お客様向け刊行 l 2014 年 11月 インダストリー 4.0 第四次産業革命の幕開け:新時代の工 場を目指して 新製品 コスト削減と環境保護 : レシプロコンプレッ サー 制御システム・eHydroCOM 一流の性能 ホルビガー TriVAX flex: 電気油圧式バルブア クチュエータが、その技術の実用性を証明 HOERBIGER@MOTION 1 ‚‚ 社説 2 HOERBIGER@MOTION お客様の要望に的確に応えるために、 これからのテクノロジーの方向性を 知っておく必要があります。 社説 ご愛読者各位 ータおよびレーザー切断機用のホルビガー・レーザーガスレギ ュレータが再度、板金加工テクノロジー国際展示会に来場した 業界スペシャリストの関心を集めていました。またホルビガーが 開発したmicroGROOVE を採用している Blocker Ring Basic は、 自動車業界における精度と効率性に新たなスタンダードを打ち 立てつつあります。今号の HOERBIGER@MOTION では、Melanie Stahr が記事の中で斬新なイノベーションと言えるこの製品 について触れています。 Achim Neuwirth と David Spaeth がドイツ - ラシュタットにあ るダイムラー AG のトランスミッション工場を訪問しました。当 拠点では、ホルビガー シンクロナイザーが装備されたメルセデ スベンツ A および B クラスのマニュアルトランスミッションが 製造されています。 ホルビガー刊行雑誌、HOERBIGER@MOTION 最新号ではイン ダストリー 4.0(第四次産業革命)について特集します。 一見、インダストリー 4.0 は複雑なワークフローを抱える会社に とって、むしろ問題になると思われがちです。コンポーネント製 造業社であるホルビガーがなぜこのトピックに注目しているの か疑問に思われることでしょう。 ユニークなコンポーネントが機器のパフォーマンスを上げたとし ても、コンポーネント、システム、およびサービス自体がインダス トリー 4.0 を駆動させることは出来ません。けれども、弊社のシ ステムソリューションや開発が、新時代の工場が求める条件に マッチしなければならないことは明白です。石油、ガスまたはプ ロセス産業界におけるお客様の要望に的確に応えるために、こ れからのテクノロジーの方向性を知っておく必要があります。こ れは、工場、機械製造に携わる者にとってはなおさら言えること です。それゆえ私たちはマーケットにおけるテクノロジーの動向 に注目しています。 2014 年の夏にはエンジニア、開発者、オペーレションおよび IT エキスパートらが、ホルビガー全拠点よりシュトゥットガルトに 集い、知識と経験を共有する機会を設けました。その 2014 年 度ホルビガー製造会議の講演者として、インダストリー 4.0 分野 における経験豊富なエキスパートを招きました。彼らのプレゼ ンテーションは大変興味深いものでしたので、今回それらのプ レゼンテーションを HOERBIGER@MOTION という、さらに幅広 いコミュニケーション プラットフォームでご紹介することが出来 て嬉しく思います。 最新イノベーションの発表や、注目すべきお客様の事例などは、 HOERBIGER@MOTION には欠かせません。ですから今秋号でも 皆様が関心を持って下さるようなトピックをお届け致します。ま ず最初にハノーバーで開催された EuroBLECH 2014 についてご 紹介します。ブレスブレーキ用の電気油圧式 ePrAX® アクチュエ Charles Butcher と Ralf Baumgarten は、チェコ共和国の石油 会社ユニペトロールを通じてホルビガー eHydroCom を知りま した。新開発された電気式容量制御システムが採用されて以 来、窒素コンプレッサーを運転する上でかかる莫大なコストの 削減に成功し、またパフォーマンスの向上も達成しました。 ポルツにある天然ガス輸送システムオペーレーター『オープング リッドヨーロッパ (Open Grid Europe) 』では、弊社が開発した 電気油圧式 TriVAX フレックスバルブアクチュエータの試運転 を始めて数か月になります。HOERBIGER@MOTION の取材で現 場に派遣された Wolfgang Leppert と Ralf Baumgarten は 、 ドイツ最大のパイプラインネットワークにおけるバルブの特定 条件を考察しました。 今号の HOERBIGER@MOTION を、読者の皆様が関心を持って 読んでいただけるように尽力致しました。 是非お楽しみ下さい。 HOERBIGER Holding AG 最高経営責任者兼代表取締役 Dr. Martin Komischke www.hoerbiger.com/motion にて今号の HOERBIGER@MOTION におけるご意見、 ご感想等を送信して頂けます。 また右側の QR コードを使ってお問い合わ せ頂くこともできます。 HOERBIGER@MOTION 3 EDITORIAL 社説 29 32 6 特集 46 40 50 4 HOERBIGER@MOTION HOERBIGER@MOTION 特集 : インダストリー 4.0 今年、シュトゥットガルトで開催されたホルビ ガー製造会議では、ホルビガー 19 社からの 精鋭が参加し、”競争力があって、地球にも優 しい製造工程”という課題に対し、科学や産 業界の高名なエキスパートと経験や意見を交 換しました。 6第四次産業革命 インダストリー 4.0: 製造施設とロジスティッ クシステムが自らタスクをこなしていく『新時 代の製造』。これが現在の科学と産業界で一 番注目を集めているトピックの一つです。 幕開け 22効率的、信頼性、低ノイズ EuroBLECH 2014 ( 第 23 回 国 際 板 金加工見本市)に出展:板金加工に おけるパワーと精密性 グローバル化を進める際の最大の敵は競 争企業ではなく、その『複雑性』です。 16ヒューマンファクター 新時代の製造システムでは、今まで以上に ヒューマンファクターが重要になっていく でしょう。 20ネットワーク原則 マシーネンファブリク・レインハウゼンは独 自に開発された製造システムを用いて、機 器、工場やシステム全てをネットワークで 結びます。 トランスミッション 32 高品質のマニュアルシフティング 46一流の性能 Open Grid Europe GmbH (オープ ングリッドヨーロッパ) は、ドイツ 最大のガスパイプラインネットワ ークを運営しています。ポルツス テーションではホルビガーが開発 した電気油圧式バルブアクチュエ ータのトライアル使用(1年間)が 無事に終了しました。 メルセデスベンツのガゲナウ工場は マニュアルおよびオートマティックト ランスミッションのコンピテンスセン ターとして世界的に評価されていま す。実はホルビガーも、その一端に 貢献しているのです。 28シンプルにシンクロナイズ microGROOVE を採 用した Blocker Ring Basic が、ハイボリュームトラン スミッションエントリーレベルセグメ ントにおいて新しいスタンダードを 確立しました。 12よりシンプルに 40 低コスト、ハイパフォーマンス 石油会社ユニペトロールは、ホルビ 50エンジニアリングの歴史に迫る ガーが新しく開発した eHydroCOM テクノロジー愛好家・15名が弊社 容量制御システムをチェコ産業用ガ の支援のもとに、英国北西部の小 ス製造所に設置し、優れた結果を残 さな町にあるスチームエンジン2 しています。 台の復旧に成功しました。 29ホルビガー・ドライブテクノロジーを 採用した最新の自動車 Jeep レネゲード、 「ポニーカー」の最 新版、およびメルセデスベンツの B クラス 54 ショートカット 57 クレジット一覧 オーストリア、ドイツ、中国における弊 社のプロジェクトニュース、およびデ ジタルワールドに関するニュース HOERBIGER@MOTION 5 FEATURE 特集 第四次 産 業 6 HOERBIGER@MOTION FEATURE 特集 インダストリー 4.0:製造施設とロジスティックシステムが自らタスクを こなしていく 『新時代の製造』。 これが現在の科学と産業界で一番注目 を集めているトピックの一つです。 文章: Jens Geisel 写真:KD Busch, Fotolia, dpa, Getty Images, iStockphoto 革命 HOERBIGER@MOTION 7 FEATURE 特集 グローバル化に ともなって、“製造”は 成功における重要な 鍵を握るようになり ました 四つの産業革命 1 2 3 4 8 と蒸気動力の進出によって機械生産機 水 器が導入されました。1785 年にはEdmond Cartwright によって機械式織機が発明され ました。 気の使用と分業により、物品の大量生産が 電 可能になりました。流れ作業式生産が 1845 年頃にシンシナティの産業畜殺場で最初に 導入されました。 子技術(エレクトロニクス分野) 電 とITの進歩 がマイクロ電子革命をもたらしました。常に 進化するマイクロチップが “自動製造” を一 変させたのです。 1969 年には Richard Morley が最初のプログ ラマブル論理制御装置、 「モディコン084」を 開発しました。 サイバー・フィジカル・システムおよびモノの インターネット (Internet of Things)によって、 優れた迅速性と正確さ、資源の効率性、およ びエルゴノミクスを特徴とする 『スマートファ クトリー』が設立されました。 HOERBIGER@MOTION FEATURE 特集 ルビガーは高性能なコンポーネントによってス タンダードを確立します。弊社の成功維持の秘 訣は、一流のエンジニアリング、 しっかりと最適 化されたプロセス、納期厳守、優れた製品品質、および 競争価格にあるのです。 ここではオペレーション(運用業 務)が重要な役割を果たしています。 グローバル化によ り、“製造”は成功における重要な鍵を握るようになりま した。 ホ HOERBIGER@MOTION HOERBIGER@MOTION 9 FEATURE 全工程における自動 制御式 - 高性能相互 接続化が、重要な役 割を果たすようにな るでしょう 10 HOERBIGER@MOTION 特集 弊社はこの傾向に早くから気づき、製造に関する課題をグルー プ内で積極的に共有するのに、様々な試みをしてきました。 本プロセスにおいて年次開催される製造会議は不可欠です。 今回、司会を務めたグローバルオペレーションコンプレッショ ンテクノロジー事業部門、エグゼクティブ VP‐Hannes Hunschofsky は、初めてホルビガー全グループに会議を開放しま した。ホルビガー 19 社から 合計 86 名が、バーデンヴュルテ ンベルク州の州都であるシュトゥットガルトで開催された 3 日 間の会議に参加しました。そこでは、競争力に優れ、独自の強 みを持ち、かつ環境に優しい製造という課題に対して、それぞ れの経験や意見を交換し合ったのです。 Hunschofsky は次のように述べました。 「経験を広く共有する ことで業務の優位性向上を目指し、前進するのです。ここ数年 で弊社の製造業務がより柔軟化し、またグローバル化も推し 進めることに成功しましたが、それでも目標までには長い道の りがあります。現状に満足していてはいけません。最適化でき る可能性を見つけ出し、活用する必要があります。」 課題に取り組んでいる時、 「内部から」という限定された視点 から離れて、外部のインスピレーションを取り入れることは、 時に重要です。それゆえ、ホルビガーは科学および産業界から 高名なエキスパートらを招き、今年の製造会議で講演していた だくことにしたのです。彼らは、インダストリー 4.0 に関する出 版物および講演において、非常に高く評価された専門家です。 会議後 3 人の講演者に、それぞれのプレゼンテーションを HOERBIGER@MOTION のゲスト記事として特集させてもらえ るよう依頼しました。彼らの講演内容を記事にすることで、 『製 造業の未来』という興味深いトピックを、さらに多くの皆様に お届けしたかったのです。 「よりシンプルに」という記事では、Werner Bick 博士 兼 教 授がリーン原則とインダストリー 4.0 がどのように連携し、企 業組織の効率性を上げたか、また顧客のニーズに応えること ができるか、ということを詳細にわたり述べています。 「ヒュー マンファクター」という記事では、Friedrich Bleicher 博士 兼 教授が、システムオペレーターの担当者に求められてものが 変化していることに注目しています。また Johann Hofmann 氏の「ネットワーク原則」では、実践的な具体例としてレーゲ ンスブルクに本部をかまえるマシーネンファブリク レインハウ ゼンが、インダストリー 4.0 のコンセプトを導入することで、ど のように機械、工場、およびシステムをネットワーク化したの か説明されています。 2014 年度ホルビガー製造会議:司会を務めたグロー バルオペレーションコンプレッションテクノロジー事業 部門エグゼクティブ VP の Hannes Hunschofsky は参 加者と講演者を歓迎しました。 「経験を広く共有するこ とで業務の優位性向上を目指し、前進するのです。」 インダストリー 4.0 学術用語において「インダストリー 4.0 」とは、 第四次産業革命を示す造語です。流体力学の 力と蒸気エンジンから製造機械化 ( 第一次産 業革命 ) に発展し、ライン生産方式から大量生 産が導入され ( 第二次産業革命 ) 、コンピュー ターとロボットによって製造プロセスが自動化 ( 第三次産業革命 ) されました。そしてその概 念を製造の「情報化」と呼ぶようになったので す。 インダストリー 4.0 で理想とされている 「次世 代の工場」では、機械製造のように極めて回転 が速い上に、ばらつきのある注文にも対応出来 ます。また、高度に専門化された大量生産とは 異なり、 このようなカスタマイズ化に追加費用 がかかることはありません。 これには、人の介入なしでも製造施設とロジス ティックシステムが自らタスクをこなす製造環 境が必要です。 「モノのインターネット」 とは、 様々なプロセス過程で製品自体がデータを運 ぶ媒体となり、互いに情報交換(通信)するとい う仕組み / 観念ですが、 これを取り入れたサイ バー・フィジカル・システムによってテクノロジ ーの基盤が形成されています。 HOERBIGER@MOTION 11 特集 よりシンプルに 来たる第四次産業革命のビジョンによって始まったトレンドは、 この先 飛躍的に加 速していくだろう。企業は今すぐに自社のインダストリー 4.0 の概念が十分である のか吟味するべきです。 文章: Werner Bick 教授 兼 博士 ローバル化の最大の敵は企業ではなく、その複雑性 です。企業の複雑化にともない、その複雑性が国家経 済と生産ネットワークの統合というマクロレベル、そし て各工場における時間、 コスト、および品質管理などのマイク ロレベルという両極に到達し、 これを無視することは出来なく なりました。では、 どのように、 この複雑性をシンプル化するこ とが出来るのでしょうか? その答えは、 「インダストリー4.0」の 中にあります。 