ニューズレター第18号

MBAニューズレター No.18
神戸大学大学院経営学研究科
MBA
コース
神戸大学大学院経営学研究科MBA
MBAコース
2 0 0 0 年3月 2 8 日発行
神 戸 大 学 大 学 院
経 営 学 研 究 科
〒 657-8501
神戸市灘区六甲台町2-1
TEL:078-881-1212
FAX:078-881-8100
本号目次
1.本格化しつつある日本のMBA教育
2.98 年度生の研究成果
経営戦略・マーケティングコース
組織・人的資源管理コース
会計・ファイナンスコース
3.99 年度生の研究状況
経営戦略・マーケティングコース
組織・人的資源管理コース
会計コース
ファイナンスコース
4.2000 年度(春入学)の入学試験状況
5.2000 年度生対象コース内容
経営戦略・マーケティングコース
組織・人的資源管理コース
会計・ファイナンスコース
6.2000 年秋入学についての重要なお知らせ
7.社会人非常勤講師による特別講義
8.留学・協定関連
9.ホームページのご案内
10.ワークショップのご案内
11.ビジネス・インサイト購読のご案内
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1.
本格化しつつある日本のMBA教育
1.本格化しつつある日本のMBA教育
神戸大学大学院経営学研究科長
加護野 忠男
最近になって、長い間の努力がようやく報いられるようになった、と実感することができるよ
うになってきた。この4月から始まるMBAコースの入学試験で、大量の志願者に応募していた
だいたからである。なんと 122 名の応募である。受験番号を 100 人分しか準備していなかったの
で、てんてこ舞いとなった。全員入っていただきたいのだが、定員があるのでそうも行かない。
絞り込むという仕事をしなければならない。うれしい悲鳴である。
このような形でMBAに対する関心が高まってきたのには、いくつかの理由がある。
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MBAニューズレター No.18
1 つには、不況のせいだといえるかもしれない。一般の大学院への志願者も増えている。就職
がないから大学院へというのは、これまでも見られたパターンである。しかし、MBAは有職者
を対象としており、この理由はあたらない。もちろん、世の中が厳しくなってきており、力がな
いと評価されなくなっていることも確かである。その意味では、不況の影響も無視できないだろ
うが、それは不況という循環的な変化ではなく、構造的な変化である。
話題性という理由もあるかもしれない。この4月から、東京で一橋大学がMBAプログラムを
開始するので、マスコミでもMBAが話題として取り上げられる機会が増えてきた。残念なこと
に、いまだにマスコミは東京中心である。
しかし、志願者の顔ぶれを見ていると、たんなる一過性の理由ではなさそうだという印象を受
ける。なによりもうれしいのは、すでにMBAコースで学んでいる人と同じ会社の人が多いこと
である。すでに学んでいる人々が勧めてくれたからであろう。このような現象こそ、報いられた
とを感じさせてくれるものである。すでに受講している人々が、価値があると認めてくれている
ということが分かるからである。まだまだ問題は多いとは思うが、受講生にある程度までは満足
してもらえるものが提供できているのだろう。しかし、同時に、不満があることも確かである。
夜間、週末という勉学の条件、物理的な環境、講義の中身、まだまだ改善の余地はありそうであ
る。今後とも、改善の努力を続けていきたい。
2.
98年度生の研究成果
2.98年度生の研究成果
◆ 経営戦略
・マーケティングコース ◆ 経営戦略・
【石井 淳蔵教授】
経営戦略・マーケティングコースの専攻院生は総勢 26 名。プロジェクト研究を通じて大枠の
5つのテーマを決め、まずは共同研究チームを作るために一泊二日の合宿を行った。
合宿でのグループ分けは難航。
「私のテーマは営業革新だが、他の人の話を聞いていると、顧
客満足をテーマとして研究した方がいいのかもしれない」とか、
「特殊なテーマをやりたいのだ
が、そのために勉強しなければならないのは、製品開発なのか、営業なのか、ビジネス・インタ
フェイスなのか」とか、各人各様の思惑があり、またその思惑が他の人との議論の中で変わる。
まさに思惑やアイデア、問題意識が、ゴミ箱をひっくり返したように現れた。それぞれの考え
方や世界の見方も問われる修羅場である。しかし、そうした修羅場の中でこそ、各人の問題意識
は鮮明になる。各人がビジネスにおいて抱える問題を解決する方法は複数あることや、業種は
違っても意外と問題は似ていることや、てっきり営業の問題と思いこんでいた問題が、実は、製
品開発の問題だったということがわかったりする。
ブランド、顧客満足、そしてビジネス・インタフェイスに分かれて共同研究を開始したのが4
月に入ってから。各チームは、その後さらに、定性的研究グループと定量的研究グループに分離
し、結局、6グループに分かれて研究が進む。このうち、ケース研究を行うグループのリサーチ・
ステップはこうだ。
①手分けして文献研究
②文献研究と自らの問題意識・経験を重ね合わせて、仮説づくり
③仮説のフォーマット作り(訪問したときに、何を質問するのかの詳細な打ち合わせ)
④モデル企業を選定して、訪問インタビュー
グループでは共同研究のメリットが追求される。研究を始めるときに文献探索は必須だが、み
んなで手分けして読み議論することで、幅は広く理解は深くなる。
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企業インタビューでも、原則は全員で企業訪問。あれやこれやで、ケース研究グループは、平
均して十社くらいの企業に訪問しインタビューを行った。その数字以上に大事なことは、焦点と
した企業に対しては、よりインテンシブにやったことだ。経営責任者の方はもとより現場担当者
への訪問、そして工場やら物流センター等の施設見学を含め、何回ものインタビューが繰り返さ
