく てほんとに悔しかったです。でもこのことをきっかけに私は自分の出身地である広島について 他人に説明できるくらいの知識を持とうと思った。」次の手記が示すように真の国際交流の難 しさにも気づいている。「韓国人は自己主張が強くて、私たちが押され気味になり、意思や意 見を主張できなかったことです。」 逆説的な言い方ではあるが、教員や職員が学生の主体性を邪魔しない覚悟を持つことが肝要 −109− である。ボランティア教育というものが存在するなら、その教育者には、学生の失敗を受け入 れ、安易な計画に導かず、難しいと思われる計画でも学生にまかせられる懐の深さが求められ る。このように、学生ボランティア活動においての一番の課題は、今回もまたこれからも教職 員側にあるといえる。学生の主体性を極力引き出すことが教職員に最も求められるところであ るが、それは、無責任な放任を意味するのではない。教職員は監督者として学生の行動を把握 し、安全管理に努める義務を負う。事故が起きないよう細心の注意を払うべきである。その検 証として活動記録表の記録を重視すべきである。 −110− 地域における留学生交流 吉田キャンパス 杉原 道子 地域の方々からご招待頂き、留学生は様々な交流事業を通して日本の生活・文化・習慣を学 ぶことができた。また留学生は山口社会福祉協議会主催の「山口長寿大学」や美川町教育委員 会主催の「美川町人権学習講座」で各国のお国事情を紹介し、地域住民に大変喜ばれた。山口大 学国際センターを通して実施したプログラム紹介する。 期 日 交 流 内 容 主 催 者 参加留学数 2 4月21日 郵政記念日記念式典 山口中央郵便局 4月24日 第47回 平川生活体育振興会・ 平川公民館 5月14日 茶会 井上 6 6月21日 韓国紹介 大内中学校 2 6月25日 茶会 井上 5 7月16日 世界の料理 8月13日 平川地区民大運動会 21 平川風の会 22 平川盆踊り・花火大会 平川風の会 20 8月20日 山口県海外教育事情研究会 山口県教育庁 1 8月28日 いけばな池坊巡回講座 池坊山口支部 8 9月10日 創立20周年記念文化祭 西京高校 3 10月10日 野点 井上 5 11月3日 えびす祭り協賛花展 池坊西京支部 8 11月10日 やまぐち長寿大学 山口県社会福祉協議会 5 11月15日 美川町人権学習講座 美川町教育委員会 1 11月19日 平川祭り 平川公民館等 12月10日 留学生と楽しむ パーティ 1月13〜15日 1月14日 日本の遊び 和風クリスマス 16 21はぎ市民会議 5 池坊西京支部花展 池坊西京支部 8 平川新年ふれあい交流会 平川風の会 12 計 150 「山口長寿大学」は山口新聞2005年11月11日に掲載された。 その他、山口市国際交流団体「山口留学生交流会」主催の「りんご狩り(バスツアー)」や山口県 国際交流協会のいろいろなイベントに多くの留学生が参加した。 −111− 宇部キャンパス 赤木 弥生 はじめに 宇部留学生交流会をはじめ多くの団体が、宇部地域で交流会を開催しているが、工学部キャ パンス内における学生交流はまだ少ない。しかし、今年度は、防府市国際課アメリカ人高校生 交流、国際センター3大学学生交流工学部訪問などキャンパス内での交流も実施し好評であっ た。また、国際センター宇部室では、キャンパス内の留学生交流会や茶話会を行い、新留学生 が友だち作りや学内に適応できるようにサポートを行った。 宇部地区(工学部・医学部)では地域交流が通年を通じて盛んに行われている。地域交流の 窓口として、国際センター宇部室、工学部留学生係、宇部留学生交流会(松浦満会長)があり、 相互に情報を提供し合い交流を進めている。2005年度からは、工学部内での連携を強化するた め、三木学部長の提案で、学生委員長、国際交流支援室委員、留学生担当専門職員、国際セン ター教員がメンバーとなって地域交流協議会を作り、学内の交流を推進することとなった。 宇部留学生交流会、グループこんにち輪(永山克明会長)などの留学生交流団体および若き 経営者の会などの宇部留学生交流会協賛団体が地域において花見、スポーツ大会、芋ほり、み かん狩りなど四季折々に交流会を実施している。 日頃、学業や研究で忙しい留学生が他大学の留学生や市民とふれあい、交流を深めることが できる貴重な機会となっている。特に家族持ちの大学院生にとっては、家族との余暇の過ごし 方が難しい状況の中で、家族と一緒に参加できる交流会が地域に数多くあることは大変好評で、 国内の他の地域にはない特色として留学生から高く評価されている。 国際交流の森 宇部市常盤公園内に国際交流の森が設置されたのを記念し、4月26日、宇部市総合政策部西 山和夫部長、丸本卓也副学長、宇部留学生交流会松浦満会長らが出席して植樹が行われた。 2000年、工学部留学生夫婦の子ども劉佳童ちゃん(当時8歳)が交通事故で残念なことに亡 くなった際、宇部市民をはじめ多くの人たちから義援金が寄せられた。その後、この義援金は 宇部留学生交流会を通じて宇部市社会福祉協議会へ寄付されたが、宇部市と同交流会との協議 で、国際交流の森を設立し有効利用することになった。 国際交流の森には、同交流会支援グループ「ふれあいボランティア」の会員手作りの看板や ベンチが置かれ、自然な環境の中で国際交流ができるように整備されている。今後、宇部留学 生交流会では花見やピクニックなどの留学生交流を行い、市民との国際交流に活用していく計 画である。 宇部留学生交流会月例夕食会・恒例懇談会 宇部留学生交流会(事務局:常盤工業会)は、14協賛団体と宇部市から支援を得て、工学 部・医学部、宇部高専、フロンティア大学に在学している留学生のための交流会を実施してい る。ふれあいボランティア10名の協力を得て、月例夕食会、年2回の懇談会、ボーリング大会 などの交流行事を実施しているが、留学生とその家族、協賛団体会員、市民ら多数が出席し毎 −112− 回盛況である。 2005年の懇談会が6月11日 常盤工業会で行われた。午前中はボーリング大会、午後4時か ら留学生の国の紹介、一般学生の短期語学研修参加報告があり、午後6時からは夕食をしなが らの交流会で、ボランティアによる剣舞、留学生の歌、ビンゴーゲームなどを楽しんだ。 三木俊克工学部長をはじめとする工学部教職員、協賛団体会員、ボランティア、工学部、医 学部、フロンティア大留学生と家族ら80名が出席して交流を深めた。 宇部留学生交流会プログラム 国際センター教員が以下の留学生のスピーチや文化紹介などのプログラムを作成し、留学生 に依頼し、実施した。 第1部 午後4時〜6時 文化紹介Ⅰ〜司会 浜田先生 「中国・重慶工学院」 李山 「韓国・仁荷大学」 朴晋永 仁荷大学3年生・交換学生 「イラン」 アリレザ・サイエド・アラブシャイ 「中国朝鮮族」 朱花 第2部 舞 越 劇 豫 劇 機械学科博士3年 環境共生工学博士2年 午後6時〜8時 文化紹介Ⅱ〜司会 剣 重慶工学院助教授・受託研究員 朱花 日本人ボランティア 「紅楼夢〜金玉良縁」陳国明 機械学科博士1年 葉宏 重慶工学院助教授・受託研究員 張競 重慶工学院助教授・受託研究員 「朝陽 」 王新海 環境共生工学博士1年 宇部市内留学生環境対策設備見学会 宇部環境国際協力協会は、7月14日 、宇部市内の留学生を対象に市内企業の環境対策設備 見学会を実施し、留学生21名(山口大学工学部・医学部15名、宇部フロンティア大学6名)が 参加した。 先ず、宇部市環境部笹尾課長補佐が、宇部市の環境対策について講義を行い、企業、行政、 大学、市民が委員会を設置し、一丸となって取り組んだ公害対策「宇部方式」が、世界的に評 価を受け国連の環境賞「グローバル500」を受賞したことなどについて説明した。質疑応答で は留学生から質問が相次ぎ、環境問題に対する関心の高さを示した。 講義後、宇部興産宇部セメント工場を見学し、工場内の産業廃棄物を燃料としてリサイクル 利用し、工場内からゴミを出さないようにする施設や粉塵を電気集塵し、大気中に出さない設 備などを見学した。 留学生は「環境問題は世界的な問題であり、この見学会で視野が広がった」「中国でも参考 にするべき」などの感想が寄せられた。 工学部、市内の企業、宇部市と連携を図り、JICAや中国姉妹都市からの研修生を受け入れて いる同協会では、今後も宇部市内の留学生への環境教育を継続して行っていく計画である。 −113− 主 旨 宇部市は1997年に国連環境計画(UNEP)から「宇部方式」による環境改善の手法が評価さ れ、グローバル500賞を受賞した。これを受け協会では環境先進都市として国際的視野に立っ て地球環境保全活動に積極的に取り組んでいる。この一環として、外国人留学生対象に宇部市 の環境対策および宇部市内企業の環境対策設備の現状等を紹介し、環境意識を深めてもらうこ とによって、環境保全技術を通した、企業との国際交流の推進と帰国後の人的ネットワークを 構築することを目的に、見学会を実施するものである。 1.日 日 程 時:7月14日 13:00〜17:00 見 学 先:宇部興産㈱宇部セメント工場、資源リサイクルセンター 研 修 先:宇部市 主 催:宇部環境国際協力協会 共 催:宇部市 参加大学:山口大学 宇部フロンティア大学 参 加 者:山口大学(工学部、医学部)、宇部フロンティア大学留学生20名 行 程:(貸切バスで移動) 13:00 宇部フロンティア大学集合 出発 13:20 山口大学工学部本館前集合 出発 13:45〜15:00 宇部市の環境政策の概要説明、意見交換(75分) 15:30〜16:45 企業見学(宇部興産㈱宇部セメント工場) 意見交換(75分) 17:00 宇部フロンティア大学経由 17:30 山口大学工学部着 解散 2.スケジュール 時 間 内 容 場 所 備 考 12:45 宇部IECA発 エビスビル 宇部市営バス 13:00 宇部フロンティア大発 同大玄関前 宇部市営バス 13:20 山大工学部発 同大工学部本館前 宇部市営バス 13:40 宇部市役所着 宇部市役所玄関 宇部市営バス 13:45 宇部IECA理事長挨拶 宇部市役所会議室 通訳:朱花さん 宇 部 市 の 環 境 政 策 、「 宇 部 方 式 」 13:50〜14:50 講義 同上 (笹尾課長補佐) 14:50〜15:00 講義内容その他の質疑応答 (笹尾課長補佐) 15:00〜15:10 留学生自己紹介 15:15 市役所出発 通訳:朱花さん 同上 通訳:朱花さん 同上 通訳:朱花さん 宇部市営バス −114− 時 間 内 容 場 所 備 考 15:30 宇部セメント着 (板村氏乗車) 宇部セメント工場 東工場守衛所前 宇部市営バス 15:30〜16:15 宇部セメント工場見学 (板村氏) 宇部セメント工場 通訳:朱花さん 16:15〜16:45 概要説明、質疑応答 (板村氏) 宇部セメント301 会議室 通訳:朱花さん 16:45 宇部セメント工場出発 宇部市営バス 17:05 宇部フロンティア大着 宇部市営バス 17:25 山大工学部着 宇部市営バス 宇部IECA着 宇部市営バス 3.留学生の環境対策設備見学会アンケート結果(宇部環境国際協力協会集計) 見学出席者:21名 アンケート回答:21名 環境問題に関心がありますか。 21/21 1.はい 0/21 2.いいえ 今回の見学会ではじめて聞くことが多かったですか。 21/21 1.はい 0/21 2.いいえ 今後(将来)も参加したいですか。 21/21 1.はい 0/21 2.いいえ 講師が日本語を話す速さはどうでしたか。 宇部市役所 1.早すぎる 0/21 2.ちょうどよい 21/21 宇部セメント 1.早すぎる 1/21 2.ちょうどよい 19/21 3.回答無し 1/21 講義、見学の時間はどうですか。 宇部市役所 3.少ない 宇部セメント 3.少ない 1.多い 2/21 2.ちょうどよい 17/21 0/21 2.ちょうどよい 14/21 2/21 1.多い 5/21 4.回答無し 2/21 見学会全般に対するご感想やご意見などありましたら、お書き下さい。 1.沢山のことが分かりました。特にセメント工場の原料は全てゴミという事に驚きま した。もう一つは宇部興産のゴミは全てここで焼却して外にゴミを出さないことは素 晴らしいです。もしゴミを利用して生産することが中国で普及したら嬉しいと思いま す。 2.初めて宇部セメントに見学に行って、宇部市役所の方の話を聞いて、宇部のことを もっと知りました。わずか50年間で宇部がきれいになってすごく感心しました。 3.環境の厳しさを感じさせました。今からの時代の主な人材となる私達にとって、こ れからのことを考えなければならないのですね。 4.宇部セメントの貢献は宇部市で多いです。 −115− 5.ちょうど良い。 6.良かったです。 7.収穫が大きく、内容が面白く、視野が広がる。 8.とても良かった。環境方面の「宇部方式」をちゃんと了解し、中国の工場が学ぶと ころが多いと思う。 9.環境問題は世界的な問題であり、今回の活動はすごく意義がある。 花 見 宇部留学生交流会協賛団体宇部ライオンズクラブは、4月5日 午後6時から常盤湖水ホー ルで花見を実施し、ラインオンズクラブ会員とその家族と交流を深めた。 吉田地区から移動してきたばかりの学部留学生2年生にとっては工学部の留学生、ライオン ズクラブ会員と顔合わせできる機会であり、また、大学院生にとっては子どもや家族と一緒に 参加できる貴重な機会となっている。 文化紹介ではアフリカの太鼓とギターのセッション、韓流ブームから韓国の歌、中国の歌な どの文化紹介を行った。 お茶会 三葵亭売茶流支部宇部仙友会は留学生に日本文化を体験してもらうため、毎年お茶会へ留学 生を招待している。今年は7月3日 午前10時から常盤湖水ホールで開催されたふづき茶会に 留学生5名が参加し、煎茶のお手前、頂き方などを体験した。 小学校訪問 宇部市近郊の小中学校から国際交流、講演依頼が多い。今年度は、恩田小、黒石小、吉部小 から留学生派遣依頼があった。中国、韓国、マレーシア、タイ、インドネシアなど多様な国々 の留学生が学校訪問を行い、自国の文化を紹介すると同時に、日本の学校制度を学び、日本人 児童との交流を楽しんだ。 恩田小学校は工学部に近いこともあり、年に数回留学生を招き、全校生徒との国際理解教育 の一端としての国際交流や国際クラブ部員との交流を実施している。 第1回目は、重慶工学院受託研究員6名が、6月14日 10時〜3時まで恩田小学校を訪問し、 5、6年生138名と交流した。受託研究員は教員研修のため、6ヶ月間工学部で研究をしてい るが、今回の小学校訪問では日本の小学校の教育制度を視察するよい機会となった。また、中 国語通訳として地域ボランティアが一緒に参加した。 5,6年生の学級で給食を一緒に食べながらの交流、全体交流、クラブ活動での交流で、中 国語でのあいさつ、中国の歌、ゲームなどを紹介した。 アメリカ人高校生交流会 防府市の姉妹都市アメリカ・ミシガン州モンロー市の高校生5名が、8月4日 10時〜15時 まで工学部を訪問し、研究室訪問、学生交流が行われた。 工学部三木俊克学部長からの歓迎のあいさつの後、社会建設学科研究室を訪問した。松田研 −116− 究室ではリサイクルして作られた砂について学生3名が英語で発表、清水研究室では、地下ト ンネルの形について船津助手が英語で説明した。 学生交流には、マレーシア人留学生4名、日本人学生6名(社会建設学科5名・電気電子学 科1名)が参加した。 社会建設学科東アジアコースの学生は国際的な分野で活躍できる技術者を目指しており、英 語を使っての国際交流に活発に取り組み、事前に交流学生がアメリカ人高校生に楽しんでもら える文化紹介、ゲームなどの交流プログラムを作成した。マレーシア文化紹介ではマレーシア 料理を味わいながら、ゲームを楽しんだ。日本文化紹介では羽子板を紹介し、墨で顔に漢字を 書くフェイスペインティングをしたところ、アメリカ人高校生に大変好評で、時間になっても なかなか去りがたいほどお互い仲良くなり、親睦を深めた。 参加した学生は「アメリカ人高校生は質問にもすぐ答えるなど、自分の意見を持っていると 感心した」また、「マレーシア人留学生と一緒に準備し、交流を深められ有意義だった」など の感想があった。また、アメリカ人高校生からは、「大学訪問は楽しかった。今度はアメリカ で会いましょう」とのメッセージが寄せられた。 工学内留学生交流会 マレーシア・ツィニング・プログラム編入生(学部留学生2年生)、韓国仁荷大学交換学生、 研究生、重慶工学院受託研究員など新留学生の交流会を宇部国際交流会館ラウンジで行った。 中国の餃子、重慶の火鍋、韓国のキムチチゲ、マレーシアのカレー、日本の手巻き寿司を一緒 に作り、お互いの料理を味わった。山椒を使った重慶鍋の辛さにびっくりしたり、手巻き寿司 の作り方を習ったりしてエスニック料理を楽しんだ。 家族持ちの多い大学院生は研究に忙しく、学内での交流には積極的ではないため、学内での 交流活動が進めにくいという問題がある。しかし、編入生や交換学生は学内交流の場が少ない ため、友だちを作る機会がないなどの問題も生じている。このため、センター宇部室では、交 流会、茶話会などを随時持ち、誰でも話に来ることができる場を設けているが、留学生に好評 である。 −117− −118− 宇部留学生交流会 6名 62人(留学生と家族) 18人(留学生と家族) 留学生4名、一般学生6名 6名 国際交流 32人(留学生と家族) 食事を共にしながら、一般市民との交流を深める・留学生に関する行事やボランティア団体からの情報提供の場とする 36人(留学生と家族) 食事を共にしながら、一般市民との交流を深める・留学生に関する行事やボランティア団体からの情報提供の場とする 30名(留学生と家族) 宇部留学生交流会協賛団体による交流事業 30名(留学生と家族) 交流会 10名 日本独自の文化を通して、一般市民と留学生の交流を深める 国連環境計画、グローバル500賞を受賞した宇部方式について学び、企業の環境取り組みを視察 国際交流 文化紹介・懇談会を通して、一般市民と留学生の交流を深める 国際交流 卒業生による記念植樹 3名 3名 6人 山口県国際交流協会 H17年2月13日 吉部小学校交流会 吉部小学校 H18年2月28日 国際交流の森記念植樹祭 宇部留学生交流会 中国、韓国の正月料理の作り方を紹介し、一緒に食べながら地域住民と交流を図る。 国際交流 3名 宇部留学生交流会 恩田小学校 宇部留学生交流会忘年会 宇部留学生交流会ボーリング大会 H17年1月31日 恩田小学校交流会 H17年1月28日 国際サロンinうべ H17年12月3日 4名 文化体験「茶道」実践 30人(留学生と家族) 日本人との、スポーツをとおした交流 70人(留学生と家族) 懇談会を通して、一般市民と留学生の交流を深める 宇部留学生交流会協賛者 30人(留学生と家族) 宇部留学生交流会協賛者による交流事業 宇部留学生交流会 40人(留学生と家族) 食事を共にしながら、一般市民との交流を深める・留学生に関する行事やボランティア団体からの情報提供の場とする グループこんにち輪 30名(留学生と家族) 地域住民との交流、みかん狩り、昼食 宇部留学生交流会 食事を共にしながら、一般市民との交流を深める・留学生に関する行事やボランティア団体からの情報提供の場とする H17年12月11日 文化体験・学校茶道茶会 裏千家淡交会宇部支部主催 H17年11月15日 月例会夕食懇親会 H17年12月4日 みかん狩り H17年10月18日 月例会夕食懇親会 H17年10月23日 芋ほり H17年8月28日 バーベキューパーティ グループこんにち輪 H17年9月28日 黒石小学校交流会 黒石小学校 H17年9月20日 月例会夕食懇親会 宇部留学生交流会 考 記念植樹によって「国際交流の森」を作り、留学生と市民の交流のシンボルとなる場所を設置する ボランティアによる日本語教室と月例交流会 宇部留学生交流会協賛団体による交流事業 備 33人(留学生と家族) 食事を共にしながら、一般市民との交流を深める・留学生に関する行事やボランティア団体からの情報提供の場とする 25人(留学生と家族) 日本人との、スポーツをとおした交流 三葵亭売茶流宇部支部仙友会 8名 宇部環境国際協力協会 15名 恩田小学校 H17年7月14日 市内企業環境対策設備見学会 H17年8月4日 アメリカ人高校生工学部訪問・交流会 防府市国際交流課 H17年8月13日 夏祭り 若き経営者の会 H17年6月14日 恩田小学校訪問 H17年7月3日 文化体験・お茶会 宇部留学生交流会 H17年6月18日 宇部留学生交流会スピーチ大会 宇部留学生交流会 宇部留学生交流会ボーリング大会 H17年5月17日 月例会夕食懇親会 期 日 交 流 内 容 主 催 者 参加留学生数 H17年4月5日 花見・文化紹介 63人(留学生と家族) 宇部ときわライオンズクラブ H17年4月 グループこんにち輪月例交流会 グループこんにち輪 20人(留学生と家族) 10人 国際交流の森記念植樹祭 H17年4月26日 宇部留学生交流会 54人(留学生と家族) 月例会夕食懇親会 平成17年度宇部地区地域交流 ホームステイ 杉原 道子 ホームステイ・プログラムに参加した留学生は3大学交流(山口大学・山東大学・公州大学) に参加した交流学生10名と大学院入学前予備生1名である。 最初に3大学交流の学生のホームステイを紹介する。ホームステイ実施後にアンケー調査が 行われ、今後解決しなければならない問題点も明らかにされた。 1.活動のねらい及び期待される効果 〈ねらい〉 日本の家庭に宿泊し、日本の住宅事情、食事、一日の過ごし方など日常生活を実際に体 験することによって、より深く日本を理解することができ、日本の家庭生活における実態 を自ら発見する機会を得る。 〈期待される効果〉 地域住民と触れ合うことによって、日本社会や山口の地域をより深く理解することがで きる。 参加した両国の交流学生が山口に興味を持つ。 2.日時・場所 10時〜15日 日 時:11月12日 9時 3泊4日 場 所:ホームステイのホストになる家庭 3.活動内容・スケジュール 〈参加者〉訪問団学生10名 ホストファミリー8家族 ホームステイ一覧 名 前 いのうえよし こ 井上佳子 ふな つ かずのり 船津和則 おか なお こ 岡 直子 し みずさとひこ 清水智彦 た なか あきら 田中 章 やま ね こういち 山根浩一 さ とう た きち 佐藤太吉 にしやまかずひこ 西山和彦 住 所 山東大学 山口市 公州大学 林燃 山口市 安勲 付陽 山口市 李 山口市 李明 山口市 知 趙暁蕾 山口市 全慧榮 山口市 崔瑩瑩 山口市 趙惜羽 −119− 万鈞剣 〈活動内容〉(プログラム等の詳細内容) 11月12日 10時 会場でホストファミリー案内(資料配布) 12時 ホストファミリーと交流学生を食堂へ案内する。 13時 ホストファミリーの家庭へ 11月13日 ホストファミリーと一日過ごす 11月14日 広島見学後ホストファミリーの家庭へ 11月16日 送別会 12月 アンケート実施 18時〜 会場でホストファミリーへの対応 5.所感・今後の課題 〈所感と成果〉 8家族のご協力を得て、三泊四日のホームステイ・プログラムを実施した。二つの家庭に交 流学生二名をお願いすることができた。実施2週間前にホストファミリーのリストが届き、書 類をもとにマッチングを行った。日本語でのコミュニケーションが難しいと思われる学生は二 人を一組にし、また、日本語ができない場合でも、英語ができる場合は英語でコミュニケーシ ョンができる家庭を選び、何語であってもコミュニケーションが成立するように心がけた。 ホームステイのご家庭の暖かいもてなしに、全員深い感銘を受けたようである。ご家族のお 年よりからお茶のたて方を指導していただき、いろいろなお話を伺うことができたことは大変 喜ばしいことである。家族総出で歓待していただいた様子が良く分る写真も送っていただくこ とができた。写真で見る交流学生の顔は実に生き生きとして、喜びに満ちていた。送別会では 交流学生全員がホストファミリーの暖かいおもてなしに深い感謝の気持ちを抑えきれずに涙を 流していた。なかには号泣する者もいた。「日本のお父さんお母さんと呼んでいいですか」とホ ストファミリーに聞いていた学生もいた。交流学生には生涯忘れられない思い出となったと思 う。