TCP/IP 帯域幅の制御 TCP/IP 帯域幅管理シリーズ Number 1 of 3 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - 目次 はじめに ···································································································· 2 背景 ········································································································· 2 帯域幅に関する問題点 ·················································································· 3 帯域幅管理へのアプローチ ············································································· 4 帯域幅の追加 ....................................................................................................... 4 ルータのキューイングを使用 .................................................................................. 4 Web サーバのアップグレード ................................................................................. 5 詳細な制御方針の定義 - PacketShaper ソリューション ........................................ 5 PacketShaper は、どのように機能するのか ························································ 6 エンド・トゥー・エンド接続の制御 .............................................................................. 6 PacketShaper データ・フロー例..................................................................... 7 PacketShaper による円滑なトラフィック・フロー .............................................. 7 正確な制御のためのトラフィック分類 ....................................................................... 8 Web アクセス・シナリオ ................................................................................. 9 帯域幅の割り当て.................................................................................................. 9 トラフィック・クラスに対する速度の割り当て .................................................... 9 アドミッション制御 ....................................................................................... 10 効率的な帯域幅使用のためのコネクション速度に合わせた帯域幅 のスケーリング ........................................................................................... 10 帯域幅割り当ての優先順位付け.................................................................. 10 アクセスの拒否........................................................................................... 10 PacketShaper による帯域幅割り当ての順序 ............................................... 10 PacketShpaer の利点 ················································································· 11 お問い合わせ ····························································································· 12 1 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - はじめに PacketShaper は、他の ネ ットワークデバイ ス とは異なるユニ ークなテクノロジを提供するものです。 