第59号2009年版 - 東京大学 社会基盤学科

第59号
2009年8月
東大土木同窓会
会長挨拶
藤野 陽三……
平成20年度懇親会報告 …………………………………………
平成21年度評議員会報告 ………………………………………
平成21年度役員 …………………………………………………
平成20年度一般会計報告 ………………………………………
平成20年度奨学会会計報告 ……………………………………
平成20年度西野基金会計報告 …………………………………
平成21年度予算 …………………………………………………
支部便り
・東北支部
池田 清宏……
教室の近況
・社会基盤学科・社会基盤学専攻
小澤 一雅……
・生産技術研究所
小長井一男……
・地震研究所
堀
宗朗……
・新領域創成科学研究科環境学研究系
磯部 雅彦……
・2009年4月期の就職状況と
学生の就職活動支援のお願い
佐藤 愼司……
・人事異動 ……………………………………………………
話 題
・南米チリでの学生実習
高橋
修……
・ホストファミリー活動のご報告
小池 俊雄……
平成 21 年度東大土木同窓会懇親会のお知らせ ……………
同窓会事務局から
…………………………………………
(題字:故 草間
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偉先生)
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を始めました!
同窓会会長 藤野 陽三(昭 47)
東大土木同窓会では、ご存知のように名簿を毎年、更新し、刊行してきております。これが
可能なのは、多くの会員が所属や住所の変更を事務局にお知らせくださり、そして購入の希望
者が多いからです。会員が必要なときに他の会員と連絡が取れるようにしておくことは、同窓
会事務局の大きな役割と認識している次第です。今後とも毎年の刊行を続けられるようにした
いと思っております。会員の皆様のご協力をお願いする次第です。
昨今、個人情報保護法との関係で、名簿刊行を諦める組織がかなり出てきております。同窓
会名簿では、ご本人が名簿に記載する情報を選んでいただいた上で出しており、問題が生じる
とは思いませんが、現在のやり方に対してご意見のある方は是非お寄せいただきたいと思いま
す。
いろいろな情報を伝え、また迅速にやり取りする上で、インターネットが便利であることは
多くの会員が経験されているところです。現在では、ご高齢の先輩方もかなりインターネット
をご利用のようです。ホームページ(HP)は掲示板ともいえるもので、やや一方的なコミュニ
ケーションにはなりますが、会員への情報伝達の有力な手段です。HP 上に会員のニュースや異
動のお知らせを載せることはできますが、不特定多数の方にも情報を流すことにもなりうるの
で、載せる情報の選択にはいろいろ気を使うことになります。
このような中で、表題にありますソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が普及し
つつあり、東大土木同窓会でもこれを導入することにいたしました。ソーシャル・ネットワー
1
キング・サービスとは、登録されたメンバーから構成されるグループの間でのみで一斉メール
や電子掲示板を利用して情報を共有する仕組みです。
これを導入したそもそもの動機は、留学生 OBOG 諸君と教室や同窓会との連絡や、卒業生間で
のネットワーク的交流を行いやすくするためでした。同窓会名簿はやはり日本人会員のもので
ある色彩がつよいことは否めず、その代わりになるものということで探しもとめたものです。
世界各地で活躍をする留学生卒業生は仕事場を変えることも多く、連絡先を土木教室が把握し
続けることはかなり困難で、一旦連絡が途絶えると、日本人会員でも難しいことは想像できる
と思いますが、留学生の場合は復活するのがそれ以上に至難のわざであることはご理解いただ
けると思います。ソーシャル・ネットワーキング・サービスでは、インターネットがつながれ
ば世界中どこからでも、アクセスいただき、認められればグループの登録メンバーになること
ができます。グループとは、たとえば同じ卒業年次グループ、同じ研究室出身のグループなど
です。このようなフォーマルな形のものもありますが、たとえば、ゴルフなどの趣味を共通と
するグループの構成も考えられます。グループは会員からの提案を受け形成されることになり
ます。
この SNS 方式ですと、HP のように不特定多数の方に情報が流れることも無く、同窓会メンバ
ーの中のグループ間の交流が極めて迅速且つスムースにおこなわれることになると期待してお
ります。
もともとこのシステムは、アメリカで始まったもので、教室の長井先生、長山先生、鈴木先
生に導入のお世話をいただき、2 年ほど前から試行錯誤をかさね改善をしてきて、やっと皆さ
まがたに使っていただける状態になりました。ぜひ、このソーシャル・ネットワーキング・サ
ービスのサイトをご覧いただき、メンバー加入の希望のある方は、ご連絡ください。氏名、卒
業(修了)年次を記した E メールを cean@civil.t.u-tokyo.ac.jp 宛てにお送りいただきまし
たら、事務局よりメンバー勧誘の招待状をおくります。一般ユーザーログインページは、
http://www.cean-u-tokyo.com/ です。是非、一度お立ち寄りくださいますよう。
平成 20 年度懇親会
報告
平成 20 年度東大土木同窓会懇親会は、平成 20 年 10 月 23 日(木)
、東京大学山上会館地階食
堂にて行われました。出席者数は、205 名でした。
懇親会に先立ち、羽田空港再拡張工事の見学ツアーが開催されました。あいにく小雨が降る
中での見学となりましたが、留学生や大学院生を含む 59 名の方にご参加いただきました。D 滑
走路の桟橋部では船を降り、ジャケットの上まで上がり、徐々に全容を現しつつある滑走路の
様子を見学しました。ビッグプロジェクトの迫力を目の当たりにすることができて、印象深い
見学会となりました。
懇親会は午後 7 時 00 分、利穂吉彦氏(昭 54)の司会により開会し、藤野陽三会長(昭 47)、
副会長の冨岡征一郎実行委員長(昭 43)の挨拶に続いて、小澤一雅教授(昭 59)より東大土木
教室の近況についての報告がありました。
福岡正巳先生(昭 16)の音頭により乾杯をいたし、和やかな雰囲気の中で歓談が続けられま
した。須野原豊氏(昭 50)より,羽田空港再拡張工事について解説をうけると共に,見学ツア
ーの様子が報告されました.午後 8 時 30 分頃、國島正彦教授(昭 46)の挨拶に続き、平成 20
年卒業の新同窓会員による挨拶ならびに万歳三唱により、盛会のうちに散会いたしました。
