動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02

動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02
メーカーHP
紙・板紙の品質評価および転写液や転写プロセスの最適化のための特定条件下でのぬれ
性・吸液性測定システム
▼概要 > ▼付属品 > ▼測定原理 > ▼測定例
商品ページの印刷はこちらから
紙製品の製造や塗工、印刷や接着などの転写プロセスは、紙、板紙などの基材と液体の相互作用に基づいており、本質的
に相当複雑な動的プロセスです。 その際の品質管理、使用される基材や液体の物性やそれらの相互作用の研究に用いら
れる主要な測定法は転写プロセスそのものを利用して行われ、その代表的な測定法は、HSTハーキュレスサイジングテス
ト、Cobbテストあるいは接触角測定です。
使用される試験液は、塗工液、接着剤、インクや水、オイルなどの実際のプロセス液であり、実験室においてそれらの相互
作用を用いて、サイズ度や表面構造などの紙の物性およびその相互作用が解析されます。
従来の試験法の多くは、平均値しか得られずまた測定に長時間かかります。例えば、CobbテストやHSTで得られる結果
は試料の表面から内部に及ぶ平均サイズ度であり、実際のプロセスの動特性を評価できません。また、SD Warrenテスト
やEklund水歩留り試験法(GRADEK)は塗工液の脱水率を測定できますが実際の塗工液アプリケーション条件をシュミレー
ションできません。また、接触角測定法はある特定の目的に限られています。
今ここに、従来の測定法の欠点を解消した二種類の新型測定装置をご紹介いたします。それは、モジュラー型測定装置
“動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02”および“小型PDA 表面・サイジングテスター EST”および紙の寸法安定性研究用測
定装置“WSD”、“HSA”です。
標準モジュール
高粘性液測定モジュール
塗工液測定モジュール
Standard
HVL
Standard Coating
及び
塗工液セルモジュール
Coating
動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02
印刷モトル測定モジュール
ぬれストレッチ
Mini-PDA
PEA
測定モジュール
表面・サイジングテスタ
WSD
動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02
標準モジュール Standard
紙・板紙の品質評価用超音波透過式試験装置、ぬれ性や吸液性の測定
紙・板紙と低∼中程度の粘性の試験液との接触による転写特
性の評価
ぬれ性、表面サイズ度・でん粉含有量、塗工性、細孔構造な
どの紙表面物性評価を可能にする接液の瞬間から測定を開
始

印刷適性の評価(インクジェット、オフセット、グラビ
ア、フレキソ)

接着適性の評価(ホットメルト、エマルション)

塗工原紙の品質評価

化粧紙の含浸樹脂飽和点の決定

ティッシュの吸水率の評価
試験液の温度測定
Module TCによる試験液の温度コントロール
RSE/OSBアクセサリーによる試験紙裏面開放条件下での測
定特に、化粧紙の含浸樹脂吸収性の測定
高粘性液測定モジュール HVL
紙・板紙の品質評価用超音波透過式試験装置、ぬれ性や吸液性の測定
標準モジュールStandardと同等のアプリケーションに使用
特徴