PacketShaper が保証するサービスレベルの真価を認識していただくには、PacketShaper が TCP パケットと トラフィック・フローを、どのように管理しているのかを理解していただく必要があります。 背景 TCP (Transmission Control Protocol) は、プロトコルのアプリケーション・レイヤに対するコネクション指向型 のサービスを提供するものです。これはクライアントとサーバが、データを交換するためにコネクションを確 立する必要があることを意味します。TCP では、データの破損を検出するためのチェックサム、および一 定順序のバイト・ストリームを確保するためのシーケンス番号を送信するデータと共に、IP データグラムに 収めセグメント形式で伝送します。受信側のコンピュータでは、データを受信するだけでなく、その完全性 と順序について送信側へ受信確認を返す必要があります。そのため、TCP は信頼性の高いトランスポー ト・メカニズムと考えることができます。送信側のコンピュータでは、受信側からの受信確認パケットを一定 の時間内に受け取れなかった場合、そのセグメントを再送します。また TCP は伝送を制限するためのフ ロー制御ウィンドウを保持しています。受信側では、ウィンドウ・サイズを通知することにより、次に取り扱え るバイト数を送信側へ知らせることができます。 要約すると、TCP は次の信頼性チェックを行います。 パケットの受信確認を返し、失われたパケットがある場合は再送する。 セグメントの到着順序に誤りがあった場合、それらを正しい順序で再構成する。 伝送中にデータが破損した場合、パケットを破棄する。 重複したセグメントを除去する。 コネクションの伝送速度を管理するためにフロー制御を行う。 2 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - 帯域幅に関する問題点 TCP/IP は、主に FTP および Telnet という 2 つの通信アプリケーションをサポートするために設計されたも のでした。しかし、インターネットの発展に伴い、ネットワーク・アプリケーションとユーザの期待は変化して きました。今日、高速通信を行うユーザや、バースト的な Web トラフィックの急激な増加によって、ネット ワークに対する需要が高まり、結果としてユーザに対するサービス品質に影響を与えるような遅延やボト ルネックが生じるようになりつつあります。TCP の信頼性を高めている特性の多くは、パフォーマンスの問 題にも深く関係しています。 ネットワーク上でパケットの消失や受信確認が遅延したときに再送する。 輻輳があると判断したときにバックオフする。 従来の TCP による帯域幅管理では、ネットワークの輻輳を判断するために間接的なフィードバックが使用 されます。TCP は、コネクションの伝送速度を問題があると判断するまで増加させ、問題を検出した時点 でバックオフします。TCP では、パケットの消失を輻輳の兆候と解釈します。TCP の目標は、個々のコネク ション要求をバーストさせることで使用可能なすべての帯域幅を使用させ、その一方で予測される問題に 対して保守的な方法で対処し、輻輳を緩和するということにあります。 TCP は、スライディング・ウィンドウというフロー制御のメカニズムを使用して、広域ネットワーク上のスルー プットを向上させます。このメカニズムにより、送信側では複数のパケットを伝送した後に、送信を一旦停 止し、受信確認を待つことができます。これにより、送信側はパケットを1つ送るたびに受信確認を待つ必 要がなくなり、データ転送の速度が向上します。*1 また送信側は「パイプがいっぱい」になると、受信確認 を待ってから、さらに後続のデータを送ります。受信側では、データを受け取ったことを伝える受信確認を 返すだけでなく、現在自分が取り扱えるデータの量、つまりウィンドウ・サイズも通知します。 TCP のスロー・スタート・アルゴリズムは、複数のパケットによってルータ・キューがいっぱいになるという問 題を軽減しようと働きます。前述した、取り扱い可能なデータ量を送信側に伝える TCP のフロー制御は、 一般的には受信側で行われます。これに対し、スロー・スタート・アルゴリズムで使用される輻輳ウィンドウ は、送信側にて管理するフロー制御のメカニズムです。スロー・スタートでは、コネクションがオープンする と、ACK(受信確認パケット)を受信するまでに、パケットが1つだけ送信されます。ACK が1つ受信される たびに、輻輳ウィンドウは1つ増加します。1往復ごとに、セグメント数は倍増され、これが限界値に達する まで続けられます。 要約すると、TCP が使用するフロー制御は、クライアントおよびサーバのオペレーティング・システム構 成、距離、その他のネットワーク条件によって決定されます。後述しますが、PacketShaper は、ユーザが定 義する明示的なポリシーに従って速度制御を提供するものです。 1. Stevens, W. Richard, TCP/IP Illustrated, Volume 1: The Protocols (Reading, Massachusetts: Addison Wesley Longman, Inc., 1994), 275 3 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - 帯域幅管理へのアプローチ 帯域幅の制約に直面した際には、いくつかの解決策が考えられます。