モデリング操作ガイド(ユースケース図) Modeling Guide by SparxSystems Japan Enterprise Architect 日本語版 モデリング操作ガイド(ユースケース図編) (2011/5/18 最終更新) Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 1 モデリング操作ガイド(ユースケース図) 1. はじめに このモデリング操作ガイドでは、個別の図や機能について、Enterprise Architect の機能 の紹介や操作方法について説明します。モデリング操作ガイドは、以下のように内容ごと に分かれています。 ・ 共通操作編 ・ クラス図・オブジェクト図編 ・ ユースケース編 ・ アクティビティ図編 ・ シーケンス図・コミュニケーション図編 ・ ステートマシン図編 ・ コンポーネント図編 ・ データベースモデリング編 本ドキュメントをご覧になる前に、「モデリング操作ガイド 共通操作編」をご覧くださ い。共通操作編で紹介されている内容は省略いたします。 なお、このドキュメントでは、UML の仕様・文法・記述方法についての説明はすべて省 略しています。別途 UML について紹介している書籍などをご利用ください。 また、本ドキュメントは、ドキュメント執筆時の最新版を利用して作成されています。 そのため、それ以降のバージョンで画面構成や機能が多少変更になっている可能性もあり ます。相違点や不明な点がございましたら、サポート担当support@sparxsystems.jpにご連 絡ください。 本ドキュメントでの赤色太字は、画面内から選択するメニュー項目やボタンなどや、画 面内に表示されている文字・項目を示しています。青色太字は、ショートカットキーを示 します。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 2 モデリング操作ガイド(ユースケース図) 2. ユースケース図 ユースケース図は、対象のシステム(製品)が提供する機能と、その機能に関係する外部シ ステムや利用者との関係を表現します。このドキュメントでは、このユースケース図に固 有のいくつかの操作について説明します。要素をダイアグラム内に配置する操作や要素間 を接続する操作は、「モデリング操作ガイド 共通操作編」をご覧下さい。 3. ユースケース図でのモデリング この章では、ユースケース図固有のモデリングの操作について紹介いたします。 3.1. 拡張点の定義 ユースケースに拡張点を作成したり、あるいは作成済みの拡張点の編集・削除をしたり する場合には、対象のユースケースを選択して、右クリックのコンテキストメニューから 「追加設定」→「拡張点の定義と編集」を選択します(図 1)。図 2 のような設定画面が表示 されますので、「追加」ボタンを押し、文字列で拡張点の内容を入力してください。 図1 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 3 モデリング操作ガイド(ユースケース図) 図2 定義した結果は、ダイアグラム内で次のように表示されます。 検索 拡張点: 検索の実⾏後 図3 3.2. 汎化関係の形 アクター間には、以下のように汎化の関係を定義することがあります。汎化を作成する と、既定値では作成後は直線で結ばれます。この直線をツリースタイル(木構造)にすること ができます。具体的な操作については、「共通操作編」をご覧下さい。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 4 モデリング操作ガイド(ユースケース図) 利⽤者 管理者 制限利⽤者 図4 3.3. ユースケース要素を四角形で表示 ユースケース要素には、属性や操作を追加することもできます。属性や操作を追加する ことで、そのユースケースの詳細情報を示すことができます。 ただし、追加した情報はそのままでは表示されません。表示する場合には、対象のユー スケース要素を右クリックして「追加設定」→「四角形で表示」を実行します。すると、 以下のようにクラスと同じ形で表示されます。この際に、右上にはユースケース要素であ ることを示す楕円のアイコンが表示されます。 検索 拡張点 検索の実⾏後 図5 再度同じ項目を実行することで、楕円表示に戻すことができます。 3.4. サブジェクト(境界)要素の作成 システムの範囲を示すサブジェクト(境界)は、ツールボックスやツールバーから作成でき ます。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 5 モデリング操作ガイド(ユースケース図) サブジェクトをダブルクリックすると、プロパティ画面が表示されます。ここで、名前 とスタイルを設定することができます。 図6 4. ユースケース図での便利なテクニック・機能 4.1. ユースケース記述 ユースケース図の作成では、それぞれのユースケースがどのような振る舞いや制約を持 つかを示すための「ユースケース記述」(ユースケースシナリオ)と呼ばれる内容が必要です。 Enterprise Architect の場合には、このユースケース記述を以下の 4 通りの方法で作成する ことができます。 ・ プロパティ画面のシナリオタブを利用する ・ Word や Excel などで記述し、プロパティ画面のファイルタブで要素とリンクする ・ アクティビティ図を利用する ・ 付属ドキュメントを利用する これらの 4 つの方法の詳細は、以下のページをご覧下さい。 http://www.sparxsystems.jp/products/EA/tech/tech_12.htm 4.2. ユースケース測定 Enterprise Architect には「ユースケースポイント」と呼ばれる評価方法を利用した工数 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 6 モデリング操作ガイド(ユースケース図) の見積もり機能があります。このユースケースポイント理論についての詳細は本チュート リアルでは触れませんが、基本的には名前のとおりそれぞれのユースケースに対して複雑 度の評価を行い、その評価内容と対象のシステム全体の複雑度を元に工数を予測するもの です。 (インターネットで検索することで、 「ユースケースポイント」理論の概要を見つけることが できます。) この予測される工数は、それぞれのユースケースに対する複雑度の評価によって結果が 大きく変わります。一般的には、複数の開発済みのシステムに対してユースケースポイン トによる工数の見積もりを行い、その値と実際にかかった工数を比較することで、複雑度 の指定方法やシステム全体の複雑度の決定方法を決めていきます。この決められた値やル ールが適切であれば、これから開発を行うシステムに対しても、ある程度の精度で工数を 見積もることができる、というわけです。 つまり、ユースケースポイント法では未知のシステム開発に最初から工数を見積もるこ とはできません。検証対象のシステム開発が多ければ多いほど、より精度の高い見積もり を出すことができるようになるでしょう。ここで導き出されたそれぞれの値やルールは、 そのシステム開発の部署における財産と言えるのかもしれません。 この章では、ユースケースに対して複雑度を設定する方法と、工数を見積もる方法を説 明します。 4.3. ユースケースへの設定 まず、ユースケースに対して複雑度を指定します。複雑度の指定は、ユースケースのプ ロパティ画面から行うことができます(図 7)。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 7 モデリング操作ガイド(ユースケース図) 図7 ここでは、 「簡単」「普通」「困難」の 3 種類から選択することができます。これらの種類 の定義はユースケース測定の定義に含まれますので、その内容を元に設定して下さい。 このようにして、対象の全てのユースケースに対して複雑度を設定してください。 4.4. その他の設定 工数の見積もりにおいて、複雑度以外の要素として次のパラメータを設定する必要があ ります。 ・ 技術的因数(TCF) ・ 環境的因数(ECF) ・ 作業効率 これらの値については、メインメニューの「設定」→「プロジェクトの既定値」→「ユ ースケース測定」から設定することができます。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 8 モデリング操作ガイド(ユースケース図) 例えば、技術的因数の場合には次のような画面になります (図 8)。原則的には、「重み」 は固定の値であり、そのシステムごとの相対的な評価を「値」として入力します。 図8 これらの値の定義(意味)はユースケース測定の定義に含まれますので、その内容を元に設 定して下さい。 これらの技術的因数・環境的因数と作業効率を設定すれば、測定の準備は完了となりま す。 4.5. 測定 実際に測定を行うためには、対象のパッケージをプロジェクトブラウザから指定して、 メインメニューから「プロジェクト」→「ユースケース測定」を呼び出します。あるいは、 プロジェクトブラウザ内のパッケージのコンテキストメニューから「ドキュメント」→「ユ ースケース測定」を呼び出します。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 9 モデリング操作ガイド(ユースケース図) すると、次のようなユースケース測定画面が表示されます(図 9)。 図9 この画面の右下には、既に見積もりの作業工数が計算されています。この例では、1090 時間となっています。このように、今までの設定を行っておけば、この画面を呼び出すだ けで自動的に見積もりが計算されます。逆を言えば、設定項目とユースケースの複雑度で 見積もりが測定されるので、それぞれの設定項目の決め方によっては意味のない数値にな るということになります。 なお、ユースケースに「フェーズ」「キーワード」を指定することで、絞込みをすること もできます。これらの項目はユースケースのプロパティから指定できます。例えば、フェ ーズの既定値は 1.0 ですが、二次追加開発を 2.0 として対応するユースケースのフェーズを 変えておくことで、フェーズごとの見積もりを行うこともできます。 また、同じく絞込みに利用できるブックマークとは、図 10 のように要素の上の赤い三角 形を示します。このブックマークを設定するには、ダイアグラム内の要素が選択された状 態で Alt+Space キーで設定・解除できます。いくつかの特定のユースケースだけを対象に したい場合には、あらかじめこのブックマークを設定しておいて、絞込みの条件に利用す ると良いでしょう。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 10 モデリング操作ガイド(ユースケース図) 注⽂状況を尋ねる 図 10 なお、条件を変更した後は、「再読込」ボタンを押して一覧を更新してください。見積も り結果も自動的に更新されます。左下の「既定の作業効率」を変更した場合には、「再計算」 ボタンで見積もりの値が更新されます。 5. ユースケース図に関連する設定 ユースケース図に関連する設定は、次の項目があります。オプション画面を表示するには、 メインメニューから「ツール」→「オプション」を実行して下さい。 図 11 ・ ユースケースの縦横比を維持しない この項目にチェックを入れると、横長のユースケース要素を作成することができます。 チェックが入っていない状態では、縦横比は常に一定になります。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 11 モデリング操作ガイド(ユースケース図) ○ 改版履歴 2009/09/01 初版(過去のチュートリアルを再構成し、加筆) 2010/04/16 Enterprise Architect8.0 のリリースに伴い、内容を更新。 2011/05/18 Enterprise Architect9.0 のリリースに伴い、内容を更新。 Copyright (c) 2009-2011 SparxSystems Japan 12
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