平成 20 年度の懇親会は、同窓会実行委員会により企画・運営が行われました。広く同窓会員
に懇親会運営に関わっていただくことを目的とした実行委員会には、種々の領域から多くの委
2
員・幹事に御参画いただきました。また、昨年度に引き続き同伴者の方もお招きしましたが、
結果として多くの方にご参加頂き、大変華やいだ雰囲気も感じられました。
懇親会を実施するにあたりまして、冨岡征一郎実行委員長および鹿島建設の同窓会員の皆様、
また実行委員会の委員・幹事の皆様には多大なるご尽力をいただきました。ここに厚く御礼申
し上げます。
平成21年度評議員会 報告
平成 21 年度東大土木同窓会評議員会が下記のとおり開催され、事務局から提出された平成
20 年度会計決算、平成 21 年度予算案がそれぞれ承認され、また西野メダル授与報告が行われ
ました。
日時:平成 21 年 6 月 24 日(水)午後 6 時より 8 時まで
会場:山上会館地階食堂
次第:1.会長挨拶
2.副会長挨拶
藤野 陽三(昭 47)
高橋
修(昭 41)
小長井一男(昭 50)
福岡 正巳(昭 13)
3.乾杯
4.報告および審議(1)平成 20 年度会計報告
(2)平成 21 年度予算案
(3)西野メダル授与報告
(4)その他
5.近況報告
(1)社会基盤学専攻・社会基盤学科
小澤 一雅(昭 59)
(2)生産技術研究所
小長井一男(昭 50)
(3)地震研究所
堀
宗朗(昭 59)
(4)新領域創成科学研究科環境学研究系 磯部 雅彦(昭 50)
(5)就職報告
佐藤 愼司(昭 56)
(6)同窓会ホストファミリー制度運営報告 知花 武佳(平 10)
6.新評議員挨拶
近藤
剛(平 21)
菅沼 安奈(平 21)
平成 21 年度 東大土木同窓会役員
会
長
副会長
副会長
幹
事
藤野
高橋
陽三
修
小長井一男
長山
智則
(昭和 47 年卒)
東京大学大学院工学系研究科
(昭和 41 年卒)
日本工営株式会社
代表取締役
(昭和 50 年卒)
東京大学生産技術研究所
会長
教授
(平成 12 年卒)
東京大学大学院工学系研究科
3
教授
講師
東大土木同窓会 平成 20 年度一般会計報告
(平成 20 年 4 月 1 日~平成 21 年 3 月 31 日)
収入の部
平成 19 年度繰越金 ・・・( A )
年会費・名簿販売
郵便局振込み
自動引落し
新入会員・名簿販売代
広告掲載料
利息
定期預金利息
普通預金利息
平成 20 年度収入合計 ・・・( B )
合計
2,073,056
5,586,000
支出の部
業務委託費
会報作成・印刷・郵送費
評議員会案内印刷送付
名簿作成発送・年間データ管理費
支払い手数料
事務局費
評議員会開催費
評議員会会食費
謝金
支部活動費
東海支部総会旅費
近畿支部総会旅費
支部活動費
古市賞・田辺賞
メダル制作代
賞状等作成(20 年 9 月)
賞状等作成(21 年 3 月)
同窓会実行委員会開催費
実行委員会初回会合費
ホストファミリー開催費
夏季・秋季パーティ
謝金
謝恩会援助費
平成 20 年 9 月
平成 21 年 3 月
雑費
郵送費
後納郵便料金
年会費払込手数料
年会費払込手数料等
電話通話料金
HP管理・修正
事務局謝金
その他事務局費
平成 20 年度支出合計 ・・・( C )
合計
4,934,263
小計
明細
2,886,000
2,568,000
132,000
(単位:円)
備考
3、000 円
3、000 円
3、000 円
× 962 口
× 856 口
× 44 口
942,795
2,379
0
2,379
6,531,174
小計
明細
備考
966,948
28,975
3,937,500
840
1,463,970
273,298
263,298
10,000
学士会館分館
受付 2 名
22,180
28,420
162,445
小長井先生出席のため
藤野会長出席のため
7 支部×必要経費+支払い手数料
213,045
107,118
0
16,509
90,609
古市賞 2 名
古市賞 6 名,田辺賞 6 名
14,143
学士会館分館
14,143
232,496
208,766
23,730
学士会館分館 11 月 3 日(夏季開催せず)
ホストファミリー業務,パーティ手伝い
149,792
49,921
99,871
大学院
学部・大学院
474,078
29,610
94,900
104,880
146,128
29,008
15,960
48,000
5,592
6,398,233
4
郵便局取り扱い分
自動引落し取り扱い分
同窓会専用電話契約通話料
HPニュース掲載方法改善
同窓会業務補佐
平成 19 年度繰越金
平成 20 年度繰越金
(A)
合計
2,073,056
平成 20 年度収入
(B)
6,531,174
平成 20 年度支出
(C)
6,398,233
平成 20 年度繰越金 (A)+(B)-(C)
2,205,997
東大土木同窓会 平成 20 年度奨学会会計報告
(平成 20 年 4 月 1 日~平成 21 年 3 月 31 日)
(単位:円)
収入の部
平成 19 年度繰越金
利息
平成 20 年度収入計
合計
315,584
426
316,010
小計
明細
備考
支出の部
平成 20 年度支出計
合計
小計
明細
備考
0
平成 20 年度繰越金
平成 20 年度収入(A)
平成 20 年度支出(B)
平成 20 年度繰越金(A)-(B)
合計
316,010
0
316,010
東大土木同窓会 平成 20 年度西野基金会計報告
(平成 20 年 4 月 1 日~平成 21 年 3 月 31 日)
(単位:円)
収入の部
平成 19 年度繰越金
寄付
利息
平成 20 年度収入計
合計
3,932,837
200,000
4,848
4,137,685
小計
明細
備考
支出の部
西野賞
西野メダル代
賞状代・雑費
平成 20 年度支出計
合計
1,521,000
小計
明細
備考
平成 20 年度繰越金
平成 20 年度収入(A)
合計
4,137,685
平成 20 年度支出(B)
1,521,000
平成 20 年度繰越金(A)-(B)
2,616,685
1,500,000
21,000
1,521,000
5
メダル作成代
東大土木同窓会平成 21 年度予算(承認)
(平成 21 年 4 月 1 日~平成 22 年 3 月 31 日)
一般会計収入
前年度繰越金
会費・名簿収入
広告掲載料
懇親会余剰金
利息
(単位:円)
収入合計
平成 20 年度予算
2,073,056
5,600,000
1,000,000
0
11,346
8,684,402
平成 20 年度決算
2,073,056
