№226 2015年3月発行岡山済生会総合病院妊娠と甲状腺疾患 Page1 〒700-8511 岡山市北区伊福町1-17-18 http://www.okayamasaiseikai.or.jp core@okayamasaiseikai.or.jp 発行責任者：大原利憲地域医療連携室：鷹取康晴寺尾浩司新居理恵 TEL：086-252-2698 水田尚美有生 FAX：086-254-8036 菅内科医長武田昌也内科の武田昌也です。2012年9月に当院に赴任し、糖尿病・内分泌領域の診療にあたっております。甲状腺疾患の中でバセドウ病・慢性甲状腺炎は女性に多く、好発年齢が妊娠可能年齢に重なることもあり、若年女性患者の甲状腺疾患診療においては常に妊娠・出産のことを考慮する必要があります。本稿では妊娠・出産と甲状腺疾患診療について述べたいと思います。（１）バセドウ病バセドウ病の治療薬として抗甲状腺薬のthiamazole（商品名メルカゾール、以下MMI）や propylthiouracil（商品名プロパジール・チウラジール、以下PTU）が挙げられます。一時期の検討ではこれらに催奇形性の差はないとされていましたが、近年の検討(POEM study)においては、 PTUにくらべMMIの妊娠初期投与で新生児奇形が増加しているとの中間報告がありました（ただし、これらの奇形は手術で治癒しうるものです）。そのため、妊娠を希望する女性に投与する抗甲状腺薬は現時点ではPTUの方が好ましいとされます。ただ有効性や副作用の少なさではMMIが PTUに勝ります。日本甲状腺学会の提示する、妊娠初期のバセドウ病治療に対する考え方につきましては、同学会のウェブサイト http://www.japanthyroid.jp/doctor/information/#ninshin をご参照ください。妊娠経過中は、バセドウ病の病勢を示すTSHレセプター抗体価は一般的には妊娠前に比較して改善します。逆に産後にバセドウ病が悪化するケースがみられるので留意が必要です。授乳については添付文書上はPTUは別段の記載なし、MMIは授乳を避けることとの記載があります。（２）慢性甲状腺炎（橋本病）、甲状腺機能低下症不妊治療に携わっておられるクリニックの先生方から甲状腺機能低下症の患者様をご紹介頂くことが近年多くなっております。甲状腺機能低下（顕性・潜在性を問わず）合併不妊症患者に甲状腺ホルモン補充療法を行うことにより妊娠可能性が向上することが知られてきており、米国内分泌学会もランダム化比較試験こそないものの、不妊症患者のTSH値は2.5μU/mL以下にするようにと推奨しています。妊娠後も、潜在性甲状腺機能低下症患者では流早産が増えること、および甲状腺機能低下が児の知能に影響を与えるとの報告があることから、第1三半期はTSH 2.5μU/mL、第2・第3三半期はTSH 3μU/mL以下でのコントロールが推奨されています。（甲状腺機能低下と児の知能低下との関連については、ヨード欠乏がほぼ見られない日本では否定的とする見解もあります。） C◎RE情報 Page2 №226 2015年3月発行以上、バセドウ病・慢性甲状腺炎と妊娠との関連につき述べさせていただきました。先生方の日常診療のなかで、甲状腺疾患をお持ちで妊娠可能年齢の女性の患者様につきまして、妊娠・出産との関連について悩まれるケースがありましたら、遠慮なくご紹介ください。必要に応じて産科・小児科や岡山大学などとも連携をとりながら診療にあたってまいります。宜しくお願い申し上げます。〔甲状腺内科外来診療担当表〕月総合外来火水木金土午前午後午前午後午前午後午前午後午前午後／／／／武田昌／／／／／午前／専門外来／／武田昌武田昌／／武田昌武田昌／／ ※受付時間（午前）初診：8:00～11:30、再診：7:30～11:45 泌尿器科からのお知らせ医師退職が予定されており、当面の間、紹介初診予約をお受けすることができません。ご来院いただければ診察をさせていただきますが、相当な待ち時間が発生することと思われます。また、隔週対応しておりました土曜日診療は勝手ながら3月より休診といたしております。先生方ならびに患者様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜りますようよろしくお願いいたします。なお再開の目処がたちましたら、本誌等でご連絡をさせていただきます。