第206号 - 聖心女子大学

2016(平成28)年 5 月30日
第206号
第206号の主な記事
(創基100周年記念ロゴ)
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( 1 )
・2016(平成28)年度入学式
関連記事
・新任教員紹介
・2015(平成27)年度卒業関
連記事
・卒業生の進路状況及び就職
活動について
・聖心女子大学のあゆみ ・創基100周年特集 等
をご存じでしょうか。哲学カフェと
ラは女性が学問を深く学ぶことを重
い、国際社会で貢献できる人間にな
いうのは、普段当たり前だと思って
視し、学んだ知識・経験をもって、
りたい、という夢や抱負をもってい
い る 事 柄 に 対 し て、﹁ そ れ っ て 何 な
社会が必要としている変革を様々な
る方たちも皆様の中に少なからずい
のだろう?﹂と問いを掲げて、自由
レベルで起こしていく行動力をもっ
らっしゃるでしょう。そのために本
に集まった人たちがお茶を飲みなが
た人間を育成することを理想としま
当に必要なことは、語学の訓練や専
ら、自由に討論し、対話を通して自
した。1801年、最初の聖心女子
門的かつ幅広い知識だけではなく、
分の考えを問い直したり、他の人の
学院の学校創立当時のフランスは革
様々に違った要素をもった人々と、
命直後であり、政治、社会の大混乱、 発言を聴いて考えたりしながら意味
哲学カフェでの発言にあったように、
を深く追求していくものです。今年
価値観の転換の只中にありました。
相手のことを心配するくらいに本当
月 に、﹁ ト モ ダ チ っ て 何?﹂ と い
そうした社会を再建し、よりよい方
の友達になれるか、ということでは
うテーマでの哲学カフェに触れる機
向に変えていくために、女性も学問
な い で し ょ う か。〝 グ ロ ー バ ル な マ
会がありました。ただの﹁知り合い﹂ インドを持つ〟とは、違いを認め、
知識をしっかり身につけて次の時代
と﹁友達﹂とはどこが違うのだろう
を担っていけるように育成されるこ
違いを乗り越えて一つになろうとい
とが重要であると考えられたのです。 か、という問いが出されていました。 う意志、心の態度を持つこと、相手
新一年生の皆様、ご入学おめでと
そこにいた一人の若い女性の発言が
のことをよく知り、理解し、受け入
うございます。編入生、留学生の皆 この精神に基づいて、聖心女子大
印象に残っています。その人はこう
学 の 教 育 理 念 に も、﹁ 自 ら 求 め た 学
れ、心配するまでに関心を傾ける友
様もおめでとうございます。保護者
業を修め、その学問の成果をもって、 言 っ て い ま し た。﹁ 自 分 に と っ て 友
達の態度をもっていることです。そ
の皆様にもこころからお慶びもうし
達と言える人は、自分がその人のこ
社会との関わりを深める﹂とはっき
れ は 大 学 の モ ッ ト ー で あ る、﹁ 愛 と
あげます。来賓の皆様、新入生を祝
とをよく知っている人、その人のこ
り謳われています。現代日本社会の
慈しみのあるところ、そこに神がお
してご列席いただき、まことにあり
とを理解している人、そしてその人
身近な問題を見ても、子供の貧困や
られる﹂に通じるこころの姿勢です。
がとうございます。
教育の問題、そしてこれらと深く関
のことを心配している人のことだと ﹁ 社 会 と の 関 わ り を 深 め る こ と ﹂ が
さて、今日から、皆様一人ひとり
わる家庭の問題、政治や社会におけ
教育理念で謳われている大学の学生
思う﹂と言う言葉です。確かに、あ
にとって、この大学は﹁私の大学﹂
る不正、安全保障、東日本大震災か
となられた皆様は、最も当たり前で
る人のことを知っている、というの
﹁私たちの大学﹂となります。です
らの復興と地域の再生、福島第一原
ありながら必ずしも易しくはない目
と、理解している、というのと、心
からこのキャンパスで、思う存分勉
子力発電所の事故問題の解決など、
標であるグローバル・マインドを持
配している、のとでは関わりの度合
強し、活動し、いろいろな人と出会
また、世界に目を投じれば、かつて
った人、そして様々な違いを超えて
い、関わりの質が異なります。
い、関わりあって、自分を成長させ
なかった勢いで増している難民の問
友達になっていく人、そういう人に
ていらしてください。皆様一人ひと
ここで、皆様が胸につけていらっ
題、テロの恐怖、環境問題等々、そ
なる努力をしていきましょう。
しゃる校章に刻まれているラテン語
りが、各自の可能性を最大限に伸ば
れらに深く関わる経済格差や人権問
の言葉、 Ubi Caritas, Ibi Deus
に触 皆 様 が 心 身 と も に 健 康 で 、 一 人 ひ
し、知識も経験も豊かに身につけ、
題など、解決するべき深刻な問題が
とりの目標を達成できる学生生活を
れたいと思います。校歌の歌詞でも
社会で活躍できる人へと成長できる
渦巻いています。皆様が専攻して学
送ることができますように、神様が
歌われるこのラテン語の言葉は﹁愛
ように、大学の教員や職員は皆様の
ぶことになる分野の学習とともに、
導いてくださることをこころからお
と慈しみのあるところ、そこに神が
将来を考え、できるだけの指導、支
社会の問題に自分の意識を向け、そ
祈りいたします。
おられる﹂という意味で、初代学長
援、協力していきたいと思っていま
うした問題について関心をもって考
マザー・ブリットが本学のモットー
す。
え、学ぶこと、これは﹁自ら求めた
として定められました。
皆様が入学された聖心女子大学の
学業を修め、社会との関わりを深め
教育理念の源泉は、二百年以上前の
〝愛と慈しみ〟をもって人と関わ
ること﹂を教育の理念に掲げる聖心
ることは、先ほどのトモダチ関係と
フランスで聖心女子学院を始めたフ
女子大学に入学された皆様の課題で
重 ね て み る と、〝 そ の 人 の こ と を 理
ランス人修道女、マグダレナ・ソフィ
あり、無関心であってはならないの
解している、心配している〟といっ
ア・バラの教育の理想にあります。
です。
た関わり方のことではないでしょう
ここにその肖像画があります。マグ
か。無関心とは程遠い心の姿勢です。
ダレナ・ソフィア・バラは、当時の ﹁ 社 会 と の 関 わ り を 深 め る ﹂ と は
漠然とした表現ですが、このことを
女性としては例外的に高度な学問を
現代はグローバル化、グローバル
具体的に考えるヒントについてご紹
人間の育成といったことがよく語ら
兄から授けられました。その経験を
介しましょう。皆様は、﹁哲学カフェ﹂ れます。将来国際的な仕事に就きた
もとに、マグダレナ・ソフィア・バ
平成 28 年度入学式式辞「“グローバル・マインド”への努力を」
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第206号
淑子
聖心女子大学長 岡崎
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わけでありますが、それはあくまで、
特殊な知識とかテクニック、ハウツ
ーではなく、その根底にリベラル・
アーツ、つまり人類の歴史、先人が
積み上げてきた哲学、思想、倫理な
どを含めた人として身につけておく
べき深い教養を学ぶところでなけれ
ばなりません。これからの 年間皆
さんはできるだけ、古典にふれて、
文明の歴史や哲学を学問の基本とし
て、学んでいただきたいと思います。
今、現代社会は、専門化、多様化、
分散化の一途をたどり、その結果と
しての専門主義、瑣末主義
︵ Triviality
︶
におちいっています。皆さんには
世紀の文豪ゲーテのように、物事の
全体像をつかめる総合の人になって
いただきたいと思います。これがリ
ベラル・アーツの本質だと思います。
以上、しっかりした価値観を持つ
事、グローバル化の進む時代にダイ
バーシティの考え方の大切な事、そ
してリベラル・アーツ教育の必要性
につき述べさせていただきました。
これから皆さんの歩まれてゆく次
の時代は、決して平穏な時代ではな
いように思います。私共も 年前に
あの東北大震災を経験しましたが、
自然災害、社会の変動等、予測され
ない危機、リスクがいつどこで起こ
るか分からない、まさにマグダレナ
・ソフィア・バラの歩まれたあのフ
ランス革命とその後の混乱期と同じ
ような状況に直面しております。
このような厳しい時代の中で、こ
の聖心女子大学の教えるマグダレ
