環境報告書 - 関西エアポート株式会社

環境報告書
2015
トップメッセージ
............... P2
安全・安心を
大前提とした
世界最高水準の
環境先進空港を実現します
Contents
新関西国際空港株式会社
代表取締役社長
安藤 圭一
会社概要 ...................... P3
3 つの基本理念と5 つの基本方針 ...... P4
環境報告
地域環境 ............ P7
地
地
地球環境 ............ P122
資
資源循環
.................................. P17
生
生物多様性 ................................... P19
共
共 生 .............................. P21
環境推進体制 ..................... P5
グル
グループ会社の取り組み ......................... P23
環境パフォーマンス ...... P6
各空港の環境報告書のご案内 .............. P25
環境報告書
2015
世 界 最 高 水 準 の 環 境 先 進 空 港をめ ざして
編集方針
本レポートは、新関西国際空港株式会社が管理する
「関西
データについては、
「K
I
Xスマート愛ランド推進レポート」、
「I
TM
国際空港(以下、
K
I
X)」、
「大阪国際空港(以下、
I
TM)」の環境
エコエアポート推進レポート」
をご覧ください。
保全活動の中でも重要な取り組み、特長ある取り組みに絞って、
■ 報告対象範囲:新関西国際空港株式会社の活動を中心に、一部
ステークホルダーの皆様にわかりやすく伝えることを目的に
発行しています。
なお、両空港の環境保全に向けた取り組みの全貌や詳細な
グループ会社や空港内事業者の方々の活動も含めています。
■ 報告対象期間:2014 年 度(2014 年 4 月∼2015 年 3 月)の
活動を中心に、一部対象期間前後の活動も報告しています。
環境報告書 2015
1
Top Message
トップ
メッセージ
安全・安心を大前提とした世界最高水準の環境先進空港を実現します
環境理念
グリーン
イノベーション
(創エネ、蓄エネ)
環境先進空港
エコ
リレーション
エコ
オペレーション
(人と地域との共生)
(見える化、省エネ)
日本で初めてとなる複数の空港を一体的に経営する新しい形
1期国際貨物上屋の屋根でメガソーラーが運用を開始しました。
の空港ビジネスモデルとして、
新関西国際空港株式会社は安全・
これにより、関西国際空港島内で使用する総電力量の約9%を
安心を最優先に新関西国際空港グループと事業者が一丸と
クリーンエネルギーで賄うことになります。2012 年には水素グ
なって関西国際空港
(KIX)
と大阪国際空港
(ITM)
の運営に取り
リッドプロジェクトを始動し、2015 年 2 月にアジアの空港では
組んでいます。おかげをもちまして、両空港の運営は順調に進
初めてとなる
「燃料電池フォークリフトの実用化と最適水素イン
められています。両空港をご利用いただいている皆様、ご理解
フラの開発実証事業」
を医薬品専用共同定温庫
(KIX-Medica)
とご愛顧を賜ります地域の皆様、そして長年にわたり絶大なる
で開始しました。大阪国際空港においては、日本の空港では初
ご尽力、ご協力をいただいている多くの関係者の皆様に心から
めてとなる滑走路周辺の刈草の肥料化、飼料化に成功し、近隣
御礼申し上げます。
の皆様にご利用いただいています。
アジアのリーディングエアポートをめざし、重点プロジェクト
安全・安心を大前提とした世界最高水準の環境先進空港を実現
の一つに
「環境推進」
を掲げ、事業者の皆様と連携しながら新関
するため、今後も関西国際空港と大阪国際空港は、人と地球に
空モデルの実現に向け取り組んでいます。近年ではアジアを中
やさしい
「スマート」
な空港を創出し、世界のリーディングエア
心とする訪日外国人旅客の増加は著しく、これからの航空需要
ポートとなるよう、新たな環境の取り組みに挑戦し続けます。
の伸びは高まることが予測されます。あわせて就航便数の増加、
2015年11月
プロペラ機枠の低騒音機枠化など空港を取り巻く環境ニーズは
環境方針
多様化してまいります。
新関西国際空港株式会社
代表取締役社長
2013 年に制定しましたスマート愛ランド推進計画では、
「公害
地域環境
のない、地域と共存共栄する空港づくり」
を原点に据え、さらな
共生
地球環境
スマート愛ランド
推進計画
る環境の進化をめざしたグリーンイノベーションを環境理念に
取り込み、空港活動に伴う様々な環境施策に取り組んでいます。
空港の事業活動が活性化することで空港周辺環境における影
響軽減対策の重要性はさらに高まり、空港を取り巻く社会的責
任はますます大きくなってきます。5 つの基本方針のもと、騒音
生物多様性
資源循環
対策や廃棄物削減といった環境保全はもちろん、
「地域共生」
「生
物多様性」
に取り組むほか、太陽光や水素エネルギーなどのク
リーンエネルギーの利用、省エネによる温室効果ガス排出の低
減に努めています。
2014 年 2 月より運用開始した KIXメガソーラーに引き続き
環境報告書 2015
2
新関西国際空港株式会社の概要
新
会社概要
発着回数
23.1
14.5 万回
大阪国際空港 13.9 万回
関西国際空港
万回
23.1
27.2
25.6
28.4
フランクフルト
ケルン
アムステルダム
Europe
ウルムチ
2012
2013
2014
Middle East
航空旅客数
3,467
2,812
2,005 万名
大阪国際空港 1,462 万名
関西国際空港
万名
2,837 2,677
2,995
3,222
重慶
銀川
蘭州
成都
デリー
ドーハ
2011
日本最大のLCC乗り入れ便数
ハルビン
バクー
ドバイ
2010
339 便/週
アンカレッジ
イスタンブール
2009
便/週
2015年冬期
スケジュール
ヘルシンキ
ロンドン
パリ
ミラノ
うち、LCC
1,215.5
24カ国・地域
就航 89 都市
国際線ネットワーク
28.4
24.0
就航便数
世界
貴陽
昆明
ハノイ
ムンバイ バンコク
Asia
旅客・貨物便就航都市
貨物便のみの都市
ダラス
クラーク
マニラ
セブ
シドニー
メルボルン
延吉
済南 長春
瀋陽
天津
大連 大邱
石家荘
西安
煙台
青島
塩城ソウル
州 南京
上海 釜山
武漢 無錫
桂林
杭州
長沙
南昌
寧波
広州
温州
香港 深圳
福州
南寧
泉州
厦門
台南
三亜 海口 マカオ
北京
ヌーメア
ケアンズ
Oceania
3,467
America
ホノルル
グアム
インディアナポリス
ニューヨーク
アトランタ
ロサンゼルス
台北
高雄
ペナン
クアラルンプール
シンガポール
ジャカルタ
ホーチミン
デンパサール
シカゴ
オークランド
メンフィス
サンフランシスコ
オークランド
国内線ネットワーク
就航便数
2009
2010
2011
2012
2013
2014
就航 27 都市
貨物取扱量
87.4
87.6
257
国内
74.1 万トン
大阪国際空港 13.3 万トン
関西国際空港
万トン
82.5
76.2
80.7
80.4
72 便/日
大阪国際空港 185 便/日
関西国際空港
便/日
札幌
函館
青森
三沢
花巻
秋田
2015年冬期
スケジュール
山形
仙台
福島
新潟
87.4
隠岐
KIX、ITM両便発着
但馬
東京
(成田)
東京
(羽田)
出雲
ITM便発着
KIX便発着
旅客便
貨物便
2009
2010
2011
2012
2013
福岡
大分
長崎 熊本
松山
高知
奄美大島
宮崎
那覇
鹿児島
2014
屋久島
石垣
環境報告書 2015
3
「エコ」
から進化する
「スマート」
な空港へ
3 つの基本理念と
5 つの基本方針
3つの基本理念と5つの基本方針を軸に、人と地球にやさしい「スマート」な環境先進空港をめざします
空港および周辺においてこれまで積み上げてきた
「エコ」
な空港から、地域や生物と共生しながらクリーンエネルギーを創造し有効活用する
「スマート」
な環境先進空港へと進化するために―
関西国際空港(KIX)
と大阪国際空港(ITM)
は共通の理念と方針を掲げた
「スマート愛ランド推進計画」
を策定し、先進的な環境施策に取り組んでいます。
3つの基本理念
