TR0703 ヘドニック・アプローチを用いたWeb サイト価値算定モデルの構築

ヘドニック・アプローチを用いた Web サイト価値算定モデルの構築
金林 真
高橋正子
福川忠昭
Technical Report No. 2007-003
3.Ⅱ.2007.
Department of Administration Engineering
Faculty of Science and Technology
Keio University
223-8522 横浜市港北区日吉 3-14-1
慶應義塾大学理工学部管理工学科
高橋正子研究室
masako@ae.keio.ac.jp
要旨
古くから人々は不動産を取引する不動産業を営み、不動産市場を発展させてきた。現代
に入り、インターネットの発展に伴いインターネット上での不動産とも言える Web サイト
の市場が発生し、人々は Web サイトを不動産のように取引するようになった。
しかし、まだ始まって間もないため人々の間で Web サイトの価値というものが認識され
にくい。よって本研究では、Web サイト価値算定モデルの構築を行い、価値の認識の補助
を行うだけではなく、価格を構成する要素を解析することにより Web サイト売買時により
有効とされる要素を明らかにし、Web サイトを構築するに有用な情報を Web サイト構築
者に与える。
本研究はヘドニック・アプローチを用いて Web サイトの市場価値を精査するという観点
から価値算定を行う。具体的には、価格を複数の特性の関数として表し、その関数を用い
て大量の価格を特性データ上に回帰する。本研究によると、コストがかかりにくく、未来
の収益予測を立てやすい Web サイトに高い価値がつくことがわかった。
また、提案モデルを用いて、アメリカの Web サイト市場と日本の Web サイト市場の比
較を行った。本研究によれば、同じ要素を持つ Web サイトでも日本の方がより価値が高く
評価される。これは日本の市場では、取引者の保証や契約の補助などの業務を行っており、
その為、信頼性が高まり、信頼性プレミアムが付与されるためである。
キーワード : ヘドニック・アプローチ、価値算定モデル、Web サイト
-2-
Value estimation model of website using Hedonic approach
Abstract
We can liken the internet website market to the real estate market. However
because of the relative newness of the website market, few people understand how
websites are evaluated. Therefore, this study helps to explain the market value of
websites and also provides webmasters with useful information regarding the values of
a website using the Hedonic approach. More specifically, this study shows how
massive prices are regressed on characteristic data using a plural characteristics
function. This study also shows that websites which have low maintenance costs and
which are predicted to be profitable in the future are more valuable.
This study also compares websites in the United States with those in Japan. It
shows that the Japanese websites are evaluated higher than the websites in the U.S.
This is because there is a reliance premium on Japanese websites due to the guarantees
put in place by the market.
Keywords: Hedonic approach, Value estimation model, website
-3-
目次
第1章
研究の目的と背景.................................................... 6
第2章
Web サイトの種類と Web サイト取引の現状
第3章
第4章
第5章
第6章
2-1.
Web サイトの定義............................................... 8
2-2.
Web サイトの種類............................................... 9
2-3.
Web サイト取引の目的..........................................16
2-4.
Web サイト取引の現状..........................................18
不動産と Web サイト
3-1.
不動産との共通点.............................................. 26
3-2.
不動産との相違................................................ 28
価値算定モデルと先行研究
4-1.
不動産価値算定モデル...........................................30
4-2.
不動産価値算定における先行研究................................ 32
4-3.
本研究における価値の定義. ..................................... 33
4-4.
本研究における方針............................................ 34
価値測定指標と分析対象
5-1.
考えられる価値測定指標........................................ 35
5-2.
分析対象の決定とデータ収集.................................... 38
5-3.
分析データの検討と修正........................................ 39
ヘドニック・アプローチによる Web サイト価値算定モデルの構築
6-1.
ヘドニック・アプローチとは......................................43
6-2.
ヘドニックモデルの構築........................................ 49
-4-
第7章
第8章
6-3.
分析結果...................................................... 51
6-4.
考察.......................................................... 54
Web サイト市場の日米比較
7-1.
日本における分析対象.......................................... 59
7-2.
データの修正...................................................59
7-3.
分析結果と日米市場比較比.......................................59
結論・今後の課題
8-1.
結論 ..........................................................63
8-2.
今後の課題.................................................... 63
参考文献....................................................................65
付録........................................................................67
-5-
第1章
研究の目的と背景
人類は古くから荘園などの制度により、限定的ではあるが不動産業を営んでいた。しか
し 18 世紀から 19 世紀にかけてイギリスで起こった産業革命を境にして、不動産業は一気
に興隆をみせた。産業革命によって鉄道などの交通手段が発生したことで、人々の往来が
飛躍的に活発化し、人口の移動が起こるようになった。また、それと同時に、産業革命に
より人口が爆発的に増加した。そのため、人が多く集まるところと集まらないところが顕
在化した。例えば駅前の土地のように人が多く集まる土地というのは、もちろんマネーフ
ローをもたらす土地であるので、そのような土地は多くのものが手に入れようと考えた。
このように、マネーフローをもたらす土地及びそれに付随する建物を売買しようとする需
要が発生し、その需要の発生に伴い市場も誕生した。そして、近年になり、安定した経済
基盤が築かれ、金融市場が活性化を極める中、従来のようにただ単に土地建物を居住施設・
商業施設としてみるだけではなく、適切な資金を投下することにより十分なペイバックを
得ることができる投資対象としての見方が広がってきた。
一方、1969 年にアメリカで軍事用ネットワークとして産声を上げたインターネットは、
Windows95 による助けもあり、急速に発展してきた。そして、近年に入りインターネット
の世界でも不動産の世界と同様の現象が起きており、メタル回線や光ファイバーなどのイ
ンフラの普及により、ブロードバンドが各家庭に導入され、今となっては、日本国内のブ
ロードバンド人口は 3,756 万 8 千人を超えた。また、無線通信網の発達やフルブラウザの
登場により、街中どこにいても携帯電話やノートパソコンなどの携帯端末からインターネ
ットを利用することができるユビキタスな環境が整備されはじめたことにより、インター
ネット人口は 7,361 万 9 千人にも達しており、なんらかの形でインターネットを利用して
いる人がいる世帯の比率を表わす「世帯浸透率」は 85.4%にも上っている。1これは産業革
命時代の鉄道の発展と人口の増加に当たると考えられ、まさにインターネット業界におけ
る産業革命が起こったといえるであろう。
このようなトラフィックの向上と人口の増加で、インターネットの世界でも現実の世界
と同様に、インターネット上での不動産に当たる Web サイトを個人間もしくは、企業間、
個人-企業間で取引を行う商習慣が生まれ、それに伴い市場ができあがりつつある。特に、
この革命のスピードはマウスイヤーといわれる昨今のインターネット業界では特に速いス
ピードで起こる。よって、この市場は Web2.0 に代表される新しいビジネスモデルの発生
やそれに伴う新しい形態のコミュニケーションの登場により、これ以降ますます発展して
いくと考えられる。
つい先日も Google がビデオ共有サービスを行う Youtube を総額 16 億 5000 万ドルもの
価格で買収したことで話題になった。このようにこれからは大きな案件も次々と発生する
ことが伺える。
しかしながら、現時点では Web サイト売買市場は濫觴期ということもあり、標準的な
Web サイトの価値というものがまだ存在しておらず、売り手買い手ともにどの様な Web
サイトがどのような価格で売買されているのかということがわからないのが実情である。
しかしながら、Web サイト市場参加者の利便性を向上させ売買を円滑化する上でも、Web
サイト売買を促進する上でも、Web サイトの価値を算定することは非常に有用なことであ
ると考える。
1
2006 年 2 月時点。インターネット白書 2006[12]より。
-6-
そこで、本研究では Web サイトの売買時に価値の精査を行うにあって一つの指標として
利用できる価値算定モデルの構築を目指す。また、価格を構成する要素を解析することに
より Web サイト売買時により有効とされる要素を明らかにし、Web サイトを構築するに
有用な情報を Web サイト構築者に与える。
Web サイト売買というビジネスはアメリカが発祥の地であるのだが、今回はそのアメリ
カの市場を中心に価値算定モデルの構築を行い、後に国内のデータを用いて日米での人々
の Web サイトに対する意識の違いを比較検討する。
-7-
第2章
Web サイトの種類と Web サイト取引の現状
2-1.
Web サイトの定義
先ず、Web サイトとは何であるかというところから説明する。今後、本研究中に登場す
る Web サイトという言葉は以下の定義に基づくものとする。
IT 用語辞典 e-Words によると、Web サイトとは「1 冊の本のように、ひとまとまりに公
開されている Web ページ群。また、その Web ページ群が置いてあるインターネット上で
の場所。Web サイト内のページはリンクで連結され、互いに行き来できるようになってい
る。Web サイトの入り口であるトップページ(ホームページ)と、Web サイトを構成する一
連の Web ページ、画像ファイルなどから成る。
」1とある。
今回の場合、特に、ある一纏めになっている Web ページの集合を Web サイトとすると
いう点に注意したい。よって様々なコンテンツを有している場合においても、その一つ一
つを個別に Web サイトとは呼ばず、Web サイトの一部と表現する。これは、Web サイト
の価値を算定する上で、どこまでが単一の Web サイトであるかという点が大きく問題にな
ってくるからである。
また、上記の定義では Web サイトは「Web サイトを構成する一連の Web ページ、画像
ファイルなどから成る」とアップされている情報のみとされているが、その Web ページが
持つビジネスモデル・ブランドなどの不可視なものも Web サイトの一部であると考える。
なぜならば Web サイトはファイルのみでは完全なものではなく、上記の事項を含んで初め
て機能を果たすものが多く存在するからである。例えばサーチエンジンの Yahoo!は
Yahoo!というブランドが消滅すれば、利用者数は以前より低下し、その価値は著しく低下
すると考えられるし、Web ページと画像のみと Web サイトとするならばコピーをするこ
とにより容易に乗っ取りが出来てしまう。
また、Web サイトはひとつの事業と解する。思うに、もちろん個人の Web ページなど
で何も目的がないものがあるかもしれないが、多くの Web ページは一定の目的を持ち作ら
れており、継続的に活動している。このことは、事業の辞書的な意味である「生産・営利
などの一定の目的を持って継続的に、組織・会社・商店などを経営する仕事。」2と一致する。
この事業であるという要因も Web サイトはビジネスモデル・ブランドなどの不可視な項目
を含有する裏付けとなる。しかし、通常の事業と大きく異なるのは運営期間が短いことで
ある。通常の事業であれば 10 年間続くこともまれではないが、Web サイトで 10 年間続く
ことは非常に珍しい。通常、もって 2、3 年であることが多く、個人で運営しているサイト
だと 2、3 ヶ月でその運営が終わることが多々ある。
理由は大きく分けると二つあり、一つにはインターネットというメディアの特性上誰で
も簡単に参加できるという点にある。誰でも簡単に参加できると言うことは、辞めるとき
のバイアスがとても低いと言うことである。ちょっとだけやってみようという気持ちで始
株式会社インセプト: IT 用語辞典 e-Words ,
http://e-words.jp/w/WebE382B5E382A4E38388.html, 2006 年 12 月 20 日
2小学館『大辞泉』編集部:「大辞泉」, 小学館, 1998 年 10 月
1
-8-
めて飽きるパターンが個人ではよくある。また企業でも少しだけ参入してみたものの思っ
たよりうまくいかず Exit することがある。
次に、時代の流れが速いと言うことがある。時代の流れが速いのですぐに流行が移り変
わり、少しでも目を離すと時代遅れになる。よって最初人気がある場合でもコミットがあ
まり出来ない場合は、すぐに時代遅れとなり人気がなくなり取り返しが付かなくなる。こ
れは通常の時の速さよりも速い時の速さの中で事業を営んでいると考えられ、よって事業
の終焉が早くなる。
2-2. Web サイトの種類
まず、この項では、数多くの種類がある Web サイトを大まかに分類する。次に、代表さ
れる十数種類の Web サイトの紹介をする。Web サイトによっては、この中の種類のいく
つかを同時に内包するものも存在する。言い換えると、Web サイトは要素を複合的に持っ
ていると考えられる。
(1) Web サイトの大まかな分類
本研究では、Web サイトは大まかに五種類に分けられると考える。また、この分類は一
つの類に属したら他の類に属さないというわけではなく、多くの Web サイトはこの分類を
複合して成り立つものが多い。
① 機能提供型 Web サイト
ゲームやショッピングカートなどプログラムを有する Web サイト。コアのプログラムが
価値をなしている。デザインが優れているサイトもここに属す。
例えば、楽天市場3などは各店舗にショッピングストアとしてのショッピングカートや決
済機能を提供することで収益を得ている。
② データベース型 Web サイト
ポータルサイトや、サーチエンジンなどの大量のデータを有し、そのデータに価値がお
かれるサイト。また、なんらかの情報を多く有すブログなどもこれに含まれる。
例えばタウンページ4などはそのデータベースを提供することで収益を得ている。
3
4
http://www.rakuten.co.jp/
http://itp.ne.jp/
-9-
③ 人気者型 Web サイト
とりあえず人が集まってきて、アクセス数が多いサイト。人気ブログや某大型掲示板、
人気サーチエンジン、人気ポータルサイトなどがあげられる。集客力、言い換えれば営業
力が価値となる。
大型複合型掲示板である 2 ちゃんねる5はもちろん機能も提供しているのであるが、人が
多いところにより意味があり、そのような意味ではここに分類される。
④ 属人的 Web サイト
価値はその企業もしくは人自体に属しており、他の人が所有すると価値がなくなる Web
サイト。トヨタ6などの企業の Web サイトや慶應義塾7などの学校の Web サイトなどがこれ
に該当する。
(2) Web サイトの詳細な種類
次に、それぞれの Web サイトについて詳細に説明をする。ここにあるもので全てという
わけではないが、今話題のもの、特筆すべきもの、有名であるものについてその収益モデ
ルと共に紹介する。
①
Web ログ(ブログ、blog)
パソコン用語事典[13]によると「ある話題について個人が自由にコメントを付けていくこ
とで、内容が頻繁に更新される Web サイト。個人の日記レベルのものから、社会問題に関
する議論まで、幅広い形態が含まれる。特定のメディアによって発言に手が加わることが
ないため、個人の情報発信手段として注目されている。これを実現する手段はいくつかあ
るが、さほど技術知識がなくても簡単に内容を更新できることが前提となる。」である。ブ
ログ筆者はブロガーと呼ばれているのだが、最近では読者数の多いブログを書く人気ブロ
ガーに商品を提供し商品の感想を書いてもらうことで商品の宣伝を行うバイラル・マーケ
ティングに使われることがある。また、企業自身でもブログを用いて商品の使用レポート