本節では、それぞれの利点と制約 に重点をおきながら以下の解決策について説明します。 帯域幅の追加 ルータのキューイングを使用 Web サーバのアップグレード 詳細な制御方針の定義 - PacketShaper ソリューション 帯域幅の追加 帯域幅の制約を克服するための明快な方法の1つは、帯域幅をさらに追加することです。しかし、テクノロ ジの傾向を見れば分かるように、これは短期的な解決策にすぎず、帯域幅を増加しても、それはすぐに消 費し尽されてしまいます。その結果、再び振り出しに戻り、現在持っている帯域幅をより効率的に使用する 方法を模索することになります。 ルータのキューイングを使用 ネットワークデバイスは、さまざまな点で、発展を続ける高速テクノロジに歩調を合わせてきました。ルータ は、加重フェア・キューイング(Weighted Fair Queuing :WFQ)、プライオリティ出力キューイング、カスタム・ キューイングなどのキューイング方式を提供しています。これらのキューイング方式は、個々のデータ・フ ローに優先順位を付け、帯域幅を分配することで、Web アプリケーションなどの小容量のデータ転送が、 FTP トラフィックのような大容量のデータ転送に押し潰されることのないようにしています。*2 しかし、ルータ・ベースのキューイング方式には、いくつかの制約があります。 2. ネットワーク・エンジニアリングにおける最近の研究では、トラフィックが自己相似的つまりフラク タルな特性を持つものであることを示しています。これは、アクセス・リンクにおけるキューイング の問題は、伝統的なポアソン・モデリングで予測されるよりはるかに悪化することを意味していま す。 Paxson, Vern and Floyd, Sally, Wide Area Traffic: The Failure of poisson modeling (IEEE/ACM Transactions on Networking, Vol. 3, No.3 June 1995). Erramilli, Ashok; Narayan, Onuttom; and Willinger, Walter, Experimental Queuing Analysis with Long-Range Dependent Packet Traffic (IEEE/ACM Transactions on Networking, Vol.4, No.2, April 1996) 4 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - ルータによる帯域幅の管理は、パケットを破棄し、しかもエンド・システムに対して、直接的なフィード バックを行わないという受動的なものです。ルータは、キューイング(バッファリングと遅延の追加)ま たはパケットの破棄によって、ルータの出口のトラフィックを制御するためだけに使用します。 ルータ・キューイングは、単一方向、つまりアウトバウンド・トラフィック専用です。 キューイングを用いると、複数の独立した TCP の送信元が帯域幅を獲得しようと競合する結果、トラ フィックのチャンク(かたまり)が生じやすく、パフォーマンスが不安定になりがちで、アクセス・リンクに キューが累積することにもなります。チャンクの多いフローでは、チャンクの形で到着したパケットの多 くは破棄されるため、特に加重フェア・キューイングではうまく機能しません。 ルータでは、特定のトラフィック・タイプに対して保証された一定の速度を与えることはできません。 「ブラウン・アウト」を防ぐことができません。つまりアクセス・リンクが過密状態にある場合に、新しいコ ネクション要求の進入を制御するポリシーは提供しません。 速度指定が不正確。高速接続と低速接続を個別に指定することも、またビット/秒で速度を指定する こともできません。 トラフィックの分類が粗すぎる。ルータは、URL によってトラフィックを分類することができないため、Web サイトにおけるすべてのフローを同一に扱います。 Web サーバのアップグレード Web サーバにおいては、ハードウェアの改良、サーバ・ソフトウェア、および HTTP プロトコルにより、ボト ルネックはサーバからアクセス・リンクへと移りつつあります。図1に示すように、データが LAN の太いパイ プから WAN の細いパイプに渡されるときに輻輳が発生します。 10 Mbps 1.5 Mbps ルータ 広域 ネットワーク サーバ ルータ クライアント 速度の転換時にキューが形成される 図 1. アクセス・リンクのボトルネック 詳細な制御方針の定義 - PacketShaper ソリューション 本来トラフィックは、独立した複数の送信元から出されるデータが結合されたときに累積されるチャンク(か たまり)によって形成されています。このデータのチャンクは、速度転換が行われるアクセス・リンクにおい て発生する傾向があります。PacketShaper が他のソリューションと大きく違う点はここにあります。 5 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - ネットワーク・パイプの中を、砂利ではなく細かい砂を通すことを想像してみてください。砂は、砂利よりも 均等に、そして素早くパイプの中を通り抜けます。PacketShaper は、トラフィックを砂利ではなく細かい砂の 状態にします。