れた。東京の同じ企業に、何回となくインタビューを繰り返したグループもある。インテンシブ
調査の目標は、その会社の社長や現場マネジャー以上に、その事業のことを理解すること、これ
に尽きる。
定量研究グループも、同じような道筋をたどって研究が進む。質問表を作って、配布・収集・
分析のステップが入るだけの違いである。
このように、ステップだけを言うと順調に進んだように見えるだろうが、そうではない。行っ
たり来たりの繰り返し。一日がかりでまとまった枠組みが、明日になると、「あれなあ、何か
ちょっと、変なんとちがう」というクレームが入ってリセット。これが何度となく繰り返された。
しかし、砂を積み上げまた崩れという無駄な思える時間の中で、
「自分は、いったい何が知りたいのか」、
「いったい何がわかれば、自分としてわかったことになるのか」、
「五年十年先を睨んで、会社で議論を巻き起こせるテーマは何か」、
「モグラ叩きのような対処策ではなく、会社の様々の問題を包括的に解決できるビジネスのモデルとは」
といったことに、皆が敏感になっていった。
この共同研究が6月まで続いた。その成果を、共同研究論文としてすでに発表したチームもあ
るが、現在でもそのテーマを、自分たちだけで集まって研究しているグループもある。
個人の修士論文の作成にとりかかったのは、6月の中旬にかかってから。提出期限は8月なの
で、2ヶ月もない時期。しかし、共同研究で蓄積された理論的・資料的な成果が手元にあり、加
えてそこでの議論を通して研究に対する問題意識や調査手法は各人の手の内に入っている。
しか
も、各グループのメンバー同士、問題意識は共通しているので、修士論文の途中経過を相談し合
いドラフトも相互に読み合うことができた。
そして、8月の〆切に修士論文を提出した方は26名中19名。
「もう少し完成度を上げたい」と、
提出を延期された方が7名。修論を提出して後も、さらに書き進めて、
『ビジネス・インサイト』
誌(現代経営学研究学会)に2本、
『マーケティング・ジャーナル』誌(マーケティング協会)に
1本の論文が発表される。両方ともレフェリード・ジャーナルだから、立派なものだ。
で、最後に教訓。
「何を研究するか」よりも、もっと大事なことは「どのように研究するか」だ。
たとえば、
「ブランドを研究したい」というレベルの、テーマとも呼べないテーマを抱え、そ
のテーマにどう関係するのかわからないいろいろな文献を無差別に読み、
企業にインタビューに
行っても質問して答えをもらうと次に質問することがなくなってしまう。これは、研究を始めた
最初にやってくるつらい状況だ。
「自分は今、何をやってるんだろう」。
「意味のないことをやっているのではないか」
。
「誰か、これっていう答えを教えてよ」。
無為感や不安が交錯する。つい、これまでの枠で考えてしまうという甘い誘惑も出てくる。し
かし、その誘惑に乗ると、目から鱗が落ちることなどありえない。
このつらい状況を越えるのは、それに慣れた学者でも実はたいへんで、あきらめてしまう場合
が大半だ。しかし、その山を乗り越えないと、腹に座った自分の意見は出てこない。たとえ、す
でに誰かが言っていた意見だとしても、一山越えて掴んだ意見はもう自分の意見。必ずや出てく
るであろう反論に対してきちんと言い返せるし、
新聞や雑誌でちょろい評論家が言うことに惑わ
されることもない。
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前も見えないその山越えにおいて、
何にもまして頼りになるのは、
同じ問題を考え悩む仲間だ。
仲間と一緒であれば、知らぬ間に山越えができる。そう、どこの山を登るのかを決めるより、誰
と一緒に登るのか、その人たちとどのような登頂パーティーを組むのかの方が、何倍も何十倍も
大事なのだ。
◆ 組織
・人的資源管理コース
◆ 組織・
【坂下 昭宣教授】
坂下ゼミでは 12 名全員が修士論文を提出し、そのうちの1名を除く 11 名が合格した。合格し
た修士論文の出来は当然、修士号を取得するのに十分なレベルのものであるが、その中でも1∼
2のものはプロの経営学者が書いた論文に近いレベルのものもあり、
全体としては上々の出来で
あった。
全体的にいえることは、各人とも現場に身を置いているので、かなりの程度にデータ収集がう
まくいったことと、そうしたデータを解釈していく上でゼミでの全体討議を十分活用した結果、
多くの視点からそれが行えたこと、
の2点がすぐれた修士論文となって結実した理由なのではな
いかということである。
ただ、敢えて問題点をあげるとすれば、各人とも論文を仕上げるまでの日数が絶対的に不足し
ているということもあり、相当の精神的プレッシャーがかかっているということである。こう
いった点は、今後の検討事項として残るものと考えられる。
最後に、
上述した1名の不合格者も修士号のレベルにまったく到達していないというのではな
く、
「もう少し手を加えれば、今よりはるかによい論文になるから・・・」という声におされた
こともあって、敢えて不合格になったということである。この者は、半年遅れで再度、修士論文
を提出する予定である。
◆ 会計
・ファイナンスコース
◆ 会計・
【岡部 孝好教授】
この1年の充実
1999年春における社会人MBAコース「ファイナンス・会計」のスタートは猛烈なダッシュで
あった。15 名(男 13、女2)の全員が文献のコピーに走り、インターネットを掻き回し、あち
こちにケイタイし、そしてナナメ読みで本を読みに読んだ。土曜日には朝から夕方まで六甲台の
教室でプレゼンをし、報告を聴き、ふらふらになるまで議論を続けた。しかし、4月、5月を通
じて、学生の悩みは尽きなかったと思う。ターゲットとなるテーマ自体がしっかりと定まってい
なかったから、いったい何を研究しているのか、自分自身を見失っている学生も少なくなかった
ように思う。このときに集めた文献はあたりさわりのないものだったから、ほとんど無駄になっ
たにちがいない。
当初にはかなりの学生が「ベンチャー」
「キャッシュ・フロー」
「グローバル経営」など、新聞
や電車の吊革広告に踊っているハヤリ言葉を口にしていた。
