スマイル - 地域に広がれ!医療的ケア

「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
2009年11月30日
☺スマイル☺
「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信
編集・発行
〒579-8037
TEL
「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会事務局
大阪府東大阪市新町22-22
072-981-9274
FAX
072-981-9275
生活介護事業所「はーふたいむ」内
Mail:info@chiiki-ikea.org
2009.10.25
重い障害をもつみんなの未来を考えるつどい
目
にて
次
1P
今月のワンショット ~10.25つどい「私たちの願い(親の群読)」
2P
「もう待てない!福祉・医療の連携の第一歩~看護師配置への助成を!」
3~5P 2009.10.25「重い障害をもつみんなの未来を考えるつどい」報告
6P
No Fun No Life(楽しくなくっちゃ人生じゃない)
7P
ねぇ、ねぇ、知ってる?障害福祉事業所「フリー・あ・ステージ」
8P
インフォメーション~写真展、実技講座、運営委員会の案内
1
「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
2009年11月30日
「もう、待てない!福祉・医療の連携の第一歩
~看護師配置への助成を!」
<10月25日、つどい大成功!>
私たちは、今年6月に連絡会を結成し、医療的ケアの必要な障害児者を含む重度の障害児者が、地域
の中で豊かな生活を送っていくために必要な施策とは何なのかを考えてきました。その結果発表の場
が、25日に開催した「つどい」の場でした(4、5ページに報告)。整理したポイントは、福祉事
業所への看護師配置(行政からの補助)と、医ケアを含む重症心身障害児者の介護者研修の必要性で
す。後者は、細々ながらも民間の力で継続して取り組んでいけますが、前者はどうしても行政サイド
の決断が必要です。そこで全国の状況を調べたところ、看護師配置への直接補助と訪問看護の活用へ
という二系統がありつつも、堺市以外にも、群馬県(沼田市)、東京都(都、町田市、調布市)、滋
賀県、静岡県、北海道などで独自の施策が行われていることを見つけました。重症心身障害児者対象
のニーズ調査の結果を待つまでもなく、重い障害の人の地域でのアクティビティを保障するために
は、どうしても福祉と医療の連携、その第一歩としてのあらゆる障害福祉事業所への看護師常勤配置
が必要なのです。
<まったなし>
80年代後半からの周産期医療の前進の中で生を確保し成長してきた医ケア児が高等部卒業を迎える
時期にきているということは何度も強調してきましたが、現実は、それ以上に深刻です。地域の障害
者事業所が活動を始めて、古いところで30年を迎えます。このことは、設立当初20代であった通
所利用者が50代になるということで、加齢による身体機能の衰えから、医ケアの必要性が目前に
迫っています。また、医ケアがあるために在宅にならざるをえなかった重度の障害者が、親の高齢化
の中で、地域でのケアが必要になってくるというケースが出始めています。様々な歴史的な経過の中
で、大阪は入所施設の少ないところです。「もう待ったなし」の状況なのです。地域の通所事業所、
ショートステイ、ケアホーム、居宅事業所・・・あらゆる障害福祉サービスの中で、医療的ケアの必
要な障害児者を受け入れるシステムが必要になっています。
<医療機関の協力が不可欠>
障害福祉事業所が単独で常勤看護師を配置するのは財政的に大きな負担になります。ここには、どう
しても行政の補助が必要です。同時に、来てくれる看護師を探すためにも、医療の側からの協力がど
うしても必要です。バックアップする医療機関がなければ、福祉職場の看護師は孤立化を余儀なくさ
れ、長続きしません。この両面での対策が講じられなければ、今の危機は乗り越えられないと思いま
す。行政だけでなく、多くの関係者の皆さんの御理解と御協力が必要なのです。
私たちは、広く市民に医療的ケアを支える社会的仕組みを作ってい
く必要性を訴えるために、1月13、14日、東大阪市役所本庁一階
で「写真パネル展」を開催します。
題して「笑顔かがやく ぼくらの未来」
写真の前でみなさんとお会いできることを楽しみにして
います。
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「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
2009年11月30日
10月25日、東大阪市役所本庁会議室を借りて、「重い障害
をもつみんなの未来を考えるつどい」を開催しました。
内容として準備したのは、医療的ケアが市民権を得ていくために必要と感じた二つの先進例~
堺市の福祉事業所に対する看護師配置加算、京都市の非医療職を対象とした医ケア研修~を紹介
するものでした(内容詳細は別刷り資料)。
初めて、医療的ケアへの一般的関心という枠を越えて、それを広めていくための政策要求に踏
み込んだ集会であり、また、初めて支援学校以外の場所での開催ということで、現場での混乱も
様々ありましたが、なんとか三桁の参加を得て成功したのではないかと考えています。