5つの基本方針
K
I
Xでは2001年から、
ITMでは2006年から、それぞれの環境計画を策定し
地域と共生した空港
推進してきました。
2012年7月に2つの空港が統合され、
空港活動への理解を深めていた
新たな環境理念を掲げた環境先進空港の取り組みをスタートしました。
だくため、地域の人々や利用者と
快適な地域環境を守る空港
航空機騒音に関わる環境基準を遵守
し、一層の低減に努めます。大気・
水質についても、法令以上に厳しい
自主管理基準を設け、環境保全に努
めます。
地球環境への
負担の少ない空港
関係事業者と協力して、事業活動
対話し、環境活動を情報発信して、
に伴う温室効果ガスを削減してい
空港活動の理解を深めていただく
きます。さらにクリーンエネルギー
よう多様な機会を提供します。
の導入を促進します。
創エネ、蓄エネ
地域環境
太陽光や水素などのクリーンエネ
ルギーによる創エネ、蓄エネなど、
新技術を積極的に取り入れ、空港
モデルのスマートコミュニティーを
構築していきます。
グリーン
イノベーション
詳細はP7へ
共 生
地球環境
人と地域との共生
詳細はP12へ
詳細はP21へ
地域に愛され、親しまれる空港
の実現のため、周辺地域との
スマート愛ランド
ス
推進計画
対話を密にするとともに、今後
エコエアポート
推進計画
も騒音の低減、CO 2排出量の
エコ
オペレーション
エコ
リレーション
削 減 、水 質 保 全 等 、さらなる
環境負荷の低減に努めます。
また、緑地や内水面を活用した
生物多様 性
資源循環
詳細はP19へ
詳細はP20へ
詳細はP18へ
詳細はP17へ
憩いの場所の提供に努めます。
交通機関
エネルギー
会社
見える化、省エネ
利用者の快適性や利便性を損
生物多様性に配慮した空港
資源循環型の空港
資源循環型の空
空港
なうことなく、空港全体のエネ
空港周辺の自然を保護するととも
廃棄物の減量化とともに、発生した
ルギー効率を高め、エネルギー
使用量の削減に向けた取り組
みを推進します。
貨物
事業者
に多様な生物が生息できるよう、
廃棄物の有効利用を促進します。
空港内および周辺の緑地を拡大し、
さらに上水使用の抑制や水循環シ
良好な空間整備を進めます。
ステムの確保など水資源の有効利
テナント
用に努めます。
航空会社
官公庁
NKIAC
グループ
環境報告書 2015
4
環境推進体制
NKIAC 環境推進委員会
委 員 長:社長
副委員長:副社長
委 員:取締役
スマート愛ランド推進計画
スマート愛ランド 推進協議会
会 長:NKIAC常務取締役
副 会 長:NKIAC取締役
会 員:空港島内事業者等
事 務 局:NKIACコーポレートコミュニケーション部
省エネルギー委員会
責 任 者:NKIAC取締役
事 務 局:NKIAC技術・施設部
計画の概要
名 称
情報
共有
エコエアポート推進計画
大阪国際空港 エコエアポート協議会
第3次環境推進計画
(スマート愛ランド推進計画)
計画期間 2013∼2017年度
(5年間)
※2001∼2012年度:第1・2次
環境管理計画
(エコ愛ランド計画)
推進体制「スマート愛ランド推進協議会」
(2008年設置)
※2013年度に名称変更
委員長:NKIAC取締役
委 員:CAB、JAL、ANA、OAT、NKIAC
事務局:NKIAC空港施設オペレーション部、伊丹空港活性化推進ユニット
空港環境部会
部会長:NKIAC空港施設オペレーション部長
委 員:空港事業者、CAB、地元自治体、官公庁
事務局:NKIAC空港施設オペレーション部、伊丹空港活性化推進ユニット
ワーキンググループ
会 長:NKIAC施設企画GL
委 員:空港事業者、CAB
事務局:NKIAC空港施設オペレーション部、伊丹空港活性化推進ユニット
計画の概要
名 称
大阪国際空港
環境計画
計画期間 2006∼
2015年度
(10年間)
推進体制「大阪国際空港
エコエアポート
協議会」
(2004年設置)
K
I
Xでは空港島内事業者などと
「スマート愛ランド推進協議
図ります。また、地域自治体の指導・助言を得て環境監視計画
に取り組んでいます。
会」
を、
ITMでは
「大阪国際空港エコエアポート協議会」
を設置
を策定し、定期的に調査を実施しています。
両計画とも環境負荷の少ない空港をめざし、
「 騒音対策」
や
しています。
K
I
Xでは、2001年から2012年までの第1次・2次環境管理
「廃棄物削減」
などの環境保全はもちろん、
「資源循環」
「地域と
両協議会では環境目標を定め、関係者が一体となって環境
計画
(エコ愛ランド計画)
の実績に基づき、2013年から第3次
の共生」
「 生物多様性」
に取り組むほか、アジアのリーディング
活動に取り組みます。空港管理者である新関西国際空港株式
環境推進計画
(スマート愛ランド推進計画)
に取り組んでいま
エアポートとなるべく
「太陽光」
「 風力」
「 水素燃料」
等でエネル
会社
(NK
IAC)
の
「環境推進委員会」
において計画の推進、管理
す。またITMでは、国が進める
「エコエアポート」の考え方に
ギーを生み出す
「創エネ」
にI
T技術を融合させ、空港全体のエネ
を行うとともに、委員会・両協議会の間で緊密な情報共有を
則って、2006年から10年間にわたる大阪国際空港環境計画
ルギー効率を高める
「省エネ」
に努めています。
環境報告書 2015
5
環 境 パフォーマンス
TM
K
I
XとI
TMではそれぞれ独自の環境計画を策定し、
環境負荷
K
I
Xでは、騒音・大気質・水質などの項目すべてにおいて環境
ITMでは、環境計画で定めた環境目標の達成に向けて順調
低減に取り組んでいます。航空機騒音などを監視し、大気質や水
基準値を達成しました。また空港全体の温室効果ガス排出量
に推移しています。
質、
廃棄物などの地域への環境影響を把握しています。測定結果は
は、基準年の2006年に対して、発着回数が23.6%増加して
関係行政機関へ報告し、当社ウェブサイトなどでも公開しています。
いるにもかかわらず、10%以上削減されています。
温室効果ガスの排出
水資源
中水量.................. 47.7 万m3
中水の有効利用など
リサイクル率:58.8%
大気
関西国際空港におけるCO2排出量................ 48.5 万トン-CO2
1 航空機からのCO2排出量........................... 35.1 万トン-CO(
2 72.4%)
2 NKIAC管理空港施設からのCO2排出量................... 8.0 万トン-CO(
2 16.5%)
3 事業者空港施設からのCO2排出量................ 5.4 万トン-CO(
2 11.1%)
目標:CO2排出量を可能な限り抑制
2014年度 ....... 2.9万トン
(2006年度 2.7万トン)
産業廃棄物
目標:リサイクル率32%以上
2014年度リサイクル率 .......
30.2%
(2006年度 28%)
総排出量.......
最終処分量...
浄化センター 2
クリーンセンター2
事業者車両 3
自然環境の創出
藻場面積..........
管制塔 3
608トン
424トン
55ha
エアロプラザ 23
旅客ターミナル
23
水質・排水
排水処理量...........81.1 万m3
排水放流量...........31.1 万m3
NKIAC車両 2
COD........................ 9.0 mg/ℓ
........... 5.6 mg/ℓ
T-N(全窒素)
............. 0.1 mg/ℓ
T-P(全リン)
NKIACビル 2
上水使用量
航空機 騒音
航空機 1
環境基準達成率.... 100%
(Lden49dB以下)
騒音監視と苦情処理体制
飛行経路の遵守
大気排出物
NOx...........................
30 ppm
ダイオキシン類... 0.008 ng/Nm3
ばいじん............... 定量下限値未満
廃棄物
一般廃棄物 総排出量....... 9,294トン
目標:毎年2%削減
2014年度 ....... 33.2万m3
(2006年度 39万m3)
一般廃棄物
目標:リサイクル率30%以上
2014年度リサイクル率 .......
45.3%
(2006年度 27.1%)
総排出量.......
最終処分量...