ところが、
5月の連休明けになると、
そういう素人受けはするが、無内容な言葉は陰をひそめ、代わりにSPC、特許網、EVA、401
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K、税効果、SCM、モラルハザードといったテクニカルな専門語がゼミの中を飛び交いはじめ
た。研究テーマがようやくまとまりはじめたのはこの頃のことである。
指導教官にとっても、この頃はいちばん苦しい時で、eメールやファックスをどれほど飛ばし
たことであろうか。夜中に学生のケイタイを呼んだこともあれば、自宅のファックスが紙切れに
なるほど、ファックスが舞い込んだ時もある。しかし5月末にはほぼ勝負は決まりで、ゼミは軌
道に乗った。全員のテーマがともかく決まり、それぞれが自分のテーマに向かって、再び全力疾
走をはじめた。指導教官にとってはヤレヤレというわけである。この頃から自分の仕事もできる
ようになった。
全体のテーマは「ファイナンス・会計」なのに、コンピュータ、ネットワークがらみの個人テー
マが意外に多く、会計というカテゴリーに入るテーマは1本だけしかなかった。IT革命のマッ
タダ中に居るのだから、コンピュータがらみのテーマは当然のことであるが、この分野は足が速
く、信頼できる文献が少ないから、成り行きを心配しなかったわけではない。しかし、学生たち
のパワーはすごくて、ともかく8月の締切には 15 人中 13 人が修士論文を提出した(13 人中2人
は学生交換プログラムによって、
テキサス大オースティン校とコブレンツ大学に出発に出発した
ため、論文審査だけ保留になった)。2人は提出を見送ったが、そのときに論文が出来ていなかっ
たわけではない。納得のいかない部分が残っていたので、提出を半年先送りにし、その検討のた
めの時間を作っただけのことである。こうして4月に猛烈にダッシュした「ファイナンス・会計」
コースは、事実上、8月に修了した。
私のクラスの学生は気だてもいいし、頭も切れる。よく勉強もするし、口もうまい。しかし、
悪文書きが何人か居て、これを直すのにはずいぶんてこずったものである。また説明も甘く、
「自
分で勝手に考えろ」といったタイプの不親切な文もずいぶんと多かった。何度も何度もやかまし
くいったので、悪いクセは治ったはずであるが・・・
夏の土曜日の夕方には、ゼミの後、アウトドアのテーブルを囲んで、何度かビアパーティを楽
しんだし、一緒に山を降りてから、縄のれんをくぐったこともある。この3月には梅田あたりで、
古い話を持ち出しながら一献傾けようといううれしい話もすすんでいる。
むずかしい研究の話は
別にして、社会人MBAコースの学生とのつき合いは楽しい。しかし、研究という面でみると、
一番に得をしたのは、実のところ指導教官の私であったかもしれない。学生諸君もこのコースで
大いに学んでくれたはずであるが、
私もナマナマしいビジネスのタネをずいぶんと仕入れたもの
だ。だから、最近では新聞の読み方が深くなったような気がする。社会人MBAコースのゼミが
始まったのは昨年の4月。プレゼミの2月から数えても、1年余りでしかない。それなのに、こ
の充実した一年の間に学生も教師も変わったことになる。これが「学ぶ」ということなのかもし
れない。
3.
99年度生の研究状況
3.99年度生の研究状況
◆ 経営戦略
・マーケティングコース
◆ 経営戦略・
【田村 正紀教授】
ゼミを次の3つのプロジェクトチームに分けて、研究を行っています。
(1) 顧客サービス・チーム
顧客との関係性の構築が競争優位基盤として、今後ますます重要になると予想されます。そ
の際、顧客サービス業務をどのように概念化し、それをどのようなシステムで管理すればよい
5
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のか。顧客との「サービス・エンカウンター」をキーワードにして、この問題の実証的解明を
目指しています。
(2) 製品開発チーム
新製品を開発するに当たって、顧客との対話情報をどのように生かしていくかが、多くの企
業の関心事になっています。このチームでは、顧客との対話情報を新製品開発情報システムの
中にどのように位置づけるかを実証的に研究しています。
(3) 情報技術チーム
インターネットの普及を中心に、
情報技術がマーケティングや流通に大きい影響を与え始め
ています。このチームは、情報技術が企業の営業体制やマーケティング経路に与える影響を実
証的に解明することを目指しています。
いずれのチームも、現在のところ、企業対象のサーベイを実施すべく、その質問票の設計に取
りかかっています。ゼミの運営は、通常のミーティングだけでなく、インターネットをフルに利
用したネットワーク・ミーティングによって行われています。
【高嶋 克義教授】
プロジェクト演習は正式には2月末に始まりますが、
昨年秋よりこれまでにその準備として事
前の研究会が開かれ、実質的に共同研究がスタートしています。それは個々の学生の関心領域に
基づいて、
(1)営業、
(2)ネットワーク、
(3)ベンチャーの3つのテーマごとに少人数のグ
ループを編成し、グループでそのテーマについて共同研究を行うものです。すでにすべてのグ
ループでは、こうした事前の研究会に加えて、自主的に集まる機会を持ち、関連する文献を集め
て読むことによって、
プロジェクト演習や個々の修士論文作成にむけての準備を着々と進めてい
ます。
プロジェクト演習では、マーケティングについての基礎知識だけでなく、マーケティング・リ
サーチの方法について修得するとともに、実際にグループごとで、各研究テーマに関連したアン
ケート調査と企業への聞き取り調査の両方を実施することになっています。
そしてそこで得られ
た各テーマについての基本的な問題意識や研究成果は、
4月からの演習における個々の修士論文
作成に活かされます。
なお各グループにおける検討課題として期待されるのは、以下のような問題と思われます。
(1)営業
営業改革を考える場合に、従来通りの営業方法のもとで個々の営業マンを育成することに