5,586,000
942,795
0
2,379
8,604,230
平成 21 年度予算
2,205,997
5,600,000
1,000,000
0
2,379
8,808,376
一般会計支出
業務委託費
評議員会開催費
支部活動費
古市・田辺賞費
同窓会実行委員会開催費
ホストファミリーパーティ―開催費
謝恩会援助費
事務局謝金・雑費
支出合計
4,900,000
270,000
200,000
120,000
60,000
400,000
150,000
500,000
6,600,000
4,934,263
273,298
213,045
107,118
14,143
232,496
149,792
474,078
6,398,233
5,000,000
270,000
200,000
100,000
60,000
250,000
150,000
500,000
6,530,000
収入合計
支出合計
315,584
499
316,083
0
315,584
426
316,010
0
316,010
426
316,436
0
収入合計
3,932,837
0
3,887
3,936,724
3,932,837
200,000
4,848
4,137,685
2,616,685
0
4,848
2,621,533
支出合計
1,500,000
1,500,000
1,521,000
1,521,000
0
0
奨学会会計収支
前年度繰越金
利息
西野基金会計収入
前年度繰越金
寄付
利息
西野基金会計支出
西野メダル
6
幹事長
池田 清宏 (昭 53)
東京大学同窓会東北支部、通称東杜会は、佐武会長以下仲良く暮らしています。
通常の活動は、
1) 年に 2 回、6 月と 12 月に例会と称して、飲み会を定期的に開催しています。最近会員数が
急減しており、飲み会も以前は 30 名程度だった参加者が 6 名程度と減少しており、主な土
木工事は東京に集まっているのかなど噂しています。この例会での歓談が東杜会の中心と
なっています。参加者は悠々自適の会員、東北電力関係、JR 関係、大学関係などが中心で
す。
2) 年に数回ゴルフコンペを行っており、東杜会から賞品をお出ししています。このコンペに
は東京在住の東杜会員の御参加も仰いでおり、貴重な行事となっております。
3) 囲碁大会を以前は年 2 回開催し、腕を磨いていましたが、近年は定例より、会員間の個人
的な活動へと移っています。自称 6 段クラスが数名いますが、アマチュアの自称 6 段とい
うことで、実力のほどはご想像にお任せします。
以上、人数は減らしていますが、意気盛んに同窓会活動を展開しておりますことをご報告致
します。
社会基盤学科・社会基盤学専攻
社会基盤学専攻長
小澤
一雅(昭 59)
昨年度より学科長・専攻長を務めております。教室の近況を報告させていただきます。
(1)教室の運営に長年ご尽力いただきました周郷啓一技術専門員が平成 21 年 3 月に定年退職
されました。この 1 年間も若手の教員、特に GCOE 関係の特任教員を中心に活発な人事が進めら
れました。
これらにつきましては別掲の「人事異動」の項をご参照ください。
平成 21 年 7 月現在、
常勤の教職員 37 名、非常勤職員 27 名のスタッフで、教室および研究室の運営を行っておりま
す。
(2)土木工学科の名称を社会基盤学科へと改称し、教養学部からの進学振り分け部門を「設
計・技術戦略」
(定員 20 名)、「政策・計画」
(20 名)、「国際プロジェクト」
(10 名)の3部門に
変更して、6 年が経過いたしました。一昨年からは、「全科類枠」という制度が設けられ、教養
学部からの進学振分け制度の自由化が図られました。平成 21 年度は、社会基盤学科へ 3 コース
合わせて 56 名(うち 7 名女子学生)が進学いたしました。今後も、学生にとって魅力ある社会
基盤学科であるよう、教育の充実を図り、その面白さを積極的に広報していきたいと考えてい
ます。
7
(3)大学院修士課程への入学状況についてですが、平成 20 年 10 月には 16 名(内、留学生 15
名)が、平成 21 年 4 月には 64 名(内、他大学・他学科 23 名)が入学しています。博士課程へ
の進学状況については、平成 20 年 10 月には、15 名(内、留学生 12 名)
、平成 21 年 4 月には、
10 名(内、他専攻等 3 名)が進学しています。工学系研究科全体においても日本人学生の博士
課程進学者が減少傾向にあり、博士課程学生に対する全学の支援制度(年間 30 万円程度)が昨年
度から運用されています。修士課程からの博士進学者だけでなく、社会人が博士課程に進学し
やすい環境を整備することも重要ではないかと考えています。
(4)同窓会員の Yu, Xiping 先生(清華大学特別教授、90 年工学博士)及び Pacheco, Benito
Morelos 先生(フィリピン大学教授、87 年工学博士)に第 2 回工学系研究科フェローが授与さ
れました。工学系研究科フェローとは、
「外国の機関を主たる拠点として活躍されている方で、
工学分野における学術上又は教育上の功績が大であり、本研究科との交流を通して本研究科の
教育又は研究に大きな功績があり、引き続き交流による支援を期待できる方に贈る称号である」
とされています。
(5)社会基盤学科における教育において、卒業論文研究は、山中湖におけるフィールド演習
とともに重要な必修科目です。また、卒論研究のプロセスを通して、各研究テーマに関する専
門知識の習得だけでなく、
「問題発見力」、
「問題解決能力」、「論理展開力」等の社会人としても
有用な多くのスキルを身につけることを期待し多くの単位を付与することとしています。そこ
で、このたび平成 20 年度の社会基盤学科卒業論文発表会に、キャリアサポータの方々(多くは
卒業生)を通して社会人の皆様を招待いたしました。2 日間の卒業論文発表会に、のべ 20 名程
度の方にご参加いただき、卒論研究を通しての教育に対する社会的・実践的・技術的な視点か
らのご意見を頂きました。社会基盤学科で扱う研究の範囲が広がり多様化していることや卒論
研究を通しての教育効果や発表技術が進歩しているとの評価をいただきました。一方で、研究
の社会的意義がわかりにくいものも見られるとのご意見も頂いています。頂いたご意見等は、
社会基盤学科のホームページで公開しているとともに、今後の卒業論文研究及びその指導に活
かしていきたいと存じます。
大学を取り巻く社会環境が変化し、社会における大学の役割も見直す必要があるものと思わ
れます。同窓生の皆様には、社会基盤学科・専攻の運営に対し、今後ともご理解とご指導ご鞭
撻のほど心からお願い申し上げます。
