平 成 24 年 度 水 産 物 フ ード シ ス テ ム 品 質 管 理 体 制 構 築 推 進 事 業 海外の品質・衛生管理手法の高度化先進地調査 アメリカ合衆国における 水産物の品質・衛生管理 平 成 25 年 3 月 社団法人 海洋水産システム協会 はじめに 平 成 24 年 度 水 産 庁 事 業 水 産 物 フ ー ド シ ス テ ム 品 質 管 理 体 制 構 築 推 進 事 業 に お け る海外の品質・衛生管理手法の高度化先進地調査は、EUへの水産物輸出国である タイ、インドなどの中進国を中心に行われてきたが、この度アメリカ合衆国におけ る水産物の品質衛生管理システム及び流通現場の状況を調査する機会を得た。 米 国 は 、 水 産 業 も 含 め た 経 済 先 進 国 で あ り 、 EU へ の 水 産 物 輸 出 国 で あ る と 同 時 に 日 本 へ の 輸 出 国 で も あ る 。 EU 輸 出 を 含 め た 米 国 に お け る 水 産 物 の 品 質 衛 生 管 理 シ ス テ ム 及 び 流 通 現 場 の 実 態 等 の 情 報 は 、 我 が 国 の 水 産 業 の 品 質 衛 生 高 度 化 と EU 等諸外国への輸出の取り組みに大いに参考になるものと思料される。 調査に当たって、助言、協力を頂いた水産庁及び在米国大使館並びに米国内の関 係各位に対し、深く感謝申し上げたい。本報告が水産物の品質管理や輸出に携わる 関係各位の参考になれば幸いである。 平 成 25 年 3 月 社団法人 海洋水産システム協会 目 Ⅰ 次 調 査 の 概 要 .......................................................................................................1 1 . 調 査 の 目 的 と 必 要 性 ............................................................................. 1 2 . 調 査 方 法 .............................................................................................. 2 3 . 調 査 事 項 .............................................................................................. 3 Ⅱ 米 国 の 水 産 物 の 品 質 衛 生 管 理 の 仕 組 み ( FDA と NOAA) ............... 11 1 . FDA .................................................................................................. 11 2 . USDC NOAA NMFS ...................................................................... 12 3 . USDC NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( SIP) と FDA HACCP の 関 係 ........................................................................... 12 4 . EU 輸 出 の た め の 衛 生 証 明 .................................................................... 13 5 . 公 式 マ ー ク ......................................................................................... 15 Ⅲ 米国の水産物品質衛生管理支援プログラム USDC NOAA SIP ...................................................................................... 17 1 . 組 織 “ Seafood Inspection Program( SIP)” の ビ ジ ョ ン と ミ ッ シ ョ ン .......................................................................... 17 2 . NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( Seafood Inspection Program( SIP)) ........................................... 19 3 . NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( SIP) が 提 供 す る サ ー ビ ス .............. 20 4 . 水 産 物 の 検 査 員 ................................................................................... 22 5 . E U へ の 輸 出 証 明 ................................................................................ 23 Ⅳ 米 国 に お け る 食 品 の 安 全 性 管 理 制 度 ....................................................... 25 1 . 米 国 に お け る 食 品 の 安 全 性 管 理 シ ス テ ム の 動 向 ..................................... 25 2 . 食 品 の 安 全 性 を 管 理 す る 監 督 機 関 ......................................................... 26 3 . 食 品 安 全 行 政 の 今 後 の 動 向 ................................................................... 31 4 . FDA の 権 限 下 に 移 行 し た リ コ ー ル の 仕 組 み ........................................... 32 Ⅴ 米 国 へ の 水 産 物 の 輸 入 の 仕 組 み ............................................................... 35 1 . 米 国 に お け る 水 産 物 の 安 全 性 確 保 の 経 緯 と 関 連 規 則 ............................... 35 2 . バ イ オ テ ロ 法 に よ る 食 品 輸 入 規 制 ......................................................... 38 3 . 物 流 セ キ ュ リ テ ィ 規 制 に 関 す る 動 向 ...................................................... 40 4 . 食 品 安 全 近 代 化 法 ( FSMA) の 動 向 ...................................................... 42 Ⅵ 日 本 貿 易 振 興 機 構 ( JETRO) ジ ェ ト ロ ・ ニ ュ ー ヨ ー ク 事 務 所 ........ 43 1 . 米 国 の 市 場 に つ い て ............................................................................ 43 2 . 米 国 に お け る 日 本 の 水 産 物 流 通 ............................................................ 43 3 . 米 国 水 産 物 の 食 品 貿 易 の 状 況 ( 対 EU 輸 出 入 含 む ) ............................... 45 Ⅶ 米 国 産 の 水 産 物 に お け る 生 産 ・ 加 工 ・ 流 通 現 場 の 調 査 ...................... 47 1.漁業者(加工設備付トロール船) 2.水産物加工業者 3.水産物取扱事業者 A 社 ............................................... 47 B 社 ......................................................................... 54 C 社 ...................................................................... 56 4.水産物卸売業者 D 社 ......................................................................... 59 5.水産物卸売業者 E 社 ......................................................................... 60 6 . 水 産 物 卸 売 業 者 F 社 ............................................................................ 64 7 . 二 ユ ー フ ル ト ン 魚 市 場 ......................................................................... 67 Ⅷ 米 国 小 売 業 の 動 向 ....................................................................................... 75 1 . 米 国 小 売 業 の 概 要 ................................................................................ 75 2 . 米 国 に お け る 主 な 小 売 ・ 卸 売 業 者 ......................................................... 76 Ⅸ 大 手 小 売 業 の 食 品 安 全 と 品 質 及 び 安 全 性 確 保 対 策 に つ い て .............. 79 1 . 小 売 業 界 と 食 品 安 全 管 理 シ ス テ ム ......................................................... 79 2 . 食 品 安 全 規 格 の 概 要 ............................................................................ 80 3 . 今 後 の 動 向 ......................................................................................... 82 Ⅹ 調 査 結 果 の ま と め と 課 題 ........................................................................... 85 関 連 資 料 ............................................................................................................ 86 付 録 .................................................................................................................... 90 Ⅰ 調査の概要 1.調査の目的と必要性 (1) 調査の目的 EU 輸 出 の 品 質 衛 生 管 理 シ ス テ ム 及 び 構 築 の 実 態 を 調 査 し 、 我 が 国 の 水 産 業 の 品 質 衛 生 高 度 化 と EU 等 先 進 国 へ の 輸 出 の 取 り 組 み に 有 用 な 情 報 等 を 取 得 整 理 し 、 業 界及び関係機関への情報提供を行う。 (2) 調査対象 アメリカ合衆国(米国 USA United States of America) 水 産 業 の 品 質 衛 生 管理システムを担う、行政、流通、生産、加工の各分野を調査対象とした。 (3) 調査の必要性 米 国 は 、 水 産 業 も 含 め た 先 進 国 で あ り 、 EU へ の 水 産 物 輸 出 国 で あ る と 同 時 に 日 本への輸出国でもある。一方、日本からの主要な水産物輸出先でもある。 EU へ の 水 産 物 輸 出 が 主 要 な 産 業 で あ る 途 上 国 と は 異 な り 、 米 国 内 で 消 費 す る 水 産 物 と EU へ 輸 出 さ れ る 水 産 物 は 、同 等 の 品 質 衛 生 管 理 シ ス テ ム が 実 施 さ れ て お り 、 その実態、構築システムを把握することの必要性は高い。特に、経済先進国である 米 国 に お け る EU 輸 出 証 明 制 度 な ど の 支 援 シ ス テ ム を 知 る こ と は 、 我 が 国 の 水 産 物 の輸出を円滑にする上で大いに参考になると考えられる。 さらに、我が国からの水産物輸出に関して、米国内の取り扱い状況、我が国の水 産物や関係事業者に対する要望などを知ることは、我が国の米国への輸出振興の上 で、意味は大きい。 図 Ⅰ .1-1 米国の水産物品質衛生管理システム調査のイメージ -1 - 2.調査方法 (1) 調査日程 表 Ⅰ .2-1 米国調査日程 12/3( 月 ) 入国 ワシントン D .C . 12/4( 火 ) Silver Spring, Maryland USDC/NOAA 12/5( 水 ) New York/ New Jersey 水産物輸入・卸業者 12/6( 木 ) New York/ New Jersey 水産物輸入・卸業者 日 本 貿 易 振 興 機 構( JETRO)ニ ュ ー ヨ ー ク 事 務所 12/7( 金 ) New York/ New Jersey ニューフルトン魚市場 水産物輸入・卸業者 日本産水産物取扱い販売店 12/8( 土 ), 9( 日 ) 移動等 12/10( 月 ) Seattle, WA 水 産 物 生 産 者 ( 加 工 船 )、 加 工 業 者 、 水 産 物 商 社 12/11( 火 ) 帰国 ニュージャージー⇒シアトル (2) 調査メンバー フードマネジメントサービス(株) 代表取締役社長 (財)日本冷凍食品検査協会 理事 岩沼幸一郎 (社)海洋水産システム協会 顧問 長島徳雄 (社)海洋水産システム協会 研究部長 山内和夫 (社)海洋水産システム協会 主任技師 岡野利之 -2 - 坂本文男 3.調査事項 ( 1 ) EU 輸 出 国 と し て 、EU 輸 出 に 対 す る 米 国 内 の 制 度 、品 質 ・衛 生 管 理 シ ス テ ム 基 準 及 び 政 府 内 の 組 織 体 制 、水 産 業 者( 生 産 ・ 加 工 ・ 流 通 )等 の 業 務 実 態 を 調 査する。 ( 2 ) 我 が 国 水 産 物 の 主 要 な 輸 出 先 と し て 、水 産 物 輸 入 に 対 す る 国 内 の 制 度 、品 質 ・ 衛生管理基準及び政府内の組織体制、関係業者(輸入業者、加工・流通業者、 販売業者等)の業務実態、我が国の水産物・水産業に対する要請を調査する。 3.1 米国の漁業と水産物流通 ( 1 ) 漁 獲 量 は 、 約 450 万 ト ン 弱 の 規 模 で ほ ぼ 横 ば い と な っ て い る 。 ( 2 ) 米 国 EEZ 内 の 操 業 許 可 を 有 す る 米 国 漁 船 の 数 は 、 25,000~ 27,000 隻 と 推定されている。 (3) 漁獲: 2011 年 の 商 業 水 揚 げ ( 食 用 や 工 業 用 ) は 53 億 ド ル 相 当 の 450 万 ト ン 、 う ち 食 用 魚 介 類 の 水 揚 げ は 、 2011 年 で は 79 億 ポ ン ド ( 360 万 ト ン ) で あ った。 (4) 水産物貿易: 2011 年 の 水 産 物 の 輸 入 総 額 は 308 億 ド ル で 、2010 年 と 比 較 し て 34 億 ド ル ( 12.4% ) 増 加 し た 。 2011 年 の 水 産 物 の 輸 出 総 額 は 260 億 ド ル で 、2010 年 に 比 べ 37 億 ド ル ( 16.6% ) 増 加 し た 。 食 用 水 産 物 の 輸 出 は 54 億 ド ル で 、2010 年 と 比 べ て 10 億 ド ル( 22.7% ) 増 加 し た 。 非 食 用 水 産 物 の 輸 出 は 206 億 ド ル で 、 2010 年 よ り 26 億 ド ル ( 14.4% ) 以 上 増 加 し た 。 輸 出 品 目 は 、冷 凍 魚( フ ィ レ を 除 く )、フ ィ レ( 生 鮮・冷 蔵 、冷 凍 )、甲 殻 類 、 貝類・イカ・タコ、魚の調製品、生鮮・冷蔵の魚(フィレを除く)など。 図 Ⅰ .3-1 に 、 米 国 の 水 産 物 主 要 輸 出 先 ( 量 ) を 示 す 。 -3 - 図 Ⅰ .3-1 米 国 の 水 産 物 主 要 輸 出 先 ( 量 ) 2011 年 (5) 関連資料 関連資料1: Fisheries of the United States - 2011 -4 - 3.2 米国の水産物の安全性に係る連邦機関 米 国 に お け る 水 産 物 の 生 産 、加 工 、流 通 、消 費 に 対 応 す る 代 表 的 な 連 邦 機 関 に は 、 食 品 医 薬 品 局 ( FDA : Food and Drug Administration ) 及 び 国 立 海 洋 大 気 庁 ( NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration) が あ る 。 図 Ⅰ .3-2 米国の水産物の安全性に係る連邦機関 ( 1 ) 保 健 社 会 福 祉 省 食 品 医 薬 品 局 ( USDHHS FDA) FDA は 、 米 国 国 民 の 食 品 安 全 に 責 任 を 持 つ 。 こ れ は 、 国 内 で 製 造 さ れ る 水 産物、及び輸入水産物を含むものである。 輸 出 水 産 物 は 、国 内 の 品 質 衛 生 基 準 を 満 た し て い れ ば 問 題 は 無 い 。輸 出 用 と しての、特別な衛生基準があるわけではない。 FDA は 食 品 衛 生 に 関 し て 、 法 律 や 、 法 的 強 制 力 が 有 る 規 則 を 作 り 、 こ れ に 基 づ い て 業 務 を 行 う が 、水 産 物 、水 産 食 品 の 輸 出 に 関 わ る H A C C P の 認 定 実 務は行っておらず、NOAAが行っている。 FDA の 食 品 の 安 全 確 保 に 関 す る 主 要 な 役 割 は 、 基 準 の 設 定 と 執 行 に あ る 。 食 品 施 設 の 検 査 、物 理 的 ・ 化 学 的 ・ 微 生 物 学 的 汚 染 に 関 す る 試 験 ・ 調 査 、食 品 添 加 物 及 び 色 素 添 加 物 の 基 準 策 定 、 市 場 流 通 前 の 監 視 、 あ る い は GMPs や HACCP の シ ス テ ム 構 築 で あ る 。 さ ら に 、 小 売 店 や フ ー ド サ ー ビ ス の 検 査 に 関 し て は 、 州 や 地 域 政 府 に 対 し 、 model Food Code 等 の model code や 指 針の制定といった技術的支援を行う。 違 反 行 為 に 対 し て は 、 法 的 措 置 を 行 い 、 回 収 ( recall) を 求 め る こ と が で き る 。 そ し て 食 中 毒 の 発 生 に 際 し て は 、 追 跡 調 査 ( trace back) や 自 主 的 な 回 収の監視などに重要な役割を果たす。 -5 - ( 2 ) 商 務 省 国 立 海 洋 大 気 庁 ( USDC NOAA) NOAA は 、 経 済 官 庁 で あ る 商 務 省 の 管 轄 下 に あ り 、 水 産 業 の 業 界 支 援 の 立 場で業務を行う。 食 品 衛 生 に 関 し て は 、 FDA の 法 律 や 、 基 準 に 基 づ き 、 業 者 が 水 産 物 を 衛 生 的 に 製 造 し 、取 り 扱 う 上 で の 、HACCP 方 式 に よ る 、具 体 的 で 、現 場 に 対 応 し た 方 法 の 提 供 、コ ン サ ル テ ー シ ョ ン 指 導 、基 準 等 を 満 足 し て い る か の 認 定 検 査 、 証明書の発行を行う。 NOAA の 持 つ シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、 魚 、 貝 、 水 産 食 品 の 業 界 へ 検 査 サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。 NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、し ば し ば 米 国 商 務 省( USDC)の 魚 介 類 の 検 査 プ ロ グ ラ ム と 呼 ば れ 、商 務 省 の マ ー ク と USDC 名 称 を 冠 し て 使 用 さ れ て い る 。( 図 Ⅱ .5-1 参 照 ) NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、 該 当 す る す べ て の 食 品 規 制 の 遵 守 を 保証し、サービスごとに専門の検査の様々なサービスを有料で提供している。 プ ロ グ ラ ム は 、施 設 と 船 舶 に お け る 、品 質 管 理 シ ス テ ム と プ ロ セ ス の 監 査 を 提 供 し て い る 。製 品 の 品 質 評 価 、等 級 と 認 定 サ ー ビ ス は 製 品 ロ ッ ト ご と に 行 わ れ ている。 輸 入 、 輸 出 、 国 内 販 売 に 関 わ ら ず 、 NOAA の 消 費 安 全 検 査 官 は 、 検 査 を 要 請 さ れ た 生 産 者 や 販 売 者 を 評 価 す る た め に 、世 界 中 の 漁 船 、加 工 場 、及 び 冷 蔵 施 設 に 出 張 す る 。 こ れ ら の 事 業 者 は 、 検 査 に 合 格 し た 場 合 、 NOAA の 認 定 施 設 と な る が 、 FDA に よ る す べ て の 通 常 の 査 察 対 象 と な る 。 NOAA の ミ ッ シ ョ ン は 、 水 産 業 界 に 科 学 ベ ー ス の 検 査 サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と に よ っ て 、ア メ リ カ の 消 費 者 の 利 益 の た め に 、水 産 物 の 市 場 性 と 持 続 可 能 性を高める安全性と品質を確保することにある。 (3) その他関連部局 ① 米 国 農 務 省 ( USDA: U.S. Department of Agriculture) USDA で は 、 検 査 と 監 視 を 行 う 食 品 安 全 検 査 局 FSIS( Food Safety and Inspection Service) が 食 品 安 全 に 関 わ る 中 心 的 役 割 を 担 う 。 FSIS は 、国 産 品 及 び 輸 入 品 を 問 わ ず 、食 肉・鶏 肉 製 品 、卵 製 品 を 対 象 と し 、 こ れ ら の 製 品 が 、商 業 供 給 に お い て 、安 全 で 、健 康 に よ く 、正 確 な 表 示 と 包 装 が 行 わ れ る こ と を 確 保 す る こ と を 目 的 と し て 規 制 を 行 う 。併 せ て 食 品 表 示 も管轄する。 ② 環 境 保 護 庁 ( U.S. Environmental Protection Agency, EPA) 環 境 保 護 庁 ( EPA ) は 、 市 民 の 健 康 保 護 と 自 然 環 境 の 保 護 を 目 的 と す る ア メ リ カ 合 衆 国 連 邦 政 府 の 行 政 機 関 で あ る 。大 気 汚 染 、水 質 汚 染 、土 壌 汚 染 な ど が管理の対象に含まれる。 -6 - 3.3 EU へ の 水 産 物 輸 出 の 状 況 ( 1 ) EU 輸 出 の 現 状 米 国 水 産 物 の EU 輸 出 量 は 、 下 表 に 示 す 輸 出 全 体 の 25%で あ る 。 年 食用水産物 2011 千ポンド トン 3,262,109 1,479,683 図 Ⅰ .3-3 非食用水産物 合計 千ドル 5,431,357 20,572,096 米国の主要地域への輸出量 26,003,453 2011 年 EU へ の 輸 出 国 別 の 輸 出 量 と 額 を 以 下 に 示 す 。 表 Ⅰ .3-1 米 国 水 産 物 の EU( 国 別 ) 輸 出 量 と 金 額 EU( 国 ) 千ポンド United Kingdom 2011 年 食用水産物 非食用水産物 トン 千ドル 合計 58,724 26,637 136,030 983,926 1,119,956 Netherlands 139,004 63,052 213,926 532,174 746,100 Germany 188,125 85,333 292,986 317,220 610,206 France 79,778 36,187 186,509 290,326 476,835 Belgium 11,918 5,406 51,227 333,319 384,546 Other 197,298 89,494 376,516 557,720 934,236 Total 674,848 306,109 1,257,194 3,014,685 4,271,879 -7 - (2) 関連資料 関連資料1: Fisheries of the United States - 2011 ( 3 ) EU 輸 出 の 手 続 き ( 資 源 管 理 と 品 質 衛 生 管 理 シ ス テ ム の 証 明 ) EU へ の 水 産 物 輸 出 に 対 し て は 、資 源 管 理 と 品 質 衛 生 管 理 シ ス テ ム が 実 施 さ れ て い る 水 産 物 で あ る こ と を 証 明 し な け れ ば な ら な い 。こ の た め 輸 出 水 産 物 の 出荷単位ごとに、衛生証明書と漁獲証明書の両方を添付する。 2006 年 以 来 、 米 国 の 魚 介 類 検 査 シ ス テ ム は 、 ヨ ー ロ ッ パ と 同 等 の も の と し て EU に 認 識 さ れ て い る 。 食 品 医 薬 品 局 ( FDA) は 、 魚 介 類 の 施 設 の 承 認 を 与 え る た め の 米 国 所 轄 官 庁 で あ る 。 EU に 魚 介 類 を 輸 出 し た い 米 国 の 業 者 は 、 FDA に よ る 承 認 登 録 を す る 必 要 が あ る 。米 国 の 輸 出 業 者 は 、承 認 さ れ る と 、四 半 期 ご と に 更 新 さ れ る FDA の リ ス ト に 記 載 さ れ る 。 こ の FDA の リ ス ト は 、 EU に 送 信 さ れ る 。 2009 年 6 月 以 来 、 米 国 商 務 省 ( NOAA /国 家 海 洋 漁 業 サ ー ビ ス ) は 、 EU 向 け の 水 産 物 の 認 証 取 得 の た め の 唯 一 の 審 査 官 庁 で あ る 。 