よって営業力を高める考え方と営業の分業体制や組織体制を変えることで営業力を強化する考
え方の二つがあります。最近の事例を見ますと、情報化や競争の国際化に伴って営業体制その
ものを見直す後者のアプローチが重視されるようになってきています。
そこでそのような営業改革、例えばチーム営業やプロセス管理、SFAなどは、どのように
して導入されるのか、そこでの課題は何か、またそのような改革された営業活動を企業として
支援する体制というのは、どのようなものかといった問題が、重要な研究課題になっているよ
うに思えます。
(2)ネットワーク
ネットワークとは言っても、製販同盟やSCMのような流通のネットワークと、技術提携の
ような開発や生産のネットワークに大きく分かれます。
しかしいずれにおいても情報化と国際
化とサービス経済化という3つの要因が複合して、
企業間取引のネットワークの構造やそれに
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基づく競争関係を大きく変えています。
そこでこのような変化しつつあるネットワークの特徴をどのように捉えるのか、
またこれら
の環境要因によってネットワークの特徴はどのように変化するのか、
そしてその変化は企業の
行動や戦略のレベルではどのように捉えられるのかといった問題が焦点になると思われます。
(3)ベンチャー
ベンチャー・ビジネスに関する問題領域は多様にありますが、中小規模の企業が新規事業を
成功させるうえでとくに障害として強く意識されるのは、
市場開拓や組織体制の問題と思われ
ます。とくにベンチャーにおける顧客に対する営業体制やチャネルをいかに整備できるかは、
事業を成長軌道にのせるための不可欠な条件と言えます。
そこでこのような中小規模で新規の企業がどのようにすれば、
営業体制やチャネルを確立で
きるのか、そのために外部の資源を利用できるのか、また急速に成長する市場に合わせて営業
組織やチャネルを拡充するための条件は何かといった問題が興味ある検討課題として想定され
ます。
◆ 組織
・人的資源管理コース
組織・
【加登 豊教授】
修士論文作成に向けてのプロジェクト研究(2000年2月末∼3月末)および研究指導(2000年
4月より)に先がけて、組織・人的資源管理コースでは、1999 年 12 月より、自主的な研究活動
を開始しています。戦略的提携、人事制度の革新、新規事業開発、規制緩和とネットワークビジ
ネスなど各自の研究テーマに共通するトピックスに関しては、自主的に勉強会を開いたり、意見
交換を行うなどゼミナールの外での活動も活発です。
今年のゼミナールでは、メーリング・リストが大活躍しています。指導教官から全員にメッ
セージを伝える目的で開設したのですが、現在では、個別面談のスケジュール調整だけでなく、
研究上の質疑応答用にも活用されています。研究を進める上での質問の多くは、質問者だけでな
くゼミ生全員に関連するものが多いのでとても有効です。今後は、文章作成指導なども、ゼミ
ナール中だけでなくメーリングリスト上でも行われることになるでしょう。
1月には、最初の合宿を行いました。修士論文の構想を発表し、それに対する質疑応答を行う
形式で行われたのですが、
各自の研究の進捗状況を確認する上で有用でした。
合宿開催日までに、
報告原稿は全員に配布されていたので、短時間の質疑応答も密度の濃いものとなりました。この
報告会では、指導教官、2名のティーチング・アシスタント、大学院生がそれぞれの報告に対し
て、
「既存文献の活用度」
「文献リストの書き方」
「プレゼンテーション能力」
「研究テーマの意義」
「論文完成の可能性」という5つの項目で5点評価(1点:劣る、5点:優れる、ただし3点:普
通の評価はしない)を行い、採点票を各自に手渡しました。この採点票は、自分の研究に対して
他者がどのように評価しているかを知る手段として有効なので、
これからも研究の節目節目で手
渡す予定です。
論文を書くという行為になれるには時間がかかります。
「どのようにして関連する情報を集め
ればいいのか」
「なぜ既存研究を丹念に渉猟しないといけないのか」
「よい研究とはどのような研
究か」
「こうでなければいけないと確信していることに対して、どうして長々と解説を行う必要
があるのか」といった質問は、毎年繰り返されます。このような質問の背後には、
「研究と実践
は異質なものだ」という思い込みがあるように感じます。しかし、私はこの両者がまったく異質
なものだとは考えません。分からないことを明らかにしたい、よりよい解法を発見したい、新た
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な知見を獲得したいといったニーズは、研究にも実務にも共通しているからです。とはいえ、論
文を書くという作業に慣れ親しんでいる方は少ないので、どうしても、この両者は異なるものだ
と感じるようです。このような「違和感」をできるだけ早く解消することが、おもしろい研究の
出発点であると考えます。
8月の論文提出を控え、これから本格的な取り組みが始まります。大学院生たちの研究への取
り組みはまことに真摯であり、勉学意欲も旺盛です。全員そろってすばらしい論文を完成するこ
とができるよう、可能なかぎりのサポートを行いたいと考えています。
◆ 会計コース
【古賀 智敏教授】
私どものゼミでは、1999 年 12 月から 2000 年1月にかけて、既に2回程会合を重ね、2月末か
らのプロジェクト研究のスタートに向けて研究テーマの絞り込みを進めてきました。
本ゼミ参加
予定の 15 名の学生について、当面、①税務・リスクマネジメント、②非営利企業・環境会計、③
投資評価、および④年金・中小企業関連の4グループに分け、各自のテーマに即して文献収集等
を進めているところです。2月末からのプロジェクト研究では、監査法人からの外部講師との討
議を交えつつ、それぞれの問題意識に基づいた論文作成を目指していきたいと思います。
現段階での個人研究のテーマは、下記の表のとおりです。
氏 名
浅野 まどか
天野 雄介
小關 貴裕
川井 健司
木曽 誠一
高橋 昌幸
田中 宏昌
廣田 勝彦