このように円滑に制御されたコネクションでは、パケットの消失する頻度は非常に少なくな り、さらに重要な点は、エンド・ユーザは一貫性のあるサービスを受けることができるということです。 次に述べるように、PacketShaper は TCP のメカニズムを活用しながらも、TCP の欠点を補い予測可能なパ フォーマンスを提供します。TCP が、破棄されたパケットによる間接的なネットワーク・フィードバックに頼っ て輻輳を推測するのに対し、PacketShaper はリモート・ユーザのアクセス速度とネットワークの待ち時間を 検知し、このデータを総合的なフロー情報と関連付けすることにより、送信側に直接的なフィードバックを 提供します。この結果として円滑なトラフィック・フローが実現されます。 PacketShaper は、どのように機能するのか PacketShaper は、個々の TCP のコネクションに関するステート情報を保持するため、送信側に対し直接 的なサービス品質のフィードバックを提供することができます。さらに、ユーザは PacketShaper のポリシー を定義することで、異なるトラフィック・クラスを明確に区別しながら管理でき、帯域幅リソースをビジネス・ ニーズに合わせて分配することができます。つまりサービスレベルの厳密な制御が可能になります。 ブルーコート社の PacketShaper は、他の帯域幅管理ソリューションには見られない、いくつかの重要な機 能を備えています。 エンド・ツー・エンド接続の制御によりバーストを排除するので、ユーザは円滑でむらのないデータ表 示を体験することができます。 詳細な制御のためにトラフィックを分類します。PacketShaper は特定のアプリケーションや URL によ る分類も可能です。 ユーザのポリシーに従って帯域幅を割り当てます。 以下に、これらの機能の詳細を説明します。 エンド・トゥー・エンド接続の制御 PacketShaper は、次の 2 つの方法により TCP の伝送速度を制御します。 フロー速度をリアル・タイムに検出し、送信側へ返される受信確認を遅延させる。 送信側へ送られるパケットの中で通知されるウィンドウ・サイズを変更する。 PacketShaper は、エンド・ツー・エンドにおける TCP セマンティクスをコネクションの途中から変更します。 PacketShaper はランウンド・トリップ・タイム(RTT)を計算し、受信確認を横取りすると、再送タイムアウト (RTO)の生じない範囲で受信確認を差し止めすることでトラフィック・フローを円滑にします。さらに PacketShaper では、送信側が次のパケットを送信する時期を判断するために役立つウィンドウ・サイズも提 供します。図2および次のデータ・フローの例は、この速度制御メカニズムの働きを示しています。 6 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - 送信側 データ送信 受信側 Data 20 000-21 000 PacketShaper 000 ACK 20 00 0 2 WIN ACK 21000 WIN 8000 時 間 Data 21 000-220 00 000 ACK 21 00 0 2 WIN Data 22 000-230 00 図 2. PacketShaper によるコネクションの制御 PacketShaper データ・フロー例 図2は、PacketShaper が予測可能なサービスを提供するために、データ伝送に対しどのように干渉しペー スを調整しているのかについて示しています。以下のステップでは、図2に示したデータ転送の手順を説 明します。 1. データ・セグメントが受信側に送られます。 2. 受信側は受信確認(ACK)を返し、その中で 8000 バイトのウィンドウ・サイズを通知します。 3. PacketShaper は、その ACK を横取りし、データをより均等に伝送する必要があると判断します。もし PacketShaper が介在しなければ、使用可能な帯域幅が不十分になり、後続のデータはキューに入れ られ、パケットが破棄される可能性があります。 4. PacketShaper は、送信側に ACK を送ります。このとき送信側に ACK が到着後、送信側がデータを ただちに送信するように計算されます。つまり、ACK のシーケンス番号にウィンドウ・サイズを加算す ることで、送信側は次のパケットを送信できることになります。 PacketShaper による円滑なトラフィック・フロー PacketShaper がない場合、複数のパケットが送られ、中継するルータはパケットをキューに入れ、キューが いっぱいになるとパケットを破棄する、破棄されたパケットは再送が必要、ということになります。図3は PacketShaper がない場合のバーストの発生しがちなトラフィック・フローと、PacketShaper がある場合の均 等化されたデータ伝送を示しています。 7 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - PacketShaper がない場合 送信側 PacketShaper がある場合 受信側 送信側 時 間 Data #2 Data #3 Data #4 Data #3 Data #4 Data #5 PacketShaper 時 間 受信側 Data #1 Data #1 Data #2 Data #5 バーストが発生しがちなトラフィック・フロー 円滑なトラフィック・フロー PacketShaper がない場合: PacketShaper がある場合: 送信側への間接的なフィードバック 送信側への直接的なフィードバック チャンクの多い(砂利のような)トラフィック・ フロー 円滑な(細かい砂のような)トラフィック・ フロー 粗く不正確な分類 正確なトラフィック分類 一方通行。