帰国後、留学生から「来年、山口大学に留学するので、また、お会いできると思います」と いうメイルを受け取られ、再会を楽しみにしていらっしゃるご家庭もある。この交流が末永く つづくことを期待したい。地域の方のご協力を得て実り豊かなプログラムが実施できたことに 対して心からお礼申し上げたい。 大学院入学前予備教育生アミルさんが2005年3月27日と28日に船津さん宅でホームステイを 楽しんだ。船津さん宅には二人のご子息がいらっしゃるので、若者同士の楽しい交流を行うこ とができたようである。 −120− 外国人留学生見学旅行 赤木 第1回見学旅行 12月17日 〜18日 弥生 1泊2日 行き先:京都 12月17日、18日の2日間、留学生125名が参加し、京都への留学生見学旅行が実施された。 留学生課職員、学部留学生担当職員、国際センター、国際交流委員が引率し、バス3台の旅と なった。 第1日目は、清水寺を訪問したが、境内には紅葉がまだ残っており、日本の晩秋を満喫した。 夜は、宿泊先の旅館で浴衣に着替え、夕食をとり、大浴場での入浴など日本文化を体験した。 夕食後は、町へ出かけ、お土産を買ったり、舞妓さんを見に行ったりと自由行動を楽しんだ。 第2日目は、雪の積もった平安神宮、金閣寺を回り、嵐山で昼食を取った。雪化粧の京都にす っかり魅せられた留学生は、写真を撮ったり、雪と遊んだりした後、短い滞在を惜しみながら、 帰路についた。 日本を代表する歴史的な観光都市京都への旅行は最も希望の多いところであるが、時間やコ スト面から実現できず、今回初めて実施することができた。短い滞在ではあったが、山口から 距離的に遠く、訪れたことのない留学生たちは大いに満足したようであった。 山口にいるからこそ、日本の他の地域を見る機会も作り、留学生が日本文化や歴史について 学び、視野を広げられるように配慮することが重要である。 留学生の感想 ・清水寺や金閣寺などの古い神社を拝見して日本の文化と歴史を肌で感じることができた、 すごくうれしかった。 ・日本で一番歴史の雰囲気の溢れている京都を見学できたことは、一生忘れられないことに なる。 ・京都の旅は寒かったのですが、きれいな景色に心も体も癒され充実した旅で感動した。 ・金閣寺は本では見て知っていたが、日ざしの中で輝く金閣寺に出会い、「金閣寺は本当に 金でできているのだ」と思わず声を漏らした。その感激の一瞬は一生忘れないだろう。 日 程 日 程 工学部(宇部)→山口キャンパス → 勝央SA →京都 清水寺 → 旅館 12月17日 7:20集合 8:20集合 13:00−13:30 16:00−17:00 17:15 (昼食) (見学) 旅 館 → 平安神宮 → 金閣寺 → 嵐山 → 山口キャンパス →工学部(宇部) 12月18日 8:15 8:30−9:20 10:00−11:00 11:20−12:30 19:30 20:30 (見学) (見学) (見学・昼食) 宿泊場所 お宿いしちょう 第2回見学旅行 2月18日 〜19日 1泊2日 行き先:京都 杉原道子国際センター講師、片山留学生課職員が引率、同行した。 −121− 外国人留学生・企業見学会 在中国地域外国人留学生に地域産業の現状等を把握し、認識を深める機会を提供することを 通じて、地域レベルでの国際交流の推進と将来の国際的な人的ネットワークを構築することを 目的として、山口県下の高等教育機関を対象に、平成17年9月2日 、中国経済産業局主催、 山口地域留学生推進会議、中国経済連合会共催による「平成17年度外国人留学生・企業見学会」 を開催した。 17年度は、山口大学、徳山大学、山口東京理科大学、宇部フロンティア大学、梅光学院大学 から、留学生29名(国籍:中国、台湾、タイ、ベトナム、バングラディシュ、メキシコ)、引 率者5名の総勢34名が、1台のバスで、㈱ブリヂストン防府工場、マツダ㈱防府工場の2企業 を見学した。 天候に恵まれ、それぞれの企業の会社概要、事業内容等の説明を受け、質疑応答の後、製造 工程を見学した。 ㈱ブリヂストン防府工場ではタイヤ製造行程を、マツダ㈱防府工場では車製造行程を見学し た。 留学生からは、日頃話すことのない他大学や他の国からの留学生との交流を楽しみ、日本企 業の技術の一端に触れることができ、日本での就職希望を一層強くした見学会であったとの感 想が寄せられた。 −122− 山口大学・公州大学校・山東大学 3大学学生交流プログラム 門脇 薫 実施概要 1 プログラム準備 〈全体業務の流れ〉 2004年12月に初めて「山口大学・韓国 公州大学校・中国 山東大学 3大学学生交流」が行 なわれた。1回目のプログラムはある程度の成果をあげ(2004年度報告書参照)、今年度も引 き続き実施されることになった。宮崎国際センター長を中心に国際センター教職員全員で本プ ロジェクトに取り組んだ。 まず、7月から8月にかけて宮崎センター長、和田国際センター主事、石橋留学生課課長、 渡辺教授、今井助教授、門脇のメンバーで何度も会議を開き、昨年度の反省をふまえ、プログ ラムの目的・期待される効果・内容について検討した。そして宮崎センター長を中心に担当業 務や全体図を示したワークシートが作成された。それに従い国際センター教職員が担当の活動 (アクティビティー)プログラムについて各自企画書を作成し、センター教員会議で何度も練 り直され、9月上旬に企画書の最終版ができあがった。その後はプログラムの活動を担当する 教職員がそれぞれの活動プログラムについて責任を持って準備し実施を行なった。 〈コーディネーター業務〉 昨年度に引き続き、筆者は本プログラムのコーディネーターとして企画から報告書まで全て を担当した。業務内容を挙げると以下のとおりである。 *事前準備 昨年度の反省、企画会議、2大学(中国・韓国)との連絡(翻訳含む)、センター教職員 の統括(センター長と共に)、企画書例作成、提出された企画書のチェック、予算検討、 関係者・機関との連絡、ボランティア学生の指導、2大学へ資料情報提供、担当の活動の 準備、参加者のためのしおり作成、学内広報(ポスター・通知)、各種問い合わせへの応 対等 *プログラム実施期間中 スケジュール管理、各種問い合わせへの応対、訪問団アテンド、通訳補助 *プログラム終了後 2大学との連絡、関係者・機関との連絡、反省会実施、アンケート作成、アンケート実 施・回収、アンケート集計(翻訳含む)、報告書編集、編集校正作業、各種問い合わせへ の応対等 上記の全てにおいて国際センターの教職員及び関係機関の協力のもとに業務を行なったが、 細かい業務も多く業務内容も多岐にわたるため、コーディネーターはほぼ一年中3大学交流プ ログラムに取り組んでいることになる。センター教員として留学生対象の日本語教育及びその 他の通常業務も行ないながら、3大学交流の業務も行なっている。本プログラムは、国際セン ターがかなりの力を注いで取り組んでいる大型プロジェクトであると言える。 −123− 2 プログラム実施 1週間のプログラムの内容の詳細については、「プログラム内容」の各活動報告を参照さ れたい。昨年度と異なり今年度は本プログラムのために交流ボランティア学生を募集し、積 極的に参加してもらった。 3 報告書 3大学交流を「やりっぱなし」にするのではなく、やったことを記録して多くの人と貴重 な経験を共有し、また成果について検討するために、昨年同様報告書を作成することになっ た。門脇を中心に和田主事、渡辺教授の3名が編集委員になり、参加者に原稿依頼をしアン ケート調査から得られたフィードバックを分析し、検討した。 交流の成果とまとめ 3大学交流プログラム終了後に、公州・山東大学からの訪問団学生各5名計10名、及び本プ ログラムに参加した山口大学の交流学生約50名(山口大学外国人留学生含む)を対象に今回の プログラムに関するアンケート調査を実施した。2か国の訪問団の学生には、それぞれ韓国 語・中国語に翻訳したアンケート用紙を配布し、韓国語・中国語で回答してもらいそれを日本 語に翻訳した。以下にアンケート調査結果より交流の成果と課題についてまとめる。 1 本プログラムによって得られたこと *異文化理解の促進 韓国・中国の訪問団の学生は、日本を訪問することで自国での限られた情報からはうか がい知れない日本・日本人観を得ることができた。山口大学の学生や教職員、そしてホス トファミリーに親切にしてもらったことに非常に感銘を受けていた。 一方、訪問団を迎えた山口大学の学生も、直接、韓国と中国の学生と交流することが両 国の文化を知るきっかけになった。また、異文化に関心を持つだけでなく、異文化を通し て自国の文化を再発見することにつながったようである。 山口大学の学生は、両国の訪問団の学生が積極的に交流しようとする姿に刺激を受け、 積極的に行動すること、異文化に目を向けること、コミュニケーションの重要性について 学んだ。まずは、山口大学にいる外国人留学生と交流したり、もっとお互いの国について 勉強して、自分のできることからやってみようという意見が複数見られた。 1週間の交流で完全にお互いを理解することは不可能であるが、理解しようという態度 が養われたことは確かであり、本プログラムの「相互理解を促進する」という目的は達成 されたのではないか。 *外国語学習に対する動機づけ 訪問団の学生の日本語学習歴は様々であったが、日本に滞在して日本人と接する中で 日本語学習に対して更に意欲的になったようである。 山口大学の学生は、訪問団の学生が外国語である日本語や英語でコミュニケーションを とったり、自分の意見を皆の前で発表したりする姿を見て、外国語学習の重要性について 再認識した人が多かった。 −124− 交流するのに言葉は必ずしも必要ではないが、深い話をしたり、お互いをより深く知る ためには語学力があった方がいいという意見も見られた。 *ボランティア活動の経験 本プログラムでは、ホストを務めた山口大学の学生が交流ボランティアとして企画・準 備段階から活動に加わった。このような経験は今までほとんどない人が多いので、自分自 身を成長させるよい経験になったようである。 2 プログラムの終了後の動向 本プログラム終了後に、公州大学から参加した1名が2006年度山口大学に1年間交換留学 することが決まったという知らせが届いた。 山口大学の学生の中からも、2006年度公州大学に1年間交換留学することが決まった学生 がいる。この学生は9月に公州派遣プログラムに1週間参加し、11月に本プログラムに参加 し、そして今度は1年間の留学が実現することになった。まさに、それぞれの交流プログラ ムが有機的に結びついてこのような成果につながったといえる。また、冬休みの12月に山東 大学を訪問した学生、春休みの2月に公州大学を訪問した学生達の中で、再度山東や公州を 個人的に訪問して両国の学生と再会を果たしたという報告もあった。 その他にその後も山口大学の学生と両国の学生と電子メールで連絡をとりあっているとい う話も聞く。更に喜ばしいことに、山口大学の交流ボランティアの学生の中から、国際交流 活動をするための組織が結成された。国際センターの国際交流プログラムに参加したことを きっかけに学生達はどんどん成長している。 本プログラムをきっかけに参加した学生が色々なことにチャレンジし始めている様子か ら、目標とした成果「①参加した中国・韓国の学生が山口に興味を持つ。②参加した両国の 学生が再び山口を訪れるきっかけになる。③山口大学の学生がより海外に目を向ける機会」 が十分に達成できたと言えるであろう。 3 今後の課題 〈より深い相互交流のために〉 * 意見交換をする機会を増やす プログラムの内容がもりだくさんで時間的にゆっくり深く話す時間がなかった。夜の自 由時間などに、そのための場所や時間等設定することも考えたい。また、3か国間に生じ ている様々な問題について、テーマを決めて討論する時間も検討したい。言葉の問題があ るが、通訳をつけてより深い内容について話をする機会があればよい。 * 韓国と中国の訪問団同士の相互交流 今回韓国と中国の学生同士の交流があまりできなかったという意見が見られた。時間的 に制約があったり、同国の人同士で行動したりしてしまったという反省があった。しかし、 山東大学からの参加者の中には朝鮮族出身の学生がおり、韓国語も理解できるので間に入 って交流する場面も見られた。 −125− 〈継続性のある交流のために〉 * 3か国で3大学交流を行なう。 3か国間の交流なので、できれば日本・韓国・中国で順番に同様のプログラムが行なわ れるのが理想であるが、現在のところ山口と公州大学、山口と山東大学は協定が結ばれ多 方面の相互交流が行なわれているが、公州大学と山東大学の間では交流協定が結ばれてい ないために同様の3大学交流プログラムを公州大学と山東大学で順番に持ちまわりで実施 することは困難である。3か国で3大学交流プログラムが実施できる方法を模索しなけれ ばならない。 〈より山口大学の学生にとって有効なプログラムにするために〉 * 学内における広報の充実 交流ボランティアとして参加した学生以外の山口大学の学生が参加できるような活動を 企画したが、あまり参加者は多くはなかった。各活動の実施方法について、例えば工学部 訪問だけではなく各学部を訪問して学部における交流をプログラムに入れるなど、再検討 を行い、また学内での広報も徹底して行なう必要がある。 * ボランティア学生の活動の蓄積 今回参加した交流ボランティアの学生は公募して集まった学生達で、その多くは国際交 流活動にあまり参加したことはなかった。外国の方とどのように接するか、どのような内 容を企画するか、異文化交流においてどのようなことに留意したらよいか等、全く初めて のことばかりであったと思う。 しかし、2004年度の3大学交流に参加した1名が今年も参加し昨年の様子等を報告した り、9月に公州大学に派遣された学生が韓国で体験した活動等を報告したりすることによ って他の参加者と情報を共有でき、準備を進めていく中で自分たちがボランティアとして すべきことが明確になっていったようだ。 今後同様のプログラムを実施する場合、今年度の参加者の何人かが中心となってまた新 しく参加するボランティア学生と共に活動していくためのノウハウや交流について共有で きるようになれば、山口大学の学生のボランティア活動も更に活発になると思われる。 * 大学側からの支援 プログラムが学期中に行なわれるため山口大学の学生が「様々な活動に参加したいが授 業と重なるため参加できない」という反省が昨年度見られた。今年度は公欠扱いにしても らえるような対応を国際センターで行なったが、参加しにくいことは否めない。全学的な プログラムであるので、もう少し本プログラムが大学の国際化に貢献していることの意義 を学内で理解をしてもらい、教育の一環として参加できるようなしくみを作る必要がある。 また、今後このような交流活動を国際センターが中心となって行なう場合、センターの 予算及び現在のセンターの教職員の業務量を考えるとマンパワーの面でも限界がある。ぜ ひとも全学的な支援や協力を考慮する必要があろう。 〈よりよいプログラムのために〉 * 事前準備の充実 まずは参加者(訪問団、ボランティア学生、ホストファミリー)に対して情報をできる 限り事前に周知させる努力が必要である。 −126− また、参加した学生の回答で「もっと勉強しておけばよかった」という回答が多く見ら れた。言葉やお互いの国についての事前学習を今後どのように促進していくか課題である。 * プログラムの内容 各活動についての課題は、前の章「プログラム内容」に各担当者によって書かれている ので次回それぞれの活動について企画するときに参考にしたい。 上記に挙げられている課題の他に、アンケートの回答にもあったように学生の部屋に宿 泊するなど日本の大学生の生活が体験できるような内容も入れてもいいのではないか。 今回はある活動においては山口大学の学生が主体となって企画実施を行なったが、その ような機会をより増やして学生の目線でプログラムを企画することが必要であろう。 以上今後の課題として挙げたが、今後次のプログラムに生かしていくつもりである。 最後に、日本・韓国・中国の3か国の学生が集まって行なう「3大学交流」は全国にお いてもユニークな試みである。3か国の交流というメリットを最大限に生かして、今後も 継続して交流プログラムを進めていきたい。 〈参考資料:プログラムの詳細〉 11月10日 午後 山口大学到着・オリテンテーション・歓迎会 11月11日 午前 日本語授業・学長表敬訪問・ 午後 工学部での交流・施設研究室見学 11月12日 午前 各国・各大学紹介 ホストファミリー対面式・昼食交流会 ホームステイ 11月13日 終日 ホストファミリーと過ごす 11月14日 終日 広島見学 11月15日 午前 日本語授業・共通教育授業参加 午後 市内見学 11月16日 午前 自由行動 午後 日本文化体験・意見交換会・送別会 11月17日 朝 湯田温泉駅まで見送り・訪問団帰国 「3大学交流プログラム2005」より −127− 山口大学・公州大学短期学生交流プログラム 渡辺 淳一 1.1999年3月の大学間協定締結後、両大学は学生の交流プログラムに取り組み、大きな成 果を見た。その一例として、過去において本プログラムに参加して山口大学を訪れた公州大 学の学生がその後山口大学工学部に留学、また、公州大学の学生と親交を深めた山口大学の 学生が公州大学に1年間留学した。同プログラムは、サーズの世界的な流行で一時中断した が、山口大学からの学生派遣が今年度再開された。公州大学生の受け入れは、中国山東大学 を交えた3大学交流という形で昨年度既に開始していた。今年度においても公州大学からの 学生受け入れは3大学交流プログラムとして行った。(3大学交流の項を参照されたい。)本 プログラムは新しい形での交流プログラムへと姿を変えたわけであるが、公州大学での交流 プログラムも、今年度から同大学の日本における協定大学2校(鹿児島大学、東京学芸大学) からの学生も交えた新しい交流プログラムとなった。 2.出発まで 今年度の短期交流プログラムの学内広報は5月下旬に始まり、6月27日第1回目の説明会 を実施した。説明会では以下の点について説明された。 ・交流プログラム実施期間:9月21日〜9月27日 ・参加学生数:5名(教員引率1名) ・参加費用 ○ 交流経費(宿泊代、食費、交通費、博物館等の入館料等)は受け入れ大学負担 ○ 自宅から仁川空港までの往復の交通費(航空運賃:33,365円)、保険は自己負担 ○ 往復旅費の半額程度を山口大学が補助する ○ 参加申込書と共にエッセイの提出 ○ 応募者多数の場合には面接を行うことがある ○ 公州大学学生を迎える3大学交流への積極的参加を求める エッセイについては、次のようなテーマを提示し、参加学生の選考はレポートの審査による こととした。 【テーマ】 応募動機(なぜこのプログラムに応募しようと考えたか) 期待(このプログラムに何を期待するか) 将来の関心とのかかわり(専攻、就職などとこのプログラムはどう関連するか) 【提出方法】 ワープロ機能を用いて、A4に、40字×30行のモードで、1枚 7月7日を提出締め切りとして10名弱の学生の応募があった。センター長、主事、派遣 担当者の審査により下表の5名の学生が選考された。 −128− 氏 名 性 別 学 部 専 攻 学 年 大和 男 教 育 国際文化 1 宏 男 理 学 地球科学 2 真理 女 農 学 獣 医 学 1 ④ 野地優美子 女 教 育 国際文化 3 ⑤ 伊藤 女 教 育 国際文化 2 ① 飯干 ② 森 ③ 本田 奏 選考結果の発表に引き続いて、5名の学生と数回打ち合わせと勉強の会を開催した。第1回 目の打ち合わせ会では、前回学生の引率をしていただいた和田主事に前回のプログラムの話を していただき、諸注意事項の説明をしていただいた。留学生課の角井係長に航空券手配、旅行 傷害保険等の事務的な説明をしていただいた。担当者からは、以下の点について説明をした。 ・事前学習について ○韓国語(自己紹介、ホストファミリと簡単な会話ができる程度の韓国語を身につけ る):和田主事から特別に指導の申し出があり、基本的なサバイバル韓国語を数回にわ たって教えていただいた。 ○韓国事情(和田主事が推薦する図書で各自学習) ・大学紹介の準備:大学自慢、学部自慢、学生生活(サークル活動、寮生活、アルバイト事 情、就職活動、etc.)を分担して、5分ぐらいで発表できるよう準備 ・歓迎パーティーでの余興の準備 7月は期末試験があり、頻繁に学習会を持つことはできなかった。8月の夏休み期間中は学 生がそれぞれの計画があり、日程の調整がついた出発前の9月5日から9日の間に集まり、勉 強会を開いた。 3.交流プログラム日程 第1日目(9月21日) ・アシアナ航空131便にて午後3時過ぎ仁川空港到着。 ・相前後して鹿児島大学参加者(1名)と東京学芸大学参加者(2名)が到着。 ・公州大学国際交流センターの孔主任とスタッフの出迎えを受け、大学が用意したバス で一路公州大学に移動。山口大学より1年間交換留学している学生が出迎え、交流プ ログラム中受け入れ大学の一員としてわれわれの世話をしてくれた。 ・途中、韓国料理の夕食をご馳走になる ・午後8時過ぎに大学到着。すぐに宿所となるゲストハウスに案内される。 ・公州大学生がゲストハウスで出迎え。 ・孔主任の簡単な歓迎の挨拶の後、オリエンテーション、部屋割り、翌日からのプログ ラムの説明があった。 ・その後、出迎えの公州大学生が用意した茶菓をいただきながら、自己紹介の後歓談し た。 −129− 第2日目(9月22日) ・8時学生食堂にて朝食 ・9:00 国際交流センター小会議室にて交流プログラム開会式 企画研究所長の歓迎の辞の後、訪問団を代表して山口大学引率渡辺が挨拶 《挨拶文》 皆さん、こんにちは。 私は、山口大学国際センターの渡辺淳一と申します。 本日は、私たちのためにこのような盛大な歓迎式を催していただき誠に ありがとうございます。 山口大学、公州大学、両大学は1999年に学術交流協定を締結いたしまし た。それから7年間、両大学の関係者の相互訪問、交流を通して、両大 学の関係はより緊密なものとなりました。特に、この学生の交流は1999 年に始まり、今回は7回目となりました。両大学の関係を深めるのに非 常に意義深いプログラムでした。昨年、この交流プログラムは中国の山 東大学を加えて3大学交流として山口大学で開催されました。その折に は、貴大学から5名の学生さんが参加してくださいました。そして、非 常に友好的な環境の中で交流が深められました。世界を震撼させたサー ズのために山口大学からは学生を送ることができませんでしたが、今年 はこうして5名の学生が貴学を訪問することができ、みな大いに喜んで おります。この度は、山口大学に加えて、貴大学と協定を結んでおられ る東京学芸大学、鹿児島大学の参加があり、新しい一歩となりました。 日本と韓国の間には、過去において関係が必ずしも友好的でなかったと きがありました。その過去が現在にあっても顔を出すことがあります。 過去の事実は消え去ることはありません。しかし、私たちは、過去の事 実を否定することなく、過去の事実の認識の上に立って、隣人として新 しい関係を構築するために最大の努力を払わなければならないと思いま す。そのために、次代を担う若い人たちの果たす役割はとても大きく、 私は今日ここに集っている若者たちが、これからすばらしい日韓関係を 構築して行ってくれることを大いに期待しております。今日から始まる 1週間、日本から来ている学生の皆さんには、公州大学の学生さんと心 がかよう友人となってほしいと思います。また、公州大学の学生の皆さ ん、ここにいる日本人の学生は韓国のことをよく知りたい、韓国の人た ちと分かり合いたい、特に、皆さんと友達になりたいと思って参りまし た。どうぞ彼らと友達になってやってください。 ちょっと(?)年が皆さんよりとっていますが、気持ちは年ほどは老い ていないと思っています。私も学生気分に戻ります。皆さんの仲間に入 れていただきたいと思います。 今日は、どうもありがとうございました。 −130− ・11:00 公州市市長表敬訪問 ・12:30 公州大学総長主催昼食会 ・14:00 「韓国語を話す」初級韓国語講習:外国語センター講師 ・15:30 「韓国を学ぼう―韓国の歌を習う」:公州大学生指導 ・17:30 「韓国を学ぼう―韓服を着る・挨拶」:家政学部の韓国服飾学科の教授と同 学科の学生に韓国の伝統的な衣装の着付けを見せてもらい、訪問団の学生が 一人一人試着した。