少量試験液量:約3.5 ml

簡便な洗浄

素材の切断面からの浸透が無い
最大100,000mPaの高粘性液で測定可能

接着剤

オフセット、フレキソ、ロトグラビア印刷インク

油

インクジェットインク

水

湿し水
洗浄しにくいような又は高粘性の試験液の測定に最適
動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02
塗工液測定モジュール Standard Coating及び
塗工液セルモジュール Coating
Gruener and Baumeister 法による塗工液と原紙の相互作用の測定
原紙、塗工紙の品質評価
塗工液と原紙の相互作用の解析
ぬれ性、表面サイズ度・でん粉含有量、塗工性、細孔構造な
どの紙表面物性評価を可能にする接液の瞬間から測定を開
始
■ 明確な接触条件下における塗工液と原紙の相互作用の
解析
■ 塗工液と原紙の初期接触におけるコータアプリケータの
模擬試験
●
コータ内塗工液のせん断履歴を測定時に再現
●
瞬間的高せん断速度かつ高衝撃圧下での塗工液と
原紙の動的相互作用を試験
●
極端な短時間内での測定
■ 原紙・板紙、塗工液の最適化:添加剤の処方開発
原紙、塗工紙、
板紙の表面特性、吸液性の評価
■ ぬれ性、表面サイズ度・でん粉含有量、細孔構造などの
紙表面物性評価
■ 印刷適性、接着性など転写プロセスの評価
2 MHz(約250 g/m2以下の紙用)
測定周波数
1 MHz(約250∼600 g/m2の板紙用)
浸漬時間
39 msec
塗工液セルモジュールCoating :SFK塗工液用インサート
■ せん断ギャップの精密調節:0.05∼2 mm
■ せん断速度:1,000∼40,000 s -1
■ 衝撃圧力:1.5∼2 bar/<10 msec
■ 接触速度:約2 m/sec
■ 試験液量:約150 ml
■ 塗工液のせん断履歴を再現するために測定に先立って約1,000s-1のせん断
速度で塗工液をせん断処理
塗工液セルモジュールCoating:PH2特製試料ホルダー
■ 測定試料の固定およびせん断ギャップの再現
■ 試験紙サイズ:55×80 mm
動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02
動的液体浸透性測定装置 PDA.C 02
印刷モトル測定モジュール PEA
マルチセンサーによるぬれ性・吸液性のポイント別測定から印刷モトルの評価
紙・板紙表面における吸液性の不均一性の評価
解像度:25dpi
湿し水、印刷油、フレキソインク、インクジェットインク、グラビ
アインク、水での測定
測定時間:
1∼2 秒
試料調製を含む試験時間:1分以内
測定項目:
モトル指標値M
構造寸法値S
QAおよびR&Dにおける大幅な時間の節約
簡便な操作性
モジュールHVLとして設計可能
ぬれストレッチ測定モジュール WSD
紙やライナーのぬれストレッチの動特性測定による紙の品質評価
液体との片面接液直後からのぬれストレッチ(一定張力引張伸
び)の動特性の測定
水やプロセス液との接液による化粧紙、新聞用紙、ラベル紙、
インクジェット用紙、塗工原紙、オフセット印刷用紙、段ボール
紙などの寸法安定性の評価
測定結果:
ぬれストレッチの経時カーブ
簡便な操作性
洗練された制御・解析ソフトウエア
表面・サイジングテスター EST12
塗工液脱気・攪拌装置 CDM 02
塗工液脱気装置 CDA 02
塗工液の脱気・攪拌用実験器具
塗工液の脱気用実験器具
■塗工液原材料の配合処方を研究するための塗工液
■ 塗工液の脱気
調製用実験器具
■ 塗工液の空気含有量の簡易測定
配合処方は、粘度や濾水性そして塗工液と原紙の相互
■ 簡便な操作性
作用など種々のパラメーターに影響
■ ハイシェア粘度計などの試料調製に最適
■ PDA.C 測定用
■ 塗工液の測定に極力必要な付属品
■ ハイシェア粘度測定用
■塗工液の脱気
■塗工液の空気含有量の簡易測定
試料調製器具 RSE/OSB
試料調製器具 RSE/OSB
試験紙裏面開放測定用の試料調製器具
試験液の温度コントロール
■含浸装置の転写距離のシミュレーションによる化粧紙の
標準モジュールおよび塗工液測定モジュー
含浸樹脂飽和点の決定
■新聞紙、フィルター紙、塗工原紙の構造研究
■試験液として油を使用して印刷適性の研究
ル用
■ 試験液の温度コントロール
■ 温度制御範囲:室温∼75℃
■ 電子制御式高精度コントロール
試料調製器具 SPM
PDA.C 02およびEST, EST12用
試料カッター
HSA WSD, DSS用
■ 均一で個人差の無い試料調製
■ 正確な試料の裁断
■ 効率的:手動調製に比べ50%時間の節約
■ 簡便な操作性
■ 測定誤差の低減:一定の圧縮力で試料を貼れるので再
現性の高い測定結果が得られます。
表面・サイジングテスター EST12
測定セル内の試験液の中へ試験紙を浸漬し、その瞬間からz方向へ低エネルギーの超音波信号が発射されます。紙を透
過した信号が高感度センサーで受信され、パソコンへ転送されます。
図1
図2
測定原理
浸漬時刻t=0における超音波減衰の説明図(ぬれおよび浸
透開始前、試料の切断面図)
紙による超音波の透過性は、紙が液体を吸収すると変化し、一連のメカニズムによって影響されます。
●
不均一な液体の浸透に伴い、紙内の局所的に取り残された気泡によって超音波の散乱が増加し、受信信号が減
少します。
●
細孔や毛細管が液体で完全に満たされると超音波の吸収が減少し、受信信号が増加します。
●
紙がぬれて繊維の弾力性が変化するために超音波の減衰が変化し、受信信号が変化します(試験液が水の場
合)。
●
ぬれを通じて、紙と液体の界面での超音波の反射の減少によって、受信信号が増加します。