NOAA が 審 査 し 、 FDA に 登 録 す る 分 業 及 び 協 力 体 制 と な っ て い る 。 ( 4 ) EU 輸 出 の 施 策 ( 国 、 地 方 等 ) 商 務 省 の 部 局 で あ る NOAA は 、 産 業 振 興 の 観 点 か ら 様 々 な 水 産 業 向 け の サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。 こ の サ ー ビ ス と 部 門 は SIP ( Seafood Inspection Program) シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム と 呼 ば れ て い る 。 提供されるサービスは次のとおり: ・品 質 管 理 シ ス テ ム の 確 立 ・シ ス テ ム お よ び プ ロ セ ス 監 査 ・製 品 の 検 査 と 等 級 ・製 品 ロ ッ ト 検 査 ・実 験 解 析 ・ト レ ー ニ ン グ ・コ ン サ ル テ ー シ ョ ン ・情 報 サ ー ビ ス ( Web、 出 版 ) ・輸 出 認 定 EU へ の 水 産 物 輸 出 の た め の 業 者 サ ー ビ ス は 、シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム の 一部として提供されている。 「 NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム 」は 、欧 州 連 合 ( EU) に 魚 介 類 や 水 産 食 品 の 輸 出 に 必 要 な 証 明 書 発 行 の た め 米 国 政 府 の 基 準 当 局 で あ る 。 N O A A は 、 欧 州 連 合 ( EU) に 輸 出 す る た め に 必 要 な ド キ ュ メ ン ト ( 輸 出 衛 生 証 明 書 、 IUU 漁 獲 証 明 書 等 ) を 提 供 し て い る 。 -8 - 出 典 : NOAA NMFS ホ ー ム ペ ー ジ ( http://www.seafood.nmfs.noaa.gov/EU_Export.html) 図 Ⅰ .3-4 米 国 の EU 輸 出 手 続 き (5) 関連資料 関連資料2: 3.4 How to export Seafood to the European Union 水産物の流通消費の状況(日本からの水産物を中心として) (1) 流通チェーン 日 本 か ら 輸 入 さ れ る 食 品 の 多 く は 、日 系 商 社( 輸 入 業 と デ ィ ス ト リ ビ ュ ー タ ー 業 を 兼 ね る 会 社 が 多 い )を 通 じ て 、日 系 ス ー パ ー や レ ス ト ラ ン を 中 心 に 販 売 さ れ て い る 。そ の よ う な 日 系 商 社 は 、米 国 内 の 日 本 食 レ ス ト ラ ン や フ ー ド サ ー ビ ス業への販売ルートも確立している。 -9 - 海外生産者 輸入業者 パ ッ カ ー・加 工 業 者 ディストリビュータ 卸売業者 小売店 オンライン販売業 その他の小売販路 消費者 図 Ⅰ .3-5 米国の流通チェーンのイメージ デ ィ ス ト リ ビ ュ ー タ ー は 、商 品 の 所 有 権 を 持 ち 、倉 庫 を 各 地 に 確 保 し て 、在 庫 管 理 か ら 配 送 ま で を 一 貫 し て 手 掛 け る 。な お 、米 国 に は 、商 品 供 給 業 者・生 産 者 か ら 商 品 を 仕 入 れ 、小 売 業 者 や そ の 他 販 路 に 供 給 す る 業 者 を 表 す 言 葉 と し て デ ィ ス ト リ ビ ュ ー タ ー( distributor)の ほ か に ホ ー ル セ ラ ー( wholesaler) という単語があるが、両者の役割はほぼ同じであり、明確な区別はない。 (2) 品質衛生管理システムに関する要件 海 外 の 生 産 者 、輸 出 業 者 等 は 、輸 出 水 産 物 に 対 す る 衛 生 要 件 へ の 対 応 が 求 め ら れ る 。 管 轄 機 関 ・ 規 制 概 要 は 、 FDA 21U.S.C.381 「 輸 出 入 」、 FDA 21CFR110「 現 行 の 適 正 製 造 規 範 」、 FDA 21CFR123「 水 産 物 」 な ど 。 ま た 、 2011 年 1 月 に 成 立 し た 米 国 食 品 安 全 強 化 法 ( Food Safety Modernization Act) は 、 連 邦 食 品 医 薬 品 局 ( FDA) の 権 限 を 大 幅 に 強 化 す る も の と な っ て お り 、食 品 の 製 造・加 工・流 通 の ビ ジ ネ ス に 大 き な 影 響 を 及 ぼ すことが予想される。 ま た 、米 国 内 流 通 に お い て は 、量 販 店 を 中 心 と し た 販 売 業 者 が 、流 通 業 者 に 対して、食品安全マネジメントシステムの導入を求めることが一般的である。 -10 - Ⅱ 米 国 の 水 産 物 の 品 質 衛 生 管 理 の 仕 組 み ( FDA と NOAA) 保 健 社 会 福 祉 省 食 品 医 薬 品 局 Department of Health and Human Services Food and Drug Administration (FDA)と 商 務 省 Department of Commerce (USDC)を 含 む 多 く の 州 と 連 邦 の 機 関 は 、 水 産 物 の 安 全 性 ( 品 質 衛 生 ) を 保 証 す る ために協働で業務を行っている。米国の水産食品関連の業者は、水産物の安全性を 保 証 す る た め に 、 FDA の 義 務 的 な シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム だ け で 無 く 、 NOAA の自発的な品質検査プログラムを運用している。 1 . FDA FDA は 、米 国 の 国 民 の 食 品 の 安 全 に 責 任 を 持 つ 。こ れ は 、国 内 で 流 通 す る 全 て の 食 品( 肉 、鶏 肉 、ま た は 加 工 卵 製 品 を 除 く )が 対 象 と な る 。こ の た め に 、FDA は 国 内の、そして国際的なすべての水産加工業者と小売店に対する義務的なシーフード 検 査 プ ロ グ ラ ム を 適 用 す る 。 水 産 加 工 業 者 は HACCP の 実 施 が 必 要 と さ れ て い る 。 FDA は 食 品 衛 生 に 関 し て 、法 律 や 、法 的 強 制 力 が 有 る 規 則 を 作 り 、こ れ に 基 づ い て業務を行う。 ( FDA に 関 し て 、 [Ⅳ 米 国 に お け る 食 品 の 安 全 性 管 理 制 度 2 . 食 品 の 安 全 性 を 管 理 す る 監 督 機 関 ] に 関 連 説 明 が あ る 。) FDA の 輸 入 水 産 物 に 対 す る 権 限 は 、HS( ハ ー モ ナ イ ズ ド シ ス テ ム )コ ー ド 1 に 基 づいており、活物、鮮魚、缶詰類、冷凍物等が対象である。 FDA は リ ス ク に 基 づ い た ア プ ロ ー チ と し て 、輸 入 品 の 監 視 テ ス ト を 行 な う 。輸 入 したものに問題があれば、ニュースレターを発行して輸入管理者や輸入業者に通知 する。 承 認 さ れ た 施 設 に 対 し て 、 FDA か ら 直 接 的 な 要 求 事 項 は な い 。 FDA は 、国 外 施 設 の 検 査 を ラ ン ダ ム に 行 な い 、輸 入 規 則 に 順 守 し て い る か 調 べ る 。 FDA Food Safety Web サ イ ト : http://www.fda.gov/Food/FoodSafety/default.htm 1 ハ ー モ ナ イ ズ ド ・ コ ー ド 、 Harmonized System( HS) : 国 際 貿 易 商 品 の 名 称 及 び 分 類 を 世 界 的 に 統 一 し た 6 桁 の 品 目 表 で 、関 税 及 び 統 計 等 に 関 し て 世 界 の 主 要 国に於いて使用されている。 -11 - 2 . USDC NOAA NMFS 商務省国立海洋大気庁 海 洋 漁 業 局 ( USDC NOAA NMFS( National Oceanic and Atmospheric Administration) ( National Marine Fisheries Service))は 、 経済官庁であり、水産業の業界支援の立場で業務を行う。 食 品 衛 生 に 関 し て 、FDA の 法 律 や 、基 準 に 基 づ き 、業 者 が 水 産 物 を 衛 生 的 に 製 造 し 、取 り 扱 う 上 で の 、HACCP 方 式 に よ る 、具 体 的 で 、現 場 に 対 応 し た 方 法 の 提 供 、 コンサルテーション指導、基準等を満足しているかの認定審査、証明書の発行をお こなう。 NOAA の Seafood Inspection Program( SIP) シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、 安全で高品質な魚介類を確保するため、水産業界へ科学的根拠に基づく検査サービ スを提供する。これは強制的ではない、業者が自主的に参加できるプログラムであ り、業者は、然るべき料金を支払うことで、サービスを受けることができる。水産 企 業 は 、FDA の HACCP 要 件 を 満 足 し て い る こ と を 確 認 す る た め に 、NOAA の SIP に支援を求めることができる。 “ Responsible for Voluntary, fee-for-service examinations of seafood for safety and quality” (安全と品質のために魚介類の自主的、出来高払いの検査を担当) NOAA's National Marine Fisheries Service (NOAA Fisheries) Web サ イ ト : http://www.noaa.gov/fisheries.html 3 . USDC NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( SIP) と FDA HACCP の 関 係 FDA は 、公 衆 衛 生 の 保 護 、推 進 に 責 任 が あ り 、そ の 一 部 と し て 、魚 介 類 や 水 産 食 品 を 含 む 食 品 が 、安 全 、衛 生 で あ る こ と を 支 援 す る 責 任 が あ る 。FDA は 、規 制 基 準 を確立し遵守させる責任を有している。従って設備を検査し、基準違反がある場合 は、基準適合を命じる権限を持っている。 NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム( SIP)は 、業 界 に お け る 衛 生 の 向 上 と 、検 査 、 評価、分析、グレーディング、そして利害関係者への認証サービスなどの、水産物 の 商 用 グ レ ー ド の 標 準 の 開 発 と 進 歩 に 、責 任 が あ る 。NOAA SIP の 主 要 目 的 は 、品 質、健全性、安全性、適切なラベリング、消費者の利益のために魚介類や水産食品 の市場性向上などにおいて、業界を奨励し支援することである。 以下に、二つのプログラムの比較を示す。 -12 - 表 Ⅱ .3-1 NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( SIP) と FDAHACCP の 比 較 要素 範囲 FDA HACCP 規 制 要 求 安全 NOAA プ ロ グ ラ ム 保 証 安全 健康に良い ( Wholesomeness) 経済的な整合性 品質 Hazard Analysis HACCP Plan Sanitation SOP's Corrective Actions Verification Procedures Records Training Import Requirements NOAA SIP は 、 HACCP の 要 件 を 超 え て サ ー ビ ス を 提 供 す る 。 品質計画 - 品質マークと広告 - 計画とラベルの事前承認 - トレーニング認定 - コンサルティングサービス - 製品認証 - システム監査 - CODEX 標 準 と コ ー ド - 輸出証明 - ISO 9000 規 格 - 4 . EU 輸 出 の た め の 衛 生 証 明 ( 1 ) 米 国 か ら EU に 輸 出 す る 水 産 物 は 、米 国 内 の 品 質 衛 生 基 準 を 満 た す 以 外 輸 出 用 と し て の 、特 別 な 衛 生 基 準 が あ る わ け で は な い( NOAA 担 当 官 )。輸 出 証 明 は 、 経 済 官 庁 で あ る 商 務 省 NOAA が シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( SIP) に 基 づき、登録認定検査を行う。 ( 2 ) NOAA の SIP 検 査 に 合 格 す る と 、登 録 番 号 が 採 ら れ て 、FDA リ ス ト に 載 り 、 更 に E U に 登 録 さ れ る 。登 録 番 号 は 、CFN (central filing number) と い う 。 CFN は 、 EU 輸 出 の 衛 生 証 明 書 の 登 録 番 号 に な る 。 -13 - ( 3 ) こ れ は 、 FDA と EU の 間 に 両 国 の 食 品 衛 生 シ ス テ ム に つ い て の 覚 書 が 存 在 し 、更 に FDA と USDC NOAA の 取 り 決 め に 基 づ き 、NOAA の シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム( SIP)が 行 わ れ て い る と い う こ と が 背 景 に あ る( NOAA 担 当 官 の 説 明 )。 ( 4 ) 水 産 物 の 輸 出 相 手 国 に 対 す る 輸 出 証 明 書 は 、NOAA が 発 行 す る 。EU 輸 出 に 関 し て は 、 衛 生 証 明 書 と 原 産 地 証 明 書 等 が 必 要 と な る 。 NOAA は 証 明 書 取 得 に対する、業者への支援を行っている。 ( 5 ) 対 E U 輸 出 水 産 食 品 取 扱 い 施 設 の 認 定 審 査 を 行 う プ ロ グ ラ ム ( SIP) の 主 要 目 的 が 、品 質 、健 全 性 、安 全 性 、適 切 な ラ ベ リ ン グ 、消 費 者 の 利 益 の た め に 魚 介 類 や 水 産 食 品 の 市 場 性 向 上 な ど に お い て 、業 界 を 奨 励 し 、支 援 す る こ と に あ る こ と 、及 び こ の シ ス テ ム が 、米 国 か ら の EU へ の 水 産 物 輸 出 を 円 滑 に し て い ることなどは、注目すべきことである。 ( 6 ) EU へ の 水 産 物 輸 出 の 衛 生 証 明 書 発 行 業 務 の FDA か ら NOAA へ の 移 転 に つ いて 2009 年 1 月 15 日 に 、 FDA が 米 国 官 報 通 知 (No.FDA-2004-D-0043、 CFSAN 200843)を 出 し た 。「 FDA は こ れ 以 降 、 EU ま た は 欧 州 自 由 貿 易 連 合 (EFTA)加 盟 国 へ の 輸 出 の た め の 、 水 産 物 輸 出 品 の 証 明 を 欧 州 連 合 に 提 供 し な い 」、ま た 「こ れ に よ り FDA は NOAA SIP に 対 し て 、EU ま た は 欧 州 自 由 貿 易 連 合 (EFTA)加 盟 国 へ の 水 産 物 輸 出 の 証 明 を 委 託 し た 」と い う 内 容 で あ る 。 FDA が 、 シ ー フ ー ド の 輸 出 認 証 を EU に 提 供 す る の を や め た 理 由 は 、 業 務 の 効 率 化 で あ る 。 FDA は 米 国 の 一 般 消 費 者 保 護 の た め の 公 衆 衛 生 活 動 と 規 制 を監督することに業務の重点を置いている。 特 に 別 の 政 府 機 関 が 、そ の 業 務 の 一 部 と し て 証 明 書 発 行 に 利 用 で き る リ ソ ー ス を 持 っ て い る 場 合 に 、 FDA は も う EU 輸 出 証 明 書 発 行 の よ う な 、 限 ら れ た 食品安全のためのリソースを使用することはできないと決定した。 移 行 の 発 効 期 日 は 2009 年 6 月 17 日 で あ っ た 。 NOAA SIP は こ れ 以 前 か ら 、輸 出 衛 生 証 明 書 発 行 の 管 轄 庁 と し て 、EU に 認 め ら れ て い た 。 輸 出 衛 生 証 明 書 は 、 2 つ の 政 府 機 関 ( FDA 、 NOAA) の ど ち ら で も 発 行 で き た 。こ れ は 、1946 年 の 法 律( Agricultural Marketing Act of 1946) で 重 複 し て い た た め で あ る 。 こ の た め 、 FDA か ら の 移 行 は 問 題 が なかった。 そ こ で 政 府 機 関 が 、 重 複 の な い よ う に 領 域 を 分 け た 。 FDA は 人 員 等 を 国 内 の 食 品 安 全 管 理 に 使 う と し 、 NOAA は 、 貿 易 と 商 業 の 促 進 に 人 員 等 を 使 う と 考 え た 。 NOAA、 FDA、 USDA の 間 で 、 法 律 に よ り 認 め ら れ て い る 権 限 の 覚 書を交わした。 -14 - (7) 関連資料 関 連 資 料 14: 商 務 省 NOAA( USDC NOAA)と 健 康 保 健 省 FDA( UDHH FDA) の 水 産 物 や 施 設 の 検 査 に お け る 協 力 と 情 報 共 有 に 関 する覚書 5.公式マーク シーフード検査プログラムのもとで検査され認証された製品には、対応する以下 に示すマークをつけることができる。 承 認 さ れ た 施 設 の マ ー ク は 国 内 だ け で な く 、海 外 の 施 設 に も 適 用 で き る 。商 務 省 、 原産国、施設番号、米国の承認が示される。 NOAA は こ の マ ー ク を 使 用 す る た め の コ ン サ ル と 検 査 を 有 償 で 行 う 。 図 Ⅱ .5-1 公式マークの例 -15 - -16 - Ⅲ 米国の水産物品質衛生管理支援プログラム USDC NOAA SIP 商 務 省 国 立 海 洋 大 気 庁 海 洋 漁 業 局( USDC NOAA NMFS( National Oceanic and Atmospheric Administration)( National Marine Fisheries Service)) は、わが国の水産庁に当たる連邦政府機関である。 米国で生産し、加工、流通、消費、輸出される水産物や関連する施設・船舶に関 して、該当するすべての食品規制の遵守を保証するために、サービスごとに専門の 検 査 に 関 す る 様 々 な サ ー ビ ス を 有 料 で 提 供 し て い る 。NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム( Seafood Inspection Program( SIP))は 、し ば し ば 米 国 商 務 省( USDC) の 魚 介 類 の 検 査 プ ロ グ ラ ム と 呼 ば れ 、商 務 省 の マ ー ク と USDC 名 称 を 冠 し て 使 用 さ れている。 提 供 す る サ ー ビ ス 名 及 び 担 当 す る 部 局 名 が “ Seafood Inspection Program ( SIP)” で あ る 。 1 . 組 織 “ Seafood Inspection Program( SIP)” の ビ ジ ョ ン と ミ ッ シ ョ ン Seafood Inspection Program NOAA Fisheries U.S. Department of Commerce Our Vision: "An informed society that has confidence in the seafood that they purchase, sell and consume today and in the future." "今 日 と 将 来 に お い て 、 購 入 、 販 売 、 消 費 す る 水 産 物 に 信 頼 を 持 て る 情 報 に 基 づいた社会" Our Mission: To ensure the safety and quality as well as enhance the marketability and sustainability of seafood products for the benefit of the American consumer by providing science based inspection services to the seafood industry. 水産業界に科学ベースの検査サービスを提供することによって、アメリカの 消費者の利益のための、水産物の市場性と持続可能性を高める安全性と品質 を確保する。 -17 - N OAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( S eafood Inspect ion Pr ogr am( SIP)) 図 Ⅲ .1-1 商 務 省 国 立 海 洋 大 気 庁 海 洋 漁 業 局( USDC NOAA NMFS)と SIP 組 織 NOAA Fisheries ( National Marine Fisheries Service)、NOAA 水 産( 国 立 海 洋 漁 業 サ ー ビ ス )は 、15 の 州 に 6 地 域 、6 科 学 セ ン タ ー と 12 の 研 究 所 が あ り 、 3,435 人 以 上 の 職 員 が い る 。 う ち NOAA Seafood Inspection Program、 NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム の 要 員 は 、 175 人 で あ る 。 図 Ⅲ .1-2 事務所 NOAA Fisheries Service 1315 East West Hig hway S ilver Spr ing, Mar yland20910 -18 - 2 . NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( Seafood Inspection Program( SIP)) http://www.seafood.nmfs.noaa.gov/ 図 Ⅲ .2-1 NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム Web ペ ー ジ NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、該 当 す る す べ て の 食 品 規 制 の 遵 守 を 保 証 す るために、サービスごとに専門の検査の様々なサービスを有料で提供している。プ ログラムは、施設と船舶で、衛生管理システムに関すると同様に施設のシステムと プロセスの監査を提供している。製品の品質評価、等級と認定サービスは、製品ロ ッ ト ご と に 用 意 さ れ て い る 。 連 邦 検 査 ( PUFI: Processed Under Federal Insp ection)と ロ ッ ト 検 査 に 基 づ い て 処 理 さ れ た 製 品 は 、米 国 グ レ ー ド A と し て 公 式 マ ークのスタンプの対象となる。 NOAA に よ っ て 提 供 さ れ る サ ー ビ ス に は 次 の 内 容 が 含 ま れ る : ・衛 生 管 理 シ ス テ ム 検 査 の 確 立 ・シ ス テ ム お よ び プ ロ セ ス 監 査 ・製 品 の 検 査 と 等 級 ・製 品 ロ ッ ト 検 査 ・実 験 解 析 ・ト レ ー ニ ン グ -19 - ・コ ン サ ル テ ー シ ョ ン ・輸 出 認 定 これらのサービスは、米国地域および外国で、提供することができる。このよう な漁船、加工工場、小売施設などの施設のすべてが、これらのサービスの対象とな っている。魚介類から加工製品、飼料用のフィッシュミールに至るまでのすべての 食用水産物の製品形態が、検査及び認証の対象となる。 USDC NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、 外 国 に 魚 介 類 や 水 産 物 製 品 を 輸 出 す る た め の 衛 生 証 明 書 の 発 行 の た め の 米 国 政 府 内 の 権 限 の あ る 当 局 で あ る 。 USDC 検査官によって発行される証明書は政府の公式なもので、米国の裁判所で認められ た法的文書となっている。 (1) 関連資料 関連資料3: NOAA Fisheries Service Seafood Inspection Program Overview 関連資料4: NOAA SIP Services Brochure 3 . NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( SIP) が 提 供 す る サ ー ビ ス (1) 検査サービス NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、 該 当 す る す べ て の 食 品 規 制 や 追 加 の バイヤー仕様への準拠を保証する様々な専門検査サービスを有料で提供して い る 。検 査 サ ー ビ ス に は 、衛 生 管 理 の シ ス テ ム 確 立 、プ ロ セ ス の 監 査 、製 品 の 等級付けと検査、実験室での分析が含まれている。 プ ロ グ ラ ム は 衛 生 管 理 と 同 様 に 、漁 船 、加 工 施 設 等 が 対 応 施 設 と し て 認 定 さ れるための監査を行っている。 等 級 付 け と 認 定 サ ー ビ ス と 同 様 に 、ロ ッ ト ご と の 製 品 品 質 評 価 サ ー ビ ス を 用 意している。 検 査 官 は 水 産 加 工 業 者 の 特 定 の ニ ー ズ に 合 わ せ て 、継 続 的 ま た は 定 期 的 に 対 応する。 特 定 の 製 品 は 、 連 邦 検 査 ( PUFI) と ロ ッ ト 検 査 に 基 づ い て 処 理 さ れ 、 米 国 グレード A として公式マークとスタンプの対象とすることができる。 検 査 サ ー ビ ス は 、米 国 内 や 外 国 で 、全 世 界 的 に 提 供 し て い る 。漁 船 、加 工 工 場 、 小 売 施 設 な ど の 施 設 は 、こ れ ら の サ ー ビ ス を 受 け る こ と が で き る 。魚 介 類 か ら 加 工製品、飼料に至るまでのすべて製品形態が、検査及び認証の対象となる。 -20 - ( 2 ) HACCP 及 び 品 質 管 理 シ ス テ ム の コ ン サ ル テ ィ ン グ ・サ ー ビ ス 専 門 家 の チ ー ム は 、必 須 と さ れ る 魚 介 類 の 安 全 性 の 要 件 だ け で な く 、対 応 す る 魚 介 類 の 品 質 特 性 ( 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ) に 対 応 す る HACCP プ ロ グラムの開発、実施、検証を支援する。 こ の オ ン サ イ ト サ ー ビ ス で は 、製 品 お よ び プ ロ セ ス の 適 用 計 画 、計 画 の 実 施 、 既 存 運 用 計 画 の 検 証 を 行 う た め の 必 要 な ス テ ッ プ を 通 し て 、 顧 客 の HACCP と品質管理チームを監査する。 コ ン サ ル テ ィ ン グ ・サ ー ビ ス の 結 果 : ・ 異 な る 商 品 を 含 む HACCP 計 画 の 下 で 稼 動 ( 操 業 ) す る こ と が で き る 。 ・ 米 国 食 品 医 薬 品 局 ( FDA) に よ っ て 、 魚 介 類 の 安 全 確 保 の 必 須 要 件 を 満 たす施設として、公式に認められる。 (3) 輸出入と認定サービス NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、 水 産 物 の 貿 易 の た め の 輸 出 証 明 を 行 う 。各 輸 入 国 の 固 有 要 件 と 、そ の 他 の 特 定 の バ イ ヤ ー の 基 準 に 満 た し た 水 産 物 であることを証明する。 プ ロ グ ラ ム は 、米 国 の 規 制 や 要 件 を 満 た し た 業 界 を 支 援 す る た め 、任 意 の 場 所 で 外 国 加 工 業 者 お よ び 輸 入 業 者 に 国 際 的 な 検 査 サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。プ ロ グ ラ ム 費 用 を 含 め た 、こ れ ら の サ ー ビ ス の 詳 細 は 、利 用 者 の 特 定 ニ ー ズ に 合 わせて調整することができる。 (4) 水産業界へのトレーニング NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、漁 獲 、加 工 、小 売 業 や 食 品 サ ー ビ ス へ の流通等のあらゆる側面に関わる人々のためにトレーニングを提供している。 プ ロ グ ラ ム は 、 HACCP に つ い て の 定 期 的 な ト レ ー ニ ン グ を 含 ん で い る 。 ま た プ ロ グ ラ ム は 、シ ス テ ム 評 価 監 査 員 の 訓 練 、官 能 試 験 、衛 生 、製 品 仕 様 開 発 、 お よ び シ ー フ ー ド の 専 門 家 の た め の 人 気 の あ る "シ ー フ ー ド ・ス プ ラ ッ シ ュ コ ー ス “( ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト の 魚 介 類 マ ネ ー ジ ャ ー 、 シ ェ フ 、 フ ー ド サ ー ビ ス 専 門 家 、魚 介 類 の バ イ ヤ ー や マ ー チ ャ ン ダ イ ザ ー 等 に 対 す る 、3 日 間 の 実 践 的 な 魚 介 類 ト レ ー ニ ン グ プ ロ グ ラ ム )を 含 む 、対 象 者 別 ト レ ー ニ ン グ を 提 供している。 (5) 国際サービス NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、外 国 で 加 工 や 養 殖 業 を 行 う 米 国 及 び 非 米国企業に国内と同じサービスを提供している。我が国でサービスを受けた事 例は不明であるが、フィリピン・インドネシア・ヴェトナム・中国が多いとの ことである。 国際サービスの範囲には、以下が含まれている: ・ 監 査 の 原 則 、 HACCP、 ま た は 官 能 検 査 に 関 す る ト レ ー ニ ン グ 。 ・ HACCP ベ ー ス の プ ロ セ ス コ ン ト ロ ー ル の 実 施 と 検 証 。 -21 - ・外国の加工業者のための第三者検証。 (6) 関連資料 関連資料5: NOAA HANDBOOK 25 関連資料6: Policies, Procedures, and Requirements for the Approval of Facilities and Systems 関連資料7: SIP USDC System Compliance RatingCriteria 関連資料8: RETAIL HACCP PROGRAM 関連資料9: SEAFOOD SPLASH COURSE 4.水産物の検査員 検 査 員 ( inspector) は 、 NOAA の 職 員 で あ り 、 ASQ 2 に 登 録 済 み 。 ASQ の 認 定 を 受 け た 検 査 員 は 、最 先 端 の 検 査 技 術 や 知 識 を 有 し て い る 。殆 ど の 検 査 員 は 、ASQ の複数の認証試験に合格している。 ( 1 ) 監 査 員( Auditor)は も と も と 水 産 物 の 検 査 員( Inspector)で あ り 、品 質 、 品種、特性をよく理解しノウハウを持っている。 ( 2 ) 検 査 員 教 育( ト レ ー ニ ン グ )に 参 加 し た 人 た ち を 対 象 に し た 、オ ン ラ イ ン コ ー ス 100 時 間 ( 3 ヶ 月 ベ ー シ ッ ク コ ー ス ) を 義 務 付 け て い る 。 Inspector に な る た め に は 、 そ の 後 、 さ ら に FDA の オ ン ラ イ ン コ ー ス を 受 講 す る 。 合 格 後 に 、ス ー パ ー バ イ ザ ー が ト レ ー ニ ン グ を 積 ん だ 方 が よ い と 判 断 し た 場 合 は 、HACCP、 Grade Quality に 関 す る 基 準 や 249 コ ー ス 、ASQ ト レ ー ニング等を受講する場合もある。 ( 3 ) FDA に は 、 249 コ ー ス と 呼 ぶ 審 査 員 の た め の ト レ ー ニ ン グ コ ー ス が あ る 。 全 て の 審 査 員 や オ フ ィ サ ー は 、 HACCP の 基 本 的 ト レ ー ニ ン グ を 受 け て い る 。 地 位 が 上 が っ て 責 任 が 大 き く な る と さ ら に 多 く の 認 証 (Certificate) 取 得 が 必 要になる。 ( 4 ) FDA に は 、 品 質 や プ ロ セ ス に 関 す る ト レ ー ニ ン グ コ ー ス が あ り 、 そ の 中 で 犯 罪 の 証 拠 や 裁 判 の 写 真 を 取 扱 う コ ー ス も あ る 。製 品 の 品 質 を 見 る た め の 感 覚 の ト レ ー ニ ン グ 、 基 本 的 な HACCP の ト レ ー ニ ン グ と HACCP の 認 証 (Certification) 、 監 査 員 ( Auditor ) の ト レ ー ニ ン グ が あ る 。 監 査 員 の ト レ ー ニ ン グ で は 、 FDA の 監 査 に 対 し て 、 ど の よ う に 不 適 合 を 評 価 し て 報 告 書 を 作成し、証拠を記録化するかに取組む。 2 ASQ: American Society for Quality 米 国 品 質 協 会 -22 - ( 5 ) プ ロ グ ラ ム で 年 に 1 回 、倫 理 関 係 と 安 全 保 障 に 関 し て オ ン ラ イ ン の テ ス ト が 義 務 付 け ら れ て い る 。 NOAA 職 員 は 毎 年 、 倫 理 宣 言 と い う 文 書 に サ イ ン を し て い る 。NOAA 幹 部 は 、職 員 が NOAA の プ ロ グ ラ ム を き ち ん と 実 施 し て い る か1年に 2 回、きちんとレビューしている。 ( 6 ) NOAA の SIP は 、民 間 企 業 と 協 力 し て 行 っ て い る が 、米 国 で は 、NFI 3 、IAFI 4 と NOAA 職 員 が 一 緒 に 働 い て い る 。 ( 7 ) 検 査 対 象 施 設 に 行 っ た 時 、検 査 員 は 、製 品 、プ ロ セ ス に 対 し て 、安 全 対 策 を 促 進 し 問 題 を 解 決 す る 。 NOAA は 規 制 官 庁 で は な い の で 、 事 業 者 を 助 け な が ら問題を解決する。 5.EUへの輸出証明 NOAA 漁 業 部 門 は 、米 国 か ら の 水 産 物 輸 出 の た め の 要 件 に 関 す る 他 の 国 と の 交 渉 に お い て 、米 国 を 代 表 し て い る 。N O A A だ け が 唯 一 、EU に 証 明 書 (Certification) を発行している所轄官庁である。 これらの交渉には、米国の水産物輸出に付随する証明書の頻繁な改良や修正が含 ま れ て い る 。NOAA 漁 業 部 門 は 、米 国 で こ れ ら の 証 明 書 を 発 行 し 、署 名 す る 所 轄 官 庁である。 ( 1 ) EU 向 け 輸 出 証 明 NOAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム は 、 欧 州 連 合 ( EU) に 輸 出 す る た め に 必 要な 3 つのドキュメントを提供している。それらを次に示す。 ・ EU 輸 出 衛 生 証 明 書 。 ・ 米 国 で 漁 獲 さ れ た 水 産 物 に 対 す る EU IUU 漁 獲 証 明 書 。 ・ 米 国 経 由 で EU に 輸 出 す る 米 国 以 外 の 国 で 漁 獲 さ れ た 製 品 に つ い て の EU"附 属 書 IV"。 ( 2 ) FDA と NOAA の 連 携 証 明 機 関 は NOAA で あ り 、FDA は 規 制 官 庁 で は あ る が 、輸 出 証 明 書( Export Certification) の リ ス ト は FDA に お い て も 管 理 し て い る 。 ま た 、 NOAA の 職 員 は FDA に 出 向 す る こ と が あ る 。 3 NFI: National Fisheries Institute、 全 米 の 漁 業 者 、 水 産 加 工 業 者 、 水 産 流 通 業 者、水産物を扱う小売業者や飲食業者を会員とする業界団体 4 IAFI: International Association of Fish Inspectors、 水 産 検 査 員 の 業 界 団 体 -23 - (3) オンラインによる登録管理 EU へ の 輸 出 証 明 は 、 全 て オ ン ラ イ ン で 行 っ て い る 。 民 間 業 者 は ア カ ウ ン ト を作成し、システムを通じて、それぞれの出荷に対しての輸出証明書の発行を 申 請 す る 。こ の シ ス テ ム に よ っ て 、24 時 間 以 内 に 、Inspector( 検 査 官 )は リ ク エ ス ト を 確 認 し 、情 報 を 検 証 し て 、船 荷 を 承 認 す る こ と が 可 能 に な っ て い る 。 ( 4 ) EU 輸 出 に お い て 、個 別 に 問 題 が 発 生 し た と き の 対 応 は 、NOAA SIP が 主 体 と な っ て 対 応 し て い る( 状 況 は Web サ イ ト で 公 開 す る )。ま た 、EU 基 準 等 に 係 る 問 題 点 等 は FDA/NOAA/EU 事 務 局 間 で 協 議 す る と の こ と 。 こ れ は EU 域 内 で も 同 様 で 、EU 規 則 と 国 内 法 の ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ョ ン を 常 時 図 っ て い る 。 (5) 関連資料 関連資料 10: USDC Export Inspection-Certification Program Importers and Exporters -24 - Ⅳ 米国における食品の安全性管理制度 1.米国における食品の安全性管理システムの動向 米国では、輸入食品の増加や食品技術の進歩等により、食品の多様化が進み、そ れ に 伴 い 食 品 安 全 に 関 わ る 問 題 も 増 加 し た 。 こ こ 数 年 で も 、 2009 年 に お け る 牛 挽 肉 に よ る O-157 食 品 事 故 、 2008 年 に お け る ピ ー ナ ツ バ タ ー に よ る サ ル モ ネ ラ 食 品 事 故 、2007 年 に お け る ト マ ト 等 を 材 料 と す る 生 鮮 サ ラ ダ に よ る サ ル モ ネ ラ 食 品 事故等、食品由来の集団感染症や食品への化学薬品混入等、消費者の健康を害する 事例が起きており、死に至るケースも少なくない。米国疾病対策予防センター ( CDC: Centers for Disease Control and Prevention) の デ ー タ に よ る と 、 米 国 で は 毎 年 4,800 万 人 が 食 中 毒 に か か り 、 そ れ に よ り 12 万 8,000 人 が 入 院 、 3,000 人 が 死 亡 と 推 計( C D C が 1 9 9 2 年 か ら 1 9 9 7 年 ま で の 各 種 資 料 を も と に推計を行ったもの)されている。 HACCP シ ス テ ム の 展 開 の 契 機 と な っ た こ と で 日 本 で も 良 く 知 ら れ て い る 1997 年に行ったクリントン大統領の年頭教書では、食品媒介性疾患が米国社会に健康、 福祉、経済など多方面に亘って深刻な影響を及ぼしていると述べた。 さらに、どのようにして食中毒が起きるのか、どうしたら最も効果的でしかも費 用対効果があげられるのかについて、産官学協力により、研究、リスク査定、費用 対効果等の解析をするように命じ、食品安全構想の具体化を図った。その報告に基 づいて関係省庁の長官クラスからなる食品安全評議会が発足し、縦割り行政の谷間 で 起 き て い る 問 題 と 解 決 策 の 検 討 に 着 手 し た 。1997 年 1 月 25 日 、大 統 領 は 食 品 安 全 構 想 ( Food Safety Initiative) を 発 議 し た 。 農 務 長 官 、 保 健 福 祉 長 官 お よ び 環境保護局長に、食品供給の安全性をさらに高めるための方法の策定を命じた。そ の際、消費者、生産者、業界、州政府、大学、ならびに国民とともに検討すること を 指 示 し 、 三 者 は 2 月 21 日 に 、 利 害 関 係 者 に 向 け て 「 農 場 か ら 食 卓 ま で の 食 品 安 全 : 21 世 紀 の 新 た な 戦 略 ( Food Safety from Farm to TO Table: A New Strategy for The 21st Century)」を 公 表 し 、そ の 検 討 会 を 開 く こ と を 提 案 し た 。 提案内容は、 「 国 家 食 品 構 想 を 考 え る 討 議 草 案 と 現 状:食 品 媒 介 疾 患 を 予 防 す る 新 たな省庁間戦略」というタイトルが付けられており、背景、食品安全構想の歴史、 食 品 媒 介 性 疾 患 : 重 要 な 公 衆 衛 生 問 題 、 食 品 汚 染 を 防 ぐ 現 在 の シ ス テ ム 、 21 世 紀 に向けて新たなシステムを準備しなければならない(食品安全を改善する即座の活 動 、 公 衆 衛 生 の 広 域 調 査 の た め の 新 た な 「 早 期 警 告 シ ス テ ム 」、 連 携 、 リ ス ク 査 定 、 生 物 科 学 研 究 、法 的 検 査 、教 育 、長 期 に 亘 っ て 食 品 媒 介 性 疾 患 を 低 減 す る 戦 略 計 画 ) の大項目からなっていた。 この草案を素に検討が進められ、5 月に「農場から食卓までの食品の安全性: 大 統 領 へ の 食 品 安 全 構 想 に 関 す る 報 告 ( F o o d S a fe t y fr o m F ar m t o T O T a b l e : A National Food Safety Initiative Report to the President)」 が 提 出 さ れ た 。 規 則 、奨 励 計 画 、自 主 的 努 力 、教 育 と 訓 練 、法 的 検 査 、な ら び に 法 令 執 行 を 通 し て 、 -25 - 政府の努力は、食品の生産、加工、輸送および調理に当る人々の行動の方向づけし ており、食品には多くの種類があり、農場から食卓までに多くの段階があり、多く の種類の食品媒介性リスクがあると認識しており、連邦政府が全てのことを一挙に で き な い た め 、当 面 は 以 下 の 6 領 域 に お け る 努 力 に 焦 点 を 絞 る こ と と し た が 、多 く の方針を網羅した。 (ⅰ )緊 急 事 態 へ の 対 処 を 強 化 す る (ⅱ )リ ス ク に 基 づ い て 法 的 検 査 の 優 先 順 位 を 設 定 す る (ⅲ )輸 入 検 疫 検 査 活 動 を 改 善 す る (ⅳ )基 準 を 策 定 し 強 化 す る (ⅴ )定 期 検 査 ( Monitoring) と 広 域 調 査 ( Surveillance) を 強 化 す る (ⅵ )技 術 開 発 を 促 進 し 、 実 行 す る 以上のような対策が講じられたにもかかわらず、その後も食品事故が多発し、依 然として米国国民の食品安全が脅かされているとの認識からオバマ大統領は、20 09年3月大統領食品安全ワーキンググループを設立した。 このワーキンググループの目的は大統領に対して食品安全制度をどのように強化 すべきか提案することであった。米国政府は、これらの経緯や問題を重大に受け止 め 、 2011 年 1 月 に 、 オ バ マ 大 統 領 は 食 品 安 全 近 代 化 法 ( Food Safety Modernization Act: FSMA) に 署 名 し 、 食 品 安 全 問 題 へ の 事 前 予 防 を 強 化 す る 方 針を示した。 2.食品の安全性を管理する監督機関 米国においては食品の安全性を管理するため、複数の関係機関が活動を行なって い る 。中 で も 主 要 な 役 割 を 果 た し て い る の が 、FDA(保 健 福 祉 省 食 品 医 薬 品 局 )、EPA ( 環 境 保 護 庁 )、USDA/FSIS( 農 務 省 食 品 安 全 検 査 局 )で あ る 。水 産 物 に お い て は 、 その産業的規模から、農務省のような独立した産業関係省庁の食品安全に関わる組 織 が 存 在 し な い 為 、FDA が 所 管 し て い る が 、肉 が 主 食 と い え る ほ ど 消 費 規 模 の 大 き い 米 国 に お い て は 、 USDA が 主 導 的 な 役 割 を 果 た し な が ら 、 安 全 性 確 保 に 関 し て 、 FDA 等 と 相 互 に 活 動 を 補 完 し あ い な が ら 、協 力 関 係 を 保 ち 、食 品 の 安 全 性 確 保 に 向 けた規制・監視を行なっている。 こ う し た 背 景 に は 、 そ れ ぞ れ の 省 庁 の 設 立 経 緯 が 関 係 し て お り 、 FDA が USDA の下部機関である食品医薬品農薬庁から改変され、安全保障庁を経て、保健福祉省 に 移 管 さ れ た こ と 、EPA は 1970 年 に 設 立 に 伴 い 、農 薬 登 録 の 権 限 を USDA か ら 、 食 品 へ の 残 留 農 薬 基 準 設 定 の 権 限 を FDA か ら 委 譲 さ れ た 為 で 、 そ れ ぞ れ の 省 庁 が バラバラに安全性問題を取り上げることなく、食品の安全性をより確かのものにす る為に、機能や目的に応じて、各省庁が分担し合っている。 -26 - しかし、最近の米国においては、ここ数年来、病原性微生物による食中毒事が多 発している事から、このようなシステムでも食品の安全性確保には不十分であると して、食品の安全性を統括する機関あるいは独立組織の新設を望む声が高まってい た 。 1998 年 に は 、 全 米 科 学 ア カ デ ミ -( NAS:National Academy Press) が 現 行 の食品安全性確保に関する法律や組織の見直し等を勧告する前述の「農場から食卓 ま で の 食 品 の 安 全 性 : 大 統 領 へ の 食 品 安 全 構 想 に 関 す る 報 告 ( Food Safety from Farm to TO Table : A National Food Safety Initiative Report to the President)」 を 公 表 し 、 こ れ を 受 け て 、 食 品 安 全 審 議 会 ( Food Safety Council) を 報 告 書 の 公 表 1 週 間 後 に 設 立 、世 論 の 流 れ を 受 け 、1999 年 に は 食 品 安 全 法 が 採 択され、食品検査、食品表示等の安全性関連業務を移管させるとともに、複数の関 係省庁にまたがる事項の調整を行なった。 我が国からの水産物輸出にあたっては、これら各省庁の機能と責任・権限には留 意しておく必要があると思われる FDA( 保 健 福 祉 省 食 品 医 薬 品 局 ) FDA は 、米 国 厚 生 省( USDHHS:Department of Health and Human Services) が所管する機関の一つであり、公共衛生確保の観点から食品や医薬品の安全を確保 す る 目 的 で 1930 年 に 設 立 さ れ た 。 FDA は 1983 年 に 制 定 さ れ た 「 連 邦 食 品 ・ 医 薬品・化粧品法」に基づき食品が安全で健全であることを保証する義務を有してお り 、食 品 の 安 全 基 準 を 設 け た り 、製 造 工 場 へ の 立 ち 入 り 検 査 を す る 権 限 を FDA へ 与えている。化粧品や医薬品、医療器具、動物用医薬品、飼料添加物の安全性確保 も FDA の 役 割 で あ る 。 FDA は 食 品 医 薬 品 “ 局 ” で あ り 、 組 織 的 に は 保 健 福 祉 省 の 下部組織だが、独立した行政機関として、立法、執行等の行政的な権限も有してい る 。 1991 年 か ら は FDA 長 官 は 議 会 の 承 認 が 必 要 な 大 臣 並 の 位 置 付 け と さ れ た 。 職 員 9,000 人 の う ち 2,100 人 程 が 科 学 者 で あ る と 言 わ れ て い る 。食 品 安 全 行 政 を 担 当 し て い る の は 食 品 安 全 性 及 び 応 用 栄 養 セ ン タ - ( CFSAN:Center for Food Safety and Applied Nutrition) で あ り 、 動 物 用 医 薬 品 や 飼 料 添 加 物 を 担 当 し て い る の が 動 物 用 医 薬 品 セ ン タ -(CUM:Center for Veterinary Medicine)で あ る 。 動 物 用 医 薬 品 の 安 全 性 評 価 と 基 準 の 設 定 は 、 原 則 的 に 農 薬 や 食 品 添 加 物 と 同 様 、 ADI の 設定、残留基準の設定という手順で行なわれるが、承認された動物用医薬品の内容 や 適 正 使 用 基 準 、残 留 基 準 等 は 施 行 規 則 と し て 定 め ら れ 、連 邦 規 則 集 の タ イ ト ル 21 ( 一 般 に「 21CFR」と 呼 ば れ る も の )に 記 載 さ れ る 。動 物 用 医 薬 品 や 飼 料 添 加 物 に 関 す る 規 則 は 、 パ -ト 500~ 599 に 収 め ら れ て い る 。 CFSAN( 食 品 安 全 性 及 び 応 用 栄 養 セ ン タ -) FDA の 中 で 食 品 安 全 を 主 に 監 督 し て い る の は CFSAN で あ る 。CFSAN は 、1984 年 に 食 品 局 ( Bureau ofFoods) が 改 名 さ れ 設 置 さ れ た 。 CFSAN の 本 部 は メ リ ー ランド州カレッジパークに拠点を置く他、同州ローレルとアラバマ州ドーフィンア イ ラ ン ド の 2 カ 所 に 研 究 拠 点 を 置 い て い る 。 総 勢 800 名 以 上 の ス タ ッ フ を 抱 え 、 -27 - 一般事務職の他に化学や微生物学、毒性学、食品工学、病理学、分子生物学、薬理 学、栄養学、疫学、数学、衛生学、医師、獣医等、多岐に渡る分野の専門家が従事 し て い る 。 食 品 と 化 粧 品 の 安 全 性 確 保 を 担 う CFSAN の 主 な 責 務 は 、 食 品 や 食 品 添 加物、バイオ技術で開発された原料などの安全性の確認、水産物とジュース類の HACCP 規 則 の 実 施 、 食 中 毒 や 化 学 汚 染 物 質 ・ バ イ オ 汚 染 物 質 な ど に 関 連 す る 健 康 上のリスクに対処する規制や研究プログラムの実施。食品の適切なラベル表示に関 す る 規 制 と 活 動 •栄 養 補 助 食 品 や 人 工 ミ ル ク 、医 療 食 品 な ど に 関 す る 規 制 や 政 策 の 実 施などである。 我が国から生鮮水産物を米国に輸出する際には、包装形態に真空パックを使用す る 場 合 、 Import Alert#16-125(21 CFR 123)に お け る “ 海 外 加 工 業 者 の 魚 類 及 び 魚 類 加 工 品 の 理 学 的 検 査 無 し の 留 置 ” か ら 除 外 す る 為 の 措 置 ( The Examption Green list へ の 記 載 ) の 為 に 、 CFSAN に そ の 対 処 方 法 の 承 認 を 得 る 必 要 が あ り 、 留 意 す べ き 部 署 で あ る 。 理 学 的 検 査 無 し の 留 置 ( DWPE: Detention without Physical Examination ) と は 、 米 国 に 貨 物 が 搬 入 さ れ る 際 に 、 輸 入 申 告 さ れ た 貨 物が理学的検査無しで留置されるという輸入手順であり、この手順に基づく留置を 除 外 す る 為の措置 には、ボ ツリヌス 菌等の増殖への対応手段としての TTI(Time-Temperature Indicater) や 酸 素 透 過 性 フ ィ ル ム の 使 用 等 が 考 え ら れ る が 、 い ず れ も HACCP プ ラ ン の 承 認 等 、 CFSAN の 許 可 が 必 要 と な る 。 ※対応部署は下記の通りである。 U.S. Food and Drug Administration Center for Food Safety and Applied Nutrition Office of Compliance Division of Enforcement Manufacturing and Storage Adulteration Branch(HFS-607) 5100 Paint Branch Parkway College Park, MD 20740-3835 -28 - 表 Ⅳ -2.1 真 空 パ ッ ク さ れ た 生 鮮 魚 類 の TTI 使 用 時 の HACCP プ ラ ン の 事 例 CCP1 CCP2 CCP3 工程 TTIの選定 TTI の 受 入 TTI の 保 管 危害 不 適 切 な TTI の 使 用 に よ り 製品に対する時間温度暴露 を正確に反映しないことに よる最終製品中の病原菌の 増 殖 お よ び 毒 素 の 産 生 /サ バ類毒素の産生 /C.botulinum 毒 素 の 産 生 適 合 し な い TTI の 使 用 及 び 輸送中の管理温度逸脱によ る、最終製品中の病原菌の 増 殖 お よ び 毒 素 の 産 生 /サ バ 類 毒 素 /C.botulinum 毒 素の産生 TTI の 不 適 切 な 取 扱 い に 起 因する時間温度暴露によ る、最終製品中の病原菌の 増 殖 お よ び 毒 素 の 産 生 /サ バ類毒素の産 /C.botulinum 毒 素 の 産 生 管理方法 製 品 に 対 す る 時 間 温 度 暴 露 受 入 れ 時 に 製 品 が TTI タ イ を 正 確 に 反 映 す る TTI を 選 プ Ⅲ で あ る こ と を 確 認 す 択し、使用する る。製造業者へデータロガ ー記録装置を返却後製造業 者から送付される時間温度 の暴露評価による証明書を 確認する。 管理基準 製 品 に 対 す る 時 間 温 度 暴 露 TTI は CheckPoint・ Ⅲ TTI が 使 用 期 限 を 越 え て い を 正 確 に 反 映 す る TTI の 選 Type EH で あ る 。 /送 付 さ な い こ と 。 /ロ ッ ト の 特 定 / 択 れ た TTI は 時 間 温 度 暴 露 評 保 管 温 度 25℃ 以 下 価基準を満たしている。 