また、韓国の伝統的な挨拶の作法を指導していただいた。 ・18:30 学生食堂で夕食 ・19:30 「公州の夜文化体験」:訪問団学生と公州大学学生が交歓 第3日目(9月23日) ・8:00 学生食堂で朝食 ・9:00 座談会:「日本人の目から見た韓国、韓国文化」 ゲストハウス 韓国の方と結婚され公州市に永く住まわれている日本人2名が話題提供者 として来られ、韓国に暮らして生活の中から見てこられた韓国の文化・暮ら し・習慣について貴重なお話を聞かせていただいた。前年度の公州大学から の学生を引率してこられた歴史学の専門の李教授が司会をされ、話題は日韓 の関係、歴史の問題等のホットなトピックにまで及び、訪問団の学生も質問 をし、自分たちの意見も率直に発言していた。 このような話題を公州大学の学生と話し合うことができる時が来ることを 願って座談会が閉められた。 ・11:00 韓国文化講座:「韓国歴史の理解」と題して、企画研究所長の李教授の講義 を拝聴した。国際交流センター会議室 ・12:30 教職員食堂にて昼食 ・14:00 文化遺跡見学:百済・武零王稜と博物館を訪れた ・16:00 「韓国を学ぼう―韓国料理実習」:大学近郊に住む家庭に招待され、韓国の 料理の作り方を教えていただいた。訪問団の学生は日本から用意していった 材料で「お好み焼き」を作ってご馳走した。一通り料理が出来上がった後、 さまざまなご馳走をおいしくいただいた。 第4日目(9月24日) ・8:00 学生食堂にて朝食 ・9:00 「韓国語を話す」初級韓国語講習:外国語センター講師 ・10:00 「韓国の古典音楽鑑賞及び実習」:韓国の古典音楽を演奏する公州大学の学 生サークル部員が演奏を披露。続いて、韓国のさまざまな太鼓等の打楽器の 演奏を指導していただき、最後に合奏を行った。非常に打ち解けて和やかな 交歓風景であった。 ・12:00 ゲストハウスでの昼食。学外から中華料理を注文しての昼食であった。 ・13:00 ホームステイ家族との面会。それぞれのホームステイ家族が紹介され、家族 とともにホームステイ先に移動。 引率者は宿所に滞在。センターの職員が夕食に町を案内してくださった。 −131− 第5日目(9月25日) ・学生はホームステイ家族と1日を過ごした。 ・引率者は孔主任のお世話で郊外を案内していただいた。 第6日目(9月26日) ・9:00 学生ホームステイ家族に遅れれてゲストハウスに到着 ・10:00 学内施設(考古学博物館、中央図書館、新築の学生寮)の見学。引き続き、 別キャンバスにある影像保健大の漫画学科を訪問。同学科の作品を見せてい ただき、また、同学科の学生が訪問団の学生人一人の似顔絵を描いて、記念 にいただいた。 ・12:00 教職員食堂で昼食 ・13:00 公州市郊外のお寺『甲寺』見学 ・18:30 送別会:甲寺近くの韓国料理のレストランにて韓国の料理をいただきながら 第7日目(9月27日) ・5:30 ゲストハウス出発 ・9:00 仁川空港着 ・11:30 アシアナ航空132便にて仁川空港発 ・12:40 福岡着後現地解散 4.プログラムを終えて 先ず、孔主任をはじめとする公州大学校国際交流センターの方々の心温まるもてないしと公 州大学の学生諸君の友情に深く感謝している。 参加学生の手記にも述べられているとおり、1週間という期間は盛りだくさんのプログラム 内容をこなすには短すぎ、日程にきついところもあった。しかし、いろいろなところを見ても らい、いろいろなことを経験してしてもらいたいという受け入れる側の気持ちはよく理解でき る。山口大学が実施する3大学交流に参加する学生のコメントにももう少し時間の余裕がほし かったという意見が寄せられ、今年度のプログラムではその点に配慮したプログラム内容が組 まれたと思われる。 交流に参加した学生は、それまでの日韓の間に横たわるさまざまな問題に対しての認識は韓 国の学生に比して必ずしも高いとはいえない。しかし、勉強会を通して韓国に対すして向けら れる目に変化が生じたと思われる。日本の韓流ブームでは見えてこない日韓の歴史認識につい て見えてきたように思われる。それは日程の中の座談会の席で率直に竹島、歴史認識、植民地 支配等の日韓問題について司会の先生に質問する姿に見えた。本交流プログラムに参加した学 生の大きな収穫であったと思われる。いつの日か、お互いに触れることを回避しているこれら の問題を若者たちが率直に話題にし理解を深め新しい日韓交流が始まることを願わずにはいら れなかった。 今回の交流に参加した学生の内1名が今年度の交歓留学生として公州大学に留学した。これ からも交換留学や訪問などのリピーターが増えることを期待したい。 −132− 5.参加学生の手記 まず、今回の短期交流プログラムに参加させていただいたことを心から感謝します。 私は以前から韓国という日本の隣国に勝手に親しみを感じ、興味を持っていましたが、 1週間という短期間で私は何の知識も持っていなかったと強く感じさせられました。同 時に、日本と韓国、山口と公州の深い関係を学びさらに韓国が興味深いものとなりまし た。 今回のプログラムは、全体的に見てとても慌しいもので、正直に言いますと多少 焦りのある交流会だったかなと感じます。しかし、その分学んだことは多く、公州大学 の方々の協力にとても感謝しています。私がとても良かったと思うのは、 韓国を学ぼ う ということで韓国語や歌、韓服、古典音楽、料理実習などが体験できたことです。 日本で学んだり、旅行するだけではこのような体験は出来ないと思うのでとても貴重な 体験をさせていただき満足しています。しかし、次回このような交流会があるのなら、 参加者に最低限の知識をつけて行って欲しいと痛感しました。例えば、百済時代の歴史 や簡単な日常会話など。特に、言葉の点で私たちは韓国の大学生に頼りすぎていたよう に感じます。せっかくこのような機会をいただいたので、もっと積極的に韓国語の練習 をするべきだったかなと少し後悔しています。 次に、やはりホームステイがとても良い経験だと思います。大学のゲストハウスに泊 まることで、ゲスト扱いされ、隔離されているような感じがしました。もっと韓国の普 段の生活が見られたら良かったかなと思います。また、韓国の大学生とカラオケに行っ たり、お酒を飲んだりしたのがとても楽しく、またいろいろな話が出来、本当に忘れら れない時間です。次回は、一緒にスポーツをしたりしても楽しいのではないかと思いま す。 全体的にみて、今回の交流会で私は韓国の二つの面を学びました。一つは、韓国の歴 史や文化、芸術といった伝統的な韓国。もう一つは、現在の韓国の若者の生活や街の様 子です。どちらの面も学べたので、私はこの交流会に参加できたことを本当に良かった と思っています。交流会は、楽しむだけではなく、お互いの国の良い面、悪い面が見え ると思うので大学生には良い影響を与えてくれるものだと強く思いました。今後もさら に良い交流会が出来るようにしていただきたいす。私も力になれたら良いと思います。 野地優美子 今回のプログラムを通して、私は普通の観光旅行では得られない経験をたくさんする ことができた。それは、大きく3点に分けられる。 1つ目に韓国に友人ができたこと。大学内やホームステイを通じてたくさんの人に出 会った。言葉を自由に伝えることは難しかったが、互いのことを一生懸命分かり合おう とし、たくさんのことを話し、知ることができた。それは韓国の生活習慣だったり、韓 国人の考え方、韓国の大学生の生活など様々だ。生きた韓国語を知ることもできた。た った1週間、ホームステイは1日であったが、かなり濃い関係になれたし、これからも ずっと付き合っていきたいと思う。 2つ目に韓国、特に公州と日本とのつながりを知ったこと。歴史の授業では教わるこ とのなかった裏話や密接な関係を知り、直接、遺産を見ることもできた。実際にその土 地に行って学んでいるので、机上の勉強よりずっと関心が持てた。また、韓国について 知りたい、という人が集まっているので、より興味を持って取り組めた。 3つ目に日本についての無知を感じた。韓国の歴史や生活習慣を知るにつれ、日本で はどうだろう、ということを自然に考えた。しかし、今まで気に留めなかったことなの で分からないことが多い。もっと日本の文化や歴史、日本人の考え方というものを知ら −133− なければならないと感じた。 私は今まで海外に行ったことがなかったので、今回、もっとも強烈に感じたのが「日 本人」としての私である。韓国の人とは考え方も違うし、生活習慣も違う。一般的な性 格も違う。歴史に対する考え方が違うというのも良く分かった。私の行動スタイルは、 やはり日本式だと思った。ただ、友達を大切に思う気持ちや、自分の将来に期待を抱い て努力する姿勢は、韓国人も日本人も同じだと思う。公州大学で生活していて、公州の 学生が大学の勉強に一生懸命取り組んでいる姿や、周りに流されず自分の思うように努 力している姿を見て、私もそうありたいと思った。 この交流プログラムの魅力はたくさんの人に出会えることだと思う。公州大学の学生、 先生、ホストファミリー、東京学芸大学・鹿児島大学の学生、そして山口大学の学生、 先生。年齢も専攻も違う人とたくさん出会い、話したことで大きな刺激を受けた。特に 私は最年少だったので、年上の先輩方の、大学生活でやってきたことや自分の失敗談を 聞くこともできた。韓国のこと、国際社会のこと、日本のこと。もっと海外に出て、ま た日本で勉強してたくさんのことを知りたい。自分の時間がたくさんある大学生をもっ と充実させようと思う。 自分の無知を知り、外国について知り、そして大切な仲間に出会えた。たった1週間 の滞在で韓国の良いところも悪いところも知るのは、とても大変だと思うし、実際、私 は韓国の良い面ばかり見えた。しかし、私にとって今回の交流は1つのきっかけである。 実際に訪れてみて、現地の人と触れ合ったことでとても関心を持つことができた。この きっかけを生かしていきたいと思う。普段は私の専攻外なので国際関係の授業を受ける わけではないが、その分、他の時間に勉強をしていきたい。 今回、このプログラムに参加させてくださって本当にありがとうございます。 本田 真理 −134− 海外短期語学研修 渡辺 淳一 1.2005年度の海外短期語学研修では、下記の表のとおり、夏期に3大学、春期に2大学に 研修生を派遣した。 派遣先大学 研修期間 参加学生数 担当者 引率者 8月7日〜9月5日 9名 今井 今井 夏期 仁荷大学 8月8日〜8月20日 3名 渡辺 和田 山東大学 8月9日〜8月31日 10名 門脇 門脇 リジャイナ大学 2月24日〜3月25日 9名 今井 今井 ニューカッスル大学 2月11日〜3月11日 34名 赤木 太田 リジャイナ大学 春期 今年度の短期派遣プログラムで大きく変わったことは、派遣先大学に新たにオーストラリ ア・ニューカッスル大学が加わったことである。ニューカッスル大学は2003年に大学間学術協 力協定を締結し、2年前から担当者(ニューカッスル大学からシーマス英語センター長、山口 大学から宮崎国際センター長)が相互訪問をして、英語研修の実施について詰めの交渉が行わ れ、今年度の派遣にこぎつけた。研修実現に向けての交渉の段階からの事情を含めて、担当者 が本研修について詳述する。 大学教育センターでは、本研修をきっかけに海外短期語学研修で取得した単位を本学の共通 教育の単位に振り替えることに本格的に取り組むこととし、受け入れ大学のカリキュラムの調 査と話し合いの二つの目的をもって、大学教育センター内の外国語センターの英語部会長に引 率として同行してもらうこととなった。同研修の報告は引率者に後述していただく。 2.奨学金 今年度も、前年度に引き続き山口大学教育研究後援財団から「学生の海外派遣等助成事業」 の資金助成があり、リジャイナ大学とニューカッスル大学の研修参加者を対象に以下のとおり 奨学金を支給した。 奨学金受給者 リジャイナ大学夏期 ― 2名 リジャイナ大学春期 ― 1名 ニューカッスル大学春期 ― 1名 奨学金額:一人 5万円 選抜の基準:研修の学習伸び率の高い者から選抜(研修機関が実施したプレテストとポ ストテストの結果による) 3.リジャイナ大学・夏・春期研修の報告 報告者:今井 3.1 夏期プログラム 引率期間:2005年8月7日 〜8月17日 −135− 新悟 研修期間:2005年8月7日 〜9月5日 山口大学参加人数9名(他に職員1名が研修で参加) 同プログラム他大学参加者数:都留文科大学17名、関西学院大学3名、京都光華大 学および同短期大学6名、清州大学(Cheongju University, Korea)10名 3.1.1 クラス分けについての説明 8月9日 担当者:Peko Nagai Listening TestとSpeaking Testの結果をもとに、3クラスに分けた。山口大生は上級と初 級に一人ずつ入った他は、7人が中級クラス。おおむね、都留文科大学および関西学院大 学が上級、山口大学が中級、清州大学および京都光華大学が初級という結果。 所見:人数のバランスのみを基準とした相対評価で、クラス分けを行っている。参加者の レベルと人数がクラス分けに影響する。初級クラスへの配慮が少ない。初級クラスの人数 を少なめにすることもなく、経験浅い教師が初級クラスを担当している。都留文化大学は、 事前研修で、会話に慣れているため、Speaking Testでスコアを伸ばしている。山口大学生 は、事前研修「留学英語」においてSpeaking Test対策を行うことにより、レベルの高いク ラスに入る可能性が高まるだろう。 3.1.2 Conversation Partnerとの意見交換 面談者:Ken(仮名) かつてassistant coordinatorであり、プログラムに精通しているKen氏から、プログラムに おけるCPの役割と問題点について聞いた。かつては、授業以外のactivityに教師も参加し ていたが、現在はCPのみで実施する。CPは時給11ドルから15ドルのパートタイムもしく はフルタイム(40時間/週)の報酬を得、プログラムごとの契約。学生との交流ができ、 仕事の内容に満足している。予算削減のためactivityが漸減している。現在のESL責任者に 代わってからこの傾向が強まった。これは、プログラムの価値を下げるものとして懸念し ている。 3.1.3 他大学引率者との意見交換 面談者:森際孝司(京都光華女子大学短期大学部引率) 1ヶ月間、リジャイナに滞在し、本プログラム参加者のみならず、レギュラーESLプロ グラムへの参加者のサポートも行っている。報告者と同じ宿舎であり、連日、多岐にわた る意見交換を行った。 プログラムの中のアクティビティーが予算の関係で毎回縮小傾向にあることが懸念され る。 3.1.4 Department of International Languagesでの協議 協議者:Bruce Plouffe(Head) 岸本由紀(Instructor) −136− 3.1.4.1 日本語のshort programの可能性について 2005年3月に宮崎センター長がshort programについて協議している。今回はその後の進 展について、協議した。その結果、以下のようなプログラムが望ましいという意見で一致 した。 ・期間:4週間から6週間。長すぎても短すぎても、支障が出て、参加率は下がるだろう。 ・時期:5月中旬が最適。その次は、8月。学生が夏季休業中にアルバイトをするため、 夏期休業中の初めか終わりが望ましい。 ・費用:3000ドル/6週間、2000ドル/4週間:授業料・宿舎(二食)。航空運賃は含ま ない。ドイツ語研修を参考に、同程度か、それ以下が望ましい。 ・単位:6単位を与える。ドイツ語研修にあわせる。6単位は2学期1年分に相当する。 ・プログラム内容:単位を与えることから、それに見合うwork loadとstandardを確保する こと。さらに、文化体験が加えられること。教科書は、Japanese 100, 101では『なかま』 を使用しているが、同程度のものであれば、特にこだわらない。 ・予想参加人数:5人 Regina Universityは中国の大学との協定関係を強化しており、中国人留学生が多くなっ ている。日本語を受講する中国人留学生も増加している。レギュラーコースでは、50% 強が中国人であり、2005 summer courseでは、80%を中国人留学生が占めた。 3.1.4.2 J-CATのプレテスト参加要請 岸本講師にJ-CATのデモンストレーションを行った。その上で、プレテストへの参加を 依頼した。おそらく可能であろうとの回答を得た。Tomoko Lamb氏へ伝えて、正式な回答 を得ることとした。実施時期は9月を予定。 3.2 春期プログラム 引率期間:2006年2月24日 〜3月2日 研修期間:2005年2月24日 〜3月25日 山口大学参加人数9名 同プログラム他大学参加者数:都留文科大学13名、甲南女子大学6名、群馬県立女子大学 1名、九州女子大学6名、帯広畜産大学3名、関西学院大 学1名、福岡大学2名 3.2.1 クラス分け Listening TestとSpeaking Testの結果をもとに、人数のバランスによる相対評価で3クラ スに分けた。山口大生は上級2名、中級3名、初級4名に配置された(資料参照)。都留 文化大学は、英文科の学生が多く、成績もよい。山口大学生の配置レベルは夏プログラム に比して下がった。夏プログラムの場合は、speaking testでの点数の伸び悩みが目立った が、今回はlistening test, speaking testともに成績が伸びなかった。 −137− 3.2.2 Peco Nagai(Liaison Officer for Asia)によるプログラム説明 Peco氏は今回のプログラムの責任者であり、交渉窓口担当者であった。プログラムの全 体説明を受けた。今回は韓国からの参加が取りやめになったこと、その理由として、本プ ログラムと韓国の学事暦とのずれおよび本プログラムが、英語とカナダ文化の二本立てで あることへの不満があったことが指摘された。韓国の大学はアカデミック英語(TOEFL対 策など)を希望しているとのことであった。よって、今回のグループは全員が日本人とな る旨説明があった。プログラムの概要はこれまでと変更がなく、conversation partnerにつ いてその質の問題で多少の入れ替えがあったことの説明があった。 3.2.3 Liliana Dominguez(Head of ESL Program)との意見交換 近年、本プログラムへの日本およびアジア各国からの参加者が減少しているが、その原 因として何か考えられるかとの質問を受けた。これに対して、地の利の悪さと航空運賃の 高さが考えられると回答した。プログラムの内容は問題なく、リクルートの仕方を考える べきであろうとも指摘した。 今回、Liliana Dominguez氏からサスカチュワン州は留学生への医療無償制度があるとの 情報を得たが、この点については短期の場合も適用されるのか調べる必要がある。それが 本プログラム参加者にも適用されるのであれば、海外旅行者保険料を軽減できるし、宣伝 材料にもなろう。 本プログラムは、今回、日本人ばかりで構成されている点は、懸念すべき点であると申 し入れた。日本人本プログラムは、現在Regular Programから独立させているが、Regular Programへの途中参加も可能とのことであった。 3.2.4 コンピュータルーム見学 ESLプログラム専用のコンピュータ室が完成し、regular ESLのクラスで使用されている。 14:30以降は、本プログラム参加者も利用できる。TOEFL のiBTのテストセンターへの 認可を申請中であるとのことであった。20台のコンピュータがあり、インストラクターが それぞれのスクリーンをモニターできる点が特筆される。教材は、インストラクターが WEB上 で 探 し 出 し た も の お よ び Issues in English で あ っ た 。( 参 照 : http://www.proteatextware.com.au/iie.htm) 3.2.5 他大学引率者との意見交換 面談者:酒井志延 千葉商科大学商経学部教授・メディア教育開発センター客員教授 英語のe-learning 教材university voiceの開発にかかわっている。その成果の検証のために、 群馬県立女子大学、九州女子大学、帯広畜産大学の学生はUniversity Voice で勉強し、成績 の伸びが著しかった学生が奨学金を得て、本ESLプログラムに参加している。本プログラ ムでのプレテスト・ポストテストを実施し、本プログラムの成果を検証する。また、カル ガリー大学のESLプログラムとの比較を行う。 専門教員の授業視察と分析、独自のプレテスト・ポストテストの実施がプログラム評価 には欠かせないとの意見を得た。 −138− 3.2.6 Department of International Languagesでの協議 3.2.6.1 山口大学への交換留学生派遣の可能性について 面談者:Tomoko Lamb 日本語プログラムコーディネーター 以下の点について質問を受けたので、それぞれ以下のように回答した。 ・山口大学への派遣は1年であると承知しているが、もう少し短くならないか。 回答:1年である必要はなく、半年でも構わない。さらには、リジャイナ大学の学事暦 に合わせ、学期途中の留学でも、受け入れ学部が了承すれば多少の融通は可能な はずである。 ・費用をなるべく抑えられないか。 回答:協定に基づく交換留学の場合、山口大学への授業料支払いは不要。リジャイナ大 学の単位取得にかかる費用をリジャイナ大学に納入するだけである。また、山口 大学での宿舎は国際交流会館であれば、光熱費を入れても月額1万円程度である ことを説明した。 ・日本語能力の低い学生でも受け入れ可能か。 回答:国際センターで開講している日本語・日本事情の受講が可能である。成績は出せ るので、単位認定はリジャイナ大学で行える旨説明した。 以上のやりとりの結果、5名程度の派遣を早い時期に検討したいとのことであった。 3.2.6.2 J-CATのプレテスト参加要請 J-CATのデモンストレーションを行った。その上で、プレテストへの参加を依頼し、快 諾いただいた。 3.2.7 ホームスティ 3.2.7.1 ホームスティ Janice Savoie氏(Homestay coordinator)により、適正にホームスティ先が決定された。 夏期は留学生人口が増えるため、大学から非常に遠い家庭、大学からバスサービスがない 郊外の家庭、1家庭に複数の日本人ホームスティが配置されるなどの弊害があったが、春 期は留学生人口が少ないため、これら幣害がなかった。また、朝は多くの家庭が出勤のつ いでに学生をダウンタウンのバス乗換え場あるいは大学まで送ってくれる場合が多く、学 生は大変助かっている。 3.2.7.2 ホームスティ先訪問 訪問先:Plums家 食事をいただき、学生を含めて歓談した。本学学生のほかに、リジャイナ大学経営学部 に留学している中国人学生が長期ホームスティしている。近所のホストファミリーと交代 でホームステイ学生を毎朝大学まで送っていくとのことであった。立派な家で学生も満足 そうであった。しかし、学生の発話が極端に少なく、やや手を焼いている感じも見受けら れた。 −139− 3.2.8 授業見学 3クラスを1時間ずつ見学した。また、ESLレギュラークラスも010と呼ばれる初級ク ラスから050と呼ばれる上級まで見学した。Information gapというコミュニカティブアプロ ーチの手法を使い、学生の発話をうまく引き出していた。夏プログラムに見られた母語使 用の問題はまったく見受けられなかった。教師のクラスコントロールも授業の仕方もよか った。 3.2.9 危機管理体制 今回、バンクーバーでの乗り継ぎ便に乗り遅れた他大学学生が6名いた。結局予定より 1日遅れで到着した者が2名、エドモントン経由で予定から2日遅れて到着した者が4名 いた。その間、ESLプログラムスタッフが航空会社と交渉し、学生には日本語で指示を出 していた。