ナ・ソフィア・バラやフィリピーン・
デュシェーンの歩まれたような崇高
な精神と愛を持って、皆さんが神様
から与えられた能力を最大限社会の
ために活用されるべく、この 年間
を有意義に過ごされることを切望
し、私からのお祝いの言葉とさせて
いただきます。
本日は、ご入学まことにおめでと
うございます。
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敏行
様に つのことを、人生の先輩とし
の 世 界、 一 言 で い え ば、﹁ 混 乱 と カ
てお話ししたいと思います。
オス﹂の時代となってしまいました。
これから世界をカオスから秩序に
一つはしっかりした価値観・世界
観を自分の中に創り上げること、も
持ってゆくためには、どのような考
う一つは現在進行している、また問
え方が必要なのでしょうか。それが
題の根源ともなっているグローバリ
ダイバーシティの概念であると思い
ゼーションとダイバーシティについ
ます。多様性そのものは、ノイズと
て、最後にリベラル・アーツについ
カオスです。しかし我々の求める真
て、日頃考えていることをお話しい
の 多 様 性 は、﹁ 混 乱 の 中 の 秩 序 ﹂ で
たします。
あります。その本質は、共存と共栄
であり、ノイズとカオスの中に、共
先ず、第一点目はこの 年間でし
っかりした価値観・世界観を育み、
通の価値観、ルール、制度といった
よき人間力を形成していただきたい
秩序を創り上げることにあります。
という事です。本学は創立者であり、 その根底には、人間としてのお互い
フランスやヨーロッパ各地で活動さ
の尊厳と人権を認め合う事が必要で
皆さん、ご入学誠におめでとうご
ざいます。これまでの皆さんのご研
れたマグダレナ・ソフィア・バラや、 あり、この事こそ、これからお話し
鑽の甲斐あって、本日この歴史と伝
当時の新天地アメリカで聖心会の教
したいリベラル・アーツ教育なくし
統ある聖心女子大学にご入学になら
育を始められたフィリピーン・デュ
ては得られない概念であると思いま
れました事を心からお祝い申し上げ
シェーンなど、すばらしい先人のシ
す。
ます。またご臨席のご両親様および
スター方により、キリスト教ヒュー
それでは最後に、リベラル・アー
ご家族の皆様にも心よりお慶び申し
マ ニ ズ ム に 基 づ く 真 の 人 間 性、 社
ツ教育について、私の考えを申し上
上げます。
会 性 の 追 求 を 基 本 と す る 教 育 を、
げます。
200年間一貫して行われてこられ
学校法人聖心女子学院の教育理念
昨年の 月に文科省より、国立大
に は、﹁ 一 人 ひ と り が 神 の 愛 を 受 け
ました。皆さんはこれらの考え方を
学の人文社会科学系の学部大学院に
たかけがえのない存在であることを
学ばれると共に、このベースの上に、 ついて組織の廃止や社会的要請の高
知り、世界の一員としての連帯感と
さまざまな宗教、哲学、文学、歴史
い分野への分野転換を求める通知が
使命感を持って、より良い社会を築
等を学ばれ、ご自分が納得されるし
出されました。これについては、案
くことに貢献する賢明な女性の育成
っかりした価値観を育んでいただき
の定、早速に教育界、産業界より、
をめざす﹂と謳われております。こ
たいと思います。
強い反対がでて、文科省はその後、
れはいまから約200年前のフラン
人文科学系を軽視したものではない
第二点目は、グローバリゼーショ
スで聖心会を創立した聖マグナダレ
ンとローカリゼーション、そしてダ
事を弁明しましたが、この一件は大
ナ・ソフィア・バラの教育の理念で
イバーシティにつきお話しいたしま
きな波紋を教育界に投げかけまし
あり、その根底にはキリスト教のヒ
す。
た。聖心女子大学協力会の奥前会長
ューマニズムがあります。
も日本経済新聞の﹁人生の補助線﹂
今から約 年前にアメリカのトー
マス・フリードマンは、
﹃ The World のコラムでこの事に触れられて、教
岡 崎 学 長 は、﹁ 自 分 の 隣 の 人、 社
会の人々が必要としていることを敏
養の大切さ、文理︵文系と理系︶融
﹄ と い う 本 の 中 で、 世 界 は
is Flat
感に気づき、頭を使い、手足を使っ
合の大切さについて述べられておら
グローバル化と
化の進行でフラ
て、よい状態をつくりだそうとする、 ット化し、ひとつに集約して行くと
れます。
そんなエネルギー﹂を﹁聖心スピリ
予言しました。その究極は、フラン 教育、文化、芸術の各部門の先生
ット﹂と呼んでおられます。
方からも、当初の文科省の通知に対
スの哲学者のジャック・アタリ氏の
して、大学教育における文化、芸術、
いう世界統一政府です。しかし、そ
皆さんはこの 年間をこのすばら
しい環境の下で、この﹁聖心スピリ
人文科学系学問の大切さにつき、多
れから 年、フリードマンの予言は
ット﹂を学び、真の人間力、リーダ
くの議論が展開されました。
当 た り ま せ ん で し た。 確 か に 彼 の
ーシップを育んで下さい。
言ったように、地球のグローバル化 聖心女子大学はその創立時より、
変わることなくリベラル・アーツ教
はものすごいスピードで進んでいま
今、日本は、教育の在り方につい
て、大変な混乱期にあります。この
育を堅持してきた大学です。大学と
すが、世界は、統一化されるどころ
ような時期に聖心の門を入られる皆
いうところはもちろん知識を教える
か、バラバラとなり、無秩序と暴力
平成 28 年度入学式式辞
聖心女子大学協力会会長 濱口
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入学式
第206号
( 4 )
2016.4.2
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新任教員紹介
「新しい世界で」
私は、この 4 月本学に着任しました平野篤司
です。これまで二つの大学に奉職してきました
が、このたび、聖心女子大学という新しい世界
で、自分の可能性を開いていきたいと思ってい
ます。専攻はドイツ文学ですが、外国の文物を取り扱っていると、どうしても他者という
存在、また異なるものの理解という問題に突き当たらずにはいられないということに直面
してきました。また、学問研究ということは、異なるものの異質性を損なうことなく、そ
れを理解するという課題だともいえるので、究極的なものを目指しながらも、相対的なも
のの見方をしなくてはならないという認識を育んできました。例えば、外国語学習や翻訳
ということを考えてみても、これらの営為が決して一個人で完結するものではなく、テキ
国際交流学科
平野 篤司 教授
ストという他者性、それにかかわる人間関係と社会関係、受け手や読み手の存在と伝達の
問題など実にさまざまの関連性というべき要素が存在します。私はこのようなことを考え
るうえで主にベンヤミンという思想家に導かれてきたのですが、このたび迎えていただい
た国際交流学科は、そのような考えをさらに多様に、そして実践的に展開する場だと心得、
そのような機会を与えていただいたことをありがたく思います。学生諸君とともにこのよ
うな世界をさらに広げ、深めていこうと思っています。
「言語と演出」
はじめまして。国際交流学科で英語コミュニケーションを担当します。アカデミ
ック英語を中心に、グローバル問題について英語でディスカッション、プレゼンテ
ーション、
ライティングする能力を養成します。これらのスキルは留学にも必須です。
私は、人が実際に使う言語表現が人の認知にどれだけ深く関わっているかを研究
しています。日本語を母語とする英語学習者が意図せずつい使ってしまう表現など
も、第一言語である日本語やその他の認知的要因であることが多くみられます。逆
に意図的に、プレゼンテーションやスピーチなどで、ある表現を繰り返し使うこと
により、聞き手に自分を印象づけることもできます。例えばアメリカの大統領選挙
な ど で、 候 補 者 は 自 分 が 有 能 で あ る こ と を 民 衆 に 印 象 づ け る た め に、 何 度 も
I can … を使ったりすることも多いです。学生の皆さんと、プレゼンテーション
などで自分をどのように演出するかについて、言語を通して一緒に考えていきます。
国際交流学科
奥切 恵 准教授
「初回の授業」
国際交流学科
スティーブ・コルベイユ 准教授
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初めて日本に来たのは十年程前のことでした。学生時代にはフランス文学を専攻してい