アウトバウンド制御のみ 双方向制御 図 3. トラフィックの形態: PacketShaper の使用前と使用後 注: アクセス・リンクで起こる輻輳の問題とは別に、トラフィックが固まりとなって流れてしまうと、スムーズ にトラフィックを流した場合と比べてパケットの消失が多くなります。 正確な制御のためのトラフィック分類 PacketShaper は、階層ツリー構造を用いてトラフィックを分類します。ユーザは、特定のアプリケーション (Web トラフィックなど)のトラフィック、また、場合によっては特定の URL など、制御したいトラフィック・タイ プの特性を指定することができます。すべてのネットワーク・トラフィックの中から、ユーザのビジネスにお いて、サービス品質に影響のあるトラフィックだけを分類する必要があります。PacketShaper は、トラフィッ ク・クラスの階層ツリーを検索し、そのフローがユーザの指定したクラスの1つに一致しているかどうかを確 認することで、トラフィック・フローを分類します。分類のプロセスにおける最終ステップは、フローをポリ シーに対応付けすることです。ポリシーには、トラフィック・クラスに付与したいサービスのタイプ(例えば保 証速度)を定義します。 PacketShaper は、次のような機能により、豊富なトラフィック分類が可能です。 特定のアプリケーションや URL による分類が可能であり、ユーザは詳細な制御を行うことができま す。 8 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - 優先順位を管理し、ポリシーの継承を可能にするトラフィック・クラスの階層を保持しています。 トラフィック・クラスを自動的に順序付けします。また、ユーザは特定のクラスを選択して、 PacketShaper によるツリーの検索順序を変更することができます。 Web アクセス・シナリオ Web ブラウザを使いインターネット上にある World Wide Web の情報にアクセスする場合は、TCP の上位 にある HTTP(Hypertext Transfer Protocol)により通信します。HTTP は各ユーザの要求ごとにデータを転 送するので、HTTP トラフィックではバーストが発生しがちになります。 典型的な Web ブラウズ・セッションは次のように進められます。 ユーザのアクション 1. ボタンをクリックして特定の URL します。 PacketShaper のアクション を選択 1. URL によりトラフィック・フローを分類します。イン デックスか? HTML ファイルか? それとも GIF か? 2. トラフィック・クラスをポリシー(速度制御のルー ル)に対応付けします。 3. データ転送を円滑化して、均等でバーストのない データ表示をユーザに提供します。 帯域幅の割り当て ユーザは制御したいトラフィック・タイプに対するトラフィック・クラスを作成後、ポリシー、つまり PacketShaper に帯域幅の割り当て方法を指示するためのルールを定義します。そして該当するクラスに 対してそのポリシーを適用します。 PacketShaper はトラフィック・フローを処理する際に、ツリー構造内のクラスからフローに該当するものを1 つ選び、そのクラスに割り当てられているポリシーを使用して、フローのサービス品質を設定します。トラ フィック・フローは、コネクションでも個々の URL でもかまいません。 PacketShaper は、速度ベース、優先順位ベース、そしてアドミッション制御の3つのポリシー・タイプを提供 しており、ユーザはこれらを組み合わせることで帯域幅を制御します。以下の各節では、ユーザが定義し たルールに基づいて、PacketShaper がどのように帯域幅の分割方法を決定するのかについて説明しま す。 トラフィック・クラスに対する速度の割り当て バースト的なトラフィックを円滑化するように設計された速度ベースのポリシーでは、トラフィック・クラスに対 して保証速度を割り当てることにより、帯域幅を確保することができます。保証速度は、ビット/秒でコネク ションの正確な速度を設定します。帯域幅に余裕がある場合には、ユーザが定義したポリシー設定にした がって、未使用帯域の一部を余剰速度としてコネクションに使用することができます。 9 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - アドミッション制御 トラフィック・クラスに与えた保証速度の合計値がすべて使用し尽くされてしまったときにどうすべきかを定 義します。例えば、あるクラスに属する次のコネクションが保証速度を必要としているとき、使用可能な帯 域幅がない場合は、その帯域幅要求に対する処置として、PacketShaper はコネクション要求を拒否する か、または要求をリダイレクトするか(Web リクエストの場合)、あるいはパイプの隙間に押し込むようにする ことができます。 効率的な帯域幅使用のためのコネクション速度に合わせた帯域幅のスケーリング PacketShaper はコネクション速度を監視し、その速度が変化すると帯域幅の割り当てを調整します。 