乗り遅れた学生には気の毒であったが、今回の件から危機管理のシステムが機 能していることが確かめられた。 3.2.10 所感 長所:プログラムに関しては、高く評価できる。英会話と文化を両立させる内容は学生の 興味を引くだろう。また、Conversation partnerと呼ばれる現地の学生はよくトレー ニングされており、会話練習のみならず、クラス外アクティビティをすべて取り仕 切るプロ集団である。給料とトレーニング費用を合わせるとインストラクターへの 給料以上の費用を充てているとのことであった。 短所:参加者がすべて日本人で占められていることにより、海外での研修のメリットが減 少している。日本人しかいない場での英語使用は不自然さをぬぐいきれない。 Liliana Dominguez氏によると。日本人の占める割り合いが2割ほどに過ぎない Regular Programへの編入も可であるとのことであったが、Regular Programはアカデ ミック・イングリッシュとTOEFL準備が主眼であり、果たして本学学生のように英 会話を主目的とした参加者が満足できるか疑問である。日本人のみで構成されてい る点の改善を申し入れておいたが、帰国後早速以下のような回答をPeco Nagai氏よ り得た。 As you suggested, (I heard this from Head) we will keep recruiting more international students for the short term program like we did in 1999 from Venezuela and 2005 from Korea. 3.3 参加者感想 私のホームステイ体験記 中柄 朋子 日本を出て約9時間、私たちはバンクーバーに着陸した。それから迷いつつも国内線に 乗りかえ、飛ぶこと2,3時間。突然大平原の中に街が現れた。これが私のリジャイナに 持った第一印象です。 今日で実はまだスティ3日目なのですが、今回は私にとって初海外で、しかも1ヶ月の −140− ホームスティ。すでに書ききれない新しい体験をしています。まずはホストファミリーと の出会い。彼らは初対面でもとても親しくしてくれました。しかし、私の英語は乏しく、 会話はすぐにとぎれるし、もっと気持ちをこめて言えよ!と思うくらい無表情で棒読みで した。 次の日はずいぶん寝坊をしたので、気まずいなあと思っていたけれど、すぐに朝食を出 してくれたので、 Thank you と言って、心の中ではありがとうを繰り返していました。 それから次の日は、ホストマザーがパーティーの買出しに連れていってくれました。店は 案外日本とパッと見、似ていると感じました。マザーが一生懸命品定めをしている姿は母 親を思い出させるもので何だか一人で和んでしまいました。ホストマザーは急がなくちゃ と言いつつ、私のお願いを覚えていてくれて、本屋とスポーツ店にも寄ってくれました。 さらに他のホストファミリーに出会ったので1時間ぐらい寄り道してしまったのですが (笑)。買い物は店員の速い英語についていくのに必死でしたがとてもおもしろい体験でし た。初めて多くのコインをもらったので、夜、ホストファーザーに教わりました。日本で はただの買い物なのに、ここではすごく特別で、買い物ができた事がすごくうれしかった りします。 はじめてのおつかい じゃないけれど、こんなささいな事で幸せを感じる自 分がうれしかったし、日本ではもう味わえないな!と思いました。 そんなこんなで学校も始まりたくさんの仲間、おもしろくて優しいConversation Partner に出会えて、これからますます楽しみです!しかし、今日帰りの車の中で思ったのは、こ こにきてから外国のはずなのに、あまりそれを感じないなあということです。冷静に見れ ば、走っている車も家も気候も日本とは全然違うのに。とても不思議だったけど、それは ホストファミリーがいて、仲間がいて、居心地よくさせてもらっているからでしょうか。 まだ始まったばかりですがきっと自分らしく頑張っていけると思います。先生方、親、ホ ームスティファミリーを含め、留学を実現させてくれた方々には深く感謝しています。 3.4 説明会・事前研修会 数度にわたり、研修内容の説明会を実施し、内容、費用、手続き等について説明を行っ て参加者を募集した。その後、参加希望者を対象に、数度の事前研修会を行った。センタ ーとしては特に、危機管理の点に重点をおいて説明・事前研修を行った。 −141− 3.5 資料 3.5.1 ESLポスター −142− 3.5.2 プログラム 例として夏プログラムを掲載 −143− −144− −145− −146− −147− 3.5.3 チェックリスト 説明会や事前研修時に必要な書類等をチェックするために利用した。 チェックリスト 2005 Summer@Regina −148− 4.仁荷大学研修の報告 報告者:和田 学 8月8日から8月19日まで韓国の仁荷大学で開催された短期語学研修プログラムに参加 する学生(3名)の引率を行った。 8日:1600 1800 9日:0830 学生の引率、授業料の納付、洪慶ヨプ国際協力チーム長他の職員への挨拶 ゲストハウス 韓国語担当の朴トギュ教授に挨拶 0900 李鐘浩国際協力処長に挨拶(プログラム提供に対する謝辞等) 1000 山口大学からの留学生(山田真由美(人文))の案内で、 仁荷大学のキャンパス及び、周辺の見学 1800 10日:1130 歓迎式 仁川国際空港発、1230福岡国際空港着 プログラム 8/8 8/9 8/10 8/11 8/12 韓国到着 韓国語1 韓国語2 韓国語3 韓国語4 8/13 ホーム ステイ 韓国伝統 登録寄宿舎 図書館見学 韓国文化1 レストラン 歓迎会 チェックイン 8/14 8/15 8/16 仁寺洞見学 韓国語5 8/17 8/18 ナンタ 見学 8/19 韓国語6 観光冬ソナ ロケ地見学 ホーム ステイ 8/20 KBS(放送局) 韓国文化2 見学 出国 大宇(自動車 工場)見学 −149− Farewell Party ・同プログラムは昨年度に引き続き第二回目となるが、今回は仁荷大学の他の協定校から も参加者を募るという方式に変更され、中国、台湾、スウェーデン、アメリカからも参 加者があり、また、日本からは他に新潟大学の学生も参加し、計15名の参加者があった。 (仁荷大学の当初の期待では40名以上の参加を見込んでいたとのこと。) ・各グループごとに、協力学生が通訳としてつき、山口大学のグループには、特別聴講生 として山大に留学した経験のある学生が通訳としてついた。 ・プログラムの内容は昨年度とほぼ同じで、若干の変更があった。 所 感 ・昨年度の参加者(9名)に対して、今年度の3名(当初4名、事前にキャンセル1名) は、昨年度の好評を考えると、期待はずれといわざるを得ず、周知の方法を再検討する 必要があると考えられる。また、キャンセルに関しても、サークル活動を理由としたも のだが、これの是非は置くとしても、この様なことが起こらない様に、事前に教育が必 要である。 −150− 5.山東大学研修の報告 報告者:門脇 研修期間:平成17年8月9日 引率期間 場 所:中国 〜31日 薫 3週間 平成17年8月9日 〜12日 山東大学国際教育学院 参加者:山口大学学生10名、国際センター 門脇 薫(引率) 〈目的〉 1)オーラル中国語研修(speaking/listening)および中国語によるコミュニケーション能 力を養成する。 2)文化体験学習を通じて中国の文化や中国人の生活習慣について学び、さらに、グロー バルな視野を培い、国際理解能力を養成する。 3)山東大学キャンパスでの中国語研修および山東大学学生との交流を通じて、中国の大 学および大学生について学ぶ。 4)飛行機や空港を利用することによって国際旅行の仕方について体験し学ぶ。 5)山口大学での事前・事後研修に参加することによって、ボランティア精神や積極性を 伸ばし、行動に生かす。 〈研修概要〉 午前中:中国語授業 午 後:「中国概況」の講義、博物館見学、「中国武術と中国文化」、済南市内の名所・旧 跡の見学、等のプログラム 週 末:山東省内の孔子生誕地・曲阜、泰山、黄河等の見学旅行 滞在先:山東大学キャンパス内の留学生用の寮 〈所感〉 ①参加者について *参加者10名のうち3名が工学部・医学部の学生であった。説明会やオリエンテーシ ョンを吉田キャンパスと常盤キャンパスの両方で数回行なった。出発前には参加者 全員顔合わせのため吉田キャンパスにて最終オリエンテーションを行なった。 *3名が中国訪問の経験があり、そのうち1名は今年2月の春の研修にも参加してい る。その学生の話によると、春の参加者と比べ今回夏の参加学生は非常に積極的に 外に出て色々なことを経験しようとする姿勢が見られるとのことであった。中国語 は中国訪問経験の3名は簡単な挨拶程度はできるが、他は自分の名前も言えないレ ベルであった。開講式では中国語で学生全員が自己紹介をすることになっていたの で、開講式の前の空き時間に引率者(門脇)が簡単な中国語の指導を行なった。 ②研修について *2005年春季に山口大学の学生対象の派遣プログラムが始めて行なわれ、今回が2回 目であった。山口大学は協定大学なので山口大学の学生用の独自の語学プログラム が準備なされた。 −151− *参加者10名の中で中国語の学習歴に差があり、2クラス編成にしてほしいという希 望が研修途中で学生から出されたが、参加人数が10名しかおらずコース運営の都合 上クラス分けができなかった。授業をレベル別に部分的に2部授業にしたり、中国 人学生を会話パートナーとして授業に参加してもらう等、いくらでも教授法で工夫 できる方法はあるので、この点について山東大学に提案していくつもりである。 *山東大学担当者:国際教育学院 張維那先生、馬鳳偉氏 馬氏は山口大学経済学部の大学院修士課程を修了し、今年6月に中国に帰国し、山 東大学の国際教育学院の職員として勤務している。昨年12月の3大学交流の際に通 訳としてお手伝いいただいた 永鳳氏のご主人でもある。馬さんも今年3月に山口 大学人文学部の大学院博士課程を修了して6月に帰国し、現在外国語学院で日本語 を教えている。国際教育学院に山口大学卒業生の職員がいることは、学生にとって も非常に心強い。 *山東大学の担当の先生より、学生にはいつも「研修、生活について希望があったら 言ってください」と言っていたが、日本の学生は何も言わない。研修の最後に暮ら す分けや週末の自由行動についての希望が出されたが、もうすぐ終わるというとき だったのですぐには対処できなかったという反省点が出された。今後は例えば毎週 金曜日にミーティーングを設けて、お茶でも飲みながら、先生と学生とお互いの意 見交換をする時間をとってもらうなど提案したい。 ③移動・引率について *移動 山東省の済南空港まで直行便がないため、上海経由で行った。上海では国際線と国 内線の空港が異なるため、荷物を持って移動しなければならない。事前に航空会社 の無料シャトルバスがあることを調べていたので、スムーズに移動できた。 *引率について 国際教育学院の担当者より、同時期に研修していた韓国の高麗大学の訪問団の引率 者は研修期間中ずっと滞在しているが山口大学の場合は初めだけなので、山東大学 側の担当者の負担や責任が大きいと言われた。また、引率者は今回のように中国語 が理解できる人がいいということも言われた。確かに中国では移動の際等に交渉し ないといけない場面もいくつか生じるため、中国語が理解できた方がスムーズに事 が運び、学生も安心するのではないかと思われる。 前回春の語学研修会参加者は8名、今回は10名であり参加人数は多少増えた。山東大学 からは、「本プログラムは山口大学独自のものなので少なくとも10名は参加してほしい」 と当初から言われていたが、今回10名参加することができた。今後もこのように実績を残 していくことが必要である。 −152− (資料)山東大学語学研修 山東大学国際教育学院 日本山口大学中国語研修プログラム滞在表 8月9日 福岡発MU532便にて[10:00]−上海国際空港(浦東)着/上海空港(虹橋) 発MU5527便にて[16:40]−済南空港着[18:05]。 国際教育学院から空港へ出迎え、留園ホテルに宿泊。 8月10日 09:00 中国語レベルについてのテスト(場所:教室) 09:30 人民元両替、費用支払い 10:30 東キャンパス(学生食堂、インターネット室など)見学 14:00−16:30 カルフスーパー(家楽福)買い物 18:00 開学式及び歓迎パーティ 8月11日 09:00−11:35 14:30 中国語授業(カリキュラムをご覧ください) レクチャー:中国概況と山東省概況(日本語で解説) 09:00−11:35 中国語授業(カリキュラムをご覧ください) 8月12日 8月13日 8月14日 09:00 フリー 8月15日−17日 (月−水) 09:00−11:35 午後、フリー 中国語授業(カリキュラムをご覧ください) 8月18日 09:00−11:35 14:30 中国語授業(カリキュラムをご覧ください) レクチャー:中国書道 8月19日 09:00−11:35 午後、フリー 中国語授業(カリキュラムをご覧ください) 8月20日 08:00 午前: 12:00 午後: 17:00 8月21日 フリー 8月22日−24日 (月−水) 09:00−11:35 午後、フリー 中国語授業(カリキュラムをご覧ください) 8月25日 09:00−11:35 14:30 中国語授業(カリキュラムをご覧ください) レクチャー:中国武術と中国文化 09:00−11:35 授業(カリキュラムをご覧ください) フリー フリー 09:00−11:35 授業(カリキュラムをご覧ください) 8月26日 8月27日 8月28日 8月29日 集合、山東大学博物館、 突泉公園、大明湖、泉城広場見学。 集合、曲阜見学(日帰り) 孔子廟、孔府 昼食 孔子家族のお墓 済南帰りに黄河を見学 8月30日 09:00−10:40 10:50−11:35 15:00 修業式 8月31日 済南空港発[11:30]−上海空港(虹橋)着[12:40][MU5530]/上海 国際空港(浦東)発[18:00]−福岡着[20:30][MU531]便にて帰国 授業 中国語テスト 日程が天気などの原因で変更することもありますので御諒承ください。その都度、またお知らせします。 担当者:張維娜 馬鳳偉 −153− 6.ニューカッスル大学 6.1 研修派遣までの経過 報告者:赤木 弥生 はじめに 2006年春から山口大学協定校であるオーストラリア、ニューカッスル大学短期英語研修プロ グラムを実施した。2月13日から3月10日まで、34名の学生がニューカッスル大学での4週間 の英語研修に参加し、英語コース(ELICOS)で授業を受け、世界中から集まった学生たちと 英語で交流を深めた。また、滞在中はニューカッスル地域のオーストラリア人家庭にホームス テイをした。オーストラリアの人々と英語でコミュニケーションを図り、オーストラリアの文 化や生活について学び、文化理解を深めた。 経 緯 ニューカッスル市が1980年ニューカッスル港から石炭を輸出している山口県宇部市と姉妹都 市提携を締結したことから、ニューカッスル大学と山口大学が協定校を結ぶことになった。 その後、教員訪問や大学院生の留学などの交流が行われてきたが、2004年、国際センター渡 辺教授が宇部市で開催されたニューカッスル大学説明会に出席し、シーマス・フェイガン英語 センター長と面談し、短期英語研修派遣についての可能性を検討した。 2005年、宮崎国際センター長、高橋英語部会長、高田留学生課事務補佐員の3名がニューカッ スル大学を視察し、シーマス・フェイガン英語センター長と短期英語研修プログラムについて 協議を行った。 行動日程表 内 容 月 日 1 ニューカッスル大学説明会参加 2004年 2 ニューカッスル大学視察 所 宇部市 2005年3月14日〜18日 NC ニューカッスル大ELICOSシー 5月31日 マスセンター長訪問・協議派遣 10時〜11時30分 3 最終決定 ニューカッスル大説明会 場 5月31日12時〜 備 渡辺 宮崎・高橋・高田(留 学生課) センター 宮崎・渡辺・赤木 高田・平山・高橋 吉田 シーマス 4 ニューカッスル大と確認・調整 7月〜 赤木 合同説明会広報 5 吉田地区・宇部地区 工学部専門科目で配布 10月 今井・赤木 工学部留学生 担当専門職員 6 リジャイナ・NC大合同説明会 10月18日 10月20日 12時〜 12時〜 今井・赤木 7 NC大説明会 10月25日 10月27日 12時〜 12時〜 赤木 −154− 考 内 容 月 日 場 所 備 ニューカッスル大ELICOS シーマス先生訪問・協議 11月1日10時〜 センター 宮崎・渡辺 今井・赤木 平山・高田 ニューカッスル大説明会 11月1日12時〜 15時〜 吉田 宇部 シーマス 太田 8 2社 留学生課 9 旅行社入札 11月7日 10 参加申込締め切り 11月11日 11 参加者説明会 11月15日 16日 吉田 宇部 書類配布 12 事前研修会 11月28日、29日 宇部 吉田 旅行社 旅行申込 NC大ELICOS/ホームステイ 13 申込書提出最終締め切り 12月16日 留学生課 12月 郵送 NC大へ送付 14 旅行申込・パスポート写し 12月2日 提出 15 研修費振込締め切り 16 事前研修会 ホストファミリー決定 17 直前事前研修会 留学生課 旅行社 12月20日 旅行社 2006年1月16日 17日 宇部 吉田 旅行社 保険申込 2月8日 宇部 吉田 旅行社 出発 2月11日 引率 太田聡 シドニー〜ニューカッスル 2月12日 NC大 18 19 ニューカッスル大英語研修 2月13日〜3月10日 ニューカッスル〜シドニー 3月11日 NC大 帰国 3月12日 SQ 20 21 帰国報告会 3月28日 −155− 吉田 考 プログラム概要 ニューカッスル大学での短期英語研修では、英語コース(ELICOS)で他の国々からの学 生と一緒に学ぶ。午前10時から午後3時まで英語の授業を受講する。午後や週末の活動が組 まれているグループスタディ型のプログラムとは異なり、ニューカッスル大学のプログラム には、設定された活動は一切無く、個々の学生が大学や英語センター内の活動を各自で選び、 自主的に参加を決める形をとっており、学生の自立心を養うことを目指している。 募集内容 期 間:2006年2月13日〜3月10日(4週間) 研修機関:ニューカッスル大学英語集中コース(ELICOS) オーストラリア・ニューサウスウエールズ州・ニューカッスル市カラハン 宿 泊:ホームステイ(ニューカッスル市および近郊) 費 用:$2,360豪ドル(約221,840円)*(94円換算) 費用に含まれる経費 ・英語コース(1,280=$320×4週間) ・ホームステイ手数料($190) ・ホームステイ費用(3食付)($720=180×4週間) *ただし、通常昼食は簡単なサンドイッチ ・プレースメントテスト・修了テスト $70 ・シドニー空港からニューカッスル市までの送迎費用 $100($50×2)(約3時間) その他の経費:往復航空・ビザ取得料金(イータスカード)・海外傷害保険料バス・電車代 (ホームステイ先から大学)約80ドル〜150ドル(4週間)オプショナルツ アー料金・お小遣い・お土産代などは別途必要 −156− 研修活動 到着当日(2月12日)ホストファミリーとの顔合わせ(NC大) 第1日目(2月13日)オリエンテーション/プレースメントテスト 4クラス:初・中・上・アカデミッククラス キャンパスツアー 第2日目(2月14日)クラス分け/授業終了後、市内ツアー 第3日目以降(月曜日〜金曜日:午前9時〜15時)英語授業 第4週目(3月10日)修了テスト 平日(15時以降)放課後は自主活動 その他 英語研修受講生交流クラブ(ELICOS Social Club)掲示板で課外活動紹介 NC大学留学生交流組織(The Japanese Students Association) NC大学学生証発行 *NC大英語センター施設 ・コンピューター室:無料E-mail ・談話室(The Students Common Room):電子レンジ・冷蔵庫・お湯 *NC大キャンパス内施設(Callaghan Campus) ・銀行・郵便局・図書館・文房具店・食堂・美容院 ・保健センター(費用要)・歯科(費用要)・旅行代理店 *NC大近郊施設 ・The Forum Aquatic and Sport Center:プール・テニス・スカッシュ(1時間5ドル〜) *その他:参考資料(オプショナル・ツアー)*掲示板で募集する。 イルカウオッチング($115)・Dolphin Watching at Port Stephens ワイン醸造所見学($115)・Winery of the Hunter Valley シドニー1日旅行($125)・Day trip to Sydney ニューカッスル大学英語集中コース(ELICOS) 時間割(中級レベル・一例) 月 火 水 木 金 英語授業 英語授業 ・テーマ紹介 ・語彙 9−11 ・語彙 ・文法 ・スピーキング ・リーディング 英語授業 英語授業評価(週) 英語授業 ・リーディング ・ライティングスキル ・スペリング ・オーディオリスニング ・ライティング ・ディクテーション ・文法 11−12 講義 講義 講義 講義 講義 12−1 昼休み 昼休み 昼休み 昼休み 昼休み ・ビデオ・リスニング ・コンピュータータイプ ・発表 オーストラリアの有名人 ・CD−ROM、 ・発音 1−3 ・リーディング ・インターネット −157− ・エラー・コレクション ・アクティビティ ・ビデオ・リスニング ・ゲーム ・遠足 ・図書館 参加学生数 学年別 人数 学部別 人数 1年 14名 経済 13名 2年 18名 教育 9名 3年 1名 人文 4名 4年 1名 医 4名 大学院生 0名 工 4名 34名 合計 34名 合計 経過報告 2005年5月11日、シーマス・フェーガン英語センター長による第1回ニューカッスル大学 短期英語研修プログラム説明会に多数の学生が参加し、山大生のオーストラリア留学への関 心の高さがうかがわれた。5月の派遣決定以降、ニューカッスル大学英語センターのコーデ ィネーターとプログラムについて調整を図り、10月、学生への派遣説明会を行った。当初、 参加希望者が約40名を越えていたが、実際には34名が申し込みを行った。これは過去の語学 研修プログラム最大の参加者数となった。11月以降は、参加者への事前研修を吉田地区、宇 部地区の両方でほぼ毎週実施し、研修や旅程などの準備を行った。 引率には太田聡英語部会副会長が視察を兼ね同行した。 参加学生の感想 ・クラス割りはライティング、グラマー、スピーキング、リスニングなどの簡単なテストで 行われました。決まったクラスが自分のレベルにあっていなかった人もいたみたいですが、 そのときにはこちらの職員の方が丁寧に対応してくれてクラスの変更を許してもらえま す。私のクラスは15人くらいのクラスで、アットホームな感じで授業が行われています。 授業の一環でクラスのみんなでドルフィンウォッチングに行きました。(教育学部2年) ・ELICOSでの英語の授業は、毎回がとても新鮮で興味深く、英語のおもしろさを改めて教 えてくれました。リスニングに1番力を入れているため、ビデオやオーディオをよく使い、 丁寧に聞き取りの練習をします。クラスメイトはみんな意欲的で、向上心があり、感心さ せられます。 デイスカッションの時は各国の意見が飛び交い、毎回が充実しています。(人文学部2年) ・私のホストファミリーは11歳と9歳の男の子とお母さんです。初めは話していることが全 く通じなくて、理解できないこと、理解してもらえないことが多かったです。子どもたち とは一緒に折り紙で鶴や手裏剣を折ったり、オーストラリアの遊びではないのですが遊び を教えてもらったりすることで仲良くなれました。また一緒に宿題をしました。外国の文 化についての宿題が小学校で出ていて一緒に考えることで大変勉強になりました。また私 も単語の聞き取りテストがあったので、子どもたちに発音してもらいました。