「第四次産業革命」の目指すものは、人・機械・製 造そしてロジスティックシステムが内部と外部両方からネット ワークで連結し、相互コミュニケーションがとれる環境を確立 することです。 この革命が特定のテクノロジー開発に左右され ている一方で、 このトレンドは、 これから先何年かに飛躍的に 加速するだろう強い兆候がみられます。 グ 企業は、テクノロジー、組織、および人材等の問題を含めて、自 社のインダストリー4.0の概念を今一度しっかり吟味する必要 があります。 またインダストリー4.0を、実績のある従来の生産 方式と価値創造の制御に組み合わせるのも有益です。特にリ ーン原則は企業、顧客、サプライヤー、 そしてパートナー間の新 しいデジタル相互接続の基礎を築いてくれます。 リーン原則とインダストリー 4.0 :複雑性を制限 リーンやインダストリー4.0の原則には、グローバル経済サイク ルの複雑性が急速に高まる中、そこから抜け出す方法を説い ている、という共通点があります。では違いはというと、そのア プローチの仕方なのです。リーンはシンプルな手段でシンプル なソリューションを見いだすことによって複雑化を回避してい ます。クオリティーの高いスタンダード化、そして複雑性を個々 の構成部品・要素に分類して追究するのです。リーンコンセプ トは、何が「ムダ」であるのかを逐一識別し、それを排除する 一方で、サプライヤーや顧客などの関係者が互いに疎通出来 るよう継続的な改善をする、という指針を掲げています。また リーン原則は主に企業組織の効率性を向上させます。そしてイ ンダストリー4.0は効率性だけではなく、顧客の要望に応える 有効性も向上させます。ビジネスおよび生産プロセスは、イン ダストリー4.0において、もはや固定されたものではなくリアル 12 HOERBIGER@MOTION リーン原則は、複雑 性をそれぞれの 要素/部品レベル にまで分解します タイムに変動し最適化も可能なのです。これは過程をネットワ ークで結ぶこと、またクラウドソリューション、センサーや機器 同士のモジュールような ITツールを使って、価値連鎖の全ての 要素をデジタルマッピングすることで可能になりました。この 相互接続は縦横配置されます。縦の接続は、例えば上位計画 といった生産計画や制御システムによって確立されます。工場 が「どの製品を」生産し、または「どの順番で」 「どの機械に」 分配するかを示すのです。逆に横の接続は、製品のデザインか らカスタマーサービスに到るまでの業務ワークフローを改善 させます。このプロセスにおいて「誰と誰」が最も効果的に機 能し、 「誰が」 「どの情報を」 「誰から」 「どの工程で」必要とす るか確認出来ます。 ユーザーの見解としては、インダストリー4.0は複雑性を制限 するだけでなく、リーン原則に対応し、さらに物事をより単純 明快にしてくれます。これによって、今まで以上に無駄を省き、 国際拠点を管理する際にも役立つのです。それと同時に、テク ノロジーの発展は、“リソースを最も効率良く利用するアプロー チの形”を今後も進化させていくことでしょう。 FEATURE HOERBIGER@MOTION 13 FEATURE 特集 リーン原則は 物事を単純明快に してくれます 14 HOERBIGER@MOTION HOERBIGER@MOTION 特集 シンプル化をはかるための5つのルール 企業はこれらの二つのアプローチを組み合わせる方法を、自社 で見い出す必要があります。しかし留意しなければいけないの は、顧客のニーズを的確に把握し、それを満たすことを常に念 頭に置いておくことです。データと情報が成功への鍵です。機 械からのデータに関する知識が増えるのに比例して、職場でツ ールまたは時系列フローを効率的に使えるようになり、より優 れた体制を取り入れられます。しかし、リーン原則および安定 したプロセスは、あくまでインダストリー4.0における必須条件 であって、結果ではないのです。シンプルさを求める場合は、 リーン原則とインダストリー4.0を統合するための5つのルール を考察する必要があります。 1 長期単位で考え、それに従って行動する 企業のマネージメントは生産・戦略ターゲットを、長期的な観 点から定め、そのうえで必要と思われる場所に『最新テクノロ ジー』の投資を積極的に行います。さらにマネージメントは全 てのターゲットを見直し、守っていく必要があります。 2 一つずつ段階を踏まえる 着実に少しずつ物事に取り組むことによって、プロセスが管理 しやすくなります。例えば、製造企業は機械設備のネットワー ク化と生産技術の変更を同時に行うべきではありません。 3 リーン・プロセスのみを展開する プロセス自体がおざなりな場合、自動化したとしても結果はや はりおざなりなのです。むしろ自動化に投資するため、さらに 高額になります。土台をリーン原則で作り上げることが大切で す。 4 従業員を統合する 全てのプロセスにおいて、 「改善」に最重要なソースは従業員 なのです。結局のところ「改善」のための変更を導入する際に、 彼らこそが最も優れた柔軟性を発揮します。あくまでテクノロ ジーは、最善を尽くして従業員をサポートするモノあって、その 反対はありません。 Werner Bick Warner Bick 教授 兼 博士は、 レーゲンスブルク 工科大学で教鞭を執り、1999 年以来ミュンヘン にある ROI マネージメント・コンサルティング AG の CEO( 最高経営責任者 ) の任務に従事し ています。ROI に入社する前は、 クノールブレム ゼ AG のロジスティックの代表、生産部門の代 表として勤務していました。Warner Bick 教授 兼 博士は内部および社外のロジスティックの 改善、製品の最適化、発展・製品開発プロセス における効率性や有効性の向上という点に自 身の専門知識を活用しています。機械工学で学 位を取得した後に、 まず製品の最適化および自 動化を担当するコンサルタントとして ifm Prof. Milberg GmbH に勤務しました。この期間に、 流れ作業における技術や経済最適化の博士論 文を書き上げました。 5 物理的世界をデジタルの世界に近づける 物理的世界といえば、製品、機械、運送システム等のことで、 それら全ての間でデジタル通信が可能でなければなりません。 それには自律的な処理能力、標準化されたインターフェイス、 および特定の要望に合わせたシステム基盤を統一する必要が あります。 HOERBIGER@MOTION 15 特集 ヒューマン ファクター 変化するのはテクノロジーだけではなく、職場環境、教育やトレーニングにおい て求められるものも大きく様変わりしていきます。今後、製造に携わる人員は、 シ ステムオペレーターとしての役割に比重が置かれ、単純作業をする必要がなく なるでしょう。 文章: Friedrich Bleicher 大学教授 兼 博士 造会社には、マーケットのグローバル化と激しい競 争率という状況下の中で、 これまで以上にプロセス チェーンの付加価値に対する効率が求められていま す。 これには製品の受注から出荷までの全ての業務が含まれ ます。急速に変化する社会の需要、および新しいマーケットの ニーズに対応するために、製品はカスタマイズ化の一途をた どりつつあるのです。新しい製品は、その形状または仕様書上 でも着実に複雑化しています。そして個々の要求に応じたカス タマイズ化によって、製造ロットサイズが縮小するのです。 この 状況は、製造を継続していく上で問題となるだけでなく、拡張 性・柔軟性がある製造システムを実現化する際の大きな壁と なっています。 製 新時代の製造システムでは、今まで以上にヒューマンファクタ ーに重点が置かれるでしょう。高度に複雑化された製造システ ムの運用と維持、安全面、および職場環境の設計 ( 特に人と機 械の間の通信)がますます重要になってきます。また一方で、 エルゴノミクスや人材を効率的に活用することも不可欠です。 従業員は将来的な製造業務において、全く異なったタスクに 挑戦することになるでしょう。プロセス特有のノウハウに加え、 状況判断力を身に着けることがカギとなるのです。 ネルギーやソーラーエネルギーなどに代表される代用エネル ギーの台頭により、比較的短期間でエネルギー供給状況に希 望が見えています。 とはいえ、はやりエネルギー需要と資源の 効率的利用には課題が残っているのも確かです。対照的に、 原料部門は厳しい状況です。 クローズドマテリアルサイクルへ 新たな手立てを打つことで、原料不足の深刻化を打開しなけ ればなりません。 この難題に対しては、製品設計から製造プロセスの調整に至 るまでの一連の流れに改革が求められます。新資材の開発・ 採用が今後重視されことで、製品開発や製造におけるイノベ ーションのチャンスが到来するのです。 テクノロジーの進化が新しい製造組織を生み出す 前述のトレンドが、大幅な性能アップをうたった新しい製造プ ロセスの後押しをしています。以前は個々のテクノロジー使用 を対象としていた機器へ、新しいプロセスが追加されるようで す。例えば、チューニング、ミリング、または穴開け等の技術の 幅の拡大に加えて、グラインドやレーザー加工工程が統合され ます。レーザー加工機は、材料切断や熱処理に使うことも出来 今後、製造に携わる人員は、システムオペレーターとしての役 ます。最近では従来の機械のプラットフォームに生成的な製造 割に比重が置かれ、単純作業をする必要がなくなるでしょう。 プロセスを導入する製造会社も出てきました。機械を転用す これには職場環境はもちろん、教育やトレーニング ( アプリケ ることで、製造手順の構造が変わる可能性があります。以前は ーション指向のプログラムや製造用の IT アシスタントシステ いわゆる分業と言われる特定の業務工程において、複数の機 ムといった方法で ) 内容を大幅に変える必要があります。今後 械を必要としたのに対して、将来的には複数の製造工程が一 の長いキャリアを考慮すると、 トレーニングや教育プログラム つの機械に統合されるのはもとより、おそらく一つの動作で全 てが完了してしまうようになるでしょう。 は、 さらに重要になって来るでしょう。 専門家は、ほんの数年前まで『エネルギー資源が乏しくなり、 テクノロジーの進化に合わせて、製造手順、およびロジスティ 成功を左右するのは、 その価格が大幅に値上げされる』シナリオを描いていました。 ックを含む製造組織全体が変化します。 非従来型の石油とガス (シェールガス等) 埋蔵の調査、風力エ 16 HOERBIGER@MOTION FEATURE 製造に携わる人員は、 システムオペレーター としての役割に比重が 置かれるようになります HOERBIGER@MOTION 17 FEATURE 特集 Friedrich Bleicher Friedrich Bleicher 大学教授は、 ウィーン工科大 学の製造工学・レーザー技術研究所の学長に 就任しています。 機械工学で学位を取得した後、 製造工学・レーザー技術研究所のリサーチアシ スタントとして勤務していました。 1996 年には、 機械工学で博士号を取得し、2001 年には、製 造工学・レーザー技術研究所の助教授として従 事しました。2009 年に、 ウィーン大学の製造工 学・チッピング技術の教授に任命されています。 主なリサーチトピックには、幾何学構造を持つ /持たない刃先を使用した機械プロセス、 プロ セスの自動化、機械ツールの開発と最適化、パ ラレルキネマティック、EDM テクノロジー、およ びラピッドマニュファクチャリング (RM) などが あげられます。 18 HOERBIGER@MOTION ロットサイズ、製造過程の製品、そして製品のバリエーション に配慮した機械の自動ローディング力でしょう。 これからの『多 種多様な製造業界』を特徴づけるのは以下の 2 点です:まず コントローラーのインターフェイスオプションが活用できる柔 軟性あるソリューションが一つ挙げられます。二つ目は、従来 の安全システムを補足するセンサーとIT テクノロジーを幅広く 採用している安全工学です。製造工学におけるイノベーション は、インダストリー 4.0 または第四次産業革命によって定義さ れていますが、このような革命はすぐには起こらないでしょう。 しかし、近い将来、製造施設のセンサーシステムを活用した制 御信号や測定データの使用を強くせまられるはずです。工作 機械の補間周期には、短時間ながら莫大な量のデータが産出 されます。このデータを今後、有効的に活用するためには、開 発に膨大な労力を費やさねばなりません。機械容量の状態を モニタリングし、かつ製造プロセスの安定性と製造品質を測 定するためにデータを集約・使用することが『次世代の製造』 への鍵になります。 FEATURE 特集 データを連結させ、製造の最適化をはかる データを製造工程の第一段階から最後まで適応させるには、 このデータをクロスリンクさせることが重要です。データのネ ットワーク化を総合活用することで、製造計画の効率性が上が り、処理時間を短縮させることが出来ます。将来的には、デジ タル生産環境の管理システムが、 リアルタイムデータをもとに、 詳細な計画を立てるようになるでしょう。そのため弊社では、 シュミレーションツールのような仮想製造システムをフルサイ クルで活用しており、実際に現在も工程の見通しに優れた効 果を発揮しています。 現実世界と仮想世界のデータと機能を統合(「サイバー・フィ ジカル製造システム」)すると、製造の最適化がはかられ、予 測力が向上します。これらのテクノロジーは、工程上のテスト が出来ない状況下で、不良率0かつ、ロットサイズが1というよ うな製造を達成しようとする場合に、大いに役立つでしょう。 これらのイノベーションの複雑化をコントロールするには、導 入時に明白で段階的なステップを踏んでいくべきです。次世代 の人々がインダストリー 4.0 を引き合いに出す時は、おそらく 技術革命について語っていることでしょう。 HOERBIGER@MOTION 19 FEATURE 従来のシステムで 複雑化に対処するのは ほぼ不可能でした 20 HOERBIGER@MOTION 特集 ネットワーク原則 長年にわたる綿密な作業を通して、マシーネンファブリク レインハウゼンはイ ンハウスでの製造実行システムを開発しました。 文章: Johann Hofmann 源変圧機の世界マーケットをリードするマシーネンフ ァブリク レインハウゼン (1868 年に家族経営のビジネ スとして設立し、 レーゲンスブルグに本部を置く) は、 様々な種類の高品質なコンポーネントを、少ないロット数で、 大量のバリアントを使って製造しています。製品品質の向上と NC プログラミングの利点を活用するために、早くも 1990 年 には全ての機器、設備、システムをネットワーク化させる計画 を考案しました。主な目的は、人件費が高いドイツで、世界に 匹敵するレベルの製造環境を作り上げることです。1980 年か ら 2010 年にかけて、マシーネンファブリク レイハウゼンの機 器を管理する上で、データの複雑化は進行する一方でした。 従来のシステムでその対処はほぼ不可能といった状況で、新 しいアプローチには、決定的な改善が求められていたのです。 そして、製造プロセスの効率性が大幅に向上し、製造担当者が 簡単に対処できる複数のアシスタンスシステムを作業現場に 導入するというインテリジェントデータハブのコンセプトが生 まれました。