ました。日本語についてはカナダで二年間勉強しましたが、来日時にはまだあまり上手く
話せませんでした。それどころか日本社会については右も左も分からぬ新参者でした。そ
の後、三重から京都、京都から静岡、そして今年の四月に東京に引っ越してきました。日
本に来た当初は、日本滞在は短いものだと思っていました。しかし次第にこの国での生活
は私の日常となっていきました。日本の大学と縁があり、フランス語と英語、文学と映画
を教えながら日本語の学習と文学の研究を自由に続けています。
しかし欧米と異なり、日本の新学年が四月に始まることに慣れるのには時間がかかりま
した。私にとっては新学年といえば読書の秋です。紅葉の季節、陽は段々と短くなり、外
気も冷たくなります。逆に、日本の新学期は、桜やチューリップ、菜の花などの花々に町
中が囲まれる元気な春です。日本の大学でフランス語を教え始めてから、四月の新一年生
の初回授業を何よりも楽しみにしています。最初の一時間は日本語も英語も使わずにオー
ルフレンチの環境を作ります。挨拶さえ理解出来ない学生は一生懸命に私の話を聞き、そ
して簡単な自己紹介の発音を真似して覚えようとします。その一時間が終わるともう既に
アルファベット、名前、職業、国籍をフランス語で言えるようになっています。そのこと
によって、フランス語は意外と楽しいのだという希望が見出せるでしょう。そして、二年
後にはフランス語で社会問題について議論を行い、フランス文化とフランス人の生活を理
解出来るようになるのではないかと期待しています。このたび初めて聖心女子大学で満開
の桜の木を眺めながら初回の授業を終えました。リベラルアーツの長い歴史を持つこの大
学で教育と研究活動が出来ることを光栄に思います。
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第206号
「遠くて近い人の仲らい」
日文で平安時代の文学を担当します。特に「婚姻」に着目して、源氏物語など
の作品研究をしています。
出身は静岡県で、温暖な気候の町でのんびりと育ちました。幼少時からお姫様
が出てくるお話が好きで、その憧れは自然と、華やかな平安王朝への興味へと移
っていきました。と同時に、いわゆる「一夫多妻」「通い婚」などと言われる当
時の婚姻慣習について、より深く知りたいという思いが湧き上がり、いつしかそ
れをテーマに研究の道へと分け入りました。
専任としての就職はこのたびが初めてですので、文字通りの新人です。今回の
ご縁により、これまで交わることのなかった人の輪が新たに広がり、様々な出会
いの連続に日々胸を躍らせています。『枕草子』に「遠くて近きは人の仲」とい
日本語日本文学科
青島 麻子 専任講師
う一節がありますが、人の仲らいとはまさしく遠いようで近いものだと改めて実
感しています。このように、自らの気持ちに寄り添う一節を見いだせるのも、文
学作品を読む醍醐味の一つです。この面白さを皆さんと共有できたらと思います。
「より善く生きるための哲学」
皆様はじめまして。私はアウグスティヌスの思想を中心に、古代から中世の哲
学およびキリスト教思想について研究をしています。
アウグスティヌスは 4 世紀末から 5 世紀初めのローマ帝国で活躍したキリスト
教思想家です。当時のローマ帝国では、キリスト教以外にも様々な宗教や哲学学
派が存在しており、信仰という点でも知的背景という点でもそれぞれ異なる人々
が互いに隣人として暮らしていました。多様な価値観や文化的背景をもった人々
が共存する現代のグローバル社会に似た世界がそこにはあったのです。
異なった背景を持つ他者にどのように自分たちのことを伝えれば良いのか、ま
哲学科
山田 庄太郎 専任講師
た、他者をどう理解すれば良いのか。アウグスティヌスはプラトンやアリストテ
レスの哲学をはじめ、ストア哲学やアカデミア派懐疑論、新プラトン主義などの
考え方を踏まえながら自らの思索を発展させていきます。
古人の思想をただ知識として覚えるのではなく、そこから、現代社会を生きる
ための一つの知恵を見出せるよう、皆様と一緒に学んでいければ幸いです。
「超高齢社会を生きるこれからのために」
私は老年心理学と臨床心理学を専門とし、高齢者の研究と臨床現場での実践を
行ってきました。わが国は超高齢社会であり、深刻な少子高齢化が進行していま
す。この社会の中で、皆が安心して暮らしていくためには何が必要なのかについ
て考えていくことは私の大きなテーマとなっています。その中で、高齢者介護や
在宅介護などの現場において、要介護高齢者や家族介護者のケア、また介護者、
要介護者、家族、介護スタッフ、地域、社会を含めたソーシャル・サポート・ネ
ットワークの中での介護というものを考えていきたいと思っています。一方、現
代のわが国は、さまざまな場面で心のケアが重視される社会でもあります。臨床
心理学という援助を行うための実践的な心理学を通しての社会貢献も大切にして
いきたいと思っています。
心理学科
神前 裕子 専任講師
私は本学の博士後期課程を修了し、大変学びの多い学生生活を過ごしました。
これからもみなさんと一緒に本学で学んでいけることを楽しみにしております。
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に残り、必死に作業を続けた﹁フク
支援活動に繋がりました。このよう
シマ ︵フィフティ︶﹂という人達も
な 他 者 の た め に 生 き る 心 は、 カ ト
いました。日本中が助け合いの精神
リックの大切な精神でもあります。
を一丸となって再認識する中、世界
皆さんも、苦しんでいる人、助けを
からも、多くの支援の手が差し伸べ
求めている人がいれば、どのような
られました。これら支援の中で、もっ
状況でも救いの手をさしのべること
とも長い期間、原発事故をものとも
の で き る 勇 気 を も っ て く だ さ い。
せずに、最前線で支援活動を続けて
ルカの福音にある良きサマリア人の
くれた国があります。その国のこと
ように、真の隣人になる心は、カト
を、皆さんはご存知でしょうか?
リックの大切な教えであることを、
その国は、トルコです。彼らは、被
どうか忘れないでください。
災地の石巻市を始め、 月 日から もう一つ、私の心に残った話をさ
月 日までの 週間にわたり、日
せてください。皆さんは、NHKの
本に支援を行ってくれました。
朝の連続ドラマ﹁マッサン﹂をご覧
になったでしょうか。メイドインジ
本日、卒業式を迎えられました聖 実はトルコが日本を支援してくれ
心女子大学の皆さん、ご卒業誠にお
るのは、初めてではありません。皆
ャパンのウイスキーが誕生するまで
めでとうございます。私は上智大学
さんはまだこの世に生を受ける前の
の物語です。マッサンはウイスキー
学長の早下と申します。本日は全国
ことですが、1980年にイラン・
の本場、スコットランドに留学し、
にある のカトリック大学の代表、
イラク戦争が勃発した時、トルコが
ウイスキー作りを学び、そこで出会
日本カトリック大学連盟の会長とし
イランに派遣した航空機は、イラン
ったエリーさんというスコットラン
て、また私事で恐縮ですが、私の妻
に残された日本人216名の救出の
ド人女性を連れて日本に戻り、大変
もこの聖心女子大学の卒業生である
ために使われました。そうしてイラ
な思いをしながらも、エリーさんと
ことに感謝をこめて、祝辞を述べた
ンにいたトルコ人600名は、陸路
の 人 脚で、日本人初の国産ウイ
いと思います。ご参列の御父母なら
で脱出するよう指示しました。脱出
スキーを作り上げていきました。一
びにご関係の皆様にも、心よりお喜
には、およそ二日の行程が必要でし
緒に苦労をともにしたエリーさんが
び申し上げます。
た。その時、トルコ国内では、ほと
亡くなった時、丸二日間部屋に閉じ
んど反対の声がなかったそうです。
こもり泣き続けたマッサンは、亡く
さて、皆さんが大学に入学する前
年の2011年に起こった東日本大
そ の 理 由 は、 1 0 0 年 以 上 前 の 1
なる間際にエリーさんから手渡され
震災は、誠に多くの人命を奪いまし
890年に起こったエルトゥールル
た手紙を見つけて、読み始めます。
た。その後の福島原発事故は、より
号遭難事件でした。この話は、昨年
その手紙には、こう綴られていまし
多くの人々へ大変大きな影響を及ぼ
暮れに公開された﹁海難1890﹂
た。﹁私と出会ってくれてありがとう。
しました。昨日の 月 日でちょう