3,665トン
2,006トン
最終処分量......... 965トン
分別排出の徹底、再資源化など
リサイクル率:11.5%
注)
環境データは各空港の管理項目に基づいて掲載しています。また、各空港における対象施設は異なります。
環境報告書 2015
6
地域環境
航空機騒音
大阪国際空港の騒音対策
策を推進しています。
しては、防音壁・防音堤の設置などのほか、騒
発生源対策としては、運航方法の改善をは
音の著しい区域からの移転補償や移転補償
ITMでは、航空機騒音を低減するため、発
じめ、発着規制、低騒音機材の導入促進など
跡地を活用した緑地帯の整備にも取り組んで
生源対策とともに、空港構造の改良と周辺対
を実施しています。また空港構造・周辺対策と
います。
エンジン
テスト場
発生源対策
航空機騒音対策
空港構造・周辺対策
第3種区域 Lden 76以上
(WECPNL 95)
発着回数および運用時間の制限、
低騒音機材の導入促進、
騒音軽減運航方式の実施
第2種区域 Lden 73以上
(WECPNL 90)
第1種区域 Lden 62以上
(WECPNL 75)
Lden 57以上
(WECPNL 70)
防音壁
移転補償事業
エアフロントオアシス 下河原
周辺緑地
整備事業
伊丹スカイパーク
防音林
住宅の防音工事に
対する助成
巡回健康
診断
バイパス
誘導路
施設の防音工事に
対する助成
注)航空機騒音の評価指標
(Lden /時間帯補正等価騒音レベル)
について主要各国で採用されている航空機騒音の評価方式で、
従来の
「W値(WECPNL)」
と比較し、
「測定技術の向上に伴い、より正確な評価が可能」
「地上騒音を含めた航空機騒音の総合
評価が可能」
という点が改善されています。
(2013 年 4 月1 日以降の評価は、
「WECPNL」
から
「Lden」
に変更。)
環境報告書 2015
7
地域環境
航空機騒音
昇方式」
を、着陸時には
「ディレイド・フラップ進
ため、空港周辺地域での飛行経路を限定して
5m)
になるまでは、安全上支障のない範囲で、
入方式」
や
「低フラップ角着陸方式」
での離着陸
います。
北側へ離陸、南側から着陸する運用を実施して
騒音軽減運航方式を実施しています
を採用しています。また、夜間にB滑走路へ着陸
また、通常、航空機は向かい風の状態で離着
います。
飛行経路下の地域への航空機騒音を軽減す
するジェット機については、減速するためのリ
陸することが望ましいですが、
ITMでは航空機
それらに加えて、使用滑走路や優先飛行経
るため、ITMでは下図に示したような騒音軽減
バース・スラストの使用を抑制しています。さら
の騒音が地上に与える影響範囲を少なくする
路内での飛行方式の最適化を行っています。
運航方式を採用しています。離陸時には
「急上
に、航空機騒音の影響範囲を最小限にとどめる
ため、追い風となる南寄りの風が10ノット
(毎秒
発生源対策
騒音軽減のための飛行方式の設定
IT E
② 着 陸:ディレイド・フラップ進入
方式と低フラップ角着陸方式
中国縦貫自動車道
飛行経路下の地域への航空機騒音を軽減させるため、
着陸時は、ディレイド・フラップ進入方式および低フラッ
プ角着陸方式という航空機の空気抵抗とエンジンの
① 離 陸:急上昇方式
必要推力を抑制し、空気抵抗による風切音やエンジン
飛行経路下の地域への航空機騒
常の離陸と比べて高い高度まで急
瑞ヶ池
14R
猪名川
武庫川
上昇を続けるようにしています。
騒音の減少を図る飛行方式を設定しています。
14L
音を軽減させるため、離陸時は通
昆陽池
2.2DME
ITE
③ 飛 行 経 路:
優先飛行経路の設定
32R
32L
B滑走路 3,000m
32R
ISK
32L
にとどめるため、空港周辺地域上
阪神高速道
空の出発経路を限定しています。
路
山陽新幹線
A滑走路 1,828m
大阪国際
空港
航空機騒音の影響範囲を最小限
④ 夜 間:リバ ース・
スラスト使用の抑制
夜間における滑走路近隣地域へ
の航空機騒音を軽減させるため、
3.6DME
ISK
2.8DME
ISK
19 時から21 時まで B 滑走路へ
着陸するジェット機は、安全運航
に支障のない範囲でリバース・ス
名神高速道路
ラストの使用を抑制しています。
注)上図中の矢印は、飛行コースの概念を示すものであり、飛行範囲を特定するものではありません。
環境報告書 2015
8
航空機騒音
地域環境
低騒音機材への代替促進のために
着陸料を改定しています
発着回数および運用時間を
制限しています
GPU の利用を促進し、
APU の使用を抑制しています
例えば、B777の場合、APUでは20m離れた
低騒音機材への代替をするため、ITMでは
空港周辺に及ぼす騒音などの影響を勘案し
駐機時に航空機のAPU
(Auxiliary Power
GPUでは1m離れると騒音はほとんど聞こえま
航空会社が支払う着陸料を騒音値が低い航空
て、当面の総発着回数は370回に制限していま
Unit:補助動力装置)
から発生する騒音の影響を
せん。ITMでは固定式GPUを駐機エリアに設
機は割引、高い航空機は割増する独自の着陸
すが、2015年夏ダイヤからはプロペラ機枠が
低減するため、GPU
(Ground Power Unit:地
置することで、GPUの利用を促進しています。
料金制度を導入しました。空港周辺における機
低騒音機枠に転換され、ジェット機200回と低
上固定自動動力設備)
の利用を促進して、APU
種ごとの実測の騒音値に応じた一定の係数を
騒音機170回の構成となり、利便性が向上され
の使用を抑制しています。
国管理空港時代の計算方式で算出した料金に
ました。この活用においては、より低騒音の機
APUとは機体後部にある小型ガスタービン式
乗じたものに改定しています。
材が導入されるよう、航空会社へ働きかけを
の補助動力装置のことで、
メインエンジンを作動
この料金改定を2013年夏ダイヤから実施し
行っています。
しなくても、APUを航空機燃料により動かして、
た結果、低騒音機材の導入が進んでいます。
また、運用時間は、7∼21時の14時間であ
電気や冷暖房を賄うことができます。しかし、多
り、21時までの運航となるよう航空会社とも
量の排気ガスや騒音が発生するとともに、燃料
協力しながら定時運航に努めています。
の消費量が多いという問題点がありました。
地点でも92dBの騒音が届いていたのに対し、
一方、GPUは空港施設から航空機へ電気や
冷暖房を供給する固定式装置で、排気ガスや
騒音を大幅に低減することができます。
低騒音機枠への移行
GPU の概略
低騒音機枠
50 回
低騒音機枠
100 回
低騒音機枠
170 回
GPU
(電力)
ジェット機枠
200 回
プロペラ機枠
170 回
従前
ジェット機枠
プロペラ機枠
200 回
120 回
ジェット機枠
200 回
プロペラ機枠
70 回
2013 年夏ダイヤ∼
2014 年夏ダイヤ∼
GPU
(空調)
APU
ジェット機枠
200 回
2015 年夏ダイヤ∼
埋設ケーブル
(電力)
注)上記のいずれの段階においても、騒音コンターが現行区域コンターを下回ることを確認するためモニタリングを実施します。
ピット
(電力)
ピット
(冷暖房)
埋設ダクト
(冷暖房)
環境報告書 2015
9
地域環境
航空機騒音
空港構造・空港周辺対策
ようになってきました。空港周辺の第3種区域に
エア・フロント・オアシス下河原が整備され、
これに
バイパス誘導路
ついては、新たに航空機の騒音による障害が発
接して伊丹市が下河原緑地を整備しています。
航空機から発生する排ガスや騒音が空港周辺
移転補償事業等を実施しています
生することを防止し、周辺の生活環境を改善す
ITMでは、空港周辺地域の騒音軽減と生活
るため、移転補償によって取得した土地に造成・
環境改善を目的として、以下に示したような空
地域に与える影響を軽減するため、離陸のために
B滑走路へ進入する際の誘導路を増設しました。
植栽工事を実施し、空港とその周辺地域の緩衝
そのほかにもさまざまな取り組みを
しています
港周辺対策を実施しています。
地帯となるよう緑地帯を整備しています。また、
防音壁・防音堤・防音林
住宅・施設の防音工事等に対する助成
特に航空機騒音の著しい区域
(第3種区域お
地域コミュニティとしてのまとまりが失われる恐
航空機から発生する騒音の影響を軽減する
国が指定した騒音区域に所在する住宅や、
よび第2種区域)
を対象に移転補償を行い、区域
れが出てきたことから、計画的、一体的な緑地整
ため、空港周囲に防音壁、防音堤、防音林を設
航空機の騒音が規定の強度・頻度を超える場合、
指定の際に存在した建物や土地などについて、
備をするため、第2・第3種区域とその隣接区域を
置しています。
学校および共同利用施設等に対し、防音工事、
所有者の移転申請に基づき、建物等の補償や土
都市計画法上の緑地として、兵庫県側には伊丹
地の買い入れをしています。さらに、第1種区域
スカイパーク、大阪府側にはふれあい緑地
(利用
エンジンテスト場
とその周辺区域においても、住宅や学校および