藤田 岳志
南野 嘉治
守谷 一彦
柏崎 秀幸
谷川 昌司
樋口 秀明
松尾 幸喜
研 究 テ ー マ
社会福祉法人の事業評価
リスクマネジメント
投資意思決定への会計データの援用
経営指標
オプション理論を用いた投資管理
年金数理
大企業投資理論の援用
連結納税制度
休学中
新会計規準下における401Kプラン導入の効果
自治体の会計
タックス・プランニング
日本のベンチャー・キャピタル(日米比較)
中小企業(再検討)の適正評価
環境会計
◆ ファイナンスコース
【高尾 厚教授】
このコースは、ストック化経済・高齢化社会における企業・家計のリスクマネジメント・シス
テムの構築を主目的とします。
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周知のように、明治維新から敗戦を経てごく最近まで日本は欧米にキャッチアップするため、
相対的にフロー重視の経済運営を選択し、しかもそれに成功してきました。反面で、ストックの
「思わざる減耗」への備え、つまり資産保全のバックアップにはそれほど留意していなかったと
いえます。それは、資産価値がこの間ほぼ一貫して上昇してきたという経験に照らせば、当然の
ことでしょう。
しかし、新世紀を迎えようとしているわれわれは、バブルの崩壊や超高齢化社会の到来という
「未曾有の」状況に直面しています。これは、フロー経済からストック化経済への移行期にあっ
て、旧弊からの脱却あるいは体質の改善が必要なことを暗示します。
このコースではこのような基本認識の下で、ありうべき活路を探索することします。その際、
先行してストック化経済を構築した西欧米諸国のリスクマネジメント・システムは参考にはなり
ますが、日本に無修正で導入できないでしょう。リスク認知のありようは各国固有の文化の影響
を少なからず受けるからです。それゆえ、われわれは自身の英知を絞って、独自のシステムを構
築しなければなりません。
このコースの目玉の1つは、代表的な生損保に附属の研究所の協力を仰ぎ、リスクマネジメン
トにかかる先端情報を提供してもらうことです。
(なお、平成9年度にすでに本学部は住友海上
リスク総合研究所の研究員に社会人教官を委嘱し、
「現代企業のリスクマネジメント論」という
授業科目を学部学生に提供しました。)また、総合大学という神戸大学の強みを利用して、他学
部にある防災工学や災害心理学の専門家との学際研究によるシナージ効果を抽出することがもう
1つの目玉です。
以下、資産をヒト・モノ・カネの3類型に分け、順次、関連するサブテーマをヒントとして提
示します。もちろん、大学院学生が具体的な細目を自身の問題意識と適性とを勘案して決めるこ
とになります。
①ヒト:
●人的資産管理におけるキーマン保険と団体定期生命保険との意義
●高齢化・少子化社会における生活保障システムの推移
●交通通信網の及ぼすいわゆる「修正拡大家族」のリスクシェアリング機能への効果
●通信手段のデジタル化の医療需給システムに及ぼす影響の検討
②モノ(有形・無形財)
:
●都市防災・企業危機管理におけるリダンダンシーの意義
●海外進出企業のカントリ−リスク対応の国際比較
●PL法、ISO、IASの及ぼす企業の危機管理体制への影響の検討
●非市場的保険取引におけるいわゆる「潜在価格」の計測
③カネ:
●累積・集積・伝染リスクへの対応をめぐる日欧米間比較
●デリバティブによる保険商品の複製可能性の検討
●ビッグバン進行によるリスク引受業態変容へのインパクトの検討
●電子取引・直版による危険分散制度の可能性と問題点
9
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MBAニューズレター No.18
4.
2000 年度
(春入学)の入学試験状況
4.2000
年度(
2000 年度生春入学の試験が、平成 12 年2月 19 日(土)に行われ受験者 122 名の中から、53 名
の方が合格されました。合格者の年齢構成は表1のとおりです。表2のように、出身大学も全国
に及び、所属機関も表3のとおりで、幅の広い業界から多くの応募があり、開かれた社会人大学
院の認知度が高まってきています。こうした多様性は、いろいろな意味で研究の発展に結びつく
ものと確信しています。
表1 合格者年齢構成
表2 合格者出身大学
志 願 者 数 122名
20代
13名
合
30代
27名
格
10名
者 40代
50代以上 3名
合 計
53名
(国公立大学)
東北大学
東京大学
静岡大学
名古屋大学
三重大学
滋賀大学
京都大学
大阪大学
神戸大学
和歌山大学
徳島大学
高知大学
大阪市立大学 姫路工業大学
(私立大学)
青山学院大学 亜細亜大学
慶應義塾大学 上智大学
中央大学
立教大学
早稲田大学
名城大学
同志社大学
立命館大学
関西大学
関西学院大学
甲南大学
表3 合格者所属機関
朝日アーサーアンダーセン(株)
朝日放送(株)
味の素(株)
アジレント・テクノロジー(株)
NTTコミュニケーションズ(株)
大阪ガス(株)
京セラコミュニケーションシステム(
大阪府立産業開発研究所
京セラ(株)
近鉄不動産(株)
(株)神戸製鋼所
(株)三和総合研究所
塩野義製薬(株)
シャープ(株)
ソーケンマネジメント(株)
(株)ダイエー
大同生命保険相互会社
ダイハツ工業(株)
武田薬品工業(株)
田辺製薬(株)
(株)電通
(株)電通国際情報サービス
ニチメンキャッシュマネジメント(株
西日本電信電話(株)
日本イーライリリー(株)
日本コンピューターシステム(株)
(株)日本総合研究所
社会福祉法人日本ライトハウス
(社)日本ロジスティクスシステム協会
(株)野村総合研究所
(株)パイオニアAFM
阪急電車(株)
(株)阪急百貨店
阪神電気鉄道(株)
富士通(株)
(株)ブリジストン
プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・香港貿易発展局
増田泰之税理士事務所
松下電工(株)
三菱重工業(株)
ミノルタ(株)
ヤンマーディーゼル(株)
吉富製薬(株)
MBAニューズレター No.18
5.