生産技術研究所
小長井一男(昭 50)
いささか私事から切り出して恐縮ですが、昨年は 5 月 12 日に中国四川地震、そして 6 月 14
日に岩手・宮城内陸地震などが相次ぎ、また地震の後に継続する土石流などでの地形変動をパ
キスタンで計測し復興戦略に活かすなど、大変忙しい年になりました。夜討ち朝駆けの被災地
への訪問と調査を繰り返すたびに、新たな課題が浮かび上がってくることに言い知れぬ興奮を
覚えてきた身として、それを可能にする生研の支援体制がいかに素晴らしいかを実感しており
ます。そうした活動の拠点の生研が駒場の地に移転してからほぼ 10 年が経過しようとしていま
す。設計者の原広司先生の言うところのキャンパス広場を囲むように建物群が整備され、対称
軸の中央の A 棟(北、南の両棟)が点睛を入れる形になり、そして先月生研公開の前日の生研
60 周年記念式典の一環として 60 号館改修の鍬入れ式が行われ、これをもって六本木からの移
転事業は総仕上げ段階に入ることになりました。一方でこの 10 年の経過の中で空調など館内施
8
設の中には耐用年数に達するものなどあって、生研がその活力を維持・発展させるためのプラ
ットフォームを入念に整備していく努力もまたこの素晴らしいシステムの恩恵を受けてきた生
研構成員の務めかと思っています。
さて昨年の 6 月以降の土木系教官の人事では、まず第 1 部から Johansson Jorgen 准教授が
2008 年 12 月 1 日にノルウェーの地盤工学研究所に異動。第 5 部関係では 2009 年 1 月 1 日に鼎
信次郎准教授が東京工業大学に、2008 年 8 月 1 日に吉村圭助教がカリフォルニア大学スクリッ
プス海洋研究所に異動、また林志海助教が退職(2009 年 3 月 31 日)。沖一雄講師(2009 年 3
月 16 日~)
、瀬戸心太講師(2009 年 3 月1日~)、熊谷潤助教(2009 年 4 月 1 日~)、沼田宗純
助教(2009 年 4 月 1 日~)、安台浩助教(2009 年 4 月 1 日~)が着任。また横尾善之氏(2008
年 11 月 1 日~)が「水の知」サントリー総括寄附講座の特任準教授として、都市基盤安全工学
国際研究センターには市橋康吉氏(2009 年 5 月 1 日~)が外務省から客員教授として着任され
ました。これまで培ってきた生研的な研究スタイルに新しい方々が加わって、新たな課題の模
索と挑戦を分野横断で進めていくコミュニティの文化を大事にしていく所存です。今後とも変
わらぬご支援をお願いいたします。
地 震 研 究 所
堀
宗朗(昭 59)
通常は静穏な地震研究所ですが、昨年度は人事異動がありました。地震研究所に 9 年間在籍
された小國健二准教授が、2009 年 4 月より慶応大学理工学部システムデザイン工学科に転出さ
れました。
小國准教授は、新しい実験手法・計測機器・解析手法の開発研究に携わっていましたが、大
学院教育では「センシング&シミュレーション分野」を立ち上げました。名が示すように、こ
れは研究対象よりも研究手法を重んじた分野です。慶応大学理工学部システムデザイン工学科
は、機械・電気・建築の工学分野をまとめた学科です。異種格闘技の世界ですが、東大の研究
教育業績が認められ、小國准教授は、狭い意味の土木工学系出身の最初の教員として採用され
ました。小國先生の異動の結果、現在、土木工学科卒業の都司(昭和 45 年卒)
・飯田(昭和 56
年卒)・堀(昭和 59 年卒)の3人が教員として地震研究所に所属しております。
人事異動とは別に、昨年から今年にかけてさほど大きな地震や火山噴火もなく、この意味で
は平穏な一年でした。その一方、地震と火山噴火の予知研究が一緒になり、地震研究所に地震
火山噴火予知研究推進センターが 4 月より発足しました.センター発足にはさまざまな目的と
理由がありますが、理由の一つに火山噴火の研究者の人材不足があるようです。人材不足の危
機感と危機への対応は、半分当事者、半分他人事として気になるところであり、以て他山の石
とすべし、と考えております。
新領域創成科学研究科環境学研究系
磯部 雅彦(昭 50)
土木教室で柏キャンパスのことが議論されたのは 23 年も前の 1986 年のことです。以後、工
学院、理工学院、総合環境学専攻などと構想案を修正しながら、土木教室が主体的に関わって
案を練り上げました。そして、1998 年に準備のために小規模に新領域創成科学研究科が設置さ
9
れ、1999 年には本格的に教育研究活動を開始することになって、國島教授と私(磯部)が教授
として異動することになりました。現在、吉田恒昭教授、國島正彦教授、堀田昌英准教授が国
際協力学専攻に所属し、磯部雅彦教授、黄光偉准教授、鯉渕幸生講師が社会文化環境学専攻に
所属しています。また、國島教授は専攻長、磯部は柏キャンパスと東大サステイナブルキャン
パスプロジェクト(TSCP)担当の副学長を務めています。
柏キャンパスではまだまだ整備が続いています。昨年度はどんぐり保育園が開園し、日本人
のみならず、日本語のわからない外国人の子弟も保育できる態勢を作りました。これにより、
外国人を含む研究者の男女共同参画の環境整備が進みました。インターナショナルロッジも今
年中には完成を迎えます。また、現在、世界トップレベル研究拠点プログラムに採用された数
物連携宇宙研究機構の建物建設が進んでいますが、ここでは研究者が議論しやすい建物にし、
中での公用語を英語にするという新たな試みを行うことになっています。海洋研究所の建物建
設も同時に進行中で、来春には中野から引っ越してくることになっています。さらに、生産技
術研究所の千葉実験所の機能も柏に移転することになりました。
柏地区のキャンパスは柏キャンパス、柏Ⅱキャンパス、柏の葉駅前キャンパスからなってい
ますが、今後、柏キャンパスの北側未取得地の取得・開発、柏の葉駅前キャンパスの整備など
が大きな事業になると思います。これらにより、柏キャンパスは1研究科、4研究所、3研究
センターに、1研究機構が集まる、大学院・研究組織に重心を持ったキャンパスとして、本郷、
駒場と並ぶ東京大学の3極構造の1極となってきています。
つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅周辺には千葉大学キャンパスや、国立がんセンター、
科学警察研究所、税関研修所、国土交通大学校などの教育・研究・研修機関があります。また、
約 40ha の柏の葉公園もあり、時期が来れば桜のお花見や見事なバラ園の散策を楽しむことがで
きますし、J リーグの柏レイソルのサッカーの試合も行われます。ついでの折に是非お立ち寄
り下さい。
2009 年 4 月期の就職状況と学生の就職活動支援のお願い