を行い、ブログによって宣伝活動を行っている。
ブログの大きな特徴の一つには、一つ一つの記事に対してリンクを張った際にリンク先
の相手に対しリンクした旨を通知し、タイトルと内容の要約を相手のブログの当該記事に
表示させるトラックバックという仕組みがある。この仕組みによりリンクが張られ、
SEO(Search Engine Optimization)対策にもなっている。
多くの企業が広告掲載と引き替えにブログサービスを無料で提供しているので、基本的
には無料で利用することが出来る。もしくは、自分のサーバスペースにブログをおくこと
も出来るがその際にはブログソフトを買う必要がある。(MobileType8など)
収益モデルとしては広告を掲載し、その広告がクリックされた回数に応じて広告料が入
るアフィリエイト広告が主である。そのほかには、自分でデザインした商品を企業に委託
して売ってもらうドロップシッピングというビジネスもできる。ドロップシッピングがア
フィリエイトと大きく異なる点は販売価格を自分で設定することが出来るため利益の設定
5
6
7
8
http://www.2ch.net/
http://www.toyota.co.jp/
http://www.keio.ac.jp/
http://www.sixapart.jp/movabletype/mt3/
- 10 -
がしやすいという点である。しかしながら、実際に買ってもらえないと収入にはならない
という点でアフィリエイトと大きく異なる。
②
ポータルサイト
インターネットをする際に玄関口とも言える働きをするサイト。ポータルサイトはリン
ク集やサーチエンジンを有することが多く、そこから様々な情報にリンクしている。また、
ポータルサイト自身が様々な情報を提供することがある Yahoo!JAPAN9はポータルサイト
の代表といってもいいであろう。Yahoo! JAPAN では、サーチエンジン機能はもちろんの
こと、ショッピングを始め、ニュース・オークション・掲示板・グルメ情報等々様々な情
報を提供している。
また、特定分野に限った情報のみを掲載するポータルサイトも存在し、そこでは主にそ
の特定分野についてのニュースやその分野を扱った Web サイトの紹介をしている。
収益モデルは主に広告を掲載することで広告主から広告料を徴収している。また、ポー
タルサイトでサービスを提供している場合にはそのサービスの使用時に料金を徴収してい
ることもある。例えば、Yahoo!JAPAN においては全国紙のニュースや映画を有料で観覧す
ることが出来る。
本研究においては、ポータルサイトの定義が不明瞭であり、一定した物ではないため、
ポータルサイトはポータルサイトとしてではなくリンク集やサーチエンジン、動画配信サ
イトなどのそのポータルサイトが有する要素の集合と解する。
③
サーチエンジン
サーチエンジンとは検索キーワードを用いてインターネット上に存在するページを検索
する Web サイトである。サーチエンジンは、クローラ(crawler)と呼ばれるロボットを使い、
インターネット上のページの全文をサーバにため込みキーワードにより検索を行う全文検
索型と、カテゴリごとに登録されている Web サイトの中から検索を行うディレクトリ型は
存在する。
インターネットの普及による Web サイトの増加に伴い、最近では全文検索型が主流にな
ってきており、ディレクトリ型のサービスを提供している Web サイトにおいても全文検索
型を提供している。
全文検索型では Google10が有名であり、ディレクトリ型では、Yahoo!JAPAN が有名で
ある。しかしながら最近では Yahoo!JAPAN も全文検索型にシフトしつつある。
全文検索型のメリットとしてはその名の通りインターネット上のページ全文より検索す
るので、検索し損なうことが非常に少ない。しかしながら、多くのページが検索されすぎ
て本当に有意義な情報のみを摘出することが困難である点がデメリットとしてあげられる。
一方、ディレクトリ型のメリットとしては選別された情報が掲載されているので内容が
わかりやすく、内容についてある程度の保証が得られるが、デメリットとして登録されて
いないサイトは探せないので、探し損ないが増える可能性が多く存在する。また、登録内
容と実際の内容が異なる場合正しい判断が出来なくなる。
収益モデルとしては、広告を掲載することで広告主から広告料を徴収している。よって
利用者は無料で検索を行うことが出来る。最近では検索ワードに応じて広告を掲載するア
9
10
http://www.yahoo.co.jp/
http://www.google.co.jp
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ドワーズ広告などが人気である。また、ディレクトリ型の場合、Web サイト登録時におい
ても基本的には無料である。
④
ショッピングサイト
ショッピングサイトとはその名の通り買い物が出来るサイトではある。
多くのショッピングサイトではショッピングカートシステムを採用しており、あたかも
スーパーマーケットでショッピングカートを用いて買い物するように、買いたいものをボ
タンを押して登録していくことで、最後にまとめて会計することが出来る。支払い方法は
通常銀行振り込み・郵便振り込み・代金引換・クレジットカードなどがある。
また、そのようなショッピングサイトが集合した商店街のような Web サイトも存在する。
その代表が楽天である。楽天は様々なテナントを集め、各テナントから出店料を徴収する
ことでそのビジネスモデルを確立している。本研究ではこのような Web サイトの場合個々
のテナントを Web サイトとせず、その商店街そのものを Web サイトとする。
⑤
オークションサイト
その名の通り、Web 上でオークションを行えるシステムを提供している Web サイトで
ある。Yahoo!オークション11が最も有名であり、なおかつ出品数が一番多い。
収益モデルは、出品料を出品者から徴収することで収益を得ている。
最近では、オークションと言っても中古品を出品するだけではなく、ネットショップが
新品を出品していることがよくあるため、ショッピングサイトに近づいている。
⑥
ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service, SNS)
SNS とは人と人とのつながりをサポートするサービスである。社会的ネットワークをイ
ンターネット上で仮想構築する。登録制のサイトと完全招待制のサイトと二種類存在する。
登録制サイトは基本的にはそのサイトで決められた条件を満たせば12だれでもそのサイト
から登録することが出来るシステムである。一方、完全招待制では会員でないとそのサイ
トにアクセスしても新規登録は出来ず、既存会員からの招待メールのみからしか会員登録
することが出来ないシステムである。本来の SNS のあり方から考えれば、完全招待制が自
然であるが、サービスの多様化にしたがい、サービス立ち上げ当初のみ登録制で行うサイ
トや恒久的に登録制で行うサイトも存在する。
知人・友人間のコミュニケーションを円滑化する場やツールを提供したり、趣味や趣向、
出身地、出身校などを通して新たに人間関係を形成する場を提供している。具体的には、
自分のプロフィールや写真を公開する機能や、趣味や地域ごとに掲示板で交流できるコミ
ュニケーション機能、メールアドレスを知らせることなくメールを送れるメッセージ機能、
会員や友人のみに公開制限できる日記機能などがある。
日本では、日本最大級の会員数を持つ Mixi13や携帯電話専用のモバゲータウン、海外では
11
12
13
http://auctions.yahoo.co.jp/jp/
例えば、大学生限定や太った人限定などがある
http://www.mixi.jp/
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世界最大級の会員数を誇る Myspace14が有名である。
収益モデルとしては、広告収入モデルとユーザ課金モデルと外部サイト誘導モデルの三
つに分かれる。通常 SNS はこの三つのモデルの何れか、若しくは、複数個を採用している。
広告モデルは前述のように広告主から広告料を徴収するモデルである。会員数を出来る
だけ増やしページビューを伸ばすことが必要になる。しかし、招待制の場合その性質より
新規ユーザの獲得は登録制に比べ難しいため、このモデルのみで収益を上げることは難し
いと言われている。Mixi や Myspace などでこのモデルは使われている。
次にユーザ課金モデルは利用ユーザにシステム利用料として直接課金するシステムであ
る。このモデルは SNS 自体の質の高さが求められる。例えば職探し用の SNS である
LinkedIn15がこのモデルを採用している。
これとは別に基本サービスに付加サービスを加える際に追加料金を課金するモデルもあ
り、これは Mixi で Mixi プレミアムとして採用されている。
最後に、外部サイト誘導モデルは、SNS を顧客の集客や定着のツールとして捉えここか
ら他のサイトに誘導することで、そのサイトにて収益を上げるモデルである。例えば SNS
内のユーザがリコメンドした商品をショッピングサイトにリンクするサービスである。こ
れは携帯電話用 SNS である、モバゲー16で用いられている。
⑦
掲示板(Bulletin Board System, BBS)
掲示板は参加者が自由に書き込みを連ねることでコミュニケーションを行う Web サイト
である。掲示板ごとにテーマが決められており、そのテーマについて参加者が書き込みを
するのが普通である。
また、掲示板が数多く集合した Web サイトも存在し、そのようなサイトではテーマごと
に掲示板が用意されており、参加者は随時テーマにあった掲示板を選択し書き込みを行っ
ている。日本で最大級の掲示板の集合である 2 ちゃんねるが有名である。
⑧
出会い系サイト
友人や恋人を探すための Web サイトである。
プロフィールを登録すると、掲示板やチャット、メッセージ機能を利用することが出来、
相手を探してコンタクトをとれる。
最近では携帯電話を利用するものが数多く存在する。
収益モデルはユーザ課金モデルが主である。多くの場合男性のみ課金であり、ユーザは
ポイントを購入することでそのポイント分の投稿やメッセージサービスを利用できる。
実際は女性会員などいないのにサクラを使い男性を騙し、お金だけ取る詐欺サイトも数
多く存在し、また、売春の斡旋などにも使われ、犯罪の温床としてたびたび非難される。
まっとうなサイトだと Match.com17が有名である。
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15
16
17
http://www.myspace.com/
http://www.linkedin.com/
http://www.mbga.jp/
http://www.match.com/
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⑨
自社紹介サイト
これは、その名の通り企業が自社についての宣伝をするためのサイトである。例えばト
ヨタの Web サイトではトヨタ車の説明をしているし、ソニー18であればソニーの製品の紹
介を行っている。
また、自社製品の紹介の他に IR やニュースリリースも行っているのが普通である。
⑩
アダルトサイト
成人向けの画像や映像を提供している Web サイトである。また、チャットレディを配置
し、Web カメラを用いたチャットサービスを提供しているサイトもある。
収益モデルは、広告モデルとユーザ課金モデルが存在し、これもどちらか一方のみ採用
するという場合は少なく、どちらとも採用するというケースも存在する。
⑪
ホスティングサイト
ホスティング事業者が用意したサーバを貸し出すサービスを提供するサイトである。サ
ーバ一台丸ごと貸し出す専用ホスティングと 1 台のサーバを複数名で共有する共有ホステ
ィングがある。レンタルサーバとも呼ばれる。
収益モデルは、専用ホスティングは利用者が月々利用料を支払うユーザ課金制のみであ
るが、共用ホスティングの場合は無料でユーザに貸し出す代わりに広告をユーザのページ
内に強制的に設置し、広告収入を得るモデルも存在する。
無料ホスティング Web サイトでは XREA19などがある。
⑫
情報提供サイト
その名の通り、ある特定のカテゴリに属する情報を発信するサイトである。
エイズについての情報発信を行っている Web サイト20もあれば大豆についての情報を扱
っている Web サイト21もある。
収益モデルは主に広告であるが、まったく広告を掲載せず収入なしで行っている慈善サ
イトも存在する。
⑬
ファイル共有サイト
特定あるいは不特定のユーザとファイルを共有するために,ファイルをアップロードし
て保存しておけるサイトのことである。アップローダとも呼ばれている。
このような Web サイトの主な収益モデルは広告となっていて、利用者は一度広告をクリ
18
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21
http://www.sony.jp/
http://www.xrea.com/
http://www.page.sannet.ne.jp/uchida/aids/study/aids_study_index.htm
http://www2.ocn.ne.jp/~fmoon/labo/labe.htm
- 14 -
ックしないとファイルをダウンロード出来ないような Web サイトも存在する。
⑭
ビデオ共有サイト
ユーザが投稿した動画を共有できるサイトのことで、個人サイトでは容量や転送量の問
題で困難な動画ファイルの配信を可能にするサービスが提供されている。先のファイル共
有サイトと異なるのは Web サイト上で再生できるところにあり、その動画をユーザ自身の
ブログに貼り付けることも可能である。しかし、著作権を著しく侵害した動画が投稿され
ることが多く、その点で大きな問題となっている。
収益モデルは広告である。
現在は多くのビデオ共有サイトが存在するが、その中でも Youtube22が最も有名である。
⑮
リンク集
あるカテゴリに当てはまるリンクを集めたページである。癌についてのリンクを集めた
サイト23もあればガンダムについてのリンクを集めたサイト24もあり、そのカテゴリは多種
にわたる。
通常その収益モデルは広告であるが、まれに広告を出さずまったくの趣味でやっている
Web サイトも存在する。
⑯
動画配信サイト
その名の通り動画を Web サイト上で配信しているサイトである。有料の Web サイトと
無料の Web サイトがあり、有料の Web サイトの収益モデルは 1 動画当たりの料金を請求
する動画課金制度か 1 ヶ月あたりの料金を請求するユーザ課金制度に分かれる。無料の場
合は動画の前後途中に流される広告による収入となる。
USEN の運営する GyaO25が有名である。
⑰
チュートリアルサイト
フォトショップやイラストレータもしくはパワーポイントなどのアプリケーションの操
作法を説明したチュートリアル及びテンプレートが配布されているサイトである。本来チ
ュートリアルとテンプレートは性質を異にする物であり厳密には分けられるが、両方が一
緒になっている Web サイトが多いため、本研究においてはチュートリアルとテンプレート
は一纏めに認識する。
収入はチュートリアル及びテンプレートの販売か広告による収入である。
⑱
22
23
24
25
その他
http://www.youtube.com/
http://www.gan3.com/
http://search.e-gunpla.com/
http://www.gyao.jp/
- 15 -
このほかにも Web サイトの種類は数多く存在し、また、日々新しい種類のサイトが生み
出されては消えている。例えば、インターネットで出来るゲームを提供しているサイトや
グリーティングカード送付サービスを提供しているサイト、または個人ページの趣味で、
自作の音楽を公表しているサイトなど数多く存在する。
2-3.
Web 取引の動機
Web サイトの売買をするに当たっての動機をいくつか挙げる。
(1) 購入の動機
Web サイトを購入するに至る動機は個人と企業で少々異なる。
まず、個人の場合だが、個人は Web サイトをデザインやシステムを獲得するために購入
する。というのも、個人にとって上質のデザインや CGI(Common Gateway Interface)や
PHP(PHP: Hypertext Preprocessor)などのプログラミングを用いたシステムを作製するこ
とは著しく困難なことがあるからである。特にシステムが大きくなればなるほど難しくな
る。よって、既存の Web サイトを購入することで作成の手間を省く。次に企業の場合は、
企業では企業内でシステムを作製することが出来ない場合は外部業者に外注することにな
る。しかし、外注をするには多大な費用が必要になる場合が多々発生する。よって既存の
サイトを購入することで費用を節約することができる。
企業の場合はそれに加えて、会員数の獲得、アクセス数の獲得、ブランドの獲得のため
に Web サイトの購入を行う。通常、新たに Web サイトを新設する際もっとも大変なこと
は集客である。SEO 対策を行い検索ランキングを上げ、アクセス数を上げ、さらにアクセ
スしてくれたユーザを Web サイト内に留めなければならない。更に会員制サイトであれば、
会員にさせるまで誘導する必要が出てくる。しかしながら、Web サイトをそのまま購入し
てしまえば、アクセス数や会員は最初からついてくるので、初期段階においては運営が楽
になる。もちろん、購入以降運営をしっかりとしないとアクセス数や会員数は減少してし
まうので、購入以降の運営は自作時と同様に重要になる。
また、ドメインごと購入することでブランドの獲得にもつながり、ブランディングの手
間が省け、運営に有利に働く。
- 16 -
図 2-1 Web サイト購入の動機
(2) 売却の動機
サイトを売却するに至る動機はまず、売却者が個人か企業により異なる。
個人の場合、Web サイトの運営は趣味若しくは、小遣い稼ぎ程度の片手間でやっている。
よって、一番よくあるパターンとして Web サイトを作って数ヶ月、若しくは数年運営して
みたものの、運営に飽きてしまい更新をしなくなり手放すパターンだ。自分が力を入れて
作った Web サイトなのに、ただ削除するのはもったいないので、売却するようである。こ
れは Web ページが比較的気軽に作れ、実際に運用するまでに至るバイアスが少ないことに
由来する。また、仕事が忙しくなって Web サイトの更新が出来なくなり、維持できなくな
るパターンなどその他一身上の理由により継続が不可能になり売りに出されることもある。
次に、企業の場合だが、企業の場合はもちろん個人とは異なり事業として Web サイトを
運営している。よってその Web サイトを売却するときはその事業から撤退する時に限られ
る。業績が伸び悩みそれ以上その会社では運営しきれなくなったときや、経営方針が変更
されその事業をやらなくなった場合、そして、特にその事業に復帰する可能性のない場合
売却される。
最後に、個人・企業ともに共通して考えられる動機としては、最初から売るために Web
サイトのデザイン及びシステムを作製したというパターンである。この場合、売却者であ
る個人及び企業はデザインやシステム設計・プログラミングの専門である場合が多い。し
かし、このような Web サイトの場合まだサーバにアップされていない Web サイトであっ
たりサーバにアップされていても稼働していなかったりする場合が多く、その場合、会員
数やアクセス数などの購入側のメリットはもちろん存在しない。
- 17 -
図 2-2 Web サイト売却の動機
2-4.