マシーネンファブリク レイハウゼンのエキスパー トチームは 25 年に渡る綿密な作業を通して、インハウス製造 実行システム (MES) を開発しました。当プロジェクトが始まっ た直後から、実際環境での必要条件に重点が置かれ、機械加 工の草分け的機能が含まれました : MR-CM®。 電 データハブとしての MES MES によって、各製造プロセスでの状況を十分に把握するこ とができます。これは、IT 処理によって製造プロセスに関わる 「プレーヤー」 (ERP/ 製造計画および管理システム、NC プロ グラミング、 ツール管理、測定機器、 ツールストレージシステム、 NC 機器を含む ) を連結させることによって、可能になります。 クライアントサーバーアーキテクチャの 論 理 回 路で は、 MR-CM® は製造の中央データハブ、ウェブサーバーとして機能 します。個々の「プレーヤー」は、MR-CM® にクエリを送り、そ の「プレーヤー」からの必要な情報を問い合わせ、必要に応じ てそれをリンクし、結果を問い合わせ先に送ります。ここで説 明しているように、個々のプレーヤーの既存データを組み合わ せたものであるデータエンリッチメントは、MR-CM® のインテ リジェントデータ処理で重要な役割を果たします。マシーネン ファブリク レインハウゼンは、インハウス MES によって会社 の未来を作り上げつつあります。さらには、ドイツ語圏の製造 工学界のリーダーとしての地位も確立しました。第四次革命と は、その名とは異なり、突然の技術躍進ではありません。イン ダストリー 4.0 は継続的なプロセスであり、はっきりとしたス タートやゴール地点はありません。革命は、 目に見える所でも、 目に見えない所でも既に始まっています。今この時にも、製造 分野の様々なところでそれは浸透しつつあるのです。企業は後 れを取らないようにしなければなりません。変化に気づき、ネ Johann Hofmann Johann Hofmann (理学修士号修得)は Value Facturing® の事業部長としてマシーネンファブリク レインハウゼ ンで勤務しています。実践的な経験を通して、Hofmann と彼のチームは、 MES ソリューション ( 作業現場向け )、 MR-CM® を 25 年にわたる綿密な作業のもとに開発し ました。現在は、 この 25 年以上の実践的な経験や知識 について MES およびインダストリー 4.0 のセミナーや レクチャーで講演しています。 ットワーク化された未来とインダストリー 4.0 への第一ステッ プを踏む必要があります。 マシーネンファブリク レイハウゼンの MES は機器加工のスピ ード、柔軟性、および効率性を既に向上させました。専門家は 第四次革命は一時的な現象ではなく、生産における進化をも たらすものであると言っています。企業は、早くにその機会を 利用して、マーケットでの優位性を確保しながら、競争力を維 持するのが賢明でしょう。 HOERBIGER@MOTION 21 幕開け 板金加工におけるパワーと精密性 効率性、信頼性、低ノイズ 22 HOERBIGER@MOTION 幕開け 板金加工機に採用されているシステムの効率性、信頼性、低ノイ ズ運転が、ハノーバーで開催された EuroBLECH 2014 でのホル ブレスブレーキ ビガープレゼンテーションのハイライトでした。 用・電気油圧式 ePrAX® アクチュエータの最新デザインとホルビ ガーのレーザーガスレギュレータの製造モデルがイノベーショ ンの焦点となりました。 文章 : Ludwig Schönefeld 写真 : Klaus Fricke E uroBLECH は、世界最大の国際板金加工テクノロジー見本 市です。2014 年は、6 万人近くの来場者が訪れています。 見本市の総評は良好でした。 「会場には数多くの方々にご 訪問頂きました。出展社の皆様からは、国際色豊かな顧客と交 流する機会を得られ、売上の伸びも実感できたとの報告を受 けています。」と主催者であるマーク ブルックス見本市管理部 長・Nicola Hamann は説明しています。新しくデザインされた ホルビガーブースは広さ 160 平方メートルあり、たくさんの人 で賑わっていました。 ホルビガー EPRAX® : 静かなパワーハウス 熱およびノイズ開発において、EuroBLECHは出展者と来場者 向けにストレス・テストを実施しました。10月21日から25日ま で、38 ヶ国・1573 人の出展者が 8 万 6 千 5 百平方メートルの ホールであらゆる製品を展示したのです。毎日、プレス加工、 レーザー切断、ウォータージェット切断、および切削加工機を 含む様々な機器の実演がされており、その場のノイズと排熱 量も想像に難しくありません。その中でホルビガーePrAX®アク チュエータは高得点を取得しました。板金加工作業場が静か な環境を維持するため、最新式の電気油圧式ブレスアクチュ エータを利用してノイズレベルを最小限に抑えています。 電気システムと油圧システムの巧みな組み合わせ 特に板金加工を扱う時には、精密さ、スピード、そしてパワーが 自動化技術に求められます。OEM プロバイダーとエンドユー ザーがプレスブレーキ用のアクチュエータシステムに投資をす る場合に、注意するべきなのは、設置がシンプルで、時間がか からない、およびメンテナンスと運用が簡単であるかというこ とです。ホルビガー ePrAX® は、コンパクトでありながらパワフ ルという、まさにマーケットが欲しがっている製品なのです。こ の電気油圧式パワーハウスは、機器開発者に新たなチャンス を与えてくれます。またエンドユーザーにとっては、製造プロセ HOERBIGER@MOTION 23 幕開け スの生産率が上がるという利点がもたらされます。 「二年前の EuroBLECH では、来場者は弊社の初代電気式アクチュエータ に驚いていました。」とドイツ、アルテンシュタットにあるホル ビガーオートメーションテクノロジー、コンパクトモーションテ クノロジー事業部門代表、Daniel Schmitt は説明しています。 「今年は、電気システムと油圧システムを完全融合させたアク チュエータが展示会の注目の的となるでしょう。」展示会来場 者や OEM メーカーからのフィードバックでは、”板金加工産業 の意思決定者達は考えを改めている” と聞いています。過去数 年の電動アクチュエータのトレンドに従って、たくさんのマーケ ット関係者が電気油圧式ソリューションを高く評価し、中には 油圧式へ完全移行しているケースもあります。 ePrAX® を開発することによって、ホルビガーは電気式アクチュ エータと油圧システムの両方からの利点を融合させたシステ ムソリューションを実現しました。従来のアクチュエータシステ ムを見直した上で、電気式システムと油圧式システムの弱点を 補い合い、かつ長所を組み合わせたものが電気油圧式システ ムなのです。 パワフルかつ耐久性のあるテクノロジー 全電動アクチュエータとは対照に、ホルビガー ePrAX® は水力 学を取り入れることで、パワフルかつ耐久性に優れた製品とな りました。コンパクトでオイル配管不要という特徴を持ったク ローズド設計は、清潔でオイル漏れの心配がありません。そし て、最新型の eDrive アクチュエータは、設置やメンテナンスも 簡単です。 「例えばプレスブレーキの設置に必要なのは、8 個 のねじと数個のケーブルのみです。これほどシンプルなものは ないでしょう。」と Daniel Schmitt と説明します。 「電気油圧 式システムは、外観からは見えませんが、オイルによって駆動 しています。そのため運転はパワフルでスピードがあり、環境 に優しいのです。またエネルギー効率が良く、そして大変経済 的です。」コンパクトなクローズド設計、そして恒久的な潤油機 能付きのため、メンテナンス期間も 3 年以上に延長されまし た。 テクノロジーの詳細 : 圧電テクノロジー ストロベリー が 持 つ パワー:この お いしい 果 物 に は、130ジュールものエネルギーが含まれています。 これは圧電バルブを10億回以上切り替えることが 出来るほどのエネルギー量なのです。電力消費を最小 限に抑えているにもかかわらず、ホルビガー圧電空圧 モジュールは、流動率、温度、圧力安定性において新し い基準を設けたプロセスや自動化技術ソリューション の実行を可能にします。 ダイナミックで、精密性もあり、 内在熱を利用せず、 また磁場を作らずに運用可能です ので、空圧コントロールは理想的と言えます。 実践テストに合格 EuroBLECH 2012 にて初めてベールを脱いだ ePrAX® システム は、板金加工業界有数の機器メーカーにその価値を証明しま した。ドイツのプロバイダー・EHT によって作られ、2012 年に 紹介された MultiPress 110 に加えて、トルコの ERMAKSAN が 作 った EVOLUTION II が 2012 年 にも注 目さ れ ました が、 EuroBLECH 2014 では、別のプレスブレーキ、ePrAX® テクノロ ジーが展示されました。又、イタリアのメーカー・Vimercati の EHSy P110 も紹介されました。配管不要の設計にしたため、以 前にオイル供給に使われていたオイルタンクが、ePrAX® では 必要ありません。多くのエンドユーザーにとって、機器のオイル 量を 250 リッター減らすのは重要な課題です。運転コストを 50% に も 削 減し た ハ イブ リッド のプ レスブ レ ー キ が、 EuroBLECH で注目されたのは言うまでもないでしょう。 24 HOERBIGER@MOTION ホルビガーのレーザーガスレギュレータ (LGR) は従来のコント ロールバルブと比べると、その性能には明らかな差があります。 数百ミリ秒内にガスを変換する LGR は、従来の自動化コンポー ネントに比べて 5 倍以上の速さで作動します。圧電空圧テクノロ ジーは、安定したガス圧 ( 圧力安定性± 0.03bar) を提供し、薄 い板金の切断時でも、一貫して高品質かつ正確な切断面を実現 させます。最大初期圧力が 28 bar に達しても、高い流動率 ( 標準 毎秒 1600 リッター未満 )、優れた効率性と品質の板金加工を保 証します。 幕開け 展示会来訪者は、 コンパクトモーションテクノロジー事 業部門代表・Daniel Schmitt から、ホルビガー ePrAX® を含む優れた電動油圧学の概念を紹介されました。電 動油圧システムは、電動システムと油圧式システムの利 点を組み合わせたものです。 さらに、 設置が簡単であり、 メンテナンス期間も延長されました。 FIBERBLADE 3015 を発売する予定です。トルコの機器メーカー である MVD は iLaser を、ホルビガーは LGR 付きの新たなレ ーザー加工機を発表しました。LGRは、中古機器に最新の技 術を取り入れて修復し、マーケットに再販する企業の間で大変 人気がありました。LGRは設置が簡単であるため、中古機器の 効率性を比較的低いコストで上げることができるのです。これ は、機器に40年以上の寿命を期待しているエンドユーザーに とっては、大変有効と言えます。 ホルビガー・レーザーガスレギュレータ: 迅速なガ ス変更 EuroBLECHでは、ホルビガーブースで展示されたレーザーガス レギュレータ(LGR)も注目されました。レーザー加工機に使わ れる LGR は、ガス圧の変更を最適化し、様々な厚さの板金を レーザー加工しても、正確な切断面かつ一貫した品質を実現 します。複雑でコストがかかる再加工作業がなくなり、効率性 を最大限までのばし、少量生産から大量生産に至るまで様々 な厚さの板金を製造しています。ホルビガーは、LGR開発専用 にインハウスの圧電空圧モジュールを使っています。従来のシ ステムと比べて、ガスとガス圧の変更を最大5倍の速度で制 御し、信頼性もあります。ガスレーザーの効率性は、アシスト ガス、酸素、圧縮ガスをレーザー加工機の切断面にどれだけ 迅速かつ精密に供給するかにかかっています。アシストガス制 御システムは、切断面の迅速な動きを確保するために、軽量で なければなりません。ホルビガーLGRはコンパクトで、重さも 数グラムしかありません。性能を左右するこのコンポーネント は、最小限の電力消費で最大限の応答性が得られます。それ とは対照に、従来のソレノイド制御バルブは必要なスピードが 備わっていません。そこでホルビガーは独自の圧電空圧モジュ ールをインハウスで開発・製造し、数えきれない試行錯誤を繰 り返しました。高精度のエンジニアリング、電子機器、センサー を最大限に活用し、迅速で信頼性の高いガス変更を実現させ ています。 コア: 大変精密な圧電プロポーショナルバルブ レーザーガスレギュレータのコアは、3つの内臓型ガス選択バ ルブが付いた、高精度な電動プロポーショナルバルブです。 「 わずか数グラムの圧電アクチュエータは、ほんの数秒間で迅 速に切り替えを行い、ガス供給を精密に制御します。」と技術 コンピテンスセンター代表・Dr. Jochen Schaible は説明して います。 ePrAX® アクチュエータ付きのプレス ブレーキは現時点で最大 110 トンの 曲げ加圧力を使用しています。 「私た ちは自社のポートフォリオをさらに 拡大するために、今現在は 250 トン の曲げ加圧力を持つ機器を開発中 です。」 と Daniel Schmitt が説明しま す。 「ビームは、最速毎秒 230 mm の 速度で、ストローク最大 280 mm で 走 行します。板 金をおよそ毎 秒 10 mm の速度で曲げます。」 マーケットでのポジティブな印象 今年のEuroBLECHにおけるポジティブな雰囲気は、業界の景 気の好さを反映していると言っていいでしょう。見本市管理部 長・Nicola Hamann は次のようにコメントしています。 「今回 の見本市でアンケート調査を行ったところ、ちょうど2年前と 比較した場合、この業界にいる企業は、今年の景気に対して明 るい見通しを持っているようです。」 マーケットからの絶大な反響 ホルビガーのLGRは、その簡単な設置方法と軽量さから絶大な人 気を博しました。ガス制御ユニットの重さによってレーザー加工機 の性能が決まります。切削ヘッドが軽量なほど機器は迅速かつダ イナミックに動作します。スイスのバイストロニックレーザー AG 社 のレーザー加工機(HOERBIGER@MOTION 2013 年 3号に詳細特集) と同様に、 トルコ機器メーカー、Baykal は EuroBLECH 2012 にてホル ビガーLGRを搭載したレーザー加工機の試作品を発表しました。 EuroBLECH 2014では Baykal BLS-NEO の製造モデルを見る機会 がありました。Messer Cutting Systems は 2015 年の初めに HOERBIGER@MOTION 25 幕開け EuroBLECH 2014 におけるホルビガーテクノロ ジーイノベーション ホルビガーはブレスブレーキ用に使う油圧式アクチュエータおよび電気油圧式アク チュエータにおいて、世界マーケットを長い間リードしてきました。 従来の油圧式システムよりも電気式アクチュエータに人気がある時期もありました が、現在、板金加工テクノロジーは油圧式ルネッサンスに突入しています。 EuroBLECH 2014 での大手機器メーカーが発表したイノベー ションによって、油圧式および電気油圧式のトレンドが再確認 されました。 