就職支援担当
佐藤
愼司(昭 56)
1.修了生の進路先の動向
図 1 に最近の大学院修士課程修了学生の就職状況をまとめました。2003 年から 2007 年まで
は、3 年分の平均を示しています。図を見ると、2006 年頃まで増えていた金融・商社・不動産
などへの就職が横ばいとなり、公務員や建設会社などがやや増加しているように見えます。ま
だ全員が確定しているわけではありませんが、2010 年 4 月期の就職では昨年度の金融不安など
の影響を受けてか金融分野への就職者数が減少し、この傾向がさらに強まっています。平成 20
年度(2009 年 4 月期)の主な進路先は図1のカテゴリの下から上の順に、東京大学、ウィーン
工科大学、国土交通省、経済産業省、環境省、特許庁、上尾市、横浜市、鉄道・運輸機構、国
際石油開発帝石、九州電力、東日本旅客鉄道、東海旅客鉄道、鉄道総合研究所、清水建設、鹿
島建設、大成建設、大林組、不動テトラ、日本工営、アトリエ 74 建築都市計画研究所、シャー
プ、三菱重工、三菱総合研究所、モニターグループ、NTT 東日本、Soft Bank、みずほ銀行、ゴ
ールドマンサックス証券、住友信託銀行、日本生命、日本政策投資銀行、三菱商事、野村證券、
三井物産など(企業等は順不同)でした。
10
100%
その他(不明)
金融・商社・不動産
通信・情報
コンサルタント・シンクタンク
金属・重工・メーカー
設計会社・都市計画事務所
建設会社・住宅メーカー
運輸
エネルギー
独立行政法人 (公団)
地方公務員
国家公務員
大学院博士課程
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
図1 社会基盤学専攻修士修了者の進路の変遷
2.2011 年 3 月卒業・修了予定者の就職活動支援について
社会基盤学科・専攻では、同窓生の皆様を中心にご協力をいただき、学生のキャリア形成に
貴重な情報を提供いただく「キャリアサポーター」制度を導入しています。これまでのところ、
就職活動の早期化・長期化を避けつつ濃縮された情報交換が可能であるなど、学生・サポータ
ー双方から有益な制度であるとの評価を受けております。学生のより良いキャリア形成を支援
することを目的としておりますので、趣旨にご賛同いただける方は是非ご登録くださいます様、
お願いします。なお、2011 年 4 月期の就職支援担当は、清水英範教授となる予定です。
キャリアサポーター(キャリア形成支援者)登録のお願い
・ 社会基盤学科・専攻の卒業・修了生の採用を検討する会社・機関ごとに調整のうえ、
情報提供の窓口となる方一名を登録
・ 2010 年 2 月頃に、登録者の連絡先を全学生に開示
・ 学生からの連絡を受けて、より詳細で正確な情報を提供いただく
・ 登録先:cs@civil.t.u-tokyo.ac.jp
会社・機関名、氏名、卒業・修了年度、メールアドレス、連絡先電話番号を記載
登録期限:2009 年 12 月末
・ 2011 年 4 月期就職に向けた具体的なスケジュールは、後日登録者に連絡
問い合わせ先:清水英範教授(03-5841-6126)
11
人 事 異 動
【社会基盤学専攻・社会基盤学科】
谷口健司 助教
平成 20 年 09 月 30 日 金沢大学 特任助教へ転出
福井恒明 特任准教授
平成 20 年 10 月 01 日 国土交通省国土技術政策総合研究所
主任研究官より採用
牛 小静 特任助教
平成 20 年 10 月 01 日 採用
長井宏平 特任講師
平成 20 年 11 月 01 日 当専攻 助教より採用
石倉智樹 特任講師
平成 20 年 11 月 16 日 国土交通省国土技術政策総合研究所
主任研究官より採用
Su Di
特任助教
平成 20 年 11 月 16 日 当専攻 研究員より採用
周郷啓一 技術専門員
平成 21 年 03 月 31 日 定年退職
長山智則 講師
平成 21 年 04 月 01 日 当専攻 助教より昇任
井上 亮 講師
平成 21 年 04 月 01 日 当専攻 助教より昇任
Siringoringo Dionysius 平成 21 年 04 月 01 日 当専攻 研究員より採用
Manly
特任助教
平成 21 年 04 月 01 日 採用
朴 乃仙 特任助教
平成 21 年 04 月 01 日 採用
千々和伸浩 特任助教
藤田光一 特定研究客員 平成 21 年 04 月 01 日 国土交通省国土技術政策総合研究所
環境研究官より採用
大講座教授
【生産技術研究所】
吉村 圭 助教
Johansson Jorgen 准教授
鼎 信次郎 准教授
瀬戸心太 講師
沖 一雄 講師
林 志海 助教
熊谷 潤 助教
沼田宗純 助教
安 台浩 助教
平成 20 年 08 月 01 日 カリフォルニア大学
スクリップス海洋研究所に転出
平成 20 年 12 月 01 日 ノルウェー地盤工学研究所に転出
平成 21 年 01 月 01 日 東京工業大学 准教授に転出
平成 21 年 03 月 01 日 助教より昇任
平成 21 年 03 月 16 日 大学院農学生命科学研究科より配置換え
平成 21 年 03 月 31 日 退職
平成 21 年 04 月 01 日 採用
平成 21 年 04 月 01 日 採用
平成 21 年 04 月 01 日 採用
【地震研究所】
小國健二 准教授
平成 21 年 4 月 1 日 慶応義塾大学
12
准教授に転出
南米チリでの学生実習
同窓会副会長 高橋 修(昭 41)
(日本工営株式会社会長)
1962 年 10 月、理科I類から土木工学への進学が決まった時から、私は将来、海外で水力開
発に従事したいと思っていた。母方の祖父森田一雄が、当時日本工営の社長だった久保田豊氏
(大正3年卒)と戦前朝鮮で水力開発をした話を母から聞いていたのがきっかけだったと思う。
当時、戦後の水力ブームでの佐久間水力(1956 年完成、35 万kW),田子倉水力(1960 年完成、
38 万kW)
,黒部川第4水力(1963 年完成、33.5 万kW)が終わり、新幹線と高速道路の時代
を迎えていた。将来、海外での大型水力開発で活躍するには、学生時代に自由な立場で外国生
活を経験することが重要だと考え、その機会を探していた。東南アジアは日本とあまり変わら
ないし、アメリカ、ヨーロッパは大体想像できたので、未知の南米に行きたいと思い、1963 年
から東京の語学学校でスペイン語を習っていた。土木の仲間が囲碁だ麻雀だと親睦を深めてい
る間、南米生活を夢見てせっせとスペイン語学習に精を出した。
折りしも、高橋大輔氏(昭和 39 年卒)、太田勝敏氏(昭和 40 年卒)、池田甫氏(昭和 41 年卒)
などの尽力で技術系学生を海外で実習させるIAESTEというUNESCO傘下の機関に日