Web サイト取引の現状
この節では、現在どのような形で Web サイトの取引が行われているのかを説明する。
(1) 取引方法
Web サイトというものは、コンピューターのブラウザを通しては見ることが出来るが、
実際には触ったりすることが出来ない無形資産である。そのような無形資産を現在どの用
に取引をしているかをここで紹介する。サイト市場によりその方法の詳細は多少違いがあ
るが、そう大きくは変わらないのでここでは一般的な方法を紹介する。
取引は例外として買い手が希望サイトを募ることもあるが、その多くは先ず、売り手が
販売するサイトを Web サイト市場のいずれかに掲載することから始まる。販売するサイト
のアクセス数やページランク、サイトの概要、必要な記述、月間の売上、希望販売価格な
ど詳細を記載し買い手を募る。
そして、その掲載を見た買い手が、売り手に交渉を申し込むことで取引が開始する。ど
のように興味を持ったか、どう運営していきたいかなどの具体的買い取り意志とそのサイ
トを購入するに当たっての見積金額を提示する。
次に、売り手が交渉を検討することになる。買い手の申し込み時に買い手の情報と買い
取り意志及び見積金額が売り手に伝えられるのでそれを下に検討し、販売意志がある場合
その旨を買い手に伝え、本格的な交渉フェーズに突入する。なお、このフェーズになると
ようやく販売される Web サイトの URL が買い手側に伝えられる。このフェーズ以降は市
場を介さない直接交渉にはいる。
売買同意後、以上の運営者に連絡を取り、正式に譲渡対象物の再確認、譲渡方法の確認、
譲渡手続の日程を確認し、契約書を取り交わし、買い手は代金を通常は銀行振り込みにて
受け渡し、売り手はサイトをサーバを譲渡若しくは、ホスティングサービスの契約者変更、
若しくはデータの受け渡しをすることによって一連の取引は終了となる。
- 18 -
(2) 国内の Web サイト市場
取引が存在する以上、そこには市場が存在する。ここではまず、国内に 2006 年 12 月現
在存在する Web サイト市場を紹介する。また、その詳細は表 2-1 として纏めた。
なお、ここで紹介する Web サイト市場にまつわる数値などは各 Web サイト市場が公表
している 12 月 30 日現在の数値であることを記しておく。
①
サイトキャッチャー
サイトキャッチャーは現在国内に存在する Web サイト市場の中でも最古の市場である。
その為、Web サイトの登録数は国内最多であり、唯一国内で成功しているといってもいい
サイトであろう。それだけに TV 東京のワールドサテライトニュースなど様々なメディアで
取り上げられている。
サイトキャッチャーはただ単にサイト売買の仲介を行うだけではなく、成約金支払いや
契約書の作成までをもサポートし、信頼度も高いサイトであるといえる。
また、サイト売買価格ランキングといって、ページランクの値など諸要因より擬似的に
サイトの価格を自動的に算出出来るプログラムを用意しランキングを作るなどのキャンペ
ーンも行っている。
②
サイトレード
サイトレードは 2006 年 10 月に誕生したばかりの比較的新しいサイトである。よってま
だまだ登録件数はそこまで多くはない。
売り主情報を公開する通常のプランを選択すれば買い手・売り手ともに料金を全く支払
はなくてもいいが、売り手情報を匿名にする場合はマッチング手数料として料金が発生す
るという一風変わったモデルを採用している。
③
サイト市場
2006 年 6 月よりオープンしている割には、その登録件数はとても少ない、お世辞にも盛
り上がっているとは言えない市場である。
注目サイト・推薦サイトに掲載しようとするとサイト掲載時に売り手から掲載料を徴収
するというモデルを取っている。
サイトの価格を擬似的に算出するプログラムを有しており、利用者はこのプログラムを
用いることで、参考程度ではあるがサイトの価値を求めることが出来る。
④
Site M&A
2006 年 6 月からオープンしている比較的古い市場である。それ故、Web サイトの登録
数も比較的多めである。
個人利用と言うよりも企業の利用を前提としたサイト作りになっており、取り扱ってい
る商品もビジネス関連のものが多い。
- 19 -
⑤
アダルトレーダー
アダルトサイトのみを取り扱っている Web サイト市場であり、ここも比較的初期から存
在する。しかしながら、分野が特定されているためか Web サイトの登録件数は少ない。
料金が全くもって無料であり、どこから収益を上げているのか不明である。
⑥
サイトクリップ
比較的新しい Web サイト市場であり、よってここも登録件数がまだ少ない。
Web サイト販売に際して、サイト概要だけを載せ買い手を募る国内では通常行われてい
る方法と URL を公開する国内では珍しい方法の二つを有する。
⑦
WEBCOW
2007 年 2 月オープン予定ということでその詳細と実態はまだつかめないが、入札制度を
利用するオークション機能やアナリストによる Web サイトの分析など他の市場とは異なる
機能を有しているようである。
- 20 -
表 2-1 Web サイト市場詳細
名称
開始年月
登録数
手数料
サイトキャッチャー
(http://sitecatcher
.net/)
サ イ ト レ ー ド
(http://www.site-t
rade.jp/)
サ イ ト 市 場
(http://www.site-i
chiba.com/)
Site
M&A
(http://www.sitema
.jp/)
2005/6
523
2006/10
26
買い手・売り手ともに成約額 100 万円以上の場合、
成約額の 3%を 100 万円未満の場合一律 31,500 円
を支払う。
売り主が匿名になるゴールドプランの時のみ買い
手・売り手ともに成約額の 10%を支払う。
2006/6
5
売り主が Web サイト掲載に際して表 2-2 に従った
料金を支払う。
2006/2
186
アダルトレーダー
(http://www.adult
rader.com/)
サイトクリップ
(http://siteclip.jp/)
2006/1
38
売り手…52,500 円を最高額として、成約額の 5%を
支払う。
買い手…52,500 円を最高額として、成約額の 5%を
支払う。ただし、物件の詳細を観覧にあたって、
10,500 円必要。
無料
2006/9
7
WEBCOW
(http://www.webco
w.net/)
2007/2
(予定)
0件
URL 非公開の場合、買い手が成約額 200 万円以上
の場合、成約額の 5%を 200 万円未満の場合一律
105,000 円を支払う。
URL 公開の場合、売り手が Web サイト掲載料とし
て初回 3 ヶ月間分として 2 万円、その後 2 ヶ月間は
1 万円支払う。
不明
()内は URL を表す。
表 2-2
サイト市場の料金
掲載期間
注目サイト
おすすめサイト
推薦サイト
基本サイト
2 週間
1 ヶ月
2 ヶ月
3 ヶ月
5000 円
8000 円
14000 円
21000 円
4000 円
6500 円
11000 円
16500 円
3000 円
5000 円
8000 円
12000 円
無料
無料
無料
無料
(3) 国外の Web サイト市場
もともと、Web サイトの売買はアメリカで始まったものである。よってここでは主にア
メリカの Web サイト市場の紹介を行う。2006 年 12 月 30 日現在での各 Web サイト市場
の詳細を表 2-3 として纏めた。
日本よりその歴史が長いだけあってアメリカでの Web サイト登録件数はどのサイトであ
っても多い。多くの人が Web サイトは売買できる物であるという認識をしているようだ。
よって多くの Web サイトが登録されている。また、今回は登録件数のうちには数えていな
いが、日本ではないドメインのみの販売というのも多く見られた。おそらく近い将来日本
- 21 -
でも多く見られるようになるであろう。
また、アメリカでの収益モデルはどうやら売り主が掲載料を支払うパターンが一番多い
ようだ。よって市場と言うより、Web サイトを販売する広告スペースを貸し出す役割が強
い。
そのほかに全く無料のところもある。そのようなサイトはアフィリエイトによる広告収
入を期待していたり、Web サイト市場からドメイン管理サービスに誘導したりレンタルサ
ーバサービスに誘導することにより収益を得ているようである。無料の Web サイト市場の
多くはフォーラム形式で運営されていて、販売希望者が掲示板に書き込むことで買い手を
探す仕組みになっているようである。
しかし、そのような Web サイト市場の市場信頼度はきわめて低いと言っていいだろう。
よって、金額の大きい取引は起こりづらい。
表 2-3
国外 Web サイト市場詳細
名称
開始年月
登録数
手数料
Buy Sell Website
(http://www.buys
ellwebsite.com/)
WebSiteBroker
(http://www.webs
itebroker.com/)
Time-2-Sell
(http://www.time
2sell.com/)
2002
130
1999
2078
売り主が Web サイト掲載に際して掲載期間 2
週間ならば 59 ドル、2 ヶ月ならば 99 ドル支
払う。
掲載料については無料、その他は不明。
1999
1018
BizMP(http://ww
w.bizmp.com/)
SitePoint
Marketplace
(http://www.sitep
oint.com/market
place/)
2005
48
1999
1437
Websiteguild.com
(http://www.webs
iteguild.com/)
SitePoint̶Sites
(http://forums.dig
italpoint.com/for
umdisplay.php?f
=52)
2003
147
2004
10354
売り手が Web サイト 3 ヶ月間掲載に際して、
1 サイトだけならば 10 ドル、無制限掲載なら
ば 20 ドル、トップページに 1 サイト掲載なら
ば 25 ドル、無制限掲載・トップページに 1 サ
イト掲載ならば 30 ドル、無制限掲載・トップ
ページに 2 サイト掲載ならば 35 ドル支払う。
無料
売り手が掲載に際して 20 ドル、それに追加し
て 2 週間ハイライト掲載するならば 5 ドル、
カテゴリページの注目サイトに掲載するなら
ば 10 ドル、トップページの注目サイトに掲載
するならば 10 ドル、Webmaster-Talk.com に
掲載するならば 5 ドル支払う。オークション
方式である。
売り手が 1 サイト掲載する際に 21.98 ドル、5
サイト掲載する際に 44.98 ドル支払う。
無料
()内は URL を表す。
(4) Web サイト取引の概況
- 22 -
ここでは、実際にどのような取引が行われているかと言うことの概況を述べる。
以下のデータは、Web サイト市場日本最大手であるサイトキャッチャーが 7 月 20 日付
けで調査したものをまとめたものである。26
(i)
売り手と買い手の属性
サイトキャッチャーにおいてサイト売買契約が成立した売り手と買い手の属性を調べる
と、売り手の 6 割以上が個人であり、買い手は企業が 7 割以上を占めていた。
売り手に個人が多いのは、趣味でサイト運営をはじめたが、なかなか更新をする時間が
とれなくて、更新が止まってしまったが、閉鎖をするのは惜しいので売りにでる個人が多
いからである。一方、買い手に企業が多いのは、すでに完成されている個人のサイトを買
うことで、新たに作るよりも制作コストを削減することができるというメリットがあるか
らであろう。また、すでにトラフィックがあるサイトを購入することで通常より容易にビ
ジネスをスタートすることができるという利点もある。
企業,
38.1%
個人,
61.9%
図2-3 売り手の属性
個人,
28.6%
企業,
71.4%
図2-4 買い手の属性
メディアネット株式会社: サイト売買傾向調査 ,
http://sitecatcher.net/sc_report_20060720.html, 2006 年 12 月 20 日
26
- 23 -
(ii)
Web サイトのジャンル
成約に至った Web サイトのジャンルを見てみると、企業による購入が多いと言うことも
あり、マッチングサイトや情報比較サイト、株などの金融情報や市場に特化した求人サイ
トなどビジネスに直結したものが約半数を占めている。やはり、収益が見やすいというの
もポイントなのであろう。
また、国内航空券、焼酎などといった、ジャンルに特化したショッピングサイトも数多
く取引されていた。サイト運営より得られる収益だけではなく、サイトが現在抱える会員
数や、アクセス数、SEO 対策により検索エンジン上位に生じされるかなどがポイントとな
ってくるようである。
アダルト, 5.5%
その他, 10.9%
エンターテイメント,
9.1%
企業・ビジネス,
47.3%
趣味, 10.9%
ショッピング, 16.4%
図2-5 成約案件ジャンル
(iii)
契約成立金額
やはり、100 万円以下の手頃な取引が 6 割以上を占めていることがわかる。これは、コ
スト削減のために Web サイトを購入により取得する企業が多いからであろう。しかし一方
で、500 万円以上、あるいは 1000 万円以上で譲渡される案件が 1 割近く行われている。こ
のような契約は SNS やポータルサイトなど完成度が高くすでに多くの人が利用しているも
のと予想できる。このように、着実に規模の大きな譲渡もわれている。
- 24 -
500万以 1000万以
上1000万 上, 4.8%
100万以 未満,
上500万 4.8%
未満,
23.8%
50万以上
100万未
満, 31.0%
図2-6 成約金額
- 25 -
50万未
満, 35.7%
第3章
不動産と Web サイト
3-1. 不動産との共通点
不動産と Web サイトは多くの共通点を有していると考えている。そこで、ここでは今
後本研究で用いるモデルの選択の補助を目的としてその共通点を取り上げ紹介することに
する。
①
所在地(住所、番地、アドレス)が固定されており、それさえわかっていればいつでも
訪問できる。
一般生活からわかるように、不動産には所在地が必ず存在する。よって、その所在地が
明らかであるならば、その所在地を参考にしていつでも訪問することが可能である。
また、権限さえあれば不動産の名称より所在地を探索することもある。もちろん、同一
名称の物件が複数個存在する場合には、複数個の物件が検索されるが、おおよその場所や
特徴などにより条件を絞っていくことにより、物件は特定される。
このように基本的には一つの物件に対して一つの所在地が付与されるので、私書箱など
の特別なサービスを使用しない限り所在地と物件の関係は一対一の関係となる。但し、名
称の場合同一名称のものも存在するのでその場合は、所在地と名称の関係は多対一の関係
になる。この場合は条件を追加していくことで、一対一の関係に近づいていく。
Web サイトも不動産と同様であるといえる。Web サイトも所在地とも言える URL を有
する。例えば、
「Yahoo!JAPAN」ならば「http://www.yahoo.co.jp/」にアクセスすること
で、いつでも訪問することが出来る。
また、やはり不動産と同様に、権限があれば Web サイトの名称から URL を検索するこ
とが出来る。例えば、インターネット上のタウンページとも言える Yahoo!を使えば登録さ
れている Web サイトを検索することが可能である。もちろん同一名称の Web サイトが存
在する可能性は不動産と同様に存在する。その際は、内容や特徴により絞り込むことで特
定することが出来る。
よって、Web サイトにおいても、転送サービスなどの特別な機能を使わない限り Web
サイトと所在地は一対一の関係に、名称と所在地は多対一の関係にあるといっていい。
よって不動産と Web サイトは所在地が固定されており、それさえわかっていればいつで
も訪問できるという点において共通点があると解する。
②
所在地により集客のよい所在地と悪い所在地がある。
不動産においては、駅前など人が多く集まりやすいところが商用的にはよい所在地とさ
れており、そのような不動産の価値は高く認められている。逆に過疎地区で交通の便も不
- 26 -
便で見つけにくいところは商用的には悪い所在地とされていて、土地の価値も低いことが
多い。
Web サイトにおいても同様であり、一般的な単語を用いた短くてわかりやすい URL は簡
単に入力しやすく、集客を望めるので価値が大変高い。逆に、長くてわかりにくい URL は
価値が認められにくい。特に、ランダムに設定されているような URL であれば、URL の本
来の機能を失うので著しくその効果を下げており、価値がないと言っても過言ではないで
あろう。
よって不動産、Web サイト共に価値のある所在地とない所在地があることがわかる。
③
物件の資産情報により価格が変動する。
不動産物件は、その物件の資産情報により価格が変動する。例えば、元々の地価や面積、
建物容積、階数、築年数、性能、使い勝手、見た目の綺麗さ、最寄りの交通機関までの距
離などである。また、維持費などのコストや収入がある場合は収入も一つの要素になって
くる可能性はある。これらの要素が変化すると価格が変動する。
同様に Web サイトもその資産情報により価格が変動すると考えている。Web サイトの
アクセス数やページ数、情報量、見た目、使い勝手、性能などは価格を変動させる要素で
ある。もちろん、コストや収益も大切な要因になる。
よってこの点において、不動産と Web サイトは共通点を有している。
④
一つ一つの物件が全て異なっており、全く同じ物件は存在し得ない。
不動産において同じ物件というのは存在し得ない。なぜならば、先にも述べたように物
件と所在地は基本的には一対一の関係にある。この時点ですでに同じ物件がないことがわ
かる。更に、実際問題先に述べた不動産資産情報が全く同一の物件はあり得ないであろう。
Web サイトにおいても、これまで述べてきたように、Web サイトと URL は基本的には
一対一の関係にあるので全く同じものというのはあり得ないであろう。
このようなことから、不動産、Web サイトともに同一の物件はない。
⑤
用途は個人用・商用様々である。
不動産はもちろんその用途は個人用・商用様々である。住宅用地もあり得るし、商店な
どの店舗を開く用地としてもあり得る。
同様に Web サイトも個人用の我が子を載せたような Web サイトや仲間内だけで楽しめ
るようにパスワードが書けてある Web サイトもある。一方、ショッピングサイトや有料映
画を配信するサイトなど商用の Web サイトもある。
よって、この点においても、不動産と Web サイトは共通点を有している。
以上のように不動産と Web サイトには多くの共通点があり、非常に類似している。
- 27 -
3-2. 不動産との相違
もちろん、不動産と Web サイトは全く同一というわけにはいかず、相違点も存在する。
ここでは、その相違点を紹介する。
①
Web サイトにはビジネスモデルがついてくることがある。
一般に不動産物件は器だけのものであり、中身の仕組みまでついてくることはない。例
えばスーパーを買ったならばスーパーの形をした建物はあるかもしれないがそれ以外のレ
ジや冷蔵庫などはついてこない。また、売り方というのもわからない状態である。よって
スーパーを買ったからといってすぐに収益を上げることは通常不可能である。例外として、
月極駐車場や借家がある。その場合は貸し出すだけで利益がついてくる。よって、ビジネ
スモデルがついてくるものの例外と言っていいだろう。
しかし、Web サイトの場合は技術が必要な場合はあるにしろビジネスモデルがついてく
る場合がある。例えば、ショッピングサイトを購入した場合、ショッピングカートなどの
仕組みまでついてくる。また、ショッピングサイトのように実際に商品を扱うものではな
く、出会い系サイトなどのサービスを扱うものの場合はより仕組みの重要性は増すと言っ
てもいいだろう。
この点において、不動産と Web サイトは異なる。よって Web サイトの価値を算定する
には、不動産の価値算定をするときよりも、よりビジネスモデルについて気を払うべきで
あろう。
②
Web サイトは有形の実体がなく、物理的制約を受けない
Web サイトは無形資産であり、実際には姿形が見えないデータである。よって容易にコ
ピーが可能であり、内容が全く同一な Web サイトを簡単に作製できてしまう。もちろん不
動産では、そのようにはいかず、同様の建物を造るには莫大な費用がかかる。よってコピ
ーを簡単に作ることは不可能であると考えてよい。
また、このように無形資産であり物理的制約を受けることがないため、Web サイト自体
を大きくすることや小さくすることが容易である。よって容量に制限されることは少ない。
但し、サーバーの容量を超えての拡大は不可能である。しかし、最近は低価格大容量のサ
ーバーが豊富に存在するため、容量は大きな問題ではない。一方、不動産では、土地の広
さなどにより制約を受け自由に大きさを変更するのは難しい。また、同様の理由により Web
サイトは無限であり不動産は有限であるとも言える。
また、実体がなく、Web サイトはサーバーにアップされているだけのものであるので、
ファイルが消えたとたん Web サイト自体が簡単に消える。また、廃れてしまった Web サ
イトはただのサーバーとデータであるので、サーバーはコンピューターなので価値がつく
ことがあるが、Web サイト自体は一円の価値にもならないことがある。ドメインにしても
土地と違いほぼ無限に存在するのでよほど条件が整ったドメインでない限り価値がつくこ
とはない。しかし、不動産は土地自体に価値があるので、いくら廃れても大概価値が発生
する。これは前述の不動産の有限性に起因する。また、実際にあるものなので自然災害等
の例外を除いて、そう簡単に消えることは少ない。
よって Web サイトの価値算定をする際には、不動産に存在する土地自体の価値や実体性、
有限性を排除する必要があり、逆に拡充性など違う要素を考慮する必要がある。
- 28 -
③
Web サイトは法規制が極めて少ない
不動産を規制する法律は数多く存在する。例えば、不動産登記法や宅地建物取引業法、
不動産特定共同事業法、建築基準法などにより規制されている。また、条例によっても規
制されており、建設して良い種類の建物と建設してはいけない種類の建物など厳しく規制
されている。特に建設に対しては厳しく制定されていて、それが大きく破られ問題化した
のが、2005 年 11 月に発覚した構造計算書偽装事件である。
対して、Web サイトにかかる規制は現時点では極めて少ない。もちろん、民法や刑法で
規制されているような、猥褻物に対する取り決めや危険物に対する取り決めは適用される
が、Web サイトのみを規制した内容の法律、条例はない。電子消費者契約法はインターネ
ット上の商取引に関する法律ではあるが、これも民法上の特例であるので、インターネッ
トのみとは言い難い。
レンタルサーバーの場合やプロバイダー契約をして Web サイトスペースを借りている場
合はレンタルサーバー業者やプロバイダーの規約には従わなくてはならないが、この場合
においてもサーバー若しくはプロバイダーを変更すれば足りる。
このように Web サイトは不動産に比べて法規制が少ない分自由である。よってこのよう
に規制が少ないことを考慮して価値算定をするべきである。
④
Web サイトは築年数による価値低下が起こらない
一般に建築物は築年数が建てば経つほど価値が低下し、改築をしても補えない部分が出
てくる。例えば鉄筋などはなかなか変更しにくい部分で、ここを直すには立て直しに準じ
る工事が必要になる。
しかしながら Web サイトは築年数に影響されない。というのも無形資産である以上物理
的な劣化がないからである。よって何年経った Web サイトであっても通用する。逆に長く
続いてということで継続年数が評価されることさえある。
ただし、他の先端技術特許などの無形資産と同様に情報としての劣化は存在し、特に Web
サイトは流行廃りが激しいインターネットの世界にあるので流行にのった Web サイトはす
ぐに廃れ価値がなくなることもある。また、更新があまりにないと検索ロボットの訪問が
少なくなり、人も来なくなり、その価値を失う。よって、Web サイトは築年数には影響は
されないが、更新作業は必要になる。
よって不動産の価値算定とは異なりサイトの価値算定をする際には築年数という要素が
必ずしもマイナスに働くというわけではない。
- 29 -
第4章
価値算定モデルと先行研究
4-1.