図3 試料の浸漬過程
超音波透過強度の経時カーブから、樹脂吸収速度、表面サイズ度、表面の多孔性、印刷適性、接着特性、内部サイズ度
やぬれ性のような紙の重要な特性が評価できます。加えて、種々の試験液の物性、および含浸樹脂と化粧紙の相互作用の
ような液体と紙の相互作用を接触直後から評価できます。
表面・サイジングテスター EST12
1.サイズ度の測定
測定カーブから180、120、60、30、10、5、2、0.5秒後の吸水特性値A
(t)を自動的に計算します。この吸水特性値A(180)、A(120)、A(60)、A
(30)、A(10)は、Cobb値との相関性が良好です。
さらに、試験紙表面の疎水性・サイズ度・でん粉の含有量を反映する
カーブのピーク到達時間MAX値が計算されます。
計算値Wは、多孔性やラフネスなどの表面特性を反映しています。
2.インクジェット紙の印刷適正の測定
未コートインクジェット紙の表面サイズ度およびフィラー分布状態が
印刷性に及ぼす影響
なぜ試料1のニジミが多く出るのか?
原因:不十分な表面サイズ度
得られたMax値を比較すると、試料1の表面サイズ度が試料2より
も低いことが判りました。試料1ではより多くのインクが吸収されるた
めにニジミが大きくなるものと思われます。
内添サイズ度については両試料ともほとんど同じで、同一のCobb
値であると思われます。
なぜ試料2のカラー密度が悪いのか?
原因:過剰なフィラー濃度
試料2のカーブの急激な下降は、CaCO3フィラー粒子からCO2ガス
気泡が形成された結果、超音波の散乱により信号が減少したためで
す。
試料2の表面にはフィラーやファインがかなり多量に分布している
ため、HClと接触すると多くのCO2ガスが発生します。試料2表面に
は過剰なフィラーが存在するためにインクの吸収性が低くカラー濃度
が悪いものと思われます。
試料2では、表面サイズ度を大きくしてニジミの問題を解決しようとしましたが、カラー密度が悪くなるという新たな問題が発生し
ました。その原因はその製造条件にありました。試料2は、ドライヤーの乾燥能力を超える抄速で操業するために、ドライヤーで
の乾燥が不十分にならないようにウェットプレスの圧縮強度を高くして製造されています。その結果、フィラーの表面への過剰分
布が起こっています。
3.印刷適性の測定(汎用)
● コートおよび未コート紙・板紙
● 試験液:純水、湿し水、鉱物油、グラビアインク、オフセットインク、フレキソインク、インクジェットインク
● オフセット、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット
データ1:LWCロトグラビア印刷紙のドットミス傾向(高粘性液測定モジュールHVLで測定)
表面・サイジングテスター EST12
図11 LWCロトグラビア印刷紙(コート性の異なる15試料)、試験液:ヒマシ油
データ2:
UV保持オフセットインクの“セットオフ(定着不良)”。5段階の品質のオフセット印刷用コート紙を鉱物油で測定(標
準測定モジュールで測定)。
図12
試料#3、4、5ではインクの溶媒成分の吸収が急激に起こるために(1ミリ秒以内でのカーブの急激な下降)、紙中へのインク成分
が浸透しています。その結果インク保持性が悪く、インクの定着不良になっています。試料#1、2はOKです。
この特性を試験するために試験液として鉱物油を使用しました。
4.印刷モトルの測定
●
データ:
約25dpiの分解能で、適切な試験液を用いて、液体吸収の不均一性を評価。
異なるモトル傾向の二種類の未印刷紙での測定結果。
三次元表示 {紙表面の位置X(0∼約35mm)別の透過強度−経過時間カーブ(0∼200ms)}。印刷モトル測定モジュ
ールPEAで測定。
図13a 少ないモトル
図13b 大きいモトル
表面・サイジングテスター EST12
紙表面X位置での接液開始時刻t=200msにおける超音波透過強度Iの相違および構造寸法(lambda)の分布(指標値n)を示しま
す。
図13c 少ないモトル(赤いカーブ)
図13d 大きいモトル(青いカーブ)
5.接着特性の測定
●
試験液:純水、接着剤
板紙の接着性。サイズ度が高すぎる場合には、接着剤は浸透できずに乾燥できません。そのため接着性は悪くなります。また、
サイズ度が低すぎる場合には、接着剤中の水分が板紙へ吸収され過ぎます。このこともまた接着性を悪くします。良好な接着性
を達成するためには、サイズ度を最適なレベルにコントロールしなければなりません。
データ:
波形板紙の接着特性。サイズ度の異なる三種類のテストライナー紙と一種類のフルート板紙。試験液として純水を
用いて、標準モジュールStandardで測定。
図14a 測定時間60秒
表面・サイジングテスター EST12
図14b 横軸のフルスケールを10秒に拡大(表面の特性化)
6.表面特性の測定
●
印刷紙
●
塗工原紙(表面の細孔構造)
●
シリコン原紙
●
特製塗工
データ:
未サイズLWC塗工原紙の表面細孔構造の研究。試験液として純水を用いて、塗工液測定モジュールStandard
Coatingで測定。
図15
それぞれウェットプレス3台および4台を持つ二種類の製紙マシンで製造された二種類のLWCコート原紙。ウェットプ
レスの台数が異なるために細孔構造の異なる紙になっています(試験液:純水)。
データ:
インクジェット用紙(試験液:純水)
表面・サイジングテスター EST12
7.塗工液と塗工原紙の相互作用の測定
ロールアプリケーションのシミュレーション
(瞬間的高せん断速度かつ高衝撃圧下での相互作用を試験)
図16
三種類の塗工液で測定された塗工原紙。塗工液測定モジュール Standard Coating で測定。