本が加盟したことを知り、同期の池田氏に南米実習の可能性を打診した。コロンビア、アルゼ
ンチン、チリの3国に照会してもらったところ、チリから学生引き受けの朗報が 1964 年夏休み
の実習先、運輸省の高松港湾事務所にいた私に届いた。チリでの実習先は「ENDESA(チ
リ電力公社)」で、水力発電事業で実習させてもらえるという。この実習では滞在費は実習先で
出してくれるが、往復の交通費は自己負担であった。渡航費の手当てをどうするか、片道の航
空券でも 30 万円という大金(当時大学卒の初任給が 2~2.5 万円だったから今なら 300 万円位
か)が必要だった。思い切って奥村敏恵先生(昭和 16 年卒)に相談したところ、
「君、就職先
は決めているのかね。決めているのならその会社に事情を話して頼んでみたらどうかね。」との
アドバイスをいただいた。「実は祖父の関係があり日本工営に入社したいと思っています。」
「そうか、日本工営か。それなら吉田良三という僕と同期の部長がいるから、今すぐ頼んであ
げよう。
」私の目の前で電話をかけてくれた。早速吉田部長を訪ねて、事情を話し、片道でよい
から航空運賃を出して欲しいとお願いした。吉田部長は「当社は南米にも進出しようとしてお
り、君のような学生に来てもらうのは大歓迎だが、金額が大きいので内部で相談させて欲しい。
」
と言って、橋本敏男常務(昭和 10 年卒)に話をつないでくれた。後日、橋本常務から直接電話
をいただいた。
「久保田社長に話したら森田さんのことは良く知っているとおっしゃっていた。
卒業後日本工営に入社するという条件で、君の希望通り運賃を出してあげるよ。」奥村先生にお
礼を申し上げると同時に、建設省に内定していた就職を断るため就職担当の最上武雄先生(昭
和 9 年卒)にチリ実習の件を打ち明けると「一年卒業が遅れても、若いうちに外国で見聞を広
めた方がいいよ」とチリ実習に賛成いただくと共に励ましてくださった。卒論の指導を仰ぐこ
とが決まっていた堀川清司先生(昭和 27 年卒)と相談の上、卒業に必要な単位は全て取り、卒
論だけを残して 10 月末にチリへ向け出発することにした。堀川先生もチリに滞在されたことが
あり、私のチリ行きに関し色々とアドバイスしていただいた。水力工学を講義していただいた
13
高畑政信先生(昭和 11 年卒)にもチリでの実習の件を話したところ「私も南米には興味があり、
色々勉強したことがある」と言って、水力関係技術用語のスペイン語版の本をプレゼントして
いただいた。出発が近づいた頃、同級生(昭和 40 年卒組)も盛大な壮行会をしてくれた。
東京オリンピックが終了した 1964 年 10 月 30 日に羽田を発って、約 30 時間に及ぶ長旅の末
無事チリのサンチャゴ空港に到着した。IAESTEチリの秘書(40 歳代のおばさん)とEN
DESAの人事課長の出迎えを受け、その秘書の自宅に下宿することになった。ENDESA
から滞在費として一日8エスクード(800 円程度)を貰ったが、食事付の下宿代月 200 エスク
ードに大部分が消えてしまった。チリ大学卒業のENDESA社員の紹介のお陰で 12 月末より
チリ大学の工学部学生寮に入ることができた。寮費、食費とも極めて安く、また日本から持参
したカメラを 500 エスクードで友人に売ったりして、チリ生活を楽しむ金銭的ゆとりが生まれ
た。日本で勉強したせいか、若かったからか、周りに日本人が一人もいない環境のお陰か、学
生寮に移ったときにはスペイン語の日常会話にほとんど苦労しない程度になっていた。
チリでは大型水力開発が始まったところで、ラペル発電所(40 万kW)が完成し、エルトロ
発電所(35 万kW)の設計が最盛期に入っていた。設計はENDESAの直営で進められてい
た。エルトロ発電所の設計グループでお手伝いをしながら、既存の発電所の見学や流れ込み式
発電所のヘッドタンクの水位振動テストに参加したりした。エルトロの次の発電所マウレ(40
万kW)がすでに決まっており、準備が始められていた。1 月から夏休みの学生実習でチリ大
学土木の学生、カルロスがENDESAの私と同じ部署に配属となった。立場が同じと言うこ
ともあり、たちまち彼とは親友になった。
富士山のような美しい山があるチリ南部の旅行をしたかったが、旅行に最適な季節(2 月、3
月)を逃してしまった。1965 年 5 月に入り、一人でアルゼンチン旅行をした。サンチャゴ発ブ
エノスアイレス行きの鉄道でアンデス山脈越えをし、メンドサ経由大平原パンパスを横断する
壮大なルートだった。片道 25 時間の長い汽車の旅だったが、アンデスとパンパスの雄大な風景
に圧倒され退屈する暇もなかった。サンチャゴはアンデスの麓の盆地でありどこにいても遠景
に山が見え、日本の風景とあまり変わりなかったが、ブエノスアイレスはアマゾンに次ぐ南米
第二の大河川ラプラタ川の右岸に位置し、日本では見られない大平原と大河川に囲まれたとこ
ろだった。対岸にはウルグアイの首都モンテビデオがあるのだが川幅が広くてとても見えない。
マゼランが太平洋への航路を見つけようと随分と遡った川として有名である(最終的には南米
大陸南端のマゼラン海峡の発見に繋がる)。ブエノスアイレスのレストランで客と話をした。
「チリの経済は大変らしいね。アルゼンチンには土地、資源、食料となんでも有り余るほどあ
るのに、政府が全然駄目だから市民の生活が苦しい。
」と言って大きなビフテキを平らげていた。
アルゼンチン旅行後急に食欲がなくなり、おかしいと思っている間もなく黄疸症状が出た。
医者に診てもらうとビールス性急性肝炎だという。少なくとも一ヶ月間ベッドで静かにしてい
るようにと言われてしまった。このビールスは経口感染するので「オサム、ブエノスアイレス
で何をしてきた?変な女とヘビーキスをしたのだろう。」と仲間から冷やかされた。しばらく寮
の部屋で寝ていたが、話を聞きつけたチリ大学土木の学生でカルロスと同級生の日本人二世、
堀内裕平氏の親切な申し出で彼の家に移ることになった。発病後1ヶ月経った6月半ば医者の
診断を受けたが、結果は「もう 2 週間寝てろ」だった。
8月中には日本に帰国したいと考え、帰り途の検討をしていた。
「6 月中旬にはサンチャゴを
発ち、パンアメリカンハイウェイをバスで乗り継ぎ、ロスアンゼルスまで行こう。ロスに着け
ば、太平洋横断は船でも飛行機でも何か手段があるだろう」と考えていた。ロスには中学時代
の同級生が留学していたし、彼女と手紙のやり取りもしていた。しかし、6 月一杯肝炎の治療
に掛るとなれば、帰国手段を考え直さなければならない。親切にしてもらっていた大使館の岩
間参事官に相談すると、「北部のコピアポ港から三菱の鉱石輸送船が鉄鉱石を日本に運んでい
るから、それに乗せて貰えるよう三菱商事のチリ支店長に頼んであげよう。