TRUMPF TruBend シリーズ 3000 オーストリア、パッシングのトルリンプ株式会社は、自社の TruBend Series 3000 の開発にホルビガーの油圧式システム を採用しました。この新しいプレスブレーキにはホルビガー従 来のバルブブロックが備わっています。この信頼性が高いテク ノロジーは幾多も実地試験を重ねてきました。高速度、簡単な 操作、安価で優れた性能を兼ね備えているトリンプの新製品・ TruBend Series 3000 は、低い稼働率での経済的な生産を実 現します。 Amada HFE3I アマダもホルビガーの技術を活用しています。国際舞台でも活 躍しているこの日本の機器メーカーは 1955 年以来プレスブレ ーキを製造してきました。HFE3I は2014 年のイノベーションの 一つで、モデルはヨーロッパで作られています。プレスブレー キテクノロジーにおけるその最大出力密度および柔軟性が特 徴です。プレスブレーキ用に使用するホルビガー従来のアクチ ュエータ技術は、エンドユーザーに信頼性と耐久性を保証しま す。 Amada HFE3I TRUMPF TruBend 3000 26 HOERBIGER@MOTION 幕開け Bystronic Xpert 40 Bystronic Xpert 40 プレスブレーキは、その際立ったデザインか らもEuroBLECH 2014で大変な人気を集めました。この新プレス ブレーキの魅力はスピードです。革新的であり、軽量なデザイン を特徴とする Xpert 40 には、最大速度毎秒 25 ミリメートルで 曲げるという非常に高度な原動力が備わっています。つまり、大 型プレスブレーキと比べると、小さい部品を 3 倍の速さで曲げ ることができるということです。Bystronicの新製品・ByMotion ドライブモーション制御システムは、速度、高精度、出力を正確 に調整します。ホルビガー油圧式システムはプレスブレーキが 効率良く、精密に作動することをお約束します。Bystronicの制 御システムは、アッパービームの加速度とバックゲージを調整 し、優れた繰り返し精度が可能な折り曲げ方式を提供します。 精密なホルビガーLGR は、新しく開発されたレーザー加工機 4 台の性能を向上させるコンポーネントです。スイスの Niederönz にあるバイストロニックレーザー AG 社が、 ByLaser シリーズで成功をおさめていますが、この機器のみな らず、その他 3 つのレーザーイノベーション をEuroBLECH で 展示していました。 Baykal BLS-NEO 試作品はすでに EuroBLECH 2012 で特集されました。今日では 製造モデルが市場に出ています。トルコ、ブルサに拠点をかまえ る Baykal は、工作機械 BLS-NEOや技術的に優れたソリューシ ョンを発表し、高いコスト効率性を宣伝しました。 Messer FiberBlade 3015 Vimercati EHSyP 110 Vimercati が開発したのが イタリアのイノベーションである EHSyP 110 です。ソビコの家族経営によって、1973年以来プレスブレー キと裁断機を製造してきました。 『長期間のサービスおよび 低コストメンテナンスを提供できる機器』の製造をミッション としている当社の最新イノベーションが、ホルビガー電気油圧 式アクチュエータ、ePrAX® を搭載した EHSyP 110です。EHSyP 110 の維持という点において、ePrAX® のメンテナンスコストは 低く抑えられます。またこの機器は、高い原動力、精度、そし てエネルギー効率性があり、従来のシステムと比べると、最大 50 % のエネルギーを節約することができます。 ドイツ・Groß-UmstadtのMesser Cutting Systemsにとって、 運用コストを最小限に抑えたレーザー加工機は重要な宣伝ポ イントです。EuroBLECH 2014 では、新 FiberBlade 3015 を発表し ました。高い原動力、最適化されたサイクル、および超コンパ クトデザインという特徴は、この優れたレーザー加工機のほん のいくつかの利点にすぎません。Messerは、 「レーザー界の新 世代」としての地位を確立しています。 MVD iLaser トルコ・コンヤに拠点をかまえる MVD Makina Sanayi もホル ビガー LGR を使用しています。幾多の試験と改良を重ねてき たホルビガー圧電テクノロジーが、新MVD iLaser を「最高速、 最も経済的、メンテナンスフリーのテクノロジー」として支えて います。 Vimercati EHSyP 110 Bystronic Xpert 40 Messer FiberBlade 3015 HOERBIGER@MOTION 27 幕開け 「私たちは、ブラスリングの長所を 持ったシンクロナイザーリングを開 発したかったのです。それは、耐摩 擦性があり、製造コスト効率が良い ものです。」 ホルビガードライブテクノロジー部門高度エン ジニアリング部長、Peter Echtle microGROOVE を取り入れた Blocker Ring Basic シンプルにシンクロナイズ 複雑なテクノロジーは、重さと製造コストを跳ね上がらせます。それゆえ、複 雑性をシンプル化することが重要です。 文章 : Melanie Stahr 写真 :HOERBIGER ンクロナイザーリングを一例として、ホルビガーは新 Blocker Ring Basic (BRB) と microGROOVE 機能がどの ようにシンクロナイザーと一体化するかを説明していま す。頑丈性、信頼性、 コスト効率性を兼ね備え、 スチールででき ているこの製品はエントリーレベルのトランスミッションセグ メントに新しいスタンダードを打ちたてました。乗用車のギア がマニュアルでシフトする一方で、シンクロナイザーはメイン のトランスミッションシャフトの回転スピードと歯車の回転ス ピードを同調またはシンクロナイズさせ力を伝達します。主な 荷重は、摩擦によって、円錐面の上にあるシンクロナイザーリ ングへ負荷され、力が伝達します。 このため、特別な摩擦ライ ニングが装備されるので、ある意味これは生産の複雑化と言 えます。余分な生産ステップを減らし、コストを削減するため に ( とりわけ、ボリュームの多いエントリーレベルトランスミッ ションセグメントにおいて )、従来のシンクロナザーリングは黄 銅 (brass) で作られています。 「シンクロナイザーリングの製造 において黄銅を使うことには反論があります。」 とホルビガー ドライブテクノロジー部門高度エンジニアリング部長、Peter Echtler は説明します。 「黄銅を使用し、 メタル成形のみで、例え ば一定の形状を作り上げることは無理です。第二ステップを踏 む必要があり、費用がかかる二次機械加工が不可欠となりま す。 」スチールシンクロナイザーリングにおいてテクノロジーを リードするホルビガーは、イノベーションとは必ずしも高価な ソリューションに縛られるものではないと証明しています。将 シ 28 HOERBIGER@MOTION 来的には、新開発された銅板製の BRB がシングルコーンシン クロナイザーリングの製品に採用されるでしょう。そして、 microGROOVE 機能により、 余分な摩擦ライニングは不要にな ります。 「私たちは、ブラスリングの長所、耐摩耗性、そして大量 生産時のコスト効率に優れたシンクロナイザーリング(エント リーレベルトランスミッションセグメント)を開発するという非 常に難しい目標を掲げました。」 と Peter Echtler はコメントし ました。ホルビガーがメタル成形の製造プロセスを最適化し、 窒化炉の摩耗軽易熱処理によって、全ての機能、寸法、また BRB の microGROOVE がフォーミングツールで管理されるよ うになり、 この後の機械加工が不要になりました。 「ブラスリン グと比べると、軸方向の磨耗は約 90% 低減され、 この価格セ グメントにおける頑健性において新しいスタンダードが打ち 立てられました。」 スチールの低熱膨張によりクリアランスも最 適化することができ、小型車やコンパクトクラス車にとって重 要なペース制約にプラスの影響を与えます。ホルビガー BRB は、 シリーズ製品として間もなく発売され、特にこれらの車種が 大量生産される場合には、 ブラスリングに代わる経済的なソリ ューションとなるでしょう。 HORIZON 道なき道を走る Jeep レネゲード ホルビガードライブテクノロジーを採用した 最新の自動車 Jeep レネゲード、 スポーティなフォード マスタング、 またはメルセデスベンツ B クラス のコンパクトカーなど、 どのケースに使用されたとしても、ホルビガーの摩擦システム はスムースで確実なシフティングを実現します。 JEEP レネゲード スポーツ車の間でカルト的なステータスを持つ、 Jeep レネゲードは、コンパクトクロスオーバー SUV の部門で初めて殿堂入りしました。四輪駆動には、 小型エンジンモデルが搭載されますが、最大出力 170 hp を持つディーゼルおよびガソリンエンジンに は、新しい効率性に優れた全輪駆動システムが装備 されます。ドライブシャフトとリア・アクスルは通常 走行のために切り離されていますが、必要時には自 動的に素早く作動します。このためレネゲードは、そ の大型の同種車からも分かるように、際立ったオフ ロード性能が引き立っています。ホルビガーはフィア ット クライスラー オートモビール (FCA) とプロジェ クトを共同で取り組みました (Jeep 含む )。数々のレ ネゲートモデルにはフィアット Powertrain 開発のマ ニュアル C635 6 速トランスミッションが搭載されて います。トランスミッションには必ずホルビガーのフ ルシステムが装備され、2009 年以来、フィアット、 アルファロメオ、およびランチアに採用され、時には ダブルクラッチ派生モデルにも使われていました。 HOERBIGER@MOTION 29 幕開け フォード マスタング 50 年前に初めてベールを脱いだフォード マスタン グは世界中の熱烈なスポーツカーファンの心を一瞬 にして掴みました。 「ポニーカー」の最新版は前世 代の伝説車からデザインのヒントを得ていますが、 複雑で完全独立したサスペンション付きの車体など は超モダンテクノロジーを駆使しています。ヨーロッ パでは、5.0 リッター V8、出力 307 Kw (418 HP)、ト ルク 524 Nm、又は 230 Kw (314 HP)、ターボ 4 シリ ンダー、 トルク434 Nm のエンジンを選択できます。 全動力を後輪に最適比率で伝達するために、米国 仕様のものを含む全てのモデルは、Getrag フォード トランスミッション開発の 6MTI500、6 速マニュア ルトランスミッションを搭載して出荷されます。ホル ビガー・フルシンクロナイザーシステムの優れた摩 擦システムは、マスタングがたとえ暴走的な走行を したとしても精密で正確なギアシフトの実現を可能 にします。 50 年立った今でもフォードの 「野生のポニー」 は、 疲れを見せません。 30 HOERBIGER@MOTION 幕開け モデルチェンジの後の B クラスは さらにダイナミックになりました。 メルセデスベンツ B クラス プレミアクラスのコンパクトカーであるメルセデスベ ンツ B クラスは、世界中で人気があります。2011 年 に発売された第二世代モデルは、2014 年 10 月の時 点で、販売台数 38 万台を突破しました。全体的な モデルチェンジが長年の成功を物語っています。ラ インナップ改良後、新 B クラスは内外装が一段と高 級化され、安全性およびテレマティクス機能が強化 されました。 幅広いドライブオプションには、5 種のガソリンお よびディーゼルエンジン、天然ガスモデル、そして 100% 電気式という選択があります。7 つもの異な った動力装置が標準装備され、FSG 300 (310) 6 マ ニュアルトランスミッションが最適に機能します。ま た天然ガスとブルーエフィシェンシーモデルには、 さらに高いギア比が使われています。ホルビガーの 摩擦システムは、快適で的確シフティングを実現す るのに役立っています。 HOERBIGER@MOTION 31 ドライブ コンパクトで清楚、そして高級感:あらゆるディテールにおいて、 『機能』 がまさに適材適所のごとく備わっています。 ガゲナウに製造拠点を持つ メルセデスベンツのラシュタット工場では、新メルセデスベンツ A クラ ス、B クラスおよびベンツの星マークをロゴとする、他の全モデルが流 れ作業によって製造されています。 実はホルビガーも、その一端に貢献しているのです。 文章 : Achim Neuwirth 写真 : David Spaeth, Daimler 32 HOERBIGER@MOTION ドライブ 高品質の マニュアル シフティング メルセデスベンツのガゲナウ工場は、マニュア ル・オートマティックトランスミッションのコンピ テンスセンターとして世界的に評価されていま す。 HOERBIGER@MOTION 33 ドライブ 従業員が輸送箱からホルビガーシンクロナイザーを取 り出しています。 これらの部品はラシュタットにてメル セデスベンツ A クラス、B クラスのトランスミッション に取り付けられます。 34 HOERBIGER@MOTION ドライブ モ ビリティの歴史愛好家ならば、ガゲナウという言葉を 耳にすれば必ず注目するでしょう。1894 年に設立され た「バーグマン ヴェルケ社」は、 メルセデスベンツの製 品名で 1911 年以来事業展開してきました。1951 年から 2003 年という 半世紀以上にわたり、UNIMOG として知られてきた ( ドイツ語では Universal-Motor-Gerät という意味 ) 製品が生 産ラインから外されていました。製造施設は、1971 年に設立 され、その後大幅に拡大化されました。 ラシュタットトランスミ ッション工場がまず最初に建設され、それから商業車ボディパ ーツのプレス工場に続き、ロジスティックセンターが設立して います。ガゲナウは 2001 年にマニュアルおよびオートマティ ック トランスミッションのコンピテンス センターとして登用さ れました。14 年前からメルセデスベンツはシンクロナイザー のサプライヤーとしてホルビガーと親密な関係を築き上げて きました。今は 120 年もの歴史を持つ当工場はオリジナリティ が溢れています。長年運営している世界の自動車工場の中で も最も古い工場と言われているのです。実際に現場を訪れる ならば、数多くの興味深い発見があるでしょう。 マニュアルとユニバーサル 毎年 200 から 300 万台のシンクロナイザーがガゲナウで作ら れ、ホルビガーがその摩擦システムを提供しています。 ガゲナウ工場では今日に至るまで 1000 万以上のトランスミッ ションが製造されてきました。当工場の敷地面積は、41 万 2 千平方メートル近くあり、ラシュタット工場は、さらに 23 万 8 千平方メートルものフロアスペースを所有しています。合計 6600 人の従業員で、メルセデスベンツのマニュアルシフティ ングギャラクシーを構成しています。現時点では世界で唯一の 歴史を象徴する、マニュアル / オートマティックトランスミッシ ョンの工場です。ガゲナウでのホルビガーは、特殊なポジショ ンにいると言えます。