PacketShaper は、低速接続と高速接続にそれぞれ別々に保証速度を割り当てることができるため、帯域 幅の使用量を状況に応じてスケーリングすることができます。例えば、典型的な Web セッションでは、ク リックまでの待ち時間は帯域幅を消費しないため、PacketShaper は他の要求を満たすために帯域幅を解 放します。 帯域幅割り当ての優先順位付け 優先順位ベースのポリシーは、保証速度は必要としないが、競合するトラフィックとの間で優先度による管 理を必要とする場合に有効です。優先順位ベースのポリシーは、保証速度を必要とせず、かつバースト 的でないトラフィック用として最適です。トラフィック・クラスに優先順位(0~7)を割り当て、全体のフローに 対する管理方法を PacketShaper に指示することができます。 すべてのトラフィックを分類する必要はありません。分類しなかったトラフィックは、すべて優先順位3のトラ フィックとみなされます。 アクセスの拒否 特定の IP アドレスからのトラフィックを拒否したい場合など、アドミッション制御ポリシーにより、アクセスを 制御することができます。このポリシーは常にアクセスを拒否するか、または他の URL にリダイレクトするよ うに構成することができます。 PacketShaper による帯域幅割り当ての順序 PacketShaper は、ユーザが定義するポリシーに基づいて、帯域幅の割り当て方法を決定します。その場 合、PacketShaper は個々のトラフィック・フローだけでなく、帯域幅に対するすべての要求を考慮に入れま す。図4では、帯域幅は次の基本的な割り当て方法にしたがって割り付けられています。 最初に保証速度が割り当てられているトラフィック・フローに対し帯域幅を提供します。 他のトラフィック(ポリシーが割り当てられているトラフィックと分類付けなしのトラフィックの両方)は、 残された余剰帯域幅を求めて競合します。 余剰帯域幅は、ユーザが優先順位ベースのポリシーで設定した優先順位に基づいて割り当てられ ます。このとき、あるフローは状況に応じて保証速度と余剰速度の両方を持つことができる、という点 10 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - に注意してください。アプリケーションの優先順位はユーザが決定します。例えば、PointCast には低 い優先順位を設定し、かつ余剰速度を使用することで、基幹業務を妨げないようにすることができま す。 使用可能な余剰帯域幅を使 用して、高い優先順位から 低い優先順位へと需要が満 たされていきます。 優先順位フロー エクセスレート優先度でのレート単位フロー 保証レートフロー 図 4. PacketShpaer の帯域幅割り当て方法 PacketShpaer の利点 PacketShaper は、独自の最新テクノロジを提供するものです。ユーザは、このテクノロジを使用することで、 TCP/IP の帯域幅を明示的に制御し、ネットワークを自分の意志で制御することが可能になります。このテ クノロジは、次のようにユニークな帯域幅管理の機能を提供します。 ビット/秒による明示的な速度制御:保証速度を指定し、その合計帯域幅の割り当て方法を定義する 優れた機能を提供します。 円滑なトラフィック・フロー:Web トラフィックに見られるバーストを排除し、一貫性のあるサービス品質 を確保することにより、均一な伝送を実現します。 トラフィックの詳細な分類:URL またはアプリケーションによっても分類することができます。 双方向トラフィック制御:アウトバウンド・トラフィックのみを制御するルータとは異なります。 送信側への直接的なフィードバック:ルータが提供する間接的なフィードバックとは異なり、伝送速度 およびフロー状況を送信側へ直接フィードバックします。 ブラウン・アウトを保護するためのアドミッション制御。 11 TCP/IP 帯域幅の制御 - TCP/IP 帯域幅管理シリーズ - お問い合わせ PacketShaper についてのお問い合わせ、詳しい資料などにつきましては ブルーコートシステムズ合同会社までご連絡ください。 ブルーコートシステムズ合同会社 〒105-0021 東京都港区東新橋 1-9-2 汐留住友ビル 16 階 電話: (03)6251-9111 FAX: (03)6251-9112 E-Mail: japan.info@bluecoat.com URL: http://www.bluecoat.co.jp Copyright© 2010 Blue Coat Systems, Inc. All rights reserved worldwide. 本ドキュメントのいかなる部分も、 Blue Coat Systems, Inc.の書面による許可なく、いかなる手段でも複製または電子媒体に変換することを 禁じます。仕様は予告なく変更される可能性があります。本ドキュメントに記載されている情報は正確で 信頼できる内容ですが、Blue Coat Systems, Inc.はそれを使用することに対して一切の責任を負わないもの とします。Blue Coat、ProxySG、PacketShaper、IntelligenceCenter、および BlueTouch は Blue Coat Systems, Inc.の米国および世界各国での登録商標です。本ドキュメントで使用されているその他のすべての 商標は、それぞれの所有者の所有物です。 12
© Copyright 2024 Paperzz