」と言ってくれた。
14
三菱の支店長には「帰りの運賃も持たずに来るとは、東大の学生とは思えない無謀さだね。」と
叱られたが、「7 月 20 日にコピアポを出発予定の船があるから、それに乗せてあげよう。」と承
諾していただいた。船は予定通りコピアポ港を出発し、28 日間航海を続け、8 月 17 日無事大阪
湾の堺港に到着した。太平洋横断の船旅は伊勢船長はじめ船員の方々に親切にしてもらい、快
適で痛快だった。見渡す限り 360 度水平線の見える大海原の雄大な景色を満喫した。
私がチリ実習を実現でき無事終了できたのは、東大土木の諸先輩をはじめ多くの人々のご親
切、ご支援のお陰であった。ここに改めてご支援いただいた方々に感謝申し上げたい。チリ実
習の体験は、私の国際開発コンサルタントとしての活動の原点となり、その後の私の人生に大
きな影響を与え続けた。日本工営入社後、1972 年と 1989 年に出張の途中でチリに寄ることが
でき、チリの仲間と旧交を温めることができた。カルロスの奥さんが言った。「オサムは偉大な
旅行家ね。チリに来た多くの日本人が、
「必ずまた来るからね」と言って帰国するが実際来たた
めしがないのに、オサムは二度も来てくれた。」現役引退後もう一度チリを訪問することを計画
している。現在、堀内裕平氏とメールで連絡しあっている。
東大土木同窓会ホストファミリー活動のご報告
同窓会ホストファミリー担当
小池俊雄(昭 55)
ホストファミリープログラムの活動を紹介させていただく前に、このプログラムの創設なら
びに育成に、長期に亘って絶大なるご支援を頂きました堀博先輩(昭和 19 年ご卒業)が、本年
3月に逝去されましたことをご報告いたします。故堀先輩の、長年のご指導に心より感謝を申
し上げますとともに、衷心よりご冥福をお祈りいたします。
本学大学院の社会基盤学専攻(土木工学)では、アジア諸国を中心に、中南米、アフリカ、
欧米出身の留学生約 80 名が常時学んでいます。東大土木同窓会では平成 13 年度に「同窓会ホ
ストファミリー制度」を発足させ、会報や口コミを通して、同窓会会員の皆さまにホストファ
ミリーへのご登録を呼びかけてまいりました。大変有難いことに幅広い年齢層の会員からお申
し出があり、32 名の方々にホストとしてご協力いただいております。また、堀先輩のご努力で
30 年近くの長きにわたってご支援頂いている小石川ロータリークラブの方々も引き続き熱心
にご協力くださり、現在計 34 名の留学生がこの制度に登録し、32 名の学生がホストのご支援
を得て勉学に励んでおります。
これは欧米で見られるように、ホスト宅に留学生を滞在させていただくものではありません。
図1~図3のアンケート結果にありますように、ホストの方々には、留学生にお会い頂いたり、
メールや電話でご連絡いただいて、生活習慣や文化の違いを乗り越えるためのアドバイザーと
して、また国内外で活躍されるわが国を代表する土木技術者として、留学生と接していただく
ものです。留学生はホストやそのご家族とのお付き合いを通して、わが国の理解を深めるとと
もに、勉学に励む糧を得ます。図4にありますように、ご参加いただいている皆様には高く評
価をいただいております。なお、この中であまり評価の高くない結果は、留学生が研究に忙し
くてホストの誘いになかなかのってくれないというものでした。
新規留学生の紹介と活動中の方々に交流を深めて頂く目的で、毎年秋にホストファミリーパ
ーティを開催しており、11 月 13 日に開催した平成 20 年度のパーティには、
藤野会長をはじめ、
ホストおよびご家族の皆さん、留学生、大学スタッフ合わせた 70 名あまりの方々にお集まり頂
き、楽しいときを持たせていただきました。
また、ホストファミリーの方々のご要望にお答えする形で平成 9 年度の卒業生の赤池あゆこ
さんのご尽力を得て、昨年度のパーティ後から、2月に1回の程度のペースで、留学生とホス
15
トファミリーの方々に日英ニューズレターをお送りしております。内容は、留学生の紹介やプ
ログラムの近状、文化の差異、社基の留学生にとって興味深い日本のスポットなどを取り上げ
ており、これまで3号が配布されました。このようにメンバー相互のコミュニケーションを深
めながら、本プログラムが多くのメンバーにとって有意義なものであるように努力していきた
いと存じております。
皆様のご協力により、持続的な、草の根レベルの国際交流の輪が広がっていることが感ぜら
れます。本年度も、秋春入学あわせ 40 名近くの留学生が新たに来日いたします。できるだけ多
くの留学生に機会を与えることができることを願って、同窓会会員の皆様にホストファミリー
へのご登録をお願いする次第です。
本プログラムへのご支援に深く感謝申し上げますとともに、引き続きご協力賜りたく存じま
す。
同窓会ホストファミリー担当 小池俊雄(昭和 55 年卒)
Email: tkoike@hydra.t.u-tokyo.ac.jp
事務担当:
森田久美・松平典子
Email: hf@hydra.t.u-tokyo.ac.jp
Tel:03-5841-6106、 Fax:03-5841-6130
20
15
10
5
2 00 2年 度
2 00 3年 度
2 00 4年 度
2 00 5年 度
2 00 6年 度
2 00 7年 度
2 00 8年 度
0
月に数回 月に1回
数 ヶ月 に 1 回
図-1
なし
1回だけ
不明
お会いいただいている頻度
16
図-2
お会いいただいている場所
30
15
25
20
10
15
5
10
2002 年 度
2003 年 度
2004 年 度
2005 年 度
2006 年 度
2007 年 度
2008 年 度
0
月 に 数 回 月 に 1回
数 ヶ 月 に 1回
図-3
なし
1回 だ け
200 2年 度
2 003年 度
200 4年 度
2 005年 度
2 006年 度
20 07年 度
2 008年 度
5
0
良い
不明
ご連絡いただいている頻度
図-4
17
まあまあ
困 って いる
プログラムの印象
平成 21 年度
東大土木同窓会懇親会のお知らせ
会 長
副会長
副会長
藤 野
高 橋
小長井
陽
修
一
三
男
晩夏の候、会員各位におかれましては、益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、恒例となりました東大土木同窓会懇親会を、昨年に引き続き山上会館にて下記の予定
で開催いたします。皆様には、お忙しいこととは存じますが、お誘い合わせの上ふるってご参
集下さいますよう、ご案内申し上げます。
記
日
時
平成21年10月8日(木)開 場
18:30 ~
懇親会 19:00 ~ 20:30(予定)