という映画になっておりますので、
お嫁さんにしてくれてありがとう。
ど 年の月日が経ちましたが、多く
機会があれば皆さんにもぜひ見ても
この美しい国、そして、私のふる里
の地域が完全に復興しているわけで
らいたいと思います。天皇に親書を
になった日本に連れてきてくれてあ
はありません。そして今なお大変な
届けその帰国の際、不運にも台風に
りがとう。おかげで私は、とっても
思いをしている人たちのことを、我
遭遇して遭難したトルコの軍艦エル
素敵なアドベンチャーができました。
々は決して忘れてはいけません。皆
トゥールル号を救った、和歌山の樫
マッサンには、いつまでも美味しい
さんの大方は高校生だったことでし
野村の人たちの危険を顧みない勇敢
ウイスキーをつくり続けて、たくさ
ょうが、震災直後の物資不足や外国
な救出行為、その後の村を挙げての
んの人たちを笑顔にして欲しい、マ
人の国外避難などを、覚えているで
助かった人々への献身。その後、日
ッサンの夢はウイスキーで、私の夢
しょうか。世界では、チェルノブイ
本全国から現在のお金で約1億円
はマッサンでした﹂。これは、﹁日本
リ事故と同じことが日本で起こり、
が、義捐金としてトルコに送られま
のウイスキーの父﹂と呼ばれた竹鶴
取り返しのつかない状況になってし
した。このことは日本とトルコの友
政孝さんと、その奥様のリタさんの
まったと考えられていました。しか
好関係の起点となり、およそ100
実話をもとに作られた物語です。故
しこの状況下で、福島原発事故の被
年後のイラン・イラク戦争における
郷のスコットランドに両親を残し、
害拡大を食い止めるため、自ら現場
邦人救出、その後の東日本大震災の
全く文化も言葉も、そして宗教も異
平成 27 年度卒業式祝辞 「聖心女子大学卒業生に贈る言葉」
5
おお
かた
18
3
11
日本カトリック大学連盟会長
なる異国の地で生活することは、想
像を絶する苦労があったに違いあり
ません。それでもエリーさんの献身
的な努力が、いろいろな人たちとの
繋がりを作り、マッサンを成功へと
導くことができたのだろうと思いま
す。私はこのドラマを見て、エリー
さんの生き方、考え方は、スコット
ランドと日本を繋いだ、グローバル
人材のモデルそのものだとつくづく
感じました。
皆さんは聖心女子大学を卒業し、
これから社会へ、または大学院へ進
学することになります。これからの
皆さんの人生は、皆さんご自身の力
で切り開いていかねばなりません。
しかし忘れないでください。一つの
成功は、ときには百以上の失敗の上
にあるということを。失敗とは、恐
れるべきものではないということを。
回転んだら、 回起き上がればよ
いのです。ひたすら自分を信じ、多
くのことに挑戦して欲しいと思いま
す。皆さんの輝かしい未来に、心か
らエールを送りたいと思います。
最後にエリーさんのお父さんが、
エリーさんに残した言葉を皆さんに
もお伝えして、私からの祝辞に代え
たいと思います。
﹁ や り た い こ と を や り な さ い。 失
敗してもいい。間違ったらやり直せ
ばいい。お前の人生はお前のものだ。
悔いなく生きればいい。人生はアド
ベンチャーだ﹂
9
10
ご卒業、誠におめでとうございま
す。
第206号
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隆士
上智大学学長 早下
4
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2
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平成 27 年度卒業式謝辞
き詰まることもありました。しかし、 て、社会に奉仕したい﹂という強い
先生方はどんな時も親身に、そして
志を持つ多くの学生との出会いがあ
厳しくご指導くださいました。この
りました。これはまさに﹁自ら求め
大きな関門を突破することができま
た学業を修め、その成果をもって社
したのも、先生方のお支えがあった
会との関わりを深める﹂という聖心
からです。改めて感謝申し上げます。 スピリットに共通する姿勢に他なり
ません。大きな目標を持つ彼らのよ
私 に お き ま し て は、﹁ 自 ら 学 ん だ
ことをもって、将来、国際社会で貢
うに、この学び舎で培ってきた学問
献したい﹂という志を持ち、国際交
や力を社会で最大限活かしていくこ
流専攻で学びを積み重ねて参りまし
とを、私自身も人生のテーマとして
た。特にゼミでの学びは、今後の進
いきたいと決意した出来事でした。
路を決める大きなきっかけともなり
年間に渡る﹁可能性探しの旅﹂
ました。外交史、国際政治学などの
では、たくさんの可能性の中から、
履修と並行して行いましたのは、湾
人生の目標やテーマを見つけること
岸危機についての研究でした。研究
ができました。今日をもちまして、
におきましては、多くの資料に目を
私たちは 年間通ったこの学び舎に
通し、問題意識を持って事実を見つ
別れを告げ、新たな1歩を踏み出し
らではの環境で、語学・法律・哲学
めることを繰り返しました。また、
ます。温かい聖心の環境を離れるの
冷たい冬の風も次第にやわらぎ、
など、自らの興味関心に合わせて幅
やわらかな春の日差しが心地よく感
政府関係者に取材をさせていただい
は寂しいものです。しかし、それぞ
広 く 時 間 割 を 組 み ま し た。﹁ 教 室 は
じられる頃となりました。本日は学
た際には、外からは見えない動きを
れ歩む道は違っても、私たちの母校
恥をかくところ﹂と先生にアドバイ
長様を始め、多くの皆様にご臨席を
垣間見る面白さがあり、舞台裏の人
は聖心です。将来、迷った時、壁に
スをいただき、失敗を恐れず、主体
賜り、皆様の温かい祝福と共に、旅
の動きに迫ることの重要性を学びま
ぶつかった時、私たちの心には、聖
的に学問に取り組んだ 年となりま
立ちの時を迎えられましたことを卒
した。こうした経験から、 年 間 を
心での思い出が思い起こされること
業生一同、心より感謝申し上げます。 した。多岐に渡る分野の学問に触れ
通じて見出した多くの可能性の中か
でしょう。聖心での生活で学んだこ
ることで、幅広くアンテナを張るこ
ら、私は﹁真実を捉え、伝える仕事﹂ と、そしてかけがえのない思い出を
学生生活を振り返ってみますと、
とができたと思います。
時が経つのは早いもので、どれも昨
に就きたいという目標を持つに至り
糧とし、新たな環境でもさらに飛躍
日のことのように思い出されます。 その上で、 年 次 よ り 専 攻 に 分 か
ました。自分との対話を通じて決め
していきたいと思います。
れ、本格的に学問に励みました。先
年前、私たちはこのマリアンホー
た進路として、春からメディアで働
最後になりましたが、聖心生とし
生方のご講義のみならず、プレゼン
ルで新しい制服を身にまとい、大学
くチャンスを得ることができました
て歩む指針を示してくださった学長
テーションやディスカッションを通
生活の一歩を踏み出しました。緑豊
様、いつも温かく見守ってくださっ
のも、この学び舎で過ごした日々の
じて、個性ある仲間から刺激を受け
かで、歴史ある校舎で過ごす学生生
たシスター方、学問の楽しさや奥深
糧があったからこそです。
る日々でありました。互いに意見や
活は、いつも身の引き締まる思いで
さを教えてくださった先生方、私た
また、勉学だけでなく、学内外に
考えを交わすことで、自分 人では
ございました。校舎から伝わってく
ちの学生生活をサポートして下さっ
おける課外活動への参加は、さらな
得られないような、様々な可能性を
る 荘 厳 な 雰 囲 気 に は 、 真伨 に 学 問 に
た職員の皆様、そして、どんな時も
る成長に繋がる機会となりました。
見出すことができ、とても深い学び
向き合うよう、背中を押される思い
すぐ側で支えてくれた家族に、心よ
特に、 年 次 に 大 学 の 代 表 と し て 参
の時間でありました。
でした。
り御礼申し上げます。本当にありが
加させていただいた韓国での
そして、最終学年では、大学生活
とうございました。
ASEACCU国際会議は、聖心で
入学式におきまして、私たちは、 の集大成である卒業論文を完成させ
学長様より、大学生活のスタートは
の学生生活を改めて誇りに思う機会 今後もたくさんの学生が、この学
ました。執筆にあたっては、一つひ
﹁可能性探しの一歩﹂であるという
び舎で恵み豊かな学生生活を送るこ
となりました。このASEACCU
とつの文章に自らの意思を反映させ