緑地)
などが整備されています。
航空機のエンジンテスト時に発生する騒音の
巡回健康診断
共同利用施設等の防音工事などを行っています。
また、緑と潤いを通じて地域の方々に空港に
影響を低減するため、大型防音壁
(エンジンテ
空港周辺地域にお住まいの住民が健康に過
この移転補償事業の進捗に伴い、点在する移
親しんでいただくとともに、地域防災に寄与する
スト場)
を設置し、実施場所や時間、方法などを
ごせるために、特に航空機騒音が著しい区域を
転補償跡地が増加し、その活用方法が問われる
ことを目的に、緑化空間に防災機能も持たせた
指定し、制限しています。
対象に巡回健康診断を実施しています。
空港周辺の指定区域
●緩衝緑地帯
Lden57=WECPNL70
概ね Lden 57以上
Lden62=WECPNL75
・防音工事→ 学校、病院、共同利用施設
・巡回健康診断
・バリアフリー工事→ 共同利用施設
・地域イベント開催時助成
・資機材購入時助成→ 学校、共同利用施設
Lden73=WECPNL90
Lden76=WECPNL95
空港周辺の第3種区域におけ
る移転補償跡地に整備。空港
からの騒音を和らげる。
第1種区域 Lden 62以上
・住宅防音工事
空調機器の更新工事などを助成しています。
●エア・フロント・オアシス
下河原 下河原緑地
●豊中市ふれあい緑地
(利用緑地)
展望デッキをメインに、風のモ
ニュメントなども設置。児童遊
園や防火水槽の用地として自
治体に貸し付けを行っている。
周辺住民の方が利用できる緑
地としてビオトープ、多目的広
場など各種施設を備えている。
●伊丹スカイパーク
滑走路に並行して広がる公園。
ローラー滑り台や迷路などの
遊具、ボーイング777の主翼と
同じ大きさの展望デッキなどが
ある遊び心あふれる施設。
・騒音の影響の少ない施設の賃貸
第2種区域 Lden 73以上
・児童公園、緑道、附属駐車場、防火水槽の整備助成、移転補償等事業
第3種区域 Lden 76以上
緩衝緑地帯等整備
空港
注)日本での航空機騒音の評価指標は、これまで WECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)
でしたが、2013 年 4 月1 日より
Lden(時間帯補正等価騒音レベル)
に変更されました。近年、騒音測定機器が技術的に進歩したことや、欧州などでは
すでにLdenを採用していることなどから、新たな評価指標 Ldenを採用することになりました。
環境報告書 2015
10
地域環境
航空機騒音
騒音測定結果
KIX での測定結果
ITM での測定結果
値が上昇することが懸念されたため、航空機騒
2014年度の測定結果は前年に引き続き、陸域
都市型空港であるI
TMは、利便性が高い反面、
音対策を実施しています。
ITMにおいては、引
KIX、ITMでは航空機の騒音を監視するた
のすべての常時測定局および定期測定地点で環
周辺に住居地域が多く、依然として環境基準を
き続き周辺地域との共生を図りながら、環境基
め、空港周辺に設置された騒音測定局におい
を満たしています。
境基準
(Lden※157dB以下)
達成できていない地域があります。また2013
準達成を目指します。
て、航空機騒音の常時測定と定期測定を行い、
年夏ダイヤから実施しているプロペラ機枠の
その結果を公表しています。また、必要に応じ
低騒音機枠化に伴い、これまで活用されていな
て短期測定も不定期に実施しています。
かった発着枠がすべて活用されることで、騒音
KIX 2014 年度 航空機騒音測定結果(常時測定局 /Lden)
ITM 2014 年度 航空機騒音測定結果(常時測定局 /Lden)
川西市
兵庫県
25
44
環境基準超過
58
宝塚市
55
(大阪市/南港)
(宝塚市/安倉中)
(淡路市/岩屋)
(池田市/神田)
(伊丹市/北野)
(川西市/久代)
環境基準以下
53
36
39
(西宮市/阪神)
(淡路市/釜口)
41
関西国際空港
42
箕面市
57
62
58
池田市
(伊丹市/緑ヶ丘)
(豊中市/原田)
伊丹市
62
豊中市
67
(貝塚市/二色)
38
(泉佐野市/りんくう)
(洲本市/中川原)
淡路島
35
49
47
(和歌山市/大川)
日高町 33
和歌山県
(和歌山県/日高町)
クイズ
Q2
関西国際空港では、環境基準をどの程度
達成できている?
A1 11か所 A2 100%
関西国際空港の航空機騒音常時測定は、
何ヵ所で24時間監視している?
尼崎市
環境基準超過
(南あわじ市/福良)
Q1
※2
(豊中市/利倉)
大阪府
(岬町/小島)
吹田市
大阪国際空港
(泉大津市/汐見)
環境基準以下
兵庫県
61
(豊中市/豊南小)
大阪市
大阪府
58
(大阪市/毛馬)
※1 Lden
(時間帯補正等価騒音レベル)
2013 年度から施行された航空機騒音に係る環境基準の評価指標で、夕方および夜間の騒音に重み付けを行い評価した1日の
等価騒音レベル。環境基準は、地域の類型ごとに基準値が定められており、専ら住居の用に供される地域は 57dB 以下、先の
地域以外の地域で通常の生活を保全する必要がある地域は 62dB 以下とされています。
※2 豊中市/利倉測定局
環境基準が 62dB 以下の地域に該当します。
環境報告書 2015
11
地球環境
環境負荷の低減
省エネルギーの推進
モーターを採用しました。4割程度の消費電力
置しました。委員会は年に1回開催され、省エネ
ます。
削減が見込まれます。
施策の検討や、
「省エネパトロール」
による室内
2014年度、KIXでは第1ターミナルビルにお
全体で CO2 排出量対前年度比
1.8% 相当の削減を実現しました
ITMでも2023年度から、誘導路灯をはじめ
照明および空調温度の点検など、空調、照明な
ける照明のLED化、衛生ポンプの電動機高効
とする航空灯火約1,550灯を、更新に合わせて
どの運用改善や改修工事に取り組んでいます。
率化、第2ターミナルビルの搭乗待合における
KIXでは第1旅客ターミナルビルの照明を
LED化する予定です。
KIXでは使用照明の完全LED化をめざし、航
ガラスの遮熱対策など、各種省エネ施策により
空灯火のみならず、既設の施設においてもLED
年間約1,577トンのCO2を抑制しました。
灯器への切り替えを順次進めています。また
2014年度は、夏・冬の電力不足による節電
LED化、給水ポンプ更新に伴う効率化をはじめ
とする施策によって、CO2排出量対前年度比で
ITMでも、ターミナルビルの立体連絡通路南側
要請に対し、バックヤード照明の一部消灯や機
給水ポンプ更新に伴う効率化については、第
省エネルギー委員会主導で
照明を中心とした省エネ施策に
取り組んでいます
やタクシープール前をはじめ、LED照明の導入
器室の空調ファン一部停止などを講じ、2010
1旅客ターミナルビルの主要となる給水ポンプ
エネルギー使用の合理化をめざし、2002年
を進めており、照度センサーや照度調節機能も
年と比べ、夏は約8.4%、冬は約11.1%の節電
8台の更新にあたり、能力の見直しや高効率
度に
「関西国際空港省エネルギー委員会」
を設
取り入れるなど、省エネルギー化を推進してい
効果となりました。
●照度センサー(自動点滅器)
●LED 照明
照度は周りの明るさに応じて調整が可能
KIX、ITMともにLED照明を順次導入
1.8%相当の削減を実現しました。
︵
エネルギー使用量
(原油換算値)
旅客ターミナルビル・エアロプラザ
その他施設
︶
kl
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
12,344 12,862 13,131
13,150 13,517 12,839 12,413 12,144
12,339 11,735 11,729 11,370
32,942 32,507 31,956 30,351 30,864 30,038 28,837 29,280
28,516 29,196 28,774 28,454
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年度)
延べ床面積当たりエネルギー使用量
(原油換算値)
︵
ITMターミナルビルの立体連絡通路南側に設置
kl/m︶2
●更新された給水ポンプとモーター
0.08
0.069 0.069 0.067
0.06
0.064 0.063
0.060 0.058 0.058
0.057 0.055
0.054 0.053
0.04
0.02
0.00
KIX第一ターミナルビル内
ITMターミナルビル内
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年度)
環境報告書 2015
12
地球環境
環境負荷の低減
完全 LED 化に向け、ターミナルビル
にダウンライト等 6,280 台の LED を
新たに導入しました
そのほかにもさまざまな省エネ施策に
取り組んでいます
CO2 排出量を制御する
GPU の利用を促進しています