場 所
東京大学山上会館 地階食堂
〒113-8654 東京都文京区本郷 7-3-1
会 費
平成 6 年以前卒
7,000 円
平成 7 年以降卒
4,000 円
大学院生・留学生
2,000 円
同伴者
1,000 円
その他
出欠の返事につきましては、9 月 17 日(木)までに同封の葉書にて
お送り戴きますようお願い申し上げます。
※ 懇親会に先立ちまして、土木教室見学ツアーをご用意しております。参加される方
は当日 17:30 に工学部 1 号館 15 号教室に集合ください。1 時間程度の見学を予定し
ています。
※ 車でのご来場は極力ご遠慮ください。入構・駐車が必要となる場合は別途事務局ま
でお尋ねください。
【事務局:電話・FAX:03-5800-6916、E メール:dosokai@civil.t.u-tokyo.ac.jp】
東京大学 本郷キャンパス
東大構内バス停
弥生門
(上野駅行き、御茶ノ水駅行き)
営団千代田線
根津駅
龍岡門
工学部 1 号館
営団南北線
東大前駅
営団丸の内線
正門
18
赤門
本郷三丁目駅
お車でのルート
※ 車両は龍岡門および弥生門から入構可
(お車で来場される方は事前にご連絡下さい。)
Annual Meeting
Alumni Association of the Department of Civil Engineering
the University of Tokyo
Thursday, October 8th, 2009
Dear Sir/Madam,
The alumni association of the Department of Civil Engineering at the University of Tokyo will be
holding its annual meeting on October 8th. We hope you will share this time with members of
the association.
Date & Time
: Thursday, October 8th, 2009, 19:00-20:30
(registration desk will open at 18:30)
Place
: Sanjo Kaikan at the University of Tokyo
(7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo)
Fee
: graduate before 1994
7,000 yen
graduate after 1995
4,000 yen
graduate students & foreign students
2,000 yen
accompanying person
1,000 yen
Please return the enclosed postcard to confirm your participation by Sep. 17, 2009.
※
Prior to the party, a department tour is scheduled. If you wish to join the
tour, please come to Room 15 of Engineering Building No. 1 at 17:30.
A one-hour tour is scheduled.
※ Please use public transportation services to access the venue. If the use
of private cars is needed, please inform the secretariat in advance.
【Secretariat:Ph・FAX:03-5800-6916、Email:dosokai@civil.t.u-tokyo.ac.jp】
University of Tokyo, Hongo campus
Todai-kounai Bus Stop
Yayoi-mon Gate
(for Ueno, Ochanomizu )
Nezu stn.
(Chiyoda-line)
Tatsuoka-mon Gate
Todai-mae stn.
(Nanboku-Line)
Sei-mon Gate
(main gate)
Sanjo-Kaikan
19
Aka-mon
Gate
Hongo-sanchome stn.
(Marunouchi-Line)
Directions by Car
※Please inform the secretariat in advance if you come by car.
同窓会事務局から
・
同窓会費口座自動振替ご登録の方には、お届けいただきました金融機関より9月24日に自動引
き落しをさせて頂きますので、よろしくお願い申し上げます。
・
郵便局から年会費3,000 円をご納入されます方には、同封いたしました振替用紙にてお納め下さ
いますよう、お願い申し上げます。なお、来年度から「口座自動振替」をご希望の場合には、振込
用紙の通信欄に「来年度から口座自動振替を希望」とご記入いただければ、もしくは、随時事務
局までご一報頂ければ、自動振替利用申込書をお送りいたします。
・
本年度の会費をお納めいただきました方に、「東大土木同窓会・会員名簿2009-2010」を11月下
旬を目途にお送りいたします。
・
同封の会員名簿調査カードの内容に変更のある場合には、朱字でご訂正の上、9月17日までに
事務局に届くようご返送ください。それ以降のお届は、会員名簿作成に間に合わない場合がござ
います。なお、昨年度名簿にて住所等が誤記されている会員につきまして、お心当たりの方があ
りましたら、事務局までご一報頂ければ幸いです。住所変更等のご連絡は、随時、FAX、メールで
も同窓会事務局にて受け付けております。
・
「東大土木同窓会・会員名簿2009-2010」に掲載する広告を募集しております。例年の広告主様
には事務局より今年度も引き続き広告掲載をいただきたく、ご案内かたがたお願いを申し上げる
予定ですが、新たに広告掲載をしていただける場合がありましたら、事務局までご連絡をいただ
きますれば幸いでございます。
・
同窓会にはホームページ(http://www.civil.t.u-tokyo.ac.jp/alumni/)があります。是非、ご活用
ください。
平成 21 年 8 月 1 日発行
発行責任者
発
行
東大土木同窓会事務局 長山智則
東大土木同窓会
〒113-8656
東京都文京区本郷 7 丁目 3 番 1 号
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