お話をいただきました。このお言葉
とができますよう、聖心女子大学の
では、アジア諸国の学生たちと﹁カ
ることの難しさを実感致しました。
の通り、大学生活は﹁可能性探しの
ますますの発展と、大学に関わるす
トリック大学の学生が社会で果たす
時 に、 果 て し な い 学 問 の 深 淵 に は
旅﹂のようでありました。
べての皆様のご健勝を心よりお祈り
べき使命﹂について議論しました。
まったり、テーマから脱線して、行
申し上げ、感謝の言葉と致します。
そこでは﹁自らが学んだことをもっ
大学での最初の 年では、聖心な
http://www.u-sacred-heart.ac.jp
( 8 )
第206号
裕美江
聖心女子大学 第 66 回卒業生代表 佐野
4
1
2
1
1
2
4
4
4
修士
平成 27 年度 博士学位記授与式 謝辞
温かい言葉をかけてくださった先輩
度や二度ではありませんでした。
方、後輩たち、そして、多くの時間
しかし、先生方のご指導や叱咤激
を共に過ごし、喜びも苦しみも共有
励の後押しを受け、自分の無力さに
してきた友人たちがいなければ、大
嫌というほど向き合い、自身の知識
学院生活を乗り越えることはできま
を磨くことに多くの時間を費やすこ
せんでした。今日まで私たちにお力
とができました。
添えくださった全ての方々、そして、
私が所属いたしました人間科学専
大学院で学ぶにあたり、どんな時も
攻臨床心理学研究領域では、精神科
応援してくれた家族に深く感謝いた
における病院実習を行います。 年
します。
間、外来やデイケア、入院病棟など
で実際に患者さんと接し、臨床家と 結びにあたり、聖心女子大学大学
院のさらなるご発展と、本日ご参席
しての重責、覚悟、そして誇りを、
身をもって学ぶことができました。
くださった皆様のご健勝とご多幸を
長く苦しみ、辛い思いを胸に、精神
お祈り申し上げ、感謝の言葉とさせ
科を訪れる患者さんも多くいらっ
ていただきます。
しゃいます。そうした方々が一
歩 で も 前 に 進 め る よ う に、 そ っ
と側で支えられる臨床心理士に
肌寒い風が吹きつつも、日ごとに
春の暖かい萌しが感じられるように
なれるよう、一層の鍛練を積ん
なりました。
でいく所存です。
本日はお忙しい中、学長様をはじ 私たち修了生は、この春から
め諸先生方、並びにご来賓の皆様の
それぞれの新たな目標に向かっ
ご臨席を賜り、このような修士学位
て歩き出します。その道のりが
記授与式を挙行していただきまし
容易なものだとは決して思いま
て、誠に有難うございます。修了生
せん。ですが、本大学院での学
を代表して心より御礼申し上げま
び を 胸 に、 自 ら が 選 ん だ 道 を 信
す。今日のこの日を迎えられました
じ、進み続けることをここにお
ことは、博士後期課程の修了者並び
約束します。そして、求める真
に博士号取得者 名、修士および博
理が遥か先にあろうとも諦めず
士前期課程の修了者 名にとりまし
に追究し、自分の培った力を困
て、大きな喜びでございます。
難の中にある人々に届けられる
よう、努力していく所存です。
本日をもちまして、私たちは大学
院の全課程を修了いたします。限ら
最後になりましたが、本日、
れた時間の中で、自分の学びを論文
こうして無事学位を取得するこ
というかたちで表現すべく、私達は
と が で き る ま で に、 た く さ ん の
それぞれの研究科専攻で、試行錯誤
方々に支えていただいたこと
を繰り返してまいりました。研究論
を、私たちは忘れません。学長
文として表現するということは、容
様をはじめ、惜しみなくご指導
易なことではありません。
・ご佃撻くださった先生方、そ
して、研究に没頭できる環境を
自分たちの知り得たことを読み手
に分かりやすく伝えることに腐心す
整えてくださった大学職員の皆
る中で、なかなか前に進めず、すべ
様に、厚く御礼申し上げます。
てを投げ出したくなったことも、一
また、いつも優しく励まし、
第第
第第
第第
回博士学位記授与式
回修士学位記授与式
回学士学位記授与式
︵卒業式︶
月 日㈯午前 時 分から、
第 回博士学位記授与式及び第
10
30
回修士学位記授与式が宮代ホ
12
回学士学位記授与式
ールで行われ、続いて午後1時
から、第
大学院博士後期
人文学専攻
大学院修士及び博士前期
英語英文学専攻
日本語日本文学専攻
社会文化学専攻
哲学専攻
人間科学専攻 学部
英語英文学科
日本語日本文学科
歴史社会学科
︿史学専攻﹀ ︿人間関係専攻﹀
︿国際交流専攻﹀
哲学科
教育学科
︿教育学専攻﹀
名
年度学位記授
27
与者の状況は次のとおり。
行われた。平成
︵卒業式︶がマリアンホールで
66
︿初等教育学専攻﹀
︿心理学専攻﹀
名
名
2
3
名
1
名
1
名
3
名
4
名
名
名
名
名
名
53 104
42 68 70 53
名
名
70 24 33
第206号
( 9 )
http://www.u-sacred-heart.ac.jp
66 63 11
11 3
63
優
聖心女子大学 第 63 回修了生代表 牧山
2
12
1
建学の精神は、一人ひとりの学
生の生活の中に生きられてこそ、
目的を達成するものです。
建学の精神をよく体現し、模範
となる学生生活を送ったと認めら
れる学生に、学長より賞状および
副賞が授与されました。
卒業後にこの精神をさらに大き
く、生きていかれることを願って
います。
マグダレナ・ソフィア・バラ記念学長賞
平成 27 年度第1回受賞者
歴史社会学科人間関係専攻卒業
福田 みゆき さん
哲学科哲学専攻卒業
小林 美穂 さん
「マグダレナ・ソフィア・バラ記念学長賞
受賞にあたり」
小林 美穂 さん
この賞を頂くという身に余る栄誉を嬉しく
思うと同時に、 4 年間を振り返ってみたいと
思います。私は茶道愛好会とアートクラブに
所属し、アートクラブでは活動の延長として、
チャリティグッズの製作、販売を行いました。
また、英語英文学科中村玲子先生のご指導の
もとに『 9 か国語で覚える!医学図典』を刊
行するに至りました。これは医学系単語を 9
か国で著した図典で、語学の専門家を含む総
勢70名のボランティアで作成しました。
このように、何か物事をする際は、従来の
事柄を大事にすると共に、そこから半歩でも
前に進むという努力を日々心がけていました。
しかしながら、全ての活動は、多くの方々
のご協力あってのことです。この賞は私が頂
いたというより、 4 年間歩んできた中で、出
会った皆と受賞したものであると感じていま
す。
この賞を光栄に思うと同時に、今後とも周
囲の方々への感謝を忘れず、自分の道を歩ん
でいきたいと思います。
「限りある時間のなかで」
福田 みゆき さん
これまでの 4 年間、寮生活、聖心祭
実行委員会、ミュージカル研究会、ア
ルバイトと多くの活動に取り組んでま
いりました。大学生活を通し、私は、
知識を身につける楽しさ、仲間と助け
合い 一 つのものを創り上げる喜びを
学ぶことができました。
私は、けっして大きなことを成し遂
げたわけでも、目に見える成果を挙げ
たわけでもありません。しかし、目の
前に立ちふさがった壁に真剣に向き合
い、大切な仲間とともに乗り越えてま
いりました。
これからも いつも喜んでいなさい。
たえず祈りなさい。どんなときにも感
謝しなさい。 という、これまでも大
切にしてきた言葉を胸に、この言葉の
とおり、家族、先生方、学校関係者の
皆様、ともに大学生活を送った仲間、
すべての方々への感謝の気持ちを忘れ
ず、努力し続けたいと思います。
建学の精神を今、ここで、生きる
聖心女子学院の設立母体である聖心会は、聖マグダレナ・
ソフィア・バラによって1800年フランスで設立されました。
続く1801年には最初の学校が始まり、以来、様々な困難に
もかかわらず、世界中に広がり、今日に至っています。
フランス革命後の混乱と荒廃、カトリック教会への迫害
の中にあって、マグダレナ・ソフィア・バラは、この社会
を良いものにしていくために女子の貢献が必要であること
を確信していました。女子は勉強する必要はなく、学校で
もダンスと裁縫などで足りるとされていた時代に、男子の
教育の内容であった科目を多く組み込み、始めから一貫し
て、知性と判断力、実行力を育てることに工夫と努力を重
ねてきました。また、女子ではあっても国を超えて社会で
貢献する人間を育てることを当然とする意識を持っていま
した。
「若い人々がイエスのみこころ(聖心)への本当の礼拝
の精神に育っていくように、すべての民族を含む無数の礼