2000 年度生対象コース内容
5.2000
◆ 経営戦略
・マーケティングコース
◆ 経営戦略・
【加護野 忠男教授】
日本企業を取り巻く環境はずいぶん大きく変わりつつある。経済のグローバル化の流れ、情報
技術の発展、社会の価値観の変化。これらはすべて経営戦略の転換を迫るものである。このプロ
ジェクトでは、経営戦略の全般について研究を行うが、とくに次の点についてうまくプロジェク
トを編成できればと考えている。
(1)企業統治の諸制度と経営戦略との関係
(2)事業の新陳代謝と全社戦略
(3)新事業の創造のための支援体制
(4)事業の仕組み(ビジネスモデル、事業システム)の再構築
(5)日本企業の国際戦略課題
(6)価値創造の戦略
【得津 一郎教授】
1989 年に、社会人MBAコースが始まって以来、毎年のように統計学・データ解析などの講義
を担当してきました。しかし、本格的なプロジェクト研究や演習を担当するのは初めてのため、
少々戸惑っています。
いつまでも戸惑っているわけにもいかないので、次のような基本方針を考えました。①僕の専
門分野は応用計量経済学です。このため、戦略やマーケティングといった経営問題を、
「データを
通して」プロジェクトの参加者と一緒に考えて行く。②研究テーマの設定についてはプロジェク
トの参加者の意向を出来るだけ尊重する。少し積極的に言うならば、どのようなテーマを研究す
るかは、プロジェクトの参加者が、自らの現実感覚と思索によって設定すべきものと考えていま
す。
そこで、今回は、具体的な研究テーマというより、どのような考え方でプロジェクト研究を進
めていくかを、
簡単に説明しておこうと思います。
「生きた労働」、「死んだ労働」という言葉を知っ
ていますか? たとえば、トヨタとGMでは、どちらの生産性が高いのかという問題を考えてみ
ましょう。トヨタでは1台の自動車を作るのに3人が、GMでは同じ1台の自動車を作るのに5
人が働いているとすれば、普通はトヨタの生産性の方が高いと思うでしょう。しかし、自動車を
作るには鋼板が必要です。トヨタ、GMはそれを、それぞれ新日鉄、USスティールから購入し
ています。1台の自動車を生産するために必要な鋼板を作るために、新日鉄では 10 人、それに
対してUSスティールでは5人しか働いていないとするならば、
結局トヨタの自動車を1台生産
するために働く人は 13 人、GMの自動車を 1 台生産するためには 10 人となってしまいます。こ
のように考えると、社会的に見ればGMの方が生産性は高いのではないでしょうか。これだけで
はありません。自動車を作るには、ガラスも、タイヤも、プラスチックも、電子機器も必要だし、
それらを作るのにも人々が働いているのです。
自動車を作るためにトヨタとGMで働いているそ
れぞれ3人、5人の労働のことを「生きた労働」と呼びます。これに対して、自動車を作るために
必要な鋼板やガラス、タイヤ、プラスチックなどを作るために働いている人の労働を(自動車の
生産にとって)
「死んだ労働」と呼ぶのです。
トヨタやGMという目に見えるところだけを見ているだけでは、
ほんとうのことがわからない
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MBAニューズレター No.18
ことは多々あります。研究もこれと同じです。一見「役に」立ちそうな研究や企業で現実に直面し
ている問題をすぐに解決してくれそうな「生きた研究」も、
実はその裏には多くの「死んだ研究」が
隠れていることを知る必要があります。それどころか、この「死んだ研究」=「隠れた研究」をどれ
だけ見つけ出せるか、もしくは少なくとも肌で感じることができるかによって、あなた方の研究
が真の意味で「生きた研究」となるかどうかが決まるのだと思います。
このプロジェクト研究では、
「生きた研究」だけでなく「死んだ研究」=「隠れた研究」も重視したい
と思っています。このことを神戸大学MBAコースで学ぶことは、きっと企業でも役に立つはず
です。たとえ、今すぐに役立たなくても、将来取締役や社長になったとき、それが真の意味で「生
きた研究」として華々しくデビューするはずです。プロジェクト研究の成果を、そういう長い目
で見たいと思っています。
最初に少し触れたように、プロジェクト研究のキーワードは「データに語らせる」です。テーマ
は、企業経営そのものから、外国為替、金融市場、規制緩和など企業経営を取り巻く経済環境と
企業経営との関係まで、どのようなものであっても、とにかく「データに何をどのように語らせ
るか」という視点で進めて行こうと思います。どんな些細な疑問でも、本当に自分が企業で感じ
たこと、解決したいと思ったことを、僕も一緒に真摯に考え、着実な成果をあげたいと思ってい
ます。
◆ 組織
・人的資源管理コース
◆ 組織・
【奥林 康司教授】
社会人院生の演習担当は、第Ⅲ期生(1993 ∼ 94 年)の担当以降久しぶりですが、新しい状況
に対応したコースを設計し、運営してみたいと思っています。また、第Ⅲ期の社会人院生で、今
は産業界で活躍している先輩達とも話し合える機会を造り、
在学中にどのようなことを勉強して
おけばよいか、
また院生の学習や生活経験が職場でどのように役立っているかなども教えてもら
う予定です。
このコースの主要な研究領域は、組織と人的資源管理ということになっています。この分野に
おいて産業界では実に多くの課題が検討されています。例えばリストラを伴う組織再編、合併や
買収に伴う組織改革、カンパニー制、コーポレートガバナンスの改革、グループ企業の経営、派
遣社員や契約社員の活用、従業員のエンプロイヤビリティーの向上、成果主義の強化、キャリア
開発、目標管理の導入、年俸制の運営、企業年金制度の改革、カフェテリア・プランの導入、女
性社員の能力発揮、中高年齢者の雇用継続、海外要員の育成、海外日系企業における人事労務管
理などです。
職場における問題意識を科学的なフレームワークやより客観的なデータを使いなが
ら深く分析していくことが社会人大学院生の課題であると思います。
大学院での研究は院生自らが、より広くかつ深い知識を身につけ、自分達で思考を深めること
であると考えています。従って、学習の方法としてもグループ学習方式をその一部に取り入れ、
自分達で学習する態度と技術を身につけて頂きたいと思います。今までは何気なく、無意識に
やっていた行動が、その意義が解り、意識的に行動し、更には改善まで提案しうるようになれば、
修士課程の成果は達成されたと考えています。皆さんと共に研究し、人生をより深く味わえるこ
とを楽しみにしています。
MBAニューズレター No.18
◆ 会計
・ファイナンスコース
◆ 会計・
【谷 武幸教授】
(1)演習の目的と方法
2001 年度から始まる演習では、2000 年の管理会計応用研究および会計プロジェクト研究を
受けて、組織の活性化/エンパワメントのための管理システムを取り上げる。以下に掲げるさ
まざまな管理システムを考えることができるが、これらのシステム、あるいは類似のシステム
を導入して、演習参加者の組織がどのように変わりうるのか、参加観察型の研究を行えればと
考えている。
(2)取り上げる管理システムの例
a. 製品開発のコストマネジメント
製品開発にかかわるさまざまな人々の間で、情報共有をはかり、またネットワークをどう
作っていくのか、そのための組織、情報システム、管理会計、経営工学のあり方を探る。
b. カンパニー制
カンパニー制が注目を浴びているが、事業部制とどう違うのか、ネットワークの形成により
新事業開発にどうつながっていくのかなどを考える。
c. ミニ
ミニ・
・プロフィットセンター
カンパニー制と異なり、5名から 10 数名で自律的な組織を工程別などに作るのがミニ・プ
ロフィットセンターである。組織が小さいと一見組織の壁が高くなりそうだ。しかし、逆に情
報共有が進み、現場の活性化につながっているケースが多く報告されている。そこで、ミニ・
プロフィットセンターによる活性化の要件を探る。
d. ABC/ABMと業務革新
アクティビティを中心にコストを捉え、
またアクティビティのマネジメントを行うのがABC
/ABMである。この方法による業務革新のケースを取り上げる。
e. バランススコアカード
戦略の実施や創発を促進するためのシステムとして、
業績評価指標に財務指標と非財務指標
を多元的に使うバランススコアカードが注目を浴びている。
このシステムの日本におけるあり
方を探る。
(3)参考文献
谷 武幸『製品開発のコストマネジメント』中央経済社、1997.