モニタ リング 方法 管理対象 科 学 的 根 拠 を 示 す 学 術 論 文 TTI/製 造 業 者 か ら 送 付 さ TTI 製 造 業 者 か ら 入 手 し た れ た 時 間 温 度 暴 露 評 価 書 文書 -製 品 規 格 書 -取 扱 い 説 明 書 適 切 な TTI の 購 入 -タ イ プ : TTI タ イ プ Ⅲ 新 規 購 入 時 に お け る TTI の 内部起動試験 TTI が 使 用 期 限 を 越 え て い な い こ と を 確 認 す る / TTI 輸送時の時間温度が明らか にされるまでロットを特定 し 。 25℃ 以 下 で 保 管 す る 。 TTI/保 管 庫 の 温 度 計 保管庫 場所 管理方法 HACCP チ ー ム に よ る 妥 当 性の確認 品質管理室担当者が目視で 確認 品質管理室担当者が目視で 確認 頻度 TTI 購 入 時 TTI 受 入 時 /証 明 書 の 送 付 時 使用前 担当者 品質管理室担当者 品質管理室担当者 品質管理室担当者 是正処置 TTI の 仕 様 に 変 更 が あ っ た 場 合 に は 、 HACCP チ ー ム がその妥当性を確認し、容 認/非容認を決定する 返品或いは廃棄 使 用 期 限 を 越 え て い る TTI を 廃 棄 す る 。/ 保 存 温 度 、ロ ットが管理されていない TTI を 廃 棄 す る 。 検証方法 モニタリング、修正措置及 モニタリング、修正措置及 モニタリング、修正措置及 び検証記録を作成後1週間 び検証記録を作成後 1 週間 び検証記録を作成後 1 週間 以 内 に 見 直 す 。/ H A C C P チ 以 内 に 見 直 す 以内に見直す ーム会議における検証を行 な う 。 (最 低 年 1 回 )/ テ ス トピースが正常に起動(起 動 ラ ベ ル を CheckPoint・ Ⅲラベルの上に、色を示す 窓の部分が見える状態で貼 付したのち、徐々にオレン ジに変化していく)するこ とを確認する 記録文書 科 学 的 根 拠 を 示 す 学 術 論 文 TTI Shipment Validation TTI 受 入 れ 記 録 /TTI 在 庫 管 / TTI 製 造 業 者 か ら 入 手 し Sheet/TTI 受 入 れ 記 録 /時 理 記 録 た 文 書( 製 品 規 格 書 / 取 扱 い 間 温 度 暴 露 評 価 書 説明書) -29 - CCP4 CCP5 工程 TTIの起動・貼付 配送 危害 TTI の 不 適 切 な 取 扱 い に 起 因する時間温度暴露によ る、最終製品中の病原菌の 増 殖 お よ び 毒 素 の 産 生 /サ バ類毒素の産生 /C.botulinum 毒 素 の 産 生 輸送中の不適切な取扱いに 起因する時間温度暴露によ る、最終製品中の病原菌の 増 殖 お よ び 毒 素 の 産 生 /サ バ類毒素の産生 /C.botulinum 毒 素 の 産 生 管理方法 反 応 テ ス ト を 実 施 し 、 TTI TTI が 指 標 の 温 度 を 越 え て が正しく反応することを確 反応していないことを確認 か め る 。 /正 常 に 起 動 し た する TTI が 貼 付 さ れ て い る こ と を確認する 管理基準 TTI の 起 動 可 能 温 度 (21℃ TTI が 温 度 の 影 響 に よ り 変 ~ 24℃ )で 45 分 ~ 1 時 間 色 ( ピ ン ク が か っ た 色 で な 経過で色がピンクがかった い)していないこと 色に変化 モ ニ タ リ ン グ 方法 管理対象 TTI 購 入 ロ ッ ト /包 装 さ れ たパッケージ毎 製 品 に 添 付 さ れ た TTI 場所 梱包室 保管庫 管理方法 作 業 開 始 前 /貼 付 作 業 中 に 目視で確認する 着荷時に目視で確認する 頻度 1 ロ ッ ト 毎 /全 数 1 ロ ッ ト 毎 /全 数 担当者 梱包室責任者 輸入業者 是正処置 反 応 テ ス ト の 結 果 が 判 明 す TTI の 管 理 基 準 を 超 え た 全 るまでロットは留保され ての製品を廃棄する。 る 。 /異 常 が 発 見 さ れ た 場 合 、正 常 に 起 動 し た T T I を 貼 付 す る /入 荷 し た 全 製 品 を製造業者へ返品し、原因 の分析を依頼する 検証方法 モニタリング、修正措置及 び検証記録を作成後 1 週間 以 内 に 見 直 す /TTI の 起 動 が正常に行われていること の 確 認 /製 品 受 領 時 に TTI 納入業者から提供される TTI Shipment Validation Sheet の 確 認 記録文書 TTI 在 庫 管 理 記 録 /TTI TTI 検 証 記 録 /工 程 管 理 表 / Shipment Validation 輸送温度記録 Sheet /TTI 受 入 れ 記 録 /工 程 管 理 表 モニタリング、修正措置及 び検証記録を作成後 1 週間 以 内 に 見 直 す /販 売 先 受 入 担当者からの連絡 ※ こ の HACCP プ ラ ン は 概 略 的 に 記 載 し た も の で あ り 、 参 考 程 度 と し て 頂 き た い 。 -30 - EPA( 環 境 保 護 庁 )〔 関 連 説 明 : 6 ペ ー ジ 参 照 〕 EPA は「 連 邦 殺 虫 剤 ・ 殺 菌 剤 ・ 殺 鼠 剤 法 」に 基 づ き 、牧 場 や 飼 料 作 物 等 に 使 わ れ る農薬の登録や適正な使用方法の設定を行なうばかりでなく、 「 連 邦 食 品・医 薬 品 ・ 化粧品法」による食品中への残留農薬基準の設定も行なっており、農薬に関しては 登 録 か ら 基 準 の 設 定 、 監 視 ま で 、 一 貫 し て EPA が 管 理 し て い る 。 登 録 さ れ た 農 薬 の 内 容 や 適 正 使 用 基 準 、 残 留 基 準 等 は 施 行 規 則 と し て 連 邦 規 則 集 の タ イ ト ル 40 ( 40FCR) パ -ト 150~ 189 に 記 載 さ れ て い る 。 農 薬 の 使 用 実 態 や そ の 他 の 環 境 汚 染 科 学 物 質 等 に よ る 汚 染 状 況 を 調 査 す る こ と も EPA の 作 業 の ひ と つ で あ り 、 養 殖 海 域 に お け る 環 境 汚 染 科 学 物 質 の リ ス ク 評 価 や 規 制 を 行 な っ て い る の は EPA の 下 部 組 織 と な る 、 汚 染 防 止 農 薬 有 害 物 質 局 (OPPTS:Office of Prevention,Pesticides and Toxic Substances)で あ る 。 USDA/FSIS( 農 務 省 /農 務 省 食 品 安 全 検 査 局 )〔 関 連 説 明 : 6 ペ ー ジ 参 照 〕 FSIS は 農 務 省 の 公 衆 衛 生 担 当 部 局 で 、「 連 邦 食 肉 検 査 法 」 に 基 づ き 、 食 肉 全 般 の 安全性確保に関する作業を行なっている。生産段階においては、家畜の病気の検査 や農薬・動物用医薬品の残留検査、流通段階においては食肉製品の表示、包装等の 規則の制定を行い、安全な食肉を消費者に届ける事ができるよう、生産者を監視・ 指導するほか、消費者が食肉を適切に扱う事ができるよう、消費者教育や消費者の 相 談 に 応 じ る こ と や 、「 連 邦 家 禽 肉 検 査 法 」「 連 邦 卵 検 査 法 」 に 基 づ き 家 禽 肉 や 卵 の 安 全 性 を 確 保 す る 事 も FSIS の 役 割 で あ る 。 動 物 用 医 薬 品 や 農 薬 等 の 科 学 物 質 に 関 し て 、 FDA や EPA が 設 定 し た 残 留 基 準 や 適 正 な 使 用 方 法 を 生 産 者 が き ち ん と 守 っ て い る か ど う か を モ ニ タ リ ン グ す る こ と も FSIS の 役 目 で あ る 。 ワ シ ン ト ン DC を 本部に、カリフォルニア、アイオワ、テキサス、アトランタ、フィラデルフィアの 5 箇 所 に 地 方 本 部 を 置 き 、更 に 26 箇 所 の 地 域 事 務 所 と 188 の 巡 回 検 査 事 務 所 を 使 い 検 査 ・ 指 導 ・ 監 督 を 行 な っ て い る 。 科 学 物 質 の 検 査 は NRP( National Residue Program)と 呼 ば れ る 残 留 物 質 検 査 法 に 基 づ き 毎 年 計 画 的 に 行 な わ れ 、ま た 微 生 物 学 的 な 衛 生 対 策 に お い て も 、 病 原 菌 低 減 化 プ ロ グ ラ ム 、 HACCP の 義 務 化 、 食 肉 の 取 り 扱 い 表 示 の 導 入 等 積 極 的 な 活 動 を 行 な っ て い る 。 こ れ ら FSIS の 施 策 は 、 施 行 規 則 と し て 連 邦 規 則 集 タ イ ト ル 9( 9CFR) に 記 載 さ れ て い る 。 3.食品安全行政の今後の動向 食品安全に関わる取り組みの中で、最も注目されるもののひとつに食品安全近代 化 法( FSMA:The Food Safety Modernization Act)が 挙 げ ら れ る 。同 法 は FDA に新たな執行権限を与え、予防・リスクに基づいた食品安全基準のコンプライアン ス遵守を食品製造工場へ義務付けたり、発生時の早急な対応及び拡散を阻止するこ とを狙いとしている。 ま た 、 輸 入 食 品 に つ い て も 国 産 食 品 と 同 様 の 基 準 を 適 用 す る と 同 時 に 、地 方 自 治 -31 - 体 と 連 携 し 統 合 し た 国 家 食 品 安 全 シ ス テ ム を 構 築 す る と し て お り 、 2011 年 1 月 にオバマ大統領が署名し、従来の事後対応から事前予防を強化する法律として制定 さ れ た 。FDA 長 官 は 、新 た な 規 定 に よ り ア メ リ カ 国 民 の 健 康 と 安 全 を 守 る た め に 、 食品安全制度を強化することは重要なステップであると述べ、今後の新たな政策の 重要課題と位置付けている。具体的には、食品加工施設による予防コントロール指 針 の 作 成 、 FDA に よ る 青 果 物 基 準 の 設 定 、 国 内 外 の 食 品 加 工 施 設 に お け る 立 ち 入 り 調 査 の 強 化 、 FDA に よ る リ コ ー ル 行 使 の 権 限 の 4 つ の 規 定 を 強 調 し て い る 。 また、最近の動きとして、日本からの輸入食品に関する安全強化の取り組みが挙 げ ら れ る 。 こ れ は 、 2011 年 3 月 に 日 本 で 起 き た 東 日 本 大 震 災 で 福 島 第 一 原 発 事 故 が 起 き 、 周 辺 地 域 の 農 産 物 か ら 放 射 性 物 質 が 検 出 さ れ た こ と を 踏 ま え 、米 国 は 福 島 、茨 城 、栃 木 、 群 馬 で 生 産 さ れ た 牛 乳 ・ 乳 製 品 、生 鮮 野 菜 及 び 果 物 等 の 輸 入 を 停 止 す る 方 針 を 表 明 し た 。 FDA は 米 国 税 関 国 境 警 備 局 ( CBP:U.S. Customs and Border Patrol)と 連 携 を 取 り な が ら 、CBP が 常 時 行 っ て い る 輸 入 製 品 、輸 入 貨 物 、 旅 行 者 所 持 品 の 放 射 性 物 質 検 査 を す る 自 動 特 定 シ ス テ ム ( Automated Targeting System ) を 駆 使 し 、 安 全 を 脅 か す 可 能 性 が あ る 製 品 の 検 知 を 行 っ て お り 、 段 階 的 に 規 制 を 緩 め つ つ は あ る も の の 、 FDA の 輸 入 検 査 ス タ ッ フ は 日 本 か ら の 規 制 対 象 製品全品を確認し、更なる検査が必要かどうかを分類しており、今後も厳密な監視 とスクリーニングが継続される。 4 . FDA の 権 限 下 に 移 行 し た リ コ ー ル の 仕 組 み 新たに制定された食品安全近代化法の重要な事項の一つに、強制的リコール権限 の FDA へ の 付 与( 第 206 条 )が あ る 。従 前 の 米 国 に お け る 食 品 の リ コ ー ル 制 度 は 、 FDA、USDA/FSIS の 二 つ の 行 政 庁 が 管 轄 し て い た が 、い ず れ の 場 合 も 原 則 と し て 事業者が自主的に行うものであり、当局が回収を要請できる仕組み(強制的なリコ ールの命令権限は裁判所が有していた)となっていた。 昨 年 、韓 国 に お い て 水 産 加 工 場( 缶 詰 製 造 ) の FDA の 査 察 時 に 、 GMP 違 反 と し て大規模な回収命令が下された事例が起きている。今後留意すべき事項でもある。 ( 健 康 に 対 す る 危 害 の 評 価 と 分 類 : FDA ガ イ ド ラ イ ン よ り ) ・その製品の使用によって、既に疾病や傷害が起きている ・ 現 状 を そ の ま ま に し て お け ば 、人 或 い は 動 物 の 健 康 に 対 す る 危 害 を 増 大 す る こ とになる ・ そ の 製 品 に 接 す る 可 能 性 が あ る 様 々 な 消 費 者 の う ち 、特 に リ ス ク が 最 も 大 き い 階層(幼児や病人等)に及ぼす危害の程度 ・リスクが大きい消費者集団が曝される健康危害の重大さ ・危害が起こる可能性 ・危害がもたらす結果(短期的、長期的影響) -32 - (クラス分類) ク ラ ス 1: 当該食品の摂取により深刻な病状を呈す、または死亡する可能性がある場合 ( 食 肉 で は 、 加 熱 前 の 牛 ひ き 肉 内 か ら O-157 が 検 出 さ れ た 時 や 、 調 理 済 み 製 品から リステリア菌が検出された場合など) ク ラ ス 2: 当 該 食 品 の 摂 取 に よ り 健 康 を 害 す る 可 能 性 が あ る 場 合( 例 え ば 、ソ ー セ ー ジ の 成分表示にアレルギー症状を引き起こす可能性のある原料が入っているとの注 記がなかった場合) ク ラ ス 3: 当 該 食 品 を 摂 取 し て も 、健 康 を 害 す る こ と は な い が 、連 邦 規 則 に 基 づ く 適 切 な 成分表示がされていなかった場合 (市 場 か ら の 撤 去 :Market withdrawal) リ コ ー ル 以 外 に 米 国 で は 、市 場 か ら の 撤 去 と い う 制 度 が あ り 、FDA の 法 的 措 置 の 対 象とならないものもある。これは、企業が産品を市場から撤去したり、違反を修正 したりするものである。 市 場 か ら の 引 き 上 げ ( Withdrawal) FDA や FSIS の 法 的 措 置 が 必 要 で 無 い 軽 度 の 違 反 が あ っ た 場 合 に 適 用 さ れ る 。又 は製造業者が、その製品が社内の仕様に合致していない等の他の理由で流通から引 き揚げたいと望む場合に適用される 在 庫 品 の 引 き 上 げ ( Retrieval) 製品がまだ小売段階の流通機構には入っていないで、社内にあり、製造業者自身が コントロールできる場合、又は倉庫に保管してあり、そこから流通機構に流れていな いことを製造業者が保証できる場合に、そのような製品の引き揚げに適用される 是 正 ( Correction) 製品の修復、修正、ラベルの張替え、その他製品が流通機構に留まれるように製 品を調整し、或いは規制当局の同意を得て、製品の廃棄を行う場合に取るべき段階 に関する規定 ※情報提供:鹿児島大学農学部教授 岡本嘉六様 -33 - -34 - Ⅴ .米 国 へ の 水 産 物 の 輸 入 の 仕 組 み 1.米国における水産物の安全性確保の経緯と関連規則 1993 年 4 月 FDA は 水 産 物 検 査 規 則 に HACCP を 義 務 付 け る 意 思 が あ る こ と を 表 明 し た 。 こ れ は 、 1991 年 に 米 国 科 学 ア カ デ ミ -が 水 産 物 に つ い て の 研 究 で 、 市 場でのほとんどの製品は消費者に危害を及ぼす事はないとしながらも、かなりのと ころで消費者にリスクを与えている事や、病気が起こっている事を指摘し、現在の 法規制の改善が必要であると勧告したためである。 米 国 海 洋 漁 業 サ -ビ ス ( NMFS: National Marine Fisheries Service) に お い て も 規 則 が 制 度 化 さ れ る ま で の 暫 定 措 置 と し て 、1993 年 5 月 に 自 主 的 な 検 査 プ ロ グ ラ ム で あ る National Seafood Inspection Program に お い て 、 品 質 管 理 の 部 分 を HACCP に 置 き 換 え る こ と を 発 表 し て 、 政 府 監 督 機 関 に お け る 合 意 が な さ れ た 。 こ れ ら 一 連 の 動 き に 対 し て 、 水 産 業 界 団 体 で あ る 全 米 水 産 協 会 ( NFI: National Fisheries Institute,Inc.) も そ の 適 用 を 全 面 的 に 支 持 し た 。 そ し て 、 1994 年 1 月 、 そ の 規 則 案 が 出 さ れ 、 1995 年 12 月 に 最 終 規 則 が 発 表 さ れ た 。 こ の 規 則 で 、 FDA は 水 産 物 の 安 全 性 確 保 を 現 在 よ り も 効 果 的 で 能 率 の 良 い シ ス テ ム に す る こ と 、 消費者の信頼度を上げること、また米国の水産物が世界の市場に引き続き受け入れ ら れ る よ う に す る こ と を 目 的 に し て い る 。 ま た 、 米 国 は 水 産 物 を 約 135 の 国 々 か ら 輸 入 し 、 そ の 数 量 は 全 米 で 消 費 さ れ る 水 産 物 の 55% 以 上 に も の ぼ り な が ら 、 輸 入 業 者 の 多 く が 、水 産 物 の 危 険 性 を 認 識 し て い な い 事 が 調 査 の 結 果 か ら 判 明 し た 為 、 輸 入 水 産 物 の 安 全 性 確 保 の 為 に も HACCP シ ス テ ム の 導 入 が 進 め ら れ た と も 言 わ れ ている。 米国へ水産物を輸入する場合、米国国内に流通する国産品と同様に連邦規制の対 象 と な る 。 米 国 で は 、 食 肉 ・ 家 き ん 肉 お よ び そ の 加 工 品 を 除 い て FDA の 所 管 で あ り 、 FDA は 、 食 品 に 関 す る 規 格 、 表 示 、 添 加 物 、 農 薬 残 留 、 衛 生 管 理 等 に つ い て の各種規制を行っている。 米 国 に 輸 入 し よ う と す る 食 品 が 仮 に FDA の 諸 規 制 に 適 合 し て い な い 場 合 に は 、 米国国内への流通を拒否され、留め置かれる。留め置かれた食品は輸入業者からの ヒ ア リ ン グ を 踏 ま え て 、 FDA の 規 制 に 適 合 、 食 品 以 外 の 用 途 に 転 用 、 破 棄 、 再 輸 出のいずれかの措置が取られる。 FDA の 規 制 に 適 合 さ せ る た め の 修 正 作 業 は 、FDA の 検 査 官 の 監 督 の 下 に て 行 わ れ 、費 用 は 輸 入 業 者 の 負 担 と な る 。 な お 、食 肉・家 き ん 肉 等 に つ い て は USDA の 所管であり、動物の輸入と検疫に関する法律に基づき輸入手続きが行われる。米国 へ の 食 品 一 般 の 輸 入 手 続 き は 、 FDA と 税 関 の 連 携 の 下 に 実 施 さ れ て お り 、 そ の 具 体 的 な 手 続 き は 次 の と お り で あ る 。 輸 入 業 者 等 は 、輸 入 品 が 到 着 す る 5 日( 営 業 日 ) 前 か ら 税 関 に 輸 入 に 関 す る 申 請 書 を 提 出 で き る 。 FDA は 、 税 関 か ら 次 の 書 類 等 に よ り 食 品 が 輸 入 さ れ る 通 知 を 受 け る 。FDA は 、輸 入 申 請 書 を 審 査 し て 輸 入 品 を 到着地検査、サンプリング検査等が必要かどうか決定する。 -35 - 検査が必要な場合、税関および輸入業者等にその旨通知する。サンプリングが行 わ れ た 後 、 サ ン プ ル は FDA の 検 査 室 に 運 ば れ 、 検 査 が 行 わ れ る 。 規 制 に 適 合 し て い な い 場 合 、FDA は 税 関 お よ び 輸 入 業 者 等 に 留 置 と ヒ ア リ ン グ の 実 施 告 知 を 行 う 。 FDA は 、 輸 入 の 迅 速 化 を 図 る た め 、 輸 入 業 者 等 に 次 の よ う な 指 導 を 行 っ て い る 。 輸入品が規制に適合していることを発送前に判断しておくこと、輸入前に民間検 査機関に輸入品のサンプリング検査を実施してもらい、分析結果を証明してもらう こ と 、 輸 送 契 約 の 前 に FDA の 規 制 に 精 通 し て お く こ と 、 ま た 、 輸 入 手 続 き を 十 分 に把握しておくことなどである。 食品安全近代化法においても輸入業者の責務は一段と重くなっており、バイオテ ロ法に基づく施設の登録の際の米国内エージェントと共に詳細な協議が必要となる。 (輸入水産物に対する特別の義務事項) 水 産 物 の 輸 入 に 関 し て は 、連 邦 規 則 タ イ ト ル 21 パ -ト 123.12 に お い て 、米 国 に 輸 入される魚介類および水産物に対して特別の義務事項を次のように規定している。 A.輸 入 者 が 行 な う べ き 検 証 業 務 : す べ て の 魚 介 類 及 び 魚 介 製 品 の 輸 入 者 は 、 次 の 要 件のいずれかに基づき輸入する (a)FDA と 有 効 な 覚 書( MOU)を 交 わ し て い る か 、ま た は 同 様 の 合 意 に 達 し て い る 国から魚介類および水産物を輸入する事。この同意とは、魚介類および水産物に 関するもので、米国と同等または米国の検査システムに従って検査している事、 当事者間の状況を正確に反映している事、および全ての部分において適正に機能 しており、施行可能である事が記載されている事。 (b)米 国 へ 輸 出 し た 魚 介 類 お よ び 水 産 物 が 、 本 パ -ト の 要 件 に し た が っ て 加 工 さ れ た 物である事を保証する為の文書による検証手順を作成し、実施すること。この手 順には、少なくとも、次のことが含まれていなければならない。 製 品 の 規 格 が 、連 邦 食 品・医 薬 品・化 粧 品 法 の 402 条 で 定 め ら れ て い る よ う に 、 危害が起ったり、健康に害をもたらすような粗悪なものでないこと、あるいは、非 衛 生 的 な 条 件 で 加 工 、取 り 扱 い を さ れ て い な い 事 を 確 認 す る よ う な も の で あ る こ と 。 確認のステップとしては次のようなものが含まれる ① 輸 入 し よ う と し て い る 特 定 の ロ ッ ト の 魚 介 類 お よ び 水 産 物 に つ い て 、本 パ -ト で 定 め ら れ て い る HACCP お よ び 衛 生 管 理 モ ニ タ リ ン グ の 記 録 を 輸 出 国 の 製 造 業 者 か ら入手する。 ②外国政府の検査機関または法的能力のある第三者機関から、輸入した魚介類およ び 水 産 物 が 本 パ -ト の 要 件 に し た が っ て 加 工 さ れ た も の で あ る こ と を 保 証 す る 旨 の証明書を包括的に、あるいはロット毎に入手する。 -36 - ③ 輸 入 し た 魚 介 類 お よ び 水 産 物 が 、本 パ -ト の 要 件 に 従 っ て 加 工 さ れ た も の で あ る こ とを保証するため、外国の製造施設を定期的に検査する。 ④ 外 国 製 造 業 者 の HACCP 計 画 、 お よ び 輸 入 し た 魚 介 類 お よ び 水 産 物 が 本 パ -ト の 要件に従って加工されたものである旨の外国製造業者からの文書による保証書 ( い ず れ も 英 文 ) の コ ピ -を 保 管 す る 。 ⑤輸入した魚介類および水産物を定期的に検査するとともに、輸入した魚介類およ び 水 産 物 が 本 パ -ト の 要 件 に 従 っ て 加 工 さ れ た も の で あ る 旨 の 外 国 製 造 業 者 か ら の 文 書 に よ る 保 証 書 ( 英 文 ) の コ ピ -を 整 理 し て 保 管 す る 。 ⑥ 本 パ -ト に 規 定 さ れ た 要 件 を 満 た し て い る こ と を 保 証 す る そ の 他 の 適 切 な 検 証 。 B.法 的 能 力 の あ る 第 三 者 機 関:輸 入 業 者 は 123.12A( b)に 規 定 さ れ た 検 証 活 動 の 一部を行なわせるため、または自ら行なう際の援助を得るために法的能力のある 第三者機関を雇う事ができる C.記 録:輸 入 業 者 は 123.12Ab(Ⅱ )に 規 定 さ れ た 確 認 手 段 の 実 施 お よ び そ の 結 果 を 英 文 で 記 録 し 保 管 し な け れ ば な ら な い 。 こ れ ら の 記 録 は 123.9 に 該 当 す る 規 定 に適合しなければならない D. 適 合 の 判 定 : 輸 入 に 供 さ れ る す べ て の 魚 介 類 お よ び 水 産 物 は 、 本 パ - ト に 従 っ た 条件の下で加工された事の証明がなければならない。もし輸入された魚介類およ び 水 産 物 が 本 パ -ト に 基 づ き 米 国 内 の 製 造 業 者 が 求 め ら れ て い る こ と と 同 等 の 条 件の下で加工された旨の証明がなければ、当該製品は粗悪品とみなされ、輸入が 認められない。 水 産 物 を 米 国 に 輸 出 す る 際 、 日 本 側 の 体 制 と し て 最 も 重 要 な の が 、 HACCP に 基 づいた手法で製造されたものでなければ米国での輸入通関ができないという点であ る 。 同 時 に 連 邦 食 品 医 薬 品 化 粧 品 法 ( FFDCA)、 公 正 包 装 表 示 法 ( FPLA) な ど に も適合することが必要となる。 そ の 他 、 マ グ ロ や サ ケ な ど 缶 詰 の 魚 介 類 の 場 合 、 HACCP を 基 本 と し た 低 酸 性 缶 詰 食 品 プ ロ グ ラ ム ( LACF 法 ) に 基 づ き 、 海 外 の 加 工 業 者 は 、 米 国 向 け の 輸 出 の 前 に 加 工 業 者 の デ ー タ と 、加 工 手 順 の 詳 細 を FDA に 届 け 出 て 登 録 す る 必 要 が あ り 、 貝 類(貝柱やムール貝、カキなど)を輸出する場合は、有害物質を含む食品や栄養分 表示などについて規定した連邦食品医薬品化粧品法や貝の捕獲海域や運搬、衛生管 理方法などを規定した国家甲殻類衛生プログラムに従うことが必要となる。 さらにバイオテロ法により、米国へ輸入される食品について製造施設をあらかじ め FDA に 登 録 す る こ と と 、 輸 出 案 件 ご と に 貨 物 が 米 国 に 到 着 す る 前 、 一 定 期 間 内 に FDA に 貨 物 に つ い て の 必 要 情 報 を 通 知 す る こ と が 義 務 付 け ら れ て い る 。 -37 - 2.バイオテロ法による食品輸入規制 米 国 で は 、2001 年 9 月 11 日 の 同 時 多 発 テ ロ 、そ の 後 の 炭 疸 菌 事 件 以 降 、セ キュリティを強化する一方、セキュリティ関連の新しい法律を制定するなど、危機 管理を進めている。食品も例外ではなく、バイオテロ法(公衆の健康安全保障なら び に バ イ オ テ ロ へ の 準 備 お よ び 対 策 法 : The Public Health Security and Bioterrorism Preparedness and Response Act of 2002) は 、 同 時 多 発 テ ロ 等 を 受 け 、2002 年 6 月 に ブ ッ シ ュ 米 国 大 統 領 の 署 名 に よ り 成 立 し 、2003 年 12 月 12 日 に 施 行 さ れ た 。 