拝者が世界の果てに至るまで育つように」というマグダレ
第206号
ナ・ソフィア・バラのビジョンが建学の精神である聖心の教育に
おいて、もっとも大切な価値はなんであるのかを探求し、その価
値あるものが広く世界に広がっていくようにという、大変宗教的
であり、それゆえに大変広く世界を相手にしている教育を200年以
上にわたって続けてきました。
聖心女子大学はその建学の精神を高等教育において実現し
ています。「人間教育は授業を通して行われる」という聖心
の教育の伝統により、高度な学術的、専門的知識の探求は、
新たな知の世界を切り拓く創造力と批判力を養い、それによ
り高められる豊かな教養を備えた人間を育成しています。そ
の教育により自己を確立し、地球を共有する人類の一員とし
て世界を視、人々と関わり、身近な人々から世界のどこにい
る人に関してもその関心事に自ら関わることのできる広い視
野、感受性、柔軟性、及び実践的な行動力を持つ人間を育成
しています。 (学長補佐 Sr.岩井 慶子)
( 10 )
http://www.u-sacred-heart.ac.jp
2016年
2017年
情報通信業
44 名
運輸業、郵便業
44 名
卸売業・小売業
48 名
不動産業、物品賃貸業
17 名
学術研究、専門・技術サービス業
50 名
0名
漁業
0名
鉱業、採石業、砂利採取業
0名
建設業
2名
製造業
28 名
138 名
金融・保険業
11 名
教育、学習支援業
34 名
医療、福祉
5名
複合サービス業
4名
活動を進めていただきたい。企業等に
より早々に内々定を出しているところ
もあるが、これまでの卒業・修了生を
見ていると、タイミングの如何によら
ず、結局は概ねその人に相応しい進路
に決まっている。決して焦る必要はな
い。
また、就職活動を意識し始めた 年
次生は、採用選考の日程や経済環境な
ど先行きの不透明感に不安を感じてい
るかもしれない。しかし、キャリアセ
ンターでは常に最新情報の収集に努
め、臨機応変に対応する準備を進めて
いる。キャリア支援行事は、キャリア
センター前の掲示板、大学公式ホーム
ペ ー ジ﹁ 進 路・ 就 職 支 援 TOPICS
﹂
、
キ ャ リ ア セ ン タ ー twitter
で案内して
いるので、こまめにチェックし、積極
的に参加いただきたい。心配なことな
どあれば個別に対応するので、いつで
も遠慮なく相談、問い合わせをしてほ
しい。
キャリアセンター
生活関連サービス業、娯楽業
12 名
サービス業(他に分類されないもの)
3
◆ 進学
地域等との連携
「幅広い教養」
課外活動等
・ボランティア・委員会・クラブ・サークル・アルバイト・家庭生活・社会生活
入学したその日から始まっている
聖心生としてのキャリア形成
正課外教育・個別指導
地域等との連携
①〈知性を磨き〉
新たな知の世界を
切り拓く
②生き方を探求し 〈使命を自覚する〉
③〈発信力・実践力
を高め〉リーダー
シップを発揮する
3 つの
目標
・ジェネラルレクチャー・スタディスキルスワークショップ・フレンドシップワークショップ
・キャリアカウンセリング・インターンシップ・資格取得支援 就職支援、進学支援
・進路、職業選択支援
「的確な判断力」
を身につけた女性
・基礎課程 専門課程・主専攻プログラム・副専攻プログラム・資格課程・交換・推薦留学
・認定留学・海外語学研修
養成する 「高度な専門性」
人物像 「柔軟な思考力」
正課教育
1
31
第206号
( 11 )
http://www.u-sacred-heart.ac.jp
2名
電気・ガス・熱供給・水道業
5
農業、林業
2
8
◆ 産業別就職状況
18
28
1 1
98
◆ 就職
3
1 88
平成27年度卒業生の進路状況(平成28年 5 月 1 日現在)
3
87
98.5%
454 名
就職決定率
就職決定数
3
(20 名)
(うち、大学院進学者数)
29 名
進学決定者数
8名
公務(他に分類されるものを除く)
7名
宿泊業、飲食サービス業
企業等から評価されているもので、こ
春卒業生の進路状況及び
れまでの卒業生が実力を発揮し築き上
春卒業︵修了︶予定学生の
げてきた社会からの信頼の上に、その
伝統を引き継ぎ発展させている現役生
就職活動について
の努力が上記のような結果につながっ
た。尤も今春の卒業・修了者について
は、企業側の採用選考日程の変更に伴
文部科学省および厚生労働省の合同
い、猛暑の夏期休暇期間中のほとんど
調査︵ 月 日発表・ 月 日 現 在 ︶
を企業訪問・採用面接等に費やす状況
に よ る と 平 成 年 月卒業の大学︵学
となり、実態的にインターンシップか
部︶の就職内定率は ・ % ︵私立大
ら始まる長く厳しい就職活動を余儀な
学女子 ・ % ︶となっている。昨年
くされた。
同期比 ・ ポイントの増加で、 年
連続での増加となり企業の採用意欲は 来年の春卒業︵修了︶予定の学生に
ついては、再度採用選考日程が変更と
引き続き高いと見られている。しかし、
なり、現在、就職活動のピークを迎え
足許の経済環境は不透明で、雇用環境
ている。連日続く筆記試験や面接での
も楽観できない状況にあることには変
感触に一喜一憂し不安を感じる時期で
わりはない。そのような中で本学の就
もあるが、いつでもキャリアセンター
職 内 定 率 は ・5%︵ 月 日 現 在 ︶
に立ち寄ってほしい。本学は都心に立
と前年並みの高い水準を維持できた。
地し多くの企業等の本社に近いので、
また、決定した進路への学生満足度も
キャリアセンターで態勢を整え落ち着
・ %という高い数値を示している。
いてから採用選考に臨むことができ
﹁しなやかさ﹂﹁実行力﹂﹁粘り強さ﹂
る。この地の利を活かして優位に就職
﹁礼儀正しさ﹂という聖心生の特性が
95
4
聖心女子大学のあゆみ ②
大学の変動と新展開
|
「創造への対話を深めよう」
第2代学長 三好 切子
み よし せつ こ
第 2 代学長三好切子の時代(1967年∼
1975年)は、女子の大学・短大進学率が
13.4%から32.4%に急上昇し、大学大衆
化と言われる時代であった。経済界は
ドルショック(1971年)やオイルショック
(1973年)の試練にあい、全国で大学紛
争が頻発する激動の時代であった。三好
学長は困難な時期に「対話」を重んじ、
広く教職員、学生の意見に耳を傾け、民
主的な大学運営を果たせるよう心をくだ
いた。1970年には大学改革の方策を立案
する企画調査委員会を設置し、本学の基
本方針を明らかにするとともに、全学カ
リキュラムの改編、人間関係専攻の新設
等の改革を進めるなど、学問的水準を向
上させる努力を積極的に行なった。これ
らの改革を通じて三好学長は、学問を通
して「ひらかれた心をもって他人をうけ
聖心女子大学蔵
いれ、自分のおかれた環境においてあら 学長との語らい(1967年ころ)
「初代学長のマザーブリットがそうでいらしたように、シスター三好もまた、学生や卒業生一
ゆる問題の解決に最大の努力をはらう女
人ひとりに対して、暖かく、深いかかわり方をなさいました。
」卒業生による追悼の祈りから抜粋
性をおくりだすこと」を願っていた。一
時活動を中断していた「カトリック文化
研究所」は「キリスト教文化研究所」と
して研究活動を再開した。
学生生活においては学生自身の自覚と
主体性が尊重され、学生主体の学生会が
新発足し、バザー廃止後は聖心祭が学内
の一大行事となり、クラブ活動の多様化、
制服の自由化も進んだ。
(総務部担当課長 飯田洋子)
聖心祭(1970年)
聖心女子大学蔵
「エフェタ」−開け−を統一テーマに掲げ
た第 6 回聖心祭では、祭りの場から研究発表
の場へ、強制参加から自由参加へといった新
基軸を打ち出した。
第206号
校歌「若いいのちよ」
『聖心キャンパス』創刊号(1970年)
作曲者 團伊玖磨氏直筆楽譜(1974年) 大学・学生・保護者間のコミュニケーショ
創立25周年記念として制定され1974年 3
月の卒業式で初めて披露された。歌詞は学
生の応募作品をもとに作られた。
( 12 )
ンを円滑にして新しい大学のあり方を見出
して行くために、大学広報誌『聖心キャン
パス』が創刊された。
http://www.u-sacred-heart.ac.jp
Information
学校法人聖心女子学院 生涯学習センター 2016
年度前期講座のご案内
開講予定の講座は、次の通りです。詳しくは学校法人本部のホームページでご確認ください。
途中参加も可能です。皆様の積極的なご活用をお待ちしております !!