不動産価値算定モデル
不動産の価値を算定するモデルとして、一般的に原価法、取引事例比較法、収益還元法
の 3 モデルがあり、原則としてこれらの手法を併用することで、不動産の経済価値を価格
として表示してきた。そして、最近これらの手法に加えヘドニック・アプローチによる不
動産価値の算定も提案された。
そこでこの項では、これらのモデルの紹介を行う。
①
原価法
原価法は再度調達原価すなわち、対象不動産と同じ不動産を仮にもう一度調達した場合
にかかる原価を基に不動産を鑑定評価する方法である。新築であるならば、用地取得にか
かった費用や建築にかかった費用などを積み上げていくことにより価値を算定する。中古
であれば、今全く同じ物件を同じ場所に建設したらどのくらいの費用がかかるかを算定し、
そこから建築時からの経過年数を考慮した原価調整を行い、価値を算定する。原価調整の
式は以下のようになる。
中古物件の価値 = 再調達原価 × 原価率 × 調整率
(4.1)
ここで原価率は評価対象建物の残存耐用年数を全耐用年数で割ることによって求める。
残存耐用年数は全耐用年数から経過年数を引くことで求められるので、現価率の精度は耐
用年数の把握に依存する。また、調整率は、原価法の算式で求められる値と建物の現状を
観察した結果との不一致を調整する率であるが、その採用基準が曖昧なため、調整率の採
用数値は評価主体の感覚にゆだねられており、その結果、原価法全体を説得性のないもの
にしている。
ただ、利点としては計算が非常に簡易でわかりやすいことが上げられる。
②
取引事例比較法
取引事例比較法は、近隣の似たような条件の物件が、どのくらいの価格で取引されたか
を調べ鑑定対象の不動産と比較して価格を調査する。簡単な例としては、マンションの一
室を査定するときは、同一マンション内の部屋がどのくらいの価格で取引されていたかを
調べることで、その取引価格を基本に価格を決定する。この方法は、近隣地域又は特性が
似かよった地域において、対象不動産と比較・検討を行うことのできる不動産のサンプル
が多数ある場合において有効とされている。
- 30 -
③
収益還元法
収益還元法は、不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の合計額
をもって不動産の経済価値とする評価手法である。収益還元法には、主に直接還元法と DCF
法が存在する。直接収益還元法は対象不動産の年間収益を還元利回りで還元する手法であ
る。その式は以下のようになる。
価値 =
年間純収益
還元利回り
(4.2)
ここで、還元利回りとは取引事例からの査定、借入金・自己資本投資一団法、DSCR の活
用による方法、割引率から求める方法などにより求める。
よってこのモデルで一番重要なファクターは還元利回りとなる。この数値の取り方によ
って価値は大きく変動する。しかし、この数字の選択方法は決められているものではない
ので、恣意的な数値が出ることがある。また、割引率一定と毎期の収益が一定であること
が条件となる。よってこの数値がもし変動すれば、このモデルを使って出した数値と大き
く違う数値が算出されることがある。
次に、DCF 法は将来の一定期間にわたる収支変動予測によるキャッシュフローに基づく
純収益と分析期間以降の不動産価値を適切な割引率によって現在価値に割り引く方法であ
る。保有期間中の各期の収支予測を行うことになるので、直接還元法に比べて精度の高い
収益価格を求めることができる。その式は以下のようになる。
n
価値 = ∑
i =1
i年目の純収益 転売予想価格
+
(1 + 割引率)i
(1 + 割引率) n
(4.3)
ここで転売予想価格は n+1 年目の純収益を転売時還元利回りで除して求める。また、転
売時還元利回りとは価格時点の還元利回りにリスクプレミアム等を加えたものである。
式からもわかるとおり、DCF 法では将来にわかって割引率が一定である。よって割引率
が変わったとき、この式の正当性が問われることになる。また、毎期収益は既知の値では
なくあくまで予測するものである。よって、市場が安定しているかや上昇トレンドの有無
などが大きなファクターになってくる。
最近では、この不確実性を最大限回避するためにモンテカルロシュミレーションを行い
最頻値を取り求めることがある。
収益還元法は、収益を考慮して価格決定をするモデルであるので、特に商業地の賃貸用
不動産を、土地建物一体の複合不動産として取引する時の価格査定によく見られる。
④
ヘドニック・アプローチ
ヘドニック・アプローチは、物件の価値はこれを構成する複数の特性に分解できるとい
う考えに基づいて、価格を複数の特性の関数として表し、その関数を用いて大量の価格を
特性データ上に回帰する方法である。そのように回帰して得られた式をヘドニック方程式
という。また、各要因の回帰係数は時間とともに変化する。つまり、比準表の値は時間的
に変動する。
この方法は、近隣の取引事例を基に、不動産の価値を評価している点において取引事例
比較法の一例であるといえるが、ただ単に比較するに留まらず、統計的手法を用いて分析
- 31 -
をし、その回帰係数より価格以外に指数も計ることが出来るので本研究は特別に違う項で
説明した。
ヘドニックモデルは一般に以下のような式で表され、j 番目の物件の売買価格 Pj を非説明
変数、属性変数を説明変数とした回帰式となる。(ここでは両対数型で表記するが、本来は
先験的な制約は存在しない)
l
m
i =1
k =1
ln Pj = α + ∑ βi ln X ij + ∑ δ k Dkj + TD j + ε j
(4.4)
ここで、αは定数項、 X ij は i 番目の連続数で表される属性変数、 Dkj は k 番目の 0 と 1
のみで表されるダミー変数、 TD j はタイムダミー、 ε j は誤差項である。
本研究では、このモデルを用いて分析を行うことにする。その理由は 4-4.項で紹介す
る。また、ヘドニック・アプローチについては、改めて後の項で説明する。
4-2.
不動産価値算定における先行研究
本来ならばここで Web サイトの価値算定における先行研究の紹介を行いたいのだが、幸
いなことに未だ Web サイトの価値算定に関する研究は調べた限りではなされていないよう
なので、ここでは主にヘドニック・アプローチを用いた不動産価値算定における先行研究
の紹介をする。
(1) 村井の研究[16]
村井は、「商業用不動産の実売価格のヘドニック分析」というタイトルで日本の商業用不
動産の実売価格がどのように形成されているかを数量的に分析するため、ヘドニック・ア
プローチを用いて分析を行っている。
2002 年から 2003 年の商業用不動産の実売価格を用いて、購入者や取引の属性の違いに
着目しダミー変数を用いて分析を行った。ただし、この論文ではヘドニック分析を商業用
不動産の価値算定に適用しているに留まり、その実効性などは一切検討されていない。
(2) 永井・清水の研究[17]
永井・清水は、「ヘドニック・アプローチによる品質調整済みオフィス賃料指数の推計に
おける実務上の問題点」で、ヘドニック・アプローチにより構造変化を取り込んだ品質調
整済みオフィス賃料指数を推計している。
この論文においては BOX-COX 検定に基づいてヘドニックモデル関数型の選択が行われ
- 32 -
ており、without theory ではなく、理論に基づきヘドニックモデルの検証を行っている。
価値の算定は行ってはいないものの、ヘドニック・アプローチを不動産に適用する上で
の問題点を挙げている。
具体的には、市場の構造変化の問題や不動産価格の品質に対する非線型性の問題及びサ
ンプルセレクションバイアスの問題である。
(3) 才田の研究[15]
才田は「競売不動産から見た首都圏地価の動向」で、10 年間にわたる首都圏の不動産競
売データを整備したうえでヘドニック・アプローチを用いて物件の属性を調整し、全ての
財を同質のものとして扱い、競売物件の地価動向を調査した。
この論文においても BOX-COX 検定に基づいた関数型の選択をしている。
本研究で行うような価値の分析は行っていないものの、物価指数の調査をしており、ま
た、その調査をするに当たってモデルの検定も行っている。
4-3.
本研究における価値の定義
さて、ここまで価値算定という言葉が何度も出てきているが、果たして価値とは一体ど
のようなものであろうか。言葉の定義が曖昧になると方針も曖昧になるので、ここで一度
本研究内での価値という言葉を定義づける。
価値とは非常に多義な言葉である。投資によるリターンを重視する個々の投資家からみ
た価値である投資価値、所有者が資産の継続的使用と使用後の処分によって得られると見
込まれる将来キャッシュフローの現在価値である使用価値、自発的な当事者間により売買
される価値である公正価値、実際に市場において取引されている価値である市場価値など
様々あり、評価する主体が変わることにより視点も変わり価値は変化する。また、市場価
値は投資価値、使用価値、公正価値などの価値が選択された結果表出化される価値である
と考えることが出来る。
このように様々な価値の概念が存在するが、本研究においては「Web サイトの価値はそ
の市場価値である」と一意に定義したい。それは、本研究の趣旨である「Web サイトの売
買時に価値の精査を行うにあって一つの指標」を作るということからわかるように、市場
で Web サイトをユーザーが実際に売買するときに、そのユーザーに市場においてどれくら
いの価格で売買されているかということを助言することが目的であるからである。また、
Web サイトにおいては収入がない Web サイトであっても高値で取引されることもあるた
め、一意に投資価値や使用価値で判断することは不可能であり、何により市場価値が形成
されているのか予測が困難である。
よって本研究においては、「Web サイトの価値はその市場価値である」と定義する。
- 33 -
4-4.
本研究における方針
第三章で述べたように、不動産と Web サイトには多くの類似点が存在する。よって本研
究では、不動産の価格算定モデルを応用し、Web サイトの価格算定モデルを構築し、分析
まで行うことにする。
その際、4-1.で述べたように多くの算定モデルが存在するが、本研究ではヘドニック・ア
プローチを用いることにする。それは、不動産と Web サイトにおいてもっとも類似してい
るファクターは全く同質の財が存在しない市場であるという点であり、その点をもっとも
うまく活用できるのがヘドニック・アプローチであるからである。
もちろん DCF 法や原価法も考えられるのであるが、DCF 法においては、収益をもたらし
ていない物件には摘要が難しいこと、また、Web サイトはインターネットという発展スピ
ードが異常に速い特殊な市場にあることが問題としてあげられる。よって将来にわたる収
益や割引率を予想することは恐ろしく難しく、正しい価値を算定するのは不可能であると
考える。また、Web サイトの寿命は 3 年も続けば長続きしていると言えるぐらい短い。よ
って将来にわたる利益を割り引いて求めようにも短すぎてその信憑性に欠ける。
原価法においては、コストを積み上げて計算を行うので、対象不動産の市場価値の上限
を提供するだけに過ぎず、供給側の価格である。よって適切な資産価格評価法ではないと
考える。特に本研究では Web サイトの価値の定義を「Web サイトの価値はその市場価値
である」とするので、この点を鑑みると原価法がいかに適していないかがわかる。
よって、市場における売買データを用いて市場価値を算定するヘドニック・アプローチ
による Web サイト価値算定モデルの構築を目指す。
なお、本研究では価値を算定するに当たってできるだけ主観を排除し客観的なデータの
みから分析を行うことにする。本来であれば、定性的要因と定量的要因の双方からアプロ
ーチをする必要があるのだが、定性分析を行うとどうしても主観を無視しがたくなる。よ
って本研究では主観的要因を中心にモデルの作成を行うことにする。
また、価値算定モデルを構築するに留まらず、回帰係数を用いて Web サイト市場の動向
や Web サイトの種類による価値の差異を検証する。
よって先ず事例が豊富なアメリカ市場でのデータを用いて Web サイトの価値算定モデル
を構築し、次に日本のデータを用いて日米の Web サイト価値算定モデルを比較することに
する。
- 34 -
第5章
価値測定指標と分析対象
5-1.