前から15分前に短縮しました。
ITMでは空港を使用する各事業者に対し、節
駐機中の航空機に必要な電力、空調などの
は、全体で80.7%となっています。
KIXでは全長約1.7kmで24時間運用の第1
電への呼びかけやポスター掲示などを実施し
動力は、航空機に搭載している補助動力装置
旅客ターミナルビルには多くの照明器具が設
ています。クールビズ期間中の軽装励行、ブラ
置されており、昼光センサーによる制御、細分
インドの利用、不使用OA機器の電源OFFな
KIXでは、APUの稼働によって排出される
化した照明制御システムの導入をはじめとする
ど、多くの事業者とともに取り組んでいます。
CO 2や大気汚染物質などの削減を図るため、
さまざまな省エネルギー施策を行いCO 2 排出
また、ANAでは空港内の運搬には電動自転
駐機スポットに、電力や空調を供給できる固定
量の削減を推進しています。
車でリヤカーを牽くバイシクルトレーラーを利
動力施設
(GPU)
を整備し、空港に乗り入れてい
省エネルギー委員会ではさらなる省エネル
用しています。JALでは駐機中の航空機の日よ
る航空会社にGPUの使用を要請しています。
ギー化を推進するため、2014年度に第1旅客
けの窓を下ろすよう客室乗務員に協力しても
2010年1月から日本初の取り組みとして、
ターミナルビルのパブリックエリアで使用され
らっています。
APUを使用できる時間を出発予定時刻の30分
2014年度のGPU
(移動式を含む)
の利用率
(APU)
で供給されます。
冷暖房気の供給
電気の供給
るダウンライト等の照明器具6,280台をLED化
関西国際空港でのGPU利用による削減効果 ※
関西国際空港でのGPU
しました。5割程度の消費電力削減が見込まれ
GPUの利用による2014年度CO2削減量
ます。
4.6万トン=ス
スギの木約 330万 本分(アイコン1つにつき10万本)
引き続き、LED化を他の施設へ展開し順次更
新を進めていく予定です。
バイシクルトレーラー
(ANA)
※ GPU利用による削減効果
GPU利用によるCO2排出量と、それらがすべてAPUを利用したと仮定した場合のCO2排出量との差を削減量としています。
出典:環境省/林野庁
「地球温暖化対策のための緑の吸収源対策」
GPU利用率
外国エアライン
︵%︶
国内エアライン
100
80
88.3
77.3
78.1
93.5
87.2
40
53.4
51.9
56.2
20
9.7
10.9
10.0
2002
2003
61.1
68.8
39.4
74.6
61.6
95.2
93.8
90.1
77.1
60
0
87.5
91.0
81.8
81.2
81.9
全体
92.8
94.1
83.9
90.2
82.9
80.7
71.8
69.7
71.3
75.0
75.5
74.8
2009
2010
2011
2012
2013
2014 (年度)
47.3
24.7
2004
2005
2006
2007
2008
環境報告書 2015
13
地球環境
環境負荷の低減
エコカーの導入を促進しています
また空港内事業者の方々にも、エコカーへの
水素燃料電池バスの実証実験を
実施しています
空港には、航空機のためにGSE(Ground
転換を働きかけています。
Support Equipment:地上支援機材)
といわ
KIXの制限区域内で使用承認を受けた車両
水素は燃焼しても水しか発生しない究極の
れる特殊車両や連絡車
(乗用車)
が多数使用さ
のうち、エコカーは329台で、そのうち電気
クリーンエネルギーであり、地球温暖化対策と
れており、エコカーを導入することでCO2排出
自動車は191台を占めています。エコカー導入
量を抑制することに貢献できます。
率は、18.6%となりました。
KIXとITMでは車両更新時などに順次、エコ
なお、一般の電気自動車を普及させるために
ジン自動車を業務用車両として導入しています。
カー
(電気自動車、燃料電池車、天然ガス自動
は充機器整備が必要であるため、KIXとITMで
また、2012年10月から2014年3月まで、燃料
車、ハイブリッドカー、プラグインハイブリッド
は駐車場に電気自動車用充電スタンドを設置
電池バスをエアロプラザから第2ターミナルへ
カー、超低燃費車)の導入を促進しています。
しています。
しても期待されています。KIXでは2007年5月
に水素ステーションを設置しており、水素エン
水素ステーション
(ポートターミナル地区)
のシャトルバスとして実証試験を行いました。
2015年度中に2期空港島内に商用水素ステー
ションを設置することになり、空港に導入される
商用の水素ステーションとしては国内初となるこ
水素ステーションで注入を受ける業務用の
水素エンジン自動車
とから、注目が集まっています。今後、KIX-ITM間
EV
(電気自動車)
(上)
と
EV用充電器
(下)
のリムジンバスや、空港内で運行される燃料電池
バスへの充てんに対応できる施設となります。
また、
「 環境先進空港」
をめざし、エコカーの
ハイブリッドタクシー
(関西国際空港タクシー運営協議会)
導入を奨励しており、2015年4月に世界初市
販車の水素燃料電池自動車
(FCV)
であるトヨタ
MIRAIを導入しています。
うち エコカー車両
水素燃料電池自動車
(トヨタMIRAI)
エコカーの状況 (2015年3月現在)
関西国際空港制限区域
での使用承認車数
水素で車両を動かす仕組み
水素
水素燃料電池バス
酸素
水素エンジン自動車
H2
H H
O O
化学反応
電気
H 2O
エンジン
(燃焼)
駆動モーター
1,768 台
329 台
電気自動車
191台
水素燃料電池自動車
1台
水素エンジン自動車
1台
ハイブリッド車
13台
超低燃費車 ※
123台
水
電気
駆動モーター
※ 超低燃費車とは次の排出ガス基準と燃費基準を満たした自動車です。
1)ガソリン車
[排出ガス基準]
2005年基準75%低減
[燃費基準]
2015年基準達成以上または2010年基準25%達成以上
2)ディーゼル車
[排出ガス基準]
ポスト新長期規制達成
[燃費基準]
2015年基準達成以上
環境報告書 2015
15
地球環境
環境負荷の低減
で実証運用しています。従来のフォークリフトに
比べCO2排出量削減効果が期待されるととも
小形風力発電を導入、実証運用を
開始しました
アイドリングストップの協力を
呼びかけています
に、充てん時間が約3分、充電、電池交換もない
2012年度からKIXそらぱーくの照明に小形
KIXでは、アイドリングストップの徹底を図る
ため、作業効率が大幅に向上します。
風力発電機と太陽光パネルを電源とする街路
ため、駐車場などの公共の場に看板やポスター
本格的に始動、2015年2月には、環境省にて
灯3基を設置しました。2014年度は年間約
を設置するとともに、毎年6月の環境月間にあ
採択された
「燃料電池フォークリフトの実用化と
150kWhを発電し、省エネに貢献しました。
わせてスマート愛ランド推進協議会が、空港に
アジアの空港初の燃料電池
フォークリフト・水素インフラ実証
運用を開始しました
2014年5月に
「水素グリッドプロジェクト」
を
最適水素インフラ整備の開発・実証事業」
として、
また、2014年7月にはスマート愛ランド構想
来島した車両や旅客にアイドリングストップ
国際貨物地区においてアジアの空港では初と
発電システム「KIXメガソーラー」が
稼働を開始しました
のシンボルタワーとなる5kW級の小形風力発
キャンペーンを実施しています。
なる燃料電池フォークリフトおよび最適水素
KIX第2滑走路の南側空港用地と貨物上屋な
電機1基の運用を開始し、2014年度実績で約
また、KIXは自動車NOx・PM法による特定事
インフラの実証運用を開始しました。その第一弾
どに太陽光発電パネルを設 置した「 K I Xメガ
1,191kWhを発電しました。国内の空港では初
業者として、自動車から排出されるNOxおよび
として、医薬品専用共同定温庫
(KIX-Medica)
ソーラー」
が2014年2月から稼働を開始、関西
めてのモデルケースとなり、今後は低周波音、
PMを抑制するための「自動車使用管理計画
空港で使用する総電力量の約7%
(一般家庭約
騒音等の影響調査や発電能力の検証に取り
書」
を作成し、車両走行量削減などの取り組み
2,100世帯)
相当の約1,200万kWhの発電量
組んでいきます。さらに、2期そらぱーくに新た
状況について自主管理し、大阪府に毎年報告
を想定しています。これは空港での太陽光発電
に2基を設置する予定です。
しています。
パネル設置例としてはアジア最大級となりま
す。なお、2015年3月までの発電量は約1,617
万kWhで、これにより約8,457トンのCO2排出
量が削減されました。
また、1期貨物上屋の屋根上に約1.2MW級の
太陽光発電を2015年9月に運用開始しました。
オリックス
メガソーラー
定格出力5kWの小形風力発電
クイズ
KIXメガソーラー
空撮写真
アジアの空港で初となる実証運用が
Q1 開始されたものは?