同 法 に 基 づ く 食 品 関 連 規 則 と し て 、 食 品 関 連 施 設 の 登 録 、 食 品輸入の事前通告、 食品に関する記録の整備・保持、 行政による留め置き等の 4 つのルールが定められている。 さ ら に 、2011 年 1 月 4 日 に 制 定 さ れ た 食 品 安 全 近 代 化 法 に よ り 、バ イ オ テ ロ 法 の義務要件の一部が改正された。食品安全に関わるバイオテロ法の大きなポイント は、国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造、加工、包装、保管する米 国 内 外 の 施 設 は 、 バ イ オ テ ロ 法 305 条 の 規 定 に 基 づ き 、 2003 年 よ り 、 FDA に 登 録することが義務付けられた点である。 食 品 安 全 強 化 法 第 102 条 ( 食 品 医 薬 品 化 粧 品 法 第 415 条 ) に よ り 、 偶 数 年 の 10 月 1 日 か ら 12 月 末 ま で に 、 登 録 施 設 は 登 録 を 更 新 し な け れ ば な ら な い こ と と な り 、 登 録 更 新 は 2012 年 10 月 22 日 か ら 開 始 さ れ た 。 (1) 食品関連施設の登録 米国国内で人や動物の消費に供するための食品を製造/加工、包装、保管す る 国 内 外 の 施 設 は 、 FDA に 登 録 す る こ と が 義 務 付 け ら れ た 。 具 体 的 に は 、 施 設に対し責任を有する所有者、操業者、代理人、またはその権限を委任された 者は、施設名称、住所、施設が扱う食品分類などの情報を登録しなければなら ない。 さらに、外国施設については、代理人を登録しなければならない。また、登 録内容に変更がある場合には、決められた期間内に修正しなければならないと している。 対象となる食品は、一部例外を除いて、栄養補助食品および栄養成分、乳幼 児 用 ミ ル ク 、飲 料 (ア ル コ ー ル 飲 料 お よ び ボ ト ル 入 り の 水 を 含 む )、果 物 、野 菜 、 魚、水産加工品、乳製品、殻付き卵、食品または食品の材料として使用される 農 業 原 材 料 、缶 詰 、冷 凍 食 品 、パ ン 菓 子 、ス ナ ッ ク 食 品 、キ ャ ン デ ィ ー (チ ュ ー イ ン ガ ム を 含 む )、食 用 動 物 の 生 体 、動 物 飼 料 お よ び ペ ッ ト フ ー ド な ど で あ る 。 また、外国施設で、米国への輸出前に、さらに他の外国施設で製造加工や包 装される食品を製造する施設も除かれる。ただし、その加工や包装がラベル貼 りなど最小限のものである場合には例外とならず、製造加工施設と最小限の処 理 施 設 両 方 の 登 録 が 必 要 と な る 。 FDA に よ れ ば 、 約 42 万 ヵ 所 の 国 内 外 の 施 設 が 対 象 と な り 、 FDA は 登 録 さ れ た 施 設 に 対 し 、 個 々 の 登 録 番 号 を 割 り 当 て -38 - る。登録は、インターネット を通じた電子的手段や郵送で行うことができる。 なお登録費用は無料である。 (2) 食品輸入の事前通告 輸 入 業 者 は 、輸 入 食 品 が 米 国 の 国 境 に 到 着 す る 5 日 前 か ら 以 下 の 時 間 ま で に FDA に 食 品 輸 入 の 事 前 通 告 を す る こ と が 義 務 付 け ら れ る 。 ア 道路輸送の場合は到着の 2 時間前まで イ 航空や鉄道輸送の場合は到着の 4 時間前まで ウ 海上輸送の場合は到着の 8 時間前まで エ 手荷物あるいは預け入れ荷物として持ち込まれる食品が事前通告対象食 品 で あ る 場 合 は 、輸 送 形 態 毎 に 個 別 に 設 定 さ れ た タ イ ム フ レ ー ム 。(FDA の事前通告確認書が必要) オ 国 際 郵 便 の 場 合 は 、 食 品 の 郵 送 前 に FDA が 電 子 通 知 を 受 信 ・ 確 認 す る 必 要 が あ る 。 (小 包 に は FDA の 事 前 通 告 確 認 書 を 添 付 す る 必 要 が あ る ) 飲料を含むすべての輸入食品が事前通告の対象となるが、個人が個人用にア メ リ カ に 持 ち 込 む 食 品 や 、 USDA の 専 管 物 資 ( 肉 、 家 き ん 肉 、 卵 製 品 )、 輸 出 されるまで到着地を出ない食品、個人の住居内で作られ、個人的な贈り物とし て個人によってアメリカ内の個人に対して送られる食品には適用されない。 (3) 食品に関する記録の整備・保持 食品の製造、加工、包装、流通、荷受、保管、輸入業者は、食品をどこから 仕入れ、どこへ出荷したかを記録しなければならない。この規則は、米国で消 費向け食品を出荷し、受け取るすべての業者に適用される。 農家、レストラン、加工処理を行わない漁船、農務省専管の企業などは対象 外である。外国施設については、そこで製造される食品が、外国の施設でさら に製造、加工、包装などをされる場合は対象外となる。 また、小売業者が消費者に直接食品を販売する場合も、出荷先の記録保持は 免 除 さ れ る 。 食 品 産 業 へ の 経 済 的 負 担 を 最 小 限 に す る た め 、記 録 は 必 要 と さ れ る情報が含まれれば、紙、電子媒体など自由な様式で保存でき、既存の記録も 必要な情報が含まれていれば活用可能とされている。 当該食品が法定基準に合致せず、人または動物の健康を著しく損なう、もし く は 死 に 至 ら す 重 大 な 脅 威 が あ る と の 合 理 的 証 拠 を FDA が 得 た 場 合 、業 者 は 記録を営業時間内(午前 8 時~午後 6 時)の場合は 4 時間以内、その他の 場 合 は 8 時 間 以 内 に FDA に 提 示 で き る よ う に し な け れ ば な ら な い 。 輸 送 業 者(トラック、個人業者、貨物列車、航空会社など)も同様の記録を保存する ことが求められる。必要な記録を整備・保持していない場合は違法となり、連 邦 政 府 に 起 訴 さ れ る 可 能 性 が あ る 。 記 録 は 対 象 行 為 が 行 わ れ た 時 点 で 行 い 、保 持すべき期間は、直接消費される生鮮食料品やペットフードを含む動物飼料な -39 - どの場合は 1 年間、その他は 2 年間としている。 3.物流セキュリティ規制に関する動向 米 国 向 け 海 上 貨 物 に 関 す る セ キ ュ リ テ ィ 規 制 は 、2001 年 9 月 の 同 時 多 発 テ ロ 事 件 以 降 、 急 速 に 強 化 さ れ て お り 、 こ れ ら の 規 制 は 主 に 税 関 国 境 保 護 局 ( CBP) に よ っ て 実 施 さ れ て い る 。 具 体 的 に は 2002 年 以 降 、「 コ ン テ ナ ・ セ キ ュ リ テ ィ ・ イ ニ シ ア チ ブ( CSI)」、 「 24 時 間 ル ー ル 」、 「 C-TPAT( テ ロ 行 為 防 止 の た め の 税 関 ・ 産 業 界 パ ー ト ナ ー シ ッ プ )」が 相 次 い で 導 入 さ れ 、現 在 こ れ ら の セ キ ュ リ テ ィ 規 制 が 多 層的に実施されている。規制強化は今なお続いており、多層的に運輸セキュリティ を強化してきている。 ( 1 ) コ ン テ ナ ・ セ キ ュ リ テ ィ ・ イ ニ シ ア チ ブ ( CSI) 2002 年 3 月 か ら 実 施 さ れ た CSI は 、米 国 向 け 海 上 コ ン テ ナ に 大 量 破 壊 兵 器 を 隠 匿 し 米 国 内 で 爆 発 さ せ る 等 の テ ロ を 未 然 に 防 止 す る た め 、CBP の 職 員 を 海 外へ派遣し、外国税関の協力を得て、ハイリスク・コンテナを識別し、検査す る プ ロ グ ラ ム で あ る 。 現 在 58 の 港 で 実 施 中 で あ り 、 米 国 に 向 け て 出 荷 さ れ る コ ン テ ナ 量 の 86% を カ バ ー し て い る 。日 本 は 2003 年 3 月 か ら 相 互 主 義 に 基 づき実施している。 ( 2 ) 24 時 間 ル ー ル 2002 年 12 月 か ら 実 施 さ れ て い る 24 時 間 ル ー ル は 、外 国 港 で の 船 積 み 24 時間前までに、船社などに積荷目録情報の提出義務を課す制度である。事前情 報の提出が求められる対象は海上貨物に限定されず、航空・陸上貨物にまで範 囲 が 広 げ ら れ て お り 、 2004 年 以 降 段 階 的 に 実 施 さ れ て い る 。 10+2 ル ー ル の 導 入 に よ り 、 24 時 間 ル ー ル の 積 荷 目 録 情 報 と 輸 入 者 が 提 出 す る 10 項 目 の 貨 物 情 報 が CBP で 船 荷 証 券 番 号 に よ り 結 び 付 け ら れ 、照 合 さ れ る こ と と な っ た 。 ( 3 ) C-TPAT( テ ロ 行 為 防 止 の た め の 税 関 ・ 産 業 界 パ ー ト ナ ー シ ッ プ ) 2002 年 4 月 か ら 実 施 さ れ て い る C-TPAT は 、 セ キ ュ リ テ ィ 面 の コ ン プ ラ イアンスに優れた輸入者等に対し、検査率の減少等の優遇措置を施す制度であ る 。 C- TPAT 参 加 企 業 に と っ て の 利 益 は 、 検 査 率 の 減 少 、 検 査 が 必 要 に な っ た 場 合 の 優 先 的 実 施 等 が 含 ま れ る 。C-TPAT は 、約 9, 000 社 の メ ン バ ー が 参 加 す る 2001 年 9 月 の テ ロ 事 件 以 降 で 最 も 大 規 模 か つ 成 功 し た 官 民 の パ ー ト ナ ーシップである。 C-TPAT 参 加 メ ン バ ー が 扱 う コ ン テ ナ 貨 物 の 総 数 は 、米 国 に 入 っ て く る 貨 物 数の半分に達しており、国際的に活動する企業の負担軽減を図る観点から、米 -40 - 国 の C-TPAT と こ れ に 相 当 す る 諸 外 国 の AEO( 認 定 事 業 者 ) 制 度 の 相 互 承 認 も 進 ん で い る 。 日 本 の AEO 制 度 と も 、 2009 年 6 月 に 相 互 承 認 が 実 現 し 、 日 本 の AEO 企 業 か ら の 輸 入 貨 物 の 検 査 率 の 軽 減 、日 本 の 関 連 事 業 者 が AEO 企 業 の 場 合 の C-TPAT 参 加 者 に 対 す る バ リ デ ー シ ョ ン の 簡 素 化 等 の 優 遇 措 置 が 与 えられることとなった。 ( 4 ) 10+2 ル ー ル 2008 年 11 月 に 公 表 さ れ た 暫 定 最 終 規 則 の も と で は 、危 険 度 の 高 い コ ン テ ナ の 特 定 作 業 を 改 善 す る た め 、1.輸 入 者 に 米 国 向 け 貨 物 に 関 す る 10 項 目 の 情 報 、 2. 船 社 に 2 項 目 の 情 報 を 事 前 に CBP に 提 出 す る こ と と さ れ て い る 。 暫 定 最 終 規 則 に 基 づ き 、 罰 則 な し の 試 行 運 用 が 2009 年 1 月 26 日 に 開 始 さ れ 、 1 年 間 の 試 行 期 間 を 経 て 、 2010 年 1 月 26 日 か ら 罰 則 を 含 め 完 全 実 施 さ れ た 。 暫 定 最 終 規 則 で は 、 輸 入 者 の 違 反 は 1 件 当 た り 5,000 ド ル の 罰 金 と さ れ て い る 。 ( 輸 入 者 に 求 め ら れ る 情 報 -10 項 目 ) 1.売 り 主 2.買 い 主 3.記 録 上 の 輸 入 者 登 録 番 号 / 外 国 貿 易 地 帯 ( FTZ) 申 請 者 識 別 番 号 4.荷 受 人 番 号 5.製 造 業 者 6.配 送 先 7.原 産 国 8.商 品 の HTSUS 番 号 ( 6 桁 ) 9.コ ン テ ナ 積 み 込 み 場 所 10.混 載 業 者 ( 詰 め 込 み 業 者 ) ( 船 会 社 に 求 め ら れ る 情 報 -2 項 目 ) 1.船 積 み 計 画 書 2.コ ン テ ナ 状 況 メ ッ セ ー ジ ( 5 ) 100% 検 査 2007 年 に 成 立 し た「 9.11 委 員 会 勧 告 実 施 法 」に よ り 、2012 年 ま で に 外 国 港 に お い て 船 積 み さ れ る 全 て の 米 国 向 け コ ン テ ナ が 非 接 触 型 透 過 装 置( Ⅹ 線 、 γ 線 )及 び 放 射 線 検 知 装 置 に よ り ス キ ャ ン さ れ る こ と と な っ た 。航 空 貨 物 に つ い て は 米 国 運 輸 保 安 局 ( TSA) に 対 し 、 米 国 発 の 旅 客 機 ( 国 内 線 を 含 む ) に 積 載 さ れ る 航 空 貨 物 を 2010 年 8 月 ま で に 開 被 検 査 ま た は 非 接 触 型 装 置 ( X 線 ま た は 放 射 線 検 知 装 置 )に よ り 100%検 査 す る こ と を 求 め て い る 。TSA は 認 定 貨 物 検 査 プ ロ グ ラ ム ( CCSP: Certified Cargo Screening Program) を -41 - 導 入 し 、製 造 業 者 、倉 庫 、配 送 セ ン タ ー 等 の 検 査 施 設 を 認 定 す る こ と に よ り 航 空 会 社 や フ ォ ワ ー ダ ー に 引 き 渡 す 前 の 検 査 を 認 め る こ と で 、 100% 検 査 の 目 標を実現することとしている。 4. 食 品 安 全 近 代 化 法 ( FSMA) の 動 向 2011 年 1 月 4 日 、 食 品 安 全 強 化 法 ( Food Safety Modernization Act) が 成 立 し た 。同 法 は 40 数 条 か ら 構 成 さ れ て お り 、一 部 の 条 項 は 成 立 と 同 時 に 施 行 さ れ 、 それ以外の条項は、それぞれ同法で定められたスケジュールに従って施行されてい る。食品安全強化法は、米国で現実に多発する食品の危害を防止し、国民の健康を 保 護 す る た め に は 、従 来 重 視 さ れ て い た リ ス ク 評 価 の ほ か に 、生 産 、輸 入 か ら 流 通 、 消費に至る過程で発生するリスクの予防管理を強化しなければならないとの認識に 立っている。そのため、国内事業者及び輸入事業者の予防管理の責任について罰則 をもって強化するとともに、予防管理徹底のほか事故が生じた場合の迅速な原因究 明 、被 害 の 拡 大 の 防 止 の た め 、FDA の 検 査 、記 録 閲 覧 、回 収 の 権 限 な ど を 強 化 す る 措置を導入している。 これは、食品安全の確保について基本的には生産や流通の過程を問わない、食品 安全近代化法は、この結果、国内外の輸出入事業者を含食品事業者に大きな負担を 要求することになると思われる。 た だ 、 現 時 点 で 、 同 法 の 具 体 的 な 内 容 は ま だ 明 ら か に さ れ て お ら ず 、 今 後 1~ 2 年の間に作成される関連の連邦規則との関連性において様々な検討が加えられ、施 行されることが予想される。 付 録 . 9 に 、 米 国 食 品 安 全 強 化 法 ( 公 法 111-353) の 概 要 と 解 説 を 添 付 す る 。 -42 - Ⅵ 日 本 貿 易 振 興 機 構 ( JETRO) ジ ェ ト ロ ・ ニ ュ ー ヨ ー ク 事 務 所 我 が 国 と 米 国 と EU の 水 産 物 貿 易 の 関 係 を 把 握 す る こ と や 我 が 国 の 対 米 貿 易 に 関 す る 情 報 を 収 集 す る た め に 、日 本 貿 易 振 興 機 構( JETRO)ジ ェ ト ロ・ニ ュ ー ヨ ー ク 事務所を訪問して、ヒアリング調査にご協力を頂いたので、その内容を紹介する。 関 連 資 料 11: JETRO 米 国 食 品 市 場 概 況 と 水 産 物 輸 出 入 1.米国の市場について ① 米 国 は 、 世 界 一 の GDP( 14.6 兆 ド ル ) を 誇 り 、 人 口 は 約 3 億 1 千 万 人 で あ り 、 毎年300万人近く増加を続けていることから、高い購買力と成長する市場が見 込める国である。 ②多様な民族から成り立っているため、新しいものに対しての重要性が高い。 ③法制度や税制度が整備されており、商売の失敗は少なく、契約書通りに物事を進 められることからビジネスを行いやすい。 2.米国における日本の水産物流通 (1) 近年の米国における日本の水産物の流通、消費の状況 ① 日 本 の 主 要 食 品 輸 出 先 国 の 金 額 の 順 位 〔 2011 年 〕 は 、 1 位 香 港 ( 約 806 億 円 )、 2 位 米 国 ( 約 530 億 円 )、 3 位 台 湾 ( 約 350 億 円 )、 8 位 E U ( 約 134 億 円 ) と な っ て い る 。 ② 政 府 の 肥 満 対 策 に よ り 、健 康 志 向 が 高 ま り 、日 本 食 の 人 気 も 高 い こ と か ら 日 本食レストランが増加傾向にある。 ③ 東海岸(ニューヨーク等)は、人口密度が高く、高所得者層も多い。また、 メディアも集中しているので情報発信に有効である。 西 海 岸( ロ サ ン ゼ ル ス 、サ ン フ ラ ン シ ス コ 等 )は 、日 本 食 レ ス ト ラ ン が 多 く 、 日 系 食 品 商 社 も 多 く が 拠 点 を 置 い て 活 動 し て い る 。日 本 か ら 距 離 が 近 い こ と も優位である。 南 部 や 中 西 部 で は 、日 本 食 普 及 は 少 な い が 、今 後 の 市 場 拡 大 に は 期 待 が で き る 。 ④ 日 本 の 対 米 輸 出 食 品 の 動 向 に つ い て 、 輸 出 食 品 の 金 額 の 順 位 〔 2011 年 〕 は 、 1 位 ブ リ 類 ( 約 71 億 円 )、 2 位 そ の 他 の 調 味 料 〔 醤 油 、 味 噌 、 ケ チ ャ ッ プ 、 マ ス タ ー ド を 除 く 〕( 約 47 億 円 )、 3 位 清 酒 ( 約 32 億 円 )、 4 位 ス ナ ッ ク 菓 子 ( 約 24 億 円 )、 5 位 か ま ぼ こ ・ 練 り 製 品 ( 約 23 億 円 )、 8 位 ホ タ テ ( 約 20 億 円 ) で あ り 、 上 位 10 品 目 に 水 産 食 品 は 3 品 が 入 っ て い る 。 ア メ リ カ に な い 日 本 し か な い 魚 と し て ブ リ 、ハ マ チ の 人 気 が 高 い 。ま た 、近 年 は 、安 く て 使 い や す い こ と か ら 、冷 凍 の 方 が 生 鮮 よ り も 取 り 扱 い が 多 く な っている。 -43 - ⑤ 日 本 の 対 米 輸 出 食 品 の 金 額 の 順 位 〔 2011 年 〕 で 、 水 産 物 に 限 定 す る と 、 1 位ブリ類、2 位ホタテ、3 位マグロ(約 4 億円)となっている。アメリカ 人 が 食 べ る マ グ ロ は 、イ ン ド ネ シ ア 等 、東 南 ア ジ ア 産 が 多 く 、色 目 を つ け る た め に CO( 一 酸 化 炭 素 )加 工 さ れ て い る も の が 多 い と 聞 い て い る 。日 本 国 内の流通では、CO加工されたものは禁止されている。 ( 2 ) 米 国 の 食 品 流 通 、消 費 に お け る 日 本 の 水 産 物 に 係 る 全 般 的 及 び 品 質・衛 生 管 理等の要請 ① 米 国 が 日 本 か ら 輸 入 で き な い 食 品 と し て 、ⅰ )畜 肉 及 び 畜 肉 エ キ ス を 含 む 製 品 ( 動 物 防 疫 の 観 点 か ら 輸 入 不 可 )、 ⅱ ) 青 果 ( USDA の ポ ジ テ ィ ブ ・ リ ス ト に 記 載 さ れ た も の は 可 )、 ⅲ ) 米 国 が 認 め て い な い 食 品 添 加 物 や 着 色 料 を 含 む 食 品 、ⅳ )HACCP を 用 い た 衛 生 管 理 を 行 っ て い な い 水 産 物 等 が 挙 げ ら れる。 ② FDA が HACCP を 推 進 し て お り 、 日 本 に 馴 染 ま な い こ と も 考 え ら れ る が 、 米 国 で は 、 衛 生 管 理 に 対 し て は HACCP が 基 本 で あ る 。 ③ 米 国 で は 、 2002 年 に 制 定 さ れ た バ イ オ テ ロ 法 に 基 づ き 、 FDA に 食 品 関 連 施 設 の 登 録 と 輸 入 事 前 通 告 が 義 務 付 け ら れ て い る 。米 国 外 の 施 設 を 登 録 す る 場合、関連会社や取引先を米国代理人として指定することが一般的である。 ④ 米 国 で は 、 2011 年 1 月 に 成 立 し た 食 品 安 全 強 化 法 ( Food Safety Modernization Act) に よ り 、 FDA の 権 限 が 多 岐 に 渡 り 強 化 さ れ て い る 。 このうちの一つに、米国の食品輸入者に輸入食品の安全検証を義務づける ( 食 品 安 全 強 化 法 第 301 条 ) も の が あ る が 、 水 産 物 HACCP、 ジ ュ ー ス HACCP プ ロ グ ラ ム の 対 象 食 品 は 適 用 除 外 と な っ て い る 。 他 に 、FDA に よ る 外 国 施 設 の 検 査 強 化( 食 品 安 全 強 化 法 第 201 条 、第 306 条 ) が あ り 、 食 品 安 全 強 化 法 に よ り 、 FDA に よ る 検 査 を 拒 否 し た 外 国 施 設 か ら の 輸 入 は 禁 止 さ れ る こ と に な る 。再 検 査 の 場 合 、手 数 料 が 徴 収 さ れ る 可 能性がある。 ⑤ 日 本 で も 、 FDA の 査 察 は 今 後 も 増 え る 見 込 み で あ る 。 ⑥ 日 本 の 水 産 業 界 、 流 通 業 界 に 対 す る FDA の 食 品 安 全 強 化 法 の 影 響 は 、 査 察 が 増 え 、 HACCP の グ レ ー ゾ ー ン の 指 摘 が 厳 し く な っ て い る 。 ⑦ ニ ュ ー ヨ ー ク の 話 だ が 、寿 司 レ ス ト ラ ン の チ ェ ッ ク は 厳 し い と い う 話 を 聞 く 。 ⑧ JETRO で は 、2012 年 12 月 に ニ ュ ー ヨ ー ク 、2013 年 1 月 に 日 本( 東 京 、 名 古 屋 、大 阪 )で 米 国 食 品 安 全 強 化 法 セ ミ ナ ー を 開 催 し て 周 知 と 対 策 を 図 っ ている。 (3) 日本の食品輸出ビジネスに対するアドバイス ① 対 象 製 品 の 市 場 適 合 性 を 理 解 し て 、地 域 、人 種 、文 化 、販 売 対 象 等 の タ ー ゲ ッ ト を 絞 り 、タ ー ゲ ッ ト に 合 っ た 商 品 ス タ イ ル の 検 討 を 行 い 、市 場 調 査 や 販 売 先 と の 連 携 を 図 る こ と が 必 要 で あ る 。米 国 は 、日 本 の 25 倍 も の 面 積 が あ り 、マ ー ケ ッ ト の 規 模 は 、米 系 ・ ヒ ス パ ニ ッ ク 系 > 中 、韓 国 系 > 日 系 と な っ -44 - ている。競合商品や最終消費者のニーズを掴むことも重要である。 ② 高品質、差別化等の特徴や日本産であることのメリットを活かすこと。 ③ 新 規 性 や 特 徴 が な い と 既 存 製 品 と の 差 別 化 が 図 れ ず 定 着 し な い 。ま た 、日 本 で流行したものが米国ではやるとは限らないことにも注意が必要である。 ④ 動物検疫、植物検疫をクリアできるものであることも注意が必要である。 (4) 米国の食品衛生行政に対する日本企業の対応 ① 日 本 企 業 の 多 く は 、 FDA に 目 を つ け ら れ る こ と を 嫌 い 、 積 極 的 に 意 見 を 述 べ な い 傾 向 に あ る が 、 中 国 や 韓 国 の 企 業 は 、 FDA に 自 ら の 意 見 を 述 べ て 主 張を通している傾向が見られる。 ② 科 学 的 根 拠 を 基 に FDA と 交 渉 を 行 え ば 、こ れ ま で 輸 入 規 制 さ れ て い た 食 材 の輸入許可がなされた事例はある。 例 え ば 、日 本 の 下 関 の フ グ が 米 国 の 日 本 食 レ ス ト ラ ン に 納 品 さ れ て い る 事 例 がある。 3 . 米 国 水 産 物 の 食 品 貿 易 の 状 況 ( 対 EU 輸 出 入 含 む ) ① 米 国 の 主 要 食 品 輸 出 先 国 の 金 額 の 順 位 〔 2011 年 〕 は 、 1 位 カ ナ ダ ( 約 214 億 ド ル )、 2 位 メ キ シ コ ( 約 160 億 ド ル )、 3 位 中 国 ( 約 150 億 ド ル )、 4 位 日 本 ( 約 140 億 ド ル )、 5 位 EU( 約 102 億 ド ル ) と な っ て い る 。 ② 米 国 の 水 産 物 の 輸 出 額 〔 2011 年 〕 は 、 約 50 億 ド ル で あ る 。 ③ 米 国 の 水 産 物 に お け る 主 要 輸 入 国 の 金 額 の 順 位〔 2011 年 〕は 、1 位 中 国( 約 26 億 ド ル )、2 位 カ ナ ダ( 約 25.1 億 ド ル )、3 位 タ イ( 約 24.9 億 ド ル )、10 位 EU( 約 4 億 ド ル )、 14 位 日 本 ( 約 2.5 億 ド ル ) で あ る 。 ④ 米 国 の 水 産 物 に お け る 主 要 輸 出 国 の 金 額 の 順 位 〔 2011 年 〕 は 、 1 位 EU( 約 13 億 ド ル )、 2 位 中 国 ( 約 11.5 億 ド ル )、 3 位 カ ナ ダ ( 約 11.3 億 ド ル )、 4 位 日 本( 約 8 億 ド ル )で あ る 。こ の こ と か ら 米 国 に と っ て EU は 、水 産 物 輸 出 において、中国、カナダをしのぐ取引先であることがわかる。 ⑤ 米 国 の 対 EU 輸 出 水 産 物 品 目 の 順 位〔 2011 年 〕は 、1 位 フ ィ レ( 約 4 億 ド ル )、 2 位 冷 凍 魚 ( 約 3 億 ド ル )、 3 位 甲 殻 類 ( 約 2 億 ド ル )、 4 位 貝 類 ・ イ カ ・ タ コ ( 約 1.5 億 ド ル ) で あ る 。 ⑥ 米 国 の 対 EU 輸 出 水 産 物 の う ち 魚 種 の 金 額 順 位〔 2011 年 〕は 、1 位 た ら 類( 約 2.2 億 ド ル )、2 位 ロ ブ ス タ ー( 約 1.8 億 ド ル )、3 位 ホ タ テ( 約 1.2 億 ド ル )、 4 位 さ け ・ ま す ( 約 1.2 億 ド ル )、 5 位 魚 卵 ・ 肝 ( 約 0.5 億 ド ル ) で あ る 。 -45 - 図 Ⅵ -3.1 参 JETRO ニ ュ ー ヨ ー ク 事 務 所 で の 調 査 考 本報告書で記述されている単位の説明 用 語 説 明 ドル 調 査 当 時 は 、 1 ド ル が 83~ 84 円 位 ポンド 1 ポ ン ド = 約 0.45 キ ロ グ ラ ム フィート 1 フ ィ ー ト = 30.48 セ ン チ メ ー ト ル hp 1 kW = 1.34 hp( 英 馬 力 ) “ HP” も 使 わ れ る Mton 1 メ ト リ ッ ク ト ン = 1000 キ ロ グ ラ ム 華 氏 温 度 記 号 °F に 対 し 、 摂 氏 温 度 記 号 ℃ 華氏 関係式 F = ( C ×9 ÷5 ) + 3 2 -46 - Ⅶ 米国産の水産物における生産・加工・流通現場の調査 米国の主要な産地であるシアトル地区及び大消費地であるニューヨーク地域で、 水産物の生産、輸入および国内調達、加工、流通、販売を行っている水産物取り扱 い業者に対して、次の①~③の観点から業務見学とヒアリング調査を行った。 ① 品質衛生管理に係る対応 ② 日本産水産物の、米国における流通消費の現状、問題点 ③ 米国食品安全強化法への対応 ※ 調 査 は 、 平 成 24 年 12 月 に 実 施 し た こ と に 基 づ く 。 1.漁業者(加工設備付トロール船) A社 アラスカ州の米国ベーリング海を主漁場とし、スケトウダラ漁業等を主体に生産 活 動 を 行 っ て い る 米 国 大 手 漁 業 会 社 A 社 の 加 工 設 備 付 ト ロ ー ル 船 ( American Triumph 号 )を 視 察 し た 。当 該 加 工 船 は 、HACCP に 対 応 し て お り 、対 EU 輸 出 が 可能である。同社は、米国、日本、欧州の販売拠点を通じて、国際マーケティング の ネ ッ ト ワ ー ク を 維 持 し て い る 。加 工 設 備 付 ト ロ ー ル 船 を 6 隻 所 有 し て い る 。同 タ イプのトロール船は、漁獲、加工、凍結、冷凍庫を有している。 ( 1 ) American Triumph 号 の 主 な ス ペ ッ ク 図 Ⅶ .1-1 ※ 船名 American Triumph 号 全長 285 フ ィ ー ト トン数 4,294 ト ン 乗組員 125 名 馬力 7,939 馬 力 冷凍庫 1,430Mton American Triumph 号 図 Ⅶ .1-2 American Triumph 号 に 乗 船 American Triumph 号 の 詳 細 ス ペ ッ ク ( 参 考 ) -47 - F/T American Triumph Cla ss Deck Equip ment Det Norske Veritas+1A1 Stem Trawler A/S Hyd Brattvaag Trawl winch system Trawl winches Ma in Di me n sio n s Length over all Length between p.p. Breadth moulded Design draught Depth to lower processing deck Depth to upper processing deck Depth to trawl deck Depth to forecastle deck Depth to back deck Accommodation Freezing hold capacity Fish meal tank capacity Fish oil tank capacity Total RSW tank capacity Fuel oil tank capacity Fresh water tank capacity Speed 286ft Net drums Headline/net sounder winch Sweepline winch/net drum Gilson winches Cod end winch 257ft 54ft 24ft 22ft Outhaul winch 31ft 40ft 49ft 57ft 104 2000 ㎥ Retriever winch Capstan Windlass Make Power Main gearbox Propeller Generator Deck cranes Main pump suppliers 625 ㎥ Tank sounding system 330 ㎥ 250 ㎥ 850 ㎥ 210 ㎥ 16knots Side thruster Steering gear Rudder Freshwater gen Wartsila 2*BR32D 2960kw@720rp m GVL 1250/L 9PR4-14BS3 Oil separators Alarm System External Lighting lanterns Boillers 1200rpm,3*440V,60Hz G e n e r at o r H ar b o r G e n er at o r P l a n t Make Type Wartsila 6832E 2430kw,720rpm 2*15tons 2*50tons 2*29tons 1/6tons 2*0.3tons 2*5.5tons 2*5tons 4tons Flygt Pumper A/S N-control Auto A/S Pelio Teknikk A/S UF 63 TC 1500-800 18M300 Ulstein Nor JWP-26-C80 400tons/day Novenco A/S MMP*304 Datachief Aqua signal Anders Halvorsen A/S 2500kg steam/h 6000kg steam/h P r o c e s s in g Equip ment 720rpm,3*440V,60Hz Caterpillar Freezing equipment Fish handling equipment 3508DITA Power Generator 1*6tons 40tons/day Freshwatergen. proc.water Ventilation Aux il iar y E ngine Make Type Power 2*51tons 2*42tons Speci al Eq u ipm ent Ma in Eng in e Type Synchro2010 604kw@1800rpm 1800rpm,3*440V,60Hz -48 - Surimi plant Fish meal plant Temperature in freezing hold KE Process Div.A/S 3*Baader 699 1*Baader 424A 6*Baader 182 6*Baader 52 1*Baader 212 1*Toyo 711 Nippon Suisan Ltd. Alfa Laval Industri Minus 30 degrees C (2) 加工漁船のイメージ Ame ri c an Tri umph 号 Le n gt h : 28 6 ’ Tonn age: 5015ITC-4294GT Hol d C apacity: F rozen 1400mt Fish meal 260mt 出 典 : http://americanseafoodscompany.com/ 図 Ⅶ .1-3 加工設備付トロール漁船の操業イメージ 出 典 : http://americanseafoodscompany.com/ 図 Ⅶ .1-4 加工設備付トロール漁船の船内イメージ American Triumph 号 で は 、 1 網 で 約 150 ト ン を 漁 獲 す る 。 漁 獲 物 は 、 フ ロ ー ス ケ ー ル を 経 由 後 、加 工 場 区 画 へ 送 ら れ る 。加 工 設 備 で は 、計 量 、選 別 、加 工 、 凍 結( プ レ ー ト 式 冷 凍 庫 )が 行 わ れ る 。卵 、胃 袋 、す り 身 、フ ィ ッ シ ュ ミ ー ル( 粉 は 袋 詰 め す る )、 油 ( 重 油 と 似 て い る 、 燃 油 と し て 燃 や す ) 等 は 無 駄 な く 利 用 さ れ 、 捨 て る と こ ろ は な い 。 ベ ー リ ン グ 海 の ス ケ ト ウ ダ ラ 、 パ シ フ ィ ッ ク ·ホ ワ イ ティングすり身と切り身、鱈フィレ、スケトウダラの卵、魚油等を生産する。 -49 - (3) 船員について 125 名 の 乗 組 員 が い る 。キ ャ プ テ ン 、航 海 士 を は じ め 、フ ィ ッ シ ュ マ ス タ ー( 漁 労 長 2 名 - 2 交 代 )、 工 場 長 - プ ラ ン ト マ ネ ー ジ ャ ー 、 製 造 メ ン バ ー 、 品 質 管 理 メ ン バ ー( 各 船 に ト ー タ ル 6 か ら 9 人 乗 船 )が 含 ま れ る 。魚 の 状 態 、処 理 時 間 等 についてフィッシュマスターと工場長が密に連携をとって作業に取り組んでいる。 (4) 品質衛生管理の取組み 品 質 保 証 管 理 は 、SSOP、HACCP ベ ー ス プ ロ グ ラ ム を 作 成 し 、監 視 し て い る 。 FDA は 、年 に 1 回 監 査 を 行 い 、FDA の ア ラ ス カ 機 関 も 別 に 監 査 を す る( 対 応 記 録 、 チ ェ ッ ク 結 果 、 日 報 な ど )。 船 内 に は 、 専 用 の 品 質 管 理 室 が 設 け ら れ て い る 。 NOAA の 要 員 が オ ブ ザ ー バ ー と し て 2 名 体 制 で 乗 船 し て 、 漁 獲 資 源 の 監 視 と して、バスケットサンプルとカメラでバイキャッチ(混獲)の監視を行う。 加 工 場 は 2 デ ッ キ で 構 成 さ れ て い る 。洗 浄 に つ い て は 、操 業 期 間 中 で も 毎 日 洗 浄殺菌をしている。さらに、1 日の中で作業停止中については、随時洗浄殺菌を 行 う 。ま た 5 日 間 を 目 安 に 、生 産 を シ ャ ッ ト ダ ウ ン し て 徹 底 的 に 洗 浄 殺 菌 も し て いる。洗浄方法は高圧洗浄、ケミカル洗浄、泡洗浄である。従業員の衛生教育も 充分に行き届いている。 ( 5 ) American Triumph 号 の 紹 介 図 Ⅶ .1-5 American Triumph 号 外 観 -50 - 図 Ⅶ .1-6 甲板の様子 図 Ⅶ .1-7 図 Ⅶ .1-9 操舵室 原魚重量連続測定の工程 図 Ⅶ .1-11 図 Ⅶ .1-8 図 Ⅶ .1-10 混獲魚選別の工程 製造ラインの監視モニター 図 Ⅶ .1-12 -51 - メスルーム 急速凍結の工程 図 Ⅶ .1-13 清潔なプラスチックケース 図 Ⅶ .1-14 図 Ⅶ .1-15 HACCP 関 連 の 要 領 と 記 録 の 保 管 図 Ⅶ .1-17 英語表記の製品ラベル例 図 Ⅶ .1-16 図 Ⅶ .1-18 -52 - 洗浄保管された冷凍パン HACCP に 関 わ る 点 検 票 日本語併記の製品ラベル例 図 Ⅶ .1-19 幹部の居室 図 Ⅶ .1-20 -53 - 一般船員の居室 2.水産物加工業者 B社 B 社は、生産、加工から販売までを一貫して行う大手水産会社で、主にアラスカ および太平洋北西部を生産拠点としている。 漁船、加工船、運搬船といった各種の船艇を所有し、戦略的に配置した工場のネ ットワークや高度加工設備、幅広い販売・流通網を有している。 生 産 工 場 は ア メ リ カ の 食 品 医 薬 品 局 ( FDA)、 州 当 局 、 第 三 者 機 関 の 検 査 を 受 け ており、また社内にも品質保証部門を設置している。 (1) 陸上加工場 北西シアトルのダウンタウンのウォーターフロントに位置している加工場施設 を視察させて頂いた。 製造施設では、B 社のブランド品として、カニ、タラ、スケトウダラ、オヒョ ウ 、ソ ー ル( 舌 平 目 )、鮭 の 様 々 な 製 品 を 製 造 し て い る 。加 工 場 は 年 間 40 万 ポ ン ド の 生 産 能 力 が あ る 。 ま た 、 同 工 場 に は 80 万 立 方 フ ィ ー ト の 配 送 / 冷 蔵 セ ン タ ー を 有 し 、主 要 な 流 通 施 設 が あ る 。施 設 に は 約 150 人 の 従 業 員 が 勤 務 し て い る 。 FDA の 認 定 番 号 ( CFN) を 取 得 し て い る 。 ( 2 ) Breaded Alaskan cod の 生 産 工 程 Breaded Alaskan Cod( タ ラ の 切 身 パ ン 粉 付 フ ラ イ ) の 製 造 ラ イ ン を 視 察 し た。加工場内に入る際、人間は、サニタリーエリアで洗浄してから作業場に入る がエアシャワーの装置は設置していない。 原 料 の ア ラ ス カ 産 タ ラ の 凍 結 フ ィ レ を 冷 凍 の ま ま 、切 身 加 工 し 、38℃( 100° F)の お 湯 で 洗 浄 し て か ら バ ッ タ ー と パ ン 粉 を つ け 、フ ラ イ に す る 。そ の 後 、200℃ ( 390°F)×25 秒 間 フ ラ イ ヤ ー を 通 過 し 、- 40℃( - 40°F)×30 分 ス パ イ ラルフリーザーで凍結され、金属探知機、計量、パッキング、箱詰め、金属探知 機の工程を通過して冷蔵庫に保管される。ここまで、間仕切りのない一つの空間 で全ての作業が行われている。しかし、交差汚染が起きないよう動線は一方通行 化され、各工程の間隔には十分なスペースがある広さであった。 (3) 品質衛生管理について ① NOAA が 施 設 審 査 を 行 い 、 調 査 結 果 を FDA に 報 告 す る 。 FDA は CFN ( Central File No.) を 発 行 す る 。 衛 生 証 明 書 ( Health certificate) は 、 NOAA が 発 行 す る 。 FDA が 発 行 し て い る № は 、 EU が 発 行 し て い る № で は な い 。 FDA の № を 取 得 し て い れ ば 、 EU の CF № が 自 動 的 に 取 得 さ れ る よ う 米 国 と EU の 間 で 取 り 決 め が 行 わ れ て い る 。 -54 - ② EU の 米 国 内 施 設 の 査 察 は 、EU と 米 国 の 合 意 に よ っ て 、FDA が 代 行 す る こ と に な っ て い る 。 FDA が ル ー ル を 作 り 、 EU を 含 む 外 国 と の 交 渉 は USDC NOAA が 行 っ て い る 。 ③ 米 国 と EU の HACCP の 認 識 は 、 必 ず し も 一 致 し て い る と は 思 え な い が 、 米 国 と EU の 合 意 が あ れ ば 、 そ の 効 力 が 優 先 さ れ る 。 ④ HACCP プ ラ ン と し て 、 重 量 、 ア レ ル ゲ ン 、 金 属 探 知 機 が CCP で あ る 。 B 社 で は 、 重 量 を CCP に し て い る 。 フ ラ イ ヤ ー 温 度 と 微 生 物 対 策 は CCP と し て い な い 。米 国 で は 、一 般 的 に 加 工 場 で 加 熱 と 未 加 熱 の エ リ ア を 壁 で 仕 切 っ て は い な い 。食 用 の 時 に 加 熱 を 義 務 付 け て い る 製 品 だ か ら で あ る 。フ ラ イ ヤ ー の 油 は 、 3~ 4 日 使 う が 、 状 況 に 応 じ て QC 担 当 が 判 断 し て 交 換 す る 。 特に原料にアレルゲンを含む場合、油は取り換えられる。 (4) 日本からの水産物輸出について ① B 社 が 、 日 本 の HACCP 未 認 定 加 工 場 か ら 仕 入 れ を 行 う 場 合 、 B 社 が そ の 加 工 場 の オ リ ジ ナ ル の HACCP プ ロ グ ラ ム を 作 成 す る ケ ー ス も あ る 。 米 国 の 企 業 と 組 ん で 独 自 の HACCP プ ロ グ ラ ム で 取 り 組 め ば 、米 国 の Inspector を 日 本 に 連 れ て き て も 3,000~ 4,000 ド ル 位 の 出 費 で 済 む 。 ② 日 本 と の 取 引 に お い て は 、日 本 の 港 湾 が 、ハ ブ 港 に な っ て い な い こ と が 大 き な 障 害 の 一 つ で あ る 。韓 国 の 釜 山 港 は ハ ブ 港 で あ り 、大 型 冷 蔵 庫 が 多 い の で 、 エ ー ジ ェ ン ト が 活 躍 し て い る 。物 流 が 流 れ て い く 方 に 、ビ ジ ネ ス が 流 れ て い く 。日 本 政 府 は ト ラ ン ジ ッ ト の 衛 生 認 証 を 出 さ な い た め 、カ ー ゴ の ハ ブ に な れない。これは日本にハンディと考えられる。 ( 5 ) EU の 水 産 物 需 要 の 傾 向 ① 東欧:冷凍魚(安い魚) ② 西欧:前浜よりの流通が確立されている。 ③ Rock Sole、 Yellow Sole は ア ラ ス カ だ け が 供 給 で き る 。 昔は日本人だけが買い付けていたが、今は中国が大量に買い付けている。 EU や 米 国 も 食 べ る よ う に な っ て き て い る 。 ④ ベ ニ サ ケ が 、 最 近 日 本 で 売 れ な く な り 、 売 り 先 を EU へ 向 け て い る 。 -55 - 3.水産物取扱事業者 C社 水産物から加工食品、さらに食品加工機械まで、世界の海をフィールドに水産物 を 輸 入 し 、食 品 原 料 や 加 工 食 品 と し て 供 給 し て い る 日 系 企 業 の 食 品 商 社 で あ る C 社 を 訪 問 し て 、 水 産 物 の EU 輸 出 認 証 に 関 し て ヒ ア リ ン グ を 行 っ た 。 ( 1 ) CFN( Central File Number) ① 米 国 の 殆 ど の 水 産 関 連 企 業 は CFN を 持 っ て い る 。 CFN は USDC が 検 査 し て 、FDA に 登 録 す る 。漁 船 は 米 国 船 籍 で あ る こ と 。EU Certification 入 手 のために必要である。 ② American Seafoods Triumph は 、 CFN 3025919 を 有 し て い る 。 ③ CFN は 、 以 前 NOAA の 漁 業 許 可 番 号 だ っ た 。 7~ 8 年 前 に EU と FDA が 協議したときに、許可番号として採用した。 ④ 対 象 は 漁 船 と 陸 上 の 加 工 場 。HACCP を 当 該 漁 船 と 加 工 場 が 持 っ て い る こ と を 条 件 に FDA が 許 可 し 、 CFN を 出 す 。 待 っ て い な い 工 場 も あ る 。 ⑤ FDA の リ ス ト http://www.accessdata.fda.gov/scripts/EUCert/EU-Cert-list.CFM (2) 米国の漁船の制度 アラスカ漁船の種類(参考) ・ Amendment 80 トロール船 ・ AFA トロール船(大型) Trawl フレッシュで デリバリー CF№ を 持 っ て い る 。 〃 CF№ を 持 っ て い な い 。 (陸上工場) ・ Hook-and-Line はえ縄船 CF№ を 持 っ て い る 。 Pot カニかご 誰 で も ア ク セ ス で き 、枠 Pot> = 60ft 小型かご を確認できる。 Jig ジキング (3) 関連資料 関連資料 12: US FDA-EU Export Certificate List (2012oct) 関連文書 13: Official EU list2 (EU) Fish and Fishery Products Certifi cate Lists -56 - (4) シアトルの漁業基地と水産会社 シ ア ト ル に お け る 現 地 調 査 で は 、A 社 の 原 料 買 付 や B 社 の 加 工 製 品 取 扱 い を 行 っている C 社及び漁具等を手掛ける日系企業の N 社にご協力を頂いた。 シ ア ト ル の 漁 港 は 、 1914 年 に 開 港 し て 以 来 、 太 平 洋 側 の 重 要 な 漁 業 基 地 と し て発展し、シアトルを母港とする漁船は、全米の水揚高の約4割以上を扱ってい るとされている。主な漁場は、北太平洋とアラスカ沿岸、ベーリング海である。 漁法については、遠洋ではトロール、延縄漁業が主体であり、沖合・沿岸につ いても大中小数多くの船団が母港としており、同港は水産業に重要な役割を果た している。特に遠洋で操業する漁船は加工漁船のため、漁獲後、洋上で加工や凍 結までを行う。或いは、アラスカ沿岸の漁港に陸揚げして現地で加工や凍結を行 っている。 た だ し 、こ れ ら の 生 産 者 は 、シ ア ト ル に オ フ ィ ス を 構 え て い る こ と か ら 、漁 獲 、 加工に関する情報は、シアトルで集中管理している。そのため、関連する仲買業 者、加工業者、サプライヤー、バイヤー等もシアトルに拠点を構えている。アメ リ カ を 代 表 す る 水 産 基 地 が あ る シ ア ト ル に は 、 日 本 か ら も 10 社 以 上 の 水 産 会 社 がオフィスを構えているとされている。 図 Ⅶ .3-1 Pier 90, 91 は 、 大 型 漁 船 (フ ァ ク ト リ ー ト ロ ー ラ ー )の シ ア ト ル に お け る停泊港であり、夏季はクルーズ船ターミナルとして利用 図 Ⅶ .3-2 フィッシャーマンズ・ターミナル -57 - 図 Ⅶ .3-3 ターミナル内鮮魚売場 図 Ⅶ .3-4 岸 壁 に 停 泊 す る 漁 船 の タ イ プ は 、ス ケ ソ ウ ダ ラ 、マ ダ ラ を 漁 獲 す る キ ャ ッ チ ャ ー ト ロ ー ラ ー 、160 フ ィ ー ト 、1500-1800hp、ク ル ー 4-5 名 、 船内加工はせず、冷海水を使用した鮮魚を扱う 図 Ⅶ .3-5 カ レ イ 類 、タ ラ 、赤 魚 等 の 底 魚 を 漁 獲 、船 内 に て H&G 加 工 & 冷 凍 す る フ ァ ク ト リ ー ト ロ ー ラ ー 、 150 フ ィ ー ト 、 2500HP、 ク ル ー 30-40 名 ( 内 訳( 目 安 ) :ブ リ ッ ジ 2-3、デ ッ キ 4-6、エ ン ジ ニ ア 2、フ ァ ク ト リ ー 20-25) 図 Ⅶ .3-6 カ レ イ 類 、タ ラ 、赤 魚 等 の 底 魚 を 漁 獲 、船 内 に て H&G 加 工 & 冷 凍 す る フ ァ ク ト リ ー ト ロ ー ラ ー 、107 フ ィ ー ト 、1500HP、ク ル ー 20 名( 内 訳( 目 安 ): ブ リ ッ ジ 2、 デ ッ キ 4-5、 エ ン ジ ニ ア 2、 フ ァ ク ト リ ー 10-12) -58 - 4.水産物卸売業者 D社 D 社は、北南米、アジア、欧州、中近東、アフリカに拠点を持つ日系の総合商社 で あ る 。国 内 の 水 産 物 の 取 り 扱 い に お い て も 輸 入 シ ェ ア は 業 界 ト ッ プ レ ベ ル で あ る 。 米国内では、東海岸、西海岸、南部に拠点を持つ。本調査では、ニューヨークを 拠点とするオフィスを訪問して、ヒアリング調査にご協力頂いた。同社のニューヨ ークにおける活動は半世紀近くにも及んでいる。 北大西洋や北海周辺で獲れた冷凍のアジ、サバ、シシャモ、サケ、ニシン、数の 子 や 底 魚 等 を 日 本 や 中 国 向 け に 販 売 し て お り 、1,000 億 円 / 年 以 上 の 売 上 げ が あ る 。 (1) 品質衛生管理について 品 質 衛 生 管 理 対 策 と し て 、年 間 に 検 査 費 用 で 1 億 円 以 上 か け て い る が 、品 質 衛 生管理の専門部署を設けていない。元来、品質衛生管理のノウハウを持つ経験者 を雇用している。大手量販店は、養殖水産物について、水産用医薬品が関係する ため、特に品質衛生管理は厳しく要求される。 ( 2 ) USDC NOAA( 商 務 省 国 立 海 洋 大 気 庁 ) に つ い て USDC NOAA か ら 証 明 を 取 得 し て 水 産 物 の 輸 出 を し て い る 。USDC NOAA の 検査は簡単なので、パッカーに任せて問題ない。 USDC 認 証 マ ー ク は 、米 国 民 の 関 心 が 少 な い の で 、パ ッ カ ー が 興 味 を 示 さ な け れば、やめることを考えている。 NOAA の SEAFOOD INSPECTION PROGRAM の 導 入 は し て い な い 。 (3) 食品安全強化法の影響 食品安全強化法の施行の影響は、現時点ではほとんど動きがない。 図 Ⅶ .4 D 社のニューヨークオフィス 現地採用の日本人スタッフが多くいる -59 - 5.水産物卸売業者 E社 E 社 は 、日 本 に も オ フ ィ ス を 持 ち 、日 本 を 始 め 世 界 各 地 か ら 、約 3,000 種 類 の 鮮 魚・活魚、食料品を輸入する卸売問屋として全米に販売ネットワークを有する。加 工処理、仕分け、パッキング、冷凍庫・冷蔵庫等を所有している。日本食レストラ ンとの取引も多い。 ( 1 ) FDA( 保 健 社 会 福 祉 省 食 品 医 薬 品 局 ) に つ い て ① FDA は 、 米 国 内 の 食 品 安 全 に 対 す る 責 任 を 有 す る こ と か ら 、 問 題 と す る の は フ ー ド セ ー フ テ ィ が 基 本 だ が 、そ の 裏 づ け に な る セ キ ュ リ テ ィ マ ネ ジ メ ン トも重要である。それは法律ではなく、自主的取り組みである。 ② 食 品 安 全 強 化 法 に お い て 、 水 産 物 が 除 外 さ れ て い る の は 103 条 の み ( 理 由 HACCP を 取 得 し て い る た め ) で 、 他 の 条 項 は 水 産 物 も 対 象 で あ る 。 (2) 品質衛生管理について ① 品質衛生管理の観点から水産物の取扱いの上で関心が高いものは、養殖魚 (薬 、 環 境 由 来 の 化 学 汚 染 物 質 ) 、 パ ッ キ ン グ 、 ラ ベ リ ン グ 、 パ ラ サ イ ト 、 ヒスタミン、自然毒、メチル水銀についてである。 ② 品 質 ・ 衛 生 管 理 の 強 化 に つ い て 顧 客 (レ ス ト ラ ン )か ら の 要 望 は な く 、む し ろ 緩くしてほしいとの要求がある。 ③ 対 EU 輸 出 の 手 続 き で は 、USDC の 判 断 で 輸 出 可 能 と な っ て も 、EU 側 の 要 求 に よ り 、 個 別 の パ ッ ク 方 法 、 表 示 方 法 な ど の 書 類 を 作 成 し 、 EU の 確 認 が 必要となる。 ( 3 ) USDC( NOAA) に つ い て ① 工 場 ウ ェ ア ハ ウ ス( 倉 庫 )と し て 、EU 番 号 (プ ラ イ マ リ ー プ ロ セ ッ サ PP) を登録している。 ② EU 認 定 検 査 は USDC( NOAA) が 行 い 、 FDA は 直 接 関 係 し な い 。 USDC ( NOAA ) か ら コ ン サ ル テ ィ ン グ を 受 け 、 HACCP QMP(Quality management Program)に 入 っ て 実 現 し た 。 USDC 職 員 に よ り 、 3 ヶ 月 に 1 回 、 1 日 の 監 査 を 実 施 す る 。 認 定 後 Web サ イ ト に リ ス ト が 載 る 。 ③ 認 証 書 類 等 は 、 USDC プ ロ グ ラ ム ポ リ シ ー ( USDC HACCP QMP) を ベ ー ス に 、「 し て は い け な い 」 → 「 こ う す る 」 の よ う に 裏 返 し た 解 釈 で 作 成 し て いる。 ④ 認 定 取 得 は 、ス テ ー タ ス と 言 う 意 味 も あ る 。売 上 げ と 評 価 は 、直 結 は し な か ったが、自分たちの衛生品質管理のレベルは確実に上がった。 ⑤ 商 品 に USDC GRADE A マ ー ク 等 を つ け る こ と が で き る が 、 消 費 者 の 反 応 -60 - はいまひとつであり、あまり評価を受けていない。 (4) 日本の水産物について ① 顧 客 は レ ス ト ラ ン (マ ン ハ ッ タ ン )が 多 く 、 量 販 店 で も 取 引 さ れ て い る 。 ② 同 じ も の で も 、日 本 産 水 産 物 の 品 質 は 高 い 。ウ ニ で も チ リ 産 よ り も 日 本 産 の 評価が高い。日本食材は米国の市場から求められている。 ③ 輸 送 の 時 間 短 縮 を 考 え る こ と が 必 要 で あ る 。日 本 で 品 質 が 良 く て も 、持 っ て くると品質はダウンする。余分に 2 日かかるなどロジスティクスの技術的 問 題 が あ る 。対 策 と し て 空 港 で 活 〆 処 理 等 も 行 っ て い る が 、さ ら に 良 い 方 法 を 求 め て い る 。活 〆 直 後 の 魚 は 体 熱 が 高 い の で 、速 や か な 冷 や し 込 み が 重 要 であることを出荷者の理解してもらうことも重要である。 