考えられる価値測定指標
この項では分析に用いられるであろう指標の説明をする。ここでの指標は出来るだけ客
観性を保つために、明らかな数値で表すことの出来るものを中心としている。
Web サイトの前述の通り多面性を持ち、複合的な要素から構成されていると思うが、そ
の価値も同様に複合的に表されると考える。よって、それらの価値指標を一度にあげるの
は困難を極めることであるので、先ず大枠の枠組みとしての属性概念を決定してそこから
落とし込んで考えていくことにする。
そこで、先ず属性概念であるが、私は Web サイトの価値指標は大きく分けて本来ならば
4 つに分類されると考えた。それは、基本項目・データベース項目・営業力項目・売買にま
つわる項目である。以下、それぞれの項目が含む指標を詳細に紹介する。
(1) 基本項目
① 月間インフロー
月間にいくら売上を上げているかを示す指標である。なお、ここでの売上は販売売上や
広告による収入など、その Web サイトを通して行われる全ての売上を指す。Web サイト
の月間インフローを構成する要素であり、一番価値につながりやすい要素であるので重要
となる。
② 月間アウトフロー
サーバーごと譲渡を行う際はサーバーの維持費用、アカウントのみの譲渡であれば月間
にプロバイダーに支払う費用、広告費用など月々に支払う必要のある全ての費用を指す。
月間インフローと同様の理由により重要な要素である。
③ ページ数
Web サイトを構成する全ページ数を指す。ページが多ければ一概にいいとは言い切れな
いが、大概の場合少ないよりは多い方がよいと思われ、また、見やすい部分でもあるので
その価値の一部を構成すると思われる。
④ ドメインの有無
ドメインはドメイン単体で売られているものがあるぐらい価値をなすものである。本研
- 35 -
究ではドメインの有無をダミー変数として判断し、ドメインがついてくる Web サイトに対
しては 1 を、ついてこないものに対しては 0 を与える。
⑤ Web サイトの種類
Web サイトの種類によっても価値が高い種類の Web サイトと価値が低い種類の Web サ
イトがあると思われる。よって本研究では、Web サイトの種類別にダミー変数を設けて、
Web サイトの種類によりどのような価値の違いが出てくるかを観測する。
⑥ Web サイト設立経過月数
Web サイトが設立してからの経過月数である。古くからあればあるほど価値が高いと考
えている。というのも、古くからあればあるほどサーチエンジンやユーザーにも認知され
ているという可能性が高く、また、多くの場合、古くからある Web サイトは収益モデルが
確立されており、時代の流れが速いインターネットという社会で生き延びてきた実績も存
在する。
(2) データベース項目
① データ数
ここで指すデータとはある Web サイトにおいて、その核を取りなす資産の個数である。
例えばゲームサイトであればゲームがデータ数になるし、リンク集であればリンク数、掲
示板であればスレッド数がデータ数と定義する。
② メンバー数
先ほどのデータ数と別にここでは特別にメンバー数という項目を設置する。というのは、
データを保有し、且つメンバーも保有する Web サイトが多々あるためである。
メンバー数はその名の通り、Web サイトに登録されているメンバーの数を示す。
メンバー数は Web サイトの価値を算定する上では重要な要素であると考えている。とい
うのは、メンバー数か多いと言うことはそれだけのメンバー情報つまり個人情報を有して
いることになる。現代では個人情報単体で個人情報が売り買いされる自体になっており、
価値があることは明白である。また、メンバー数が多いと言うことはそれだけ実際にその
Web サイトに参加した、若しくは参加しているユーザーが多いということである。
(3) 営業力項目
① ユニークアクセス
Web サイト訪問者がその日初めてアクセスした回数をユニークアクセスという。以前は
下記のページビューをよく使っていたが、最近では延べ数ではなく正しい訪問者数を測る
指標であるページビューがよく使われる。
- 36 -
② ページビュー
ユニークアクセスとは異なり、Web サイト訪問者が Web サイトを 1 ページ読み込むこ
とを 1 ページビューという。
ページを開いた分だけカウントされるので、ユニークアクセスと併用することで、アク
セス頻度やアクセスした際の深度も測ることが出来る。
③ ページランク
Google 社が開発した Web サイトの重要度を測るための指標である。良質な Web サイト
からリンクされている Web サイトは良質であるという再帰的な考えに基づいて作られた指
標である。他の Web サイトからのリンクを支持票と見て、リンク元の Web サイトの重要
度によって重み付けをした上で投票とし、最終的な投票数からページランクを算定する。
このランクが高ければ良質ページから数多くリンクされていると判断できる。よって Web
サイトの価値評価に有用であると考える。
④ 検索順位
ある Web サイトのタイトルを検索した際に当該 Web サイトが何位に表示されるかという
指標。検索順位が上にあれば上にあるほど SEO 対策が施されており、人目に止まりやすく
なっているので価値が高いと考えられる。
(4) 売買にまつわる項目
①
Web サイト運営に必要な知識・技能の有無
Web サイトを運営するに当たってプログラミング能力やソフト使用力、もしくは入荷や
更新に当たって必要な知識や才能が必要かどうかを示す項目で、ダミー変数として扱う。
Web サイトを運営するに当たり求められる能力が高ければ高いほど Web サイトを運営
するに当たってのバイアスが大きくなると考えられる。よって Web サイト運営に必要な知
識・技能の有無は価格を構成する一つの指標である。
②
Web サイト売買時期
Web サイトを売買した時期についてのダミー変数を指数を求めるときのみ用いる。本研
究では不動産やその他家電製品のような財のように売買の時期によって価格が異なると仮
定する。この指標を用いることで Web サイト市場の盛衰を見ることが出来ると考える。
- 37 -
5-2.
分析対象の決定とデータ収集
本研究では、アメリカの Web サイト売買市場である、SitePoint MarketPlace1の 1 月 10
日時点の売買データのみを用いて先ず分析する。数ある市場の中からこの市場を選んだの
は、この市場だけが唯一売買成約価格のデータをその詳細と共に開示していたからである。
よって理想としていた市場価格での取引が出来ると考え分析をするに至った。しかしなが
ら理想とする全指標の収集は叶わず前項で上げた指標のうち一部のみを収集することにな
った。よって本来目指していた精度より落ちることは十分考えられるが、本研究では収集
できたデータの範疇で最大限に精度を高めた形で価値算定モデルの構築をしようと思う。
本研究の分析で実際に説明変数として使われる指標は、基本項目として月間インフロ
ー・Web サイト設立経過月数、営業力項目としてユニークアクセス・ページビュー・ペー
ジランク、データベース項目として、データ数・メンバー数である。
また、SitePoint MarketPlace で収集された実際のデータは巻末に付録 5-1 として添付す
る。
尚、本研究で収集したデータに含まれる Web サイトの種類とその数の関係は図 5-1 とし
て纏めた。
集計数(サイト)
25
22
20
16
20
16
15
12
10
8
7
5
4
5
3
3
5
2
2
有
ン
ク
集
動
画
配
信
出
会
い
系
リ
オ
共
ョン
ビ
デ
販
ク
シ
オ
ー
フ
ァ
図 5-1
物
ロ
グ
ブ
有
ル
共
報
イ
情
BB
S
ル
テ
ィン
サ
ー
グ
チ
エ
ン
ジ
ン
ア
ス
ホ
チ
ュ
ー
トリ
ゲ
ー
ム
0
Web サイトの種類とその数
BBS が最も多く売買されており、次に情報サイトが多く売買されていた。また、ゲーム
サイトやチュートリアルサイトも数多く登録されており、活発に取引がなされていた。
1
http://www.sitepoint.com/marketplace/
- 38 -
5-3.
分析データの検討と修正
次章で Web サイト価値算定モデルの構築を行うのだが、構築に当たり重回帰分析を行う。
よってこの節では重回帰分析を行うにあたり SitePoint MarketPlace で収集されたデータ
多重共線関係のチェックを中心に行う。
多重共線性とは、重回帰モデルの説明変数間に相関が見られると,推定結果に信頼が置
けなくなったり,有意な推定得られなくなる現象である。よって、説明変数間の相関を相
関行列及び散布図行列を調べることにより確認する。
収集したダミー変数を除く 7 つの説明変数及び 1 つの被説明変数についての相関行列を
表 5-1 としてまとめた。また、散布図行列は付録 5-2 として巻末に添付する。
表 5-1
価格
価格
月間インフロー
経過月数
ユニークアクセス
ページビュー
ページランク
データ数
メンバー数
1
0.8897
0.0627
0.0348
0.0227
0.1137
-0.0259
0.0844
相関行列(その 1)
月間イン
ユニーク ページビュ ページラン
メンバ
経過月数
データ数
フロー
アクセス
ー
ク
ー数
1
0.1038
0.0842
0.0539
0.0358
-0.0314
0.0817
1
0.12
0.0048
0.4904
-0.0116
0.0805
1
0.3925
-0.0628
0.0958
0.1742
1
-0.1592
0.126
0.1254
1
-0.1075
-0.0015
1
0.3952
先ず、価格と説明変数との間の相関をみてみることにする。価格と月間インフローが強
い相関を示していることがわかる。やはり購入金額は収入が大きければ大きいほど高くな
っているようだ。これは購入時におおよその価格を見積もる際に現状のままいったら 1 年
間でどれくらい取り戻せるか、投資するに値するかを考えるからであろう。
また、この中ではページランクは比較的価格との相関が高い。高品質なリンク数が多い
だけではなく検索順位にも大きく関わってくる数値であり、一朝一夕で上げられるもので
はないので、ページランクが高いと評価されるのであろう。
次に、説明変数間での相関を見る。するとページランクと経過月数がやや強い相関を示
している。設立してからの月数が長ければ長いほどページランクが高い傾向にあることを
示しているが、これはページランクが一朝一夕で上がらないことを裏付けているように思
- 39 -
1
える。というのもページランクは良質のリンク数を基に算出されるのでページランクを上
げるには多くの良質の Web サイトにリンクを張ってもらう必要があるからである。ただ、
多重共線性を認められるほど強い相関があるわけではないので特に修正を加えずにこのま
まにしておこうと思う。
次に、対数を用いた回帰モデルを使用したとき備えて、被説明変数と説明変数を対数変
換して相関を調べたいと思う。詳しくは次章で書くが、実際に分析を行う際は BOX-COX
検定を行い回帰モデルの決定を行う。その際説明変数・被説明変数ともに対数になり得る。
よってここでは念のため、対数化した数値で相関を測る。
対数化した数値の相関行列を表 5-2 として纏めた。また、散布図行列は付録 5-3 として
巻末に添付した。
表 5-2
相関行列(その 2)
価格(対 月間インフ 経過月 ユニークアク ページビュー ページラ データ数 メンバー数
数)
価格(対数)
月間インフロー(対数)
経過月数(対数)
ロー(対数) 数(対数)
セス(対数)
(対数)
ンク(対数)
(対数)
(対数)
1
0.5839
1
0.427
0.1484
1
ユニークアクセス(対数)
0.5478
0.4614 0.1662
1
ページビュー(対数)
0.5533
0.3782 0.1297
0.794
1
ページランク(対数)
0.3655
0.152 0.5478
0.0214
-0.1243
1
-0.0336
-0.1011 0.0172
0.0615
0.1315
-0.0972
1
0.3674
0.0738 0.1864
0.2149
0.4582
-0.0904
0.1949
データ数(対数)
メンバー数(対数)
先ず価格と説明変数間の相関を見ると、月間インフロー及びデータ数を除く各変数との
相関は強くなったように思える。
次に、説明変数間での相関を見たところ、ユニークアクセスとページビューの間で 0.794
という強い相関が見られることがわかった。そこでトレランスを算出すると次表のように
なった。
- 40 -
1
表 5-3 トレランス
価格(対 月間インフ 経過月数 ユニークアクセ ページビュー ページランク データ数
数)
価格(対数)
ロー(対数)
(対数)
ス(対数)
(対数)
(対数)
メンバー数
(対数)
(対数)
0.352
月間インフロー(対数)
-1.002
0.593
経過月数(対数)
-2.756
7.541
0.613
ユニークアクセス(対数)
-3.409
-2.624
-14.728
0.307
ページビュー(対数)
-1.306
12.151
169.492
-0.389
0.253
ページランク(対数)
-1.225
11.507
-1.242
-7.424
1.397
0.541
6.414
9.311
-17.606
-22.624
-7.402
33.898
0.928
-1.684
4.023
-4.344
1.610
-1.123
3.270
-5.247
データ数(対数)
メンバー数(対数)
0.632
ここからもユニークアクセスとページビューのトレランスが他の変数に比べて低いこと
がわかる。よって、本研究ではページビューではなく、ページビューをユニークアクセス
で割った値である一人あたりの観覧数をページビューの代わりに変数として用いて分析を
行うことにする。
ページビューの代わりに一人あたり観覧数を変数としてその対数値を取った相関行列を
表 5-4 として纏めた。また、散布図行列を付録 5-4 として巻末に添付した。
表 5-4
相関行列(その 3)
価格(対 月間インフ 経過月数 ユニークアクセ 一人当たり観覧 ページランク データ数
数)
価格(対数)
ロー(対数)
(対数)
ス(対数)
数(対数)
(対数)
メンバー数
(対数)
(対数)
1
月間インフロー(対数)
0.5839
1
0.427
0.1484
1
ユニークアクセス(対数)
0.5478
0.4614
0.1662
1
一人当たり観覧数(対数)
0.1609
-0.0088
-0.0138
-0.061
1
ページランク(対数)
0.3655
0.152
0.5478
0.0214
-0.2332
1
データ数(対数)
-0.034
-0.1011
0.0172
0.0615
0.1319
-0.0972
1
メンバー数(対数)
0.3674
0.0738
0.1864
0.2149
0.459
-0.0904
0.1949
経過月数(対数)
そうしたところ、先ほどのように強い相関関係を示す関係はなくなった。また、対数変
換をしていない形での相関関係も念のためみてみることにする。
ページビューの代わりに一人当たり観覧数を変数として入れた相関行列を表 5-5 として
纏め、その散布図行列を付録 5-5 として巻末に添付した。
- 41 -
1
表 5-5
価格
相関行列(その 4)
月間イン 経過月 ユニーク 一人当たり ページ データ メンバ
フロー
数
アクセス 観覧数
ランク
数
ー数
価格
月間インフロー
経過月数
ユニークアクセス
1
0.8897
0.0627
0.0348
1
0.1038
0.0842
一人当たり観覧数
0.0262
0.0669 -0.0842 -0.0316
1
ページランク
データ数
メンバー数
0.1137
-0.0259
0.0844
0.0358 0.4904 -0.0628
-0.0314 -0.0116 0.0958
0.0817 0.0805 0.1742
-0.1627
-0.0295
0.0297
1
0.12
1
1
-0.1075
1
-0.0015 0.3952
1
これで全ての説明変数間で著しく大きい相関はなくなり多重共線性の心配はなくなった
ように思える。
本来多重共線性を防ぐために、リッジ回帰という連続的に説明変数の組を選択すること
で、未学習のデータ対する予測性能の良いモデルを構築しよう回帰分析もある。しかし、
本研究のように説明変数が少ない場合その効果が疑問視されるので本研究では敢えて使用
しなかった。また、リッジパラメータの決定基準に定見がないこと、必ずしも問題解決で
きないことが白塚[10]により指摘されていることも使用しなかった一因である。
よって、本研究で実際に価値を算定する際に用いられる属性概念と測定指標は以下の通
りである。また、想定される係数符号を併記した。
表 5-6
使用される指標と係数符号
属性概念
測定指標
基本項目
単位
想定係数符号
月間インフロー
設立経過月数
$
月
(+)
(+)
営業項目
ユニークアクセス数
一人当たり観覧数
ページランク
人
ページ
-
(+)
(+)
(+)
データベース項目
データ数
メンバー数
個
人
(+)
(+)
- 42 -
第6章
ヘドニック・アプローチによる Web サイト価値算定モデルの構築
6-1.