肝臓病教室開催のお知らせ参加自由です。患者さんで肝臓病が気になる方がおられましたら、ご案内ください。〔日時〕３月２４日（火）１４：３０～１６：００〔テーマ〕肝硬変ってなあに？＊診察券をご持参ください万代内科医長、検査技師、薬剤師、看護師、管理栄養士、理学療法士〔場所〕済生会病院本館１２階デイルーム（面談室）〔参加費〕管理栄養士が担当する教室は、集団栄養指導料金（保険適用で２４０円） C◎RE情報 Page3 №226 2015年3月発行ここでは当院ここでは当院の当院の医師にスポットを医師にスポットを当にスポットを当ててご紹介ててご紹介しています紹介しています。しています。医師になったきっかけや医師になったきっかけや今後力になったきっかけや今後力を今後力を入れていきたい領域れていきたい領域、領域、患者にに対する思患者する思いなどを紹介いなどを紹介することで紹介することで、することで、済生会病院の済生会病院の医師を医師を一人でも一人でも多でも多く知っていただきたいと考っていただきたいと考えています。えています。専門家として、医師としての成長を目指していきます内科医長心得桃木律也岡山済生会総合病院内科に所属しております桃木律也と申します。岡山市に生まれ、鹿田小学校・桑田中学校・大安寺高校・岡山大学を経て、2006年に岡山済生会総合病院に初期研修医として就職し、そのまま後期研修医、スタッフとなり、いつの間にかこの4月で済生会10年目を迎えました。生まれてこのかた半径2-3kmが生活圏内という自分でも驚くほどの生粋の地元民です。現在は、腎臓病・透析内科を主として診療しておりますが、この10年間で様々な分野での診療にあたらせて頂き、現在でも循環器・膠原病・感染症などの入院患者さんの担当もさせて頂いています。また、院内ではRST（呼吸サポートチーム）やICT（感染制御チーム）、DMAT（災害時派遣医療チーム）の一員としても活動しております。現在、市内の多くの総合病院が新病院を建設中ではありますが、当院も来年1月には新病院がオープンし、その数ヶ月後には透析部門も拡張されベッド数も現在の数倍の規模になります。これまでも岡山済生会総合病院は岡山県南東部の腎臓病診療を支える重要な医療機関の一角を担ってきましたが、今後その責務もさらに大きくなると考えられ、その中で専門家として少しでも頼られる医師を目指していきたいと考えております。また、その一方で、関連する分野や興味ある分野にも積極的に研鑽を積み、患者さん一人一人に真摯に向き合い、一人の医師としても成長をしていきたいと考えております。まだまだ医師としては未熟で力不足な点も多くありますので、皆様からのご指導・ご鞭撻を頂ければ幸甚です。今後とも宜しくお願い申し上げます。〔腎臓内科外来診療担当表〕月総合外来専門外来火水木金土午前午後午前午後午前午後午前午後午前午後／／／／／／西村／／／遠部平松中尾中尾中尾丸山野村池田丸山 ※受付時間（午前）初診：8:00～11:30、再診：7:30～11:45 池田丸山丸山桃木桃木遠部午前／ C◎RE情報 №226 2015年3月発行 Page4 第1２回岡山心血管病・下肢救済ネットワーク講演会のご案内参加申込が必要です。０８６－２５２－２６９８地域医療連携室まで。〔日時〕４月９日（木）１９：３０～２１：００〔場所〕岡山ロイヤルホテル〔症例報告〕「心房細動を合併した心不全の治療」岡山済生会総合病院内科主任医長山本浩之〔特別講演〕「当院における下肢閉塞性動脈硬化症の治療現状」岸和田徳洲会病院副院長横井良明先生カンファレンスのご案内院外の先生方にもご参加いただけます。多数のご参加をお待ちしております。なお、４月開催のカンファレンスはありません。ご了承ください。日カンファレンス名 3/5日（木）腎・膠原病カンファレンス 3/12日（木）救急カンファレンス 3/19日（木） CPC 3/26日（木）画像診断カンファレンステーマ時間場所症例検討 17：30－19：00 西館３階カンファ室症例検討 18：00－19：00 西館３階カンファ室タイトル未定 17：30－19：00 西館３階カンファ室症例検討 17：30－19：00 西館３階カンファ室 C◎RE情報のメール配信をご希望される方は、地域医療連携室までご連絡くださいご不要な場合もお気軽にご連絡ください電話（086）252-2698 メール：core@okayamasaiseikai.or.jp