図 Ⅶ .5 -1 水産物卸売流通センター内 図 Ⅶ .5 -2 空輸されたハワイ産カンパチ 図 Ⅶ .5 -3 陸路輸送された活ロブスター 図 Ⅶ .5 -4 空輸&陸路輸送されたサーモン -61 - 図 Ⅶ .5 -5 空輸&陸路輸送されたマグロ 図 Ⅶ .5 -7 ツ ナ の FDA-HACCP 認 証 取 得 製 品 図 Ⅶ .5 -9 日本食向けカルフォルニア米 -62 - 図 Ⅶ .5 -6 図 Ⅶ .5 -8 図 Ⅶ .5 -10 一次加工処理場 物流倉庫内の様子 HAZARD 警 告 版 図 Ⅶ .5 -11 衛 生 管 理 手 順 表 示 図 Ⅶ .5 -12 手 洗 い 設 備 図 Ⅶ .5 -13 緊 急 洗 眼 器 ※ ※ 化 学 物 質( 洗 剤 や 潤 滑 油 )を 扱 っ て い る た め 、労 働 安 全 の 観 点 か ら 緊 急 洗 眼 器 を 設 置 している。先進国の食品安全プログラムはこのような要素を多分に含んでいる。 -63 - 6.水産物卸売業者 F 社 日本トップクラスの鮮魚小売店の日系企業であるF社は、スーパーフローズンマ グロにおいて世界最大級のサプライチェーンネットワークを有している。 超低温冷凍施設を所有し、鮮度の良い高品質なマグロを主力商品にディストリビ ューター経由でレストラン、寿司屋等へマグロ等を供給している。 (1) フードマネジメントシステムについて ① 顧客である流通業者からの要求により、フードマネジメントシステム認証 SQF Level Ⅱ の 認 証 を 取 得 し て い る 。 主 な 顧 客 は 日 系 ス ー パ ー ( 通 常 の ス ー パ ー で は 鮮 魚 の 取 り 扱 い レ ベ ル は 低 い )で あ る 。取 り 扱 い 水 産 物 の 品 質 を レ ベ ル ア ッ プ す る 差 別 化 は 、安 全 を 武 器 に 価 格 競 争 に 陥 ら な い た め の 重 要 な要素である。 ② 顧 客 は 全 て ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト で あ る が 、納 入 業 者 に 入 る た め に は 、な ん ら か の 認 証 シ ス テ ム が 必 要 で あ っ た 。生 の 状 態 で 品 質 が 良 い 物 で あ れ ば 、ス ー パ ー は 購 入 し て く れ る 。そ の た め に は 第 三 者 機 関 の 認 証 を 取 る か 、ス ー パ ー 自 前 の 認 証 が 必 要 で あ る 。販 売 先 の ス ー パ ー は 、3 種 類 く ら い の 認 証 か ら 1 つ 選 ぶ よ う 提 示 さ れ た 。こ の た め 、コ ス ト が 安 く 、取 得 し や す い 理 由 か ら フ ー ド マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 認 証 SQF を 採 用 し た 。 (2) フードマネジメントシステム認証についての取り組み ① 日 本 は 施 設 が 重 要 と さ れ や す い が 、米 国 は 自 ら 決 め た こ と を き ち ん と 実 行 し ているかどうかで判断されるため、実行できるシステム作りが重要である。 ② 要 領 / 手 順 書 を 作 成 し て 運 用 し て い る 。認 証 は 手 順 書 に 従 っ た ソ フ ト 運 営 が 出 来 て い る か 否 か を 重 視 す る 。手 順 書 は 自 分 で 考 案 し パ ー ト タ イ ム の コ ン サ ルを使って雛形を作った。ブックに定められた規則・規制との整合性より、 決めたことが目的を達成できるのか?決めたことを決められたとおりにや っているか?がポイントとなる。フレキシブルだが自らの責任が重い。 ③ 手 順 書 に 衛 生 管 理 対 応 と そ の 根 拠 を 含 め て い る 。基 準 に 定 め ら れ た こ と が で き な く て も 代 替 案 で 可 能 な ら ば 審 査 に 通 る 。例 と し て 、衛 生 区 画 へ の 出 入 り 口 に Foot bus( 足 洗 い 槽 ) を 設 け ず 、 泡 洗 剤 を 定 期 的 ( 5 分 お き ) に 流 す こ と で 可 と な っ て い る 。 (規 則 に な く て も 、 同 じ 効 果 を 証 明 す る こ と 。 ) ④ 検 査 官 は 民 間 人 で あ る 。政 府 機 関 が 権 威 を 与 え る の で は な く 、民 間 機 関 が 権 威 を 与 え る 。審 査 機 関 に SGS 5 を 使 っ た 理 由 は 近 所 に そ の 機 関 が 存 在 し た か らである。 5 SGS: 第三者認証機関。検査、検証、試験を行う民間企業である。 -64 - (3) 日本の水産物輸出について ① 天 然 魚 は 高 い の で マ ー ケ ッ ト は 限 ら れ る が 、日 本 の 魚 は 品 質 が 良 い た め 、白 人 向 け の マ ー ケ ッ ト で は 、ま だ ま だ 需 要 は 伸 び る 余 地 が あ る 。世 代 が 変 わ り 、 高くても健康食を重んじる傾向がある。 ② 日本の魚(農産物も)は、品質で世界と戦えるので、高品質の商品として、 輸出を考える必要がある。マーケットを外向きに考えることが重要である。 ③ 輸 出 の た め に は 、実 際 あ る こ と を 正 し く 言 う だ け で は だ め で 、販 売 を 意 識 し た 戦 略 が 必 要 で あ る 。九 州 の 養 殖 マ グ ロ 業 者 の 依 頼 で 卸 業 者 に 対 し て マ ー ケ テ ィ ン グ 調 査 を 行 っ た こ と が あ る 。そ こ で は 海 外 を 意 識 し た 回 答 が 得 ら れ な か っ た 。日 本 の 水 産 物 輸 出 の 拡 大 を 本 気 で 目 指 す な ら ば 、相 手 国 の 事 情 に 合 った考え方が必要である。意識改革を行うことが重要である。 ④ 日 本 か ら の 輸 入 は 、手 続 き が 大 変 な た め 、法 制 度 等 の 整 備 が 必 要 と 考 え ら れ る 。経 済 が 先 で 、法 律 は そ の 後 押 し の は ず な の で 、規 則 の た め の 規 則 を 減 ら し、柔軟に考えることが必要である。 ⑤ 米国食品安全強化法の影響は現時点ではないようである。 ⑥ 日 本 の HACCP 証 明 は 輸 出 業 者 が 担 当 し て お り 、 認 証 機 関 は 不 問 で あ り 、 ど こ で も 良 い 。HACCP に 関 し て は 、や っ て い る こ と を 文 章 に す れ ば 通 る の で 、特 別 な こ と を や る 認 識 は な い 。日 本 で は 施 設 改 善 要 求 が 過 剰 の よ う だ が 、 そ れ で は ガ ラ パ ゴ ス 化 に な っ て し ま う 。コ ス ト 対 ベ ネ フ ィ ッ ト を よ く 考 え る ことが必要である。 図 Ⅶ .6-1 F社の加工場件物流センター 図 Ⅶ .6-2 -65 - 空輸された活ロブスター 図 Ⅶ .6-3 手洗い場 図 Ⅶ .6-4 壁に掛けられた清掃用具 図 Ⅶ .6-5 真空パック作業 図 Ⅶ .6-6 超低温冷蔵庫 図 Ⅶ .6-7 泡洗浄装置 図 Ⅶ .6-8 NOAA SIP 証 書 -66 - 7.二ユーフルトン魚市場 フ ル ト ン 魚 市 場 は 、180 年 間 に 渡 っ て 米 国 で 最 も 歴 史 の あ る 消 費 地 型 魚 市 場 で あ っ た が 、2005 年 に ニ ュ ー フ ル ト ン 魚 市 場 と し て ブ ロ ン ク ス 地 区 の ハ ン ツ ポ イ ン ト 食 品 流 通 セ ン タ ー の 敷 地 内 に 移 転 し た 。 マ ン ハ ッ タ ン か ら 車 で 20 分 程 度 、 ニ ュ ー ヨ ー ク 空 港 か ら も 車 で 40 分 程 度 の 場 所 で あ る 。 施設に入るには、ゲートを通る必要があり、見学者も含め有料となっている。例 え ば 、見 学 者 は 2 ド ル / 人 だ が 、雇 用 者 は 3 ド ル / 人 で あ る 。他 に 、卸 売 業 者 、バ イヤー、車の種類毎に各々の入場料が取り決められている。 当 市 場 は 、 米 国 最 大 の 魚 介 類 卸 売 業 組 合 に よ り 運 営 さ れ て お り 、 施 設 面 積 は 40 万 平 方 フ ィ ー ト に 及 び 、 世 界 で 東 京 築 地 市 場 に 次 ぐ 大 き さ の 規 模 で あ る 。 約 40 件 近 い 魚 介 類 卸 売 業 者 が 営 業 を 行 っ て お り 、 年 間 で 10 億 ド ル 以 上 の 取 扱 高 が あ る 。 取 扱 う 魚 介 類 は 、米 国 全 土 だ け で な く 世 界 中 か ら 輸 送 さ れ て く る 。ま た 、同 施 設 は 、 屋 内 完 全 冷 蔵 型 の HACCP に 対 応 し た 米 国 で 最 先 端 の 施 設 と さ れ て い る 。 施設ゲート 図 Ⅶ .7-1 ニューフルトン魚市場の フェンス(立入自由でない) 図 Ⅶ .7-2 同魚市場の駐車場 写真中央奥はゲート 図 Ⅶ .7-3 売場施設外壁(写真左側) 図 Ⅶ .7-4 施設内入場口 -67 - ニューフルトン魚市場の見取り図を以下に示す。 卸売業者売場 図 Ⅶ .7-35 参 照 空きスペース 図 Ⅶ .7-9 参 照 施設内ゲート 中 便所 央 通 図 Ⅶ .7-4 参 照 路 図 Ⅶ .7-30 参 照 入口 6 箇所 便所 (A~F) 図 Ⅶ .7-7 参 照 休憩所 便所 図 Ⅶ .7-29 参 照 図 Ⅶ .7-34 参 照 図 Ⅶ .7-5 魚市場見取り図 荷卸し場 参 考 出 典 : http://www.newfultonfishmarket.com/ -68 - 図 Ⅶ .7-6 施設内入場口通路 左 側 歩 行 者 、右 側 リ フ ト 図 Ⅶ .7-7 施設内ゲート 左 側 リ フ ト 用 、右 歩 側 行 者 用 図 Ⅶ .7-8 リフト用通路はシャッター式 歩行者用通路は手押し扉 図 Ⅶ .7-9 中央通路(右側) 売場空きスペース(左側) 図 Ⅶ .7-10 卸売業者売場 左上は中央通路 図 Ⅶ .7-11 歩行者専用通路 所 在 地 : New Fulton Fish Market Cooperative HUNTS POINT FOOD DISTRIBUTION CENTER 800 FOOD CENTER DRIVE BRONX, NY 10474 -69 - 図 Ⅶ .7-12 売場の様子 奥は卸売業者事務所 図 Ⅶ .7-13 入荷前の商品 奥外に一時保管 拡大画像 図 Ⅶ .7-14 入荷した商品 木製パレットを使用 図 Ⅶ .7-15 卸売り業者の伝票 写真下側枠内は拡大画像 図 Ⅶ .7-16 横持ちの様子 リフトは電動 図 Ⅶ .7-17 鮮魚の量り売り 写真左側は秤 ニ ュ ー フ ル ト ン 魚 市 場 の 営 業 は 、月 ~ 金 曜 が AM1 時 ~ AM7 時 と な っ て お り 、土 日は休みである。 -70 - 図 Ⅶ .7-18 鮮魚の陳列 1 ダンボール製魚箱に施氷 図 Ⅶ .7-19 鮮魚の陳列 2 ダンボール製魚箱に下氷 図 Ⅶ .7-20 鮮魚の陳列 3 日本の魚箱の方がやや厚い 図 Ⅶ .7-21 鮮 魚 の 陳 列 4( カ タ ク チ イ ワ シ ) 施氷が不十分なものもある 図 Ⅶ .7-22 鮮魚の陳列 5 ステンレス台を使用 図 Ⅶ .7-23 鮮魚の陳列 6 写真の容器はホタテ貝柱 卸売業者、小売業者、ニューヨーク都市圏のレストラン等の顧客から厳しい要求 に応えるため高品質のシーフードを提供することを目的とした魚市場である。 -71 - 図 Ⅶ .7-24 鮮魚の陳列 7 図 Ⅶ .7-25 魚箱は直置きか木製パレットを使用 冷凍魚の陳列(カニ足) 鮮魚と同じ売場で陳列 図 Ⅶ .7-26 鮪ロインの陳列 解体は売場で行われている 図 Ⅶ .7-27 一次処理用のまな板 シンクも設置されている 図 Ⅶ .7-28 売場内の手洗い場 左上は手洗い励行の掲示 図 Ⅶ .7-29 休憩所 写真奥は売店 1 日 に 取 扱 う 魚 種 は 100~ 300 品 種 と さ れ 、 サ イ ズ も 豊 富 で あ る 。 鮮 魚 の 他 、 冷凍、加工ものも多く扱っている。 -72 - 図 Ⅶ .7-30 トイレの入口 足洗い槽はない 図 Ⅶ .7-31 トイレの手洗い場 清掃はきちんと行われている 図 Ⅶ .7-32 売場施設清掃用具 と水道水供給用ホース 図 Ⅶ .7-33 電動リフトの充電 図 Ⅶ .7-34 荷卸し用プラットホーム 図 Ⅶ .7-35 出荷用プラットホームと ドッグシェルター ニューフルトン魚市場を利用する関係者のために、衛生、セキュリティ、交通の 安全、円滑な運営に資する規則や規制が設けられている。 -73 - -74 - Ⅷ 米国小売業の動向 1.米国小売業の概要 2012 年 、 米 国 の 小 売 業 大 手 の ウ ォ ル マ ー ト 、 タ ー ゲ ッ ト 、 K - マ ー ト 、 マ イ ヤ ー が 、創 業 5 0 周 年 を 迎 え た 。米 国 は 、押 し も 押 さ れ も し な い 先 進 商 業 大 国 で あ り 、 ヨーロッパの大手小売業にとっても非常に魅力のある国でもあることから、コスト コ ( 米 国 ) や ウ ォ ー ル マ ー ト ( 米 国 ) 等 の 米 国 勢 の 他 に 、 カ ル フ ー ル ( フ ラ ン ス )、 メ ト ロ( ド イ ツ )、テ ス コ( 英 国 )と い っ た 各 国 を 代 表 す る 多 く の 欧 州 の 小 売 業 者 が 米 国 に 進 出 し て い る 。 米 国 市 場 は 世 界 最 大 の 小 売 市 場 で あ る 。( GDP 約 14 兆 ド ル 内 、 約 70%も 9.8 兆 ド ル を 民 間 消 費 が 占 め る ) 米 国 小 売 業 上 位 10 社 の 顔 ぶ れ を 見 る と 、 デ ィ ス カ ウ ン ト ス ト ア が 2 社 ( 1・ 7 位 )、ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト が 2 社( 3・10 位 )、ド ラ ッ グ ス ト ア が 2 社( 2・5 位 )、 ホ ー ム セ ン タ ー が 2 社 ( 6・ 9 位 ) ラ ン ク イ ン し て い る 。 米 国 の マ ス マ ー ケ ッ ト 業 態 で は 、 ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト と デ ィ ス カ ウ ン ト ス ト ア が 40%ず つ と い う 圧 倒 的 な 構成比を占めている。この二つの業態は大衆薬のみならず調剤薬も積極的に拡販し て い る が 、 2012 年 度 の 成 長 性 で は 、 チ ェ ー ン ド ラ ッ グ が 全 体 で 7.7%、 既 存 店 ベ ー ス で 6.0%と 順 調 に 成 長 し た と 言 わ れ て い の に 対 し 、 ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト は 年 間 売 上 げ 2.9%、 既 存 店 成 長 率 1.3%と い う 低 い 成 長 で 、 食 品 の 売 上 げ が 他 の 業 態 に 奪われている構造が続いている。これは日本の小売業においても同様な傾向を示し ており、食品や一般家庭用品の販売ではドラッグストアの躍進が目立つ。 消費者の購買パターンをみると、スーパーマーケット、ドラッグストアそしてデ ィスカウントストアが最も日常的に利用される業態であり、多くの業態が来店頻度 を増すために食品の取扱いを増やしており、例えば、ターゲットは食品と飲料水売 り 場 の ス ペ ー ス を 50%増 加 し た り 、 ペ ー パ ー 類 の 売 り 場 も 増 加 す る こ と を 発 表 し た 。第 2 位 の セ ー フ ウ エ イ は ラ イ フ ス タ イ ル ス ト ア を コ ン セ プ ト に 、既 存 店 の 改 装 を 展 開 し 、 10 年 度 の 売 上 げ は 前 年 比 0.9%増 の 410 億 ド ル 。 ク ラ ブ カ ー ド を 利 用 し た ロ イ ヤ ル テ ィ プ ロ グ ラ ム 「 Just for You」 を 導 入 し 、 顧 客 に 応 じ て イ ン セ ン テ ィブを提供している。 リーマンショック後割高感が敬遠されて業績が急落したホールフーズマーケット は 回 復 し 、 10 年 度 の 売 上 げ は 12.1%増 の 90 億 ド ル 、 純 利 益 は 67.5%増 の 2.4 億ドル。現在健康への関心が高い消費者の囲い込みをしており、健康や食育をテー マにした各種イベントを展開している。好調なのは小型で品揃えを絞り込んだスー パ ー の ト レ ー ダ ー ジ ョ ー で 、 売 上 げ は 2009 年 度 比 35.5%も 成 長 し 、 85 億 ド ル を記録した。興味深い新しい動きは、ショッピングセンター内に出店するスーパー マ ー ケ ッ ト ( ALDI: 米 国 内 29 州 で 1155 店 舗 を 展 開 す る ド イ ツ 系 ス ー パ ー ) が -75 - 出てきたことだ。ショッピングセンター内のスーパー進出はヨーロッパでは珍しく ないが米国では稀だが、モールの集客した人々やそこで働いている従業員たちの需 要を見込んでのことだ。米国における小売業は、業態間競争を繰り広げながら、更 に 寡 占 化 は 進 行 し 、消 費 者 や 供 給 業 者 業 界 団 体・行 政 に も 大 き な 影 響 を 与 え て い る 。 ( 2012 年 米 国 小 売 業 ラ ン キ ン グ ) 1位 Wal-Mart 4,469 億 ド ル 6位 Home Depot 703 億 ド ル 2位 CVS 1,077 億 ド ル 7位 Target 698 億 ド ル 507 億 ド ル Caremark 3位 Kroger 903 億 ド ル 8位 Best Buy 4位 Costco 889 億 ド ル 9位 Lowe's 502 億 ド ル 5位 Walgreens 721 億 ド ル 10 位 Safeway 436 億 ド ル (参照:米国誌フォーチュンより) 2.米国における主な小売・卸売業者 ( セ ー フ ウ ェ イ : Safeway Inc.本 社 : カ リ フ ォ ル ニ ア 州 プ レ サ ン ト ン 市 ) 西 海 岸 を 中 心 に 中 部 大 西 洋 地 域 に 1,740 店 舗 を 展 開 し 、 生 鮮 食 料 品 に 重 き を 置 き 、 PB ブ ラ ン ド で あ る 「 Eating Right」、「 O Organic」 の 拡 販 に 力 を 注 い で い る 。 西 海 岸 で は 、 Safeway、 Vons、 Pavillion と い う 名 で 店 舗 を 展 開 し て い る 。2003 年 以 降 、店 舗 の コ ン セ プ ト を「 ラ イ フ ス タ イ ル ・ ス ト ア 」と 位 置 づ け 、新 し い 店 舗 で は 生 鮮 食 品 、オ ー ガ ニ ッ ク 食 品 、高 級 調 味 料 と い っ た 製 品 を 充 実 さ せ 、他 の 一 般 ス ー パ ー と は 一 味 違 う 商 品 展 開 を し て い る 。2010 年 ま で に は 、 総 店 舗 の 88 % を ラ イ フ ス タ イ ル 提 案 型 店 舗 と す る 予 定 で あ る 。 2009 年 は 大 不 況 の も と 、顧 客 数 は 増 え た も の の 消 費 は 低 迷 、ま た 一 部 商 品 の デ フ レ ー シ ョ ン に よ り 売 り 上 げ は 前 年 に 比 べ 7.38% 落 ち 込 ん だ 。 食 品 の み な ら ず 、 マ ー ケ ッ ト 内 に 1,300 の 薬 局 を 所 有 、 ま た 380 の ガ ソ リ ン ス タ ン ド も 所 有 し て い る お り 、こ れ ら の 売 り 上 げ は セ ー フ ウ ェ イ の 売 り 上 げ の 9% に 当 たるとされている。 ( コ ス ト コ : Costco Wholesale Corporation 本 社 : ワ シ ン ト ン 州 イ ザ ク ワ 市 ) 世界 8 カ国・地域(米国、カナダ、メキシコ、英国、日本、韓国、台湾、オ ー ス ト ラ リ ア )に 約 5,600 万 人 の メ ン バ ー を 擁 し 、567 の 会 員 制 大 型 デ ィ ス カ ウ ン ト シ ョ ッ プ を 運 営 し て い る 。ア ジ ア に お け る 戦 略 を 強 化 し 、2009 年 に は、オーストラリアに第一号店をオープンさせた。不況下においても、価格、 商 品 構 成 の 見 直 し 、プ ラ イ ベ ー ト ラ ベ ル の 充 実 に よ り 、顧 客 の 満 足 度 を 高 め る 企業努力を行っている。 -76 - ( ホ ー ル フ ー ズ : Whole Foods Market Inc.本 社 : テ キ サ ス 州 オ ー ス チ ン 市 ) 同 社 は 1980 年 、 テ キ サ ス 州 に 誕 生 し た 世 界 一 の オ ー ガ ニ ッ ク 、 ナ チ ュ ラ ル フ ー ド 系 ス ー パ ー で あ る 。現 在 米 国 、カ ナ ダ 、英 国 に 289 店 舗 を 展 開 。2009 年 度 は 不 況 、ま た 一 般 の ス ー パ ー の オ ー ガ ニ ッ ク 、ナ チ ュ ラ ル 商 品 分 野 の 進 出 に 伴 い 、 苦 戦 を 余 儀 な く さ れ た が 、 2010 年 度 第 1 四 半 期 に 入 り 、 店 舗 で の 売 り 上 げ が 7% 上 昇 、粗 利 益 は 27.5 億 ド ル を 計 上 し て い る 。こ れ は 、ホ ー ル フ ー ズ の 予 測 を 超 え た も の で あ る と CEO の ジ ョ ン マ ッ ケ イ 氏 は 伝 え て い る 。 この期間に新規に 6 店舗を開店させ、1 店舗を閉鎖している。新規開店の店 はコストパーフォーマンスを考慮し、以前より売り場面積が小さくなってい る 。 今 期 中 に 10 店 舗 が 新 規 オ ー プ ン の 予 定 で あ る 。 ( ス タ ー バ ッ ク ス : Starbucks Corporation 本 社 : ワ シ ン ト ン 州 シ ア ト ル 市 ) 世 界 中 に 店 舗 を 拡 大 し 、2009 年 9 月 27 日 現 在 、全 米 に 1 万 1,128 店 舗( 直 販 店 6,764 店 舗 、ラ イ セ ン ス 契 約 店 4,364 店 舗 )、海 外 店 舗( 直 販 店 2,068 店 舗 、ラ イ セ ン ス 契 約 店 3,439 店 舗 )、合 計 1 万 6,635 店 舗 を 運 営 し て い る 。 海外マーケットの中では、ライセンス契約で運営されている日本の店舗数が 875 店 舗 と 圧 倒 的 に 多 く 、2 位 の 韓 国 288 店 舗 を 大 き く 引 き 離 し て い る 。し かしながら、世界的な不況の影響を受け、この 2 年間で数百の店舗閉鎖、数 千 人 の 解 雇 を 行 う な ど 、6 億 ド ル の 経 費 節 減 を 伴 う 経 営 改 革 を 断 行 し た 。経 営 改 革 が 功 を 奏 し 、 2009 年 度 第 2 四 半 期 か ら は 改 善 の 兆 し が み え は じ め 、 2010 年 度 第 1 四 半 期 に は 収 益 率 は 上 が っ て い る 。最 近 で は 、サ ン ド イ ッ チ 、 ヨ ー グ ル ト 系 食 品 、サ ラ ダ 、コ ー ル ド ド リ ン ク の 種 類 の 増 加 な ど 、コ ー ヒ ー 需 要のみならず、朝食、昼食、中食需要を狙った商品を導入している。 ( シ ス コ : Sysco Corporation 本 社 : テ キ サ ス 州 ヒ ュ ー ス ト ン 市 ) 全 米 に 180 カ 所 以 上 の 配 送 セ ン タ ー 、ス ー パ ー 、レ ス ト ラ ン 、ホ テ ル 、病 院 、 学 校 等 を 有 し 、 40 万 社 以 上 の 顧 客 を 持 ち 、 食 品 の ほ か 調 理 周 辺 機 器 も 扱 っ て い る 。 1969 年 に 設 立 さ れ た 北 米 最 大 規 模 を 誇 る フ ー ド サ ー ビ ス 企 業 で あ る 。 売 り 上 げ の 約 60% は レ ス ト ラ ン 業 界 で 、次 い で 15% が ス ー パ ー 等 、5% が フ ァ ー ス ト フ ー ド チ ェ ー ン( Wendy's / Arby's)、残 り 20% が そ の 他 と な っ て い る 。2009 年 は ア イ ル ラ ン ド の 食 品 会 社 を 買 収 し 、初 の 海 外 進 出 と な っ た が 、 レ ス ト ラ ン 業 界 の 不 況 の 影 響 が 大 き く 、経 費 節 減 、事 業 の 統 廃 合 な ど の 企 業 努 力にもかかわらず、総売り上げ、純利益ともに減少した。 (参照:米国誌フォーチュンより) -77 - -78 - Ⅸ 大手小売業の食品安全と品質及び安全性確保対策について 1.小売業界と食品安全管理システム CIES は 世 界 最 大 の 小 売 業 界 の 団 体 で あ る 。会 員 は 世 界 150 カ 国 400 社 に 及 び 、 小 売 業 メ ン バ ー の 総 店 舗 数 は 20 万 店 舗 、総 売 上 高 は 15,000 億 ユ ー ロ に も 上 る と 言われている。ウォールマートやカルフール、メトロ、テスコといった大手流通業 者は勿論のこと、日本からも小売業界の代表幹事してイオン、イズミヤ、製造業者 メンバーとして味の素・キリン等数多くの小売業者・製造業者が加入している。 会員に対して、食品業界に影響を与える基本戦略や、実務上の問題への解決手段 を探す手助けとなる世界大会、国際会議、それに大学の講座や特定テーマを深く掘 り 下 げ る 小 規 模 な 会 合 等 を 通 し て 情 報 を 提 供 し て お り 、日 本 に お い て も 2009 年 4 月 20 日 に 帝 国 ホ テ ル に お い て フ ー ド ・ ビ ジ ネ ス ・ フ ォ ー ラ ム が 開 催 さ れ た 。 日 本 会 議 の 主 な 議 題 は 2005 年 に 設 立 さ れ た GFSI に つ い て で あ っ た 。 2000 年 4 月 、世 界 の CIES 食 品 小 売 業 メ ン バ ー の 代 表 者 会 合 に お い て 、今 後 の 課題は、食品の安全性の向上、消費者保護の徹底、またその信頼を強化することの 必 要 性 が 確 認 さ れ 、 2000 年 5 月 ア イ ル ラ ン ド の CIES 年 次 総 会 に お い て GFSI が 採 択 さ れ 、 GFSI の 活 動 を 改 善 ・ 整 備 す べ く CIES The Food Business Forum の 下 部 機 関 と し て 、 GFS I: Global Food Safety Initiative が 設 立 さ れ 、 食 品 安 全 管 理 シ ス テ ム の 継 続 的 改 善 と 消 費 者 へ の 食 品 供 給 の 信 頼 性 確 保 と い う 使 命 の 下 GFSI の戦略的方向性の決定と日常の業務管理を行っている。 2007 年 、GFSI は GFSI ガ イ ダ ン ス ド キ ュ メ ン ト 第 6 版 に 基 づ き 、BRC:British Retail Consortium Global Standard ( 英 国 小 売 業 協 会 の プ ロ グ ラ ム )、 IFS : International Food Standard ( ド イ ツ ・ フ ラ ン ス 小 売 業 協 会 の プ ロ グ ラ ム ) 、 SQF : Safe Quality Food ( 全 米 フ ー ド マ ー ケ ッ ト 協 会 の プ ロ グ ラ ム ) 、 Dutch HACCP の 4 規 格 が 食 品 安 全 規 格 と し て GFSI に 承 認 さ れ た 。 さ ら に GFSI は ISO の 最 高 認 定 機 関 で あ る IAF よ り 認 定 を 受 け た こ と か ら 、 FSSC22000 や EUREP GAP 等 の 規 格 も ベ ン チ マ ー ク 規 格 と し て 加 わ り 、 小 売 業 界が支持するプログラムとして注目されている。 