ヘドニック・アプローチとは
第四章で述べたように、Web サイトの価値算定モデルの構築に当たって、ヘドニック・
アプローチを用いることにする。以下、ヘドニック・アプローチの説明をする1。
Web サイトは不動産と同様に、URL、種類、規模、アクセス数など一つとして同じもの
は存在しない。従来の標準的なミクロ経済学の枠組みであると品質など財を規定する条件
が異なるものは全て異なる財と定義されるので、少しでも品質が異なっている財は新たな
財の登場という形で捉えられるに止まり、品質の変化による価格決定の変化を捉えること
が出来ない。よって、Web サイトのような多様な財を一意に測定することは困難を極めた。
図 6-1 を用いて説明すると2、代替関係にある製品 1 と製品 2 は別個の財として扱われ、
消費者の選好関係はこの二種類の財の消費量の上に定義される。そして、予算集合である K
と無差別曲線の接点である y*が消費者の均衡点となる。このような財の数と品質が所与の
ものであるという考えは、現実経済に対するもっとも単純な近似としては有効であるが、
多種目生産や品質変化が多く行われている現代ではその説得力は弱くなってきてしまって
いる。
図 6-1
1
2
ミクロ経済学での無差別曲線と予算集合の関係
ヘドニック・アプローチの説明は、太田[1]を大いに参考にした。
図は、白塚[13]を基に再構成した。
- 43 -
これに対し、ヘドニック・アプローチでは、各属性の程度が異なっている財を一つの合
成財として捉えることで、Web サイトの価値を様々な属性ベクトルの集合として表現する
ことが出来る。よって、多様な財を分析するのに適していると思われる。
図 6-2 を用いて説明すると3、製品 A1 、 A2 、 A3 はそれぞれ属性 y1 と y2 に分解され、その
組み合わせでベクトルとして表現される。ここで、ベクトルの長さは消費者の所得を製品
の単価で除してものであるので、製品 A1 、 A2 、 A3 の線で囲まれた四角形が予算集合 K と
なる。また、消費者の選好は属性の量により定義されるので、均衡点は予算集合 K と無差
別曲線の接点 y*となる。このように考えることで、製品の多様化や新製品の登場にも対応
した分析をすることが出来る。
図 6-2
ランカスターモデルでの無差別曲線と予算集合の関係
ここで、ヘドニック・アプローチの経済理論からの裏付けをしていきたいと思う。ヘド
ニック・アプローチはランカスターの「新しい消費者理論」で理論的基礎付けがされてい
る。
消費者の効用関数は各財の消費の上に定義されるのではなく、消費者がそれらの財の消
費によって得る属性の上に定義されると考えられる。ここに n 個の財と l 個の属性があると
し、 x j を第 j 財の量、 y i を第 i 属性の量、 z ij を第 j 財 1 単位に含まれる第 i 属性の量、第 j
財の価格を p j とする。ここで、 x = ( x1 , x 2 , L , x n ) 、 y = ( y1 , y 2 , L , y l ) 、 Z = {z ij } 、
p = ( p1 , p 2 , L, p n ) とする。ランカスターに従い、消費者は財を x だけ消費すると、y=Zx
だけの属性を得るという消費技術を持っているとする。消費者の所得を m とし、m、p、x、
y、Z は非負とする。財市場は完全競争であるとする。また、属性の限界効用は正であり、
効用関数は準凸関数であるとする。
すると、予算 m の消費者の合理的行動は次のような最適問題として表される。
3図は、白塚[13]を基に再構成した。
- 44 -
max u ( y )
x
subject to y = Zx
px ≤ m
x≥0
(6.1)
最適問題(6.1)の制約を満たす y の集合 K = { y | y = Zx, px ≤ m, x ≥ 0} を属性の可能領域
という。
最適問題(6.1)は効用関数 u(y)を最大化するように、消費者は可能領域 K より最適点 y*を
達成するような最適な x*を選ぶと言うことである。属性の限界効用は正であるので、その
最適点 y*は K の内点ではあり得ず、K の部分集合である外側境界 E の上にある。よって、
(6.1)の解 x*に対応する最適点 y*を探すには、外側境界 E の中から効用最大となる点を選べ
ばよい。ここでそこ外側境界 E は
E = { y | y ∈ K and y '∉ y such that y ' ≥ y, y '∈ K }
のように定義される。この集合 E のことを「属性の有効フロンティア」と呼ぶ。
以上のように、消費者の合理的行動は二つのフェーズに分解される。一つは属性の有効
フロンティア E の作成という属性の有効フロンティアの各点において購入される財を決定
することであり、所得の違いを除外すれば価格 p と Z に依存する全員に共通の選択問題で
ある。しかし、もう一つは集合 E の中から最大効用となる点の選択であり、効用関数に依
存するものであるので、人の主観によって異なってくる。ランカスターは前者を有効性選
択、後者を個人的選択と呼んでいる。
個人的選択は次の最適問題で示される。
max u ( y )
y
subject to y ∈ E
(6.2)
また、属性の有効フロンティア E に含まれる任意の点を y とすると有効性選択は次の問
題で示される。
min px
x
subject to Zx ≥ y
x≥0
(6.3)
(6.3)の解 y*が求められれば、y*を最小費用で達成する x は(6.3)からもとめられる。
消費者の効用最大化問題(6.1)の最適解 x*によって達成される y*=Zx*は前述のように属
性の有効フロンティア E にふくまれるので、この最適属性量 y*を満足させる財の量のうち
所得制約と非負条件を満たすものは(6.3)の解であり、これは、
- 45 -
min px
x
subject to Zx ≥ y *
x≥0
(6.4)
と示される。
最適問題(6.4)の制約式 Zx ≥ y * に対するラグランジュ乗数を r = ( r1 , r2 , L , rl ) とする。こ
こで、Zx& > y * なる x& ≥ 0 が存在するというスレータの制約想定が満たされていることを前
提とすると、最適解の必要十分条件は Kuhn-Tackr 条件により与えられる。ここでラグラ
ンジュ乗数 r の最適値を r*とすると、Kuhn-Tackr 条件として x j > 0 ならば、以下のよう
になる。
l
p j = ∑ ri * zij
(6.5)
i =1
(6.5)式は価格 p j を単位属性量 z j = ( z1 j , z 2 j , L z lj ) で説明する属性方程式である。
ここでラグランジュ乗数 r*は(6.4)式の制約条件右辺において y*を y*+dy に変化したとき
に変化する最適値 px*の値を示している。よって以下のように記すことが出来る。
ri * = ∂ ( px*) / ∂yi *
(i=1,2,L ,l)
(6.6)
また、太田[1,P.43]で証明されているように、px*=m である。ここで、λを所得の限界効
用とする。つまり、 λ = ∂u ( y*) / ∂m であり、消費者が効用最大化を実現しているときに m
を m+dm に変化させると効用がどのくらい増加するかを示している。px*=m であるので、
λ = ∂u ( y*) / ∂ ( px*) であり、この式と(6.6)式より
ri * = (1/ λ )(∂u ( y ) / ∂yi *)
(6.7)
であることがわかる。この時 ∂u ( y ) / ∂yi は第 i 属性の量を微量に増やしたときにどれくらい
効用が変化するかを表しており、第 i 属性の限界効用といえる。よって、これを
u i ( y*) = ∂u ( y ) / ∂y i * と表現し k=1/λとおくと、(6.7)式は
*
ri * = kui ( y*)
(6.8)
と表現することが出来る。これは、 ri * は限界効用に比例していることを比例していること
を意味する。(6.8)式を(6.5) 式に代入すると、
l
p j = k ∑ ui ( y*)zij
(6.9)
i =1
l
となり、ヘドニック・アプローチにおいては、
∑ u ( y*)z
i =1
粋な価格指標と捉えることが出来る。
- 46 -
i
ij
は第 j 財の品質指標、k を純
l
また、
∑ u ( y*)z
i =1
i
ij
は第 j 財の単位属性量と限界効用との積和であるので、第 j 財の限界
効用であることがわかる。よってヘドニック・アプローチでは、第 j 財の品質を第 j 財の限
界効用で測っていることがわかり、効用が消費者の満足度を表していることを考えると十
分に納得できる結果である。
しかしながら、(6.9)式が実際にヘドニック・アプローチにおいて推定されることがない
ようである。そもそも、k と u i ( y*) と分離して考えることは著しく困難であるといえる。
なぜならば、k を 2 倍して u i ( y*) を 2 で割っても同様の値が算出されるからである。よっ
てパラメータの正規化が必要となり、限界効用が属性量 y*に依存しない属性を選択してそ
の属性を基準に正規化する必要がある。
また、実際のヘドニックモデルを見てみると(6.9)式に誤差項が入った形であるのが通常
である。何故誤差項が入ってくるかを説明する。
完全競争下においては、個別消費者にとって価格 p は所与である。よって ri は x の関数
で表され、 ri = ri (x*) とかける。これを(6.5)式に代入すると次のようになる。
l
p j = ∑ ri ( x*) zij
(6.10)
i =1
ここまで我々は消費者の財の最適消費量を x*と扱ってきたが、現実にはここの現象は一
般傾向からずれることが多々あり、
それは誤差として認知される。そこで、平均 0 の random
error を用意し、 υ = (υ1 ,υ 2 , L ,υ n ) と表現する。すると、現実の消費量は x+νと表され、
これを(6.10)式の x*に代入すると、
l
p j = ∑ ri ( x + υ ) zij
(6.11)
i =1
となる。この式において、各 ri を x の周りでテイラー展開をすると、
l
l
n
p j = ∑ ri ( x) zij + ∑∑ rik ( x) yijυk + (υの2次以上の項)
i =1
(6.12)
i =1 k =1
というようになる。ここで rik ( x) = ∂ri ( x) / ∂x k である。上式の右辺第二項以降は random
error である、νを有するので誤差項と考えることが出来、この誤差項を ε j と表すと、
l
p j = ∑ ri ( x) zij + ε j
(6.13)
i =1
となる。よって、現実問題では最適な消費量 x*が用いられるのではなく x が用いられ、そ
れ故、計算価格を推定する際には ε j 項がはいってくる。
ここまでは、y=Zx という線型の消費技術を仮定して説明してきたが、実際には消費技術
が非線型であることが多い。そこで、消費技術が非線型も含む形に拡大して説明をする。
- 47 -
こ こ に 、 y1 = f1 ( x), y 2 = f 2 ( x),L , y l = f l ( x), と い う 消 費 技 術 が あ る と し 、 こ れ を
y = f (x) というベクトルに纏めて表示する。ここで f(x)は x の非減少凸関数である。
すると、予算 m の消費者の合理的行動は次のような最適問題として表される。
max u ( y )
x
subject to y = f ( x)
px ≤ m
x≥0
(6.14)
これは、(6.1)式の一般化でもある。この最適解を先ほどと同様に x*、y*=f(x*)とし、有効
性選択の問題として示すと以下のようになる。
min px
x
subject to f ( x) ≥ y *
x≥0
(6.15)
そ し て 、 最 適 問 題 (6.15) の 制 約 式 f ( x) ≥ y * に 対 す る ラ グ ラ ン ジ ュ 乗 数 を
r = (r1 , r2 ,L, rl ) とすると、(6.15)式の 最適解の必要十分条件は Kuhn-Tackr 条件により与
えられる。ここでラグランジュ乗数 r の最適値を r*とすると、Kuhn-Tackr 条件として
x j > 0 ならば、以下のようになる。
l
p j = ∑ ri * fij ( x*)
(6.16)
i =1
ここで、f ij ( x) = ∂f i ( x) / ∂x j とする。線型の時と同様に、(6.8)式を(6.16)式に代入すると、
l
p j = k ∑ ui ( y*) f ij ( x*)
(6.17)
i =1
となる。
次に、通常ヘドニック・アプローチで実践されるようにヘドニック方程式を半対数型に
変換したいと思う。通常は
l
ln p j = ln k + ∑ ai zij
(6.18)
i =1
つまり、
l
p j = k exp(∑ ai zij )
(6.19)
i =1
という形になっている。
ここで、(6.19)式を上記のような半対数型の属性方程式にするために、第 i 属性の限界効
用 ui ( y*) を 1 と考え正規化を行う。すると、次のような消費技術を考えることが出来る。
- 48 -
n
l
j =1
h =1
yi = ∑ exp(∑ ah zhj )x j / l
(6.20)
この消費技術の下では(6.17)式は、(6.19)式のようになる。
しかしながら、(6.20)式のような属性量は考えられない。なぜならば、(6.20)式の右辺か
らは i はなくなっており、これは各属性の属性量は属性の種類に依存せず、全て同じである
ことを意味している。全ての属性の属性量が一様に等しいなどと言うことは、現実的に考
えて先ずあり得ないので、(6.18)式のような半対数型のヘドニック方程式はランカスターの
「新しい消費者理論」からは導けないことがわかる。
しかしながら、半対数型の属性方程式は(6.9)式の近似であると考えることが出来る。(6.9)
式の対数を取ると次式のようになる。
ln p j = ln k + ln(∑ ui ( y*) zij )
(6.21)
i
上式の右辺第二項を
∑a z
i ij
で線型近似することにより、上式は半対数型の属性方程式へ
i
と変化する。よって、(6.19)式は(6.21)式の近似式と捉えることが出来る。
以上のように、ランカスターが示した理論を用いると、財は、測定可能な複数の属性に
分解することが出来、消費者は詩文の効用を最大化する属性を持つ財を購入していると解
することが出来る。
また Rosen[1974]は十分に多数の財が存在することで、財の売買を通して全ての属性を
連続的に選択できる完全競争市場があると仮定すると、ヘドニック方程式より導かれるヘ
ドニック価格が市場の均衡点であることを示した。
また、太田[1978]ではこれらのアプローチの他に、Adelman & Griliches 及び Fusher &
Shell のアプローチや費用関数からのアプローチも理論的基礎付けを行っている。
6-2.
ヘドニックモデルの構築
前述の通り、ヘドニックモデルの関数型は厳密に定められていなく任意である。そこで、
分析を行うに当たって検定を行い関数型の決定を行う必要がある。
本研究では、先行研究に基づき「BOX-COX 検定」を行う。BOX-COX 検定とは、異なる
関数型から最もフィットの良いものを統計的に選択する検定手法である。BOX-COX 変換し
た関数型とそれに制約を加えた関数型との間で尤度比検定を行う。
ここで BOX-COX 変換とは、以下の定義からもわかるように、線型と対数型を特殊ケー
スとして含む変換である。
- 49 -
Pj( λ )
⎧ Pjλ − 1
when λ ≠ 0
⎪
=⎨ λ
⎪lnP when λ = 0
⎩ j
(6.22)
本研究では、線型、被説明変数を対数型とする半対数型、両対数型、両側 BOX-COX 型、
被説明変数のみを BOX-COX 型とする片側 BOX-COX 型の 5 つの関数型を想定して検定を
行うことにする。
l
m
i =1
k =1
l
m
i =1
k =1
Pj( λ0 ) = α + ∑ β i X ij( λ1 ) + ∑ δ k Dkj + ε j
Pj( λ0 ) = α + ∑ β i X ij( λ1 ) + ∑ δ k Dkj + ε j
(6.23)
(6.24)
(6.24)式において、λ0 = λ1 = 1 では線型に、λ0 = 0, λ1 = 1 では半対数型に、λ0 = λ1 = 0 で
は両対数型に、 λ1 = 1 では片側 BOX-COX 型になる。同様に、(6.25)式においては、 λ0 = 1
では線型に、 λ0 = 0 では半対数型になる。尚、この検定を行うに際して月間インフロー・
ページランク・データ数・メンバー数については 0 を含む系列であるため、全体に 1 を加
えてから変換を行った。
以上の関数型について重回帰分析を行いヘドニック回帰式の推計を行い、その対数尤度
値を算出し対数尤度被検定を行う。この際、尤度比統計量は
LR = 2( LRB − LRR )
(6.25)
であたえられる。ここで、 LRB は BOX-COX 型の対数尤度値で、 LRR はその他比較対象と
なる関数型での対数尤度値を指す。そして、上式により算出された尤度比統計量を用いて
自由度=2 の χ 検定を行う。
2
まず次表に線型、半対数、両対数、片側 BOX-COX 型、両側 BOX-COX 型の時の尤度値
を纏めた。
表 6-1
関数型
両側 BOX-COX 型
片側 BOX-COX 型
両対数型
半対数型
線型
尤度値
λ0
λ1
-0.25
-0.25
0
0
1
-0.13
1
0
1
1
- 50 -
尤度値
122.127
78.2956
-82.6198
-119.958
-1150.39
やはり、両側 BOX-COX 型が最も大きな値を示しており、よって両側 BOX-COX 型が尤
もらしいことがわかる。よってここで、両側 BOX-COX 型の尤度値を LRB として尤度比統
計量を計算する。
表 6-2 尤度比検定
片側 BOX-COX 型
両対数
半対数
線型
尤度比統計量(両)
87.6628
409.49368
484.169
2545.04
尤度比統計量(片)
321.83088
396.5062
2457.3772
ここで、尤度比統計量(両)とは両側 BOX-COX 型に対する尤度比統計量であり、尤度比統
計量(片)とは片側 BOX-COX 型に対する尤度比統計量である。
線型、半対数、両対数、片側 BOX-COX 型全てにおいて、
「両側 BOX-COX 型の尤度値と
有意に異ならない」とする帰無仮説は 1%有意水準で棄却された。よって両側 BOX-COX
型が強く指示されていることがわかり、本研究においては、関数型は両側 BOX-COX 型を
用いることにする。
次に、誤差項の分散不均一性を検証するために、White Test を行い検定する。ここで
White Test とは(4.4)式の誤差項である ε j の 2 乗を被説明変数、(4.4)式の説明変数である
Xij 、 Dkj とそのクロス項を説明変数とし回帰して、各々の係数が 0 であるという帰無仮説
の下 χ 検定を行うものである。White Test の結果、
その統計量は 33.29262 となっており、
2
自由度 28 のもとで行われる χ 検定の結果、5%有意水準で「定数項を除くすべての係数が
2
ゼロである」という帰無仮説を棄却することは出来なく、分散不均一性を否定した。
更に、定式化の問題を検定するために、Ramsey の RESET テスト(Ramsey regression
specification error test)を行い、検証する。RESET テストは(4.4)式の説明変数に同式から
n
得られた推定値 ln Pˆ の n 乗項 (ln Pˆ ) を加えて、その有意性を F 検定するものである。本研
究では、3 乗項までを加えて検定を行うことにする。RESET テストの結果、F 値は 2.838
n
となり、5%有意水準で「 (ln Pˆ ) の係数が全て 0 であり、定式化に誤りはない」とする帰
無仮説は棄却されなかった。
6-3.