Q2
水素燃料電池フォークリフト
スマート愛ランド構想の
シンボルタワーは?
A1 燃料電池フォークリフト A2 小形風力発電機
実証運用開始式典でのテープカット
2014年6月5日に実施
環境報告書 2015
16
循環型空港の実現
資源循環
刈草の利活用
トンにのぼります。ITMでは2009年から、全
今後も、環境先進空港としての取り組みを推
量焼却処分をしていた刈草の有効活用を目的
進していきます。
刈草を無農薬肥料として
実用化しています
とした飼料・堆肥化に取り組んできました。
ITMの滑走路周辺には約100万m 2の緑地
に農林水産省に肥料登録、日本の空港で初の
があり、2014年度に発生した刈草は約 8 0 0
実用化に成功しました。
1
敷き均し
刈草を薄く均等に
敷き詰めます
刈草を再利用した有機肥料を2012年10月
2
発酵促進剤
混合
伊丹空港2号は
「汚泥発酵肥料」
独自の配合技術により、
発酵を促進します
3
積上作業
均等に混ざったら、
ひとところに積み上げ
圧力を加えます
農
農林水産省への
登録証
(上)
と
登
完成した有機
完
肥料
(下)
肥
4
加水養成
水を加えて発酵を
待ちます
5
仕込み完了
シートで覆い、
このあと6ヵ月ほどかけて
発酵させていきます
TOPICS
刈草を利活用した肥料は、
刈刈刈
ささまざまなシーンで
さ
活用されています
活活
KIX、ITMの植物に使用
ITMそら農園で使用
さまざまな野菜を栽培
地域との連携
ITMそら農園で採れた
「そら野菜」
「豊中エラブ百合の会」
との連携
KIXそらパーク
「そら野菜」
のなすび
収穫した野菜は
空港内のレストランでも
使用しています
ITMフラワーキャンパス
そら農園での収穫
環境報告書 2015
17
循環型空港の実現
刈草を飼料に転用しています
の鹿愛護会に無償提供しています。 クは好評で、アイスに加工されています。
ITMで発生する刈草は、肥料だけでなく飼料
ITMが生産・提供するのは、農薬不使用、定
と
2014年度は、約615トンの刈草を肥料と
にも活用しています。乾燥草や発酵飼料
(サイ
期的に品質管理試験も実施している
「安全・安
飼料にリサイクルしました。
レージ)
として、大阪府、兵庫県等の牧場や奈良
心」
な飼料です。この飼料で育った乳牛のミル
1
空港内の
刈草
草を刈り取ります。
この時、水分の多いものと
少ないものは別々に保存します。
水分が多い刈草
TOPICS
水分が少ない刈草
2
3
2種類の
飼料に分別
飼料の
無償提供
水分の少ないものはそのまま飼料に。
多いものは
発酵飼料(サイレージ)
にします。
乳酸発酵によりサイレージにします
発酵期間は2ヵ月です
安全・安心な飼料を
牧場や奈良の鹿愛護会に
提供します。
牧場に飼料提供
奈良の鹿愛護会
アイスに
加工されています
加工されていま
ます
刈草を食べた
牛のミルクは
牛 ミル は
「濃厚でおいしい」
い」
と大好評
アイスは
ITM、KIXの
Xの
ターミナル内で
ル内で
販売されています
ています
刈草の利活用の取り組みが高く評価されました
9月1日、大阪府公館での
「おお
さか環境賞」
授賞式。松井大阪
府知事
(代理)
より表彰状を受領
刈草の利活用の取り組みは、周辺自治体からも高く評価され、表彰を受けています。
2014年2月には、空港内の広大な着陸帯で発生する刈草の焼却処分量を減らすことに挑戦、刈草の飼料
化・肥料化に成功したことが評価され、
「第7回とよなかエコ市民賞2013」
を受賞。9月には、
「平成26年度
おおさか環境賞」
の大賞を受賞しました。さらに10月には、
「 平成26年度リデュース・リユース・リサイクル
推進功労者等表彰会長賞」
を受賞しました。地元と連携しながらの環境先進空港としての取り組みに期待が
寄せられています。
クイズ
ITMの刈草から
Q1 できた肥料の
名前は?
Q2
2月16日、豊中市立環境交流
センターでの授賞式。淺利豊中
市長より表彰状を受領
ITMの刈草を食べた
牛のミルクから
つくられるものは?
A1 伊丹空港2号
A2 アイスクリーム
資源循環
環境報告書 2015
18
生物多様 性
自然環境や景観への配慮
藻場総面積
(2013年度3月時点)
55 ha
藻場の生育状況
海 藻 着 生 総 面 積︵ ha ︶
60
■1期空港島 ■2期空港島
50
40
空港島の護岸を利用した藻場育成
30
従来の消波ブロック
海藻
20
海藻類着生用ブロック
10
0
1988
2000
2012
(年度)
藻場の育成
これらの結果、2013年3月の調査では空港
1 期、2 期空港島周辺の
藻場育成が順調に進んでいます
類の海藻が生息していることが確認されまし
た。これは、大阪湾全体の約1割を占めてい
KIXでは空港島の護岸を活用して海藻が繁
ます。
茂する
「藻場」
づくりに取り組んでいます。
この藻場造成の取り組みは、2012年8月、
1期空港島護岸部のモニタリング結果を踏
大阪府より
「平成24年度 おおさか環境賞」
の準
まえ、2期工事島護岸部5カ所に海藻類着生用
大賞を受賞しました。また、近年、空港島周辺で
海藻が着生したブロックを
引き上げ
ブロックを3,200個設置し、その周辺に海藻類
スナメリの生息が確認されています。なだらか
スポアバック
(胞子袋)活用
の種苗を供給して藻場の早期造成に努めてき
な護岸を活用して作られた藻場にエサとなる魚
ました。また、2002年3月には1期空港島護岸
が集まり、スナメリが生息しやすい環境につな
上の生育の良好な藻礁ブロック18期を2期
がっていると考えられています。
空港島6カ所に分けて移設しました。
島周辺に約55haの藻場が形成され、55種
種苗供給のイメージ
藻礁ブロック活用
胞子を放出させるため
繁茂している海藻の成熟葉を
採集し、ネット袋に入れる
2期空港島
護岸に
再設置 核藻場からの胞子の
放出・浮遊
海藻類着生ブロック
意匠登録済
(2002年4月26日)
2期空港島
護岸に
設置
遊走子を放出・着底・生長
環境報告書 2015
19
生物多様 性
自然環境や景観への配慮
緑化運動の推進
事業者とともに2010年度から植樹をしています。
ITM での取り組み
活動で継続的に樹木や花を植栽することで景観の
2012年10月には、第2ターミナルビルに
ITMでは、旅客ターミナル地区を利用される
向上を図ることを目的としており、大阪府立園芸高
KIX での取り組み
隣 接するエリアにK I X 初の本 格 的 緑 化 公 園
方々に憩いの空間を提供するため、フラワー
等学校による設計をもとに、同校の先生・生徒や
KIXでは、植樹を通して生物多様性を考える
「KIXそらぱーく」
をオープンし、同年11月には、
キャンパス、バタフライガーデンやターミナルビ
空港スタッフの協働により緑化しています。チョウを
キャンペーンとして環境省・農林水産省・国土交通
1期島と2期島を結ぶ連絡道路沿いにオリーブ
ル内外の緑化などの整備を進めています。
はじめとする昆虫が好む植物を集めたバタフライ
省が提唱する
「グリーンウェイブ」
に賛同し、空港内
50本を植樹しました。
フラワーキャンパスはボランティアを活用した
ガーデンも、同校の協力のもと、整備しています。
●フラワースポットの拡大に向けた取り組み
●「Smile の森」の植樹
●地域および空港関係者が連携した取り組み
●空港周辺の緑化
関西空港警察署北側歩道沿いの芝地に花壇を
設置し、花苗と水仙の球根を植え付け、フラワー
スポットを拡大中。
2014年に開港20周年を迎えたKIX。お客様への
感謝の気持ちと笑顔あふれる空港をめざして
オリーブや桜を記念植樹。
ターミナルビルの屋上とビル周辺の緑化を推進。
屋上デッキの緑化は、安らぎ空間の創出と景観の
向上に貢献。壁面緑化も随所に導入。
空港周辺には、移転補償跡地を利用した緑地帯を
整備。ふれあい緑地にはビオトープを配した広場
があり、資源とふれあう場を形成。
大阪府立園芸高校および空港スタッフの連携による
バタフライガーデン整備
さまざまな
水生生物を呼び寄せる
ビオトープ
歩道沿いが
チューリップで
華やかに
今年は新たに
あじさいを植樹
●海浜植物の再生と保護
2期空港島では大阪湾周辺の海浜植物の再生と
保護を目的に、ハマナデシコ、ハマボックス、ハマ
ヒルガオ、ハマゴボウなどを植栽。
ボランティアサポートを
活用したフラワー
キャンパス整備
屋上緑化は
ターミナルビル内の
温度抑制に寄与
クイズ
KIX20周年、ITM75周年を迎えた
Q1 感謝とともに笑顔を咲かせる決意で
Smileの森に加わった花は?