日 本 に お い て も 、 昨 年 、 コ カ コ ー ラ が 全 て の 供 給 業 者 に GFSI 規 格 の 認 証 を 義 務 付けたことにより認証の取得が増加しつつあり、イオンは、自社農場・食肉加工場 で の SQF プ ラ グ ラ ム を 取 得 し て い る こ と か ら 、 同 社 に 納 入 す る 大 手 食 肉 業 者 を 中 心 に 取 得 が 広 ま り 、 そ の 数 は 500 を 超 え て い る 。 西 友 で は 既 に PB 商 品 に つ い て GFSI 基 準 を 導 入 し て お り 、 今 後 の 小 売 業 の 動 向 を 考 慮 す る と 、 今 後 と も 増 加 が 予 -79 - 測される。 今 回 訪 問 し た USDC/NOAA で は 活 動 費 を 大 手 小 売 業 界 か ら の 支 援 に 頼 っ て い る こ と か ら 、 彼 ら の 要 望 に 応 じ て シ ス テ ム の 高 度 化 を 検 討 し て お り 、 SIP 自 体 も 水 産 物 の 監 査 プ ロ グ ラ ム の 独 自 性 を 保 持 し な が ら 、 よ り GFSI 規 格 に 類 似 し て く る も の と思われる。 ま た 、今 回 訪 問 し た 、水 産 物 卸 売 会 社 F 社 で は 既 に 顧 客 要 求 に 応 じ て SQF( 全 米 フードマーケティング協会の運用)規格の認証を取得しており、E社も大手量販店 へ の テ イ ク ア ウ ト 用 の 寿 司 を 販 売 す る 場 合 や 英 国 に 輸 出 す る 際 は BRC Global Standard 等 認 証 が 必 要 と の 認 識 を 示 し て お り 、 国 内 外 と も 小 売 業 界 か ら の 要 求 は 今後ますます強まるものと推察される。 2.食品安全規格の概要 欧 米 に お い て 小 売 業 の PB 商 品 が 伸 長 し そ の シ ェ ア が 高 ま っ て い る 状 況 か ら 、 1990 年 代 か ら 大 手 小 売 業 は 自 社 ブ ラ ン ド の 安 全 と 品 質 を 確 保 す る た め 製 造 納 入 事 業者の生産管理に関する基準を導入し、基準が守られているかどうかを監査する制 度を導入してきた。 2000 年 の EU 指 令 に よ っ て HACCP が 義 務 化 さ れ 、ま た 、2004 年 に 制 定 さ れ た食品衛生に関するEU統合規則(パッケージ)により、安全確保に関する事業者 の 責 任 が 強 調 さ れ た こ と な ど か ら 、 大 手 小 売 業 主 導 の 下 、 連 合 し て HACCP や ISO9001 あ る い は ISO22000 を ベ ー ス と し た 独 自 の 食 品 の 製 造 管 理 基 準 を 設 定 し 、製 造 納 入 事 業 者 の 生 産 に お い て HACCP 等 の 衛 生 管 理 や 品 質 管 理 が 確 実 に な さ れているかの確認を行う制度を発展させてきている。 ( 1 ) BRC: British Retailer Consortium Global Standard 1998 年 イ ギ リ ス の 小 売 業 連 合 は 、小 売 業 の 自 社 ブ ラ ン ド の 製 造 納 入 事 業 者 の 製造に関する評価を行うための基準を導入した。この基準は、小売業の生産販売 物に対する適切な注意義務に対応するためのものであるが、また個々の小売業者 がそれぞれ独自の基準の適用と監査を行うよりは、統一された基準で行う方が小 売業にとっても製造納入事業者にとっても効率的であることから導入されたもの で、イギリスの大手の小売業のほとんどで採用されている。 現在は、小売業の自社ブランド製品の納入業者の基準として使われるばかりで な く 、事 業 者 が 供 給 業 者 と し て 認 め る か ど う か の 基 準 と し て 使 わ れ る よ う に な り 、 製造業者の適正製造規範として短期間のうちに産業界に広く普及している。 さらに、国際的にもこの基準が徐々に普及し、イギリスのほかカナダ、ブラジ ル 、中 国 、米 国 及 び タ イ で も 使 用 さ れ て お り 、全 世 界 で 約 15,000 社 以 上 が 認 証 を取得しており、世界中で最も汎用性の高いプログラムと言われている。 -80 - ( 2 ) IFS: International Food Standard 2002 年 に ド イ ツ 小 売 業 連 合 (Hauptverband des Deutshen Einzelhandels) が 食 品 の 安 全 と 品 質 に 関 す る 基 準 を 作 成 し 、そ れ を も と に 自 社 ブ ラ ン ド の 食 品 の 製 造 納 入 事 業 者 を 監 査 し 、認 証 す る 制 度 を 導 入 し た 。2003 年 に は フ ラ ン ス の 流 通 企 業 連 合 (Fédération des entreprises du Commerce et de la Distribution)が こ の国際品質規格に参加した。 2008 年 、フ ラ ン ス で IFS に 参 加 し て い る 小 売 業 は 、FCD の 品 質 委 員 会( Quality Committee)に 加 入 し て い る 企 業 す べ て で あ り 、カ ル フ ー ル 、オ ー チ ャ ン 、メ ト ロ 、 カジノ、モノプリ、ピカール、シュルジュレ、プロブラなどである。 ド イ ツ で の 参 加 小 売 業 は 、 HDE の 食 品 法 品 質 保 証 委 員 会 ( Committee for Food Law and Quality Assurance) に 参 加 し て い る 企 業 す べ て で あ り 、 メ ト ロ 、ア ル デ ィ 、テ ン グ ル マ ン , AVA, グ ロ ー バ ス 、マ ー カ ン ト 、ス パ ー COOP ミ グロス等のドイツ全土のすべての小売業である。 この国際品質基準は納入製造業者に対する監査の基準を定めたもので、 ISO9001 の 品 質 規 格 を ベ ー ス に 適 正 製 造 規 範 と HACCP 原 則 を 追 加 し た も の で あ る 。 規 格 第 4 版 で は EU 規 則 で 法 制 化 さ れ た ア レ ル ギ ー 物 質 及 び 遺 伝 子 組 換 物 質 に 関 す る 規 制 も 取 り 入 れ て い る 。 基 本 的 要 求 事 項 は 、 HACCP の 原 則 、 管 理 義 務 、 ト レ ー サ ビ リ テ ィ 、 改 善 措 置 で あ り 、 監 査 項 目 に は 325 項 目 の チ ェ ッ ク 項 目が定められているが日本での普及度は低い。 ( 3 ) SQF: Safe Quality Food 1994 年 に 農 産 物 及 び 食 品 の 供 給 業 者 が 生 産 す る 製 品 の 安 全 と 品 質 を で き る だ け 経済的に確保する基準を提供するものとして西オーストラリア農務省で作成された。 こ の 規 格 は 2003 年 に 全 米 フ ー ド マ ー ケ テ ィ ン グ 協 会 (Food Marketing Institute) の 所 有 と な り 、 2012 年 に 改 定 さ れ た 第 7 版 が 最 新 の も の と な っ て い る 。 SQF 規 格 は 、SQF1000 と SQF2000 の 2 種 類 が あ り 、SQF1000 は 主 に 農 産 物 に 適 用 さ れ る も の で 、 SQF2000 は 加 工 食 品 に 適 用 さ れ て い る 。 ま た SQF2000 に は 3 レ ベ ル が 設 定 さ れ て お り 、 レ ベ ル 1 は 基 本 的 な 食 品 安 全 基 準 、レ ベ ル 2 は 、HACCP を 包 含 し た 食 品 安 全 計 画 、レ ベ ル 3 は 食 品 安 全 及 び 品 質 を 含 む 総 合 マ ネ ジ メ ン ト 規 格 で あ る 。レ ベ ル 2 以 上 を 達 成 し た 製 造 供 給 業 者 は SQF の ロ ゴ マ ー ク ( ISO ガ イ ド 65 に 基 づ く 認 定 の 為 ) の 使 用 が 許 さ れ て い る 。 SQF 基 準 が 満 た さ れ て い る か ど う か は SQF 2012 年 時 点 で SQF 規 格 を 採 用 し て い る 企 業 は 約 6,500 社 と い わ れ 、FMI の お 膝 元 で あ る 米 国 が 最 も 多 く 、 次いで発祥の地オーストラリア、日本を含むアジア各国、ヨーロッパ、ラテンア メリカが多い。 -81 - ( 4 ) FSSC22000 ISO22000: 2005 と PAS220( Public Available Specification) を 統 合 し たものをベースにした食品製造業者のための新しい認証スキームである。 FSSC22000 の ス キ ー ム は 、 CIAA( European Food and Drink Association: EU 食 品 飲 料 産 業 連 合 )の 支 援 を 受 け 、FFSC 財 団( Foundation for Food Safety Certification)が 開 発 ・運 営 を し て お り 、GFSI に よ り 、2009 年 5 月 27 日 付 け で ベ ン チ マ ー ク ( 規 格 ) と し て 正 式 に 承 認 を 受 け た 。 ISO22000 の 認 証 に 追 加 条 項 ( PAS220-ISO22002-1)を 付 加 し た も の で あ り 、馴 染 み や す い こ と か ら 、日 本 で は 急 速 に 普 及 し つ つ あ り 、 JAB( 日 本 適 合 性 認 定 協 会 ) も 認 定 を 始 め て い る 。 (5) 関連資料 関連資料 15: SQF Code Edition 7 (日本語版) 関連資料 16: GFSI_Guidance_Document_Sixth_Edition_Version_6.2 (日本語版) 関連資料 17: FPA チェックリスト(日本語版) 3.今後の動向 欧米の小売業が主導している食品安全に関するグローバル規格は、政府が定め、 実施している食品安全措置のみでは、消費者の十分な信頼を得ることができないと の 認 識 に 基 づ き 、BSE の 発 生 後 、食 品 の 安 全 を 確 認 す る た め に は 、ど の よ う な 生 産 が行われたのか生産過程のチェックが必要であるとの消費者の考え方が強まってき たことを背景として生まれてきたと考えられる。 欧米では、安全な食品の確保は第一には事業者の責任であるとの考え方が法制度 的にも社会的通念としても日本より徹底していることも、このような食品安全に関 する民間基準が発達してきた理由のひとつでもある。 ま た 、 EU が 1985 年 の 理 事 会 決 議 に よ り 、 安 全 な ど の 基 本 的 事 項 以 外 は EU の 法 制 に よ る 加 盟 国 間 調 整 は 行 わ ず 、民 間 の 基 準 に よ る こ と と し 、そ の た め に ISO 等 を奨励したことも、このような民間基準が発展してきた大きな理由であると思われ る。欧米の民間基準は、一企業単位でなく多くの企業が採用することができる共通 の基準であり、また、国際的な調整もなされており、さらに、基準の内容は原則公 表で内容の透明性は高い。 欧米の民間基準は、政府の規制を補完する意味合いで基準の導入が可能であり、 輸出国の企業にも適用できるという点で輸入食品のより高度な安全確保にも貢献で きる制度でもあると思われる。政府の規制を上回るかなり詳細な基準を遵守してい くためには、追加的コストが必要であるが、これが生産から消費者への販売までの 過程で、関係業界がどのようにコスト負担すべきかという問題があり、取引上の交 渉力の強い業界は弱い業界に追加コストをしわ寄せすることになりやすいが、一度 -82 - の認証で、他の供給業者の監査を行なわないようことにより、コストパフォーマン を上げるべく協議が続いている。 WTO に お け る SPS 協 定 で は 、科 学 的 な 根 拠 を 説 明 で き な い 食 品 安 全 規 制 を と っ て は な ら な い と さ れ て お り 、 そ の 他 の 規 格 ・ 基 準 に つ い て も TBT 協 定 が 合 意 さ れ て は い る も の の 、 欧 米 の 食 品 安 全 基 準 は WTO 合 意 を 超 え た 基 準 が 適 用 さ れ て い る 事もあり、流通業のグローバリゼーションの中で、これらの規格基準が世界的に広 く普及してゆく可能性は高いと考えられる。 今 後 、 食 料 品 輸 出 を 目 指 す 日 本 に と っ て 、 EU 規 則 等 国 家 的 規 制 へ の 対 応 と 同 様 に、グローバルマーケティングの進展と小売業が寡占化による、こうした国際的な 国際規格への対応は不可欠であろう。米国の食品の安全性管理は、国家としての安 全性管理よりも、小売業界主導の自主的な管理の強化に向かうものと思われる。 1985 年 の EC 理 事 会 決 議 の 方 針 に 基 づ き 、1997 年 の「 食 品 法 の 一 般 原 則 」に 関 す る EU 理 事 会 議 事 緑 で は 、 食 品 の 定 義 、 構 成 等 に 関 す る 品 質 基 準 は 、 EU の 法 制 によらず民間主導で行われるべきと記載されている。 -83 - -84 - Ⅹ 調査結果のまとめと課題 米 国 に お け る 水 産 物 の 品 質 衛 生 管 理 の 仕 組 み は 、 食 品 衛 生 に 関 し て 、 FDA の 要 件 を 満 た し て い る こ と を 条 件 に 、商 務 省 国 立 海 洋 大 気 庁 海 洋 漁 業 局( USDC NOAA NMFS) の シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム ( SIP) が 、 水 産 業 界 に 科 学 ベ ー ス の 検 査 サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と に よ っ て 、水 産 物 の 市 場 性 と 持 続 可 能 性 を 高 め る 安 全 性 と 品 質 を 確 保 し て い る 。 こ れ は 強 制 的 で は な い 、業 者 が 自 主 的 に 参 加 す る プ ロ グ ラ ム で あ り 、業 者 は 、然 る べ き 料 金 を 支 払 う こ と で 、サ ー ビ ス を 受 け る こ と が で き る 、水 産 食 品 の「 依 頼 検 査 」で あ る 。 米国ではこのような国内のシステムを活用して、水産物の海外輸出を振興しており、 USDC NOAA NMFS に よ る 輸 出 証 明 は 、 衛 生 部 局 と 連 携 し て 行 わ れ て い る 。 今 回 の 米 国 の 調 査 及 び こ れ ま で の( 社 )大 日 本 水 産 会 の 調 査 で 、先 進 国 、途 上 国 を 問 わ ず 、水 産 物 輸 出 の た め の 品 質 や 衛 生 の 向 上 対 策 や 輸 出 証 明 は 、産 業 振 興 の 一 環 と し て 行 わ れ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。米 国 と EU の 間 に は 水 産 食 品 の 衛 生 の 同 等 性 に つ い て 議 論 が 合 っ た こ と が 窺 え 、保 険 部 局 間 の 覚 え 書 き の も と 、輸 出 証 明 は 産 業 振 興 部 局 ( NOAA)が 行 う シ ス テ ム と な っ て い る( P13、23)。我 が 国 の E U 輸 出 の 証 明 シ ス テ ムも、今後、関係機関、業界等が連携を図る協議会が設置されるとのことであるので、 産業振興の観点から、輸出証明が円滑に進むことが期待される。 他 方 、我 が 国 に お け る 品 質 衛 生 の 向 上 対 策 は 、国 の 支 援 策 を 受 け 、民 間 自 ら が そ の 対 策 の た め の 各 種 事 業 を 実 施 す る シ ス テ ム を 採 っ て い る 。そ の 役 割 を 担 う 民 間 機 関 の 役 割 は益々大きくなっている。 ア メ リ カ に お け る HACCP( 品 質 衛 生 管 理 基 準 ) に 対 す る 考 え は 、 そ れ ぞ れ の 施 設 、 製品に合った方法を取ればよいとされており、柔軟な対応が認められていた。例えば、 施 設 、設 備 の 衛 生 管 理 対 応 に つ い て は 、基 準 に あ る 目 的 に 添 っ た 対 応 を す る こ と が 重 要 で 、基 準 ど お り の 実 施 は 必 ず し も 必 要 で は 無 い と 考 え ら れ て い る 。強 制 法 で あ る が ゆ え に 、全 て の 魚 介 類 関 連 施 設 が 対 応 で き る よ う に 、品 質 衛 生 管 理 運 用 に お け る 基 準 へ の 対 応 方 法 や 認 証 審 査( 監 査 )等 が 、フ レ キ シ ブ ル に 運 用 さ れ て い る と 思 量 さ れ る 。こ の よ う な 管 理 を 可 能 に す る た め に は 、業 界 が HACCP の 内 容 、意 図 す る と こ ろ を 十 分 に 理 解 し 、実 施 す る こ と が 必 要 で あ り 、教 育・訓 練 が 出 来 て い る こ と が 前 提 と な る 。ま た 、監 査員の力量も問われることとなり、十分な教育、訓練が必要となる。 加 工 流 通 業 者 へ の 調 査 に よ り 、対 米 輸 出 を 伸 ば す た め の ポ イ ン ト は 、① 米 国 の 顧 客 ニ ー ズ と 流 通 の 仕 組 み に 対 応 し た 営 業 活 動 、② 輸 送 距 離・時 間 に 配 慮 し た ロ ジ ス テ ィ ク ス の 最 適 化 、③ 米 国 の 品 質 衛 生 管 理 制 度 を よ く 理 解 し た 対 応 、④ 衛 生 面 で の 適 正 な 情 報 表 示 方 法 の 実 施 、⑤ バ イ オ テ ロ 法 等 の 法 制 関 連 の 対 応 方 法 の 日 本 国 内 へ の 周 知 等 に あ る こ とが明らかになった。 以上 -85 - Ⅺ 関連資料 表 ・.1 # 2 関連資料 資料名 Fisher ies of the United States ・ 2011 1 米国調査 概 要 こ の 報 告 書 は 、 2011 年 に 米 国 領 海 、 米 国 排 他 的 経 済 水 域 ( EEZ ) 、 公 海 か ら 水 揚 げ さ れ た 、 商 業 漁 業 の 予 備 報告と遊漁のための最終報告である。 米 国 の 漁 業 2011 Web サ イ ト : N OAA Fish er ies H ome http://www.st.nmfs.noaa.gov/commercial-fisherie s/fus/ fus11/index European Union: How to exp or t Seafood to t he Eur op ean Union ・ Mar ch 2012 Updat e 食 用 水 産 物 の 貿 易 を 支 配 す る 主 要 な EU 法 の 概 要 を 説 明 した報告書 (巻末に全文を添付:付録1) EU へ の 水 産 物 輸 出 方 法 2012 年 版 NOAA Fisher ies Service Seafood Insp ection Pr ogr am Overview N OAA 訪 問 時 の N OAA 側 プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 資 料 (巻末に全文を添付:付録2) 3 国立海洋大気庁海洋漁業局 シーフード検査プログラム概要 NOAA SIP Services B r ochur e 4 N OAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム 紹介パンフレット NOAA HANDB OOK 25 U.S. Dep ar tment of Commer ce Seafood Insp ection Pr ogr am N OAA ハ ン ド ブ ッ ク 25 USD C の シ ー フ ー ド 検 査 5 商 務 省 N OAA 漁 業 サ ー ビ ス シーフード検査プログラムの紹介パンフレット (巻末に全文を添付:付録3) N OAA S eafood Insp ect ion Progr am の 組 織 と 業 務 に 関するハンドブック 第 1 章:管理 第 2 章:システム監査のための方針と手順 第 3 章:設 備 及 び シ ス テ ム の 承 認 に 関 す る 方 針 、手 順 、 および要件 第 4 章:ポリシー、手続き、及びロット毎ロットごと に水産物の監査のための要件 第 5 章:米国の格付基準及び格付のための手順 第 6 章:監査担当者の要件 第 7 章:認定 Web サ イ ト N OAA Fish er ies H ome http://www.seafood.nmfs.noaa.gov/NOAA%20Ha ndb ook 25/ T abl e_ of_ Con tent s.h t ml Policies, Pr ocedur es, and Requir ements for the Ap proval of Facilities and Systems シーフード検査プログラムに関する、施設とシステムの 認証に関するポリシー、手順、および要件 ( N OAA ハ ン ド ブ ッ ク 25 USD C の シ ー フ ー ド 検 査 第 3 章 ) 施設とシステムの認証に関するポ リシー、手順、および要件 同 上 W eb サ イ ト 6 N OAA Fish er ies H ome (巻末に目次を添付:付録4) -86 - USD C_S yst em Comp l iance RatingCr it eria 1 . N OAA H ACCP 品 質 管 理 プ ロ グ ラ ム の 要 件 2.システム適合性評価の説明とチェックリスト N OAA シ ー フ ー ド 検 査 プ ロ グ ラ ム・システム適合性評価基準 (チェックリスト付) システム適合性評価基準 a.品 質 管 理 と 責 任 b.食 品 安 全 c.衛 生 と 前 提 プ ロ グ ラ ム d.品 質 シ ス テ ム e.フ ー ド セ キ ュ リ テ ィ 7 Web サ イ ト N OAA Fish er ies H ome http://www.seafood.nmfs.noaa.gov/NOAA%20Ha ndbook 25/Facilities_and_Systems.html#Comp lian ce (巻末に抜粋を添付:付録5) RETAIL HACCP PROGRAM 流 通 H ACCP プ ロ グ ラ ム RETAIL HACCP PROGRAM 水産物流通業者向けのパンフレット 8 (巻末に全文を添付:付録6) SEAFOOD SPL AS H COURS E 水産物実践コース 9 SEAFOOD SPL AS H COURS E FOR SEAFOOD PROFESSION ALS 水産物流通業者向けのパンフレット (巻末に全文を添付:付録7) Impor ter s and Exporters 10 輸出・輸入業者 USDC Export Insp ection-Certification Progr am Impor ter s and Exporters 輸出・輸入関連業者向けのパンフレット (巻末に全文を添付:付録8) JETRO 米国食品市場概況と水産物輸出入 11 1. 概 況 ・ ト レ ン ド (1) 米 国 食 品 市 場 5 つ の 魅 力 (2) 日 本 の 輸 出 相 手 国 と し て の 米 国 (3) 各 地 域 の 特 徴 (4) 米 国 に お け る 日 本 食 の 広 が り (5) 日 本 食 の 推 移 (6) 対 米 食 品 輸 出 の 動 向 (7) 対 米 水 産 物 輸 出 の 動 向 (8) 米 国 の 主 な 輸 入 規 制 2.輸入食用水産物に対する衛生要件 3.米国水産物の輸出入統計 (巻末に全文を添付:付録10) 12 US FDA-EU Export Certificate List ( 2012oct ) 米 国 FD A· EU 輸 出 証 明 書 リ ス ト (巻末に全文を添付:付録11) Official EU list2 (EU ) Fish and F is h er y Pr o du ct s C ert i f i c at e 13 Lists 公 式 の EU l ist 2 の ( EU ) の 魚 や 水 産 物 の 証 明 書 リ ス ト 14 2009_FDA -NOAA_MOU_seafoo 商 務 省 NOAA( USDC NOAA) と 健 康 保 健 省 FD A (巻末に全文を添付:付録12) -87 - d in sp ect ion ( UD HH FDA) の 「 水 産 物 や 施 設 の 検 査 に お け る 協 力 と 情報共有」覚書 (巻末に全文を添付:付録13) SQF Cod e Ed it ion 7 ( 日 本 語 版 ) 「 S QF コ ー ド 」は 、製 造 過 程 ・ 製 品 認 証 基 準 で あ る 。食 品 微 生 物 基 準 全 米 諮 問 委 員 会 ' N a tion al Adv isor y Committee on Microbiological Cr iter ia for Food: N ACMCF( お よ び コ ー デ ッ ク ス 委 員 会 ' COD EX Al iment ar iu s Commission( の「 H ACCP 原 則 お よ び ガ イダンス」を用いている「危害分析・重要管理点モニタ リ ン グ 方 式 ' H ACCP( を 基 盤 と し た 食 品 安 全・品 質 管 理 システムであり、業界または企業商標付き製品の裏付け 15 となってサプライヤーや顧客にメリットをもたらすこと を目的としている。 (巻末に目次を添付:付録14) ( 水 産 物 産 地 市 場 ・ 品 質 衛 生 管 理 Web サ イ ト http ://www.ichib a-qc.jp/ で 全 文 公 開 ) GFSI_Guidance_Document_Sixt h_ Ed ition_ Ver sion _ 6.2( 日 本 語 版) 16 GFSI の 主 な 目 的 の 1 つ で あ る 複 数 の 食 品 安 全 マ ネ ジ メ ントシステム間の同等性を判定するためのツールのひと つ。食品安全スキームが承認を獲得し、さらに適合を求 めるスキームにガイダンスを与えるプロセスを規定して い る 。 さ ら に GFS I の 承 認 を 求 め て い る 食 品 安 全 ス キ ー ムに含められるべき要求事項、安全な食品や飼料の生産 あるいは食品サービス提供での食品安全に関する主な要 素を規定している。 (巻末に目次を添付:付録15) ( 水 産 物 産 地 市 場 ・ 品 質 衛 生 管 理 Web サ イ ト http ://www.ichib a-qc.jp/ で 全 文 公 開 ) FPA チ ェ ッ ク リ ス ト ( 日 本 語 版 ) 17 FPA( Food Pr odu cts Associat ion- 全 米 食 品 加 工 業 協 会 ) は 、 現 在 そ の 名 称 を GMA(G rocer y Manu fact ur er s Associat ion- 全 米 食 品 製 造 業 者 協 会 ) に 変 更 し て い る が 、 米国最大規模の食品業界団体の一つである。このチェッ クリストは食品製造業者の監査を行う審査員が、監査を 行う場合に用いられている。 (巻末に全文を添付:付録16) -88 - -89 -
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