分析結果
このようにしてもとめられた両側対数型のヘドニック関数の推定結果を表 6-3 として纏
めた。
推定されたパロメータは Web サイトダミー変数のチュートリアル、ブログ、ビデオ共有、
リンク集をのぞき有意であった。これはなかなかよい推定であるといえる。また、基本項
目・営業力項目・データベース項目についての符号は想定していた符号条件を満たし、納
得の言えるものになった。また、Web サイトダミー変数はゲーム・ファイル共有・BBS・
オークション・動画配信がマイナスの値を示した。この理由については次の項で考察を行
う。
- 51 -
2
自由度調整済 R は、被説明変量の平均を中心としたばらつき全体のうちのどれだけの割
2
合が回帰直線によって説明されたかを示す数値であるが、本研究では自由度調整済 R が
0.747 であったので、比較的高い割合で説明できていることがわかる。
付録 6-1 は被説明変量の実測値と被説明変量の予測値の関係を表したブラフであり、実
線は傾き 1 の直線であり、その実線に沿うようにして書いてある点線は 95%信頼曲線であ
る。また、横一直線に引いてある点線は被説明変量の平均値である。この平均値が 95%信
頼曲線と交差していることより一目でこのモデルが 5%有意で被説明変数の変動を説明す
るのに有効なモデルであることがわかる。また、多くのプロットされた点が傾き 1 の直線
のそばにあることからもモデルの正確性が読み取れる。しかし、このグラフは BOX-COX
変換された値を使っており、基の値ではない。よってここでは一度 BOX-COX 変換を元に
戻す作業(以下、逆 BOX-COX 変換)を行い価格の実測値と予測値の値を観察する。価格の実
測値と予測値の関係を表したグラフを付録 6-2 とする。すると、外れ値は多少存在する物
のおおよそ傾き 1 の直線周りに点が存在し推定が大体ではあるがされていることがわかる。
- 52 -
表 6-3
説明変数
推定結果
推定値
標準誤差
2.243
0.099
22.667 ***
月間インフロー
0.042
0.008
5.428 ***
設立経過月数
0.044
0.014
3.107 ***
ユニークアクセス
0.118
0.020
5.968 ***
一人当たり観覧数
0.042
0.012
3.474 ***
ページランク
0.051
0.016
3.239 ***
データ数
0.025
0.009
2.831 ***
メンバー数
0.012
0.006
1.832 *
-0.067
0.035
-1.919 *
チュートリアル
0.031
0.037
0.858
ホスティング
0.167
0.063
2.650 ***
サーチエンジン
0.091
0.041
2.210 **
BBS
-0.009
0.031
情報
0.054
0.026
2.039 **
定数項
t値
基本項目
営業力項目
データベース項目
Web サイト種類ダミー
ゲーム
ファイル共有
-0.280
-0.107
0.047
-2.282 **
ブログ
0.064
0.035
1.813 *
ショッピング
0.149
0.042
3.559 ***
オークション
-0.154
0.065
ビデオ共有
0.081
0.060
1.351
リンク集
0.052
0.047
1.107
動画配信
-0.183
0.082
出会い系
0.462
0.089
自由度調整済 R
F値
2
-2.369 **
-2.244 **
5.163 ***
0.747
16.581
RESET
2.838
Obs.
112
Variables
21
ここで、***は 1%、**は 5%、*は 10%水準で有意であることを示す。
- 53 -
次に、正確性をより詳しく見るために、実測値と予測値の残差についてみてみることに
する。尚、本研究においては、残差は実測値より予測値を引いた値とする。付録 6-3 は予
測値と残差の関係を表したグラフである。このグラフによると残差はおおよそ±0.15 の範
囲に収まっている。これは十分にいい値のように思えるが、実際は指数同士の引き算であ
るので価値算定という上では有効な数字とは考えられない。
よってここでは、推定値を逆 BOX-COX 変換し、基の値に戻した物と実測値を用いて残
差を計算し付録 6-4 としてグラフに纏めた。
するとおおよそは 0 周辺に点が集まっているが、2 つほど離れたところにある点も見えた。
しかしそれらはもともとの価格が大きい物なので許容範囲内と考えることが出来る。
ここで見えた外れ値は先ほど付録 6-2 で見えたものと同じであるが、一つは会員数が非
常に多くページランクも高いテンプレート配布サイトで、もう一つは月間インフローが非
常に高い写真の撮影方法のテキストを販売するショッピングサイトであった。
6-4.
考察
この項では、前項で得られたデータの考察をしていく。
基本項目・営業力項目・データベース項目に属する指標の推定値を図 6-1 として纏めた。
0.140
0.120
0.100
0.080
0.060
0.040
0.020
0.000
図 6-1
基本項目・営業力項目・データベース項目の推定値
すると、飛び抜けてユニークアクセスの推定値が高いことがわかる。これは、Web サイ
トに人を集客するということが、時間も労力も要し大変であることを物語っている。よっ
て人々は Web サイト購入に際してユニークアクセスに価値をおいて取引を行うのである。
また、ユニークアクセスが多ければその気になればアフィリエイト収入を望める。よって
収益モデルが見えてきやすいので、投資した資金の回収を見込めるのも一因である。
人が集まる場所は価値があるという考えは、実社会での経験に通じるものがある。駅前
- 54 -
や雷門や東京タワー、六本木ヒルズなどのランドマークの周辺などの人が集まりやすい地
域の地価はとても高い。これは人さえいれば様々な商売を考えることが出来、人が少ない
地域に比べれば圧倒的に収益を上げやすい環境であるからである。よって非常に納得がい
く結果であるといえる。
次に高い数値を示しているのはページランクである。前述の通りページランクというの
は上げるのが大変難しく、ページランクを上げることを商売としている業者もあるぐらい
である。よってその点に利益を見いだして価値をおいているのである。また、ページラン
クは 0∼10 の間の自然数をとる指標であるがとても見やすくわかりやすいというのも評価
が高い一因であると考える。更に、ページランクが高いということは良質なリンク数が多
いと言うことであるので、ページランクが高いとそのページもリンクされるだけの価値が
ある良質なページである可能性が高い。よって結果として購入者がその Web サイトをみて
納得して高い価格を支払ったとも言える。
その次に高評価を与えられているのが設立経過月数である。Web サイトはなかなか長続
きしないと前述したが、そのような環境の中で長続きしている Web サイトは自然に人を引
きつけるものを持っているので高い評価を与えられているのではないであろうか。また、
設立経過月数が長ければ、短い Web サイトよりもリンク数が多いことが十分考えられる。
よってページランクが高くなり、その結果高い評価がされている可能性もある。
次に、月間インフローと一人当たり観覧数が高い数値である。月間インフローに関して
は、ストレートな回収見込額でありわかりやすい指標であるのでもう少し高い数値を示す
かと思っていたので全くの予想外であった。これはおそらく本研究で調べたサイトの中に
はアクセス数もあり賑わってはいるがまだビジネス化していないため収入がないまま売り
に出された Web サイトが含まれていたことが原因である。購入者はそのような Web サイ
トにアフィリエイト広告を付けたらどうなるかなどの将来の収入を考え価格を付けるので
その販売価格はそのサイトの他の指標に応じた価格になるが月間インフローは小さいので
推定を行った際重み付けが小さくなったのである。その他に、Web サイト購入者はより未
来志向でサイトを購入している可能性がある。よって現時点での収益よりも収益可能性を
重視しているのではないだろうか。その為前述のように、将来にわたり収益をもたらす可
能性のあるユニークアクセスが高く評価されている。
また、一人当たり観覧数が評価されているのは一人当たり観覧数が多い Web サイトは興
味深い Web サイトが多い。そのような Web サイトは実際に購入者が Web サイトを観覧し
た際に高い評価が下されるのである。その結果一人当たり観覧数が多い Web サイトには高
い価格が付き、本研究での推定で評価されたと考えられる。
今回の説明変数で低い値を示していたのが、データベース項目という属性概念に属する
データ数とメンバー数である。特にメンバー数については定期的にアクセス数をもたらし
てくれたり、収益をもたらしてくれたりすることが多いので、相当な価値があると予想し
ていたのでこれも非常に予想外な結果であった。
先ず、データ数に関しては、本研究ではデータ数とはそのページが持つ核となるデータ
の数としたが、そのデータを収集するときにデータの中身による違いを付けなかったこと
が原因ではないかと考える。例えば、ゲームサイトではゲームの数を、掲示板ではスレッ
ドの数をデータとして収集したが、おそらく一つのデータが持つ重みというのはゲームと
スレッドでは異なるものになっているであろう。するともちろん価値のあるデータを有す
る Web サイトには高い価値がつくが、価値があまりないデータを有する Web サイトには
いくら沢山データを有していたとしても Web サイトにあまり高い価値はつかない。よって
データはたくさんあるのに Web サイト自身の価値が低いというパターンが多く発生した際
には、データ数に対する重み付けは自然と小さくなる。よって今回のような結果に至った
ことが考えられる。
メンバー数に関しても前述の議論と同様にメンバーの質が問題になってくるように思え
る。収集時には、単にその Web サイトに書いてあるメンバーの数だけを収集したが、サイ
- 55 -
トの中にはメンバーの住所まで登録してあるサイトもあれば、メールアドレスだけの Web
サイトもあり、サイト間で保有しているメンバーデータの質に差が生まれた。もちろん質
が高いメンバーデータを有している Web サイトの方が高評価であるが、本研究でははデー
タの質が高くないサイトが多く存在しために、重み付けが小さい値になってしまった可能
性がある。また、出会い系のようにメンバー数がキーとなる Web サイトもあれば、そこま
でメンバー数が重要視されないサイトも存在する。よって今回のような値が出たと考えら
れる。
つぎにダミー変数の推定値についての考察を行う。先ほどと同様に、ダミー変数の推定
値を図 6-2 として纏めた。
0.500
0.400
0.300
0.200
0.100
イ
ル
情
報
共
有
ブ
ロ
シ
ョッ グ
ピ
ン
オ
グ
ー
ク
シ
ョン
ビ
デ
オ
共
有
リ
ン
ク
集
動
画
配
信
出
会
い
系
チ
-0.200
フ
ァ
-0.100
BB
S
ゲ
ー
ュ
ム
ー
トリ
ア
ホ
ル
ス
テ
サ
ィン
ー
グ
チ
エ
ン
ジ
ン
0.000
-0.300
図 6-1
ダミー変数の推定値
チュートリアル・ホスティング・サーチエンジン・情報・ブログ・ショッピング・ビデ
共有・リンク集・出会い系がプラスの値を示しており、ゲーム・BBS・ファイル共有・オー
クション・動画配信がマイナスの値を示していた。比較的収益とつながりやすいものがプ
ラスの値を、つながりにくいものがマイナスの値を取っているように見える。また、複雑
なプログラムを有するものも価値が高いようである。
最も大きな値を得たのは出会い系であるが、これはやはり出会い系の収益性の良さとそ
のプログラムに由来するものであろう。出会い系の収益モデルは一般に確立されており、
現在では Yahoo!や MSN などのきっちりとした企業も参入しているほどである。定期的に
利用者から収入が入ってくるだけでなく、広告収入も望みやすい。よって投資した資金を
回収する見込みがつきやすいので高い評価を得ているようである。また、出会い系のプロ
グラムはオーダーメード制のものが多く一般に普及しているものではない上に複雑で作成
に時間を要することが高い評価を得ている一因とも考えられる。
次に、大きな値を得ているのはホスティングである。これも利用者から収益を得ること
が出来、また広告収入を得ることも出来るというように頑健な収益モデルを確立している。
よって資金回収の目処がつきやすいため高評価になっている。また、自動的にユーザ ID を
発行し、ユーザに領域を付与するソフトウェアを有するホスティングの場合、そのソフト
ウェア的価値も相当にあると思われる。更に、ホスティングでは他種の Web サイトとは異
なり、専用サーバーの使用権利までついてくることがあり、その分の価値が加算されて高
- 56 -
評価になっている。
次にショッピングサイトが高い数値を示している。これはその収益に由来するものだと
わかる。売りに出されていた多くのショッピングサイトは大きな収益を伴うものが多い。
というのも広告などとは違い売れればお金が確実に入り単価が高い。また、Web サイトに
よっては物ではなく、PDF の本など現価なしでいくらでも販売できる物のみを取り扱うサ
イトもありそのようなサイトでは Web サイト保有者はほぼ何もすることなく確実に収益を
得ることが出来る。よって高い評価を得ていたことがわかる。
サーチエンジンとビデオ共有は、広告という収益モデルを持ちまた、プログラムという
価値になる財産を有しながらも前述の Web サイトよりも評価が低くなっている。これは、
サーチエンジンとビデオ共有に考えられる収益モデルは広告収入のみで販売による単価の
大きな収入が望めないことが、原因になっている。但し、前述の Web サイトとは異なり保
有者自身はほとんど運営にコミットしなくていいのは大きな利点であるのは言うまでもな
い。ここが次に挙げるブログや情報サイト、リンク集とは異なる点である。
ブログや情報サイト、リンク集もサーチエンジンやビデオ共有と同様に広告によって成
立する Web サイトである。よって出会い系やホスティング、ショッピングサイトよりも評
価が低くなっている。また、ブログや情報サイト、リンク集は常日頃から保有者が更新し
続ける必要があり、更新が停滞するとその価値が日増しに減少する。よって、サーチエン
ジンやビデオ共有と違い手間がかかることからその価値は低い。
また、ブログ、情報サイト、リンク集の 3 つの中でブログが最も価値が高い。これは比
較的ブログの更新がフォームに書き込むだけで比較的簡単であること、トラックバックな
どの最新機能を有し SEO 的に優れておりサーチエンジンで検索した際にヒットしやすいこ
とが理由として挙げられる。よって、手軽に広告を効率よく出せるので価値が高く認めら
れているように思える。
次に推定値がマイナスであった項目についてみていくことにする。
最も大きなマイナスの値を取っていたのは、動画配信サイトであった。おそらくこれは
そのコストと収益のバランスに依存すると思われる。動画配信サイトの場合収益モデルは
基本的に広告収入のみとなる。すると多くのアクセス数がない限りは収益を得ることが出
来ない。その反面、動画配信には動画という性質上マシンスペックが必要となり、皮肉な
ことにアクセス数が増えれば増えるほどコストがかさむ。よって総じて魅力的な物件とは
言うことが出来ず重み付けが小さかったといえる。
次に小さい値を取っていたのはオークションであるが、これは予想外であった。運営コ
ストもかからない上に、取引主体はユーザであるので手間もかからない。そして収入は利
用者からの収入や広告収入が考えられ、また、高度なソフトウェア技術も存在し、条件と
しては悪くない。考えつく原因としては市場の状況であろうか。今やオークションといえ
ばヤフーや ebay の寡占状態にあり新規業者が進出する隙はあまりない。よってその中で収
益を見いだす難しさが目立ち評価されなかったのであろうか。疑問が残る。
ファイル共有・ゲームも小さな値を取っていたが、この二つに共通するポイントとして
あげられるのは収益モデルとサーバーコストであろう。両 Web サイトとも収益モデルは広
告であり、収益を上げるためには人集めが必須事項となる。しかしながら、人が集まれば
ファイル共有であればサーバースペースの拡張やバックボーンの強化を余儀なくされ、ゲ
ームサイトであれば処理能力とバックボーンの強化を余儀なくされる。どちらにせよ多く
のリクエストに応えられるようにするためにはサーバーの強化が必要となる。するとコス
トがかかる。しかし収益モデルが広告である以上ショッピングなどに比べれば大きな収入
が望めないので本研究ではマイナスの推定値が出たことが考えられる。また、ゲームサイ
トについては、本研究ではゲームをプログラムとしてではなくデータとして見たのでダミ
ー変数における推定値がマイナスの値を取ったと言うことが考えられる。よって本来はプ
ログラムという項目を作りそこでカウントすべきだったのであろう。
- 57 -
以上のように見てきた結果、総じてわかったことは大きな推定値は必ず確立された収益
に結びついていると言うことである。収益に強く結びついていてそれがわかりやすく表に
出ていれば高く評価されると言うことがわかる。
また、高水準のプログラムを有している Web サイトも高い評価が下される傾向にあるこ
とがわかった。これは、プログラムを購入する費用を考慮して購入する購入者が多いとい
うことが理由としてあげられる。
よって、高水準プログラムを有しており、かつ、収益モデルが明確な Web サイトが高い
評価を受け、その価格は Web サイト自身の規模に左右されるということがわかる。
さて、ここまで見てきた中でこのモデルを構築する上での欠点を紹介する。それは、Web
サイトの種類により各指標を測る尺度が違うのではないかという点である。例えば、出会
い系とショッピングサイトではメンバー数の持ち意味合いは異なってくるのではないであ
ろうか。出会い系でのメンバー数という数字はそれ自体が大きな価値を持つ物であるので
とても価値がある物である一方、ショッピングサイトなどでは単なる会員であり、出会い
系ほど大きな意味を持たない。これは全ての項目について同様のことを言える。なので、
本来は尺度が異なる物を
では平均化し、一同に測っているので多少のずれや予想外の評価が出てきたのではない
であろうか。この点を改善すればより正確なモデルを算定することが出来るであろうが、
本研究においては全サンプル共通指標で見るまでに留めておくことにする。
さて、6-3 でみられた外れ値についてであるが、どちらも実測値の方が予測値よりも高い
値を示していた。よって、2 つの外れ値である Web サイトは計量化されていない部分が実
際には高く評価されていることがわかる。テンプレートサイトの方は他の同種の Web サイ
トに比べよくデザインされている Web サイトでテンプレートの分類もわかりやすくされて
いた。
もう一方の写真の撮影方法のテキストを販売するショッピングサイトは取り扱う品物が
いくら売っても品数が減少しない PDF ファイルであること、また Web サイトのデザイン
性の良さ、使いやすさなどが評価された結果実際には予測値よりも高い価値がついていた
ことがわかる。
よって計量化されていない部分の影響を受ける Web サイトも多々あり、この部分をどの
ように評価していくかと言うことが課題であることは言うまでもない。
- 58 -
第7章
Web サイト市場の日米比較
7-1.
日本における分析対象と分析方法
ここでは、日本における Web サイト価格の算定をしようと思う。価格データであるが、
日本の市場はアメリカの市場と大きく異なり基本的に案件データが非公開であり、また、
売買時に Web サイト URL も公開されない。よってきわめて収集できるデータが少ないの
であるが、メディアコム株式会社が運営するサイトキャッチャーにご協力いただき、この
度サンプルデータを得ることが出来た。そのサンプルデータを用いて分析を行う。サンプ
ルデータは付録 7-1 として巻末に添付した。
さて、分析の方法であるが、サンプルデータのオブザベーションが 10 個で著しく少ない
ため、重回帰分析を行ったところで正確な数値が出るようにはとても思いにくい。また、
それだけではなく多重線型性が発生する危険性さえもある。
よってここでは先ず、日本のサンプルをアメリカ市場でのヘドニック回帰式に代入する
ことで得られた予測値を実測値と比較することで、日本の市場の状態を調べてみることに
する。
7-2.