参加された方の感想を見ると、堺市や京都市の先進例への感想と共に、冒頭に障害当事者の親
達で作った「私たちの想い(群読)」がよかったとか、堺市で看護師配置の下で医ケアに取り組
んでおられる事業所の献身的な頑張りの報告への感動も多く寄せられました。
今回のつどいは、自分達の願いを表現するために、一つ一つ
の内容を事務局として取材し、報告をお願いし、自分達の手で
編んで作ってきました。そういう意味でも新たな経験でした。
不十分な点も多くありましたが、参加された皆さん、どうかお
許し下さい。
でも、これで自治体にお願いしていく項目はしっかりとメ
ニュー提示できたと思いますので、あとはこれをどう実現して
いくかです。みなさんと共に、働きかけを頑張っていきたいと
思います。今後とも、よろしくお願いします。
初めまして、私は東大阪在住の澤本と申します。
この会にいつも参加させていただきながら、勉強させていた
だいています。
今回の「堺市障害福祉課」の方の話や、「かたくら」の方の話を聞いて、ますます自分の子供の将来に
ついて、考える事が多くなりました。
今年5歳になる息子は、1歳から人工呼吸器を使用しています。在宅3年目になります。週5日は、看護
師さんやヘルパーさんを利用しています。
学校で「医療的ケア」に対応する為の看護師配置ができるようになり、子供達の教育を受ける権利も保
障されたように思います。でも、まだまだ 地域や学校によって考え方が様々なのだなと気がつきまし
た。
特に人工呼吸器使用の場合、気管内吸引や人工呼吸器の着脱、アンビューバック操作などがある為、
「前例がない」「危険だ」「もし何かあったら」等、ちゅうちょされがちです。
私達の子供にとっては、日常生活に必要なことばかりですし、家族にとっては「医療行為」ではなく
「生活支援行為」として考えています。
もちろん「医療的ケア」は主治医や看護師・家族の下、その個人の介護に必要な知識とノウハウを習得
してこそ成り立つ事ですが、ちゅうちょ敬遠されている現実に悲しく悔しい思いをしています。
今回のつどいのお話は、難しくて解りにくい所もありましたが、「かたくら」「ナイスネット」さんの
様な、受け入れをしてもらえる重心施設が増えると、親も子も安心して暮らせるのにと思いました。
毎日、家のベッドで天井だけを見て過ごすのではなく、可能な限り普通の生活をさせてやりたい、子供
同士騒ぐ輪の中に入れてあげたい。同じように走り回れなくても同じ空気を肌で感じてほしいし、色んな
場所にも連れて行ってあげたいと思っています。
またヘルパー等、非医療職従事者も「医療的ケア」は「生活支援行為」として行えるようになればいい
と思いました。
澤本 佳代
10.25つどいに参加して
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「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
2009年11月30日
10・25 重い障害をもつみんなの未来を考えるつどい
。
この日、100名をこえるさまざまな立場の方が来て下さいました。
堺市障害福祉課施設係 冨田 一夫さんの講演より
児から者に上がりそして高
齢に…。重度の方でも医療
的ケアが必要な方でも、そ
の人に応じた支援を構築す
るということ。
障害者が住みなれた地域で主体的に
共同共生のもと、生き生きと輝いて
いて暮らせる社会の実現を。重症心
身障害者の方も可能な限り地域で生
活が送れるように・・・。
家族の方の「日中過ごせる場所に通
わせたい」という思いと、支援者の
「何とか受け止めてあげたい」とい
う思いと、それと我々の「何とかで
きないのか」という思いとが一つに
なったんですね。
「健康福祉プラザ」…私達も
ちょっと楽しみにしています。
今までできなかった事がこの
拠点施設で出来ます。
障害福祉事業所 ナイスネット施設長 宮崎 健史さんの講演より
家庭の延長で来れるようなアット
ホームな所を目指して「施設らしく
ない施設」というのを目標に、毎日
頑張らせて頂いています。
僕たちは、毎日毎日、利用者様
の表情を見て元気を頂いて、そ
してまた仕事に励む事ができる
と思っています。
もちろん声はでませんけれど
も、はっきりと「ありがとう」
と言う口の読み取りができまし
た。
ネットワークの重大性が今後必要に
なって来て、医療的ケアに携わる志
を持った現場スタッフが一人でも増
える事を望みます。
新規の方が来られたら、一人ひと
りドクターとご家族の方に指導を
いただきまして、そして密に連絡
が取り合えるような体制づくりを
していました。
※講演についてのくわ
しい内容は、ぜひ別刷
り資料を御覧下さい。
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「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
2009年11月30日
NPO法人医療的ケアネット理事 篠原 文浩さんの講演より
当事者への自己実現へのサ
ポートとか以外に介護職が
なんかする事あるんかなあ
と、こ れ 抜 き に 何 に も 考 え
られへんなあと思ってるん
です。
医療的ケアを必要とする人の自
己実現をサポートするのは親で
すか? 医者ですか? 看護師
さんですか? 介護職ですか?