文学講座
「伊勢物語を読む」
山口 佳紀(聖心女子大学名誉教授)
「蕪村の世界ー生誕 300 年 いま、改めて蕪村に迫る」
深沢 了子(聖心女子大学教授)
「萬葉の歌と人Ⅱ―和歌史の黎明」
石田 千尋(山梨英和大学特任教授・聖心女子大学非常勤講師)
「禁忌の恋はどう語られたか―藤壺の物語を読む」
大津 直子(國學院大學助教・聖心女子大学非常勤講師)
教育講座
「ワークショップ 算数で頭の体操 ―算数をもっと楽しく―」
塚田 亮(渋谷区立臨川小学校元校長)
文化講座
「黄金のアフガニスタン展ー守り抜かれたシルクロードの秘宝」 井上 洋一(東京国立博物館学芸企画部 企画部長)
「茶の湯にふれる第 5 弾 初めてのお茶会」
植木 宗麗(裏千家准教授)
教養講座
「相続の基礎知識∼かしこく円満な相続のために」
服部 慶子(行政書士・終活カウンセラー)、金子和弘(弁護士)
宗教講座
「キリスト教への招きⅡ」
宮越 俊光(カトリック中央協議会)
平成 27 年度第2回
聖心女子大学協力会役員会開催
宮代会だより
満開の桜の中 4 月 2 日入学式をお迎えになった新
入生の皆さま、聖心女子大学同窓会、宮代会から心
よりお祝い申し上げます。宮代会では皆さまの購買
部にあたる宮代ショップを始め南門を上がった左手
にある宮代会館は同窓会活動の拠点となり、ボラン
ティア活動を始め、お稽古、会合等で多くの会員に
利用頂いております。
平 成28年 3 月23日 午 後 3 時
から本学ブルーパーラーで平
成27年度第 2 回聖心女子大学
協力会役員会が開催された。
濱口会長の進行のもとに、議
題 1 「平成27年度事業報告及
び決算見込について」及び議
題 2 「平成28年度事業計画及
び予算案について」、配付資料
をもとに年真経理部長から説
明があり、それぞれの議案が
承認された。議題 3 「平成28
年度役員候補者について」は、
名誉会長である岡崎学長に人
選を一任することが承認され、
議題 4 「平成28年度監事候補
者について」は、現任の宇野
節生氏、並びに新たに羽渕信
宏氏を監事候補者として総会
に推薦することが承認された。
引き続き、報告事項として佐々
木学務担当副学長、川津学生
担当副学長及び西村事務局長
から大学の近況が報告された
後、質疑応答があり、午後 4
時に閉会した。
【宮代ショップ】
大学管理棟一階で文房具、履歴書、ファイル等の
校名グッズを始め日用品も えております。
(月∼金 10時∼16時20分)
※13時30分∼14時30分お昼休憩
【お稽古】
(月∼土 10時∼16時の会館利用時間内)
華道、茶道、書道、日本画など、在校生も参加出
来ますのでどうぞ宮代会館にお問い合わせ下さい
ませ。
☎03-3407-1971
【留学生昼食会】
聖心女子大学で学ぶ留学生と彼女たちをサポート
している学生をお昼休みに会員が持ち寄った手料
理、お菓子でもてなし日本の家庭の味を紹介させ
て頂いています。今年は5月27日㈮12時20分∼
13時20分を予定しております。
(宮代会館1階ホー
ルにて)
http://www.u-sacred-heart.ac.jp
( 13 )
第206号
Campus News
教育学科スタディー・ツアー
スタディーツアー
スウェーデンの教育・福祉視察
ネパールの子どもたち・女性たち
2016年 2 月 7 日∼13
日の 1 週間、教育学科
の 2 ∼ 4 年生21名と大
学院人間科学専攻博士
前期課程教育研究領域
1 年生 1 名の計22人が、
教員 3 名の引率の下、
スウェーデンの首都ス
トックホルムへ、教育
と福祉に関する視察研修に参りました。
現地では、就学前教育施設、基礎学校( 0 ∼ 9 学年)、
小児病院の院内学校と図書館、障がい者のための高校、
フォーク・ハイスクール(生涯学習施設)の失語症療養コー
ス、子どもオンブズマン事務局、ストックホルム大学、野
外博物館スカンセンなどを訪問し、子どもから大人まで、
すべての人に教育を受ける権利が保障されているスウェー
デンの、
「インクルーシブ教育」の実態について、たくさ
んのことを学んできました。訪問先では、日本の学生を歓
迎してくださり、先生方は学生からの熱心な質問にも大変
丁寧に応対してくださいました。教室では児童・生徒と交
流する機会もあり、教材や教具、掲示の仕方など、特に教
職志望の学生には参考になる発見があったようです。
スタディー・ツアーの報告書は、近日中に聖心女子大学
のホームページに掲載する予定ですが、学生たちの感想か
らは、これまで大学で受けた講義やゼミなどで学んだ北欧
型の教育と福祉の優
れた点を自分の目で
見て確かめ、今後の
日本の教育・福祉の
改善に自らが何をす
ることができるか、
考えるきっかけと
なったことがわかり
ます。
アストリッド・リンドグレーン
小児病院プレイ・セラピー室
活躍
学生の
第206号
2016年 3 月 6 日から17日まで、ネパール連邦民主共和
国に本学の学生 4 名とともに行ってきました。これは、
英語英文学科の Brenda Bushell 先生が10数年間、継続し
て い ら し た ス タ デ ィ ツ ア ー で、 ネ パ ー ル の National
College の学生と早稲田大学の学生(および教職員スタッ
フ)等と交流しながら、ネパールでの調査研究をおこな
うものです。ネパールは2015年に発生した大地震の影響
もさることながら、政局不安による経済の混乱・物資の
不足という状況に置かれていました。そのような中、本
学の学生は、他大学の学生の協力を得ながら、主に、
「ス
クールプログラム」と「女性エンパワーメント調査」を
遂行しました。前者では、ネパールの学校を訪れ、ネパー
ルの環境問題(大気や水の汚染)や災害対応等について、
子どもたちと一緒に学ぶワークショップを実施しました。
後者では、ネパールで働く女性たちを訪問し、現況や震
災による影響等に
ついてのお話を拝
聴しました。
私自身、刺激と
学びがたくさんあ
りましたが、学生
のそれは私の比で
はないようです。
最後に、学生のコメントをご紹介します。
『ネパールには初めて行きましたが、ネパールの生徒た
ちはいつでもポジティブで一生懸命で、それを見て、わ
たしはこんなにも恵まれた環境にいるのにどれほど受動
的に物事をして
きていたのだろ
うと思いまし
た。自らなにか
をやろう、とい
う気持ちが大切
であり、自分を
も向上させるの
だと実感しまし
た!』
教育学科 澤野 由紀子 教授
教育学科 杉原 真晃 准教授
「東大杯で準優勝̶東京大学大講堂(安田講堂)にて̶」
東大杯とは、東京大学 ESS 杯争奪英語弁論
大会のことで、
「広く開かれたパブリックス
ピーキングの場を提供する」という理念のも
と今回で10回目を迎えた英語スピーチコンテ
ストです。年齢・国籍の制限がないため、実
は私は高校 3 年生の時に第 8 回東大杯にも出
場しました。その際は外国人参政権について
スピーチをしましたが、他のスピーカーのレ
ベルの高さに圧倒され、入賞を果たせずに終
わりました。またいつかチャレンジできれば
と思い、本大学の E.S.S. に入部し研鑽を重ね
るうち、幸運なことに昨年後期には、早稲田、
立命館等が主催する大会で入賞し、 2 度目の
東大杯予選を突破し、今回は準優勝すること
ができました。歴代の日本の首相や各国大統
( 14 )
領が演説した華麗な安田講堂で自分の思いを
8 分間発表できたことは私にとってかけがえ
のない経験となりました。今後より多くの聖
心生が英語のスピーチに関心を持ち、意欲的
に取り組んでくれれば嬉しいです。この経験
を活かして、更なる英語能力やプレゼン力の
向上に努めたいと思います。
英語英文学科 3 年 衞藤 ジョセフィン
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Campus News
学生の活躍
本学在学生の五味真由子さんが「第13回日台文化交流 青
年スカラシップ」で「審査委員長特別賞」を受賞しました。
主催:フジサンケイ ビジネスアイ、産経新聞社
共催:外交部(台湾)、台北駐日経済文化代表処
大賞に次ぐ審査委員長特別賞は全作品1771点の中から1