データの修正
分析をするに当たりアメリカのデータとの互換性を保つために、金額が関わる価格、月
間インフローは 1 ドル=120 円の為替レートで換算した。また、一部ページビューが測定不
能な場所があったがその部分については擬似的に一人当たり観覧数が 4 になるように調整
した。
また、アメリカのデータについても日本では「メンバー数」の項目がないためメンバー
数を取り除き再び推定を行い、そこで得られた推定値を用いて分析を行うことにする。
7-3.
分析結果と日米市場の比較
よって先ず、5-3.項で算出されたデータを「メンバー数」のみをとりのぞき、再び 6-2.
に従い再構成する。
するとアメリカ市場でのヘドニックモデルは表 7-1 のようになった。
- 59 -
表 7-1
説明変数
定数項
メンバー数を除いた推定結果
推定値
標準誤差
t値
2.1908077 0.096013
22.82 ***
月間インフロー
0.0423503 0.007907
5.36
***
設立経過月数
0.0466032 0.014251
3.27
***
ユニークアクセス
0.1287007 0.019039
6.76
***
一人当たり観覧数
0.0480294 0.011924
4.03
***
ページランク
データベース項目
0.0484511 0.015922
3.04
***
データ数
0.0276653 0.008682
3.19
***
ゲーム
チュートリアル
-0.067961 0.035306
0.0036651 0.033719
-1.92
0.11
*
ホスティング
0.1990043 0.061591
3.23
***
サーチエンジン
BBS
0.0843322 0.041729
0.0096556 0.030068
2.02
0.32
**
情報
0.0483131 0.026627
1.81
*
ファイル共有
ブログ
ショッピング
オークション
ビデオ共有
リンク集
動画配信
出会い系
-0.094576
0.0403397
0.1561098
-0.137425
0.0699378
0.0479481
-0.21962
0.4878826
-2.02
1.21
3.7
-2.1
1.16
1
-2.74
5.45
**
基本項目
営業力項目
ダミー変数
自由度調整 R2 乗
F値
RESET
obs
variables
0.046814
0.03332
0.042147
0.065366
0.060504
0.047794
0.080175
0.089457
0.740
16.807
3.010
112
21
ここで、***は 1%、**は 5%、*は 10%水準で有意であることを示す。
- 60 -
***
**
***
***
ここでも 6-2.項と同様に各種検定を行い式の正当性を確認した。まず、誤差項の分散不
均一性を検証するために、White Test を行い検定した。White Test の結果、その統計量は
2
24.25228 となっており、自由度 28 のもとで行われる χ 検定の結果、5%有意水準で「定
数項を除くすべての係数がゼロである」という帰無仮説を棄却することは出来なく、分散
不均一性を否定した。
次に、RESET テストの結果、F 値は 3.010 となり、5%有意水準で「 (ln Pˆ ) の係数が全
て 0 であり、定式化に誤りはない」とする帰無仮説は棄却されなかった。
n
よって上記の推定値を用いて分析を行うことにする。
上記推定値を用いたヘドニックモデルに日本市場でのサンプルデータを代入し価格の予
測値を算出した。その予測値はもちろん BOX-COX 変換されているので、逆 BOX-COX 変
換を行い元のかたちに価格を戻した。そして、その戻された価格と価格の実測値の関係を
図 7-1 としてまとめた。尚、中央部にある直線は傾き 1 の直線である。また、このとき価
格の単位は円に再修正した。
12,000,000
10,000,000
実
測
値
8,000,000
6,000,000
(
円
)
4,000,000
2,000,000
0
-
2,000,000
4,000,000
6,000,000
8,000,000
10,000,000 12,000,000
予測値(円)
図 7-1
日本市場の実測値と予測値の関係
すると、ほぼ全てのプロットが直線の上に打たれていることがわかる。これは、アメリ
カ市場に基づく推定値で予測値を計算したところ、その推定値は実測値を下回ったと言う
ことである。よって、日本市場の方が価格が高いことがわかる。日本の市場はアメリカの
市場よりも平均して 101%ほど高い値、つまり二倍近い値をとっていた。
- 61 -
これは、市場信頼性に影響される問題であると考える。というのも、日本の市場は本研
究ではサイトキャッチャーを用いたが取引は全てサイトキャッチャーが最初から最後まで
面倒を見て、契約書による契約の締結まで行っている。また、特に取引が会社相手である
場合には、ある程度まで言ったところできちんと会社の概要を示して、健全性を証明して
いる。また、購入検討前の時点では秘密保持契約に基づいて販売者の情報を隠すことも出
来る。このようにサイトキャッチャーが隅々に渡り販売者と購入者の橋渡しを行うことで
信頼性を高めている。
一方、SitePoint MarketPlace では、運営者は Web サイト取引にはほとんど関与せず、
その取引は取引者にほぼ 100%委ねられる。よって第三者による保証がされていなければ、
アフターケアもされないのでその点において信頼性は薄い。
よってアメリカ市場と日本市場ではその信頼性が異なることより価格が異なり、信頼性
がある日本の方が価格が高くなっている。これは市場の信頼性も財を構成する一つの特性
であると考えることが出来る。つまり、日本の Web サイトは市場に信頼性があることによ
り価格が高くなった差分である信頼性プレミアムが付与されているのである。よって、本
研究では単一市場のみで分析を行ったが、多くの市場よりデータを入手し、推定を行う際
は、市場という項目をダミー変数として入れるべきであることがわかる。
また、これはあくまでも個人的な印象であるが、アメリカでは取引が個人対企業、若し
くは個人対個人というように個人が主体で取引されているケースが多いように見えた。そ
れに対して、日本では図 2-4 からもわかるように買い手の主体は企業であり、そうすると
取引は個人対企業、及び企業対企業と言うようになる。
企業は通常個人よりも多くの資本を有するので、個人対個人で行うような取引より、一
方に企業が絡む取引の方が取引額が多くなるように思える。よって企業が絡む取引が多い
日本の方が取引額は大きいのではないであろうか。
その他には、日本の市場での Web サイトの取り扱い数がアメリカよりも少ないため、ミ
クロ経済学のワルラス的調整過程により供給量の減少による価格高騰と捉えられるかもし
れない。しかしながら、ヘドニック・アプローチ採用時点で元来のミクロ経済学を逸脱し
ており、この可能性は乏しいと思われる。また、Web サイトの取り扱い方法が日米で異な
っているのも一因かもしれない。日本では希望価格を提示してからの交渉になるのに対し
て、アメリカでは完全にオープンなオークション性になっている。この違いより価格差が
生まれた可能性はある。
基本的に物価が違うという考えもあるであろうが、インターネットというボーダーがな
い世界という特性上、物価の影響は受けにくい物であると考え、物価の影響は受けたとし
ても微少であり無視できる程度であると考えた。
- 62 -
第8章
結論・今後の課題
8-1.
結論
本研究では、ヘドニック・アプローチを用いた Web サイトの価値算定モデルを作成・提
案する。このモデルは、財の価値はこれを構成する複数の特性に分解できるという考えに
基づき、複数個の計量できる特性を持つ数多くの売買データを用いて重回帰分析を行い、
解析を行う。これにより、本研究での価値の定義である市場価格を、主観を極力取り除き
客観的に算定することが出来る。また、売却時に有効となる特性や高値で取引しやすい Web
サイトの種類も判明した。このような分析は、Web サイト取引がまだ濫觴期であり、一般
に Web サイト売買という概念がなじみ深くなく、平均相場がわかりにくい現在において売
買における、また、Web サイト構築における意志決定の一助になると考えられる。
アメリカの Web サイト売買市場と日本の Web サイト売買市場を比較すると、日本にお
ける Web サイト価格の方が同じ特性を有する Web サイトでも高い。これは、日本の市場
は市場による Web サイト販売者及び Web サイト自体の保証がされ、取引の補助もされて
いるために信頼性という面でリスク減少につながり価格の高騰を呼んでいる。また、日本
の市場でのサイトの供給量の少なさや日米での販売方法の違いも原因と考えられる。この
ような価格高騰は売り手の利益につながる一方、買い手にとっては安価で手軽な取引を阻
害している一因とも考えることが出来、保証が少ない市場があっても良いのではないかと
考える。
8-2.
今後の課題
本研究における課題を挙げる。
・
先ず分析対象についてであるが、Web サイト売買が M&A に近いという特性上、そ
のサンプル数に限りがあり、特に日本においては生データを手に入れることはきわ
めて困難である。アメリカにおいては日本よりは遙かに多くのデータが掲載されて
はいるが、その掲載期間も長いとは言えずつい最近のデータしか入手できず、ヘド
ニック・アプローチの得意とする物価指数の解析をするには至らなかった。これは
サンプルを入手する上でのバイアスが極めて大きいと言える。よってこの先 Web サ
イト売買が一般化されていく中で売買データがオープンになっていくことを望む。
そうすれば、より正確な分析が行えるものと期待する。
・
次に分析指標であるが、Web サイト売買に当たっての法整備が全くないことにより、
例え売買データが存在していたとしてもそのデータを表す指標を全て知ることは困
難である。よって指標を絞り込む必要が出てきてしまい、本当に有効である指標を
逃している可能性もある。よって法整備により表示される指標が必要分義務づけら
れることでこの問題は解決する。また、価格を構成する指標の中には計量が困難で
ある物も多く含まれると考える。そのような中で AHP などの各種方法を用いること
- 63 -
で計量化し、分析指標の中に追加することでモデルの説得力が上がり、より正確な
モデルを構築できる。
・
分析方法についてだが、本研究では全ての説明変数のパラメータが全サンプル共通
であるという仮定の下、全て一度に重回帰分析を行った。しかし、実際にはそうで
はなく、サンプルの種類によって異なる性質を持っているので、各種サンプルが異
なるパラメータが取ることによって、より正確なモデルを構築できると考える。つ
まり、各属性変数と Web サイトの種類を表すダミー変数との交差項をとることで、
より正確に表現する。
・
最後に、インターネットは前述のように非常に速いスピードで変化をする。よって
他のどの物件以上にモデルの更新が求められる。日々変わりゆく価格や日々増えゆ
く Web サイトの種類をキャッチアップすることで、より確実な価値算定モデルにな
っていく。
- 64 -
参考文献
【書籍】
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[2] 肥田野登 : 「環境と社会資本の経済評価 : ヘドニック・アプローチの理論と実際」, 勁
草書房, 1997 年 10 月
[3] 武隈慎一 : 「ミクロ経済学増補版」, 新世社, 1989 年 11 月
[4] 福岡正夫 : 「ゼミナールミクロ経済学入門第 3 版」, 日本経済新聞社, 1986 年 9 月
[5] 森雅夫・松井知己: 「オペレーションズ・リサーチ」, 朝倉書店, 2004 年 6 月
[6] 廣野元久・林俊克 : 「JMP による多変量データ活用術」, 海文堂出版, 2004 年 6 月
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[8] 篠崎信雄 : 「統計解析入門」, サイエンス社, 2002 年 1 月
[9] 小学館『大辞泉』編集部:「大辞泉」, 小学館, 1998 年 10 月
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2004 年 10 月
[12] 財団法人インターネット協会 : 「インターネット白書 2006」, インプレス R&D, 2006
年6月
[13] 大島 邦夫、堀本 勝久 :「2007-'08 年版 [最新] パソコン用語事典」, 技術評論社, 2006
年 10 月
【論文】
[14] 太田誠 : “ヘドニック・アプローチの理論的基礎、方法及び日本の乗用車価格への応
用”, 季刊理論経済学, Vol.29, No.1, pp.31-55, 1978 年
[15] 白塚重典 : “物価指数に与える品質変化の影響−ヘドニック・アプローチの適用によ
る品質調整済みパソコン物価指数の推計−”、金融研究, Vol.13, No.4, pp.61-95,
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[16] 日本銀行調査統計局物価統計課 : “卸売物価指数におけるヘドニック・アプローチ−
現状と課題−”, 日本銀行調査統計局 Working Paper 01-24, 2001 年
- 65 -
[17] 才田友美 : “競売不動産から見た首都圏地価の動向”, 金融研究第 23 巻別冊第 2 号,
2004 年 11 月
[18] 村井良成 : “商業用不動産の実売価格のヘドニック分析”, 2004 年
[19] 永井 輝一・清水 有紀子 : “ヘドニック・アプローチによる品質調整済みオフィス
賃料指数の推計における実務上の問題点”, 実務ジャーナル, Vol.4, pp.3-22, 2004 年
[20] 川津昌作 : “賃貸マンション市場の収益分析手法に関する考察−名古屋における市場
分析−”, 実務ジャーナル, Vol.4, pp.23-40, 2004 年
【インターネット】
[21] 株 式 会 社 イ ン セ プ ト :
IT
用 語 辞 典
e-Words
http://e-words.jp/w/WebE382B5E382A4E38388.html, 2006 年 12 月 20 日
,
[22] メ デ ィ ア ネ ッ ト 株 式 会 社 : サ イ ト 売 買 傾 向 調 査
http://sitecatcher.net/sc_report_20060720.html, 2006 年 12 月 20 日
,
[23] SitePoint
Pty.
Ltd.
:
SitePoint
http://www.sitepoint.com/marketplace/, 2006 年 1 月 10 日
Marketplace,
[24] Value
と
Price
:
室
津
欣
哉
http://www.academyhills.com/gijiroku/toshi/toshi_1.html, 2006 年 12 月 26 日
,
[25] 収 益 用 不 動 産 の 評 価
: 小 川 兵 衛 ・ 奥 田 か つ 枝 ,
http://www.academyhills.com/gijiroku/toshi/toshi_4.html, 2006 年 12 月 26 日
【ソフトウェア】
[26] JMP 6.0
(SAS Institute, Inc.)
[27] EVIEWS 5.1 (Quantitative Micro Software)
- 66 -
付録5-1 米国市場での詳細価格データ
ン
グ
チ
エ
ン
ジ
ン
フ
B
B
S
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報
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ー
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ュー
ペ
ー
Jibble.com
価
格
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過
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数
純
利
益
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共
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ン
ク
集
動
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配
信
出
会
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系
16,000
0
3
20,000
1,429,635
0
0
4,400
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
6,600
800
5
40,000
200,000
3
40
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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- 67 -
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価
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付録5-1 米国市場での詳細価格データ
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グ
B
B
S
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イ
ル
共
有
オ
ブ
ロ
グ
物
販
ク
シ
ョ
ム
数
フ
チ
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ン
ジ
ン
ー
タ
数
ト
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ク
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ビ
ゲ
ー
ク
ア
ク
セ
ス
メ
ン
バ
ー
ー
デ
ー
チ
ペ
ュー
ペ
ー
価
格
経
過
月
数
純
利
益
ュー
U
R
L
ー
ー
ユ
ニ
ン
ビ
デ
オ
共
有
リ
ン
ク
集
動
画
配
信
出
会
い
系
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- 69 -
付録 5-2
散布図行列
- 70 -
付録 5-3
対数化した散布図行列
- 71 -
付録 5-4
経過月数を取り入れ対数化した散布図行列
- 72 -
付録 5-5
経過月数を取り入れた散布図行列
- 73 -
付録 6-1
実測値と予測値の関係
- 74 -
付録 6-2
逆 BOX-COX 変換後の実測値と予測値の関係
30000
25000
20000
実
測
値
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予測値
- 75 -
20000
25000
30000
付録 6-3
予測値と残差の関係
- 76 -
付録 6-4 逆 BOX-COX 変換後の予測値と残差の関係
25000
20000
15000
残
10000
差
5000
0
0
2000
4000
6000
-5000
予測値
- 77 -
8000
10000
12000
付録7-1
譲渡額
譲渡額
1,500,000
10,000,000
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1,300,000
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3,500,000
2,500,000
2,000,000
100,000
基本項目
営業力
DB項目
月間インフロー ページ数 データ数 ページビュー数 ユニークアクセス ページランク 運営月数 ドメイン
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0
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有り
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1,000
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有り
0
1,000
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500,000
5
74
有り
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500
200,000
未計測
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有り
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0
2,000
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有り
3,500,000
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有り
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20
0
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未計測
3
4
有り
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未計測
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有り
0
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1
4
有り
- 78 -
ダミー変数
サイトの種類
分野特化型ポータルサイト
愛好者の多い趣味のコミュニティサイト
BtoB中心のECサイト
分野特化型ポータルサイト。意図的にビジネス化していなかった
有料出店型ショッピングモール
情報提供+アフィリエイト
薄利多売型ECサイト
情報+有料サービス提供サイト
分野特化型ポータルサイト
分野特化型ポータルサイト
必要な技術・知識
無し
無し
無し
無し
無し
有り
無し
無し
無し
無し