ホルビガーは、摩擦システムの唯一の外 部サプライヤーとしてステータスを獲 得しているのです。 シンクロナイザーの年間生産台数 200 から 300 万台は比較 的小さい数字ですが、メルセデスベンツが製造したトランスミ ッションファミリーの DNA コンポーネントとして大変重要な 役割を果たし、効率性が高いことを証明しています。シングル コーンからトリプルコーンに至るまで、摩擦システムは、スムー スなシフティングを実現させます。カスタム仕様のシンクロナ イザーは、要求されている動力値によりけりですが、3 シリー ズ用意されています。TSG トランスミッション (TransporterSchaltgetriebe は、ドイツ語でバンマニュアルトランスミッシ ョンを意味します。) は V クラス、Sprinter および Vito のよう な軽量の荷台車用です。 NSGs (Neues Schaltgetriebe) は、 C、 E、S、SLK クラス等の後輪駆動車用に作られた新しいマニュア ルトランスミッションです。そして、最新の A クラス、B クラス のコンパクト前輪駆動車に搭載されている FSGs ( 前輪駆動マ ニュアル トランスミッション ) は、エンジン出力を変換します。 倉庫から「ストア」へ メルセデスベンツの従業員は、FSGs を FSG 300/310 トランス ミッション ファミリーと呼んでいます。ラシュタット工場の製造 ラインから現在では毎日 600 ユニットほど生産されています。 ガゲナウ工場トランスミッションおよびアクスル生産マネージ ャーであるエールハルト ティールは製造ラインにおけるいくつ かの興味深い点を説明しました。 「2010 年の初めに運用を中 断せずに新しいトランスミッションに切り替えました。現在、私 HOERBIGER@MOTION 35 ドライブ 個々のステーションでは、熟練者に よる目視、ハイテクカメラ、およびそ の他のモニタリングツールによって、 全てが正しく取り付けられているか をチェックされます。 36 HOERBIGER@MOTION 組み立て前のトランスミッショ ンシャフト、ホイルセット、およ びシンクロナイザーです。 ドライブ 欠陥ゼロ製品に至るまで メルセデスベンツ A クラス、B クラスで は FSG マニュアルトランスミッションは 横置きされています。 これらのトランスミッションにはとても コンパクトなデザインが求められます。 たちはロジスティック業界の ベンチマークになっていると いって良いでしょう」全体を鳥 瞰図として見ると、さらに明 白です。生産ラインのレイア ウトが正方形でコンパクトな のが印象的です。 「最初の段 階では、いわゆるトランスミ ッションの組み立てを行い、 歯車を " 柔らかい " ギアブラ ンクから旋削し、ミーリング します。まだ歯がない状 態 です」と Thiel は説明します。 シャフトのように、次の過程で 熱処理炉に移り、粉砕し、加工 します。そして、最後に「スーパー マーケット」に辿りつくのです。ここ で言う「スーパーマーケット」とは、 FSG チームが呼んでいる通称で、個々のコン ポーネントが製造ラインに入る前の待機場所、または 注文を受け取る場所のことです。そしてここは同様に、ホルビ ガーの摩擦システムの登場場所でもあるのです。時間通りに 「スーパーマーケット」に到着してきたコンポーネントを、FSG 組み立て担当者が、各トランスミッションモデルのパーツで一 杯になった箱と一緒に待ち構えています。 組み立て作業の三大柱は、距離の短さ、最新型機器、および 訓練されたチームです。 「本ケースで見られるように、一人の従 業員がフル稼働の状態で、3つのステーションを運用している ので決して単調作業にはなりません。」と Thiel氏は述べてい ます。 「全ての従業員が製造ラインを一括管理することは可能 です。理論的に言うならば、トランスミッションを一人で作り上 げるのも可能でしょう。」歯車とシンクロナイザー(最初のギア から始まって6番目のギアまで)は、垂直に左と右に位置してい るアウトプットとドライブシャフトを通ります。ここで皆様もパ ールネックレスが頭に浮かんでくるでしょう。個々のステーショ ンでは、熟練者による目視、ハイテクカメラ、およびその他の モニタリングツールによって、全てが正しく取り付けられている かをチェックされます。しかし、重要なテストは引き続きマニ ュアルで実行することです。シャフトに載っている歯車を軽く 左回転、右回転させることによって、熟練された専門家ならす ぐに摩擦システムが十分に自由に動くかを判断できます(こ れは後で必須になります)。従業員はトランスミッションの中 の動きが完全になって初めてカバー、又はケーシングの下半分 を付けます。それからロボットは全てを180度反転させ、シール 剤を適用した後に、ケーシングの第二部分を追加します。いっ たん全てをネジで確実に固定し、オイルを注入したら、ここか らが本番です。最後の全オートマティック機 能チェックで、トランスミッションがメ ルセデスベンツが求める機能とクオ リティを満たしているかが分かりま す。 これには全てのギアのシフテ ィング、ノイズの記録、そして 同期時間の測定が含まれま す。ちょうど現段階では、重 さ42キロの新生児、もとい 出来上がったばかりの完 成品が機能チェックの過 程をたどっています。ホ ルビガーのコンポーネ ントが前述のテストで、 どのように作動するの かという質問には以下 で回答されています。 「欠陥?ゼロです。ホルビ ガー摩 擦システムの中で 欠陥製品はまだ1台も見つ かっていません。品質から製 造量に至るまで、ここラシュタ ット工場から唯一言えること は、”このクオリティを維持し てください”ということです。」 とティールは言います。 HOERBIGER@MOTION 37 ドライブ 「サプライヤーは、ペースを維持しなければなりません」 ホルビガー摩擦システムは、 メルセデスベンツ社・ガゲナウ工場から高い評 価を得ています。 シンクロナイザースペシャリストとしては、唯一の外部サプ ライヤーです。 では私たちは将来、 どの方向に旅を続けるのでしょうか?トラ ンスミッション&アクスル製造部門サイトマネージャー:Ehrhard Thiel、 トラ ンスミッション&アクスルサプライヤー管理部長:Rainer Skulimma、そして 自動車&バンのインラインマニュアルトランスミッション設計部長、Martin Schetter がお答えします。 インタビュー : Achim Neuwirth 写真 : David Spaeth お客様は現代のマニュアルトランスミッションに 一貫して高品質なトランスミッションを製造する 何を求めていますか? にあたって、重要な鍵とは何でしょうか? Schetter:車の寿命期間内に確実に機能するかということで す。弊社ではそれを実現化するだけでなく、標準化していま す。また重要な事は、パワフルなエンジン用の大型トランス ミッションに小型トランスミッションと全く同じレベルの快適 性、精密性および簡易操作性が備わってきていることです。こ れは、設計において大がかりな作業を必要としますが、実際に ご使用されるお客様は、モデルシリーズから違いには気づかな いでしょう。 Thiel:快適性を左右するのはノイズレベルの低さです。エンジ ンとトランスミッションがドライバーの真正面に位置するFSG トランスミッションが装備されている車は特にそう言えます。 ドライバーは、たとえ低速度でも不快なノイズにすぐに気づく でしょう。低ノイズレベルを実現するためには、特殊な歯部形 状を使います。 マニュアルトランスミッションは二酸化炭素排出 量の低減にどれだけ貢献していますか? Thiel:トランスミッションの内部ドラグ損失を継続的に削減させてい るので、運用においてとりわけ低摩擦です。伝動機構ではエネルギ ーを浪費しないので、燃料を節約し、結果として二酸化炭素排出量 の低減につながっています。 Schetter: さらに、私たちのトランスミッションは非常に軽量なた め、車全体の重さが軽くなり、経済的利益もあります。しかし、 パワーと重量の比率も同様に重要なことです。これはつまり、パ ワフルなエンジンを使っても、トランスミッションをさらに大き く、重くするべきではないということです。 38 HOERBIGER@MOTION Thiel:全体的なセットアップが重要です。これには設置、材料 調達、効率的な製造プロセス、従業員の熱意が含まれます。製 品開発者やホルビガーのようなサプライヤーと二人三脚の体 制で取り組むことは必要不可欠です。新製品がマーケットに出 る期間が今まで以上に短くなっているので、そのペースに乗っ ていける信頼できるパートナーを必要としています。 ホルビガーが特に際立っている点はどんな所 にありますか? Schetter:ホルビガーが弊社と共同で金属製シンクロナイザ ーリングを開発した『NSGプロジェクト』を例に挙げさせてく ださい。ホルビガーは事業の中心核である摩擦システムに限 らず、トランスミッションシステム全体の新しいノウハウを取得 しています。これは私たちにとって貴重なことなのです。ホル ビガーは柔軟に対応し、トランスミッションの問題において弊 社と対等な立場で話し合えるので、イノベーションにおける刺 激的なアドバイスも頂けます。 Skulimma:製造プロセスから浮かび上がってくる『必要条件』 と『マーケット』というのは、大変ダイナミックです。それゆえ 全てのトピックをオープンに直接ディスカッション出来る環境 が必要です。それが成功につながるポイントであり、同時に課 題にもなりえます。そういう意味でホルビガーは大変良いパー トナーです。 Thiel: 弊社のような大規模な製造会社は、高品質のパーツを 100%、一貫して提供できるサプライヤーを必要としています。 弊社は、ホルビガーはこれに対応できるだけでなく、絶対的に 信頼性あるプロセスを提供することを確信しています。低価格 ドライブ Ehrhard Thiel は 2010年以来、ガゲナウトランスミッショ ン&アクスル生産マネージャーとして従事してきました。彼 はこれらのコンポーネントにおけるロジスティック、QA、材 料およびプロセス技術も当拠点で担当し、そしてマンハイム とカッセル工場でも材料/プロセス技術を担当しています。 ダイムラーグループにて28年間勤務:乗用車のテストエンジ ニアとしてスタートし、ブラジル、米国、および日本で様々な 計画兼プロジェクトマネージメント関連のポジションを担当 しました。2004年後は、ダイムラートラックのグローバル生 産計画のマネージャーに任務しました。それから3年後にガ ゲナウに移動し、サプライヤー マネージメント兼ロジスティ ックを担当するようになりました。 Rainer Skulimma は 2014 年以来、ガゲナウ工場トランスミッ ションおよび遊星ハブリダクションアクスルのサプライヤーマネー ジメント代表として任務しています。それ以前は、当工場で遊星ハ ブリダクションアクスルのサプライヤーマネージメントとロジステ ィックを管理していました。Skulimma はこの分野において幅広 い経験を持っています。14 年間ダイムラーグループアクサライ社 で工業化およびサプライヤーマネージメントを担当しました。 Martin Schetter はシュトゥットガルトで自動車とバンのイ ンラインマニュアルトランスミッション設計を管理しています。 彼は、1991 年にダイムラー AG シュトゥットガルト社で開発者 として勤務する以前には、他社大手トランスミッション会社に 所属していました。そこから蓄積した幅広い専門知識を設計プ ロセスに活用しています。 なプロバイダーであるにもかかわらず、システムエキスパートと しても十分なのです。シンクロナイザーにおいて技術的にも優 れた総合的サービスを提供して頂けることは、私たちにとって 喜ばしい事です。 Thiel: 私たちは、現場にいる全社員に対して常に成長を求めて います。そして同じスタンダードをサプライヤーにも期待してい るのです。インフレを問わず、商品価格、賃金を含むコストが着 々と上がっています。新しい、優れたソリューションによってあ らゆる面でそれを補う必要があります。 今後、ホルビガーはどんな課題に直面すると思 われますか? Skulimma:弊社は、テクノロジーとマーケット、この両方におけ る流動的なニーズに前向きに対処出来るパートナーを必要と しています。これは大変難しいタスクです。しかし、ホルビガー はそれを成し遂げてくれると確信しています。 Schetter:技術面だけで言うならば、新しいトランスミッション 流体でしょう。摩擦を最低限に抑えているためドラグ損失を 低減でき、燃料の効率性が上がりますが、現在の摩擦システム にはあまり良くありません。ここでイノベーションが必要になっ てきます。 HOERBIGER@MOTION 39 DRIVE ドライブ ドライブ eHydroCOM:レシプロコンプレッサー容量制御 低コスト、 ハイパフォーマンス チェコ共和国石油会社・ユニペトロールは、ホルビガー新 eHydroCOM 容量制御 システムをチェコ工業用ガス製造所に初めて導入しました。結果として、窒素コン プレッサーの運用経費における莫大なコスト削減、そしてパフォーマンスの向上 にも成功しました。 文章: Charles Butcher 写真: Ralf Baumgarten HOERBIGER@MOTION 40 HOERBIGER@MOTION DRIVE ドライブ ドライブ HOERBIGER@MOTION HOERBIGER@MOTION 41 ドライブ チ ェコ共和国最大の製油、石油化学、および農薬複合施 設が、 ドイツとの国境沿いのプラハから北西 50 マイル 離れたリトビノフの外れにあります。当施設はチェコの 大手石油兼石油化学製品会社ユニペトロールが経営していま す。ユニペトロールはポーランド PKN Oren グループに属して おり、 リトビノフでは、ポリマーや肥料の出発原料であるアン モニア等、様々な化学製品が作られています。 アンモンニアの 生成に使われる窒素は、工業用ガスおよびエアプロダクトを 専門とする現地の工場で作られています。 無段階制御の利点 エアプロダクトおよびユニペトロールが運用コストの削減方法 を考案していた時と同時期に、ホルビガーは新 eHydroCOM 容量制御システムをトライアルとして設置して下さるお客様を 探していました。2013 年に、チェコ共和国のホルビガーセール スマネージャー・Pavel Hafner は、2 つの会社から新しい制御 システムに興味をもってもらうことに成功しました。 「ユニペト ロールはコスト節約に関心があり、eHydroCOM が登場したと 同 時 に すぐ、我 々の お 客 様 に 有 益 だと 考 えました。」と ホルビガー新 eHydroCOM 容量制御システムの導入によって、 Pekárek はコメントします。 エアプロダクトおよびユニペトロールは窒素コンプレッサー 1台につきかかる年間電力約 3 万ユーロを節約することがで ユニペトロールではホルビガーの無段容量制御システム・Hyきました。その上、 アンモニア工場は以前よりも運用が円滑に droCOM を他のレシプロコンプレッサーに既に導入していまし た (”HydroCOM: 全ての始まり”をご参照ください )。彼らは当製 なりました。 