ハマナデシコ
ハマボックス
関空島周辺で生息が確認されている
生き物は?
A1 あじさい A2 スナメリ
Q2
環境報告書 2015
20
共 生
空港関連事業者との共働
タイ空港公社との社員相互派遣
タイ空港公社との社
プログラムを実施しました
また、続く3月にはAOTから7名の訪問団を
いただくことができました。会議には90ヵ国か
2014年度は、一般財団法人海外産業人材
受け入れ、KIXメガソーラー、燃料電池フォーク
ら3,500人が集まり、330のプレゼンが行われ
育成協会が実施する研修コースの受講生約20
2014年8月に戦略的提携関係にあるタイ空
リフトの視察をし、また、ITMでは消防車庫や
るなど、貴重な3日間でした。
名を迎え、KIXでの環境への取り組み説明や浄
港公社
(AOT)
との間で社員相互派遣プログラ
大型防音壁、雨水排水施設の視察をしました。
員
ムを実施し、2015年2月に当社から6名の社員
と
を派遣しました。情報発信戦略や空港計画と
いったテーマに基づき意見交換や施設見学を
ま
行うなど極めて有意義なプログラムを体験しま
した。
参加者の声
・NKIACの社員の温かな歓迎やおもてなしの
おかげでとても幸せな気持ちになれました。
・研修でのプログラムはとても素晴らしいもの
であり、両社のアイディアやネットワークを
共有するのに役立つものだと思います。
・すべての人が英語でコミュニケーションできて
いれば完璧でした。
・技術・施設部での体験は私の期待を十分に
満たしてくれました。
KIXメガソーラーの視察
(上)
ITMの大型防音壁の視察
(下)
化センターの見学会を実施しました。
4th Meeting of ACI Asia-Pacific
Regional Environment
Committee に参加しました
2014年9月に香港で開催されたACI会議に
オブザーバーとして参加し、騒音対策や温室効
浄化センターでの施設見学
果ガスの排出、廃棄物リサイクル等について意
見交換をしました。当社もKIX、ITMの環境先進
空港としての取り組みについてプレゼンし、特に
わくわく関空見学プランに
新しいコースを設定しました
水素グリッドやKIXメガソーラー、刈草の肥料化
空港島内見学バスツアー
「わくわく関空見学
等に関心が集まりました。
プラン」
に、新コース
「関空の2期島新発見コー
ス」
と
「機内食工場コース」
が加わることになり
Passenger Conference & Expo
2015に参加しました
ました。
「 関 空の2 期 島 新 発 見コース」では、
2015年3月にパリで開催された同会議に
2014年2月に運用開始となったアジアの空港
参加し、各国の空港で取り組まれている環境を
で最大級のKIXメガソーラーを見学し、空港に
はじめとする幅広いジャンルの施策について
おける環境への取り組みについて楽しく知識を
情報収集、意見交換を行いました。また、KIXの
深めていただけます。
水素グリッドへの取り組みについてプレゼンを
行い、質疑応答の時間のみならず、プレゼン後
にも質問が寄せられるなど高い関心を持って
ACI会議にて意見交換を実施
アジアからの研修生を受け入れ
れています
KIXの環境対策技術を自国で活かしていただ
燃料電池フォークリフトの視察
(上)
水素PRルームでの講義
(下)
Expoでのスピーチの様子
くことを目的に、アジアからの研修生の視察や
研修を受け入れています。
環境報告書 2015
21
空港関連事業者との共働
共 生
スマート愛ランド推進協議会では
さまざまな取り組みを実施しています
KIX∼小さな行動から大きな成果へ∼」
のもと、
活動を行っていくことが決まりました。
主要空港環境連絡会議を
開催しました
大切にしています
スマート愛ランド推進協議会は、関西国際空
また、毎年恒例のアイドリングストップキャン
空港が抱えるさまざまな共通課題にともに取
KIXでは、大阪府泉州地域の9市4町の首長
港の各事業者と新関西国際空港などが力を合
ペーンを6月に実施。来港する貨物自動車、
リム
り組んでいくため、2007年9月、成田国際空港、
で構成する
「泉州市・町関西国際空港推進協議
わせ、環境保全・創造等を推進することを目的
ジンバス、タクシー、乗用車の運転手に対し、
中部国際空港、日本空港ビルディング、北海道
会」
や大阪府ならびにKIXによる
「三者連絡会
に設置された組織です。
エコドライブへの協力を呼びかけました。また
空港ビルディング、新関西国際空港の5社によ
議」
を開催し、意見交換をしています。2014年
協議会ではアイドリングストップキャンペーン
5月から6月にかけてのごみゼロキャンペーン
る
「主要空港環境連絡会議」
を発足させました。
1月に開催した
「三者連絡会議」
では、各市長・
やごみゼロキャンペーン、植栽活動などに加
では、事業者ごとに清掃活動を実施し、空港の
2014年度は5月に会議を開催し、GPUの利用
町長と副知事、当社社長が、関西国際空港を活
え、会員による環境保全に向けた取り組みにつ
環境美化に向けて各事業者が積極的に取り組
状況や廃棄物リサイクルについて意見交換をし
用した泉州地域振興について話し合いました。
いての好事例報告会や施設見学会を毎年行っ
みました。さらに11月には貨物地区への玄関
ました。
都市型空港であるITMでも、周辺地域ととも
ています。
口となる場所にチューリップの球根を植え付
この会議を通じて地球温暖化対策など、一つ
に発展できるよう、地域社会との対話を大切に
2014年度は、2015年3月に総会を開催し、
け、空港島内の緑化推進および癒しの空間拡
の空港では解決困難な課題について一体と
しています。地域住民と適宜対話の場を設けて
スマート愛ランド推進計画で掲げている数値目
大に向けての取り組みを行いました。
なって取り組み、各空港の成功事例や先進事例
いるほか、空港周辺の10市で組織する
「大阪国
標の共有や2014年度の活動報告および2015
などの情報を交換しながらより良い環境施策
際空港周辺都市対策協議会
(10市協)
」
と定期
年度活動方針について協議しました。活動方針
へと結び付けていきたいと考えています。
的に会合を開き、航空機騒音や安全対策の推
の中では、
“共通の活動方針”
を掲げさらなる環
進、空港周辺のまちづくりについて意見交換を
境の取り組みを推進することとし、協議会メン
しています。
バー各社からテーマアップをしていただきました。
今後も、地元自治体をはじめ、地域の方々と
削減に向けた取り組
また、温室効果ガス
(CO2)
積極的にコミュニケーションを図り、一層の地
みを身近で活発なものとすべく、環境スローガン
を協議会メンバーから募集し、
「ECO ACTION
域共生を推進していきます。
スマート愛ランド
推進協議会 総会
チューリップの
球根の植え付け
2015年度は4月に実施し、航空機のCO2排出量の算定方
法やGPUの利用促進について、情報や意見を交換しました
TOPICS
2014年度の主な活動一覧
2014
20
14年
14
年 度の
ごみゼロキャンペーン
∼6月8日
2014年 6月5日
アイドリングストップキャンペーン
2014年 11月13日 チューリップの球根の植え付け
2015年 1月27日
好事例報告会
2015年 3月23日
スマート愛ランド推進協議会 総会
クイズ
Q1
空港島内の憩いとやすらぎ空間の創出を
めざし整備されているものは?
