電子ペーパーの技術開発競争の先にある知財リスク

SO-TI Technology Trend Watch No.46
January 20th, 2010
XLUS を活用した技術開発動向分析
- 電子ペーパーの技術開発競争の先にある知財リスク -
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上記連絡先までご連絡ください。
*本レポートに記載した内容および図表の全ての著作権は(株)創知が保有します。無断転載は禁止いたします。
電子ペーパーは様々な定義や機器が混在しているが、コンセプトは紙の視認性と携帯性を保持しつつ、電子的に
書き換え可能なディスプレイデバイスというものである。
現在主流の液晶ディスプレイと比較すると、一般に、低消費電力、高い視認性、薄くて折り曲げ可能というメリ
ットがある反面、応答速度が遅く動画には向かないとされてきた。しかし、電子粉流体方式では、むしろ液晶よ
りも高速であるため、実用化が一挙に進んだ。
技術開発競争も激化している。2000 年以降、電子ペーパーに関する特許は急増しており、その中でもセイコー
エプソン(6724)の件数と伸びが著しい(図 1)。セイコーエプソン(6724)の 2001 年の公開件数はわずか 1
件であったが、2009 年には 231 件まで増加した。三井化学(4183)も出願総数こそ第 5 位であるが、2008 年以
降の公開件数が急増している。2007 年の公開件数は 5 件であるが、2008 年は 82 件、2009 年が 93 件と急激に
出願数を延ばしている。三井化学(4183)は高い移動度、大きな電流オン/オフ比を有し、保存安定性に優れた
有機トランジスタを提供することを目的とした特許が出されている。
開発分布をレーダー図(図 2)で見ると、中心付近に化学変化方式、電気泳動方式、ブリヂストン(5108)方式
の3つの代替方式が対峙している構造がある。出願件数の多い主要出願人について、研究開発の重心の年別推移
をみると、各社ともに重心が隣接しているが重ならない(図 3)。これは開発の方向、すなわち技術ポートフォー
リオに違いが存在しているためと考えられる。
セイコーエプソン
(6724)
は、
電気泳動方式、
コニカミノルタ
(4902)
は化学変化方式に重心がある。
一方で、製造事業の実施を伴わない半導体エネルギー研究所は、セイコーエプソン(6724)とコニカミノルタ
(4902)の間に重心が存在している。今後、両メーカーが開発を進める先に、知財権のバッティングが起こる可
能性があり、事業上の脅威となる可能性を秘めており、早期のリスクヘッジが求められるであろう。
©2010 SO-TI, Inc.
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January 20th, 2010
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200
セイコーエプソン株式会社
株式会社ブリヂストン
富士ゼロックス株式会社
コニカミノルタホールディングス株式会社
株式会社半導体エネルギー研究所
三井化学株式会社
コニカミノルタオプト株式会社
ソニー株式会社
凸版印刷株式会社
大日本印刷株式会社
公開件数(件)
150
100
50
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
0
公開年
図 1 電子ペーパー分野の主要出願人の公開件数推移
図 2 電子ペーパー分野の中心付近における出願構造
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SO-TI Technology Trend Watch No.46
January 20th, 2010
図 3 主要出願人の開発重心の年別推移
(著者紹介)
中村 達生:創知代表取締役 CEO、早稲田大学非常勤講師、ヒ
ューマンリソース研究所客員研究員、工学博士
三菱総合研究所主任研究員を経て 2006 年より現職。
専門領域は、研究開発コンサルティング、オペレーションズリサ
ーチ、知財分析。
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