品の省エネ効果および信頼性に大変満足されていたので、同 等の性能を持ち、さらにコスト効率性の高い全電気式 Hydroアンモニア- 肥料の出発原料 COM は大変魅力的に映ったようです。 「5 年前に、従来の Hyリトビノフのエアプロダクト工場では空気を液体化させ分留 droCOM システムを水素コンプレッサー 5 台に設置しました。 」 し、酸素と窒素を取り出します。 「この工場はヨーロッパで最 とユニペトロールのテクノロジーリサーチスペシャリスト・Otaも大きい工場の一つです。」と、中央 / 東ヨーロッパ工業ガス kar Soukop から 報告がありました。 「私たちは性能に満足し のリージョナルビジネスマネージャー・Petr Pekárek は説明し ていたので、 新バージョンにも是非トライしたいと思いました。 」 ます。製油所は酸素を利用して、重質石油残留物から水素を ホルビガーは、eHydroCOM にはエアプロダクトのコンプレッ 生成します。その一部を加工して純粋燃料を作り、残りは窒素 サーがぴったりであろうと判断しました。このトライアルプロジ と一緒にアンモニア合成に使われます。アンモニアは農場で重 ェクトにおいて最も重要な基準は、省エネおよびコスト削減効 要な肥料である尿素を作るのに使われています。エアプロダク 果があるかということです。さらに、りトビノフは、チェコ共和 ト工場は Peter Brotherhood ( ドレッサー - ランド ) レシプロ 国ゼンドブ (Zˇandov ) にあるホルビガー支社、またはウィーン コンプレッサーを採用しています。当機器は、窒素を圧縮する 本社より簡単に行き来することができました。 ための電気モーターが付いていて、60 bar から 324 bar で空 気を分離します。窒素はパイプラインを介してユニペトロール 計画したコスト節約 のアンモニアプラントに運ばれ、水素を加えてアンモニアが合 エアプロダクトからの情報をもとに、ホルビガー・チームが計 成され、アンモニア反応器に移されます。 算したところ、コンプレッサー1台で平均 12% が再循環してい ることが分かりました。定格出力 2300 キロワットのコンプレ 洗練された制御によって改善化を図る ッサーをフルロードで使用すると、1 キロワット時につき 0.11 ユニペトロールの定格出力 2300 キロワットの窒素コンプレッ ユーロの電力がかかり、年間 8000 時間運転しているのです。 サーは、電力のみで年間ほぼ 200 万ユーロかかります。企業 ホルビガーのチームは eHyrdoCOM の無段階制御の導入時に が節約手段を模索するのは言うまでもありません。Pekárek は、年間で 22 万 8 千万ユーロの電力を節約できるだろうとい は次のようにコメントしています。 「電力が運用費の 70% を占 う予測しました。ただし、この金額にはインタークーラーの熱 めているので、省エネ対策は重要です。」 負荷の低下時に使う冷却水供給システムの節約削減は含まれ ていません。また、eHydroCOM を使うことによって、インレッ 本件の場合、 『アンモニアプラントの需要に合わせてコンプレッ トガイドの位置を動かす必要がなくなり、下流側のターボコン サーのスループットを調整する』というアプローチが全く最適化 プレッサーの効率性が上がることも予測節約費には入れてい されてなかったため、節約が可能でした。シリンダーヘッドのクリ ません。 「”試験的導入”とそのリスクについては、十分承知して アランス容量は、規格容量の 75% で運転しています。容量が 50% いました。」とエアプロダクト工場担当マネージャー・Ondrˇej の場合は、圧縮された窒素量を減らすために吸入バルブが開いた Telecký は言います。「以前ホルビガーがユニペトロールに HydroCOM を導入した結果もあり、ホルビガーへの評価は非常 ままになるのです。 に高いものでした。見込まれる節約と私たちが得るだろう利 容量がぴったり 75 % 又は 50 % の時にこのプロセスは上手く動 点は、少々のリスクを負う価値があると判断しました。」 作します。しかし、その他の容量の場合は、窒素がコンプレッサー の吐出側から吸入側に戻されるので、その際、圧縮に無駄な電力 が消費されています。その電力浪費に加えて、制御方法もその後 のプロセスにマイナスの影響を与えます。 42 HOERBIGER@MOTION ドライブ HydroCOM: 全ての始まり ホルビガー HydroCOM システムは、 レシプロコンプレッサー の無段容量制御を提供しています。今日ではおよそ 1000 台 を超える HydroCOM システムが世界中で作動しています。 HydroCOM システムの基本原理はリバースフロー制御として 知られています。部分負荷時のシステム遅延によって、圧縮の 初期段階で吸入バルブが閉じます。吸入バルブは、実際の圧 縮プロセスが始まる前にシリンダー中にある一定のガス量を 押し出します。結果として、必要なガス量だけ圧縮され、 コンプ レッサーはより少ないエネルギーを消費します。 「私たちは性能に満足していたので、新バージョンにも 是非トライしたいと思っていました。」 ユニペトロール社テクノロジー & リサーチスペシャリスト、Otakar Soukup 一定のガス量を吸込側に戻すことによって容量を制御すると、 実際の流量に関わらず、コンプレッサーはフルパワーで回転 します。ステップ容量制御の方がわずかに効果的でしょう。 し かし、ユーザーの容量指定値が制御ステップのどれかと一致 しない限りエネルギーは浪費されています。HydroCOM のア ンローダーは油圧アクチュエータによって稼働し、圧縮中に吸 入バルブが正しい位置で開口します。中央の油圧装置が各ア クチュエータにオイル送ります。基本制御システムとデータ交 換がされるスイッチングルームの装置がアクチュエータの制 御信号を発します。 HOERBIGER@MOTION 43 ドライブ eHydroCOM: 電気式無段階容量制御 従来の HydroCOM システムは実績を積み重ねてきたので、信 頼性も頑丈さも十分証明されています。その上でホルビガーは さらに eHydroCOM を開発しました。本システムは以前の製品 と変わりませんが、油圧配管および中央の油圧ユニットが不要 になりました。その結果、設置およびメインテナンスがさらに容 易になり、数百キロワット程度の小型コンプレッサーに適する ようになりました。eHydroCOM システムは優れた制御能力を 備えており、 コンプレッサーの出力はクランクシャフト 3 回転中 に変更が可能なのです。いかなるレシプロコンプレッサーをも 円滑に稼働させる重要なカギは、中間および吐出圧力値です。 なぜなら誤った数値によって生じる急な上昇を防くからです。 制御性能がスローリターン弁によって抑制されることがないの で、アップストリームまたはダウンストリームシステムがコンプ レッサーのダウンタイムの原因になる可能性は低いでしょう。 プラグ・アンド・プレイ機能が備わり、eHydroCOM システムは、 インストールや改造に迅速に対応できます。そして冷却水また は油圧技術は不要です。メンテナンスは容易に実施できます。 システムには総合的な自己診断機能が装備され、バルブ整備 後の設定が不要になります。eHydroCOM における総合的なフ ィー ルドテストが、オーストリア、ハ イダックの RAG RohölAufsuchungs Aktiengesellschaf およびリトビノフのエアプロ ダクト工場などの顧客施設で実施されました。 44 HOERBIGER@MOTION 「消費電力が運用費の70% を占めているの で、省エネ対策は重要です。」 中央・東ヨーロッパ工業ガス リージョナルビジネスマネージャー・Petr Pekárek ドライブ プロフェッショナリズム 「プロジェクトは最初のスタートからとてもプロフェッショナ ルでした。」とPekárekはとコメントし、また「ホルビガーの作 業員や技術者は非常に熱心に取り組み、成果も素晴らしい ものでした。」とTeleckýは語ります。 「プロジェクトパートナ ーは、綿密なリスクアセスメントを実施してくれました。スタ ートアップ、試運転サイクル、およびオフライン/オンラインテ ストの計画を詳細にわたり立てたことにより、リスクを軽減さ せたのです。さらに、代替供給、微調整のリソース、およびス ペア材料など、様々な問題が発生した場合のソリューション も提供して頂きました。これら全ての前もった準備によって、 私たちはリスクを最小限に抑えながらプロジェクトを実施する ことが出来たのです。」と Pekárek は付け加えました。 目覚ましい結果 eHydroCOM システムは 2014 年 5 月に導入され、それ以来、 エネルギー削減量について常に留意してきました。 「導入直後 に、特定のアウトプットを eHydroCOM 導入前後で比較し、 22% のエネルギーを削減できたことが判明しました。」と Soukup は説明し、 「これは私たちの期待に見合うものでし た。」と Pekárek は続けています。 「安全マージンを含め、推 定年間省エネ・3000 メガワット時は、 予測通りでした。しかし、 この節約をあらゆる部分から査定した時、 プロジェクト導入費、 および少しばかりコストが上がったメンテナンス費などを考慮 に入れる必要があります。」 今は、コンプレッサーの出力圧力がさらに安定し、ステップ 式容量制御システムで経験していた「電圧変化」の問題は解 消されました。将来的には、ダウンストリーム側のターボコン プレッサーはその限界圧力にさらに近い圧力で稼働出来るよ うになり、効率性が上がるでしょう。Pekárekによると、彼ら は eHydroCOM の制御作動が速いことにも感謝しています。 「eHydroCOM システム導入前は、あらかじめ設定されている 圧力に対して一定のガス量を供給できるだけでした。今はその プロセスがさらに柔軟になり、生産需要に応えることができ るようになりました。eHydroCOMは特に反応が早く、その挙 動精度が非常に高いのです。」 Telecký はさらに次のように言います。 「最も重要なことは、省 エネ対策と正確な制御システムを確保することでした。今で は、この効率性を維持することが重要になっています。システ ムがどれだけ信頼性があるかをモニターし、近い将来にはメ ンテナンスプログラムやスペアパーツを検討することも考えて います。」 「私たちは効率性、省エネ、メンテナンスや運転費削減、そ してもちろん高い信 頼性のために尽力していきます。」と Telecký は説明し、さらに次のように述べています。 「このプロ ジェクトは話題になっています。プロジェクトが期待通り信頼 できる成果を出せば、eHydroCOM というその名前に対してポ ジティブなイメージがつくと思います。」 また、改善された制御性能にも特記する利点がありました。 「 ユニペトロールはアンモニア工場で様々な制御値のもと、運 転する必要がありました。そのような場合、ステップ式制御シ ステムで管理することは非常に難しいので、特に効果がありま した。」と Telecký は説明します。 「設 置 は 短 期 間 で 実 行 し な け れ ば な り ま せ ん で し た。 全 員 が 熱 心 な 姿 勢 で 取 り 組 ん だ 結 果、 期 限 内 に 無 事 完 了 す る こ と が で き ま し た。」 エアプロダクト工場・担当マネージャー Ondrˇej Telecký HOERBIGER@MOTION 45 ドライブ 一流の性能 オープングリッドヨーロッパのガストランスミッションに導入さ れたホルビガー・バルブアクチュエータはその性能を発揮しまし た。 コロン南西部ポルツにあるオープングリッドヨーロッ パのコンプレッサーステーション 46 HOERBIGER@MOTION ドライブ およそ 21% のシェアを持つ天然ガスは、石油、石炭と並んで三大エネルギー 源の一つです。オープングリッドヨーロッパは、1 万 2 千キロメートル以上の 長さを持つドイツ最大のガスパイプラインネットワークを運営・販売してい ます。 コンプレッサーステーションは、 このガスが最高の品質で消費者に届く ことを保証しているのです。ホルビガーの電気油圧式バルブアクチュエータ は、1 年間のトライアル運用を無事に終了させました。 文章 : Wolfgang Leppert 写真 : Ralf Baumgarten HOERBIGER@MOTION 47 ドライブ ポルツにあるオーブングリッドヨーロッ パのコンプレッサーステーションでは、 ロールスロイスタービンが必要な動力 を提供しています。 オップングリッドヨ ーロッパの従業員はガイドべーン調整 装置を詳細にわたって検査してい ます。 たちは次の二つの事を信じています。”ヨーロッパ”と” には、天然ガス運用に切り替え、その 11% が今日に至るまで 天然ガス”です。」と理事会主席、Stephan Kamphues 国内資源から供給されています。当社のさらなる歴史的マイ が オープングリッドヨーロッパ (Open Grid Europe) ルストーンとしては、 ヨーロッパ天然ガスネットワークの完了 の方針を簡潔に説明します。当社はドイツの天然ガス輸送を (1981 年 )、Ruhrgas と E.ON の合併 (2003 年 )、ガス輸送ビジ 専門とし、国内最大のガス輸送システム(全長およそ 12 万キ ネスのスピンオフが独立小会社へと移行 (2004 年 )、E.ON ガ ロメートルは、 アウトバーンに匹敵)の計画、建設、運用、そして ス輸送会社と改名 (2006 年 )、 ドイツにおける E.ON Ruhrgas モニタリングを行っています。 さらに 450 以上にものぼる国内 ネットワークの所有権買収 (2008 年 )、 およびオープングリッド 外のガス会社、地方事業、ビジネス産業、 またはガス業者のサ ヨーロッパ に最 終 改 名 (2010 年 ) などがあります。当 社 は プライヤーでもあります。年間出力パワーはおよそ 7250 億キ 2012 年 7 月以来インフラ資金の共同事業体によって所有さ ロワット時で、 ドイツ全体の天然ガス消費量の三分の二を占 れています。 めています。 私 オープングリッドヨーロッパのパイプラインシステムもヨーロ ッパ天然ガスネットワークの中心的要素であり、北海からバル ト海に、大西洋から東ヨーロッパにかけて 2 千万キロメートル 伸びています。 これがオランダ、英国、北欧、およびロシアを通 ってドイツ国内の 1140 万世帯と 210 万のビジネス産業に天 然ガスを輸送しているのです。結局のところ、天然ガスの国内 需要の 89% は輸入に頼り、その内の 38% がロシアからです。 ロシア天然ガスの最大ゲートウェイの一つが、チェコ共和国と ドイツの国境沿いのワイドハウス (Waidhaus) に拠点を持つ オープングリッドヨーロッパのコンプレッサーステーションで す。 当社は、2010 年~現在の組織になってから長くはありません が、90 年近い伝統と歴史を誇っています。1926 年に、長距離 ガス供給のためにコークス炉ガスを活用しようというアイデア から、Aktiengesellschaft für Kohleverwertung ( 石 炭 利 用 社 ( 株))が設立され、後に Ruhrgas となりました。