名のみの受賞となる賞です。五味さんは大賞、優秀賞受賞
者の14名とともに、3 月下旬に台湾研修旅行に招かれました。
右から2人目が五味さん
日台文化交流青少年スカラシップを通して
これからの日台の絆
スカラシップに応募したきっかけは、昨年度後期
の「国際交流実習」という授業で、台湾からの留学
生に出会ったことです。もともと台湾に興味があり
ましたが、授業を通して、台湾の歴史、日本とのつ
ながりについてもっと知りたいと思うようになり
ました。
受賞の副賞として、 5 泊 6 日の研修旅行に参加し
ました。総督府表敬訪問、ホームステイを通して台
湾の持つ多様な面を見て、感じることができまし
た。研修旅行で一番印象に残っているのは、「日本
語世代」の方々とお話したことです。1895年から
1945年の50年間の日本統治時代に、台湾の人々は、
日本人としての教育を受け、日本人として生きるこ
とを強いられました。彼らは今でも日本語を学び、
「日本精神」を受け継いでいる方々です。日本の若
者に、日台が歩んできた歴史を学んでほしい、と何
度もおっしゃっていました。
台湾は古くからの伝統と新しい文化が入り混じ
った、美しい地でした。より多くの人に、台湾に関
心を持ってもらい、よりよい日台関係を築いていき
たいです。
国際交流学科 2 年 五味 真由子
東日本大震災復興祈念ミサ
始業ミサ
― 全学で心を一つに ―
― 心新たに始業ミサ ―
2016年 3 月11日、東日本大震災から 5 年が経ったこの
日に、聖堂にて、静一志神父様の司式により、東日本大
震災復興祈念ミサが行われました。ミサに先立ち、被災
地の現状が報告され、今後の復興支援のあり方を考える
上での指針となりました。続いて、代表 6 名が、ろうそ
くの灯をお捧げしました。ミサでは、シスター、教員、
学生が共同祈願を行い、被災地の方々の心に寄り添い、
それぞれの立場で復興支援を続けていけるよう、お祈り
いたしました。神父様のお話しを通じて、互いを想いや
る大切さを改めて心に刻みながら、祭壇に飾られたたく
さんのろうそくの灯のように、多くの光に照らされ、被
災地の復興が日々進むよう、神様のお導きをお願いいた
しました。
前マグダレナ・ソフィアセンター長 上石 学
始業ミサが 4 月 7 日㈭に行われました。本年度は、ミッ
http://www.u-sacred-heart.ac.jp
ション推進会議での検討を経て、このミサが全ての新入
生にとって、これから大学生活を始めるにあたり、それ
ぞれの期待や決心を確かめるとともに、彼らの新生活へ
の祝福が与えられる機会となること、特にミサに与るの
が初めての学生たちに配慮することを大切にしました。
マグダレナソフィア・センター並びに 1 年次センターの
教職員、ミサに関わる各学生サークルや学生会の協力の
もと準備を重ね、事前の解説やミサの間の指示を丁寧に
行いました。司式を務められた静一志神父様も新入生た
ちに優しく語りかけてくださり、全員が心一つにして与
ることができたように感じています。
ミッション推進会議 加藤 和哉
( 15 )
第206号
創基100周年を迎えた聖心女子大学
発行
聖心女子大学 〒
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1
5
0
8
9
3
8
東京都渋谷区広尾
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TEL
1
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0
3
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3
4
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7
︵代表︶ 編集 聖心女子大学 企画部 発行 年
5
8
1
1
◇創基100周年記念事業
聖心女子大学は本年創基100周年を迎えました。本学は1948年
に新制大学として開学しましたが、その前身である聖心女子学
院高等専門学校は100年前の1916年に創立されました。
聖心女子学院高等専門学校は女性の高等教育機関として設置
され、当初は英文科(予科 2 年、本科 3 年)のみでしたが、その
後国文科、歴史科が増設されま
した。
1944年に聖心女子学院専
門学校と改称し、戦後の1948年
に現在の学科構成に近い形で
聖心女子大学となりました。専
門学校は芝白金三光町(現港
区白金)にありましたが、大学
聖堂(関東大震災で倒壊)
(1918年完成)
は広尾に校地を得ました。
この創基100周年を記念して、今年度大学は大学史の資
料展示を行うほか、
11月に学内で記念式典を行う予定で
す。
また本年 3 月に別記の創基100周年記念ロゴマークが学
内公募により決まりました。大学の発行物などさまざまな
ところでこのロゴマークが使われることになります。
現在、本学の歴史とくに前身である専門学校時代を含む
古い時期の資料を探しております。もし皆様のお手もとに
写真、教科書、ノートなどがありましたら、資料展示等にお
借りしたく存じます。記念行事を所管する本学総務部にお
知らせいただければさいわいです。
記念事業実行委員会委員長 味岡 徹(史学科)
旧久邇宮邸御常御殿(パレス)の
補修が終了しました。
ロゴが
決定しました。
聖心女子大学創基100周年
記念事業検討委員会と学長
による審査の結果、100周年
記念ロゴは、人間関係学科 2
年の近藤七海さん考案のロゴ
に決定し、2016年 4 月12日、表彰式が執り行われました。
表彰式には近藤さんの他、優秀賞を受賞した 2 名ととも
に創基100周年記念事業実行委員会委員が出席して、受賞
をお祝いしました。
受賞のことば
本学キャンパスにある旧久邇宮邸御常御殿(パレス)
は、大正13年に建造された木造 2 階建の和風建築で、
国の登録有形文化財にも指定されています。本学では、
このパレスを学生の課外活動や授業等で使用していま
したが、経年による老朽化が進んだため、文部科学省
の施設整備費補助金も得て、屋根の軽量化等による補
強を含めた補修工事を実施し、本年 3 月末に竣工しま
した。
パレスは、現存する皇室建築としても貴重なもので
あり、本学が進めているキャンパスの整備の中でも、
創基100周年記念事業の一環として優先的に整備したも
のです。本学と同様に百年の歴史を刻もうとしている
パレスを、今後も大切にし、将来に継承して参ります。
聖心女子大学の創基100周年に当たり、私の考案致しました
ロゴマークを選んで頂き大変嬉しくまた光栄に思っておりま
す。このロゴマークには聖心生としてしなやかな強さや、他
人を労る温かい心を持ちながら、それぞれが聖心100年分の思
いを受け止め、感謝の気持ちを忘れず、女性としてしっかり
自立し世界に羽ばたいて行くという意味を込め作りました。
私は今年度、入学して 2 度目の春を迎えまし
たが、今までの聖心の卒業生の方々を見習い、
勉学に励みながらも、所属しております聖心
アートクラブと聖心祭実行委員会にも全力で
取り組み、将来に向けて自己スキルの向上に
努めたいと考えております。この長き歴史を
持つ聖心女子大学で学べる事を心より誇りに
思います。ありがとうございました。
人間関係学科 2 年 近藤 七海
回︵ ・ ・ ・ 月︶
4
ご寄付・ご支援のお願い【聖心女子大学振興基金(USH 基金)
】
3
5
7
11
聖心女子大学は、社会環境に適応する人材の育成に注力し、教育研究
の充実、学生支援の拡充等に努めております。また、先端的な教育設備
の更新や伝統あるキャンパスの維持にも引き続き努めてまいります。本
学を見守り、いつまでも発展するようにという皆さまの思いをぜひお寄
せくださいますようお願い申し上げます。
第206号
( 16 )
【お問い合わせ・お申し込み先】
聖心女子大学 経理部 〒150-8938 東京都渋谷区広尾4-3-1
TEL 03-3407-5811 / FAX 03-3407-5856
E-mail: keiribu@u-sacred-heart.ac.jp
http://www.u-sacred-heart.ac.jp