ホストマザ ーとは一緒にオーストラリアのお菓子を作りました。ホストファミリーと一緒に生活する ことで本当に多くのことを学べてとてもいい経験ができたと思います。(教育学部2年) −158− 課 題 ニューカッスル大学にホストファミリー登録をしている家庭は多いとのことであるが、シ ーズンごとに事情は異なるようだ。春期すなわちオーストラリアの夏は他のシーズンに比べ、 ホストファミリーを引き受ける家庭が少なく、20名前後が適切な人数であったようだ。ただ、 今回は34名全員の参加者一人ずつホームステイすることができた。今後、派遣人数について は、ニューカッスル大学と調整を図って実施していく必要がある。 また、30名を越える参加者の場合、事前研修などで個別に確認を行う際にも時間がかかり、 徹底することが困難となる。事前研修に際しても20名程度の参加者が適切な人数だと考える。 おわりに オーストラリアは世界的にも人気のある国で、一度は訪れてみたいと思っている学生が多 い。研修内容を選んで参加するのではなく、国や趣味など個々の希望に基づいて選んで参加 する学生が増えると予測される。また、研修費用の安いプログラムも学生が参加できる大き な要素である。今後、研修プログラムを実施する上で、研修内容や渡航先など学生のニーズ をどのように反映させていくかについて検討していく必要がある。 6.2 研修の報告 報告者:太田 聡 引率期間:2月11日〜18日 本年から、海外短期語学研修プログラムにオーストラリアのUniversity of Newcastle(以下 NC大)のLanguage Centre(以下LC)での研修が新たに加わった。そして、初回の今回は、 LCでのELICOS(English Language Intensive Courses for Overseas Studentsの略称)の授業に34 名の山大生を派遣した(1年生:14名、2年生:18名、3年生:1名、4年生1名)。以下 では、ニューカッスル市の印象や、NC大/LCの特徴や設備などについて簡単に述べた後、 引率期間中の1日ごとの出来事などを、感想とともに記すことにする。 6.2.1 ニューカッスル市について シドニーの北160キロに位置するニューカッスル市は、都市圏人口50万人弱のオーストラ リア第6位の都市である。また、ニューカッスル市は、宇部市と姉妹都市であり、石炭やア ルミなどの生産で有名な鉱業都市である。そして、港にはそれらの輸出用のタンカーが多く 出入りしていた。 しかし、街の中心部には、ごみごみしたところや薄汚れたところなどはなく、実に落ち着 いた雰囲気の綺麗な街である。高層の建物も少なく、ゆったりと町が広がっていると感じた。 また、Civic Hallなどのある市の中心部のすぐ脇の通りには、様々なアジア料理などを楽し めるレストランが軒を連ねていた。そして、中心街の東側にある小高い丘を越すと、すぐ目 の前には世界的に有名なサーフィンに適した海岸が開けている。また、車で少し郊外に走れ ば、広大な砂丘、乗馬の楽しめる牧草地帯、さらには、コアラの住む森やワイン製造用のブ ドウ畑が広がる、自然豊かな場所であった。そしてなによりも、アメリカの都会で感じるよ −159− うな一種の身の危険を少しも覚えることがなく、初めて海外旅行をするような人には非常に 適した安全な街という印象を受けた。 6.2.2 NC大/LCについて NC大は、ユーカリの林の中に茶色を基調とした建物が点在する広々としたキャンパスで、 ニューカッスル市の中心部から12キロほど西に行ったところにある。ちなみに、NC大 Callaghan Campusは、旧NC大とHunter Institute of Higher Educationが合併したものであるので、 (中心部が2つある)広々としたキャンパスであった。そして、LCは、(旧)NC大の中央部 に位置し、図書館と(売店・食堂などの入った)Student Unionに隣接し、かつ、バス停にも 比較的近い好立地であった。LCは1つの独立した学部に相当する部局で、3階建ての建物 の中に、普通教室や会議室やスタッフの研究室・事務室以外に、日本語の読み書きもできる パソコンが数十台置かれた部屋や、LL教室や、学生達がランチを食べるときに開放される (電子レンジなどが置かれた)広めの部屋などがあり、設備はかなり充実していた。また、 LCの中は全館(廊下やホールも)冷房が利いていたので快適であった。LCのスタッフによ れば、NC大の一番の欠点は、林の中に立地しているため蚊が多いこととのことだった。そ して、LC内にも至るところに虫除けスプレーが置いてあって、みなが「シュー、シュー」 とやっていた(が、日本でも夏は蚊が多いので、特に気になるほどではなかった)。 なお、NC大には、シドニーオリンピックのときにオランダチームが合宿練習に使用した プールをはじめ、スポーツ施設が大変充実していることも特筆に価する。そして、ELICOS 受講生達も使用料をいくらか払えば、こうした施設をもちろん利用できる。 6.2.3 ELICOSの授業とスタッフについて 初日のプレースメントテストの結果によって、各人のレベルに応じたクラスで授業を受け るのだが、今回の山大生34名の振り分け結果(レベルごとの人数)は次の通りであった。 Upper Intermediate: 3 Intermediate: 23 Elementary: 8 各授業は、様々な国からやって来た学生達を混ぜ合わせて、1クラス十数名ずつの少人数 で、基本的に午前9時から午後3時まで行われた(途中1時間の昼休み)。2つの授業の参 観を行ったが、教材や授業内容がよく練られていて、「さすがにESLのプロ」と感心した。 また、一見易しいトピックのようでも、きちんとフォローするにはかなりの緊張と集中力が 要求され、「これを4週間続ければ、力や自信がつくだろう」と思った。 それから、クラスメイトとの親睦や、ニューカッスル市に慣れ親しむ目的で、クラス単位 や山大生全員で、何種類かのバス・ツアーに出かけることも授業プログラムに組み込まれて いたので、学生達は色々と楽しむことができたと思う。 また、LCの教員達には、交換留学生として高校時代や大学時代に日本で過ごしたとか、 英語教師として日本の大学で教えた経験がある、といった日本通・日本好きの人達が多く、 なかなか話が弾んでよかった。 −160− 6.2.4 日程や出来事など 【第1日目】 ・午前8時に福岡国際空港集合。シンガポール航空機にてシンガポールに向けて出発。 ・シンガポール国際空港にて乗り換え待ち。午後8時40分発のシンガポール航空機にてシ ドニーに向けて出発。 例えば、(i)山口線のダイヤの確認ミスで朝の集合時間に全員が揃わない、(ii)E-ticket やETASカードなどを紛失した学生がいる、(iii)点呼を取るための名簿が引率者にはな く、学生の確認がなかなかできない、(iv)シンガポールでの乗り換えの際に集合時 間・場所に集まらない学生がいる、(v)携帯電話を置き忘れた学生がいる、(vi)デジ カメが壊れてしまった学生がいる、とトラブルやハプニング続きで、気の休まる暇のな い1日だった。 【第2日目】 ・機中泊ののち、午前7時15分にシドニー国際空港に到着。 ・チャーターバスにてNC大に移動し、午前11時過ぎにNC大のLCに到着。 ・LC DirectorのSeamus Fagan氏、ELICOS CoordinatorのAnChi Baxtor氏、Homestay CoordinatorのJenni Scobie氏の歓迎の挨拶と諸注意があったのち、正午頃、ホスト・ファ ミリー達に迎えに来ていただき、学生達はさっそく各家庭でのホームステイへと入って 行った。その際、緊急の用件に対応できるようにと、私の宿泊先と電話番号・メールア ドレスを記したメモを学生とホスト・ファミリーの方々に渡した。 ・学生達を引き渡したのち、J. Scobie氏のご案内で、学内の諸施設の見学に車で回った。 ・S. Fagan氏に宿泊先のホテルまで送っていただく。 ・日本へ報告のメール送信、および、国際電話。 2日目も、例えば、(i)オーストラリアへの持ち込み禁止品を持参している学生がいた り、(ii)カメラのメモリーカードをなくした学生がいたり、とトラブルがいくつもあり、 またホテルにも、(iii)ホスト・マザーにお金の支払いのことで誤解があった、(iv)パソ コンで日本の読み書きができなくて困っている、といった苦情や相談の電話があって、ま たもや気疲れする1日であった。 【第3日目】 ・午前8時45分にLCに集合して、9時から学生達はプレースメントテスト(writing, vocabulary/grammar, speakingなどの総合テスト)を受験。 ・この日は、新入生の入学式にあたるCommencement Ceremonyの日であったので、Fagan 氏に誘われて、そのセレモニーに午前10時頃から出席した。また、式の直前に副学長と 副学長補佐にもご挨拶する機会があった。 ・プレースメントテスト中に気分が悪くなった学生がいた。その学生を連れて午後は学内 の病院に行き、通訳を行った。詳しい診察・検査を受けたので、2時間ほど要した。 −161− 午後3時にプレースメントテストは終了する予定であったが、人数が34名と多かったの で、予定時刻を過ぎてもテストが終わらなかった。そのため、迎えに来てくださったホス ト・ファミリーを待たせたり、帰りのバスに乗り遅れる学生がいたりした。また、 speaking testの録画ミスで、同じテストを2回受けなくてはならない学生達がいたが、そ の学生達は、「語彙・文法テストの受験時間が少なくなったので、時間を延長して欲しい」 と言い出し、そうした要求をスタッフに伝えた。また、「ホームステイ先から国際電話を かけることができませんでした」という学生に国際電話のかけ方を教えるなどした。この 日も学生からの相談や苦情に応じるのに忙しい日であった。引率者がいつしかツアー・コ ンダクターのようになってしまった。 【第4日目】 ・午前中はUpper Intermediateクラスの授業参観。 ・昨日に続き、病院での再検査のため学生に同行。 ・午後3時から学生達のバスでのニューカッスル市内巡りに同行し、運転手のガイドを通訳。 ・迷惑をかけたホームステイ先などにお詫びや依頼の手紙を書いた。また、学生達に追加 の連絡事項などを作成した。 「授業についていけないのでもっと易しいクラスに替わりたいです」と言い出す学生が いたり、「週末はシドニーに行きたいんですけど、ホスト・マザーにどう言ったらいいで すか?」と尋ねてくる学生がいたりした。勉強では楽をして観光をメインにしたい、とい った雰囲気の学生達に呆れる1日であった。 【第5日目】 ・(何件かのホスト・ファミリー達が週末に一緒に行こうと思い立った)Dolphinwatchingの代金を学生達から集金するように依頼された。 ・午前中は学内を歩いて諸施設を見学。 ・午後はelementaryクラスの授業を参観。 ・午後3時から山大生対象のLC内のコンピューターに関する講習会があった。全員IDと パスワードを取得して、日本語でのメールの読み書きなどができるようになった。 ・Fagan氏のご招待で、有名なシーフードレストランにて夕食。 ・(山大の4年生の成績の提出のため、学生達の卒業レポートを明け方まで読むことにな った。) この日は、「レベルのもっと低いクラスに替わりたい」という学生が続出して、LCのス タッフに大変ご迷惑をおかけした。(さらには、希望して易しいクラスに移っておきなが ら、「易し過ぎてつまらないから、やっぱりもとのクラスがいい」などと言い出すわがま まな学生までいた。)また、dolphin-watchingの話を聞きつけて、「いいなー、僕も/私もお 金払ったら行けませんか?」と、ホームステイ先を比較して、ひがんだようなことを言い 出す学生もいた。他にも、廊下に掲示されているクラス・スケジュールを確認せずに、私 −162− に「何時に授業が終わるか分かります?」と尋ねてくる学生がいたり、パスワードの登録 ミスでパソコンが使えない学生がいて、再登録手続きに同行したりと、相変わらず細々し たことにまで対応するのに疲れる日であった。 学生達に自分のことは自分で(英語を使って)やらせるべきであり、甘やかせてはいけ ないと分かってはいても、困っている学生をほうってはおけず、ついつい雑用を背負い込 んでしまった。 しかし、夜の会食では、Fagan氏にオーストラリアの大学事情を色々と聞かせていただ き、大変有意義な時間を過ごせた。 【第6日目】 ・Nelson Bayまでバスで出かけ、dolphin-watchingを体験した。Dolphin-watchingもさること ながら、車中から見えたオーストラリアの田舎の風物や人々の暮らしぶりがとても興味 深かった。 ・次回以降のNC大での研修に参加する学生や引率者の参考になるように、市内や大学の 風景等を写真に写して回った。 ・学生達やホスト・ファミリーへ、帰国前に最後のメッセージを書いた。 ・ホテルの留守電に2件(1件は学生で、もう1件はホスト・マザーから)メッセージが 入っていた。2件とも非常に深刻な様子だったが、気付いたのが夜中の1時だったので、 こちらからかけなおして確認するのは翌朝に回した。 最後の夜くらいぐっすり眠りたいところだったが、暗い声で「大変な問題が起こりました」、 「迷惑をかけてごめんなさい」といった内容の留守電メッセージが残されていたので、ゆ っくり休むこともできなくなった。 【第7日目】 ・午前7時になるのを待って、留守電を残した学生とホスト・マザーに電話をした。学生 の用件はたいしたことではなかったが、もう1件のホスト・マザーには電話がつながら なかった。そのため、タクシーでNC大に出向き、電話の主宅にホームステイしている 学生に会って、用件の内容・意図を確認することにした。その結果、私に迷惑をかけた ことに対して詫びの気持ちを伝えたいだけだったことが判明した。 ・Hire carを呼んで、シドニー国際空港に行き、帰国の途についた。 最後の日も実に気ぜわしく、疲れる(と同時に拍子抜けもする)1日だった。午前11時 に予約していた空港へのシャトル・バンの時刻が1時間早まったと朝7時半にconciergeか ら電話があったが、大学まで行き来していると10時を過ぎそうだったので、結局それをキ ャンセルし、代わりに、ハイヤーを利用した(もちろんその分お金もかかった)。また、 最後の朝まで、「バスに乗り遅れたので、授業に遅刻します。クラスの先生は、『明日はコ アラ・ツアーに出かけましょう』と言ってたんですけど、私が着いたときにもう出かけて いたらどうしたらいいですか?」というような間抜けな電話が学生からかかってきて、担 −163− 任の先生などにあれこれ伝言をしなくてはならなかった。AnChi氏や、他の先生方や、 Fagan氏の秘書のPaulaにも、あれやこれやとご迷惑をかけっぱなしで、帰国後も、お礼と お詫びの手紙・メールを何通も送った。 6.2.5 所感と要望 今回の引率は、上述のように、様々なハプニングやトラブルに振り回されて、かなり大変 なものであった。学生達には、オリエンテーションのときに、引率者に日本語で尋ねて簡単 に済ませるのではなく、授業以外の場でも英語を使って、向こうのスタッフに相談や確認を し、問題を解決すること、また、そうすることも語学研修の意義や義務の一つであるという ことを教えなくてはならないと思った。また、学生達はどうしてもホームステイ先の比較を してしまうので、それぞれの家庭にはそれぞれのよさがあるのだ(観光名所にたくさん連れ て行ってくれるだけがよいことではない)、ということをもっとしっかりと事前指導する必 要性があると感じた。さらには、LCのスタッフなどに色々と迷惑をかけても、お礼やお詫 びのことばがなかなか口から出ない学生もいたので、傍らで見ていて恥ずかしい思いがした。 英会話以前の心構えも徹底させないと、山口大学の、いや日本の恥になる気がする。 最後に、次回以降のNC大での研修がよりよくなることを願って、要望を述べることにす る。まず、ELICOSは5週間のプログラムであるが、今回、山大生達は第2週目から参加し て4週間の受講をした。そのため、最初から参加している中国や韓国からの学生達が、すっ かり授業に慣れて、クラスメイトや担任の先生達とも親しくなっているところへ、1週間遅 れで加わることになった。それゆえ、自分達だけが取り残されているような気がしたり、ス ピードについていけないと感じたりする学生達が多くいたようである。そのため、もっと易 しいクラスに替わりたいと言い出す学生がたくさん出たのであろう。やはり、はじめが肝心 であるので、次回からは、第1週目から参加できるように調整をすべきだと思う。さらには、 シンガポールとシドニー間は、時差が3時間あるので、旅程表では10時間のフライトでも、 実際のフライト時間は7時間であり、その間にスナックタイムと2度の食事があって、ゆっ くり寝る間がほとんどない状態だった。そして、寝不足や食べすぎで疲れ果ててオーストラ リアに到着すると、すぐにホームステイが始まって緊張し、気の休まる間もなく、翌朝には プレースメントテストというのでは過酷である。病人が出たのも致し方ない気がする。よっ て、例えば、もう1日早く出発して、ゆっくり疲れを取ってから、テストや授業を受けられ るようにすべきだと感じた。 −164− 夏期海外短期語学研修プログラム 参加者アンケート集計結果 1.あなたが研修に参加した大学はどの大学ですか? 1 2 3 研修先大学 リジャイナ大学 山東大学 仁荷大学校 回答人数 7 8 2 参加人数 10 10 3 2.研修の授業について答えてください。 研修の授業は自分の能力に合っていましたか? 1 2 3 回 答 難しすぎた ちょうど良かった やさしすぎた リジャイナ 0 5 1 山 東 仁 荷 0 1 1 2 4 2 自分の語学力が上がったと思いますか? 1 2 3 回 答 とてもあがった まあまああがった あまりあがらなかった リジャイナ 0 7 0 山 東 2 5 1 仁 荷 0 2 0 授業についてこうして欲しかったという希望がありますか。あったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・大切だとは思うけれど、基本的な事項が多かったと思うので、もう少し発展的な内 容でも良かった。 ・会話の練習は、道案内について何回もやったが、他の分野の会話も取り入れてほし かった。 ・特になし。 ・もう少し現地の学生と多くコミュニケーションをとりたかった。 ・講義内容がカナダの文化などを主としており、内容的に仕方ないとは思うが、話を 聞いて板書を書き写すことが多く、授業においても、もう少しスピーキングや会話 の時間があったらよかったと思う。 ・会話の練習は、道案内について何回もやったが、他の分野の会話も取り入れてほし かった。 ・クラスが2つに分かれていたので先生をチェンジした授業がもっとあればよかった と思う。もう一方のクラスとの合同授業があればよかったと思う。 ・山東大学参加者 ・個人個人のレベルの違いが大きかった。2グループぐらいに分けてもらえると良か ったと思う。 ・クラス分けして難易度を合わせてほしかった。 ・最初に能力テストをしたなら、クラスを分けてほしかったです。 ・授業を受けてみると、それぞれ語学のレベルが違ったので、最初のテストでは口頭 だけでなく筆記も導入し、個々のレベルにあったクラスを作るのがよいと思います。 ・元々の能力が個々で大きく違ったので少人数で難しいかもしれないが、クラスを分 けるなどしてほしかった。 ・クラスを分けて欲しかった。 −165− ・クラス分けがあったらよかった。昼からもなにかアクティビティがほしかった。 ・張先生とも話し合いましたが、クラス分けをしたほうが良かったと思いました。 ・仁荷大学校参加者 ・宿題が欲しかった。 ・レベル別に分ける。 授業について特に良かったと思うことがあったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・常にペアを作って、会話をしながら授業できたのがよかった。少しでも英語に触れ る時間を多くすることは大事な事だと思う。 ・ESLの学生の人たちと話す機会(授業)があったこと。 ・雰囲気がよかった。クラスのみんなが積極的に参加しようとする意欲が見えた。ま た先生のあたたかい人柄がとても気に入った。 ・カナダの歴史や文化を学べて良かったが、特にお金の授業がよかった。 ・Speaking、Reading、Writing、Listeningすべてがバランスよく勉強できたと思うので、 そこが良かったと思う。 ・内容が工夫されており、最初は、コインやリジャイナ・サスカチュワン州・カナダ のことなど、生活に必要なことを中心にしていた。また、プリント教材が多く、復 習に役立った。 ・山東大学参加者 ・先生が親切だった。 ・先生と一対一で話せたところです。 ・先生が2人いたことは、それぞれの生活を教えてもらったり、授業も幅がでてよか ったです。 ・45分×3コマでにほんより1コマが短いので集中してできたこと。少人数なので発 音チェックなどを良くしてもらえたこと。 ・発音をしっかり訂正してもらえたこと。 ・先生が若かった。 ・一対一で教えてもらえる。 ・仁荷大学校参加者 ・文法の他に韓国で人気の曲を歌ったり、とても工夫された授業でした。先生がとて も親切で丁寧に教えてくださったので、とても分かりやすかったです。説明が分り やすかったことと、充分練習の時間をくれたこと。 ・いろいろな国の人と交流できた。 授業について特に良くなかったと思うことがあったら書いて下さい。 ・リジャイナ大学参加者 ・特になし −166− ・山東大学参加者 ・英語で説明されることが多かったです。 ・能力差がありすぎたこと。やはり2度目の人や何度も中国に来た人と全く勉強して いない人が一緒にするのはキツイ。英語でも説明してくれるが、日本人もJapanese Englishになるように、Chinese Englishでどこからどこまでが中国語か英語かわかり にくかったこと。 ・もっと学生が発言して活気のある授業だったらよかったと思いました。 ・英語が多かった。 ・特になし。 ・仁荷大学参加者 ・特になし ・レベル別に分けてほしい。 パソコンは自由に使えましたか? 回 1 2 答 はい いいえ リジャイナ 7 0 山 東 仁 荷 2 0 5 3 日本語でメールを打つことができましたか? 回 1 2 答 はい いいえ リジャイナ 7 0 山 東 仁 荷 0 2 8 0 3.その大学の学生パートナーもしくはチューターについて答えてください。 パートナーもしくはチューターがつきましたか? 回 1 2 答 はい いいえ リジャイナ 7 0 山 東 仁 荷 2 0 1 7 パートナーが付いた人は答えてください。あなたのパートナーはどうでしたか? 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ 5 0 2 山 東 1 0 0 仁 荷 2 0 0 「よくなかった」と答えた人は答えてください。「よくなかった」のはどうしてですか ・リジャイナ大学参加者 ・熱意がなかったから。プレゼンのリハーサルで、よくない点についての指摘はして もらえたが、その後どのように改善していけばよいかということについてはアドバ イスしてもらえなかった。 ・宿題を出すだけ出して、真剣に見てくれなかった。時間が余るとすぐに解散だった ので、もっと話す時間を作って欲しかった。 −167− 4.授業以外のプログラムについて 授業以外のアクティビティがプログラムに十分組み込まれていましたか? 1 2 3 回 答 はい、十分だった まあまあだった 十分とはいえない リジャイナ 7 0 0 山 東 仁 荷 2 0 0 5 3 0 アクティビティにこんなことを入れて欲しかったということはありますか? 回 1 2 答 はい 特にない リジャイナ 0 7 山 東 仁 4 4 荷 2 0 上で「はい」と答えた人はどんなことを入れて欲しかったですか?具体的に書いてください。 ・山東大学参加者 ・中国料理やお茶のレクチャーがあればおもしろかったと思います。 ・ホームステイが(1日だけでも)あれば、よかったかなと思います。 ・他の大学の留学生との交流 ・もっといろんなとこに行きたかった。観光地など特に泰山。 ・仁荷大学参加者 ・キムチを作る体験をしたかった。 ・学生との交流がもっとしたかった。 5.ホストファミリーについて答えてください。 ホストファミリー滞在は良かったですか? 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ 6 0 1 山 東 仁 荷 0 2 0 特に良かったと思うことがあったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・滞在先がリジャイナ市街から離れた町だったため、バスが無く、毎日送り迎えをし ていただいたので話す機会が多かった。また週末も家族と過ごしたので日本語に触 ・よく話しかけてくれたし、話かけたら親身に聞いてくれた。 ・個人の生活が尊重されていて行動しやすかった。しかし、時々みんなで出かけるな どしてコミュニケーションもしっかりとれた。 ・夜の団らんの時間を共有できたこと。お昼ご飯を作ってくれたこと。宿題などを快 く手伝ってくれたこと。 ・いろんな所へ連れて行ってもらえたこと。積極的に誘い出してくれたことがとても 嬉しかった。とても丁寧に対応してくれたこと。 ・理解するまで何度も説明してくれた。土日なども一緒にいる時間を必ず作ってくれ た。 −168− 「あまりよくなかった」と答えた人は答えてください。「よくなかった」理由はなんで しょうか。複数答えてもかまいません。 ・リジャイナ大学参加者 ・ホストマザーは、機嫌のいいときはいいけど、仕事などで忙しくて疲れていて、そ のうえ子供を叱った後なんかは、そのままの態度で私に接してくるから、正直言っ てあんまり居心地はよくなかった。家にはあまり帰りたくなかった。怖かった。 ・ホストファミリーの母国語がフィリピン語のため、家族が会話するときはフィリピ ン語なので、何を話しているのか、全く分らなかったので不安に思うことがあった。 (学生の報告) 6.寮に滞在した人にその寮について答えてください。 寮に滞在してよかったですか? 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ 山 東 仁 5 3 0 荷 2 寮の設備はどうでしたか? 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ 山 東 仁 2 6 0 荷 2 寮では食事が何度出されましたか? 1 2 3 回 朝食だけ 朝食と夕食 3食 答 リジャイナ 山 東 なし なし なし 仁 山 仁 荷 1 1 寮の食事はどうでしたか 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ 東 荷 1 1 寝具(シーツや毛布など)は提供されましたか? 回 1 2 答 リジャイナ 山 東 8 0 はい いいえ −169− 仁 荷 0 2 その他気がついたことを書いてください。 ・山東大学参加者 ・ベットメイキングがあまり行われていなかった。 ・シーツ交換してほしかった。冷蔵庫が欲しかった。 ・シーツは交換していたのか、わかりませんが、もっとこまめにしてほしかったです。 ・工事でお湯が出ない日が続いたり、水すら出ない時があったりしたのは困った。掲 示も、出なくなってからあったし…。お国柄でしょうけど。 ・冷蔵庫が付いている部屋と付いていない部屋があり、私の部屋は付いておらず、不 便だった。 ・ホテルの係の人にはとても親切にしてもらい、部屋の設備もよかったです。冷蔵庫 はある部屋とない部屋があったので、どの部屋にも取り付けてもらいたいです。 ・虫やゴキブリが出た。水が止まったり、お湯が出なくなったりした。 ・ゴキブリが多かった。 ・仁荷大学校参加者 ・私が泊まった寮は3階だったんですが、エレベーターに乗ると男子寮に至ってしま うので、必ず階段から上ってください。事前説明してくれなかったので、大変でし た。 7.滞在先と大学の往復について答えてください。 往復の交通手段は何でしたか? 回 1 2 3 4 答 徒歩 バス 自転車 その他 リジャイナ 0 5 1 車1 山 東 仁 7 1 0 0 荷 2 0 0 0 何分ぐらいかかりましたか? ・リジャイナ大学参加者 バス20〜40分、車5分、自転車15分くらい ・山東大学参加者 徒歩1〜3分 ・仁荷大学校参加者 徒歩1分 何か問題を感じましたか? 1 2 はい いいえ リジャイナ 0 7 −170− 山 東 0 8 仁 荷 0 2 問題を感じた人は、どんなところが問題でしたか?複数答えてもかまいません。 回 1 2 3 4 5 答 リジャイナ 山 東 仁 荷 遠かった バスの本数が少なかった バスが時間通り動いていない 交通渋滞がひどい 途中に危ないところがあった その他何かあったら書いて下さい。 ・なし 8.引率・旅程について 山口と目的地間の旅程について何か問題がありましたか。あったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・関空からカナダまでの飛行時間が長い。 ・山東大学参加者 ・学生は暇はあっても金がないので、オリエントフェリーで下関から青島まで行き、 バスで済南まで行くほうが安あがりで楽しいのではないかと思います。 ・船の方が安かったのではないか? ・帰りの宇部線が終わっていて、山口在住の参加学生に送ってもらった。 ・朝早すぎ。夜もめっちゃMAX急いでも最終の宇部線に間に合わなかったこと。 ・飛行機の乗り換え時間の間が長かった。 ・仁荷大学校参加者 ・朝ご飯を食べていなかったので、新幹線の中で貧血みたいになった。長い間バスに 乗るので酔い止めの薬が必要。 引率が往路に同行しましたが、引率の同行についてどう思いますか。 1 2 3 回 答 あった方がよい どちらでもよい なくてもかまわない リジャイナ 6 1 0 山 東 仁 7 1 0 荷 1 1 引率は研修先大学に数日しか滞在しませんでしたが、そのことについて答えてください。 1 2 3 回 答 数日でよい もう少し長くいて欲しい 全期間いて欲しい リジャイナ 7 0 0 山 東 仁 8 荷 2 帰路には引率が同行しませんでしたが、どう思いますか。 1 2 3 回 答 必要はない 同行したほうが良い どちらでもよい リジャイナ 3 0 4 −171− 山 東 4 2 2 仁 荷 1 0 1 9.受け入れ側の対応について 空港での出迎えはありましたか。 回 1 2 答 あった なかった リジャイナ 7 0 山 リジャイナ 7 0 0 山 東 仁 荷 2 0 8 0 困ったときの対応はどうでしたか。 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった 東 仁 荷 2 0 0 7 1 0 受け入れ先の担当者は親切だと感じましたか。 1 2 3 回 答 とても親切だった まあまあだった あまり親切ではなかった リジャイナ 7 0 0 山 リジャイナ 3 4 0 山 東 仁 荷 2 0 0 8 0 0 10.出発前の説明会について 出発前の説明会は十分でしたか。 1 2 3 回 答 十分だった まあまあだった あまり十分ではなかった 東 仁 荷 2 0 0 3 5 0 「あまり十分ではなかった」と答えた人は答えてください。複数答えてもかまいません。 充分ではない理由は何ですか。 1 2 3 4 回 答 リジャイナ 説明会の案内は説明会の充 分前になされなかったから 聞きたい情報が得られなか ったから 説明会に充分時間が取られ ていなかったから 質問の時間が充分になかっ たから 山 東 仁 荷 1 他にあったら具体的に書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・必要な事項は数回の研修で伝達されたが、1ヶ月に約1回という間隔は少ないので はないかと思え、少し不安を感じた。 −172− 11.全体的に 語学力がついたこと以外にこの研修で得た収穫にはどんなものがありますか。複数答えて もかまいません。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 .回 答 リジャイナ 4 異文化体験 ホストファミリー、パート 4 ナーを含めた友人 異文化に対する理解と寛容 2 さ 日本人としてのアイデン ティティ 人の前で話すことへの自信 外国語で意思疎通をするこ 3 とへの自信 3 人種の違いを超えた友情 「外人」コンプレックスが 1 なくなったこと 一人で異文化の中でやって 3 いける自信 山 東 仁 荷 6 2 3 2 4 1 1 2 1 2 1 5 2 3 その他あったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・海外に出て行くことの不安がなくなり、むしろ楽しさの発見が大きくなった。 ・積極性 ・担当部署のスタッフの仕事に対する姿勢・熱意 ・山東大学参加者 ・外国語で意志疎通することへの難しさ ・人間関係の大切さ あなたは別の機会を作ってまた留学したいですか。 回 1 2 答 はい いいえ リジャイナ 6 1 山 東 仁 荷 2 0 8 0 次に行くとしたらどこに行きたいですか。 1 2 回 答 リジャイナ 3 同じ大学へ行きたい 4 今度は他の大学へ行ってみたい 山 東 仁 荷 1 1 1 7 どの大学、国に行きたいですか。 1 2 3 4 5 6 7 回 答 リジャイナ 5 リジャイナ大学(カナダ) 2 ニューカッスル大学(オーストラリア) 韓国外国語大学(韓国) 仁荷大学校(韓国) 山東大学(中国) 北京師範大学(中国) エアランゲン大学(ドイツ) −173− 山 東 1 3 3 2 2 1 仁 荷 1 1 12.今回の研修について上記の質問事項以外に何か参考になることがあったら書いてください。 今後の研修プログラムへの提案・提言でもかまいません。何でもかまいません。 ・リジャイナ大学参加者 私は充分だったのですが、人によっては、ホストファミリーの情報が充分ではなかっ た人もいたようなので、できるならもっと詳しい情報があったらよいと思った。また、 気候についても想像よりはるかに寒く、現地で上着を何着か買わなければならなかっ たので、もっと気候についても多数の経験者の話を聞く機会などがあったら良いと思 った。 大学でのクラス分けが同じプログラム内で行われたことで、英語で会話をしていても 相手は日本人であることが多かった。できたらもっと現地の人や他国の人と英語でコ ミュニケーションをする場が欲しかった。また、一緒にホームステイするホストブラ ザー、シスターは日本人ではない方がよかったと思う。私の場合がそうで、助けられ たことも多くあったけれど、同じくらい頼ってしまったので。今回が特別だったのか もしれないが、研修の時に聞いていた気候と実際のものに違いがあり、対応するのが 難しかった。そこで一応あるかもしれないケースについてもきちんとした説明をして いただけたら少しでも違うと思う。 今回のプログラムは、私の人生の中で価値あるものの1つとなりました。学校で(カ ナダの)触れあった人たちとも上手くコミュニケーションを取ることができたし、ホ ストファミリーの方々もすごく親切でした。私はとても楽しい思い出を作ることがで きたので満足しています。ただ、友達の中にはホストマザーと上手くいかずに、疲れ て学校に来ている子もいました。ホストファミリーの審査は厳しいと思いますが、ぜ ひとも生徒の意見も十分検討して欲しいと思います。 私は約1ヶ月のカナダでの生活を心底楽しむことができた。1ヶ月という期間は、今 振り返ってみるととても短いものだった。今回の短期留学は留学模擬体験といったよ うな感じで、まだまだ現地にとけ込んで生活するまでには至らなかった。しかし、た くさんのすばらしい思い出を作ることができた。またたくさんの素晴らしい人々と出 会うことができた。小さな不満や失敗はあったかもしれないけれど、それ以上に楽し かった。英語力の改善もあるけれど、今回カナダへ行ったことで人間的に少し成長で きた気がする。今回の留学はこれからの人生の糧になると思う。もし、できるならま たカナダへ行ってみたい、そう思わせるようなプログラムだったと思う。 私の担当になってくれたホストファミリーやカンバセーションパートナーは本当によ い人ばかりで、私は大満足だったが、やはり収入のため、と割り切ってホストファミ リーをやっている人もおり、差がはげしかった。求めてはいけないといわれていたと はいえ、家にホストファミリーがあまりいなかったりとか、ネイティブ同士が外の国 の言語で話すこともあったらしく、もう少し見直しが必要なのではないかと感じまし た。 −174− 〈研修職員より〉 ○研修期間中の日本語禁止について 研修の成果は、結局は個人の姿勢によるものだと思いますが、研修期間中は英語を 話すこと(日本語を話さないこと)。この必要性と意義は事前にきちんと伝えるこ とが必須だと思います。日本人同士で過ごした週末開けなどは、英語力低下が顕著 だと言われます。それだけでなく、日本語での会話は他の受講生の学習意欲をそぐ ものであること。限られた期間の「英語だけ」という貴重な環境を生かすよう、ま た、他人の環境を損なわないよう、各大学でも指導の必要があると思います。 ○持ち物などについて、以下は次回以降の説明会などの参考になればと思います。 ・かばんについて 研修時の「カバン」はリュックをおすすめします。毎日、A4大の授業用のファイ ルとランチを持ち運ぶ必要があり、かつ、歩くことが多いので。 ・フォンカードについて カナダからの国際電話は、国際電話用のフォンカードを買うのが便利です。各カー ドに記載されている番号を入力して使うので、滞在先の家からでもかけられます。 カードは大学内の売店や書店で買えます。 ・服について リジャイナは、真夏でも朝晩は寒いくらいで、長袖の上着は必須です。また、最終 週は北の方へキャンプに行くのでかなり寒く、また、馬に乗ったりするので、寒さ 対策はセーターよりも汚れても洗濯しやすい長袖パーカーやトレーナーなどを持っ ていくことをおすすめします。 ・山東大学参加者 多くの友達ができて、本当に楽しかった。もっと中国の家庭の味、文化に触れてみた かった。山東大学のプログラムに「泰山」も加えて欲しかった。クラス分けがもっと 小さくあればよかった。(出来る人と出来ない人の差があったから)行く前に、少し でも勉強していった方が良いと思う。 携帯電話が使えないこともあり、引率の先生と連絡が取れなかったので、帰りのバス についてのメールを送って頂いたが、日本で見ることになってしまった。留学先で作 ったアドレスをメンバー内の1人でもよいので引率の先生に送るようにすればよかっ たと思う。いろいろな体験がとても新鮮でした。ありがとうございました。 最初、済南での生活費は3万円ぐらいで十分と聞いていましたが、何かを学ぶために は少なすぎると思いました。確かに、お金をかけないようにすれば足りますが、より 多くの人と出会い、活動するためには3週間でも4〜5万円は用意しておいた方がよ いと思います。この費用を補填するために、山口という地を活かして、オリエントフ ェリーを利用すれば、日数はかかりますが、4万円程度はうくはずです。語学力も日 本で事前に調べておいたほうがよいように思います。また、やる気のあるなしで3週 間の滞在もかなり差がつくように感じたので、それぞれに合わせて、クラス分けした ほうが良いと思います。山口大学からは留学する人が少ないので、他の大学の短期留 学のクラスに入れてもらえば、よい刺激にもなると思います。 食事の衛生面の不安が残った。お腹をこわした時に何を食べたらいいのか分らなくな った。研修を通して一番思った事は、異文化や異なる環境で育った人と人との接触と そこから生じる化学反応のような衝突や融和が非常に感動的であったことである。今 後の研修プログラムへの提言、提案は設備的な面、特に、水やパンの保存のための冷 蔵庫の有無は私たちの健康にもかかわるので、きちんとした対処をしてほしかった。 ぜいたくな願望かもしれないけど、同じ宿泊費を払っているのだから、統一した環境 を設けてほしかった。 −175− ・説明会の時にパンフを見せるだけではなく、前回の写真やスライドなどで、現地の 様子や習慣などを説明して欲しかったです。イメージが沸かなかったです。 ・飛行機の待機時間・移動時間が多すぎて苦痛だし、疲れる。今回の時間だと帰り、 最終の宇部線には間に合わない。宇部からの参加者がいないときはよいかもしれな いが、今回は自宅生(宇部市)もいたので、そういった配慮は必要だと思います。 難しいでしょうけど。 ・前述したように、参加時からの能力、経験差。 ・出発するまで、説明会で「顔を合わす」だけで交流は少なかった。宇部の人たちと は殆ど会わず、工学部のKくんにかんしては空港で初顔合わせの状態。一度、学食 とかでもよいから食事会などをしてもよいのでは?!みんなほとんど1人で応募し、 学年学部もばらばら。そのような状態のままでいくのは、不安に少なからず感じる。 ・引率の先生と張先生がメールで状況報告をしあったり、張先生と馬先生が色々と声 をかけてくれたり…と情報の共有ができていて、安心して過ごせました。色々と思 ったこと、考えさせられたことなどがあり、とても貴重な体験ができ、充実した3 年生の夏休みが過ごせました。国際センターの皆様、ありがとうございました。 パソコンの使える時間が短かった。日本語が出るパソコンが少なかった。 今回のプログラムについては、全体的にはよく組まれていたと思います。しかし、細 かいところを言うといくつかありました。土曜日に一週目は泉城広場や跳突泉へ、二 週目は曲阜へと行きました。しかし、どちらとも時間がつまっていたらしく、足早に 見て、通り過ぎていきました。曲阜は孔子のお墓とかあるらしいのですが、慌ただし くて写真を見返してもよく覚えていません。もう少しゆっくりと見て回れるような時 間を配分して欲しかったです。次回行く人へのアドバイスですが、私はシャンプーや リンスを持っていったのですが、2日目のカルフールで日本にもあるシャンプーが売 られているので持っていく必要はないです。そして、行くにあたって最も大事なのは、 「やる気」です。行ったからには何かを得て帰るという気持ちを持ってほしいです。 ・仁荷大学校参加者 ・毛布と枕を持って行って下さいと言われましたが、実はシーツもなかったです。夏 なので小さい物でいいから持っていったほうがいいかもしれません。・洗濯ネット、 ハンガーも持って行ったほうがいいと思います。向こうの洗濯ネットは日本より高 いです。 ・両替は空港じゃなくて、大学の中にある銀行でしたほうがお得です。 ・バスで長時間移動することが多いので、酔い止め薬を多めに用意すること。 ・夜はお酒を飲みに連れて行ってくれることも多いので、胃薬なども用意したほうが 無難です。 集計・編集:国際センター学務部留学生課 高田明子 平成17年10月28日 −176− 春期海外短期語学研修プログラム 参加者アンケート集計結果 1.あなたが研修に参加した大学はどの大学ですか? 1 2 研修先大学 リジャイナ大学 ニューカッスル大学 回答人数 8 8 参加人数 9 34 2.研修の授業について答えてください。 研修の授業は自分の能力に合っていましたか? 1 2 3 回 答 難しすぎた ちょうど良かった やさしすぎた リジャイナ ニューカッスル 0 1 8 6 0 1 自分の語学力が上がったと思いますか? 1 2 3 回 答 とてもあがった まあまああがった あまりあがらなかった リジャイナ ニューカッスル 3 1 5 6 0 1 授業についてこうして欲しかったという希望がありますか。あったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・親切で本当に良かったです。レベルも分けていただいてよかったです。 ・特になし。 ・ニューカッスル大学参加者 ・授業は最高に良かったです!これ以上を求めるなんてぜいたくすぎます。 ・もっと会話の練習や発音に関する授業をしてみたかった。 ・日常生活での会話について学習したかった。(例えば、こういうとき、何て言うかなど…) ・会話の授業をもっとして欲しかった。 ・もっと話す機会がほしかった。Conversation Partner がついてくれればいいなと思いました。 授業について特に良かったと思うことがあったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・すべて英語で話され、話さなければならなかったことがとても良いと思います。 ・クラスのみんなのレベルがちかかったので、みんなで頑張ることができました。 ・他のクラス(日本語クラス)などと交流できた。リジャイナの歴史について学び、 その土地の理解が深まったこと。 ・ゲームをしながらなど、とても楽しく勉強をすることができて良かったです。 ・自分で考えて、コミュニケーション能力を養うようなものが多かったです。 ・ただ英語を学ぶだけでなく、カナダの歴史や文化について学べたのがよかった。 ・授業の中で、数分程度1人ずつ話す(週末のことなど)機会が数回あり良かった。 ・他のクラス(日本人でないクラス)との交流があったところ!! −177− ・ニューカッスル大学参加者 ・みんなが参加してるという雰囲気、グループ活動、先生がユーモアをもっていると ころ、クラスメイトの気さくさ…などなど、すべて良かったです。クラスメイトと 仲良く出来たことが特に良かった。 ・日本の授業に比べて、自分の意見などを発言しやすかった。 ・英語だけで全て進んでいくので良かった。ゲームをしながら楽しく授業が受けれた。 他の国の友達ができて学ぶこともあった。 ・グループ活動が多かった。 ・日本では経験しない授業内の活動を楽しく行うことができた。例えば、ディクテー ション、ペアワーク、単語しりとりなど。また、授業内に、excursion(遠足)が盛 り込まれていたのもよかった。 授業について特に良くなかったと思うことがあったら書いて下さい。 ・リジャイナ大学参加者 ・特になし ・ない。 ・ニューカッスル大学参加者 ・11:00〜12:00のレクチャー、3の教室はあまりに狭く、照明も暗い。 ・英語を話すことをそれほど強制されていないため、日本人に限らず同じ国の人とは 母国語で話す生徒が多かったので、皆がもっと英語で話すような環境にしたほうが 良いと思った。 パソコンは自由に使えましたか? 回 1 2 答 はい いいえ リジャイナ ニューカッスル 8 8 0 0 日本語でメールを打つことができましたか? 回 1 2 答 はい いいえ リジャイナ ニューカッスル 8 8 0 0 3.その大学の学生パートナーもしくはチューターについて答えてください。 パートナーもしくはチューターがつきましたか? 回 1 2 答 はい いいえ リジャイナ ニューカッスル 8 0 0 8 パートナーが付いた人は答えてください。あなたのパートナーはどうでしたか? 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ ニューカッスル 8 0 0 0 0 0 −178− 4.授業以外のプログラムについて 授業以外のアクティビティがプログラムに十分組み込まれていましたか? 1 2 3 回 答 はい、十分だった まあまあだった 十分とはいえない リジャイナ ニューカッスル 8 1 0 5 0 2 アクティビティにこんなことを入れて欲しかったということはありますか? 回 1 2 答 はい 特にない リジャイナ ニューカッスル 1 4 7 4 上で「はい」と答えた人はどんなことを入れて欲しかったですか?具体的に書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・カーリング体験もよかったのですが、アイスホッケーもしてみたかったです。日本 で簡単にできるものではないので。 ・ニューカッスル大学参加者 ・ニューカッスル大学のオーストラリア人の生徒たちと交流する場がほしかった。 ・キャンプへ行きたかった。サーフィン教室とかをやって欲しかった。 ・今回は1ヶ月という短い期間で忙しく参加もできなかったので何とも言えません。 ただ、アボリジニーの歴史や文化に触れられるものがあれば興味を持ちそうです。 ・クラスや全体でどこかへ行ったりする機会がもっとあればなぁと思った。 5.ホストファミリーについて答えてください。 ホストファミリー滞在は良かったですか? 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ ニューカッスル 8 8 0 0 0 0 特に良かったと思うことがあったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・とても親切で積極的に僕たちにいろいろなプログラムを組んでくれたこと。 ・自由にさせてくれた。色々なことに挑戦させてくれた。自分達だけで買い物など街 にでることをどんどん薦めてくれた。積極性を求められたこと。主張がとおった。 ・お料理が得意な方で、毎日おいしいご飯が食べられた。家から大学が近かった。 ・学校の先生をされていたので、とても分かりやすく色々と教えてくれたこと。 ・積極的に、ビデオ鑑賞やカードゲームに誘ってくれ、とても居心地が良かったです。 また、留学生用もシャワールームが別に設けてあり、気兼ねなく使うことができま した。 ・とても親切にしてくれたし、毎日学校であったことなどの話も聞いてくれた。 ・ホストファミリーと話せる時間が多くて良かった。英語を上手く話せなくても真剣 に聞いてくれた。 ・ホストマザーがとても親切でたのしくそして変に気を使うこともなく、普通に生活 できたことが良かったです。 −179− ・ニューカッスル大学参加者 ・ホストマザーの職業が小学校の教師だったが自分の知りたいことや学校の宿題など を図書館やインターネットなどで徹底的に調べてくれた。また、自分をオーストラ リア的な文化に触れあえる所などに積極的に連れて行ってくれた。近所の人たちに 自分を紹介してくれて、その近所の人々と親しくなり、オーストラリアの文化をよ りよく理解することができた。 ・あんなに現地の人と仲良くなれるのはホームステイしかない!! ・とても親切にしてくれて、楽しく過ごすことができた。 ・日本の文化などに興味があり、オーストラリアのことを色々教えてくれた。心が広 くとてもおおらかだった。土・日に動物園やクリケットの試合などにも連れて行っ てくれた。英語を話すとき、私が分かるまで丁寧に簡単な英語に言いかえながら話 してくれた。 ・1ヶ月という短い期間の間に、私により多くの経験をしてもらおうと、休日にはい ろんな所に連れていってくれたし、またオーストラリアのことについても、オース トラリアの料理や動物、社会、教育など、本当にさまざまなことを教えてくれまし た。また、食事もできるだけオーストラリアの伝統料理を食べさせようと、毎日い ろいろなものを作ってくれ、私もオーストラリアのデザート作りに挑戦しました。 とても優しく、本当に良かったです。 ・どこかへ友達と行くときに、行き方を詳しく教えてくれた。一緒にお菓子を作った りさせてもらった。 ・ホストファミリーと毎日楽しく会話をしながら、食事をしたり、散歩をしたことが とても楽しかったです。 「あまりよくなかった」と答えた人は答えてください。「よくなかった」理由はなんで しょうか。複数答えてもかまいません。 該当なし その他気がついたことを書いてください。 ・ニューカッスル大学参加者 ・大学側とホストファミリー側の連絡がしっかりと行き届いていない気がした。 ・友達の話などを聞くと、中には夕食が出ないとか、家族と食事に差がある家庭もあっ たみたいで、待遇の違いにとても差があることに驚きました。そうした差は埋めら れないのでしょうか? 6.滞在先と大学の往復について答えてください。 往復の交通手段は何でしたか? 回 1 2 3 4 答 徒歩 バス 自転車 その他 リジャイナ ニューカッスル 0 0 6 7 0 0 車1 車1 何分ぐらいかかりましたか? ・リジャイナ大学参加者 バス15〜50分、車約15分 ・ニューカッスル大学参加者 バス30〜90分、車20分 −180− 何か問題を感じましたか? 回 1 2 答 リジャイナ ニューカッスル 0 5 8 3 はい いいえ 問題を感じた人は、どんなところが問題でしたか?複数答えてもかまいません。 回 1 2 3 4 5 答 リジャイナ ニューカッスル 0 2 0 1 0 1 0 2 0 0 遠かった バスの本数が少なかった バスが時間通り動いていない 交通渋滞がひどい 途中に危ないところがあった その他何かあったら書いて下さい。 ・ニューカッスル大学参加者 ・バスに冷房がついていなくてとても暑かった。あと、雨漏りもした。 7.引率・旅程について 山口と目的地間の旅程について何か問題がありましたか。あったら書いてください。 ・ニューカッスル大学参加者 ・行きがちょっと…勝手が分からず、ごちゃごちゃに…。 往路の出発空港へは、どこから出発しましたか。 1 2 3 回 自宅アパート 実家 その他 答 リジャイナ ニューカッスル 2 2 7 6 0 0 復路の到着空港から、どこへ帰りましたか。 1 2 3 回 自宅アパート 実家 その他 答 リジャイナ ニューカッスル 3 3 5 5 0 0 引率が往路に同行しましたが、引率の同行についてどう思いますか。 1 2 3 回 答 あった方がよい どちらでもよい なくてもかまわない リジャイナ ニューカッスル 1 4 7 2 1 2 引率は研修先大学に数日しか滞在しませんんでしたが、そのことについて答えてください。 1 2 3 回 答 数日でよい もう少し長くいて欲しい 全期間いて欲しい リジャイナ ニューカッスル 8 8 0 0 0 0 −181− 帰路には引率が同行しませんでしたが、どう思いますか。 1 2 3 回 答 必要はない 同行したほうが良い どちらでもよい リジャイナ ニューカッスル 6 5 0 0 2 3 8.受け入れ側の対応について 空港での出迎えはありましたか。 回 1 2 答 あった なかった リジャイナ ニューカッスル 6 4 2 4 *大学から送迎有。 困ったときの対応はどうでしたか。 1 2 3 回 答 とてもよかった まあまあだった あまりよくなかった リジャイナ ニューカッスル 6 4 2 4 0 0 受け入れ先の担当者は親切だと感じましたか。 1 2 3 回 答 とても親切だった まあまあだった あまり親切ではなかった リジャイナ ニューカッスル 7 6 1 2 0 0 9.出発前の説明会について 出発前の説明会は十分でしたか。 1 2 3 回 答 十分だった まあまあだった あまり十分ではなかった リジャイナ ニューカッスル 4 4 3 3 1 1 「あまり十分ではなかった」と答えた人は答えてください。複数答えてもかまいません。 充分ではない理由は何ですか。 1 2 3 4 回 答 リジャイナ ニューカッスル 説明会の案内は説明会の充 1 − 分前になされなかったから 聞きたい情報が得られなか 0 − ったから 説明会に充分時間が取られ 0 − ていなかったから 質問の時間が充分になかっ 0 − たから −182− 他にあったら具体的に書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・説明会の日時が突然変わったり、無くなったりしたので、ややこしかった。メール もまわってきていないことがあったりしてわかりにくかった。 ・ニューカッスル大学参加者 ・パンフレットなどがもらえるのが遅いと思う。説明会をもっと早めにするべきだと 思う。昼休み(しかもテスト週間)に説明会をするので、もっと端的に話をしてほ しい。帰りの日程を早めに知らせてほしい。 10.全体的に 語学力がついたこと以外にこの研修で得た収穫にはどんなものがありますか。複数答えて もかまいません。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 回 答 リジャイナ ニューカッスル 8 8 異文化体験 ホストファミリー、パート 8 8 ナーを含めた友人 異文化にタイする理解と寛 7 8 容さ 日本人としてのアイデン 2 5 ティティ 6 4 人の前で話すことへの自信 外国語で意思疎通をするこ 4 6 とへの自信 5 6 人種の違いを超えた友情 「外人」コンプレックスが 3 4 なくなったこと 一人で異文化の中でやって 4 7 いける自信 その他あったら書いてください。 ・リジャイナ大学参加者 ・一緒に参加した日本の学生とも友達になれたこと。 ・自分自身の考え方や行動、視野が大きくなったと思う。心変わりしました。 ・人の親切心にふれた。 ・留学への意欲 あなたは別の機会を作ってまた留学したいですか。 回 1 2 はい いいえ 答 リジャイナ ニューカッスル 8 8 0 0 次に行くとしたらどこに行きたいですか。 1 2 回 答 リジャイナ ニューカッスル 4 2 同じ大学へ行きたい 4 8 今度は他の大学へ行ってみたい −183− どの大学、国に行きたいですか。 1 2 3 4 5 6 回 答 リジャイナ大学 仁荷大学 韓国外国語大学 山東大学 ニューカッスル大学 エアランゲン大学 リジャイナ ニューカッスル 6 3 1 0 1 0 1 1 3 3 3 3 11.今回の研修について上記の質問事項以外に何か参考になることがあったら書いてください。 今後の研修プログラムへの提案・提言でもかまいません。何でもかまいません。 ・リジャイナ大学参加者 カナダに金曜日に到着して、土日に自由時間があったのは良かったと思います。この 土日の間にゆっくりすることができました。 カナダに行く前は、一人で学校に行けるのかとか自由に外出ができるのか、ホストフ ァミリーと何を話せばよいのか、など多少不安に思っていたのですが、コーディネー ターの方が事前にホストファミリーと打ち合わせなどを充分にしてくださっていたら しく、何も不自由しませんでした。カナダに滞在中、次期の留学生のためのミーティ ングに、ホストファミリーと一緒に参加しました。そこではたくさんのホストファミ リーが集まり、お互いに居心地よく生活するための話や、よくある問題点などについ てコーディネーターの方と話し合っていました。自分が来る前、こんなにも下準備を してくださっていたんだと思うと、とても感謝しました。 本当にすばらしいプログラムでした。是非、他のみんなにも参加してもらいたいです。 ・ニューカッスル大学参加者 今回出発日が2月11日でしたが、本当にぎりぎりまでテストとレポートがあり、準備 もぎりぎりでとても大変でした。冬休みに少しずつ必要なものは揃えるにしても、そ の後の説明会などでまた必要なものが出てきたときに、テストなどあってなかなか難 しいので、もう少し出発前に余裕が欲しいです。テストが早く終わる人はいいですが、 ぎりぎりまである人もいると思うので。また荷物の準備だけでなく、語学や向こうで 経験したいことなどの準備もあると思うので、やはりもう少し落ち着いてからの方が 良かったです。 コンセントの変換プラグは持っていったのですが、電圧変換器を持っていっていなか ったので、持っていけばよかった。写真がたくさんあるといいです。 もっと長期間せめて3か月、半年、1年はいたかった!!オーストラリアをもっと満 喫したい。山大を卒業しても参加させてほしいです!!大人数で留学する場合は、予 めみんなでレクリエーションなんかして、もっとみんなの仲を深めていけたらもっと 嬉しいです。きっとさらに楽しくなったはず。同じクラスになれた山大の子とはもの すごく仲良くできたけど、他のクラスになっちゃうと、顔と名前が一致しないまま、 会うことも最後の帰りの飛行機ぐらいになってしまうので。それではさびしい!せっ かく同じプログラムに参加するもの同士、苦楽を共にしたかったです。全体的にはと ても楽しかったので良かったです。本っっ当に行って良かった!! 集計・編集:国際センター学務部国際課学生交流係 高田明子 平成18年5月12日 −184− 宇部高校との高大連携:「留学生による英語を使った授業」 文責:江 鐘偉 宇部高校が国際人として活躍するために必要とする外国人とのコミュニケーション能力の向 上を図りたいとの要請を受け、平成16年度から山口大学国際センターが宇部高校と連携をとり、 山口大学留学生を講師として派遣し、彼らの専門分野の実験や研究等を分かりやすい英語で講 義する。国際センターは本活動を通して、高校生に学問を志す留学生の向学心を学ばせる高校 側の教育効果と、留学生の地域社会への貢献と教えることによる知識の再学習を実践する大学 側の教育効果を狙っている。 平成17年度は、平成16年度に続き、第2回目の実施であった。理工学研究科博士後期課程の 留学生志願者から中国、韓国、タイなど4名の留学生を宇部高校へ派遣し、材料実験や、生物 実験、IT技術などについて、4回にわたり授業を行った。高校生からは、「工学部でも医学分 のような医療について研究することがわかった。」、「大学で研究している人が最先端の話をし てくれたのがよかった。なかなかいい刺激になった。」、「ネズミの体内時計の仕組みがよく分 かった」、「英会話の上達は会話であると学んだ」、「酵母菌の観察で酵母菌がどのようなものか わかり、またタイの文化なども知ることができた」など様々な感想を寄せられ、大変好評でし た。 平成18年度も、本プログラムを引き続き実施することとなり、現在準備と調整を行っている ところである。 −185− 2005年度 日本留学フェア(中国)報告書 標記について下記のとおり報告します。 Ⅰ 山口大学ブースでの面談者数 瀋 陽 10月12日 24人 北 京 10月15日 19人 10月16日 19人 〃 (その他、どちらの会場でも資料だけでよいと言って、資料だけ持ち去る者が多くいた。 学生以外にも留学仲介業者が多くいた。) Ⅱ 面談者 学生本人 留学仲介業者 父親、母親、親戚 友達のために来たという学生 その他の業者(インターネット関係など) 高校の先生 Ⅲ 1 質問 多かった質問 大学院や学部にどんな専攻分野があるか。 大学院入試について 学部入試について 研究生制度について 日本留学試験「日本語」の試験のレベルはどのくらいか。 大学院には日本語能力試験のどのレベルの能力があれば入学できるか。 授業料・奨学金について 生活費・アルバイト・住居について 山口県の位置 2 その他の質問 準学士だが編入学できるか。(→できる。各学部で学歴を調査する必要有り。) 大学を卒業したが学位は取っていない。大学院に入学できるか。(→できない。) 外国人が日本の大学院を修了して、日本の医師免許が取れるか。(→取れる。) 15年の課程しか修めていないが人文科学研究科に入学できるか。(→できる。) 山口大学の学生数や外国人留学生数について 山口大学は日本の大学の中でどのくらいのレベルなのか。 山口大学の大学院を修了したことは中国で評価されるか。 山口で地震が起こるか。台風は来るか。 −186− ビザはどうやって取るのか。 大学の図書館の開館時間 山口に大きなデパートはあるか。 キャンパスの写真が見たい。 留学手続きができるような山口大学の事務所が中国にあるか。 質問に即答できなかったものについては、帰国後調べて連絡することにした。また、大学院 募集要項等を希望する者には、帰国後送付することにした。(アソシエイトに翻訳を依頼) Ⅳ 要 望 ・日本留学試験を中国でも実施してほしい。 ・大学院や学部の個別学力試験を中国で実施してほしい。(日本へ渡って試験を受けて、 もし不合格だった場合、学生に経費の負担だけが重くのしかかる。) ・大学入学前の日本語の修得について大学が責任を持ってコースを開設するべき。 (日本にある日本語学校は信用できないという意見があった。) ・「査証」の取得手続きを本人にさせるのではなく、大学側がやってほしい。(在留資 格認定証明書交付申請) V 来年度以降の参考事項 1 配布資料等について ・「大学案内」は、面談せずに資料だけ持って行く人も多いので、もっと多めに送ること。 ・「私費外国人留学生募集要項」は、大学院希望者も多いので「大学案内」の半分以下の 数でよい。 ・大学院希望者向けに専攻分野や選抜方法等がわかる一覧表を作成し、多数送付した方が よい。 ・大学院希望者は経済学研究科と人文科学研究科が多いので、募集要項を送付するか、あ るいは重要な部分をコピーして多数送付した方がよい。(フェア開催国によって希望の 多い研究科は異なるかもしれない。)募集要項を送付する場合は、研究科が印刷する部 数の関係があるので部局が印刷する前に相談する必要があると思われる。 ・「研究生」は中国語で「大学院生」という意味なので、「研究生入学案内」という表現 は誤解をまねくおそれがある。北京では通訳者の王さんが誤解のないよう説明をしてく れた。「研究生」を「研修生」という表現にするか、あるいは日本でいう「研究生」の 意味は中国とは違うということの注釈を書いたほうがよい。 ・DVDは、今年度は入試課作成のものをコピーして持って行ったが、留学フェア用に留 学生課が作成した方がもっとよい。ただ、送付の際、関税の関係で日本学生支援機構を 通じてはパンフレット以外は送付できない。大学が独自で送付することになる。 ・1年でどのくらいお金が必要かをきかれた。山口大学に留学経験のある通訳者王さんに よると生活費は1ヶ月6万円あれば十分とのことだった。来年度は1年間に学費と生活 費あわせてどのくらいかかるかを追加して書いたらもっとよい。 −187− 2 飾り付け ・山口県の位置を示した地図に福岡、東京、大阪、京都の位置の表示と所要時間を記入す るとよい。中国や韓国でフェアを開催する場合は、日本の地図だけでなく中国大陸の一 部や朝鮮半島も入った地図の方がわかりやすい。繰り返し使用できるよう留学フェア用 に布で作ってはどうかと入試課長から提案があった。 ・ブースの「山口大学」という表示の上に「国立」と書いた紙をはったらよい。(授業料 が安いことをアピールできる。) ・同じブースになった同志社大学が大学名の横にアピールする点を書いてはっていたの で、山口大学も見習って通訳者に中国語で書いてもらいはった。来年度からは出発前に アソシエイトにパソコンで作ってもらい持参したらよい。 ・山口市のポスターを2枚(桜、紅葉)はっていたが、「山口は景色のきれいなところで すね。」との学生の反応があったのでよかった。ただ、瀋陽の通訳者はキャンパスの写 真もあった方がよいとの意見で、面談者の中にもキャンパスの写真を見たいと言った学 生がいた。 ※名刺を持っていくこと(名刺をくださいと言われることが少なくなかった。) Ⅵ その他 ・中国ですべての試験(日本留学試験、大学の個別試験)が行われれば、日本への留学者 数はもっと増えると思う。 ・人文科学研究科は外国人留学生に日本留学試験の「日本語」を課している。中国で日本 留学試験は行われていないので、中国からの留学生には負担となる。課さないこととす るか又は「日本語能力試験」に替えられないか? →人文・理学部 学務第一係にきいてみたところ、2年くらい前から事務側はなくすよ う提案しているが、まだなくすには至っていないとの回答だった。 ・まだ専攻を決めていない学生も多かった。(→山口大学で専攻できる分野を学部・大学 院別に一覧表を作った方がよい。) ・留学仲介業者が大学と提携したいと申し出るケースがけっこうあったが、入学前の日本 語コースがないことや査証取得手続きを大学が行わないことに不満をもらしていた。 ・親が子どものためにフェアに来ているというケースがけっこうあった。 ・特に中国は査証取得が難しい。「在留資格認定証明書交付申請」は今のところ交換留学 生についてのみ大学が行っているが、正規生や研究生についても大学が行ってほしいと いう要望があり、留学生課で検討すべき課題であると思う。 ・日本語ができる学生もいたが、できない学生も多くいた。瀋陽の通訳者は中国で日本語 を勉強したことはあるが日本への留学経験はない学生だった。一方、北京の通訳者は山 口大学に留学経験のある者だったので、通訳者がわかることはどんどん自分で説明して くれた。また、自分の経験を話すので説得力があり、非常に良かった。 −188− 大学間学術交流協定 2005年度中に締結の協定についての経緯 国立中興大学(台湾) 2005年3月22〜25日、丸本卓哉副学長(現学長)が、中興大学で開催された「2005日台治山 防災・植生緑化広報検討会」に出席した際、中興大学より、本学との学術交流協定締結の可能 性について、打診を受けた。本学の国際戦略は、東アジアをターゲットとしており、台湾の諸 大学と交流を持つことは重要であるという判断から、2006年3月9日、山口大学において、中 興大学との共催で日台共同シンポジウムが開催された際に、学術交流協定締結を行った。 大学間学術交流協定一覧 2006.5.31現在 大 学 名 国 名 締結年月日 山東大学 中華人民共和国 1983.6.2 リジャイナ大学 カナダ 1996.2.7 オクラホマ大学 アメリカ合衆国 1996.2.19 シェフィールド大学 連合王国 1997.11.28 仁荷大学校 大韓民国 1998.6.25 カセサート大学 タイ 1998.7.3 公州大学校 大韓民国 1999.3.15 釜山大学校 大韓民国 2000.4.8 ソンクラ王子大学 タイ 2001.10.29 コンケン大学 タイ 2001.10.30 チェンマイ大学 タイ 2001.10.31 シーナカリンウイロット大学 タイ 2001.11.1 エアランゲン・ニュルンベルク大学 ドイツ 2003.3.17 ニューカッスル大学 オーストラリア 2003.8.8 韓国外国語大学校 大韓民国 2003.12.2 北京師範大学 中華人民共和国 2004.2.9 武漢理工大学 中華人民共和国 2004.5.20 国立慶尚大学校 大韓民国 2004.11.26 貴州大学 中華人民共和国 2005.3.25 中興大学 台湾 2006.3.9 −189− 受託研究員の受け入れ 1.全 学 法人化に伴う学内規則見直しの際、受託研究員受入規則を整備し、海外の機関からの委託に 基づき、研究指導を目的とした現職技術者及び研究者を受託研究員として受け入れることが可 能となった。平成17年度は海外機関からの受託研究員を18名受け入れており、学部別の詳細 は下記のとおりである。主として国際協力銀行の円借款事業のひとつである「中国内陸部人材 育成事業」により派遣される中国高等教育機関の教職員を受け入れている。 受 入 部 局 受入数 派 遣 元 大 学 経済学部 2 南華大学、貴州大学 医学部 2 山西医科大学、青海大学 工学部 9 河南財経学院、重慶工学院、蘭州理工大学 農学部 2 寧夏大学、河南農業大学 東アジア研究科 1 貴州大学 大学教育機構 (国際センター) 2 遵義医学院、貴州民族学院 2.国際センター受託研究員受け入れ 研 究 員 指導教員 楊 清玉 今井 新悟 受託研究員として、中国貴州省遵義医学院外国語学部助手(日本語教育)楊清玉氏を平成17 年度前期6ヶ月間受け入れた。楊氏は毎週レポートを提出し、それをもとに担当教員が教授法 と研究課題について指導を行った。研修の主な内容は以下の通りである。 教授法 日本語中級、日本語上級、日本事情中級、日本事情上級の授業を半年間参観し、日本語教 授法について担当教員と意見交換を行い、教授法の研鑽を行った。 日本社会・事情 新留学生研修会に加わり、日本文化への理解を深めた。 日本語教育事情 平成17年度日本語教育学会春季大会に参加し、現在の日本語教育学会の動向に触れ、最新 の情報を収集した。楊氏は学会での印象を以下のようにまとめているので、引用する。 「一番印象深いのは多文化共生社会における年少者への日本語支援のあり方についての報 告だった。日本語を母語としない年少者に対して、どのように教えたらいいかという問題 −190− をめぐって、今回の学会で何人かいろいろ発表した。年少者の日本での生活と勉強が十分 に重視され、また、日本はすでにこの領域への研究もかなり進んでいると思う。」 年少者日本語教育研究 宇部市宇部上小学校での年少者日本語教育の現場を見学し、担当教員と意見交換した。そ のときの報告の一部を以下に引用する。 「国際教室に行き、別々に二人生徒の授業を見せてもらった。二人とも中国人で、一年以 上に日本で生活していた。先生は3人で、日本の先生が二人、中国の先生が一人だった。 国語の教科書や絵本などを使って授業を進んで行った。分からないところは中国の先生が 説明したり、日中辞書を引いたりして、両方とも頑張っていた。