5 年足らずで 26 の鉱山を持つドイツ最大のガスサプライヤーに成長しまし た。約 8 億立方メートルにも達するコークス炉ガスを、当時で すでに 933 キロメートルもの長さを持つ伝送路網で供給して いました。当社が Chemische Werke Hüls に供給を開始して 以降、、1938 年から産業利用されるようになりました。1964 年 48 HOERBIGER@MOTION オープングリッドヨーロッパ: 社名そのものがミッション 会社名が強調しているように、名前そのものがミッションを表 しています。 「開放性と透明性 (Open) が、私達がハブ (The Gas Wheel) としても機能しているガスパイプラインネットワ ーク (Grid) へアクセスするための指針です。」エッセン本社と、 北海沿いのクルムホーン (Krummhörn) からプファルツ地方の ワイドハウス (Waidhaus) にかけて点在する数々の支社を含め て 総計 1650 人の従業員が従事しているこの会社は、本方針 を遵守しています。 主要顧客に輸送する際には、ガスはパイプライン内で最大圧 力 100 バーまで達しています。しかし輸送中に、摩擦やガス撤 回によってこの値は下がっていくものです。コンプレッサーステ ーションは 150 ~ 200km の間隔で位置し、輸送を継続させる ために、圧力を上げ、ガスのフィルター処理、測定、乾燥化、 圧縮、そして冷却をします。合計 27 のコンプレッサーステーシ ョンのうち一番古い施設がポルツにあります(1954 年以来)。 そこでは、合計 100 メガワットの容量を持つ 8 つのコンプレッ サーが天然ガス毎時 200 万立方メートルほど処理しています。 当ステーションはパイプラインネットワークに 27 の流体方向 ドライブ ダーク ホルスト、左 ( ホルビガー ) およびフランクシュ ーマッハー (オーブングリッドヨーロッパ) はコンパクトな 電気油圧式アクチュエータTriVAX flex を導入する可能 性を話し合っています。 コンパクトな電気油圧式アクチュエータ TriVAX flex は油圧技術の利点と、簡単に設置可能な電 気アクチュエータを組み合わせています。 構成を提供し、北から南、南から北の方向へ輸送方向を逆向 きにできる大変柔軟な運用を可能にします。 安全機能付き電気アクチュエータ ”ビジネス”では安全面に細心の注意を払っています。 「輸送ネ ットワークの安全に投資を惜しみません。従業員や設備と同 様に環境保護にも十分配慮します。」がオープングリッドヨー ロッパのモットーです。イノベーションを模索する中で、2009 年にホルビガーがメーカー向けに 開発した電気油圧式アクチ ュエータに出会いました。油圧技術、機械工学、および電気工 学の 3 つのテクノロジーの組み合わせ、そしてそれらのテクノ ロジーの用途であるバルブアクチュエータを表した TriVAX と 呼ばれる製品です。本アクチュエータは高出力密度、シンプル に組み込まれた安全機能、油圧技術などの長所と、容易に設置 できるという利点を兼ね備えています。バルブへのメカニカル インタフェースとプロセス制御システムへの電気インタフェース がそれぞれ一つずつ装備されています。 「完全にカプセル化されているため、油圧システムであること は分からないのが特徴です。」と旧市街にオフィスを持つホル ビガーバルブオートメーション事業部門・ Marcus Grödl は言 います。 「クローズド油圧式回路によって私たちのシステムは 信頼性が大変高くなり、 5 年間のメンテナンス周期と DIN EN 15714-2 ライフタイムスタンダードに準拠した最大周期数の実 現が現実味を帯びてきました。」試運転や停電の場合は、手 押しポンプを使って外からバルブを手動で開け閉めを行うだ けです。同時に、非常にコンパクトで耐久性のあるアクチュエ ータは、わずか 800 ワットで作動します。配管不要のケース付 き電力装置は ATEX に認定され、爆発リスクの高い環境やあ らゆる天候を考慮した屋外環境に最適です。 ました。以前は、電気、ガス、または圧縮空気制御ソリューショ ンが使われていました。 「安全面を確保するためには、給電に 関係なくバルブが動作する必要があるのです。」と、プラント エンジニア・Frank Schumacher は説明します。 「加えて、既存 の制御装置と一緒に作動する、信頼性の高いアクチュエータも です。」当拠点では、コンポーネントが個々に組み立てられ、設 計される TriVAX フレックスモデルがテストされました。スタン ダード TriVAX 装置には従来のスタンダードアプリケーション の制御装置が組み込まれています。 設置テストは、ガス供給の重要が低い夏期に開始され、冬のピ ーク期間中に全機能が総合的にチェックされます。一年間の 試行運転の完了後に、電気油圧式バルブアクチュエータは「制 御装置に接続するに当たって問題はなく、 性能は完璧でした。 」 と Frank Schumacher は評価しています。オープングリッドヨ ーロッパは、現在バルブの有無にかかわらず、移行が必要なア クチュエータをホルビガーシステムに切り替えることを思案し ています。 これによりポルツの専門家たちは、包括的・広範囲にわたって、 この新技術をコンプレッサーステーションで試行することにし HOERBIGER@MOTION 49 ドライブ 50 HOERBIGER@MOTION ドライブ エンジニアリングの 歴史に迫る 英国北西部にあるバーノルズウィックは人口 1 万人ほどの小さい町です。住民 が故郷と呼ぶこの町は、繊維工業によって築き上げられてきました。19世紀 ~20世紀の間、バーノルズウィックには織機や紡績工場が13塔立ち並び、最後 に建てられたバンクロフト工場は、1920年から稼働開始し、58年後に閉鎖して います。 しかし、バンクロフト工場とその近隣工場の動力であった蒸気エンジン 2 台の物語はまだ終わっていなかったのです。 文章: Charles Butcher 写真: Chris Stading 左 : 1920 年に運行していたバンクロフト 工場の蒸気エンジンは、500 馬力の織機 1200 台 ( シリンダー 2 個付き ) の駆動力 があります。鋳鉄製のフライホイールは 重さ 30 トンです。 右:バンクロフトのエンジンハウス 現地の石で建築された建物は、 現代の産業ビルではみることのできない 細部まで行き届いた心配りが見られます。 ンクロフト工場の製織場は既に消失していますが、 エン ジンハウスおよび 500 馬力のエンジンは保管されてい ました。15 人ほどのテクノロジー愛好家が、歴史的テク ノロジーに純粋に興味を持ち、彼らのボランティア活動によっ てこのリバイアサンは運営維持されています。 しかし、それだ けれはありません。メンバーはすでに次のプロジェクトに取り 組んでいます。彼らは近隣の工場で解体状態にあった蒸気エ ンジンを回収し、それを復旧させるプロジェクトに取りかかっ ているのです。 そしてホルビガーは、 そのプロジェクトをサポー トしています。 バ 英国ランクシャー地方やヨークシャー地方の織物が盛んな市 では、何十万人もの労働者が劣悪な環境下で作業をしていま した。産業革命が始まって以来、すすで汚れ、換気の悪い工場 で働いていたのです。主にウール、コットン等の原料繊維、ま たは目の詰まった安価な織物を紡いでいました。 バンクロフト工場では、合計 1200 台の織機を一台の蒸気エン ジンで動かしていました。創業から1000 年以上が経過した今 日でも、エンジンは稼働し、観光地となっています。祝祭中に HOERBIGER@MOTION 51 ドライブ 1 バンクロフトトラスト (I) のエンジニア John Reid とホ ルビガー UK/UK エンジニアリング & テクニカルサービスマネージャー Matt Jackson はユニバーサルメタリックパッキン社が 1901 年に使用し て い た 注 文 控 え 帳 を 見 て い ま す。UMP Co. は 1994 年 以 来 ホルビガーの一員です。 2 今現在バンクロフト工場で復旧作業が行われている 1901 年に作 られたこのブラッドリーエンジンには、UMP Co. が初期に製造した ピストンロッド用パッキンシステムの一つが使用されています。 3 UMP Co. の注文控え帳にはホルビガーが最近整備したものと 同じパッキンが記載されています。 4 ブラッドリーエンジンのパッキン番号 284 はホルビガーが整備し たものです。 1 1 2 2 3 3 4 4 は、 ボランティアのチームが 3 週間ごとにボイラーに火をつけ、 毎秒 68 回転のスピードで 30 トンあるフライホイールのエンジ ンを動かします。 現地の企業家・ウィリアム ロバートによって作られたエンジン は、当時の蒸気技術を駆使したあらゆる機能が盛り込まれて いるのが特徴です。精巧なバルブギアおよびスピード制御に 加えて、2 個のシリンダーのピストンロッドパッキンは特殊技術 が盛り込まれています。パッキン製造は 40 キロメートル離れ たブラッドフォードにある、ユニバーサルメタリック社 (UMP Co.) によって行われています。ホルビガーは 1994 年に当社を 買収し、今日はホルビガー英国 (LTD) としてホルビガーグルー プの一社となっています。 バンクロフト会社の第二蒸気エンジンには UMP Co 製造のパ ッキンが使用されています。いわゆるブラッドリーエンジンは その起源を 1901 年までさかのぼります。バンクロフト工場の ボランティアたちが掲げたある目標とは、メインのエンジンハ ウスに隣接するビル内のブラッドリーエンジンを組み立てるこ とです。これは、数トンのコンクリート基盤を作るという、多大 な時間を必要とする作業であり、エンジンは数年内に運用さ れる予定です。 52 HOERBIGER@MOTION ブラッドリーエンジンのピストンロッドパッキンには新しいパ ーツが必要なので、チームは UMP Co. を引き継いだホルビガ ー英国 (LTD) と連絡を取りました。UK エンジニアリング & テ クニカルサービスのマネージャー・Matt Jackson は、オリジナ ルの設計図を探し、コスト効率性を考慮した上でパッキンを修 理しました。 「この素晴らしい歴史あるエンジンを保管できる ことは喜ばしいことです。」と Jackson は言います。 ドライブ オリジナルのバンクロフトエンジンに使われたこの UMP Co. パッキンを見ると当社が 1920 年までに 1 万 8 千以上の注文品を発送したことが分かります。 現代パッキンテクノロジーの元祖 今日バンクロフト工場の両方のエンジンに組み込まれている、 ユニバーサルデュプレックスメタリックパッキン(特許)は、現 代のシーリング技術の歴史的スタートラインを物語っていま す。以前に使われた麻やコットンパッキンと比べると、1901 年 に開発されたパッキンシステムは、高蒸気圧にも対応する信 頼性あるシーリング技術を実現させた革新的な技術イノベー ションと言えるでしょう。当時革命的であった金属製パッキン システムは、2 組の真鍮ブロックで構成され、シャフトにぴった りとはまり、環状バネおよび軟金属製の円錐状シーリングセッ トによって配置場所に留められています。 UMP Co. は 1901 年にパッキン製造を開始しました。同年にブ ラッドリーエンジンが開発され、そのエンジンに使用したパッ キングは一番最初の製造ラインで製作されたパーツになりま す。彼らは 284、285、および 286 と数字をふりました。これら の数字は UMP の古い注文控え帳で見ることができ、現在は ホルビガーのアーカイブに保管されています。これらは数十年 間にわたって何千ものパッキンを生産する会社の最初の製品 の証しです。 蒸気時代が終わり、UMP Co. はレシプロコンプレッサーのシ ーリングシステムに重点を置くようになりました。これらのシ ステムにおける基本設計および機能原理は 1970 年代になっ ても変わりませんでした。後になってようやく高性能のポリマ ーや黒鉛がシーリングテクノロジーに決定的なイノベーション をもたらしました。 レシプロコンプレッサーに使われている、最新版ホルビガー BCD シーリングリングのデザインはオリジナルのブロックリン グパッキングと多少類似していますが、材料は大幅に改良・開 発されたものです。合成材料は日々、高度化しています。材料 の改善に加えて、コンピューターによるモデルや基礎研究がこ れらのシステムの性能向上に大きく貢献しています。そのため ホルビガーは漏れのないシーリングシステムを開発すること ができたのです。バンクロフト工場のエンジンを開発したエン ジニアがこれを見たらきっと胸を躍らせたことでしょう。 HOERBIGER@MOTION 53 ショートカット SHORTCUTS ホルビガーウィーン、アスパン新拠点を 契約 契約書が完了し、ついに始動:ウィーン郊外湖沿いのアス パンにあるホルビガーウィーン拠点は 10 月中旬からオー プンしました。9 月 26 日に、WIENeu 建設プロジェクトに 関わるパートナーの代表 12 人が契約書にサインをし、19 ヶ月の共同製作が確定しました。 重大なマイルストーンが達成:契約には全計画や財政詳 細が説明され、2016 年 4 月の引き渡しの日付も記載され ています。 EFRC 会議と併用して開催された展示会の様子です。参加者は新 製品を学び、 アイデアを共有し合う場として活用しています。 コンプレッサー業界がウィーン 開催・第9回目 EFRC会議に 集結 ヨーロッパレシプロコンプレッサーフォーラム (EFRC) は、 ヨーロッパで最も重要な産業イベントです。9 月 11 日~ 12 日に、経営者、メーカー、エンジニアリング会社 、または大 学機関が最先端のテクノロジーや新開発製品ならびに新 しいトレンドを発表しました。今年のフォーラムは、354 人 もの参加者が集いました。 本会議および関連展示会の主な方針は、エキスパートた ちが今後の課題に対処するアイデアをまとめ、形にしてい くことです。 サプライヤー・ポータルオン ライン 7 月 17 日以来、procurement.hoerbiger.com は、ホルビ ガーグループのサプライヤー向け情報源のハブとして機能 しています。 さらに新しいポータルがホルビガーウェブサイ トに統合され、企業サプライヤー関係の管理 (SRM) を行 っています。 サプライヤーポータルはホルビガーグループの事業ユニッ トやビジネス部門全ての購買履歴を保存しています。既存 または見込みサプライヤーは、ホルビガーグループやその 製品・サービスだけでなく、調達戦略や製品グループ管理 について知ることが可能です。 54 HOERBIGER@MOTION 左から右 : ホルビガー WIENeu 担当プロジェクトコーディネータ ー・Peter Wonisch、ホルビガー Ventilwerke GmbH & Co KG マ ネージングダイレクター・Axel Rumpold、ホルビガー不動産会社 WIENeu 担当マネージングダイレクター・Peter Steinrück 博士、 SBU コンプレッションテクノロジー理事会兼最高経営責任者 (CEO)・Johann Hipfl、Manager General Contractorship & Industrial Construction・Franz Lederhaas、Project Controlling GRANIT・Denise Rainer 、querKraft アーキテクトの建築士・ Jakob Dunkl CTI シンポジウム: ホルビガー中国で CompactLINE 発表 中国で 9 月 17 日~ 19 日に開催された第 3 回目国際 CTI シンポジウムは、出席者の熱意はもちろん、自動車産業を あるゆる視点から見た活発なディスカッションや詳細な 講義など、盛りだくさんの中、大盛況を博しました。