本当はみんなが力を合わせてし
ていくものですね。
本人が中心にい
て家族が周りに
いるっていうイ
メージでいて欲
しいです。
誰もが自分の思い描
く生活に近づくため
に、支 援 を し て い き
たいと思っておりま
す。
障害福祉事業所かたくら 施設員 薮さん・
看護師 倉谷さんのビデオクリップより
薮さん
かたくらは、みんな同じ当
たり前の人としてのその人
らしさを凄く大事にずっと
してきたと思います。
どんな人でも受け入れる、と
いう理念があるので特に大変
だと思った事はありません。
その人らしく生きて行くためにど
うしたらいいかなあとか、そうい
う風な役割で職員は仕事をさせて
もらっていると思っています。
なによりも利用者さんと
一緒に毎日を過ごすこと
で、頑張りであるとか笑
顔・表情を見ていたら、
やりがいがあります。
職員さんの頑張って
いる姿も見えます
し、看護師としても
毎日が楽しいし元気
づけられます。
だからみんなも頑
張って欲しいと思い
ます。
倉谷さん
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「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
2009年11月30日
(楽しくなくっちゃ人生じゃない!)
中学部3年の足立智美です。ピンク大好きな
女の子です。トレードマークはポニーテール
だったんですが、今年2月にてんかん発作の
手術を受けるために坊主頭に・・・今はぼさぼさヘヤーです!でも、お出かけの時や
通学時にはかわいい大好きなピンクの帽子をかぶっています。小さい頃から水分摂取が
苦手なのと、急に食べなくなったりすることがあったので小学4年生から「鼻チューブ」
を始めました。
鼻チューブは、今は食欲がない時の栄養補給はもちろんですが、おもに水分補給と
薬が中心になっています。これから先、智美にもっとたくさんの医療的ケアが必要
になるかもしれません。ケアが必要な子供たちやその家族に、安心かつ安全な生活
が送れるような環境になってほしいと願ってます。
俺の名前は森 幸輝。高2の元気なイケメン男子
なのさ。
小学校6年まで、ラグビーチームで№8をやって
いたんだ。今でも俺の右手のパワーは誰にも負け
ないぞ。おいしいスイーツと音楽、それに学校の
先生やヘルパーさんに囲まれて、毎日楽しく過ご
しているんだ。これからもヨロシクな。
<幸輝の母>
幸輝は私の自慢の息子です。小学校6年の時に突然、
亜急性硬化性全脳炎という進行性の恐ろしい病気にかか
り、今までに習得してきた、知、身、心の自由を全て失ってしまいました。
余命を宣告され絶望の中、ベッドサイド学習をずっと続けてくださった院内学級の先生の言葉
かけに、ある日突然、笑い声をあげました。主治医も家族も驚きました。
退院し、この学校にほとんど休む事なく通学し、毎日刺激を受け、知、身、心の自由を取り戻
しつつあります。どんな薬よりも効果があったのは、集団の中で生き、心を動かされる人との
関わりではなかったのかと思います。
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「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
『ねぇ、ねぇ、知ってる?』
2009年11月30日
東大阪市にある要医療的ケア
障害者を受け入れている事業
所を紹介します。
先日、東大阪市小阪にある「自立支援事業部」と「音楽療法事業部」の2事業を展開し
ておられる特定非営利活動法人フリー・あ・ステージさんのお話をうかがってきま
した。
自立支援事業部では居宅介護・重度訪問介護・移動支援事業をされています。利
用者さんの中には、医療的ケアを伴う方もおられるそうです。
事務局長の杉原さんのお話では、医療的ケアを伴う利用者さんをお受けするにあ
たり、4つの原則を守って、取り組まれているということです。
1つ目は、「介助は2名体制(保護者1名と介護職1名、または介護職が2名)」
で入られていること。2つ目は、保護者の方・訪問看護師さんとの連携を始め、
「関連職種との連携努力」をされていること。3つ目は、職員は毎年3回以上の研
修を受けていますが、その中で「看護師さんを講師として招いた医療的ケア研修
(対象者の心と体への理解と、その援助技術について)」を継続されていること。
しかし、スタッフは医療専門職では無い為 対象者理解研修の度に必死に学び、平
素の介助に生かすことを必要としているのが現状だそうです。4つ目は、「ケース