効果はあることはあるが、 学校側にコストがかなりかかっているであろう。日本は教育にさすがに力を注ぎ、特に外 国人年少者への教育に手段を尽くしている。このような教育方法は中国でも習うべきとこ るがたくさんあるのではないか。」 論文執筆 研究テーマとなった年少者日本語教育について以下の論文にその研究成果をまとめて発表 した。「外国人児童の日本語教育」『山口大学国際センター紀要』第1号 研 究 員 指導教員 胡 啓敏 杉原 道子 2005年10月1日から2005年3月31日まで pp.80-82 貴州民族学院助教授の胡啓敏先生を受託研究員として 受け入れた。胡先生の研究活動内容を報告する。 受託研究員氏名 胡 啓敏 受託研究員所属 国際センター 研究期間 2005年10月1日から2006年3月31日まで 目 研究目的及び 研究課題 的 研究を通して、日本語教授法や教材作成方法を身につけ、学生に対す る指導力を高める。自ら日本文化を体験し、より正しい日本語を学生に 教える。 研究課題 1 日本語教授法 2 日本語の漢字教材作成 3 日本語教材研究 4 日本文化体験 5 山口市と金沢市の歴史と伝統文化研究 6 現代語研究 −191− 1 2 研究活動内容 3 4 5 6 研究活動により 得られた成果 その他 特記事項 1 2 3 4 5 * * センターで初級から上級までの授業を見学した。大学院予備校教育・ 日本語中級・日本語上級(杉原)、日本語中級・日本事情上級(門脇)、 日本語中級・日本語上級(渡邊) NHK文化センター主催のボランティア日本語教師養成講座に参加し、 日本語指導の留意点を学んだ。 漢字教科書作成プロジェクトに参加し、教科書の内容を検討した後、 中国語版の翻訳を行う。その成果について「漢字教材作成の試み」と いう論文にまとめることができた。 初級から上級までの教科書の内容を研究した。 日本の伝統文化(華道・書道)を学外専門講師の指導を受けた。 金沢市と山口市の見学。金沢市で兼六園や金沢城や石川県県立歴史館 や泉鏡花記念館などを見学した。山口氏で五重塔や雪夕庭や秋吉洞な どを見学した。 日本人学生や山口の地域住民との交流を通し、現代日本語(実用)の 使い方を研究した。 日本語教授法に自信が持てるようになった。 漢字教科書作成を経験することができ、中国語版の翻訳を担当した。 日本で出版された教科書を調べることにより、貴州民族学院にふさわ しい教科書を選べることができるようになった。 日本の伝統文化を体験し、そのすばらしさを体験することができた。 日本人の学生や日本人との交流を通し、お互いに理解でき、今後の中 日友好交流を深めるのに役に立った。 新留学生研修会に参加し、留学生への指導方法を学んだ。 地域社会の交流会に参加し、日本と日本人への理解を深めた。(長寿 大学、日中友好協会の新年会、お正月の餅つきなど) 論文執筆:漢字教科書作成の研究成果を論文にまとめて発表した「漢字教材作成における気づき」 『山口大学国際センター紀要』第3号pp.22-25 −192− 中国内陸部の人材育成事業における問題解決型研修 プログラム開発に係る提案型調査の概要 早 川 誠 而 山口大学は、国際交流事業の一環として、国際協力銀行(JBIC)の指導と補助のもとで、平 成17年度に中華人民共和国(以下、中国)貴州省社会発展事業の「貴州省における人材育成プ ログラム開発」に係る提案型調査に加わり、中国内陸部の人材育成事業における問題解決型研 修プログラムの提案を行った。ここではその概要を報告する。 中国は、第10次5ヵ年計画(2001〜2005年)で、基本医療・予防保健等の拡充、9年制義務 教育の普及に加え、土地・森林等の保護、国民の環境保護意識の向上等を目標に掲げている。 また、「中国農村扶貧開発綱要(2001〜2010年)」は、貧困地域における住民意識の向上、生活 基礎設備の整備、生態環境の改善等を主な目標としている。貴州省は、中国西南部、長江中・ 上流域に位置し、省土(17.6万 )の9割以上を占める山地及び丘陵では、生態環境の劣化に よる自然災害が深刻化している。特に、武陵山区では、燃料獲得のための過度の伐採(図1) とそれによる深刻な水土流失が問題となっており、こうした状況を改善するため、森林破壊の 防止、代替燃料の開発に加え、同区住民の環境保護意識の改革が必要とされている。また、同 省では、感染症罹患率、乳児死亡率が全国平均を上回るなど、衛生環境も劣悪であるため、衛 生状態の改善(=予防)や医療施設の整備(=治療)に加え、住民の衛生観念強化が課題とな っている。農業の生産構造は極めて劣悪であり、急傾斜の棚田、畑が多くを占め、且つ商品経 済が未熟な当該地域では機械を中心とした近代農法は必要では無く、畜力を利用した慣行型農 法が相応しい(図2)。貴州省社会発展事業は、貴州省の12県において、劣悪な環境・衛生状 態(図3、図4)を改善、人材を育成し、もって同地域の環境と社会の持続可能な発展に寄与 するものである。 このような背景から、本調査は、事業対象地域における現状・課題・教育ニーズ等を把握し、 直接的・間接的に寄与する人材の開発・育成を図るための人材育成(研修)プログラムを提案 することを目標とした。実効性の高い研修プログラムを提案するため、調査対象地域として対 象地域の中で最も貧困県である沿河県と対象地域の中では豊かな県である施乗県を調査対象地 域として選定し、これらの地域における現状と課題を把握し、具体的な教育ニーズを抽出する ことによって、これが貴州省の12県にも使用可能なプログラムとなるような提案を行うことを 目的として調査を行った。 本調査には、山口大学から18名(JBICおよび大学からの経費を含む)が参加し、4つの研修 プログラムを設定し(1.緑化による生態系修復に関する人材育成プログラムの提案、2.環 境衛生に関する人材育成プログラムの提案、3.環境教育に関する人材育成プログラムの提案、 4.農業・農村地域活性化に関する人材育成プログラムの提案)チームを編成した。調査は、 貴州大学、貴州省や地方の行政関係者の協力を得て、基礎的資料の収集や現地における現状と 課題およびニーズの聞き取りなど非常に効率的かつスムースに行われ、研修プログラムを提案 することが出来た。本プログラムは、コミュニティ形成によって地域の農民まで普及させる人 材育成研修を大きな柱としている。徹底的に現場に密着した問題解決型プログラム構築のため −193− に行われ、同時に理論と研究に裏打ちされた高度のプログラム構築をも目的とした。すなわち、 単に現場での助言指導にとどまらない性質の、また、現地の技術者・研究者に現場から遠く離 れた日本での留学研修で空理空論を研究させる性質のものではない研修プログラムである。具 体的には図5に示すように、①プログラムの中心となる山口大学、②現地貴州省での中心的役 割を果たす貴州大学(北京師範大学を含む)および貴州省のその他の大学、貴州省行政および 対象県行政、③対象とする貧困地区コミュニティの3部門から構成され、かつ、3段階のサイ クルを持つ中期的な視点で計画立案されている(プログラムの詳細は報告書を見て欲しい)。 今回の調査が、非常に活発に行われ、有意義なものとなったのは、山口大学、JBIC、鳥取大 学、貴州大学、北京師範大学、貴州省行政、地方行政機関の皆様方のご支援、ご協力の賜物で ある。関係各位のご厚情に対し、心より感謝申し上げる。 (筆者の紹介) 氏 名 早 職 名 山口大学農学部・教授 図1 川 誠 而 森林伐採により荒廃した斜面と傾斜地の開墾状況 燃料確保のため森林が 少なくなっている 傾斜地を耕地として 開墾している 図2 農家の運搬手段 −194− 図3 ゴミ埋め立ての現状 沿河県のごみ埋立地 将来水源汚染の可能性がある(2005.12.26) プラスチックが 目立つ 図4 飲料水の共用供水状況 施乗県梨山坪村苗族集落見学 (2005.12.28) 共用供水の水場 バケツで汲みに来るが、遠いため十分な水を使えないという。 図5 研修プログラムのフローチャート −195− 2005年度国際センター関連行事 4月8日 4月11日 4月23日 4月28日 留学生日本語能力テスト(宇部地区) 大学院予備教育開講式 留学生日本語能力テスト(山口地区) 新留学生研修会(〜24日、萩) 海外短期語学研修説明会(山口地区・宇部地区) 5月13日 5月17日 5月23日 5月30日 私費外国人留学生等学習奨励費説明会(京都) 山東大学訪日団の訪問 国際交流委員会 武漢理工大学訪日団の訪問(〜31日) 6月3日 6月7日 6月16日 6月29日 外国人留学生に係る入国・在留手続き研修会(広島) 国立大学法人留学生センタ−留学生指導担当研究協議会(東京大学) 中国・四国・九州地区留学生交流研究協議会(〜17日、沖縄) 国際交流委員会 7月3日 7月4日 7月6日 7月17日 7月21日 7月22日 7月27日 平成17年度外国人学生のための進学説明会(横浜) 平成17年度全国国立大学留学生センター長及び留学生課長等合同会議(豊中市) 山口大学日中学術交流奨励会理事会、総会(ホテル・ニュ−タナカ) 平成17年度外国人学生のための進学説明会(大阪市) 山東大学訪日団の訪問(〜22日) 平成17年度日韓共同理工系学部留学生事業協議会(東広島市) 国際交流委員会 8月7日 8月8日 8月9日 リジャイナ大学夏期英語研修(〜9/5) 仁荷大学校夏期韓国語研修(〜8/20) 山東大学夏期中国語研修(〜8/31) 9月2日 9月7日 9月21日 9月22日 9月28日 外国人留学生企業見学会(中国経済産業局、中国経済連合会との共催) 国際交流委員会 公州大学校短期学生交流プログラム(〜27日、韓国) 地方入国管理局との情報交換会(山口大学) 大学院予備教育修了式 10月5日 10月12日 国際交流委員会 後期大学院予備教育開講式 日本留学フェア(中国・瀋陽) 日本留学フェア(〜16日、中国・北京) 新留学生研修会(〜30日、徳地) 10月15日 10月29日 11月1日 11月2日 平成17年度国費(学部進学)留学生への大学進学説明会(〜2日、大阪外国語大学) 山口地域留学生交流推進会議運営委員会 国際交流委員会 −196− 11月10日 山口大学・韓国公州大学校・中国山東大学3大学短期学生交流(〜17日、山口大学) 12月2日 山口地域留学生交流推進会議総会(山口大学) 外国人留学生懇談会 国際交流委員会 山口地域留学生交流推進会議外国人留学生交流バスツアー(広島) 国際センター会議 第1回外国人留学生見学旅行(〜18日、京都) 留学生住宅総合補償説明会(広島) 12月7日 12月11日 12月15日 12月17日 12月20日 2月1日 2月11日 2月18日 2月20日 2月21日 2月24日 3月1日 3月9日 3月22日 国際交流委員会 オーストラリアニューカッスル大学春期英語研修(〜3/12) 第2回外国人留学生見学旅行(〜19日、京都) 山口地域留学生交流推進会議外国人留学生交流バスツアー(太宰府) 貴州プロジェクト実務者協議 第1回日中人材育成国際シンポジウム 「中国西部開発の課題と人材育成−貴州省を中心として−」 カナダリジャイナ大学春期英語研修(〜3/25) 国際交流委員会 国立中興大学と大学間学術交流協定及び附属書締結 後期予備教育修了式 −197− −198− 計 合 費 私 費 県 政 府 派 遣 費 国 分 院生(博士) 院生(修士) 小計 学部学生 特別聴講学生 研究生 予備教育生 計 院生(博士) 院生(修士) 小計 学部学生 特別聴講学生 研究生 計 院生(博士) 院生(修士) 小計 学部学生 特別聴講学生 研究生 計 院生(博士) 院生(修士) 小計 学部学生 特別聴講学生 研究生 科目等履修生 特別研究学生 計 院生(博士) 院生(修士) 小計 学部学生 特別聴講学生 研究生 科目等履修生 特別研究学生 予備教育生 計 区 人 10 0 3 3 3 3 1 0 0 0 10 3 3 3 3 1 0 0 0 0 0 0 男 文 教 育 経 済 理 医 工 農 東アジア 山口連獣 鳥取連農 国際センター 計(配置大学) 山連他大学 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 0 0 0 2 3 3 1 4 9 2 11 0 2 1 3 2 4 6 7 3 10 0 25 12 37 5 3 8 1 0 0 4 4 0 1 2 3 3 4 1 5 0 0 0 0 8 6 14 0 1 0 0 0 0 0 0 4 4 2 1 3 4 2 6 12 2 14 4 1 5 2 1 3 2 4 6 7 3 10 0 0 0 33 18 51 5 3 8 0 0 0 2 0 4 4 0 0 0 0 0 6 0 6 0 2 0 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 0 0 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 2 0 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 4 2 2 4 0 2 0 0 2 0 2 1 4 5 4 1 5 4 2 6 16 2 18 5 1 6 2 1 3 2 4 6 7 3 10 2 2 4 45 20 65 5 3 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 3 0 0 0 0 0 11 9 20 0 0 0 0 0 11 9 20 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 11 9 20 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 11 9 20 3 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 1 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 1 2 5 9 14 19 5 24 0 8 13 21 0 4 5 0 37 29 66 1 1 1 2 5 2 3 5 18 20 38 0 2 2 9 4 13 0 0 0 0 0 32 31 63 0 2 5 2 3 5 18 20 38 1 1 2 5 11 16 28 9 37 0 0 0 8 13 21 0 0 0 4 1 5 0 0 0 69 60 129 0 1 1 2 5 0 4 1 5 2 2 4 1 9 7 16 0 0 0 0 0 18 13 31 0 1 3 6 1 1 6 9 15 1 0 1 0 0 0 0 0 10 14 24 0 1 1 1 2 5 5 6 5 11 1 1 1 1 0 0 0 0 0 7 14 21 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 18 2 9 11 34 35 69 3 5 8 5 13 18 38 17 55 0 0 0 8 13 21 0 0 0 4 1 5 0 0 0 104 101 205 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 3 2 5 8 10 18 29 7 36 0 0 0 10 14 24 2 4 6 11 4 15 0 0 0 63 41 104 8 4 12 2 5 2 3 5 18 24 42 0 0 0 1 3 4 11 4 15 4 1 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 39 37 76 0 0 0 2 5 2 3 5 18 24 42 3 2 5 9 13 22 40 11 51 4 1 5 10 14 24 2 4 6 11 4 15 0 0 0 102 78 180 8 4 12 2 5 0 0 0 4 1 5 4 2 6 0 1 1 24 16 40 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 35 22 57 0 0 0 3 6 2 1 3 6 9 15 0 1 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 12 14 26 0 0 0 1 2 0 5 5 8 5 13 0 1 1 0 1 1 0 1 1 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 14 24 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 4 2 2 4 0 0 0 8 18 4 9 13 36 39 75 7 6 13 9 15 24 65 28 93 5 1 6 10 14 24 2 4 6 11 4 15 2 2 4 161 130 291 8 4 12 外国人留学生在籍者数(平成17年5月1日現在) 計(基幹大学) 男 女 計 23 12 35 8 6 14 31 18 49 6 0 6 2 0 2 2 0 2 2 2 4 43 20 63 3 0 3 0 0 0 3 0 3 11 9 20 0 0 0 0 0 0 14 9 23 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 0 1 33 29 62 32 31 63 65 60 125 18 13 31 10 14 24 7 14 21 0 0 0 0 0 0 100 101 201 60 41 101 39 37 76 99 78 177 35 22 57 12 14 26 10 14 24 0 0 0 0 0 0 2 2 4 158 130 288 −199− パ ー ル ド 1 0 6 20 31 0 1 1 ツ ラ 計 計 小 合 オ ス オーストラリア 41 1 165 124 57 8 1 54 46 2 10 0 5 15 0 20 0 0 65 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1 0 1 1 イ ジ ウ ク ラ イ ナ ド ブ ル 1 ラ 1 2 1 0 1 カ ベ ネ ズ エ ラ シ 1 リ 1 キ メ コ メ ア タ ン ザ ニ ア 1 1 ン 1 ボ ガ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 20 0 0 0 0 0 1 1 1 2 1 1 1 ア ト 1 1 1 1 1 1 1 ビ プ コ ン 1 3 1 6 9 2 0 5 2 0 カ メ ル ー ン リ ジ ル ト エ ラ イ ス リ ラ ン カ ネ ン 2 7 12 11 イ タ 1 2 2 国費 8 3 3 私費 バングラデシュ 国費 1 1 1 24 16 私費 政府 派遣 291 206 0 2 0 1 3 0 0 1 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1 7 0 0 2 0 2 1 8 152 24 私費 計(配置大学) 1 ム 20 1 30 国費 政府 派遣 鳥取連大 28ヶ国(配置大学26ヶ国) 6 ナ 6 私費 政府 派遣 非正規生 イ ト 国費 政府 派遣 学部学生 平成17年5月1日現在 ミ ャ ン マ ー ベ 1 2 マ レ ー シ ア 1 4 8 9 2 湾 台 7 96 1 私費 インドネシア 国 国費 政府 派遣 フ ィ リ ピ ン 国 中 分 韓 区 大学院生 出身国・地域別在籍者数(全体) 291 291 0 4 1 1 4 1 1 1 1 1 1 0 1 2 2 2 1 2 18 1 9 4 20 7 3 8 164 31 配置 大学 合計 国費 8 1 1 1 2 1 2 政府 派遣 3 3 1 1 12 私費 山連(他大学) 7 63 1 2 1 0 1 1 1 0 1 1 1 1 1 1 1 2 1 0 9 1 8 3 0 5 2 0 11 国費 0 0 0 0 0 23 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 20 政府 派遣 288 202 0 2 0 1 3 0 0 1 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1 6 0 0 0 0 2 1 8 151 24 私費 計(基幹大学) 288 288 1 4 1 1 4 1 1 1 1 1 1 1 4 2 2 2 1 1 15 1 8 3 20 7 3 8 162 31 基幹 大学 合計 国際センター活動記録 大学院入学前予備教育 開講式(4月) 開講式(10月) 修了茶話会 新留学生オリエンテーション・生活パック贈呈式 (山口留学生交流会) 日本語プレースメントテスト J-CAT 留学生見学旅行・晩秋の京都清水寺 −200− 国際センター活動記録 新留学生研修会(4月・10月) ワークを楽しむ留学生と国際交流ボランティア (留学生カウンセラー指導) ゴミ分別 交通指導 インターナショナル・ナイト 宇部高との高大連携 講義と観察実験の様子 −201− 国際センター活動記録 日本文化体験プログラム 書道(吉田地区) 華道(吉田地区) 茶道(宇部地区) 茶道 留学生バス旅行 広島平和公園 国立九州博物館 −202− 国際センター活動記録 山口地域留学生交流推進会議・留学生懇談会 留学生討論会 加藤学長との懇談 地域における留学生交流 アメリカ人高校生工学部訪問・研究室見学 文化交流会 工学部内学生交流会 芋ほり体験 −203− 国際センター活動記録 3大学学生交流プログラム 討論会 文化研修バス旅行(錦帯橋) 日本文化体験・華道 日本文化体験・茶道 工学部キャンパス訪問・研究室見学 工学部学生交流 −204− 国際センター活動記録 海外短期語学研修 リジャイナ大学英語研修プログラム(カナダ) リジャイナ寸描 −205− 国際センター活動記録 海外短期語学研修 ニューカッスル大学英語研修プログラム(オーストラリア) 参加学生(2月) 英語授業 ホームステイ ホームステイ ニューカッスル大学 ニューカッスル市内 ニューカッスルビーチ バラックバット動物園 −206− 国際センター活動記録 海外短期語学研修 山東大学中国語研修プログラム(中国) 山東大学中国語研修プログラム 大学見学 授業風景 授業風景 −207− 「山口大学国際センター紀要」投稿規程 1.資格:投稿者は本学国際センター教官・職員および国際センター長が適格であると認めた 者とする。 2.内容:研究論文、報告、研究ノート。未発表のもの。*研究ノート:研究論文の体裁が整 っていないが、今後研究論文に発展する可能性のあるもの。 3.書式・分量:Microsoft Wordで、A4版に横書き40字×39行とする。余白は、上下左右と もに、25mmとする。執筆言語は日本語または英語とする。フォントは、和文はMS明朝 10.5ポイント、数字は、1文字の場合は全角、2文字以上は半角とする。英文はTimes New Roman10〜11ポイントとする。タイトル、執筆者名、本文の順に書く。分量は特に指 定しない。 4.参考文献記述の例: 金水敏(1986)「連体修飾成分の機能」『松村明教授古希記念国語研究論集』明治書院 pp.602-624 Brown, Roger(1958) How Shall a Thing Be Called? Psychological Review. Vol.65, No.1, 14-21. 5.あて先:山口大学国際センター紀要編集委員会宛。 6.採用された論文等の著作権:山口大学国際センターに帰属する。掲載論文等を他の出版物 に転載したい場合などは、山口大学国際センターの許可を得ること。(原則として、申し 出があれば許可する。) 7.その他:原稿執筆の際には、タイトル行のフォントの大きさ、項目番号のつけ方等は日本 語教育学会『日本語教育』の体裁を参照すること。 以 −208− 上
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