Q2
5月30日の語呂合わせで、この日の前後に
行う協議会メンバーによる清掃活動は?
A1 フラワースポット A2 ごみゼロキャンペーン
2014年 5月26日
環境報告書 2015
22
グループ会社の取り組み
大阪国際空港ターミナル
(株)
(OAT)
の取り組み
ターミナルビルの環境負荷を削減するため
さまざまな取り組みを実施しています
向けてさまざまな取り組みを行っています。
ITMのターミナルビルなど空港諸施設を運
策はもちろんのこと、資源循環を促す節水や生
営し、航空事業者や旅客に各種サービスを提供
物多様性に配慮した自然環境保護などに取り
する大阪国際空港ターミナル株式会社
(OAT)
。
組み、
ITMのエコエアポート推進に施設と設備
OATでも、ターミナルビルの環境負荷削減に
面で貢献しています。
地球環境の保全をめざした省エネルギー対
ECOドア・システム
(旅客ターミナル)
ガラス面への熱反射フィルムの導入
自動ドアのセンサーを、前面を横切る人には反
応しにくいものに取り替え。
ドアの不要開閉を
抑制し、
ドアの開閉電力量や室内空調電力量
を削減
フィルム
施工
館内のほぼ全域のガラスに熱反射フィルムを施工。ターミ
ナルビル内の温度上昇を抑制し、空調電力を削減
自動洗浄水栓等
の導入
(節水対策)
改修前
LED照明の導入
フィルム
未施工
節水対策として、手洗いな
どに自動洗浄水栓を採用
改修後
担当者の声
到 着 口 屋 外エリアや
待合テラス、名店街、
貨物上屋などにLED
照明を採用
重油ボイラーから
ガス式温水ヒーターへの
更新
エスカレーター
人感センサーの導入
大阪国際空港ターミナル㈱
施設部
西岡 佑貴
施設部ではお客様および各テナント様に快適な空
間を提供できるよう、ターミナルビル修繕の検討や施
照明自動点滅器
の導入
ミスト設備の導入
ターミナルビル屋外に、地球温
暖化対策、ヒートアイランド対策
に貢献するドライミスト噴霧装
置を設置
CO2排 出 量 削
減のため、重油
焚きボイラー4
基を撤去
設美化、設備環境整備に関わる業務を行っています。
そして設備環境整備としては、空港運用におけるエネ
ルギーを少しでも削減するため、日々、電力等のエネル
ギー監視を行い、照明設備や空調設備等の省エネル
ギー対策に努めています。
これらの対策は皆様の快適性が損なわれたりする
ターミナルビル各所のエスカレーターに
人感センサーを導入し、無人時の電力を
カット
外光に応じて自動点滅器で点灯
と消灯を制御。時間帯による点
灯のパターン制御も採用
2011年11月末
からガ ス 温 水
ヒーター5基の
運転を開始
ことがないことを第一に考えており、新たな技術導入
を行うことでより良い空港づくりを行って参りますの
で、皆様のお力をお貸しいただければと思います。
環境報告書 2015
23
グループ会社の取り組み
CKTS
(株)
の取り組み
燃料電池フォークリフトを用いた医薬品庫等の
燃料電池フォークリフト・水素インフラ
の実証運用を開始しました
クリーン物流に取り組んでいます。
2 0 1 5 年 2 月より医 薬 品 専 用 共 同 定 温 庫
水素サプライチェーンの空港モデルとして、
(KIX-Medica)
において、燃料電池フォークリフ
究極のクリーンエネルギーである水素エネル
トと水素インフラの構築を見据えた実証・運用
ギーの実証運用をCKTSが実施しています。
を開始しました。この実証運用はKIX水素グリッ
水素燃料を
補給する
様子
ドプロジェクトの一環で、アジアの空港では初
の試みとなります。
KIX-Medicaに燃料電池フォークリフトを導
入することにより、従来のフォークリフトに比べ
太陽光発電による電力供給を
推進しています
CO2排出量削減効果が期待されるとともに、作
KIX-Medicaの屋根に45kWの薄膜太陽電
業環境の改善が図られます。また、建物内での
池モジュール358枚を設置しました。
ディスペンサーによる水素燃料の補給時間は
太陽電池で発電した直流電力をパワーコン
貨物倉庫に LED 照明を導入しました
約3分程度となり、EV充電時間の8時間と比べ
ディショナにより交流電力に変換し、医薬品倉
貨物倉庫荷捌場の照明器具を、従来の水銀
ると作業効率が飛躍的に向上します。
庫の機器に電力を供給します。倉庫で使用する
灯からLED照明へ変更しました。5000m2クラ
2016年より、液化水素貯蔵施設や貨物建屋
電力の約9割がこの太陽光発電で賄われており、
スの大規模倉庫で先進的にLEDを導入し、大幅
空港内の省エネルギー化に貢献しています。
な省エネとCO2排出量低減に努めています。
内ディスペンサー、高圧水素配管を設置し、ク
リーンな作業環境が求められるKIX-Medicaで
作業効率も
大幅アップ
注)20℃の低温倉庫の空調は地域熱供給を採用しており、
電力消費はありません。電力は主に5℃の冷温庫と照明
で消費されます。
担当者の声
水素供給の流れ
近年物流業界でも環境に配慮した
「クリーン物流」
という言葉が聞か
水素供給設備
れるようになってきました。CKTSでは、そういうこともあり、関空内で
はいち早く輸入上屋内の照明を従来の水銀灯からLEDにすべて取り替
え、初年度は対前年比で8割のCO2削減を実現しました。
また、2010年9月末にオープンした
「医薬品専用倉庫」
の屋根面には、
太陽光パネルを一面に設置し、そこで発電した電気で医薬品専用倉庫
水素容器
40MPa圧縮機
蓄圧器
ディスペンサー
FCフォークリフト
高純度水素の水素容器をトラックで水素供給設備へ輸送し貯蔵するオフサイト型の水素供給設備です。
水素供給設備内の圧縮機で40MPaまで昇圧して蓄圧ユニットへ貯蔵後、高圧水素ディスペンサーを通じてFC
(燃料電池)
フォー
クリフトへ供給します。
CKTS ㈱
貨物部
内の+5℃庫の温度を一定に保っています。
大塚 真由
トの運用をCKTSにて行っており、省エネルギー化、CO2削減を図り、さ
さらに、今年春からは関西空港での実証実験として水素フォークリフ
らなる
「クリーン物流」
に取り組んでいます。
今後も積極的にクリーン物流に取り組んで参りたいと思っています。
環境報告書 2015
24
各空港の環境報告書のご案内
関西国際空港(KIX)
スマート愛ランド推進レポート2015
新関西国際空港 CSR 活動報告
新関西国際空港のさまざまな取り組みについて紹介
KIXでは環境推進計画に基づいて行った
するとともにステークホルダーの皆様との関わりに
環 境 保 全の取り組みについてまとめた
ついて報告しています。
「スマート愛ランド推進レポート」
を2002
最新の取り組みは新関西国際空港ウェブサイト
「CSR
年より年1回作成し、詳細データを含めて
活動報告」
に掲載しています。
報告しています。
URL:http://www.nkiac.co.jp/csr/index.html
▼レポートは下記URLよりダウンロード
ください。
URL:http://www.nkiac.co.jp/env/
kix/eco/report/pdf/
smart_rprt15.pdf
大阪国際空港(ITM)
エコエアポート推進レポート2015
ITMでは環境推進計画に基づいて行った
環境保全の取り組みについてまとめた
「エコエアポート推進レポート」を2013
年より年1回作成し、詳細データを含め
て報告しています。
▼レポートは下記URLよりダウンロード
ください。
URL:http://www.nkiac.co.jp/env/
itm/ecoairport/pdf/
ecoairport2015.pdf
■お問い合わせ先
■発行
新関西国際空港株式会社
2015年12月
コーポレートコミュニケーション部
〒549-8501
大阪府泉佐野市泉州空港北1番地
TEL:072-455-2177
E-mail:kankyo@nkiac.co.jp
環境報告書 2015
25
大阪国際空港キャラクター
✈名前
カンクン
お散歩すること。
✈口ぐせ
ご安全に!
いつか空を飛びたいと
✈研究テーマ
新しいエネルギー
✈名前
そらやん
✈好きなこと
近くのまちを
✈将来の夢
関西国際空港キャラクター
思っている。