加登 豊『原価企画』日本経済新聞社、1993.
三矢 裕・谷 武幸・加護野忠男『アメーバ経営が会社を変える』ダイヤモンド社、1999.
吉川武男『日本型ABCマネジメント』生産性出版、1997.
キャプラン・ノートン、吉川武男訳『バランススコアカード』生産性出版、1997.
6.
2000 年秋入学についての重要なお知らせ
6.2000
これまで幣研究科では、
より実のあるMBAプログラムとするため各種の改訂を行ってきまし
た。この一環として、この 2000 年秋入学のMBAコースの入学試験の制度が変わることになり
ました。秋入学は、所属組織からの推薦があり、平日昼間の授業にも出席できる方々のみを対象
とすることにさせていただきます。より具体的には、秋(10 月)に入学される方々は、2000 年
度生対象のコースに参加していただき、2001 年度秋に修了を目指すことになります。このため、
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MBAニューズレター No.18
平日昼間の授業を履修して単位を取得すること、
ならびにプロジェクト演習に先行する形で秋後
半から開始することが予定されている事前研究会に参加することが、その条件となります。
皆様方の組織からのご推薦をよろしくお願いいたします。なお、出願書類は5月下旬にできあ
がる予定です。入学試験は8月下旬を予定しております。試験日程等についてはまたホームペー
ジでもお知らせする予定です。
7.
社会人非常勤講師による特別講義
7.社会人非常勤講師による特別講義
経営学部では、昭和 62 年度から企業のトップ・マネジメントや各界のリーダーをお招きして、
様々な業界に属する企業や各種組織が直面する経営上の先端的問題について講義いただいており
ます。さらに、平成 10 年度からはMBAコースにおいても開講しています。最近の講義のテー
マと担当者(担当グループ)は表4の通りです。
表4 社会人非常勤講師による講義
平成10年度
エレクトロニクス事業経営論
株式会社シャープ
総合商社経営論
日商岩井株式会社
ベンチャービジネス経営論
パソナ・グループ
日本産業政策特殊研究
通商産業省
平成11年度
プロスポーツ経営論
金光 千尋オリックス野球クラブ常務取締役
エレクトロニクス事業経営論
三洋電機株式会社
新産業創出支援システム論
田中 宏氏ほかVB経営者及びVB支援機関
日本産業政策特殊研究
通商産業省
情報産業特殊研究
株式会社NEC総研
平成12年度
モバイルマルチメディア事業経営論
株式会社NTTドコモ関西
尾原 蓉子IFIビジネススクール学長ほかファッション
関連企業
ファッション産業経営論
コンサルティング経営論
朝日監査法人
コミュニケーション産業論
株式会社電通
8.
留学
・協定関連
8.留学
留学・
神戸大学大学院経営学研究科では、海外の大学と協定を結び、学術研究及び学生の交流を図っ
ています。MBAコース在学中に、次の提携大学院に留学することもできます。留学先の大学で
取得した単位は 10 単位まで、本研究科の単位として認定されます。その他にも、神戸大学とし
て大学間で協定を結んでいる海外の大学もあります。
最近の本研究科及び経営学部での留学派遣
状況は表5のとおりです。
MBAニューズレター No.18
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•iŠw•”ŠÔ‹¦’è•j
アメリカ
ワシントン大学大学院経営学研究科
テキサス大学オースティン校大学院経営学研究科
カリフォルニア大学ロサンゼルス校アンダーソン大学院経営学研究科
イギリス
マンチェスター大学大学院経営学研究科
フランス
エコール・シュペリュール・ド・コメルス・ド・パリ(ESCP)
エコール・シュペリュール・ド・コメルス・マルセイユ・プロヴァンス(ESCMP)
ドイツ
コブレンツ経営管理大学
オーストラリア メルボルン大学経済学部
オーストリア ウィーン経済大学
•i‘åŠwŠÔ‹¦’è•j
アメリカ
イギリス
中国
エモリー大学、コーネル大学
エッセックス大学、シェフィールド大学、ミドルセックス大学
復旦大学、中南財経大学、北京大学
•\‚T•@—¯Šw”hŒ-•ó‹µ
年 度
学部/ 一般/
大学院 社会人
学
平 成 10年 度
期 間
氏 名
般 ワ シ ン トン大学
H10.9∼H11.3(7ヶ藤 井
敬 志
一
般 テ キ サ ス大学
H10.9∼12(4ヶ月) 清 水
信 年
一
般 コ ブ レ ンツ経営管理大学H8.9∼H11.8(1年前 川
夏 子
一
般 ワ シ ン トン大学
H11.10∼H12.3(6ヶ杉 山
す な ほ
一
般 ワ シ ン トン大学
H11.10∼H12.3(6ヶ永 本
真 一 郎
一
般 テ キ サ ス大学
H11.8∼12(5ヶ月) 小 川
千 里
社 会 人 テ キ サ ス大学
H11.8∼12(5ヶ月) 八 馬
弘 邦
社 会 人 テ キ サ ス大学
大 学 院 社 会 人 ESCP
H11.8∼12(5ヶ月) 田 渕
和 昌
H11.9∼H12.1(5ヶ竹 内
利 江
H11.9∼H12.8(1年西 川
英 彦
社 会 人 コ ブ レ ンツ経営管理大学H11.9∼12(4ヶ月) 吉 川
浩 二
社 会 人 コ ブ レ ンツ経営管理大学H11.9∼12(4ヶ月) 伊 藤
誉 子
大学院
学
平 成 11年 度
部 一
派 遣 先
部
社 会 人 ESCP
平 成 12年 度 学
部 一
般 メ ル ボ ルン大学
H12.2∼12(10ヶ月) 小
林
愛
9.