会議の重視」です。ご本人またはご家族の方には、4つの原則への理解とご協力を
頂き、そのうえで初めてチームとしての仕事を開始されています。
介護職が、利用者さんと時間をともにするということで、医療的ケアを伴う方
も、そうでない方も利用者さん自身の世界が広がる事を心から願っておられます。
しかし医療の専門職でない介護職が医療的ケアを伴う利用者さんの介護を行うにあ
たり、利用者さんがより安全に、安心して介護を受けていただくためにルールを
持ってお受けしベストを尽くされています。医療的ケアを伴う利用者さんから依頼
があったので、まずは行ってみよう・・・では対応が困難で危険なケースも伴うと
考えておられます。現在、所内介護職員で医療的ケアを伴う利用者さんに対応可能
な者は、相談員を含む4名と少数です。
「東大阪で開業して3年目の小さな事
業 所 で す。法 人 と し て も 小 規 模 で す
が、2つの事業部は元気いっぱいの職員
と元気いっぱいの会員が集まっていま
す。御縁がございましたら、ぜひご利
用ください。」と熱い気持ちを語って
くださいました。
みなさん本当にいい笑顔で、ついまた
訪ねたくなる心温かい事業所でした。
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「地域に広がれ!医療的ケア」連絡会通信~第3号~
発行日
いんふぉめーしょん
2009年11月30日
http://www.chiiki-ikea.org/
ホームページを開いてもらうと、この『通信』が
カラーで見れます。♪検索は・・↓
「地域に広がれ!医療的ケア」
医療的ケア写真展「笑顔かがやく ぼくらの未来
~写真とパネルを見て、いっしょに考えて~」
医療的ケアが必要な重い障害をもった人たちが、私たちの街で暮らしています。みんな、きら
きらと愛らしい笑顔で未来をみつめています。この笑顔を大切にするため、誰もが安心して豊
に暮らせる街にしていくため・・・みんなの理解と温かい応援が必要です。いっしょに考えて
ほしいのです。ぜひ、私たちに会いに来てください。
<日時> 2010年1月13日(水)・14日(木)
<場所> 東大阪市役所本庁一階 多目的ホール
大阪府重症心身障害児・者を支える会
医療的ケア実技研修講座開催のご案内
独立行政法人 福祉医療機構「長寿・子育て・障害者基金」助成
本講座では、医療的ケアを取り巻く諸課題の認識と、 医
療的ケアを必要とする人のケアの実際を正しく理解する
ことを目的とします。
講師には、長年地域医療を担って、病院診療と、重症心身
障害児者の自宅や学校に往診することを通して在宅生活
を支えてこられた医師を迎え、重症心身障害児者の理解
を深めます。
ご希望の回にお申し込みください。(複数回申し込み可)
定 員 各回30人/資料代 各回1000円
<内容>
9時~17時
「地域に広がれ!医療的ケア」
連絡会第二回運営委員会
12月22日(火)10~12時
於:東大阪支援学校会議室
内容:
・10月25日つどいの反省
・1月写真展、3月医療的ケア実践セミ
ナーに向けた取り組み
・大阪母子医療センター在宅支援室の
看護師さんのお話 峯 一二三さん
会員であれば、どなたでも参加できます。
多くの参加をお待ちしています。
~編集後記~
講義 13:00~15:00
「重症心身障害児者の地域医療を担って
・・・医療的ケアの諸課題の理解」
「 重症心身障害児者の医療的ケアに関する基礎知識 」
演習 15:00~17:00
「 実技研修(医療的ケアモデル人形による) 」
第3 回 H22年 1月16日(土)
会場:東大阪市民会館 第4会議室
第4 回 H22年 2月 6日(土)会場:エル大阪 文化プラザ
第5 回 H22年 3月 6日(土)会場:エル大阪 文化プラザ
申し込み・問い合せ先
大阪府重症心身障害児・者を支える会 事務局
大阪市阿倍野区阪南町5丁目15-28育徳コミュニティーセンター2F
TEL. 06-6624-2555 FAX. 06-6624-2556
メールアドレス osaka@sasaeru.or.jp
8
10月のつどい後、事務局に入っている
事業所で「加齢による医療的ケア」が現
実になろうとしていることがわかりまし
た。初めは、支援学校卒業後の医ケアの
子の進路先を求めて始まった取り組みで
すが、「もう、待ったなし!」の状況を
迎えつつあると、認識を新たにしまし
た。そこで、急きょ、写真パネル展にも
取り組みます。
皆さんに支えられながら、気持ちを引き
締めて、また一歩歩みを進めたいと思い
ます。