弊社 のドライブ・テクノロジー部門も出席し、CompactLINE や Blocker Ring Basic (BRB) 等の新製品を発表しました。 「革新的な自動車用トランスミッションとハイブリッド& 電気自動車で中国を牽引」をモットーに業界を代表する 420 人が江蘇省蘇州市に集まり、現代自動車テクノロジー の活用方法や経験を共有しました。 ショートカット ホルビガードライブテクノロジー常州: 初のエンゲージメントボディとリング 2014 年度 8 月の初旬以来、ホルビガードライブテクノロジー常州は中国市場向けにエ ンゲージメントボディ (EBO) およびエンゲージメントリング (ERI) を製造しています。中 国では 4 年前にスリーブ製造を開始しました。HDC ( ホルビガードライブテクノロジー ) はそれ以来マーケットで優れた性能を示し、 数々の新しいプロジェクトを獲得しました。 顧客は品質の高さだけでなく、素早い対応も望んでいます。そこで、ドライブテクノロジ ー事業部門は、オーバーシュテンフェルト工場の補佐として中国に EBO と ERI の製造 施設を設立しました。オーバーシュテンフェルトから常州オーバーシュテンフェルトに移 した 2 台の機械が、製造サイトで主要設備となっています。 ホルビガーウェブサイト (スマートフォン対応) 5 月 19 日以降、ホルビガー企業ウェブサイトのス マートフォンフルバージョンが利用可能になりまし た。モバイル機器の小さい画面に対応するために デザインを簡素化・最適化しました。モバイル バ ージョンは デスクトップバージョンと同じコンテン ツとテクノロジーを提供しています。既存ウェブサ イトの全コンテンツの利用を可能にするだけでな く、モバイル機器に合わせた適切表示となるよう 専用のモバイルフロントエンドも開発しました。 ホルビガースマートフォン対応ウェブサイトの最適 化は海外マーケティングの専門家の間で好評でし た。11 月 初旬にテキサスで開催されたマルコム授 賞式では、ホルビガーはプラチナ賞 1 つ、金賞 3 つを受賞しました。 (ウェブサイトでプラチナと金 賞各 1 つを、モバイルバージョンで金賞 2 つを獲 得。)さ ら に、10 月 2 日 に ニ ュー ヨ ー ク に て MerComm ギャラクシー賞の 審 査 委 員 会 から mobile.hoerbiger.com はブロンズ賞と選外佳作 を受賞しました。 HOERBIGER@MOTION 55 ショートカット ホルビガーペンツベルク社 50 周年 7 月 25 日に、ホルビガーペンツベルク社のマネージメントと 社員は、設立 50 周年記念のセレモニーを行いました。本祭典 は、家族同伴で執り行われ盛大なものでした。1964 年 6 月 22 日にペンツベ ルク市シーショウプト通り (Seeshaupter Street) に設立された会社は、 自動車用部品を製造しています。 ペンツベルク工場は現在およそ年間 6500 万台の部品を生産 しています。 ホルビガー Ventilwerke GmbH & Co KG (HVW) は、 モスクワコン プレッサー工場協会との会議を主催しました。 東ヨーロッパのコンプレッサー スペシャリストがホルビガーを 訪問 モスクワに本部を置くコンプレッサー工場協会 (AKZ) は、 情報とアイデアをディスカッションするために 9 月 22 日~ 26 日の週にオーストリアを訪問しました。その際、ロシア とウ クラ イナ の エグゼクティブ 17 名 が ホ ル ビ ガ ー Ventilwerke GmbH & Co KG (HVW) を来訪しました。当 会議場所は、AKZ の正式会議場としても使われています。 60 年代初頭のペンツベルクの工場施設 ホルビガーウェブサイトの新しいナビゲーション デザインが縮小化され、使い勝手が 便利になったホルビガーウェブサイ トは 10 月中旬から新しいナビゲー ションを導入しています。以前と比べ て、大変使い易くなり、ユーザーのサ イト上での選択が一目でわかるよう 可視化されました。全てのコンテン ツをサイトマップに表示するという 元々のアプローチをやめ、階層的構 造、マルチレベルの選択機能等のユ ーザーナビゲーションを取り入れま した。 新しいナビゲーションによって 操作が簡単になりました。 56 HOERBIGER@MOTION クレジット一覧 クレジット一覧 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 1 Ralf Baumgarten (52) ケルン在住・勤務。 長年にわたって、 写真家としての名を築きあげる。 彼の作品は複数の賞獲得。著作本、 「UhrMenschen」で 2005 年名誉あるレッドドットデザ イン賞を受賞。2010 年、本 “Twelve Faces of Time – Horological Virtuosos.” で写真家とし て IF デザイン賞を獲得。顧客に国際雑誌、出版社や企業がいる。 9 Achim Neuwirth (37) は テ ュ ー ビ ン ゲ ン の 近 く に あ る エ ー ジ ェ ン シ ー、DIE WORTWERKSTATT で 2007 年以来勤務。ジャーナリズム専攻の彼は有数の自動車サプライ ヤーの技術に関する文章を書く。エージェンシー以前の経験やドイツオートメーカー 2 社の コミュニケーション部門でのインターンとしての経験等、自動車産業は彼の長年の焦点。 2 Prof. Dr.-Ing.Werner Bick (53) レ ー ゲ ン ス ブ ル ク 大 学 (Regensburg University of Applied Sciences) で教え 1999 年以来ミュンヘンの ROI マネージメントコンサルティング AG で CEO として務める。自身の専門知識をあらゆる企業へのロジスティックの改善に活用 し、製品の最適化、開発とそのプロセスにおける効率性および有効性の向上を図る。 10 Ludwig Schönefeld (50) ホルビガーホールディング AG の企業コミュニケーションの代 表。今日でも彼の仕事のほんの一部であるが、自身のルーツである、デイリージャーナリズ ムに携わる。とはいえ、彼が定期的に書く HOERBIGER@MOTION のレポートのスタイルお よびその特徴から、彼のジャーナリズムに対する関心が伝わってくる。主にホルビガーお客 様の成功要素について記事にしている。 3 Univ.Prof. Dr. Friedrich Bleicher (47) はウィーン工科大学製品エンジニアリングとレーザ ーテクノロジー機関の代表。彼のリサーチの主題は幾何学上定義された/されていない切 断面における機械加工プロセス、工作機械の開発と最適化、パラレルキネマティックス、 EDM テクノロジー、または迅速製造。 4 Charles Butcher (53) は 英 国 のフリー ランステ クノロジ ー ジャー ナリストで あり、 thiswritingbusiness で 運営もしている編 集 者。化 学工学 の 学 位を持ち、The Chemical Engineer 及び Chemical Technology Europe を含むテクニカル出版社で編集者として勤 める。 5 Klaus Fricke (57) はフリーランスのベテラン写真家。ハノーバーにアトリエ Fricke を所有 する。彼の主な作品は、産業や展示会における写真やフォトジャーナリズムである。 6 Jens Geisel (51) は ホ ル ビ ガ ー 企 業 出 版 お よ び 内 部 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン 代 表。 ホ ル ビ ガ ー お 客 様 向 け 雑 誌 HOERBIGER@MOTION お よ び 社 内 向 け 雑 誌 HOERBIGER@MOTIONinside における日々の編集を管理。又、ホルビガーコミュニティのオ ンラインコミュニケーションプラットフォームも担当。 11 David Spaeth (37) はシュトゥットガルト在住の写真家。写真トレーンングを完了させ、主 に編集写真を扱っている。顧客には著名な産業とサービスプロバイダー、ならびにビジネス とライフスタイル雑誌。 12 Katrin Spannblöchl (32) フェルバッハのアトリエ、KD Busch でトレーニングを受けた写 真家。彼女は、あらゆる産業エンタープライスに製品写真を特集。 13 Chris Stading (52) はホルビガーで勤務し 36 年。今日は、英国ブラッドフォードのセール スチームで活躍。写真愛好家。彼が撮った国内・国際サッカーゲームの写真が数々の新聞や 雑誌に掲載。 14 Melanie Stahr (33) は テュービ ンゲ ン でドイツ 言 語と 文 学、ならび に 中 国 研 究 を 勉強。ドイツのオートメーカーの企業コミュニケーション部門で勤務し、フリーランスコピー ライターとして従事後、編集者としてエージェンシー、DIE WORTWERKSTATT に 2013 年入 社。ZF および Recaro 等のドイツの大手自動車サプライヤーでライターとして勤務。 7 Johann Hofmann (55) は Value Facturing® の事業部長としてマシーネンファブリク レイ ンハウゼンで勤務しています。実践的な経験を通して、Hofmann と彼のチームは、MES ソリ ューション ( 作業現場向け )、MR-CM® を 25 年にわたる綿密な作業のもとに開発しました。 現在は、この 25 年以上の実践的な経験や知識について MES およびインダストリー 4.0 の セミナーやレクチャーで講演しています。 8 Wolfgang Leppert (53) 専門家および事業出版社、ならびに B2B コミュケーションに主に 携 わるテクノロジー 企 業 のフリーランンスジャーナリスト。過 去 20 年 間にわたって、 Würzburg に あ る Vogel Business Media 又 は ラ ン ズ バ ー グ に あ る verlag moderne industry 等のトレードメディアで編集者、編集長、出版業者として勤務。ドイツ語言語およ び文学、コミュニケーションサイエンス、ならびに経済を学ぶ前に、新聞会社や現地ラジオ ステーションで従事経験あり。 出版社 HOERBIGER Holding AG Baarerstrasse 18 6304 Zug, Switzerland ホームページ : www.hoerbiger.com E-Mail: info@hoerbiger.com 執行委員会 Martin Komischke 博士 (主席) Thomas Englmann Charles Friess Norbert Gauß Johann Hipfl Gerhard Wagner 商業登録番号 : CH-270.3.003.156-2 Trade Registry of Canton of Zug, Switzerland VAT 番号 : 194 609 編集部 HOERBIGER Holding AG Corporate Communications Baarerstrasse 18 6304 Zug, Switzerland Ludwig Schönefeld (ディレクター): TEL:+ 41 / 41 / 560-75 79 ludwig.schoenefeld@hoerbiger.com Jens Geisel: TEL: + 41 / 41 / 560-10 19 jens.geisel@hoerbiger.com Simon Schmid: TEL: + 41 / 41 / 560-75 71 simon.schmid@hoerbiger.com Anja Aurbacher (編集アシスタンスおよび配布): TEL: + 49 / 8861 / 25 66-21 88 anja.aurbacher@hoerbiger.com 翻訳 Kerstin Roland, Maintal Translations Inc. Virginia Beach, VA 23454, USA 写真 Fotolia p. 1, 8/9, 14 .Getty Images p. 10, 13, 20 . iStockphoto p. 6/7, 17 . dpa picture-alliance p. 18/19 .Daimler p. 29, 33/34, 35 o., 36 u., 37 .Ford p. 30 .Fiat Chrysler Automobiles p. 31 本書の写真全ては記載されていない限り以下の所 有物とする:HOERBIGER Holding AG コンセプト & デザイン Agentur Feedback, Munich, Germany www.agentur-feedback.de 印刷 著作権 : HOERBIGER Holding AG, 2014 筆者又は写真家として記載されてはいません が、以下の機関および個人の皆様方へ本書へ のご協力に感謝を申し上げます。 Maria Fröhlich, Daimler AG . Joachim Silber, TRUMPF GmbH + Co. KG . Anne Frankenheim, Amada GmbH .Bystronic . Arianna Vimercati, F.lli Vimercati s.n.s.. Gudrun Witt, Messer Cutting Systems. Artur Demirci, Mercedes-Benz Schweiz AG .Fiona Flannery, Fiat Group Automobiles Switzerland SA . Kaspar Haffner, Ford Motor Company (Switzerland) SA .Sascha Ondrazek, GETRAG International GmbH Gotteswinter und Aumaier GmbH 80807 Munich, Germany HOERBIGER Group: 配布 : 世界 42 ヶ国 オートメーションテクノロジー : Marcus Grödl 発行部数 :25,000 言語 : ドイツ語、英語、日本語 引用文、 意見、 市場およびテクノロジーにおける評価 を含む本記事の内容は出版社の見解を反映したも のではありません。 コンプレッションテクノロジー : Hannes Hunschofsky ドライブテクノロジー : Wolfgang Beck ドライブテクノロジー : Klaus Hohenleitner, Jörg Löffler, Jens Müller HOERBIGER@MOTION 55 AG15IM019AE201411
© Copyright 2024 Paperzz