ホームページのご案内
9.ホームページのご案内
神戸大学大学院経営学研究科のホームページでは、
MBAコースの詳しい内容や各教官の紹介、
シンポジウム・ワークショップの開催、発行雑誌のご案内をしています。
また、社会人大学院生の有志が運営するホームページ“MBACafe”は学生同士のコミュ
ニケーションの場として利用されています。アドレスは下記の通りです。
●神戸大学大学院経営学研究科ホームページ:http://www.b.kobe-u.ac.jp
●MBAコースポームページ:http://www.b.kobe-u.ac.jp/mba2.htm
●MBACafe:http://www.std.kobe-u.ac.jp/mba/
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MBAニューズレター No.18
10.
ワークショップのご案内
10.ワークショップのご案内
「ビジネスインサイト」 第27回ワークショップ
●テーマ:サプライチェーン・マネジメントの虚像と実像
●日 時:2000 年6月3日(土)13:30 ∼ 17:00
●場 所:神戸大学大学院経営学研究科 本館 206 教室
<ワークショップの趣旨>
サプライチェーン・マネジメントに関しては、多様な検討が行われてきています。系列に代表
される日本的な取引関係からオープンなネットワークへと転換することが必要だとされています
が、それはいうほどたやすいことではありません。また、系列取引の合理性も簡単には否定でき
ません。物流・商流の合理化・効率化は、果たしてどの程度サプライチェーン・マネジメントに
よって実現できるのでしょうか。数多く存在する ERP ソフトウェアは、どの程度有効なのでしょ
うか。サプライチェーン・マネジメントのフロンティアでは今いったい何が起こっているので
しょうか。
マスコミ等で頻繁に取り上げられるビジネストピックスは一般に表層的な論議に終始しがちで
す。今回のワークショップでは、サプライチェーン・マネジメントの真の姿に迫ることを目的と
しています。
日本的経営の本質を理解する一助にもなるワークショップを目指して、企画しましたので、ぜ
ひともご参加ください。 ワークショップでは、本研究科の宮下國生と加登豊が問題提起を行います。それをもとに、サ
プライチェーン・マネジメントに現在取り組んでおられる先進企業から担当者をお招きし、専門
家も交えてパネル討議を行います。サプライチェーン・マネジメントのみならず、系列再編成、
組織間コストマネジメント、アウトソーシング、ITによる生産性向上などの問題に関心を持っ
ている方々のご参加を期待しております。単に聴講するだけでなく、議論にもご参加下さい。
<プログラム>(予定)
13:30 ∼ 13:35
13:40 ∼ 14:40
問題提起 宮下 國生 (神戸大学大学院経営学研究科 教授) 基調講演 加登 豊 (神戸大学大学院経営学研究科 教授)
14:40 ∼ 15:00
15:00 ∼ 17:00
コーヒー・ブレイク パネル討議 パネリスト:
(松下電器産業(株)から一名)(予定)
今岡善次郎氏 ((有)ビジネスダイナミックス 代表取締役)
司
会 :
小川 進 (神戸大学大学院経営学研究科 助教授)
加登 豊
上記のワークショップに参加ご希望の方は、ファックスにてお申し込み下さい。個人会員は2名
様、法人会員は 10 名様まで会員料金でご参加いただけます。参加費は当日会場にてお支払い下
さい。詳しくは、神戸大学大学院経営学研究科 第2研究助成室気付 現代経営学研究学会まで
お問い合わせ下さい。
MBAニューズレター No.18
11.
ビジネス
・インサイト購読のご案内
11.ビジネス
ビジネス・
季刊ビジネス
・インサイト
季刊ビジネス・
現代経営学研究学会は、1993年に神戸大学経営学部が中心となって設立されました。この学会
は、通常の学会とは違い、大学とビジネス界との接点になろうとしたものです。この学会を通じ
て、大学での研究成果を社会に還元し、ビジネス界の問題を大学の研究にフィードバックするこ
とができればと希望しております。このためのコミュニケーション手段として、季刊『ビジネス・
インサイト』を刊行しています。3月末、6月末、9月末、12 月末というペースで刊行されます。
『ビジネス・インサイト』は、これまで日本の大学が発行してきた雑誌とは異なり、ビジネス
マンを読者としたもので、
ビジネスの世界と大学のコミュニケーション手段としての役割を果た
そうとするものです。
本誌は、
ビジネスエリートになろうとしている人々を読者としております。
このような読者に、ビジネスの本質的な問題について、大きく、深く考えていただくことができ
るような題材を提供したいと考えております。
本雑誌の名称のなかで、インサイト(insight)とは、洞察あるいは洞察力を意味します。身近
な問題を、長い歴史的視点からとらえ直す。より大きな文脈のなかから問題を見据える。問題を
表層だけでなく、深く掘り下げて考える。こうしたことを通じてビジネスの問題について、新し
い洞察を生み出していただこうというのが、この雑誌の狙いです。学者の論文になりがちな難解
な表現を避け、できる限り平易な表現を思考していきます。また、読者とのコミュニケーション
にも力点をおきます。なお、本誌は書店では販売されません。
購読会員の特典
● 個人購読者、法人購読者とも、現代経営学研究学会の会員として登録され、学会のシンポジウム、
講演会、ワークショップへ会員価格で(個人購読は2名、法人購読は 10 名まで)参加することが
できます。
(シンポジウムは年1∼2回、ワークショップは年4回程度開催されます。)
● 毎年発行される神戸大学院経営学研究科のディスカッションペーパーを郵送料プラス実費の
ご負担で入手することができます。
購読料
● 個人購読 年間購読料 20,000 円
● 法人購読 年間購読料 90,000 円
(『ビジネス・インサイト』を1号につき5部送らせていただきます。)
詳しいお問い合わせ、お申し込みは下記の現代経営学研究学会事務局までお問い合わせ下さい。
〒 657-8501 神戸市灘区六甲台町2−1
神戸大学大学院経営学研究科
第2研究助成室気付 現代経営学研究学会
FAX: 078-882-7148
TEL: 078-803-6952
(ダイヤル・イン)
078-882-7148 TEL:
E-mail: bkenjo2m@rose.rokkodai.kobe-u.ac.jp
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